(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】電気的に加熱可能な加熱ディスク
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20240716BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20240716BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20240716BHJP
H05B 3/40 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
F01N3/20 K ZAB
F01N3/24 L
H05B3/10 A
H05B3/40 A
(21)【出願番号】P 2021519637
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2019077219
(87)【国際公開番号】W WO2020074511
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-04-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】102018217244.7
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519031896
【氏名又は名称】ヴィテスコ テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Vitesco Technologies GmbH
【住所又は居所原語表記】Siemensstrasse 12,93055 Regensburg,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ヒルト
(72)【発明者】
【氏名】フェアディ クアト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス へリッヒ
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-504780(JP,A)
【文献】特開平11-253814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
F01N 3/24
F01N 3/10
H05B 3/10
H05B 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス後処理装置内で使用するための電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)であって、該加熱ディスク(1)は、積み重ねられた複数の金属シート(2,3,5)から形成されてハニカム体を成すように巻き上げられた積層体によって形成されており、該積層体は、交互に配置された、粗く構造化された金属シート(2)と、微細に構造化されたかまたは平滑な金属シート(3,5)とを有しており、前記ハニカム体は、半径方向の縁領域に少なくとも1つの電気的な接触接続部(6)を有しており、
粗く構造化された第1の金属シート(2)は、巻き上げることによって、前記加熱ディスク(1)の周方向(4)で互いにずらされて終端している、電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)において、
周方向(4)でずらされて終端した前記第1の金属シート(2)同士の間に、微細に構造化されたかまたは平滑な第2の金属シート(3)が配置されており、該第2の金属シート(3)は、終端した前記第1の金属シート(2)のそれぞれの終端部を越えて周方向(4)に延在しており、
前記第2の金属シート(3,5)は、周方向(4)でそれぞれ直接隣り合う前記第1の金属シート(2)を越えて張り出した部分区分に、それぞれの前記第2の金属シート(3,5)の残りの延在部に比べて増大した材料厚さを有しており、
前記第2の金属シート(3,5)は、それぞれ直接隣り合う前記第1の金属シート(2)が終端する直前から前記増大した材料厚さを有するように形成されている
ことを特徴とする、電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)。
【請求項2】
ずらされて終端した前記第1の金属シート(2)は粗く構造化されていることを特徴とする、請求項1記載の電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)。
【請求項3】
前記第2の金属シート(3,5)は、周方向(4)で1つの共通の終端領域に至るまで延在していることを特徴とする、請求項1または2記載の電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)。
【請求項4】
前記電気的な接触接続部(6)は、前記第2の金属シート(3,5)の、前記第1の金属シート(2)を越えて周方向に張り出した前記部分区分に配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)。
【請求項5】
前記第2の金属シート(3,5)の、張り出した前記部分区分における材料厚さは、それぞれの前記第2の金属シート(3,5)の残りの延在部に比べて1.5~4倍だけ大きいことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)。
【請求項6】
