(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】癌および他の疾患の治療のための、クローディン18.2に特異的な結合分子、その組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240716BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240716BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61K39/395 T
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021538136
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 US2019068591
(87)【国際公開番号】W WO2020139956
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-23
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521282099
【氏名又は名称】スパークス・セラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グイドン・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジンドン・イェ
(72)【発明者】
【氏名】ジンドン・チン
(72)【発明者】
【氏名】ジチュン・マ
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-518838(JP,A)
【文献】特表2015-517476(JP,A)
【文献】特表2009-517354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された
抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメントであって、
前記
抗CLDN18.2抗体または
抗原結合フラグメントは
、軽鎖可変領域(V
L)およ
び重鎖可変領域(V
H)を含み、
ここで、前記軽鎖可変領域(V
L)は、SEQ ID NO:30で示されるV
L-CDR1、SEQ ID NO:132で示されるV
L-CDR2およびSEQ ID NO:161で示されるV
L-CDR3を有し、ならびに
前記重鎖可変領域(V
H)は、SEQ ID NO:156で示されるV
H-CDR1、SEQ ID NO:34で示されるV
H-CDR2およびSEQ ID NO:135で示されるV
H-CDR3を有する
単離された
抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメント。
【請求項2】
SEQ ID NO:160で示される軽鎖可変領域(V
L)およびSEQ ID NO:162で示される重鎖可変領域(V
H)を含む、請求項1に記載の単離された
抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメント。
【請求項3】
SEQ ID NO:354で示される軽鎖およびSEQ ID NO:355で示される重鎖を含む、請求項1に記載の単離された
抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記単離された
抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメントが、EUスキームに従って番号付けされた、Fcドメインの356位のアスパラギン酸(D)のグルタミン酸(E)への置換(D356E)および358位のロイシン(L)のメチオニン(M)への置換(L358M)を含む重鎖定常領域を含む、請求項1に記載の単離された
抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記
抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメントは、
a)免疫グロブリンIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDもしくはIgE分子、または
b
)Fabフラグメント、F(ab′)
2フラグメント
もしくは一本鎖可変フラグメント(scFv)であり、ここで、前記scFvは、10~25個のアミノ酸の短いリンカーペプチドで結合したV
HおよびV
Lを含む、
請求項1に記載の単離された
抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメント。
【請求項6】
CLDN18.2を発現する細胞の増殖を阻害するか、および/またはCLDN18.2を発現する細胞を死滅するための薬物製剤であって、
有効量の請求項1~5のいずれか1項に記載の
抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメントを含む、薬物製剤。
【請求項7】
被験者におけるCLDN18.2を発現する細胞に関する疾患または病症を治療または予防するための薬物製剤であって、
有効量の請求項1~5のいずれか1項に記載の抗CLDN18.2抗体またはその
抗原結合フラグメントを含む、薬物製剤。
【請求項8】
前記疾患または病症は、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がんから選択される腫瘍に関連する疾患または病症である、
請求項7に記載の薬物製剤。
【請求項9】
前記被験者は、抗PD-1、抗PD-L
1または抗CTLA4治療法を受けている、受けた、または受ける予定であり、かつ
前記抗PD-1、抗PD-L
1または抗CTLA4治療法は、抗PD-1、抗PD-L
1もしくは抗CTLA4抗体、またはそれぞれの抗原結合フラグメントを投与するステップを含む、
請求項7に記載の薬物製剤。
【請求項10】
前記抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、ランブリズマブ(lambrolizumab)、MK-3475)、ニボルマブ(OPDIVA(登録商標)、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538)、AMP-224、またはそれぞれの
抗原結合フラグメントである、あるいは
前記抗CTL
A4抗体は、イピリムマブ、トレメリムマブ(チシリムマブ(ticilimumab)、CP-675,206)、またはそれぞれの
抗原結合フラグメントである、
請求項9に記載の薬物製剤。
【請求項11】
有効量の抗PD
-L
1抗体またはその
抗原結合フラグメントをさらに含む、請求項7に記載の薬物製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本特許文書は、35U.S.C.§119(e)に基づいて2018年12月28日に提出した仮米国特許出願第62/786012号の出願日の権益を要求し、これは、参照により本明細書に引用される。
〔EFS-WEBを介して提出された配列表を参照〕
【0002】
本発明は、EFS-Webで電子的に提出され、かつ「.txt」フォーマットで電子的に提出された配列表を含む。当該「.txt」ファイルには、タイトルが「16565_4_Sequence_Listing」である配列表を含まれ、2019年12月26日に作成され、大きさは、529KB(542545バイト)である。当該「.txt」ファイルに含まれる配列表は、明細書の一部であり、その全内容は、参照により本明細書に引用される。
【背景技術】
【0003】
胃がんは、世界で最も一般的な癌の一つであり、先進国では、これは、それぞれ男性と女性の癌関連死亡の最大の原因の4番目と5番目である(Rawla P.ら、Przeglad Gastroenterologiczny、2019、14:26)。2017年には、推定122万人の新しい胃がん病例および885000人の死亡が発生し、これは、アンメットメディカルニーズの高い悪性腫瘍になった(Etemadi A.ら、The Lancet Gastroenterology & Hepatology、2019年10月21日(DOI:https://doi.org/10.1016/S2468-1253(19)30328-0))。胃がんは、世界で3番目の癌による死亡の最大の原因である。食道がんの発生率は、増加しており、食道腺がんを主な形態として、組織型と原発腫瘍との位置が変化している。いくつかの化学治療法が承認されたという事実にもかかわらず、転移性胃がんの5年全生存率は、約5%である。
【0004】
局所進行性または転移性疾患があるほとんどの患者は、第3の化合物(例えば、タキサンまたはアントラサイクリン系)と併用する、プラチナおよびフルオロピリミジン誘導体骨格に基づく化学治療法を受ける。これらの標準治療プログラム(SOC)を使用すると、無増悪生存期間の中央値は、5~7か月と予想され、全体的な生存期間の中央値は、9~11か月である。最近、さらにいくつかの標的治療法が登場した。例えば、トラスツズマブは、HER2陽性胃食道がんに使用されるように承認された。ペムブロリズマブは、PD-L1陽性および高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復欠損(dMMR)胃食道がんに使用されるように承認された。しかしながら、一部の患者のみがこれらの標的を発現し、ほとんどの患者は、これらの狭い標的治療法の恩恵を受けることができない。
【0005】
クローディンタンパク質ファミリーは、哺乳動物において少なくとも27個のメンバー分子を有する(Furuse M.ら、J Cell Biol.、1998、141、1539)。これらの密着結合分子は、脊椎動物の上皮細胞シート中の傍細胞バリアに不可欠である。クローディン18分子は、四つの膜貫通疎水性領域および二つの細胞外ループを含む、完全な膜貫通タンパク質である。クローディン18は、二つの異なるスプライス変異体で存在する。アイソタイプ1(クローディン18.1またはCLDN18.1)は、正常な肺細胞で選択的に発現し、アイソタイプ2(クローディン18.2またはCLDN18.2)は、癌に関連するスプライス変異体であると考えられる(Sanada Y.ら、J Pathol.、2006、208、633)。
【0006】
クローディン18.2は、非小細胞肺がん(NSCLC、25%)、胃がん(70%)、膵臓がん(50%)および食道がん(30%)で過剰発現している、CD20様分化タンパク質である。当該タンパク質の発現は、民族的背景の影響を受け、日本人患者で観察された発現レベルは、白人患者よりも高い。クローディン18.2は、卵巣がん、乳がんおよび頭頚部腫瘍でも異所性に発現する(Sahin U.ら、Clin Cancer Res.2008、14、7624)。リンパ節および胃がんの遠隔転移でクローディン18.2を検出することができる。正常な組織での発現は、胃粘膜の一過性に分化した上皮細胞に厳密に限定される。
【0007】
クローディン18.2は、腫瘍形成および腫瘍微小環境の維持に複雑な役割を果たしている可能性がある。EGFR/ERKシグナル伝達は、インビボでの細胞増殖、浸潤および腫瘍形成に関与する、胆管腫瘍に関連するクローディン18の発現を誘導することが見出された(Kumi T.、Cancer Lett.、2017、403、66)。クローディン-18は、PI3K/PDK1/AKTシグナル伝達経路を阻害することによって媒介される肺上皮細胞の異常な増殖および運動を阻害することも報告された(Shun S.ら、Bio Bioph Acta(BBA)-Mole Cell Res、2016、1863、1170)。クローディン18.2ノックアウトマウスにおいて、傍細胞バリアが損なわれて、壁細胞から分泌されたH+イオンが胃上皮を通じて胃腔に浸透し、その後胃のpH値を低下させる。ノックアウトマウス中の慢性胃炎は、高レベルの炎症細胞および鎮痙性ポリペプチドを発現する化生(SPEM)細胞を生成する。炎症細胞の炎症は、様々な炎症前マーカー(例えば、IL-1βおよびTNF-α)の高発現を特徴としている(Hayashi D.、Gastroenterology、2012、142、292)。
【0008】
腫瘍形成および腫瘍微小環境におけるクローディン18.2の生物学的機能は未だに不明ですが、クローディン18.2の発現は、胃がんの形質転換において保持されかつ食道がん、膵臓腺がんおよび胆管がん等を含む様々な新生物で異常に活性化されることは明らかである(Micke P.ら、Intl J Cancer、2014、135、2206)。クローディン18.2の露出した細胞外ループは、モノクローナル抗体の結合に使用することができ、腫瘍細胞の表面にあるクローディン18.2に結合する適切な抗体は、抗体依存性細胞毒性(ADCC)および補体依存性細胞毒性(CDC)効果を通じて腫瘍細胞を死滅することができる。抗クローディン18.2化合物は、アポトーシスを誘導しかつ細胞増殖を阻害することもできる。化学治療法と併用する場合、それらは、T細胞の浸潤を増強かつ炎症性サイトカインを誘導することができる。
【0009】
従って、クローディン18.2は、例えば、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がんとその転移等のいくつかの原発性腫瘍、特に、例えば、クルケンベルグ腫瘍(Krukenberg tumors)、腹膜転移およびリンパ節転移等の胃がん転移を予防および/または治療するための有用な標的である。
【0010】
IMAB362(クローデキシマブ、ゾルベツキシマブ(Zolbetuximab))は、クローディン18.2の1番目の細胞外ドメインを選択的に標的化しかつクローディン18の密接に関連するスプライス変異体1に対して最小限の活性を有する、IgG1サブタイプのキメラモノクローナル抗体である(米国特許第8168427号)。クローディン18.2を発現するヒト異種移植片において、IMAB362の投与後、マウスで延命効果および腫瘍退縮が観察された。投与量決定の第I相試験において、単回投与量が最大1000mg/m2に達する場合、投与量制限毒性は観察されなかった。IIa相試験において、IMAB362は、10%の応答率および30%の病勢コントロール率を示し、かつすべての有害事象は、グレード1~3である。その後のIIb相臨床試験において、EOX単独(中央値7.9vs4.8か月、HR0.47、p=0.0001)と比較して、IMAB362とEOX(エピルビシン50mg/m2、オキサリプラチン130mg/m2d1およびカペシタビン625mg/m2bid、d1~21、21日ごと)との併用により、無増悪生存期間(PFS)が大幅に改善され、試験の主要終了点に到達した。EOX単独と比較して、当該治療法は、全生存期間(OS、中央値13.3vs8.4か月、HR0.51、p<0.001)も改善した。クローディン18.2の発現が非常に高い患者のサブグループ分析(≧70%の腫瘍細胞で≧2+強度)は、より明白な結果を示した(PFS、7.2vs5.6か月、HR0.36、p=0.0005、OS、16.7vs9.0か月、HR0.45、p<0.0005)。IMAB362が投与された患者は、EOXグループの25%(Prabhsimranjot S.ら、J.Hem.Onc.、2017、105)と比較して、39%というより高い客観的応答率(ORR)をさらに示した。
【0011】
レンチウイルスベクターの形質導入を介して、ヒト化クローディン18.2に特異的なhu8E5およびhu8E5-2I一本鎖可変フラグメント(scFv)をキメラ抗原受容体T(CAR T)細胞に組み込む。これらのCAR T細胞は、CD28共刺激ドメインを含み、癌細胞株の異種移植マウスモデルにおける腫瘍増殖を効果的に阻害する。hu8E5-2I-28Z CAR T細胞で治療されたクローディン18.2陽性胃がんPDXモデルにおいて、部分的または完全な腫瘍除去が観察され、前記hu8E5-2I-28Z CAR T細胞は、体内によく存在し、かつ腫瘍組織に効果的に浸潤される。有効量下のマウスにおいて、胃組織を含む正常な臓器への明らかな有害作用(Hua J.ら、Natl Cancer Inst.、2019、111)は観察されなかった。
【0012】
ほとんどの癌の病因は、複数の異なる遺伝的変異、後成遺伝学的変化および分子シグナル伝達経路の機能不全に関連する。同様に、癌は、代替メカニズムを得ることによってほとんどすべての治療に対する耐性を発達させる。従って、癌の誘発または細胞の維持の経路を特異的に標的とする二つまたはそれ以上の治療法の組み合わせは、癌治療の基礎である。標的治療法の現代的組み合わせは、活発に増殖している細胞を非選択的に標的とする従来の単剤治療法技術とは異なり、後者は、最終的に健康な細胞および癌細胞の破壊を引き起こす。理想的には、組み合わせは、使用される個々の薬物のそれぞれよりも低い治療用量で相乗的または相加的に機能する。例えば、ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体、上皮増殖因子受容体(EGFR)、インスリン様増殖因子受容体、ホスファチジルイノミトール3-キナーゼ(PI3K)/タンパク質キナーゼB(AKT)/哺乳動物ラパマイシン標的(mTOR)経路、c-MET、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)、ポリ[アデノシン二リン酸(ADP)]-リボースポリメラーゼ(PARP)および免疫チェックポイント等の阻害剤のような胃がんの治療剤として、様々な発癌経路を標的とするいくつかの標的治療法が研究されている。
【0013】
近年、免疫治療法は、転移性癌の治療を完全に変え、かつ抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA4抗体、CAR-T治療、腫瘍溶解性ウイルスおよびT細胞エンゲージャー等を含む、いくつかのタイプの免疫治療法が承認された。これらの承認は、細胞毒性T細胞が免疫系の最も効果的なエフェクター細胞であるという臨床的検証を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、膜タンパク質クローディン18.2に特異的に結合しかつクローディン18.2を発現する、例えば、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がん等の腫瘍関連疾患を含む、細胞関連疾患を治療および/または予防する治療剤として使用されることができる抗体または抗体フラグメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、抗クローディン18.2分子を様々な発癌経路阻害剤と組み合わせることである。
本発明の別の態様において、前記CLDN18.2-結合分子(例えば、抗体)またはその抗原結合フラグメントを使用することであり、ここで、被験者は、抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4治療法を含む免疫治療法を受けている、受けたまたは受ける予定である。
【0016】
従って、一実施形態は、抗体軽鎖可変領域(VL)および抗体重鎖可変領域(VH)を含む、クローディン18.2に結合する単離された抗体またはその抗体フラグメントに関し、ここで、軽鎖可変領域(VL)は、
[FW1]X1X2SX3X4X5X6X7X8X9X10X11X12X13X14X15X16[FW2]X17X18X19X20X21X22X23[FW3]X24X25X26X27X28X29PX30T[FW4](SEQ ID NO 362:)のアミノ酸配列を含み、ここで、[FW1]、[FW2]、[FW3]および[FW4]は、VLフレームワーク領域を表し、ここで、
X1は、アミノ酸残基であるイソロイシン(I)、アルギニン(R)、セリン(S)またはリジン(K)を表し、ここで、リジン(K)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X2は、アミノ酸残基であるスレオニン(T)、アラニン(A)またはセリン(S)を表し、ここで、セリン(S)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X3は、アミノ酸残基であるスレオニン(T)、セリン(S)またはグルタミン(Q)を表し、ここで、グルタミン(Q)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X4は、アミノ酸残基であるアスパラギン酸(D)、セリン(S)またはスレオニン(T)を表し、ここで、セリン(S)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X5は、アミノ酸残基であるイソロイシン(I)、バリン(V)またはロイシンを表し、ここで、ロイシン(L)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X6は、結合、またはバリン(V)、ロイシン(L)またはフェニルアラニン(F)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、ロイシン(L)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X7は、結合、またはヒスチジン(H)、アスパラギン(N)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、アスパラギン(N)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X8は、結合、またはセリン(S)、トリプトファン(W)またはグリシン(G)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、セリン(S)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X9は、結合、またはグリシン(G)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、グリシン(G)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
Χ10は、結合、またはアスパラギン(N)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、アスパラギン(N)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
Χ11は、結合、またはグリシン(G)、グルタミン(Q)またはロイシン(L)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、グルタミン(Q)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X12は、結合、またはアスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、リジン(K)またはアルギニン(R)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、リジン(K)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X13は、アミノ酸残基であるアスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、セリン(S)またはスレオニン(T)を表し、ここで、セリン(S)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X14は、アミノ酸残基であるアスパラギン酸(D)またはチロシン(Y)を表し、ここで、チロシン(Y)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X15は、アミノ酸残基であるメチオニン(M)またはロイシン(L)を表し、ここで、ロイシン(L)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X16は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)、チロシン(Y)、ヒスチジン(H)、グルタミン(Q)、スレオニン(T)またはアラニン(A)を表し、ここで、スレオニン(T)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X17は、アミノ酸残基であるグルタミン酸(E)、チロシン(Y)、アスパラギン酸(D)、グリシン(G)、リジン(K)またはトリプトファン(W)を表し、ここで、トリプトファン(W)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X18は、アミノ酸残基であるグリシン(G)、スレオニン(T)、バリン(V)またはアラニン(A)を表し、ここで、アラニン(A)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X19は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)またはセリン(S)を表し、ここで、セリン(S)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X20は、アミノ酸残基であるスレオニン(T)またはアスパラギン(N)を表し、ここで、スレオニン(T)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X21は、アミノ酸残基であるロイシン(L)またはアルギニン(R)を表し、ここで、ロイシン(L)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X22は、アミノ酸残基であるアルギニン(R)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し、ここで、グルタミン酸(E)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X23は、アミノ酸残基であるプロリン(P)またはセリン(S)を表し、ここで、セリン(S)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X24は、アミノ酸残基であるロイシン(L)、グルタミン(Q)、ヒスチジン(H)またはフェニルアラニン(F)を表し、ここで、グルタミン(Q)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
Χ25は、アミノ酸残基であるグルタミン(Q)またはアスパラギン(N)を表し、ここで、アスパラギン(N)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
Χ26は、アミノ酸残基であるセリン(S)、フェニルアラニン(F)、アルギニン(R)、トリプトファン(W)、グリシン(G)、アラニン(A)、アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)またはバリン(V)を表し、ここで、アラニン(A)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X27は、アミノ酸残基であるアスパラギン酸(D)、スレオニン(T)、セリン(S)またはチロシン(Y)を表し、ここで、チロシン(Y)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X28は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)、セリン(S)、ヒスチジン(H)、アルギニン(R)、グルタミン酸(E)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)、フェニルアラニン(F)、アラニン(A)、イソロイシン(I)を表し、ここで、セリン(S)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X29は、アミノ酸残基であるロイシン(L)、セリン(S)、チロシン(Y)、アスパラギン(N)、バリン(V)、フェニルアラニン(F)を表し、ここで、フェニルアラニン(F)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X30は、結合、またはトリプトファン(W)、チロシン(Y)、ロイシン(L)またはフェニルアラニン(F)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、フェニルアラニン(F)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、および
ここで、重鎖可変領域(VH)は、
[FW1]X31X32X33X34X35X36X37X38X39X40X41[FW2]X42IX43X44X45X46X47X48X49X50X51X52X53X54X55X56X57[FW3]X58X59X60X61X62X63X64X65X66X67X68[FW4](SEQ ID NO 363:)のアミノ酸配列を含み、ここで、[FW1]、[FW2]、[FW3]および[FW4]は、VHフレームワーク領域を表し、ここで、
X31は、アミノ酸残基であるアスパラギン酸(D)、グリシン(G)、リジン(K)またはアルギニン(R)を表し、ここで、グリシン(G)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X32は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)またはフェニルアラニン(F)を表し、ここで、チロシン(Y)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X33は、アミノ酸残基であるセリン(S)、スレオニン(T)またはアラニン(A)を表し、ここで、スレオニン(T)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X34は、アミノ酸残基であるイソロイシン(I)またはフェニルアラニン(F)を表し、ここで、フェニルアラニン(F)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X35は、アミノ酸残基であるスレオニン(T)またはセリン(S)を表し、ここで、セリン(S)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X36は、結合、またはアルギニン(R)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、結合は、いくつかの実施形態において好ましいものであり、
X37は、結合、またはグリシン(G)、アスパラギン酸(D)、セリン(S)またはアスパラギン(N)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、結合は、いくつかの実施形態において好ましいものであり、
X38は、結合、またはフェニルアラニン(F)またはチロシン(Y)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、結合は、いくつかの実施形態において好ましいものであり、
X39は、結合、またはアスパラギン(N)、リジン(K)、トリプトファン(W)、ロイシン(L)、グリシン(G)、セリン(S)またはアラニン(A)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、結合は、いくつかの実施形態において好ましいものであり、
Χ40は、アミノ酸残基であるトリプトファン(W)、メチオニン(M)またはイソロイシン(I)を表し、ここで、メチオニン(M)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
Χ41は、アミノ酸残基であるヒスチジン(H)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アラニン(A)、セリン(S)またはアスパラギン(N)を表し、ここで、アスパラギン(N)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X42は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、セリン(S)またはトリプトファン(W)を表し、ここで、トリプトファン(W)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X43は、アミノ酸残基であるヒスチジン(H)、アスパラギン(N)、ロイシン(L)またはセリン(S)を表し、ここで、アスパラギン(N)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X44は、結合、またはプロリン(P)、アスパラギン(N)、セリン(S)、メチオニン(M)またはスレオニン(T)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、メチオニン(M)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X45は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)、アスパラギン(N)、グリシン(G)またはロイシン(L)を表し、ここで、チロシン(Y)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X46は、結合、またはセリン(S)、アスパラギン(N)、アラニン(A)、グリシン(G)またはスレオニン(T)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、スレオニン(T)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X47は、アミノ酸残基であるグリシン(G)、アスパラギン酸(D)、チロシン(Y)またはセリン(S)を表し、ここで、グリシン(G)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X48は、アミノ酸残基であるセリン(S)、グリシン(G)、プロリン(P)、スレオニン(T)、アラニン(A)またはグルタミン酸(E)を表し、ここで、グルタミン酸(E)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X49は、アミノ酸残基であるスレオニン(T)、セリン(S)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、アルギニン(R)またはグルタミン(Q)を表し、ここで、プロリン(P)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X50は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)、イソロイシン(I)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、スレオニン(T)を表し、ここで、スレオニン(T)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X51は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)またはセリンを表し、ここで、チロシン(Y)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X52は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)、スレオニン(T)、アラニン(A)またはプロリン(P)を表し、ここで、アラニン(A)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X53は、アミノ酸残基であるプロリン(P)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)またはアスパラギン酸(D)を表し、ここで、アスパラギン酸(D)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X54は、アミノ酸残基であるセリン(S)、リジン(K)、スレオニン(T)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)を表し、ここで、アスパラギン酸(D)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X55は、アミノ酸残基であるロイシン(L)、フェニルアラニン(F)またはバリン(V)を表し、ここで、フェニルアラニン(F)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X56は、アミノ酸残基であるリジン(K)またはスレオニン(T)を表し、ここで、リジン(K)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
Χ57は、アミノ酸残基であるセリン(S)、グリシン(G)またはバリン(V)を表し、ここで、グリシン(G)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
Χ58は、アミノ酸残基であるアスパラギン酸(D)、セリン(S)、グリシン(G)、バリン(V)、アスパラギン(N)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、スレオニン(T)、アルギニン(R)、アラニン(A)またはメチオニン(M)を表し、ここで、ロイシン(L)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X59は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)、アラニン(A)、グリシン(G)、セリン(S)、アスパラギン(N)、フェニルアラニン(F)、スレオニン(T)、バリン(V)またはメチオニン(M)を表し、ここで、チロシン(Y)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X60は、結合、またはチロシン(Y)またはスレオニン(T)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、結合は、いくつかの実施形態において好ましいものであり、
X61は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、アスパラギン(N)、アルギニン(R)、スレオニン(T)、プロリン(P)、リジン(K)、アラニン(A)またはメチオニン(M)を表し、ここで、アスパラギン(N)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X62は、アミノ酸残基であるグリシン(G)、チロシン(Y)またはアスパラギン酸(D)を表し、ここで、グリシン(G)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X63は、結合、またはチロシン(Y)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、結合は、いくつかの実施形態において好ましいものであり、
X64は、結合、またはアスパラギン(N)、アルギニン(R)、アスパラギン酸(D)またはバリン(V)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、アスパラギン(N)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X65は、結合、またはセリン(S)、アラニン(A)、スレオニン(T)、バリン(V)またはグリシン(G)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、セリン(S)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X66は、結合、またはフェニルアラニン(F)、ロイシン(L)、メチオニン(M)またはイソロイシン(I)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、ロイシン(L)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X67は、結合、またはアラニン(A)またはアスパラギン酸(D)を含むアミノ酸残基を表し、ここで、アスパラギン酸(D)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基であり、
X68は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)またはアスパラギン酸(D)を表し、ここで、チロシン(Y)は、いくつかの実施形態において最も保存的で好ましい残基である。
【0017】
別の実施形態は、a)免疫グロブリン(Ig)G1-4、IgM、IgA1-2、IgDもしくはIgE分子、またはb)一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab′)2フラグメントおよび一本鎖可変フラグメント(scFv)であり、ここで、免疫グロブリンの重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)は、10~約25個のアミノ酸の短いリンカーペプチドに結合する、抗体または抗体フラグメントに関する。
【0018】
別の実施形態は、CLDN18.2に結合しかつCLDN18.2を発現する細胞の死滅を媒介することができる、抗体または抗体フラグメントに関する。
【0019】
別の実施形態は、単離された抗体またはその抗体フラグメントに関し、ここで、死滅細胞は、前記単離された抗体またはその抗体フラグメントが細胞で発現されるCLDN18.2に結合されることにより誘導される。
【0020】
別の実施形態は、単離された抗体またはその抗体フラグメントに関し、ここで、前記抗体またはその抗体フラグメントは、補体依存性細胞毒性(CDC)媒介性溶解、抗体依存性細胞毒性(ADCC)媒介性溶解、アポトーシス、ホモタイプ接着または食作用中の少なくとも一つを誘導することにより細胞の死滅を媒介する。
【0021】
さらに別の実施形態は、CLDN18.2に特異的に結合する単離された抗体またはその抗体フラグメントに関し、VLおよびVHを含み、前記VLおよびVHは、VL-CDR1、VL-CRD2、VL-CDR3、VH-CDR1、VH-CDR2およびVH-CDR3アミノ酸配列を含み、前記VL-CDR1、VL-CRD2、VL-CDR3、VH-CDR1、VH-CDR2およびVH-CDR3アミノ酸配列は、それぞれ、SEQ ID NO:7、8、9、11、12および13、SEQ ID NO:15、16、17、19、20および21、SEQ ID NO:23、16、24、26、27および28、SEQ ID NO:30、16、31、33、34および35、SEQ ID NO:44、45、46、48、49および50、SEQ ID NO:52、45、53、55、56および50、SEQ ID NO:58、59、60、33、62および63、SEQ ID NO:65、66、67、69、70および71、SEQ ID NO:73、74、75、48、77および50、SEQ ID NO:79、80、81、83、84および85、SEQ ID NO:87、45、88、90、91および92、SEQ ID NO:94、45、95、97、98および99、SEQ ID NO:87、45、101、103、104および105、SEQ ID NO:107、45、108、90、91および92、SEQ ID NO:111、45、112、114、115および116、SEQ ID NO:118、119、120、122、123および124、SEQ ID NO:30、45、126、90、128および129、SEQ ID NO:30、132、133、33、34および135、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および135、SEQ ID NO:30、132、158、156、34および135、SEQ ID NO:30、132、161、156、34および135、SEQ ID NO:30、132、164、156、34および135、SEQ ID NO:30、132、167、156、34および135、SEQ ID NO:30、132、170、156、34および135、SEQ ID NO:30、132、173、156、34および135、SEQ
ID NO:30、132、173、156、34および177、SEQ ID NO:30、132、158、156、34および177、SEQ ID NO:30、132、173、156、34および182、SEQ ID NO:30、132、161、156、34および185、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および188、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および190、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および192、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および194、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および196、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および198、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および200、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および202、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および204、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および206、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および208、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および210、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および212、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および214、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および216、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および218、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および220、SEQ ID NO:30、132、156、156、34および135、SEQ ID NO:30、132、156、156、34および177、SEQ ID NO:30、132、161、156、34および177、SEQ ID NO:30、132、156、156、34および227、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および230、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および233、SEQ ID NO:30、132、133、156、34および236、SEQ ID NO:238、239、133、156、241および135、SEQ ID NO:238、24
3、133、156、245および135、またはSEQ ID NO:238、247、133、156、249および135と一致するか、あるいは一つまたは複数のCDR中の三つ、二つまたは一つのアミノ酸での置換を除いて一致する。
【0022】
別の実施形態は、CLDN18.2に結合する単離された抗体またはそのフラグメントに関し、少なくとも一つの軽鎖可変領域(VL)および少なくとも一つの重鎖可変領域(VH)を含み、ここで、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:6、14、22、29、43、51、57、64、72、78、86、93、100、106、110、117、125、130、131、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、157、160、163、166、169、172、175、178、180、183、186、221、224、228、231、234、237、242または246のアミノ酸配列を含み、ここで、重鎖可変領域は、SEQ ID NO:10、18、25、32、47、54、61、68、76、82、89、96、102、109、113、121、127、134、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、159、162、165、168、171、174、176、179、181、184、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、222、223、225、226、229、232、235、240、244または248から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
別の実施形態は、CLDN18.2に結合する単離された抗体に関し、実質的に、SEQ ID NO:250および251、252および253、254および255、256および257、258および259、260および261、262および263、264および265、266および267、268および269、270および271、272および273、274および275、276および277、278および279、280および281、282および283、284および285、286および287、288および289、290および291、292および293、294および295、296および297、298および299、300および301、302および303、304および305、306および307、308および309、310および311、312および313、314および315、316および317、318および319、320および321、322および323、324および325、326および327、328および329、330および331、332および333、334および335、336および337、338および339、340および341、342および343、344および345、346および347、348および349、350および351、352および353、354および355、356および357、358および359、360および361のアミノ酸配列からなる軽鎖および重鎖を含む。
