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特許7520683軸流冷却ファンシュラウドの円形開口部サイズの自動計算のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】軸流冷却ファンシュラウドの円形開口部サイズの自動計算のための方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/28 20200101AFI20240716BHJP
   G06T 7/521 20170101ALI20240716BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20240716BHJP
   G06F 113/08 20200101ALN20240716BHJP
【FI】
G06F30/28
G06T7/521
G06T7/62
G06F113:08
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020174733
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2021068441
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】62/916,317
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/829,190
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514180812
【氏名又は名称】ダッソー システムズ アメリカス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】フフ ワン
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ディーン テイト ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】カルティク マハデヴァン ムトゥラマン
(72)【発明者】
【氏名】サテシュ カンダサミー
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-072922(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107269583(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1550760(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1679186(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
G06T 7/00 - 7/90
G06T 1/00
G06V 10/00 -20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸流ファンのシュラウドサイズを決定するためのコンピュータ実施方法であって、
コンピュータ処理システムによって、シュラウド及び軸流ファンの3次元表現のデジタルデータを受信することと、
前記コンピュータ処理システムによって、前記受信したデジタルデータを、シュラウドセグメントに対応する第1の区画と、軸流ファンセグメントに対応する第2の区画とに分割することと、
前記コンピュータ処理システムによって、前記シュラウドセグメントのためのシュラウド境界リングを決定することと、
前記コンピュータ処理システムによって、前記第1の区画の画像に、前記シュラウドのシュラウド直径をピクセルで決定するための一連のビームを適用することと、
前記コンピュータ処理システムによって、前記ピクセルが前記シュラウドの一部分と一致することを示す信号を生成する値を有する前記画像内のピクセルを決定することと、
前記信号が検出されるとき、前記一連のビームのビーム角及び進行長を含む前記一連のビームからの情報から前記シュラウド直径を計算することと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記シュラウド境界リングの視認ベクトルを決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビームを適用することおよび前記ピクセルを決定することを、前記信号が検出されるまで繰り返すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記シュラウド直径を計算することは、
前記軸流ファンの前記3次元表現の前記デジタルデータから、前記シュラウドの2次元投影を決定して前記シュラウド境界リングを決定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記計算されるシュラウド直径は、物理的単位とピクセルとの間の変換比が得られるように、前記ファンの特徴線のデジタル画像を用いてピクセルで決定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ファン画像を用いて前記ファンの中心に対応する値を計算することと、
前記計算された中心値を前記ピクセルを決定することに渡すことと、
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
視認ベクトルおよび視野の奥行きおよび画像分解能は、前記ファンおよび前記シュラウドの寸法が測定の正確性に影響を及ぼさないように、前記ファン直径に基づく、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ビームを適用することは、シュラウド内側円を検索するために複数の方向においてファンエッジから複数のビームを放出して、計算コストを低減し、複数の同心円が存在するときの信号対雑音比を増大させる、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
特定の方向を除外することと、
記信号にハイパスフィルタを適用して、開口部に沿って構造が存在する場合、またはシュラウド開口部が離散化後により円形でなくなるときの、測定の正確性を改善することと、
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
ビーム移動方向に沿って、近傍ピクセルの中から前記シュラウドの一部分と一致するピクセルを探索することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
コンピュータシステムであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記1つまたは複数のプロセッサに作動的に結合されたメモリと、
軸流ファンのシュラウドサイズを決定するためのコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ記憶装置であって、命令を含み、前記命令は前記コンピュータシステムに、
シュラウド及び軸流ファンの3次元表現のデジタルデータを受信させ、
前記受信したデジタルデータを、シュラウドセグメントに対応する第1の区画と、軸流ファンセグメントに対応する第2の区画とに分割させ、
前記シュラウドセグメントのためのシュラウド境界リングを決定させ、
前記第1の区画の画像に、前記シュラウドのシュラウド直径をピクセルで決定するための一連のビームを適用させ、
前記ピクセルが前記シュラウドの一部分と一致することを示す信号を生成する値を有する前記画像内のピクセルを決定させ、
前記信号が検出されるとき、前記一連のビームのビーム角及び進行長を含む前記一連のビームからの情報から前記シュラウド直径を計算させる、
コンピュータ記憶装置と、
を備える、コンピュータシステム。
【請求項12】
前記シュラウド境界リングの視認ベクトルを決定する命令と、
前記ビームを適用することおよび前記ピクセルを決定することを、前記信号が検出されるまで繰り返す命令と、
を更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記軸流ファンの前記3次元表現の前記デジタルデータから、前記シュラウドの2次元投影を決定して前記シュラウド境界リングを決定する命令を更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記計算されるシュラウド直径は、物理的単位とピクセルとの間の変換比が得られるように、前記ファンの特徴線のデジタル画像を用いてピクセルで決定される、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
軸流ファンのシュラウドサイズを決定するための命令からなるコンピュータプログラムであって、前記命令は、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えるシステムに、
シュラウド及び軸流ファンの3次元表現のデジタルデータを受信させ、
前記受信したデジタルデータを、シュラウドセグメントに対応する第1の区画と、軸流ファンセグメントに対応する第2の区画とに分割させ、
前記シュラウドセグメントのためのシュラウド境界リングを決定させ、
前記第1の区画の画像に、前記シュラウドのシュラウド直径をピクセルで決定するための一連のビームを適用させ、
前記ピクセルが前記シュラウドの一部分と一致することを示す信号を生成する値を有する前記画像内のピクセルを決定させ、
前記信号が検出されるとき、前記一連のビームのビーム角及び進行長を含む前記一連のビームからの情報から前記シュラウド直径を計算させる、コンピュータプログラ
【請求項16】
前記シュラウド境界リングの視認ベクトルを決定する命令と、
前記ビームを適用させ、前記ピクセルを決定させる命令を、前記信号が検出されるまで繰り返す命令と、
を更に含む、請求項15に記載のコンピュータプログラム
【請求項17】
前記シュラウド直径を計算する命令は、
前記軸流ファンの前記3次元表現の前記デジタルデータから、前記シュラウドの2次元投影を決定して前記シュラウド境界リングを決定する命令を更に含む、請求項15に記載のコンピュータプログラム
【請求項18】