終端した前記第1の金属シート(2)を越えて延在する前記第2の金属シート(3,5)は、前記ハニカム体の前記半径方向の縁領域に配置されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)。
【請求項7】
前記積層体は、前記第1の金属シート(2)と前記第2の金属シート(3,5)とを交互に有しており、該第2の金属シート(3,5)は、周方向(4)で前記第1の金属シート(2)よりも長い延在部を有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)。
【請求項8】
前記ハニカム体は2つの電気的な接触接続部(6)を有しており、電流供給部と前記積層体との間の電気的な接触または電流導出部と前記積層体との間の電気的な接触が
、周方向(4)で前記第1の金属シート(2)を越えて張り出した前記第2の金属シート(3,5)から形成されている領域で行われることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の電気的に加熱可能な加熱ディスク(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス後処理装置内で使用するための電気的に加熱可能な加熱ディスクであって、加熱ディスクは、積み重ねられた複数の金属シートから形成されてハニカム体を成すように巻き上げられた積層体によって形成されており、積層体は、交互に配置された、粗く構造化された金属シートと、微細に構造化されたかまたは平滑な金属シートとを有しており、ハニカム体は、半径方向の縁領域に少なくとも1つの電気的な接触接続部を有しており、第1の金属シートは、巻き上げることによって、加熱ディスクの周方向で互いにずらされて終端している、電気的に加熱可能な加熱ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、排ガス装置内で使用するための電気的に加熱される加熱ディスクが知られている。加熱ディスクを加熱することによって、内燃機関の運転に依存せずに排ガス流の加熱を行うことができ、これによって、最善の排ガス後処理のために必要な温度へのより早期の到達が可能となる。加熱ディスクは、好ましくは金属製の基材から形成されており、例えばそれぞれ異なるように構造化された金属シートの積層体を巻き上げることによって形成されている。
【0003】
加熱ディスクには通常、電流が通流し、この場合、加熱ディスクはオーム抵抗を利用して加熱される。
【0004】
加熱ディスクへの電気的な接触接続は、通常、触媒または加熱ディスクを取り囲むジャケットを貫通して案内される電気的な供給部によって行われる。
【0005】
米国特許第5433926号明細書は、排ガス後処理装置内の電気的に加熱可能な加熱ディスクを例示的に示している。米国特許出願公開第2015011115号明細書は、触媒を取り囲むジャケットの内部の加熱ディスクに電気的に接触接続するための電気的な貫通案内路を示している。
【0006】
先行技術の各装置において不都合であるのは、特に、加熱ディスクに導入される電流の均一分布が、加熱性能に課せられる現在および将来の高まった要求をも満たすほど十分な程度には保証されないということである。このことは不都合である。なぜならば、より高い加熱性能を得るためには、導入される電流をも不可避的に増大させなければならないからである。不十分な電流均一分布が生じている限り、局所的な高温箇所が生じてしまい、これらの高温箇所は、加熱ディスクの耐久性という観点で不都合である。
【0007】
さらに、加熱ディスクの、電気的な接触接続の領域における従来知られている幾何学的形状は、加熱ディスクの傍らを通過する流れのバイパスが形成される結果を招くおそれがあり、このことは、加熱ディスクによって形成される加熱装置の効率という観点で有害である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、電気的な接触接続の領域に最善の構成を有し、それによって、1つには、可能な限り良好な電流均一分布を提供し、もう1つには、流れのバイパスの発生を可能な限り十分に阻止する、電気的に加熱可能な加熱ディスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
電気的に加熱可能な加熱ディスクに関するこの課題は、請求項1に記載の特徴を有する加熱ディスクによって解決される。
【0010】
本発明の実施例は、排ガス後処理装置内で使用するための電気的に加熱可能な加熱ディスクであって、加熱ディスクは、積み重ねられた複数の金属シートから形成されてハニカム体を成すように巻き上げられた積層体によって形成されており、積層体は、交互に配置された、粗く構造化された金属シートと、微細に構造化されたかまたは平滑な金属シートとを有しており、ハニカム体は、半径方向の縁領域に少なくとも1つの電気的な接触接続部を有しており、第1の金属シートは、巻き上げることによって、加熱ディスクの周方向で互いにずらされて終端しており、周方向でずらされて終端した第1の金属シート同士の間に、微細に構造化されたかまたは平滑な第2の金属シートが配置されており、この第2の金属シートは、終端した第1の金属シートのそれぞれの終端部を越えて周方向で延在している、電気的に加熱可能な加熱ディスクに関する。
【0011】
「粗く構造化された金属シート」とは、特に波形加工が施された金属シートを意味する。波形は金属シート全体にわたって延在していてもよいし、金属シートの一部領域にわたってしか延在していなくてもよい。これに比べて、「平滑な金属シート」は、一切の構造化箇所を有していない。「微細に構造化された金属シート」は、同様に加工された構造を有していてよいが、ただし、その構造、例えば波形は、粗く構造化された金属シートの場合よりも大幅に小さい。特に構造の高さおよび幅が、微細に構造化された金属シートでは、粗く構造化された金属シートよりも大幅に小さい。微細に構造化された金属シートまたは平滑な金属シートは、主として、互いに直接隣り合う粗く構造化された金属シートを互いに分離するために用いられる。これによって、粗く構造化された金属シートが、巻き上げる際に互いに引っ掛かり合わなくなる。