【0024】
一態様において、抗体またはその抗体フラグメントを説明し、ここで、抗体の軽鎖可変ドメイン(VL)は、アミノ酸配列を有し、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:6、14、22、29、43、51、57、64、72、78、86、93、100、106、110、117、125、130、131、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、157、160、163、166、169、172、175、178、180、183、186、221、224、228、231、234、237、242または246から選択される参照アミノ酸配列と少なくとも約90%~約100%の同一性を有する。
【0025】
別の態様において、単離された結合分子(例えば、抗体)またはその抗原結合フラグメントを説明し、ここで、抗体の重鎖可変ドメイン(VH)は、アミノ酸配列を有し、前記アミノ酸配列は、SEQ ID NO:10、18、25、32、47、54、61、68、76、82、89、96、102、109、113、121、127、134、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、159、162、165、168、171、174、176、179、181、184、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、222、223、225、226、229、232、235、240、244または248から選択される参照アミノ酸配列と少なくとも約90%~約100%の同一性を有する。
【0026】
別の態様において、CLDN18.2に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合フラグメントを説明し、ここで、抗体または抗原結合フラグメントは、軽鎖可変ドメイン(VL)を有し、前記軽鎖可変ドメイン(VL)は、SEQ ID NO:6、14、22、29、43、51、57、64、72、78、86、93、100、106、110、117、125、130、131、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、157、160、163、166、169、172、175、178、180、183、186、221、224、228、231、234、237、242または246から選択される参照アミノ酸配列と少なくとも約90%~約100%一致する配列を有し、ここで、抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメイン(VH)を有し、前記重鎖可変ドメイン(VH)は、SEQ ID NO:10、18、25、32、47、54、61、68、76、82、89、96、102、109、113、121、127、134、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、159、162、165、168、171、174、176、179、181、184、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、222、223、225、226、229、232、235、240、244または248から選択される参照アミノ酸配列と少なくとも約90%~約100%一致する配列を有する。
【0027】
別の態様において、抗体またはその抗体フラグメントを説明し、実質的にSEQ ID NO:154からなる軽鎖可変ドメイン(VL)、および実質的にSEQ ID NO:155からなる重鎖可変ドメイン(VH)を有する。
【0028】
別の態様において、抗体またはその抗体フラグメントを説明し、実質的にSEQ ID NO:160からなる軽鎖可変ドメイン(VL)、および実質的にSEQ ID NO:162からなる重鎖可変ドメイン(VH)を有する。
【0029】
別の態様において、抗体またはその抗体フラグメントを説明し、実質的にSEQ ID NO:231からなる軽鎖可変ドメイン(VL)、および実質的にSEQ ID NO:232からなる重鎖可変ドメイン(VH)を有する。
【0030】
別の態様において、抗体またはその抗体フラグメントを説明し、実質的にSEQ ID NO:237からなる軽鎖可変ドメイン(VL)、および実質的にSEQ ID NO:240からなる重鎖可変ドメイン(VH)を有する。
【0031】
別の態様において、抗体またはその抗体フラグメントを説明し、実質的にSEQ ID NO:242からなる軽鎖可変ドメイン(VL)、および実質的にSEQ ID NO:244からなる重鎖可変ドメイン(VH)を有する。
【0032】
別の態様において、本明細書に記載の抗体またはその抗体フラグメントおよびキャリアを含む組成物を説明する。別の態様において、本明細書に記載の抗体またはその抗体フラグメントをコードする配列を含む核酸を説明する。
【0033】
別の態様において、本発明による核酸を含む組成物を説明する。
【0034】
別の態様において、本明細書に記載の核酸を含むベクターを説明する。
【0035】
別の態様において、核酸配列、組成物またはベクターを含む宿主細胞を説明する。
【0036】
別の態様において、本明細書は、CLDN18.2抗原および/またはCLDN18.2を発現する核酸および/または細胞またはそのペプチドフラグメントの精製または濃縮された製剤を説明する。
【0037】
別の態様において、本明細書に記載の抗体またはその抗体フラグメントを調製する方法を説明し、本明細書に記載の核酸配列、組成物またはベクターを含む細胞、および本明細書に記載の抗体またはその抗体フラグメントを培養するステップを含む。
【0038】
一態様において、前記抗体またはその抗体フラグメントは、モノクローナル、キメラまたはヒト抗体であり、かつIgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAl、IgA2、分泌性IgA、IgDおよびIgE抗体から選択されることができる。
【0039】
別の態様において、CLDN18.2に特異的に結合するが、CLDN18.1には結合しない単離された抗体またはその抗体フラグメントを説明する。
【0040】
一実施形態において、本明細書に記載の単離された抗体またはその抗体フラグメントを説明し、CLDN18.2に結合しかつクローディン18.2を発現する、例えば、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がん等の腫瘍関連疾患を含む、細胞関連疾患を治療および/または予防する治療剤として使用されることができる。具体的な実施形態において、抗CLDN18.2抗体は、胃がんを治療および/または予防するために使用される有用な治療剤である。いくつかの別の実施形態において、抗CLDN18.2抗体および癌免疫サイクルを標的とする他の試薬(例えば、抗PD-1または抗PD-L1抗体)を特徴とする治療の組み合わせおよび前記腫瘍関連疾患を治療することができるそのような組み合わせを使用する方法も提供する。
【0041】
一態様において、CLDN18を発現する細胞に抗体を結合することによって、またはCLDN18.2を発現する細胞に抗体を結合することによって、前記抗体が細胞を死滅するように誘導することができる。別の態様において、CLDN18.1を発現する細胞に対する結合は、前記細胞の死滅を誘導しない。CLDN18.2を発現する細胞は、癌細胞であり得、特に、腫瘍形成性胃がん細胞、食道がん細胞、膵臓がん細胞、肺がん細胞、卵巣がん細胞、結腸がん細胞、肝臓がん細胞、頭頚部がん細胞および胆嚢がん細胞から選択されることができる。
【0042】
別の態様において、抗体またはその抗体フラグメントを説明し、CLDN18.2に結合しかつCLDN18.2を発現する細胞の死滅を媒介する能力を有する。好ましくは、抗体は、CLDN18.1およびCLDN18.2に結合し、より好ましくは、CLDN18.2に結合するが、CLDN18.1には結合しない。好ましくは、前記細胞で発現されるCLDN18.2に抗体を結合することによって、本明細書に記載の前記抗体が細胞を死滅するように誘導する。CLDN18.2を発現する細胞は、好ましくは、癌細胞であり、いくつかの実施形態において、発癌性胃がん細胞、食道がん細胞、膵臓がん細胞、肺がん細胞、卵巣がん細胞、結腸がん細胞、肝臓がん細胞、頭頚部がん細胞および胆嚢がん細胞から選択される。
【0043】
いくつかの実施形態において、前記抗体は、補体依存性細胞毒性(CDC)媒介性溶解、抗体依存性細胞毒性(ADCC)媒介性溶解、アポトーシス、ホモタイプ接着および/または食作用を誘導し、好ましくは、CDC媒介性溶解および/またはADCC媒介性溶解を誘導して細胞の死滅を媒介する。
【0044】
いくつかの別の実施形態において、単核球、単核細胞、NK細胞およびPMNから選択されるエフェクター細胞の存在下で、ADCC媒介細胞の溶解が発生し、食作用は、マクロファージによって行われる。
【0045】
本明細書に記載のすべての態様によれば、CLDN18.2は、好ましくは、ヒトCLDN18.2であり、好ましくはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列を有する。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記抗体は、生細胞表面に存在するCLDN18.2の天然のエピトープに結合する。別の実施形態において、前記抗体は、癌細胞、好ましくは、胃がん細胞に特異的である。
【0047】
一態様において、前記抗体は、次のようなステップを含む方法で得ることができる。SEQ ID NO:1、2または3から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質もしくはペプチドまたはその免疫原性フラグメント、または前記タンパク質もしくはペプチドを発現する核酸または宿主細胞またはその免疫原性フラグメントで動物を免疫させる。好ましくは、前記抗体は、前記タンパク質、ペプチドまたはその免疫原性フラグメントに対して特異性を有する。前記抗体は、本明細書では、5C9等の抗体を生成するクーロンを指すことによって示される。
【0048】
別の態様において、大規模な抗体ライブラリーからのファージ表示選択によって前項抗体を得ることができる。好ましくは、前記抗体は、次のような方法で得ることができる。SEQ ID No:2または3から選択されるアミノ酸配列を有するタンパク質もしくはペプチドを使用して、一本鎖可変フラグメント(scFv)または抗原結合フラグメント(Fab)またはF(ab’)2フラグメントのヒト組換え変異体に対してファージ表示スクリーニングする。
【0049】
別の態様において、CLDN18.2を発現する細胞の増殖を阻害するための、および/またはCLDN18.2を発現する細胞を死滅するための方法を説明し、当該方法は、細胞を有効量の前記抗体と接触させるステップを含む。いくつかの実施形態において、CLDN18.2は、細胞表面上に発現される。
【0050】
別の態様において、CLDN18.2を発現する細胞に関する疾患または病症を治療または予防する的方法を説明し、当該方法は、本明細書に記載の抗体を被験者に投与するステップを含む。好ましくは、疾患または病症は、腫瘍関連疾患であり、前記具体的な実施形態において、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がんから選択される。いくつかの実施形態において、CLDN18.2は、細胞表面に発現される。
【0051】
好ましい実施形態において、本明細書に記載の抗体は、CLDN18.2に結合する能力を有するが、CLDN18.1変異体には結合しないか、またはCLDN18.2に対する結合親和性よりも低い親和性でCLDN18.1に結合する。
【0052】
「結合」という用語は、一つの分子または試薬と別の分子との間の特異的結合を指す。「特異的に結合する」という用語は、分子または試薬(抗体等)が標的(エピトープ等)により強く結合し、別の標的への結合と比較して、当該エピトープに特異的であることを意味する。試薬が第2の標的の解離定数よりも低い「解離定数」または「KD」で第1の標的に結合する場合、第1の標的への試薬の結合は、第2の標的の結合よりも強い。好ましくは、試薬が特異的に結合する標的の解離定数(KD)は、試薬が特異的に結合しない標的の解離定数(KD)の1/10未満であり、好ましくは、1/20未満であり、より好ましくは、1/50未満であり、さらに好ましくは、1/100、1/200、1/500または1/1000未満である。
【0053】
本明細書に記載の抗体は、CLDN18.2(好ましくは、これらの細胞の表面で発現する)を発現する細胞の死滅を媒介する。
【0054】
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、例えば、少なくとも約20%のCDC媒介性溶解、代替可能に、少なくとも約20~40%のCDC媒介性溶解、代替可能に、約40~50%のCDC媒介性溶解、および代替可能に、50%を超えるCDC媒介CLDN18.2を発現する細胞の溶解等の補体依存性細胞毒性(CDC)を誘導する。これらの抗体の例としては、15G11、9A1、5C9、5H1、1D5、8C5、9F1、7A10、8C12、14D7、5H7、5G7、4G3、14B7、7H1、5H1、15B5またはそのキメラまたはヒト化形態(humanized version)等の抗体を含み、実質的に、SEQ ID NO:250および251、252および253、254および255、256および257、258および259、260および261、262および263、264および265、266および267、268および269、270および271、272および273、274および275、276および277、278および279、280および281、282および283、284および285、286および287、288および289、290および291、292および293、294および295、296および297、298および299、300および301、302および303、304および305、306および307、308および309、310および311、312および313、314および315、316および317、318および319、320および321、322および323、324および325、326および327、328および329、330および331、332および333、334および335、336および337、338および339、340および341、342および343、344および345、346および347、348および349、350および351、352および353、354および355、356および357、358および359、360および361ののアミノ酸配列からなる軽鎖と重鎖を含む。
【0055】
代替可能に、またはCDCを誘導することに加えて、本明細書に記載の抗体は、エフェクター細胞(例えば、単球、単核細胞、NK細胞およびPMN)の存在下でCLDN18.2を発現する細胞の抗体依存性細胞毒性(ADCC)を誘導することができる。これらの抗体の例としては、15G11、9A1、5C9、5H1、1D5、8C5、9F1、7A10、8C12、14D7、5H7、5G7、4G3、14B7、7H1、5H1、15B5またはそのキメラまたはヒト化形態等の抗体を含み、実質的に、SEQ ID NO:250および251、252および253、254および255、256および257、258および259、260および261、262および263、264および265、266および267、268および269、270および271、272および273、274および275、276および277、278および279、280および281、282および283、284および285、286および287、288および289、290および291、292および293、294および295、296および297、298および299、300および301、302および303、304および305、306および307、308および309、310および311、312および313、314および315、316および317、318および319、320および321、322および323、324および325、326および327、328および329、330および331、332および333、334および335、336および337、338および339、340および341、342および343、344および345、346および347、348および349、350および351、352および353、354および355、356および357、358および359、360および361のアミノ酸配列からなる軽鎖と重鎖を含む。
【0056】
前記抗体は、CLDN18.2を発現する細胞のアポトーシスを誘導し、CLDN18.2を発現する細胞のホモタイプ接着を誘導し、および/またはマクロファージの存在下でCLDN18.2を発現する細胞の食作用を誘導する能力を有することができる。本明細書に記載の抗体は、前述機能特性の中の一つまたは複数を有することができる。いくつかの実施形態において、好ましくは、前記抗体は、CLDN18.2を発現する細胞のCDC媒介性溶解およびADCC媒介性溶解、より好ましくは、CLDN18.2を発現する細胞のADCC媒介性溶解を誘導するが、前記細胞のCDC媒介性溶解を誘導しない。本明細書に記載の抗体の例示的な標的細胞は、例えば、腫瘍形成性胃がん細胞、膵臓がん細胞、食道がん細胞および肺がん細胞等の、CLDN18.2を発現する癌細胞を含むが、これらに限定されない。具体的な好ましい実施形態において、本明細書に記載の抗体媒介細胞の死滅は、CLDN18.2に特異的あり、即ち、本明細書に記載の抗体は、CLDN18.2を発現する細胞の死滅(好ましくは、CDCおよび/またはADCC媒介細胞溶解)を媒介するが、CLDN18.1を発現するが、CLDN18.2を発現しない細胞の死滅は媒介しない。本明細書に記載の抗体は、腫瘍細胞の死滅を媒介して、例えば、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がん等の癌の治療または予防するために使用されることができる。
【0057】
一態様において、本明細書に記載の抗体は、異なる種に由来することができ、マウス、ラット、ウサギ、モルモットおよびヒトを含むが、これらに限定されない。
【0058】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、キメラ分子をさらに含み、ここで、一つの種、好ましくは、ヒトに由来する抗体定常領域が、別の種に由来する抗原結合部位と組み合わされる。
【0059】
さらに、いくつかの別の実施形態において、本明細書に記載の抗体は、ヒト化分子を含み、ここで、非ヒト種に由来する抗体の抗原結合部位は、ヒト起源の定常領域およびフレームワーク領域に結合する。
【0060】
本明細書に記載の抗体は、好ましくは、約0.1~1000nMまたはより小さい解離平衡定数(KD)でCLDN18.2から解離する。
【0061】
好ましくは、本明細書に記載の抗体は、関連細胞表面抗原と交差反応せず、従って、そのその阻害を阻害しなる。
【0062】
さらに別の態様において、薬物および診断用組成物/キット等の組成物を説明し、本明細書に記載の抗体の一つまたは組み合わせで調製された薬学的に許容されるキャリアを含む。具体的な実施形態において、組成物は、抗体の組み合わせを含み、前記抗体は、異なるエピトープに結合するか、またはCDCおよび/またはADCCの誘導やアポトーシスの誘導等、異なる機能特徴を有する。当該実施形態において、抗体は、例えば、二つまたは複数の抗CLDN18.2モノクローナル抗体を含む医薬組成物として、組み合わせて使用することができる。例えば、異なるが相補的な活性を有する抗CLDN18.2抗体は、所望の治療効果を達成するために、単剤治療法に組み合わせることができる。一実施形態において、組成物は、アポトーシスを誘導する別の抗CLDN18.2抗体と組み合わせて、CDCを媒介する抗CLDN18.2抗体を含む。別の実施形態において、組成物は、CLDN18.2を発現する細胞の増殖を阻害する別の抗CLDN18.2抗体と組み合わせて、エフェクター細胞の存在下で標的細胞の高効率死滅を媒介する抗CLDN18.2抗体を含む。
【0063】
さらに、本明細書に記載の二つまたは複数の抗CLDN18.2抗体の同時または順に投与を含み、ここで、少なくとも一つの抗体は、キメラ抗CLDN18.2抗体であり、少なくとも一つの他の抗体は、ヒト抗CLDN18.2抗体であり、前記抗体は、CLDN18.2の同じまたは異なるエピトープに結合する。好ましくは、まず、本明細書に記載のキメラCLDN18.2抗体を投与し、次に本明細書に記載のヒト抗CLDN18.2抗体を投与し、ここで、いくつかの好ましい実施形態において、ヒト抗CLDN18.2抗体は、維持治療法などの延長された期間内に投与される。
【0064】
従って、本明細書に記載の抗体は、このような疾患を有する抗体を投与することにより、CLDN18.2を発現する細胞に関する様々な疾患の治療および/または予防に使用されることができる。治療(例えば、改善)または予防することができる定時的な疾患は、腫瘍形成性疾患を含むが、これらに限定されない。予防および/または治療することができる腫瘍形成性疾患の例としては、胃がん、膵臓がん、食道がん、肺がん、卵巣がん、結腸直腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がんを含む。
【0065】
いくつかの別の実施形態は、別の治療プロトコルと組み合わせて本明細書に記載の抗体を含む、併用治療法を含む。例えば、具体的な実施形態において、本明細書に記載の抗体が投与された被験者は、化学治療剤、放射線または(例えば、増強または阻害)Fc受容体(例えば、Fcγ受容体)の発現または活性を調節する試薬(例えば、サイトカイン)でさらに治療される。治療中に投与される典型的なサイトカインは、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロン-γ(IFN-γ)および腫瘍壊死因子(TNF)を含む。例示的な治療剤は、特に、例えば、ドキソルビシン、シスプラチン、タキソテール、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ゲムシタビンおよびシクロホスファミド等の、抗腫瘍剤を含む。
【0066】
さらに別の態様において、ヒトCLDN18.2またはそのペプチドフラグメント、好ましくは、CLDN18.2またはそのペプチドフラグメントを使用して、マウス等の非ヒト動物を免疫化して、抗体を得る、免疫戦略を説明する。免疫に使用される例示的なペプチドは、SEQ ID NO:1、2または3から選択されるものである。従って、いくつかの好ましい実施形態において、本明細書に記載の抗体は、SEQ ID NO:2および3から選択されるペプチドを使用する免疫化によって得られたものである。類似的に、トランスジェニックマウス等のトランスジェニック非ヒト動物でCLDN18.2に対する抗体を生成することができる。トランスジェニック非ヒト動物は、抗体をコードする重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子の全部または一部を含む、ゲノムを有するトランスジェニックマウスであり得る。
【0067】
野生型およびトランスジェニック非ヒト動物は、CLDN18.2抗原および/またはCLDN18.2を発現する核酸および/または細胞またはそのペプチドフラグメントの精製または濃縮された製剤で免疫化されることができる。好ましくは、非ヒト動物は、V-D-J組換えおよびアイソタイプスイッチングを介して、CLDN18.2に対するヒトモノクローナル抗体の複数のアイソタイプ(例えば、IgG、IgAおよび/またはIgM)を生成することができる。アイソタイプスイッチングは、例えば、古典的または非古典的なアイソタイプスイッチングによって発生することができる。
【0068】
従って、さらに別の態様において、上記のように非ヒト動物から単離されたB細胞を説明する。単離されたB細胞は、不死化細胞との融合によって不死化されて、前記抗体の供給源(例えば、ハイブリドーマ)を提供することができる。このように行う方法は、当業者に知られている。このようなハイブリドーマ(即ち、本明細書に記載の抗体を生成する)もまた本明細書に含まれる。
【0069】
本明細書に例示されるように、前記抗体は、抗体を発現するハイブリドーマから直接得ることができるか、または宿主細胞(例えば、CHO細胞またはリンパ球)においてクローニングされかつ組換え発現されることができる。宿主細胞のさらなる例は、大腸菌などの微生物、および酵母などの真菌である。代替可能に、それらは、トランスジェニック非ヒト動物または植物において、組換え的に生成することができる。
【0070】
上記で使用される「フラグメント」または「アミノ酸配列のフラグメント」という用語は、抗体配列の一部、即ち、N-および/またはC-末端で短縮される抗体配列を表す配列に関し、これが抗体の前記抗体配列を代替する場合、CLDN18.2への抗体の結合は保持され、好ましくは、CDC媒介性溶解またはADCC媒介性溶解等の本明細書に記載の抗体の機能が保持される。好ましくは、アミノ酸配列のフラグメントは、前記アミノ酸配列から由来される少なくとも80%、好ましくは、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%のアミノ酸残基または提供される例示的パーセンテージの間の任意のパーセンテージのアミノ酸残基を含む。本明細書に記載のアミノ酸配列のフラグメントは、前記アミノ酸配列をコードする核酸配列に対応するフラグメントによってコードされることができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗体は、軽鎖可変ドメイン(VL)および重鎖可変ドメイン(VH)の組み合わせを含み、ここで、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:14、22、29、43、51、57、64、72、78、86、93、100、106、110、117、125、130、131、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、157、160、163、166、169、172、175、178、180、183、186、221、224、228、231、234、237、242または246中のいずれか一つのアミノ酸配列を含み、および、前記重鎖可変領域は、SEQ ID NO:18、25、32、47、54、61、68、76、82、89、96、102、109、113、121、127、134、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、159、162、165、168、171、174、176、179、181、184、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、222、223、225、226、229、232、235、240、244または248からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0072】
好ましい実施形態において、本明細書に記載の抗体は、以下の可能性(i)~(vi)から選択される軽鎖可変ドメイン(VL)および重鎖可変ドメイン(VH)の組み合わせを含み、
(i) VLは、SEQ ID NO:154のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVHは、SEQ ID NO:155のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、
(ii) VLは、SEQ ID NO:160のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVHは、SEQ ID NO:162のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、
(iii) VLは、SEQ ID NO:224のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVHは、SEQ ID NO:225のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、
(iv) VLは、SEQ ID NO:231のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVHは、SEQ ID NO:232のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、
(v) VLは、SEQ ID NO:237のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVHは、SEQ ID NO:240のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、
(vi) VLは、SEQ ID NO:242のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含み、およびVHは、SEQ ID NO:244のアミノ酸配列またはそのフラグメントを含む。
【0073】
別の実施形態において、本明細書に記載の抗体は、再表面化またはヒト化形態を含み、ここで、抗体またはそのフラグメントの表面に露出された残基は、軽鎖と重鎖の両方で置換されて、既知のヒト抗体の表面により類似している。マウス抗体またはキメラ抗体と比較して、このようなヒト抗体は、治療剤または診断剤としての效用を向上させることができる。本明細書は、軽鎖と重鎖可変領域のそれぞれのアミノ酸配列、軽鎖と重鎖可変領域の遺伝子のDNA配列、CDRの同定、その表面アミノ酸の同定および組換え形態でそれらを発現する方法に対する開示された内容にしたがって、抗体のヒト化形態を特徴づける。
【0074】
好ましい態様において、本明細書に記載の抗体または抗体フラグメントは、改善された性質を有する。例えば、本明細書は、CLDN18.2に対する親和性が改善された抗体または抗体フラグメントを調製しかつ説明する。
【0075】
本明細書で言及される「その重鎖に関して特定の鎖または特定の領域または配列を含む抗体」は、好ましくは、抗体のすべての重鎖が特定の鎖、領域または配列を含む場合に関する。これは、抗体の軽鎖に対応して適用される。
【0076】
他の実施形態は、本明細書に記載の抗体またはその一部(例えば、抗体鎖)をコードする遺伝子または核酸配列を含む核酸に関する。核酸は、プラスミド、コスミド、ウイルス、ファージまたは遺伝子工学で一般に使用される別のベクター等のベクターに含まれることができる。ベクターは、適切な宿主細胞において適切な条件下でベクターの選択を可能にする、マーカー遺伝子等の、別の遺伝子を含むことができる。さらに、ベクターは、コード領域が適切な宿主において正しく発現されることを可能にする、発現制御要素を含むことができる。このような制御要素は、当業者に知られており、プロモーター、スプライスカセットおよび翻訳開始コドンを含むことができる。
【0077】
いくつかの実施形態において、前記核酸は、発現制御配列に作動可能に付着させることができることにより、真核細胞または原核細胞での発現を可能にする。真核細胞または原核細胞での発現を確実にする制御要素は、当業者に知られている。
【0078】
前記核酸分子を構築するために方法、前記核酸分子を含むベクターを構築するための方法、ベクターを適切に選択された宿主細胞に導入するための方法、発現を誘導または実現するための方法は、当技術分野でよく知られている。
【0079】
別の実施形態は、本明細書に開示された核酸またはベクターを含む宿主細胞に関する。
【発明の効果】
【0080】
本明細書に記載の実施形態の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】GFPにカップリングされたCLD18.2トランスフェクトされたHEK293細胞の蛍光分析の写真を示し、かつ細胞膜上の融合タンパク質の発現を証明する図である。
【
図2】CLD18.2でトランスフェクトされかつ細胞膜上でモノクローナル抗体3B8ト反応したHEK293細胞の免疫蛍光分析の写真である。
【
図3】フローサイトメトリーによって分析されたモノクローナル抗体3B8トGFPおよびヒトCLD18.2で一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞との結合を示す図である。
【
図4】ELISAベースの測定によるモノクローナル抗体3B8とGFPおよびヒトCLD18.2で一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞との結合の棒グラフを示す。
【
図5】フローサイトメトリーによって分析されたモノクローナル抗体3B8とGFPおよびヒトCLD18.2で一過性にトランスフェクトされたHEK293細胞との結合親和性評価の図である。様々な濃度のモノクローナル抗体(0.01、0.1、1、2、10μg/ml)が使用され、抗体3B8の結合EC50は、1~2μg/mlである。
【
図6】HEK293-T、HEK293-CLDN18.2およびHEK293-CLDN18.1細胞に対する抗CLDN18.2-15G11のフローサイトメトリー分析を示す図である。データーは、モノクローナル抗体15G11がCLDN18.2に結合するが、CLDN18.1には結合しないことを示す。
【
図7】HEK293-T、HEK293-CLDN18.2およびHEK293-CLDN18.1細胞に対する抗CLDN18.2-9A1のフローサイトメトリー分析を示す図である。データーは、モノクローナル抗体9A1がCLDN18.2に結合するが、CLDN18.1には結合しないことを示す。
【
図8】HEK293-T、HEK293-CLDN18.2およびHEK293-CLDN18.1細胞に対する抗CLDN18.2-5C9のフローサイトメトリー分析を示す図である。データーは、モノクローナル抗体5C9がCLDN18.2に結合するが、CLDN18.1には結合しないことを示す。
【
図9】Elisaベースの分析によるクローディン18.2に対する抗CLDN18.2-15G11の結合親和性の図である。
【
図10】Elisaベースの分析によるクローディン18.2に対する抗CLDN18.2-9A1の結合親和性の図である。
【
図11】Elisaベースの分析によるクローディン18.2に対する抗CLDN18.2-5C9の結合親和性の図である。
【
図12】Elisaベースの分析によるマウスモノクローナル抗CLDN18.2抗体5C9、15G11、9A1、1D5、7A10および8C12の結合親和性測定の図である。
【
図13】Elisaベースの分析によるマウスモノクローナル抗CLDN18.2抗体14D7、4G3、5H7、5H8、14B7、5H1-2、15B5、5G7の結合親和性測定の図である。
【
図14】Elisaベースの分析によるヒト化モノクローナル抗CLDN18.2抗体h5C9o、h5C9a、h5C9nの結合親和性測定の図である。
【
図15】Elisaベースの分析によるヒト化モノクローナル抗CLDN18.2抗体h5C9o、h5C9o Fc mu、h5C9ob、h5C9oae、h5C9oan、h5C9oaoの結合親和性測定の図である。
【
図16】Elisaベースの分析によるヒト化モノクローナル抗CLDN18.2抗体h5C9oa、h5C9ob、h5C9oc、h5C9od、h5C9oe、h5C9of、h5C9og、h5C9oh、h5C9oi、h5C9oj、h5C9oの結合親和性測定の図である。
【
図17】Elisaベースの分析によるヒト化モノクローナル抗CLDN18.2抗体h5C9ok、h5C9ol、h5C9om、h5C9on、h5C9oo、h5C9op、h5C9oq、h5C9osの結合親和性測定の図である。
【
図18】Elisaベースの分析によるヒト化モノクローナル抗CLDN18.2抗体h5C9or、h5C9ot、h5C9ou、h5C9ov、h5C9ow、h5C9ox、h5C9oy、h5C9oz、h5C9oaaの結合親和性測定の図である。
【
図19】Elisaベースの分析によるヒト化モノクローナル抗CLDN18.2抗体 h5C9ob、h5C9oab、h5C9oad、h5C9oaf、h5C9oaj、h5C9oak、h5C9oal、h5C9oamの結合親和性測定の図である。
【
図20】Elisaベースの分析によるヒト化モノクローナル抗CLDN18.2抗体h5C9ob、h5C9oh、h5C9oi、h5C9oj、h5C9oae、h5C9oag、h5C9oah、h5C9oaiの結合親和性測定の図である。
【
図21】Elisaベースの分析によるヒト化モノクローナル抗CLDN18.2抗体h5C9o Fc mu、h5C9ob、h5C9oap、h5C9oaq、h5C9oao、h5C9oaeの結合親和性測定の図である。
【
図22】Elisaベースの分析によるヒト化モノクローナル抗CLDN18.2抗体h5C9o Fc mu、h5C9ob、h5C9oap、h5C9oaq、h5C9oao、h5C9oae、h5C9oarの結合親和性測定の図である。
【
図23】SDS-PAGE電気泳動によるマウスモノクローナル抗CLDN18.2抗体5C9、15G11、9A1、1D5、7A10および8C12の純度分析の写真である。
【
図24】SDS-PAGE電気泳動によるマウスモノクローナル抗CLDN18.2抗体14D7、4G3、5H7、5G7、5H8、14B7、5H1-1、15B5の純度分析の写真である。
【
図25】クローディン18.2およびクローディン18.1に対するマウスモノクローナル抗CLDN18.2抗体7H1の結合親和性および選択性分析の図である。
【
図26】クローディン18.2およびクローディン18.1、ヒトIgG(対照として)に対するキメラ抗CLDN18.2抗体ch5C9、ch15G11およびch9A1の結合親和性および選択性分析の図である。
【
図27】クローディン18.2およびクローディン18.1に対するヒト化抗CLDN18.2抗体ch5C9oの結合親和性および選択性分析の図である。
【
図28】細胞ベースのElisa分析によるHEK_CLDN18.2細胞に結合するが、HEK293T細胞には結合しない、クローディン18.2エピトープのヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9oを示す図である。
【
図29】細胞ベースのElisa分析によるHEK_CLDN18.2細胞上のクローディン18.2エピトープに結合するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9o、h5C9o Fc mu、h5C9ob、h5C9oae、h5C9oan、h5C9oaoを示す図である。
【
図30】細胞ベースのElisa分析によるHEK_CLDN18.2細胞上のクローディン18.2エピトープに結合するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9o Fc mu、h5C9ob、h5C9oae、h5C9oag、h5C9oai、h5C9oan、h5C9oaoを示す図である。
【
図31】Alexa Fluor 488標識分析によるヒト抗体h5C9o内在化測定の写真である。
【
図32】キメラ抗クローディン18.2抗体ch5C9、ch15G11およびch9A1媒介補体依存性細胞毒性(CDC)を比較する図を示す。
【
図33】HEK293T細胞ではない、クローディン18.2を発現するHEK293細胞でキメラ抗クローディン18.2抗体ch5C9媒介CDC効果を示す図である。
【
図34】HEK293T細胞ではない、クローディン18.2を発現するHEK293細胞でヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9o媒介CDC効果を示す図である。
【
図35】クローディン18.2を発現するHEK293細胞に対するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9o Fc mu、h5C9ob、h5C9oap、h5C9oaq、h5C9oao、h5C9oae、h5C9oar媒介CDC効果を示す。
【
図36】クローディン18.2を発現するHEK293細胞に対するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9o Fc mu、h5C9ob、h5C9oap、h5C9oaq、h5C9oao、h5C9oae媒介CDC効果を示す図である。
【
図37】CLDN18.2を一時的に発現するHEK_CLDN18.2細胞に対するキメラ抗クローディン18.2抗体ch5C9、ch15G11およびch9A1媒介ADCC効果を示す図である。
【
図38】CLDN18.2を安定的に発現するHEK_CLDN18.2細胞に対するキメラ抗クローディン18.2抗体ch5C9、ch7H1媒介ADCC効果を示す図である。
【
図39】CLDN18.2を発現するNUGC4細胞に対するキメラ抗クローディン18.2抗体ch7H1媒介ADCC効果を示す図である。
【
図40】CLDN18.2を発現するKATO III細胞に対するキメラ抗クローディン18.2抗体ch5C9媒介ADCC効果を示す図である。
【
図41】CLDN18.2を発現するKATO III細胞に対するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9o媒介ADCC効果を示す図である。
【
図42】CLDN18.2を安定的に発現するHEK_CLDN18.2細胞に対するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9oab、h5C9oaf、h5C9oag、h5C9oaj、h5C9oak、h5C9oam媒介ADCC効果を示す図である。
【
図43】CLDN18.2を安定的に発現する的HEK_CLDN18.2細胞に対するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9oab、h5C9oaf、h5C9oag、h5C9oaj、h5C9oanおよびh5C9oh媒介ADCC効果を示す図である。
【
図44】CLDN18.2を安定的に発現するHEK_CLDN18.2細胞に対するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9oao、h5C9oaq、h5C9oar、h5C9oai、h5C9oae媒介ADCC効果を示す図である。
【
図45】CLDN18.2を安定的に発現するHEK_CLDN18.2細胞に対するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9oFc、h5C9oao、h5C9oae、h5C9ob、h5C9oap、h5C9oaq媒介ADCC効果を示す図である。
【
図46】CD1マウスにおけるヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9oの薬物動態研究の結果を示す図である。
【
図47】ヌードマウスで腫瘍細胞異種移植片上のCLDN18.2-陽性腫瘍にh5C9oを標的化することにより、腫瘍の形成および増殖の阻害を示す図である。
【
図48】インビボで腫瘍異種移植片を有するh5C9o治療されたマウスの延命効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本明細書は、細胞表面上の膜タンパク質クローディン18.2に特異的に結合する、新しく改良された抗体の発見を説明する。CLDN18.2を発現する細胞への抗体またはその抗体フラグメント結合は、補体依存性細胞毒性(CDC)媒介性溶解、抗体依存性細胞毒性(ADCC)媒介性溶解、アポトーシス、ホモタイプ接着または食作用中の少なくとも一つを誘導して、CLDN18.2を発現する細胞の死滅を媒介する。本明細書に記載の抗体または抗体フラグメントは、以前に知られている抗クローディン18.2抗体よりも改善された特性(改善されたクローディン18.2への結合親和性または安定性を含む)または薬物動態特性を有する。前記抗CLDN18.2抗体またはその抗体フラグメントを含む関連するポリヌクレオチド、ベクター、医薬組成物をさらに提供する。さらに、本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体および抗体フラグメントを調製する方法、ならびに本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体および抗体フラグメントを使用する方法は、例えば、被験者の癌を診断する方法および治療する方法(直接治療法、補助治療法および/または併用治療法)において提供される。さらに、抗CLDN18.2抗体(例えば、5C9)および癌免疫循環の別の態様を標的とする一つまたは複数の試薬(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体)を特徴とする治療の組み合わせ、ならびに腫瘍媒介性免疫阻害を減少させるためにそのような組み合わせを使用する方法をさらに説明する。
【0083】
いくつかの態様において、単離されたモノクローナル抗体は、IgA、IgG1-4、IgE、IgMおよびIgD抗体を含む。一実施形態において、抗体は、IgG1抗体であり、さらに特に、IgGl、κまたはIgGl、λアイソタイプである。別の実施形態において、抗体は、IgG3抗体であり、さらに特に、IgG3、κまたはIgG3、λアイソタイプである。さらに別の実施形態において、抗体は、IgG4抗体であり、さらに特に、IgG4、κまたはIgG4、λアイソタイプである。さらに別の実施形態において、抗体は、IgAlまたはIgA2抗体である。さらに別の実施形態において、抗体は、IgM抗体である。
【0084】
一実施形態において、CLDN18を発現する細胞に特異的に結合し、好ましくは、(i)CLDN18.2を発現する細胞に結合し、(ii)発現CLDN18.2を発現しないがCLDN18.1を発現する細胞に結合しない、単離された抗体またはその抗体フラグメントを説明する。前記単離された抗体またはその抗体フラグメントは、好ましくは、(i)CLDN18.2を発現する細胞の死滅を媒介し、(ii)CLDN18.2を発現しないがCLDN18.1を発現する細胞の死滅を媒介しない。
【0085】
別の実施形態において、(i)CLDN18を発現する腫瘍細胞に結合し、(ii)CLDN18を発現する正常胃粘膜細胞に結合しなく、および/または(iii)発現CLDN18を発現する非癌性肺組織細胞に結合しない、単離された抗体またはその抗体フラグメントを説明する。(i)CLDN18を発現する腫瘍細胞の死滅を媒介し、(ii)CLDN18を発現する正常胃粘膜細胞の死滅を媒介しなく、および/または(iii)CLDN18を発現する非癌性肺組織細胞の死滅を媒介しない、単離された抗体またはその抗体フラグメントをさらに含む。
【0086】
CLDN18.2抗原への前記単離された抗体またはその抗体フラグメントの結合は、例えば、補体系を活性化することによって、CLDN18.2を発現する細胞の死滅を媒介することができる。理論に拘束されることなく、CLDN18.2を発現する細胞の死滅は、CLDN18.2を発現する細胞の補体依存性細胞毒性(CDC)、CLDN18.2を発現する細胞のアポトーシス、CLDN18.2を発現する細胞のエフェクター細胞食作用、またはCLDN18.2を発現する細胞のエフェクター細胞抗体依存性細胞毒性(ADCC)の、一つまたは複数のメカニズムによって発生されると考えられる。
【0087】
いくつかの実施形態において、前記単離された抗体またはその抗体フラグメントは、SEQ ID NO:1および2等のCLDN18.1には存在しない、CLDN18.2上のエピトープに結合する。他の実施形態において、前記単離された抗体またはその抗体フラグメントは、SEQ ID NO:1等のCLDN18.2-ループlには存在しないエピトープに結合する。好ましい実施形態において、単離された抗体またはその抗体フラグメントは、CLDN18.1には存在しない、CLDN18.2上のエピトープに結合する。
【0088】
一実施形態において、本明細書に記載の抗体は、再表面化またはヒト化された形態を含み、ここで、抗体またはそのフラグメントの表面に露出した残基は、軽鎖と重鎖の両方で置換されて、既知のヒト抗体の表面より類似する。マウス抗体またはキメラ抗体と比較して、このようなヒト抗体は、治療剤または診断剤としての一層の活用に有用である。
【0089】
前記抗体は、完全ヒト抗体も含む。いくつかの例示的な実施形態において、このような抗体は、非ヒトトランスジェニック動物、例えば、V-D-J組換えおよびアイソタイプスイッチングを介してCLDN18.2に対するヒトモノクローナル抗体の様々なアイソタイプを生成することができるトランスジェニックマウスで生成することができる。このようなトランスジェニック動物は、例えば、米国公開第2003/0017534に開示されかつその全体が本明細書に引用される、ポリクローナル抗体を生成するために使用されるトランスジェニックウサギであり得る。
【0090】
I.一般用語(用語の定義)
【0091】
本発明は、変化することができるため、特定の組成物またはプロセスステップに限定されないことを理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、文脈上明確に別に指定しない限り、単数形「一種」、「一つ」および「当該」という用語は、複数の指示対象を含む。「一種」(または「一つ」)という用語および「一つまたは複数」という用語および「少なくとも一つ」という用語は、本明細書で交換可能に使用することができる。
【0092】
さらに、本明細書で使用される場合、「および/または」は、二つの指定された特徴または構成要素のそれぞれが別の具体的な開示を有するか、または有さないと解釈されるべきである。従って、本明細書の句(例えば、「Aおよび/またはB」)で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むことを意図している。類似的に、「A、Bおよび/またはC」等の句で使用される「および/または」という用語は、A、BおよびC、A、BまたはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、AおよびC、AおよびB、BおよびC、A(単独)、B(単独)、およびC(単独)のそれぞれを含むことを意図している。
