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特許7520808高レベルの塩化物塩を有する石膏からの石膏ボードおよびそれに関連する有孔シートおよび方法
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  • 特許-高レベルの塩化物塩を有する石膏からの石膏ボードおよびそれに関連する有孔シートおよび方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】高レベルの塩化物塩を有する石膏からの石膏ボードおよびそれに関連する有孔シートおよび方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 2/04 20060101AFI20240716BHJP
   E04C 2/26 20060101ALI20240716BHJP
   E04F 13/14 20060101ALI20240716BHJP
   C04B 28/14 20060101ALI20240716BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20240716BHJP
   E04B 2/76 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
E04C2/04 E
E04C2/26 P
E04F13/14
C04B28/14
B28B1/30
E04B2/76
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021506551
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019046091
(87)【国際公開番号】W WO2020036839
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】62/718,647
(32)【優先日】2018-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/401,675
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】ヘンプヒル、マーク
(72)【発明者】
【氏名】リ、チンファ
(72)【発明者】
【氏名】コクラン、チャールズ、ダブリュー.
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-504795(JP,A)
【文献】特開2003-053714(JP,A)
【文献】特開昭50-015810(JP,A)
【文献】特開平06-042145(JP,A)
【文献】米国特許第03382636(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0141304(US,A1)
【文献】特表2013-518803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/04,2/26
E04F 13/14
E04B 2/74-2/76
C04B 28/14
B28B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏ボードであって、
凝結石膏を含むボードコア層、
外面および内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第1の面に接触する前側紙カバーシート、および
外面および内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第2の面に接触する有孔の後側紙カバーシートを含み、
前記ボードコア層は、前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートとの間に配置されており、前記後側紙カバーシートは、これを貫通した複数の孔を含み、前記前側紙カバーシートは、複数の孔を含まず、
前記ボードコア層は、前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートとの間における水およびスタッコを含む水性スラリーの凝結から生じ、前記スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、前記水性スラリーは、
乾燥ベースにおける少なくとも80重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、
1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり500重量部~1500重量部の塩化物アニオン、および
0.7:1~1.2:1の、前記水と前記硫酸カルシウム半水和物との重量比における前記水を含み、
前記後側紙カバーシートは、5孔/in~50孔/inの範囲の孔被覆密度を有する、石膏ボード。
【請求項2】
前記水性スラリーは、乾燥ベースにおける少なくとも90重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物を含み、
各孔は、最大横方向寸法において、0.01インチ~0.02インチのサイズの範囲の開口部を規定する、請求項1記載の石膏ボード。
【請求項3】
各孔は、最大横方向寸法において、0.005インチ~0.1インチのサイズの範囲の開口部を規定する、請求項1記載の石膏ボード。
【請求項4】
前記後側紙カバーシートは、12孔/in~25孔/inの範囲の孔被覆密度を有する、請求項記載の石膏ボード。
【請求項5】
前記凝結石膏は、1つ以上の塩化物塩を含む合成石膏から形成されており、前記塩化物塩は、前記塩化物アニオンの少なくとも一部を提供する、請求項1記載の石膏ボード。
【請求項6】
前記水性スラリーが、1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり600重量部~800重量部の前記塩化物アニオンを有する、請求項1記載の石膏ボード。
【請求項7】
請求項1記載の石膏ボードを製作する方法であって、
水およびスタッコの混合物を含む水性スラリーを調製することであって、前記スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、前記水性スラリーは、乾燥ベースにおける少なくとも80質量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり500重量部~1500重量部の塩化物アニオン、および0.7:1~1.2:1の、前記水と前記硫酸カルシウム半水和物との重量比における前記水の混合物を含む、前記水性スラリーを調製することと、
前側紙カバーシートと後側紙カバーシートとの間に水性スラリーを配置することであって、前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートはそれぞれ内面および外面を有し、前記後側紙カバーシートは、貫通した複数の孔を含み、前記水性スラリーは、前記前側紙カバーシートおよび前記後側紙カバーシートの内面に接触し、前記後側紙カバーシートは、5孔/in~50孔/inの範囲の孔被覆密度を有する、前記水性スラリーを配置することと、
ボードコア層を形成するために前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートとの間の前記水性スラリー内の前記硫酸カルシウム半水和物を凝結させ、これにより、前記ボードコア層を含むパネルを形成することと、
前記パネルを乾燥させ、切断して、前記石膏ボードを形成することと、を含む、方法。
【請求項8】
壁板穿孔装置によって前記後側紙カバーシートに複数の孔を導入することをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記後側紙カバーシート用の紙がローラーから供給され、前記後側紙カバーシートが前記水性スラリーと接触する前に前記後側紙カバーシートに複数の孔が存在する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
壁フレーミングと請求項1記載の少なくとも1つの石膏ボードとを含み、
前記後側紙カバーシートが前記壁フレーミングと接触し且つ前記前側紙カバーシートの前記外面が前記壁フレーミングとは反対側を向くように前記少なくとも1つの石膏ボードが前記壁フレーミングに取り付けられている、壁システム。
【請求項11】
前記水性スラリーは、乾燥ベースにおける少なくとも90重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物を各孔は、最大横方向寸法において、0.01インチ~0.02インチのサイズの範囲の開口部を規定し、前記後側紙カバーシートは、15孔/in ~20孔/in の範囲の孔被覆密度を有する、請求項1記載の石膏ボード。
【請求項12】
前記水性スラリーは、乾燥ベースにおける少なくとも90重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物を孔は、前記後側紙カバーシートの表面の0.5~5%である、請求項11記載の石膏ボード
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成石膏、および高塩化物塩濃度を有する他の石膏源から形成された石膏ボードに関する。本発明はまた、有孔後側カバーシートを備えない石膏ボードと比較して、後側カバーシートへのボードコア層(石膏コア)の接着を改善するために少なくとも有孔後側カバーシートを備える石膏ボードを調製する方法、および石膏ボードを使用するための壁システムを提供する。
【背景技術】
【0002】
建物の建設において、建設および改造のためのより一般的な建築要素の1つは、しばしば乾式壁、石膏ボード、石膏パネル、石膏パネリング、および天井タイルとして公知の石膏壁板である。化学用語では、石膏は、硫酸カルシウム二水和物(CaSO・2HO)である。
【0003】
凝結石膏(硫酸カルシウム二水和物)は、そのような製品に使用されるよく知られた材料である。凝結石膏を含むパネルは、しばしば石膏ボードと呼ばれ、石膏ボードは、2枚のカバーシート、特に紙カバーシートの間に挟まれたボードコア(凝結石膏コア)層を含む。このようなパネルは、建物の内壁および天井の乾式壁の建設に一般的に使用される。しばしば「スキムコート」と呼ばれる1つ以上のより密度の高い領域が、ボードコアのいずれかの面、通常はボードコア層と、カバーシートまたは内面との間の境界面(結合面)に層として含まれる場合がある。より密度の高い領域は、石膏の凝結の後、石膏コアのより密度の低い領域と隣接している場合がある。
【0004】
