(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】商品推奨システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20240716BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G16H20/60
A61B5/00 102A
(21)【出願番号】P 2021513909
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2019074277
(87)【国際公開番号】W WO2020053307
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519098811
【氏名又は名称】ディーエヌエーナッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルベラ マリア
(72)【発明者】
【氏名】トゥマズ クリストファー
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-533318(JP,A)
【文献】米国特許第05788655(US,A)
【文献】特開2016-128956(JP,A)
【文献】特開2016-099782(JP,A)
【文献】特開2007-328464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0085077(US,A1)
【文献】国際公開第2017/055867(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着用デバイスであって、
外用塗布および/または身体装着される消費商品のための商品コードと、
商品推奨を示す
または商品推奨が導出されうるデータとを記憶するように構成されるメモリと、
商品から商品コードを読み取るための商品コード読取器と、
デバイスの装着者についての動作データを取得するための一以上の慣性センサと、
読み取られた商品コードを受けて、前記メモリに記憶されたデータを使用して商品推奨についての視覚的指示を提供するための視覚的指示器と、
前記装着者が着座位置または他の不活発状態にある期間を特定するように前記動作データを処理し、前記期間の発生および持続時間を分析し、前記商品コードの少なくとも部分集合について前記
商品推奨を適宜調整するように構成される一以上のプロセッサであって、前記特定された期間に応じて前記商品推奨が変化する、一以上のプロセッサと、
を包含する装着用デバイス。
【請求項2】
同一の日など所定の期間にわたって前記プロセッサにより判断される前記装着者の着座および/または他の不活発行動に従って前記
商品推奨を調整するように前記一以上のプロセッサが構成される、請求項1に記載の装着用デバイス。
【請求項3】
10分、30分、または60分など、閾値期間より長い期間にわたって前記装着者が着座位置または他の不活発状態にある時に期間のカウントを特定および維持するように前記一以上のプロセッサが構成される、請求項1または2に記載の装着用デバイス。
【請求項4】
前記期間を特定する時に所定時間未満にわたって前記装着者が着座位置または他の不活発状態にない中断を無視するように前記一以上のプロセッサが構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装着用デバイス。
【請求項5】
前記メモリが各商品についての栄養データを記憶し、前記栄養データに基づいて前記商品コードの部分集合を選択するように前記プロセッサが構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装着用デバイス。
【請求項6】
各商品推奨が第1推奨状態と第2非推奨状態とを有して、前記調整が前記第1推奨状態および第2非推奨状態の間で前記商品推奨を変化させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の装着用デバイス。
【請求項7】
前記商品推奨が第1推奨状態と第2「準推奨」状態と第3非推奨状態とを有し、前記調整が前記第1推奨状態および第2「準推奨」状態の間で前記商品推奨を変化させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の装着用デバイス。
【請求項8】
装着用デバイスが手首装着の装着用デバイスである、請求項1から7のいずれか一項に記載の装着用デバイス。
【請求項9】
前記一以上の慣性センサが加速度計および/またはジャイロスコープを包含する、請求項1から8のいずれか一項に記載の装着用デバイス。
【請求項10】
前記商品コード読取器が一次元又は二次元のバーコードを読み取るためのものである、請求項1から9のいずれか一項に記載の装着用デバイス。
【請求項11】
前記視覚的指示器が、異なる色の点灯によって前記商品推奨の前記指示を提供する、請求項1から10のいずれか一項に記載の装着用デバイス。
【請求項12】
前記装着者の着座および/または他の不活発行動に基づいて、
前記商品推奨が調整される商品コードを前記商品コードの少なくとも部分集合から選択するように前記一以上のプロセッサが構成されて、前記または別の視覚的指示器が、別の視覚的指示を提供するように前記一以上のプロセッサにより制御可能であり、前記別の視覚的指示が、選択された前記商品コードの数に依存する、請求項1から11のいずれか一項に記載の装着用デバイス。
【請求項13】
装着用デバイスの装着者の健康を向上させるため消費商品についての推奨を前記装着者に提供する、前記装着用デバイスにより実行される方法であって、
商品についての商品コードと
商品推奨を示す
または商品推奨が導出されうるデータとを前記装着用デバイスのメモリに記憶することと、
前記装着者の動作データを前記装着用デバイスの一以上の慣性センサ―から取得することと、
前記装着用デバイスのプロセッサを使用して前記動作データを処理し、前記装着者が着座位置または他の不活発状態にある期間を特定することと、
前記プロセッサを使用して前記期間の発生および持続時間を分析することと、
前記装着用デバイスの商品コード読取器を使用して前記商品から商品コードを読み取ることと、
読み取られた前記商品コードを受けて、前記メモリに記憶されたデータを使用して商品推奨を取得することと、
前記プロセッサにより判断された前記装着者の着座行動または他の不活発行動に応じて前記商品推奨を調整することと、
前記装着用デバイスの視覚的指示器を使用して、調整された前記商品推奨の視覚的指示を提供することと、
を包含する方法。
【請求項14】
関連の商品推奨が調整される商品コードの部分集合を選択することをさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記商品推奨が調整される前記商品コードの部分集合の選択が、前記関連の商品についての栄養情報に基づいて商品コードを選択することを包含する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記関連の商品についての栄養情報に基づく商品コードの選択が、各商品の
前記栄養情報に基づいて前記商品を順位付けすることと、所定の順位より高い順位を有する商品を選択することにより前記部分集合を選択することとを包含する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記栄養情報が、カロリー含有量、糖分含有量、炭水化物含有量、飽和および/または不飽和脂肪含有量、および塩分含有量のうち一以上を包含する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記デバイスの前記装着者により提供される生物学的サンプルの分析から取得される個人別生物学的情報から導出される個人別データから前記データが導出される、請求項13から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ユーザの健康に資するため消費商品についての商品推奨を提供する、コンピュータにより実行される方法であって、
前記ユーザの一以上の健康形質を特定することと、
外用塗布および/または身体装着される多数の消費商品の各々について、前記商品が前記健康形質の各々にどのように影響するかを示すスコアを算出することであって、各スコアが前記商品の栄養情報に少なくとも部分的に基づくことと、
前記スコアに基づいて各商品に商品推奨を割り当てることと、
前記ユーザが着座位置または他の不活発状態にある期間を特定することにより前記ユーザの行動を監視することと、
前記ユーザの前記行動に基づいて、前記商品の少なくとも部分集合についての前記商品推奨を調整することと、
視覚的指示器を介して、調整された前記商品推奨を前記ユーザに提供することと、
を包含する方法。
【請求項20】
各商品についての前記商品推奨が、装着用デバイスのメモリにインストールされたデータベースに記憶され、前記メモリがさらに、前記商品が前記部分集合に属するかどうかを示すデータを記憶する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ユーザが着座位置または他の不活発位置にある期間を特定するための一以上の慣性センサを前記装着用デバイスが包含する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ユーザの環境および/または生活様式により引き起こされる負の影響について前記ユーザに警告するための監視システムであって、
外用塗布および/または身体装着される消費商品についての商品コードと、
商品推奨を示す
または商品推奨が導出されうるデータとを記憶するメモリと、
一以上のプロセッサであって、
前記ユーザの一以上の生理学的および/または生化学的機能を示すかユーザ環境を示すデータを使用して前記ユーザの行動を監視し、一以上のユーザ装着センサを使用して前記データが取得され、
前記ユーザの前記行動に基づいて、前記
商品推奨が調整される商品コードを前記商品コードの少なくとも部分集合から選択する、
ように構成される一以上のプロセッサと、
前記一以上のプロセッサにより制御可能であって、選択された前記商品コードの数に応じて視覚的指示を提供する視覚的指示器と、
を包含する監視システム。
【請求項23】
不活発行動の負の影響についてユーザに警告するための監視システムであって、
外用塗布および/または身体装着される消費商品についての商品コードと、
商品推奨を示す
または商品推奨が導出されうるデータとを記憶するメモリと、
一以上のプロセッサであって、
前記ユーザにより装着される一以上の慣性センサから取得される動作データを使用して前記ユーザの行動を監視して、前記ユーザが着座位置または他の不活発状態である期間を特定し、
前記ユーザの行動に基づいて、前記
商品推奨が調整される商品コードを前記商品コードの少なくとも部分集合から選択する、
ように構成される一以上のプロセッサと、
前記一以上のプロセッサにより制御可能であって、選択された前記商品コードの数に応じて視覚的指示を提供する視覚的指示器と、
を包含する監視システム。
【請求項24】
前記ユーザが閾値時間量より長時間にわたって不活発状態にある期間の数のカウントを判断するとともに、前記カウントが増加する時に、選択された前記商品コードの数を増加させるように前記一以上のプロセッサが構成される、請求項23に記載の監視システム。
【請求項25】
前記カウントが増加する際に、選択される前記商品コードの数を連続増加量ずつ増加させるように前記一以上のプロセッサが構成される、請求項24に記載の監視システム。
【請求項26】
受理された動作データを使用して、前記ユーザにより実施される身体活動の量を判断するとともに、前記ユーザにより実施される身体活動の量に基づいて周期数のカウントを減少させるように前記一以上のプロセッサが構成される、請求項24または25に記載の監視システム。
【請求項27】
前記ユーザが歩いた歩数を前記動作データから判断するように前記一以上のプロセッサが構成される、請求項26に記載の監視システム。
【請求項28】
前記カウントが既定のリミットを超えた場合のみ商品推奨に調整を適用するように前記一以上のプロセッサが構成される、請求項24から27のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項29】
ユーザ入力を受理するためのユーザインタフェースを包含し、前記ユーザ入力に基づいて前記リミットを調節するように前記プロセッサが構成される、請求項28に記載の監視システム。
【請求項30】
各商品推奨が第1推奨状態と第2非推奨状態とを有し、前記調整が前記第1推奨状態および第2非推奨状態の間で前記商品推奨を変化させる、請求項23から29のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項31】
各商品推奨が、第1推奨状態と第2「準推奨」状態と第3非推奨状態とを有し、前記調整が前記第1推奨状態および第2「準推奨」状態の間で前記商品推奨を変化させる、請求項23から29のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項32】
