(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】高度回収電気透析法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/469 20230101AFI20240716BHJP
B01D 61/44 20060101ALI20240716BHJP
B01D 61/58 20060101ALI20240716BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20240716BHJP
B01D 61/54 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
C02F1/469
B01D61/44 500
B01D61/58
C02F1/44 H
B01D61/54 500
(21)【出願番号】P 2021512851
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 US2019055211
(87)【国際公開番号】W WO2020076837
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-29
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180152
【氏名又は名称】エヴォクア ウォーター テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Evoqua Water Technologies LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】リーシアン リャン
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/028972(WO,A1)
【文献】特開2002-086152(JP,A)
【文献】特開2007-203136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46- 1/48
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汽水を処理するシステムであって、
第1の電気化学的分離段と、
第2の電気化学的分離段と、
制御システムとを具えたシステムにおいて、
前記第1の電気化学的分離段は、汽水源に流体接続された希釈区画の入口と、濃縮区画と、希釈物出口と、濃縮物出口とを有し、
前記第2の電気化学的分離段は、前記第1の電気化学的分離段の下流に配置され、前記第1の電気化学的分離段の前記希釈物出口に流体接続された希釈区画の入口と、濃縮区画と、生産水出口と、濃縮物出口とを有し、前記第2の電気化学的分離段の前記濃縮物出口は、前記第1の電気化学的分離段の前記濃縮区画に流体接続され、
前記汽水源が、さらに前記第2の電気化学的分離段の前記濃縮区画に流体接続され、
前記制御システムは、前記第1の電気化学的分離段の前記濃縮物出口及び/または前記第2の電気化学的分離段の前記濃縮物出口からの濃縮物のイオン濃度、または前記生産水出口からの生産水のイオン濃度が所定閾値に達した際に、前記第1の電気化学的分離段の前記濃縮区画及び前記第2の電気化学的分離段の前記濃縮区画へ指向される補給供給物の量を調整して、約500ppm未満の溶解塩の濃度を有する前記生産水全体で約90%以上の回収率を維持するように構成され
、前記補給供給物は、前記第2の電気化学的分離段の前記濃縮物出口からの濃縮物、前記第1の電気化学的分離段の前記希釈物出口からの希釈物、及び前記汽水源からの前記汽水のいずれかであるシステム。
【請求項2】
前記第1の電気化学的分離段の前記濃縮区画と前記第2の電気化学的分離段の前記濃縮区画との間に流体接続された貯留タンクをさらに具えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の電気化学的分離段の前記濃縮物出口及び前記第2の電気化学的分離段の前記濃縮物出口に流体接続されたセンサをさらに具え、該センサは全溶解塩(TDS)濃度及び流量の少なくとも一方を測定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御システムが、前記センサに電気接続され、前記第1の電気化学的分離段からの濃縮物のセンサ測定値に応答して、前記第2の電気化学的分離段からの濃縮物の量を調整するように構成されている、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御システムが、前記センサに電気接続され、前記第2の電気化学的分離段からの濃縮物のセンサ測定値に応答して、前記第1の電気化学的分離段からの濃縮物の量を調整するように構成されている、請求項
3に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御システムが、前記センサに電気接続され、前記第2の電気化学的分離段からの濃縮物のセンサ測定値に応答して、前記汽水源からの汽水の供給量を調整するように構成されている、請求項
3に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本願は、35U.S.C.§119(e)の下で、米国特許仮出願第62/743194号、発明の名称”HIGH RECOCERY ELECTRODIALYSIS METHOD”、2018年10月9日出願により優先権を主張し、この米国特許仮出願はその全文を全目的で参照することによって本明細書に含める。
【0002】
技術分野
本明細書中に開示する態様及び実施形態は、一般に水処理システムに指向し、より具体的には、水の高度回収、回収水の高純度、及び低い全エネルギー消費量を有する電気透析法を利用する水処理システムに指向している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
一態様によれば、半塩水を処理するシステムが提供される。このシステムは第1の電気化学的分離段を具えることができ、第1の電気化学的分離段は、半塩水源と流体接続可能な希釈区画の入口、濃縮区画、希釈物出口、及び濃縮物出口を有する。このシステムは、第1の電気化学的分離段の下流に配置された第2の電気化学的分離段をさらに具えることができ、第2の電気化学的分離段は、第1の電気化学的分離段の希釈物出口に流体接続可能な希釈区画の入口、濃縮区画、生産水出口、及び濃縮物出口を有し、第2の電気化学的分離段の濃縮物出口は第1の電気化学的分離段の濃縮区画に流体接続可能である。このシステムは制御システムを追加的に具えることができ、この制御システムは、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される供給量を調整し、約500ppm未満の溶解(溶存)塩の濃度を有する生産水の約90%以上の回収率を維持するように構成されている。
【0004】
一部の好適例では、上記半塩水源がさらに第2の電気化学的分離段の濃縮区画に流体接続可能である。一部の好適例では、第1の電気化学的分離段の希釈物出口がさらに第2の電気化学的分離段の濃縮区画に流体接続可能である。
【0005】
追加的な好適例では、上記システムが貯留タンクを含み、この貯留タンクは、第1の電気化学的分離段の濃縮区画と第2の電気化学的分離段の濃縮区画との間に流体接続可能である。追加的な好適例では、上記システムがセンサを含み、このセンサは、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮物出口に流体接続可能であり、全溶解塩(TDS:total dissolved salt)濃度及び流量の少なくとも一方を測定するように構成されている。
【0006】