石膏ボードの製造中に、水性石膏スラリーを形成するために、スタッコ(硫酸カルシウム半水和物を含む)、水、および必要に応じて他の成分が、通常はミキサにおいて混合される場合がある。水性石膏スラリーまたは水性スラリーまたは石膏スラリーという用語は、通常、硫酸カルシウム半水和物が硫酸カルシウム二水和物に変換される前および後の両方のスラリーに使用される。石膏スラリーは、形成され、ミキサから、任意でスキムコートを有する第1のカバーシートを運ぶ移動コンベヤ上へ排出される。存在する場合、スキムコートは、石膏スラリーが最初のカバーシート上に排出される場所の上流において適用される。石膏スラリーを第1のカバーシートに適用した後、所望の厚さを有するサンドイッチアセンブリを形成するために、やはり任意でスキムコートを有する第2のカバーシートが石膏スラリーに適用される。成形プレート、ローラーなどが、所望の厚さを設定するのを助ける場合がある。次に、石膏スラリーは、結晶性水和石膏(すなわち、凝結石膏としても知られる硫酸カルシウム二水和物)のマトリックスを形成するために、焼石膏と水との反応を介して、凝結(すなわち、再水和)石膏を形成することによって、硬化させられる。焼石膏の所望の水和は、凝結石膏結晶のインターロッキングマトリックスの形成を促進し、これにより、石膏ボードに強度を付与する。残りの遊離(すなわち、未反応)水を追い出し、乾燥生成物を得るために、(例えば、窯内で)熱が加えられる場合がある。次に、所望の長さの石膏ボードを形成するために、凝結石膏製品が切断される。
【0005】
壁板での使用に適した石膏(硫酸カルシウム二水和物および不純物)は、天然資源と合成資源の両方から入手される場合があり、その後、さらに処理される。
【0006】
天然石膏は、半水和物の形態を生成するために、その硫酸カルシウム二水和物をか焼することによって使用される場合がある。天然資源からの石膏は天然に存在する鉱物であり、岩の形態で採掘することができる。天然に存在する石膏は、古い塩湖層、火山堆積物、および粘土層に通常見られる鉱物である。採掘されるとき、生の石膏は一般に二水和物の形態で発見される。石膏は、硫酸カルシウム二水和物、テラアルバまたはランドプラスターとしても知られている。この材料は、さまざまな工業プロセスの副産物としても生成される。たとえば、合成石膏は、発電所からの排煙脱硫プロセスの副産物である。石膏には、硫酸カルシウムの各分子に関連する約2つの水分子の水が存在する。
【0007】
プラスター・オブ・パリスは、焼石膏、スタッコ、硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム半水和物、または硫酸カルシウム半水和物としても知られている。
【0008】
いずれかのソースからの硫酸カルシウム二水和物が、焼成またはか焼と呼ばれるプロセスにおいて十分に加熱されると、水和水は少なくとも部分的に追い出され、温度と曝露時間に応じて、硫酸カルシウム半水和物(CaSO・1/2HO)(一般に「スタッコ」と呼ばれる材料において提供される)または硫酸カルシウム無水石膏(CaSO)を形成することができる。本明細書で使用される場合、「スタッコ」および「焼石膏」という用語は、そこに含まれる場合がある硫酸カルシウムの半水和物および無水石膏の両方の形態を指す。半水和物形態を生成するための石膏のか焼は、次の式によって行われる。
CaSO・2HO→CaSO・0.5HO+1.5H
【0009】
焼石膏は、水と反応して硫酸カルシウム二水和物を形成することができ、この硫酸カルシウム二水和物は、剛性製品であり、本明細書では「凝結石膏」と呼ばれる。
【0010】
石膏はまた、例えば、発電所からの排煙脱硫などの工業プロセスの副産物として合成的に得られる場合がある(当技術分野では「シンジプ」と呼ばれる)。天然石膏または合成石膏を、典型的には150℃より高い高温でか焼することができ、これにより、スタッコ(すなわち、硫酸カルシウム半水和物および/または硫酸カルシウム無水石膏の形態の焼石膏)を形成し、スタッコは、引き続き、ボードなどの所望の形状に凝結石膏を形成するために再水和が行われる場合がある。
【0011】
発電所から得られる合成石膏は、通常、建設プロジェクト向けの石膏パネルでの使用に適している。合成石膏は、発電所からの排煙脱硫プロセスの副産物である(脱硫石膏またはデサルフォジプサムまたはDSGとしても知られる)。特に、二酸化硫黄を含む排煙は、石灰または石灰石で湿式洗浄され、石灰または石灰石は、次の反応において亜硫酸カルシウムを生成する。
CaCO+SO→CaSO+CO
次に、亜硫酸カルシウムは次の反応で硫酸カルシウムに変換される。
CaSO+2HO+1/2O→CaSO・2H
次に、半水和物の形態は、天然石膏に使用されるのと同様の方法でか焼によって生成される場合がある。
【0012】
しかし、多くの従来の石炭火力発電所は、より環境に優しいエネルギー源を優先して閉鎖されている。石炭火力発電所の閉鎖により、石膏パネルの製造に適した合成石膏がますます不足している。低品質の合成石膏は、発電所やその他の代替源から入手できるが、この代替源からの石膏はしばしば、かなり高い濃度の外来塩、特にマグネシウムまたはナトリウム塩、特に塩化マグネシウムおよび塩化ナトリウムを含む。少量の塩化カリウムおよび塩化カルシウムも、代替源からの合成石膏に存在する場合がある。外来塩は、ボードコアと、カバーシート、特に後側紙カバーシートとの間の接着力を低下させる傾向があるため、問題となる可能性がある。
【0013】
この背景技術の記載は、読者を補助するために発明者らによってなされており、従来技術の引用でも、示された課題のうちのいずれもそれ自体が当該技術分野において認識されたことを示すものでもないことが認識されるであろう。記載される原理は、いくつかの点および実施形態では、他のシステムに固有の問題を軽減できるが、保護される技術革新の範囲は、本明細書に記述される任意の特定の問題を解決する特許請求の発明の能力によってではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、かなりの量の外来塩、特に塩化物塩、より具体的にはNaCl、KCL、MgClおよび/またはCaClが存在する場合でさえ、ボードコア層と、1つ以上のカバーシート、特に後側紙カバーシートとの間に著しい接着を有する石膏ボードに関する。塩含有石膏源、特に低品質の合成石膏から石膏ボードを製造するための方法が提供される。ボードコア層と後側カバーシートとの間の改善された接着は、後側カバーシート、特に後側紙カバーシートに複数の孔を導入することによって実現される場合がある。
【0015】
したがって、一態様では、本発明は、凝結石膏と、NaCl、KCl、MgCl、CaCl、およびそれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択される1つ以上の塩化物塩とを含むボードコア層を含む石膏ボードを提供する。
特に、本発明は、石膏ボードであって、
凝結石膏を含むボードコア層、
外面および内面を有し、内面がボードコアの第1の面に接触する前側紙カバーシート、および
外面および内面を有し、内面がボードコア層の第2の面に接触する後側紙カバーシート層を含み、
ボードコア層は、前側紙カバーシートと後側紙カバーシートとの間に配置されており、後側紙カバーシートは、これを貫通した複数の孔を含み、
ボードコア層は、第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間における水およびスタッコを含む水性スラリーの凝結から生じ、スタッコは硫酸カルシウム半水和物および1つ以上の塩化物塩を含み、水性スラリーは、
乾燥(水を含まない)ベースでの、少なくとも60質量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、
1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの塩化物アニオン、および
0.2:1~1.2:1の、水と硫酸カルシウム半水和物との重量比における水を含む、石膏ボードを提供する。
【0016】
外面および内面を有する前側紙カバーシートの内面は、ボードコア層の第1の面に接触している。外面および内面を有する後側紙カバーシートの内面も、ボードコア層の第2の面に接触している。後側紙カバーシートは、それを貫通した複数の孔を有する。より具体的には、石膏ボードが取り付けられると、後側紙カバーシートの外面が壁に取り付けられる場合があり、石膏ボードが取り付けられると、前側カバーシートの外面が壁から外側を向く場合がある。カバーシートの一方または両方は、同じまたは異なる紙材料である場合がある紙カバーシートを含む場合がある。
【0017】
硫酸カルシウム半水和物は、本発明の堆積された水性スラリー中に、水性スラリーの乾燥(水を含まない)材料の少なくとも60質量%の量で存在する。好ましくは、硫酸カルシウム半水和物は、水性スラリーの乾燥(水を含まない)材料の少なくとも70質量%、より好ましくは、水性スラリーの乾燥(水を含まない)材料の少なくとも80質量%である。本発明の典型的な壁板配合物では、水性スラリーの乾燥(水を含まない)材料は、少なくとも90質量%または少なくとも95質量%の硫酸カルシウム二水和物を有する。硫酸カルシウム無水石膏の使用も考えられるが、好ましくは、水性スラリーの乾燥(水を含まない)材料の20質量%未満の少量で使用される。
【0018】
同様に、硫酸カルシウム二水和物は、水性スラリーを凝結させた結果として生じる本発明の石膏ボードのボードコア層に存在し、コアの少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも70質量%、より好ましくは少なくとも80質量%である。典型的な壁板配合物では、水性スラリーの乾燥(水を含まない)材料は、少なくとも90質量%または少なくとも95質量%の硫酸カルシウム二水和物を有する。
【0019】
本発明の1つ以上の他の態様では、本発明は、ボードコア層内にかなりの量の1つ以上の外来塩を有する石膏ボードを調製するための方法を提供する。石膏ボードは、1つまたは複数の外来塩が存在する場合でも、ボードコア層と後側カバーシートの間にかなりの接着を示す場合がある。この方法は、カバーシート孔を有さない石膏ボードと比較して、後側カバーシートへのボードコア層の接着を改善するために、貫通した複数の孔を有する後側カバーシートを備えた石膏ボードを調製する。
【0020】
本発明の方法は、
水およびスタッコの混合物を含む水性スラリーを調製することを含み、前記スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、前記水性スラリーは、
乾燥ベースにおける少なくとも60質量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、
1,000,000重量部(pbw)の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの塩化物アニオン、および
0.2:1~1.2:1の、水と硫酸カルシウム半水和物との重量比における水を含む、混合物を含み、
