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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】射出成形機の制御方法及び射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
B29C45/76
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021042725
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142523
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺沼 伸行
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-154988(JP,A)
【文献】特開2010-247411(JP,A)
【文献】特開2007-15349(JP,A)
【文献】特開2004-155162(JP,A)
【文献】特開2006-168325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を溶融する加熱バレル内でスクリュを回転させながら前記スクリュを後退させることにより溶融樹脂の計量を行う計量工程を含む射出成形機の制御方法において、
前記計量工程の完了時に前記スクリュの後退を停止させるために前記計量工程で前記計量工程の完了前に前記スクリュの後退速度を減速させるタイミングから、前記スクリュの回転速度を減速させ、
前記計量工程で計量した前記溶融樹脂の圧力である背圧が、目標時刻の到達時に前記計量工程の完了時における前記背圧よりも低い目標圧力となるように前記スクリュの回転速度と回転方向とを制御することを特徴とする射出成形機の制御方法。
【請求項2】
前記目標圧力は、0MPaである請求項1に記載の射出成形機の制御方法。
【請求項3】
前記目標圧力は、前記溶融樹脂に応じて設定される設定圧力である請求項1に記載の射出成形機の制御方法。
【請求項4】
前記目標時刻は、前記加熱バレルで溶融した前記溶融樹脂を成形する金型において成形樹脂の冷却が完了する時刻である請求項1~3のいずれか1項に記載の射出成形機の制御方法。
【請求項5】
前記目標時刻は、前記加熱バレルで溶融した前記溶融樹脂を成形する金型において成形樹脂の冷却が完了する時刻よりも前に設定されるオフセット時刻である請求項1~3のいずれか1項に記載の射出成形機の制御方法。
【請求項6】
内部で樹脂材料を溶融して溶融樹脂にする加熱バレルと、
前記加熱バレル内に回転可能に配置され、且つ、前記加熱バレル内で回転の軸方向に移動可能なスクリュと、
前記加熱バレル内において前記スクリュにより押し出した前記溶融樹脂の圧力である背圧を検出する背圧検出部と、
前記スクリュの回転と前記スクリュの移動とを制御すると共に、前記加熱バレル内で前記スクリュを回転させながら前記スクリュを後退させることにより前記加熱バレル内で前記溶融樹脂を押し出し、前記スクリュにより押し出した前記溶融樹脂の計量を前記背圧検出部により検出した前記背圧に基づいて行う制御部と、
を備える射出成形機において、
前記制御部は、
前記溶融樹脂の計量を行う工程である計量工程の完了時に前記スクリュの後退を停止させるために前記計量工程で前記計量工程の完了前に前記スクリュの後退速度を減速させるタイミングから、前記スクリュの回転速度を減速させ、
前記背圧検出部により検出する前記背圧が、目標時刻の到達時に前記計量工程の完了時における前記背圧よりも低い目標圧力となるように前記スクリュの回転速度と回転方向とを制御することを特徴とする射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融した樹脂材料を射出して成形を行う射出成形機の制御方法及び射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機における、金型内に射出する樹脂の計量を行う計量工程では、加熱バレル内でスクリュを回転させて樹脂材料を溶融混練しながら、スクリュを所定の位置まで後退させる。これにより、次回の射出工程で金型内に射出する分の溶融樹脂を加熱バレルの先端部に送り、溶融樹脂の計量を行う。また、このような従来の射出成形機の中には、計量後の溶融樹脂の減圧や、成形品の品質の確保等を目的として、溶融樹脂の計量後にスクリュに所定の動作を行わせているものがある。つまり、計量後に加熱バレルの先端部に位置する溶融樹脂は、圧力が高くなっているため、これに起因して、計量した溶融樹脂が、加熱バレルの先端に位置するノズルから漏洩する等の不具合が発生する虞がある。この場合、成形に用いる樹脂量が変化したり、成形品に外観不良が発生したりすることがあるため、従来の射出成形機の中には、これらの不具合を抑制することを目的として、溶融樹脂の計量後にスクリュに所定の動作を行わせているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された射出成形機では、溶融樹脂の計量後、後退停止点までスクリュを後退させると共に、後退中の所定の期間で後退速度を低下させてスクリュを逆回転させることにより、過剰逆回転を防止し、減圧を高い精度で調整している。これにより、より正確で均一な計量樹脂量を得る計量条件を短時間で決定させている。また、特許文献2に記載された射出装置では、成形材料の可塑化が終了した直後、スクリュを可塑化の回転方向とは反対の方向に所定回転角だけ回転させて溶融材料を減圧させることにより、溶融材料の脱気を簡易な構成で実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-253606号公報
【文献】特開2008-143022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
計量後の溶融樹脂の圧力を減圧する手法としては、上述したように、スクリュを所定位置まで、或いは所定量だけ後退させる、いわゆるサックバックや、スクリュを所定回転角だけ逆回転させる手法が挙げされる。しかし、サックバックを行った場合、計量後に加熱バレル内における先端側に位置する溶融樹脂は、圧力が局部的に急激に低下するため、加熱バレル内における後方側、即ち、加熱バレルに樹脂材料を投入するホッパ側に位置する溶融樹脂が、スクリュに配置されるチェックリングを通過し、加熱バレル内における先端側に流れ込む虞がある。この場合、計量した樹脂量が変化するため、成形品の重量安定性が低下する虞がある。また、サックバックを行うことにより、溶融樹脂の圧力が局部的に急激に低下した場合、溶融樹脂にはボイド状の負圧の空隙が生成され易く、当該空隙には、溶融樹脂から発生するガスが溜まり易くなる。この場合、成形品表面に、銀色状の痕である、いわゆるシルバーストリークが発生したり、ガスにより金型の表面が汚染されたりする等、溶融樹脂から発生するガスは、成形品の品質低下の原因につながることがある。
【0006】
