(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】膜タンパク質送達のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/88 20060101AFI20240716BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20240716BHJP
C12N 5/0786 20100101ALI20240716BHJP
C12N 5/0787 20100101ALI20240716BHJP
C12N 5/0775 20100101ALI20240716BHJP
C12N 5/074 20100101ALI20240716BHJP
C12N 5/0789 20100101ALI20240716BHJP
C12N 5/0735 20100101ALI20240716BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240716BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240716BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20240716BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240716BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240716BHJP
A61K 35/15 20150101ALI20240716BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20240716BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20240716BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240716BHJP
【FI】
C12N15/88 Z
C12N5/071 ZNA
C12N5/0786
C12N5/0787
C12N5/0775
C12N5/074
C12N5/0789
C12N5/0735
C12N5/10
A61K45/00
A61K38/17
A61K35/12
A61K35/17
A61K35/15
A61K35/545
A61K35/28
A61K35/76
(21)【出願番号】P 2020543570
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(86)【国際出願番号】 US2019018324
(87)【国際公開番号】W WO2019161281
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-15
(32)【優先日】2018-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519397987
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ ブイ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン マルツァーン, ジェフリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ミルウィド, ジョン マイルズ
(72)【発明者】
【氏名】ルーベンス, ジェイコブ ローゼンブラム
(72)【発明者】
【氏名】ミー, マイケル トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン, ニール フランシス
(72)【発明者】
【氏名】シャー, ジャゲシュ ヴィジャイクマール
(72)【発明者】
【氏名】トルドー, カイル マーヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ハートレー, ブリガム ジェイ
【審査官】大西 隆史
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-510562(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0028600(US,A1)
【文献】特表2017-502997(JP,A)
【文献】TANG, Xiang-Jun et al.,Oncotarget,2015年10月19日,Vol. 6, No. 42,pp. 44179-44190,DOI: 10.18632/oncotarget.6175.
【文献】ALVAREZ-ERVITI, Lydia et al.,Nature Biotechnology,Vol. 29,No. 4,2011年03月20日,pp. 341-345,DOI: 10.1038/nbt.1807
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 1/00- 7/08
A61K 35/00-51/12
A61P 1/00-43/00
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)前記脂質二重層によって包まれている、内腔と、
(c)前記供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、前記脂質二重層内に配置されており、VSV-G以外のウイルスフソゲンである、フソゲンと、
(d)キメラ抗原受容体(CAR)であるかまたはそれをコードする膜タンパク質ペイロード剤、
とを含むフソソームであって、
ここで、前記フソゲンは、前記フソソームを標的細胞に局在化させる標的化ドメイン
に連結されている、フソソーム。
【請求項2】
前記膜タンパク質ペイロードが、天然に存在する膜タンパク質に対して異種であるシグナル配列を含む核酸によってコードされる、請求項
1に記載のフソソーム。
【請求項3】
前記膜タンパク質ペイロードが、前記供給源細胞に対して外因性であるか、またはそれと比べて過剰発現されている、請求項1
または請求項2に記載のフソソーム。
【請求項4】
前記供給源細胞が、初代細胞、培養細胞、不死化細胞、または細胞系である、請求項1~
3のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項5】
前記供給源細胞が、前記フソソームの投与を受けるレシピエントのHLAとマッチするHLAである同種供給源細胞である、請求項1~
4のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項6】
前記供給源細胞が、前記フソソームの投与を受けるレシピエントから得られる自家供給源細胞である、請求項1~
4のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項7】
前記供給源細胞が、白血球または幹細胞から選択される、請求項1~
6のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項8】
前記フソソームが
供給源細胞に由来し、前記供給源細胞が免疫原性を低減するように改変されたゲノムを有する、請求項1~
7のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項9】
前記改変されたゲノムが、MHC複合体を除去するようにゲノム編集することによるものである、請求項
8に記載のフソソーム。
【請求項10】
前記フソソームが、前記供給源細胞の径の約0.01%または1%よりも小さい径を有する、請求項1~
9のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項11】
前記ウイルスフソゲンが、クラスIウイルス膜融合タンパク質、クラスIIウイルス膜融合タンパク質、クラスIIIウイルス膜融合タンパク質、またはウイルス膜糖タンパク質を含む、請求項1~1
0に記載のいずれかのフソソーム。
【請求項12】
前記ウイルスフソゲンが、パラミクソウイルスフソゲンを含む、請求項1~1
1のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項13】
前記パラミクソウイルスフソゲンが、ニパウイルスタンパク質F、麻疹ウイルスFタンパク質、tupaiaパラミクソウイルスFタンパク質、パラミクソウイルスFタンパク質、ヘンドラウイルスFタンパク質、ヘニパウイルスFタンパク質、モルビリウイルスFタンパク質、レスピロウイルスFタンパク質、センダイウイルスFタンパク質、ルブラウイルスFタンパク質、またはアブラウイルスFタンパク質を含む、請求項1
2に記載のフソソーム。
【請求項14】
前記パラミクソウイルスが、ヘニパウイルス、モルビリウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、センダイウイルス、麻疹ウイルス、tupaiaパラミクソウイルス、レスピロウイルス、ルブラウイルス、アブラウイルス、またはイヌジステンパーウイルスから選択される、請求項1
3に記載のフソソーム。
【請求項15】
前記パラミクソウイルスフソゲンが、ニパウイルスタンパク質F、麻疹ウイルスFタンパク質、tupaiaパラミクソウイルスFタンパク質、パラミクソウイルスFタンパク質、ヘンドラウイルスFタンパク質、ヘニパウイルスFタンパク質、モルビリウイルスFタンパク質、レスピロウイルスFタンパク質、センダイウイルスFタンパク質、ルブラウイルスFタンパク質、イヌジステンパーウイルスFタンパク質、またはアブラウイルスFタンパク質を含む、請求項1
4に記載のフソソーム。
【請求項16】
前記フソゲンが、6~8のpHにおいて活性である、請求項1~1
5のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項17】
前記フソソームが、少なくとも1,000コピーのコピー数で、膜タンパク質ペイロード剤を含む、請求項1~1
6のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項18】
前記膜タンパク質ペイロード剤が、前記フソソーム脂質二重層内に配置された膜タンパク質である、請求項1~1
7のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項19】
前記膜タンパク質ペイロード剤が、前記フソソーム内腔に配置された、膜タンパク質をコードする核酸である、請求項1から1
8のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項20】
前記CARが、抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および1つ、2つ、または3つのシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~
19のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項21】
前記抗原結合性ドメインが、抗体またはその抗原結合性部分である、請求項1~2
0のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項22】
前記抗原結合性ドメインが、scFvもしくはFabであるか、またはそれを含む、請求項2
1に記載のフソソーム。
【請求項23】
前記1つ、2つ、または3つのシグナル伝達ドメインが、
(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはその機能性バリアント;
(ii)CD28ドメインまたはその機能性バリアント;および
(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能性バリアント
から選択される、請求項2
0~2
2のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項24】
前記1つ、2つ、または3つのシグナル伝達ドメインが、CD3ゼータドメインおよび4-1BBドメインを含む、請求項2
0~2
3のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項25】
前記標的化ドメインが、前記標的細胞上の標的細胞部分に結合する、請求項1~2
4のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項26】
前記標的細胞が、生物内にある、請求項1~2
5のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項27】
前記標的細胞が、生物から単離された初代細胞である、請求項1~2
6のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項28】
前記標的細胞が、内皮細胞、線維芽細胞、血液細胞、幹細胞、胚性幹細胞、筋芽細胞、実質細胞、肺胞細胞、ニューロン、前駆体細胞、始原細胞、または不死化細胞から選択される、請求項1~2
6のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項29】
前記標的細胞が、好中球、リンパ球、マクロファージ、顆粒球、間葉幹細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、または骨髄芽球から選択される、請求項1~
26のいずれかに記載のフソソーム。
【請求項30】
前記リンパ球が、T細胞、B細胞、またはナチュラルキラー細胞である、請求項
29に記載のフソソーム。
【請求項31】
フソソーム組成物を製造する方法であって、
i)請求項1から3
0のいずれかに記載の複数のフソソームを得るステップと、
ii)前記複数のフソソームを、対象への投与に好適な医薬組成物として、製剤化するステップと
を含む、方法。
【請求項32】
前記フソソームが
哺乳動物細胞に由来し、前記哺乳動物細胞が免疫原性を低減するように改変されたゲノムを有す
る、請求項3
1に記載の方法。
【請求項33】
前記改変されたゲノムが、MHC複合体を除去するようにゲノム編集することによって改変される、請求項3
2に記載の方法。
【請求項34】
対象の標的細胞へのタンパク質膜ペイロードの送達における使用のための、請求項1から3
0のいずれかに記載の複数のフソソームを含むフソソーム組成物。
【請求項35】
タンパク質膜ペイロードを対象の標的細胞に送達するための医薬組成物の製造における、請求項1から3
0のいずれかに記載の複数のフソソームを含むフソソーム組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年2月17日に出願された米国第62/631,747号の優先権を主張し、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
配列表
【0002】
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、この配列表は、これにより参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2019年2月12日に作成されたそのASCIIのコピーは、V2050-7013WO_SL.txtという名称であり、サイズが14,911バイトである。
【背景技術】
【0003】
細胞間の融合は、受精、発達、免疫応答、および腫瘍発生ほどの多様な生物学的プロセスにおいて必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、膜タンパク質を標的細胞に送達するためのフソソームおよびそれらの使用に関する技術を提供する。一部の実施形態では、フソソームは、脂質二重層と、脂質二重層によって包まれている内腔と、フソゲンと、膜タンパク質ペイロード剤を含むカーゴとを含む。一部の実施形態では、そのようなカーゴは、膜タンパク質自体であり得るか、またはそれを含み得、一部の実施形態では、そのようなカーゴは、膜タンパク質をコードする(またはそれをコードする核酸に相補的である)核酸であり得るか、またはそれを含み得る。
【0005】
一部の態様では、本開示は、
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)膜タンパク質ペイロード剤(例えば、供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている)であって、
i)キメラ抗原受容体、
ii)例えば、表5から選択される、インテグリン膜タンパク質ペイロード、
iii)表6から選択される、イオンチャネルタンパク質、
iv)例えば、表7および8から選択される、細孔形成タンパク質、
v)例えば、表9から選択される、Toll様受容体、
vi)例えば、表10から選択される、インターロイキン受容体ペイロード、
vii)表11~12から選択される、細胞接着性タンパク質、
viii)表15から選択される、輸送タンパク質、
ix)天然に存在する膜タンパク質に対して異種である、シグナル配列、または
x)表4に列挙されている、シグナル配列
のうちの1つまたは複数を含むかまたはそれをコードする、膜タンパク質ペイロード剤と
を含むフソソームであって、必要に応じて、ヌクレオキャプシドタンパク質もウイルスマトリックスタンパク質も含まない、フソソームを提供する。
【0006】
一部の態様では、本開示は、
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)T細胞受容体を含むかまたはそれをコードする、膜タンパク質ペイロード剤(例えば、供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている)と
を含むフソソームであって、必要に応じて、フソソームが、ヌクレオキャプシドタンパク質もウイルスマトリックスタンパク質も含まない、フソソームを提供する。
【0007】
一部の態様では、本開示は、
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている膜タンパク質ペイロード剤と
を含むフソソームであって、以下:
i)フソソームが、細胞生物製剤(cytobiologic)を含むか、もしくはそれに含まれる、
ii)フソゲンが、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、少なくとも1,000コピーのコピー数で存在する、
iii)フソソームが、例えば、実施例43のアッセイによって測定した場合に、少なくとも1,000コピーのコピー数で、治療剤を含む、
iv)フソソームが、脂質を含み、CL、Cer、DAG、HexCer、LPA、LPC、LPE、LPG、LPI、LPS、PA、PC、PE、PG、PI、PS、CE、SM、およびTAGのうちの1つもしくは複数が、供給源細胞における対応する脂質レベルの75%以内である、
v)フソソームが、例えば、実施例42のアッセイを使用して、供給源細胞のものに類似のプロテオーム組成を含む、
vi)フソソームが、シグナル伝達、例えば、細胞外シグナルの伝達、例えば、インスリンに応答したAKTリン酸化、もしくはインスリンに応答したグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)の取込みを、例えば、実施例63のアッセイを使用して、例えば、陰性対照、例えば、インスリンの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも少なくとも10%多く、行うことができる、
vii)フソソームが、対象、例えば、マウスに投与されると、組織、例えば、肝臓、肺、心臓、脾臓、膵臓、消化管、腎臓、精巣、卵巣、脳、生殖器、中枢神経系、末梢神経系、骨格筋、内皮、内耳、もしくは眼を標的とし、例えば、投与されたフソソーム集団中のフソソームの少なくとも0.1%、もしくは10%が、例えば、実施例87もしくは100のアッセイによって、24時間後に、標的組織に存在する、または
viii)供給源細胞が、好中球、顆粒球、間葉幹細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄芽球、筋芽細胞、肝細胞、もしくはニューロン、例えば、網膜神経細胞から選択される
のうちの1つまたは複数である、フソソームを提供する。
【0008】
一部の態様では、本開示は、
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)膜タンパク質ペイロード剤であって、
i)膜タンパク質をコードするDNAを含むか、または
ii)供給源細胞に対して外因性であるかもしくはそれと比べて過剰発現されている膜タンパク質をコードするRNA、例えば、mRNAを含む、膜タンパク質ペイロード剤と
を含むフソソームであって、必要に応じて、フソソームが、ヌクレオキャプシドタンパク質もウイルスマトリックスタンパク質も含まない、フソソームを提供する。
【0009】
一部の態様では、本開示は、
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている非ウイルス性、例えば、哺乳動物フソゲンであって、哺乳動物フソゲンが、アルツハイマー病のベータアミロイドペプチドでもファーティリンでもない、フソゲンと、
(d)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている膜タンパク質ペイロード剤と
を含むフソソームであって、必要に応じて、フソソームが、ヌクレオキャプシドタンパク質もウイルスマトリックスタンパク質も含まない、フソソームを提供する。
【0010】
一部の態様では、本開示は、
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている膜タンパク質ペイロード剤と
を含むフソソームであって、除核細胞を含み、
必要に応じて、ヌクレオキャプシドタンパク質もウイルスマトリックスタンパク質も含まない、フソソームを提供する。
【0011】
一部の態様では、本開示は、
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている膜タンパク質ペイロード剤と
を含むフソソームであって、以下:
i)フソソームが、細胞生物製剤を含むか、もしくはそれに含まれる、
ii)フソソームが、除核細胞を含む、
iii)フソソームが、不活性化された核を含む、
iv)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、例えば、少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い割合で、標的細胞と融合する、
v)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的フソソームよりも、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%高い割合で、標的細胞と融合する、
vi)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の膜タンパク質ペイロード剤が24、48、もしくは72時間後に、標的細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%に送達されるような割合で、標的細胞と融合する、
vii)フソゲンが、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、フソソーム1つ当たり、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、もしくは1,000,000,000コピー、もしくはそれを上回らないコピー数で、存在する、
viii)フソソームが、例えば、実施例43のアッセイによって測定した場合に、フソソーム1つ当たり、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、もしくは1,000,000,000コピー、もしくはそれを上回らないコピー数で、膜タンパク質ペイロード剤を含む、
ix)フソゲンのコピー数の、膜タンパク質ペイロード剤のコピー数に対する比が、1,000,000:1~100,000:1、100,000:1~10,000:1、10,000:1~1,000:1、1,000:1~100:1、100:1~50:1、50:1~20:1、20:1~10:1、10:1~5:1、5:1~2:1、2:1~1:1、1:1~1:2、1:2~1:5、1:5~1:10、1:10~1:20、1:20~1:50、1:50~1:100、1:100~1:1,000、1:1,000~1:10,000、1:10,000~1:100,000、もしくは1:100,000~1:1,000,000である、
x)フソソームが、供給源細胞のものに実質的に類似の脂質組成を含み、またはCL、Cer、DAG、HexCer、LPA、LPC、LPE、LPG、LPI、LPS、PA、PC、PE、PG、PI、PS、CE、SM、およびTAGのうちの1つもしくは複数が、供給源細胞における対応する脂質レベルの10%以内、15%以内、20%以内、25%以内、30%以内、35%以内、40%以内、45%以内、50%以内、55%以内、60%以内、65%以内、70%以内、もしくは75%以内である、
xi)フソソームが、例えば、実施例42のアッセイを使用して、供給源細胞のものに類似のプロテオーム組成を含む、
xii)フソソームが、例えば、実施例49のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、脂質のタンパク質に対する比を含む、
xiii)フソソームが、例えば、実施例50のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、タンパク質の核酸(例えば、DNA)に対する比を含む、
xiv)フソソームが、例えば、実施例51のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、脂質の核酸(例えば、DNA)に対する比を含む、
xv)フソソームが、例えば、実施例75のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞の半減期の1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、100%以内である、対象、例えば、マウスにおける半減期を有する、
xvi)フソソームが、例えば、実施例64のアッセイを使用して測定した場合に、陰性対照、例えば、グルコースの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%多く、膜を越えてグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)を輸送する、
xvii)フソソームが、例えば、実施例66のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマウス胚線維芽細胞におけるエステラーゼ活性のものの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内である、内腔におけるエステラーゼ活性を含む、
xviii)フソソームが、例えば、実施例68に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における代謝活性(例えば、クエン酸シンターゼ活性)の1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内である、代謝活性(例えば、クエン酸シンターゼ活性)レベルを含む、
xix)フソソームが、例えば、実施例69に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における呼吸レベル(例えば、酸素消費速度)の1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内である、呼吸レベル(例えば、酸素消費速度)を含む、
xx)フソソームが、例えば、実施例70のアッセイを使用して、多くとも18,000、17,000、16,000、15,000、14,000、13,000、12,000、11,000、もしくは10,000MFIのアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したその他は同様のフソソームのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したマクロファージのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含む、
xxi)フソソームが、例えば、実施例39のアッセイによって、供給源細胞のものよりも少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高いmiRNA含量レベルを有する、
xxii)フソソームが、例えば、実施例47のアッセイによって、供給源細胞のものの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくはそれを上回る、例えば、供給源細胞のものの1%~2%以内、2%~3%以内、3%~4%以内、4%~5%以内、5%~10%以内、10%~20%以内、20%~30%以内、30%~40%以内、40%~50%以内、50%~60%以内、60%~70%以内、70%~80%以内、もしくは80%~90%以内である、可溶性タンパク質:不溶性タンパク質の比を有する、
xxiii)フソソームが、例えば、実施例48に記載される質量分析によって測定した場合に、供給源細胞のLPS含量の5%を下回る、1%を下回る、0.5%を下回る、0.01%を下回る、0.005%を下回る、0.0001%を下回る、0.00001%を下回る、もしくはそれを下回る、LPSレベルを有する、
xxiv)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、シグナル伝達、例えば、細胞外シグナルの伝達、例えば、インスリンに応答したAKTリン酸化、もしくはインスリンに応答したグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)の取込みを、例えば、実施例63のアッセイを使用して、陰性対照、例えば、インスリンの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%多く、行うことができる、
xxv)フソソームが、対象、例えば、哺乳動物、例えば、実験用哺乳動物(例えば、マウス)、飼育動物(例えば、ペットもしくは家畜動物)、もしくはヒトに投与されると、組織、例えば、肝臓、肺、心臓、脾臓、膵臓、消化管、腎臓、精巣、卵巣、脳、生殖器、中枢神経系、末梢神経系、骨格筋、内皮、内耳、もしくは眼を標的とし、投与されたフソソーム集団中のフソソームの少なくとも0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%が、例えば、実施例87もしくは100のアッセイによって、24、48、もしくは72時間後に、標的組織に存在する、
xxvi)フソソームが、例えば、実施例71のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくは骨髄間質細胞(BMSC)によって誘導されるジャクスタクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%高いジャクスタクリンシグナル伝達レベルを有する、
xxvii)フソソームが、例えば、実施例72のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマクロファージによって誘導されるパラクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%高いパラクリンシグナル伝達レベルを有する、
xxviii)フソソームが、例えば、実施例73のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞における重合アクチンのレベルと比較して、1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内のレベルで、アクチンを重合する、
xxix)フソソームが、例えば、実施例74のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞の膜電位の約1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、100%以内の膜電位を有するか、またはフソソームが、約-20~-150mV、-20~-50mV、-50~-100mV、もしくは-100~-150mVの膜電位を有する、
xxx)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、実施例57のアッセイを使用して、例えば、供給源細胞と同じ種類の細胞の溢出割合の少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%の割合で、血管から溢出することができ、例えば、供給源細胞が、好中球、リンパ球、B細胞、マクロファージ、もしくはNK細胞である、
xxxi)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、供給源細胞と同じ種類の細胞のものの少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%の割合で、細胞膜、例えば、内皮細胞膜もしくは血液脳関門を越えることができる、
xxxii)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、実施例62のアッセイを使用して、例えば、参照細胞、例えば、マウス胚線維芽細胞もしくは供給源細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%高い割合で、タンパク質を分泌することができる、
xxxiii)フソソームが、医薬品もしくは適正製造基準(GMP)の基準を満たしている、
xxxiv)フソソームが、適正製造基準(GMP)に従って作製された、
xxxv)本明細書に記載される複数のフソソームを含む医薬調製物が、所定の参照値を下回る病原体レベルを有し、例えば、病原体を実質的に含まない、
xxxvi)本明細書に記載される複数のフソソームを含む医薬調製物が、所定の参照値を下回る混入物質レベルを有し、例えば、混入物質を実質的に含まない、
xxxvii)本明細書に記載される複数のフソソームを含む医薬調製物が、例えば、本明細書に記載されるように、低い免疫原性を有する、
xxxviii)供給源細胞が、好中球、顆粒球、間葉幹細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄芽球、筋芽細胞、肝細胞、もしくはニューロン、例えば、網膜神経細胞から選択される、あるいは
xxxix)供給源細胞が、293細胞、HEK細胞、ヒト内皮細胞、もしくはヒト上皮細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、もしくは幹細胞以外である
のうちの1つまたは複数である、フソソームを提供する。
【0012】
一部の実施形態では、本開示に関連する膜タンパク質は、内在性膜タンパク質であり、一部の実施形態では、膜タンパク質は、表在性膜タンパク質である。他の実施形態では、膜タンパク質は、膜と一時的に会合している。一部の実施形態では、膜タンパク質は、標的細胞の膜と会合している、および/またはそれに全体的もしくは部分的にまたがっている(例えば、膜貫通タンパク質)、タンパク質である。一部の実施形態では、膜タンパク質は、内在性単地性タンパク質である(すなわち、膜の一方の側面のみと会合している)。一部の実施形態では、膜タンパク質は、標的細胞の膜の外部表面と会合しているかまたは会合するようになる(例えば、部分的もしくは完全にそこに存在する)。一部の実施形態では、膜タンパク質は、標的細胞の膜の内部表面と会合しているかまたは会合するようになる(例えば、部分的もしくは完全にそこに存在する)。
【0013】
一部の実施形態では、本開示に関連する膜タンパク質は、治療用膜タンパク質である。一部の実施形態では、本開示に関連する膜タンパク質は、受容体(例えば、細胞表面受容体および/もしくは膜貫通受容体)、細胞表面リガンド、膜輸送タンパク質(例えば、能動的もしくは受動的輸送タンパク質、例えば、例として、イオンチャネルタンパク質、細孔形成タンパク質[例えば、毒素タンパク質]など)、膜酵素、ならびに/または細胞接着性タンパク質)であるかまたはそれを含む。
【0014】
一部の実施形態では、本開示に関連する膜タンパク質は、天然に存在する膜タンパク質の配列を含む。一部の実施形態では、本開示に関連する膜タンパク質は、天然に存在する膜タンパク質のバリアントまたは改変バージョンであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、本開示に関連する膜タンパク質は、操作された膜タンパク質であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、本開示に関連する膜タンパク質は、融合タンパク質であるかまたはそれを含む。
【0015】
一部の実施形態では、本開示は、膜タンパク質ペイロード剤が部分的または完全にフソソーム内腔に配置された、フソソーム調製物を提供し、かつ/またはそれを利用する。一部の実施形態では、本開示は、膜タンパク質ペイロード剤が、フソソームの脂質二重層と会合した(例えば、部分的または完全にその中に位置する)、フソソーム調製物を提供する。一部の実施形態では、関連する膜タンパク質は、フソソームの外部表面と会合している、かつ/または部分的もしくは完全にそこに提示される。
【0016】
本開示は、一部の態様では、
(a)脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)膜タンパク質ペイロード剤、例えば、供給源細胞に対して外因性である膜タンパク質と
を含むフソソームであって、供給源細胞に由来し、
部分的または完全な核不活性化を有する(例えば、供給源細胞において見出されるインタクトな核が欠如している、核除去/脱核、非機能性核など)、フソソームを提供する。
【0017】
本開示は、一部の態様では、
(a)脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)標的細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている(例えば、供給源細胞に内因性または外因性である)、フソゲンと、
(d)膜タンパク質ペイロード剤(例えば、供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている)であって、
xi)キメラ抗原受容体を含むかまたはそれをコードする、
xii)例えば、表5から選択される、インテグリン膜タンパク質ペイロードを含むか、またはそれをコードする、
xiii)表6から選択される、イオンチャネルタンパク質を含むかまたはそれをコードする、
xiv)例えば、表7および8から選択される、細孔形成タンパク質を含むかまたはそれをコードする、
xv)例えば、表9から選択される、Toll様受容体を含むかまたはそれをコードする、
xvi)例えば、表10から選択される、インターロイキン受容体ペイロードを含むかまたはそれをコードする、
xvii)表11~12から選択される、細胞接着性タンパク質を含むかまたはそれをコードする、
xviii)表15から選択される、輸送タンパク質を含むかまたはそれをコードする、
xix)天然に存在する膜タンパク質に対して異種であるシグナル配列を含むかまたはそれをコードする、
xx)表4に列挙されている、シグナル配列を含むかまたはそれをコードする
膜タンパク質ペイロード剤と
を含むフソソームであって、ウイルスキャプシドタンパク質もウイルスエンベロープタンパク質も含まない、フソソームを提供する。
【0018】
本開示は、一部の態様では、
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)膜タンパク質ペイロード剤(例えば、供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている)であって、
i)脂質アンカータンパク質、
ii)膜貫通タンパク質に結合する、細胞外タンパク質、
iii)膜貫通ドメインが欠如した、細胞外タンパク質、
iv)部分的に膜(例えば、標的細胞またはフソソームの膜)にまたがり、完全には膜にまたがらない、タンパク質(例えば、タンパク質は、平面膜ヘリックスを含むか、もしくはタンパク質は、膜に完全にはまたがらない疎水性ループを含む)、または
v)膜貫通ドメインを含まず、膜表面と、例えば、静電相互作用もしくはイオン相互作用を通じて相互作用するタンパク質
のうちの1つまたは複数を含むかまたはそれをコードする膜タンパク質ペイロード剤と
を含むフソソームであって、ウイルス構造タンパク質、例えば、ウイルスキャプシドタンパク質もウイルスエンベロープタンパク質も含まない、フソソームを提供する。
【0019】
一部の実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、存在する:
xl)フソソームが、細胞生物製剤を含むか、もしくはそれに含まれること、
xli)フソソームが、除核細胞を含む、
xlii)フソソームが、不活性化された核を含む、
xliii)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、例えば、少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い割合で、標的細胞と融合する、
xliv)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的フソソームよりも、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%高い割合で、標的細胞と融合する、
xlv)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の膜タンパク質ペイロード剤が24、48、もしくは72時間後に、標的細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%に送達されるような割合で、標的細胞と融合する、
xlvi)フソゲンが、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、フソソーム1つ当たり、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、もしくは1,000,000,000コピー、もしくはそれを上回らないコピー数で、存在する、
xlvii)フソソームが、例えば、実施例43のアッセイによって測定した場合に、フソソーム1つ当たり、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、もしくは1,000,000,000コピー、もしくはそれを上回らないコピー数で、膜タンパク質ペイロード剤を含む、
xlviii)フソゲンのコピー数の、膜タンパク質ペイロード剤のコピー数に対する比が、1,000,000:1~100,000:1、100,000:1~10,000:1、10,000:1~1,000:1、1,000:1~100:1、100:1~50:1、50:1~20:1、20:1~10:1、10:1~5:1、5:1~2:1、2:1~1:1、1:1~1:2、1:2~1:5、1:5~1:10、1:10~1:20、1:20~1:50、1:50~1:100、1:100~1:1,000、1:1,000~1:10,000、1:10,000~1:100,000、もしくは1:100,000~1:1,000,000である、
xlix)フソソームが、供給源細胞のものに実質的に類似の脂質組成を含み、またはCL、Cer、DAG、HexCer、LPA、LPC、LPE、LPG、LPI、LPS、PA、PC、PE、PG、PI、PS、CE、SM、およびTAGのうちの1つもしくは複数が、供給源細胞における対応する脂質レベルの10%以内、15%以内、20%以内、25%以内、30%以内、35%以内、40%以内、45%以内、50%以内、55%以内、60%以内、65%以内、70%以内、もしくは75%以内である、
l)フソソームが、例えば、実施例42のアッセイを使用して、供給源細胞のものに類似のプロテオーム組成を含む、
li)フソソームが、例えば、実施例49のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、脂質のタンパク質に対する比を含む、
lii)フソソームが、例えば、実施例50のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、タンパク質の核酸(例えば、DNA)に対する比を含む、
liii)フソソームが、例えば、実施例51のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、脂質の核酸(例えば、DNA)に対する比を含む、
liv)フソソームが、例えば、実施例75のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞の半減期の1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、100%以内である、対象、例えば、マウスにおける半減期を有する、
lv)フソソームが、例えば、実施例64のアッセイを使用して測定した場合に、陰性対照、例えば、グルコースの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%多く、膜を越えてグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)を輸送する、
lvi)フソソームが、例えば、実施例66のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマウス胚線維芽細胞におけるエステラーゼ活性のものの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内である、内腔におけるエステラーゼ活性を含む、
lvii)フソソームが、例えば、実施例68に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における代謝活性(例えば、クエン酸シンターゼ活性)の1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内である、代謝活性(例えば、クエン酸シンターゼ活性)レベルを含む、
lviii)フソソームが、例えば、実施例69に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における呼吸レベル(例えば、酸素消費速度)の1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内である、呼吸レベル(例えば、酸素消費速度)を含む、
lix)フソソームが、例えば、実施例70のアッセイを使用して、多くとも18,000、17,000、16,000、15,000、14,000、13,000、12,000、11,000、もしくは10,000MFIのアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したその他は同様のフソソームのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したマクロファージのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含む、
lx)フソソームが、例えば、実施例39のアッセイによって、供給源細胞のものよりも少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高いmiRNA含量レベルを有する、
lxi)フソソームが、例えば、実施例47のアッセイによって、供給源細胞のものの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくはそれを上回る、例えば、供給源細胞のものの1%~2%以内、2%~3%以内、3%~4%以内、4%~5%以内、5%~10%以内、10%~20%以内、20%~30%以内、30%~40%以内、40%~50%以内、50%~60%以内、60%~70%以内、70%~80%以内、もしくは80%~90%以内である、可溶性タンパク質:不溶性タンパク質の比を有する、
lxii)フソソームが、例えば、実施例48に記載される質量分析によって測定した場合に、供給源細胞のLPS含量の5%を下回る、1%を下回る、0.5%を下回る、0.01%を下回る、0.005%を下回る、0.0001%を下回る、0.00001%を下回る、もしくはそれを下回る、LPSレベルを有する、
lxiii)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、シグナル伝達、例えば、細胞外シグナルの伝達、例えば、インスリンに応答したAKTリン酸化、もしくはインスリンに応答したグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)の取込みを、例えば、実施例63のアッセイを使用して、陰性対照、例えば、インスリンの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%多く、行うことができる、
lxiv)フソソームが、対象、例えば、哺乳動物、例えば、実験用哺乳動物(例えば、マウス)、飼育動物(例えば、ペットもしくは家畜動物)、もしくはヒトに投与されると、組織、例えば、肝臓、肺、心臓、脾臓、膵臓、消化管、腎臓、精巣、卵巣、脳、生殖器、中枢神経系、末梢神経系、骨格筋、内皮、内耳、もしくは眼を標的とし、投与されたフソソーム集団中のフソソームの少なくとも0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%が、例えば、実施例87もしくは100のアッセイによって、24、48、もしくは72時間後に、標的組織に存在する、
lxv)フソソームが、例えば、実施例71のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくは骨髄間質細胞(BMSC)によって誘導されるジャクスタクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%高いジャクスタクリンシグナル伝達レベルを有する、
lxvi)フソソームが、例えば、実施例72のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマクロファージによって誘導されるパラクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%高いパラクリンシグナル伝達レベルを有する、
lxvii)フソソームが、例えば、実施例73のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞における重合アクチンのレベルと比較して、1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内のレベルで、アクチンを重合する、
lxviii)フソソームが、例えば、実施例74のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞の膜電位の約1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、100%以内の膜電位を有するか、またはフソソームが、約-20~-150mV、-20~-50mV、-50~-100mV、もしくは-100~-150mVの膜電位を有する、
lxix)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、実施例57のアッセイを使用して、例えば、供給源細胞の溢出割合の少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%の割合で、血管から溢出することができ、例えば、供給源細胞が、好中球、リンパ球、B細胞、マクロファージ、もしくはNK細胞であること、
lxx)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、細胞膜、例えば、内皮細胞膜もしくは血液脳関門を越えることができること、
lxxi)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、実施例62のアッセイを使用して、例えば、参照細胞、例えば、マウス胚線維芽細胞もしくは供給源細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%高い割合で、タンパク質を分泌することができること、
lxxii)フソソームが、医薬品もしくは適正製造基準(GMP)の基準を満たしている、
lxxiii)フソソームが、適正製造基準(GMP)に従って作製された、
lxxiv)本明細書に記載される複数のフソソームを含む医薬調製物が、所定の参照値を下回る病原体レベルを有し、例えば、病原体を実質的に含まない、
lxxv)本明細書に記載される複数のフソソームを含む医薬調製物が、所定の参照値を下回る混入物質レベルを有し、例えば、混入物質を実質的に含まない、
lxxvi)本明細書に記載される複数のフソソームを含む医薬調製物が、例えば、本明細書に記載されるように、低い免疫原性を有する、
lxxvii)供給源細胞が、好中球、顆粒球、間葉幹細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄芽球、筋芽細胞、肝細胞、もしくはニューロン、例えば、網膜神経細胞から選択される、あるいは
lxxviii)供給源細胞が、293細胞、HEK細胞、ヒト内皮細胞、もしくはヒト上皮細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、もしくは幹細胞以外であること。
【0020】
一部の実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、存在する:
i)フソソームが、例えば、実施例64のアッセイを使用して測定した場合に、陰性対照、例えば、グルコースの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも、例えば、少なくとも10%多く、膜を越えてグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)を輸送すること、
ii)フソソームが、例えば、実施例66のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマウス胚線維芽細胞におけるエステラーゼ活性のものの90%以内である、内腔におけるエステラーゼ活性を含むこと、
iii)フソソームが、例えば、実施例68に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における代謝活性(例えば、クエン酸シンターゼ活性)の90%以内である、代謝活性レベルを含むこと、
iv)フソソームが、例えば、実施例69に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における呼吸レベルの90%以内である、呼吸レベル(例えば、酸素消費速度)を含むこと、
v)フソソームが、例えば、実施例70のアッセイを使用して、多くとも18,000、17,000、16,000、15,000、14,000、13,000、12,000、11,000、もしくは10,000MFIのアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したその他は同様のフソソームのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したマクロファージのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含むこと、
vi)フソソームが、例えば、実施例48のアッセイによって測定した場合に、フソソームの脂質含量の5%を下回る、LPSレベルを有すること、
vii)フソソームが、例えば、実施例71のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくは骨髄間質細胞(BMSC)によって誘導されるジャクスタクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも5%高いジャクスタクリンシグナル伝達レベルを有すること、
viii)フソソームが、例えば、実施例72のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマクロファージによって誘導されるパラクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも5%高いパラクリンシグナル伝達レベルを有すること、
ix)フソソームが、例えば、実施例73のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞における重合アクチンのレベルと比較して、5%以内のレベルで、アクチンを重合すること、または
x)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、実施例62のアッセイを使用して、例えば、参照細胞、例えば、マウス胚線維芽細胞よりも少なくとも5%高い割合で、タンパク質を分泌することができること。
【0021】
一部の実施形態では、提供されるフソソームは、内腔に配置された、オルガネラ、例えば、治療上有効な数のオルガネラをさらに含む。
【0022】
代替または追加として、一部の実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、存在する:
i)供給源細胞が、内皮細胞、マクロファージ、好中球、顆粒球、白血球、幹細胞(例えば、間葉幹細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞)、骨髄芽球、筋芽細胞、肝細胞、もしくはニューロン、例えば、網膜神経細胞から選択されること、
ii)フソソームが、ゴルジ体、リソソーム、小胞体、液胞、エンドソーム、アクロソーム、オートファゴソーム、中心小体、グリコソーム、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、メラノソーム、マイトソーム、刺胞、ペルオキシソーム、プロテアソーム、小胞、ストレス顆粒、およびこれらの組合せから選択されるオルガネラを含むこと、
iii)フソソームが、5μmを上回る、10μmを上回る、20μmを上回る、50μmを上回る、もしくは100μmを上回る径を有すること、
iv)複数のフソソームを含む調製物が、例えば、実施例33のアッセイによって測定した場合に、1.08g/mL~1.12g/mL以外の密度を有し、例えば、調製物が、1.12g/mLを上回る、例えば、1.25g/mL±0.1、1.25g/mL±0.05の密度を有すること、
v)フソソームが、実験用哺乳動物もしくはヒトにおいて、循環中のスカベンジャー系もしくは肝臓洞のクッパー細胞によって実質的に捕捉されないこと、
vi)供給源細胞が、293細胞以外であること、
vii)供給源細胞が、形質転換も不死化もされていないこと、
viii)供給源細胞が、アデノウイルス媒介不死化以外の方法を使用して、形質転換もしくは不死化されている、例えば、自発的突然変異もしくはテロメラーゼ発現によって不死化されていること、
ix)フソゲンが、VSVG、SNAREタンパク質、または分泌性顆粒タンパク質以外であること、
x)フソソームが、Creも、GFP、例えば、EGFPも含まないこと、
xi)フソソームが、供給源細胞に対して外因性である、CreもしくはGFP、例えば、EGFP以外のタンパク質をさらに含むこと、
xii)フソソームが、例えば、内腔に、供給源細胞に対して外因性である核酸(例えば、RNA、例えば、mRNA、miRNA、もしくはsiRNA)、もしくは供給源細胞に対して外因性であるタンパク質(例えば、抗体)をさらに含むこと、
xiii)フソソームが、ミトコンドリアを含まないか、もしくはミトコンドリアを実質的に含まないこと、または
xiv)フソソームが、核酸(例えば、DNA、gDNA、cDNA、RNA、pre-mRNA、mRNA、miRNA、もしくはsiRNA)、もしくはタンパク質(例えば、抗体)をさらに含み、核酸もしくはタンパク質が、供給源細胞に対して外因性であること。
【0023】
代替または追加として、一部の実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、真である:
i)膜タンパク質ペイロード剤が、膜タンパク質、または膜タンパク質、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするかもしくはそれをコードするものに相補的である核酸(例えば、DNA、gDNA、cDNA、RNA、pre-mRNA、mRNAなど)であること、
ii)膜タンパク質が、受容体、例えば、抗原受容体であるかまたはそれを含み、それが、一部の実施形態では、天然の受容体であり得るかまたは操作された受容体、例えば、CARであり得ること、
iii)膜タンパク質が、インテグリンであるかまたはそれを含むこと、
iv)膜タンパク質が、T細胞受容体であるかまたはそれを含むこと、
v)膜タンパク質が、膜輸送タンパク質、例えば、イオンチャネルタンパク質または細孔形成タンパク質(例えば、ヘモリジンもしくはコリシン)であるかまたはそれを含むこと、
vi)膜タンパク質が、toll様受容体であるかまたはそれを含むこと、
vii)膜タンパク質が、インターロイキン受容体であるかまたはそれを含むこと、
viii)膜タンパク質が、膜酵素であるかまたはそれを含むこと、
ix)膜タンパク質が、細胞接着性タンパク質(例えば、カドヘリンタンパク質、セレクチンタンパク質、ムチンタンパク質など)であるかまたはそれを含むこと。
【0024】
本開示は、一部の態様では、
(a)脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるフソゲン、または過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)膜タンパク質ペイロード剤と、
(e)機能性核と
を含むフソソームであって、供給源細胞に由来する、フソソームを提供する。
【0025】
一部の実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、存在する:
i)供給源細胞が、樹状細胞もしくは腫瘍細胞以外であり、例えば、供給源細胞が、内皮細胞、マクロファージ、好中球、顆粒球、白血球、幹細胞(例えば、間葉幹細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞)、骨髄芽球、筋芽細胞、肝細胞、もしくはニューロン、例えば、網膜神経細胞から選択されること、
ii)フソゲンが、膜融合性タンパク質以外であること、
iii)フソゲンが、ファーティリン-ベータ以外の哺乳動物タンパク質であること、
iv)フソソームが、例えば、本明細書に記載されるように、低い免疫原性を有すること、
v)フソソームが、医薬品もしくは適正製造基準(GMP)の基準を満たしていること、
vi)複数のフソソームを含む医薬調製物が、適正製造基準(GMP)に従って作製されたこと、
vii)複数のフソソームを含む医薬調製物が、所定の参照値を下回る病原体レベルを有し、例えば、病原体を実質的に含まないこと、または
viii)複数のフソソームを含む医薬調製物が、所定の参照値を下回る混入物質レベルを有し、例えば、混入物質を実質的に含まないこと。
【0026】
本開示は、一部の態様では、本明細書に記載される膜タンパク質ペイロード剤を含む複数のフソソームを含む、凍結された精製されたフソソーム調製物であって、4℃もしくはそれを下回る、0℃もしくはそれを下回る、-4℃もしくはそれを下回る、-10℃もしくはそれを下回る、-12℃もしくはそれを下回る、-16℃もしくはそれを下回る、-20℃もしくはそれを下回る、-80℃もしくはそれを下回る、または-160℃もしくはそれを下回る温度で凍結されている、フソソーム調製物を提供する。
【0027】
本開示は、一部の態様では、本明細書に記載される複数のフソソームを含む、フソソーム調製物(例えば、医薬調製物)を提供する。
【0028】
本開示はまた、一部の態様では、複数のフソソームを含むフソソーム組成物であって、少なくとも1つのフソソームが、
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)例えば、本明細書に記載される、膜タンパク質ペイロード剤と
を含む、フソソーム組成物を提供する。
【0029】
本開示は、一部の態様では、本明細書に記載されるフソソーム組成物または調製物と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0030】
本開示は、ある特定の態様では、本明細書に記載される膜タンパク質ペイロード剤を含むフソソーム組成物または調製物を、ヒト対象、標的組織、または細胞に送達する方法であって、本明細書に記載される複数のフソソームを含むフソソーム組成物、本明細書に記載されるフソソーム組成物、または本明細書に記載される医薬組成物を、ヒト対象に投与するステップ、または標的組織もしくは細胞をそれらと接触させるステップを含み、それによって、フソソーム組成物を対象に投与する、方法を提供する。
【0031】
本開示は、ある特定の態様では、膜タンパク質ペイロード剤を、対象、標的組織、または細胞に送達する方法であって、本明細書に記載されるフソソーム組成物または調製物(例えば、本明細書に記載される医薬組成物)を、対象に投与するステップ、または標的組織もしくは細胞をそれらと接触させるステップを含み、フソソーム組成物または調製物が、膜タンパク質ペイロード剤が送達されるような量および/または時間で投与される、方法を提供する。
【0032】
本開示は、ある特定の態様では、対象、標的組織、または細胞における生物学的機能をモジュレート、例えば、増強する方法であって、本明細書に記載される膜タンパク質ペイロード剤を含むフソソーム組成物または調製物、例えば、本明細書に記載される医薬組成物を、対象に投与するステップ、または標的組織もしくは細胞をそれらと接触させるステップを含み、それによって、対象における生物学的機能をモジュレートする、方法を提供する。
【0033】
本開示は、ある特定の態様では、膜タンパク質機能を対象に送達するかまたはそれを対象に標的化する方法であって、対象に、膜タンパク質ペイロード剤を含む本明細書に記載されるフソソーム組成物または調製物を投与するステップを含み、フソソーム組成物または調製物が、膜タンパク質機能が対象に送達されるかまたはそれが対象に標的化されるような量および/または時間で投与される、方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象は、がん、炎症性障害、自己免疫疾患、慢性疾患、炎症、臓器機能の損傷、感染性疾患、変性障害、遺伝性疾患、または傷害を有する。
【0034】
本開示は、一部の態様では、フソソーム組成物を製造する方法であって、
a)フソゲンを含む、例えば、それを発現する、供給源細胞を得るステップと、
b)供給源細胞からフソソームを産生させ、それによってフソソームを作製するステップであって、フソソームが、脂質二重層、内腔、フソゲン、および膜タンパク質ペイロード剤を含む、ステップと、
c)フソソームを、例えば、対象への投与に好適な医薬組成物として、製剤化するステップと
を含む、方法を提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、存在する:
i)供給源細胞が、293細胞、HEK細胞、ヒト内皮細胞、またはヒト上皮細胞以外であること、
ii)フソゲンが、ウイルスタンパク質以外であること、
iii)複数のフソソームを含む調製物が、1.08g/mL~1.12g/mL以外の密度を有すること、
iv)複数のフソソームを含む調製物が、例えば、実施例33のアッセイによって測定した場合に、1.25g/mL±0.05の密度を有すること、
v)フソソームが、循環中のスカベンジャー系もしくは肝臓洞のクッパー細胞によって実質的に捕捉されないこと、
vi)フソソームが、例えば、実施例76のアッセイによって、対象における細網内皮系(RES)によって実質的に捕捉されないこと、
vii)複数のフソソームが、対象に投与されると、複数のフソソームのうちの1%を下回る、2%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、もしくは90%を下回るものが、例えば、実施例76のアッセイによって、24、48、または72時間後に、RESによって捕捉されること、
viii)フソソームが、5μmを上回る、6μmを上回る、7μmを上回る、8μmを上回る、10μmを上回る、20μmを上回る、50μmを上回る、100μmを上回る、150μmを上回る、もしくは200μmを上回る径を有すること、
ix)フソソームが、細胞生物製剤を含むこと、
x)フソソームが、除核細胞を含むこと、または
xi)フソソームが、不活性化された核を含むこと。
【0036】
一部の態様では、本開示は、フソソーム組成物を製造する方法であって、
a)本明細書に記載される複数のフソソームまたは本明細書に記載されるフソソーム組成物を得るステップと、
b)フソソームを、例えば、対象への投与に好適な医薬組成物として、製剤化するステップと
を含む、方法を提供する。
【0037】
一部の態様では、本開示は、フソソーム組成物を製造する方法であって、
a)本明細書に記載される複数のフソソームまたはフソソーム調製物を得る、例えば、産生するステップと、
b)複数のフソソームの(例えば、調製物の)試料をアッセイして、1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、もしくはそれを上回る)基準を満たすかどうかを判定するステップであって、いくつかの実施形態では、基準が、以下:
i)試料中のフソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、例えば、少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い割合で、標的細胞と融合すること、
ii)試料中のフソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、他のフソソームよりも、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%高い割合で、標的細胞と融合すること、
iii)試料中のフソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の膜タンパク質ペイロード剤が24、48、もしくは72時間後に、標的細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%に送達されるような割合で、標的細胞と融合すること、
iv)フソゲンが、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、フソソーム1つ当たり、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、もしくは1,000,000,000コピー、もしくはそれを上回らないコピー数で(例えば、試料中の平均で)、存在すること、
v)膜タンパク質ペイロード剤が、例えば、実施例43のアッセイによって測定した場合に、試料のフソソームにおいて、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、もしくは1,000,000,000コピー、もしくはそれを上回らないコピー数で(例えば、試料中の平均で)、検出可能であること、
vi)フソゲンのコピー数の膜タンパク質ペイロード剤のコピー数に対する比が、1,000,000:1~100,000:1、100,000:1~10,000:1、10,000:1~1,000:1、1,000:1~100:1、100:1~50:1、50:1~20:1、20:1~10:1、10:1~5:1、5:1~2:1、2:1~1:1、1:1~1:2、1:2~1:5、1:5~1:10、1:10~1:20、1:20~1:50、1:50~1:100、1:100~1:1,000、1:1,000~1:10,000、1:10,000~1:100,000、もしくは1:100,000~1:1,000,000であること、
vii)試料のフソソームが、供給源細胞のものに実質的に類似の脂質組成を特徴とするか、またはCL、Cer、DAG、HexCer、LPA、LPC、LPE、LPG、LPI、LPS、PA、PC、PE、PG、PI、PS、CE、SM、およびTAGのうちの1つもしくは複数が、供給源細胞における対応する脂質レベルの10%以内、15%以内、20%以内、25%以内、30%以内、35%以内、40%以内、45%以内、50%以内、もしくは75%以内であること、
viii)試料のフソソームが、例えば、実施例42のアッセイを使用して、供給源細胞のものに類似のプロテオーム組成を特徴とすること、
ix)試料のフソソームが、例えば、実施例49のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、脂質のタンパク質に対する比を特徴とすること、
x)試料のフソソームが、例えば、実施例50のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、タンパク質の核酸(例えば、DNA)に対する比を特徴とすること、
xi)試料のフソソームが、例えば、実施例51のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、脂質の核酸(例えば、DNA)に対する比を特徴とすること、
xii)試料のフソソームが、例えば、実施例75のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞の半減期の1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、100%以内である、対象、例えば、実験用動物、例えば、マウスにおける半減期を特徴とすること、
xiii)試料のフソソームが、例えば、実施例64のアッセイを使用して測定した場合に、陰性対照、例えば、グルコースの非存在下におけるその他は同様の試料のフソソームよりも、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%多く、膜を越えてグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)を輸送することを特徴とすること、
xiv)試料のフソソームが、例えば、実施例66のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマウス胚線維芽細胞におけるエステラーゼ活性のものの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内である、内腔におけるエステラーゼ活性を特徴とすること、
xv)試料のフソソームが、例えば、実施例68に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における代謝活性、例えば、クエン酸シンターゼ活性の1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内である、代謝活性(例えば、クエン酸シンターゼ活性)レベルを特徴とすること、
xvi)試料のフソソームが、例えば、実施例69に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における呼吸レベルの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内である、呼吸レベル(例えば、酸素消費速度)を特徴とすること、
xvii)試料のフソソームが、例えば、実施例70のアッセイを使用して、多くとも18,000、17,000、16,000、15,000、14,000、13,000、12,000、11,000、もしくは10,000MFIのアネキシン-V染色レベルを特徴とするか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したその他は同様のフソソームのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したマクロファージのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含むこと、
xviii)試料のフソソームが、例えば、実施例39のアッセイによって、供給源細胞のものよりも少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高いmiRNA含量レベルを特徴とすること、
xix)フソソームが、例えば、実施例47のアッセイによって、供給源細胞のものの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくはそれを上回る、例えば、供給源細胞のものの1%~2%以内、2%~3%以内、3%~4%以内、4%~5%以内、5%~10%以内、10%~20%以内、20%~30%以内、30%~40%以内、40%~50%以内、50%~60%以内、60%~70%以内、70%~80%以内、もしくは80%~90%以内である、可溶性タンパク質:不溶性タンパク質の比を有すること、
xx)試料のフソソームが、例えば、実施例48のアッセイによって測定した場合に、供給源細胞もしくは参照細胞のLPS含量の5%を下回る、1%を下回る、0.5%を下回る、0.01%を下回る、0.005%を下回る、0.0001%を下回る、0.00001%を下回る、もしくはそれを下回る、LPSレベルを特徴とすること、
xxi)試料のフソソームが、シグナル伝達、例えば、細胞外シグナルの伝達、例えば、インスリンに応答したAKTリン酸化、もしくはインスリンに応答したグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)の取込みを、例えば、実施例63のアッセイを使用して、陰性対照、例えば、インスリンの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%多く、行うことができること、
xxii)試料のフソソームが、例えば、実施例71のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくは骨髄間質細胞(BMSC)によって誘導されるジャクスタクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%高いジャクスタクリンシグナル伝達レベルを特徴とすること、
xxiii)試料のフソソームが、例えば、実施例72のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマクロファージによって誘導されるパラクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%高いパラクリンシグナル伝達レベルを特徴とすること、
xxiv)試料のフソソームが、例えば、実施例73のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞における重合アクチンのレベルと比較して、1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくは100%以内のレベルで、アクチンを重合することを特徴とすること、
xxv)試料のフソソームが、例えば、実施例74のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞の膜電位の約1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、100%以内の膜電位を特徴とするか、またはフソソームが、約-20~-150mV、-20~-50mV、-50~-100mV、もしくは-100~-150mVの膜電位を有すること、
xxvi)試料のフソソームが、例えば、実施例62のアッセイを使用して、例えば、参照細胞、例えば、マウス胚線維芽細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%高い割合で、タンパク質を分泌することができること、または
xxvii)試料のフソソームが、例えば、本明細書に記載されるように、低い免疫原性を特徴とすること
から選択される、ステップと、
c)(必要に応じて)基準のうちの1つもしくは複数を満たす場合に、複数のフソソームもしくはフソソーム組成物の出荷を承認するか、または(必要に応じて)1つもしくは複数の基準を満たす場合に、複数のフソソームもしくはフソソーム調製物を薬物製品として製剤化するステップと
を含む、方法を提供する。
【0038】
本開示はまた、一部の態様では、フソソーム組成物を製造する方法であって、
a)本明細書に記載される複数のフソソームまたは本明細書に記載されるフソソーム組成物もしくは調製物を得る、例えば、産生するステップと、
b)複数のフソソームまたは調製物の試料をアッセイして、以下の因子:
i)免疫原性分子、例えば、免疫原性タンパク質、例えば、本明細書に記載されるもの、
ii)病原体、例えば、細菌もしくはウイルス、または
iii)混入物質(例えば、核構造体もしくは成分、例えば、核DNA)
のうちの1つまたは複数の存在またはレベルを判定するステップと、
c)(必要に応じて)因子のうちの1つもしくは複数が、参照値から有意に(例えば、指定された量を上回って)逸脱する場合に、複数のフソソームもしくはフソソーム調製物の出荷を承認するか、または(必要に応じて)1つもしくは複数の因子が、参照値から有意に逸脱しない(例えば、指定された量を上回って逸脱しない)場合に、複数のフソソームもしくはフソソーム調製物を薬物製品として製剤化するステップと
を含む、方法を提供する。
【0039】
本開示はまた、一部の態様では、膜タンパク質ペイロード剤を対象に送達する方法であって、例えば、
a)対象に、第1のフソゲンを、対象の1つまたは複数の標的細胞への第1のフソゲンの配置を許容する条件下において投与するステップであって、以下:
i)第1のフソゲンを投与するステップが、第1のフソゲンをコードする核酸を、1つもしくは複数の標的細胞における第1のフソゲンの発現を許容する条件下において投与することを含む、または
ii)第1のフソゲンが、コイルドコイルモチーフを含まない
のうちの1つまたは複数である、ステップと、
b)ヒト対象に、第2のフソゲンおよび膜タンパク質ペイロード剤を含む複数のフソソームを含む、本明細書に記載されるフソソーム組成物または調製物を投与するステップであって、第2のフソゲンが、第1のフソゲンと適合性であり、複数のフソソームが、膜タンパク質ペイロード剤(例えば、供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている)をさらに含む、ステップと
を含み、それによって、膜タンパク質ペイロード剤を対象に送達する、方法を提供する。
【0040】
本開示はまた、一部の態様では、対象における生物学的機能をモジュレート、例えば、増強する方法であって、
a)対象に、第1のフソゲンを、対象の1つまたは複数の標的細胞への第1のフソゲンの配置を許容する条件下において投与するステップであって、以下:
i)第1のフソゲンを投与するステップが、第1のフソゲンをコードする核酸を、1つもしくは複数の標的細胞における第1のフソゲンの発現を許容する条件下において投与することを含む、または
ii)第1のフソゲンが、コイルドコイルモチーフを含まない
のうちの1つまたは複数である、ステップと、
b)ヒト対象に、第2のフソゲンを含む複数のフソソームを含む、本明細書に記載されるフソソーム組成物または調製物を投与するステップであって、第2のフソゲンが、第1のフソゲンと適合性であり、複数のフソソームが、膜タンパク質ペイロード剤(例えば、供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている)をさらに含む、ステップと
を含み、それによって、対象における生物学的機能をモジュレートする、方法を提供する。
【0041】
一部の態様では、フソソームは、コンドリソーム(chondrisome)およびフソゲンを含む。
【0042】
一部の態様では、組成物は、複数のフソソームを含み、ここで、少なくとも1つのフソソームは、コンドリソームおよびフソゲンを含む。
【0043】
一部の態様では、フソソーム組成物を製造する方法であって、
a)フソゲンを含む、例えば、それを発現する、供給源細胞を得るステップと、
b)供給源細胞からフソソームを産生させ、それによってフソソームを作製するステップであって、フソソームが、脂質二重層、内腔、フソゲン、および膜タンパク質ペイロード剤を含む、ステップと、
c)フソソームを、例えば、対象への投与に好適な医薬組成物として、製剤化するステップであって、以下:
i)供給源細胞が、293細胞、HEK細胞、ヒト内皮細胞、またはヒト上皮細胞以外である、
ii)フソゲンが、ウイルスタンパク質以外である、
iii)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、1.08g/mL~1.12g/mL以外の密度を有する、
iv)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、実施例33のアッセイによって測定した場合に、1.25g/mL±0.05の密度を有する、
v)フソソームが、循環中のスカベンジャー系もしくは肝臓洞のクッパー細胞によって捕捉されない、
vi)フソソームが、例えば、実施例76のアッセイによって、対象における細網内皮系(RES)によって捕捉されない、
vii)複数のフソソームが、対象に投与されると、複数のフソソームのうちの1%を下回る、2%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、90%を下回るものが、例えば、実施例76のアッセイによって、24時間後に、RESによって捕捉されない、
viii)フソソームが、5μmを上回る、6μmを上回る、7μmを上回る、8μmを上回る、10μmを上回る、20μmを上回る、50μmを上回る、100μmを上回る、150μmを上回る、もしくは200μmを上回る径を有する、
ix)フソソームが、細胞生物製剤を含む、
x)フソソームが、除核細胞を含む、または
xi)フソソームが、不活性化された核を含む
のうちの1つまたは複数である、ステップと
を含む、方法が、本明細書に提供される。
【0044】
一部の態様では、フソソーム組成物を製造する方法であって、
i)本明細書に記載される複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を得るステップと、
ii)複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を、例えば、対象への投与に好適なフソソーム薬物製品として、製剤化するステップと
を含む、方法が、本明細書に提供される。
【0045】
一部の態様では、フソソーム組成物を製造する方法であって、
i)本明細書に記載される複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を得るステップと、
b)複数のフソソームから1つまたは複数のフソソームをアッセイして、以下の基準:
i)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、例えば、少なくとも少なくとも10%高い割合で、標的細胞と融合すること、
ii)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、他のフソソームとよりも、少なくとも50%高い割合で、標的細胞と融合すること、
iii)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の薬剤が24時間後に、標的細胞の少なくとも10%に送達されるような割合で、標的細胞と融合すること、
iv)フソゲンが、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、少なくとも1,000コピーのコピー数で存在すること、
v)フソソームが、例えば、実施例43のアッセイによって測定した場合に、少なくとも1,000コピーのコピー数で、タンパク質膜ペイロードを含むこと、
vi)フソゲンのコピー数のタンパク質膜ペイロードのコピー数に対する比が、1,000,000:1~100,000:1、100,000:1~10,000:1、10,000:1~1,000:1、1,000:1~100:1、100:1~50:1、50:1~20:1、20:1~10:1、10:1~5:1、5:1~2:1、2:1~1:1、1:1~1:2、1:2~1:5、1:5~1:10、1:10~1:20、1:20~1:50、1:50~1:100、1:100~1:1,000、1:1,000~1:10,000、1:10,000~1:100,000、もしくは1:100,000~1:1,000,000であること、
vii)フソソームが、脂質組成を含み、CL、Cer、DAG、HexCer、LPA、LPC、LPE、LPG、LPI、LPS、PA、PC、PE、PG、PI、PS、CE、SM、およびTAGのうちの1つもしくは複数が、供給源細胞における対応する脂質レベルの75%以内であること、
viii)フソソームが、例えば、実施例42のアッセイを使用して、供給源細胞のものに類似のプロテオーム組成を含むこと、
ix)フソソームが、例えば、実施例49のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、脂質のタンパク質に対する比を含むこと、
x)フソソームが、例えば、実施例50のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、タンパク質の核酸(例えば、DNA)に対する比を含むこと、
xi)フソソームが、例えば、実施例51のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内である、脂質の核酸(例えば、DNA)に対する比を含むこと、
xii)フソソームが、例えば、実施例75のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞の半減期の90%以内である、対象、例えば、マウスにおける半減期を有すること、
xiii)フソソームが、例えば、実施例64のアッセイを使用して測定した場合に、陰性対照、例えば、グルコースの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも、例えば、少なくとも10%多く、膜を越えてグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)を輸送すること、
xiv)フソソームが、例えば、実施例66のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマウス胚線維芽細胞におけるエステラーゼ活性のものの90%以内である、内腔におけるエステラーゼ活性を含むこと、
xv)フソソームが、例えば、実施例68に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における代謝活性(例えば、クエン酸シンターゼ活性)の90%以内である、代謝活性レベルを含むこと、
xvi)フソソームが、例えば、実施例69に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における呼吸レベルの90%以内である、呼吸レベル(例えば、酸素消費速度)を含むこと、
xvii)フソソームが、例えば、実施例70のアッセイを使用して、多くとも18,000、17,000、16,000、15,000、14,000、13,000、12,000、11,000、もしくは10,000MFIのアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したその他は同様のフソソームのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームが、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したマクロファージのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは50%低いアネキシン-V染色レベルを含むこと、
xviii)フソソームが、例えば、実施例39のアッセイによって、供給源細胞のものの少なくとも1%のmiRNA含量レベルを有すること、
xix)フソソームが、例えば、実施例47のアッセイによって、供給源細胞のものの90%以内である、可溶性タンパク質:不溶性タンパク質の比を有すること、
xx)フソソームが、例えば、実施例48のアッセイによって測定した場合に、フソソームの脂質含量の5%を下回る、LPSレベルを有すること、
xxi)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、シグナル伝達、例えば、細胞外シグナルの伝達、例えば、インスリンに応答したAKTリン酸化、もしくはインスリンに応答したグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)の取込みを、例えば、実施例63のアッセイを使用して、例えば、陰性対照、例えば、インスリンの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも少なくとも10%多く、行うことができること、
xxii)フソソームが、例えば、実施例71のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくは骨髄間質細胞(BMSC)によって誘導されるジャクスタクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも5%高いジャクスタクリンシグナル伝達レベルを有すること、
xxiii)フソソームが、例えば、実施例72のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマクロファージによって誘導されるパラクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも5%高いパラクリンシグナル伝達レベルを有すること、
xxiv)フソソームが、例えば、実施例73のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞における重合アクチンのレベルと比較して、5%以内のレベルで、アクチンを重合すること、
xxv)フソソームが、例えば、実施例74のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞の膜電位の約5%以内の膜電位を有するか、またはフソソームが、約-20~-150mV、-20~-50mV、-50~-100mV、もしくは-100~-150mVの膜電位を有すること、
xxvi)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、実施例62のアッセイを使用して、例えば、参照細胞、例えば、マウス胚線維芽細胞よりも少なくとも5%高い割合で、タンパク質を分泌することができること、または
xxvii)フソソームが、例えば、本明細書に記載されるように、低い免疫原性を有すること
のうちの1つまたは複数(例えば、2つ、3つ、もしくはすべて)を満たすかどうかを判定するステップと、
c)(必要に応じて)基準のうちの1つまたは複数を満たす場合に、複数のフソソームまたはフソソーム組成物の出荷を承認するステップと
を含み、それによって、フソソーム薬物製品組成物を製造する、方法が、本明細書に提供される。
【0046】
一部の態様では、フソソーム組成物を製造する方法であって、
a)本明細書に記載される複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を得るステップと、
b)複数のフソソームから1つまたは複数のフソソームをアッセイして、以下の因子:
i)免疫原性分子、例えば、免疫原性タンパク質、例えば、本明細書に記載されるもの、
ii)病原体、例えば、細菌もしくはウイルス、または
iii)混入物質
のうちの1つまたは複数の存在またはレベルを判定するステップと、
c)(必要に応じて)因子のうちの1つまたは複数が参照値を下回る場合に、複数のフソソームまたはフソソーム組成物の出荷を承認するステップと
を含み、それによって、フソソーム薬物製品組成物を製造する、方法が、本明細書に提供される。
【0047】
一部の態様では、フソソーム組成物を、対象、例えば、ヒト対象に投与する方法であって、対象に、本明細書に記載される複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を含むフソソーム組成物を投与するステップを含み、それによって、フソソーム組成物を対象に投与する、方法が、本明細書に提供される。
【0048】
一部の態様では、タンパク質膜ペイロードを対象に送達する方法であって、対象に、本明細書に記載される複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を含むフソソーム組成物を投与するステップを含み、フソソーム組成物が、タンパク質膜ペイロードが送達されるような量および/または時間で投与される、方法が、本明細書に提供される。
【0049】
一部の態様では、対象における生物学的機能をモジュレート、例えば、増強する方法であって、対象に、本明細書に記載される複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を含むフソソーム組成物を投与するステップを含み、それによって、対象における生物学的機能をモジュレートする、方法が、本明細書に提供される。
【0050】
一部の態様では、機能を対象に送達するかまたはそれを対象に標的化する方法であって、対象に、本明細書に記載される複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を含むフソソーム組成物を投与するステップを含み、フソソーム組成物が、対象において機能が送達または標的化されるような量および/または時間で投与される、方法が、本明細書に提供される。
【0051】
一部の態様では、患者における疾患または障害を処置する方法であって、対象に、本明細書に記載される複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を含むフソソーム組成物を投与するステップを含み、フソソーム組成物が、疾患または障害が処置されるような量および/または時間で投与される、方法が、本明細書に提供される。
【0052】
一部の態様では、フソソーム組成物を、ヒト対象に投与する方法であって、
a)対象に、第1のフソゲンを、対象の1つまたは複数の標的細胞への第1のフソゲンの配置を許容する条件下において投与するステップであって、以下:
i)第1のフソゲンを投与するステップが、第1のフソゲンをコードする核酸を、1つもしくは複数の標的細胞における第1のフソゲンの発現を許容する条件下において投与することを含む、または
ii)第1のフソゲンが、コイルドコイルモチーフを含まない
のうちの1つまたは複数である、ステップと、
b)ヒト対象に、第2のフソゲンを含む複数のフソソームを含むフソソーム組成物を投与するステップであって、第2のフソゲンが、第1のフソゲンと適合性であり、複数のフソソームが、膜タンパク質ペイロード剤(例えば、供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている)をさらに含む、ステップと
を含み、それによって、フソソーム組成物を対象に投与する、方法が、本明細書に提供される。
【0053】
一部の態様では、膜タンパク質ペイロード剤を、対象に送達する方法であって、
a)対象に、第1のフソゲンを、対象の1つまたは複数の標的細胞への第1のフソゲンの配置を許容する条件下において投与するステップであって、以下:
i)第1のフソゲンを投与するステップが、第1のフソゲンをコードする核酸を、1つもしくは複数の標的細胞における第1のフソゲンの発現を許容する条件下において投与することを含む、または
ii)第1のフソゲンが、コイルドコイルモチーフを含まない
のうちの1つまたは複数である、ステップと、
b)ヒト対象に、第2のフソゲンおよび治療剤を含む複数のフソソームを含むフソソーム組成物を投与するステップであって、第2のフソゲンが、第1のフソゲンと適合性であり、複数のフソソームが、膜タンパク質ペイロード剤をさらに含む、ステップと
を含み、それによって、膜タンパク質ペイロード剤を対象に送達する、方法が、本明細書に提供される。
【0054】
一部の態様では、対象における生物学的機能をモジュレート、例えば、増強する方法であって、
a)対象に、第1のフソゲンを、対象の1つまたは複数の標的細胞への第1のフソゲンの配置を許容する条件下において投与するステップであって、以下:
i)第1のフソゲンを投与するステップが、第1のフソゲンをコードする核酸を、1つもしくは複数の標的細胞における第1のフソゲンの発現を許容する条件下において投与することを含む、または
ii)第1のフソゲンが、コイルドコイルモチーフを含まない
のうちの1つまたは複数である、ステップと、
b)ヒト対象に、第2のフソゲンを含む複数のフソソームを含むフソソーム組成物を投与するステップであって、第2のフソゲンが、第1のフソゲンと適合性であり、複数のフソソームが、膜タンパク質ペイロード剤をさらに含む、ステップと
を含み、それによって、対象における生物学的機能をモジュレートする、方法が、本明細書に提供される。
【0055】
本明細書における態様、例えば、上述のフソソーム、フソソーム組成物、調製物、および方法のいずれも、本明細書における実施形態のうちの1つまたは複数、例えば、本明細書に記載される実施形態のうちの1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0056】
一部の実施形態では、生物学的機能は、
a)2つの細胞間の相互作用をモジュレート、例えば、増加もしくは減少させること、
b)免疫応答をモジュレート、例えば、増加もしくは減少させること、
c)標的組織への細胞の動員をモジュレート、例えば、増加もしくは減少させること、
d)がんの成長速度を減少させること、または
e)対象におけるがん性細胞の数を低減させること
から選択される。
【0057】
一部の実施形態では、複数のフソソームは、エンドサイトーシスの阻害剤の存在下において標的細胞集団と接触した場合、およびエンドサイトーシスの阻害剤で処置されていない参照標的細胞集団と接触した場合、参照標的細胞集団と比較して、標的細胞集団における細胞数の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、または80%に、カーゴを送達する。
【0058】
一部の実施形態では、複数のフソソームが、標的細胞および非標的細胞を含む細胞集団と接触した場合、カーゴは、非標的細胞よりも、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍多くの標的細胞に、存在する。一部の実施形態では、複数のフソソームは、非標的細胞とよりも、少なくとも少なくとも50%高い割合で、標的細胞と融合する。
【0059】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、コネキシン、CFTR、サイロトロピン受容体、ミエリンタンパク質ゼロ、メラコルチン(melacortin)4、ミエリンプロテオリピドタンパク質、低密度リポタンパク質受容体、ABC輸送体、CD81、mCAT-1、CXCR4、CD4、CCR5、シアル酸リッチタンパク質、クローディン、CD21、T細胞受容体、B細胞受容体、TNFR1、CD63、GLUT4、VEGF、またはICAM以外であるか、これらを含まないか、これらをコードしないか、またはこれらをコードする配列に相補的でない。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、標的細胞の細胞表面マーカーにも標的細胞部分にも結合せず、蛍光タンパク質を含まないキメラタンパク質を含むかまたはコードする。
【0060】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、治療用タンパク質、例えば、本明細書に記載される治療用タンパク質を含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、ゴルジ体タンパク質、分泌タンパク質、または小胞体タンパク質、またはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、二量体(例えば、供給源細胞に対して外因性である二量体)、ヘテロ二量体(例えば、供給源細胞に対して外因性であるヘテロ二量体)、または二量体化ドメイン(例えば、供給源細胞に対して外因性であるポリペプチドにおける二量体化ドメイン)のうちの1つまたは複数を含まない。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、膜タンパク質をコードする核酸(例えば、DNAまたはRNA)を含む。一部の実施形態では、フソゲンは、非ウイルス性フソゲン、例えば、哺乳動物フソゲンである。一部の実施形態では、フソゲン(例えば、外因性または過剰発現されているフソゲン)は、供給源細胞からの小胞形成を促進しない。一部の実施形態では、フソソームは、除核細胞を含む。
【0061】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、膜貫通ドメインを含む膜タンパク質を含むかまたはそれをコードする。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、脂質アンカータンパク質を含むかまたはそれをコードする。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、膜貫通タンパク質に結合するタンパク質を含むかまたはそれをコードする。例えば、タンパク質は、膜貫通タンパク質の細胞外部分に結合する細胞外タンパク質であってもよく、またはタンパク質は、膜貫通タンパク質の細胞内部分に結合する細胞内タンパク質であってもよい。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、膜貫通ドメインが欠如したタンパク質を含むかまたはそれをコードする。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、部分的に膜(例えば、標的細胞またはフソソームの膜)にまたがり、完全には膜にまたがらない、タンパク質を含むかまたはそれをコードする。例えば、一部の実施形態では、タンパク質は、平面膜ヘリックスを含むか、またはタンパク質は、膜に完全にはまたがらない疎水性ループを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、膜貫通ドメインを含まないタンパク質を含むかまたはそれをコードし、ここで、タンパク質は、膜表面と、例えば、静電相互作用またはイオン相互作用を通じて相互作用する)。
【0062】
一部の実施形態では、本明細書に記載される、膜タンパク質ペイロード剤を標的細胞の膜に送達するフソソームは、さらに、1つまたは複数の薬剤、例えば、タンパク質、核酸(例えば、DNA、gDNA、cDNA、RNA、pre-mRNA、mRNAなど)、オルガネラ、またはおよび/または代謝産物を、標的細胞のサイトゾルに送達することができる(例えば、送達する)。したがって、一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、薬剤を、標的細胞のサイトゾルに送達するステップを含み、一部のそのような実施形態では、サイトゾルに送達される薬剤は、タンパク質(またはタンパク質をコードするかまたはそれをコードするものに相補的な核酸、例えば、タンパク質をコードするDNA、gDNA、cDNA、RNA、pre-mRNA、mRNAなど)である。
【0063】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、米国特許公開第2016/0289674号の配列番号8144~16131の配列であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、米国特許公開第2016/0289674号の配列番号8144~16131の配列の断片、バリアント、またはホモログであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、米国特許公開第2016/0289674号の配列番号8144~16131の配列を含むタンパク質をコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、米国特許公開第2016/0289674号の配列番号8144~16131の配列の断片、バリアント、またはホモログを含むタンパク質をコードする核酸であるかまたはそれを含む。
