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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】サーバ装置
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020213441
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099595
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】中村 友昭
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-157207(JP,A)
【文献】特開2000-020078(JP,A)
【文献】特開平11-184481(JP,A)
【文献】特開平11-052965(JP,A)
【文献】特開平09-186664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカラオケ装置が通信可能に接続されたサーバ装置であって、
一のカラオケ装置から送信された機種IDを取得する取得部と、
前記取得部に取得された機種ID及び当該一のカラオケ装置に対する各利用者のログイン履歴に基づいて、当該一のカラオケ装置にログインした利用者の利用者IDを抽出する第1の抽出部と、
前記第1の抽出部に抽出された利用者ID及び前記複数のカラオケ装置における各利用者の歌唱履歴に基づいて、当該利用者IDの利用者が歌唱した楽曲の楽曲IDを抽出する第2の抽出部と、
前記第2の抽出部に抽出された楽曲ID及び前記一のカラオケ装置に対する楽曲データの配信履歴に基づいて、当該一のカラオケ装置に対する未配信楽曲の楽曲IDを抽出する第3の抽出部と、
前記第3の抽出部に抽出された未配信楽曲の楽曲IDの中から、前記一のカラオケ装置に対して配信する楽曲の楽曲IDを決定する決定部と、を備えていることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記第2の抽出部は、歌唱履歴に基づいて楽曲ID毎に歌唱回数を合計した合計歌唱回数を当該楽曲IDに紐づけて抽出しており、
前記決定部は、合計歌唱回数に基づいて前記一のカラオケ装置に対して配信する楽曲の楽曲IDを決定することを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記第2の抽出部は、歌唱履歴に基づいて楽曲ID毎の歌唱人数を当該楽曲IDに紐づけて抽出しており、
前記決定部は、歌唱人数に基づいて前記一のカラオケ装置に対して配信する楽曲の楽曲IDを決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置は機種によって搭載楽曲が異なるために、ある店舗のカラオケ装置で利用者が歌唱できた楽曲であっても、別の店舗のカラオケ装置には当該楽曲が搭載されておらず利用者が歌唱を諦めてしまうことがある。特に、スナックやカラオケ喫茶のようなナイト店舗では、店舗の業態に合わせて、様々な機種のカラオケ装置が使用されているため、このような不具合が起こりやすい。この種の不具合に対応したカラオケ装置として、利用者が楽曲検索を行った楽曲が未配信楽曲であった場合に、未配信楽曲を配信するようにサーバ装置にリクエストするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-166140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のカラオケ装置は、利用者が楽曲検索して見つからなかった未配信楽曲の配信をリクエストしているが、店舗の需要に合った楽曲がサーバ装置からカラオケ装置に配信されているとは限らない。
【0005】
本発明の目的は、カラオケ装置に配信されていない未配信楽曲の中で、カラオケ装置が設置された店舗に需要がある楽曲を個別配信することができるサーバ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、複数のカラオケ装置が通信可能に接続されたサーバ装置であって、一のカラオケ装置から送信された機種IDを取得する取得部と、前記取得部に取得された機種ID及び当該一のカラオケ装置に対する各利用者のログイン履歴に基づいて、当該一のカラオケ装置にログインした利用者の利用者IDを抽出する第1の抽出部と、前記第1の抽出部に抽出された利用者ID及び前記複数のカラオケ装置における各利用者の歌唱履歴に基づいて、当該利用者IDの利用者が歌唱した楽曲の楽曲IDを抽出する第2の抽出部と、前記第2の抽出部に抽出された楽曲ID及び前記一のカラオケ装置に対する楽曲データの配信履歴に基づいて、当該一のカラオケ装置に対する未配信楽曲の楽曲IDを抽出する第3の抽出部と、前記第3の抽出部に抽出された未配信楽曲の楽曲IDの中から、前記一のカラオケ装置に対して配信する楽曲の楽曲IDを決定する決定部と、を備えるサーバ装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一のカラオケ装置にログインした利用者が特定され、この利用者が複数のカラオケ装置で歌唱したことがある楽曲が特定され、この楽曲の中から一のカラオケ装置に対する未配信楽曲が特定される。