【0093】
別に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、生物医学および分子生物学の簡潔な辞書(Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology)、Juo、Pei-Show、第2版、2002年、CRC Press、細胞および分子生物学の辞書(The Dictionary of Cell and Molecular Biology)、第3版、1999年、Academic Press、および生化学および分子生物学のオックスフォード辞書(Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology)2000年改訂、Oxford University Pressは、本開示で使用される多くの用語の一般的な辞書を技術者に提供する。
【0094】
単位、接頭辞および記号は、国際単位系(SI)で公認される形態で表される。数値範囲は、範囲を定義する数値を含む。別に説明されない限り、アミノ酸配列は、アミノ基からカルボキシル基への方向で左から右に書かれる。本明細書で提供される見出しは、すべての態様を限定するものではなく、明細書全体を参照することで得ることができる。相応的に、明細書全体を参照することにより、以下の直接定義された用語をより完全に定義される。
【0095】
本明細書に「含む(comprising)」という言葉で説明される態様を提供しているが、「からなる(consisting of)」および/または「実質的に…からなる(consisting essentially of)」という言葉で説明されるそれ以外の類似の態様をも提供することが理解すべきである。
【0096】
本明細書において、アミノ酸は、一般に知られている3文字の記号またはIUPAC-IUB生化命名委員会が推奨する1文字の記号で示される。同様に、ヌクレオチドは、一般に受け入れられる1文字のコードで示される。
【0097】
本明細書で使用される「CLDN18.2」または「CLDN18.2ポリペプチド」という用語は、密着結合分子クローディン-18タンパク質のアイソタイプ2を指す。UniprotデーターベースでCLDN18.2のヒト形態およびマウス形態に対応する配列を得ることができる。任意のCLDN18.2抗体エピトープを定義する場合、使用されるアミノ酸番号は、シグナル配列残基を含まない成熟CLDN18.2タンパク質のアミノ酸残基を表す。例示的なCLDN18.2ポリペプチドは、SEQ ID No:2で提供される。
【0098】
「CLDN18.2」という用語は、細胞によって天然に発現されるか、またはCLDN18.2遺伝子でトランスフェクトされた細胞上で発現される、ヒトCLDN18.2の翻訳後修飾変異体、アイソタイプおよび種相同体を含む。
【0099】
「CLDN18変異体」という用語は、(i)CLDN18スプライス変異体、(ii)CLDN18-翻訳後修飾変異体、特に異なるN-グリコシル化状態を有する変異体を含み、(iii)CLDN18コンフォメーション変異体、特にCLDN18-コンフォメーション-1、CLDN18-コンフォメーション-2およびCLDN18-コンフォメーション-3を含み、(iv)細胞間の緊密結合に位置する無CLDN18およびCLDN18ホモタイプ/あろタイプ関連変異体、(v)CLDN18癌関連およびCLDN18非癌関連の変異体含むべきである。
【0100】
「阻害」、「遮断」、「抑制」という用語およびそれらの文法的な変異体は、本明細書で交換可能に使用され、活性の完全な遮断を含む、生物学的活性の統計的に有意な減少を指す。例えば、「阻害」は、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%(それらの間のパーセンテージを含む)の生物活性の減少を指すことができる。従って、「阻害」または「抑制」という用語を使用してCLDN18.2の酵素活性に対する効果を説明する場合、当該用語は、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントが、未処理(対照)細胞におけるCLDN18.2-媒介活性と比較して、統計学的にCLDN18.2活性を有意に低下させる能力を指す。CLDN18.2を発現する細胞は、天然に存在する細胞または細胞株(例えば、癌細胞)であり得るか、または可以CLDN18.2をコードする核酸を宿主細胞に導入することによって組換え的に生成することができる。いくつかの態様において、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、生物で気体の可溶性CLDN18.2の活性を統計学的かつ有意に低下させることができる。一態様において、抗体またはその抗原結合フラグメント等の抗CLDN18.2結合分子は、CLDN18.2-媒介活性を少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%、少なくとも25%、または少なくとも30%、少なくとも35%、または少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%、少なくとも55%、または少なくとも60%、少なくとも65%、または少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%を阻害し、例えば、以下の実施例に記載の方法および/または当技術分野で知られている方法によって測定される。
【0101】
本明細書で使用されるように、「CLDN18.2活性を阻害」という用語は、CLDN18.2を発現する細胞またはCLDN18.2を含むサンプルにおいて、CLDN18.2-依存性活性を統計学的かつ有意に低下させる、抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)の能力を指す。いくつかの態様において、細胞またはサンプルを抗CLDN18.2結合分子(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント)と接触させる場合、抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)の非存在下(対照条件)で測定されたCLDN18.2活性と比較して、CLDN18.2活性の阻害は、少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%、または少なくとも35%、または少なくとも40%、または少なくとも45%、または少なくとも50%、または少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも65%、または少なくとも70%、または少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも100%減少させることができる。
【0102】
本明細書で交換的に使用される場合、「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、抗体全体およびその任意の抗原結合フラグメントまたは一本鎖を含む。典型的な抗体は、ジスルフィド結合によって互いに接続された少なくとも2本の重鎖(本明細書において、「HC」と略す)および2本の軽鎖(本明細書において、「LC」と略す)を含む。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(または重鎖可変ドメイン、本明細書において「VH」または「VH」と略す)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、三つのドメインCH1、CH2およびCH3で構成される。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(または軽鎖可変ドメイン、本明細書において、「VL」または「VL」と略す)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、一つのドメインCLで構成される。VH領域およびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変領域にさらに細分化されることができ、フレームワーク領域(FW)と呼ばれるより保存的な領域が点在する。それぞれのVHおよびVLは、三つのCDRおよび四つのFWで構成され、アミノ基末端からカルボキシル基末端の順に、FW1、CDR1、FW2、CDR2、FW3、CDR3およびFW4のように配置される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(Clq)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。本開示の例示的な抗体は、抗CLDN18.2抗体(元のおよび生殖系の)、親和性最適化クローン、ADCCを欠く最適化抗体および他の最適化抗体(例えば、YTE突然変異を含む、血中半減期(serum half-life)最適化抗体、Dall’Acquaら、J.Biol.Chem.281:23514-24(2006)および米国特許第7083784号を参照し、参照によりその全体が引用される)を含む。
【0103】
抗体は、重鎖定常ドメイン(それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる)に基づく免疫グロブリンの五つの主要なクラスであるIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMまたはそのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)であり得る。異なるタイプの免疫グロブリンは、異なりかつ周知のサブユニット構造および三次元立体配置を有する。
【0104】
「遮断抗体」または「アンタゴニスト抗体」は、結合する抗原、例えば、CLDN18.2の生物学的活性を阻害または低下させる抗体である。特定の態様において、遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的にまたは完全に阻害する。望ましくは、生物学的活性は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%またはさらに100%低下または遮断される。
【0105】
「CLDN18.2抗体」、「CLDN18.2に結合する抗体」または「抗CLDN18.2」という用語は、当該分子がCLDN18.2を標的とする治療剤または診断剤として使用されることができるように、十分な親和性でCLDN18.2に結合することができる抗体またはその抗原結合フラグメントを指す。例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、BIACORETM(組換えCLDN18.2を分析物として使用され、逆も同様である)または当技術分野で知られている他の結合測定によって測定されるように、無関係の非-CLDN18.2タンパク質への抗CLDN18.2抗体の結合の程度は、CLDN18.2への抗体の結合の約10%未満である。いくつかの態様において、CLDN18.2に結合する抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<10pM、<1pMまたは<0.1pMの解離定数(KD)を有する。「抗CLDN18.2」という用語は、足場に組み込まれたものとして本明細書に開示される抗体のCDRを含む分子を広く含む。従って、「CLDN18.2に特異的に結合する単離された結合分子またはその抗原結合フラグメント」という句は、抗体およびその抗原結合フラグメントだけでなく、例えば、本明細書に開示される抗体のCDRに組み込まれた一つまたは複数の足場を含む分子も指す。例えば、米国特許公開第20150098955を参照し、参照によりその全体が本明細書に引用される。
【0106】
「CTLA4ポリペプチド」とは、T細胞阻害活性を有する与GenBankアクセッション(Accession)AAL07473.1と少なくとも85%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントを意味する。以下は、AAL07473.1の配列を提供する。
CTLA4ポリペプチド配列:
MACLGFQRHKAQLNLATRTWPCTLLFFLLFIPVFCKAMHVAQPAVVLASSRGIASFVCEYASPGKATEVRVTVLRQADSQVTEVCAATYMMGNELTFLDDSICTGTSSGNQVNLTIQGLRAMDTGLYICKVELMYPPPYYLGIGNGTQIYVIDPEPCPDSDFLLWILAAVSSGLFFYSFLLTAVSLSKMLKKRSPLTTGVYVKMPPTEPECEKQFQPYFIPIN(SEQ ID No:40)
【0107】
「CTLA4核酸分子」とは、CTLA4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。例示的なCTLA4核酸分子配列は、GenBankアクセッション第AAL07473の下で提供される。
【0108】
「抗CTLA4抗体」とは、CTLA4ポリペプチドに選択的に結合する抗体を意味する。例示的な抗CTLA4抗体は、例えば、米国特許第6682736号、第7109003号、第7123281号、第7411057号、第7824679号、第8143379号、第7807797号、および第8491895号(トレメリムマブは、11.2.1である)に記載され、参照によりその全体が本明細書に引用される。トレメリムマブは、例示的な抗CTLA4抗体である。
【0109】
「PD-1ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_005009と少なくとも約85%アミノ酸同一性を有し、かつPD-L1および/またはPD-L2結合活性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントを意味する。以下は、NP_005009の配列を提供する。
PD-1ポリペプチド配列(NCBIアクセッション第NP_005009):
MQIPQAPWPV VWAVLQLGWR PGWFLDSPDR PWNPPTFSPALLVVTEGDNA TFTCSFSNTSESFVINWYRM SPSNQTDKLA AFPEDRSQPG QDCRFRVTQL PNGRDFHMSV VRARRNDSGTYLCGAISLAP KAQIKESLRA ELRVTERRAE VPTAHPSPSP RPAGQFQTIV VGVVGGLLGSLVLLVWVLAV ICSRAARGTI GARRTGQPLK EDPSAVPVFS VDYGELDFQW REKTPEPPVP CVPEQTEYAT IVFPSGMGTS SPARRGSADG PRSAGPLRPE DGHCSWPL(SEQ ID No:41)
【0110】
「PD-1核酸分子」とは、PD-1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。例示的なPD-1核酸分子配列は、NCBIアクセッション番号NM_005018で提供される。「抗PD-1抗体」とは、PD-1ポリペプチドに選択的に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを意味する。例示的な抗PD-1抗体は、例えば、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、ランブリズマブ(lambrolizumab)、MK-3475)、ニボルマブ(OPDIvA(登録商標)、BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538)またはAMP-224を含む。
【0111】
「PD-L1ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_001254635と少なくとも約85%、95%または100%のアミノ酸同一性を有し、かつPD-1およびCD80結合活性を有するポリペプチドまたはそのフラグメントを意味する。以下は、NP_001254635の配列を提供する。
PD-L1ポリペプチド配列(NCBIアクセッション第NP_001254635):
MRIFAVFIFMTYWHLLNAPYNKINGRILVVDPVTSEHELTCQLAEGYPKAEVIWTSSDHQVLSGKTTTTNSKREEKLFNVTSTLRINTTTNEIFYCTFRRLDPEENHTAELVIPELPLAHPPNERTHLVILGAILLCLGVALTFIFRLRKG RMMDVKKCGI QDTNSKKGSD THLEET(SEQ ID No:42)
【0112】
「PD-Ll核酸分子」とは、PD-Llポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。例示的なPD-L1核酸分子配列は、NCBIアクセッション番号NM_001267706で提供される。
【0113】
「抗PD-Ll抗体」とは、PD-L1ポリペプチドに選択的に結合抗体またはその抗原結合フラグメントを意味する。例示的な抗PD-L1抗体は、例えば、米国特許公開第US2013/0034559号(米国特許第8779108号)およびU.S.2014/0356353に記載され、参照によりその全体が本明細書に引用される。
【0114】
「抗原結合フラグメント」という用語は、抗体全体の一部を含む分子を指し、特に、抗体全体の抗原决定可変領域を含む分子を指す。当技術分野で知られている抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のフラグメントによって実行されることができる。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFvフラグメント、線状抗体、一本鎖抗体および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を含むが、これらに限定されない。
【0115】
「モノクローナル抗体」とは、単一抗原決定基またはエピトープへの非常に特異的な認識および結合に関する相同抗体のグループを指す。これは、通常、異なる抗原決定基に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体と異なる。
【0116】
「モノクローナル抗体」という用語は、抗体全体および完全長のモノクローナル抗体の両方、ならびに抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖可変フラグメント(scFv)、抗体部分を含む融合タンパク質および抗原識別部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を含む。さらに、「モノクローナル抗体」とは、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現およびトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックマウスにおけるヒト抗体の発現)を含むがこれらに限定されない、任意の数の方法で調製されたそのような抗体を指す。
【0117】
「ヒト抗体」という用語は、最小限の非ヒト(例えば、マウス)配列を含むように遺伝子操作された非ヒト(例えば、マウス)免疫グロブリンに由来する抗体を指す。通常、ヒト抗体は、CDRに由来する残基が必要な特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギまたはハムスター)のCDRからの残基に置換される、ヒト免疫グロブリンである(Jonesら、1986、Nature、321:522525、Riechmannら、1988、Nature、332:323-327、Verhoeyenら、1988、Science、239:1534-1536)。いくつかの実施形態において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(FW)アミノ酸残基は、所望の特異性および/または親和性および/または能力を有する非ヒトに由来する抗体の対応する残基によって置換される。
【0118】
ヒト抗体は、抗体の特異性、親和性および/または能力を精製および最適化するために、Fvフレームワーク領域(FW)および/または置換された非ヒト残基の別の残基によってさらに修飾されることができる。通常、ヒト抗体は、実質的に少なくとも一つ、および通常は二つまたは三つの可変ドメインのすべてを含み、前記可変ドメインは、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域のすべてまたは実質的にすべてを含み、FW領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリン共通配列のFW領域である。ヒト抗体は、免疫グロブリン(通常はヒト免疫グロブリンである)定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部を含む。ヒト抗体を生成するための方法の実例としては、米国特許第5225539号または第5639641号に記載され、その全体が本明細書に引用される。
【0119】
抗体の「可変領域」とは、単独または組み合わせて、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ三つのCDR領域によって接続された四つのFW領域で構成される。各鎖のCDRは、FW領域の近接性によって一緒に保持され、他の鎖のCDRと一緒になって、抗体の抗原結合部位を形成するのに役立つ。CDRを決定するための少なくとも二つの技術を有する。(1)異種間配列変動に基づく方法(即ち、Kabatら、免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、1991、National Institutes of Health、Bethesda Md.))、および(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づく方法(Al-lazikaniら、(1997)J.Molec.Biol.、273:927-948))。さらに、当技術分野では、これらの二つの方法の組み合わせを使用して、CDRを決定することができる。
【0120】
可変ドメインの残基を参照する場合、通常、Kabat番号付けシステムが用いられる(例えば、Kabatら、Sequences of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991))。一貫性を保つために、本明細書で説明されるすべての抗体は、最新の出版物に記載されているように、Kabatシステムによって番号付けられ(Mathieu Dondelingerら、Understanding the Significance and Implications of Antibody Numbering and Antigen-Binding Surface/Residue Definition、Frontiers in Immunology 9、2278(2018))、しかしながら、CDRのKabat定義に欠陥があるため、AbMシステムを選択してCDRを定義する。
【0121】
「Kabatのアミノ酸位置番号付け」、「Kabat位置」、「Kabat番号付けスキーム」、「Kabat番号付けシステム」という句およびそれらの文法的変異体は、抗体の編集に使用される重鎖可変ドメイン、軽鎖可変ドメイン、重鎖または軽鎖の番号付けシステムを指す(Mathieu Dondelingerら、Understanding the Significance and Implications of Antibody Numbering and Antigen-Binding Surface/Residue Definition、Frontiers in Immunology 9、2278(2018))。当該番号付けシステムを使用すると、実際の線状アミノ酸配列は、本明細書に記載の前記抗体の可変ドメインのFWまたはCDRまたはCH1、CH2またはCH3の短縮または挿入に対応する、より少ないまたは別のアミノ酸を含むことができる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2残基52の後に単一のアミノ酸挿入フラグメント(Kabatによる残基52a)を含むことができ、および重鎖FW残基82の後に挿入された残基を含むことができる(Kabatによる残基82a、82bおよび82c等)。
【0122】
本明細書全体で使用されるように、説明されたVH CDR配列は、古典的なKabat番号付け位置に対応し、即ち、Kabat VH-CDR1は、位置26~35Bにあり、VH-CDR2は、位置50~65にあり、およびVH-CDR3は、位置95~102にある。VL-CDR1、VL-CDR2およびVL-CDR3は、古典的なKabat番号付け位置、即ち、それぞれ位置24~34、50~56および89~97にも対応する。
【0123】
本明細書で使用されるように、Fc領域は、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン以外の抗体の定常領域を含むポリペプチドを含む。従って、Fcとは、IgA、IgDおよびIgGの最後の二つの定常領域免疫グロブリンドメイン、IgEおよびIgMの最後の三つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインのN末端柔軟性ヒンジを指す。IgAおよびIgMの場合、Fcは、J鎖を含むことができる。IgGの場合、Fcは、免疫グロブリンドメインCγ2およびCγ3(Cy2およびCy3)とCγ1(C71)およびCγ2(Cy2)との間のヒンジを含む。
【0124】
Fc領域の境界が変化することができるが、ヒトIgG重鎖のFc領域は、通常、カルボキシル基末端に残基C226またはP230を含むものとして定義され、ここで、番号付けはEU番号付けに基づく(Edelman、G.M.ら、γG免疫グロブリン分子全体の共有結合構造(The covalent structure of an entire gammaG immunoglobulin molecule)、Proc.Natl.Acad.、USA、63、78-85(1969))。Fcは、または抗体、抗体フラグメントまたはFc融合タンパク質との文脈上で単独で当該区域を指すことができる。EUインデックスによって番号が付けられた位置270、272、312、315、356および358を含むがこれらに限定されない多くの異なるFc位置で多型が観察されるため、提示された配列と従来技術の配列との間のわずかな違いがある。
【0125】
「ヒト抗体」という用語は、ヒトによって生成される抗体またはヒトによって生成される抗体に対応するアミノ酸配列を有する、当技術分野で知られている任意の技術を使用して作成される抗体を意味する(例えば、培養細胞での組換え発現またはトランスジェニック動物での発現)。従って、ヒト抗体という用語は、もともとヒトによって生成されたが非ヒト系で発現(例えば、化学合成によって生成され、微生物、哺乳動物または昆虫細胞で組換え発現され、または動物被験者で発現される)された抗体(または遺伝子操作されたその変異体または誘導体)に対応するアミノ酸配列を有する抗体を含む。従って、ヒト被験者またはヒト細胞(例えば、組換え抗体またはそのフラグメントを発現するハイブリドーマまたは細胞株)から得られかつその後のマウス等の動物で発現される抗体は、ヒト抗体と見なされる。ヒト抗体の当該定義には、無傷抗体(intact antibody)または完全長抗体(full-length antibody)、そのフラグメントおよび/または少なくとも一つのヒト重鎖および/または軽鎖ポリペプチドを含む抗体、例えば、マウス軽鎖およびヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体が含まれている。
【0126】
「キメラ抗体」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が二つまたは複数の種に由来する抗体を指す。一般に、軽鎖と重鎖との両方の可変領域は、所望の特異性および/または親和性および/または能力を有する哺乳動物種(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)に由来する抗体の可変領域に対応し、定常領域は、別の種(通常はヒトである)に由来する抗体の配列と相同であるため、この種で免疫応答を引き起こすことを避ける。本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、本明細書に開示されるCLDN18.2抗体またはCLDN18.2結合分子に結合することができる抗原タンパク質決定基を指す。エピトープは、通常、アミノ酸や糖側鎖等の化学的に活性な分子の表面グループで構成され、通常、特定の3次元構造特性および特定の電荷特徴を有する。エピトープを識別する抗体または結合分子の部分は、「パラトープ」と呼ばれる。タンパク質抗原のエピトープは、その構造およびパラトープとの相互作用に応じて、コンフォメーションエピトープおよび線状エピトープに分類される。コンフォメーションエピトープは、抗原のアミノ酸配列の個別の部分で構成される。これらのエピトープは、抗原の3-D表面特徴および形状または三次構造に基づいてパラトープと相互作用する。一方、線状エピトープは、その主な構造に基づいてパラトープと相互作用する。線状エピトープは、抗原に由来する連続したアミノ酸配列によって形成される。
【0127】
「抗体結合部位」という用語は、相補的抗体が特異的に結合する連続または不連続部位(即ち、エピトープ)を含む抗原(例えば、CLDN18.2)中の領域を指す。従って、抗体結合部位は、抗原のエピトープ以外に、結合親和性および/または安定性等の特性を決定するか、または抗原酵素活性または二量体か等の特性に影響を与える別の領域を抗原に含むことができる。従って、二つの抗体が抗原内の同じエピトープに結合する場合でも、抗体分子がエピトープ以外のアミノ酸と異なる分子間接触を確立する場合、そのような抗体は異なる抗体結合部位に結合すると考えられる。
【0128】
「結合親和性」という用語は、通常、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の合計強度を指す。別に説明されない限り、本明細書で使用されるように、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのパートナーYへの親和性は、通常、解離定数(KD)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものを含む、当技術分野で知られている従来の方法によって測定することができる。低親和性抗体は、通常、抗原にゆっくりと結合し、かつ容易に解離するが、高親和性抗体は、通常、抗原に速く結合し、かつより長く結合したままになる傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法は、当技術分野で知られており、それらのいずれも本開示の目的のために使用することができる。
【0129】
別に説明されない限り、「效力」という用語は、通常、nMで計算されるIC50値を表す。IC50は、抗原結合分子の中間阻害濃度である。機能測定において、IC50は、生物学的応答を最大値の50%低下させる濃度である。リガンド結合研究において、IC50は、受容体結合を最大特異的結合レベルの50%を低下させる濃度である。IC50は、当技術分野で知られている任意の数の方法で計算することができる。效力の改善は、親抗体(例えば、生殖系列化される前の親抗体または親和性最適化の前の親抗体)に対して測定することによって決定されることができる。
【0130】
「生殖系列化される」という用語は、抗体の特定の位置にあるアミノ酸が変異して生殖系列に戻されるものを指す。
【0131】
親抗体と比較して、本開示の抗体またはポリペプチドの效力の改善倍数は、少なくとも約2倍、少なくとも約4倍、少なくとも約6倍、少なくとも約8倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、少なくとも約100倍、少なくとも約110倍、少なくとも約120倍、少なくとも約130倍、少なくとも約140倍、少なくとも約150倍、少なくとも約160倍、少なくとも約170倍、または少なくとも約180倍またはそれ以上であり得る。
【0132】
「抗体依存性細胞媒介性細胞毒性」または「ADCC」という用語は、細胞毒性の一形態を指し、ここで、特定の細胞毒性細胞(例えば、天然死滅(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)に存在するFc受容体(FcR)に結合する分泌免疫グロブリンは、これらの細胞毒性エフェクター細胞が抗原を持つ標的細胞に特異的に結合し、かつ続いて細胞毒素で標的細胞を死滅させることを可能にする。標的細胞の表面に向けられた特定の高親和性IgG抗体は、細胞毒性細胞を「武装」させ、そのような死滅には絶対に必要である。標的細胞の溶解は、細胞外であり、直接の細胞間接触を必要とし、補体には関しない。抗体に加えて、Fc領域を含む他のタンパク質、特に抗原を持つ標的細胞に特異的に結合能力を有するFc融合タンパク質は、細胞媒介性細胞毒性を達成することができると考えられる。簡単にするために、Fc融合タンパク質の活性によって引き起こされる細胞媒介性細胞毒性は、本明細書ではADCC活性とも呼ばれる。
【0133】
「単離された」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は、それぞれ天然界には存在しない形態のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は、天然界で発生する形態ではなくなった程度または精製されたそれらを含む。いくつかの態様において、単離された抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は、実質的に純粋である。
【0134】
「被験者」という用語は、特定の治療を受ける、ヒト、非ヒト霊長類動物、げっ歯類動物等を含むがこれらに限定されない、任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。一般に、ヒト被験者について、「被験者」および「患者」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0135】
「医薬組成物」という用語は、活性成分(例えば、本明細書で開示された抗CLDN18.2結合分子)の生物学的活性が効果的であることを可能にし、かつ組成物が投与される被験者に対して許容できない毒性を有する別の成分を含まない形態の製剤を指す。そのような組成物は、無菌であり得る。
【0136】
本明細書に開示されるような抗CLDN18.2結合分子の「有効量」は、説明された目的を達成するのに十分な量である。「有効量」は、前記目的に関して経験的かつ従来の方法で決定することができる。
【0137】
「治療有効量」という用語は、本明細書に開示された抗CLDN18.2結合分子または他の薬物が被験者または哺乳動物の疾患または病症を「治療」するのに効果的な量を指す。
【0138】
「治療」または「処理」または「治療される」または「緩和」または「緩和される」等の用語は、(1)診断された病的疾患または病症を治愈、減速、軽減するための、および/または診断された病的疾患または病症の進行を停止するための治療的処置、および(2)標的された病的状況または障害の進行を防止および/または遅延させるための予防的または防備的処置を指す。従って、治療を必要とする人は、すでに病気にかかった人、病気にかかりやすい人、および病気を予防したい人を含む。いくつかの態様において、患者が特定のタイプの癌などの完全、部分的または一時的な緩和を示す場合、本明細書に開示される方法は、被験者の癌を成功的に「治療」する。
【0139】
「癌」、「腫瘍」、「癌性」および「悪性」という用語は、通常、哺乳動物において、無秩序な細胞増殖を特徴とする哺乳動物の生理学的状態を指すか、または説明する。癌の例としては、腺がん、リンパ腫、芽細胞腫、黒色腫、肉腫および白血病を含む、癌を含むが、これらに限定されない。そのような癌のより具体的な例としては、扁平上皮がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、胃腸がん、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(Hodgkin’s and non-Hodgkin’s lymphoma)、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、神経膠腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝がんおよび肝細胞腫瘍等の肝臓がん、膀胱がん、乳がん(ホルモン媒介性乳がんを含み、Innesら、(2006)Br.J.Cancer94:1057-1065を参照)、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、骨髄腫瘍(例えば、多発性骨髄腫瘍)、唾液腺がん、腎臓がん(例えば、腎細胞がんおよびウイルムス腫瘍(Wilms’ tumors))、基質細胞がん、黒色腫、前列腺がん、外陰がん、甲状腺がん、精巣がん、食道がん、様々な種類の頭頚部がんおよび粘液性卵巣がん等の粘液由来のがん、(肝)胆管がんおよび腎乳頭状がんを含む。いくつかの態様において、本明細書で使用される癌という用語は、具体的には、CLDN18.2を発現する癌を指す。いくつかの特定の態様において、癌という用語は、低レベルのCLDN18.2を発現する癌を指す。いくつかの態様において、本明細書で使用される癌という用語は、特に、CLDN18.2を発現する癌(例えば、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がん)を指す。
【0140】
本明細書で交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、かつDNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドまたは塩基、および/またはその類似体、またはDNAまたはRNAポリメラーゼによってポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびその類似体等の修飾ヌクレオチドを含むことができる。前述の説明は、RNAおよびDNAを含む、本明細書で言及されるすべてのポリヌクレオチドに適用される。
【0141】
「ベクター」という用語は、宿主細胞において一つまたは複数の標的遺伝子または配列を送達し、いくつかの態様において発現することができる構築物を意味する。ベクターの例としては、ウイルスベクター、ヌードDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、陽イオン縮合剤に結合されるDNAまたはRNA発現ベクター、リポソームにカプセル化されたDNAまたはRNA発現ベクターおよびプロデューサー細胞等の真核細胞を含むが、これらに限定されない。
【0142】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは、直鎖または分岐鎖であり得、修飾されたアミノ酸を含むことができ、非アミノ酸が散在することができる。用語は、天然にまたは介入によって修飾されたアミノ酸ポリマー、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または標識成分との結合等の任意の他の遺伝子操作または修飾を含む。当該定義には、例えば、アミノ酸の一つまたは複数の類似体(例えば、非天然アミノ酸等を含む)および当技術分野で知られている他の修飾を含むポリペプチドも含む。本開示のポリペプチドは、抗体ベースであるため、いくつかの態様において、当該ポリペプチドは、一本鎖または結合鎖として存在することができることを理解されたい。
【0143】
「組換え」ポリペプチドまたはタンパク質は、組換えDNA技術によって生成されるポリペプチドまたはタンパク質を指す。遺伝子操作された宿主細胞で発現される組換え生成ポリペプチドおよびタンパク質は、単離されたと見なされ、任意の適切な技術によって単離、分画または部分的または実質的に精製された天然または組換えポリペプチドであると見なされる。当技術分野で知られたいる方法を使用して、本明細書に開示されるポリペプチドを組換え的に生成することができる。代替可能に、本明細書に開示されるタンパク質およびペプチドを化学合成することができる。
【0144】
「アミノ酸置換」という用語は、親配列に存在するアミノ酸残基を別のアミノ酸残基に置換することを指す。アミノ酸は、例えば、化学的ペプチド合成を介して、または当技術分野で知られている組換え方法を介して、親配列において置換されることができる。従って、「位置Xでの置換」または「位置Xでの置換」への言及は、位置Xに存在するアミノ酸の代替アミノ酸残基での置換を指す。いくつかの態様において、スキームAXYに従って置換パターンを説明することができ、ここで、Aは、位置Xに天然に存在するアミノ酸に対応する1文字のコードであり、Yは、置換アミノ酸残基である。別の態様において、置換パターンは、スキームXYに従って説明することができ、ここで、Yは、位置Xで天然に存在するアミノ酸を置換するアミノ酸残基に対応する1文字のコードである。
【0145】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基によって代替することができる。塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で確立されている。従って、ポリペプチドのアミノ酸が同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸によって置換される場合、当該置換は、保存的であると見なされる。別の態様において、アミノ酸リングは、代替的に、構造的に類似のストリングおよび/または異なる順序の側鎖ファミリーメンバーの組成物によって置換されることができる。
【0146】
「非保存的置換」は、(i)電気陽性側鎖を有する残基(例えば、Arg、HisまたはLys)が、電気陰性残基(例えば、GluまたはAsp)に置換されるか、または電気陰性残基(例えば、GluまたはAsp)によって置換され、(ii)親水性残基(例えば、SerまたはThr)が、疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、PheまたはVal)に置換されるか、または疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、PheまたはVal)によって置換され、(iii)システインまたはプロリンが、任意の他の残基に置換されるか、または任意の他の残基によって置換され、または(iv)膨大な疏水性または芳香族側鎖(例えば、Val、His、IleまたはTrp)を有する残基が、より小さな側鎖(例えば、Ala、Ser)を有するか、または側鎖(例えば、Gly)がない残基に置換されるか、またはより小さい側鎖(例えば、Ala、Ser)を有するか、または側鎖(例えば、Gly)がない残基によって置換されることを含む。
【0147】
当業者は、他の置換を容易に決定することができる。例えば、アミノ酸アラニンの場合、D-アラニン、グリシン、β-アラニン、L-システインおよびD-システインのいずれかから置換を行うことができる。リジンの場合、代替物は、D-リジン、アルギニン、D-アルギニン、高アルギニン、メチオニン、D-メチオニン、オルニチンまたはD-オルニチン中のいずれか一つであり得る。通常、単離されたポリペプチドの性質変化を誘導することを予期できる機能的に重要な領域での置換は、(i)極性残基(例えば、セリンまたはスレオニン)が、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンまたはアラニン等の疎水性残基に置換(または疎水性残基によって置換)されること、(ii)システイン残基が任意の他の残基に置換(または任意の他の残基によって置換)されること、(iii)電気陽性側鎖を有する残基(例えば、リジン、アルギニンまたはヒスチジン)が、グルタミン酸またはアスパラギン酸等の電気陰性側鎖を有する残基に置換(または電気陰性側鎖の残基によって置換)されること、または(iv)膨大な側鎖を有する残基(例えば、フェニルアラニン)が、グリシン等のような側鎖を有さない残基に置換(またはそのような側鎖を有さない残基によって置換)されることである。前述非保存的置換のいずれかがタンパク質の機能特性を変更させる可能性は、タンパク質の機能的に重要な領域に対する当該置換の位置にも関するため、いくつかの非保存的置換は、生物学的性質にほとんどまたは全く影響を与えない場合がある。
【0148】
「アミノ酸挿入」という用語は、親配列に存在する二つのアミノ酸残基の間に新しいアミノ酸残基を導入することを指す。例えば、化学的ペプチド合成または当技術分野で知られている組換え方法によって、アミノ酸を親配列に挿入することができる。従って、本明細書で使用されるように、「位置XとYとの間の挿入」または「Kabat位置XとYとの間の挿入」という句は、XとYとがアミノ酸位置(例えば、239と240との間のシステインアミノ酸挿入)に対応し、位置XとYとの間にアミノ酸を挿入することを指し、位置XとYとでアミノ酸をコードするコドンの間にアミノ酸をコードするコドンの核酸配列に挿入することが指す。スキームAXinsに従って挿入パターンを説明することができ、ここで、Aは、挿入されるアミノ酸に対応する1文字のコードであり、Xは、挿入前の位置である。
【0149】
二つのポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の「配列同一性のパーセンテージ」という用語は、二つの配列を最適にアラインメントするために導入する必要のある追加または欠失(即ち、ギャップ)を考慮して、比較ウインドウ内の配列によって共有される同一のマッチング位置の数を指す。マッチング位置は、標的配列および参照配列の両方に同じヌクレオチドまたはアミノ酸が存在する任意の位置である。ギャップは、ヌクレオチドまたはアミノ酸ではないため、標的配列のギャップはカウントされない。同様に、参照配列のヌクレオチドまたはアミノ酸の代わりに、標的配列のヌクレオチドまたはアミノ酸がカウントされるため、参照配列のギャップはカウントされない。
【0150】
配列同一性パーセンテージは、次のとおりに計算することができる。マッチングされる位置の数を得るために、二つの配列に出現する同じアミノ酸残基または核酸塩基の位置の数を決定し、マッチングされる位置の数を比較ウインドウの位置の総数で割り、結果に100をかけて、配列同一性パーセンテージを得る。二つの配列間の配列比較および配列同一性パーセンテージの決定は、すぐに利用できるオンライン使用およびダウンロードソフトウェアを使用して行うことができる。適切なソフトウェアプログラムは、様々なソースから入手でき、タンパク質およびヌクレオチド配列の両方のアラインメントに使用される。配列同一性パーセンテージを決定するための適切なプログラムは、BLASTプログラムスイートの一部であるbl2seqであり、当該プログラムは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センター(U.S.government’s National Center for Biotechnology Information)のBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手することができる。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムを使用して二つの配列を比較する。BLASTNは、核酸配列と比較するために使用され、BLASTPは、アミノ酸配列と比較するために使用される。他の適切なプログラムは、例えば、EMBOSSバイオインフォマティクスプログラムスイートの一部であり、かつwww.ebi.ac.uldTools/psaの欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute、EBI)からも入手できる、Needle、Stretcher、WaterまたはMatcherである。
【0151】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列と整列した単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれそれらの配列同一性パーセンテージを有することができる。配列同一性パーセンテージ値は、最も近い10分の1に丸められることに注意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13および80.14は、80.1に丸められ、80.15、80.16、80.17、80.18および80.19は、80.2に丸められる。長さの値は、常に整数になることに注意されたい。
【0152】
いくつかの態様において、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列の間の同一性パーセンテージ「X」は、100 x(Y/Z)として計算され、ここで、Yは、第1および第2の配列のアラインメントで同じマッチングとしてカウントされるアミノ酸残基の数(例えば、目視検査または特定の配列比較プログラムを介してアラインメントする)であり、かつZは、2番目配列の残基の総数である。第1の配列の長さが、第2の配列の長さよりも大きい場合、第1の配列と第2の配列との間の同一性パーセンテージは、第2の配列と第1の配列との間の同一性パーセンテージよりも高くなる。
【0153】
当業者は、配列同一性パーセンテージを計算するための配列アラインメントの生成が、一次配列データーによってのみ駆動されるバイナリー配列-配列比較に限定されないことを理解されたい。配列アラインメントは、複数の配列アラインメント柄導き出すことができる。複数の配列アラインメントを生成するための適切なプログラムは、www.clustal.orgから入手できるClustalW2である。別の適切なプログラムは、www.drive5.com/muscleから入手できるMUSCLEである。ClustalW2およびMUSCLEは、EBI等から代替可能に入手することができる。
【0154】
