(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】時刻同期システム
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20240716BHJP
G04G 5/00 20130101ALI20240716BHJP
【FI】
H04L7/00 990
G04G5/00 J
(21)【出願番号】P 2021031168
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成 立洲
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152489(JP,A)
【文献】特開2015-188152(JP,A)
【文献】特開2020-167616(JP,A)
【文献】特開2016-139846(JP,A)
【文献】特開2014-235013(JP,A)
【文献】特開2013-160521(JP,A)
【文献】特表2017-529806(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0322075(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0295700(US,A1)
【文献】リンクアップ,一冊でキッチリ身につく サーバーの基本としくみ,初版,株式会社ナツメ社,2017年08月01日,p.242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
H04J 3/06
G04G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワーク上に配置され、基準時刻を有する複数台のマスター装置と、
前記通信ネットワーク上に配置され、前記マスター装置の信頼性の度合いを示す評価値を前記マスター装置ごとに求める1台以上のマスター装置状態確認用端末と、
前記通信ネットワーク上に配置され、前記複数台のマスター装置のうち前記評価値が最も高い前記マスター装置の前記基準時刻に同期する1台以上のスレーブ装置と、
を備え
、
前記マスター装置状態確認用端末は、前記評価値が最も高い前記マスター装置を時刻同期対象として選択し、選択した前記時刻同期対象の情報を前記スレーブ装置に送信し、
前記スレーブ装置は、前記マスター装置状態確認用端末から受信した前記情報で特定される前記時刻同期対象としての前記マスター装置の前記基準時刻に同期し、
前記スレーブ装置は、前記複数台のマスター装置のそれぞれから前記基準時刻を含むPTPパケットを受信し、
前記マスター装置状態確認用端末は、前記マスター装置から前記スレーブ装置への平均パケット到達率と前記マスター装置の運用期間との積算値を前記評価値として算出する、
時刻同期システム。
【請求項2】
前記マスター装置状態確認用端末は、特定の前記マスター装置の情報である特定リストを有し、前記特定リストに含まれる前記マスター装置を前記時刻同期対象から除外する、
請求項1に記載の時刻同期システム。
【請求項3】
前記通信ネットワークに接続されていない前記マスター装置状態確認用端末は、起動して前記通信ネットワークに接続した場合には、前記通信ネットワークに接続されている1台以上の前記マスター装置状態確認用端末から前記時刻同期対象を受信し、受信した前記時刻同期対象の中から多数決論理で1つの前記時刻同期対象を選択する、
請求項1又は2に記載の時刻同期システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、時刻同期システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近代における情報の電子化と自動化装置との間の連携化・精密化に伴い、時刻の同期(以下、「時刻同期」という。)は 産業分類上おいて、幅広く利用されている。従来、一般的な時刻同期の方法として、IEEE 1588 Precision Time Protocol(PTP)が知られている。時刻同期には、少なくとも1台のマスター(Master)装置と1台のスレーブ(Slave)装置とが必要となり、複数のマスター装置が存在する場合、Best Master Clock(BMC)アルゴリズムで最良のマスター装置が選出され、その選出されたマスター装置から配信される時刻の情報(以下、「時刻情報」という。)をスレーブ装置が受け取る。
【0003】
しかしながら、スレーブ装置で時刻情報を受信しない間、スレーブ装置は、スレーブ装置自身が保有する自走クロックに装置内の時刻をカウントアップするため、時刻同期の精度が劣化する場合がある。また、マスター装置が配信する時刻情報に関する品質についての情報がなく、マスター装置の配信する時刻情報が伝送を経て劣化した場合に、誤った時刻情報に同期してしまう。そのため、スレーブ装置において、マスター装置毎に時刻情報を蓄積し、蓄積された過去の時刻情報と受信した時刻情報とを比較することにより、時刻精度の品質を監視する技術が考えられている。