また、溶融樹脂の計量後にスクリュを短時間で所定回転角だけ逆回転させた場合、加熱バレル内全体の圧力が急激に大気圧付近まで減圧されるため、溶融樹脂から発生するガスは、局部的ではなく、溶融樹脂全体から発生し易い状態となり、ホッパ側に排出できないガスが加熱バレル内に滞留し易くなる。また、溶融樹脂の計量後にスクリュを短時間で所定回転角だけ逆回転させた場合、加熱バレルでの計量工程の完了から、金型内に充填した樹脂が固化するまでに必要な時間である冷却時間が完了までの待ち時間の間に、溶融樹脂からガスが連続的に発生するため、ホッパ側に排出できないガスが、時間の経過と共に増加し易くなる。また、溶融樹脂の計量後にスクリュを短時間で所定回転角だけ逆回転させる場合、逆回転量や逆回転時間の調整が難しく、過度な設定をした場合は、溶融樹脂の圧力が低下し過ぎることにより溶融樹脂が空気を巻き込み易くなり、シルバーストリーク等の成形不良が発生し易くなり、成形品の品質が低下し易くなる。
【0007】
これらのように、計量後の溶融樹脂の圧力を減圧するために、サックバックを行ったり、スクリュを短時間で所定回転角だけ逆回転させたりする場合、様々な不具合の発生が懸念され、成形品の品質を低下させることなく、計量後の溶融樹脂の圧力を適切に減圧するのは、大変困難なものとなっていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、成形品の品質をより確実に向上させることのできる射出成形機の制御方法及び射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る射出成形機の制御方法は、樹脂材料を溶融する加熱バレル内でスクリュを回転させながら前記スクリュを後退させることにより溶融樹脂の計量を行う計量工程を含む射出成形機の制御方法において、前記計量工程の完了時に前記スクリュの後退を停止させるために前記計量工程で前記計量工程の完了前に前記スクリュの後退速度を減速させるタイミングから、前記スクリュの回転速度を減速させ、前記計量工程で計量した前記溶融樹脂の圧力である背圧が、目標時刻の到達時に前記計量工程の完了時における前記背圧よりも低い目標圧力となるように前記スクリュの回転速度と回転方向とを制御する。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る射出成形機は、内部で樹脂材料を溶融して溶融樹脂にする加熱バレルと、前記加熱バレル内に回転可能に配置され、且つ、前記加熱バレル内で回転の軸方向に移動可能なスクリュと、前記加熱バレル内において前記スクリュにより押し出した前記溶融樹脂の圧力である背圧を検出する背圧検出部と、前記スクリュの回転と前記スクリュの移動とを制御すると共に、前記加熱バレル内で前記スクリュを回転させながら前記スクリュを後退させることにより前記加熱バレル内で前記溶融樹脂を押し出し、前記スクリュにより押し出した前記溶融樹脂の計量を前記背圧検出部により検出した前記背圧に基づいて行う制御部と、を備える射出成形機において、前記制御部は、前記溶融樹脂の計量を行う工程である計量工程の完了時に前記スクリュの後退を停止させるために前記計量工程で前記計量工程の完了前に前記スクリュの後退速度を減速させるタイミングから、前記スクリュの回転速度を減速させ、前記背圧検出部により検出する前記背圧が、目標時刻の到達時に前記計量工程の完了時における前記背圧よりも低い目標圧力となるように前記スクリュの回転速度と回転方向とを制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る射出成形機の制御方法及び射出成形機は、成形品の品質をより確実に向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る射出成形機の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る射出成形機の装置構成を示す要部断面図である。
図3図3は、実施形態に係る射出成形機の装置構成を示す要部平面図である。
図4図4は、図2に示す加熱バレルの詳細図である。
図5図5は、図4に示すチェックリングの詳細図である。
図6図6は、溶融樹脂の減圧制御を行う期間についての説明図である。
図7図7は、実施形態に係る射出成形機での溶融樹脂の減圧制御についての説明図である。
図8図8は、減圧制御を行った際における、加熱バレル内全体の溶融樹脂の圧力の変化についての説明図である。
図9図9は、サックバックを行った際における、加熱バレル内全体の溶融樹脂の圧力の変化についての説明図である。
図10図10は、スクリュを短時間で所定回転角だけ逆回転させた際における、加熱バレル内全体の溶融樹脂の圧力の変化についての説明図である。
図11図11は、実施形態に係る射出成形機の制御方法の変形例であり、目標圧力が任意の設定圧力である場合の説明図である。
図12図12は、実施形態に係る射出成形機の制御方法の変形例であり、目標時刻が任意のオフセット時刻である場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る射出成形機の制御方法及び射出成形機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る射出成形機1の斜視図である。図2は、実施形態に係る射出成形機1の装置構成を示す要部断面図である。図3は、実施形態に係る射出成形機1の装置構成を示す要部平面図である。なお、以下の説明では、射出成形機1の通常の使用状態における上下方向を、射出成形機1における上下方向Zとして説明し、射出成形機1の通常の使用状態における上側を、射出成形機1における上側とし、射出成形機1の通常の使用状態における下側を、射出成形機1における下側として説明する。また、以下の説明では、射出成形機1の長手方向Yを、射出成形機1を有する各部においても長手方向Yとして説明し、射出成形機1の上下方向Zと長手方向Yとの双方に直交する方向を、射出成形機1における幅方向Xとして説明する。
【0015】
<射出成形機1>
本実施形態に係る射出成形機1は、ベース5と、ベース5上に配置された射出装置10及び型締装置15等を有して構成されている。また、射出成形機1には、長手方向Yにおける中央付近に、射出成形機1の各種情報を表示する表示部101と、オペレータが射出成形機1に対して入力操作を行う際に用いる入力部102とが配置されている。
【0016】
ベース5は、長手方向が射出成形機1における長手方向Yとなる略直方体の形状で形成されており、ベース5の上面には、第1レール6が配置されている。第1レール6は、ベース5上で幅方向Xに離間して2本が配置されており、2本の第1レール6は、いずれもベース5の長手方向に沿って延在して形成されている。射出装置10は、第1レール6上に、第1レール6の延在方向に沿って移動自在に載置されており、これにより、射出装置10は、長手方向Yに移動自在に配置されている。
【0017】
型締装置15は、ベース5上における、長手方向Yにおける射出装置10の一方側に配置されている。型締装置15は型締機構を備え、型締機構に組み付けられた金型(図示省略)を開閉させる。型締装置15は、サーボモータ駆動方式が好ましいが、油圧駆動方式であってもよい。本実施形態に係る射出成形機1は、射出装置10及び型締装置15の外側にカバーを有しており、図1は、射出装置10と型締装置15とがそれぞれカバーで覆われた状態で図示されている。
