(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240716BHJP
G02F 1/16766 20190101ALI20240716BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20240716BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240716BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240716BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240716BHJP
G02F 1/167 20190101ALN20240716BHJP
【FI】
H01L29/78 616S
G02F1/16766
H01L29/78 618B
H01L29/78 612B
H05B33/02
H05B33/14 A
H10K59/10
G09F9/30 338
G02F1/167
(21)【出願番号】P 2020179098
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 寿輝
(72)【発明者】
【氏名】花田 明紘
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/117936(WO,A1)
【文献】特開2018-6729(JP,A)
【文献】特開2001-13525(JP,A)
【文献】特開2011-109135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
G02F 1/16766
H05B 33/02
H10K 50/10
H10K 59/10
G09F 9/30
G02F 1/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板の上方において周辺領域に配置され、ゲートドライバに含まれる第1ゲート電極と、
前記絶縁基板の上方において表示領域に配置され、前記ゲートドライバによって駆動されるゲート線と一体の第2ゲート電極と、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極を覆う第1絶縁膜と、
前記第1ゲート電極の上方に配置され、前記第1絶縁膜に接する第1酸化物半導体と、
前記第2ゲート電極の上方に配置され、前記第1絶縁膜に接する第2酸化物半導体と、
前記第1酸化物半導体及び前記第2酸化物半導体を覆う第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜に接し、前記第2絶縁膜の第1開口において前記第1酸化物半導体に接する第1ソース電極と、
前記第2絶縁膜に接し、前記第2絶縁膜の第2開口において前記第1酸化物半導体に接する第1ドレイン電極と、
前記第2絶縁膜に接し、前記第2絶縁膜の第3開口において前記第2酸化物半導体に接する第2ソース電極と、
前記第2絶縁膜に接し、前記第2絶縁膜の第4開口において前記第2酸化物半導体に接する第2ドレイン電極と、
を備え、
前記第1開口と前記第2開口との間における前記第2絶縁膜及び前記第1ソース電極の積層体の長さは、前記第3開口と前記第4開口との間における前記第2絶縁膜及び前記第2ソース電極の積層体の長さより大きい、表示装置。
【請求項2】
前記第1開口と前記第2開口との間における前記第2絶縁膜及び前記第1ドレイン電極の積層体の長さは、前記第3開口と前記第4開口との間における前記第2絶縁膜及び前記第2ドレイン電極の積層体の長さより大きい、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2絶縁膜及び前記第1ソース電極の積層体の長さ、及び、前記第2絶縁膜及び前記第1ドレイン電極の積層体の長さは、2μm以上である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1酸化物半導体は、
前記第1ソース電極及び前記第1ドレイン電極の間隙に重畳する第1チャネル領域と、
前記第2絶縁膜及び前記第1ソース電極の積層体及び前記第2絶縁膜及び前記第1ドレイン電極の積層体にそれぞれ重畳し、前記第1チャネル領域よりも低抵抗の第1低抵抗領域と、
を有している、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1酸化物半導体及び前記第2酸化物半導体は、同一面上に位置し、
前記第2絶縁膜及び前記第1ソース電極の積層体、及び、前記第2絶縁膜及び前記第1ドレイン電極の積層体は、前記第1ゲート電極の直上に位置し、
前記第2絶縁膜及び前記第2ソース電極の積層体、及び、前記第2絶縁膜及び前記第2ドレイン電極の積層体は、前記第2ゲート電極の直上に位置している、請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
