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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】静電容量方式の電子ペン
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20240716BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/044 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020556743
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(86)【国際出願番号】 JP2019041329
(87)【国際公開番号】W WO2020095666
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2018211369
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】橋本 善之
(72)【発明者】
【氏名】青木 信也
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-128556(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084424(WO,A1)
【文献】特開2016-053750(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063420(WO,A1)
【文献】特開2016-206803(JP,A)
【文献】登録実用新案第3217279(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の筐体の中空部の一方の開口側から導電性材料からなる芯体の先端が突出するように配設されると共に、前記中空部内に、複数の部品が軸心方向に沿って並べられて構成される電子ペンであって、
絶縁性材料からなり、前記複数の部品の少なくとも一部を収納する筒状結合部材を備えると共に、
前記筒状の筐体は、軸心方向に分離された第1の筐体部と第2の筐体部とを備え、
前記第1の筐体部は、導電性材料で構成されていると共に、前記芯体とは電気的に分離されている状態で前記芯体の先端を外部に突出させるための開口を有し、
前記筒状結合部材の外側周面には、当該外周側面から前記軸心方向に直交する方向に突出部が形成され、前記突出部の端面が前記筒状の筐体の一部を成すと共に、前記筒状結合部材の、前記突出部よりも軸心方向の一方側は前記第1の筐体部と嵌合され、前記突出部よりも前記軸心方向の他方側は前記第2の筐体部と嵌合されて、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部とは、前記突出部により分離されており、
前記複数の部品には、前記芯体に印加される圧力を検出する筆圧検出部を含み、
前記筆圧検出部は、感圧用部品と、前記芯体に印加される圧力を前記感圧用部品に伝達する圧力伝達部材とを備え、
前記筒状結合部材は、前記圧力伝達部材用の筐体を構成する
ことを特徴とする静電容量方式の電子ペン。
【請求項2】
前記突出部は、リング状鍔部であり、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部とを電気的に絶縁している
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項3】
前記第1の筐体部の側面と、前記第2の筐体部の側面と、前記突出部の端面とは、軸心方向において段差が無いように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項4】
前記第1の筐体部は、軸心方向において前記筒状結合部材と結合される側は筒状形状とされると共に、前記筒状結合部材と結合される側とは反対側はテーパー状とされ、前記テーパー状の先端に、前記芯体の先端が突出する開口を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項5】
前記第1の筐体部と前記芯体との間には絶縁材が配設されている
ことを特徴とする請求項4に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項6】
前記第2の筐体部は、導電性材料で構成されていて、固定電位とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項7】
前記筐体内には、前記筆圧検出部の前記感圧用部品を収納する感圧用部品収納部を有するホルダーが配設されており、
前記筒状結合部材は、前記ホルダーの感圧用部品収納部と軸心方向に結合されている
ことを特徴とする請求項に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項8】
前記筒状結合部材は、前記ホルダーと一体に構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項9】
前記芯体は、指示位置検出用信号を送出する
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項10】
前記芯体は、指示位置検出用信号を送出すると共に、位置検出センサからの信号を受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項11】
前記第1の筐体部は、位置検出センサからの信号を受信する受信電極を構成する
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項12】
前記筒状結合部材の前記突出部よりも前記第1の筐体部側との嵌合部の周側面には、前記第2の筐体部に収納されている電子回路に一端側が接続されている接続用導体の他端が露出する状態で配設されており、前記第1の筐体部が前記筒状結合部材と嵌合されることで、前記第1の筐体部と前記接続用導体との電気的な接続がなされる
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項13】
前記第1の筐体部は、前記芯体の先端を位置検出センサと電界結合させて位置指示をするときに、使用者の指が掛からない位置とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式の電子ペン。
【請求項14】
前記芯体の先端から、前記筒状結合部材のリング状鍔部までの長さは、10~15mmの範囲とされている
ことを特徴とする請求項13に記載の静電容量方式の電子ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出装置と共に使用される静電容量方式の電子ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量方式の電子ペンとして、位置検出装置の位置検出センサとの間の電界結合を通じて信号の授受(インタラクション)を行うことで、位置検出センサで電子ペンにより指示された位置を検出するようにする、いわゆるアクティブ静電容量方式の電子ペンが賞用されている。
【0003】
この種の電子ペンは、筒状の筐体の中空部内に、電源としての電池(一次電池又は二次電池)と、筆圧検出部と、信号発信回路が搭載される回路基板等が、電子ペンの筐体の軸心方向に並べられて収納されて構成されている。
【0004】
この場合に、回路基板は基板ホルダーに載置されると共に、筆圧検出部は、筆圧検出部用筐体内に感圧用部品及び圧力伝達部材が収納される構成とされている。そして、筆圧検出部と基板ホルダーとが電子ペンの筐体の軸心方向において結合されることでユニット化(モジュール化)されているものが多い。基板ホルダーが、筆圧検出部の筐体部分を備えるように構成されているものもある。
【0005】
電子ペンは、筒状の筐体の中空部内に、前記ユニット化された電子ペンの構成部品と電池とが軸心方向に並べられて収納されることで構成されている。このように電子ペンの構成部品をユニット化した構成とすることで、電子ペンは、落下衝撃による内部回路への衝撃を回避し、強度の強化、内部回路の微調整を可能としている。また、電子ペンの筐体のみを交換することで、多様な筐体形状の電子ペンに対応可能であるというメリットがある。
【0006】
ところで、近年のアクティブ静電容量方式の電子ペンにおいては、電子ペンによる指示位置を検出する位置検出センサ側からの信号を受信して、その受信した信号の要求に基づいたフォーマットの信号を発信する双方向通信型の電子ペンも登場してきた(例えば特許文献1(特開2016-134168号公報)参照)。
