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特許7520780光学複合シートおよびこれを含む表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】光学複合シートおよびこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20240716BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240716BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20240716BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G09F9/00 324
G09F9/00 336E
G02F1/13357
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021122650
(22)【出願日】2021-07-27
(65)【公開番号】P2022036006
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2021-07-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0104513
(32)【優先日】2020-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520287378
【氏名又は名称】エスケーマイクロワークス ソリューションズ 株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK microworks solutions Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】112, Seonggeo-gil, Seonggeo-eup, Seobuk-gu, Cheonan-si,Chungcheongnam-do 31044, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】チョ、キュチュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、テフン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヨンジェ
(72)【発明者】
【氏名】コ、ジェホ
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】西岡 貴央
【審判官】清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-187742(JP,A)
【文献】特開2010-134349(JP,A)
【文献】特開2017-173815(JP,A)
【文献】特開2017-129849(JP,A)
【文献】特表2012-529077(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0133553(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/00-5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学複合シートであって、
互いに異なる光学的特性を有する第1樹脂層および第2樹脂層が交互に100層~2000層に積層される反射偏光フィルムと、
前記反射偏光フィルムの下に配置されるプリズムシートと、
前記プリズムシートの下に配置される第2光拡散層と、
前記反射偏光フィルム、前記プリズムシート、および前記第2光拡散層のいずれかの一面に配置され、特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収層とを含み、
前記光学複合シートの下部に光が入射され上部に出射し、
前記光吸収層が前記プリズムシートよりも下に配置され、
前記光学複合シートは、前記反射偏光フィルムと前記プリズムシートとの間に緩衝フィルムをさらに含み、
前記反射偏光フィルム、前記緩衝フィルム、前記プリズムシート、前記第2光拡散層、および前記光吸収層は互いに直接または間接的に結合され、
前記光学複合シートは、第1光拡散層を更に含み、前記第1光拡散層及び前記第2光拡散層は、それぞれビーズ及びバインダー樹脂を含み、
前記光学複合シートの上部に前記第1光拡散層が形成され、前記光学複合シートの下部に前記第2光拡散層が形成され、
前記光吸収層の主吸収波長が580nm~620nmである、光学複合シート。
【請求項2】
前記反射偏光フィルムが50μm~200μmの厚さを有し、
前記緩衝フィルムが50μm~200μmの厚さを有し、
前記プリズムシート50μm~350μmの厚さを有し、
前記第1光拡散層及び前記第2光拡散層がそれぞれ3μm~30μmの厚さを有し、
前記光吸収層が1μm~100μmの厚さを有する、請求項1に記載の光学複合シート。
【請求項3】
前記プリズムシートが、互いに異なる高さを有する複数のプリズムパターンを含む、請求項1に記載の光学複合シート。
【請求項4】
前記プリズムシートが、基材層と前記基材層の一面に形成されたパターン層とを含み、
前記基材層の他面に前記光吸収層が配置され、
前記光吸収層の表面に前記第2光拡散層が配置される、請求項1に記載の光学複合シート。
【請求項5】
前記光学複合シートが580nm~610nmの波長帯域内で色透過率の最低値を有し、 前記色透過率の最低値が0.6以下であり、
前記色透過率が測定されるために、連続発光スペクトルを有する白色光を出射する光源が用意され、前記光源からの光が前記光学複合シートを通過するとき、前記光学複合シートからの光のスペクトル強度L1が測定され、
前記光学複合シートから前記光吸収層のみが除去された参照シートが用意され、前記光源からの光が前記参照シートを通過するとき、前記参照シートからの光のスペクトル強度L0が測定され、
前記色透過率はL1をL0で除した値である、請求項1に記載の光学複合シート。
【請求項6】
前記光吸収層が、1種以上の光吸収剤と、バインダー樹脂とを含む、請求項1に記載の光学複合シート。
【請求項7】
光源と、
前記光源からの光が入射され画像を表示する表示パネルと、
前記光源から前記表示パネルまでの光路に配置される光学複合シートとを含み、
前記光学複合シートは、
互いに異なる光学的特性を有する第1樹脂層および第2樹脂層が交互に100層~2000層に積層される反射偏光フィルムと、
前記反射偏光フィルムの下に配置されるプリズムシートと、
前記プリズムシートの下に配置される第2光拡散層と、
前記反射偏光フィルム、前記プリズムシート、および前記第2光拡散層のいずれかの一面に配置され、入射される光の特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収層とを含み、