さらに、前記第1ソース電極と前記第1ドレイン電極との間において、前記第2絶縁膜に接する第3絶縁膜を備え、
前記第3絶縁膜は、シリコン酸化物によって形成されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
絶縁基板と、
前記絶縁基板の上方において周辺領域に配置され、ゲートドライバに含まれる第1ゲート電極と、
前記絶縁基板の上方において表示領域に配置され、前記ゲートドライバによって駆動されるゲート線と一体の第2ゲート電極と、
前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極を覆う第1絶縁膜と、
前記第1ゲート電極の上方に配置され、前記第1絶縁膜に接する第1酸化物半導体と、
前記第2ゲート電極の上方に配置され、前記第1絶縁膜に接する第2酸化物半導体と、
を備え、
前記第1酸化物半導体は、第1チャネル領域と、前記第1チャネル領域に隣接し前記第1チャネル領域よりも低抵抗の第1低抵抗領域と、を有し、
前記第2酸化物半導体は、第2チャネル領域と、前記第2チャネル領域に隣接し前記第2チャネル領域よりも低抵抗の第2低抵抗領域と、を有し、
前記第1低抵抗領域の長さは、前記第2低抵抗領域の長さより大きい、表示装置。
【請求項8】
前記第1低抵抗領域の長さは、2μm以上である、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1酸化物半導体及び前記第2酸化物半導体は、同一面上に位置し、
前記第1低抵抗領域は、前記第1ゲート電極の直上に位置し、
前記第2低抵抗領域は、前記第2ゲート電極の直上に位置している、請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1ゲート電極と前記第1酸化物半導体との間に介在する前記第1絶縁膜の膜厚は、300nm以上である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、表示領域の画素回路に酸化物半導体を備えたトランジスタが設けられ、且つ、周辺領域の駆動回路にシリコン半導体を備えたトランジスタが設けられる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-183312号公報
【文献】特開2020-129635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、小型化が可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の表示装置は、
絶縁基板と、前記絶縁基板の上方において周辺領域に配置され、ゲートドライバに含まれる第1ゲート電極と、前記絶縁基板の上方において表示領域に配置され、前記ゲートドライバによって駆動されるゲート線と一体の第2ゲート電極と、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極を覆う第1絶縁膜と、前記第1ゲート電極の上方に配置され、前記第1絶縁膜に接する第1酸化物半導体と、前記第2ゲート電極の上方に配置され、前記第1絶縁膜に接する第2酸化物半導体と、前記第1酸化物半導体及び前記第2酸化物半導体を覆う第2絶縁膜と、前記第2絶縁膜に接し、前記第2絶縁膜の第1開口において前記第1酸化物半導体に接する第1ソース電極と、前記第2絶縁膜に接し、前記第2絶縁膜の第2開口において前記第1酸化物半導体に接する第1ドレイン電極と、前記第2絶縁膜に接し、前記第2絶縁膜の第3開口において前記第2酸化物半導体に接する第2ソース電極と、前記第2絶縁膜に接し、前記第2絶縁膜の第4開口において前記第2酸化物半導体に接する第2ドレイン電極と、を備え、前記第1開口と前記第2開口との間における前記第2絶縁膜及び前記第1ソース電極の積層体の長さは、前記第3開口と前記第4開口との間における前記第2絶縁膜及び前記第2ソース電極の積層体の長さより大きい。
【0006】
本実施形態の表示装置は、
絶縁基板と、前記絶縁基板の上方において周辺領域に配置され、ゲートドライバに含まれる第1ゲート電極と、前記絶縁基板の上方において表示領域に配置され、前記ゲートドライバによって駆動されるゲート線と一体の第2ゲート電極と、前記第1ゲート電極及び前記第2ゲート電極を覆う第1絶縁膜と、前記第1ゲート電極の上方に配置され、前記第1絶縁膜に接する第1酸化物半導体と、前記第2ゲート電極の上方に配置され、前記第1絶縁膜に接する第2酸化物半導体と、備え、前記第1酸化物半導体は、第1チャネル領域と、前記第1チャネル領域に隣接し前記第1チャネル領域よりも低抵抗の第1低抵抗領域と、を有し、前記第2酸化物半導体は、第2チャネル領域と、前記第2チャネル領域に隣接し前記第2チャネル領域よりも低抵抗の第2低抵抗領域と、を有し、前記第1低抵抗領域の長さは、前記第2低抵抗領域の長さより大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した画素PXを含む表示装置DSPの断面図である。