配列データーを異種供給源からのデーター(例えば、構造データー(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能データー(例えば、突然変異位置)または系統発生データー)と統合することによって、配列アラインメントを生成することができることも理解されたい。異種データーを統合して複数の配列アラインメントを生成するための適切なプログラムは、www.tcoffee.orgから入手できるT-Coffeeであるか、またはEBI等から代替可能に入手することができる。配列同一性パーセンテージを計算するために使用される最終的なアラインメントは、自動または手動で支援できることも理解されたい。
【0155】
軽鎖(VL)および重鎖(VH)の可変領域に関して本明細書で使用される「共通配列」という用語は、VLまたはVH鎖のどのアミノ酸残基が抗原結合を損なうことなく容易に修飾されるかについての情報に基づいて定義される複合または普遍的なVLまたはVH配列を指す。従って、VLまたはVH佐野「共通配列」において、特定のアミノ酸位置は、その位置にあるいくつかの可能なアミノ酸残基の一つによって占められる。例えば、アルギニン(R)またはセリン(S)が特定の位置に出現する場合、共通配列内のこの特定の位置は、アルギニンまたはセリン(RまたはS)であり得る。VHおよびVL鎖の共通配列は、例えば、インビトロ親和性成熟(例えば、縮重エンコーディングプライマーを使用して特定のCDRの各アミノ酸位置をランダム化する)、抗体CDRのアミノ酸残基の突然変異誘発(例えば、アラニンスキャニング誘発)または当技術分野で知られている任意の方法等の方法によって定義されることができ、抗原に対する突然変異体の結合を評価して、突然変異されたアミノ酸位置が抗原結合に影響を与えるかどうかを決定する。いくつかの態様において、突然変異は、CDR領域に導入される。別の態様において、突然変異は、フレームワーク領域に導入される。いくつかの他の態様において、突然変異は、CDRおよびフレームワーク領域に導入される。
【0156】
II.CLDN18.2-結合分子およびその作用メカニズム
【0157】
(i).CLDN18.2-結合分子の作用メカニズム
【0158】
以下、本明細書に係る抗体またはその抗体フラグメントの治療効果に基づく潜在的なメカニズムを提供するが、それらは、決して制限的であると見なされるべきではない。
【0159】
本明細書に記載の単離された抗体またはその抗体フラグメントは、好ましくは、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)または補体依存性細胞毒性(CDC)を介して免疫系の構成要素と相互作用する。
【0160】
ADCCは、本明細書に記載されるように、エフェクター細胞、特に、リンパ球の細胞死滅能力を記載し、好ましくは、標的細胞が、単離された結合分子(例えば、抗体)またはその抗原結合フラグメントによって標識されることを必要とする。ADCCは、好ましくは、単離された結合分子(例えば、抗体)またはその抗原結合フラグメントが腫瘍細胞上の抗原に結合しかつFcドメインが免疫エフェクター細胞の表面上のFc受容体(FcR)と結合する場合に発生する。複数のFc受容体ファミリーが同定され、特定の細胞集団は限定されたFc受容体を特徴的に発現する。ADCCは、様々な程度の即時腫瘍破壊を直接誘発するメカニズムと見なすことができ、これにより、抗原提示が引き起こされ、腫瘍に向けられたT細胞応答が誘導される。好ましくは、ADCCのインビボ誘導は、腫瘍に向けられたT細胞応答および宿主由来の抗体応答をもたらすであろう。
【0161】
CDCは、抗体によって向けられることができる細胞死滅の別の方法である。好ましくは、当該カスケードにおいて、抗原-抗体複合体の形成により、IgG分子等の関与する抗体分子のCH2ドメインに直接隣接する複数のC1q結合部位のブロック(C1qは、補体C1の三つのサブ成分の一つ)が解除される。好ましくは、これらのブロックが解除されたC1q結合部位は、以前の低親和性C1q-IgG相互作用を高親和性の一つに形質転換し、これは、一連の他の補体タンパク質が関与するカスケードイベントを引き起こし、かつエフェクター細胞ケモカイン/アクチベーターC3aおよびC5aのタンパク質の分解・放出を引き起こす。好ましくは、補体カスケードは、膜攻撃複合体の形成で終了し、当該膜攻撃複合体は、細胞膜に細ウェルを形成し、当該細ウェルは、水および溶質を細胞に自由に出入りするのを促進する。
【0162】
(ii).CLDN18.2-結合分子
【0163】
いくつかの実施形態は、ヒトCLDN18.2等のCLDN18.2に特異的に結合するCLDN18.2結合分子、例えば、抗体およびその抗原結合フラグメントを提供する。CLDN18.2の完全長アミノ酸(aa)およびヌクレオチド(nt)配列は、当技術分野で知られている。いくつかの態様において、抗CLDN18.2結合分子は、ヒト抗体である。いくつかの態様において、CLDN18.2結合分子は、抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0164】
いくつかの態様において、CLDN18.2結合分子は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、一本鎖FvまたはscFv、ジスルフィド結合によって連結されるFv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGCH2、ミニボディ、F(ab)3、テトラボディ、トリボディ、ダイアボディ、シングルドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2またはscFv-Fc等を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、抗体は、IgG1タイプ等のIgGタイプである。
【0165】
いくつかの態様において、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖定常領域またはそのフラグメントを含む。いくつかの特定的態様において、重鎖定常領域は、IgG定常領域である。IgG定常領域は、κ定常領域およびλ定常領域から選択される軽鎖定常領域を含むことができる。
【0166】
いくつかの態様において、マウス抗体は、CLDN18.2-15G11、CLDN18.2-5C9、CLDN18.2-9A1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-1D5、CLDN18.2-8C5、CLDN18.2-9F1、CLDN18.2-7A10、CLDN18.2-8C12、CLDN18.2-14D7、CLDN18.2-5H7、CLDN18.2-5G7、CLDN18.2-4G3、CLDN18.2-14B7、CLDN18.2-7H1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-15B5およびCLDN18.2-h5C9o、CLDN18.2-h5C9obまたはCLDN18.2-h5C9oap等のヒト化形態である。別の態様において、本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、マウス抗体と比較して修飾される。マウス抗体と比較して、修飾はCDR領域および/またはFW領域の突然変異を含むことができる。
【0167】
「CLDN18.2-15G11抗体」という句は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0168】
「CLDN18.2-5C9抗体」という句は、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0169】
「CLDN18.2-9A1抗体」という句は、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0170】
「CLDN18.2-5H1抗体」という句は、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:47のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0171】
「CLDN18.2-1D5抗体」という句は、SEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:54のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0172】
「CLDN18.2-8C5抗体」という句は、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0173】
「CLDN18.2-9F1抗体」という句は、SEQ ID NO:64のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0174】
「CLDN18.2-7A10抗体」という句は、SEQ ID NO:72のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:76のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0175】
「CLDN18.2-8C12抗体」という句は、SEQ ID NO:78のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:82のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0176】
「CLDN18.2-14D7抗体」という句は、SEQ ID NO:86のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0177】
「CLDN18.2-5H7抗体」という句は、SEQ ID NO:93のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:96のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0178】
「CLDN18.2-5G7抗体」という句は、SEQ ID NO:100のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:102のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0179】
「CLDN18.2-4G3抗体」という句は、SEQ ID NO:106のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0180】
「CLDN18.2-14B7抗体」という句は、SEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0181】
「CLDN18.2-7H1抗体」という句は、SEQ ID NO:117のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:121のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0182】
「CLDN18.2-h5C9o抗体」という句は、SEQ ID NO:154のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:155のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0183】
「CLDN18.2-h5C9ob抗体」という句は、SEQ ID NO:160のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:162のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0184】
「CLDN18.2-h5C9oap抗体」という句は、SEQ ID NO:237のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:240のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含むIgGを指す。
【0185】
(iii).CLDN18.2-5C9-由来の抗CLDN18.2抗体
【0186】
いくつかの態様において、抗CLDN18.2抗体は、CLDN18.2-5C9抗体の軽鎖可変ドメイン(VL)のCDR1および/またはCDR2および/またはCDR3に対する修飾を含み、これは、共通配列KSSQSLLNX1GNQKSYLT(SEQ ID NO:364)を含み、ここで、X1は、アミノ酸残基であるセリン(S)またはトリプトファン(W)を表す軽鎖CDR1、および/または
【0187】
共通配列WASTX2ES(SEQ ID NO:365)を含み、ここで、X2は、アミノ酸残基であるロイシン(L)またはアルギニン(R)を表す軽鎖CDR2、および/または
【0188】
共通配列QNX3YX4FPFT(SEQ ID NO:366)を含み、ここで、X3は、アミノ酸残基であるアスパラギン(Ν)、グリシン(G)、セリン(S)を表し、X4は、アミノ酸残基であるセリン(S)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)を表す軽鎖CDR3を含むが、これらに限定されない。
【0189】
いくつかの他の実施形態において、抗CLDN18.2抗体は、CLDN18.2-5C9抗体の可変重鎖のCDR1および/またはCDR2および/またはCDR3に対する修飾を含み、これは、
【0190】
共通配列GYTFX5X6X7X8MN(SEQ ID NO:367)を含み、ここで、X5は、アミノ酸残基であるセリン(S)またはスレオニン(T)を表し、Χ6は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)または結合を表し、Χ7は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)または結合を表し、X8は、アミノ酸残基であるグリシン(G)または結合を表す重鎖CDR1、および/または、
【0191】
共通配列WINMYTGEX9X10YADDFKG(SEQ ID NO:368)を含み、ここで、X9は、アミノ酸残基であるプロリン(P)、アルギニン(R)またはグルタミン(Q)を表し、X10は、アミノ酸残基であるスレオニン(T)またはアスパラギン(N)を表す重鎖CDR2、および/または、
【0192】
共通配列X11X12X13GNX14X15DY(SEQ ID NO:369)を含み、ここで、X11は、アミノ酸残基であるロイシン(L)、メチオニン(M)、スレオニン(T)、セリン(S)またはアラニン(A)を表し、X12は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)、スレオニン(T)、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、バリン(V)、アスパラギン(N)またはフェニルアラニン(F)を表し、X13は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)、アルギニン(R)、プロリン(P)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、リジン(K)またはヒスチジン(H)を表し、X14は、アミノ酸残基であるセリン(S)、アラニン(A)、バリン(V)、グリシン(G)、スレオニン(T)を表し、X15は、アミノ酸残基であるロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)またはイソロイシン(I)を表す重鎖CDR3を含むが、これらに限定されない。
【0193】
別の実施形態において、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、VL領域を含み、前記VL領域は、
[FW1]KSSQSLLNX1GNQKSYLT[FW2]WASTX2ES[FW3]QNX3YX4FPFT[FW4](SEQ ID NO:370)の共通アミノ酸配列を含み、ここで、[FW1]、[FW2]、[FW3]および[FW4]は、VLフレームワーク領域を表し、ここで、
X1は、アミノ酸残基であるセリン(S)またはトリプトファン(W)を表し、
X2は、アミノ酸残基であるロイシン(L)またはアルギニン(R)を表し、
X3は、アミノ酸残基であるアスパラギン(Ν)、グリシン(G)、セリン(S)を表し、
X4は、アミノ酸残基であるセリン(S)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、アルギニン(R)、グルタミン酸(E)およびチロシン(Y)を表し、
【0194】
別の実施形態において、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、VH領域を含み、前記VH領域は、
[FW5]GYTFX5X6X7X8MN[FW6]WINMYTGEX9X10YADDFKG[FW7]X11X12X13GNX14X15DY[FW8](SEQ ID NO:371)の共通アミノ酸配列を含み、ここで、[FW5]、[FW6]、[FW7]および[FW8]は、VHフレームワーク領域を表し、ここで、
X5は、アミノ酸残基であるセリン(S)またはスレオニン(T)を表し、
Χ6は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)または結合を表し、
Χ7は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)または結合を表し、
X8は、アミノ酸残基であるグリシン(G)または結合を表し、
X9は、アミノ酸残基であるプロリン(P)、アルギニン(R)またはグルタミン(Q)を表し、
X10は、アミノ酸残基であるスレオニン(T)またはアスパラギン(N)を表し、
X11は、アミノ酸残基であるロイシン(L)、メチオニン(M)、スレオニン(T)、セリン(S)またはアラニン(A)を表し、
X12は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)、スレオニン(T)、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、バリン(V)、アスパラギン(N)またはフェニルアラニン(F)を表し、
X13は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)、アルギニン(R)、プロリン(P)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、リジン(K)またはヒスチジン(H)を表し、
X14は、アミノ酸残基であるセリン(S)、アラニン(A)、バリン(V)、グリシン(G)、スレオニン(T)を表し、
X15は、アミノ酸残基であるロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)またはイソロイシン(I)を表し、
【0195】
別の実施形態において、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体軽鎖可変領域(VL)および抗体重鎖可変領域(VH)を含み、ここで、VL領域は、
[FW1]KSSQSLLNX1GNQKSYLT[FW2]WASTX2ES[FW3]QNX3YX4FPFT[FW4](SEQ ID NO:370)の共通アミノ酸配列を含み、ここで、[FW1]、[FW2]、[FW3]および[FW4]は、VLフレームワーク領域を表し、ここで、
X1は、アミノ酸残基であるセリン(S)またはトリプトファン(W)を表し、
X2は、アミノ酸残基であるロイシン(L)またはアルギニン(R)を表し、
X3は、アミノ酸残基であるアスパラギン(Ν)、グリシン(G)、セリン(S)を表し、
X4は、アミノ酸残基であるセリン(S)、アラニン(A)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、アルギニン(R)、グルタミン酸(E)およびチロシン(Y)を表し、および
VH領域は、
[FW5]GYTFX5X6X7X8MN[FW6]WINMYTGEX9X10YADDFKG[FW7]X11X12X13GNX14X15DY[FW8](SEQ ID NO:371)の共通アミノ酸配列を含み、ここで、[FW5]、[FW6]、[FW7]および[FW8]は、VHフレームワーク領域を表し、ここで、
X5は、アミノ酸残基であるセリン(S)またはスレオニン(T)を表し、
Χ6は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)または結合を表し、
Χ7は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)または結合を表し、
X8は、アミノ酸残基であるグリシン(G)または結合を表し、
X9は、アミノ酸残基であるプロリン(P)、アルギニン(R)またはグルタミン(Q)を表し、
X10は、アミノ酸残基であるスレオニン(T)またはアスパラギン(N)を表し、
X11は、アミノ酸残基であるロイシン(L)、メチオニン(M)、スレオニン(T)、セリン(S)またはアラニン(A)を表し、
X12は、アミノ酸残基であるチロシン(Y)、スレオニン(T)、グリシン(G)、アラニン(A)、セリン(S)、バリン(V)、アスパラギン(N)またはフェニルアラニン(F)を表し、
X13は、アミノ酸残基であるアスパラギン(N)、アルギニン(R)、プロリン(P)、スレオニン(T)、メチオニン(M)、リジン(K)またはヒスチジン(H)を表し、
X14は、アミノ酸残基であるセリン(S)、アラニン(A)、バリン(V)、グリシン(G)、スレオニン(T)を表し、
X15は、アミノ酸残基であるロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)またはイソロイシン(I)を表す。
【0196】
(iv).突然変異抗CLDN18.2抗体
【0197】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体(例えば、CLDN18.2-15G11、CLDN18.2-5C9またはCLDN18.2-9A1 CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-1D5、CLDN18.2-8C5、CLDN18.2-9F1、CLDN18.2-7A10、CLDN18.2-8C12、CLDN18.2-14D7、CLDN18.2-5H7、CLDN18.2-5G7、CLDN18.2-4G3、CLDN18.2-14B7、CLDN18.2-7H1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-15B5および例えば、CLDN18.2-h5C9o、CLDN18.2-h5C9obまたはCLDN18.2-h5C9oap抗体等のそのヒト化形態)またはその抗原結合フラグメントは、ヒトFcRnへの結合を改善し、前記抗体の免疫原性を改善しかつ抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントの半減期を改善する突然変異を含む。
【0198】
例えば、いくつかの実施形態において、そのような突然変異は、EU番号付けスキームに従って、IgGlの定常ドメインに導入される位置252にメチオニン(M)からチロシン(Y)への突然変異、位置254にセリン(S)からスレオニン(T)への突然変異、および位置256にスレオニン(T)からグルタミン酸(E)への突然変異である。例えば、米国特許第7658921号を参照し、参照により本明細書に引用される。こんなタイプの突然変異IgGは、「YTE突然変異」と呼ばれ、同じ抗体の野生型と比較して、半減期が約4倍(Dall’Acquaら、J.Biol.Chem.、281:23514-24(2006))に増加することが示される。いくつかの実施形態において、IgG定常ドメインを含む抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、EU番号付けスキームに従って、位置251~257、285~290、308~314、385~389および428~436に、アミノ酸残基の一つまたは複数のアミノ酸置換を含み、ここで、そのような突然変異は、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントの血中半減期を増加させる。
【0199】
別の実施形態において、YTE突変異体は、EU番号付けスキームに従って、IgG定常ドメインの位置434に、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、チロシン(Y)およびセリン(S)から選択されるアミノ酸による置換をさらに含む。
【0200】
代替可能な実施形態において、YTE突変異体は、EU番号付けスキームに従って、IgG定常ドメインの位置434に、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、チロシン(Y)およびセリン(S)から選択されるアミノ酸による置換、およびEU番号付けスキームに従って、位置428に、スレオニン(T)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)およびセリン(S)から選択されるアミノ酸による置換をさらに含む。
【0201】
さらに別の実施形態において、YTE突変異体は、EUスキームに従って番号付けられたIgG定常ドメインの位置434にチロシン(Y)による置換、およびEUスキームに従って番号付けられたIgG定常ドメインの位置257にロイシン(L)による置換をさらに含む。いくつかの態様において、YTE突変異体は、EUスキームに従って番号付けられたIgG定常ドメインの位置434にセリン(S)による置換、およびEUスキームに従って番号付けられたIgG定常ドメインの位置428にロイシン(L)による置換をさらに含む。
【0202】
さらに別の実施形態において、本発明のYTE突変異体は、EUスキームに従って番号付けられたCH1ドメインに位置214にアルギニン(R)でのリジン(K)の置換(K214R)、およびEU方スキームに従って番号付けられたFcドメインの位置356にグルタミン酸(E)でのアスパラギン酸(D)の置換(D356E)、およびEUスキームに従って番号付けられたFcドメインの位置358にメチオニン(M)でのロイシン(L)の置換(L358M)を含む。CH1ドメインのK214Rの突然変異およびFcドメインのD356EおよびL358Mの突然変異は、前記抗体またはそのフラグメントの免疫原性を改善すると考えられる。
【0203】
一実施形態において、本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体(例えば、CLDN18.2-15G11、CLDN18.2-5C9またはCLDN18.2-9A1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-1D5、CLDN18.2-8C5、CLDN18.2-9F1、CLDN18.2-7A10、CLDN18.2-8C12、CLDN18.2-14D7、CLDN18.2-5H7、CLDN18.2-5G7、CLDN18.2-4G3、CLDN18.2-14B7、CLDN18.2-7H1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-15B5およびそれらのヒト化形態、例えば、CLDN18.2-h5C9o、CLDN18.2-h5C9obまたはCLDN18.2-h5C9oap抗体)またはその抗原結合フラグメントは、IgG1定常ドメインを含み、IgG1定常ドメインは、EU番号付けスキームに従って、IgG1定常ドメインの位置252に、メチオニン(M)からチロシン(Y)への突然変異、位置254にセリン(S)からスレオニン(T)への突然変異および位置256にスレオニン(T)からグルタミン酸(E)への突然変異を含む。
【0204】
いくつかの別の実施形態において、本明細書に開示される的抗CLDN18.2抗体(例えば、CLDN18.2-15G11、CLDN18.2-5C9またはCLDN18.2-9A1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-1D5、CLDN18.2-8C5、CLDN18.2-9F1、CLDN18.2-7A10、CLDN18.2-8C12、CLDN18.2-14D7、CLDN18.2-5H7、CLDN18.2-5G7、CLDN18.2-4G3、CLDN18.2-14B7、CLDN18.2-7H1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-15B5および例えば、CLDN18.2-h5C9o、CLDN18.2-h5C9obまたはCLDN18.2-h5C9oap抗体等のそのヒト化形態)またはその抗原結合フラグメントは、
【0205】
(a)位置252のアミノ酸をチロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)またはスレオニン(T)で置換すること、
【0206】
(b)位置254のアミノ酸をスレオニン(T)で置換すること、
【0207】
(c)位置256のアミノ酸をセリン(S)、アルギニン(R)、グルタミン(Q)、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)またはスレオニン(T)で置換すること、
【0208】
(d)位置257のアミノ酸をロイシン(L)で置換すること、
【0209】
(e)位置309のアミノ酸をプロリン(P)で置換すること、
【0210】
(f)位置311のアミノ酸をセリン(S)で置換すること、
【0211】
(g)位置428のアミノ酸をスレオニン(T)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)またはセリン(S)で置換すること、
【0212】
(h)位置433のアミノ酸をアルギニン(R)、セリン(S)、イソロイシン(I)、プロリン(P)またはグルタミン(Q)で置換すること、
【0213】
(i)位置434のアミノ酸をトリプトファン(W)、メチオニン(M)、セリン(S)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)またはチロシンで置換すること、および
【0214】
(j)前記置換の二つまたは複数の組み合わせから選択される少なくとも一つのIgG定常ドメインアミノ酸置換を含み、
【0215】
ここで、EU番号付けスキームに従って、位置に番号付け、ここで、野生型IgG定常ドメインを有するIgGの血中半減期と比較して、修飾されたIgGは、増加された血中半減期を有する。
【0216】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体(例えば、CLDN18.2-15G11、CLDN18.2-5C9またはCLDN18.2-9A1 CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-1D5、CLDN18.2-8C5、CLDN18.2-9F1、CLDN18.2-7A10、CLDN18.2-8C12、CLDN18.2-14D7、CLDN18.2-5H7、CLDN18.2-5G7、CLDN18.2-4G3、CLDN18.2-14B7、CLDN18.2-7H1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-15B5抗体)またはその抗原結合フラグメントのVHおよび/またはVLアミノ酸配列は、示されるVHおよびVL配列と少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%類似することができ、1、2、3、4またはそれ以上の保存的な置換を含む。それぞれSEQ ID NO:18、25、32、47、54、61、68、76、82、89、96、102、109、113、121、127、134、137、139、141、143、145、147、149、151、153、155、159、162、165、168、171、174、176、179、181、184、187、189、191、193、195、197、199、201、203、205、207、209、211、213、215、217、219、222、223、225、226、229、232、235、240、244または248のVH領域および/またはSEQ ID NO:14、22、29、43、51、57、64、72、78、86、93、100、106、110、117、125、130、131、136、138、140、142、144、146、148、150、152、154、157、160、163、166、169、172、175、178、180、183、186、221、224、228、231、234、237、242または246のVL領域と高い(即ち、90%またはそれ以上)配列類似性または配列同一性を有するVH領域およびVL領域のCLDN18.2抗体は、前記抗体をコードする核酸分子の突然変異誘発(例えば、部位指定またはPCR-媒介突然変異誘発)、次いで、本明細書に記載
の機能測定を使用して、コードされた改変抗体の保持された機能を試験することによって得ることができる。
【0217】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体のFcドメインまたは本明細書に開示される抗体のCLDN18.2結合フラグメントの融合タンパク質のFcドメインは、例えば、ADCC等を介して細胞毒性を低下させるために減少されたFc受容体に対する結合を有する。代替可能に、いくつかの態様において、抗体またはFc融合タンパク質cabのFcドメインは、例えば、ADCCを介して細胞毒性を増加させるために増加されたFc受容体に対する結合を有する。いくつかの態様において、抗体またはFc融合タンパク質のFcドメインは、一つまたは複数の位置に天然に存在しないADCC還元アミノ酸残基を含む。
【0218】
抗体のADCC活性を低下させることができる多くの特異的突然変異は、当技術分野で知られている。例えば、以前の米国特許第5624,821号、第5648260号、第7597889号、第8,961,967号、第7371826号、第7785791号、第7790858号、米国特許公開第2014/0378663号、第2013/0071390号、第2011/0212087号、第2015/0118227号、第2006/0194290号、第2006/0194291号、第2008/0274105号、第2008/0274506号、第2013/0089541号および第2013/0108623号に例示的な突然変異が説明され、参照によりその全体が本明細書に引用される。ADCCエフェクター機能が低下した抗体は、EU番号付けシステムに従って、Fc領域の残基238、265、269、270、297、327および329の一つまたは複数が置換される抗体をさらに含む(例えば、米国特許第6737056号を参照し、その全体が本明細書に引用される)。そのようなFc突変異体は、二つまたは複数のアミノ酸位置265、269、270、297および327に置換を有するFc突変異体を含み、アラニンいへの残基265および297の置換を有するFc突変異体を含む(米国特許第7332581号を参照し、その全体が本明細書に引用される)。任意選択的に、ADCCとCDCとの両方を低下させる突然変異を組み込むことができる。
【0219】
一態様において、抗CLDN18.2抗体を説明し、ここで、抗体は、IgG1、IgG2またはIgG3であり、かつEU番号付けスキームによって番号付けられた234、235および331から選択される一つまたは複数の位置に、少なくとも一つの修飾を含む。さらに別の特定の態様において、Fc領域は、IgG1、IgG2またはIgG3Fc領域であり、天然に存在しないアミノ酸は、EU番号付けスキームによって番号付けられた234F、235E、235F、235Q(または235Y)、239A、332Q、331S、332Qから選択される。
【0220】
別の実施形態において、抗CLDN18.2抗体は、本明細書に説明され、ここで、抗体は、IgG4であり、かつEU番号付けスキームによって番号付けられた228および235から選択された一つまたは複数の位置に少なくとも一つの修飾を含む。さらに別の特定の態様において、Fc領域は、IgG4Fc領域であり、天然に存在しないアミノ酸は、EU番号付けスキームによって番号付けられた228P、235Eおよび235Yから選択される。特定の態様において、抗CLDN18.2抗体は、本明細書に説明され、ここで、抗体は、IgG1、IgG2またはIgG3であり、かつ位置(i)234F、235Eおよび331S、(ii)234F、235Fおよび331S、(iii)234F、235Qおよび322Qに修飾を含む。別の具体的な態様において、本明細書は、抗CLDN18.2抗体を説明し、ここで、抗体は、IgG4であり、かつ修飾228Pおよび235Eを含む。
【0221】
III.抗CLDN18.2抗体の機能的特徴
【0222】
抗原に対する抗体の親和性または結合力は、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)またはラジオイムノアッセイ(RIA)または動力学(例えば、BIACORETM分析)等の当技術分野で知られたいる任意の適切な方法を使用して実験的に決定することができる。直接結合アッセイおよび競合結合アッセイ形態を簡単に使用することができる(例えば、Berzofskyら、基本免疫学での抗体―抗原相互作用(「Antibody-Antigen Interactions」、In Fundamental Immunology)、Paul、W.E.編集、Raven Press、ニューヨーク(New York)、N.Y.(1984)、Kuby、免疫学(Immunology)、W.H.Freeman and Company、ニューヨーク(New York)、N.Y.(1992)、および本明細書に記載の方法)。様々な条件下(例えば、塩濃度、pH、温度)で測定する場合、具体的な抗体-抗原の相互作用が測定された親和性は、変化することができる。従って、親和性および他の抗原結合パラメーター(例えば、KDまたはKd、Koff/Kon)の測定は、抗体および抗原の標準化された溶液および当技術分野で知られているしかつ本明細書に記載の緩衝液が標準化された緩衝液を使用して行われる。
【0223】
当技術分野では、表面プラズモン共鳴分析(例えば、BIACORETM)を使用して測定された親和性は、どの反応物がチップに結合するかによって変化することができることも知られている。これに関して、標的抗体(例えば、クローン5C9抗体)がチップに固定化されているフォーマット(「IgG下(IgG down)」フォーマットと呼ばれる)または標的タンパク質(例えば、CLDN18.2)がチップに固定化される(「CLDN18.2下(CLDN18.2 down)」フォーマットと呼ばれる)ことによって、親和性を測定することができる。
【0224】
一実施形態において、抗CLDN18.2抗体(例えば、クローン5C9抗体)またはその抗体フラグメントは、10-6M未満、または10-7M未満、または10-8M未満、または10-9M未満、または10-10M未満、または10-11M未満、または10-12M未満、または10-13M未満の解離定数またはkd(koff/kon)でCLDN18.2および/またはその抗原性フラグメントに特異的に結合される。
【0225】
別の実施形態において、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9またはクローン5C9抗体)またはその抗体フラグメントは、1×10-3s-1未満または2×10-3s-1未満のKoffでCLDN18.2および/またはその抗原性フラグメントに結合される。別の態様において、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、10-3s-1未満、5×10-3s-1未満、10-4s-1未満、5×10-4s-1未満、10-5s-1未満、5×10-5s-1未満、10-6s-1未満、5×10-6s-1未満、5×10-7s-1未満、10-8s-1未満、5×10-8s-1未満、10-9s-1未満、5×10-9s-1未満または10-10s-1未満のKoffでCLDN18.2およびその抗原性フラグメントに結合される。別の態様において、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2またはクローン5C9抗体)またはその抗原結合フラグメントは、少なくとも105M-1s-1、少なくとも5×105M-1s-1、少なくとも106M-1s-1、少なくとも5×106M-1s-1、少なくとも107M-1s-1、少なくとも5×107M-1s-1、または少なくとも108M-1s-1、または少なくとも109M-1s-1の会合速度(association rate)定数またはkon速度でCLDN18.2および/またはその抗原性フラグメントに結合される。
【0226】
いくつかの実施形態において、例えば、フローサイトメトリーを介して測定する場合、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2またはクローン5C9抗体)またはその抗原結合フラグメントは、少なくとも約1nM、少なくとも約10nM、少なくとも約50nM、少なくとも約80nM、少なくとも約90nM、少なくとも約100nM、少なくとも約110nM、少なくとも約120nM、少なくとも約130nM、少なくとも約140nM、少なくとも約150nM、少なくとも約160nMまたは少なくとも約170nmのKDでNUGC-4細胞表面上のCLDN18.2に結合される。
【0227】
いくつかの別の実施形態において、例えば、フローサイトメトリーを介して測定する場合、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2またはクローン5C9抗体)またはその抗体フラグメントは、少なくとも約1nM、少なくとも約10nM、少なくとも約50nM、少なくとも約80nM、少なくとも約90nM、少なくとも約100nM、少なくとも約110nM、少なくとも約120nM、少なくとも約130nM、少なくとも約140nM、少なくとも約150nM、少なくとも約160nM、または少なくとも約170nmのKDでCLDN18.2を過剰発現する細胞(例えば、CLDN18.2-293T細胞(H4))の表面のCLDN18.2に結合される。
【0228】
IV.抗CLDN18.2抗体および抗原結合フラグメントの調製
【0229】
モノクローナル抗CLDN18.2抗体(例えば、CLDN18.2-15G11、CLDN18.2-5C9、CLDN18.2-9A、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-1D5、CLDN18.2-8C5、CLDN18.2-9F1、CLDN18.2-7A10、CLDN18.2-8C12、CLDN18.2-14D7、CLDN18.2-5H7、CLDN18.2-5G7、CLDN18.2-4G3、CLDN18.2-14B7、CLDN18.2-7H1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-15B5抗体)およびその抗原結合フラグメントは、KohlerおよびMilstein(1975)Nature 256:495に記載されるようなハイブリドーマ法を使用して調製することができる。前記Kohler参照文献に記載されるようなハイブリドーマ法を使用して、マウス、ハムスターまたは他の適切な宿主動物を免疫させて、リンパ球による免疫抗原に特異的に結合する抗体を生成を誘導する。
【0230】
免疫させた後、リンパ球を単離し、例えば、ポリエチレングリコールを使用して、適切な骨髄腫瘍細胞株と融合することにより、融合しないリンパ球および骨髄腫瘍細胞から選択されることができるハイブリドーマ細胞を形成する。次に、標準方法(Goding、Monoclonal Antibodies、Principles and Practice、Academic Press、1986)使用して、ハイブリドーマをインビトロで増殖させるか、または動物の腹水腫瘍としてインビボで増殖させることができ、前記ハイブリドーマは、免疫沈降、免疫プロッティングまたはインビトロ結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ法(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ法(ELISA))によって決定されるように、選択された抗原に特異的なモノクローナル抗体を生成する。具着に、前記ポリクローナル抗体について、上記したように、培地または腹水からモノクローナル抗体を精製することができる。
【0231】
代替可能に、抗CLDN18.2モノクローナル抗体(例えば、CLDN18.2-15G11、CLDN18.2-5C9、CLDN18.2-9A、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-1D5、CLDN18.2-8C5、CLDN18.2-9F1、CLDN18.2-7A10、CLDN18.2-8C12、CLDN18.2-14D7、CLDN18.2-5H7、CLDN18.2-5G7、CLDN18.2-4G3、CLDN18.2-14B7、CLDN18.2-7H1、CLDN18.2-5H1、CLDN18.2-15B5抗体)およびその抗原結合フラグメントは、例えば、米国特許第4816567号に記載されている組換えDNA法を使用して調製することができ、参照によりその全体が本明細書に引用される。モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増殖することができるオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、例えば、RT-PCRによって成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から前記モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを単離し、従来法を使用してその配列を決定する。次に、単離された重鎖および軽鎖をコードするポリヌクレオチドを適切な発現ベクターにクローニングし、当該発現ベクターを大腸菌、類人猿COS細胞、中国ハムスター卵巣(CHO)細胞または他の方式で免疫グロブリンタンパク質を生成しない骨髄腫瘍細胞等の宿主細胞にトランスフェクトされル場合、宿主細胞によってモノクローナル抗体が生成される。
【0232】
抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする一つまたは複数のポリヌクレオチド(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)は、組換えDNA技術を使用して、様々な異なる方式でさらに修飾されて、代替抗体を生成することができる。いくつかの態様において、例えば、マウスモノクローナル抗体の軽鎖と重鎖の定常領域を、(1)例えば、キメラ抗体を生成するヒト抗体のそのような領域、または(2)融合抗体を生成する非免疫グロブリンポリペプチドで置換することができる。いくつかの態様において、モノクローナル抗体の所望な抗体フラグメントを生成するために、定常領域を切断または除去される。可変領域の部位指定突然変異誘発または高密度突然変異誘発を使用して、モノクローナル抗体の特異性、親和性等を最適化することができる。
【0233】
いくつかの態様において、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントは、ヒト抗体またはその抗原結合フラグメントである。当技術分野で知られている様々な技術を使用して、ヒト抗体を直接調製することができる。インビトロで免疫された不死化ヒトBリンパ球または標的抗原に対する抗体を生成する免疫された個体から単離された不死化ヒトBリンパ球を生成することができる(例えば、Coleら、モノクローナル抗体と癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)、Alan R.Liss、p.77(1985)、Boemerら、1991、J.Immunol.、147(1):86-95、および米国特許第5750373号を参照し、その全体が本明細書に引用される)。
【0234】
さらに、抗CLDN18.2ヒト抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントは、ファージライブラリーから選択されることができ、ここで、前記ファージライブラリーは、ヒト抗体を発現する(例えば、Vaughanら、1996、Nat.Biotech.、14:309-314、Sheetsら、1998、Proc.Nat’l.Acad.Sci.、95:6157-6162、HoogenboomおよびWinter、1991、J.Mol.Biol.、227:381、およびMarksら、1991、J.Mol.Biol.、222:581を参照)。抗体ファージライブラリーの生成および使用に対する技術は、米国特許第5969108号、第6172197号、第5885793号、第6521404号、第6544731号、第6555313号、第6582915号、第6593081号、第6300064号、第6653068号、第6706484号、および第7264963号、ならびにRotheら、2007、J.Mol.Bio.、doi:10.1016/j.jmb.2007.12.018にさらに説明される(それぞれ参照によりその全体が本明細書に引用される)。抗体ファージ表示法は、モノクローナル抗体を生成するためのハイブリドーマ技術の有力な代替手段となっている(A.S.Kangら、(1991)Proc.Nail.Acad.Sci.USA、88、4363、Sidhu、S.S.およびFellouse、F.A.(2006)Nat.Chem.Biol.2、682、Winter、G.(1998)FEBS Lett.430、92-94、Lerner、R.A.(2006)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.48、8106-8125)。現在、合成DNAによってコードされるカスタマイズされた多様性要素を有するファージライブラリーおよび/または非免疫ヒトドナーからの天然抗体遺伝子を含むライブラリーからほぼすべての抗原に対する高親和性抗体を選択することができる(Fellouse、F.A.ら、(2007)J.Mol.Biol.373、924-940、Fellouse、F.A.ら、(2005)J.Mol.Biol.348、1153-1162、Liu Y.ら、(2011)Biochem.
