(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20240716BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240716BHJP
G09G 3/3225 20160101ALI20240716BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240716BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240716BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240716BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240716BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20240716BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240716BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G09G3/20 623V
G09F9/30 338
G09G3/20 611A
G09G3/20 611H
G09G3/20 622L
G09G3/20 623A
G09G3/20 641P
G09G3/20 680G
G09G3/3225
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L29/78 613B
H01L29/78 618B
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/14 Z
(21)【出願番号】P 2021528033
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(86)【国際出願番号】 IB2020055557
(87)【国際公開番号】W WO2020261036
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2019121482
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】小林 英智
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-22143(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0178586(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0275912(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108877663(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20
G09F 9/30
G09G 3/3225
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 29/786
H05B 33/02
H10K 50/10
H05B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層と、前記第1の層上の第2の層と、を有し、
前記第1の層は、m行n列(mおよびnはそれぞれ1以上の整数、かつmとnの積は2以上)に配列された第1の回路を有し、
前記第2の層は、m行n列に配列された画素ブロックを有し、
前記画素ブロックは、それぞれa行b列(aおよびbはそれぞれ1以上の整数)に配列された画素を有し、
前記画素ブロックは、前記画素と電気的に接続される第1の配線と、第2の配線と、を有し、
i行j列目(iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)の前記画素ブロックが有する前記第1の配線及び前記第2の配線はそれぞれ、i行j列目の前記第1の回路と電気的に接続され、
前記第1の配線は、前記第1の回路からの入力信号を前記画素に供給する機能を有し、
前記第2の配線は、前記画素からの出力信号を前記第1の回路に供給する機能を有
し、
前記第1の回路はそれぞれ、補正データ生成回路と、論理回路と、ソースドライバ回路と、を有し、
前記補正データ生成回路は、前記出力信号を補正データに変換する機能を有し、
前記論理回路は、前記補正データを基に前記第1の回路に入力されたビデオ信号を補正し、補正後ビデオ信号を生成する機能を有し、
前記ソースドライバ回路は、前記補正後ビデオ信号を前記入力信号に変換する機能を有する表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
i行j列目の前記画素ブロックは、i行j列目の前記第1の回路と重なる領域を有する表示装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項2において、
p行q列目(pはiと異なる1以上m以下の整数、qはjと異なる1以上n以下の整数)の前記画素ブロックは、p行q列目の前記第1の回路と重ならない表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項
3のいずれか一において、
前記第2の層は、さらに列方向に配列するm個の第2の回路を有し、
前記画素ブロックは、行方向に配列する複数の前記画素と電気的に接続される第3の配線を有し、
i行目の画素ブロックが有する前記第3の配線は、i番目の前記第2の回路と電気的に接続される表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第1の層は、さらに列方向に配列するm個の第2の回路を有し、
前記画素ブロックは、行方向に配列する複数の前記画素と電気的に接続される第3の配線を有し、
i行目の画素ブロックが有する前記第3の配線は、i番目の前記第2の回路と電気的に接続される表示装置。
【請求項6】
請求項
5において、
i行j列目の前記画素ブロックは、前記第2の回路のいずれか一以上と重なる領域を有する表示装置。
【請求項7】
請求項
1乃至請求項
6のいずれか一において、
前記補正データ生成回路は、メモリ回路を有し、
前記第1の層は、第1の回路層と、前記第1の回路層上の第2の回路層と、を有し、
前記第1の回路層は、前記論理回路を有し、
前記論理回路は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタを有し、
前記第2の回路層は、前記メモリ回路を有し、
前記メモリ回路は、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタを有し、
前記金属酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、又はSnのいずれか一以上)と、Znと、を有する表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項
7のいずれか一において、
前記画素は、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタを有し、
前記金属酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、又はSnのいずれか一以上)と、Znと、を有する表示装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項
7のいずれか一において、
前記画素は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタを有する表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
トランジスタに適用可能な半導体材料として、金属酸化物を用いた酸化物半導体が注目されている。例えば、特許文献1では、複数の酸化物半導体層を積層し、当該複数の酸化物半導体層の中で、チャネルとなる酸化物半導体層がインジウム及びガリウムを含み、且つインジウムの割合をガリウムの割合よりも大きくすることで、電界効果移動度(単に移動度、又はμFEと言う場合がある)を高めた半導体装置が開示されている。
【0004】
半導体層に用いることのできる金属酸化物は、スパッタリング法等を用いて形成できるため、大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体層に用いることができる。また、多結晶シリコンや非晶質シリコンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用することが可能であるため、設備投資を抑えられる。また、金属酸化物を用いたトランジスタは、非晶質シリコンを用いた場合に比べて高い電界効果移動度を有するため、駆動回路を設けた高機能の表示装置を実現できる。
【0005】
拡張現実(AR:Augmented Reality)又は仮想現実(VR:Virtual Reality)用の表示装置として、ウェアラブル型の表示装置、及び据え置き型の表示装置が普及しつつある。ウェアラブル型の表示装置としては、例えば、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)や眼鏡型の表示装置等がある。据え置き型の表示装置としては、例えば、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)等がある。
【0006】
デジタルカメラ等の撮像装置を有する電子機器において、撮像される画像を撮像前に確認するためにビューファインダーが用いられている。また、ビューファインダーとして、電子ビューファインダーが用いられている。電子ビューファインダーには表示部が設けられ、撮像デバイスにより得られる像を当該表示部に画像として表示することができる。例えば、特許文献2では、画像中心部から画像周辺部にわたって良好な視度状態を得ることができる電子ビューファインダーについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-7399号公報
【文献】特開2012-42569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)等、表示面と使用者の距離が近い表示装置においては使用者が画素を視認しやすく、粒状感を強く感じてしまうことから、ARやVRの没入感や臨場感が薄れる場合がある。また、電子ビューファインダーには光学ファインダーと同様に接眼部が設けられ、電子ビューファインダーの表示部に表示される画像は、接眼部に使用者の眼を近づけることにより視認される。このため、電子ビューファインダーの表示部と、使用者と、の距離が近くなる。これにより、使用者が表示部に設けられた画素を視認しやすいため、粒状感を強く感じてしまう場合がある。以上のようなことから、HMD及び電子ビューファインダーにおいては、使用者に画素を視認されないように精細な画素を備える表示装置が望まれる。例えば、精細度を1000ppi以上とすることが好ましく、2000ppi以上とすることがより好ましく、5000ppi以上とすることがさらに好ましい。また、例えば電子ビューファインダーに設けられる表示装置においては、4K(画素数:3840×2160)、5K(画素数:5120×2880)、又はそれ以上の解像度の画像を表示できることが好ましい。
【0009】
表示装置の画素数が多いほど、表示装置が有するトランジスタ及び表示素子の数が多くなり、トランジスタの特性ばらつき及び表示素子の特性ばらつきに起因する表示ムラが顕著になってしまう場合がある。
【0010】
本発明の一態様は、表示ムラが少ない表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、額縁が小さい表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、小型の表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、レイアウトの自由度が高い表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、精細度が高い表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、高品位の画像を表示することができる表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、臨場感の高い画像を表示することができる表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、高輝度の画像を表示することができる表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、高速に動作する表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、消費電力が低い表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、低価格な表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、信頼性が高い表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、上記表示装置の動作方法を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、上記表示装置を有する電子機器を提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項等の記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、第1の層と、第1の層上の第2の層と、を有する表示装置である。第1の層は、m行n列(mおよびnはそれぞれ1以上の整数、かつmとnの積は2以上)に配列された第1の回路を有する。第2の層は、m行n列に配列された画素ブロックを有し、画素ブロックは、それぞれa行b列(aおよびbはそれぞれ1以上の整数)に配列された画素を有する。また、画素ブロックは、画素と電気的に接続される第1の配線と、第2の配線と、を有し、i行j列目(iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)の画素ブロックが有する第1の配線及び第2の配線はそれぞれ、i行j列目の第1の回路と電気的に接続されることが好ましい。第1の配線は、第1の回路からの入力信号を画素に供給する機能を有し、第2の配線は、画素からの出力信号を第1の回路に供給する機能を有することが好ましい。
【0013】
前述の表示装置において、第1の回路はそれぞれ、補正データ生成回路と、論理回路と、ソースドライバ回路と、を有する。補正データ生成回路は、出力信号を補正データに変換する機能を有することが好ましい。論理回路は、補正データを基に第1の回路に入力されたビデオ信号を補正し、補正後ビデオ信号を生成する機能を有することが好ましい。ソースドライバ回路は、補正後ビデオ信号を入力信号に変換する機能を有することが好ましい。
【0014】
前述の表示装置において、i行j列目の画素ブロックは、i行j列目の第1の回路と重なる領域を有することが好ましい。
【0015】
前述の表示装置において、p行q列目(pはiと異なる1以上m以下の整数、qはjと異なる1以上n以下の整数)の画素ブロックは、p行q列目の第1の回路と重ならないことが好ましい。
【0016】
前述の表示装置において、第2の層は、さらに列方向に配列するm個の第2の回路を有することが好ましい。画素ブロックは、行方向に配列する複数の画素と電気的に接続される第3の配線を有し、i行目の画素ブロックが有する第3の配線は、i番目の第2の回路と電気的に接続されることが好ましい。
【0017】
前述の表示装置において、第1の層は、さらに列方向に配列するm個の第2の回路を有することが好ましい。画素ブロックは、行方向に配列する複数の画素と電気的に接続される第3の配線を有し、i行目の画素ブロックが有する第3の配線は、i番目の第2の回路と電気的に接続されることが好ましい。また、i行j列目の画素ブロックは、第2の回路のいずれか一以上と重なる領域を有することが好ましい。
【0018】
前述の表示装置において、補正データ生成回路は、メモリ回路を有することが好ましい。また、第1の層は、第1の回路層と、第1の回路層上の第2の回路層と、を有することが好ましい。第1の回路層は、論理回路を有し、当該論理回路は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタを有することが好ましい。第2の回路層は、メモリ回路を有し、当該メモリ回路は、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタを有することが好ましい。また、金属酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、又はSnのいずれか一以上)と、Znと、を有することが好ましい。
【0019】
前述の表示装置において、画素は、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタを有することが好ましい。また、金属酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、又はSnのいずれか一以上)と、Znと、を有することが好ましい。
【0020】
前述の表示装置において、画素は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様により、表示ムラが少ない表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、額縁が小さい表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、小型の表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、レイアウトの自由度が高い表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、精細度が高い表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、高品位の画像を表示することができる表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、臨場感の高い画像を表示することができる表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、高輝度の画像を表示することができる表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、高速に動作する表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、消費電力が低い表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、低価格な表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、信頼性が高い表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、新規な表示装置を提供できる。又は、本発明の一態様により、上記表示装置の動作方法を提供できる。又は、本発明の一態様により、上記表示装置を有する電子機器を提供できる。
【0022】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項等の記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1Aは、表示装置の構成例を示す模式図である。
図1Bは、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図2は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図3は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図4は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図5は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図6は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図7は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図8は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図9は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図10は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図11は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図12Aは、表示装置の構成例を示す模式図である。
図12Bは、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図13は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図14は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図15は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図16は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図17は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図18は、画素の構成例を示す回路図である。
図19A、
図19Bは、画素の構成例を示す回路図である。
図20A、
図20Bは、画素の構成例を示す回路図である。
図21は、表示装置の構成例を示す断面図である。
図22は、表示装置の構成例を示す断面図である。
図23は、表示装置の構成例を示す断面図である。
図24は、表示装置の構成例を示す断面図である。
図25は、表示装置の構成例を示す断面図である。
図26A、
図26Bは、画素の構成例を示す上面図である。
図27は、画素の構成例を示す上面図である。
図28は、画素の構成例を示す断面図である。
図29A、
図29B、
図29C、
図29D、
図29Eは、発光素子の構成例を示す図である。
図30Aは、トランジスタの構成例を示す上面図である。
図30B及び
図30Cは、トランジスタの構成例を示す断面図である。
図31Aは、トランジスタの構成例を示す上面図である。
図31B及び
図31Cは、トランジスタの構成例を示す断面図である。
図32Aは、トランジスタの構成例を示す上面図である。
図32B及び
図32Cは、トランジスタの構成例を示す断面図である。
図33Aは、IGZOの結晶構造の分類を説明する図である。
図33BはCAAC-IGZO膜のXRDスペクトルを説明する図である。
図33CはCAAC-IGZO膜の極微電子線回折パターンを説明する図である。
図34A、
図34B、
図34C、
図34D、
図34Eは、電子機器の例を示す斜視図である。
図35A、
図35B、
図35C、
図35D、
図35E、
図35F、
図35Gは、電子機器の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0025】
また、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。
【0026】
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。
【0027】
また、本明細書において、「上に」、「下に」等の配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0028】
また、本明細書等において、トランジスタが有するソースとドレインの機能は、トランジスタの極性、又は回路動作において電流の方向が変化する場合等には入れ替わることがある。このため、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0029】
本明細書等において「電極」「配線」「端子」等の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合等も含む。また、例えば、「端子」は「配線」や「電極」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。更に、「端子」の用語は、複数の「電極」「配線」「端子」等が一体となって形成されている場合等も含む。そのため、例えば、「電極」は「配線」又は「端子」の一部とすることができ、また、例えば、「端子」は「配線」又は「電極」の一部とすることができる。また、「電極」「配線」「端子」等の用語は、場合によって、「領域」等の用語に置き換える場合がある。
【0030】
また、本明細書等において、「抵抗」とは、配線の長さによって抵抗値を決める場合がある。又は、抵抗は、配線で用いる導電体とは異なる低効率を有する導電体とコンタクトを介して接続して形成する場合等も含む。又は、半導体に不純物をドーピングすることで抵抗値を決める場合がある。
【0031】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、直接接続している場合と、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。また、「直接接続」と表現される場合であっても、異なる導電体にコンタクトを介して配線が形成される場合が含まれる。なお、配線には、異なる導電体が一つ以上の同じ元素を含む場合と、異なる元素を含む場合と、がある。
【0032】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」や「絶縁層」という用語は、「導電膜」や「絶縁膜」という用語に相互に交換することが可能な場合がある。
【0033】
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い(pチャネル型トランジスタでは、Vthよりも高い)状態をいう。
【0034】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値等に限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチング等の処理により層やレジストマスク等が意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために図に反映しないことがある。また、図面において、同一部分又は同様な機能・材料等を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能・材料等を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0035】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductor又は単にOSともいう)等に分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OSトランジスタと記載する場合においては、酸化物又は酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0036】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置について説明する。
【0037】
本発明の一態様は、第1の層と、第1の層上の第2の層と、を有する表示装置である。第1の層は、m行n列(mおよびnはそれぞれ1以上の整数、かつmとnの積は2以上)に配列された第1の回路を有する。第2の層は、m行n列に配列された画素ブロックを有し、画素ブロックは、それぞれa行b列(aおよびbはそれぞれ1以上の整数)に配列された画素を有する。また、画素ブロックは、画素と電気的に接続される第1の配線と、第2の配線と、を有し、i行j列目(iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整数)の画素ブロックが有する第1の配線及び第2の配線はそれぞれ、i行j列目の第1の回路と電気的に接続されることが好ましい。第1の配線は、第1の回路からの入力信号を画素に供給する機能を有し、第2の配線は、画素からの出力信号を第1の回路に供給する機能を有することが好ましい。
【0038】
前述の表示装置において、第1の回路はそれぞれ、補正データ生成回路と、論理回路と、ソースドライバ回路と、を有する。補正データ生成回路は、出力信号を補正データに変換する機能を有することが好ましい。論理回路は、補正データを基に第1の回路に入力されたビデオ信号を補正し、補正後ビデオ信号を生成する機能を有することが好ましい。ソースドライバ回路は、補正後ビデオ信号を入力信号に変換する機能を有することが好ましい。
【0039】
なお、本明細書等において、第1の回路が、画素からの出力信号を基にビデオ信号を補正し、補正されたビデオ信号を入力信号として画素に出力する動作を、補正または補正動作と記す場合がある。画素に流れる電流値(出力信号)を基に、画素に入力する信号(入力信号)を補正することにより、画素間の輝度のばらつきを低減できる。
【0040】
本発明の一態様である表示装置は、第1の回路が補正動作を行うことにより、表示ムラの少ない表示装置とすることができる。本発明の一態様である表示装置は、複数の第1の回路を有し、複数の第1の回路は並列して補正動作を行うことができる。表示部に対して1行毎に順次補正動作を行う場合と比較して、複数の第1の回路が並列して補正動作を行うことで、表示部全体に対する補正動作に要する時間を短くすることができる。したがって、本発明の一態様である表示装置は、高速に動作する表示装置とすることができる。また、例えば1フレームの画像に対応する入力信号を、画素に書き込むために要する時間を短くすることができる。したがって、画素数の多い表示装置においても高速に動作させることができ、精細度の高い表示装置とすることができる。例えば、本発明の一態様の表示装置の精細度を1000ppi以上とすることができ、2000ppi以上とすることができ、5000ppi以上とすることができる。
【0041】
i行j列目の画素ブロックは、i行j列目の第1の回路と重なる領域を有することが好ましい。画素ブロックが第1の回路と重なる領域を有することで、画素ブロックが設けられていない領域である額縁の面積を小さくすることができる。よって、額縁の狭い表示装置とすることができる。また、表示装置の額縁を狭くすることにより、小型の表示装置とすることができる。なお、p行q列目(pはiと異なる1以上m以下の整数、qはjと異なる1以上n以下の整数)の画素ブロックは、p行q列目の第1の回路と重ならない構成としてもよい。
【0042】
第2の層は、列方向に配列するm個の第2の回路を有することが好ましい。画素ブロックは、行方向に配列する複数の画素と電気的に接続される第3の配線を有する。i行目の画素ブロックが有する第3の配線は、i番目の第2の回路と電気的に接続されることが好ましい。または、第1の層が、列方向に配列するm個の第2の回路を有してもよい。さらに、i行j列目の画素ブロックは、第2の回路のいずれか一以上と重なる領域を有することが好ましい。画素ブロックが第2の回路と重なる領域を有することで、小型の表示装置とすることができる。
【0043】
補正データ生成回路は、メモリ回路を有することが好ましい。また、第1の層は、第1の回路層と、第1の回路層上の第2の回路層と、を有する。第1の回路層は、論理回路を有し、当該論理回路は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタを有することが好ましい。第2の回路層は、メモリ回路を有し、当該メモリ回路は、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタを有することが好ましい。金属酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、又はSnのいずれか一以上)と、Znと、を有することが好ましい。また、元素Mとして、Ga及びSnのいずれか一方または双方を有することがさらに好ましい。