前側紙カバーシートと後側紙カバーシートとの間に水性スラリーを配置することを含み、各紙カバーシートは内面および外面を有し、水性スラリーは、前側紙カバーシートおよび後側紙カバーシートの内面に接触し、
後側紙カバーシートは、これを貫通した複数の孔を含み、
硫酸カルシウム二水和物を含むボードコア層を含むパネルを形成するために前記硫酸カルシウム半水和物を凝結させることを含み、
パネルを乾燥させ、パネルを1つ以上の所定の寸法を有する石膏ボードに切断することを含む。
1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの塩化物アニオンとは、1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物に対して、存在する塩化物アニオンの量が約500ppm~約3000ppmであることを意味する。
【0021】
本発明の石膏ボード製品を製作しかつ本発明の方法を実行するために使用される水性スラリー中の塩化物アニオンの濃度は、1,000,000重量部の硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppm、典型的には約500ppm~約2000ppm、より典型的には1,000,000重量部の硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約1500ppmの範囲である場合がある。
【0022】
本発明の製品および方法に使用される水性スラリー中の塩化物アニオンは、あらゆる供給源から発生する場合がある。一般に、1つ以上の塩化物塩は、本発明のボードコアを形成するために使用される石膏源に存在する。石膏源は、合成石膏源、特に発電所の排煙流から得られる低品質の合成石膏である場合がある。したがって、一般に、塩化物アニオンの供給源は、水性スラリーを作製するために使用されるスタッコ中の1つ以上の塩化物塩である。塩化物アニオンは、スタッコが水性スラリーにおいて使用される場合、スタッコ中の1つ以上の塩化物塩の塩化物原子に由来する。通常、1つ以上の塩化物塩は、NaCl、KCl、MgCl、CaClのいずれか、またはそれらのあらゆる組み合わせである。ただし、塩化物アニオンは、石膏スラリーを作製するために使用される水の中の、1つ以上の塩化物塩などの不純物から発生する場合がある。
【0023】
通常、水性石膏スラリーは、乾燥(水を含まない)ベースで、10質量%未満のポルトランドセメントまたは他の水硬性セメントを有し、より通常は、これらを有さない。通常、水性石膏スラリーは、乾燥(水を含まない)ベースで、10質量%未満のフライアッシュを有し、より通常は、これを有さない。通常、水性石膏スラリーは、乾燥(水を含まない)ベースで、10質量%未満の炭酸カルシウムを有し、より通常は、これを有さない。
【0024】
この開示の目的のために、乾燥ベースは水を含まないベースである。
【0025】
本明細書で使用されるすべての平均分子量、パーセンテージ、および比率は、別段の定めがない限り、質量による(すなわち、質量%)。
【0026】
本発明の1つ以上の他の態様では、本発明は、本発明の少なくとも1つの石膏ボードが取り付けられたフレーミングを含む壁システムを提供し、前側カバーシートの外面はフレーミングとは反対側を向いている。壁システムでは、石膏ボードは建物の内壁または天井にある場合がある。通常、フレーミングは木製または金属製である。通常、少なくとも1つの石膏ボードは、ねじ、釘、接着剤、またはその他の機械的留め具のいずれか1つ以上によってフレーミングに取り付けられる。
【0027】
本発明の利点は、実施例および添付の特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明の検討から、当業者に明らかになる場合がある。しかしながら、本発明は様々な形態を許容する一方、本開示は例示的なものとして意図されており、本発明を限定することを意図するものではないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ボードコア層(石膏コア)が前側カバーシートと後側カバーシートとの間に挟まれており、後側カバーシートが、貫通した複数の孔を含む、本発明の石膏ボードの断面図を示す。
図2】後側カバーシートにおける複数の孔の配列をよりよく見ることができる、図1の石膏ボードの平面図(軸方向の図)を示す。
図3】本発明の例示的な壁システムおいて使用するのに適した金属スタッド壁の片面に取り付けられた本発明の石膏ボードの斜視図を示す。
図4】貫通した複数の孔を有する後側カバーシートの写真を示す。
図5】後側カバーシートに孔を有する12インチ×12インチ×1/2インチの石膏ボードおよび後側カバーシートに孔を有さない12インチ×12インチ×1/2インチの石膏ボードにおけるボードコア層への接着に対する様々な塩の効果を実証する写真を示す。
図6】後側カバーシートに孔を有する12インチ×12インチ×1/2インチの石膏ボードおよび後側カバーシートに孔を有さない12インチ×12インチ×1/2インチの石膏ボードにおけるボードコア層への接着に対する様々な塩の効果を実証する写真を示す。
図7】後側カバーシートに孔を有する12インチ×12インチ×1/2インチの石膏ボードおよび後側カバーシートに孔を有さない12インチ×12インチ×1/2インチの石膏ボードにおけるボードコア層への接着に対する様々な塩の効果を実証する写真を示す。
図8】後側カバーシートに孔を有する12インチ×12インチ×1/2インチの石膏ボードおよび後側カバーシートに孔を有さない12インチ×12インチ×1/2インチの石膏ボードにおけるボードコア層への接着に対する様々な塩の効果を実証する写真を示す。
図9】百万部分の硫酸カルシウム半水和物あたり、NaClからの30ppmのClを含有する12インチ×12インチ×1/2インチの石膏ボードにおける孔の効果を示すために、穿孔されたカバーシートを有する本発明のボードを、穿孔されていないカバーシートを有するボードと比較する写真を示す。
【0029】
本発明は、石膏ボードのボードコア層に比較的大量の外来塩を含む石膏を使用する能力を提供する。通常の状況下では、ボードコア層中の高い塩濃度は、ボードコア層と、前側カバーシートおよび後側カバーシートのうちの少なくとも一方、特に後側カバーシートとの間の不十分な接着をもたらす場合がある。
【0030】
驚くべきことに、石膏ボードの後側カバーシートの孔は、大量の外来塩を含むボードコア層への接着を改善する場合がある。ボードコア層は、硫酸カルシウム半水和物および大量の外来塩、特に塩化物塩を含むスタッコの水性スラリーから作製される場合がある。カバーシートの一方または両方は、同じまたは異なる紙材料でる場合がある紙カバーシートである場合がある。任意で、石膏ボードの前側カバーシートが穿孔される場合があり、これにより同様の利点が可能である。さらに任意で、ボードコア層、またはボードコア層を形成するために使用される石膏スラリー中に、様々な添加剤が存在する場合がある。ボードコア層は、前側カバーシートまたは後側カバーシートの内面と接触しかつそれらの上にコーティングされた1つ以上の高密度領域(層)をさらに含む場合がある。1つ以上の高密度領域は、ボードコア層の低密度内部と接触している場合がある。
【0031】
理論またはメカニズムに拘束されることなく、後側カバーシートにおける孔は、ボードコア層から放出された塩化物塩の外方への移動のための導管を提供すると考えられ、さもないと、塩化物塩は、ボードコア層とカバーシートとの間の界面において有害に凝集する。代わりに、孔が存在する場合、塩化物イオンおよびその対イオン(すなわち、Na、K、Mg2+および/またはCa2+)は、少なくとも部分的に功を通って移動し、潜在的に石膏ボード環境から出る場合がある。あるいは、塩は、後側カバーシートの外面における孔内または孔のすぐ外側に析出する場合がある。孔の外側における塩析出により、紙とコアとの間の「正味の塩」が減少し、したがって、界面に存在する塩が少なくなり、紙対コアの良好な結合が生じる。いずれの場合も、ボードコア層とカバーシートの間の向上した接着が生じる場合がある。
【0032】
石膏ボードの後側カバーシートが本明細書に記載の形式で穿孔されている場合、石膏ボードは、同じであるが、カバーシートの孔を有さない石膏ボードと比較して、ボードコア層とカバーシートとの間の改善された接着から利益を得る場合がある。したがって、本発明は、ボードコア層にかなりの量の外来塩を含む石膏ボード、およびかなりの量の外来塩を含む石膏源を使用してそのような石膏ボードを製造するための方法を提供する。したがって、複数の孔を備える石膏ボードのカバーシートのうちの少なくとも一方、特に後側カバーシートの孔は、過剰な外来塩、特に塩化物塩を含有する低品質石膏源が、石膏ボードを形成する際に使用されることを許容する場合がある。そうでなければ、そのような石膏源は、ボードコア層とカバーシートとの間に十分な接着力を有する石膏ボードを形成するのに不適切である場合がある。有利には、本発明はこの問題に対処する。
【0033】
石膏ボード
図1は、石膏コア(ボードコア層)12(例えば、厚さ0.5インチ)が、それぞれ単層または多層の紙であってもよいバッカー紙カバーシート(後側カバーシート)14とフェイサー紙カバーシート(前側カバーシート)18との間に挟まれている本発明の壁板パネル(石膏ボード)10の断面図を示す。後側紙カバーシート(後側カバーシート)14は、孔20を有する。バッカー紙カバーシート14の内面は、石膏コア12に面するバッカー紙カバーシート14の結合面24を形成している。フェイサー紙カバーシート18の内面は、石膏コア12に面する結合面28を形成している。バッカー紙カバーシート14の外面は、壁板パネル10が内壁として設置された後、部屋の壁フレーミング(図3を参照)に面する。壁板パネル10を内壁として設置した後、フェイサー紙カバーシート18の外面が室内に面する。
【0034】
バッカー紙カバーシート(後側カバーシート)14は、本発明による貫通した複数の孔20を含む。図2は、壁板パネル10の平面(軸方向)図を示しており、後側紙カバーシート14内に孔20の例示的な構成が見られる場合がある。図示のように、孔20は、列および行の規則的な配列にパターン化されている。孔20の他のパターン化された配置も本発明の範囲内に存在し、孔20の描写された数、間隔、および被覆密度は、限定的であると見なされるべきではないことを認識されたい。
【0035】
バッカー紙カバーシート14内の孔20は、驚くべきことに、石膏コア12とバッカー紙カバーシート14との間の結合性能を向上させる。改善された結合性能は、石膏コア12を形成するために使用される石膏が高い塩濃度を有する場合に特に明白である可能性がある。
【0036】