一部の好適例では、上記制御システムが、上記センサに電気接続され、第1の電気化学的分離段からの濃縮物のセンサ測定値に応答して第2の電気化学的分離段からの濃縮物の量を調整するように構成されている。一部の好適例では、上記制御システムが、上記センサに電気接続され、第2の電気化学的分離段からの濃縮物のセンサ測定値に応答して、第1の電気化学的分離段からの希釈物の量を調整するように構成されている。一部の好適例では、上記制御システムが、上記センサに電気接続され、第2の電気化学的分離段からの濃縮物のセンサ測定値に応答して、上記半塩水源からの半塩水供給の量を調整するように構成されている。
【0007】
一部の好適例では、上記制御システムが、生産水1m3当たり約4kWh未満の全エネルギー消費量を維持するように構成されている。一部の好適例では、上記制御システムが、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間のドナン(Donnan)電位差を減少させるように構成されている。一部の好適例では、上記制御システムが、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間のオスミウム水損失を減少させるように構成されている。
【0008】
他の好適例によれば、半塩水を処理して飲用水を生産する方法が提供される。一部の好適例では、この方法が、半塩水源からの半塩水を第1の電気化学的分離段の希釈区画へ導入するステップを含む。この方法は、半塩水を第1の電気化学的分離段内で処理して希釈物を生成するステップを含むことができる。この方法は、第2の電気化学的分離段の希釈区画の入口へ指向させる希釈物の量を決定するステップをさらに含むことができる。この方法は、第1の電気化学的分離段の希釈物を第2の電気化学的分離段内で処理して、約500ppm未満の溶解塩の濃度を有する飲用水を生成するステップをさらに含むことができる。この方法は、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御して、生産水全体で約90%以上の回収率を維持するステップをさらに含むことができる。
【0009】
一部の好適例では、上記方法が、第2の電気化学的分離段の濃縮区画からの濃縮物のうちの一定量を第1の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップをさらに含むことができる。一部の好適例では、上記方法が、半塩水源からの半塩水のうちの一定量を第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップをさらに含むことができる。一部の好適例では、上記方法が、第1の電気化学的分離段からの希釈物のうちの一定量を第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップをさらに含むことができる。
【0010】
一部の好適例では、上記方法が、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御して、生産水1m3当たり約4kWh未満の全エネルギー消費量を維持するステップをさらに含むことができる。一部の好適例では、上記方法が、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御して、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間のドナン電位差を減少させるステップをさらに含むことができる。一部の好適例では、上記方法が、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御して、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間のオスミウム水損失を減少させるステップをさらに含むことができる。
【0011】
他の態様によれば、半塩水を処理する方法が提供される。一部の好適例では、上記方法が、半塩水源からの半塩水を第1の電気化学的分離段の複数の電気化学的分離モジュールの希釈区画の入口へ導入するステップを含むことができる。上記方法は、半塩水を第1の電気化学的分離段内で処理して第1希釈物及び第1濃縮物を生成するステップを含むことができる。上記方法は、第1希釈物を生産水として回収するステップを含むことができる。上記方法は、第1濃縮物を、第2の電気化学的分離段の複数の電気化学的分離モジュールの希釈区画の入口へ指向させるステップをさらに含むことができる。上記方法は、第1濃縮物を第2の電気化学的分離段内で処理して第2希釈物及び第2濃縮物を生成するステップを含むことができる。上記方法は、第1及び第2の電気化学的分離段の第1及び第2の電気化学的分離モジュールの濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御して、第1及び第2の電気化学的分離段の電気化学的分離モジュールの希釈区画と濃縮区画との間のドナン電位差を減少させるステップをさらに含むことができる。
【0012】
一部の好適例では、上記方法が、第1濃縮物のうちの一定量を第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップをさらに含むことができる。一部の好適例では、上記方法が第2希釈物を半塩水源へ指向させるステップをさらに含むことができる。一部の好適例では、上記方法が半塩水源からの半塩水のうちの一定量を第1の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップをさらに含むことができる。一部の好適例では、上記方法が、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御して、第1及び第2の電気化学的分離段の電気化学的分離モジュールの希釈区画と濃縮区画との間のオスミウム水損失を減少させるステップをさらに含むことができる。一部の好適例では、上記方法が、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御して、生産水全体で約85%以上の回収率を維持するステップをさらに含むことができる。一部の好適例では、上記方法が、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御して、約1.5kWh/cm3未満の全エネルギー消費量を維持するステップをさらに含むことができる。
【0013】
添付した図面は現寸に比例することを意図していない。これらの図面では、種々の図面中に図示する同一またはほぼ同一の構成要素は同様な番号で表現する。明瞭にする目的で、すべての図面中で必ずしもすべての構成要素にラベル付けしていないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】特定実施形態による水処理システムの概略図である。
【
図2】特定実施形態による水処理システムの概略図である。
【
図3】特定実施形態による、2つの電気化学的分離段を有する水処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
一態様によれば、第1の電気化学的分離段、及び第1の電気化学的分離段の下流に配置された第2の電気化学的分離段を用いて半塩水を処理するシステムが提供される。第1の電気化学的分離段は、半塩水源に流体接続可能な入口を有する希釈区画、濃縮区画、希釈物出口、及び濃縮物出口を含む。第2の電気化学的分離段は、第1の電気化学的分離段の希釈物出口に流体接続可能な入口を有する希釈区画、濃縮区画、生産水出口、及び濃縮物出口を含む。本明細書中に開示するシステム及び方法は、第1の電気化学的分離段の濃縮区画に流体接続可能な第2の電気化学的分離段の濃縮物出口をさらに含むことができる。本明細書中に開示するシステム及び方法は、1つ以上の追加的な電気化学的分離段を追加的に含むことができる。
