(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】葉酸欠乏症及びつわりを処置するための方法及び製品
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240716BHJP
A61K 31/12 20060101ALI20240716BHJP
A61K 36/906 20060101ALI20240716BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20240716BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240716BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240716BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K31/12
A61K36/906
A61P1/08
A61P43/00 121
A61P3/02 104
A61P7/00
(21)【出願番号】P 2021532218
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(86)【国際出願番号】 US2019064744
(87)【国際公開番号】W WO2020118089
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-12-05
(32)【優先日】2018-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505289649
【氏名又は名称】アフィオス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カスター,トレバー・パーシバル
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/080623(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0048367(US,A1)
【文献】特開2007-215498(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0280976(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0011377(US,A1)
【文献】特表2009-528818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 36/00-36/9068
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉酸欠乏症及びつわりを処置するための
医薬組成物であって、
前記医薬組成物が、ビタミンB複合体のうちの1つであるビタミンB9の天然及び合成形態並びにこれらの混合物を含む群から選択される有効量の葉酸と
、有効量の
吐き気及び/又は胃不快感を抑制するためのギンゲロール組成物とを含み、
前記ギンゲロール組成物が、6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、12-ギンゲロール、6-ショウガオール、8-ショウガオール
、10-ショウガオール
、又はこれらの混合物を含み、前記ギンゲロール組成物が、超臨界、近臨界又は臨界二酸化炭素によって生成され、
前記医薬組成物が、オイルベースをさらに含み、前記葉酸が固体懸濁液として前記オイルベース中に分散されており、前記ギンゲロール組成物が前記オイルベース中に溶解されている、医薬組成物。
【請求項2】
前記オイルベースがゲルキャップ中に保持されている、請求項
1に記載の
医薬組成物。
【請求項3】
前記ギンゲロール組成物が、ショウガ化合物を含む天然源からの抽出物である、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項4】
前記ギンゲロール組成物が、前記葉酸の粉末を湿潤させて、ギンゲロール湿潤葉酸粉末を形成するために使用されている、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項5】
前記ギンゲロール湿潤葉酸粉末が、錠剤にプレスされている、請求項
4に記載の
医薬組成物。
【請求項6】
前記ギンゲロール湿潤葉酸粉末が、カプセル中に充填されている、請求項
4に記載の
医薬組成物。