選択された前記商品コードの数又は比率を表現する長さまたは面積を有するグラフィック要素を表示するように前記視覚的指示器が構成される、請求項23から31のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項33】
前記商品コードを受理し、前記商品コードと関連する前記消費商品についての商品推奨を検索または導出し、前記商品コードが、選択された前記商品コードの一つである場合および場合のみ前記商品推奨を調整するように構成されるシステムである、請求項23から32のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項34】
商品から前記商品コードを読み取るための商品コード読取器を包含する、請求項33に記載の監視システム。
【請求項35】
前記商品コードに関連付けられた消費商品についての栄養情報に少なくとも部分的に基づいて前記
商品推奨が調整される前記商品コードを選択するように前記プロセッサが構成される、請求項23から34のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項36】
各商品についての
前記栄養情報に基づいて前記商品を順位付けし、所定の順位より高い順位を有する商品を選択することにより前記商品コードを選択するように前記一以上のプロセッサが構成される、請求項
35に記載の監視システム。
【請求項37】
前記栄養情報が、カロリー含有量、糖分含有量、炭水化物含有量、飽和および/または不飽和脂肪含有量、そして塩分含有量のうち一以上を包含する、請求項36に記載の監視システム。
【請求項38】
前記ユーザにより提供された生物学的サンプルの分析から取得される個人別生理学的情報から前記データが導出される、請求項23から37のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項39】
前記視覚的指示器が、スマートフォンまたはスマートウォッチなどのパーソナルコンピューティングデバイスのディスプレイである、請求項23から38のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項40】
不活発行動の負の影響についてユーザに警告するための装着用監視デバイスであって、
外用塗布および/または身体装着される消費商品についての商品コードと、
商品推奨を示す
または商品推奨が導出されうるデータとを記憶するメモリと、
デバイスの装着者についての動作データを取得するための一以上の慣性センサと、
一以上のプロセッサであって、
前記動作データを使用することにより前記ユーザの行動を監視して、前記ユーザが着座位置または他の不活発状態にある期間を特定し、
前記ユーザの行動に基づいて、前記
商品推奨が調整される商品コードを前記商品コードの少なくとも部分集合から選択し、
前記一以上のプロセッサにより制御可能であって、選択された前記商品コードの数に応じて視覚的指示を提供する、
ように構成される一以上のプロセッサと、
を包含する装着用監視デバイス。
【請求項41】
不活発行動の結果についてユーザに警告するための方法であって、一以上のコンピュータデバイスにより実行される方法であり、
消費商品の商品コードと、
商品推奨を示す
または商品推奨が導出されるデータとを、前記コンピュータデバイスの少なくとも一つのメモリに記憶することと、
前記ユーザにより装着される一以上の慣性センサから動作データを取得することと、
前記動作データを使用することにより前記ユーザの行動を監視して、前記ユーザが着座位置または他の不活発状態にある期間を特定することと、
前記ユーザの行動に基づいて、前記
商品推奨が調整される商品コードを前記商品コードの少なくとも部分集合から選択することと、
視覚的指示器を制御し、選択された前記商品コードの数に応じて視覚的指示を提供することと、
を包含する方法。
【請求項42】
選択される前記商品コードが、前記
商品推奨が調整に値する前記商品コードの部分集合から選択され、関連商品についての栄養情報に基づいて前記部分集合を選択することをさらに包含する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
各商品についての
前記栄養情報に基づいて前記商品を順位付けすることをさらに包含し、前記商品コードの選択が、所定の順位より高い順位を有する商品を選択することを包含する、請求項42に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商品の推奨を提供するための装着用デバイスおよび方法に関する。ユーザの環境および/または不活発行動などの生活様式により引き起こされる負の影響についてユーザに警告するための監視システムと装着用デバイスと方法にも関する。特に、しかし排他的にではなく、本発明は、商品内容と消費者個人の生物学的情報とに基づいて推奨を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ナノテクノロジーおよび光学技術は、とりわけハードウェア小型化を促進することにより人々の生活様式に大きく寄与してきた。配列決定および遺伝子型決定産業への適用はいわゆる「ラボオンチップ」システムを可能にしてきた。対象となる生物学的問題/遺伝子に応じて、プライマ/プローブ―より一般的には「バイオマーカ」と呼ばれる―が適宜設計される。バイオマーカはDNA分子などのオリゴヌクレオチドであって、ある種の遺伝子/変種を標的としうる。バイオマーカは代替的に、例えば抗体または抗原でありうる。このようなシステムに異なるタイプのバイオマーカを適用/選択することにより、顧客は、ある種の生活様式の心配または関心によりおそらくは指定されうる固有の形質について(唾液、血液、尿、組織、大便、毛髪等から第三者により局所的または遠隔的に抽出された)自身の生物学的サンプル、DNA、RNA、タンパク質等を検査できる。
【0003】
このような「個人的な」遺伝子または生物学的情報は、例えば特定の患者に効く可能性の高い処置または薬剤投与量を選択することにより、医療上の決定がより効果的に行われることを可能にする。分子レベルでの個人差を特定すると、生活様式および飲食物のアドバイスが個人または特定分類の個人の必要性に従って加減されうる。例えば、化粧品および栄養補助食品などのパーソナルケア商品は、ある種の一塩基多型をそのDNAに有する個人についてこれらの商品がどれほど効果的かに基づいて選択されうる。発展中の消費者遺伝子市場の要求に応じるために数社の民間企業が生まれており、毎日、新たな遺伝形質が記述され、多くの人々の健康、健全性、そして遺伝子変異のケースでは表現型についての知見を供与する潜在性を持つバイオマーカの一覧は拡張し続けている。
【0004】
個人用活動モニタは、ユーザの身体活動を記録する便利な手法をユーザに提供する。特に、多くのいわゆる「フィットネストラッカ」は、ユーザがウォーキングやランニングを行った距離、または消費した総エネルギー等々の推定をユーザに提供する。この種のデータは、自身の生活様式に関してより多くの情報による決定をユーザが行うことを可能にする。幾つかのケースにおいて、フィットネストラッカは、適度または激しい身体活動を最近行っていないことをユーザに気付かせうる。このようなフィットネストラッカは、より多くの身体活動を行う動機を与えることにより個人が自身の健康を向上させるのに役立つが、ユーザが消費する食品および飲料など他の要因も個人の健全性を判断するのに重要な役割を果たす。
【0005】
特許文献1は、遺伝子データなど、ユーザの生物学的情報に基づいて商品推奨を提供するための装着用デバイスを記載している。装着用デバイスは、デバイスの装着者が購入または消費に関心を持つ商品を特定するのに使用するレーザスキャナまたはバーコードリーダを取り入れている。そしてデバイスは、装着者の生物学的情報に基づいて装着者にとって商品が推奨されるかどうかの指示を提供する。例えば、ユーザのDNAの分析により、ユーザが他の大部分の人々よりもカフェインの代謝が遅いことが明らかになり、そのケースではコーヒーを避けることを装着用デバイスが推奨しうる。
【0006】
ユーザに健康効果を提供する際の、ユーザの生物学的(遺伝子)および/または生理学的情報に基づく商品推奨の有効性は、ユーザの行動に応じて変化しうる。それゆえ、ユーザの健康を向上させるために商品推奨の有効性を高める必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は独立請求項に提示される。他の態様および好適な特徴は従属請求項に提示される。
【0009】
「消費(consumable)」の語は本書において、経口で消費される商品、例えば、食品、飲料、サプリメント、薬剤等を特定するのに主として使用されるが、皮膚を通して消費される商品も内含する。「外用(topically)」の語は、身体の外面に、例えば皮膚または毛髪に塗布されることを意味するのに使用される。外用塗布(または塗布可能)商品の例は、化粧品、クリーム、パウダー、または流体を含む。
【0010】
やはり本明細書に記載されるのは、消費または外用塗布(つまり外用「塗布可能」)商品についての推奨をユーザに提供するためのコンピュータ利用システムであり、システムの少なくとも一部は身体装着部である。システムは、
商品コードと、ユーザにより提供された生物学的サンプルの分析から取得される個人別生物学的情報から導出されるデータとを記憶するためのデータストアと、
商品または商品パッケージから商品コードを読み取るかあるいは取得するための読取器と、
読取あるいは取得された商品コードと、個人別生物学的情報から導出されたデータを少なくとも含むデータストアに記憶されたデータとを使用して、商品についての商品推奨を取得するためのプロセッサと、
商品推奨の指示をユーザに提供するためのユーザインタフェースと、
ユーザの一以上の生理学的およびまたは生化学的機能を示すか、ユーザ環境を示すデータを取得するための一以上のセンサであって、取得されたデータに応じて商品推奨のうち一以上を調整するようにプロセッサが構成され、調整された指示がユーザインタフェースを介してユーザに提供される、一以上のセンサと、
を包含する。
【0011】
少なくとも読取器と一以上のセンサとは身体装着部に設けられるか、システム全体が身体装着部でありうる。身体装着部は、リストバンドを含む手首装着部でありうる。一以上のセンサは加速度計を包含しうる。
【0012】
プロセッサは、加速度計により提供されるデータから、ユーザ活動を示す値、例えば歩数(step)カウントを判断するように構成され、商品推奨の一以上の調整はその活動値に依存する。商品のカロリー含有量を考慮して商品推奨に調整が適用されうる。一以上のセンサは、ジャイロスコープ、心拍数モニタ、任意でマイクロニードルを包含する体液または化学センサのうち一以上を包含しうる。
【0013】
個人の生物学的情報は個人の遺伝子情報でありうる。
【0014】
プロセッサは、ユーザの一以上の生理学的およびまたは生化学的機能を示すデータについての、例えば既定の先行時間を内含する履歴記録をデータストアに記憶するとともに、ユーザの一以上の生理学的およびまたは生化学的機能の履歴を考慮する調整となるようにこの記録を使用して商品推奨の一以上を調整するように構成されうる。
【0015】
データストアは、例えば、炭水化物およびまたは糖分についての商品含有量を含む商品含有量に関する情報を記憶するように構成されうる。
【0016】
商品推奨は、第1推奨状態と第2非推奨状態とを有し、調整は第1および第2状態の間で商品推奨を変化させる。商品推奨は、第1「推奨」状態と第2「非推奨」状態と第3「準推奨」状態とを有し、調整は第1および第3状態の間で商品推奨を変化させる。
【0017】
ユーザインタフェースは、異なる色の点灯、例えば赤と緑または赤と緑と黄によって前記商品推奨の前記指示を提供するように構成されうる。
【0018】
コンピュータ利用システムは、ユーザから調整値を受理するための別のユーザインタフェースを包含してもよく、プロセッサは、調整値に応じて商品推奨の一以上の調整を増減するように構成される。
【0019】
読取器はバーコードスキャナでありうる。
【0020】
消費可能または外用塗布可能な商品についてユーザに推奨を提供するための身体装着コンピュータ利用システムについても記載される。このシステムは、
商品コードと、ユーザにより提供された生物学的サンプルの分析から取得される個人別生物学的情報から導出されるデータとを記憶するためのデータストアと、
商品または商品パッケージから商品コードを読取あるいは取得するための読取器と、
読取あるいは取得された商品コードと、個人別生物学的情報から導出されたデータを少なくとも含むデータストアに記憶されたデータとを使用して、商品についての商品推奨を取得するためのプロセッサと、
商品推奨の指示をユーザに提供するためのユーザインタフェースと、
ユーザの一以上の生理学的およびまたは生化学的機能を示すか、ユーザ環境を示すデータを取得するための一以上のセンサであって、取得されたデータに応じて商品推奨の一以上を調整するようにプロセッサが構成され、調整された指示がユーザインタフェースを介してユーザに提供される、一以上のセンサと、
を包含する。
【0021】
身体装着コンピュータ利用システムはリストバンドを包含しうる。
【0022】
消費可能または外用塗布(つまり外用塗布可能な)商品についてユーザに推奨を提供するためのコンピュータ利用方法も記載される。この方法は、
商品コードと、ユーザにより提供された生物学的サンプルの分析から取得される個人別生物学的情報から導出されるデータとをデータストアに記憶することと、
