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▶ シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 163/00 20060101AFI20240716BHJP
   C10M 159/22 20060101ALN20240716BHJP
   C10M 137/10 20060101ALN20240716BHJP
   C10M 135/10 20060101ALN20240716BHJP
   C10M 129/10 20060101ALN20240716BHJP
   C10M 129/54 20060101ALN20240716BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20240716BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20240716BHJP
   C10N 30/10 20060101ALN20240716BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20240716BHJP
【FI】
C10M163/00
C10M159/22
C10M137/10 A
C10M135/10
C10M129/10
C10M129/54
C10N10:04
C10N30:06
C10N30:10
C10N40:25
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020571426
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 IB2019055076
(87)【国際公開番号】W WO2019244018
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】62/688,574
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598037547
【氏名又は名称】シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ショムルー、クレア
(72)【発明者】
【氏名】ボッファ、アレクサンダー
【審査官】中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-512238(JP,A)
【文献】特開2008-024938(JP,A)
【文献】特開2008-169228(JP,A)
【文献】特表2020-525573(JP,A)
【文献】特表2018-504498(JP,A)
【文献】特開2008-297547(JP,A)
【文献】特開2005-306913(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074522(WO,A1)
【文献】特開平07-070141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M101/00-177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む潤滑油組成物:
(a)主要量の潤滑粘度の油;
(b)アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩、ここで、アルキル基は、異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、当該異性化されたノルマルアルファオレフィンは、分子あたり10~40個の炭素原子を有し、そして、少なくとも1000ppmのカルシウムを提供する量の0.1から0.4のノルマルアルファオレフィンの異性化レベル(I)を有する;
(c)潤滑油組成物の総重量に基づいて、100~1000ppmのマグネシウムを有する1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤;および
(d)少なくとも1つのジアルキルジチオリン酸亜鉛が第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物。
【請求項2】
前記主要量の潤滑粘度の油が、潤滑油組成物の総重量に基づき、50重量%を超える、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
前記アルキル置換フェネート洗浄剤のアルキル基が、14から30を有する異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
前記アルキル置換フェネート洗浄剤のアルキル基が、20から28を有する異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
前記アルキル置換フェネート洗浄剤の異性化されたノルマルアルファオレフィンが、0.10から0.30の異性化レベル(I)を有する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
前記アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩が、オイルフリーベースで100から600mgKOH/グラムの総塩基数(TBN)を有する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
前記アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩が、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性カルシウム塩である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
前記1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤が、スルホン酸マグネシウム、フェネートマグネシウム、およびサリチル酸マグネシウムのうちの1つ以上である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
前記1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤が、1つ以上の過塩基性マグネシウム含有洗浄剤である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含み、第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物の第一級アルコール:第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物の第二級アルコールのモル比が、80:20から20:80である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
前記潤滑油組成物の総重量に基づいて、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩に由来する10ppmから5000ppmの金属、及び、潤滑油組成物の総重量に基づいて、1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物に由来する0.01重量%~0.12重量%のリンを含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
酸化防止剤、防錆剤、消泡剤、解乳化剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、腐食防止剤、無灰分散剤、多機能剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
以下を含む潤滑油組成物を用いて内燃エンジンを作動させる工程を含む方法:
(a)主要量の潤滑粘度の油;
(b)アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩、ここで、アルキル基は、異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、当該異性化されたノルマルアルファオレフィンは、分子あたり10~40個の炭素原子を有し、そして、0.1から0.4のノルマルアルファオレフィンの異性化レベル(I)を有する;
(c)潤滑油組成物の総重量に基づいて、100~2000ppmのマグネシウムを有する1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤;および
(d)少なくとも1つのジアルキルジチオリン酸亜鉛が第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物。