【0007】
この種の双方向通信型電子ペンにおいては、位置検出センサからの信号を受信するための受信部(アンテナ)の位置と大きさが重要である。静電容量方式の電子ペンの場合、位置検出センサから送信される信号は、静電容量結合により受信可能な電界によるものであり、その到達距離は非常に短い。そのため、双方向通信型電子ペンの受信部(アンテナ)は、位置検出センサからの信号を大きい強度で受信することができるように、ペン先に近い位置に配置される。そして、電子ペンの受信部(アンテナ)は、なるべく大きな受信範囲を有するような大きさの構成することが要求される。
【0008】
そこで、上述の特許文献1の電子ペンでは、受信部(アンテナ)は、導電性材料で構成されている芯体との電気的な絶縁を考慮しつつ、芯体の周囲を、芯体の先端部の近傍まで覆うように設けられた筒状の導体かならる周辺電極により構成されている。
【0009】
また、最近は、位置検出装置で、電子ペンの位置検出センサ面に対する傾き角(電子ペンの軸心方向と位置検出センサ面との成す角度)を検出し、検出した傾き角を電子ペンの指示軌跡(筆記跡)の太さなどに反映するようにすることが提案されている。この種の傾き角の検出に対応する電子ペンの一例は、例えば特許文献2(特開2016-126503号公報)に開示されている。
【0010】
この特許文献2に開示されているように、この種の傾き角等検出に対応の電子ペンにおいても、上述した双方向通信型電子ペンと同様に、芯体の周囲を、芯体の先端部の近傍まで覆うように設けられた筒状の導体からなる周辺電極を備える構成とされている。
【0011】
図6は、この種の従来の静電容量方式の電子ペンのペン先側の構成の一例を示すものであり、図6(A)は、その外観を示し、図6(B)は、その縦断面図である。この例の電子ペン100は、図6(A)及び(B)に示すように、筒状の筐体101のペン先側の開口に、テーパ形状の筒状体からなるフロントキャップ102が嵌合されて取り付けられている。筐体101は、使用者が電子ペン100を持って操作するときに、人体を通じてアース(地球アース)されるように、導電性材料、例えば金属で構成されている。また、フロントキャップ102は、絶縁性材料、例えば樹脂で構成されている。
【0012】
図6(B)に示すように、フロントキャップ102の先細となっているペン先側には、芯体103が軸心方向に自由に移動可能となるように挿通可能とされる開口102aが設けられている。芯体103は、導電性材料で構成されており、フロントキャップ102の開口102aから電子ペン100の筐体内に挿入されて、その先端部103aが外部に突出する状態で後述する芯体ホルダー113に保持されるように構成されている。この場合に、導電性材料からなる芯体103と、導電性材料からなる筐体101とは、フロントキャップ102が介在することにより電気的に分離(絶縁)されている。
【0013】
図6(B)に示すように、筐体101の中空部内には、信号発信回路等の回路部品が搭載されているプリント基板104を、載置部105aに載置している基板ホルダー105が収納されている。基板ホルダー105は、軸心方向に細長の絶縁性材料である樹脂により構成されており、図6(B)の例では、載置部105aよりも軸心方向においてペン先側に、筒状部105bを備える構成とされている。この筒状部105b内には、筆圧検出部106を構成する感圧用部品及び圧力伝達部材が収納される。この例の筆圧検出部106は、芯体103に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変コンデンサで構成される。
【0014】
この例の感圧用部品は、図6(B)に示すように、誘電体107と、端子部材108と、保持部材109と、導電部材110と、弾性部材111とで構成される複数個の部品からなる。端子部材108は、導電性材料例えばSUSからなり、感圧用部品で構成される容量可変コンデンサの第1の電極を構成する。また、導電部材110は例えば導電性ゴムで構成され、弾性部材111は導電性材料例えばSUSからなるコイルばねで構成されている。導電部材110と弾性部材111とは電気的に接続されて、前記容量可変コンデンサの第2の電極を構成する。導電部材110は、保持部材109に保持されている。そして、誘電体107と、保持部材109との間に、弾性部材111が配され、導電部材110が誘電体107から離間する方向に常時付勢されるように設けられている。
【0015】
芯体103は、その先端部とは反対側が、導電性弾性部材112を介して導電性材料からなる芯体ホルダー113に嵌合されることにより、芯体ホルダー113に対して結合保持されている。そして、芯体ホルダー113が、基板ホルダー105の筒状部105b内の感圧用部品の保持部材109に嵌合されることにより、芯体103に印加される圧力(筆圧)が感圧用部品に伝達されるように構成されている。
【0016】
この場合に、導電性弾性部材112を有する芯体ホルダー113は、芯体103に印加される圧力(筆圧)を感圧用部品に伝達するための圧力伝達部材としての機能を備えるものとして構成されている。この場合に、図6に示すように、芯体ホルダー113は、当該芯体ホルダー113を保持するための筐体114内に収納されるように構成されている。
【0017】
そして、筐体114内には、芯体ホルダー113を常に芯体103側に付勢するようにするコイルばね115が設けられている。このコイルばね115は、導電性金属などの導電性材料で構成されており、その一端は、図示は省略するが、プリント基板104に配設されている信号発信回路と電気的に接続されている。
【0018】
芯体ホルダー113は、導電性材料で構成されているので、この芯体ホルダー113に対して導電性弾性部材112を介して装着された導電性材料からなる芯体103は、このコイルばね114を通じて、プリント基板104に配設されている信号発信回路と電気的に接続されている。
【0019】
この例の電子ペン100においては、芯体103の先端側に圧力(筆圧)が印加されると、芯体103は、軸心方向に、電子ペン100の筐体101内側に変位するようになる。すると、芯体103が嵌合されている芯体ホルダー113が、芯体103と一体的に軸心方向に変位するので、感圧用部品の弾性部材111の弾性力に抗して、導電部材110を誘電体107側に変位させる。すると、導電部材110と誘電体107との両者の接触面積が、印加された圧力に応じて変化して、筆圧検出部106で構成される容量可変コンデンサの静電容量が印加された圧力に応じて変化する。したがって、この筆圧検出部106で構成される容量可変コンデンサの静電容量から、筆圧を検出することができる。
【0020】
そして、この例の電子ペン100においては、図6(B)に示すように、芯体103の周囲を囲む導電体材料からなる周辺電極116が、基板ホルダー105の筒状部105bのペン先側の外周部に嵌合して設けられている。この周辺電極116は、図6(B)では図示を省略したが、プリント基板104の回路部品と電気的に接続されている。
【0021】
この場合に、周辺電極116は、フロントキャップ102の開口部102a近傍の部位102cの存在により、芯体103とは電気的に分離(絶縁)された状態となるようにされている。また、フロントキャップ102は、図6(B)に示すように、周辺電極116と、電子ペン100の筐体101との間の電気的な分離(絶縁)の役割をも担うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】特開2016-134168号公報
【文献】特開2016-126503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ところで、近年のノート型コンピュータ、タブレットなどの携帯端末等は、その表示画面に重畳されて静電容量方式の位置検出センサが配設されて、静電容量方式の電子ペンによる指示入力を受け付けることができるようになっている。そして、この種の携帯機器は、より携帯性を向上させるために、小型・薄型になってきている。そのため、この種の携帯端末の位置検出センサに付随する静電容量方式の電子ペンも小型化・細型化が求められてきている。
【0024】
しかしながら、従来の電子ペンにおいては、図6(B)に示したように、筆圧検出部106は、基板ホルダー105の筒状部105b内に、感圧用部品と、筐体114内に収納された圧力伝達部材としての芯体ホルダー113が収納されて構成されている。このため、筆圧検出部106の筐体を構成する基板ホルダー105の筒状部105bは、筐体114内に収納された圧力伝達部材としての芯体ホルダー113を収納することができる太さが必要であり、筐体114の存在分だけ細型化が困難となっている。