Biophys.Res.Commun.413、611-615、Ye J.D.ら、(2008)Proc.Natl.Acad.Sci.USA105、82-87、Gao J.ら、Sidhu S.S.およびWells J.A.ら、(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.USA106、3071-3076、Lerner R.A.ら、(2006)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.48、8106-8125)。こんな方法hあ、ヒトまたは動物に対する免疫の必要性を回避することにより、人件費および抗体生産コストを大幅に削減する。制御された条件下でのファージ抗体ライブラリーからの高親和性結合物の選択的濃縮は、出力抗体の信頼性を高め、ユーザーが指定したストリンジェンシーでの結合の選択を可能にする(Gao J.、Sidhu S.S.およびWells J.A.ら、(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.USA106、3071-3076)。
【0235】
親和性成熟戦略および鎖シャッフリング戦略(Marksら、1992、Bio/Technology10:779-783、参照によりその全体が組み込まれる)は、当技術分野で知られており、本明細書に記載の高親和性ヒト抗体またはその抗原結合フラグメントを生成するために使用することができる。
【0236】
いくつかの態様において、抗CLDN18.2モノクローナル抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)は、ヒト抗体であり得る。非ヒトまたはヒト抗体を遺伝子操作し、ヒト化または再表面化する方法使用することができ、前記方法は、当技術分野で知られている。ヒト化、再表面化または類似の遺伝子操作される抗体は、非ヒト(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類動物または他の哺乳動物に限定されない非ヒト)に由来する一つまたは複数のアミノ酸残基を有することができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、通常、「導入」残基と呼ばれる残基によって代替され、通常、既知のヒト配列の「導入」可変、定常または他のドメインから取られる。そのような導入された配列は、免疫原性を低下させるか、または結合、親和性、結合速率、解離速率、結合力、特異性、半減期または当技術分野で知られている他の任意の適切な特徴を減少、増強または修飾するために使用することができる。通常、CDR残基は、CLDN18.2結合への影響に直接かつ最も実質的に関与する。従って、非ヒトまたはヒトCDR配列の一部または全部が維持され、可変領域および定常領域の非ヒト配列をヒトまたは他のアミノ酸によって代替されることができる。
【0237】
抗体は、任意選択的に、ヒト化、再表面化、遺伝子操作することができ、またはヒト抗体はCLDN18.2抗原に対する高親和性および他の有利な生物学的特性を保持するように遺伝子操作することができる。当該目標を達成するために、親・遺伝子操作・ヒト化配列の3次元モデルを使用して、親配列および様々な概念的ヒト化および遺伝子操作の生成物に対する分析過程を通じて、ヒト化(またはヒト)または遺伝子操作された抗CLDN18.2抗体および再表面化抗体(resurfaced antibody)を選択的に調製することができる。3次元免疫グロブリンモデルは、一般的に使用することができ、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能な3次元コンフォメーション構造を例示および表示するコンピュータープログラムを使用することができる。これらの表示を調べることにより、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能な役割の分析、即ち、CLDN18.2等のその抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を与える残基の分析が可能になる。このような方式で、共通配列および導入された配列からフレームワーク(FW)残基を選択して組み合わせることにより、一つまたは複数の標的抗原に対する増加された親和性等の所望の抗体特徴を得ることができる。
【0238】
抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントのヒト化、再表面化または遺伝子操作は、任意の知られている方法を使用して実行することができ、Jonesら、Nature321:522(1986)、Riechmannら、Nature332:323(1988)、Verhoeyenら、Science239:1534(1988))、Simsら、J.Immunol.151:2296(1993)、ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.196:901(1987)、Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992)、Prestaら、J.Immunolに記載された方法と同じであるが、これらに限定されなく、それぞれ参照によりその全体が本明細書に引用され、引用される参照文献を含む。
【0239】
いくつかの実施形態において、抗CLDN18.2ヒト抗体およびその抗原結合フラグメントは、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニックマウスでも調製されることができ、前記マウスは、内因性免疫グロブリン生成の存在しない状況で免疫された後ヒト抗体の完全なライブラリーを生成するすることができる。当該方法は、既存の米国特許第5545807号、第5545806号、第5569825号、第5625126号、第5633425号、および第5661016号に記載され、その全体が本明細書に引用される。
【0240】
いくつかの実施形態において、抗CLDN18.2抗体フラグメントを提供する(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローンに由来するフラグメント)。抗体フラグメントを生成するための様々な技術が知られている。伝統的に、これらのフラグメントは、抗体全体のタンパク質水解消化によって誘導される(例えば、Morimotoら、1993、Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117、Brennanら、1985、Science、229:81)。いくつかの態様において、抗CLDN18.2抗体フラグメントを組換え的に生成する。Fab、FvおよびscFv抗体フラグメントは、すべて大腸菌または他の宿主細胞で発現および分泌されることができ、そのようなフラグメントを大量に生成することができ。そのような抗CLDN18.2抗体フラグメントも、前記議論された抗体ファージライブラリーから単離されることができる。抗CLDN18.2抗体フラグメントは、例えば、米国特許第5641870号に記載の線状抗体であり得、その全体が本明細書に引用される。抗体フラグメントを生成するための他の技術、例えば、化学的合成は、熟練した当業者には明らかであろう。
【0241】
本開示によると、技術は、CLDN18.2に特異的な一本鎖抗体の生成に適用されることができる(例えば、米国特許第4946778号を参照し、その全体が本明細書に引用される)。さらに、Fab発現ライブラリーの構築に適切な方法(Huseら、Science246:1275-1281(1989))を使用して、CLDN18.2に対して所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントまたはその誘導体、フラグメント、類似体または相同体を迅速かつ効果的に同定することができる。(a)抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab’)2フラグメント、(b)F(ab’)2フラグメントのジスルフィド結合を還元して生成されるFabフラグメント、(c)パパインおよび還元剤で処理して抗体分子を生成するFabフラグメント、および(d)Fvフラグメントを含むが、これらに限定されない抗体フラグメントを生成することができる。
【0242】
本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントは、その血中半減期を増加させるように修飾されることができる。これは、例えば、抗体または抗体フラグメントで積雪な領域の突然変異によってサルベージ受容体結合エピトープを抗体または抗体フラグメントに組み込まれるか、またはエピトープをペプチドタグに組み込まれ、次に、ペプチドタグを抗体または抗体フラグメントの任意の末端または中間に融合させるか(例えば、DNAまたはペプチドによって合成)、またはYTE突然変異によって実現することができる。抗体またはその抗原結合フラグメントの血中半減期を増加させる他の方法、例えば、PEG等の異種分子に接合するのは、当技術分野で知られている。
【0243】
本開示の目的のため、修飾された抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、CLDN18.2に対する抗体またはポリペプチドの結合を提供する任意のタイプの可変領域を含むことができることを理解されたい。この態様において、可変領域は、任意のタイプの哺乳動物を含むか、またはそれに由来されることができ、前記哺乳動物は、体液反応を強化し、所望の腫瘍関連抗原に対する免疫グロブリンを生成するように誘導することができる。従って、修飾された抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントの可変領域は、例えば、ヒト、マウス、非ヒト霊長類動物(例えば、カニクイザル、アカゲザル等)またはルピナス(lupine)に由来されることができる。いくつかの実施形態において、修飾された抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントの可変領域および定常領域の両方は、ヒトである。他の実施形態において、適合性抗体(一般に非ヒト供給源に由来する)の可変領域は、遺伝子操作されるか、または特異的に改変され当該分子の結合特性を改善するか、または当該分子の免疫原性を低下させることができる。この態様において、入力されたアミノ酸配列を含むことにより、可変領域をヒト化するか、または他の方式で改変させることができる。
【0244】
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントの重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインは、すべて一つまたは複数のCDRの少なくとも部分的置換および必要時一部のフレームワーク領域の置換および配列改変を介して改変されることができる。CDRは、フレームワーク領域が由来する抗体のクラスまたはさらにサブクラスと同じ抗体に由来することができるが、CDRは、異なるクラスの抗体に由来され、特定の態様において異なる種の抗体に由来すると考えられる。一つの可変ドメインの抗原結合能力を別の可変ドメインに転移するために、すべてのCDRをドナー可変領域に由来する完全CDRで置換する必要はない。むしろ、抗原結合部位の活性を維持するために必要な残基のみが移される。米国特許第5585089号、第5693761号および第5693762号(その全体が本明細書に引用される)に記載された説明を考慮すると、日常的な実験または試行錯誤試験を通じて、免疫原性が低下した機能的抗体を得ることは、完全に当業者の能力の範囲内である。
【0245】
可変領域の変化にもかかわらず、当業者は、修飾された抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントが抗体(例えば、完全長抗体またはその免疫反応フラグメント)を含み、ここで、一つまたは複数の定常領域ドメインの少なくとも一部が欠失されるか、または以他の方式で改変され、天然または改変されない定常領域を含むほぼ同じ免疫原性を有する抗体と比較する場合、所望する生化学的特性、例えば、増加された腫瘍局在または低下された血中半減期を提供することを理解されたい。いくつかの実施形態において、修飾された抗体の定常領域は、ヒト定常領域を含む。本明細書に開示される当該抗CLDN18.2分子と互換性のある定常領域に対する修飾は、一つまたは複数のドメインで一つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失または置換を含む。即ち、本明細書に開示される修飾された抗体は、三つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2またはCH3)の一つまたは複数および/または軽鎖定常ドメイン(CL)に対する改変または修飾を含むことができる。いくつかの態様において、一つまたは複数のドメインが部分的または全部欠失された修飾定常領域が考えられる。いくつかの実施形態において、修飾された抗体は、ドメインが欠失された構築物または変異体を含み、ここで、CH2ドメイン全体が削除された(ACH2構築物)。いくつかの態様において、省略された定常領域は、通常、欠失定常領域によって与えられる特定の分子柔軟性を提供することができる短いアミノ酸スペーサー(spacer)(例えば、10個の残基)によって置換される。
【0246】
これらの立体配置に加えて、定常領域が複数のエフェクター機能を媒介することが当技術分野で知られている。例えば、補体のC1成分が抗体に結合すると、補体系が活性化される。補体の活性化は、細胞病原体のソプソニンおよび溶解にとって重要である。補体の活性化は、炎症性応答を刺激し、自己免疫過敏性にも関与することができる。さらに、抗体は、Fc領域によって細胞に結合し、抗体Fc領域のFc受容体部位は、細胞上のFc受容体(FcR)に結合する。IgG(γ受容体)、IgE(η受容体)、IgA(α受容体)およびIgM(μ受容体)を含む異なるクラスの抗体に特異的な大量のFc受容体をある。細胞表面上のFc受容体に対する抗体の結合は、抗体コーティング粒子の食作用、破壊、免疫複合体の除去、死滅細胞による抗体コーティング標的細胞の溶解(抗体依存性細胞媒介性細胞毒性またはADCCト呼ばれる)、炎症性媒介対の放出、胎盤転移および免疫グロブリン生成をの制御を含んで、多数の重要で様々な生物学的反応を引き起こす。
【0247】
いくつかの実施形態において、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントは、改変されたエフェクター機能を提供して、投与された抗体またはその抗原結合フラグメントの生物学的特性に影響を与える。例えば、定常領域ドメインの欠失または不活性化(点突然変異または他の方式による)は、循環する修飾された抗体のFc受容体結合を減少させることにより、腫瘍の局在化を増加させることができる。他の情况下で、本開示と一致する定常領域修飾は、適切な補体結合であり得、かつ従って、血中半減期を減少させることができる。定常領域の他の修飾は、増加された抗原特異性または抗体柔軟性により増強された局在化を許容される、ジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を除去するために使用されることができる。類似的に、完全に当業者の能力の範囲内である周知の生化学的または分子工学技術を使用して、本開示に係る定常領域に対する修飾を容易に実行することができる。
【0248】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるCLDN18.2-結合分子は、抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントであり、一つまたは複数のエフェクター機能を有さない。例えば、いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体依存性細胞毒性(ADCC)活性および/または補体依存性細胞毒性(CDC)活性を有さない。いくつかの態様において、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントは、Fc受容体および/または補体因子に結合しない。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、エフェクター機能を有さない。
【0249】
いくつかの実施形態において、抗CLDN18.2修飾抗体またはその抗原結合フラグメントは、CH3ドメインを対応する修飾された抗体またはそのフラグメントのヒンジ領域に直接融合するように遺伝子操作することができることに留意されたい。他の構築物において、ヒンジ領域と修飾されたCH2および/またはCH3ドメインとの間にペプチドスペーサーを提供する必要がある。例えば、互換性のある構築物を発現することができ、ここで、CH2ドメインは、欠失され、かつ残りのCH3ドメイン(修飾または非修飾)は、5~20個のアミノ酸スペーサーを介してヒンジ領域に接続される。例えば、定常ドメインの調節要素が遊離されかつ接近可能な状態で維持されるか、またはヒンジ領域が柔軟性を維持するように確実にするためにそのようなスペーサーを追加することができる。しかしながら、いくつかの状況において、アミノ酸スペーサーが免疫原性を有することが証明され、かつ構築物に対して望ましくない免疫応答を誘発することができることに留意されたい。従って、いくつかの態様において、修飾された抗体の所望の生化学的特性を維持するために、構築物に添加される任意のスペーサーは、比較的非免疫原性であるか、またはさらに一緒に完全に省略されるべきである。
【0250】
定常領域ドメイン全体を欠失させることに加えて、本開示の抗CLDN18.2抗体およびその抗原結合フラグメントは、いくつかのまたは単一のアミノ酸の部分的欠失または置換によって提供されることができることを理解されるべきである。例えば、CH2ドメインの選択された領域における単一のアミノ酸突然変異は、Fc結合を有意に減少させ、かつそれによって腫瘍の局在化を増加させるのに十分である可能性がある。類似的に、偏重されるエフェクター機能を制御する一つまたは複数の定常領域ドメインのこの部分を単に欠失させることが望ましい場合がある。定常領域のそのような部分的欠失は、抗体またはその抗原結合フラグメントの選択された特性(例えば、血中半減期)を改善する同時に対象の定常領域ドメインに関連する他の所望の機能の完全性を保持することができる。さらに、上で示唆されるように、開示された抗CLDN18.2抗体およびその抗原結合フラグメントの定常領域は、得られた構築物の特性を増強する一つまたは複数のアミノ酸の突然変異または置換によって修飾されることができる。この態様において、保存的結合部位によって提供される活性(例えば、Fc結合)を破壊する同時に修飾された抗体またはその抗原結合フラグメントの立体配置および免疫原性特性を実質的に維持することができる。いくつかの実施形態は、エフェクター機能の減少または増加等の所望の特性を増強させるか、またはより多い細胞毒素または炭水化物付着を提供するために、定常領域に一つまたは複数のアミノ酸を添加することを含むことができる。そのような態様において、選択された定常領域ドメインに由来する特定の配列挿入または複製することが必要がある可能性がある。
【0251】
本明細書は、本明細書に示されるキメラ、ヒト化およびヒト抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントに実質的に相同である変異体および同等物を説明する。これらは、例えば、保存的置換突然変異、即ち、一つまたは複数のアミノ酸が類似のアミノ酸によって置換されることを含むことができる。例えば、保存的置換は、同じ一般的なカテゴリー内の別のアミノ酸によってアミノ酸を置換することを指し、例えば、一つの酸性アミノ酸が別の酸性アミノ酸によって置換され、一つの塩基性アミノ酸が別の塩基性アミノ酸によって置換されるか、または一つの中性アミノ酸が別の中性アミノ酸によって置換される。保存的アミノ酸置換の意図は、当技術分野でよく知られている。
【0252】
V.CLDN18.2-結合分子をコードするポリヌクレオチド
【0253】
いくつかの態様において、本明細書は、CLDN18.2またはその抗原結合フラグメントに特異的に結合するポリペプチドコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを含む。例えば、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)をコードするか、またはそのような抗体の抗原結合フラグメントをコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドを提供する。前記ポリヌクレオチドは、RNA形態またはDNA形態であり得る。DNAは、cDNA、ゲノムDNAおよび合成DNAを含み、二本鎖または一本鎖であり得、一本鎖の場合、コード鎖または非コード鎖(アンチ鎖)であり得る。
【0254】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、単離される。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、実質的に純粋である。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドのコード配列を含み、当該コード配列は、同じリーディングフレームで、例えば、宿主細胞においてポリペプチドの発現および分泌を促進するポリヌクレオチド(例えば、細胞からのポリペプチドの輸送を制御する分泌配列のリーダー配列として使用される)に融合される。リーダー配列を有するポリペプチドは、前駆体タンパク質であり、リーダー配列は、宿主細胞によって切断されて、ポリペプチドの成熟形態を形成することができる。ポリヌクレオチドは、成熟タンパク質に使の5’アミノ酸残基を加えた、CLDN18.2-結合前駆体タンパク質をコードするすることもできる。
【0255】
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、同じリーディングフレームで、例えば、コードされたポリペプチドの精製を可能にする標識配列に融合された成熟CLDN18.2-結合ポリペプチド(例えば、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメント)に対するコード配列を含む。例えば、細菌宿主の場合、標識配列は、前記標識に融合された成熟ポリペプチドの精製を提供するためにpQE-9ベクターによって提供されるヘキサヒスチジンタグであり得るか、または哺乳動物宿主(例えば、COS-7細胞)を使用する場合、標識配列は、インフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来する血球凝集素(HA)タグであり得る。
【0256】
いくつかの別の実施形態において、本明細書に開示されるCLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)のCLDN18.2-結合フラグメント、類似体および誘導体をコードする前記ポリヌクレオチドの変異体を説明する。
【0257】
ポリヌクレオチド変異体は、コード領域、非コード領域またはその両方の変化を含む。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変異体は、サイレント置換、付加または欠失を生成する変化を含むが、コードされたポリペプチドの性質または活性を変化させない。いくつかの態様において、ポリヌクレオチド変異体は、遺伝コドンの縮重によるサイレント置換によって生成される。様々な理由でポリヌクレオチド変異体を生成するすることができ、例えば、特定の宿主に対するコドン発現(ヒトmRNAのコドンを、例えば、大腸菌などの細菌宿主が好むコドンに変化する)を最適化するためであり得る。本明細書に係るポリヌクレオチドを含むベクターおよび細胞をさらに提供する。
【0258】
いくつかの態様において、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)等のCLDN18.2-結合分子またはその抗原結合フラグメントのDNA配列は、オリゴヌクレオチドシンセサイザーを使用して、科学的合成によって構築されることができる。所望のポリペプチドのアミノ酸配列および目的の組換えポリペプチドを生成する宿主細胞において好ましいそれらのコドンの選択に基づいて、そのようなオリゴヌクレオチドを設計することができる。標準的な方法を適用して、目的の単離されたポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド配列を合成することができる。例えば、完全なアミノ酸配列は、逆翻訳(reverse translation)された遺伝子を構築することができる。さらに、特定の単離されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAオリゴマーを合成することができる。例えば、所望のポリペプチドの一部をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドを合成しかつライゲーションさせることができる。各オリゴヌクレオチドは、通常、相互的集合のために、5’または3’のオーバーハング(overhang)を含む。
【0259】
組み立てられると(合成、部位指向突然変異誘発または別の方法によって)、特定の単離された目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、かつ所望の宿主において、タンパク質の発現に適切な制御配列に動作可能なようにリンクされることができる。ヌクレオチドシーケンシング、制限マッピングおよび適切な宿主において生物学的活性ポリペプチドの発現によって適切な組み立てを確認することができる。当技術分野でよく知られているように、宿主においてトランスフェクトされた遺伝子の高い発現レベルを得るために、当該遺伝子を選択された発現宿主において機能のある転写および翻訳発現制御配列に作動可能に連結されるべきである。
【0260】
いくつかの態様において、組換え発現ベクターは、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントをコードするDNAの増幅および発現に使用される。組換え発現ベクターは、複製可能なDNA構築物であり、前記DNA構築物は、哺乳動物、微生物、ウイルスまたは昆虫遺伝子に由来する適切な転写または翻訳調節要素に動作可能なようにリンクされた抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントのポリペプチド鎖をコードする合成またはcDNA-由来DNAフラグメントを有する。
【0261】
転写ユニットは、通常、(1)遺伝子発現に調節役割を有する一つまたは複数の遺伝要素、例えば、転写プロモーターまたはエンハンサー、(2)mRNAに転写されかつタンパク質に翻訳される構造的またはコード配列、および(3)以下に詳述するように、適切な転写および翻訳開始および終了配列等の物質の集合体を含む。そのような調節要素は、転写を制御するオペレーター配列を含むことができる。宿主で複製する能力は、通常、複製起点によって付与され、形質転換体の同定を容易にする選択遺伝子をさらに組み込むことができる。DNA領域が互いに機能的に関連している場合、それらは動作可能なようにリンクされている。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー配列)のDNA発現がポリペプチド分泌に関与する前駆体として発現される場合、シグナルペプチド(分泌リーダー配列)のDNAは、ポリペプチドに対するDNAに作動可能に連結されるか、プロモーターがコード配列の転写を制御する場合、プロモーターは、コード配列作動可能に連結されるか、またはリボソーム結合部位が翻訳を可能にするように配置される場合、リボソーム結合部位は、コード配列に動作可能なようにリンクされる。酵母発現系での使用を目的とした構造要素は、宿主細胞が翻訳されたタンパク質を細胞外に分泌することを可能にするリーダー配列を含む。代替可能に、組換えタンパク質がリーダー配列またはトランジット配列なしで発現される場合、N-末端メチオニン残基を含むことができる。任意選択的に、その後、発現された組換えタンパク質から切断されて、最終生成物を提供することができる。
【0262】
発現制御配列および発現ベクターの選択は、宿主の選択に依存する。様々な発現宿主/ベクターの組み合わせを使用することができる。真核宿主に有用な発現ベクターは、例えば、SV40、ウシ乳頭腫ウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルスからの発現制御配列を含むベクターを含む。細菌宿主に有用な発現ベクターは、既知の細菌プラスミド、例えば、pCR1、pBR322、pMB9およびその誘導体を含む大腸菌に由来されるプラスミド、より広い宿主範囲のプラスミド、例えば、M13および繊維状一本鎖DNAファージを含む。
【0263】
例えば、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)等のCLDN18.2-結合分子を発現するための適切な宿主細胞は、適切なプロモーターの制御下にある原核生物、酵母、昆虫または高等真核細胞を含む。原核生物は、Escheirchiacoliやbacillus等のグラム陰性菌またはグラム陽性菌を含む。高等真核細胞は、以下に説明するように、哺乳動物起源の確立された細胞株を含む。無細胞翻訳システムも使用することができる。細菌、真菌、酵母および哺乳動物細胞宿主で一緒に使用される適切なクローンおよび発現ベクターは、Pouwelsら、(クローニングベクター:実験マニュアル(Cloning Vectors:A Laboratory Manual)、Elsevier、N.Y.、1985)に記載され、開示された内容は、参照として本明細書に引用される。タンパク質の生産方法(抗体生産を含む)に関する他の情報は、例えば、米国特許公開第2008/0187954号、米国特許第6413746号、第6660501号および第7932087号を参照することができ、それぞれ参照として、その全体が本明細書に引用される。
【0264】
様々な哺乳動物または昆虫細胞培養システムを使用して、組換えCLDN18.2-結合分子、例えば抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントを発現することができる。哺乳動物細胞での組換えタンパク質の発現が実行されることができ、その理由は、前記タンパク質が一般に正しく折りたたまれ、適切に修飾され、完全な機能を有する。
【0265】
適切な哺乳動物宿主細胞株の例としては、HEK-293およびHEK-293T、Gluzman(Cell23:175、1981)に記載のCOS-7サル腎臓細胞株、および例えば、L細胞、C127、3T3、中国ハムスター卵巣(CHO)、NSO、HeLaおよびBHK細胞株を含む、他の細胞株を含む。哺乳動物発現ベクターは、発現される遺伝子に連結される複製原点、適切なプロモーターおよびエンハンサー等の非転写要素および他の5’または3’隣接非転写配列、ならびに必要とするリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよび受容体部位および転写終了配列等の5’または3’非翻訳配列を含むことができる。昆虫細胞で異種タンパク質を生成するためのバキュロウイルスシステムは、LuckowおよびSummers、BioTechnology6:47(1988)によってレビューされる。
【0266】
形質転換された宿主によって生成されたCLDN18.2-結合分子、例えば、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントは、任意の適切な方法によって精製される。そのような標準的方法は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーおよびサイジングカラムクロマトグラフィー(sizing column chromatography))、遠心分離、溶解度の差またはタンパク質精製のための他の標準的な技術を含む。例えば、ヘキサポリヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザウイルスコート配列およびグルタチオン-S-トランスフェラーゼの親和性タグは、タンパク質に付着することにより、適切な親和性カラムをによる簡単な精製が容易になる。タンパク質分解、核磁気共鳴およびx線結晶学を使用して単離されたタンパク質の物理的特性評価実行することもできる。
【0267】
例えば、まず商業的に入手可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、AMICON(登録商標)またはMillipore PELLICON(登録商標)限外ろ過装置等を使用して、培地に組換えタンパク質を分泌するシステム由来の上清液を濃縮することができる。濃縮ステップの後、濃縮物を適切な精製マトリックスに適用することができる。代替可能に、ペンダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは基質等の、陰イオン交換樹脂を使用することができる。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたはタンパク質精製で一般的に使用される他のタイプにすることができる。代替可能に、陽イオン交換ステップを使用することができる。適切な陽イオン交換器は、スルホプロピル基またはカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスを含む。最後に、疎水性RP-HPLC媒体(例えば、ペンダントメチル基または他の脂肪族基を有するシリカゲル等)を使用する一つまたは複数の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)ステップを使用して、CLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)をさらに精製することができる。前記生成ステップの一部またはすべてを様々な組み合わせで使用して、均一な組換えタンパク質を提供することもできる。
【0268】
組換えCLDN18.2-結合タンパク質、例えば、細菌培養物で生成される抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)またはその抗原結合フラグメントは、例えば、細胞ペレットから予備に抽出され、その後、一つまたは複数の濃縮、塩析、水性イオン交換、またはサイズ排除クロマトグラフィーステップによって単離することができる。最後の精製ステップは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用することができる。組換えタンパク質の発現に使用される微生物細胞は、凍結融解サイクル、超音波処理、機械的破壊または細胞溶解剤の使用を含む、従来の方法で破壊することができる。
【0269】
当技術分野で知られている抗体および他のタンパク質の精製方法は、例えば、米国特許公開第2008/0312425号、第2008/0177048号および第2009/0187005号に記載される方法も含み、それぞれ参照としてその全体が本明細書に引用される。
【0270】
いくつかの態様において、CLDN18.2-結合分子は、抗体ではないポリペプチドである。高い親和性でタンパク質標的に結合する非抗体ポリペプチドを同定および生成するための様々な方法は、当技術分野で知られている。例えば、Skerra、Curr.Opin.Biotechnol.、18:295304(2007)、Hosseら、Protein Science、15:14-27(2006)、Gillら、Curr.Opin.Biotechnol.、17:653-658(2006)、Nygren、FEBS J.、275:2668-76(2008)、およびSkerra、FEBS J.、275:2677-83(2008)を参照し、それぞれ参照として、その全体が本明細書に引用される。いくつかの態様において、ファージ表示技術は、CLDN18.2-結合ポリペプチドを同定/生成するために使用されることができる。
【0271】
VI.治療用抗CLDN18.2抗体を使用する治療法
【0272】
さらに、CLDN18.2発現またはCLDN18.2を発現する細胞関連疾患(例えば、癌)に苦しむ患者を治療するために、抗CLDN18.2結合分子(例えば、その抗原結合フラグメント、変異体および誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9のクローン)を含む抗体)を使用するための方法を提供する。いくつかの特定の態様において、そのような癌は、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がんである。他の種類の癌も考えられる。
【0273】
「CLDN18.2-発現細胞」とは、CLDN18.2を発現する細胞を指す。CLDN18.2は、グリコシルホスファチジルイノミトールアンカーを介して膜結合することができ、可溶性タンパク質として存在することもできる。細胞および他の適切なサンプルにおけるCLDN18.2発現を検出するための方法は、当技術分野で周知であり、免疫組織化学、フローサイトメトリー、ウエスタンブロット、ELISA等を含むが、これらに限定されない。
【0274】
以下の議論は、本開示のCLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9または5C9抗体的クローン)を使用する様々な疾患および病症の診断方法および治療に関するが、本明細書に記載の方法は、任意の他の抗CLDN18.2抗体、および例えば、CLDN18.2に特異的に結合することができる、本明細書に開示された抗CLDN18.2抗体の所望の特性を維持する、これらの抗CLDN18.2抗体の抗原結合フラグメントおよび変異体に適用されることもできる。いくつかの態様において、CLDN18.2-結合分子は、ヒトADCCを媒介しないヒトまたはヒト抗体であるか、またはADCCを媒介しないように遺伝子操作された抗CLDN18.2抗体である。
【0275】
いくつかの実施形態において、CLDN18.2-結合分子は、例えば、抗CLDN18.2-5C9またはその抗原結合フラグメント、または抗CLDN18.2-9A1またはその抗原結合フラグメントである。他の実施形態において、CLDN18.2-結合分子は、クローン突然変異抗体である。いくつかの態様において、CLDN18.2-結合分子は、クローン化されたモノクローナル抗体である。いくつかの態様において、CLDN18.2-結合分子は、血中半減期を延長するように設計されたクローン化モノクローナル抗体である。別の態様において、CLDN18.2結合分子は、クローン化されたYTE突然変異抗体である。
【0276】
一実施形態において、治療は、被験者または患者に抗CLDN18.2結合分子(例えば、本開示の抗CLDN18.2-5C9抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体)を適用または投与するか、または被験者または患者から単離された組織または細胞株に抗CLDN18.2結合分子を適用または投与することを含み、ここで、被験者または患者は、疾患、疾患症状に苦しんでいるか、または疾患にかかりやすい。別の実施形態において、治療は、被験者または患者に抗CLDN18.2結合分子(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体)を含む医薬組成物を適用または投与するか、または被験者または患者から単離された組織または細胞株に抗CLDN18.2結合分子を含む医薬組成物を適用または投与ことを含むように意図し、前記被験者または患者は、疾患、疾患症状に苦しんでいるか、または疾患にかかりやすい。
【0277】
抗CLDN18.2-5C9抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体などの本開示の抗CLDN18.2結合分子は、様々な癌を治療するために使用されることができる。一態様において、特に、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がんを含む、癌を治療または予防するための医薬として使用される、抗CLDN18.2-5C9抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体などの抗CLDN18.2結合分子を説明する。
【0278】
前記方法によれば、少なくとも一つの抗CLDN18.2結合分子、例えば、本明細書の他で定義された抗CLDN18.2-5C9またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体を使用して、癌に関する陽性治療反応を促進する。癌治療に関する「陽性治療反応」という用語は、これらの抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体または抗原結合フラグメント、その変異体または誘導体)の活性に関連する疾患の改善、および/または疾患に関連する症状の改善を指す。従って、例えば、疾患の改善は、完全な反応として特徴づけることができる。「完全な反応」とは、臨床的に検出可能な疾患がなく、以前の監査結果を正常化する必要があることを意味する。代替可能に、疾患の改善は、部分的反応として分類することができる。「陽性治療反応」は、癌の発生および/または持続時間の減少または阻害、癌の重症度の減少または改善、および/または本明細書に開示される一つまたは複数の抗CLDN18.2結合分子の症状の改善を含む。
【0279】
特定の態様において、そのような用語は、本明細書に開示される抗CLDN18.2結合分子を投与した後、(1)癌細胞集団の安定化、減少または除去、(2)癌増殖の安定化または減少、(3)癌形成障害、(4)原発性、局所性および/または転移性癌の根絶、去除または制御、(5)死亡率の低下、(6)無病、再発なし、無増悪および/または全生存率、持続時間または発生率の増加、(7)応答率、応答持続時間または応答または緩和された患者数の増加、(8)入院率の減少、(9)入院期間の減少、(10)癌のサイズが維持され、かつ増加しないか、10%未満、好ましくは、5%未満、好ましくは、4%未満、好ましくは、2%未満の増加、および(12)緩和された患者数の増加のうち、一つ、二つまたは三つまたはそれ以上を引き起こすことを指す。
【0280】
臨床反応は、例えば、磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、X-線撮影画像法、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、フローサイトメトリーまたは蛍光活性化細胞ソーター(FACS)分析、組織学、マクロ病理学および血液化学などのスクリーニング技術を使用することがてき、ELISA、RIA、クロマトグラフィー等によって検出可能な変化を含むが、これらに限定されない。これらの陽性治療反応に加えて、抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体)治療法を受けた被験者は、疾患に関連する症状が改善される有益な効果を経験することもできる。
【0281】
いくつかの実施形態において、例えば、本明細書に開示される抗CLDN18.2-5C9またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体等の、抗CLDN18.2結合分子は、任意の既知の癌治療と組み合わせて使用することができ、これは、癌(例えば、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がん)の治療に有益であることが知られているか、または使用されたか、または現在源を治療するために使用されている、任意の薬剤または薬剤の組み合わせを含む。薬物組み合わせ製剤または投与スキームの第2の薬剤または薬剤の組み合わせは、いくつかの実施形態において本明細書に係る抗体またはポリペプチドに対する相補的な活性を有し、互いに悪影響を及ぼさないようにする。
【0282】
抗がん剤は、癌性増殖等の悪性腫瘍の治療に使用される薬物を含む。薬物治療法は、単独で使用するか、または他の治療(例えば、手術または放射線治療法)と組み合わせて使用することもできる。関与する臓器の性質に応じて、いくつかのタイプの薬物は、癌の治療に使用されることができる。特定の態様において、例えば、抗CLDN18.2-5C9またはその抗原結合フラグメント等の、本明細書に開示されるCLDN18.2-結合分子は、例えば、PD-1(プログラムされた死滅1タンパク質)、その二つのリガンドPD-L1(プログラム性死滅リガンド1)および/またはPD-L2またはCTLA-4(細胞毒性Tリンパ球抗原4タンパク質)等を標的とする抗体または抗体フラグメントと組み合わせて投与されることができる。例えば、Staggら、PNAS107:15471552(2010)、Jinら、Cancer Res.70(6):(2010)、Allardら、Clin.Cancer Res.19:5626(2013)を参照し、参照によりその全体が本明細書に引用される。いくつかの態様において、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブまたはその抗原結合フラグメントである。別の態様において、抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブ(チシリムマブ(ticilimumab)、CP-675,206)またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、以前は、ランブリズマブ(lambrolizumab)であり、MK-3475と呼ばれる)またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(BMS-936558、MDX-1106、ONO-4538、OPDivA0)またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの態様において、抗PD-Ll抗体は、BMS-936559またはその抗原結合フラグメントである。別の態様において、抗PD-Ll抗体は、MPDL3280Aである。別の態様において、抗PD-1抗体は、AMP-224(抗PD-1Fc融合タンパク質)またはその抗原結合フラグメントである。
【0283】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるCLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9)は、抗PD-1または抗PD-1抗体と組み合わせて投与されることができる。様々な実施形態において、抗CLDN18.2抗体は、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kgまたは約20mg/kgの濃度で投与される。他の濃度も考慮される。
【0284】