前記光学複合シートの下部に光が入射され上部に出射し、
前記光吸収層が前記プリズムシートよりも下に配置され、
前記光学複合シートは、前記反射偏光フィルムと前記プリズムシートとの間に緩衝フィルムをさらに含み、
前記反射偏光フィルム、前記緩衝フィルム、前記プリズムシート、前記第2光拡散層、および前記光吸収層は互いに直接または間接的に結合され、
前記光学複合シートは、第1光拡散層を更に含み、前記第1光拡散層及び前記第2光拡散層は、それぞれビーズ及びバインダー樹脂を含み、
前記光学複合シートの上部に前記第1光拡散層が形成され、前記光学複合シートの下部に前記第2光拡散層が形成され、
前記光吸収層の主吸収波長が580nm~620nmである、表示装置。
【請求項8】
前記表示装置は、
CIE1976色度座標u'v'におけるDCI重畳比が90%以上であり、
白色光に対して170cd/m以上の輝度を示す、請求項7に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、色域および輝度が向上された光学複合シートおよびこれを含む表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かつては、40インチ(")台のテレビが主流であったが、今や50"台、さらには60"台のテレビを購入する消費者も多くなっている。このようなサイズ競争が終わると、解像度競争が始まった。たった1年前でもFHD(Full High Definition)級であれば高級モデルに属していたが、今ではUHD(Ultra-High Definition)が市場で急速に広がっている。
【0003】
最近の表示装置分野は、大面積、高解像度競争から色感競争に進化している。このような理由から最近では、優れた色感を有する表示装置の製造に対する競争が台頭している。
【0004】
液晶表示装置(LCD)は、液晶の光学的特性を利用して画像を表示するが、画像を表示する液晶表示パネルが自発光のできない非発光型素子であるため、液晶表示パネルとともにその背面に配置され液晶表示パネルに光を供給するバックライトユニット(back-light unit)を含む構造となる。液晶表示装置は、他の表示装置に比べて厚さが薄く、軽量で、消費電力が少なく、駆動電圧が低いという利点を有する反面、色感の面では他の表示装置に比べてやや劣る。
【0005】
また、今では消えつつある陰極線管表示装置(CRT)の場合は、色域(color gamut)がNTSC(National Television Standards Committee)基準で80%に達し、プラズマ表示装置(PDP)もまたNTSC90%レベルの製品が最近まで発売されていた。そして、次世代表示装置として脚光を浴びている有機発光表示装置(OLED)の場合は、NTSC100%まで達成可能である。しかし、LCDテレビはNTSC72%レベルである。
【0006】
これにより、表示装置分野の市場を活性化するためには、このような液晶表示装置の欠点を改善する必要がある。特に、従来の液晶表示装置の色域を向上させながら輝度が低下しない技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許公開第2012-0072194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
表示装置のバックライトユニットに適用される光学シートは、集光、拡散、反射などの機能を果たし、2つ以上の機能を複合化すると、個々の光学機能を補い合いながら最大化することができる。また、前記光学シートにRGB以外の不要な波長を遮断するフィルター機能を複合して色域を向上させ得る。
【0009】
そこで、本発明者らが研究した結果、プリズムシート、光拡散層などの光学機能要素が複合化しながら、特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収層を挿入することにより、従来よりも光学性能および色域が向上された光学複合シートを実現することができた。特に、本発明者らは、光学複合シートの積層構成を調整して色域を向上させながらも、光吸収層の光吸収による輝度の低下を最小化することができた。
【0010】
したがって、実現例の課題は、色域を向上させながら輝度が大きく低下しない光学複合シートおよびこれを含む表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実現例によると、互いに異なる光学的特性を有する第1樹脂層および第2樹脂層が交互に100層~2000層に積層される反射偏光フィルムと、前記反射偏光フィルムの下に配置されるプリズムシートと、前記プリズムシートの下に配置される光拡散層と、前記反射偏光フィルム、前記プリズムシートおよび前記光拡散層のいずれかの一面に配置され、特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収層とを含む、光学複合シートが提供される。
【0012】
他の実現例によると、光源と、前記光源からの光が入射され画像を表示する表示パネルと、前記光源から前記表示パネルまでの光路に配置される光学複合シートとを含み、前記光学複合シートは、互いに異なる光学的特性を有する第1樹脂層および第2樹脂層が交互に100層~2000層に積層される反射偏光フィルムと、前記反射偏光フィルムの下に配置されるプリズムシートと、前記プリズムシートの下に配置される光拡散層と、前記反射偏光フィルム、前記プリズムシートおよび光拡散層のいずれかの一面に配置され、入射される光の特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収層とを含む、表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
前記実現例によると、プリズムシート、光拡散層などの光学機能要素が複合化しながら特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収層を挿入することにより、従来よりも光学性能および色域が向上された光学複合シートを提供し得る。特に、前記光学複合シートは、積層構成を調整して色域を向上させながらも、光吸収層の光吸収による輝度の低下を最小化し得る。
【0014】
これにより、前記実現例による光学複合シートは、LCDのような表示装置のバックライトユニットに適用され、性能を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実現例に係る表示装置のスペクトル強度およびこれに含まれる光学複合シートのスペクトル透過率の変化を示したものである。
図2図2は、CIE1976色度座標u'v'において色域を算出する方法を示したものである。
図3図3は、一実現例による表示装置の分解斜視図を示したものである。
図4図4は、一実現例によるバックライトユニットの断面図を示したものである。
