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特許7520805アバランシェフォトダイオードセンサ及び測距装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】アバランシェフォトダイオードセンサ及び測距装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240716BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240716BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240716BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20240716BHJP
   H01L 31/107 20060101ALI20240716BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20240716BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H01L27/146 A
H01L21/88 J
H01L31/10 B
H01L31/10 G
G01S7/481 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021501849
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 JP2020004602
(87)【国際公開番号】W WO2020170841
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2019029912
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】若野 壽史
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038542(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0090526(US,A1)
【文献】特表2019-530215(JP,A)
【文献】国際公開第2018/057975(WO,A1)
【文献】特開2018-088488(JP,A)
【文献】国際公開第2018/042785(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/126329(WO,A1)
【文献】特開2019-102618(JP,A)
【文献】特開2018-201005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 31/107
H01L 31/10
G01S 7/481
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備え
前記第1光電変換部は、前記第1半導体基板の前記第1面に設けられた第1導電型のカソード領域と、前記第1面に設けられ、前記第1導電型とは反対の第2導電型のアノード領域とを含み、
前記素子分離部は、前記第1及び第2素子分離領域とは異なる方向から前記第1光電変換部を区画する第3及び第4素子分離領域をさらに含み、
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記第1~第4素子分離領域で区画された矩形の領域を4つに分割する十字状の領域に配置されている
アバランシェフォトダイオードセンサ。
【請求項2】
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備え、
前記第1光電変換部は、前記第1半導体基板の前記第1面に設けられた第1導電型のカソード領域と、前記第1面に設けられ、前記第1導電型とは反対の第2導電型のアノード領域とを含み、
前記素子分離部は、前記第1及び第2素子分離領域とは異なる方向から前記第1光電変換部を区画する第3及び第4素子分離領域をさらに含み、
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記第1~第4素子分離領域で区画された矩形の領域における四隅それぞれに配置されている
バランシェフォトダイオードセンサ。
【請求項3】
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備え、
前記第1光電変換部は、前記第1半導体基板の前記第1面に設けられた第1導電型のカソード領域と、前記第1面に設けられ、前記第1導電型とは反対の第2導電型のアノード領域とを含み、
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記カソード領域と前記第1半導体基板の基板厚方向で対応する十字状の領域に配置されている
バランシェフォトダイオードセンサ。
【請求項4】
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備え、
前記第1半導体基板の前記第2面であって前記第1及び第2素子分離領域で区画された領域における少なくとも一部には、トレンチが設けられている
バランシェフォトダイオードセンサ。
【請求項5】
前記複数の凹凸部は、前記トレンチの底面に設けられている請求項に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
【請求項6】
前記第1半導体基板は、前記トレンチの底面に設けられた複数の凹凸部をさらに備える請求項に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
【請求項7】
前記第1半導体基板は、前記トレンチの内部に設けられた光透過膜をさらに備える請求項に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
【請求項8】
所定波長の光を出射する発光部と、
受光した光から画素信号を生成するアバランシェフォトダイオードセンサと、
前記アバランシェフォトダイオードセンサで生成された画素信号に基づいて物体までの距離を算出する演算部と、
を備え、
前記アバランシェフォトダイオードセンサは、
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備え
前記第1光電変換部は、前記第1半導体基板の前記第1面に設けられた第1導電型のカソード領域と、前記第1面に設けられ、前記第1導電型とは反対の第2導電型のアノード領域とを含み、
前記素子分離部は、前記第1及び第2素子分離領域とは異なる方向から前記第1光電変換部を区画する第3及び第4素子分離領域をさらに含み、
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記第1~第4素子分離領域で区画された矩形の領域を4つに分割する十字状の領域に配置されている
測距装置。
【請求項9】
所定波長の光を出射する発光部と、
受光した光から画素信号を生成するアバランシェフォトダイオードセンサと、
前記アバランシェフォトダイオードセンサで生成された画素信号に基づいて物体までの距離を算出する演算部と、
を備え、
前記アバランシェフォトダイオードセンサは、
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備え、
前記第1光電変換部は、前記第1半導体基板の前記第1面に設けられた第1導電型のカソード領域と、前記第1面に設けられ、前記第1導電型とは反対の第2導電型のアノード領域とを含み、
前記素子分離部は、前記第1及び第2素子分離領域とは異なる方向から前記第1光電変換部を区画する第3及び第4素子分離領域をさらに含み、
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記第1~第4素子分離領域で区画された矩形の領域における四隅それぞれに配置されている
測距装置。
【請求項10】
所定波長の光を出射する発光部と、
受光した光から画素信号を生成するアバランシェフォトダイオードセンサと、
前記アバランシェフォトダイオードセンサで生成された画素信号に基づいて物体までの距離を算出する演算部と、
を備え、
前記アバランシェフォトダイオードセンサは、
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備え、
前記第1光電変換部は、前記第1半導体基板の前記第1面に設けられた第1導電型のカソード領域と、前記第1面に設けられ、前記第1導電型とは反対の第2導電型のアノード領域とを含み、
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記カソード領域と前記第1半導体基板の基板厚方向で対応する十字状の領域に配置されている
測距装置。
【請求項11】
所定波長の光を出射する発光部と、
受光した光から画素信号を生成するアバランシェフォトダイオードセンサと、
前記アバランシェフォトダイオードセンサで生成された画素信号に基づいて物体までの距離を算出する演算部と、
を備え、
前記アバランシェフォトダイオードセンサは、
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備え、
前記第1半導体基板の前記第2面であって前記第1及び第2素子分離領域で区画された領域における少なくとも一部には、トレンチが設けられている
測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アバランシェフォトダイオードセンサ及び測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ToF(Time-of-Flight)法により距離計測を行う距離画像センサが注目されている。例えば、距離画像センサには、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)半導体集積回路技術を用いて、複数のSPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素が平面的に配置されるように形成された画素アレイを利用することができる。SPAD画素では、降伏電圧よりもはるかに大きい電圧を印加した状態で、高電界のPN接合領域へ1個のフォトンが入ると、アバランシェ増幅が発生する。その際の瞬間的に電流が流れた時間を検出することで、高精度に距離を計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-88488号公報
【文献】特開2017-108062号公報
【文献】国際公開第2018/074530号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような測距画像センサを用いて物体までの距離を測定する場合、物体で反射した反射光に基づいて物体までの距離が算出される。そのため、遠くの物体など、反射光の光量が少ない場合には、反射光が環境光(外乱光ともいう)に埋もれてしまい、測距精度が低下してしまう可能性が存在する。