【0025】
そして、上述した双方向通信型電子ペンや、傾き角の検出に対応可能な電子ペンにおいては、図6(B)に示したように、筒状の周辺電極116を、電子ペン100のペン先側において、筐体101及び芯体103に対して、電気的に分離(絶縁)した状態で設ける必要がある。
【0026】
従来の電子ペン100においては、筐体101と周辺電極116との間の電気的な分離(絶縁)を実現するために、電子ペン100のペン先側に絶縁材料からなるフロントキャップ102を設けて、このフロントキャップ102により周辺電極116と筐体101及び芯体103との間の電気的な分離(絶縁)を実現している。このために、電子ペン100の軸心方向に直交する方向において、筐体101と周辺電極116との間及び周辺電極116と芯体103との間にフロントキャップ102を介在させる構成となっており、電子ペンの細型化が困難となっている。また、フロントキャップ102をそのような絶縁を可能とするような複雑な形状とする必要もあった。
【0027】
この発明は、以上の問題点に鑑み、細型化を可能として静電容量方式の電子ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記の課題を解決するために、この発明による位置指示器は、
筒状の筐体の中空部の一方の開口側から導電性材料からなる芯体の先端が突出するように配設されると共に、前記中空部内に、複数の部品が軸心方向に沿って並べられて構成される電子ペンであって、
絶縁性材料からなり、前記複数の部品の少なくとも一部を収納する筒状結合部材を備えると共に、
前記筒状の筐体は、軸心方向に分離された第1の筐体部と第2の筐体部とを備え、
前記第1の筐体部は、導電性材料で構成されていると共に、前記芯体とは電気的に分離されている状態で前記芯体の先端を外部に突出させるための開口を有し、
前記筒状結合部材の外側周面には、当該外周側面から前記軸心方向に直交する方向に突出部が形成され、前記突出部の端面が前記筒状の筐体の一部を成すと共に、前記筒状結合部材の、前記突出部よりも軸心方向の一方側は前記第1の筐体部と嵌合され、前記突出部よりも前記軸心方向の他方側は前記第2の筐体部と嵌合されて、前記第1の筐体部と前記第2の筐体部とは、前記突出部により分離されており、
前記複数の部品には、前記芯体に印加される圧力を検出する筆圧検出部を含み、
前記筆圧検出部は、感圧用部品と、前記芯体に印加される圧力を前記感圧用部品に伝達する圧力伝達部材とを備え、
前記筒状結合部材は、前記圧力伝達部材用の筐体を構成する
ことを特徴とする静電容量方式の電子ペンを提供する。
【0029】
上述の構成の電子ペンにおいては、筒状結合部材の中空部内に、電子ペンを構成する複数の部品の内の一部、例えば筆圧検出用部品の一部を収納することができる。つまり、筆圧検出ユニットの筐体を、筒状結合部材で兼用することができる。この筒状結合部材は、リング状鍔部が筐体の一部を構成するものであり、電子ペンの細型化が可能になる。
【0030】
そして、上記の構成の電子ペンでは、筐体を第1の筐体部と第2の筐体部の2つに分け、ペン先側となる第1の筐体部を導電性材料で構成していると共に、第1の筐体部と第2の筐体部とを、筒状結合部材のリング状鍔部よりも軸心方向の一方側と、他方側とに、嵌合することで電子ペンの筐体を構成する。この場合に、リング状鍔部の存在により第1の筐体部と第2の筐体部とは接触することなく分離されている。
【0031】
したがって、上述の構成の電子ペンにおいては、導電性材料で構成されている第1の筐体を、双方向通信型電子ペンの周辺電極や、傾き角の検出に対応可能な電子ペンの周辺電極として構成することができる。すなわち、周辺電極を筐体の一部として構成することができるので、構成が簡単になると共に、電子ペンの細型化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】この発明による電子ペンの実施形態の構成例を説明するための図である。
図2】この発明による電子ペンの実施形態の要部の構成例を説明するための図である。
図3】この発明による電子ペンの実施形態における構成部品を説明するための図である。
図4】この発明による電子ペンの実施形態における構成部品を説明するための図である。
図5】この発明による電子ペンの実施形態の電気的構成の回路例を説明するための図である。
図6】従来の電子ペンの構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、この発明による静電容量方式の電子ペンの実施形態の構成例を説明するための図であり、図1(A)は、この実施形態の静電容量方式の電子ペン1の外観を示す図、図1(B)は、そのペン先側の縦断面図である。また、図2は、この実施形態の静電容量方式の電子ペン1の筐体10の構成を説明するための分解斜視図である。
【0034】
この実施形態の静電容量方式の電子ペン1の筐体10は、ペン先側の第1の筐体部11と、後端側の第2の筐体部12とが、筒状結合部材13を介して結合されて構成されている。そして、この筐体10の第1の筐体部11側の開口10a(図1(B)参照)から、芯体21の先端部21aが外部に突出する状態で、芯体21が、保持されるように構成されている。芯体21は、導電性材料、例えば導電性金属で構成され、図1(B)に示すような棒状体からなる。
【0035】
ペン先側の第1の筐体部11及び後端側の第2の筐体部12は、それぞれ導電性材料、例えば導電性金属で構成され、図1(A)及び(B)並びに図2に示すような筒状体からなる。
【0036】
第1の筐体部11は、図1及び図2に示すように、外径が一定の円筒形状部11aと、ペン先側に向かって徐々に先細となるようにテーパー状に形成されているテーパー部11bとを有する形状とされている。第2の筐体部12は、第1の筐体部11の円筒形状部11aの外径と等しい外径の円筒形状を有している。
【0037】
筒状結合部材13は、絶縁性材料、この例では樹脂で構成されており、図1(B)及び図2に示すような筒状体であって、その外周面の軸心方向の中ほどの位置には、当該外周側面から前記軸心方向に直交する方向に突出するリング状鍔部13Fが形成されている。このリング状鍔部13Fは、軸心方向に所定の幅W(図1及び図2参照)を有し、その端面は、図1(A)及び(B)に示すように、第1の筐体部11及び第2の筐体部12と段差を生じることなく面一となって筐体10の一部を構成するようにされている。つまり、リング状鍔部13Fの外周部の径は、第1の筐体部11及び第2の筐体部12の外径と等しく選定されている。
【0038】
そして、この筒状結合部材13の、リング状鍔部13Fよりも軸心方向の一方側であるペン先側は、第1の筐体部11の円筒形状部11aと嵌合される第1の嵌合筒状部13aとされる。この筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13aの外径は、第1の筐体部11の円筒形状部11aの内径と等しいか僅かに小さくされており、第1の筐体部11の円筒形状部11aは、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13aに、リング状鍔部13Fのところまで圧入嵌合されて結合されるように構成されている。
【0039】
また、筒状結合部材13の、リング状鍔部13Fよりも軸心方向に後端側は、第2の筐体部12と嵌合される第2の嵌合筒状部13bとされる。この筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bの外径は、第2の筐体部12の内径と等しいか僅かに小さくされており、第2の筐体部12は、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bに、リング状鍔部13Fのところまで圧入嵌合されて結合されるように構成されている。
【0040】
第1の筐体部11と、第2の筐体部12とが、筒状結合部材13に対して、図2で矢印で示すように挿入されて嵌合され、結合された状態では、図1(A)及び(B)に示すように、1本の筒状体の筐体10が形成される。このとき、前述したように、第1の筐体部11の円筒形状部11aの外周面と、第2の筐体部12の外周面と、リング状鍔部13Fの端面とは面一の状態となっている。そして、導電性材料からなる第1の筐体部11と第2の筐体部12とは、筒状結合部材13のリング状鍔部13Fの存在により接触することなく互いに電気的に分離(絶縁)されている状態となっている。
【0041】