【0064】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表5~15から選択されるタンパク質であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表5~15から選択されるタンパク質の断片、バリアント、またはホモログであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表5~15から選択されるタンパク質であるかまたはそれを含むタンパク質をコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表5~15から選択されるタンパク質の断片、バリアント、またはホモログを含むタンパク質をコードする核酸であるかまたはそれを含む。
【0065】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、抗原結合性ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、CARは、抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメイン(例えば、1つ、2つ、または3つのシグナル伝達ドメイン)を含む、第1世代のCARであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、CARは、抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および2つのシグナル伝達ドメインを含む、第2世代のCARであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、CARは、抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および少なくとも3つのシグナル伝達ドメインを含む、第3世代のCARを含む。一部の実施形態では、抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、3つまたは4つのシグナル伝達ドメイン、およびCARのシグナル伝達が成功するとサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインを含む、第4世代のCAR。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、scFvまたはFabであるかまたはそれを含む。
【0066】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、新生物細胞に特徴的な抗原を標的とする。一部の実施形態では、新生物細胞に特徴的な抗原は、細胞表面受容体、イオンチャネル結合型受容体、酵素結合型受容体、Gタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ会合型受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、ヒスチジンキナーゼ会合型受容体、上皮成長因子受容体(EGFR)(ErbB1/EGFR、ErbB2/HER2、ErbB3/HER3、およびErbB4/HER4を含む)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)(FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF18、およびFGF21を含む)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)(VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、およびPIGFを含む)、RET受容体およびEph受容体ファミリー(EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA9、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、およびEphB6を含む)、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR8、CFTR、CIC-1、CIC-2、CIC-4、CIC-5、CIC-7、CIC-Ka、CIC-Kb、ベストロフィン、TMEM16A、GABA受容体、グリシン受容体、ABC輸送体、NAV1.1、NAV1.2、NAV1.3、NAV1.4、NAV1.5、NAV1.6、NAV1.7、NAV1.8、NAV1.9、スフィンゴシン-1-ホスフェート受容体(S1P1R)、NMDAチャネル、膜貫通タンパク質、複数回膜貫通タンパク質、T細胞受容体モチーフ、T細胞アルファ鎖、T細胞β鎖、T細胞γ鎖、T細胞δ鎖、CCR7、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD28、CD34、CD35、CD40、CD45RA、CD45RO、CD52、CD56、CD62L、CD68、CD80、CD95、CD117、CD127、CD133、CD137(4-1 BB)、CD163、F4/80、IL-4Ra、Sca-1、CTLA-4、GITR、GARP、LAP、グランザイムB、LFA-1、トランスフェリン受容体、NKp46、パーフォリン、CD4+、Th1、Th2、Th17、Th40、Th22、Th9、Tfh、カノニカルTreg FoxP3+、Tr1、Th3、Treg17、TREG、CDCP1、NT5E、EpCAM、CEA、gpA33、ムチン、TAG-72、炭酸脱水酵素IX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えば、CD2、CD3、GM2)、ルイス-γ2、VEGF、VEGFR 1/2/3、αVβ3、α5β1、ErbB1/EGFR、ErbB1/HER2、ErB3、c-MET、IGF1R、EphA3、TRAIL-R1、TRAIL-R2、RANKL、FAP、テネイシン、PDL-1、BAFF、HDAC、ABL、FLT3、KIT、MET、RET、IL-1β、ALK、RANKL、mTOR、CTLA-4、IL-6、IL-6R、JAK3、BRAF、PTCH、Smoothened、PIGF、ANPEP、TIMP1、PLAUR、PTPRJ、LTBR、もしくはANTXR1、葉酸受容体アルファ(FRa)、ERBB2(Her2/neu)、EphA2、IL-13Ra2、上皮成長因子受容体(EGFR)、メソテリン、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、MUC16(CA125)、L1CAM、LeY、MSLN、IL13Rα1、L1-CAM、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、インターロイキン-11受容体a(IL-11Ra)、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、血小板由来成長因子受容体-ベータ(PDGFR-ベータ)、SSEA-4、CD20、MUC1、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-1受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLACl、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレイクポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYPIB I、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、ネオ抗原、CD133、CD15、CD184、CD24、CD56、CD26、CD29、CD44、HLA-A、HLA-B、HLA-C、(HLA-A、B、C) CD49f、CD151 CD340、CD200、tkrA、trkB、もしくはtrkC、またはこれらの抗原性断片もしくは抗原性部分から選択される。
【0067】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、T細胞に特徴的な抗原を標的とする。一部の実施形態では、T細胞に特徴的な抗原は、T細胞に特徴的な細胞表面受容体、膜輸送タンパク質(例えば、能動的もしくは受動的輸送タンパク質、例えば、例として、イオンチャネルタンパク質、細孔形成タンパク質など)、膜貫通受容体、膜酵素、および/または細胞接着性タンパク質から選択される。一部の実施形態では、T細胞に特徴的な抗原は、Gタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ会合型受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、ヒスチジンキナーゼ会合型受容体、AKT1;AKT2;AKT3;ATF2;BCL10;CALM1;CD3D(CD3δ);CD3E(CD3ε);CD3G(CD3γ);CD4;CD8;CD28;CD45;CD80(B7-1);CD86(B7-2);CD247(CD3ζ);CTLA4(CD152);ELK1;ERK1(MAPK3);ERK2;FOS;FYN;GRAP2(GADS);GRB2;HLA-DRA;HLA-DRB1;HLA-DRB3;HLA-DRB4;HLA-DRB5;HRAS;IKBKA(CHUK);IKBKB;IKBKE;IKBKG(NEMO);IL2;ITPR1;ITK;JUN;KRAS2;LAT;LCK;MAP2K1(MEK1);MAP2K2(MEK2);MAP2K3(MKK3);MAP2K4(MKK4);MAP2K6(MKK6);MAP2K7(MKK7);MAP3K1(MEKK1);MAP3K3;MAP3K4;MAP3K5;MAP3K8;MAP3K14(NIK);MAPK8(JNK1);MAPK9(JNK2);MAPK10(JNK3);MAPK11(p38β);MAPK12(p38γ);MAPK13(p38δ);MAPK14(p38α);NCK;NFAT1;NFAT2;NFKB1;NFKB2;NFKBIA;NRAS;PAK1;PAK2;PAK3;PAK4;PIK3C2B;PIK3C3(VPS34);PIK3CA;PIK3CB;PIK3CD;PIK3R1;PKCA;PKCB;PKCM;PKCQ;PLCY1;PRF1(パーフォリン)、PTEN、RAC1、RAF1、RELA、SDF1、SHP2、SLP76、SOS、SRC、TBK1、TCRA、TEC、TRAF6、VAV1、VAV2、またはZAP70であり得る。
【0068】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、自己免疫障害または炎症性障害に特徴的な抗原を標的とする。一部の実施形態では、自己免疫障害または炎症性障害は、慢性移植片対宿主病(GVHD)、ループス、関節炎、免疫複合体糸球体腎炎、グッドパスチャー、ブドウ膜炎、肝炎、全身性硬化症もしくは強皮症、I型糖尿病、多発性硬化症、寒冷凝集素病、尋常性天疱瘡、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、血友病A、原発性シェーグレン症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、視神経脊髄炎、エヴァンス症候群、IgM媒介性ニューロパチー、クリオグロブリン血症(cyroglobulinemia)、皮膚筋炎、特発性血小板減少症、強直性脊椎炎、水疱性類天疱、後天性血管浮腫、慢性蕁麻疹、抗リン脂質脱髄性多発ニューロパチー、および自己免疫性血小板減少症もしくは好中球減少症、または純赤芽球癆から選択されるが、同種免疫疾患の例示的な非限定的な例としては、造血器移植もしくは固形臓器移植、輸血、胎児同種感作を伴う妊娠による同種感作(例えば、Blazar et al., 2015, Am. J. Transplant, 15(4):931-41を参照されたい)または異種感作、新生児同種免疫性血小板減少症、新生児の溶血性疾患、外来抗原への感作、例えば、酵素もしくはタンパク質置き換え療法、血液製剤、および遺伝子療法により処置される先天性もしくは後天性の欠損障害の置換えにより生じ得るものが挙げられる。一部の実施形態では、自己免疫障害または炎症性障害に特徴的な抗原は、細胞表面受容体、イオンチャネル結合型受容体、酵素結合型受容体、Gタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ会合型受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、またはヒスチジンキナーゼ会合型受容体から選択される。一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、B細胞、形質細胞、形質芽細胞に発現されているリガンド、CD10、CD19、CD20、CD22、CD24、CD27、CD38、CD45R、CD138、CD319、BCMA、CD28、TNF、インターフェロン受容体、GM-CSF、ZAP-70、LFA-1、CD3ガンマ、CD5、またはCD2に結合する。
【0069】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、感染性疾患に特徴的な抗原を標的とする。一部の実施形態では、感染性疾患は、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV))、ヒトTリンパ球向性ウイルス-1(HTLV-1)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)、シミアンウイルス40(SV40)、エプスタインバーウイルス、CMV、ヒトパピローマウイルスから選択される。一部の実施形態では、感染性疾患に特徴的な抗原は、細胞表面受容体、イオンチャネル結合型受容体、酵素結合型受容体、Gタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ会合型受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、ヒスチジンキナーゼ結合型受容体、HIV Env、gpl20、またはHIV-1 Env上のCD4誘導型エピトープから選択される。
【0070】
一部の実施形態では、CAR膜貫通ドメインは、少なくとも、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖、もしくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、またはこれらの機能性バリアントの膜貫通領域を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、少なくとも、CD8α、CD8β、4-1BB/CD137、CD28、CD34、CD4、FcεRIγ、CD16、OX40/CD134、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、TCRα、TCRβ、TCRζ、CD32、CD64、CD64、CD45、CD5、CD9、CD22、CD37、CD80、CD86、CD40、CD40L/CD154、VEGFR2、FAS、およびFGFR2B、またはこれらの機能性バリアントの膜貫通領域を含む。
【0071】
一部の実施形態では、CARは、B7-1/CD80、B7-2/CD86、B7-H1/PD-L1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、B7-H7、BTLA/CD272、CD28、CTLA-4、Gi24/VISTA/B7-H5、ICOS/CD278、PD-1、PD-L2/B7-DC、PDCD6)、4-1BB/TNFSF9/CD137、4-1BBリガンド/TNFSF9、BAFF/BLyS/TNFSF13B、BAFF R/TNFRSF13C、CD27/TNFRSF7、CD27リガンド/TNFSF7、CD30/TNFRSF8、CD30リガンド/TNFSF8、CD40/TNFRSF5、CD40/TNFSF5、CD40リガンド/TNFSF5、DR3/TNFRSF25、GITR/TNFRSF18、GITRリガンド/TNFSF18、HVEM/TNFRSF14、LIGHT/TNFSF14、リンホトキシン-アルファ/TNF-ベータ、OX40/TNFRSF4、OX40リガンド/TNFSF4、RELT/TNFRSF19L、TACI/TNFRSF13B、TL1A/TNFSF15、TNF-アルファ、TNF RII/TNFRSF1B)、2B4/CD244/SLAMF4、BLAME/SLAMF8、CD2、CD2F-10/SLAMF9、CD48/SLAMF2、CD58/LFA-3、CD84/SLAMF5、CD229/SLAMF3、CRACC/SLAMF7、NTB-A/SLAMF6、SLAM/CD150)、CD2、CD7、CD53、CD82/Kai-1、CD90/Thy1、CD96、CD160、CD200、CD300a/LMIR1、HLAクラスI、HLA-DR、Ikaros、インテグリンアルファ4/CD49d、インテグリンアルファ4ベータ1、インテグリンアルファ4ベータ7/LPAM-1、LAG-3、TCL1A、TCL1B、CRTAM、DAP12、デクチン-1/CLEC7A、DPPIV/CD26、EphB6、TIM-1/KIM-1/HAVCR、TIM-4、TSLP、TSLP R、リンパ球機能関連抗原-1 (LFA-1)、NKG2C、CD3ゼータドメイン、免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、CD27、CD28、4-1BB、CD134/OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンド、またはこれらの機能性断片のうちの1つまたは複数から選択される少なくとも1つのシグナル伝達ドメインを含む。
【0072】
一部の実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはその機能性バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能性バリアント、および(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能性バリアントを含む。一部の実施形態では、CARは、CD3ゼータドメインもしくは免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはその機能性バリアントを含む。一部の実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはその機能性バリアント、(ii)CD28ドメイン、もしくは4-1BBドメイン、またはその機能性バリアント、および/または(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能性バリアントを含む。一部の実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはその機能性バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能性バリアント、(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能性バリアント、および(iv)サイトカインまたは共刺激性リガンド導入遺伝子を含む。
【0073】
一部の実施形態では、CARは、1つまたは複数のスペーサーをさらに含み、例えば、ここで、スペーサーは、抗原結合性ドメインと膜貫通ドメインとの間の第1のスペーサーである。一部の実施形態では、第1のスペーサーは、免疫グロブリン定常領域またはそのバリアントもしくは改変バージョンの少なくとも一部分を含む。一部の実施形態では、スペーサーは、膜貫通ドメインとシグナル伝達ドメインとの間の第2のスペーサーである。一部の実施形態では、第2のスペーサーは、オリゴペプチドであり、例えば、ここで、オリゴペプチドは、グリシン-セリンのダブレットを含む。
【0074】
一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞の表面において、標的細胞に融合する。一部の実施形態では、フソソームは、リソソーム非依存的様式で、標的細胞への融合を促進する。一部の実施形態では、フソソームおよび/またはフソソーム内容物は、エンドサイトーシスによって、または非エンドサイトーシス経路を介して、標的細胞に進入する。一部の実施形態では、フソソームは、エンドサイトーシスによって標的細胞に進入し、例えば、ここで、所与のフソソームについて、エンドサイトーシス経路を介して送達される膜タンパク質ペイロード剤のレベルは、例えば、実施例91のアッセイを使用して、0.01~0.6、0.01~0.1、0.1~0.3、もしくは0.3~0.6であるか、またはクロロキン処置参照細胞よりも少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。一部の実施形態では、フソソームは、非エンドサイトーシス経路によって標的細胞に進入し、例えば、ここで、所与のフソソームについて、非エンドサイトーシス経路を介して送達される膜タンパク質ペイロード剤のレベルは、例えば、実施例90のアッセイを使用して、0.1~0.95、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~0.95であるか、またはクロロキン処置参照細胞よりも少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。
【0075】
一部の実施形態では、標的細胞は、凝集またはミスフォールディングされた膜タンパク質を含む。一部の実施形態では、フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、標的細胞における凝集もしくはミスフォールディングされたタンパク質のレベルを低減することができる(例えば、そのレベルを低減する)か、または本明細書における方法は、標的細胞における凝集もしくはミスフォールディングされたタンパク質のレベルを低減するステップを含む。
【0076】
本明細書に記載されるように、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、膜タンパク質を、標的細胞の細胞膜に送達することができる(例えば、送達する)。同様に、一部の実施形態では、本明細書における方法は、膜タンパク質を、標的細胞の細胞膜に送達するステップを含む。一部の実施形態では、タンパク質を送達するステップは、標的細胞がタンパク質を産生し、それを膜に局在化させるように、タンパク質をコードする核酸(例えば、DNA、gDNA、cDNA、RNA、pre-mRNA、mRNAなど)を標的細胞に送達することを含む。一部の実施形態では、フソソームは、タンパク質を含むか、または方法が、それを送達するステップをさらに含み、フソソームと標的細胞との融合により、タンパク質が、標的細胞の細胞膜に輸送される。一部の実施形態では、薬剤は、細胞表面リガンド、または細胞表面受容体に結合する抗体を含む。一部の実施形態では、フソソームは、第2の細胞表面リガンドまたは細胞表面受容体に結合する抗体を含むかまたはそれをコードし、必要に応じて、さらに、1つまたは複数の追加の細胞表面リガンドまたは細胞表面受容体に結合する抗体(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、10個、20個、50個、もしくはそれを上回る)を含むかまたはそれをコードする、第2の薬剤をさらに含むか、または方法が、それを送達するステップをさらに含む。一部の実施形態では、第1の薬剤および第2の薬剤は、複合体を形成し、ここで、必要に応じて、複合体は、1つまたは複数の追加の細胞表面リガンドをさらに含む。一部の実施形態では、薬剤は、細胞表面受容体、例えば、供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている、細胞表面を含むかまたはそれをコードする。一部の実施形態では、提供されるフソソームは、第2の細胞表面受容体を含むかまたはそれをコードし、必要に応じて、さらに、1つまたは複数の追加の細胞表面受容体(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、10個、20個、50個、もしくはそれを上回る細胞表面受容体)を含むかまたはそれをコードする、第2の薬剤をさらに含むか、または方法が、それを送達するステップをさらに含む。
【0077】
一部の実施形態では、第2の薬剤、例えば、治療剤は、タンパク質、タンパク質複合体(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、10個、20個、もしくは50個のタンパク質、例えば、少なくとも少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、10個、20個、もしくは50個の異なるタンパク質)ポリペプチド、核酸(例えば、DNA、染色体、もしくはRNA、例えば、mRNA、siRNA、もしくはmiRNA)、または小分子から選択される。
【0078】
一部の実施形態では、第1の薬剤および第2の薬剤は、複合体を形成し、ここで、必要に応じて、複合体は、1つまたは複数の追加の細胞表面受容体をさらに含む。一部の実施形態では、薬剤は、抗原または抗原提示タンパク質を含むかまたはそれをコードする。
【0079】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、標的細胞がタンパク質を産生しそれを分泌することを可能にする条件下において、タンパク質をコードする核酸(例えば、DNA、gDNA、cDNA、RNA、pre-mRNA、mRNAなど)を標的細胞に送達することによって、分泌された薬剤、例えば、分泌タンパク質を、標的部位(例えば、細胞外領域)に送達することができる(例えば、送達する)。同様に、一部の実施形態では、本明細書における方法は、本明細書に記載される分泌された薬剤を送達するステップを含む。いくつかの実施形態では、分泌タンパク質は、供給源細胞に対して内因性または外因性であり、一部の実施形態では、分泌タンパク質は、標的細胞に対して内因性または外因性である。いくつかの実施形態では、分泌タンパク質は、タンパク質治療薬、例えば、抗体分子、サイトカイン、または酵素を含む。いくつかの実施形態では、分泌タンパク質は、オートクリンシグナル伝達分子またはパラクリンシグナル伝達分子を含む。いくつかの実施形態では、分泌された薬剤は、分泌性顆粒を含む。
【0080】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、抗原であるかまたはそれを含む膜タンパク質または分泌タンパク質を送達することができる(例えば、送達する)。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、抗原抗原提示タンパク質であるかまたはそれを含む膜タンパク質または分泌タンパク質を、必要に応じて抗原と一緒に(例えば、複合体として)送達することができる(例えば、送達する)。
【0081】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、1つまたは複数の細胞表面受容体を、標的細胞(例えば、免疫細胞)に供与することができる(例えば、供与する)。同様に、一部の実施形態では、本明細書における方法は、1つまたは複数の細胞表面受容体を供与するステップを含む。
【0082】
一部の実施形態では、標的細胞は、腫瘍細胞であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、免疫刺激性リガンド、抗原提示タンパク質、腫瘍サプレッサータンパク質、アポトーシス促進性タンパク質、または前述のもののうちのいずれかの受容体もしくは結合パートナーであるかまたはそれを含む膜タンパク質または分泌タンパク質を、送達することができる(例えば、送達する)。一部の実施形態では、フソソームは、免疫調節性、例えば、免疫刺激性である薬剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤および/または少なくとも1つの第2の薬剤)を含む。
【0083】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、標的細胞に抗原を提示させることができる(例えば、提示させる)。同様に、一部の実施形態では、本明細書における方法は、標的細胞上に抗原を提示するステップを含む。
【0084】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、本明細書に記載される膜タンパク質(もしくは分泌タンパク質)の発現を引き起こすように、例えば、標的細胞における遺伝子発現を一時的に改変するか、または例えば、標的細胞のゲノムへの組込みによりそのゲノムを改変するために、核酸を標的細胞に送達することができる(例えば、送達する)。
【0085】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、標的細胞のタンパク質欠損が、少なくとも一時的に救助されるように、タンパク質(例えば、膜タンパク質、例えば、輸送体タンパク質または分泌タンパク質、例えば、免疫抑制性タンパク質)を、標的細胞に送達することができる(例えば、送達する)。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される膜タンパク質ペイロード剤によってかまたは膜タンパク質ペイロード剤として提供される膜タンパク質は、免疫グロブリン部分または実体(例えば、抗体、Fab、scFV、scFab、sdAb、デュオボディ、ミニボディ、ナノボディ、ダイアボディ、ザイボディ(zybody)、ラクダ抗体、BiTE、クアドローマ、bsDbなど)であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質は、1つまたは複数の共有結合により会合した非ペプチド部分、例えば、例として、1つまたは複数の炭水化物部分、脂質部分、ポリエチレングリコール部分、小分子など、およびこれらの組合せを含み得る。
【0087】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、標的細胞に、タンパク質、例えば、治療用タンパク質を分泌させることができる(例えば、分泌させる)。同様に、一部の実施形態では、本明細書における方法は、標的細胞に、タンパク質を分泌させるステップを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される膜タンパク質ペイロード剤によってかまたは膜タンパク質ペイロード剤として提供される膜タンパク質は、1つまたは複数の細胞表面リガンド(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、10個、20個、50個、またはそれを上回る細胞表面リガンド)であるかまたはそれを含む。同様に、一部の実施形態では、本明細書における方法は、1つまたは複数の細胞表面リガンドを標的細胞に提示するステップを含む。一部の実施形態では、細胞表面リガンドを有するフソソームは、好中球(例えば、さらに標的細胞が腫瘍浸潤リンパ球である)、樹状細胞(例えば、さらに標的細胞がナイーブT細胞である)、または好中球(例えば、さらに標的が腫瘍細胞もしくはウイルス感染細胞である)から選択される供給源細胞に由来する。一部の実施形態では、そのようなフソソームは、膜複合体、例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つのタンパク質を含む複合体、例えば、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、またはヘテロ四量体を含む。一部の実施形態では、そのようなフソソームは、抗体、例えば、毒性抗体を含み、例えば、フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、抗体を、例えば、標的部位へのホーミングによって、標的部位に送達することができる(例えば、送達する)。一部の実施形態では、供給源細胞は、NK細胞または好中球である。
【0089】
一部の実施形態では、膜タンパク質は、細胞表面受容体、イオンチャネル結合型受容体、酵素結合型受容体、Gタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ会合型受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、ヒスチジンキナーゼ会合型受容体、上皮成長因子受容体(EGFR)(ErbB1/EGFR、ErbB2/HER2、ErbB3/HER3、およびErbB4/HER4を含む)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)(FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF18、およびFGF21を含む)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)(VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、およびPIGFを含む)、RET受容体およびEph受容体ファミリー(EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA9、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、およびEphB6を含む)、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR8、CFTR、CIC-1、CIC-2、CIC-4、CIC-5、CIC-7、CIC-Ka、CIC-Kb、ベストロフィン、TMEM16A、GABA受容体、グリシン受容体、ABC輸送体、NAV1.1、NAV1.2、NAV1.3、NAV1.4、NAV1.5、NAV1.6、NAV1.7、NAV1.8、NAV1.9、スフィンゴシン-1-ホスフェート受容体(S1P1R)、NMDAチャネル、膜貫通タンパク質、複数回膜貫通タンパク質、T細胞受容体モチーフ、T細胞アルファ鎖、T細胞β鎖、T細胞γ鎖、T細胞δ鎖、CCR7、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD28、CD34、CD35、CD40、CD45RA、CD45RO、CD52、CD56、CD62L、CD68、CD80、CD95、CD117、CD127、CD133、CD137(4-1 BB)、CD163、F4/80、IL-4Ra、Sca-1、CTLA-4、GITR、GARP、LAP、グランザイムB、LFA-1、トランスフェリン受容体、NKp46、パーフォリン、CD4+、Th1、Th2、Th17、Th40、Th22、Th9、Tfh、カノニカルTreg FoxP3+、Tr1、Th3、Treg17、TREG、CDCP1、NT5E、EpCAM、CEA、gpA33、ムチン、TAG-72、炭酸脱水酵素IX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えば、CD2、CD3、GM2)、ルイス-γ2、VEGF、VEGFR 1/2/3、αVβ3、α5β1、ErbB1/EGFR、ErbB1/HER2、ErB3、c-MET、IGF1R、EphA3、TRAIL-R1、TRAIL-R2、RANKL、FAP、テネイシン、PDL-1、BAFF、HDAC、ABL、FLT3、KIT、MET、RET、IL-1β、ALK、RANKL、mTOR、CTLA-4、IL-6、IL-6R、JAK3、BRAF、PTCH、Smoothened、PIGF、ANPEP、TIMP1、PLAUR、PTPRJ、LTBR、もしくはANTXR1、葉酸受容体アルファ(FRa)、ERBB2(Her2/neu)、EphA2、IL-13Ra2、上皮成長因子受容体(EGFR)、メソテリン、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、MUC16(CA125)、L1CAM、LeY、MSLN、IL13Rα1、L1-CAM、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、インターロイキン-11受容体a(IL-11Ra)、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、血小板由来成長因子受容体-ベータ(PDGFR-ベータ)、SSEA-4、CD20、MUC1、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-1受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLACl、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレイクポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYPIB I、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、ネオ抗原、CD133、CD15、CD184、CD24、CD56、CD26、CD29、CD44、HLA-A、HLA-B、HLA-C(HLA-A、B、C) CD49f、CD151 CD340、CD200、tkrA、trkB、またはtrkCから選択される。
【0090】
一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞または標的細胞の表面特徴部と会合する、および/またはそれに結合する。
【0091】
一部の実施形態では、本明細書における方法は、標的細胞からのタンパク質の分泌または標的細胞の表面上のリガンドの提示を引き起こすステップを含む。一部の実施形態では、フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、標的細胞の細胞死を引き起こすことができる。一部の実施形態では、フソソームは、NK供給源細胞に由来する。
【0092】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、1つまたは複数の局所環境特徴部、例えば、例として、代謝産物、インターロイキン、抗原など、またはこれらの組合せを感知する、および/またはそれに応答する。
【0093】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、走化性、溢出、および/または1つもしくは複数の代謝活性が可能である。いくつかの実施形態では、代謝活性は、キヌリニン(kyneurinine)、糖新生、プロスタグランジン脂肪酸酸化、アデノシン代謝、尿素サイクル、および発熱性呼吸から選択される。一部の実施形態では、供給源細胞は、好中球であり、フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、傷害の部位にホーミングすることができる。一部の実施形態では、供給源細胞は、マクロファージであり、フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、ファゴサイトーシスが可能である。一部の実施形態では、供給源細胞は、褐色脂肪組織細胞であり、フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、脂肪分解が可能である。
【0094】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、複数の薬剤(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、10個、20個、または50個の薬剤)を含み(例えば、それを標的細胞に送達することができ)、ここで、少なくとも1つの薬剤は、膜タンパク質ペイロードであるかまたはそれを含み、一部のそのような実施形態では、薬剤のうちの1つまたは複数は、阻害性核酸(例えば、siRNAもしくはmiRNA)および/またはmRNAであるかまたはそれを含む。
【0095】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤を含む(例えば、それを標的細胞に送達することができる)、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、標的細胞を再プログラミングまたは分化転換することができ、例えば、フソソーム(および/またはその組成物)は、標的細胞の再プログラミングまたは分化転換を誘導する1つまたは複数の薬剤を含む。
【0096】
一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、例えば、少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い割合で、標的細胞と融合する。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、少なくとも少なくとも10%高い割合で、標的細胞と融合する。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例54のアッセイにおいて、他のフソソームよりも、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%高い割合で、標的細胞と融合する。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例54のアッセイにおいて、他のフソソームよりも、少なくとも50%高い割合で、標的細胞と融合する。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の薬剤が24、48、または72時間後に、標的細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%に送達されるような割合で、標的細胞と融合する。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の薬剤が24時間後に、標的細胞の少なくとも10%に送達されるような割合で、標的細胞と融合する。
【0097】
一部の実施形態では、フソゲンは、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、フソソーム1つ当たり、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピー、またはそれを上回らないコピー数で、存在する。一部の実施形態では、フソゲンは、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、少なくとも1,000コピーのコピー数で存在する。一部の実施形態では、フソソームに含まれるフソゲンのうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%は、細胞膜に配置される。いくつかの実施形態では、フソソームはまた、内部に、例えば、細胞質またはオルガネラに、フソゲンを含む。
【0098】
一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例43のアッセイによって測定した場合に、フソソーム1つ当たり、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピー、またはそれを上回らないコピー数で、治療剤(例えば、治療用膜タンパク質ペイロード剤)を含む。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例43のアッセイによって測定した場合に、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのコピー数で、タンパク質治療剤を含む。一部の実施形態では、フソソームは、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのコピー数で、核酸治療剤を含む。一部の実施形態では、フソソームは、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのコピー数で、DNA治療剤を含む。一部の実施形態では、フソソームは、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのコピー数で、RNA治療剤を含む。一部の実施形態では、フソソームは、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのコピー数で、供給源細胞に対して外因性である治療剤を含む。一部の実施形態では、フソソームは、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのコピー数で、供給源細胞に対して外因性であるタンパク質治療剤を含む。一部の実施形態では、フソソームは、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのコピー数で、供給源細胞に対して外因性である核酸(例えば、DNAまたはRNA)治療剤を含む。一部の実施形態では、フソゲンのコピー数の治療剤のコピー数に対する比は、1,000,000:1~100,000:1、100,000:1~10,000:1、10,000:1~1,000:1、1,000:1~100:1、100:1~50:1、50:1~20:1、20:1~10:1、10:1~5:1、5:1~2:1、2:1~1:1、1:1~1:2、1:2~1:5、1:5~1:10、1:10~1:20、1:20~1:50、1:50~1:100、1:100~1:1,000、1:1,000~1:10,000、1:10,000~1:100,000、または1:100,000~1:1,000,000である。一部の実施形態では、フソゲンのコピー数の膜タンパク質ペイロード剤のコピー数に対する比は、1,000,000:1~100,000:1、100,000:1~10,000:1、10,000:1~1,000:1、1,000:1~100:1、100:1~50:1、50:1~20:1、20:1~10:1、10:1~5:1、5:1~2:1、2:1~1:1、1:1~1:2、1:2~1:5、1:5~1:10、1:10~1:20、1:20~1:50、1:50~1:100、1:100~1:1,000、1:1,000~1:10,000、1:10,000~1:100,000、または1:100,000~1:1,000,000である。
【0099】
一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞に、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーの治療剤(例えば、治療用膜タンパク質ペイロード剤)を送達する。一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞に、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのタンパク質治療剤を送達する。一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞に、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーの核酸治療剤を送達する。一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞に、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのRNA治療剤を送達する。一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞に、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピーのDNA治療剤を送達する。
【0100】
一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞に、フソソームに含まれる膜タンパク質ペイロード剤(例えば、治療剤、例えば、供給源細胞に対して内因性または外因性である治療剤)のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を送達する。一部の実施形態では、標的細胞と融合するフソソームは、標的細胞に、平均で、標的細胞と融合するフソソームに含まれる膜タンパク質ペイロード剤(例えば、治療用膜タンパク質ペイロード剤、例えば、内因性治療用膜タンパク質ペイロード剤または供給源細胞に対して外因性である治療用膜タンパク質ペイロード剤)のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を送達する。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、標的組織に、フソソーム組成物に含まれる膜タンパク質ペイロード剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤薬剤、例えば、供給源細胞に対して外因性である治療用膜タンパク質ペイロード剤)のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を送達する。
【0101】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、フソソーム中の総タンパク質1mg当たり、0.00000001mgのフソゲン~1mgのフソゲン、例えば、フソソーム中の総タンパク質1mg当たり、0.00000001~0.0000001mg、0.0000001~0.000001mg、0.000001~0.00001mg、0.00001~0.0001mg、0.0001~0.001mg、0.001~0.01mg、0.01~0.1mg、または0.1~1mgのフソゲンを含む。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、フソソーム中の脂質1mg当たり、0.00000001mgのフソゲン~5mgのフソゲン、例えば、フソソーム中の脂質1mg当たり、0.00000001~0.0000001mg、0.0000001~0.000001mg、0.000001~0.00001mg、0.00001~0.0001mg、0.0001~0.001mg、0.001~0.01mg、0.01~0.1mg、0.1~1mg、または1~5mgのフソゲンを含む。
【0102】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、供給源細胞のものに実質的に類似の脂質組成を特徴とするか、またはCL、Cer、DAG、HexCer、LPA、LPC、LPE、LPG、LPI、LPS、PA、PC、PE、PG、PI、PS、CE、SM、およびTAGのうちの1つもしくは複数が、供給源細胞における対応する脂質レベルの10%以内、15%以内、20%以内、25%以内、30%以内、35%以内、40%以内、45%以内、もしくは50%以内、例えば、75%以内である。
【0103】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、供給源細胞におけるカルジオリピン:セラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:セラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:ジアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:ジアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:ヘキソシルセラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:ヘキソシルセラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:リゾホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:リゾホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルコリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルコリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルセリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:リゾ-ホスファチジルセリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:ホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:ホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:ホスファチジルコリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:ホスファチジルコリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:ホスファチジルエタノールアミンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:ホスファチジルエタノールアミンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:ホスファチジルセリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:ホスファチジルセリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:コレステロールエステルの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:コレステロールエステルの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:スフィンゴミエリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:スフィンゴミエリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:トリアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:トリアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:セラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:セラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:ジアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:ジアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:ヘキソシルセラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:ヘキソシルセラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:リゾホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:リゾホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルコリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルコリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルセリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:リゾ-ホスファチジルセリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるカルジオリピン:ホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:ホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:ホスファチジルエタノールアミンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:ホスファチジルエタノールアミンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるカルジオリピン:ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:ホスファチジルセリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:ホスファチジルセリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:コレステロールエステルの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:コレステロールエステルの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:スフィンゴミエリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:スフィンゴミエリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルコリン:トリアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルコリン:トリアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:セラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:セラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:ジアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:ジアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:ヘキソシルセラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:ヘキソシルセラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:リゾホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:リゾホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルコリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルコリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルセリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:リゾ-ホスファチジルセリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:ホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:ホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:ホスファチジルセリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以
内であるホスファチジルエタノールアミン:ホスファチジルセリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:コレステロールエステルの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:コレステロールエステルの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:スフィンゴミエリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:スフィンゴミエリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルエタノールアミン:トリアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルエタノールアミン:トリアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:セラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:セラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:ジアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:ジアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:ヘキソシルセラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:ヘキソシルセラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:リゾホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:リゾホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルコリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルコリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルセリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:リゾ-ホスファチジルセリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:ホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:ホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:コレステロールエステルの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:コレステロールエステルの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:スフィンゴミエリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:スフィンゴミエリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるホスファチジルセリン:トリアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるホスファチジルセリン:トリアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:セラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:セラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:ジアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:ジアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:ヘキソシルセラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:ヘキソシルセラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:リゾホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:リゾホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルコリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルコリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルセリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:リゾ-ホスファチジルセリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:ホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:ホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:コレステロールエステルの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:コレステロールエステルの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるスフィンゴミエリン:トリアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるスフィンゴミエリン:トリアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:セラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:セラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:ジアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:ジアシルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:ヘキソシルセラミドの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:ヘキソシルセラミドの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:リゾホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:リゾホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルコリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルコリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルエタノールアミンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルセリンの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:リゾ-ホスファチジルセリンの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:ホスファチデートの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:ホスファチデートの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:ホスファチジルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:ホスファチジルグリセロールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:ホスファチジルイノシトールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:ホスファチジルイノシトールの比を特徴とするか、または供給源細胞におけるコレステロールエステル:トリアシルグリセロールの比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、もしくは50%以内であるコレステロールエステル:トリアシルグリセロールの比を特徴とする。
【0104】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例42のアッセイを使用して、供給源細胞のものに類似のプロテオーム組成を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例49のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内である、脂質のタンパク質に対する比を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例50のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内である、タンパク質の核酸(例えば、DNAまたはRNA)に対する比を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例50のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比よりも高い、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%高い、タンパク質のDNAに対する比を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例51のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内である、脂質の核酸(例えば、DNA)に対する比を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例51のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞における対応する比よりも高い、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%高い、脂質の核酸(例えば、DNA)に対する比を特徴とする。
【0105】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例75のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞の半減期の1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、100%以内である、対象、例えば、マウスにおける半減期を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例75のアッセイによって、例えば、ヒト対象またはマウスにおいて、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間、または24時間である、対象、例えば、マウスにおける半減期を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、フソソームの半減期よりも、例えば、少なくとも10%、20%、50%、2倍、5倍、または10倍長い、対象における半減期を特徴とする、膜タンパク質ペイロード剤(例えば、治療剤)を送達することができる(例えば、送達する)。例えば、フソソームは、治療剤を標的細胞に送達することができ、この薬剤は、フソソームがもはや存在していないかまたは検出可能でなくなった後に、存在していてもよい。
【0106】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例64のアッセイを使用して測定した場合に、陰性対照、例えば、グルコースの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%多く、膜を越えてグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)を輸送する。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例66のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはマウス胚線維芽細胞におけるエステラーゼ活性のものの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、または100%以内である、内腔におけるエステラーゼ活性を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例68に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における代謝活性レベルの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、または100%以内である、代謝活性レベル(例えば、クエン酸シンターゼ活性)を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例68に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における代謝活性レベルの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である、代謝活性レベル(例えば、クエン酸シンターゼ活性)を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例69に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における呼吸レベルの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、または100%以内である、呼吸レベル(例えば、酸素消費速度)を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例69に記載されるように、参照細胞、例えば、供給源細胞における呼吸レベルの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%である、呼吸レベル(例えば、酸素消費速度)を特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例70のアッセイを使用して、多くとも18,000、17,000、16,000、15,000、14,000、13,000、12,000、11,000、もしくは10,000MFIのアネキシン-V染色レベルを特徴とするか、またはフソソームは、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したその他は同様のフソソームまたはその組成物もしくは調製物のアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%低いアネキシン-V染色レベルを含むか、またはフソソームは、実施例70のアッセイにおいて、メナジオンで処置したマクロファージのアネキシン-V染色レベルよりも少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、もしくは90%低いアネキシン-V染色レベルを含む。
【0107】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例39のアッセイによって、供給源細胞のものよりも少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれよりも高いmiRNA含量レベルを特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例39のアッセイによって、供給源細胞のmiRNA含量レベルの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれよりも高い(例えば、最大で供給源細胞のmiRNA含量レベルの100%の)miRNA含量レベルを特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例108のアッセイによって測定した場合に、供給源細胞の総RNA含量レベルの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれよりも高い(例えば、最大で供給源細胞の総RNA含量レベルの100%の)総RNA含量レベルを特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例47のアッセイによって、供給源細胞のものの1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、もしくはそれを上回る、例えば、供給源細胞のものの1%~2%以内、2%~3%以内、3%~4%以内、4%~5%以内、5%~10%以内、10%~20%以内、20%~30%以内、30%~40%以内、40%~50%以内、50%~60%以内、60%~70%以内、70%~80%以内、もしくは80%~90%以内である、可溶性タンパク質:不溶性タンパク質の比を特徴とする。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例47のアッセイによって、供給源細胞のものの90%以内の可溶性タンパク質:不溶性タンパク質の比を有する。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例48のアッセイによって測定した場合に、フソソームの脂質含量の5%を下回る、1%を下回る、0.5%を下回る、0.01%を下回る、0.005%を下回る、0.0001%を下回る、0.00001%を下回る、またはそれを下回るLPSレベルを特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、シグナル伝達、例えば、細胞外シグナルの伝達、例えば、インスリンに応答したAKTリン酸化、またはインスリンに応答したグルコース(例えば、標識化グルコース、例えば、2-NBDG)の取込みを、例えば、実施例63のアッセイを使用して、陰性対照、例えば、インスリンの非存在下におけるその他は同様のフソソームよりも、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%多く、行うことができる。一部の実施形態では、フソソームは、対象、例えば、マウスに投与されると、組織、例えば、肝臓、肺、心臓、脾臓、膵臓、消化管、腎臓、精巣、卵巣、脳、生殖器、中枢神経系、末梢神経系、骨格筋、内皮、内耳、または眼を標的とし、例えば、投与されたフソソーム集団中のフソソームの少なくとも0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%が、例えば、実施例87もしくは100のアッセイによって、24、48、または72時間後に、標的組織に存在する。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例71のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞または骨髄間質細胞(BMSC)によって誘導されるジャクスタクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%高いジャクスタクリンシグナル伝達レベルを特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例71のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞または骨髄間質細胞(BMSC)によって誘導されるジャクスタクリンシグナル伝達のレベルの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%(例えば、最大で100%)のジャクスタクリンシグナル伝達レベルを特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例72のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞またはマクロファージによって誘導されるパラクリンシグナル伝達のレベルよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%高いパラクリンシグナル伝達レベルを特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例72のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞またはマクロファージによって誘導されるパラクリンシグナル伝達のレベルの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%(例えば、最大で100%)のパラクリンシグナル伝達レベルを特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例73のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞またはC2C12細胞における重合アクチンのレベルと比較して、1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、または100%以内のレベルで、アクチンを重合することを特徴とする。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例74のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはC2C12細胞の膜電位の約1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内、100%以内の膜電位を特徴とするか、または提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、約-20~-150mV、-20~-50mV、-50~-100mV、もしくは-100~-150mVの膜電位を特徴とするか、またはフソソームは、-1mvを下回る、-5mvを下回る、-10mvを下回る、-20mvを下回る、-30mvを下回る、-40mvを下回る、-50mvを下回る、-60mvを下回る、-70mvを下回る、-80mvを下回る、-90mvを下回る、-100mvを下回る膜電位を有する。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例57のアッセイを使用して、例えば、供給源細胞の溢出割合の少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%の割合で、血管から溢出することができ、例えば、供給源細胞は、好中球、リンパ球、B細胞、マクロファージ、またはNK細胞である。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例58のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、マクロファージと比較して、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%(例えば、最大で100%)の走化性が可能である。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例60のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、マクロファージと比較して、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%(例えば、最大で100%)のファゴサイトーシスが可能である。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、細胞膜、例えば、内皮細胞膜または血液脳関門を越えることができる。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例62のアッセイを使用して、例えば、参照細胞、例えば、マウス胚線維芽細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%高い割合で、タンパク質を分泌することができる。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例62のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、マウス胚線維芽細胞と比較して、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%(例えば、最大で100%)の割合で、タンパク質を分泌することができる。
【0108】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例19のアッセイを使用して、転写が可能でないか、または参照細胞、例えば、供給源細胞の転写活性のものの1%を下回る、2.5%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、もしくは90%を下回る転写活性を有する。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例20のアッセイを使用して、核DNA複製が可能でないか、または参照細胞、例えば、供給源細胞の核DNA複製の1%を下回る、2.5%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、もしくは90%を下回る核DNA複製を有する。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例37のアッセイを使用して、クロマチンが欠如しているか、または参照細胞、例えば、供給源細胞のクロマチン含量の1%を下回る、2.5%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、もしくは90%を下回るクロマチン含量を有する。
【0109】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物の特徴は、参照細胞との比較によって説明される。いくつかの実施形態では、参照細胞は、供給源細胞である。いくつかの実施形態では、参照細胞は、HeLa、HEK293、HFF-1、MRC-5、WI-38、IMR 90、IMR 91、PER.C6、HT-1080、またはBJ細胞である。一部の実施形態では、フソソーム集団および/またはその組成物もしくは調製物の特徴は、参照細胞集団、例えば、供給源細胞集団、またはHeLa、HEK293、HFF-1、MRC-5、WI-38、IMR 90、IMR 91、PER.C6、HT-1080、もしくはBJ細胞の集団との比較によって説明される。
【0110】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、医薬品または適正製造基準(GMP)の基準を満たしている。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、適正製造基準(GMP)に従って作製された。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、所定の参照値を下回る病原体レベルを特徴とし、例えば、病原体を実質的に含まない。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、所定の参照値を下回る混入物質(例えば、核成分、例えば、核DNA)レベルを有し、例えば、1つまたは複数の指定される混入物質を実質的に含まない。一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、本明細書に記載されるように、低い免疫原性を特徴とする。
【0111】
一部の実施形態では、供給源細胞または標的細胞は、内皮細胞、線維芽細胞、血液細胞(例えば、マクロファージ、好中球、顆粒球、白血球)、幹細胞(例えば、間葉幹細胞、臍帯幹細胞、骨髄幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞、例えば、対象の細胞に由来する人工多能性幹細胞)、胚性幹細胞(例えば、胚卵黄嚢、胎盤、臍帯、胎児皮膚、青年皮膚、血液、骨髄、脂肪組織、赤血球産生組織、造血組織に由来する幹細胞)、筋芽細胞、実質細胞(例えば、肝細胞)、肺胞細胞、ニューロン(例えば、網膜神経細胞)、前駆体細胞(例えば、網膜前駆体細胞、骨髄芽球、骨髄系前駆体細胞、胸腺細胞、減数母細胞、巨核芽球、前巨核芽球、メラニン芽細胞、リンパ芽球、骨髄前駆体細胞、正赤芽球、もしくは血液芽細胞)、始原細胞(例えば、心臓始原細胞、衛星細胞、放射神経膠細胞(radial gial cell)、骨髄間質細胞、膵臓始原細胞、内皮始原細胞、芽細胞)、または不死化細胞(例えば、HeLa、HEK293、HFF-1、MRC-5、WI-38、IMR 90、IMR 91、PER.C6、HT-1080、もしくはBJ細胞)である。一部の実施形態では、供給源細胞は、293細胞、HEK細胞、ヒト内皮細胞、もしくはヒト上皮細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、または幹細胞以外である。一部の実施形態では、供給源細胞または標的細胞は、白血球または幹細胞である。一部の実施形態では、供給源細胞または標的細胞は、好中球、リンパ球(例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞)、マクロファージ、顆粒球、間葉幹細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、または骨髄芽球から選択される。
【0112】
一部の実施形態では、供給源細胞は、付着または懸濁液条件下において成長させた細胞である。一部の実施形態では、供給源細胞は、初代細胞、培養細胞、不死化細胞、または細胞系(例えば、骨髄芽球(myelobast)細胞系、例えば、C2C12)である。一部の実施形態では、供給源細胞は、同種であり、例えば、標的細胞と同じ種の異なる生物から得られる。一部の実施形態では、供給源細胞は、自家であり、例えば、標的細胞と同じ生物から得られる。一部の実施形態では、供給源細胞は、異種であり、例えば、標的細胞とは異なる種の生物から得られる。
【0113】
一部の実施形態では、供給源細胞は、供給源細胞に対して外因性である第2の薬剤、例えば、治療剤、例えば、タンパク質または核酸(例えば、RNA、例えば、mRNAもしくはmiRNA)をさらに含む。一部の実施形態では、第2の薬剤は、少なくとも10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、もしくは1,000,000コピー、もしくはそれを上回らずにフソソームに含まれて存在するか、またはフソソーム1つ当たり、少なくとも10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、もしくは1,000,000コピー、もしくはそれを上回らない平均レベルで、存在する。
【0114】
一部の実施形態では、フソソームは、例えば、siRNAまたは遺伝子編集酵素による供給源細胞、例えば、哺乳動物供給源細胞の処置に起因して、供給源細胞と比較して、1つまたは複数の内因性分子、例えば、タンパク質または核酸のレベルの変更、例えば、増加または減少を有する。一部の実施形態では、フソソームは、少なくとも10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、もしくは1,000,000コピー、もしくはそれを上回らない内因性分子を含むか、またはフソソーム1つ当たり、少なくとも10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、もしくは1,000,000コピー、もしくはそれを上回らない内因性分子の平均レベルで、存在する。一部の実施形態では、内因性分子(例えば、RNAまたはタンパク質)は、供給源細胞におけるその濃度よりも少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、500、103、5.0×103、104、5.0×104、105、5.0×105、106、5.0×106、1.0×107、5.0×107、または1.0×108高い濃度で、フソソーム中に存在する。一部の実施形態では、内因性分子(例えば、RNAまたはタンパク質)は、供給源細胞におけるその濃度よりも少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、500、103、5.0×103、104、5.0×104、105、5.0×105、106、5.0×106、1.0×107、5.0×107、または1.0×108低い濃度で、フソソーム中に存在する。
【0115】
一部の実施形態では、フソソームは、治療用膜タンパク質ペイロード剤、例えば、治療用膜タンパク質ペイロード剤、例えば、供給源細胞に対して外因性または内因性である治療用膜タンパク質ペイロード剤を含む。一部の実施形態では、治療用膜タンパク質ペイロード剤は、タンパク質、例えば、膜貫通タンパク質、細部表面タンパク質、分泌タンパク質、受容体、抗体、核酸、例えば、DNA、染色体(例えば、ヒト人工染色体)、RNA、またはmRNAのうちの1つまたは複数から選択される。
【0116】
一部の実施形態では、標的細胞は、生物内にある。一部の実施形態では、標的細胞は、生物から単離された初代細胞である。一部の実施形態では、標的化ドメインは、標的細胞の標的細胞部分、例えば、細胞表面特徴部と相互作用する。一部の実施形態では、フソソームは、前記標的細胞部分を含まない。一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞上のフソゲン結合性パートナーと相互作用し、それによってフソソームが標的細胞に結合または融合することを可能にする、フソゲンを含む。一部の実施形態では、フソソームは、前記フソゲン結合性パートナーを含まない。一部の実施形態では、標的化ドメインは、フソゲンの一部ではない。一部の実施形態では、フソゲンは、標的化ドメインを含む。一部の実施形態では、フソゲン結合性パートナーは、標的細胞部分とは異なる実体であるか、またはその一部分である。一部の実施形態では、フソゲン結合性パートナーは、標的細胞部分であるか、またはその一部分である。
【0117】
一部の実施形態では、フソソームは、エンドサイトーシスによって標的細胞に進入し、例えば、ここで、エンドサイトーシス経路を介して送達される薬剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤および/または第2の薬剤)のレベルは、例えば、実施例91のアッセイを使用して、0.01~0.6、0.01~0.1、0.1~0.3、もしくは0.3~0.6であるか、または同様のフソソームと接触させたクロロキン処置参照細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。一部の実施形態では、標的細胞に進入するフソソーム組成物または調製物中のフソソームのうちの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%は、非エンドサイトーシス経路を介して進入し、例えば、フソソームは、細胞表面との融合を介して標的細胞に進入する。一部の実施形態では、標的細胞に進入するフソソーム組成物または調製物中のフソソームの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%は、細胞質に進入する(例えば、エンドソームにもリソソームにも進入しない)。一部の実施形態では、標的細胞に進入するフソソーム組成物または調製物中のフソソームの90%を下回る、80%を下回る、70%を下回る、60%を下回る、50%を下回る、40%を下回る、30%を下回る、20%を下回る、10%を下回る、5%を下回る、4%を下回る、3%を下回る、2%を下回る、1%を下回るものは、エンドソームまたはリソソームに進入する。一部の実施形態では、フソソームは、非エンドサイトーシス経路によって標的細胞に進入し、例えば、ここで、送達される薬剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤および/または第2の薬剤)のレベルは、例えば、実施例91のアッセイを使用して、クロロキン処置参照細胞の少なくとも90%、95%、98%、または99%である。一部の実施形態では、フソソームは、ダイナミン媒介経路を介して、薬剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤および/または第2の薬剤)を標的細胞に送達する。一部の実施形態では、ダイナミン媒介経路を介して送達される薬剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤および/または第2の薬剤)のレベルは、例えば、実施例92のアッセイにおいて測定した場合に、0.01~0.6の範囲内であるか、または同様のフソソームと接触させたDynasore処置標的細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。一部の実施形態では、フソソームは、マクロピノサイトーシスを介して、薬剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤および/または第2の薬剤)を標的細胞に送達する。一部の実施形態では、マクロピノサイトーシスを介して送達される薬剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤および/または第2の薬剤)のレベルは、例えば、実施例92のアッセイにおいて測定した場合に、0.01~0.6の範囲内であるか、または同様のフソソームと接触させたEIPA処置標的細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。一部の実施形態では、フソソームは、アクチン媒介経路を介して、薬剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤および/または第2の薬剤)を標的細胞に送達する。一部の実施形態では、アクチン媒介経路を介して送達される薬剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤および/または第2の薬剤)のレベルは、例えば、実施例92のアッセイにおいて測定した場合に、0.01~0.6の範囲内であるか、または同様のフソソームと接触させたラトランクリンB処置標的細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。
【0118】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例33のアッセイによって、1g/mLを下回る、1~1.1g/mL、1.05~1.15g/mL、1.1~1.2g/mL、1.15~1.25g/mL、1.2~1.3g/mL、1.25~1.35g/mL、または1.35g/mLを上回る密度を有する。
【0119】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、タンパク質質量を基準として0.01%を下回る、0.05%を下回る、0.1%を下回る、0.5%を下回る、1%を下回る、1.5%を下回る、2%を下回る、2.5%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、もしくは10%を下回る供給源細胞を含むか、または細胞のうちの0.01%を下回る、0.05%を下回る、0.1%を下回る、0.5%を下回る、1%を下回る、1.5%を下回る、2%を下回る、2.5%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、もしくは10%を下回るものが、機能性核を有する。一部の実施形態では、フソソーム組成物または調製物中のフソソームのうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%は、オルガネラ、例えば、ミトコンドリアを含む。
【0120】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、少なくとも0.01%~0.05%、0.05%~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1%、1%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、または80%~90%のフソソームを含み、ここで、i)フソゲンは、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、フソソーム1つ当たり、少なくとも1,000コピーのコピー数で存在するか、ii)フソソーム1つ当たりのフソゲンのコピー数の膜タンパク質ペイロード剤のコピー数に対する比は、1,000,000:1~100,000:1、100,000:1~10,000:1、10,000:1~1,000:1、1,000:1~100:1、100:1~50:1、50:1~20:1、20:1~10:1、10:1~5:1、5:1~2:1、2:1~1:1、1:1~1:2、1:2~1:5、1:5~1:10、1:10~1:20、1:20~1:50、1:50~1:100、1:100~1:1,000、1:1,000~1:10,000、1:10,000~1:100,000、もしくは1:100,000~1:1,000,000であるか、またはiii)膜タンパク質ペイロード剤は、例えば、実施例43のアッセイによって測定した場合に、フソソーム1つ当たり少なくとも1,000コピーのコピー数で存在する。
【0121】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、供給源細胞に対して外因性である治療剤を含む。一部の実施形態では、治療剤は、標的細胞に対して外因性である。一部の実施形態では、外因性治療剤は、タンパク質、例えば、膜貫通タンパク質、細部表面タンパク質、分泌タンパク質、受容体、抗体、核酸、例えば、DNA、染色体(例えば、ヒト人工染色体)、RNA、mRNA、siRNA、miRNA、または小分子のうちの1つまたは複数から選択される。
【0122】
いくつかの実施形態では、提供されるフソソームは、エンドサイトーシスまたは非エンドサイトーシス経路によって、細胞に進入する。
【0123】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、核を含まない。一部の実施形態では、フソソームは、核DNAを実質的に含まない。
【0124】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、冷却または凍結される。いくつかの実施形態では、提供されるフソソームは、機能性核を含まず、かつ/または提供されるフソソーム組成物もしくは調製物は、機能性核を有さない1つもしくは複数のフソソームを含む。一部の実施形態では、提供されるフソソーム組成物または調製物は、タンパク質質量を基準として0.01%を下回る、0.05%を下回る、0.1%を下回る、0.5%を下回る、1%を下回る、1.5%を下回る、2%を下回る、2.5%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、もしくは10%を下回る供給源細胞を含むか、または細胞のうちの0.01%を下回る、0.05%を下回る、0.1%を下回る、0.5%を下回る、1%を下回る、1.5%を下回る、2%を下回る、2.5%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、もしくは10%を下回るものが、機能性核を有する。いくつかの実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、前記温度で、少なくとも1時間、2時間、3時間、6時間、もしくは12時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、もしくは6日間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、もしくは6ヶ月間、または1年間、2年間、3年間、4年間、もしくは5年間、維持されている。いくつかの実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、前記温度での維持の前の集団の活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の活性を特徴とし、例えば、以下:
i)例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、例えば、少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い割合で、標的細胞と融合すること、
ii)例えば、実施例54のアッセイにおいて、他のフソソームとよりも、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%高い割合で、標的細胞と融合すること、
iii)例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の薬剤が24、48、または72時間後に、標的細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%に送達されるような割合で、標的細胞と融合すること、または
iv)例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、少なくとも10、50、100、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、もしくは1,000,000コピー、もしくはそれを上回らないコピー数のフソゲンのレベル
のうちの1つまたは複数を特徴とする。
【0125】
いくつかの実施形態では、提供されるフソソーム組成物または調製物は、4℃を下回る温度において、少なくとも1時間、2時間、3時間、6時間、もしくは12時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、もしくは6日間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、もしくは6ヶ月間、または1年間、2年間、3年間、4年間、もしくは5年間、安定である。いくつかの実施形態では、フソソーム組成物または調製物は、-20℃を下回る温度において、少なくとも1時間、2時間、3時間、6時間、もしくは12時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、もしくは6日間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、もしくは6ヶ月間、または1年間、2年間、3年間、4年間、もしくは5年間、安定である。いくつかの実施形態では、フソソーム組成物または調製物は、-80℃を下回る温度において、少なくとも1時間、2時間、3時間、6時間、もしくは12時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、もしくは6日間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、もしくは6ヶ月間、または1年間、2年間、3年間、4年間、もしくは5年間、安定である。
【0126】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物に当てはまる:
i)供給源細胞が、293細胞以外であること、
ii)供給源細胞が、形質転換も不死化もされていないこと、
iii)供給源細胞が、アデノウイルス媒介不死化以外の方法を使用して、形質転換もしくは不死化されている、例えば、自発的突然変異もしくはテロメラーゼ発現によって不死化されていること、
iv)フソゲンが、VSVG、SNAREタンパク質、または分泌性顆粒タンパク質以外であること、
v)治療剤が、CreまたはGFP、例えば、EGFP以外であること、
vi)治療剤が、例えば、内腔内の核酸(例えば、RNA、例えば、mRNA、miRNA、もしくはsiRNA)もしくは供給源細胞に対して外因性のタンパク質(例えば、抗体、例えば、抗体)であること、または