【0005】
そこで本開示では、測距精度を向上することが可能なアバランシェフォトダイオードセンサ及び測距装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態のアバランシェフォトダイオードセンサは、第1半導体基板と、前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板とを備え、前記第1半導体基板は、行列状に配列する複数の光電変換部と、前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部とを備え、前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る測距装置としてのToFセンサの概略構成例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係るToFセンサの光学システムを説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係る受光部の概略構成例を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係るSPADアレイにおける有効領域の概略構成例を示す模式図である。
図5】第1の実施形態に係るSPAD画素の概略構成例を示す回路図である。
図6】第1の実施形態に係るSPAD加算部のより詳細な構成例を示すブロック図である。
図7】第1の実施形態に係る受光部のチップ構成例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図9図8におけるA-A面の断面構造を示す断面図である。
図10】第1の実施形態に係るモスアイ構造の一例を説明するための図である。
図11】第1の実施形態に係るモスアイ構造の他の一例を説明するための図である。
図12】第1の実施形態の第1変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図13図12におけるB-B面の断面構造を示す断面図である。
図14】第1の実施形態の第2変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図15図14におけるC-C面の断面構造を示す断面図である。
図16】第1の実施形態の第3変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図17】第1の実施形態の第4変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図18】第1の実施形態の第5変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図19】第2の実施形態に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図20図19におけるG-G面の断面構造を示す断面図である。
図21】第2の実施形態の第1変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図22図21におけるH-H面の断面構造を示す断面図である。
図23】第2の実施形態の第2変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図24図23におけるJ-J面の断面構造を示す断面図である。
図25】第2の実施形態の第3変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図26】第2の実施形態の第4変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図27】第2の実施形態の第5変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。
図28】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図29】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の一実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0009】
また、以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1.第1の実施形態
1.1 測距装置(ToFセンサ)
1.2 光学システム
1.3 受光部
1.4 SPADアレイ
1.5 SPAD画素
1.6 SPAD画素の概略動作例
1.7 SPAD加算部
1.8 サンプリング周期
1.9 チップ構成例
1.10 断面構造例
1.11 モスアイ構造
1.12 作用・効果
1.13 変形例
1.13.1 第1変形例
1.13.2 第2変形例
1.13.3 第3変形例
1.13.4 第4変形例
1.13.5 第5変形例
2.第2の実施形態
2.1 断面構造例
2.2 作用・効果
2.3 変形例
2.3.1 第1変形例
2.3.2 第2変形例
2.3.3 第3変形例
2.3.4 第4変形例
2.3.5 第5変形例
3.応用例
【0010】
1.第1の実施形態
まず、第1の実施形態について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
1.1 測距装置(ToFセンサ)
図1は、第1の実施形態に係る測距装置としてのToFセンサの概略構成例を示すブロック図である。図1に示すように、ToFセンサ1は、制御部11と、発光部13と、受光部14と、演算部15と、外部インタフェース(I/F)19とを備える。
【0012】
制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの情報処理装置で構成され、ToFセンサ1の各部を制御する。
【0013】
外部I/F19は、例えば、無線LAN(Local Area Network)や有線LANの他、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、FlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した通信ネットワークを介して外部のホスト80と通信を確立するための通信アダプタであってよい。
【0014】
ここで、ホスト80は、例えば、ToFセンサ1が自動車等に実装される場合には、自動車等に搭載されているECU(Engine Control Unit)などであってよい。また、ToFセンサ1が家庭内ペットロボットなどの自律移動ロボットやロボット掃除機や無人航空機や追従運搬ロボットなどの自律移動体に搭載されている場合には、ホスト80は、その自律移動体を制御する制御装置等であってよい。
【0015】
発光部13は、例えば、1つ又は複数の半導体レーザダイオードを光源として備えており、所定時間幅のパルス状のレーザ光L1を所定周期(発光周期ともいう)で出射する。また、発光部13は、例えば、100MHz(メガヘルツ)の周期で、10ns(ナノ秒)の時間幅のレーザ光L1を出射する。発光部13から出射したレーザ光L1は、例えば、測距範囲内に物体90が存在する場合には、この物体90で反射して、反射光L2として、受光部14に入射する。
【0016】
受光部14は、アバランシェフォトダイオードセンサであり、その詳細については後述するが、例えば、行列状に配列した複数のSPAD画素を備え、発光部13の発光後にフォトンの入射を検出したSPAD画素の数(以下、検出数という)に関する情報(例えば、後述における検出信号の数に相当)を出力する。受光部14は、例えば、発光部13の1回の発光に対し、所定のサンプリング周期でフォトンの入射を検出してその検出数を出力する。
【0017】
演算部15は、受光部14から出力された検出数を複数のSPAD画素(例えば、後述する1又は複数のマクロ画素に相当)ごとに集計し、その集計により得られた画素値に基づいて、横軸を飛行時間とし、縦軸を累積画素値としたヒストグラムを作成する。例えば、演算部15は、発光部13の1回の発光に対して所定のサンプリング周波数で検出数を集計して画素値を求めることを、発光部13の複数回の発光に対して繰返し実行することで、横軸(ヒストグラムのビン)を飛行時間に相当するサンプリング周期とし、縦軸を各サンプリング周期で求められた画素値を累積することで得られた累積画素値としたヒストグラムを作成する。
【0018】
また、演算部15は、作成したヒストグラムに対して所定のフィルタ処理を施した後、フィルタ処理後のヒストグラムから累積画素値がピークとなる際の飛行時間を特定する。そして、演算部15は、特定した飛行時間に基づいて、ToFセンサ1又はこれを搭載するデバイスから測距範囲内に存在する物体90までの距離を算出する。なお、演算部15で算出された距離の情報は、例えば、外部I/F19を介してホスト80等に出力されてもよい。
【0019】
1.2 光学システム
図2は、第1の実施形態に係るToFセンサの光学システムを説明するための図である。なお、図2では、受光部14の画角を水平方向に走査する、いわゆるスキャン型の光学システムを例示するが、これに限定されず、例えば、受光部14の画角が固定された、いわゆるフラッシュ型のToFセンサとすることも可能である。
【0020】
図2に示すように、ToFセンサ1は、光学システムとして、光源131と、コリメータレンズ132と、ハーフミラー133と、ガルバノミラー135と、受光レンズ146と、SPADアレイ141とを備える。光源131、コリメータレンズ132、ハーフミラー133及びガルバノミラー135は、例えば、図1における発光部13に含まれる。また、受光レンズ146及びSPADアレイ141は、例えば、図1における受光部14に含まれる。
【0021】
図2に示す構成において、光源131から出射したレーザ光L1は、コリメータレンズ132により、断面の強度スペクトルが垂直方向に長い矩形の平行光に変換され、その後、ハーフミラー133に入射する。ハーフミラー133は、入射したレーザ光L1の一部を反射する。ハーフミラー133で反射したレーザ光L1は、ガルバノミラー135に入射する。ガルバノミラー135は、例えば、制御部11からの制御に基づいて動作する駆動部134により、所定の回転軸を振動中心として水平方向に振動する。これにより、ガルバノミラー135で反射したレーザ光L1の画角SRが測距範囲ARを水平方向に往復走査するように、レーザ光L1が水平走査される。なお、駆動部134には、MEMS(Micro Electro Mechanical System)やマイクロモーター等を用いることができる。
【0022】
ガルバノミラー135で反射したレーザ光L1は、測距範囲AR内に存在する物体90で反射し、反射光L2としてガルバノミラー135に入射する。ガルバノミラー135に入射した反射光L2の一部は、ハーフミラー133を透過して受光レンズ146に入射し、それにより、SPADアレイ141における特定の領域(以下、有効領域という)142に結像される。なお、有効領域142は、SPADアレイ141の全体であってもよいし、一部であってもよい。
