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特許7520712カーリース管理システムおよびカーリース管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】カーリース管理システムおよびカーリース管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0645 20230101AFI20240716BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240716BHJP
   G06Q 30/0202 20230101ALI20240716BHJP
   G06Q 30/0283 20230101ALI20240716BHJP
【FI】
G06Q30/0645
G06Q50/10
G06Q30/0202
G06Q30/0283
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020217606
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102714
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】西野 圭太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 歓
(72)【発明者】
【氏名】高木 大司
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-067659(JP,A)
【文献】特開2014-085758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中古車市場に関する情報に基づいて定められたリース対象の複数種類の車両に関する情報であって、前記複数種類の車両それぞれのリース価格を含む情報を記憶する記憶部と、
顧客が第1の車両のリース契約期間内に前記第1の車両とは異なる第2の車両のリース契約へ変更する場合、前記第2の車両のリース価格に応じて、前記顧客に対する定期の請求金額を変更する一方、前記第1の車両のリース契約の残期間に応じて生じる規定損害金に相当する金額を前記顧客に請求しない、または、前記規定損害金より低い金額を前記顧客に請求する請求部と、
決定部と、
を備え
前記中古車市場に関する情報は、前記中古車市場における複数種類の車両の価格を含み、
前記決定部は、前記中古車市場における複数種類の車両の価格に基づいて、前記リース対象の車両を決定する、
カーリース管理システム。
【請求項2】
前記第1の車両のリース契約期間内である場合、当該リース契約期間の開始から所定期間が経過していることを条件として、前記第1の車両のリース契約から前記第2の車両のリース契約への変更を受け付ける、
請求項1に記載のカーリース管理システム。
【請求項3】
表示部をさらに備え、
前記リース対象の複数種類の車両のそれぞれは、顧客のライフステージに応じた複数のカテゴリのうち1つまたは複数のカテゴリに分類されており、
前記表示部は、前記リース対象の複数種類の車両の情報を各車両が属するカテゴリの情報とともに表示する、
請求項1または2に記載のカーリース管理システム。
【請求項4】
複数種類の車両のそれぞれを購入した購入者に関する属性情報に基づいて、前記複数種類の車両のそれぞれを前記複数のカテゴリのいずれかに分類する分類部をさらに備える、
請求項に記載のカーリース管理システム。
【請求項5】
中古車市場に関する情報に基づいて定められたリース対象の複数種類の車両に関する情報であって、前記複数種類の車両それぞれのリース価格を含む情報を記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータが、
顧客が第1種類の車両のリース契約期間内に前記第1種類とは異なる第2種類の車両のリース契約へ変更する場合、前記第2種類の車両のリース価格に応じて、前記顧客に対する定期の請求金額を変更する処理を実行し、
前記処理は、前記第1種類の車両のリース契約の残期間に応じて生じる規定損害金に相当する金額を前記顧客に請求しない、または、前記規定損害金より低い金額を前記顧客に請求することを含
前記中古車市場に関する情報は、前記中古車市場における複数種類の車両の価格を含み、
前記中古車市場における複数種類の車両の価格に基づいて、前記リース対象の車両を決定する処理をさらに実行する、