【請求項7】
前記葉酸及びギンゲロールが、溶液中に溶解又は懸濁されている、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項8】
前記葉酸が、400~800mcgの葉酸として存在する、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項9】
前記ギンゲロール組成物が、造血を促進するのに有効な量で存在する、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項10】
つわりを処置する方法
において使用するための医薬組成物であって、
前記医薬組成物が、ビタミンB複合体のうちの1つであるビタミンB9の天然及び合成形態並びにこれらの混合物の群から選択される有効量の葉酸と
、有効量の
吐き気及び/又は胃不快感を抑制するためのギンゲロール組成物とを含
み、
前記ギンゲロール組成物が、6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、12-ギンゲロール、6-ショウガオール、8-ショウガオール
、10-ショウガオール
、又はこれらの混合物を含み、前記ギンゲロール組成物が、超臨界、近臨界又は臨界二酸化炭素によって生成され、
前記医薬組成物が、オイルベースをさらに含み、前記葉酸が固体懸濁液として前記オイルベース中に分散されており、前記ギンゲロール組成物が前記オイルベース中に溶解されており、
前記方法が、前記医薬組成物を投与することを含む、医薬組成物。
【請求項11】
前記オイルベースがゲルキャップ中に保持されている、請求項
10に記載の
医薬組成物。
【請求項12】
前記ギンゲロール組成物が、ショウガ化合物を含む天然源からの抽出物である、請求項
10に記載の
医薬組成物。
【請求項13】
前記ギンゲロール組成物が、前記葉酸の粉末を湿潤させて、ギンゲロール湿潤葉酸粉末を形成するために使用されている、請求項
10に記載の
医薬組成物。
【請求項14】
前記ギンゲロール湿潤葉酸が、錠剤にプレスされている、請求項
13に記載の
医薬組成物。
【請求項15】
前記ギンゲロール湿潤葉酸が、カプセル中に充填されている、請求項
13に記載の
医薬組成物。
【請求項16】
前記葉酸及びギンゲロールが、溶液中に溶解又は懸濁されている、請求項
10に記載の
医薬組成物。
【請求項17】
前記葉酸が、400~800mcgの葉酸として存在する、請求項
10に記載の
医薬組成物。
【請求項18】
前記ギンゲロール組成物が、造血を促進するのに有効な量で存在する、請求項
10に記載の
医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府の補助金に関する記載
本発明の実施形態は、連邦政府の支援又は資金提供なしに考案され、実施化された。
【0002】
本出願は、2018年12月8日に出願された米国仮特許出願第62/777,099号の優先権を主張する。
【0003】
本発明の実施形態は、つわりを処置する製剤の形態の製造品及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0004】
つわりは、妊娠中の女性が特に妊娠初期において吐き気を経験する状態である。多数の医薬が、妊娠中の母親及び胎児の欠乏症を処置するために過去においても使用されてきた。これらには葉酸が含まれる。これらの医薬は、吐き気及び胃の不調も伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
胃不快感及び吐き気をもたらすことがない改良された製剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、つわり及び葉酸欠乏症を処置する、製剤及び方法を対象とする。本発明の1つの実施形態は、葉酸欠乏症及びつわりを処置するための剤形を対象とする。剤形は、吐き気及び/又は胃不快感を抑制するための、有効量の葉酸と有効量のギンゲロール組成物とを有する。葉酸は、ビタミンB複合体のうちの1つであるビタミンB9の天然及び合成形態を含む群から選択される。ギンゲロール組成物は、6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、12-ギンゲロール、6-ショウガオール、8-ショウガオール及び10-ショウガオールを含むギンゲロール化合物の群から単一の組成物及びこれらの混合物として選択される。
【0007】
