(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】ダブルナットの締め緩め補助治具
(51)【国際特許分類】
B25B 13/48 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
B25B13/48 Z
(21)【出願番号】P 2021089411
(22)【出願日】2021-05-27
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 麻子
(72)【発明者】
【氏名】新井 佑人
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-062772(JP,A)
【文献】特開2002-337056(JP,A)
【文献】特開2015-009301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0236640(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/00-13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スパナに嵌る第1ナットと、第2スパナに嵌る第2ナットとを含むダブルナットの締め緩め補助治具であって、
前記第1スパナおよび前記第2スパナの長さ方向に対して直交する方向に沿って延びるように配置される棒状の本体を有し、
前記本体の第1側面で、長手方向の先端側に形成され
、前記第1スパナを挟持する第
1挟持部と、
前記第
1挟持部の形成された前記第1側面と相対する
前記本体の第2側面で、前記第
1挟持部よりも長手方向の他端側に形成され
、前記第2スパナを挟持する第2挟持部と、を備
え、
前記本体を前記第1スパナまたは前記第2スパナの回転方向に沿って倒すことにより、前記第1スパナと前記第2スパナとを互いに反対の方向に押すように構成されている、
ダブルナットの締め緩め補助治具。
【請求項2】
前記本体の長手方向における前記第1挟持部と前記第2挟持部の間隔を、前記スパナの厚みと略同じとした、
請求項1に記載のダブルナットの締め緩め補助治具。
【請求項3】
前記第1挟持部は、前記第1側面に形成された第1凸部と第2凸部を含み、
前記第2挟持部は、前記第2側面と相対する側面に形成された第3凸部と第4凸部を含む、
請求項1又は2に記載のダブルナットの締め緩め補助治具。
【請求項4】
前記第1挟持部は、前記第1側面に形成された第1凹部であり、
前記第2挟持部は、前記第1側面と相対する第2側面に形成された第2凹部である、
請求項1又は2に記載のダブルナットの締め緩め補助治具。
【請求項5】
前記本体の長手方向の他端側に把持部を設けた、
請求項1~4の何れか1項に記載のダブルナットの締め緩め補助治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルナットの締め緩め補助治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの保全作業において、設備機器を固定するダブルナットの締め緩めを伴う作業が発生することがある。ダブルナットは、振動に対する緩み止めとして使用されている。ダブルナットは、強い力で締め緩めする必要があり、ダブルナットを締め緩めする作業は力の弱い作業者には容易ではない。このため力の弱い作業者は、長いスパナを2本用意して作業するなどしていた。特許文献1には、ダブルナットの締め緩め治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダブルナットの締め緩めに、長いスパナを使用する方法は、通常のスパナ以外に、長いスパナを別途準備する必要がある。また、特許文献1に開示されるダブルナットの締め緩め治具は、専用の治具で、通常のスパナが使用できない。更に、長いスパナは狭い場所では使いにくい。ダブルナットの取付方向も様々であり、スパナに力を掛けにくい場合がある。
【0005】
本発明の目的は、通常のスパナでダブルナットの締め緩めを容易に行うことができるダブルナットの締め緩め補助治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るダブルナットの締め緩め補助治具は、棒状の本体を有し、本体の第1側面で、長手方向の先端側に形成された第1の挟持部と、第1の挟持部の形成された第1側面と相対する第2側面で、第1の挟持部よりも長手方向の他端側に形成された第2挟持部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本開示に係るダブルナットの締め緩め補助治具によれば、ダブルナットにセットした2本のスパナを、本体の先端側に設けた第1挟持部とこれに隣接して設けた第2挟持部でそれぞれ挟むことができ、この状態で本体の他端側を所定方向に倒すことで、ダブルナットにセットされた2本のスパナを、テコの原理によって、小さい力でダブルナットを締め緩めする方向に動かすことが可能である。よって、エレベーターの保全作業時において、通常のスパナを利用してダブルナットの締め緩めを容易に行うなうことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るダブルナットの締め緩め補助治具によれば、通常のスパナでダブルナットの締め緩めを容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具の外観図である。