【0023】
1.3 受光部
図3は、第1の実施形態に係る受光部の概略構成例を示すブロック図である。図3に示すように、受光部14は、SPADアレイ141と、タイミング制御回路143と、駆動回路144と、出力回路145とを備える。以下の説明において、タイミング制御回路143、駆動回路144及び出力回路145を、周辺回路と称する場合もある。
【0024】
SPADアレイ141は、行列状に配列する複数のSPAD画素20を備える。複数のSPAD画素20に対しては、列ごとに画素駆動線LD(図面中の上下方向)が接続され、行ごとに出力信号線LS(図面中の左右方向)が接続される。画素駆動線LDの一端は、駆動回路144の各列に対応した出力端に接続され、出力信号線LSの一端は、出力回路145の各行に対応した入力端に接続される。
【0025】
本実施形態では、SPADアレイ141の全部又は一部を使用して、反射光L2を検出する。SPADアレイ141における有効領域142は、レーザ光L1全体が反射光L2として反射された場合にSPADアレイ141に結像される反射光L2の像と同じ、垂直方向に長い矩形であってよい。ただし、これに限定されず、SPADアレイ141に結像される反射光L2の像よりも大きな領域や小さな領域など、種々変形されてよい。
【0026】
駆動回路144は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどを含み、SPADアレイ141の各SPAD画素20を、全画素同時や列単位等で駆動する。そこで、駆動回路144は、少なくとも、SPADアレイ141内の選択列における各SPAD画素20に、後述するクエンチ電圧V_QCHを印加する回路と、選択列における各SPAD画素20に、後述する選択制御電圧V_SELを印加する回路とを含む。そして、駆動回路144は、読出し対象の列に対応する画素駆動線LDに選択制御電圧V_SELを印加することで、フォトンの入射を検出するために用いるSPAD画素20を列単位で選択する。
【0027】
駆動回路144によって選択走査された列の各SPAD画素20から出力される信号(検出信号という)V_OUTは、出力信号線LSの各々を通して出力回路145に入力される。出力回路145は、各SPAD画素20から入力された検出信号V_OUTを、後述するマクロ画素ごとに設けられたSPAD加算部40へ出力する。
【0028】
タイミング制御回路143は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ等を含み、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に、駆動回路144及び出力回路145を制御する。
【0029】
1.4 SPADアレイ
図4は、第1の実施形態に係るSPADアレイにおける有効領域の概略構成例を示す模式図である。図4に示すように、有効領域142は、例えば、複数のSPAD画素20が行列状に配列した構成を備える。複数のSPAD画素20は、行及び/又は列方向に配列する所定数ずつのSPAD画素20で構成された複数のマクロ画素30にグループ化されている。各マクロ画素30の最外周に位置するSPAD画素20の外側の縁を結んだ領域の形状は、所定の形状(例えば、矩形)をなしている。
【0030】
有効領域142は、例えば、垂直方向(列方向に相当)に配列する複数のマクロ画素30で構成されている。本実施形態では、有効領域142は、例えば、垂直方向に複数の領域(以下、SPAD領域という)に分割されている。図4に示す例では、有効領域142が4つのSPAD領域142-1~142-4に分割されている。最下に位置するSPAD領域142-1は、例えば、有効領域142の画角SRにおける最下の1/4領域に相当し、その上のSPAD領域142-2は、例えば、画角SRにおける下から2番目の1/4領域に相当し、その上のSPAD領域142-3は、例えば、画角SRにおける下から3番目の1/4領域に相当し、最上のSPAD領域142-4は、例えば、画角SRにおける最上の1/4領域に相当する。
【0031】
1.5 SPAD画素
図5は、第1の実施形態に係るSPAD画素の概略構成例を示す回路図である。図5に示すように、SPAD画素20は、受光素子としての光電変換部21と、光電変換部21にフォトンが入射したことを検出する読出し回路22とを備える。
【0032】
読出し回路22は、クエンチ抵抗23と、デジタル変換器25と、インバータ26と、バッファ27と、選択トランジスタ24とを備える。クエンチ抵抗23は、例えば、N型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor。以下、NMOSトランジスタという)で構成され、そのドレインが光電変換部21のアノードに接続され、そのソースが選択トランジスタ24を介して接地されている。また、クエンチ抵抗23を構成するNMOSトランジスタのゲートには、当該NMOSトランジスタをクエンチ抵抗として作用させるために予め設定されているクエンチ電圧V_QCHが、駆動回路144から画素駆動線LDを介して印加される。
【0033】
本実施形態において、光電変換部21はSPADである。SPADは、そのアノードとカソードとの間に降伏電圧(ブレークダウン電圧)以上の逆バイアス電圧が印加されるとガイガーモードで動作するアバランシェフォトダイオードであり、1つのフォトンの入射を検出可能である。すなわち、光電変換部21は、そのアノードとカソードとの間に降伏電圧(ブレークダウン電圧)以上の逆バイアス電圧V_SPADが印加されている状態でフォトンが入射すると、アバランシェ電流を発生する。
【0034】
デジタル変換器25は、抵抗251とNMOSトランジスタ252とを備える。NMOSトランジスタ252は、そのドレインが抵抗251を介して電源電圧VDDに接続され、そのソースが接地されている。また、NMOSトランジスタ252のゲートには、光電変換部21のアノードとクエンチ抵抗23との接続点N1の電圧が印加される。
【0035】
インバータ26は、P型のMOSFET(以下、PMOSトランジスタという)261とNMOSトランジスタ262とを備える。PMOSトランジスタ261は、そのドレインが電源電圧VDDに接続され、そのソースがNMOSトランジスタ262のドレインに接続されている。NMOSトランジスタ262は、そのドレインがPMOSトランジスタ261のソースに接続され、そのソースが接地されている。PMOSトランジスタ261のゲート及びNMOSトランジスタ262のゲートには、それぞれ抵抗251とNMOSトランジスタ252のドレインとの接続点N2の電圧が印加される。インバータ26の出力は、バッファ27に入力される。
【0036】
バッファ27は、インピーダンス変換のための回路であり、インバータ26から出力信号を入力すると、その入力した出力信号をインピーダンス変換し、検出信号V_OUTとして出力する。
【0037】
選択トランジスタ24は、例えば、NMOSトランジスタであり、そのドレインがクエンチ抵抗23を構成するNMOSトランジスタのソースに接続され、そのソースが接地されている。選択トランジスタ24は、駆動回路144に接続されており、選択トランジスタ24のゲートに駆動回路144からの選択制御電圧V_SELが画素駆動線LDを介して印加されると、オフ状態からオン状態に変化する。
【0038】
1.6 SPAD画素の概略動作例
図5に例示した読出し回路22は、例えば、以下のように動作する。すなわち、まず、駆動回路144から選択トランジスタ24に選択制御電圧V_SELが印加されて選択トランジスタ24がオン状態となっている期間、光電変換部21には降伏電圧(ブレークダウン電圧)以上の逆バイアス電圧V_SPADが印加される。これにより、光電変換部21の動作が許可される。
【0039】
一方、駆動回路144から選択トランジスタ24に選択制御電圧V_SELが印加されておらず、選択トランジスタ24がオフ状態となっている期間、逆バイアス電圧V_SPADが光電変換部21に印加されないことから、光電変換部21の動作が禁止される。
【0040】
選択トランジスタ24がオン状態であるときに光電変換部21にフォトンが入射すると、光電変換部21においてアバランシェ電流が発生する。それにより、クエンチ抵抗23にアバランシェ電流が流れ、接続点N1の電圧が上昇する。接続点N1の電圧がNMOSトランジスタ252のオン電圧よりも高くなると、NMOSトランジスタ252がオン状態になり、接続点N2の電圧が電源電圧VDDから0Vに変化する。そして、接続点N2の電圧が電源電圧VDDから0Vに変化すると、PMOSトランジスタ261がオフ状態からオン状態に変化すると共にNMOSトランジスタ262がオン状態からオフ状態に変化し、接続点N3の電圧が0Vから電源電圧VDDに変化する。その結果、バッファ27からハイレベルの検出信号V_OUTが出力される。
【0041】
その後、接続点N1の電圧が上昇し続けると、光電変換部21のアノードとカソードとの間に印加されている電圧が降伏電圧よりも小さくなり、それにより、アバランシェ電流が止まって、接続点N1の電圧が低下する。そして、接続点N1の電圧がNMOSトランジスタ452のオン電圧よりも低くなると、NMOSトランジスタ452がオフ状態になり、バッファ27からの検出信号V_OUTの出力が停止する(ローレベル)。
【0042】
このように、読出し回路22は、光電変換部21にフォトンが入射してアバランシェ電流が発生し、これによりNMOSトランジスタ452がオン状態になったタイミングから、アバランシェ電流が止まってNMOSトランジスタ452がオフ状態になるタイミングまでの期間、ハイレベルの検出信号V_OUTを出力する。出力された検出信号V_OUTは、出力回路145を介して、マクロ画素30ごとのSPAD加算部40に入力される。したがって、各SPAD加算部40には、1つのマクロ画素30を構成する複数のSPAD画素20のうちでフォトンの入射が検出されたSPAD画素20の数(検出数)の検出信号V_OUTが入力される。
【0043】
1.7 SPAD加算部
図6は、第1の実施形態に係るSPAD加算部のより詳細な構成例を示すブロック図である。なお、SPAD加算部40は、受光部14に含まれる構成であってもよいし、演算部15に含まれる構成であってもよい。
【0044】
図6に示すように、SPAD加算部40は、例えば、パルス整形部41と、受光数カウント部42とを備える。
【0045】
パルス整形部41は、SPADアレイ141から出力回路145を介して入力した検出信号V_OUTのパルス波形を、SPAD加算部40の動作クロックに応じた時間幅のパルス波形に整形する。
【0046】
受光数カウント部42は、対応するマクロ画素30からサンプリング周期ごとに入力された検出信号V_OUTをカウントすることで、フォトンの入射が検出されたSPAD画素20の個数(検出数)をサンプリング周期ごとに計数し、この計数値をマクロ画素30の画素値として出力する。
【0047】
1.8 サンプリング周期