任意の薄くて密度の高い石膏層(低密度領域)22は、石膏コア12とフェイサー紙カバーシート18との間に存在し、石膏コア12およびフェイサー紙カバーシート18と接触する。したがって、薄くて密度の高い層22は、石膏コア12とフェイサー紙カバーシート18との間に挿入されている。別の任意の薄くて密度の高い石膏層(図示せず)は、石膏コア12とバッカー紙カバーシート14との間に挿入される場合がある。一般に、石膏コア12および薄くて密度の高い石膏層22は、同じ組成を有し、互いに隣接している。集合的に、石膏コア12および薄くて密度の高い石膏層22は、石膏ボード10の内部を規定する場合があり、石膏コア12は、低密度領域または層であり、薄くて密度の高い石膏層22は、比較的高密度領域または層である。通常、石膏コア12を形成するために使用される水性石膏スラリーは発泡される。したがって、低密度領域は、発泡状態の石膏スラリーから形成される場合がある。対照的に、薄くて密度の高い石膏層22を形成するために使用される水性石膏スラリーは発泡されていない。したがって、高密度領域は、発泡されていない石膏スラリーから形成される場合がある。したがって、薄くて密度の高い石膏層22は、石膏コア12の他の部分よりも比較的密度が高い。
【0037】
したがって、高密度領域は、低密度領域よりも、それに関連したより低い空隙率を有する場合がある。通常、薄くて密度の高い石膏層22は、選択されたカバーシートの内面に適用される。存在する場合、薄くて密度の高い石膏層22が、カバーシートと低密度領域(石膏コア12)との間に挿入されている。
【0038】
特定の量の1つ以上の塩化物塩が、本開示による石膏コア12に存在する場合がある。高密度領域(薄くて密度の高い石膏層22)が含まれる場合、1つ以上の塩化物塩もその中に存在する場合がある。一般に、1つ以上の塩化物塩は、NaCl、KCl、MgCl、CaClおよびそれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択される場合がある。
【0039】
石膏ボード12、および存在するならば高密度領域(薄くて密度の高い石膏層22)を製作するために使用される水性スラリーにおける塩化物アニオンの濃度は、1,000,000重量部の硫酸カルシウム半水和物あたり、約500ppm~約3000ppm、通常は約500ppm~約2000ppm、より通常は、1,000,000重量部の硫酸カルシウム半水和物あたり、約500ppm~約1500ppmの範囲でる場合がある。
【0040】
塩が孔を通過することにより、元の水性石膏スラリーからの塩の一部は、コア12、および存在する場合、高密度領域(薄くて密度の高い石膏層22)に残っていない場合があるが、孔のポアまたは紙シートの外側に存在する場合がある。
【0041】
製造方法
硫酸カルシウム半水和物および大量の塩化物塩を含む水性石膏スラリーから本発明の石膏ボードを調製するために様々な方法を使用することができる。しかしながら、従来の石膏源の代わりに、上記のように、1つ以上の塩化物塩を含む石膏源が、製造プロセスにおいて代用される場合がある。
【0042】
石膏壁板および他の石膏製品を製造するための基材は、硫酸カルシウムの水和物形態(CaSO)の熱変換(か焼)によって製造される「焼石膏」または「スタッコ」と一般に呼ばれる、硫酸カルシウムの半水和物形態(CaSO・1/2HO)である。
【0043】
本発明は、石膏ボードを作製するための方法であって、
水およびスタッコの混合物を含む水性スラリーを調製することを含み、前記スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、前記水性スラリーは、
乾燥ベースにおける少なくとも60質量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、
1,000,000重量部(pbw)の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの塩化物アニオン、および
0.2:1~1.2:1の、水と硫酸カルシウム半水和物との重量比における水を含む、混合物を含み、
前側紙カバーシートと後側紙カバーシートとの間に水性スラリーを配置することを含み、各紙カバーシートは内面および外面を有し、水性スラリーは、前側紙カバーシートおよび後側紙カバーシートの内面に接触し、
後側紙カバーシートは、これを貫通した複数の孔を含み、
硫酸カルシウム二水和物を含むボードコア層を含むパネルを形成するために前記硫酸カルシウム半水和物を凝結させることを含み、
パネルを乾燥させ、パネルを1つ以上の所定の寸法を有する石膏ボードに切断することを含む。
【0044】
本発明による石膏ボードを形成するのに適した例示的な製造技術および装置は、例えば、米国特許第7,364,676号および米国特許出願公開第2010/0247937号に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。簡単に言えば、そのようなプロセスは、移動するコンベヤにカバーシートを排出することを含む場合がある。石膏ボードは通常「裏返し」で形成されるため、このカバーシートは、製造プロセスの完了時にフェイサー紙カバーシート18に対応する。石膏スラリーは、カバーシート上に配置するためのあらゆる適切な水/硫酸カルシウム半水和物比で製作することができる。
【0045】
石膏ボードを製造するために、スタッコを水および添加剤と混合して水性スラリーを形成し、水性スラリーは、ボードマシン上の紙の連続層の間に連続的に供給される。一方の紙カバーシートはフェイス紙シートまたはフェイサーと呼ばれ、他方の紙カバーシートは後側紙シートまたはバッカーと呼ばれる。パネルを形成するためにボードがコンベヤに沿って移動するとき、硫酸カルシウムが再結晶化または再水和し、元の岩の状態に戻る。石膏が凝結するとき、紙は化学的および機械的にボードコア層に結合される。次に、パネルは、所定の長さに切断され、あらゆる自由水分を除去するために乾燥機に通過させられる。
【0046】
石膏スラリーの乾燥成分および/または湿潤成分がミキサ(例えばピンミキサ)に供給され、ミキサにおいて撹拌され、石膏スラリーを形成する。ミキサは、本体と、排出導管(例えば、当技術分野において公知のゲート-キャニスタ-ブート配列、または参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,494,609号および同第6,874,930号に記載のような代替的な配列)とを備える。いくつかのプロセス構成では、排出導管は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0168527号および第2012/0170403号に記載のような、単一の供給入口または複数の供給入口のいずれかを備えたスラリー分配器を含む場合がある。複数の供給入口を備えるスラリー分配器を使用する場合、排出導管は、米国特許出願公開第2012/0170403号に記載のような適切なフロースプリッタを含むことができる。発泡剤(一般に石けん)は、望まれるならばミキサの排出導管(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,683,635号および第6,494,609号に記載のようなゲート)または本体において加えることができる。発泡剤を含む、全ての成分が加えられた後に排出導管から排出されるスラリーは、一次石膏スラリーであり、ボードコアを形成するために使用される。この石膏スラリーは、移動する前側カバーシート上に排出される。
【0047】
混合後、水性スラリーは、任意で、製品密度を低下させるために加えられた泡を有する。泡は、石けんと水を組み合わせることによって生成される。次に、泡は、ホースまたはシュートを通ってミキサから出た後、水性スラリーに注入される。泡リングは、ホースの軸線に対して垂直なリングに配置された複数のポートを有する装置であり、水性スラリーが泡リングを通過するときに、泡が圧力下で水性スラリーに押し込まれる。泡は通常、密度の低いコア層のスラリーの部分に加えられるが、スキムコートのスラリーの部分には加えられない。
【0048】
泡およびスラリーが合わされると、結果として生じるスラリーは、前側カバーシート(例えば、フェイサー紙カバーシート18)であるフェーシング材料の第1のピースで裏打ちされたコンベヤに向かって移動し、コンベヤ上に注がれる。穿孔された後側紙カバーシート(バッカー紙カバーシート14)であるフェーシング材料の別のピースがスラリーの上側に配置され、2つのフェーシング材料の間にスラリーを備えるサンドイッチアセンブリを形成する。サンドイッチアセンブリは成形プレートに供給され、その高さがボードの厚さを決定する。次に、連続的なサンドイッチアセンブリは、カッティングナイフで適切な長さ、通常は8フィート~12フィートに切断される。この処理中に、スラリーは硬化(凝結)させられ、凝結石膏のインターロッキング結晶マトリックスを含むボードコアを形成する。
【0049】
その後、ボードは乾燥のために窯に移動させられる。窯内の温度は通常、最高450°F~500°Fの範囲である。好ましくは、窯内に3つ以上の温度ゾーンが存在する。湿ったボードによって接触される最初のゾーンでは、温度が最高温度まで上昇するが、最後の2つのゾーンでは温度がゆっくりと低下する。最初のゾーン用のブロワーはゾーンの出口に配置されており、ボードの進行方向に対して逆流で空気を吹き込む。第2および第3のゾーンでは、ブロワーはゾーンの入口に配置されており、ボードの移動と並流で熱風を送る。最後のゾーンでのより強くない加熱は、ボードの乾燥した領域のか焼を防ぎ、紙の結合不良を引き起こす。窯での通常の滞留時間は約40分であるが、ライン容量、ボードの湿り具合および他の要因に応じて時間は変化する。
【0050】
上記のように、石膏ボードにおけるカバーシートの一方または両方は、任意で、スキムコートとしても知られるボードコア層の高密度の領域または層と界面接触する場合がある。スキムコートは、凝結後、ボードコア層と隣接している場合がある。泡が排出導管に挿入される場合、スキムコートを形成するためのスラリーを提供するために、二次石膏スラリーの流れを、発泡の前にミキサ本体から除去することができる。存在する場合、ボードコアを形成するための石膏スラリーの主要部分が堆積させられる前にスキムコートが移動する前側カバーシート上に堆積させられる場合がある、スキムコートの堆積は通常、ミキサの上流で生じる。排出導管から排出された後、石膏スラリーは、必要に応じて、前側カバーシート(任意で、スキムコートを有する)上に広げられる。この時点で、広げられた石膏スラリーは、後側カバーシートに対応する場合がある第2のカバーシートと接触させられる。得られたウェットアセンブリは、最終的な石膏ボード製品の前身であるサンドイッチアセンブリの形態である。後側カバーシートは、任意で第2のスキムコートを有する場合があり、第2のスキムコートは、存在するならば前側カバーシート上のスキムコートの場合のように同じまたは異なる二次石膏スラリーから形成することができる。
【0051】