いくつかの実施形態において、本明細書開示されるCLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9)は、抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体と組み合わせて投与されることができ、ここで、抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体は、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kgまたは約20mg/kgの濃度で投与される。他の濃度も考慮される。
【0285】
いくつかの他の的実施形態において、抗CLDN18.2抗体および抗PD-1抗体、抗PD-L1または抗CTLA4は、約1:1、1:2、1:3または1:4の比率で投与されることができる。他の比率も考慮される。例えば、いくつかの実施形態において、抗CLDN18.2抗体および抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体は、約1:2の比率で投与される。一つも例示的な実施形態において、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9)の濃度は、約10mg/kgであり、抗PD-1抗体の濃度は、約20mg/kgである。
【0286】
一つの代替可能な実施形態において、本明細書に開示されるCLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9)は、抗PD-1抗体と組み合わせて投与される。
【0287】
いくつかの態様において、未治療の被験者または単剤治療法(例えば、抗CLDN18.2抗体を含まない抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体)で治療された被験者と比較して、抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体と組み合わせる本明細書に開示されるCLDN18.2結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9)を含む組み合わせ治療は、生存率を少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約100%増加させることができる。
【0288】
いくつかの実施形態において、未治療の被験者または単剤治療法(例えば、无抗CLDN18.2抗体を含まない抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体)で治療された被験者と比較して、本明細書に開示されるCLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9)と抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体の組み合わせを含む組み合わせ治療で投与すれば、生存率を少なくとも約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍または約10倍を高めることができる。
【0289】
併用治療法が抗CLDN18.2結合分子の投与と別の治療剤(例えば、抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体)の投与との組み合わせを含む場合、本明細書に開示される方法は、別個の製剤または単一の薬物製剤(pharmaceutical formulation、薬学的処方とも言い)を使用する同時投与、およびいずれかの順序での連続投与を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載の抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9)は、他の薬物と組み合わせて投与され、ここで、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体は、一つまたは複数の治療剤と任意の順序で順次にまたは同時(即ち、同時にまたは同じ時間範囲内で)に投与されることができる。
【0290】
併用治療法は、「相乗効果」をもたらしかつ「相乗的」を証明することができ、即ち、活性成分を一緒に使用される場合に得られる効果は、化合物を単独で使用される場合に得られる効果の合計よりも多くななる。活性成分が、(1)組み合わせた単位投与量製剤で共製剤化されかつ同時に投与または送達、(2)単独製剤で交互にまたは同時に送達、または(3)他のいくつかのスキーム等のように処理される場合に、相乗効果を得ることができる。交互治療法で送達される場合、化合物が、例えば、別々の注射器で異なる注射によって順次に投与されるか、または送達される場合、相乗効果を得ることができる。通常、交互治療法期間において、各活性成分の有効量を順次に、つまり順次に投与し、併用治療法において、有効量の二つまたは複数の活性成分を一緒に投与する。
【0291】
別の態様において、本明細書に開示されるCLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9)は、チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与されることができる。いくつかの他の特定の態様において、本明細書に開示されるCLDN18.2-結合分子は、EGFRおよび/またはHER2/neuに関連するチロシンキナーゼ活性の阻害剤(例えば、ラパチニブ)と組み合わせて投与されることができる。いくつかの態様において、本明細書に開示されるCLDN18.2-結合分子は、抗有糸分裂剤と組み合わせて使用されることができる。いくつかの特定の態様において、本明細書に開示されるCLDN18.2結合分子は、有糸分裂紡錘体の微小管集合を安定化する試薬(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)と組み合わせて投与されることができる。
【0292】
別の実施形態は、所与の治療手段の有効性を決定するための臨床試験プログラムの一部として、組織中のタンパク質レベルを診断モニタリングのための、例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9)等の抗CLDN18.2結合分子に関する。例えば、抗体を検出可能な物質にカップリングして、検出を促進することができる。
【0293】
検出可能な物質の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料および放射性材料を含む。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、13-ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼを含み、適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含み、適切な蛍光材料の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジンアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンを含み、発光材料の例としては、ルミノールを含み、生物発光材料の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを含み、および適切な放射性材料の例としては、1251、131-、135Sまたは3Hを含む。
【0294】
VII.抗CLDN18.2抗体治療的組み合わせおよび共同治療法
【0295】
いくつかの別の実施形態は、癌(胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がんを含む)を患う患者を治療するための抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗原結合フラグメント、変異体およびその誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)を含む抗体)を含む治療的組み合わせの使用に向けられた方法に関する。以下の議論は、以下の議論は、本明細書に記載のCLDN18.2結合分子(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)を特徴とする治療的組み合わせに言及するが、本明細書に記載の方法は、他の任意の抗CLDN18.2抗体にも適用可能であり、これらの抗CLDN18.2抗体の抗原結合フラグメント、変異体および誘導体(例えば、融合タンパク質またはコンジュゲート)は、本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体の所望の特性を保持している。いくつかの態様において、CLDN18.2-結合分子は、ヒトADCCを媒介しないヒトまたはヒト抗体、またはADCCを媒介しないように遺伝子操作された抗CLDN18.2抗体である。
【0296】
本明細書に記載の併用治療法(例えば、抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体と組み合わせた抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメント)を使用する固形腫瘍の患者に対する治療は、累積効果または相乗効果をもたらすことができる。本明細書で使用されるように、「相乗的」という用語は、単剤治療法の累積効果よりも効果的な治療法の組み合わせ(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体と抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体との組み合わせ等の抗CLDN18.2抗体等)を指す。
【0297】
治療法の組み合わせ(例えば、抗CLDN18.2抗体と抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体との組み合わせ)の相乗効果により、低投与量の一つまたは複数の治療剤の使用、および/または固形腫瘍の患者への前記治療剤のより少ない頻度の投与が可能になる。より低投与量の治療剤を使用する能力、および/またはより少ない頻度で治療を投与する能力は、固形腫瘍の治療における治療の有効性を低下させることなく、対象への治療の投与に関連する毒性を低減する。さらに、相乗効果は、固形腫瘍の管理、治療または改善における治療剤の有効性を増加につながる可能性がある。治療剤の組み合わせの相乗効果は、任意の単剤治療法の使用に関連する望ましくないまたは望ましくない副作用を回避または低減することができる。
【0298】
共同治療法において、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)またはその抗原結合フラグメントと抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体またはその抗原結合フラグメントとの組み合わせは、任意選択で同じ医薬組成物に含まれることができるか、または別個の医薬組成物に含まれることができる。後者の場合、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物は、抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物の投与の前、同時、または後に投与するのに適用する。いくつかの状況下で、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)またはその抗原結合フラグメントおよび抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体は、重複する時間に別々の組成物で投与される。
【0299】
抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)またはその抗原結合フラグメントおよび抗PD-1、抗PD-L1または抗CTLA4抗体またはその抗原結合フラグメントは、患者に依然に利益をもたらしながら、一度だけまたはまれに投与することができる。別の実施形態において、患者に追加の後続投与量を投与することができる。患者の年齢、体重、臨床評価、腫瘍量および/または他の要因(主治医の判断を含む)に応じて、異なる時間間隔で投与することができる。例えば、後続投与量は、患者に初期投与量を投与した後、1週間、2週間、3週間等、1か月、2か月、3か月、6か月等、1年、2年、3年等で投与されることができる。
【0300】
本明細書で提供される方法は、腫瘍の増殖を減少または遅延させることができる。いくつかの態様において、減少または遅延は、統計的に有意である可能性がある。腫瘍増殖の減少は、ベースラインで患者の腫瘍増殖、予想される腫瘍増殖、大規模な患者群体に基づく予想される腫瘍増殖または対照集団における腫瘍増殖と比較して測定することができる。他の実施形態において、前記方法は、生存率の増加をもたらす。
【0301】
VIII.医薬組成物および投与方法
【0302】
例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)等の抗CLDN18.2結合分子の調製および投与必要とする被験者への投与は、周知であるか、または当業者によって容易に決定される。抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体)の投与経路は、経口、非経口、吸入または局所であり得る。本明細書で使用される非経口という用語は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣内投与等の投与を含む。しかしながら、本明細書の教示と互換性のある他の方法において、例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体等の本開示の抗CLDN18.2結合分子は、有害な細胞集団の部位に直接送達され、治療薬への病変組織の曝露を増加させることができる。
【0303】
本明細書で論じられるように、例えば、本開示の抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)等の抗CLDN18.2結合分子は、特定の種類の癌等、CLDN18.2を発現する細胞媒介性疾患のインビボ治療による薬学的有効量で投与されることができる。
【0304】
抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体)(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)と抗PD-1、抗PDL1および/または抗CTLA4抗またはその抗原結合フラグメントとの組み合わせを含む治療的組み合わせで調製し、かつ必要とする被験者に投与する方法は、当業者に周知であるか、同業者によって容易に決定される。その組み合わせの投与経路は、例えば、経口、非経口、吸入または局所であり得る。本明細書で使用される非経口という用語は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸または膣内投与等の投与を含む。しかしながら、本明細書の教示と互換性のある他の方法において、本明細書に記載の組み合わせは、有害な細胞集団の部位に直接送達され、治療薬への病変組織の曝露を増加させることができる。本明細書に論じられるように、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)と抗PD-1、抗PD-L1および/または抗CTLA4抗体との組み合わせは、特定の種類の癌(例えば、胃がん)等、CLDN18.2を発現する細胞媒介性疾患のインビボ治療による薬学的有効量で投与されることができる。
【0305】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、例えば、水、イオン交換剤、タンパク質、緩衝物質および塩を含む、薬学的に許容されるキャリアをさらに含むことができる。防腐剤および他の添加剤は、いくつかの代替実施形態に存在することもできる。ベクターは、溶媒または分散媒体であり得る。本明細書に開示される治療法に適した製剤は、以前にレミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)(Mack Publishing Co.)第16版(1980))に記載されている。
【0306】
本明細書に記載の実施形態のいずれかによれば、滅菌注射可能な溶液は、活性化合物(例えば、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体、例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体、自体または活性化剤との他の組み合わせ)の前記治療用の組み合わせを必要な量で溶媒に組み込んだ後、フィルター滅菌することによって調製することができる。さらに、製剤を包装してキットの形態で販売することができる。そのような製品は、疾患または病症に罹患しているか、または罹患しやすい対象を治療するための関連する組成物を示すタグまたは包装挿入物を有することができる。
【0307】
非経口製剤は、単回一時投与量、注入またはロード一時投与量、その後の維持投与量であり得る。これらの組成物は、特定の固定または可変間隔で、例えば、1日1回、または「必要に応じて」ベースで投与されることができる。
【0308】
組成物は、単回投与量、複数投与量または決定された注入期間内に投与されることができる。最も好ましい反応(例えば、治療または予防反応)を提供するように投与量スキームを調整することができる。
【0309】
CLDN18.2を発現する細胞媒介疾患(例えば、胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、卵巣がん、結腸がん、肝臓がん、頭頚部がんおよび胆嚢がんを含む、特定のタイプの癌)の治療に使用される本明細書に記載の組成物の治療有効量は、投与方式、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトであるか動物であるか、投与された他の薬物および治療が予防的であるか治療的であるか等、複数の異なる要因によって異なる。通常、患者は、非ヒト哺乳動物(治療も可能なトランスジェニック哺乳動物を含む)ではなくヒトである。治療容量は、安全性予備用構成を最適化するために当業者に知られている従来の方法を使用して滴定されることができる。
【0310】
投与される本発明の抗体または其結合フラグメント、変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)または治療的組み合わせ等の少なくとも櫃との抗CLDN18.2結合分子の量は、本開示に基づく過度の実験なしに、当業者によって容易に決定される。少なくとも一つの抗CLDN18.2結合分子(例えば、本発明の抗体、その抗原結合フラグメント、変異体または誘導体または治療的組み合わせ)の投与方式およびそれぞれの投与量に影響を与える要因は、治療を受ける個体の疾患の重症度、疾患の病歴および年齢、身長、体重、健康状况および身体状况を含むが、これらに限定されない。類似的に、投与される本明細書に記載の抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはそのフラグメント、変異体または誘導体または治療的組み合わせ)の量は、投与方式および被験者が当該薬剤の単回投与または複数投与のどちらを経験するかによって異なる。
【0311】
別の実施形態は、一つのタイプの癌(胃がん、食道がん、膵臓がん、肺がん、結腸がん、頭頚部がんおよび胆嚢がんを含む)の治療のための薬剤の調製における抗CLDN18.2結合分子(例えば、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)または治療的組み合わせ)の用途に関する。他のタイプの癌も考慮される。
【0312】
さらに別の実施形態は、被験者を治療するための、および一つのタイプの癌を治療するための薬剤の調製における抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体))の用途に関する。いくつかの態様において、薬物は、少なくとも一つの他の治療法で前治療された被験者において使用される。
【0313】
「前治療された」または「前治療」という用語は、被験者が、抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体))を含む薬物を受ける前に、一つまたは複数他の治療法(例えば、被験者は、少なくとも一つの他の抗癌治療法で治療された)を受けたことを指す。被験者は、一つまたは複数の以前の治療法の全処理に対する反応者である必要はない。従って、抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体)を含む薬物を投与されている被験者は、以前の治療あるいは一つまたは複数の以前の治療の前治療(ここで、前治療は、様々な治療法を含む)に反応したか、または反応しなかった可能性がある。
【0314】
さらに別の実施形態は、抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体))と少なくとも一つの他の治療法との同時投与を含む。抗CLDN18.2抗体および少なくとも一つの他の治療法は、単一の組成物で一緒に同時投与するか、または別個の組成物に同時にまたは重複する時間で一緒に共同投与されることができる。いくつかの態様において、抗CLDN18.2抗体は、例えば、PD-1(プログラム性死滅1タンパク質)を標的とする抗体と共同投与されることができる。別の実施形態は、被験者の癌を治療するための薬物の調製における抗CLDN18.2結合分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体))の用途に関し、ここで、抗CLDN18.2結合分子は、被験者が少なくとも一つの他の治療法で治療される前に投与される。
【0315】
IX.診断
【0316】
さらに別の実施形態は、例えば、特定のタイプの癌等のCLDN18.2を発現する細胞媒介疾患の診断に有用な診断方法に関し、個体からの組織または他の細胞または体液におけるCLDN18.2タンパク質の発現レベルを測定することを含み、測定された発現レベルは、正常組織または体液における標準のCLDN18.2発現レベルト比較することにより、標準値と比較した発現レベルの増加で疾患を示す。
【0317】
本明細書に開示される抗CLDN18.2抗体およびその抗原結合フラグメント、変異体および誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗または抗CLDN18.2-1D5抗体)は、当業者に知られている古典的な免疫組織学的方法を使用して、生物学的サンプル中のCLDN18.2タンパク質レベルを決定するために使用されることができる(例えば、Jalkanenら、J.Cell.Biol.101:976-985(1985)、Jalkanenら、J.Cell Biol.105:3087-3096(1987))。CLDN18.2タンパク質の発現を検出するために使用できる他の抗体ベースの方法は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降またはウエスタンブロット等の免疫測定を含む。適切なアッセイは、本明細書の他で詳しく説明する。
【0318】
「CLDN18.2ポリペプチドの発現レベルを測定」という句は、第1の生物学的サンプル中のCLDN18.2ポリペプチドのレベルを直接的(例えば、絶対タンパク質レベルを決定または推定することによって)または比較的(例えば、第2の生物学的サンプル中の疾患関連ポリペプチドレベルとの比較によって)定性的または定量的に測定または推定することを意味する。第1の生物学的サンプルにおけるCLDN18.2ポリペプチド発現レベルを測定または推定し、標準のCLDN18.2ポリペプチドレベルト比較することができ、当該標準値は、病症のない個体から得られた第2の生物学サンプルから取るか、または病症のない個体集団の平均レベルによって決定されることができる。当技術分野で理解されるように、「標準的な」CLDN18.2ポリペプチドレベルが知られると、比較の標準として再利用することができる。
【0319】
「生物学的サンプル」という用語は、CLDN18.2を発現する可能性のある個体、細胞株、組織培養物または他の細胞源から得られた任意の生物学的サンプルを指す。哺乳動物から生検組織および体液を得るための方法は、当技術分野で知られている。
【0320】
X.CLDN18.2-結合分子を含むキット
【0321】
別の実施形態は、本明細書に記載の方法を実施するために使用されることができる、例えば、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメント、本明細書に開示される分子の変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体または抗CLDN18.2-1D5抗体)等の、本明細書に記載のCLDN18.2-結合分子の少なくとも一つを含む、キットに関する。いくつかの実施形態において、キットは、一つまたは複数の容器に少なくとも一つの精製された抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントが含まれる。いくつかの他の実施形態において、キットは、すべての対照、試験の実行手順、および結果の分析と表示に必要なソフトウェアを含む、試験の実行に必要および/または十分なすべての構成要素を含む。当業者は、例えば、本明細書に記載の抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体または抗CLDN18.2-5C9抗体)等の開示されるCLDN18.2-結合分子が、当技術分野で周知の構築されたキットフォーマットに容易に統合されることができることを容易に知ることができる。
【0322】
XI.免疫測定
【0323】
例えば、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメント、本明細書に開示される分子の変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)等の、本明細書に記載の抗CLDN18.2結合分子の免疫特異的結合は、当技術分野で知られている任意の方法によって決定されることができる。使用できる例示的免疫測定は、例えば、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」免疫測定、免疫沈降アッセイ、沈殿タンパク質反応、ゲル拡散、沈殿タンパク質反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体固定アッセイ、免疫放射アッセイ、蛍光イムノアッセイ、タンパク質Aイムノアッセイ等の技術を使用する競争的および非競争的測定システムを含むが、これらに限定されない。そのような測定は、日常的であり、当技術分野でよく知られている(Ausubelら、編集、(1994)分子生物学の現在のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(John Wiley&Sons、Inc.、NY)第1卷を参照、参照によりその全体が本明細書に引用される)。
【0324】
いくつかの実施形態において、例えば、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメント、およびそれらの変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)等のCLDN18.2-結合分子は、CLDN18.2またはその保存的変異体またはペプチドフラグメントのインサイチュ(insitu)検出のために、免疫蛍光、免疫電子顕微鏡法、または非免疫測定等の組織学的に使用されることができる。インサイチュ検出は、患者から組織学的標本を取り出し、かつそれに標識されたCLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体)(好ましくは、標識されたCLDN18.2-結合分子を生物サンプルに覆うことにより適用される)を適用することによって行われることができる。そのようなプログラムを使用することにより、CLDN18.2または保存的変異体またはペプチドフラグメントの存在だけでなく、検査された組織におけるその分布も決定することができる。本開示を使用して、当業者は、そのようなインサイチュ検出を達成するために、様々な組織学的方法(例えば、染色手順)のいずれかを変更できることを容易に認識するであろう。
【0325】
周知の方法に従って、CLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)またはその抗原結合フラグメント、変異体または誘導体)の所与のバッチの結合活性を決定することができる。当業者は、日常的な実験を使用することにより、各測定の動作および最適な測定条件を決定することができるであろう。
【0326】
抗CLDN18.2抗体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体)またはその抗原結合フラグメント、変異体または改変/突然変異誘導体等の単離されたCLDN18.2-結合分子を決定するのに適した方法および試薬は、当技術分野で知られており、および/または市販されている。この動力学的分析のために設計された機器およびソフトウェアは、市販されていることができる(例えば、BIAcore、BIAevaluationソフトウェア、GE Healthcare、KinExa Software、Sapidyne Instruments等)。
【0327】
別に説明されない限り、当技術分野の技術の範囲内で、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来の技術が使用される。そのような技術は、文献で十分に説明される。例えば、Sambrookら、編集(1989)Molecular Cloning A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Sambrookら、編集(1992)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory、NY)、D.N.Glover編集、(1985)DNA Cloning、第IおよびII卷、Gait、編集(1984)Oligonucleotide Synthesis、Mullisら、米国特許No.4683195、HamesおよびHiggins、編集(1984)Nucleic Acid Hybridization、HamesおよびHiggins、編集(1984)Transcription And Translation、Freshney(1987)Culture Of Animal Cells(Alan R.Lissら、Inc.)、Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986)、Perbal(1984)A Practical Guide To Molecular Cloning、the treatise、Methods In Enzymology(Academic Press、Inc.、N.Y.)、Miller and Calos編集(1987)Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells、(Cold Spring Harbor Laboratory)、Wuら、編集、Methods In Enzymology、第154および155卷、MayerおよびWalker、編集(1987)Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press,London)、WeirおよびBlackwell、編集、(1986)Handbook Of Ex
perimental Immunology、第I-IV卷、Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、(1986)、およびAusubelら、(1989)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons、Baltimore、Md.)を参照する。
【0328】
抗体工学の一般的な原則は、Borrebaeck、編集(1995)Antibody Engineering(第2版、Oxford Univ.Press)に示される。タンパク質工学の一般的な原則は、Rickwoodら、編集(1995)Protein Engineering、A Practical Approach(IRL Press at Oxford Univ.Press、Oxford、Eng.)に示される。抗体および抗体-ハプテンの一般的な原則は、Nisonoff(1984)Molecular Immunology(第2版、Sinauer Associates、Sunderland、Mass.)、およびSteward(1984)Antibodies、Their Structure and Function(ChapmanおよびHall、New York、N.Y.)に示される。さらに、当技術分野で知られており、かつ具体的に記載されていない免疫学標準方法は、通常、Current Protocols in Immunology、John Wiley&Sons、New York、Stitesら、編集(1994)Basic and Clinical Immunology(第8版、Appleton & Lange、Norwalk、Conn.)ならびにMishellおよびShiigi(編集)(1980)Selected Methods in Cellular Immunology(W.H.Freeman and Co.、NY)に従う。
【0329】
免疫学の一般的な原則を明確にする標準的な参照文献は、Current Protocols in Immunology、John Wiley&Sons、New York、Klein(1982)J.、Immunology:The Science of Self-Nonself Discrimination(John Wiley&Sons、NY)、Kennettら、編集(1980)Monoclonal Antibodies、Hybridoma:A New Dimension in Biological Analyses(Plenum Press、NY)、Campbell(1984)「Monoclonal Antibody Technology」 in Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology、Burdenら、編集、(Elsevere、Amsterdam)、Goldsbyら、編集(2000)Kuby Immunnology(第4版、H.Freemand&Co.)、Roittら、(2001)Immunology(第6版、London:Mosby)、Abbasら、(2005)Cellular and Molecular Immunology(第5版、Elsevier Health Sciences Division)、KontermannおよびDubel(2001)Antibody Engineering(Springer Verlan)、SambrookおよびRussell(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press)、Lewin(2003)Genes VIII(Prentice Hal12003)、HarlowおよびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Press)、DieffenbachおよびDveksler(2003)PCR Primer(Cold Spring Harbor Press)を含む。
【0330】
上で引用されたすべての参照文献および本明細書で引用されたすべての参照文献は、参照によりその全体が本明細書に引用される。
【0331】
以下の実施例は、限定ではなく例示として提供される。
【0332】
以下の非限定的な例は、本明細書に記載の特定の抗体の調製および抗体を使用する方法を詳細に説明する。本開示の範囲から逸脱することなく、材料および方法の両方に多くの修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。
【実施例】
【0333】
クローディンは、1998年に最初に記載されたタンパク質ファミリーであり、密接な細胞接合の重要な構成要素を形成する。クローディンは、細胞間の分子の流れを制御する、傍細胞バリアを確立する。異なるクローディンは、異なる組織で発現され、それらの改変した機能は、各組織での癌の形成に関連する。クローディン-1発現は、結腸がんで予後的価値があることが示され、クローディン-18は、胃がんで予後的価値があり、クローディン-10は、肝細胞がんで予後的価値がある。表面タンパク質としてのクローディンは、様々な治療戦略の有用な標的を表す。Ugur Sahinらは、密接接合(tight junction)分子クローディン-18(CLDN18.2)のアイソタイプ2を高度に選択的な細胞系統マーカーとして同定される。それらは、正常組織でのその発現が胃粘膜から分化した上皮細胞に厳密に限定されていることを観察したが、胃幹細胞の領域には存在しない。クローディン18.2は、悪性形質転換を続けており、ほとんどの原発性胃がんおよびその転移で発現する。クローディン18.2の異所性活性化は、膵臓腫瘍、食道腫瘍、卵巣腫瘍および肺腫瘍によくみられる。研究によると、CLDN18.2は、正常組織での発現パターンが非常に制限され、様々なヒトの癌で頻繁に異所性の活性化がみられる。
【0334】
クローディン18(CLDN18)分子(Genbankアクセッション番号:スプライス変異体1(CLDN18.1):NP_057453、NM_016369およびスプライス変異体2(CLDN18.2):NM_001002026、NP001002026)の分子量は、約27.9/27.72kDである。特定の癌および隣接する正常組織において、タンパク質の分子量は、異なる。組織溶解物を脱グリコシル化された化合物ペプチドN-グリコシダーゼで処理することにより、健康な組織で観察された高分子量タンパク質を、癌で観察されたのと同じ分子量分子に移すことができる。これは、正常組織の対応物と比較して、CLDN18が癌におけるN-グリコシル化の程度が低いことを示す。こんな構造の違いにより、エピトープが改変することができる。CLDN18.1は、正常な肺および胃の上皮細胞で選択的に発現するが、CLDN18.2は、胃の細胞でのみ発現する(Niimi、Mol.Cell.Biol.21:7380-90、2001)。最も重要なことは、CLDN18.2は、胃の上皮細胞の分化した短命の細胞に限定されるが、胃幹細胞の領域に由来するものではない。クローディン18.2は、腫瘍の発生および発達に関与しており、細胞膜の外側に位置する。細胞外ループが露出しており、モノクローナル抗体の結合に使用されることができる。これらの生物学的特徴は、それが標的治療法にとって理想的な分子であり、かつCLDN18.2-結合分子(例えば、抗CLDN18.2抗体またはその抗原結合フラグメントおよびそれらの変異体または誘導体(例えば、抗CLDN18.2-5C9抗体))のさらなる開発につながったことを示す。
【0335】
本明細書に記載の抗体は、CLDN18に存在するエピトープに特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体であり得る。本発明に含まれる単離されたモノクローナル抗体は、IgA、IgG1-4、IgE、IgMおよびIgD抗体を含む。
【0336】
本明細書に記載の単離された結合分子(例えば、抗体)またはその抗原結合フラグメントは、KohlerおよびMilsteinの従来のハイブリドーマ技術(Nature256:495(1975)を含む、様々な技術によって生成されることができる。本発明においてハイブリドーマ手順が好ましいが、原則として、例えば、Bリンパ球のウイルスまたは発癌性形質転換または抗体遺伝子ライブラリーを使用するファージ表示技術等、モノクローナル抗体を生成するするための他の技術を使用することができる。
【0337】
モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製するための好ましい動物系は、マウス系である。マウスにおけるハイブリドーマの生成は、非常によく確立された方法である。融合のために免疫された脾臓細胞を単離するための免疫化プロトコルおよび技術は、当技術分野で知られている。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫瘍瘍細胞)および融合手順も知られている。
【0338】
さらに別の好ましい実施形態において、マウスシステムの代わりにヒト免疫システムの一部を運ぶトランスジェニックまたはトランスフェクトされた染色体マウスを使用して、CLDN18.2に対するヒトモノクローナル抗体を生成することができる。これらのトランスジェニックおよびトランスフェクトされた染色体マウスは、それぞれ、HuMAbマウスおよびKMマウスと呼ばれるマウスを含み、本明細書では、まとめて「トランスジェニックマウス」と呼ばれる。WO2004035607のCD20について詳細に説明されるように、そのようなトランスジェニックマウスでヒト抗体を生成することができる。
【0339】
モノクローナル抗体を生成するための別の戦略は、戦略を定義する抗体を生成するリンパ球から抗体をコードする遺伝子を直接単離することができ、例えば、J S Babcockら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93(15)、7843(1996)を参照する。組換え抗体工学的詳細については、WelschofおよびKraus、Recombinant antibodies for cancer therapy ISBN-0-89603-918-8およびBenny K.C.Lo Antibody Engineering ISBN 1-58829-092-1をさらに参照する。
【0340】
一般的な方法
【0341】
免疫
【0342】
抗CLDN18.2に対する抗体を生成するために、タンパク質またはCLDN18.2を発現する細胞を抗原として使用するか、または完全長CLDN18.2をコードするcDNAを保持するプラスミドで雌Balb/Cマウスを免疫させる。抗原をベクタータンパク質にカップリングされるペプチドに調製するか、または原核または真核発現系で発現されるタンパク質に調製する。例えば、SEQ ID No:1のペプチドを合成し、かつキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)タンパク質に科学的にカップリングする。SEQ ID No:36、SEQ ID No:37、SEQ ID No:38およびSEQ ID No:39を有するペプチドを合成し、かつウシ血清アルブミン(BSA)にカップリングする。CLDN18.2の細胞外ループ1(ECL1)(SEQ ID No:1)は、チオレドキシン(Trx)との融合タンパク質として大腸菌でも発現される。HEK293T細胞から完全長CLDN18.2(SEQ ID No:2)を発現および精製する。完全長CLDN18.2を発現する3T3細胞株またはHEK293T細胞株も抗原として使用される。
【0343】
DNA免疫化のために、完全長CLDN18.2(SEQ ID No:2)をコードするプラスミドをアジュバントと一緒にマウスに静脈内注射する。3週間の間隔で3回注射する。最後のDNA注射時または注射過程において、マウスに300万~500万個の完全長CLDN18.2を発現する293T細胞または3T3細胞も静脈内注射する。当該強化が行われた後、3~4日後、マウスを安楽死させ、脾臓を収集し、融合を実行する。免疫化プロトコルは、以下の表1に示される。
【0344】
【0345】
ハイブリドーマ生成
【0346】
モノクローナルハイブリドーマを生成するために、マウス骨髄腫瘍細胞Sp2/0を対数増殖期まで増殖させ、ポリエチレングリコール/ジメチルスルホキシド(PEG/DMSO、45%/5%)溶液(Hybri-max、Sigma、P7181、D2650)の存在下で、免疫された脾臓細胞と1:2または1:3の比率で融合させる。ヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン(HAT)(Sigma、H0262)培地で7日間ハイブリドーマ細胞を選択する。HTを含む培地を加えて、ハイブリドーマ細胞をさらに7~10日間インキュベートする。2~3週間融合した後、ハイブリドーマは、最初に抗体生成についてスクリーニングし、2週間後に再度スクリーニングする。ハイブリドーマをさらに3回クローンし、0.5細胞/ウェルのプレーティング密度から選択する。
【0347】
陽性クローンの選択
【0348】
完全長CLDN18.2を発現するHEK293T細胞を使用して、ELISAアッセイによって、CLDN18.2に対する抗体を分泌するクローンをスクリーニングする。天然HEK293T細胞を対照として使用する。HEK293T-CLDN18.2に結合するが、HEK293Tには結合しない抗体を分泌するクローンが選択される。次に、HEK293-CLDN18.2細胞およびHEK293-CLDN18.1細胞を使用して、選択されたクローンを2回スクリーニングする。HEK293T-CLDN18.2に結合するが、HEK293T-CLDN18.1には結合しない抗体を分泌するクローンは、すべてのサブシングルクローンがHEK293T-CLDN18.2に対して特異的に陽性になるまで、サブクローニングのために選択される。
【0349】
マウス抗体の調製
【0350】
特性化するためのモノクローナル抗体を生成するために、選択されたモノクローナルハイブリドーマ細胞をBalb/Cマウスの腹腔に注射して、腹水でモノクローナル抗体を生成する。タンパク質A/Gアフィニティークロマトグラフィーを使用して抗体を精製する。
【0351】
インビトロおよびインビボでの特性化のための抗CLDN18.2に対する組換え抗体の生成
【0352】
PCR技術を使用して、抗体ヒト化および成熟のために、ファージ表示スクリーニングから選択されるファージミドから、重鎖および軽鎖の可変ドメインをコードするcDNAを増幅させる。例えば、リーダー配列MGWSCIILFLVATATGVHS(SEQ ID NO:372)等のシグナルペプチドをコードする追加の配列をPCRによってこれらのヌクレオチドの5’末端に付加する。完整IgGを発現するプラスミドの構築のため、リーディングフレームで前記フラグメントを重鎖または軽鎖のヒトIgG1定常ドメインをコードするcDNAフラグメントに連結し、pCDNA3.4等の哺乳動物発現ベクターに挿入して、pCDNA3.4-HCおよびpCDNA3.4-LCを構築する。
【0353】
抗体を一過性に発現させるために、1μgのpCDNA3.4-HCおよびpCDNA3.4-LC混合物のプラスミドを使用して、Expi293F細胞をトランスフェクトさせることができる。タンパク質A-樹脂を使用して、親和性クロマトグラフィーによって培地から発現されたIgGを精製することができる。溶出されたIgGは、ゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーで検査して純度を保証する。緩衝溶液をPBSに置き換えることができ、濃度は、OD280によって、1.4吸光係数を使用して決定されることができる。モノクローナル抗体は、分注して-80℃で保存することができる。