ここで、サンプリング周期とは、発光部13がレーザ光L1を出射してから受光部14でフォトンの入射が検出されるまでの時間(飛行時間)を計測する周期である。このサンプリング周期には、発光部13の発光周期よりも短い周期が設定される。例えば、サンプリング周期をより短くすることで、より高い時間分解能で、発光部13から出射して物体90で反射したフォトンの飛行時間を算出することが可能となる。これは、サンプリング周波数をより高くすることで、より高い測距分解能で物体90までの距離を算出することが可能となることを意味している。
【0048】
例えば、発光部13がレーザ光L1を出射して、このレーザ光L1が物体90で反射し、この反射光L2が受光部14に入射するまでの飛行時間をtとすると、光速Cが一定(C≒300,000,000m(メートル)/s(秒)であることから、物体90までの距離Lは、以下の式(1)のように算出することができる。
L=C×t/2 (1)
【0049】
そこで、サンプリング周波数を1GHzとすると、サンプリング周期は1ns(ナノ秒)となる。その場合、1つのサンプリング周期は、15cm(センチメートル)に相当する。これは、サンプリング周波数を1GHzとした場合の測距分解能が15cmであることを示している。また、サンプリング周波数を2倍の2GHzとすると、サンプリング周期は0.5ns(ナノ秒)となるため、1つのサンプリング周期は、7.5cm(センチメートル)に相当する。これは、サンプリング周波数を2倍とした場合、測距分解能を1/2にすることができることを示している。このように、サンプリング周波数を高くしてサンプリング周期を短くすることで、より精度良く、物体90までの距離を算出することが可能となる。
【0050】
1.9 チップ構成例
図7は、第1の実施形態に係る受光部のチップ構成例を示す図である。図7に示すように、ToFセンサ1は、例えば、第一のチップ51と第二のチップ52とが上下に貼り合わされた貼合せチップ50の構造を備える。第一のチップ51は、例えば、SPAD画素20における光電変換部21が行列状に配列する半導体チップであり、第二のチップ52は、例えば、SPAD画素20における読出し回路22や周辺回路等が形成された半導体チップである。
【0051】
第一のチップ51と第二のチップ52との接合には、例えば、それぞれの接合面を平坦化して両者を電子間力で貼り合わせる、いわゆる直接接合を用いることができる。ただし、これに限定されず、例えば、互いの接合面に形成された銅(Cu)製の電極パッド同士をボンディングする、いわゆるCu-Cu接合や、その他、バンプ接合などを用いることも可能である。
【0052】
また、第一のチップ51と第二のチップ52とは、例えば、半導体基板を貫通するTSV(Through-Silicon Via)などの接続部を介して電気的に接続される。TSVを用いた接続には、例えば、第一のチップ51に設けられたTSVと第一のチップ51から第二のチップ52にかけて設けられたTSVとの2つのTSVをチップ外表で接続する、いわゆるツインTSV方式や、第一のチップ51から第二のチップ52まで貫通するTSVで両者を接続する、いわゆるシェアードTSV方式などを採用することができる。
【0053】
ただし、第一のチップ51と第二のチップ52との接合にCu-Cu接合やバンプ接合を用いた場合には、Cu-Cu接合部やバンプ接合部を介して両者が電気的に接続される。
【0054】
なお、図7に示す貼合せチップ50には、受光部14の他に、演算部15や発光部13や制御部11等が含まれていてもよい。
【0055】
1.10 断面構造例
図8は、第1の実施形態に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。図9は、図8におけるA-A面の断面構造を示す断面図である。なお、図8には、1つのSPAD画素20における光電変換部21の断面構造例を示すが、実際には、図9に示すように、第一のチップ51には、図8に例示する断面構造を備える光電変換部21が行列状に配列している。また、図8では、第一のチップ51の下面を光の入射面としている。
【0056】
図8に示すように、第一のチップ51は、半導体基板150と、配線層170と、平坦化膜161と、オンチップレンズ162とを備える。
【0057】
半導体基板150は、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム砒素(GaAs)、インジウムガリウム砒素(InGaAs)、リン化ガリウム(GaP)、インジウムリン(InP)などの半導体材料又は化合物半導体材料で構成された半導体基板であってよい。
【0058】
半導体基板150には、N-型半導体領域151と、P型半導体領域153と、P+型半導体領域154と、コンタクト層156とから構成された光電変換部21が形成されている。
【0059】
N-型半導体領域151は、例えば、ウエル領域であり、低い濃度のドナーを含む領域であってよい。また、N-型半導体領域151は、例えば、半導体基板150の裏面と平行な断面が正方形又は長方形である直方体の領域であってよい。
【0060】
P型半導体領域153は、例えば、所定濃度のアクセプタを含む領域であり、N-型半導体領域151の少なくとも側面及び底面を囲む領域であってよい。
【0061】
N+型半導体領域155は、例えば、高い濃度のドナーを含む領域であり、半導体基板150の表面に配置される。また、P+型半導体領域154は、例えば、P型半導体領域153よりも高い濃度のアクセプタを含む領域であり、N+型半導体領域155と接触するように、半導体基板150の表面付近に配置される。
【0062】
P+型半導体領域154とN+型半導体領域155とは、アバランシェ電流を発生させるPN接合を形成する。したがって、N-型半導体領域151で光電変換により発生した電荷は、P+型半導体領域154に取り込まれた後、P+型半導体領域154及びN+型半導体領域155の間に与えられた比較的大きな電位差によって増幅される(アバランシェ増幅)。
【0063】
N+型半導体領域155は、光電変換部21のカソードとしても機能し、発生したアバランシェ電流を外部へ取り出すためのコンタクト層としての役割も果たす。一方、P型半導体領域153に対しては、半導体基板150の表面であって、N+型半導体領域155とは離間した領域に、コンタクト層156が形成される。このコンタクト層156は、例えば、高い濃度のアクセプタを含むP++型の領域であり、光電変換部21のアノードとしても機能する。このコンタクト層156は、例えば、コンタクト層156が形成される半導体基板150の表面を平面視した場合(たとえば、後述において説明する図9参照)では、半導体基板150の表面における素子分離部157で囲まれた領域の内外周に沿って形成されている。これを、図8に示すような、素子分離部157が左右2つの領域(これらを素子分離領域という)157A及び157Bに分かれて現れる断面構造で見た場合、コンタクト層156は、左右2つの素子分離領域157A及び157Bで区画された領域のうち、半導体基板150の表面側であって素子分離領域157A及び157Bそれぞれに近接する2つの領域に形成されている。
【0064】
なお、N+型半導体領域155は、光電変換部21のアノードとして機能させることも可能である。その場合、コンタクト層156が光電変換部21のカソードとして機能する。
【0065】
以上のような構成を備える光電変換部21は、上述したように、素子分離部157によって区画されている。素子分離部157は、例えば、図8及び図9に示すように、半導体基板150の表面又は裏面側から見て格子状に形成されたトレンチ内に設けられている。
【0066】
素子分離部157は、例えば、半導体基板150に形成されたトレンチの内側面を覆う絶縁膜159と、内側面に絶縁膜159が形成されたトレンチ内に埋め込まれた反射膜158とを含む。ただし、トレンチ内は反射膜158によって完全に埋め込まれていることは必須ではなく、一部に空隙が残っていてもよい。
【0067】
反射膜158は、例えば、素子分離部157に入射した光を反射させるための膜である。この反射膜158には、例えば、タングステン(W)などの可視光や赤外光等を反射する反射材料の他、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、リン化ガリウム(GaP)、酸化アルミニウム(Al)、酸化セリウム(CeO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、五酸化ニオブ(Nb)、酸化マグネシウム(MgO)、五酸化タンタル(Ta)、五酸化チタン(Ti)、その他の酸化チタン(TiO、TiO等)、酸化タングステン(WO)、酸化イットリウム(Y)、酸化亜鉛(ZnO)、ジルコニア(ZrO)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ガドリニウム(GdF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化ネオジウム(NdF)などの高屈折率材料を用いることができる。なお、高屈折率材料とは、半導体基板150の基板材料よりも高い屈折率を備える材料であってよい。
【0068】
絶縁膜159は、例えば、半導体基板150と反射膜158との電気的な接触を防止するための膜である。この絶縁膜159には、例えば、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN)などの絶縁材料を用いることができる。ただし、反射膜158に絶縁材料を用いた場合、絶縁膜159は省略されてもよい。
【0069】
このように、隣接するSPAD画素20間を素子分離部157で光学的に分離することで、隣接するSPAD画素20への光の漏れ込みを低減することが可能となるため、隣接画素間の混色を抑制することが可能となる。
【0070】
なお、図8には、半導体基板150の表面から裏面にまで貫通する、いわゆるFFTI(Front Full Trench Isolation)型の素子分離部157が例示されているが、素子分離部157の構成はFFTI型に限定されず、例えば、半導体基板150の表面から中腹にまで存在する、いわゆるDTI(Deep Trench Isolation)型の素子分離部や、半導体基板150の裏面から中腹にまで存在する、いわゆるRDTI(Reverse Deep Trench Isolation)型の素子分離部など、種々変形することが可能である。
【0071】
また、図8及び図9に示すように、半導体基板150の裏面において、素子分離部157により区切られた領域180全体、すなわち、半導体基板150における有効な光の入射面には、規則的又はランダムに配置された複数の凹凸部181が設けられている。
【0072】
個々の凹凸部181は、例えば、四角柱や三角柱や六角柱などの多角柱や、四角錐や三角錐や六角錐などの多角錐や、四角錐台や三角錐台や六角錐台などの多角錐台や、円錐(楕円錐を含む)や、円錐台など、種々の形状であってよい。例えば、先端に近づくにつれて縮径する形状とすることで、光の進行方向に沿った屈折率の変化をより緩やかにすることができる。なお、この形状には、先端が鈍角な形状や平坦な形状(多角錐台や円錐台等)も含まれる。