凝結した石膏コアスラリーから結果として生じた石膏コア(例えば、図1の石膏コア12)は、一般に、0.25インチ~1.5インチの厚さおよび15~55ポンド/立方フィートの密度を有する。発泡した場合、凝結した発泡石膏スラリーから結果として生じた石膏コア層は、10~92体積パーセント、特に25~90体積パーセント、より具体的には30~85体積パーセントの合計空隙体積を有する。対照的に、結果として生じたスキム層は、存在する場合、30体積パーセント未満の合計空隙体積を有する。
【0052】
後側カバーシートが石膏スラリーと接触する前に、後側カバーシート(後側紙カバーシート)が穿孔される場合がある。後側カバーシートは、孔が既に存在する状態で製造業者から調達/取得される場合があるか、または後側カバーシートを石膏スラリーと接触させる直前に孔が導入される場合がある。そのため、孔は、凝結前にボードコア層または石膏スラリー内へ延びることはない。例えば、複数の孔は、米国特許出願公開第2018/0065336号に記載されたような、適切なウォールボード穿孔装置を使用して導入される場合がある。しかしながら、あらゆる適切なウォールボード穿孔装置が使用される場合があることを認識されたい。
【0053】
石膏およびスタッコ(焼石膏)
石膏パネルコアの結晶マトリックスを形成するために使用される硫酸カルシウム半水和物(通常、スタッコまたは焼石膏として知られる原材料で提供される)成分は、通常、天然源または合成源から得られる、ベータ硫酸カルシウム半水和物、水溶性硫酸カルシウム無水石膏、アルファ硫酸カルシウム半水和物、またはこれらのいずれかまたはすべての混合物を含む。いくつかの態様において、スタッコは、石膏源に関連した、またはスタッコのか焼、加工および/またはミキサへのスタッコの送達中に加えられる少量のクレーまたは他の成分などの、非石膏鉱物を含む場合がある。スタッコは、繊維質または非繊維質であり得る。通常は、生のスタッコは、少なくとも70質量%の硫酸カルシウム半水和物、好ましくは少なくとも80質量%の硫酸カルシウム半水和物、より好ましくは少なくとも85質量%の硫酸カルシウム半水和物、さらに好ましくは少なくとも90質量%の硫酸カルシウム半水和物を有する。
【0054】
塩化物塩
本発明の石膏ボードを形成するための水性石膏スラリーは、水およびスタッコを含み、水性石膏スラリーはまた、塩化物アニオンを含む。塩化物アニオンは、あらゆる供給源からの1つ以上の塩化物塩から生じる場合がある。一般に、1つ以上の塩化物塩は、本発明のボードのコアを形成するために使用される石膏源に存在する。したがって、1つ以上の塩化物塩のすべてまたは少なくとも大部分は、使用される石膏の供給源から石膏スラリーに導入される場合がある。石膏源は、合成石膏源、特に発電所の排煙流から得られる低品質の合成石膏である場合がある。そのような低品質の石膏源は、本発明による少なくとも1つのデンプン層を使用せずには壁板を形成するのに適していない場合がある。1つ以上の塩化物塩は、水性石膏スラリーを作製するために使用される水中の1つ以上の塩化物塩などの不純物から生じる場合もある。
【0055】
塩化物塩は、塩化物を含むあらゆる塩である。したがって、塩化物塩は、塩化物アニオンの一価塩およびナトリウムまたはカリウムなどの一価カチオンを含む。したがって、塩化物塩は、塩化物アニオンの二価塩およびカルシウムまたはマグネシウムなどの二価カチオンを含む。塩化物アニオンの三価塩および三価カチオンなどの他の塩化物塩も考えられる。
【0056】
本発明のボードコア、および存在する場合、高密度領域(薄く密度の高い石膏層)を製作するために使用される水性スラリー中の1つ以上の塩化物塩の塩化物アニオンの濃度は、1,000,000重量部の硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの範囲、通常、約500ppm~約2000ppm、より通常は1,000,000重量部の硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約1500ppmの範囲である場合がある。
【0057】
添加剤
ボードコア層を形成するために使用される石膏スラリーに存在する場合がある他の添加剤は、増粘剤、発泡体(適切な発泡剤から調製される)、分散剤、ポリリン酸塩(例えば、トリメタリン酸ナトリウム)、遅延剤、促進剤、再焼成阻害剤、バインダー、接着剤、二次分散助剤、レベリング剤または非レベリング剤、増粘剤、殺菌剤、殺菌剤、pH調整剤、緩衝剤、着色剤、補強材、難燃剤、撥水剤(例えばシロキサン)、充填剤、およびそれらの混合物を含む場合があるが、これらに限定されない。
【0058】
石膏スラリーの添加剤および他の成分は、様々な方法でミキサに添加される場合がある。例えば、成分の様々な組み合わせは、1つ以上の乾燥成分として、および/または1つ以上の湿潤成分として、ミキサに入る前に事前に混合される場合がある。同様に、単一の成分が湿式または乾燥形態でミキサに導入される場合がある。湿潤形態で導入される場合、成分は、水などの分散媒にあらゆる適切な濃度で含まれる場合がある。
【0059】
繊維は、任意で、本発明の方法および組成物に使用することができる。繊維は、鉱物繊維(ミネラルウールとしても知られる)、ガラス繊維、炭素繊維、これらの繊維の混合物、および壁板に同等の利点を提供する他の同等の繊維を含む場合がある。例えば、ガラス繊維は、石膏コアスラリーおよび/またはスキム層スラリーおよび結果として生じる結晶性コア構造に組み込むことができる。そのような態様におけるガラス繊維は、約0.5~約0.75インチの平均長さおよび約11~約17ミクロンの直径を有する場合がある。他の態様において、そのようなガラス繊維は、約0.5~約0.675インチの平均長さおよび約13~約16ミクロンの直径を有する場合がある。さらに他の態様では、約800℃を超える、または少なくとも約900℃を超える軟化点を有するEガラス繊維が利用される。ガラス繊維の代わりに、またはガラス繊維と組み合わせて、当業者に知られているようなミネラルウールまたは炭素繊維が使用される場合がある。
【0060】
繊維は、含まれる場合、石膏コアスラリーおよび/またはスキム層スラリー中に、硫酸カルシウム半水和物の100pbw(pbw=重量部)あたり、乾燥ベースで、約0.5~約10pbw、好ましくは約1~約8pbw、より好ましくは約2~約7pbw、最も好ましくは約3~約6pbwの量で存在することができる。繊維がない場合もある。
【0061】
任意で、必要であれば、1つ以上のリン酸塩含有化合物をスラリーに含むこともできる。例えば、これらのリン酸塩含有成分は、水溶性成分を含むことができ、それぞれが2以上のリン酸単位を含むイオン、塩、または酸、すなわち凝縮されたリン酸、それぞれ2以上のリン酸塩単位を含む、凝縮されたリン酸塩の塩またはイオン、ならびにオルトリン酸塩および水溶性非環式ポリリン酸塩の一塩基塩または1価イオンの形態であることができる。例示的な例は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,342,284号、第6,632,550号、第6,815,049号および第6,822,033号に記載されている。
【0062】
リン酸塩含有成分は、グリーン強度、永久変形(例えば、たるみ)に対する耐性、寸法安定性などを高めることができる。例えば、トリメタリン酸ナトリウム、トリメタリン酸カリウム、トリメタリン酸リチウム、およびトリメタリン酸アンモニウムを含むトリメタホスフェート化合物を使用することができる。トリメタリン酸ナトリウム(STMP)が一般に使用されるが、例えば、テトラメタリン酸ナトリウム、約6~約27の反復リン酸塩単位を有し、分子式Nan+23n+1(式中、n=6~27)を有するヘキサメタリン酸ナトリウム、分子式Kを有するピロリン酸四カリウム、分子式Na10を有するトリポリリン酸三ナトリウム二カリウム、分子式Na10を有するトリポリリン酸ナトリウム、分子式Naを有するピロリン酸四ナトリウム、分子式Al(POを有するトリメタリン酸アルミニウム、分子式Naを有する酸性ピロリン酸ナトリウム、1,000~3,000の反復リン酸塩単位を有し、分子式(NHn+23n+1(式中、n=1,000~3,000)を有するポリリン酸アンモニウム、または2以上の反復リン酸単位を有し、分子式Hn+23n+1(式中、nは2以上である)を有するポリリン酸を含む、他のリン酸塩が適切である場合がある。
【0063】
リン酸塩は通常、乾燥形態および/または水溶液液体形態で添加され、乾燥成分がスラリーミキサに添加されるか、液体成分がミキサに添加されるか、または他の段階または手順で添加される。
【0064】
存在する場合、リン酸塩は、乾燥形態または水中形態(例えば、約10%水溶液などの、約5%~約20%のリン酸塩水溶液)において石膏スラリー中に含むことができる。含まれる場合、リン酸塩は、スタッコの約0.01質量%~約0.5質量%、例えば、スタッコの約0.03質量%~約0.4質量%、約0.1質量%~約0.3質量%、または約0.12質量%~約0.4質量%などのあらゆる適切な量(固形分/固形分ベース)で存在することができる。リン酸塩がない場合もある。
【0065】
石膏スラリーは、任意で、流動性を高めるために少なくとも1つの分散剤を含むことができる。分散剤は、乾燥形態で、任意で他の添加剤と共に、および/または液体形態で、任意で他の液体成分と共に、石膏スラリーに導入される場合がある。適切な分散剤の例は、ポリナフタレンスルホン酸およびその塩(ポリナフタレンスルホン酸塩)などのナフタレンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドの縮合生成物である誘導体、ならびに例えばポリカルボン酸エーテルなどのポリカルボン酸塩分散剤を含む。適切な分散剤の他の例は、リグノスルホン酸塩またはスルホン化リグニンを含む。リグノスルホネートは、亜硫酸パルピングを使用した木材パルプの製造からの副生成物である、水溶性アニオン高分子電解質ポリマーである。
【0066】
より低分子量の分散剤が望ましい場合がある。より低分子量のナフタレンスルホネート分散剤が好ましい場合がある。なぜならば、それらは、より高い粘度で、より高い分子量の分散剤よりも低い水需要の傾向があるからである。したがって、約3,000~約10,000(例えば、約8,000~約10,000)の分子量が、分散剤のための望ましい分子量である場合がある。必要に応じて、ポリカルボン酸塩分散剤の分子量は、約20,000から約60,000であることができ、これは、約60,000を超える分子量を有する分散剤よりも少ない遅延を示す場合がある。
【0067】
典型的なナフタレンスルホン酸塩は、水中のナフタレンスルホン酸塩溶液であり、約35質量%~約55質量%の範囲のナフタレンスルホン酸塩固形分を有する。しかしながら、必要に応じて、ナフタレンスルホン酸は、乾燥した固体または粉末の形態で使用することができる。
【0068】