商品または商品パッケージから商品コードを読取あるいは取得することと、
読取あるいは取得された商品コードと、個人別生物学的情報から導出されたデータを少なくとも含むデータストアに記憶されたデータとを使用して、商品についての商品推奨を取得することと、
ユーザインタフェースを介して商品推奨の指示をユーザに提供することと、
ユーザの一以上の生理学的およびまたは生化学的機能を示すか、ユーザ環境を示す一以上のセンサデータを取得することと、
取得されたデータに応じて商品推奨の一以上を調整することにより、調整された指示がユーザインタフェースを介してユーザに提供されることと、
を包含する。
【0023】
上に言及した一以上のセンサはユーザの一以上の生理学的機能を測定するためのものであるが、代替的に、あるいは加えて、システムまたはデバイスは、ユーザの位置、または汚染レベル(例えばNOxや微粒子)もしくは紫外(UV)線レベルなど、ユーザが暴露される一以上の環境要因を判断するための一以上のセンサを包含しうる。
【0024】
やはり本明細書に記載されるのは、消費可能または外用塗布可能な商品についてユーザに推奨を提供するためのコンピュータ利用システムであり、商品の少なくとも一部は身体装着部である。システムは、
商品コード読取器と、
ユーザの一以上の生理学的およびまたは生化学的機能を示すか、ユーザ環境を示すデータを取得するための一以上のセンサと、
ユーザ個人の生物学的情報と、センサを使用して取得されたデータとに基づいて、商品コード読取器を使用して特定された商品についての商品推奨を判断するように構成されるプロセッサと、
を包含する。
【0025】
システムは、センサ出力に基づいて生理学に基づく推奨を調整することにより、ある種の商品の使用を後押しまたは奨励/阻止することが可能である。調整の程度はユーザにより加減できる、つまり生理学に基づく推奨に対するセンサデータの影響を変更しうる。
【0026】
やはり本明細書に記載されるのは、個人の個人的な生物学的情報に基づいて複数の栄養成分についてのカット値を判断することと、活動など個人の現在または最近の生理学的または生化学的機能に基づいてこれらのカットオフ値を調整または調節することと、調整されたカットオフ値を消費可能または外用塗布可能な商品などの商品に適用して商品推奨を提供することとを包含するコンピュータ利用方法である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態による装着用デバイスの概略斜視図である。
【
図2】
図1の装着用デバイスのシステム概略図である。
【
図3】
図1の装着用デバイスにより実施されるデータ処理の流れ図である。
【
図4A】
図3の活動分類器により実施されるデータ処理の流れ図である。
【
図4B】
図3の活動分類器により実施されるデータ処理の流れ図である(
図4Aの続きである)。
【
図5】
図3の生活様式分類器により実施されるデータ処理の流れ図である。
【
図6】
図3のペナルティ状態制御器により実施されるデータ処理の流れ図である。
【
図7】商品推奨をユーザに提供する方法の流れ図である。
【
図8】
図1の装着用デバイスにより実施されるデータ処理の流れ図である。
【
図9】ユーザの予測カロリー感度とユーザの活動データとに従って商品推奨が調節される流れ図を示す。
【
図10】商品推奨を調整するための閉ループシステムを概略的に図示する。
【
図11】二つのグラフィカルユーザインタフェース要素の概略図である。
【
図12】計算による着座(sitting)時間と調整のために選択される商品の割合との関係を示すグラフである。
【
図13】ユーザ活動に従って24時間の経過中に更新されるグラフィカルユーザインタフェース要素を示す表である。
【
図14】
図11のグラフィカルユーザインタフェース要素の一つを取り入れたグラフィカルユーザインタフェースの概略図である。
【
図15】
図11のグラフィカルユーザインタフェース要素の一つを取り入れたグラフィカルユーザインタフェースの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
肥満、2型糖尿病、そして心血管疾患など、長期の慢性疾患を発現するユーザのリスクまたは可能性を判断するには、ユーザの遺伝子プロファイル(遺伝子)が分析されうる。これらの遺伝的リスクは、調節可能ではない固定変数である。しかしながら、飲食物および身体活動など、慢性疾患を発現させるユーザのリスクを低下させうる幾つかの調節可能な要因がある。
【0029】
本明細書に記載される実施形態は、先週のユーザのカロリー消費量を示す測定値またはユーザの心拍数データなどユーザの生理学的機能を示す測定値を使用して上に記載の商品推奨を適応化することにより、上に記載した問題に対処しようとする。慢性疾患リスクの一因となる他の(例えば遺伝子以外の)要因を考慮することにより、ユーザは自身の健康に資する可能性の高い商品を選択することが可能である。
【0030】
例えば、個人の遺伝子と、加速度計などのセンサを使用して測定される身体活動レベルの両方に基づいて、個人別の食品推奨が提供されうる。個人別の食品推奨はまた、化粧品、薬剤、薬品、ビタミン等のような他の商品分類についても取得されうる。
【0031】
(英国ロンドンのDnaNudgeにより提供される)遺伝子検査サービスは、個人の遺伝子に基づいて個人別の食品推奨を個人に提供する。個人は、幾つかの一塩基多型(SNP)について評価されるDNA(またはRNA)検査を受ける。これらのSNPは、ゲノムワイド関連解析(GWAS)などの科学文献で、幾つかの慢性疾患、例えば肥満および2型糖尿病と関連するものとして特定されている。遺伝子検査の結果は5個の層―超低度リスク、低度リスク、中度リスク、高度リスク、超高度リスク―にカテゴリ分けされる。それから個人の遺伝子結果が6個の栄養素、つまりカロリー、脂肪、飽和脂肪、炭水化物、糖分、塩分と相関される。これらの相関から、一まとまりの栄養カットオフが展開された。これらの栄養カットオフは、個人別食品推奨の基礎を成す。例えば、塩分についての栄養カットオフ値を超えるレベルの塩分を商品が含有している場合には、この商品はユーザに推奨されない。
【0032】
個人別の「即時」食品推奨は、例えば、(「DnaBand」と呼ばれる)リストバンドデバイスなどの装着用デバイスを使用してユーザに提供されうる。装着用デバイスはまた、装着者の身体活動を監視して、デバイスを装着している間に装着者が行った身体活動の量を反映する一以上の身体活動要因を判断しうる。人の身体活動レベルは、基本的な遺伝子推奨に組み込まれる。例えば、個人別食品推奨を更新するのに身体活動要因が栄養カットオフと組み合わされる。推奨は、飲食物と生体活動の両方の影響による慢性疾患リスクを考慮するので、より一層ユーザに標的を合わせたものである。
【0033】
身体活動要因の一タイプは、カロリーについての栄養カットオフ値を調整するのに使用される「カロリーカットオフ」である。例えば、ユーザが先週は身体的に比較的非活動状態であったと判断される場合などは、比較的低い「カロリーカットオフ」値が作成されうる。このカロリーカットオフが(遺伝子検査結果から判断された)カロリーの栄養カットオフ値を下回る場合には、商品推奨を作成するのに低いカロリーカットオフ値が使用されうる。例えば、肥満の遺伝的傾向を有していないユーザは、カロリーについて高い栄養カットオフ値を有しうる。しかしながら、ユーザが最近あまり運動を行っていない場合には、この値は適宜低下するので、袋入りポテトチップスなど高カロリー含有量を有する商品は、このユーザに不適当なものとして提示される。
【0034】
それゆえ装着用デバイスは、個人の身体活動データについてのフィードバックを提供して個人のカロリーカットオフを調節する。身体活動が不充分である場合にはカロリーカットオフは低下し、身体活動が充分になると再び基本に戻る。身体活動と飲食物と遺伝子とのこの組み合わせは、より正確な個人別食品推奨を提供する閉ループフィードバックシステムを形成する。ユーザは、身体活動に基づいて商品推奨が調整される量を変えるように、フィードバックの程度を制御することが可能である。例えば、商品推奨が身体活動により何らかの形で影響を受けることをユーザが欲しないこともあり、そのケースでは調整はゼロに設定される。別のユーザは、この影響が非常に高くなることを望むことがあり、そのケースでは調整は高い値に設定される。ユーザは、バンドに設けられる何らかの手段を使用して、またはスマートフォンなどのコンピュータデバイスとのインタフェースを介して、調整を制御しうる。
【0035】
身体活動の不足は健康にとって有害であると長く認識されているが、着座の負の影響は概ね重要視されていない。Ekelandその他。Lancet(2016年、1303~1310(388))は、着座は健康にとって危機的であると認定し、長時間の着座を埋め合わせるには推奨される毎日の活動の3倍が必要とされることを提示している。しかしながら、推奨される量の活動を毎日行うことはユーザにとって必ずしも可能ではなく、推奨される毎日の活動の3倍はなおさらである。デバイス装着者の着座行動に従って商品推奨を調節するように装着用デバイスを構成すると、長時間の着座を軽減するのに幾らか役立ちうる。加えて、多くのユーザにとって、着座が長過ぎた故にある商品がもう推奨されないという明白かつ可視的な指示は、それ自体が、長時間の着座を回避するとともに身体活動に取り組むための動機として作用しうる。
【0036】
本明細書に提示されるデバイスおよび方法は、デバイスにより検出される個人の着座行動に応じて調整される商品推奨を提供するのに装着用コンピュータデバイスを使用することにより個人の健康が向上するとの認識から得られたものである。
【0037】
図1は、ストラップ101を包含うる装着用デバイス100(または「リストバンド」を図示しており、ストラップ101は、ユーザが自分の手首上でリストバンド100を容易にスライドできるように伸縮セクション102を有する。他の実施形態では、腕時計に見られるようなリストストラップが、伸縮セクションを備えるストラップの代わりに使用されうる。
図1は、リストバンド100の配向を説明するのに使用される3本の直交軸X,Y,Zも示している。Y軸はリストバンドの軸線に沿った配向、つまり装着者の手首がリストバンド100を通過する方向を持つ。XおよびZ軸はY軸に(そして互いに)垂直であり、Z軸はリストバンド100の上下に整合されている、つまり伸縮セクション102が手首の内側にある状態でリストバンド100が装着された時に、Z軸は手首の外側から内側を向いている。
【0038】
リストバンド100は、太陽電池またはカメラなどの光学センサ103と、レーザなどの光源104とを包含する。光学センサ103が商品コードを読み取るのに使用されて光源104が商品コードの照射に使用されうるように、窓部105がリストバンド100に設けられる。商品についてのフィードバックを装着者に与えるため、発光ダイオード(LED)106などの指示器(または複数の指示器)も設けられる。装着用デバイス100の様々なコンポーネント(下記参照)を収容するためストラップ101の断面は片側で厚くなっている。
【0039】
図2は、リストバンド100のシステム概略図を示す。リストバンド100は、充電ユニット202を使用して充電されうるバッテリ201により給電され、3D空間でのリストバンド100の動作を測定するための慣性センサと、加速度計203(3軸加速度計など)および/またはジャイロスコープ204を有する。加速度計203および/またはジャイロスコープ204の軸線は、
図1に示されている3本の直交軸X,Y,Zについて整合されている。
【0040】
リストバンド100はまた、心臓モニタ(例えば心電図,ECG)などの追加センサおよび電極205、またはユーザの心拍数もしくは体温を測定するための温度計、および/または、ユーザの位置を追跡するためのGPSセンサ(または他の測位システム)を包含しうる。センサは、例えば、心拍数を測定するためのマイクロフォンまたは光学センサを含みうる。
【0041】
リストバンド100は、メモリ207に記憶された命令およびデータにアクセスする処理ユニット206により制御される。他のリストバンド、スマートフォン、スマートウォッチ、またはパーソナルコンピュータなど他のコンピュータデバイスと処理ユニット206が通信できるように無線通信モジュール208が設けられる。無線通信モジュール208は、例えば、メモリ207に記憶された商品コードおよび/または商品推奨のデータベースを提供または更新するのに使用されうる。無線通信モジュール208は、リストバンド100の間でデータが交換されることを可能にする。
【0042】
装着者は、光学センサ103を使用して商品から商品コード(または他の情報)を読み取るため、光源104を起動させて商品に光を向ける。装着者は、読取用に商品を正しく配向するために、片手または両手のいずれかを使用して商品を操作または保持しうる。代替的に、装着者は、(例えば)スーパーマーケットの棚に商品が置かれた状態で商品コードを読み取るためリストバンド100を移動または配向させてもよい。商品コードを読み取った後に、リストバンドは指示器(LED)109を使用して装着者にフィードバックを提供し、指示器109は、RGB成分の異なる組み合わせを混合すること、および/または、LEDの輝度および/または点滅パターンを調節することにより異なる色を示すように調節されうるRGB LEDでありうる。言うまでもなく、LCD、LED,またはOLED画面などのLEDアレイまたは画面など、他のタイプの指示器も使用されうる。