図5a図5aは、実施例1の光学複合シートの断面図を示したものである。
図5b図5bは、実施例2の光学複合シートの断面図を示したものである。
図5c図5cは、実施例3の光学複合シートの断面図を示したものである。
図6図6は、比較例1の光学複合シートの断面図を示したものである。
図7a図7aは、一実現例による光学複合シートに含まれるプリズムシートの断面図である。
図7b図7bは、一実現例による光学複合シートに含まれるプリズムシートの断面図である。
図7c図7cは、一実現例による光学複合シートに含まれるプリズムシートの断面図である。
図8図8は、一実現例による光学複合シートに含まれる光吸収層の断面図である。
図9a図9aは、一実現例による光学複合シートに含まれる第1光拡散層の断面図である。
図9b図9bは、一実現例による光学複合シートに含まれる第2光拡散層の断面図である。
図10図10は、一実現例による光学複合シートに含まれる反射偏光フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実現例の説明において、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に形成されるものと記載されることは、1つの構成要素が他の構成要素の上または下に直接、または他の構成要素を介して間接的に形成されることをすべて含む。
【0017】
また、各構成要素の上/下に対する基準は、図面を基準に説明する。図面における各構成要素の大きさは、説明のために誇張されることがあり、実際に適用される大きさと異なり得る。
【0018】
本明細書において、ある構成要素を「含む」ということは、特に反する記載がない限り、その他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
また、本明細書に記載された構成要素の物性値、寸法などを表すすべての数値範囲は、特別な記載がない限り、すべての場合に「約」という用語で修飾されるものと理解するべきである。
【0020】
本明細書において単数表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数または複数を含む意味として解釈されるべきである。
【0021】
[表示装置]
一実現例による表示装置は、光源と、表示パネルと、光学複合シートとを含む。前記表示パネルは、前記光源からの光が入射され画像を表示する。前記光学複合シートは、前記光源から前記表示パネルまでの光路に配置され得る。したがって、前記表示装置は、光源と、前記光源からの光が入射される光学複合シートと、前記光学複合シートからの光が入射される表示パネルとを含み得る。前記光源からの光は、前記光学複合シートを通過しながら特性が向上され、前記表示パネルは、前記向上された特性の光をもって画像を表示する。
【0022】
具体的に、図3を参照すると、前記表示装置1は、バックライトユニット10と、前記バックライトユニット10の上に配置される表示パネル20とを含み得る。前記バックライトユニット10は、光学複合シート11と、拡散板または導光板700とを含み、光源900をさらに含み得る。
【0023】
前記光源は、前記導光板の側面または前記拡散板の下に配置され得る。前記拡散板または導光板700は、前記光学複合シート11の下に配置され光源900から発生する光を表示パネル20に伝達する役割をする。前記導光板700はエッジ型光源の場合に用いられ、この際、前記導光板700の下に反射板800が配置されることにより、光損失を低減し得る。前記拡散板は直下型の光源の場合に用いられ、LED面光源が用いられて光効率が向上され得る。
【0024】
図3を参照すると、前記光源900から発生した光は、導光板700の側面に入射し反射板800に反射されて、光学複合シート11の下部に入射する。このように入射した光は、光学複合シート11を垂直に通過して上部に出射することとなる。前記光学複合シート11の上部に出射された光は、表示パネル20に入射され、その結果、表示パネルの画面に画像が表示され得る。
【0025】
前記光源は白色光源であり得る。例えば、前記光源は、連続発光スペクトルを有し得る。具体的に、前記光源は白色LEDであり得る。より具体的に、前記光源は、青色GaN(Gallium Nitride)発光チップと黄色YAG(Yttrium Aluminum Garnet、YAl12)蛍光体とを含み得る。また、前記光源は、青色GaN発光チップとr、g蛍光体とを含むか、またはr蛍光体と赤色KSF(KSiF:Mn)蛍光体とを含み得る。
【0026】
前記表示パネル20は、液晶セルと1つ以上の偏光板とを含んでよく、具体的な例として、第1偏光板、液晶セル、および第2偏光板が積層された構造を有し、これらの偏光板と液晶セルとの間には接着層が形成され得る。
【0027】
前記表示装置1は、前記表示パネル20上に配置されるカバーウィンドウ30をさらに含み、前記カバーウィンドウは透明ポリイミドフィルムや超薄膜ガラス(UTG)からなり得る。また、前記表示装置1は、前記表示パネル20と接続される電極および基板をさらに含み得る。そのほかにも、前記表示装置1は、これらの構成要素を取り囲みながら保護するフレーム51、52を含み得る。
【0028】
[光学複合シートの構成層]
前記光学複合シートは、プリズムシートと、光拡散層と、光吸収層とを含み、そのほか、基材フィルム、反射偏光フィルム、緩衝フィルムおよび接着層をさらに含み得る。
【0029】
前記光学複合シートは、プリズムシートと、前記プリズムシートの下に配置される光拡散層と、前記プリズムシート上に配置されるか、前記プリズムシートと前記光拡散層との間に配置されるか、または前記光拡散層の下に配置される光吸収層とを含み得る。
【0030】
前記プリズムシート、光拡散層および光吸収層は、前記光源から前記表示パネルまでの光路に配置され得る。前記プリズムシート、前記光拡散層および前記光吸収層は、互いに結合され得る。前記光吸収層は、前記光路を基準に、前記プリズムシートよりも前記光源の方により近く配置され得る。また、前記光拡散層は、前記光路を基準に、前記光吸収層よりも前記光源の方により近く配置され得る。
以下、各構成層別に具体的に説明する。
【0031】
[プリズムシート]
前記プリズムシートは、プリズムパターンの界面の屈折率差による集光により輝度を向上させる役割をする。
【0032】
図7aを参照すると、前記プリズムシート200は、基材層201と、前記基材層上に形成されたパターン層202とを含む。前記パターン層のパターン形状は特に限定されず、例えば、長い三角柱状を有することにより、界面において光を屈折させ得る。
【0033】
前記プリズムシートは、互いに異なる高さを有する複数のプリズムパターンを含み得る。図7bを参照すると、前記プリズムパターンは、互いに高さの異なる第1パターン202aおよび第2パターン202bからなり得る。前記第1パターンの高さTaに対する前記第2パターンの高さTbの比Tb/Taは、0.5~0.99、または0.8~0.95であり得る。
【0034】
