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▶ アイピージー フォトニクス コーポレーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】効率的な多機能内視鏡器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20240716BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B17/22
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021541495
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 US2020014293
(87)【国際公開番号】W WO2020150713
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】62/794,328
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501012517
【氏名又は名称】アイピージー フォトニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・アルトゥシュラー
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・ヤロスラフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリ・ボウトウソフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトリヤ・アンドレヴァ
(72)【発明者】
【氏名】アナスタシヤ・コヴァレンコ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・トレクサー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・バレンボイム
(72)【発明者】
【氏名】アイザック・オストロフスキー
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0231477(US,A1)
【文献】特表2017-513685(JP,A)
【文献】特表2010-511440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/002 - A61B 1/07
A61B 17/22
A61B 17/29 - A61B 17/34
A61B 17/94
A61B 18/12
A61B 18/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の内臓にアクセスするための内視鏡手術器具であって、
中心軸を画定して前記中心軸に沿って延在し、ハンドルに結合された近位部分を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの遠位部分に結合された遠位先端部分と、
前記遠位先端部分に結合されて遠位面を含む透明媒体と、
前記カテーテルシャフトおよび前記透明媒体を通って前記カテーテルシャフトの前記近位部分から前記透明媒体の前記遠位面を通って延在する作業チャネルであって、前記作業チャネルは吸引チャネルである、作業チャネルと、
前記遠位先端部分に配置された照明器と、
前記遠位先端部分に配置されかつ前記透明媒体に対して近位に配置された結像受信機と、
前記吸引チャネルを除く前記カテーテルシャフトの内部空洞であって、前記内部空洞は、前記カテーテルシャフトの前記近位部分から前記遠位部分まで延在し、灌注チャネルを画定し、前記灌注チャネルは、前記中心軸に対する角度(α)で灌注流を導くために前記遠位先端部分で少なくとも2つの出口を画定する、内部空洞と、
前記作業チャネルに配置されるレーザファイバと、
を含み、
前記透明媒体の前記遠位面は前記作業チャネルの開口部を画定し、前記結像受信機から、両端を含む1ミリメートルから10ミリメートルの範囲にある軸方向距離で配置されている、
内視鏡手術器具。
【請求項2】
前記開口部は少なくとも部分的に前記結像受信機の視野角内にある、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項3】
前記開口部および標的ゾーンは、前記結像受信機を介して見ることができる、請求項2に記載の内視鏡手術器具。
【請求項4】
前記角度(α)は、両端を含む0度から170度の範囲内にある、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項5】
前記遠位面から前記灌注チャネルの前記少なくとも1つの出口の第1の出口の縁部までの距離は、両端を含む2mmから5mmの範囲内にあり、0.5mm×1.0mmから3.0mm×3.0mmの範囲内にあるサイズを有する、請求項4に記載の内視鏡手術器具。
【請求項6】
前記少なくとも1つの出口の縁部は、前記透明媒体の近位面に隣り合って配置されている、請求項4に記載の内視鏡手術器具。
【請求項7】
圧力センサが、前記吸引チャネルおよび前記灌注チャネルの少なくとも一方に動作可能に結合されている、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項8】
前記レーザファイバは、レーザ光ファイバポートによって支持されている、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項9】
前記作業チャネルの作業ポートは、両端を含む0.5ミリメートルから1.5ミリメートルの範囲内の内寸を有する、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項10】
前記レーザファイバの遠位端は、前記遠位面に対して、両端を含む+5ミリメートルから-5ミリメートルの範囲の軸方向位置に選択的に配置可能である、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項11】
前記レーザファイバの遠位端は、前記遠位面に対して、両端を含む0ミリメートルから-3.0ミリメートルの範囲の軸方向位置に選択的に配置可能である、請求項10に記載の内視鏡手術器具。
【請求項12】
前記レーザファイバの遠位端は、前記遠位面に対して、両端を含む-0.05ミリメートルから-1.00ミリメートルの範囲の軸方向位置に選択的に配置可能である、請求項11に記載の内視鏡手術器具。
【請求項13】
前記作業チャネルの前記開口部の断面積は、前記開口部に対して近位の前記作業チャネルの断面積より5%から50%小さい範囲にある、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項14】
前記透明媒体は、前記開口部から延在する圧力逃がし部を画定する、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項15】
前記透明媒体は、前記結像受信機と前記透明媒体の前記遠位面との間に鮮明な視覚経路を提供するように構成される、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項16】
前記透明媒体の近位面は、平面であり、前記遠位先端部分の遠位面と着座する、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項17】
前記透明媒体の前記遠位面は、成形表面である、請求項1に記載の内視鏡手術器具。
【請求項18】
前記結像受信機を保持するための窪みが、前記遠位先端部分のベースプラットフォーム上に配置され、遠位に面するように配置されている、請求項17に記載の内視鏡手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年1月18日に出願された米国特許仮出願第62/794,328号の利益を主張するものであり、その開示を、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0002】
本願は一般に内視鏡装置および方法を対象としている。より具体的には、本願は、人間および動物における結石および組織のレーザ治療用の、可撓性、半剛性、および剛性を有するレーザ内視鏡を対象としている。
【背景技術】
【0003】
腎臓結石は毎年500人に1人のアメリカ人に影響を及ぼし、かなりの痛みおよび医療費を引き起こす。症候性腎臓結石の患者に対する外科的選択肢は、体外衝撃波砕石術(extracorporeal shock wave lithotripsy、ESWL)、尿管鏡法、および経皮的腎切石術(percutaneous nephrolithotomy、PCNL)を含む。人の腎臓の解剖学的構造、結石の組成、および体の習慣がすべて、結果および手術アプローチを決定する上で主要な役割を果たす。
【0004】
可撓性カテーテルシャフトの径の縮小、強化されたステアリングおよび偏向能力、ビデオイメージングの向上、バスケットおよび器具の小型化、ならびにホルミウム(Ho)およびツリウム(Tm)レーザの出現による砕石術(石の破壊)の進歩により、過去10年間にわたって尿管鏡法の役割が増大してきた。米国におけるすべての腎臓結石手術の45%以上が現在、小型尿管鏡技術およびレーザを用いて行われている。
【0005】
尿管鏡法では、尿管鏡と呼ばれる、小さな可撓性または剛性を有する装置を用いて腎臓結石を直接観察および治療する。ビデオ画像を提供し、小さな「作業」チャネルを有する尿管鏡装置を膀胱内へ挿入し、腎臓結石に遭遇するまで尿管を上らせる。腎臓結石を次いで、光ファイバ(レーザファイバ)を介して標的部位に伝達されるレーザエネルギーで破壊する、かつ/または小さなバスケットを用いて抽出することができる。このタイプの手術の利点は、体の開口部がアクセスに用いられ、切開が要求されないことである。
【0006】
尿管鏡手術はしばしば、尿管または腎臓における小さな腎臓結石に対する良好な選択肢である。より小さな腎臓結石を取り除くための尿管鏡法についての成功率は一般に、衝撃波砕石術についてのものより高い。レーザ尿管鏡法では、目的に合わせて最適化されたレーザ設定を用いて、腎臓結石を、最大寸法が1ミリメートル未満またはさらには0.25ミリメートル未満の小さな粒子に破壊することができる。この場合、アブレーションの産物を灌注流で、または手術後に腎臓から膀胱への自然な流出により除去して、結石のない治療結果を提供することができる。
【0007】
しかしながら、尿管鏡法は、非常に大きな腎臓結石(たとえば、20ミリメートルより大きな寸法の)では常にうまくいくとは限らず、これは、サイズが大きいと長い治療時間が必要になり、このような石の断片を除去するのが困難になる可能性があるためである。さらに、中サイズの石または断片(たとえば、最大寸法が1から5ミリメートルの)は、接触技術を用いるレーザで治療するのが難しい可能性がある。たとえば、接触モードで動作する尿管鏡は強い反発効果を受ける可能性があり、これによって非接触モードでの動作(たとえば、「ポップコーニング」)が要求されるが、これは時間がかかり、結石のない結果が保証されない。結果として、尿管鏡法は、非常に大きな腎臓結石では常にうまくいくとは限らず、これは、サイズが大きいと長い治療時間が必要になり、このような石の断片を除去するのが困難になる可能性があるためである。このような場合、経皮的アプローチが最善の利用可能な選択肢となることがある。尿管鏡法のこれらの欠点を軽減または解決する装置および付随する技術があれば歓迎されるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第9775675号明細書
【文献】国際出願第PCT/US19/42491号
【文献】米国特許仮出願第62/868271号
【文献】米国特許仮出願第62/868105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示のさまざまな実施形態は、従来の尿管鏡法のいくつかの欠点を軽減する一方、治療時間を短縮し、結石がないようにする確率を高め、そして治療の安全性を増大させる内視鏡手術器具および方法を提示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従来の尿管鏡は、カテーテルシャフトを通過して遠位端に入口を画定する作業チャネルを含む。作業チャネルの主な機能は、レーザ光ファイバならびに他の器具のための導管として機能すること、および灌注流を送達することである。いくつかの従来の尿管鏡は、作業チャネルの遠位開口と本質的に同じ平面上またはこの非常に近くにある結像アセンブリの入力面を利用する。他の従来の尿管鏡は、作業チャネルの遠位開口を結像アセンブリの入力面の平面の後ろに配置している。たとえば、Irby, IIIへの特許文献1(「Irby」)参照、その開示を、そこに含まれる特許請求の範囲および明示的な定義を除いて参照により本明細書に組み込む。Irbyは、遠位ヘッドカテーテルシャフト径を減少させるため、遠位面の後ろで作業チャネルを終えることが有益であるということを教示している。従来の尿管鏡は通常、カテーテルの軸から±45度である視野角を画定する。したがって、従来の尿管鏡は、結像アセンブリの視野角内に作業チャネルへの入口を含まない。これにより、標的ゾーンの機能的視覚化が損なわれる可能性がある。