vii)フソソームが、ミトコンドリアを含まないこと。
【0127】
代替または追加として、いくつかの実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物に当てはまる:
i)供給源細胞が、293細胞もしくはHEK細胞以外であること、
ii)供給源細胞が、形質転換も不死化もされていないこと、
iii)供給源細胞が、アデノウイルス媒介不死化以外の方法を使用して、形質転換もしくは不死化されている、例えば、自発的突然変異もしくはテロメラーゼ発現によって不死化されていること、
iv)フソゲンが、ウイルスフソゲンではないこと、
v)フソソームが、40~150nm以外、例えば、150nmを上回る、200nmを上回る、300nを上回る、400nmを上回る、もしくは500nmを上回る径を有すること、または
vi)フソソームが、例えば、実施例32のアッセイによって測定した場合に、少なくとも約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、もしくは200nmの径を有すること。
【0128】
代替または追加として、いくつかの実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物に当てはまる:
i)膜タンパク質が、供給源細胞によって発現されること、
ii)フソゲンが、TAT、TAT-HA2、HA-2、gp41、アルツハイマー病ベータアミロイドペプチド、センダイウイルスタンパク質、もしくは両親媒性net陰性ペプチド(WAE 11)以外であること、
iii)フソゲンが、哺乳動物フソゲンであること、
iv)フソソームが、酵素、抗体、もしくは抗ウイルスポリペプチドから選択されるポリペプチドを、その内腔に含むこと、
v)フソソームが、治療用膜貫通タンパク質、例えば、供給源細胞に対して外因性である治療用膜貫通タンパク質を含まないこと、または
vi)フソソームが、CD63もGLUT4も含まないこと。
【0129】
代替または追加として、いくつかの実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物に当てはまる:
i)フソゲンが、ウイルスタンパク質以外であること、
ii)フソゲンが、膜融合性タンパク質以外であること、
iii)フソゲンが、ファーティリン-ベータ以外の哺乳動物タンパク質であること、
iv)フソゲンが、VSVG、SNAREタンパク質、もしくは分泌性顆粒タンパク質以外であること、または
v)フソゲンが、TAT、TAT-HA2、HA-2、gp41、アルツハイマー病ベータアミロイドペプチド、センダイウイルスタンパク質、もしくは両親媒性net陰性ペプチド(WAE 11)以外であること。
【0130】
代替または追加として、いくつかの実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物に当てはまる:
i)ウイルスを含まないか、感染性でないか、もしくは宿主細胞において繁殖しないこと、
ii)VLP(ウイルス様粒子)ではないこと、
iii)ウイルス構造タンパク質、例えば、ウイルスキャプシドタンパク質、例えば、ウイルスヌクレオキャプシドタンパク質を含まないか、もしくはウイルスキャプシドタンパク質の量が、例えば、実施例53のアッセイによって、総タンパク質の10%を下回る、5%を下回る、4%を下回る、3%を下回る、2%を下回る、1%を下回る、0.5%を下回る、0.2%を下回る、もしくは0.1%を下回ること、
iv)ウイルスマトリックスタンパク質を含まないこと、
v)ウイルス非構造タンパク質を含まないこと、
vi)小胞1つ当たり、10を下回る、50を下回る、100を下回る、500を下回る、1,000を下回る、2,000を下回る、5,000を下回る、10,000を下回る、20,000を下回る、50,000を下回る、100,000を下回る、200,000を下回る、500,000を下回る、1,000,000を下回る、5,000,000を下回る、10,000,000を下回る、50,000,000を下回る、100,000,000を下回る、500,000,000を下回る、1,000,000,000を下回るコピーのウイルス構造タンパク質を含むこと、または
vii)フソソームがウイロソームではないこと。
【0131】
代替または追加として、いくつかの実施形態では、フソソームにおけるフソゲンのコピー数のウイルス構造タンパク質のコピー数に対する比は、少なくとも1,000,000:1、100,000:1、10,000:1、1,000:1、100:1、50:1 1、20:1、10:1、5:1、または1:1である。いくつかの実施形態では、フソソームにおけるフソゲンのコピー数のウイルスマトリックスタンパク質のコピー数に対する比は、少なくとも1,000,000:1、100,000:1、10,000:1、1,000:1、100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、または1:1である。
【0132】
代替または追加として、いくつかの実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物に当てはまる:
i)フソソームが、水不混和性液滴を含まないこと、
ii)フソソームが、水溶性内腔および親水性外部を含むこと、
iii)フソゲンが、タンパク質フソゲンであること。
【0133】
代替または追加として、いくつかの実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物に当てはまる:
i)フソゲンが、哺乳動物フソゲンもしくはウイルスフソゲンであること、
ii)フソソームが、フソソームに治療用もしくは診断用物質をローディングすることによって作製されたものではないこと、
iii)供給源細胞に、治療用もしくは診断用物質がローディングされていないこと、
iv)フソソームが、ドキソルビシン、デキサメタゾン、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、マイクロRNA、例えば、miR125、VEGF受容体、ICAM-1、E-セレクチン、酸化鉄、蛍光タンパク質、例えば、GFPもしくはRFP、ナノ粒子、もしくはRNaseを含まないか、または供給源細胞に対して外因性である前述のもののいずれかの外因性形態を含まないこと、または
v)フソソームが、1つもしくは複数の翻訳後改変、例えば、グリコシル化を有する、供給源細胞に対して外因性である治療剤をさらに含むこと。
【0134】
代替または追加として、いくつかの実施形態では、フソソームは、単層または多層である。
【0135】
代替または追加として、いくつかの実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、例えば、実施例30のアッセイによって測定した場合に、供給源細胞のものの約0.01%以内、0.05%以内、0.1%以内、0.5%以内、1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、5%以内、10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、90%以内の径を特徴とする。いくつかの実施形態では、例えば、実施例30のアッセイによって測定した場合に、供給源細胞のものの約0.01%を下回る、0.05%を下回る、0.1%を下回る、0.5%を下回る、1%を下回る、2%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、90%を下回る、径。いくつかの実施形態では、例えば、実施例30のアッセイによって測定した場合に、供給源細胞の径の約0.01%~0.05%以内、0.05%~0.1%以内、0.1%~0.5%以内、0.5%~1%以内、1%~2%以内、2%~3%以内、3%~4%以内、4%~5%以内、5%~10%以内、10%~20%以内、20%~30%以内、30%~40%以内、40%~50%以内、50%~60%以内、60%~70%以内、70%~80%以内、または80%~90%以内の径。いくつかの実施形態では、フソソームは、例えば、実施例30のアッセイによって測定した場合に、供給源細胞の径の約0.01%~0.05%を下回る、0.05%~0.1%を下回る、0.1%~0.5%を下回る、0.5%~1%を下回る、1%~2%を下回る、2%~3%を下回る、3%~4%を下回る、4%~5%を下回る、5%~10%を下回る、10%~20%を下回る、20%~30%を下回る、30%~40%を下回る、40%~50%を下回る、50%~60%を下回る、60%~70%を下回る、70%~80%を下回る、または80%~90%を下回る径を有する。いくつかの実施形態では、径は、例えば、実施例32のアッセイによって測定した場合に、少なくとも約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、または250nmである。いくつかの実施形態では、径は、例えば、実施例32のアッセイによって測定した場合に、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、150nm、200nm、または250nm(例えば、±20%)である。いくつかの実施形態では、径は、例えば、実施例32のアッセイによって測定した場合に、少なくとも約500nm、750nm、1,000nm、1,500nm、2,000nm、2,500nm、3,000nm、5,000nm、10,000nm、または20,000nmである。いくつかの実施形態では、径は、例えば、実施例32のアッセイによって測定した場合に、約500nm、750nm、1,000nm、1,500nm、2,000nm、2,500nm、3,000nm、5,000nm、10,000nm、または20,000nm(例えば、±20%)である。いくつかの実施形態では、径は、5μmを上回る、6μmを上回る、7μmを上回る、8μmを上回る、10μmを上回る、20μmを上回る、50μmを上回る、100μmを上回る、150μmを上回る、または200μmを上回る。
【0136】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、供給源細胞の体積の約0.01%~0.05%を下回る、0.05%~0.1%を下回る、0.1%~0.5%を下回る、0.5%~1%を下回る、1%~2%を下回る、2%~3%を下回る、3%~4%を下回る、4%~5%を下回る、5%~10%を下回る、10%~20%を下回る、20%~30%を下回る、30%~40%を下回る、40%~50%を下回る、50%~60%を下回る、60%~70%を下回る、70%~80%を下回る、または80%~90%を下回る体積を有する。
【0137】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、1.08g/mL~1.12g/mL以外の密度を有する。一部の実施形態では、密度は、例えば、実施例33のアッセイによって測定した場合に、1.25g/mL±0.05である。一部の実施形態では、密度は、例えば、実施例33のアッセイによって、1g/mLを下回る、1~1.1g/mL、1.05~1.15g/mL、1.1~1.2g/mL、1.15~1.25g/mL、1.2~1.3g/mL、1.25~1.35g/mL、または1.35g/mLを上回る。
【0138】
いくつかの実施形態では、以下のうちの1つまたは複数が、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物に当てはまる:
i)フソソームが、エクソソームではないこと、
ii)フソソームが、マイクロベシクルであること、
iii)フソソームが、非哺乳動物フソゲンを含むこと、
iv)フソソームが、フソゲンを含むかもしくはそれを組み込むように操作されていること、
v)フソソームが、供給源細胞に対して外因性であるフソゲンもしくは過剰発現されているフソゲンを含むこと、
vi)フソソームが、少なくとも80nm、100nm、200nm、500nm、1000nm、1200nm、1400nm、もしくは1500nmの径を有するか、またはフソソーム集団もしくは複数のフソソームが、少なくとも80nm、100nm、200nm、500nm、1000nm、1200nm、1400nm、もしくは1500nmの平均径を有すること、
vii)フソソームが、1つもしくは複数のオルガネラ、例えば、ミトコンドリア、ゴルジ体、リソソーム、小胞体、液胞、エンドソーム、アクロソーム、オートファゴソーム、中心小体、グリコソーム、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、メラノソーム、マイトソーム、刺胞、ペルオキシソーム、プロテアソーム、小胞、およびストレス顆粒を含むこと、
viii)フソソームが、細胞骨格もしくはその成分、例えば、アクチン、Arp2/3、ホルミン、コロニン、ジストロフィン、ケラチン、ミオシン、もしくはチューブリンを含むこと、
ix)複数のフソソームを含む調製物が、例えば、Thery et al., ”Isolation and characterization of exosomes from cell culture supernatants and biological fluids.” Curr Protoc Cell Biol. 2006 Apr; Chapter 3:Unit 3.22に記載されるように、例えば、スクロース勾配遠心分離アッセイにおいて、1.08~1.22g/mLの浮遊密度を有さないか、または少なくとも1.18~1.25g/mL、もしくは1.05~1.12g/mLの密度を有すること、
x)脂質二重層が、供給源細胞と比較して、セラミドもしくはスフィンゴミエリンまたはこれらの組合せが濃縮されている、または脂質二重層が、供給源細胞と比較して、糖脂質、遊離脂肪酸、もしくはホスファチジルセリン、またはこれらの組合せが濃縮されていない(例えば、それが枯渇されている)こと、
xi)フソソームが、例えば、実施例52のアッセイにおいて測定した場合に、ホスファチジルセリン(PS)もしくはCD40リガンド、またはPSおよびCD40リガンドの両方を含むこと、
xii)フソソームが、供給源細胞と比較して、PSが濃縮されている、例えば、フソソーム集団において、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%が、Kanada M, et al. (2015) Differential fates of biomolecules delivered to target cells via extracellular vesicles. Proc Natl Acad Sci USA 112:E1433-E1442のアッセイによって、PSに関して陽性であること、
xiii)フソソームが、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を実質的に含まないか、または例えば、実施例67のアッセイによって、タンパク質1μg当たり、0.001を下回る、0.002を下回る、0.005を下回る、0.01を下回る、0.02を下回る、0.05を下回る、0.1を下回る、0.2を下回る、0.5を下回る、1を下回る、2を下回る、5を下回る、10を下回る、20を下回る、50を下回る、100を下回る、200を下回る、500を下回る、もしくは1000を下回るAChE活性単位を含むこと、
xiv)フソソームが、テトラスパニンファミリータンパク質(例えば、CD63、CD9、もしくはCD81)、ESCRT関連タンパク質(例えば、TSG101、CHMP4A-B、もしくはVPS4B)、Alix、TSG101、MHCI、MHCII、GP96、アクチニン-4、ミトフィリン、シンテニン-1、TSG101、ADAM10、EHD4、シンテニン-1、TSG101、EHD1、フロチリン-1、熱ショック70kDaタンパク質(HSC70/HSP73、HSP70/HSP72)、もしくはこれらの任意の組合せを実質的に含まないか、または例えば、実施例44のアッセイによって、0.05%を下回る、0.1%を下回る、0.5%を下回る、1%を下回る、2%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、5%を下回る、もしくは10%を下回る任意の個々のエクソソームマーカータンパク質、および/または0.05%を下回る、0.1%を下回る、0.5%を下回る、1%を下回る、2%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、15%を下回る、20%を下回る、もしくは25%を下回る、前記タンパク質のうちのいずれかの総エクソソームマーカータンパク質を含むか、または供給源細胞と比較してこれらのタンパク質のうちのいずれか1つもしくは複数が脱濃縮されているか、またはこれらのタンパク質のうちのいずれか1つもしくは複数が濃縮されていないこと、
xv)フソソームが、例えば、実施例45のアッセイを使用して、総タンパク質1μg当たり500ngを下回る、250ngを下回る、100ngを下回る、50ngを下回る、20ngを下回る、10ngを下回る、5ngを下回る、もしくは1ngを下回るグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)であるか、または供給源細胞におけるGAPDHのレベルを下回る、例えば、供給源細胞におけるng/μg単位での総タンパク質当たりのGAPDHのレベルよりも、1%を下回って、2.5%を下回って、5%を下回って、10%を下回って、15%を下回って、20%を下回って、30%を下回って、40%を下回って、50%を下回って、60%を下回って、70%を下回って、80%を下回って、もしくは90%を下回って低い、GAPDHのレベルを含むこと、
xvi)フソソームが、1つもしくは複数の小胞体タンパク質(例えば、カルネキシン)、1つもしくは複数のプロテアソームタンパク質、または1つもしくは複数のミトコンドリアタンパク質、またはこれらの任意の組合せが濃縮されており、例えば、カルネキシンの量が、総タンパク質1μg当たり500ngを下回る、250ngを下回る、100ngを下回る、50ngを下回る、20ngを下回る、10ngを下回る、5ngを下回る、もしくは1ngを下回るカルネキシンであるか、またはフソソームが、例えば、実施例46のアッセイを使用して、供給源細胞と比較して、1%、2.5%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%少ない、ng/μg単位での総タンパク質当たりのカルネキシンを含むこと、
xvii)フソソームが、例えば、実施例39もしくは40のアッセイを使用して測定した場合に、供給源細胞に対して外因性である薬剤(例えば、タンパク質、mRNA、もしくはsiRNA)を含むこと、または
xviii)フソソームが、例えば、Kanada M, et al. (2015) Differential fates of biomolecules delivered to target cells via extracellular vesicles. Proc Natl Acad Sci USA 112:E1433-E1442のアッセイによって、少なくとも30分間、原子間力顕微鏡法によりマイカ表面上に固定化することができること。
【0139】
いくつかの実施形態では、以下:
i)フソソームが、エクソソームである、
ii)フソソームが、マイクロベシクルではない、
iii)フソソームが、80nmを下回る、100nmを下回る、200nmを下回る、500nmを下回る、1000nmを下回る、1200nmを下回る、1400nmを下回る、もしくは1500nmを下回る径を有するか、またはフソソーム集団が、少なくとも80nm、100nm、200nm、500nm、1000nm、1200nm、1400nm、もしくは1500nmの平均径を有する、
iv)フソソームが、オルガネラを含まない、
v)フソソームが、細胞骨格もしくはその成分、例えば、アクチン、Arp2/3、ホルミン、コロニン、ジストロフィン、ケラチン、ミオシン、もしくはチューブリンを含まない、
vi)複数のフソソームを含む調製物が、例えば、Thery et al., ”Isolation and characterization of exosomes from cell culture supernatants and biological fluids.” Curr Protoc Cell Biol. 2006 Apr; Chapter 3:Unit 3.22に記載されるように、例えば、スクロース勾配遠心分離アッセイにおいて、1.08~1.22g/mLの浮遊密度を有する、
vii)脂質二重層が、供給源細胞と比較して、セラミドもしくはスフィンゴミエリンまたはこれらの組合せが濃縮されていない(例えば、それが枯渇されている)か、または脂質二重層が、供給源細胞と比較して、糖脂質、遊離脂肪酸、もしくはホスファチジルセリン、またはこれらの組合せが濃縮されている、
viii)フソソームが、例えば、実施例52のアッセイにおいて測定した場合に、供給源細胞と比べて、ホスファチジルセリン(PS)もしくはCD40リガンド、またはPSおよびCD40リガンドの両方を含まないか、またはそれが枯渇されている、
ix)フソソームが、供給源細胞と比較して、PSが濃縮されていない(例えば、それが枯渇されている)、例えば、フソソーム集団において、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、もしくは90%を下回るものが、Kanada M, et al. (2015) Differential fates of biomolecules delivered to target cells via extracellular vesicles. Proc Natl Acad Sci USA 112:E1433-E1442のアッセイによって、PSに関して陽性である、
x)フソソームが、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)を、例えば、実施例67のアッセイによって、例えば、タンパク質1μg当たり、少なくとも0.001、0.002、0.005、0.01、0.02、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、5、10、20、50、100、200、500、もしくは1000AChE活性単位で含む、
xi)フソソームが、テトラスパニンファミリータンパク質(例えば、CD63、CD9、もしくはCD81)、ESCRT関連タンパク質(例えば、TSG101、CHMP4A-B、もしくはVPS4B)、Alix、TSG101、MHCI、MHCII、GP96、アクチニン-4、ミトフィリン、シンテニン-1、TSG101、ADAM10、EHD4、シンテニン-1、TSG101、EHD1、フロチリン-1、熱ショック70kDaタンパク質(HSC70/HSP73、HSP70/HSP72)、もしくはこれらの任意の組合せを含み、例を上げると、例えば実施例44のアッセイによって、0.05%を上回る、0.1%を上回る、0.5%を上回る、1%を上回る、2%を上回る、3%を上回る、4%を上回る、5%を上回る、5%を上回る、もしくは10%を上回る任意の個々のエクソソームマーカータンパク質、および/または0.05%を下回る、0.1%を下回る、0.5%を下回る、1%を下回る、2%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、15%を下回る、20%を下回る、もしくは25%を下回る、前記タンパク質のうちのいずれかの総エクソソームマーカータンパク質を含むか、または供給源細胞と比較してこれらのタンパク質のうちのいずれか1つもしくは複数が濃縮されている、
xii)フソソームが、例えば、実施例45のアッセイを使用して、総タンパク質1μg当たり500ngを上回る、250ngを上回る、100ngを上回る、50ngを上回る、20ngを上回る、10ngを上回る、5ngを上回る、もしくは1ngを上回るグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)であるか、または供給源細胞におけるGAPDHのレベルを下回る、例えば、供給源細胞におけるng/μg単位での総タンパク質当たりのGAPDHのレベルよりも、少なくとも1%、2.5%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%高い、GAPDHのレベルを含む、
xiii)フソソームが、1つもしくは複数の小胞体タンパク質(例えば、カルネキシン)、1つもしくは複数のプロテアソームタンパク質、または1つもしくは複数のミトコンドリアタンパク質、またはこれらの任意の組合せが濃縮されておらず(例えば、それが枯渇されており)、例えば、カルネキシンの量が、総タンパク質1μg当たり500ngを下回る、250ngを下回る、100ngを下回る、50ngを下回る、20ngを下回る、10ngを下回る、5ngを下回る、もしくは1ngを下回るカルネキシンであるか、またはフソソームが、例えば、実施例46のアッセイを使用して、供給源細胞と比較して、1%、2.5%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%少ない、ng/μg単位での総タンパク質当たりのカルネキシンを含む、または
xiv)フソソームが、例えば、Kanada M, et al. (2015) Differential fates of biomolecules delivered to target cells via extracellular vesicles. Proc Natl Acad Sci USA 112:E1433-E1442のアッセイによって、少なくとも30分間、原子間力顕微鏡法によりマイカ表面上に固定化することができない
のうちの1つまたは複数である。
【0140】
いくつかの実施形態では、以下:
i)フソソームが、VLPを含まない、
ii)フソソームが、ウイルスを含まない、
iii)フソソームが、複製能力のあるウイルスを含まない、
iv)フソソームが、ウイルスタンパク質、例えば、ウイルス構造タンパク質、例えば、キャプシドタンパク質もしくはウイルスマトリックスタンパク質を含まない、
v)フソソームが、エンベロープウイルス由来のキャプシドタンパク質を含まない、
vi)フソソームが、ヌクレオキャプシドタンパク質を含まない、または
vii)フソゲンが、ウイルスフソゲンではない
のうちの1つまたは複数である。
【0141】
いくつかの実施形態では、フソソームは、サイトゾルを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、フソソームは、細胞生物製剤を含むかまたはそれに含まれる。
【0143】
いくつかの実施形態では、フソソームは、除核細胞を含むかまたはそれに含まれる。
【0144】
いくつかの実施形態では、フソソームは、コンドリソームであるかまたはそれを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、以下:
i)フソソームもしくは供給源細胞が、例えば、実施例102のアッセイによって、対象に埋め込まれた場合に、奇形腫を形成しない、
ii)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、実施例58のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、マクロファージと比較して、例えば、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%の速度で、走化性が可能である、
iii)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、例えば、傷害の部位に、ホーミングすることができ、細胞生物製剤が、例えば、実施例59のアッセイを使用して、ヒト細胞に由来し、例えば、供給源細胞が、好中球である、または
iv)フソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物が、ファゴサイトーシスが可能であり、例えば、フソソームによるファゴサイトーシスが、実施例60のアッセイを使用して、0.5時間以内、1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、もしくは6時間以内に検出可能であり、例えば、供給源細胞が、マクロファージである
のうちの1つまたは複数である。
【0146】
いくつかの実施形態では、フソソームまたはフソソーム組成物は、対象、例えば、ヒト対象に投与した後、特徴のうちのいずれかのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれよりも多くを、5日間またはそれよりも短い間、例えば、4日間またはそれよりも短い間、3日間またはそれよりも短い間、2日間またはそれよりも短い間、1日間またはそれよりも短い間、例えば、約12~72時間、保持する。
【0147】
いくつかの実施形態では、フソソームは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する:
a)供給源細胞に由来する1つもしくは複数の内因性タンパク質、例えば、膜タンパク質もしくは細胞質タンパク質を含むこと、
b)少なくとも10個、20個、50個、100個、200個、500個、1000個、2000個、もしくは5000個の異なるタンパク質を含むこと、
c)少なくとも1つ、2つ、5つ、10個、20個、50個、もしくは100個の異なる糖タンパク質を含むこと、
d)フソソーム中、少なくとも10質量%、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、もしくは90質量%のタンパク質が、天然に存在するタンパク質であること、
e)少なくとも10個、20個、50個、100個、200個、500個、1000個、2000個、もしくは5000個の異なるRNAを含むこと、または
f)例えば、CL、Cer、DAG、HexCer、LPA、LPC、LPE、LPG、LPI、LPS、PA、PC、PE、PG、PI、PS、CE、SM、およびTAGから選択される少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、10個、もしくは20個の異なる脂質を含むこと。
【0148】
いくつかの実施形態では、フソソームは、以下の特性のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれよりも多くを有するように操作されているか、またはフソソームは天然に存在する細胞ではなく、かつ以下の特性のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれよりも多くを有するか、または核は、以下の特性のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれよりも多くを天然に有さない:
a)部分的な核不活性化により、核機能に、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれを上回る低減、例えば、転写もしくはDNA複製またはその両方の低減がもたらされ、例えば、転写は、実施例19のアッセイによって測定され、DNA複製は、実施例20のアッセイによって測定されること、
b)フソソームが、転写が可能ではないか、または例えば、実施例19のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞の転写活性のものの1%を下回る、2.5%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、もしくは90%を下回る転写活性を有すること、
c)フソソームが、核DNA複製が可能ではないか、または例えば、実施例20のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞の核DNA複製の1%を下回る、2.5%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、もしくは90%を下回る核DNA複製を有すること、
d)フソソームが、クロマチンが欠如しているか、または例えば、実施例37のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞のクロマチン含量の1%を下回る、2.5%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、もしくは90%を下回るクロマチン含量を有すること、
e)フソソームが、核膜が欠如しているか、または例えば、実施例36のアッセイによって、参照細胞、例えば、供給源細胞もしくはJurkat細胞の50%を下回る、40%を下回る、30%を下回る、20%を下回る、10%を下回る、5%を下回る、4%を下回る、3%を下回る、2%を下回る、もしくは1%を下回る量の核膜を有すること、
f)フソソームが、機能性核膜孔複合体が欠如しているか、または実施例36のアッセイによって、例えば、少なくとも50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%低減された、核内外輸送活性を有するか、またはフソソームが、核膜孔タンパク質のうちの1つもしくは複数、例えば、NUP98もしくはインポーチン7が欠如していること、
g)フソソームが、ヒストンを含まないか、または例えば、実施例37のアッセイによって、供給源細胞のヒストンレベル(例えば、H1、H2a、H2b、H3、もしくはH4)の1%を下回る、2%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、もしくは90%を下回るヒストンレベルを有すること、
h)フソソームが、20個を下回る、10個を下回る、5つを下回る、4つを下回る、3つを下回る、2つを下回る、もしくは1つを下回る染色体を含むこと、
i)核機能が、排除されていること、
j)フソソームが、除核哺乳動物細胞であること、
k)核が、除去もしくは不活性化されており、例えば、機械力、放射線、もしくは化学的アブレーションによって押し出されていること、または
l)フソソームが、例えば、中間期もしくは有糸分裂中に、完全にもしくは部分的に除去されるDNAを有する哺乳動物細胞に由来すること。
【0149】
いくつかの実施形態では、フソソームは、mtDNAまたはベクターDNAを含む。いくつかの実施形態では、フソソームは、DNAを含まないか、またはDNAを実質的に含まない。一部の実施形態では、フソソームは、機能性核を含まない。一部の実施形態では、フソソームは、核を含まない。一部の実施形態では、フソソームは、核DNAを実質的に含まない。
【0150】
いくつかの実施形態では、フソソームは、以下のオルガネラのうちの1つもしくは複数を実質的に含まない:ミトコンドリア、ゴルジ体、リソソーム、小胞体、液胞、エンドソーム、アクロソーム、オートファゴソーム、中心小体、グリコソーム、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、メラノソーム、マイトソーム、刺胞、ペルオキシソーム、プロテアソーム、小胞、およびストレス顆粒。いくつかの実施形態では、フソソームは、供給源細胞と比較して、少ない数のオルガネラを有し、ここで、オルガネラは、ミトコンドリア、ゴルジ体、リソソーム、小胞体、液胞、エンドソーム、アクロソーム、オートファゴソーム、中心小体、グリコソーム、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、メラノソーム、マイトソーム、刺胞、ペルオキシソーム、プロテアソーム、小胞、およびストレス顆粒から選択される。
【0151】
いくつかの実施形態では、供給源細胞は、初代細胞、不死化細胞、または細胞系(例えば、骨髄芽球細胞系、例えば、C2C12)である。いくつかの実施形態では、フソソームは、改変されたゲノムを有する、例えば、低減された免疫原性を有する(例えば、例として、MHCタンパク質、例えば、MHC複合体を除去するようにゲノム編集することによって)供給源細胞に由来する。いくつかの実施形態では、供給源細胞は、免疫抑制剤で処置した細胞培養物に由来する。いくつかの実施形態では、供給源細胞は、例えば、本明細書に記載されるアッセイを使用して、実質的に非免疫原性である。いくつかの実施形態では、供給源細胞は、外因性薬剤、例えば、治療剤を含む。いくつかの実施形態では、供給源細胞は、組換え細胞である。
【0152】
一部の実施形態では、供給源細胞は、抗炎症性シグナルで処置した細胞培養物に由来する。一部の実施形態では、本明細書に記載される作製方法は、例えば、核を不活性化する前または後、例えば、細胞を除核する前または後に、供給源細胞を、抗炎症性シグナルと接触させるステップをさらに含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、フソソームは、供給源細胞に対して外因性である薬剤、例えば、治療用膜タンパク質ペイロード剤、例えば、タンパク質または核酸(例えば、DNA、染色体(例えば、ヒト人工染色体)、RNA、例えば、mRNAもしくはmiRNA)をさらに含む。いくつかの実施形態では、外因性薬剤は、少なくとも、10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピー、またはそれを上回らずに存在する。いくつかの実施形態では、フソソームは、例えば、siRNAまたは遺伝子編集酵素による供給源細胞、例えば、哺乳動物供給源細胞の処置に起因して、1つまたは複数の内因性分子、例えば、タンパク質または核酸(例えば、一部の実施形態では、供給源細胞に対して内因性であり、一部の実施形態では、標的細胞に対して内因性である)のレベルの変更、例えば、増加または減少を有する。いくつかの実施形態では、内因性分子は、少なくとも10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000、100,000,000、500,000,000、または1,000,000,000コピー、またはそれを上回らずに存在する。いくつかの実施形態では、内因性分子(例えば、RNAまたはタンパク質)は、供給源細胞におけるその濃度よりも少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、500、103、5.0×103、104、5.0×104、105、5.0×105、106、5.0×106、1.0×107、5.0×107、または1.0×108高い濃度で存在する。いくつかの実施形態では、内因性分子(例えば、RNAまたはタンパク質)は、供給源細胞におけるその濃度よりも少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、500、103、5.0×103、104、5.0×104、105、5.0×105、106、5.0×106、1.0×107、5.0×107、または1.0×108低い濃度で存在する。
【0154】
いくつかの実施形態では、フソゲンは、ウイルスフソゲン、例えば、HA、HIV-1 ENV、gp120、またはVSV-Gである。いくつかの実施形態では、フソゲンは、哺乳動物フソゲン、例えば、SNARE、シンシチン(Syncytin)、ミオメーカー(myomaker)、ミオミキサー(myomixer)、ミオマージャー(myomerger)、またはFGFRL1である。いくつかの実施形態では、フソゲンは、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、または9~10のpHにおいて活性である。いくつかの実施形態では、フソゲンは、6~8のpHにおいて活性である。いくつかの実施形態では、フソゲンは、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、または9~10のpHにおいて活性ではない。いくつかの実施形態では、フソソームは、標的細胞の表面において、標的細胞に融合する。いくつかの実施形態では、フソゲンは、リソソーム非依存的様式で、融合を促進する。いくつかの実施形態では、フソゲンは、タンパク質フソゲンである。いくつかの実施形態では、フソゲンは、脂質フソゲン、例えば、オレイン酸、モノオレイン酸グリセロール、グリセリド、ジアシルグリセロール、または改変された不飽和脂肪酸である。いくつかの実施形態では、フソゲンは、化学物質フソゲン、例えば、PEGである。いくつかの実施形態では、フソゲンは、小分子フソゲン、例えば、ハロタン、NSAID、例えば、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、およびクロルプロマジンである。いくつかの実施形態では、フソゲンは、組換えである。いくつかの実施形態では、フソゲンは、生物化学的に組み込まれ、例えば、フソゲンは、精製されたタンパク質として提供され、フソゲンと脂質二重層との会合を可能にする条件下において、脂質二重層と接触される。いくつかの実施形態では、フソゲンは、フソゲンが脂質二重層と会合するのを可能にする条件下において、供給源細胞に生物合成的に組み込まれ、例えば、発現される。
【0155】
いくつかの実施形態では、フソソームは、標的細胞に結合する。いくつかの実施形態では、標的細胞は、HeLa細胞以外であるか、または標的細胞は、形質転換も不死化もされていない。例えば、一部の実施形態では、形質転換されていない細胞は、接触の阻害を呈し、かつ/またはその成長は、同じ種類の正常な細胞と同じ生存因子もしくは増殖因子に依存する。一部の実施形態では、標的細胞は、形質転換または不死化されている。
【0156】
フソソーム組成物または調製物が関与する一部の実施形態では、複数のフソソームは、同じである。一部の実施形態では、複数のフソソームは、異なる。一部の実施形態では、複数のフソソームは、1つ、2つ、またはそれを上回る種類の供給源細胞に由来する。一部の実施形態では、複数のフソソームは、フソソーム組成物中のフソソームのうちの少なくとも0.01%~0.05%、0.05%~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1%、1%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、または80%~90%が、以下から選択される少なくとも1つの特性を共有する場合、同じである:同じフソゲンを含むこと、同じ種類の供給源細胞を使用して産生されたこと、または同じ膜タンパク質ペイロード剤を含むこと。一部の実施形態では、複数のフソソーム中のフソソームのうちの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%は、フソソーム組成物または調製物中のフソソームの平均径の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内の径を有する。一部の実施形態では、複数のフソソーム中のフソソームのうちの少なくとも50%は、フソソーム組成物中のフソソームの平均径の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内の径を有する。一部の実施形態では、複数のフソソームは、少なくとも約50nm、約80nm、約100nm、約200nm、約500nm、約1000nm、約1200nm、約1400nm、または約1500nmの平均径を有する。一部の実施形態では、複数のフソソームは、約10nm~約100μmの範囲内の径を有するフソソームを含む。一部の実施形態では、複数のフソソームは、約20nm~約200nm、約50nm~約200nm、約50nm~約100nm、約50nm~約150nm、または約100nm~約150nmの範囲内のサイズを有するフソソームを含む。一部の実施形態では、複数のフソソーム中のフソソームのうちの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%は、フソソーム組成物または調製物中のフソソームの平均体積の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内の体積を有する。一部の実施形態では、複数のフソソーム中のフソソームのうちの少なくとも50%は、フソソーム組成物中のフソソームの平均体積の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内の体積を有する。一部の実施形態では、複数のフソソームは、約500nm3~約0.0006mm3、または約4,000nm3~約0.005μm3、約65,000nm3~約0.005μm3、約65,000nm3~約0.0006μm3、約65,000nm3~約0.002μm3、もしくは約0.0006μm3~約0.002μm3の範囲内の体積を有するフソソームを含む。一部の実施形態では、フソソーム組成物または調製物は、例えば、実施例31に基づいて、約90%を下回る、80%を下回る、70%を下回る、60%を下回る、50%を下回る、40%を下回る、30%を下回る、20%を下回る、10%を下回る、5%を下回る、供給源細胞集団の径分布変動性の10%以内、50%以内、または90%以内の径分布変動性を有する。一部の実施形態では、複数のフソソーム中のフソソームのうちの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%は、フソソーム組成物または調製物中のフソソームにおける平均フソゲンコピー数の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、または90%以内のフソゲンのコピー数を有する。一部の実施形態では、複数のフソソーム中のフソソームのうちの少なくとも50%は、フソソーム組成物中のフソソームにおける平均フソゲンコピー数の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内のフソゲンのコピー数を有する。一部の実施形態では、複数のフソソーム中のフソソームのうちの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%は、フソソーム組成物または調製物中のフソソームにおける平均治療剤コピー数の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、50%以内、60%以内、70%以内、80%以内、または90%以内の治療剤のコピー数を有する。一部の実施形態では、複数のフソソーム中のフソソームうちの少なくとも50%は、フソソーム組成物中のフソソームにおける平均タンパク質膜ペイロードコピー数の10%以内、20%以内、30%以内、40%以内、または50%以内の膜タンパク質ペイロードのコピー数を有する。一部の実施形態では、フソソーム組成物または調製物は、少なくとも105個、106個、107個、108個、109個、または1010個、またはフソソームを含む。一部の実施形態では、フソソーム組成物または調製物は、少なくとも1μL、2μL、5μL、10μL、20μL、50μL、100μL、200μL、500μL、1mL、2mL、5mL、または10mLの体積中にある。
【0157】
一部の実施形態では、複数のフソソームは、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する、少なくとも0.01%~0.05%、0.05%~0.1%、0.1%~0.5%、0.5%~1%、1%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、5%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、または80%~90%のフソソームを含む:
(i)核もしくは機能性核を含まないこと、
(ii)核DNAを実質的に含まないこと、または
(iii)ミトコンドリアもしくは機能性ミトコンドリアを含まないこと。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する:
a)医薬組成物が、医薬品もしくは適正製造基準(GMP)の基準を満たしていること、
b)医薬組成物が、適正製造基準(GMP)に従って作製されたこと、
c)医薬組成物が、所定の参照値を下回る病原体レベルを有し、例えば、病原体を実質的に含まないこと、
d)医薬組成物が、所定の参照値を下回る混入物質レベル(例えば、核DNA)を有し、例えば、混入物質を実質的に含まないこと、または
e)医薬組成物が、例えば、本明細書に記載されるように、低い免疫原性を有すること。
【0159】
いくつかの実施形態では、生物学的機能は、
a)酵素をモジュレート、例えば、阻害もしくは刺激すること、
b)例えば、因子の合成を阻害もしくは刺激することまたはその分解を阻害もしくは刺激することによって、対象における分子(例えば、タンパク質、核酸、もしくは代謝産物、薬物、もしくは毒素)のレベルをモジュレート、例えば、増加もしくは減少させること、
c)標的細胞もしくは組織の生存性をモジュレート、例えば、増加もしくは減少させること、または
d)タンパク質の状態をモジュレート、例えば、タンパク質のリン酸化を増加もしくは減少させること、またはタンパク質の立体構造をモジュレートすること、
e)傷害の治癒を促進すること、
f)2つの細胞間の相互作用をモジュレート、例えば、増加もしくは減少させること、
g)細胞分化をモジュレート、例えば、促進もしくは阻害すること、
h)対象における因子(例えば、タンパク質、核酸、代謝産物、薬物、もしくは毒素)の分布を変更すること、
i)免疫応答をモジュレート、例えば、増加もしくは減少させること、または
j)標的組織への細胞の動員をモジュレート、例えば、増加もしくは減少させること
から選択される。
【0160】
本明細書における治療方法の一部の実施形態では、複数のフソソームは、局所作用を有する。一部の実施形態では、複数のフソソームは、遠位作用を有する。一部の実施形態では、複数のフソソームは、全身作用を有する。
【0161】
一部の実施形態では、対象は、がん、炎症性障害、自己免疫疾患、慢性疾患、炎症、臓器機能の損傷、感染性疾患、代謝疾患、変性障害、遺伝性疾患(例えば、遺伝子欠損もしくは優性遺伝子障害)、または傷害を有する。一部の実施形態では、対象は、感染性疾患を有し、フソソームは、感染性疾患の抗原を含む。一部の実施形態では、対象は、遺伝子欠損を有し、フソソームは、対象が欠損しているタンパク質、またはそのタンパク質をコードする核酸(例えば、DNA、gDNA、cDNA、RNA、pre-mRNA、mRNAなど)、またはそのタンパク質をコードするDNA、またはそのタンパク質をコードする染色体、またはそのタンパク質をコードする核酸を含む核を含む。一部の実施形態では、対象は、優性遺伝子障害を有し、フソソームは、優性変異型アレルの核酸阻害剤(例えば、siRNAまたはmiRNA)を含む。一部の実施形態では、対象は、優性遺伝子障害を有し、フソソームは、優性変異型アレルの核酸阻害剤(例えば、siRNAまたはmiRNA)を含み、フソソームはまた、核酸阻害剤によって標的とされない変異型遺伝子の非変異型アレルをコードするmRNAを含む。一部の実施形態では、対象は、ワクチン接種を必要とする。一部の実施形態では、対象は、例えば、傷害を受けた部位の再生を必要とする。
【0162】
一部の実施形態では、フソソームは、1つまたは複数のシグナル配列をコードする1つまたは複数の配列をさらに含む核酸を含み、例えば、ここで、標的細胞は、シグナル配列を含むタンパク質を、標的細胞の細胞膜へと転位させる。
【0163】
一部の実施形態では、フソソーム組成物または調製物は、少なくとも1回、2回、3回、4回、または5回、対象に投与される。
【0164】
一部の実施形態では、フソソーム組成物または調製物は、全身的に(例えば、経口、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内)、または局所的に、対象に投与される。一部の実施形態では、フソソーム組成物または調製物は、フソソーム組成物または調製物が、肝臓、肺、心臓、脾臓、膵臓、消化管、腎臓、精巣、卵巣、脳、生殖器、中枢神経系、末梢神経系、骨格筋、内皮、内耳、または眼から選択される標的組織に到達するように、対象に投与される。一部の実施形態(例えば、対象が自己免疫疾患を有する)では、フソソーム組成物または調製物は、免疫抑制剤、例えば、グルココルチコイド、細胞増殖抑制剤、抗体、またはイムノフィリンモジュレーターと共投与される。一部の実施形態(例えば、対象ががんまたは感染性疾患を有する)では、フソソーム組成物または調製物は、免疫刺激剤、例えば、アジュバント、インターロイキン、サイトカイン、またはケモカインと共投与される。一部の実施形態では、フソソーム組成物または調製物の投与は、対象の標的細胞における遺伝子の上方調節または下方調節をもたらし、例えば、ここで、フソソームは、転写活性化因子もしくは転写抑制因子、翻訳活性化因子もしくは翻訳抑制因子、またはエピジェネティック活性化因子もしくはエピジェネティック抑制因子を含む。
【0165】
本明細書における作製方法の一部の実施形態では、フソゲンを発現する供給源細胞を得るステップは、供給源細胞において外因性フソゲンを発現させるステップ、または供給源細胞において内因性フソゲンの発現を上方調節するステップを含む。一部の実施形態では、方法は、供給源細胞の核を不活性化するステップを含む。
【0166】
一部の実施形態では、複数のフソソームのうちの少なくとも1つのフソソームは、供給源細胞に由来する。
【0167】
一部の実施形態では、フソソームは、4℃を下回る、0℃を下回る、-4℃を下回る、-10℃を下回る、-12℃を下回る、-16℃を下回る、-20℃を下回る、-80℃を下回る、または-160℃を下回る温度にある。
【0168】
いくつかの実施形態では、フソソーム調製物は、少なくとも約103個、104個、105個、106個、107個、108個、109個、1010個、1011個、1012個、1013個、1014個、または1015個のフソソームを含む。いくつかの実施形態では、フソソーム調製物は、少なくとも10mL、20mL、50mL、100mL、200mL、500mL、1L、2L、5L、10L、20L、または50Lの体積を含む。いくつかの実施形態では、方法は、供給源細胞、例えば、哺乳動物細胞を、例えば、化学的除核、機械力の使用、例えば、フィルターもしくは遠心分離の使用、細胞骨格の少なくとも部分的な破壊、またはこれらの組合せによって、除核するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、供給源細胞においてフソゲンまたは他の膜タンパク質を発現させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、小胞形成、低浸透圧処置、押出、または遠心分離のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、方法は、供給源細胞において外因性薬剤を遺伝子的に発現させるステップまたは供給源細胞もしくはフソソームに外因性薬剤をローディングするステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、核を不活性化する前、例えば、細胞を除核する前に、供給源細胞を、ポリペプチド剤をコードするDNAと接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、核を不活性化する前または後、例えば、細胞を除核する前または後に、供給源細胞を、ポリペプチド剤をコードするRNAと接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、治療剤(例えば、核酸またはタンパク質、例えば、膜タンパク質ペイロード剤)を、例えば、エレクトロポレーションによって、フソソームに導入するステップを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、フソソームは、例えば、免疫原性を低減するように改変されたゲノムを有する(例えば、例として、MHCタンパク質を除去するようにゲノム編集することによって)哺乳動物細胞に由来する。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、核を不活性化する前または後、例えば、細胞を除核する前または後に、ステップa)の供給源細胞を、免疫抑制剤と接触させるステップをさらに含む。
【0170】
一部の実施形態では、検出可能なレベル、例えば、参照値を上回る値が判定された場合、複数のフソソームまたはフソソーム組成物もしくは調製物を含有する試料は、破棄される。
【0171】
一部の実施形態では、第1のフソゲンは、リポペプチドではない。
【0172】
一部の実施形態では、提供されるフソソームおよび/またはその組成物もしくは調製物は、部分的または完全な核不活性化(例えば、核の除去)を有する。
【0173】
一部の実施形態では、供給源細胞は、付着または懸濁液条件下において成長させた細胞である。一部の実施形態では、供給源細胞は、初代細胞、培養細胞、不死化細胞、または細胞系(例えば、骨髄芽球細胞系、例えば、C2C12)である。一部の実施形態では、供給源細胞は、同種であり、例えば、標的細胞と同じ種の異なる生物から得られる。一部の実施形態では、供給源細胞は、自家であり、例えば、標的細胞と同じ生物から得られる。一部の実施形態では、供給源細胞は、異種であり、例えば、標的細胞とは異なる種の生物から得られる。
【0174】
一部の実施形態では、フソソームは、循環中のスカベンジャー系もしくは肝臓洞のクッパー細胞によって捕捉されない。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例76のアッセイによって、対象における細網内皮系(RES)によって捕捉されない。一部の実施形態では、複数のフソソームは、対象に投与されると、複数のフソソームのうちの1%を下回る、2%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、90%を下回るものが、例えば、実施例76のアッセイによって、24時間後に、RESによって捕捉されない。一部の実施形態では、複数のフソソームは、対象に投与されると、複数のフソソームのうちの1%を下回る、2%を下回る、3%を下回る、4%を下回る、5%を下回る、10%を下回る、20%を下回る、30%を下回る、40%を下回る、50%を下回る、60%を下回る、70%を下回る、80%を下回る、90%を下回るものが、例えば、実施例76のアッセイによって、24時間後に、RESによって捕捉されない。
【0175】
一部の実施形態では、フソソームは、ウイルス構造タンパク質および/またはウイルスマトリックスタンパク質を含む。
【0176】
一部の実施形態では、フソソームは、以下のオルガネラのうちの1つまたは複数を実質的に含まないか、または例えば、供給源細胞と比較して、少ない数のそれらを有する:ミトコンドリア、ゴルジ体、リソソーム、小胞体、液胞、エンドソーム、アクロソーム、オートファゴソーム、中心小体、グリコソーム、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、メラノソーム、マイトソーム、刺胞、ペルオキシソーム、プロテアソーム、小胞、およびストレス顆粒。
【0177】
一部の実施形態では、フソソームは、Creも、GFP、例えば、EGFPも含まない。
【0178】
一部の実施形態では、フソソーム組成物または医薬組成物は、所定の温度で、少なくとも1時間、2時間、3時間、6時間、もしくは12時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、もしくは6日間、1週間、2週間、3週間、もしくは4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、もしくは6ヶ月間、または1年間、2年間、3年間、4年間、もしくは5年間、維持されている。一部の実施形態では、所定の温度は、約4℃、0℃、-4℃、-10℃、-12℃、-16℃、-20℃、-80℃、または-160℃から選択される。
【0179】
一部の実施形態では、フソソーム組成物または医薬組成物は、例えば、以下のうちの1つまたは複数により、前記温度での維持の前の複数のフソソームの活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の活性を有する:
i)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、例えば、少なくとも少なくとも10%高い割合で、標的細胞と融合すること、
ii)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、他のフソソームとよりも、少なくとも50%高い割合で、標的細胞と融合すること、
iii)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の薬剤が24時間後に、標的細胞の少なくとも10%に送達されるような割合で、標的細胞と融合すること、または
iv)フソゲンが、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、前記温度での維持の前に、複数のフソソームのフソゲンコピー数の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは99%のコピー数で存在すること。
【0180】
一部の実施形態では、フソソーム組成物または医薬組成物は、例えば、以下のうちの1つまたは複数により、前記温度で前記期間にわたる保管の前の複数のフソソームの活性の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%の活性を有する場合、安定と考えられる:
i)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、例えば、少なくとも少なくとも10%高い割合で、標的細胞と融合すること、
ii)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、他のフソソームとよりも、例えば、少なくとも50%高い割合で、標的細胞と融合すること、
iii)フソソームが、例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の薬剤が24時間後に、標的細胞の少なくとも10%に送達されるような割合で、標的細胞と融合すること、または
iv)フソゲンが、例えば、実施例29のアッセイによって測定した場合に、前記温度での維持の前に、複数のフソソームのフソゲンコピー数の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、もしくは99%のコピー数で存在すること。
【0181】
一部の実施形態では、疾患または障害は、がん、自己免疫障害、または感染性疾患から選択される。一部の実施形態では、対象は、がんを有する。一部の実施形態では、フソソームは、ネオ抗原を含む。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、少なくとも1回、2回、3回、4回、または5回、対象に投与される。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、全身的に(例えば、経口、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内)、または局所的に、対象に投与される。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、フソソーム組成物が、肝臓、肺、心臓、脾臓、膵臓、消化管、腎臓、精巣、卵巣、脳、生殖器、中枢神経系、末梢神経系、骨格筋、内皮、内耳、または眼から選択される標的組織に到達するように、対象に投与される。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、免疫抑制剤、例えば、グルココルチコイド、細胞増殖抑制剤、抗体、またはイムノフィリンモジュレーターと共投与される。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、免疫刺激剤、例えば、アジュバント、インターロイキン、サイトカイン、またはケモカインと共投与される。
【0182】
一部の実施形態では、複数のフソソームは、局所、遠位、または全身作用を有する。
【0183】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法のうちのいずれかは、がんの進行、腫瘍退縮、腫瘍体積、新生物細胞数の減少、融合細胞の数、膜タンパク質ペイロード剤を含む融合細胞の数、核酸タンパク質ペイロードを発現する融合細胞の数、および融合細胞の膜に配置された膜タンパク質の数のうちの1つまたは複数をモニタリングするステップをさらに含む。
【0184】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法のうちのいずれかは、生物における有害事象をモニタリングするステップをさらに含む。一部の実施形態では、有害事象としては、サイトカイン放出症候群、発熱、頻脈、悪寒、食欲不振、吐き気、嘔吐、筋痛、頭痛、毛細血管漏出症候群、低血圧、肺水腫、凝血異常、腎機能障害、腎臓傷害、マクロファージ活性化症候群、血球貪食性リンパ組織球症、臓器不全、脳浮腫、T細胞活性化によるバイスタンダー炎症、神経症状、脳症、混乱、幻覚、せん妄、鈍麻、失語症、痙攣、B細胞形成不全、腫瘍溶解症候群、および移植片対宿主病のうちの1つまたは複数が挙げられる。
【0185】
一部の実施形態では、生物は、ヒトである。一部の実施形態では、ヒトは、疾患、障害、または状態を有する。一部の実施形態では、標的細胞の細胞膜脂質二重層における膜タンパク質ペイロード剤の存在は、疾患、障害、または状態の1つまたは複数の症状を改善する。
【0186】
本発明の他の特性、目的、および利点は、説明および図面、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0187】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。例えば、本明細書、例えば、本明細書における任意の表において参照される、すべてのGenBank、Unigene、およびEntrez配列は、参照により組み込まれる。別途指定されない限り、本明細書における任意の表におけるものを含め、本明細書において示される配列受託番号は、2018年2月17日時点のデータベースエントリーを指す。1つの遺伝子またはタンパク質が、複数の配列受託番号を参照する場合、配列バリアントのすべてが包含される。加えて、材料、方法、および実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0188】
本発明の下記の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれるとよりよく理解されるであろう。本発明を説明するために、今般例示される、本明細書に記載のある特定の実施形態は、図面で示される。しかし、本発明が、図面で示される実施形態のまさにその配置および手段に限定されないことは、理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0189】
【
図1】
図1は、色素でのフソソームの小胞体についての染色を定量する。
【0190】
【
図2】
図2は、色素でのフソソームのミトコンドリアについての染色を定量する。
【0191】
【
図3】
図3は、色素でのフソソームのリソソームについての染色を定量する。
【0192】
【
図4】
図4は、色素でのフソソームのF-アクチンについての染色を定量する。
【0193】
【
図5】
図5は、CreおよびGFPを発現するフソゲンと接触した細胞の光退色後のGFP蛍光の回復を示すグラフである。
【0194】
【
図6】
図6は、フソソームまたは陰性対照との接触後のRFPを発現する標的細胞のパーセンテージを示すグラフである。
【0195】
【
図7】
図7は、ドナー細胞とレシピエントHeLa細胞との融合による明確なオルガネラ送達の画像である。白色で示されている細胞内エリアは、ドナーミトコンドリアとレシピエントミトコンドリアとのオーバーラップを示す。灰色の細胞内領域は、ドナーオルガネラとレシピエントオルガネラがオーバーラップしない場所を示す。
【0196】
【
図8】
図8は、ドナー細胞とレシピエントHeLa細胞との融合による明確なオルガネラ送達の画像である。白色で示されている細胞内エリアは、ドナーミトコンドリアとレシピエントミトコンドリアとのオーバーラップを示す。灰色の細胞内領域は、ドナーオルガネラとレシピエントオルガネラがオーバーラップしない場所を示す。
【0197】
【
図9】
図9は、フソソームを注射したマウスからの示されている組織の顕微鏡画像を示す。白色は、in vivoでの細胞へのタンパク質カーゴの送達を示す、代表的なRFP蛍光細胞を示す。
【0198】
【
図10】
図10は、標的とされた細胞によりルシフェラーゼが発現される結果となる、示されている投与経路によるin vivoでのマウス組織へのフソソームの送達成功を示す一連の画像である。
【0199】
【
図11】
図11は、細胞生物製剤による筋肉細胞へのタンパク質カーゴの送達を示す、マウス筋肉組織におけるtdTomato蛍光の顕微鏡画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0200】
本発明は、膜タンパク質ペイロード剤を含むフソソーム、および関連する方法について記載する。
定義
【0201】
薬剤:一般に、「薬剤」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸(例えば、DNA、染色体(例えば、ヒト人工染色体)、RNA、mRNA、siRNA、miRNA)、糖類もしくは多糖類、脂質、小分子、またはこれらの組合せもしくは複合体を含む、化合物または実体を指して使用され得る。この用語は、オルガネラであるかもしくはそれを含む実体、またはその画分、抽出物、もしくは成分を指し得る。
【0202】
抗体:本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、特定の標的抗原への特異的結合を付与するのに十分なカノニカル免疫グロブリン配列エレメントを含むポリペプチドを指す。本発明の目的で、ある特定の実施形態では、抗原への特異的結合を付与するのに十分な免疫グロブリンドメイン配列を含む任意のポリペプチドまたはポリペプチドの複合体は、そのようなポリペプチドが天然に産生された(例えば、抗原に反応する生物によって生成された)か、または組換え操作、化学合成、もしくは他の人工的なシステムもしくは手法によって産生されたかに関係なく、「抗体」と称することができ、かつ/または「抗体」として使用することができる。一部の実施形態では、抗体は、ポリクローナルであり、一部の実施形態では、抗体は、モノクローナルである。一部の実施形態では、抗体は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒト抗体に特徴的な定常領域配列を有する。一部の実施形態では、抗体配列エレメントは、ヒト化、霊長類化、キメラなどである。いくつかの実施形態では、本発明により用いられる抗体は、インタクトなIgA、IgG、IgE、もしくはIgM抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体(例えば、Zybodies(登録商標)など)、抗体断片、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd’断片、Fd断片、および単離されたCDRもしくはそのセット、一本鎖Fv、ポリペプチド-Fc融合体、単一ドメイン抗体(例えば、サメ単一ドメイン抗体、例えば、IgNARもしくはその断片)、ラクダ抗体、マスク抗体(例えば、Probodies(登録商標))、小モジュラー免疫薬(「SMIP(商標)」)、一本鎖もしくはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))、VHH、Anticalins(登録商標)、Nanobodies(登録商標)、ミニボディ、BiTE(登録商標)、アンキリン反復タンパク質もしくはDARPIN(登録商標)、Avimers(登録商標)、DART、TCR様抗体、Adnectins(登録商標)、Affilins(登録商標)、Trans-bodies(登録商標)、Affibodies(登録商標)、TrimerX(登録商標)、マイクロタンパク質、Fynomers(登録商標)、Centyrins(登録商標)、ならびにKALBITOR(登録商標)から選択されるがこれらに限定されない、形式である。一部の実施形態では、抗体は、天然に産生された場合には有するであろう共有結合的な改変(例えば、グリカンの結合)が欠如していてもよい。一部の実施形態では、抗体は、共有結合的な改変(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能な部分、治療部分、触媒部分など]、または他のペンダント基[例えば、ポリ-エチレングリコールなど]の結合を含んでもよい。一部の実施形態では、上述の形式のうちのいずれかの抗体は、1つまたは複数の相補性決定領域、例えば、CDR1、CD2、および/またはCDR3を含む。
【0203】
抗原結合性ドメイン:本明細書に使用される「抗原結合性ドメイン」という用語は、抗原に結合する抗体またはキメラ抗原受容体の部分を指す。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、細胞の細胞表面抗原に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、がんに特徴的な抗原、例えば、新生物細胞における腫瘍関連抗原に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、感染性疾患に特徴的な抗原、例えば、ウイルス感染細胞におけるウイルス関連抗原に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、自己免疫疾患において対象の免疫系によって標的とされる細胞に特徴的な抗原、例えば、自己抗原に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、抗体またはその抗原結合性部分であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、scFvまたはFabであるかまたはそれを含む。
【0204】
会合する:一部の実施形態では、2つまたはそれを上回る実体が、直接的または間接的に相互作用する場合、それらは、互いに物理的に「会合」しており、結果として、それらは、互いに物理的に近接している、および/または物理的近接性が保たれる。一部の実施形態では、互いに物理的に会合した2つまたはそれを上回る実体は、互いに共有結合で連結されており、一部の実施形態では、互いに物理的に会合した2つまたはそれを上回る実体は、互いに共有結合で連結されていないが、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁気作用、およびこれらの組合せによって、非共有結合的に会合している。
【0205】
がん:「がん」、「悪性腫瘍」、「新生物」、「腫瘍」、および「癌腫」という用語は、相対的に異常な無制御のおよび/または自律的な成長を呈し、結果として、細胞増殖の制御の有意な消失を特徴とする異常な成長表現型を呈する、細胞を指して、本明細書に使用される。一部の実施形態では、腫瘍は、前がん性(例えば、良性)、悪性、前転移性、転移性、および/または非転移性である細胞であり得るかまたはそれを含み得る。本開示は、その教示が具体的に関連し得るある特定のがんを特異的に特定する。一部の実施形態では、関連するがんは、固形腫瘍を特徴とし得る。一部の実施形態では、腫瘍は、分散腫瘍または液性腫瘍であってもよい。一部の実施形態では、関連するがんは、血液腫瘍を特徴とし得る。一般に、当該技術分野において公知の異なる種類のがんの例としては、例えば、白血病、リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、骨髄腫および骨髄増殖性障害、肉腫、黒色腫、腺腫、固形組織の癌腫、口腔、咽喉、喉頭、および肺の扁平上皮細胞癌、肝臓がん、尿生殖器がん、例えば、前立腺、子宮頸、膀胱、子宮、および子宮内膜のがん、ならびに腎細胞癌、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、皮膚もしくは眼内の黒色腫、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、頭頸部がん、乳がん、消化器がんおよび神経系のがん、良性病変、例えば、乳頭腫などが挙げられる。
【0206】
カーゴ:本明細書で使用される場合、「カーゴ」または「ペイロード」は、フソソームによって標的細胞に送達することができる薬剤を含む。一部の実施形態では、カーゴは、治療剤、例えば、供給源細胞に対して内因性または外因性である治療剤のうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、治療剤は、タンパク質、例えば、酵素、膜貫通タンパク質、受容体、抗体、核酸、例えば、DNA、染色体(例えば、ヒト人工染色体)、RNA、mRNA、siRNA、miRNA、または小分子のうちの1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、カーゴは、膜タンパク質ペイロード剤であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、カーゴは、オルガネラであるかまたはそれを含む。
【0207】
CDR:本明細書で使用される場合、「CDR」は、例えば、抗体可変領域内に位置し得る、相補性決定領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域のそれぞれに、3つのCDRが存在し、これらは、可変領域のそれぞれについて、CDR1、CDR2、およびCDR3と表記される。「CDRのセット」または「CDRセット」は、抗原に結合することができる単一の可変領域または抗原に結合することができる同種重鎖および軽鎖可変領域のCDRのいずれかに生じる、3つまたは6つのCDRの群を指す。CDR境界部を定義するためのある特定のシステムが、当該技術分野において確立されており(例えば、Kabat、Chothiaなど)、当業者であれば、これらのシステム間の違いを認識し、特許請求される発明を理解し、実施するために必要とされる程度に、CDR境界部を理解することができる。
【0208】
細胞膜:本明細書で使用される場合、「細胞膜」は、細胞、例えば、供給源細胞または標的細胞に由来する膜を指す。
【0209】
細胞生物製剤:本明細書で使用される場合、「細胞生物製剤」は、内腔および細胞膜を含む細胞の一部分、または部分的もしくは完全な核不活性化を有する細胞を指す。一部の実施形態では、細胞生物製剤は、細胞骨格成分、オルガネラ、およびリボソームのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、細胞生物製剤は、除核細胞、マイクロベシクル、または細胞ゴーストである。
【0210】
サイトゾル:本明細書で使用される場合、「サイトゾル」は、細胞の細胞質の水溶性成分を指す。サイトゾルは、タンパク質、RNA、代謝産物、およびイオンを含み得る。
【0211】
内因性:本明細書で使用される場合、「内因性」という用語は、関連する系(例えば、細胞、組織、生物、供給源細胞、または標的細胞など)において天然に見出される、薬剤、例えば、タンパク質または脂質を指す。例えば、一部の実施形態では、フソソームまたは膜封入調製物は、関連する脂質および/またはタンパク質が、フソソームまたは膜封入調製物が得られたかまたは由来する供給源細胞(例えば、フソソームまたは膜封入調製物の供給源細胞)において天然に見出される場合、1つまたは複数の「内因性」脂質および/またはタンパク質を含むと称され得る。一部の実施形態では、内因性薬剤は、供給源細胞において過剰発現されている。
【0212】
外因性:本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、関連する系(例えば、細胞、組織、生物、供給源細胞、または標的細胞など)において天然に見出されない、薬剤(例えば、タンパク質または脂質)を指す。いくつかの実施形態では、薬剤は、関連する系に操作および/または導入され、例えば、一部の実施形態では、フソソームまたは膜封入調製物は、関連する脂質および/またはタンパク質が、フソソームまたは膜封入調製物が得られたかまたは由来する供給源細胞(例えば、フソソームまたは膜封入物の供給源細胞)において天然に見出されない場合、1つまたは複数の「外因性」脂質および/またはタンパク質を含むと称され得る。一部の実施形態では、外因性薬剤は、内因性薬剤のバリアント、例えば、例として、1つまたは複数の構造的態様、例えば、アミノ酸配列、翻訳後改変などが参照内因性タンパク質などとは異なる、タンパク質バリアント)である。
【0213】
機能性バリアント:「機能性バリアント」という用語は、参照アミノ酸配列に実質的に同一なアミノ酸配列を有するか、実質的に同一なヌクレオチド配列によってコードされ、参照アミノ酸配列の1つまたは複数の活性を有することができる、ポリペプチドを指す。
【0214】
融合細胞:本明細書で使用される場合、「融合細胞」は、1つまたは複数のフソソームを標的細胞と接触させることによって産生される、細胞を指す。融合細胞の一部の実施形態では、1つまたは複数のフソソームの脂質二重層の少なくとも一部分は、標的細胞の膜と会合している。
【0215】
フソゲン:本明細書で使用される場合、「フソゲン」は、2つの膜封入内腔の間の相互作用をもたらす、薬剤または分子を指す。いくつかの実施形態では、フソゲンは、膜の融合を促進する。他の実施形態では、フソゲンは、2つの内腔(例えば、フソソームの内腔および標的細胞の細胞質)の間に、接続、例えば、細孔をもたらす。一部の実施形態では、フソゲンは、2つまたはそれを上回るタンパク質の複合体を含み、例えば、ここで、いずれのタンパク質も、単独では膜融合活性を有さない。
【0216】
フソゲン結合性パートナー:本明細書で使用される場合、「フソゲン結合性パートナー」は、フソゲンと相互作用して、2つの膜の間の融合を促進する、薬剤または分子を指す。一部の実施形態では、フソゲン結合性パートナーは、細胞の表面特徴部であり得るかまたはそれを含み得る。
【0217】
フソソーム組成物:本明細書で使用される場合、「フソソーム組成物」は、1つまたは複数のフソソームを含む、組成物を指す。
【0218】
膜タンパク質ペイロード剤:本明細書で使用される場合、「膜タンパク質ペイロード剤」は、膜タンパク質および/または膜タンパク質をコードする核酸であるかまたはそれを含む、カーゴを指し、このカーゴは、本明細書に記載されるフソソームまたは膜封入調製物に含まれ得る(例えば、標的細胞への送達のために)。膜タンパク質は、細胞膜と会合する(例えば、その中および/もしくはその上に局在化する)かまたはそれと会合することができる、タンパク質である。一部の実施形態では、膜タンパク質は、膜貫通タンパク質である。一部の実施形態では、膜タンパク質は、少なくとも部分的に(例えば、完全に)膜、例えば、細胞膜をまたぐドメインを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質は、膜脂質二重層の内側(例えば、細胞質)部分と会合している。一部の実施形態では、膜タンパク質は、膜脂質二重層の外側部分(例えば、細胞表面または本明細書に記載されるフソソームもしくは膜封入調製物の表面)と会合している。一部の実施形態では、膜タンパク質は、膜脂質二重層の外側部分と会合しており、細胞表面タンパク質である。一部の実施形態では、膜タンパク質は、膜脂質二重層を通過し、分泌される。一部の実施形態では、膜タンパク質は、天然に存在するタンパク質である。一部の実施形態では、膜タンパク質は、操作および/または合成タンパク質(例えば、キメラ抗原受容体)である。一部の実施形態では、膜タンパク質は、治療剤である。
【0219】
医薬組成物:本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された活性剤を指す。一部の実施形態では、活性剤は、治療レジメンでの関連する対象への投与に適切な単位投薬量で存在する。一部の実施形態では、医薬組成物は、例えば、滅菌溶液もしくは懸濁液、または持続放出製剤として、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、または硬膜外注射による非経口投与のために特別に製剤化され得る。
【0220】
薬学的に許容される担体:本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクル、例えば、液体または固体の充填剤、希釈剤、または賦形剤を意味する。
【0221】
精製された:本明細書で使用される場合、「精製された」とは、天然の状態から変更されているか、または取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物に天然に存在する細胞または細胞断片は、「精製」されていないが、同じ細胞または細胞断片が、その天然の状態の共存する材料から部分的または完全に分離されている場合は、「精製」されている。精製されたフソソーム組成物は、実質的に純粋な形態で存在してもよく、または非天然の環境、例えば、例として、培養培地、例えば、細胞を含む培養培地に存在してもよい。
【0222】
供給源細胞:本明細書で使用される場合、「供給源細胞」は、フソソームが由来する、例えば、得られた、細胞を指す。一部の実施形態では、由来するとは、供給源細胞から膜封入調製物を得、フソゲンに追加することを含む。
【0223】
実質的に同一である:ヌクレオチド配列の文脈において、「実質的に同一である」という用語は、第1および第2のヌクレオチド配列が、共通の機能的活性を有するポリペプチドをコードするか、または共通の構造ポリペプチドドメインもしくは共通の機能的ポリペプチド活性をコードするように、第1の核酸配列が、第2の核酸配列におけるアライメントしたヌクレオチドに同一である十分な数または最小限の数のヌクレオチド、例えば、参照配列、例えば、本明細書に提供される配列に対して少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むことを指して、本明細書に使用される。本明細書における組成物および方法は、指定される配列またはそれに実質的に同一もしくは類似である配列、例えば、指定される配列に少なくとも85%、90%、もしくは95%同一であるか、またはそれを上回って同一である配列を有する、ポリペプチドおよび核酸を包含する。アミノ酸配列の文脈において、「実質的に同一である」という用語は、第1および第2のアミノ酸配列が、共通の構造ドメインおよび/または共通の機能的活性を有し得るように、第1のアミノ酸配列が、第2のアミノ酸配列におけるアライメントしたアミノ酸残基と、i)同一であるか、またはii)その保存的置換である、十分な数または最小限の数のアミノ酸残基、例えば、参照配列、例えば、本明細書に提供される配列に対して少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する共通の構造ドメインを含むアミノ酸配列を含むことを指して、本明細書に使用される。
【0224】
標的細胞部分:本明細書で使用される場合、「標的細胞部分」という用語は、フソソームを細胞に特異的に(関連する系における少なくとも1つの他の細胞と比べて)標的化するために使用することができる、細胞(例えば、標的細胞)の特徴部を指して使用される。一部の実施形態では、標的細胞部分は、標的細胞の表面特徴部である。一部の実施形態では、標的細胞部分は、標的細胞の細胞膜と会合したタンパク質であるかまたはその一部分である。一部の実施形態では、標的細胞部分は、標的細胞の膜と会合したペプチドまたはタンパク質であるかまたはその一部分である。一部の実施形態では、標的細胞部分は、標的細胞の膜と会合した脂質であるかまたはその一部分である。一部の実施形態では、標的細胞部分は、標的細胞の膜と会合した糖類であるかまたはその一部分である。
【0225】
標的化ドメイン:本明細書で使用される場合、「標的化ドメイン」という用語は、標的細胞部分と会合または相互作用する、フソソームの特徴部である。一部の実施形態では、標的化ドメインは、標的細胞部分と特異的に(曝露条件下において)会合または相互作用する。一部の実施形態では、標的化ドメインは、標的細胞上に存在する標的細胞部分に特異的に結合する。一部の実施形態では、標的化ドメインは、フソゲンのドメインであるかまたはそれを含み、例えば、フソゲンに共有結合しており、例えば、フソゲンポリペプチドの一部である。一部の実施形態では、標的化ドメインは、任意のフソゲンとは別個の実体であり、例えば、フソゲンに共有結合で連結しておらず、例えば、フソゲンポリペプチドの一部ではない。
【0226】
安定:本明細書における組成物に適用される場合、「安定」という用語は、組成物が、指定される条件セット下において、ある期間にわたり、その物理的構造および/または活性の1つまたは複数の態様を維持することを意味する。一部の実施形態では、指定される条件は、低温保管である(例えば、約4℃もしくはそれよりも低い、-20℃もしくはそれよりも低い、または-80℃もしくはそれよりも低い)。
【0227】
標的細胞:本明細書で使用される場合、「標的細胞」は、フソソームが融合する細胞を指す。
【0228】
TCRドメイン:本明細書で使用される場合、「TCRドメイン」は、T細胞シグナル伝達経路の少なくとも一部の態様について、TCR複合体を活性化させることができる、T細胞受容体ポリペプチドまたはその機能性断片もしくはバリアントの一部分を指す。一部の実施形態では、TCR複合体の活性化は、T細胞の増殖、活性化、分化、サイトカイン分泌、または細胞溶解活性のうちの1つまたは複数を引き起こす。
【0229】
バリアント:「バリアント」という用語は、参照アミノ酸配列に実質的に同一なアミノ酸配列を有するか、または実質的に同一なヌクレオチド配列によってコードされる、ポリペプチドを指す。一部の実施形態では、バリアントは、機能性バリアントである。
フソソーム
【0230】
本明細書に記載されるフソソーム組成物および方法は、(a)脂質二重層と、(b)脂質二重層によって囲まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、(c)供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、(d)膜タンパク質ペイロード剤とを含む。いくつかの実施形態では、フソソームは、非植物細胞、例えば、哺乳動物細胞、またはその誘導体(例えば、ミトコンドリア、コンドリソーム、オルガネラ、小胞、もしくは除核細胞)に由来し、フソゲン、例えば、タンパク質フソゲン、脂質フソゲン、または化学物質フソゲンを含む。
封入
【0231】
本明細書に記載される組成物および方法の一部の実施形態では、フソソーム、例えば、フソゲンを有する両親媒性脂質の天然由来の二重層を含む。フソソームは、複数の異なる種類の脂質、例えば、両親媒性脂質、例えば、リン脂質を含み得る。フソソームは、最も外側の表面として、脂質二重層を含み得る。そのような組成物は、驚くべきことに、本発明の方法において使用することができる。一部の事例では、膜は、Ahmad et al. 2014 Miro1 regulates intercellular mitochondrial transport & enhances mesenchymal stem cell rescue efficacy. EMBO Journal. 33(9):994-1010に記載されるような、自家、同種、ゼノジェニック、または操作された細胞の形態をとり得る。一部の実施形態では、組成物は、例えば、Orive. et al. 2015. Cell encapsulation: technical and clinical advances. Trends in Pharmacology Sciences; 36 (8):537-46およびMishra. 2016. Handbook of Encapsulation and Controlled Release. CRC Pressに記載されるような、操作された膜を含む。一部の実施形態では、組成物は、天然に存在する膜を含む(McBride et al. 2012. A Vesicular Transport Pathway Shuttles Cargo from mitochondria to lysosomes. Current Biology 22:135-141)。
【0232】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、天然由来の膜、例えば、細胞または組織から調製された膜小胞を含む。一部の実施形態では、フソソームは、MSCまたは星状細胞に由来する小胞である。
【0233】
一部の実施形態では、フソソームは、エクソソームである。
【0234】
例示的なエクソソームおよび他の膜封入体は、例えば、US2016137716に記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、細胞から得ることができる小胞、例えば、マイクロベシクル、エクソソーム、アポトーシス体(アポトーシス細胞に由来する)、微粒子(例えば、血小板に由来し得る)、エクトソーム(例えば、血清中の好中球および単球に由来する)、プロスタトソーム(前立腺がん細胞から得ることができる)、カルディオソーム(心細胞に由来し得る)などを含む。
【0235】
例示的なエクソソームおよび他の膜封入体はまた、WO/2017/161010、WO/2016/077639、US20160168572、US20150290343、およびUS20070298118に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、フソソームは、細胞外小胞、ナノ小胞、またはエクソソームを含む。一部の実施形態では、フソソームは、細胞外小胞、例えば、内部空間を封入する膜を含み、それが由来する細胞よりも小さい径を有する、細胞由来の小胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、20nm~1000nmの径を有する。いくつかの実施形態では、フソソームは、アポトーシス体、細胞の断片、直接的または間接的な操作による細胞に由来する小胞、小胞化オルガネラ、および生細胞によって産生された小胞(例えば、直接的な形質膜出芽または後期エンドソームと形質膜との融合による)を含む。いくつかの実施形態では、細胞外小胞は、生きているかもしくは死亡した生物、外植組織もしくは臓器、または培養細胞に由来する。いくつかの実施形態では、フソソームは、ナノ小胞、例えば、内部空間を封入する膜を含む、細胞に由来する小さな(例えば、20~250nmの径、または30~150nmの径の)小胞を含み、これは、直接的または間接的な操作によって前記細胞から生成される。ナノ小胞の産生は、一部の事例では、供給源細胞の破壊をもたらす。ナノ小胞は、脂質または脂肪酸、およびポリペプチドを含み得る。いくつかの実施形態では、フソソームは、エクソソームを含む。いくつかの実施形態では、エクソソームは、内部空間を封入する膜を含む、細胞に由来する小さな(例えば、20~300nmの径、または40~200nmの径の)小胞であり、これは、直接的な形質膜出芽または後期エンドソームと形質膜との融合によって前記細胞から生成される。いくつかの実施形態では、エクソソームの産生は、供給源細胞の破壊をもたらさない。いくつかの実施形態では、エクソソームは、脂質または脂肪酸、およびポリペプチドを含む。
【0236】
例示的なエクソソームおよび他の膜封入体はまた、US 20160354313に記載されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、フソソームは、生体適合性送達分子、エクソソーム(例えば、約30nm~約200nmの径)、マイクロベシクル(例えば、約100nm~約2000nmの径)、アポトーシス体(例えば、約300nm~約2000nmの径)、膜粒子、膜小胞、エクソソーム様小胞、エクトソーム様小胞、エクトソーム、または外小胞を含む。
【0237】
一部の実施形態では、フソソームは、マイクロベシクルである。一部の実施形態では、フソソームは、細胞ゴーストである。一部の実施形態では、小胞は、形質膜小胞、例えば、巨大形質膜小胞である。
【0238】
フソソームは、複数の異なる種類の脂質、例えば、両親媒性脂質、例えば、リン脂質から作製され得る。フソソームは、最も外側の表面として、脂質二重層を含み得る。この二重層は、同じかまたは異なる種類の1つまたは複数の脂質から構成され得る。例としては、限定されないが、リン脂質、例えば、ホスホコリンおよびホスホイノシトールが挙げられる。具体的な例としては、限定することなく、DMPC、DOPC、およびDSPCが挙げられる。
フソゲン
【0239】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるフソソーム(例えば、小胞または細胞の一部分を含む)は、例えば、フソソームの、膜、例えば、細胞膜への融合を促進するために、1つまたは複数のフソゲンを含む。また、これらの組成物は、1つまたは複数のフソゲンを含むように合成中またはその後になされる表面改変を含み得る。表面改変は、膜に対する改変、例えば、膜への脂質またはタンパク質の挿入を含み得る。
【0240】
一部の実施形態では、フソソームは、特定の細胞または組織種(例えば、心筋細胞)を標的とするために、その外表面上に(例えば、細胞膜に組み込まれた)1つまたは複数のフソゲンを含む。フソソームは、標的化ドメインを含み得る。フソゲンは、限定されないが、タンパク質に基づくフソゲン、脂質に基づくフソゲン、および化学物質に基づくフソゲンを含む。フソゲンは、標的細胞の表面上のパートナー、例えば、特徴部に結合し得る。一部の実施形態では、標的細胞の表面上のパートナーは、標的細胞部分である。一部の実施形態では、フソゲンを含むフソソームは、膜を標的細胞の脂質二重層へと組み込む。
【0241】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるフソゲンのうちの1つまたは複数は、フソソームに含まれ得る。
タンパク質フソゲン
【0242】
一部の実施形態では、フソゲンは、タンパク質フソゲン、例えば、哺乳動物タンパク質または哺乳動物タンパク質のホモログ(例えば、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれを上回る同一性を有する)、非哺乳動物タンパク質、例えば、ウイルスタンパク質またはウイルスタンパク質のホモログ(例えば、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれを上回る同一性を有する)、天然のタンパク質または天然のタンパク質の誘導体、合成タンパク質、その断片、そのバリアント、フソゲンまたは断片のうちの1つまたは複数を含むタンパク質融合体、ならびにこれらの任意の組合せである。
【0243】
一部の実施形態では、フソゲンは、フソソームにおける脂質と標的細胞における脂質との間の混合をもたらす。一部の実施形態では、フソゲンは、フソソームの内腔と標的細胞のサイトゾルとの間で1つまたは複数の細孔の形成をもたらし、例えば、フソソームは、本明細書に記載されるコネキシンであるかまたはそれを含む。
(i)哺乳動物タンパク質
【0244】
一部の実施形態では、フソゲンは、哺乳動物タンパク質を含み得、表1を参照されたい。哺乳動物フソゲンの例としては、SNAREファミリータンパク質、例えば、vSNAREおよびtSNARE、シンシチンタンパク質、例えば、シンシチン-1(DOI: 10.1128/JVI.76.13.6442-6452.2002)、およびシンシチン-2、ミオメーカー(biorxiv.org/content/early/2017/04/02/123158、doi.org/10.1101/123158、doi: 10.1096/fj.201600945R、doi:10.1038/nature12343)、ミオミキサー(www.nature.com/nature/journal/v499/n7458/full/nature12343.html、doi:10.1038/nature12343)、ミオマージャー(science.sciencemag.org/content/early/2017/04/05/science.aam9361、DOI: 10.1126/science.aam9361)、FGFRL1(線維芽細胞成長因子受容体様1)、Minion(doi.org/10.1101/122697)、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のアイソフォーム(例えば、US 6,099,857Aに開示される)、ギャップ結合タンパク質、例えば、コネキシン43、コネキシン40、コネキシン45、コネキシン32、またはコネキシン37(例えば、US 2007/0224176に開示される、Hap2、異種細胞間での合胞体形成を誘導することができる任意のタンパク質(表2を参照されたい)、フソゲン特性を有する任意のタンパク質(表3を参照されたい)、そのホモログ、その断片、そのバリアント、ならびに1つまたは複数のタンパク質またはその断片を含むタンパク質融合体を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、フソゲンは、ヒトゲノムにおいて見出されるヒト内因性レトロウイルスエレメント(hERV)によってコードされる。さらなる例示的なフソゲンは、US 6,099,857AおよびUS 2007/0224176に開示されており、これらの全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0245】
一部の実施形態では、フソソームは、曲率生成タンパク質、例えば、エプシン1、ダイナミン、またはBARドメインを含むタンパク質を含む。例えば、Kozlovet al, CurrOp StrucBio 2015, Zimmerberget al. Nat Rev 2006, Richard et al, Biochem J 2011を参照されたい。
(ii)非哺乳動物タンパク質
ウイルスタンパク質
【0246】
一部の実施形態では、フソゲンは、非哺乳動物タンパク質、例えば、ウイルスタンパク質を含み得る。一部の実施形態では、ウイルスフソゲンは、クラスIウイルス膜融合タンパク質、クラスIIウイルス膜融合タンパク質、クラスIIIウイルス膜融合タンパク質、ウイルス膜糖タンパク質、もしくは他のウイルス融合タンパク質、またはそのホモログ、その断片、そのバリアント、または1つもしくは複数のタンパク質もしくはその断片を含むタンパク質融合体である。
【0247】
一部の実施形態では、クラスIウイルス膜融合タンパク質としては、バキュロウイルスFタンパク質、例えば、核多角体病ウイルス(NPV)属のFタンパク質、例えば、Spodoptera exigua MNPV(SeMNPV)Fタンパク質、およびLymantria dispar MNPV(LdMNPV)、ならびにパラミクソウイルスFタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0248】
一部の実施形態では、クラスIIウイルス膜タンパク質としては、ダニ媒介脳炎(tick bone encephalitis)E(TBEV E)、セムリキ森林ウイルスE1/E2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0249】
一部の実施形態では、クラスIIIウイルス膜融合タンパク質としては、ラブドウイルスG(例えば、水疱性口内炎ウイルスの膜融合性タンパク質G(VSV-G))、ヘルペスウイルス糖タンパク質B(例えば、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)gB))、エプシタインバーウイルス糖タンパク質B(EBV gB)、ソゴトウイルスG、バキュロウイルスgp64(例えば、Autographa California多重NPV(AcMNPV)gp64)、およびボルナ病ウイルス(BDV)糖タンパク質(BDV G)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
他のウイルスフソゲン、例えば、膜糖タンパク質およびウイルス融合タンパク質の例としては、ウイルス合胞体タンパク質、例えば、インフルエンザヘマグルチニン(HA)もしくは変異体、またはその融合タンパク質、ヒト免疫不全ウイルス1型エンベロープタンパク質(HIV-1 ENV)、LFA-1に結合してリンパ球合胞体を形成するHIV由来のgp120、HIV gp41、HIV gp160、もしくはHIV転写のトランス活性化因子(TAT)、ウイルス糖タンパク質VSV-G、ラブドウイルスファミリーの水疱性口内炎ウイルスに由来するウイルス糖タンパク質、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の糖タンパク質gBおよびgH-gL、マウス白血病ウイルス(MLV)-10A1、テナガザル白血病ウイルス糖タンパク質(GaLV)、狂犬病ウイルス、モコラウイルス、水疱性口内炎ウイルス、およびトガウイルスにおけるG型糖タンパク質、マウス肝炎ウイルスJHM表面突出タンパク質、ブタ呼吸器コロナウイルススパイクおよび膜糖タンパク質、トリ感染性気管支炎スパイク糖タンパク質およびその前駆体、ウシ腸コロナウイルススパイクタンパク質、麻疹ウイルスのFおよびH、HN、もしくはG遺伝子、イヌジステンパーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス3、シミアンウイルス41、センダイウイルスおよびヒト呼吸器合胞体ウイルス、シャペロンタンパク質gLを伴うヒトヘルペス1およびサル水痘ウイルスのgH、ヒト、ウシ、およびオナガザルヘルペスウイルスgB、フレンドマウス白血病ウイルスおよびマソンファイザーサルウイルスのエンベロープ糖タンパク質、ムンプスウイルスヘマグルチニンノイラミニダーゼならびに糖タンパク質(glyoprotein)F1およびF2、ベネズエラウマ脳炎に由来する膜糖タンパク質、パラミクソウイルスFタンパク質、SIV gp160タンパク質、エボラウイルスGタンパク質、またはセンダイウイルス融合タンパク質、またはそのホモログ、その断片、そのバリアント、ならびに1つもしくは複数のタンパク質もしくはその断片を含むタンパク質融合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0251】
非哺乳動物フソゲンとしては、ウイルスフソゲン、そのホモログ、その断片、ならびに1つまたは複数のタンパク質またはその断片を含む融合タンパク質が挙げられる。ウイルスフソゲンには、クラスIフソゲン、クラスIIフソゲン、クラスIIIフソゲン、およびクラスIVフソゲンが含まれる。いくつかの実施形態では、クラスIフソゲン、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)gp41は、シグネチャーである中心部のコイルドコイル構造を伴うα-ヘリックスヘアピンの三量体を有する特徴的な融合後立体構造を有する。クラスIウイルス融合タンパク質としては、中心部の融合後の6ヘリックスのバンドルを有するタンパク質が挙げられる。クラスIウイルス融合タンパク質としては、インフルエンザHA、パラインフルエンザF、HIV Env、エボラGP、オルソミクソウイルスに由来するヘマグルチニン、パラミクソウイルスに由来するFタンパク質(例えば、麻疹(Katoh et al. BMC Biotechnology 2010, 10:37))、レトロウイルスに由来するENVタンパク質、ならびにフィロウイルスおよびコロナウイルスのフソゲンが挙げられる。いくつかの実施形態では、クラスIIウイルスフソゲン、例えば、デング熱E糖タンパク質は、再フォールディングによりヘアピンの三量体をもたらす伸長された外部ドメインを形成するβ-シートの構造的シグネチャーを有する。いくつかの実施形態では、クラスIIウイルスフソゲンは、中心部のコイルドコイルが欠如している。クラスIIウイルスフソゲンは、アルファウイルス(例えば、E1タンパク質)およびフラビウイルス(例えば、E糖タンパク質)において見出され得る。クラスIIウイルスフソゲンには、セムリキ森林ウイルス、Sinbis、風疹ウイルス、およびデング熱ウイルスに由来するフソゲンが含まれる。いくつかの実施形態では、クラスIIIウイルスフソゲン、例えば、水疱性口内炎ウイルスG糖タンパク質は、クラスIおよびIIにおいて見出される構造的シグネチャーを組み合わせる。いくつかの実施形態では、クラスIIIウイルスフソゲンは、αヘリックス(例えば、6ヘリックスのバンドルを形成して、タンパク質をクラスIウイルスフソゲンのようにフォールドバックさせる)と、クラスIIウイルスフソゲンを想起させる端部に両親媒性融合ペプチドを有するβシートとを含む。クラスIIIウイルスフソゲンは、ラブドウイルスおよびヘルペスウイルスにおいて見出すことができる。いくつかの実施形態では、クラスIVウイルスフソゲンは、融合関連の小さな膜貫通(FAST)タンパク質であり(doi:10.1038/sj.emboj.7600767, Nesbitt, Rae L., ”Targeted Intracellular Therapeutic Delivery Using Liposomes Formulated with Multifunctional FAST proteins” (2012). Electronic Thesis and Dissertation Repository. Paper 388)、これは、非エンベロープ型レオウイルスによってコードされる。いくつかの実施形態では、クラスIVウイルスフソゲンは、十分に小さいため、ヘアピンを形成しない(doi: 10.1146/annurev-cellbio-101512-122422、doi:10.1016/j.devcel.2007.12.008)。