図7cを参照すると、第1パターン202aの上端の頂点部が接着層600に浸透して接着が成され、この際、メニスカス601が発生して集光性能を低下させることとなる。したがって、第2パターン202bの高さを第1パターンと異にして、上端の形状を保持することにより、集光性能の低下を抑制し得る。
【0035】
このように、前記パターン層202は、複数の第1パターン202aと、複数の第2パターン202bとを含み、この際、前記第1パターン202aの高さ(またはピッチ)が前記第2パターン202bの高さ(またはピッチ)よりも大きく、前記第1パターン202aの上端の頂点部のみ前記接着層600に接着され得る。
【0036】
配列形態の一例として、前記第1パターン202aと第2パターン202bとが混合され配列されるが、周期性を有しながら反復配列され得る。例えば、前記第1パターン202aが配列された間々に前記第2パターン202bが1個~50個ずつ周期的に配列され得る。
【0037】
前記基材層および前記パターン層は互いに同一材料からなってよく、例えば、前記基材層および前記パターン層は一体に形成され得る。または、前記基材層および前記パターン層は互いに異なる材料からなってよく、例えば、基材層の形成後、その上にパターン層が形成され得る。
【0038】
具体的に、前記基材層の材料としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂などが挙げられる。より具体的に、前記基材層の材料はポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリエチレンナフタレート樹脂であり得る。
【0039】
また、前記パターン層の材料はUV硬化型樹脂でよく、例として、エポキシアクリレートおよびウレタンアクリレートのようなアクリレート系樹脂またはメタクリレート系樹脂やエポキシ樹脂であり得る。
【0040】
図7aを参照すると、前記プリズムシートの基材層の厚さT1は30μm~300μmであり、具体的に50μm~200μmであり、パターン層の厚さT2は10μm~100μmであり、具体的に20μm~60μmであり得る。
【0041】
前記光学複合シートは、2種以上のプリズムシートを含んでよく、具体的に、第1プリズムシートおよび第2プリズムシートを含み得る。
【0042】
前記第1プリズムシートおよび前記第2プリズムシートのパターンは、互いに同一または異なり得る。例えば、前記プリズムシートは、第1方向に延びる第1プリズムパターンを含む第1プリズムシートと、前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2プリズムパターンを含む第2プリズムシートとを含み得る。
【0043】
具体的に、第1プリズムシートと前記第2プリズムシートとのパターンのキメ方向は互いに直交し得る。より具体的に、前記第1プリズムシートは水平プリズムシートであり、前記第2プリズムシートは垂直プリズムシートであってよく、またはその逆でもあり得る。
【0044】
また、前記第1プリズムシートのパターン層と前記第2プリズムシートのパターン層とは、いずれも同一方向を向くか、または互いに異なる方向を向き得る。
【0045】
[プリズムシートの製造方法]
前記プリズムシートは、ロール・ツー・ロール(roll to roll)法により円柱状のマスターロールに形成されたパターンを高分子フィルムに転写して製造され得る。まず、マスターロールの外周面(円柱の円周面)をバイトやレーザーなどで切削加工して、マスターロールにパターンを刻印し得る。その後、マスターロール上に原料造液(UV塗料)をコーティングして、マスターロールのパターンを有する原料造液コーティング層を基材フィルム上に転写し、紫外線を照射し硬化することにより、パターンを有するプリズムシートを製造し得る。または押出によってプラスチック原材料を熱で溶かして、液状のプラスチック平板が固体化しながら前記マスターロールのパターンが転移されるようにして、パターンを有するプリズムシートを製造し得る。
【0046】
互いに異なる高さのパターンを有するプリズムシートを製造するためのマスターロールは、例えば、ダイヤモンド工具を用いた切削によって製造され得る。具体的な例として、硬質銅などの材料で製作された円筒形ロールを回転しながら、ダイヤモンド工具を横方向に移動しながらロールの円周に沿ってネジ切削して、連続する溝のパターンを形成し得る。この際、ダイヤモンド工具の移動速度を調節することにより、プリズムパターンのピッチを変化させることができ、ダイヤモンド工具が円筒形ロールに浸透する深さ、工具とロール表面との間の水平/垂直角、円筒形ロールの回転速度などを調節して、プリズムパターンの規格をより多様で細部的に変化させ得る。
【0047】
[光拡散層]
前記光拡散層は、光を拡散させることにより、プリズムシートなどのパターンを隠蔽し得る。前記光学複合シートは、1つまたは2つ以上の光拡散層を含み得る。
【0048】
図4図9aおよび図9bを参照すると、前記光拡散層は、ビーズ311、321およびバインダー樹脂312、322を有する第1光拡散層310および第2光拡散層320を含んでよく、前記光学複合シート11の上部に前記第1光拡散層310が形成され、下部に前記第2光拡散層320が形成され得る。
【0049】
前記ビーズは有機ビーズであってよく、具体的な材料は、アクリレート系樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、およびシリコーン樹脂からなる群より選択される1種以上であり、より具体的に、硬質アクリレート系樹脂であり得る。前記ビーズの形状は特に限定されないが、例えば球形であり得る。また、前記ビーズの平均粒径は、5μm~20μmの平均粒径を有することが、隠蔽力、輝度および隣接層との摩耗防止の面で有利で、より具体的に0.5μm~10μm、または0.8μm~6μmであり得る。前記バインダー樹脂は、熱硬化型樹脂および光硬化型樹脂の少なくとも1つであり得る。
【0050】
前記第1光拡散層は60%~99%のヘイズを有し、より具体的に60%~98%のヘイズを有し得る。前記好ましいヘイズ範囲内のとき、十分な隠蔽力を有しながら高輝度の利点がある。
【0051】
前記第2光拡散層は3%~30%のヘイズを有し、より具体的に7%~17%のヘイズを有し得る。前記好ましいヘイズ範囲内のとき、十分な摩耗防止性能を有しながら高輝度の利点がある。
【0052】
[光吸収層]
前記光吸収層は、特定波長帯域の光を選択的に吸収する。
【0053】
前記光吸収層は、可視光波長帯域内で主吸収波長を有し得る。ただし、前記光吸収層の主吸収波長は、可視光波長帯域内から純粋なRGB波長を除いた帯域に属し得る。これにより、前記光吸収層は、光源から出る純粋なRGB波長以外の不要な波長を遮断して色域を向上させ得る。例えば、前記光吸収層の主吸収波長が、470nm~520nm、または550nm~620nm内に属し得る。具体的に、前記光吸収層の主吸収波長が、480nm~510nm、560nm~610nm、または580nm~620nm内に属し得る。