【0004】
上述時刻同期方式では、マスター装置から受信したデータを基づいて、マスター装置を選定するが、マスター装置自体の信頼性が考慮されていないという問題がある。したがって、試験運用中のマスター装置など、望ましくないマスター装置など信頼性の低いマスター装置の基準時刻にスレーブ装置の時刻が同期してしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の低いマスター装置の基準時刻にスレーブ装置の時刻が同期することを抑制することができる時刻同期システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の時刻同期システムは、複数のマスター装置と、マスター装置状態確認用端末と、マスター装置状態確認用端末と、を持つ。複数のマスター装置は、通信ネットワーク上に配置され、基準時刻を有する。マスター装置状態確認用端末は、前記通信ネットワーク上に配置され、前記マスター装置の信頼性の度合いを示す評価値を前記マスター装置ごとに求める。スレーブ装置は、前記通信ネットワーク上に配置され、前記複数のマスター装置のうち前記評価値が最も高い前記マスター装置の前記基準時刻に同期する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の時刻同期システムの構成例を示す図。
【
図2】第1の実施形態のスレーブ装置及びマスター装置状態確認用端末の構成例を示す図。
【
図3】第1の実施形態のマスター装置状態確認用端末の時刻同期対象を選択する処理のフローチャート。
【
図4】第2の実施形態の時刻同期システムの構成例を示す図。
【
図5】第2の実施形態のスレーブ装置及びマスター装置状態確認用端末の構成例を示す図。
【
図6】第2の実施形態のマスター装置状態確認用端末の時刻同期対象を選択する処理のフローチャート。
【
図7】第3の実施形態の時刻同期システムの構成例を示す図。
【
図8】第3の実施形態のスレーブ装置及びマスター装置状態確認用端末の構成例を示す図。
【
図9】第3の実施形態のマスター装置状態確認用端末の時刻同期対象を選択する処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の時刻同期システムを、図面を参照して説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
第1の実施形態の時刻同期システム1を、
図1に参照して説明する。
図1は、第1の実施形態の時刻同期システム1の構成例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、時刻同期システム1は、例えば、2台のマスター装置10(マスター装置10-1,10-2)と、1台のスレーブ装置20と、1台のマスター装置状態確認用端末30と、を備える。なお、時刻同期システム1は、マスター装置10の台数には限定されず、複数台のマスター装置10を有していればよい。時刻同期システム1は、スレーブ装置20の台数には限定されず、1台のスレーブ装置20を有してもよいし、2台以上の複数のスレーブ装置20を有してもよい。時刻同期システム1は、マスター装置状態確認用端末30の台数には限定されず、複数台のマスター装置状態確認用端末30を有してもよい。時刻同期システム1は、2台以上のマスター装置10と1台以上のスレーブ装置20との間において、PTPを利用してマスター装置10の時刻にスレーブ装置20の時刻を同期させる。
【0012】
マスター装置10-1は、伝送路100-1を介してスレーブ装置20に接続される。マスター装置10-1は、伝送路100-2を介してマスター装置状態確認用端末30に接続される。
【0013】
マスター装置10-2は、伝送路100-3を介してスレーブ装置20に接続される。マスター装置10-2は、伝送路100-4を介してマスター装置状態確認用端末30に接続される。
【0014】
装置間を接続する伝送路(
図1に示す例では伝送路100-1~100-5)を総称して通信ネットワークNと称する場合がある通信ネットワークNは、無線通信の伝送路(例えば、無線LAN)であってもよいし、有線通信の伝送路であってもよいし、無線通信の伝送路及び有線通信の伝送路の組み合わせであってもよい。通信ネットワークNは、携帯電話回線網などの移動体通信網、無線パケット通信網、インターネット及び専用回線又はそれらの組み合わせであってもよい。例えば、通信ネットワークNは、省電力広域ネットワーク(LPWAN:LPWAN:Low-power Wide-area Network)を用いてもよいし、短距離無線通信規格であるZigBee(登録商標)、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等を用いてもよい。