第1の筐体部11のペン先側の開口11c(図2参照)には、図1(A)及び(B)に示すように、絶縁性材料、例えば樹脂からなるフロントキャップ14が設けられている。このフロントキャップ14には、芯体21の径よりも若干大きい径の開口10aが形成されている。芯体21は、このフロントキャップ14の開口10aを通じて、電子ペン1の筐体10内に挿通される。導電性材料からなる芯体21と第1の筐体部11とは、図1(B)に示すように、この絶縁材であるフロントキャップ14により、電気的に分離(絶縁)される。この実施形態の電子ペン1においては、第1の筐体部11は、図1(B)に示すように、芯体21の先端部21aよりも後端側を覆うように配されており、周辺電極を構成する。
【0042】
第2の筐体部12の中空部内には、図1(A)及び(B)に示すように、基板載置台部301にプリント基板31が載置された基板ホルダー30と、電源としての電池32が収納されている。電池32としては、一次電池であっても、二次電池(充電式電池)であってもよい。第2の筐体部12の後端側は、図1(A)に示すように、バックキャップ15により閉塞されている。
【0043】
基板ホルダー30は、絶縁性の樹脂により構成され、電子ペン1の軸心方向となる長手方向において、基板載置台部301側とは反対側に、感圧用部品保持部302を有している。基板ホルダー30は、図1(B)に示すように、筐体10の中空部内に収納されたときに、電子ペン1の軸心方向となる長手方向に、感圧用部品保持部302と、基板載置台部301とが連続する構成とされている。感圧用部品保持部302は、内部の中空部に感圧用部品5(筆圧検出用の複数個の部品)を収納する中空部を備える円筒形状とされる。基板載置台部301は、プリント基板31を載置して保持するボート状の形状であって、筒状体を軸芯方向に略半分切断したような形状とされている。
【0044】
基板ホルダー30は、感圧用部品保持部302が芯体21側となるように、筐体10内に収納される。そして、この感圧用部品保持部302に、芯体21を保持する芯体ホルダー23が結合され、芯体21に印加される圧力(筆圧)が、感圧用部品保持部302の感圧用部品5に伝達されるように構成されている。
【0045】
基板ホルダー30の感圧用部品保持部302の外径は、この実施形態では、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bの外径と等しいあるいは若干小さく選定されている。そして、図2に示すように、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302の一部が、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bの一部と嵌合することで、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302と筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bとが結合されて構成されている。
【0046】
基板ホルダー30は、図1(B)及び図2に示すように、感圧用部品保持部302が、軸心方向において、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bと嵌合結合されることで、筐体10内において軸心方向に移動しないように位置規制されている。
【0047】
そして、図示は省略するが、基板ホルダー30の基板載置台部301の、感圧用部品保持部302とは反対側に配設されている電池32の両端と、プリント基板31の電源ライン及びアースラインの銅箔パターンとが電気的に接続されている。これにより、電池32の電圧が、プリント基板31に形成されている回路に、電源電圧として供給される。
【0048】
この実施形態では、導電性材料からなる第2の筐体部12は、電気的に、プリント基板31のアースラインの銅箔パターンと接続されている。
【0049】
この実施形態では、プリント基板31上には、芯体21から送出する信号を発生する信号発生回路および当該信号発生回路からの信号の芯体21への送信を制御する制御回路を構成するIC(Integrate Circuit)41(図1(A)及び図5参照)及びその周辺回路部品からなる周辺回路部が設けられている。周辺回路部には、図示を省略するが、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)や、電池32の充電回路が含まれる。
【0050】
芯体21は、この実施形態では、図1(B)に示すように、導電性弾性部材22を介して導電性材料からなる芯体ホルダー23に嵌合されることにより、芯体ホルダー23に対して結合保持されている。そして、芯体ホルダー23が、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302内の感圧用部品5の後述する保持部材53に嵌合されることにより、芯体21に印加される圧力(筆圧)が感圧用部品5に伝達されるように構成されている。この場合に、芯体ホルダー23は、当該芯体ホルダー23と基板ホルダー30との間に設けられる、導電性金属などの導電性材料からなる弾性部材の例としてのコイルばね34により、基板ホルダー30に対して常に芯体21側に付勢されるように構成されている。なお、コイルばね24は、後述する導体端子部材25と共に、プリント基板31に配設されているIC41からの信号を芯体21に伝達するための電気的接続用部材を構成するものである。
【0051】
図3(A)は、芯体21、導電性弾性部材22、芯体ホルダー23、コイルばね24及び基板ホルダー30の感圧用部品保持部302の部分の分解斜視図である。
【0052】
導電性弾性部材22は、例えば導電性ゴムからなり、芯体21の先端部21aとは反対側の端部が嵌合される貫通孔22aを備える円筒状形状に形成されている。この導電性弾性部材22の芯体21側は、他の部分よりも外径が小さくされて薄肉部とされると共に、スリット222が形成されて、芯体21を把持し易くする把持部221とされている。
【0053】
このように構成したことにより、芯体21は、把持部221の、スリット部222が形成された2個の薄肉部である弧状部分により把持される。したがって、芯体21は導電性弾性部材22の把持部221に対して容易に挿入嵌合され、また、所定の力で引っ張ることで、芯体21を導電性弾性部材22から容易に引き抜くことができる。
【0054】
芯体ホルダー23は、導電性材料、例えばSUS(Steel Special Use Stainless)からなり、導電性弾性部材22を収納嵌合する凹穴231aを有する収納嵌合部231と、感圧用部品5の後述する保持部材53に嵌合する棒状部232とが一体に形成されたものである。
【0055】
上述のようにして導電性弾性部材22を収納した芯体ホルダー23の棒状部232に導電性のコイルばね24が装着された後、芯体ホルダー23の棒状部232は、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302内の感圧用部品5の保持部材53に嵌合される。
【0056】
この場合に、この実施形態の電子ペン1においては、プリント基板31上に構成されている回路で生成される送信信号を、芯体21に供給しなければならないことを考慮する必要がある。しかし、基板ホルダー30及び感圧用部品保持部302に収納された感圧用部品5の保持部材53は、絶縁性の材料である樹脂で構成されているので、芯体ホルダー23と保持部材53との間で電気的な接続をすることはできない。
【0057】
そこで、この実施形態では、芯体ホルダー23と、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302との間に設けた、導電性の材料で構成されたコイルばね24と、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302に設けられた導体端子部材25とにより電気的接続用部材を構成し、この電気的接続用部材により、プリント基板31の信号発信回路からの信号供給のための電気的接続を実現している。
【0058】
すなわち、この実施形態では、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302には、図3(A)に示すように、芯体ホルダー23の棒状部232が挿入される開口部302a側を覆うように、導電性を有する材料、例えばSUSからなる導体端子部材25が装着されている。
【0059】
この導体端子部材25は、図3(A),(B)に示すように、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302の開口部302a側を覆い、かつ、芯体ホルダー23の棒状部232が挿通する貫通孔251aを備える当接板部251と、この当接板部251に対して直交し、互いに対向する取り付け用板部252,253とを備えている。
【0060】