【0252】
一部の実施形態では、フソゲンは、パラミクソウイルスフソゲンである。一部の実施形態では、フソゲンは、ニパウイルスタンパク質F、麻疹ウイルスFタンパク質、tupaiaパラミクソウイルスFタンパク質、パラミクソウイルスFタンパク質、ヘンドラウイルスFタンパク質、ヘニパウイルスFタンパク質、モルビリウイルスFタンパク質、レスピロウイルスFタンパク質、センダイウイルスFタンパク質、ルブラウイルスFタンパク質、またはアブラウイルスFタンパク質である。
【0253】
さらなる例示的なフソゲンは、米国特許第US 9,695,446号、米国公開第US 2004/0028687号、米国特許第US 6,416,997号、同第US 7,329,807号、米国公開第US 2017/0112773号、同第US 2009/0202622号、国際公開第WO 2006/027202号、および米国公開第US 2004/0009604号に開示されており、これらのすべての全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
(iii)他のタンパク質
【0254】
一部の実施形態では、フソゲンは、pH依存性(例えば、虚血傷害の場合のような)タンパク質、そのホモログ、その断片、ならびに1つまたは複数のタンパク質またはその断片を含むタンパク質融合体を含み得る。フソゲンは、細胞表面、またはエンドソーム、または別の細胞-膜結合空間において、膜融合を媒介し得る。
【0255】
一部の実施形態では、フソゲンは、EFF-1、AFF-1、ギャップ結合タンパク質、例えば、コネキシン(例えば、Cn43、GAP43、CX43)(DOI: 10.1021/jacs.6b05191)、他の腫瘍接続タンパク質、そのホモログ、その断片、そのバリアント、および1つまたは複数のタンパク質またはその断片を含むタンパク質融合体を含む。
タンパク質フソゲンに対する改変
【0256】
一部の実施形態では、タンパク質フソゲンは、免疫反応性を低減するように変更することができる。例えば、タンパク質フソゲンは、免疫相互作用を低減させる分子、例えば、PEGで修飾することができる(DOI: 10.1128/JVI.78.2.912-921.2004)。したがって、一部の実施形態では、フソゲンは、PEGを含み、例えば、PEG化ポリペプチドである。免疫系によって標的とされるフソゲンにおけるアミノ酸残基を、免疫系によって認識されないように変更してもよい(doi: 10.1016/j.virol.2014.01.027、doi:10.1371/journal.pone.0046667)。一部の実施形態では、フソゲンのタンパク質配列は、ヒトにおいて見出されるアミノ酸配列に近似するように変更される(ヒト化)。一部の実施形態では、フソゲンのタンパク質配列は、MHC複合体に低い強度で結合するタンパク質配列に変更される。一部の実施形態では、タンパク質フソゲンは、ヒトに感染しないウイルスまたは生物(ヒトが、それに対してワクチン接種されていない)に由来し、患者の免疫系がタンパク質フソゲンに対してナイーブである可能性が高い(例えば、フソゲンに対して無視できる程度の体液性または細胞媒介性適応免疫応答が存在する)(doi:10.1006/mthe.2002.0550、doi:10.1371/journal.ppat.1005641、doi:10.1038/gt.2011.209、DOI 10.1182/blood-2014-02-558163)。一部の実施形態では、フソゲンのグリコシル化は、免疫相互作用を変更するか、または免疫反応性を低減させるように変更され得る。理論によって束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、ヒトに感染しないウイルスまたは生物に由来するタンパク質フソゲンは、患者において天然の融合標的を有さず、したがって、高い特異性を有する。
脂質フソゲン
【0257】
一部の実施形態では、フソソームは、膜融合性脂質、例えば、飽和脂肪酸で処置され得る。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、10~14個の炭素を有する。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、より長鎖のカルボン酸を有する。一部の実施形態では、飽和脂肪酸は、モノエステルである。
【0258】
一部の実施形態では、フソソームは、不飽和脂肪酸で処置され得る。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸は、C16~C18の不飽和脂肪酸を有する。一部の実施形態では、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、モノオレイン酸グリセロール、グリセリド、ジアシルグリセロール、改変された不飽和脂肪酸、およびこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0259】
理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、負曲率脂質は、膜融合を促進する。一部の実施形態では、フソソームは、膜において、1つまたは複数の負曲率脂質、例えば、供給源細胞に対して外因性である負曲率脂質を含む。いくつかの実施形態では、負曲率脂質またはその前駆体は、供給源細胞またはフソソームを含む培地に添加される。いくつかの実施形態では、供給源細胞は、1つまたは複数の脂質合成遺伝子を発現または過剰発現するように操作されている。負曲率脂質は、例えば、ジアシルグリセロール(DAG)、コレステロール、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、または脂肪酸(FA)であり得る。
【0260】
理論に束縛されることを望むものではないが、一部の実施形態では、正曲率脂質は、膜融合を阻害する。一部の実施形態では、フソソームは、膜において、低減されたレベルの1つまたは複数の正曲率脂質、例えば、外因性の正曲率脂質を含む。いくつかの実施形態では、レベルは、供給源細胞において、脂質の合成を阻害することによって、例えば、脂質合成遺伝子のノックアウトまたはノックダウンによって、低減される。正曲率脂質は、例えば、リゾホスファチジルコリン(LPC)、ホスファチジルイノシトール(PtdIns)、リゾホスファチジン酸(LPA)、リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、またはモノアシルグリセロール(MAG)であり得る。
化学物質フソゲン
【0261】
一部の実施形態では、フソソームは、膜融合性化学物質で処置され得る。一部の実施形態では、膜融合性化学物質は、ポリエチレングリコール(PEG)またはその誘導体である。
【0262】
一部の実施形態では、化学物質フソゲンは、2つの膜の間での局所的脱水を誘導し、これにより、二重層の望ましくない分子充填が引き起こされる。一部の実施形態では、化学物質フソゲンは、脂質二重層の近傍の領域の脱水を誘導し、細胞間から水溶性分子を押しのけ、2つの膜同士の相互作用を可能にする。
【0263】
一部の実施形態では、化学物質フソゲンは、正のカチオンである。正のカチオンの一部の非限定的な例としては、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、La3+、Sr3+、およびH+が挙げられる。
【0264】
一部の実施形態では、化学物質フソゲンは、表面極性を改変することによって標的膜に結合し、表面極性の改変により、水和依存性の膜間斥力が変更される。
【0265】
一部の実施形態では、化学物質フソゲンは、可溶性脂質可溶性である。一部の非限定的な例としては、オレオイルグリセロール、ジオレオイルグリセロール、トリオレオイルグリセロール、ならびにこれらのバリアントおよび誘導体が挙げられる。
【0266】
一部の実施形態では、化学物質フソゲンは、水溶性化学物質である。一部の非限定的な例としては、ポリエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ならびにこれらのバリアントおよび誘導体が挙げられる。
【0267】
一部の実施形態では、化学物質フソゲンは、有機小分子である。非限定的な例としては、n-ヘキシルブロミドが挙げられる。
【0268】
一部の実施形態では、化学物質フソゲンは、フソゲンまたは標的膜の構成、細胞生存性、またはイオン輸送特性を変更させない。
【0269】
一部の実施形態では、化学物質フソゲンは、ホルモンまたはビタミンである。一部の非限定的な例としては、アブシジン酸、レチノール(ビタミンA1)、トコフェロール(ビタミンE)、ならびにこれらのバリアントおよび誘導体が挙げられる。
【0270】
一部の実施形態では、フソソームは、アクチン、および重合アクチンを安定させる薬剤を含む。理論に束縛されることを望むものではないが、フソソーム中の安定化されたアクチンは、標的細胞との融合を促進し得る。いくつかの実施形態では、重合アクチンを安定させる薬剤は、アクチン、ミオシン、ビオチン-ストレプトアビジン、ATP、神経細胞ウィスコット・アルドリッチ症候群タンパク質(N-WASP)、またはホルミンから選択される。例えば、Langmuir. 2011 Aug 16;27(16):10061-71およびWen et al., Nat Commun. 2016 Aug 31;7を参照されたい。いくつかの実施形態では、フソソームは、供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているアクチン、例えば、野生型アクチンまたは重合を促進する変異を含むアクチンを含む。いくつかの実施形態では、フソソームは、ATPまたはホスホクレアチン、例えば、外因性ATPまたはホスホクレアチンを含む。
小分子フソゲン
【0271】
一部の実施形態では、フソソームは、膜融合性小分子で処置され得る。一部の非限定的な例としては、ハロタン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、およびクロルプロマジンが挙げられる。
【0272】
一部の実施形態では、小分子フソゲンは、ミセル様凝集体で存在してもよく、または凝集体を含まなくてもよい。
フソゲン改変
【0273】
一部の実施形態では、フソゲンは、切断可能なタンパク質に連結されている。一部の事例では、切断可能なタンパク質は、プロテアーゼへの曝露によって切断され得る。操作された融合タンパク質は、膜貫通タンパク質の任意のドメインに結合し得る。操作された融合タンパク質は、切断性ペプチドによって、膜間腔内に位置するタンパク質ドメインに連結され得る。切断性ペプチドは、膜間プロテアーゼ(例えば、HTRA2/OMIであり、これは、非極性脂肪族アミノ酸、好ましくはバリン、イソロイシン、またはメチオニンを、P1位に必要とし、親水性残基、好ましくはアルギニンを、P2位およびP3位に必要とする)のうちの1つまたは組合せによって、切断され得る。
【0274】
一部の実施形態では、フソゲンは、親和性タグに連結されている。一部の実施形態では、親和性タグは、フソソームの分離および単離を補助する。一部の実施形態では、親和性タグは、切断可能である。一部の実施形態では、親和性タグは、フソゲンに非共有結合的に連結されている。一部の実施形態では、親和性タグは、フソソームに存在し、フソゲンとは別個である。
【0275】
一部の実施形態では、フソゲンタンパク質は、当該技術分野において公知の任意の方法または本明細書に記載される任意の方法によって、タンパク質分解配列、例えば、ミトコンドリアまたはサイトゾル分解配列を含むように操作されている。フソゲンタンパク質は、限定されないが、タンパク質分解配列、例えば、カスパーゼ2タンパク質配列(例えば、Val-Asp-Val-Ala-Asp-|-(配列番号1))もしくは他のタンパク質分解配列(例えば、Gasteiger et al., The Proteomics Protocols Handbook; 2005: 571-607を参照されたい)、野生型タンパク質分解配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれを上回る同一性を有する改変されたタンパク質分解配列、サイトゾルタンパク質分解配列、例えば、ユビキチン、または野生型タンパク質分解配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれを上回る同一性を有する改変されたサイトゾルタンパク質分解配列を含むように操作されていてもよい。一部の実施形態では、組成物は、タンパク質分解配列で改変されたタンパク質、例えば、野生型タンパク質分解配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれを上回る同一性のもの、サイトゾルタンパク質分解配列、例えば、ユビキチン、または野生型タンパク質分解配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれを上回る同一性を有する改変されたサイトゾルタンパク質分解配列を含む、供給源細胞のミトコンドリアまたはコンドリソームを含む。
【0276】
一部の実施形態では、フソゲンは、特定のタンパク質、例えば、プロテアーゼの過剰発現、例えば、プロテアーゼ活性を有する操作された融合タンパク質を認識する、プロテアーゼドメインで改変され得る。例えば、プロテアーゼまたはプロテアーゼに由来するプロテアーゼドメイン、例えば、MMP、ミトコンドリアプロセシングペプチダーゼ、ミトコンドリア中間体ペプチダーゼ、内部膜ペプチダーゼなどである。
【0277】
Alfonzo, J.D. & Soll, D. Mitochondrial tRNA import - the challenge to understand has just begun. Biological Chemistry 390: 717-722. 2009、Langer, T. et al. Characterization of Peptides Released from Mitochondria. THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY. Vol. 280, No. 4. 2691-2699, 2005; Vliegh, P. et al. Synthetic therapeutic peptides: science and market. Drug Discovery Today. 15(1/2). 2010、Quiros P.M.m et al., New roles for mitochondrial proteases in health, ageing and disease. Nature Reviews Molecular Cell Biology. V16, 2015、Weber-Lotfi, F. et al. DNA import competence and mitochondrial genetics. Biopolymers and Cell. Vol. 30. N 1. 71-73, 2014を参照されたい。
標的細胞への非エンドサイトーシス進入
【0278】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるフソソームまたはフソソーム組成物は、非エンドサイトーシス経路を介して、カーゴを標的細胞に送達する。理論に束縛されることを望むものではないが、非エンドサイトーシス送達経路により、細胞、例えば、細胞の所望されるコンパートメントに送達されるカーゴの量またはパーセンテージを改善することができる。
【0279】
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される複数のフソソームは、エンドサイトーシスの阻害剤の存在下において標的細胞集団と接触した場合、およびエンドサイトーシスの阻害剤で処置されていない参照標的細胞集団と接触した場合、参照標的細胞集団と比較して、標的細胞集団における細胞数の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、または80%に、カーゴを送達する。
【0280】
一部の実施形態では、カーゴのうちの10%を下回るものが、エンドサイトーシスによって細胞に進入する。
【0281】
一部の実施形態では、エンドサイトーシスの阻害剤は、リソソーム酸性化の阻害剤、例えば、バフィロマイシンA1である。
【0282】
一部の実施形態では、カーゴの送達は、エンドサイトーシス阻害アッセイ、例えば、国際出願第WO2018/208728号の実施例135のアッセイを使用して判定され、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0283】
一部の実施形態では、カーゴは、ダイナミン非依存性経路またはリソソーム酸性化非依存性経路、マクロピノサイトーシス非依存性経路、またはアクチン非依存性経路を通じて細胞に進入する。
【0284】
一部の実施形態(例えば、カーゴの非エンドサイトーシス送達をアッセイするための実施形態)では、カーゴの送達は、以下のステップのうちの1つまたは複数(例えば、すべて)を使用してアッセイされる:(a)30,000個のHEK-293T標的細胞を、100nMバフィロマイシンA1を含む96ウェルプレートの第1のウェルに入れ、類似の数の類似の細胞を、バフィロマイシンA1を含まない96ウェルプレートの第2のウェルに入れるステップ、(b)標的細胞を、DMEM培地において、37℃および5%CO2で4時間培養するステップ、(c)標的細胞を、カーゴを含む10ugのフソソームと接触させるステップ、(d)標的細胞およびフソソームを、37℃および5%CO2で24時間インキュベートするステップ、ならびに(e)第1のウェルおよび第2のウェルにおいてカーゴを含む細胞のパーセンテージを判定するステップ。ステップ(e)は、顕微鏡法を使用して、例えば、免疫蛍光を使用して、カーゴを検出することを含み得る。ステップ(e)は、間接的にカーゴを検出すること、例えば、カーゴの下流作用、例えば、レポータータンパク質の存在を検出することを含み得る。一部の実施形態では、上記のステップ(a)~(e)のうちの1つまたは複数は、国際出願第WO2018/208728号の実施例135に記載されるように行われる。
【0285】
一部の実施形態では、エンドサイトーシスの阻害剤(例えば、クロロキンまたはバフィロマイシンA1)は、エンドソーム酸性化を阻害する。一部の実施形態では、カーゴの送達は、リソソーム酸性化から独立している。一部の実施形態では、エンドサイトーシスの阻害剤(例えば、Dynasore)は、ダイナミンを阻害する。一部の実施形態では、カーゴの送達は、ダイナミン活性から独立している。
【0286】
一部の実施形態では、フソソームは、エンドサイトーシスによって標的細胞に進入し、例えば、ここで、エンドサイトーシス経路を介して送達される治療剤のレベルは、例えば、本明細書における実施例91のアッセイを使用して、0.01~0.6、0.01~0.1、0.1~0.3、もしくは0.3~0.6であるか、または同様のフソソームと接触させたクロロキン処置参照細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。一部の実施形態では、標的細胞に進入するフソソーム組成物中のフソソームのうちの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%は、非エンドサイトーシス経路を介して進入し、例えば、フソソームは、細胞表面との融合を介して標的細胞に進入する。一部の実施形態では、所与のフソソームについて、非エンドサイトーシス経路を介して送達される治療剤のレベルは、例えば、本明細書における実施例90のアッセイを使用して、0.1~0.95、0.1~0.2、0.2~0.3、0.3~0.4、0.4~0.5、0.5~0.6、0.6~0.7、0.7~0.8、0.8~0.9、0.9~0.95であるか、またはクロロキン処置参照細胞よりも少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。一部の実施形態では、標的細胞に進入するフソソーム組成物中のフソソームのうちの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%は、細胞質に進入する(例えば、エンドソームにもリソソームにも進入しない)。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤が細胞質に進入した後、膜タンパク質ペイロード剤またはそこでコードされるポリペプチドは、細胞膜に局在化するかまたは分泌される。一部の実施形態では、標的細胞に進入するフソソーム組成物中のフソソームのうちの90%を下回る、80%を下回る、70%を下回る、60%を下回る、50%を下回る、40%を下回る、30%を下回る、20%を下回る、10%を下回る、5%を下回る、4%を下回る、3%を下回る、2%を下回る、1%を下回るものは、エンドソームまたはリソソームに進入する。一部の実施形態では、フソソームは、非エンドサイトーシス経路によって標的細胞に進入し、例えば、ここで、送達される治療剤のレベルは、例えば、本明細書における実施例91のアッセイを使用して、クロロキン処置参照細胞の少なくとも90%、95%、98%、または99%である。ある実施形態では、フソソームは、ダイナミン媒介経路を介して、薬剤を標的細胞に送達する。ある実施形態では、ダイナミン媒介経路を介して送達される薬剤のレベルは、例えば、本明細書における実施例92のアッセイにおいて測定した場合に、0.01~0.6の範囲内であるか、または同様のフソソームと接触させたDynasore処置標的細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。ある実施形態では、フソソームは、マクロピノサイトーシスを介して、薬剤を標的細胞に送達する。ある実施形態では、マクロピノサイトーシスを介して送達される薬剤のレベルは、例えば、本明細書における実施例92のアッセイにおいて測定した場合に、0.01~0.6の範囲内であるか、または同様のフソソームと接触させたEIPA処置標的細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。ある実施形態では、フソソームは、アクチン媒介経路を介して、薬剤を標的細胞に送達する。ある実施形態では、アクチン媒介経路を介して送達される薬剤のレベルは、例えば、本明細書における実施例92のアッセイにおいて測定した場合に、0.01~0.6の範囲内であるか、または同様のフソソームと接触させたラトランクリンB処置標的細胞よりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれよりも高い。
【0287】
一部の実施形態では、標的細胞に送達されるカーゴは、エンドサイトーシス阻害アッセイ、例えば、本明細書における実施例55、90、または92のアッセイを使用して判定される。
【0288】
一部の実施形態では、カーゴは、ダイナミン非依存性経路もしくはリソソーム酸性化非依存性経路、マクロピノサイトーシス非依存性経路(例えば、エンドサイトーシスの阻害剤が、マクロピノサイトーシスの阻害剤、例えば、5-(N-エチル-N-イソプロピル)アミロリド(EIPA)、例えば、25μMの濃度である)、またはアクチン非依存性経路(例えば、エンドサイトーシスの阻害剤が、アクチン重合の阻害剤であり、例えば、ラトランクリンB、例えば、6μMの濃度である)を通じて、標的細胞に進入する。
【0289】
一部の実施形態では、フソソームは、標的細胞集団と接触されると、エンドソームまたはリソソーム以外の標的細胞の場所、例えば、サイトゾルまたは細胞膜に、カーゴを送達する。いくつかの実施形態では、カーゴのうちの50%を下回る、40%を下回る、30%を下回る、20%を下回る、または10%を下回るものが、エンドソームまたはリソソームに送達される。
標的細胞への特異的送達
【0290】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるフソソーム組成物は、非標的細胞と比較して、標的細胞に優先的にカーゴを送達する。したがって、ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるフソソームは、以下の特性のうちの一方または両方を有する:(i)複数のフソソームを、標的細胞および非標的細胞を含む細胞集団と接触させた場合、カーゴは、非標的細胞よりも少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、もしくは100倍多くの標的細胞に存在すること、または(ii)複数のフソソームが、非標的細胞とよりも少なくとも少なくとも50%高い割合で、標的細胞と融合すること。
【0291】
一部の実施形態では、カーゴの存在は、顕微鏡法によって、例えば、国際出願第WO2018/208728号の実施例124のアッセイを使用して、測定され、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、融合は、顕微鏡法によって、例えば、本明細書における実施例54のアッセイを使用して、測定される。一部の実施形態では、標的化部分は、標的細胞上の細胞表面マーカーに特異的である。一部の実施形態では、細胞表面マーカーは、皮膚細胞、心筋細胞、肝細胞、腸細胞(例えば、小腸の細胞)、膵臓細胞、脳細胞、前立腺細胞、肺細胞、結腸細胞、または骨髄細胞の細胞表面マーカーである。
【0292】
一部の実施形態(例えば、非標的細胞と対比して標的細胞へのカーゴの特異的送達の実施形態)では、カーゴの送達は、以下のステップのうちの1つまたは複数(例えば、すべて)を使用してアッセイされる:(a)CD8aおよびCD8bを過剰発現する30,000個のHEK-293T標的細胞を、96ウェルプレートの第1のウェルに入れ、CD8aおよびCD8bを過剰発現しない30,000個のHEK-293T非標的細胞を、96ウェルプレートの第2のウェルに入れるステップ、(b)細胞を、DMEM培地において、37℃および5% CO2で4時間培養するステップ、(c)標的細胞を、カーゴを含む10ugのフソソームと接触させるステップ、(d)標的細胞およびフソソームを、37℃および5%CO2で24時間インキュベートするステップ、ならびに(e)第1のウェルおよび第2のウェルにおいてカーゴを含む細胞のパーセンテージを判定するステップ。ステップ(e)は、顕微鏡法を使用して、例えば、免疫蛍光を使用して、カーゴを検出することを含み得る。ステップ(e)は、間接的にカーゴを検出すること、例えば、カーゴの下流作用、例えば、レポータータンパク質の存在を検出することを含み得る。一部の実施形態では、上記のステップ(a)~(e)のうちの1つまたは複数は、国際出願第WO2018/208728号の実施例124に記載されるように行われる。
【0293】
一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例54のアッセイにおいて、非標的細胞とよりも、例えば、少なくとも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍高い割合で、標的細胞と融合する。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例54のアッセイにおいて、他のフソソームとよりも、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%高い割合で、標的細胞と融合する。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、実施例54のアッセイにおいて、フソソーム内の薬剤が24、48、または72時間後に、標的細胞の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%に送達されるような割合で、標的細胞と融合する。いくつかの実施形態では、標的化された融合の量は、例えば、実施例54のアッセイにおいて、約30%~70%、35%~65%、40%~60%、45%~55%、または45%~50%、例えば、約48.8%である。いくつかの実施形態では、標的化された融合の量は、例えば、実施例55のアッセイにおいて、約20%~40%、25%~35%、または30%~35%、例えば、約32.2%である。
【0294】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照標的細胞集団または非標的細胞集団と比較して、カーゴのうちの少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を、標的細胞集団に送達する。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照標的細胞集団または非標的細胞集団と比較して、カーゴのうちの少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%多くを、標的細胞集団に送達する。
フソソーム生成
細胞から生成されるフソソーム
【0295】
フソソームの組成物は、培養中の細胞、例えば、培養哺乳動物細胞、例えば、培養ヒト細胞から生成され得る。細胞は、始原細胞または非始原(例えば、分化)細胞であり得る。細胞は、初代細胞または細胞系(例えば、本明細書に記載される哺乳動物細胞系、例えば、ヒト細胞系)であり得る。いくつかの実施形態では、培養細胞は、始原細胞、例えば、骨髄間質細胞、骨髄由来の成体始原細胞(MAPC)、内皮始原細胞(EPC)、芽細胞、脳室下帯において形成される中間始原細胞、神経幹細胞、筋幹細胞、衛星細胞、肝臓幹細胞、造血幹細胞、骨髄間質細胞、表皮幹細胞、胚性幹細胞、間葉幹細胞、臍帯幹細胞、前駆体細胞、筋前駆体細胞、筋芽細胞、心筋芽細胞、神経前駆体細胞、膠前駆体細胞、ニューロン前駆体細胞、肝芽細胞である。
【0296】
一部の実施形態では、供給源細胞は、内皮細胞、線維芽細胞、血液細胞(例えば、マクロファージ、好中球、顆粒球、白血球)、幹細胞(例えば、間葉幹細胞、臍帯幹細胞、骨髄幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞、例えば、対象の細胞に由来する人工多能性幹細胞)、胚性幹細胞(例えば、胚卵黄嚢、胎盤、臍帯、胎児皮膚、青年皮膚、血液、骨髄、脂肪組織、赤血球産生組織、造血組織に由来する幹細胞)、筋芽細胞、実質細胞(例えば、肝細胞)、肺胞細胞、ニューロン(例えば、網膜神経細胞)、前駆体細胞(例えば、網膜前駆体細胞、骨髄芽球、骨髄系前駆体細胞、胸腺細胞、減数母細胞、巨核芽球、前巨核芽球、メラニン芽細胞、リンパ芽球、骨髄前駆体細胞、正赤芽球、もしくは血液芽細胞)、始原細胞(例えば、心臓始原細胞、衛星細胞、放射神経膠細胞、骨髄間質細胞、膵臓始原細胞、内皮始原細胞、芽細胞)、または不死化細胞(例えば、HeLa、HEK293、HFF-1、MRC-5、WI-38、IMR 90、IMR 91、PER.C6、HT-1080、もしくはBJ細胞)である。
【0297】
培養細胞は、上皮、結合、筋肉、または神経の組織または細胞、およびそれらの組合せに由来し得る。フソソームは、任意の真核生物(例えば、哺乳動物)臓器系、例えば、心血管系(心臓、血管)、消化器系(食道、胃、肝臓、胆嚢、膵臓、腸、結腸、直腸、および肛門)、内分泌系(視床下部、脳下垂体、松果体もしくは松果腺、甲状腺、副甲状腺、副腎)、排出系(腎臓、尿管、膀胱)、リンパ系(リンパ、リンパ節、リンパ管、扁桃、咽頭扁桃、胸腺、脾臓)、外皮系(皮膚、毛髪、爪)、筋肉系(例えば、骨格筋)、神経系(脳、脊髄、神経)、生殖器系(卵巣、子宮、乳腺、精巣、精管、精嚢、前立腺)、呼吸器系(咽頭、喉頭、気管、気管支、肺、横隔膜)、骨格系(骨、軟骨)、ならびにこれらの組合せに由来する培養細胞から生成することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、有糸分裂性の高い組織(例えば、有糸分裂性の高い健常な組織、例えば、上皮、胚組織、骨髄、腸陰窩)に由来する。いくつかの実施形態では、組織試料は、代謝性の高い組織(例えば、骨格組織、神経系組織、心筋細胞)である。
【0298】
一部の実施形態では、細胞は、懸濁細胞である。一部の実施形態では、細胞は、付着細胞である。
【0299】
一部の実施形態では、細胞は、若齢のドナー、例えば、年齢が25歳、20歳、18歳、16歳、12歳、10歳、8歳、年齢が5歳、年齢が1歳、またはそれより若いドナーに由来する。一部の実施形態では、細胞は、胎児組織に由来する。
【0300】
一部の実施形態では、細胞は、対象に由来し、同じ対象または類似の遺伝子シグネチャーを有する(例えば、MHCが一致する)対象に投与される。
【0301】
ある特定の実施形態では、細胞は、長さが3000ヌクレオチドを上回る、4000ヌクレオチドを上回る、5000ヌクレオチドを上回る、6000ヌクレオチドを上回る、7000ヌクレオチドを上回る、8000ヌクレオチドを上回る、9000ヌクレオチドを上回る、または10000ヌクレオチドを上回る(例えば、長さが4,000~10,000ヌクレオチド、長さが6,000~10,000ヌクレオチド)の平均サイズのテロメアを有する。
【0302】
フソソームは、概して当該技術分野において公知の方法により培養された細胞から生成することができる。一部の実施形態では、細胞は、2つまたはそれを上回る「期」、例えば、細胞が、増殖し、培養物の生物量(biomass)を増加させる条件下において培養される増殖期、および細胞が、細胞の表現型を変更する(例えば、ミトコンドリア表現型を最大にし、ミトコンドリアの数もしくは径を増加させ、酸化的リン酸化状態を増加させる)条件下において培養される「産生」期において、培養され得る。細胞が、細胞膜における供給源細胞に対して外因性であるタンパク質フソゲンまたは薬剤の発現を最大にし、他の期における望ましくない融合を制限する条件下において培養される、「発現」期も存在し得る。
【0303】
一部の実施形態では、フソソームは、例えば、増殖期または産生期の間に、同期される細胞から生成される。例えば、細胞は、培養培地から血清を排除することにより(例えば、約12~24時間)または培養培地におけるDNA合成阻害剤、例えば、チミジン、アミノプテリン、ヒドロキシ尿素、およびシトシンアラビノシドの使用によって、G1期において、同期され得る。哺乳動物細胞周期の同期のためのさらなる方法は、公知であり、例えば、Rosner et al. 2013. Nature Protocols 8:602-626(特にRosnerの表1)に開示されている。
【0304】
一部の実施形態では、細胞は、本明細書に記載されるフソソーム組成物の供給源として使用するのに望ましい表現型または遺伝子型に関して評価され、必要に応じて濃縮され得る。例えば、細胞は、例えば、培養前、培養中(例えば、増殖期もしくは産生期の間)、または培養後であるがフソソーム産生の前に、例えば、膜電位(例えば、-5~-200mVの膜電位、カルジオリピン含量(例えば、総脂質の1~20%)、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ジグリセリド(DAG)、ホスファチジン酸(PA)、または脂肪酸(FA)含量、80%を上回る、85%を上回る、90%を上回る遺伝子品質、フソゲン発現もしくは含量、カーゴ発現もしくは含量のうちの1つまたは複数に関して評価され、必要に応じて濃縮され得る。
【0305】
一部の実施形態では、フソソームは、本明細書に記載されるフソソーム組成物の供給源として使用するのに望ましい表現型または遺伝子型に基づいて特定、選別、または選択された細胞クローンから生成される。例えば、細胞クローンは、低いミトコンドリア変異負荷、長いテロメア長、分化状態、または特定の遺伝子シグネチャー(例えば、レシピエントと一致する遺伝子シグネチャー)に基づいて、特定、選別、または選択される。
【0306】
本明細書に記載されるフソソーム組成物は、1つの細胞もしくは組織供給源、または供給源の組合せに由来するフソソームから構成され得る。例えば、フソソーム組成物は、ゼノジェニック供給源(例えば、動物、前述の種の細胞の組織培養物)に由来する、同種、自家、異なるタンパク質濃度および分布をもたらす特定の組織に由来する(肝臓、骨格、神経、脂肪など)、異なる代謝状態(例えば、糖分解、呼吸)の細胞に由来するフソソームを含み得る。組成物はまた、異なる代謝状態、例えば、本明細書の他の箇所に記載されるように、結合型または非結合型のフソソームも含み得る。
【0307】
一部の実施形態では、フソソームは、フソゲン、例えば、本明細書に記載されるフソゲンを発現する供給源細胞から生成される。一部の実施形態では、フソゲンは、供給源細胞の膜、例えば、脂質二重層膜、例えば、細胞表面膜、または細胞内膜(例えば、リソソーム膜)に配置されている。一部の実施形態では、フソソームは、フソゲンが細胞表面膜に配置されている供給源細胞から生成される。
【0308】
一部の実施形態では、フソソームは、エクソソーム、マイクロベシクル、膜小胞、細胞外膜小胞、形質膜小胞、巨大形質膜小胞、アポトーシス体、ミト粒子(mitoparticle)、ピレノサイト(pyrenocyte)、リソソーム、または他の膜封入小胞の出芽を誘導することによって、生成される。
【0309】
一部の実施形態では、フソソームは、細胞除核を誘導することによって生成される。除核は、アッセイ、例えば、遺伝子方法、化学的方法(例えば、アクチノマイシンDを使用、Bayona-Bafaluyet al., ”A chemical enucleation method for the transfer of mitochondrial DNA to ρ○ cells” Nucleic Acids Res. 2003 Aug 15; 31(16): e98を参照されたい)、機械的方法(例えば、圧搾もしくは吸引、Lee et al., ”A comparative study on the efficiency of two enucleation methods in pig somatic cell nuclear transfer: effects of the squeezing and the aspiration methods.” Anim Biotechnol. 2008;19(2):71-9を参照されたい)、またはこれらの組合せを使用して、行うことができる。除核は、核の完全な除去だけでなく、細胞が核を含むが非機能的となるような核の典型的な位置からの変位も指す。
【0310】
いくつかの実施形態では、フソソームの作製は、細胞ゴースト、巨大形質膜小胞、またはアポトーシス体を産生することを含む。いくつかの実施形態では、フソソーム組成物は、細胞ゴースト、巨大形質膜小胞、およびアポトーシス体のうちの1つまたは複数を含む。
【0311】
一部の実施形態では、フソソームは、細胞断片化を誘導することによって生成される。一部の実施形態では、細胞断片化は、化学的方法、機械的方法(例えば、遠心分離(例えば、超遠心分離もしくは密度遠心分離)、凍結解凍、または超音波処理)、またはこれらの組合せを含むがこれらに限定されない方法を使用して、行うことができる。
【0312】
一部の実施形態では、フソソームは、以下の方法:
i)ミト粒子、エクソソーム、もしくは他の膜封入小胞の出芽を誘導すること、
ii)核不活性化、例えば、除核を、以下の方法:
a)遺伝子方法、
b)化学的方法、例えば、アクチノマイシンDを使用すること、または
c)機械的方法、例えば、圧搾もしくは吸引
のうちのいずれかまたはその組合せによって、誘導すること、または
iii)細胞断片化を、例えば、以下の方法:
a)化学的方法、
b)機械的方法、例えば、遠心分離(例えば、超遠心分離もしくは密度遠心分離)、凍結解凍、もしくは超音波処理
のうちのいずれかまたはその組合せによって、誘導すること、
のうちのいずれか1つ、すべて、または組合せによって、例えば、本明細書に記載されるように、フソゲンを発現する供給源細胞から生成され得る。
【0313】
疑いを回避するために、多くの事例では、実際にフソソームを作製するために使用される供給源細胞は、フソソームが作製された後に試験に利用可能ではないことを理解されよう。したがって、供給源細胞とフソソームとの間の比較は、フソソームを作製するために実際に改変された(例えば、除核した)供給源細胞をアッセイする必要はない。むしろ、その他は供給源細胞と同様である細胞、例えば、同じ培養物に由来する細胞、同じ遺伝子型、同じ組織型の細胞、またはこれらの任意の組合せの細胞を、代わりにアッセイすることができる。
フソソーム生成前の細胞の改変
【0314】
一部の態様では、改変、例えば、対象、組織、または細胞の改変が、フソソーム生成前に、細胞に行われる。そのような改変は、例えば、融合、フソゲンの発現もしくは活性、カーゴの構造もしくは機能、または標的細胞の構造もしくは機能を改善するために、有効であり得る。
(i)物理的改変
【0315】
一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、物理的に改変される。例えば、本明細書の他の箇所に記載されるように、フソゲンは、細胞の表面に結合していてもよい。
【0316】
一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、化学剤で処置される。例えば、細胞は、化学物質フソゲンまたは脂質フソゲンが、細胞の表面と非共有結合的もしくは共有結合的に相互作用するか、または細胞の表面内に包埋されるように、化学物質フソゲンまたは脂質フソゲンで処置されてもよい。一部の実施形態では、細胞は、細胞膜における脂質の膜融合特性を増強するための薬剤で処置される。
【0317】
一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、臓器、組織、または細胞型へのフソソームの標的化を増強する、細胞表面上の合成または内因性小分子または脂質に対する1つまたは複数の供給結合的または非共有結合的な結合部位を有するように、物理的に改変される。
【0318】
いくつかの実施形態では、フソソームは、増加または減少したレベルの内因性分子を含む。例えば、フソソームは、天然に存在する供給源細胞にも天然に存在するが、フソソームにおけるものよりも高いかまたは低いレベルで存在する、内因性分子を含み得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、供給源細胞またはフソソーム中の外因性核酸から発現される。一部の実施形態では、ポリペプチドは、供給源から単離され、供給源細胞またはフソソームにローディングまたはコンジュゲートされる。
【0319】
一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、細胞における内因性フソゲン(例えば、一部の実施形態では、供給源細胞に対して内因性であり、一部の実施形態では、標的細胞に対して内因性である)の発現または活性を増加させるように、化学剤、例えば、小分子で処置される。一部の実施形態では、小分子は、内因性フソゲンの転写活性化因子の発現または活性を増加させ得る。一部の実施形態では、小分子は、内因性フソゲンの転写抑制因子の発現または活性を減少させ得る。一部の実施形態では、小分子は、内因性フソゲンの発現を増加させるエピジェネティック改変因子である。
【0320】
一部の実施形態では、フソソームは、融合停止化合物、例えば、リゾホスファチジルコリンで処置された細胞から生成される。一部の実施形態では、フソソームは、フソゲンを切断しない解離試薬、例えば、Accutaseで処置された細胞から生成される。
【0321】
一部の実施形態では、供給源細胞は、フソソームを生成してフソゲンを添加するかまたはその濃度を増加させる前に、例えば、CRISPR活性化因子で物理的に改変される。
【0322】
一部の実施形態では、細胞は、オルガネラ、例えば、ミトコンドリア、ゴルジ体、小胞体、細胞内小胞(例えば、リソソーム、オートファゴソーム)の数を増加もしくは減少させるか、その構造もしくは機能を増強するように、物理的に改変される。
(ii)遺伝子改変
【0323】
一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、細胞における内因性フソゲン(例えば、一部の実施形態では、供給源細胞に対して内因性であり、一部の実施形態では、標的細胞に対して内因性である)の発現を増加させるように、遺伝子改変される。一部の実施形態では、遺伝子改変は、内因性フソゲンの転写活性化因子の発現または活性を増加させ得る。一部の実施形態では、遺伝子改変は、内因性フソゲンの転写抑制因子の発現または活性を減少させ得る。一部の実施形態では、活性化因子または抑制因子は、ガイドRNAによって内因性フソゲンへと標的化される転写活性化因子または転写抑制因子に連結されたヌクレアーゼ不活性cas9(dCas9)である。一部の実施形態では、遺伝子改変は、内因性フソゲン遺伝子を、その発現を増加させるようにエピジェネティックに改変する。一部の実施形態では、エピジェネティック活性化因子は、ガイドRNAによって内因性フソゲンへと標的化されるエピジェネティック改変因子に連結されたヌクレアーゼ不活性cas9(dCas9)である。
【0324】
一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、細胞における外因性フソゲンの発現、例えば、導入遺伝子の送達を増加させるように、遺伝子改変される。一部の実施形態では、核酸、例えば、DNA、mRNA、またはsiRNAは、フソソームを生成する前に、例えば、臓器、組織、または細胞の標的化に使用される細胞表面分子(タンパク質、グリカン、脂質、または低分子量の分子)の発現を増加または減少させるために、細胞に移入される。一部の実施形態では、核酸は、フソゲンの抑制因子、例えば、shRNA、siRNA構築物を標的とする。一部の実施形態では、核酸は、フソゲン抑制因子の阻害剤をコードする。
【0325】
一部の実施形態では、本方法は、供給源細胞に対して外因性であり、フソゲンをコードする核酸を、供給源細胞に導入するステップを含む。外因性核酸は、例えば、DNAまたはRNAであり得る。一部の実施形態では、外因性核酸は、例えば、DNA、gDNA、cDNA、RNA、pre-mRNA、mRNA、miRNA、siRNAなどであり得る。一部の実施形態では、外因性DNAは、線形DNA、環状DNA、または人工染色体であり得る。一部の実施形態では、DNAは、エピソームで維持される。一部の実施形態では、DNAは、ゲノムに組み込まれる。外因性RNAは、化学的に改変されたRNAであってもよく、例えば、1つまたは複数の骨格改変、糖改変、非カノニカル塩基、またはキャップを含み得る。骨格改変としては、例えば、ホスホロチオエート、N3’ホスホラミダイト、ボラノホスフェート、ホスホノアセテート、チオ-PACE、モルホリノホスホラミダイト、またはPNAが挙げられる。糖改変としては、例えば、2’-O-Me、2’F、2’F-ANA、LNA、UNA、および2’-O-MOEが挙げられる。非カノニカル塩基としては、例えば、5-ブロモ-U、および5-ヨード-U、2,6-ジアミノプリン、C-5プロピニルピリミジン、ジフルオロトルエン、ジフルオロベンゼン、ジクロロベンゼン、2-チオウリジン、シュードウリジン、およびジヒドロウリジンが挙げられる。キャップとしては、例えば、ARCAが挙げられる。さらなる改変は、例えば、Deleavey et al., ”Designing Chemically Modified Oligonucleotides for Targeted Gene Silencing” Chemistry & Biology Volume 19, Issue 8, 24 August 2012, Pages 937-954において考察されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0326】
一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、細胞において、供給源細胞に対して外因性であるフソゲンの発現または活性を増加させるように、化学剤、例えば、小分子で処置される。一部の実施形態では、小分子は、外因性フソゲンの転写活性化因子の発現または活性を増加させ得る。一部の実施形態では、小分子は、外因性フソゲンの転写抑制因子の発現または活性を減少させ得る。一部の実施形態では、小分子は、外因性フソゲンの発現を増加させるエピジェネティック改変因子である。
【0327】
一部の実施形態では、核酸は、改変されたフソゲンをコードする。例えば、制御可能な膜融合活性、例えば、特異的細胞型、組織型、または局所微小環境活性を有するフソゲンなどである。そのような制御可能な膜融合活性には、低pH、高pH、熱、赤外光、細胞外酵素活性(真核生物もしくは原核生物)、または小分子、タンパク質、もしくは脂質の曝露による、膜融合活性の活性化および/または開始が含まれ得る。一部の実施形態では、小分子、タンパク質、または脂質は、標的細胞上に提示される。
【0328】
一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、シグナル伝達経路(例えば、Wnt/ベータ-カテニン経路)の発現を変更(すなわち、上方制御または下方制御)するように、遺伝子改変される。一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、目的の遺伝子の発現を変更(例えば、上方制御または下方制御)するように、遺伝子改変される。一部の実施形態では、細胞は、フソソームを生成する前に、目的の核酸(例えば、miRNAまたはmRNA)の発現を変更(例えば、上方制御または下方制御)するように、遺伝子改変される。一部の実施形態では、核酸、例えば、DNA、mRNA、またはsiRNAは、フソソームを生成する前に、例えば、シグナル伝達経路、遺伝子、または核酸の発現を増加または減少させるために、細胞に移入される。一部の実施形態では、核酸は、シグナル伝達経路、遺伝子、もしくは核酸の抑制因子を標的とするか、またはシグナル伝達経路、遺伝子、もしくは核酸を抑制する。一部の実施形態では、核酸は、シグナル伝達経路、遺伝子、または核酸を上方制御または下方制御する、転写因子をコードする。一部の実施形態では、活性化因子または抑制因子は、ガイドRNAによってシグナル伝達経路、遺伝子、または核酸へと標的化される転写活性化因子または転写抑制因子に連結されたヌクレアーゼ不活性cas9(dCas9)である。一部の実施形態では、遺伝子改変は、内因性シグナル伝達経路、遺伝子、または核酸を、その発現へとエピジェネティックに改変する。一部の実施形態では、エピジェネティック活性化因子は、ガイドRNAによってシグナル伝達経路、遺伝子、または核酸へと標的化されるエピジェネティック改変因子に連結されたヌクレアーゼ不活性cas9(dCas9)である。一部の実施形態では、細胞のDNAは、フソソームを生成する前に、シグナル伝達経路(例えば、Wnt/ベータ-カテニン経路)、遺伝子、または核酸の発現を変更(例えば、上方制御または下方制御)するように、編集される。一部の実施形態では、DNAは、ガイドRNAおよびCRISPR-Cas9/Cpf1または他の遺伝子編集技術を使用して、編集される。
【0329】
細胞は、組換え方法を使用して、遺伝子改変され得る。所望される遺伝子をコードする核酸配列は、組換え方法を使用して、例えば、例として、標準的な方法を使用し、遺伝子を発現する細胞から得られたライブラリーをスクリーニングすることによって、それを含むことが判明しているベクターから遺伝子を誘導することによって、またはそれを含む細胞および組織から直接的に単離することによって、得ることができる。代替として、目的の遺伝子は、クローニングするのではなく、合成により産生することができる。
【0330】
天然または合成の核酸の発現は、典型的に、目的の遺伝子をコードする核酸をプロモーターに作動可能に連結させ、構築物を発現ベクターに組み込むことによって、達成される。ベクターは、真核生物における複製および組込みに好適であり得る。典型的なクローニングベクターは、所望される核酸配列の発現に有用な、転写終結因子および翻訳終結因子、開始配列、ならびにプロモーターを含む。
【0331】
一部の実施形態では、細胞は、1つまたは複数の発現領域、例えば、遺伝子により遺伝子改変され得る。一部の実施形態では、細胞は、外因性遺伝子(例えば、外因性遺伝子産物、例えば、RNAもしくはポリペプチド産物を発現することができる)および/または外因性制御性核酸で遺伝子改変され得る。一部の実施形態では、細胞は、標的細胞に対して内因性である遺伝子産物をコードする外因性配列および/または内因性遺伝子の発現をモジュレートすることができる外因性制御性核酸で遺伝子改変され得る。一部の実施形態では、細胞は、外因性遺伝子、および/または外因性遺伝子の発現をモジュレートする制御性核酸で遺伝子改変され得る。一部の実施形態では、細胞は、外因性遺伝子、および/または内因性遺伝子の発現をモジュレートする制御性核酸で遺伝子改変され得る。当業者であれば、本明細書に記載される細胞が、タンパク質または制御性分子をコードし、例えば、標的細胞の内因性ゲノムまたは外因性ゲノムの遺伝子産物に対して作用し得る、様々な外因性遺伝子を発現するように、遺伝子改変され得ることを理解するであろう。一部の実施形態では、そのような遺伝子は、フソソームに特徴を付与し、例えば、標的細胞との融合をモジュレートする。一部の実施形態では、細胞は、内因性遺伝子および/または制御性核酸を発現するように、遺伝子改変され得る。一部の実施形態では、内因性遺伝子または制御性核酸は、他の内因性遺伝子の発現をモジュレートする。一部の実施形態では、細胞は、他の染色体における内因性遺伝子および/または制御性核酸のバージョンとは異なって(例えば、誘導的に、組織特異的に、構成的に、またはより高いかもしくは低いレベルで)発現される、内因性遺伝子および/または制御性核酸を発現するように、遺伝子改変され得る。
【0332】
プロモーターエレメント、例えば、エンハンサーは、転写開始の頻度を制御する。典型的に、これらは、開始部位の30~110bp上流の領域に位置するが、いくつかのプロモーターは、近年、開始部位の下流にも同様に機能的エレメントを含むことが示されている。多くの場合、プロモーターエレメント間の間隔には、柔軟性があり、そのため、プロモーター機能は、エレメントが互いに逆転した場合または移動した場合にも、保持される。チミジンキナーゼ(tk)プロモーターの場合、プロモーターエレメント間の間隔は、50bp間隔に増加した後に、活性が低下し始める。プロモーターに応じて、個々のエレメントは、転写を活性化するために協働してまたは独立してのいずれかで機能し得るとみられる。
【0333】
好適なプロモーターの1つの例は、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター配列である。このプロモーター配列は、そこに作動可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を作動させることができる、強力な構成的プロモーター配列である。好適なプロモーターの別の例は、伸長成長因子-1α(EF-1α)である。しかしながら、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の長い末端反復配列(LTR)のプロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタインバーウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにアクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターなどであるがこれらに限定されないヒト遺伝子プロモーターが含まれるがこれらに限定されない、他の構成的プロモーター配列もまた、使用することができる。
【0334】
さらに、本発明は、構成的プロモーターの使用に限定されるものではない。誘導性プロモーターもまた、本発明の一部として企図される。誘導性プロモーターの使用は、それが作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列の発現を、そのような発現が所望されるときには有効にし、発現が所望されないときには発現を無効にすることができる、分子スイッチを提供する。誘導性プロモーターの例としては、組織特異的プロモーター、メタロチオニンプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、フソゲンの発現は、フソソームが生成される前、例えば、フソソームが生成される3、6、9、12、24、26、48、60、または72時間前に、上方制御される。
【0335】
供給源に導入しようとする発現ベクターはまた、ウイルスベクターを通じてトランスフェクトまたは感染させようとする細胞集団からの発現細胞の特定および選択を容易にするために、選択可能なマーカー遺伝子もしくはレポーター遺伝子のいずれか、または両方を含み得る。他の態様では、選択可能なマーカーは、別個のDNA片に保持させ、コトランスフェクション手順において使用してもよい。選択可能なマーカーおよびレポーター遺伝子のいずれも、宿主細胞における発現を可能にする適切な制御配列に隣接し得る。有用な選択的マーカーとしては、例えば、抗生物質耐性遺伝子、例えば、neoなどが挙げられる。
【0336】
レポーター遺伝子は、トランスフェクトされている可能性のある細胞を特定するため、および制御配列の機能性を評価するために使用され得る。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント供給源には存在しないか、または発現されない遺伝子であり、かつ発現が何らかの容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性によって顕在化されるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後の好適な時点でアッセイされる。好適なレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、または緑色蛍光タンパク質遺伝子を挙げることができる(例えば、Ui-Tei et al., 2000 FEBS Letters 479: 79-82)。好適な発現系は、周知であり、公知の技法を使用して調製することができるか、市販で入手することができる。一般に、最も高いレベルのレポーター遺伝子発現を示す、最小限の5’隣接領域を有する構築物が、プロモーターとして特定される。そのようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子に連結させることができ、プロモーターにより作動される転写をモジュレートする能力に関して薬剤を評価するために使用することができる。
【0337】
一部の実施形態では、細胞は、1つまたは複数のタンパク質の発現を変更するように、遺伝子改変され得る。1つまたは複数のタンパク質の発現は、特定の期間、例えば、供給源の発生または分化状態に関して、改変され得る。一部の実施形態では、フソソームは、1つまたは複数のタンパク質、例えば、融合活性、構造、または機能に影響を及ぼすフソゲンタンパク質または非フソゲンタンパク質の発現を変更するように遺伝子改変された細胞供給源から生成される。1つまたは複数のタンパク質の発現は、特定の位置に制限され得るか、または供給源全体に拡がっていてもよい。
【0338】
一部の実施形態では、フソゲンタンパク質の発現は、改変される。一部の実施形態では、フソソームは、フソゲンタンパク質発現の改変、例えば、少なくとも10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、またはそれを上回るフソゲンの発現の増加または減少を有する細胞から生成される。
【0339】
一部の実施形態では、細胞は、フソゲンタンパク質を標的とするサイトゾル酵素(例えば、プロテアーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、デメチラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、アセチラーゼ)を発現するように操作され得る。一部の実施形態では、サイトゾル酵素は、翻訳後改変を変更することによって、1つまたは複数のフソゲンに影響を及ぼす。タンパク質の翻訳後タンパク質改変は、栄養素の利用可能性および酸化還元条件に対する応答、ならびにタンパク質-タンパク質相互作用に影響を及ぼし得る。一部の実施形態では、フソソームは、翻訳後改変の変更、例えば、少なくとも10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、またはそれを上回る翻訳後改変の増加または減少を有するフソゲンを含む。
【0340】
改変を細胞に導入する方法としては、物理的方法、生物学的方法、および化学的方法が挙げられる。例えば、Geng. & Lu, Microfluidic electroporation for cellular analysis and delivery. Lab on a Chip. 13(19):3803-21. 2013、Sharei, A. et al. A vector-free microfluidic platform for intracellular delivery. PNAS vol. 110 no. 6. 2013、Yin, H. et al., Non-viral vectors for gene-based therapy. Nature Reviews Genetics. 15: 541-555. 2014を参照されたい。本明細書に記載されるフソソームの生成において使用するための細胞を改変するのに好適な方法としては、例えば、拡散、浸透、浸透圧パルス、浸透圧ショック、低浸透圧溶解、低浸透圧透析、イオン泳動、エレクトロポレーション、超音波処理、マイクロインジェクション、カルシウム沈降、膜インターカレーション、脂質媒介トランスフェクション、界面活性剤処置、ウイルス感染、受容体媒介エンドサイトーシス、タンパク質形質導入ドメインの使用、粒子発射(particle firing)、膜融合、凍結解凍、機械的破壊、および濾過が挙げられる。
【0341】
遺伝子改変の存在の確認には、様々なアッセイが含まれる。そのようなアッセイとしては、例えば、分子生物学的アッセイ、例えば、サザンブロット法およびノーザンブロット法、RT-PCRおよびPCR、生物化学的アッセイ、例えば、特定のペプチドの存在または非存在を、例えば、免疫学的手段(ELISAおよびウエスタンブロット)または本明細書に記載されるアッセイによって検出することが挙げられる。
フソソーム改変
【0342】
一部の態様では、改変が、フソソームに行われる。そのような改変は、例えば、標的化、機能、または構造を改善するために有効であり得る。
【0343】
一部の実施形態では、フソソームは、膜の表面に非共有結合的または共有結合的に連結し得るフソゲン、例えば、本明細書に記載される化学物質フソゲンで処置される。一部の実施形態では、フソソームは、膜に非共有結合的もしくは共有結合的に連結し得るか、またはそれ自体が膜に埋め込まれ得る、フソゲン、例えば、タンパク質フソゲンまたは脂質フソゲンで処置される。
【0344】
一部の実施形態では、リガンドは、フソソームの表面上に存在する官能性化学基(カルボン酸、アルデヒド、アミン、スルフヒドリル、およびヒドロキシル)を介して、フソソームの表面にコンジュゲートされる。
【0345】
そのような反応性基としては、限定されないが、マレイミド基が挙げられる。一例として、フソソームは、限定することなく、DSPE-MaL-PEG2000など、マレイミドがコンジュゲートされたリン脂質を含むように合成され得る。
【0346】
一部の実施形態では、小分子または脂質は、合成でも天然でも、フソソームの表面に共有結合的または非共有結合的に連結され得る。一部の実施形態では、フソソームにおける膜脂質は、膜融合特性を促進、誘導、または増強するように改変され得る。
【0347】
一部の実施形態では、フソソームは、改変されたタンパク質をローディングすることによって、改変される(例えば、新規な機能性を可能にするか、翻訳後改変を変更するか、ミトコンドリア膜および/もしくはミトコンドリア膜タンパク質に結合するか、異種機能を有する切断可能なタンパク質を形成するか、タンパク質分解が運命付けられたタンパク質を形成するか、薬剤の位置およびレベルをアッセイするか、または薬剤を担体として送達する)。一部の実施形態では、フソソームには、1つまたは複数の改変されたタンパク質がローディングされる。
【0348】
一部の実施形態では、供給源細胞に対して外因性であるタンパク質は、フソソームに非共有結合的に結合される。タンパク質は、放出のための切断可能なドメインを含み得る。一部の実施形態では、本発明は、切断可能なドメインを有する外因性タンパク質を含むフソソームを含む。
【0349】
一部の実施形態では、フソソームは、タンパク質分解が運命付けられたタンパク質で改変される。様々なプロテアーゼは、特定のタンパク質アミノ酸配列を認識し、そのタンパク質を分解の標的とする。これらのタンパク質分解酵素を使用して、タンパク質分解配列を有するタンパク質を特異的に分解することができる。一部の実施形態では、フソソームは、1つまたは複数のタンパク質分解酵素のレベルのモジュレート、例えば、少なくとも10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、90%、またはそれを上回るタンパク質分解酵素の増加または減少を含む。
【0350】
本明細書に記載されるように、非フソゲン添加剤が、フソソームの構造および/または特性を改変するために、フソソームに添加されてもよい。例えば、構造の安定化を補助し、内部カーゴの漏出を防止するために、コレステロールまたはスフィンゴミエリンのいずれかが、膜に添加され得る。さらに、膜は、水素化卵ホスファチジルコリンまたは卵ホスファチジルコリン、コレステロール、およびジセチルホスフェートから調製されてもよい。(例えば、考察については、Spuch and Navarro, Journal of Drug Delivery, vol. 2011, Article ID 469679, 12 pages, 2011. doi:10.1155/2011/469679を参照されたい)。
【0351】
一部の実施形態では、フソソームは、特定の細胞または組織型(例えば、心筋細胞)を標的とするために、外表面上に1つまたは複数の標的化基(例えば、標的化タンパク質)を含む。これらの標的化基としては、限定することなく、受容体、リガンド、抗体などが挙げられる。これらの標的化基は、標的細胞の表面上でそのパートナーと結合する。いくつかの実施形態では、標的化タンパク質は、本明細書に記載される標的細胞、例えば、皮膚細胞、心筋細胞、肝細胞、腸細胞(例えば、小腸の細胞)、膵臓細胞、脳細胞、前立腺細胞、肺細胞、結腸細胞、または骨髄細胞上の細胞表面マーカーに特異的である。
【0352】
一部の実施形態では、標的化タンパク質は、標的細胞上の細胞表面マーカーに結合する。いくつかの実施形態では、細胞表面マーカーは、タンパク質、糖タンパク質、受容体、細胞表面リガンド、クラスI膜貫通タンパク質、クラスII膜貫通タンパク質、またはクラスIII膜貫通タンパク質を含む。
【0353】
一部の実施形態では、標的化部分は、フソゲンとは別個のポリペプチドであるポリペプチドに含まれる。一部の実施形態では、標的化部分を含むポリペプチドは、膜貫通ドメインおよび細胞外標的化ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞外標的化ドメインは、scFv、DARPin、ナノボディ、受容体リガンド、または抗原を含む。一部の実施形態では、細胞外標的化ドメインは、抗体もしくはその抗原結合性断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、scFv抗体断片、ジスルフィド結合型Fv(sdFv)、VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、線形抗体、単一ドメイン抗体、例えば、sdAb(VLもしくはVHのいずれか)、もしくはラクダVHHドメイン)、抗原結合性フィブロネクチンIII型(Fn3)スキャフォールド、例えば、フィブロネクチンポリペプチドミニボディ、リガンド、サイトカイン、ケモカイン、またはT細胞受容体(TCR)を含む。
【0354】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるフソソームは、診断剤で官能化される。診断剤の例としては、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、コンピュータ補助断層撮影法(CAT)、単一光子放射型コンピュータ断層撮影法、x線、蛍光透視法、および磁気共鳴画像法(MRI)において使用される市販入手可能なイメージング剤、ならびに造影剤が挙げられるが、これらに限定されない。MRIにおける造影剤として使用するのに好適な材料の例としては、ガドリニウムキレート剤、ならびに鉄、マグネシウム、マンガン、銅、およびクロムが挙げられる。
【0355】
フソソームに官能基を導入する別の例は、調製後の間に、フソソームおよびリガンドを、ホモまたはヘテロ二官能性架橋剤と直接的に架橋することによるものである。この手順は、好適な化学反応および架橋剤のクラス(本明細書に考察されるように、CDI、EDAC、グルタルアルデヒドなど)、または調製後のフソソーム表面の化学的改変によってリガンドをフソソーム表面に連結させる任意の他の架橋剤を使用し得る。これには、両親媒性分子、例えば、脂肪酸、脂質、または官能性安定化剤が、フソソーム表面に受動的に吸着および接着され、それによって、リガンドへの接続のための官能末端基が導入され得る、プロセスも含まれる。
カーゴ
【0356】
一部の実施形態では、本明細書に記載されるフソソームは、膜タンパク質ペイロード剤であるかまたはそれを含むカーゴを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、治療用タンパク質であり得るかまたはそれをコードし得る。フソソームは、さらに、他のカーゴを含んでもよく、例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載されるフソソームは、治療剤であるかまたはそれを含むカーゴを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるフソソームは、複数の膜ペイロード剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるフソソームは、複数の治療剤であるかまたはそれを含むカーゴを含む。一部の実施形態では、フソソームは、1つまたは複数の膜タンパク質ペイロード剤および1つまたは複数の治療剤を含むカーゴを含む。一部の実施形態では、カーゴは、供給源細胞に対して外因性または内因性である治療剤であり得る。
【0357】
一部の実施形態では、フソソームは、フソソーム脂質二重層と会合したカーゴを含む。一部の実施形態では、フソソームは、フソソームの内腔内に配置されたカーゴを含む。一部の実施形態では、フソソームは、フソソーム脂質二重層と会合したカーゴおよびフソソームの内腔内に配置されたカーゴを含む。
【0358】
一部の実施形態では、カーゴは、フソソーム(fuososme)が由来する細胞において天然に発現されない。一部の実施形態では、カーゴは、フソソームが由来する細胞において天然に発現される。一部の実施形態では、カーゴは、フソソームが由来する細胞において天然に発現される野生型核酸もしくはタンパク質の変異体であるか、またはフソソームが由来する細胞において天然に発現される変異体の野生型である。
【0359】
一部の実施形態では、カーゴは、フソソームが由来する細胞における発現(例えば、トランスフェクション、形質導入、またはエレクトロポレーションによって導入されたDNAからの発現)を介して、フソソームにローディングされる。一部の実施形態では、カーゴは、フソソームが由来する細胞のゲノムに組み込まれているかまたはフソソームが由来する細胞においてエピソームで維持されているDNAから発現される。一部の実施形態では、カーゴの発現は、フソソームが由来する細胞において構成的である。一部の実施形態では、フソソームが由来する細胞におけるカーゴの発現は、誘導される。一部の実施形態では、カーゴの発現は、フソソームを生成する直前に、フソソームが由来する細胞において誘導される。一部の実施形態では、フソソームが由来する細胞におけるカーゴの発現は、フソソームが由来する細胞におけるフソゲンの発現と同時に誘導される。
【0360】
一部の実施形態では、カーゴは、フソソーム自体またはフソソームが由来する細胞へのエレクトロポレーションを介して、フソソームにローディングされる。一部の実施形態では、カーゴは、フソソーム自体またはフソソームが由来する細胞へのトランスフェクションを介して、フソソームにローディングされる。
【0361】
一部の態様では、本開示は、(i)コンドリソーム(例えば、国際出願第PCT/US16/64251号に記載される)、ミトコンドリア、オルガネラ(例えば、ミトコンドリア、リソソーム、核、細胞膜、細胞質、小胞体、リボソーム、液胞、エンドソーム、スプライソソーム、ポリメラーゼ、キャプシド、アクロソーム、オートファゴソーム、中心小体、グリコソーム、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、メラノソーム、マイトソーム、筋原線維、刺胞、ペルオキシソーム、プロテアソーム、小胞、ストレス顆粒、およびオルガネラのネットワーク)、除核細胞、例えば、前述のもののうちのいずれかを含む除核細胞のうちの1つまたは複数、ならびに(ii)フソゲン、例えば、ミオメーカータンパク質を含む、フソソーム組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。
【0362】
いくつかの実施形態では、フソゲンは、ミトコンドリアまたはコンドリソームに対して外部である脂質二重層に存在する。いくつかの実施形態では、コンドリソームは、例えば、国際出願第PCT/US16/64251号に記載される特性のうちの1つまたは複数を有し、これは、参照によりその全体が、本発明の実施例および概要を含め、本明細書に組み込まれる。
【0363】
一部の実施形態では、カーゴは、1つまたは複数の核酸配列、1つまたは複数のポリペプチド、核酸配列および/またはポリペプチドの組合せ、1つまたは複数のオルガネラ、ならびにこれらの任意の組合せを含み得る。一部の実施形態では、カーゴは、1つまたは複数の細胞成分を含み得る。一部の実施形態では、カーゴは、1つまたは複数のサイトゾルおよび/または核成分を含む。
【0364】
一部の実施形態では、カーゴは、核酸、例えば、DNA、nDNA(核DNA)、mtDNA(ミトコンドリアDNA)、タンパク質コーディングDNA、遺伝子、オペロン、染色体、ゲノム、トランスポゾン、レトロトランスポゾン、ウイルスゲノム、イントロン、エクソン、改変されたDNA、mRNA(メッセンジャーRNA)、tRNA(トランスファーRNA)、改変されたRNA、マイクロRNA、siRNA(低分子干渉RNA)、tmRNA(トランスファーメッセンジャーRNA)、rRNA(リボソームRNA)、mtRNA(ミトコンドリアRNA)、snRNA(低分子核RNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、SmY RNA(mRNAトランススプライシングRNA)、gRNA(ガイドRNA)、TERC(テロメラーゼRNA成分)、aRNA(アンチセンスRNA)、シス-NAT(シス-天然アンチセンス転写産物)、CRISPR RNA(crRNA)、lncRNA(長い非コーディングRNA)、piRNA(piwi相互作用RNA)、shRNA(短いヘアピンRNA)、tasiRNA(トランス作用siRNA)、eRNA(エンハンサーRNA)、衛星RNA、pcRNA(タンパク質コーディングRNA)、dsRNA(二本鎖RNA)、RNAi(干渉RNA)、circRNA(環状RNA)、再プログラミングRNA、アプタマー、ならびにこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、核酸は、野生型核酸である。一部の実施形態では、タンパク質は、突然変異型核酸である。一部の実施形態では、核酸は、複数の核酸配列の融合体またはキメラである。
【0365】
一部の実施形態では、フソソーム中のDNAまたはフソソームが由来する細胞中のDNAは、遺伝子編集技術、例えば、ガイドRNAおよびCRISPR-Cas9/Cpf1を使用して、または異なる標的化エンドヌクレアーゼ(例えば、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様ヌクレアーゼ(TALEN))を使用して、遺伝的突然変異を補正するように編集される。一部の実施形態では、遺伝的突然変異は、対象における疾患と関連している。DNAに対する編集の例としては、小さな挿入/欠失、大きな欠失、鋳型DNAによる遺伝子補正、または大きなDNA挿入が挙げられる。一部の実施形態では、遺伝子編集は、非相同末端結合(NHEJ)または相同性組換え修復(HDR)を用いて達成される。一部の実施形態では、編集は、ノックアウトである。一部の実施形態では、編集は、ノックインである。一部の実施形態では、DNAの両方の対立遺伝子が、編集される。一部の実施形態では、単一の対立遺伝子が、編集される。一部の実施形態では、複数の編集が行われる。一部の実施形態では、フソソームまたは細胞は、対象に由来するか、または対象に遺伝子が一致するか、または対象と免疫学的に適合性がある(例えば、類似のMHCを有する)。
【0366】
一部の実施形態では、カーゴは、核酸を含み得る。例えば、カーゴは、内因性タンパク質(例えば、一部の実施形態では、供給源細胞に対して内因性であり、一部の実施形態では、標的細胞に対して内因性である)の発現を増強するためのRNA、または内因性タンパク質のタンパク質発現を阻害するsiRNAもしくはmiRNAを含み得る。例えば、内因性タンパク質は、標的細胞における構造または機能をモジュレートし得る。一部の実施形態では、カーゴは、標的細胞における構造または機能をモジュレートする操作されたタンパク質をコードする核酸を含み得る。一部の実施形態では、カーゴは、標的細胞における構造または機能をモジュレートする転写活性化因子を標的とする核酸である。
【0367】
一部の実施形態では、カーゴは、例えば、本明細書に記載される自己複製RNAを含む。一部の実施形態では、自己複製RNAは、一本鎖RNAおよび/または線形RNAである。一部の実施形態では、自己複製RNAは、1つまたは複数のタンパク質、例えば、本明細書に記載されるタンパク質、例えば、膜タンパク質または分泌タンパク質をコードする。一部の実施形態では、自己複製RNAは、アルテリウイルスまたはアルファウイルス、またはそのバリアントに由来する部分的または完全なゲノムを含む。
【0368】
一部の実施形態では、カーゴは、標的細胞に送達することができるRNAを含み得、RNAは、標的細胞の内部で複製される。自己複製RNAの複製は、宿主細胞に対して外因性であるRNA複製機序、および/または宿主細胞に対して内因性であるRNA複製機序を含み得る。
【0369】
一部の実施形態では、自己複製RNAは、ウイルスゲノム、またはその自己複製部分もしくは類似体を含む。一部の実施形態では、自己複製RNAは、正センス一本鎖RNAウイルスに由来する。一部の実施形態では、自己複製RNAは、部分的または完全なアルテリウイルスゲノムまたはそのバリアントを含む。一部の実施形態では、アルテリウイルスは、ウマ動脈炎ウイルス(EAV)、ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)、乳酸脱水素酵素上昇ウイルス(LDV)、サル出血熱ウイルス(SHFV)を含む。一部の実施形態では、自己複製RNAは、部分的または完全なアルファウイルスゲノムまたはそのバリアントを含む。一部の実施形態では、アルファウイルスは、VEEV/EEEV群(例えば、ベネズエラウマ脳炎ウイルス)、SF群、またはSIN群に属する。
【0370】
一部の実施形態では、自己複製RNAを含むフソソームは、例えば、自己複製RNAの一部としてまたは別個の核酸分子に、(i)RNAの複製を促進する1つもしくは複数のタンパク質、または(ii)RNAの複製を促進する1つもしくは複数のタンパク質をコードする核酸をさらに含む。
【0371】
一部の実施形態では、自己複製RNAは、対応する野生型ゲノムと比べて、1つまたは複数のウイルス構造タンパク質をコードする少なくとも1つの機能性遺伝子が欠如している。例えば、一部の実施形態では、自己複製RNAは、ウイルス構造タンパク質の1つもしくは複数の遺伝子が完全に欠如しているか、またはウイルス構造タンパク質の非機能性変異体遺伝子を含む。一部の実施形態では、自己複製RNAは、ウイルス構造タンパク質の任意の遺伝子を含まない。
【0372】
一部の実施形態では、自己複製RNAは、例えば、国際出願第WO2018/106615号に記載されるように、ウイルスキャプシドエンハンサーを含み、これは、これにより参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、ウイルスキャプシドエンハンサーは、例えば、コーディング配列のeIF2alpha非依存性翻訳を可能にすることによって、シスでのコーディング配列の翻訳を増加させるRNA構造体である。一部の実施形態では、宿主細胞は、例えば、PKR媒介eIF2alphaのリン酸化に起因して、損傷した翻訳を有する。いくつかの実施形態では、ウイルスキャプシドエンハンサーは、ウイルスキャプシドタンパク質由来の下流ループ(DLP)またはDLPのバリアントを含む。一部の実施形態では、ウイルスキャプシドエンハンサーは、トガウイルス科、例えば、トガウイルス科のアルファウイルス属に属するウイルスに由来する。一部の実施形態では、ウイルスキャプシドエンハンサーは、WO2018/106615の配列番号1の配列(この配列は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)またはそれに対して少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列を有する。一部の実施形態では、配列は、WO2018/106615の
図1に示される同じ二次構造を有する。
【0373】
一部の実施形態では、自己複製RNAは、例えば、国際出願第WO2017/180770号に記載されるように、1つまたは複数のアルテリウイルス配列を含み、これは、これにより参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、自己複製RNAは、ORF7(またはその機能性断片もしくはバリアント)を含み、かつ/または自己複製RNAは、アルテリウイルスの機能性ORF2aが欠如している(例えば、ORF2aが完全に欠如しているか、もしくはORF2aの非機能性変異体を含む)。一部の実施形態では、自己複製RNAは、機能性ORF2b、ORF3、ORF4、ORF5a、ORF5、もしくはORF6、またはこれらの任意の組合せが欠如している(例えば、配列が完全に欠如しているか、または配列の非機能性変異体を含む)。一部の実施形態では、自己複製RNAは、ORF2a、ORF2b、ORF3、ORF4、ORF5a、ORF5、またはORF6のうちの1つまたは複数の一部分が欠如している。一部の実施形態では、自己複製RNAは、例えば、非天然部位に位置する1つまたは複数のサブゲノム(sg)プロモーターを含む。一部の実施形態では、プロモーターは、sgプロモーター1、sgプロモーター2、sgプロモーター3、sgプロモーター4、sgプロモーター5、sgプロモーター6、sgプロモーター7、またはその機能性断片もしくはバリアントを含む。一部の実施形態では、自己複製RNAは、1つまたは複数の転写終結シグナル、例えば、T7転写終結シグナル、例えば、変異型T7転写終結シグナル、例えば、T9001G、T3185A、またはG3188Aのうちの1つまたは複数(例えば、いずれか2つもしくはすべて)を含む変異型T7転写終結シグナルを含む。
【0374】
一部の実施形態では、自己複製RNAは、例えば、国際出願第WO2018/075235号に記載されるように、5’UTR、例えば、変異型アルファウイルス5’UTRを含み、これは、これにより参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、変異型アルファウイルス5’UTRは、1位、2位、4位、またはこれらの組合せに、1つまたは複数のヌクレオチド置換を含む。一部の実施形態では、変異体アルファウイルス5’UTRは、2位におけるUからGへの置換を含む。
【0375】
一部の実施形態では、カーゴは、ポリペプチド、例えば、酵素、構造ポリペプチド、シグナル伝達ポリペプチド、制御性ポリペプチド、輸送ポリペプチド、感覚性ポリペプチド、運動ポリペプチド、防御ポリペプチド、保管ポリペプチド、転写因子、抗体、サイトカイン、ホルモン、異化ポリペプチド、同化ポリペプチド、タンパク質分解ポリペプチド、代謝ポリペプチド、キナーゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、酵素モジュレーターポリペプチド、タンパク質結合ポリペプチド、脂質結合ポリペプチド、膜融合ポリペプチド、細胞分化ポリペプチド、エピジェネティックポリペプチド、細胞死ポリペプチド、核輸送ポリペプチド、核酸結合ポリペプチド、再プログラミングポリペプチド、DNA編集ポリペプチド、DNA修復ポリペプチド、DNA組換えポリペプチド、トランスポサーゼポリペプチド、DNA組込みポリペプチド、標的化エンドヌクレアーゼ(例えば、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様ヌクレアーゼ(TALEN)、cas9、およびその相同体)、リコンビナーゼ、ならびにこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、タンパク質は、細胞内のタンパク質を分解の標的とする。一部の実施形態では、タンパク質は、タンパク質をプロテアソームに局在化させることにより、細胞内のタンパク質を分解の標的とする。一部の実施形態では、タンパク質は、野生型タンパク質である。一部の実施形態では、タンパク質は、変異型タンパク質である。一部の実施形態では、タンパク質は、融合タンパク質またはキメラタンパク質である。
【0376】
一部の実施形態では、カーゴは、小分子、例えば、イオン(例えば、Ca2+、Cl-、Fe2+)、炭水化物、脂質、反応性酸素種、反応性窒素種、イソプレノイド、シグナル伝達分子、ヘム、ポリペプチド補因子、電子受容化合物、電子供与化合物、代謝産物、リガンド、およびこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、小分子は、細胞内の標的と相互作用する医薬である。一部の実施形態では、小分子は、細胞内のタンパク質を分解の標的とする。一部の実施形態では、小分子は、タンパク質をプロテアソームに局在化させることにより、細胞内のタンパク質を分解の標的とする。一部の実施形態では、その小分子は、タンパク質分解標的化キメラ分子(PROTAC)である。
【0377】
一部の実施形態では、カーゴは、タンパク質、核酸、または代謝産物、例えば、複数のポリペプチド、複数の核酸、複数の小分子の混合物、核酸、ポリペプチド、および小分子の組合せ、リボヌクレオタンパク質複合体(例えば、Cas9-gRNA複合体)、複数の転写因子、複数のエピジェネティック因子、再プログラミング因子(例えば、Oct4、Sox2、cMyc、およびKlf4)、複数の制御性RNA、ならびにこれらの任意の組合せを含む。
【0378】
一部の実施形態では、カーゴは、1つまたは複数のオルガネラ、例えば、コンドリソーム、ミトコンドリア、リソソーム、核、細胞膜、細胞質、小胞体、リボソーム、液胞、エンドソーム、スプライソソーム、ポリメラーゼ、キャプシド、アクロソーム、オートファゴソーム、中心小体、グリコソーム、グリオキシソーム、ヒドロゲノソーム、メラノソーム、マイトソーム、筋原線維、刺胞、ペルオキシソーム、プロテアソーム、小胞、ストレス顆粒、オルガネラのネットワーク、およびこれらの任意の組合せを含む。
【0379】
一部の実施形態では、カーゴは、フソソームまたは細胞膜に濃縮されている。一部の実施形態では、カーゴは、ペプチドシグナル配列を介して膜へと標的化することによって、濃縮される。一部の実施形態では、カーゴは、膜会合型タンパク質、脂質、または小分子との結合によって濃縮される。一部の実施形態では、カーゴは、膜会合型タンパク質、脂質、または小分子との二量体化によって濃縮される。一部の実施形態では、カーゴは、キメラ(例えば、キメラタンパク質または核酸)であり、膜会合型タンパク質、脂質、または小分子との結合または二量体化を媒介するドメインを含む。目的の膜会合型タンパク質としては、細胞膜と安定に会合する、例えば、それに結合する、それに組み込まれるなどのドメイン(すなわち、膜会合ドメイン)を有する任意のタンパク質が挙げられるがこれに限定されず、ここで、そのようなドメインとしては、ミリストイル化ドメイン、ファルネシル化ドメイン、膜貫通ドメインなどを挙げることができる。具体的な目的の膜会合型タンパク質としては、ミリストイル化タンパク質、例えば、p 60 v-srcなど、ファルネシル化タンパク質、例えば、Ras、Rheb、およびCENP-E,F、細胞膜二重層の脂質成分であるホスファチジル-セリンなどへの結合によって、特定の脂質二重層成分に結合するタンパク質、例えば、アネキシンV、膜アンカータンパク質、膜貫通タンパク質、例えば、トランスフェリン受容体およびその部分、ならびに膜融合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、膜会合型タンパク質は、第1の二量体化ドメインを含む。第1の二量体化ドメインは、例えば、カーゴの第2の二量体化ドメインに直接的に結合するか、または二量体化媒介因子を介して第2の二量体化ドメインに結合する、ドメインであり得る。一部の実施形態では、カーゴは、第2の二量体化ドメインを含む。第2の二量体化ドメインは、例えば、直接的にかまたは二量体化媒介因子を通じてのいずれかで、膜会合型タンパク質の第1の二量体化ドメインと二量体化する(例えば、直接的にかまたは媒介因子を通じてのいずれかで、非共有結合的結合相互作用などによって安定に会合する)、ドメインであり得る。二量体化ドメインに関して、これらのドメインは、直接的にかまたは二量体化媒介因子を介してのいずれかで、結合事象に関与するドメインであり、ここで、結合事象は、膜会合型タンパク質および標的タンパク質の所望される多量体、例えば、二量体の複合体の産生をもたらす。第1および第2の二量体化ドメインは、ホモ二量体性であり得、その場合にはそれらは同じアミノ酸配列から作製されているか、またはヘテロ二量体性であり得、その場合にはそれらは異なるアミノ酸配列から作製されている。二量体化ドメインは、変動し得、ここで、目的のドメインとしては、標的生体分子のリガンド、例えば、目的の特定のタンパク質に特異的に結合するリガンド(例えば、タンパク質:タンパク質相互作用ドメイン)、例えば、SH2ドメイン、Pazドメイン、RINGドメイン、転写活性化因子ドメイン、DNA結合ドメイン、酵素触媒ドメイン、酵素制御性ドメイン、酵素サブユニット、定義される細胞位置への局在化のためのドメイン、局在化ドメインの認識ドメイン、URL: pawsonlab.mshri.on.ca/index.php?option=com_content&task=view&id=30&Itemid=63/に列挙されているドメインなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、第1の二量体化ドメインは、核酸(例えば、mRNA、miRNA、siRNA、DNA)に結合し、第2の二量体化ドメインは、カーゴに存在する核酸配列である(例えば、第1の二量体化ドメインは、MS2であり、第2の二量体化ドメインは、MS2 RNAの高親和性結合ループである)。二量体化媒介因子として機能する任意の便宜的な化合物を用いることができる。天然および合成の両方の物質を含む、広範な化合物を、二量体化媒介因子として使用することができる。二量体化媒介因子の選択に適用可能であり、その容易に観察可能もしくは測定可能な基準としては、(A)リガンドが生理学的に許容されること(すなわち、使用しようとする細胞または動物に対して不適切な毒性が欠如していること)、(B)それが、妥当な治療投薬量範囲を有すること、(C)それが、必要に応じて細胞膜および他の膜を越えることができること(一部の事例では、細胞の外部から二量体化を媒介することができること)、ならびに(D)所望される用途に妥当な親和性で、それが設計されたキメラタンパク質の標的ドメインに結合することが挙げられる。第1の望ましい基準は、化合物が、その二量体化媒介因子活性を除き、相対的に生理学的に不活性であることである。一部の事例では、リガンドは、非ペプチドであり、非核酸である。さらなる二量体化ドメインは、例えば、US20170087087およびUS20170130197に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ペイロード剤
【0380】
本明細書に記載される方法および組成物を使用して、ペイロード剤を標的化することができる。例えば、ペイロード剤は、例えば、同時翻訳小胞体(ER)シグナルの使用を通じて、細胞膜へと標的化することができる。細胞膜は、例えば、ER膜、形質膜、分泌小胞および/もしくは分泌性小胞の膜、またはリソソーム膜であり得る。一部の実施形態では、ペイロード剤は、分泌の標的とされる。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物を使用して、ペイロードを、ERにおける翻訳後に、オルガネラ(例えば、ゴルジ体、分泌性小胞、またはリソソーム)の内腔へと標的化することができる。
【0381】
タンパク質ペイロード剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤または分泌タンパク質ペイロード剤)は、例えば、膜貫通タンパク質、細胞表面タンパク質、膜のサイトゾル側と会合したタンパク質、小胞体タンパク質、リソソームタンパク質、ゴルジ体タンパク質、分泌タンパク質、分泌性小胞タンパク質、もしくはエンドソームタンパク質、またはこれらの組合せから選択される、タンパク質、またはタンパク質をコードする核酸であり得るかまたはそれを含み得る。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、標的膜内に天然に存在するかまたは標的膜へと標的化される、タンパク質の外因性バージョンである。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、標的膜に天然に存在しないかまたは標的化されない。一部の実施形態では、タンパク質ペイロード剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤または分泌タンパク質ペイロード剤)は、例えば、細胞表面受容体タンパク質、輸送体、イオンチャネル、膜会合型酵素、細胞接着性タンパク質、免疫グロブリン、T細胞受容体、小胞体タンパク質、リソソームタンパク質、ゴルジ体タンパク質、分泌タンパク質、分泌性小胞タンパク質、エンドソームタンパク質から選択される、タンパク質、またはタンパク質をコードする核酸であり得るかまたはそれを含み得る。膜タンパク質ペイロード剤は、例えば、天然に存在する膜タンパク質の組換えバージョン、または合成タンパク質、例えば、天然に見出されない配列もしくは天然には一緒に見出されないドメインを有するタンパク質、例えば、キメラ膜タンパク質、例えば、第1の天然に存在するタンパク質に由来する細胞外ドメインならびに第2の天然に存在するタンパク質に由来する膜貫通ドメインおよび/もしくは細胞内ドメインを有する膜貫通タンパク質、例えば、キメラ抗原受容体であり得る。
【0382】
一部の実施形態では、フソソームは、タンパク質ペイロード剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤または分泌タンパク質ペイロード剤)を含む。一部の実施形態では、タンパク質ペイロード剤は、タンパク質および/またはそれをコードする核酸である。一部の実施形態では、タンパク質は、細胞系において発現され、次いで、フソソームに組み込まれる。当業者であれば、任意のそのようなタンパク質が細胞系によって発現される程度まで、細胞系が、タンパク質を作製するのに必要とされる任意の翻訳後プロセシングが可能であることを理解するであろう。一部の実施形態では、翻訳後プロセシングは、タンパク質スプライシング、タンパク質切断、タンパク質フォールディング、タンパク質グリコシル化、二量体化などのうちの1つまたは複数を含む。
【0383】
一部の実施形態では、タンパク質(例えば、膜タンパク質または分泌タンパク質)は、フソソームが由来する供給源細胞によって発現される。当業者であれば、任意のそのようなタンパク質が供給源細胞によって発現される程度まで、供給源細胞が、タンパク質を作製するのに必要とされる任意の翻訳後プロセシングが可能であることを理解するであろう。一部の実施形態では、翻訳後プロセシングは、タンパク質スプライシング、タンパク質切断、タンパク質フォールディング、タンパク質グリコシル化、二量体化などのうちの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、タンパク質ペイロード剤は、核酸である。一部の実施形態では、核酸は、細胞表面タンパク質をコードする。一部の実施形態では、核酸は、小胞体タンパク質、リソソームタンパク質、ゴルジ体タンパク質、分泌タンパク質、分泌性小胞タンパク質、またはエンドソームタンパク質をコードする。一部の実施形態では、タンパク質ペイロード剤、例えば、膜タンパク質ペイロード剤は、本明細書に記載される細胞表面抗原から選択されるタンパク質またはタンパク質をコードする核酸である。一部の実施形態では、核酸は、操作された細胞表面タンパク質をコードする。一部の実施形態では、操作された細胞表面タンパク質は、キメラ抗原受容体である。
【0384】
一部の実施形態では、タンパク質ペイロード剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤または分泌タンパク質ペイロード剤)は、融合された標的細胞によって発現される核酸を含む。当業者であれば、核酸タンパク質膜ペイロード剤の発現によって産生される任意のタンパク質が翻訳後プロセシングを必要とする程度まで、そのような翻訳後プロセシングが融合された標的細胞において行われることを理解するであろう。一部の実施形態では、翻訳後は、タンパク質スプライシング、タンパク質切断、タンパク質フォールディング、タンパク質グリコシル化、二量体化などのうちの1つまたは複数を含み得る。一部の実施形態では、翻訳後改変は、脂質、例えば、脂肪酸、イソプレノイド、ステロール、リン脂質、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)、コレステロール、ファルネシル、ゲラニルゲラニル、ミリストイル、パルミトイルの共有結合的付加であり、これは、一部の実施形態では、タンパク質を形質膜へと標的化する。
【0385】
一部の実施形態では、タンパク質ペイロード剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤または分泌タンパク質ペイロード剤)は、核酸、例えば、RNAまたはDNAを含む。一部の実施形態では、核酸は、1つまたは複数の天然の核酸残基であるか、それを含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、核酸は、1つまたは複数の核酸類似体であるか、それを含むか、またはそれからなる。一部の実施形態では、核酸は、機能性遺伝子産物、例えば、RNAまたはタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、1つまたは複数のイントロンを含む。一部の実施形態では、核酸は、天然の源からの単離、相補的鋳型に基づく重合による酵素合成(in vivoまたはin vitro)、組換え細胞または系における再生、および化学合成のうちの1つまたは複数によって調製される。一部の実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、1 10、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、またはそれを上回る残基長である。一部の実施形態では、核酸は、部分的または完全に一本鎖であり、一部の実施形態では、核酸は、部分的または完全に二本鎖である。一部の実施形態では、核酸は、ポリペプチドをコードするかまたはポリペプチドをコードする配列の相補体である少なくとも1つのエレメントを含む、ヌクレオチド配列を有する。核酸は、例えば、参照核酸との少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%の全体的な配列同一性を有するバリアントを含み得る。一部の実施形態では、バリアント核酸は、少なくとも1つの特徴的な配列エレメントを、参照核酸と共有しない。一部の実施形態では、バリアント核酸は、参照核酸の生物学的活性のうちの1つまたは複数を共有する。一部の実施形態では、核酸バリアントは、特定の位置における少数の配列変更を除き、参照物のものに同一である核酸配列を有する。一部の実施形態では、バリアントにおける残基のうちの約20%を下回る、約15%を下回る、約10%を下回る、約9%を下回る、約8%を下回る、約7%を下回る、約6%を下回る、約5%を下回る、約4%を下回る、約3%を下回る、または約2%を下回るものが、参照物と比較して、置換、挿入、または欠失されている。一部の実施形態では、バリアント核酸は、参照物と比較して、約10個、約9つ、約8つ、約7つ、約6つ、約5つ、約4つ、約3つ、約2つ、または約1つの置換された残基を含む。一部の実施形態では、バリアント核酸は、参照物と比較して、特定の生物学的活性に関与する、非常に少ない数(例えば、約5つを下回る、約4つを下回る、約3つを下回る、約2つを下回る、または約1つを下回る)の置換、挿入、または欠失された機能性残基を含む。一部の実施形態では、バリアント核酸は、参照物と比較して、約15個を上回らない、約12個を上回らない、約9つを上回らない、約3つを上回らない、または約1つを上回らない付加または欠失を含み、一部の実施形態では、付加も欠失も含まない。一部の実施形態では、バリアント核酸は、参照物と比較して、約27個を下回る、約24個を下回る、約21個を下回る、約18個を下回る、約15個を下回る、約12個を下回る、約9つを下回る、約6つを下回る、約3つを下回る、または約9つを下回る、約6つを下回る、約3つを下回る、または約2つを下回る付加または欠失を含む。
【0386】
一部の実施形態では、タンパク質ペイロード剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤または分泌タンパク質ペイロード剤)は、タンパク質を含む。タンパク質は、アミノ酸以外の部分を含んでもよく(例えば、糖タンパク質、プロテオグリカンなどであってもよく)、および/またはそれ以外にプロセシングもしくは改変されていてもよい。タンパク質は、例えば、1つもしくは複数のジスルフィド結合によって連結されているかまたは他の手段によって会合されている、1つを上回るポリペプチド鎖を含むことがあってもよい。タンパク質は、L-アミノ酸、D-アミノ酸、または両方を含んでもよく、様々なアミノ酸改変もしくは類似体のいずれかを含んでもよい。一部の実施形態では、タンパク質は、天然のアミノ酸、非天然のアミノ酸、合成のアミノ酸、およびこれらの組合せを含み得る。一部の実施形態では、タンパク質は、抗体、抗体断片、その生物学的に活性な部分、および/またはその特徴的な部分である。ポリペプチドは、例えば、参照ポリペプチドとの少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%の全体的な配列同一性を有するそのバリアントを含み得る。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、少なくとも1つの特徴的な配列エレメントを、参照ポリペプチドと共有しない。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照ポリペプチドの生物学的活性のうちの1つまたは複数を共有する。一部の実施形態では、ポリペプチドバリアントは、特定の位置における少数の配列変更を除き、参照物のものに同一であるアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、バリアントにおける残基のうちの約20%を下回る、約15%を下回る、約10%を下回る、約9%を下回る、約8%を下回る、約7%を下回る、約6%を下回る、約5%を下回る、約4%を下回る、約3%を下回る、または約2%を下回るものが、参照物と比較して、置換、挿入、または欠失されている。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照物と比較して、約10個、約9つ、約8つ、約7つ、約6つ、約5つ、約4つ、約3つ、約2つ、または約1つの置換された残基を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照物と比較して、特定の生物学的活性に関与する、非常に少ない数(例えば、約5つを下回る、約4つを下回る、約3つを下回る、約2つを下回る、または約1つを下回る)の置換、挿入、または欠失された機能性を含む。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照物と比較して、約5つを上回らない、約4つを上回らない、約3つを上回らない、約2つを上回らない、または約1つを上回らない付加または欠失を含み、一部の実施形態では、付加も欠失も含まない。一部の実施形態では、バリアントポリペプチドは、参照物と比較して、約25個を下回る、約20個を下回る、約19個を下回る、約18個を下回る、約17個を下回る、約16個を下回る、約15個を下回る、約14個を下回る、約13個を下回る、約10個を下回る、約9つを下回る、約8つを下回る、約7つを下回る、約6つを下回る、一般的には約5つを下回る、約4つを下回る、約3つを下回る、または約2つを下回る付加または欠失を含む。
シグナル配列
【0387】
一部の実施形態では、タンパク質ペイロード剤(例えば、膜タンパク質ペイロード剤または分泌タンパク質ペイロード剤)は、タンパク質を特定の部位または位置(例えば、細胞表面)に方向付けるシグナル配列を含むかまたはそれが含まれるタンパク質(またはそれをコードする核酸)である。当業者であれば、ある特定の事例において、細胞は、少なくとも一時的にタンパク質の一部である(例えば、最初に産生されたときに)アミノ酸モチーフである「選別シグナル」を使用して、タンパク質を、特定の細胞内位置(例えば、標的細胞の特定のオルガネラまたは表面膜)へと標的化することを理解するであろう。一部の実施形態では、選別シグナルは、シグナル配列、シグナルペプチド、またはリーダー配列であり、これは、タンパク質を、小胞体(ER)と称されるオルガネラへと方向付け、一部のそのような実施形態では、タンパク質は、次いで、形質膜へと送達される。US20160289674A1を参照されたい。一部のそのような実施形態では、タンパク質は、次いで、分泌される。一部のそのような実施形態では、タンパク質は、次いで、リソソームへと輸送される。一部のそのような実施形態では、タンパク質は、次いで、ゴルジ体へと輸送される。一部のそのような実施形態では、タンパク質は、次いで、分泌性小胞へと輸送され、次いで、細胞から分泌され得る。一部のそのような実施形態では、タンパク質は、次いで、エンドソームへと輸送される。
【0388】
一部の実施形態では、ERを標的とするタンパク質は、同時翻訳性である。一部の実施形態では、タンパク質の転位および膜挿入は、タンパク質合成と関連している。一部の実施形態では、シグナル配列は、疎水性であり得る。一部の実施形態では、シグナル配列は、部分的に疎水性であり得る。一部の実施形態では、シグナル配列は、シグナル認識粒子(SRP)によって認識される。一部の実施形態では、シグナル配列がリボソームから生じるときにそれを認識するSRP。一部の実施形態では、発生期のペプチド鎖-リボソーム複合体は、SRP受容体に結合することによって、ERへと標的化される。一部の実施形態では、シグナル配列は、トランスロコンのSec61αサブユニットと相互作用し、膜タンパク質または前記膜タンパク質の部分鎖の転位を開始する。
【0389】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、目的のタンパク質と膜貫通タンパク質のコーディング配列とのインフレーム融合体、または目的のタンパク質とタンパク質の膜貫通ドメインもしくは膜アンカードメインとのインフレーム融合体(例えば、トランスフェリン受容体膜アンカードメインとの融合体)を含む。例えば、Winndard, P, et al. Development of novel chimeric transmembrane proteins for multimodality imaging of cancer cells, Cancer Biology & Therapy. 12:1889-1899 (2007)を参照されたい。
【0390】
一部の実施形態では、選別シグナルまたはシグナルペプチドは、タンパク質(例えば、膜タンパク質または分泌タンパク質)のN末端またはC末端に結合される。Goder, V. & Spiess, M., Topogenesis of membrane proteins: determinants and dynamics. FEBS Letters. 504(3): 87-93 (2001)を参照されたい。一部の実施形態では、タンパク質は、天然のタンパク質である。一部の実施形態では、膜タンパク質は、合成タンパク質である。