【0011】
さらに、体内結石のレーザアブレーション治療を成功させるには、レーザファイバと結石との間の接触または準接触が要求される。従来のレーザ尿管鏡では、このような接触には、手術者が砕石術中に結石表面に対するレーザファイバの正確な位置を確認および制御するために、レーザファイバの遠位先端をカテーテルの遠位端を越えて(通常2ミリメートルから6ミリメートル)延在させることが要求される。結石表面(および、好ましくは、ファイバの先端)は、結像光学系の視野角内に、また結像光学系の作動距離にあらねばならない。ファイバを延長および視覚化するもう1つの重要な理由は、軟組織の偶発的なアブレーションによる軟組織(粘膜)の損傷を防止することである。尿管または腎臓のこのようなアブレーションおよび穿孔は、開腹外科的介入の必要性につながることがある。レーザファイバの遠位先端および軟組織表面の鮮明な画像により、軟組織のアブレーション事故を防止することができる。
【0012】
本開示のさまざまな実施形態は、作業チャネルの開口部が視覚化システムの視野角内にあるように構成されている。いくつかの実施形態において、透明キャップを用いることにより、結像受信機とレーザファイバの遠位端との間に視線が提供され、動作領域の視野を強化する。透明キャップの存在により、アブレーションプロセス中に生成される破片によって視線が遮られないようにすることも可能になる。
【0013】
レーザ砕石術の従来の方法は、レーザファイバを通してレーザ放射を送達して結石を非常に小さな粒子(「ダスト」)または断片にアブレーションするステップを含む。アブレーションは、接触または準接触モードで、あるいは非接触(「ポップコーニング」)モードで実行することができる。非接触技術は通常、従来の尿管鏡法において、反発により接触または準接触モードで効果的な動作が可能でなければ、中サイズおよび小さな石片(通常はサイズが3ミリメートル~5ミリメートル未満)の治療に用いられる。非接触技術では、レーザファイバの遠位端は、結石または断片に近い固定された標的ゾーンに配置され、レーザは、レーザファイバと結石または断片との間の接触なしに始動する。気化および気泡の内破、ならびに標的ゾーンの灌注により、標的ゾーン内で液体媒体(主に水)の流れが引き起こされ、これによりひいては小さな結石の断片が攪拌される。非接触技術は、断片または結石が、さらなるアブレーションによる断片化および粉塵化のために固定された標的ゾーン内のレーザ放射の有効範囲に入ることに依存している。
【0014】
この従来のアプローチの制限および効果を考慮されたい。レーザ出力は、標的ゾーンの過熱および強い反発効果を防止するために比較的低いレベルに制限されている。接触モードにおいて、特に中サイズの石または断片に対する反発効果により、標的をたどるまたは「追跡する」ための追加の非レージング時間が要求され、治療の合計時間がさらに長くなる。このような断片のそれぞれすべてを追跡することは困難で時間がかかる。非接触モードは、攪拌結石または断片が偶然ファイバの遠位先端の有効レーザパルス範囲内にあるときにのみ実際のアブレーションが起こるため、非効率的である。このような「有効アブレーション」時間間隔は通常、非接触モードにおける総レージング時間の10%~30%を占めるにすぎない。治療の臨床目標である結石のない結果は、攪拌のためにいくつかの小さな断片が治療ゾーンから移動するため、保証するのが困難である。従来のレーザ砕石術のこのような制限および効果により、治療の合計時間が長くなり、標的ゾーンにおいて液体媒体を過熱する危険性のために安全上のリスクがもたらされる。
【0015】
本開示のさまざまな実施形態は、体内結石がレーザファイバに引き寄せられ、治療器官内で体内結石を「追跡」する必要性が少ないため、レーザ砕石術のための治療時間を短くすることが可能になる。吸引チャネルの開口部およびアブレーションレーザファイバの遠位端に向かって結石および断片が引き寄せられる(吸引される)ため、体内結石を破壊する効率が向上する。開口部に対する灌注出口のサイズ、形状、および/または位置は、流れ場であって、体内結石ならびにアブレーションの産物を吸引チャネルの開口部に引き込むその流れ場における粒子の同伴を強化する、流れ場を提供するように構成することができる。さらに、いくつかの実施形態において、灌注流は、吸引流に関連して調整して、アブレーション治療中にこのような流れ場を連続的に提供することができる。アブレーションの監視を強化するため、吸引チャネルの開口部は視覚化システムの結像受信機に対して遠位に配置することができる。
【0016】
また、レーザアブレーションのプロセスによって生成される側副熱は、灌注流体によって効率的に放散され、加熱された灌注流体の吸引によって除去され、これによって周囲の組織の偶発的な熱損傷のリスクを低減することができる。治療ゾーンからの熱の効率的な放散によりさらに、周囲の軟組織の熱傷のリスクの増加を伴うことなく、レーザ出力を増加させることが可能になる。
【0017】
従来の可撓性および半剛性を有する内視鏡はまた、内視鏡の遠位端で曲げ角度を与えるための金属プルワイヤを含む。ワイヤは遠位端に取り付けられ、カテーテルを通ってステアリング機構へ経路設定されている。ワイヤは、カテーテルの断面の一部を占める実装面積を有する。さらに、遠位端へ堅固に接続するには、カテーテルの遠位端でまた断面スペースを取るコネクタが要求される。また、ステアリングされるカテーテルにはしばしば、カテーテルの近位端でのシャフトの回転が遠位端の回転に変換されるように、ねじりスリーブが要求される。ねじりスリーブも断面実装面積を占める。ステアリングおよび照準システムのこのような態様により、特に遠位端で、カテーテルの全断面積の増加が要求される。従来の尿管鏡の典型的な径は3ミリメートルから4ミリメートルの範囲である。径を1.7ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にさらに減少させることは、いくつかの機能的要素、たとえば、Irbyによって開示されたような、ステアリング構成要素を排除することによって達成することができる。
【0018】
本開示のさまざまな実施形態は、プルワイヤおよびねじりスリーブの必要性を排除することによって従来の内視鏡よりコンパクトな径方向断面を有する遠位ヘッドを提示する。ステアリング用に照明ファイバを用いることにより、スコープ、具体的には先端部分における断面スペースが広がって、共通のカテーテルシャフト内で灌注および吸引チャネルの両方を用いることが可能になる。いくつかの実施形態において、照明ファイバは、カテーテルの遠位部分を「引っ張る」ためだけでなく、遠位部分を「押す」ためにも利用され、これによって単一の照明ファイバで双方向ステアリングを提供する。これにより、両端を含む2ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にある断面寸法内でカテーテルのすべての機能、すなわち照明、結像、灌注、吸引、およびアブレーション、が可能になる。この範囲内の断面寸法で、Irbyによって議論されたように、患者を全身麻酔にかけることなく尿管鏡による体内結石の除去を可能にすることができる。
【0019】
構造的に、本開示のさまざまな実施形態について、中心軸を画定してこれに沿って延在し、近位部分および遠位部分を含むカテーテルシャフトを含む内視鏡手術器具が開示され、カテーテルシャフトの遠位部分には遠位ヘッド部分が配置され、遠位ヘッド部分は遠位面を含み、作業チャネルがカテーテルシャフト内で近位部分から遠位ヘッド部分を通って延在し、遠位ヘッド部分は遠位面で開口部を画定し、作業チャネルはレーザファイバを受容するように構成されている。遠位ヘッド部分には照明器を配置することができ、結像受信機が遠位ヘッド部分に配置され、結像受信機は遠位面の最遠位端に対して所定の軸方向距離近位に配置され、軸方向距離は、両端を含む1ミリメートルから10ミリメートルの範囲内である。いくつかの実施形態において、開口部は少なくとも部分的に結像受信機の視野角内にある。
【0020】
いくつかの実施形態において、作業チャネルはカテーテルシャフトによって画定されてこれと一体である。作業チャネル内へ挿入するためのレーザファイバを含めることができる。いくつかの実施形態において、カテーテルシャフトは、長円形状を画定するカテーテルシャフトの中心軸に垂直なシャフト断面を含み、シャフト断面は、長円形状の最大寸法を通過する長軸および長軸に垂直である短軸を画定する。いくつかの実施形態において、シャフト断面の最大寸法は、両端を含む2.2ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にある。いくつかの実施形態において、シャフト断面の最小寸法は、両端を含む1.7ミリメートルから2.0ミリメートルの範囲にある。長円形状は楕円形とすることができる。
【0021】
遠位ヘッド部分は、カテーテルシャフトの遠位部分と接触する遠位先端部分を含むことができ、結像受信機は遠位先端に搭載されている。いくつかの実施形態において、遠位先端部分は遠位面を含む。遠位先端部分はカテーテルシャフトと一体とすることができる。いくつかの実施形態において、遠位ヘッド部分は、遠位先端部分に対して遠位に固定された透明媒体を含み、透明媒体は遠位面を含む。開口部は、結像受信機を介して透明媒体を通して少なくとも部分的に見ることができる。いくつかの実施形態において、作業チャネルは吸引チャネルである。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態において、灌注チャネルが出口と流体連通し、出口は遠位ヘッドによって画定されている。灌注チャネルは、吸引チャネルを除くカテーテルシャフトの内部空洞によって画定することができ、内部空洞は、カテーテルシャフトの近位部分からカテーテルシャフトの遠位部分まで延在する。いくつかの実施形態において、灌注チャネルの出口は、中心軸に沿った遠位方向に対する所定の出口角度で構成されている。遠位ヘッド部分は、カテーテルシャフトの遠位部分と接触する遠位先端部分を含み、出口は遠位先端部分によって画定されている。いくつかの実施形態において、所定の出口角度は、両端を含む0度から170度の範囲にある。いくつかの実施形態において、所定の出口角度は、両端を含む10度から70度の範囲にある。いくつかの実施形態において、所定の出口角度は、両端を含む20度から45度の範囲にある。
【0023】
遠位ヘッド部分は、カテーテルシャフトの遠位部分と接触する遠位先端部分、および遠位先端部分に対して遠位に固定された透明媒体を含むことができ、出口は、遠位先端部分によって画定され、透明媒体の近位面上へ灌注流を導くように構成されている。いくつかの実施形態において、レーザファイバの遠位端は、開口部の最遠位場所に対する軸方向位置の所定の範囲にわたって選択的に配置可能である。いくつかの実施形態において、軸方向位置の所定の範囲は、開口部の最遠位場所に対して1ミリメートル以下遠位かつ最遠位場所に対して3ミリメートル以下近位である。いくつかの実施形態において、軸方向位置の所定の範囲は、開口部の最遠位場所と同じ高さから最遠位端に対して1ミリメートル以下近位までである。いくつかの実施形態において、軸方向位置の範囲は、遠位先端の最遠位場所に対して0.1ミリメートル以上遠位かつ最遠位端に対して0.6ミリメートル以下近位である。いくつかの実施形態において、照明器は光ファイバであり、光ファイバは遠位ヘッド部分に固定されている。カテーテルシャフトは、カテーテルシャフトの近位部分がハンドルに結合された状態で可撓性を有することができ、ハンドルは、遠位ヘッド部分を操作するために光ファイバを介して遠位ヘッド部分に結合されているステアリング機構を含む。
【0024】