【
図2】実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具でダブルナットを緩めるときの操作を説明する図である。
【
図3】
図2においてダブルナットの締め緩め補助治具を端面から見た図である。
【
図4】実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具でダブルナットを緩めるときの操作の他の形態を説明する図である。
【
図5】
図4においてダブナットの締め緩め補助治具を端面から見た図である。
【
図6】他の実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具の外観図である。
【
図7】
図6の実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具において、
図3に対応する図である。
【
図8】
図6の実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具において、
図5に対応する図である。
【
図9】他の実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具の外観図である。
【
図10】ダブルナットを締めるときのスパナの配置及び操作方法を説明する図である。
【
図11】ダブルナットを緩めるときのスパナの配置及び操作方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態ついて詳細に説明する。以下の説明において、具体的な形状、材料、方向、数値等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができる。
【0011】
初めに、ダブルナットについて説明する。
図12は、ダブルナットの緩め止めが完了した状態を側面から見た図を示す。ダブルナットは、躯体80から延出したネジ部50に締め付けられた下ナット60と上ナット70から構成されている。ネジ部50は、躯体80などに固定されたボルトのオスネジ部分である。下ナット60及び上ナット70は、ネジ部50のオスネジ部と係合するメスネジ部を有する。下ナット60は、ネジ部50に嵌められ、躯体80の表面に当接させるナットである。上ナット70は、下ナット60の上からネジ部50に嵌められ、下ナット60の上面に当接させるナットである。ダブルナットは、下ナット60が第1のスパナで回転しない位置あるいは僅かに緩み方向に回転され、一方、上ナット70が第2のスパナで逆向きに締め付けられることで、振動に対する緩み止め効果を発揮する。
【0012】
次に
図10によって、ダブルナットを締めるときの施工方法を説明する。
図10は、ダブルナットを、
図12のネジ部50の軸方向から見た図である。ダブルナットを締め緩めする作業には、2本のスパナ20、30を使用する。スパナ20は、下ナット60を締め緩めするスパナ(以降、下スパナ20と呼ぶ)である。下スパナ20は、グリップ部21の一端に下ナット60の平行な二面を嵌める第1開口部22と、他端に第2開口部23を有する。スパナ30は、上ナット70を締め緩めするためのスパナ(以降、上スパナ30と呼ぶ)である。上スパナ30は、グリップ部31の一端に上ナット70の平行な二面を嵌める第1開口部32と、他端に第2開口部33を有する。下スパナ20の第1開口部22と上スパナ30の第1開口部32は同一サイズである。
【0013】
図10のネジ部50において、a方向(時計回り)は、ナットを締める方向であり、b方向(反時計回り)は、ナットを緩める方向である。
【0014】
ダブルナットの緩み止め(締め)は次のように行われる。まず、躯体80から延出するネジ部50に下ナット60を躯体80の表面に当接するまでねじ込み、既定の締付トルクで締付ける。次に、上ナット70をネジ部50に下ナット60に当接するまでねじ込み、既定の締付トルクで締付ける。ここまでの作業は1本のスパナで行える。
【0015】
次に、下ナット60に下スパナ20の第1開口部22を嵌める。次に、ネジ部50を中心にa方向に少し角度を開けた状態となるように、上ナット70に上スパナ30の第1開口部32を嵌める。この状態で、下ナット60を
図10中のb方向(緩める方向)に回すと同時に、上ナット70をa方向(締める方向)に回して、強く締め付けることで、ダブルナットの緩み止めを行うことができる。
【0016】
図11は、ダブルナットを緩めるときの施工方法の下スパナ20と上スパナ30の配置を示している。
【0017】
下ナット60に下スパナ20の第1開口部22を嵌める。次に、締めるときとは逆にネジ部50を中心にb方向に少し角度を開けた状態となるように、上ナット70に上スパナ30の第1開口部32を嵌める。この状態で、下スパナ20と上スパナ30のグリップ部21、31が開く方向に操作することによって、ダブルナットは緩めることができる。
【0018】
ナットのサイズが大きくなると、ダブルナットを締め緩めする際に大きな力が必要となる。力の弱い作業者には困難な作業となる。特にダブルナットを緩める際は、ダブルナットは突然緩み、それまで大きな力を掛けているので、スパナを落としてしまう場合があった。落下したスパナによって、周囲の機械を傷つけるおそれがある。エレベーターやエスカレーターでは、ダブルナットの向きは上向きであったり、下向きであったりと様々であるため、狭い場所ではスパナに力を加えにくい場合がある。この状況に鑑みて、本開示のダブルナットの締め緩め補助治具は、力の弱い作業者でも、容易にダブルナットを締め緩めすることができる補助治具となっている。