前記計算されるシュラウド直径は、物理的単位とピクセルとの間の変換比が得られるように、前記ファンの特徴線のデジタル画像を用いてピクセルで決定される、請求項17に記載のコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2019年10月17日に出願された「Method for Automatic Calculation of Axial Cooling Fan Shroud Circular Opening Size」と題する米国仮特許出願第62/916,317号に対する合衆国法典第35編第119条(e)に基づく優先権を主張するものであり、この文献の内容は全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本明細書は、物理的流体流などの物理的プロセスのコンピュータシミュレーションに関する。
【背景技術】
【0003】
高レイノルズ数の流れは、多数の離散的空間位置の各々で巨視的な物理量(例えば、密度、温度、流速)を表す変数に関して高精度な浮動小数点算術演算を実行することによる、ナビエ-ストークス微分方程式の離散解を生成することによってシミュレートされてきた。別の手法は、この微分方程式を格子ガス(またはセル)オートマトンとして一般的に知られるものに置き換え、その場合、ナビエ-ストークス方程式を解くことで与えられる巨視的レベルのシミュレーションは、格子上のサイト間を動いている粒子に対して演算を行う微視的レベルのモデルで置き換えられる。
【0004】
いくつかの流体シミュレーションは、ブレード、モータおよびシュラウドを有する軸流冷却ファンによって生じる流体流をシミュレートすることを伴う。数値流体力学(CFD)シミュレーションにおいて、軸流冷却ファンをシミュレートするのに回転メッシュまたは局所基準系が用いられているとき、ファンの周りのメッシュ回転領域を正確に画定することが、シミュレーションの正確性およびコストにとって不可欠である。低い計算コストで正確性を達成するために、軸流ファンシュラウドの円形開口部サイズが、シュラウド開口部サイズを決定するのに多くの場合に必要である。数値シミュレーションにおいて用いるためのシュラウド開口部サイズの決定は、非自明なプロセスとなり得る。
【0005】
一般的に、シュラウドの円形開口部サイズを測定するには、幾何学的ツールを用いて、3点を手動で選ぶ必要がある。開口部サイズ測定の正確性は、これらの3点の選択および場所に大きく依存し、この選択により誤差が生じる場合がある。これらの誤差は、3D表現においてデジタルで表現されているシュラウドが離散化しており、シュラウド開口部がより円形でなくなるメッシュが適用されているときに、より大きなものとなる場合がある。
【0006】
いくつかのツールは、ファンシュラウドの円形開口部サイズを間接的に取得する機能を提供するが(例えば、米国ロードアイランド州プロビデンス所在のライジングサンミルズのDassault Systemes SIMULIA Corp.の「Find Mesh Holes」と呼ばれるSIMULIA PowerDELTA(登録商標)機能を参照されたい)、シュラウドが円形開口部に沿って補助的アタッチメント、孔、サポータなどの何らかの特殊な構造を有し、円形プロファイルを不連続にするとき、大きな誤差が存在する場合がある。
【発明の概要】
【0007】
一態様によれば、ファンのシュラウドサイズを決定するためのコンピュータ実装方法が、コンピュータ処理システムによって、軸流ファンのシュラウドの3次元表現のデジタルデータを受信することと、受信したデータを、シュラウドセグメントに対応する第1の区画と、ファンセグメントに対応する第2の区画とに分割することと、シュラウドセグメントのためのシュラウド境界リングと、シュラウド境界リングの視野角とを決定することと、コンピューティングシステムによって、第1の区画の画像に、シュラウド直径を決定するためのビーム発射プロセスを適用することと、コンピューティングシステムによって、画像内に、ピクセルがシュラウドの一部分と一致することを示す信号を生成する値を有するピクセルが存在するか否かを判断することと、信号が検出されるとき、シュラウド直径を計算することとを含む。
【0008】
以下は、上記の態様の範囲内にある本明細書に開示されるいくつかの実施形態である。
【0009】
方法は、シュラウド境界リングの視野角(viewing angle)を決定することを更に含む。方法は、ビーム発射(beam shooting)および決定を、信号が検出されるまで繰り返すことを更に含む。シュラウド直径を計算することは、軸流ファンの3次元表現のデータから、シュラウドの2次元投影を決定してシュラウドリングを決定することを更に含む。計算されるシュラウド直径は、物理的単位とピクセルとの間の変換比が得られるように、ファンの特徴線のデジタル画像を用いてピクセル単位で決定される。
【0010】
方法は、ファン画像を用いてファンの中心に対応する値を計算することと、計算された中心値をシュラウド画像分析に渡して、計算コストを低減することとを更に含む。
【0011】
視認ベクトルおよび視野の奥行きおよび画像分解能は、ファンおよびシュラウドの寸法が測定の正確性に影響を及ぼさないように、ファン直径に基づく。
【0012】
ビーム発射プロセスは、シュラウド内側円を検索するために複数の方向においてファンエッジから複数のビームを放出して、計算コストを低減し、複数の同心円が存在するときの信号対雑音比を増大させる。方法は、特定の方向を除外することと、信号ハイパスフィルタを適用して、開口部に沿って構造が存在する場合の、またはシュラウド開口部が離散化後により円形でなくなるときの、測定の正確性を改善することとを更に含む。方法は、ビーム移動方向に沿って、近傍ピクセルの中から目標ピクセルを探索することを更に含む。
【0013】
更なる態様によれば、コンピュータシステムが、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサに作動的に結合されたメモリと、ファンのシュラウドサイズを決定するためのコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ記憶装置であって、命令を含み、命令はコンピュータシステムに、軸流ファンのシュラウドの3次元表現のデジタルデータを受信させ、受信したデータを、シュラウドセグメントに対応する第1の区画と、ファンセグメントに対応する第2の区画とに分割させ、シュラウドセグメントのためのシュラウド境界リングと、シュラウド境界リングの視野角とを決定させ、第1の区画の画像に、シュラウド直径を決定するためのビーム発射プロセスを適用させ、画像内に、ピクセルがシュラウドの一部分と一致することを示す信号を生成する値を有するピクセルが存在するか否かを判断させ、信号が検出されるとき、シュラウド直径を計算させる、コンピュータ記憶装置とを備える。
【0014】
以下は、上記の態様の範囲内にある本明細書に開示されるいくつかの実施形態である。
【0015】
システムは、シュラウド境界リングの視野角を決定し、ビーム発射および決定を、信号が検出されるまで繰り返す。システムは、軸流ファンの3次元表現のデータから、シュラウドの2次元投影を決定してシュラウドリングを決定する。計算されるシュラウド直径は、物理的単位とピクセルとの間の変換比が得られるように、ファンの特徴線のデジタル画像を用いてピクセル単位で決定される。
【0016】
更なる態様によれば、ファンのシュラウドサイズを決定するための、非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータプログラム製品が命令を含み、命令は、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを備えるシステムに、軸流ファンのシュラウドの3次元表現のデジタルデータを受信させ、受信したデータを、シュラウドセグメントに対応する第1の区画と、ファンセグメントに対応する第2の区画とに分割させ、シュラウドセグメントのためのシュラウド境界リングと、シュラウド境界リングの視野角とを決定させ、第1の区画の画像に、シュラウド直径を決定するためのビーム発射プロセスを適用させ、画像内に、ピクセルがシュラウドの一部分と一致することを示す信号を生成する値を有するピクセルが存在するか否かを判断させ、信号が検出されるとき、シュラウド直径を計算させる。
【0017】
以下は、上記の態様の範囲内にある本明細書に開示されるいくつかの実施形態である。
【0018】
製品は、シュラウド境界リングの視野角を決定する命令と、ビーム発射および決定を、信号が検出されるまで繰り返す命令とを更に含む。シュラウド直径を計算する命令は、軸流ファンの3次元表現のデータから、シュラウドの2次元投影を決定してシュラウドリングを決定する命令を更に含む。計算されるシュラウド直径は、物理的単位とピクセルとの間の変換比が得られるように、ファンの特徴線のデジタル画像を用いてピクセル単位で決定される
【0019】
態様のうちの1つまたは複数が以下の利点のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0020】
軸流冷却ファンシュラウドの円形開口部サイズは、人間の入力または動作を伴わずに測定される。画像処理方法は、2D領域において3D形状を分析し、計算コストを低減し、正確性を改善する。プロセスは、画像前処理またはエッジ検出が必要とならないように、形状のエッジではなく、ファンおよびシュラウドの3D形状の特徴線のデジタル画像を用いる。
【0021】
本明細書に開示される技法は、例えば、数値流体力学(CFD)シミュレーションにおいて、軸流冷却ファンをシミュレートするのに回転メッシュまたは局所基準系が用いられているとき、軸流ファンシュラウドの円形開口部サイズを正確に測定するために用いることができる。これらの技法は、ファンの周りのメッシュ回転領域を正確に画定し、これはシミュレーションの正確性およびコストの双方にとって不可欠である。
【0022】
態様は、人為的誤りを取り除く自動プロセスを伴う。態様は、従来の円ハフ変換法と比較して、はるかに高速、例えば10~20倍高速とすることができる円サイズ測定技法を提供する。3D形状を直接分析することと比較して、態様は、シュラウド開口部に特殊構造が存在するときに、これらの構造が円形プロファイルを不連続にする場合、より正確な結果を生成することができる。形状離散化プロセスからの歪みに起因してシュラウド開口部がより円形でないときの3点方法と比較して、標準偏差を低くすることができ、トレーニングコストが大幅に低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ファンシュラウドサイズを決定するためのプロセスを含む流体流のシミュレーションのためのシステムを、圧縮性流れのための乱流境界層モデルを用いたシミュレーション例と共に示す図である。