本開示のさまざまな実施形態において、遠位ヘッドに結合された可撓性カテーテルシャフトを含むカテーテルを含む手術器具が開示され、第1の光ファイバがカテーテルを通って遠位ヘッド内へ延在し、第1の光ファイバは遠位ヘッドに固定され、ステアリングハンドルがカテーテルおよび光ファイバに結合され、ステアリングハンドルは、遠位ヘッドを関節的動作させるために第1の光ファイバに力を加えるように構成されている。第1の光ファイバは接着剤で遠位ヘッドに固定することができる。いくつかの実施形態において、第1の光ファイバは、長寸法および短寸法を画定する長円断面を画定し、長寸法は長円断面の最大寸法であり、短寸法は長寸法より小さく、カテーテルの中心軸で長寸法に垂直である。
【0025】
いくつかの実施形態において、この手術器具は、カテーテルを通って遠位ヘッド内へ延在する第2の光ファイバを含み、第2の光ファイバは遠位ヘッドに固定されている。第1の光ファイバおよび第2の光ファイバは、遠位ヘッドの外側径方向寸法に近接するとともにカテーテルの中心軸の周りで遠位ヘッドの外側径方向表面に近接して直径方向に対向している場所で遠位ヘッド内に固定することができる。いくつかの実施形態において、第1の光ファイバは第1の束の光ファイバにおける1つであり、第2の光ファイバは第2の束の光ファイバにおける1つである。第1の束の光ファイバおよび第2の束の光ファイバのそれぞれは、遠位ヘッドでカテーテルの中心軸の周りに接線方向に順次配置することができる。第1の束の光ファイバおよび第2の束の光ファイバのそれぞれは、遠位ヘッドでそれぞれの平面の周りに集中させることができる。いくつかの実施形態において、第1の光ファイバおよび第2の光ファイバはそれぞれ、長寸法および短寸法を画定する長円断面を画定し、長寸法は長円断面の最大寸法であり、短寸法は長寸法より小さく、カテーテルの中心軸で長寸法に垂直である。長寸法は、両端を含む0.2ミリメートルから2.0ミリメートルの範囲とすることができる。短径は、両端を含む0.1ミリメートルから1.0ミリメートルの範囲とすることができる。いくつかの実施形態において、長径の短径に対する比は、両端を含む2:1と5:1の範囲にある。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態において、ステアリングハンドルは、第1の光ファイバおよび第2の光ファイバに直接結合された回転カムを含む。いくつかの実施形態において、第1の光ファイバは、回転カムが第1の回転方向に作動したとき張力で引っ張られて遠位ヘッドを第1の横方向に関節的動作させ、第2の光ファイバは、回転カムが第2の回転方向に作動したとき張力で引っ張られて遠位ヘッドを第2の横方向に関節的動作させる。第2の回転方向は第1の回転方向と反対とすることができる。また、第2の横方向は第1の横方向と反対とすることができる。いくつかの実施形態において、第1の光ファイバおよび第2の光ファイバは回転カムに接着されている。回転カムは回転可能シャフトに結合され、親指レバーに結合することができる。
【0027】
第1の光ファイバおよび第2の光ファイバは照明源に動作可能に結合することができ、照明源から回転カムへ、そして回転カムから遠位ヘッドへと経路設定されている。いくつかの実施形態において、照明源は発光ダイオードである。照明源はステアリングハンドル内に収容することができる。いくつかの実施形態において、透明媒体は、開口部から延在する圧力逃がし部を画定する。圧力逃がし部は、透明媒体の外周まで径方向に延在することができ、遠位面の外周まで径方向に延在することができる。いくつかの実施形態において、圧力センサが作業チャネルに動作可能に結合されている。光ファイバは、遠位ヘッドに対して遠位にある標的ゾーンへ可視光を送達するように構成されている。
【0028】
本開示のさまざまな実施形態において、中心軸を画定してこれに沿って延在し、ハンドルに結合された近位部分を有するカテーテルシャフトを含む、内臓から体内結石を除去するための内視鏡手術器具が開示され、遠位先端部分がカテーテルシャフトの遠位部分に結合され、透明媒体が遠位先端部分に結合されて遠位面を含み、作業チャネルがカテーテルシャフトおよび透明媒体を通ってカテーテルシャフトの近位部分から透明媒体の遠位面を通って延在し、作業チャネルは開口部を画定している。遠位先端には照明器を配置することができ、結像受信機が遠位先端に透明媒体に対して近位に配置されている。透明媒体の遠位面は、作業チャネルの遠位端を含むことができ、結像受信機から、両端を含む1ミリメートルから10ミリメートルの範囲にある軸方向距離で配置されている。いくつかの実施形態において、作業チャネルの遠位端は、結像受信機から、両端を含む1.2ミリメートルから5ミリメートルの範囲にある軸方向距離で配置されている。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態において、両端を含む0度から170度の範囲内である中心軸に対する角度で灌注流を導くために、灌注チャネルが遠位先端に少なくとも1つの出口を画定する。いくつかの実施形態においてこの角度は、両端を含む10度から70度の範囲内にある。いくつかの実施形態において、この角度は、両端を含む20度から45度の範囲内にある。
【0030】
いくつかの実施形態はレーザファイバを含み、その一部がカテーテルシャフトを通って延在する。レーザファイバは作業チャネル内へ挿入することができる。いくつかの実施形態において、レーザファイバはカテーテルシャフト内に恒久的に統合されている。レーザファイバの遠位端は、両端を含む開口部の最遠位場所に対して1ミリメートル遠位から遠位面に対して3ミリメートル近位までの範囲の軸方向位置に選択的に配置可能とすることができる。いくつかの実施形態において、軸方向位置は、両端を含む遠位面と同じ高さから遠位面に対して1ミリメートル近位までの範囲である。いくつかの実施形態において、軸方向位置は、遠位面に対して、両端を含む0.1ミリメートルから0.6ミリメートルまで近位の範囲である。作業チャネルの遠位端の断面積は、カテーテルシャフトの残りの部分における作業チャネルの断面積より5%から50%小さい範囲とすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、透明媒体は、開口部から延在する圧力逃がし部を画定する。圧力逃がし部は透明媒体の外周まで径方向に延在することができる。いくつかの実施形態において、圧力逃がし部は遠位面の外周まで径方向に延在する。圧力センサを作業チャネルに動作可能に結合することができる。いくつかの実施形態において、作業チャネルはカテーテルシャフトによって画定されてこれと一体である。
【0032】
本開示のさまざまな実施形態において、内臓から体内結石物質を除去するための方法が開示され、これは、カテーテルアセンブリの遠位先端を内臓内に収容される体内結石物質に近接して配置するステップであって、遠位先端は、カテーテルアセンブリの作業チャネルの開口部を画定する遠位面を含み、体内結石物質は開口部に対して遠位にある、ステップと、遠位先端が体内結石物質に近接している間に、開口部と結像受信機との間の所定の分離距離で遠位先端に対して近位に結像受信機を配置するステップであって、分離距離は、両端を含む1ミリメートルから10ミリメートルの範囲にある、ステップと、を含む。いくつかの実施形態において、結像受信機を配置するステップ中の分離距離は1.2ミリメートルから5ミリメートルの範囲にある。いくつかの実施形態は、結石物質を包囲する標的ゾーンを可視光で照らすステップを含む。いくつかの実施形態は、結像受信機を用いて標的の結石および標的ゾーンの画像を取得するステップを含む。いくつかの実施形態は、作業チャネル内にレーザファイバを配置するステップを含み、レーザファイバの遠位端は開口部に近接している。いくつかの実施形態は、開口部の最遠位場所に対して3ミリメートル以下近位かつ開口部の最遠位場所に対して1ミリメートル以下遠位である距離の範囲内にレーザファイバの遠位端を選択的に配置するステップを含み、距離の範囲は開口部で作業チャネルの軸に平行である。いくつかの実施形態は、開口部と同じ高さと開口部に対して1ミリメートル以下近位である距離との範囲内にレーザファイバの遠位端を選択的に配置するステップを含み、距離の範囲は開口部で作業チャネルの軸に平行である。
【0033】
いくつかの実施形態は、開口部に対して0.6ミリメートル以下近位かつ開口部に対して0.1ミリメートル以上近位である距離の範囲内にレーザファイバの遠位端を選択的に配置するステップを含み、距離の範囲は開口部で作業チャネルの軸に平行である。いくつかの実施形態は、レーザファイバを用いて体内結石物質をアブレーションするステップを含む。この方法中にレーザファイバで送達される平均レーザ出力は、両端を含む120ワットから200ワットの範囲とすることができる。いくつかの実施形態は、作業チャネルを吸引チャネルとして動作させるステップと、作業チャネルを通してアブレーションの産物を除去するステップと、を含む。いくつかの実施形態は、カテーテルの遠位先端を通して灌注流体を送達するステップを含む。本開示のいくつかの実施形態は、遠位先端の中心軸に沿った遠位方向に対して、両端を含む0度から170度の範囲内である有向角で灌注流体の流れを送達するステップを含む。いくつかの実施形態は、遠位先端の中心軸に沿った遠位方向に対して、両端を含む10度から70度の範囲内である有向角で灌注流体の流れを送達するステップを含む。いくつかの実施形態は、遠位先端の中心軸に沿った遠位方向に対して20度から45度の範囲内である有向角で灌注流体の流れを送達するステップを含む。この方法の間、作業チャネルは吸引チャネルとすることができる。
【0034】
本開示のさまざまな実施形態において、内臓から体内結石物質を除去するための方法が開示され、これは、カテーテルアセンブリを提供するステップと、カテーテルアセンブリに対する動作命令を非一時的な、有形の媒体上に提供するステップと、を含み、動作命令は、内臓内に収容される体内結石物質に近接してカテーテルアセンブリの遠位先端を配置することであって、遠位先端は、カテーテルアセンブリの作業チャネルの開口部を画定する遠位面を含み、体内結石物質は開口部に対して遠位にある、ことと、遠位先端に対して近位に結像受信機を配置することと、を含み、遠位先端が体内結石物質に近接している間の開口部と結像受信機との間の分離距離が、両端を含む1ミリメートルから10ミリメートルの範囲にある。動作命令は、結石物質を包囲する標的ゾーンを可視光で照らすことを含むことができ、結像受信機を用いて標的の結石および標的ゾーンの画像を取得することを含むことができ、レーザファイバの遠位端が開口部に近接するように作業チャネル内にレーザファイバを配置することを含むことができる。いくつかの実施形態において、動作命令は、開口部の最遠位場所に対して3ミリメートル以下近位かつ開口部の最遠位場所に対して1ミリメートル以下遠位である距離の範囲内にレーザファイバの遠位端を選択的に配置することを含み、距離の範囲は開口部で作業チャネルの軸に平行である。いくつかの実施形態において、動作命令は、開口部と同じ高さと開口部に対して1ミリメートル以下近位である距離との範囲内にレーザファイバの遠位端を選択的に配置することを含み、距離の範囲は開口部で作業チャネルの軸に平行である。いくつかの実施形態において、動作命令は、開口部に対して0.6ミリメートル以下近位かつ開口部に対して0.1ミリメートル以上近位である距離の範囲内にレーザファイバの遠位端を選択的に配置することを含み、距離の範囲は開口部で作業チャネルの軸に平行である。動作命令は、レーザファイバを用いて体内結石物質をアブレーションすることを含むことができ、両端を含む120ワットから200ワットの範囲の平均レーザ出力を送達することを含むことができる。いくつかの実施形態において、動作命令は、作業チャネルを通してアブレーションの産物を除去することを含み、カテーテルの遠位先端を通して灌注流体を送達することを含むことができる。いくつかの実施形態において、動作命令は、遠位先端の中心軸に沿った遠位方向に対して、両端を含む0度から170度の範囲内である有向角で灌注流体の流れを送達するようにカテーテルアセンブリを動作させることを含む。いくつかの実施形態において、動作命令は、遠位先端の中心軸に沿った遠位方向に対して、両端を含む10度から70度の範囲内である有向角で灌注流体の流れを送達するようにカテーテルアセンブリを動作させることを含む。いくつかの実施形態において、動作命令は、遠位先端の中心軸に沿った遠位方向に対して20度から45度の範囲内である有向角で灌注流体の流れを送達するようにカテーテルアセンブリを動作させることを含む。いくつかの実施形態において、動作命令は、作業チャネルを吸引チャネルとして動作させることを含む。
【0035】