【0016】
電気化学的分離段とは、電界を用いて流体を浄化する装置を参照し、溶解イオン種を含有する水及び他の液体を処理するために一般的に用いることができる。電気化学的分離段は、電気脱イオン装置及び電気透析装置を含むが、それらに限定されない。一部の好適例では、上記の電気化学的装置がフレームプレートまたは螺旋巻きのデザインを有する。こうしたデザインは、電気透析装置及び電気脱イオン装置を含む種々の電気化学的脱イオン装置用に用いることができるが、それらに限定されない。市販の電気透析装置は一般にフレームプレート型のデザインであるのに対し、電気脱イオン装置はフレームプレート形状及び螺旋形状の両方で利用可能にすることができる。
【0017】
一般に、電気化学的分離段は、イオン輸送に影響を与える電位を用いることができ、1つ以上のイオン化種またはイオン性種を流体から除去し、あるいはその濃度を低減することができる。電気化学的装置は、分離性能を実現または増強するように具体的に設計された1つ以上の電気化学反応を促進するように動作させることができる。例えば、電気化学的装置は、特定方向のイオン輸送を可能にし他の特定方向のイオン輸送を防止することによって、選択性透過膜を通る特定方向のイオン輸送を推進することができる。特定実施形態では、電気化学的装置が、半透性または選択性透過性のイオン交換膜または両極性膜のような電気的活性膜を具えることができる。
【0018】
電気脱イオン化(EDI:electrodeionization)システムは、電気的活性媒体をさらに用いて1つ以上のイオン化種またはイオン性種を流体から分離することができる。この電気的活性媒体は、一般に、イオン化種またはイオン性種を交互に収集及び放出するように機能し、一部の場合にはイオンの輸送を促進するように機能する。イオンの輸送は、例えばイオン置換または電子置換メカニズムによって連続して発生することができる。EDI装置は、永久的または一時的な電荷の電気化学的に活性な媒体を具えることができ、バッチ(回分)式で、間欠的に、連続的に、及び/またはさらには極性反転モードで動作させることができる。
【0019】
EDIの一具体例は連続電気脱イオン化(CEDI:continuous electrodeionization)である。CEDI装置は当業者に知られているEDI装置であり、イオン交換物質を連続的に再充電しながら浄水を連続して進行させることができる様式で動作する。CEDI技術は、連続脱イオン化、充填セル電気透析、または電気透析のようなプロセスを含むことができる。CEDIシステムにおいて特異的に制御される電圧及び塩分状態の下で、水分子を分割して、水素イオンまたは種あるいはヒドロニウムイオンまたは種、及び水酸化イオンまたは種あるいはヒドロキシルイオンまたは種を生成することができ、これらは装置内のイオン交換媒体を再生することができ、従って捕捉された種のイオン交換媒体からの解放を促進することができる。このようにして、処理すべき水流を、イオン交換樹脂の化学的再充電を必要とせずに連続して浄化することができる。
【0020】
電気透析(ED:electrodialysis)装置はEDI装置と同様に動作する(即ち、バッチ式プロセスで、間欠的に、連続的に、または極性反転モードで種を交互に収集及び放出することによって動作する)。しかし、ED装置は一般に電気活性媒体を膜間に含まない。電気活性媒体を欠くことにより、ED装置の動作は、電気抵抗が上昇した低塩分の給水では妨げられ得る。また、高塩分の給水でのEDの動作は、電流消費の上昇を生じさせ得るので、ED装置は今まで中間的な塩分の源水で最も効率的に用いられてきた。EDベースのシステムでは、電気活性媒体が存在しないので、水の分割では不十分であり、こうしたレジメ(体制)で動作することは一般に避けられる。
【0021】
本明細書中に開示するシステム及び方法で用いられるもののような特定の電気化学的分離段では、隣接する複数のセルまたは区画を選択性透過膜によって分離することができ、選択性透過膜は正電荷を帯びた種または負電荷を帯びた種のいずれかの通過を可能にするが、一般に両方の通過を可能にしない。こうした装置では、希釈区画は一般に濃縮区画との間に空間を設ける。水が希釈区画を通って流れる間に、イオン種及び他の荷電種を、DC(direct current:直流)電界のような電界の影響下で濃縮区画内へ引き出すことができる。正電荷を帯びた種はカソードに向けて引き出すことができ、カソードは一般に複数の希釈区画及び濃縮区画の積層の一端に配置される。負電荷を帯びた種はこうした装置のアノードに向けて引き出すことができ、アノードは一般に区画の積層の反対側の端に配置される。これらの電極は電解質区画内に収容することができ、これらの電解質区画は一般に希釈及び/または濃縮区画との流体連通から部分的に隔離されている。一旦、濃縮区画内に入ると、荷電種は、少なくとも部分的に濃縮区画を規定する選択性透過膜の障壁によって捕捉される。例えば、アニオン(陰イオン)は、カチオン(陽イオン)選択膜によって、カソードに向けてさらに移動すること、濃縮区画を出ることを防止することができる。同様に、カチオンは、アニオン選択膜によって、アノードに向けてさらに移動すること、濃縮区画を出ることを防止することができる。一旦、濃縮区画内に捕捉されると、捕捉された荷電種は濃縮物の流れ内で除去することができる。
【0022】
希釈区画、カチオン選択膜、濃縮区画、及びアニオン選択膜を組にしてセル対と称することができる。希釈区画及び濃縮区画内の流れ方向は、平行かつ同方向(並流)、平行かつ逆方向(逆流)、互いに直交する方向(直交流)、または角度を成す方向とすることができる。
【0023】
電気化学的分離段では、電界は一般に第1及び第2電極に供給される電圧及び電流の発生源から区画に印加される。この電圧源及び電流源を本明細書では集合的に「電源」と称し、この電源自体は、AC(alternate current:交流)電源、あるいは例えば太陽熱、風力、または波力から導出される電源のような種々のシステムによって給電することができる。
【0024】
電極-液体の界面では、電気化学的な半電池反応が発生し得る。半電池反応は上記の膜及び区画を通るイオンの移動を開始または促進する。電極及び膜の界面で発生する具体的な電気化学反応は、電極アセンブリを収容する専用区画内のイオン濃度によって部分的に制御することができる。例えば、塩化ナトリウムが多いアノード電解質区画への供給物は塩素イオン及び水素イオンを発生し易いことがあるのに対し、カソード電解質区画へのこうした供給物は、水素ガス及び水酸化イオンを発生し易い。
【0025】
一般に、アノード区画に発生する水素イオンは、塩素イオンのような自由アニオンに関連して、電荷の中性を保って塩酸溶液を生成し得る。同様に、カソード区画に発生する水酸化イオンは、ナトリウムのような自由カチオンと結び付いて、電荷の中性を保って水酸化ナトリウム溶液を生成し得る。発生する塩素ガス及び水酸化ナトリウムのような電極区画の反応生成物は、プロセス中に、消毒目的、膜の洗浄及び汚れ除去目的、及びpH調整目的で必要に応じて利用することができる。本明細書中に開示するシステム及び方法は、電極への流れを電極に伝えるように構成された電極供給ライン、第1電極と第2電極とを互いに流体接続する電極ライン、及び電極ラインの廃棄物を排出するように構成された電極廃棄物ラインを具えることができる。これらの電極は、希釈水、例えば第1供給ラインからの水、あるいは他の専用の溶液を供給することができる。
【0026】