【0043】
装着用デバイスに組み込まれうるセンサの例は、
・加速度計(例えば3軸加速度計)および/またはジャイロスコープなどの慣性センサ、
・万歩計(登録商標)/歩数計
・脈拍数センサ、例えば光電脈波(RPG)センサ
・呼吸数センサ
・(心拍数可変性も測定するための)心拍数センサ
・血圧センサ
・例えば血中グルコースレベルについての現場血液検査を実施するためのマイクロニードル
・大気質または汚染センサ(例えば質量分析計)
・UV光モニタ(例えばフォトダイオード)
である。
【0044】
発光ダイオード(LED)および/または発振器210などの指示器209は、リストバンド200を装着しているユーザに視覚的または触覚的なフィードバックを提供するために設けられる。一例において、指示器209は「交通信号システム」による商品推奨を提供し、「赤」色はユーザにとって商品が推奨されないものであることを表し、「緑」色は、ユーザにとって商品が推奨されるものであることを表す。ユーザの活動(例えば着座または他の生理学的機能)に基づいて商品推奨が調節されなかったので商品がユーザにとって適当なものとして推奨されたことを示すのに、さらに「黄」色も使用されうる。本明細書での色の言及は限定を意図したものではなく、2値または3レベル(あるいは多数のレベル)の推奨システムを示す他の手法が使用されうることが理解されるべきである。例えば、リストバンド100は、ユーザについて判断された栄養カットオフ値および/または修正後のカットオフ値とともに、商品の栄養情報を表現するものを表示しうる。
【0045】
装着用デバイス100がどのように商品推奨を装着者に提供するかを制御する際の様々なステップが、これから記載される。特に、不活発行動監視または身体活動監視の例示的なケースについて更新済み商品推奨を作成する際の様々なステップが記載される。しかしながら、以下に記載される技術がユーザの一以上の生理学的およびまたは生化学的機能またはユーザ環境に関する他のタイプの監視に適用されうることが認識されるだろう。
【0046】
不活発行動
図3は、慣性センサ203,204により収集される動作データ301が商品推奨を更新するのにどのように処理されるかを示している。この例で、動作データ301は、3軸加速度計203により一連の時間ステップ(τ)で測定される3D空間での装着用デバイス100の三つの直交方向における加速度成分(x,y,z)を含む。動作データ301は、装着用デバイス100の位置または速度など加速度成分から導出されるデータも含みうる。動作データ301は、例えばジャイロスコープ204により判断される3D空間でのデバイスの配向(角速度または角加速度)も含みうる。
【0047】
動作データ301は、一般的には40Hzのサンプリングレートで活動分類器302に提供される。
図4Aおよび4Bを参照して以下でより詳しく記載されるように、活動分類器302は動作データ301を処理して、着座、非活動的、活動的、または不明など、デバイスの装着者についての活動分類を判断する。動作データ301の各サンプルが受理される時、またはより一般には動作データ301のサンプルの閾値数が受理された後で活動分類が更新されうるので、活動分類はサンプリングレートより低い周波数で更新される。
【0048】
活動分類器302は、一般には1Hzのサンプリングレートで活動分類データ303を生活様式分類器304に提供する。
図5を参照して以下でより詳しく記載されるように、生活様式分類器304は活動分類データ303を蓄積し、デバイス装着者の行動に従って累積ペナルティ305のリストをデータから判断する。ペナルティは、例えば24時間の期間にわたって蓄積される。
【0049】
生活様式分類器304は、一般的には毎日、ペナルティのリスト305をペナルティ状態制御器306に提供するが、より短い間隔(例えば毎時)またはより長い間隔(例えば毎週)が使用されてもよい。
図6を参照して以下により詳しく記載されるように、ペナルティ状態分類器306は、ペナルティのリスト305に基づいて装着用デバイス100のペナルティ状態を判断する。ペナルティ状態は、(幾つかの実施形態では装着用デバイス100を使用して測定される)装着者についての情報、例えばその年齢、性別、または商品購入履歴など他の要因に基づいてもよい。デバイス100がペナルティ状態に置かれるべきだとペナルティ状態制御器306が判断すると、調節された商品推奨をデバイス100が提供すべきであることを示すフラグをメモリ207に設定する。ペナルティ状態が判断されない場合には、装着者の着座行動により影響されない商品推奨をデバイス100が提供するようにフラグは未設定でありうる。
【0050】
図4Aは、(この図では動作処理ユニット、MPUと呼ばれる)慣性センサから取得された動作データ301が活動分類器302によってどのように処理されるかを示している。装着用デバイス100が作動すると、401で活動分類器302がMPUからサンプルを受理し始める。サンプルが受理される度に、加速度計203により測定された加速度のx,y,z成分から加速度の大きさ(例えばユークリッドノルム)が算出される。閾値数のサンプル(このケースでは40サンプル)が403で受理されると、これらのサンプルについて404で加速度の分散が算出される。そしてデバイス装着者が比較的静的であるかどうかを判断するために405でこの分散が閾値と比較される。閾値を超えた場合には、ゆっくりしたウォーキングについて予測される分散と関連する別の閾値をこの分散が超えるかどうかを判断するように、さらなる比較が行われる。この後者の閾値を超えた場合には、407で活動タイプが「高度」として分類される。超えない場合には、活動タイプは「中度」として分類される。
【0051】
405での静的行動の閾値と加速度の分散との比較に戻ると、分散がこの閾値より小さい場合には、デバイス装着者が着座しているかどうかを判断するために409でサンプルデータがフィルタリングおよび処理される。フィルタリングは、例えばバンドパスフィルタを使用して、加速度の各x,y,z成分から不要なノイズを除去する。フィルタリング済み加速度成分は、デバイスの装着者が着座しているかどうかを判断するために幾つかの形で使用されうる。例えば、(リストバンドが従来の形で装着されると仮定して)リストバンド装着者の腕を下げた姿勢と、ゆえに起立または着座中に装着者が低レベルの活動を実施しているかどうかとを判断するのに、フィルタリング済み加速度成分への重力加速度の寄与が使用されうる。図の要素409に示されている例示的な式では、軸線の一つ(このケースではX方向)におけるデバイス100の加速度が他の2本の軸線の各々での加速度より大きいかどうかを認定するためにフィルタリング済み成分が互いに比較されるが、これは、例えば装着者が歩きながら腕を前後に振るなど起立/非着座中の低レベル活動を実施している装着者と一般に相関するものである。このような比較がどのように実行されるかの詳細は、加速度計203の配向に依存する。着座検出精度を向上させるためにジャイロスコープ204が加速度計203とともに使用されうる。使用されうる他の着座検出方法は、デバイスの装着者により実施される活動のタイプに従って時間の関数としてラベリングされた動作データに基づいて分類器が訓練される機械学習方法を含む。この分析の結果として、動作データのサンプルに含まれる期間の活動タイプが着座410と低度411のいずれかであると判断される。
【0052】
活動タイプが判断された後に、3個のカウンタの一つは活動タイプに応じて増分される。活動タイプが「高度」または「中度」である場合には、適度から激しい身体活動(MVPA)のためのカウンタが412で増分されるのに対して、活動タイプが「着座」または「低度」である場合には、413では着座について、414では低度についてのそれぞれのカウンタが増分されうる。活動タイプと関係なく、活動タイプが予測された回数をカウントするために予測指標についてのカウンタが415で増分される。予測指標が、閾値、このケースでは60反復を超えない場合に、活動分類器302は、慣性センサ(MPU)401からさらなるサンプルが受理されるまで待機し、それからプロセスが繰り返される。装着者の行動についての信頼できる予測が得られるように閾値が選ばれる。
【0053】
図4Bは
図4Aの続きであり、予測指標が閾値を超えたことが分かった後に、つまり充分な数の活動タイプ分類が実施された後に活動分類器302により実施されるプロセスを示す。MVPAカウンタがある値(このケースでは30カウント)を上回ったかどうかについて417で判断が行われ、上回った場合には、動作データ301のサンプルと関連する生活様式タイプが418で「活動的」として設定される。あるいは、低度カウンタがある値(このケースでは30)を上回っているかどうかについての判断が419で行われ、上回っている場合には、420で生活様式タイプが「非活動的」として設定される。あるいは、着座カウンタがある値(このケースでは30)を上回っているかどうかについて421で判断が行われる。上回る場合には、生活様式タイプが「着座」として設定され、または上回らない場合には、生活様式タイプは「不明」として設定される。言い換えると、プロセスの最終段階417~423で、関連期間におけるデバイス装着者の主要行動、つまりその時間の半分以上にわたってユーザが活動的であるか着座しているかが判断される。これが行われた後で、カウンタの各々がリセットされ、
図4Aおよび4Bのプロセスが繰り返される。
【0054】
図5は、活動分類器302から取得された生活様式タイプを生活様式分類器304がどのように処理するかを示している。生活様式分類器304は、最初に501でゼロに設定される活動(AC)、不活動(IC)、または着座(SC)のカウンタを有する。分類器304の初期状態は「非着座」に設定される。503で活動分類器302から(ここでは「レベル1」と呼ばれる)生活様式タイプを受理すると、生活様式分類器304はタイプを判断してそれぞれのカウンタを増分する一方で、505,506,507で他のカウンタをゼロに設定する。例えば、活動カウンタが増分されると、不活動および着座カウンタが505でゼロに設定される。活動カウンタまたは不活動カウンタを増分した後に、分類器304の状態は「非着座」のままであり、動作データ301から判断された次の生活様式タイプについてプロセス502~504が繰り返される。着座カウンタが507で増分された場合には、着座カウンタが特定の値(このケースでは2カウント)に達したとの判断が508で行われる。言い換えると、ステップ504から508は、デバイス装着者がある期間(2サイクル)にわたって着座していた、つまりMVPAの期間または低レベルの非着座活動により着座が中断されなかったかどうかを判断する。この基準508が満たされなかった場合には、分類器302の状態は「非着座」のままであり、プロセスが再び繰り返される。しかしながら、基準508が満たされた場合には、活動および不活動カウンタが509でゼロに設定され、分類器304の状態が「着座」に設定される。
【0055】
生活様式分類器304が510で「着座」状態に入ると、活動分類器302から生活様式タイプを受理し続ける。生活様式分類器304は、「非着座」状態にある時と同じように511,513で生活様式タイプを処理する。しかしながら、活動513および不活動514のいずれかのカウンタが増分された(そして他のカウンタがゼロに設定された)後には、活動および不活動カウンタのいずれかがある値(このケースでは2カウンタ)を超えたかどうかについての判断が行われる。言い換えると、分類器304は、最後の2回のサイクル中にMVPAを連続的に、または最後の2回のサイクル中に低レベル非着座活動をデバイス装着者が行ったかどうかを判断する。行った場合には、活動および不活動カウンタが516でゼロにリセットされ、分類器304の状態が502で「非着座」に戻される。行わなかった場合には、着座カウンタが517で増分される。
【0056】
ステップ517、518のいずれかで着座カウンタが増分された後で、着座カウントが閾値(このケースでは30カウント)を超えているかどうかの判断が520で行われる。超えている場合には、ペナルティがペナルティリストに追加され520、着座カウンタは521でゼロに設定される。そしてプロセスは510から再開し、分類器304の状態は「着座」のままである。
【0057】
図6は、装着用デバイス100の挙動を制御するのにペナルティ状態制御器306がどのようにペナルティリストを使用するかを示す。601でデバイス100が作動するかリセットされると、装着用デバイスが最後に作動状態であった時からある期間(このケースでは24時間)が経過したかどうかを制御器306が判断する。経過した場合には、制御器306の状態が「緑」に設定され、ペナルティスコアも604でゼロに設定される。「緑」状態では、商品コードを読み取るのにデバイス100が使用される時に商品推奨が調整されず、むしろ「通常」商品推奨(例えばユーザの遺伝子型に基づく商品推奨)がユーザに指示される。
【0058】