カーリース管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はカーリースを支援する技術に関し、特にカーリース管理システム、情報処理装置およびカーリース管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のカーメーカーが提供する車両の中から、購入予定者が選択した主要装備が搭載されたまたは搭載可能な車種を提示するカーリースのシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-35164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカーリースでは、顧客がリース契約期間内に車両を変更する(言い換えれば乗り換えを行う)場合、そのリース契約の残期間に応じた規定損害金を顧客が負担する必要があった。そのため、顧客は、自身のライフスタイルの変化に応じてリース車両を柔軟に乗り換えることが難しかった。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、顧客の利便性が高いカーリースサービスを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様のカーリース管理システムは、中古車市場に関する情報に基づいて定められたリース対象の複数種類の車両に関する情報であって、複数種類の車両それぞれのリース価格を含む情報を記憶する記憶部と、顧客が第1の車両のリース契約期間内に第1の車両とは異なる第2の車両のリース契約へ変更する場合、第2の車両のリース価格に応じて、顧客に対する定期の請求金額を変更する一方、第1の車両のリース契約の残期間に応じて生じる規定損害金に相当する金額を顧客に請求しない、または、規定損害金より低い金額を顧客に請求する請求部とを備える。
【0007】
本開示の別の態様は、情報処理装置である。この装置は、中古車市場に関する情報に基づいて定められたリース対象の複数種類の車両に関する情報を表示する表示部を備える。リース対象の複数種類の車両のそれぞれは、顧客のライフステージに応じた複数のカテゴリのいずれかに分類されており、表示部は、リース対象の複数種類の車両の情報を各車両が属するカテゴリの情報とともに表示する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、カーリース管理方法である。この方法は、中古車市場に関する情報に基づいて定められたリース対象の複数種類の車両に関する情報であって、複数種類の車両それぞれのリース価格を含む情報を記憶する記憶部にアクセス可能なコンピュータが、顧客が第1種類の車両のリース契約期間内に第1種類とは異なる第2種類の車両のリース契約へ変更する場合、第2種類の車両のリース価格に応じて、顧客に対する定期の請求金額を変更する処理を実行し、処理は、第1種類の車両のリース契約の残期間に応じて生じる規定損害金に相当する金額を顧客に請求しない、または、規定損害金より低い金額を顧客に請求することを含む。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、装置、方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、顧客の利便性が高いカーリースサービスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例のカーリース管理システムの構成を示す図である。
図2図1の管理装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図3】リース対象車のカテゴリ分けの例を示す。
図4図1の管理装置の動作を示すフローチャートである。
図5図1の管理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがコンピュータプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、コンピュータプログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、コンピュータプログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC、LSI等)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的な記録媒体に記録される。コンピュータプログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0013】