すなわち、一のカラオケ装置の利用者が他のカラオケ装置で歌唱したことがあるが、一のカラオケ装置では歌唱したことがない楽曲が一のカラオケ装置に対する未配信楽曲として特定される。一のカラオケ装置が設置された店舗と他店舗で共通の利用者の歌唱実績から楽曲の配信が決定されるため、一のカラオケ装置に対する未配信楽曲の中で店舗に需要がある楽曲を配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のカラオケシステムの構成図である。
図2】第1実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。
図3】第1実施形態の利用者IDの抽出結果の一例を示す図である。
図4】第1実施形態の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。
図5】第1実施形態の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。
図6】第1実施形態の未配信楽曲の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。
図7】第1実施形態のサーバ装置の処理動作の一例を示すフロー図である。
図8】第2実施形態の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。
図9】第2実施形態の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。
図10】第2実施形態の未配信楽曲の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
図1から図6を参照して、第1実施形態のカラオケシステムについて説明する。図1は、第1実施形態のカラオケシステムの構成図である。図2は、第1実施形態のカラオケシステムの機能ブロック図である。図3は、第1実施形態の利用者IDの抽出結果の一例を示す図である。図4及び図5は、第1実施形態の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。図6は、第1実施形態の未配信楽曲の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。なお、図2の機能ブロック図には、説明の便宜上、特定処理を実現するための機能ブロックを図示しているが、カラオケ装置及びサーバ装置が通常備える構成については備えているものとする。
【0010】
図1に示すように、カラオケシステム1には、データセンタ等に設置されたサーバ装置20と、ナイト店舗やカラオケ店舗等に設置された複数のカラオケ装置10A-10Dと、が設けられている。サーバ装置20と複数のカラオケ装置10A-10Dはネットワーク5を介して通信可能に接続されている。サーバ装置20には各種データベースが設けられており、各種データベースによって後述するログイン履歴、歌唱履歴、配信履歴が管理されている。また、サーバ装置20には多数の楽曲データが管理されており、各カラオケ装置10A-10Dからのリクエストに応じてサーバ装置20から楽曲データが個別配信されている。
【0011】
各カラオケ装置10A-10Dには、装置本体11と、モニタ12と、スピーカ13と、マイクロフォン14と、リモコン装置15と、が設けられている。モニタ12は、装置本体11からの映像信号等に基づいて、カラオケ演奏に合わせて背景映像と共に歌詞テロップ等を表示する。スピーカ13は、装置本体11からの放音信号に基づいて、楽曲のカラオケ演奏音と共に利用者の歌唱音声を放音する。マイクロフォン14は、利用者の歌唱音声を歌唱音声信号に変換して装置本体11に入力する。リモコン装置15は、装置本体11に対する楽曲予約等の利用者による各種操作を受け付けている。
【0012】
装置本体11によってカラオケ演奏が開始されると、楽曲データの再生に同期して、歌詞テロップデータ及び背景映像データに基づいて歌詞テロップと背景映像がモニタ12に表示される。また、カラオケ演奏の伴奏音信号とマイクロフォン14から装置本体11に入力された歌唱音声信号がミキサによって適切な比率でミキシングされて、このミキシング信号がアンプによって増幅されてスピーカ13から放音される。このように、利用者がカラオケ演奏に合わせて歌唱すると、スピーカ13から演奏音と共に歌唱音声が放音される。さらに、歌唱音声は装置本体11において採点される。