【0044】
以下では、本発明の一態様の表示装置について、詳細を説明する。
【0045】
<表示装置の構成例1>
本発明の一態様である表示装置10の模式図を、
図1Aに示す。
図1Aに示すように、表示装置10は第1の層20と、第1の層20上の第2の層30と、の積層構造を有する。
図1Aでは、第1の層20上に第2の層30を設けた構成を示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。第2の層30上に第1の層20を設けてもよい。第1の層20と第2の層30の間に、層間絶縁層及び配線層の一以上を設けてもよい。また、第1の層20と第2の層30の間に設けられる層間絶縁層及び配線層は、それぞれ複数であってもよい。
【0046】
第1の層20は、第1の回路21を有する。第2の層30は、第2の回路22及び表示部33を有する。第1の回路21及び第2の回路22は、表示装置10を駆動させるための回路である。よって、これらの回路を駆動回路と呼ぶことができる。第1の回路21は、画素34に入力される入力信号を生成する機能を有する。第2の回路22は、第1の回路21が生成した入力信号が書き込まれる画素34を選択する機能を有し、ゲートドライバ回路ともいうことができる。
【0047】
表示装置10の構成例を示すブロック図を、
図1Bに示す。第1の層20は、m行n列に配列された第1の回路21[1,1]乃至22[m,n]を有する。第2の層30は表示部33を有し、表示部33はm行n列に配列された画素ブロック38[1,1]乃至38[m,n]を有する。画素ブロック38[1,1]乃至38[m,n]はそれぞれ、複数の画素34を有する。また、第2の層30は、列方向に配列するm個の第2の回路22[1]乃至22[m]を有する。
【0048】
なお、本明細書等において、複数の要素に同じ符号を用いる場合、特に、それらを区別する必要があるときには、符号に“[m,n]”、“[m]”等の識別用の符号を付記して記載する場合がある。例えば、1行1列目の画素ブロック38を画素ブロック38[1,1]と記載し、m行n列目の画素ブロック38を画素ブロック38[m,n]と記載する。例えば、1個目の第2の回路22を第2の回路22[1]と記載し、m個目の第2の回路22を第2の回路22[m]と記載する。
【0049】
表示装置10の構成例を示すブロック図を、
図2に示す。
図2に示すように、画素ブロック38[1,1]乃至38[m,n]はそれぞれ、a行b列(a、bは1以上の整数)に配列された画素34を有する。つまり、表示部33は、am行bn列に配列された画素34[1,1]乃至34[am,bn]を有する。また、画素ブロック38は、画素34と電気的に接続される配線32と、配線36と、を有する。さらに、画素ブロック38は、画素34と電気的に接続される配線31を有する。配線32は、第1の回路21からの入力信号を画素34に供給する機能を有し、ソース線または信号線ともいうことができる。配線36は、画素34からの出力信号を第1の回路21に供給する機能を有し、モニタ線ともいうことができる。配線31は、第2の回路22からの信号を画素34に供給する機能を有し、ゲート線または走査線ということもできる。
【0050】
各構成要素の接続関係について、i行j列目の画素ブロック38[i,j]を例に、
図3を用いて説明する。
【0051】
画素ブロック38[i,j]が有する配線32[i,b(j-1)+1]乃至32[i,bj]は、i行j列目の第1の回路21[i,j]と電気的に接続される。配線32[i,b(j-1)+1]乃至32[i,bj]はそれぞれ、画素ブロック38[i,j]において、列方向に配列するa個の画素34と電気的に接続される。例えば、配線32[i,b(j-1)+1]は、画素34[a(i-1)+1,b(j-1)+1]乃至[ai,b(j-1)+1]と電気的に接続される。
【0052】
画素ブロック38[i,j]が有する配線36[i,b(j-1)+1]乃至36[i,bj]は、i行j列目の第1の回路21[i,j]と電気的に接続される。配線36[i,b(j-1)+1]乃至36[i,bj]はそれぞれ、画素ブロック38[i,j]において、列方向に配列するa個の画素34と電気的に接続される。例えば、配線36[i,b(j-1)+1]は、画素34[a(i-1)+1,b(j-1)+1]乃至[ai,b(j-1)+1]と電気的に接続される。
【0053】
画素ブロック38[i,j]が有する配線31[a(i-1)+1]乃至31[ai]は、i番目の第2の回路22[i]と電気的に接続される。配線31[a(i-1)+1]乃至31[ai]はそれぞれ、表示部33において、行方向に配列するbn個の画素34と電気的に接続される(
図2参照)。例えば、配線31[a(i-1)+1]は、表示部33において、画素34[a(i-1)+1,1]乃至[a(i-1)+1,bn]と電気的に接続される。配線31[a(i-1)+1]は、画素ブロック38[i,j]において、画素34[a(i-1)+1,b(j-1)+1]乃至[a(i-1)+1,bj]と電気的に接続される。
【0054】
<第1の回路21の構成例>
第1の回路21[1,1]乃至21[m,n]はそれぞれ、補正データ生成回路24と、論理回路81と、ソースドライバ回路26と、を有する。
【0055】
図3に示すように、第1の回路21[i,j]は、補正データ生成回路24[i,j]と、論理回路81[i,j]と、ソースドライバ回路26[i,j]と、を有する。
【0056】
補正データ生成回路24[i,j]は、第1の回路21[i,j]からの出力信号を、補正データに変換する機能を有する。出力信号は、配線36を介して、画素34[i,j]から第1の回路21[i,j]に供給される。配線36は、モニタ線としての機能を有する。
【0057】
論理回路81[i,j]は、補正データを基に第1の回路21[i,j]に入力されたビデオ信号を補正し、補正後ビデオ信号を生成する機能を有する。
【0058】
ソースドライバ回路26[i,j]は、補正後ビデオ信号を入力信号に変換する機能を有する。入力信号は、配線32を介して、第1の回路21[i,j]から画素ブロック38[i,j]に供給される。配線32は、データ線としての機能を有する。
【0059】
補正データ生成回路24の構成例について、説明する。
【0060】
補正データ生成回路24[1,1]乃至24[m,n]はそれぞれ、電流電圧変換回路91と、アナログデジタル変換回路92と、メモリ回路93と、を有する。
【0061】
図3に示すように、補正データ生成回路24[i,j]は、電流電圧変換回路91[i,j]と、アナログデジタル変換回路92[i,j]と、メモリ回路93[i,j]と、を有する。
【0062】
電流電圧変換回路91は、配線36に流れる電流値を電圧値に変換し、アナログデジタル変換回路92に出力する機能を有する。
【0063】
アナログデジタル変換回路92は、電流電圧変換回路91が出力したアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換し、メモリ回路93に出力する機能を有する。
【0064】
メモリ回路93は、アナログデジタル変換回路92が出力したデジタルの電圧値を、記憶する機能を有する。なお、画素34から配線36に流れる(出力される)電流値を基にした当該電圧値は、画素34に流れる電流値を補正する補正データとして用いることができる。また、メモリ回路93は、記憶した補正データを論理回路81に出力する機能を有する。
【0065】
論理回路81は、メモリ回路93が出力した補正データを基に第1の回路21に入力されたビデオ信号を補正し、補正後ビデオ信号を生成する機能を有する。
【0066】
なお、表示装置10は、受信回路(図示せず)を有してもよい。受信回路は、第1の回路21が生成する補正後ビデオ信号の基となるビデオ信号を受信する機能を有する。当該ビデオ信号は、シングルエンドのデジタルデータとすることができる。受信回路は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)等のデータ伝送用信号を用いてデータを受信するともに、内部処理可能な信号規格に変換する機能を有してもよい。
【0067】
ソースドライバ回路26の構成例について、説明する。
【0068】
ソースドライバ回路26[1,1]乃至26[m,n]はそれぞれ、シフトレジスタ回路44と、ラッチ回路45と、デジタルアナログ変換回路46と、アンプ回路47と、を有する。
【0069】
図3に示すように、ソースドライバ回路[i,j]は、シフトレジスタ回路44[i,j]と、ラッチ回路45と、デジタルアナログ変換回路46[i,j]と、アンプ回路47[i,j]と、を有する。
【0070】
シフトレジスタ回路44は、ラッチ回路45の動作を制御するための信号を生成する機能を有する。
【0071】
ラッチ回路45は、論理回路81が出力した補正データを保持又は出力する機能を有する。ラッチ回路45において、データの保持又は出力のどちらの動作を行うかは、シフトレジスタ回路44から供給された信号に基づいて選択される。
【0072】
デジタルアナログ変換回路46は、ラッチ回路45が保持したデジタルの補正後ビデオ信号を、アナログの補正後ビデオ信号に変換する機能を有する。
【0073】
アンプ回路47は、デジタルアナログ変換回路46が出力したアナログの補正後ビデオ信号を増幅し、入力信号として配線32に出力する機能を有する。アンプ回路47を設けることにより、アナログ信号によって表される補正後ビデオ信号を安定して画素34に供給することができる。アンプ回路47としては、オペアンプ等を有するボルテージフォロワ回路等を適用することができる。なお、アンプ回路として差動入力回路を有する回路を用いる場合、当該差動入力回路のオフセット電圧は、0V、または限りなく0Vに近い電圧とすることが好ましい。
【0074】
<第2の回路22の構成例>
ゲートドライバ回路として機能する第2の回路22は、第1の回路21が生成した画像データに対応する電位が書き込まれる画素34を選択する機能を有する。例えば、第2の回路22は、選択信号を生成して、特定の行の画素34に当該選択信号を供給することができる。選択信号が供給された画素34には、画像データに対応する電位を書き込むことができる。
【0075】
画素ブロック38は、行方向に配列する複数の画素34と電気的に接続される配線31を有する。i行目の画素ブロック38が有する配線31は、i番目の第2の回路22と電気的に接続される。
【0076】
例えば、第2の回路22[i]は、画素ブロック38[i,j]において1行目の画素34を選択した後に2行目の画素34を選択し、a行目の画素34まで順次選択した後再び1行目の画素34を選択する。つまり、第2の回路22は、画素34を走査する機能を有するということができる。また、選択信号は、第2の回路22から配線31を介して画素34に供給することができる。以上より、配線31は走査線としての機能を有するということができる。なお、インターレース駆動を行う場合、1行目の画素34を選択した後、2行目の画素34を選択せず、例えば3行目、又は4行目以降の画素34を選択する。例えば、mを偶数とする場合、奇数行目の画素34を順次選択した後、偶数行目の画素34を順次選択することができる。
【0077】
表示部33は、画素34に供給された画像データに対応する画像を表示する機能を有する。具体的には、画像データに対応する輝度の光を画素34から射出することにより、表示部33に画像が表示される。
【0078】
なお、画素34から射出される光の色は、例えば赤色、緑色、青色等とすることができる。例えば、赤色の光を射出する画素34、緑色の光を射出する画素34、及び青色の光を射出する画素34を表示部33に設けることにより、表示装置10はフルカラー表示を行うことができる。この場合、画素34は、副画素であるということができる。
【0079】
<表示装置10の補正動作例>
表示装置10の補正動作の例を、
図4乃至
図6を用いて説明する。
図4乃至
図6では、画素ブロック38[i,j]を例に補正動作を示している。補正動作は、基準データ書き込み動作、補正データ取得動作、及び表示動作の3段階で行うことができる。
【0080】
【0081】
基準データ書き込み動作とは、補正の基準となる基準データ(以下、基準ビデオ信号ともいう)を画素34に書き込む動作を指す。まず、基準ビデオ信号を第1の回路21[i,j]に入力し、基準ビデオ信号は論理回路81を介して、ソースドライバ回路26[i,j]に供給される。ソースドライバ回路26[i,j]で基準ビデオ信号が入力信号に変換され、配線32を介して、入力信号が画素ブロック38[i,j]に供給される。
【0082】
基準データ書き込み動作は、複数の第1の回路21で並列して行うことができる。例えば、表示装置10が有する全ての第1の回路21[1,1]乃至21[m,n]がそれぞれ並列して基準データ書き込み動作を行ってもよい。複数の第1の回路が並列して基準データ書き込み動作を行うことで、表示部33全体に対する基準データ書き込み動作に要する時間を短くすることができる。
【0083】
なお、基準データ書き込み動作を行っている期間は、補正データ生成回路24の動作を停止させることができる。補正データ生成回路24の動作を停止させることで、消費電力の低い表示装置10とすることができる。
【0084】
なお、基準ビデオ信号は、一以上の階調値を用いることができる。例えば、基準ビデオ信号に、最大の階調値、最小の階調値又は中間の階調値のいずれか一以上を用いることができる。例えば、8ビット階調の場合、最大の階調値255、最小の階調値0、中間の階調値125などを基準ビデオ信号に用いることができる。
【0085】
精細度の高い表示装置では画素34のサイズが小さくなり、画素34が有するトランジスタのサイズが小さく、トランジスタに流れる電流値が小さくなる場合がある。そこで、トランジスタに流れる電流値が大きくなる基準ビデオ信号(例えば、最大の階調値)を用いることにより、補正動作の精度を高めることができる。また、基準ビデオ信号に、複数の階調値を用いてもよい。例えば、最大の階調値、最小の階調値、中間の階調値の3種類を基準ビデオ信号に用いることにより、広い階調の範囲で補正動作を行うことができ、補正動作の精度を高めることができる。
【0086】
【0087】
補正データ取得動作とは、基準データが書き込まれた画素34からの電流値(出力信号ともいう)を第1の回路21[i,j]に入力し、補正データを生成する動作を指す。画素34からの出力信号は、配線36を介して、補正データ生成回路24[i,j]に供給される。補正データ生成回路24[i,j]で出力電流が補正データに変換され、基準データに対応する補正データが補正データ生成回路24[i,j]に保持される。
【0088】
補正データ取得動作は、複数の第1の回路21で並列して行うことができる。例えば、表示装置10が有する全ての第1の回路21[1,1]乃至21[m,n]がそれぞれ並列して補正データ取得動作を行ってもよい。表示部33に対して1行毎に順次補正データ取得動作を行う場合と比較して、複数の第1の回路が並列して補正データ取得動作を行うことで、表示部33全体に対する補正データ取得動作に要する時間を短くすることができる。
【0089】
なお、補正データ取得動作を行っている期間は、論理回路81及びソースドライバ回路26の動作を停止させることができる。論理回路81及びソースドライバ回路26の動作を停止させることで、消費電力の低い表示装置10とすることができる。
【0090】
なお、補正動作を行わない場合は、補正データ生成回路24を停止させてもよい。補正データ生成回路24を停止させることで、消費電力の低い表示装置10とすることができる。
【0091】
【0092】
表示動作とは、第1の回路21に入力されたビデオ信号を補正し、表示部33に画像を表示させる動作を指す。具体的には、補正データ生成回路24[i,j]に保持された補正データと、第1の回路21に入力されたビデオ信号が論理回路81に供給される。論理回路81は、補正データを基にビデオ信号を補正し、補正後ビデオ信号を生成する。補正後ビデオ信号は、ソースドライバ回路26で入力信号に変換され、配線32を介して、入力信号が画素ブロック38[i,j]に供給される。
【0093】
以上の補正動作により、本発明の一態様である表示装置10は、表示ムラの少ない表示装置とすることができる。
【0094】
なお、基準データ書き込み動作及び補正データ取得動作は、毎フレーム行わなくてもよい。例えば、基準データ書き込み動作及び補正データ取得動作を表示装置10の起動時のみ行い、以降のフレームは表示動作のみを行ってもよい。例えば、表示装置10の起動時のみ基準データ書き込み動作及び補正データ取得動作を行う場合、起動時に取得した補正データを補正データ生成回路24[i,j]に保持し、以降のフレームでも当該補正データを用いて表示動作を行うことができる。
【0095】
本発明の一態様である表示装置は第1の回路21を複数有することにより、1つの第1の回路21あたりの画素34の個数を少なくすることができる。また、表示装置は第2の回路22を複数有することにより、1つの第2の回路22あたりの画素34の個数を少なくすることができる。複数の第1の回路21はそれぞれ並列して動作することができ、また、複数の第2の回路22はそれぞれ並列して動作することができるため、例えば1フレームの画像に対応する画像データを画素34に書き込むために要する時間を短くすることができる。したがって、1フレーム期間の長さを短くすることができ、表示装置10を高速で動作させることができる。また、表示装置10が有する画素34の個数を多くすることができ、表示装置10の解像度を高めることができる。例えば、表示装置10の解像度を、フルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上とすることができる。
【0096】
例えば、表示装置10の精細度を、1000ppi以上、または2000ppi以上、または5000ppi以上とすることができる。よって、表示装置10に、粒状感が少ない高品位の画像を表示することができ、臨場感の高い画像を表示することができる。したがって、表示装置10は、特に、表示面と使用者の距離が近い機器、特に携帯型の電子機器、装着型の電子機器(ウェアラブル機器)、及び電子書籍端末等に好適に用いることができる。また、VR機器、及びAR機器等にも好適に用いることができる。さらに、撮像装置を有する電子機器であるデジタルカメラ等に設けられる、電子ビューファインダー等のビューファインダーにも好適に用いることができる。
【0097】
なお、画素ブロック38はそれぞれa行b列(aおよびbはそれぞれ1以上の整数)に配列された画素34を有する。1個の画素ブロック38が有する画素34の数を多くすることで、表示装置10に設けられる第1の回路21の数が少なくなり、消費電力の低い表示装置10とすることができる。また、1個の画素ブロック38が有する画素34の数を少なくすることで、表示装置10に設けられる第1の回路21の数が多くなり、効率良く補正を行うことができる。したがって、表示ムラの少ない表示装置10とすることができる。
【0098】
図1Aに示す第1の層20及び第2の層30の構成例を、
図7に示す。
図7では、第1の層20と第2の層30の位置関係を白抜き丸印及び破線で示しており、破線で結ばれた第1の層20の白抜き丸印と第2の層30の白抜き丸印が重なっている。なお、他の図においても、同様の表記を行う。なお、図の明瞭化のため、
図7は配線31、配線32及び配線36を省略している。
【0099】
表示装置10は、第1の層20に設けられた第1の回路21が、表示部33と重なる領域を有することが好ましい。
図7では、画素ブロック38[1,1]乃至38[m,n]はそれぞれ、第1の回路21[1,1]乃至21[m,n]のそれぞれと重なる領域を有する例を示している。表示部33と第1の回路21が重なる領域を有するように積層して設けることで、表示部33が設けられていない領域である額縁の面積を小さくすることができる。よって、表示装置10の額縁を狭くすることができる。また、表示装置10の額縁を狭くすることにより、表示装置10を小型にすることができる。
【0100】
図7では画素ブロック38と第1の回路21の大きさが概略同じであり、かつ画素ブロック38[1,1]乃至38[m,n]がそれぞれ、第1の回路21[1,1]乃至21[m,n]のそれぞれと重なる領域を有する例を示したが、本発明の概要はこれに限られない。画素ブロック38と第1の回路21の大きさが異なってもよい。なお、画素ブロック38より第1の回路21が大きいと、表示装置10の額縁が広くなってしまう場合がある。したがって、画素ブロック38と第1の回路21の大きさが概略同じ、または、画素ブロック38より第1の回路21を小さくすることで、表示装置10の額縁が狭くなり、表示装置10を小型にすることができる。
【0101】
図7に示す表示装置10と異なる構成例を、
図8及び
図9に示す。
図8及び
図9に示す表示装置10は画素ブロック38より第1の回路21が小さい点で、
図7に示す表示装置10と主に異なる。なお、
図9は、
図8に示す第2の層30が有する画素ブロック38及び第2の回路22を、第1の層20上に一点鎖線で示している。
【0102】
図8及び
図9は、表示装置10が、電気的に接続される第1の回路21と重なる領域を有する画素ブロック38を有するともに、電気的に接続される第1の回路21と重ならない画素ブロック38を有する例を示している。つまり、
図8及び
図9に示す表示装置10において、i行j列目の画素ブロック38[i,j]は、i行j列目の第1の回路21[i,j]と重なる領域を有し、p行q列目の画素ブロック38[p,q]は、p行q列目の第1の回路21[p,q]と重ならないともいえる。
【0103】
図8及び
図9に示す表示装置10の構成とすることで、表示部33のレイアウトが変わる場合においても、第1の回路21のレイアウトを変更せずに用いることができる。表示部33のレイアウトが異なる複数種類の表示装置10に対して、共通する第1の回路21を用いることができ、表示装置10の生産性を高めることができる。
【0104】
図7に示す表示装置10と異なる構成例を、
図10に示す。
図10に示す表示装置10は第1の層20が第2の回路22を有する点で、
図7に示す表示装置10と主に異なる。第1の回路21と第2の回路22を同じ層(第1の層20)に設けることにより、第1の回路21と第2の回路22の作製工程を共通にすることができ、生産性を高めることができる。
【0105】
図7乃至
図10に示す表示装置10と異なる構成例を、
図11に示す。
図11では、表示装置10が、電気的に接続される第1の回路21と重なる領域を有する画素ブロック38、及び電気的に接続される第1の回路21と重ならない画素ブロック38を有し、かつ第1の層20が第2の回路22を有する例を示している。
【0106】
図11に示す表示装置10において、i行j列目の画素ブロック38は、第2の回路22[1]乃至22[m]のいずれか一以上と重なる領域を有することが好ましい。第2の回路22と、画素ブロック38が重なる領域を有することで、表示装置10の額縁が狭くなり、表示装置10を小型にすることができる。
【0107】
なお、
図11は第1の層20が第2の層30より小さい例を示しているが、本発明の一態様はこれに限られない。第1の層20が第2の層30の大きさが異なってもよい。例えば、第1の層20が第2の層30の大きさが概略同じであってよく、または、第1の層20が第2の層30より大きくてもよい。
【0108】
第1の層20を形成した後に、第1の層20上に第2の層30を形成して、表示装置10を作製することができる。第1の層20上に第2の層30を形成することで、第1の層20と第2の層30の位置合わせ精度を高めることができる。したがって、表示装置10の生産性を高めることができる。
【0109】
第1の層20及び第2の層30をそれぞれ形成した後で、第1の層20と第2の層30を貼り合わせて、表示装置10を作製してもよい。第1の層20と第2の層30を貼り合わせて表示装置10を作製する場合、第1の層20と第2の層30の大きさが異なってもよい。したがって、第1の層20及び第2の層30は、互いにその大きさに影響されずに形成できる。例えば、第1の層20の被形成基板に対し複数の第1の層20を形成し、そして、各々の第1の層20に分割した後に、第2の層30と貼り合わせて表示装置10を作製できる。第2の層30も同様に、第2の層30の被形成基板に対し複数の第2の層30を形成し、そして、各々の第2の層30に分割した後に、第1の層20と貼り合わせて表示装置10を作製してもよい。つまり、第1の層20、第2の層30の生産性を高めるとともに、表示装置10の生産性を高めることができる。
【0110】
<表示装置の構成例2>
図1A及び
図1Bで例示した表示装置10と異なる構成例を
図12A及び
図12Bに示す。
図12Aは、表示装置10Aの模式図である。
図12Bは、表示装置10Aの構成例を示すブロック図である。
図12A及び
図12Bに示す表示装置10Aは、第1の回路21が設けられる第1の層20が、第1の回路層20aと、第1の回路層20a上の第2の回路層20bと、の積層構造である点で、
図1A及び
図1B表示装置10と主に異なる。なお、第2の層30は
図1Bの記載を参照できるため、詳細な説明は省略する。また、第1の回路層20a、第2の回路層20b、及び第2の層30の積層順は、
図12Aに示すものに限らない。例えば、第2の回路層20bと第2の層30との間に、第1の回路層20aを設けてもよい。
【0111】
例えば、第1の回路層20aは、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(Siトランジスタ)を有する層とすることができる。第2の回路層20bは、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタ(OSトランジスタ)を有する層とすることができる。
【0112】
第1の層20に第1の回路21を設ける場合、第2の回路層20bが、メモリ回路93を有し、第1の回路層20aに、メモリ回路93以外の構成要素(論理回路81等)を有することが好ましい。OSトランジスタは、オフ時にソースとドレイン間を流れるリーク電流(以下、オフ電流)が極めて低い。したがって、OSトランジスタを有するメモリ回路93とすることで、一旦書き込んだデータを長時間保持することができる。そのため、データのリフレッシュ頻度を下げ、消費電力を低くすることができる。また、Siトランジスタを有する論理回路81とすることで、動作速度を速くすることができる。
【0113】
第1の層20及び第2の層30の構成例を、
図13に示す。
図13では、第1の層20と第2の層30の接続関係を示している。なお、図の明瞭化のため、
図13は一部の構成要素、符号を省略している。
【0114】
図13に示す表示装置10は、
図7に示す表示装置10に対応し、第1の層20が第1の回路21を有し、第2の層30が表示部33及び第2の回路22を有する。
【0115】
画素ブロック38が有する配線32及び配線36は、表示部33の下に位置する第1の回路21に電気的に接続される。
【0116】
なお、配線32の抵抗、及び配線36の抵抗に起因し、信号遅延が発生してしまう場合がある。
図13に示すように、各画素34に電気的に接続される配線32の長さ、及び配線36の長さはできる限り短いことが好ましい。配線32の長さ、及び配線36を短くすることにより、信号遅延を抑制することができる。
【0117】
図13では、画素ブロック38と第1の回路21の大きさが概略同じであり、かつ画素ブロック38[1,1]乃至38[m,n]がそれぞれ、第1の回路21[1,1]乃至21[m,n]のそれぞれと重なる領域を有する例を示したが、本発明の概要はこれに限られない。画素ブロック38と第1の回路21の大きさが異なってもよい。画素ブロック38より第1の回路21が小さい構成例を
図14及び
図15に示す。なお、
図15に示す表示装置10は、
図9に示す表示装置10に対応する。
【0118】
図13乃至
図15では、第2の層30が第2の回路22を有する構成例を示したが、本発明の一態様はこれに限られない。第1の層20が第2の回路22を有する構成例を、
図16に示す。
図16に示す表示装置10は、
図10に示す表示装置10に対応し、第1の層20が第1の回路21及び第2の回路22を有し、第2の層30が表示部33を有する。
【0119】
画素ブロック38が有する配線32及び配線36は、表示部33の下に位置する第1の回路21に電気的に接続される。また、配線31は、第1の層20に設けられた第1の回路21と電気的に接続される。
【0120】
図16に示す表示装置10と異なる構成例を、
図17に示す。なお、
図17に示す表示装置10は、
図11に示す表示装置10に対応する。第1の層20が第2の回路22を有し、また画素ブロック38より第1の回路21を小さくすることで、表示装置10の額縁が狭くなり、表示装置10を小型にすることができる。さらに、第2の回路22が、画素ブロック38のいずれかと重なる領域を有することで、表示装置10を小型にすることができる。
【0121】
<画素34の構成例>
画素34の構成例を、
図18乃至
図20を用いて説明する。
【0122】
図18に示す画素34は、トランジスタTr11、トランジスタTr12、トランジスタTr13、発光素子572、容量素子C1を有する。なお、
図18では、トランジスタTr11、トランジスタTr12及びトランジスタTr13をnチャネル型としているが、本発明の一態様はこれに限られない。トランジスタTr11、トランジスタTr12及びトランジスタTr13は、それぞれpチャネル型であってもよい。
【0123】
トランジスタTr11のゲートは配線31と接続され、ソース又はドレインの一方はトランジスタTr12のゲート、及び容量素子C1の一方の電極と接続され、ソース又はドレインの他方は配線32と接続されている。トランジスタTr12のソース又はドレインの一方は容量素子C1の他方の電極、発光素子572の一方の電極、及びトランジスタTr13のソース又はドレインの一方と接続され、ソース又はドレインの他方は電位Vaが供給される配線ALと接続されている。発光素子572の他方の電極は、電位Vcが供給される配線CLと接続されている。トランジスタTr13のゲートは配線31と接続され、ソース又はドレインの他方は配線36と接続されている。トランジスタTr11のソース又はドレインの一方、トランジスタTr12のゲート、及び容量素子C1の一方の電極と接続されたノードをノードN1とする。トランジスタTr12のソース又はドレインの一方、トランジスタTr13のソース又はドレインの一方、及び容量素子C1の他方の電極と接続されたノードをノードN2とする。
【0124】
ここでは、配線ALに供給される電位Vaを高電源電位とし、配線CLに供給される電位Vcを低電源電位とした場合について説明する。また、容量素子C1は、ノードN2の電位を保持するための保持容量としての機能を有する。
【0125】
トランジスタTr11は、配線32の電位のノードN1への供給を制御する機能を有する。また、トランジスタTr13は、配線36の電位のノードN2への供給を制御する機能を有する。具体的には、配線31の電位を制御してトランジスタTr11、トランジスタTr13をオン状態とすることにより、配線32の電位がノードN1に、配線36の電位がノードN2にそれぞれ供給され、画素34の書き込みが行われる。ここで、配線32の電位は映像信号に対応する電位である。その後、配線31の電位を制御してトランジスタTr11、トランジスタTr13をオフ状態とすることにより、ノードN1、ノードN2の電位が保持される。
【0126】
そして、ノードN1、ノードN2の間の電位に応じてトランジスタTr12のソース-ドレインの間に流れる電流量が制御され、発光素子572が当該電流量に応じた輝度で発光する。これにより、画素34の階調を制御することができる。
【0127】
上記の動作を配線31ごとに順次行うことにより、画素ブロック38において1フレーム分の映像を表示することができる。
【0128】
なお、配線31の選択には、プログレッシブ方式を用いてもよいし、インターレース方式を用いてもよい。また、第1の回路21から配線32への映像信号の供給は、配線32に順次映像信号を供給する点順次駆動を用いて行ってもよいし、全ての配線32に一斉に映像信号を供給する線順次駆動を用いて行ってもよい。また、複数の配線32ごとに順に、映像信号を供給してもよい。
【0129】