【0015】
マスター装置10-1及びマスター装置10-2は、マスター装置状態確認用端末30による状態確認の対象のマスター装置として設定されている。マスター装置10のそれぞれは、基準時刻を有し、その基準時刻の情報(時刻情報)を含むPTPパケットを、伝送路100を介してスレーブ装置20に送信する。第1の実施形態では、マスター装置10-1は、マスター装置10-1内の基準時刻の情報(以下、「第1の時刻情報」という。)を含むPTPパケットを、伝送路100-1を介してスレーブ装置20に送信する。マスター装置10-2は、マスター装置10-2内の基準時刻の情報(以下、「第2の時刻情報」という。)を含むPTPパケットを、伝送路100-3を介してスレーブ装置20に送信する。PTPパケットは、IEEE1588-2008の規格で定められている。
【0016】
マスター装置10は、自身の信頼性に関する情報(以下、「信頼性情報」という。)を含むPTPパケットを、マスター装置状態確認用端末30に送信する。信頼性情報は、例えば、通信の安定性に関する情報やマスター装置10の運用期間の情報などである。通信の安定性に関する情報は、例えば、マスター装置10からスレーブ装置20に送信したPTPパケットのパケット到達率(以下、「パケット到達率」)や、そのパケット到達率の平均値(以下、「平均パケット到達率」という。)などである。運用期間とは、マスター装置10が通信ネットワークN上において運用されている期間(運用が開始されてからの経過時間)である。パケット到達率は、例えば、運用期間において、マスター装置10からスレーブ装置20に送信されたPTPパケット数のうち、スレーブ装置20に到達したPTPパケット数の割合を示す。
【0017】
マスター装置10-1は、マスター装置10-1の信頼性情報を含むPTPパケットをマスター装置状態確認用端末30に送信する。例えば、マスター装置10-1は、マスター装置10-1の運用期間を含むPTPパケットをマスター装置状態確認用端末30に送信する。なお、このPTPパケットには、運用期間の他に、マスター装置10-1の通信の安定性に関する情報(例えば、平均パケット到達率)が含まれてもよい。
【0018】
マスター装置10-2は、マスター装置10-2の信頼性情報を含むPTPパケットをマスター装置状態確認用端末30に送信する。例えば、マスター装置10-2は、マスター装置10-2の運用期間を含むPTPパケットをマスター装置状態確認用端末30に送信する。なお、このPTPパケットには、運用期間の他に、マスター装置10-2の通信の安定性に関する情報(例えば、平均パケット到達率)が含まれてもよい。
【0019】
スレーブ装置20は、内部クロックなどによって固有の時刻(以下、「スレーブ時刻」という。)を保持している。スレーブ装置20は、通信ネットワークNを介して複数のマスター装置10に接続され、その複数のマスター装置10のうち、いずれかのマスター装置の時刻情報にスレーブ時刻を同期させる。
【0020】
例えば、スレーブ装置20は、伝送路100-1を介してマスター装置10-1に接続され、マスター装置10-1からPTPパケットを受信する。例えば、スレーブ装置20は、伝送路100-2を介してマスター装置10-2に接続され、マスター装置10-2からPTPパケットを受信する。例えば、スレーブ装置20は、PTPパケットのそれぞれに含まれている第1の時刻情報と第2の時刻情報のうち、いずれかの時刻情報にスレーブ時刻を時刻同期させる。
【0021】
スレーブ装置20は、伝送路100-5を介してマスター装置状態確認用端末30に接続される。スレーブ装置20は、スレーブ時刻の時刻同期を行うにあたって、マスター装置10-1及びマスター装置10-2のそれぞれの信頼性情報を含むPTPパケットをマスター装置状態確認用端末30に送信してもよい。この信頼性情報とは、マスター装置10がマスター装置状態確認用端末30に送信する信頼性情報と同一であってもよいし、異なってもよい。例えば、スレーブ装置20は、マスター装置10-1の平均パケット到達率を計測し、マスター装置10-1の平均パケット到達率とその運用期間との情報を含む信頼性情報をマスター装置状態確認用端末30に送信してもよい。例えば、スレーブ装置20は、マスター装置10-2の平均パケット到達率を計測し、マスター装置10-2の平均パケット到達率とその運用期間との情報を含む信頼性情報をマスター装置状態確認用端末30に送信してもよい。
【0022】
スレーブ装置20は、マスター装置状態確認用端末30に対して、時刻同期に関する問い合わせを行う。例えば、スレーブ装置20は、マスター装置状態確認用端末30に対して、マスター装置10-1とマスター装置10-2とのうち、どちらのマスター装置の時刻状態と同期すればよいかの問い合わせをマスター装置状態確認用端末30に対して行う。そして、スレーブ装置20は、その問い合わせの結果をマスター装置状態確認用端末30から受け取り、受け取った問い合わせの結果に基づいて、スレーブ時刻の時刻同期を行う。なお、スレーブ装置20は、各マスター装置10の信頼性情報を含む情報をマスター装置状態確認用端末30に送信することで上記問い合わせを行ってもよい。