本発明の電気化学的分離段の動作を促進する1つの要因は、電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間の溶質濃度の差を低減することである。濃縮流への給水と希釈流への給水との間の溶質濃度差の増加は、生産水を生成するために必要な全エネルギー消費量に有害な影響を与える。第1のものは、半浸透膜によって分離された希釈区画と濃縮区画との間のドナン電位差の増加である。このドナン電位差の増加は、電気化学的分離段の電流効率を低下させ、従って、電気化学的分離段の電極間の電圧降下をより高くして電気化学的分離段を動作させるために必要な電流を増加させる。このことは、システムから放出される単位生産水当たりの電力消費(例えば、kWh/m3単位で測定される)の増加を生じさせ得る。第2のものは、希釈区画から濃縮区画へのオスミウム水損失の増加である。電気化学的分離段の濃縮区画へ失われる溶質が多いほど、流量を低下させ、特に所定入力量の半塩水から生成される生産水の量を低減する。生産水に変換される半塩水の割合を最大にすることが、上記プロセスの主目的である。変換される半塩水の割合を本明細書では「回収率」と称する。回収率は一般に%比率で表現される。回収率を増加させることは、単位生産量当たりの資金及び動作コストを低減することができる。例えば、高い回収率は、給水の前処理を必要とする必要性または度合いを低減することができ、従って半塩水を前処理するコストを低減することができる。生産速度及び回収率を最大にすることは、これらの用途の多くが水不足、水の使用制限、または排出制限によって後押しされる理由でも有益であり得る。本発明では、個別の電気化学的分離段における水の回収率が約50%以上、例えば約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、または約95%以上である。個別の電気化学的分離段、あるいは複数の電気化学的分離段を具えた1つの電気化学的分離段における水の回収率は、約80%以上、例えば約85%以上、約90%以上、または約95%以上であることが好ましい。個別の電気化学的分離段、あるいは複数の電気化学的分離段を具えた1つの電気化学的分離段における水の回収率は、約85%以上または約95%以上であることが最も好ましい。
【0027】
本発明は、システム内の種々の流動点間の流体接続により、大量のイオン性汚染物質を半塩水から除去することによって、半塩水からの高い水回収率、生産水の高純度、及びエネルギー消費の低減を実現する。本明細書中に用いる「流体接続」とは、少なくとも2つのシステム要素間の接続を参照し、これらのシステム要素は、流体がこうしたシステム要素間を、介在する1つ以上のシステム要素を通過するにせよしないにせよ移動することを可能にする。これらの接続は、電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間の溶質濃度差を最小にするように構成されている。特に、本発明のシステムは、第2の電気化学的分離段の濃縮物出口と第1の電気化学的分離段の濃縮区画との間の流体接続を含み、第2の電気化学的分離段の濃縮区画からの濃縮物のうちの一定量を第1の電気化学的分離段の濃縮区画用の補給水として用いて、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間で溶質濃度を平衡させる。本発明のシステム内の他の流体経路及び流体接続を用いて、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間で溶質濃度の低減を実現することができる。非限定的な例として、一部の実施形態では、半塩水源を、さらに第2の電気化学的分離段の濃縮区画に流体接続可能にすることができ、半塩水源からの半塩水のうちの一定量を、第2の電気化学的分離段の濃縮区画用の補給水として用いることができる。他の非限定的な例では、第1の電気化学的分離段の希釈物出口を、さらに第2の電気化学的分離段の濃縮区画に流体接続可能にすることができ、第1の電気化学的分離段からの希釈物のうちの一定量を、第2の電気化学的分離段の濃縮区画用の補給水として用いることができる。一部の場合には、第1の電気化学的分離段からの希釈物のうちの一定量を、第2の電気化学的分離段の濃縮区画の希釈区画用の供給物として用いることができる。これらの構成のいずれにおいても、第1の電気化学的分離段の希釈区画を通る流れと濃縮区画を通る流れとは逆流であり:濃縮区画への供給物と希釈区画への供給物との間の溶質濃度差は、第2の電気化学的分離段についてはより低いが、第1の電気化学的分離段についてはより高い。
【0028】
一部の場合には、第1及び/または第2の電気化学的分離段が、複数の流体接続された電気化学的分離装置、本明細書ではモジュールと称するものを含むことができ、これらの各々が希釈区画及び濃縮区画を有する。例えば、第1及び/または第2の電気化学的分離段は、1個から100個までの個別の電気化学的分離モジュール、10個から40個まで、20個から50個まで、または40個から80個までの個別の電気化学的分離モジュールを含むことができる。第1及び第2の電気化学的分離段の各々の内部の個別の電気化学的分離モジュールの数は、同じでも異なってもよい。例えば、第1の電気化学的分離段は、第2の電気化学的分離段よりも多数の電気化学的分離モジュールを有することができ、あるいは、第2の電気化学的分離段は第1の電気化学的分離段よりも多数のモジュールを有することができる。
【0029】
各電気化学的分離モジュールは、複数のビルディング(構成)ブロック、本明細書ではサブブロックと称するもので組み立てることができる。各サブブロックは、1個から10個まで、10個から50個まで、または100個から200個までのセル対を含むことができる。複数のサブブロックを希釈区画の入口及び出口付きで配列することができ、各サブブロック内の濃縮区画の入口及び出口は、他のサブブロック内のそれぞれの入口及び出口と流体接続されている。希釈流は全サブブロックの希釈区画を通って並列に流れ、濃縮流は全サブブロックの濃縮区画を通って並列に流れる。
【0030】
複数のサブブロックを、希釈流及び濃縮流が各ブロック内のそれぞれの区画を通って直列に流れるように配列することもできる。各サブブロックを通る流路を本明細書ではパス(pass:通路)と称する。
【0031】
各パスは、複数のサブブロックを並列に含むことができる。希釈流及び濃縮流は、第1パス内の複数のサブブロック内のそれぞれの区画を通って流れ、次に第2パス内の複数のサブブロック内のそれぞれの区画を通って流れ、等である。
【0032】
各パス内のサブブロックの数が同じであれば、電気化学的分離モジュール内のサブブロックの配列は、パス当たりy個のサブブロックを有するx個のパスとして記述することができ、ここにx及びyは一般に1から10までの数とすることができる。各パス内のサブブロックの数が異なる場合、電気化学的分離モジュール内のサブブロックの配列は、ハイフンによって分けられたパス毎のサブブロック数によって記述することができる。例えば、第1及び第2パス内に4つのサブブロックを有し第3及び第4パス内に2つのサブブロックを有するモジュールは、4-4-2-2のように記述することができる。
【0033】
一部の実施形態では、本発明のシステムが、第1及び第2の電気化学的分離モジュールの濃縮区画間を流体接続可能な貯留タンクを含むことができる。この貯留タンクは、第2の電気化学的分離モジュールからの濃縮物を保持するように構成することができ、ポンプにより、第2濃縮物のうちの一定量を第1の電気化学的分離モジュールの濃縮区画へ排出することができる。
【0034】