そして、次のフレーム期間において、上記と同様の動作により、映像の表示が行われる。これにより、表示部33に表示される映像が書き換えられる。なお、映像の書き換えの頻度は、表示部33の観察者が書き換えによる映像の変化を識別することが難しい頻度で行う。表示部33に動画を表示する場合は、映像の書き換えの頻度を、例えば、1秒間に60回以上とすることが好ましい。これにより、なめらかな動画を表示することができる。
【0130】
一方、表示部33に静止画を表示する場合や、一定期間映像が変化しない、又は変化が一定以下である動画を表示する場合などは、書き換えを行わず、直前のフレームの映像を維持することが好ましい。これにより、映像の書き換えに伴う消費電力を削減することができる。
【0131】
映像の書き換えの頻度を減らす場合、ノードN1、ノードN2の電位が長時間保持されることが好ましい。そのため、トランジスタTr11、トランジスタTr13にはOSトランジスタを用いることが好ましい。これにより、ノードN1、ノードN2の電位を極めて長期間にわたって保持することができ、映像の書き換えの頻度を減らしても、表示状態を維持することができる。映像の書き換えの頻度は、例えば、1日に1回以上且つ1秒間に0.1回未満、好ましくは1時間に1回以上且つ1秒間に1回未満、より好ましくは30秒間に1回以上且つ1秒間に1回未満とすることができる。
【0132】
なお、表示状態を維持するとは、映像の変化が一定の範囲より大きくならないように保持することをいう。上記一定の範囲は適宜設定することができ、例えば使用者が映像を閲覧する場合に、同じ映像であると認識できる範囲に設定することが好ましい。
【0133】
また、映像の書き換えの頻度を減らすことにより、映像を表示する際のちらつき(フリッカーともいう)を低減することができる。これにより、表示部33の観察者の目の疲労を低減することができる。
【0134】
また、映像の書き換えを行わない期間においては、第1の回路21及び第2の回路22に供給される電源電位や信号を停止することができる。これにより、第1の回路21及び第2の回路22における消費電力を低減することができる。
【0135】
なお、トランジスタTr11、トランジスタTr13には、OSトランジスタ以外のトランジスタを用いてもよい。例えば、金属酸化物以外の単結晶半導体を有する基板の一部にチャネル形成領域が形成されるトランジスタを用いてもよい。このような基板としては、単結晶シリコン基板や単結晶ゲルマニウム基板などが挙げられる。また、トランジスタTr11、トランジスタTr13として、金属酸化物以外の材料を含む膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタを用いることもできる。金属酸化物以外の材料としては、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体などがあげられる。これらの材料は、単結晶半導体であってもよいし、非晶質半導体、微結晶半導体、多結晶半導体などの非単結晶半導体であってもよい。
【0136】
また、トランジスタTr12、及び以下で説明するトランジスタのチャネル形成領域に用いることができる材料の例は、トランジスタTr11、トランジスタTr13と同様である。
【0137】
【0138】
図19に示す画素34は、トランジスタTr11、トランジスタTr12及びトランジスタTr13がそれぞれ一対のゲートを有している点において、
図18と異なる。なお、トランジスタが一対のゲートを有する場合、一方のゲートを第1のゲート、フロントゲート、又は単にゲートと呼ぶことがあり、他方のゲートを第2のゲート、又はバックゲートと呼ぶことがある。
【0139】
図19Aに示すトランジスタTr11、トランジスタTr12及びトランジスタTr13はバックゲートを有し、バックゲートはフロントゲートと接続されている。この場合、バックゲートにはフロントゲートと同じ電位が印加され、トランジスタのオン電流を増加させることができる。特に、トランジスタTr11は映像信号又はデータの書き込み、トランジスタTr13はデータの読み出しに用いられるため、
図19Aに示す構造を採用することにより、高速な読み書きが可能な画素34を実現することができる。
【0140】
図19Bに示すトランジスタTr11、トランジスタTr12及びトランジスタTr13は、バックゲートが配線BGLと接続されている。配線BGLは、バックゲートに所定の電位を供給する機能を有する配線である。配線BGLの電位を制御することにより、トランジスタTr11、トランジスタTr12及びトランジスタTr13の閾値電圧を制御することができる。特に、トランジスタTr11、トランジスタTr13はそれぞれノードN1、N2の電位の保持に用いられるため、配線BGLの電位を制御してトランジスタTr11、トランジスタTr13の閾値電圧をプラス側にシフトさせることにより、トランジスタTr11、トランジスタTr13のオフ電流を低減してもよい。なお、配線BGLに供給される電位は、固定電位であってもよいし、変動する電位であってもよい。
【0141】
配線BGLは、トランジスタTr11、トランジスタTr12及びトランジスタTr13ごとに個別に設けることもできる。また、配線BGLは、表示装置10が有する全て又は一部の画素34で共有されていてもよい。
【0142】
また、トランジスタTr11、トランジスタTr12及びトランジスタTr13には、要求される性能に応じて異なる構造を採用してもよい。
図20Aに、トランジスタTr12とトランジスタTr13の構造が異なる画素34の構成例を示す。
【0143】
トランジスタTr12のバックゲートはノードN2と接続され、トランジスタTr13のバックゲートはフロントゲートと接続されている。画素34からデータを読み出す際、トランジスタTr13を流れる電流は、トランジスタTr12を流れる電流よりも大きいことが好ましい。そのため、トランジスタTr13には、バックゲートがフロントゲートと接続され、オン電流を増加させることが可能な構造を用いている。これにより、トランジスタTr13のオン電流をトランジスタTr12のオン電流よりも大きくすることができる。
【0144】
なお、トランジスタのオン電流の大小関係は、バックゲート以外の構成によって調整することもできる。例えば、トランジスタTr13のW/L(Wはチャネル幅、Lはチャネル長)を、トランジスタTr12のW/Lよりも大きくすることにより、トランジスタTr13のオン電流をトランジスタTr12のオン電流より大きくすることもできる。
【0145】
また、画素34は、
図20Bに示す構成とすることもできる。
図20Bでは、配線31からトランジスタTr11、トランジスタTr13のバックゲートに選択信号が供給されることによって、トランジスタTr11、トランジスタTr13がオン状態となり、ノードN1、N2に所定の電位が供給される。なお、トランジスタTr11、トランジスタTr13のフロントゲートは、配線36と接続されている。
【0146】
発光素子572としては、例えばエレクトロルミネッセンスを利用するEL素子を適用することができる。EL素子は、一対の電極の間に発光性の化合物を含む層(以下、EL層ともいう。)を有する。一対の電極間に、EL素子のしきい値電圧よりも大きい電位差を生じさせると、EL層に陽極側から正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0147】
また、EL素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0148】
有機EL素子は、電圧を印加することにより、一方の電極から電子、他方の電極から正孔がそれぞれEL層に注入される。そして、それらキャリア(電子及び正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0149】
本明細書等において、発光素子、液晶素子等の表示素子に供給される電圧とは、当該表示素子の一方の電極に印加される電位と、当該表示素子の他方の電極に印加される電位と、の差を示す。
【0150】
なお、EL層は、発光性の化合物以外に、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を有していてもよい。
【0151】
EL層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0152】
無機EL素子は、そのデバイス構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー-アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。
【0153】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも一対の電極の一方が透明であればよい。そして、基板上にトランジスタ及び発光素子を形成し、当該基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出(トップエミッション)構造、基板側の面から発光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)構造、及び両面から発光を取り出す両面射出(デュアルエミッション)構造の発光素子があり、どの射出構造の発光素子も適用することができる。
【0154】
<表示装置の断面構成例1>
表示装置10の構成例を示す断面図を、
図21に示す。表示装置10は、基板701及び基板705を有し、基板701と基板705はシール材712により貼り合わされている。
【0155】
基板701として、単結晶シリコン基板等の単結晶半導体基板を用いることができる。なお、基板701として単結晶半導体基板以外の半導体基板を用いてもよい。
【0156】
基板701上にトランジスタ441、及びトランジスタ601が設けられる。トランジスタ441及びトランジスタ601は、第1の層20に設けることができる。例えば、
図7乃至
図9に示した表示装置10において、トランジスタ441及びトランジスタ601は、第1の回路21に設けられるトランジスタとすることができる。例えば、
図10及び
図11に示した表示装置10において、トランジスタ441及びトランジスタ601は、第1の回路21または第2の回路22に設けられるトランジスタとすることができる。
【0157】
トランジスタ441は、ゲート電極としての機能を有する導電体443と、ゲート絶縁体としての機能を有する絶縁体445と、基板701の一部と、からなり、チャネル形成領域を含む半導体領域447、ソース領域又はドレイン領域の一方としての機能を有する低抵抗領域449a、及びソース領域又はドレイン領域の他方としての機能を有する低抵抗領域449bを有する。トランジスタ441は、pチャネル型又はnチャネル型のいずれでもよい。
【0158】
トランジスタ441は、素子分離層403によって他のトランジスタと電気的に分離される。
図21では、素子分離層403によってトランジスタ441とトランジスタ601が電気的に分離される場合を示している。素子分離層403は、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)法、又はSTI(Shallow Trench Isolation)法等を用いて形成することができる。
【0159】
ここで、
図21に示すトランジスタ441は半導体領域447が凸形状を有する。また、半導体領域447の側面及び上面を、絶縁体445を介して、導電体443が覆うように設けられている。なお、
図21では、導電体443が半導体領域447の側面を覆う様子は図示していない。また、導電体443には仕事関数を調整する材料を用いることができる。
【0160】
トランジスタ441のような半導体領域が凸形状を有するトランジスタは、半導体基板の凸部を利用していることから、フィン型トランジスタと呼ぶことができる。なお、凸部の上部に接して、凸部を形成するためのマスクとしての機能を有する絶縁体を有していてもよい。また、
図21では基板701の一部を加工して凸部を形成する構成を示しているが、SOI基板を加工して凸形状を有する半導体を形成してもよい。
【0161】
なお、
図21に示すトランジスタ441の構成は一例であり、その構成に限定されず、回路構成又は回路の動作方法等に応じて適切な構成とすればよい。例えば、トランジスタ441は、プレーナー型トランジスタであってもよい。
【0162】
トランジスタ601は、トランジスタ441と同様の構成とすることができる。
【0163】
基板701上には、素子分離層403、並びにトランジスタ441及びトランジスタ601の他、絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409、及び絶縁体411が設けられる。絶縁体405中、絶縁体407中、絶縁体409中、及び絶縁体411中に導電体451が埋設されている。ここで、導電体451の上面の高さと、絶縁体411の上面の高さは同程度にできる。
【0164】
導電体451上、及び絶縁体411上に絶縁体413及び絶縁体415が設けられる。また、絶縁体413中、及び絶縁体415中に導電体457が埋設されている。ここで、導電体457の上面の高さと、絶縁体415の上面の高さは同程度にできる。
【0165】
導電体457上、及び絶縁体415上に絶縁体417及び絶縁体419が設けられる。また、絶縁体417中、及び絶縁体419中に導電体459が埋設されている。ここで、導電体459の上面の高さと、絶縁体419の上面の高さは同程度にできる。
【0166】
導電体459上、及び絶縁体419上に絶縁体421及び絶縁体214が設けられる。絶縁体421中、及び絶縁体214中に導電体453が埋設されている。ここで、導電体453の上面の高さと、絶縁体214の上面の高さは同程度にできる。
【0167】
導電体453上、及び絶縁体214上に絶縁体216が設けられる。絶縁体216中に導電体455が埋設されている。ここで、導電体455の上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。
【0168】
導電体455上、及び絶縁体216上に絶縁体222、絶縁体224、絶縁体254、絶縁体244、絶縁体280、絶縁体274、及び絶縁体281が設けられる。絶縁体222中、絶縁体224中、絶縁体254中、絶縁体244中、絶縁体280中、絶縁体274中、及び絶縁体281中に導電体305が埋設されている。ここで、導電体305の上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。
【0169】
導電体305上、及び絶縁体281上に絶縁体361が設けられる。絶縁体361中に導電体317、及び導電体337が埋設されている。ここで、導電体337の上面の高さと、絶縁体361の上面の高さは同程度にできる。
【0170】
導電体337上、及び絶縁体361上に絶縁体363が設けられる。絶縁体363中に導電体347、導電体353、導電体355、及び導電体357が埋設されている。ここで、導電体353、導電体355、及び導電体357の上面の高さと、絶縁体363の上面の高さは同程度にできる。
【0171】
導電体353上、導電体355上、導電体357上、及び絶縁体363上に接続電極760が設けられる。また、接続電極760と電気的に接続されるように異方性導電体780が設けられ、異方性導電体780と電気的に接続されるようにFPC(Flexible Printed Circuit)716が設けられる。FPC716によって、表示装置10の外部から、表示装置10に各種信号等が供給される。
【0172】
図21に示すように、トランジスタ441のソース領域又はドレイン領域の他方としての機能を有する低抵抗領域449bは、導電体451、導電体457、導電体459、導電体453、導電体455、導電体305、導電体317、導電体337、導電体347、導電体353、導電体355、導電体357、接続電極760、及び異方性導電体780を介して、FPC716と電気的に接続されている。ここで、
図21では接続電極760と導電体347を電気的に接続する機能を有する導電体として、導電体353、導電体355、及び導電体357の3つを示しているが本発明の一態様はこれに限らない。接続電極760と導電体347を電気的に接続する機能を有する導電体を1つとしてもよいし、2つとしてもよいし、4つ以上としてもよい。接続電極760と導電体347を電気的に接続する機能を有する導電体を複数設けることで、接触抵抗を小さくすることができる。
【0173】
絶縁体214上には、トランジスタ750が設けられる。トランジスタ750は、第2の層30に設けることができる。例えば、
図7乃至
図11に示した表示装置10において、トランジスタ750は、表示部33に設けられるトランジスタとすることができる。トランジスタ750は、OSトランジスタを用いることができる。OSトランジスタは、オフ電流が極めて低いという特徴を有する。よって、画像信号等の保持時間を長くすることができるので、リフレッシュ動作の頻度を少なくできる。よって、表示装置10の消費電力を低減することができる。
【0174】
絶縁体254中、絶縁体244中、絶縁体280中、絶縁体274中、及び絶縁体281中に導電体301a、及び導電体301bが埋設されている。導電体301aは、トランジスタ750のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、導電体301bは、トランジスタ750のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。ここで、導電体301a、及び導電体301bの上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。
【0175】
絶縁体361中に導電体311、導電体313、導電体331、容量素子790、導電体333、及び導電体335が埋設されている。導電体311及び導電体313はトランジスタ750と電気的に接続され、配線としての機能を有する。導電体333及び導電体335は、容量素子790と電気的に接続されている。ここで、導電体331、導電体333、及び導電体335の上面の高さと、絶縁体361の上面の高さは同程度にできる。
【0176】
絶縁体363中に導電体341、導電体343、及び導電体351が埋設されている。ここで、導電体351の上面の高さと、絶縁体363の上面の高さは同程度にできる。
【0177】
絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409、絶縁体411、絶縁体413、絶縁体415、絶縁体417、絶縁体419、絶縁体421、絶縁体214、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体281、絶縁体361、及び絶縁体363は、層間膜としての機能を有し、それぞれの下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜としての機能を有してもよい。例えば、絶縁体363の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0178】
図21に示すように、容量素子790は下部電極321と、上部電極325と、を有する。また、下部電極321と上部電極325との間には、絶縁体323が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体として機能する絶縁体323が挟持された積層型の構造である。なお、
図21では絶縁体281上に容量素子790を設ける例を示しているが、絶縁体281と異なる絶縁体上に、容量素子790を設けてもよい。
【0179】
図21において、導電体301a、導電体301b、及び導電体305が同一の層に形成される例を示している。また、導電体311、導電体313、導電体317、及び下部電極321が同一の層に形成される例を示している。また、導電体331、導電体333、導電体335、及び導電体337が同一の層に形成される例を示している。また、導電体341、導電体343、及び導電体347が同一の層に形成される例を示している。さらに、導電体351、導電体353、導電体355、及び導電体357が同一の層に形成される例を示している。このように、複数の導電体を同一の層に形成することにより、表示装置10の作製工程を簡略にすることができるので、表示装置10を低価格なものとすることができる。なお、これらはそれぞれ異なる層に形成されてもよく、異なる種類の材料を有してもよい。
【0180】
図21に示す表示装置10は、発光素子782を有する。発光素子782は、導電体772、EL層786、及び導電体788を有する。EL層786は、有機化合物、又は量子ドット等の無機化合物を有する。
【0181】
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料又は燐光性材料等が挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料等が挙げられる。
【0182】
導電体772は、導電体351、導電体341、導電体331、導電体313、及び導電体301bを介して、トランジスタ750のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。導電体772は絶縁体363上に形成され、画素電極としての機能を有する。
【0183】
導電体772には、可視光に対して透光性の材料、又は反射性の材料を用いることができる。透光性の材料としては、例えば、インジウム、亜鉛、スズ等を含む酸化物材料を用いるとよい。反射性の材料としては、例えば、アルミニウム、銀等を含む材料を用いるとよい。
【0184】
また、
図21には図示しないが、表示装置10は、偏光部材、位相差部材、反射防止部材等の光学部材(光学基板)等を設けることができる。
【0185】
基板705側には、遮光層738と、これらに接する絶縁体734と、が設けられる。遮光層738は、隣接する領域から発せられる光を遮る機能を有する。又は、遮光層738は、外光がトランジスタ750等に達することを遮る機能を有する。
【0186】
図21に示す表示装置10には、絶縁体363上に絶縁体730が設けられる。ここで、絶縁体730は、導電体772の一部を覆う構成とすることができる。また、発光素子782は透光性の導電体788を有し、トップエミッション型の発光素子とすることができる。なお、発光素子782は、導電体772側に光を射出するボトムエミッション構造、又は導電体772及び導電体788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造としてもよい。
【0187】
なお、遮光層738は絶縁体730と重なる領域を有するように設けられている。また、遮光層738は、絶縁体734で覆われている。また、発光素子782と絶縁体734の間は封止層732で充填されている。
【0188】
さらに、構造体778は、絶縁体730とEL層786との間に設けられる。また、構造体778は、絶縁体730と絶縁体734との間に設けられる。
【0189】
図22は、
図21に示す表示装置10の変形例であり、着色層736を設けている点が
図21に示す表示装置10と異なる。なお、着色層736は、発光素子782と重なる領域を有するように設けられている。着色層736を設けることにより、発光素子782から取り出される光の色純度を高めることができる。これにより、表示装置10に高品位の画像を表示することができる。また、表示装置10の例えば全ての発光素子782を、白色光を発する発光素子とすることができるので、EL層786を塗り分けにより形成しなくてもよく、表示装置10を高精細なものとすることができる。
【0190】
発光素子782は、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造を有することができる。これにより、着色層を設けなくても所定の色の光(例えば、RGB)を取り出すことができ、表示装置10はカラー表示を行うことができる。着色層を設けない構成とすることにより、着色層による光の吸収を抑制することができる。これにより、表示装置10は高輝度の画像を表示することができ、また表示装置10の消費電力を低減することができる。なお、EL層786を画素毎に島状又は画素列毎に縞状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においても、着色層を設けない構成とすることができる。
【0191】
図21及び
図22では、トランジスタ441及びトランジスタ601を、基板701の内部にチャネル形成領域が形成されるように設け、トランジスタ441及びトランジスタ601の上に積層して、OSトランジスタを設ける構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。
図23は
図22の変形例であり、トランジスタ441及びトランジスタ601ではなく、OSトランジスタであるトランジスタ602及びトランジスタ603の上に積層して、トランジスタ750が設けられている点が
図22に示す構成の表示装置10と異なる。つまり、
図23に示す構成の表示装置10は、OSトランジスタが積層して設けられている。
【0192】
基板701上には絶縁体613及び絶縁体614が設けられ、絶縁体614上にはトランジスタ602及びトランジスタ603が設けられる。なお、基板701と、絶縁体613と、の間にトランジスタ等が設けられていてもよい。例えば、基板701と、絶縁体613と、の間に、
図22で示したトランジスタ441及びトランジスタ601と同様の構成のトランジスタを設けてもよい。
【0193】
トランジスタ602及びトランジスタ603は、第1の層20に設けることができる。例えば、
図7及び
図9に示した表示装置10において、トランジスタ602及びトランジスタ603は、第1の回路21に設けられるトランジスタとすることができる。例えば、
図10及び
図11に示した表示装置10において、トランジスタ602及びトランジスタ603は、第1の回路21または第2の回路22に設けられるトランジスタとすることができる。
【0194】
トランジスタ602及びトランジスタ603は、トランジスタ750と同様の構成のトランジスタとすることができる。なお、トランジスタ602及びトランジスタ603を、トランジスタ750と異なる構成のOSトランジスタとしてもよい。
【0195】
絶縁体614上には、トランジスタ602及びトランジスタ603の他、絶縁体616、絶縁体622、絶縁体624、絶縁体654、絶縁体644、絶縁体680、絶縁体674、及び絶縁体681が設けられる。絶縁体654中、絶縁体644中、絶縁体680中、絶縁体674中、及び絶縁体681中に導電体461が埋設されている。ここで、導電体461の上面の高さと、絶縁体681の上面の高さは同程度にできる。
【0196】
導電体461上、及び絶縁体681上に絶縁体501が設けられる。絶縁体501中に導電体463が埋設されている。ここで、導電体463の上面の高さと、絶縁体501の上面の高さは同程度にできる。
【0197】
導電体463上、及び絶縁体501上に絶縁体503が設けられる。絶縁体503中に導電体465が埋設されている。ここで、導電体465の上面の高さと、絶縁体503の上面の高さは同程度にできる。
【0198】
導電体465上、及び絶縁体503上に絶縁体505が設けられる。また、絶縁体505中に導電体467が埋設されている。ここで、導電体467の上面の高さと、絶縁体505の上面の高さは同程度にできる。
【0199】
導電体467上、及び絶縁体505上に絶縁体507が設けられる。絶縁体507中に導電体469が埋設されている。ここで、導電体469の上面の高さと、絶縁体507の上面の高さは同程度にできる。
【0200】
導電体469上、及び絶縁体507上に絶縁体509が設けられる。また、絶縁体509中に導電体471が埋設されている。ここで、導電体471の上面の高さと、絶縁体509の上面の高さは同程度にできる。
【0201】
導電体471上、及び絶縁体509上に絶縁体421及び絶縁体214が設けられる。絶縁体421中、及び絶縁体214中に導電体453が埋設されている。ここで、導電体453の上面の高さと、絶縁体214の上面の高さは同程度にできる。
【0202】
図23に示すように、トランジスタ602のソース又はドレインの一方は、導電体461、導電体463、導電体465、導電体467、導電体469、導電体471、導電体453、導電体455、導電体305、導電体317、導電体337、導電体347、導電体353、導電体355、導電体357、接続電極760、及び異方性導電体780を介して、FPC716と電気的に接続されている。
【0203】
絶縁体613、絶縁体614、絶縁体680、絶縁体674、絶縁体681、絶縁体501、絶縁体503、絶縁体505、絶縁体507、及び絶縁体509は、層間膜としての機能を有し、それぞれの下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜としての機能を有してもよい。
【0204】
表示装置10を
図23に示す構成とすることにより、表示装置10を狭額縁化、小型化させつつ、表示装置10が有するトランジスタを全てOSトランジスタとすることができる。これにより、例えば第1の層20に設けられるトランジスタと、第2の層30に設けられるトランジスタと、を同一の装置を用いて作製することができる。よって、表示装置10の作製コストを低減することができ、表示装置10を低価格なものとすることができる。
【0205】
<表示装置の断面構成例2>
図24は、表示装置10Aの構成例を示す断面図である。トランジスタ750を有する層と、トランジスタ602及びトランジスタ603を有する層との間に、トランジスタ800を有する層を有する点で、
図22に示す表示装置10と主に異なる。
【0206】
トランジスタ602及びトランジスタ603は、
図12A等に示す第1の回路層20aに設けることができる。トランジスタ800は、第2の回路層20bに設けることができる。例えば、
図12Aに示した表示装置10Aにおいて、トランジスタ800は、メモリ回路93に設けられるトランジスタとすることができる。また、トランジスタ602及びトランジスタ603は、メモリ回路93以外の構成要素(論理回路81等)に設けられるトランジスタとすることができる。
【0207】
導電体459上、及び絶縁体419上に絶縁体821及び絶縁体814が設けられる。絶縁体821中、及び絶縁体814中に導電体853が埋設されている。ここで、導電体853の上面の高さと、絶縁体814の上面の高さは同程度にできる。
【0208】
導電体853上、及び絶縁体814上に絶縁体816が設けられる。絶縁体816中に導電体855が埋設されている。ここで、導電体855の上面の高さと、絶縁体816の上面の高さは同程度にできる。
【0209】
導電体855上、及び絶縁体816上に絶縁体822、絶縁体824、絶縁体854、絶縁体844、絶縁体880、絶縁体874、及び絶縁体881が設けられる。絶縁体822中、絶縁体824中、絶縁体854中、絶縁体844中、絶縁体880中、絶縁体874中、及び絶縁体881中に導電体805が埋設されている。ここで、導電体805の上面の高さと、絶縁体881の上面の高さは同程度にできる。
【0210】
導電体817上、及び絶縁体881上に絶縁体421及び絶縁体214が設けられる。
【0211】
図24に示すように、トランジスタ441のソース領域又はドレイン領域の他方としての機能を有する低抵抗領域449bは、導電体451、導電体457、導電体459、導電体853、導電体855、導電体805、導電体817、導電体453、導電体455、導電体305、導電体317、導電体337、導電体347、導電体353、導電体355、導電体357、接続電極760、及び異方性導電体780を介して、FPC716と電気的に接続されている。
【0212】
絶縁体814上には、トランジスタ800が設けられる。トランジスタ800は、第2の回路層20bに設けることができる。例えば、
図12Aに示した表示装置10Aにおいて、トランジスタ800は、メモリ回路93に設けられるトランジスタとすることができる。トランジスタ800は、OSトランジスタとすることが好ましい。
【0213】
絶縁体854中、絶縁体844中、絶縁体880中、絶縁体874中、及び絶縁体881中に導電体801a、及び導電体801bが埋設されている。導電体801aは、トランジスタ800のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、導電体801bは、トランジスタ800のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。ここで、導電体801a、及び導電体801bの上面の高さと、絶縁体881の上面の高さは同程度にできる。