【0023】
マスター装置状態確認用端末30は、伝送路100-2を介してマスター装置10-1に接続され、伝送路100-4を介してマスター装置10-1に接続される。マスター装置状態確認用端末30は、伝送路100-5を介してスレーブ装置20に接続される。マスター装置状態確認用端末30は、伝送路100-2、伝送路100-4及び伝送路100-5などを含む通信ネットワークNを介して、信頼性情報を含むPTPパケットを受信する。マスター装置状態確認用端末30は、受信したPTPパケット内の信頼性情報に基づいて、確認対象のマスター装置として設定されている複数のマスター装置10のそれぞれの信頼性を評価し、信頼性が高いマスター装置(例えば、信頼性が最も高いマスター装置)を選択する。
図1に示す例では、マスター装置状態確認用端末30は、スレーブ装置20から伝送路100-5を介して上記問い合わせを受信した場合には、マスター装置10-1及びマスター装置10-2のうち、信頼性の高い方のマスター装置の情報をスレーブ装置20に送信する。
【0024】
以下に、第1の実施形態のスレーブ装置20の概略構成の一例について、
図2を用いて説明する。
図2は、第1の実施形態に係るスレーブ装置20及びマスター装置状態確認用端末30の構成例を示す図である。
【0025】
スレーブ装置20は、例えば、通信部21と、PTP処理部22と、時刻情報蓄積部23と、を備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integrated circuit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶装置は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により構成される。
【0026】
通信部21は、伝送路100-1,伝送路100-3を介して、マスター装置10-1及びマスター装置10-2のそれぞれと情報を送受する。通信部21は、伝送路100-5を介して、マスター装置状態確認用端末30と情報を送受する。
【0027】
PTP処理部22は、各マスター装置10から通信部21を介してPTPパケットを受信し、その受信したPTPパケットに含まれる基準時刻の情報を時刻情報蓄積部23にマスター装置10ごとに保存する。例えば、PTP処理部22は、マスター装置10-1から受信したPTPパケットに含まれる第1の時刻情報を、マスター装置10-1を識別する識別情報に対応付けて時刻情報蓄積部23に保存する。PTP処理部22は、マスター装置10-2から受信したPTPパケットに含まれる第2の時刻情報を、マスター装置10-2を識別する識別情報に対応付けて時刻情報蓄積部23に保存する。
【0028】
PTP処理部22は、PTPに則って、マスター装置10とPTPパケットのやり取りを行い、PTPによる時刻同期を行う。PTP処理部22は、PTPによる時刻同期を行うにあたって、マスター装置10-1の信頼性情報及びマスター装置10-2の信頼性情報を、通信ネットワークNを介してマスター装置状態確認用端末30に送信する。
【0029】
例えば、PTP処理部22は、マスター装置10-1の平均パケット到達率及び運用期間を計測する。PTP処理部22は、マスター装置10-2の平均パケット到達率及び運用期間を計測する。PTP処理部22は、マスター装置10-1の平均パケット到達率及び運用期間と、マスター装置10-2の平均パケット到達率及び運用期間と、を含むPTPパケットを、伝送路100-5を介してマスター装置状態確認用端末30に送信してもよい。
【0030】
PTP処理部22は、時刻同期に関する問い合わせマスター装置状態確認用端末30に送信する。時刻同期に関する問い合わせとは、例えばスレーブ時刻をどのマスター装置10の時刻情報と同期させればよいのかの問い合わせである。PTP処理部22は、複数のマスター装置10のうち、信頼性の高いマスター装置の時刻情報とPTPによる時刻同期を行う。そのため、PTP処理部22は、時刻同期に関する問い合わせとして、例えば複数のマスター装置のうち、信頼性の高いマスター装置10がどのマスター装置であるかの問い合わせをマスター装置状態確認用端末30に送信してもよい。
【0031】
PTP処理部22は、マスター装置状態確認用端末30から問い合わせの結果として、複数のマスター装置10のうち、いずれかのマスター装置10を示す情報を受信した場合には、その情報が示すマスター装置10の時刻情報に、スレーブ時刻を同期させる。例えば、PTP処理部22は、マスター装置状態確認用端末30から問い合わせの結果として、マスター装置10の識別情報を受信した場合には、その識別情報に対応する時刻情報を、時刻情報蓄積部23から取得する。そして、PTP処理部22は、時刻情報蓄積部23から取得した時刻情報に、スレーブ時刻を同期させる。