【0054】
また、前記光吸収層は、前記主吸収波長よりは吸収率の低い副吸収波長を追加で有することができ、前記副吸収波長も可視光波長帯域内に属し得る。例えば、前記副吸収波長も可視光波長帯域内から純粋なRGB波長を除いた帯域に属し得る。または、前記副吸収波長は前記主吸収波長とは異なり、純粋なRGB波長帯域内に属することができ、例えば、前記副吸収波長は510nm~560nm、または530nm~570nmに属し得る。
【0055】
具体的な一例として、前記光吸収層は、580nm~620nmにて主吸収波長を有し、530nm~570nmにて副吸収波長を有し得る。前記範囲内のとき、より効果的に色域を向上させ得る。
【0056】
図8は、一実現例による光学複合シートに含まれる光吸収層の断面図である。図8を参照すると、前記光吸収層100は、1種以上の光吸収剤110およびバインダー樹脂120を含み得る。
【0057】
前記光吸収剤は、前記で例示した主吸収波長を有し得る。例えば、前記光吸収剤は染料または顔料であり、有機物質または無機物質であり、具体的に、有機染料または無機顔料であり得る。
【0058】
具体的な例として、前記光吸収剤は、ピロールメチン類、ローダミン類、ボロンジピロメテン類、テトラアザポルフィリン類、スクアリン類、およびシアニン類からなる群より選択される少なくとも1種であり得る。
【0059】
前記1種以上の光吸収剤の総含有量は、前記光吸収層の重量を基準に0.01重量%~10重量%、具体的に0.05重量%~7重量%であり得る。
【0060】
前記バインダー樹脂は、コーティングまたは接着に適した成分からなり、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびオキサゾリン樹脂からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0061】
前記光吸収層はUV遮断剤をさらに含み得る。前記UV遮断剤の例としては、ヒドロキシベンゾトリアゾール類、トリス-レゾルシノール-トリアジンクロモフォア類、ヒドロキシフェニル-ベンゾトリアゾールクロモフォア類であり、単独でまたは2種以上混合して使用され得る。前記UV遮断剤の含有量は、前記光吸収層の重量を基準に0.01重量%~10重量%、具体的に0.05重量%~7重量%であり得る。
【0062】
前記光吸収層は、光透過率が一定レベル以上であり得る。例えば、前記光吸収層は、590nmの波長に対する光透過率が、30%以上、45%以上、50%以上、または70%以上であり、具体的に30%~90%または50%~90%であり得る。
【0063】
[基材フィルム]
前記実現例による光学複合シートは、前記光拡散層がコーティングされる基材フィルムをさらに含み得る。すなわち、前記基材フィルム上に前記光拡散層がコーティングされ得る。
【0064】
前記基材フィルムの材料は、例えばポリエステル樹脂であり、具体的にポリエチレンテレフタレート樹脂であり得る。
【0065】
[反射偏光フィルム]
前記実現例による光学複合シートは、輝度向上のために反射偏光フィルムを含み得る。
【0066】
前記反射偏光フィルムは、内部に積層された多数の薄膜によって目的とする光学効果を奏するフィルムのことを意味し、例として二重輝度向上フィルム(DBEF)が挙げられる。
【0067】
具体的に、前記反射偏光フィルムは、互いに異なる光学的特性を有する2種以上の薄膜を、積層された形態で含み得る。
【0068】
図10に示すように、前記反射偏光フィルムは、2つのスキン層Sの間に多数の薄膜の積層体Mを有し得る。この際、前記薄膜の互いに異なる光学的特性は、屈折率であり、または位相差でもあり得る。
【0069】
具体的な一例として、前記反射偏光フィルムは、互いに異なる光学的特性を有する第1樹脂層および第2樹脂層が交互に100層~2000層に積層されるものであり得る。
【0070】
[緩衝フィルム]
前記光学複合シートは、前記反射偏光フィルムのスキン層を保護するために、緩衝フィルムをさらに含み得る。具体的に、図4に示すように、反射偏光フィルム400の下にプリズムシート210が配置されると、プリズムシート210のパターンが反射偏光フィルムの薄膜に影響を与えて輝度向上性能を低下させ得る。そのため、反射偏光フィルム400とプリズムシート210との間に緩衝フィルム500を配置することにより、このような輝度低下を防止し得る。
【0071】
前記緩衝フィルムの材料は、例えばポリエステル樹脂であり、具体的にポリエチレンテレフタレート樹脂であり得る。
【0072】
[接着層]
前記光学複合シートは、その構成要素(プリズムシート、基材フィルム、反射偏光フィルム、緩衝フィルムなど)の間に接着層を含み得る。
【0073】
前記接着層の材料としては、通常使用される熱硬化型樹脂とUV硬化型樹脂とを使用することができ、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、ポリアミド系の樹脂、またはこれらの混合物を使用し得る。前記アクリル系樹脂の例として、メチルメタクリル、メタクリル、エチルアクリル、ブチルアクリル、アリールアクリル、ヘキシルアクリル、イソプロピルメタクリル、ベンジルアクリル、ビニルアクリル、または2-メトキシエチルアクリル樹脂を反復単位として有する単一重合体や前記2種以上の成分を有する共重合体が挙げられる。
【0074】
前記接着層の材料の好ましい例としては、(メタ)アクリレート系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、シリコーンウレタン(メタ)アクリレート樹脂、シリコーンポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、フッ素ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
[光学複合シートの層別厚さ]
以上説明した光学複合シートの各構成層の厚さは、一定の範囲内に調節され得る。
【0076】
前記プリズムシートの厚さは50μm以上または80μm以上であり、300μm以下または200μm以下であり得る。
【0077】
前記光拡散層の厚さは3μm以上または5μm以上であり、30μm以下または20μm以下であり得る。
【0078】
前記光吸収層の厚さは、1μm以上、2μm以上、または3μm以上であり、100μm以下、25μm以下、15μm以下、10μm以下、または5μm以下であり得る。
【0079】
前記基材フィルムの厚さは50μm以上または70μm以上であり、200μm以下または150μm以下であり得る。
【0080】
前記反射偏光フィルムの厚さは50μm以上または70μm以上であり、200μm以下または150μm以下であり得る。
【0081】
前記緩衝フィルムの厚さは50μm以上または70μm以上であり、200μm以下または150μm以下であり得る。
【0082】