一部の場合には、本発明のシステムは第1及び第2の電気化学的な段を含むことができ、各段は第1及び第2の電気化学的副分離段を含み、第1及び第2の電気化学的副分離段の各々が、本明細書中に説明する複数の個別の電気化学的分離モジュールを含む。第1及び第2の電気化学的な段の第1及び第2の電気化学的副分離段は、同数の個別の電気化学的分離モジュールを有することができ、あるいは異なる数の個別の電気化学的分離モジュールを有することができる。第1及び第2の電気化学的副分離段を有する第1及び第2の電気化学的分離段を含む本発明のシステムは、第1及び第2の電気化学的分離段の電気化学的分離モジュールの希釈区画と濃縮区画との間の溶質濃度の差を低減するように構成された流体接続部を含むことができる。例えば、第1及び第2の電気化学的副分離段を有する第1及び第2の電気化学的分離段を含むシステムの実施形態では、第1の電気化学的分離段の濃縮物出口を、第2の電気化学的な段の希釈区画及び濃縮区画に流体接続可能にすることができる。他の例として、第1及び第2の電気化学的副分離段を有する第1及び第2の電気化学的分離段を含むシステムの実施形態では、第2の電気化学的な段の希釈物出口を、半塩水源のような水源に流体接続可能にすることができる。さらに他の例として、第1及び第2の電気化学的副分離段を有する第1及び第2の電気化学的分離段を含むシステムの実施形態では、半塩水源のような水源を第1の電気化学的な段の濃縮区画に流体接続可能にすることができる。これらの流体接続は、第1及び第2の電気化学的分離段の第1及び第2の電気化学的副分離段内の個別の電気化学的分離モジュールの希釈チャンバと濃縮チャンバとの間の溶質濃度差を低減するように構成されている。
【0035】
本発明のシステム及び方法では、半塩水から生産水を生成するための全エネルギー消費量が、生産水が飲用であるにせよ追加的な処理を必要とするにせよ、生産水1m3当たり約5kWh未満である。例えば、本発明のシステムについての全エネルギー消費量は、生産水1m3当たり約4kWh未満、生産水1m3当たり約3kWh未満、生産水1m3当たり約2kWh未満、または生産水1m3当たり約1kWh未満とすることができる。半塩水から生産水を生成するための全エネルギー消費量は、生産水1m3当たり約4kWh未満であることが好ましい。特定実施形態では、半塩水から生産水を生成するための全エネルギー消費量が、生産水1m3当たり約2kWh未満である。特定実施形態では、半塩水から生産水を生成するための全エネルギー消費量が、生産水1m3当たり約1kWh未満である。「全エネルギー消費量」とは、システム全体を動作させるために消費されるエネルギーの全体を意味し、電気化学的分離モジュール及び/または電気化学的分離段の電極を駆動するために必要なエネルギー、及びポンプ、バルブ、レギュレータ(調整弁)、及び他の流体操作構成要素を含むシステム全体にわたって水を分配するために必要なエネルギーを含む。
【0036】
電気化学的分離を用いて、例えば源水を脱塩することによって、海水、半塩水、または井戸水を、公共及び産業用途向けに処理することができる。電気化学的分離は廃水を処理するために用いることもできる。電気化学的分離で処理される廃水の非限定的な一例は、再利用または再循環(リサイクル)向けの逆浸透(RO:reverse osmosis)廃棄物である。これらの水源は多種のイオンを含み得る。例えば、半塩水の供給物は、反応して沈殿物及びスケール(缶石)、例えばCa(HCO3)2、CaCO3、CaSO4、及びMg(OH)2、他の塩類、例えばNaHCO3を含むナトリウム塩、及びケイ酸塩鉱物を形成するイオンを含む。半塩水の供給物は、約1,500ppm~10,000ppmの全溶解塩(TDS:total dissolved salts)濃度を有し得る。例えば、給水は、約9,000ppm、約8,000ppm、約7,000ppm、約6,000ppm、約5,000ppm、約4,000ppm、約3,000ppm、約2,000ppm、または約1,500ppmのTDSを有し得る。海水または河口水は、約10,000~約45,000ppmの範囲内の全溶解塩の濃度を有し得る。特定例では、海水または河口水が約35,000ppmの全溶解塩の濃度を有し得る。約50,000ppm~約150,000ppmの範囲内の全溶解塩含有量を有する塩水(ブライン)を処理して飲用水を生成することができる。一部の実施形態では、約50,000ppm~約150,000ppmの範囲内の全溶解塩含有量を有する塩水を処理して、例えば海のような大量の水への廃棄目的で、より低い全溶解塩含有量を有する水を生成することができる。飲用水は一般に約1,500ppm未満のTDS含有量を有する。一部の実施形態では、飲用水が約1,000ppm未満のTDSを有することができる。一部の場合には、飲用水が500ppm未満のTDS含有量を有することができる。一部の非限定的な実施形態では、飲用水が約250ppm未満のTDS含有量を有することができる。一部の場合には、本発明のシステム及び方法によって処理した半塩水を処理して、農業水利用の水のような飲用水以外の目的に適した水になる量だけTDS含有量を低減することができる。次に、この水を、ROまたは他の利用可能な水処理のような他の水処理システムを用いてさらに処理することができる。
【0037】
一部の実施形態では、上記システムが制御システムをさらに具え、この制御システムは、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される供給量を調整するように構成されている。この制御システムは、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御するように構成されている。第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量の制御は、システムが生産水1m3当たり約4kWh未満の全エネルギー消費量を維持することを可能にすることができる。第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量のこうした制御は、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間のドナン電位差を減少させることをさらに可能にし、これによりエネルギー消費量を低減することができる。第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量の制御は、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間のオスミウム水損失を減少させることを追加的に可能にし、これにより回収される水の量を増加させることができる。
【0038】
上記制御システムは、濃縮物または生産水のイオン濃度が所定閾値に達した際に、第2の電気化学的分離段からの濃縮物、第1の電気化学的分離段からの希釈物、半塩水の供給物のような補給供給物の量を調整するようにさらに構成することができる。例えば、上記制御システムは、第1及び/または第2の電気化学的分離段の濃縮物のTDS濃度が約8,000ppm以上である際に、補給供給物の量を調整することができる。上記制御システムは、上記TDS濃度が約9,000ppm以上、約10,000ppm以上、約11,000ppm以上、約11,500ppm以上、約12,000ppm以上、約12,100ppm以上、約12,200ppm以上、約12,300ppm以上、約12,400ppm以上、または約12,500ppm以上である際に、補給供給物の量を調整することができる。
【0039】
上記制御システムは、再循環ライン内の圧力が所定の値または圧力閾値に達した際に、補給供給物の量を調整するように構成することができる。第1及び/または第2の電気化学的分離段全体にわたる平均圧力または絶対圧力が所定値に達した際に、上記圧力が圧力閾値に達することができる。上記制御システムは、第1及び/または第2の電気化学的分離段の濃縮区画内の圧力が所定の差を呈する際に、補給供給物の量を調整するようにさらに構成することができる。具体的には、第1及び/または第2の電気化学的分離段の濃縮区画全体にわたる所定の圧力差は、第1及び/または第2の電気化学的分離段の濃縮区画全体にわたる圧力低下として測定することができる。第1及び/または第2の電気化学的分離段の濃縮区画内及び/または再循環ライン内の2つ以上の点で圧力を測定して、圧力差を測定することができる。
【0040】