【0073】
また、凹凸部181の内部には、例えば、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN)などの絶縁膜で埋められていてもよい。なお、個々の凹凸部181のサイズは、数μm(マイクロメートル)や数nm(ナノメートル)など、半導体基板150の裏面の反射率を低減できるサイズであれば、種々変更することが可能である。
【0074】
このように、半導体基板150の裏面を複数の凹凸部181よりなるモスアイ構造とすることで、半導体基板150の裏面における反射率を低減することが可能となる。それにより、光電変換部21への光の入射効率を高めることが可能となるため、結果として、光電変換部21の量子効率を高めることが可能となる。
【0075】
また、素子分離部157内の反射膜158とモスアイ構造とを組み合わせることで、モスアイ構造で散乱又は回折した光を反射膜158で反射させることが可能となる。それにより、半導体基板150に入射した光の光電変換部21内の飛行距離を長くすることが可能となるため、結果として、光電変換部21の量子効率を高めることが可能となる。
【0076】
半導体基板150の裏面には、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などで構成された平坦化膜161を介して、オンチップレンズ162が設けられている。平坦化膜161には、半導体基板151との境界部分に設けられたピニング層等が含まれていてもよい。オンチップレンズ162の表面には、例えば、入射した光が光電変換部21の中央付近で集光するような曲率が与えられている。
【0077】
一方、半導体基板150の表面側には、上述した配線層170が設けられている。配線層170は、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜171を備える。絶縁膜171中には、例えば、光電変換部21のカソードとしても機能するN+型半導体領域155に接触するビア配線172と、光電変換部21のアノードとしても機能するコンタクト層156と接触するビア配線176とが設けられている。
【0078】
また、絶縁膜171の表面(半導体基板150と反対側の面)には、例えば、ビア配線172と接触する銅(Cu)製の電極パッド173、及び、ビア配線176と接触する銅(Cu)製の電極パッド177が設けられている。これら電極パッド173及び177は、第一のチップ51と第二のチップ52とをCu-Cu接合する際の電極パッドとして使用される。したがって、第一のチップ51と第二のチップ52とを他の接合形態で電気的及び機械的に接合する場合には、電極パッド173及び177は、その接合に用いられる部材に置き換えられてよい。
【0079】
なお、図8では、第二のチップ52についての詳細な図示が省略されているが、Cu-Cu接合に使用する銅(Cu)製の電極パッド191及び195と、光電変換部21のカソードに電位(例えば、+3V(ボルト))を与える端子192と、アノードに電位(例えば、-20V(ボルト))を与える端子196とが示されている。
【0080】
例えば、光電変換部21のカソード(N+型半導体領域155)に端子192を介して+3V(ボルト)を与え、アノード(コンタクト層156)に端子196を介して-20Vを与えると、N+型半導体領域155とP+型半導体領域154との間に、理論上、23Vの逆バイアス電圧V_SPADが与えられることとなる。この逆バイアス電圧V_SPADは、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154のブレイクダウン電圧以上の電位差であるため、光電変換により発生した電荷がN-型半導体領域151内に形成された電界によって移動してP+型半導体領域154に取り込まれると、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154で構成されたPN接合領域でアバランシェ電流が発生する。このアバランシェ電流は、端子192を介して読出し回路22に入力される。
【0081】
なお、上述した構成において、P型とN型とが入れ替えられてもよい。その場合、N-型半導体領域151はP-型半導体領域に置き換えられ、P型半導体領域153はN型半導体領域に置き換えられ、P+型半導体領域154はN+型半導体領域に置き換えられ、N+型半導体領域155はP+型半導体領域に置き換えられる。また、コンタクト層156は、N++型の領域に置き換えられる。
【0082】
1.11 モスアイ構造
ここで、図10を参照して、モスアイ構造について説明を加える。モスアイ構造は、微細な凹凸部181が形成された領域であるが、この凹部と凸部は、基準とする面(以下、基準面と記述する)をどこにするかにより異なる。
【0083】
また、モスアイ構造は、電荷蓄積領域となるN-型半導体領域151の上側のP型半導体領域153の界面(受光面側界面)に形成された、微細な凹凸構造を有する領域である。この凹凸構造は、N-型半導体領域151、換言すれば、半導体基板150の受光面側に形成されている。よって、基準面としては、半導体基板150の所定の面とすることができ、ここでは、半導体基板150の一部を基準面とした場合を例に挙げて説明を続ける。
【0084】
図10は、凹凸部181の付近を拡大した図である。なお、本説明では、平坦化膜161が、最下層(半導体基板150側)のピニング層163と、ピニング層163より上層の透明絶縁膜164とを含む場合を例示する。
【0085】
図10に示す例では、凹凸部181のうち、ピニング層163と透明絶縁膜164との境界面を、上面181-1とする。また、ピニング層163と半導体基板150との境界面面を、下面181-2とする。
【0086】
さらに、基準面Aは、上面181-1が形成されている位置の面であるとし、基準面Cは、下面181-2が形成されている位置の面であるとする。基準面Bは、基準面Aと基準面Cとの間の位置にある面、換言すれば、上面181-1と下面181-2の間の位置にある面であるとする。
【0087】
基準面Aを基準とした場合、凹凸部181の形状は、基準面Aに対して凹部がある形状となる。すなわち、基準面Aを基準とした場合、その基準面A(=上面181-1)に対して、下側にくぼんだ位置に下面181-2が位置し、凹凸部181は、微細な凹部が形成されている領域となる。さらに換言すれば、基準面Aを基準としたとき、凹凸部181は、上面181-1と上面181-1との間に凹部が形成され、微細な凹部が形成されている領域であると言える。
【0088】
基準面Cを基準とした場合、凹凸部181の形状は、基準面Cに対して凸部がある形状となる。すなわち、基準面Cを基準とした場合、その基準面C(=下面181-2)に対して、上側に張り出した位置に上面181-1が位置し、凹凸部181は、微細な凸部が形成されている領域となる。さらに換言すれば、基準面Cを基準としたとき、凹凸部181は、下面181-2と下面181-2との間に凸部が形成され、微細な凸部が形成されている領域であると言える。
【0089】
基準面Bを基準とした場合、凹凸部181の形状は、基準面Bに対して凹部と凸部がある形状となる。すなわち、基準面Bを基準とした場合、その基準面B(=上面181-1と下面181-2の中間の位置にある面)に対して、下側にくぼんだ位置に下面181-2が位置し、凹凸部181は、微細な凹部が形成されている領域と言える。
【0090】
また、基準面Bを基準とした場合、その基準面Bに対して、上側に張り出した位置に上面181-1が位置し、凹凸部181は、微細な凸部が形成されている領域とも言える。
【0091】
このように、モスアイ構造は、SPAD画素20の断面視において、基準面をどこに設定するかにより、微細な凹部で形成されている領域、微細な凸部で形成されている領域、または微細な凹部と凸部で形成されている領域と表すことができる領域である。
【0092】
以下の説明においては、凹凸部181は、基準面A、すなわち、上面181-1を基準面としたときを例に挙げて説明を行い、微細な凹部が形成されている領域であるとして説明を続ける。
【0093】
凹凸部181において、凹部の周期に相当する凹部のピッチは、例えば、250nm以上に設定されている。
【0094】
図10に示した例では、凹凸部181は、上面181-1と下面181-2の平面が組み合わさった形状である場合を例に示しているが、図11に示すような形状であっても、本技術を適用した凹凸部181に含まれる。
【0095】
図11に示した凹凸部181は、断面視において、三角形状に形成されている。このような形状であっても、基準面を設定することができ、その基準面を基準として、凹部や凸部を定義することができる。
【0096】
図11に示した凹凸部181は、断面視において、三角形状に形成されているため、基準面の一例として、頂点を結ぶ面を、基準面と設定する。
【0097】
断面視において、凹凸部181の三角形状の頂点のうち、透明絶縁膜164側にある頂点を結ぶ線を含む面を基準面Aとする。凹凸部181の三角形状の頂点のうち、底辺側の頂点、換言すれば、N-型半導体領域151側にある頂点を結ぶ線を含む面を基準面Cとする。基準面Bは、基準面Aと基準面Cの間にある面とする。
【0098】
このように、凹凸部181の三角形の頂点の位置で、基準面を設定した場合も、図10を参照して説明した場合と同様に、基準面をどこにするかにより、凹凸部181の形状は、異なる表現で表せる。
【0099】
すなわち、基準面Aを基準とした場合、凹凸部181の形状は、基準面Aに対して下向きの三角形(谷形状)の凹部がある形状となる。すなわち、基準面Aを基準とした場合、その基準面Aに対して、下側に谷間の領域が位置し、その谷間の領域は、凹部に該当するため、凹凸部181は、微細な凹部が形成されている領域となる。さらに換言すれば、基準面Aを基準としたとき、凹凸部181は、三角形の頂点と隣接する三角形の頂点の間に凹部が形成され、微細な凹部が形成されている領域であると言える。
【0100】
基準面Cを基準とした場合、凹凸部181の形状は、基準面Cに対して上向きの三角形(山形状)の凸部がある形状となる。すなわち、基準面Cを基準とした場合、その基準面Cに対して、上側に山となる領域が位置し、その山となる領域は、凸部に該当するため、凹凸部181は、微細な凸部が形成されている領域となる。さらに換言すれば、基準面Cを基準としたとき、凹凸部181は、三角形状の底辺の頂点間に凸部が形成され、微細な頭部が形成されている領域であると言える。
【0101】
基準面Bを基準とした場合、凹凸部181の形状は、基準面Bに対して凹部と凸部(谷と山)がある形状となる。すなわち、基準面Bを基準とした場合、その基準面Bに対して、下側に谷となる凹部があり、上側に山となる凸部があるため、微細な凹部と凸部から形成されている領域と言える。
【0102】
このように、凹凸部181は、その形状が、図11に示したような山と谷があるようなジグザグな形状であっても、SPAD画素20の断面視において、基準面をどこに設定するかにより、微細な凹部で形成されている領域、微細な凸部で形成されている領域、または微細な凹部と凸部で形成されている領域と表すことができる領域であると定義することができる。