図2】決定されたファンシュラウドサイズおよび乱流境界層モデルを用いた格子ボルツマンモデルシミュレーションの定式化のための動作を示すフローチャートである。
図3】衝撃波面に遭遇しているときの流れ方向の変化を示す図である(従来技術)。
図4】3つの直交方向に沿った成分に分解された圧力勾配を示す図である(従来技術)。
図5】乱流境界層モデルの態様を示すフローチャートである。
図6】2つのLBMモデルの速度成分を示す図である(従来技術)。
図7】2つのLBMモデルの速度成分を示す図である(従来技術)。
図8】物理的プロセスシミュレーションシステムが辿る手順のフローチャートである。
図9】マイクロブロックの斜視図である(従来技術)。
図10A】格子構造の図である(従来技術)。
図10B】格子構造の図である(従来技術)。
図11】可変分解能技法を示す図である(従来技術)。
図12】可変分解能技法を示す図である(従来技術)。
図13】表面のファセットによって影響を受ける領域を示す図である(従来技術)。
図14】流体シミュレーションなどの様々な用途において用いることができる軸流ファンシュラウド開口部サイズを決定するための自動化プロセスのフローチャートである。
図15A図14の自動化プロセスの態様を理解するのに有用な図である。
図15B図14の自動化プロセスの態様を理解するのに有用な図である。
図15C図14の自動化プロセスの態様を理解するのに有用な図である。
図15D図14の自動化プロセスにおいて用いられるビーム発射プロセスの態様を理解するのに有用な、構成要素図15D-1~図15D-3を有する図である。
図15E図14の自動化プロセスの態様を理解するのに有用な図である。
図15F図14の自動化プロセスの態様を理解するのに有用な図である。
図15G図14の自動化プロセスの態様を理解するのに有用な図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下は、圧縮性流れのための乱流境界層モデルを用いて、LBM流体シミュレーション例において適用されるような軸流ファンシュラウドの開口部サイズを決定するための自動化プロセスの例示的な適用である。LBM流体シミュレーションの使用および乱流境界層モデルの使用は、軸流ファンシュラウドの開口部サイズを決定するための上述した自動化プロセスの結果の使用の単なる例示的な例である。
【0025】
例えば、文献の内容全体が引用により本明細書に組み入れられる、「COMPUTER SIMULATION OF PHYSICAL PROCESS」と題する米国特許出願第11/463,673号(現在、米国特許7,558,714号として発行されている)に記載されているように、ファンシュラウドの開口部サイズの決定を補正するための自動化プロセスを、シミュレーションエンジン34によって実行される流体流シミュレーションのために用いることができる。
【0026】
以下の図8において、ファンシュラウドの開口部サイズを正しく決定してシミュレーション空間を構成するための自動化プロセスの結果を用いる流れシミュレーションプロセスが記載される。図9図13などの続く図面において、これらの図面の各々は、従来技術としてラベル付けされている。なぜなら、これらの図面は上記で参照した特許に現れるためである。
【0027】
しかしながら、上記の特許に現れるこれらの図面は、シミュレーション空間を構成するために、ファンシュラウドの開口部サイズの決定を補正するための自動化プロセスを用いた流れシミュレーションに対して行われる変更を考慮に入れていない。なぜなら、本明細書に記載の自動化プロセスは上記で参照した特許に記載されていないためである。
【0028】
LBMベースの物理的プロセスシミュレーションシステムにおいて、流体流は離散速度ciの集合において評価された分布関数値fiによって表される。分布関数の動力学は以下の式によって管理され、ここで、fi(0)は平衡分布関数として知られ、以下のように定義される。
【数1】
この式は、分布関数fiの時間発展を記述するよく知られた格子ボルツマン方程式である。左辺はいわゆる「流動プロセス」に起因した分布の変化を表す。流動プロセスは、流体のポケットがグリッド位置において開始し、その後、速度ベクトルのうちの1つに沿って次のグリッド位置に移動するときのものである。その時点において、「衝突係数」、すなわち、開始流体ポケットに対する近隣流体ポケットの影響が計算される。流体は別のグリッド位置にしか移動することができず、このため、全ての速度の全ての成分が共通速度の倍数になるように適切な速度ベクトルの選択が必要である。
【0029】
第1の式の右辺は、流体ポケット同士の衝突に起因する分布関数の変化を表す上述した「衝突演算子」である。ここで用いられる衝突演算子の特定の形態は、Bhatnagar、GrossおよびKrock(BGK)に起因する。この衝突演算子は、二次方程式によって与えられる規定値に分布関数を近づけ、「平衡」形態となる。
【0030】
このシミュレーションから、質量ρおよび流体速度uなどの従来の流体変数が単純和として得られる。ここで、ciおよびwiの集合的な値はLBMモデルを定義する。LBMモデルは、スケーラブルコンピュータプラットフォーム上に効率的に実装して、時間的に非定常な流れおよび複雑な境界条件のために高いロバスト性で実行することができる。
【0031】
ボルツマン方程式から流体系の動きの巨視的式を取得する標準技術は、完全なボルツマン方程式の逐次近似を取るチャップマン-エンスコッグ法(Chapman-Enskog method)である。
【0032】
流体系では、密度のわずかな乱れは音速で伝わる。ガス系では、音速は一般的に温度によって決まる。流れにおける圧縮率の影響の重要性は、特性速度と音速との比率によって測定され、これはマッハ数として知られている。
【0033】
ここで図1を参照すると、高速かつ圧縮性の流れについての圧力勾配方向の影響34bを組み込む乱流境界層モデルを含むシステム10が記載される。この実装におけるシステム10は、クライアントサーバアーキテクチャまたはクラウドベースアーキテクチャに基づき、超並列コンピューティングシステム12(スタンドアロンまたはクラウドベース)として実装されるサーバシステム12と、クライアントシステム14とを含む。サーバシステム12は、メモリ18と、バスシステム11と、インタフェース20(例えば、ユーザインタフェース/ネットワークインタフェース/ディスプレイまたはモニタインタフェースなど)と、処理デバイス24とを含む。メモリ18内には、メッシュ準備エンジン32およびシミュレーションエンジン34が存在する。
【0034】
図1では、メッシュ準備エンジン32をメモリ18内に示しているが、メッシュ準備エンジンは、サーバ12とは異なるシステム上で実行されるサードパーティアプリケーションとすることもできる。メッシュ準備エンジン32は、メモリ18内で実行されるか、それともサーバ12とは異なるシステム上で実行されるかにかかわらず、シミュレーションエンジン34によってシミュレーションのためにモデル化されている物理的物体に従って、ユーザ指定のメッシュ定義30を受け取り、メッシュを準備して、準備されたメッシュをシミュレーションエンジン34に送信(および/または記憶)する。シミュレーションエンジン34は、衝突相互作用モジュール34aと、境界モジュール34bと、移流粒子衝突相互作用モジュール34cとを含む。システム10は、2Dおよび/または3Dメッシュ(デカルト座標および/または曲線)と、座標系と、ライブラリとを記憶するデータリポジトリ38にアクセスする。
【0035】
本明細書に論考される例において、物理的物体は、シュラウドを有する軸流ファンを含む換気システムであり、シュラウドはシュラウド開口部を有する。軸流ファンのシュラウド開口部のサイズの正確な測定値を有することが望ましい。しかしながら、物理的物体は、任意の形状をとることができ、特に平坦なおよび/または湾曲した表面を有することができるため、換気システムの使用は単なる例示である。更に、いくつかの実施態様において、流体流は、軸流ファンが位置決めされる流体環境内にあることができる。システム10は、2Dおよび/または3Dメッシュ(デカルト座標および/または曲線)、例えば、換気システムの場合32a、軸流ファンの場合32bと、座標系と、ライブラリとを記憶するデータリポジトリ38にアクセスする。
【0036】
シュラウドの開口部サイズを決定するためのプロセス(プロセス55)も含まれる。プロセス55は、メッシュ準備プロセスの一部とすることができるか、別個のプロセスとすることができるか、またはシミュレーションプロセスに含めることができる。このプロセス55の十分な論考は図15A図15Gに示される。メッシュ準備エンジン32に関して、プロセス55は、メモリ18において実行することができるか、またはサーバ12と異なるシステム上で実行することができ、サーバは、シミュレーションエンジン34によって用いられる(または、シュラウドの開口部サイズが決定される他の用途のために用いることができる)プロセス55の結果を受信する(および/または記憶する)。シミュレーションエンジン34での使用は単なる使用例である。
【0037】
ここで図2を参照すると、物理的物体の表現に関して流体流をシミュレートするためのプロセス40が示される。プロセス40は、シミュレートされている物理的物体、例えば換気システムのためのメッシュ32a(またはグリッド)を、例えばクライアントシステム14から受信する(42)か、またはデータリポジトリ38から索出する。他の実施形態では、外部システムまたはサーバ12が、ユーザ入力に基づいて、シミュレートされている物理的物体のためのメッシュ32aを生成する。ファンのシミュレーションが、ファンをシミュレーション中に物理的に回転しているものとして有する状況において、軸流ファンにメッシュを適用することによりシミュレーションが複雑になり得る。このため、ファンとシュラウドとの間の隙間領域を正確に解決する必要がある。
【0038】
プロセス40はまた、軸流ファンのための3次元表現を、例えばクライアントシステム14から受信する(42)またはデータリポジトリ38から索出する。プロセス40は、プロセス55を起動する(41)か、またはプロセス40は、プロセス55を実行した別のシステム/プロセスから、計算された軸流ファンシュラウドの開口部サイズを供給される。すなわち、他の実施形態において、外部システムまたはサーバ12がプロセス55を実行して、軸流ファンシュラウドの開口部サイズを決定し、これをシミュレーションプロセス40への入力として提供する。
【0039】