具体的な例として、前記反射偏光フィルムが50μm~200μmの厚さを有し、前記緩衝フィルムが50μm~200μmの厚さを有し、前記プリズムシートが50μm~350μmの厚さを有し、前記光拡散層が3μm~30μmの厚さを有し、前記光吸収層が1μm~100μmの厚さを有し得る。
【0083】
[光学複合シートの積層構成]
前述した光学複合シートの各構成層(プリズムシート、光拡散層、光吸収層、反射偏光フィルム、緩衝フィルムなど)は、光路に配置され得る。
【0084】
また、前記光学複合シートの構成層は互いに結合され得る。前記結合は、直接的な結合であるか、または接着層などを介した間接的な結合であり得る。これにより、前記光学複合シートは、前記構成層が直接または間接的に結合された積層体を含み得る。
【0085】
一例として、前記光吸収層は、前記プリズムシートおよび前記光拡散層の少なくともいずれか1つと結合され得る。具体的に、前記光吸収層は、前記プリズムシートおよび前記光拡散層の少なくともいずれかの一面に配置され得る。
【0086】
他の例として、前記プリズムシート、前記光拡散層および前記光吸収層は、互いに結合され得る。具体的に、前記プリズムシートが基材層および前記基材層の一面に形成されたパターン層を含み、前記基材層の他面に前記光吸収層が配置され、前記光吸収層の表面に前記光拡散層が配置され得る。
【0087】
また他の例として、前記反射偏光フィルム、前記プリズムシート、前記光拡散層、および前記光吸収層は、互いに直接または間接的に結合され得る。
【0088】
前記光学複合シートは、反射偏光フィルムと、前記反射偏光フィルムの下に配置されるプリズムシートと、前記プリズムシートの下に配置される光拡散層と、前記反射偏光フィルム、前記プリズムシートおよび前記光拡散層のいずれかの一面に配置される光吸収層とを含み得る。
【0089】
また、前記光学複合シートが、前記反射偏光フィルムと前記プリズムシートとの間に緩衝フィルムをさらに含み、前記反射偏光フィルム、前記緩衝フィルム、前記プリズムシート、前記光拡散層、および前記光吸収層は、互いに直接または間接的に結合され得る。
【0090】
また、前記光学複合シートが前記プリズムシート上に配置される緩衝フィルムと、前記緩衝フィルム上に配置される反射偏光フィルムと、前記反射偏光フィルム上に配置される追加の光拡散層とをさらに含み、前記反射偏光フィルムが、互いに異なる光学的特性を有する2種以上の薄膜を、積層された形態で含み、前記緩衝フィルムがポリエステル樹脂を含み得る。
【0091】
具体的な一例として、図5aに示すように、前記光学複合シート11は、第1の光拡散層310、反射偏光フィルム400、緩衝フィルム500、第1プリズムシート210、第2プリズムシート220、光吸収層100、および第2光拡散層320の順に積層されてよく、これらの間に接着層610、620、630が形成され得る。
【0092】
具体的な他の例として、図5bに示すように、前記光学複合シート11は、第1光拡散層310、反射偏光フィルム400、緩衝フィルム500、第1プリズムシート210、光吸収層100、第2プリズムシート220、および第2光拡散層320の順に積層されてよく、これらの間に接着層610、620、630が形成され得る。
【0093】
具体的なまた他の例として、図5cに示すように、前記光学複合シート11は、第1光拡散層310、反射偏光フィルム400、緩衝フィルム500、光吸収層100、第1プリズムシート210、第2プリズムシート220、および第2光拡散層320の順に積層されてよく、これらの間に接着層610、620、630が形成され得る。
【0094】
前記光学複合シート内において、前記光吸収層の位置(すなわち、他の構成層との相対的な位置)を調整して光学性能を向上させ得る。
【0095】
例えば、前記光学複合シートにおいて、入射光が出射される正面を基準に、前記光吸収層が前記プリズムシートよりも後方に配置され得る。具体的に、前記プリズムシートが第1プリズムシートおよび第2プリズムシートを含み、入射光が出射される正面を基準に、前記光吸収層が前記第1プリズムシートまたは前記第2プリズムシートよりも後方に配置され得る。
【0096】
また、前記光吸収層が、前記第1プリズムシートと前記第2プリズムシートとの間に形成され得る。具体的な一例として、前記プリズムシートは、第1方向に延びる第1プリズムパターンを含む第1プリズムシートと、前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2プリズムパターンを含む第2プリズムシートとを含み、前記第2プリズムシートは前記第1プリズムシートの下に配置され、前記光吸収層が前記第1プリズムシートと前記第2プリズムシートとの間に配置され得る。
【0097】
また、正面を基準に、前記第2プリズムシートが前記第1プリズムシートよりも後方に配置され、前記第2プリズムシートが基材層と前記基材層の一面に形成されたパターン層とを含み、前記基材層の他面に前記光吸収層が形成され得る。この際、前記光吸収層の表面に前記光拡散層が形成され得る。
【0098】
図3および図4を見ると、光学複合シート11の下部に光が入射して上部に出射し、前記光吸収層100が前記プリズムシート210、220よりも下に配置され得る。このような配置によると、光源から入射した光がプリズムシートを通過し切る前に前記光吸収層を通過することとなるので、視野角による色偏差を最小化し得る。
【0099】
具体的に、前記プリズムシートと、前記光拡散層と、前記光吸収層とは、互いに結合され、前記光吸収層は、前記光路を基準に前記プリズムシートよりも前記光源の方により近く配置され、前記光拡散層は、前記光路を基準に前記光吸収層よりも前記光源の方により近く配置され得る。
【0100】
より具体的に、前記プリズムシートは、第1方向に延びる第1プリズムパターンを含む第1プリズムシートと、前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2プリズムパターンを含む第2プリズムシートとを含み、前記第2プリズムシートは前記第1プリズムシートの下に配置され、前記光吸収層が前記第2プリズムシートの下に配置され得る。また、前記光吸収層の下に前記光拡散層が配置され得る。
【0101】
[色域]
前記実現例による光学複合シートを含む表示装置は、色域が従来よりも向上され得る。
【0102】
色域(color gamut)とは、光の全領域において各媒体が再現できる色の領域のことを意味する。一般に、ある媒体の色域の評価は、CIE(Commission Internationale de L'eclairage)色度座標においてRGB三点からなる三角形を得て、これをNTSC(National Television System Committee)またはDCI(Digital Cinema Initiatives)基準のRGB三角形と比較することによって行われる。
【0103】
色度(chromaticity)とは、明るさを除いた色の性質を意味するもので、CIE1976色度座標u'v'は、人間が認知する色相に最も近く表現し得る方法である。
【0104】