制御器306は、605で生活様式分類器304から新たなペナルティを受理するまで待機する。ペナルティが受理されると、607でペナルティスコアが増分され、いわゆる「不活発」ルールを満たしているかどうかについての判断が608で行われる。これらのルールは、ユーザが子供であるか大人であるかなど、ユーザ情報に従って異なりうる。例えば、大人についてのルールは、16時間に12以上のペナルティスコアがある場合にはユーザは「不活発」として分類されるという内容であるのに対して、子供についての対応のルールでは6以上のペナルティスコアのみを必要とする。609で不活発ルールが満たされない場合には、新しい一日が始まった(または他の何らかの期間が経過した)か否かのチェックが609で行われ、そうでない場合には、制御器306は605でさらなるペナルティポイントが生活様式分類器304から受理されるまで待機し続ける。新たな一日が始まった場合には、前のように、610で制御部の状態は「緑」のままであって604でペナルティスコアがゼロに設定される。
【0059】
複数の不活発ルール(または単数のルール)を満たさないと、611で制御器306の状態は「黄」になる。この状態で、デバイス100により提供される商品推奨が調整される。612で制御器306は次の日までこの状態のままであり、その後、604でペナルティスコアはもう一度ゼロに設定されて状態はまた「緑」(不図示)に設定される。
【0060】
一例において、商品推奨は三つの異なるタイプ、つまり非推奨、準推奨、推奨でありうる。これらのタイプは、デバイス100の色変化LED106を使用してユーザに指示されうる。例えば、赤(非推奨)、黄(準推奨)、緑(推奨)の交通信号システムが使用されうる。制御器306が「緑」状態にある時には、「通常」商品推奨がユーザに提供される。しかしながら、累積したペナルティポイントが多過ぎて制御器306が「黄」状態に入った場合には、さもなければ緑色光を使用して指示されたであろう商品推奨の部分集合が黄色光でユーザに指示されうる。例えば、適度な高さのカロリー含有量を持つ食品は通常、特定のユーザに適したものとして推奨される(つまり緑色光で指示される)。しかしながら、ユーザが長い期間にわたって着座していた場合には、商品推奨は「準推奨」に調節(調整)されうる(つまり黄色光で指示される)。
【0061】
上に記載したように、デバイス装着者の着座行動に基づいて、通常は「準推奨」である(つまり黄色光で指示される)商品の部分集合が「非推奨」になる(つまり赤色光で指示される)ように、制御器306が構成されてもよい。しかしながら、「非推奨」である商品は概して、着座行動により影響されない(つまり常に赤色光で指示される)。
【0062】
上に記載された商品推奨の三つの「状態」の使用は、例として挙げられたに過ぎない。二つの商品推奨状態(「推奨」または「非推奨」)のみを使用すること、または三つ以上の商品推奨状態、例えば推奨スコアを使用することが、言うまでもなく可能であり、推奨スコアは例えば100点満点であるか、正または負であって、負の値は商品が推奨されないことを示すかその逆である。推奨スコアが使用される際には、装着者により累積されたペナルティポイントの数に基づいてスコアを減少させることにより調整が適用されうる。
【0063】
着座行動により推奨が調整される商品の部分集合は、幾つかの手法で選ばれうる。概して、調整はすべてのタイプの食品に適用されるわけではなく、それは、そうするとユーザの着座行動に基づいて野菜などの「健康」商品を「準推奨」にしうるからである。部分集合は、各商品と関連する栄養データに基づいて選ばれうる。一例において、「推奨」として分類される商品はそのカロリー含有量に従って順位付けされ、最高カロリー含有量を持つ商品の上位50%、30%、または10%が調整のために選択される。幾つかの実施形態では、調整が適用される商品の数を増加または減少させるために、このように商品を選択するためのカットオフ割合が調節されうる。
【0064】
概して、商品推奨を取得するのに以下の手順が使用されうる。第一に、例えば2型糖尿病、高血圧症、高肥満指数(BMI)、高コレステロールを含めて、潜在的な不健康と関連する幾つかの健康形質が特定される。これらの健康形質のいずれかをユーザが有するかどうかは、遺伝子検査を使用して、つまりユーザのDNAのサンプルでの一塩基多型型(SNP)の検出に基づいて判断されうるが、マイクロバイオームの組成を判断するのにためのユーザの呼吸の検査など、他の形式の診断検査も採用されうる。
【0065】
「標的」健康形質が特定されると、それらの各々に対する飲食物の影響が検討される。これは、以下、例えば、糖分含有量、カロリー含有量、炭水化物含有量、飽和脂肪含有量、総脂肪含有量、塩分含有量のいずれかを含む消費商品の栄養含有量に関する幾つかの異なるカテゴリの各々について健康形質がどのように影響される可能性があるかを分析することにより行われる。例えば、糖分量の高い商品の消費により2型糖尿病のリスクが高くなる一方で、塩分の多い飲食物は高血圧症に関係があることが知られている。各カテゴリと各健康形質との関係は、形質依存係数をカテゴリの各々に割り当てることにより数値化されうる。高血圧症を例にすると、塩分含有量と脂肪含有量に大きな係数が割り当てられるが、カロリー含有量と炭水化物含有量には小さい(もしくはゼロの)係数が割り当てられうる。
【0066】
特定された各健康形質について、栄養含有量、つまり商品がどれほどのグラム数の塩分、飽和脂肪等を含有するかに基づいて予想される商品の影響を示すスコアを算出するのに形質依存係数が使用されうる。例えば、高血圧症に対する商品の悪影響を示すスコアを算出するために、商品中の塩分のグラム数に塩分含有量についての係数が掛けられる。数学的に述べると、各形質についてのスコアは、形質依存係数のベクトルと各商品についての栄養情報のベクトルとのスカラー積を求めることにより判断されうる。言うまでもなく、健康形質に対する異なるタイプの栄養カテゴリの影響の可能性をモデリングするのに、健康形質について判断された用量反応曲線を使用するなど、より高度化したスコア算出の手法も使用されうる。スコアは、商品のタイプ(例えば砂糖菓子、ビスケット、朝食用シリアル等)と商品の一般的な一人前分量のような他の要因を考慮したものでもありうる。これらの他の要因は、異なる商品がどのように消費されるかの差についてスコアを調節するのに使用され、例えば、一般には「嗜好品」として消費されるものであると商品が特定される場合には、それ以外の場合よりもポジティブな推奨となるようにスコアが減少されうる。
【0067】
各商品についてスコアが算出された後に、特定の健康形質についてのスコアに従って降順で商品が順位付けされる。それから閾値順位より高い順位を有する商品、例えば健康形質のスコアに基づく商品の上位50%または30%または10%である商品を選択することにより、商品の部分集合が選ばれる。「非推奨」など「負の」推奨がこれらの商品に割り当てられるので、商品のバーコードを読み取るのにリストバンド100が使用される時に、LED104が(例えば)赤になる。残りの商品は、異なるカテゴリ、例えば(緑色でユーザに指示される)「推奨」に割り当てられる。ゆえに、特定の形質についての順位に従って、商品には異なる推奨が割り振られる。推奨を割り振るのに使用される閾値順位付けまたは「カットオフ」の値はユーザごとに変わり、(例えば遺伝子検査により判断されるような)特定の形質にユーザがどれほど影響されやすいかに基づいて判断される。
【0068】
着座(又は他の形の不活発行動)の潜在的な影響は、制御器306のペナルティ状態に応じて関連の商品推奨が調整される商品のさらなる部分集合を選択することにより相殺される。上述した閾値順位を下回るが第2閾値順位を上回る商品を選択することにより、この部分集合が判断されうる。例えば、商品の50%が特定の形質について「推奨」される場合には、これらの商品の上位20%が調整される部分集合について選ばれうる。第2閾値順位は、着座および/または他のタイプの不活発行動により特定の健康形質がどれほど強く影響されるかに基づいて選ばれる。特定の商品についての商品推奨が調整されるべきかどうかを容易に判断できるように、商品の部分集合は特定のデータベーステーブルに割り当てられるか、あるいはリストバンド100のメモリに「フラグ設定」されうる。一例において、制御器306が「黄」状態である場合には、部分集合の商品は「準推奨」である(例えば指示器が黄になる)のに対して、制御器306が「緑」状態である場合には、「推奨」である(例えば指示器が緑になる)。
【0069】
各商品についての全体的な商品推奨を判断するために、各健康形質についての商品推奨が組み合わされる。これは、形質のいずれかについて商品が「非推奨」である場合、または代替的に二つ以上の形質について商品が「非推奨」である場合に商品が「非推奨」であると判断するなど、幾つかの手法で行われうる。商品推奨が調整されるべきかどうかを示すフラグが、同一または類似の種類のルールに基づいて各商品について設定または非設定されてもよい。
【0070】
概して、上述した閾値順位と、全体的な商品推奨を判断するためのルールとは、ユーザに自身が消費したい商品を選択させることと、その健康に対して負の影響を有する可能性が最も高い商品の少なくとも幾つかの消費を断念させることとの間のバランスを保つ。長期的にユーザにとってより良い選択を行なうようにユーザが「後押し」されるので、このバランスは有利である。例えば、特定の日にユーザが長時間着座していた場合に、通常は「推奨」される商品が「準推奨」でしかない(または「任意」として推奨される)ことにユーザが気付くように、着座および/または他の不活発行動に基づく商品推奨の調整により「後押し」を追加する。商品を「非推奨」にしないような調整を使用すると、長距離を移動したのでユーザが長時間着座していた場合など制御から外れる状況についてユーザに厳し過ぎるペナルティを科すことがないので、特に有利でありうる。
【0071】
図7は、ユーザに商品推奨を提供する方法に関わるステップの概要を提供する。方法のステップは以下の通りである。
【0072】
ステップ701:例えばユーザにより提供された生物学的サンプルに遺伝子検査を実施することにより、2型糖尿病、高血圧症、高肥満指数(BMI)、高コレステロールなど、ユーザの一以上の健康形質を判断する。
【0073】
ステップ702:多数の消費商品の各々について、その製品が健康形質の各々にどのように影響するかを示すスコアを算出し、各スコアは商品についての栄養情報に少なくとも部分的に基づく。スコアは、上に記載された手順を使用して、例えば、各商品について、(例えば、商品の製造者により提供される商品栄養情報を使用して)幾つかのカテゴリの各々の栄養含有量を判断し、各カテゴリの栄養含有量に形質依存係数を掛けて、その結果の値を合計して各形質についての総スコアを求めることにより、算出されうる。
【0074】
ステップ703:スコアに基づいて各商品に商品推奨を割り当てる。上に記載したように、これは、健康形質の各々についての当該のスコアに従って商品を順位付けし、各健康形質について順位付けされた商品の部分集合を選択し、各部分集合の商品に推奨を割り当て、そして各健康形質についての推奨を組み合わせて各商品についての全体的商品推奨を得ることにより行われうる。商品推奨は既定された一まとまりの商品推奨から選ばれうる。
【0075】
ステップ704:ユーザが着座位置または他の不活発状態にある期間を特定することにより、ユーザの行動を監視する。
【0076】
ステップ705:ユーザの行動に基づいて、少なくとも商品の部分集合についての商品推奨を調整する。商品推奨は、例えば、既定された一まとまりの商品推奨とは異なる商品推奨を割り当てることにより調整されうる。各健康形質についての商品のスコアに基づいて部分集合が判断され、例えば、特定の形質について「推奨」(つまり「緑」)であった商品のうち、ある割合が「準推奨」(つまり「黄」)を再び割り当てられてもよい。
【0077】
ステップ706:視覚的指示器、例えばリストバンド100の光源104を介して調整済みの商品推奨をユーザに提供する。
【0078】
身体活動および環境の監視
図8は、一実行例により装着用デバイスの慣性センサ801からの信号がどのように処理されるかについてのブロック図を示す。このケースで、センサは3本の直交軸(x,y,z)を中心とする動作と関連する信号データを提供する。これらの信号は(装着用デバイスの他のセンサからの信号とともに)サンプリングされる。適度および高強度の身体活動/運動(例えばウォーキングおよびランニング)に関係する信号コンテンツすべてを捕捉するため、慣性センサからの信号は少なくとも20Hz(つまり10Hzのナイキスト周波数)でサンプリングされる。
【0079】
そしてサンプリングされた(つまり生の)信号がフィルタリングにより802で前処理される。慣性信号について、バンドパス(BP)フィルタリングパイプラインが0.25から8Hzの帯域幅で実行されて、適度および高強度の活動に関係する信号のすべての成分が残存することを保証しながら不要なノイズ成分を除去する。通過および阻止帯域の間のスムーズな移行とともに通過帯域での均一な単位利得を提供するので、二次バターワースフィルタが使用される。安定性を保証するようにゼロ極分析を使用してフィルタが設計される。信号が順方向それから逆方向にフィルタリングされるゼロ位相フィルタリング技術を適用することにより、位相反応の非線形効果が除去された。
【0080】
信号は設定可能な長さのセグメントで、だが一般には1秒から60秒の範囲の長さ(持続時間)で分析される。前処理された加速度計データの各セグメントまたは「枠」について、平均規模または「エネルギー」が803で計算される。これらの平均値は「活動加速度カウント」(AAC)と呼ばれうる。例えば、3軸加速度計が使用される場合に、各軸で測定される加速度の(一般的には修正後の)成分が加算され、データが取得された枠内の異なる(離散)時間にわたって、例えばシンプソン法則など数値求積法則を使用して、平均が算出される。代替的に、平均化される総加速度を計算するのに成分のベクトルノルム(つまり2ノルム)が使用されてもよい。