【0391】
一部の実施形態では、シグナルは、転写産物の翻訳が終止コドンに到達した後にのみ、リボソームから生じる。一部の実施形態では、膜タンパク質の挿入は、翻訳後である。
【0392】
一部の実施形態では、シグナル配列は、表4から選択される。一部の実施形態では、シグナル配列は、表4から選択される配列を含む。一部の実施形態では、表4のシグナル配列は、タンパク質、例えば、膜タンパク質または分泌タンパク質のN末端に付加され得る。一部の実施形態では、表4のシグナル配列は、タンパク質、例えば、膜タンパク質または分泌タンパク質のC末端に付加され得る。当業者であれば、以下のシグナル配列が、そのそれぞれの天然に会合するタンパク質での使用に制限されないことを理解するであろう。一部の実施形態では、核酸は、標的細胞による膜タンパク質をコードする配列の発現を方向付ける1つまたは複数の制御性エレメントを含む。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
膜タンパク質ペイロード剤
【0393】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、細胞の膜表面上(例えば、形質膜の表面上)に天然に見出されるタンパク質(またはそれをコードする核酸)である。
【0394】
例示的な膜タンパク質(および/またはそれをコードする核酸)は、例えば、米国特許公開第2016/0289674号において見出すことができ、その内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤(および/またはそれをコードする核酸)は、米国特許公開第2016/0289674号の配列番号8144~16131のうちのいずれか1つに記載される配列、またはその機能性断片を有する。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、米国特許公開第2016/0289674号の配列番号8144~16131のうちのいずれか1つに記載される形質膜タンパク質(それをコードする核酸)、または形質膜タンパク質の断片、バリアント、またはホモログ(もしくはそれをコードする核酸)である。
【0395】
一部の実施形態では、本開示に関連する膜タンパク質は、治療用膜タンパク質である。一部の実施形態では、本開示に関連する膜タンパク質は、細胞表面受容体、膜輸送タンパク質(例えば、能動的もしくは受動的輸送タンパク質、例えば、例として、イオンチャネルタンパク質、細孔形成タンパク質[例えば、毒素タンパク質]など)、膜酵素、ならびに/または細胞接着性タンパク質)であるかまたはそれを含む。
【0396】
一部の実施形態では、膜タンパク質は、一回膜貫通タンパク質である。一部の実施形態では、一回膜貫通タンパク質は、細胞質N末端および細胞質外C末端(Ncyt/Cexo)またはその逆の配向(Nexo/Ccyt)を有する最終的な位相を想定し得る。
【0397】
一部の実施形態では、膜タンパク質は、N末端切断可能シグナル配列および輸送停止(stop-transfer)配列(Nexo/Ccyt)を含むI型膜タンパク質である。一部の実施形態では、シグナルは、C末端にある。一部の実施形態では、N末端切断可能シグナル配列は、発生期のペプチドをERへと標的化する。一部の実施形態では、N末端切断可能シグナル配列は、典型的な7~15個の主として無極性の残基からできた疎水性ストレッチを含む。一部の実施形態では、I型膜タンパク質は、ポリペプチドのさらなる転位を停止させ、膜貫通アンカーとして作用する、輸送停止配列を含む。一部の実施形態では、輸送停止配列は、約20個の疎水性残基のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、I型膜タンパク質のN末端は、細胞外にあり、C末端は、細胞質にある。一部の実施形態では、I型膜タンパク質は、グリコホリンまたはLDL受容体であり得る。
【0398】
一部の実施形態では、膜タンパク質は、シグナルアンカー配列(Ncyt/Cexo)を含むII型膜タンパク質である。一部の実施形態では、シグナルは、C末端にある。一部の実施形態では、シグナルアンカー配列は、II型膜タンパク質の挿入およびアンカーの両方を担う。一部の実施形態では、シグナルアンカー配列は、約18~25個の主として無極性の残基を含む。一部の実施形態では、シグナルアンカー配列は、シグナルペプチダーゼ切断部位が欠如している。一部の実施形態では、シグナルアンカー配列は、ポリペプチド鎖の内部に配置され得る。一部の実施形態では、シグナルアンカー配列は、タンパク質のC末端の細胞膜を越える転位を誘導する。一部の実施形態では、II型膜タンパク質のC末端は、細胞外にあり、N末端は、細胞質にある。一部の実施形態では、II型膜タンパク質は、トランスフェリン受容体またはガラクトシルトランスフェラーゼ受容体であり得る。
【0399】
一部の実施形態では、膜タンパク質は、逆シグナルアンカー配列(Nexo/Ccyt)を含むIII型膜タンパク質である。一部の実施形態では、シグナルは、N末端にある。一部の実施形態では、逆シグナルアンカー配列は、III型膜タンパク質の挿入およびアンカーの両方を担う。一部の実施形態では、逆シグナルアンカー配列は、約18~25個の主として無極性の残基を含む。一部の実施形態では、シグナルアンカー配列は、シグナルペプチダーゼ切断部位が欠如している。一部の実施形態では、シグナルアンカー配列は、ポリペプチド鎖の内部に配置され得る。一部の実施形態では、シグナルアンカー配列は、タンパク質のN末端の細胞膜を越える転位を誘導する。一部の実施形態では、III型膜タンパク質のN末端は、細胞外にあり、C末端は、細胞質にある。一部の実施形態では、I型膜タンパク質は、シナプトガミン、ニューレグリン、またはシトクロムP-450であり得る。
【0400】
一部の実施形態では、I型、II型、またはIII型の膜タンパク質は、SRP、SRP受容体、およびSec61トランスロコンを含む細胞経路を介して、細胞膜へと挿入される。
【0401】
一部の実施形態では、膜タンパク質は、主として、サイトゾルに曝露されており、C末端シグナル配列によって膜にアンカーされているが、これは、SRPと相互作用しない。一部の実施形態では、タンパク質は、シトクロムb5、またはSNAREタンパク質(例えば、シナプトブレビン)である。
【0402】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、ペイロード膜タンパク質を細胞膜へと局在化させるシグナル配列を含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、核酸であり、ここで、核酸は、核酸によってコードされるペイロード膜タンパク質を細胞膜へと局在化させるシグナル配列をコードする。
(i)インテグリン膜タンパク質ペイロード
【0403】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、インテグリン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表5から選択されるインテグリン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表5のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表5の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【表5】
(ii)イオンチャネルタンパク質
【0404】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、イオンチャネルタンパク質、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表6から選択されるイオンチャネルタンパク質、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表6のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表6の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【表6-8】
【表6-9】
(iii)細孔形成タンパク質
【0405】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、細孔形成タンパク質、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、細孔形成タンパク質は、ヘモリジン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であり得る。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表7から選択されるヘモリジン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、細孔形成タンパク質は、コリシン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であり得る。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表8から選択されるコリシン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。
【0406】
いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表7のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表7の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【0407】
いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表8のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表8の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【表7】
【表8】
(iv)Toll様受容体
【0408】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、toll様受容体(TLR)、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表9から選択されるtoll様受容体、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表9のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表9の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【表9】
【0409】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、インターロイキン受容体、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表10から選択されるインターロイキン受容体、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表10のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表10の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
(v)インターロイキン受容体ペイロード
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
(vi)細胞接着性タンパク質ペイロード
【0410】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、細胞接着性タンパク質、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表11から選択される細胞接着性タンパク質、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、細胞接着性タンパク質は、カドヘリン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であり得る。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表12から選択されるカドヘリン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、細胞接着性タンパク質は、セレクチン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であり得る。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表13から選択されるセレクチン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、細胞接着性タンパク質は、ムチン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であり得る。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表14から選択されるムチン、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。
【0411】
いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表11のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表11の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【0412】
いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表12のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表12の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【0413】
いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表13のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表13の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【0414】
いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表14のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表14の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【表11】
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【表13】
【表14-1】
【表14-2】
(vii)輸送タンパク質ペイロード
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、輸送タンパク質、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表15から選択される輸送タンパク質、またはその機能性断片、バリアント、もしくはホモログ、またはそれをコードする核酸であるかまたはそれを含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表15のタンパク質のポリペプチド配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有するタンパク質、またはそれをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、表15の遺伝子の核酸配列に少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または99%同一である配列を有する核酸を含む。
【表15-1】
【表15-2】
【表15-3】
【表15-4】
【表15-5】
【表15-6】
【表15-7】
【表15-8】
【表15-9】
【表15-10】
【表15-11】
(viii)キメラ抗原受容体ペイロード
【0415】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、CAR、例えば、第1世代のCAR、または第1世代のCARをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、第1世代のCARは、抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、シグナル伝達ドメインは、T細胞活性化の間の下流シグナル伝達を媒介する。
【0416】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、第2世代のCAR、または第2世代のCARをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、第2世代のCARは、抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および2つのシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、シグナル伝達ドメインは、T細胞活性化の間の下流シグナル伝達を媒介する。一部の実施形態では、シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインである。一部の実施形態では、共刺激ドメインは、T細胞活性化の間のサイトカイン産生、CAR T細胞増殖、およびまたはCAR T細胞持続を増強する。
【0417】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、第3世代のCAR、または第3世代のCARをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、第3世代のCARは、抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および少なくとも3つのシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、シグナル伝達ドメインは、T細胞活性化の間の下流シグナル伝達を媒介する。一部の実施形態では、シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインである。一部の実施形態では、共刺激ドメインは、T細胞活性化の間のサイトカイン産生、CAR T細胞増殖、およびまたはCAR T細胞持続を増強する。一部の実施形態では、第3世代のCARは、少なくとも2つの共刺激ドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの共刺激ドメインは、同じではない。
【0418】
一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、第4世代のCAR、または第4世代のCARをコードする核酸であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、第4世代のCARは、抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および少なくとも2つ、3つ、または4つのシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、シグナル伝達ドメインは、T細胞活性化の間の下流シグナル伝達を媒介する。一部の実施形態では、シグナル伝達ドメインは、共刺激ドメインである。一部の実施形態では、共刺激ドメインは、T細胞活性化の間のサイトカイン産生、CAR T細胞増殖、およびまたはCAR T細胞持続を増強する。
【0419】
一部の実施形態では、第1世代、第2世代、第3世代、または第4世代のCARは、CARのシグナル伝達が成功するとサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインをさらに含む。一部の実施形態では、サイトカイン遺伝子は、CARのシグナル伝達が成功するとサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインを含むCARを含む標的細胞に対して内因性または外因性である。一部の実施形態では、サイトカイン遺伝子は、炎症促進性サイトカインをコードする。一部の実施形態では、サイトカイン遺伝子は、IL-1、IL-2、IL-9、IL-12、IL-18、TNF、またはIFN-ガンマ、またはこれらの機能性断片をコードする。一部の実施形態では、CARのシグナル伝達が成功するとサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインは、転写因子またはその機能的ドメインもしくは断片であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、CARのシグナル伝達が成功するとサイトカイン遺伝子の発現を誘導するドメインは、転写因子またはその機能的ドメインもしくは断片であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、転写因子またはその機能的ドメインもしくは断片は、活性化T細胞の核因子(NFAT)、NF-kB、またはその機能的ドメインもしくは断片であるかまたはそれを含む。例えば、Zhang. C. et al., Engineering CAR-T cells. Biomarker Research. 5:22 (2017)、WO 2016126608、Sha, H. et al. Chimaeric antigen receptor T-cell therapy for tumour immunotherapy. Bioscience Reports Jan 27, 2017, 37 (1)を参照されたい。
(a)CAR抗原結合性ドメイン
【0420】
一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、抗体またはその抗原結合性部分であるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、scFvまたはFabであるかまたはそれを含む。一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、T細胞アルファ鎖抗体、T細胞β鎖抗体、T細胞γ鎖抗体、T細胞δ鎖抗体、CCR7抗体、CD3抗体、CD4抗体、CD5抗体、CD7抗体、CD8抗体、CD11b抗体、CD11c抗体、CD16抗体、CD19抗体、CD20抗体、CD21抗体、CD22抗体、CD25抗体、CD28抗体、CD34抗体、CD35抗体、CD40抗体、CD45RA抗体、CD45RO抗体、CD52抗体、CD56抗体、CD62L抗体、CD68抗体、CD80抗体、CD95抗体、CD117抗体、CD127抗体、CD133抗体、CD137(4-1 BB)抗体、CD163抗体、F4/80抗体、IL-4Ra抗体、Sca-1抗体、CTLA-4抗体、GITR抗体GARP抗体、LAP抗体、グランザイムB抗体、LFA-1抗体、またはトランスフェリン受容体抗体のscFvまたはFab断片を含む。
【0421】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、細胞の細胞表面抗原に結合する。一部の実施形態では、細胞表面抗原は、1つの種類の細胞に特徴的である。一部の実施形態では、細胞表面抗原は、1つを上回る種類の細胞に特徴的である。
【0422】
一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、T細胞に特徴的な細胞表面抗原に結合する。一部の実施形態では、T細胞に特徴的な抗原は、T細胞に特徴的な細胞表面受容体、膜輸送タンパク質(例えば、能動的もしくは受動的輸送タンパク質、例えば、例として、イオンチャネルタンパク質、細孔形成タンパク質など)、膜貫通受容体、膜酵素、および/または細胞接着性タンパク質であり得る。一部の実施形態では、T細胞に特徴的な抗原は、Gタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ会合型受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、またはヒスチジンキナーゼ会合型受容体であり得る。
【0423】
一部の実施形態では、T細胞に特徴的な抗原は、T細胞受容体であり得る。一部の実施形態では、T細胞受容体は、AKT1;AKT2;AKT3;ATF2;BCL10;CALM1;CD3D(CD3δ);CD3E(CD3ε);CD3G(CD3γ);CD4;CD8;CD28;CD45;CD80(B7-1);CD86(B7-2);CD247(CD3ζ);CTLA4(CD152);ELK1;ERK1(MAPK3);ERK2;FOS;FYN;GRAP2(GADS);GRB2;HLA-DRA;HLA-DRB1;HLA-DRB3;HLA-DRB4;HLA-DRB5;HRAS;IKBKA(CHUK);IKBKB;IKBKE;IKBKG(NEMO);IL2;ITPR1;ITK;JUN;KRAS2;LAT;LCK;MAP2K1(MEK1);MAP2K2(MEK2);MAP2K3(MKK3);MAP2K4(MKK4);MAP2K6(MKK6);MAP2K7(MKK7);MAP3K1(MEKK1);MAP3K3;MAP3K4;MAP3K5;MAP3K8;MAP3K14(NIK);MAPK8(JNK1);MAPK9(JNK2);MAPK10(JNK3);MAPK11(p38β);MAPK12(p38γ);MAPK13(p38δ);MAPK14(p38α);NCK;NFAT1;NFAT2;NFKB1;NFKB2;NFKBIA;NRAS;PAK1;PAK2;PAK3;PAK4;PIK3C2B;PIK3C3(VPS34);PIK3CA;PIK3CB;PIK3CD;PIK3R1;PKCA;PKCB;PKCM;PKCQ;PLCY1;PRF1(パーフォリン)、PTEN、RAC1、RAF1、RELA、SDF1、SHP2、SLP76、SOS、SRC、TBK1、TCRA、TEC、TRAF6、VAV1、VAV2、またはZAP70であり得る。
【0424】
一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、がんに特徴的な抗原に結合する。一部の実施形態では、がんに特徴的な抗原は、細胞表面受容体、イオンチャネル結合型受容体、酵素結合型受容体、Gタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ会合型受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、ヒスチジンキナーゼ会合型受容体、上皮成長因子受容体(EGFR)(ErbB1/EGFR、ErbB2/HER2、ErbB3/HER3、およびErbB4/HER4を含む)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)(FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF18、およびFGF21を含む)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)(VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、およびPIGFを含む)、RET受容体およびEph受容体ファミリー(EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、EphA5、EphA6、EphA7、EphA8、EphA9、EphA10、EphB1、EphB2、EphB3、EphB4、およびEphB6を含む)、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR6、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR8、CFTR、CIC-1、CIC-2、CIC-4、CIC-5、CIC-7、CIC-Ka、CIC-Kb、ベストロフィン、TMEM16A、GABA受容体、グリシン受容体、ABC輸送体、NAV1.1、NAV1.2、NAV1.3、NAV1.4、NAV1.5、NAV1.6、NAV1.7、NAV1.8、NAV1.9、スフィンゴシン-1-ホスフェート受容体(S1P1R)、NMDAチャネル、膜貫通タンパク質、複数回膜貫通タンパク質、T細胞受容体モチーフ、T細胞アルファ鎖、T細胞β鎖、T細胞γ鎖、T細胞δ鎖、CCR7、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD11b、CD11c、CD16、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD28、CD34、CD35、CD40、CD45RA、CD45RO、CD52、CD56、CD62L、CD68、CD80、CD95、CD117、CD127、CD133、CD137(4-1 BB)、CD163、F4/80、IL-4Ra、Sca-1、CTLA-4、GITR、GARP、LAP、グランザイムB、LFA-1、トランスフェリン受容体、NKp46、パーフォリン、CD4+、Th1、Th2、Th17、Th40、Th22、Th9、Tfh、カノニカルTreg FoxP3+、Tr1、Th3、Treg17、TREG、CDCP1、NT5E、EpCAM、CEA、gpA33、ムチン、TAG-72、炭酸脱水酵素IX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えば、CD2、CD3、GM2)、ルイス-γ2、VEGF、VEGFR 1/2/3、αVβ3、α5β1、ErbB1/EGFR、ErbB1/HER2、ErB3、c-MET、IGF1R、EphA3、TRAIL-R1、TRAIL-R2、RANKL、FAP、テネイシン、PDL-1、BAFF、HDAC、ABL、FLT3、KIT、MET、RET、IL-1β、ALK、RANKL、mTOR、CTLA-4、IL-6、IL-6R、JAK3、BRAF、PTCH、Smoothened、PIGF、ANPEP、TIMP1、PLAUR、PTPRJ、LTBR、もしくはANTXR1、葉酸受容体アルファ(FRa)、ERBB2(Her2/neu)、EphA2、IL-13Ra2、上皮成長因子受容体(EGFR)、メソテリン、TSHR、CD19、CD123、CD22、CD30、CD171、CS-1、CLL-1、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、BCMA、MUC16(CA125)、L1CAM、LeY、MSLN、IL13Rα1、L1-CAM、Tn Ag、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、FLT3、FAP、TAG72、CD38、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、インターロイキン-11受容体a(IL-11Ra)、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、血小板由来成長因子受容体-ベータ(PDGFR-ベータ)、SSEA-4、CD20、MUC1、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-1受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLACl、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-A1、レグマイン、HPV E6、E7、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレイクポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYPIB I、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸内カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、ネオ抗原、CD133、CD15、CD184、CD24、CD56、CD26、CD29、CD44、HLA-A、HLA-B、HLA-C(HLA-A、B、C) CD49f、CD151 CD340、CD200、tkrA、trkB、もしくはtrkC、またはその抗原性断片もしくは抗原性部分から選択される。
【0425】
一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、感染性疾患(例えば、ウイルス感染または細菌感染)に特徴的な抗原に結合する。一部の実施形態では、抗原は、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV))、ヒトTリンパ球向性ウイルス-1(HTLV-1)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)、シミアンウイルス40(SV40)、エプスタインバーウイルス、CMV、ヒトパピローマウイルスから選択される感染性疾患に特徴的である。一部の実施形態では、感染性疾患に特徴的な抗原は、細胞表面受容体、イオンチャネル結合型受容体、酵素結合型受容体、Gタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ会合型受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、またはヒスチジンキナーゼ会合型受容体から選択される。一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、感染性疾患に特徴的な抗原に結合し、ここで、抗原は、HIV Env、gpl20、またはHIV-1 Env上のCD4に誘導されるエピトープから選択される。例えば、WO2015/077789を参照されたく、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、CD4またはそのHIV結合性断片を含む。
【0426】
一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、自己免疫障害または炎症性障害に特徴的な抗原に結合する。一部の実施形態では、抗原は、慢性移植片対宿主病(GVHD)、ループス、関節炎、免疫複合体糸球体腎炎、グッドパスチャー、ブドウ膜炎、肝炎、全身性硬化症もしくは強皮症、I型糖尿病、多発性硬化症、寒冷凝集素病、尋常性天疱瘡、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、血友病A、原発性シェーグレン症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、視神経脊髄炎、エヴァンス症候群、IgM媒介性ニューロパチー、クリオグロブリン血症、皮膚筋炎、特発性血小板減少症、強直性脊椎炎、水疱性類天疱、後天性血管浮腫、慢性蕁麻疹、抗リン脂質脱髄性多発ニューロパチー、および自己免疫性血小板減少症もしくは好中球減少症、または純赤芽球癆から選択される自己免疫障害または炎症性障害に特徴的であり、一方で同種免疫疾患の例示的な非限定的な例としては、造血器移植もしくは固形臓器移植、輸血、胎児同種感作を伴う妊娠による同種感作(例えば、Blazar et al., 2015, Am. J. Transplant, 15(4):931-41を参照されたい)または異種感作、新生児同種免疫性血小板減少症、新生児の溶血性疾患、外来抗原への感作、例えば、酵素もしくはタンパク質置換え療法、血液製剤、および遺伝子療法により処置される先天性もしくは後天性の欠損障害の置換えにより生じ得るものが挙げられる。一部の実施形態では、自己免疫障害または炎症性障害に特徴的な抗原は、細胞表面受容体、イオンチャネル結合型受容体、酵素結合型受容体、Gタンパク質共役型受容体、受容体チロシンキナーゼ、チロシンキナーゼ会合型受容体、受容体様チロシンホスファターゼ、受容体セリン/スレオニンキナーゼ、受容体グアニリルシクラーゼ、またはヒスチジンキナーゼ会合型受容体から選択される。一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、B細胞、形質細胞、または形質芽細胞に発現されるリガンドに結合する。一部の実施形態では、CAR抗原結合性ドメインは、自己免疫障害または炎症性障害に特徴的な抗原に結合し、ここで、抗原は、CD10、CD19、CD20、CD22、CD24、CD27、CD38、CD45R、CD138、CD319、BCMA、CD28、TNF、インターフェロン受容体、GM-CSF、ZAP-70、LFA-1、CD3ガンマ、CD5、またはCD2から選択される。US 2003/0077249、WO 2017/058753、WO 2017/058850を参照されたく、それらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
(b)CAR膜貫通ドメイン
【0427】
一部の実施形態では、CARは、膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、少なくとも、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖、もしくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、またはこれらの機能性バリアントの膜貫通領域を含む。一部の実施形態では、CARは、少なくとも、CD8α、CD8β、4-1BB/CD137、CD28、CD34、CD4、FcεRIγ、CD16、OX40/CD134、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、TCRα、TCRβ、TCRζ、CD32、CD64、CD64、CD45、CD5、CD9、CD22、CD37、CD80、CD86、CD40、CD40L/CD154、VEGFR2、FAS、およびFGFR2B、またはこれらの機能性バリアントの膜貫通領域を含む。
(c)CARシグナル伝達ドメイン
【0428】
一部の実施形態では、CARは、B7-1/CD80、B7-2/CD86、B7-H1/PD-L1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、B7-H7、BTLA/CD272、CD28、CTLA-4、Gi24/VISTA/B7-H5、ICOS/CD278、PD-1、PD-L2/B7-DC、PDCD6)、4-1BB/TNFSF9/CD137、4-1BBリガンド/TNFSF9、BAFF/BLyS/TNFSF13B、BAFF R/TNFRSF13C、CD27/TNFRSF7、CD27リガンド/TNFSF7、CD30/TNFRSF8、CD30リガンド/TNFSF8、CD40/TNFRSF5、CD40/TNFSF5、CD40リガンド/TNFSF5、DR3/TNFRSF25、GITR/TNFRSF18、GITRリガンド/TNFSF18、HVEM/TNFRSF14、LIGHT/TNFSF14、リンホトキシン-アルファ/TNF-ベータ、OX40/TNFRSF4、OX40リガンド/TNFSF4、RELT/TNFRSF19L、TACI/TNFRSF13B、TL1A/TNFSF15、TNF-アルファ、TNF RII/TNFRSF1B)、2B4/CD244/SLAMF4、BLAME/SLAMF8、CD2、CD2F-10/SLAMF9、CD48/SLAMF2、CD58/LFA-3、CD84/SLAMF5、CD229/SLAMF3、CRACC/SLAMF7、NTB-A/SLAMF6、SLAM/CD150)、CD2、CD7、CD53、CD82/Kai-1、CD90/Thy1、CD96、CD160、CD200、CD300a/LMIR1、HLAクラスI、HLA-DR、Ikaros、インテグリンアルファ4/CD49d、インテグリンアルファ4ベータ1、インテグリンアルファ4ベータ7/LPAM-1、LAG-3、TCL1A、TCL1B、CRTAM、DAP12、デクチン-1/CLEC7A、DPPIV/CD26、EphB6、TIM-1/KIM-1/HAVCR、TIM-4、TSLP、TSLP R、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、NKG2C、CD3ゼータドメイン、免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはこれらの機能性バリアントのうちの1つまたは複数のシグナル伝達ドメインを含む。
【0429】
一部の実施形態では、CARは、共刺激ドメインであるシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、第2の共刺激ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、少なくとも2つの共刺激ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、少なくとも3つの共刺激ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、CD27、CD28、4-1BB、CD134/OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンドのうちの1つまたは複数から選択される共刺激ドメインを含む。
【0430】
一部の実施形態では、CARは、CD3ゼータドメインもしくは免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはその機能性バリアントを含む。一部の実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはその機能性バリアント、および(ii)CD28ドメイン、もしくは4-1BBドメイン、またはその機能性バリアントを含む。一部の実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはその機能性バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能性バリアント、および(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能性バリアントを含む。一部の実施形態では、CARは、(i)CD3ゼータドメイン、もしくは免疫受容体活性化チロシンモチーフ(ITAM)、またはその機能性バリアント、(ii)CD28ドメインまたはその機能性バリアント、(iii)4-1BBドメイン、もしくはCD134ドメイン、またはその機能性バリアント、および(iv)サイトカインまたは共刺激性リガンド導入遺伝子を含む。
(d)CARスペーサー
【0431】
一部の実施形態では、CARは、1つまたは複数のスペーサーを含む。一部の実施形態では、CARは、抗原結合性ドメインと膜貫通ドメインとの間のスペーサーを含む。一部の実施形態では、CARは、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間のスペーサーを含む。
(e)CAR膜タンパク質ペイロード剤
【0432】
本明細書に記載されるCARに加えて、様々なキメラ抗原受容体およびそれをコードするヌクレオチド配列が、当該技術分野において公知であり、本明細書に記載されるようにin vivoおよびin vitroにおけるフソソーム送達および標的細胞の再プログラミングに好適であろう。例えば、WO2013040557、WO2012079000、WO2016030414、Smith T, et al., Nature Nanotechnology. 2017. DOI: 10.1038/NNANO.2017.57を参照されたく、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0433】
一部の実施形態では、CARまたはCARをコードする核酸(例えば、DNA、gDNA、cDNA、RNA、pre-MRNA、mRNA、miRNA、siRNAなど)であるかまたはそれを含む膜タンパク質ペイロード剤を含むフソソームは、標的細胞に送達される。一部の実施形態では、標的細胞は、エフェクター細胞、例えば、1つまたは複数のFc受容体を発現し、1つまたは複数のエフェクター機能を媒介する、免疫系の細胞である。一部の実施形態では、標的細胞としては、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板、大型顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、Tリンパ球(例えば、T細胞)、ガンマデルタT細胞、Bリンパ球(例えば、B細胞)のうちの1つまたは複数を挙げることができるが、これらに限定されなくてもよく、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含むがこれらに限定されない任意の生物に由来し得る。
(ix)T細胞受容体ペイロード
【0434】
一部の実施形態では、本明細書に記載される膜タンパク質ペイロード剤は、T細胞受容体、例えば、T細胞受容体融合タンパク質(TFP)を含むポリペプチドを含むかまたはそれをコードする。一部の実施形態では、TFPは、概して、i)標的細胞上の表面抗原に結合すること、およびii)典型的にはT細胞内またはその表面上に共在している場合に、インタクトなTCR複合体の他のポリペプチド成分と相互作用することが可能である、TCRを含む様々なポリペプチドに由来する組換えポリペプチドを含む。一部の実施形態では、TFPは、T細胞において発現されると、TCRに組み込まれる。一部の実施形態では、膜タンパク質ペイロード剤は、(ii)TCRドメインに作動可能に連結された(i)抗原結合性ドメインを含むかまたはそれをコードする。
【0435】
抗原結合性ドメインは、例えば、scFv、例えば、がん細胞に含まれる抗原、例えば、がん細胞の表面における抗原に結合するscFvを含み得る。抗原結合性ドメインは、ヒトまたはヒト化であり得る。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、本明細書において、例えば、「CAR抗原結合性ドメイン」と題される節に記載される抗原結合性ドメインである。
【0436】
一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、抗体のFcドメインに結合する。一部の実施形態では、IgGl抗体に選択的に結合する抗原結合性ドメイン。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、細胞表面抗原、例えば、腫瘍細胞の表面上の細胞表面抗原に結合する。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、単量体、二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体、九量体、または十量体を含む。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、抗原もその断片も含まない。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、CD16ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、CD16結合性ポリペプチドを含む。
【0437】
一部の実施形態では、TFPは、T細胞受容体のアルファもしくはベータ鎖、CD3デルタ、CD3イプシロン、またはCD3ガンマ、またはその機能性断片もしくはバリアントからなる群から選択される、タンパク質の細胞外ドメインまたはその一部分を含む、TCRサブユニットの細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、TCRドメインは、膜貫通ドメイン、例えば、少なくとも、TCRアルファ鎖、TCRベータ鎖、CD3イプシロンTCRサブユニット、CD3ガンマTCRサブユニット、CD3デルタTCRサブユニット、またはCD3ゼータTCRサブユニット、またはそれらの機能性断片もしくはバリアントの膜貫通ドメインの膜貫通領域を含む。
【0438】
さらなる実施形態では、TCRドメインは、CD3イプシロン、CD3ガンマ、もしくはCD3デルタ、またはそれらのバリアントの細胞内シグナル伝達ドメインから選択される刺激ドメインを含む、TCR細胞内ドメインを含む。
【0439】
さらなる実施形態では、TCRドメインは、(i)TCR細胞外ドメイン、(ii)TCR膜貫通ドメイン、および(iii)TCR細胞内ドメインを含み、ここで、(i)、(ii)、および(iii)のうちの少なくとも2つまたは3つすべてが、同じTCRサブユニットに由来する。
【0440】
一部の実施形態では、TCRドメインは、CD3εまたはその機能性断片もしくはバリアントを含む。一部の実施形態では、TCRドメイン(例えば、CD3εに基づくTCRドメイン)は、内因性CD3ζに結合する。一部の実施形態では、TCRドメイン(例えば、CD3εに基づくTCRドメイン)は、内因性CD3γおよび/または内因性CD3δに結合する。一部の実施形態では、TCRドメインは、CD3αまたはその機能性断片もしくはバリアントを含む。一部の実施形態では、TCRドメインは、CD3βまたはその機能性断片もしくはバリアントを含む。一部の実施形態では、TCRドメイン(例えば、CD3αに基づくかまたはCD3βに基づくTCRドメイン)は、内因性CD3ζに結合する。一部の実施形態では、TCRドメイン(例えば、CD3αに基づくTCRドメイン)は、内因性CD3βに結合する。一部の実施形態では、TCRドメイン(例えば、CD3βに基づくTCRドメイン)は、内因性CD3αに結合する。一部の実施形態では、TCRドメイン(例えば、CD3αに基づくかまたはCD3βに基づくTCRドメイン)は、内因性CD3δに結合する。
【0441】
一部の実施形態では、TFPは、TCR細胞外ドメインの少なくとも一部分、およびCD3(例えば、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、TCRアルファ、もしくはTCRベータ)の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する刺激ドメインを含むTCR細胞内ドメインを含むTCRサブユニット、ならびにヒトまたはヒト化抗原結合性ドメインを含み、ここで、TCRサブユニットおよび抗原結合性ドメインは、作動可能に連結されており、TFPは、T細胞において発現されると、TCRに組み込まれる。一部の実施形態では、TFPは、TCRサブユニット、および抗CD19結合性ドメインまたは抗B細胞成熟抗原(BCMA)結合性ドメインである抗原結合性ドメインを含むヒトまたはヒト化抗体ドメインを含む。
【0442】
例示的なTFPは、例えば、WO2016187349、WO2018026953、WO2018067993、WO2018098365、WO2018119298、およびWO2018232020に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
分泌ペイロード剤、例えば、分泌タンパク質ペイロード剤
【0443】
ペイロード剤、例えば、タンパク質ペイロード剤はまた、分泌の標的とされ得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物を使用して、ペイロードを、ERにおける翻訳後に、オルガネラ(例えば、ゴルジ体、分泌性小胞)の内腔へと標的化することができる。一部の実施形態では、分泌タンパク質ペイロード剤は、分泌タンパク質またはそれをコードする核酸を含む。
コンドリソーム
【0444】
一部の実施形態では、フソソームまたはフソソーム組成物は、コンドリオソームまたはコンドリソーム調製物をさらに含む。一部の実施形態では、フソソームまたはフソソーム組成物は、ミトコンドリアの細胞供給源に由来する改変されたコンドリソーム調製物を含む。一部の実施形態では、フソソームまたはフソソーム組成物は、外因性タンパク質を発現するコンドリソーム調製物を含む。一部の実施形態では、外因性タンパク質は、前記ミトコンドリアに対して外因性である。一部の実施形態では、外因性タンパク質は、ミトコンドリアの前記細胞供給源に対して外因性である。コンドリソーム、コンドリソーム調製物、方法、および使用を含む、さらなる特性および実施形態が、例えば、国際出願第PCT/US16/64251号に記載されるように、本発明によって企図される。
免疫原性
【0445】
本明細書に記載の態様のいずれかについての一部の実施形態では、フソソーム組成物は、実質的に非免疫原性である。免疫原性は、例えば本明細書に記載されるように、定量することができる。
【0446】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、実質的に非免疫原性である細胞または実質的に非免疫原性であることが公知である細胞、例えば、幹細胞、間葉幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、セルトリ細胞、または網膜色素上皮細胞の、膜対称性を有する。一部の実施形態では、フソソームは、本明細書に記載のアッセイによって測定した場合に、幹細胞、間葉幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、セルトリ細胞、または網膜色素上皮細胞の免疫原性を5%、10%、20%、30%、40%または50%より大きく上回らない免疫原性を有する。
【0447】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して、上昇したレベルの免疫抑制剤を含む。一部の実施形態では、上昇したレベルは、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍である。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞には非存在である免疫抑制剤を含む。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して、低下したレベルの免疫活性化剤を含む。一部の実施形態では、低下したレベルは、参照細胞と比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%である。一部の実施形態では、免疫活性化剤は、フソソームには実質的に非存在である。
【0448】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、例えばプロテオミクスによって測定した場合に、供給源細胞、例えば実質的非免疫原性の供給源細胞のものと実質的に同様の組成を有する膜を含む。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、供給源細胞の膜タンパク質の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%を含む膜を含む。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、供給源細胞の膜上での膜タンパク質の発現レベルの少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%で発現される膜タンパク質を含む膜を含む。
【0449】
一部の実施形態では、フソソーム組成物、またはフソソーム組成物が由来する供給源細胞は、次の特徴のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、またはそれより多くを有する:
a.MHCクラスIまたはMHCクラスIIについての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはHeLa細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
b.LAG3、ICOS-L、ICOS、Ox40L、OX40、CD28、B7、CD30、CD30L、4-1BB、4-1BBL、SLAM、CD27、CD70、HVEM、LIGHT、B7-H3、またはB7-H4を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の共刺激性タンパク質についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、または本明細書に記載の参照細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
c.マクロファージ貪食を抑制する表面タンパク質、例えばCD47についての発現、例えば、本明細書に記載の方法により検出可能な発現、例えば、マクロファージ貪食を抑制する表面タンパク質、例えばCD47についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して1.5倍を上回る、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍の、またはそれより多い発現;
d.可溶性免疫抑制性サイトカイン、例えばIL-10についての発現、例えば、本明細書に記載の方法により検出可能な発現、例えば、可溶性免疫抑制性サイトカイン、例えばIL-10についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して1.5倍を上回る、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍の、またはそれより多い発現;
e.可溶性免疫抑制性タンパク質、例えばPD-L1についての発現、例えば、本明細書に記載の方法により検出可能な発現、例えば、可溶性免疫抑制性タンパク質、例えばPD-L1についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して1.5倍を上回る、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍の、またはそれより多い発現;
f.可溶性免疫刺激サイトカイン、例えばIFN-ガンマまたはTNF-aについての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはU-266細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
g.内因性免疫刺激性抗原、例えば、Zg16またはHormad1についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはA549細胞もしくはSK-BR-3細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
h.参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して、例えば本明細書に記載の方法により検出可能な、HLA-EまたはHLA-Gについての発現;
i.例えばNK細胞活性化を抑制するように作用する、例えばシアル酸を含有する、表面グリコシル化プロファイル;
j.TCRα/βについての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
k.ABO血液型についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはHeLa細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
l.マイナー組織適合抗原(MHA)についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;あるいは
m.参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、もしくはJurkat細胞と比較して10%未満、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%の、もしくはそれより少ないミトコンドリアMHAを有する、または検出可能なミトコンドリアMHAを有さない。
【0450】
一部の実施形態では、共刺激性タンパク質は、4-1BB、B7、SLAM、LAG3、HVEM、またはLIGHTであり、ref細胞は、HDLM-2である。一部の実施形態では、共刺激性タンパク質は、BY-H3であり、参照細胞は、HeLaである。一部の実施形態では、共刺激性タンパク質は、ICOSLまたはB7-H4であり、参照細胞は、SK-BR-3である。一部の実施形態では、共刺激性タンパク質は、ICOSまたはOX40であり、参照細胞は、MOLT-4である。一部の実施形態では、共刺激性タンパク質は、CD28であり、参照細胞は、U-266である。一部の実施形態では、共刺激性タンパク質は、CD30LまたはCD27であり、参照細胞は、Daudiである。
【0451】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、免疫系、例えば自然免疫系による免疫原性応答を実質的に惹起しない。実施形態では、免疫原性応答を、例えば本明細書に記載されるように、定量することができる。一部の実施形態では、自然免疫系による免疫原性応答は、NK細胞、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、樹状細胞、マスト細胞、またはガンマ/デルタT細胞を含むがこれらに限定されない、自然免疫細胞による応答を含む。一部の実施形態では、自然免疫系による免疫原性応答は、可溶性血液成分と膜結合成分とを含む補体系による応答を含む。
【0452】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、免疫系、例えば適応免疫系による免疫原性応答を実質的に惹起しない。実施形態では、免疫原性応答を、例えば本明細書に記載されるように、定量することができる。一部の実施形態では、適応免疫系による免疫原性応答は、Tリンパ球(例えば、CD4 T細胞、CD8 T細胞、およびもしくはガンマ-デルタT細胞)またはBリンパ球の数または活性の変化、例えば増加を含むがこれらに限定されない、適応免疫細胞による免疫原性応答を含む。一部の実施形態では、適応免疫系による免疫原性応答は、サイトカインまたは抗体(例えば、IgG、IgM、IgE、IgA、もしくはIgD)の数または活性の変化、例えば増加を含むがこれらに限定されない、可溶性血液成分レベルの増加を含む。
【0453】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、低下した免疫原性を有するように改変される。免疫原性は、例えば本明細書に記載されるように、定量することができる。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞の免疫原性を5%、10%、20%、30%、40%または50%未満下回る免疫原性を有する。
【0454】
本明細書に記載の態様のいずれかについての一部の実施形態では、フソソーム組成物は、例えば、本明細書に記載の方法を使用して免疫原性を低下させるように、例えば下げるように改変された、改変ゲノムを有する供給源細胞、例えば哺乳動物細胞に由来する。免疫原性は、例えば本明細書に記載されるように、定量することができる。
【0455】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、以下のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれより多くが枯渇している、例えば、それらがノックアウトしている、哺乳動物細胞に由来する:
a.MHCクラスI、MHCクラスIIもしくMHA;
b.LAG3、ICOS-L、ICOS、Ox40L、OX40、CD28、B7、CD30、CD30L、4-1BB、4-1BBL、SLAM、CD27、CD70、HVEM、LIGHT、B7-H3、もしくはB7-H4を含むがこれらに限定されない、1つもしくは複数の共刺激性タンパク質;
c.可溶性免疫刺激サイトカイン、例えば、IFN-ガンマもしくはTNF-a;
d.内因性免疫刺激性抗原、例えば、Zg16もしくはHormad1;
e.T細胞受容体(TCR);
f.ABO血液型をコードする遺伝子、例えば、ABO遺伝子;
g.免疫活性化を駆動する転写因子、例えば、NFkB;
h.MHC発現を制御する転写因子、例えば、クラスIIトランス活性化因子(CIITA)、Xbox 5の調節因子(RFX5)、RFX関連タンパク質(RFXAP)、もしくはRFXアンキリンリピート(RFXANK;RFXBとしても公知);または
i.MHCクラスI発現を低減させるTAPタンパク質、例えば、TAP2、TAP1、もしくはTAPBP。
【0456】
一部の実施形態では、フソソームは、免疫抑制剤、例えば、以下のうちの1つ、2つ、3つまたはそれより多くの発現増加をもたらす遺伝子改変を有する供給源細胞(例えば、遺伝子改変前にはその因子を発現しない細胞)に由来する:
a.マクロファージ貪食を抑制する細胞表面タンパク質、例えばCD47;例えば、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して、CD47の発現増加;
b.可溶性免疫抑制性サイトカイン、例えば、IL-10;例えば、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して、IL-10の発現増加;
c.可溶性免疫抑制性タンパク質、例えば、PD-1、PD-L1、CTLA4、またはBTLA;例えば、参照細胞、例えば、細胞源と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して、免疫抑制性タンパク質の発現増加;あるいは
d.寛容原性タンパク質、例えば、ILT-2またはILT-4アゴニスト、例えば、HLA-EまたはHLA-Gまたは任意の他の内因性ILT-2もしくはILT-4アゴニスト;例えば、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して、HLA-E、HLA-G、ILT-2またはILT-4の発現増加。
一部の実施形態では、発現レベル増加は、参照細胞と比較して少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍高い。
一部の実施形態では、フソソームは、免疫活性化剤、例えば、以下のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれより多くについての発現減少を有するように改変された供給源細胞に由来する:
a.MHCクラスIもしくはMHCクラスIIについての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはHeLa細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
b.LAG3、ICOS-L、ICOS、Ox40L、OX40、CD28、B7、CD30、CD30L、4-1BB、4-1BBL、SLAM、CD27、CD70、HVEM、LIGHT、B7-H3、またはB7-H4を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の共刺激性タンパク質についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、または本明細書に記載の参照細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
c.可溶性免疫刺激サイトカイン、例えばIFN-ガンマまたはTNF-aについての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはU-266細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
d.内因性免疫刺激性抗原、例えば、Zg16またはHormad1についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはA549細胞もしくはSK-BR-3細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
e.T細胞受容体(TCR)についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
f.ABO血液型についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはHeLa細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
g.免疫活性化を駆動する転写因子、例えばNFkBについての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;
h.MHC発現を制御する転写因子、例えば、クラスIIトランス活性化因子(CIITA)、Xbox 5の調節因子(RFX5)、RFX関連タンパク質(RFXAP)またはRFXアンキリンリピート(RFXANK;RFXBとしても公知)についての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはJurkat細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現;あるいは
i.MHCクラスI発現を低減させるTAPタンパク質、例えば、TAP2、TAP1またはTAPBPについての、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはHeLa細胞と比較して50%未満、40%、30%、20%、15%、10%または5%の、もしくはそれより少ない発現。
【0457】
一部の実施形態では、shRNA発現レンチウイルスを使用してMHCクラスI発現を減少させるように改変された哺乳動物細胞、例えば間葉幹細胞に由来するフソソーム組成物は、未改変細胞、例えば、改変されていない間葉幹細胞と比較して、MHCクラスIのより少ない発現を有する。一部の実施形態では、HLA-Gを発現するレンチウイルスを使用してHLA-Gの発現を増加させるように改変された哺乳動物細胞、例えば間葉幹細胞に由来するフソソーム組成物は、未改変細胞、例えば、改変されていない間葉幹細胞と比較して、HLA-Gの発現増加を有する。
【0458】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、実質的に免疫原性でない供給源細胞、例えば哺乳動物細胞に由来し、供給源細胞は、例えば、IFN-ガンマELISPOTアッセイによりin vitroでアッセイして、0pg/mL~>0pg/mLのレベルで、T細胞IFN-ガンマ分泌を刺激する、例えば、誘導する。
【0459】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、供給源細胞、例えば、哺乳動物細胞に由来し、哺乳動物細胞は、免疫抑制剤、例えば、グルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン)、細胞増殖抑制剤(例えば、メトトレキサート)、抗体(例えば、ムロモナブ-CD3)、またはイムノフィリンモジュレーター(例えば、シクロスポリンもしくはラパマイシン)で処置された細胞培養物からのものである。
【0460】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、供給源細胞、例えば、哺乳動物細胞に由来し、哺乳動物細胞は、外因性薬剤、例えば治療剤を含む。
【0461】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、供給源細胞、例えば、哺乳動物細胞に由来し、哺乳動物細胞は、組換え細胞である。
【0462】
一部の実施形態では、フソソームは、ウイルスイムノエバシン、例えば、hCMV US2、またはUS11を発現するように遺伝子改変された哺乳動物細胞に由来する。
【0463】
一部の実施形態では、フソソームの表面、またはフソソームが由来する哺乳動物細胞の表面は、ポリマー、例えば、免疫原性および免疫介在性クリアランスを低下させる生体適合性ポリマー、例えばPEGで、共有結合的にまたは非共有結合的に改変される。
【0464】
一部の実施形態では、フソソームの表面、またはフソソームが由来する哺乳動物細胞の表面は、シアル酸、例えば、NK抑制性グリカンエピトープを含有する糖重合体を構成するシアル酸で、共有結合的にまたは非共有結合的に改変される。
【0465】
一部の実施形態では、フソソームの表面、またはフソソームが由来する哺乳動物細胞の表面は、ABO血液型を除去するために、例えば、グリコシダーゼ酵素、例えばα-N-アセチルガラクトサミニダーゼで、酵素的に処置される。
【0466】
一部の実施形態では、フソソームの表面、またはフソソームが由来する哺乳動物細胞の表面は、例えば、レシピエントの血液タイプとマッチするABO血液型を生じさせるために、例えば、そのようなABO血液型の発現を誘導するために、酵素的に処置される。
免疫原性を評定するためのパラメーター
【0467】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、実質的に免疫原性でない、または免疫原性の低下を有するように改変された、例えば、本明細書に記載の方法を使用して改変された、供給源細胞、例えば哺乳動物細胞に由来する。供給源細胞およびフソソーム組成物の免疫原性は、本明細書に記載のアッセイのいずれかにより判定することができる。
【0468】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、in vivo移植片生着の増加、例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える増加を有する。一部の実施形態では、移植片生着は、適切な動物モデル、例えば、本明細書に記載の動物モデルにおいて、本明細書に記載されるin vivo移植片生存率を測定するアッセイにより判定される。
【0469】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、奇形腫形成の増加、例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える増加を有する。一部の実施形態では、奇形腫形成は、適切な動物モデル、例えば、本明細書に記載の動物モデルにおいて、本明細書に記載される奇形腫形成を測定するアッセイにより判定される。
【0470】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、奇形腫生存期間の増加、例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える増加を有する。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、奇形腫生存期間のアッセイで1日または複数日、生存する。一部の実施形態では、奇形腫生存期間は、適切な動物モデル、例えば、本明細書に記載の動物モデルにおいて、本明細書に記載される奇形腫生存期間を測定するアッセイにより判定される。ある実施形態では、奇形腫形成は、実施例で説明されるような、例えば凍結またはホルマリン固定された、固定組織の画像解析、例えば、IHC染色、蛍光染色またはH&Eにより測定される。一部の実施形態では、固定組織を、次の抗体のいずれか1つまたはすべてで染色することができる:抗ヒトCD3、抗ヒトCD4、または抗ヒトCD8。
【0471】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、移植片または奇形腫へのCD8+T細胞浸潤の低減、例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有する。一部の実施形態では、CD8 T細胞浸潤は、適切な動物モデル、例えば、本明細書に記載の動物モデルにおいて、本明細書に記載されるCD8+T細胞浸潤を測定するアッセイ、例えば組織学的分析により判定される。一部の実施形態では、フソソーム組成物に由来する奇形腫は、組織学組織切片の50倍画像視野の0%、0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%にCD8+T細胞浸潤を有する。
【0472】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、移植片または奇形腫へのCD4+T細胞浸潤の低減、例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有する。一部の実施形態では、CD4 T細胞浸潤は、適切な動物モデル、例えば、本明細書に記載の動物モデルにおいて、本明細書に記載されるCD4+T細胞浸潤を測定するアッセイ、例えば組織学的分析により判定される。一部の実施形態では、フソソーム組成物に由来する奇形腫は、組織学組織切片の50倍画像視野の0%、0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%にCD4+T細胞浸潤を有する。
【0473】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、移植片または奇形腫へのCD3+NK細胞浸潤の低減、例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有する。一部の実施形態では、CD3+NK細胞浸潤は、適切な動物モデル、例えば、本明細書に記載の動物モデルにおいて、本明細書に記載されるCD3+NK細胞浸潤を測定するアッセイ、例えば組織学的分析により判定される。一部の実施形態では、フソソーム組成物に由来する奇形腫は、組織学組織切片の50倍画像視野の0%、0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%にCD3+NK T細胞浸潤を有する。
【0474】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、適切な動物モデル、例えば本明細書に記載の動物モデルへの、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞の、1回または複数回の埋込後の液性応答と比較して、適切な動物モデル、例えば本明細書に記載の動物モデルへの、得られたフソソームの1回または複数回の埋込後の液性応答の低減によって測定された場合、免疫原性の低下を有する。一部の実施形態では、液性応答の低減は、血清試料において、抗細胞抗体価、例えば抗フソソーム抗体価により、例えばELISAによって測定される。一部の実施形態では、フソソーム組成物を投与された動物からの血清試料は、未改変細胞を投与された動物からの血清試料と比較して、抗細胞抗体価の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有する。一部の実施形態では、フソソーム組成物を投与された動物からの血清試料は、抗細胞抗体価の増加、例えば、ベースラインからの1%、2%、5%、10%、20%、30%、または40%増加を有し、例えば、ベースラインは、フソソーム組成物の投与前の同じ動物からの血清試料を指す。
【0475】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、マクロファージファゴサイトーシスの低減、例えば、マクロファージファゴサイトーシスの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有し、マクロファージファゴサイトーシスの低減は、例えば実施例82で説明されるように、in vitroでファゴサイトーシス指数をアッセイすることにより判定される。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、マクロファージファゴサイトーシスのin vitroアッセイでマクロファージとともにインキュベートされたとき、例えば、実施例82のアッセイによって測定された場合に、0、1、10、100、またはそれより大きいファゴサイトーシス指数を有する。
【0476】
一部の実施形態では、供給源細胞は、例えば、実施例83のアッセイを使用して、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、または間葉幹細胞と比較して、PBMCによる細胞傷害性媒介細胞溶解の低減、例えば、細胞溶解の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有する。実施形態では、供給源細胞は、外因性HLA-Gを発現する。
【0477】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、NK媒介細胞溶解の低減、例えば、NK媒介細胞溶解の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有し、NK媒介細胞溶解は、クロム放出アッセイまたはユーロピウム放出アッセイによりin vitroでアッセイされる。
【0478】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、CD8+T細胞媒介細胞溶解の低減、例えば、CD8 T細胞媒介細胞溶解の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有し、CD8 T細胞媒介細胞溶解は、クロム放出アッセイまたはユーロピウム放出アッセイによりin vitroでアッセイされる。実施形態では、活性化および/または増殖は、実施例85で説明されるように測定される。
【0479】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、CD4+T細胞増殖および/または活性化の低減、例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有し、CD4 T細胞増殖は、例えば実施例86で説明されるように、in vitroでアッセイされる(例えば、改変または未改変哺乳動物供給源細胞およびCD4+T細胞のCD3/CD28ダイナビーズでの共培養アッセイ)。
【0480】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、T細胞IFN-ガンマ分泌の低減、例えば、T細胞IFN-ガンマ分泌の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有し、T細胞IFN-ガンマ分泌は、例えばIFN-ガンマELISPOTにより、in vitroでアッセイされる。
【0481】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、免疫原性サイトカインの分泌の低減、例えば、免疫原性サイトカインの分泌の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える低減を有し、免疫原性サイトカインの分泌は、ELISAまたはELISPOTを使用してin vitroでアッセイされる。
【0482】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、免疫抑制性サイトカインの分泌の増加、例えば、免疫抑制性サイトカインの分泌の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える増加をもたらし、免疫抑制性サイトカインの分泌は、ELISAまたはELISPOTを使用してin vitroでアッセイされる。
【0483】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、HLA-GまたはHLA-Eの発現の増加、例えば、HLA-GまたはHLA-Eの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える発現の増加を有し、HLA-GまたはHLA-Eの発現は、フローサイトメトリー、例えばFACSを使用してin vitroでアッセイされる。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、例えば未改変細胞と比較して、HLA-GまたはHLA-Eの発現の増加、例えば、HLA-GまたはHLA-Eの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える発現の増加を有するように改変されている、供給源細胞に由来し、HLA-GまたはHLA-Eの発現は、フローサイトメトリー、例えばFACSを使用してin vitroでアッセイされる。一部の実施形態では、HLA-G発現の増加を有する改変細胞に由来するフソソーム組成物は、奇形種形成アッセイ、例えば、本明細書に記載される奇形種形成アッセイにおいて、例えば免疫細胞浸潤の低減によって測定された場合、免疫原性の低下を実証する。
【0484】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、T細胞阻害剤リガンド(例えば、CTLA4、PD1、PD-L1)の発現の増加、例えば、T細胞阻害剤リガンドの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える発現の増加を有し、T細胞阻害剤リガンドの発現は、フローサイトメトリー、例えばFACSを使用してin vitroでアッセイされる。
【0485】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞と比較して、共刺激性リガンドの発現の減少、例えば、共刺激性リガンドの発現の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える減少を有し、共刺激性リガンドの発現は、フローサイトメトリー、例えばFACSを使用してin vitroでアッセイされる。
【0486】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、参照細胞、例えば、供給源細胞と他の点では同様の未改変細胞、またはHeLa細胞と比較して、MHCクラスIまたはMHCクラスIIの発現の減少、例えば、MHCクラスIまたはMHCクラスIIの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超える発現の減少を有し、MHCクラスIまたはIIの発現は、フローサイトメトリー、例えばFACSを使用してin vitroでアッセイされる。
【0487】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、実質的に非免疫原性である、細胞源、例えば、哺乳動物細胞源に由来する。一部の実施形態では、免疫原性を、例えば本明細書に記載されるように、定量することができる。一部の実施形態では、哺乳動物細胞源は、以下の特徴のいずれか1つ、すべてまたは組合せを含む:
a.供給源細胞が、自家細胞源から得られる;例えば、フソソーム組成物を受けることになる、例えば投与されることになる、レシピエントから得られる細胞;
b.供給源細胞が、レシピエント、例えば、フソソーム組成物を受けることになる、例えば投与されることになる、レシピエントとマッチした性別、例えば同様の性別のものである同種細胞源から得られる;フソソーム組成物;
c.供給源細胞が、レシピエントのHLAと例えば1つまたは複数の対立遺伝子がマッチしたHLAである同種細胞源から得られる;
d.供給源細胞が、HLAホモ接合体である同種細胞源から得られる;
e.供給源細胞が、MHCクラスIおよびIIを欠いている(もしくは参照細胞と比較してレベル低下を有する)同種細胞源から得られる;または
f.供給源細胞が、幹細胞、間葉幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、セルトリ細胞、もしくは網膜色素上皮細胞を含むがこれらに限定されない、実質的に非免疫原性であることが公知である細胞源から得られる。
【0488】
一部の実施形態では、フソソーム組成物を投与されることになる対象は、フソソームと反応する既存抗体(例えば、IgGもしくはIgM)を有するか、そのような既存抗体を有することが既知であるか、またはそのような既存抗体について試験される。一部の実施形態では、フソソーム組成物を投与されることになる対象は、フソソームと反応する、検出可能なレベルの既存抗体を有さない。抗体の試験は、例えば実施例78で、説明される。
【0489】
一部の実施形態では、フソソーム組成物を受けたことがある対象は、フソソームと反応する抗体(例えば、IgGもしくはIgM)を有するか、そのような抗体を有することが既知であるか、またはそのような抗体について試験される。一部の実施形態では、フソソーム組成物を(例えば、少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、またはそれより多い回数)受けた対象は、フソソームと反応する、検出可能なレベルの抗体を有さない。実施形態では、抗体のレベルは、第1の時点がフソソームの初回投与の前であり、第2の時点がフソソームの1回または複数回の投与後である、2時点間で、1%、2%、5%、10%、20%または50%より大きく上昇しない。抗体の試験は、例えば実施例79で、説明される。
追加の治療剤
【0490】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、対象、例えば、レシピエント、例えば本明細書に記載のレシピエントに、追加の薬剤、例えば治療剤と、併用投与される。一部の実施形態では、併用投与される治療剤は、免疫抑制剤、例えば、グルココルチコイド(例えば、デキサメタゾン)、細胞増殖抑制剤(例えば、メトトレキサート)、抗体(例えば、ムロモナブ-CD3)、またはイムノフィリンモジュレーター(例えば、シクロスポリンもしくはラパマイシン)である。実施形態では、免疫抑制剤は、フソソームの免疫介在性クリアランスを減少させる。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、免疫刺激剤、例えばアジュバント、インターロイキン、サイトカイン、またはケモカインと、併用投与される。
【0491】
一部の実施形態では、フソソーム組成物および免疫抑制剤は、同時に投与される、例えば、同期間内に投与される。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、免疫抑制剤の投与の前に投与される。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、免疫抑制剤の投与の後に投与される。
【0492】
一部の実施形態では、免疫抑制剤は、小分子、例えば、イブプロフェン、アセトアミノフェン、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、ミコフェノール酸塩、シクロホスファミド、グルココルチコイド、シロリムス、アザチオプリン、またはメトトレキサートである。
【0493】
一部の実施形態では、免疫抑制剤は、ムロモナブ(muronomab)(抗CD3)、ダクリズマブ(抗IL12)、バシリキシマブ、インフリキシマブ(抗TNFa)、またはリツキシマブ(抗CD20)を含むがこれらに限定されない、抗体分子である。
【0494】
一部の実施形態では、フソソーム組成物と免疫抑制剤の併用投与は、単独でのフソソーム組成物の投与と比較して対象におけるフソソーム組成物の持続性を向上させる結果となる。一部の実施形態では、併用投与で向上されるフソソーム組成物の持続性は、単独で投与されたときのフソソーム組成物の持続性と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれより長い。一部の実施形態では、併用投与で向上されるフソソーム組成物の持続性は、単独で投与されたときのフソソーム組成物の残存と比較して少なくとも1、2、3、4、5、6、7、10、15、20、25もしくは30日、またはそれより長い。
送達
【0495】
一部の実施形態では、フソゲン(例えば、タンパク質、脂質もしくは化学的フソゲン)またはフソゲン結合パートナーは、フソソームの送達前に、送達と同時に、または送達後に、標的細胞または組織に送達される。
【0496】
一部の実施形態では、フソゲン(例えば、タンパク質、脂質もしくは化学的フソゲン)またはフソゲン結合パートナーは、フソソームの送達前に、送達と同時に、または送達後に、非標的細胞または組織に送達される。
【0497】
一部の実施形態では、フソゲン(例えば、タンパク質もしくは脂質フソゲン)またはフソゲン結合パートナーをコードする核酸は、フソソームの送達前に、送達と同時に、または送達後に、標的細胞または組織に送達される。
【0498】
一部の実施形態では、フソゲン(例えば、タンパク質、脂質もしくは化学的フソゲン)またはフソゲン結合パートナーの発現を上方調節または下方調節する、ポリペプチド、核酸、リボ核タンパク質または小分子は、フソソームの送達前に、送達と同時に、または送達後に、標的細胞または組織に送達される。
【0499】
一部の実施形態では、フソゲン(例えば、タンパク質、脂質もしくは化学的フソゲン)またはフソゲン結合パートナーの発現を上方調節または下方調節する、ポリペプチド、核酸、リボ核タンパク質または小分子は、フソソームの送達前に、送達と同時に、または送達後に、非標的細胞または組織に送達される。
【0500】
一部の実施形態では、標的細胞または組織は、フソソームの送達前に、送達と同時に、または送達後に、融合の速度を上昇させるように(例えば、ストレスまたは細胞分裂を誘導することにより)改変される。一部の非限定的な例としては、虚血を誘導すること、化学療法、抗生物質、照射、毒素、炎症、炎症性分子、抗炎症性分子、酸傷害、塩基傷害、熱傷、ポリエチレングリコール、神経伝達物質、骨髄毒性の薬物、増殖因子、もしくはホルモンでの処置、組織切除、飢餓、および/または運動が挙げられる。
【0501】
一部の実施形態では、標的細胞または組織は、標的組織へのフソソーム輸送の速度を上昇させるために血管拡張薬(例えば、一酸化窒素(NO)、一酸化炭素、プロスタサイクリン(PGI2)、ニトログリセリン、フェントラミン)または血管収縮薬(例えば、アンジオテンシン(AGT)、エンドセリン(EDN)、ノルエピネフリン)で処置される。
【0502】
一部の実施形態では、標的細胞または組織は、化学剤、例えば、化学療法薬で処置される。そのような実施形態では、化学療法薬は、標的細胞または組織の膜融合活性を増強する、標的細胞または組織への損傷を誘導する。
【0503】
一部の実施形態では、標的細胞または組織は、物理的ストレス、例えば、電気融合を用いて処置される。そのような実施形態では、物理的ストレスは、標的細胞または組織の膜を不安定化して、標的細胞または組織の膜融合活性を増強する。
【0504】
一部の実施形態では、標的細胞または組織を、フソソームとの融合を増進させるための薬剤で処置することができる。例えば、特定のニューロン受容体を抗うつ薬で刺激して、膜融合特性を増強することができる。
【0505】
本明細書に記載のフソソームを含む組成物を、循環系、肝臓系、腎臓系、心肺系、中枢神経系、末梢神経系、筋骨格系、リンパ系、免疫系、感覚神経系(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)、消化器系、内分泌系(脂肪組織代謝調節を含む)、および生殖器系に投与または標的化することができる。
【0506】
実施形態では、本明細書に記載のフソソーム組成物は、ex-vivoで細胞または組織、例えば、ヒト細胞または組織に送達される。一部の実施形態では、組成物は、傷害状態(例えば、外傷、疾患、低酸素、虚血または他の損傷のために)であるex vivo組織に送達される。
【0507】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、ex-vivo移植物(例えば、組織外植片もしくは移植用組織、例えば、ヒト静脈、筋骨格移植片、例えば骨もしくは腱、角膜、皮膚、心臓弁、神経;または単離もしくは培養された臓器、例えば、ヒトに移植される臓器、例えば、ヒト心臓、肝臓、肺、腎臓、膵臓、腸、胸腺、眼)に送達される。組成物は、移植物の生存能、呼吸または他の機能を改善する。組成物を組織または臓器に、移植前、移植中および/または移植後に送達することができる。
【0508】
一部の実施形態では、本明細書に記載のフソソーム組成物は、対象に由来する細胞または組織にex-vivoで送達される。一部の実施形態では、細胞または組織は、対象に再投与される(すなわち、細胞または組織は自家である)。
【0509】
フソソームは、任意の哺乳動物(例えば、ヒト)組織からの、例えば、上皮、結合、筋肉または神経組織または細胞、およびこれらの組合せからの、細胞と融合することができる。フソソームは、例えば、心血管系(心臓、血管系);消化器系(食道、胃、肝臓、胆嚢、膵臓、腸、結腸、直腸および肛門);内分泌系(視床下部、下垂体、松果体または松果腺、甲状腺、副甲状腺、副腎);排泄系(腎臓、尿管、膀胱);リンパ系(リンパ、リンパ節、リンパ管、扁桃、咽頭扁桃、胸腺、脾臓);外皮系(皮膚、毛髪、爪);筋肉系(例えば、骨格筋);神経系(脳、脊髄、神経)’;生殖器系(卵巣、子宮、乳腺、精巣、精管、精嚢、前立腺);呼吸器系(咽頭、喉頭、気管、気管支、肺、横隔膜);骨格系(骨、軟骨)、ならびにこれらの組合せからの、任意の真核生物(例えば、哺乳動物)臓器系に送達することができる。
【0510】
実施形態では、フソソームは、対象に投与されると、組織、例えば、肝臓、肺、心臓、脾臓、膵臓、消化管、腎臓、精巣、卵巣、脳、生殖器、中枢神経系、末梢神経系、骨格筋、内皮、内耳、脂肪組織(例えば、褐色脂肪組織もしくは白色脂肪組織)または眼を標的とし、例えば、投与されたフソソーム集団中のフソソームの少なくとも0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%は、例えば実施例87または100のアッセイにより、24、48または72時間後に標的組織に存在する。
【0511】
実施形態では、フソソームは、幹細胞または始原細胞、例えば、骨髄間質細胞、骨髄由来成体始原細胞(MAPC)、内皮始原細胞(EPC)、芽細胞、脳室下帯において形成される中間始原細胞、神経幹細胞、筋幹細胞、衛星細胞、肝臓幹細胞、造血幹細胞、骨髄間質細胞、表皮幹細胞、胚性幹細胞、間葉幹細胞、臍帯幹細胞、前駆体細胞、筋前駆体細胞、筋芽細胞、心筋芽細胞、神経前駆体細胞、膠前駆体細胞、ニューロン前駆体細胞、肝芽細胞の供給源からの細胞と融合することができる。
例えばランディングパッド実施形態のための、フソゲン結合パートナー
【0512】
ある特定の態様では、本開示は、対象における標的細胞にフソソームを送達する方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、フソゲン、例えばミオメーカータンパク質をコードする核酸を含むフソソームを対象に投与するステップを含み、核酸は、細胞内に存在しないか、または細胞内に、対象におけるフソソームの表面でのフソゲンの発現を可能にする条件下で、発現されない(例えば、存在するが、転写も翻訳もされない)。一部の実施形態では、方法は、薬剤、例えば治療剤と、フソゲン結合パートナーと、必要に応じて担体、例えば膜とを含む組成物を、フソソーム上のフソゲンとフソゲン結合パートナーとの融合を可能にする条件下で、対象に投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、担体は、膜、例えば脂質二重層を含み、例えば、薬剤は、脂質二重層内に配置される。一部の実施形態では、脂質二重層は、標的細胞と融合し、それによって薬剤を対象における標的細胞に送達する。
【0513】
一部の実施形態では、フソゲン結合パートナーは、標的細胞、例えば本明細書で開示される標的細胞の膜(例えば、脂質二重層)内に配置された部分、例えばタンパク質分子である。一部の実施形態では、膜は、細胞表面膜であることもあり、またはオルガネラ、例えばミトコンドリア、リソソームもしくはゴルジ体の細胞内膜であることもある。一部の実施形態では、フソゲン結合パートナーを、内因性発現、過剰発現、または外因性発現させることができる(例えば、本明細書に記載の方法により)。一部の実施形態では、フソゲン結合パートナーは、膜において他のフソゲン結合パートナーとクラスターを形成することができる。
【0514】
一部の実施形態では、標的細胞の膜におけるフソゲン結合パートナーまたは複数のフソゲン結合パートナーの存在は、標的細胞(例えば、本明細書に記載の細胞)上のフソゲン結合パートナーとフソソーム(例えば、本明細書に記載のフソソーム)上のフソゲンとの相互作用、例えば結合を容易にし得る界面を生じさせる。一部の実施形態では、フソソーム上のフソゲンは、標的細胞上の、例えば、標的細胞の膜(例えば、脂質二重層)上の、フソゲン結合パートナーと相互作用して、例えば結合して、フソソームと標的膜の融合を誘導する。一部の実施形態では、フソゲンは、ミトコンドリアをはじめとする細胞内オルガネラ上のランディングパッド上のフソゲン結合パートナーと相互作用して、例えば結合して、フソソームと細胞内オルガネラの融合を誘導する。
【0515】
フソゲン結合パートナーを標的細胞、例えば、本明細書で開示される標的細胞内に、下で論じる方法のいずれかにより導入することができる。
【0516】
一部の実施形態では、フソゲン結合パートナーを標的細胞に導入する方法は、対象(例えば、本明細書に記載の対象)からの標的細胞の(例えば、アフェレーシスまたは生検による)除去、例えば抽出、および標的細胞の膜上でのフソゲン結合パートナーの発現を可能にする条件下でのフソゲン結合パートナーの投与、例えば、フソゲン結合パートナーへの曝露を含む。一部の実施形態では、方法は、フソソームと標的細胞膜の融合を誘導するために、ex vivoでフソゲン結合パートナーを発現する標的細胞とフソゲンを含むフソソームとを接触させるステップを含む。一部の実施形態では、フソソームに融合した標的細胞は、対象に、例えば静脈内に、再導入される。
【0517】
一部の実施形態では、フソソーム結合パートナーを発現する標的細胞は、対象に、例えば静脈内に、再導入される。一部の実施形態では、方法は、フソソーム上のフソゲンと標的細胞上のフソゲン結合パートナーの相互作用、例えば結合、およびフソソームと標的細胞膜の融合を可能にするために、フソゲンを含むフソソームを対象に投与するステップを含む。
【0518】
一部の実施形態では、標的細胞は、内因性細胞表面分子(例えば、一部の実施形態では、標的細胞に対して内因性)、例えば、フソゲン結合パートナー、例えば、臓器、組織または細胞標的化分子の発現を増加または減少させるようにエピジェネティック改変因子、例えば小分子エピジェネティック改変因子で処置され、細胞表面分子は、タンパク質、グリカン、脂質または低分子量分子である。一部の実施形態では、標的細胞は、内因性細胞表面分子、例えば、フソゲン結合パートナー、例えば、臓器、組織または細胞標的化分子の発現を増加させるように遺伝子改変され、細胞表面分子は、タンパク質、グリカン、脂質または低分子量分子である。一部の実施形態では、遺伝子改変は、内因性細胞表面分子、例えばフソゲン結合パートナーの転写活性化因子の発現を減少させることができる。
【0519】
一部の実施形態では、標的細胞は、外因性細胞表面分子、例えばフソゲン結合パートナーを発現するように、例えば、過剰発現するように、遺伝子改変され、細胞表面分子は、タンパク質、グリカン、脂質または低分子量分子である。
【0520】
一部の実施形態では、標的細胞は、細胞における外因性フソゲンの発現を増加させるように、例えば導入遺伝子の送達を増加させるように、遺伝子改変される。一部の実施形態では、核酸、例えば、DNA、mRNAまたはsiRNAは、標的細胞に、例えば、細胞表面分子(タンパク質、グリカン、脂質または低分子量分子)の発現を増加または減少させるために移入される。一部の実施形態では、核酸は、フソゲン結合パートナー、例えばshRNAまたはsiRNA構築物のリプレッサーを標的とする。一部の実施形態では、核酸は、フソゲン結合パートナーリプレッサーの阻害剤をコードする。
使用方法
【0521】
本明細書に記載の医薬組成物の投与は、経口投与、吸入投与、経皮投与または非経口投与(静脈内、腫瘍内、腹腔内、筋肉内、腔内および皮下投与を含む)による投与であり得る。フソソームを単独で投与することができ、または医薬組成物として製剤化することができる。
【0522】
フソソームを、単位用量経口、非経口、経皮または吸入組成物などの、単位用量組成物の形態で投与することができる。そのような組成物は、混合により調製され、経口、吸入、経皮または非経口投与に適切に適応され、したがって、錠剤、カプセル、経口液体調製物、粉末、顆粒、トローチ剤、再構成可能な粉末、注射用および注入用溶液もしくは懸濁液または座剤またはエアロゾルの形態であり得る。
【0523】
一部の実施形態では、本明細書に記載のフソソーム組成物による膜タンパク質ペイロード剤の送達は、細胞分化、脱分化または分化転換を誘導することもあり、または阻止することもある。標的哺乳動物細胞は、前駆体細胞であり得る。あるいは、標的哺乳動物細胞は、分化細胞であり得、細胞運命変更は、多能性前駆体細胞への脱分化の推進、またはそのような脱分化の阻止を含む。細胞運命の変化が所望される状況では、細胞運命誘導分子またはシグナルをコードする本明細書に記載のフソソームの有効量が、標的細胞に、細胞運命の変更が誘導されるような条件下で導入される。一部の実施形態では、本明細書に記載のフソソームは、細胞の部分集団の第1の表現型から第2の表現型への再プログラミングに有用である。そのような再プログラミングは、一時的であることもあり、または永続的であることもある。必要に応じて、再プログラミングは、中間表現型をとるように標的細胞を誘導する。
【0524】
標的細胞集団において細胞分化を低減させる方法も提供される。例えば、1つまたは複数の前駆体細胞型を含有する標的細胞集団と本明細書に記載のフソソーム組成物とを、組成物が前駆体細胞の分化を低減させるような条件下で接触させる。ある特定の実施形態では、標的細胞集団は、哺乳動物対象の傷害組織または外科手技による影響を受けた組織を含有する。前駆体細胞は、例えば、間質前駆体細胞、神経前駆体細胞、または間葉前駆体細胞である。
【0525】
膜タンパク質ペイロード剤を含む、本明細書に記載のフソソーム組成物を使用して、そのような薬剤を細胞組織または対象に送達することができる。本明細書に記載のフソソーム組成物の投与による膜タンパク質ペイロード剤の送達は、細胞タンパク質発現レベルを改変することができる。ある特定の実施形態では、投与は、膜タンパク質ペイロード剤が送達される細胞に実質的に非存在であるまたはそのような細胞において低減されている機能活性を供給する1つまたは複数の膜タンパク質ペイロード剤(例えば、ポリペプチドまたは核酸)の(細胞における発現、細胞における送達、または細胞内における誘導による)上方調節を導く。例えば、欠けている機能活性は、実際は、酵素活性、構造活性、シグナル伝達活性または調節活性であり得る。関連実施形態では、投与された組成物は、膜タンパク質ペイロード剤が上方調節される細胞に存在するが実質的に不十分である機能活性を(例えば相乗的に)増大させる1つまたは複数の膜タンパク質ペイロード剤の上方調節を導く。関連実施形態では、投与された組成物は、ポリペプチドが下方調節される細胞に存在するまたはそのような細胞において上方調節されている機能活性を(例えば相乗的に)低下させる1つまたは複数のポリペプチドの下方調節を導く。ある特定の実施形態では、投与された組成物は、ある特定の機能活性の上方調節、および他の機能活性の下方調節を導く。
【0526】
実施形態では、フソソーム組成物は、標的細胞に対する効果を媒介し、効果は、少なくとも1、2、3、4、5、6もしくは7日間、2、3もしくは4週間、または1、2、3、6もしくは12ヶ月間続く。一部の実施形態(例えば、フソソーム組成物が外因性タンパク質を含む)では、効果は、1、2、3、4、5、6もしくは7日、2、3もしくは4週、または1、2、3、6もしくは12ヶ月未満の間、続く。
ex-vivo利用
【0527】
実施形態では、本明細書に記載のフソソーム組成物は、ex-vivoで細胞または組織、例えば、ヒト細胞または組織に送達される。実施形態では、組成物は、ex-vivoで細胞または組織の機能を改善し、例えば、細胞生存率、シグナル伝達、呼吸、または他の機能(例えば、本明細書に記載の別の機能)を改善する。
【0528】
一部の実施形態では、組成物は、傷害状態(例えば、外傷、疾患、低酸素、虚血または他の損傷のために)であるex vivo組織に送達される。
【0529】
一部の実施形態では、組成物は、ex-vivo移植物(例えば、組織外植片もしくは移植用組織、例えば、ヒト静脈、筋骨格移植片、例えば骨もしくは腱、角膜、皮膚、心臓弁、神経;または単離もしくは培養された臓器、例えば、ヒトに移植される臓器、例えば、ヒト心臓、肝臓、肺、腎臓、膵臓、腸、胸腺、眼)に送達される。組成物を組織または臓器に、移植前、移植中および/または移植後に送達することができる。