【請求項14】
アルキル置換フェネート洗浄剤のアルキル基が、0.10から0.30の異性化レベル(I)及び20から28を有する異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩が、オイルフリーベースで100から600mgKOH/グラムのTBNを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤が、スルホン酸マグネシウム、フェネートマグネシウム、およびサリチル酸マグネシウムのうちの1つ以上である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
潤滑油組成物が、第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含み、第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物の第一級アルコール:第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物の第二級アルコールのモル比が、80:20から20:80である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記潤滑油組成物が、前記潤滑油組成物の総重量に基づいて、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩に由来する10ppmから5000ppmの金属、及び、潤滑油組成物の総重量に基づいて、1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物に由来する0.01重量%~0.12重量%のリンを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
潤滑油組成物が、
酸化防止剤、防錆剤、消泡剤、解乳化剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、腐食防止剤、無灰分散剤、多機能剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記内燃機関が圧縮点火エンジンである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
開示される技術は、内燃機関用の潤滑剤、特に圧縮点火エンジン用の潤滑剤に関する。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
自動車の火花点火およびディーゼルエンジンは、例えば、バルブ、カム、およびロッカーアームを含むバルブトレインシステムを有し、これらは、特別な潤滑の懸念を提示する。潤滑剤、すなわちエンジンオイルが酸化安定性を提供し、エンジン内の堆積物の生成を抑制して、エンジン部品を清潔に保ち、エンジンの寿命とオイル排出間隔を延ばすことが重要である。このような堆積物は、炭化水素燃料(ガソリンやディーゼル燃料油など)の不燃性および不完全燃焼から、および使用されるエンジンオイルの劣化によって生成される。潤滑剤がこれらの部品を摩耗から保護することも重要である。
【0003】
エンジンオイルは、典型的に、基油として鉱油または合成油を使用する。しかし、単純な基油だけでは、内燃機関を保護するために必要な酸化安定性、堆積物制御などを提供するために必要な特性を提供しない。したがって、基油は、無灰分散剤、金属洗浄剤(すなわち、金属含有洗浄剤)、耐摩耗剤、および抗酸化剤などの補助機能を付与するための様々な添加剤で配合され、配合油(すなわち、潤滑油組成物)を提供する。
【0004】
いくつかのそのようなエンジンオイル添加剤が知られており、実際に使用されている。例えば、洗浄剤は典型的に、その洗浄力と抗酸化特性のために、市販の内部組成エンジンオイル、特に自動車に使用されるものに含まれている。洗浄剤のそのような例の1つには、フェネートが含まれる。テトラプロペニルフェノール(TPP)などの低分子量アルキルフェノールは、硫化された過塩基性フェネートの生産者によって原料として使用されてきた。ただし、酸化性能に影響を与えないように、摩耗性能を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、潤滑油配合技術の進歩にもかかわらず、エンジンオイルの酸化性能を改善しつつ、耐摩耗性を保持する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の概要
一実施形態によれば、以下を含む潤滑油組成物が提供される。
【0007】
(a)100℃で約2~約50mm/sの範囲の動粘度を有する主要量の潤滑粘度の油;
【0008】
(b)アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩、ここで、アルキル基は、異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、当該異性化されたノルマルアルファオレフィンは、分子あたり約10~約40個の炭素原子を有し、そして、約0.1から約0.4のノルマルアルファオレフィンの異性化レベル(I)を有する;
【0009】
(c)潤滑油組成物の総重量に基づいて、約100~約2000ppmのマグネシウムを有する1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤;および
【0010】
(d)第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物。
【0011】
別の例示的な実施形態によれば、以下を含む潤滑油組成物を用いて内燃エンジンを作動させる工程を含む方法が提供される:
(a)100℃で約2~約50mm/sの範囲の動粘度を有する主要量の潤滑粘度の油;
【0012】
(b)アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩、ここで、アルキル基は、異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、当該異性化されたノルマルアルファオレフィンは、分子あたり約10~約40個の炭素原子を有し、そして、約0.1から約0.4のノルマルアルファオレフィンの異性化レベル(I)を有する;
【0013】
(c)潤滑油組成物の総重量に基づいて、約100~約2000ppmのマグネシウムを有する1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤;および
【0014】
(d)第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物。
【0015】
本開示の潤滑油組成物は、本開示の潤滑油性能の酸化、堆積制御、洗浄力、および熱安定性を有利に改善する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
開示の詳細な説明
本明細書に開示される主題の理解を容易にするために、本明細書で使用されるいくつかの用語、略語、または他の省略形が以下に定義される。定義されていない任意の用語、略語、または省略形は、本出願の提出と同時に当業者によって使用される通常の意味を有すると理解される。
【0017】
定義:
【0018】
本明細書において、以下の単語および表現は、使用される場合、および使用される時、以下に与えられる意味を有する。
【0019】
「主要量」とは、組成物の50重量%を超えることを意味する。
【0020】
「有効成分」または「活性成分」は、希釈剤または溶媒ではない添加剤を指す。
【0021】
報告されたすべてのパーセンテージは、特に明記しない限り、有効成分ベースで(すなわち、キャリヤーまたは希釈油に関係なく)重量%である。
【0022】
「ppm」という用語は、潤滑油組成物の総重量に基づく重量百万分率を意味する。
【0023】
100℃での動粘度(KV100)は、ASTM D445に従って決定された。
【0024】
「金属」という用語は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの混合物を指す。
【0025】
「アルカリ金属」という用語は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウムを指す。
【0026】
「アルカリ土類金属」という用語は、カルシウム、バリウム、マグネシウム、およびストロンチウムを指す。
【0027】
「総塩基数」または「TBN」という用語は、1グラムのサンプル中のミリグラムのKOHに相当する塩基の量を指す。したがって、TBNの数値が高いほど、アルカリ性の生成物が多くなり、アルカリ性が高くなる。TBNは、ASTM D2896テストを使用して決定された。