以下、本開示の技術を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0014】
まず、実施例の概要を説明する。現在、様々な企業がカーリースサービスを提供している。従来のカーリースでは、顧客がリース契約期間内に車両を変更する(言い換えれば乗り換えを行う)場合、そのリース契約の残期間に応じた規定損害金を顧客が負担する必要があった。例えば、リース料の月額が3万円であり、リース契約期間の残りが2年半であるときに乗り換えを行うと、3万円×30か月=90万円の規定損害金が発生することがあった。
【0015】
そのため、従来のカーリースでは、顧客が、リース契約により借り受けて使用する車両(以下「リース車両」とも呼ぶ。)を、自身の生活環境やライフスタイルの変化に追従して柔軟に変更することが難しかった。また、本発明者は、カーリースに関するアンケート調査を行った。その結果においても、リース車両を手軽に乗り換えられないことがカーリースの利用を躊躇する要因であることが示された。
【0016】
そこで、実施例のカーリース管理システムでは、リース対象の車両を中古車市場での再販価格(買取価格、下取り価格とも呼ばれる。)が比較的高く見込めるものに限定することにより、リース車両の乗り換え時における規定損害金の顧客負担を低減する。具体的には、実施例のカーリース管理システムでは、規定損害金に相当する金額を顧客に請求しない。これにより、利便性が高いカーリースサービスを実現する。
【0017】
実施例の詳細を説明する。図1は、実施例のカーリース管理システム10の構成を示す。カーリース管理システム10は、カーリースサービスを提供する情報処理システムである。カーリース管理システム10は、店舗端末12a、店舗端末12b、管理装置16を備える。
【0018】
店舗端末12aと店舗端末12bは、異なる複数のサービスステーション(典型的にはガソリンスタンドであり、以下「SS」と呼ぶ。)に設置され、各SSの店舗スタッフにより操作される情報処理装置である。店舗端末12aと店舗端末12bを総称する場合、「店舗端末12」と呼ぶ。店舗端末12aと店舗端末12bは、例えば、PC、タブレット端末、スマートフォンであってもよい。
【0019】
店舗端末12aは、表示部14aを備え、店舗端末12bは、表示部14bを備える。表示部14aと表示部14bを総称する場合、「表示部14」と呼ぶ。店舗端末12は、カーリースに関する各種情報や画像を表示部14に表示させる。例えば、店舗端末12は、管理装置16から提供されたウェブページの画像を表示部14に表示させてもよい。なお、実施例では、カーリースサービスを顧客に提供する店舗をガソリンスタンド等のサービスステーションとするが、変形例として、カーリースサービスを顧客に提供する店舗は、サービスステーションとは異なる業種や形態の店舗であってもよい。
【0020】
管理装置16は、カーリースサービスに関する各種情報処理を実行する情報処理装置である。管理装置16は、LAN・WAN・インターネット等の通信網を介して、各SSの店舗端末12、車両販売情報提供装置20、中古車市場情報提供装置22、金融機関装置24と接続される。管理装置16の詳細な構成は後述する。
【0021】
車両販売情報提供装置20は、複数種類の車両(すなわち複数の自動車メーカーに亘る複数の車種)の販売実績に関する情報(以下「車両販売情報」とも呼ぶ。)を記憶し、車両販売情報を管理装置16へ提供する情報処理装置である。車両販売情報は、複数種類の車両のそれぞれを購入した購入者に関する属性情報を含む。購入者に関する属性情報は、例えば、購入者の年齢、収入、家族構成、車両の使用用途、使用頻度、車種の嗜好を含んでもよい。
【0022】
中古車市場情報提供装置22は、中古車市場に関する情報(以下「中古車市場情報」とも呼ぶ。)を記憶し、中古車市場情報を管理装置16へ提供する情報処理装置である。実施例の中古車市場情報は、複数種類の車両(言い換えれば複数の車種)それぞれの中古車市場での再販価格を含む。
【0023】
金融機関装置24は、リース料の支払いに関わる金融機関(例えば銀行やクレジットカード会社)の処理を実行する情報処理装置である。実施例の金融機関装置24は、管理装置16からの要求に応じて口座振替処理を実行する。
【0024】