シミュレーションプロセス46は、格子ボルツマン方程式(LBE)に従って粒子分布の進展をシミュレートする。プロセスは、索出されたメッシュから幾何学量を事前に計算し(44)、索出されたメッシュに対応する事前計算された幾何学量を用いて動的格子ボルツマンモデルシミュレーション46を実行する。シミュレーションプロセス46は、格子ボルツマン方程式(LBE)に従って粒子分布の進展をシミュレートする。プロセス46は、衝突動作を実行し(46a)、(そして、衝突動作から、近傍メッシュ位置から到来する分布の集合を収集し、)境界モデル化に従って物理的境界における流れを評価し(46b)、流れが物理的表面に当たるとき、スカラソルバ46cを適用することによってスカラ処理を行うことができ、LBMメッシュ内の次のセルへの粒子の移流46dを行う。
【0040】
境界モデル化
ここで図3を参照すると、衝撃波面に遭遇しているときの流れの方向の変化が示される。表面との相互作用を正しくシミュレートするために、各ファセットは4つの境界条件を満たす。第1に、ファセットが受け取る粒子の合計質量は、ファセットが移動させる粒子の合計質量に等しくなければならない(すなわち、ファセットへの正味質量流束がゼロに等しくなければならない)。第2に、ファセットが受け取った粒子の合計エネルギーは、ファセットが移動させた粒子の合計エネルギーに等しくなければならない(すなわち、ファセットへの正味エネルギー流束はゼロに等しくなければならない)。これらの2つの条件は、各エネルギーレベル(すなわち、エネルギーレベル1および2)での正味質量流束がゼロに等しくなるよう求めることによって満たすことができる。
【0041】
境界層モデルは、固体壁において生じる運動量流束を統括する通例の非滑り境界条件に対応する壁せん断応力(摩擦)を以下のようにモデル化することができる。
【数2】
ここで、勾配値は、壁(y=0)において取得され、u*は、いわゆる摩擦速度(=壁せん断応力の二乗根
【数3】
であり、ρは流体質量密度である)であり、v0は、流れの分子動粘性である。この勾配の正確な計算は、速度場を壁まで非常に小さなスケールで分解することを必要とし、実用的でない。乱流モデル化の主な任務は、壁における速度勾配を直接計算することなく壁せん断応力を近似することである。これは、乱流および計算流体力学の分野において乱流境界層モデル化(または壁モデル化)として知られている。
【0042】
乱流境界層モデルの定式化は、「壁の法則」として知られる乱流の基本現象の基礎にある。すなわち、固体壁が十分に平坦であり、壁からの距離の観点で測定された広範囲の位置にわたって、乱流の流れが壁に沿って完全に付着している場合、乱流の流れの時間平均された速度プロファイルは、特定の、すなわち「普遍」形態を有する。
【0043】
この「普遍」形態は、壁せん断応力などの局所的な固有物理特性によるスケール変換の下で保持される。このため、以下の式を、速度プロファイルのために用いることができる。
【数4】
ここで、U(y)は、壁からの距離yにおいて測定された固体壁に沿った平均流体速度値であり、Bは定数である(経験的に、約5の値を有することがわかっている)。量y+は、以下のように定義される、壁からの次元なしの距離である。
【数5】
【0044】
定数κはいわゆるフォンカルマン定数である(経験的に、約0.41の値であることがわかっている)。対数関数形態は、概ね50から数百以上の広範囲のy+値について有効である。基本壁モデル関数形態(Eq.1)は、粘性底層および遷移底層を含む、より広範囲のy+値、0<y+<50をカバーするように拡張することができる。拡張形態は以下に与えられる。
U(y)=u*F(y+) (Eq.2)
一般的に、y+≧50の場合、
【数6】
であり、5<y+<50の場合、遷移プロファイル形態が用いられることが受容されている。
【0045】
しかしながら、この「壁の法則」は、一般的に、境界層流が完全に平坦な固定壁に沿って完全に付着しており、壁に対し平行な粘性変動が、壁に対し法線方向のものと比較して無視することができるときにのみ適用可能であり、これは平衡条件として知られる。式(Eq.1)は、速度プロファイル(壁からの距離の関数としての速度)と、表面摩擦との関係を定義する。これは、乱流境界層モデル化の物理特性に関する観測である、壁における(解決不可能な)速度勾配情報を必要とすることなく表面摩擦を決定するための基礎をもたらす。壁せん断応力ベクトルは、流速方向の反対方向において流体に作用する固体面による有効力を定義する。
【0046】
【数7】
ここで、
【数8】
は、流速方向900における単位ベクトルである。
【0047】
しかしながら、固体壁(衝撃波面902)は多くの場合に平坦でない。したがって、「壁の法則」を、例えば壁曲率によって生じる流動方向における流れの変動が存在する非平衡状況に拡張することが望ましい。乱流境界層プロファイルに対する曲率のリーディングオーダーの影響が圧力勾配の存在であることがわかっている。基本壁モデルの様々な拡張が行われた。これらは、一般的には、圧力勾配に比例する項を含めるような式(Eq.1)の変更である。
【0048】
1つのそのような拡張が、その全体が引用により本明細書に組み入れられる、米国特許(米国特許第5910902号)に記載されている。この特許は、圧力勾配の影響下での境界層プロファイルの自己相似性の引数に基づいて、特定の方式を用いて基本壁モデル(Eq.1)を圧力勾配の影響を含めるように高度に拡張したものを記述している。この拡張の一般的な形態は以下のように書かれる。
【0049】
【数9】
ここで、ξ(x)は、xの次元のない正の関数である。dp/dsは、流動方向(局所的な流体速度に対し平行)の圧力勾配成分、
【数10】
を表し、ここで、
【数11】
は、流動方向における単位ベクトルである。この手法は、境界層流分離の正確な予測を含む、任意の形状の物体の周りの流れの正確なシミュレーションを可能にする。
【0050】
既存の乱流境界層モデル化(上記の米国特許第5910902号に記載されているものを含む)は、圧力勾配方向が境界層における速度方向に対し平行であることを仮定する。すなわち、(Eq.4)のような(Eq.2)に対する拡張は、流動方向の圧力勾配成分の寄与のみを考慮に入れるのに対し、垂直な圧力成分を無視する。これは、流れの方向における幾何学的湾曲の影響に対処するのに妥当であるが、固体面に沿った流れが湾曲方向と常に同じ方向にあるわけではないことがある。例えば、主軸が流れの方向に対し角度(0<θ<90)を形成する円筒を検討する。この形状の結果として、得られる圧力勾配は、流れ方向に対し平行でも垂直でもしない。したがって、非平行境界層流に対する湾曲の影響を適切に捕捉するために、既存の乱流境界層モデル化に対する一般化が必要とされる。
【0051】
上記で暗に示したように、図4を参照すると、圧力勾配は、3つの直交する方向70、すなわち、壁に対し法線方向の方向と、壁に対し共に接線方向であるが、一方の方向は、境界層における平均速度に対し平行な「流動方向(stream-wise)」の方向であり、他方の方向は壁に対し垂直な「広がり方向(span-wise)」の方向である、2つの方向とに沿った成分に分解することができる。一般的に、従来の拡張された壁モデルでは、流動方向の圧力勾配成分寄与が含まれるのに対し、広がり方向の成分は無視されるかまたは認識されない。
【0052】
本明細書に記載の乱流境界層モデル化は、圧力勾配方向と流速方向との間の関係を扱うために異なる方式で開始する。圧力勾配を上述した3つの方向(壁に対し法線方向、2つの接線方向、すなわち「流動方向」および「広がり方向」)に分解するのではなく、プロセスは境界層流速を3つの方向に分解する。
【0053】
速度は壁に対し接線方向であるため、壁に対し法線方向の速度成分はゼロであり、このため、実際には、2つの速度方向、すなわち、圧力勾配の壁接線部分に対し平行な第1の方向、および圧力勾配の壁接線部分に対し垂直な第2の方向のみが存在する。
【0054】
したがって、速度ベクトルUは以下のように表すことができる。
【数12】
ここで、
【数13】
904および
【数14】
は、それぞれ圧力勾配方向の壁接線部分に対し平行な、および垂直な、壁接線単位ベクトルである。速度成分は以下によって表される。
【数15】
【0055】
境界層速度をこれらの2つの成分に分解すると、その2つの異なる方向に基づいて適切な壁モデル化を適用することは簡単である。圧力勾配に対し垂直な速度成分の場合、基本的な壁の法則が(Eq.2)におけるように採用され、すなわち以下となる。
b(y)=u*bF(y+) (Eq.7a)
ここで、摩擦速度u*bは、圧力勾配方向に対し垂直な表面摩擦に対応する。対照的に、圧力勾配に対し平行な速度成分について、拡張された壁モデル形態(Eq.4)が用いられる。
【0056】
【数16】
【0057】
したがって、圧力勾配効果は、境界層速度の平行成分にのみ適用される。上記において、u*pは、圧力勾配方向に対し平行な表面摩擦に対応する。
【0058】
加えて、以前に定義し理解されたものと比較して、流動方向の圧力勾配dp/ds904のより慎重な定義が提供される。上記で論考したように、従来の理解において、dp/dsは、流動方向における圧力勾配成分であり、すなわち、境界層速度の方向における圧力勾配の投影である。
【数17】
【0059】
従来の理解と対照的に、dp/dsは、本明細書において、固体面に対し接線方向の圧力勾配の成分として定義する。これは一般的に、速度方向と同じでない。明示的に、この解釈によるdp/dsは以下のように定義される。
【数18】
ここで、
【数19】
は、固体面に対し法線方向の単位ベクトルであり、単位ベクトル
【数20】
は、表面に対し接線方向の投影された圧力勾配の方向にある((Eq.5)において定義された単位ベクトル
【数21】
に等しい)。
【0060】
新たなdp/dsの絶対値は、一般的に、従来の定義におけるものよりも大きい。なぜなら、
【数22】
であるためである。結果として、得られる圧力勾配効果は、新たに拡張された壁モデルにおいてわずかにより強力である。より重要なことに、一般的に、境界層速度は、圧力勾配(の接線部分)に対し平行でないため、結果として得られる表面摩擦力は、もはや速度方向に対し平行でない。
【0061】
上記全てを組み合わせると、結果として、壁せん断応力の新たな表現が以下のように与えられる。
【数23】
【0062】
