(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)中のビタミンDの安定性
(51)【国際特許分類】
A23L 33/155 20160101AFI20240716BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240716BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240716BHJP
A61K 31/593 20060101ALI20240716BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A23L33/155
A23L33/10
A61P3/02 102
A61K31/593
A61K47/12
(21)【出願番号】P 2020572417
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 US2019038948
(87)【国際公開番号】W WO2020263229
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-06-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512157966
【氏名又は名称】メタボリック・テクノロジーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ラスメイチャー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ププラ,マーティン
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-509842(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0019933(US,A1)
【文献】特表2017-510629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離酸型のβ-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)、ビタミンDおよび少なくとも1つの安定化賦形剤を含む、安定配合物であって、該安定化賦形剤が、EDTA、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、カルニチン、ローズマリー抽出物、カルノソル酸、およびソルビン酸からなるリストより選択される、安定配合物。
【請求項2】
安定化賦形剤が、EDTAおよびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)からなるリストより選択される、請求項1の配合物。
【請求項3】
配合物が、カプセル、ソフトゲル、液体、および食品からなるリストより選択される送達型内に含有される、請求項1の配合物。
【請求項4】
ビタミンDおよび
遊離酸型のβ-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)を含有する配合物中に、少なくとも1つの安定化賦形剤を含める工程を含む、酸性組成物中のビタミンDを安定化させる方法であって、該安定化賦形剤が、EDTA、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、カルニチン、ローズマリー抽出物、カルノソル酸、およびソルビン酸からなるリストより選択される、方法。
【請求項5】
遊離酸型のβ-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)およびビタミンDを含有する酸性配合物中のビタミンDの分解を最小限にする方法であって、前記配合物中に少なくとも1つの安定化賦形剤を含める工程を含み、該安定化賦形剤が、EDTA、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、カルニチン、ローズマリー抽出物、カルノソル酸、およびソルビン酸からなるリストより選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年6月25日出願の米国仮特許出願第62/689,305号に優先権を請求し、そして該仮出願は本明細書に援用される。
1. 分野
本発明は、β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)およびビタミンDを含む組成物に関する。特に、本発明は、HMBおよびビタミンDを含有する組成物、ならびにビタミンDを酸性組成物と組み合わせた際に、ビタミンDを安定化させる方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
2. 背景
ビタミンDは、古典的に、カルシウムおよびリン代謝、ならびに骨強度と関連付けられてきている。最近まで、ビタミンD欠乏疾患であるクル病を用いて、適切なビタミンDレベルが定義されてきた。近年、ビタミンDは、カルシウムおよび骨構造以外の代謝に、より広い影響を有することが見出されてきている。低ビタミンD状態は、以下:骨粗鬆症、転倒(falls)、I型糖尿病、癌、自己免疫疾患、高血圧、歯周病、多発性硬化症、感染に対する感受性/劣った反応に関連付けられてきている1。