【0028】
カルシウム、マグネシウム、リン、および硫黄の含有量は、ASTM D5185に従って決定された。
【0029】
「オレフィン」という用語は、いくつかのプロセスによって得られる、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素のクラスを指す。1つの二重結合を含むものはモノアルケンと呼ばれ、2つの二重結合を含むものはジエン、アルキルジエン、またはジオレフィンと呼ばれる。二重結合が第1炭素と第2炭素の間にあるため、たとえば1-オクテンと1-オクタデセンなどのアルファオレフィンは特に反応性が高く、中程度の生分解性界面活性剤の出発点として使用される。線状および分岐オレフィンもオレフィンの定義に含まれる。
【0030】
「ノルマルアルファオレフィン」という用語は、炭化水素鎖のアルファまたは一級位置に存在する炭素-炭素二重結合を有する直鎖の非分岐炭化水素であるオレフィンを指す。
【0031】
「異性化されたノルマルアルファオレフィン」という用語は、アルキル鎖に沿った分岐の導入および/または存在するオレフィン種の分布の変化をもたらす異性化条件に供されたアルファオレフィンを指す。異性化オレフィン生成物は、約10から約40個の炭素原子、または約20から約28個の炭素原子、または約20から約24個の炭素原子を含む線状アルファオレフィンを異性化することによって得ることができる。
【0032】
「C10-40ノルマルアルファオレフィン」という用語は、10未満の炭素数が蒸留または他の分別方法によって除去されたノルマルアルファオレフィンのフラクションを定義する。
【0033】
本開示は、以下を含む潤滑油組成物に関する:
(a)100℃で約2~約50mm/sの範囲の動粘度を有する主要量の潤滑粘度の油;
(b)アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩、ここで、アルキル基は、異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、当該異性化されたノルマルアルファオレフィンは、分子あたり約10~約40個の炭素原子を有し、そして、約0.1から約0.4のノルマルアルファオレフィンの異性化レベル(I)を有する;
(c)潤滑油組成物の総重量に基づいて、約100~約2000ppmのマグネシウムを有する1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤;および
(d)第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物。
【0034】
一般に、本開示の潤滑油組成物中の硫黄のレベルは、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.7重量%以下であり、例えば、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.01重量%~約0.70重量%、または約0.01重量%~約0.6重量%、または約0.01重量%~約0.5重量%、または約0.01重量%~約0.4重量%、または約0.01重量%~約0.3重量%、または約0.01重量%~約0.2重量%、または約0.01重量%~約0.10重量%の硫黄のレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物中の硫黄のレベルは、潤滑油組成物の総重量に基づき、約0.60重量%以下、または約0.50重量%以下、または約0.40重量%以下、または約0.30重量%以下、または約0.28重量%以下、または約0.20重量%以下、または約0.10重量%以下である。
【0035】
一実施形態では、本開示の潤滑油組成物中のリンのレベルは、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.12重量%以下、例えば、約0.01重量%~約0.12重量%のリンのレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物中のリンのレベルは、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.11重量%以下、例えば、約0.01重量%~約0.11重量%のリンのレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物中のリンのレベルは、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.10重量%以下、例えば、約0.01重量%~約0.10重量%のリンのレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物中のリンのレベルは、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.099重量%以下、例えば、約0.01重量%~約0.099重量%のリンのレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物中のリンのレベルは、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.08重量%以下、例えば、約0.01重量%~約0.08重量%のリンのレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物中のリンのレベルは、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.07重量%以下、例えば、約0.01重量%~約0.07重量%のリンのレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物中のリンのレベルは、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.05重量%以下、例えば、約0.01重量%~約0.05重量%のリンのレベルである。
【0036】
一実施形態では、本開示の潤滑油組成物によって生成される硫酸灰分レベルは、ASTM D874によって決定して、約1.60重量%以下、例えば、約0.10重量%~約1.60重量%からの硫酸化灰のレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物によって生成される硫酸化灰のレベルは、ASTM D874によって決定して、約1.00重量%以下、例えば、約0.10重量%から約1.00重量%の硫酸化灰のレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物によって生成される硫酸化灰のレベルは、ASTM D874によって決定して、約0.80重量%以下、例えば、約0.10重量%~約0.80重量%の硫酸化灰のレベルである。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物によって生成される硫酸化灰のレベルは、ASTM D874によって決定して、約0.60重量%以下、例えば、約0.10重量%から約0.60重量%の硫酸化灰のレベルである。別の実施形態では、本開示の潤滑油組成物によって生成される硫酸灰分レベルは、ASTM D874によって決定して、約1.1から1.2重量%以下である。
【0037】
【0038】
本開示による潤滑油組成物は、潤滑粘度の油(「ベースストック」または「ベースオイル(基油)」と呼ばれることもある)を含む。本明細書で使用される「基油」という表現は、(供給源または製造業者の場所に関係なく)単一の製造業者によって同じ仕様で製造され;同じ製造業者の仕様を満たしていて;そして、独特の式、製品識別番号、またはその両方によって識別される、潤滑剤成分であるベースストックまたはベースストックのブレンドを意味すると理解されるべきである。潤滑粘度の油は、潤滑剤の主要な液体成分であり、添加剤や場合によっては他のオイルがブレンドされて、たとえば最終的な潤滑剤(または潤滑剤組成物)が生成される。基油は、濃縮物を作製するため、ならびにそれから潤滑油組成物を作製するために有用であり、天然および合成潤滑油ならびにそれらの組み合わせから選択することができる。
【0039】
天然油には、動物油および植物油、液体石油油、ならびにパラフィン系、ナフテン系および混合パラフィン系ナフテン系の水素化精製された溶媒処理された鉱油が含まれる。石炭または頁岩に由来する潤滑粘度の油も有用な基油である。
【0040】