本開示のさまざまな実施形態は、内臓から体内結石物質を除去するための方法を含み、これは、中心軸を画定してこれに沿って延在するカテーテルシャフトを含む内視鏡手術器具を挿入するステップであって、カテーテルシャフトは、ハンドルに結合された近位部分と、遠位端で遠位先端部分と、を含み、カテーテルシャフトは、近位部分から遠位先端部分まで延在する吸引チャネルと、遠位先端に配置された結像受信機を含み、結像受信機は、遠位先端部分の遠位面から、両端を含む1ミリメートルから10ミリメートルまでの範囲にある軸方向位置に配置され、少なくとも1つの照明器が遠位先端に配置され、吸引チャネルにはレーザファイバが配置され、レーザファイバの遠位端が、遠位先端の遠位面に対して1ミリメートル遠位から遠位面に対して3ミリメートル近位までの範囲の距離まで延長可能であり、カテーテルシャフトの長さに沿って延在する内部間隙によって灌注チャネルが画定され、灌注チャネルは、両端を含む0度から170度の範囲にある中心軸に対する角度で灌注流を導くように構成されている遠位先端での出口を有する、ステップと、標的の結石および周辺領域の画像を取得するステップと、体内結石物質に近接して遠位面を配置するステップと、灌注チャネルを通る灌注流を始動させるステップと、吸引チャネルを通る吸引流を始動させて吸引チャネルを通してアブレーションの産物を除去するステップと、レーザファイバに結合されたレーザを始動させて標的の結石物質をアブレーションするステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本開示の一実施形態によるレーザ砕石術用の内視鏡システムの概略図である。
図2】本開示の一実施形態による共通の灌注および吸引ポート用に構成することができる図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の端面図である。
図2A】本開示の一実施形態による平面IIA-IIAに沿った図2の遠位ヘッド部分の断面図である。
図3】本開示の一実施形態による別個の灌注および吸引ポート用に構成することができる図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の端面図である。
図3A】本開示の一実施形態による平面III-IIIに沿った図3図4、および図5の遠位ヘッド部分の断面図である。
図3B】本開示の一実施形態による平面III-IIIに沿った図3図4、および図5の遠位ヘッド部分の断面図である。
図3C】本開示の一実施形態による図3Bの平面IIIC-IIICに沿ったカテーテルの断面図である。
図4】本開示の一実施形態による遠位ヘッド部分の拡張灌注ポートに侵入する照明光ファイバを有する図1の内視鏡用の遠位ヘッド部分の端面図である。
図5】本開示の一実施形態による遠位ヘッド部分の透明キャップの外側接線周囲に灌注ポートを有する図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の端面図である。
図6】本開示の一実施形態による吸引ポートと同一平面の灌注ポート用に構成された図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の端面図である。
図7】本開示の一実施形態による吸引ポートと同一平面の灌注ポート用に構成された図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の端面図である。
図8】本開示の一実施形態によるカテーテルの遠位先端に長円灌注ポートを備えた遠位ヘッド部分の上面図である。
図9】本開示の一実施形態によるカテーテルの遠位先端に縮小断面および長円の灌注ポートを備えた図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の上面図である。
図10】本開示の一実施形態による透明キャップおよび圧力逃がし部を備えた延長部を有する図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の斜視図である。
図11】本開示の一実施形態による図10の遠位ヘッド部分の側面図である。
図12】本開示の一実施形態による灌注ポートおよびそれに固定された照明ファイバを備えた透明キャップと、透明キャップ内に画定された一体型圧力逃がし部と、を有する図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の斜視図である。
図12A】本開示の一実施形態による図12の遠位ヘッド部分の上面図である。
図12B】本開示の一実施形態による図12の遠位ヘッド部分の側立面図である。
図13】本開示の一実施形態による照明ファイバが固定された透明キャップと、透明キャップ内に画定された一体型圧力逃がし部と、を有する図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の上面図である。
図14】本開示の一実施形態による図13の遠位ヘッド部分の側面図である。
図15】本開示の一実施形態による流れ場および照明光ファイバからの光の拡散を示している図13の遠位ヘッド部分の側面図である。
図16】本開示の一実施形態によるカテーテルのステアリングのために遠位ヘッド部分を偏向させるように構成された単一のプッシュプル光ファイバを有する図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の端面図である。
図16A】本開示の一実施形態による平面XVIA-XVIAに沿った図16の遠位ヘッド部分の断面図である。
図17】本開示の一実施形態による、カテーテルシャフトを通って延在する構成要素と部分的に組み立てられ、非対称ドーム型透明キャップを架空で示した、図16の遠位ヘッド部分の遠位先端部分の斜視図である。
図18】本開示の一実施形態による図17の遠位先端部分およびカテーテルシャフトの断面図である。
図19】本開示の一実施形態による組み立てられた図17の構成要素の立面図である。
図19A】本開示の一実施形態による図19のアセンブリの代替案の立面図である。
図20】本開示の一実施形態による、透明キャップがなく、遠位ヘッド部分の開口部から軸方向にずれた結像受信機を有する図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の端面図である。
図20A】本開示の一実施形態による平面XXA-XXAに沿った図20の遠位ヘッド部分の断面図である。
図21】本開示の一実施形態による、透明キャップがなく、遠位ヘッド部分の開口部から軸方向にずれた結像受信機を有し、専用灌注ポートを備えた図1の内視鏡システム用の遠位ヘッド部分の端面図である。
図21A】本開示の一実施形態による平面XXIA-XXIAに沿った図21の遠位ヘッド部分の断面図である。
図21B】本開示の一実施形態による平面XXIB-XXIBに沿った図21の遠位ヘッド部分の断面図である。
図21C】本開示の一実施形態による平面XXIB-XXIBに沿った図21の遠位ヘッド部分用の一代替構成の断面図である。
図22A】本開示の一実施形態による長円断面を有する点灯光ファイバの断面図である。
図22B】本開示の一実施形態による長円断面を有する点灯光ファイバの断面図である。
図22C】本開示の一実施形態による長円断面を有する点灯光ファイバの断面図である。
図22D】本開示の一実施形態による長円断面を有する点灯光ファイバの断面図である。
図23】本開示の一実施形態による、回転カムに取り付けられ、光源に結合されたプッシュプル光ファイバリンケージを備えたステアリングハンドルの部分的内部図である。
図24A】本開示の実施形態による光ファイバプッシュリンケージを遠位ヘッド部分に固定するための終端部の概略図である。
図24B】本開示の実施形態による光ファイバプッシュリンケージを遠位ヘッド部分に固定するための終端部の概略図である。
図24C】本開示の実施形態による光ファイバプッシュリンケージを遠位ヘッド部分に固定するための終端部の概略図である。
図25A】本開示の一実施形態による透明キャップが除去された状態で図10の遠位ヘッド部分を通して見たときの標的ゾーンの写真である。
図25B】本開示の一実施形態による1ミリメートルのキャップ厚さを有する透明キャップを備えた図10の遠位ヘッド部分を通して見たときの標的ゾーンの写真である。
図25C】本開示の一実施形態による1.25ミリメートルのキャップ厚さを有する透明キャップを備えた図10の遠位ヘッド部分を通して見たときの標的ゾーンの写真である。
図25D】本開示の一実施形態による1.5ミリメートルのキャップ厚さを有する透明キャップを備えた図10の遠位ヘッド部分を通して見たときの標的ゾーンの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1を参照すると、本開示の一実施形態によるレーザ砕石術用の内視鏡システム30が概略的に示されている。内視鏡システム30は、ハンドル38に結合された近位部分36と、遠位ヘッド部分34を含む遠位部分35と、を有するカテーテル32を含む。カテーテル32は、可撓性(図式)、剛性、または半剛性を有するカテーテルシャフト33を含むことができる。ハンドル38は、遠位ヘッド部分34に結合されているステアリング機構39を収容することができる。ハンドル38は、制御してカテーテル32を介して遠位ヘッド部分34に送達するためのさまざまな外部構成要素またはシステム40を統合する。外部システム40は、灌注システム42、吸引または吸入システム44、アブレーションレーザシステム46、照明システム52、および視覚化システム54を含むことができる。内視鏡システム30の構成要素のいくつかは、ハンドル38、カテーテル32、または遠位ヘッド部分34に部分的または完全に統合することができる。ハンドル38は、たとえば、吸引および灌注システム42および44の制御機構、およびレーザファイバの遠位端の位置を調整するための機構、ならびに他の構成要素を含むことができる。ファイバ配置の機構は、ファイバの遠位先端が所望の位置にあると係合することができるクランプ(図示せず)を含むことができる。ファイバをクランプすることにより、通常0.05ミリメートルから0.1ミリメートルの範囲の精度で、ファイバ遠位先端の位置が固定される。カテーテルシャフト33から遠位ヘッド部分34への中心軸110に沿った方向を本明細書では遠位方向50と呼ぶ。遠位方向50と反対の方向を本明細書では近位方向51と呼ぶ。
【0038】
機能的には、ステアリング機構39により、特に可撓性または半可撓性を有するカテーテルシャフト33を組み込んだ実施形態について、患者の体内管を通って標的ゾーン56へ送り、遠位ヘッド部分34の位置を合わせて標的ゾーン56内の個々の体内結石58に焦点を合わせるため、カテーテル32の遠位部分35の関節的動作が可能になる。照明システム52は、体内結石58および周囲の組織、たとえば腎臓、尿管または膀胱内の結石を照らすために標的ゾーン56へ送達される可視光を生成する。アブレーションレーザシステム46は、たとえば、体内結石58をアブレーションおよび破壊するために標的ゾーン56にレーザエネルギーを送達するための、ツリウムまたはホルミウムファイバまたは固体レーザを含む。レーザエネルギーの送達は、レーザファイバ、たとえば、シリカまたは他の光ファイバ材料を用いて達成することができる。灌注システム42は、標的ゾーン56を冷却して標的ゾーン56内で体内結石58の断片を移動させるための加圧灌注流体を提供する。吸引システム44は、標的ゾーン56から液体媒体を、媒体に懸濁している可能性がある体内結石58からの粒子を含め、引き離す。いくつかの実施形態において、吸引システム44は、吸引圧力を監視する圧力センサ48を含む。圧力センサを利用して灌注圧力を監視することもできる。
【0039】
本明細書において、「体内結石(body stone)」は、腎臓結石および尿管結石、ならびにカルシウム結石、尿酸結石、ストルバイト結石、およびシステイン結石を含むそれらの種を含む、人体によって産生されるあらゆる石を包含する。「体内結石」は、体の他の器官において見られる、またはこれらによって形成される石、たとえば、膀胱結石、胆嚢結石、前立腺結石、膵臓結石、唾液腺結石、および腹部結石も含むことができる。本開示では、腎臓および尿管結石を破壊するためのシステムおよび技術を説明するが、全般的にこれらに限定されない。この開示を考慮して、体内結石療法における当業者は、腎臓および尿管結石以外の体内結石の修復、ならびに硬および軟組織の治療のために、本明細書に開示されるさまざまな態様を適用することを認識するであろう。
【0040】