また、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302の部分を跨いで、基板載置台部301の部分まで延伸する延伸部254が設けられている。この延伸部254の先端部には、この例では、プリント基板31の裏面に例えば半田付けされる端子部254aが形成されている。
【0061】
そして、導体端子部材25が基板ホルダー30の感圧用部品保持部302に装着された状態においては、図1(B)に示すように、導体端子部材25から延伸する延伸部254の先端の端子部254aは、基板ホルダー30の基板載置台部301に載置されているプリント基板31の裏面側の導体と当接し、例えば半田付けされる。これにより、導体端子部材25とプリント基板31の表面に形成されている信号発生回路とが電気的に接続される。
【0062】
そして、前述したように、導電性弾性部材22が嵌合された芯体ホルダー23の棒状部232が、コイルばね24を介在させた状態で、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302の中空部内に、導体端子部材25の当接板部251の貫通孔251aを通して挿入されて、感圧用部品保持部302に嵌合される。コイルばね24の内径は、芯体ホルダー23の棒状部232の外形よりも大きいものとされている。
【0063】
したがって、コイルばね24は、芯体ホルダー23に弾性的に接触すると共に、導体端子部材25の当接板部251に当接して弾性的に接触する。コイルばね24は、導電性材料で構成されていると共に、導電性弾性部材22及び芯体ホルダー23は導電性を有するので、コイルばね24及び導体端子部材25を介して、芯体ホルダー23に嵌合されている導電性弾性部材22は、プリント基板31の回路部と電気的に接続される。
【0064】
そして、以上のように筐体10内に収納された芯体ホルダー23に嵌合された導電性弾性部材22の貫通孔22aに対して、芯体21が、前述したようにして挿入嵌合されて、芯体21が、芯体ホルダー23に対して、導電性弾性部材22を介して保持される。この状態では、芯体21は、プリント基板31の信号発信回路と電気的に接続されることになり、信号発信回路からの信号が芯体21に供給される状態となる。
【0065】
次に、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302及び感圧用部品5の構成、さらに、感圧用部品5の保持部材53と、芯体ホルダー23との嵌合について説明する。
【0066】
図4は、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302内に収納される感圧用部品5の分解斜視図である。感圧用部品保持部302に感圧用部品5が、図4に示すように収納されて図1(B)に示すように構成されることで、筆圧検出用モジュールが構成される。そして、この筆圧検出用モジュールに、芯体ホルダー23を介して芯体21が結合されることで、芯体21の先端部21aに印加される筆圧が筆圧検出用モジュールの感圧用部品5で検出される。この場合に、筆圧検出用モジュールは、これを構成する感圧用部品5の一部が、芯体21の先端部21aに印加される筆圧に応じて、芯体21及び芯体ホルダー23と共に軸心方向に移動することで、筆圧を検出する。
【0067】
この例の筆圧検出部は、芯体21に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する容量可変コンデンサを用いた場合である。
【0068】
この例の感圧用部品5は、図4(A)に示すように、誘電体51と、端子部材52と、保持部材53と、導電部材54と、弾性部材55との複数個の部品からなる。端子部材52は、導電性材料例えばSUSからなり、感圧用部品5で構成される容量可変コンデンサの第1の電極を構成する。また、導電部材54は例えば導電性ゴムで構成され、弾性部材は導電性材料例えばSUSからなるコイルばねで構成されている。導電部材54と弾性部材55とは電気的に接続されて、前記容量可変コンデンサの第2の電極を構成する。
【0069】
基板ホルダー30の感圧用部品保持部302は、図4(A)に示すように、中空部を備える筒状体により構成され、感圧用部品5を、その中空部内において軸心方向に並べて収納する構成とされている。
【0070】
上記のような複数個の部品からなる感圧用部品5のうち、筒状体からなる感圧用部品保持部302内で、軸心方向に移動しない部品である誘電体51と、端子部材52は、図4(A)に示すように、感圧用部品保持部302を構成する筒状体の側周面の一部に形成された軸心方向に直交する方向を開口とする開口部303を通じて、当該感圧用部品保持部302の軸心方向に直交する、プリント基板31の基板面に垂直な方向から挿入されて、図1(B)に示すように収納される。
【0071】
基板ホルダー30の感圧用部品保持部302と基板載置台部301との境目には、壁部304が設けられており、端子部材52は、この壁部304に押し付けられるように配設される。
【0072】
誘電体51は、所定の厚さを有する板状体の構成とされており、端子部材52に接触する状態で感圧用部品保持部302に収納される。したがって、誘電体51は、感圧用部品保持部302内で、軸心方向において端子部材52側には移動しないようにされる。
【0073】
容量可変コンデンサの第1の電極の役割を果たす端子部材52は、リード部52cを備える。このリード部52cは、感圧用部品保持部302内に収納されたときに、壁部304を跨いで、基板載置台部301上に載置されているプリント基板31の基板面のランド部(図示は省略)に半田付け接続される。
【0074】
なお、端子部材52は、誘電体51と端子部材52とが感圧用部品保持部302内に収納されたときに、誘電体51の開口部303側の側面部を押さえるようにするL字状突起52dを備える。
【0075】
保持部材53は、非導電性材料、この例では絶縁性材料である樹脂からなり、図4に示すように、その軸心方向の芯体21側となる側に、芯体ホルダー23の棒状部232が圧入嵌合される凹穴53bが設けられている円柱状形状部53aを備え、また、凹穴53b側とは軸心方向の反対側に、導電部材54を嵌合する凹穴53dが設けられているリング状突部53cを備えている。
【0076】
保持部材53の円柱状形状部53aには、芯体ホルダー23の棒状部232の凹穴53bへの圧入嵌合のし易さを補助することを企図して、凹穴53bの軸心方向に沿ったスリット53eが形成されている。保持部材53の円柱状形状部53aは、このスリット53eの備えることで、芯体ホルダー23の棒状部232に対応した把持部を構成し、保持部材53は、芯体ホルダー23を確実に把持して保持する。すなわち、保持部材53の円柱状形状部53aは、芯体ホルダー保持部を構成する。
【0077】
また、保持部材53のリング状突部53cも、凹穴53dを挟んで連通するようにされたスリット53fを備えている。このスリット53fの存在により、導電部材54は、リング状突部53cによって確実に把持され、保持部材53に保持される。
【0078】
また、保持部材53の円柱状形状部53aの側面部には、凹穴53bに連通する開口部53g,53hが、円筒中心軸位置を挟んで対向するように形成されている。また、保持部材53の円柱状形状部53aの周側面には、係合突部53i及び53jが形成されている。
【0079】
一方、芯体ホルダー23の棒状部232の先端部232aの近傍には、図3(A)に示すように、保持部材53の開口部53g,53hと係合する段部232b,232cが形成されている。芯体ホルダー23の棒状部232は、図1(B)に示すように、保持部材53の凹穴53bに圧入嵌合されると、段部232b、232cが、開口部53g,53hの壁部に衝合して、芯体21側には抜け落ちないように係合される。
【0080】
導電部材54は、導電性を有すると共に弾性変形可能な弾性部材からなるものとされており、例えば、シリコン導電ゴムや、加圧導電ゴムにより構成される。導電部材54は、保持部材53のリング状突部53cの凹穴53dに嵌合する突部54aを備える。
【0081】
また、弾性部材55は、例えば導電性を有するコイルばねで構成され、弾性を有する巻回部55aと、この巻回部55aの一端部に端子片55bを有し、巻回部55aの他端部に接続部55cを有している。
【0082】
弾性部材55は、保持部材53のリング状突部53cをその巻回部55a内に収納するようにして、保持部材53の軸心方向に組み合わされる。そして、導電部材54の突部54aが、保持部材53のリング状突部53cの凹穴53dに嵌合される。このとき、弾性部材55の接続部55cは、保持部材53のリング状突部53cのスリット部からリング状突部53cに形成されている凹穴53dの底部に挿入するようにされる。したがって導電部材54の径小部54bが保持部材53のリング状突部53cに圧入嵌合されたときには、導電部材54の径小部54bの端面が、導電性を有する弾性部材55の接続部55cと接触して、電気的に接続される状態となる。