【0214】
絶縁体214上には、トランジスタ750が設けられる。トランジスタ750は、第2の層30に設けることができる。例えば、
図12Aに示した表示装置10Aにおいて、トランジスタ750は、表示部33に設けられるトランジスタとすることができる。トランジスタ750は、OSトランジスタとすることが好ましい。
【0215】
導電体301aは、トランジスタ750のソース又はドレインの一方と電気的に接続され、導電体301bは、トランジスタ750のソース又はドレインの他方と電気的に接続されている。ここで、導電体301a、及び導電体301bの上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。
【0216】
なお、トランジスタ441及びトランジスタ601等が設けられる層と、トランジスタ800等が設けられる層と、の間に、OSトランジスタ等を設けてもよい。また、トランジスタ800等が設けられる層と、トランジスタ750等が設けられる層と、の間に、OSトランジスタ等を設けてもよい。さらに、トランジスタ750等が設けられる層より上層に、OSトランジスタ等を設けてもよい。
【0217】
導電体311及び導電体313はトランジスタ750と電気的に接続され、配線としての機能を有する。導電体333及び導電体335は、容量素子790と電気的に接続されている。
【0218】
絶縁体405、絶縁体407、絶縁体409、絶縁体411、絶縁体413、絶縁体415、絶縁体417、絶縁体419、絶縁体821、絶縁体814、絶縁体880、絶縁体874、絶縁体881、絶縁体421、絶縁体214、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体281、絶縁体361、及び絶縁体363は、層間膜としての機能を有し、それぞれの下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜としての機能を有してもよい。
【0219】
図24に示すように、容量素子790は下部電極321と、上部電極325と、を有する。また、下部電極321と上部電極325との間には、絶縁体323が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体として機能する絶縁体323が挟持された積層型の構造である。なお、
図24では絶縁体281上に容量素子790を設ける例を示しているが、絶縁体281と異なる絶縁体上に、容量素子790を設けてもよい。
【0220】
図24において、導電体801a、導電体801b、及び導電体805が同一の層に形成される例を示している。また、導電体811、導電体813、及び導電体817が同一の層に形成される例を示している。
【0221】
図24では、トランジスタ441及びトランジスタ601を、基板701の内部にチャネル形成領域が形成されるように設け、トランジスタ441及びトランジスタ601の上に積層して、OSトランジスタを設ける構成を示したが、本発明の一態様はこれに限らない。
図25は
図24の変形例であり、トランジスタ441及びトランジスタ601ではなく、OSトランジスタであるトランジスタ602及びトランジスタ603の上に積層して、トランジスタ800と、トランジスタ750又はトランジスタ750と、が設けられている点が
図24に示す構成の表示装置10Aと異なる。つまり、
図25に示す構成の表示装置10Aは、OSトランジスタが3層積層して設けられている。
【0222】
トランジスタ602及びトランジスタ603等が設けられる層と、トランジスタ800等が設けられる層と、の間に、OSトランジスタ等を設けてもよい。また、トランジスタ800等が設けられる層と、トランジスタ750又はトランジスタ750等が設けられる層と、の間に、OSトランジスタ等を設けてもよい。さらに、トランジスタ750等が設けられる層より上層に、OSトランジスタ等を設けてもよい。
【0223】
トランジスタ602及びトランジスタ603は、
図12A等に示す第1の回路層20aに設けることができる。トランジスタ800は、第2の回路層20bに設けることができる。例えば、
図12Aに示した表示装置10Aにおいて、トランジスタ800は、メモリ回路93に設けられるトランジスタとすることができる。また、トランジスタ602及びトランジスタ603は、メモリ回路93以外の構成要素(論理回路81等)に設けられるトランジスタとすることができる。
【0224】
導電体471上、及び絶縁体509上に絶縁体821及び絶縁体814が設けられる。絶縁体821中、及び絶縁体814中に導電体853が埋設されている。ここで、導電体853の上面の高さと、絶縁体814の上面の高さは同程度にできる。
【0225】
図25に示すように、トランジスタ602のソース又はドレインの一方は、導電体461、導電体463、導電体465、導電体467、導電体469、導電体471、導電体853、導電体855、導電体805、導電体817、導電体453、導電体455、導電体305、導電体317、導電体337、導電体347、導電体353、導電体355、導電体357、接続電極760、及び異方性導電体780を介して、FPC716と電気的に接続されている。
【0226】
表示装置10Aを
図25に示す構成とすることにより、表示装置10Aを狭額縁化、小型化させつつ、表示装置10Aが有するトランジスタを全てOSトランジスタとすることができる。これにより、異なる種類のトランジスタを作製する必要がなくなるので、表示装置10Aの作製コストを低減することができ、表示装置10Aを低価格なものとすることができる。
【0227】
<副画素の構成例>
図26A及び
図26Bは、本発明の一態様の表示装置に適用することができる副画素901の構成例を示す上面図である。副画素901は、
図18等に示す回路構成とすることができる。ここで、トランジスタ552はゲートの他、バックゲートを有し、当該バックゲートは配線(図示せず)と電気的に接続されている。また、トランジスタ750はゲートの他、バックゲートを有し、当該バックゲートはトランジスタ750のソース又はドレインの他方、容量素子790の他方の電極、及び発光素子572の一方の電極と電気的に接続されている。
【0228】
図26Aでは、副画素901が有するトランジスタ、容量素子、配線等を構成する導電体、及び半導体を示している。
図26Bでは、
図26Aに示す構成に加え、発光素子572の一方の電極としての機能を有する導電体772を示している。なお、
図26A及び
図26Bのいずれにおいても、発光素子572の他方の電極としての機能を有する導電体等は省略している。ここで、発光素子572の一方の電極は画素電極としての機能を有し、発光素子572の他方の電極は共通電極としての機能を有する。
【0229】
図26A及び
図26Bに示すように、副画素901は、導電体911と、導電体912と、半導体913と、半導体914と、導電体915aと、導電体915bと、導電体916aと、導電体916bと、導電体917と、導電体918と、導電体919と、導電体920と、導電体921と、導電体922と、導電体923と、導電体924と、導電体925と、導電体926と、導電体927と、導電体928と、導電体929と、導電体930と、導電体931と、導電体772と、を有する。
【0230】
導電体911及び導電体912は、同一の工程で形成することができる。半導体913及び半導体914は同一の工程で形成され、導電体911及び導電体912より後の工程で形成することができる。導電体915a及び導電体915b、並びに導電体916a及び導電体916bは同一の工程で形成され、導電体911及び導電体912より後の工程で形成することができる。導電体917及び導電体918は同一の工程で形成され、半導体913及び半導体914、並びに導電体915a、導電体915b、導電体916a、及び導電体916bより後の工程で形成することができる。
【0231】
導電体919乃至導電体923は同一の工程で形成され、導電体917及び導電体918より後の工程で形成することができる。導電体924は、導電体919乃至導電体923より後の工程で形成することができる。導電体925乃至導電体928は同一の工程で形成され、導電体924より後の工程で形成することができる。導電体929乃至導電体931は同一の工程で形成され、導電体925乃至導電体928より後の工程で形成することができる。導電体772は、導電体929乃至導電体931より後の工程で形成することができる。
【0232】
本明細書等において、同一の工程で形成した要素は、同一の層に設けられるということができる。例えば、導電体911と導電体912は同一の工程で形成することができることから、導電体911と導電体912は同一の層に設けられるということができる。また、後の工程で形成した要素は、先の工程で形成した要素よりも上層に設けられるということができる。例えば、導電体929乃至導電体931は導電体925乃至導電体928より後の工程で形成することができることから、導電体929乃至導電体931は導電体925乃至導電体928よりも上層に設けられるということができる。
【0233】
導電体911は、トランジスタ552のバックゲート電極としての機能を有する。半導体913は、トランジスタ552のチャネル形成領域を有する。導電体915aは、トランジスタ552のソース電極又はドレイン電極の一方としての機能を有する。導電体915bは、トランジスタ552のソース電極又はドレイン電極の他方としての機能を有する。導電体917は、トランジスタ552のゲート電極としての機能を有する。
【0234】
導電体912は、トランジスタ750のバックゲート電極としての機能を有する。半導体914は、トランジスタ750のチャネル形成領域を有する。導電体916aは、トランジスタ750のソース電極又はドレイン電極の一方としての機能を有する。導電体916bは、トランジスタ750のソース電極又はドレイン電極の他方としての機能を有する。導電体918は、トランジスタ750のゲート電極としての機能を有する。
【0235】
導電体919は、容量素子790の一方の電極としての機能を有する。導電体924は、容量素子790の他方の電極としての機能を有する。導電体925は、走査線としての機能を有する配線31に対応する。導電体929は、データ線としての機能を有する配線32に対応する。導電体930は、電源線としての機能を有する配線に対応する。導電体772は、前述のように、発光素子572の一方の電極としての機能を有する。
【0236】
導電体911は、導電体920と電気的に接続されている。導電体912は、導電体923と電気的に接続されている。導電体915aは、導電体921と電気的に接続されている。導電体915bは、導電体919と電気的に接続されている。導電体916aは、導電体922と電気的に接続されている。
【0237】
導電体916bは、導電体923と電気的に接続されている。つまり、トランジスタ750のバックゲート電極としての機能を有する導電体912と、トランジスタ750のソース電極又はドレイン電極の他方としての機能を有する導電体916bと、は導電体923を介して電気的に接続されている。
【0238】
導電体917は、導電体920と電気的に接続されている。つまり、トランジスタ552のバックゲート電極としての機能を有する導電体911と、トランジスタ552のゲート電極としての機能を有する導電体917と、は導電体920を介して電気的に接続されている。
【0239】
導電体920は、導電体925と電気的に接続されている。つまり、トランジスタ552のゲート電極としての機能を有する導電体917と、走査線としての機能を有する導電体925と、は導電体920を介して電気的に接続されている。
【0240】
導電体917は、導電体919と電気的に接続されている。導電体921は、導電体926と電気的に接続されている。導電体922は、導電体927と電気的に接続されている。導電体923は、導電体928と電気的に接続されている。導電体924は、導電体928と電気的に接続されている。
【0241】
導電体926は、導電体929と電気的に接続されている。つまり、トランジスタ552のソース電極又はドレイン電極の一方としての機能を有する導電体915aと、データ線としての機能を有する導電体929と、は導電体921及び導電体926を介して電気的に接続されている。
【0242】
導電体927は、導電体930と電気的に接続されている。つまり、トランジスタ750のソース電極又はドレイン電極の一方としての機能を有する導電体916aと、電源線としての機能を有する導電体930と、は導電体922、及び導電体927を介して電気的に接続されている。
【0243】
導電体928は、導電体931と電気的に接続されている。導電体931は、導電体772と電気的に接続されている。
【0244】
半導体913及び半導体914は、例えば金属酸化物を有することができる。よって、トランジスタ552及びトランジスタ750は、OSトランジスタとすることができる。
【0245】
図27は、
図26Bに示す構成の副画素901により構成された画素902の構成例を示す上面図である。
図27において、副画素901Rは赤色光を射出する機能を有する副画素901を示し、副画素901Gは緑色光を射出する機能を有する副画素901を示し、副画素901Bは青色光を射出する機能を有する副画素901を示す。
図27に示すように、副画素901Rと、副画素901Gと、副画素901Bと、により画素902が構成されている。具体的には、上段に設けられている副画素901R及び副画素901Bと、下段に設けられている副画素901Gと、により一の画素902が構成されている。また、上段に設けられている副画素901Gと、下段に設けられている副画素901R及び副画素901Bと、により一の画素902が構成されている。
【0246】
図27では、上段に設けられた副画素901R、副画素901G、及び副画素901Bと、下段に設けられた副画素901R、副画素901G、及び副画素901Bと、はそれぞれ左右反転したような構成となっている。このような構成とすることにより、走査線としての機能を有する導電体925の延伸方向に向かって同じ色の副画素901を交互に配列することができる。これにより、1本のデータ線には、同じ色の光を射出する機能を有する副画素901が電気的に接続される構成とすることができる。つまり、副画素901R、副画素901G、及び副画素901Bのうち2種類以上の副画素901が、1本のデータ線と電気的に接続されることを抑制することができる。
【0247】
図28は、
図26BにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図である。絶縁体1021上にトランジスタ552が設けられる。また、トランジスタ552上に絶縁体1022が設けられ、絶縁体1022上には絶縁体1023が設けられる。また、絶縁体1023上に容量素子562が設けられる。なお、絶縁体1021より下層に基板が設けられる。また、当該基板と、絶縁体1021と、の間に、
図1A等に示す第1の層20の構成要素(第1の回路21等)を設けることができる。
【0248】
図28に示すように、異なる層に設けられた導電体同士は、プラグとしての機能を有する導電体990を介して電気的に接続されている。例えば、導電体915aと、導電体915aより上層に設けられている導電体921と、は導電体990を介して電気的に接続されている。導電体990は、
図19等に示す導電体853、導電体805、導電体453、導電体305、導電体337、導電体353、導電体355、導電体357、導電体301a、導電体301b、導電体331、導電体351、導電体333、導電体335と同様の構成とすることができる。
【0249】
導電体919乃至導電体923上、及び絶縁体1023上には、絶縁体1024が設けられる。絶縁体1024上には、導電体924が設けられる。導電体919と、絶縁体1024と、導電体924と、により容量素子790が構成されている。
【0250】
導電体924上、及び絶縁体1024上には絶縁体1025が設けられる。導電体925乃至導電体928上、及び絶縁体1025上には絶縁体1026が設けられる。導電体929乃至導電体931上、及び絶縁体1026上には絶縁体1027が設けられる。
【0251】
絶縁体1027上には導電体772、及び絶縁体730が設けられる。ここで、絶縁体730は、導電体772の一部を覆う構成とすることができる。導電体772と、EL層786と、導電体788と、により発光素子572が構成される。
【0252】
導電体788上には接着層991が設けられ、接着層991上には絶縁体992が設けられる。接着層991上の絶縁体992は、以下の手順により形成することができる。まず、発光素子572等が形成されている基板とは別の基板上に、絶縁体992を形成する。次に、導電体788と、絶縁体992と、を接着層991により接着する。その後、絶縁体992を形成した基板を剥離する。以上により導電体788上に絶縁体992を形成することができる。
【0253】
絶縁体992上には、着色層が設けられる。
図28では、着色層として着色層993a、及び着色層993bを図示している。着色層993a、及び着色層993b上には、接着層994により基板995が貼り合わされている。
【0254】
着色層993bは、着色層993aとは異なる色の光を透過する機能を有する。例えば、画素902が赤色光を射出する機能を有する副画素901R、緑色光を射出する機能を有する副画素901G、青色光を射出する機能を有する副画素901Bから構成され、着色層993aが赤色光を透過する機能を有する場合、着色層993bは緑色光又は青色光を透過する機能を有する。
【0255】
絶縁体992上に着色層993a、及び着色層993bを形成することにより、着色層993a、及び着色層993bと発光素子572との位置合わせを容易に行うことができる。これにより、本発明の一態様の表示装置の精細度を高めることができる。
【0256】
<発光素子572の構成例>
図29A乃至
図29Eは、発光素子572の構成例を示す図である。
図29Aには、導電体772と導電体788の間にEL層786が挟まれた構造(シングル構造)を示す。前述のとおり、EL層786には発光材料が含まれ、例えば、有機化合物である発光材料が含まれる。
【0257】
図29Bは、EL層786の積層構造を示す図である。ここで、
図29Bに示す構造の発光素子572では、導電体772は陽極としての機能を有し、導電体788は陰極としての機能を有する。
【0258】
EL層786は、導電体772の上に、正孔注入層721、正孔輸送層722、発光層723、電子輸送層724、電子注入層725が順次積層された構造を有する。なお、導電体772が陰極としての機能を有し、導電体788が陽極としての機能を有する場合は、積層順は逆になる。
【0259】
発光層723は、発光材料や複数の材料を適宜組み合わせて有しており、所望の発光色を呈する蛍光発光や燐光発光が得られる構成とすることができる。また、発光層723を発光色の異なる積層構造としてもよい。なお、この場合、積層された各発光層に用いる発光物質やその他の物質は、それぞれ異なる材料を用いればよい。
【0260】
発光素子572において、例えば、
図29Bに示す導電体772を反射電極とし、導電体788を半透過・半反射電極とし、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造とすることにより、EL層786に含まれる発光層723から得られる発光を両電極間で共振させ、導電体788を透過して射出される発光を強めることができる。
【0261】
なお、発光素子572の導電体772が、反射性を有する導電性材料と透光性を有する導電性材料(透明導電膜)との積層構造からなる反射電極である場合、透明導電膜の膜厚を制御することにより光学調整を行うことができる。具体的には、発光層723から得られる光の波長λに対して、導電体772と、導電体788との電極間距離がmλ/2(ただし、mは自然数)近傍となるように調整するのが好ましい。
【0262】
また、発光層723から得られる所望の光(波長:λ)を増幅させるために、導電体772から発光層の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、導電体788から発光層723の所望の光が得られる領域(発光領域)までの光学距離と、をそれぞれ(2m’+1)λ/4(ただし、m’は自然数)近傍となるように調節するのが好ましい。なお、ここでいう発光領域とは、発光層723における正孔(ホール)と電子との再結合領域を示す。
【0263】
このような光学調整を行うことにより、発光層723から得られる特定の単色光のスペクトルを狭線化させ、色純度のよい発光を得ることができる。
【0264】
但し、上記の場合、導電体772と導電体788との光学距離は、厳密には導電体772における反射領域から導電体788における反射領域までの総厚ということができる。しかし、導電体772や導電体788における反射領域を厳密に決定することは困難であるため、導電体772と導電体788の任意の位置を反射領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。また、導電体772と、所望の光が得られる発光層との光学距離は、厳密には導電体772における反射領域と、所望の光が得られる発光層における発光領域との光学距離であるということができる。しかし、導電体772における反射領域や、所望の光が得られる発光層における発光領域を厳密に決定することは困難であるため、導電体772の任意の位置を反射領域、所望の光が得られる発光層の任意の位置を発光領域と仮定することで充分に上述の効果を得ることができるものとする。
【0265】
図29Bに示す発光素子572は、マイクロキャビティ構造を有するため、同じEL層を有していても異なる波長の光(単色光)を取り出すことができる。従って、異なる発光色を得るための塗り分け(例えば、RGB)が不要となる。従って、高精細化を実現することが容易である。また、着色層との組み合わせも可能である。さらに、特定波長の正面方向の発光強度を強めることが可能となるため、低消費電力化を図ることができる。
【0266】
なお、
図29Bに示す発光素子572は、マイクロキャビティ構造を有していなくてもよい。この場合、発光層723が白色光を発する構造とし、着色層を設けることにより、所定の色の光(例えば、RGB)を取り出すことができる。また、EL層786を形成する際、異なる発光色を得るための塗り分けを行えば、着色層を設けなくても所定の色の光を取り出すことができる。
【0267】
導電体772と導電体788の少なくとも一方は、透光性を有する電極(透明電極、半透過・半反射電極等)とすることができる。透光性を有する電極が透明電極の場合、透明電極の可視光の透過率は、40%以上とする。また、半透過・半反射電極の場合、半透過・半反射電極の可視光の反射率は、20%以上80%以下、好ましくは40%以上70%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0268】
導電体772又は導電体788が、反射性を有する電極(反射電極)である場合、反射性を有する電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、この電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0269】
発光素子572の構成は、
図29Cに示す構成としてもよい。
図29Cには、導電体772と導電体788との間に2層のEL層(EL層786a及びEL層786b)が設けられ、EL層786aとEL層786bとの間に電荷発生層792を有する積層構造(タンデム構造)の発光素子572を示す。発光素子572をタンデム構造とすることで、発光素子572の電流効率及び外部量子効率を高めることができる。よって、表示装置10に高輝度の画像を表示することができる。また、表示装置10の消費電力を低減することができる。ここで、EL層786a及びEL層786bは、
図29Bに示すEL層786と同様の構成とすることができる。
【0270】
電荷発生層792は、導電体772と導電体788との間に電圧を供給したときに、EL層786a及びEL層786bのうち、一方に電子を注入し、他方に正孔(ホール)を注入する機能を有する。したがって、導電体772の電位が導電体788の電位より高くなるように電圧を供給すると、電荷発生層792からEL層786aに電子が注入され、電荷発生層792からEL層786bに正孔が注入されることになる。
【0271】
なお、電荷発生層792は、光取り出し効率の点から、可視光を透過する(具体的には、電荷発生層792の可視光の透過率が、40%以上である)ことが好ましい。また、電荷発生層792の導電率は、導電体772の導電率、又は導電体788の導電率より低くてもよい。
【0272】
発光素子572の構成は、
図29Dに示す構成としてもよい。
図29Dには、導電体772と導電体788との間に3層のEL層(EL層786a、EL層786b、及びEL層786c)が設けられ、EL層786aとEL層786bとの間、及びEL層786bとEL層786cとの間に電荷発生層792を有するタンデム構造の発光素子572を示す。ここで、EL層786a、EL層786b、及びEL層786cは、
図29Bに示すEL層786と同様の構成とすることができる。発光素子572を
図29Dに示す構成とすることにより、発光素子572の電流効率及び外部量子効率をさらに高めることができる。よって、表示装置10にさらに高輝度の画像を表示することができる。また、表示装置10の消費電力をさらに低減することができる。
【0273】
発光素子572の構成は、
図29Eに示す構成としてもよい。
図29Eには、導電体772と導電体788との間にn層のEL層(EL層786(1)乃至EL層786(n))が設けられ、それぞれのEL層786の間に電荷発生層792を有するタンデム構造の発光素子572を示す。ここで、EL層786(1)乃至EL層786(n)は、
図29Bに示すEL層786と同様の構成とすることができる。なお、
図29Eには、EL層786のうち、EL層786(1)、EL層786(m)、及びEL層786(n)を示している。ここで、mは2以上n未満の整数とし、nはm以上の整数とする。nの値が大きいほど、発光素子572の電流効率及び外部量子効率を高めることができる。よって、表示装置10に高輝度の画像を表示することができる。また、表示装置10の消費電力を低減することができる。
【0274】
<発光素子572の構成材料>
次に、発光素子572に用いることができる構成材料について説明する。
【0275】
〔導電体772及び導電体788〕
導電体772及び導電体788には、陽極及び陰極の機能が満たせるのであれば、以下に示す材料を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を適宜用いることができる。具体的には、In-Sn酸化物(ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、In-Zn酸化物、In-W-Zn酸化物が挙げられる。その他、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)等の金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金を用いることもできる。その他、上記例示のない元素周期表の第1族又は第2族に属する元素(例えば、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属及びこれらを適宜組み合わせて含む合金、その他グラフェン等を用いることができる。
【0276】
〔正孔注入層721及び正孔輸送層722〕
正孔注入層721は、陽極である導電体772又は電荷発生層792からEL層786に正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。ここで、EL層786は、EL層786a、EL層786b、EL層786c、及びEL層786(1)乃至EL層786(n)を含むものとする。
【0277】
正孔注入性の高い材料としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の遷移金属酸化物が挙げられる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’-ビス[N-(4-ジフェニルアミノフェニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、N,N’-ビス{4-[ビス(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル}-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(略称:DNTPD)等の芳香族アミン化合物、又はポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(略称:PEDOT/PSS)等の高分子等を用いることができる。
【0278】
また、正孔注入性の高い材料としては、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)を含む複合材料を用いることもできる。この場合、アクセプター性材料により正孔輸送性材料から電子が引き抜かれて正孔注入層721で正孔が発生し、正孔輸送層722を介して発光層723に正孔が注入される。なお、正孔注入層721は、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)を含む複合材料からなる単層で形成してもよいが、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とをそれぞれ別の層で積層して形成してもよい。
【0279】
正孔輸送層722は、正孔注入層721によって、導電体772から注入された正孔を発光層723に輸送する層である。なお、正孔輸送層722は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送層722に用いる正孔輸送性材料は、特に正孔注入層721のHOMO準位と同じ、あるいは近いHOMO準位を有するものを用いることが好ましい。
【0280】
正孔注入層721に用いるアクセプター性材料としては、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムが挙げられる。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。その他、キノジメタン誘導体やクロラニル誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体等の有機アクセプターを用いることができる。具体的には、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル、2,3,6,7,10,11-ヘキサシアノ-1,4,5,8,9,12-ヘキサアザトリフェニレン(略称:HAT-CN)等を用いることができる。
【0281】
正孔注入層721及び正孔輸送層722に用いる正孔輸送性材料としては、10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
【0282】