存在する場合、分散剤は、例えば、スタッコの約0.1質量%~約5質量%、例えば、約0.1質量%~約4質量%、約0.1質量%~約3質量%、約0.2質量%~約3質量%、約0.5質量%~約3質量%、約0.5質量%~約2.5質量%、約0.5質量%~約2質量%、約0.5質量%~約1.5質量%などのあらゆる適切な(固形分/固形分)量で石膏スラリーに含むことができる。ポリナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸エーテルまたはリグノスルホン酸塩のいずれか1つ以上が存在しない場合もある。
【0069】
硫酸カルシウム半水和物の水和反応が起こる速度を変更するために、促進剤および/または遅延剤が石膏コアスラリーおよび/またはスキム層スラリーに添加される場合がある。適切な促進剤は、例えば、湿式石膏促進剤、耐熱性促進剤(HRA)、または気候安定化促進剤(CSA)を含む場合がある。「CSA」は、5%の砂糖と共粉砕された95%の硫酸カルシウム二水和物を含む硬化促進剤であり、砂糖をカラメル化するために250°F(121℃)に加熱される。CSAは、USG Corporationから入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,573,947号および第6,409,825号に従って作製される。硫酸カリウムは、別の好ましい促進剤である。好ましい促進剤であるHRA(耐熱促進剤)は、硫酸カルシウム二水和物100ポンド当たり、砂糖約5~25ポンドの比率で、砂糖と共に新たに粉砕された硫酸カルシウム二水和物である。これは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,078,199号にさらに記載されている。これらは両方とも好ましい促進剤である。存在する場合、促進剤および/または遅延剤はそれぞれ、石膏スラリー中に固形分ベースで、例えば、スタッコの約0質量%~約5質量%(例えば、約0.1%~約5%)などの、スタッコの約0質量%~約10質量%(例えば、約0.1%~約10%)の量で組み込むことができる。適切な促進剤は、例えば、硫酸カルシウム二水和物、炭水化物でコーティングされた硫酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物/有機ホスホン酸塩、および硫酸カルシウム二水和物/有機リン酸塩を含む場合がある。促進剤および/または遅延剤がない場合もある。
【0070】
発泡体(発泡水としても知られる)は、任意で、石膏コアスラリーおよび/またはスキム層スラリー(好ましくは石膏コアスラリー)に、上記の低減されたコア密度およびパネル重量を提供する量で導入される場合がある。泡を生成するための発泡剤は、通常、石けんまたは他の適切な界面活性剤である。適切な量、配合、およびプロセスで石膏コアスラリーに泡を導入すると、最終的な乾燥した壁板のコア内にボイドの所望のネットワークおよび分布が生成される。このボイド構造により、所望のパネルの構造的特性および強度特性を維持しながら、石膏および他のコア構成要素ならびにコアの密度および重量を削減することができる。存在する場合、発泡剤は、不安定成分の主重量部分と、安定成分の少重量部分(例えば、不安定と、安定/不安定のブレンドとが組み合わされる場合)とを含む場合がある。安定成分に対する不安定成分の重量比は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,643,510号、第6,342,284号および第6,632,550号に記載されているように、凝結石膏コア内に空気ボイド分布を形成するために有効である。石膏コアスラリーに泡を添加するためのアプローチは、当技術分野で知られており、そのようなアプローチの一例は、参照によってその開示が本明細書に組み込まれる米国特許第5,683,635号に記載されている。一般に、直径約5μm以下の空隙を有する蒸発水空隙もまた、前述の空気(泡)空隙と共に総空隙分布に寄与する。約5ミクロンより大きい孔径を備えるボイドと、約5ミクロン以下の孔径を備えるボイドとの体積比は、約0.5:1~約9:1、例えば、約0.7:1~約9:1、約1.8:1~約2.3:1などである。発泡剤は、石膏スラリー中に、例えば、スタッコの約0.5質量%未満、例えば、約0.01質量%~約0.5質量%、約0.01質量%~約0.2質量%、約0.02質量%~約0.4質量%、約0.02質量%~約0.2質量%、約0.01質量%~約0.1質量%などの量で存在する。発泡剤がない場合もある。
【0071】
耐火性および/または耐水性の成分を石膏スラリーに含むことができる。例は、例えば、シロキサン(耐水性)、繊維、アルミニウムトリハイドライト(ATH)、水酸化マグネシウムなどのヒートシンク添加剤、および/または高膨張粒子(例えば、1560°Fで約1時間加熱した場合、元の体積の約300%以上まで膨張可能)を含む。そのような添加剤に関するさらなる開示は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第8,323,785号に見出される場合がある。高膨張バーミキュライトが含まれる場合があるが、他の耐火性材料を含むことができる。存在する場合、耐火性または耐水性の添加剤を、例えば、火災等級および同様の性能パラメータに応じて、必要に応じてあらゆる適切な量で含むことができる。例えば、含まれる場合、耐火性または耐水性添加剤は、スタッコの約0.5質量%~約10質量%、例えば、約1質量%~約10質量%、約1質量%~約8質量%、約2質量%~約10質量%、約2質量%~約8質量%などの量で個々に存在することができる。含まれる場合、シロキサンは、望ましくは、エマルジョンの形態で導入される場合がある。次いで、スラリーが、高架橋シリコーン樹脂を形成するために、シロキサンの重合を促進する条件下で成形および乾燥させられる場合がある。高架橋シリコーン樹脂を形成するためにシロキサンの重合を促進する触媒が、石膏スラリーに添加される場合がある。無溶媒のメチル水素シロキサン流体をシロキサンとして使用することができる。この製品は、水または溶媒を含まないシロキサン流体である。乾燥原料の重量に基づき、必要であれば約0.3%~約1.0%のシロキサンが使用される場合があると考えられる。例えば、必要であれば、乾燥スタッコ重量に基づいて、約0.4%~約0.8%のシロキサンが石膏スラリー中に存在する場合がある。耐火性および/または耐水性のために、これらの成分のいずれか1つ以上が存在しない場合もある。たとえば、シロキサンが存在しない場合がある。
【0072】
デンプンは、存在する場合、アルファ化された(調理された)デンプンおよび/または未調理のデンプンであることができる。これに関して、デンプンは炭水化物として分類され、2種類の多糖類、すなわち直鎖アミロースおよび分岐アミロペクチンを含む。デンプン顆粒は、例えば、偏光下で見られたときに半結晶性であり、室温または近室温において水に不溶性である。未処理デンプンは、冷水不溶性であり、半結晶構造を有することを特徴とする。典型的には、未処理デンプンは湿潤粉砕によって得られ、処理デンプンの場合のように湿潤デンプンを加熱することによって変性されない。アルファ化されたまたは調理されたデンプンは、冷水可溶性でありかつ非結晶構造を有するという特徴を有する。デンプンがない場合もある。
【0073】

水は、スラリーを流動可能にするあらゆる量でスラリーに添加される。使用される水の量は、それが使用される用途、使用されるまさにその分散剤、硫酸カルシウム半水和物の特性、および使用される添加剤によって大きく変化する。
【0074】
スラリーを作製するために使用される水は、スラリーおよび硬化プラスターの両方の特性の最良な制御のために実用的な純度であるべきである。塩および有機化合物は、スラリーの硬化時間を改変することでよく知られており、促進剤から硬化阻害剤まで幅広く変化する。いくつかの不純物は、二水和物結晶のインターロッキングマトリックスが形成されるときに構造の不規則性をもたらし、硬化製品の強度を低下させる。したがって、製品の強度および一貫性は、実用的に限りなく汚染物質を含まない水を使用することによって、強化される。
【0075】
水は、本発明の石膏コアスラリーおよび/またはスキム層スラリー中に、約0.2:1~約1.2:1、好ましくは約0.3:1~約1.1:1、より好ましくは、約0.6:1~約1:1、最も好ましくは、0.7:1~0.95:1、通常は約0.85:1の、水と硫酸カルシウム半水和物の重量比で存在することができる。
【0076】
後側カバーシート、前側カバーシートおよび孔
後側紙カバーシートおよび前側紙カバーシートは、あらゆる適切な坪量を有するあらゆる適切な紙材料から作製される場合がある。
【0077】
本発明によれば、石膏ボードの後側カバーシートのみが、貫通した複数の孔を含む。後側カバーシートは、有孔紙から作製されている。
【0078】
後側および前側のカバーシートは紙から作製されている。ただし、各カバーシートの紙材料は、同じまたは異なる場合がある。
【0079】
石膏パネルにはさまざまなグレードの紙を使用することができる。たとえば、滑らかなカレンダー仕上げのマニラグレードの紙がしばしばフェイサー紙カバーシートとして使用され、より粗い仕上げのニュースライン紙がしばしばバッカー紙カバーシートとして使用される。通常、両方の紙グレードは、少なくとも1つのライナー層および複数のフィラー層を備えた多層である。しかしながら、必要に応じて、少なくとも1枚の紙カバーシートまたは両方の紙カバーシートが単層紙から作製される場合がある。
【0080】
必要であれば、特により低密度の石膏ボードの場合に強度(たとえば、釘引抜き強度)を高めるために、カバーシートの一方または両方を、たとえば、少なくとも約45ポンド/MSF(例えば、約45~約65ポンド/MSF、約45~約60ポンド/MSF、約45~約55ポンド/MSF、約50~約65ポンド/MSF、約50~約60ポンド/MSFなど)を有する紙から形成することができる。必要であれば、前側カバーシートは、後側カバーシートよりも高い坪量を有する場合があり、これにより、高められた釘引抜き抵抗および取扱いが提供される場合がある。後側カバーシートは、必要であれば、より低い坪量(例えば、45ポンド/MSF未満の坪量、例えば、約33~45ポンド/MSF(例えば、約33~約40ポンド/MSF)を有することができる。
【0081】
上記のように、後側カバーシートは、複数の孔を含む。複数の孔は、あらゆる適切な形態で後側カバーシートに配置される場合がある。通常、孔は、孔の規則的なグリッドまたはアレイなどのパターンで配置されている(例えば、図2参照)。孔の他のパターン化された配置もまた、本開示の範囲内に存在し、図2に示された孔の特定の配置は、限定的であると見なされるべきではない。本開示と一致する形態で石膏ボード内の1つ以上のカバーシートに穿孔するための例示的な装置は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0065336号に記載されている。
【0082】
カバーシートの孔は、石膏ボードの乾燥および/または増大した接着を補助するのに適した形状、サイズ、および孔密度として存在する。
【0083】