【
図3】
図3は、第1トランジスタTR1の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第2トランジスタTR2の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る第1トランジスタTR1の信頼性試験の結果を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る第1トランジスタTR1の信頼性試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、X-Y平面を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態においては、表示装置の一例として、電気泳動表示装置について説明する。なお、本実施形態にて開示する主要な構成は、液晶表示装置の他に、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、マイクロLED、ミニLEDなどの自発光型の発光素子を備えた表示装置などにも適用可能である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの構成を示す平面図である。表示装置DSPは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周囲の周辺領域(非表示領域)SAと、を備えている。
図1に示す例では、周辺領域SAは、表示領域DAを囲む額縁状に形成されている。
【0012】
表示装置DSPは、周辺領域SAにおいて、ゲートドライバGD1及びGD2と、ソースドライバSDと、を備えている。ゲートドライバGD1及びGD2の各々は、複数のシフトレジスタSRを備えている。シフトレジスタSRは、第1トランジスタTR1を備えている。このように、ゲートドライバGD1及びGD2は、表示領域DAの各要素とともに、同一基板上に形成される。
【0013】
表示装置DSPは、表示領域DAにおいて、複数の画素PXと、複数のゲート線GLと、複数のソース線SLと、複数の容量配線CWと、共通電極CEと、を備えている。複数の画素PXは、第1方向X及び第2方向Yにおいて、マトリクス状に配列されている。
【0014】
複数のゲート線GLは、それぞれ第1方向Xに沿って延出し、間隔をおいて第2方向Yに並んでいる。なお、ゲート線GLは、走査線と称する場合がある。ゲート線GLは、ゲートドライバGD1及びGD2と電気的に接続されている。例えば、奇数番目のゲート線GLはゲートドライバGD1のシフトレジスタSRと接続され、偶数番目のゲート線GLはゲートドライバGD2のシフトレジスタSRと接続されている。ゲート線GLの各々は、ゲートドライバGD1及びGD2によって駆動される。
【0015】
複数のソース線SLは、それぞれ第2方向Yに沿って延出し、間隔をおいて第1方向Xに並んでいる。なお、ソース線SLは、信号線と称する場合がある。表示領域DAにおいて、複数のソース線SLは、複数のゲート線GLと交差している。ソース線SLは、ソースドライバSDと電気的に接続されている。ソース線SLの各々は、ソースドライバSDによって駆動される。
【0016】
複数の容量配線CWは、第1方向Xまたは第2方向Yに沿って延出している。複数の容量配線CWは、例えば周辺領域SAにおいて束ねられ、所定電圧が供給される電圧供給部Vpcに接続されている。
共通電極CEは、複数の画素PXに亘って配置されている。共通電極CEは、所定電圧が供給される電圧供給部Vcomに接続されている。
【0017】
各画素PXは、
図1において拡大して示すように、第2トランジスタTR2、及び、画素電極PEを備えている。後述するが、第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2は、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成されている。第2トランジスタTR2は、ゲート線GL及びソース線SLと電気的に接続されている。ゲート線GLは、第1方向Xに並んだ画素PXの各々における第2トランジスタTR2と電気的に接続されている。ソース線SLは、第2方向Yに並んだ画素PXの各々における第2トランジスタTR2と電気的に接続されている。
【0018】
画素電極PEは、第2トランジスタTR2と電気的に接続されている。画素電極PEの各々は、共通電極CEと対向している。容量CS1は、画素電極PEと容量配線CWとの間に形成される。容量CS2は、共通電極CEと画素電極PEとの間に形成される。
【0019】
図2は、
図1に示した画素PXを含む表示装置DSPの断面図である。