合成潤滑油には、下記のものが含まれる:炭化水素油、例えば、重合および相互重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン-イソブチレンコポリマー、塩素化ポリブチレン、ポリ(1-ヘキセン)、ポリ(1-オクテン)、およびポリ(1-デセン)など);アルキルベンゼン(例:ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、およびジ(2-エチルヘキシル)ベンゼン);アルキル化ナフタレン;ポリフェノール(例:ビフェニル、テルフェニル、およびアルキル化ポリフェノール);およびアルキル化ジフェニルエーテルおよびアルキル化ジフェニルスルフィドならびにそれらの誘導体、類似体および同族体。
【0041】
別の適切なクラスの合成潤滑油は、下記のものを含む:ジカルボン酸(例えば、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、アゼラ酸、スベリン酸、セバシン酸、アジピン酸、リノール酸二量体、およびフタル酸)と、さまざまなアルコール(例、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、およびプロピレングリコール)とのエステル。これらのエステルの特定の例には、下記のものが含まれる:ジブチルアジペート、ジ(2-エチルヘキシル)セバケート、ジ-n-ヘキシルフマレート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレート、ジイコシルセバケート、リノール酸二量体の2-エチルヘキシルジエステル、および1モルのセバシン酸を2モルのテトラエチレングリコールおよび2モルの2-エチルヘキサン酸と反応させることによって形成される複合エステル。
【0042】
合成油として有用なエステルには、CからC12のモノカルボン酸およびポリオールから作製されたもの、ならびにネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールなどのポリオールエーテルも含まれる。
【0043】
基油は、フィッシャー・トロプシュ合成炭化水素に由来し得る。フィッシャー・トロプシュ合成炭化水素は、フィッシャー・トロプシュ触媒を使用して、HとCOを含む合成ガスから作られる。このような炭化水素は、典型的に、基油として有用であるためにさらなる処理を必要とする。例えば、炭化水素は、当業者に知られているプロセスを使用して、水素化異性化;水素化分解および水素化異性化;脱ロウ;または水素化異性化および脱ろうされ得る。
【0044】
未精製、精製および再精製された油は、本発明の潤滑油組成物に使用することができる。未精製油は、さらに精製処理せずに天然または合成の供給源から直接得られたものである。例えば、レトルト操作から直接得られるシェールオイル、蒸留から直接得られる石油、またはエステル化プロセスから直接得られ、さらなる処理なしで使用されるエステル油は、未精製油である。精製油は、1つ以上の特性を改善するために、1つ以上の精製ステップでさらに処理されていることを除いて、未精製油と同様である。蒸留、溶媒抽出、酸または塩基抽出、濾過および浸透などの多くのそのような精製技術は、当業者に知られている。
【0045】
再精製油は、すでに使用されている精製油に適用される精製油を得るために使用されるものと同様のプロセスによって得られる。このような再精製油は、再生油または再処理油としても知られており、使用済み添加剤および油分解製品の承認技術によって追加処理されることがよくある。
【0046】
したがって、本潤滑油組成物を作製するために使用することができる基油は、the American Petroleum Institute (API) Base Oil Interchangeability Guidelines (API Publication 1509)で指定されるグループI-Vの基油のいずれかから選択することができる。このような基油グループは、以下の表1に要約されている。
【表1】

(a)グループI~IIIは鉱油ベースストックである。
(b)ASTMD2007に従って決定される。
(c)ASTM D2622、ASTM D3120、ASTM D4294、またはASTM D4927に従って決定される。
(d)ASTM D2270に従って決定される。

本明細書での使用に適した基油は、APIグループII、グループIII、グループIV、およびグループV油およびそれらの組み合わせに対応する任意の種類であり、それらの並外れた揮発性、安定性、粘度測定及び清浄度の特徴のために、好ましくはグループIIIからグループV油である。。
【0047】
本開示の潤滑油組成物に使用するための潤滑粘度の油は、基油とも呼ばれ、典型的には、潤滑油組成物の総重量に基づいて、主要量で、例えば、50重量%を超える量、または約70重量%超える量、または約80%を超える量で存在する。一実施形態では、潤滑粘度の油は、本開示の潤滑油組成物中に、潤滑油組成物の総重量に基づき、約90重量%未満の量で、または約85重量%未満で、存在することができる。本明細書で使用するための基油は、エンジンオイル用の潤滑油組成物を配合する際に使用される、現在知られている、または後で発見された潤滑粘度の任意の油であり得る。さらに、本明細書で使用するための基油は、場合により、粘度指数向上剤、例えば、ポリマーアルキルメタクリレート;オレフィン系共重合体、例えば、エチレン-プロピレン共重合体またはスチレン-ブタジエン共重合体等およびそれらの混合物を含むことができる。粘度調整剤のトポロジーには、線形、分岐、超分岐、スター、またはコームトポロジーが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0048】
当業者が容易に理解するように、基油の粘度は用途に依存する。したがって、本明細書で使用するための基油の粘度は、典型的に、摂氏100℃(℃)で約2から約2000センチストークス(cSt)の範囲である。一般に、エンジンオイルとして使用される基油は、100℃で約2cStから約30cSt、または約3cStから約16cSt、または約4cStから約12cStの動粘度範囲を個別に有し、そして、完成油中の添加剤及び所望の最終用途応じて選択されまたはブレンドされ、例えば、下記のSAE粘度グレードを有する潤滑油組成物などの所望のグレードのエンジンオイルを与える:0W、0W-8、0W-12、0W-16、0W-20、0W-26、0W-30、0W-40、0W-50、0W-60、5W、5W-20、5W-30、5W-40、5W-50、5W-60、10W、10W-20、10W-30、10W-40、10W-50、15W、15W-20、15W-30、15W-40、30、40など。
【0049】
本開示による潤滑油組成物は、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩をさらに含み、アルキル基は、分子あたり約10から約40個の炭素原子を有し約0.1から約0.4のノルマルアルファオレフィンの異性化レベル(I)を有する異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来する。一般に、異性化されたフェネート洗浄剤は、その洗浄力と抗酸化特性に役立つ。さらに、異性化されたノルマルアルファオレフィンから作られた異性化されたフェネート洗浄剤の金属塩は、未反応のTPPの含有量が減少している。これは、the Petroleum Additives Panel of the American Chemistry Counselが後援したラットの最近の生殖毒性研究で、高濃度では未反応TPPは、男性と女性の生殖器官に悪影響を与える可能性があることを示した。
【0050】
本開示の一態様では、フェネート洗浄剤は、アルキル化フェネート洗浄剤であり、アルキル基は、分子あたり約10から約40の炭素原子を有する異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来する。
【0051】
本開示の一態様では、アルキル化フェネート洗浄剤のアルキル基は、分子あたり約14から約30、または約16から約30、または約18から約30、または約20から約28、または約20から約24、または約18から約28個の炭素原子を有する異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来する。
【0052】
本開示の一態様では、アルキル化フェネート洗浄剤のノルマルアルファオレフィンの異性化レベル(I)は、約0.10から約0.40の間、または約0.10から約0.30の間、または約0.12から約0.30の間、または約0.22から約0.30である。
【0053】
別の実施形態では、ノルマルアルファオレフィンの異性化レベルは約0.26であり、ノルマルアルファオレフィンは約20から約24個の炭素原子を有する。
【0054】
本開示の一態様では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、オイルフリーベースで、約100から約600、または約150から約500、または約150から約450、または約200から約450、または約250から約450、または約300から約450、または約350から約450、または約300から約425、または約325から約425、または約350~約425mgKOH/グラムのTBNを有する。