【0013】
図2に示すように、カラオケ装置10Aには記憶部17が設けられている。記憶部17には、機種ID(Identification)が記憶されている。また、記憶部17には、サーバ装置20から配信された楽曲データが記憶されている。カラオケ装置10Aは、利用者が操作可能な通常モードで動作する他、例えば店舗の従業員が操作可能なオーナーモード等の専用モードで動作する。専用モードとは、店舗の従業員が曲間CM(Commercial Message)のジャンルを変更するときなどに使用するモードである。店舗の従業員によってカラオケ装置10Aの専用モードからサーバ装置20に楽曲の個別配信のリクエストが実施可能になっている。
【0014】
サーバ装置20には、記憶部21と、取得部22と、第1の抽出部23と、第2の抽出部24と、第3の抽出部25と、決定部26と、配信部27と、が設けられている。記憶部21には、楽曲ID毎に楽曲データが記憶されている。楽曲データには、楽曲の伴奏音の元になる伴奏データ、歌唱の採点基準となるリファレンスデータ、歌詞テロップの元になる歌詞データが含まれている。また、記憶部21には、ログイン履歴を管理するログイン履歴データベース31と、歌唱履歴を管理する歌唱履歴データベース32と、配信履歴を管理する配信履歴データベース33と、が記憶されている。
【0015】
取得部22は、カラオケ装置10Aから送信された機種IDを取得する。店舗の従業員によって専用モードのカラオケ装置10Aで個別配信のリクエスト操作が実施されると、カラオケ装置10Aからサーバ装置20に向けて個別配信のリクエスト信号が送信される。リクエスト信号にはカラオケ装置10Aの機種ID(例えばID****K1)が含まれており、取得部22によってリクエスト信号から機種IDが取得される。機種IDはカラオケ装置10A-10D(図1参照)毎に割り当てられた個別の識別情報である。取得部22によってカラオケ装置10Aの機種IDが取得されると、取得部22から第1の抽出部23に機種IDが出力される。
【0016】
第1の抽出部23は、カラオケ装置10Aの機種ID及びカラオケ装置10Aに対するログイン履歴に基づいて、カラオケ装置10Aにログインした利用者の利用者IDを抽出する。ログイン履歴は、機種ID(例えばID****K1)、利用者ID(例えばID****U01)、ログイン日時、ログアウト日時を紐づけたデータである。カラオケ装置10Aに利用者がログイン/ログアウトする度に、ログイン履歴がサーバ装置20のログイン履歴データベース31に登録される。第1の抽出部23によってログイン履歴データベース31が参照されて、取得部22で取得した機種IDに紐づけられた利用者IDが抽出される。
【0017】
例えば、図3に示すように、直近の所定期間内(1年以内)に所定回数以上(5回以上)、カラオケ装置10A(機種ID:ID****K1)にログインした利用者の利用者IDが抽出される。ここでは、上記の抽出条件を満たす10名の利用者の利用者ID(ID****U01-ID****U10)が抽出されている。なお、抽出条件は適宜変更が可能であり、直近の所定期間が6ヶ月に設定されていてもよいし、所定回数が10回に設定されていてもよい。つまり、カラオケ装置10Aが設置された店舗の営業状態に照らして最近の常連客の利用者IDが抽出されればよい。第1の抽出部23によって利用者IDが抽出されると、第1の抽出部23から第2の抽出部24に利用者IDが出力される。
【0018】
第2の抽出部24は、第1の抽出部23で抽出した利用者ID及び複数のカラオケ装置10A-10D(図1参照)における各利用者の歌唱履歴に基づいて、当該利用者IDの利用者が歌唱した楽曲の楽曲IDを抽出する。歌唱履歴は、利用者ID(例えばID****U01)、楽曲ID(例えばID****X01)、機種ID(例えばID****K1)、歌唱日時を紐づけたデータである。各カラオケ装置10A-10Dで利用者が歌唱する度に、歌唱履歴がサーバ装置20の歌唱履歴データベース32に登録される。第2の抽出部24によって歌唱履歴データベース32が参照されて、第1の抽出部23で抽出した利用者IDに紐づけられた楽曲IDが抽出される。
【0019】
例えば、図4に示すように、直近の所定期間内(6ヶ月以内)に所定回数以上(10回以上)、10名の利用者(利用者ID:ID****U01-ID****U10)が歌唱した楽曲の楽曲IDが抽出されている。第1実施形態では、10名の利用者が、いずれかのカラオケ装置10A-10D(機種ID:ID****K1-ID****K4)で歌唱した50曲の楽曲ID(ID****X01-ID****50)に加えて、各楽曲の歌唱回数が抽出されている。なお、抽出条件は適宜変更が可能であり、直近の所定期間が3ヶ月に設定されていてもよいし、所定回数が15回に設定されていてもよい。