【0003】
ビタミンD欠乏症は世界的な問題であり、日光への曝露が減少しており、そして日焼け止めの使用が増加するにつれて、問題は悪化する一方である。食餌および健康状態もまた、ビタミンDレベルに対する軽減要因になりうる。脂肪吸収不良症候群、慢性疾患、特定の投薬中、または肥満の被験体は、ビタミンD欠乏症のより高いリスクを有する2。肌の色合いもまた影響を有する可能性もあり、肌の色合いがより濃いと、同じ量のビタミンDを産生するためにより多くの時間を要する。したがって、ビタミンDを増加させ、そして欠乏症を減少させる最適の方法は補充である2。コレカルシフェロール(ビタミンD3)は、皮膚中の7-デヒドロコレステロールの照射を通じてヒトによって合成可能であるか、またはラノリンから抽出されうる。
【0004】
天然存在食品でビタミンDを含有するものは非常にわずかであるが、脂肪の多い魚肉および魚肝油は最適な供給源である。少量のビタミンDが、ウシ肝臓、乳製品、および各卵黄(each yolk)に見られる。いくつかのキノコはビタミンD2を提供するが、量は多様である。ビタミンDはわずかな食品にのみに、そしてしばしば少量でしか含有されないため、食品の強化または栄養補助食品を通じた補充が必要である。1930年以来、食品および飲料製造業者は、ミルク、パン、ホットドッグ、ソーダそしてさらにはビールなどの食品の強化を開始した。ビタミンDはまた、栄養補助食品中でも摂取可能である。
【0005】
ビタミンD3は、巨大でそして疎水性のステロール分子であり、水溶性はわずかで、光および酸素によって容易に分解される。ビタミンDの安定性は、水、光、酸性の非存在下、および低温で優れている3。酸および光に曝露された際、5,6-トランス異性体およびイソタキステロールが形成されうる4。ビタミンは、ビタミンAよりも酸化に感受性でないが、ビタミンDの酸化は、セコステロイド構造の5,6および7,8位の共役二重結合系での分解の主な経路でありうる3。ビタミンDは、液乳産生のために用いられるプロセスまたは脱脂粉乳産生において、非常に安定である4。95℃で注入される蒸気では有意な損失は観察されなかった5。より最近、ビタミンDは、およそ4のpHを有するオレンジジュース中で安定であることが見出された6。生物学的利用能は、カプセル型で消費された際と等しく利用可能である。しかし、4およびそれより低いpHでのビタミンD3の長期安定性は決定されてきていない。
【0006】
HMB
アルファ-ケトイソカプロン酸(KIC)は、ロイシンの最初の主な、そして活性である代謝産物である。KIC代謝の少量の産物は、β-ヒドロキシ-β-メチルブチレート(HMB)である。HMBは、多様な適用の背景内で有用であることが見出されてきている。特に、米国特許第5,360,613号(Nissen)において、HMBは総コレステロールおよび低密度リポタンパク質コレステロールの血中レベルを減少させるために有用であると記載される。米国特許第5,348,979号(Nissenら)において、HMBはヒトにおいて窒素保持を促進するために有用であると記載される。米国特許第5,028,440号(Nissen)は、動物における除脂肪組織発展を増加させるためのHMBの有用性を論じる。また、米国特許第4,992,470号(Nissen)には、HMBは哺乳動物の免疫反応を増進させる際に有効であると記載される。米国特許第6,031,000号(Nissenら)は、疾患関連消耗を治療するためのHMBおよび少なくとも1つのアミノ酸の使用を記載する。
【0007】
タンパク質分解を抑制するためのHMBの使用は、ロイシンがタンパク質節約特性を有するという観察から生じる。必須アミノ酸であるロイシンは、タンパク質合成に用いられるかまたはアミノ基転移されてα-ケト酸(α-ケトイソカプロン酸、KIC)になるかいずれかでありうる。1つの経路において、KICは酸化されてHMBになる可能性があり、そしてこれはロイシン酸化のおよそ5%を占める。HMBは、筋量および強度の増進においてロイシンより優れている。HMBの最適効果は、HMBのカルシウム塩として与えられた場合、1日あたり3.0グラムで、または1日あたり0.038g/体重kgで達成可能である一方、ロイシンの最適効果は、1日あたり30.0グラムより多くを必要とする。
【0008】
ひとたび産生されるかまたは摂取されると、HMBは2つの運命を有するようである。第一の運命は、尿中の単純排出である。HMBが摂取された後、尿濃度が増加し、HMBの尿へのおよそ20~50%喪失が生じる。別の運命は、HMBのHMB-CoAへの活性化に関する。ひとたびHMB-CoAに変換されると、HMB-CoAのMC-CoAへの脱水、または細胞内コレステロール合成の基質を提供するHMB-CoAのHMG-CoAへの直接変換のいずれかが起こりうる。いくつかの研究によって、HMBがコレステロール合成経路内に取り込まれて、そして損傷を受けた細胞膜の再生に用いられる、新規細胞膜の供給源となりうることが示されてきている。ヒト研究によって、血漿CPK(クレアチンホスホキナーゼ)上昇によって測定される、激しい運動後の筋損傷が、最初の48時間以内のHMB補充で減少することが示されてきている。HMBの保護効果は、連続して毎日使用していれば、最大3週間持続する。多くの研究によって、HMBの有効用量はCaHMB(カルシウムHMB)として1日あたり3.0グラム(~38mg・kg体重-1・日-1)であることが示されてきている。HMBは安全性に関して試験されており、健康な若者または高齢成人で副作用はまったく見られない。L-アルギニンおよびL-グルタミンとのHMBの組み合わせもまた、AIDSおよび癌患者に補充された際、安全であることが示されてきている。