正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体やインドール誘導体)や芳香族アミン化合物が好ましく、具体例としては、4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα-NPD)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(略称:TPD)、4,4’-ビス[N-(スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-イル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)、4-フェニル-4’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)、4-フェニル-3’-(9-フェニルフルオレン-9-イル)トリフェニルアミン(略称:mBPAFLP)、4-フェニル-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBA1BP)、3-[4-(9-フェナントリル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPPn)、N-(4-ビフェニル)-N-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-イル)-9-フェニル-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCBiF)、N-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]-9,9-ジメチル-9H-フルオレン-2-アミン(略称:PCBBiF)、4,4’-ジフェニル-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBBi1BP)、4-(1-ナフチル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBANB)、4,4’-ジ(1-ナフチル)-4’’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBNBB)、9,9-ジメチル-N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]フルオレン-2-アミン(略称:PCBAF)、N-フェニル-N-[4-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)フェニル]スピロ-9,9’-ビフルオレン-2-アミン(略称:PCBASF)、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’-トリス[N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)等の芳香族アミン骨格を有する化合物、1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、4,4’-ジ(N-カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、3,6-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)-9-フェニルカルバゾール(略称:CzTP)、3,3’-ビス(9-フェニル-9H-カルバゾール)(略称:PCCP)、3-[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6-ビス[N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-N-フェニルアミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3-[N-(1-ナフチル)-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-9-フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)、1,3,5-トリス[4-(N-カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)等のカルバゾール骨格を有する化合物、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)、2,8-ジフェニル-4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-III)、4-[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]-6-フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP-IV)等のチオフェン骨格を有する化合物、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾフラン)(略称:DBF3P-II)、4-{3-[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi-II)等のフラン骨格を有する化合物が挙げられる。
【0283】
さらに、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4-ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N-(4-{N’-[4-(4-ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル-N’-フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly-TPD)等の高分子化合物を用いることもできる。
【0284】
但し、正孔輸送性材料は、上記に限られることなく公知の様々な材料を1種又は複数種組み合わせて正孔輸送性材料として正孔注入層721及び正孔輸送層722に用いることができる。なお、正孔輸送層722は、各々複数の層から形成されていてもよい。すなわち、例えば第1の正孔輸送層と第2の正孔輸送層とが積層されていてもよい。
【0285】
〔発光層723〕
発光層723は、発光物質を含む層である。なお、発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色等の発光色を呈する物質を適宜用いる。ここで、
図29C、
図29D及び
図29Eに示すように、発光素子572が複数のEL層を有する場合、それぞれのEL層に設けられる発光層723に異なる発光物質を用いることにより、異なる発光色を呈する構成(例えば、補色の関係にある発光色を組み合わせて得られる白色発光)とすることができる。例えば、発光素子572が
図29Cに示す構成である場合、EL層786aに設けられる発光層723に用いられる発光物質と、EL層786bに設けられる発光層723に用いられる発光物質と、を異ならせることにより、EL層786aが呈する発光色と、EL層786bが呈する発光色と、を異ならせることができる。なお、一つの発光層が異なる発光物質を有する積層構造であってもよい。
【0286】
また、発光層723は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種又は複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料)を有していてもよい。また、1種又は複数種の有機化合物としては、正孔輸送性材料や電子輸送性材料の一方又は両方を用いることができる。
【0287】
発光層723に用いることができる発光物質としては、特に限定は無く、一重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質、又は三重項励起エネルギーを可視光領域の発光に変える発光物質を用いることができる。なお、上記発光物質としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0288】
一重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)が挙げられ、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体等が挙げられる。特にピレン誘導体は発光量子収率が高いので好ましい。ピレン誘導体の具体例としては、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス[3-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6mMemFLPAPrn)、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス[4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)フェニル]ピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾフラン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6FrAPrn)、N,N’-ビス(ジベンゾチオフェン-2-イル)-N,N’-ジフェニルピレン-1,6-ジアミン(略称:1,6ThAPrn)、N,N’(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-6-アミン](略称:1,6BnfAPrn)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(N-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-02)、N,N’-(ピレン-1,6-ジイル)ビス[(6,N-ジフェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン)-8-アミン](略称:1,6BnfAPrn-03)等が挙げられる。またピレン誘導体は、本発明の一態様における青色の色度を達成するのに有用な化合物群である。
【0289】
その他にも、5,6-ビス[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAP2BPy)、5,6-ビス[4’-(10-フェニル-9-アントリル)ビフェニル-4-イル]-2,2’-ビピリジン(略称:PAPP2BPy)、N,N’-ビス[4-(9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]-N,N’-ジフェニルスチルベン-4,4’-ジアミン(略称:YGA2S)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4-(9H-カルバゾール-9-イル)-4’-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)トリフェニルアミン(略称:2YGAPPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)、4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-4’-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPBA)、ペリレン、2,5,8,11-テトラ(tert-ブチル)ペリレン(略称:TBP)、N,N’’-(2-tert-ブチルアントラセン-9,10-ジイルジ-4,1-フェニレン)ビス[N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン](略称:DPABPA)、N,9-ジフェニル-N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:2PCAPPA)、N-[4-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-N,N’,N’-トリフェニル-1,4-フェニレンジアミン(略称:2DPAPPA)等を用いることができる。
【0290】
また、三重項励起エネルギーを発光に変える発光物質としては、例えば、燐光を発する物質(燐光材料)や熱活性化遅延蛍光を示す熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料が挙げられる。
【0291】
燐光材料としては、有機金属錯体、金属錯体(白金錯体)、希土類金属錯体等が挙げられる。これらは、物質ごとに異なる発光色(発光ピーク)を示すため、必要に応じて適宜選択して用いる。
【0292】
青色又は緑色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が450nm以上570nm以下である燐光材料としては、以下のような物質が挙げられる。
【0293】
例えば、トリス{2-[5-(2-メチルフェニル)-4-(2,6-ジメチルフェニル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-イル-κN2]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(mpptz-dmp)3])、トリス(5-メチル-3,4-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz)3])、トリス[4-(3-ビフェニル)-5-イソプロピル-3-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrptz-3b)3])、トリス[3-(5-ビフェニル)-5-イソプロピル-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPr5btz)3])、のような4H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、トリス[3-メチル-1-(2-メチルフェニル)-5-フェニル-1H-1,2,4-トリアゾラト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Mptz1-mp)3])、トリス(1-メチル-5-フェニル-3-プロピル-1H-1,2,4-トリアゾラト)イリジウム(III)(略称:[Ir(Prptz1-Me)3])のような1H-トリアゾール骨格を有する有機金属錯体、fac-トリス[1-(2,6-ジイソプロピルフェニル)-2-フェニル-1H-イミダゾール]イリジウム(III)(略称:[Ir(iPrpmi)3])、トリス[3-(2,6-ジメチルフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-f]フェナントリジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(dmpimpt-Me)3])のようなイミダゾール骨格を有する有機金属錯体、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1-ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2-(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:[Ir(CF3ppy)2(pic)])、ビス[2-(4’,6’-ジフルオロフェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))のように電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体等が挙げられる。
【0294】
緑色又は黄色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が495nm以上590nm以下である燐光材料としては、以下のような物質が挙げられる。
【0295】
例えば、トリス(4-メチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)3])、トリス(4-t-ブチル-6-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)3])、(アセチルアセトナト)ビス(6-メチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(6-tert-ブチル-4-フェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tBuppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[6-(2-ノルボルニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(nbppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[5-メチル-6-(2-メチルフェニル)-4-フェニルピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpmppm)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス{4,6-ジメチル-2-[6-(2,6-ジメチルフェニル)-4-ピリミジニル-κN3]フェニル-κC}イリジウム(III)(略称:[Ir(dmppm-dmp)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(4,6-ジフェニルピリミジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(dppm)2(acac)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、(アセチルアセトナト)ビス(3,5-ジメチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-Me)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(5-イソプロピル-3-メチル-2-フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(mppr-iPr)2(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、トリス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(ppy)3])、ビス(2-フェニルピリジナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(ppy)2(acac)])、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bzq)2(acac)])、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(bzq)3])、トリス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(pq)3])、ビス(2-フェニルキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(pq)2(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体、ビス(2,4-ジフェニル-1,3-オキサゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(dpo)2(acac)])、ビス{2-[4’-(パーフルオロフェニル)フェニル]ピリジナト-N,C2’}イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(p-PF-ph)2(acac)])、ビス(2-フェニルベンゾチアゾラト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(bt)2(acac)])等の有機金属錯体の他、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:[Tb(acac)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
【0296】
上述した中で、ピリジン骨格(特にフェニルピリジン骨格)又はピリミジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、本発明の一態様における緑色の色度を達成するのに有用な化合物群である。
【0297】
黄色又は赤色を呈し、発光スペクトルのピーク波長が570nm以上750nm以下である燐光材料としては、以下のような物質が挙げられる。
【0298】
例えば、(ジイソブチリルメタナト)ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dibm)])、ビス[4,6-ビス(3-メチルフェニル)ピリミジナト](ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(5mdppm)2(dpm)])、(ジピバロイルメタナト)ビス[4,6-ジ(ナフタレン-1-イル)ピリミジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(d1npm)2(dpm)])のようなピリミジン骨格を有する有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(acac)])、ビス(2,3,5-トリフェニルピラジナト)(ジピバロイルメタナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(tppr)2(dpm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[3-(3,5-ジメチルフェニル)-5-フェニル-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-P)2(dibm)])、ビス{4,6-ジメチル-2-[5-(4-シアノ-2,6-ジメチルフェニル)-3-(3,5-ジメチルフェニル)-2-ピラジニル-κN]フェニル-κC}(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト-κ2O,O’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)])、(アセチルアセトナト)ビス[2-メチル-3-フェニルキノキサリナト-N,C2’]イリジウム(III)(略称:[Ir(mpq)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス(2,3-ジフェニルキノキサリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(dpq)2(acac)])、(アセチルアセトナト)ビス[2,3-ビス(4-フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(Fdpq)2(acac)])のようなピラジン骨格を有する有機金属錯体や、トリス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)(略称:[Ir(piq)3])、ビス(1-フェニルイソキノリナト-N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:[Ir(piq)2(acac)])のようなピリジン骨格を有する有機金属錯体、2,3,7,8,12,13,17,18-オクタエチル-21H,23H-ポルフィリン白金(II)(略称:[PtOEP])のような白金錯体、トリス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(DBM)3(Phen)])、トリス[1-(2-テノイル)-3,3,3-トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:[Eu(TTA)3(Phen)])のような希土類金属錯体が挙げられる。
【0299】
上述した中で、ピラジン骨格を有する有機金属イリジウム錯体は、本発明の一態様における赤色の色度を達成するのに有用な化合物群である。特に、[Ir(dmdppr-dmCP)2(dpm)]のようにシアノ基を有する有機金属イリジウム錯体は、安定性が高く好ましい。
【0300】
なお、青色の発光物質としては、フォトルミネッセンスのピーク波長が430nm以上470nm以下、より好ましくは430nm以上460nm以下の物質を用いればよい。また、緑色の発光物質としては、フォトルミネッセンスのピーク波長が500nm以上540nm以下、より好ましくは500nm以上530nm以下の物質を用いればよい。赤色の発光物質としては、フォトルミネッセンスのピーク波長が610nm以上680nm以下、より好ましくは620nm以上680nm以下の物質を用いればよい。なお、フォトルミネッセンス測定は溶液、薄膜のいずれでもよい。
【0301】
このような化合物と、マイクロキャビティ効果を併用することで、より容易に上述した色度を達成することができる。この時、マイクロキャビティ効果を得るのに必要な半透過・半反射電極(金属薄膜部分)の膜厚は、20nm以上40nm以下が好ましい。より好ましくは25nmより大きく、40nm以下である。なお、40nmを超えると効率が低下してしまう可能性がある。
【0302】
発光層723に用いる有機化合物(ホスト材料、アシスト材料)としては、発光物質(ゲスト材料)のエネルギーギャップより大きなエネルギーギャップを有する物質を、一種もしくは複数種選択して用いればよい。なお、上述した正孔輸送性材料及び後述する電子輸送性材料は、それぞれ、ホスト材料又はアシスト材料として用いることもできる。
【0303】
発光物質が蛍光材料である場合、ホスト材料としては、一重項励起状態のエネルギー準位が大きく、三重項励起状態のエネルギー準位が小さい有機化合物を用いるのが好ましい。例えば、アントラセン誘導体やテトラセン誘導体を用いるのが好ましい。具体的には、9-フェニル-3-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:PCzPA)、3-[4-(1-ナフチル)-フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール(略称:PCPN)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、7-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-7H-ジベンゾ[c,g]カルバゾール(略称:cgDBCzPA)、6-[3-(9,10-ジフェニル-2-アントリル)フェニル]-ベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン(略称:2mBnfPPA)、9-フェニル-10-{4-(9-フェニル-9H-フルオレン-9-イル)ビフェニル-4’-イル}アントラセン(略称:FLPPA)、5,12-ジフェニルテトラセン、5,12-ビス(ビフェニル-2-イル)テトラセン等が挙げられる。
【0304】
発光物質が燐光材料である場合、ホスト材料としては、発光物質の三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差)よりも三重項励起エネルギーの大きい有機化合物を選択すればよい。なお、この場合には、亜鉛やアルミニウム系金属錯体の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体等の他、芳香族アミンやカルバゾール誘導体等を用いることができる。
【0305】
具体的には、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq2)、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(4-フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8-キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2-(2-ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2-(2-ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)等の金属錯体、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、3-(4-ビフェニリル)-4-フェニル-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’-(1,3,5-ベンゼントリイル)-トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBphen)、9-[4-(5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CO11)等の複素環化合物、NPB、TPD、BSPB等の芳香族アミン化合物が挙げられる。
【0306】
また、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ジベンゾ[g,p]クリセン誘導体等の縮合多環芳香族化合物が挙げられ、具体的には、9,10-ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、N,N-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:CzA1PA)、4-(10-フェニル-9-アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、YGAPA、PCAPA、N,9-ジフェニル-N-{4-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]フェニル}-9H-カルバゾール-3-アミン(略称:PCAPBA)、9,10-ジフェニル-2-[N-フェニル-N-(9-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)アミノ]アントラセン(略称:2PCAPA)、6,12-ジメトキシ-5,11-ジフェニルクリセン、N,N,N’,N’,N’’,N’’,N’’’,N’’’-オクタフェニルジベンゾ[g,p]クリセン-2,7,10,15-テトラアミン(略称:DBC1)、9-[4-(10-フェニル-9-アントラセニル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:CzPA)、3,6-ジフェニル-9-[4-(10-フェニル-9-アントリル)フェニル]-9H-カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10-ビス(3,5-ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2-tert-ブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(略称:t-BuDNA)、9,9’-ビアントリル(略称:BANT)、9,9’-(スチルベン-3,3’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’-(スチルベン-4,4’-ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、1,3,5-トリ(1-ピレニル)ベンゼン(略称:TPB3)等を用いることができる。
【0307】
また、発光層723に複数の有機化合物を用いる場合、励起錯体を形成する化合物を発光物質と混合して用いることが好ましい。この場合、様々な有機化合物を適宜組み合わせて用いることができるが、効率よく励起錯体を形成するためには、正孔を受け取りやすい化合物(正孔輸送性材料)と、電子を受け取りやすい化合物(電子輸送性材料)とを組み合わせることが特に好ましい。なお、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の具体例については、本実施の形態で示す材料を用いることができる。
【0308】
TADF材料とは、三重項励起状態をわずかな熱エネルギーによって一重項励起状態にアップコンバート(逆項間交差)が可能で、一重項励起状態からの発光(蛍光)を効率よく呈する材料のことである。また、熱活性化遅延蛍光が効率良く得られる条件としては、三重項励起準位と一重項励起準位のエネルギー差が0eV以上0.2eV以下、好ましくは0eV以上0.1eV以下であることが挙げられる。また、TADF材料における遅延蛍光とは、通常の蛍光と同様のスペクトルを持ちながら、寿命が著しく長い発光をいう。その寿命は、10-6秒以上、好ましくは10-3秒以上である。
【0309】