本発明の1つの剤形は、葉酸が固体懸濁液としてこのようなオイルベース中に分散されており、ギンゲロール組成物がオイルベース中に溶解されているオイルベースをさらに含む。葉酸及びギンゲロール組成物を含むオイルベースは、経口で液体のまま又はゲルキャップ中で保持して投与することができる。
【0008】
本発明の他の実施形態は、錠剤及びカプセル剤製剤を特徴とする。例として、限定するものではないが、1つの剤形は、葉酸の粉末を湿潤させて、ギンゲロール湿潤葉酸粉末を形成するために使用されているギンゲロール組成物を特徴とする。ギンゲロール湿潤葉酸粉末は、錠剤にプレスされている又はカプセル中に充填されている。
【0009】
別の実施形態は、葉酸及びギンゲロールが溶液中に溶解又は懸濁されている剤形を特徴とする。この溶液は経口で液体のまま投与される。
【0010】
ギンゲロール組成物は、合成され得る又はショウガ化合物を含む天然源からの抽出物である。例えば、限定するものではないが、好ましいショウガ化合物は、ジンギビエール・オフィシナーレ(Zingibier officinale)からの抽出物において認められるギンゲロール及びショウガオール(shogoal)を含む。好ましいギンゲロール組成物は、造血を促進するのに有効な量で存在する。
【0011】
葉酸は、400~800マイクログラム(mcg)の葉酸として剤形用に存在する。
【0012】
本発明の更なる実施形態は、葉酸欠乏症及びつわりを処置する方法であって、有効量の葉酸と有効量のギンゲロール組成物とを含む剤形を投与して、吐き気及び/又は胃不快感を抑制することを含む、方法を対象とする。ギンゲロール組成物は、6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、12-ギンゲロール、6-ショウガオール、8-ショウガオール及び10-ショウガオールを含むギンゲロール化合物の群から単一の組成物及びこれらの混合物として選択される。葉酸は、ビタミンB複合体のうちの1つであるビタミンB9の天然及び合成形態を含む群から選択される。
【0013】
剤形は、経口液体のまま又はゲルキャップ中で保持して投与するための、オイルベース中の乳剤、分散剤又は液剤を含む多くの様々な形態をとり得る。剤形は、カプセル剤及び錠剤を含み得る。
【0014】
剤形は、成人に関しては、400~800mcgの葉酸を好ましくは有する。
【0015】
好ましいギンゲロール組成物は、造血を促進するのに有効な量で存在する。したがって、ギンゲロール組成物は、葉酸の吐き気及び胃不快感を処理し、造血を相乗的に促進してつわりを処置する。
【0016】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利点は、以下の図を見て、詳細な説明を読めば、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の特徴を具体化した剤形を示す図である。
【
図2】本発明の特徴を具体化した剤形を断面で示す図である。
【
図3】本発明の特徴を具体化した剤形を示す図である。
【
図4】ギンゲロール組成物を作製するための装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態は、葉酸欠乏症及びつわりを処置する製剤及び方法に関して、本発明を実施するための本発明者らの現在の最良の形態について、詳細に説明される。この最良の形態は、新しい検討事項が公知となる又は利用可能となるにつれ、しだいに変化し得る。本発明の実施形態はまた、変更及び修正も行われており、その結果、本教示及び説明は限定と考えるべきではない。
【0019】
本発明の1つの実施形態は、葉酸欠乏症及びつわりを処置するための剤形を対象とする。61a、61b、及び61cの数字によって示される本発明の特徴を具体化した剤形を、
図1、2及び3において示す。
図1は、錠剤61aの剤形を示す。
図2は、ゲルキャップ剤61bの剤形を断面で示す。
図3は、液剤61cの剤形を示す。他の剤形は、図示されていないが、例として限定するものではないが、カプセル剤、再構成用散剤、トローチ剤などである。
【0020】
錠剤61a、ゲルキャップ剤61b、及び液剤61cの各剤形は、吐き気及び/又は胃不快感を抑制するための、有効量の葉酸と有効量のギンゲロール組成物とを有する。葉酸は、ビタミンB複合体のうちの1つであるビタミンB9の天然及び合成形態を含む群から選択される。葉酸を作製する方法は公知であり、組成物は多くの供給源から入手することができる。剤形は、成人に関しては、400~800マイクログラムの葉酸を好ましくは有する。
【0021】