【0009】
HMBの送達型であるHMB遊離酸(「HMBFA」)が開発されてきている。この送達型は、CaHMBよりもより迅速に吸収され、そしてより高い組織クリアランスを有することが示されてきている。この送達型は、米国特許公報第20120053240号に記載されており、該文献は本明細書にその全体が援用される。
【0010】
HMBは、筋量増加、強度増加、および筋機能改善に有効であることが示されてきている。これらの効果は、血中のビタミンDレベルが十分である場合に最も有意であり、該レベルは、少なくともおよそ25ng/mlまたはそれより高いとさらに定義されてきている。
【0011】
したがって、筋量、強度および機能に対するHMBの影響を最大にするために、HMBとビタミンDを組み合わせることが望ましい。しかし、ビタミンD、および特にビタミンD3は、遊離酸型のHMB(HMBFA)を含む酸性組成物と組み合わされた際、安定ではないことが見出されてきている。HMBFAおよびビタミンDのみを含む組成物中のビタミンDレベルは、経時的に有意に分解される。HMBFAは、筋に対する効果に関して、HMBのより有効な送達型でありうるため、HMBの有効性を最大にするためにHMBFAとビタミンDを組み合わせることが望ましい。したがって、HMBFAおよびビタミンDを含有する安定配合物を開発する必要性がある。この目的に向けて、HMBを含有する配合物を含む酸性配合物において、少なくとも1つの安定化賦形剤を包含して、ビタミンDが安定化されることが発見されてきている。
【0012】
発明の要旨
本発明の1つの目的は、HMBFAおよび安定であるビタミンDを含有する組成物を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、ビタミンDが経時的に有意に減少しない、HMBFAおよびビタミンDを含有する組成物を提供することである。
本発明のこれらのおよび他の目的は、以下の明細書、図、および請求項を参照すると、当業者には明らかとなるであろう。
【0014】
本発明は、従来遭遇されてきた困難を克服することを意図する。この目的に向けて、HMBFAおよびビタミンDを含む組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、配合物7中のビタミンDの安定性を示す。
【
図2】
図2は、配合物10中のビタミンDの安定性を示す。
【
図3】
図3は、配合物11中のビタミンDの安定性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ビタミンDをHMBと組み合わせた際に、ビタミンDの安定性を改善するための配合物を本明細書に開示する。HMBおよびビタミンDの配合物において、安定化賦形剤として作用するさらなる構成要素を含めると、ビタミンDの安定性が改善されることが発見されてきている。安定化賦形剤の代表的な例には、限定されるわけではないが、EDTA、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、カルニチン、ローズマリー抽出物、カルノソル酸(calnosolic acid)、および/またはソルビン酸が含まれる。HMBおよびビタミンDを含有する配合物における、これらの添加剤の少なくとも1つの包含は、配合物中のビタミンDの経時的な損失を最小限にする。酸性構成要素(例えばHMBFA)と組み合わされたビタミンDを含有する配合物への添加剤の添加は、経時的な分解に対してビタミンDを安定化させる。
【0017】
ビタミンDは、ビタミンD2、D3、およびD4ならびに関連類似体を含むよう意図される。
本発明に含まれる安定化賦形剤には、EDTA、あるいはBHT、BHA、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、ビタミンE、アスコルビン酸、システイン、メチオニン、モノチオグリセロール、チオ硫酸ナトリウム、または亜硫酸塩を含む、酸化防止剤が含まれる。
【0018】
ビタミンDは、酸性配合物中に含まれた際、経時的に有意に分解されることが見出されてきている。低pHの酸性配合物中で、ビタミンDをHMBFAと組み合わせることが望ましいため、HMBおよびビタミンDの安定配合物に関する必要性が存在する。安定化賦形剤、例えばEDTA、BHT、カルニチン、ローズマリー抽出物、カルノソル酸、および/またはソルビン酸を含むと、ビタミンDが経時的な分解に対して安定化された配合物が生じる。
【0019】