TADF材料としては、例えば、フラーレンやその誘導体、プロフラビン等のアクリジン誘導体、エオシン等が挙げられる。また、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、スズ(Sn)、白金(Pt)、インジウム(In)、もしくはパラジウム(Pd)等を含む金属含有ポルフィリンが挙げられる。金属含有ポルフィリンとしては、例えば、プロトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Proto IX))、メソポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Meso IX))、ヘマトポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Hemato IX))、コプロポルフィリンテトラメチルエステル-フッ化スズ錯体(SnF2(Copro III-4Me))、オクタエチルポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(OEP))、エチオポルフィリン-フッ化スズ錯体(SnF2(Etio I))、オクタエチルポルフィリン-塩化白金錯体(PtCl2OEP)等が挙げられる。
【0310】
その他にも、2-(ビフェニル-4-イル)-4,6-ビス(12-フェニルインドロ[2,3-a]カルバゾール-11-イル)-1,3,5-トリアジン(PIC-TRZ)、2-{4-[3-(N-フェニル-9H-カルバゾール-3-イル)-9H-カルバゾール-9-イル]フェニル}-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(PCCzPTzn)、2-[4-(10H-フェノキサジン-10-イル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン(PXZ-TRZ)、3-[4-(5-フェニル-5,10-ジヒドロフェナジン-10-イル)フェニル]-4,5-ジフェニル-1,2,4-トリアゾール(PPZ-3TPT)、3-(9,9-ジメチル-9H-アクリジン-10-イル)-9H-キサンテン-9-オン(ACRXTN)、ビス[4-(9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン)フェニル]スルホン(DMAC-DPS)、10-フェニル-10H,10’H-スピロ[アクリジン-9,9’-アントラセン]-10’-オン(ACRSA)、等のπ電子過剰型複素芳香環及びπ電子不足型複素芳香環を有する複素環化合物を用いることができる。なお、π電子過剰型複素芳香環とπ電子不足型複素芳香環とが直接結合した物質は、π電子過剰型複素芳香環のドナー性とπ電子不足型複素芳香環のアクセプター性が共に強くなり、一重項励起状態と三重項励起状態のエネルギー差が小さくなるため、特に好ましい。
【0311】
なお、TADF材料を用いる場合、他の有機化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0312】
〔電子輸送層724〕
電子輸送層724は、電子注入層725によって、導電体788から注入された電子を発光層723に輸送する層である。なお、電子輸送層724は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送層724に用いる電子輸送性材料は、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いることができる。
【0313】
電子輸送性材料としては、キノリン配位子、ベンゾキノリン配位子、オキサゾール配位子、あるいはチアゾール配位子を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体等が挙げられる。その他、含窒素複素芳香族化合物のようなπ電子不足型複素芳香族化合物を用いることもできる。
【0314】
具体的には、Alq3、トリス(4-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、BAlq、Zn(BOX)2、ビス[2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)等の金属錯体、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3-ビス[5-(p-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]ベンゼン(略称:OXD-7)、3-(4’-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-5-(4’’-ビフェニル)-1,2,4-トリアゾール(略称:TAZ)、3-(4-tert-ブチルフェニル)-4-(4-エチルフェニル)-5-(4-ビフェニリル)-1,2,4-トリアゾール(略称:p-EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:Bphen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4’-ビス(5-メチルベンゾオキサゾール-2-イル)スチルベン(略称:BzOs)等の複素芳香族化合物、2-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTPDBq-II)、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)、2-[4-(3,6-ジフェニル-9H-カルバゾール-9-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2CzPDBq-III)、7-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:7mDBTPDBq-II)、6-[3-(ジベンゾチオフェン-4-イル)フェニル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:6mDBTPDBq-II)等のキノキサリンないしはジベンゾキノキサリン誘導体を用いることができる。
【0315】
また、ポリ(2,5-ピリジンジイル)(略称:PPy)、ポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(ピリジン-3,5-ジイル)](略称:PF-Py)、ポリ[(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(2,2’-ビピリジン-6,6’-ジイル)](略称:PF-BPy)のような高分子化合物を用いることもできる。
【0316】
また、電子輸送層724は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が2層以上積層した構造であってもよい。
【0317】
〔電子注入層725〕
電子注入層725は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層725には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウム(ErF3)のような希土類金属化合物を用いることができる。また、電子注入層725にエレクトライドを用いてもよい。エレクトライドとしては、例えば、カルシウムとアルミニウムの混合酸化物に電子を高濃度添加した物質等が挙げられる。なお、上述した電子輸送層724を構成する物質を用いることもできる。
【0318】
また、電子注入層725に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性及び電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層724に用いる電子輸送性材料(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
【0319】
〔電荷発生層792〕
電荷発生層792は、導電体772と導電体788との間に電圧を印加したときに、当該電荷発生層792に接する2つのEL層786のうち、導電体772と近い側のEL層786に電子を注入し、導電体788と違い側のEL層786に正孔を注入する機能を有する。例えば、
図29Cに示す構成の発光素子572において、電荷発生層792は、EL層786aに電子を注入し、EL層786bに正孔を注入する機能を有する。なお、電荷発生層792は、正孔輸送性材料に電子受容体(アクセプター)が添加された構成であっても、電子輸送性材料に電子供与体(ドナー)が添加された構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていてもよい。なお、上述した材料を用いて電荷発生層792を形成することにより、EL層が積層された場合における表示装置10の駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0320】
電荷発生層792において、正孔輸送性材料に電子受容体が添加された構成とする場合、電子受容体としては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウム等が挙げられる。
【0321】
電荷発生層792において、電子輸送性材料に電子供与体が添加された構成とする場合、電子供与体としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又は希土類金属又は元素周期表における第2、第13族に属する金属及びその酸化物、炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウム等を用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
【0322】
なお、発光素子572の作製には、蒸着法等の真空プロセスや、スピンコート法やインクジェット法等の溶液プロセスを用いることができる。蒸着法を用いる場合には、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD法)や、化学蒸着法(CVD法)等を用いることができる。特に発光素子のEL層に含まれる機能層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)及び電荷発生層については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、マイクロコンタクト法等)等の方法により形成することができる。
【0323】
なお、本実施の形態で示す発光素子のEL層を構成する各機能層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層)及び電荷発生層は、上述した材料に限られることはなく、それ以外の材料であっても各層の機能を満たせるものであれば組み合わせて用いることができる。一例としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)、中分子化合物(低分子と高分子の中間領域の化合物:分子量400~4000)、無機化合物(量子ドット材料等)等を用いることができる。なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料等を用いることができる。
【0324】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0325】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0326】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタについて説明する。
【0327】
<トランジスタの構成例1>
図30A、
図30B、及び
図30Cは、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200A、及びトランジスタ200A周辺の上面図及び断面図である。本発明の一態様の表示装置に、トランジスタ200Aを適用することができる。
【0328】
図30Aは、トランジスタ200Aの上面図である。また、
図30B、及び
図30Cは、トランジスタ200Aの断面図である。ここで、
図30Bは、
図30AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Aのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図30Cは、
図30AにA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Aのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図30Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0329】
図30に示すように、トランジスタ200Aは、基板(図示しない。)の上に配置された金属酸化物230aと、金属酸化物230aの上に配置された金属酸化物230bと、金属酸化物230bの上に、互いに離隔して配置された導電体242a、及び導電体242bと、導電体242a及び導電体242b上に配置され、導電体242aと導電体242bの間に開口が形成された絶縁体280と、開口の中に配置された導電体260と、金属酸化物230b、導電体242a、導電体242b、及び絶縁体280と、導電体260と、の間に配置された絶縁体250と、金属酸化物230b、導電体242a、導電体242b、及び絶縁体280と、絶縁体250と、の間に配置された金属酸化物230cと、を有する。ここで、
図30B及び
図30Cに示すように、導電体260の上面は、絶縁体250、絶縁体254、金属酸化物230c、及び絶縁体280の上面と略一致することが好ましい。なお、以下において、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cをまとめて金属酸化物230という場合がある。また、導電体242a及び導電体242bをまとめて導電体242という場合がある。
【0330】
図30に示すトランジスタ200Aでは、導電体242a及び導電体242bの導電体260側の側面が、概略垂直な形状を有している。なお、
図30に示すトランジスタ200Aは、これに限られるものではなく、導電体242a及び導電体242bの側面と底面がなす角が、10°以上80°以下、好ましくは、30°以上60°以下としてもよい。また、導電体242a及び導電体242bの対向する側面が、複数の面を有していてもよい。
【0331】
また、
図30に示すように、絶縁体224、金属酸化物230a、金属酸化物230b、導電体242a、導電体242b、及び金属酸化物230cと、絶縁体280と、の間に絶縁体254が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体254は、
図30B及び
図30Cに示すように、金属酸化物230cの側面、導電体242aの上面と側面、導電体242bの上面と側面、金属酸化物230a及び金属酸化物230bの側面、並びに絶縁体224の上面に接することが好ましい。
【0332】
なお、トランジスタ200Aでは、チャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう。)と、その近傍において、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、金属酸化物230bと金属酸化物230cの2層構造、又は4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ200Aでは、導電体260を2層の積層構造として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体260が、単層構造であってもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。また、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cのそれぞれが2層以上の積層構造を有していてもよい。
【0333】
例えば、金属酸化物230cが第1の金属酸化物と、第1の金属酸化物上の第2の金属酸化物からなる積層構造を有する場合、第1の金属酸化物は、金属酸化物230bと同様の組成を有し、第2の金属酸化物は、金属酸化物230aと同様の組成を有することが好ましい。
【0334】
ここで、導電体260は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体242a及び導電体242bは、それぞれソース電極又はドレイン電極として機能する。上記のように、導電体260は、絶縁体280の開口、及び導電体242aと導電体242bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。ここで、導電体260、導電体242a及び導電体242bの配置は、絶縁体280の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ200Aにおいて、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体260を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ200Aの占有面積の縮小を図ることができる。これにより、表示装置を高精細にすることができる。また、表示装置を狭額縁にすることができる。
【0335】
また、
図30に示すように、導電体260は、絶縁体250の内側に設けられた導電体260aと、導電体260aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体260bと、を有することが好ましい。
【0336】
また、トランジスタ200Aは、基板(図示しない。)の上に配置された絶縁体214と、絶縁体214の上に配置された絶縁体216と、絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205と、絶縁体216と導電体205の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、を有することが好ましい。絶縁体224の上に金属酸化物230aが配置されることが好ましい。
【0337】
また、トランジスタ200Aの上に、層間膜として機能する絶縁体274、及び絶縁体281が配置されることが好ましい。ここで、絶縁体274は、導電体260、絶縁体250、絶縁体254、金属酸化物230c、及び絶縁体280の上面に接して配置されることが好ましい。
【0338】
絶縁体222、絶縁体254、及び絶縁体274は、水素(例えば、水素原子、水素分子等)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、絶縁体254、及び絶縁体274は、絶縁体224、絶縁体250、及び絶縁体280より水素透過性が低いことが好ましい。また、絶縁体222、及び絶縁体254は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体222、及び絶縁体254は、絶縁体224、絶縁体250、及び絶縁体280より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0339】
ここで、絶縁体224、金属酸化物230、及び絶縁体250は、絶縁体280及び絶縁体281と、絶縁体254、及び絶縁体274によって離隔されている。ゆえに、絶縁体224、金属酸化物230、及び絶縁体250に、絶縁体280及び絶縁体281に含まれる水素等の不純物や、過剰な酸素が、絶縁体224、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び絶縁体250に混入するのを抑制することができる。
【0340】
また、トランジスタ200Aと電気的に接続し、プラグとして機能する導電体240(導電体240a、及び導電体240b)が設けられることが好ましい。なお、プラグとして機能する導電体240の側面に接して絶縁体241(絶縁体241a、及び絶縁体241b)が設けられる。つまり、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体274、及び絶縁体281の開口の内壁に接して絶縁体241が設けられる。また、絶縁体241の側面に接して導電体240の第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240の第2の導電体が設けられる構成にしてもよい。ここで、導電体240の上面の高さと、絶縁体281の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200Aでは、導電体240の第1の導電体及び導電体240の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体240を単層、又は3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
【0341】
また、トランジスタ200Aは、チャネル形成領域を含む金属酸化物230(金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230c)に、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。例えば、金属酸化物230のチャネル形成領域となる金属酸化物としては、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。
【0342】
上記金属酸化物として、少なくともインジウム(In)又は亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特に、インジウム(In)及び亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。また、これらに加えて、元素Mが含まれていることが好ましい。元素Mとして、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、スズ(Sn)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、マグネシウム(Mg)又はコバルト(Co)の一以上を用いることができる。特に、元素Mは、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イットリウム(Y)、又はスズ(Sn)の一以上とすることが好ましい。また、元素Mは、Ga及びSnのいずれか一方または双方を有することがさらに好ましい。
0355]
また、
図30Bに示すように、金属酸化物230bは、導電体242と重ならない領域の膜厚が、導電体242と重なる領域の膜厚より薄くなる場合がある。これは、導電体242a及び導電体242bを形成する際に、金属酸化物230bの上面の一部を除去することにより形成される。金属酸化物230bの上面には、導電体242となる導電膜を成膜した際に、当該導電膜との界面近傍に抵抗の低い領域が形成される場合がある。このように、金属酸化物230bの上面の導電体242aと導電体242bの間に位置する、抵抗の低い領域を除去することにより、当該領域にチャネルが形成されることを防ぐことができる。
【0343】
本発明の一態様により、サイズが小さいトランジスタを有し、精細度が高い表示装置を提供することができる。又は、オン電流が大きいトランジスタを有し、輝度が高い表示装置を提供することができる。又は、動作が速いトランジスタを有し、動作が速い表示装置を提供することができる。又は、電気特性が安定したトランジスタを有し、信頼性が高い表示装置を提供することができる。又は、オフ電流が小さいトランジスタを有し、消費電力が低い表示装置を提供することができる。
【0344】
本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200Aの詳細な構成について説明する。
【0345】
導電体205は、金属酸化物230、及び導電体260と、重なる領域を有するように配置する。また、導電体205は、絶縁体216に埋め込まれて設けることが好ましい。ここで、導電体205の上面の平坦性を良好にすることが好ましい。例えば、導電体205上面の平均面粗さ(Ra)を1nm以下、好ましくは0.5nm以下、より好ましくは0.3nm以下にすればよい。これにより、導電体205の上に形成される、絶縁体224の平坦性を良好にし、金属酸化物230b及び金属酸化物230cの結晶性の向上を図ることができる。
【0346】
ここで、導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう。)電極として機能する場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(ボトムゲートともいう。)電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200AのVthを制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200AのVthを0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0347】
また、導電体205は、金属酸化物230におけるチャネル形成領域よりも、大きく設けるとよい。特に、
図30Cに示すように、導電体205は、金属酸化物230のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、金属酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。
【0348】
上記構成を有することで、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、金属酸化物230のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
【0349】
また、
図30Cに示すように、導電体205は延伸させて、配線としても機能させている。ただし、これに限られることなく、導電体205の下に、配線として機能する導電体を設ける構成にしてもよい。
【0350】
また、導電体205は、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205を単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0351】
また、導電体205の下に水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電体を用いてもよい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電体を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、又は酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、又は上記酸素のいずれか一又はすべての拡散を抑制する機能とする。
【0352】
導電体205の下に、酸素の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることにより、導電体205が酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電体としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム又は酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。したがって、導電体205の第1の導電体としては、上記導電性材料を単層又は積層とすればよい。
【0353】
絶縁体214は、水又は水素等の不純物が、基板側からトランジスタ200Aに混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体214は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0354】
例えば、絶縁体214として、酸化アルミニウム又は窒化シリコン等を用いることが好ましい。これにより、水又は水素等の不純物が絶縁体214よりも基板側からトランジスタ200A側に拡散するのを抑制することができる。又は、絶縁体224等に含まれる酸素が、絶縁体214よりも基板側に、拡散するのを抑制することができる。
【0355】
また、層間膜として機能する絶縁体216、絶縁体280、及び絶縁体281は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体216、絶縁体280、及び絶縁体281として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、又は空孔を有する酸化シリコン等を適宜用いればよい。
【0356】
絶縁体222及び絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有する。
【0357】
ここで、金属酸化物230と接する絶縁体224は、加熱により酸素を脱離することが好ましい。本明細書では、加熱により離脱する酸素を過剰酸素と呼ぶことがある。例えば、絶縁体224は、酸化シリコン又は酸化窒化シリコン等を適宜用いればよい。酸素を含む絶縁体を金属酸化物230に接して設けることにより、金属酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200Aの信頼性を向上させることができる。
【0358】
絶縁体224として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3以上、又は3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0359】
また、
図30Cに示すように、絶縁体224は、絶縁体254と重ならず、且つ金属酸化物230bと重ならない領域の膜厚が、それ以外の領域の膜厚より薄くなる場合がある。絶縁体224において、絶縁体254と重ならず、且つ金属酸化物230bと重ならない領域の膜厚は、上記酸素を十分に拡散できる膜厚であることが好ましい。
【0360】
絶縁体222は、絶縁体214等と同様に、水又は水素等の不純物が、基板側からトランジスタ200Aに混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222、絶縁体254、及び絶縁体274によって、絶縁体224、金属酸化物230、及び絶縁体250等を囲むことにより、外方から水又は水素等の不純物がトランジスタ200Aに侵入することを抑制することができる。
【0361】
さらに、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、金属酸化物230が有する酸素が、基板側へ拡散することを低減できるので、好ましい。また、導電体205が、絶縁体224や、金属酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0362】
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、金属酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200Aの周辺部から金属酸化物230への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0363】
又は、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又はこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0364】
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)又は(Ba,Sr)TiO3(BST)等のいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層又は積層で用いてもよい。トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0365】