【0354】
抗体ファージ表示の選択
【0355】
公開されたプロトコルから変更された手順に従って、ライブラリーソートされる(Millerら、PLOS one、7:e43746(2012)、Fellouse F.A.ら、J.Mol.Biol.373、924(2007)、Shermanら、J.Mol.Biol.426、2145(2014))。第1のラウンドの典型的な手順において、0.1~0.5nmolのビオチン化CLDN18.2をストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズに固定し、ビオチンで遮断し、1mLの結合緩衝液(0.05%Tween20、0.5%BSAが補充されたPBS緩衝液)でファージライブラリーと一緒に15分間インキュベートする。次に、ビーズを磁石で溶液から分離し、結合緩衝液で2回洗浄し、XL1-blue細胞を形質導入してファージを増幅するのに直接使用する。後続のラウンドにおいて、まず、精製されたファージトストレプトアビジンビーズを結合緩衝液で30分間インキュベートして、ビーズ結合物を除去し、次に、上清液を使用して、0.5μMのCLDN18.1が補充された100μLの結合緩衝液で、50nMのビオチン化されたCLDN18.2と一緒に15分間インキュベートする。次に、ストレプトアビジン磁気ビーズを溶液に15分間添加して、結合されたファージト一緒にRNA標的複合体を捕獲するようにする。次に、次に、100mMのDTTまたは0.1MのGly-HCl(pH2.1)緩衝液でビーズを溶出した後、1MのTris-Cl緩衝液(pH8)で中和する。
【0356】
ファージELISAスクリーニング
【0357】
3~5ラウンドの選択後、ファージELISAによって単一のクローンを分析する。新鮮なLB/Ampプレートから48個またはそれ以上の単一のコロニーを選択し、96ウェルディープウェルプレートに100μg/mLのアンピシリンおよび1010PFU/mLのM13KO7ヘルパーファージを含む400 μLの2YT培地に接種し、37℃で一晩振とうしながら増殖させる。次に、ディープウェルプレートを3500rpmで15分間遠心分離して細胞をペレット化する。上清液を3倍に希釈して、結合緩衝液中のファージ溶液を調製する。96-ウェルMaxisorpプレートを、100mMの重炭酸ナトリウムコーティング緩衝液(pH9.6)中の2μg/mLの中性アビジン100μLで4℃で一晩コーティングする。コーティング溶液を除去し、Maxisorpプレートを200μL/ウェルの1%(w/v)BSAを含むPBSで1時間ブロックする。ブロッキング溶液を除去した後、0.05%(v/v)のTween20を含むPBSでMaxisorpプレートを洗浄し、室温下で100μL/ウェルの25nMCLDN18.2と一緒に結合緩衝液で30分間インキュベートする。CLDN18.2標的を含むそれぞれのウェルについて、CLDN18.1を有する対照ウェルを並行して調製する。次に、結合緩衝液でMaxisorpプレートを洗浄し、室温下で100μL/ウェルのファージ溶液と30分間インキュベートする。結合緩衝液で洗浄した後、Maxisorpプレートを100μL/ウェルの抗M13/西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート(結合緩衝液で5000x希釈)と一緒に室温下で30分間インキュベートする。結合緩衝液で別の洗浄ステップを実行した後、Maxisorpプレートを100μL/ウェルのUltra TMB-ELISA基質と一緒に5~10分間インキュベートし、100μL/ウェルの1Mリン酸でクエンチし、マイクロプレートリーダーで450nmで分光光度法で読み取る。
【0358】
フローサイトメトリー分析
【0359】
フローサイトメトリーは、モノクローナル抗体がCLDN18.2を発現する生細胞への結合を決定するのに使用される。CLDN18.2を天然発現またはトランスフェクトした後発現する細胞株およびCLDN18.2発現が欠如した陰性対照(標準増殖条件下で増殖)を3%のBSAを含むPBSで様々な濃度のモノクローナル抗体と混合し、暗所で4℃で60分間インキュベートする。3回洗浄した後、一次抗体染色と同じ条件下で、DyLight650-標識された二次抗IgG抗体をCLDN18.2-結合モノクローナル抗体に結合する。光および側方散乱特性を使用して個々の生細胞のゲートを介して、FACS機器(BD、Accuri(商標) C6 Plus)を使用して、フローサイトメトリーによってサンプルを分析する。1回の測定でCLDN18.2-特異的モノクローナル抗体を非特異的結合剤と区別するために、共同トランスフェクション法を使用する。上記のように、CLDN18.2をコードするプラスミドおよび蛍光マーカーで一過性にトランスフェクトされた細胞を染色する。BD Accuri C6 Plusを使用して、フローサイトメトリーによって結合を評価し、抗体染色された細胞と異なる蛍光チャネルでトランスフェクトされた細胞を検出した。縦軸での抗体結合の場合、横軸で蛍光マーカーの発現をブロットした。ほとんどのトランスフェクトされた細胞は、すべて二つの転移遺伝子を発現するため、CLDN18-特異的モノクローナル抗体は、蛍光マーカーを発現する細胞と優先的に結合する。
【0360】
フローサイトメトリーアッセイに加えて、またはフローサイトメトリーアッセイの代わりに、蛍光顕微鏡を使用した代替アッセイを使用することができる。上記のように、細胞を正確に染色し、蛍光顕微鏡で検査することができる。細胞と特に付着細胞の隣接細胞の接触が、例えば、細胞剥離のために失われる場合、クローディンが内在化される傾向がある。CLDN18の細胞表面発現は、a)例えば、穏やかな剥離(例えば、2mMのEDTA/PBSまたはaccutase)を使用して、標準方式でより高い密度で培養し、室温下で処理し、エンドサイトーシス阻害剤(例えば、アジ化ナトリウム)またはCLDN18転写または翻訳活性化剤の添加等の培養条件の調節、およびb)細胞表面で高いレベルにCLDN18を維持する細胞の選択およびクローニング、例えば、トランスフェクトされた細胞に従って、抗生物質を選択し、免疫磁気またはFACS細胞ソーティングおよび制限された希釈クローニング等の方式で最適化されることができる。
【0361】
フローサイトメトリーによるヒトCLDN18.2対CLDN18.1トランスフェクト細胞への抗体結合の比較
【0362】
CLDN18.2アイソタイプに対する同定されたモノクローナル抗体の結合特異性は、フローサイトメトリーによって分析される。ヒトCLDN18.2を一過性敵に発現するHEK293細胞(Origeneに由来するHEK293-CLDN18.2)およびヒトCLDN18.1を一過性的に発現するHEK293細胞(Origeneに由来するHEK293-CLDN18.1)をモノクローナル抗体と一緒に4℃で60分間インキュベートし、次に、Dylight650-接合された抗マウスIgG二次抗体と一緒にインキュベートする。BD Accuri(商標) C6 Plusを使用してフローサイトメトリーによって結合を評価する。
【0363】
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
【0364】
組換えタンパク質クローディン18.2を炭酸塩緩衝液で最終濃度10μg/mLに希釈し、4℃でElisaプレートに一晩コーティングする。次に、コーティング溶液を除去し、200μLのTBSTでウェルを充填し、プレートを3回洗浄する。必要に応じて、追加のブロッキングステップ(30分間、5%のBSA-PBS)を適用することができる。希釈されたモノクローナル抗CLDN18.2抗体をそれぞれのウェルに添加し、室温下で2時間インキュベートする。陰性対照は、TBSTで希釈された種-およびアイソタイプ-マッチングされた非特異的免疫グロブリンでなければならない。200μLのTBSTでウェルを充填し、プレートを3回洗浄し、酵素―接合された二次抗体を添加し、室温下で2時間インキュベートする。次に、プレートを3回洗浄し、TMB基質溶液をそれぞれのウェルに添加する。プレートを15~30分間インキュベートし、等量の停止液(2MのH2SO4、選択可能)を添加し、370または450nm下で光学密度を読み取る。
【0365】
免疫蛍光顕微鏡法
【0366】
標準的な増殖条件下で、自発的にまたはトランスフェクトされた後にCLDN18.2を発現する細胞株およびCLDN18発現が欠如された陰性対照をチャンバースライドで10%のウシ胎児血清(FCS)、2mMのL-グルタミン、100IU/mLのペニシリンおよび100pg/mLのストレプトマイシンの補充されたDMEM培地で増殖させる。次に、細胞をメタノールまたは4%のパラホルムアルデヒドで固定するか、または未処理のままにする。次に、細胞とCLDN18に対するモノクローナル抗体を25℃で2時間反応させる。洗浄後、同じ条件下で細胞をAlexa Fluor 488抗マウスIgG抗体標識された抗マウスIgG二次抗体(Thermo scientific)と反応させる。次に、蛍光顕微鏡法で細胞を検査する。細胞を4%のパラホルムアルデヒドで固定し、かつTriton X-100で透過する場合、細胞中の総CLDN18レベルが観察された。生細胞および未透過された4%のパラホルムアルデヒドで固定された細胞において、CLDN18の表面局在化を検査する。
【0367】
免疫沈降(IP)/ウエスタンブロット
【0368】
CLDN18.2アイソタイプに対する単離されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降(IP)/ウエスタンブロットによって分析されることができる。
【0369】
ヒトCLDN18.2およびヒトCLDN18.1を安定的に発現するHEK293T細胞を回収し、溶解手順により総タンパク質を抽出する。要するに、細胞培養皿を氷に置き、氷冷PBSで細胞を洗浄する。PBSを排出し、次に、氷冷溶解緩衝液を加え、冷たいプラスチックセルスクレーパー(cell scraper)で培養皿から付着細胞をこすり取り、次に、細胞懸濁液を予冷したマイクロ遠心チューブに静かに移す。4℃でマイクロ遠心機で遠心分離し、上清液を吸引し、氷上に保存された新しいチューブに入れ、総タンパク質を抗体免疫沈降に使用する。氷上のマイクロ遠心チューブで10~50μgの細胞溶解物とハイブリドーマ上清液を検出された抗体と混合し、4℃で穏やかに回転させながらサンプルを抗体と1~12時間インキュベートする。タンパク質G-カップリングされたアガロースビーズをサンプルに加え、溶解物ビーズ混合物を4℃で回転攪拌しながら4時間インキュベートする。当該チューブを遠心分離し、ビーズから上清液を除去しかつ廃棄する。標的タンパク質は、ビーズをコーティングする抗体に特異的に結合される。50℃で、10分間50μLのDTTを含まない2xSDSロード緩衝液で加熱し、ビーズを洗浄し、かつ50μLのビーズを溶出する。溶出されたサンプルを5分間煮沸し、ウエスタンブロットでサンプルを分析する。要するに、IPからのサンプルに対してドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかける。電気泳動後、単離されたタンパク質をニトロセルロース膜に転写し、ブロックし、かつ市販のCLDN18抗体でプローブする。抗CLDN18抗体の二次抗体を使用して特異的結合を検出し、ECL基質で視覚化する。
【0370】
抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)
【0371】
Ficoll Hypaque密度遠心分離し、次に、汚染された赤血球を溶解して、エフェクター細胞、および健康なドナーに由来するリンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)および単球を含む末梢血液単核細胞(PBMC)を精製する。洗浄されたエフェクター細胞を10%の熱不活性化ウシ胎児血清または代替可能に5%の熱不活性化ヒト血清が補充されたRPMIに懸濁し、エフェクター細胞と標的細胞の様々な比率でCLDN18.2を発現する標的細胞と混合する。MultiTox-Glo多重細胞特性アッセイ(Promega)によってADCCを検出する。
【0372】
または、蛍光増強リガンド(BATDA)で標的細胞を標識することができる。蛍光計で死んだ細胞から放出される増強されたリガンドを有する高蛍光キレートを測定する。
【0373】
別の代替可能な測定は、ADCCレポーター生物アッセイ(Promega)を使用することができる。次に、生成された抗CLDN18.2IgGを様々な濃度で添加する。無関係のヒトIgGを陰性対照として使用される。使用されるエフェクター細胞タイプに従って、37℃で4~20時間測定する。培養上清液で死んだ細胞タンパク質酵素の放出またはEuTDAキレートの存在を測定して、サンプルの細胞溶解を測定する。ADCCレポーター生物アッセイ(Promega)に対して、発光シグナルは、ルシフェラーゼの発現を駆動するNFAF(T細胞を活性化する核因子)反応要素によって生成される。抗CLDN18.2モノクローナル抗体は、様々なモノクローナル抗体が細胞溶解を増強することができるかどうかを判断するために、様々な組み合わせで試験する。
【0374】
補体依存性細胞毒性(CDC)
【0375】
様々な既知の技術を使用して、CDCを媒介するモノクローナル抗CLDN18.2抗体の能力を試験する。mAbのCDC活性を決定するために、異なる方法を使用することができる。
【0376】
例えば、CytoTox-Glo細胞毒性アッセイ(Promega)によって、安定的「グロータイプ」発光シグナルを測定するか、または臭化エチジウムアッセイによって増加された膜の透過性を評価することができる。トリプシン処理によってトランスフェクトされたHEK293細胞(発現ヒトCLDN18.2)、NUGC-4およびKATO III細胞を収集し、洗浄し、1~5×105/mlを様々な濃度のmAbと一緒に室温または37℃で60分間インキュベートすることができる。次に、ヒト血清または血漿(補体を有する)を25%(v/v)の最終濃度に添加し、細胞を37℃で3~4時間インキュベートすることができる。Cyto-Glo細胞毒性測定試薬を添加し、発光シグナルを測定することができる。
【0377】
代替可能なアッセイにおいて、測定24時間前に、3×104/ウェルの密度で細胞を組織培養平底マイクロタイタープレートに接種することができる。翌日、増殖培地を除去し、細胞を抗体と一緒に3回インキュベートする。対照細胞を増殖培地または0.2%のサポニンを含む増殖培地と一緒にインキュベートして、バックグラウンド溶解および最大溶解を測定することができる。室温下で60分間インキュベートした後、上清液を除去することができ、DMEM(37℃に予熱)中25%(v/v)のヒト血漿または血清を細胞に添加することができ、37℃で3~4時間インキュベートする。次に、2.5pg/mlの臭化エチジウムを含むPBSで上清液を交換し、520nmで励起した後、蛍光放出をBio-Tekプレートリーダーで600nmで測定することができる。特異的溶解のパーセンテージは、以下の式で計算されることができる。特異的溶解%=(蛍光サンプル蛍光バックグラウンド)/(蛍光最大溶解-蛍光バックグラウンド)×100。
【0378】
モノクローナル抗体による細胞増殖の阻害
【0379】
アポトーシスを開始する能力を試験するために、モノクローナル抗CLDN18.2抗体を、例えば、CLDN18.2陽性腫瘍細胞(例えば、NUGC-4、KATO-IIIまたはCLDN18.2トランスフェクトされたHEK293細胞)と37℃で約20~96時間インキュベートする。CellTiter-Glo発光細胞生存力キット(Promega)を使用して、モノクローナル抗体による細胞増殖の一般的な阻害を検出することができる。当該測定は、存在するATPに対する定量に基づき、ATPは、代謝活性細胞の指示剤である。CellTiter-Gloアッセイ法で測定された発光ト培養細胞数の間には、直接的な関係がある。
【0380】
要するに、試験モノクローナル抗CLDN18.2抗体を実験ウェルに添加し、培養プロトコルに従ってインキュベートすることができる。インキュベートした後、プレートおよびその内容物を室温下で約30分間平衡化し、次に、各ウェルに存在する細胞培地の量に等しい量のCellTiter-Glo試薬を加えることができる。当該プレートを室温下で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定化させ、発光を記録することができる。
【0381】
代替可能なアッセイにおいて、処理された細胞を収集し、アネキシン-V結合緩衝液(BD biosciences)で洗浄し、暗所でFITCまたはAPCト接合したアネキシンV(BD biosciences)と一緒に15分間インキュベートすることができる。各サンプルのすべての細胞をFACSチューブのPI溶液(PBS中10pg/mlである)に加え、フローサイトメトリーですぐに評価することができる(例えば、上記のごとく)。
【0382】
実施例1:抗CLDN18.2-3B8
【0383】
実施例1に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成する。実施例1に記載の抗体は、SEQ ID NO:6のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:10のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0384】
実施例1の結合特徴
【0385】
i)CLDN18.2を発現する細胞の生成および実施例1に対する結合特徴
【0386】
CLDN18.2を発現する細胞を生成するために、単独でCLDN18.2および融合タンパク質CLDN18.2-GFPレポータータンパク質をコードする核酸でHEK293細胞をトランスフェクトする。HEK293細胞をトランスフェクトし、かつチャンバースライド上で48時間増殖する。
図1は、細胞膜上にCLDN18.2およびGFPを発現するトランスフェクトされたHEK293細胞、以及トランスフェクトされていない細胞を示す。CLDN18.2のみをコードするHEK293細胞を4%のパラホルムアルデヒドで固定し、25℃で抗CLDN18.2のモノクローナル抗体3B8で60分間染色する。洗浄後、細胞をAlexa Fluor488標識された抗マウスIgG二次抗体(Thermo scientific)で染色し、蛍光顕微鏡法で評価する。
図2は、細胞膜上でCLDN18.2トランスフェクトされたHEK293細胞に結合するモノクローナル抗体3B8を示す。これらの異種CLDN18.2発現細胞は、抗体結合の特異性を試験するために次のアッセイで使用される。
【0387】
ii)CLDN18.2に結合するモノクローナル抗体3B8のフローサイトメトリーによる分析:
【0388】
測定48時間前に、HEK293細胞をヒトCLDN18.2および蛍光レポータータンパク質GFPをコードする発現ベクターと一緒に48時間トランスフェクトするか、または代替可能にヒトCLDN18.2を安定的に発現するHEK293細胞(HEK293-CLD18.2)を使用する。2mMのEDTA/PBSで細胞を分離した後、完全増殖培地で細胞を洗浄し、約1~5×10
5細胞/ウェルでU型底部マイクロタイタープレートにプレーティングする。細胞をモノクローナル抗体3B8と一緒に4℃で1分間インキュベートし、次に、氷冷PBSで3回洗浄し、最後に、Dylight650-接合された二次抗IgG抗体と一緒にインキュベートする。BD、Accuri(商標) C6 Plusを使用してフローサイトメトリー二って結合を評価する。縦軸に抗体結合の場合、横軸に蛍光マーカーの発現をプロットする。マウス抗体3B8がHEK293細胞を発現する蛍光マーカーの表面に特異的に結合することを検出した(
図3、Q5-UR中の細胞)。
【0389】
iii)ELISAアッセイによってCLDN18.2に結合するモノクローナル抗体3B8を分析:
【0390】
組換えタンパク質クローディン18.2(またはクローディン18.1)を炭酸塩緩衝液で最終濃度4.5μg/mLに希釈する。Elisaプレートを4℃で一晩コーティングする。次に、コーティング溶液を除去し、ウェルに200μlのTBSTを充填することによりプレートを3回洗浄する。塚野ブロッキングステップ(30分間、5%BSA-PBS)を適用することができる。希釈されたモノクローナル抗体3B8を各ウェルに加え、室温で2時間インキュベートする。非特異的陰性対照マウスIgGをTBSTで希釈する。ウェルに200μlのTBSTを充填することにより、プレートを3回洗浄し、HRP-接合された二次抗体を添加し、室温で2時間インキュベートする。プレートを再度3回洗浄し、TMB基質溶液を各ウェルに添加し、15~30分間インキュベートし、等量の停止液(2MのH
2SO
4、選択可能)を加え、370または450nmで光学密度を読み取る(
図4)。
【0391】
iv)フローサイトメトリーによるモノクローナル抗体3B8の結合親和性の評価:
【0392】
様々な濃度(0.01、0.1、1、2、10μg/mL)のモノクローナル抗体3B8をヒトCLDN18.2およびGFPを発現するトランスフェクトされた細胞と混合し、操作は一般的な説明と同じである。縦軸に抗体結合の場合、横軸に蛍光マーカーの発現をプロットする。抗体3B8の結合特徴は、
図5に示される。
【0393】
実施例2:抗CLDN18.2-15G11
【0394】
実施例2に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例2に記載の抗体は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:18を含む二つのアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0395】
実施例2に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図6および
図9に示される。
【0396】
実施例3:抗CLDN18.2-9A1
【0397】
実施例3に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例3に記載の抗体は、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0398】
実施例3に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図7および
図10に示される。
【0399】
実施例4:抗CLDN18.2-5C9
【0400】
実施例4に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例4に記載の抗体は、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0401】
実施例4に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図8、
図11および
図12に示される。
【0402】
実施例5:抗CLDN18.2-5H1
【0403】
実施例5に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例5に記載の抗体は、SEQ ID NO:43のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:47のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0404】
実施例5に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施され、そのKdは、0.32nMである。
【0405】
実施例6:抗CLDN18.2-1D5
【0406】
実施例6に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例6に記載の抗体は、SEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:54のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0407】
実施例6に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図12に示される。
【0408】
実施例7:抗CLDN18.2-8C5
【0409】
実施例7に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例7に記載の抗体は、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0410】
実施例7に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。抗CLDN18.2-8C5抗体は、CLDN18.1と18.2との両方に結合する(結果は示していない)。
【0411】
実施例8:抗CLDN18.2-9F1
【0412】
実施例8に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例8に記載の抗体は、SEQ ID NO:64のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0413】
実施例8に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。抗CLDN18.2-9F1抗体は、CLDN18.1と18.2との両方に結合する(結果は示していない)。
【0414】
実施例9:抗CLDN18.2-7A10
【0415】
実施例9に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例9に記載の抗体は、SEQ ID NO:72のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:76のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0416】
実施例9に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図12に示される。
【0417】
実施例10:抗CLDN18.2-8C12
【0418】
実施例10に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例10に記載の抗体は、SEQ ID NO:78のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:82のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0419】
実施例10に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図12に示される。
【0420】
実施例11:抗CLDN18.2-14D7
【0421】
実施例11に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例11に記載の抗体は、SEQ ID NO:86のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0422】
実施例11に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図13に示される。
【0423】
実施例12:抗CLDN18.2-5H7
【0424】
実施例12に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例12に記載の抗体は、SEQ ID NO:93のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:96のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0425】
実施例12に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図13に示される。
【0426】
実施例13:抗CLDN18.2-5G7
【0427】
実施例13に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例13に記載の抗体は、SEQ ID NO:100のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:102のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0428】
実施例13に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図13に示される。
【0429】
実施例14:抗CLDN18.2-4G3
【0430】
実施例14に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例14に記載の抗体は、SEQ ID NO:106のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0431】
実施例14に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図13に示される。
【0432】
実施例15:抗CLDN18.2-14B7
【0433】
実施例15に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例15に記載の抗体は、SEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0434】
実施例15に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図13に示される。
【0435】
実施例16:抗CLDN18.2-7H1
【0436】
実施例16に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例16に記載の抗体は、SEQ ID NO:117のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:121のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0437】
実施例16に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施され、Kdが0.267nMであることを示す。
【0438】
実施例17:抗CLDN18.2-5H12
【0439】
実施例17に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例17に記載の抗体は、SEQ ID NO:125のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:127のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0440】
実施例17に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図13に示される。
【0441】
実施例18:抗CLDN18.2-5C9a
【0442】
抗CLDN18.2抗体ヒト化のための一般的にな方法
【0443】
実施例18A:フレームワーク。
【0444】
最も売られる抗体治療薬ハーセプチン(トラスツズマブ)およびヒュミラ(アダリムマブ)の成功に基づいて、重鎖サブグループllI(humlll)および軽鎖κサブグループI(humκI)のヒト共同配列フレームワーク(Carter P、Prestaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89、4285-4289(1992)、Presta LGら、J.Immunol151、2623-2632(1993)、Kabat E.A.ら、免疫学的に関心のあるタンパク質の配列、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991))を選択して、抗CLDN18.2抗体のヒト化に使用する。
【0445】
将来のCDR交換用のテンプレートpSY1を生成するために、humIIIおよびhumκI遺伝子を、M13ファージの表面にヒトFabを表示するように設計されたファージミドに挿入する。二つのオープンリーディングフレームを使用して、それぞれphoAプロモーターの制御下で二つのFab鎖を下コードする。第1のオープンリーディングフレームは、軽鎖をコードし、第2のオープンリーディングフレームは、M13マイナーコートタンパク質P3のC末端ドメインに融合する重鎖をコードする。二つのペプチド鎖は、N末端のstIIシグナル配列によって一定方向に分泌される。
【0446】
実施例18B:一本鎖DNA(ssDNA)テンプレート。
【0447】
次に、pSY1をマイクロパルスエレクトロポレーター(Bio-Rad)でCJ236細胞(ウラシルでグリコシダーゼを欠陥)にエレクトロポレーションする。単一のコロニーを使用して、1mLの2YT開始培養物に100μg/mLのアンピシリンおよび10μg/mLのクロラムフェニコールを接種し、得られた培養物を37℃で6時間振とうする。M13KO7ヘルパーファージ(~1010pfu)を加え、37℃で10分間振とうした後、300μLの混合物を100μg/mLのアンピシリンおよび0.25mg/mLのウリジンを含む30μLの2YTに移す。37℃で18時間増殖した後、ファージを精製し、E.Z.N.A.(登録商標)M13DNAminiキット(Omega Biotek Inc)を使用してウラシルを含むssDNAを単離する。
【0448】
実施例18C:ヒト化h5C9aを生成するためのCDR交換
【0449】
Kunkel突然変異誘発(Kunkel T.A.Proc Natl Acad Sci USA 82、488-92(1985)、Sidhu S.Sら、Methods Enzymol 328、333-63(2000))を使用して、ヒト化抗CLDN18.2抗体h5C9aのCDR交換形態を構築する。5C9抗体のCDRをpSY1に交換するように、以下のようなプライマーを設計する:
AGGGTCACCATCACCTGCAAAAGCAGTCAGAGTCTGCTCAACAGTGGCAACCAGAAAAGCTATCTGACCTGGTATCAACAGAAACCA(CDR-L1に使用される)(SEQ ID NO:373)、
GCTCCGAAGCTTCTGATTTATTGGGCATCTACCCTCGAAAGCGGAGTCCCTTCTCGCTTC(CDR-L2に使用される)(SEQ ID NO:374)、
GCAACTTATTACTGTCAGAACGCGTATTCTTTTCCGTTTACGTTCGGACAGGGTACC(CDR-L3に使用される)(SEQ ID NO:375)、
TCCTGTGCAGCTTCTGGCTACACCTTTACCAACTATGGTATGAACTGGGTGCGTCAGGCCCCG(CDR-H1に使用される)(SEQ ID NO:376)、
GGCCTGGAATGGGTTGCATGGATTAACATGTATACCGGCGAACCGACCTATGCCGATGACTTCAAGGGCCGTTTCACTATAAGCCGT(CDR-H2に使用される)(SEQ ID NO:377)、
GTCTATTATTGTGCTCGCCTGTATAACGGCAACTCTCTGGACTACTGGGGTCAAGGA(CDR-H3に使用される)(SEQ ID NO:378)。
【0450】
CDR領域には下線が引かれている。
【0451】
T4ポリヌクレオチドキナーゼ(NEB)を使用して、37℃で六つのプライマーをそれぞれ1時間リン酸化する。リン酸化されたプライマーを90℃で1分間ウラシルを含むssDNAテンプレートにアニーリングし、50℃で3分間アニーリングし、次に、氷に置く。T7DNAポリメラーゼでオリゴヌクレオチド伸長し、37℃でT4 DNAリガーゼで1.5時間連結して、共有結合性閉環状DNAを形成する。DNAをQiagen QIAquick DNA精製キットで脱塩および親和性精製し、熱ショック形質転換によりXL-1blue細胞(ウラシルグリコシダーゼを含む株)に形質転換する。Qiagen miniprepキットで小規模DNAを精製し、配列を確認するためにシーケンシングを送信する。次に、ヒト化ライブラリーを構築するように、プラスミドh5C9aをウラシルを含むssDNAの調製に使用される。
【0452】
実施例18D:ヒト化ライブラリーの構築
【0453】
公開された作業(Baca Mら、J.Biol.Chem.272、10678-10684(1997))に基づいて、トラスツズマブ等の市販知よう的抗体を参照して、VL:M4(MTG)、F71(TWC)、F83(YTC);VH:A24(RYC)、V37(RTC)、F67(NYC)、I69(WTC)、R71(CKC)、D73(RMC)、K75(RMG)、N76(ARC)、L78(SYG)、A93(DYG)、R94(ARG)等のような部位でマウスおよびよく知られるヒトアミノ酸構成要素を含むようにライブラリー構築する。各部位で使用される縮重コドンは、括弧内に示される。M=AまたはC、W=AまたはT、R=AまたはG、Y=CまたはT、N=A、C、GまたはT、K=GまたはT、S=GまたはC、およびD=A、GまたはTである。Kunkel突然変異誘発を介してこれらの縮重コドンを所望の部位に導入するように、次のようなプライマーを設計する:
GCCTATGCATCCGATATCCAGMTGACCCAGTCCCCGAGCTCC(hLibL1)(SEQ ID NO:379)、
GGTAGCGGTTCCGGGACGGATTWCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCGGAAGACYTCGCAACTTATTACTGTCAG(hLibL2)(SEQ ID NO:380)、
CTCCGTTTGTCCTGTGCARYCTCTGGCTACACCTTTACCAACTATGGTATGAACTGGRTCCGTCAGGCCCCGGGTAAG(hLibH1)(SEQ ID NO:381)、
GATGACTTCAAGGGCCGTNYCACTWTCAGCCKCGACRMCTCCRMGARCACASYGTACCTACAAATGAACAGC(hLibH2)(SEQ ID NO:382)、
GACACTGCCGTCTATTATTGTDYGARGCTGTATAACGGCAACTCT(hLibH3)(SEQ ID NO:383)。
【0454】
縮重コドンには、下線が引かれる。
【0455】
前記プライマーのリン酸化およびKunkel突然変異誘発(Sidhu S.Sら、Methods Enzymol 328、333-63(2000))は、説明されるように実施される。得られた共有結合性閉環状DNAをエレクトロコンピテントSS320細胞にエレクトロポレーションして、説明されるようにh5C9ヒト化Fabライブラリーを調製する(Sidhuら、2000)。滴定の見掛けの多様性は、1.9×109であり、設計された理論上の多様性3.2×106よりも大きくなる。
【0456】
実施例18E:ヒト化h5C9クローンの選択
【0457】
前のものと同様に行われた(Ye J.D.ら、Proc Natl Acad Sci USA 105、82-87(2008))。ビオチン化された完全長CLDN18.2を抗原として使用する。第1のラウンドにおいて、0.5nmolのビオチン化CLDN18.2を磁気ビーズ(Promega)に固定し、1012~13cfuのファージト一緒に1mlの0.4%BSAおよび0.2mg/mLのストレプトアビジンの補充されたPD(1xPBS、0.1%のDDMを含む)で15分間インキュベートする。次に、溶液を除去し、ビーズをPDで2回洗浄し、後続ラウンドの選択のために増幅させる。後続のラウンドにおいて、まず、精製されたファージプールをストレプトアビジンビーズと一緒に15分間インキュベートし、上清液をKingFisher磁性粒子プロセッサー(Thermo Fisher)で後続の選択に使用する。ファージ(1010~11cfu)を、低濃度のビオチン化CLDN18.2(20~0.1nM)および高濃度のCLDN18.1(400~800nM)と一緒に15分間インキュベートする。次に、ストレプトアビジン磁気ビーズを溶液に15分間添加して、ビオチン化CLDN18.2および結合されたファージを捕捉する。ビーズをPDで5回洗浄し、100mMのDTTで15分間溶出する。各ラウンドの選択後、回収されたファージは、記載されるように増幅された(Sidhu S.Sら、Methods Enzymol 328、333-63(2000))。5ラウンドの選択後、ファージELISAを実行して、陽性クローンを同定し、シーケンシングを実行する。
【0458】
実施例18に記載された抗体を生成し、SEQ ID NO:131のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:134のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)含む。
【0459】
実施例18に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図14に示される。
【0460】
実施例19:抗CLDN18.2-5C9b
【0461】
実施例19に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例19に記載の抗体は、SEQ ID NO:136のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:137のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0462】
実施例20:抗CLDN18.2-5C9c
【0463】
実施例20に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例20に記載の抗体は、SEQ ID NO:138のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:139のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0464】
実施例21:抗CLDN18.2-5C9f
【0465】
実施例21に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例21に記載の抗体は、SEQ ID NO:140のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:141のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0466】
実施例22:抗CLDN18.2-5C9g
【0467】
実施例22に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例22に記載の抗体は、SEQ ID NO:142のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:143のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0468】
実施例23:抗CLDN18.2-5C9i
【0469】
実施例23に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例23に記載の抗体は、SEQ ID NO:144のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:145のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0470】
実施例24:抗CLDN18.2-5C9j
【0471】
実施例24に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例24に記載の抗体は、SEQ ID NO:146のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:147のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0472】
実施例25:抗CLDN18.2-5C9l
【0473】
実施例25に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例25に記載の抗体は、SEQ ID NO:148のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:149のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0474】
実施例26:抗CLDN18.2-5C9m
【0475】
実施例26に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例26に記載の抗体は、SEQ ID NO:150のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:151のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0476】
実施例27:抗CLDN18.2-5C9n
【0477】
実施例27に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例27に記載の抗体は、SEQ ID NO:152のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:153のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0478】
実施例27に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図14に示される。
【0479】
実施例28:抗CLDN18.2-5C9o
【0480】
実施例28に記載の抗体は、実施例18に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例28に記載の抗体は、SEQ ID NO:154のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:155のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0481】
実施例28に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図14、
図15および
図16に示される。
【0482】
実施例29:抗CLDN18.2-5C9oa
【0483】
抗CLDN18.2抗体の親和性成熟のための一般的な方法
【0484】
実施例29A:h5C9oAMH9_12ライブラリーの構築
【0485】