【0081】
そして各時間枠についてユーザが身体活動をしていたかどうかを判断するのに身体活動(PA)分類器805が使用される。例えば、枠のAACデータに単純閾の法則を適用することによりこれが行われ、つまり特定の枠についてのAAC値が指定値を超える場合に、ユーザはその期間に身体活動をしていたと判断される。適当な閾値は、例えば、異なる強度レベルの異なるタイプの身体運動を実施するユーザから取得されるAAC値を測定することにより、適当な閾値が判断されうる。行われた身体活動の強度またはタイプを判断するのに、例えば、適度または非常に高いレベルの活動の間、またはランニングとサイクリングの間を区別するのに、より高度化した分類器が使用されてもよい。
【0082】
そして、「非活動的」または「活動的」の二値カテゴリに人を分けるのに、ユーザが身体活動をしていたか否かの分類が使用される。誰かが「非活動的」または活動的と分類されるかどうかの判断は、英国国立医療技術評価機構(NICE、英国政府機関)により提供されているような身体活動に関するエビデンスベースのガイドラインを身体活動分類値が満たすかどうかである。これらのガイドラインは、様々な年齢グループについて身体活動の予想量を概説するものである。
【0083】
例えば、19~64歳についてのNICE身体活動ガイドライン(PAG)は以下のように推奨している。
・成人は毎日の活動を目標とすべきである。一週間に1回10分以上の適度な強度の活動が最低150分(2 1/2時間)となるまで活動を積み重ねるべきである―これを実現する方法の一つは週に少なくとも5日、30分間の活動をすることである。
・代替的に、激しい強度の活動、または適度と激しい強度の活動の組み合わせを、週全体で75分間行うと、相応の効果が得られる。
・成人は少なくとも週に2日は筋肉強度を高める身体活動も行うべきである。
・全ての成人は、長時間にわたって不活発(着座)状態で過ごす時間量を最小にすべきである。
【0084】
NICEガイドラインの一実行例では、個人が適度な強度の身体活動を1週間につき150分未満、または激しい強度または適度と激しい強度の組み合わせの身体活動を1週間につき75分未満しか行わない場合には、その個人は「非活動的」である。個人がこの要件を満たす場合には、ガイドラインに基づいて「活動的」と見なされる。
【0085】
身体活動ガイドラインは週ごとのガイドラインに基づく。それゆえ、閉ループフィードバックシステムは動的であり、ユーザが「活動的」または「非活動的」(またはその逆)になったかどうかに基づいて個人別食品推奨が変化する。活動データの移動平均を算出することにより、例えば過去一週間にわたってユーザが活動的であったか否かのカテゴリ化を実施することにより、ユーザ活動の平均レベルの変化が考慮される。言うまでもなく、一日または約一か月など、他の平均化の時間が使用されてもよい。
【0086】
そして結果的に得られたカテゴリ(つまりこの例では、非活動的の活動的)が、帯域メモリにロードされた商品についての推奨更新(例えば緑から黄)を判断するのに、このカテゴリと他の情報(DNAおよび/または栄養情報)を使用する決定段階805へ送られる。代替的に、「修正」値がデバイスに(または遠隔的に)記憶され、ユーザが商品をスキャンした後に推奨を更新するように「動作中に」適用されてもよい。
【0087】
上記のように、カロリー含有量に基づいて商品が推奨されるか否かを判断するのに使用されるカロリーカットオフ値を調節するのに、身体活動カテゴリが使用されうる。この調節は、個人が「活動的」または「非活動的」にカテゴリ化されたかどうかに依存する。
・活動的―ある人がPAGを満たす場合には個人別食品推奨はそのまま遺伝子のみに基づき、推奨のさらなる調節は行われない。
・非活動的―ある人がPAGを満たさない場合にはカロリーについての栄養カットオフのみが調節される。人のカロリー感度が上昇し、ゆえにカロリーカットオフ、ひいてはカロリー許容量を減少させる。
【0088】
エネルギーバランスは、体重管理に関する主要な要因の一つである。エネルギーはカロリーとキロジュールのいずれかで測定され、食品のタンパク質と脂肪と炭水化物の総量から導出される。長期間体重管理の鍵は、個人が消費するカロリー数(入力)と利用されるカロリー数(出力)との正しいバランスを保証することである。
【0089】
体重管理の三つのシナリオは、エネルギーバランスのレベルに従って特定されうる。(i)カロリー摂取量が総エネルギー消費量より大きい場合には、体重増加が発生する。(ii)カロリー摂取量が総エネルギー消費量と等しい場合には、一定体重が維持される。(iii)カロリー摂取量が総エネルギー消費量より低い場合には、体重減少が発生する。それゆえ、(正味カロリー摂取量の結果としての)体重増加の状態を防止するには、個人のカロリー摂取量が調節される必要がある、つまり基本値より減少されるか基本値まで増加される。
【0090】
このカロリーカットオフの調節は、概して、幾つかの商品を「緑」推奨から「黄」推奨に変える。このケースで、黄色は、不十分な身体活動のために食品が推奨されず、身体活動が充分であったならばその商品が緑の推奨であったことを指示する。しかしながら、野菜など、人々に推奨される健康的な食品の数を減らさないことが重要である。それゆえ、カロリーカットオフ調節は、ポテトチップス、チョコレート、甘い菓子のようにユーザにとって「任意」として分類される食品など、ある食品グループにのみ適用可能である。
【0091】
遺伝子により判断されるユーザの感度または傾向と測定データとの異なる組み合わせに従って商品推奨が調節される様々なシナリオが、これから記載される。
【0092】
図9は、ユーザの予測カロリー感度とユーザの活動データとに従って商品推奨を調節するプロセスを図示している。プロセスは以下のステップを包含する。
A;商品:カロリー含有量
B:DNA結果:カロリー感度結果(全ユーザ)
C:リアルタイム測定:活動:基本値と比較した所与の時間内の歩数/距離
D:調節される推奨:高カロリー商品は推奨されない
E:ポップアップ表示:多くのユーザが活動的になるように奨励
【0093】
以下の例は、ステップA~Eが各例について用意されるステップと置き換えられることを除いて、
図9を参照して記載される例と類似している。
【0094】
一例において、ユーザの予測カフェイン代謝速度と時刻に従って商品推奨が調節される。カフェインは、カフェイン「低」代謝群に対して長い永続的な影響を有する。コーヒーまたはエネルギードリンクなど特定のカフェイン含有商品が推奨されるかどうかを調節するのに、時刻および/またはユーザの心拍数の連続的なリアルタイム測定が使用されうる。
A:商品:コーヒー、茶、スポーツドリンク、プロテインシェーク、炭酸飲料(コーク)
B;DNA結果:カフェイン低代謝群SNP rs762551
C:リアルタイム測定:時刻
D:調節される推奨:商品は推奨されない
E:ポップアップ表示:DNA結果についてユーザに通知
【0095】
別の例では、高血圧症についてのユーザの予測罹患性とユーザの心拍数データとに従って商品推奨が調節される。安静時心拍数の高いユーザについては、脂肪分の多い魚やナッツなどの消費を奨励するようにカテゴリ内のオリジナルの(つまり「健康的な」)脂肪推奨が調節されうる。同様に、塩分の栄養カットオフ値が減少する、および/または、オメガ3,6,24などのサプリメントが推奨されうる。心拍数に基づくカットオフ値は時間とともにさらに調節されうる。
A:商品:総脂肪―しかし商品カテゴリが重要、商品の塩分および飽和脂肪含有量
B:DNA結果:高血圧症SNP
C:リアルタイム測定:心拍数
D:調節される推奨:カテゴリに依存―健康的な脂肪を奨励し、飽和脂肪含有量を低下させる
E:ポップアップ表示:心臓の健康のために飽和脂肪/塩分を回避するようにユーザに通知して、心臓健康商品のスキャン時にユーザを奨励する
【0096】
別の例では、ユーザの発汗量の測定に従って商品推奨が調節される。ビタミン推奨は発汗レベルに応じて調節されうる。
A:商品:等張液、プロテインシェークなどのスポーツサプリメント
B:DNA結果:全ユーザ
C:リアルタイム測定:発汗量
D:調節される推奨:等張液/プロテインサプリメントの推奨を奨励する
E:ポップアップ表示:必要に応じてサプリメントを奨励する
【0097】
さらなる例では、予測されるユーザの太陽過敏症と、ユーザのUV光暴露の測定とに従って、商品推奨が調節される。ユーザがUVにどれほど暴露されているかを確認するために、ユーザ一を追跡してUV参照マップを使用することにより、暴露レベルが判断されうる。このアプローチは、ユーザが暴露された汚染のレベルを判断するのにも使用されうる。例えば装着用デバイスのフォトダイオードを一体化することにより、UVセンサも、または代替的に、使用されうる。この情報は、SPF推奨を変化させるのに、例えば高保護サンクリームが低SPFのサンクリームよりも推奨されるように、使用されうる。
A:商品:SPF(日焼け防止指数)を含む/含まない
B:DNA結果:太陽過敏症に関係する遺伝子の例 NTM AA,TYR GG,ASIP TC,LOC10537 CC
C:リアルタイム測定:LED,UV/VIS分光法
D:調節される推奨:SPFカットオフを変化させる
E:ポップアップ表示:ユーザのUV暴露が高い場合には警告する
【0098】
別の例として、予測によるユーザのビタミンE生成能力と、UV光へのユーザの暴露の測定とに従って、商品推奨が調節される。UV光(そして太陽暴露)は皮膚のビタミンEレベルを低下させる。ビタミンEは紫外(UV)光からエネルギーを吸収しうる。ビタミンE促進成分を優先するようにユーザの商品推奨を変化させるのに、(位置ベースの)UVマップまたは固有のUV測定が使用されうる。
A:商品:ビタミンEを含む/含まない
B:DNA結果:ビタミンE SNP
C:リアルタイム測定:LED,UV/VIS分光法
D:調節される推奨:ビタミンEカットオフを変化させる
E:ポップアップ表示:ユーザのUV暴露が高くなった場合に警告する
【0099】
また別の例では、ユーザがコラーゲン分解を生じる可能性の予測とユーザの水分補給レベルの測定および/または(セブメータを使用した)皮膚油分レベルおよび/または皮膚pHに従って、商品推奨が調節される。油分含有量および/またはpHバランスに基づいて商品が推奨される(または推奨されない)。
A:商品:全スキンケア商品
B:DNA結果:低コラーゲン分解の遺伝子(脱水症状は皺の出現を高める)
C:リアルタイム測定:例えばコルネオメータにより測定される水分補給レベル
D:調節される推奨:湿潤剤、閉塞剤、軟化剤を含有する商品の使用を奨励する
E:ポップアップ表示:最適な皮膚健康状態のために水分補給状態を維持するようにユーザを奨励する
【0100】
さらなる例では、汚染によりユーザが悪影響を受ける可能性の予測と汚染へのユーザの暴露の測定とに従って、商品推奨が調節される。その理論的根拠は、汚染が皮膚ダメージを引き起こすことである。NQ01遺伝子は、環境有害物質に対する人の耐性に影響を与える。PM2.5―微粒子物質、細かい固体粒子の空中混合物および液滴の負の影響、特に都市在住の消費者への影響についての認知が高まっている。化粧品ユーザは汚染について心配しており、「汚染防止」は新たな化粧品産業である。環境有害物質に対する耐性を有すると予想されるが非常に高いレベルの汚染にさらされたユーザにこれらのタイプの商品が推奨されると有利である。
A:商品:汚染防止成分を含む/含まないスキンケア商品
B:DNA結果:NQ01遺伝子(通常/弱い汚染防御能力)
C:リアルタイム測定:位置検出、位置に基づく汚染マップの参照、または微粒子、例えば微粒子物質(PM2.5)の検査
D:調節される推奨:汚染防止の推奨を促進する
E:ポップアップ表示:DNA結果についてユーザに通知する/汚染に暴露されていたことをユーザに伝える
【0101】
図10は、商品推奨を提供する閉ループアプローチを概略的に図示している。個人別遺伝子(または他の生物学的導出)データ1001がデータベース1003に記憶される。これは、記載のように、異なる栄養成分、例えば炭水化物、脂肪、塩分等についてのカットオフ値または閾値を作成するのに使用される。これらの値は、装着用デバイス1007からセンサデータを受理するユニット1011により判断される生理学的および/または生化学的(または環境的)機能に基づいて、調整器1005で上下に調整される。調整されたカットオフ値と商品データとを使用して、装着品1007は商品推奨1009を提供する。言うまでもなく、図に描かれているコンポーネント全てが装着品1007に設けられてもよい。
【0102】
行動および/または環境の影響についてのユーザへの警告
不活発行動の結果についてのより効果的なフィードバックを個人に提供することにより、個人は自身の生活様式を向上させる動機または「後押し」が与えられうる。特に、不活発行動のために調節された商品推奨の数についての視覚的指示をユーザに提供すると、不活発行動を埋め合わせるのに(例えば)飲食物を変えるべきであるという事実をユーザに警告するのに役立つ。それゆえユーザは、商品推奨が調節される商品の数を少なくするために、長時間の着座を回避して身体活動に取り組む動機を与えられうる。
【0103】