第1基板SUB1は、絶縁基板10と、絶縁膜11乃至14と、第2トランジスタTR2と、容量配線CWと、画素電極PEと、を備えている。なお、第2トランジスタTR2の構造については、簡略化して図示している。また、絶縁膜11乃至14の各々も簡略化して図示している。
【0020】
絶縁基板10は、樹脂、ガラス等の絶縁性の材料によって形成されている。第2トランジスタTR2の詳細については後述するが、第2トランジスタTR2は、ゲート線GLと一体の第2ゲート電極GE2と、ソース線SLと一体の第2ソース電極SE2と、第2ドレイン電極DE2と、第2酸化物半導体SC2と、を備えている。本明細書においては、ソース線SLと電気的に接続される側の電極を第2ソース電極SE2と称し、画素電極PEと電気的に接続される側の電極を第2ドレイン電極DE2と称している。
【0021】
絶縁膜11は、第2ゲート電極GE2と第2酸化物半導体SC2との間に介在している。絶縁膜12は、第2酸化物半導体SC2と第2ソース電極SE2との間、及び、第2酸化物半導体SC2と第2ドレイン電極DE2との間にそれぞれ介在している。絶縁膜13は、第2ソース電極SE2及び第2ドレイン電極DE2を覆っている。なお、絶縁膜11、及び、絶縁膜12は、無機絶縁膜であるが、単層体であってもよいし、複数種類の無機絶縁膜からなる積層体であってもよい。絶縁膜13は、例えば、1種類以上の無機絶縁膜と、有機絶縁膜との積層体である。絶縁膜13に含まれる1つの無機絶縁膜は、第2ソース電極SE2及び第2ドレイン電極DE2を直接覆っている。
【0022】
容量配線CWは、絶縁膜13の上に配置され、絶縁膜14によって覆われている。画素電極PEは、絶縁膜14の上に配置されている。画素電極PEは、第2ドレイン電極DE2に接し、第2トランジスタTR2と電気的に接続されている。
【0023】
第2基板SUB2は、絶縁基板20と、共通電極CEと、電気泳動素子21と、を備えている。絶縁基板20は、樹脂、ガラス等の絶縁性の材料によって形成されている。共通電極CEは、絶縁基板20と電気泳動素子21との間に位置している。電気泳動素子21は、画素電極PEと共通電極CEとの間に位置している。電気泳動素子21は、ほとんど隙間なく配列された複数のマイクロカプセル30によって形成されている。
【0024】
第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、粘着層40によって貼合されている。図示した例では、粘着層40は、画素電極PEと電気泳動素子21との間に位置している。
【0025】
マイクロカプセル30は、例えば20μm~70μm程度の粒径を有している。1つの画素電極PEと共通電極CEとの間には、複数のマイクロカプセル30が配置されている。マイクロカプセル30は、分散媒31と、複数の黒色粒子32と、複数の白色粒子33とを備えている。黒色粒子32及び白色粒子33は、電気泳動粒子と称される場合もある。
【0026】
マイクロカプセル30の外殻34は、例えば、アクリル樹脂等の透明な樹脂によって形成されている。分散媒31は、マイクロカプセル30内において、黒色粒子32及び白色粒子33を分散させる液体である。黒色粒子32及び白色粒子33は、互いに逆極性の電荷を有している。例えば、黒色粒子32は正に帯電し、白色粒子33は負に帯電している。
【0027】
上記構成の電気泳動素子21において、画素PXが黒を表示する場合、画素電極PEが共通電極CEよりも相対的に高電位に保持される。すなわち、共通電極CEの電位を基準電位としたとき、画素電極PEが正極性に保持される。これにより、正に帯電した黒色粒子32が共通電極CEに引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子33が画素電極PEに引き寄せられる。その結果、第2基板SUB2の上方から画素PXを観察すると、黒色が視認される。
【0028】
一方、画素PXが白を表示する場合、画素電極PEが共通電極CEよりも相対的に低電位に保持される。すなわち、共通電極CEの電位を基準電位としたとき、画素電極PEが負極性に保持される。これにより、負に帯電した白色粒子33が共通電極CE側へ引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子32が画素電極PEに引き寄せられる。その結果、画素PXを観察すると白色が視認される。
なお、ここで説明した電気泳動表示装置は、モノクロ仕様に限定されるわけではなく、赤色粒子、緑色粒子、青色粒子を含む複数のカラー粒子を電気泳動法で動作させるカラー仕様にも適用できる。特にカラー仕様の場合、高い電圧を印加することで、元々遅い電気泳動速度を向上でき、カラー画面の高速書換えが可能となる利点がある。
【0029】
図3は、第1トランジスタTR1の一例を示す断面図である。
第1トランジスタTR1は、周辺領域SAに配置され、