上記システムは1つ以上のセンサをさらに具えることができる。一部の実施形態では、上記システムが、第1及び第2の電気化学的分離段の濃縮物出口に流体接続可能なセンサを具え、このセンサはTDS濃度及び流量の少なくとも一方を測定するように構成されている。上記1つ以上のセンサは、本発明のシステム内の流体の追加的な特性、例えばシステム内の1つ以上の位置における水のpHまたは水の圧力を測定するように構成することができる。一部の実施形態では、上記システムが、電気化学的分離段内の第1及び第2電極のような1つ以上の電極に電気接続され、これらの電極間の電圧及び/または電流を測定するように構成されたセンサを具えている。上記制御システムは、上記1つ以上のセンサに電気接続することができ、これら1つ以上のセンサから受信した測定値に応答して動作するように構成することができる。例えば、上記制御システムは、第1及び第2の電気化学的分離段からの濃縮物の特性を測定するセンサに電気接続することができ、第1の電気化学的分離段からの濃縮物のセンサ測定値、例えばTDSまたは流量に応答して、第2の電気化学的分離段からの濃縮物のうちの一定量を排出するように構成されている。他の非限定的な例として、上記制御システムは、第1及び第2の電気化学的分離段からの濃縮物の特性を測定するセンサに電気接続することができ、第2の電気化学的分離段からの濃縮物にセンサ測定値に応答して、第1の電気化学的分離段からの希釈物のうちの一定量を排出するように構成されている。さらに他の非限定的な例として、上記制御システムは、第1及び第2の電気化学的分離段からの濃縮物の特性を測定するセンサに電気接続することができ、第2の電気化学的分離段からの濃縮物のセンサ測定値に応答して、半塩水の供給源からの半塩水の給水のうちの一定量を排出するように構成されている。
【0041】
上記システムは、任意数のセンサと電気通信する1つの制御システムを具えることができ、あるいは各センサと電気通信する1つの制御システムを具えることができる。このシステムは、任意数の制御モジュールに接続された制御システムハブをさらに具えることができる。一部の実施形態では、これらの制御モジュールとセンサとが1本以上のワイヤによって接続されている。一部の実施形態では、制御システムとセンサとが無線接続されている。同様に、1つ以上の制御モジュールを、再循環ライン上の1つ以上のバルブに有線または無線で接続することができる。一部の実施形態では、制御システムがバルブ内に含まれ、これによりバルブ自体がタイマーで、あるいはセンサから受信した測定値に応答して自動的に開閉するように構成されている。
【0042】
他の態様によれば、半塩水を処理して飲用水を生成する方法が提供される。この方法は、半塩水を半塩水源から第1の電気化学的分離段の希釈区画の入口に導入するステップを含むことができる。この方法は、第2の電気化学的分離段の希釈区画の入口へ指向される希釈物の量を決定するステップと、第1の電気化学的分離段の希釈物を第2の電気化学的分離段内で処理して、約500ppm未満の溶解塩の濃度を有する飲用水を生成するステップとをさらに含むことができる。生産水全体の回収率は、90%以上にすることができ、本明細書中に説明するように第1及び第2の電気化学的分離段に濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御することによって維持することができる。
【0043】
一部の実施形態では、半塩水を処理して飲用水を生成する方法が、第2の電気化学的分離段の濃縮区画からの濃縮物のうちの一定量を第1の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップを含むことができる。半塩水を処理して飲用水を生成する方法は、大量の半塩水を半塩水源から第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップをさらに含むことができる。半塩水を処理して飲用水を生成する方法は、第1の電気化学的分離段からの希釈物のうちの一定量を第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップを追加的に含むことができる。一部の場合には、補給水の制御が、生産水1m3当たり4kWh未満の全エネルギー消費量を維持することができ、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間のドナン電位差を減少させることができ、そして第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間のオスミウム水損失を減少させることができる。
【0044】
他の態様によれば、半塩水を処理する方法が提供される。この方法は、半塩水源からの半塩水を、第1の電気化学的分離段の複数の電気化学的分離モジュールの希釈区画の入口に導入するステップと、この半塩水を第1の電気化学的分離段内で処理して第1希釈物及び第1濃縮物を生成するステップと、第1希釈物を生産水として回収するステップとを含むことができる。この方法は、第1濃縮物を第2の電気化学的分離段の複数の電気化学的分離モジュールの希釈区画の入口に導入するステップと、第1濃縮物を第2の電気化学的分離段内で処理して第2希釈物及び第2濃縮物を生成するステップとをさらに含むことができる。第1及び第2の電気化学的分離モジュールの希釈区画と濃縮区画との間のドナン電位差を減少させることは、本明細書中に説明するように第1及び第2の電気化学的分離モジュールの濃縮区画へ指向される補給水の供給源及び流量を制御することによって実現することができる。こうした方法によって生成される生産水は、飲用水を必要としない用途向けに用いることができ、あるいはROまたは類似のような追加的な水処理プロセス用の給水として用いることができる。
【0045】
一部の好適例では、半塩水を処理する方法が、第1濃縮物のうちの一定量を第2の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップを含むことができる。半塩水を処理する方法は、第2希釈物を半塩水源へ指向させるステップをさらに含むことができる。半塩水を処理して飲用水を生成する方法は、半塩水源からの半塩水のうちの一定量を第1の電気化学的分離段の濃縮区画へ指向させるステップを追加的に含むことができる。一部の場合には、補給水の制御が、第1及び第2の電気化学的分離段の希釈区画と濃縮区画との間のオスミウム水損失を低減することができ、生産水全体で約85%以上の回収率を維持することができ、そして生産水1m3当たり1.5kWh未満の全エネルギー消費量を維持することができる。
【0046】
以上で説明した実施形態及び本発明の他の実施形態は、以下の図面の説明よりさらに理解することができ、これらの図面は本発明の1つ以上のシステム及び技術の利益及び/または利点をさらに例示するが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【0047】
