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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】減圧乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 5/04 20060101AFI20240716BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20240716BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
F26B5/04
F26B9/06 Z
H01L21/304 651M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020189360
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078586
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】大森 雅文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆行
(72)【発明者】
【氏名】芳川 典生
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-040512(JP,A)
【文献】特開2013-207022(JP,A)
【文献】特開2006-339485(JP,A)
【文献】特開2003-031543(JP,A)
【文献】特開2018-109473(JP,A)
【文献】特表2019-505750(JP,A)
【文献】特開2020-017603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 5/04
F26B 9/06
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に処理液が付着した基板を減圧によって乾燥する減圧乾燥装置であって、
前記基板を収容する処理空間を有するチャンバーと、
前記処理空間において前記第1面を上方に向けた状態で前記基板の前記第1面とは逆の第2面を支持する支持部と、
前記処理空間から気体を排出することで前記処理空間内を減圧する排気部と、
前記支持部に支持された前記基板を前記チャンバー外から加熱する加熱部と、
を備え
前記加熱部は、前記支持部に支持された前記基板を前記チャンバーの上方から加熱する第1加熱部分と、前記支持部に支持された前記基板を前記チャンバーの下方から加熱する第2加熱部分と、を含み、
前記支持部は、前記チャンバーの底板部の上面に連結され、前記底板部の上面から上方に延びるように設けられた複数の支持ピンを有しており、
前記複数の支持ピンは、前記処理空間において前記第1面を上方に向けた状態で前記基板の前記第2面を支持し、
前記第2加熱部分は、前記チャンバーの前記底板部を外面側から加熱し、前記底板部の上面からの放射熱によって、前記支持部に支持された前記基板が下方から加熱される、減圧乾燥装置。
【請求項2】
請求項に記載の減圧乾燥装置であって、
前記加熱部は、前記支持部に支持された前記基板を前記チャンバーの側方から加熱する第3加熱部分、を含む、減圧乾燥装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の減圧乾燥装置であって、
前記加熱部および前記排気部を制御することで、前記加熱部による前記基板の加熱と、前記排気部による前記チャンバー内の減圧と、を並行して実行させる制御部、
を備えている、減圧乾燥装置。
【請求項4】
請求項1から請求項の何れか1つの請求項に記載の減圧乾燥装置であって、
前記チャンバーは、互いに接離可能な、第1チャンバー部分と、該第1チャンバー部分の上方に位置する第2チャンバー部分と、を含み、
前記支持部は、前記第1チャンバー部分に取り付けられており、
前記第1チャンバー部分と前記第2チャンバー部分とを互いに接触させることで前記処理空間を閉じる一方、前記第1チャンバー部分と前記第2チャンバー部分とを互いに離間させることで前記処理空間を開く駆動部、
をさらに備えている、減圧乾燥装置。
【請求項5】
請求項に記載の減圧乾燥装置であって、
前記支持部は、前記第2面に接触する接触部分、を含み、
前記接触部分は、上下方向において前記第1チャンバー部分の上端よりも高い位置に配されている、減圧乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液が付着した基板を減圧によって乾燥する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイ(PDP)用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、カラーフィルタ用基板、記録ディスク用基板、太陽電池用基板、電子ペーパー用基板等の精密電子装置用の基板の製造工程では、基板に塗布された処理液を乾燥させるために、減圧乾燥装置が使用される(例えば、特許文献1等)。この減圧乾燥装置は、基板を収容するチャンバーの内部を減圧することで、基板に付着した処理液を乾燥させることができる。
【0003】
特許文献2には、ベース部にOリングを介して蓋部が接触することで密閉された処理空間を形成するチャンバーと、このチャンバー内でキャリアガラス板等の基板を支持する複数の支持ピンを有する支持部と、ベース部の上方に水平に取り付けられたホットプレートおよび蓋部に取り付けられたラバーヒータを有する加熱部と、ベース部の底板部の開口から排気を行うことで処理空間の減圧を行う減圧ユニットと、処理空間に窒素ガス等の不活性ガスを供給する給気ユニットと、を備えた減圧乾燥装置が記載されている(例えば、特許文献2の図2等を参照)。この減圧乾燥装置では、ベース部およびホットプレートを貫通してベース部の処理空間に突設された各支持ピンの頭部が基板の下面に当接することで基板が水平に支持され、処理空間に対する基板の搬入あるいは搬出が実行される際には支持部が上昇され、基板上の処理液が乾燥される際には支持部が下降される。このような構成を有する減圧乾燥装置では、加熱部による加熱と処理空間の減圧とが並行して実行されることで、基板上の処理液における液体成分の気化が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-283108号公報
【文献】特開2018-40512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献2で示される減圧乾燥装置では、例えば、加熱部によって基板が加熱される際に、熱膨張等によって、ホットプレートを構成する複数の部材の相互の擦れおよびホットプレートとその周辺部との間における擦れ等で、塵が発生する虞がある。また、例えば、支持部が昇降される際に、複数の支持ピンとホットプレートとの擦れで塵が発生する虞がある。ここで、例えば、昇降される支持部とチャンバーのベース部との間を密閉させるためにベローズ等が設けられれば、複数の支持ピンおよびベローズ等に塵が堆積する虞がある。また、例えば、支持部を昇降させるための構成および駆動機構等の存在により、ベース部を加熱するための構成を設けにくく、チャンバー内で加熱された処理液からの昇華物が、ベース部の内面で冷却されて付着物となり易い。このため、例えば、減圧後の処理空間内への不活性ガスの供給等によって、ベース部の内面の付着物からパーティクルが生じる虞がある。ここでは、例えば、チャンバー内で発生した塵およびパーティクルが基板に付着することで、基板が汚染され得る。その結果、チャンバー内における塵およびパーティクルの発生数および発生率を所定値以下とすることが難しく、基板の品質が低下し得る。
【0006】