図1に示したゲートドライバGD1及びGD2に含まれる。第1トランジスタTR1は、第1ゲート電極GE1と、第1酸化物半導体SC1と、第1ソース電極SE1と、第1ドレイン電極DE1と、を備えている。本明細書においては、シフトレジスタSRにおいて、電源線と電気的に接続される側(入力側)の電極を第1ソース電極SE1と称し、表示領域DAのゲート線GLと電気的に接続される側(出力側)の電極を第1ドレイン電極DE1と称している。
【0030】
第1ゲート電極GE1は、絶縁基板10の上方に配置されている。
図3に示す例では、第1ゲート電極GE1は、絶縁基板10に接しているが、絶縁基板10と第1ゲート電極GE1との間に他の絶縁膜が介在していてもよい。
【0031】
絶縁膜11は、無機絶縁膜であり、第1ゲート電極GE1を覆っている。
図3に示す例では、絶縁膜11は、薄膜11Aと、薄膜11Bとの積層体である。薄膜11Aは、シリコン窒化物(SiN)によって形成され、絶縁基板10及び第1ゲート電極GE1を直接覆っている。薄膜11Bは、シリコン酸化物(SiO)によって形成され、薄膜11Aの上に直接積層されている。例えば、薄膜11Bの膜厚は、薄膜11Aの膜厚より薄い。例えば、薄膜11Aの膜厚は50~400nmであり、薄膜11Bの膜厚は20~300nmである。絶縁膜11の膜厚は、300nm以上である。なお、絶縁膜11は、シリコン酸化物によって形成された薄膜の単層体であってもよい。
【0032】
第1酸化物半導体SC1は、第1ゲート電極GE1の上方に配置され、絶縁膜11に接している。つまり、第1酸化物半導体SC1の下面SCB1は、シリコン酸化物である絶縁膜11に接している。
【0033】
絶縁膜12は、第1酸化物半導体SC1及び絶縁膜11を直接覆っている。絶縁膜12は、シリコン酸化物(SiO)によって形成された無機絶縁膜である。つまり、第1酸化物半導体SC1の上面SCT1及び側面SCS1は、シリコン酸化物である絶縁膜12に接している。
【0034】
第1ソース電極SE1及び第1ドレイン電極DE1は、絶縁膜12の上に配置され、絶縁膜12に接している。また、第1ソース電極SE1は、第1ドレイン電極DE1から離間している。
第1ソース電極SE1は、絶縁膜12の第1開口CH1において、第1酸化物半導体SC1に接している。第1ドレイン電極DE1は、絶縁膜12の第2開口CH2において、第1酸化物半導体SC1に接している。
【0035】
絶縁膜13は、第1ソース電極SE1及び第1ドレイン電極DE1を直接覆っている。絶縁膜13は、例えば、シリコン酸化物(SiO)によって形成された無機絶縁膜である。また、絶縁膜13は、第1ソース電極SE1と第1ドレイン電極DE1との間において、絶縁膜12に接している。
【0036】
第1ゲート電極GE1、第1ソース電極SE1、及び、第1ドレイン電極DE1は、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銀(Ag)、Cu(銅)、Cr(クロム)などの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金などによって形成される。
【0037】
第1酸化物半導体SC1は、第1チャネル領域C1と、第1低抵抗領域LS1及びLD1と、第1ソース領域S1と、第1ドレイン領域D1と、を有している。第1低抵抗領域LS1及びLD1は、第1チャネル領域C1に隣接している。第1低抵抗領域LS1は、第1チャネル領域C1と第1ソース領域S1との間に位置している。第1低抵抗領域LD1は、第1チャネル領域C1と第1ドレイン領域D1との間に位置している。
【0038】
第1チャネル領域C1は、第1酸化物半導体SC1において最も高抵抗の領域であり、第1ソース電極SE1と第1ドレイン電極DE1との間隙(あるいは、絶縁膜13が絶縁膜12に直接積層された部分)に重畳している。
【0039】
第1低抵抗領域LS1及びLD1は、第1チャネル領域C1よりも低抵抗の領域である。第1低抵抗領域LS1は、第1開口CH1と第2開口CH2との間において、絶縁膜12及び第1ソース電極SE1の積層体LMS1に重畳している。第1低抵抗領域LD1は、第1開口CH1と第2開口CH2との間において、絶縁膜12及び第1ドレイン電極DE1の積層体LMD1に重畳している。
【0040】
第1ソース領域S1は、第1低抵抗領域LS1よりも低抵抗の領域であり、第1開口CH1において、第1ソース電極SE1に接している。第1ドレイン領域D1は、第1低抵抗領域LD1よりも低抵抗の領域であり、第2開口CH2において、第1ドレイン電極DE1に接している。
【0041】
第1酸化物半導体SC1のうち、少なくとも第1チャネル領域C1及び第1低抵抗領域LS1及びLD1は、第1ゲート電極GE1の直上に位置している。また、積層体LMS1及びLMD1も、第1ゲート電極GE1の直上に位置している。
図3に示す例では、第1ソース領域S1及び第1ドレイン領域D1を含む第1酸化物半導体SC1のほぼ全体が第1ゲート電極GE1の直上に位置している。
【0042】