ギンゲロール組成物は、6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、12-ギンゲロール、6-ショウガオール、8-ショウガオール及び10-ショウガオールを含むギンゲロール化合物の群から単一の組成物及びこれらの混合物として選択される。1つの好ましい抽出物は、6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、及び6-ショウガオールを有し、この中で6-ショウガオール及び6-ギンゲロールは比率が定義されており、6-ショウガオール対6-ギンゲロールの比率は0.04対0.40である。出願人は、いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、6-ショウガオール対6-ギンゲロールのこの比率が、吐き気を処置するための抽出物の有効性を改善すると考えている。
【0022】
本発明の更なる態様は、ショウガ根茎の抽出物を対象とし、ショウガ根茎は出発質量を有し、抽出物は、以下の6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、及び6-ショウガオールのうちの1つ以上と関連する質量を有する。6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、及び6-ショウガオールの総質量対出発質量の比率は20~40%である。
【0023】
本発明の更なる態様は、15~25%の6-ギンゲロール、1~5%の8-ギンゲロール、1~5%の10-ギンゲロール及び1~5%の6-ショウガオールを有する抽出物を対象とする。
【0024】
各剤形、例えば錠剤61a、ゲルキャップ剤61b、及び液剤61cは、ギンゲロール組成物の投薬量を有し、1つの態様において、投薬量は、ショウガ根茎の抽出物20~40mgの範囲内である。抽出物のこの量は、ギンゲロール及びショウガオールの組合せ4.00~14mgを好ましくは有する。
【0025】
有効量の葉酸及び有効量のギンゲロール組成物は、より多くの量の葉酸に対する特定の必要性を処理するために、2つ以上の剤形に分割してよい。例えば、限定するものではないが、葉酸をより多く必要とする人は、2つの剤形、例えば錠剤61a、ゲルキャップ剤61b及び液剤61cを摂取してよい。ギンゲロール組成物の量は、好ましくは、葉酸療法に伴う通常の吐き気及び胃不快感を処理するための量である。ギンゲロール組成物はまた、造血を促進するのに有効な量で存在してよい。
【0026】
次に
図1及び剤形61aに目を向けると、図示するように、剤形は円形状の錠剤を含む。しかし、当業者であれば、錠剤は、多くの形状で形成してよいことは認識するだろう。錠剤61aは、葉酸欠乏症を処置するのに有効な量で葉酸を有する。有効量のうちの1つの例は、500mcgの葉酸である。この量は、4.00~14mgのギンゲロール組成物を有する有効量の抽出物を用いて湿潤さている。ギンゲロール組成物はまた、葉酸を酸化から保護するのに役立つ場合がある。葉酸は、ギンゲロール組成物の吸着を促進し、錠剤に圧縮することができる圧縮可能なバルク製剤塊を提供するための、錠剤用の通常の慣例的な賦形剤、希釈剤、結合剤及び滑沢剤、例えば、タルク、ラクトース、デンプン、ステアリン酸などと組み合わせてよい。バルク製剤はまた、当技術分野において公知の様式でカプセル[図示していない]中に充填してよい。
【0027】
次に
図2及び剤形61bに目を向けると、図示するように、剤形は、卵型形状を有するゲルキャップ剤を含む。しかし、当業者であれば、ゲルキャップ剤も同様に他の形状に形成してよいことは認識するだろう。ゲルキャップ剤は、外側ゲル表面65及び内側液体67を含む。外側表面65は当技術分野において公知であり、本明細書でさらに述べる必要はない。内側液体は、葉酸欠乏症を処置するための有効量の葉酸の懸濁液を含む。効果的な量の1つの例は、葉酸500mcgである。この量は、オイルベース中に保持された、4.00~14mgのギンゲロール組成物を有する有効量の抽出物中に懸濁されている。ギンゲロール組成物及びオイルベースはまた、葉酸を酸化から保護するのに役立つ場合がある。
【0028】
1つの実施形態は、抗酸化物質を含む油を特徴とし、すなわち、抗酸化物質は油中に溶解又は懸濁されている。1つの抗酸化物質はトコフェロールである。好ましい製剤は、1つ以上の乳化剤を有する油を有する。乳化剤は、バイオアベイラビリティを促進し、製剤の他の構成成分をオイルベース中に維持する。好ましい乳化剤は、以下の薬剤:レシチン、並びに短鎖、中鎖及び長鎖トリグリセリドのうちの1つ以上から選択される。好ましい油はオリーブ油である。
【0029】