【0083】
そして、弾性部材55の端子片55bは、感圧用部品保持部302内に挿入された時には、誘電体51、端子部材52及び壁部304を跨いで、基板載置台部301上に載置されているプリント基板31の基板面の導電パターンに、半田付け接続されるように構成されている。
【0084】
そして、保持部材53に対して、その軸心方向に、弾性部材55を介して導電部材54が結合されたものが、開口部302a側から感圧用部品保持部302内に挿入される。そして、保持部材53の円柱状形状部53aの側周面に形成されている係合突部53i及び53jが、感圧用部品保持部302の側周面に形成されている係合段部(図1(B)参照)に係合することで、保持部材53は感圧用部品保持部302から芯体21側に抜け落ちないように係止する。ただし、保持部材53は、芯体21側から筆圧が印加されたときには、感圧用部品保持部302の中空部内を、その軸心方向の芯体21とは反対側に移動可能となる。そして、弾性部材55の弾性偏倚力により、芯体21側からの筆圧の印加が無くなった時には、係合突部53i、53jが、感圧用部品保持部302の係合段部に係合する状態に戻る。
【0085】
以上のようにして感圧用部品5を、感圧用部品保持部302を構成する筒状体内に収納した後、感圧用部品保持部302の開口302a側の端面には、図3(B)に示した前述した導体端子部材25を、前述したように弾性的に装着する。その後、前述したように、導電性弾性部材22が嵌合された芯体ホルダー23の棒状部232を、導体端子部材25の当接板部251の貫通孔251aを通して、感圧用部品保持部302内に挿入して、保持部材53に嵌合する。これにより、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302に対して、芯体ホルダー23が保持される。
【0086】
そして、以上のように基板ホルダー30の感圧用部品保持部302に芯体ホルダー23が嵌合されている状態において、芯体21を、芯体ホルダー23に嵌合されている導電性弾性部材22の貫通孔22aに圧入させる。これにより、芯体21は、前述したように、導電性弾性部材22により芯体ホルダー23に対してしっかりと保持される。
【0087】
このとき、芯体21、導電性弾性部材22、芯体ホルダー23は、全て導電性を有するので、導電性のコイルばね24及び導体端子部材25を通じて芯体21とプリント基板31の信号発信回路とが電気的に接続される(図1(B)の点線参照)。したがって、プリント基板31の信号発信回路からの信号が芯体21から送出するようにされる。
【0088】
なお、芯体21は、芯体ホルダー23に嵌合されて保持された状態から、先端部21a側の方向に引き抜くことが可能である。したがって、前述したように、芯体21は、交換が可能である。
【0089】
この電子ペン1において、芯体21の先端部21aに圧力が印加されると、その圧力に応じて、芯体21は、軸心方向に後端側に変位する。この芯体21の変位により、感圧用部品保持部302内の保持部材53が弾性部材55の弾性偏倚力に抗して、誘電体51側に変位する。その結果、保持部材53に嵌合されている導電部材54が、誘電体51側に変位し、導電部材54と誘電体51との間の距離、さらには、導電部材54と誘電体51との接触面積が、芯体21に印加される圧力に応じて変化する。
【0090】
これにより、第1の電極を構成する端子部材52と、第2の電極を構成する導電部材54との間で形成される容量可変コンデンサの静電容量が、芯体21に印加される圧力に応じて変化する。この容量可変コンデンサの静電容量の変化が、プリント基板31に設けられているIC41で検出されて筆圧が検出される。
【0091】
次に、周辺電極を構成する第1の筐体部11と、プリント基板31の回路部との電気的な接続について説明する。
【0092】
ここで、図2は、基板ホルダー30を基板載置台部301とは反対側から見たときの第1の筐体部11及び第2の筐体部12、さらに、筒状結合部材13を示している。この図2に示すように、筒状結合部材13の外周面には、凹溝13cが、当該筒状結合部材13の軸心方向に沿った方向に、第1の嵌合筒状部13aから、リング状鍔部13Fの下部を通って、第2の嵌合筒状部13bに亘って形成されている。この場合に、凹溝13cは、第2の嵌合筒状部13bでは、その軸心方向の全体に亘って形成されている。
【0093】
そして、この筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bと結合される基板ホルダー30の感圧用部品保持部302の周側面にも、結合したときに、第2の嵌合筒状部13bの凹溝13cと連続するような凹溝3023が形成されている。この凹溝3023は、感圧用部品保持部302の周側面の軸心方向の全体に亘って、基板載置台部301の位置まで延長して形成されている。そして、基板ホルダー30の基板載置台部301には、図2に示すように、切欠き部3011が形成されて、載置されるプリント基板31の裏面31b側が、この切欠き部3011側から見えるような状態に構成されている。
【0094】
そして、図2に示すように、凹溝13c及び凹溝3023内には、導電体材料、この例では、導電体金属からなる接続端子導体16が配設される。この場合に、図1(B)にも示すように、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13a側の凹溝13cに配設される接続端子導体16の端部16aは、少なくとも一部が、当該第1の嵌合筒状部13aの外周面よりも若干膨出するように配設される。ただし、当該端部16aの部分の凹溝13cの深さは、当該端部16aを上から押下したときには、端部16aが弾性的に下方に押下できるような深さに構成されている。
【0095】
これにより、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13aに第1の筐体部11が嵌合されたときに、接続端子導体16の端部16aと、第1の筐体部11の内壁とが確実に接触して、第1の筐体部11と接続端子導体16とが電気的に接続される状態となるように構成されている。
【0096】
一方、凹溝13cの内、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13b側に設けられている部分は、深さが深くされていて、この凹溝13c内に配設される接続端子導体16の上面が、第2の嵌合筒状部13bの外周面位置よりも低い位置となるようにされている。
【0097】
基板ホルダー30の感圧用部品保持部302に設けられている凹溝3023も、同様に、深さが深くされていて、この凹溝3023内に配設される接続端子導体16の上面が感圧用部品保持部302の外周面位置よりも低い位置となるようにされている。
【0098】
これにより、第2の筐体部12が、基板ホルダー30を内部に収納する状態で、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bに嵌合されたときには、凹溝13c及び凹溝3023内の接続端子導体16の上面と第2の筐体部12の内壁面との間には、空気層が存在することで、両者の電気的分離(絶縁)が実現される。
【0099】
そして、接続端子導体16のプリント基板31側に伸びている端部16bは、基板ホルダー30の切欠き部3011のところで折り曲げられて、プリント基板31の裏面31b側に電気的に接続される。図示は省略してあるが、接続端子導体16の端部16bは、プリント基板31の表面側の回路部とはスルーホールを介して、電気的に接続されている。
【0100】
なお、凹溝13c及び凹溝3023の深さを調整するのではなく、接続端子導体16の厚さを変えることで、端部16aは、第1の嵌合筒状部13aの外周面よりも僅かに膨出し、第2の嵌合筒状部13b及び基板ホルダー30の感圧用部品保持部302では、接続端子導体16と第2の筐体部12との間に空間が生じるようにして、接続端子導体16と第2の筐体部12との絶縁を実現するようにしてもよい。なお、第2の嵌合筒状部13b及び基板ホルダー30の感圧用部品保持部302では、凹溝13cの接続端子導体16の上面を絶縁層で覆うようにして、より確実に接続端子導体16と第2の筐体部12との絶縁を実現するようにしてもよい。
【0101】
以上のように構成されているこの実施形態の電子ペン1の組み立てについて説明する。先ず、基板ホルダー30の基板載置台部301に、予め回路部品を搭載させておいたプリント基板31を載置して固定する。次に、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302に、筆圧検出部を構成する感圧用部品5を収納する。