図1の例示的な概略図に示すように、水処理システムが第1及び第2の電気化学的分離段110、120を具え、各電気化学的分離段は希釈区画130及び濃縮区画140を具えている。このシステムは、第1の電気化学的分離段110の希釈区画130に流体接続された第1供給ライン100、及び第2の電気化学的分離段120の濃縮区画140に流体接続された第2供給ライン102を具えている。第1の電気化学的分離段110の希釈区画130は、希釈出口104によって第2の電気化学的分離段の希釈区画130に流体接続されている。生産水ライン106は、第2の電気化学的分離段120の希釈区画130から処理水を排出する。第2供給ライン102は、供給流が第2の電気化学的分離段の再循環ライン160を通って第2の電気化学的分離段120の濃縮区画140に達することを可能にするように構成されている。第2の電気化学的分離段の再循環ライン160はポンプ190をさらに具えることができ、ポンプ190は第2の電気化学的分離段120の濃縮区画140の濃縮物180をポンプ動作で第2の電気化学的分離段120の濃縮区画140の入口へ戻すように構成されている。第1の電気化学的分離段110の濃縮区画140は第1の電気化学的分離段の再循環ライン150を含み、再循環ライン150は、ポンプ190により、第1の電気化学的分離段110の濃縮区画140の濃縮物170をポンプ動作で第1の電気化学的分離段110の濃縮区画140の入口へ戻すように構成されている。このシステムは貯留タンク112をさらに具え、貯留タンク112は第2の電気化学的分離段120の濃縮区画140の濃縮物180を受け入れる。貯留タンク112は、含まれていれば、ポンプ190に接続することができ、ポンプ190は第2の電気化学的分離段120の濃縮区画140の濃縮物180を、貯留タンクの排出ライン114を通して第1の電気化学的分離段110の濃縮区画140の入口へ戻す。
【0048】
図2の例示的な概略図に示すように、水処理システムが第1及び第2の電気化学的分離段210、220を具えている。第1及び第2の電気化学的分離段210、220は、複数の電気化学的分離モジュールを含むことができ、各モジュールは希釈区画230及び濃縮区画240を具えている。このシステムは、第1の電気化学的分離段210の希釈区画230に流体接続された第1供給ライン200を具えている。第1の電気化学的分離モジュール210の希釈区画230は、希釈物出口204によって第2の電気化学的分離段220の希釈区画230に流体接続されている。生産水ライン206は、処理水を第2の電気化学的分離段220の希釈区画230から排出する。希釈出口204は分割希釈物供給ライン208を含み、分割希釈物供給ライン208は、第1の電気化学的分離段210の希釈区画230からの希釈物が再循環ループ260を通って第2の電気化学的分離段220の濃縮区画240に達することを可能にするように構成されている。第2の再循環ループ260はポンプ290をさらに具えることができ、ポンプ290は第2の電気化学的分離段220の濃縮区画240の濃縮物を第2の電気化学的分離段220の濃縮区画240の入口へ戻るように再循環させるように構成されている。このシステムは貯留タンク212をさらに具えることができ、貯留タンク212は第2の電気化学的分離段220の濃縮区画240の濃縮物280を受け入れる。貯留タンク212は、含まれていれば、ポンプ290に接続することができ、ポンプ290は第2の電気化学的分離段220の濃縮区画240の濃縮物280を、貯留タンク排出ライン214を通って第1の電気化学的分離段210の濃縮区画240の入口へ戻るように再循環させる。
【0049】
図3の例示的な概略図に示すように、水処理システムが第1及び第2の電気化学的分離段310、320を具えている。第1及び第2の電気化学的分離段310、320の各々の内部に、第1及び第2の電気化学的副分離段311、313があり、各副分離段は複数の電気化学的分離モジュールを具え、各モジュールは希釈区画330及び濃縮区画340を具えている。このシステムは第1供給ライン300を具え、第1供給ライン300は第1の電気化学的分離段310の第1副分離段311の希釈区画330に流体接続されている。
【0050】
第1副分離段311の希釈区画330は希釈物出口304によって第2副分離段313の希釈区画に流体接続され、第1副分離段311の濃縮区画340は濃縮物出口306によって第2副分離段313の濃縮区画340に流体接続されている。第1生産水ライン308は、第1の電気化学的分離段310の第2副分離段313の希釈区画330から処理水を排出する。このシステムは、第1供給ライン300から分かれる第2供給ライン301をさらに具え、第2供給ライン301は、供給物の流れが再循環ループ312を通って第1の電気化学的分離段310の第1及び第2副分離段311、313の濃縮区画340に達することを可能にするように構成されている。再循環ループ312はポンプ390をさらに具えることができ、ポンプ390は、第2副分離段313の濃縮区画340の濃縮物312を第1の電気化学的分離段310の第1副分離段311の濃縮区画340の入口へ戻るように再循環させるように構成されている。第1の電気化学的分離段310の濃縮物314は第1貯留タンク380に渡される。
【0051】
第1貯留タンク380は、第3供給ライン302によって第2の電気化学的分離段320の第1副分離段311の希釈区画330及び濃縮区画340に流体接続することができる。第1副分離段311の希釈区画330は希釈物出口304によって第2副分離段313の希釈区画に流体接続され、第1副分離段311の濃縮区画340は濃縮物出口306によって第2副分離段313の濃縮区画340に流体接続されている。
【0052】
第2生産水ライン316は処理水を第2の電気化学的分離段320の第2副分離段313の希釈区画330から第2貯留タンク382内へ排出する。第2の電気化学的分離段320は再循環ループ322を含み、再循環ループ322は、ポンプ390により、第2副分離段323の濃縮区画340の濃縮物を、第2の電気化学的分離段320の第1副分離段321の濃縮区画340の入口へ戻るように再循環させるように構成されている。第2貯留タンク382は、ポンプ390により、第2の電気化学的分離段320の生産水を、第4供給ライン303を通してシステムの第1供給ライン300へ送るように構成されている。
【0053】
例
例1
本例では、2段の電気透析モジュールを具えた水処理システムの動作のシミュレーションを行った。各段は26個の電気透析モジュールを具え、各モジュールは希釈区画及び濃縮区画を有する。この設計のシステムは
図1に例示されている。給水は、シミュレーションでは174.1m
3/時の供給流量を有する6,710ppmのTDSとした。第1の電気透析段に印加する電圧はシミュレーションでは502VDCとし、シミュレーションの電流は個別のモジュール当たり26Aとした。第2の電気透析段に印加する電圧はシミュレーションでは428VDCとし、シミュレーションの電流は個別のモジュール当たり6.4Aとした。このシステムは94.2%のTDS除去率を奏し、これにより生産水は391ppmのTDS濃度を有し、濃縮物は63,583ppmのTDS濃度を有した。このシステムは、90.6%の全体的な回収率、及び水の1m
3当たり3.07kWhの全エネルギー消費量を奏し、全エネルギー消費量は、電気化学的分離モジュール、及び水を分配するために使用した全ポンプを駆動することを含む。
【0054】
各電気透析モジュールは12個のサブブロックを含み、これらのサブブロックは、希釈流及び濃縮流が、第1パスでは4つのサブブロックを並行して流れ、第2パスでは4つのサブブロックを並行して流れ、第3パスでは2つのサブブロックを並行して流れ、第4パスでは2つのサブブロックを並行して流れるように配列されている。こうしたサブブロックの配列を4-4-2-2のように記述する。
【0055】
例2
本例では、2段の電気透析モジュールを具えた水処理システムの動作のシミュレーションを行った。第1段は28個の電気透析モジュールを含み、第2段は26個の電気透析モジュールを含み、各モジュールは希釈区画及び濃縮区画を有する。給水は、シミュレーションでは175.8m3/時の供給流量を有する6,710ppmのTDSとした。第1の電気透析段に印加する電圧はシミュレーションでは502VDCとし、シミュレーションの電流は個別のモジュール当たり26.4Aとした。第2の電気透析段に印加する電圧はシミュレーションでは424VDCとし、シミュレーションの電流は個別のモジュール当たり6.3Aとした。このシステムは94.6%のTDS除去率を奏し、これにより生産水は365ppmのTDS濃度を有し、濃縮物は68,591ppmのTDS濃度を有した。このシステムは、90%の全体的な回収率、及び水の1m3当たり3.31kWhの全エネルギー消費量を奏し、全エネルギー消費量は、電気化学的分離モジュール、及び水を分配するために使用した全ポンプを駆動することを含む。