通常、孔は実質的に円形の形状を有する。しかしながら、孔は、楕円形、三角形、正方形、長方形などの代替的な幾何学的形状を有する場合があることが認識されるべきである。特定の用途の要件に応じて、円形および非円形の孔のあらゆる組み合わせが存在する場合がある。非円形の孔のあらゆる組み合わせが存在する場合がある。
【0084】
カバーシート、特に後側カバーシートにおける各孔は、その最大横方向寸法において約0.005インチ~約0.1インチ、好ましくは約0.01インチ~約0.1インチ、より好ましくは約0.01インチ~約0.02インチのサイズの範囲のサイズを有する開口部を規定する場合がある。「最大横寸法」という用語は、カバーシートの平面内の各孔を横切って測定された最大寸法を表す。円形孔の場合、最大横方向の寸法は円形の開口部の直径を表す。
【0085】
後側カバーシートの孔は、通常、同じサイズおよび形状である。しかしながら、孔は、孔サイズおよび/または形状の混合である場合がある。孔のサイズは、同じであるか、異なるかにかかわらず、上に明記されたいずれかの範囲内である場合がある。さらに、少なくともいくつかの孔が異なる形状を有する場合、第1の形状および第1のサイズを有する第1の複数の孔、および異なる形状および/または異なるサイズを有する第2の複数の孔が存在する場合がある。例えば、第1の複数の孔および第2の複数の孔は、異なる形状を有するが、実質的に同じサイズを有する場合がある。
【0086】
孔被覆密度とは、後側カバーシートにおける単位面積あたりの孔の数を指す。後側カバーシート内に存在する孔は、有孔ボードコア層接着を促進するために適切な孔被覆密度で存在する。カバーシート内の孔密度は、約5~約50孔/in、好ましくは約12~約25孔/in、例えば、約10~約15孔/in、または例えば、約15~20孔/inである場合がある。
【0087】
通常、孔は、後側カバーシートの表面の0.1~10%、より通常は0.5~5%である。
【0088】
システム
図3は、本外壁システムで使用される場合がある典型的な外部被覆システム30の斜視図である。図3は、複数の金属スタッド34、上部トラック36、下部トラック38を含む金属スタッド壁「骨格」32を示している。石膏ボード10(図1)は、壁を閉じ、壁または天井の1つ以上の内面を形成するために、あらゆる公知の方法で金属スタッド34の片側または両側に固定される場合がある。典型的な金属スタッド壁「骨格」は、参照により本明細書に組み込まれるコリンズらの米国特許第6,694,695号に従って製造される場合があり、これは、本発明の外壁システムを達成するための外部被覆パネルとの組み合わせに適している。この金属フレームシステムは、他の金属フレームが使用される場合もあるので、単に例示として提供されている。さらに代替的に、スタッド壁が代替的に木製スタッドを含む。
【0089】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、当然のことながら、決してその範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0090】
表1に示すように、高濃度のさまざまな塩を含む石膏コア(スラリー)配合物を調製した。塩化物アニオン(試料#1~#4)の供給源は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、または塩化カルシウム(CaCl)であった。各試料#1~#4は、トリメタリン酸ナトリウム(TMP)も含んでいた。他の塩の隔離におけるTMPの効果を試験するために、試料#5および#6はTMPのみを含んでいた。
【表1】
【0091】
これらの例において試験された有孔紙シートの場合、隣接する孔の間の距離は1/4”であった。孔の直径は約0.01~0.02インチであった。
【0092】
12”×12”×1/2”のエンベロープを、前側紙カバーシートとしてのマニラ紙(48#/MSF)および後側カバーシートとしてのニュースライン紙(42#/MSF)を使用して作製した。スラリー配合物(表1)をエンベロープに注ぐ前に、ニュースライン紙の半分(6”×12”)を、図4に示したように壁板穿孔器を使用して穿孔した。隣接する孔の間の距離は1/4”であった。孔の直径は約0.01~0.02インチであった。
【0093】
スラリー配合物(表1)は、乾燥粉末を溶液に10秒間浸漬し、ホバートミキサで10秒間混合し、続いて、得られた泡を8秒間注入し、さらに2秒間混合することによって調製した。このようにして得られたスラリーを各エンベロープに注いだ。スラリーが凝縮して硬化した後、紙テープを使用してエンベロープを密封した。密封されたボードを450°Fで20分間乾燥させた後、350°Fのオーブンに移した。350°Fで15分間乾燥させた後、ボードをさらに110°Fで一晩乾燥させた。
【0094】
後側カバーシートの孔の効果は、紙対コアの結合を試験するために「X」切断法によって評価された。完成した壁板試料の後側紙に複数の「X」字型切り込みを形成し、少なくとも2つの「X」字型切り込みを後側紙の有孔セクションに形成し、少なくとも2つの「X」字型切り込みを無孔セクションに形成した(図4)。「X」字型の切り込みのサイズは約2インチ×2インチであった。切断部の中心から紙をはく離した。後側紙の一方の側において石膏コアに残留する紙の量に対して、他方の側における量を評価することによって(すなわち、有孔セクション対無孔セクション)、試料を、互いの比較において定性的に評価した。石膏コアへの接着が良好な場合、紙の薄い層がコアに残る。対照的に、コアへの接着が不十分な場合、紙はコアからはく離され、コアのより多くの部分を露出させる。
【0095】
図5~9は、後側カバーシートに孔を有する場合と、孔を有さない場合の本発明の石膏ボード内の接着に対する様々な塩の効果を示す写真を示す。
【0096】
図5図8はそれぞれ、試料ボード#1~#4の写真を示す。
【0097】
図5は、NaClからの600ppmのClを含む12インチ×12インチ×1/2インチの試料ボード#1における孔の効果を示す。
【0098】
図6は、NaClからの800ppmのClを含む12インチ×12インチ×1/2インチの試料ボード#2における孔の効果を示す。
【0099】
図7は、CaClからの800ppmのClを含む12インチ×12インチ×1/2インチの試料ボード#3における孔の効果を示す。
【0100】
図8は、MgClからの800ppmのClを含む12インチ×12インチ×1/2インチの試料ボード#4における孔の効果を示す。
【0101】
図5~8は、サンプルボード#1~#4について、無孔セクションと比較して、後側カバーシートの有孔セクションにおいてより少ない紙分離が生じたことを示している。より少ない紙分離を有することにより、有孔セクションにおいてより少ない石膏が露出した。したがって、改善されたボードコア層の接着は、試験されたすべての塩の各濃度において後側カバーシートの有孔セクションにおいて実現された。
【0102】
図9は、百万部分の硫酸カルシウム半水和物あたり、NaClからの30ppmのClを含むスタッコから作製された石膏コアを有する12インチ×12インチ×1/2インチのボードにおける有孔および無孔の効果を示す。このスタッコは、従来の低塩化物塩スタッコを表す。図9の実験試料ボード#5は、孔を有するカバーシートを使用した。図9の対照試料ボード#6は、孔を有さないカバーシートを使用した。
【0103】
図9の実験試料ビード#5と図9の試料ボード#6を比較すると、低塩化物が使用された場合、硬派、高塩化物試料の場合ほどは接着を改善しなかったことが示されている。
【0104】
上記は、本発明の単なる例である。これら各実施例が、本明細書で提供される他の態様の様々な組み合わせにおいて使用される場合があることも、当業者に理解されるであろう。
【0105】
発明の条項
下記の条項は、本発明の様々な態様を説明する。
【0106】
条項1.石膏ボードであって、
凝結石膏を含むボードコア層、
外面および内面を有し、内面がボードコアの第1の面に接触する前側紙カバーシート、および
外面および内面を有し、内面がボードコア層の第2の面に接触する後側紙カバーシート層を含み、
ボードコア層は、前側紙カバーシートと後側紙カバーシートとの間に配置されており、後側有孔紙カバーシートは、これを貫通した複数の孔を含み、
ボードコア層は、第1のカバーシートと第2のカバーシートとの間における水およびスタッコを含む水性スラリーの凝結から生じ、スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、水性スラリーは、
乾燥ベースにおける少なくとも60質量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、
1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの塩化物アニオン、および
0.2:1~1.2:1の、水と硫酸カルシウム半水和物との重量比における水を含む、石膏ボード。
【0107】
条項2.前側カバーシートが前側紙カバーシートであり、後側カバーシートが後側紙カバーシートである、条項1記載の石膏ボード。
【0108】
条項3.複数の孔が所定のパターンで配置されている、条項1または2記載の石膏ボード
【0109】
条項4.複数の穿孔が実質的に円形の形状を有する、前項のいずれか一項に記載の石膏ボード
【0110】
条項5.各孔は、約0.005インチ~約0.1インチのサイズの範囲の開口部を規定する、前項のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【0111】
条項6.各孔は、約0.01インチ~約0.02インチのサイズの範囲の開口部を規定する、前項のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【0112】
条項7.後側カバーシートは、約5孔/in~約50孔/inの範囲の孔被覆密度を有する、前項のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【0113】
条項8.後側カバーシートは、約12孔/in~約25孔/inの範囲の孔被覆密度を有する、前項のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【0114】
条項9.ボードコア層が低密度領域および少なくとも1つの高密度領域を含み、少なくとも1つの高密度領域は、低密度領域と、前側カバーシートまたは後側カバーシートとの間の層として挿入されている、前項のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【0115】
条項10.低密度領域が、前側カバーシートに接触する第1の層として配置された第1の高密度領域と、後側カバーシートに接触する第2の層として配置された第2の高密度領域との間に挟まれている、条項9に記載の石膏ボード。
【0116】
条項11.低密度領域は、発泡石膏スラリーから形成されており、発泡石膏スラリー中に複数のボイドを含む、条項9または10記載の石膏ボード。