【0102】
次に、前述したように、導体端子部材25を、その当接板部251が基板ホルダー30の感圧用部品保持部302の開口部302a側を閉塞するようにして、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302に取り付ける。そして、導体端子部材25の延伸部254の先端の端子部254aを、プリント基板31の裏面31bに半田付けして、プリント基板31の表面31a側の回路部と、スルーホールを介して電気的に接続する。
【0103】
次に、コイルばね24を棒状部232の部分に装着した芯体ホルダー23を、コイルばね24が芯体ホルダー23と導体端子部材25の当接板部251との間に保持される状態で、開口部302aから感圧用部品保持部302の内部に挿入し、保持部材53により保持されるようにする。
【0104】
次に、筒状結合部材13の中空部内に芯体ホルダー23を収納させるようにして、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bと、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302とを結合させる。そして、筒状結合部材13の凹溝13c及び感圧用部品保持部302の凹溝3023内に、接続端子導体16を、前述したような状態で配設し、接続端子導体16の基板ホルダー30の基板載置台部301側の端部16bを、プリント基板31の裏面31bに半田付けして、プリント基板31の表面31a側の回路部と、スルーホールを介して電気的に接続する。
【0105】
次に、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13a側に、開口11cにフロントキャップ14が取り付けられている第1の筐体部11の円筒形状部11aを嵌合させる。この場合に、第1の筐体部11の円筒形状部11aは、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13aに対して、リング状鍔部13Fのところまで押し込んで嵌合する。この結果、第1の筐体部11は、図1(B)に示すように、接続端子導体16の端部16aと圧接して、電気的に接続される。つまり、第1の筐体部11は、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13aに嵌合させることにより、接続端子導体16を通じてプリント基板31の回路部と電気的に接続される状態となる。
【0106】
次に、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bに対して、第2の筐体部12を、その中空部内に基板ホルダー30を収納する状態で嵌合させる。この場合に、第2の筐体部12も、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bに対して、リング状鍔部13Fのところまで押し込んで嵌合する。なお、ここでは、図示は省略するが、基板ホルダー30を収納した状態で、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bに嵌合された第2の筐体部12は、プリント基板31のアース導体と電気的に接続されるように構成されている。
【0107】
その後、第2の筐体部12の中空部内には、軸心方向において、基板ホルダー30の基板載置台部301よりも後端側に、電池32が挿入されて固定される。そして、第2の筐体部12の後端側の開口がバックキャップ15により閉塞される。
【0108】
最後に、第1の筐体部11に装着されているフロントキャップ14の開口10aを通じて芯体21が挿入されて、芯体ホルダー23に保持されている導電性弾性部材22に嵌合されて保持される。以上で、電子ペン1が完成となる。
【0109】
この場合に、芯体21の先端部21aから、筒状結合部材13のリング状鍔部13Fの第1の筐体部11との結合側までの長さL1(図1(A)参照)は、電子ペン1を使用者が使用時に手で把持したときに、指が触れてしまわないような長さになるように、第1の筐体部11の軸心方向の長さ、フロントキャップ14の軸心方向の長さ及び芯体21の長さが選定される。芯体21の長さは、フロントキャップ14の開口から外部に突出する先端部21aの長さが、主として長さL1に関与するので、それを考慮して選定されるものである。ちなみに、長さL1は、10~15mmとなるようにされることで、使用者の指が触れてしまわないような長さになるものである。
【0110】
図5に、この実施形態の電子ペン1の電気的な構成例を示す。図5に示すように、プリント基板31に載置されているIC40により制御回路41が構成される。そして、この制御回路41に対して、信号発信回路42と受信回路43とが接続されていると共に、筆圧検出部の感圧用部品5で構成される可変容量コンデンサ5Cが接続されている。可変容量コンデンサ5Cには、並列に抵抗5Rが接続されている。
【0111】
そして、信号発信回路42の信号出力端が、導体端子部材25及び芯体ホルダー23並びに導電性弾性部材22を通じて芯体21に接続されている。また、芯体21の周囲を覆うように配設されている第1の筐体部11(周辺電極)は、接続端子導体16を通じて受信回路43の入力端に接続されている。
【0112】
そして、電池32からの電源電圧が、IC41、信号発信回路42、受信回路43のそれぞれに対して供給されている。
【0113】
受信回路43は、第1の筐体部11で構成される周辺電極で、位置検出装置の位置検出センサとの間での静電容量結合(電界結合)を介して受信した信号を受け取り、当該受信した信号に応じた復調等の処理をして、その処理結果の信号を制御回路41に送る。
【0114】
制御回路41は、受信回路43からの信号を解析して、相手の位置検出装置の仕様を判断する。そして、その判断結果に基づいて信号発信回路42から出力する信号のフォーマットを、相手の位置検出装置の仕様に合致するものとなるように制御する。
【0115】
信号発信回路42は、基本的には、位置検出装置での位置検出のための位置検出用信号(バースト信号)と、筆圧検出部の感圧用部品5で検出した筆圧情報とを含む信号を、制御回路41の制御の下に出力する。すなわち、信号発信回路42は、制御回路41による制御の下に、位置検出のためのバースト信号を送出する。そして、制御回路41は、信号発信回路42からバースト信号を送出している期間に、筆圧検出部の感圧用部品5で構成される可変容量コンデンサ5Cの静電容量に基づいて筆圧を検出する動作を実行する。
【0116】
この例では、制御回路41は、まず、可変容量コンデンサ5Cを満充電の状態まで充電し、その後、充電を停止させることで、可変容量コンデンサ5Cを、抵抗5Rを通じて放電する状態にする。そして、その放電開始時点から、可変容量コンデンサ5Cの両端電圧が予め定められている所定の電圧になるまでの時間を計測し、その時間から、可変容量コンデンサ5Cのその時の静電容量を検出する。可変容量コンデンサ5Cの静電容量は、その時に芯体21に印加されている筆圧に対応したものとなっているので、その検出した静電容量に基づき筆圧を検出する。
【0117】
そして、制御回路41は、信号発信回路42を、バースト信号の送出期間の終了後、検出した筆圧に応じた、例えば符号化信号からなる筆圧情報を芯体21から送出するように制御する。制御回路41は、更に、判断した相手の位置検出装置の仕様に応じた信号の発生制御、例えば電子ペン1の識別情報を送信したり、電池32の残容量の情報を送信したりするなどを行うようにする。
【0118】
なお、位置検出装置及び位置検出センサの回路構成は、周知のものを用いることができるので、ここでは、その構成例の説明は省略する。
【0119】
[実施形態の効果]
以上説明したように、この実施形態の電子ペン1においては、筐体10は、第1の筐体部11と第2の筐体部12とに分離され、筒状結合部材13の軸心方向の一方側及び他方側に対して、これら第1の筐体部11及び第2の筐体部12がそれぞれ嵌合されることで形成される。そして、筒状結合部材13は、この実施形態では、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302と結合されており、筆圧検出部を構成する部品(感圧用部品5と圧力伝達部材としての芯体ホルダー23)の内、感圧用部品5は基板ホルダー30の感圧用部品保持部302内に収納され、圧力伝達部材としての芯体ホルダー23は筒状結合部材13内に収納されるように構成されている。
【0120】