例えば上に記載した方法により、ユーザが着座位置で着座している期間が特定されると、商品推奨がどのように調整されるべきかを判断するように期間/センサデータが分析されうる。例えば、ユーザが(例えば)30分間着座していた場合に、ユーザは「不活発ポイント」を付与される。概して、ユーザが着座に費やした総時間が着座ポイントの数の判断に使用されるように、着座時間が蓄積される。代替的に、幾つかの実行例では、2分より長い(又は他の何らかの短い期間)の休憩を伴わずにユーザが所定期間より長く着座していた場合にのみ各不活発ポイントがユーザに付与されてもよい。そして商品推奨が調整される商品が不活発ポイントの数から判断されうる。例えば、特定の健康形質または複数の形質に対して予想される商品の悪影響、例えば商品が含有する塩分(または飽和脂肪など)がどれほどのグラム数であるか、そして(例えば)高血圧症に対して予想されるこの塩分量の影響を表すスコアに従って、商品が順位付けされうる。このケースで、各不活発ポイントは、調整または「格下げ」される商品推奨を有する順位付け商品を10%追加することに相当しうる。
【0104】
不活発行動の別のタイプの測定基準は、ユーザが不活発であった時間量に基づいて増加するが、ユーザによる身体活動の実施を受けて減少する「計算による着座時間」(CST)と呼ばれる。例えば、この測定基準の一形態は数学的に次のように表現されうる。
CST=(TBLOCKの総数-総歩数/RSTEP)/max(TBLOCK)
【0105】
この方程式において、TBLOCKは不活発ポイントの数、つまり何らかの閾値を超える持続時間にわたってユーザが不活発である(例えば着座している)時間の量を指す。この例で、ユーザにより行われる身体活動の量は、不活発ポイント(TBLOCK)を相殺するのに必要な歩数(例えば1000歩)を規定する定数係数RSTEPでユーザが歩いた歩数を割ることにより数値化される。CSTは一時間ごとに算出されうる。この特定の例において、最大CSTが1時間当たり1であることを保証するように係数「max(TBLOCK)」が使用され、例えば、TBLOCKが半時間の間隔で算出される時にmax(TBLOCK)は2である。幾つかの実行例で、TBLOCKの値はユーザにより設定されうる。
【0106】
上に記載されたセンサデータの処理は装着用デバイス100により行われうる。代替的または付加的に、装着用デバイス100のセンサにより発生されるセンサデータの幾つかまたは全てが、処理のためにパーソナルコンピュータデバイス(スマートフォンなど)へ送信され、例えば、装着用デバイス100により提供されるセンサデータから、ユーザが着座している時をパーソナルコンピュータデバイスが判断してもよい。
【0107】
図11は、商品推奨の様々なカテゴリに従って特定ユーザについての商品推奨がどのように配分されるかについての概観を提供するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)要素1101を含むグラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一部の例を示す。概して、商品推奨はユーザの遺伝子型に基づいて様々なカテゴリに割り当てられ、このケースでグラフィカルユーザインタフェース要素1101は「DNAグラフ」または「DNA商品グラフ」と呼ばれうる。ユーザインタフェース要素1101は、例えば、装着用デバイス100により、および/または、(スマートフォンなど)パーソナルコンピューティングデバイスにより表示されうる。
【0108】
この例では(そして上に記載されたように)、商品推奨は三つの異なるタイプ、「非推奨」、「準推奨」、「推奨」でありうる。ユーザインタフェース要素1101は二つの「グラフ」またはセクションに分割され、各セクションは商品推奨のカテゴリの一つに対応する。第1セクション1102は、「推奨」される商品の数に比例する長さを有する。第2セクション1104は「非推奨」である商品の数に比例する長さを有する。概して、第1および第2セクション1102,1104の相対的な長さは特定のユーザについて固定される、つまり不活発に依存する商品の部分集合と、常に「推奨」または「非推奨」である商品の比率とがユーザの行動に従って変化しない。それゆえGUI要素1101は、異なる商品推奨カテゴリに関して個々の基準または「開始点」を特定する手法を各ユーザに提供する。
【0109】
商品の別の部分集合は「不活発依存商品」(SDP)と呼ばれうる。SDPの商品推奨はユーザの不活発行動に応じて調整される。さらなるGUI要素305は、どれほど多くのSDPが調整されたかを監視する際にユーザを補助するのに使用される。GUI要素1105は、ユーザの着座または不活発行動に従って更新され、それゆえ「健康グラフ」と名付けられると好都合であるか、「DNAグラフ」とともに使用されるので、「DNA健康グラフ」または「緑色DNAグラフ」と名付けられてもよい。これらの名称は、遺伝子構成(DNA)により付与される利点の幾つかを生活様式がどのように逆転または「低下」させるかをユーザが認識するのにもGUI要素305が役立つことを強調するように機能する。例えば、遺伝的傾向としては肥満のリスクを抱えていないが、概ね非活動的な生活様式を有するユーザは、このような遺伝的傾向を有しているユーザについてより特徴的である商品推奨を提示されうる。DNA健康グラフは、生活様式がDNAの「最大利用」をどのように妨げるかをユーザが理解して通知を受けるための便利で効果的な手法を提供する。
【0110】
幾つかの実行例において、GUI要素1105は、例えば第1および第2セクション1102,1104の間でグラフィカルユーザ要素1101に組み込まれうる。DNA商品グラフ1101は、新たな商品がデータベースに追加されるか、ユーザにより提供される新たな生物学的データに基づいて商品推奨が再計算される時など、更新が比較的稀である。対照的に、ユーザの不活発行動により関連の推奨が影響された商品の比率についての動的な指示を提供するため、DNA健康グラフ1105は一般に一日の経過中に多数回更新される。
【0111】
GUI要素1105は、ユーザの行動に基づいて現在「推奨」される不活発依存商品の数に比例する長さを持つ第1サブセクションまたは「グラフ」1103Aと、ユーザの行動に基づいて現在のみ「準推奨」される不活発依存商品の数に比例する長さを持つ第2サブセクションまたは「グラフ」1103Bとに分割される。第1グラフ1103Aの視覚的なスタイル(例えば色または陰影)は、第1セクション1102に合うように選ばれる(同じ商品推奨カテゴリの商品を表すことを示す)一方で、第2グラフは異なる視覚的スタイルを有する(異なる商品推奨カテゴリの商品を表すことを示す)。第1セクション1102と第1グラフ1103Aの両方が緑であるのに対して、第2グラフ1103Bは例えば黄でありうる。
【0112】
第1および第2グラフ1103A,1103Bの相対的な長さは、ユーザの着座または不活発行動に従って商品推奨が調整されたSDPの相対比率を示す。例えば、ユーザがより多くの「不活発ポイント」を蓄積すると、SDPについてのより多くの商品推奨が「推奨」(または「緑」)から「準推奨」(または「黄」)に調整され、こうして第2グラフ1103Bに占められるグラフィカルユーザインタフェース要素1105の比率が増加する。第2グラフ1103Bの最小および最大長さはそれぞれ、GUI要素1105の全長の0%および100%である。概して、第2グラフ1103Bの長さが更新される時に、グラフィカルユーザインタフェース要素の全長は一定のままである、つまり第2グラフ1103Bの長さが増加(または減少)すると第1グラフ1103Aの長さは同じ量だけ減少(または増加)する。
【0113】
幾つかのケースで、第2グラフ1103Bの長さは既定の時刻、例えば真夜中に0%にリセットされる。これが起こった後で、ユーザが不活発ポイントを蓄積する(つまりそのCSTが増加する)と、第2グラフ1103Bの長さは増加するが、ユーザが身体活動を行うことにより減少はしない。しかしながら、ユーザは、後に獲得した不活発ポイントを相殺するのに使用されうる身体活動(例えば歩数)についてのポイントを蓄積しうる。逆に、第2グラフ1103Bが100%に達すると、さらなる不活発行動により第2グラフの長さは増加せず、第2グラフ1103Bの長さを100%未満にするのに大量の身体活動が必要とされるように不活発ポイントが蓄積し続ける。
【0114】
ユーザがCSTについてのリミットまたは目標(TGOAL)、例えば4,6,8時間を規定できるようにすることにより、GUI要素1105の機能が拡張されうる。ユーザのCSTがこのリミットに達するまで、SDPと関連する商品推奨の調整は停止されうる。代替的に、リミットはSDPの閾値比率に関して表現され、例えば、40%は、蓄積されたCSTに基づく推奨の調整に値する。
【0115】
DNA健康グラフ1105は通常、ユーザのパーソナルコンピューティングデバイス(例えばスマートフォンまたはタブレット)に表示されうるが、適当なディスプレイを有する場合には装着用デバイス100にも表示されうる。代替的に、装着用デバイス100は、他の何らかの形の視覚的指示を使用してユーザの不活発行動の影響についてユーザに警告しうる。例えば、視覚的指示器(例えばLED)104は、関連の商品推奨が調整される商品の比率が或る閾値を超えるかどうかに応じて、異なる色、例えば閾値を超えない時には緑色、超えている時には黄色で点灯してもよい。代替的に、閾値を超えた時のみ視覚的指示器が点灯してもよい。一以上の慣性センサを使用して、手を上げるなど特定の動作または動作をユーザが実施したと検出することにより、視覚的指示器の点灯が起動されうる。
【0116】
図12は、CSTと、関連の商品推奨が調整されるSDPの比率(ここではR
AMBERと呼ばれる)との間の例示的な関係または「マッピング」を示し、CSTについてのユーザ規定の目標を考慮している。ゼロのCSTから始めると、ユーザ規定の目標に達するまでSDPの比率はCSTとともに線形的に増加し、それから非線形的になる(他の例ではSDPの比率は0%から100%まで非線形的に増加しうるが)。この非線形依存性は、R
AMPERが100%に達する速度がCSTとともにより急速に増加するように選ばれうる。
図4に示されている例では、ユーザ規定の目標を超えた後にR
AMBERはCSTとともに指数関数的に増加する。このタイプの非線形依存性は、CSTが高い時にはユーザにより重い「ペナルティ」を効果的に科す。マッピングも、CSTについてのユーザの目標(T
GOAL)が、調整された商品推奨の標的比率(R
AMBER)に変換され、これはGUI要素1105を更新するのに使用されて、ユーザが自身のCST目標を満たしていないかどうかを示す。例えば、幾つかのケースで、標的比率はGUI要素1105に明示的に、例えば垂直線1106を使用して示される。
【0117】
図13は、24時間の経過中に特定のユーザについてDNA健康グラフ1105がどのように更新されるかの例を示す。DNA健康グラフ1105は、ユーザにより行われる身体活動の量(例えば歩数)とCSTのいずれかまたは両方についての指示手段を含みうる。図では、テキストラベルが指示手段として使用されているが、言うまでもなくグラフィック指示手段の形が使用されてもよい。
【0118】
DNA健康グラフは最初0%であり(つまり第2セクション303Bの長さはゼロであり)、7:00~8:00の間にユーザは起床して5000歩、歩く。この時間にユーザがリストバンド100を使用してSDPをスキャンした場合には、商品推奨は調整されず、例えばリストバンドの指示器は緑になる。次の一時間に、ユーザは列車で移動する間に0.5時間の着座時間(ST)を、そして(例えば駅から歩くことにより)1000歩を蓄積する。それゆえ健康グラフ1105の第2グラフ303Bの長さが増加して0.5時間のCSTを表す。しかしながら、CSTの量は、(健康グラフ1105の中心に向かう垂直線306により示される)ユーザにより設定された6時間の目標より少ないので、SDP商品推奨のいずれもまだ調整されない、つまりSDP商品がスキャンされた場合にリストバンドはまだ緑を示す。
【0119】
9:00と13:00の間に、ユーザは不活発であって4時間のCSTを蓄積し、第2グラフ303Bの長さを増加させる。13:00と14:00の間には、ユーザがさらに歩くと、ステップの総数(RSTEP)が10,000歩以上まで蓄積されてCSTを低下させ、第2グラフ303Bのサイズの減少につながる。
【0120】
14:00と18:00の間に、さらなる不活発行動は、ユーザにより設定された6時間の標的TGOALよりもCSTを増加させ、結果的にSDP商品推奨の調整が行われる、つまり現在は「準推奨」に過ぎないSDPをユーザがスキャンした場合に、リストバンド100の視覚的指示器が黄色で点灯する。これは、自分が選択したリミット内に留まるのに充分なほどの不活発行動の抑制的管理に達していないことをユーザに指示する。
【0121】
18:00と23:00の間に、ユーザはさらにCSTを蓄積するが、ユーザはさらに10,000歩を蓄積していないのでユーザが歩いたさらなる歩数によってCSTは減少されない。しかしながら、この期間にユーザがさらに8,000歩、歩いた場合には、CSTはそれに従って減少される。CSTがTGOALを上回っているので、第2グラフ303Bの長さはCSTの各追加ユニットでより劇的に増加する。
【0122】
ユーザが就寝すると、リストバンド100は(例えば)ユーザからの活動が全くないと検出してCSTの増加を停止する(これは例えばユーザがリストバンド100を外した場合にも起こりうる)。ゆえに、23:00と0:00の間では、ユーザが眠っている時に、健康グラフ1105は更新されない。しかしながら、真夜中を過ぎると、翌日のためユーザが自身の不活発行動を監視できるように、健康グラフ1105の統計がリセットされる。