*pは一般的にu*bに等しくないため、壁せん断力方向は、流速方向に対し平行でないことがわかる。この特徴は、全ての以前の乱流境界層モデルにおいて欠落していると考えられる。したがって、説明された拡張壁モデルが、従来の壁モデルよりも、平坦でない固体壁表面について大幅な改善を示し、したがって、「壁の法則」を、例えば壁湾曲によって生じる流動方向における流れの変動が存在する非平衡状況に拡張することが予期される。開示された壁モデルの非平行な表面摩擦力の影響は、湾曲した表面に対する壁に近い衝撃の存在に起因した境界層転回現象のより正確な予測をもたらすことができる。
【0063】
図5を参照すると、乱流境界層モデル46bが評価される。乱流境界層モデルは、境界層流速度を決定する(82)。3つの方向が存在するが、壁に対し法線方向の速度成分がゼロであるとみなされ、このため、実際には、2つの方向、すなわち、圧力勾配の壁接線部分に対し平行な第1の方向、および圧力勾配の壁接線部分に対し垂直な第2の方向のみが決定される。これについてはEq.6aおよびEq.6b(上記)を参照されたい。
【0064】
Eq.6aおよびEq.6b(上記)の境界層速度の2つの成分を用いて、乱流境界層モデルは、拡張壁モデル形態において、壁せん断応力方向が流速方向と平行でない壁せん断応力として上記でEq.9に与えられた圧力勾配に対し平行な速度成分を適用することによって、これらの速度成分に基づいて圧力勾配を計算する(84)。
【0065】
図6を参照すると、第1のモデル(2D-1)100は、21個の速度を含む2次元モデルである。これらの21個の速度のうち、1つ(105)は、移動していない粒子を表し、4つの速度からなる3つの組は、格子のxまたはy軸に沿った正または負の方向における、正規化速度(r)(110~113)、正規化速度の2倍(2r)(120~123)、または正規化速度の3倍(3r)(130~133)で移動している粒子を表し、4つの速度からなる2つの組は、x格子軸およびy格子軸の双方に対し、正規化速度(r)(140~143)、正規化速度の2倍(2r)(150~153)で移動している粒子を表す。
【0066】
図7にも示されているように、第2のモデル(3D-1)200は39個の速度を含む3次元モデルであり、各速度は図7の矢印のうちの1つによって表される。これらの39の速度のうち、1つは、移動していない粒子を表し、6つの速度からなる3つの組は、格子のx、yまたはz軸に沿った正または負の方向における、正規化速度(r)、正規化速度の2倍(2r)、または正規化速度の3倍(3r)で移動している粒子を表し、8つは、3つのx、y、z格子軸全てに対し正規化速度(r)で移動している粒子を表し、12個は、x、y、z格子軸のうちの2つに対し正規化速度の2倍(2r)で移動している粒子を表す。
【0067】
101個の速度を含む3D-2モデル、および37個の速度を含む2D-2モデルのようなより複雑なモデルも用いることができる。速度は、それぞれ表1および表2に文書化された各軸に沿った成分によってより明確に記述される。
【0068】
101個の速度からなる3次元モデル3D-2の場合、1つは、移動していない粒子を表し(グループ1)、6つの速度からなる3つの組は、格子のx、yまたはz軸に沿った正または負の方向における、正規化速度(r)、正規化速度の2倍(2r)、または正規化速度の3倍(3r)で移動している粒子を表し(グループ2、4および7)、8つからなる3つの組は、3つのx、y、z格子軸全てに対し正規化速度(r)、正規化速度の2倍(2r)、または正規化速度の3倍(3r)で移動している粒子を表し(グループ3、8および10)、12個は、x、y、z格子軸のうちの2つに対し正規化速度の2倍(2r)で移動している粒子を表し(グループ6)、24個は、x、y、z格子軸のうちの2つに対し正規化速度(r)および正規化速度の2倍(2r)で移動し、残りの軸に対して移動していない粒子を表し(グループ5)、24個は、x、y、z格子軸のうちの2つに対し正規化速度(r)で移動し、残りの軸に対して正規化速度の3倍(3r)で移動している粒子を表す(グループ9)。
【0069】
37個の速度からなる2次元モデル2D-2について、1つは、移動していない粒子を表し(グループ1)、4つの速度からなる3つの組は、格子のxまたはy軸に沿った正または負の方向における、正規化速度(r)、正規化速度の2倍(2r)、または正規化速度の3倍(3r)で移動している粒子を表し(グループ2、4および7)、4つの速度からなる2つの組は、xおよびy格子軸の双方に対し正規化速度(r)または正規化速度の2倍(2r)で移動している粒子を表し、8個の速度は、xおよびy格子軸のうちの1つに対し正規化速度(r)で移動し、他方の軸に対し正規化速度の2倍(2r)で移動している粒子を表し、8個の速度は、xおよびy格子軸のうちの1つに対し正規化速度(r)で移動し、他方の軸に対して正規化速度の3倍(3r)で移動している粒子を表す。
【0070】
上記で説明されたLBMモデルは、2次元および3次元の双方における流れの数値シミュレーションのための特定のクラスの効率的でロバストな離散速度動力学モデルを提供する。この種のモデルは、離散速度の特定の集合と、これらの速度に関連付けられた重みとを含む。速度は、速度空間においてデカルト座標のグリッド点と一致し、これにより、特に格子ボルツマンモデルとして知られる種類の離散速度モデルの正確で効率的な実施を容易にする。そのようなモデルを用いて、流れは高い忠実度でシミュレートすることができる。
【0071】
図8を参照すると、物理プロセスシミュレーションシステムが、手順300に従って動作して、軸流ファンが配設される流体流などの物理プロセスをシミュレートする。シミュレーションの前に、決定された軸流ファンシュラウドサイズが、(図14および図15A図15Gにおけるような)軸方向のファンシュラウドサイズを自動的に計算するプロセスの実行から受信され(301)、流体シミュレーションに適用される(301)。流体シミュレーションの一部として、シミュレーション空間がボクセルの集合としてモデル化される(ステップ302)。通常、シミュレーション空間は、コンピュータ支援設計(CAD)プログラムを用いて生成される。例えば、CADプログラムを用いて、換気システム内の軸流ファンを描くことができる。その後、CADプログラムによって生成されたデータを処理して適切な分解能を有する格子構造を追加し、シミュレーション空間内の物体および表面を考慮する。
【0072】
格子の分解能は、シミュレートされているシステムのレイノルズ数に基づいて選択することができる。レイノルズ数は、流れの粘度(v)、流れにおける物体の特性長(L)および流れの特性速度(u)に関連する。
Re=uL/v Eq.(I-3)
【0073】
物体の特性長は、物体の大規模な特徴を表す。例えば、マイクロデバイスの周囲の流れをシミュレートする場合には、マイクロデバイスの高さを特性長とみなすことができる。軸流ファンの周りの流れの場合、ファンの直径は、特性長とみなされ得る。小さな物体領域(例えば、ファンとシュラウドとの間の間隙領域)の周囲の流れに関心があるとき、シミュレーションの分解能を高めるか、または関心領域の周囲に高分解能の領域を使用することができる。格子の分解能が高まるにつれてボクセルの次元は減少する。
【0074】
状態空間はfi(x,t)として表され、ここで、fiは、時点tにおいて3次元ベクトルxによって示される格子サイトにおける状態iの単位体積当たりの要素または粒子の数(すなわち、状態iの粒子の密度)を表す。既知の時間増分では、粒子の数が単純にfi(x)として参照される。格子サイトの全ての状態の組合せは、f(x)として示される。
【0075】
状態の数は、各エネルギーレベル内の考えられる速度ベクトル数によって決まる。速度ベクトルは、x、yおよびzの3次元を有する空間内の整数の線形速度からなる。多重種シミュレーションでは状態の数が増加する。
【0076】
各状態iは、特定のエネルギーレベル(すなわち、エネルギーレベル0、1または2)における異なる速度ベクトルを表す。各状態の速度ciは、以下のように3次元の各次元における「速度」と共に示される。
i=(cix,ciy,ciz) Eq.(I-4)
【0077】
エネルギーレベルゼロの状態は、どの次元においても動いていない停止した粒子を表し、すなわちcstopped=(0,0,0)である。エネルギーレベル1の状態は、3次元のうちの1つの次元において±1の速度を有し、他の2つの次元においてゼロ速度を有する粒子を表す。エネルギーレベル2の状態は、3次元全てにおいて±1の速度を有する粒子、または3次元のうちの1つの次元において±2の速度を有し、他の2つの次元においてゼロ速度を有する粒子を表す。
【0078】
3つのエネルギーレベルの考えられる順列を全て生成すると、全部で39個の可能な状態(1つのエネルギー0状態、6つのエネルギー1状態、8つのエネルギー3状態、6つのエネルギー4状態、12個のエネルギー8状態および6つのエネルギー9状態)が得られる。
【0079】
各ボクセル(すなわち、各格子サイト)は、状態ベクトルf(x)によって表される。状態ベクトルは、ボクセルの状態を完全に定め、39個のエントリを含む。39個のエントリは、1つのエネルギー0状態、6つのエネルギー1状態、8つのエネルギー3状態、6つのエネルギー4状態、12個のエネルギー8状態および6つのエネルギー9状態に対応する。システムは、この速度集合を使用することによって、達成された平衡状態ベクトルのためのマクスウェル-ボルツマン統計を生成することができる。
【0080】
プロセスがメッシュ内で物理的物体またはデバイスの表面に対応する位置に遭遇するときのシミュレーション中、プロセスは、上記で論考したように、圧力勾配を境界層流速度に分解する乱流境界層モデルの下で評価することによって上記関数を実行する。
【0081】
ここで図9を参照すると、マイクロブロックが示されている。ボクセルは、処理効率のためにマイクロブロックと呼ばれる2×2×2の体積にグループ化される。これらのマイクロブロックは、ボクセルの並行処理を可能にして、データ構造に関連するオーバーヘッドを最小化するように編成される。マイクロブロック内のボクセルの略語はNi(n)として定義され、ここで、nは、マイクロブロック内の格子サイトの相対的位置を表し、n∈{0,1,2,...,7}である。
【0082】
図10Aおよび図10Bを参照すると、表面S(図10A)が、シミュレーション空間(図10B)内にファセットFαの集合として表されている。
S={Fα} Eq.(I-5)
ここで、αは、特定のファセットを列挙する指数である。ファセットはボクセル境界に制限されず、比較的少数のボクセルにファセットが影響を与えるように、典型的にはファセットに隣接するボクセルのサイズと同程度またはそれよりもわずかに小さなサイズを有する。ファセットには、表面動力学を実装する目的で特性が割り当てられる。特に、各ファセットFαは、単位法線(nα)と、表面積(Aα)と、中心位置(xα)と、ファセットの表面動特性を表すファセット分布関数(fi(α))とを有する。