また、例えば、基板の下面(裏面)に近い位置からホットプレートによって基板が加熱されることで、ホットプレートにおいて複数の支持ピンが貫通する複数の貫通孔等の存在によって基板上の処理液の乾燥にムラ(転写ムラ)が生じ得る。これによっても、例えば、基板の品質が低下し得る。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、基板の品質を向上させることが可能な減圧乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の態様に係る減圧乾燥装置は、第1面に処理液が付着した基板を減圧によって乾燥する減圧乾燥装置であって、チャンバーと、支持部と、排気部と、加熱部と、を備えている。前記チャンバーは、前記基板を収容する処理空間を有する。前記支持部は、前記処理空間において前記第1面を上方に向けた状態で前記基板の前記第1面とは逆の第2面を支持する。前記排気部は、前記処理空間から気体を排出することで前記処理空間内を減圧する。前記加熱部は、前記支持部に支持された前記基板を前記チャンバー外から加熱する。前記加熱部は、前記支持部に支持された前記基板を前記チャンバーの上方から加熱する第1加熱部分と、前記支持部に支持された前記基板を前記チャンバーの下方から加熱する第2加熱部分と、を含む。前記支持部は、前記チャンバーの底板部の上面に連結され、前記底板部の上面から上方に延びるように設けられた複数の支持ピンを有している。前記複数の支持ピンは、前記処理空間において前記第1面を上方に向けた状態で前記基板の前記第2面を支持する。前記第2加熱部分は、前記チャンバーの前記底板部を外面側から加熱し、前記底板部の上面からの放射熱によって、前記支持部に支持された前記基板が下方から加熱される。
【0010】
の態様に係る減圧乾燥装置は、第の態様に係る減圧乾燥装置であって、前記加熱部は、前記支持部に支持された前記基板を前記チャンバーの側方から加熱する第3加熱部分、を含む。
【0011】
の態様に係る減圧乾燥装置は、第1またはの態様に係る減圧乾燥装置であって、前記加熱部および前記排気部を制御することで、前記加熱部による前記基板の加熱と、前記排気部による前記チャンバー内の減圧と、を並行して実行させる制御部、を備えている。
【0012】
の態様に係る減圧乾燥装置は、第1から第の何れか1つの態様に係る減圧乾燥装置であって、前記チャンバーは、互いに接離可能な、第1チャンバー部分と、該第1チャンバー部分の上方に位置する第2チャンバー部分と、を含む。前記支持部は、前記第1チャンバー部分に取り付けられている。そして、減圧乾燥装置は、前記第1チャンバー部分と前記第2チャンバー部分とを互いに接触させることで前記処理空間を閉じる一方、前記第1チャンバー部分と前記第2チャンバー部分とを互いに離間させることで前記処理空間を開く駆動部、をさらに備えている。
【0013】
の態様に係る減圧乾燥装置は、第の態様に係る減圧乾燥装置であって、前記支持部は、前記第2面に接触する接触部分、を含み、前記接触部分は、上下方向において前記第1チャンバー部分の上端よりも高い位置に配されている。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様に係る減圧乾燥装置によれば、例えば、チャンバー内に加熱部が存在しておらず、チャンバー内における発塵が低減され得る。これにより、例えば、減圧乾燥装置において基板が汚れにくくなる。その結果、例えば、基板の品質が向上し得る。
【0017】
の態様に係る減圧乾燥装置によれば、例えば、基板を上方および下方から加熱することで、基板がより均一に加熱され得る。これにより、例えば、処理液が付着した基板における乾燥のムラが生じにくくなる。その結果、例えば、基板の品質が向上し得る。
【0018】
の態様に係る減圧乾燥装置によれば、例えば、基板を側方からも加熱することで、処理液内の成分から生じる昇華物がチャンバーの内面に付着しにくくなる。これにより、例えば、チャンバーの内面の付着物からのパーティクルが生じにくくなる。その結果、例えば、基板の品質が向上し得る。
【0019】
の態様に係る減圧乾燥装置によれば、例えば、基板の加熱とチャンバー内の減圧とが並行して行われることで、処理液が付着した基板が迅速に乾燥され得る。
【0020】
の態様に係る減圧乾燥装置によれば、例えば、チャンバー内へアクセス可能な開口が広くなり、チャンバー内への基板の搬入およびチャンバー内からの基板の搬出が容易となり得る。また、例えば、チャンバー内のメンテナンスが容易となり得る。
【0021】
の態様に係る減圧乾燥装置によれば、例えば、チャンバー内への基板の搬入およびチャンバー内からの基板の搬出が容易となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、第1実施形態に係る基板処理装置の一構成例を示す概略図である。
図2図2は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置の一構成例を示す概略図である。
図3図3は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置の電気的構成を例示する図である。
図4図4は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置の動作フローを示す流れ図である。
図5図5は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置の動作を説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置の動作を説明するための図である。
図7図7は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置の動作を説明するための図である。
図8図8は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置の動作を説明するための図である。
図9図9は、第2実施形態に係る減圧乾燥装置の一構成例を示す概略図である。
図10図10は、第3実施形態に係る減圧乾燥装置の一構成例を示す概略図である。
図11図11は、第4実施形態に係る減圧乾燥装置の一構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の各種実施形態について説明する。これらの実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面においては、理解を容易にするために、必要に応じて各部の寸法および数が誇張または簡略化されて図示されている。各図においては、各要素の位置関係を説明するために、図2図5(a)から図11には、右手系のXYZ直交座標系を付している。ここでは、X軸およびY軸が水平方向に延びており、Z軸が鉛直方向(上下方向)に延びているものとする。また、以下の説明では、矢印の先端が向く方を+(プラス)方向とし、その逆方向を-(マイナス)方向とする。ここでは、鉛直方向上向きが+Z方向であり、鉛直方向下向きが-Z方向である。
【0026】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」等)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」等)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」等)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸および面取り等を有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「~の上」とは、特に断らない限り、2つの要素が接している場合のほか、2つの要素が離れている場合も含む場合がある。「特定方向に移動させる」とは、特に断らない限りにおいて、この特定方向と平行に移動させる場合のみならず、この特定方向の成分を持つ方向に移動させることを含む場合がある。
【0027】
<1.第1実施形態>
<1-1.基板処理装置の構成>
図1は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置1を含む基板処理装置9の概略的な構成の一例を示す図である。基板処理装置9は、例えば、基板Gに対して、処理液の塗布、露光および露光後の現像を行う装置である。基板Gには、例えば、平板状のガラス基板等が適用される。基板Gは、例えば、第1主面としての第1面G1と、この第1面G1とは逆の第2主面としての第2面G2と、を有する平板状の基板である。処理液には、例えば、ポリイミド前駆体と溶媒とを含む液(PI液ともいう)またはレジスト液等の塗布液が適用される。ポリイミド前駆体には、例えば、ポリアミド酸(ポリアミック酸)等が適用される。溶媒には、例えば、NMP(N-メチル-2-ピロリドン:N-Methyl-2-Pyrrolidone)が適用される。