図2は、図1の管理装置16の機能ブロックを示すブロック図である。本開示のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU・メモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0025】
管理装置16は、制御部30、記憶部32、通信部34を備える。制御部30は、各種情報処理を実行する。記憶部32は、制御部30により参照または更新されるデータを記憶する。記憶部32は、管理装置16のメモリやストレージにより実現されてよい。通信部34は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部30は、通信部34を介して、店舗端末12、車両販売情報提供装置20、中古車市場情報提供装置22、金融機関装置24とデータを送受信する。
【0026】
記憶部32は、車両情報記憶部36と契約情報記憶部38を備える。車両情報記憶部36は、中古車市場情報に基づいて定められたリース対象の複数種類の車両に関する情報(以下「リース対象車情報」とも呼ぶ。)を記憶する。リース対象車情報は、複数種類のリース対象車それぞれのリース価格(具体的にはリース料月額)を含む。また、リース対象車情報は、複数種類のリース対象車のそれぞれが属するカテゴリおよびクラスに関する情報をさらに含む。
【0027】
カーリース管理システム10では、複数種類のリース対象車のそれぞれは、顧客のライフステージ(言い換えれば生活環境、ライフスタイル)に応じた複数のカテゴリのいずれかに分類される。図3は、リース対象車のカテゴリ分けの例を示す。実施例では、複数のカテゴリは、デイリーユース、ファミリーユース、エンジョイユースを含む。デイリーユースが想定するユーザ層は、毎日の通勤や買い物で自動車を使用するユーザ、シニア世代(例えば50歳以上)のユーザ、またはコスト重視のユーザである。ファミリーユースが想定するユーザ層は、ファミリー層のユーザ(例えば未成年の子供がいるユーザ)、または若年層(例えば35歳未満)のユーザである。エンジョイユースが想定するユーザ層は、若年層のユーザ、または流行に敏感なユーザである。
【0028】
また、カーリース管理システム10では、複数種類のリース対象車のそれぞれは、車幅に応じた複数のクラスのいずれかに分類される。実施例では、車幅が小さい順にクラス1、クラス2、クラスXとなる。図3の例では、カテゴリがデイリーユースであり、かつ、クラス1に属するリース対象車は、自動車メーカD車のAAA(車種名)と自動車メーカS社のBBBである。また、カテゴリがデイリーユースであり、かつ、クラス2に属するリース対象車は、自動車メーカT社のGGGと自動車メーカH社のHHHである。
【0029】
実施例では、車幅を基準としてクラスを分類するが、変形例として、ボディタイプ(ワンボックス、セダン等)を基準としてクラスを分類してもよく、また、車幅とボディタイプの組み合わせを基準としてクラスを分類してもよい。また、実施例では、1つのリース対象車(1つの車種)を、顧客のライフステージに応じて予め定められた複数のカテゴリのいずれかに分類するが、変形例として、1つのリース対象車を、複数のカテゴリ(例えば図3のデイリーユースとファミリーユースの両方)に分類してもよい。
【0030】
図2に戻り、契約情報記憶部38は、複数の顧客のそれぞれと締結されたカーリース契約に関する情報(以下「契約情報」とも呼ぶ。)を記憶する。契約情報は、契約ID、顧客ID、顧客が支払うべきリース料月額(言い換えれば顧客に対する定期の請求金額)を含む。
【0031】
制御部30は、リース対象決定部40、画面データ提供部44、契約情報受付部46、新規契約処理部48、請求部50、契約変更部52を備える。リース対象決定部40は、車両分類部42を含む。これら複数の機能ブロックの機能は後述する。
【0032】
制御部30の複数の機能ブロックの機能は、コンピュータプログラムに実装されてもよい。このコンピュータプログラムは、記録媒体に格納されてもよく、その記録媒体を介して管理装置16のストレージにインストールされてもよい。または、上記コンピュータプログラムは、ネットワークを介して管理装置16のストレージにインストールされてもよい。管理装置16のCPUは、上記コンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、制御部30の複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0033】