【0018】
<射出装置10>
以下の説明では、長手方向Yにおいて射出装置10に対して型締装置15が位置する側を前方、或いは前側とし、長手方向Yにおいて射出装置10に対して型締装置15が位置する側の反対側を後方、或いは後ろ側として説明する。
【0019】
射出装置10は、フレーム20と、加熱バレル50と、スクリュ60と、スクリュ60を回転させる回転機構70と、スクリュ60を前後進させる前後進機構80と、射出装置10の推進機構40とを備えている。フレーム20は、基台21と、基台21上に取り付けられた上フレーム30とを有して形成されている。基台21は、上下方向Zに偏平な枠体になっており、長手方向Yにおける両側と幅方向Xにおける両側との4箇所に、脚部24が配置されている。4箇所の脚部24は、ベース5上に配置される2本の第1レール6上に、第1レール6の延在方向に沿って移動自在に載置されている。これにより、基台21は、ベース5に対して長手方向Yに摺動自在に支持されている。
【0020】
推進機構40は、駆動用電動機41と、ボールねじ機構43とを有している。駆動用電動機41は、基台21における長手方向Yの後ろ側に位置する後壁23に取り付けられている。駆動用電動機41は、駆動軸が長手方向Yに延びる向きで配置され、駆動用電動機41の駆動軸は、基台21の後壁23を貫通して、連結機構42によりボールねじ機構43のねじ部44に連結されている。これにより、ボールねじ機構43は、駆動用電動機41の駆動時に、駆動用電動機41の駆動力が連結機構42を介して駆動軸から伝達され、伝達された駆動力により回転可能になっている。
【0021】
ボールねじ機構43のねじ部44は、長手方向Yに延びて配置されて基台21の幅方向Xにおけるほぼ中央を貫き、長手方向Yにおける前側の端部側が、基台21における長手方向Yの前側に位置する前壁22に回動自在に支持されている。また、ボールねじ機構43のナット部45は、基台21の内側で、ベース5の上面に固定されている。これにより、推進機構40は、駆動用電動機41の駆動時に、駆動用電動機41から伝達される駆動力によってボールねじ機構43のねじ部44が回転することにより、ねじ部44はベース5に固定されるナット部45に対してねじ部44の延在方向に相対移動することが可能になっている。従って、推進機構40は、ねじ部44が支持される基台21を、ナット部45が固定されるベース5に対して長手方向Yに相対移動させることができ、基台21を有するフレーム20を、ベース5に配置される第1レール6上で、長手方向Yに移動させることができる。これにより、推進機構40は、射出装置10を長手方向Yに移動させることができる。
【0022】
上フレーム30は、四角の枠体状に形成され、基台21の長手方向Yにおける前側の端部付近の位置に、支持ピン33により回動自在に取り付けられている。また、上フレーム30は、支持ピン33が配置されている以外の位置で、上フレーム30を基台21に固定する固定ねじ34によって、回動不可の状態で固定される。このため、上フレーム30は、固定ねじ34を取り外して固定ねじ34による固定を解除すると、支持ピン33を中心にして基台21に対して回動可能に構成されている。
【0023】
上フレーム30は、基台21への取り付け部から上下方向Zにおける上側に立設される前壁31を有しており、加熱バレル50は、上フレーム30の前壁31に取り付けられている。加熱バレル50は、前壁31から長手方向Yにおける前側に延び、その先端、即ち、加熱バレル50の前側の端部には、金型に密接するノズル部52が配置されている。このため、加熱バレル50は、上下方向Zにおけるフレーム20の上側で、長手方向Yにおけるフレーム20の前側に配置されている。
【0024】
詳しくは、加熱バレル50は、略円筒状の形状で形成されると共に、軸心方向が長手方向Yに沿った向きで配置されており、バンドヒータ等のヒータ51(図4参照)が設けられている。これにより、加熱バレル50は、内部で樹脂材料を溶融可能になっている。つまり、加熱バレル50は、ヒータ51によって加熱バレル50の温度を上昇させることができ、内部で樹脂材料を加熱して溶融し、可塑化材料である溶融樹脂にすることが可能になっている。
【0025】
スクリュ60は、加熱バレル50の内部に配置されており、軸心方向が加熱バレル50の軸心方向と沿った方向になる螺旋形状を有しており、即ち、スクリュ60は、外周面に螺旋状の溝を有している。このように、螺旋形状を有して形成されるスクリュ60は、加熱バレル50内で、軸心を中心として回転可能になっている。また、スクリュ60は、加熱バレル50内で回転の軸方向に移動可能になっている。換言すると、スクリュ60は、加熱バレル50内に、加熱バレル50の形状である円筒の中心軸と、スクリュ60の回転軸とが略一致して配置されており、且つ、加熱バレル50の軸方向に移動可能に配置されている。加熱バレル50内に回転可能に配置されるスクリュ60は、加熱バレル50の内部で回転をすることにより、溶融樹脂を混練することが可能になっており、このため、加熱バレル50は、内部で溶融樹脂の混練が可能なバレルになっている。
【0026】
加熱バレル50における上フレーム30に取り付けられる側の部分の近傍には、ホッパ55が配置されている。ホッパ55は、加熱バレル50内に連通し、原料樹脂となる樹脂材料であるペレット(図示省略)を加熱バレル50に供給することが可能になっている。
【0027】
さらに、上フレーム30には、上フレーム30の幅方向Xにおける両側に位置する側壁32上に、それぞれ第2レール35が配置されている。第2レール35は、長手方向Yに延在しており、即ち、加熱バレル50と略平行に延びて形成されている。
【0028】
回転機構70は、長手方向Yにおいて加熱バレル50よりも後ろ側に配置されており、加熱バレル50の内部に配置されるスクリュ60を、中心軸周りに回転させることが可能になっている。スクリュ60を回転させる回転機構70は、回転機構本体部71と、駆動用電動機73と、伝動ベルト74と、プーリ75とを有している。このうち、回転機構本体部71は、幅方向Xに延在するステー72を有しており、ステー72は、幅方向Xにおける2箇所の第2レール35上に摺動自在に載置されている。これにより、回転機構本体部71は、ステー72を介して第2レール35上に移動可能に載置されている。
【0029】
駆動用電動機73は、回転機構本体部71の上側に配置されている。プーリ75は、回転機構本体部71の前方に配置されて軸受76を介して回転機構本体部71に対して回転自在に配置されている。また、プーリ75は、伝動ベルト74を介して駆動用電動機73の駆動軸に連結されており、これにより、プーリ75は、伝動ベルト74を介して伝達される駆動用電動機73の駆動力により回転することが可能になっている。このように、駆動用電動機73から伝達される駆動力により回転可能なプーリ75は、スクリュ60に対して同軸に一体に固定されている。換言すると、スクリュ60は、長手方向Yにおける後端側が、プーリ75に連結されている。これにより、加熱バレル50内に配置されるスクリュ60は、駆動用電動機73からプーリ75に伝達される駆動力により、プーリ75と一体に回転することが可能になっている。