【0028】
基板処理装置9は、例えば、複数の処理部として、搬入部90、洗浄部91、デハイドベーク部92、塗布部93、減圧乾燥部としての減圧乾燥装置1、プリベーク部94、露光部95、現像部96、リンス部97、ポストベーク部98、および搬出部99を有する。基板処理装置9の各処理部は、例えば、上記の処理部の記載順に互いに隣接して配置されている。基板Gは、例えば、搬送ロボット等の搬送機構(図示省略)によって、破線の矢印で示されるように、処理の進行に従って各処理部へ上記の記載順に搬送される。
【0029】
搬入部90は、例えば、基板処理装置9において処理される基板Gを、基板処理装置9内に搬入する。
【0030】
洗浄部91は、例えば、搬入部90へ搬入された基板Gを洗浄し、微細なパーティクルをはじめ、有機汚染、金属汚染、油脂および自然酸化膜等を除去する。
【0031】
デハイドベーク部92は、例えば、基板Gを加熱し、洗浄部91において基板Gに付着した処理液としての洗浄液を気化させることで、基板Gを乾燥させる。
【0032】
塗布部93は、例えば、デハイドベーク部92で乾燥処理が行われた後の基板Gの表面に処理液を塗布する。塗布部93では、例えば、基板Gの表面に塗布液としてのPI液等が塗布される。塗布部93には、例えば、スリットコータが適用される。スリットコータは、例えば、塗布液を吐出口から吐出するスリットノズルを、基板Gに対して相対的に移動させることで、基板G上に塗布膜Fを形成することができる。塗布部93には、その他の塗布方式の塗布装置が適用されてもよい。ここで、塗布膜Fの厚さは、例えば、基板G上に形成したいポリイミドの膜(PI膜ともいう)の厚さ(所望膜厚ともいう)の10倍程度とされる。具体的には、例えば、5マイクロメートル(μm)から20μm程度のポリイミド膜を形成する場合には、塗布膜Fの厚さは、50μmから200μm程度とされる。
【0033】
減圧乾燥装置1は、例えば、表面に付着した処理液を減圧によって乾燥させる処理(減圧乾燥処理ともいう)を行う。ここでは、例えば、基板Gの表面に塗布された処理液の溶媒が減圧および加熱によって気化(蒸発)させられることで、基板Gが乾燥される。例えば、塗布膜Fに対する減圧および加熱による減圧乾燥処理によって塗布膜F中の溶媒が除去されることで、所望膜厚のポリイミド前駆体の塗膜(ポリイミド前駆体塗膜ともいう)が形成される。
【0034】
プリベーク部94は、例えば、減圧乾燥装置1で乾燥された基板Gを加熱し、基板Gの表面上で、処理液に含まれる成分を固化させる加熱処理部である。ここでは、例えば、基板Gの表面に処理液に係る薄膜が形成される。例えば、ポリイミド前駆体塗膜に熱処理が施されることで、ポリイミド前駆体のイミド化によってポリイミド膜が形成される。プリベーク部94は、例えば、単一の基板Gを加熱する枚葉方式の加熱処理部であってもよいし、複数の基板Gを一括して加熱するバッチ方式の加熱処理部であってもよい。ここで、例えば、減圧乾燥装置1における減圧乾燥処理のタクトタイムと、プリベーク部94における加熱処理のタクトタイムと、が大きく相違しており、プリベーク部94が枚葉方式の加熱処理部を有する場合が想定される。この場合には、プリベーク部94は、例えば、並列して加熱処理を行う複数台の枚葉式の加熱処理部を有していてもよい。
【0035】
露光部95は、例えば、PI膜等の薄膜が形成された基板Gの表面に対して、露光処理を行う。具体的には、露光部95は、例えば、回路パターンが描画されたマスクを通して遠紫外線等の特定の波長の光を照射し、PI膜等の薄膜にパターンを転写する。
【0036】
現像部96は、例えば、露光部95でパターンが露光された基板Gを現像液に浸して、現像処理を行う。
【0037】
リンス部97は、例えば、現像部96で現像処理が施された基板Gを処理液としてのリンス液ですすぐ。これにより、現像処理の進行を停止させる。
【0038】
ポストベーク部98は、例えば、基板Gを加熱し、リンス部97において基板Gに付着した処理液としてのリンス液を気化させることで、基板Gを乾燥させる。
【0039】
基板処理装置9の各処理部で処理が施された基板Gは、例えば、搬出部99へ搬送される。そして、例えば、搬出部99から基板Gが基板処理装置9の外部へ搬出される。
【0040】
第1実施形態では、基板処理装置9は露光部95を有しているが、本発明の基板処理装置においては、例えば、露光部が省略されていてもよい。その場合には、例えば、基板処理装置を、別体の露光装置と組み合わせて使用してもよい。
【0041】
<1-2.減圧乾燥装置の構成>
図2は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置1の概略的な構成の一例を示す図である。図3は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置1の電気的な構成の一例を示す図である。減圧乾燥装置1は、例えば、第1面G1にPI液等の処理液が付着した基板Gを乾燥させる装置である。より具体的には、例えば、減圧乾燥装置1は、基板Gの表面に塗布された処理液の溶媒を減圧および加熱によって気化(蒸発)させることで、基板Gを乾燥させる装置である。減圧乾燥装置1は、例えば、図2で示されるように、チャンバー2、支持部3、排気部4および加熱部5を備えている。また、減圧乾燥装置1は、例えば、図2および図3に示すように、制御部8を備えている。制御部8は、例えば、減圧乾燥装置1の各部の動作を統括的に制御する。この制御部8は、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)と、RAM(Random access memory)等の揮発性のメモリと、ハードディスクドライブ等の不揮発性の記憶部と、を有するコンピュータによって構成される。また、減圧乾燥装置1は、例えば、整流板6および給気部7を備えている。
【0042】
チャンバー2は、例えば、第1面G1に処理液が付着した基板Gを収容する処理空間2sを有する。このチャンバー2は、基板Gに対して減圧乾燥処理を行うための処理空間2sを有する耐圧容器である。第1実施形態では、チャンバー2は、例えば、第1チャンバー部分としてのベース部21と、第2チャンバー部分としての蓋部22と、を含む。蓋部22は、ベース部21の上方に位置する。ベース部21と蓋部22とは互いに接触および離間され得る。換言すれば、ベース部21と蓋部22とは互いに接離可能である。
【0043】
ベース部21は、例えば、装置フレーム(図示省略)上に固定されている。ベース部21は、例えば、水平に配置された矩形状の底板部211と、底板部211の各辺に沿って延設された角筒状の側壁部212と、を有する。ここでは、底板部211は、例えば、矩形状の平坦な上面211iを有する。側壁部212は、例えば、底板部211の各辺(すなわち周縁部)から上方へ垂直に突出するように設けられている。例えば、底板部211の上面211iおよび側壁部212の内面212iは、それぞれ平面状の面であり、底板部211の上面211iと側壁部212の内面212iとは、滑らかな曲面で接続されている。例えば、下方に向けて平面視した場合には、ベース部21は、矩形状の外形を有し、上方へ開口した箱状の形状を有する。ベース部21は、例えば、側壁部212を有していなくてもよい。
【0044】
蓋部22は、例えば、水平に配置された矩形状の頂板部221と、頂板部221の各辺に沿って延設された角筒状の側壁部222と、を有する。ここでは、頂板部221は、例えば、矩形状の平坦な下面221iを有する。側壁部222は、例えば、頂板部221の各辺(すなわち周縁部)から下方へ垂下するように設けられている。例えば、頂板部221の下面221iおよび側壁部222の内面222iは、それぞれ平面状の面であり、頂板部221の下面221iと側壁部222の内面222iとは、滑らかな曲面で接続されている。例えば、上方に向けて平面視した場合には、蓋部22は、矩形状の外形を有し、下方へ開口した箱状の形状を有する。