【0530】
一部の実施形態では、組成物は、細胞、例えば細胞調製物とともに送達される、投与される、または細胞、例えば細胞調製物と接触させられる。細胞調製物は、細胞治療用調製物(ヒト対象への投与を目的とする細胞調製物)であり得る。実施形態では、細胞調製物は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞、例えば、組換えCARを発現する細胞を含む。CARを発現する細胞は、例えば、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞であり得る。実施形態では、細胞調製物は、神経幹細胞調製物である。実施形態では、細胞調製物は、間葉幹細胞(MSC)調製物である。実施形態では、細胞調製物は、造血幹細胞(HSC)調製物である。実施形態では、細胞調製物は、島細胞調製物である。
in vivo使用
【0531】
本明細書に記載のフソソーム組成物を対象、例えば、哺乳動物、例えばヒトに投与することができる。そのような実施形態では、対象は、特定の疾患もしくは状態(例えば、本明細書に記載の疾患もしくは状態)のリスクがあることもあり、そのような疾患もしくは状態の症状を有することもあり、またはそのような疾患もしくは状態であると診断される、またはそのような疾患もしくは状態に罹患していると特定されることもある。一実施形態では、対象は、がんに罹患している。一実施形態では、対象は、感染性疾患に罹患している。
【0532】
一部の実施形態では、フソソームの供給源は、フソソーム組成物を投与される同じ対象からのものである。他の実施形態では、それらは異なる。例えば、フソソームの供給源およびレシピエント組織は、自家(同じ対象からのもの)であることもあり、または異種(異なる対象からのもの)であることもある。いずれにせよ、本明細書に記載のフソソーム組成物のドナー組織は、レシピエント組織とは異なる組織型であり得る。例えば、ドナー組織は、筋肉組織であり得、レシピエント組織は、結合組織(例えば、脂肪組織)であり得る。他の実施形態では、ドナー組織およびレシピエント組織は、同じまたは異なる型の、しかし異なる臓器系からのものであり得る。
【0533】
本明細書に記載のフソソーム組成物を、がん、自己免疫疾患、感染性疾患、代謝疾患、神経変性疾患、または遺伝性疾患(例えば、酵素欠損症)に罹患している対象に投与することができる。一部の実施形態では、対象の組織は、再生を必要としている。
【0534】
一部の実施形態では、本明細書に記載のフソソーム組成物の治療有効量が対象に投与される。一部の実施形態では、物質の治療有効量は、疾患、障害および/もしくは状態に罹患している対象、または疾患、障害および/もしくは状態に罹患しやすい対象に投与されたとき、疾患、障害および/もしくは状態を処置するのにならびに/または疾患、障害および/もしくは状態の開始を遅らせるのに十分である量である。例えば、実施形態では、疾患、障害および/または状態を処置するための製剤中のフソソームの有効量は、疾患、障害および/もしくは状態の1つもしくは複数の症状もしくは特徴を、軽減する、改善する、緩和する、抑制する、そのような症状もしくは特徴の、開始を遅らせる、重症度を低下させる、ならびに/または発生率を低下させる量である。
【0535】
一部の実施形態では、対象は、フソソーム組成物で処置される。一部の実施形態では、処置は、特定の疾患、障害および/もしくは状態の1つもしくは複数の症状、特徴および/もしくは原因を、部分的にもしくは完全に軽減する、部分的にもしくは完全に改善する、部分的にもしくは完全に緩和する、部分的にもしくは完全に抑制する、そのような症状、特徴および/もしくは原因の、開始を部分的にもしくは完全に遅らせる、重症度を部分的にもしくは完全に低下させる、ならびに/または発生率を部分的にもしくは完全に低下させる。一部の実施形態では、処置は、関連疾患、障害および/または状態を患っていると診断された対象の処置であり得る。一部の実施形態では、処置は、関連疾患、障害および/または状態を発症するリスク増加と統計的に相関する1つまたは複数の易罹患性因子を有することが分かっている対象の処置であり得る。一部の実施形態では、処置は、関連疾患、障害および/または状態の根本的原因を部分的にまたは完全に改善する。
【0536】
一部の実施形態では、フソソーム組成物は、疾患、例えばがんを処置するのに有効である。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、対象におけるがん細胞の数を、投与前の対象におけるがん細胞の数と比較して低減させるのに有効である。一部の実施形態では、フソソーム組成物は、処置なしで予想される疾患経過と比較して対象におけるがん細胞の数を低減させるのに有効である。一部の実施形態では、対象は、フソソーム組成物の投与後に、完全奏効または部分奏効を経験する。
【0537】
一部の実施形態では、フソソームは、膜融合を阻害するタンパク質の阻害剤と併用投与される。例えば、サプレシンは、細胞間融合を阻害するヒトタンパク質である(Sugimoto et al., ”A novel human endogenous retroviral protein inhibits cell-cell fusion” Scientific Reports 3:1462 DOI: 10.1038/srep01462)。したがって、一部の実施形態では、フソソームは、サプレシン(sypressyn)の阻害剤、例えば、siRNAまたは阻害性抗体と併用投与される。
非ヒトでの利用
【0538】
本明細書に記載の組成物を使用して、家畜もしくは使役動物(ウマ、ウシ、ブタ、ニワトリなど)、ペットまたは動物園の動物(ネコ、イヌ、トカゲ、トリ、ライオン、トラおよびクマなど)、水産養殖動物(魚、カニ、エビ、カキなど)、植物種(木、作物、観葉植物、花など)、発酵種(saccharomycesなど)を含むがこれらに限定されない、様々な他の生物の細胞もしくは組織機能または生理機能を同様にモジュレ-とすることもできる。本明細書に記載のフソソーム組成物をそのような非ヒト供給源から作製し、非ヒト標的細胞または組織または対象に投与することができる。
【0539】
フソソーム組成物は、標的にとって自家であることもあり、同種であることもあり、またはゼノジェニックであることもある。
【0540】
本明細書に引用されるすべての参考文献および公表文献は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
【0541】
以下の実施例は、本発明の一部の実施形態をさらに説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない;それらが例示的な性質のものであることから、当業者には公知である他の手順、方法論または技法を代わりに使用することができることは、理解されるであろう。
【実施例】
【0542】
(実施例1)
化学的処置(PEG)による除核膜融合性細胞の生成
Mito-DsRed(ミトコンドリア特異的な標的化された色素)発現ドナーHeLa細胞を0.25%トリプシンでトリプシン処理し、収集し、5分間500×gで回転させ、PBSで1回洗浄し、計数した。その後、10×106個の細胞を、10ug/mLのサイトカラシン-Bを補充した完全MEM-アルファ(+10%FBS、+1%ペニシリン/ストレプトマイシン、+グルタミン)中の12.5%フィコール3mlに、15分間、再懸濁させた。細胞を除核するために、それらの細胞を、(最高から最低へ)2mLの12.5%フィコール画分、0.5mLの15%フィコール画分、0.5mLの16%フィコール画分、2mLの17%フィコール勾配画分、2mLの25%フィコール画分からなる、不連続フィコール勾配液に移した。すべてのフィコール勾配画分を、10ug/mLのサイトカラシン-Bを補充した完全DMEM中で作製した。勾配液を、Beckman SW-40超遠心分離機、Ti-70ローターを用いて107971×gで1時間、37℃で回転させた。遠心分離後、除核HeLa細胞を12.5%フィコール画分と、15%フィコール画分と、16%フィコール画分と、17%フィコール画分の1/2とから収集し、完全DMEM(+10%FBS、+1%ペニシリン/ストレプトマイシン、+グルタミン)に再懸濁させ、500×gで5分間回転させてペレット化した。除核Mito-DsRedドナー細胞をDMEMで2回洗浄した。同時に、Mito-GFP(ミトコンドリア特異的な標的化された色素)発現レシピエントHeLa細胞をトリプシン処理し、計数し、融合用に調製した。
【0543】
融合のために、50%ポリエチレングリコール溶液(10%DMSOを含有する完全なDMEMで調製したw/vで50%のPEG)中で1分間、37℃で、除核Mito-DsRedドナーHeLa細胞とMito-GFPレシピエントHeLa細胞を1:1比(各々200,000個)で合わせた。その後、細胞を10mLの完全DMEMで3回洗浄し、35mmガラス底四分円形イメージングディッシュに50k細胞/四分円の密度で播種し、各四分円は、1.9cm2の面積を有した。
(実施例2)
化学的処置(PEG)による有核膜融合性細胞の生成
【0544】
Mito-DsRed(ミトコンドリア特異的な標的化された色素)発現ドナーHeLa細胞を0.25%トリプシンでトリプシン処理し、収集し、5分間500×gで回転させ、PBSで1回洗浄し、計数した。その後、2×106個の細胞を完全DMEM(+10%FBS、+1%ペニシリン/ストレプトマイシン、+グルタミン)に再懸濁させ、計数し、融合用に調製した。
【0545】
Mito-DsRedドナー細胞をDMEMで3回洗浄した。同時に、Mito-GFP(ミトコンドリア特異的な標的化された色素)発現レシピエントHeLa細胞をトリプシン処理し、計数し、融合用に調製した。
【0546】
融合のために、50%ポリエチレングリコール溶液(10%DMSOを含有する完全DMEMで調製したw/vで50%のPEG)中で1分間、37℃で、Mito-DsRedドナーHeLa細胞とMito-GFPレシピエントHeLa細胞を1:1比(各々200,000個)で合わせた。その後、細胞を10mlの完全DMEMで3回洗浄し、35mmガラス底四分円形イメージングディッシュに50k細胞/四分円の密度で播種し、各四分円は、1.9cm2の面積を有した。
(実施例3)
外因性フソゲンを発現するHeLa細胞の作出
【0547】
この実施例は、外因性フソゲンを発現する組織培養細胞の作出を説明する。以下の実施例は、タンパク質に基づく任意のフソゲンに同等に適用可能であり、初代細胞(懸濁状態のまたは接着性の)および組織における産生に同等に適用可能である。ある特定の場合には、融合を誘導するために(フソゲンおよびフソゲン結合パートナーとして詳しく説明する)フソゲンペアを使用することができる。
【0548】
フソゲン遺伝子、融合不全1(EFF-1)をpIRES2-AcGFP1ベクター(Clontech)にクローニングし、次いで、この構築物を、リポフェクタミン2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用してHeLa細胞(CCL-2(商標)、ATCC)にトランスフェクトする。フソゲン結合パートナー遺伝子、アンカー-細胞融合不全1(AFF-1)をpIRES2 DsRed-Express 2ベクター(Clontech)にクローニングし、次いで、この構築物を、リポフェクタミン2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)を使用してHeLa細胞(CCL-2(商標)、ATCC)にトランスフェクトする。トランスフェクトされたHeLa細胞を、GlutaMAX(GIBCO)と10%ウシ胎仔血清(GIBCO)と500mg/mLのゼオシンとを補充したダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)中、37℃、5%CO2で保持する。EFF-1発現細胞を蛍光活性化細胞選別(FACS)での選別により単離して、EFF-1フソゲンを発現するGFP+Hela細胞の純粋な集団を得る。AFF-1発現細胞を蛍光活性化細胞選別(FACS)での選別により単離して、AFF-1フソゲン結合パートナーを発現するDSRED+Hela細胞の純粋な集団を得る。
(実施例4)
化学的に増強された膜融合性除核細胞によるオルガネラ送達
【0549】
実施例1で説明したように産生し、融合させた、膜融合性細胞(Mito-DsRedドナー除核細胞およびMito-GFPレシピエントHeLa細胞)を、イメージングディッシュに堆積させてから24時間後に、Zeiss LSM780倒立共焦点顕微鏡を用いて倍率63倍でイメージングした。単独でのMito-DsRedおよび単独でのMito-GFPを専ら発現する細胞を別途イメージングして、Mito-DsRedとMito-GFP両方が同時に両方とも存在し、それら両方を同時に両方とも取得する条件で2つのチャネル間にシグナルオーバーラップがないことを確実にするように取得設定を構成した。最低100個の細胞が下流の解析に利用可能であるために最低10個の細胞が各ROI内に含まれることを唯一の基準として、完全に偏りのないよう10の関心領域を選択した。これらの画像内の所与の画素は、どちらかのチャネル(mito-DsRedおよびmito-GFP)についてのその強度が、3つのROIすべてにわたってそれぞれのチャネル各々について最大強度値の10%より大きかった場合、ミトコンドリアについて陽性であると判定した。
【0550】
細胞内のミトコンドリアの(mito-GFP+またはmito-Ds-Red+のどちらかであるすべての画素により同定して)>50%が、上に示した閾値に基づきmitoDs-Redとmito-GFPの両方について陽性であるという、これらのタンパク質を含有するオルガネラ(この場合、ミトコンドリア)が送達され、融合し、それらの内容物が混ざり合ったことを示す基準に基づいて、オルガネラ送達に伴う融合イベントを同定した。24時間の時点で、複数の細胞は、
図7に示されているように融合による明確なオルガネラ送達を示した。これは、ドナー細胞とレシピエントHeLa細胞との融合による明確なオルガネラ送達の画像である。白色で示されている細胞内エリアは、ドナーミトコンドリアとレシピエントミトコンドリアとのオーバーラップを示す。灰色の細胞内領域は、ドナーオルガネラとレシピエントオルガネラがオーバーラップしない場所を示す。
(実施例5)
化学的に増強された膜融合性有核細胞によるオルガネラ送達
【0551】
実施例2で説明したように産生し、組み合わせた、膜融合性細胞(Mito-DsRedドナー細胞およびMito-GFPレシピエントHeLa細胞)を、イメージングディッシュに堆積させてから24時間後に、Zeiss LSM780倒立共焦点顕微鏡を用いて倍率63倍でイメージングした。単独でのMito-DsRedおよび単独でのMito-GFPを専ら発現する細胞を別途イメージングして、Mito-DsRedとMito-GFP両方が同時に両方とも存在し、それら両方を同時に両方とも取得する条件で2つのチャネル間にシグナルオーバーラップがないことを確実にするように取得設定を構成した。最低100個の細胞が下流の解析に利用可能であるために最低10個の細胞が各ROI内に含まれることを唯一の基準として、完全に偏りのないように10の関心領域を選択した。これらの画像内の所与の画素は、どちらかのチャネル(mito-DsRedおよびmito-GFP)についてのその強度が、3つのROIすべてにわたってそれぞれのチャネル各々について最大強度値の20%より大きかった場合、ミトコンドリアについて陽性であると判定した。
【0552】
細胞内のミトコンドリアの(mito-GFP+またはmito-Ds-Red+のどちらかであるすべての画素により同定して)>50%が、上に示した閾値に基づきmitoDs-Redとmito-GFPの両方について陽性であるという、これらのタンパク質を含有するオルガネラ(この場合、ミトコンドリア)が送達され、融合し、それらの内容物が混ざり合ったことを示す基準に基づいて、オルガネラ送達に伴う融合イベントを同定した。24時間の時点で、複数の細胞は、
図8に示されているように融合による明確なオルガネラ送達を示した。これは、ドナー細胞とレシピエントHeLa細胞との融合による明確なオルガネラ送達の画像である。白色で示されている細胞内エリアは、ドナーミトコンドリアとレシピエントミトコンドリアとのオーバーラップを示す。灰色の細胞内領域は、ドナーオルガネラとレシピエントオルガネラがオーバーラップしない場所を示す。
(実施例6)
タンパク質増強膜融合性除核細胞によるミトコンドリアの送達
【0553】
実施例3で説明したように産生し、組み合わせた膜融合性細胞を、イメージングディッシュに堆積させてから24時間後に、Zeiss LSM780倒立共焦点顕微鏡を用いて倍率63倍でイメージングする。単独でのMito-DsRedおよび単独でのMito-GFPを専ら発現する細胞を別途イメージングして、Mito-DsRedとMito-GFP両方が同時に両方とも存在し、それら両方を同時に両方とも取得する条件で2つのチャネル間にシグナルオーバーラップがないことを確実にするように取得設定を構成する。最低限の数の細胞が下流の解析に利用可能であるために最低10個の細胞が各ROI内に含まれることを唯一の基準として、完全に偏りのないように10の関心領域を選択する。これらの画像内の所与の画素は、どちらかのチャネル(mito-DsRedおよびmito-GFP)についてのその強度が、3つのROIすべてにわたってそれぞれのチャネル各々について最大強度値の10%より大きかった場合、ミトコンドリアについて陽性であると判定する。
【0554】
細胞内のミトコンドリアの(mito-GFP+またはmito-Ds-Red+のどちらかであるすべての画素により同定して)>50%が、上に示した閾値に基づきmitoDs-Redとmito-GFPの両方について陽性であるという、これらのタンパク質を含有するオルガネラ(この場合、ミトコンドリア)が送達され、融合し、それらの内容物が混ざり合ったことを示すことになる基準に基づいて、オルガネラ送達に伴う融合イベントを同定することになる。24時間の時点で、複数の細胞は、融合による明確なオルガネラ送達を示すと予想される。
(実施例7)
核酸電気穿孔によるフソソームの生成
【0555】
この実施例は、フソゲンをコードする核酸(例えば、mRNAまたはDNA)での細胞または小胞の電気穿孔によるフソソーム生成を説明する。
【0556】
クローニングされた断片(例えば、水疱性口内炎ウイルスからの糖タンパク質[VSV-G]、Oxford Genetics # OG592)のオープンリーディングフレームとともにピューロマイシン耐性遺伝子のオープンリーディングフレームを含むトランスポザーゼベクター(System Biosciences,Inc)を、エレクトロポレーター(Amaxa)および293T細胞系特異的核トランスフェクションキット(Lonza)を使用して293Tに電気穿孔する。
【0557】
20%ウシ胎仔血清と1×ペニシリン/ストレプトマイシンとを含有するDMEM中で3~5日間、1μg/μLのピューロマイシンで選択した後に、次いで細胞を1×PBS、氷冷溶解緩衝剤(150mM NaCl、0.1%Triton X-100、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、50mM Tris-HCl、pH8.0、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル(Abcam、ab201117))で洗浄し、3回、毎回10~15秒で超音波処理し、16,000×gで20分間、遠心分離する。回収した上清画分を用いてVSV-Gに特異的なプローブでウエスタンブロットを行って、安定的にトランスフェクトされた細胞または対照細胞から調製したフソソームからのVSV-Gの非膜特異的濃度を決定し、VSV-Gタンパク質の標準と比較する。
【0558】
実施形態では、安定的にトランスフェクトされた細胞からのフソソームは、安定的にトランスフェクトされなかった細胞から生成されたフソソームより多いVSV-Gを有することになる。
(実施例8)
タンパク質電気穿孔によるフソソームの生成
【0559】
この実施例は、フソソームを生成するためのフソゲンの電気穿孔を説明する。
【0560】
おおよそ5×106個の細胞または小胞を、電気穿孔トランスフェクションシステム(Thermo Fisher Scientific)を使用する電気穿孔に使用する。マスターミックスを用意するために、24μgの精製タンパク質フソゲンを再懸濁緩衝剤(キットに備えられている)に添加する。混合物を室温で10分間、インキュベートする。その間に、細胞または小胞を滅菌試験管に移し、500×gで5分間、遠心分離する。上清を吸引し、ペレットをCa2+およびMg2+不含の1mLのPBSに再懸濁させる。次いで、フソゲンを含有する緩衝剤を使用して、細胞または小胞のペレットを再懸濁させる。細胞または小胞懸濁液を、パルス電圧、パルス幅およびパルス数が異なる最適化条件にも使用する。電気穿孔後、フソゲンを含有する電気穿孔された細胞または小胞をPBSで洗浄し、PBSに再懸濁させ、氷上で保持する。
【0561】
例えば、Liang et al., Rapid and highly efficiency mammalian cell engineering via Cas9 protein transfection, Journal of Biotechnology 208: 44-53, 2015を参照されたい。
(実施例9)
小胞形成および遠心分離によるフソソームの生成および単離
【0562】
この実施例は、小胞形成および遠心分離によるフソソーム生成および単離を説明する。これは、フソソームを単離することができる方法の1つである。
【0563】
フソソームは、次のように調製する。おおよそ4×106個のHEK-293T細胞を、10cmディッシュの完全培地(DMEM+10%FBS+Pen/Strep)に播種する。播種の1日後、15μgのフソゲン発現プラスミドまたはウイルスを細胞に送達する。フソゲン発現に十分な時間の後、培地を、100μM ATPを補充した新鮮培地に注意深く置換する。フソゲン発現の48~72時間後に上清を回収し、0.45μmフィルターによる濾過により清澄化し、150,000×gで1時間、超遠心分離する。ペレット化された材料を終夜、氷冷PBSに再懸濁させる。フソソームを実験のために望ましい緩衝剤に再懸濁させる。
【0564】
例えば、Mangeot et al., Molecular Therapy, vol. 19 no. 9, 1656-1666, Sept. 2011を参照されたい。
(実施例10)
巨大原形質膜フソソームの生成および単離
【0565】
この実施例は、小胞形成および遠心分離によるフソソーム生成および単離を説明する。これは、フソソームを単離することができる方法の1つである。フソソームは、次のように調製する。
【0566】
手短に述べると、フソゲンを発現するHeLa細胞を緩衝剤(10mM HEPES、150mM NaCl、2mM CaCl2、pH7.4)で2回洗浄し、溶液(GPMV緩衝剤中の1mM DTT、12.5mMパラホルムアルデヒド、および1mM N-エチルマレイミド)に再懸濁させ、37℃で1時間インキュベートする。先ず、100×gで10分間の遠心分離により細胞を除去し、次いで、20,000×gで1時間、4℃でフソソームを回収することにより、細胞からフソソームを清澄化する。フソソームを実験のために望ましい緩衝剤に再懸濁させる。
【0567】
例えば、Sezgin E et al. Elucidating membrane structure and protein behavior using giant membrane plasma vesicles. Nat. Protocols. 7(6):1042-51 2012を参照されたい。
(実施例11)
フソソームゴーストの生成および単離
【0568】
この実施例は、低浸透圧処置および遠心分離によるフソソーム生成および単離を説明する。これは、フソソームを産生することができる方法の1つである。
【0569】
先ず、フソソームを、フソゲンを発現する間葉幹細胞(109個の細胞)から、主として、細胞が破裂してフソソームを形成するような低浸透圧処置を使用することにより単離する。Tris-マグネシウム緩衝剤(TM、例えば、4℃でpH7.4またはpH8.6、pH調整をHClで行う)である低浸透圧溶液に、細胞を再懸濁させる。細胞膨潤を位相差顕微鏡観察によりモニターする。細胞が膨潤し、フソソームが形成されたら、懸濁液をホモジナイザー内に配置する。典型的には、細胞計数および標準AOPI染色によって測定して、約95%細胞破裂で十分である。次いで、膜/フソソームを保存のためにスクロース(0.25Mまたはそれより高濃度)に入れる。あるいは、細胞を溶解するための当技術分野において公知の他の手法、例えば、穏やかな超音波処理(Arkhiv anatomii, gistologii i embriologii; 1979, Aug, 77(8) 5-13; PMID: 496657)、凍結・解凍(Nature. 1999, Dec 2;402(6761):551-5; PMID: 10591218)、フレンチプレス(Methods in Enzymology, Volume 541, 2014, Pages 169-176; PMID: 24423265)、ニードル・パッセージング(www.sigmaaldrich.com/technical-documents/protocols/biology/nuclear-protein-extraction.html)または界面活性剤含有溶液への可溶化(www.thermofisher.com/order/catalog/product/89900)により、フソソームを形成することができる。
【0570】
接着を回避するために、フソソームをプラスチック管に入れ、遠心分離する。最上部のより薄い灰色の薄層が主にフソソームを含む積層ペレットが生成される。しかし、収量を増加させるためにペレット全体を処理する。遠心分離(例えば、4℃で15分間、3,000rpm)および洗浄(例えば、20体積のTris・マグネシウム/TM-スクロース pH7.4)を繰り返してもよい。
【0571】
次のステップでは、フソソーム画分を不連続スクロース密度勾配での浮遊選別によって分離する。小過剰の上清を、洗浄されたペレットが残存するままとし、このとき、このペレットはフソソーム、核、および不完全に破裂した全細胞を含む。TM、pH8.6中の追加の60%w/wスクロースを、屈折計で45%スクロースの表示数値が得られるように、懸濁液に添加する。このステップの後、すべての溶液は、TM pH8.6である。15mLの懸濁液をSW-25.2硝酸セルロース管に入れ、40%w/wスクロースの15mL層および35%w/wスクロースの15mL層それぞれの添加、次いで5mLのTM-スクロース(0.25M)の添加により、懸濁液の上に不連続勾配を形成する。次いで、試料を、10分間、4℃、20,000rpmで遠心分離する。核沈降物がペレットを形成し、不完全に破裂した全細胞を40%~45%界面で収集し、フソソームを35%~40%界面で収集する。複数の管からフソソームを収集し、プールする。例えば、国際特許公報、WO2011024172A2を参照されたい。
(実施例12)
押出しによるフソソームの生成
【0572】
この実施例は、膜を通して押し出すことによるフソソームの製造を説明する。
【0573】
手短に述べると、フソゲンを発現する造血幹細胞が、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Set V、Calbiochem 539137-1ML)を含有する無血清培地中、1×106細胞/mLの密度で、37℃懸濁液中に存在する。細胞をルアーロックシリンジで吸引し、使い捨て5mmシリンジフィルターに1回通して清浄な管に移す。膜が汚れ、詰まった場合、それを取り外し、新しいフィルターを付ける。細胞懸濁液すべてがフィルターを通過した後、プロセスに使用したすべてのフィルターに5mLの無血清培地を通して、フィルターの至るところの一切の残存材料を洗浄する。次いで、溶液を濾液中の抽出フソソームと合わせる。
【0574】
5mmから0.2mmに至るまでの徐々に小さいフィルター孔径を用いて同じ方法に従う連続押出しによりフソソームの径をさらに低減させることができる。最終押出しが完了したら、懸濁液を遠心分離(必要とする時間および速度はサイズによって変わる)によりペレット化し、培地に再懸濁させる。
【0575】
加えて、このプロセスにアクチン細胞骨格阻害剤の使用を補って、押出しに対する既存細胞骨格構造の影響を低下させることができる。手短に述べると、1×106細胞/mLの懸濁液を、500nMラトランクリンB(ab144291、Abcam、Cambridge、MA)を含有する無血清培地中でインキュベートし、5%CO2の存在下、30分間、37℃でインキュベートする。インキュベーション後、プロテアーゼ阻害剤カクテルを添加し、細胞をルアーロックシリンジに吸引し、前に説明したように押出しを行う。
【0576】
フソソームをペレット化し、PBSで1回洗浄して細胞骨格阻害剤を除去した後、培地に再懸濁させる。
(実施例13)
タンパク質での化学的処置によるフソソームの生成
【0577】
この実施例は、フソソームを生成するためのフソゲンの化学物質媒介送達を説明する。おおよそ5×106個の細胞または小胞を、フソゲンの化学物質媒介送達に使用する。細胞または小胞を、50μLのOpti-MEM培地に懸濁させる。マスターミックスを用意するために、24μgの精製タンパク質フソゲンを25μLのOpti-MEM培地と混合し、その後、2μLの脂質トランスフェクション試薬3000を含有する25μLのOpti-MEMを添加する。プレートを穏やかに旋回させることにより細胞または小胞とフソゲン溶液を混合し、フソゲンが細胞または小胞膜に組み込まれるように37Cで6時間インキュベートする。次いで、フソソームをPBSで洗浄し、PBSに再懸濁させ、氷上で保持する。
【0578】
Liang et al., Rapid and highly efficiency mammalian cell engineering via Cas9 protein transfection, Journal of Biotechnology 208: 44-53, 2015も参照されたい。
(実施例14)
フソゲン含有リポソームでの処置によるフソソームの生成
【0579】
この実施例は、フソソームを生成するための供給源細胞へのフソゲンのリポソーム媒介送達を説明する。おおよそ5×106個の細胞または小胞を、フソゲンのリポソーム媒介送達に使用する。細胞または小胞を、50μLのOpti-MEM培地に懸濁させる。フソゲンタンパク質を、n-オクチルb-D-グルコピラノシドの存在下で細胞から精製する。n-オクチルb-D-グルコピラノシドは、膜内在性タンパク質を可溶化するために使用される穏やかな界面活性剤である。次いで、Top et al., EMBO 24: 2980-2988, 2005に記載されているように、n-オクチルb-D-グルコピラノシド懸濁タンパク質と、n-オクチルb-D-グルコピラノシドで事前に飽和させたLUVとを混合し、その後、n-オクチルb-D-グルコピラノシドを除去することによって、フソゲンタンパク質を大型(400nm径)単層小胞(LUV)に再構成する。マスターミックスを用意するために、24μgの全フソゲンタンパク質を含有するリポソームの塊を50μLのOpti-MEM培地と混合する。次いで、リポソームの溶液と供給源細胞または小胞を合わせ、溶液全体を、プレートを穏やかに旋回させることにより混合し、フソゲンタンパク質が供給源細胞または小胞膜に組み込まれることになるような、フソゲン含有リポソームと供給源細胞または小胞との融合を可能にする条件下で、6時間、37Cでインキュベートする。次いで、フソソームをPBSで洗浄し、PBSに再懸濁させ、氷上で保持する。Liang et al., Rapid and highly efficiency mammalian cell engineering via Cas9 protein transfection, Journal of Biotechnology 208: 44-53, 2015も参照されたい。
(実施例15)
細胞から遊離放出される膜融合性微小胞の単離
【0580】
この実施例は、遠心分離によるフソソームの単離を説明する。これは、フソソームを単離することができる方法の1つである。
【0581】
フソゲンを発現する細胞から分画遠心分離によりフソソームを単離する。培養培地(DMEM+10%ウシ胎仔血清)を、先ず、>100,000×gで1時間の超遠心分離により小粒子について清澄化する。次いで、清澄化した培養培地を使用して、フソゲンを発現するマウス胚性線維芽細胞を成長させる。細胞を200×gで10分間の遠心分離により培養培地から分離する。上清を収集し、500×gで10分間、2回、2,000×gで15分間、1回、10,000×gで30分間、1回、そして70,000×gで60分間、1回、逐次的に遠心分離する。遊離放出されるフソソームは最終遠心分離ステップ中にペレット化され、それらをPBSに再懸濁させ、70,000×gで再ペレット化する。最終ペレットをPBSに再懸濁させる。
【0582】
Wubbolts R et al. Proteomic and Biochemical Analyses of Human B Cell-derived Exosomes: Potential Implications for their Function and Multivesicular Body Formation. J. Biol. Chem. 278:10963-10972 2003も参照されたい。
(実施例16)
フソソームの物理的除核
【0583】
この実施例は、細胞骨格不活性化および遠心分離によるフソソームの除核を説明する。これは、フソソームを改変することができる方法の1つである。
【0584】
フソゲンを発現する哺乳動物初代または不死化細胞系からフソソームを単離する。アクチン骨格阻害剤での処置および超遠心分離により細胞を除核する。手短に述べると、C2C12細胞を収集し、ペレット化し、12.5%フィコール400(F2637、Sigma、St.Louis、MO)と500nMラトランクリンB(ab144291、Abcam、Cambridge、MA)とを含有するDMEMに再懸濁させ、30分間、37℃+5%CO2でインキュベートする。5%CO2の存在下で終夜37℃で平衡させた、DMEMに溶解した漸増濃度のフィコール400(15%、16%、17%、18%、19%、20%、1層当たり3mL)を含有する超遠心分離管に、懸濁液を注意深く積層させる。フィコール勾配液をTi-70ローター(Beckman-Coulter、Brea、CA)において32,300RPMで60分間、37Cで回転させる。超遠心分離後、16~18%の間フィコールが見られるフソソームを除去し、DMEMで洗浄し、DMEMに再懸濁させる。
【0585】
実施例35で説明するようなHoechst 33342での核含有量の染色、その後、フローサイトメトリーおよび/またはイメージングの使用を実行して、核の放出を確認することになる。
(実施例17)
照射によるフソソームの改変
【0586】
以下の実施例は、ガンマ線照射でのフソソームの改変を説明する。理論により拘束されるものではないが、ガンマ線照射は、DNAの二本鎖切断を引き起こし、細胞にアポトーシスを遂げさせることができる。
【0587】
先ず、フソゲンを発現する細胞を、組織培養フラスコまたはプレート上で、単層で、コンフルエントな密度未満で(例えば、細胞を培養または播種することにより)培養する。次いで、コンフルエントなフラスコから培地を除去し、細胞をCa2+およびMg2+不含のHBSSですすぎ、トリプリン処理して細胞を培養マトリックスから除去する。次いで、細胞ペレットを、ペニシリン/ストレプトマイシンを含有しない10mlの組織培養培地に再懸濁させ、100mmペトリ皿に移す。ペレット中の細胞数は、150cm2フラスコでの10~15のコンフルエントMEF培養物から得られるものと同等であるはずである。次いで、細胞をγ線源からの4000ラドに曝露してフソソームを生成する。次いで、フソソームを洗浄し、使用する最終緩衝剤または培地に再懸濁させる。
(実施例18)
化学的処置によるフソソームの改変
【0588】
以下の実施例は、マイトマイシンC処置でのフソソームの改変を説明する。いずれかの特定の理論により拘束されるものではないが、マイトマイシンC処置は、細胞周期を不活性化することによりフソソームを改変する。
【0589】
先ず、フソゲンを発現する細胞を、組織培養フラスコまたはプレートにおいて単層でコンフルエントな密度で(例えば、細胞を培養または播種することにより)培養する。1mg/mLのマイトマイシンC原液を培地に添加して、10μg/mLの最終濃度にする。次いで、プレートを2~3時間、インキュベーターに戻す。次いで、培地をコンフルエントなフラスコから除去し、細胞をCa2+およびMg2+不含のHBSSですすぎ、トリプリン処理して細胞を培養マトリックスから除去する。次いで、細胞を洗浄し、使用する最終緩衝剤または培地に再懸濁させる。
【0590】
例えば、Mouse Embryo Fibroblast (MEF) Feeder Cell Preparation, Current Protocols in Molecular Biology. David A. Conner 2001を参照されたい。
(実施例19)
フソソームにおける転写活性の欠如
【0591】
この実施例は、フソソームにおける転写活性を、フソソーム生成に使用する親細胞、例えば供給源細胞と比較して定量する。一部の実施形態では、転写活性は、親細胞、例えば供給源細胞と比較してフソソームでのほうが低いかまたはフソソームには非存在である。
【0592】
フソソームは、治療剤の送達のためのシャーシである。細胞または局所組織環境に高効率で送達することができる治療剤、例えば、miRNA、mRNA、タンパク質および/またはオルガネラを使用して、通常は活性でない、またはレシピエントの組織における病原性の低いもしくは高いレベルで活性でない経路をモジュレートすることができるだろう。一部の実施形態では、フソソームに転写能力がないまたはフソソームがそれらの親細胞より低い転写活性を有するという観察は、核物質の除去が十分に行われたことを実証することになる。
【0593】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。次いで、十分な数のフソソーム、およびフソソームを生成するために使用する十分な数の親細胞を、6ウェル低接着性マルチウェルプレートの、20%ウシ胎仔血清と1×ペニシリン/ストレプトマイシンと蛍光タグ付け可能なアルキン-ヌクレオシドEUとを含有するDMEMに、37℃および5%CO2で1時間、播種する。陰性対照のために、十分な数のフソソームおよび親細胞を、マルチウェルプレートの、20%ウシ胎仔血清、1×ペニシリン/ストレプトマイシンを含有するがアルキン-ヌクレオシドEUを含有しないDMEMにも、播種する。
【0594】
1時間のインキュベーション後、試料を、イメージングキット(ThermoFisher Scientific)の製造業者の使用説明書に従って処理する。陰性対照を含む、細胞およびフソソーム試料を、1×PBS緩衝剤で3回洗浄し、1×PBS緩衝剤に再懸濁させ、フローサイトメトリー(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)により、励起のための488nmアルゴンレーザー、および530+/-30nm発光を使用して解析する。DB FACSDivaソフトウェアを取得および解析に使用した。光散乱チャネルをリニアゲインに設定し、蛍光チャネルを対数スケールに設定し、各条件で最低10,000個の細胞を解析する。
【0595】
一部の実施形態では、陰性対照において530+/-30nm発光によって測定した場合の転写活性は、アルキン-ヌクレオシドEUを含めないことに起因してゼロとなる。一部の実施形態では、フソソームは、親細胞と比べて約70%未満、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれを下回る転写活性を有することになる。
【0596】
Proc Natl Acad Sci U S A, 2008, Oct 14;105(41):15779-84. doi: 10.1073/pnas.0808480105. Epub 2008 Oct 7も参照されたい。
(実施例20)
DNA複製または複製活性の欠如
【0597】
この実施例は、フソソームにおけるDNA複製を定量する。一部の実施形態では、フソソームは、細胞と比較して低い率でDNAを複製することになる。
【0598】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。フソソームおよび親細胞DNA複製活性を、蛍光タグ付け可能なヌクレオチド(ThermoFisher Scientific # C10632)の組込みにより評定する。ジメチルスルホキシドでのEdU原液の調製後、フソソームおよび同等の数の細胞を10μMの最終濃度でEdUとともに2時間インキュベートする。次いで、3.7%PFAを使用して試料を15分間固定し、1×PBS緩衝剤、pH7.4で洗浄し、1×PBS緩衝剤、pH7.4中の0.5%界面活性剤溶液で15分間、透過処理する。
【0599】
透過処理後、0.5%界面活性剤を含有するPBS緩衝剤中の懸濁状態のフソソームおよび細胞を1×PBS緩衝剤、pH7.4で洗浄し、反応カクテル、1×PBS緩衝剤、CuSO4(成分F)、azide-fluor 488、1×反応緩衝剤添加剤中で30分間、21℃でインキュベートする。
【0600】
フソソームおよび細胞DNA複製活性の陰性対照は、1×反応カクテル中にazide-fluor 488がないこと以外は上記と同じように試料を処置して作製する。
【0601】
次いで、細胞およびフソソーム試料を洗浄し、1×PBS緩衝剤に再懸濁させ、フローサイトメトリーにより解析する。フローサイトメトリーを、FACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)で488nmアルゴンレーザー励起を用いて行い、530+/-30nm発光スペクトルを収集する。FACS解析ソフトウェアを取得および解析に使用する。光散乱チャネルをリニアゲインに設定し、蛍光チャネルを対数スケールに設定し、各条件で最低10,000個の細胞を解析する。相対DNA複製活性を、各試料におけるazide-fluor 488の強度中央値に基づいて算出する。すべてのイベントを前方および側方散乱チャネルで取得する(あるいは、ゲートをかけてフソソーム集団のみを選択することができる)。フソソームについての正規化蛍光強度値を、フソソームの蛍光強度中央値からそれぞれの陰性対照試料の蛍光強度中央値を減算することにより決定する。次いで、フソソーム試料についての正規化相対DNA複製活性をそれぞれの有核細胞試料に正規化して、DNA複製活性の定量的測定値を生じさせる。
【0602】
一部の実施形態では、フソソームは、親細胞より低いDNA複製活性を有する。
【0603】
Salic, 2415-2420, doi: 10.1073/pnas.0712168105も参照されたい。
(実施例21)
フソソームを改変するための核酸カーゴによる電気穿孔
この実施例は、核酸カーゴによるフソソームへの電気穿孔を説明する。
【0604】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。おおよそ109個のフソソームと1μgの核酸、例えばRNAを、電気穿孔用緩衝剤(1.15mMリン酸カリウム pH7.2、25mM塩化カリウム、水中の60%イオジキサノールw/v)中で混合する。単一4mmキュベットを使用し、電気穿孔システム(BioRad、165-2081)を使用して、フソソームに電気穿孔する。フソソームおよび核酸の電気穿孔を400V、125μFおよび∞オームで行い、キュベットを直ちに氷に移す。電気穿孔後、フソソームをPBSで洗浄し、PBSに再懸濁させ、氷上で保持する。
【0605】
例えば、Kamerkar et al., Exosomes facilitate therapeutic targeting of oncogenic KRAS in pancreatic cancer, Nature, 2017を参照されたい。
【0606】
【0607】
(実施例22)
フソソームを改変するためのタンパク質カーゴによる電気穿孔
【0608】
この実施例は、タンパク質カーゴによるフソソームへの電気穿孔を説明する。
【0609】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。おおよそ5×106個のフソソームを、電気穿孔トランスフェクションシステム(Thermo Fisher Scientific)を使用する電気穿孔に使用する。マスターミックスを用意するために、24μgの精製タンパク質カーゴを再懸濁緩衝剤(キットに備えられている)に添加する。混合物を室温で10分間、インキュベートする。その間に、フソソームを滅菌試験管に移し、500×gで5分間、遠心分離する。上清を吸引し、ペレットをCa2+およびMg2+不含の1mLのPBSに再懸濁させる。次いで、タンパク質カーゴを含有する緩衝剤を使用して、フソソームのペレットを再懸濁させる。次いで、フソソーム懸濁液を、パルス電圧、パルス幅およびパルス数が異なる最適化条件に使用する。電気穿孔後、フソソームをPBSで洗浄し、PBSに再懸濁させ、氷上で保持する。
【0610】
例えば、Liang et al., Rapid and highly efficiency mammalian cell engineering via Cas9 protein transfection, Journal of Biotechnology 208: 44-53, 2015を参照されたい。
(実施例23)
核酸カーゴで改変するためのフソソームの化学的処置
【0611】
この実施例は、化学的処置によるフソソームへの核酸カーゴのローディングを説明する。
【0612】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。おおよそ106個のフソソームを、10,000gで5分間、4℃での遠心分離によりペレット化する。次いで、ペレット化したフソソームを、20μgのDNAとともにTE緩衝剤(10mM Tris-HCl(pH8.0)、0.1mM EDTA)に再懸濁させる。フソソーム:DNA溶液を、フソソーム膜へのDNA透過性を増大させるための穏やかな界面活性剤(Reagent B、Cosmo Bio Co.,LTD、カタログ番号ISK-GN-001-EX)で処置する。溶液を再び遠心分離し、DNAがローディングされたフソソームと標的レシピエント細胞との親和性を増大させるための、硫酸プロタミンなどの、正荷電ペプチドを含有する緩衝剤(Reagent C、Cosmo Bio Co.,LTD、カタログ番号ISK-GN-001-EX)にペレットを再懸濁させる。DNAをローディングした後、ローディングされたフソソームを使用するまで氷上で保持する。
Kaneda, Y., et al., New vector innovation for drug delivery: development of fusigenic non-viral particles. Curr. Drug Targets, 2003も参照されたい。
(実施例24)
タンパク質カーゴで改変するためのフソソームの化学的処置
【0613】
この実施例は、化学的処置によるフソソームへのタンパク質カーゴのローディングを説明する。
【0614】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。おおよそ106個のフソソームを、10,000gで5分間、4℃での遠心分離によりペレット化する。次いで、ペレット化したフソソームを、フソソームとカーゴタンパク質との親和性を増大させるための、硫酸プロタミンなどの、正荷電ペプチドを含有する緩衝剤(Reagent A、Cosmo Bio Co.,LTD、カタログ番号ISK-GN-001-EX)に再懸濁させる。次に、10μgのカーゴタンパク質をフソソーム溶液に添加し、その後、フソソーム膜へのタンパク質透過性を増大させるための穏やかな界面活性剤(Reagent B、Cosmo Bio Co.,LTD、カタログ番号ISK-GN-001-EX)を添加する。溶液を再び遠心分離し、タンパク質がローディングされたフソソームと標的レシピエント細胞との親和性を増大させるための、硫酸プロタミンなどの、正荷電ペプチドを含有する緩衝剤(Reagent C、Cosmo Bio Co.,LTD、カタログ番号ISK-GN-001-EX)にペレットを再懸濁させる。タンパク質をローディングした後、ローディングされたフソソームを使用するまで氷上で保持する。
【0615】
Yasouka, E., et al., Needleless intranasal administration of HVJ-E containing allergen attenuates experimental allergic rhinitis. J. Mol. Med., 2007も参照されたい。
(実施例25)
核酸カーゴで改変するためのフソソームのトランスフェクション
【0616】
この実施例は、核酸カーゴのフソソームへのトランスフェクションを説明する。フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。
【0617】
5×106個のフソソームをOpti-Mem中で維持する。0.5μgの核酸を25μLのOpti-MEM培地と混合し、その後、2μLの脂質トランスフェクション試薬2000を含有する25μLのOpti-MEMを添加する。核酸とOpti-MEMと脂質トランスフェクション試薬との混合物を室温で15分間維持し、次いでフソソームに添加する。プレートを穏やかに旋回させることにより溶液全体を混合し、37Cで6時間インキュベートする。次いで、フソソームをPBSで洗浄し、PBSに再懸濁させ、氷上で保持する。
【0618】
Liang et al., Rapid and highly efficiency mammalian cell engineering via Cas9 protein transfection, Journal of Biotechnology 208: 44-53, 2015も参照されたい。
(実施例26)
タンパク質カーゴで改変するためのフソソームのトランスフェクション
【0619】
この実施例は、タンパク質カーゴのフソソームへのトランスフェクションを説明する。
【0620】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。5×106個のフソソームをOpti-Mem中で維持する。0.5μgの精製タンパク質を25μLのOpti-MEM培地と混合し、その後、2μLの脂質トランスフェクション試薬3000を含有する25μLのOpti-MEMを添加する。タンパク質とOpti-MEMと脂質トランスフェクション試薬との混合物を室温で15分間維持し、次いでフソソームに添加する。プレートを穏やかに旋回させることにより溶液全体を混合し、37Cで6時間インキュベートする。次いで、フソソームをPBSで洗浄し、PBSに再懸濁させ、氷上で保持する。
【0621】
Liang et al., Rapid and highly efficiency mammalian cell engineering via Cas9 protein transfection, Journal of Biotechnology 208: 44-53, 2015も参照されたい。
(実施例27)
脂質二重層構造を有するフソソーム
【0622】
この実施例は、フソソームの組成を説明する。一部の実施形態では、フソソーム組成は、中央に内腔がある脂質二重層構造を含むことになる。
【0623】
理論により拘束されることを望まないが、フソソームの脂質二重層構造は、標的細胞との融合を促進し、フソソームによる種々の治療薬のローディングを可能にする。
【0624】
フソソームを、前の実施例で説明した方法を使用して新たに調製する。陽性対照は、ネイティブ細胞系(HEK293)であり、陰性対照は、冷DPBS、および36ゲージ針に50回通された膜破壊HEK293細胞調製物である。
【0625】
エッペンドルフ管の中の試料を遠心沈降させ、上清を注意深く除去する。次いで、予温した固定溶液(0.1M NaClを含有する0.05Mカコジル酸緩衝剤中の2.5%グルタルアルデヒド、pH7.5;使用前、30分間、37℃で保持する)を試料ペレットに添加し、20分間、室温で保持する。固定後、試料をPBSで2回洗浄する。四酸化オスミウムを試料ペレットに添加し、30分インキュベートする。PBSで1回すすいだ後、30%、50%、70%および90%ヘキシレングリコールを添加し、各々15分、旋回させて洗浄する。次いで、100%ヘキシレングリコールを3回、各々10分、旋回させながら添加する。
【0626】
樹脂をヘキシレングリコールと1:2比で合わせ、次いで、試料に添加し、室温で2時間インキュベートする。インキュベーション後、溶液を100%樹脂に置換し、4~6時間インキュベートする。このステップを新鮮100%樹脂でもう1回繰り返す。次いで、それを100%新鮮樹脂に置換し、レベルを深さ約1~2mmに調整し、8~12時間焼成する。エッペンドルフ管を切断し、試料を含有するエポキシキャスト片をさらに16~24時間焼成する。次いで、細胞を有する側に注意してエポキシキャストを小片に切断する。市販の5分硬化型エポキシ系接着剤を使用して、小片を切片作製用のブロックに接着する。透過型電子顕微鏡(JOEL、USA)を使用して、80kVの電圧で試料をイメージングする。
【0627】
一部の実施形態では、フソソームは、陽性対照(HEK293細胞)と同様の脂質二重層構造を示すことになり、DPBS対照では明瞭な構造が観察されない。一部の実施形態では、破壊された細胞調製物では内腔構造が観察されない。
(実施例28)
フソゲン発現の検出
【0628】
この実施例は、フソソームにおけるフソゲン発現を定量する。
【0629】
クローニングされた断片(例えば、水疱性口内炎ウイルスからの糖タンパク質[VSV-G]、Oxford Genetics # OG592)のオープンリーディングフレームとともにピューロマイシン耐性遺伝子のオープンリーディングフレームを含むトランスポザーゼベクター(System Biosciences,Inc.)を、エレクトロポレーター(Amaxa)および293T細胞系特異的核トランスフェクションキット(Lonza)を使用して293Tに電気穿孔する。
【0630】
20%ウシ胎仔血清と1×ペニシリン/ストレプトマイシンとを含有するDMEM中の1μg/μLのピューロマイシンで3~5日間選択した後、安定的に発現する細胞系からまたは対照細胞からフソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。
【0631】
次いで、フソソームを、1×PBS、氷冷溶解緩衝剤(150mM NaCl、0.1%Triton X-100、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、50mM Tris-HCl、pH8.0、およびプロテアーゼ阻害剤カクテルIII(Abcam、ab201117))で洗浄し、各回10~15秒で3回、超音波処理し、16,000×gで20分間、遠心分離する。回収した上清画分を用いてVSV-Gに特異的なプローブでウエスタンブロットを行って、安定的にトランスフェクトされた細胞または対照細胞から調製したフソソームからのVSV-Gの非膜特異的濃度を決定し、VSV-Gタンパク質の標準と比較する。
【0632】
一部の実施形態では、安定的にトランスフェクトされた細胞からのフソソームは、安定的にトランスフェクトされなかった細胞から生成されたフソソームより多いVSV-Gを有することになる。
(実施例29)
フソゲンの定量
【0633】
この実施例は、1フソソーム当たりのフソゲンの絶対数の定量を説明する。
【0634】
フソソーム組成物を前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生するが、ただし、GFPでダグ付けしたフソゲン(VSV-G)を発現するように、前の実施例で説明したようにフソソームを操作する。加えて、陰性対照フソソームを、フソゲン(VSV-G)もGFPも存在しないように操作する。
【0635】
次いで、GFPタグ付きフソゲンを含有するフソソームおよび陰性対照を、フソゲンの絶対数について、次のようにアッセイする。購入した組換えGFPを段階希釈して、タンパク質濃度の較正曲線を作成する。次いで、較正曲線およびフソソーム量が分かっている試料のGFP蛍光を、蛍光光度計でGFPライトキューブ(469/35励起フィルターおよび525/39発光フィルター)を使用して測定して、フソソーム調製物中のGFP分子の平均モル濃度を算出する。次いで、モル濃度をGFP分子の数に変換し、1試料当たりのフソソームの数で割って1フソソーム当たりのGFPタグ付きフソゲン分子の平均数を獲得し、この結果として1フソソーム当たりのフソゲンの数の相対推定値を得る。
【0636】
一部の実施形態では、GFP蛍光は、フソゲンもGFPも存在しない陰性対照と比較してGFPタグを有するフソソームでのほうが高くなる。一部の実施形態では、GFP蛍光は、存在するフソゲン分子の数に比例する。
【0637】
あるいは、単一細胞調製システム(Fluidigm)を製造業者の使用説明書に従って使用して個々のフソソームを単離し、市販のプローブセット(Taqman)と、Ct値に基づいてフソゲンまたはGFP cDNAレベルを定量するために設計されたマスターミックスとを使用して、qRT-PCRを行う。フソゲン遺伝子またはGFP遺伝子のクローニングされた断片と同じ配列のRNA標準を、合成(Amsbio)により生成し、次いで、単一細胞調製システムqRT-PCR実験反応物に段階希釈物で添加して、フソゲンまたはGFP RNAの濃度に対するCtの標準曲線を確立する。
【0638】
フソソームからのCt値を標準曲線と比較して、1フソソーム当たりのフソゲンまたはGFP RNAの量を決定する。
【0639】
一部の実施形態では、フソゲンおよびGFP RNAは、フソゲンもGFPも存在しない陰性対照と比較して、フソゲンを発現するように操作したフソソームでのほうが高くなる。
【0640】
以前に記載されたような脂質二重層構造の解析、および本明細書の他の実施例で説明するようなLC-MSによる脂質二重層中のフソゲンの定量により、脂質二重層中のフソゲンをさらに定量することができる。
(実施例30)
フソソームの平均径の測定
【0641】
この実施例は、フソソームの平均径の測定を説明する。
【0642】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。市販のシステム(iZON Science)を使用して、フソソームを測定して平均径を決定する。ソフトウェアを製造業者の使用説明書に従って用い、径の範囲40nm~10μm以内の粒子を解析するために設計されたナノポアを用いて、システムを使用する。フソソームおよび親細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)に再懸濁させて、0.01~0.1μgタンパク質/mLの最終濃度範囲にする。他の計器設定は、次の表に示すように調整する:
【表16】
【0643】
すべてのフソソームを単離から2時間以内に解析する。一部の実施形態では、フソソームは、親供給源細胞より約1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以内またはそれを超えて大きい径を有することになる。
(実施例31)
フソソームの平均径分布の測定
【0644】
この実施例は、フソソームの径の分布の測定を説明する。
【0645】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより生成し、前の実施例に記載のものなどの市販のシステムを使用して試験して粒子の平均径を決定する。一部の実施形態では、中央値を中心としてフソソームの10%、50%および90%についての径閾値を、親細胞と比較して、フソソーム径の分布を評定する。
【0646】
一部の実施形態では、フソソームは、試料の10%、50%または90%以内で親細胞の径分布変動の約90%未満、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%またはそれより低い径分布変動を有することになる。
(実施例32)
フソソームの平均体積
【0647】
この実施例は、フソソームの平均体積の測定を説明する。理論により拘束されることを望まないが、フソソームのサイズ(例えば、径、体積、表面積など)を変化させることで、明確に異なるカーゴローディング、治療設計または応用へのフソソームの汎用性を高くすることができる。
【0648】
フソソームを前の実施例で説明したように調製する。陽性対照は、HEK293細胞、またはサイズが分かっているポリスチレンビースである。陰性対照は、36ゲージ針におおよそ50回通されたHEK293細胞である。
【0649】
前の実施例で説明したような透過型電子顕微鏡での解析を使用して、フソソームのサイズを決定する。フソソームの径を測定し、次いで体積を算出する。
【0650】
一部の実施形態では、フソソームは、おおよそ50nmまたはそれより大きい径の平均サイズを有することになる。
(実施例33)
フソソームの平均密度
【0651】
フソソーム密度は、Thery et al., Curr Protoc Cell Biol. 2006 Apr; Chapter 3:Unit 3.22に記載されているような連続スクロース勾配遠心分離アッセイによって測定する。フソソームを前の実施例で説明したように得る。
【0652】
先ず、スクロース勾配を調製する。4mLのHEPES/スクロース原液と1mLのHEPES原液、または0.5mLのHEPES/スクロース原液と4.5mLのHEPES原液を、それぞれ混合することにより、2Mおよび0.25スクロース溶液を生成する。これら2つの画分を、すべてのシャッターを閉じた勾配作製装置に、2Mスクロース溶液を磁気撹拌棒とともに近位区画に、0.25Mスクロース溶液を遠位区画に、ローディングする。勾配作製装置を磁気撹拌プレート上に配置し、近位区画と遠位区画の間のシャッターを開け、磁気撹拌プレートをオンにする。HEPES原液は、次のように作製する:2.4gのN-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES;最終20mM)、300 H2O、pHを10N NaOHで7.4に調整し、最終的に体積をH2Oで500mLに調整する。HEPES/スクロース原液は、次のように作製する:2.4gのヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸(HEPES;最終20mM)、428gのプロテアーゼ不含スクロース(ICN;最終2.5M)、150mLのH2O、pHを10N NaOHで7.4に調整し、最終的に体積をH2Oで500mLに調整する。
【0653】
フソソームを2mLのHEPES/スクロース原液に再懸濁させ、SW 41遠心分離管の底部に注入する。外部チューブを、SW 41管内の2mLのフソソームのすぐ上に配置する。外側のシャッターを開け、連続2M(最低)~0.25M(最高)スクロース勾配液をフソソームの最上部にゆっくりと注入する。チューブが常に液体の最上部の少し上にあるように、勾配液を注入するにつれてSW 41管を下げる。
【0654】
勾配液が入っているすべての管について、互いにバランスをとるか、または同じ重量のスクロース溶液を有する他の管とのバランスをとる。勾配液を、終夜(≧14時間)、210,000×g、4℃で、SW 41スイングバケットローターにおいてブレーキを低に設定して遠心分離する。
【0655】
マイクロピペッターを用いて、最高から最低まで11の1mL画分を収集し、TLA-100.3ローターの3mL管に入れる。試料を取り出し、96ウェルプレートの別々のウェルで、50μlの各画分を使用して屈折率を測定する。蒸発を防止するためにプレートを接着ホイルで覆い、1時間以下、室温で保管する。屈折計を使用して、96ウェルプレートに取っておいた材料からの10~20μlの各画分の屈折率(したがって、スクロース濃度、および密度)を測定する。
【0656】
屈折率をg/mLに変換するための表は、Beckmanウェブサイトからダウンロードできる超遠心分離カタログで入手できる。
【0657】
次いで、各画分をタンパク質含有量解析のために調製する。2ミリリットルの20mM HEPES、pH7.4を1mL勾配画分各々に添加し、2~3回、ピペットで吸い上げ、吐き出すことによって混合する。各管の一側面に油性マーカーでマークを付け、マークを付けた側を上にして管をTLA-100.3ローター内に配置する。
【0658】
希釈された画分が入っている3mL管を1時間、110,000×g、4℃で遠心分離する。TLA-100.3ローターは、6本の管を把持するため、勾配ごとに2回の遠心分離を行い、他の管は、それらを遠心分離することができるまで4℃で保持する。
【0659】
3mL管の各々から上清を、ペレットの上に1滴残して、吸引する。ペレットは、ほぼ確実に目には見えないが、その位置を管上のマークから推測することができる。目に見えないペレットを再懸濁させ、微小遠心分離管に移す。各再懸濁画分の半分を、別の実施例で説明するビシンコニン酸アッセイによるタンパク質含有量解析に使用する。これにより、フソソーム調製物の様々な勾配画分にわたっての分布が得られる。この分布を使用して、フソソームの平均密度を決定する。もう一方の半分の体積の画分を-80℃で保管し、タンパク質解析によって画分にわたってのフソソーム分布が明らかになったら他の目的(例えば、機能解析、または免疫隔離によるさらなる精製)に使用する。
【0660】
一部の実施形態では、このアッセイまたは同等のアッセイを使用して、複数のフソソームを含む調製物の平均密度は、1.25g/mL+/-0.05標準偏差となる。一部の実施形態では、調製物の平均密度は、1~1.1、1.05~1.15、1.1~1.2、1.15~1.25、1.2~1.3、または1.25~1.35g/mLの範囲内となる。一部の実施形態では、調製物の平均密度は、1未満になるか、または1.35より高くなる。
(実施例34)
フソソーム中のオルガネラ含有量の測定
【0661】
この実施例は、フソソーム中のオルガネラの検出を説明する。
【0662】
フソソームを本明細書に記載するように調製した。小胞体(ER)およびミトコンドリアの検出のために、フソソームまたはC2C12細胞を1μM ER染色剤(E34251、Thermo Fisher、Waltham、MA)および1μMミトコンドリア染色剤(M22426、Thermo Fisher、Waltham、MA)で染色した。リソソームの検出のために、フソソームまたは細胞を50nMリソソーム染色剤(L7526、Thermo Fisher、Waltham、MA)で染色した。
【0663】
染色されたフソソームをフローサイトメーター(Thermo Fisher、Waltham、MA)にかけ、下の表に記載の色素ごとに蛍光強度を測定した。染色されたフソソームの蛍光強度と未染色のフソソーム(陰性対照)および染色された細胞(陽性対照)の蛍光強度とを比較することにより、オルガネラの存在の検証を行った。
【0664】
フソソームは、除核5時間後に小胞体(
図1)、ミトコンドリア(
図2)およびリソソーム(
図3)に対して陽性の染色を示した。
【表17】
(実施例35)
フソソーム中の核含有量の測定
【0665】
この実施例は、フソソーム中の核含有量の測定を説明する。フソソームが核を含有しないことを検証するために、フソソームを1μg・mL
-1のHoechst 33342および1μMカルセインAM(C3100MP、Thermo Fisher、Waltham、MA)で染色し、染色されたフソソームをAttune NXTフローサイトメーター(Thermo Fisher、Waltham、MA)にかけて、下の表に記載の色素ごとに蛍光強度を決定する。一部の実施形態では、サイトゾルの存在についての検証(カルセインAM)および核の非存在についての検証(Hoechst 33342)を、染色されたフソソームの平均蛍光強度を未染色のフソソームおよび染色された細胞の平均蛍光強度と比較することにより、行うことになる。
【表18】
(実施例36)
核エンベロープ含有量の測定
【0666】
この実施例は、有核フソソーム中の核エンベロープ含有量の測定を説明する。核エンベロープは、細胞のDNAを細胞質から単離する。
【0667】
一部の実施形態では、精製フソソーム組成物は、本明細書で説明するように除核した哺乳動物細胞、例えば、HEK-293T(293[HEK-293](ATCC(登録商標)CRL-1573(商標))を含む。この実施例は、フソソーム生成後に残存する無傷核膜の量を測定するためのプロキシとしての種々の核膜タンパク質の定量を説明する。
【0668】
この実施例では、10×106個のHEK-293T、および10×106個のHEK-293Tから調製した同量のフソソームを、3.7%PFAを使用して15分間固定し、1×PBS緩衝剤、pH7.4で洗浄し、同時に透過処理し、次いで、1%ウシ血清アルブミンと0.5%Triton(登録商標)X-100とを含有する1×PBS緩衝剤、pH7.4を使用して15分間ブロックする。透過処理後、フソソームおよび細胞を、1%ウシ血清アルブミンと0.5%Triton(登録商標)X-100とを含有する1×PBS緩衝剤、pH7.4で希釈した製造業者推奨濃度の種々の一次抗体、例えば抗RanGAP1抗体[EPR3295](Abcam-ab92360)、抗NUP98抗体[EPR6678]-核膜孔マーカー(Abcam-ab124980)、抗核膜孔複合体タンパク質抗体[Mab414]-(Abcam-ab24609)、抗インポーチン7抗体(Abcam-ab213670)とともに、12時間、4℃でインキュベートする。次いで、フソソームおよび細胞を1×PBS緩衝剤、pH7.4で洗浄し、1%ウシ血清アルブミンと0.5%界面活性剤とを含有する1×PBS緩衝剤、pH7.4で希釈した製造業者推奨濃度の、前に明記した一次抗体を検出する適切な蛍光二次抗体とともに、2時間、21℃でインキュベートする。次いで、フソソームおよび細胞を1×PBS緩衝剤で洗浄し、1μg/mLのHoechst 33342を含有する300μLの1×PBS緩衝剤、pH7.4に再懸濁させ、20μm FACS管に通して濾過し、フローサイトメトリーにより解析する。
【0669】
陰性対照は、一次抗体を添加しないこと以外は同じ染色手順を使用して生成する。フローサイトメトリーを、FACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)で488nmアルゴンレーザー励起を用いて行い、530+/-30nm発光スペクトルを収集する。FACS取得ソフトウェアを、取得および解析に使用する。光散乱チャネルをリニアゲインに設定し、蛍光チャネルを対数スケールに設定し、各条件で最低10,000個の細胞を解析する。無傷核膜の相対含有量を、各試料における蛍光強度中央値に基づいて算出する。すべてのイベントを前方および側方散乱チャネルで取得する。
【0670】
フソソームについての正規化蛍光強度値を、フソソームの蛍光強度中央値からそれぞれの陰性対照試料の蛍光強度中央値を減算することにより決定する。次いで、フソソーム試料についての正規化蛍光をそれぞれの有核細胞試料に正規化して、無傷核膜含有量の定量的測定値を生じさせる。
【0671】
一部の実施形態では、除核フソソームは、有核親細胞と比較して1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%未満の蛍光強度または核エンベロープ含有量を含むことになる。
(実施例37)
クロマチンレベルの測定
【0672】
この実施例は、除核フソソーム中のクロマチンの測定を説明する。
【0673】
DNAを、核内に収まらせるために、クロマチンに凝縮することができる。一部の実施形態では、精製フソソーム組成物は、本明細書に記載の方法のいずれか1つにより産生した場合、低レベルのクロマチンを含むことになる。
【0674】
前述の方法のいずれかにより調製した除核フソソーム、および陽性対照細胞(例えば、親細胞)を、ヒストンタンパク質H3またはヒストンタンパク質H4に特異的である抗体でのELISAを使用して、クロマチン含有量についてアッセイする。ヒストンはクロマチンの主タンパク質成分であり、H3およびH4は主要ヒストンタンパク質である。
【0675】
市販のキット(例えば、Abcam Histone Extraction Kit(ab113476))または当技術分野において公知の他の方法を使用して、ヒストンをフソソーム調製物および細胞調製物から抽出する。これらの分割量を使用するまで-80℃で保管する。精製ヒストンタンパク質(H3またはH4のどちらか)をアッセイ緩衝剤の溶液中1~50ng/μLから希釈することにより、標準物質の段階希釈物を調製する。アッセイ緩衝剤は、製造業者により供給されるキット(例えば、Abcam Histone H4 Total Quantification Kit(ab156909)またはAbcam Histone H3 total Quantification Kit(ab115091))から得ることができる。抗ヒストンH3または抗H4抗体でコーティングされている48または96ウェルプレートの各ウェルにアッセイ緩衝剤を添加し、試料または標準対照をウェルに添加して、各ウェルの総体積を50μLにする。次いで、プレートを覆い、37度で90~120分間インキュベートする。
【0676】
インキュベーション後、プレートに接着した抗ヒストン抗体に結合した任意のヒストンを検出用に調製する。上清を吸引し、プレートを150μLの洗浄緩衝剤で洗浄する。次いで、抗ヒストンH3または抗H4捕捉抗体を含む捕捉緩衝剤をプレートに50μLの体積および1μg/mLの濃度で添加する。次いで、オービタルシェーカーを用いて室温で60分間、プレートをインキュベートする。
【0677】
次に、プレートを吸引し、洗浄緩衝剤を使用して6回洗浄する。次いで、捕捉抗体により活性化可能なシグナルレポーター分子を各ウェルに添加する。プレートを覆い、室温で30分間インキュベートする。次いで、プレートを吸引し、洗浄緩衝剤を使用して4回洗浄する。停止溶液を添加することにより、反応を停止させる。プレートの各ウェルの吸光度を450nmで読み取り、各試料中のヒストンの濃度を、標準試料中のヒストンの濃度に対する450nmでの吸光度の標準曲線に従って算出する。
【0678】
一部の実施形態では、フソソーム試料は、有核親細胞の1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%未満のヒストン濃度を含むことになる。
(実施例38)
フソソーム中のDNA含有量の測定
【0679】
この実施例は、有核対応物と比較してフソソーム中のDNAの量の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、有核対応物より少ないDNAを有することになる。全DNA、または特定のハウスキーピング遺伝子のレベルを測定することにより、核酸レベルを決定する。一部の実施形態では、低減したDNA含有量を有するまたはDNAを実質的に欠いているフソソームは、遺伝子を複製、分化または転写することができず、これにより、それらの用量および機能は対象に投与されたとき変更されないことが保証されることになる。
【0680】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。フソソームおよび供給源細胞のタンパク質によって測定した場合に同じ質量の調製物を使用して、全DNAを(例えば、Qiagen DNeasyカタログ番号69504などのキットを使用して)単離し、その後、DNAによる吸光度を評定するための標準的な分光方法を使用して(例えば、Thermo Scientific NanoDropで)DNA濃度を決定する。
【0681】
一部の実施形態では、除核フソソーム中のDNAの濃度は、親細胞中のその濃度と比べて約50%未満、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満低くなる。
【0682】
あるいは、半定量的リアルタイムPCR(RT-PCR)を用いて、GAPDHなどの特定のハウスキーピング遺伝子の濃度を有核細胞とフソソーム間で比較することができる。全DNAを親細胞およびフソソームから単離し、DNA濃度を本明細書で説明するように測定する。RT-PCRは、PCRキット(Applied Biosystems、カタログ番号4309155)で以下の反応鋳型を使用して行う:
SYBR Greenマスターミックス:10μL
0.45μMフォワードプライマー: 1μL
0.45μMリバースプライマー: 1μL
DNA鋳型: 10ng
PCRグレード水: 可変的
【0683】
フォワードおよびリバースプライマーは、Integrated DNA Technologiesから入手する。下記の表は、プライマーペアおよびそれらの関連配列を列挙するものである。
【表19】
【0684】
リアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)を使用して、以下のプロトコールで増幅および検出を行う:
変性、94℃ 2分
40サイクルの下記シーケンス:
変性、94℃ 15秒
アニーリング、伸長、60℃ 1分
【0685】
DNA濃度に対するCtの標準曲線をGAPDH DNAの段階希釈物で作成し、それを使用してフソソームPCR結果からの核Ct値をDNAの特定の量(ng)に正規化する。
【0686】
一部の実施形態では、除核フソソーム中のGAPDH DNAの濃度は、親細胞中のその濃度と比べて約50%未満、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ未満低くなる。
(実施例39)
フソソーム中のmiRNA含有量の測定
【0687】
この実施例は、フソソーム中のマイクロRNA(miRNA)の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、miRNAを含む。
【0688】
miRNAは、数ある活性の中でも特に、メッセンジャーRNA(mRNA)をタンパク質に翻訳する速度を制御する、調節エレメントである。一部の実施形態では、miRNAを担持するフソソームを使用して、miRNAを標的部位に送達することができる。
【0689】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。RNAを、フソソームまたは親細胞から、前に説明したように調製する。www.sanger.ac.uk/Software/Rfam/mirna/index.shtmlのSanger Center miRNA Registryから、少なくとも1つのmiRNA遺伝子を選択する。miRNAを、Chen et al, Nucleic Acids Research, 33(20), 2005に記載されているように調製する。すべてのTaqMan miRNAアッセイは、Thermo Fisher(A25576、Waltham、MA)を通して入手できる。
【0690】
miRNA cDNAを用いて製造業者の仕様書に従ってqPCRを行い、本明細書に記載するようなリアルタイムPCRシステムを使用して、CT値を生成し、解析する。
【0691】
一部の実施形態では、フソソームのmiRNA含有量は、それらの親細胞のものよりも少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれを超えて多くなる。
(実施例40)
フソソームにおける内因性RNAまたは合成RNAの発現の定量
【0692】
この実施例は、発現が変更された内因性RNAのレベルまたはフソソームに発現される合成RNAのレベルの定量を説明する。
【0693】
フソソームまたは親細胞を、フソソームに対する細胞機能を媒介する内因性または合成RNAの発現を変更するように操作する。
【0694】
トランスポザーゼベクター(System Biosciences,Inc.)は、タンパク物質のクローニングされた断片のオープンリーディングフレームとともに、ピューロマイシン耐性遺伝子のオープンリーディングフレームを含む。エレクトロポレーター(Amaxa)および293T細胞系特異的核トランスフェクションキット(Lonza)を使用して、ベクターを293Tに電気穿孔する。
【0695】
20%ウシ胎仔血清と1×ペニシリン/ストレプトマイシンとを含有するDMEM中で3~5日間、ピューロマイシンで選択した後、安定的に発現する細胞系から、前の実施例で説明した方法のいずれか1つによりフソソームを調製する。
【0696】
個々のフソソームを単離し、1フソソーム当たりのタンパク物質またはRNAを前の実施例で説明したように定量する。
【0697】
一部の実施形態では、フソソームは、1フソソーム当たり少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、500、103、5.0×103、104、5.0×104、105、5.0×105、106、5.0×106、またはそれより多くのRNAを有することになる。
(実施例41)
フソソーム中の脂質組成の測定
【0698】
この実施例は、フソソームの脂質組成の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームの脂質組成は、それらが由来する細胞と同様である。脂質組成は、フソソームおよび細胞の重要な生物物理学的パラメーター、例えば、サイズ、静電相互作用、およびコロイド挙動に影響を与える。
【0699】
脂質測定は、質量分析に基づく。フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。
【0700】
質量分析に基づく脂質解析は、脂質解析サービス(Dresden、Germany)で、記載されているように(Sampaio, et al., Proc Natl Acad Sci, 2011, Feb 1;108(5):1903-7)行う。2ステップクロロホルム/メタノール手順(Ejsing, et al., Proc Natl Acad Sci, 2009, Mar 17;106(7):2136-41)を使用して脂質を抽出する。カルジオリピン 16:1/15:0/15:0/15:0(CL)、セラミド 18:1;2/17:0(Cer)、ジアシルグリセロール 17:0/17:0(DAG)、ヘキソシルセラミド 18:1;2/12:0(HexCer)、リゾホスファチデート 17:0(LPA)、リゾホスファチジルコリン 12:0(LPC)、リゾホスファチジルエタノールアミン 17:1(LPE)、リゾホスファチジルグリセロール 17:1(LPG)、リゾホスファチジルイノシトール 17:1(LPI)、リゾホスファチジルセリン 17:1(LPS)、ホスファチデート 17:0/17:0(PA)、ホスファチジルコリン 17:0/17:0(PC)、ホスファチジルエタノールアミン 17:0/17:0(PE)、ホスファチジルグリセロール 17:0/17:0(PG)、ホスファチジルイノシトール 16:0/16:0(PI)、ホスファチジルセリン 17:0/17:0(PS)、コレステロールエステル 20:0(CE)、スフィンゴミエリン 18:1;2/12:0;0(SM)およびトリアシルグリセロール 17:0/17:0/17:0(TAG)の内部脂質標準混合物を、試料にスパイクする。
【0701】
抽出後、有機相を注入プレートに移し、スピード真空濃縮器で乾燥させる。第1ステップ乾燥抽出物をクロロホルム/メタノール/プロパノール(1:2:4、V:V:V)中の7.5mM酢酸アンモニウムに再懸濁させ、第2ステップ乾燥抽出物をクロロホルム/メタノール中のメチルアミン(0.003:5:1、V:V:V)の33%エタノール溶液に再懸濁させる。液体を取り扱うすべてのステップは、液垂れ防止制御特徴を有する有機溶媒用のロボットプラットフォーム(Hamilton Robotics)をピペッティングに使用して行う。
【0702】
イオン源(Advion Biosciences)を装備した質量分析計(Thermo Scientific)に対する直接注入により、試料を解析する。1回の取得操作で、正のイオンモードと負のイオンモードの両方で、MSについてはRm/z=200=280000およびタンデムMS/MS実験についてはRm/z=200=17500の分解能で、試料を解析する。1Da刻みでスキャンされる対応するMS質量範囲を包含するインクルージョンリストにより、MS/MSを始動させる(Surma, et al., Eur J lipid Sci Technol, 2015, Oct;117(10):1540-9)。MSデータとMS/MSデータの両方を組み合わせて、アンモニウム付加物としてCE、DAGおよびTAGイオンを、酢酸付加物としてPC、PC O-を、ならびに脱プロトン化アニオンとしてCL、PA、PE、PE O-、PG、PIおよびPSをモニターする。MSのみを使用して、脱プロトン化アニオンとしてLPA、LPE、LPE O-、LPIおよびLPSを、酢酸としてCer、HexCer、SM、LPCおよびLPC O-をモニターする。
【0703】
データを、次の参考文献(Herzog, et al., Genome Biol, 2011, Jan 19;12(1):R8;Herzog, et al., PLoS One, 2012, Jan;7(1):e29851)に記載されているような社内開発脂質同定ソフトウェアで解析する。シグナル対ノイズ比>5を有し、かつ対応するブランク試料のシグナル強度より5倍大きいシグナル強度を有する脂質同定のみを、さらなるデータ解析の考慮の対象にする。
【0704】
フソソーム脂質組成を親細胞の脂質組成と比較する。一部の実施形態では、フソソームおよび親細胞は、親細胞中の同定脂質の>50%がフソソーム中に存在し、それらの同定された脂質のうち、フソソーム中のレベルが、親細胞中の対応する脂質レベルの>25%となる場合、同様の脂質組成を有することになる。
(実施例42)
フソソーム中のプロテオーム組成の測定
【0705】
この実施例は、フソソームのタンパク質組成の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームのタンパク質組成は、それらが由来する細胞と同様になる。
【0706】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。フソソームを溶解緩衝剤(7M尿素、2Mチオ尿素、50mM Tris pH8.0中の4%(w/v)Chap)に再懸濁させ、15分間、室温で、時々ボルテックスしながらインキュベートする。次いで、混合物を氷浴中での5分間の超音波処理により溶解し、5分間、13,000RPMで遠心沈降させる。タンパク質含有量を比色アッセイ(Pierce)により決定し、各試料のタンパク質を新しい管に移し、体積を50mM Tris pH8で等しくする。
【0707】
タンパク質を摂氏65で15分間、10mM DTTで還元し、暗所において室温で30分間、15mMヨードアセトアミドでアルキル化する。6体積の冷(摂氏-20°)アセトンを徐々に添加してタンパク質を沈殿させ、-80℃で終夜インキュベートする。タンパク質ペレットを3回、冷(摂氏-20°)メタノールで洗浄する。タンパク質を50mM Tris pH8.3に再懸濁させる。
【0708】
次に、消化の最初の4時間、摂氏37で、撹拌しながらタンパク質にトリプシン/lysCを添加する。試料を50mM Tris pH8で希釈し、0.1%デオキシコール酸ナトリウムを消化のための追加のトリプシン/lysCとともに、終夜、摂氏37で撹拌しながら添加する。消化を停止させ、2%v/vギ酸の添加によりデオキシコール酸ナトリウムを除去する。試料をボルテックスし、1分間の13,000RPMでの遠心分離により透明にする。ペプチドを逆相固相抽出(SPE)により精製し、凍結乾燥させる。試料を、水中の3%DMSO、0.2%ギ酸20μlで再構成し、LC-MSにより解析する。
【0709】
定量的測定値を有するために、タンパク質標準も計器にかける。標準ペプチド(Pierce、等モル濃度、LC-MSグレード、#88342)を4、8、20、40および100fmol/μLに希釈し、LC-MS/MSにより解析する。タンパク質ごとに5つの最良ペプチド(3回のMS/MS遷移/ペプチド)の平均AUC(曲線下面積)を各濃度について算出して、標準曲線を作成する。
【0710】
取得は、エレクトロスプレーインターフェースと25μmのiDのキャピラリーを装備し、マイクロ超高速液体クロマトグラフィー(μUHPLC)(Eksigent、Redwood City、CA、USA)に結合されている高分解能質量分析計(ABSciex、Foster City、CA、USA)を用いて行う。計器を制御するために、ならびにデータ処理および取得のために、解析ソフトウェアを使用する。電源電圧を5.2kVに設定し、225℃で維持し、カーテンガスを27psiに、ガス1を12psiに、ガス2を10psiに設定する。取得は、タンパク質データベースについては情報依存型取得(IDA)モードで、試料についてはSWATH取得モードで行う。i.d.が0.3μmであり、粒子が2.7μmであり、長さが150mmである逆相カラム(Advance Materials Technology、Wilmington、DE)を用いて、このカラムを60℃で維持して、分離を行う。試料を5μLループへのループ過充填により注入する。120分(試料)LC勾配のための3μL/分の流速での移動相は、次のものを含む:溶媒A(水中の0.2%v/vギ酸および3%DMSOv/v)および溶媒B(EtOH中の0.2%v/vギ酸および3%DMSO)。
【0711】
タンパク質の絶対定量のために、タンパク質ごとに5つの最良ペプチド(ペプチドごとに3回のMS/MSイオン)のAUCの合計を使用して標準曲線(5点、R2>0.99)を生成する。試料を解析するためのデータベースを生成するために、DIAUmpireアルゴリズムを12試料の各々に関して実行し、出力MGFファイルと組み合わせて1つのデータベースにする。このデータベースをソフトウェア(ABSciex)で使用して、5遷移/ペプチドおよび5ペプチド/タンパク質最大値を使用して各々の試料中のタンパク質を定量する。ペプチドは、計算されたスコアが1.5を上回ったまたはFDR<1%を有した場合、適切に測定されたと考えられる。適切に測定されたペプチドの各々についてのAUCの合計が標準曲線にマッピングされ、fmolとして報告される。
【0712】
次いで、得られたタンパク質定量データを解析して、タンパク質レベル、および次のようなタンパク質の既知クラスについての割合を決定する:酵素が、酵素(EC)番号のアノテーションが付与されているタンパク質として同定される、クラス;ER関連タンパク質が、ミトコンドリアではなくERの遺伝子オントロジー(GO;http://www.geneontology.org)細胞内コンパートメント分類を有したタンパク質として同定される、クラス;エクソソーム関連タンパク質が、ミトコンドリアではなくエクソソームの遺伝子オントロジー細胞内コンパートメント分類を有するタンパク質として同定される、クラス;およびミトコンドリアタンパク質が、MitoCartaデータベース(Calvo et al., NAR 2015l doi:10.1093/nar/gkv1003)でミトコンドリアのものとして同定されているタンパク質として同定される、クラス。これらのカテゴリーの各々についてのモル比を、各クラス内のすべてのタンパク質のモル量の合計を各試料中のすべての同定タンパク質のモル量の合計で割って決定する。
【0713】
フソソームプロテオーム組成を親細胞プロテオーム組成と比較する。一部の実施形態では、同定タンパク質の>50%がフソソームに存在し、それらの同定タンパク質のうち、レベルが、親細胞中の対応するタンパク質レベルの>25%であった場合、フソソームと親細胞間で同様のプロテオーム組成が観察されることになる。
(実施例43)
1フソソーム当たりの内因性または合成タンパク質レベルの定量
【0714】
この実施例は、フソソーム中の内因性または合成タンパク質カーゴの定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、内因性または合成タンパク質カーゴを含む。
【0715】
フソソームまたは親細胞を、内因性タンパク質の発現を変更するように、または治療用もしくは新規の細胞機能を媒介する合成カーゴを発現するように、操作する。
【0716】
タンパク物質のクローニングされた断片のオープンリーディングフレームとともに、ピューロマイシン耐性遺伝子のオープンリーディングフレームを含み、必要に応じて、緑色蛍光タンパク質(GFP)のオープンリーディングフレームに翻訳により融合されている、トランスポザーゼベクター(System Biosciences,Inc.)。エレクトロポレーター(Amaxa)および293T細胞系特異的核トランスフェクションキット(Lonza)を使用して、これらのベクターを293Tに電気穿孔する。
【0717】
20%ウシ胎仔血清と1×ペニシリン/ストレプトマイシンとを含有するDMEM中で3~5日間、ピューロマイシンで選択した後、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより、安定的に発現する細胞系からフソソームを調製する。
【0718】
内因性タンパク質の変更された発現レベル、またはGFPに融合されていない合成タンパク質の発現レベルを、上で説明したような質量分析により定量する。一部の実施形態では、フソソームは、1フソソーム当たり少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、500、103、5.0×103、104、5.0×104、105、5.0×105、106、5.0×106、またはそれより多くのタンパク物質分子を有することになる。
【0719】
あるいは、精製GFPを、20%ウシ胎仔血清と1×ペニシリン/ストレプトマイシンとを含有するDMEMで段階希釈して、タンパク質濃度の標準曲線を作成する。標準曲線およびフソソーム試料のGFP蛍光を、蛍光光度計(BioTek)でGFPライトキューブ(469/35励起フィルターおよび525/39発光フィルター)を使用して測定して、フソソーム中のGFP分子の平均モル濃度を算出する。次いで、モル濃度をGFP分子の数に変換し、1試料当たりのフソソームの数で割って1フソソーム当たりのタンパク物質分子の平均数を獲得する。
【0720】
一部の実施形態では、フソソームは、1フソソーム当たり少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、500、103、5.0×103、104、5.0×104、105、5.0×105、106、5.0×106、またはそれより多くのタンパク物質分子を有することになる。
(実施例44)
フソソーム中のエクソソームタンパク質のマーカーの測定
【0721】
このアッセイは、試料調製のプロテオーム構成の定量を記述し、エクソソームの特異的マーカーであることが公知であるタンパク質の割合を定量する。
【0722】
標準生体試料取り扱い手順に従って、フソソームをペレット化し、凍結状態でプロテオミクス解析センターに発送する。
【0723】
フソソームをタンパク質抽出および解析のために解凍する。先ず、それらを溶解緩衝剤(7M尿素、2Mチオ尿素、50mM Tris pH8.0中の4%(w/v)chap)に再懸濁させ、15分間、室温で、時々ボルテックスしながらインキュベートする。次いで、混合物を氷浴中での5分間の超音波処理により溶解し、5分間、13,000RPMで遠心沈降させる。全タンパク質含有量を比色アッセイ(Pierce)により判定し、各試料の100μgのタンパク質を新しい管に移し、体積を50mM Tris pH8で調整する。
【0724】
タンパク質を摂氏65°で15分間、10mM DTTで還元し、暗所で、室温で30分間、15mMヨードアセトアミドでアルキル化する。次いで、6体積の冷(摂氏-20°)アセトンを徐々に添加してタンパク質を沈殿させ、摂氏-80°で終夜インキュベートする。
【0725】
タンパク質をペレット化し、冷(摂氏-20°)メタノールで3回洗浄し、50mM Tris pH8に再懸濁させる。3.33μgのトリプシン/lysCを、消化の最初の4時間、摂氏37°で、撹拌しながらタンパク質に添加する。試料を50mM Tris pH8で希釈し、終夜、摂氏37°で撹拌しながら0.1%デオキシコール酸ナトリウムを消化のための別の3.3μgのトリプシン/lysCとともに添加する。消化を停止させ、2%v/vギ酸の添加によりデオキシコール酸ナトリウムを除去する。試料をボルテックスし、1分間の13,000RPMでの遠心分離により透明にする。
【0726】
タンパク質を逆相固相抽出(SPE)により精製し、凍結乾燥させる。試料を、水中の3%DMSO、0.2%ギ酸で再構成し、前に説明したようにLC-MSにより解析する。
【0727】
得られたタンパク質定量データを解析して、タンパク質レベル、および公知エクソソームマーカータンパク質の割合を決定する。具体的には、テトラスパニンファミリータンパク質(CD63、CD9、またはCD81)、ESCRT関連タンパク質(TSG101、CHMP4A-B、またはVPS4B)、Alix、TSG101、MHCI、MHCII、GP96、アクチニン-4、ミトフィリン、シンテニン-1、TSG101、ADAM10、EHD4、シンテニン-1、TSG101、EHD1、フロチリン-1、熱ショック70kDaタンパク質(HSC70/HSP73、HSP70/HSP72)。これらのエクソソームマーカータンパク質の、測定したすべてのタンパク質に対するモル比を、上に列挙した各々の特定のエクソソームマーカータンパク質のモル量を各試料中のすべての同定タンパク質のモル量の合計で割って決定し、パーセントとして表す。
【0728】
同様に、すべてのエクソソームマーカータンパク質の、測定したすべてのタンパク質に対するモル比を、上に列挙したすべての特定のエクソソームマーカータンパク質のモル量の合計を各試料中のすべての同定タンパク質のモル量の合計で割って決定し、総量のパーセントとして表す。
【0729】
一部の実施形態では、試料は、任意の個々のエクソソームマーカータンパク質の5%未満、および総エクソソームマーカータンパク質の15%未満を含むことになる。
【0730】
一部の実施形態では、個々のエクソソームマーカータンパク質は、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、または10%未満で存在することになる。
【0731】
一部の実施形態では、すべてのエクソソームマーカータンパク質の合計は、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または25%未満となる。
(実施例45)
フソソーム中のGAPDHの測定
【0732】
このアッセイは、フソソーム中のグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のレベルの定量、および親細胞と比較したフソソーム中のGAPDHの相対レベルを記述する。
【0733】
GAPDHを、親細胞およびフソソームにおいて、GAPDH用の標準的な市販のELISA(ab176642、Abcam)を製造業者の指示書に従って使用して測定する。
【0734】
総タンパク質レベルを、GAPDHを測定するために使用した同じ体積の試料において、前述のビシンコニン酸アッセイによって同様に測定する。実施形態では、このアッセイを使用して、フソソーム中のGAPDHの総タンパク質当たりのレベルは、<100ng GAPDH/(μg総タンパク質)となる。同様に、実施形態では、親細胞からフソソームへの総タンパク質に対するGAPDHレベルの減少は、10%より大きい減少となる。
【0735】
一部の実施形態では、(ng GAPDH)/(μg総タンパク質)での調製物中のGAPDH含有量は、500未満、250未満、100未満、50未満、20未満、10未満、5未満、または1未満となる。
【0736】
一部の実施形態では、GAPDHについての総タンパク質当たりの、ng/μgでの、親細胞から調製物への減少は、1%より大きく、2.5%より大きく、5%より大きく、10%より大きく、15%より大きく、20%より大きく、30%より大きく、40%より大きく、50%より大きく、60%より大きく、70%より大きく、80%より大きく、または90%より大きくなる。
【0737】
(実施例46)
フソソーム中のカルネキシンの測定
【0738】
このアッセイは、フソソーム中のカルネキシン(CNX)のレベルの定量、および親細胞と比較したフソソーム中のCNXの相対レベルを記述する。
【0739】
カルネキシンを、出発細胞および調製物において、カルネキシン用の標準的な市販のELISA(MBS721668、MyBioSource)を製造業者の指示書に従って使用して測定する。
【0740】
総タンパク質レベルを、カルネキシンを測定するために使用した同じ体積の試料において、前述のビシンコニン酸アッセイによって同様に測定する。実施形態では、このアッセイを使用して、フソソーム中のカルネキシンの総タンパク質当たりのレベルは、<100ngカルネキシン/(μg総タンパク質)となる。同様に、実施形態では、親細胞からフソソームへの総タンパク質に対するカルネキシンレベルの増加は、10%より大きい増加となる。
【0741】
一部の実施形態では、(ngカルネキシン)/(μg総タンパク質)での調製物中のカルネキシン含有量は、500、250、100、50、20、10、5、または1未満となる。
【0742】
一部の実施形態では、カルネキシンについての総タンパク質当たりの、ng/μgでの、親細胞から調製物への減少は、1%、2.5%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%より大きくなる。
(実施例47)
可溶性タンパク質質量と不溶性タンパク質質量の比較
【0743】
この実施例は、フソソーム中のタンパク質質量の可溶性:不溶性比の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソーム中のタンパク質質量の可溶性:不溶性比は、有核細胞と同様になる。
【0744】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。フソソーム調製物を、標準的なビシンコニン酸アッセイ(BCA)を使用して(例えば、市販のPierce(商標)BCA Protein Assay Kit、Thermo Fischer 製品番号23225を使用して)試験して、可溶性:不溶性タンパク質比を決定する。調製したフソソームまたは親細胞を、PBSに、1×107細胞またはフソソーム/mLの濃度で懸濁させ、1600gで遠心分離してフソソームまたは細胞をペレット化することにより、可溶性タンパク質試料を調製する。上清を可溶性タンパク質画分として収集する。
【0745】
ペレット中のフソソームまたは細胞を、激しいピペッティングおよび2%Triton-X-100を含有するPBS中でのボルテックスによって溶解する。溶解した画分が、不溶性タンパク質画分に相当する。
【0746】
供給BSA、1ウェル当たり0~20μgのBSA、を(三重反復で)使用して、標準曲線を作成する。フソソームまたは細胞調製物を、測定量が標準の範囲内になるように希釈する。フソソーム調製物を三重反復で解析し、平均値を使用する。可溶性タンパク質濃度を不溶性タンパク質濃度で割って、可溶性:不溶性タンパク質比を得る。
【0747】
一部の実施形態では、フソソーム可溶性:不溶性タンパク質比は、親細胞と比較して1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以内、またはそれを超えて上回る範囲内になる。
(実施例48)
フソソーム中のLPSの測定
【0748】
この実施例は、親細胞と比較してフソソーム中のリポ多糖(LPS)のレベルの定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、親細胞と比較して低いLPSレベルを有することになる。
【0749】
LPSは、細菌膜の成分であり、自然免疫応答の強力な誘導因子である。
【0750】
LPS測定は、前の実施例で説明したような質量分析に基づく。
【0751】
一部の実施形態では、フソソームの脂質含有量の5%未満、1%、0.5%、0.01%、0.005%、0.0001%、0.00001%またはそれ未満がLPSとなる。
(実施例49)
フソソーム中の脂質のタンパク質に対する比
【0752】
この実施例は、フソソーム中の脂質質量のタンパク質質量に対する比の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、有核細胞と同様である脂質質量のタンパク質質量に対する比を有することになる。
【0753】
総脂質含有量を、前の実施例で概要を示したリピドミクスデータセットで確認されるすべての脂質のモル含有量の合計として計算する。フソソームの総タンパク質含有量を、本明細書に記載するようなビシンコニン酸アッセイによって測定する。
【0754】
あるいは、脂質のタンパク質に対する比を、特定の脂質種の特定タンパク質に対する比として述べることができる。特定の脂質種を、前の実施例で生成したリピドミクスデータから選択する。特定のタンパク質を、前の実施例で生成したプロテオミクスデータから選択する。選択した脂質種およびタンパク質の種々の組合せを使用して、特定の脂質:タンパク質比を定義する。
(実施例50)
フソソーム中のタンパク質のDNAに対する比
【0755】
この実施例は、フソソーム中のタンパク質質量のDNA質量に対する比の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、細胞よりはるかに大きい、タンパク質質量のDNA質量に対する比を有することになる。
【0756】
フソソームおよび細胞の総タンパク質含有量を、前の実施例で説明したように測定する。フソソームおよび細胞のDNA質量を、前の実施例で説明したように測定する。次いで、典型的なフソソーム調製物について総タンパク質含有量を総DNA含有量で割って所与の範囲内の比を得ることにより、タンパク質の総核酸に対する比を決定する。
【0757】
あるいは、半定量的リアルタイムPCR(RT-PCR)を使用してGAPDHなどの特定のハウスキーピング遺伝子のレベルに応じて核酸レベルを定義することにより、タンパク質の核酸に対する比を決定する。
【0758】
次いで、典型的なフソソーム調製物について総タンパク質含有量を総GAPDH DNA含有量で割ってタンパク質:核酸比の特定の範囲を定義することにより、タンパク質のGAPDH核酸に対する比を決定する。
(実施例51)
フソソーム中の脂質のDNAに対する比
【0759】
この実施例は、親細胞と比較してフソソーム中の脂質のDNAに対する比の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、親細胞と比較して大きい、脂質のDNAに対する比を有することになる。
【0760】
この比を、総脂質含有量(上の実施例で概要を示した)または特定の脂質種に応じて定義する。特定の脂質種の場合、範囲は、選択される特定の脂質種に依存する。特定の脂質種を、前述の実施例で生成したリピドミクスデータから選択する。核酸含有量を、前述の実施例で説明したように決定する。
【0761】
核酸含有量に正規化した選択脂質種の種々の組合せを使用して、特定のフソソーム調製物に特徴的な特異的脂質:核酸比を定義する。
(実施例52)
フソソーム上の表面マーカーの解析
【0762】
このアッセイは、フソソーム上の表面マーカーの同定を記述する。
【0763】
標準生体試料取り扱い手順に従って、フソソームをペレット化し、凍結状態でプロテオミクス解析センターに発送する。
【0764】
フソソーム上の表面マーカーの存在または非存在を同定するために、それらをホスファチジルセリンおよびCD40リガンドに対するマーカーで染色し、FACSシステム(Becton Dickinson)を使用してフローサイトメトリーにより解析する。表面ホスファチジルセリンの検出のために、アネキシンVアッセイ(556547、BD Biosciences)を用いて製造業者により説明されたとおりに生成物を解析する。
【0765】
手短に述べると、フソソームを冷PBSで2回洗浄し、次いで、1×結合緩衝剤に1×106フソソーム/mLの濃度で再懸濁させる。再懸濁液の10%を5mL培養管に移し、5μlのFITCアネキシンVを添加する。細胞を穏やかにボルテックスし、15分間、室温(25℃)で、暗所でインキュベートする。
【0766】
並行して、再懸濁液の別の10%を異なる管に移し、これは、未染色対照としての役割を果たす。1×結合緩衝剤を各管に添加する。試料を1時間以内にフローサイトメトリーにより解析する。
【0767】
一部の実施形態では、このアッセイを使用して、染色されたフソソームの集団の平均値は、未染色細胞の平均値より上であると判定されることになり、これは、フソソームがホスファチジルセリンを含むことを示す。
【0768】
同様に、CD40リガンドについては、洗浄したフソソームの別の10%に、次のモノクローナル抗体:PE-CF594マウス抗ヒトCD154クローンTRAP1(563589、BD Pharmigen)を製造業者の指示書に従って添加する。手短に述べると、飽和量の抗体を使用する。並行して、フソソームの別の10%を異なる管に移し、これは、未染色対照としての役割を果たす。これらの管を5分間、400×gで、室温で遠心分離する。上清をデカントし、ペレットをフローサイトメトリー洗浄溶液で2回洗浄する。0.5mLの1%パラホルムアルデヒド固定剤を各管に添加する。各々を短時間ボルテックスし、フローサイトメーターでの解析まで4℃で保管する。
【0769】