【0030】
長手方向Yにおける回転機構本体部71の後方には、前後進機構80が配置されている。前後進機構80は、加熱バレル50内に配置されるスクリュ60を、スクリュ60の軸心方向に移動させることが可能になっている。即ち、スクリュ60を長手方向Yに前進させたり後退させたりすることが可能になっている。詳しくは、前後進機構80は、駆動用電動機81と、伝動ベルト83と、プーリ84と、ボールねじ機構86とを有している。このうち、駆動用電動機81は、上フレーム30の幅方向Xにおける側方に配置されている。また、駆動用電動機81は、駆動用電動機81の回転位置を検出するエンコーダ82を有しており、駆動用電動機81の駆動軸は、伝動ベルト83を介してプーリ84に連結されている。
【0031】
プーリ84は、軸受85により上フレーム30に回動自在に支持されている。プーリ84には、ボールねじ機構86のねじ部87が一体に連結されている。ボールねじ機構86のねじ部87は、スクリュ60と同軸に配置されており、回転機構本体部71が有するプーリ75に対しても、同軸に配置されている。前後進機構80が有するボールねじ機構86のナット部88は、略円筒形の形状で形成されており、ボールねじ機構86のねじ部87は、当該ナット部88に螺合している。
【0032】
長手方向Yにおける、前後進機構80が有するボールねじ機構86のナット部88と、回転機構70が有する回転機構本体部71との間には、ロードセル90が配置されている。ロードセル90は、回転機構70が有する回転機構本体部71の後ろ側で、前後進機構80が有するボールねじ機構86のナット部88の前側に配置されている。
【0033】
ロードセル90は、軸方向に加えられた荷重を計測する荷重計測器で、起歪体と起歪体に取り付けられた歪みセンサ(いずれも図示省略)などから構成されている。本実施形態では、ロードセル90は、軸方向が長手方向Yとなる向きで配置され、且つ、長手方向Yに偏平な略円筒形の形状で形成されており、円筒の内径は、前後進機構80が有するボールねじ機構86のねじ部87の外径よりも大きくなっている。このように形成されるロードセル90は、長手方向Yにおける前側の面は回転機構70が有する回転機構本体部71に一体に固定され、長手方向Yにおける後ろ側の面は前後進機構80が有するボールねじ機構86のナット部88に一体に固定されている。回転機構70の回転機構本体部71と、前後進機構80が有するボールねじ機構86のナット部88との間に配置されるロードセル90は、回転機構本体部71とナット部88との間で長手方向Yに作用する荷重を検出することが可能になっている。
【0034】
図4は、図2に示す加熱バレル50の詳細図である。加熱バレル50は、図4に示すように、略円筒状の形状で形成され、外周面にバンドヒータ等のヒータ51が配置されている。加熱バレル50における、長手方向Yの前端に配置されるノズル部52は、内径が加熱バレル50の内径よりも小さな略円筒状の形状で形成され、長手方向Yの前側に開口して配置されている。加熱バレル50内に配置されるスクリュ60は、スクリュ60の径方向における外側に突出し、且つ、スクリュ60の軸心を中心とする螺旋状に形成されるフライト61を有している。これにより、スクリュ60は、螺旋状に形成されるフライト61における隣り合う周回部分同士に間に、螺旋状の溝状の部分を有している。
【0035】
このように形成されるスクリュ60には、長手方向Yにおける前側の端部付近に、チェックリング65が配置されている。チェックリング65は、スクリュ60における長手方向Yの前側の端部付近に形成される溝部62に配置されている。溝部62は、溝幅方向がスクリュ60の軸心方向となり、スクリュ60の周方向における1周に亘って形成される溝になっている。
【0036】
図5は、図4に示すチェックリング65の詳細図である。チェックリング65は、略円筒状の形状で形成され、軸心がスクリュ60の軸心に略一致する形態で、スクリュ60の溝部62に配置される。略円筒状に形成されるチェックリング65は、外径が加熱バレル50の内径と同程度で加熱バレル50の内径よりも僅かに小さな径になっている。また、チェックリング65の内径は、スクリュ60の溝部62の溝底の径よりも大きな径になっており、チェックリング65の内周面とスクリュ60の溝部62の溝底との間には、空隙が形成されている。また、チェックリング65の軸心方向における幅は、スクリュ60の溝部62の溝幅よりも小さくなっている。このため、チェックリング65は、溝部62内で溝幅方向に移動することが可能になっている。
【0037】
また、スクリュ60には、溝部62よりも長手方向Yにおける前側の部分と溝部62内とを連通する連通部64が形成されている。連通部64は、溝部62の溝幅方向における前側の溝壁63に開口している。
【0038】
また、射出成形機1は、射出成形機1の各種制御を行う制御部100を有している。制御部100は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有している。制御部100の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0039】
表示部101と入力部102とは、共に制御部100に接続されており、表示部101は、制御部100から伝達された情報を表示する。また、入力部102は、入力操作された情報を制御部100に伝達する。また、前後進機構80の駆動用電動機81に配置されるエンコーダ82や、前後進機構80と回転機構70との間に配置されるロードセル90は、制御部100に接続されており、検出結果を制御部100に送信することが可能になっている。さらに、射出装置10が有するヒータ51や、回転機構70の駆動用電動機73、前後進機構80の駆動用電動機81、推進機構40が有する駆動用電動機41は、制御部100に接続されており、制御部100からの制御信号によって動作する。
【0040】
<射出成形機1の作用>
本実施形態に係る射出成形機1は、以上のような構成を含み、以下、その作用について説明する。射出成形機1は、1回の射出・成形動作を1サイクルとして、この射出・成形動作のサイクルを繰り返し実行する。図6は、溶融樹脂の減圧制御を行う期間についての説明図である。図6では、上の段は、型締装置15での処理工程を図示しており、下の段は、射出装置10での処理工程を図示している。各サイクルは、成形に用いる樹脂材料の射出、及び製品の成形のために複数の工程を含む。各サイクルは、例えば、射出工程、冷却工程、型開工程、取出工程、中間工程、型閉工程、計量工程を含む。
【0041】
射出工程は、射出装置10の加熱バレル50に備えられるノズル部52を型締装置15が有する固定金型(図示省略)の貫通口に押し付け、加熱バレル50によって溶融された樹脂材料である溶融樹脂を移動金型(図示省略)と固定金型との間の空間内に注入する工程である。
【0042】
冷却工程は、型締装置15が有する固定金型と移動金型との間の空間に注入された樹脂材料である成形樹脂の温度が低下して固化し、成形樹脂が成形品となるまで一定の時間待機をする工程である。
【0043】