【0055】
本開示の一態様では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、カルシウムフェネート洗浄剤である。
【0056】
本開示の一態様では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、カルシウム非硫化フェネート洗浄剤である。
【0057】
本開示の一態様では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、例えば、その全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,580,717号に記載されているように調製することができる。
【0058】
一般に、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約10ppmから約5000ppmの金属、例えばカルシウムの量で潤滑油組成物中に存在する。一実施形態では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約50ppmから約4000ppmの金属の量で潤滑油組成物中に存在する。一実施形態では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約100ppmから約3000ppmの金属の量で潤滑油組成物中に存在する。一実施形態では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩が、潤滑油組成物の総重量に基づき、潤滑油組成物中に、約300ppmから約3000ppm、約500ppmから約3000ppm、約600ppmから3000ppm、約800ppmから約3000ppm、約1000ppmから約3000ppm、約1500ppmから約3000ppm、約1600ppmから約2800ppm、約1650ppmから約2700ppmの金属の量で存在する。
【0059】
別の実施形態では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩が、潤滑油組成物の総重量に基づいて、少なくとも1000ppmのカルシウムを提供するように、潤滑油組成物中に存在する。他の実施形態では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、少なくとも1100ppm、少なくとも1200ppm、少なくとも1300ppm、少なくとも1400ppm、少なくとも1500ppm。少なくとも1600ppm、少なくとも1680ppmのカルシウムを提供するように、潤滑油組成物中に存在する。
【0060】
一実施形態では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、潤滑油組成物の総重量に基づき、潤滑油組成物中に約0.1重量%~約3重量%の量で存在する。一実施形態では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、潤滑油組成物の総重量に基づき、潤滑油組成物中に約0.2重量%~約2重量%の量で存在する。一実施形態では、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩は、潤滑油組成物の総重量に基づき、潤滑油組成物中に約0.5重量%~約1.4重量%の量で存在する。
【0061】
本開示による潤滑油組成物は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤からの少なくとも約100から約1200ppmのマグネシウムをさらに含む。他の実施形態では、1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約100から約1000ppm、約150から約1000ppm、約200から約1000ppm、約200から約950ppm、約200から約900ppm、約225から約900ppm、約225から約875ppm、約250から約850ppmのマグネシウムを、潤滑油組成物に提供する。
【0062】
適切なマグネシウム含有洗浄剤には、例えば、マグネシウム含有スルホン酸塩、マグネシウム含有フェネート、マグネシウム含有サリチル酸塩、マグネシウム含有カルボキシレート、およびマグネシウム含有リン酸塩のうちの1つ以上が含まれる。一実施形態では、適切なマグネシウム含有洗浄剤は、スルホン酸マグネシウム、フェネートマグネシウム、およびサリチル酸マグネシウムのうちの1つ以上を含む。一実施形態では、マグネシウム含有洗浄剤は、スルホン酸マグネシウムである。
【0063】
スルホン酸塩は、典型的には、石油の分別から得られるものなどのアルキル置換芳香族炭化水素のスルホン化によって、または芳香族炭化水素のアルキル化によって得られるスルホン酸から調製することができる。例には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニルまたはそれらのハロゲン誘導体をアルキル化することによって得られたものが含まれる。アルキル化は、約3から70を超える炭素原子を有するアルキル化剤を有する触媒の存在下で実施することができる。アルカリールスルホネートは、典型的に、アルキル置換芳香族部分あたり約9から80以上の炭素原子(例えば、約16から60個の炭素原子)を含む。
【0064】
フェネートは、アルカリ土類金属の水酸化物または酸化物(例えば、CaO、Ca(OH)、MgO、またはMg(OH))をアルキルフェノールまたは硫化アルキルフェノールと反応させることによって調製することができる。適切なアルキル基には、例えば、直鎖または分岐鎖のCからC30(例えば、CからC20)のアルキル基、またはそれらの混合物が含まれる。適切なフェノールには、例えば、イソブチルフェノール、2-エチルヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールなどが含まれる。出発アルキルフェノールは、それぞれ独立して直鎖または分岐鎖である複数のアルキル置換基を含み得ることに留意されたい。非硫化アルキルフェノールを使用する場合、硫化生成物は、当技術分野で周知の方法によって得ることができる。これらの方法は、アルキルフェノールと硫化剤(例えば、元素硫黄、二塩化硫黄などのハロゲン化硫黄)の混合物を加熱し、次に硫化フェノールをアルカリ土類金属塩基と反応させることを含む。
【0065】
サリチル酸塩は、塩基性金属化合物を少なくとも1つのカルボン酸と反応させ、反応生成物から水を除去することによって調製することができる。サリチル酸から作られた洗浄剤は、カルボン酸から作られた洗浄剤の一種である。適切なサリチル酸塩には、例えば、長鎖アルキルサリチル酸塩が含まれる。組成物の1つの有用なファミリーは、以下の構造(I)のものである:
【化I】

ここで、R”は、CからC30(例えば、C13からC30)のアルキル基であり;nは1から4までの整数であり;Mはアルカリ土類金属(例えば、CaまたはMg)である。
【0066】
ヒドロカルビル置換サリチル酸は、コルベ反応によってフェノールから調製することができる(米国特許第3,595,791号を参照)。ヒドロカルビル置換サリチル酸の金属塩は、水またはアルコールなどの極性溶媒中で金属塩を二重分解することによって調製することができる。
【0067】
アルカリ土類金属リン酸塩も洗浄剤として使用され、当技術分野で知られている。
【0068】
本開示の一態様では、1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤は、1つ以上の過塩基性マグネシウム含有洗浄剤である。過塩基性洗浄剤は、燃焼プロセスによって生成された酸性不純物を中和し、オイル中に閉じ込められるのに役立つ。典型的には、過塩基性材料は、同等の基準で、金属イオン:洗浄剤の陰イオン部分の比が約1.05:1から約50:1(例えば、約4:1から約25:1)である。一実施形態では、1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤は、0から約60のTBN(オイルフリーベース)を有する1つ以上の過塩基性マグネシウム洗浄剤である。別の実施形態では、1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤は、60から約200のTBN(オイルフリーベース)を有する1つ以上の過塩基性マグネシウム洗浄剤である。別の実施形態では、1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤は、約200から約800のTBN(オイルフリーベース)を有する1つ以上の過塩基性マグネシウム洗浄剤である。