【0020】
さらに、図5に示すように、図4に示す抽出結果に基づいて、楽曲ID毎に歌唱回数を合計した合計歌唱回数が当該楽曲IDに紐づけられて抽出されている。ここでは、例えば楽曲X01(ID****X01)の合計歌唱回数が60回、楽曲X02(ID****X02)の合計歌唱回数が35回、楽曲X03(ID****X03)の合計歌唱回数が37回になっている。このように、第2の抽出部24では、合計歌唱回数に紐づけられた状態で楽曲IDが抽出されている。第2の抽出部24によって楽曲IDが抽出されると、第2の抽出部24から第3の抽出部25に楽曲IDが出力される。
【0021】
第3の抽出部25は、第2の抽出部24で抽出した楽曲ID及びカラオケ装置10Aに対する楽曲データの配信履歴に基づいて、このカラオケ装置10Aに対する未配信楽曲の楽曲IDを抽出する。配信履歴は、機種ID(例えばID****K1)、楽曲ID(例えばID****X03)、配信日時を紐づけたデータである。サーバ装置20から各カラオケ装置10A-10D(図1参照)に楽曲データが配信される度に、配信履歴がサーバ装置20の配信履歴データベース33に登録される。第3の抽出部25によって配信履歴データベース33が参照されて、第2の抽出部24で抽出した楽曲IDの中から未配信楽曲の楽曲IDが抽出される。
【0022】
例えば、図6に示すように、図5に示す抽出結果の楽曲IDの中から、カラオケ装置10A(機種ID:ID****K1)に対する配信履歴のない楽曲IDが抽出されている。ここでは、4曲の楽曲ID(ID****X01、ID****X02、ID****X04、ID****X49)が抽出されている。カラオケ装置10A(機種ID:ID****K1)の利用者が他のカラオケ装置10B-10D(図1参照)で歌唱したことがあるが、カラオケ装置10Aでは歌唱したことがない楽曲が特定される。第3の抽出部25によって未配信楽曲の楽曲IDが抽出されると、第3の抽出部25から決定部26に未配信楽曲の楽曲IDが出力される。
【0023】
決定部26は、第3の抽出部25で抽出した未配信楽曲の楽曲IDの中から、合計歌唱回数に基づいてカラオケ装置10Aに対して配信する楽曲の楽曲IDを決定する。図6に示す未配信楽曲の楽曲IDの抽出結果には、未配信楽曲の楽曲IDに合計歌唱回数が紐づけられている。例えば、楽曲X01(ID****X01)の合計歌唱回数は60回、楽曲X02(ID****X02)の合計歌唱回数は35回、楽曲X04(ID****X04)の合計歌唱回数は40回、楽曲X49(ID****X49)の合計歌唱回数は50回である。
【0024】
この場合、最も合計歌唱回数が多い楽曲の楽曲ID(ID****X01)が個別配信用の楽曲IDに決定されてもよい。合計歌唱回数の上位数曲(上位3曲)の楽曲ID(ID****X01、ID****X49、ID****X04)が個別配信用の楽曲IDに決定されてもよい。合計歌唱回数が所定回数以上(50回以上)の楽曲の楽曲ID(ID****X01、ID****X49)が個別配信用の楽曲IDに決定されてもよい。全ての楽曲の楽曲IDが個別配信用の楽曲IDに決定されてもよい。決定部26によって個別配信用の楽曲IDが決定されると、決定部26から配信部27に楽曲IDが出力される。
【0025】
配信部27は、決定部26で決定した楽曲IDに基づいて記憶部21から楽曲データを読み出し、リクエスト元のカラオケ装置10Aに向けて楽曲データを個別配信する。カラオケ装置10Aはサーバ装置20から楽曲データを受信すると、楽曲ID毎に楽曲データを記憶部17に記憶する。このようにして、カラオケ装置10Aの利用者が他のカラオケ装置10B-10D(図1参照)では何度も歌唱しているが、このカラオケ装置10Aでは一度も歌唱したことがない楽曲が配信される。したがって、カラオケ装置10Aに対する未配信楽曲の中でも、特に需要がある楽曲を配信することが可能になっている。
【0026】
なお、カラオケ装置10A及びサーバ装置20の各処理は、プロセッサを用いてソフトウェアによって実現されてもよいし、集積回路等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。プロセッサを用いる場合には、プロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで各種処理が実施される。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)が使用される。また、メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体によって構成されている。