【0045】
また、蓋部22は、例えば、ベース部21の上方に配置されており、蓋部22の側壁部222は、ベース部21の側壁部212に+Z方向から対向する。Z方向において互いに対向するベース部21と蓋部22との間に処理空間2sが形成される。また、チャンバー2は、例えば、側壁部222の上面に沿って配置されたOリング等のシール材23を有する。より具体的には、例えば、蓋部22の側壁部222と、ベース部21の側壁部212とは、シール材23を介して互いに接触する。換言すれば、例えば、蓋部22とベース部21とは、シール材23を介して互いに接触する。
【0046】
ベース部21および蓋部22の素材には、例えば、処理空間2sの減圧に耐え得る剛性および強度と、優れた伝熱性と、を有するアルミニウム等の金属が適用される。
【0047】
ここで、減圧乾燥装置1は、例えば、チャンバー2を開閉するために、図2で概念的に示した開閉駆動部2mを備えていてもよい。開閉駆動部2mは、例えば、ベース部21と蓋部22とを互いに接触させることで処理空間2sを閉じる一方で、ベース部21と蓋部22とを互いに離間させることで処理空間2sを開くことができる。開閉駆動部2mには、例えば、蓋部22をベース部21に対してZ方向に駆動させるアクチュエーターが適用される。開閉駆動部2mは、例えば、制御部8からの指令(昇降指令ともいう)に応じて動作することで、ベース部21に対して蓋部22をZ方向において昇降させる。例えば、制御部8が開閉駆動部2mに下降させる指令(下降指令ともいう)を出力すると、開閉駆動部2mが蓋部22をベース部21に向けて下降させる。このとき、例えば、蓋部22がシール材23を介してベース部21に押圧される。これにより、例えば、ベース部21と蓋部22との間の処理空間2sが密閉される。一方、例えば、制御部8が開閉駆動部2mに上昇させる指令(上昇指令ともいう)を出力すると、開閉駆動部2mが蓋部22を上昇させる。このとき、例えば、蓋部22がベース部21およびシール材23から上方に離間する。これにより、例えば、ベース部21と蓋部22との間の処理空間2sが開放される。ここで、例えば、処理空間2sが開放されていれば、処理空間2sに対する基板Gの搬入または搬出を行うことが可能である。
【0048】
このようにして、例えば、蓋部22が上下方向においてベース部21に対して相対的に昇降することで処理空間2sが開閉する構成が採用されれば、チャンバー2内へのアクセスが可能な開口が広くなり得る。これにより、例えば、チャンバー2内への基板Gの搬入およびチャンバー2内からの基板Gの搬出が容易となり得る。また、例えば、チャンバー2内のメンテナンスが容易となり得る。
【0049】
また、チャンバー2には、例えば、チャンバー2内の圧力を測定する圧力センサが設けられていてもよい。圧力センサは、例えば、ベース部21または排気用の配管(排気配管ともいう)41に対して設けられる。
【0050】
支持部3は、例えば、処理空間2sにおいて、基板Gを支持する。例えば、支持部3は、処理空間2sにおいて第1面G1を上方に向けた状態で、基板Gの第1面G1とは逆の第2面G2を支持する。ここでは、例えば、第1面G1は上方を向いた面(上面とも表(おもて)面ともいう)となり、第2面G2は下方を向いた面(下面とも裏面ともいう)となる。支持部3は、例えば、ベース部21に取り付けられている。支持部3は、例えば、複数の支持ピン3pを有する。複数の支持ピン3pは、例えば、複数の支持ピン3pのそれぞれの上端部分(接触部分ともいう)3ptに基板Gが載置されることで、基板Gを第2面G2から支持する。換言すれば、各支持ピン3pは、例えば、第2面G2に接触する接触部分3ptを含む。各支持ピン3pは、例えば、上方に延びるように位置している。第1実施形態では、例えば、複数の支持ピン3pは、整流板6を介してベース部21に取り付けられている。より具体的には、例えば、各支持ピン3pは、水平方向に沿って位置している整流板6の上面から上方に延びるように整流板6上に固定されている。例えば、複数の支持ピン3pが水平方向に分散して配置されていれば、基板Gは安定して支持される。また、例えば、複数の支持ピン3pの本数が、数十本程度とされれば、基板Gは安定して支持される。また、ここで、例えば、上下方向において、各支持ピン3pの接触部分3ptが、ベース部21の上端よりも高い位置に配されていれば、開閉駆動部2mによって蓋部22が上昇されて処理空間2sが開放された状態で、チャンバー2内の処理空間2sへの基板Gの搬入およびチャンバー2内の処理空間2sからの基板Gの搬出が容易に実行され得る。
【0051】
排気部4は、例えば、処理空間2sから気体の排出(排気ともいう)を行うことで、処理空間2s内を減圧する。排気部4は、例えば、排気配管41と、減圧ポンプ42と、第1開閉弁43と、を有する。排気配管41は、例えば、ベース部21(より具体的には、底板部211)の略中央に取り付けられて、底板部211から下方に突出している。排気配管41の一端(第1端部ともいう)E1は、底板部211の開口(排気口ともいう)1oにおいて、チャンバー2内の処理空間2sに連通している。ここでは、チャンバー2は、例えば、ベース部21の略中央に位置している排気口1oを有する。そして、例えば、排気部4は、チャンバー2の排気口1oに接続している。
【0052】
また、例えば、排気配管41には、第1開閉弁43が介装されている。排気配管41の他端(第2端部ともいう)E2は、例えば、減圧ポンプ42に接続されている。減圧ポンプ42は、例えば、基板処理装置9が設置された設備に備えられた排気用の用力設備に接続される。第1開閉弁43には、例えば、バタフライバルブ等が適用される。ここで、例えば、減圧ポンプ42が常時稼働していれば、制御部8からの指令(開閉指令ともいう)に応答して第1開閉弁43が開閉されて、処理空間2sの減圧が実行または停止される。この場合には、例えば、チャンバー2の処理空間2sが密閉された状態で、制御部8から出力される指令(開指令ともいう)に応答して第1開閉弁43が開いて、減圧ポンプ42によって処理空間2sから排気が行われることで処理空間2sが減圧される。一方、例えば、制御部8から出力される指令(閉指令ともいう)に応答して第1開閉弁43が閉じて、処理空間2sの減圧が停止される。
【0053】
加熱部5は、例えば、支持部3に支持された基板Gをチャンバー2外から加熱する。ここでは、加熱部5によって基板Gが加熱される温度(加熱温度ともいう)は、例えば、基板Gの第1面G1上に形成された塗布膜Fの溶媒の気化を促進させることが可能な温度に設定される。加熱温度は、例えば、摂氏80度(80℃)から100℃の範囲に設定される。加熱部5は、例えば、チャンバー2の外面に沿って配置されている。ここでは、例えば、基板Gを加熱するための加熱部5がチャンバー2内に存在していないため、チャンバー2内における発塵が低減され得る。これにより、例えば、減圧乾燥装置1において基板Gが汚れにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0054】
第1実施形態では、加熱部5は、例えば、第1加熱部分51と、第2加熱部分52と、第3加熱部分53と、を含む。例えば、第1加熱部分51は、支持部3に支持された基板Gをチャンバー2の上方から加熱する。第1加熱部分51は、例えば、蓋部22の上面Sf1に沿って配置される。例えば、第1加熱部分51は、蓋部22の上面Sf1を覆うように配置される。例えば、第2加熱部分52は、支持部3に支持された基板Gをチャンバー2の下方から加熱する。第2加熱部分52は、例えば、ベース部21の外面Sf2に沿って配置される。外面Sf2は、例えば、ベース部21の下面および側面を含む。例えば、第2加熱部分52は、ベース部21の外面Sf2を覆うように配置される。例えば、第3加熱部分53は、支持部3に支持された基板Gをチャンバー2の側方から加熱する。第3加熱部分53は、例えば、蓋部22の側面Sf3に沿って配置される。例えば、第3加熱部分53は、蓋部22の側面Sf3を覆うように配置される。
【0055】
第1加熱部分51、第2加熱部分52および第3加熱部分53には、例えば、シーズヒータまたはラバーヒータ等の抵抗加熱方式のヒータが適用される。シーズヒータは、例えば、ステンレス製のシームレス管(シーズ管ともいう)と、シーズ管内に螺旋状に配されたニクロム線等の電熱線と、を有する。シーズヒータは、例えば、アルミニウム製の外装部と、断熱材で構成された被覆材と、を有していてもよい。ラバーヒータは、例えば、ニクロム線等の電熱線と、この電熱線を挟む2枚のシリコンゴムのシートと、を有する。