【0069】
一般に、1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約100ppmから約2000ppmのマグネシウムを本開示の潤滑油組成物に提供する量で使用される。一実施形態では、1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約200ppmから約1500ppmのマグネシウムを本開示の潤滑油組成物に提供する量で使用することができる。一実施形態では、1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約300ppmから約900ppmのマグネシウムを本開示の潤滑油組成物に提供する量で使用することができる。
【0070】
本開示による潤滑油組成物は、第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含む。適切な第一級アルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノール、プロペノール、ブテノール、および2-エチルヘキサノールなどの1~18個の炭素原子を含むアルコールが含まれる。一実施形態では、第一級アルコールに由来するジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)は、式(II)の構造によって表すことができる。
【化II】

ここで、RおよびRは、1から18個の炭素原子または2から12個の炭素原子または2から8個の炭素原子を有する同じまたは異なるアルキルラジカルであり得る。ジアルキルジチオリン酸亜鉛のRおよびR基は、上記のように第一級アルコールに由来する。油溶性を得るために、炭素原子の総数(すなわち、R+R)は少なくとも5になる。
【0071】
一実施形態では、一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物および二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物を含む混合物を使用することができ、ここで、一級アルコールと二級アルコールのモル比は約100:0から約10:100である。適切な第二級アルコールには、イソプロピルアルコール、第二級ブチルアルコール、イソブタノール、3-メチルブタン-2-オール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、およびアミルアルコールなどの3~18個の炭素原子を含むアルコールが含まれる。一実施形態では、第二級アルコールに由来するジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)は、式(III)の構造によって表すことができる。
【化III】

ここで、RおよびRは、3から18個の炭素原子または3から12個の炭素原子または3から8個の炭素原子を有する同じまたは異なるアルキルラジカルであり得る。ジアルキルジチオリン酸亜鉛のRおよびR基は、前述の第2級アルコールに由来することができる。油溶性を得るために、炭素原子の総数(すなわち、R+R)は少なくとも5になる。
【0072】
一実施形態では、第一級アルコールに由来する1つ以上の亜鉛ジアルキルジチオホスフェート化合物と第二級アルコールに由来する1つ以上の亜鉛ジアルキルジチオホスフェート化合物との混合物中の、第一級アルコール:第二級アルコールモル比は、約20:80から約80:20までであることができる。一実施形態では、第一級アルコールに由来する1つ以上の亜鉛ジアルキルジチオホスフェート化合物と第二級アルコールに由来する1つ以上の亜鉛ジアルキルジチオホスフェート化合物との混合物中の、第一級アルコール:第二級アルコールモル比は、約30:70~約70:30の範囲であり得る。一実施形態では、第一級アルコールに由来する1つ以上の亜鉛ジアルキルジチオホスフェート化合物と第二級アルコールに由来する1つ以上の亜鉛ジアルキルジチオホスフェート化合物との混合物中の、第一級アルコール:第二級アルコールモル比は、、約40:60から約60:40の範囲であり得る。
【0073】
一般に、第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物および/または第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物は、本開示の潤滑油組成物中に、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約3重量%以下、例えば、約0.1重量%~約3重量%の量で存在し得る。一実施形態では、第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物および/または第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物は、潤滑油組成物の総重量に基づき、約0.1~約1.5重量%の量で本開示の潤滑油組成物中に存在し得る。一実施形態では、第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物および/または第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物は、潤滑油組成物の総重量に基づき、約0.5~約1.0重量%の量で本開示の潤滑油組成物中に存在し得る。
【0074】
必要に応じて、本開示の潤滑油組成物は、1つ以上の追加の洗浄剤をさらに含むことができる。一実施形態では、本開示の潤滑油組成物は、1つ以上のアルカリ金属またはアルカリ土類金属スルホン酸塩をさらに含む。例えば、本開示の潤滑油組成物は、1つ以上のスルホン酸カルシウムを含むことができる。一実施形態では、スルホン酸カルシウムは、1つ以上の過塩基性カルシウム洗浄剤である。一実施形態では、スルホン酸カルシウムは、0から約60のTBN(オイルフリーベース)を有する過塩基性カルシウム洗浄剤である。別の実施形態では、スルホン酸カルシウムは、60を超えるTBN(オイルフリーベース)を有する過塩基性カルシウム洗浄剤である。別の実施形態では、スルホン酸カルシウムは、約200を超えて約800までTBN(オイルフリーベース)を有する過塩基性カルシウム洗浄剤である。
【0075】
本開示の潤滑油組成物はまた、これらの添加剤が分散または溶解される潤滑油組成物の任意の望ましい特性を付与または改善することができる他の従来の添加剤を含み得る。当業者に知られている任意の添加剤を、本明細書に開示される潤滑油組成物に使用することができる。いくつかの適切な添加剤は、Mortier et al., “Chemistry and Technology of Lubricants”, 2nd Edition, London, Springer, (1996);および Leslie R. Rudnick, “Lubricant Additives: Chemistry and Applications”, New York, Marcel Dekker (2003)に記載されており、これらは両方とも参照により本明細書に組み込まれる。例えば、潤滑油組成物は、酸化防止剤、防錆剤、曇り止め剤、解乳化剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、腐食防止剤、無灰分散剤、多機能剤、染料、極圧剤などおよびそれらの混合物とブレンドすることができる。様々な添加剤が知られており、市販されている。これらの添加剤、またはそれらの類似化合物は、通常の混合手順による本開示の潤滑油組成物の調製に使用することができる。
【0076】
潤滑油配合物の調製において、鉱物潤滑油などの炭化水素油またはその他の適切な溶剤中に、約10から約80重量%有効成分濃縮物の形態で添加剤を導入することが一般的な慣行である。
【0077】
典型的に、これらの濃縮物は、クランクケースモーターオイルなどの完成した潤滑剤を形成する際に、添加剤パッケージの重量部あたり約3から約100、例えば、約5から約40重量部の潤滑油で希釈することができる。もちろん、濃縮物の目的は、さまざまな材料の取り扱いをより困難でなく厄介でないものにすること、ならびに最終ブレンドでの溶液または分散を容易にすることである。
【0078】
前述の添加剤のそれぞれは、使用される場合、潤滑剤に所望の特性を付与するために機能的に有効な量で使用される。したがって、例えば、添加剤が摩擦調整剤である場合、この摩擦調整剤の機能的に有効な量は、所望の摩擦調整特性を潤滑剤に与えるのに十分な量であろう。
【0079】