【0027】
図7を参照して、第1実施形態のサーバ装置の処理動作について説明する。図7は、第1実施形態のサーバ装置の処理動作の一例を示すフロー図である。なお、ここでは、図1及び図2の符号を適宜使用して説明する。
【0028】
図7に示すように、サーバ装置20がカラオケ装置10Aからリクエスト信号を受信すると(ステップS01)、取得部22によってリクエスト信号から機種IDが取得される(ステップS02)。次に、第1の抽出部23によってログイン履歴データベース31が参照されて、取得部22で取得した機種IDに紐づけられた利用者IDが抽出される(ステップS03)。このとき、第1の抽出部23によってログイン履歴データベース31が機種ID等でソートされて、第1の抽出部23に設定された抽出条件を満たした利用者IDが抽出される(図3参照)。
【0029】
次に、第2の抽出部24によって歌唱履歴データベース32が参照されて、第1の抽出部23で抽出した利用者IDに紐づけられた楽曲IDが抽出され(ステップS04)、さらに楽曲ID毎に合計歌唱回数が抽出される(ステップS05)。このとき、第2の抽出部24によって歌唱履歴データベース32が利用者ID等でソートされて、第2の抽出部24に設定された抽出条件を満たした楽曲IDが利用者ID毎に抽出される(図4参照)。また、第2の抽出部24によって楽曲ID毎に複数の利用者の歌唱回数を合計した合計歌唱回数が抽出される(図5参照)。
【0030】
次に、第3の抽出部25によって配信履歴データベース33が参照されて、第2の抽出部24で抽出した楽曲IDのうちカラオケ装置10Aに対する未配信楽曲の楽曲IDが抽出される(ステップS06)。このとき、第3の抽出部25によって配信履歴データベース33がカラオケ装置10Aの機種ID等でソートされて、第2の抽出部24で抽出した楽曲IDの中でリクエスト元のカラオケ装置10Aに対する未配信楽曲の楽曲IDが抽出される(図6参照)。次に、決定部26によって未配信楽曲の楽曲IDの中から、合計歌唱回数に基づいて個別配信用の楽曲IDが決定される(ステップS07)。そして、配信部27によって記憶部21から個別配信用の楽曲IDに紐づいた楽曲データが読み出されて、配信部27によってカラオケ装置10Aに楽曲データが個別配信される(ステップS08)。
【0031】
以上、第1実施形態によれば、カラオケ装置10Aにログインした利用者が特定され、この利用者が複数のカラオケ装置10A-10Dで歌唱したことがある楽曲が特定され、この楽曲の中からカラオケ装置10Aに対する未配信楽曲が特定される。すなわち、カラオケ装置10Aの利用者がカラオケ装置10B-10Dで歌唱したことがあるが、カラオケ装置10Aでは歌唱したことがない楽曲がカラオケ装置10Aに対する未配信楽曲として特定される。カラオケ装置10Aが設置された店舗と他店舗で共通の利用者の歌唱実績から楽曲の配信が決定されるため、カラオケ装置10Aに対する未配信楽曲の中で店舗に需要がある楽曲を配信することができる。
【0032】
<第2実施形態>
上記したように、第1実施形態は、第2の抽出部によって楽曲IDと合計歌唱回数が抽出され、決定部によって未配信楽曲の中から合計歌唱回数に基づいて個別配信用の楽曲が決定される。これに対し、第2実施形態は、第2の抽出部によって楽曲IDと歌唱人数が抽出され、決定部によって未配信楽曲の中から歌唱人数に基づいて個別配信用の楽曲が決定される点で第1実施形態と相違している。したがって、第2実施形態については第1実施形態と同様な構成については説明を省略する。
【0033】
図8及び図9は、第2実施形態の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。図10は、第2実施形態の第1実施形態の未配信楽曲の楽曲IDの抽出結果の一例を示す図である。ここでは、図1及び図2の符号を適宜使用して説明する。
【0034】
図8に示すように、第2実施形態の第2の抽出部24は、歌唱履歴に基づいて第1の抽出部23で抽出した利用者IDに紐づけられた楽曲IDを抽出している。例えば、直近の所定期間内(6ヶ月以内)に所定回数以上(10回以上)、10名の利用者(利用者ID:ID****U01-ID****U10)が歌唱した楽曲の楽曲IDが抽出されている。ここでは、10名の利用者が、いずれかのカラオケ装置10A-10D(機種ID:ID****K1-ID****K4)で歌唱した50曲の楽曲ID(ID****X01-ID****50)が抽出されている。
【0035】