以上の構成によるカーリース管理システム10の動作を説明する。図4図5は、図1の管理装置16の動作を示すフローチャートである。管理装置16は、図4図5に示す動作を繰り返し実行する。
【0034】
まず、図4を参照しつつ、リース対象車の決定と、リース対象車情報の表示に関する動作を説明する。管理装置16のリース対象決定部40は、車両販売情報提供装置20から定期的に車両販売情報を取得する。リース対象決定部40は、車両販売情報提供装置20から定期的に配信される車両販売情報を受け付けてもよい。車両販売情報が取得されると(S10のY)、リース対象決定部40の車両分類部42は、車両販売情報が示す複数種類の車両のそれぞれを購入した購入者に関する属性情報に基づいて、複数種類の車両のそれぞれを予め定められた複数のカテゴリのいずれかに分類する(S12)。
【0035】
例えば、車両分類部42は、車両販売情報が示す各購入者の属性情報を統計処理してもよい。或る車種の大半の購入者の属性が、カテゴリ「デイリーユース」が想定するユーザ層の属性に整合する場合、車両分類部42は、当該車種をカテゴリ「デイリーユース」に分類してもよい。なお、車両分類部42は、複数種類の車両それぞれの車幅に応じて、複数種類の車両を複数のクラスのいずれかに分類する。すなわち、複数の自動車メーカに亘る複数種類の車両は、図3に示したカテゴリ単位かつクラス単位に分類される。車両販売情報を未取得であれば(S10のN)、S12の処理をスキップする。
【0036】
管理装置16のリース対象決定部40は、中古車市場情報提供装置22から定期的に中古車市場情報を取得する。リース対象決定部40は、中古車市場情報提供装置22から定期的に配信される中古車市場情報を受け付けてもよい。中古車市場情報を取得すると(S14のY)、リース対象決定部40は、中古車市場での複数の車種の再販価格に基づいて、リース対象車を決定する(S16)。
【0037】
具体的には、リース対象決定部40は、カテゴリ単位かつクラス単位に分類された車両のグループごとに、中古車市場での再販価格が所定順位以上(例えば図3に示すように上位2車種)の車両をリース対象車として決定する。変形例として、リース対象決定部40は、車両のグループごとに、中古車市場での再販価格が所定値以上の車両をリース対象車として決定してもよい。別の変形例として、リース対象決定部40は、新車販売価格と中古車市場での再販価格との差が相対的に小さい車両をリース対象車として決定してもよい。中古車市場情報を未取得であれば(S14のN)、S16の処理をスキップする。
【0038】
リース対象決定部40は、リース対象車を決定すると、リース対象車情報を車両情報記憶部36に格納する。なお、各リース対象車のリース料(月額)は、リース対象車のクラスやグレード、装備、オプション等に基づいて人が算定してもよく、リース対象車のクラスやグレード、装備、オプション等をパラメータとして受け付けるリース料算出プログラムにより自動で決定されてもよい。各リース対象車のリース料(月額)も車両情報記憶部36のリース対象車情報に記録される。
【0039】
SSの店舗スタッフは、顧客に対してカーリースを提案する。店舗端末12は、店舗スタッフの操作に応じて、カーリースの販売支援画面の提供を要求する電文を管理装置16へ送信する。管理装置16の画面データ提供部44は、カーリースの販売支援画面の提供要求を受け付けると(S18のY)、その要求への応答として、車両情報記憶部36に記憶されたリース対象車に関する情報を含む販売支援画面のデータ(例えばウェブページのデータ)を店舗端末12へ送信する(S20)。カーリースの販売支援画面の提供要求を受け付けなければ(S18のN)、S20の処理をスキップする。
【0040】
店舗端末12は、管理装置16から提供された、リース対象車に関する情報を含む販売支援画面を表示部14に表示させる。リース対象車に関する情報は、各リース対象車のカテゴリ、クラス、リース料(月額)を含む。店舗端末12の表示部14は、リース対象の複数種類の車両の情報を各車両が属するカテゴリとクラスの情報とともに表示する。カテゴリの情報は、各カテゴリが想定するユーザ層を示す情報を含んでもよい。
【0041】
既述したように、リース対象車のカテゴリは、様々な顧客のライフステージ(言い換えれば生活環境、ライフスタイル)に応じて定められたものである。リース対象車としての複数種類の車両の情報が各車両が属するカテゴリとともに提示されることで、顧客はリースにて借り受ける車両を選択しやすくなり、かつ、店舗スタッフも顧客のライフステージに適合した車両を提案しやすくなる。また、カーリース管理システム10では、複数の自動車メーカに亘る多数の車両が自動でカテゴリ分けされ、また、リース対象車が自動で選定されることにより、カーリース事業者の負荷を低減することができる。