懸濁された葉酸及び溶解されたギンゲロール組成物を油に加えるためのプロセス及び方法は、当技術分野において公知である。
【0030】
次に
図3及び剤形61cに目を向けると、数字71で表された液剤が断面で図示されている。液剤は、取り外し可能な蓋75で密封された個別の投与カップ73中に保持されている。当業者であれば、液剤71は、例として、限定的に(with limitation)、スポイト、投与カップ付の又はなしの大きなボトル、パウチなどを含む、分配し、投与するための他の容器中に含まれていてよいことを認識するだろう。液剤は、ベース、例えば水を懸濁液として含み、有効量のギンゲロール組成物が葉酸粒子とともにエマルション中に保持されている。ユーザーは、内容物を十分に振とうするように又は混合するように指示される。
【0031】
各剤形は、剤形、例えば錠剤11a、ゲルキャップ剤11b及び液剤11cを経口で摂取して葉酸を提供することによって、つわり及び葉酸欠乏症を処置するために使用される。葉酸は、1日1~3回通常摂取される。ギンゲロール化合物は、吐き気及び胃不快感を阻止し、造血を促進する。葉酸をオイルベース及び/又はギンゲロール組成物で湿潤させると、吸収が遅延されて、胃不快感が減少し、葉酸組成物の酸化が阻止される。
【0032】
1つの好ましいギンゲロール組成物は、ショウガ根茎の乾燥粉末バイオマスから形成される。この乾燥バイオマスは、超臨界、近臨界又は臨界条件下で二酸化炭素を含む容器中に入れられて、飽和バイオマス粉末を形成している。二酸化炭素はバイオマスから分離されて、ギンゲロール及びショウガオールの組成物を含む二酸化炭素流体抽出物を形成している。
【0033】
好ましくは、二酸化炭素は、20~50セルシウス度の温度、1000~4000psiの圧力で保持されている。好ましくは、二酸化炭素は、改質剤が溶解された構成成分という性質上、二酸化炭素中に担持されているという意味で、改質剤を有する。好ましい改質剤は、アルコール、例えばエタノールである。
【0034】
本発明の態様は、超臨界、臨界又は近臨界流体として公知の材料を用いている。材料は、その臨界温度及び臨界圧力が等しい条件で臨界流体になる。材料は、その臨界温度と臨界圧力の両方に等しい又はこれらを超える条件で超臨界流体になる。臨界温度及び臨界圧力のパラメーターは、十分に安定で純粋な化合物及び混合物全ての固有の熱力学的特性である。例えば、二酸化炭素は、その臨界温度である31.1℃及びその臨界圧力である72.9atm(1,070psig)以上の条件で超臨界流体になる。超臨界流体領域では、通常は気体物質、例えば二酸化炭素は高密度相の流体になり、大幅に強化された溶媒和力を示すことが観察されている。3,000psig(204atm)の圧力及び40℃の温度では、二酸化炭素は、およそ0.845g/ccの密度を有し、非極性有機溶媒に酷似したふるまいを示し、0デバイの双極子モーメントを有する。
【0035】
超臨界流体は、その密度が温度及び圧力に強力に依存するために、幅広いスペクトルの溶媒和力を示す。数十度の温度変化又は数十気圧の圧力変化は、超臨界流体への化合物の溶解度を一桁以上変化させることができる。この特徴は、溶媒和力の微調整及び混合溶質の分画を可能にする。非極性超臨界流体溶媒の選択性はまた、改質剤として公知の化合物(共留剤又は共溶媒とも称される)を添加することによって強化することができる。これらの共溶媒は、典型的には、若干極性を有する有機溶媒、例えばアセトン、エタノール、メタノール、塩化メチレン又は酢酸エチルである。共溶媒の比率を変化させると、溶媒力の変化において幅広い自由度が可能になる。
【0036】
超臨界、近臨界及び臨界流体は、液体様密度を示すことができるが、それでもまだ高拡散性及び低粘度の気体様特性を保持する。後者は、質量移動速度を増加させ、加工時間を有意に減少させる。さらに、超臨界流体の超低表面張力によって、微小孔性材料への浸透が容易になり、抽出効率及び全体的な収率が増加する。
【0037】
その超臨界状態に隣接する条件における材料は、超臨界状態における物質のものと同様の特性を有する。これらのいわゆる「近臨界」流体も本発明の実施に有用である。本発明の目的で、近臨界流体は、(a)その臨界温度(Tc)とその臨界温度の75%との間の温度及びその臨界圧力の少なくとも75%の圧力における、又は(b)その臨界圧力(Pc)とその臨界圧力の75%との間の圧力及びその臨界温度の少なくとも75%の温度における流体として定義される。この定義では、圧力及び温度は、絶対スケール、例えば、ケルビン及びpsiaで定義される。専門用語を簡略化するために、超臨界、近臨界又はその臨界点ちょうどの条件下で利用される材料は、極性共溶媒を含んでも含んでいなくても、「SCCNC」流体と称される又は「SFS」とまとめて称される。