さらに、図9に示すように、図8に示す抽出結果に基づいて、楽曲ID毎に歌唱人数が当該楽曲IDに紐づけられて抽出されている。ここでは、例えば楽曲X01(ID****X01)の歌唱人数が、抽出された利用者10人のうち6人、楽曲X02(ID****X02)の歌唱人数が2人、楽曲X03(ID****X03)の歌唱人数が5人になっている。このように、第2の抽出部24では、歌唱人数に紐づけられた状態で楽曲IDが抽出されている。楽曲IDに歌唱人数を紐づけることで、一部の利用者の好みに偏った楽曲ではなく、複数の利用者に対して人気の楽曲が特定され易くなる。
【0036】
第3の抽出部25は、配信履歴に基づいて、第2の抽出部24で抽出した楽曲IDの中から未配信楽曲の楽曲IDを抽出する。図10に示すように、図9に示す抽出結果の楽曲IDの中から、カラオケ装置10A(機種ID:ID****K1)に対する配信履歴のない楽曲IDが抽出されている。ここでは、4曲の楽曲ID(ID****X01、ID****X02、ID****X04、ID****X49)が抽出されている。カラオケ装置10A(機種ID:ID****K1)の利用者が他のカラオケ装置10B-10Dで歌唱したことがあるが、カラオケ装置10Aでは歌唱したことがない楽曲が特定される。
【0037】
決定部26は、第3の抽出部25で抽出した未配信楽曲の楽曲IDの中から、歌唱人数に基づいてカラオケ装置10Aに対して配信する楽曲の楽曲IDを決定する。図10に示す未配信楽曲の楽曲IDの抽出結果には、未配信楽曲の楽曲IDに歌唱人数が紐づけられている。例えば、楽曲X01(ID****X01)の歌唱人数は6人、楽曲X02(ID****X02)の歌唱人数は2人、楽曲X04(ID****X04)の歌唱人数は7人、楽曲X49(ID****X49)の歌唱人数は3人である。
【0038】
この場合、最も歌唱人数が多い楽曲の楽曲ID(ID****X04)が個別配信用の楽曲IDに決定されてもよい。歌唱人数の上位数曲(上位3曲)の楽曲ID(ID****X04、ID****X01、ID****X49)が個別配信用の楽曲IDに決定されてもよい。歌唱人数が所定人数以上(6人以上)の楽曲の楽曲ID(ID****X04、ID****X01)が個別配信用の楽曲IDに決定されてもよい。全ての楽曲の楽曲IDが個別配信用の楽曲IDに決定されてもよい。これにより、カラオケ装置10Aに対する未配信楽曲の中から複数の利用者に人気のある楽曲が決定される。
【0039】
以上、第2実施形態によれば、カラオケ装置10Aに対する未配信楽曲の中で、カラオケ装置10Aが設置された店舗に需要がある楽曲を配信することができる。特に、一部の利用者の好みに偏った楽曲ではなく、複数の利用者に人気のある楽曲をカラオケ装置10Aに配信することができる。
【0040】
なお、第1実施形態では合計歌唱回数に基づいてカラオケ装置に対して配信する楽曲の楽曲IDが決定され、第2実施形態では歌唱人数に基づいてカラオケ装置に対して配信する楽曲の楽曲IDが決定されたが、楽曲IDの決定方法は特に限定されない。例えば、合計歌唱回数及び歌唱人数に基づいてカラオケ装置に対して配信する楽曲の楽曲IDが決定されてもよい。
【0041】
なお、上述の実施形態ではサーバ装置20がカラオケ装置10Aからリクエスト信号を受信したことを契機として楽曲データを個別配信するための処理を開始したが、これに限られない。例えば、サーバ装置20は、歌唱履歴データベース32を定期的に参照してカラオケ装置10A-10Dで所定期間に行われた歌唱の回数を抽出する第4の抽出部と、歌唱の回数が所定数未満のカラオケ装置あるいは相対的に歌唱の回数が少ないカラオケ装置を特定する特定部とを備え、特定したカラオケ装置の機種IDを取得部22が取得することにより、楽曲データを個別配信するための処理を開始してもよい。これにより、店舗の従業員の手を煩わせることなく、自動的且つ継続的に店舗に需要がある楽曲を個別配信することができる。
【0042】
また、各実施形態及び各変形例において、サーバ装置にプログラムをインストールすることによって、カラオケ装置に対して需要がある楽曲を決定する機能がサーバ装置に追加されてもよい。このプログラムは記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は特に限定されないが、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体であってもよい。
【0043】
また、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0044】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0045】
10A-10D:カラオケ装置
20 :サーバ装置
22 :取得部
23 :第1の抽出部
24 :第2の抽出部
25 :第3の抽出部
26 :決定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10