一部の実施形態では、このアッセイまたは同等のアッセイを使用して、染色されたフソソームの集団の平均値は、未染色細胞の平均値より上であることになり、これは、フソソームがCD40リガンドを含むことを示す。
(実施例53)
フソソーム中のウイルスキャプシドタンパク質の解析
【0770】
このアッセイは、試料調製物の構成の解析を記述し、ウイルスキャプシド源に由来するタンパク質の割合を評定する。
【0771】
標準生体試料取り扱い手順に従って、フソソームをペレット化し、凍結状態でプロテオミクス解析センターに発送する。
【0772】
フソソームをタンパク質抽出および解析のために解凍する。先ず、それらを溶解緩衝剤(7M尿素、2Mチオ尿素、50mM Tris pH8.0中の4%(w/v)chap)に再懸濁させ、15分間、室温で、時々ボルテックスしながらインキュベートする。次いで、混合物を氷浴内での5分間の超音波処理により溶解し、5分間、13,000RPMで遠心沈降させる。全タンパク質含有量を比色アッセイ(Pierce)により判定し、各試料の100μgのタンパク質を新しい管に移し、体積を50mM Tris pH8で調整する。
【0773】
タンパク質を摂氏65°で15分間、10mM DTTで還元し、暗所で、室温で30分間、15mMヨードアセトアミドでアルキル化する。次いで、6体積の冷(摂氏-20°)アセトンを徐々に添加してタンパク質を沈殿させ、摂氏-80°で終夜インキュベートする。
【0774】
タンパク質をペレット化し、冷(摂氏-20°)メタノールで3回洗浄し、50mM Tris pH8に再懸濁させる。3.33μgのトリプシン/lysCを、消化の最初の4時間、摂氏37°で、撹拌しながらタンパク質に添加する。試料を50mM Tris pH8で希釈し、終夜、摂氏37°で撹拌しながら0.1%デオキシコール酸ナトリウムを消化のための別の3.3μgのトリプシン/lysCとともに添加する。消化を停止させ、2%v/vギ酸の添加によりデオキシコール酸ナトリウムを除去する。試料をボルテックスし、1分間の13,000RPMでの遠心分離により透明にする。
【0775】
タンパク質を逆相固相抽出(SPE)により精製し、凍結乾燥させる。試料を、前に説明したように、水中の3%DMSO、0.2%ギ酸で再構成してLC-MSにより解析する。
【0776】
ウイルスキャプシドタンパク質の、測定したすべてのタンパク質に対するモル比を、すべてのウイルスキャプシドタンパク質のモル量を各試料中のすべての同定タンパク質のモル量の合計で割って決定し、パーセントとして表す。
【0777】
一部の実施形態では、この手法または同等の手法を使用して、試料は、10%未満のウイルスキャプシドタンパク質を含むことになる。一部の実施形態では、試料は、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%または90%未満のウイルスキャプシドタンパク質を含むことになる。
(実施例54)
標的細胞との融合の測定
【0778】
この実施例は、非標的細胞と比較して標的細胞とのフソソーム融合の定量を説明する。
【0779】
一部の実施形態では、標的細胞とのフソソーム融合は、レシピエント細胞のサイトゾルへの、フソソームの内腔内に担持されたカーゴの、細胞特異的送達を可能にする。本明細書に記載の方法により産生したフソソームを、標的細胞との融合速度について下記のとおりアッセイする。
【0780】
この実施例では、フソソームは、その原形質膜上にミオメーカーを発現するHEK293T細胞を含む。加えて、フソソームは、mTagBFP2蛍光タンパク質およびCreリコンビナーゼを発現する。標的細胞は、ミオメーカーとミオミキサーの両方を発現する筋芽細胞であり、非標的細胞は、ミオメーカーもミオミキサーも発現しない線維芽細胞である。ミオメーカー発現フソソームは、非標的細胞ではなく、ミオメーカーとミオミキサーの両方を発現する標的細胞と融合すると予測される(Quinn et al., 2017, Nature Communications, 8, 15665. doi.org/10.1038/ncomms15665)(Millay et al., 2013, Nature, 499(7458), 301-305. doi.org/10.1038/nature12343)。標的細胞型と非標的細胞型の両方をマウスから単離し、これらの細胞型は、Creによる組換え時にtdTomato発現をオンにする(これは、融合を示す)CMVプロモーターのもとで「LoxP-stop-Loxp-tdTomato」カセットを安定的に発現する。
【0781】
標的または非標的レシピエント細胞を、黒色の透明底96ウェルプレートに播種する。標的細胞と非標的細胞の両方を種々の融合群のために播種する。次に、レシピエント細胞の播種の24時間後に、Creリコンビナーゼタンパク質およびミオメーカーを発現するフソソームを、DMEM培地中の標的または非標的レシピエント細胞に適用する。フソソームの用量は、ウェルに播種したレシピエント細胞の数と相関する。フソソームの適用後、細胞プレートを400gで5分間、遠心分離して、フソソームとレシピエント細胞間の接触の開始を助長する。
【0782】
フソソーム適用後4時間の時点で開始して、細胞ウェルをイメージングして、視野またはウェル内のRFP陽性細胞をGFP陽性細胞と対比して陽性同定する。
【0783】
この実施例では、自動顕微鏡(www.biotek.com/products/imaging-microscopy-automated-cell-imagers/lionheart-fx-automated-live-cell-imager/)を使用して細胞プレートをイメージングする。先ず、DMEM培地中のHoechst 33342で細胞を10分間染色することにより、所与のウェル内の全細胞集団を判定する。Hoechst 33342は、DNAへのインターカレーションにより細胞核を染色するので、Hoechst 33342を使用して個々の細胞を同定する。染色後、Hoechst培地を通常のDMEM培地に置換する。
【0784】
405nm LEDおよびDAPIフィルターキューブを使用して、Hoechstをイメージングする。465nm LEDおよびGFPフィルターキューブを使用してGFPをイメージングし、その一方で、523nm LEDおよびRFPフィルターキューブを使用してRFPをイメージングする。先ず、陽性対照ウェル、すなわち、フソソームではなくCreリコンビナーゼをコードするアデノウイルスで処置したレシピエント細胞を用いてLED強度および積分時間を確立することにより、標的および非標的細胞ウェルの画像を取得する。
【0785】
取得設定は、RFPおよびGFP強度が飽和値ではなく最大画素強度値での強度になるように設定する。次いで、確立した設定を使用して、目的のウェルをイメージングする。ウェルを4時間ごとにイメージングして、融合活性の速度についての経時的データを取得する。
【0786】
GFPおよびRFP陽性ウェルの解析は、蛍光顕微鏡に付属のソフトウェアまたは他のソフトウェア(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA, rsb.info.nih.gov/ij/, 1997-2007)を用いて行う。
【0787】
60μm幅でローリングボールバックグラウンド減算アルゴリズムを使用して画像を前処理する。全細胞マスクをHoechst陽性細胞に設定する。バックグラウンド強度より有意に高いHoechst強度を有する細胞を閾値化し、Hoechst陽性細胞であるには小さ過ぎるまたは大き過ぎるエリアを除外する。
【0788】
全細胞マスクの中で、バックグラウンドより有意に高い細胞について再び閾値化し、Hoechst(核)マスクを、GFPおよびRFP細胞蛍光全体を含むように細胞エリア全体に拡大することにより、GFPおよびRFP陽性細胞を同定する。標的または非標的レシピエント細胞を含有する対照ウェルにおいて同定されたRFP陽性細胞の数を使用して、フソソームを含有するウェルにおけるRFP陽性細胞の数から減算する(非特異的Loxp組換えについて減算する)。次いで、RFP陽性細胞(融合したレシピエント細胞)の数を、各時点でのGFP陽性細胞(融合していないレシピエント細胞)とRFP陽性細胞の合計で割って、レシピエント細胞集団内のフソソーム融合速度を定量する。速度を、レシピエント細胞に適用したフソソームの所与の用量に正規化する。標的化された融合(標的とされた細胞へのフソソーム融合)速度については、非標的細胞への融合速度を標的細胞への融合速度から減算して、標的化された融合の速度を定量する。
一部の実施形態では、フソソームと標的細胞の平均融合速度は、標的細胞融合について毎時0.01~4.0のRFP/GFP細胞の範囲内となるか、またはフソソームと非標的レシピエント細胞より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくはそれより高くなる。一部の実施形態では、フソソームを適用しない群は、毎時<0.01のRFP/GFP細胞というバックグラウンド速度を示すことになる。
(実施例55)
膜タンパク質を送達するためのin vitro融合
【0789】
この実施例は、in vitroでの細胞とのフソソーム融合を説明する。一部の実施形態では、in vitroでの細胞とのフソソーム融合は、レシピエント細胞への活性膜タンパク質の送達をもたらす。
【0790】
この実施例では、センダイウイルスHVJ-Eタンパク質を発現するHEK293T細胞(Tanaka et al., 2015, Gene Therapy, 22(October 2014), 1-8. doi.org/10.1038/gt.2014.12)からフソソームを生成する。一部の実施形態では、主として筋肉および脂肪組織に見られ、細胞へのグルコースのインスリン調節輸送に関与する膜タンパク質であるGLUT4を発現するように、フソソームを生成する。GLUT4を有するおよび有さないフソソームを、記載したようなHEK293T細胞から、前の実施例で説明した方法のいずれかによって調製する。
【0791】
次いで、GLUT4を発現するフソソーム、GLUT4を発現しないフソソーム、PBS(陰性対照)、またはインスリン(陽性対照)で、C2C12細胞などの筋肉細胞を処置する。C2C12細胞上のGLUT4の活性を、蛍光2-デオキシグルコースアナログである2-[N-(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール(diaxol)-4-イル)アミノ]-2-デオキシグルコース(2-NBDG)の取込みにより測定する。C2C12細胞の蛍光を、前の実施例で説明した方法を使用して顕微鏡観察によって評定する。
【0792】
一部の実施形態では、GLUT4およびインスリンを発現するフソソームで処置したC2C12細胞は、PBSでまたはGLUT4を発現しないフソソームで処置されるC2C12細胞と比較して蛍光の増加を明示すると予想される。Yang et al., Advanced Materials 29, 1605604, 2017も参照されたい。
(実施例56)
膜タンパク質のin vivo送達
【0793】
この実施例は、in vivoでの細胞とのフソソーム融合を説明する。一部の実施形態では、in vivoでの細胞とのフソソーム融合は、レシピエント細胞への活性膜タンパク質の送達をもたらす。
【0794】
この実施例では、センダイウイルスHVJ-Eタンパク質を発現するHEK293T細胞から、前の実施例におけるようにフソソームを生成する。一部の実施形態では、膜タンパク質であるGLUT4を発現するように、フソソームを生成する。GLUT4を有するおよび有さないフソソームを、記載したようなHEK293T細胞から、前の実施例で説明した方法のいずれかによって調製する。
【0795】
BALB/c-nuマウスに、GLUT4を発現するフソソーム、GLUT4を発現しないフソソーム、またはPBS(陰性対照)を投与する。マウスの前脛骨筋にフソソームまたはPBSを筋肉内注射する。フソソーム投与の直前に、マウスを12時間絶食させ、ポジトロン放出断層撮影(PETイメージング)を可能にするグルコースのアナログである[18F]2-フルオロ-2-デオキシ-d-グルコース(18F-FDG)を注射する。麻酔(2%イソフルラン)下のマウスに尾静脈経由で18F-FDGを注射する。PETイメージングは、ナノスケールイメージングシステム(1T、Mediso、Hungary)を使用して行う。フソソームの投与の4時間後にイメージングを行う。イメージングの直後に、マウスを屠殺し、前脛骨筋を計量する。すべての補正オン、高度な正則化、および8回の反復での、フルの検出器モードで3Dイメージングシステムを使用して、PET画像を再構成する。イメージングソフトウェアパッケージ(Mediso、Hungary)を使用し、標準取込値(SUV)解析を適用して、再構成画像の三次元関心体積(VOI)解析を行う。2mm径の球体で固定したVOIを、前脛骨筋部位について描く。各VOI部位のSUVを、次の式を使用して算出する:SUV=(Bq/cc×体重として測定される、関心体積の放射能)/注射した放射能。
【0796】
一部の実施形態では、GLUT4を発現するフソソームを投与したマウスは、PBSを投与したまたはGLUT4を発現しないフソソームを投与したマウスと比較して、VOIにおける放射能シグナルの増加を明示すると予想される。Yang et al., Advanced Materials 29, 1605604, 2017も参照されたい。
(実施例57)
血管からの溢出の測定
【0797】
この実施例は、in vitroマイクロ流体システム(J.S Joen et al. 2013, journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0056910)で試験した場合の、内皮単層を介したフソソーム溢出の定量を説明する。
【0798】
細胞は、血管系から周囲組織に溢出する。理論により拘束されることを望まないが、溢出は、フソソームが血管外組織に到達する1つの方法である。
【0799】
システムは、ECM模倣ゲルを注入することができるチャンバーによって隔てられている、独立して対応可能な3つの媒体チャネルを含む。手短に述べると、マイクロ流体システムは、マイクロ流体チャネルを形成するために、取り出し口が開けられ、カバーガラスに接着されている、成形PDMS(ポリジメチルシロキサン;Silgard 184;Dow Chemical、MI)を有する。チャネル断面寸法は、1mm(幅)×120μm(高さ)である。マトリックス接着を増強するために、PDMSチャネルは、PDL(ポリ-D-リシン臭化水素酸塩;1mg/mL;Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)溶液でコーティングされている。
【0800】
次に、リン酸緩衝食塩水(PBS;Gibco)とNaOHとを含有するI型コラーゲン(BD Biosciences、San Jose、CA、USA)溶液(2.0mg/mL)を、4つの別個の充填口経由でデバイスのゲル領域に注入し、30分間インキュベートしてヒドロゲルを形成する。ゲルが重合されたら、直ちに内皮細胞培地(LonzaまたはSigmaなどの供給業者から入手したもの)をピペットでチャネルに移して、ゲルの脱水を防止する。培地を吸引し次第、希釈ヒドロゲル(BD science)溶液(3.0mg/mL)を細胞チャネルに導入し、冷培地を使用して過剰なヒドロゲル溶液を洗浄除去する。
【0801】
内皮細胞を中央のチャネルに導入し、放置して沈降させて内皮を形成する。内皮細胞播種の2日後、フソソームまたはマクロファージ細胞(陽性対照)を、内皮細胞が完全単層を形成した同じチャネルに導入する。フソソームを導入し、そうするとフソソームは単層に接着し、単層を越えてゲル領域に遊出する。培養物を37℃および5%CO2の加湿インキュベーター内に保持する。フソソームのGFP発現バージョンを使用して、蛍光顕微鏡観察による生細胞イメージングを可能にする。翌日、チャンバー内で、細胞を固定し、DAPI染色を使用して核を染色し、共焦点顕微鏡を使用して複数の関心領域をイメージングして、内皮単層を通過したフソソームの数を判定する。
【0802】
一部の実施形態では、DAPI染色は、フソソームおよび陽性対照細胞が播種後に内皮バリアを通過することができることを示すことになる。
(実施例58)
走化性細胞可動性の測定
【0803】
この実施例は、フソソーム走化性の定量を説明する。細胞は、走化性によって化学勾配に近づくことまたは化学勾配から離れることができる。一部の実施形態では、走化性は、フソソームが傷害部位にホーミングすることまたは病原体を追跡することを可能にする。前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生したような精製フソソーム組成物を、その走化性能力について以下のようにアッセイする。
【0804】
フソソームまたはマクロファージ細胞(陽性対照)の十分な数を、製造業者提供のプロトコールに従ってマイクロスライドウェル内のDMEM培地にローディングする(ibidi.com/img/cms/products/labware/channel_slides/S_8032×_Chemotaxis/IN_8032×_Chemotaxis.pdf)。フソソームを37℃および5%CO2で1時間放置して接着させる。細胞接着後、DMEM(陰性対照)、またはMCP1走化性因子を含有するDMEMを、中央チャネルの隣接リザーバーにローディングし、Zeiss倒立広視野顕微鏡を使用してフソソームを2時間、連続的にイメージングする。ImageJソフトウェア(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA, http://rsb.info.nih.gov/ij/, 1997-2007)を使用して画像を解析する。観察されたフソソームまたは細胞各々についての移動座標データを手動追跡プラグイン(Fabrice Cordelieres、Institut Curie、Orsay、France)で取得する。走化性プロットおよび遊走速度をChemotaxis and Migration Tool(ibidi)で決定する。
【0805】
一部の実施形態では、フソソームの平均累積距離および遊走速度は、ケモカインに対する陽性対照細胞の応答を、1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%以内またはそれを超えて上回ることになる。ケモカインに対する細胞の応答は、例えば、Howard E. Gendelman et al., Journal of Neuroimmune Pharmacology, 4(1): 47-59, 2009に記載されている。
(実施例59)
ホーミングする可能性の測定
【0806】
この実施例は、傷害部位へのフソソームのホーミングを説明する。細胞は、遠位部位から遊走することおよび/または特定の部位に蓄積することができ、例えば、ある部位にホーミングすることができる。典型的に、部位は、傷害部位である。一部の実施形態では、フソソームは、傷害部位にホーミングする、例えば、傷害部位に遊走するまたは傷害部位に蓄積することになる。
【0807】
8週齢C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratories)に、滅菌食塩水中の、筋毒素であるノテキシン(NTX)(Accurate Chemical&Scientific Corp)を、2μg/mLの濃度で、30G針を使用する右前脛骨(TA)筋への筋肉内(IM)注射によって投与する。前脛骨(TA)筋の上にある皮膚を、化学的除毛剤を45秒間使用してそのエリアを脱毛すること、その後、水で3回すすぐことによって準備する。この濃度は、筋線維の最大の変性ならびにそれらの衛星細胞、運動軸索および血管への最小の損傷を確実にするために選択する。
【0808】
NTX注射後1日目に、マウスに、ホタルルシフェラーゼを発現するフソソームまたは細胞のIV注射を施す。ホタルルシフェラーゼを安定的に発現する細胞から前の実施例で説明した方法のいずれか1つによりフソソームを産生する。注射後0、1、3、7、21および28の時点で生物発光イメージングシステム(Perkin Elmer)を使用して動物全体の生物発光画像を得る。
【0809】
ルシフェラーゼを可視化するために、イメージングの5分前に150mg/kgの用量の生物発光基質(Perkin Elmer)の腹腔内注射をマウスに施す。イメージングシステムを較正してすべてのデバイス設定を補正する。生物発光シグナルを、Radiance Photonsを使用して測定し、全光束を測定値として使用する。関心領域(ROI)を、ROIのシグナルを囲むことにより生成して、光子数/秒で値を得る。ROIを、NTXで処置したTA筋と対側TA筋の両方に関して評定し、NTX処置TA筋とNTX未処置TA筋の間の光子数/秒の比を、NTX処置筋へのホーミングの尺度として算出する。
【0810】
一部の実施形態では、フソソームおよび細胞におけるNTX処置TA筋とNTX未処置TA筋の間の光子数/秒の比は1より大きくなり、これは、傷害位置でのルシフェラーゼ発現フソソームの部位特異的蓄積を示す。
【0811】
例えば、Plant et al., Muscle Nerve 34(5)L 577-85, 2006を参照されたい。
(実施例60)
食作用活性の測定
【0812】
この実施例は、フソソームの食作用活性を実証する。一部の実施形態では、フソソームは、食作用活性を有し、例えば、ファゴサイトーシスすることができる。細胞は、粒子を貪食するファゴサイトーシスを行い、かくて細菌のような外来侵入物または死細胞の隔離および破壊を可能にする。
【0813】
部分的にまたは完全に核不活性化された哺乳動物マクロファージからのフソソームを含む、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生した精製フソソーム組成物には、病原体生体粒子によってアッセイして、ファゴサイトーシスすることができた。この評価は、下記のプロトコールによる蛍光ファゴサイトーシスアッセイを使用することにより行った。
【0814】
マクロファージ(陽性対照)およびフソソームを回収後直ちに別個の共焦点ガラス底ディッシュに播種した。マクロファージおよびフソソームをDMEM+10%FBS+1%P/S中で1時間インキュベートして接着させた。フルオレセイン標識E.coli K12および非フルオレセイン標識Escherichia coli K-12(陰性対照)を製造業者のプロトコールに示されているとおりにマクロファージ/フソソームに添加し、2時間インキュベートした、tools.thermofisher.com/content/sfs/manuals/mp06694.pdf。2時間後、トリパンブルーを添加することにより遊離蛍光粒子をクエンチした。貪食された粒子により発光された細胞内蛍光を488励起で共焦点顕微鏡観察によりイメージングした。イメージJソフトウェアを使用して、ファゴサイトーシス陽性フソソームの数を定量した。
【0815】
ファゴサイトーシス性フソソームの平均数は、生体粒子導入の2時間後に少なくとも30%であり、陽性対照マクロファージでは30%より多かった。
(実施例61)
血液脳関門の細胞膜を横断する能力の測定
【0816】
この実施例は、血液脳関門を横断するフソソームの定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、例えば中枢神経系への送達のために、血液脳関門を横断することになる、例えば、血液脳関門に侵入し、血液脳関門から退出することになる。
【0817】
8週齢C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratories)に、ホタルルシフェラーゼを発現するフソソームまたは白血球(陽性対照)を静脈内注射する。ホタルルシフェラーゼを安定的に発現する細胞またはルシフェラーゼを発現しない細胞(陰性対照)から、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより、フソソームを産生する。生物発光イメージングシステム(Perkin Elmer)を使用して、フソソームまたは細胞注射後1、2、3、4、5、6、8、12および24時間の時点で動物全体の生物発光画像を得る。
【0818】
ルシフェラーゼを可視化するために、イメージングの5分前に150mg/kgの用量の生物発光基質(Perkin Elmer)の腹腔内注射をマウスに施す。イメージングシステムを較正してすべてのデバイス設定を補正する。生物発光シグナルを測定し、全光束を測定値として使用する。関心領域(ROI)を、ROIのシグナルを囲むことにより生成して、光子数/秒で値を得る。選択するROIは、脳を含むエリア周辺のマウス頭部である。
【0819】
一部の実施形態では、ROIの光子数/秒は、ルシフェラーゼを発現しない陰性対照フソソームよりルシフェラーゼを発現する細胞またはフソソームを注射した動物におけるほうが高くなり、これは、脳内または脳周辺でのルシフェラーゼ発現フソソームの蓄積を示す。
(実施例62)
タンパク質分泌の可能性の測定
【0820】
この実施例は、フソソームによる分泌の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームには、分泌能力、例えばタンパク質分泌能力があるだろう。細胞は、分泌によって物質を処分または排出することができる。一部の実施形態では、フソソームは、それらの環境内で分泌によって化学的に相互作用し、通信することになる。
【0821】
所与の速度でタンパク質を分泌するフソソームの能力を、ThermoFisher Scientificからのガウシアルシフェラーゼフラッシュアッセイ(カタログ番号16158)を使用して判定する。マウス胚性線維芽細胞(陽性対照)または前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生されるフソソームを増殖培地中でインキュベートし、先ず1600gで5分間のフソソームのペレット化、次いで上清の収集により、培地の試料を15分ごとに収集する。収集した試料をピペットで透明底96ウェルプレートに移す。次いで、アッセイ緩衝剤の作業溶液を、製造業者の使用説明書に従って調製する。
【0822】
手短に述べると、セレンテラジン(colenterazine)、ルシフェリンまたは発光分子をフラッシュアッセイ緩衝剤と混合し、混合物を、試料が入っている96ウェルプレートの各ウェルにピペットで移す。細胞またはフソソームを欠く陰性対照ウェルは、バックグラウンドガウシアルシフェラーゼシグナルを判定するために、増殖培地またはアッセイ緩衝剤を含む。加えて、精製ガウシアルシフェラーゼ(Athena Enzyme Systems、カタログ番号0308)の標準曲線を作成して、発光シグナルを1時間当たりのガウシアルシフェラーゼ分泌分子数に変換する。
【0823】
500ミリ秒積分を使用して、プレートを発光についてアッセイする。バックグラウンドガウシアルシフェラーゼシグナルをすべての試料から減算し、次いで、線形最良適合曲線をガウシアルシフェラーゼ標準曲線について算出する。試料の表示数値が標準曲線内に収まらなかった場合、それらを適切に希釈し、再アッセイする。このアッセイを使用して、所与の範囲内の速度(分子数/時)でガウシアルシフェラーゼを分泌するフソソームの能力を判定する。
【0824】
一部の実施形態では、フソソームは、陽性対照細胞より1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれを超えて高い速度でタンパク質を分泌することができるだろう。
(実施例63)
シグナル伝達の可能性の測定
【0825】
この実施例は、フソソームにおけるシグナル伝達の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、シグナル伝達することができる。細胞は、シグナル伝達として公知のプロセスでリン酸化などのシグナル伝達カスケードによって、分子シグナルを送信することおよび細胞外環境から分子シグナルを受信することができる。部分的にまたは完全に核不活性化された哺乳動物細胞からのフソソームを含む、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される精製フソソーム組成物は、インスリンにより誘導されてシグナル伝達することができる。インスリンにより誘導されるシグナル伝達は、AKTリン酸化レベル、インスリン受容体シグナル伝達カスケードの肝要な経路、およびインスリンに応答してのグルコース取込みを測定することにより評定される。
【0826】
AKTリン酸化を測定するために、細胞、例えばマウス胚性線維芽細胞(MEF)(陽性対照)、およびフソソームを、48ウェルプレートに播種し、37℃および5%CO2の加湿インキュベーター内に2時間放置する。細胞接着後、インスリン(例えば、10nMで)、またはインスリンを含有しない陰性対照溶液を、細胞またはフソソームを含有するウェルに添加し30分間おく。30分後、タンパク質溶解物がフソソームまたは細胞から生成されるので、インスリン刺激試料および対照非刺激試料におけるリン酸化AKTレベルをウエスタンブロット法により測定する。
【0827】
インスリンまたは陰性対照溶液に応答してのグルコース取込みを、標識グルコース(2-NBDG)を使用することにより、グルコース取込みセクションで説明されているように測定する。(S. Galic et al., Molecular Cell Biology 25(2): 819-829, 2005)。
【0828】
一部の実施形態では、フソソームは、インスリンに応答してAKTリン酸化およびグルコース取込みを、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれより大きく陰性対照を上回って、増進することになる。
(実施例64)
細胞膜を越えてグルコースを輸送する能力の測定
【0829】
この実施例は、生細胞におけるグルコース取込みをモニターし、したがって脂質二重層を介した能動輸送を測定するために使用することができる蛍光グルコースアナログである2-NBDG(2-(N-(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)-2-デオキシグルコース)のレベルの定量を説明する。一部の実施形態では、このアッセイまたは同等のアッセイを使用して、フソソームの脂質二重層を介したグルコース取込みおよび能動輸送レベルを測定することができる。
【0830】
フソソーム組成物を、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生する。次いで、十分な数のフソソームを、グルコースを含有せず、20%ウシ胎仔血清および1×ペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM中で、2時間、37℃および5%CO2でインキュベートする。2時間のグルコース飢餓期間の後、培地を、グルコースを含有せず、20%ウシ胎仔血清、1×ペニシリン/ストレプトマイシンおよび20μM 2-NBDG(ThermoFisher)を含有するDMEMを含むように交換し、もう2時間、37℃および5%CO2でインキュベートする。
【0831】
陰性対照フソソームには、2-NBDGの代わりに同量のDMSOを添加することを除いて同じ処置を施す。
【0832】
次いで、フソソームを1×PBSで3回洗浄し、適切な緩衝剤に再懸濁させ、96ウェルイメージングプレートに移す。次いで、GFPライトキューブ(469/35励起フィルターおよび525/39発光フィルター)を使用して蛍光光度計で2-NBDG蛍光を測定して、1時間のローディング期間中にフソソーム膜を越えて輸送されてフソソーム内に蓄積された2-NBDGの量を定量する。
【0833】
一部の実施形態では、2-NBDG蛍光は、陰性(DMSO)対照と比較して2-NBDGで処置したフソソームにおけるほうが高くなる。525/39発光フィルターでの蛍光測定量は、存在する2-NBDG分子の数と相関することになる。
(実施例65)
フソソームの内腔は水溶液と混和性である
【0834】
この実施例は、フソソーム内腔と水などの水溶液の混和性を評定する。
【0835】
フソソームを前の実施例で説明したように調製する。対照は、低浸透圧溶液、高浸透圧溶液または正常浸透圧溶液のいずれかを伴う透析膜である。
【0836】
フソソーム、陽性対照(正常浸透圧溶液)および陰性対照(低浸透圧溶液)を低浸透圧溶液(150mOsmol)とともにインキュベートする。各試料を水溶液に曝露した後、細胞サイズを顕微鏡下で測定する。一部の実施形態では、低浸透圧溶液中のフソソームおよび陽性対照サイズは、陰性対照と比較して増加する。
【0837】
フソソーム、陽性対照(正常浸透圧溶液)および陰性対照(高浸透圧溶液)を高浸透圧溶液(400mOsmol)とともにインキュベートする。各試料を水溶液に曝露した後、細胞サイズを顕微鏡下で測定する。一部の実施形態では、高浸透圧溶液中のフソソームおよび陽性対照サイズは、陰性対照と比較して減少する。
【0838】
フソソーム、陽性対照(低浸透圧または高浸透圧溶液)および陰性対照(正常浸透圧)を正常浸透圧溶液(290mOsmol)とともにインキュベートする。各試料を水溶液に曝露した後、細胞サイズを顕微鏡下で測定する。一部の実施形態では、正常浸透圧溶液中のフソソームおよび陽性対照サイズは、陰性対照と比較して実質的に同じままとなる。
(実施例66)
サイトゾルにおけるエステラーゼ活性の測定
【0839】
この実施例は、フソソームにおける、代謝活性の代わりとしての、エステラーゼ活性の定量を説明する。フソソームにおけるサイトゾルエステラーゼ活性を、カルセインAM染色の定量的評定(Bratosin et al., Cytometry 66(1): 78-84, 2005)により判定する。
【0840】
膜透過性色素であるカルセインAM(Molecular Probes、Eugene、OR、USA)を、ジメチルスルホキシド中10mMの原液として、およびPBS緩衝剤、pH7.4中100mMの作業溶液として調製する。前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生されるフソソーム、または陽性対照親マウス胚性線維芽細胞を、PBS緩衝剤に懸濁させ、30分間、カルセインAM作業溶液(カルセインAMの最終濃度:5mM)とともに37℃で、暗所でインキュベートし、次いで、カルセイン蛍光保持の即時フローサイトメトリー解析のためにPBS緩衝剤で希釈する。
【0841】
フソソームおよび対照親マウス胚性線維芽細胞を、ゼロエステラーゼ活性についての陰性対照として、(Jacob et al., Cytometry 12(6): 550-558, 1991)に記載されているようにサポニンで実験的に透過処理する。フソソームおよび細胞を、0.05%アジ化ナトリウムを含有するPBS緩衝剤、pH7.4中1%のサポニン溶液中で15分間インキュベートする。原形質膜透過処理の可逆的性質のため、さらなる染色および洗浄ステップに使用するすべての緩衝剤にサポニンを含める。サポニン透過処理後、フソソームおよび細胞を、0.1%サポニンと0.05%アジ化ナトリウムとを含有するPBS緩衝剤に懸濁させ、カルセインAMとともにインキュベート(暗所で45分間37℃)して5mMの最終濃度にし、0.1%サポニンと0.05%アジ化ナトリウムとを含有する同じPBS緩衝剤で3回洗浄し、フローサイトメトリーにより解析する。フローサイトメトリー解析を、FACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)で488nmアルゴンレーザー励起を用いて行い、発光を530+/-30nmで収集する。FACSソフトウェアを、取得および解析に使用する。光散乱チャネルをリニアゲインに設定し、蛍光チャネルを対数スケールに設定し、各条件で最低10,000個の細胞を解析する。相対エステラーゼ活性を、各試料におけるカルセインAMの強度に基づいて算出する。すべてのイベントを前方および側方散乱チャネルで取得する(あるいは、ゲートをかけてフソソーム集団のみを選択することができる)。フソソームについての蛍光強度(FI)値は、それぞれの陰性対照サポニン処置試料のFI値を減算することにより決定する。フソソーム試料についての正規化エステラーゼ活性をそれぞれの陽性対照細胞試料に正規化して、サイトゾルエステラーゼ活性の定量的測定値を生じさせる。
【0842】
一部の実施形態では、フソソーム調製物は、陽性対照細胞と比較して、1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%以内またはそれより大きいエステラーゼ活性を有することになる。
【0843】
Bratosin D, Mitrofan L, Palii C, Estaquier J, Montreuil J. Novel fluorescence assay using calcein-AM for the determination of human erythrocyte viability and aging. Cytometry A. 2005 Jul;66(1):78-84;およびJacob BC, Favre M, Bensa JC. Membrane cell permeabilisation with saponin and multiparametric analysis by flow cytometry. Cytometry 1991;12:550-558も参照されたい。
(実施例67)
フソソームにおけるアセチルコリンエステラーゼ活性の測定
【0844】
キット(MAK119、SIGMA)を以前に記載された手順(Ellman, et al., Biochem. Pharmacol. 7, 88, 1961)に従って使用して、および製造業者の推奨手順に従って、アセチルコリンエステラーゼ活性を測定する。
【0845】
手短に述べると、フソソームをPBS、pH8中の1.25mMアセチルチオコリンに懸濁させ、PBS、pH7中の0.1mM 5,5-ジチオ-ビス(2-ニトロ安息香酸)と混合する。インキュベーションを室温で行うが、光学密度読取りを開始する前に10分間、フソソームおよび基質溶液を37℃で予温する。
【0846】
吸収の変化を、プレートリーダー分光光度計(ELX808、BIO-TEK instruments、Winooski、VT、USA)で10分間、450nmでモニターする。別途、試料を、正規化のためのビシンコニン酸アッセイによるフソソームのタンパク質含有量の判定に使用する。このアッセイを使用して、<100のAChE活性単位/(μgタンパク質)を有するフソソームを判定する。
【0847】
一部の実施形態では、AChE活性単位/(μgタンパク質)値は、0.001、0.01、0.1、1、10、100、または1000未満となる。
(実施例68)
代謝活性レベルの測定
【0848】
この実施例は、フソソームにおけるクエン酸シンターゼ活性の測定の定量を説明する。
【0849】
クエン酸シンターゼは、クエン酸を生成するためのオキサロ酢酸(OAA)とアセチル-CoA間の反応を触媒する、トリカルボン酸(TCA)回路内の酵素である。アセチル-CoAが加水分解されると、チオール基を有するCoA(CoA-SH)が放出される。チオール基は、化学試薬である5,5-ジチオビス-(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)と反応して、5-チオ-2-ニトロ安息香酸(TNB)を形成し、このTNBは、412nmで分光光度法により測定することができる黄色生成物である(Green 2008)。Abcam Human Citrate Synthase Activity Assay Kit(製品番号ab119692)などの市販のキットは、この測定を行うためのすべての必要試薬を備えている。
【0850】
アッセイを製造業者の推奨手順どおりに行う。前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生されるフソソームを収集し、それらを氷上で抽出緩衝剤(Abcam)に20分間可溶化することにより、フソソーム試料溶解物を調製する。遠心分離後に上清を収集し、タンパク質含有量をビシンコニン酸アッセイ(BCA、ThermoFisher Scientific)により評定し、調製物は、下記の定量プロトコールを開始するまで氷上に留まる。
【0851】
手短に述べると、フソソーム溶解物試料を、付属のマイクロプレートウェルにおいて1×インキュベーション緩衝剤(Abcam)で希釈し、1セットのウェルには1×インキュベーション緩衝剤のみを入れておく。プレートを密封し、300rpmで振盪しながら4時間、室温でインキュベートする。次いで、緩衝剤をウェルから吸引し、1×洗浄緩衝剤を添加する。この洗浄ステップをもう1度繰り返す。次いで、1×活性溶液を各ウェルに添加し、読取りと読取りの間に振盪してマイクロプレートリーダーで30分間、20秒ごとに412nmで吸光度を測定することにより、プレートを解析する。
【0852】
バックグラウンド値(1×インキュベーション緩衝剤のみを有するウェル)をすべてのウェルから減算し、クエン酸シンターゼ活性を、ローディングしたフソソーム溶解物試料1μg当たりの毎分の吸光度の変化[(412nmでのΔmOD)/分/(μgタンパク質)]として表す。100~400秒の動力学的測定からの線形部分のみを使用して活性を算出する。
【0853】
一部の実施形態では、フソソーム調製物は、対照細胞と比較して、1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%以内またはそれより大きいシンターゼ活性を有することになる。
【0854】
例えば、Green HJ et al. Metabolic, enzymatic, and transporter response in human muscle during three consecutive days of exercise and recovery. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 295: R1238-R1250, 2008を参照されたい。
(実施例69)
呼吸レベルの測定
【0855】
この実施例は、フソソームにおける呼吸レベルの測定の定量を説明する。細胞における呼吸レベルは、代謝を推進する酸素消費の尺度であり得る。フソソーム呼吸を、Seahorse細胞外フラックスアナライザー(Agilent)により酸素消費速度について測定する(Zhang 2012)。
【0856】
前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生されるフソソーム、または細胞を、96ウェルSeahorseマイクロプレート(Agilent)に播種する。マイクロプレートを短時間遠心分離してウェルの底部にフソソームおよび細胞をペレット化する。増殖培地を除去し、25mMグルコースと2mMグルタミンとを含有する低緩衝DMEM最小培地(Agilent)に置換し、マイクロプレートを37℃で60分間インキュベートして温度およびpHを平衡させることにより、酸素消費アッセイを開始する。
【0857】
次いで、接着フソソームおよび細胞を直接包囲している培地の細胞外酸素およびpHの変化を測定する細胞外フラックスアナライザー(Agilent)でマイクロプレートをアッセイする。定常状態酸素消費(基礎呼吸速度)および細胞外酸性化速度を得た後、ATPシンターゼを阻害するオリゴマイシン(5μM)と、ミトコンドリアを脱共役させるプロトンイオノフォアFCCP(カルボニルシアニド4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン;2μM)とをマイクロプレートの各ウェルに添加して、最大酸素消費速度の値を得る。
【0858】
最後に、呼吸変化がミトコンドリア呼吸に主として起因することを確認するために5μMアンチマイシンA(ミトコンドリア複合体IIIの阻害剤)を添加する。アンチマイシンA添加後の最低酸素消費速度をすべての酸素消費測定値から減算して、非ミトコンドリア呼吸成分を除去する。オリゴマイシンに適切に応答しない(基礎値からの酸素消費速度の少なくとも25%低下)またはFCCPに適切に応答しない(オリゴマイシン後の酸素消費速度の少なくとも50%上昇)細胞試料を解析から除外する。次いで、フソソーム呼吸レベルを、pmol O2/分/1e4フソソームとして測定する。
【0859】
次いで、この呼吸レベルをそれぞれの細胞呼吸レベルに正規化する。一部の実施形態では、フソソームは、それぞれの細胞試料と比較して少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれより大きい呼吸レベルを有することになる。
【0860】
例えば、Zhang J, Nuebel E, Wisidagama DRR, et al. Measuring energy metabolism in cultured cells, including human pluripotent stem cells and differentiated cells. Nature protocols. 2012;7(6):10.1038/nprot.2012.048. doi:10.1038/nprot.2012.048を参照されたい。
(実施例70)
フソソームのホスファチジルセリンレベルの測定
【0861】
この実施例は、フソソームの表面へのアネキシン-V結合レベルの定量を説明する。
【0862】
瀕死の細胞は、プログラム細胞死経路のアポトーシスのマーカーであるホスファチジルセリンを細胞表面に提示し得る。アネキシン-Vは、ホスファチジルセリンに結合するので、アネキシン-V結合は、細胞の生存のプロキシである。
【0863】
フソソームを本明細書に記載するように産生した。アポトーシスシグナルの検出のために、フソソームまたは陽性対照細胞を5%アネキシンV fluor 594(A13203、Thermo Fisher、Waltham、MA)で染色した。各群(下記の表に列挙する)は、アポトーシス誘導因子であるメナジオンで処置した実験アームを含んだ。メナジオンを100μMメナジオンで4時間、添加した。すべての試料をフローサイトメーター(Thermo Fisher、Waltham、MA)にかけ、561nmの波長のYL1レーザーおよび585/16nmの発光フィルターを用いて蛍光強度を測定した。すべての群におけるアネキシンVの蛍光強度を比較することにより、細胞外ホスファチジルセリンの存在を定量した。
【0864】
陰性対照未染色フソソームは、アネキシンV染色に対して陽性でなかった。
【0865】
一部の実施形態では、フソソームは、メナジオンに応答して細胞表面でのホスファチジルセリン提示を上方調節することができ、これは、非メナジオン刺激フソソームがアポトーシスを遂げないことを示す。一部の実施形態では、メナジオンで刺激した陽性対照細胞は、メナジオンで刺激していないフソソームより高レベルのアネキシンV染色を明示した。
【表20】
(実施例71)
ジャクスタクリンシグナル伝達レベルの測定
【0866】
この実施例は、フソソームにおけるジャクスタクリンシグナル伝達の定量を説明する。
【0867】
細胞は、ジャクスタクリンシグナル伝達によって細胞接触依存性シグナル伝達を成すことができる。一部の実施形態では、フソソームにおけるジャクスタクリンシグナル伝達の存在は、フソソームがそれらのすぐ近くの細胞を刺激することができ、抑制することができ、および一般にそのような細胞と通信することができることを実証することになる。
【0868】
部分的にまたは完全に核不活性化された哺乳動物骨髄間質細胞(BMSC)から、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生したフソソームは、マクロファージにおいてジャクスタクリンシグナル伝達によってIL-6分泌を誘発する。初代マクロファージおよびBMSCを共培養する。先ず、骨髄由来マクロファージを6ウェルプレートに播種し、24時間インキュベートし、次いで、初代マウスBMSC由来フソソームまたはBMSC細胞(陽性対照親細胞)を、10%FBSを含有するDMEM培地中のマクロファージ上に配置する。上清を異なる時点(2、4、6、24時間)で収集し、ELISAアッセイによりIL-6分泌について解析する。(Chang J. et al., 2015)。
【0869】
一部の実施形態では、BMSCフソソームにより誘導されるジャクスタクリンシグナル伝達レベルを、培地中のマクロファージ分泌IL-6レベルの増加により測定する。一部の実施形態では、ジャクスタクリンシグナル伝達レベルは、陽性対照骨髄間質細胞(BMSC)により誘導されるレベルより少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれを超えて高くなる。
(実施例72)
パラクリンシグナル伝達レベルの測定
【0870】
この実施例は、フソソームにおけるパラクリンシグナル伝達の定量を説明する。
【0871】
細胞は、局所微小環境において他の細胞とパラクリンシグナル伝達によって通信することができる。一部の実施形態では、フソソームは、例えば、それらの局所環境における細胞と通信するために、パラクリンシグナル伝達することができるだろう。一部の実施形態では、フソソームが内皮細胞において下記のプロトコールでパラクリン誘導分泌によるCa2+シグナル伝達を誘発することができることにより、Ca2+シグナル伝達がカルシウム指示薬であるfluo-4 AMによって測定されることになる。
【0872】
実験プレートを用意するために、マウス肺微小血管内皮細胞(MPMVEC)を、0.2%ゼラチンをコーティングした25mmガラス底共焦点ディッシュに播種する(80%コンフルエンス)。fluo-4 AMのローディングを可能にするために、MPMVECを、2%BSAと0.003%プルロニック(登録商標)酸とを含有するECM中、最終濃度5μMのfluo-4 AM(Invitrogen)とともに30分間、室温でインキュベートする。ローディング後、MPMVECを、色素損失を最小限に抑えるためにスルフィンピラゾンを含有する実験用イメージング溶液(0.25%BSAを含有するECM)で洗浄する。fluo-4をローディングした後、500μlの予温した実験用イメージング溶液をプレートに添加し、プレートをZeiss共焦点イメージングシステムによりイメージングする。
【0873】
別の管で、単離したてのマウスマクロファージを、培養培地(DMEM+10%FBS)中の1μg/mLのLPSで処置するか、またはLPSで処置しない(陰性対照)。刺激後、フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つによりマクロファージから生成する。
【0874】
次いで、フソソームまたは親マクロファージ(陽性対照)を、2%BSAと0.003%プルロニック(登録商標)酸とを含有するECM中のセルトラッカーレッド、CMTPX(Invitrogen)で標識する。次いで、フソソームおよびマクロファージを洗浄し、実験用イメージング溶液に再懸濁させる。標識されたフソソームおよびマクロファージを、共焦点プレート内のfluo-4 AMがローディングされたMPMVECに添加する。
【0875】
アルゴンイオンレーザー源を有するZeiss共焦点イメージングシステムを使用して、fluo-4 AMおよびセルトラッカーレッド蛍光についてそれぞれ488および561nmで励起して、10~20分間、3秒ごとに、緑色および赤色蛍光シグナルを記録する。fluo-4蛍光強度変化を、イメージングソフトウェア(Mallilankaraman, K. et al., J Vis Exp. (58): 3511, 2011)を使用して解析する。陰性対照フソソームおよび細胞群で測定されたFluo-4強度レベルを、LPS刺激フソソームおよび細胞群から減算する。
【0876】
一部の実施形態では、フソソーム、例えば活性化フソソームは、陽性対照細胞群より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれを超えて大きいFluo-4蛍光強度の増加を誘導することになる。
(実施例73)
可動性のためにアクチンを重合する能力の測定
【0877】
この実施例は、フソソーム中のアクチンなどの細胞骨格成分の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、アクチンなどの細胞骨格成分を含み、アクチンを重合することができる。
【0878】
細胞は、細胞骨格成分であるアクチンを、運動性および他の細胞質内プロセスのために使用する。細胞骨格は、運動性駆動力を生じさせるために、および移動プロセスを協調させるために不可欠である。
【0879】
C2C12細胞を本明細書に記載するように除核した。12.5%および15%フィコール層から得たフソソームをプールして「Light」ラベルを付け、その一方で、16~17%層からのフソソームをプールして「Medium」ラベルを付けた。フソソームまたは細胞(親C2C12細胞、陽性対照)をDMEM+Glutamax+10%ウシ胎仔血清(FBS)に再懸濁させ、24ウェル超低接着プレート(#3473、Corning Inc、Corning、NY)に播種し、37℃+5%CO2でインキュベートした。試料を定期的に採取し(5.25時間、8.75時間、26.5時間)、165μMローダミンファロイジンで染色し(陰性対照を染色せず)、フローサイトメーター(#A24858、Thermo Fisher、Waltham、MA)でFCレーザーYL1(585/16フィルターを伴う561nm)を用いて測定してF-アクチン細胞骨格含有量を測定した。未染色のフソソームおよび染色した親C2C12細胞とともに、フソソームにおけるローダミンファロイジンの蛍光強度を測定した。
【0880】
フソソーム蛍光強度は、すべての時点で陰性対照より大きく(
図4)、フソソームは、親C2C12細胞と同様の速度でアクチンを重合することができた。
【0881】
下記の表に収載するものなどの追加の細胞骨格成分を、市販のELISAシステム(Cell Signaling TechnologyおよびMyBioSource)によって製造業者の使用説明書に従って測定する。
【表21】
【0882】
次いで、100μLの適切に希釈した溶解物をマイクロウェルストリップから適切なウェルに添加する。マイクロウェルをテープで密封し、2時間、37℃でインキュベートする。インキュベーション後、密封テープを除去し、内容物を廃棄する。各マイクロウェルを200μLの1×洗浄緩衝剤で4回洗浄する。個々の洗浄各々の後、残留洗浄溶液を各ウェルから除去するためにプレートを吸収性の布の上に打ち当てる。しかし、ウェルは、実験中のどの時点でも完全に乾いてはいない。
【0883】
次に、100μLの再構成検出抗体(緑色)を、陰性対照ウェルを除いて個々のウェル各々に添加する。次いで、ウェルを密封し、1時間、37℃でインキュベートする。インキュベーションが完了した後、洗浄手順を繰り返す。100μLの再構成HRP結合二次抗体(赤色)を各々のウェルに添加する。ウェルをテープで密封し、30分間、37℃でインキュベートする。次いで、密封テープを除去し、洗浄手順を繰り返す。次いで、100μLのTMB基質を各ウェルに添加する。ウェルをテープで密封して、次いで、10分間、37℃でインキュベートする。この最終インキュベーションが完了したら、100μLのSTOP溶液をウェルの各々に添加し、プレートを数秒間、穏やかに振盪する。
【0884】
アッセイの分光光度解析を、STOP溶液の添加から30分以内に行う。ウェルの下側を、糸くずの出ないティッシュで拭き、次いで吸光度を450nmで読み取る。一部の実施形態では、検出抗体で染色されたフソソーム試料は、450nmで陰性対照フソソーム試料より多い光を吸収することになり、検出抗体で染色された細胞試料より少ない光を吸収することになる。
(実施例74)
平均膜電位の測定
【0885】
この実施例は、フソソームのミトコンドリア膜電位の定量を説明する。一部の実施形態では、ミトコンドリア膜を含むフソソームは、ミトコンドリア膜電位を維持することになる。
【0886】
ミトコンドリア代謝活性は、ミトコンドリア膜電位によって測定することができる。ミトコンドリア膜電位を評定するための市販の色素であるTMRE(TMRE:テトラメチルローダミン,エチルエステル,過塩素酸塩、Abcam、カタログ番号T669)を使用して、フソソーム調製物の膜電位を定量する。
【0887】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより生成する。6分割量(未処置のおよびFCCP処置した三重反復物)のフソソームまたは親細胞を、増殖培地(10%ウシ胎仔血清を含有する、フェノールレッド不含DMEM)で希釈する。試料の1つの分割量を、ミトコンドリア膜電位を除去してTMRE染色を防止する脱共役剤であるFCCPとともに、インキュベートする。FCCP処置試料については、2μM FCCPを試料に添加し、解析の前に5分間インキュベートする。次いで、フソソームおよび親細胞を30nM TMREで染色する。各試料について、未染色(TMREなし)試料も並行して調製する。試料を37℃で30分間インキュベートする。次いで、フローサイトメーターで488nmアルゴンレーザーを用いて試料を解析し、励起および発光を530+/-30nmで収集する。
【0888】
膜電位値(ミリボルト、mVで)をTMREの強度に基づいて算出する。すべてのイベントを前方および側方散乱チャネルで取得する(あるいは、ゲートをかけて小さい残屑を排除することができる)。未処置試料とFCCP処置試料の両方についての蛍光強度(FI)値を、未処置試料とFCCP処置試料の幾何平均から未染色試料の蛍光強度の幾何平均を減算することにより正規化する。TMRE蛍光(TMREは、ネルンスト方式でミトコンドリアに蓄積するので)に基づいてフソソームまたは細胞のミトコンドリア膜電位を決定するために使用することができる修正されたネルンストの式(下記参照)で、正規化蛍光強度値を使用して、各調製物の膜電位状態を算出する。
【0889】
フソソームまたは細胞膜電位を、次の式を用いて算出する:(mV)=-61.5*log(FI未処置-正規化/FIFCCP-処置-正規化)。一部の実施形態では、C2C12マウス筋芽細胞からのフソソーム調製物に対してこのアッセイまたは同等のアッセイを使用して、フソソーム調製物の膜電位状態は、親細胞より、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%以内またはそれを超えて高くなる。一部の実施形態では、膜電位の範囲は、約-20~-150mVである。
(実施例75)
対象における持続半減期の測定
【0890】
この実施例は、フソソーム半減期の測定を説明する。
【0891】
フソソームは、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生した、ガウシア-ルシフェラーゼを発現する細胞に由来し、純粋なもの、ならびに緩衝溶液中の1:2、1:5および1:10希釈物を作製する。フソソームを欠く緩衝溶液を陰性対照として使用する。
【0892】
各用量を3匹の8週齢雄C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratories)に静脈内投与する。フソソームの静脈内投与後1、2、3、4、5、6、12、24、48および72時間の時点で後眼窩静脈から血液を採取する。実験終了時にCO2吸入により動物を屠殺する。
【0893】
血液を20分間、室温で遠心分離する。直ちに、血清試料を-80℃で、生物分析まで凍結する。次いで、試料をガウシア-ルシフェラーゼ基質(Nanolight、Pinetop、AZ)と混合した後、各血液試料を使用してガウシア-ルシフェラーゼ活性アッセイを行う。手短に述べると、セレンテラジン、ルシフェリンまたは発光分子をフラッシュアッセイ緩衝剤と混合し、混合物を、96ウェルプレートの血液試料を含有するウェルにピペットで移す。血液を欠く陰性対照ウェルは、バックグラウンドガウシアルシフェラーゼシグナルを判定するためにアッセイ緩衝剤を含有する。
【0894】
加えて、陽性対照精製ガウシアルシフェラーゼ(Athena Enzyme Systems、カタログ番号0308)の標準曲線を作成して、発光シグナルを1時間当たりのガウシアルシフェラーゼ分泌分子数に変換する。500ミリ秒積分を使用して、プレートを発光についてアッセイする。バックグラウンドガウシアルシフェラーゼシグナルをすべての試料から減算し、次いで、線形最良適合曲線をガウシアルシフェラーゼ標準曲線について算出する。試料の表示数値が標準曲線内に収まらなかった場合、それらを適切に希釈し、再アッセイする。1、2、3、4、5、6、12、24、48および72時間の時点で採取した試料からのルシフェラーゼシグナルを標準曲線に内挿する。消失速度定数ke(h-1)を、1コンパートメントモデルについての次の式を使用して算出する:C(t)=C0×e-kext(式中、C(t)(ng/mL)は、時間t(h)でのフソソームの濃度であり、C0は、時間=0でのフソソームの濃度(ng/mL)である)。消失半減期t1/2,e(h)は、ln(2)/keとして算出する。
【0895】
一部の実施形態では、フソソームは、陰性対照細胞より、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれを超えて大きい半減期を有することになる。
(実施例76)
循環におけるフソソームの保持の測定
【0896】
この実施例は、循環へのフソソームの送達および臓器での保持の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、循環に送達されるが、臓器部位で捕捉されず、保持されない。
【0897】
一部の実施形態では、末梢循環に送達されたフソソームは、細網内皮系(RES)による捕捉および保持を回避して標的部位に高効率で到達する。RESは、脾臓、リンパ節および肝臓などの固形臓器に存在する細胞、主としてマクロファージの系を含む。これらの細胞は、赤血球などの「旧」細胞を除去する役割を通常は担う。
【0898】
フソソームは、CREリコンビナーゼを発現する細胞(薬剤)、またはCREを発現しない細胞(陰性対照)に由来する。これらのフソソームを、実施例62におけるようにin vivo注射用に調製する。
【0899】
レシピエントマウスは、フソソームにより送達されるmRNAから作製されるCREタンパク質によってルシフェラーゼの発現の遮断を解除するように改変されているloxp-ルシフェラーゼゲノムDNA遺伝子座を保有する(JAX#005125)。ルシフェラーゼを生存動物において生物発光イメージングにより検出することができる。この実施例の陽性対照は、同じタンパク質をそれ自体のゲノムからマクロファージおよび単球細胞において排他的に発現するマウス系統と交配したレシピエントマウスの子孫(Cx3cr1-CRE JAX#025524)である。この交配からの子孫は、各対立遺伝子(loxp-ルシフェラーゼ、Cx3cr1-CRE)の一方を保有する。
【0900】
CREタンパク質による作用を受けたときにルシフェラーゼの発現をもたらす遺伝子座を保有するマウスの末梢循環に、尾静脈注射(IV、実施例番号48)によってフソソームを注射する。RESの非特異的捕捉メカニズムは、ある割合のCREタンパク質をフソソームからマクロファージへ放出してゲノム組換えをもたらす性質の点から食細胞性である。IVIS測定(実施例62で説明したような)によって、非フソゲン対照が蓄積し、融合する場所が特定される。脾臓、リンパ節および肝臓における蓄積は、フソソームの非特異的RES媒介捕捉を示すことになる。フソソーム注射後24、48および96時間の時点でIVISを行う。
【0901】
マウスを安楽死させ、脾臓、肝臓、および腸内の主要リンパ節群を採取する。
【0902】
ゲノムDNAをこれらの臓器から単離し、組換えゲノムDNA遺残物に対する定量的ポリメラーゼ連鎖反応に付す。代替ゲノム遺伝子座(CREにより標的とされない)も定量して試料中の細胞の数の測定量を得る。
【0903】
実施形態では、低い生物発光シグナルが、動物全体にわたってならびに特異的に肝臓および脾臓部位で、薬剤と陰性対照の両方について観察されることになる。実施形態では、陽性対照は、肝臓で(陰性対照および薬剤と比較して)シグナル増加を、脾臓で高シグナルを、およびリンパ節と一致する分布を示すことになる。
【0904】
一部の実施形態では、これらの組織のゲノムPCR定量は、陽性対照では検査したすべての組織において代替遺伝子座と比較して組換えシグナルの高い割合を示すことになり、その一方で、薬剤および陰性対照については、組換えレベルは、すべての組織において無視できるレベルとなる。
【0905】
一部の実施形態では、この実施例の結果は、非フソゲン対照が、RESにより保持されず、広い分布を達成することおよび高いバイオアベイラビリティを示すことができるであろうということを、示すことになる。
(実施例77)
フソソーム寿命と免疫抑制
【0906】
この実施例は、フソソーム組成物を免疫抑制薬と併用投与したときのフソソーム組成物の免疫原性の定量を説明する。
【0907】
免疫応答を刺激する治療は、治療有効性を低下させ得ることもあり、またはレシピエントに対する毒性の原因となり得ることもある。一部の実施形態では、フソソームは、実質的に非免疫原性である。
【0908】
前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生されるフソソームの精製組成物を免疫抑制薬と併用投与し、免疫原性の特性をin vivoでのフソソームの寿命によりアッセイする。ルシフェラーゼで標識した十分な数のフソソームを、タクロリムス(TAC、4mg/kg/日;Sigma Aldrich)とともに、またはビヒクルとともに(陰性対照)、またはいかなる追加の薬剤もなしで(陽性対照)、正常マウスの腓腹筋に局所注射する。次いで、マウスを、注射後1、2、3、4、5、6、12、24、48および72時間の時点でin vivoイメージングに付す。
【0909】
手短に述べると、マウスにイソフルランで麻酔し、D-ルシフェリンを体重1キログラム当たり375mgの用量で腹腔内投与する。イメージング時に、動物を遮光チャンバーに入れ、動物に移植したルシフェラーゼ発現フソソームから放出される光子を、生物発光の発光強度に依存して5秒~5分の積分時間で収集する。同じマウスを上記の様々な時点で繰り返しスキャンする。BLIシグナルを毎秒光子数(全光束)の単位で定量し、log[毎秒光子数]として表す。強度をTACを伴うおよび伴わないフソソーム注射と比較することにより、データを解析する。
【0910】
実施形態では、アッセイは、最終時点で単独でのフソソーム群およびビヒクル群に対してTAC併用投与群においてフソソーム寿命の延長を示すことになる。フソソーム寿命の延長に加えて、一部の実施形態では、各々の時点でのフソソーム+ビヒクルまたは単独でのフソソームに対してフソソーム+TACアームからBLIシグナルの増加を観察することになる。
(実施例78)
フソソームに対して反応性の既存IgGおよびIgM抗体の測定
【0911】
この実施例は、フローサイトメトリーを使用して測定した既存抗フソソーム抗体価の定量を説明する。
【0912】
フソソームの免疫原性の尺度は、抗体応答である。フソソームを認識する抗体は、フソソーム活性または寿命を制限することができる方法で結合することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のフソソームの一部のレシピエントは、フソソームに結合するおよびフソソームを認識する既存の抗体を有するだろう。
【0913】
この実施例では、ゼノジェニック供給源細胞を使用して前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生したフソソームを使用して、抗フソソーム抗体価を試験する。この実施例では、フソソームを未投与のマウスを、抗フソソーム抗体の存在について評定する。注目すべきこととして、本明細書に記載の方法は、ヒト、ラット、サルに、プロトコールに最適化を施して、同等に適用可能であり得る。
【0914】
陰性対照は、IgMおよびIgGを枯渇させたマウス血清であり、陽性対照は、ゼノジェニック供給源細胞から生成したフソソームの複数回の注射を受けたマウスに由来する血清である。
【0915】
フソソームに結合する既存抗体の存在を評定するために、フソソームを未投与のマウスからの血清を、先ず、30分間、56℃に加熱することにより補体消耗させ、その後、3%FCSと0.1%NaN3とを含有するPBSで33%希釈する。同量の血清とフソソーム(1mL当たり1×102~1×108フソソーム)の懸濁液を30分間4℃でインキュベートし、仔ウシ血清クッションに通してPBSで洗浄する。
【0916】
IgM異種反応性抗体を、細胞とマウスIgMのFc部分に特異的なPEコンジュゲートヤギ抗体(BD Bioscience)との4℃で45分間のインキュベーションにより染色する。注目すべきこととして、抗マウスIgG1またはIgG2二次抗体も使用することができる。すべての群からの細胞を、2%FCSを含有するPBSで2回洗浄し、次いで、FACSシステム(BD Biosciences)で解析する。蛍光データを対数増幅の使用により収集し、平均蛍光強度として表す。一部の実施形態では、陰性対照血清は、無血清対照または二次単独の対照と同等の無視できるほどの蛍光しか示さないことになる。ある実施形態では、陽性対照は、陰性対照より強い蛍光、および無血清対照または二次単独の対照より強い蛍光を示すことになる。ある実施形態では、免疫原性が存在する場合、フソソームを未投与のマウスからの血清は、陰性対照より強い蛍光を示すことになる。ある実施形態では、免疫原性が存在しない場合、フソソームを未投与のマウスからの血清は、陰性対照と比較して同様の蛍光を示すことになる。
(実施例79)
フソソームの複数回投与後のIgGおよびIgM抗体応答の測定
【0917】
この実施例は、改変フソソームの複数回投与後の改変フソソームの液性応答の定量を説明する。一部の実施形態では、例えば本明細書に記載の方法により改変された、改変フソソームは、改変フソソームの複数回(例えば、1回より多い、例えば、2回またはそれより多い)投与後に低減した(例えば、未改変フソソームの投与と比較して低減した)液性応答を有することになる。
【0918】
フソソームの免疫原性の尺度は、抗体応答である。一部の実施形態では、フソソームの反復注射は、抗フソソーム抗体、例えば、フソソームを認識する抗体の発生につながり得る。一部の実施形態では、フソソームを認識する抗体は、フソソーム活性または寿命を制限することができる方法で結合することができる。
【0919】
この実施例では、抗フソソーム抗体価を、1回または複数回のフソソーム投与後に検査する。フソソームを、前の実施例のいずれか1つにより産生する。未改変間葉幹細胞(以降、MSC)、HLA-Gのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-HLA-G)、および空のベクターのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-空ベクター)から、フソソームを生成する。異なるコホート:ビヒクルの1、2、3、5、10回の注射での全身および/もしくは局所注射を受けたマウス(フソソームを未投与の群)、MSCフソソームの1、2、3、5、10回の注射での全身および/もしくは局所注射を受けたマウス、MSC-HLA-Gフソソームの1、2、3、5、10回の注射での全身および/もしくは局所注射を受けたマウス、またはMSC-空ベクターフソソームの1、2、3、5、10回の注射での全身および/もしくは局所注射を受けたマウスから、血清を採取する。
【0920】
抗フソソーム抗体の存在および存在量を評定するために、マウスからの血清を、先ず、30分間、56℃に加熱することにより補体消耗させ、その後、3%FCSと0.1%NaN3とを含有するPBSで33%希釈する。同量の血清とフソソーム(1mL当たり1×102~1×108フソソーム)を30分間4℃でインキュベートし、仔ウシ血清クッションに通してPBSで洗浄する。
【0921】
フソソーム反応性IgM抗体を、細胞とマウスIgMのFc部分に特異的なPEコンジュゲートヤギ抗体(BD Bioscience)との4℃で45分間のインキュベーションにより染色する。注目すべきこととして、抗マウスIgG1またはIgG2二次抗体も使用することができる。すべての群からの細胞を、2%FCSを含有するPBSで2回洗浄し、次いで、FACSシステム(BD Biosciences)で解析する。蛍光データを対数増幅の使用により収集し、平均蛍光強度として表す。
【0922】
一部の実施形態では、MSC-HLA-Gフソソームは、MSCフソソームまたはMSC-空ベクターフソソームと比較して、注射後に(FACSで蛍光強度により測定した場合)減少した抗フソソームIgM(またはIgG1/2)抗体価を有することになる。
(実施例80)
免疫原性を低下させるために寛容原性タンパク質を発現させるためのフソソーム供給源細胞の改変
【0923】
この実施例は、改変細胞源に由来するフソソームの免疫原性の定量を説明する。一部の実施形態では、改変細胞源に由来するフソソームは、未改変細胞源に由来するフソソームと比較して低下した免疫原性を有する。
【0924】
免疫応答を刺激する治療は、治療有効性を低下させ得ることもあり、またはレシピエントに対する毒性の原因となり得ることもある。一部の実施形態では、実質的に非免疫原性のフソソームを対象に投与する。一部の実施形態では、細胞源の免疫原性をフソソーム免疫原性のプロキシとしてアッセイすることができる。
【0925】
HLA-Gのレンチウイルス媒介発現を使用して改変されたiPS細胞、または空のベクターを発現するiPS細胞(陰性対照)を、免疫原性の特性について次のようにアッセイする。可能性のあるフソソーム細胞源として、十分な数のiPS細胞を、C57/B6マウスの後側腹部に皮下注射し、奇形腫の形成を可能にするために適切な時間を取る。
【0926】
奇形腫が形成されたら、組織を採取する。蛍光染色用に調製した組織をOCT中で凍結し、免疫組織化学的検査およびH&E染色用に調製したものを10%緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋する。組織切片を、一般的な免疫組織化学プロトコールに従って、抗体、ポリクローナルウサギ抗ヒトCD3抗体(DAKO)、マウス抗ヒトCD4 mAb(RPA-T4、BD PharMingen)、マウス抗ヒトCD8 mAB(RPA-T8、BD PharMingen)で、染色する。これらを、適切な検出試薬、すなわち、抗マウス二次HRP(Thermofisher)、または抗ウサギ二次HRP(Thermofisher)を使用することにより、検出する。
【0927】
ペルオキシダーゼに基づく可視化システム(Agilent)を使用して検出を果たす。光学顕微鏡を使用して20倍視野で検査した25、50または100の組織切片中に存在する浸潤CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD3+NK細胞の平均数を使うことにより、データを解析する。実施形態では、改変されていないiPSC、または空のベクターを発現するiPSCには、HLA-Gを発現するiPSCと比較して、より多数の浸潤CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD3+NK細胞が検査した視野に存在することになる。
【0928】
一部の実施形態では、フソソームの免疫原性の特性は、供給源細胞のものと実質的に同等となる。一部の実施形態では、HLA-Gで改変されたiPS細胞に由来するフソソームは、それらの未改変対応物に対して低減した免疫細胞浸潤を有することになる。
(実施例81)
免疫原性を低下させるために免疫原性タンパク質をノックダウンさせるためのフソソーム供給源細胞の改変
【0929】
この実施例は、免疫原性である分子の発現を低減させるように改変された細胞源に由来するフソソーム組成物の生成の定量を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、免疫原性である分子の発現を低減させるように改変された細胞源に由来し得る。
【0930】
免疫応答を刺激する治療は、治療有効性を低下させることもあり、またはレシピエントに対する毒性の原因となることもある。したがって、免疫原性は、安全で有効な治療用フソソームにとって重要な特性である。ある特定の免疫活性化剤の発現は、免疫応答を生じさせ得る。MHCクラスIは、免疫活性化剤の一例に相当する。
【0931】
この実施例では、フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより生成する。未改変間葉幹細胞(以降、MSC、陽性対照)、MHCクラスIを標的とするshRNAのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-shMHCクラスI)、および非標的化スクランブル型shRNAのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-スクランブル型、陰性対照)から、フソソームを生成する。
【0932】
フローサイトメトリーを使用して、MHCクラスIの発現についてフソソームをアッセイする。適切な数のフソソームをPBSで洗浄し、PBSに再懸濁させ、MHCクラスIに対する蛍光コンジュゲートモノクローナル抗体(Harlan Sera-Lab、Belton、UK)の1:10~1:4000希釈物とともに、30分間、氷上で保持する。フソソームをPBSで3回洗浄し、PBSに再懸濁させる。同等の希釈度で__および適切な蛍光コンジュゲートアイソタイプ対照抗体とともにインキュベートしたフソソームの調製物の等しい分割量を使用して、非特異的蛍光を判定する。フソソームをフローサイトメーター(FACSort、Becton-Dickinson)でアッセイし、データをフロー解析ソフトウェア(Becton-Dickinson)で解析する。
【0933】
MSC、MSC-shMHCクラスI、MSC-スクランブル型に由来するフソソームの平均蛍光データを比較する。一部の実施形態では、MSC-shMHCクラスIに由来するフソソームは、MSCおよびMSC-スクランブル型と比較してより低いMHCクラスI発現を有することになる。
(実施例82)
マクロファージファゴサイトーシスを回避するためのフソソーム供給源細胞の改変
【0934】
この実施例は、改変フソソームによるファゴサイトーシスの回避の定量を説明する。一部の実施形態では、改変フソソームは、マクロファージによるファゴサイトーシスを回避することになる。
【0935】
細胞は、粒子を貪食するファゴサイトーシスを行い、かくて細菌のような外来侵入物または死細胞の隔離および破壊を可能にする。一部の実施形態では、マクロファージによるフソソームのファゴサイトーシスは、それらの活性を低下させることになる。
【0936】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより生成する。CD47を欠くCSFE標識哺乳動物細胞(以降、NMC、陽性対照)、CD47 cDNAのレンチウイルス媒介発現を使用してCD47を発現するように操作されているCSFE標識細胞(以降、NMC-CD47)、および空ベクター対照のレンチウイルス媒介発現を使用して操作されたCSFE標識細胞(以降、NMC-空ベクター、陰性対照)から、フソソームを作出する。
【0937】
マクロファージ媒介免疫リアランスの低減を、次のプロトコールによるファゴサイトーシスアッセイで判定する。マクロファージを、採取直後に共焦点ガラス底ディッシュに播種する。マクロファージをDMEM+10%FBS+1%P/S中で1時間インキュベートして接着させる。NMC、NMC-CD47、NMC-空ベクターに由来する適切な数のフソソームを、プロトコールに示されているようにマクロファージに添加し、2時間インキュベートする、tools.thermofisher.com/content/sfs/manuals/mp06694.pdf。
【0938】
2時間後、ディッシュを穏やかに洗浄し、細胞内蛍光を検査する。貪食された粒子により発光された細胞内蛍光を488励起で共焦点顕微鏡観察によりイメージングする。イメージングソフトウェアを使用して、ファゴサイトーシス陽性マクロファージの数を定量する。データを、食作用指数=(貪食された細胞の総数/計数されたマクロファージの総数)×(貪食された細胞を含有するマクロファージの数/計数されたマクロファージの総数)×100として表す。
【0939】
一部の実施形態では、食作用指数は、NMC、またはNMC-空ベクター由来のフソソームに対して、NMC-CD47由来のフソソームとともにマクロファージをインキュベートすると、低減されることになる。
(実施例83)
PBMC細胞溶解により媒介される細胞傷害性低下のためのフソソーム供給源細胞の改変
【0940】
この実施例は、PBMCによる細胞溶解に起因して細胞傷害性低下を有するように改変された細胞に由来するフソソームの生成を説明する。
【0941】
一部の実施形態では、PBMCによる供給源細胞またはフソソームの細胞傷害性媒介細胞溶解は、溶解がフソソームの活性を低下させることになる、例えば阻害するまたは停止させることになるので、フソソームの免疫原性の尺度である。
【0942】
この実施例では、フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより生成する。未改変間葉幹細胞(以降、MSC、陽性対照)、HLA-Gのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-HLA-G)、および空のベクターのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-空ベクター、陰性対照)から、フソソームを作出する。
【0943】
フソソームのPMBC媒介溶解は、Bouma, et al. Hum. Immunol. 35(2):85-92; 1992およびvan Besouw et al. Transplantation 70(1):136-143; 2000に記載されているようなユーロピウム放出アッセイによって判定する。PBMC(以降、エフェクター細胞)を適切なドナーから単離し、丸底96ウェルプレートにおいて7日間、37℃で、ガンマ線照射同種PMBCおよび200IU/mLのIL-2(プロロイキン、Chiron BV、Amsterdam、The Netherlands)で刺激する。フソソームをユーロピウム-ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)(sigma、St.Louis、MO、USA)で標識する。
【0944】
7日目に、エフェクター細胞とともに63Eu標識フソソームを、1000:1~1:1および1:1.25~1:1000の範囲のエフェクター/標的比での播種後1、2、3、4、5、6、8、10、15、20、24、48時間、96ウェルプレートにおいてインキュベートすることにより、細胞傷害性媒介溶解アッセイを行う。インキュベーション後、プレートを遠心分離し、上清の試料を、バックグラウンド蛍光が低い96ウェルプレート(フルオロイムノプレート、Nunc、Roskilde、Denmark)に移す。
【0945】
その後、増強溶液(PerkinElmer、Groningen、The Netherlands)を各ウェルに添加する。放出されたユーロピウムを、時間分解蛍光光度計(Victor 1420マルチラベルカウンター、LKB-Wallac、Finland)で測定する。蛍光をカウント毎秒(CPS)で表す。適切な数(1×102~1×108)のフソソームを1%トリトン(sigma-aldrich)とともに適切な時間にわたってインキュベートすることにより、標的フソソームによるユーロピウムの最大放出パーセントを決定する。エフェクター細胞なしでの標識標的フソソームのインキュベーションにより、標的フソソームによるユーロピウムの自然放出を測定する。次いで、漏洩パーセンテージを、(自然放出/最大放出)×100%として算出する。最後に、細胞傷害性媒介溶解のパーセンテージを、溶解%=[(実測溶解-自然溶解-自然放出)/(最大放出-自然放出)]×100%として算出する。データを、溶解のパーセンテージを異なるエフェクター標的比の関数と見ることにより、解析する。
【0946】
一部の実施形態では、MSC-HLA-G細胞から生成したフソソームは、特定の時点で、MSC生成フソソームまたはMSC-スクランブル型生成フソソームと比較して、標的細胞による溶解のパーセンテージ低下を有することになる。
(実施例84)
NK溶解活性低下のためのフソソーム供給源細胞の改変
【0947】
この実施例は、NK細胞による細胞傷害性媒介細胞溶解を減少させるように改変された、細胞源に由来するフソソーム組成物の生成を説明する。一部の実施形態では、NK細胞による供給源細胞またはフソソームの細胞傷害性媒介細胞溶解は、フソソームの免疫原性の尺度である。
【0948】
この実施例では、フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより生成する。未改変間葉幹細胞(以降、MSC、陽性対照)、HLA-Gのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-HLA-G)、および空のベクターのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-空ベクター、陰性対照)から、フソソームを作出する。
【0949】
フソソームのNK細胞媒介溶解は、Bouma, et al. Hum. Immunol. 35(2):85-92; 1992およびvan Besouw et al. Transplantation 70(1):136-143; 2000に記載されているようなユーロピウム放出アッセイによって判定する。NK細胞(以降、エフェクター細胞)を、Crop et al. Cell transplantation (20):1547-1559; 2011における方法に従って適切なドナーから単離し、丸底96ウェルプレートにおいて7日間、37℃で、ガンマ線照射同種PMBCおよび200IU/mLのIL-2(プロロイキン、Chiron BV、Amsterdam、The Netherlands)で刺激する。フソソームをユーロピウム-ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)(sigma、St.Louis、MO、USA)で標識する。
【0950】
7日目に、エフェクター細胞とともに63Eu標識フソソームを、1000:1~1:1および1:1.25~1:1000の範囲のエフェクター/標的比での播種後1、2、3、4、5、6、8、10、15、20、24、48時間、96ウェルプレートにおいてインキュベートすることにより、細胞傷害性媒介溶解アッセイを行う。インキュベーション後、プレートを遠心分離し、上清の試料を、バックグラウンド蛍光が低い96ウェルプレート(フルオロイムノプレート、Nunc、Roskilde、Denmark)に移す。
【0951】
その後、増強溶液(PerkinElmer、Groningen、The Netherlands)を各ウェルに添加する。放出されたユーロピウムを、時間分解蛍光光度計(Victor 1420マルチラベルカウンター、LKB-Wallac、Finland)で測定する。蛍光をカウント毎秒(CPS)で表す。適切な数(1×102~1×108)のフソソームを1%トリトン(Sigma-Aldrich)とともに適切な時間にわたってインキュベートすることにより、標的フソソームによるユーロピウムの最大放出パーセントを決定する。エフェクター細胞なしでの標識標的フソソームのインキュベーションにより、標的フソソームによるユーロピウムの自然放出を測定する。次いで、漏洩パーセンテージを、(自然放出/最大放出)×100%として算出する。最後に、細胞傷害性媒介溶解のパーセンテージを、溶解%=[(実測溶解-自然溶解-自然放出)/(最大放出-自然放出)]×100%として算出する。データを、溶解のパーセンテージを異なるエフェクター標的比の関数と見ることにより、解析する。
【0952】
一部の実施形態では、MSC-HLA-G細胞から生成したフソソームは、適切な時点で、MSC生成フソソームまたはMSC-スクランブル型生成フソソームと比較して溶解のパーセンテージ低下を有することになる。
(実施例85)
CD8キラーT細胞溶解減少のためのフソソーム供給源細胞の改変
【0953】
この実施例は、CD8+T細胞による細胞傷害性媒介細胞溶解を減少させるように改変された細胞源に由来するフソソーム組成物の生成を説明する。一部の実施形態では、CD8+T細胞による供給源細胞またはフソソームの細胞傷害性媒介細胞溶解は、フソソームの免疫原性の尺度である。
【0954】
この実施例では、フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより生成する。未改変間葉幹細胞(以降、MSC、陽性対照)、HLA-Gのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-HLA-G)、および空のベクターのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-空ベクター、陰性対照)から、フソソームを作出する。
【0955】
フソソームのCD8+T細胞媒介溶解は、Bouma, et al. Hum. Immunol. 35(2):85-92; 1992およびvan Besouw et al. Transplantation 70(1):136-143; 2000に記載されているようなユーロピウム放出アッセイによって判定する。CD8+T細胞(以降、エフェクター細胞)を、Crop et al. Cell transplantation (20):1547-1559; 2011における方法に従って適切なドナーから単離し、丸底96ウェルプレートにおいて7日間、37℃で、ガンマ線照射同種PMBCおよび200IU/mLのIL-2(プロロイキン、Chiron BV、Amsterdam、The Netherlands)で刺激する。フソソームをユーロピウム-ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)(sigma、St.Louis、MO、USA)で標識する。
【0956】
7日目に、エフェクター細胞とともに63Eu標識フソソームを、1000:1~1:1および1:1.25~1:1000の範囲のエフェクター/標的比での播種後1、2、3、4、5、6、8、10、15、20、24、48時間、96ウェルプレートにおいてインキュベートすることにより、細胞傷害性媒介溶解アッセイを行う。インキュベーション後、プレートを遠心分離し、20μLの上清を、バックグラウンド蛍光が低い96ウェルプレート(フルオロイムノプレート、Nunc、Roskilde、Denmark)に移す。
【0957】
その後、増強溶液(PerkinElmer、Groningen、The Netherlands)を各ウェルに添加する。放出されたユーロピウムを、時間分解蛍光光度計(Victor 1420マルチラベルカウンター、LKB-Wallac、Finland)で測定する。蛍光をカウント毎秒(CPS)で表す。適切な数(1×102~1×108)のフソソームを1%トリトン(sigma-aldrich)とともに適切な時間にわたってインキュベートすることにより、標的フソソームによるユーロピウムの最大放出パーセントを決定する。エフェクター細胞なしでの標識標的フソソームのインキュベーションにより、標的フソソームによるユーロピウムの自然放出を測定する。次いで、漏洩パーセンテージを、(自然放出/最大放出)×100%として算出する。最後に、細胞傷害性媒介溶解のパーセンテージを、溶解%=[(実測溶解-自然溶解-自然放出)/(最大放出-自然放出)]×100%として算出する。データを、溶解のパーセンテージを異なるエフェクター標的比の関数と見ることにより、解析する。
【0958】
一部の実施形態では、MSC-HLA-G細胞から生成したフソソームは、適切な時点で、MSC生成フソソームまたはMSC-スクランブル型生成フソソームと比較して溶解のパーセンテージ低下を有することになる。
(実施例86)
T細胞活性化減少のためのフソソーム供給源細胞の改変
この実施例は、混合リンパ球反応(MLR)により評定した場合にT細胞活性化および増殖の低減を有することになる改変フソソームの生成を説明する。
【0959】
T細胞増殖および活性化は、フソソームの免疫原性の尺度である。フソソーム組成物によるMLR反応におけるT細胞増殖の刺激は、in vivoでのT細胞増殖の刺激を示唆し得る。
【0960】
一部の実施形態では、改変供給源細胞から生成したフソソームは、混合リンパ球反応(MLR)により評定した場合にT細胞活性化および増殖の低減を有する。一部の実施形態では、改変供給源細胞から生成したフソソームは、in vivoで免疫応答を生じさせず、したがって、フソソーム組成物の有効性を維持する。
【0961】
この実施例では、フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより生成する。未改変間葉幹細胞(以降、MSC、陽性対照)、IL-10のレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-IL-10)、および空のベクターのレンチウイルス媒介発現で改変された間葉幹細胞(以降、MSC-空ベクター、陰性対照)から、フソソームを生成する。
【0962】
BALB/cおよびC57BL/6脾細胞を、刺激細胞またはレスポンダー細胞のどちらかとして使用する。注目すべきこととして、これらの細胞の源を、一般に使用されているヒト由来刺激/レスポンダー細胞と交換することができる。加えて、任意の哺乳動物精製同種CD4+T細胞集団、CD8+T細胞集団、またはCD4-/CD8-を、レスポンダー集団として使用することができる。
【0963】
マウス脾細胞を、完全フロスト加工スライドガラスを使用する機械的解離によって単離し、その後、溶解緩衝剤(Sigma-Aldrich、St-Louis、MO)で赤血球溶解を行う。実験の前に、刺激細胞に20Gyのγ線を照射して、それらがレスポンダー細胞に対して反応しないようにする。次いで、同数(または1:1比を維持するが代替濃度)の刺激細胞およびレスポンダー細胞を、丸底96ウェルプレートの完全DMEM-10培地に添加することによって共培養を行う。適切な数のフソソームを(1×101~1×108の範囲からのいくつかの濃度で)異なる時間間隔、t=0、6、12、24、36、48時間で、共培養に加える。
【0964】
1μCiの[3H]-チミジン(Amersham、Buckinghamshire、UK)を添加して組込みを可能にすることにより、増殖を評定する。[3H]-チミジンを、t=2、6、12、24、36、48、72時間の時点でMLRに添加し、2、6、12、18、24、36および48時間の拡大培養後、96ウェルセルハーベスター(Inoteck、ベルトールドジャパン株式会社、日本)を使用してガラス繊維フィルターで細胞を採取する。T細胞増殖実験のすべてを三重反復で行う。[3H]-チミジン組込みを、マイクロベータlLuminescenceカウンター(Perkin Elmer、Wellesley、MA)を使用して測定する。結果をカウント毎分(cpm)で表すことができる。
【0965】
一部の実施形態では、MSC-IL10フソソームは、MSC-空ベクターまたはMSC未改変フソソーム対照と比較してT細胞増殖の減少を示すことになる。
(実施例87)
対象における標的化可能性の測定
【0966】
この実施例は、特定の身体部位を標的とするフソソームの能力を評定する。一部の実施形態では、フソソームは、特定の身体部位を標的とすることができる。標的化は、治療薬の活性を1つまたは複数の適切な治療部位に制限する方法である。
【0967】
8週齢C57BL/6Jマウス(Jackson Laboratories)に、ホタルルシフェラーゼを発現するフソソームまたは細胞を静脈内注射する。ホタルルシフェラーゼを安定的に発現する細胞またはルシフェラーゼを発現しない細胞(陰性対照)から、前の実施例で説明した方法のいずれか1つによりフソソームを産生する。マウスの群をフソソームまたは細胞注射後1、2、3、4、5、6、8、12および24時間の時点で安楽死させる。
【0968】
ルシフェラーゼを可視化するために、安楽死の5分前に150mg/kgの用量の生物発光基質(Perkin Elmer)のIP注射をマウスに施す。生物発光イメージングシステムを較正してすべてのデバイス設定を補正する。次いで、マウスを安楽死させ、肝臓、肺、心臓、脾臓、膵臓、GI、および腎臓を採取する。イメージングシステム(Perkin Elmer)を使用して、これらのex vivo臓器の生物発光の画像を得る。生物発光シグナルは、Radiance Photonsを使用して測定し、全光束を測定値として使用する。関心領域(ROI)を、ex vivo臓器を囲むことにより生成して、光子数/秒で値を得る。標的臓器(例えば、肝臓)と非標的臓器(例えば、肺、心臓、脾臓、膵臓、GIおよび腎臓からの光子数/秒の合計)の間の光子数/秒の比を、肝臓への標的化の尺度として算出する。
【0969】
一部の実施形態では、フソソームと細胞の両方において、肝臓と他の臓器の間の光子数/秒の比は、1より大きくなり、これは、フソソームが肝臓を標的とすることを示すことになる。一部の実施形態では、陰性対照動物は、すべての臓器において、はるかに低い光子数/秒を提示することになる。
(実施例88)
対象における外因性薬剤の送達の測定
【0970】
この実施例は、対象における外因性薬剤を含むフソソームの送達の定量を説明する。ガウシア-ルシフェラーゼを発現する細胞またはルシフェラーゼを発現しない細胞(陰性対照)から、前の実施例で説明した方法のいずれか1つによりフソソームを調製する。
【0971】
陽性対照細胞またはフソソームをマウスに静脈内注射する。26ゲージインスリン注射針を使用して5~8秒以内にフソソームまたは細胞を送達する。注射の1、2または3日後に、in vivoイメージングシステム(Xenogen Corporation、Alameda、CA)を使用してin vivo生物発光イメージングを行う。
【0972】
使用直前に、セレンテラジン、ルシフェリンまたは発光分子(5mg/mL)を酸性メタノール中で調製し、マウスの尾静脈に直ちに注射する。マウスは、加熱された台の上で、XGI-8ガス麻酔システムを使用して持続麻酔されている。
【0973】
セレンテラジン[4μg/(g体重)]の尾静脈静脈内注射直後に5分にわたって光子カウントを取得することにより、生体発光イメージングを達成する。取得データを、ソフトウェア(Xenogen)を使用してライト・ビュー画像を重ね合わせて解析する。自動シグナル強度カウンターツールを使用して関心領域(ROI)を作成し、同じ動物のバックグラウンド減算で正規化する。580、600および620nmの波長の3つのフィルターを3~10分の露光時間で使用して順次データ取得を行って、マウス体内の生物発光の光源の位置を突き止める。
【0974】
さらに、各時点で、腹部触診により尿試料を収集する。
【0975】
血液試料(50μL)を各マウスの尾静脈から、ヘパリン処理された管またはEDTA管に採取する。血漿単離のために、血液試料を25分間、1.3×gで、4℃で遠心分離する。
【0976】
次いで、試料を50μMガウシア-ルシフェラーゼ基質(Nanolight、Pinetop、AZ)と混合した後、5μLの血液、血漿または尿試料を使用してガウシア-ルシフェラーゼ活性アッセイを行う。
【0977】
一部の実施形態では、陰性対照試料は、ルシフェラーゼに対して陰性となり、陽性対照試料は、細胞を投与した動物からの試料となる。一部の実施形態では、ガウシア-ルシフェラーゼを発現するフソソームを投与した動物からの試料は、各試料においてルシフェラーゼに対して陽性となる。
【0978】
例えば、El-Amouri SS et al., Molecular biotechnology 53(1): 63-73, 2013を参照されたい。
(実施例89)
フソソームの脂質二重層を介した能動輸送
【0979】
この実施例は、生細胞におけるグルコース取込みをモニターし、したがって脂質二重層を介した能動輸送をモニターするために使用することができる蛍光グルコースアナログである2-NBDG(2-(N-(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)-2-デオキシグルコース)のレベルの定量を説明する。一部の実施形態では、このアッセイまたは同等のアッセイを使用して、フソソームの脂質二重層を介したグルコース取込みおよび能動輸送レベルを測定することができる。
【0980】
前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生されるフソソーム組成物。次いで、十分な数のフソソームを、グルコースを含有せず、20%ウシ胎仔血清および1×ペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM中で、2時間、37℃および5%CO2でインキュベートする。2時間のグルコース飢餓期間の後、培地を、グルコースを含有せず、20%ウシ胎仔血清、1×ペニシリン/ストレプトマイシンおよび20μM 2-NBDG(ThermoFisher)を含有するDMEMを含むように交換し、2時間、37℃および5%CO2でインキュベートする。陰性対照フソソームには、2-NBDGのビヒクルである同量のDMSOを2-NBDGの代わりに添加することを除いて、同じ処置を施す。
【0981】
次いで、フソソームを1×PBSで3回洗浄し、適切な緩衝剤に再懸濁させ、96ウェルイメージングプレートに移す。次いで、蛍光光度計でGFPライトキューブ(469/35励起フィルターおよび525/39発光フィルター)を使用して2-NBDG蛍光を測定して、1時間のローディング期間中にフソソーム膜を越えて輸送されてフソソーム内に蓄積された2-NBDGの量を定量する。
【0982】
一部の実施形態では、2-NBDG蛍光は、陰性(DMSO)対照と比較して2-NBDG処置を行ったフソソームにおけるほうが高くなる。525/39発光フィルターでの蛍光測定量は、存在する2-NBDG分子の数に比例することになる。
(実施例90)
非エンドサイトーシス経路によるフソソームの送達
【0983】
この実施例は、非エンドサイトーシス経路によるレシピエント細胞へのCreのフソソーム送達の定量を説明する。
【0984】
一部の実施形態では、フソソームは、薬剤を、フソソーム媒介、非エンドサイトーシス経路によって送達することになる。理論により拘束されることを望まないが、フソソームのエンドサイトーシス媒介取込みを一切必要としない、直接レシピエント細胞のサイトゾルへの、フソソームの内腔内に担持される薬剤、例えばCreの送達が、フソソーム媒介、非エンドサイトーシス経路送達によって起こることになる。
【0985】
この実施例では、フソソームは、センダイウイルスHおよびFタンパク質をその原形質膜上に発現するHEK293T細胞(Tanaka et al., 2015, Gene Therapy, 22(October 2014), 1-8. https://doi.org/10.1038/gt.2014.123)を含む。加えて、フソソームは、mTagBFP2蛍光タンパク質およびCreリコンビナーゼを発現する。標的細胞は、Creによる組換え時にGFPからRFP発現に切り替える(これは、融合および、マーカーとしてのCre送達を示す)CMVプロモーターのもとで「LoxP-GFP-stop-LoxP-RFP」カセットを安定的に発現する、RPMI8226細胞である。
【0986】
本明細書に記載の方法により産生したフソソームを、非エンドサイトーシス経路によるCreの送達について次のようにアッセイする。レシピエント細胞を、黒色の透明底96ウェルプレートに播種する。次に、レシピエント細胞の播種の24時間後、DMEM培地中のレシピエント細胞に、Creリコンビナーゼタンパク質を発現し、特定のフソゲンタンパク質を保有するフソソームを、適用する。非エンドサイトーシス経路によるCre送達レベルを判定するために、フソソームを受けるレシピエント細胞の並行群を、エンドソーム酸性化の阻害剤であるクロロキン(30μg/mL)で処置する。フソソームの用量は、ウェルに播種するレシピエント細胞の数と相関する。フソソームの適用後、細胞プレートを400gで5分間、遠心分離して、フソソームとレシピエント細胞間の接触の開始を助長する。次いで、細胞を16時間インキュベートし、薬剤送達、Creをイメージングによって評定する。
【0987】
細胞をイメージングして、視野またはウェル内のRFP陽性細胞をGFP陽性細胞と対比して陽性同定する。この実施例では、自動蛍光顕微鏡を使用して細胞プレートをイメージングする。先ず、DMEM培地中のHoechst 33342で細胞を10分間染色することにより、所与のウェル内の全細胞集団を判定する。Hoechst 33342は、DNAへのインターカレーションにより細胞核を染色するので、Hoechst 33342を使用して個々の細胞を同定する。染色後、Hoechst培地を通常のDMEM培地に置換する。
【0988】
405nm LEDおよびDAPIフィルターキューブを使用して、Hoechstをイメージングする。465nm LEDおよびGFPフィルターキューブを使用してGFPをイメージングし、その一方で、523nm LEDおよびRFPフィルターキューブを使用してRFPをイメージングする。先ず、陽性対照ウェル、すなわち、フソソームではなくCreリコンビナーゼをコードするアデノウイルスで処置したレシピエント細胞を用いてLED強度および積分時間を確立することにより、異なる細胞群の画像を取得する。
【0989】
取得設定は、RFPおよびGFP強度が飽和値ではなく最大画素強度値での強度になるように設定する。次いで、確立した設定を使用して、目的のウェルをイメージングする。
【0990】
GFPおよびRFP陽性ウェルの解析は、蛍光顕微鏡に付属のソフトウェアまたは他のソフトウェア(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA, 1997-2007)を用いて行う。60μm幅でローリングボールバックグラウンド減算アルゴリズムを使用して画像を前処理する。全細胞マスクをHoechst陽性細胞に設定する。バックグラウンド強度より有意に高いHoechst強度を有する細胞を使用して閾値を設定し、Hoechst陽性細胞であるには小さ過ぎるまたは大き過ぎるエリアを除外する。
【0991】
全細胞マスクの中で、バックグラウンドより有意に高い細胞について再び閾値を設定し、Hoechst(核)マスクを、GFPおよびRFP細胞蛍光全体を含むように細胞エリア全体に拡大することにより、GFPおよびRFP陽性細胞を同定する。
【0992】
レシピエント細胞を含有する対照ウェルにおいて同定されたRFP陽性細胞の数を使用して、フソソームを含有するウェルにおけるRFP陽性細胞の数から減算する(非特異的Loxp組換えについて減算する)。次いで、RFP陽性細胞(Creを受けたレシピエント細胞)の数をGFP陽性細胞(Creを受けていないレシピエント細胞)とRFP陽性細胞の合計で割って、レシピエント細胞集団に送達されたフソソームCreの分率を定量する。レベルを、レシピエント細胞に適用したフソソームの所与の用量に正規化する。非エンドサイトーシス経路によって送達されるフソソームCreの値を算出するために、クロロキンの存在下でのフソソームCre送達(FusL+CQ)のレベルを決定し、クロロキンの非存在下でのフソソームCre送達(FusL-CQ)のレベルも決定する。非エンドサイトーシス経路によって送達されるフソソームCreの正規化値を決定するために、次の式を使用する:[(FusL-CQ)-(FusL+CQ)]/(FusL-CQ)。
【0993】
一部の実施形態では、所与のフソソームについての非エンドサイトーシス経路によって送達されるフソソームCreの平均レベルは、0.1~0.95の範囲内、またはクロロキン処置レシピエント細胞より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくはそれを超えて高くなる。
(実施例91)
エンドサイトーシス経路によるフソソームの送達
【0994】
この実施例は、エンドサイトーシス経路によるレシピエント細胞へのCreのフソソーム送達を説明する。
【0995】
一部の実施形態では、フソソームは、薬剤を、フソソーム媒介、エンドサイトーシス経路によって送達することになる。理論により拘束されることを望まないが、エンドサイトーシス依存性である取込み経路での、レシピエント細胞への、フソソームの内腔内に担持されている薬剤、例えばカーゴの送達が、フソソーム媒介、エンドサイトーシス経路送達によって起こることになる。
【0996】
この実施例では、フソソームは、その原形質膜上にフソゲンタンパク質を発現するHEK293T細胞を2μmフィルターに通して押し出すことにより産生した微小胞(Lin et al., 2016, Biomedical Microdevices, 18(3). doi.org/10.1007/s10544-016-0066-y)(Riedel, Kondor-Koch, & Garoff, 1984, The EMBO Journal, 3(7), 1477-83;www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/6086326から検索)を含む。加えて、フソソームは、mTagBFP2蛍光タンパク質およびCreリコンビナーゼを発現する。標的細胞は、Creによる組換え時にGFPからRFP発現に切り替える(これは、融合および、マーカーとしてのCre送達を示す)CMVプロモーターのもとで「LoxP-GFP-stop-LoxP-RFP」カセットを安定的に発現する、PC3細胞である。
【0997】