したがって、図6に示した従来の電子ペン100における筆圧検出部の構成と比較すると、実施形態の電子ペン1では、圧力伝達部材を構成する芯体ホルダー23を収納する筐体は、筒状結合部材13で兼用されている構成であり、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302内に収納される電子ペン100における筐体114は不要となるので、その分だけ、細型化が可能となる。
【0121】
また、図6に示した従来の電子ペン100においては、筐体101と周辺電極116とは、電子ペン100の軸心方向に直交する方向において絶縁材料であるフロントキャップ102を介在させる構成であるのに対して、この実施形態の電子ペン100では、周辺電極を構成する第1の筐体部11と、第2の筐体部12との電気的な分離(絶縁)は、筒状結合部材13のリング状鍔部13Fを、軸心方向に介在されることで実現する構成であって、第1の筐体部11と第2の筐体部12とを軸心方向に並べることができる構成であるので、細型化が可能となる。
【0122】
そして、周辺電極としての第1の筐体部11と芯体21との電気的な分離(絶縁)は、単純な筒状形状のフロントキャップ14を第1の筐体部11の開口11c側に設けるだけで実現するようにしたので、図6に示した従来の電子ペン100における特殊な形状なフロントキャップ102が不要となるというメリットもある。
【0123】
[他の実施形態または変形例]
上述の実施形態では、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13aと第1の筐体部11、また、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bと第2の筐体部12とは、圧入嵌合することで結合させて筐体10を構成するようにした。しかし、圧入嵌合ではなく、互いに螺合するようにしてもよい。また、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13aと第1の筐体部11との一方に、あるいは、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bと第2の筐体部12との一方に、リング状突部を設けると共に、他方に対応するリング状凹部を設けて、当該リング状突部とリング状凹部でクリック的に係止するように嵌合させるように構成してもよい。
【0124】
また、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13aと第1の筐体部11との嵌合は螺合とし、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bと第2の筐体部12との嵌合は、圧入あるいは上記のクリック的な係止を行うものとしてもよい。その逆に、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bと第2の筐体部12との嵌合は螺合とし、筒状結合部材13の第1の嵌合筒状部13aと第1の筐体部11との嵌合は、圧入あるいは上記のクリック的な係止を行うものとしてもよい。
【0125】
また、上述の実施形態では、筒状結合部材13のリング状鍔部13Fの端面の外径と、第1の筐体部11の外径と、第2の筐体部12の外径とは、全て同一として、筐体10としては、軸心方向に凹凸の無い形状とした。しかし、筒状結合部材13のリング状鍔部13Fの端面の外径と、第1の筐体部11の外径と、第2の筐体部12の外径とは、全て同一とする必要はなく、例えば、第1の筐体部11の外径と第2の筐体部12の外径とは同一とし、リング状鍔部13Fの外径は、それよりも大きいあるいは小さくするようにしてもよい。この場合には、リング状鍔部13Fが外径が大きく、その部分で筐体10において突部となるので、使用者が使用時に電子ペンを把持する際に、第1の筐体部11側を指が接触しないようにするときの手掛かりとなり、便利である。
【0126】
また、第1の筐体部11と第2の筐体部12の外径を互いに異ならせると共に、リング状鍔部13Fの外径を、第1の筐体部11と第2の筐体部12の一方と等しくするように構成してもよい。この場合にも、筐体10の外周面に生じる段差が、使用者が使用時に電子ペンを把持する際に、第1の筐体部11側を指が接触しないようにするときの手掛かりとなり、便利である。
【0127】
上述の実施形態では、筒状結合部材13と基板ホルダー30の感圧用部品保持部302とは一部が嵌合する状態で結合するように構成したが、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bの軸心方向の端部と、基板ホルダー30の感圧用部品保持部302の軸心方向の端部とが単に衝合するような構成としてもよい。
【0128】
また、筆圧検出部の感圧用部品5の保持部は、基板ホルダー30に一体的に設けるのではなく、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13b側に、一体的に設けるようにしてもよい。
【0129】
また、筒状結合部材13と、基板ホルダー30とを一体的に構成するようにするようにしてもよい。その場合には、基板ホルダー30の部分の外径は、筒状結合部材13の第2の嵌合筒状部13bの外径よりも、小さくして、第2の筐体部12内に収納し易くする構成とすることができる。
【0130】
なお、上述の実施形態では、第1の筐体部11だけではなく、第2の筐体部12も導電性材料で構成するようにしたが、第2の筐体部12を導電性材料で構成することは必須ではなく、第2の筐体部12は、例えば樹脂などの絶縁性材料で構成してもよい。
【0131】
なお、上述の実施形態では、周辺電極を構成する第1の筐体部11は、信号受信専用とした電子ペンについて説明したが、この第1の筐体部11から信号を送出するように構成する電子ペンであってもよい。
【0132】
例えば、電子ペンが位置検出センサの入力面に接触しておらず、その上空に在る状態(いわゆるホバー状態)のときには、芯体21からのみならず、あるいは芯体21からの信号送出に代えて、周辺電極としての第1の筐体部11から信号を送出することで、位置検出センサで、電子ペンのホバー状態におけるおおよその位置を検出し易くすることができる。
【0133】
また、前述した特許文献2の電子ペンのように、周辺電極としての第1の筐体部11から信号を送出することで、位置検出装置で、電子ペンの傾きを検出することができるように構成することもできる。
【0134】
なお、上述の実施形態の電子ペン1では、芯体21は、位置検出センサに対して信号送信のみをするように構成したが、芯体21を、位置検出センサに対する信号送信と、位置検出センサからの信号受信とを、時分割で行えるように構成した電子ペンの構成とすることもできる。
【0135】
また、上述の実施形態の電子ペンでは、芯体21や第1の筐体部11と位置検出装置の位置検出センサとの間でのみ信号の送受信を行うように説明したが、例えばブルートゥース(登録商標)規格の無線通信手段を用いることで、位置検出装置との間で無線通信により信号の送受信を行うように、電子ペンを構成してもよい。
【0136】
なお、上述の実施形態では、筆圧検出部の感圧用部品は、誘電体51を端子部材52と導電部材54とで挟持することで可変容量コンデンサを構成するようにしたが、例えば特開2013-161307号公報に開示されているような筆圧に応じて静電容量を可変とする、MEMS(Micro Elector Mechanical Systems)素子からなる可変容量コンデンサとして構成され半導体素子を用いて構成することもできる。
【0137】
また、上述の実施形態では、第1の筐体部11を、1個の導電性部材としたが、この第1の筐体部11を、周方向に分割した2個や3個などの複数個の導電性部材を備えるものとし、それらの複数個の導電性部材のそれぞれに独立に信号を供給して、位置検出センサに対し送信することができるように構成してもよい。その場合には、位置検出装置では、電子ペンの回転角も検出することができる。
【符号の説明】
【0138】
1…電子ペン、10…筐体、11…第1の筐体部、12…第2の筐体部、13…筒状結合部材、13a…第1の嵌合筒状部、13b…第2の嵌合筒状部、13F…リング状鍔部、14…フロントキャップ、15…バックキャップ、16…接続端子導体、21…芯体、22…導電性弾性部材、23…芯体ホルダー、24…コイルばね、25…導体端子部材、30…基板ホルダー、301…基板載置台部、302…感圧用部品保持部、31…プリント基板、32…電池、41…制御回路、42…信号発信回路、43…受信回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6