図2は、CIE1976色度座標u'v'において色域を算出する方法を示したものである。図2に示すように、色度座標の全色域CG内に基準となる第1色域CG1を作図し、サンプルから測定された赤色R、緑色Gおよび青色Bの座標を頂点とする三角形である第2色域CG2を作図した後、これらの間の重畳色域CG0の面積を求める。その後、これらの領域の面積間の比率を算出することにより、サンプルの色域を測定し得る。
【0105】
例えば、色度座標(CIE1931色度座標xyまたはCIE1976色度座標u'v')内に、基準となるDCI色域(第1色域)の三角形を作図し、サンプルから測定された色域(第2色域)の三角形を作図して、第1色域の面積に対する第2色域の面積の百分率(%)を計算することにより、DCI面積比を計算し得る。また、前記2つの色域の重畳色域を得た後、第1色域の面積に対する重畳色域の面積の百分率(%)を計算することにより、DCI重畳比を得られ得る。
【0106】
例えば、前記光学複合シートを含む表示装置は、CIE1931色度座標xyにおけるDCI面積比が80%以上であり、具体的に、85%以上、90%以上、または95%以上であり得る。
【0107】
また、前記光学複合シートを含む表示装置は、CIE1976色度座標u'v'におけるDCI重畳比が80%以上であり、具体的に、85%以上、90%以上、または95%以上であり得る。
【0108】
具体的な例として、前記光学複合シートを含む表示装置は、CIE1931色度座標xyにおけるDCI面積比およびCIE1976色度座標u'v'におけるDCIの重畳比がいずれも90%以上であり得る。
【0109】
[スペクトル強度および色透過率]
図1は、一実現例による光学複合シートのスペクトル透過率曲線(太い実線)、前記光学複合シートが適用された表示装置のスペクトル強度曲線(細い実線)、および前記光学複合シートが適用されていない表示装置のスペクトル強度曲線(細い点線)を示したものである。
【0110】
前記実現例による光学複合シートのスペクトル透過率曲線は、可視光波長内に1つ以上の吸収ピークを有し得る。具体的に、前記光学複合シートのスペクトル透過率曲線は、純粋なRGB波長以外の波長にて主吸収ピーク(最も深い谷形のピーク)を有し、図1においては、580nm~620nm内で主吸収ピークを有しているがこれには限定されず、480nm~510nm内でも主吸収ピークを有し得る。また、前記光学複合シートのスペクトル透過率曲線は、主吸収ピークの他に1つ以上の追加の吸収ピークをさらに有してよく、前記追加の吸収ピークもまた、純粋なRGB波長以外の波長内で有し得る。または、前記光学複合シートのスペクトル透過率曲線は、純粋なRGB波長内で追加の吸収ピークを有してもよく、例えば、図1に示すように530nm~570nm内で、または420nm~480nm内で追加の吸収ピークを有し得る。
【0111】
前記実現例による光学複合シートは、光吸収層で特定波長を吸収するので、前記光学複合シートのスペクトル透過率は、前記光吸収層のスペクトル透過率と解釈されてよく、より具体的に、前記光吸収層内の光吸収剤のスペクトル透過率と解釈され得る。また、前記光学複合シートのスペクトル透過率曲線における主吸収ピークの波長は、前記光吸収層の主吸収波長と解釈されてよく、より具体的に、前記光吸収層内の光吸収剤の主吸収波長と解釈され得る。
【0112】
前記実現例による光学複合シートが適用された表示装置のスペクトル強度曲線は、前記光学複合シートが適用されていない表示装置のスペクトル強度曲線に比べ、特定波長にて強度が減少した曲線を示し得る。具体的に、前記強度が減少された波長は、前記光学複合シートの吸収ピークの波長に該当し、特に、前記光学複合シートの主吸収ピークの波長にて最も大きく強度が減少し得る。より具体的に、前記強度が減少した波長は、純粋なRGB波長以外の波長を含むことにより、表示装置の色域を向上させ得る。
【0113】
一方、図1に示すように、前記光学複合シートが特定波長を吸収するため、表示装置の輝度低下が不可避となり得る。しかし、前記実現例による光学複合シートは、反射偏光フィルムを備えることにより、低下する輝度を補償することができ、さらに光吸収層の位置を調整することにより、輝度低下を最小化し得る。
【0114】
一例として、前記光学複合シートを含む表示装置は、CIE1976色度座標u'v'におけるDCI重畳比が90%以上であり、白色光に対して170cd/m以上の輝度を示し得る。
【0115】
[色透過率]
前記光学複合シートは、特定波長帯域内で色透過率の最低値を有し得る。
【0116】
前記色透過率は、以下のような過程を経て得られ得る。まず、連続発光スペクトルを有する白色の面光源上に前記光学複合シートが配置され、前記光学複合シート(例えば、図5a~5cのシート)を通って出射される光のスペクトル強度L1が測定される。その後、前記光学複合シートから前記光吸収層のみが除去された参照シート(例えば、図6のシート)が製造され、前記参照シートが前記面光源上に配置される。前記参照シートを通って出射される光のスペクトル強度L0が、前記L1と同様の方法により同じ位置で測定される。前記色透過率は、前記光学複合シートを通って出射される光のスペクトル強度L1を、前記参照シートを通って出射される光のスペクトル強度L0で除した値L1/L0である。
【0117】
前記面光源に用いられる光源は、前述の光源であり得る。また、前記面光源は、光源と導光板とを含み得る。前記光学複合シートおよび前記参照シートは前記導光板の上面に配置され、前記光源は前記導光板の側面に配置され得る。
【0118】
また、前記面光源は、大型LCDテレビから得られ得る。一例として、前記面光源は、大型LCDテレビから液晶表示パネルが除去され、導光板を除いた各種光学シートが除去されたものであり得る。他の例として、前記面光源は、前記LCDテレビのバックライトユニットからプリズムシートおよび反射偏光フィルムが除去されたものであり得る。また他の例として、前記面光源は、前記実現例による表示装置から前記表示パネルおよび前記光学複合シートが除去されたものであり得る。
【0119】
一例として、前記光学複合シートは、580nm~610nmの波長帯域内で色透過率の最低値を有し、前記色透過率の最低値が0.6以下であり得る。この際、前記色透過率が測定されるために、連続発光スペクトルを有する白色光を出射する光源が用意され、前記光源からの光が前記光学複合シートを通過するとき、前記光学複合シートからの光のスペクトル強度L1が測定され、前記光学複合シートから前記光吸収層のみが除去された参照シートが用意され、前記光源からの光が前記参照シートを通過するとき、前記参照シートからの光のスペクトル強度L0が測定され、前記色透過率はL1をL0で除した値である。
【0120】
前記580nm~610nmの波長帯域内で色透過率の最低値が0.6以下であると、これを適用した表示装置の色域がより向上され、具体的に0.5以下、0.4以下、または0.3以下であり得る。
【0121】