型開工程は、型締装置15が有する固定金型と移動金型によって成形された成形品を取り出すために、移動金型を固定金型から離す工程になっている。
【0044】
取出工程は、成形品を移動金型から取り外すために、型締装置15に備えられる押出部材(図示省略)によって移動金型から成形品を押し出す工程になっている。
【0045】
中間工程は、移動金型から押し出された成形品を所定の位置まで移動し、取得する工程である。
【0046】
型閉工程は、型締装置15が有する移動金型と固定金型とを組み合わせ、移動金型と固定金型との間に製品形状に対応した空間を形成する工程である。
【0047】
計量工程は、次のサイクルにおいて射出される溶融樹脂を、射出装置10が有する加熱バレル50におけるノズル部52が位置する端部側に送り、次のサイクルで用いる樹脂材料を準備する工程になっている。計量工程は、図6に示すように、型締装置15において冷却工程が行われている期間に行われる。
【0048】
射出成形機1で成形品を成形する際には、これらの射出・成形動作のサイクルが繰り返し実行されるが、繰り返し実行されるサイクルにおいて、加熱バレル50内の樹脂材料を円滑に射出できるように、制御部100は、ヒータ51によって加熱バレル50内を継続的に加熱している。これにより、加熱バレル50は、樹脂材料を溶融状態で保持している。
【0049】
制御部100は、射出・成形動作のサイクル内における各工程の始期または終期を判断しながら制御を行う。各工程の始期または終期を判断するためには、例えば、制御部100によって射出成形機1を動作させるためのプログラム中において、各工程の最初のステップまたは最終のステップに、予めフラグを規定する。これにより、制御部100は、射出成形機1を動作させるためのプログラムを実行中に、各工程の始期または終期を判断することができる。即ち、制御部100は、フラグを規定することにより、各工程のステップの処理前または処理後にフラグを実行したときに、処理が次の工程へ移行したと判断することができる。
【0050】
また、制御部100は、工程が移行したときに、表示部101に工程の移行を表示させる。即ち、表示部101は、射出成形機1の現在の工程を表示する。これにより、オペレータは、表示部101を視認することにより、射出成形機1の現在の運転状態を認識することができる。
【0051】
<計量工程>
本実施形態に係る射出成形機1では、射出・成形動作のサイクルにおける各工程のうち、計量工程で計量を行った樹脂材料の圧力を、減圧する制御を行う。次に、まず、樹脂材料の減圧制御の前に行う計量工程について詳しく説明する。計量工程で計量を行う樹脂材料は、ペレットの状態でホッパ55に投入され、ホッパ55から加熱バレル50内に供給される。加熱バレル50は、ヒータ51によって加熱されることにより、加熱バレル50内に高温になり、ペレットの状態で加熱バレル50内に供給された樹脂材料は、加熱バレル50内で溶融し、溶融樹脂に状態になる。
【0052】
計量工程では、このように樹脂材料が溶融する加熱バレル50内でスクリュ60を回転させながら、長手方向Yにおける後ろ側にスクリュ60を移動させる。スクリュ60の回転は、回転機構70により行う。即ち、回転機構70が有する駆動用電動機73を駆動させ、駆動用電動機73で発生した駆動力が、伝動ベルト74によってプーリ75に伝達され、プーリ75からスクリュ60に伝達されることにより、スクリュ60は回転をする。
【0053】
ここでのスクリュ60の回転方向は、スクリュ60のフライト61における隣り合う周回部分同士の間に位置する溶融樹脂を、スクリュ60の回転によって、長手方向Yにおける前端側、つまり、ノズル部52が位置する側に送ることのできる方向になっている。以下の説明では、スクリュ60の回転方向のうち、溶融樹脂を長手方向Yにおける前側に送ることのできる方向を正回転として説明し、反対方向を逆回転として説明する。
【0054】
また、長手方向Yにおける後ろ側へのスクリュ60の移動、即ち、スクリュ60の後退は、前後進機構80により行う。前後進機構80によってスクリュ60を後退させる際には、前後進機構80が有する駆動用電動機81を駆動させ、駆動用電動機81で発生した駆動力が、伝動ベルト83によってプーリ84に伝達され、プーリ84からボールねじ機構86のねじ部87に伝達されて、ねじ部87が回転する。これにより、ボールねじ機構86のナット部88が長手方向Yに移動し、ナット部88と共に、ロードセル90、及び回転機構70全体が、第2レール35に支持されながら長手方向Yに移動する。従って、回転機構70のプーリ75に連結されるスクリュ60も、回転機構70のプーリ75と共に長手方向Yに移動し、スクリュ60は後退する。
【0055】
計量工程では、これらのように、スクリュ60を正回転で回転させながら、スクリュ60を後退させることにより、加熱バレル50内の溶融樹脂を、スクリュ60によって加熱バレル50の前端側に送る。即ち、制御部100は、計量工程では、スクリュ60の回転とスクリュ60の移動とを制御することにより、加熱バレル50内の溶融樹脂を、加熱バレル50の前端側に押し出す。その際に、制御部100は、スクリュ60を後退させながら溶融樹脂を加熱バレル50の前端側の部分に押し出す際におけるスクリュ60の移動量と、加熱バレル50の前端側の部分に送った溶融樹脂の圧力とを用いて、溶融樹脂の計量を行う。
【0056】
この場合における溶融樹脂の計量は、加熱バレル50内における、長手方向Yにおいてチェックリング65よりも前側に位置する部分に、1回の射出工程で型締装置15が有する金型(図示省略)に対して射出する分の量の溶融樹脂を溜め、1回の射出工程で用いる量の溶融樹脂を確保することをいう。
【0057】
ここで、スクリュ60に配置されるチェックリング65は、計量工程において溶融樹脂を前端側に送る際には、前側に送られる溶融樹脂によって前側に押され、スクリュ60に形成される溝部62における前側の溝壁63に押し付けられる(図5参照)。このため、スクリュ60に形成される溝部62における後ろ側の溝壁63とチェックリング65との間には空隙が形成されるため、チェックリング65よりも後ろ側に位置する溶融樹脂は、当該空隙を通り、さらに、チェックリング65の内周面と溝部62の溝底との間を通って、連通部64に押し出される。これにより、計量工程においてスクリュ60によって溶融樹脂をチェックリング65の前側に押し出す際には、チェックリング65よりも後ろ側に位置する溶融樹脂は、チェックリング65の前側に押し出される。
【0058】
計量工程における制御のうち、スクリュ60の移動量は、前後進機構80の駆動用電動機81が有するエンコーダ82での検出結果に基づいて取得する。つまり、前後進機構80は、駆動用電動機81で発生した駆動力をスクリュ60に伝達することにより、スクリュ60を長手方向Yに移動させるが、エンコーダ82は、駆動用電動機81が有する回転体(図示省略)の回転位置を検出することが可能になっている。このため、制御部100は、エンコーダ82で検出する駆動用電動機81の回転体の回転位置を取得することにより、スクリュ60の長手方向Yにおける位置する取得する。
【0059】