第1のライブラリーは、CDR-H3に焦点を合わせる。九つのCDR残基において、Kabat番号付けシステムによる位置101および102は、通常、重要な構造的役割を果たしていると考えられているため、ここでは、ランダム化されていない。101のすぐ上流の位置(現在のCDR中の100a)は、様々な一般的な四つのアミノ酸:FILMが与えられている。カスタマイズコドンXYZ、即ち、X=G(0.45)、A(0.23)、T(0.11)、C(0.21)、Y=G(0.31)、A(0.34)、T(0.17)、C(0.18)、Z=G(0.24)、C(0.76)を使用して、位置95~100をランダム化する。当該コドンは、CDR H3の95~100a_zの位置で天然AAからなるコドン(Lee C.V.ら、J.Mol.Biol.340、1073-1093(2004))を模倣することと類似し、システインおよび停止コドンでのその表現が減少される。CDR-H3の長さは、9~12個の残基の間で変化させることができ、追加の各残基は、XYZコドンによってコードされる。ライブラリーの理論上のサイズは、1.5×1014である。ライブラリーの比較的大きいサイズにより希釈された結合クローンを考慮して、TAAGGCCAAGACGGCCTATAA(SEQ ID NO:384)を使用してCDR-H3配列の位置95~100aを代替し、当該新しい構築物を使用してライブラリーの構築に使用されるテンプレートを調製する。これは、親和性成熟ライブラリーから親h5C9oの除去を許容する。Kunkel突然変異誘発において、次のようなプライマーを使用して、このライブラリーを構築する:
GTCTATTATTGTGCTCGCXYZXYZXYZXYZXYZXYZWTKGACTACTGGGGTCAAGGA(SEQ ID NO:385)、
GTCTATTATTGTGCTCGCXYZXYZXYZXYZXYZXYZXYZWTKGACTACTGGGGTCAAGGA(SEQ ID NO:386)、
GTCTATTATTGTGCTCGCXYZXYZXYZXYZXYZXYZXYZXYZWTKGACTACTGGGGTCAAGGA(SEQ ID NO:387)、
GTCTATTATTGTGCTCGCXYZXYZXYZXYZXYZXYZXYZXYZXYZWTKGACTACTGGGGTCAAGGA(SEQ ID NO:388)。
上記のようにライブラリーを構築し、見掛けの多様性は、1.5×1010である。
【0486】
抗原結合は、すべてのCDR領域の接触残基からの直接結合およびフレームワーク残基からの構造的に支持された相乗的作用を必要とする。従って、可能であれば、複数のCDRの残基を同時にスクリーニングすることができると有益である。抗原結合の親和性および特異性を高めることができることに加えて、複数のCDR配列を同時に空間的にサンプリングできると、よりコンパクトで安定した構造の抗体が得られる可能性が高くなる。最小限の努力で大規模な合成抗体ライブラリーを作成することができるため、同じライブラリーの複数のCDR配列をスクリーニングすることができる。従って、二つのライブラリーを構築する。
【0487】
実施例29B:h5C9oAM_CDRW_L3_H3ライブラリーの構築
【0488】
当該ライブラリーにおいて、CDR L3およびH3を同時にスクリーニングすることを目的としている。単一のアミノ酸CDRウォーキング(Yang W.P.ら、J.Mol.Biol.254、392-403(1995))は、CDR-H3中の位置95~100およびCDR-L3中の位置91~94のランダム化に使用される(Kabat番号付けシステムに従う)。与えられたCDRで、各位置は、縮重コドンNNSを使用して個別にランダム化され、20個のアミノ酸すべてをコードする。Kunkel突然変異誘発で次のようなプライマーを使用して、このライブラリーを構築する。
【表2】
【0489】
上記のようにライブラリーを構築し、見掛けの多様性は、1.0×109であり、設計された多様性2.5×104よりも大きい。
【0490】
実施例29C:h5C9AM_CDRW_L1_L2_H2ライブラリーの構築
【0491】
当該ライブラリーにおいて、CDR L1、L2およびH2を同時にスクリーニングする。以前のライブラリーと同様に、単一のアミノ酸CDRウォーキング戦略を使用する(Yang W.P.ら、J.Mol.Biol.254、392-403(1995))。ランダム化の位置は、CDR-L1中の27~33、CDR-L2中の位置50、53および55、ならびにCDR-H2中の50、52~54、56~58を含む。与えられたCDRで、各位置は、縮重コドンNNSを使用して個別にランダム化して、20個のアミノ酸すべてをコードする。Kunkel突然変異誘発で次のようなプライマーを使用して、このライブラリーを構築する。
【表3】
【0492】
上記のようにライブラリーを構築し、見掛けの多様性は、1.1×1010であり、設計された多様性9.4×106よりも大きい。
【0493】
実施例29D:親和性成熟抗体の選択
【0494】
CLDN18.2を選択する場合、それぞれ上記の三つの親和性成熟ライブラリーを使用する。基本的な手順は、上記の手順と類似するが、以下の変更がある。選択に使用されるビオチン化抗原の濃度範囲は、1nM~10pMである。10pMのビオチン化抗原濃度で、ビーズ上に抗原/抗体複合体を捕捉した後、ビーズをPDで洗浄し、>1000倍の非ビオチン化抗原をビーズと一緒に室温下で0.5~1時間インキュベートする。次に、上記のように洗浄およびりょしゅつする。このような解離速度は、より遅い解離速度を有する抗体の選択を可能にし、これは、インビボ活性に有益である可能性がある。
【0495】
実施例29に記載の抗体は、上記の一般的な方法に従って生成される。実施例29に記載の抗体は、SEQ ID NO:157のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:159のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0496】
実施例29に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0497】
実施例30:抗CLDN18.2-5C9ob
【0498】
実施例30に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例30に記載の抗体は、SEQ ID NO:160のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:162のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0499】
実施例30に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0500】
実施例31:抗CLDN18.2-5C9oc
【0501】
実施例31に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例31に記載の抗体は、SEQ ID NO:163のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:165のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0502】
実施例31に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0503】
実施例32:抗CLDN18.2-5C9od
【0504】
実施例32に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例32に記載の抗体は、SEQ ID NO:166のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:168のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0505】
実施例32に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0506】
実施例33:抗CLDN18.2-5C9oe
【0507】
実施例33に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例33に記載の抗体は、SEQ ID NO:169のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:171のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0508】
実施例33に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0509】
実施例34:抗CLDN18.2-5C9of
【0510】
実施例34に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例34に記載の抗体は、SEQ ID NO:172のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:174のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0511】
実施例34に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0512】
実施例35:抗CLDN18.2-5C9og
【0513】
実施例35に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例35に記載の抗体は、SEQ ID NO:175のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:176のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0514】
実施例35に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0515】
実施例36:抗CLDN18.2-5C9oh
【0516】
実施例36に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例36に記載の抗体は、SEQ ID NO:178のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:179のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0517】
実施例36に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0518】
実施例37:抗CLDN18.2-5C9oi
【0519】
実施例37に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例37に記載の抗体は、SEQ ID NO:180のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:181のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0520】
実施例37に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0521】
実施例38:抗CLDN18.2-5C9oj
【0522】
実施例38に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例38に記載の抗体は、SEQ ID NO:183のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:184のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0523】
実施例38に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図16に示される。
【0524】
実施例39:抗CLDN18.2-5C9ok
【0525】
実施例39に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例39に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:187のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0526】
実施例39に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図17に示される。
【0527】
実施例40:抗CLDN18.2-5C9ol
【0528】
実施例40に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例40に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:189のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0529】
実施例40に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図17に示される。
【0530】
実施例41:抗CLDN18.2-5C9om
【0531】
実施例41に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例41に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:191のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0532】
実施例41に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図17に示される。
【0533】
実施例42:抗CLDN18.2-5C9on
【0534】
実施例42に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例42に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:193のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0535】
実施例42に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図17に示される。
【0536】
実施例43:抗CLDN18.2-5C9oo
【0537】
実施例43に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例43に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:195のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0538】
実施例43に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図17に示される。
【0539】
実施例44:抗CLDN18.2-5C9op
【0540】
実施例44に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例44に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:197のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0541】
実施例44に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図17に示される。
【0542】
実施例45:抗CLDN18.2-5C9oq
【0543】
実施例45に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例45に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:199のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0544】
実施例45に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図17に示される。
【0545】
実施例46:抗CLDN18.2-5C9or
【0546】
実施例46に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例46に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:201のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0547】
実施例46に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図18に示される。
【0548】
実施例47:抗CLDN18.2-5C9os
【0549】
実施例47に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例47に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:203のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0550】
実施例47に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図17に示される。
【0551】
実施例48:抗CLDN18.2-5C9ot
【0552】
実施例48に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例48に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:205のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0553】
実施例48に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図18に示される。
【0554】
実施例49:抗CLDN18.2-5C9ou
【0555】
実施例49に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例49に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:207のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0556】
実施例49に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図18に示される。
【0557】
実施例50:抗CLDN18.2-5C9ov
【0558】
実施例50に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例50に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:209のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0559】
実施例50に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図18に示される。
【0560】
実施例51:抗CLDN18.2-5C9ow
【0561】
実施例51に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例51に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:211のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0562】
実施例51に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図18に示される。
【0563】
実施例52:抗CLDN18.2-5C9ox
【0564】
実施例52に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例52に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:213のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0565】
実施例52に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図18に示される。
【0566】
実施例53:抗CLDN18.2-5C9oy
【0567】
実施例53に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例53に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:215のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0568】
実施例53に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図18に示される。
【0569】
実施例54:抗CLDN18.2-5C9oz
【0570】
実施例54に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例54に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:217のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0571】
実施例54に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図18に示される。
【0572】
実施例55:抗CLDN18.2-5C9oaa
【0573】
実施例55に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例55に記載の抗体は、SEQ ID NO:186のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:219のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0574】
実施例55に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図18に示される。
【0575】
実施例56:抗CLDN18.2-5C9oab
【0576】
実施例56に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例56に記載の抗体は、SEQ ID NO:221のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:222のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0577】
実施例56に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図19に示される。
【0578】
実施例57:抗CLDN18.2-5C9oad
【0579】
実施例57に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例57に記載の抗体は、SEQ ID NO:221のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:223のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0580】
実施例57に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図19に示される。
【0581】
実施例58:抗CLDN18.2-5C9oae
【0582】
実施例58に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例58に記載の抗体は、SEQ ID NO:224のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:225のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0583】
実施例58に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図20に示される。
【0584】
実施例59:抗CLDN18.2-5C9oaf
【0585】
実施例59に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例59に記載の抗体は、SEQ ID NO:221のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:226のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0586】
実施例59に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図19に示される。
【0587】
実施例60:抗CLDN18.2-5C9oag
【0588】
実施例60に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例60に記載の抗体は、SEQ ID NO:228のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:229のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0589】
実施例60に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図20に示される。
【0590】
実施例61:抗CLDN18.2-5C9oah
【0591】
実施例61に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例61に記載の抗体は、SEQ ID NO:231のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:232のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0592】
実施例61に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図20に示される。
【0593】
実施例62:抗CLDN18.2-5C9oai
【0594】
実施例62に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例62に記載の抗体は、SEQ ID NO:234のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0595】
実施例62に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図20に示される。
【0596】
実施例63:抗CLDN18.2-5C9oap
【0597】
実施例63に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例63に記載の抗体は、SEQ ID NO:237のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:240のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0598】
実施例63に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図21および
図22に示される。
【0599】
実施例64:抗CLDN18.2-5C9oaq
【0600】
実施例64に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例64に記載の抗体は、SEQ ID NO:242のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:244のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0601】
実施例64に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図21および
図22に示される。
【0602】
実施例65:抗CLDN18.2-5C9oar
【0603】
実施例65に記載の抗体は、実施例29に記載の上記の一般的な方法に従って生成される。実施例65に記載の抗体は、SEQ ID NO:246のアミノ酸配列を含む二つの軽鎖可変ドメイン(VL)およびSEQ ID NO:248のアミノ酸配列を含む二つの重鎖可変ドメイン(VH)を含む。
【0604】
実施例65に記載の抗体の結合特徴の研究は、実施例1のように実施される。結果は、
図22に示される。
【0605】
実施例66:モノクローナル抗体の純度
【0606】
マウスモノクローナル抗体の純度は、以下のようにSDS-PAGE電気泳動によって評価される。SDS-PAGE用のサンプルを含むすべてのマイクロ遠心チューブを加熱ブロック(95℃に設定)または沸騰水に入れる。サンプルを5分間加熱する。MW標準品から始めて、5μgの抗体サンプルをゲルレーンにロードする。チャンバーを覆い、アノードおよびカソードに接続する。電気泳動電源の電圧を100Vの定電圧に設定する。ゲルを45~90分間電気泳動させる。ゲルの底から染料フロントを取り除いたら、すぐに電源を切る。電極を外し、プレートからグルを取り除く。続いて、InstantBlue染色を実施する(
図23および
図24を参照)。
【0607】
実施例67:マウス、キメラおよびヒト抗体の選択性測定
【0608】
組換えタンパク質クローディン18.2およびクローディン18.1を、炭酸塩緩衝液で最終濃度4.5μg/mLに希釈する。Elisaプレートを4℃で一晩コーティングする。コーティング溶液を除去し、200μLのTBSTでウェルを充填し、プレートを3回洗浄し、追加のブロッキングステップを適用することができる(30分間、5%のBSA-PBS)。希釈されたマウスモノクローナル抗体7H1、キメラ抗体ch5C9、ch15G11、ch9A1およびヒト抗体h5C9oを各ウェルに加え、室温で2時間インキュベートする。非特異的陰性対照マウスIgGをTBSTで希釈する。200μLのTBSTでウェルを充填し、プレートを3回洗浄し、HRP-接合された二次抗体を加え、室温で2時間インキュベートする。プレートを再度3回洗浄し、TMB基質溶液を各ウェルに加え、プレートを15~30分間インキュベートし、等量の停止液を加える(2MのH
2SO
4、選択可能)。370または450nmで光学密度を読み取る。当該分析は、GraphPad Prism8.0.1によって実行される。試験されたすべての抗体は、すべてクローディン18.2に対して高い選択性を示すが、クローディン18.1に対しては高い選択性を示さない(
図25、
図26および
図27)。
【0609】
実施例68:クローディン18.2を安定的に発現するHEK293細胞に結合するヒト抗体
【0610】
細胞上のクローディン18.2のエピトープに対するヒト化抗クローディン18.2抗体の結合を研究する。1×10
5/ウェルのHEK293T、HEK293_CLDN18.2細胞を96ウェルプレートに一晩接種する。室温で細胞を10%のホルマリンで15分間固定し、次に、遮断ステップを2時間実行する。洗浄後、一連の抗体希釈液をプレートのウェルに加え、プレートを室温で2時間インキュベートする。3回洗浄後、ヤギ抗ヒトIgGを加え、かつさらに1時間インキュベートし、次に、TMB溶液を加えて結合を証明する。結果は、試験されたすべての抗体-h5C9o、h5C9oFc突然変異、h5C9ob、h5C9oae、h5C9oag、h5C9oai、h5C9oanおよびh5C9oaoがHEK293_CLDN18.2細胞に結合するが、HEK293T細胞には結合しないことを示す(
図28、
図29および
図30)。
【0611】
実施例69:ヒト抗体内在化アッセイ
【0612】
クローディン18.2を自然に発現する胃腫瘍細胞NUGC4に対するヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9oの結合を研究するために、緑色蛍光Alexa Fluor(登録商標) 488プローブ(Invitrogen)を使用して、製造業者のプロトコルに従ってh5C9o抗体を標識する。標識されたh5C9oを96ウェルプレートのNUGC4培養物に加え、インキュベーション時間とともに写真を撮る。NUGC4細胞内へのh5C9o内在化は、蛍光顕微鏡法Alexa Fluor(登録商標) 488染料でモニタリングされ、最大の励起および放出値は、494/519nmである(
図31)。
【0613】
実施例70:CLDN18.2を一時的に発現するHEK293T細胞におけるch5C9、ch15G11およびch9A1の補体依存性細胞毒性(CDC)測定
【0614】
2.5×10
4個/ウェルの24時間クローディン18.2を一時的に発現するHEK293T細胞を組織培養平底マイクロタイタープレートに接種する。翌日、増殖培地を除去し、細胞を1:5シリーズ希釈されたキメラ抗体ch5C9、ch15G11およびch9A1と一緒に37℃、5%のCO
2、90%の湿度で2時間インキュベートする。次に、補体を有するヒト血清または血漿を最終濃度が25%(v/v)になるように加え、細胞を37℃で3.5時間インキュベートする。Cyto-Glo細胞毒性測定試薬を各ウェルに加える。プレートを混合し、かつ室温で15分間インキュベートする。Bio-Tekプレートリーダーsynergy4を使用して発光シグナルを測定する。EC50は、Prism Graphpad 8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図32に示される。
【0615】
実施例71:CLDN18.2を安定的に発現するHEK293T細胞におけるch5C9およびh5C9oの補体依存性細胞毒性(CDC)測定
【0616】
5×10
4個/ウェルのクローディン18.2を安定的に発現するHEK293T細胞および対照HEK293T細胞を組織培養平底マイクロタイタープレートに接種する。翌日、増殖培地を除去し、細胞を1:3シリーズ希釈されたキメラおよびヒト抗体ch5C9およびh5C9oと一緒に37℃、5%のCO
2、90%の湿度で2時間インキュベートする。次に、補体を有するヒト血清または血漿を最終濃度が25%(v/v)になるように加え、細胞を37℃で3時間インキュベートする。Cyto-Glo細胞毒性測定試薬を各ウェルに加え、混合しかつ室温で15分間インキュベートする。Bio-Tekプレートリーダーsynergy4を使用して発光シグナルを測定する。EC50は、Prism Graphpad 8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図33および
図34に示される。
【0617】
実施例72:CLDN18.2を安定的に発現するHEK293T細胞におけるh5C9o、h5C9ob、h5C9oap、h5C9oaq、h5C9oaeおよびh5C9oarの補体依存性細胞毒性(CDC)測定
【0618】
2×10
4個/ウェルのクローディン18.2を安定的に発現するHEK293T細胞を組織培養平底マイクロタイタープレートに接種する。翌日、増殖培地を除去し、細胞を1:3シリーズ希釈されたヒト抗体h5C9o、h5C9ob、h5C9oap、h5C9oaq、h5C9oaeおよびh5C9oarと一緒に37℃、5%のCO
2、90%の湿度で2時間インキュベートする。次に、補体を有するヒト血清または血漿を最終濃度が25%(v/v)になるように加え、細胞を37℃で3時間インキュベートする。Cyto-Glo細胞毒性測定試薬を各ウェルに加え、混合しかつ室温で15分間インキュベートする。Bio-Tekプレートリーダーsynergy4を使用して発光シグナルを測定する。EC50は、Prism Graphpad 8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図35および
図36に示される。
【0619】
実施例73:キメラ抗体ch5C9、ch15G11およびch9A1の抗体依存性細胞毒性(ADCC)
【0620】
ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega)を使用して三つのキメラ抗体ch5C9、ch15G11およびch9A1に対してADCC測定する。2.5×10
4個/ウェルのCLDN18.2を一時的に発現する細胞を96ウェル培養プレートに一晩接種する。翌日、培地を除去し、シリーズ希釈されたキメラ抗CLDN18.2抗体-ch5C9、ch15G11およびch9A1を含む50μLの4%FBS RPMI培地で代替する。25μLの遺伝子操作されたJurkat細胞をE:T=6:1の比率で各ウェルに加え、細胞混合物を37℃、5%のCO
2、90%の湿度で6時間インキュベートする。Bio-tek synergy4は、ルシフェラーゼの発現を駆動するNFAF(T細胞を活性化する神経因子)反応要素によって生成される発光シグナルを記録する。EC50は、Prism Graphpad8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図37に示される。
【0621】
実施例74:キメラ抗体ch5C9およびch7H1の抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)
【0622】
ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega)を使用してADCC測定する。2.2×10
4個/ウェルのCLDN18.2を安定的に発現する細胞HEK293_CLDN18.2を96ウェル培養プレートに一晩接種する。翌日、培地を除去し、1:5シリーズ希釈されたキメラ抗CLDN18.2抗体-ch5C9およびch7H1を含む50μLの4%FBS RPMI培地で代替する。25μLの遺伝子操作されたJurkat細胞をE:T=6:1の比率で各ウェルに加え、細胞混合物を37℃、5%のCO
2、90%の湿度で6時間インキュベートする。Bio-tek synergy4は、ルシフェラーゼの発現を駆動するNFAF(T細胞を活性化する神経因子)反応要素によって生成される発光シグナルを記録する。EC50は、Prism Graphpad8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図38に示される。
【0623】
実施例75:NUGC4におけるキメラ抗体ch7H1の抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)
【0624】
ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega)を使用してADCC測定する。2.2×10
4個/ウェルの胃腫瘍細胞NUGC4を96ウェル培養プレートに一晩接種する。翌日、培地を除去し、1:5シリーズ希釈されたキメラ抗CLDN18.2抗体ch7H1を含む50ulの4%FBS RPMI培地で代替する。25ulの遺伝子操作されたJurkat細胞をE:T=6:1の比率で各ウェルに加え、細胞混合物を37℃、5%のCO
2、90%の湿度で6時間インキュベートする。Bio-tek synergy4は、ルシフェラーゼの発現を駆動するNFAF(T細胞を活性化する神経因子)反応要素によって生成される発光シグナルを記録する。EC50は、Prism Graphpad8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図39に示される。
【0625】
実施例76:胃腫瘍細胞KATO IIIにおけるキメラおよびヒト抗体ch5C9およびh5C9oのADCC効果
【0626】
ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega)を使用してADCC測定する。2.2×10
4個/ウェルのCLDN18.2を発現する胃腫瘍細胞KATO IIIを96ウェル培養プレートに一晩接種する。翌日、培地を除去し、1:5シリーズ希釈されたキメラ抗CLDN18.2抗体-ch5C9およびch7H1を含む50μLの4%FBS RPMI培地で代替する。25μLの遺伝子操作されたJurkat細胞をE:T=6:1の比率で各ウェルに加え、細胞混合物を37℃、5%のCO
2、90%の湿度で6時間インキュベートする。Bio-tek synergy4は、ルシフェラーゼの発現を駆動するNFAF(T細胞を活性化する神経因子)反応要素によって生成される発光シグナルを記録する。EC50は、Prism Graphpad8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図40および
図41に示される。
【0627】
実施例77:HEK293_CLDN18.2細胞におけるh5C9oab、h5C9oaf、h5C9oag、h5C9oaj、h5C9oak、h5C9oam、h5C9oanおよびh5C9ohのADCC効果
【0628】
ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega)を使用してADCC測定する。1×10
4個/ウェルのCLDN18.2を安定的に発現する細胞HEK293_CLDN18.2を96ウェル培養プレートに一晩接種する。翌日、培地を除去し、1:3シリーズ希釈された抗CLDN18.2抗体h5C9oab、h5C9oaf、h5C9oag、h5C9oaj、h5C9oak、h5C9oam、h5C9oanおよびh5C9ohを含む50μLの4%FBS RPMI培地で代替する。25μLの遺伝子操作されたJurkat細胞をE:T=10:1の比率で各ウェルに加え、細胞混合物を37℃、5%のCO
2、90%の湿度で6時間インキュベートする。Bio-tek synergy4は、ルシフェラーゼの発現を駆動するNFAF(T細胞を活性化する神経因子)反応要素によって生成される発光シグナルを記録する。EC50は、Prism Graphpad8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図42および
図43に示される。
【0629】
実施例78:HEK293_CLDN18.2細胞におけるh5C9oao、h5C9oaq、h5C9oar、h5C9oai、h5C9oaeのADCC
【0630】
ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega)を使用してADCC測定する。1×10
4個/ウェルのCLDN18.2を安定的に発現する細胞HEK293_CLDN18.2を96ウェル培養プレートに一晩接種する。翌日、培地を除去し、1:3シリーズ希釈された抗CLDN18.2抗体h5C9oao、h5C9oaq、h5C9oar、h5C9oai、h5C9oaeを含む50μLの4%FBS RPMI培地で代替する。25μLの遺伝子操作されたJurkat細胞をE:T=10:1の比率で各ウェルに加え、細胞混合物を37℃、5%のCO
2、90%の湿度で6時間インキュベートする。Bio-tek synergy4は、ルシフェラーゼの発現を駆動するNFAF(T細胞を活性化する神経因子)反応要素によって生成される発光シグナルを記録する。EC50は、Prism Graphpad8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図44に示される。
【0631】
実施例79:HEK293_CLDN18.2細胞におけるh5C9oFc、h5C9oao、h5C9oaq、h5C9ob、h5C9oapおよびh5C9oaeのADCC
【0632】
ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega)を使用してADCC測定する。1×10
4個/ウェルのCLDN18.2を安定的に発現する細胞HEK293_CLDN18.2を96ウェル培養プレートに一晩接種する。翌日、培地を除去し、1:3シリーズ希釈された抗CLDN18.2抗体h5C9oFc、h5C9oao、h5C9oaq、h5C9ob、h5C9oap、h5C9oaeを含む50μLの4%FBS RPMI培地で代替する。25μLの遺伝子操作されたJurkat細胞をE:T=10:1の比率で各ウェルに加え、細胞混合物を37℃、5%のCO
2、90%の湿度で6時間インキュベートする。Bio-tek synergy4は、ルシフェラーゼの発現を駆動するNFAF(T細胞を活性化する神経因子)反応要素によって生成される発光シグナルを記録する。EC50は、Prism Graphpad8.0.1、非線状回帰アゴニストvs反応変数の傾き(四つのパラメーター)によって計算される。結果は、
図45に示される。
【0633】
実施例80:CD1マウスにおけるヒト化抗クローディン18.2抗体h5C9oの薬物動態研究
【0634】
すべてのマウスは、特定の病原体のない条件下で維持され、Sparx Therapeutics、Incの機構動物管理および使用委員会によって確立された動物実験カイドラインに従って、すべての動物手順を実施する。CD1マウスは、PK研究において尾静脈を介して1mg/kgおよび5mg/kgのh5C9oの単回IV投与量を受ける。15分間、2時間、8時間、第1、2、3、7、14および21日等の時点で心臓穿刺を介して、各投与グループの各動物から末端血液サンプル収集し(n=2/グループ)、血清を処理して、Elisa分析によるPK分析を実行する。結果は、
図46に示される。
【0635】
実施例81:ヌードマウスのCLDN18.2陽性腫瘍細胞異種移植片におけるh5C9oのインビボ効力
【0636】
すべてのマウスは、特定の病原体のない条件下で維持され、Sparx Therapeutics、Incの機構動物管理および使用委員会によって確立された動物実験カイドラインに従って、すべての動物手順を実施する。ヌードマウスに1×10
6個(1:1Matrigel)HEK293_CLDN18.2細胞を皮下接種する。腫瘍接種5日後に、グループあたり8~10匹のマウスの処理を開始する。マウスを静脈内投与経路により、200μgのh5C9o、ゾロキシマブおよびPBSで週2回6週間処理する。PBSで治療するグループのすべてのマウスは、55日内に死亡したが、h5C9oで処理された動物は、腫瘍形成および増殖に対して有意な阻害作用を示しただけでなく(
図47)、ゾロキシマブよりも優れた生存利益を有する(
図48)。
【0637】
全体の明細書において、本発明の好ましいおよび代替的な実施形態に関する様々な指示を提示する。しかしながら、前述の詳細な説明は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであり、本発明は上記実施形態のいずれかにも限定されない。すべての同等物を含む添付の特許請求の範囲は、本発明の精神および範囲を定義することを意図していることを理解されたい。
【配列表】