図2および図2Aを参照すると、本開示の一実施形態による遠位ヘッド部分34aが示されている。本明細書において、遠位ヘッド部分を参照符号34によって集合的または一般的に参照する一方、遠位ヘッド部分の個々のまたは具体的な実施形態は、参照符号34とそれに続く文字接尾辞によって参照する(たとえば、「遠位ヘッド部分34a」)。遠位ヘッド部分34aは、遠位面98および外側接線表面97を有する遠位先端部分96を含む。いくつかの実施形態において、遠位先端部分96はカテーテルシャフト33と一体である(たとえば、図2A図3A、および図3B)。他の実施形態において、遠位先端部分96はカテーテルシャフト33から分離して形成されてそれに固定されている(たとえば、図16図21C)。いくつかの実施形態において、透明キャップ部分100が遠位先端部分96の遠位面98に固定されている。透明キャップ部分100は、間に軸方向キャップ厚さ99を画定する近位面104および遠位面106を含む。いくつかの実施形態において、透明キャップ部分100は、遠位面106、たとえば、面取りされた(図示)または円弧形の角から近位方向に延在する傾斜面101を画定する。透明キャップ部分100は、可視光を透過するのに適切な材料から製造され、アブレーションレーザシステム46の動作波長で低い吸収率および高い損傷閾値を含むことができる。透明キャップ100についての非限定的な例の材料は、サファイア、石英、光学セラミック、およびミネラルまたは有機ガラスを含む。いくつかの実施形態において、透明キャップ100の屈折率は、液体媒体(実質的に水)の屈折率とほぼ一致するように、約1.31から1.35である。いくつかの実施形態において、遠位先端96は、透明キャップ100と同じ透明材料から製造することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、遠位ヘッド部分34aは1つまたは複数の照明器130を含む。照明器130は、可視スペクトルにおける光を透過するための照明または点灯光ファイバ132の遠位端とすることができ、ハンドル38で照明システム52に動作可能に結合されている。照明光ファイバ132は、遠位先端部分96に形成された照明光ファイバポート134を通過して透明キャップ100内へ延在することができる。任意選択で、照明器130は、透明キャップ100の近位面104に近接してカテーテル32を通って延在する電気リードによって供給される発光ダイオード(LED)(図示せず)とすることができる。照明光ファイバ132は光導波路として作用し、カテーテル32を通って延在してハンドル38で照明システム52に結合することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の照明光ファイバ132が遠位ヘッド部分34aに(たとえば、接着剤で)、たとえば、照明光ファイバポート134または透明キャップ100または照明光ファイバポート134および透明キャップ100の両方に機械的に固定されている。光ファイバ132は、カテーテル32によって画定されるまたはこの中に配置されている管腔107(図2A図3A、および図3C)を通って延在してこの中を自由に摺動し続けることができる。照明光ファイバ132は、管腔107内で並進するためにハンドル38内に配置されたステアリング機構39から遠位方向に延在することができる。(ステアリング機構39の一例を図23に付随して説明している)。遠位ヘッド部分34aはこれによって照明光ファイバ132を介してハンドル38のステアリング機構39に結合されている。可撓性または半可撓性を有するシャフト33を備えたカテーテル32では、このように配置された照明光ファイバ132の結合および経路設定により、照明光ファイバ132を遠位ヘッド部分34aのステアリングのためのプルリンケージまたはプッシュプルリンケージとしても機能させることが可能になり、これによって別個のプルワイヤおよびこれらを遠位ヘッド部分34aに結合することに関連するコネクタの必要性が否定される。
【0043】
遠位ヘッド部分34aは、遠位先端部分96を、そして透明キャップ部分100の近位面104および遠位面106を通過する作業チャネル102を画定する。作業チャネル102は遠位面106で開口部108を画定する。作業チャネル102は、たとえば、吸引ポートとして機能することができ、その場合、開口部108および作業チャネルは吸引入口を画定する。作業チャネル102はカテーテル32を通って延在し、たとえば、ハンドル38で吸引システム44に結合することができる。遠位ヘッド部分34aは、たとえば、中心軸110を画定してこれを中心とする円形または長円形の断面を画定することができる。作業チャネル102は、遠位ヘッド部分34aに形成されてこれを通過して開口部108を画定する作業ポート103を含む。いくつかの実施形態において、作業ポート103は、互いに流体連通しているキャップ作業ポート103aおよび遠位先端作業ポート103bを含む。キャップ作業ポート103aは透明キャップ100を通過し、キャップ作業ポート軸111を画定する。いくつかの実施形態において、遠位先端作業ポート103bは遠位先端部分96を通過して、カテーテルシャフト33と透明キャップ100との間で移行する。あるいは、透明キャップ100がカテーテルシャフト33に直接結合されている実施形態も企図され(たとえば、遠位先端部分の移行なしで)、作業ポート103がキャップ作業ポート103aのみを含むようになっている。遠位ヘッド34が透明キャップなしで遠位先端部分96を含む実施形態も本明細書に開示される。(以下の図20および図21および付随する議論を参照。)
【0044】
アブレーションレーザエネルギーを伝達するためのレーザ光ファイバ112が作業チャネル102に配置され、レーザ光ファイバ112の遠位端114が透明キャップ部分100の遠位面106に近接して配置され、レーザ光ファイバ112の近位端がハンドル38を介してアブレーションレーザシステム46に結合されている。レーザ光ファイバ112のコア直径は、可撓性シャフトを有するカテーテルについては0.05ミリメートルから0.4ミリメートル、剛性シャフトを有するカテーテルについては1.5ミリメートルまでの範囲とすることができる。いくつかの実施形態において、レーザ光ファイバ112はキャップ作業ポート軸111と実質的に同心であるか、そうでなければキャップ作業ポート103aの中心部分を通って延在して、レーザ光ファイバ112とキャップ作業ポート103aとの間に環状領域116を画定する。いくつかの実施形態において、レーザ光ファイバ112の遠位端114の位置は、透明キャップ部分100の遠位面106に対して、両端を含む+/-5ミリメートルの範囲内で制御することができ、「+」および「-」はそれぞれ作業ポート軸111に沿った遠位方向50および近位方向51を指す。いくつかの実施形態において、遠位端114の位置は、遠位面106に対して、両端を含む+/-3ミリメートルの範囲内で制御することができる。いくつかの実施形態において、遠位端114の位置は、遠位面106に対して、両端を含む+1ミリメートルから-3ミリメートルの範囲内で制御することができる。いくつかの実施形態において、遠位端114の位置は、遠位面106に対して、両端を含む-0ミリメートルから-3ミリメートルの範囲内で制御することができる。いくつかの実施形態において、遠位端114の位置は、遠位面106に対して、両端を含む-0.05ミリメートルから-1ミリメートルの範囲内で制御することができる。本明細書において、「端を含む(inclusive)」と言われる範囲は、範囲の端点値、ならびに端点値間のすべての値を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、透明遠位ヘッド部分34を通って延在する1つまたは複数の作業ポート122が画定される。作業ポート103および作業ポート122は、図2および図2Aに示すように、共通の作業チャネル109に配管することができる。いくつかの実施形態において、作業チャネル109は吸引および灌注チャネルとして交互に機能する。本明細書において、「作業チャネル」は、灌注チャネル、吸引チャネル、または灌注チャネルおよび吸引チャネルの両方として機能することができる。本明細書で用いられるような作業チャネルは任意選択で、レーザファイバおよびバスケットのような作業物を収容するように構成することができる。作業ポート103の内径は、0.05ミリメートルのコアのレーザファイバを利用する可撓性カテーテルでは、両端を含む0.5ミリメートルから1.5ミリメートルまでの範囲とすることができる。
【0046】
作業ポート103と同様に、作業ポート122のそれぞれは、互いに流体連通しているキャップ作業ポート122aおよび遠位先端作業ポート122bを含むことができる。キャップ作業ポート122aは透明キャップ100を通過する。いくつかの実施形態において、遠位先端作業ポート122bは遠位先端部分96を通過して、カテーテルシャフト33と透明キャップ100との間で移行する。あるいは、透明キャップ100がカテーテルシャフト33に直接結合されている実施形態も企図され(たとえば、遠位先端部分の移行なしで)、作業ポート122がキャップ作業ポート122aのみを含むようになっている。
【0047】
いくつかの実施形態において、遠位ヘッド部分34aは結像受信機142を含み、これは、視野角βによって特徴付けられる、内視鏡システム30の視野148を画定する画像形成光学系を含むことができる。いくつかの実施形態において、結像受信機142は、両端を含む90度から120度(結像受信機の視軸から、両端を含む±45度から60度)の範囲内にある視野角βを画定する。結像受信機142は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ(半導体チップ、結像光学系、およびサポート電子機器を含む)または電荷結合素子(CCD)カメラセンサのような、結像装置144(図示)とすることができる。いくつかの実施形態において、結像受信機142の結像面は、0.5ミリメートル×0.5ミリメートルから1.5ミリメートル×1.5ミリメートルまでである。記載のCMOSイメージセンサの一例は、スイス、アールガウのAWAIBA CMOS Image Sensorsによって提供されるNANEYE 2Dである。https://ams.com/naneyeを参照、2020年1月16日に最後に訪問。
【0048】
結像装置144は、カテーテル32を通って延在してハンドル38で視覚化システム54に結合することができるケーブル146を含むことができる。ケーブル146は、遠位先端96によって画定されるケーブルポート145を通して経路設定することができる。いくつかの実施形態において、結像装置144は遠位先端部分96の遠位面98の窪み147に配置されている。結像装置144は、法線の±45度である視野角βを画定することができる。任意選択で、結像受信機142は、カテーテル32を通って延在してハンドル38で視覚化システム54に結合される光学システムおよび結像光ファイバ(図示せず)の遠位端である。透明キャップ100の遠位面106は平坦(図示)であっても、あるいは、結像受信機142上へ結像するためのレンズ(図示せず)として成形されてもよい。
【0049】
図3および図3Aを参照すると、本開示の一実施形態による遠位ヘッド部分34bが示されている。遠位ヘッド部分34bは、遠位ヘッド部分34aと同じ構成要素および特性の多くを含むことができ、これらは同じ番号の参照符号で示される。遠位ヘッド部分34bの区別は、作業ポート122が作業ポート103から分離されていることである。いくつかの実施形態において、灌注用の作業ポート122の内径は、両端を含む0.5ミリメートルから1.5ミリメートルの範囲にある。機能的には、別個の作業チャネル102および124を利用する別個のポート103および122を有することにより、レーザ治療中に灌注および吸引を同時かつ連続的に行うことが可能になる。
【0050】
図3Bおよび図3Cを参照すると、遠位ヘッド部分34bが、本開示の一実施形態による遠位先端部分96および管状シャフト120を有するカテーテル32と共に示されている。図3Bおよび図3Cの実施形態において、作業ポート122は、カテーテルシャフト33の外側部分126によって境界を定められている単一の作業チャネル124と流体連通している。すなわち、いくつかの実施形態において、カテーテルシャフト33は、近位部分36から遠位部分35まで延在する空洞129を画定する中心軸110に垂直な断面128を画定し、空洞129は、カテーテル32の遠位ヘッド部分34に利用されるさまざまな構成要素によって占有されている。占有構成要素は、作業チャネル102、レーザ光ファイバ112、照明光ファイバ132および管腔107、およびケーブル146を含むことができるが、これらに限定されない。空洞129の滅菌は、単回使用内視鏡ではエチレンオキシド(ETO)ガス滅菌プロセスによって実行することができる。
【0051】
この構成によって、作業チャネル102は、単一の作業チャネル124内に配置されてこれによって効果的に包囲される。灌注システム42は、灌注流体が構成要素によって占められていない空洞129の残りを通って流れることができるように、カテーテルシャフト33に結合することができる。管状シャフト120は、図3から図9で示す遠位ヘッド部分34のいずれかとともに実装することができる。