【0103】
また、図10又は図11に示した凹凸部181において、例えば、基準面を、平坦化膜161における透明絶縁膜164より上層と透明絶縁膜164との界面とした場合、凹凸部181は、くぼみがある領域(谷)がある形状であるため、微細な凹部で形成されている領域と言える。
【0104】
また、基準面を、P型半導体領域153とN-型半導体領域151との境界面とした場合、凹凸部181は、張り出している領域(山)がある形状であるため、微細な凸部で形成されている領域と言える。
【0105】
このように、SPAD画素20の断面視において、所定の平坦な面を基準面とし、その基準面に対して、谷型に形成されているか、山型に形成されているかにより、凹凸部181の形状を表現することもできる。
【0106】
さらには、SPAD画素20同士の間、すなわち、素子分離部157と対応する領域を、凹凸部181が形成されていない平坦領域とすることも可能である。その場合、この平坦領域を含む面を基準面としてもよい。
【0107】
平坦領域を含む面を基準面とした場合、凹凸部181は、基準面よりも下側にくぼんだ部分を有する、換言すれば、谷形状の部分を有する形状であると言えるため、微細な凹部が形成されている領域であると言える。
【0108】
このように、凹凸部181は、SPAD画素20の断面視において、基準面をどこに設定するかにより、微細な凹部で形成されている領域、微細な凸部で形成されている領域、または微細な凹部と凸部で形成されている領域と表すことができる領域である。
【0109】
さらには、凹凸部181の形成方法によっても、凹凸部181は、微細な凹部で形成されている領域を形成する、微細な凸部で形成されている領域を形成する、または微細な凹部とで形成されている領域を形成すると表現することもできる。
【0110】
例えば、図10に示した凹凸部181を形成する場合であり、上面181-1の方が、下面181-2よりも大きく形成されているような形状の凹凸部181を形成する場合、基板(半導体基板150)を削ることで、凹部となる部分を形成するとも言えるし、凸部となる部分を残すとも言える。
【0111】
基板の削り量が、50%を超えるような場合、凹部の面積が凸部の面積より大きく形成されている、削られた基板(シリコン)の量の方が、残っている基板の量よりも多い状態となる。すなわちこのような形成方法の場合、凹部が支配的状況となる形成であり、複数の凸部を設けることで、凹凸部181を形成すると表すことができる。
【0112】
また、基板の削り量が、50%以下であるような場合、凹部の面積が凸部の面積よりも小さく形成され、削られた基板(シリコン)の量の方が、残っている基板の量よりも少ない状態となる。すなわちこのような形成方法の場合、凸部が支配的状況となる形成であり、複数の凹部を設けることで、凹凸部181を形成すると表すことができる。
【0113】
これらのことから、凹凸部181の形成方法によっては、凹部が支配的になる場合は、複数の凸部が設けられているという表現もでき、また基板が支配的になる場合には、複数の凹部が設けられているという表現もできる。
【0114】
このように、凹凸部181の形成方法によっても、凹凸部181は、SPAD画素20の断面視において、微細な凹部で形成されている領域、微細な凸部で形成されている領域、または微細な凹部と凸部で形成されている領域と表すことができる領域である。
【0115】
以下の説明においては、凹凸部181は、微細な凹部で形成されている領域であるとして説明を続けるが、上記したように、微細な凸部で形成されている領域、または微細な凹部と凸部で形成されている領域といった領域も含む表現である。
【0116】
1.12 作用・効果
以上のような構成を備えることで、本実施形態によれば、半導体基板150の裏面における反射率を低減することが可能となる。それにより、光電変換部21への光の入射効率を高めることが可能となるため、結果として、光電変換部21の量子効率を高めることが可能となる。
【0117】
また、素子分離部157内の反射膜158とモスアイ構造とを組み合わせることで、モスアイ構造で散乱又は回折した光を反射膜158で反射させてその飛行距離を長くすることが可能となるため、結果として、光電変換部21の量子効率を高めることが可能となる。
【0118】
1.13 変形例
なお、上述した第1の実施形態では、半導体基板150の裏面における有効な光の入射面(領域180)全体を、凹凸部181を設けてモスアイ構造とした場合を例示したが、凹凸部181が形成される領域は、半導体基板150の裏面における有効な光の入射面(領域180)全体に限定されない。そこで以下に、凹凸部181が形成される領域180の変形例について、幾つか例を挙げて説明する。
【0119】
1.13.1 第1変形例
図12は、第1変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。図13は、図12におけるB-B面の断面構造を示す断面図である。なお、図12には、図8と同様に、1つのSPAD画素20における光電変換部21の断面構造例を示すが、実際には、図13に示すように、第一のチップ51には、図12に例示する断面構造を備える光電変換部21が行列状に配列している。また、図12では、第一のチップ51の下面を光の入射面としている。
【0120】
図12及び図13に示すように、凹凸部181が形成される領域180Bは、半導体基板150の裏面において、素子分離部157で区切られた領域(以下、画素領域という)における中央部分、たとえば、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154の上方に位置する領域であってもよい。言い換えれば、画素領域の外周、たとえば、コンタクト層156の上方には、凹凸部181が形成されていない領域(平坦部)が存在してもよい。なお、本説明における「上方」とは、半導体基板150の基板厚方向であって半導体基板150の裏面から表面へ向かう方向であってよい。
【0121】
1.13.2 第2変形例
図14は、第2変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。図15は、図14におけるC-C面の断面構造を示す断面図である。なお、図14には、図8と同様に、1つのSPAD画素20における光電変換部21の断面構造例を示すが、実際には、図15に示すように、第一のチップ51には、図14に例示する断面構造を備える光電変換部21が行列状に配列している。また、図14では、第一のチップ51の下面を光の入射面としている。
【0122】
図14及び図15に示すように、凹凸部181が形成される領域180Cは、画素領域における外周部分、たとえば、コンタクト層156の上方に位置する領域であってもよい。言い換えれば、画素領域の中央、たとえば、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154の上方には、凹凸部181が形成されていない領域(平坦部)が存在してもよい。
【0123】
1.13.3 第3変形例
図16は、第3変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。なお、図16には、例えば、図8に示す第一のチップ51の断面構造例におけるA-A面と対応する面の断面構造例が示されている。
【0124】
図16に示すように、凹凸部181が形成される領域180Dは、画素領域を2×2の行列状に分断する十字状の領域であってもよい。言い換えれば、画素領域の四隅には、凹凸部181が形成されていない領域が存在してもよい。
【0125】
1.13.4 第4変形例
図17は、第4変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。なお、図17には、図16と同様に、例えば、図8に示す第一のチップ51の断面構造例におけるA-A面と対応する面の断面構造例が示されている。
【0126】
図17に示すように、凹凸部181が形成される領域180Eは、画素領域における四隅であってもよい。言い換えれば、画素領域を2×2の行列状に分断する十字状の領域には、凹凸部181が形成されていない領域が存在してもよい。
【0127】
1.13.5 第5変形例
図18は、第5変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。なお、図18には、図16又は図17と同様に、例えば、図8に示す第一のチップ51の断面構造例におけるA-A面と対応する面の断面構造例が示されている。
【0128】
図18に示すように、凹凸部181が形成される領域180Fは、画素領域の中央、たとえば、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154の領域の上方に位置する十字状の領域であってもよい。
【0129】
以上で説明した第1~第5変形例のように、第1の実施形態に係る凹凸部181は、画素領域の全体に形成されている必要はなく、画素領域の少なくとも一部に形成されていればよい。なお、上述した第1の実施形態及びその変形例は、単なる例に過ぎず、種々変形することが可能である。
【0130】
2.第2の実施形態
次に、第2の実施形態について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0131】
上述した第1の実施形態及びその変形例では、光電変換をする領域、すなわち、N-型半導体領域151が直方体である場合を例示したが、例えば、半導体基板150の裏面付近、特に、画素領域における素子分離部157の近傍はP+型半導体領域154までの距離が長いため、この領域で発生した電荷がP+型半導体領域154に取り込まれるまでの時間が長くなる。そのため、半導体基板150の表面側やP+型半導体領域154付近で発生した電荷がP+型半導体領域154に取り込まれるまでの時間との差から時間的なジッタが発生し、測距制度が低下してしまう可能性が存在する。
【0132】
そこで本実施形態では、時間的なジッタを低減して測距制度の低下を抑制することが可能な固体撮像装置及び測距装置について、例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態又はその変形例と同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0133】
本実施形態に係る固体撮像装置及び測距装置の基本的な構成及び動作は、上述した実施形態又はその変形例と同様であってよい。ただし、本実施形態では、第一のチップ51に形成された光電変換部21の断面構造が、後述する断面構造例に置き換えられる。
【0134】
2.1 断面構造例
図19は、第2の実施形態に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。図20は、図19におけるG-G面の断面構造を示す断面図である。なお、図19には、1つのSPAD画素20における光電変換部21の断面構造例を示すが、実際には、図20に示すように、第一のチップ51には、図19に例示する断面構造を備える光電変換部21が行列状に配列している。また、図19では、第一のチップ51の下面を光の入射面としている。