【0032】
時刻情報蓄積部23には、スレーブ装置20と通信ネットワークNを介して通信する複数のマスター装置10の時刻情報が格納される。
図1に示す例では、時刻情報蓄積部23には、マスター装置10-1及びマスター装置10-2のそれぞれの時刻情報がマスター装置10ごとに格納される。
【0033】
以下に、第1の実施形態のマスター装置状態確認用端末30の概略構成の一例について説明する。
【0034】
マスター装置状態確認用端末30は、例えば、通信部31と、PTP処理部32と、演算部33と、特定リスト情報蓄積部34とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶装置は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAM等により構成される。
【0035】
通信部31は、通信ネットワークNを介して、マスター装置10-1、マスター装置10-2、及びスレーブ装置20のそれぞれと通信する。
図1に示す例では、通信部31は、伝送路100-2及び伝送路100-4を介して、マスター装置10-1及びマスター装置10-2のそれぞれと通信する。通信部31は、伝送路100-5を介して、スレーブ装置20と通信する。
【0036】
PTP処理部32は、通信部31を介してマスター装置10-1の信頼性情報及びマスター装置10-2の信頼性情報を取得する。例えば、PTP処理部32は、マスター装置10-1及びマスター装置10-2から受信したPTPパケットにより信頼性情報を取得してもよいし、スレーブ装置20から受信したPTPパケットにより信頼性情報を取得してもよいし、その両方であってもよい。すなわち、PTP処理部32は、マスター装置10-1及びマスター装置10-2のそれぞれの信頼性情報を取得できればよく、その情報がどこから送信されたかは問わない。
【0037】
演算部33は、マスター装置10-1及びマスター装置10-2のそれぞれの信頼性情報に基づいて、マスター装置10-1及びマスター装置10-2のそれぞれの信頼性を評価する。例えば、演算部33は、マスター装置10-1の信頼性情報に基づいて、マスター装置10-1の評価値(以下、「第1の評価値」という。)を求める。例えば、演算部33は、マスター装置10-2の信頼性情報に基づいて、マスター装置10-2の評価値(以下、「第2の評価値」という。)を求める。評価値は、マスター装置10の信頼性の度合いを表す指標である。評価値は、マスター装置10の信頼性を示すものであれば、どのような値であってもよい。評価値は、平均パケット到達率であってもよいし、運用期間であってもよいし、平均パケット到達率と運用期間とから求まる値であってもよい。例えば、評価値は、平均パケット到達率と運用期間との積算値である。
【0038】
演算部33は、通信ネットワークN上の複数のマスター装置10のそれぞれに対して評価値を求め、求めた複数の評価値を互いに比較する。
図1に示す例では、演算部33は、マスター装置10-1及びマスター装置10-2のそれぞれに対して評価値を求める。評価値が高いほど信頼性が高い場合には、演算部33は、第1の評価値と第2の評価値とのうち、値が高い方の評価値のマスター装置10を時刻同期のマスター装置(以下、「時刻同期対象」という。)として選択する。なお、評価値が低いほど信頼性が高い場合には、演算部33は、第1の評価値と第2の評価値とのうち、値が低い方の評価値のマスター装置10を時刻同期のマスター装置(以下、「時刻同期対象」という。)として選択する。演算部33は、スレーブ装置20からの問い合わせを受信した場合には、時刻同期対象として決定したマスター装置10の情報をスレーブ装置20に送信する。
【0039】
以下に、第1の実施形態におけるマスター装置状態確認用端末30の時刻同期対象を選択する処理の流れについて説明する。
図3は、第1の実施形態におけるマスター装置状態確認用端末30の時刻同期対象を選択する処理のフローチャートである。
【0040】
マスター装置状態確認用端末30は、通信ネットワークN上にある複数のマスター装置10と通信したり、通信ネットワークN上にあるスレーブ装置20と通信したりするなどして、複数のマスター装置10の信頼性情報を含むPTPパケットを取得する。
【0041】
マスター装置状態確認用端末30は、信頼性情報に基づいて、マスター装置10のそれぞれの評価値を算出する(ステップS101)。例えば、マスター装置状態確認用端末30は、マスター装置10-1の評価値と、マスター装置10-2の評価値と、を算出する。そして、マスター装置状態確認用端末30は、マスター装置10-1の評価値(以下、「第1の評価値」という。)と、マスター装置10-2の評価値(以下、「第2の評価値」という。)と、を比較する。例えば、マスター装置状態確認用端末30は、第1の評価値と第2の評価値との差の絶対値が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0042】