大部分の例では、臨床研究に利用され、そしてエルゴジェニックな補助として市販されているHMBは、カルシウム塩型である。最近の進歩によって、HMBが、ヒトおよび動物使用のために、そして好ましくは栄養補助食品として、または食品に取り込まれて使用されるために、遊離酸型で製造されることが可能になってきている。遊離酸型のHMB(HMBFA)が開発されてきており、これはCaHMBより迅速に吸収されて、より迅速でそしてより高いピーク血清HMBレベル、および組織への血清クリアランス改善を生じることが示されてきている。HMBFAのpHは<3である。
【0020】
したがって、HMB遊離酸は、特に、激しい運動直前に投与する際には、カルシウム塩型よりもより効率的なHMB投与法である可能性もある。しかし、一般の当業者は、本発明が任意の型のHMBを含むことを認識するであろう。
【0021】
約0.5グラムHMBから約30グラムHMBの典型的な投薬範囲を生じるような方式での送達および/または投与型に、任意の型のHMBを取り込んでもよい。
本発明の背景内で、任意の適切な用量のHMBを用いてもよい。適切な用量を計算する方法が、当該技術分野に周知である。
【0022】
組成物を食用型で経口投与する場合、組成物は、好ましくは栄養補助食品、食品または薬学的媒体の形、より好ましくは、栄養補助食品または食品の形である。組成物を含む任意の適切な栄養補助食品または食品を、本発明の背景内で利用してもよい。一般の当業者は、組成物が、形(例えば栄養補助食品、食品または薬学的媒体)に関わらず、アミノ酸、ビタミン、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂肪、糖、ミネラルおよび/または微量元素を含んでもよいことを理解するであろう。
【0023】
栄養補助食品または食品として組成物を調製するため、組成物は、通常、組成物が栄養補助食品または食品中で実質的に均一に分布するような方式で、組み合わせられるかまたは混合されるであろう。あるいは、組成物を液体中、例えば水中に溶解してもよい。
【0024】
栄養補助食品の組成物は、粉末、ゲル、液体であってもよいし、あるいは例えばソフトゲル配合物中に錠剤化されるかまたは被包されてもよい。以下の実施例は、ソフトゲルまたはカプセル送達型で、HMBと組み合わされた際のビタミンDの安定性を調べた。本発明は、いかなる特定の送達型にも限定されず、そして本発明には、液体配合物、ゲルおよび食品中のHMBおよびビタミンDの組み合わせが含まれてもよい。
【0025】
組成物を含む任意の適切な薬学的媒体を本発明の背景内で利用してもよいが、好ましくは、組成物は、適切な薬学的キャリアー、例えばデキストロースまたはスクロースと組み合わせられる。
【0026】
さらに、薬学的媒体の組成物を、任意の適切な方式で静脈内投与してもよい。静脈内注入を通じた投与のため、組成物は、好ましくは、水溶性非毒性型である。静脈内投与は、静脈内(IV)療法を受けている入院患者に特に適している。例えば、組成物を、患者に投与するIV溶液中(例えば生理食塩水またはグルコース溶液)中に溶解してもよい。また、組成物を栄養IV溶液に添加してもよく、これにはアミノ酸、グルコース、ペプチド、タンパク質および/または脂質が含まれてもよい。静脈内投与しようとする組成物の量は、経口投与で用いるレベルと同様であってもよい。経口注入は、経口投与よりもより制御され、そして正確でありうる。
【0027】
組成物を投与する頻度を計算する方法は、当該技術分野に周知であり、そして任意の適切な投与頻度を本発明の背景内で(例えば1日1回6g用量または1日2回3g用量)、そして任意の適切な期間に渡って用いてもよい(例えば5分間の期間に渡って、または1時間の期間に渡って単回用量を投与してもよいし、あるいは長期間に渡って多数回の用量を投与してもよい)。組成物を長期間、例えば数週、数ヶ月または数年に渡って投与してもよい。
【0028】
HMBおよびビタミンDの任意の適切な用量を本発明の背景内で用いてもよい。適切な用量を計算する方法が当該技術分野に周知である。
用語、投与することまたは投与には、組成物およびその組み合わせを消費する哺乳動物に組成物を提供する工程が含まれる。
【実施例】
【0029】
以下の実施例は、さらに詳細に本発明を例示するであろう。本明細書の実施例において、一般的に記載され、そして例示されるような本発明の組成物は、多様な配合物および投薬型で合成されてもよいことが容易に理解されるであろう。したがって、本発明の方法、配合物および組成物の現在好ましい態様の以下のより詳細な説明は、請求するような本発明の範囲を限定するとは意図されず、単に本発明の現在好ましい態様の代表でしかない。
【0030】
以下の実験の目的は、異なる配合物中のHMBFA中のビタミンD3の安定性を試験することであった。10%未満のビタミンD3の損失は、許容されうると見なされた。
方法:11の異なるHMBFA/ビタミンD3配合物を試験した。これらの配合物を、経時的なビタミンD3の安定性に関して試験した。配合物は以下の通りであった:
1. HMBFA+ビタミンD3(100HP、BASF、デンマーク)
2. 塩化コリン(Acros Organics)を加えたHMB FA中のビタミンD3(100HP、BASF、デンマーク)