【0038】
SCCNC流体は、高度に精製されたギンゲロール及びショウガオールを部分抽出し、製造するために使用することができる。
【0039】
本発明の実施形態は、吐き気及び嘔吐を処置するための治療薬として使用するためのギンゲロールを単離し、製造するための超臨界流体を使用する方法を対象とする。
【0040】
本方法及び装置は
図4に関連して記載され、全般的に数字11によって示されるショウガ分画装置の概略図の形態で示される。
【0041】
極性ガイドSCCNC分画は、乾燥した新鮮なショウガ粉末に対して行うことができる。SCCNC CXF分画は、自動抽出器又はその手動バージョンで行うことができる。
図4で示すように、これはデュアルポンプシステムであり、そのままの臨界流体(例えばCO
2)に関してはシリンジポンプ25を、改質剤(例えばエタノール)に関してはシリンジポンプ31を利用する。
【0042】
ショウガ粉末を、カートリッジホルダー13のカートリッジに充填した後、分画手順を開始してよい。例えば、システムを3,000psig及び40℃にし、純粋CO2で10分間抽出する。この画分は、
図4中の19の番号が付されたガラスバイアル中のエタノール中に収集される。次いで、抽出パラメーターは、以下のように設定される:3,000psig及び抽出温度40℃における超臨界CO2、共溶媒として10分のステップごとに5、10、20、30及び40vol%のエタノールを用いたステップ抽出。各バイオマス試料は、6つの画分として得ることになり、これらは個別のガラスバイアル中のエタノール中に収集する。画分は、SpeedVac中、真空下で乾燥し、ギンゲロール、ジンゲロン、及びショウガオール含有量に関してHPLCによって分析する。ギンゲロール及びショウガオールの最も高い総含有量、並びに0.04~0.4の間の6-ギンゲロール対6-ショウガオールの比を提供する条件が大量生産に適している。
【実施例】
【0043】
[実施例1]
ショウガ根茎の分画
バイオマス:新鮮と乾燥の両方のジンギバー・オフィシナーレ(Zingiber officinale)のバイオマスは、ブラジルの信頼できる供給会社から入手した。材料は、一晩冷蔵庫に入れて、マサチューセッツ州ウーバンにある本発明者らの施設に輸送した。受取り時に、バイオマス試料を記録し(log in);乾燥バイオマスを乾燥した低湿度条件で保存し、新鮮なバイオマスが4℃で保存された。試料を微粉末に粉砕し、様々な溶媒-エタノール、塩化メチレン、クロロホルム及びヘキサン-で抽出して、材料のギンゲロール含有量をHPLC分析技術によって定義した。地下バイオマスの試料を使用して品種を同定し、外部の請負業者に送付して、重金属、除草剤及び殺虫剤の分析を行った。少量のバウチャー(voucher)試料を保持した。
【0044】
ショウガ粉末:乾燥ショウガ根を細かくカットし、対流式オーブン中、37℃で24時間乾燥して、水分を除去した。次いで、バイオマスを、プレートハンマーミル中で微粉末に粉砕した。この微粉末の試料も従来技術によって抽出して、乾燥し、粉砕されたジンギバー・オフィシナーレのバイオマスのギンゲロール及びショウガオール含有量を再確立した。バイオマス粉末にラベルを貼り、-20℃で保存した。
【0045】
新鮮なショウガ根も細かくカットし、VirTis棚式凍結乾燥機中で24時間にわたって乾燥して、全ての水及び水分を除去した。次いで、バイオマスを、プレートハンマーミル中で微粉末に粉砕した。この微粉末の試料も従来技術によって抽出して、乾燥し、粉砕されたジンギバー・オフィシナーレのバイオマスのギンゲロール及びショウガオール含有量を再確立した。バイオマス粉末にラベルを貼り、-20℃で保存した。
【0046】
ショウガ抽出物:乾燥した新鮮なショウガ粉末に対して極性ガイドSCCNC分画を行った。
図4で示すように、これはデュアルポンプシステムであり、そのままの臨界流体(例えばCO
2)に関してはシリンジポンプ25を、改質剤(例えばエタノール)に関してはシリンジポンプ31を利用する。
【0047】
データによって、以下のギンゲロール及びショウガオールの百分率が得られたことが示唆される。6-ショウガオール及び6-ギンゲロールは比率が定義され、6-ショウガオール対6-ギンゲロールの比率は0.04~0.40である。本出願人は、いかなる理論にも束縛されることを望むものではないが、6-ショウガオール対6-ギンゲロールのこの比率が、吐き気を処置するための抽出物の有効性を改善すると考えられる。
【0048】