【0056】
加熱部5は、例えば、制御部8から出力される指令(加熱指令ともいう)に応じて通電加熱等によって発熱し、支持部3に支持された基板Gをチャンバー2の外から加熱する。このとき、例えば、加熱部5によって加熱されたチャンバー2からの放射熱によって、支持部3に支持された基板Gが均一に加熱され得る。ここでは、例えば、第1加熱部分51は、蓋部22の頂板部221を上面Sf1側から加熱し、頂板部221の下面221iからの放射熱によって、支持部3に支持された基板Gが上方から加熱される。例えば、第2加熱部分52は、ベース部21を外面Sf2側から加熱し、ベース部21を介して整流板6が加熱され、さらに整流板6からの放射熱によって、支持部3に支持された基板Gが下方から加熱される。例えば、第3加熱部分53は、蓋部22の側壁部222を側面Sf3側から加熱し、側壁部222の内面222iからの放射熱によって、支持部3に支持された基板Gが側方から加熱される。
【0057】
ここでは、例えば、第1加熱部分51、第2加熱部分52および第3加熱部分53によって、支持部3に支持された基板Gがチャンバー2の上方、下方および側方から加熱されれば、基板Gがより均一に加熱され得る。その結果、例えば、基板G上の塗布膜Fにおける乾燥のムラが生じにくくなる。より一般的には、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラが生じにくくなる。したがって、例えば、基板Gの品質が向上し得る。また、例えば、支持部3に支持された基板Gがチャンバー2の上方、下方および側方から加熱されれば、チャンバー2の内面2iが広範囲にわたって加熱され得る。これにより、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1上の塗布膜F内の成分から生じる昇華物がチャンバー2の内面2iに付着しにくくなる。より一般的には、例えば、基板Gの加熱時に基板Gの第1面G1に付着した処理液内の成分から生じる昇華物がチャンバー2の内面2iに付着しにくくなる。その結果、例えば、チャンバー2の内面2iの付着物からのパーティクルが生じにくくなり、基板Gが汚染されにくくなる。したがって、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0058】
減圧乾燥装置1では、例えば、制御部8は、加熱部5および排気部4を制御することで、加熱部5による基板Gの加熱と、排気部4によるチャンバー2内の減圧と、を並行して実行させる。このように、例えば、基板Gの加熱と、チャンバー2内の減圧と、が並行して行われることで、基板Gの第1面G1上に形成された塗布膜Fが迅速に乾燥され得る。より一般的には、例えば、処理液が付着した基板Gが迅速に乾燥され得る。
【0059】
整流板6は、例えば、処理空間2s内の支持部3の下方において水平方向に沿って位置している。整流板6には、例えば、水平方向にそれぞれ沿った上面6aおよび下面6bを有する平板状の板材が適用される。上面6aおよび下面6bは、例えば、チャンバー2の底板部211の上面211iと同様に、矩形状の平坦な面である。整流板6は、例えば、上面6aと下面6bとを接続する端面6cを有する。この整流板6は、例えば、チャンバー2の側壁部212および側壁部222の少なくとも一方と端面6cとが狭い第1間隙Gp1を形成し、チャンバー2の底板部211と下面6bが狭い第2間隙Gp2を形成するように配置されている。このため、例えば、処理空間2sから排気口1oを介して排気を行ったときに、基板Gの上方から、基板Gの第1面G1および側壁部222の内面222iに沿って、第1間隙Gp1および第2間隙Gp2を介して排気口1oに吸い込まれる気体の流れが形成される。換言すれば、例えば、整流板6の存在によって、基板G上の塗布膜Fから気化(蒸発)した溶媒が排気口1oに至る気体の流れが整えられ得る。換言すれば、例えば、整流板6の存在によってチャンバー2内の気流が制御され得る。そして、例えば、基板G上の塗布膜Fにおける乾燥のムラが生じにくくなる。より一般的には、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラが生じにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0060】
また、例えば、整流板6の端面6cと側壁部212,222との距離、および整流板6の下面6bと底板部211の上面211iとの距離が、適宜設定されれば、処理空間2sから排気口1oを介して単位時間当たりに同一の排気量で排気を行ったときに、排気口1oに吸い込まれる気体の流速が大きくなり得る。これにより、例えば、基板Gが迅速に乾燥され得る。
【0061】
また、例えば、整流板6の素材に、優れた伝熱性を有するアルミニウム等の金属が適用されれば、第2加熱部分52によるベース部21の加熱に応じて、整流板6が加熱され易くなる。これにより、例えば、基板Gが下方からより均一に加熱され、基板G上の塗布膜Fにおける乾燥のムラが生じにくくなる。より一般的には、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラが生じにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0062】
ここで、例えば、整流板6の上面6aと支持部3に支持された基板Gの第2面G2との距離、すなわち整流板6と支持部3に支持された基板Gとの距離を小さくすると、整流板6からの放射熱によって基板Gが加熱され易い。ただし、例えば、搬送ロボット等の搬送機構のうちの基板Gを保持するロボットハンド等が、整流板6と支持部に支持された基板Gとの間に挿入され得る程度の距離に、整流板6と支持部3に支持された基板Gとの距離が設定される。これにより、例えば、基板Gの第2面G2と整流板6の上面6aとの距離がある程度離間し、基板G上の塗布膜Fにおける乾燥のムラ(転写ムラともいう)が生じにくくなる。より一般的には、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラ(転写ムラ)が生じにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0063】
また、例えば、整流板6は、ベース部21によって支持される。例えば、底板部211の上面211iから上方に延びる複数の柱部6sによって整流板6が支持される。この場合には、例えば、各柱部6sの下端部は、底板部211の上面211iに連結されており、各柱部6sの上端部は、整流板6の下面6bに連結されている。複数の柱部6sは、例えば、第1間隙Gp1から排気口1oに向かう第2間隙Gp2における気体の流れが適切に確保される程度に、水平方向において分散して配置されている。ここで、例えば、複数の柱部6sの素材に、優れた伝熱性を有するアルミニウム等の金属が適用されれば、第2加熱部分52によるベース部21の加熱に応じて、底板部211から複数の柱部6sを介した整流板6への熱伝導により、整流板6が加熱され易くなる。これにより、例えば、基板Gが下方からより均一に加熱され、基板G上の塗布膜Fにおける乾燥のムラが生じにくくなる。より一般的には、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラが生じにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0064】