3. ベタイン(Sigma-Aldrich)を加えたHMB FA中のビタミンD3(100HP、BASF、デンマーク)
4. 緩衝HMBFA+ビタミンD3(100HP、BASF、デンマーク)
5. 緩衝HMBFA+BASF保護ビタミンD3(100GFP/HP、BASF、デンマーク)
6. HMBFA+NovaSol D(登録商標)保護ビタミンD3(AquaNova(登録商標)、ドイツ)
7. 60ppm EDTA二ナトリウム(VerseneTM NAキレート剤、Dow Chemical、ミシガン州ミッドランド)で安定化された、緩衝HMB遊離酸+NovaSol D(登録商標)保護ビタミンD3(AquaNova、ドイツ)
8. 60ppm EDTA二ナトリウム(VerseneTM NAキレート剤、Dow Chemical、ミシガン州ミッドランド)で安定化された、HMBFA+NovaSol D(登録商標)保護ビタミンD3(AquaNova、ドイツ)
9. 60ppm EDTA二ナトリウム(VerseneTM NAキレート剤、Dow Chemical、ミシガン州ミッドランド)で安定化された、緩衝HMBFA+ビタミンD3(Sigma-Aldrich)
10. BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン、Sigma-Aldrich)で安定化された、緩衝HMBFA+NovaSol D(登録商標)ビタミンD3(AquaNova、ドイツ)+L-カルニチン
11. NovaSolローズマリー(登録商標)、NovaSol DS/4(登録商標)、およびBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン、Sigma-Aldrich)で安定化された、緩衝HMBFA+NovaSol D(登録商標)ビタミンD3(AquaNova、ドイツ)+L-カルニチン
ビタミンD3を、HeartlandアッセイによりHPLCによって測定した。
【0031】
結果:試験した11の配合物のうち、60ppm EDTA二ナトリウム(VerseneTM NA)で安定化された、NovaSol D保護ビタミンD3に加えて緩衝HMBFAを含有する配合物7、BHTで安定化されたNovaSol D保護ビタミンD3に加えてHMBFAを含有する配合物10、ならびにNovaSolローズマリー、NovaSol DS/4、およびBHTで安定化された、緩衝HMBFA+NovaSol DビタミンD3を含有する配合物11は安定であった。以下の表に、ビタミンD3のパーセント変化を提示する。
【0032】
表1
【0033】
【0034】
図1、2、および3は、それぞれ、配合物7、10、および11におけるビタミンD3の安定性を例示する。結論として、これらの研究は、緩衝HMBFAおよびEDTA二ナトリウムとともに配合した場合、またはBHTをEDTA二ナトリウムに置換した場合、ビタミンD
3が安定であることを立証する。保護ビタミンD
3、例えばNovaSol Dもまた必要である。
【0035】
遊離酸型の緩衝HMB(HMBFA)の調製
簡潔には、400g HMBFA(TSIロット12111036)を1リットルビーカー内に測り入れ、そして次いで、37.8gの炭酸カリウム(K2CO3)をHMBFAに添加した。攪拌バーを加え、そして混合物を60時間攪拌した。生じたpHはおよそ4.5であった。あるいは、水(35g)を炭酸カリウム(37g)と混合し、そして次いで、HMBFA(400g)を添加することによって、反応を加速してもよい。
【0036】
配合物7中のビタミンD3は、AquaNova由来であり、そしてNovaSOL Dと記載される。このビタミンD3製品は、ポリソルベート80で保護されている。該製品は水溶性および脂溶性であり、透明な溶液を生じる。必要な構成物質の量を計算するため、以下を用いた:カプセルあたり、250IUビタミンD3(計算1μg=40IU)、すなわちこの0.25%NovaSOL D製品に基づき6.25μgを用いるため、カプセルあたり2.5mgのNovaSOL Dが必要である。
【0037】
配合物7および配合物8に用いたEDTAは、DowのEDTA二ナトリウムであった(VerseneTM NAキレート剤、Dow Chemical、ミシガン州ミッドランド)。配合物10および11において、EDTA二ナトリウムは保存剤BHTで置換された。さらに、配合物11はまた、カルノソル酸が豊富な酸化防止剤NovaSolローズマリー抽出物および保存剤NovaSol DS/4(ソルビン酸)も含有した。
【0038】
前述の説明および図は、本発明の例示的態様を含む。前述の態様および本明細書記載の方法は、当業者の能力、経験、および好みに基づいて多様であってもよい。特定の順序での方法工程の単なる列挙は、方法工程の順序に対するいかなる制限も構成しない。前述の説明および図は、本発明を単に説明し、そして例示し、そして本発明は、請求項がそう制限されていない限り、こうしたものに限定されない。本開示を示された当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、その修飾および変動を行うことが可能であろう。
【0039】
参考文献
【0040】