一般に、潤滑油組成物中の各添加剤の濃度は、使用される場合、潤滑油組成物の総重量に基づき、約0.001重量%~約20重量%、または約0.005重量%~約15重量%、または約0.01重量%~約10重量%、または約0.1重量%~約5重量%、または約0.1重量%~約2.5重量%の範囲であり得る。さらに、潤滑油組成物中の添加剤の総量は、潤滑油組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%から約20重量%、または約0.01重量%から約10重量%、または約0.1重量%から約5重量%の範囲であり得る。
【0080】
以下の実施例は、本開示の実施形態を例示するために提示されているが、本開示を記載された特定の実施形態に限定することを意図するものではない。各実施例に記載されている特定の詳細は、本開示の必要な特徴として解釈されるべきではない。以下の例は、説明のみを目的としており、本開示の範囲を制限するものではない。数値はすべて概算である。数値範囲が与えられている場合、記載された範囲外の実施形態は依然として本開示の範囲内に含まれ得ることを理解されたい。
【0081】
異性化レベルは、以下のようにNMR法によって測定された。
【0082】
異性化レベル(I)およびNMR法
【0083】
オレフィンの異性化レベル(I)は、水素-1(1H)NMRによって決定された。NMRスペクトルは、TopSpin 3.2スペクトル処理ソフトウェアを使用して、400MHzでクロロホルム-d1中のBruker Ultrashield Plus 400で取得した。
【0084】
異性化レベル(I)は、メチレン骨格基(-CH-)(化学シフト1.01~1.38ppm)に結合したメチル基(CH)(化学シフト0.30~1.01ppm)の相対量を表し、以下に示す式(1)によって定義される。
【0085】
I=m/(m+n)式(1)、ここで、mは、0.30±0.03から1.01±0.03ppmの間の化学シフトを有するメチル基のNMR積分であり、nは、1.01±0.03から1.38±0.10ppmの間の化学シフトを有するメチレン基のNMR積分である。
【0086】
例1
主要量の潤滑粘度の基油および以下の添加剤を含む潤滑油組成物を調製して、15W-40のSAE粘度を有する完成油を提供した:
【0087】
エチレンカーボネートで後処理されたビススクシンイミド;
【0088】
マグネシウム含有量に関して850ppmの、670TBN(オイルフリーベース)スルホン酸マグネシウム洗浄剤;
【0089】
低過塩基性カルシウム洗浄剤;
【0090】
アルキル基がC20からC24の異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、アルファオレフィンの異性化レベルが約0.26である、400TBN(オイルフリーベース)カルシウムアルキル化フェネート洗浄剤の1680ppmのCa;
【0091】
リン含有量に関して990ppmの、第一級アルコールと第二級アルコールのモル比が50:50の第一級および第二級亜鉛ジアルキルジチオホスフェートの混合物;
【0092】
モリブデンスクシンイミド抗酸化剤;
【0093】
アルキル化ジフェニルアミン;
【0094】
ケイ素含有量に関して5ppmの発泡抑制剤;
【0095】
非分散性オレフィンコポリマー粘度調整剤;及び
【0096】
残りは、100℃で6.4cStの動粘度を有する第II族(グループII)基油。
【0097】
比較例2
第一級亜鉛と第二級亜鉛のモル比を除いて、実施例1と同様に潤滑油組成物を調製した。主要量の潤滑粘度の基油を含んでいた。この例では、リン含有量に関して990ppmのすべての二級亜鉛ジアルキルジチオホスフェートが存在した。
【0098】
例3
第一級亜鉛と第二級亜鉛のモル比を除いて、実施例1と同様に潤滑油組成物を調製した。主要量の潤滑粘度の基油を含んでいた。この例では、第一級と第二級のモル比が20:80のジアルキルジチオリン酸第一級亜鉛と第二級亜鉛の混合物のリン含有量が990ppmだった。
【0099】
例4
第一級亜鉛と第二級亜鉛のモル比を除いて、実施例1と同様に潤滑油組成物を調製した。主要量の潤滑粘度の基油を含んでいた。この例では、第一級と第二級のモル比が80:20のジアルキルジチオリン酸第一級亜鉛と第二級亜鉛の混合物のリン含有量が990ppmだった。
【0100】
例5
第一級亜鉛と第二級亜鉛のモル比を除いて、実施例1と同様に潤滑油組成物を調製した。主要量の潤滑粘度の基油を含んでいた。この例では、すべて第一級亜鉛ジアルキルジチオホスフェートのリン含有量が990ppmだった。
【0101】
例6
潤滑油組成物は、マグネシウム含有量に関して250ppmの、670TBN(オイルフリーベース)のスルホン酸マグネシウム洗浄剤および400TBN(オイルフリーベース)カルシウムアルキル化フェネート洗浄剤の2600ppmのCaがあったことを除いて、実施例1と同様に調製された。アルキル基は、C20~C24の異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、アルファオレフィンの異性化レベルが約0.26である。
【0102】
例7
潤滑油組成物は、マグネシウム含有量に関して500ppmの、670TBN(オイルフリーベース)のスルホン酸マグネシウム洗浄剤、および400TBN(オイルフリーベース)カルシウムアルキル化フェネート洗浄剤の2230ppmのCaがあったことを除いて、実施例1と同様に調製した。アルキル基は、C20~C24の異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、アルファオレフィンの異性化レベルが約0.26である。
【0103】
比較例8
潤滑油組成物は、マグネシウム含有量に関して1220ppmの、670TBN(オイルフリーベース)スルホン酸マグネシウム洗浄剤、および400TBN(オイルフリーベース)カルシウムアルキル化フェネート洗浄剤の1110ppmのCaがあったことを除いて、実施例1と同様に調製した。アルキル基は、C20~C24の異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、アルファオレフィンの異性化レベルが約0.26である。
【0104】
比較例9
潤滑油組成物は、マグネシウム含有量に関して1700ppmの、670TBN(オイルフリーベース)のスルホン酸マグネシウム洗浄剤、および400TBN(オイルフリーベース)カルシウムアルキル化フェネート洗浄剤の360ppmのCaがあったことを除いて、実施例1と同様に調製した。アルキル基は、C20~C24の異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、アルファオレフィンの異性化レベルが約0.26である。
【0105】
実施例1、3~7および比較例2、8~9の潤滑油組成物を、以下に記載するようにコマツホットチューブ試験およびTEOST MHT4に供した。これらのテストの結果を以下の表2に示す。
【0106】
コマツホットチューブテスト(KHTT)
【0107】
コマツホットチューブテスト(KHTT)は、エンジンオイルおよび高温にさらされる他のオイルの堆積物形成性能のスクリーニングおよび品質管理に使用される。
【0108】
洗浄力および熱的および酸化安定性は、潤滑油の満足のいく全体的な性能に不可欠であるとして業界で一般に認められている性能分野である。コマツホットチューブテストは、潤滑油の洗浄力と熱および酸化安定性を測定する潤滑業界のベンチテスト(JPI 5S-55-99)である。試験中、特定の温度に設定されたオーブン内に配置されたガラス管を通して、指定された量の試験油が上方にポンプで送られる。空気は、オイルがガラス管に入る前にオイルストリームに導入され、オイルとともに上向きに流れる。潤滑油の評価は280℃の温度で行った。試験結果は、ガラス試験管に付着したラッカーの量を、1.0(非常に黒い)から10.0(完全にきれい)の範囲の評価尺度と比較することによって決定される。
【0109】
TEOST MHT4
【0110】
TEOST MHT4(ASTM D7097-16a)は、ピストンリングベルトおよび上部ピストンクラウン領域におけるエンジンオイルの堆積物形成傾向を予測するように設計されている。堆積物形成におけるTEOST MHT手順とTU3MH Peugeotエンジンテストの間には相関関係が示されている。このテストでは、285℃の酸化および触媒条件下で、特別に構築されたテストロッドに形成された堆積物の質量を、8.5gのエンジンオイルを薄膜でロッド上に繰り返し通過させて測定する。酸化条件下でのエンジンオイルの堆積物形成傾向は、オイルの少量のサンプル(8.4g)と非常に少量(0.1g)の有機金属触媒を含むオイルと触媒の混合物を循環させることによって決定される。この混合物は、TEOST MHT機器内で、ロッドの最も高温の場所で電流によって制御された温度285℃に加熱された特殊な巻線デポジッターロッド上を24時間循環する。試験の前後にロッドの重さを量る。 45mgの堆積物の重量は合格/不合格の基準と見なされる。
【0111】