【0083】
図11を参照すると、シミュレーション空間の異なる領域内で異なるレベルの分解能を用いて処理効率を改善することができる。通常は、物体352の周囲の領域650に最も関心があり、したがってこの領域を最高分解能でシミュレートする。粘度の影響は物体からの距離と共に減少するので、減少レベルの分解能(すなわち、拡大されたボクセル体積)を用いて、物体655から増加する距離に配置された領域660、665をシミュレートする。
【0084】
同様に、図12に示すように、低レベルの分解能を用いて物体775のそれほど重要でない特徴の周囲の領域770をシミュレートする一方で、最高レベルの分解能を用いて物体775の最も重要な特徴(例えば、前端面および後端面)の周囲の領域780をシミュレートすることもできる。中心から外れた領域785は、最低レベルの分解能および最大ボクセルを用いてシミュレートされる。
【0085】
ファセットの影響を受けるボクセルの識別
再び図8を参照すると、決定された軸流ファンシュラウドサイズを考慮に入れてシミュレーション空間がモデル化されると(ステップ302)、1つまたは複数のファセットによる影響を受けるボクセルが識別される(ステップ304)。ボクセルは、複数の形でファセットの影響を受ける場合がある。まず、1つまたは複数のファセットが交わるボクセルは、交わっていないボクセルに比べて体積が減少するという点で影響を受ける。この理由は、ファセットと、ファセットが表す表面の下にある材料とがボクセルの一部を占有するからである。分数係数(fractional factor)Pf(x)は、ファセットの影響を受けないボクセルの部分(すなわち、流れをシミュレートする対象である流体または他の材料が占有できる部分)を示す。交わっていないボクセルでは、Pf(x)が1に等しい。
【0086】
ファセットへの粒子の移動またはファセットからの粒子の受け取りを行うことによって1つまたは複数のファセットと相互作用するボクセルも、ファセットの影響を受けるボクセルとして識別される。ファセットが交わる全てのボクセルは、ファセットから粒子を受け取る少なくとも1つの状態と、ファセットに粒子を移動させる少なくとも1つの状態とを含むようになる。ほとんどの場合、更なるボクセルもこのような状態を含む。
【0087】
図13を参照すると、ファセットFαは、非ゼロの速度ベクトルciを有する各状態iについて、速度ベクトルciとファセットの単位法線nαとのベクトルドット積(|cii|)の大きさによって定義される高さと、ファセットの表面積Aαによって定義される底面とを有する平行六面体Gによってその体積Vが次式に等しくなるように定められた領域から粒子を受け取り、またはこの領域に粒子を移動させる。
=|ciα|Aα Eq.(I-6)
【0088】
ファセットFαは、状態の速度ベクトルがファセットの方に向いている(|cii|<0)とき、体積Vから粒子を受け取り、状態の速度ベクトルがファセットから離れる方に向いている(|cii|>0の)とき、この領域に粒子を移動させる。以下で論考するように、内角などの非凸面特徴の近傍で起こり得る状態である、別のファセットが平行六面体Gの一部を占有するときには、この式は修正されなくてはならない。
【0089】
ファセットFαの平行六面体Gは、複数のボクセルの一部または全部に重なり合うことができる。ボクセルの数またはその一部は、ボクセルのサイズに対するファセットのサイズと、状態のエネルギーと、格子構造に対するファセットの配向とに依存する。影響を受けるボクセルの数は、ファセットのサイズと共に増加する。したがって、上述したように、通常、ファセットのサイズは、ファセットの近くに位置するボクセルのサイズと同程度またはそれよりも小さくなるように選択される。
【0090】
平行六面体Gが重なり合ったボクセルの部分N(x)は、V(x)として定義される。この項を使用すると、ボクセルN(x)とファセットFαとの間を移動する状態iの粒子の流束Γ(x)は、ボクセルの状態iの粒子の密度(Ni(x))と、ボクセルが重なり合った領域の体積(V(x))とを乗算したものに等しい。
Γ(x)=Ni(x)V(x) Eq.(I-7)
【0091】
平行六面体Gに1つまたは複数のファセットが交わるとき、以下の条件が当てはまる。
=ΣVα(x)+ΣV(β) Eq.(I-8)
ここで、第1の加算は、Gが重なり合った全てのボクセルを計上し、第2項は、Gに交わる全てのファセットを計上する。平行六面体Gに別のファセットが交わらないとき、この式は以下のように変形する。
=ΣV(x) Eq.(I-9)
【0092】
シミュレーションの実行
1つまたは複数のファセットの影響を受けるボクセルが識別されると(ステップ304)、タイマを初期化してシミュレーションを開始する(ステップ306)。シミュレーションの各時間増分中、粒子と表面ファセットとの相互作用を計上する移流段階(ステップ308~316)によってボクセルからボクセルへの粒子の移動がシミュレートされる。次に、衝突段階(ステップ318)が、各ボクセル内の粒子の相互作用をシミュレートする。その後、タイマが増分される(ステップ320)。増分されたタイマが、シミュレーションが完了したことを示していない(ステップ322)場合には、移流段階と衝突段階と(ステップ308~320)が繰り返される。増分されたタイマが、シミュレーションが完了したことを示す(ステップ322)場合には、シミュレーションの結果が記憶および/または表示される(ステップ324)。
【0093】
シュラウドの円形開口部サイズの自動測定
図14を参照すると、軸流ファンシュラウドの円形開口部サイズの自動決定のためのプロセス55が示される。プロセス55はコンピュータシステムにおいて実行される。プロセス55の構成特徴の各々が、以下で、プロセス55の構成特徴の態様を詳述する図15A図15Gと併せて論考される。
【0094】
インポート
プロセス55は、軸流冷却ファンおよびその対応するシュラウドの3Dデジタル表現をインポートする(402)。図15Aは、軸流冷却ファン442と、取り囲むシュラウド444と、ブレード446との典型的な組440を示す。プロセス55のインポート特徴402は、シュラウド444のプロファイルビューを含む2D(2次元)領域表現に「投影される」軸流ファン442(図15A)の複雑な3D(3次元)形状を分析する画像処理方法を用いる。シュラウド444は通例、一方の側に、ブレード446を通るより平滑でより安定した気流を提供するためにファン442を取り囲む円形開口部を有する。データセットをインポートするために用いられるデジタルフォーマットは、コンピュータ支援設計(CAD)フォーマットまたはメッシュフォーマットのいずれかとすることができる。他のデジタルフォーマットも用いることができる。
【0095】
分割
図14の参照に戻ると、プロセス55は、軸流冷却ファンのデジタル表現をファンおよびシュラウドに分割する(404)。すなわち、ファンおよびシュラウドは、これらの構成要素をプロセス55によって別個に分析および処理することができるように自動的に分割またはグループ化される。これらの構成要素、例えば、ファン442、シュラウド444、ブレード446(図15A)など、例えばモータは、個々の特徴を必要に応じてプロセス55において自動的に検出し、別個に処理することができるように、所定の規則に従ってラベル付けされた後に、これらのデータおよびラベルを有するデータセットがプロセス55によって用いられる。
【0096】
ファン直径計算
プロセス55は、軸流ファン直径を自動的に計算し(406)、この計算を、ミリメートル(mm)またはインチ(in)のような物理的単位で表す。(代替的な実施形態において、この計算406は、ファン寸法がユーザ入力から取得される場合にスキップすることができるが、この代替形態により、プロセスの自動化レベルが低減する)。
【0097】
プロセス55は、径方向におけるファン形状の形状輪郭に従う頂点の組を生成することによって軸流ファン直径を自動的に計算する(406)。これらの頂点は、線を用いて、ポリラインを形成するように連結される。ポリラインは、軸流ファン回転軸に沿って分解され、円筒形の回転ボリュームまたはファン境界リングを形成する(410)。図15Bは、プロセス55によって生成され、シュラウドの円形開口部サイズ計算406を容易にするファン境界リング448を示す。生成されたファン境界リングの同じ平面にある径方向に沿った最大距離は、軸流ファンの直径である。
【0098】
視認ベクトル計算
引き続き図14を参照すると、計算されたファン直径406(またはユーザ指定のファン直径)は、プロセス55によって、ファンシュラウドおよびファンの目標表現のスクリーンショットに対応する画像を生成するための視認ベクトルを計算する(408)ための入力として用いられる。プロセス55は、生成されたファン境界リング448(図15B)を、ファン直径およびピクセルで表現されたファン中心を計算する(412)モジュールに出力する(410)。プロセス55は、生成されたファン境界リング448(図15B)を、図15Cに示すように、円形開口部451およびフレーム452を含むシュラウドの輪郭画像を生成する(414)モジュールにも出力する(410)。
【0099】
ファン直径計算
引き続き図14を参照すると、ファン直径(リング直径も)およびファン中心は、図15Bに示すファン境界リング画像を用いてピクセル単位でプロセス55によって計算される(412)。ファン直径の計算406と共に、物理的ユニットとピクセルとの間の対応データが確立される。計算412によって生成される、計算されたファン直径、リング直径およびファン中心のデータと、生成された輪郭シュラウド画像414とがビーム発射モジュール416に入力される。
【0100】
ビーム発射
引き続き図14を参照すると、プロセス55は、ビーム発射方法416を用いて、シュラウドの円形開口部サイズまたはシュラウド直径を測定する。システムにおいて用いられるビーム発射方法は、3Dコンピュータグラフィックスフィールドにおいて用いられる「レイトレーシング」に類似している。違いは、システムにおいて用いられるビーム発射方法が、2D画像領域において追跡を行うことである。ビーム発射方法は、中心から径方向に沿ってトレーシング光線を放出する。しかしながら、実際の開始位置は、計算リソースの削減のために、510hの仮想ファン境界に位置する。ビームが目標物体と交わるか、または所定の外側境界に達するまで、ビームは空間内の各マーチングステップにおいてピクセル値をチェックする。
【0101】