なお、絶縁体222、及び絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。例えば、絶縁体222の下に絶縁体224と同様の絶縁体を設ける構成にしてもよい。
【0366】
金属酸化物230は、金属酸化物230aと、金属酸化物230a上の金属酸化物230bと、金属酸化物230b上の金属酸化物230cと、を有する。金属酸化物230b下に金属酸化物230aを有することで、金属酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、金属酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、金属酸化物230b上に金属酸化物230cを有することで、金属酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、金属酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0367】
なお、金属酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。例えば、金属酸化物230が、少なくともインジウム(In)と、元素Mと、を含む場合、金属酸化物230aを構成する全元素の原子数に対する、金属酸化物230aに含まれる元素Mの原子数の割合が、金属酸化物230bを構成する全元素の原子数に対する、金属酸化物230bに含まれる元素Mの原子数の割合より高いことが好ましい。また、金属酸化物230aに含まれる元素Mの、Inに対する原子数比が、金属酸化物230bに含まれる元素Mの、Inに対する原子数比より大きいことが好ましい。ここで、金属酸化物230cは、金属酸化物230a又は金属酸化物230bに用いることができる金属酸化物を用いることができる。
【0368】
また、金属酸化物230a及び金属酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、金属酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、金属酸化物230a及び金属酸化物230cの電子親和力が、金属酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。この場合、金属酸化物230cは、金属酸化物230aに用いることができる金属酸化物を用いることが好ましい。具体的には、金属酸化物230cを構成する全元素の原子数に対する、金属酸化物230cに含まれる元素Mの原子数の割合が、金属酸化物230bを構成する全元素の原子数に対する、金属酸化物230bに含まれる元素Mの原子数の割合より高いことが好ましい。また、金属酸化物230cに含まれる元素Mの、Inに対する原子数比が、金属酸化物230bに含まれる元素Mの、Inに対する原子数比より大きいことが好ましい。
【0369】
ここで、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、金属酸化物230a、金属酸化物230b、及び金属酸化物230cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化又は連続接合するともいうことができる。このようにするためには、金属酸化物230aと金属酸化物230bとの界面、及び金属酸化物230bと金属酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0370】
具体的には、金属酸化物230aと金属酸化物230b、金属酸化物230bと金属酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする。)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、金属酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、金属酸化物230a及び金属酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウム等を用いてもよい。また、金属酸化物230cを積層構造としてもよい。例えば、In-Ga-Zn酸化物と、当該In-Ga-Zn酸化物上のGa-Zn酸化物との積層構造、又はIn-Ga-Zn酸化物と、当該In-Ga-Zn酸化物上の酸化ガリウムとの積層構造を用いることができる。別言すると、In-Ga-Zn酸化物と、Inを含まない酸化物との積層構造を、金属酸化物230cとして用いてもよい。
【0371】
具体的には、金属酸化物230aとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、又は1:1:0.5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、金属酸化物230bとして、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、又は3:1:2[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、金属酸化物230cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、又はGa:Zn=2:5[原子数比]の金属酸化物を用いればよい。また、金属酸化物230cを積層構造とする場合の具体例としては、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]と、Ga:Zn=2:1[原子数比]との積層構造、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]と、Ga:Zn=2:5[原子数比]との積層構造、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]と、酸化ガリウムとの積層構造等が挙げられる。
【0372】
このとき、キャリアの主たる経路は金属酸化物230bとなる。金属酸化物230a、金属酸化物230cを上述の構成とすることで、金属酸化物230aと金属酸化物230bとの界面、及び金属酸化物230bと金属酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200Aは高いオン電流、及び高い周波数特性を得ることができる。なお、金属酸化物230cを積層構造とした場合、上述の金属酸化物230bと、金属酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くする効果に加え、金属酸化物230cが有する構成元素が、絶縁体250側に拡散するのを抑制することが期待される。より具体的には、金属酸化物230cを積層構造とし、積層構造の上方にInを含まない酸化物を位置させるため、絶縁体250側に拡散しうるInを抑制することができる。絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能するため、Inが拡散した場合、トランジスタの特性不良となる。したがって、金属酸化物230cを積層構造とすることで、信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【0373】
金属酸化物230b上には、ソース電極、及びドレイン電極として機能する導電体242(導電体242a、及び導電体242b)が設けられる。導電体242としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物等を用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、又は、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0374】
金属酸化物230と接するように上記導電体242を設けることで、金属酸化物230の導電体242近傍において、酸素濃度が低減する場合がある。また、金属酸化物230の導電体242近傍において、導電体242に含まれる金属と、金属酸化物230の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、金属酸化物230の導電体242近傍の領域において、キャリア密度が増加し、当該領域は、低抵抗領域となる。
【0375】
ここで、導電体242aと導電体242bの間の領域は、絶縁体280の開口に重畳して形成される。これにより、導電体242aと導電体242bの間に導電体260を自己整合的に配置することができる。
【0376】
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、金属酸化物230cの上面に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0377】
絶縁体250は、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0378】
また、絶縁体250と導電体260との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体250から導電体260への酸素拡散を抑制することが好ましい。これにより、絶縁体250の酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
【0379】
また、当該金属酸化物は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコン等を用いる場合、当該金属酸化物は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。ゲート絶縁体を、絶縁体250と当該金属酸化物との積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0380】
具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、又は、マグネシウム等から選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウム、又はハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。
【0381】
導電体260は、
図30では2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
【0382】
導電体260aは、上述の、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0383】
また、導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250に含まれる酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、又は酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。
【0384】
また、導電体260bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体260は、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0385】
また、
図30A及び
図30Cに示すように、金属酸化物230bの導電体242と重ならない領域、言い換えると、金属酸化物230のチャネル形成領域において、金属酸化物230の側面が導電体260で覆うように配置されている。これにより、第1のゲート電極としての機能する導電体260の電界を、金属酸化物230の側面に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200Aのオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。
【0386】
絶縁体254は、絶縁体214等と同様に、水又は水素等の不純物が、絶縁体280側からトランジスタ200Aに混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。さらに、
図30B及び
図30Cに示すように、絶縁体254は、金属酸化物230cの側面、導電体242aの上面と側面、導電体242bの上面と側面、金属酸化物230a及び金属酸化物230bの側面、並びに絶縁体224の上面に接することが好ましい。このような構成にすることで、絶縁体280に含まれる水素が、導電体242a、導電体242b、金属酸化物230a、金属酸化物230b及び絶縁体224の上面又は側面から金属酸化物230に侵入するのを抑制することができる。
【0387】
さらに、絶縁体254は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等)の少なくとも一の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。例えば、絶縁体254は、絶縁体280又は絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。
【0388】
絶縁体254は、スパッタリング法を用いて成膜されることが好ましい。絶縁体254を、酸素を含む雰囲気でスパッタリング法を用いて成膜することで、絶縁体224の絶縁体254と接する領域近傍に酸素を添加することができる。これにより、当該領域から、絶縁体224を介して金属酸化物230中に酸素を供給することができる。ここで、絶縁体254が、上方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が金属酸化物230から絶縁体280へ拡散することを防ぐことができる。また、絶縁体222が、下方への酸素の拡散を抑制する機能を有することで、酸素が金属酸化物230から基板側へ拡散することを防ぐことができる。このようにして、金属酸化物230のチャネル形成領域に酸素が供給される。これにより、金属酸化物230の酸素欠損を低減し、トランジスタのノーマリーオン化を抑制することができる。
【0389】
絶縁体254としては、例えば、アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。
【0390】
水素に対してバリア性を有する絶縁体254によって、絶縁体224、絶縁体250、及び金属酸化物230が覆うことで、絶縁体280は、絶縁体254によって、絶縁体224、金属酸化物230、及び絶縁体250と離隔されている。これにより、トランジスタ200Aの外方から水素等の不純物が浸入することを抑制できるので、トランジスタ200Aに良好な電気特性及び信頼性を与えることができる。
【0391】
絶縁体280は、絶縁体254を介して、絶縁体224、金属酸化物230、及び導電体242上に設けられる。例えば、絶縁体280として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、又は空孔を有する酸化シリコン等を有することが好ましい。特に、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコン等の材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。
【0392】
絶縁体280中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。また、絶縁体280の上面は、平坦化されていてもよい。
【0393】
絶縁体274は、絶縁体214等と同様に、水又は水素等の不純物が、上方から絶縁体280に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。絶縁体274としては、例えば、絶縁体214、絶縁体254等に用いることができる絶縁体を用いればよい。
【0394】
また、絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体281を設けることが好ましい。絶縁体281は、絶縁体224等と同様に、膜中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0395】
また、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、及び絶縁体254に形成された開口に、導電体240a及び導電体240bを配置する。導電体240a及び導電体240bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体240a及び導電体240bの上面の高さは、絶縁体281の上面と、同一平面上としてもよい。
【0396】
なお、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、及び絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241aが設けられ、その側面に接して導電体240aの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電体242aが位置しており、導電体240aが導電体242aと接する。同様に、絶縁体281、絶縁体274、絶縁体280、及び絶縁体254の開口の内壁に接して、絶縁体241bが設けられ、その側面に接して導電体240bの第1の導電体が形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には導電体242bが位置しており、導電体240bが導電体242bと接する。
【0397】
導電体240a及び導電体240bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240a及び導電体240bは積層構造としてもよい。
【0398】
また、導電体240を積層構造とする場合、金属酸化物230a、金属酸化物230b、導電体242、絶縁体254、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体281と接する導電体には、上述の、水又は水素等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電体を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウム、又は酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。また、水又は水素等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料は、単層又は積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いることで、絶縁体280に添加された酸素が導電体240a及び導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。また、絶縁体281より上層から水又は水素等の不純物が、導電体240a及び導電体240bを通じて金属酸化物230に混入するのを抑制することができる。
【0399】
絶縁体241a及び絶縁体241bとしては、例えば、絶縁体254等に用いることができる絶縁体を用いればよい。絶縁体241a及び絶縁体241bは、絶縁体254に接して設けられるので、絶縁体280等から水又は水素等の不純物が、導電体240a及び導電体240bを通じて金属酸化物230に混入するのを抑制することができる。また、絶縁体280に含まれる酸素が導電体240a及び導電体240bに吸収されるのを防ぐことができる。
【0400】
また、図示しないが、導電体240aの上面、及び導電体240bの上面に接して配線として機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。当該導電体は、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
【0401】
<トランジスタの構成例2>
図31A、
図31B、及び
図31Cは、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200B、及びトランジスタ200B周辺の上面図及び断面図である。トランジスタ200Bは、トランジスタ200Aの変形例である。
【0402】
図31Aは、トランジスタ200Bの上面図である。また、
図31B、及び
図31Cは、トランジスタ200Bの断面図である。ここで、
図31Bは、
図31AにB1-B2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Bのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図31Cは、
図31AにB3-B4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Bのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図31Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0403】
トランジスタ200Bでは、導電体242a及び導電体242bが、金属酸化物230c、絶縁体250、及び導電体260と重なる領域を有する。これにより、トランジスタ200Bはオン電流が高いトランジスタとすることができる。また、トランジスタ200Bは制御しやすいトランジスタとすることができる。
【0404】
ゲート電極として機能する導電体260は、導電体260aと、導電体260a上の導電体260bと、を有する。導電体260aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0405】
導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を有することにより、導電体260bの材料選択性を向上することができる。つまり、導電体260aを有することで、導電体260bの酸化が抑制され、導電率が低下することを防止することができる。
【0406】
また、導電体260の上面及び側面、絶縁体250の側面、及び金属酸化物230cの側面を覆うように絶縁体254を設けることが好ましい。なお、絶縁体254は、水又は水素等の不純物、及び酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。
【0407】
絶縁体254を設けることで、導電体260の酸化を抑制することができる。また、絶縁体254を有することで、絶縁体280が有する水、水素等の不純物がトランジスタ200Bへ拡散することを抑制することができる。
【0408】
<トランジスタの構成例3>
図32A、
図32B、及び
図32Cは、本発明の一態様である表示装置に用いることができるトランジスタ200C、及びトランジスタ200C周辺の上面図及び断面図である。トランジスタ200Cは、トランジスタ200Aの変形例である。
【0409】
図32Aは、トランジスタ200Cの上面図である。また、
図32B、及び
図32Cは、トランジスタ200Cの断面図である。ここで、
図32Bは、
図32AにC1-C2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Cのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図32Cは、
図32AにC3-C4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200Cのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図32Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0410】
トランジスタ200Cでは、金属酸化物230c上に絶縁体250を有し、絶縁体250上に金属酸化物252を有する。また、金属酸化物252上に導電体260を有し、導電体260上に絶縁体270を有する。また、絶縁体270上に絶縁体271を有する。
【0411】
金属酸化物252は、酸素拡散を抑制する機能を有することが好ましい。絶縁体250と導電体260との間に、酸素の拡散を抑制する金属酸化物252を設けることで、導電体260への酸素の拡散が抑制される。つまり、金属酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
【0412】
なお、金属酸化物252は、ゲート電極の一部としての機能を有してもよい。例えば、金属酸化物230として用いることができる酸化物半導体を、金属酸化物252として用いることができる。その場合、導電体260をスパッタリング法で成膜することで、金属酸化物252の電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0413】
また、金属酸化物252は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコン等を用いる場合、金属酸化物252は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。当該積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁層の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0414】
トランジスタ200Cにおいて、金属酸化物252を単層で示したが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、ゲート電極の一部として機能する金属酸化物と、ゲート絶縁体の一部として機能する金属酸化物とを積層して設けてもよい。
【0415】
金属酸化物252を有することで、ゲート電極として機能する場合は、導電体260からの電界の影響を弱めることなく、トランジスタ200Cのオン電流の向上を図ることができる。又は、ゲート絶縁体として機能する場合は、絶縁体250及び金属酸化物252の物理的な厚みにより、導電体260と、金属酸化物230との間の距離を保つことで、導電体260と金属酸化物230との間のリーク電流を抑制することができる。したがって、絶縁体250と金属酸化物252との積層構造を設けることで、導電体260と金属酸化物230との間の物理的な距離、及び導電体260から金属酸化物230へかかる電界強度を、容易に調整することができる。
【0416】
具体的には、金属酸化物252として、金属酸化物230に用いることができる酸化物半導体を低抵抗化したものを用いることができる。又は、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0417】
特に、アルミニウム、又はハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁層である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、金属酸化物252は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0418】
絶縁体270は、水又は水素等の不純物、及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウム等を用いることが好ましい。これにより、絶縁体270よりも上方からの酸素で導電体260が酸化するのを抑制することができる。また、絶縁体270よりも上方からの水又は水素等の不純物が、導電体260及び絶縁体250を介して、金属酸化物230に混入することを抑制することができる。
【0419】
絶縁体271はハードマスクとして機能する。絶縁体271を設けることで、導電体260の加工の際、導電体260の側面が概略垂直、具体的には、導電体260の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。
【0420】
なお、絶縁体271に、水又は水素等の不純物、及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることで、バリア層としての機能を兼ねさせてもよい。その場合、絶縁体270は設けなくともよい。
【0421】
絶縁体271をハードマスクとして用いて、絶縁体270、導電体260、金属酸化物252、絶縁体250、及び金属酸化物230cの一部を選択的に除去することで、これらの側面を略一致させて、かつ、金属酸化物230b表面の一部を露出させることができる。
【0422】
また、トランジスタ200Cは、露出した金属酸化物230b表面の一部に領域243a及び領域243bを有する。領域243a又は領域243bの一方はソース領域として機能し、領域243a又は領域243bの他方はドレイン領域として機能する。
【0423】
領域243a及び領域243bの形成は、例えば、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、又はプラズマ処理等を用いて、露出した金属酸化物230b表面にリン又はボロン等の不純物元素を導入することで実現できる。なお、本実施の形態等において「不純物元素」とは、主成分元素以外の元素のことをいう。
【0424】
また、金属酸化物230b表面の一部を露出させた後に金属膜を成膜し、その後加熱処理することにより、該金属膜に含まれる元素を金属酸化物230bに拡散させて領域243a及び領域243bを形成することもできる。
【0425】
金属酸化物230bの不純物元素が導入された領域は、電気抵抗率が低下する。このため、領域243a及び領域243bを「不純物領域」又は「低抵抗領域」という場合がある。
【0426】
絶縁体271及び/又は導電体260をマスクとして用いることで、領域243a及び領域243bを自己整合(セルフアライメント)的に形成することができる。よって、領域243a及び/又は領域243bと、導電体260が重ならず、寄生容量を低減することができる。また、チャネル形成領域とソースドレイン領域(領域243a又は領域243b)の間にオフセット領域が形成されない。領域243a及び領域243bを自己整合(セルフアライメント)的に形成することにより、オン電流の増加、しきい値電圧の低減、動作周波数の向上等を実現できる。
【0427】
トランジスタ200Cは、絶縁体271、絶縁体270、導電体260、金属酸化物252、絶縁体250、及び金属酸化物230cの側面に絶縁体272を有する。絶縁体272は、比誘電率の低い絶縁体であることが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、又は樹脂等であることが好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを絶縁体272に用いると、後の工程で絶縁体272中に過剰酸素領域を容易に形成できるため好ましい。また、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。また、絶縁体272は、酸素を拡散する機能を有することが好ましい。
【0428】
なお、オフ電流を更に低減するため、チャネル形成領域とソースドレイン領域の間にオフセット領域を設けてもよい。オフセット領域とは、電気抵抗率が高い領域であり、前述した不純物元素の導入が行なわれない領域である。オフセット領域の形成は、絶縁体272の形成後に前述した不純物元素の導入を行うことで実現できる。この場合、絶縁体272も絶縁体271等と同様にマスクとして機能する。よって、金属酸化物230bの絶縁体272と重なる領域に不純物元素が導入されず、当該領域の電気抵抗率を高いままとすることができる。
【0429】
また、トランジスタ200Cは、絶縁体272、金属酸化物230上に絶縁体254を有する。絶縁体254は、スパッタリング法を用いて成膜することが好ましい。スパッタリング法を用いることにより、水又は水素等の不純物の少ない絶縁体を成膜することができる。
【0430】
なお、スパッタリング法を用いた酸化膜は、被成膜構造体から水素を引き抜く場合がある。したがって、絶縁体254が金属酸化物230及び絶縁体272から水素及び水を吸収することで、金属酸化物230及び絶縁体272の水素濃度を低減することができる。
【0431】
<トランジスタの構成材料>
トランジスタに用いることができる構成材料について説明する。
【0432】
〔基板〕