【0042】
次に、図5を参照しつつ、新規契約時および契約変更時の動作を説明する。SSの店舗スタッフは、カーリースの新規契約または契約変更の申込を顧客から受け付けると、カーリースの新規契約情報または契約変更情報をリースセンタに連絡する。リースセンタのオペレータは、所定の入力装置を介して、カーリースの新規契約情報または契約変更情報を管理装置16に入力する。なお、カーリースの新規契約情報または契約変更情報は、SSの店舗スタッフが店舗端末12へ入力し、店舗端末12が管理装置16へ送信することにより、オンラインで管理装置16に入力されてもよい。
【0043】
カーリースの新規契約情報は、例えば、契約ID、顧客のID、氏名、性別、年齢、住所、電話番号、口座番号、リース車両の識別情報、契約開始日、契約期間、リース料月額を含む。リース車両は、リース対象車両の中から顧客が選択したリースされる車両である。契約期間は、例えば、契約開始日から5年である。カーリースの契約変更情報は、第1の車両(例えば図3に示したS社EEE)のリース契約期間内に第1の車両とは異なる第2の車両(例えば図3に示したH社CCC)のリース契約へ変更する場合に入力される。契約変更情報は、解約対象となる第1の車両に関するリース契約のIDと、第2の車両に関する新規契約情報を含む。
【0044】
管理装置16の契約情報受付部46は、リースセンタのオペレータにより入力された、カーリースの新規契約情報または契約変更情報を受け付ける。新規契約情報が受け付けられた場合(S30のY)、管理装置16の新規契約処理部48は、リース契約の新規設定に関する処理を実行する(S32)。例えば、新規契約処理部48は、新規契約情報の内容を契約情報記憶部38に格納してもよい。
【0045】
管理装置16の請求部50は、金融機関装置24と連携して、新規契約のリース車のリース料月額を定期的に顧客に請求するための処理を実行する(S34)。例えば、請求部50は、新規契約のリース車のリース料月額を、定期的に顧客の口座からカーリース事業者の口座に振り替えさせる口座振替の申込データを金融機関装置24に送信することにより、リース料の口座振替を設定してもよい。新規契約情報を受け付けなければ(S30のN)、S32とS34の処理をスキップする。実施例では、リース車のリース料を口座振替により決済するが、変形例として、リース車のリース料をクレジットカードにより決済してもよく、言い換えれば、クレジットカード払いとしてもよい。
【0046】
契約変更情報が受け付けられた場合(S36のY)、管理装置16の契約変更部52は、既契約の車両(第1の車両)のリース契約の解除処理と、変更後の車両(第2の車両)のリース契約の新規設定処理を実行する(S38)。例えば、契約変更部52は、契約情報記憶部38に記憶された第1の車両に関する契約情報に解除フラグを設定し、それとともに、契約変更情報に含まれる第2の車両に関する新規契約情報の内容を契約情報記憶部38に格納してもよい。
【0047】
管理装置16の請求部50は、金融機関装置24と連携して、変更後の第2の車両のリース価格に応じて、顧客に対する定期の請求金額を変更する(S40)。例えば、変更前の第1の車両のリース料月額が3万円で、変更後の第2の車両のリース料月額が3万2千円の場合、請求部50は、顧客の口座からカーリース事業者の口座への振替額を第2車両のリース料月額に変更することを示す申込データを金融機関装置24に送信する。これにより、口座振替の金額を3万円から3万2千円に変更する。
【0048】
また、請求部50は、第1の車両のリース契約の残期間に応じて生じる規定損害金に相当する金額を顧客に請求しない。上述したように、リース契約の残期間が2年半の場合、90万円(3万円×30か月)の規定損害金が生じることがあるが、請求部50は、この規定損害金相当額を違約金として、顧客の口座からカーリース事業者の口座へ振り替える処理の実行を抑制する。例えば、請求部50は、規定損害金相当額の口座振替を金融機関装置24に依頼することを抑制する。契約変更情報を受け付けなければ(S36のN)、S38とS40の処理をスキップする。
【0049】