積層体LMS1の長さL1Sは、第1低抵抗領域LS1の長さL11Sと同等である。積層体LMD1の長さL1Dは、第1低抵抗領域LD1の長さL11Dと同等である。また、一例では、長さL1Sは長さL1Dと同等であり、長さL11Sは長さL11Dと同等である。
【0043】
但し、第1酸化物半導体SC1の膜厚によっては、必ずしも長さL1Sと長さL11Sとが一致するとは限らず、また、必ずしも長さL1Dと長さL11Dとが一致するとは限らない。例えば、第1酸化物半導体SC1の膜厚が50nm以下の場合には、長さL1Sは長さL11Sより大きい場合があり得るし、同様に、長さL1Dは長さL11Dより大きい場合があり得る。
【0044】
図4は、第2トランジスタTR2の一例を示す断面図である。絶縁膜11乃至13は、
図3に示した周辺領域SAのみならず、
図4に示す表示領域DAにも延在している。
【0045】
第2トランジスタTR2は、表示領域DAに配置され、
図1に示した画素PXに含まれる。第2トランジスタTR2は、第2ゲート電極GE2と、第2酸化物半導体SC2と、第2ソース電極SE2と、第2ドレイン電極DE2と、を備えている。
【0046】
第2ゲート電極GE2は、絶縁基板10の上方に配置され、第1ゲート電極GE1と同一面上に位置している。
図4に示す例では、第2ゲート電極GE2は、絶縁基板10に接しているが、絶縁基板10と第2ゲート電極GE2との間に他の絶縁膜が介在していてもよい。第2ゲート電極GE2は、絶縁膜11によって覆われている。
【0047】
第2酸化物半導体SC2は、第2ゲート電極GE2の上方に配置され、第1酸化物半導体SC1と同一面上に位置している。第2酸化物半導体SC2は、絶縁膜12によって覆われている。つまり、第2酸化物半導体SC2は、シリコン酸化物である絶縁膜11及び絶縁膜12に接している。
【0048】
第2ソース電極SE2及び第2ドレイン電極DE2は、絶縁膜12の上に配置され、絶縁膜12に接している。つまり、第2ソース電極SE2及び第2ドレイン電極DE2は、第1ソース電極SE1及び第1ドレイン電極DE1と同一面上に位置している。第2ソース電極SE2は、第2ドレイン電極DE2から離間している。
【0049】
第2ソース電極SE2は、絶縁膜12の第3開口CH3において、第2酸化物半導体SC2に接している。第2ドレイン電極DE2は、絶縁膜12の第4開口CH4において、第2酸化物半導体SC2に接している。第2ソース電極SE2及び第2ドレイン電極DE2は、絶縁膜13によって覆われている。また、絶縁膜13は、第2ソース電極SE2と第2ドレイン電極DE2との間において、絶縁膜12に接している。
【0050】
第2ゲート電極GE2は、第1ゲート電極GE1と同一材料によって形成されている。
第1ソース電極SE1、第1ドレイン電極DE1、第2ソース電極SE2、及び、第2ドレイン電極DE2は、同一材料によって形成されている。第2酸化物半導体SC2は、第1酸化物半導体SC1と同一材料によって形成されている。
【0051】
第2酸化物半導体SC2は、第2チャネル領域C2と、第2低抵抗領域LS2及びLD2と、第2ソース領域S2と、第2ドレイン領域D2と、を有している。第2低抵抗領域LS2及びLD2は、第2チャネル領域C2に隣接している。第2低抵抗領域LS2は、第2チャネル領域C2と第2ソース領域S2との間に位置している。第2低抵抗領域LD2は、第2チャネル領域C2と第2ドレイン領域D2との間に位置している。
【0052】
第2チャネル領域C2は、第2酸化物半導体SC2において最も高抵抗の領域であり、第2ソース電極SE2と第2ドレイン電極DE2との間隙に重畳している。
【0053】
第2低抵抗領域LS2及びLD2は、第2チャネル領域C2よりも低抵抗の領域である。第2低抵抗領域LS2は、第3開口CH3と第4開口CH4との間において、絶縁膜12及び第2ソース電極SE2の積層体LMS2に重畳している。第2低抵抗領域LD2は、第3開口CH3と第4開口CH4との間において、絶縁膜12及び第2ドレイン電極DE2の積層体LMD2に重畳している。
【0054】
第2ソース領域S2は、第2低抵抗領域LS2よりも低抵抗の領域であり、第3開口CH3において、第2ソース電極SE2に接している。第2ドレイン領域D2は、第2低抵抗領域LD2よりも低抵抗の領域であり、第4開口CH4において、第2ドレイン電極DE2に接している。
【0055】
第2酸化物半導体SC2のうち、少なくとも第2チャネル領域C2及び第2低抵抗領域LS2及びLD2は、第2ゲート電極GE2の直上に位置している。また、積層体LMS2及びLMD2も、第2ゲート電極GE2の直上に位置している。
図4に示す例では、第2ソース領域S2及び第2ドレイン領域D2を含む第2酸化物半導体SC2のほぼ全体が第2ゲート電極GE2の直上に位置している。
【0056】