トランジスタ200A、トランジスタ200Bまたはトランジスタ200Cを形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板、又は導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板等)、樹脂基板等がある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の半導体基板、又は炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板等がある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板等がある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板等がある。又は、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板等がある。さらには、絶縁体基板に導電体又は半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体又は絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体又は絶縁体が設けられた基板等がある。又は、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子等がある。
【0433】
〔絶縁体〕
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物等がある。
【0434】
例えば、トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
【0435】
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化物、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化窒化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化窒化物、又はシリコン及びハフニウムを有する窒化物等がある。
【0436】
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、又は樹脂等がある。
【0437】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体(絶縁体214、絶縁体222、絶縁体254、及び絶縁体274等)で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム、又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。具体的には、水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、又は酸化タンタル等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムチタン、窒化チタン、窒化酸化シリコン又は窒化シリコン等の金属窒化物を用いることができる。
【0438】
また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体は、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを金属酸化物230と接する構造とすることで、金属酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
【0439】
〔導電体〕
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタン等から選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物等を用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、又は、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイド等のシリサイドを用いてもよい。
【0440】
また、上記の材料で形成される導電体を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0441】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に金属酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0442】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素及び酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素及び窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタル等の窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。又は、外方の絶縁体等から混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0443】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0444】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0445】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)について説明する。
【0446】
<結晶構造の分類>
まず、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、
図33Aを用いて説明を行う。
図33Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
【0447】
図33Aに示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(cloud-aligned composite)が含まれる。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
【0448】
なお、
図33Aに示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」や、「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
【0449】
なお、膜又は基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、「Crystalline」に分類されるCAAC-IGZO膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを
図33Bに示す。なお、GIXD法は、薄膜法又はSeemann-Bohlin法ともいう。以降、
図33Bに示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す。なお、
図33Bに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、
図33Bに示すCAAC-IGZO膜の厚さは、500nmである。
【0450】
図33Bに示すように、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、明確な結晶性を示すピークが検出される。具体的には、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、2θ=31°近傍に、c軸配向を示すピークが検出される。なお、
図33Bに示すように、2θ=31°近傍のピークは、ピーク強度が検出された角度を軸に左右非対称である。
【0451】
また、膜又は基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう。)にて評価することができる。CAAC-IGZO膜の回折パターンを、
図33Cに示す。
図33Cは、電子線を基板に対して平行に入射するNBEDによって観察される回折パターンである。なお、
図33Cに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
【0452】
図33Cに示すように、CAAC-IGZO膜の回折パターンでは、c軸配向を示す複数のスポットが観察される。
【0453】
〔酸化物半導体の構造〕
なお、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、
図33Aとは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、等が含まれる。
【0454】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0455】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、又はCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0456】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つ又は複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0457】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタン等から選ばれた一種、又は複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM像において、格子像として観察される。
【0458】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°又はその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成等により変動する場合がある。
【0459】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう。)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0460】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形等の格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化すること等によって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0461】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下等を引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0462】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成等によって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損等)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0463】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0464】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0465】
〔酸化物半導体の構成〕
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0466】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つ又は複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、又はパッチ状ともいう。
【0467】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0468】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、及びZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、及び[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。又は、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0469】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物等が主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物等が主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0470】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0471】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0472】
CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、及び良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0473】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0474】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0475】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0476】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0477】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0478】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0479】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0480】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0481】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0482】
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0483】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。又は、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下にする。
【0484】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満にする。
【0485】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0486】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0487】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様である表示装置を備える電子機器について説明する。
【0488】
図34Aは、ファインダー8100を取り付けた状態のカメラ8000の外観を示す図である。カメラ8000には、撮像装置が設けられている。カメラ8000は、例えばデジタルカメラとすることができる。なお、
図34Aでは、カメラ8000とファインダー8100とを別の電子機器とし、これらを脱着可能な構成としているが、カメラ8000の筐体8001に、表示装置を備えるファインダーが内蔵されていてもよい。
【0489】
カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004等を有する。またカメラ8000には、着脱可能なレンズ8006が取り付けられている。
【0490】
ここではカメラ8000として、レンズ8006を筐体8001から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ8006と筐体が一体となっていてもよい。
【0491】
カメラ8000は、シャッターボタン8004を押すことにより、撮像することができる。また、表示部8002はタッチパネルとしての機能を有し、表示部8002をタッチすることにより撮像することも可能である。
【0492】
カメラ8000の筐体8001は、電極を有するマウントを有し、ファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
【0493】
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。ファインダー8100は、電子ビューファインダーとすることができる。
【0494】
筐体8101は、カメラ8000のマウントと係合するマウントを有しており、ファインダー8100をカメラ8000に取り付けることができる。また当該マウントには電極を有し、当該電極を介してカメラ8000から受信した画像等を表示部8102に表示させることができる。
【0495】
ボタン8103は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン8103により、表示部8102の表示のオン・オフを切り替えることができる。
【0496】
カメラ8000の表示部8002、及びファインダー8100の表示部8102に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、極めて精細度が高いため、表示部8002又は表示部8102と、使用者と、の距離が近くても、使用者に画素が視認されることなく、より臨場感の高い画像を表示部8002又は表示部8102に表示することができる。特に、ファインダー8100に設けられる表示部8102に表示される画像は、ファインダー8100の接眼部に使用者の眼を近づけることにより視認されるため、使用者と、表示部8102と、の間の距離が非常に近くなる。よって、表示部8102には本発明の一態様の表示装置を適用することが特に好ましい。なお、表示部8102に本発明の一態様の表示装置を適用する場合、表示部8102に表示できる画像の解像度は、4K、5K、又はそれ以上とすることができる。
【0497】
なお、カメラ8000に設けられた撮像装置により撮像できる画像の解像度を、表示部8002又は表示部8102に表示できる画像の解像度と同等、又はそれ以上であることが好ましい。例えば、表示部8102に4Kの解像度の画像を表示できる場合は、カメラ8000には4K以上の画像を撮像できる撮像装置を設けることが好ましい。また、例えば、表示部8102に5Kの解像度の画像を表示できる場合は、カメラ8000には5K以上の画像を撮像できる撮像装置を設けることが好ましい。
【0498】
図34Bは、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示す図である。
【0499】
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリ8206が内蔵されている。
【0500】
ケーブル8205は、バッテリ8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した画像データ等に対応する画像を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動きを捉え、その情報をもとに使用者の視線の座標を算出することにより、使用者の視線を入力手段として用いることができる。
【0501】
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい。本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、使用者の視線を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知することにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭部の動き等を検出し、表示部8204に表示する画像をその動きに合わせて変化させてもよい。
【0502】
表示部8204に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。これにより、ヘッドマウントディスプレイ8200を狭額縁化し、表示部8204に高品位の画像を表示することができ、臨場感の高い画像を表示することができる。
【0503】
図34C、
図34D及び
図34Eは、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
【0504】
使用者は、レンズ8305を通して、表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させると好適である。表示部8302を湾曲して配置することで、使用者が高い臨場感を感じることができる。なお、本実施の形態においては、表示部8302を1つ設ける構成について例示したが、これに限定されず、例えば、表示部8302を2つ設ける構成としてもよい。この場合、使用者の片方の目に1つの表示部が配置されるような構成とすると、視差を用いた3次元表示等を行うことも可能となる。
【0505】
なお、表示部8302に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の表示装置は、極めて精細度が高いため、
図34Eのようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より臨場感の高い画像を表示することができる。
【0506】
【0507】
図35A乃至
図35Gに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい、又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008等を有する。
【0508】
図35A乃至
図35Gに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付、又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、
図35A乃至
図35Gに示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、
図35A乃至
図35Gには図示していないが、電子機器には、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0509】
【0510】
図35Aは、テレビジョン装置9100を示す斜視図である。テレビジョン装置9100は、大画面、例えば、50インチ以上、又は100インチ以上の表示部9001を組み込むことが可能である。
【0511】
テレビジョン装置9100が有する表示部9001に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。これにより、テレビジョン装置9100を狭額縁化し、表示部9001に高品位の画像を表示することができ、臨場感の高い画像を表示することができる。
【0512】
図35Bは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳、又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコン又は単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話等の着信を知らせる表示、電子メールやSNS等の題名、電子メールやSNS等の送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度等がある。又は、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050等を表示してもよい。
【0513】
携帯情報端末9101が有する表示部9001に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。これにより、携帯情報端末9101を小型化し、表示部9001に高品位の画像を表示することができ、臨場感の高い画像を表示することができる。
【0514】
図35Cは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0515】
携帯情報端末9102が有する表示部9001に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。これにより、携帯情報端末9101を小型化し、表示部9001に高品位の画像を表示することができ、臨場感の高い画像を表示することができる。
【0516】
図35Dは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0517】
携帯情報端末9200が有する表示部9001に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。これにより、携帯情報端末9200を狭額縁化し、表示部9001に高品位の画像を表示することができ、臨場感の高い画像を表示することができる。
【0518】
図35E、
図35F及び
図35Gは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、
図35Eが携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、
図35Fが携帯情報端末9201を展開した状態又は折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、
図35Gが携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0519】
携帯情報端末9201が有する表示部9001に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。これにより、携帯情報端末9201を狭額縁化し、表示部9001に高品位の画像を表示することができ、臨場感の高い画像を表示することができる。
【0520】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0521】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0522】
C1:容量素子、N1:ノード、N2:ノード、Tr11:トランジスタ、Tr12:トランジスタ、Tr13:トランジスタ、10:表示装置、10A:表示装置、20:第1の層、20a:第1の回路層、20b:第2の回路層、21:第1の回路、22:第2の回路、24:補正データ生成回路、26:ソースドライバ回路、30:第2の層、31:配線、32:配線、33:表示部、34:画素、36:配線、38:画素ブロック、44:シフトレジスタ回路、45:ラッチ回路、46:デジタルアナログ変換回路、47:アンプ回路、81:論理回路、91:電流電圧変換回路、92:アナログデジタル変換回路、93:メモリ回路、200A:トランジスタ、200B:トランジスタ、200C:トランジスタ、205:導電体、214:絶縁体、216:絶縁体、222:絶縁体、224:絶縁体、230:金属酸化物、230a:金属酸化物、230b:金属酸化物、230c:金属酸化物、240:導電体、240a:導電体、240b:導電体、241:絶縁体、241a:絶縁体、241b:絶縁体、242:導電体、242a:導電体、242b:導電体、243a:領域、243b:領域、244:絶縁体、250:絶縁体、252:金属酸化物、254:絶縁体、260:導電体、260a:導電体、260b:導電体、270:絶縁体、271:絶縁体、272:絶縁体、274:絶縁体、280:絶縁体、281:絶縁体、301a:導電体、301b:導電体、305:導電体、311:導電体、313:導電体、317:導電体、321:下部電極、323:絶縁体、325:上部電極、331:導電体、333:導電体、335:導電体、337:導電体、341:導電体、343:導電体、347:導電体、351:導電体、353:導電体、355:導電体、357:導電体、361:絶縁体、363:絶縁体、403:素子分離層、405:絶縁体、407:絶縁体、409:絶縁体、411:絶縁体、413:絶縁体、415:絶縁体、417:絶縁体、419:絶縁体、421:絶縁体、441:トランジスタ、443:導電体、445:絶縁体、447:半導体領域、449a:低抵抗領域、449b:低抵抗領域、451:導電体、453:導電体、455:導電体、457:導電体、459:導電体、461:導電体、463:導電体、465:導電体、467:導電体、469:導電体、471:導電体、501:絶縁体、503:絶縁体、505:絶縁体、507:絶縁体、509:絶縁体、552:トランジスタ、562:容量素子、572:発光素子、601:トランジスタ、602:トランジスタ、603:トランジスタ、613:絶縁体、614:絶縁体、616:絶縁体、622:絶縁体、624:絶縁体、644:絶縁体、654:絶縁体、674:絶縁体、680:絶縁体、681:絶縁体、701:基板、705:基板、712:シール材、716:FPC、721:正孔注入層、722:正孔輸送層、723:発光層、724:電子輸送層、725:電子注入層、730:絶縁体、732:封止層、734:絶縁体、736:着色層、738:遮光層、750:トランジスタ、760:接続電極、772:導電体、778:構造体、780:異方性導電体、782:発光素子、786:EL層、786a:EL層、786b:EL層、786c:EL層、788:導電体、790:容量素子、792:電荷発生層、800:トランジスタ、801a:導電体、801b:導電体、805:導電体、811:導電体、813:導電体、814:絶縁体、816:絶縁体、817:導電体、821:絶縁体、822:絶縁体、824:絶縁体、844:絶縁体、853:導電体、854:絶縁体、855:導電体、874:絶縁体、880:絶縁体、881:絶縁体、901:副画素、901B:副画素、901G:副画素、901R:副画素、902:画素、911:導電体、912:導電体、913:半導体、914:半導体、915a:導電体、915b:導電体、916a:導電体、916b:導電体、917:導電体、918:導電体、919:導電体、920:導電体、921:導電体、922:導電体、923:導電体、924:導電体、925:導電体、926:導電体、927:導電体、928:導電体、929:導電体、930:導電体、931:導電体、990:導電体、991:接着層、992:絶縁体、993a:着色層、993b:着色層、994:接着層、995:基板、1021:絶縁体、1022:絶縁体、1023:絶縁体、1024:絶縁体、1025:絶縁体、1026:絶縁体、1027:絶縁体、8000:カメラ、8001:筐体、8002:表示部、8003:操作ボタン、8004:シャッターボタン、8006:レンズ、8100:ファインダー、8101:筐体、8102:表示部、8103:ボタン、8200:ヘッドマウントディスプレイ、8201:装着部、8202:レンズ、8203:本体、8204:表示部、8205:ケーブル、8206:バッテリ、8300:ヘッドマウントディスプレイ、8301:筐体、8302:表示部、8304:固定具、8305:レンズ、9000:筐体、9001:表示部、9003:スピーカ、9005:操作キー、9006:接続端子、9007:センサ、9008:マイクロフォン、9050:操作ボタン、9051:情報、9052:情報、9053:情報、9054:情報、9055:ヒンジ、9100:テレビジョン装置、9101:携帯情報端末、9102:携帯情報端末、9200:携帯情報端末、9201:携帯情報端末