前後進機構80の駆動用電動機81が有するエンコーダ82は、加熱バレル50内でのスクリュ60を長手方向Yのおける位置を検出する、スクリュ位置検出部になっている。制御部100は、計量工程では、前後進機構80の駆動用電動機81が有するエンコーダ82での検出結果に基づいて、スクリュ60の長手方向Yにおける位置を取得することにより、スクリュ60の後退量を取得する。
【0060】
また、加熱バレル50の前端側の部分に送った溶融樹脂の圧力の検出は、ロードセル90の検出結果を用いて行う。ロードセル90は、加熱バレル50内において、スクリュ60により前端側に押し出した溶融樹脂の圧力である背圧を検出する、背圧検出部として用いられる。
【0061】
ロードセル90での溶融樹脂の背圧の検出について説明すると、スクリュ60によって加熱バレル50内の溶融樹脂を加熱バレル50内における前端側に押し出す場合、スクリュ60には、溶融樹脂を前側に押し出す際の反作用により、長手方向Yにおける後ろ側への力が作用する。スクリュ60に作用した長手方向Yの力は、スクリュ60から回転機構70のプーリ75に伝わり、プーリ75から回転機構本体部71に伝わることにより、回転機構本体部71に固定されるロードセル90に伝達される。
【0062】
ロードセル90における回転機構本体部71に固定される側の面の反対側の面は、前後進機構80が有するボールねじ機構86のナット部88に固定されているため、回転機構70の回転機構本体部71からロードセル90に対して、長手方向Yにおける後ろ側への力は、ロードセル90を長手方向Yに圧縮する力として作用する。ロードセル90は、このようにロードセル90に作用する力の大きさを検出し、制御部100に伝達する。制御部100は、ロードセル90から送信された力の大きさを、スクリュ60に対して長手方向Yに作用する力として取得する。
【0063】
制御部100は、計量工程では、ロードセル90での検出結果に基づいて、スクリュ60に対して長手方向Yに作用する力の大きさを取得することにより、スクリュ60によって前側に押し出した溶融樹脂の背圧を取得する。即ち、計量工程では、制御部100は、エンコーダ82での検出結果に基づいてスクリュ60の長手方向Yの位置を取得し、ロードセル90での検出結果に基づいて溶融樹脂の背圧を取得することにより、加熱バレル50におけるノズル部52が位置する側である先端側に押し出した溶融樹脂の量を取得し、溶融樹脂の計量を行う。
【0064】
これらのように、制御部100は、計量工程では、加熱バレル50内でスクリュ60を回転させながらスクリュ60を後退させることにより加熱バレル50内で溶融樹脂を先端側に押し出し、スクリュ60により押し出した溶融樹脂の計量を、エンコーダ82により検出したスクリュ60の位置とロードセル90により検出した背圧とに基づいて行う。これにより、計量工程では、一回の射出工程で、加熱バレル50から型締装置15が有する金型に対して射出する分の溶融樹脂の計量を行う。
【0065】
ここで、計量工程では、射出工程で射出をする溶融樹脂の圧力が高くなっているが、溶融樹脂の圧力が高いままだと、金型内の成形品が取り出された際に、ノズル部52から溶融樹脂が漏洩する等の不具合が発生する。このため、本実施形態では、計量を行った溶融樹脂の減圧を行う。次に、計量工程で計量を行った溶融樹脂の減圧制御について説明する。
【0066】
<計量した樹脂の減圧制御>
図7は、実施形態に係る射出成形機1での溶融樹脂の減圧制御についての説明図である。計量工程で計量を行った溶融樹脂の減圧制御は、型締装置15において冷却工程が行われている期間に行う。即ち、計量工程も、冷却工程が行われている期間に行われるため、計量工程と溶融樹脂の減圧制御は、いずれも冷却工程が行われている期間に行い、射出装置10では、型締装置15において冷却工程が行われている間に、計量工程と減圧制御とを連続して行う。
【0067】
計量工程では、スクリュ60を後退させながら溶融樹脂をスクリュ60によって加熱バレル50の先端側に押し出すが、制御部100は、長手方向Yにおけるスクリュ60の位置が、溶融樹脂の計量が完了する位置で停止をするように、スクリュ60の移動速度を制御する。
【0068】
つまり、制御部100は、計量工程で後退するスクリュ60の後退速度の減速を、溶融樹脂の計量が完了するタイミングよりも前のタイミングで開始する。或いは、計量工程で後退するスクリュ60の後退速度の減速を、溶融樹脂の計量が完了する際の長手方向Yにおけるスクリュ60の位置よりも、長手方向Yにおける前側の位置から低下させ始める。このように、スクリュ60の後退速度の減速を開始するタイミング、或いは、減速を開始する位置は、減圧開始点になっている。この場合における減圧開始点は、スクリュ60の後退速度の減速を開始する時間的なタイミングと、スクリュ60の減速を開始する長手方向Yにおける空間的な位置との、両方の意味を含んでいる。
【0069】
また、計量工程で、正回転をするスクリュ60の回転速度も、減圧開始点から減速を開始する。即ち、制御部100は、計量工程の完了時にスクリュ60の後退を停止させるために計量工程で計量工程の完了前にスクリュ60の後退速度を減速させるタイミングから、スクリュ60の回転速度を減速させる。このように、スクリュ60の後退速度の減速を開始し、スクリュ60の回転速度の減速を開始する減圧開始点は、計量工程で圧力を高めた溶融樹脂に対して、減圧の制御を開始するタイミング、或いは位置になっている。
【0070】
計量工程での長手方向Yにおけるスクリュ60の後退は、減圧開始点で後退速度が減速し始め、溶融樹脂の計量が完了したタイミングで後退速度が0になり、長手方向Yにおけるスクリュ60の移動は停止する。また、計量工程でのスクリュ60の回転速度は、減圧開始点で減速を開始し、溶融樹脂の計量が完了してスクリュ60の後退速度が0になったタイミングで、回転速度が0になって回転が停止するか、0に近い回転速度になる。
【0071】
なお、減圧開始点から、計量が完了するまでの間の溶融樹脂の背圧は、スクリュ60の回転速度が減速することにより、背圧は低下し易くなるものの、スクリュ60の後退速度が減速し、背圧は維持され易くなるため、双方の作用による背圧への影響が相殺され、背圧はあまり変化しないか、僅かな減圧に留まる。
【0072】
計量工程が完了し、スクリュ60の後退速度が0になって長手方向Yにおけるスクリュ60の移動が停止したら、次に、計量工程で計量した溶融樹脂の背圧が、目標時刻の到達時に、計量工程の完了時における背圧よりも低い目標圧力となるように、スクリュ60の回転速度と回転方向とを制御する。つまり、制御部100は、ロードセル90により検出する背圧が、目標時刻の到達時に目標圧力となるように、スクリュ60の回転速度と回転方向とを制御する。
【0073】
本実施形態では、目標時刻は、加熱バレル50で溶融した溶融樹脂を成形する金型(図示省略)において、金型内に射出された溶融樹脂である成形樹脂の冷却が完了する時刻になっており、即ち、目標時刻は、型締装置15における冷却工程が完了する時刻である、冷却完了時刻になっている。また、本実施形態では、目標圧力は、0MPaになっている。このため、制御部100は、ロードセル90により検出する溶融樹脂の背圧が、冷却完了時刻に0MPaになるように、スクリュ60の回転速度と回転方向とを制御する。
【0074】