ショウガ根茎は出発質量を有し、抽出物は、以下の6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、及び6-ショウガオールのうちの1つ以上と関連する質量を有する。6-ギンゲロール、8-ギンゲロール、10-ギンゲロール、及び6-ショウガオールの総質量対出発質量の比率は20~40%である。
【0049】
抽出物は、15~25%の6-ギンゲロール、1~5%の8-ギンゲロール、1~5%の10-ギンゲロール及び1~5%の6-ショウガオールを有すると特徴づけられる。抽出されたギンゲロール及びショウガオールは、約10~15%から約25~35%の範囲の合計バイオマスの百分率が定義される。
【0050】
[実施例2]
ギンゲロール化合物と葉酸との錠剤製剤
この例は、葉酸及びギンゲロール化合物のための錠剤製剤を提示する。
各錠剤は以下のものを含む:
葉酸500mcg
ギンゲロール抽出物4.0~14mg
オリーブ油(ギンゲロール抽出物を可溶化するための量で)
Sterotex(葉酸を結合させるための量で)およそ2.00mg
【0051】
ギンゲロール抽出物をオリーブ油と合わせて溶液を生成し、葉酸粉末及びSterotexとゆっくりと合わせ、混合して、圧縮可能な固体塊を形成し、圧縮可能な固体塊を錠剤形態に圧縮する。
【0052】
[実施例3]
ギンゲロール化合物と葉酸とのゲルキャップ製剤
各ゲルキャップ剤は、以下のものを含む:
葉酸500mcg
ギンゲロール抽出物4.0~14mg
オリーブ油(ギンゲロール抽出物を可溶化するための量で)
トコフェロール(保存剤として)
レシチン
中鎖トリグリセリド
【0053】
ギンゲロール抽出物、所望のトコフェロール、レシチン及び中鎖トリグリセリドをオリーブ油中に可溶化して、ギンゲロール-オリーブ油製品を形成する。葉酸を微粉末のまま、ギンゲロール-オリーブ油製品内に分散させて、葉酸懸濁液を形成する。葉酸懸濁液を、当技術分野において公知のゲルキャップに充填する。
【0054】
[実施例4]
ギンゲロール化合物及び葉酸の液剤
液剤の各液体用量(5ミリリットル)は以下のものを含む:
葉酸500mcg
ギンゲロール抽出物4.0~14mg
オリーブ油(ギンゲロール抽出物を可溶化するための量で)
トコフェロール(保存剤として)
レシチン
中鎖トリグリセリド
【0055】
ギンゲロール抽出物、所望のトコフェロール、レシチン及び中鎖トリグリセリドをオリーブ油中に可溶化して、ギンゲロール-オリーブ油製品を形成する。葉酸を微粉末のまま、ギンゲロール-オリーブ油製品内に分散させて、葉酸懸濁液を形成する。葉酸懸濁液を好適な液体分注容器に入れ、よく振とうさせることを記載した取扱説明書を添付する。
【0056】
[実施例5]
ギンゲロール化合物と葉酸とのカプセル剤製剤
この例は、葉酸及びギンゲロール化合物のためのカプセル剤製剤を提示する。
葉酸500mcg
ギンゲロール抽出物4.0~14mg
オリーブ油(ギンゲロール抽出物を可溶化するための量で)
Sterotex(葉酸を結合させるための量で)およそ2.00mg
【0057】
ギンゲロール抽出物をオリーブ油と合わせて溶液を生成し、葉酸粉末及びSterotexとゆっくりと合わせ、混合して、粉末塊を形成し、粉末塊を、当技術分野において公知の様式で適切なサイズのカプセルに充填する。
【0058】
剤形を対象とする各上記例において、葉酸は、全体的に又は部分的に、葉酸400~800マイクログラムと同等の量のものと容易に置換してよい。
【0059】
剤形は、特別な必要性のために多くの変更及び修正が行われる。他の剤形は、スポイトなどによって低投薬量の葉酸として投与するための液剤を好む場合がある。ギンゲロール組成物含有オイルベース又はオイルベース不含ギンゲロール組成物は乳化させてよく、乳剤は水性媒体中に保持される。
【0060】
特に、液体のまま投与されることを意図する剤形に関しては、患者の受け入れを改善するために香味剤を使用することが有用である。
【0061】
したがって、剤形が、葉酸の吐き気及び胃不快感を処理し、造血を相乗的に促進して、つわりを処置するギンゲロール組成物を有する本発明を詳細に説明してきた。説明は、現在検討されている最良の形態を対象とし、このような最良の形態に対する本発明者らの意見は時間とともに変化する場合があり、本発明の実施形態は変更及び修正が行われる。その結果、この説明は限定ではないと考えるべきであり、本発明は、以下の特許請求の範囲の発明の主題及びこれらの均等物を含むべきである。
【0062】
前述の説明中に含まれる事項は、限定の意味というよりむしろ例示と解釈されることが意図される。