この試験方法のコピーは、ASTM International at 100 Barr Harbor Drive, PO Box 0700, West Conshohocken, Pa. 19428-2959から入手することができ、すべての目的のために本明細書に組み込まれる。
【表2】
【0112】
表2のデータは、比較例2、8および9に対する本開示(実施例1、および3から7)の潤滑油性能の明確な洗浄力、および熱的および酸化的安定性の利点を示している。
【0113】
本明細書に開示される実施形態に対して様々な修正を行うことができることが理解されよう。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。例えば、上記で説明され、本開示を操作するための最良のモードとして実装される機能は、例示のみを目的としている。他の配置および方法は、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。さらに、当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲および精神の範囲内で他の修正を想定するであろう。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
以下を含む潤滑油組成物:
(a)100℃で約2~約50mm /sの範囲の動粘度を有する主要量の潤滑粘度の油;
(b)アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩、ここで、アルキル基は、異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、当該異性化されたノルマルアルファオレフィンは、分子あたり約10~約40個の炭素原子を有し、そして、少なくとも1000ppmのカルシウムを提供する量の約0.1から約0.4のノルマルアルファオレフィンの異性化レベル(I)を有する;
(c)潤滑油組成物の総重量に基づいて、約100~約1000ppmのマグネシウムを有する1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤;および
(d)第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物。
[2]
前記主要量の潤滑粘度の油が、潤滑油組成物の総重量に基づき、50重量%を超える、[1]に記載の潤滑油組成物。
[3]
前記アルキル置換フェネート洗浄剤のアルキル基が、約14から約30を有する異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来する、[1]に記載の潤滑油組成物。
[4]
前記アルキル置換フェネート洗浄剤のアルキル基が、約20から約28を有する異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来する、[1]に記載の潤滑油組成物。
[5]
前記アルキル置換フェネート洗浄剤の異性化されたノルマルアルファオレフィンが、約0.10から約0.30の異性化レベル(I)を有する、[1]に記載の潤滑油組成物。
[6]
前記アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩が、オイルフリーベースで約100から約600mgKOH/グラムの総塩基数(TBN)を有する、[1]に記載の潤滑油組成物。
[7]
前記アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩が、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性カルシウム塩である、[1]に記載の潤滑油組成物。
[8]
前記1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤が、スルホン酸マグネシウム、フェネートマグネシウム、およびサリチル酸マグネシウムのうちの1つ以上である、[1]に記載の潤滑油組成物。
[9]
前記1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤が、1つ以上の過塩基性マグネシウム含有洗浄剤である、[1]に記載の潤滑油組成物。
[10]
第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含み、第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物の第一級アルコール:第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物の第二級アルコールのモル比が、約80:20から約20:80である、[1]に記載の潤滑油組成物。
[11]
前記潤滑油組成物の総重量に基づいて、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩に由来する約10ppmから約5000の金属、及び、潤滑油組成物の総重量に基づいて、1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物に由来する約0.01重量%~約0.12重量%のリンを含む、[1]に記載の潤滑油組成物。
[12]
酸化防止剤、防錆剤、消泡剤、解乳化剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、腐食防止剤、無灰分散剤、多機能剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、[1]に記載の潤滑油組成物。
[13]
以下を含む潤滑油組成物を用いて内燃エンジンを作動させる工程を含む方法:
(a)100℃で約2~約50mm /sの範囲の動粘度を有する主要量の潤滑粘度の油;
(b)アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩、ここで、アルキル基は、異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来し、当該異性化されたノルマルアルファオレフィンは、分子あたり約10~約40個の炭素原子を有し、そして、約0.1から約0.4のノルマルアルファオレフィンの異性化レベル(I)を有する;
(c)潤滑油組成物の総重量に基づいて、約100~約2000ppmのマグネシウムを有する1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤;および
(d)第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物。
[14]
アルキル置換フェネート洗浄剤のアルキル基が、約0.10から約0.30の異性化レベル(I)及び約20から約28を有する異性化されたノルマルアルファオレフィンに由来する、[13]に記載の方法。
[15]
アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩が、オイルフリーベースで約100から約600mgKOH/グラムのTBNを有する、[13]に記載の方法。
[16]
前記1つ以上のマグネシウム含有洗浄剤が、スルホン酸マグネシウム、フェネートマグネシウム、およびサリチル酸マグネシウムのうちの1つ以上である、[13]に記載の方法。
[17]
潤滑油組成物が、第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物をさらに含み、第一級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物の第一級アルコール:第二級アルコールに由来する1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物の第二級アルコールのモル比が、約80:20から約20:80である、[13]に記載の方法。
[18]
前記潤滑油組成物が、前記潤滑油組成物の総重量に基づいて、アルキル置換フェネート洗浄剤の過塩基性金属塩に由来する約10ppmから約5000の金属、及び、潤滑油組成物の総重量に基づいて、1つ以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛化合物に由来する約0.01重量%~約0.12重量%のリンを含む、[13]に記載の方法。
[19]
潤滑油組成物が、
酸化防止剤、防錆剤、消泡剤、解乳化剤、金属不活性化剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、共溶媒、腐食防止剤、無灰分散剤、多機能剤、染料、極圧剤およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、[13]に記載の方法。
[20]
前記内燃機関が圧縮点火エンジンである、[13]に記載の方法。