例えば、マスター装置状態確認用端末30は、第1の評価値と第2の評価値との差の絶対値が基準値以上である場合には、第1の評価値と第2の評価値との大小を比較する(ステップS103)。マスター装置状態確認用端末30は、第1の評価値が第2の評価値よりも大きい場合には、時刻同期対象としてマスター装置10-1を選択する(ステップS104)。マスター装置状態確認用端末30は、第2の評価値が第1の評価値よりも大きい場合には、時刻同期対象としてマスター装置10-2を選択する(ステップS105)。
【0043】
ステップS102において、マスター装置状態確認用端末30は、第1の評価値と第2の評価値との差の絶対値が基準値未満である場合には、公知のBMCAアルゴリズムを用いてマスター装置10-1及びマスター装置10-2のいずれかのマスター装置を時刻同期対象として選択する(ステップS106)。
【0044】
マスター装置状態確認用端末30は、時刻同期対象として選択したマスター装置10の情報(例えば、識別情報)をスレーブ装置20に送信する(ステップS107)。
【0045】
以上説明した第1の実施形態の時刻同期システム1は、通信ネットワークN上に配置された複数のマスター装置10のそれぞれの信頼性を評価し、より信頼性の高いマスター装置10の基準時刻にスレーブ装置20の時刻を同期させることで、信頼性の低いマスター装置10の基準時刻にスレーブ装置20の時刻が同期することを抑制することができる。
【0046】
<第2の実施形態>
第2の実施形態の時刻同期システム1Aについて説明する。以下の説明において、第1の実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付するものとし、その機能に関する具体的な説明は省略する。
【0047】
第2の実施形態の時刻同期システム1Aは、第1の実施形態と比較して、時刻同期対象から除外するマスター装置10の一覧表(以下、「特定除外リスト」という。)を有する点が異なる。
【0048】
図4は、第2の実施形態に係る時刻同期システム1Aの構成例を示す図である。時刻同期システム1Aは、例えば、3台のマスター装置10(マスター装置10-1~10-3)と、1台のスレーブ装置20と、1台のマスター装置状態確認用端末30Aと、を備える。なお、時刻同期システム1Aは、マスター装置10の台数には限定されず、4台以上のマスター装置10を有してもよい。時刻同期システム1Aは、スレーブ装置20の台数には限定されず、2台以上の複数のスレーブ装置20を有してもよい。時刻同期システム1Aは、第1の実施形態と同様に、2台以上のマスター装置10と1台以上のスレーブ装置20との間において、PTPを利用してマスター装置10の時刻にスレーブ装置20の時刻を同期させる。
【0049】
図5は、第2の実施形態に係るマスター装置状態確認用端末30Aの構成例を示す図である。マスター装置状態確認用端末30Aは、例えば、通信部31と、PTP処理部32と、演算部33Aと、特定リスト情報蓄積部34と、を備える。これらの構成要素は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶装置は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAM等により構成される。
【0050】
特定リスト情報蓄積部34には、時刻同期対象から除外するマスター装置10の情報(
例えば、識別情報)が格納されている。例えば、特定リスト情報蓄積部34には、時刻同期対象から除外するマスター装置10の情報が格納されている。一例として、特定リスト情報蓄積部34には、時刻同期対象から除外するマスター装置10の一覧表である特定除外リストが格納されている。
【0051】
演算部33Aは、時刻同期対象を選択するにあたって、特定除外リストにあるマスター装置10を、時刻同期対象から除外してもよい。演算部33Aにおける評価値の算出方法及び時刻同期対象の決定方法は、第1の実施形態の演算部33と同様の方法である。
【0052】
以下に、第2の実施形態におけるマスター装置状態確認用端末30Aの時刻同期対象を選択する処理の流れについて説明する。
図6は、第2の実施形態におけるマスター装置状態確認用端末30Aの時刻同期対象を選択する処理のフローチャートである。マスター装置10-1~10-3は、マスター装置状態確認用端末30Aの確認対象のマスター装置として設定されている。また、マスター装置10-2は、試験運用中の装置であり、特定除外リストが含まれている。
【0053】