【0019】
(第1実施形態)
次に、
図1に本開示の第1の実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具10(以下、単に補助治具10と言う)を示す。補助治具10は、細長い棒状または板状の本体11と、本体11の長手方向の一端の先端11a側に第1挟持部13とこれに隣接した第2挟持部15と、本体11の長手方向の他端11b側に把持部12を有している。
【0020】
本体11は、後述するようにスパナに力を掛ける用途で用いられるため、剛性の高い材質で、例えば鋼鉄などの金属で形成されることが好ましい。
【0021】
第1挟持部13は、本体11の長手方向の先端11aで、長手方向の第1側面11cに形成されて、第1凸部14aと少し間隔を開けて設けられた第2凸部14bを含んで形成される。
【0022】
第2挟持部15は、第1挟持部13が形成される第1側面11cとは反対側の第2側面11dで、本体11の長手方向の他端11b寄りに形成される。第2挟持部15は、第3凸部16aと少し間隔を開けて設けられた第4凸部16bを含んで形成される。
【0023】
第1挟持部13と第2挟持部15の本体11の長手方向における間隔は、下スパナ20、上スパナ30の厚みと同程度あるいはこれより少し広く設定されている。
図1では、スパナの厚みの2倍程度に設定されている。
【0024】
第1挟持部13と第2挟持部15は、ダブルナットを締め緩め操作を行う際に、下スパナ20、上スパナ30のグリップ部21、31を嵌めて、補助治具10を所定方向に動かすことで、下スパナ20、上スパナ30を締める、あるいは緩める方向に動かすために使用される。
【0025】
把持部12は、本体11の長手方向で他端11b側に設けられ、補助治具10を手で持って操作するための部位である。本体11よりも太い円柱状で、材質は本体11と同一材質でもよいし、樹脂で形成された筒状部位を本体11に被せて構成してもよい。把持部12は、補助治具10には必須の構成ではないが、把持部12があることで、持ちやすく、補助治具10に力を加えやすい利点がある。
【0026】
図2は、本実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具10を用いて、ダブルナットを緩めるときの操作を説明する図であり、
図12におけるダブルナットをネジ部50の軸方向から見た図となっている。
図2においては、補助治具10の把持部12は図示していない。
【0027】
まず、ダブルナットの下ナット60に下スパナ20の第1開口部22を嵌める。次に、下スパナ20よりb方向(緩め側)に少し角度を開けて、ダブルナットの上ナット70に上スパナ30の第1開口部32を嵌める。その後、下スパナ20と上スパナ30がダブルナットから外れないように、下スパナ20の第1開口部22、上スパナ30の第1開口部32に近いグリップ部21、31を保持部材40で固定する。保持部材40は、例えば、結束テープ等が好適であるが、紐で結んでもよい。
【0028】
次に、下スパナ20と上スパナ30のグリップ部21、31間の隙間に、補助治具10の先端11aを挿しこみ、補助治具10の第1挟持部13に下スパナ20のグリップ部21を嵌め、第2挟持部15に上スパナ30のグリップ部31を嵌める。そして本体11の位置を調整して、本体11の第1側面11cを下スパナ20のグリップ部21に当て、本体11の第2側面11dを上スパナ30のグリップ部31に当てる。この状態で補助治具10の把持部12を
図2のBの向きに倒すことでダブルナットを緩めることができる。
【0029】
図3によって更に説明する。
図3は、ダブルナットを緩める操作を行うときの補助治具10と下スパナ20、上スパナ30を、
図2のXの方向から見たときの図である。
図3において、下スパナ20は、補助治具10の第1挟持部13に嵌っているグリップ部21の断面を示している。上スパナ30も同様にグリップ部31の断面を示している。
【0030】
下スパナ20のグリップ部21は、本体11の第1側面11cに当り、上スパナ30のグリップ部31は、本体11の第2側面11dに当っている。この状態で、補助治具10の把持部12を
図3中Bの方向に倒すことで、第2凸部14bと第3凸部16aの間の本体11部分の
図3中A点を回転中心として、下スパナ20はBと反対の方向に押され、上スパナ30はBの方向に押される。
【0031】
図2に戻って、把持部12を
図2中のB方向に倒すことで、下スパナ20はa方向に押され、上スパナ30はb方向に押されることになる。これによって、ダブルナットは、緩められる。
【0032】
把持部12に加える力が小さくても、テコの原理で、下スパナ20と上スパナ30に大きな力が加えられダブルナットが緩められる。
【0033】
図3に示すように、第1挟持部13と第2挟持部15の長手方向の間隔は、スパナの厚みの1~2倍程度設けられている。下スパナ20と上スパナ30をダブルナットにセットしたときに、グリップ部21と31の隙間から補助治具10を配置しやすいためである。
【0034】
図4は、補助治具10を使用してダブルナットを緩める他の操作を説明する図である。この態様は下スパナ20のグリップ部21と上スパナ30のグリップ部31の隙間を開けられない狭い場所で操作する場合に適している。