ここで、図15Dも参照すると、この図は、ビーム発射プロセス500の開始段階(図15D-1)、中間段階(図15D-2)および終了段階(図15D-3)を示す。ビーム発射は、実施形態に従って仮想ファン境界リングから探索プロセスが開始する、シュラウド直径、すなわちシュラウド開口部サイズを測定するのに用いられる。ファントム線として示される円502は、計算されたファン境界リングを表す。実線として示される外側の円504は、シュラウド開口部である。これらの2つの円502、504は同心円である。これらの間のエリアはファン隙間領域である。ビーム発射は、このファン隙間領域の境界を測定する。停止限界は、ファン隙間領域全体がカバーされることを確実にするために、シュラウド開口部504のわずかに外側にある。
【0102】
図15D-1~図15D-3の各々が8つの線510a~510hを示す。図15D-1は、円502に触れる矢印を有する線を示し、図15D-2は、円502と円504との間の間隙において終端する矢印を有する線を示し、図15D-3は、円504において終端する矢印を有する線を示す。矢印を有するこれらの線510a~510hは、同心円502、504の中心から放出される「ビーム」である。この図に表されるビーム数は、実証のみを目的としたものであり、任意の実施形態においてより少ないまたはより多いビームが用いられ得るため、実際の値を表さない場合があることに留意されたい。
【0103】
図15D-1~図15D-3は、連続して見るとビーム軌道を示し、図15D-1のビューは開始段階を表し、図15D-2のビューは中間段階を表し、図15D-3のビューは最終段階を表す。
【0104】
線510a~510gは、同じビームであるが、異なる時間段階にあるビームを表す。探索は、ファン境界リング502から開始し、ビームを表す線510a~510gのうちの1つまたは複数が物体に当たる場合はいつでも終了する。ビームを表す線510a~510gのうちの1つまたは複数が物体に当たるときに信号が生成されるか、または探索は、ビームを表す線510a~510gのうちの1つが所定の上限に達する前に終了する。この信号は、ビーム発射角、ビームの終端前のビームの進行長などの情報を含む。本明細書に限って、この長さは「自由経路長」と呼ばれる。
【0105】
図15D-2は、ビームを表す線510a~510gがファン隙間領域の中央に達する、ビーム発射プロセスの中間段階を示す。円形のシュラウド開口部に沿って特定の特殊な取付け構造が存在する事例が存在する。図15D-3は、ビームがシュラウド内側境界に当たり、有効な信号を生成するビーム発射プロセスの段階を示す。
【0106】
図15Eは、示される切込みまたは孔などの構造を示す。ここで、ビームを表す線510a~510gは、これらの切込み460および462から漏れ、最終的に信号なしまたは何らかのノイズを有する状態になる。ビームを表す線510a~510gが切込みまたは孔付近の他の物体に当たるとき、そのようなノイズが結果の正確性に影響を及ぼす。この問題に対処するために、プロセスは、産業において用いられる実際の軸流冷却ファンシュラウドに基づいて、これらの特殊な構造が通常位置する特定の方向からの信号を無視する。
【0107】
プロセス55における信号チェックステップ418は、非ゼロ値を検出するように生成される信号の値を調査し、非ゼロ値信号の更なる分析のために、非ゼロ値信号を分析モジュール420に渡す。しかしながら、「ゼロ信号値」が1つの特定の方向において検出される場合、プロセスは416に戻り、416において、発射が別の方向において継続する。
【0108】
物理的単位でのシュラウド直径は、ステップ420において、受信信号に基づいて計算される。正確性を改善するために、プロセスは、ビーム対の対称特性を用いてシュラウド直径を計算する。すなわち、1つの特定の発射方向から計算されるシュラウド直径は、2つの共線ビームの自由経路長の和に等しい。
【0109】
例えば、図15D-1~図15D-3に示すビーム504および506は共線であり、それらの自由経路長は、合算すると、その特定の方向におけるシュラウド直径が得られる。次に、これらのシュラウド直径は、全ての発射方向について平均化される。
【0110】
正常条件下で、シュラウド画像内のファン隙間領域は、他の物体を有しないクリーンなものであるべきであり、したがってノイズ対値の比は非常に低い。ノイズは、ユーザが誤って軸流ファンのシュラウド以外の他の部分に命名するかまたは誤った部品識別子(PID)を割り当てる場合に増大する場合がある。
【0111】
図15Fは、ラジエータ入口ホース701、冷却パッケージシール703、底部冷却液タンク704、上部冷却液タンク705、ラジエータ出口ホース707および別のホース708が全てPIDによりシュラウドとして誤識別されるが、部品702のみが実際のシュラウドである例を示す。これが生じるとき、ビームは、投影が画像内のファン隙間領域内に入る物体に当たるとき、想定よりも早く表面にぶつかる。このため、測定されるシュラウド直径は真の値よりも低くなる。
【0112】
プロセス55は、図15Fにおけるような状況において生じる問題に対処するのに役立つようにハイパスフィルタを用いてフィルタリングを行う(420)。ハイパスフィルタ420から、受信される信号がプロセス55の正確性を大幅に改善する。加えて、プロセス55は、ノイズを低減するために、画像を生成する前に、入力シュラウド形状に対するファン境界ボックスの3つの法線方向において可逆ブール演算を行う。
【0113】
図15Gは、ビーム漏れが生じ、結果として大きな誤差が生じ得る特殊なシナリオを示す。図15Gにおける黒い四角は、生成されたシュラウド輪郭画像における非ゼロピクセルを表す。特定の位置において、2つの近傍のスクエアピクセルは1つのみの頂点を共有し、ビームは、この頂点の付近を、いずれの目標ピクセルとも交差せずに通る。これは、図15Eに示す場合に加えたビーム漏れの別の形態である。
【0114】
ピクセルは四角で表される。同心シュラウド輪郭を表すこれらのピクセルは、ピクセルセット801である。ピクセルセット801内のピクセルは、実際のシュラウド開口部内側境界であるのに対し、ピクセルセット802内のピクセルはノイズである。理想的には、ビーム809はピクセル808に当たり、有効信号を生成する。
【0115】
しかしながら、円または任意の他の形状を表すときのピクセル構成または位置における不確実性に起因して、ビーム807は、ピクセル対、例えばピクセル805および806を貫通するか、または更には別の外側ピクセル対、例えばピクセル803および804を貫通することができる。これにより大きな誤差が生じるが、この誤差は、探索時に目標ピクセルの最近傍を含めることによって解消することができる。
【0116】
図15Gに示すこの特定の例において、805または806のいずれかが目標ピクセルとして戻され、有効な信号が生成される。距離を計算するために、システムは、例えば、3次元の場合、起点ピクセル(0,0,0)とピクセル808の位置(x,y,z)との間の差、または2次元の場合、(0,0)と(x,y)との差を決定する。
【0117】
開示された実施形態は、既存の解決策を上回る以下の利点のうちの1つまたは複数を提供することができる。既存の解決策が、通常、手動プロセスであるのに対し、このプロセスは自動化される。調査を行う人物の技術に大きく依存する視覚チェックと比較して、自動化プロセスは相対的に高い精度を有することが想像される。プロセスは、調査者の専門レベルおよびファンの複雑度に依拠してより長時間かかり得る手動プロセスと比較して、相対的に迅速に回転方向を決定することができる。開示される実施形態は、自動的に局所座標系における気流方向を計算し、この情報を、数値シミュレーションに渡すことができるのに対し、既存のプロセスは手動である。
【0118】
本明細書で説明した主題および機能動作の実施形態は、(本明細書に開示した構造およびこれらの構造的同等物を含む)デジタル電子回路、有形的に具体化されたコンピュータソフトウェアもしくはファームウェア、コンピュータハードウェア、またはこれらのうちの1つもしくは複数の組合せで実装することができる。本明細書で説明した主題の実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラム(すなわち有形の非一時的プログラムキャリア上に符号化された、データ処理装置が実行するための、またはこれらのデータ処理装置の動作を制御するためのコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュール)として実装することができる。コンピュータ記憶媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、ランダムまたはシリアルアクセスメモリデバイス、またはこれらのうちの1つもしくは複数の組合せとすることができる。
【0119】
「データ処理装置」という用語はデータ処理ハードウェアを意味し、データを処理する全ての種類の装置、デバイスおよび機械を含み、一例としてプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む。この装置は、(例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの)専用論理回路とすることもできるか、またはこれを更に含むこともできる。この装置は、ハードウェアに加えて、任意に、(例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらのうちの1つもしくは複数の組合せを構成するコードなどの)コンピュータプログラムの実行環境を形成するコードを含むこともできる。
【0120】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプトまたはコードと呼ぶことまたは記述することもできるコンピュータプログラムは、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語、宣言型言語または手続き型言語を含むあらゆる形のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラム、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピュータ環境で使用するのに適した他のユニットとしての形態を含む任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムは、必須ではないが、ファイルシステム内のファイルに対応することができる。プログラムは、(例えば、対象プログラム専用の単一のファイル内の、または複数の連動するファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)内の、マークアップ言語リソースに記憶された1つまたは複数のスクリプトなどの)他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行されるように展開することも、または1つのサイトに位置する、もしくは複数のサイトに分散して通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することもできる。