実施例のカーリース管理システム10では、カテゴリ単位かつクラス単位に分類された車両のグループごとに中古車市場での再販価格が相対的に高い車種をリース対象車として選択する。そのため、変更前のリース対象車(第1の車両)を中古車市場で売却して得られる金銭で規定損害金をカバーできるため、第1の車両のリース契約期間内に第2の車両へ乗り換える顧客に対して規定損害金相当額を請求しない。これにより、これまで顧客がカーリース利用を躊躇する要因となっていた乗り換えの困難さを解消し、利便性が高いカーリースサービスを実現することができる。
【0050】
また、実施例のカーリース管理システム10によると、リース対象車をカテゴリ分けすることで、顧客の現在のライフステージや生活環境に適合するリース社を提供でき、また、乗り換えを容易にすることで、顧客の将来のライフステージや生活環境にも寄り添ったカーリースサービスを提供できる。
【0051】
また、管理装置16の契約変更部52は、第1の車両のリース契約期間内である場合、当該リース契約期間の開始から所定期間が経過していることを条件として、第1の車両のリース契約から第2の車両のリース契約への変更を受け付け、当該変更に係る処理を実行する。言い換えれば、契約変更部52は、第1の車両のリース契約期間内である場合、当該リース契約期間の開始から所定期間が未経過であれば、第1の車両のリース契約から第2の車両のリース契約への変更の受け付けを拒否し、または、当該変更に係る処理を実行しない。上記の所定期間は、例えば2年であってもよい。
【0052】
リース契約の変更を受け付けない場合、または、当該変更に係る処理を実行しない場合、契約変更部52は、リース契約期間の開始から所定期間が未経過であるため乗り換えができない旨を電子メール等の手段で顧客に通知してもよい。または、契約変更部52は、その旨をSSの店舗端末12へ通知して、表示部14に表示させてもよい。
【0053】
中古車市場における車両の再販価格は、当該車両の使用開始直後に大きく値下がりする。そのため、第1の車両のリース契約期間の開始から短期間のうちに第2の車両に乗り換えられると、第1の車両を中古車市場で売却して得られる金銭で規定損害金をカバーできない。そこで、実施例のカーリース管理システム10では、リース車両の乗り換えに期間の制限を設けることにより、リース事業者が損害を被ることを回避しつつ、顧客の利便性を高めることができる。
【0054】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0055】
第1変形例を説明する。上記実施例では、管理装置16の請求部50は、顧客が第1の車両のリース契約期間内に第2の車両のリース契約へ変更する場合、第1の車両のリース契約に関する規定損害金を顧客に請求しないこととした。変形例として、請求部50は、第1の車両のリース契約の残期間に基づいて規定損害金の金額を算出し、算出した規定損害金の本来の金額より低い金額を顧客に請求してもよい。ここでの請求額は、算出した規定損害金の金額に対して所定割合(例えば2~4割)の金額であってもよい。請求部50は、金融機関装置24と連携して、顧客の口座からカーリース事業者の口座へ、規定損害金の金額より低い金額を振り替えてもよい。
【0056】
または、請求部50は、車両販売情報提供装置20から中古車市場情報における第1の車両の再販価格を取得してもよい。請求部50は、算出した規定損害金と、第1の車両の再販価格との差額を違約金として顧客に請求してもよい。請求部50は、金融機関装置24と連携して、顧客の口座からカーリース事業者の口座へ上記差額を振り替えてもよい。
【0057】
第2変形例を説明する。上記実施例では、管理装置16のリース対象決定部40は、中古車市場に関する情報として、中古車市場における車両の再販価格に基づいて、リース対象とする複数種類の車両を決定した。変形例として、リース対象決定部40は、中古車市場に関する情報として、中古車市場における複数の車種の人気度合を示す情報や、中古車市場における複数の車種の需要の大きさを示す情報を中古車市場情報提供装置22から取得してもよい。リース対象決定部40は、カテゴリ単位かつクラス単位に分類された車両のグループごとに人気や需要が相対的に高い車種をリース対象車として決定してもよい。
【0058】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0059】
10 カーリース管理システム、 12 店舗端末、 14 表示部、 16 管理装置、 36 車両情報記憶部、 40 リース対象決定部、 42 車両分類部、 50 請求部。
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図5