マスター装置状態確認用端末30Aは、通信ネットワークN上にある複数のマスター装置10-1~10-3と通信したり、通信ネットワークN上にあるスレーブ装置20と通信したりするなどして、マスター装置10-1~10-3の信頼性情報を取得する。マスター装置状態確認用端末30Aは、特定リスト情報蓄積部34に格納されている特定除外リストに、確認対象のマスター装置の情報があるか否かを照合する(ステップS201)。マスター装置状態確認用端末30Aは、特定リスト情報蓄積部34に格納されている特定除外リスト内に、確認対象のマスター装置10の情報が含まれている場合には、そのマスター装置10を時刻同期対象から除外し(ステップS202)、ステップS203の処理を行う。マスター装置10-2の情報は、特定除外リストに含まれている。そのため、マスター装置状態確認用端末30Aは、マスター装置10-2を時刻同期対象から除外する。
【0054】
マスター装置状態確認用端末30Aは、特定リスト情報蓄積部34に格納されている特定除外リスト内に、確認対象のマスター装置10の情報が含まれていない場合には、ステップS202の処理を実行せずに、ステップS203の処理を行う。
【0055】
ステップS203の処理では、マスター装置状態確認用端末30Aは、確認対象のマスター装置10であって、特定除外リストに含まれていないマスター装置10-1及びマスター装置10-3の各評価値を算出する。例えば、マスター装置状態確認用端末30Aは、マスター装置10-1の第1の評価値と、マスター装置10-3の評価値(以下、「第3の評価値」という。)と、を算出する。そして、マスター装置状態確認用端末30Aは、マスター装置10-1の第1の評価値と、マスター装置10-3の第3の評価値と、を比較する。
【0056】
例えば、マスター装置状態確認用端末30Aは、第1の評価値と第3の評価値との差の絶対値が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS204)。例えば、マスター装置状態確認用端末30Aは、第1の評価値と第2の評価値との差の絶対値が基準値以上である場合には、第1の評価値と第3の評価値との大小を比較する(ステップS205)。マスター装置状態確認用端末30Aは、第1の評価値が第3の評価値よりも大きい場合には、時刻同期対象としてマスター装置10-1を選択する(ステップS206)。マスター装置状態確認用端末30Aは、第3の評価値が第1の評価値よりも大きい場合には、時刻同期対象としてマスター装置10-3を選択する(ステップS207)。
【0057】
ステップS204において、マスター装置状態確認用端末30Aは、第1の評価値と第3の評価値との差の絶対値が基準値未満である場合には、公知のBMCAアルゴリズムを用いてマスター装置10-1及びマスター装置10-3のいずれかのマスター装置を時刻同期対象として選択する(ステップS208)。マスター装置状態確認用端末30Aは、時刻同期対象として選択したマスター装置10の情報(例えば、識別情報)をスレーブ装置20に送信する(ステップS209)。
【0058】
以上説明した第2の実施形態の時刻同期システム1Aでは、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、試験運用のマスター装置10を時刻同期対象から除外することで、望ましくない時刻同期を防ぐことができる。
【0059】
<第3の実施形態>
第3の実施形態の時刻同期システム1Bについて説明する。以下の説明において、第1の実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付するものとし、その機能に関する具体的な説明は省略する。
【0060】
図7に示すように、時刻同期システム1Bは、例えば、3台のマスター装置10(マスター装置10-1~10-3)と、1台のスレーブ装置20と、複数台のマスター装置状態確認用端末30Bと、を備える。時刻同期システム1Bは、2台以上のマスター装置10と1台以上のスレーブ装置20との間において、PTPを利用してマスター装置10の時刻にスレーブ装置20の時刻を同期させる。なお、以下に説明する例として、時刻同期システム1Bは、4台のマスター装置状態確認用端末30B-1~30B-4を備える。
【0061】
マスター装置10-1~10-3は、複数の伝送路100を介して、マスター装置状態確認用端末30B-1~30B-4に接続される。
【0062】
マスター装置状態確認用端末30Bは、電源が起動して通信ネットワークN上に配置された場合には、すでに通信ネットワークN上に配置されているその他のマスター装置状態確認用端末Bから時刻同期対象の情報を取得してもよい。なお、マスター装置状態確認用端末30Bにおける評価値の算出方法及び時刻同期対象の決定方法は、第1の実施形態と同様である。
【0063】