本明細書に記載の方法により産生したフソソームを、エンドサイトーシス経路によるCreの送達について次のようにアッセイする。レシピエント細胞を、使用するイメージングシステムに適合する細胞培養マルチウェルプレートに播種する(この実施例では、細胞を黒色の透明底96ウェルプレートに播種する)。次に、レシピエント細胞の播種の24時間後、DMEM培地中のレシピエント細胞に、Creリコンビナーゼタンパク質を発現し、特定のフソゲンタンパク質を保有するフソソームを、適用する。エンドサイトーシス経路によるCre送達レベルを判定するために、フソソームを受けるレシピエント細胞の並行群を、エンドソーム酸性化の阻害剤であるクロロキン(30μg/mL)で処置する。フソソームの用量は、ウェルに播種したレシピエント細胞の数と相関する。フソソームの適用後、細胞プレートを400gで5分間、遠心分離して、フソソームとレシピエント細胞間の接触の開始を助長する。次いで、細胞を16時間インキュベートし、薬剤送達、Creをイメージングによって評定する。
【0998】
細胞をイメージングして、視野またはウェル内のRFP陽性細胞をGFP陽性細胞と対比して陽性同定する。この実施例では、自動蛍光顕微鏡を使用して細胞プレートをイメージングする。先ず、DMEM培地中のHoechst 33342で細胞を10分間染色することにより、所与のウェル内の全細胞集団を判定する。Hoechst 33342は、DNAへのインターカレーションにより細胞核を染色するので、Hoechst 33342を使用して個々の細胞を同定する。染色後、Hoechst培地を通常のDMEM培地に置換する。
【0999】
405nm LEDおよびDAPIフィルターキューブを使用して、Hoechstをイメージングする。465nm LEDおよびGFPフィルターキューブを使用してGFPをイメージングし、その一方で、523nm LEDおよびRFPフィルターキューブを使用してRFPをイメージングする。先ず、陽性対照ウェル、すなわち、フソソームではなくCreリコンビナーゼをコードするアデノウイルスで処置したレシピエント細胞を用いてLED強度および積分時間を確立することにより、異なる細胞群の画像を取得する。
【1000】
取得設定は、RFPおよびGFP強度が飽和値ではなく最大画素強度値での強度になるように設定する。次いで、確立した設定を使用して、目的のウェルをイメージングする。
【1001】
GFPおよびRFP陽性ウェルの解析は、蛍光顕微鏡に付属のソフトウェアまたは他のソフトウェア(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA, 1997-2007)を用いて行う。60μm幅でローリングボールバックグラウンド減算アルゴリズムを使用して画像を前処理する。全細胞マスクをHoechst陽性細胞に設定する。バックグラウンド強度より有意に高いHoechst強度を有する細胞を閾値化し、Hoechst陽性細胞であるには小さ過ぎるまたは大き過ぎるエリアを除外する。
【1002】
全細胞マスクの中で、バックグラウンドより有意に高い細胞について再び閾値化し、Hoechst(核)マスクを、GFPおよびRFP細胞蛍光全体を含むように細胞エリア全体に拡大することにより、GFPおよびRFP陽性細胞を同定する。
【1003】
レシピエント細胞を含有する対照ウェルにおいて同定されたRFP陽性細胞の数を使用して、フソソームを含有するウェルにおけるRFP陽性細胞の数から減算する(非特異的Loxp組換えについて減算する)。次いで、RFP陽性細胞(Creを受けたレシピエント細胞)の数をGFP陽性細胞(Creを受けていないレシピエント細胞)とRFP陽性細胞の合計で割って、レシピエント細胞集団に送達されたフソソームCreの分率を定量する。レベルを、レシピエント細胞に適用したフソソームの所与の用量に正規化する。エンドサイトーシス経路によって送達されるフソソームCreの値を算出するために、クロロキンの存在下でのフソソームCre送達(FusL+CQ)のレベルを決定し、クロロキンの非存在下でのフソソームCre送達(FusL-CQ)のレベルも決定する。エンドサイトーシス経路によって送達されるフソソームCreの正規化値を決定するために、次の式を使用する:(FusL+CQ)/(FusL-CQ)。
【1004】
一部の実施形態では、所与のフソソームについてのエンドサイトーシス経路によって送達されるフソソームCreの平均レベルは、0.01~0.6の範囲内、またはクロロキン処置レシピエント細胞より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくはそれを超えて高くなる。
(実施例92)
ダイナミン媒介経路、マクロピノサイトーシス経路、またはアクチン媒介経路によるフソソームの送達
【1005】
この実施例は、ダイナミン媒介経路によるレシピエント細胞へのCreのフソソーム送達を説明する。微小胞を含むフソソームは、前記実施例で説明したように産生することができる。フソソームを受けるレシピエント細胞の群をダイナミンの阻害剤であるダイナソア(120μM)で処置することを除いて、前記実施例に従ってフソソームをダイナミン媒介経路によるCreの送達についてアッセイする。ダイナミン媒介経路によって送達されるフソソームCreの値を算出するために、ダイナソアの存在下でのフソソームCre送達(FusL+DS)のレベルを決定し、ダイナソアの非存在下でのフソソームCre送達(FusL-DS)のレベルも決定する。送達されるフソソームCreの正規化値は、前記実施例で説明したように算出することができる。
【1006】
この実施例は、マクロピノサイトーシスによるレシピエント細胞へのCreの送達も説明する。微小胞を含むフソソームは、前記実施例で説明したように産生することができる。フソソームを受けるレシピエント細胞の群をマクロピノサイトーシスの阻害剤である5-(N-エチル-N-イソプロピル)アミロライド(EIPA)(25μM)で処置することを除いて、前記実施例に従ってフソソームをマクロピノサイトーシスによるCreの送達についてアッセイする。マクロピノサイトーシスによって送達されるフソソームCreの値を算出するために、EIPAの存在下でのフソソームCre送達(FusL+EPIA)のレベルを決定し、EPIAの非存在下でのフソソームCre送達(FusL-EIPA)のレベルも決定する。送達されるフソソームCreの正規化値は、前記実施例で説明したように算出することができる。
【1007】
この実施例は、アクチン媒介経路によるレシピエント細胞へのCreのフソソーム送達も説明する。微小胞を含むフソソームは、前記実施例で説明したように産生することができる。フソソームを受けるレシピエント細胞の群をアクチン重合の阻害剤であるラトランクリンB(6μM)で処置することを除いて、前記実施例に従ってフソソームをマクロピノサイトーシスによるCreの送達についてアッセイする。アクチン媒介経路によって送達されるフソソームCreの値を算出するために、ラトランクリンBの存在下でのフソソームCre送達(FusL+LatB)のレベルを決定し、ラトランクリンBの非存在下でのフソソームCre送達(FusL-LatB)のレベルも決定する。送達されるフソソームCreの正規化値は、前記実施例で説明したように算出することができる。
(実施例93)
オルガネラの送達
【1008】
この実施例は、in vitroでの細胞とのフソソーム融合を説明する。一部の実施形態では、in vitroでの細胞とのフソソーム融合は、レシピエント細胞へのフソソームミトコンドリアカーゴの送達をもたらすことができる。
【1009】
本明細書に記載の方法により説明される方法により産生したフソソームを、そのミトコンドリアをレシピエント細胞に送達するその能力について以下のようにアッセイした。
【1010】
この特定の実施例では、フソソームは、その膜上にフソゲンタンパク質を発現するHEK293T細胞であって、ミトコンドリアを標識するためのミトコンドリアに標的化されたDsRED(mito-DsRED)も発現するHEK293T細胞であった。レシピエント細胞を、使用するイメージングシステムに適合する細胞培養マルチウェルプレートに播種した(この実施例では、細胞をガラス底イメージングディッシュに播種した)。レシピエント細胞は、サイトゾルGFPを安定的に発現した。
【1011】
次に、レシピエント細胞の播種の24時間後、DMEM培地中のレシピエント細胞に、mito-DsREDを発現し、特定のフソゲンタンパク質を保有するフソソームを、適用した。フソソームの用量は、ウェルに播種したレシピエント細胞の数と相関した。フソソームの適用後、細胞プレートを400gで5分間、遠心分離して、フソソームとレシピエント細胞間の接触の開始を助長した。次いで、細胞を4時間インキュベートし、VSVG媒介融合を、pH6.0リン酸緩衝食塩水への1分の曝露により誘導した(または対照細胞をpH7.4リン酸緩衝食塩水に曝露する)。融合の誘導後、細胞をさらに16時間インキュベートし、ミトコンドリア送達をイメージングによって評定した。
【1012】
この実施例では、37℃および5%CO2で維持しながら、Zeiss LSM 710共焦点顕微鏡で63倍油浸対物レンズを用いて、細胞をイメージングした。GFPを488nmレーザーで励起させ、発光を495~530nmバンドパスフィルターによって記録した。DsREDを543nmレーザーで励起させ、発光を560~610nmバンドパスフィルターによって記録した。細胞をスキャンして、サイトゾルGFP蛍光およびmito-DsRED蛍光に対して陽性の細胞を陽性同定した。
【1013】
サイトゾルGFPミトコンドリアとmito-DsREDミトコンドリア両方の存在が同じ細胞で認められ、これは、細胞がVSVG媒介融合を受けたこと、したがって、ミトコンドリアがフソソームからレシピエント細胞に送達されたことを示す。
(実施例94)
DNAのin vitro送達
【1014】
この実施例は、フソソームを使用するDNAの細胞へのin vitroでの送達を説明する。この実施例は、外因性遺伝子、GFP、代替治療用カーゴをコードするプラスミドを使用してDNAを送達するフソソームの能力を定量する。
【1015】
フソゲンがCreのオープンリーディングフレームとインフレームになるようにフソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。フソソームの産生後、GFPをコードする配列を有するプラスミド(System Biosciences,Inc.)をそのフソソームにさらにヌクレオフェクトする。
【1016】
例えば、Chen X, et al., Genes Dis. 2015 Mar;2(1):96-105.DOI:10.1016/j.gendis.2014.12.001を参照されたい。
【1017】
陰性対照として、ベータ-アクチンをコードする配列を有するプラスミドをフソソームにヌクレオフェクトする。
【1018】
次いで、十分な数のフソソームを、37℃および5%CO
2で、loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するレシピエントNIH/3T3線維芽細胞系とともに、48時間、20%ウシ胎仔血清と1×ペニシリン/ストレプトマイシンとを含有するDMEM中でインキュベートする。48時間のインキュベーション後、次いで、FACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)を使用して561nmレーザー励起でFACSによってtdTomato陽性細胞を単離し、発光を590+/-20nmで収集する。次いで、DNA抽出溶液(Epicentre)を使用して全DNAを単離し、600bp断片を増幅するGFPに特異的なプライマー(表222を参照されたい)を使用してPCRを行う。次いで、ゲル電気泳動後にゲル上に存在する600bp断片は、レシピエント細胞へのDNA送達の存在を実証することになる。
【表22】
【1019】
一部の実施形態では、in vitroでのフソソームでの核酸カーゴの送達は、陰性対照と比較して、GFPプラスミドを有するフソソームでのほうが多い。陰性対照では無視できるほどのGFP蛍光しか検出されない。
(実施例95)
DNAのin vivo送達
【1020】
この実施例は、フソソームによるin vivoでの細胞へのDNAの送達を説明する。in vivoでの細胞へのDNAの送達は、レシピエント細胞内でのタンパク質の発現をもたらす。
【1021】
in vivoでのフソソームDNA送達は、生物(マウス)体内のレシピエント細胞内へのDNAの送達およびそのレシピエント細胞内でのタンパク質発現を実証することになる。
【1022】
肝臓指向性フソゲンを発現するフソソームを、本明細書に記載するように調製する。フソソームの産生後、Creリコンビナーゼをコードする配列を有するプラスミドをそのフソソームにさらにヌクレオフェクトする。
【1023】
フソソームをin vivo送達用に調製する。フソソーム懸濁液を遠心分離に付す。フソソームのペレットを注射用の滅菌リン酸緩衝食塩水に再懸濁させる。
【1024】
核酸検出方法、例えばPCRを使用して、フソソームがDNAを含有することを検証する。
【1025】
レシピエントマウスは、フソソームにより送達されるDNAから作製されるCREタンパク質によってルシフェラーゼの発現の遮断を解除するように改変されているloxp-ルシフェラーゼゲノムDNA遺伝子座を保有する(JAX#005125)。この実施例の陽性対照は、同じタンパク質をそれ自体のゲノムから肝臓において排他的に発現するマウス系統と交配したレシピエントマウスの子孫(アルブミン-CRE JAX#003574)である。この交配からの子孫は、各対立遺伝子(loxp-ルシフェラーゼ、アルブミン-CRE)の一方を保有する。陰性対照は、フソゲンを発現しないフソソーム、またはフソゲンを有するがCre DNAを含有しないフソソームをレシピエントマウスに注射することによって行う。
【1026】
フソソームを尾静脈静脈内(IV)投与によりマウスに送達する。マウスを市販のマウス拘束器(Harvard Apparatus)に入れる。拘束する前に、動物のケージを循環水浴上に置くことにより動物を温める。拘束器内に入れたら、動物を放置して順化させる。30G針先端と、3”長のPE-10チューブと、28G針とからなるIVカテーテルを用意し、ヘパリン添加食塩水でフラッシュする。尾を70%アルコールプレップパッドで消毒する。次いで、カテーテル針を鉗子で把持し、チューブ内に血液が見えてくるまで外側尾静脈にゆっくりと導入する。フソソーム溶液(約500K~5Mフソソーム)を1ccツベルクリン注射器に吸引し、輸液ポンプに接続する。フソソーム溶液を、用量に依存して30秒~5分間、毎分20μLの速度で送達する。輸注が完了した時点で、カテーテルを取り外し、一切の出血が止まるまで注射部位に圧力をかける。マウスをそれらのケージに戻し、放置して回復させる。
【1027】
融合後、DNAは、CREタンパク質に転写され、翻訳されることになり、するとそのCREタンパク質が核に移行して組換えを実行し、その結果、ルシフェラーゼが構成的に発現されることになる。D-ルシフェリン(Perkin Elmer、150mg/kg)の腹腔内投与により、生物発光が生じることよってルシフェラーゼ発現の検出が可能になる。動物が動かないようにするためのコーン付き麻酔器(イソフルラン)を内蔵しているin vivo生物発光イメージングチャンバー(Perkin Elmer)に動物を入れる。光子収集を注射後8~20分の間行って、D-ルシフェリン薬物動態学的クリアランスに起因する生物発光の最大値を観測する。肝臓の特定の領域をソフトウェアで作成し、計数率が(この領域で)600より上になるように収集露光時間を設定して、解釈可能な放射輝度(光子/秒/cm2/ステラジアン)測定値を得る。生物発光放射輝度の最大値を生物発光分布の画像として記録する。肝臓組織を、特に、バックグラウンド(未処置動物)および陰性対照のものより上の放射輝度測定値についてモニターする。注射後24時間の時点で測定を行ってルシフェラーゼ活性を観察する。次いで、マウスを安楽死させ、肝臓を採取する。
【1028】
採取したての組織を、4℃で1~3時間の4%パラホルムアルデヒド/0.1Mリン酸ナトリウム緩衝剤pH7.4への浸漬による固定および包埋に付す。次いで、組織を4℃の滅菌15%スクロース/1×PBSに浸漬する(3時間~終夜)。次いで、組織をO.C.T.(Baxter番号M7148-4)に包埋する。切片作製のためにブロック内の組織(断面)の向きを適切に合わせる。次いで、次の方法を使用して組織を液体窒素で凍結させる:ブロックの下3分の1を液体窒素に入れ、O.C.T.の中心部を除いてすべてが凍結されるまで放置して凍結させ、ドライアイスで凍結を完結させる。ブロックをクリオスタットにより切片作製して5~7マイクロメートル切片にし、スライドガラスに載せ、染色のために再凍結させる。
【1029】
抗ジゴキシゲニン蛍光抗体により標識したジゴキシゲニン標識核酸プローブを(CRE DNAおよびルシフェラーゼmRNA検出に)使用して組織切片のin situハイブリダイゼーションを(標準的な方法を使用して)行い、共焦点顕微鏡観察により観察する。
【1030】
一部の実施形態では、陽性対照動物(フソソーム注射を伴わない育種による組換え)は、未処置動物(CREなしおよびフソソームなし)および陰性対照と比較して肝臓において生物発光強度を示すことになり、その一方で、薬剤注射動物は、陰性対照(フソゲンを有さないフソソーム)および未処置動物と比較して肝臓において生物発光を示すことになる。
【1031】
実施形態では、薬剤注射動物の組織切片における核酸の検出は、組織内の細胞において、陰性対照および未処置動物と比較してCREリコンビナーゼおよびルシフェラーゼmRNAの検出を明示することになり、その一方で、陽性対照は、組織全体にわたって、ルシフェラーゼmRNAとCREリコンビナーゼDNAの両方のレベルを示すことになる。
【1032】
フソソームによるDNA送達の証拠を、動物のレシピエント組織におけるDNAおよびその共局在についてのin situハイブリダイゼーションに基づく検出によって検出することになる。DNAから発現されるタンパク質の活性を、生物発光イメージングによって検出することになる。実施形態では、フソソームは、タンパク質産生および活性をもたらすDNAを送達することになる。
(実施例96)
mRNAのin vitro送達
【1033】
この実施例は、in vitroでの細胞とのフソソーム融合を説明する。一部の実施形態では、in vitroでの細胞とのフソソーム融合は、レシピエント細胞への特定mRNAの送達をもたらす。
【1034】
本明細書に記載の方法により産生したフソソームを、特定mRNAをレシピエント細胞に送達するその能力について次のようにアッセイした。この特定の実施例では、フソソームは、CreおよびGFPを発現する3T3マウス線維芽細胞から生成された細胞生物製剤(核を欠いている)であった。したがって、細胞生物製剤をHVJ-Eフソゲンタンパク質で処置してフソソームを産生した。
【1035】
レシピエントマウスマクロファージ細胞を、使用するイメージングシステムに適合する細胞培養マルチウェルプレートに播種した(この実施例では、細胞をガラス底イメージングディッシュに播種する)。レシピエント細胞は、Creによる組換え時にtdTomato発現を誘導する(これは、レシピエント細胞へのCreタンパク質の送達を示す)CMVプロモーターのもとで「LoxP-stop-LoxP-tdTomato」カセットを安定的に発現した。
【1036】
次に、レシピエント細胞の播種の24時間後、DMEM培地中のレシピエント細胞に、Creリコンビナーゼタンパク質を発現し、特定のフソゲンタンパク質を保有するフソソームを、適用した。フソソームの用量は、ウェルに播種したレシピエント細胞の数と相関した。フソソームの適用後、細胞プレートを400gで5分間、遠心分離して、フソソームとレシピエント細胞間の接触の開始を助長した。次いで、細胞を16時間インキュベートし、mRNA送達をイメージングによって評定した。
【1037】
細胞を、イメージング前に10分間、DMEM培地中の1μg/mLのHoechst 33342で染色した。この実施例では、37℃および5%CO2で維持しながら、Zeiss LSM 710共焦点顕微鏡で63倍油浸対物レンズを用いて、細胞をイメージングした。Hoechstを405nmレーザーで励起させ、発光を430~460nmバンドパスフィルターによって記録した。GFPを488nmレーザーで励起させ、発光を495~530nmバンドパスフィルターによって記録した。tdTomatoを543nmレーザーで励起させ、発光を560~610nmバンドパスフィルターによって記録した。
【1038】
先ず、細胞をスキャンして、単核のtdTomato陽性細胞を陽性同定した。tdTomato陽性細胞の存在は、融合された細胞を示し、単一の核は、融合が細胞生物製剤フソソームドナーによるものであることを示した。これらの同定細胞を先ずイメージングして、次いでその後、488nmレーザーを使用して光退色させてGFP蛍光を部分的にクエンチした。次いで、細胞を経時的にイメージングしてGFP蛍光の回復を評定し、この回復は、新しいGFPタンパク質の翻訳、したがって、ドナーフソソームにより送達されたGFP mRNAの存在を実証することになる。
【1039】
目的の細胞におけるHoechst、GFPおよびtdTomato蛍光の解析を、ImageJソフトウェア(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA, rsb.info.nih.gov/ij/, 1997-2007)を使用して行った。先ず、60μm幅でローリングボールバックグラウンド減算アルゴリズムを使用して画像を前処理した。光退色細胞内のGFP蛍光を閾値化してバックグラウンドを除去した。次いで、光退色細胞のGFP平均蛍光強度を、光退色前および後の異なる時点で解析した。
【1040】
この特定の実施例の中で、CreおよびGFPを発現し、どちらかが適用されたフソゲンHVJ-E(+フソゲン)を保有する、3T3マウス線維芽細胞の細胞生物製剤を、「LoxP-stop-LoxP-tdTomato」カセットを発現するレシピエントマウスマクロファージ細胞に適用した。代表的な画像およびデータを
図5に示す。この特定の実施例の場合、GFP蛍光強度は、光退色の10時間後に元の強度の最大25%を回復し、これは、レシピエント細胞において活発に翻訳されるmRNAの送達を示す。
(実施例97)
siRNAのin vitro送達
【1041】
この実施例は、フソソームによるin vitroでの細胞への低分子干渉RNA(siRNA)の送達を説明する。in vitroでの細胞へのsiRNAの送達は、レシピエント細胞内でのタンパク質の発現の抑制をもたらす。このことを使用して、その発現が細胞にとって有害であるタンパク質の活性を阻害することができ、したがって、細胞を正常に挙動することを可能にする。
【1042】
本明細書に記載の方法により産生したフソソームを、特定siRNAをレシピエント細胞に送達するその能力について次のようにアッセイする。フソソームを本明細書に記載するように調製する。フソソームの産生後、GFPを特異的に阻害する配列を有するsiRNAをそのフソソームにさらに電気穿孔する。GFPに対して標的化された二本鎖siRNAの配列は、5’GACGUAAACGGCCACAAGUUC 3’(配列番号43)およびその相補配列3’CGCUGCAUUUGCCGGUGUUCA 5’(配列番号44)である(siRNA配列の3’末端に2塩基対長のオーバーハングがあることに留意されたい)。陰性対照としてルシフェラーゼを特異的に阻害する配列を有するsiRNAをフソソームに電気穿孔する。ルシフェラーゼに対して標的化された二本鎖siRNAの配列は、5’CUUACGCUGAGUACUUCGATT 3’(配列番号45)およびその相補配列3’TTGAAUGCGACUCAUGAAGCU 5’(配列番号46)である(siRNA配列の3’末端に2塩基対長のオーバーハングがあることに留意されたい)。
【1043】
次いで、GFPを構成的に発現するレシピエント細胞にフソソームを適用する。レシピエント細胞を、黒色の透明底96ウェルプレートに播種する。次に、レシピエント細胞の播種の24時間後、発現するフソソームをDMEM培地中のレシピエント細胞に適用する。フソソームの用量は、ウェルに播種したレシピエント細胞の数と相関する。フソソームの適用後、細胞プレートを400gで5分間、遠心分離して、フソソームとレシピエント細胞間の接触の開始を助長する。次いで、細胞を16時間インキュベートし、薬剤送達、siRNAをイメージングによって評定する。
【1044】
細胞をイメージングして、視野またはウェル内のGFP陽性細胞を陽性同定する。この実施例では、自動蛍光顕微鏡(www.biotek.com/products/imaging-microscopy-automated-cell-imagers/lionheart-fx-automated-live-cell-imager/)を使用して細胞プレートをイメージングする。先ず、DMEM培地中のHoechst 33342で細胞を10分間染色することにより、所与のウェル内の全細胞集団を判定する。Hoechst 33342は、DNAへのインターカレーションにより細胞核を染色するので、Hoechst 33342を使用して個々の細胞を同定する。染色後、Hoechst培地を通常のDMEM培地に置換する。
【1045】
405nm LEDおよびDAPIフィルターキューブを使用して、Hoechstをイメージングする。465nm LEDおよびGFPフィルターキューブを使用して、GFPをイメージングする。先ず、未処置ウェル、すなわち、いかなるフソソームでも処置しなかったレシピエント細胞を用いてLED強度および積分時間を確立することにより、異なる細胞群の画像を取得する。
【1046】
取得設定は、GFP強度が飽和値ではなく最大画素強度値での強度になるように設定する。次いで、確立した設定を使用して、目的のウェルをイメージングする。
【1047】
GFP陽性ウェルの解析は、蛍光顕微鏡に付属のソフトウェアまたは他のソフトウェア(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA, http://rsb.info.nih.gov/ij/, 1997-2007)を用いて行う。60μm幅でローリングボールバックグラウンド減算アルゴリズムを使用して画像を前処理する。全細胞マスクをHoechst陽性細胞に設定する。バックグラウンド強度より有意に高いHoechst強度を有する細胞を閾値化し、Hoechst陽性細胞であるには小さ過ぎるまたは大き過ぎるエリアを除外する。
【1048】
全細胞マスクの中で、バックグラウンドより有意に高い細胞について再び閾値化し、Hoechst(核)マスクを、GFP細胞蛍光全体を含むように細胞エリア全体に拡大することにより、GFP陽性細胞を同定する。全細胞のうちのGFP陽性細胞のパーセンテージを算出する。
【1049】
実施形態では、GFPに対するsiRNAを含有するフソソームで処置したウェルにおけるGFP陽性細胞のパーセンテージは、ルシフェラーゼに対するsiRNAを含有するフソソームで処置したウェルにおけるGFP陽性細胞のパーセンテージより少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%低くなる。
(実施例98)
mRNAのin vivo送達
【1050】
この実施例は、フソソームによるin vivoでの細胞へのメッセンジャーRNA(mRNA)の送達を説明する。一部の実施形態では、in vivoでの細胞へのmRNAの送達は、レシピエント細胞内でのタンパク質の発現をもたらす。一部の実施形態では、この送達方法を使用して、遺伝的突然変異に起因して存在しないタンパク質を補充することができ、したがって、細胞が正常に挙動することを可能にする、または機能、例えば治療機能を行うように細胞の活性の方向を変えることを可能にする。
【1051】
一部の実施形態では、in vivoでのフソソームmRNA送達は、生物(例えば、マウス)体内のレシピエント細胞内へのメッセンジャーRNAの送達およびそのレシピエント細胞内でのタンパク質発現を実証する。
【1052】
一部の実施形態では、肝臓指向性フソゲンを発現するフソソームであって、Creを発現するmRNAを産生するフソソームを、in vivo送達用に調製する。
【1053】
フソソームを本明細書に記載するように調製する。フソソーム懸濁液を遠心分離に付す。フソソームのペレットを注射用の滅菌リン酸緩衝食塩水に再懸濁させる。
【1054】
核酸検出方法、例えばPCRを使用して、フソソームがmRNAを発現することを検証する。
【1055】
レシピエントマウスは、フソソームにより送達されるmRNAから作製されるCREタンパク質によってルシフェラーゼの発現の遮断を解除するように改変されているloxp-ルシフェラーゼゲノムDNA遺伝子座を保有する(JAX#005125)。この実施例の陽性対照は、同じタンパク質をそれ自体のゲノムから肝臓において排他的に発現するマウス系統と交配したレシピエントマウスの子孫(アルブミン-CRE JAX#003574)である。この交配からの子孫は、各対立遺伝子(loxp-ルシフェラーゼ、アルブミン-CRE)の一方を保有する。陰性対照は、フソゲンを発現しないフソソーム、またはフソゲンを有するがCre mRNAを発現しないフソソームを、レシピエントマウスに注射することによって行う。
【1056】
フソソームを尾静脈静脈内(IV)投与によりマウスに送達する。マウスを市販のマウス拘束器(Harvard Apparatus)に入れる。拘束する前に、動物のケージを循環水浴上に置くことにより動物を温める。拘束器内に入れたら、動物を放置して順化させる。30G針先端と、3”長のPE-10チューブと、28G針とからなるIVカテーテルを用意し、ヘパリン添加食塩水でフラッシュする。尾を70%アルコールプレップパッドで消毒する。次いで、カテーテル針を鉗子で把持し、チューブ内に血液が見えてくるまで外側尾静脈にゆっくりと導入する。フソソーム溶液(約500K~5Mフソソーム)を1ccツベルクリン注射器に吸引し、輸液ポンプに接続する。フソソーム溶液を、用量に依存して30秒~5分間、毎分20μLの速度で送達する。輸注が完了した時点で、カテーテルを取り外し、一切の出血が止まるまで注射部位に圧力をかける。マウスをそれらのケージに戻し、放置して回復させる。
【1057】
融合後、mRNAは、レシピエント細胞質においてCREタンパク質に翻訳され、するとそのCREタンパク質が核に移行して組換えを実行し、その結果、ルシフェラーゼが構成的に発現されることになる。D-ルシフェリン(Perkin Elmer、150mg/kg)の腹腔内投与により、生物発光が生じることよってルシフェラーゼ発現の検出が可能になる。動物が動かないようにするためのコーン付き麻酔器(イソフルラン)を内蔵しているin vivo生物発光イメージングチャンバー(Perkin Elmer)に動物を入れる。光子収集を注射後8~20分の間行って、D-ルシフェリン薬物動態学的クリアランスに起因する生物発光の最大値を観測する。肝臓の特定の領域をソフトウェアで作成し、計数率が(この領域で)600より上になるように収集露光時間を設定して、解釈可能な放射輝度(光子/秒/cm2/ステラジアン)測定値を得る。生物発光放射輝度の最大値を生物発光分布の画像として記録する。肝臓組織を、特に、バックグラウンド(未処置動物)および陰性対照のものより上の放射輝度測定値についてモニターする。注射後24時間の時点で測定を行ってルシフェラーゼ活性を観察する。次いで、マウスを安楽死させ、肝臓を採取する。
【1058】
採取したての組織を、4℃で1~3時間の4%パラホルムアルデヒド/0.1Mリン酸ナトリウム緩衝剤pH7.4への浸漬による固定および包埋に付す。次いで、組織を4℃の滅菌15%スクロース/1×PBSに浸漬する(3時間~終夜)。次いで、組織をO.C.T.(Baxter番号M7148-4)に包埋する。切片作製のためにブロック内の組織(断面)の向きを適切に合わせる。次いで、次の方法を使用して組織を液体窒素で凍結させる:ブロックの下3分の1を液体窒素に入れ、O.C.T.の中心部を除いてすべてが凍結されるまで放置して凍結させ、ドライアイスで凍結を完結させる。ブロックをクリオスタットにより切片作製して5~7マイクロメートル切片にし、スライドガラスに載せ、染色のために再凍結させる。
【1059】
抗ジゴキシゲニン蛍光抗体により標識したジゴキシゲニン標識RNAプローブを(CRE mRNAおよびルシフェラーゼmRNA検出に)使用して組織切片のin situハイブリダイゼーションを行い(標準的な方法を使用する)、共焦点顕微鏡観察により観察する。
【1060】
一部の実施形態では、陽性対照動物(例えば、フソソーム注射を伴わない育種による組換え)は、未処置動物(例えば、CREもフソソームもなし)および陰性対照と比較して、肝臓において生物発光強度を示すことになる。一部の実施形態では、フソソーム注射動物は、陰性対照(フソゲンを有さないフソソーム)および未処置動物と比較して、肝臓において生物発光を示すことになる。
【1061】
一部の実施形態では、フソソームを投与した動物の組織切片におけるmRNAの検出は、組織内の細胞において、陰性対照および未処置動物と比較してCREリコンビナーゼおよびルシフェラーゼmRNAの検出を明示することになる。一部の実施形態では、陽性対照は、組織全体にわたって、ルシフェラーゼmRNAとCREリコンビナーゼmRNAの両方のレベルを示すことになる。
【1062】
一部の実施形態では、フソソームによるmRNA送達の証拠を、動物のレシピエント組織におけるmRNAおよびその共局在についてのin situハイブリダイゼーションに基づく検出によって検出することになる。一部の実施形態では、フソソームにより送達されたmRNAから発現されたタンパク質の活性を、生物発光イメージングにより検出する。一部の実施形態では、フソソームは、タンパク質産生および活性をもたらすmRNAを送達する。
(実施例99)
タンパク質のin vitro送達
【1063】
この実施例は、in vitroでの細胞とのフソソーム融合を実証する。この実施例では、in vitroでの細胞とのフソソーム融合は、レシピエント細胞へのCreタンパク質の送達をもたらす。
【1064】
この実施例では、センダイウイルスHVJ-Eタンパク質を保有する3T3マウス線維芽細胞(Tanaka et al., 2015, Gene Therapy, 22(October 2014), 1-8. doi.org/10.1038/gt.2014.12)からフソソームを生成した。加えて、フソソームは、Creリコンビナーゼを発現した。標的細胞は、Creによる組換え時にGFPからRFP発現に切り替える(これは、融合および、マーカーとしてのCre送達を示す)CMVプロモーターのもとで「LoxP-GFP-stop-LoxP-RFP」カセットを安定的に発現する、初代HEK293T細胞であった。
【1065】
本明細書に記載の方法により産生したフソソームを、Creタンパク質をレシピエント細胞に送達する能力について次のようにアッセイした。レシピエント細胞を、使用するイメージングシステムに適合する細胞培養マルチウェルプレートに播種した(この実施例では、細胞を黒色の透明底96ウェルプレートに播種した)。次に、レシピエント細胞の播種の24時間後、DMEM培地中のレシピエント細胞に、Creリコンビナーゼタンパク質を発現し、特定のフソゲンタンパク質を保有するフソソームを、適用した。フソソームの用量は、ウェルに播種したレシピエント細胞の数と相関した。フソソームの適用後、細胞プレートを400gで5分間、遠心分離して、フソソームとレシピエント細胞間の接触の開始を助長した。次いで、細胞を16時間インキュベートし、タンパク質送達をイメージングによって評定した。
【1066】
細胞をイメージングして、視野またはウェル内のRFP陽性細胞をGFP陽性細胞と対比して陽性同定した。この実施例では、自動顕微鏡を使用して細胞プレートをイメージングした。先ず、DMEM培地中の1μg/mLのHoechst 33342で細胞を10分間染色することにより、所与のウェル内の全細胞集団を判定した。Hoechst 33342は、DNAへのインターカレーションにより細胞核を染色するので、Hoechst 33342を使用して個々の細胞を同定する。染色後、Hoechst培地を通常のDMEM培地に置換した。405nm LEDおよびDAPIフィルターキューブを使用して、Hoechstをイメージングした。465nm LEDおよびGFPフィルターキューブを使用してGFPをイメージングし、その一方で、523nm LEDおよびRFPフィルターキューブを使用してRFPをイメージングした。先ず、陽性対照ウェル、すなわち、Creリコンビナーゼをコードするアデノウイルスで処置した細胞を用いてLED強度および積分時間を確立することにより、異なる細胞群の画像を取得した。取得設定は、RFPおよびGFP強度が飽和値ではなく最大画素強度値での強度になるように設定した。次いで、確立した設定を使用して、目的のウェルをイメージングした。
【1067】
Hoechst、GFP、およびRFP陽性ウェルの解析は、LionHeart FXに付属のGen5ソフトウェアで、またはImageJソフトウェア(Rasband, W.S., ImageJ, U. S. National Institutes of Health, Bethesda, Maryland, USA, http://rsb.info.nih.gov/ij/, 1997-2007)によって、行った。先ず、60μm幅でローリングボールバックグラウンド減算アルゴリズムを使用して画像を前処理した。次に、全細胞マスクをHoechst陽性細胞に設定した。バックグラウンド強度より有意に高いHoechst強度を有する細胞を閾値化し、Hoechst陽性細胞であるには小さ過ぎるまたは大き過ぎるエリアを除外した。全細胞マスクの中で、バックグラウンドより有意に高い細胞について再び閾値化し、Hoechst(核)マスクを、GFPおよびRFP細胞蛍光全体を含むように細胞エリア全体に拡大することにより、GFPおよびRFP陽性細胞を同定した。
【1068】
レシピエント細胞のみを含有する対照ウェルにおいて同定されたRFP陽性細胞の数を使用して、フソソームを含有するウェルにおけるRFP陽性細胞の数から減算した(非特異的Loxp組換えについて減算した)。次いで、RFP陽性細胞(薬剤を受けたレシピエント細胞)の数をGFP陽性細胞(薬剤を受けていないレシピエント細胞)とRFP陽性細胞の合計で割って、レシピエント細胞集団内のフソソーム剤送達の分率を定量した。
【1069】
この特定の実施例の中で、Creを発現し、適用されたフソゲンHVJ-E(+フソゲン)を保有するかまたは保有しない(-fusogen)、3T3マウス線維芽細胞を、「LoxP-GFP-stop-LoxP-RFP」カセットを発現するレシピエント293T細胞に適用した。Creタンパク質の送達を、レシピエント細胞におけるRFP発現の誘導によって評定する。
図6のグラフは、Hoechstに対して陽性の染色を示した全細胞(各ペアの最も左側のバー)のうちのRFP陽性細胞(各ペアの最も右側のバー)の定量を示す。この特定の実施例の場合、レシピエント細胞へのフソソーム送達の分率は、HVJ-Eフソゲンを保有する3T3 Cre細胞について0.44である。
(実施例100)
タンパク質のin vivo送達
【1070】
この実施例は、フソソームによる眼への治療剤の送達を説明する。
【1071】
フソソームは、前の実施例において説明した方法のいずれかを使用して造血幹細胞および始原細胞から得られ、ノックアウトされたマウスに欠損しているタンパク質をフソソームにローディングする。
【1072】
タンパク質が欠損しているマウスの右眼にフソソームを網膜下注射し、マウスの左眼にビヒクル対照を注射する。マウスのサブセットを、それらが2ヶ月齢に達したら、安楽死させる。
【1073】
採取した網膜組織の組織学的検査およびH&E染色を行って、マウスの各網膜においてレスキューされた細胞の数を計数する(Sanges et al., The Journal of Clinical Investigation, 126(8): 3104-3116, 2016に記載されている)。
【1074】
注射タンパク質のレベルを、2ヶ月齢で安楽死させたマウスから採取した網膜において、PDE6Bタンパク質に特異的な抗体でのウエスタンブロットによって測定する。
【1075】
一部の実施形態では、フソソームを投与されるマウスの左眼は、ビヒクルで処置されるマウスの右眼と比較して、網膜の外顆粒層(outer nuclear level)に存在する核の数の増加を有することになる。タンパク質の増加は、突然変異したPBE6Bタンパク質の補完を示唆する。
(実施例101)
レシピエントDNAを編集するための送達
【1076】
この実施例は、in vitroでの細胞へのゲノムCRISPR-Cas9編集機構の送達のためのフソソームを説明する。一部の実施形態では、フソソームによるin vitroでの細胞へのゲノムCRISPR-Cas9編集機構の送達は、レシピエント細胞内の特定のタンパク質の機能の喪失をもたらす。この実施例で言及するゲノム編集機構は、GFPに特異的なガイドRNA(gRNA)と複合体を形成しているS.pyogenes Cas9タンパク質である。
【1077】
一部の実施形態では、フソソームは、治療剤の送達のためのシャーシである。一部の実施形態では、高い特異性および効率で細胞に送達され得るゲノム編集機構などの治療剤を使用して、高レベルでまたは不適切な細胞型において発現されると病原性になる遺伝子を、したがって後の遺伝子産物を不活性化することができるだろう。
【1078】
フソソームが、A.Victoria EGFPの配列に特異的であるガイドRNA(gRNA)配列と複合体を形成しているS.pyogenes Cas9タンパク質も含むように、フソソームを操作することを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生されるフソソーム組成物。これを、P2A切断配列により隔てられている、S.pyogenes Cas9のオープンリーディングフレームとのインフレーム融合体である、ネオマイシン耐性遺伝子のオープンリーディングフレームを有するPiggyBacベクターをコヌクレオフェクトすることによって、実現する。コヌクレオフェクトされるさらなるPiggyBacベクターとして、U6プロモーターにより駆動されるgRNA配列(GAAGTTCGAGGGCGACACCC(配列番号47))も挙げられる。陰性対照として、フソソームが、マウスゲノム内の任意の標的に非特異的であるスクランブル型gRNA(GCACTACCAGAGCTAACTCA(配列番号48))配列と複合体を形成しているS.pyogenes Cas9タンパク質を含むように、フソソームを操作する。
【1079】
十分な数のフソソームを、37℃および5%CO
2で、NIH/3T3 GFP+細胞とともに、48時間、20%ウシ胎仔血清と1×ペニシリン/ストレプトマイシンとを含有するDMEM中でインキュベートする。48時間のインキュベーション後、ゲノムDNAを調製し、GFP遺伝子内の予測gRNA切断部位の500bp以内の領域に特異的なプライマー(表23を参照されたい)とともに、鋳型として使用する。
【表23】
【1080】
次いで、PCRアンプリコンを精製し、キャピラリーシーケンシングによりシーケンシングし、次いで、ガイドRNAにより決定される標的遺伝子座のCRISPR-Cas9によるゲノム編集を迅速に評定するウェブツールであるTide Calculatorにアップロードする。2つの標準的キャピラリーシーケンシング反応からの定量的配列トレースデータに基づいて、ソフトウェアは、編集有効性を定量する。GFP遺伝子座を有する予測gRNA切断部位でのインデル(挿入または欠失)は、細胞におけるGFP発現の喪失をもたらすので、インデルを、FACS解析(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)を使用する488nmアルゴンレーザー励起でのFACSよって定量し、発光を530+/-30nmで収集する。FACSソフトウェアを、取得および解析に使用する。光散乱チャネルをリニアゲインに設定し、蛍光チャネルを対数スケールに設定し、各条件で最低10,000個の細胞を解析する。インデルおよびその後のGFP機能喪失を、各試料におけるGFPシグナルの強度に基づいて算出する。
【1081】
一部の実施形態では、GFP遺伝子座を有する予測gRNA切断部位でのインデル(挿入または欠失)、および細胞におけるGFP蛍光の喪失は、陰性対照と比較して、フソソームが、in vitroでDNAを編集することができること、および結果としてタンパク質機能を喪失させることができることを示す。一部の実施形態では、スクランブル型gRNA配列を有するフソソームは、インデルも、その後のタンパク質機能喪失も明示しないことになる。
(実施例102)
フソソームの投与後の奇形種形成の評定
【1082】
この実施例は、フソソームでの奇形種形成の非存在を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、対象に投与されたとき、奇形種形成をもたらさないことになる。
【1083】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生する。PBS中の、フソソーム、腫瘍細胞(陽性対照)またはビヒクル(陰性対照)を、マウス(12~20週齢)の左側腹部に皮下注射する。奇形腫、例えば腫瘍、成長を、フソソーム、腫瘍細胞またはビヒクル注射後8週間、週に2~3回、ノギスでの測定による腫瘍体積の判定によって分析する。
【1084】
一部の実施形態では、フソソームまたはビヒクルを投与したマウスは、ノギスでの測定によって測定可能な腫瘍形成、例えば奇形腫を有さないことになる。一部の実施形態では、腫瘍細胞で処置した陽性対照動物は、8週間の観察期間にわたってノギスにより測定して認識できる腫瘍、例えば奇形腫、サイズを明示することになる。
(実施例103)
フソソームはin vivoで対象のレシピエント細胞に活性タンパク質を送達する
【1085】
この実施例は、フソソームがin vivoで対象にタンパク質を送達することができることを実証する。このことは、核編集タンパク質Creの送達により例示される。細胞の内部に入ると、Creは核に移行し、そこでCreは、2つのLoxP部位を組換え、2つのLoxP部位の間のDNAを切断する。2つのLoxP部位間のDNAが停止コドンであり、赤色蛍光タンパク質tdTomatoなどの遠位蛍光タンパク質の上流にある場合、Cre媒介組換えを顕微鏡で測定することができる。
【1086】
タカラバイオ株式会社から購入した、CREとフソゲンVSV-Gとを含有するフソソーム(Cre Recombinase Gesicles、タカラバイオ株式会社製品631449)を、B6.Cg-Gt(ROSA)26Sor
tm9(CAG-tdTomato)Hze/Jマウス(Jackson Laboratories 007909系統)に注射した。動物の、表24に記載するような解剖学的部位、注射体積および注射部位に、注射した。tdTomatoを有さないマウス(FVB.129S6(B6)-GT(ROSA)26Sor
tm1(Luc)Kael/J、Jackson Laboratories 005125系統)であって、フソソームを注射したマウスと、フソソームを注射しなかったB6.Cg-Gt(ROSA)26Sor
tm14(CAG-tdTomato)Hze/Jマウスとを、陰性対照として使用した。
【表24】
【1087】
注射の2日後に、動物を屠殺し、試料を収集した。試料を8時間、2%PFAで固定し、終夜30%スクロースで固定し、OCTへの即時包埋およびスライドにするための切片作製のために発送した。スライドをDAPIで核染色した。DAPIおよびtdTomato蛍光を顕微鏡でイメージングした。
【1088】
表24に収載したすべての解剖学的部位は、tdTomato蛍光を明示した(
図9)。加えて、筋肉組織への送達を、tdTomatoの蛍光顕微鏡観察を使用して確認した(
図11)。陰性対照マウスは、tdTomato蛍光を有するいかなる組織も有さなかった。この結果は、フソソームが、マウスの様々な解剖学的部位の細胞においてtdTomato蛍光をオンにすることができること、およびこれが、マウスをフソソームで処置しなかった場合にも、マウスがそれらのゲノムにtdTomatoを有さなかった場合にも、起こらないことを実証する。したがって、フソソームは、in vivoでマウス細胞の核に活性Creリコンビナーゼを送達する。
【1089】
異なる投与経路によってin vivoでフソソームを組織に送達することができることも明らかになった。タカラバイオ株式会社から購入した、CREとフソゲンVSV-Gとを含有するフソソーム(Cre Recombinase Gesicles、タカラバイオ株式会社製品631449)を、FVB.129S6(B6)-GT(ROSA)26Sortm1(Luc)Kael/J(Jackson Laboratories 005125系統)に、筋肉内注射(50μLで右前脛骨筋に)、腹腔内注射(50μLで腹腔に)、および皮下注射(50μLで背面皮膚下に)した。
【1090】
下肢、腹側、および背面皮膚を、化学的除毛剤を45秒間使用してそのエリアを脱毛し、その後、水で3回すすぐことによって、筋肉内、腹腔内および皮下注射のためにそれぞれ準備した。
【1091】
注射後3日目に、in vivoイメージングシステム(Perkin Elmer)を使用して動物全体の生物発光画像を得た。ルシフェラーゼを可視化するために、イメージングの5分前に、150mg/kgの用量の生物発光基質(Perkin Elmer)の腹腔内注射をマウスに施した。イメージングシステムを較正してすべてのデバイス設定を補正した。
【1092】
3つの経路すべてによる投与が発光をもたらし(
図10)、これは、in vivoでのマウス細胞への活性Creリコンビナーゼの送達成功を示す。
【1093】
結論として、フソソームは、in vivoで対象の細胞に活性タンパク質を送達することができる。
(実施例104)
フソソーム内への核酸の超音波処理媒介ローディング
【1094】
この実施例は、超音波処理によるフソソームへの核酸ペイロードのローディングを説明する。超音波処理方法は、例えば、Lamichhane, TN, et al., Oncogene Knockdown via Active Loading of Small RNAs into Extracellular Vesicles by Sonication. Cell Mol Bioeng, (2016)において開示されており、この参考文献の全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
【1095】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。おおよそ106個のフソソームを5~20μgの核酸と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、40kHzで作動する水浴超音波処理装置(Brasonモデル番号1510R-DTH)を使用して、室温で30秒間、フソソーム/核酸混合物を超音波処理する。次いで、混合物を1分間、氷上に置き、その後、40kHzで30秒間の第2の超音波処理ラウンドを行う。次いで、混合物を16,000gで5分間、4℃で遠心分離して、核酸を含有するフソソームをペレット化する。組み込まれなかった核酸を含有する上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝食塩水に再懸濁させる。DNAのローディング後、フソソームを使用するまで氷上で保持する。
(実施例105)
フソソーム内へのタンパク質の超音波処理媒介ローディング
【1096】
この実施例は、超音波処理によるフソソームへのタンパク質ペイロードのローディングを説明する。超音波処理方法は、例えば、Lamichhane, TN, et al., Oncogene Knockdown via Active Loading of Small RNAs into Extracellular Vesicles by Sonication. Cell Mol Bioeng, (2016)において開示されており、この参考文献の全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
【1097】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。おおよそ106個のフソソームを5~20μgタンパク質と混合し、室温で30分間インキュベートする。次いで、40kHzで作動する水浴超音波処理装置(Brasonモデル番号1510R-DTH)を使用して、室温で30秒間、フソソーム/タンパク質混合物を超音波処理する。次いで、混合物を1分間、氷上に置き、その後、40kHzで30秒間の第2の超音波処理ラウンドを行う。次いで、混合物を16,000gで5分間、4℃で遠心分離して、タンパク質を含有するフソソームをペレット化する。組み込まれなかったタンパク質を含有する上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝食塩水に再懸濁させる。タンパク質のローディング後、フソソームを使用するまで氷上で保持する。
(実施例106)
フソソーム内への核酸の疎水性担体媒介ローディング
【1098】
この実施例は、疎水性担体によるフソソームへの核酸ペイロードのローディングを説明する。例示的な疎水性ローディング方法は、例えば、Didiot et al., Exosome-mediated Delivery of Hydrophobically Modified siRNA for Huntingtin mRNA Silencing, Molecular Therapy 24(10): 1836-1847, (2016)において開示されており、この参考文献の全内容は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
【1099】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。RNA分子の3’末端を生物活性疎水性コンジュゲート(トリエチレングリコール-コレステロール)にコンジュゲートする。1mLでのおおよそ106個のフソソームとPBS中の10μmol/lのsiRNAとを、37℃で90分間、500rpmで振盪しながらインキュベートすることによって混合する。疎水性担体は、RNAとフソソームの膜との会合を媒介する。一部の実施形態では、フソソームの内腔に組み込まれるRNA分子もあり、フソソームの表面に存在するRNA分子もある。ローディングされていないフソソームを、RNAがローディングされたフソソームから、TLA-110ローターを使用する卓上超遠心分離機での1時間、100,000g、4℃での超遠心分離によって分離する。ローディングされていないフソソームは上清に残存し、RNAがローディングされたフソソームはペレットを形成する。RNAがローディングされたフソソームを1mLのPBSに再懸濁させ、使用するまで氷上で保持する。
(実施例107)
フソソームの処理
【1100】
この実施例は、フソソームの処理を説明した。前の実施例において説明した方法のいずれかによって産生したフソソームをさらに処理することができる。
【1101】
一部の実施形態では、フソソームを、先ず、例えば超音波処理により、均質化する。例えば、超音波処理プロトコールは、8の振幅設定でマイクロプローブを有するMSE超音波処理装置(Instrumentation Associates、N.Y.)を使用する5秒の超音波処理を含む。一部の実施形態では、均質なサイズのフソソームへのフソソームの原形質膜の分解を引き起こすのに、この短い超音波処理時間で十分である。これらの条件下で、オルガネラ膜は破壊されず、これらを遠心分離(3,000rpm、15分4℃)により除去する。次いで、実施例16で説明したように分画遠心分離によりフソソームを精製する。
【1102】
市販のポリカーボネート膜(例えば、Sterlitech、Washingtonからのもの)またはPall Execia、Franceから市販されている非対称セラミック膜(例えば、Membralox)に通すフソソームの押出しは、比較的よく定義されているサイズ分布にフソソームサイズを低減させるのに有効な方法である。通常は、膜を通して1回または複数回、所望のフソソームサイズ分布が達成されるまで、懸濁液を循環させる。フソソームを、順々により小さい孔の膜(例えば、孔径400nm、100nmおよび/または50nm)に通して押し出して、サイズの漸減および均一な分布を達成することができる。
【1103】
一部の実施形態では、通常は均質化、超音波処理および/または押出しステップの前だが、フソソーム産生の任意のステップで、医薬剤(例えば、治療薬)を反応混合物に添加することができ、その結果、得られるフソソームに医薬剤が封入される。
(実施例108)
フソソームおよび供給源細胞中の全RNAの測定
【1104】
この実施例は、供給源細胞と比較してフソソーム中のRNAの量を定量する方法を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、供給源細胞と同様のRNAレベルを有することになる。このアッセイでは、全RNAを測定することによりRNAレベルを決定する。
【1105】
フソソームを、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより調製する。フソソームおよび供給源細胞のタンパク質によって測定したときに同じ質量の調製物を使用して、全RNAを(例えば、Qiagen RNeasyカタログ番号74104などのキットを使用して)単離し、その後、RNAによる吸光度を評定するための標準的な分光方法を使用して(例えば、Thermo Scientific NanoDropで)RNA濃度を決定する。
【1106】
一部の実施形態では、フソソーム中のRNAの濃度は、タンパク質の質量当たりで供給源細胞のものの5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%となる。
(実施例109)
in vitroでのT細胞とのフソソーム融合
a.DNAペイロード
【1107】
この実施例は、フソソームを使用するDNAのCD3+T細胞へのin vitroでの送達を説明する。この実施例は、治療用カーゴである、CD19に対して指向されたキメラ抗原受容体である、外因性遺伝子をコードするプラスミドを使用してDNAを送達するフソソームの能力を定量する。
【1108】
フソゲンが、Creのオープンリーディングフレームと、P2A自己切断ペプチド配列により隔てられているが、インフレームになるように、フソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。フソソームの産生後、CARをコードする配列を有するプラスミドをそのフソソームにさらにヌクレオフェクトする。
【1109】
例えば、Chen X, et al., Genes Dis. 2015 Mar;2(1):96-105.DOI:10.1016/j.gendis.2014.12.001を参照されたい。
【1110】
陰性対照として、GFPをコードするプラスミドを、フソソームにヌクレオフェクトする。
【1111】
次いで、十分な数のフソソームを、5%ウシ胎仔血清(FBS)(Gibco、LAX、CA、USA)と、100U mL-1のペニシリンと、100μg mL-1のストレプトマイシンと、1.25μg mL-1のアンホテリシンBと、2mM L-グルタミン(Gibco)と、100U mL-1のhIL-2(PerproTech、Rocky Hill、CT、USA)とを補充したX-VIVO 15培地(Lonza、Basel、CH、Switzerland)を含むT細胞培地中で、48時間、loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するレシピエントCD3+T細胞とともに、37℃および5%CO2でインキュベートする。loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するCD3+T細胞とのフソソーム融合は、tdTomato発現を遮断する停止コドンをDNAから切除するCreリコンビナーゼに起因して、tdTomato発現をもたらす。48時間のインキュベーション後に、次いで、FACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)を使用して561nmレーザー励起でFACSによってtdTomato陽性細胞を単離し、発光を590+/-20nmで収集する。次いで、DNA抽出溶液(Epicentre)を使用して全DNAを単離する。QuantStudio3 Real-time PCR System(ThermoFisher Scientific)を使用して、TaqMan(登録商標)Fast Advanced Master Mix(ThermoFisher Scientific)、100ngのDNA鋳型、抗CD19 CARの可変領域に特異的であるプライマーとプローブのセット(Taqmanオンラインプライマーおよびプローブ設計プログラムを使用して設計した)を用いて、定量的リアルタイムPCRを行う。抗CD19 CAR導入遺伝子DNAコピーの絶対定量のために、CARをコードするプラスミドの段階希釈を行うことによってcA標準曲線を作成する。ベータ-ラクタマーゼ(AMPr遺伝子)に特異的なプライマーとプローブのセットを使用して、DNA量について正規化した。Ct値を使用して、CARプラスミドを有するまたは陰性対照を有するフソソームで処置したCD3+T細胞においてCAR DNAの量を比較する。
一部の実施形態では、in vitroでのフソソームでのDNAカーゴの送達は、陰性対照と比較して、CARプラスミドを有するフソソームでのほうが多い。
b.mRNAペイロード
【1112】
この実施例は、フソソームを使用するmRNAのCD3+T細胞へのin vitroでの送達を説明する。この実施例は、治療用カーゴである、CD19に対して指向されたキメラ抗原受容体である、外因性遺伝子をコードするmRNAを送達するフソソームの能力を定量する。
【1113】
フソゲンが、Creのオープンリーディングフレームと、P2A自己切断ペプチド配列により隔てられているが、インフレームになるように、フソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。フソソームの産生後、CARをコードする配列を有するmRNAをそのフソソームにさらにヌクレオフェクトする。例えば、Chen X, et al., Genes Dis. 2015 Mar;2(1):96-105.DOI:10.1016/j.gendis.2014.12.001を参照されたい。
【1114】
陰性対照として、GFPをコードするmRNAをフソソームにヌクレオフェクトする。
【1115】
次いで、十分な数のフソソームを、5%ウシ胎仔血清(FBS)(Gibco、LAX、CA、USA)と、100U mL-1のペニシリンと、100μg mL-1のストレプトマイシンと、1.25μg mL-1のアンホテリシンBと、2mM L-グルタミン(Gibco)と、100U mL-1のhIL-2(PerproTech、Rocky Hill、CT、USA)とを補充したX-VIVO 15培地(Lonza、Basel、CH、Switzerland)を含むT細胞培地中で、48時間、loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するレシピエントCD3+T細胞とともに、37℃および5%CO2でインキュベートする。loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するCD3+T細胞とのフソソーム融合は、tdTomato発現を遮断する停止コドンをDNAから切除するCreリコンビナーゼに起因して、tdTomato発現をもたらす。48時間のインキュベーション後に、次いで、FACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)を使用して561nmレーザー励起でFACSによってtdTomato陽性細胞を単離し、発光を590+/-20nmで収集する。
【1116】
全RNAを(例えば、Qiagen RNeasyカタログ番号74104などのキットを使用して)単離し、その後、RNAによる吸光度を評定するための標準的な分光方法を使用して(例えば、Thermo Scientific NanoDropで)RNA濃度を決定する。RT-PCR用のSuperscript III First-Strand Synthesis supermix(Thermo Fisher Scientific)を使用して逆転写を行い、RNA(100ng)をcDNAに逆転写する。QuantStudio3 Real-time PCR System(ThermoFisher Scientific)を使用して、TaqMan(登録商標)Fast Advanced Master Mix(ThermoFisher Scientific)と、100ngのcDNA鋳型と、抗CD19 CARの可変領域に特異的であるプライマーとプローブのセット(Taqmanオンラインプライマーおよびプローブ設計プログラムを使用して設計した)と、内因性ローディング対照としてのβ-アクチンを増幅するために設計したプライマープローブセットとを用いて、定量的リアルタイムPCRを行う。Ct値を使用して、qRT-PCR反応におけるCAR cDNAの量を、CAR mRNAを含有するフソソームで処置したCD3+T細胞と、陰性対照を含有するフソソームで処置したCD3+T細胞との間で比較する。ΔΔCt方法を使用して相対発現を算出する。CARのより高い相対発現レベルは、選別CD3+T細胞から精製される、より高いCAR mRNAレベルに起因する。
【1117】
一部の実施形態では、in vitroでのフソソームでのmRNAカーゴの送達は、陰性対照フソソームと比較して、CAR mRNAを含有するフソソームでのほうが多い。
c.タンパク質/mRNAペイロード(ペイロードは、ドナー細胞により発現される)
【1118】
この実施例は、in vitroでの細胞とのフソソーム融合を説明する。一部の実施形態では、in vitroでのCD3+T細胞とのフソソーム融合は、CD3+T細胞の膜へのキメラ抗原受容体タンパク質の送達をもたらす。
【1119】
フソゲンが、P2AおよびT2A自己切断ペプチド配列によりそれぞれ隔てられて、CreのオープンリーディングフレームとおよびCD19を標的とするCARのオープンリーディングフレームとインフレームになるように、フソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。陰性対照フソソームは、フソゲンが、P2A自己切断ペプチド配列により各々隔てられて、Creのオープンリーディングフレームとおよび青色蛍光タンパク質mTagBFP2のオープンリーディングフレームとインフレームになるように、操作する。例えば、Chen X, et al., Genes Dis. 2015 Mar;2(1):96-105.DOI:10.1016/j.gendis.2014.12.001を参照されたい。
【1120】
次いで、十分な数のフソソームを、5%ウシ胎仔血清(FBS)(Gibco、LAX、CA、USA)と、100U mL-1のペニシリンと、100μg mL-1のストレプトマイシンと、1.25μg mL-1のアンホテリシンBと、2mM L-グルタミン(Gibco)と、100U mL-1のhIL-2(PerproTech、Rocky Hill、CT、USA)とを補充したX-VIVO 15培地(Lonza、Basel、CH、Switzerland)を含むT細胞培地中で、48時間、loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するレシピエントCD3+T細胞とともに、37℃および5%CO2でインキュベートする。loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するCD3+T細胞とのフソソーム融合は、tdTomato発現を遮断する停止コドンをDNAから切除するCreリコンビナーゼに起因して、tdTomato発現をもたらす。48時間のインキュベーション後に、次いで、FACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)を使用して561nmレーザー励起でFACSによってtdTomato陽性細胞を単離し、発光を590+/-20nmで収集する。
【1121】
選別T細胞へのmRNA送達をアッセイする。全RNAを(例えば、Qiagen RNeasyカタログ番号74104などのキットを使用して)単離し、その後、RNAによる吸光度を評定するための標準的な分光方法を使用して(例えば、Thermo Scientific NanoDropで)RNA濃度を決定する。RT-PCR用のSuperscript III First-Strand Synthesis supermix(Thermo Fisher Scientific)を使用して逆転写を行い、RNA(100ng)をcDNAに逆転写する。QuantStudio3 Real-time PCR System(ThermoFisher Scientific)を使用して、TaqMan(登録商標)Fast Advanced Master Mix(ThermoFisher Scientific)と、100ngのcDNA鋳型と、抗CD19 CARの可変領域に特異的であるプライマーとプローブのセット(Taqmanオンラインプライマーおよびプローブ設計プログラムを使用して設計した)と、内因性ローディング対照としてのβ-アクチンを増幅するために設計したプライマープローブセットとを用いて、定量的リアルタイムPCRを行う。Ct値を使用して、qRT-PCR反応におけるCAR cDNAの量を、CAR mRNAを含有するフソソームで処置したCD3+T細胞と、陰性対照を含有するフソソームで処置したCD3+T細胞との間で比較する。ΔΔCt方法を使用して相対発現を算出する。CARのより高い相対発現レベルは、選別CD3+T細胞から精製される、より高いCAR mRNAレベルに起因する。
【1122】
一部の実施形態では、in vitroでのフソソームでのCAR mRNAカーゴの送達は、CFPを発現する細胞に由来する陰性対照フソソームと比較して、CARを発現する細胞に由来するフソソームでのほうが高い。
【1123】
選別細胞の表面でのCAR発現をアッセイする。選別tdTomato+CD3+細胞を、De Oliveira et al., J Transl Med 11:23, 2013に記載されているような、Alexa Fluor 488とコンジュゲートしたCD19sIg1-4(CD19sIg1-4:AF488)とともにインキュベートする。CD19sIg1-4:AF488は、CD19 CARを発現する細胞を標識する。2×105個の細胞を、AB血漿からのヒト血清(Sigma-Aldrich)によって10分間ブロックした後、4℃で30分間、暗所で450ngのCD19sIg1-4:AF488とともにインキュベートする。PBSで2回洗浄した後、細胞を、LSR II(BD Biosciences、San Jose、CA.)マシンでFACSDiva(商標)ソフトウェア(BD Biosciences、San Jose、CA.)を実行して解析する。陰性対照フソゲンとともにインキュベートしたtdTomato+CD3+細胞を使用して、CD19sIg1-4:AF488シグナルに対する陰性ゲートを設ける。ゲートは、CD19sIg1-4:AF488に対する陽性イベントの%が0.0%に等しくなるように選択する。CD19sIg1-4:AF488に対して陽性であるイベントのパーセントを、CARを発現する細胞に由来するフソソームで処置した選別細胞において測定する。
【1124】
一部の実施形態では、表面CAR発現を有する選別細胞のパーセントは、mTagBFP2を発現する細胞に由来する陰性対照フソソームと比較して、CARを発現する細胞に由来するフソソームで処置した細胞におけるほうが高い。
(実施例110)
in vitroでT細胞と融合するT細胞特異的フソソーム
【1125】
この実施例は、CD3+T細胞に優先的であるin vitroでのフソソーム融合を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、そのペイロードをCD3+T細胞に代替細胞型より高い効率で送達する。
【1126】
フソゲンが、P2A自己切断ペプチド配列により隔てられているがCreのオープンリーディングフレームとインフレームになるように、フソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。
【1127】
次いで、十分な数のフソソームを、5%ウシ胎仔血清(FBS)(Gibco、LAX、CA、USA)と、100U mL-1のペニシリンと、100μg mL-1のストレプトマイシンと、1.25μg mL-1のアンホテリシンBと、2mM L-グルタミン(Gibco)と、100U mL-1のhIL-2(PerproTech、Rocky Hill、CT、USA)とを補充したX-VIVO 15培地(Lonza、Basel、CH、Switzerland)を含むT細胞培地中で、48時間、loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するレシピエントCD3+T細胞とともに、37℃および5%CO2でインキュベートする。loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するCD3+T細胞とのフソソーム融合は、tdTomato発現を遮断する停止コドンをDNAから切除するCreリコンビナーゼに起因して、tdTomato発現をもたらす。
【1128】
別の実験では、同数のフソソームを、37℃および5%CO2で、loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するレシピエントNIH/3T3線維芽細胞系とともに、48時間、20%ウシ胎仔血清と1×ペニシリン/ストレプトマイシンとを含有するDMEM中でインキュベートする。loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するNIH/3T3線維芽細胞とのフソソーム融合は、tdTomato発現を遮断する停止コドンをDNAから切除するCreリコンビナーゼに起因して、tdTomato発現をもたらす。
【1129】
48時間のインキュベーション後、細胞をFACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)にかけ、561nmレーザーで励起させ、発光を590+/-20nmで収集する。陽性tdTomato発現を測定するためにゲートを設ける。ゲートは、フソソームと接触していないCD3+T細胞およびNIH/3T3線維芽細胞がすべて陰性になるように選択する。tdTomato発現に対して陽性である細胞のパーセントを、フソソームによる接触を受けていないCD3+T細胞およびNIH/3T3線維芽細胞において測定する。
【1130】
一部の実施形態では、tdTomato発現に対して陽性である細胞のパーセントは、フソソームと接触したNIH/3T3線維芽細胞でよりフソソームと接触したCD3+細胞でのほうが高く、これは、フソソームが標的CD3+細胞と優先的に融合することを実証する。
(実施例111)
in vivoでT細胞と融合するT細胞特異的フソソーム
【1131】
この実施例は、CD3+T細胞に優先的であるin vivoでのフソソーム融合を説明する。一部の実施形態では、フソソームは、そのペイロードをCD3+T細胞にいずれの代替細胞型よりも高い効率で送達する。
【1132】
フソゲンが、P2A自己切断ペプチド配列により隔てられているがCreのオープンリーディングフレームとインフレームになるように、フソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。
【1133】
次いで、3×1011個のフソソームまたはPBSを、B6.Cg-Gt(ROSA)26Sortm9(CAG-tdTomato)Hze/Jマウス(Jackson Laboratories 007909系統)に、プログラム可能なBS-300輸注ポンプを使用して齧歯動物尾静脈カテーテルによって(両方ともBraintree Scientific Inc.)、5日間、毎日、20分かけてゆっくりと投与する。最終処置の3日後、フソソーム処置マウスおよびPBS処置を受けたマウスから末梢血を採取する。凝固を防止するために、5μM EDTAを含有する1mlのPBSに血液を採取して直ちに混合する。管を氷上に保持し、緩衝塩化アンモニウム(ACK)溶液を使用して赤血球を除去する。ウシ(bovsine)血清アルブミンで10分間ブロックした後、細胞を4℃で30分間、暗所で、マウスCD3-FITC抗体(Thermo Fisherカタログ番号:11-0032-82)で染色する。PBSで2回洗浄した後、488nmレーザーで励起させ、530+/-30nmで発光を収集する、LSR II(BD Biosciences、San Jose、CA.)で、FACSDiva(商標)ソフトウェア(BD Biosciences、San Jose、CA.)を実行して、細胞を解析する。PBS処置を受けたマウスからの未染色細胞を使用して、陰性FITCおよび陰性tdTomato蛍光のゲートを設定する。
【1134】
一部の実施形態では、tdTomato蛍光に対して陽性である細胞のパーセントは、PBSで処置したマウスでよりフソソームで処置したマウスでのほうが高い。一部の実施形態では、FITCに対して陽性の染色を示すtdTomato陽性細胞のパーセントは、フソソームで処置したマウスにおいて、FITCに対して陰性の染色を示すものより高い。このことは、CD3+細胞を標的とするフソソームがin vivoでCD3+細胞と特異的に融合することを実証する。
(実施例112)
in vitroで操作されたT細胞は標的抗原と会合している細胞をin vitroで溶解する
【1135】
この実施例は、前の実施例における方法のいずれか1つで説明したようにフソソームによる接触を受けた後、CARを発現するCD3+T細胞が、標的抗原、例えばCD19と会合している細胞をin vitroで溶解することができることを実証する。
【1136】
CD19を標的とするCARを発現するCD3+T細胞を、CD19+Eμ-ALL01白血病細胞(標的)またはCD19-B16F10黒色腫腫瘍細胞(対照)とともにインキュベートする。インキュベーションの前に、ビーズ3個/細胞でCD3特異的およびCD28特異的磁気ビーズ(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA、USA)を使用してCD3+T細胞を活性化し、Eμ-ALL01白血病細胞およびB16F10黒色腫腫瘍細胞を膜色素PKH-26(Sigma-Aldrich)で標識し、10%ウシ胎仔血清を含有するRPMIで洗浄し、同培地に1mL当たり1×105個の腫瘍細胞の濃度で再懸濁させる。次いで、T細胞を、96ウェルプレートの懸濁液に、0個のT細胞:1個の腫瘍細胞~100個のT細胞:1個の腫瘍細胞の範囲の、T細胞の腫瘍細胞に対する様々な比で添加し(最終体積、200μl)、3時間、37℃でインキュベートする。次いで、細胞をV字底96ウェルプレートに移し、Annexin V-Brilliant Violet 421(BioLegend)で染色する。PBSで洗浄した後、細胞を、LSR II(BD Biosciences、San Jose、CA.)マシンでFACSDiva(商標)ソフトウェア(BD Biosciences、San Jose、CA.)を実行してフローサイトメトリーにより解析する。0個のT細胞:1個の腫瘍細胞のインキュベーションからの細胞、およびT細胞の別のバッチを、先ず、フローサイトメーターにかける。先ず、PKH-26蛍光に基づいてT細胞と腫瘍細胞を区別するためのゲートを設定する。ゲートは、T細胞が陰性であり、PKH-26とともにインキュベートした腫瘍細胞が陽性であるように設定する。次に、Annexin V-Brilliant Violet 421染色を測定するためのゲートを設定する。ゲートは、0個のT細胞:1個の腫瘍細胞のインキュベーションからの細胞がすべてAnnexin V-Brilliatn Violet 421に対して陰性であるように設定する。これら2つのゲートを使用して、T細胞の腫瘍細胞に対する様々な比のインキュベーション各々からの細胞をフローサイトメーターにかける。
【1137】
一部の実施形態では、PKH-26およびAnnexin V-Brilliant Violet 421に対して陽性である細胞のパーセントは、Eμ-ALL01白血病細胞についてはT細胞の腫瘍細胞に対する比の上昇に伴って上昇するが、PKH-26およびAnnexin V-Brilliant Violet 421に対して陽性である細胞のパーセントは、B16F10黒色腫腫瘍細胞についてはT細胞の腫瘍細胞に対する比の上昇に伴って上昇しない。このことは、フソソームによる接触を受けた後、CD19を標的とするCARを発現するT細胞が、CD19陽性である細胞を特異的に溶解することができることを実証する。
【1138】
例えば、Smith T, et al., Nature Nanotechnology. 2017. DOI: 10.1038/NNANO.2017.57を参照されたい。
(実施例113)
in vivoで操作されたT細胞は標的抗原と会合している細胞をin vitroで溶解する
【1139】
この実施例は、in vivoでフソソームによる接触を受けた後、CARを発現するように操作されたCD3+T細胞が、標的抗原と会合している細胞をin vitroで溶解することができることを実証する。
【1140】
フソゲンが、P2A自己切断ペプチド配列により隔てられているがCreのオープンリーディングフレームとインフレームになるように、フソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。加えて、前の実施例で説明したように、CD-19を標的とするCARを標的細胞に送達するように、フソソームを操作する。
【1141】
次いで、3×1011個のフソソームまたはPBSを、B6.Cg-Gt(ROSA)26Sortm9(CAG-tdTomato)Hze/Jマウス(Jackson Laboratories 007909系統)に、プログラム可能なBS-300輸注ポンプを使用して齧歯動物尾静脈カテーテルによって(両方ともBraintree Scientific Inc.)、5日間、毎日、20分かけてゆっくりと投与する。最終処置の3日後、フソソーム処置マウスおよびPBS処置を施したマウスから末梢血を採取する。凝固を防止するために、5μM EDTAを含有する1mlのPBSに血液を採取して直ちに混合する。管を氷上に保持し、緩衝塩化アンモニウム(ACK)溶液を使用して赤血球を除去する。ウシ血清アルブミンで10分間ブロックした後、細胞を4℃で30分間、暗所で、マウスCD3-FITC抗体(Thermo Fisherカタログ番号:11-0032-82)で染色する。PBSで2回洗浄した後、細胞を、488nmレーザーで励起させ、530+/-30nmで発光を収集する、LSR II(BD Biosciences、San Jose、CA.)で、FACSDiva(商標)ソフトウェア(BD Biosciences、San Jose、CA.)を実行して解析する。次いで、フソソームまたはPBSで処置したマウスからの選別細胞を、CD19+Eμ-ALL01白血病細胞とともにインキュベートする。インキュベーションの前に、Eμ-ALL01白血病細胞を膜色素PKH-26(Sigma-Aldrich)で標識し、10%ウシ胎仔血清を含有するRPMIで洗浄し、同培地に1mL当たり1×105個の腫瘍細胞の濃度で再懸濁させる。次いで、T細胞を、96ウェルプレートの懸濁液に、0個のT細胞:1個の腫瘍細胞~100個のT細胞:1個の腫瘍細胞の範囲の、T細胞の腫瘍細胞に対する様々な比で添加し(最終体積、200μl)、3時間、37℃でインキュベートする。次いで、細胞をV字底96ウェルプレートに移し、Annexin V-Brilliant Violet 421(BioLegend)で染色する。PBSで洗浄した後、細胞を、LSR II(BD Biosciences、San Jose、CA.)マシンでFACSDiva(商標)ソフトウェア(BD Biosciences、San Jose、CA.)を実行してフローサイトメトリーにより解析する。0個のT細胞:1個の腫瘍細胞のインキュベーションからの細胞、および選別T細胞の別のバッチを、先ず、フローサイトメーターにかける。先ず、PKH-26蛍光に基づいてT細胞と腫瘍細胞を区別するための第一のゲートを設定する。ゲートは、T細胞が陰性であり、PKH-26とともにインキュベートした腫瘍細胞が陽性であるように設定する。次に、Annexin V-Brilliant Violet 421染色を測定するためのゲートを設定する。ゲートは、0個のT細胞:1個の腫瘍細胞のインキュベーションからの細胞がすべてAnnexin V-Brilliant Violet 421に対して陰性であるように設定する。これら2つのゲートを使用して、T細胞の腫瘍細胞に対する様々な比のインキュベーション各々からの細胞をフローサイトメーターにかける。
【1142】
一部の実施形態では、PKH-26およびAnnexin V-Brilliant Violet 421に対して陽性である細胞のパーセントは、フソソームで処置したマウスからのT細胞のEμ-ALL01白血病細胞に対する比の上昇に伴って上昇するが、PKH-26およびAnnexin V-Brilliant Violet 421に対して陽性である細胞のパーセントは、PBSで処置したマウスからのT細胞のEμ-ALL01白血病細胞に対する比の上昇に伴って上昇しない。このことは、フソソームでの処置後、CD19を標的とするCARを発現するように操作されたT細胞が、CD19と会合している細胞を溶解することができることを実証する。例えば、Smith T, et al., Nature Nanotechnology. 2017. DOI: 10.1038/NNANO.2017.57を参照されたい。
(実施例114)
in vivoで操作されたT細胞は標的抗原と会合している細胞をin vivoで溶解する
【1143】
この実施例は、in vivoでフソソームによる接触を受けた後、CARを発現するように操作されたCD3+T細胞が、in vivoで腫瘍を処置することができることを実証する。
【1144】
フソゲンが、P2A自己切断ペプチド配列により隔てられているがCreのオープンリーディングフレームとインフレームになるように、フソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。加えて、前の実施例で説明したように、CD-19を標的とするCARを送達するように、フソソームを操作する。
【1145】
4~6週齢雌アルビノB6(C57BL/6J-Tyr<c-2J>)マウス(Jackson Laboratories)にルシフェラーゼ発現Eμ-ALL01白血病細胞を全身注射し、これらのマウスを1週間放置して発症させることにより、白血病のモデルを確立する。次いで、マウスを実験コホートに無作為に割り当てる。次いで、3×1011個のフソソームまたはPBSを、プログラム可能なBS-300輸注ポンプを使用して齧歯動物尾静脈カテーテルによって(両方ともBraintree Scientific Inc.)、5日間、毎日、20分かけてゆっくりと投与する。
【1146】
次いで、肝臓白血病細胞の数のプロキシとして蛍光を毎日測定する。PBS中のD-ルシフェリン(Xenogen)(15mg mL-1)を、白血病細胞により発現されるF-lucの基質として使用する。生物発光画像をXenogen IVIS Spectrum Imaging System(Xenogen)で収集する。150mg kg-1の2%イソフルラン(Forane、Baxter Healthcare)で麻酔した動物へのD-ルシフェリンの腹腔内注射後10~35分の範囲にわたって得られるデータを、Living Imageソフトウェアバージョン4.3.1(Xenogen)を使用して取得(および後に定量)する。取得時間は、10秒~5分の範囲である。バックグラウンド生物発光について補正するために、腫瘍のないマウス(D-ルシフェリンを注射した)から取得したシグナルを関心領域(ROI)測定値から減算する。
【1147】
実施形態では、PBSで処置したマウスではルシフェラーゼシグナルが21日にわたって増加し、フソソームで処置したマウスではルシフェラーゼシグナルが21日にわたって減少する。
【1148】
PBSまたはフソソームを受けたマウスの生存期間も追跡する。実施形態では、PBSを受けたマウスは、フソソームで処置したマウスより小さい生存期間中央値を有する。
【1149】
このことは、フソソームが、in vivoで腫瘍細胞を標的とするようにT細胞を操作することができることを実証する。例えば、Smith T, et al., Nature Nanotechnology. 2017. DOI: 10.1038/NNANO.2017.57を参照されたい。
(実施例115)
フソソームは膜貫通タンパク質をレシピエント細胞に送達する
【1150】
この実施例は、in vitroでの細胞とのフソソーム融合を説明する。一部の実施形態では、フソソーム融合は、レシピエント細胞への膜貫通タンパク質の送達をもたらす。
【1151】
フソゲンが、P2AおよびT2A自己切断ペプチド配列によりそれぞれ隔てられて、Creのオープンリーディングフレームとおよびヒトインスリン受容体のオープンリーディングフレームとインフレームになるように、フソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。陰性対照フソソームは、フソゲンが、P2A自己切断ペプチド配列により各々が隔てられて、Creのオープンリーディングフレームとおよび青色蛍光タンパク質mTagBFP2のオープンリーディングフレームとインフレームになるように、操作する。例えば、Chen X, et al., Genes Dis. 2015 Mar;2(1):96-105.DOI:10.1016/j.gendis.2014.12.001を参照されたい。
【1152】
次いで、十分な数のフソソームを、37℃および5%CO2で、loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するレシピエントHEK293細胞とともに、48時間、完全培地(DMEM+10%FBS+Pen/Strep)中でインキュベートする。loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するHEK293細胞とのフソソーム融合は、tdTomato発現を遮断する停止コドンをDNAから切除するCreリコンビナーゼに起因して、tdTomato発現をもたらす。48時間のインキュベーション後に、次いで、FACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)を使用して561nmレーザー励起でFACSによってtdTomato陽性細胞を単離し、発光を590+/-20nmで収集する。
【1153】
選別HEK293細胞へのmRNA送達をアッセイする。全RNAを(例えば、Qiagen RNeasyカタログ番号74104などのキットを使用して)単離し、その後、RNAによる吸光度を評定するための標準的な分光方法を使用して(例えば、Thermo Scientific NanoDropで)RNA濃度を決定する。RT-PCR用のSuperscript III First-Strand Synthesis supermix(Thermo Fisher Scientific)を使用して逆転写を行い、RNA(100ng)をcDNAに逆転写する。QuantStudio3 Real-time PCR System(ThermoFisher Scientific)を使用して、TaqMan(登録商標)Fast Advanced Master Mix(ThermoFisher Scientific)と、100ngのcDNA鋳型と、ヒトインスリン受容体の可変領域に特異的であるプライマーとプローブのセット(Taqmanオンラインプライマーおよびプローブ設計プログラムを使用して設計した)と、内因性ローディング対照としてのβ-アクチンを増幅するために設計したプライマープローブセットとを用いて、定量的リアルタイムPCRを行う。Ct値を使用して、qRT-PCR反応におけるインスリン受容体cDNAの量を、インスリン受容体mRNAを含有するフソソームで処置したHEK293細胞と、陰性対照を含有するフソソームで処置したHEK293細胞との間で比較する。ΔΔCt方法を使用して相対発現を算出する。インスリン受容体のより高い相対発現レベルは、選別HEK293 T細胞から精製される、より高いインスリン受容体mRNAレベルに起因する。
【1154】
一部の実施形態では、フソソームでのインスリン受容体mRNAのin vitroでの送達は、CFPを発現する細胞に由来する陰性対照フソソームと比較して、インスリン受容体を発現する細胞に由来するフソソームでのほうが高い。
【1155】
選別細胞の表面でのインスリン受容体発現をアッセイする。選別tdTomato+HEK293細胞を、Alexa Fluor 488とコンジュゲートしたインスリン受容体アルファ抗体(Bioss Antibodies、カタログ番号bs-0260R-A488)とともにインキュベートする。抗体は、インスリン受容体発現の量に比例してインスリン受容体を発現する細胞を標識する。2×105個の細胞を、AB血漿からのヒト血清(Sigma-Aldrich)によって10分間ブロックした後、4℃で30分間、暗所で、Alexa Fluor 488とコンジュゲートしたインスリン受容体アルファ抗体450ngとともにインキュベートする。PBSで2回洗浄した後、細胞を、LSR II(BD Biosciences、San Jose、CA.)マシンでFACSDiva(商標)ソフトウェア(BD Biosciences、San Jose、CA.)を実行して解析する。陰性対照フソゲンとともにインキュベートしたtdTomato+HEK293細胞を使用して、Alexa Fluor 488とコンジュゲートしたインスリン受容体アルファ抗体のシグナルに対する陰性ゲートを設ける。ゲートは、Alexa Fluor 488とコンジュゲートしたインスリン受容体アルファ抗体に対する陽性イベントのパーセントが、0.0%に等しくなるように選択する。Alexa Fluor 488とコンジュゲートしたインスリン受容体アルファ抗体に対して陽性であるイベントのパーセントを、インスリン受容体を発現する細胞に由来するフソソームで処置した選別細胞において測定する。
【1156】
一部の実施形態では、表面インスリン受容体発現を有する選別細胞のパーセントは、mTagBFP2を発現する細胞に由来する陰性対照フソソームと比較して、インスリン受容体を発現する細胞に由来するフソソームで処置した細胞におけるほうが高い。
(実施例116)
フソソームは、異種、シグナルペプチドにより標的化された膜貫通タンパク質を、レシピエント細胞に送達する
【1157】
この実施例は、in vitroでの細胞とのフソソーム融合を説明する。一部の実施形態では、レシピエント細胞とのフソソーム融合は、レシピエント細胞の原形質膜への異種膜タンパク質ペイロードの送達をもたらす。
【1158】
フソゲンが、P2AおよびT2A自己切断ペプチド配列によりそれぞれ隔てられて、Creのオープンリーディングフレームとおよび膜に標的化されたGFPのオープンリーディングフレームとインフレームになるように、フソソームを操作したことを除いて、前の実施例で説明した方法のいずれか1つにより産生される、細胞由来の小胞または細胞由来の細胞生物製剤から得られる、フソソーム組成物。膜に標的化されたGFPは、2つのパルミトイル化ドメインと単一のミリストイル化ドメインとを含有するSrcファミリーチロシンキナーゼであるLCKの最初の26アミノ酸に、GFPのコード配列のN末端を融合させることによって、生成する。陰性対照フソソームは、フソゲンが、P2A自己切断ペプチド配列により各々が隔てられて、CreのオープンリーディングフレームとおよびサイトゾルGFPのオープンリーディングフレーム(追加の標的化ペプチド配列を一切有さないGFPのコード配列)とインフレームになるように、操作する。例えば、Chen X, et al., Genes Dis. 2015 Mar;2(1):96 105.DOI:10.1016/j.gendis.2014.12.001、およびBenediktsson A, et al, Journal of Neuroscience Methods 2005 141, 41-53を参照されたい。
【1159】
次いで、十分な数のフソソームを、37℃および5%CO2で、loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するレシピエントHEK293細胞とともに、48時間、完全培地(DMEM+10%FBS+Pen/Strep)中でインキュベートする。loxP-STOP-loxP-tdTomatoレポーターを有するHEK293細胞とのフソソーム融合は、tdTomato発現を遮断する停止コドンをDNAから切除するCreリコンビナーゼに起因して、tdTomato発現をもたらす。48時間のインキュベーション後に、次いで、FACSサイトメーター(Becton Dickinson、San Jose、CA、USA)を使用して561nmレーザー励起でFACSによってtdTomato陽性細胞を単離し、発光を590+/-20nmで収集する。
【1160】
選別HEK293細胞の原形質膜におけるGFPの膜局在を共焦点顕微鏡観察によってアッセイする。共焦点顕微鏡観察の前に、選別HEK293細胞を、原形質膜を標識する試薬(例えば、CellMask Deep Red Plasma Membrane Stain、Invitrogen、カタログ番号C10046)で染色する。イメージング実験は、63倍、開口数1.4の油浸対物レンズPlan Apochromatを使用してZeiss LSM 710倒立顕微鏡で行う。488nmアルゴンレーザーを使用してGFP/EGFPを励起させ、632nmヘリウム-ネオンレーザーを使用して原形質膜染色剤を励起する。MATLAB(登録商標)スクリプトを書いて、各細胞についての原形質膜およびサイトゾルの平均GFP強度を決定する。このスクリプトで、原形質膜(原形質膜染色剤により規定される場合、原形質膜の両側の6画素により規定される)およびサイトゾル(原形質膜領域内の領域)の平均強度を算出する。次いで、各細胞についての原形質膜およびサイトゾル強度の値を使用して、原形質膜局在%を算出する。原形質膜局在%を次の式で算出する:原形質膜強度/全(原形質膜+サイトゾル)強度×100%。例えば、Johnson A, et al., Scientific Reports 6: 19125 (2015)を参照されたい。
【1161】
一部の実施形態では、原形質膜局在GFPを含有するフソソームで処置した選別細胞は、サイトゾルGFPを含有するフソソームで処置した選別細胞より高い、GFPの原形質膜局在%を有する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
(a)供給源細胞に由来する複数の脂質を含む、脂質二重層と、
(b)前記脂質二重層によって包まれている、内腔(例えば、サイトゾルを含む)と、
(c)前記供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されているフソゲンであって、例えば、前記脂質二重層内に配置されている、フソゲンと、
(d)膜タンパク質ペイロード剤(例えば、前記供給源細胞に対して外因性であるかまたはそれと比べて過剰発現されている)であって、
i)キメラ抗原受容体、
ii)例えば、表5から選択される、インテグリン膜タンパク質ペイロード、
iii)表6から選択される、イオンチャネルタンパク質、
iv)例えば、表7および8から選択される、細孔形成タンパク質、
v)例えば、表9から選択される、Toll様受容体、
vi)例えば、表10から選択される、インターロイキン受容体ペイロード、
vii)表11~12から選択される、細胞接着性タンパク質、
viii)表15から選択される、輸送タンパク質、
ix)天然に存在する膜タンパク質に対して異種である、シグナル配列、または
x)表4に列挙されている、シグナル配列
のうちの1つまたは複数を含むかまたはそれをコードする、膜タンパク質ペイロード剤とを含むフソソームであって、ヌクレオキャプシドタンパク質もウイルスマトリックスタンパク質も含まない、フソソーム。
(項目2)
前記供給源細胞が、初代細胞、培養細胞、不死化細胞、または細胞系(例えば、骨髄芽球細胞系、例えば、C2C12)である、項目1に記載のフソソーム。
(項目3)
前記供給源細胞が、内皮細胞、線維芽細胞、血液細胞(例えば、マクロファージ、好中球、顆粒球、白血球)、幹細胞(例えば、間葉幹細胞、臍帯幹細胞、骨髄幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞、例えば、対象の細胞に由来する人工多能性幹細胞)、胚性幹細胞(例えば、胚卵黄嚢、胎盤、臍帯、胎児皮膚、青年皮膚、血液、骨髄、脂肪組織、赤血球産生組織、造血組織に由来する幹細胞)、筋芽細胞、実質細胞(例えば、肝細胞)、肺胞細胞、ニューロン(例えば、網膜神経細胞)、前駆体細胞(例えば、網膜前駆体細胞、骨髄芽球、骨髄系前駆体細胞、胸腺細胞、減数母細胞、巨核芽球、前巨核芽球、メラニン芽細胞、リンパ芽球、骨髄前駆体細胞、正赤芽球、もしくは血液芽細胞)、始原細胞(例えば、心臓始原細胞、衛星細胞、放射神経膠細胞、骨髄間質細胞、膵臓始原細胞、内皮始原細胞、芽細胞)、または不死化細胞(例えば、HeLa、HEK293、HFF-1、MRC-5、WI-38、IMR 90、IMR 91、PER.C6、HT-1080、もしくはBJ細胞)である、項目1または2に記載のフソソーム。
(項目4)
前記供給源細胞が、同種であり、例えば、標的細胞と同じ種の異なる生物から得られる、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目5)
前記供給源細胞が、自家であり、例えば、前記標的細胞と同じ生物から得られる、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目6)
前記供給源細胞が、白血球または幹細胞から選択される、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目7)
前記供給源細胞が、好中球、リンパ球(例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞)、マクロファージ、顆粒球、間葉幹細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、または骨髄芽球から選択される、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目8)
前記フソソームが、改変されたゲノムを有する、例えば、低減された免疫原性を有する(例えば、MHC複合体を除去するようにゲノム編集することによって)供給源細胞に由来する、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目9)
前記フソソームが、例えば、実施例30のアッセイによって測定した場合に、前記供給源細胞の径の約0.01%または1%よりも小さい径を有する、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目10)
前記フソゲンが、哺乳動物フソゲンまたはウイルスフソゲンである、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目11)
前記フソゲンが、6~8のpHにおいて活性である、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目12)
前記フソソームが、例えば、実施例43のアッセイによって測定した場合に、少なくとも1,000コピーのコピー数で、膜タンパク質ペイロード剤を含む、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目13)
i)前記フソソームが、医薬品もしくは適正製造基準(GMP)の基準を満たしている、
ii)前記フソソームが、適正製造基準(GMP)に従って作製された、
iii)前記フソソームが、所定の参照値を下回る病原体レベルを有し、例えば、病原体を実質的に含まない、または
iv)前記フソソームが、所定の参照値を下回る混入物質レベルを有し、例えば、混入物質を実質的に含まない、
先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目14)
前記膜タンパク質ペイロード剤が、前記フソソーム脂質二重層内に配置された膜タンパク質である、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目15)
前記膜タンパク質ペイロード剤が、前記フソソーム内腔に配置された膜タンパク質をコードする核酸である、項目1から13のいずれかに記載のフソソーム。
(項目16)
前記膜タンパク質ペイロード剤が、抗原結合性ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であるかまたはそれを含む、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目17)
前記標的細胞が、生物内にある、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目18)
前記標的細胞が、生物から単離された初代細胞である、項目1から16のいずれかに記載のフソソーム。
(項目19)
前記標的細胞が、内皮細胞、線維芽細胞、血液細胞(例えば、マクロファージ、好中球、顆粒球、白血球)、幹細胞(例えば、間葉幹細胞、臍帯幹細胞、骨髄幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞、例えば、対象の細胞に由来する人工多能性幹細胞)、胚性幹細胞(例えば、胚卵黄嚢、胎盤、臍帯、胎児皮膚、青年皮膚、血液、骨髄、脂肪組織、赤血球産生組織、造血組織に由来する幹細胞)、筋芽細胞、実質細胞(例えば、肝細胞)、肺胞細胞、ニューロン(例えば、網膜神経細胞)、前駆体細胞(例えば、網膜前駆体細胞、骨髄芽球、骨髄系前駆体細胞、胸腺細胞、減数母細胞、巨核芽球、前巨核芽球、メラニン芽細胞、リンパ芽球、骨髄前駆体細胞、正赤芽球、もしくは血液芽細胞)、始原細胞(例えば、心臓始原細胞、衛星細胞、放射神経膠細胞、骨髄間質細胞、膵臓始原細胞、内皮始原細胞、芽細胞)、または不死化細胞(例えば、HeLa、HEK293、HFF-1、MRC-5、WI-38、IMR 90、IMR 91、PER.C6、HT-1080、もしくはBJ細胞)から選択される、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目20)
前記標的細胞が、好中球、リンパ球(例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞)、マクロファージ、顆粒球、間葉幹細胞、骨髄幹細胞、人工多能性幹細胞、胚性幹細胞、または骨髄芽球から選択される、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目21)
前記フソソームが、前記フソソームを標的細胞に局在化させる標的化ドメインを含む、先行する項目のいずれかに記載のフソソーム。
(項目22)
前記標的化ドメインが、前記標的細胞上の標的細胞部分と相互作用する、項目21に記載のフソソーム。
(項目23)
フソソーム組成物を製造する方法であって、
i)項目1から22のいずれかに記載の複数のフソソームを得るステップと、
ii)前記複数のフソソーム、フソソーム組成物、または医薬組成物を、例えば、対象への投与に好適なフソソーム薬物製品として、製剤化するステップと
を含む、方法。
(項目24)
前記フソソームが、改変されたゲノムを有する、例えば、低減された免疫原性を有する(例えば、MHC複合体を除去するようにゲノム編集することによって)哺乳動物細胞に由来する、項目23に記載の方法。
(項目25)
フソソーム薬物製品組成物を製造する方法であって、
a)項目1から22のいずれかに記載の複数のフソソームを得る、例えば、産生するステップと、
b)前記複数のフソソームからの1つまたは複数のフソソームをアッセイして、以下の因子:
i)免疫原性分子、例えば、免疫原性タンパク質、例えば、本明細書に記載されるもの、ii)病原体、例えば、細菌もしくはウイルス、または
iii)混入物質
のうちの1つまたは複数の存在またはレベルを判定するステップと、
c)(必要に応じて)前記因子のうちの1つまたは複数が参照値を下回る場合に、前記複数のフソソームまたはフソソーム組成物の出荷を承認するステップと
を含み、それによって、フソソーム薬物製品組成物を製造する、方法。
(項目26)
フソソーム組成物を、対象、例えば、ヒト対象に投与する方法であって、前記対象に、項目1から22のいずれかに記載の複数のフソソームを含むフソソーム組成物を投与するステップを含み、それによって、前記フソソーム組成物を前記対象に投与する、方法。
(項目27)
タンパク質膜ペイロードを、対象に送達する方法であって、前記対象に、項目1から22のいずれかに記載の複数のフソソームを含むフソソーム組成物を投与するステップを含み、前記フソソーム組成物が、前記タンパク質膜ペイロードが送達されるような量および/または時間で投与される、方法。
(項目28)
患者における疾患または障害を処置する方法であって、前記対象に、項目1から22のいずれかに記載の複数のフソソームを投与するステップを含み、前記フソソーム組成物が、前記疾患または障害が処置されるような量および/または時間で投与される、方法。
(項目29)
前記疾患または障害が、がん、自己免疫障害、または感染性疾患から選択される、項目28に記載の方法。
【配列表】