【0052】
吸引および灌注を同時に実施するさまざまな開示された内視鏡システム30について、手順の安全性を高めながら総治療時間を短縮することができる。本開示の一実施形態による方法は、次のいくつかまたはすべてを含むことができる。
(1)超音波、蛍光透視、または当業者に利用可能な他の診断方法を用いて、患者の内臓における結石を識別するステップ、
(2)患者の体内へカテーテル32を挿入し、カテーテルの遠位端を標的ゾーン56の近位に持ってくるステップ、
(3)標的の体内結石58または結石断片の画像を取得するステップ、
(4)レーザ光ファイバ112の遠位端114を、標的の体内結石または断片と接触または準接触させるステップ、
(5)灌注流および吸引流を始動させるステップ、および
(6)アブレーションレーザシステム46からレーザファイバ112を通してレーザエネルギーを送達して、結石58を大きな断片(1ミリメートルより大きい)、小さな断片(1ミリメートル未満)または粒子(0.25ミリメートル未満)にアブレーションするステップ。
上の方法は、体内結石58の接触ならびに非接触治療に用いることができる。
【0053】
図4を参照すると、本開示の実施形態による遠位ヘッド部分34cが示されている。遠位ヘッド部分34cは、遠位ヘッド部分34bと同じ構成要素および特性の多くを含むことができ、これらは同じ番号の参照符号で示される。遠位ヘッド部分34cの区別は、照明光ファイバ132が作業ポート122の境界に侵入するように照明光ファイバポート134と作業ポート122とが重なることである。遠位ヘッド部分34cのさらなる区別は、作業ポート122が、遠位ヘッド部分34cの全体的な輪郭を増加させることなく、流れの断面積を増加させるように成形されていることである。図示の実施形態において、遠位ヘッド部分34cの作業ポート122は、その増加を達成するように長円形であるが、非対称であるポート断面を含む他の形状が企図される。非対称作業ポート122の態様の追加の議論を、図8および図9に付随して以下で議論する。
【0054】
機能的には、レーザファイバ112の遠位端114を遠位ヘッド34の内側に配置することにより、ファイバの遠位端114を結石のアブレーションの産物による損傷から保護し、総レーザ治療時間を短縮しながら、レーザアブレーション効率を高めることもできる。このような配置により、ファイバのバーンバックが最小化または除外され、レーザ処置中にファイバの遠位端114を再配置する必要性が排除される。透明キャップ100により、結像受信機142と透明キャップ100の遠位面106との間に鮮明な視覚経路が提供され、したがって、そうでなければ結像受信機142とレーザ光ファイバ112との間に存在するであろう近視野148内の破片(たとえば、アブレーション粒子)を排除または実質的に低減する。近視野148における破片を低減することにより、手術者は、開口部108、レーザ光ファイバ112の遠位端114、および所与の標的の体内結石58をより良好に視覚化することができ、標的ゾーン56のより良好な照明のために照明器130によって放出される光の減衰も低減される。また、透明キャップ100の遠位面106は、レーザ光ファイバ112のより小さな遠位端114より容易に視覚化することができ、レーザ光ファイバ112の遠位端114と標的の体内結石58との間の距離をより良好に制御するために、遠位ヘッド部分34aの位置決めで手術者を支援することができる。遠位端114と標的の体内結石58または断片との間にギャップがほとんどまたは全くないため(上記ギャップは通常1ミリメートルを超えない)、制御の改善はアブレーション効率の増加につながる。近視野148において破片を低減することにより、標的ゾーン56をより良好に照らして標的ゾーン56の画像がより鮮明に見えるように照明器130からの光の減衰も低減される。結像装置144を窪み147に配置することにより、透明キャップの近位面104を平面にして遠位先端部分96の遠位面98と着座させることが可能になる。傾斜面101により、遠位ヘッド部分34aを途中に体内管を通して標的ゾーン56へ到達させる外傷が減少する。
【0055】
照明光ファイバ132を介してハンドル38のステアリング機構39に結合することにより、照明光ファイバ132をプルリンケージとして、そしていくつかの実施形態において、可撓性または半剛性を有するシャフト33を有するカテーテル32をステアリングするためのプッシュプルリンケージとしても機能させることが可能になる。別個のプルワイヤおよびそれらを遠位ヘッド部分34cに結合することに関連するコネクタの必要性がこれによって否定され、より多くの断面を作業チャネルに充てること、またはカテーテル32の断面輪郭を縮小すること、またはこれらの組み合わせが可能になる。作業ポート122の境界に侵入するように照明ファイバ132を配置することにより、灌注流のためのより大きな断面積が提供される。
【0056】
レーザ光ファイバ112を作業チャネル102に配置することによって、作業チャネル102内への溶液の吸引により体内結石58がレーザ光ファイバ112に向かって引き寄せられる傾向があるため、透明キャップ100の遠位面106に対して遠位端114を窪ませることができる。遠位端114を窪ませることにより、レーザ光ファイバ112が挿入および動作中に機械的に保護される。いくつかの実施形態において、レーザファイバ112の遠位端114は、灌注または吸引流の力、ならびにその液体中のレーザ誘発される泡立ちおよび流れのために、レーザ治療中に横方向に振動する可能性がある。このような振動は望ましいことがあり、レーザのパラメータ、ならびに灌注および/または吸引流を制御することを通して(たとえば、流量を調節することによって)制御することができる。
【0057】
また、体内結石58をレーザ光ファイバ112に向かって引き寄せることにより、アブレーションの熱が体内結石58のアブレーション面上に蒸気ポケットを形成するときに発生する「反発」効果を低減または克服することができる。反発効果は、2019年7月18日に出願された、本願の所有者が所有する、Altshulerらの特許文献2でより詳細に説明されており、その開示を、そこに含まれる明示的な定義および特許請求の範囲を除いて、参照によりその全体を本明細書に組み込む。さらに、透明キャップ100を通して遠位端114を見ることができるため、レーザ光ファイバ112の遠位端114と標的の体内結石58との間の距離の視覚化および制御が損なわれることはない。加えて、レーザアブレーションのプロセスによって生成される側副熱は、灌注流体によって効率的に放散され、作業チャネル102を通る加熱された灌注流体の吸引によって除去され、これによって周囲の組織の偶発的な熱損傷のリスクを低減することができる。
【0058】
図5を参照すると、本開示の一実施形態による遠位ヘッド部分34dが示されている。遠位ヘッド部分34dは、遠位ヘッド部分34aと同じ構成要素および特性の多くを含み、これらは同じ番号の参照符号によって示される。遠位ヘッド部分34aと同様に、遠位ヘッド部分34dは、可撓性を有するシャフト33を有するカテーテル32をステアリングするためのプッシュプル要素として照明光ファイバ132を利用することができる。いくつかの実施形態において、照明光ファイバ132は長円断面164を有する。一般に、「長円」断面164は、互いに垂直である長寸法166および短寸法168を有し、長寸法166は長円断面164の最大寸法であり、短寸法168は、長寸法166に垂直であり、長寸法166より小さいと指定されている最小寸法である。
【0059】
いくつかの実施形態において、長円断面164の長寸法166は接線方向に延在し(すなわち、遠位ヘッド部分34dの中心軸110に対する接線方向θに実質的に平行)、短寸法168は径方向に延在する(すなわち、遠位ヘッド部分34dの中心軸110に対する径方向rに平行)。図示の実施形態において、透明キャップ100の外側接線周囲170に作業ポート122aを配置することができ、作業ポート122aは透明キャップ100の近位面104および遠位面106を通過し、遠位面106でおよび透明キャップ100の外側接線周囲170に沿って(たとえば、傾斜面101に沿って)開いている。
【0060】
図6および図7を参照すると、本開示の一実施形態による、長円断面164を有する照明光ファイバ132および作業ポート103の環状領域116に近接する作業ポート122を利用する遠位ヘッド部分34eおよび34fが示されている。遠位ヘッド部分34eおよび34fは、遠位ヘッド部分34dと同じ構成要素および特性の多くを含むことができ、これらは同じ番号の参照符号で示される。遠位ヘッド部分34eおよび34fの区別は、作業ポート122が環状領域116を包囲していることである。遠位ヘッド部分34aと同様に、遠位ヘッド部分34eおよび34fは、可撓性を有するシャフト33を有するカテーテル32をステアリングするためのプッシュプル要素として照明光ファイバ132を利用することができる。遠位ヘッド部分34eでは、作業ポート122は円形である。遠位ヘッド部分34fでは、作業ポート122は円弧形である。図3から図9で示すような複数の作業ポート122は、単一の作業チャネル124を通る灌注流によって提供することができる。いくつかの実施形態において、開口部108に対する作業ポート122の面積の比は、両端を含む1.2から3.0の範囲内にある。
【0061】
機能的には、作業チャネル102が吸引に利用されるとき、開口部108を包囲する作業ポート122が近接することにより、作業ポート122から外向きに流れて開口部108に向かって内側に曲がる流れ場256が作成される。流れ場の概念はさらに図15に付随して議論する。
【0062】
図8および図9を参照すると、本開示の実施形態による作業ポート122のレイアウトの一般的な態様を例示するために遠位ヘッド部分34gおよび34hが示されている。カテーテル32のヘッド部分34gおよび遠位先端部分96は、中心軸110に垂直な円形断面167a(図8)を画定する。作業ポート122は、円形の灌注ポートによって提供されるであろうより大きな流れ断面を提供するように長円形とすることができる。円形の遠位ヘッド部分34gは、実質的に均一な外寸ODによって特徴付けられている。ヘッド部分34hおよび遠位先端部分96は、卵形、楕円形、小判形、または丸みのある長方形の断面のような長円断面167b(図9および他の場所)を画定する。
【0063】
長円断面167bは、作業ポート122および照明光ファイバ132を中心軸110の近くに配置することによって達成され、長円断面167bが円形断面167aに対して減少した外形を有する(すなわち、より小さな断面積を有する)ようになっている。長円断面167bは、長円断面167bの最大外寸OD1を通過する長軸171、および長軸171に垂直な短軸169を画定する。短軸169は、長円断面167bの最小外寸OD2を画定することができる。いくつかの実施形態において、断面167a、167bの外寸OD、OD1は、両端を含む2ミリメートルから3.2ミリメートルの範囲にある。いくつかの実施形態において、外寸OD、OD1は、両端を含む1.7ミリメートルから2.6ミリメートルの範囲にある。いくつかの実施形態において、外寸OD、OD1は、両端を含む2.2ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にある。いくつかの実施形態において、断面167bの外寸OD2は、両端を含む1.7ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にある。いくつかの実施形態において、外寸OD2は1.7ミリメートルから2.0ミリメートルの範囲にある。
【0064】
図10および図11を参照すると、本開示の一実施形態による、作業ポート103の延長部182を有する遠位ヘッド部分34iが示されている。遠位ヘッド部分34iは、遠位ヘッド部分34bと同じ構成要素および特性の多くを含み、これらは同じ番号の参照符号で識別される。キャップ作業ポート103aは、透明キャップ100の遠位面106に近接する開口部108を画定する。遠位ヘッド部分34iでは、キャップ作業ポート103aの開口部108は延長部182の最遠位端186に画定される。少なくとも1つの圧力逃がし部192が開口部108から近位方向に延在する。圧力逃がし部192はノッチ194とすることができる。ノッチは、延長部182の壁196を通って径方向に延在することができる。
【0065】