図8は、第3の実施形態に係るマスター装置状態確認用端末30Bの構成例を示す図である。マスター装置状態確認用端末30Bは、例えば、通信部31と、PTP処理部32Bと、演算部33Bと、特定リスト情報蓄積部34と、を備える。これらの構成要素は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶装置は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、またはRAM等により構成される。
【0064】
PTP処理部32Bは、自身のマスター装置状態確認用端末30B(以下、「自端末」という。)の電源が起動して通信ネットワークN上に配置された場合には、他のマスター装置状態確認用端末30B(以下、「他端末」という。)が選択した時刻同期対象の情報を、他端末から受信する。PTP処理部32Bは、受信した時刻同期対象の情報を演算部33Bに送信する。複数の他端末が通信ネットワークN上に配置されている場合には、PTP処理部32Bは、他端末ごとに時刻同期対象の情報を受信して、演算部33Bに送信する。PTP処理部32Bは、他端末が通信ネットワークN上に存在しない場合には、PTP処理部32と同様の動作を行う。
【0065】
演算部33Bは、自端末の電源が起動した場合において、PTP処理部32Bから複数の時刻同期対象の情報を受信した場合には、多数決論理で時刻同期対象を選択する。ただし、演算部33Bは、多数決論理で時刻同期対象を選択できない場合には、複数の時刻同期対象のそれぞれの運用期間の長さを比較し、比較結果に基づいて時刻同期対象を選択する。例えば、演算部33Bは、運用期間が最も長い時刻同期対象を選択する。演算部33Bは、選択した時刻同期対象の情報をスレーブ装置20に送信する。なお、演算部33Bは、自端末が既に通信ネットワークN上に配置されている場合や他端末が存在しない場合には、演算部33又は演算部33Aと同様の方法で評価値を求めて時刻同期対象を選択する。
【0066】
以下に、第3の実施形態における電源起動直後のマスター装置状態確認用端末30Bの時刻同期対象の選択処理の流れについて説明する。
図9は、第3の実施形態におけるマスター装置状態確認用端末30Bの時刻同期対象を選択する処理のフローチャートである。マスター装置状態確認用端末30B-1は、通信ネットワークNに初めて接続し、電源起動直後の状態である。マスター装置状態確認用端末30B-2~30B-4は、通信ネットワークNに対して既に接続されており、マスター装置10-1~10-3から信頼性情報を含むPTPパケットを取得して時刻同期対象を選択した状態である。
【0067】
マスター装置状態確認用端末30B-1は、電源が起動して通信ネットワークNに接続された場合には、マスター装置状態確認用端末30B-2~30B-4のそれぞれが選択した時刻同期対象の情報を、マスター装置状態確認用端末30B-2~30B-4のそれぞれから受信する(ステップS301)。
【0068】
マスター装置状態確認用端末30B-1は、受信した複数の時刻同期対象の情報に対して多数決処理を実施し(ステップS302)、多数決論理により、複数の時刻同期対象の中から1つの時刻同期対象を選択する。マスター装置状態確認用端末30B-1は、多数決処理により1つの時刻同期対象を選択できたか否かを判定し(ステップS303)、選択できた場合には、ステップS305の処理に移行する。マスター装置状態確認用端末30B-1は、ステップS303において1つの時刻同期対象を選択できないと判定した場合には、受信した複数の時刻同期対象の中で運用期間が最も長い時刻同期対象を選択する(ステップS304)。
【0069】
ステップS305では、マスター装置状態確認用端末30B-1は、スレーブ装置20からの問い合わせを受信した場合には、選択した時刻同期対象の情報をスレーブ装置20に送信する。
【0070】
以上説明した第3の実施形態の時刻同期システム1Bでは、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、マスター装置状態確認用端末30Bが起動して通信ネットワークNに接続された際には通信ネットワークNにすでに接続されている他のマスター装置状態確認用端末30Bから時刻同期対象の情報を受信することで同期先確立時間を早めることができる。
【0071】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、マスター装置10の信頼性の度合いを示す評価値をマスター装置10ごとに求めるマスター装置状態確認用端末30と、複数のマスター装置10のうち評価値が最も高いマスター装置10の基準時刻に同期するスレーブ装置20とを持つことにより、信頼性の低いマスター装置の基準時刻にスレーブ装置の時刻が同期することを抑制することができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1,1A,1B…時刻同期システム、10…マスター装置、20‥スレーブ装置、30,30A,30B…マスター装置状態確認用端末