また、溶融樹脂の背圧が、目標時刻の到達時に目標圧力となるように、スクリュ60の回転速度と回転方向とを制御する際には、制御部100は、溶融樹脂の計量の完了時から目標時刻にかけて、溶融樹脂の背圧が、計量の完了時における圧力から目標圧力に向かって緩やかに低下するように、スクリュ60の回転速度と回転方向とを制御する。制御部100による、溶融樹脂の背圧の制御は、溶融樹脂の計量の完了時から目標時刻にかけて、時間の変化に対する背圧の変化を示す減圧制御目標を設定して行う。減圧制御目標は、例えば、溶融樹脂の計量の完了時から目標時刻にかけて、溶融樹脂の背圧が、計量の完了時における圧力から目標圧力に変化する一次関数を設定し、これを減圧制御目標として設定する。
【0075】
制御部100は、溶融樹脂の計量の完了時から目標時刻にかけて、ロードセル90の検出結果に基づいて取得する溶融樹脂の背圧と、減圧制御目標とを継続的に比較し、取得した背圧が減圧制御目標より低い場合は背圧を高くする制御を行い、取得した背圧が減圧制御目標より高い場合は背圧を低くする制御を行う。
【0076】
溶融樹脂の背圧を調整する制御は、スクリュ60の回転を制御することにより行う。つまり、スクリュ60は、長手方向Yにおける移動が停止しているため、スクリュ60が正回転で回転をした場合には、溶融樹脂の背圧は高くなり、逆回転で回転をした場合には、溶融樹脂の背圧は低くなる。このため、ロードセル90の検出結果に基づいて取得した溶融樹脂の背圧が、同時刻における減圧制御目標より低い場合は、スクリュ60を正回転で回転させる。反対に、ロードセル90の検出結果に基づいて取得した溶融樹脂の背圧が、同時刻における減圧制御目標より高い場合は、スクリュ60を逆回転で回転させる。また、いずれの場合においても、ロードセル90の検出結果に基づいて取得した溶融樹脂の背圧と、減圧制御目標との乖離が大きい場合は、スクリュ60の回転速度を高くし、乖離が小さい場合はスクリュ60の回転速度を低くする。
【0077】
加熱バレル50内の先端側に位置する溶融樹脂の背圧は、計量工程における計量が完了した後、これらのように減圧制御が行われることにより、目標時刻の到達時に、目標圧力になる。つまり、本実施形態では、溶融樹脂の背圧は、計量工程の完了後、徐々に減圧され、目標時刻である冷却完了時刻に到達したタイミングで、目標圧力である0MPaになる。計量工程後に溶融樹脂の背圧を減圧する制御では、これらのように行うことにより、目標時刻に向かって緩やかに背圧が減少し、目標時刻の到達時に、目標圧力まで減圧される。
【0078】
ここで、溶融樹脂の背圧の減圧制御は、加熱バレル50内でスクリュ60を回転させることにより行うため、減圧制御では、加熱バレル50内における先端に位置する溶融樹脂の背圧のみでなく、加熱バレル50内に位置する溶融樹脂全体の圧力も変化する。次に、溶融樹脂の背圧の減圧制御時における加熱バレル50内の溶融樹脂全体の圧力の変化について説明する。
【0079】
<加熱バレル50内の溶融樹脂の圧力の変化>
図8は、減圧制御を行った際における、加熱バレル50内全体の溶融樹脂の圧力の変化についての説明図である。なお、図8は、加熱バレル50の長手方向Yにおける位置ごとの溶融樹脂Rの圧力を示す図になっており、図8において上側に記載されているグラフにより示される溶融樹脂Rの圧力は、下側に記載されている加熱バレル50の長手方向Yにおける位置ごとの、減圧制御による圧力の変化を示している。
【0080】
溶融樹脂Rの背圧を減圧する制御では、スクリュ60を回転させることにより背圧を減圧するため、加熱バレル50内に位置する溶融樹脂Rの圧力は、加熱バレル50内における先端側以外の部分、即ち、チェックリング65よりも前側に位置する以外の部分でも、スクリュ60の回転に伴って変化する。具体的には、溶融樹脂Rの背圧の減圧制御では、計量工程が完了した後、背圧を緩やかに減圧するために、計量が完了したタイミングから目標時刻にかけて、継続的にスクリュ60の回転を制御する。このため、加熱バレル50内におけるチェックリング65よりも後ろ側に位置する溶融樹脂Rも、スクリュ60の回転に伴って長手方向Yに移動する。
【0081】
その際に、チェックリング65よりも後ろ側に位置する溶融樹脂Rは、計量工程においてスクリュ60のフライト61により前側方向へ付与されていた圧力が低減したり、圧力の方向が後ろ側に向かう方向になったりする。従って、溶融樹脂Rの背圧の減圧制御を行った際には、背圧が緩やかに減圧するのに伴って、チェックリング65よりも後ろ側に位置する溶融樹脂Rの圧力も、図8に示すように徐々に低下する。
【0082】
<実施形態の効果>
以上の実施形態に係る射出成形機1の制御方法及び射出成形機1は、計量工程の完了時にスクリュ60の後退を停止させるために計量工程で計量工程の完了前にスクリュ60の後退速度を減速させるタイミングから、スクリュ60の回転速度を減速させるため、スクリュ60の後退が停止するタイミングで、スクリュ60の回転を停止させるか、回転速度を0に近い速度にすることができる。これにより、スクリュ60の後退が停止する前にスクリュ60の回転が停止することに起因して、溶融樹脂Rの背圧が急激に低下したり、スクリュ60の後退が停止した後もスクリュ60の回転し続けることに起因して、溶融樹脂Rの背圧が急激に上昇したりすることを抑制することができる。
【0083】
さらに、計量工程の完了後、溶融樹脂Rの背圧が、目標時刻の到達時に目標圧力となるようにスクリュ60の回転速度と回転方向とを制御するため、加熱バレル50内の溶融樹脂Rの圧力が急激に変化することを抑制することができる。
【0084】
つまり、計量工程の完了後に、溶融樹脂Rの背圧を減圧する手法としては、従来の射出成形機1で想定される手法としては、サックバックと、スクリュ60を短時間で所定回転角だけ逆回転させる手法とが挙げられる。しかし、これらの手法の場合、溶融樹脂Rの圧力が急激に変化するため、不具合が発生する虞がある。
【0085】
図9は、サックバックを行った際における、加熱バレル50内全体の溶融樹脂Rの圧力の変化についての説明図である。図9は、スクリュ60の回転を停止させたまま後退させる、いわゆるサックバックを行った際における溶融樹脂Rの圧力の変化についての説明図になっている。計量工程の完了後に、加熱バレル50内の先端側の溶融樹脂Rの背圧を低下させることを目的としてサックバックを行った場合、図9に示すように、加熱バレル50内の先端側の溶融樹脂Rの背圧が急激に0MPaになる。
【0086】
これにより、加熱バレル50内では、チェックリング65より後ろ側に位置する溶融樹脂Rの圧力が、チェックリング65よりも前側の位置する溶融樹脂Rの圧力のよりも高くなり易くなる。このため、加熱バレル50内の溶融樹脂Rは、加熱バレル50内におけるチェックリング65よりも後ろ側に位置する溶融樹脂Rがチェックリング65を通過して、チェックリング65の前側に流れ易くなる。従って、計量工程において、チェックリング65の前側で計量した溶融樹脂Rの量に変化が生じ、当該溶融樹脂Rを用いて成形される成形品の重量が、所望の重量に対して変化し易くなる。
【0087】
また、計量工程の後にサックバックを行うことにより、溶融樹脂Rの背圧が急激に低下した場合、溶融樹脂RからガスGが発生し易くなる。この場合、溶融樹脂Rから発生するガスGにより、当該溶融樹脂Rを用いて成形される成形品の表面に、銀色状の痕である、いわゆるシルバーストリークが発生し易くなる虞がある。