積層体LMS2の長さL2Sは、第2低抵抗領域LS2の長さL21Sと同等である。積層体LMD2の長さL2Dは、第2低抵抗領域LD2の長さL21Dと同等である。また、一例では、長さL2Sは長さL2Dと同等であり、長さL21Sは長さL21Dと同等である。但し、第2酸化物半導体SC2の膜厚によっては、必ずしも長さL2Sと長さL21Sとが一致するとは限らず、また、必ずしも長さL2Dと長さL21Dとが一致するとは限らない。
【0057】
ここで、
図3に示した第1トランジスタTR1と
図4に示した第2トランジスタTR2とを比較する。
積層体LMS1の長さL1Sは、積層体LMS2の長さL2Sより大きい(L1S>L2S)。換言すると、第1低抵抗領域LS1の長さL11Sは、第2低抵抗領域LS2の長さL21Sより大きい(L11S>L21S)。
【0058】
また、積層体LMD1の長さL1Dは、積層体LMD2の長さL2Dより大きい(L1D>L2D)。換言すると、第1低抵抗領域LD1の長さL11Dは、第2低抵抗領域LD2の長さL21Dより大きい(L11D>L21D)。
【0059】
一例では、長さL1S、長さL11S、長さL1D、及び、長さL11Dは、2μm以上である。
【0060】
本明細書において、例えば、絶縁膜11は第1絶縁膜(あるいは第1無機絶縁膜)に相当し、絶縁膜12は第2絶縁膜(あるいは第2無機絶縁膜)に相当し、絶縁膜13は第3絶縁膜(あるいは第3無機絶縁膜)に相当する。
【0061】
上記の第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2は、例えば以下のような製造方法によって製造することができる。ここでは、第1トランジスタTR1の製造方法のうちの主な工程のみを説明する。なお、第2トランジスタTR2は、第1トランジスタTR1と同様の工程を経て製造されるため、ここでの説明を省略する。
【0062】
絶縁膜11の上に第1酸化物半導体SC1を形成した後に、絶縁膜12を形成する。その後、第1開口CH1及び第2開口CH2を形成した後に、第1ソース電極SE1及び第1ドレイン電極DE1を形成する。その後、絶縁膜13を形成する。絶縁膜12及び13は、いずれもシリコン酸化物である。
【0063】
第1ソース電極SE1と第1ドレイン電極DE1との間においては、絶縁膜13から絶縁膜12を介して第1酸化物半導体SC1に酸素が供給される。これにより、第1酸化物半導体SC1のうち、第1ソース電極SE1と第1ドレイン電極DE1との間隙に重畳する領域が十分に酸化され、第1チャネル領域C1が形成される。
【0064】
第1チャネル領域C1に隣接する領域では、第1ソース電極SE1及び第1ドレイン電極DE1がそれぞれマスクとなって、絶縁膜13からの酸素供給量が減少する。このため、第1酸化物半導体SC1のうち、第1ソース電極SE1及び第1ドレイン電極DE1にそれぞれ重畳する領域の酸化が抑制され、第1チャネル領域C1よりも低抵抗となる第1低抵抗領域LS1及びLD1が形成される。
【0065】
他の製造方法としては、絶縁膜11の上に第1酸化物半導体SC1を形成した後に、絶縁膜12を形成する。その後、絶縁膜12の上に、第1低抵抗領域LS1及びLD1を形成すべき領域に開口を有するレジストを形成する。その後、レジストをマスクとして、第1酸化物半導体SC1に、ホウ素(B)またはリン(P)を注入する。これにより、第1低抵抗領域LS1及びLD1が形成される。
【0066】
半導体として酸化物半導体を備える構成のトランジスタ(酸化物半導体トランジスタと称する)は、オフリーク電流が極めて小さいといった特性を有している。このため、酸化物半導体トランジスタは、画素容量に書き込んだ電荷を長時間保持することができ、所望の電圧を保持し続けることが可能であり、画素PXのスイッチング素子(第2トランジスタTR2)として好適である。
【0067】
一方、ゲートドライバGD1及びGD2のシフトレジスタSRに含まれる第1トランジスタTR1としては、移動度が高く、且つ、高耐電圧特性を有することが要求される。例えば、表示装置DSPの一例である電気泳動表示装置においては、シフトレジスタSRに含まれる第1トランジスタTR1では、ソース-ドレイン間に70V以上(±35V以上)の高電圧が印加される。このため、第1トランジスタTR1には、高耐電圧特性が要求される。
【0068】
第1トランジスタTR1が半導体として多結晶シリコン(p-Si)を備える構成の場合、70V以上の高耐電圧特性を得ることが困難である。また、第1トランジスタTR1が半導体として非晶質シリコン(a-Si)を備える構成の場合、要求される移動度を達成することが困難である。
【0069】
このため、本実施形態においては、第1トランジスタTR1として、酸化物半導体トランジスタを適用している。しかも、第1トランジスタTR1においては、第2トランジスタTR2の第2低抵抗領域LS2及びLD2よりも大きな第1低抵抗領域LS1及びLD1が設けられている。このため、第1トランジスタTR1は、ソース-ドレイン間に印加されうる高電圧に関して、第2トランジスタTR2よりも高い耐電圧特性を得ることができる。
【0070】