【0056】
各電気透析モジュールは12個のサブブロックを含み、これらのサブブロックは、希釈流及び濃縮流が、第1パスでは4つのサブブロックを並行して流れ、第2パスでは4つのサブブロックを並行して流れ、第3パスでは2つのサブブロックを並行して流れ、第4パスでは2つのサブブロックを並行して流れるように配列されている。こうしたサブブロックの配列を4-4-2-2のように記述する。
【0057】
例3
本例では、2段の電気透析モジュールを具えた水処理システムの動作のシミュレーションを行った。第1段は20個の電気透析モジュールを含み、第2段は8個の電気透析モジュールを含み、各モジュールは希釈区画及び濃縮区画を有する。この設計のシステムは
図1に例示されている。給水は、シミュレーションでは142m
3/時の供給流量を有する2,790ppmのTDSとした。第1の電気透析段に印加する電圧はシミュレーションでは366VDCとし、シミュレーションの電流は個別のモジュール当たり4.8Aとした。第2の電気透析段に印加する電圧はシミュレーションでは491VDCとし、シミュレーションの電流は個別のモジュール当たり2.3Aとした。このシステムは90.2%のTDS除去率を奏し、これにより生産水は274ppmのTDS濃度を有し、濃縮物は17,056ppmのTDS濃度を有した。このシステムは、85%の全体的な回収率、及び水の1m
3当たり0.51kWhの全エネルギー消費量を奏し、全エネルギー消費量は、電気化学的分離モジュール、及び水を分配するために使用した全ポンプを駆動することを含む。
【0058】
各電気透析モジュールは12個のサブブロックを含み、これらのサブブロックは、希釈流及び濃縮流が、第1パスでは4つのサブブロックを並行して流れ、第2パスでは4つのサブブロックを並行して流れ、第3パスでは2つのサブブロックを並行して流れ、第4パスでは2つのサブブロックを並行して流れるように配列されている。こうしたサブブロックの配列を4-4-2-2のように記述する。
【0059】
例4
本例では、2段の電気透析モジュールを具えた水処理システムの動作のシミュレーションを行った。第1段は電気透析モジュールから成る2つの副分離段を含み、各副分離段は36個の電気透析モジュールを有し、各モジュールは希釈区画及び濃縮区画を有する。第1段のモジュールは半塩水を給水として受けるように構成され、本明細書中に規定するように、サブブロックが2つのパスの形に配列され、各パスは4つのサブブロックを有する。シミュレーションの半塩水モジュールはNEXED 6-8A-1モジュール(Evoqua Eater Technologies LLC、ペンシルベニア州ピッツバーグ市)であった。第2の電気化学的分離段は第1の電気化学的分離段の濃縮物を供給され、電気透析モジュールから成る2つの副分離段を含み、各副分離段は6つの電気透析モジュールを有し、各モジュールは希釈区画及び濃縮区画を有する。第2段のモジュールは、高塩分の給水用に構成され、5つのパスを有し、各パスはパス毎に4つのサブブロックを有する。シミュレーションにおける高塩分モジュールはNEXED SWI 6-20Bモジュール(Evoqua Eater Technologies LLC、ペンシルベニア州ピッツバーグ市)であった。この設計のシステムは
図3に例示されている。第1段内への給水は(第2段からの生産水とバランスがとれ)シミュレーションでは183.4m
3/時の総供給流量を有する7,585ppmのTDSとした。第1の電気化学的分離段を動作させるために必要な全電力は119.7kWであり、0.77kWh/m
3の全エネルギー消費量を有した。第2の電気化学的分離段を動作させるために必要な全電力は76kWであり、0.49kWh/m
3の全エネルギー消費量を有した。このシステムは70.3%のTDS除去率を奏し、これにより生産水は2,250ppmのTDS濃度を有し、第1段の第1濃縮物は37,800ppmのTDS濃度を有し、第2段の第2濃縮物は91,085ppmのTDS濃度を有した。このシステムは、94%の全体的な回収率を奏し(第1段の回収率は85%であり、全給水のうち155・9m
3/時を回収し、第2段の回収率は63.8%であり、9・95m
3/時の濃縮物排出を有し)、処理水を生成するために1.26kWh/m
3の全エネルギー消費量を奏した。
【0060】
本明細書中に用いる語句及び専門用語は説明目的であり、限定的なものと考えるべきでない。本明細書中に用いる「複数」とは、2つ以上のアイテムまたは構成要素を参照する。「具える」、「含む」、「持つ」、「有する」、「含有する」とは、発明の詳細な説明中でも特許請求の範囲中でもその他でも、上限がなく、即ち、「含む、但しそれらに限定されない」ことを意味する。従って、こうした語の使用は、その後に挙げるアイテム、及びその等価物、並びに追加的なアイテムを包含することを意味する。特許請求の範囲に関しては、移行句「...から成る」及び「基本的に...から成る」のみが、それぞれ閉鎖的移行句及び半閉鎖的移行句である。請求項中の要素を修飾するための、特許請求の範囲中での「第1」、「第2」、「第3」等のような序数語の使用は、それだけでは、請求項中の他の要素、あるいは方法の動作を実行する時間的順序に対する、請求項中の一要素の優先度、先行、または順序を何ら暗示するものではなく、ある名称を有する請求項中の一要素を、同じ名称を有する(但しその序数語を使用するための)他の要素から区別して、請求項中の要素を区別するためのラベルとして用いるに過ぎない。
【0061】
本明細書中に記載するパラメータ及び構成は例示的であり、実際のパラメータ及び/または構成は、開示する方法及び題材を用いる具体的用途に依存することは、当業者にとって明らかなはずである。また、当業者は、日常の実験の域を出ないものを用いて、開示する具体的な実施形態の等価物を認識し、あるいは確かめることができるはずである。例えば、当業者は、本発明による方法、及びその構成要素が、ネットワークまたはシステムをさらに具えることができること、あるいは電気化学的水処理システムの構成要素とすることができることを認識することができる。従って、本明細書中に開示する実施形態は例として提示するに過ぎず、添付した特許請求の範囲及びその等価物の範囲内で、開示する実施形態を具体的に記載するものとは異なるように実施することができることは明らかである。本発明のシステム及び方法は、本明細書中に記載する各個別の特徴、システム、または方法に指向している。それに加えて、2つ以上のこうした特徴、システム、または方法の任意の組合せは、こうした特徴、システム、または方法が互いに矛盾しなければ、本発明の範囲内に含まれる。本明細書中に開示する方法のステップは、例示する順序でも代わりの順序でも実行することができ、これらの方法は追加的または代わりの動作を含むことができ、あるいは例示する動作のうちの1つ以上を省略して実行することができる。
【0062】
さらに、種々の変更、修正、及び改良を当業者が容易に想到することは明らかである。こうした変更、修正、及び改良は、本発明の一部であることを意図し、本発明の精神及び範囲内であることを意図している。他の例では、本明細書中に記載する方法及びシステムのいずれか1つ以上の態様を利用するか含めるように、既存の設備を変更することができる。従って、一部の例では、これらの方法が電気化学的分離装置を動作させることを含むことができる。従って、以上の説明及び図面は例に過ぎない。さらに、図面中の記載は本発明を具体的に図示する表現に限定しない。
【0063】
本明細書中には例示的な実施形態を開示するが、以下の特許請求の範囲に記載する発明の態様及びそれらの等価物の精神及び範囲から逸脱することなしに、多数の変更、追加、及び削除をこれらの実施形態において行うことができる。