【0123】
言うまでもなく、グラフィカルユーザインタフェース要素(または「ウィジェット」)には慣習的であるように、グラフィックユーザ要素1101,1105の全体サイズまたは配向は、ユーザ要素301を表現するのに使用されるデバイスまたはユーザインタフェースのディスプレイに適応するように調節されうる。セクション1102~1104またはサブセクション1103A,1103Bの相対位置も調節され、例えば
図3に示されているように端から端ではなく、互いに隣接してセクションが積み重ねられてもよい。セクション302~304および/またはサブセクション1103A,1103Bを互いから視覚的に区別するのに役立つように色、陰影または別の形の視覚的スタイリングが使用されうる。幾つかのケースでは、ユーザインタフェース要素1101に使用される配色が、商品コードがスキャンされる時にユーザの商品推奨を装着用デバイス100に指示するのに使用される配色と一致してもよい。
【0124】
概して、商品推奨を取得するのに以下の手順が使用されうる。
【0125】
第一に、例えば2型糖尿病、高血圧症、高肥満指数(BMI)、高コレステロールを含む、潜在的な不健康と関連する幾つかの健康形質が特定される。これらの健康形質のうちいずれかをユーザが有するかどうかは、例えばユーザのDNAまたはRNAのサンプルでの一塩基多型(SNP)の検出に基づく遺伝子検査を使用して判断されうるが、他のタイプの生物分子の検出またはユーザの呼吸の検査を含む他の形の診断検査も、マイクロバイオームの組成を判断するのに採用されうる。
【0126】
「標的」健康形質が特定されると、それらの各々に対する飲食物の影響が検討される。これは、以下、例えば、糖分含有量、カロリー含有量、炭水化物含有量、飽和脂肪含有量、総脂肪含有量、塩分含有量のいずれかを含む、消費商品の栄養含有量に関する幾つかの異なるカテゴリの各々について健康形質がどのような影響を受ける可能性があるかを分析することにより行われる。例えば、糖分の高い商品の消費により2型糖尿病のリスクが高くなるのに対して、塩分の多い飲食物は高血圧症と関係があることが知られている。各カテゴリと各健康形質の間の関係は、形質依存の係数をカテゴリの各々に割り当てることにより数値化されうる。高血圧症を例にすると、塩分含有量と脂肪含有量に大きな係数が割り当てられるのに対して、カロリー含有量と炭水化物含有量には小さい(またはむしろゼロの)係数が割り当てられうる。
【0127】
特定された各健康形質について、栄養含有量、つまりどれほどのグラム数の塩分、飽和脂肪等を商品が含有するかに基づいて予想される商品の影響を示すスコアを算出するのに形質依存係数が使用されうる。例えば、高血圧症に対する商品の悪影響を示すスコアを算出するには、商品の塩分のグラム数に塩分含有量の係数が掛けられる。数学的に述べると、各形質についてのスコアは、形質依存係数のベクトルと各商品についての栄養情報のベクトルとのスカラー積を求めることにより判断されうる。言うまでもなく、可能性のある異なるタイプの栄養カテゴリの健康形質に対する影響をモデリングするために健康形質について判断される用量反応曲線を使用するなど、より高度化したスコア算出手法も使用されうる。商品のタイプ(例えば砂糖菓子、ビスケット、朝食シリアル等)と、この商品の一般的な一人前分量など、他の要因もスコアに考慮されうる。これらの他の要因は、異なる商品がどのように消費されるかの差についてスコアを調節するのに使用され、例えば、商品が一般的に「嗜好品」として消費されるものとして特定される場合には、そうでない場合よりも推奨がポジティブであるようにスコアが減少されうる。
【0128】
各商品についてスコアが算出された後に、特定の健康形質についてのスコアに従って商品が降順で順位付けされる。そして閾値順位より高い順位を有する商品、例えば、健康形質のスコアに基づいて商品の上位50%または30%または10%である商品を選択することにより、商品の部分集合が選ばれる。これらの商品は、「非推奨」など「負の」推奨が割り当てられるので、商品のバーコードを読み取るのにリストバンド100が使用される時には、指示器(LED)106が(例えば)赤になる。残りの商品は、異なるカテゴリ、例えば(ユーザに緑色で指示される)「推奨」に割り当てられる。ゆえに、特定の形質についての順位に従って商品には異なる推奨が割り振られる。推奨を割り振るのに使用される閾値順位または「カットオフ」の値はユーザごとに変化し、(例えば遺伝子検査により判断される)特定の形質にユーザがどれほど影響されやすいかに基づいて判断される。
【0129】
各商品についての全体的な商品推奨を判断するために、各健康形質についての商品推奨が組み合わされる。これは、形質のいずれかについて商品が「推奨されない」場合、代替的に二つ以上の形質について商品が「推奨されない」場合に商品は「非推奨」であると判断するなど、幾つかの手法で行われうる。商品推奨が調整されるかどうかを示すフラグも、同一または類似の種類のルールに基づいて各商品について設定されても設定されなくてもよい。例えば、商品推奨が作成される時には、商品コードの各々と「タグ」が関連付けられうる。タグの一つの値(例えば0)は非SDPを意味するのに使用されるが、SDPと関連する商品コードを意味するのに他の値が使用されてもよい。幾つかのケースで、閾値より高いタグ値を持つ全ての商品が調整されるように、タグについての「作動閾」値を規定するのにCSTが使用されうる。
【0130】
ユーザの着座行動に従って関連の推奨が調整されうる商品の部分集合は、幾つかの手法で選ばれうる。概して、全てのタイプの食品に調整が適用されるわけではなく、それは、こうすることでユーザの着座行動に基づいて野菜などの「健康」商品が「準推奨」となるからである。各商品と関連する栄養データに基づいて部分集合が選ばれうる。一例において、「推奨」として分類される商品は、カロリー含有量に従って順位付けされ、最高のカロリー含有量を持つ商品の上位50%、30%、または10%が潜在的調整のために選択される。幾つかの実施形態において、調整が適用される商品の数を増加または減少させるために、このように商品を選択するためのカットオフ割合がユーザにより調節されうる。
【0131】
関連の商品推奨が調整される(上述した部分集合の)商品の数は、
図4に関連して上に記したようにCSTから判断される。
【0132】
概して、上述した閾値順位付けと、全体的な商品推奨を判断するためのルールとは、消費したい商品をユーザが選択できることと、健康に対する負の影響を有する可能性が最も高い商品の少なくとも幾つかを消費するのを断念させることとの間のバランスを保つ。長期的にユーザにとって好ましい選択を行なうようにユーザが「後押し」されるので、このバランスは有利である。ユーザの着座および/または他の不活発行動に基づいて商品推奨を調整すると、例えば、ユーザが特定の日に長期間着座していた場合に、通常は「推奨」される商品が「準推奨」でしかない(または「任意」であるとして推奨される)ことにユーザが気付くように、「後押し」を追加する。商品を「非推奨」にしない調整を使用すると、例えば、長距離を移動したのでユーザが長時間着座していた場合に、制御から外れる状況についてユーザに厳し過ぎるペナルティを科すことがないので、特に有利でありうる。
【0133】
不活発行動の負の影響についてユーザに警告する方法のステップは、以下の通りである。
【0134】
ステップ1:消費商品についての商品コードと、当該の商品推奨を示すか当該の商品推奨が導出されるデータとを、コンピュータデバイスのメモリに記憶する。
【0135】
ステップ2:ユーザに装着されている一以上の慣性センサから動作データを取得する。
【0136】
ステップ3:ユーザが着座位置または他の不活発状態にある期間を特定するのに動作データを使用することにより、ユーザの行動を監視する。
【0137】
ステップ4:ユーザの行動に基づいて、当該の商品推奨が調整される商品コードを商品コードの少なくとも部分集合から選択すること。
【0138】
ステップ5:視覚的指示器を制御して、選択された商品コードの数に応じた視覚的指示を提供する。
【0139】
図14は、DNAグラフ1101を取り入れた例示的なグラフィカルユーザインタフェース701を示す。
図15は、健康グラフ1105を取り入れた例示的なグラフィカルユーザインタフェース801を示す。これらのGUIの各々が表現されうる。
【0140】
例示的なシステムは、(スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、またはデスクトップデバイスなどの)パーソナルコンピューティングデバイスと、装着用デバイス100とを包含する。パーソナルコンピューティングデバイスは、(例えば有線または無線接続を介して)装着用デバイス100とデータを交換するための送受信器と、データを記憶するためのメモリと、装着用デバイス100から受理したデータを処理するためと、DNAグラフ301および/または健康グラフ1105を表示するディスプレイを制御するためのプロセッサとを包含する。使用時に、装着用デバイス100はパーソナルコンピューティングデバイスに動作データを送信し、パーソナルコンピューティングデバイスは、ユーザが着座位置または他の不活発状態にある期間を特定するのに動作データを使用することによりユーザの行動を監視してから、ユーザの行動に基づいて、当該の商品推奨が調整される商品コードを選択する。代替的に、監視および選択が装着用デバイス100自体により実施されてもよく、そのケースで装着用デバイス100は、選択された商品コードを示すデータをパーソナルコンピュータデバイスに送信する。プロセッサは、例えば健康グラフ1105を更新することにより、選択された商品の数に応じてディスプレイを更新して視覚的指示を提供する。
【0141】
メモリは、商品コードと、当該の商品推奨を示すか当該の商品推奨が導出されるデータとを記憶しうる。例えば、商品コードおよび/または商品推奨が更新された後に、商品コードとデータとは装着用デバイス100へダウンロードされうる。
【0142】
上の記載は着座または他の不活発行動に集中していたが、上の態様はまた(あるいは代替的に)ユーザの生活様式の他の側面および/またはユーザの環境に等しく適用されうる。例えば、上に記載したように、装着用デバイスは、幾つかの事例で、UV光へのユーザの暴露を監視するのに使用されうるUV光センサを包含しうる(言うまでもなく、装着用デバイス100の一部ではない身体装着センサも使用されうる)。このケースで、ユーザの商品推奨は、UV光暴露に関するユーザの行動、例えば直射日光下で過ごした時間に従って調節されうる。装着用デバイス100またはパーソナルコンピューティングデバイスは、UV光暴露の期間に基づいて調整される商品推奨の数について(例えばDNA健康グラフ305を使用して)視覚的指示を提供するように構成されうる。これは、(例えば高レベルのビタミンEにつながる商品を推奨することにより)UV光暴露の潜在的に有害な影響についてユーザが警告を受けることを可能にする。同様に、システムは、大気質または汚染(例えばNOxや微粒子)について身体装着センサを使用して取得されるデータに基づいて、環境組成の潜在的に有害な影響についての(調整された商品推奨の数に関する)フィードバックをユーザに提供するように構成されうる。
【0143】
別の例では、(一以上のセンサ、例えば万歩計を使用して取得されるデータに基づいて)ランニングなどの特定の身体活動(または生理学的機能)をユーザが実施する期間および/または強度に従って、商品推奨が調整されうる。例えば、数人のユーザは、低骨密度である可能性があることなどが遺伝子型により特定され、それゆえユーザの骨格系への強衝撃活動の影響を軽減するため、あるタイプの靴が選好されるように商品推奨の幾つかを調整することが適切でありうる。この調整の視覚的指示をユーザに提供すると、低衝撃の活動を行うなど改善動作の必要性についてユーザに警告しうる。
【0144】
幾つかの実行例において、調整される商品推奨の数に対する様々に異なるユーザ生活様式およびユーザ環境要因の相対的な寄与をユーザが追跡できるように、多数のDNA健康グラフ1105(または他の形の視覚的指示器)が(例えばユーザインタフェース「パネル」の形で)設けられうる。例えば、ウォーキングにより着座に費やす時間が少ないユーザには、直射日光または汚染地域でウォーキングする場合に調整される商品推奨の数は適度な減少(または上昇)のみが見られる。それゆえ多数の視覚的指示器を使用してこの問題についてユーザに警告すると、ユーザは自身の行動をより適切に調節することができる。
【0145】
本発明の範囲を逸脱することなく上に記載の実施形態に様々な修正が加えられうることが当該技術の熟練者には認識されるだろう。例えば、記載された主な実施形態は装着用バンドの形であったが、システムは、何らかの適当な形態、例えば保持カートリッジ、キーリング、ペンダント、またはスマートフォン、あるいはこのような形態の組み合わせとして実行されうる。システムに記憶されるデータは、ユーザにより提供される生物学的サンプルと他のユーザにより提供されるサンプルとの分析から取得される生物学的情報から導出されうることにさらに言及しておく。このユーザ集合は家族でありうる。その際にデータストアは、家族全員についての最良の推奨を提供するのに使用されうる共通データの蓄積を格納する。