遠位ヘッド部分34iでは、遠位先端部分96によって画定される遠位先端作業ポート122bは、カテーテル32の遠位先端部分96に形成されたそれぞれの斜面214を通って延在する。あるいは、遠位先端部分96は、外側接線表面97の接線周囲216の周りを面取りされて(図示せず)斜面214を画定することができる。いくつかの実施形態において、透明キャップ100の近位面104は斜面214の上を径方向に延在して遠位先端作業ポート122bの出口218を画定する。したがって、図示のような遠位ヘッド部分34iでは、透明キャップ100を通過するキャップ灌注ポートがない。代わりに、灌注ポート122bは透明キャップ100に対して近位に作業チャネル124を終え、透明キャップ100の近位面104上へ流れを導くように構成されている。
【0066】
いくつかの実施形態において、照明光ファイバ132のそれぞれは遠位先端作業ポート122bのうちの対応する1つ内に配置され、照明光ファイバは遠位ヘッド部分34iの透明キャップ100内へ延在する。各照明光ファイバ132は、可視光222を放射状に透明キャップ100内へ拡散、屈折、散乱、または他の方法で方向転換するように構成することができる。透明キャップはまた、可視光222を拡散または散乱するように構成することができる。透明キャップ100は、少なくとも1つの照明光ファイバ132の遠位端部分224に接触して、たとえば照明光ファイバ132を遠位ヘッド部分34に固定することができる。いくつかの実施形態において、照明光ファイバ132の遠位端部分224と透明キャップ100との間の界面226が、照明光ファイバから放射状に離れるように可視光222を導くように構成されている。たとえば、可視光222の方向転換を増加させるため、照明光ファイバ132の遠位端部分224はクラッディングされていなくてもよい。可視光222の方向転換は界面226の全長に沿って起こり得る。別の一例において、界面226は、可視光222を照明光ファイバ132から離れて散乱または屈折させる透明または半透明の接着剤を含む。別の一例において、照明光ファイバ132は比較的大きな開口数(たとえば、両端を含む0.35から0.65の範囲内)を画定する。上の例の態様は、透明キャップ100を通る可視光222の方向転換を促進する。
【0067】
図12を参照すると、本開示の一実施形態による、窪んだ圧力逃がし部192を備えた遠位ヘッド部分34jが示されている。遠位ヘッド部分34jは、遠位ヘッド部分34iと同じ構成要素および特性の多くを含み、これらは同じ番号の参照符号で識別される。遠位ヘッド部分34jの区別は、圧力逃がし部192が透明キャップ100の遠位面106から近位方向に延在することである。すなわち、キャップ作業ポート103aの開口部108が透明キャップ100の遠位面106と同じ高さである。遠位ヘッド部分34jの別の区別は、作業ポート122が透明キャップ100内へ延在するが遠位面106を通らないキャップ作業ポート122aを含むことである。代わりに、キャップ作業ポート122aの出口218は透明キャップ100の径方向面244を通って延在する。いくつかの実施形態において、斜面214は透明キャップ100の径方向面244に形成されて出口218を画定する。いくつかの実施形態において、各遠位先端作業ポート122bは対応するキャップ作業ポート122aと流体連通している。透明キャップ100は、キャップ作業ポート122aの上で径方向に延在する遠位端部分246を含むことができる。
【0068】
図13から図15を参照すると、本開示の一実施形態による、拡張凹型圧力逃がし部192を備えた遠位ヘッド部分34kが示されている。遠位ヘッド部分34kは、遠位ヘッド部分34jと同じ構成要素および特性の多くを含み、これらは同じ番号の参照符号で識別される。遠位ヘッド部分34kの区別は、圧力逃がし部192が透明キャップ100の遠位面106の外側接線周囲170まで径方向に延在することである。
【0069】
機能的には、可視光222を照明光ファイバ132から離れて透明キャップ100内へ方向転換することにより、標的ゾーン56をより均一に照射することができる。遠位ヘッド部分34iから34kの圧力逃がし部192は、吸引モードにおいてキャップ作業ポート103aの開口部108で捕捉および標的化された体内結石58を安定させるのを助ける。圧力逃がし部192がない場合、標的の体内結石58は作業ポート103を事実上塞ぎ、体内結石58にわたってより大きな圧力差を形成する可能性がある。高い圧力差により、標的の体内結石58に作用する大きな力が生成される。これらの大きな力により、たとえば、標的の体内結石58の捕捉が不安定になり、体内結石58が作業ポート103から外れるようになる可能性がある。別の一例において、この大きな力により、標的の体内結石58の過度に大きな断片が作業ポート103に留まり、またはレーザ光ファイバ112と作業ポート103との間に詰まり、これによって遠位ヘッド部分34を塞いでレーザ光ファイバ112を損傷する可能性がある。圧力逃がし部192により、捕捉された体内結石58の周りで吸引流が可能になり、これによって体内結石58にわたる圧力差および体内結石58に加えられる付随する力が緩和される。緩和された圧力および力により、捕捉不安定性が軽減され、過度に大きな断片が作業ポート103に留まることの発生が減少する。
【0070】
斜面部分214(図10図11図14図15、および図19)の上を径方向に延在するように透明キャップ100を配置すること、あるいは、透明キャップ100の遠位端部分246を遠位端部分246の斜面部分の上で延在させること(図12)により、図15で示すように、灌注流を径方向rに偏向させて流れ場256を設定する。出口218は、径方向外向きのベクトルである灌注流252を送達する一方、吸引流254が開口部108内へ流れを引き込む。いくつかの実施形態において、灌注流252のピーク流出角α(すなわち、灌注流の最大流束が発生する角度)は、中心軸110に対して、両端を含む10度から90度の範囲に集中させられている。いくつかの実施形態において、ピーク流出角αは、両端を含む10度から60度の範囲にある。
【0071】
動作中、径方向外向きの出口218により、遠位ヘッド部分34kから外向きに流れて開口部108に向かって内向きに曲がる流れ場256が形成される。遠位ヘッド部分34iおよび34jについての流れも同様の方法で振る舞うことができる。作業チャネル102が吸引に用いられるとき、十分に小さい(たとえば、0.5ミリメートル未満)体内結石58の断片が流れ場256に同伴され、開口部108および作業チャネル102を通って排出される。他の体内結石58または通過するには大きすぎる(たとえば、1ミリメートルから3ミリメートル)その断片は、流れ場256によってレーザ光ファイバ112の遠位端114の標的とする近傍内へ引き込まれる。これらのより大きな石がレーザ光ファイバ112の範囲内へ運ばれると、アブレーションレーザシステム46に通電して体内結石58をアブレーションすることができる。アブレーションにより、体内結石58がより小さな断片に破壊され、これが次いで開口部108を通して作業チャネル102へ引き込まれる。
【0072】
吸引中に大きな体内結石58が開口部108に入る、またはこれに近づくと、結石が開口部108を塞ぐため、作業チャネル102は圧力の低下を経験することがある。したがって、いくつかの実施形態において、アブレーションレーザシステム46(図1)は、吸引システム44の圧力センサ48によって検出される作業チャネル102内の圧力降下によって誘発されて閉塞を引き起こす体内結石58をアブレーションすることができる。
【0073】
機能的には、流れ場256を確立して体内結石58をレーザ光ファイバ112に向かって引き寄せることにより、レーザ砕石術のプロセスがスピードアップする。たとえば、10度から60度の範囲内であるピーク流出角αで非接触モードにおいて動作するとき、灌注流252は、より効率的な動作のために、吸引チャネル103の開口部108に向かってその小さな石および石片を掃引する。灌注流252および吸引流254は、個別にまたは両方について、連続的またはパルス的とすることができる。いくつかの実施形態において、パルス流はレーザパルスと同期されてアブレーションおよびアブレーション粒子の除去を強化する。流れ場が体内結石58をレーザ光ファイバ112の有効範囲(通常0ミリメートルから3ミリメートル)内へ引き込むため、体内結石58を追求および追跡する必要性が減少する。また、光ファイバ112の有効範囲内へ引き込まれて、体内結石58はアブレーションプロセスによってより効率的に断片化される。可視光222のいくらかの方向転換により標的ゾーン56の照明がより均一になるため、標的ゾーン56内のナビゲーションが改善される。視野148における体内結石58からのより小さな断片および粒子による減衰の量は、吸引によって、および近視野148における透明キャップ100の存在によって減少する。
【0074】
図16から図19Aを参照すると、本開示の実施形態による遠位ヘッド部分34lおよび34mが示されている。遠位ヘッド部分34lおよび34mは、上述の他の遠位ヘッド部分34と同じ構成要素および特性の多くを含むことができ、それらのいくつかは同じ番号の参照符号で示される。遠位ヘッド部分34lの区別は、単一の照明光ファイバ132、凸状またはドーム型輪郭262を有する透明キャップ100、非対称流断面264を画定する遠位先端作業ポート122b、およびキャップ作業ポート軸111からずれているレーザ光ファイバポート266によって支持されているレーザ光ファイバ112を含む。
【0075】
単一の照明光ファイバ132は、遠位ヘッド部分34lに引っ張り力と押し力との両方を加えるように構成することができる。いくつかの実施形態において、単一の照明光ファイバ132の断面は0.2ミリメートル×0.5ミリメートルである。
【0076】
機能的には、単一の照明光ファイバ132は、たとえば、図5の遠位ヘッド部分34dの一対の照明光ファイバ112より遠位ヘッド部分34lの占める断面を少なくすることができる。光ファイバの断面が少ないことに加えて、光ファイバを固定するために要求される関連する構造断面(すなわち、光ファイバが接着されている構造)も減少する。断面の減少により、遠位ヘッド部分34lの他の構成要素について(たとえば、作業ポート103、122bについて)より多くの領域、または遠位ヘッド部分34lの全体的な断面の減少、またはこれらの両方の組み合わせが提供される。たとえば、一実施形態において、最大外寸OD1は、両端を含む2ミリメートルから2.5ミリメートルの範囲にあり、最小外寸OD2は、両端を含む1.7ミリメートルから2ミリメートルの範囲にあり、それでもなお他の実施形態に対して増加した断面流れ面積を提供する。
【0077】
透明キャップ100のドーム型輪郭262は略半球形であり、それを通るキャップ作業ポート103aを画定することができる。いくつかの実施形態において、遠位ヘッド部分34lは長円形であり、遠位ヘッド部分34h(図9)と同様に、長軸171および短軸169および付随する外寸OD1およびOD2を画定する。いくつかの実施形態において、ドーム型輪郭262は非対称である。図示の遠位ヘッド部分34lでは、ドーム型輪郭262は長軸171に沿って非対称であるが(図16A)、短軸169に沿って対称である(図18)。ドーム型輪郭262は、図示のように、遠位ヘッド部分34lの中心軸110に平行な最大軸方向寸法Zを画定する。いくつかの実施形態において、ドーム型輪郭262の最大軸方向寸法Zは結像受信機142の上に配置されている。遠位ヘッド部分34lはまた、ドーム型輪郭262内へ窪んだ圧力逃がし部192を含むことができる。
【0078】
機能的には、透明キャップのドーム型輪郭262により、特に回転を通して遠位ヘッド部分34lをステアリングするとき、遠位ヘッド部分34lが尿管および腎杯のような体内管を通って滑らかかつ容易に通過することができる。透明キャップ100の最大軸方向寸法Zを結像受信機142と一致するように配置することにより、他の透明キャップ100(たとえば、図2A図3A、および図3B)の平坦な遠位面106に対して結像受信機に垂直な経路の長さ(したがって鮮明さ)が増加する。ドーム型輪郭262の凸面はまた、結像受信機142によって見られるような画像を拡大するレンズとして作用するように構成することができる。圧力逃がし部192は、図13および図14に付随して説明したように機能する。
【0079】
遠位先端作業ポート122bの非対称流れ断面264は、遠位ヘッド部分34bの円形作業ポート122または遠位ヘッド部分34c、34g、34hの長円形作業ポート122のような軸対称作業ポートより、遠位ヘッド部分34lの断面積のより大きな部分を占めるように構成することができる。事実上、作業ポート103を境界付けるため、そしてレーザ光ファイバ112、照明光ファイバ132、および結像受信機142を搭載するための構造が遠位先端部分96に設けられる。遠位ヘッド部分34lの長円断面167bの残りは、非対称の流れ断面264を提供するように構成されている。
【0080】