【0012】
積層体をディスクへと巻き上げることにより、周方向に金属シート同士の間で相対運動が発生し、これによって、互いに隣り合う金属シートは互いに滑動する。金属シートの、加熱ディスクの半径方向に位置する終端領域は、巻き上げることによって相対する方向に移動させられるので、これらの終端領域は、周方向で互いにずらされて終端する。したがって、実際に三日月形の領域が生じる。この三日月形の領域は、個々の層が連続的に終端することによって周方向で徐々に薄くなり、ついには、終端する最後の層が末端を形成する。このことは、例えば新聞を巻く際に生じる個々のページのずれにたとえることができる。
【0013】
平滑なまたは微細に構造化された金属シートは、粗く構造化された金属シートよりも長く形成されているので、互いにずらされて終端した粗く構造化された金属シートを越えて突出する。好ましくは、平滑なまたは微細に構造化された複数の層は、完全に巻き上げられて形成された加熱ディスクにおいて、これらの層が周方向に見て同一の点で終端するように寸法設定されている。平滑なまたは微細に構造化された金属シートは、このために、好ましくはそれぞれ異なる長さを有しており、このそれぞれ異なる長さによって、巻き上げにより生じるずれが補償される。
【0014】
粗く構造化された金属シートが、特に加熱ディスクの半径方向の縁領域において連続的に終端することによって、巻き上げられた積層体の段階的な肉薄化が達成される。これによって、特に、加熱ディスクの外周面上に金属シートの終端部が隆起部状に載着することが回避される。
【0015】
加熱ディスクの半径方向外側領域におけるそのような隆起部状の成形物は、理想的な円形から逸脱する横断面を生じさせてしまう。このことが、周方向における連続的な終端によって回避される。これによって、また、特に加熱ディスクの傍らを通過する望ましくないバイパス流を減少させるかまたは完全に阻止することができる。
【0016】
ずらされて終端した第1の金属シートが粗く構造化されていると、特に有利である。粗く構造化された金属シートは、微細に構造化されたかまたは平滑な金属シートよりもはるかに高い度合いで積層体の厚さに寄与する。なぜならば、粗く構造化された金属シートは、その波形によって加熱ディスクの通路構造を形成するからであり、この通路構造は軸線方向で通流できるようになっている。
【0017】
しかし、特に可能な限り理想的な円の直径を有する加熱ディスクを形成するためには、積層体の厚さを終端領域で低減する必要があり、このとき同時に、この終端領域における絶対的な材料厚さを、最善の電流導入を保証することができるように、可能な限り大きく維持することが望ましい。粗く構造化された金属シートが連続的に終端することによって、この終端領域におけるセル密度が段階的に減少し、その際、積層体の金属シートの絶対的な材料厚さは不変であるかまたは適切な手段によって増大しさえする。
【0018】
第2の金属シートが、周方向でそれぞれ直接隣り合う第1の金属シートを越えて張り出した部分区分に、それぞれの第2の金属シートの残りの延在部に比べて増大した材料厚さを有していても有利である。
【0019】
第2の金属シートの材料厚さの増大は、特に電流導入のための電気的な接触接続に用いられるこの領域に全体として存在する材料厚さを、第1の金属シートを有する区分とまったく同じ大きさに維持するために、あるいはむしろさらに増大させるために有利である。巻き上げられた積層体の横断面にわたって電流の均一な導入を達成するためには、十分に大きな材料厚さが不可欠である。これによって、有利には特に、過度に小さい材料厚さの導入領域によって導入された電流に基づき発生する恐れのある望ましくない高温箇所が阻止される。
【0020】
1つの好ましい実施例は、第2の金属シートが、周方向で1つの共通の終端領域に至るまで延在していることを特徴とする。
【0021】
1つの共通の終端領域に至るまでの延在は、巻き上げられた積層体の均一な材料厚さを電気的な接触接続の領域において保証するために有利である。電気的な接触接続が行われる領域は、電流導入によって過度に強い加熱が生じてしまうことを回避するために、ある一定の最小材料厚さを有していなければならない。導入される電流量と、電流が導入される材料の体積と、その結果生じる加熱との間には関連性がある(ジュールの法則)。簡単に表現すれば、材料体積が変わらない場合、電流量を増大させると、加熱が高まる。ここで、予め規定された電流量で最大限生じる温度を制限するためには、電流導入の領域の材料体積を相応に適応させなければならない。
【0022】
第1の金属シートが周方向でずらされて終端することによって、電流の導入のために提供される材料体積は連続的に減少する。これに対して、第2の金属シートをさらに先まで延在させると同時に、それぞれの第1の金属シートが終端した後の材料厚さを増大させることによって、材料体積の増加が得られる。これによって、最終的に提供される材料体積は、少なくとも積層体が第1の金属シートの終端前に有する材料体積に相当する。
【0023】
電気的な接触接続部が、第2の金属シートの、第1の金属シートを越えて周方向に張り出した部分区分に配置されていても好ましい。すでに上で説明したように、この部分区分には、定義された最大温度の超過を招く危険なしに電流導入ができるようにするために、十分な材料厚さまたは十分な材料体積が与えられている。