【0035】
まず下ナット60に下スパナ20の第1開口部22を嵌める。次に、下スパナ20と上スパナ30が重なるように、上ナット70に上スパナ30の第1開口部32を嵌める。下スパナ20の第2開口部23の一端は、第1挟持部13と当っている。上スパナ30の第2開口部33の一端は、第2挟持部15と当っている。この状態で、把持部12を図中のC方向に倒すことで、第1挟持部13で下スパナ20の第2開口部23をa方向(締め側)に押し、第2挟持部15で上スパナ30の第2開口部33をb方向(緩め側)に押すことができ、ダブルナットを緩めることができる。
【0036】
図5に、補助治具10と下スパナ20、上スパナ30を、
図4のY方向から見た図を示す。
図5において、下スパナ20は、第2開口部23が第1挟持部13に嵌っている部分の断面を示している。上スパナ30も同様に第2開口部33が第2挟持部15に嵌っている部分の断面を示している
【0037】
この状態で、補助治具10の把持部12を図中Cの方向に動かすことで、下スパナ20はA点を中心としてCと反対方向に押され、上スパナ30はA点を中心としてC方向に押され、ダブルナットは緩められる。この操作方法においても、テコの原理によって、小さな力でダブルナットを緩めることが可能である。
【0038】
図4、
図5に示す操作においては、下スパナ20と上スパナ30は、大きく動くことはないが、ダブルナットは下ナット60と上ナット70が僅かに緩められれば、その後は、少しの力で緩めることが可能であるので、この操作方法でダブルナットを緩めるには十分である。
【0039】
以上、ダブルナットを緩める操作を説明した。ダブルナットを締めるときには、スパナの位置関係が逆になるように配置する。
【0040】
具体的には、スパナの配置は、
図10に示すように、下スパナ20に対して、上スパナ30をa方向(締め側)に少し間隔を開けて配置する。そして、補助治具10の第1挟持部13に下スパナ20のグリップ部21を嵌め、第2挟持部15に上スパナ30のグリップ部31を嵌めるように配置する。この状態で、補助治具10の把持部12を、ダブルナットを緩める操作とは、逆方向に倒すことで、ダブルナットを締めることができる。テコの原理によって、小さい力でダブルナットを締めることができるのは同様である。
【0041】
(第2実施形態)
図6は、本開示の第2の実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具10を示す。第1の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
本体11を細長い板状に形成し、第1側面11cの先端11a側に凹みを設けて、第1挟持部13とした。第1挟持部13とは相対する第2側面11dの先端11a側から他端11b寄りに凹みを設けて、第2挟持部15とした。
【0043】
図7は、第1の実施形態の
図3に対応する図で、ダブルナットを緩める操作をする場合の補助治具10と下スパナ20、上スパナ30を、
図2のX方向から見た図である。ダブルナットを緩める操作については、第1の実施例と同様であるので、詳細は省略する。
【0044】
図8は、第1の実施形態の
図5に対応する図面で、補助治具10と下スパナ20、上スパナ30を、
図4のY方向から見た図である。ダブルナットの緩める操作については、第1の実施形態と同様であるので、詳細は省略する。
【0045】
(他の変形例)
上述の実施形態に限らず、種々の変形が可能である。上述の実施形態は、第1挟持部13と第2挟持部15は、本体11の第1側面11c又は第2側面11dの一方にのみ設けているが、第1側面11cと第2側面11dの両側に設けてもよい。このようにすることで、ダブルナットを締めるときと緩めるときで、補助治具10の向きを変える必要がないので作業が容易となる。
【0046】
更に
図9に具体例を示す。補助治具10は、本体11を円柱状に形成して、先端11a側に所定間隔で周周りに2つの溝を設けるようにして構成している。この実施形態では、ダブルナットの締め緩め操作において、周方向の溝のどの位置でもスパナを嵌めることが可能である。この場合において、スパナが嵌る溝部分が、上述の実施形態で説明した第1挟持部13及び第2挟持部15として作用する。
【0047】
以上、本開示の実施形態のダブルナットの締め緩め補助治具を用いることにより、ダブルナットの締め緩め操作において、通常のスパナ以外の特別な工具の準備が不要となり、ダブルナットの締め緩め操作を容易に行うなうことができる。
【0048】
なお、本発明は上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において種々の変更や改良が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
10 ダブルナットの締め緩め補助治具、11 本体、11a 先端、11b 他端、11c 第1側面、11d 第2側面、12 把持部、13 第1挟持部、14a 第1凸部、14b 第2凸部、15 第2挟持部、16a 第3凸部、16b 第4凸部、20 下スパナ、21 グリップ部、22 第1開口部、23 第2開口部、30 上スパナ、31 グリップ部、32 第1開口部、33 第2開口部、40 固定部材、50 ネジ部、60 下ナット、70 上ナット、80 躯体