【0135】
図19及び図20に示すように、本実施形態に係る第一のチップ51は、第1の実施形態の変形例1において図12及び図13を用いて説明した第一のチップ51と同様の断面構造において、半導体基板150の裏面における画素領域の外周、例えば、コンタクト層156の上方に位置する領域280Gにトレンチ202Gが設けられることで、この部分の光の入射面203G(すなわち、トレンチ202Gの底面)がP+型半導体領域154に近づいた構成(以下、底上げという)を備える。
【0136】
なお、N-型半導体領域151及びP型半導体領域153における領域280Gと対応する部分には、トレンチ202Gが配置される領域を確保するための段差が設けられている。
【0137】
トレンチ202Gの内部には、例えば、平坦化膜161を介して入射した光を光電変換部21へ導くための光透過膜201Gが設けられてもよい。この光透過膜201Gには、例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜など、可視光や赤外光等を透過する材料が用いられてよい。
【0138】
また、トレンチ202Gの底面(入射面203G)には、半導体基板150の裏面における画素領域の中央、例えば、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154の上方に位置する領域180Bと同様に、規則的又はランダムに配置された複数の凹凸部181が設けられてもよい。
【0139】
2.2 作用・効果
以上のような構成を備えることで、本実施形態によれば、光電変換により発生した電荷の移動距離の差を縮小することが可能となるため、電荷がP+型半導体領域154に取り込まれるまでの時間差に起因した時間的なジッタを低減して測距制度の低下を抑制することが可能となる。
【0140】
その他の構成、動作及び効果は、上述した実施形態又はその変形例と同様であってよいため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0141】
2.3 変形例
なお、上述した第2の実施形態では、半導体基板150の裏面における画素領域の外周部分、例えば、コンタクト層156の上方の領域を底上げし、底上げされた領域280Gと、画素領域の中央、例えば、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154の上方に位置する領域180Bとのそれぞれに凹凸部181を設けた場合を例示したが、底上げする領域及び凹凸部181を形成する領域は、これに限定されない。そこで以下に、トレンチを形成する領域及び凹凸部を形成する領域の変形例について、幾つか例を挙げて説明する。
【0142】
2.3.1 第1変形例
図21は、第1変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。図22は、図21におけるH-H面の断面構造を示す断面図である。なお、図21には、図8と同様に、1つのSPAD画素20における光電変換部21の断面構造例を示すが、実際には、図22に示すように、第一のチップ51には、図21に例示する断面構造を備える光電変換部21が行列状に配列している。また、図21では、第一のチップ51の下面を光の入射面としている。
【0143】
図21及び図22に示すように、本実施形態に係る第一のチップ51は、第1の実施形態の変形例2において図14及び図15を用いて説明した第一のチップ51と同様の断面構造において、半導体基板150の裏面における画素領域の中央、例えば、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154の上方に位置する領域280Hにトレンチ202Hが設けられることで、この部分の光の入射面203H(すなわち、トレンチ202Hの底面)がP+型半導体領域154に近づいた構成(底上げ)を備える。
【0144】
なお、N-型半導体領域151及びP型半導体領域153における領域280Hと対応する部分には、トレンチ202Hが配置される領域を確保するための窪みが設けられている。
【0145】
トレンチ202Hの内部には、第1変形例と同様に、例えば、平坦化膜161を介して入射した光を光電変換部21へ導くための光透過膜201Hが設けられてもよい。この光透過膜201Hには、例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜など、可視光や赤外光等を透過する材料が用いられてよい。
【0146】
また、トレンチ202Hの底面(入射面203H)には、半導体基板150の裏面における画素領域の外周、例えば、コンタクト層156の上方に位置する領域180Cと同様に、規則的又はランダムに配置された複数の凹凸部181が設けられてもよい。
【0147】
2.3.2 第2変形例
図23は、第2変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。図24は、図23におけるJ-J面の断面構造を示す断面図である。なお、図23には、図8と同様に、1つのSPAD画素20における光電変換部21の断面構造例を示すが、実際には、図24に示すように、第一のチップ51には、図23に例示する断面構造を備える光電変換部21が行列状に配列している。また、図23では、第一のチップ51の下面を光の入射面としている。
【0148】
上述した第2変形例では、半導体基板150の裏面における画素領域の外周、たとえば、コンタクト層156の上方に位置する領域180Cと、中央、例えば、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154の上方に位置する領域280Hとの両方に、規則的又はランダムに配置された複数の凹凸部181を設けた場合を例示したが、このような構成に限定されず、例えば、図23及び図24に示すように、領域180Cと領域280Hとのうちの一方に凹凸部181を形成しない構成とすることも可能である。なお、図23及び図24には、領域180Cの凹凸部181が省略された場合が例示されている。
【0149】
2.3.3 第3変形例
図25は、第3変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。なお、図25には、例えば、図19に示す第一のチップ51の断面構造例におけるG-G面と対応する面の断面構造例が示されている。
【0150】
図25に示すように、底上げされる領域280Kは、画素領域を2×2の行列状に分断する十字状の領域であってもよい。なお、凹凸部181は、底上げされた領域280Kに形成されてもよいし、底上げされていない領域(各画素領域における領域280K以外の領域)に形成されてもよいし、これら全ての領域に形成されてもよい。
【0151】
2.3.4 第4変形例
図26は、第4変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。なお、図26には、図25と同様に、例えば、図19に示す第一のチップ51の断面構造例におけるG-G面と対応する面の断面構造例が示されている。
【0152】
図26に示すように、底上げされる領域280Lは、画素領域における四隅であってもよい。なお、凹凸部181は、底上げされた4つの領域280Lそれぞれに形成されてもよいし、底上げされていない領域(各画素領域における領域280L以外の領域)に形成されてもよいし、これら全ての領域に形成されてもよい。
【0153】
2.3.5 第5変形例
図27は、第5変形例に係る第一のチップの断面構造例を示す断面図である。なお、図27には、図25又は図26と同様に、例えば、図19に示す第一のチップ51の断面構造例におけるG-G面と対応する面の断面構造例が示されている。
【0154】
図27に示すように、底上げされる領域280Mは、画素領域の中央、例えば、N+型半導体領域155及びP+型半導体領域154の上方に位置する十字状の領域であってもよい。なお、凹凸部181は、底上げされた領域280Mに形成されてもよいし、底上げされていない領域(各画素領域における領域280M以外の領域)に形成されてもよいし、これら全ての領域に形成されてもよい。
【0155】
以上で説明した第1~第5変形例のように、底上げされる領域は、画素領域の外周、たとえば、コンタクト層156の上方の領域付近に限定されず、種々変形することが可能である。なお、上述した第2の実施形態及びその変形例は、単なる例に過ぎず、種々変形することが可能である。
【0156】
3.応用例
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0157】
図28は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図28に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0158】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。図28では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0159】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0160】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0161】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0162】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0163】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0164】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0165】
ここで、図29は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0166】
なお、図29には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0167】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0168】