前記実現例による光学複合シートは、プリズムシート、光拡散層などの光学機能要素が複合化されながら特定波長帯域の光を選択的に吸収する光吸収層が挿入され、従来よりも光学性能および色域が向上され得る。特に、前記光学複合シートは、積層構成を調整して、色域を向上させながらも、光吸収層の光吸収による輝度低下を最小化し得る。
【0122】
これにより、前記実現例による光学複合シートは、LCDのような表示装置のバックライトユニットに適用され、性能を向上させ得る。
【0123】
(実施例)
以下、実施例によりさらに具体的な実施形態を説明するが、これらの実施例の範囲に限定されるものではない。
【0124】
(光学複合シートの製造例)
(実施例1)
イ)光吸収層組成物を調製するために、アクリルバインダー樹脂(AOF-2914、エギョン社)とプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)とが30:70の重量比で混合された溶液100重量部に、光吸収剤(PANAX NEC584、ウクソン化学社)0.05重量部と、UV遮断剤(Tinuvin(登録商標)928、BASF)1.0重量部とを添加した。
【0125】
ロ)厚さ100μmの基材フィルム(PET)の一面に、UV硬化型樹脂を用いて厚さ約40μmのプリズムパターンを形成することにより、下部プリズムシートを製造した。前記基材フィルムの他面に前記光吸収層組成物をマイヤーバー(mayer bar)によりコーティングし、乾燥および硬化して、厚さ3μmの光吸収層を形成した。ポリブチルメタクリレート(PBMA)ビーズ15重量部と、ウレタンアクリレート樹脂35重量部と、溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)50重量部とが混合された組成物を調製した後、前記光吸収層の表面にコーティングおよび乾燥して、厚さ5μmの下部拡散層を形成した。
【0126】
ハ)厚さ100μmの基材フィルム(PET)の一面に、UV硬化型樹脂を用いて厚さ約40μmのプリズムパターンを形成することにより、上部プリズムシートを製造した。前記基材フィルムの他面に、UV硬化型接着剤樹脂をマイヤーバーにより0.5μm~1.0μmの厚さでコーティングし、前記で製造された下部プリズムシートと接着した後、UV硬化して、複合シートを得た。
【0127】
ニ)厚さ100μmの緩衝フィルム(PET)の一面に、UV硬化型接着剤樹脂をマイヤーバーにより0.5μm~1.0μmの厚さでコーティングし、前記段階ハ)で製造された複合シートと接着してUV硬化した。
【0128】
ホ)ポリメチルメタクリルレイト(PMMA)ビーズ15重量部と、アクリルバインダー樹脂35重量部と、溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)50重量部とが混合された組成物を調製した後、厚さ95μmの二重輝度向上フィルム(DBEF,Qv2,3M社)の一面に前記組成物をコーティングおよび乾燥して、厚さ10μmの上部拡散層を形成した。前記二重輝度向上フィルムの他面にUV硬化型接着剤樹脂をマイヤーバーにより10μmの厚さでコーティングし、前記段階ニ)で得た複合シートの緩衝フィルムの表面に接着した後、UV硬化して、最終の光学複合シートを得た(図5a参照)。
【0129】
(実施例2)
実施例1の段階イ)~ホ)の手順を繰り返すが、段階ロ)において下部プリズムシートの基材フィルムの他面に光吸収層を形成せず、その代わりに段階ハ)において上部プリズムシートの他面に光吸収層を形成し、光吸収層の表面に接着剤樹脂をコーティングして下部プリズムシートと接着した後、以降の手順を行って、最終の光学複合シートを得た(図5b参照)。
【0130】
(実施例3)
実施例1の段階イ)~ホ)の手順を繰り返すが、段階ロ)において下部プリズムシートの基材フィルムの他面に光吸収層を形成せず、その代わりに段階ニ)において緩衝フィルムの一面に光吸収層を形成し、光吸収層の表面に接着剤樹脂をコーティングして上部プリズムシートと接着した後、以降の手順を行って、最終の光学複合シートを得た(図5c参照)。
【0131】
(比較例1)
実施例1の段階イ)~ホ)の手順を繰り返すが、段階ロ)において下部プリズムシートの基材フィルムの他面に光吸収層を形成せず、以降の手順を行って、最終の光学複合シートを得た(図6参照)。
【0132】
(表示装置への適用例)
液晶表示装置(55インチLED直下型、220V、LG電子)から、液晶表示パネルの背面に位置する光学フィルム(反射偏光フィルム、プリズムシートなど)を除去し、その位置に光学複合シートを配置した。
【0133】
(色域測定例)
光学複合シートを表示装置に適用し、スペクトロラジオメーター(Spectroradiometer、SR-3、TOPCON、Working Distance:660mm、Field Spec.:0.2D)を用いて、各色別の輝度と、CIE1931色度座標xyと、CIE1976色度座標u'v'とを測定し、これを用いて色域(color gamut)の面積およびDCI重畳比等を算出した。その結果を下記表に示した。
【0134】
(光吸収層の光透過率)
実施例1の段階イ)の手順を繰り返して光吸収層組成物を調製し、これを厚さ100μmのPETフィルムの一面にコーティングし、乾燥および硬化して、厚さ3μmの光吸収層を形成した。スペクトロフォトメーターを用いて590nmの波長に対する光透過率を測定した。その結果を下記表に示した。
【0135】
【表1】
【0136】
前記表に示すように、比較例1による光学複合シートが適用された表示装置は、白色光に対する輝度は高いが、DCI重畳比が90%未満と低調であり、色再現性が低いものと評価された。一方、実施例1~3による光学複合シートが適用された表示装置は、白色光に対する輝度が一定レベル以上でありながらも、DCIの重畳比が90%以上と非常に優れていた。
【符号の説明】
【0137】
1:表示装置
10:バックライトユニット、
11:光学複合シート(実現例)
11':光学複合シート(比較例)
20:表示パネル
30:カバーウィンドウ
51:上部フレーム
52:下部フレーム
100:光吸収層
110:光吸収剤
120:バインダー樹脂
200:プリズムシート
201:基材層
202:パターン層
202a:第1パターン
202b:第2パターン
210:第1プリズムシート
220:第2プリズムシート
310:第1光拡散層
311、321:ビーズ
312、322:バインダー樹脂
320:第2光拡散層
350:基材フィルム
400:反射偏光フィルム
500:緩衝フィルム
600、610、620、630:接着層
601:メニスカス
700:導光板
800:反射板
M:積層体
S1、S2:スキン層
T1:基材層の厚さ
T2:パターン層の厚さ
Ta:第1パターンの高さ
Tb:第2パターンの高さ
CG:全色域
CG0:重畳色域
CG1:第1色域
CG2:第2色域
R:赤
G:緑
B:青
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9a
図9b
図10