【0024】
さらに、第2の金属シートの、張り出した部分区分における材料厚さが、それぞれの第2の金属シートの残りの延在部に比べて1.5~4倍だけ大きいと有利である。
【0025】
この1.5~4倍の増大は、第1の金属シートが終端したにもかかわらず十分な材料厚さまたは十分な材料体積を保証するために有利であり、その際、過度に高い温度の結果としての損傷を招く危険は生じない。終端した第1の金属シートのそれぞれに対して隣り合う1つの第2の金属シートがさらに先まで延在させられるので、第2の金属シートの材料厚さを1.5~4倍だけ増大させることによって、導入箇所の領域で提供される材料体積が、積層体の、まだいずれの金属シートも終端していない領域における材料体積と少なくとも等しい大きさであることが保証される。
【0026】
終端した第1の金属シートを越えて延在する第2の金属シートが、ハニカム体の半径方向の縁領域に配置されていても合理的である。このことは、特に半径方向外側に配置された領域において、より長い第2の金属シートによって電気的な接触接続のための領域を形成することができることを保証するために有利である。
【0027】
1つの有利な形態では、積層体は巻き上げられるが、しかし、積層体は積層体自体と接触せず、むしろ、巻き上げられた積層体の個々の巻条の間に間隙が生じ、これによって特に、巻条の間に電気的な接触接続部が存在しない。この場合、延長された第2の金属シートによって、加熱ディスクの半径方向外側に向けられた領域に、電気的な接触接続を有利に行うことができる領域が生じる。
【0028】
さらに、積層体が、第1の金属シートと第2の金属シートとを交互に有しており、この第2の金属シートが、周方向で第1の金属シートよりも長い延在部を有していると有利である。これによって、積層体を巻き上げる際に第1の金属シートが互いに引っ掛かり合うことが回避される。
【0029】
さらに、ハニカム体が2つの電気的な接触接続部を有しており、電流供給部と積層体との間の電気的な接触または電流導出部と積層体との間の電気的な接触が、それぞれ、周方向で第1の金属シートを越えて張り出した第2の金属シートから形成されている領域で行われると合理的である。
【0030】
供給部と導出部とがそのように配置されていると、巻き上げられて形成され、その巻条同士が、例えば互いに間隔を置いて配置されているかまたは電気的な絶縁体を導入することによって互いに電気的に絶縁されているハニカム体に極めて容易に電気的に接触接続を行うことができる。
【0031】
本発明の有利な改良形態は、従属請求項および以下の図面の説明において記載される。
【0032】
以下に、本発明を実施例に基づき図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明に係る電気的に加熱可能な加熱ディスクのハニカム体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、巻き上げられた積層体から形成された加熱ディスク1の一部の断面図を示す。加熱ディスク1は、積み重ねられた複数の金属シート2,3から成る積層体から形成されている。図示の実施例では、粗い構造または波形を有する第1の金属シート2と、微細な構造または微小波形を有する第2の金属シート3とが示されている。
【0035】
第1の金属シート2と第2の金属シート3とは交互に積み重ねられ、それによって、積層体を形成している。この積層体を巻き上げることによって、加熱ディスク1が形成される。
【0036】
図1には、特に、巻き上げられて加熱ディスク1を成す積層体の半径方向外側に位置する終端領域が示されている。第1の金属シート2はすべて同じ長さを有している。巻き上げることによって、第1の金属シート2は周方向で互いに対して運動し、巻き上げられた状態では、第1の金属シート2が有するそれぞれ異なる半径によって、周方向4で互いにずらされて終端した第1の金属シート2によって形成される三日月形の形状が生じる。
【0037】
第2の金属シート3は第1の金属シート2よりも長く形成されており、したがって、終端した第1の金属シート2よりも周方向4でさらに先へ延在している。第1の金属シート2が連続的に終端することによって、積層体の厚さは周方向4で徐々に低減されていく。最後の第1の金属シート2が終端した後、積層体は最終的に、より長い第2の金属シート3のみから形成される。積層体は、第2の金属シート3のみから形成されたこの領域では、大幅に小さくなった厚さを有している。なぜならば、第1の金属シート2がもはやこの領域に進入していないからである。このことは、第1の金属シート2の粗い構造によって形成されたセルが、この領域にもはや存在していないので、特に明確に認めることができる。
【0038】
第2の金属シート3は、それぞれ直接隣り合う第1の金属シート2が終端する直前に肉厚部を有するように形成されており、第2の金属シート3は、この増大した材料厚さを、第2の金属シート3自体の終端領域に至るまで有している。さらに、積層体のそれぞれ最上部の金属シートと最下部の金属シートとは、両方とも微細に構造化された第2の金属シート3によって形成されており、同様に増大した材料厚さを有している。この両方の金属シート5の肉厚部は、周方向4で見て、第1の金属シート2が最初に終端する手前ですでに生じている。この肉厚部は、特に加熱ディスク1の安定性を高めることにも役立つ。
【0039】
符号6によって電気的な接触接続部が略示されている。電気的な接触接続部6は、積層体への電流導入または積層体からの電流導出のために用いられる。電気的な接触接続部6は、完全に第2の金属シート3から形成されている領域に配置されている。
【0040】
図1は、特に特徴を限定するものではなく、本発明の思想を明確にするために用いられる。