ここで、例えば、上述したように、排気口1oが、チャンバー2のうち、整流板6の下方に位置しており、排気部4に接続されていれば、基板Gの第1面G1から整流板6の下面6bに沿って流れる気流が集まるように排気口1oが位置する。この場合には、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1上の塗布膜F内の成分から生じる昇華物が排気口1oを介して処理空間2sから排出され易くなる。より一般的には、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1に付着した処理液内の成分から生じる昇華物が排気口1oを介して処理空間2sから排出され易くなる。これにより、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1上の塗布膜F内の成分から生じる昇華物がチャンバー2の内面2iに付着しにくくなる。より一般的には、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1に付着した処理液内の成分から生じる昇華物がチャンバー2の内面2iに付着しにくくなる。その結果、例えば、チャンバー2の内面2iの付着物からのパーティクルが生じにくくなり、基板Gが汚染されにくくなる。したがって、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0065】
給気部7は、例えば、処理空間2sに気体の供給(給気ともいう)を行う。これにより、例えば、処理空間2sが、減圧された状態(減圧状態ともいう)から減圧されていない状態(常圧状態ともいう)に設定される。給気部7は、例えば、給気配管71と、気体供給源72と、第2開閉弁73と、を有する。給気配管71は、例えば、ベース部21の底板部211に取り付けられて、底板部211から下方に突出している。給気配管71の一端(第3端部ともいう)E3は、底板部211の開口(給気口ともいう)2oにおいて、チャンバー2内の処理空間2sに連通している。換言すれば、チャンバー2は、例えば、ベース部21に位置している給気口2oを有する。そして、例えば、給気部7は、チャンバー2の給気口2oに接続している。ここでは、給気口2oは、例えば、整流板6の下面6bに対向している。
【0066】
また、例えば、給気配管71には第2開閉弁73が介装されている。給気配管71の他端(第4端部ともいう)E4は、例えば、気体供給源72に接続されている。気体供給源72は、例えば、基板処理装置9が設置された設備に備えられた給気用の用力設備に接続される。気体供給源72は、例えば、窒素ガス等の不活性ガスを供給する。第2開閉弁73には、例えば、種々のバルブが適用される。ここで、例えば、制御部8からの開閉指令に応答して第2開閉弁73が開閉されて、給気口2oから処理空間2sへの給気が実行または停止される。この場合には、例えば、チャンバー2の処理空間2sが密閉された状態で、制御部8から出力される閉指令に応答して第1開閉弁43が閉じて処理空間2sの減圧が停止されるとともに、制御部8から出力される開指令に応答して第2開閉弁73が開いて給気口2oから処理空間2sへの給気が行われる。これにより、例えば、処理空間2sが減圧状態から常圧状態に設定される。一方、例えば、制御部8から出力される閉指令に応答して第2開閉弁73が閉じて、給気口2oから処理空間2sへの給気が停止される。
【0067】
図2では、減圧乾燥装置1が、2つの給気部7を有する例が示されているが、これに限られない。減圧乾燥装置1は、例えば、1つの給気部7を有していてもよいし、3つ以上の任意の数の給気部7を有していてもよい。換言すれば、減圧乾燥装置1は、例えば、1つ以上の給気部7を有していてもよい。また、給気配管71は、例えば、蓋部22に取り付けられ、給気口2oが、頂板部221の下面221iおよび側壁部222の内面222iの何れかに形成されていてもよい。また、気体供給源72は、例えば、複数の給気部7に対して共通化されてもよい。
【0068】
ところで、上述した第1実施形態に係る減圧乾燥装置1では、例えば、支持部3を昇降させるための構成および駆動機構が存在していない。このため、例えば、ベース部21の外面Sf2のより広い範囲に第2加熱部分52を容易に配置することができる。これにより、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1上の塗布膜F内の成分から生じる昇華物がベース部21の底板部211の上面211iに付着しにくくなる。より一般的には、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1に付着した処理液内の成分から生じる昇華物がチャンバー2の内面2iに付着しにくくなる。その結果、例えば、チャンバー2の内面2iの付着物からのパーティクルが生じにくくなり、基板Gが汚染されにくくなる。したがって、例えば、基板Gの品質が向上し得る。また、例えば、ベース部21の外面Sf2のより広い範囲に第2加熱部分52が配置されれば、チャンバー2の昇温に要する時間が短縮され、減圧乾燥装置1における減圧乾燥処理に要する時間が短縮され得る。換言すれば、例えば、減圧乾燥装置1における減圧乾燥処理のタクトタイムが短縮され得る。
【0069】
また、上述した第1実施形態に係る減圧乾燥装置1では、例えば、複数の支持ピン3pが貫通する複数の貫通孔等を有するホットプレート等の加熱手段が処理空間2s内に存在していない。このため、例えば、基板Gの近傍に位置する凹凸または孔部等を有する構造体の存在数が低減され得る。これにより、例えば、基板G上の塗布膜Fにおける乾燥のムラ(転写ムラ)が生じにくくなる。より一般的には、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラ(転写ムラ)が生じにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0070】
<1-3.減圧乾燥処理の流れ>
図4は、第1実施形態に係る減圧乾燥装置1の動作フローの一例を示す流れ図である。図5(a)から図8は、減圧乾燥装置1の動作を説明するための図である。図4の動作フローは、例えば、制御部8の制御によって実行される。この動作フローが開始される前には、例えば、第1開閉弁43および第2開閉弁73が閉じられており、図5(a)で示されるように、チャンバー2の処理空間2sが開放されているものとする。ここでは、図4のステップS1からステップS6の処理が、この記載の順に行われる。
【0071】
ステップS1では、例えば、図5(b)で示されるように、チャンバー2内の処理空間2sに、第1面G1上に塗布膜Fが形成された基板Gが搬入される。ここでは、例えば、搬送ロボット等の搬送機構によって、複数の支持ピン3pの上に基板Gが載置される。
【0072】
ステップS2では、例えば、図6(a)で示されるように、チャンバー2内の処理空間2sが密閉される。ここでは、例えば、制御部8からの下降指令に応答して、開閉駆動部2mが蓋部22を下降させることで、蓋部22がシール材23を介してベース部21に押圧される。これにより、例えば、ベース部21と蓋部22との間の処理空間2sが密閉される。
【0073】
ステップS3では、例えば、図6(b)で示されるように、加熱部5による基板Gの加熱と、排気部4によるチャンバー2内からの排気によるチャンバー2内の減圧と、が並行して実行される。ここでは、例えば、所定時間の経過に応答して、加熱部5による基板Gの加熱および排気部4によるチャンバー2内の減圧が停止される。より具体的には、例えば、加熱部5による基板Gの加熱および排気部4によるチャンバー2内の減圧のうち、少なくとも一方の処理が開始されてから所定時間が経過すると、加熱部5による基板Gの加熱および排気部4によるチャンバー2内の減圧が停止されてもよい。このとき、例えば、加熱部5による基板Gの加熱および排気部4によるチャンバー2内の減圧のうち、何れが先に開始または停止されてもよいし、両方が同時に開始または停止されてもよい。図6(b)では、基板Gの第1面G1上に形成された塗布膜Fから気化した溶媒が、第1間隙Gp1、第2間隙Gp2および排気口1oをこの記載の順に介して排気配管41内に流れ込む経路(排気経路ともいう)が、太い二点鎖線の矢印で示されている。また、図6(b)では、基板Gが上方から加熱される様子が、斜線ハッチングが付された下向きの矢印で示され、基板Gが下方から加熱される様子が、斜線ハッチングが付された上向きの矢印で示されている。
【0074】