【0088】
図10は、スクリュ60を短時間で所定回転角だけ逆回転させた際における、加熱バレル50内全体の溶融樹脂Rの圧力の変化についての説明図である。図10は、長手方向Yにおけるスクリュ60の移動は停止させたまま、スクリュ60を所定の回転角で一気に逆回転させた際における溶融樹脂Rの圧力の変化についての説明図になっている。計量工程の完了後に、スクリュ60を所定の回転角で一気に逆回転させた場合、図10に示すように、加熱バレル50内全体で、溶融樹脂Rの圧力が0MPa付近まで急激に低下する。このため、溶融樹脂Rからは、全体的にガスGが発生し易くなり、加熱バレル50内全体にガスGが溜まり易くなる。
【0089】
また、スクリュ60を所定の回転角で一気に逆回転させた場合、計量工程の完了から、金型内に射出した溶融樹脂Rを冷却して固化させるまでの待ち時間が長くなるため、待ち時間の間にもガスGが連続的に発生する虞がある。この場合も、発生したガスGによって、成形品の表面にシルバーストリークが発生し易くなる虞がある。
【0090】
これに対し、本実施形態では、計量工程の完了後、溶融樹脂Rの背圧が、目標時刻の到達時に目標圧力となるように制御する。このため、計量工程の完了後に、溶融樹脂Rがチェックリング65を通過して長手方向Yに移動することを抑制できる。従って、加熱バレル50内における先端側で計量した溶融樹脂Rの重量が変化することを抑制でき、成形品の重量が所望の重量から変化することを抑制することができる。
【0091】
また、溶融樹脂Rの背圧が、目標時刻の到達時に目標圧力となるように制御することにより、加熱バレル50内の溶融樹脂Rの圧力が急激に変化することを抑制することができる。これにより、溶融樹脂Rの圧力が急激に低下することに起因して、溶融樹脂RにガスGが発生することを抑制することができる。従って、成形品の表面に、溶融樹脂Rに発生したガスGに起因してシルバーストリークが発生することを抑制することができる。
【0092】
また、目標時刻の到達時に、溶融樹脂Rの背圧が目標圧力となるように制御することにより、型締装置15の金型内の成形品が取り出された際に、背圧が高いことに起因してノズル部52から溶融樹脂Rが漏洩することを抑制することができる。これにより、計量が完了した溶融樹脂Rが漏洩することに起因して、成形品に使用される溶融樹脂Rの量が変化してしまうことを抑制することができる。これらの結果、成形品の品質をより確実に向上させることができる。
【0093】
また、目標圧力が0MPaであるため、型締装置15が有する金型内での成形樹脂の冷却が完了するタイミングで、加熱バレル50における先端側に位置する溶融樹脂Rの背圧を0MPaにすることができる。これにより、計量工程の完了後に溶融樹脂Rの背圧が急激に低下することを抑制しつつ、型締装置15が有する金型での冷却の完了時には、溶融樹脂Rの背圧をより確実に減圧を行うことができる。従って、溶融樹脂Rの背圧が急激に低下することに起因するガスGの発生を抑制しつつ、溶融樹脂Rの背圧をより確実に低下させることができ、ノズル部52から溶融樹脂Rが漏洩することを抑制することができる。この結果、成形品の品質をより確実に向上させることができる。
【0094】
また、目標時刻は、加熱バレル50で溶融した溶融樹脂Rを成形する金型において成形樹脂の冷却が完了する時刻であるため、計量を行った溶融樹脂Rの背圧の減圧を、成形樹脂の冷却が完了するタイミングで完了することができる。これにより、溶融樹脂Rの背圧が急激に低下することに起因してガスGの発生を抑制しつつ、成形樹脂の冷却の完了時には、溶融樹脂Rの背圧をより確実に低下させることができ、ノズル部52から溶融樹脂Rが漏洩することを抑制することができる。この結果、成形品の品質をより確実に向上させることができる。
【0095】
[変形例]
なお、上述した実施形態では、目標圧力は0MPaになっているが、目標圧力は、0MPa以外であってもよい。図11は、実施形態に係る射出成形機1の制御方法の変形例であり、目標圧力が任意の設定圧力である場合の説明図である。計量工程の完了後に目標時刻に到達した際における目標圧力は、例えば、図11に示すように、0MPaよりも高い圧力に設定されてもよく、目標圧力は、溶融樹脂に応じて設定される設定圧力であってもよい。例えば、溶融樹脂が、発泡成形に用いる発泡樹脂である場合、金型内に射出する前に溶融樹脂の背圧を減圧し過ぎると、溶融樹脂に含まれるガスが成形前に発泡し過ぎてしまう虞がある。このため、このような場合は、溶融樹脂に含まれるガスの発泡を抑制することができる背圧を設定圧力として設定し、設定圧力を目標圧力として用いてもよい。これにより、溶融樹脂に発泡樹脂を用いる場合でも、所望の発泡成形を行うことができる。これらのように、目標圧力は、溶融樹脂に応じて設定される設定圧力であってよい。この結果、溶融樹脂の種類に関わらず、成形品の品質をより確実に向上させることができる。
【0096】
また、上述した実施形態では、目標時刻は、成形樹脂の冷却が完了する時刻になっているが、目標時刻は、成形樹脂の冷却が完了する時刻以外であってもよい。図12は、実施形態に係る射出成形機1の制御方法の変形例であり、目標時刻が任意のオフセット時刻である場合の説明図である。計量工程の完了後に、溶融樹脂の減圧を目標圧力まで減圧する目標時刻は、例えば、図12に示すように、成形樹脂の冷却が完了する時刻よりも前の時刻であってもよい。即ち、目標時刻は、加熱バレル50で溶融した溶融樹脂を成形する金型において成形樹脂の冷却が完了する時刻よりも前に設定されるオフセット時刻であってもよい。これにより、スクリュ60の回転速度と回転方向とを制御することによる溶融樹脂の背圧の減圧制御に対して、実際の溶融樹脂の背圧の減圧が遅く進む場合でも、背圧の変化の遅れを吸収することができ、成形樹脂の冷却の完了時には、実際の溶融樹脂の背圧をより確実に目標圧力まで減圧することができる。この結果、成形品の品質をより確実に向上させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1…射出成形機、5…ベース、6…第1レール、10…射出装置、15…型締装置、20…フレーム、21…基台、22…前壁、23…後壁、24…脚部、30…上フレーム、31…前壁、32…側壁、33…支持ピン、34…固定ねじ、35…第2レール、40…推進機構、41…駆動用電動機、42…連結機構、43…ボールねじ機構、44…ねじ部、45…ナット部、50…加熱バレル、51…ヒータ、52…ノズル部、55…ホッパ、60…スクリュ、61…フライト、62…溝部、63…溝壁、64…連通部、65…チェックリング、70…回転機構、71…回転機構本体部、72…ステー、73…駆動用電動機、74…伝動ベルト、75…プーリ、76…軸受、80…前後進機構、81…駆動用電動機、82…エンコーダ、83…伝動ベルト、84…プーリ、85…軸受、86…ボールねじ機構、87…ねじ部、88…ナット部、90…ロードセル、100…制御部、101…表示部、102…入力部、R…溶融樹脂、G…ガス
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