図28に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0169】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0170】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0171】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0172】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0173】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0174】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0175】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0176】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0177】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0178】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0179】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0180】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0181】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図28の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0182】
なお、図28に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0183】
なお、図1を用いて説明した本実施形態に係るToFセンサ1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを、いずれかの制御ユニット等に実装することができる。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0184】
以上説明した車両制御システム7000において、図1を用いて説明した本実施形態に係るToFセンサ1は、図28に示した応用例の統合制御ユニット7600に適用することができる。例えば、ToFセンサ1の制御部11、演算部15及び外部I/F19は、統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610、記憶部7690、車載ネットワークI/F7680に相当する。ただし、これに限定されず、車両制御システム7000が図1におけるホスト80に相当してもよい。
【0185】
また、図1を用いて説明した本実施形態に係るToFセンサ1の少なくとも一部の構成要素は、図28に示した統合制御ユニット7600のためのモジュール(例えば、一つのダイで構成される集積回路モジュール)において実現されてもよい。あるいは、図1を用いて説明した本実施形態に係るToFセンサ1が、図28に示した車両制御システム7000の複数の制御ユニットによって実現されてもよい。
【0186】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0187】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0188】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備える
アバランシェフォトダイオードセンサ。
(2)
前記第1光電変換部は、前記第1半導体基板の前記第1面に設けられた第1導電型のカソード領域と、前記第1面に設けられ、前記第1導電型とは反対の第2導電型のアノード領域とを含む前記(1)に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(3)
前記複数の凹凸部は、少なくとも前記カソード領域又は前記アノード領域と前記第1半導体基板の基板厚方向で対応する領域に配列される前記(2)に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(4)
前記第1光電変換部は、アバランジェフォトダイオードである前記(1)~(3)の何れか1項に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(5)
前記第1及び第2素子分離領域それぞれは、反射膜又は高屈折率膜を含む前記(1)~(4)の何れか1項に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(6)
前記第1及び第2素子分離領域それぞれは、前記第1半導体基板を前記第1面から前記第2面にかけて貫通する前記(1)~(5)の何れか1項に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(7)
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記第1及び第2素子分離領域で区画された領域全体に配置されている前記(1)~(6)の何れか1項に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(8)
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記カソード領域と前記第1半導体基板の基板厚方向で対応する領域に配置されている前記(2)に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(9)
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記アノード領域と前記第1半導体基板の基板厚方向で対応する領域に配置されている前記(2)に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(10)
前記素子分離部は、前記第1及び第2素子分離領域とは異なる方向から前記第1光電変換部を区画する第3及び第4素子分離領域をさらに含み、
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記第1~第4素子分離領域で区画された矩形の領域を4つに分割する十字状の領域に配置されている前記(2)に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(11)
前記素子分離部は、前記第1及び第2素子分離領域とは異なる方向から前記第1光電変換部を区画する第3及び第4素子分離領域をさらに含み、
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記第1~第4素子分離領域で区画された矩形の領域における四隅それぞれに配置されている前記(2)に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(12)
前記複数の凹凸部は、前記第2面であって前記カソード領域と前記第1半導体基板の基板厚方向で対応する十字状の領域に配置されている前記(2)に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(13)
前記第1半導体基板の前記第2面であって前記第1及び第2素子分離領域で区画された領域における少なくとも一部には、トレンチが設けられている前記(1)~(12)の何れか1項に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(14)
前記複数の凹凸部は、前記トレンチの底面に設けられている前記(13)に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(15)
前記第1半導体基板は、前記トレンチの底面に設けられた複数の凹凸部をさらに備える前記(13)に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(16)
前記第1半導体基板は、前記トレンチの内部に設けられた光透過膜をさらに備える前記(13)~(15)の何れか1項に記載のアバランシェフォトダイオードセンサ。
(17)
所定波長の光を出射する発光部と、
受光した光から画素信号を生成するアバランシェフォトダイオードセンサと、
前記アバランシェフォトダイオードセンサで生成された画素信号に基づいて物体までの距離を算出する演算部と、
を備え、
前記アバランシェフォトダイオードセンサは、
第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の第1面に接合された第2半導体基板と、
を備え、
前記第1半導体基板は、
行列状に配列する複数の光電変換部と、
前記複数の光電変換部を素子分離する素子分離部と、
を備え、
前記複数の光電変換部は、第1光電変換部を含み、
前記素子分離部は、第1素子分離領域及び第2素子分離領域を有し、
前記第1光電変換部は、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域との間に配置され、
前記第1半導体基板は、前記第1面とは反対側の第2面に配列され、前記第1素子分離領域と前記第2素子分離領域の間に配列された複数の凹凸部をさらに備え、
前記第2半導体基板は、前記光電変換部それぞれに接続された読出し回路を備える
測距装置。
【符号の説明】
【0189】
1 ToFセンサ
11 制御部
13 発光部
14 受光部
15 演算部
19 外部I/F
20 SPAD画素
21 光電変換部
22 読出し回路
23 クエンチ抵抗
24 選択トランジスタ
25 デジタル変換器
251 抵抗
252 NMOSトランジスタ
26 インバータ
261 PMOSトランジスタ
262 NMOSトランジスタ
27 バッファ
30 マクロ画素
40 SPAD加算部
41 パルス整形部
42 受光数カウント部
50 貼合せチップ
51 第一のチップ
52 第二のチップ
80 ホスト
90 物体
131 光源
132 コリメータレンズ
133 ハーフミラー
134 駆動部
135 ガルバノミラー
141 SPADアレイ
142 有効領域
142-1~142-4 SPAD領域
143 タイミング制御回路
144 駆動回路
145 出力回路
146 受光レンズ
150 半導体基板
151 N-型半導体領域
153 P型半導体領域
154 P+型半導体領域
155 N+型半導体領域
156 コンタクト層
157 素子分離部
157A、157B 素子分離領域
158 反射膜
159 絶縁膜
161 平坦化膜
162 オンチップレンズ
163 ピニング層
164 透明絶縁膜
170 配線層
171 絶縁膜
172、176 ビア配線
173、177、191、195 電極パッド
180、180B、180C、180D、180E、180F、280G、280H、280K、280L、280M 領域
181 凹凸部
192、196 端子
201G、201H 光透過膜
202G、202H トレンチ
203G、203H 入射面
AR 測距範囲
L1 レーザ光
L2 反射光
LD 画素駆動線
LS 出力信号線
SR 画角
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