【0117】
条項12.凝結石膏は、1つ以上の塩化物塩を含む合成石膏から形成されており、前記塩化物塩は、前記塩化物アニオンの少なくとも一部を提供する、前項のいずれか一項に記載の石膏ボード。
【0118】
条項13.水性スラリーが、1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約1000ppm~約3000ppmの前記塩化物アニオンを含む、条項12記載の石膏ボード。
【0119】
条項14.石膏ボードを製作する方法であって、
水およびスタッコの混合物を含む水性スラリーを調製することであって、スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、水性スラリーは、
乾燥ベースにおける少なくとも60質量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、
1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの塩化物アニオン、および
0.2:1~1.2:1の、水と硫酸カルシウム半水和物との重量比における水の混合物を含む、調製することと、
前側カバーシートと後側カバーシートとの間に水性スラリーを配置することであって、各カバーシートは内面および外面を有し、
後側カバーシートは、貫通した複数の孔を含み、水性スラリーは、前側カバーシートおよび後側カバーシートの内面に接触する、配置することと、
硫酸カルシウム二水和物を含むボードコア層を含むパネルを形成するために硫酸カルシウム半水和物を凝結さることと、
パネルを乾燥させ、パネルを1つ以上の所定の寸法を有する石膏ボードに切断することと、を含む、方法。
【0120】
条項15.壁板穿孔装置によって後側カバーシートに複数の孔を導入することをさらに含む、条項14記載の方法。
【0121】
条項16.後側カバーシートが水性スラリーと接触する前に複数の孔が後側カバーシートに存在する、条項14または15記載の方法。
【0122】
条項17.後側紙カバーシート用の紙がローラーから供給され、後側カバーシートが水性スラリーと接触する前に後側カバーシートに複数の孔が存在する、条項14または15記載の方法。
【0123】
条項18.水性スラリーの少なくとも一部は、前側カバーシートと後側カバーシートとの間に配置されている間、発泡状態にある、条項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【0124】
条項19.水性スラリーの第1の部分が、前側カバーシートと接触する層形態の第1の高密度領域として非発泡状態で配置され、水性スラリーの第2の部分が、第1の高密度領域に接触する低密度領域として発泡状態で配置される、条項18記載の方法。
【0125】
条項20.低密度領域が、後側カバーシートに接触する層状の第1の高密度領域と第2の高密度領域との間に挟まれている、条項19に記載の方法。
【0126】
条項21.硫酸カルシウム半水和物が、1つ以上の塩化物塩を含む合成石膏を含む、条項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【0127】
条項22.条項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つの石膏ボードが取り付けられているフレーミングを含む壁システムであって、前側カバーシートの外面がフレーミングとは反対側を向いている、壁システム。
【0128】
条項23.石膏ボードが建物の内壁または天井にある、条項22記載の壁システム。
【0129】
条項24.フレーミングが木製である、条項22または23記載の壁システム。
【0130】
条項25.フレーミングが金属製である、条項22または23記載の壁システム。
【0131】
条項26.少なくとも1つの石膏ボードが、ねじ、釘、または接着剤のいずれか1つ以上によってフレーミングに取り付けられている、条項22~25のいずれか一項に記載の壁システム。
【0132】
具体的に開示された発明の変化態様は、前記説明を読むことで当業者に明らかになる場合がある。本発明者らは、当業者がそのような変形を必要に応じて用いることを期待し、本発明者らは、本発明が、本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用される法律により許容される、本明細書に添付の特許請求の範囲において列挙される主題の全ての修正物および同等物を含む。さらに、全ての可能な変形における上記の要素の任意の組み合わせが、本明細書で別途記載のない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、本発明により包含される。
【0133】
本明細書に引用される全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
本発明を記載する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「a」、および「an」、および「the」、および「少なくとも1つ」という用語、ならびに同様の指示語の使用は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するよう解釈されるものである。1つ以上の項目のリストが後に続く「少なくとも1つ」という用語(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈が明らかに矛盾しない限り、列挙された項目(AまたはB)から選択された1つの項目、または列挙された項目(AおよびB)のうちの2つ以上の任意の組み合わせを意味するよう解釈されるものである。「結合関係」は、2つの層が直接接触していることを意味しない。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、および「含有すること(containing)」という用語は、特に断りのない限り、非限定的な用語(即ち、「含むがこれに限定されない」を意味する)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内にある各個別の値を個々に参照する簡単な方法として役立つことを意図し、各個別の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別途記載のない限り、または文脈で明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書に提供されるありとあらゆる例または例示的な用語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明の理解をより容易にすることを意図し、特許請求の範囲に別途記載されない限り、本発明の範囲に制限を課さない。本明細書における用語は、特許請求の範囲に記載されていない要素を本発明の実施にとって不可欠であるとして示すものと解釈されるべきではない。
[付記]
[付記1]
石膏ボードであって、
凝結石膏を含むボードコア層、
外面および内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第1の面に接触する前側紙カバーシート、および
外面および内面を有し、前記内面が前記ボードコア層の第2の面に接触する後側紙カバーシートを含み、
前記ボードコア層は、前記前側紙カバーシートと前記後側紙カバーシートとの間に配置されており、後側有孔紙カバーシートは、これを貫通した複数の孔を含み、
前記ボードコア層は、前記第1のカバーシートと前記第2のカバーシートとの間における水およびスタッコを含む水性スラリーの凝結から生じ、前記スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、前記水性スラリーは、
乾燥ベースにおける少なくとも60重量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、
1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの塩化物アニオン、および
0.2:1~1.2:1の、前記水と前記硫酸カルシウム半水和物との重量比における水を含む、石膏ボード。
[付記2]
前記前側カバーシートが前側紙カバーシートであり、前記後側カバーシートが後側紙カバーシートである、付記1記載の石膏ボード。
[付記3]
各孔は、約0.005インチ~約0.1インチのサイズの範囲の開口部を規定する、付記1記載の石膏ボード。
[付記4]
前記後側カバーシートは、約5孔/in ~約50孔/in の範囲の孔被覆密度を有する、付記1記載の石膏ボード。
[付記5]
前記凝結石膏は、1つ以上の塩化物塩を含む合成石膏から形成されており、前記塩化物塩は、前記塩化物アニオンの少なくとも一部を提供する、付記1記載の石膏ボード。
[付記6]
前記水性スラリーが、1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約1000ppm~約3000ppmの前記塩化物アニオンを有する、付記5記載の石膏ボード。
[付記7]
石膏ボードを製作する方法であって、
水およびスタッコの混合物を含む水性スラリーを調製することであって、前記スタッコは硫酸カルシウム半水和物を含み、前記水性スラリーは、
乾燥ベースにおける少なくとも60質量パーセントの前記硫酸カルシウム半水和物、
1,000,000重量部の前記硫酸カルシウム半水和物あたり約500ppm~約3000ppmの前記塩化物アニオン、および
0.2:1~1.2:1の、水と硫酸カルシウム半水和物との重量比における前記水の混合物を含む、調製することと、
前側カバーシートと後側カバーシートとの間に水性スラリーを配置することであって、各カバーシートは内面および外面を有し、
前記後側カバーシートは、貫通した複数の孔を含み、前記水性スラリーは、前記前側カバーシートおよび前記後側カバーシートの内面に接触する、配置することと、
硫酸カルシウム二水和物を含むボードコア層を含むパネルを形成するために前記硫酸カルシウム半水和物を凝結さることと、
前記パネルを乾燥させ、前記パネルを1つ以上の所定の寸法を有する石膏ボードに切断することと、を含む、方法。
[付記8]
壁板穿孔装置によって前記後側カバーシートに複数の孔を導入することをさらに含む、付記7記載の方法。
[付記9]
前記後側紙カバーシート用の前記紙がローラーから供給され、前記後側カバーシートが前記水性スラリーと接触する前に前記後側カバーシートに複数の孔が存在する、付記7記載の方法。
[付記10]
前記前側カバーシートの前記外面が前記フレーミングとは反対側を向いている、付記1記載の少なくとも1つの石膏ボードが取り付けられているフレーミングを含む壁システム。
図1
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図9