このステップS3では、例えば、加熱部5によって、チャンバー2内の処理空間2sにおいて支持部3に支持された基板Gがチャンバー2の外部から加熱される。より具体的には、例えば、第1加熱部分51によって、支持部3に支持された基板Gがチャンバー2の上方から加熱され、第2加熱部分52によって、支持部3に支持された基板Gがチャンバー2の下方から加熱される。これにより、例えば、基板Gがより均一に加熱され、基板G上の塗布膜Fにおける乾燥のムラが生じにくくなる。より一般的には、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラが生じにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。また、例えば、第1加熱部分51、第2加熱部分52および第3加熱部分53によって、支持部3に支持された基板Gがチャンバー2の上方、下方および側方から加熱されれば、チャンバー2の内面2iが広範囲にわたって加熱され得る。これにより、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1上の塗布膜F内の成分から生じる昇華物がチャンバー2の内面2iに付着しにくくなる。より一般的には、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1に付着した処理液内の成分から生じる昇華物がチャンバー2の内面2iに付着しにくくなる。その結果、例えば、チャンバー2の内面2iの付着物からのパーティクルが生じにくくなり、基板Gが汚染されにくくなる。したがって、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0075】
ステップS4では、例えば、図7(a)で示されるように、給気部7によって、窒素ガスなどの不活性ガスが、チャンバー2内の処理空間2sに供給される。ここでは、例えば、チャンバー2の処理空間2sが密閉された状態で、制御部8から出力される開指令に応答して第2開閉弁73が開いて給気口2oから処理空間2sへの給気が行われる。これにより、例えば、処理空間2sが減圧状態から常圧状態に設定される。そして、例えば、所定時間の経過に応答して、給気部7による処理空間2sへの給気が停止される。より具体的には、例えば、給気部7による処理空間2sへの給気が開始されてから所定時間が経過すると、給気部7による処理空間2sへの給気が停止されてもよい。図7(a)では、給気口2oから処理空間2sへ供給される気体の流れの経路(給気経路ともいう)が、細い二点鎖線の矢印で示されている。
【0076】
ステップS5では、例えば、図7(b)で示されるように、チャンバー2内の処理空間2sが開放される。ここでは、例えば、制御部8からの上昇指令に応答して、開閉駆動部2mが蓋部22を上昇させることで、蓋部22がベース部21およびシール材23から上方に離間する。これにより、例えば、ベース部21と蓋部22との間の処理空間2sが開放される。
【0077】
ステップS6では、例えば、図8で示されるように、チャンバー2内の処理空間2sから、第1面G1上の塗布膜Fが乾燥された基板Gが搬出される。ここでは、例えば、搬送ロボット等の搬送機構によって、複数の支持ピン3pの上に載置された基板Gが、チャンバー2の外に搬出される。
【0078】
<1-4.第1実施形態のまとめ>
以上のように、第1実施形態に係る減圧乾燥装置1では、例えば、チャンバー2内において支持部3に支持された基板Gが、加熱部5によってチャンバー2の外から加熱される。このため、例えば、基板Gを加熱するための加熱部5がチャンバー2内に存在していない。これにより、例えば、チャンバー2内における発塵が低減され得る。その結果、例えば、減圧乾燥装置1において基板Gが汚れにくくなる。したがって、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0079】
また、第1実施形態に係る減圧乾燥装置1では、例えば、支持部3を昇降させるための構成および駆動機構が存在していない。このため、例えば、ベース部21の外面Sf2のより広い範囲に第2加熱部分52を容易に配置することができる。これにより、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1に付着した処理液内の成分から生じる昇華物がチャンバー2の内面2iに付着しにくくなる。その結果、例えば、チャンバー2の内面2iの付着物からのパーティクルが生じにくくなり、基板Gが汚染されにくくなる。したがって、例えば、基板Gの品質が向上し得る。また、例えば、ベース部21の外面Sf2のより広い範囲に第2加熱部分52が配置されることで、チャンバー2の昇温に要する時間が短縮され、減圧乾燥装置1における減圧乾燥処理のタクトタイムが短縮され得る。
【0080】
また、第1実施形態に係る減圧乾燥装置1では、例えば、複数の支持ピン3pが貫通する複数の貫通孔等を有するホットプレート等の加熱手段が処理空間2s内に存在していない。このため、例えば、基板Gの近傍に位置する凹凸または孔部等を有する構造体の存在数が低減され得る。これにより、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラ(転写ムラ)が生じにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0081】
<2.他の実施形態>
本発明は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良等が可能である。
【0082】
<2-1.第2実施形態>
上記第1実施形態において、例えば、整流板6が存在していなくてもよい。
【0083】
図9は、第2実施形態に係る減圧乾燥装置1Aの概略的な構成の一例を示す図である。図9で示される減圧乾燥装置1Aは、図2で示された第1実施形態に係る減圧乾燥装置1がベースとされて、整流板6および複数の柱部6sが削除され、複数の支持ピン3pが、底板部211の上面211iから上方に延びるように変更された形態を有する。この場合には、例えば、各支持ピン3pの下端部は、底板部211の上面211iに連結されている。ここでは、例えば、第2加熱部分52は、ベース部21を外面Sf2側から加熱し、ベース部21の上面211iおよび内面212iからの放射熱によって、支持部3に支持された基板Gが下方から加熱される。このような構成が採用されれば、例えば、処理空間2s内の構成が簡略化されるため、チャンバー2内のメンテナンスが容易となり得る。
【0084】
<2-2.第3実施形態>
上記各実施形態において、例えば、支持部3に支持された基板Gをチャンバー2の側方から加熱する第3加熱部分53が存在していなくてもよい。
【0085】
図10は、第3実施形態に係る減圧乾燥装置1Bの概略的な構成の一例を示す図である。図10で示される減圧乾燥装置1Bは、図2で示された第1実施形態に係る減圧乾燥装置1がベースとされて、加熱部5が、第3加熱部分53が削除された加熱部5Bに変更された形態を有する。換言すれば、加熱部5が、第1加熱部分51と、第2加熱部分52と、を含む。このような構成が採用されても、例えば、第1加熱部分51および第2加熱部分52によって、基板Gが上方および下方から加熱されれば、基板Gが均一に加熱され得る。これにより、例えば、基板G上の塗布膜Fにおける乾燥のムラが生じにくくなる。より一般的には、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラが生じにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0086】
<2-3.第4実施形態>
上記各実施形態において、例えば、チャンバー2は、ベース部21とこのベース部21に対して上下方向に接離可能な蓋部22とを有する代わりに、側方にシャッターのような開閉部が設けられた形態を有していてもよい。
【0087】
図11は、第4実施形態に係る減圧乾燥装置1Cの概略的な構成の一例を示す図である。図11で示される減圧乾燥装置1Cは、図2で示された第1実施形態に係る減圧乾燥装置1がベースとされて、チャンバー2が、チャンバー本体部24と開閉部25とを含むチャンバー2Cに変更され、加熱部5が、開閉部25の第1方向(-X方向)の側面(第1側面ともいう)25fに沿って位置する第4加熱部分54が追加された加熱部5Cに変更された形態を有する。
【0088】