【0121】
本明細書に記載するプロセスおよび論理フローは、入力データを操作し出力を生成することによって機能を実施するために1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルコンピュータによって実行することができる。このプロセスおよび論理フローはまた、専用論理回路(例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路))によって実行することができ、装置もまた、専用論理回路として実装することができる。
【0122】
コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、汎用もしくは専用のマイクロプロセッサもしくはその両方、または任意の他の種類の中央処理ユニットに基づくことができる。一般に、中央処理ユニットは、読出し専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受け取ることになる。コンピュータに欠くことのできない要素は、命令を実施または実行するための中央処理ユニットと、命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスとである。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶装置(例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスク)を含むか、もしくはそれらからデータを受信するまたはそれらにデータを転送するために動作可能に接続されるか、またはその両方となるが、コンピュータはこのようなデバイスを有する必要はない。更に、コンピュータは、別のデバイス(例えば、いくつか例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯オーディオまたはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、または可搬型記憶装置(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ))に組み込むことができる。
【0123】
コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、例として半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含めて、媒体およびメモリデバイス上の不揮発性メモリの全形態を含む。プロセッサおよびメモリを専用論理回路で補完する、またはその中に組み込むことができる。
【0124】
ユーザとの対話を実現するために、本明細書に記載する主題の実施形態は、ユーザに情報を表示するための表示デバイス(例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、ユーザがコンピュータに入力を与えることのできるキーボードおよびポインティングデバイス(例えば、マウスまたはトラックボール)とを有するコンピュータ上に実装することができる。他の種類のデバイスを用いて、同様にユーザとの対話を実現することができ、例えば、ユーザに与えられるフィードバックは、感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)の任意の形態とすることができ、ユーザからの入力は、音響、音声、または触覚入力を含めて、任意の形態で受け取ることができる。更に、コンピュータは、ユーザが使用するデバイスとの間で文書を送受信することによって、例えば、ウェブブラウザから受信された要求に応えてユーザデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送信することによって、ユーザと対話することができる。
【0125】
本明細書に記載する主題の実施形態は、バックエンドコンポーネントを(例えば、データサーバとして)含むか、もしくはミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)を含むか、もしくはフロントエンドコンポーネント(例えば、本明細書に記載する主題の実施態様とユーザが対話できるグラフィカルユーザインタフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)を含むか、または1つもしくは複数のこのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンドのコンポーネントの任意の組合せを含む、計算システムに実装することができる。本システムのコンポーネントは、デジタル通信の任意の形態または媒体(例えば、通信ネットワーク)で相互接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)が含まれる。
【0126】
計算システムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは一般に、互いに遠く離れており、典型的には通信ネットワークを介して対話する。クライアントおよびサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行されて互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。いくつかの実施形態では、サーバはデータ(例えば、HTMLページ)をユーザデバイスに送信し(例えば、ユーザデバイスと対話するユーザにデータを見せる、およびそのユーザからユーザ入力を受け取るために)、これがクライアントとして機能を果たす。ユーザデバイスで生成されたデータ(例えば、ユーザ対話の結果)をサーバでユーザデバイスから受信することができる。
【0127】
本明細書は多くの具体的な実施態様の詳細を含むが、任意の発明の範囲に関するまたは請求可能なものの範囲に関する限定としてではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に特有とすることのできる特徴の記述として解釈するべきである。別個の実施形態に関連して本明細書に記載される特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態に関連して記載される様々な特徴は、複数の実施形態において別々に、または任意の適切な組合せで実施することもできる。更に、特定の組合せで機能するものとして特徴を前述し、そういうものとして初めに請求することさえできるが、請求された組合せに由来する1つまたは複数の特徴を場合によりその組合せから削除することができ、請求された組合せを部分的組合せまたは部分的組合せの変形形態に向けることができる。
【0128】
同様に、図面では特定の順序で操作を描写するが、これを、所望の結果を達成するにはこのような操作を示された特定の順序でもしくは逐次的な順序で実行するべきである、または図示の操作全てを実行するべきであるということを要求するものとして理解するべきではない。特定の状況では、マルチタスクおよび平衡処理が有利な場合がある。更に、前述の実施形態における様々なシステムモジュールおよびコンポーネントの分離は、全ての実施形態でこのような分離が必要とされるものと理解するべきでなく、記載するプログラムコンポーネントおよびシステムは一般に、単一のソフトウェア製品に統合することができ、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化することができると理解するべきである。
【0129】
主題の特定実施形態を記載した。他の実施形態が、次に述べる特許請求の範囲に入る。例えば、特許請求の範囲に列挙する動作を異なる順序で実行し、それでもなお、所望の結果を達成することができる。一例として、添付図面に描写したプロセスは、所望の結果を達成するために、図示する特定の順序、または逐次的な順序を必ずしも必要としない。場合によって、マルチタスクおよび平衡処理が有利であり得る。
【符号の説明】
【0130】
10 システム
11 バスシステム
12 サーバシステム、超並列コンピューティングシステム、サーバ
14 クライアントシステム
18 メモリ
20 インタフェース
24 処理デバイス
30 メッシュ定義
32 メッシュ準備エンジン
32a 換気メッシュ
32b 軸流ファンのメッシュ表現
34 シミュレーションエンジン
34a 衝突相互作用モジュール
34b 圧力勾配方向の影響、境界モジュール
34c 移流粒子衝突相互作用モジュール
38 データリポジトリ
40 シミュレーションプロセス
46 シミュレーションプロセス、動的格子ボルツマンモデルシミュレーション
46c スカラソルバ
46d 移流
55 方向決定プロセス、自動化プロセス
70 方向
352 物体
402 インポート特徴
406 円形開口部サイズ計算、ファン直径
414 輪郭シュラウド画像
416 ビーム発射モジュール
420 分析モジュール、ハイパスフィルタ
440 組
442 軸流冷却ファン、軸流ファン
444 シュラウド
446 ブレード
448 ファン境界リング
451 円形開口部
452 フレーム
460 切込み
462 切込み
500 ビーム発射プロセス
502 円、ファン境界リング、同心円
504 同心円、シュラウド開口部、円
650 領域
655 物体
701 ラジエータ入口ホース
702 部品
703 冷却パッケージシール
704 底部冷却液タンク
705 上部冷却液タンク
707 ラジエータ出口ホース
708 ホース
801 ピクセルセット
802 ピクセルセット
803 ピクセル
804 ピクセル
805 ピクセル
806 ピクセル
807 ビーム
808 ピクセル
809 ビーム
900 流速方向
902 衝撃波面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G