一例として、ソース-ドレイン間に70V以上(±35V以上)の高電圧が印加される場合においては、第1低抵抗領域LS1及びLD1の各々の長さが2μm以上であることが望ましい。但し、第1低抵抗領域LS1及びLD1の各々に必要とされる長さの下限は、ソース-ドレイン間の印加電圧の大きさに応じて異なり、2μm未満であっても許容される場合があり得る。
【0071】
また、本実施形態においては、第1トランジスタTR1は、第1酸化物半導体SC1と絶縁基板10との間に第1ゲート電極GE1を備えるボトムゲート構造を有している。加えて、第1低抵抗領域LS1及びLD1は、第1ゲート電極GE1の直上に位置している。しかも、第1ゲート電極GE1と第1酸化物半導体SC1との間に介在する絶縁膜11は、300nm以上の膜厚を有している。このため、第1トランジスタTR1は、第1ゲート電極GE1に印加されうる高電圧に関して、高い耐電圧特性を得ることができる。
【0072】
このような本実施形態によれば、第1酸化物半導体SC1を備える第1トランジスタTR1を用いてゲートドライバGD1及びGD2を構成することができる。これにより、ゲートドライバとして、ICチップを実装する構成と比較して、周辺領域SAの面積を縮小することができる。このため、表示装置DSPの小型化が可能となる。また、実装するICチップの個数を削減することができ、コストを削減することができる。
【0073】
このように、表示装置DSPの小型化及び低価格化が可能となることで、本実施形態で説明した表示装置DSPの個人端末への適用が可能となる。
【0074】
次に、発明者は、第1トランジスタTR1に関する信頼性試験を行った。第1トランジスタTR1に与えるストレスの条件は以下の通りである。第1ゲート電極GE1の印加電圧を40Vとし、第1ソース電極SE1-第1ドレイン電極DE1間の印加電圧を±38Vとし、60℃の環境において1000secの間、電圧を印加し続けた。
【0075】
信頼性試験では、ストレスを付与する前の初期状態でのVg-Id特性と、ストレスを付与した後のVg-Id特性とを比較した。なお、Vgとは第1ゲート電極GE1に印加する電圧(V)であり、Idとは第1ドレイン電極DE1から出力される電流(A)である。電圧Vgを横軸とし、電流Idを縦軸として、信頼性試験の結果をグラフにした。
【0076】
Vg-Id特性としては、ストレス付与前及びストレス付与後のそれぞれにおいて、ソース-ドレイン間の電圧を0.1Vに設定した場合(A)と、ソース-ドレイン間の電圧を10Vに設定した場合(B)と、ソース-ドレイン間の電圧を20Vに設定した場合(C)と、をそれぞれグラフにしている。
【0077】
図5は、比較例に係る第1トランジスタTR1の信頼性試験の結果を示す図である。比較例に係る第1トランジスタTR1においては、第1低抵抗領域LS1及びLD1のそれぞれの長さを1.5μmとした。
ストレス付与前とストレス付与後とでVg-Id特性を比較すると、ドレイン電流が出力されるゲート電圧(しきい値電圧)が大きくシフトしていることが確認された。
【0078】
図6は、本実施形態に係る第1トランジスタTR1の信頼性試験の結果を示す図である。本実施形態に係る第1トランジスタTR1においては、第1低抵抗領域LS1及びLD1のそれぞれの長さを2μmとした。
ストレス付与前とストレス付与後とでVg-Id特性を比較すると、ドレイン電流が出力されるゲート電圧(しきい値電圧)がほとんどシフトしていないことが確認された。つまり、本実施形態に係る第1トランジスタTR1によれば、ソース-ドレイン間に70V以上の高電圧が長時間あるいは繰り返し印加された後であっても、しきい値がほとんど変動せず、高い信頼性が得られる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、小型化が可能な表示装置を提供することができる。
【0080】
なお、この発明は、上記実施形態そのものに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
尚、本実施形態では、要求される駆動電圧の高い電気泳動表示装置について説明したが、本発明は、通常の液晶ディスプレイより高い印加電圧が必要とされる液晶ディスプレイや、高速応答用の液晶ディスプレイとして、ポリマー分散型液晶やそれを用いた高速駆動ディスプレイへの適用も可能である。
【符号の説明】
【0081】
DSP…表示装置
10…絶縁基板 11…絶縁膜(第1絶縁膜) 12…絶縁膜(第2絶縁膜)
13…絶縁膜(第3絶縁膜)
TR1…第1トランジスタ GE1…第1ゲート電極 SE1…第1ソース電極
DE1…第1ドレイン電極 SC1…第1酸化物半導体 C1…第1チャネル領域
LS1、LD1…第1低抵抗領域 CH1…第1開口 CH2…第2開口
TR2…第2トランジスタ GE2…第2ゲート電極 SE2…第2ソース電極
DE2…第2ドレイン電極 SC2…第2酸化物半導体 C2…第2チャネル領域
LS2、LD2…第2低抵抗領域 CH3…第3開口 CH4…第4開口