チャンバー本体部24は、例えば、第1方向(-X方向)において開口した開口部2ioを有し、外形が略直方体状である箱状の形状を有する。そして、チャンバー本体部24は、内部に中空の処理空間2sを有する。より具体的には、例えば、チャンバー本体部24は、水平方向にそれぞれ沿った底板部241および頂板部242と、底板部241と頂板部242とを接続する側壁部243と、を有する。底板部241は、例えば、下方から平面視すると、矩形状の形状を有する。頂板部242は、例えば、上方から平面視すると、矩形状の形状を有する。側壁部243は、例えば、Z方向に延びる角筒状の外形を有するとともに、第1方向(-X方向)に開口部2ioを有する。
【0089】
開閉部25は、例えば、チャンバー本体部24の開口部2ioの側方に配置されており、チャンバー本体部24の開口部2ioに対して-X方向から対向する。開閉部25は、例えば、開口部2ioに沿った板状の形状を有する。また、チャンバー2Cは、例えば、チャンバー本体部24の開口部2ioの周囲に位置する側面部24sに沿って配置されたOリング等のシール材23Cを有する。より具体的には、例えば、開閉部25の第2方向(+X方向)の側面(第2側面ともいう)25iと、チャンバー本体部24の開口部2ioの周囲に位置する側面部24sとは、シール材23Cを介して互いに接触する。換言すれば、例えば、チャンバー本体部24と開閉部25とは、シール材23Cを介して互いに接触する。チャンバー本体部24および開閉部25の素材には、例えば、処理空間2sの減圧に耐え得る剛性および強度と、優れた伝熱性と、を有するアルミニウム等の金属が適用される。
【0090】
ここで、減圧乾燥装置1Cは、例えば、チャンバー2Cを開閉するために、図11で概念的に示した開閉駆動部2mCを備えていてもよい。開閉駆動部2mCは、例えば、チャンバー本体部24と開閉部25とを互いに接触させることで処理空間2sを閉じる一方で、チャンバー本体部24と開閉部25とを互いに離間させることで処理空間2sを開くことができる。開閉駆動部2mCには、例えば、開閉部25をチャンバー本体部24に対してX方向およびZ方向に移動させる駆動機構が適用される。開閉駆動部2mCは、例えば、制御部8からの指令に応じて動作することで、チャンバー本体部24に対して開閉部25を-X方向に離間させ、さらに開閉部25をZ方向において開口部2ioよりも上方まで上昇させる。これにより、例えば、処理空間2sが開放される。このとき、例えば、開口部2ioを介した処理空間2sに対する基板Gの搬入または搬出を行うことが可能である。また、開閉駆動部2mCは、例えば、制御部8からの指令に応じて動作することで、開閉部25を開口部2ioに対向する位置まで下降させ、さらにチャンバー本体部24に対して開閉部25を+X方向に移動させる。このとき、例えば、開閉部25が、シール材23Cを介してチャンバー本体部24に押圧される。これにより、例えば、チャンバー本体部24と開閉部25とによって処理空間2sが密閉される。
【0091】
また、第1加熱部分51は、例えば、頂板部242の上面242fに沿って配置される。例えば、第1加熱部分51は、頂板部242の上面242fを覆うように配置される。例えば、第2加熱部分52は、例えば、底板部241の外面241fに沿って配置される。外面241fは、例えば、底板部241の下面および側面を含む。例えば、第2加熱部分52は、底板部241の外面241fを覆うように配置される。第3加熱部分53は、例えば、側壁部243の外面243fに沿って配置される。例えば、第3加熱部分53は、側壁部243の外面243fを覆うように配置される。このような構成が採用されても、例えば、チャンバー2内において支持部3に支持された基板Gが、加熱部5Cによってチャンバー2の外から加熱される。第4加熱部分54は、例えば、開閉部25の第1側面25fに沿って配置される。例えば、第4加熱部分54は、開閉部25の第1側面25fを覆うように配置される。ここでは、例えば、基板Gを加熱するための加熱部5Cがチャンバー2内に存在しておらず、チャンバー2内における発塵が低減され得る。これにより、例えば、減圧乾燥装置1Cにおいて基板Gが汚れにくくなる。その結果、例えば、基板Gの品質が向上し得る。
【0092】
また、ここでは、例えば、支持部3を昇降させるための構成および駆動機構が存在しておらず、底板部241の外面241fのより広い範囲に第2加熱部分52を容易に配置することができる。これにより、例えば、基板Gの加熱時に、基板Gの第1面G1に付着した処理液内の成分から生じる昇華物がチャンバー2の内面2iに付着しにくくなる。その結果、例えば、チャンバー2の内面2iの付着物からのパーティクルが生じにくくなり、基板Gが汚染されにくくなる。したがって、例えば、基板Gの品質が向上し得る。また、例えば、底板部241の外面241fのより広い範囲に第2加熱部分52が配置されれば、チャンバー2の昇温に要する時間が短縮され、減圧乾燥装置1における減圧乾燥処理のタクトタイムが短縮され得る。
【0093】
また、例えば、複数の支持ピン3pが貫通する複数の貫通孔等を有するホットプレート等の加熱手段が処理空間2s内に存在しておらず、基板Gの近傍に位置する凹凸または孔部等を有する構造体の存在数が低減され得る。これにより、例えば、処理液が付着した基板Gにおける乾燥のムラ(転写ムラ)が生じにくくなり、基板Gの品質が向上し得る。
【0094】
<2-4.その他の実施形態>
上記各実施形態において、例えば、排気口1oは、チャンバー2,2Cの底板部211,241の4隅の部分等といった略中央以外の部分に位置していてもよい。また、例えば、排気口1oは、チャンバー2,2Cの側方の部分に位置していてもよい。
【0095】
上記各実施形態では、減圧乾燥装置1,1A~1Cは、基板処理装置9の一部であったが、減圧乾燥装置1,1A~1Cは、基板処理装置9を構成する他の処理部とともに設置されない独立した装置であってもよい。また、上記各実施形態の減圧乾燥装置1,1A~1Cは、PI液もしくはレジスト液等が付着した基板Gを乾燥させるものであったが、減圧乾燥装置1,1A~1Cは、その他の処理液が付着した基板Gを乾燥させるものであってもよい。例えば、デハイドベーク部92およびポストベーク部98の少なくとも1つの部分に、減圧乾燥装置1,1A~1Cと同様な構成を有する装置(ベーキング装置ともいう)が適用されてもよい。
【0096】
上記第1実施形態、上記第3実施形態および上記第4実施形態において、例えば、整流板6に2つ以上の温度計を配するとともに、加熱部5,5B,5Cを複数の部分に分割して、制御部8が、2つ以上の温度計で検出される温度に応じて、整流板6の温度分布がより均一となるように、加熱部5,5B,5Cを制御してもよい。また、例えば、整流板6の温度分布がより均一となるように、複数の柱部6sの配置および分布が適宜設定されてもよい。
【0097】
上記各実施形態において、例えば、排気配管41には気体の流量を調整する調整弁等の他の構成が介装されてもよいし、給気配管71には気体の流量を調整する調整弁およびフィルタ等の他の構成が介装されてもよい。
【0098】
上記各実施形態では、減圧乾燥装置1,1A~1Cは、ガラス基板等を処理対象の基板Gとしていたが、ガラス基板には、例えば、液晶表示装置用ガラス基板、PDP用ガラス基板またはフォトマスク用ガラス基板等が適用される。また、処理対象の基板Gとして、例えば、ガラス基板とは異なる、半導体ウエハ、カラーフィルタ用基板、記録ディスク用基板または太陽電池用基板等の他の精密電子装置用の基板が採用されてもよい。
【0099】
なお、上記各実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0100】
1,1A~1C 減圧乾燥装置
1o 排気口
2,2C チャンバー
21 ベース部(第1チャンバ部分)
22 蓋部(第2チャンバ部分)
23,23C シール材
24 チャンバー本体部
25 開閉部
2io 開口部
2m,2mC 開閉駆動部
2o 給気口
2s 処理空間
3 支持部
3p 支持ピン
3pt 接触部分
4 排気部
5,5B,5C 加熱部
51 第1加熱部分
52 第2加熱部分
53 第3加熱部分
54 第4加熱部分
6 整流板
7 給気部
8 制御部
92 デハイドベーク部
98 ポストベーク部
F 塗布膜
G 基板
G1 第1面
G2 第2面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11