レーザ光ファイバポート266は作業ポート103内へ径方向に突出し、レーザ光ファイバ112と摺接嵌合するように寸法決定することができる。作業ポート103は最大内側半径Rを画定する。光ファイバポート266の突出部は最大内側半径Rに侵入して作業ポート103の最小内寸268を画定する。レーザファイバ112は製造中にポート266内に搭載され、カテーテル32と一緒に滅菌することができる。摩擦制御された機械的取り付け、オーバーモールディング、接着剤接合、または他の適切な技術を含む(がこれらに限定されない)、レーザファイバを搭載するさまざまな方法を用いることができる。外科医がファイバをスコープ内へ挿入する必要がないため、レーザファイバのスコープ内へのこのような事前統合により、手術の準備時間が短縮される。
【0081】
ファイバ112の遠位端114を遠位表面106に対して近位で作業ポート103内に窪ませてファイバのバーンバック効果を軽減することができる。
【0082】
機能的には、非対称流れ断面264は、円形、長円形、または他の軸対称断面に対して、遠位先端作業ポート122bの流れ断面を増加させるように作用し、たとえば、灌注流またはカテーテルツールの通過のための断面を大きくする。同様に、レーザ光ファイバポート266およびレーザ光ファイバ112のずれにより、作業ポート103についてより大きな妨げられない流れ断面が提供される。すなわち、所与の断面流れ面積を有する作業ポート103について、作業ポート103内に実質的に集められたレーザ光ファイバ112を有する構成(たとえば、図示のような図2から図9)についての最小の内寸265(図7)は、作業ポート103の内径よりいくらか小さいが、遠位ヘッド部分34lの作業ポート103の最小内寸268は作業ポート103の最大内側半径R(図16)より実質的に大きくすることができる。作業ポート103および開口部108が吸引入口として機能する実施形態では、最小内寸が大きいと、同心に配置されたレーザ光ファイバ112より大きな石片の標的ゾーン56からの吸引が可能になる。さらに、レーザ光ファイバポート266により、最小内寸268が画定されている作業ポート103のくびれでの石片の通過による損傷からレーザ光ファイバ112をさらに保護することができる。
【0083】
遠位ヘッド部分34lは、上で議論した図10図11図14、および図15と同様に、遠位先端部分96の斜面部分214の上を径方向に延在するとして透明キャップ100を示している。透明キャップ100は、近位面104とドーム型輪郭262との間に移行部261を含むことができる。移行部261は、たとえば、円弧形(図示)または面取り形とすることができる。移行部261により、カテーテル32の近位方向における滑らかな移動が可能になり得る(たとえば、体内管を通した除去中)。あるいは、または加えて、図19Aで遠位ヘッド部分34mについて示すように、透明キャップ100上に1つまたは複数の斜面267を画定することができる。透明キャップ100上の斜面267(あるいは、面取り部)は、灌注流252を径方向外向きに誘導する効果を有する。いくつかの実施形態において、遠位先端部分96は、遠位先端部分96の遠位面98と同一平面である出口269を画定する(図示)。径方向外向きの出口218が斜面267と組み合わせられる実施形態も企図される。
【0084】
図20および図20Aを参照すると、本開示の一実施形態による遠位ヘッド部分34nが示されている。遠位ヘッド部分34nは、本明細書に記載の他の遠位ヘッド部分34と同じ構成要素および特性の多くを含むことができ、これらのいくつかは同じ番号の参照符号で示される。遠位ヘッド部分34nの特徴は、遠位先端部分96が、ベースプラットフォーム288から遠位面98まで延在する延長部分286を含むことである。作業ポート103は、延長部分286および遠位面を通って延在して遠位面98で開口部108を画定する。いくつかの実施形態において、延長部分286は、径方向内側に突出して開口部108を画定する縮小フランジ290を含む。縮小フランジ290は、縮小フランジ290に対して近位の作業ポート103の内径より小さい開口部108の直径を画定する。いくつかの実施形態において、縮小フランジ290は、縮小フランジ290に対して近位の作業チャネル102の面積に対して開口部108の面積を5%から50%減少させる。
【0085】
縮小フランジ290は、開口部108が透明キャップ100によって画定される遠位ヘッド部分34でも実施することができる。縮小フランジ290を備えた透明キャップ100が図2Aで示され、これは本明細書に開示の透明キャップ100のいずれかに必要により変更を加えて実施することができる。
【0086】
結像受信機の最大軸方向オフセットΔが、延長部分286の最遠位端291から結像受信機142までの距離として定義され、この距離は作業ポート軸111に平行である。遠位面98が、作業ポート軸111に垂直である平面292(図20Aおよび図21Aに示す)を画定する実施形態では、延長部分286の最遠位端291は平面292上の任意の点であり、最大軸方向長さΔは、作業ポート軸111に平行である、平面292から結像受信機142までの距離である。遠位面98が成形表面である実施形態では(たとえば、図16A図17図19および図19Aにおける遠位ヘッド部分34lおよび34mの透明キャップ100のドーム型輪郭262に類似の)、開口部108の最遠位端291は特異となり得る。遠位ヘッド部分34lの透明キャップ100上の特異な最遠位端の一例が、図16Aにおける参照符号291’で識別されている。いくつかの実施形態において、最大軸方向長さΔは、両端を含む1ミリメートルから10ミリメートルの範囲内である。いくつかの実施形態において、最大軸方向長さΔは、両端を含む1ミリメートルから5ミリメートルの範囲内である。
【0087】
レーザ光ファイバ112の遠位端114は開口部108に近接して配置されている。レーザファイバ112の遠位端114の軸方向場所δが開口部108の最遠位場所292に対して定義される。開口部108が作業ポート軸111に垂直な平面292を画定する実施形態(図20Aおよび図21Aに示す)では、最遠位場所292は平面292上の任意の点であり、軸方向場所δは平面292から作業ポート軸111に沿った距離である。開口部108が成形表面上に画定されている実施形態では(たとえば、図16A図17図19および図19Aにおける遠位ヘッド部分34lおよび34mの透明キャップ100のドーム型輪郭262のような)、開口部108の最遠位場所292は、図16Aにおいて識別されるように、特異となり得る。最遠位場所292が特異である場合、軸方向場所δは、作業ポート軸111に平行であるレーザファイバの遠位端114と最遠位場所292との間の距離として定義される。
【0088】
いくつかの実施形態において、レーザ光ファイバ112の遠位端114の配置は軸方向場所δの範囲にわたって選択的である。いくつかの実施形態において、レーザファイバ112の遠位端114は、最遠位場所292に対して1ミリメートル遠位から最遠位場所292に対して3ミリメートル近位までの範囲(両端を含む)の軸方向距離で選択的に配置することができる(すなわち、「選択的に配置可能」である)。いくつかの実施形態において、軸方向場所δは、最遠位場所292と同じ高さから最遠位場所292に対して1ミリメートル近位までの範囲(両端を含む)である。いくつかの実施形態において、軸方向場所δは、最遠位場所292に対して、両端を含む0.05ミリメートルから0.6ミリメートル近位の範囲である。
【0089】
結像受信機142を保持するための窪み147は、ベースプラットフォーム288上に形成され、遠位に面するように配置されている。いくつかの実施形態において、遠位面98およびベースプラットフォーム288は実質的に平行な平面を画定する(図示)。いくつかの実施形態において、肩部294が遠位先端部分96の外側接線表面97と接線周囲216のベースプラットフォーム288との間で移行する。同様に、肩部296が延長部分286の接線表面298と遠位面98との間で移行する。肩部294、296は、たとえば、円弧形(図示)、丸みを付けた形、または斜面とすることができる。
【0090】
圧力逃がし部192は遠位面98から軸方向に、そして延長部分286および外側接線表面97を通って径方向に延在する。圧力逃がし部192は1つまたは複数のノッチとすることができる。ノッチの断面サイズは、軸方向の深さで、両端を含む0.1ミリメートルから1ミリメートル、接線方向の幅で、両端を含む0.2ミリメートルから0.5ミリメートルとすることができる。圧力逃がし部192の機能は、図10から図15に付随して上述している。
【0091】
図21から図21Cを参照すると、本開示の一実施形態による遠位ヘッド部分34oが示されている。遠位ヘッド部分34oは、遠位ヘッド部分34nのようなさまざまな構成要素および特性を含み、これらのいくつかは同じ番号の参照符号によって示される。加えて、遠位ヘッド部分34oは、遠位先端部分96を通って延在して灌注に用いられる作業チャネル124と流体連通している遠位先端作業ポート122bを含む。遠位先端作業ポート122bは、灌注流252をベースプラットフォーム288または遠位先端96の接線表面97を通して導くように構成することができる。遠位先端作業ポート122の出口は、灌注流252を導くために遠位方向50において作業ポート軸111に対する出口角度φを画定することができる。いくつかの実施形態において、出口角度φは、中心軸110に沿った遠位方向に対して、両端を含む0度から170度の範囲内である。いくつかの実施形態において、出口角度φは、両端を含む10度から70度の範囲内である。いくつかの実施形態において、出口角度φは、両端を含む20度から45度の範囲内である。
【0092】
いくつかの実施形態において、本明細書におけるさまざまな開示された実施形態での治療のためのレーザパラメータは、次のガイドラインに従って選択される。
(1)体内結石アブレーション用の主要な初期発色団である吸水のピークに一致する1.9マイクロメートル~2.1マイクロメートルの範囲の波長。
(2)吸引の効果を弱めないように結石の反発効果を防止し、治療結石を吸引作業ポート103の開口から離して推進するようにパルスエネルギーを制限すること。結石粉塵化のためのレーザパルスエネルギーは、この目的のために最小で0.001ジュールから0.2ジュールの低さとすることができる。結石の断片化では、レーザパルスエネルギーは、両端を含む0.2ジュールから2ジュールの範囲とすることができる。
(3)吸引と灌注とを同時に行う用途では、体内臓器内の液体媒体によって吸収される熱エネルギーは、吸引のため部分的または完全に取り除くことができる。両端を含む毎分50ミリリットルから100ミリリットルの範囲の吸引流254および両端を含む毎分10ミリリットルから150ミリリットルの範囲の灌注流252では、アブレーションレーザシステム46によって標的ゾーン56に送達される平均レーザ出力を悪影響なく従来のレーザ砕石技術より増加させることができる。尿管用途のための最大平均出力は、両端を含む30ワットから50ワットまで、腎臓用途では、両端を含む60ワットから120ワット、膀胱用途では、端を含む200ワットまで高くすることができる。これらの平均出力は、従来のレーザ砕石技術より数倍大きい増加を表しており、尿管、腎臓または膀胱について臨界レベルを超えて液体媒体の温度を増加させることはない。たとえば、従来のレーザ砕石術は通常、尿管用途では10ワットから30ワット、腎臓用途では30ワットから50ワットに制限される。提案の平均レーザ出力増加はしたがって、従来のシステムより1.5倍から2.5倍大きい増加を表す。平均レーザ出力の(または固定レーザパルスエネルギーシステムではパルス繰り返し率の)増加は、これに比例してアブレーションの速度を増加させる。
【0093】
機能的には、遠位ヘッド部分34nを実装する内視鏡システム30は、遠位ヘッド部分34aを利用する内視鏡システム30と同様の方法で動作する(すなわち、吸引および灌注が、共通の作業チャネル109として作業チャネル102を用いて順次行われる)。遠位ヘッド部分34oを実装する内視鏡システム30は、同時に吸引および灌注を実施する(たとえば、遠位ヘッド34bで)内視鏡システム30と同様の方法で動作する。遠位ヘッド34nおよび34oの両方について、結像受信機142と延長部分286の最遠位端291との間の最大軸方向オフセットΔにより、開口部108を結像受信機142の視野角β内に配置することが可能になる。視角β内にあるということは、必ずしも視覚化システム54によって開口部を視覚化することができるということではなく、開口部108の少なくとも一部が結像受信機142の視角β内に入るということのみを意味する。開口部108が不透明な構造によって支持されている(たとえば、延長部分286が不透明なポリマーまたはゴム製である)実施形態では、開口部108は見えないことがある。開口部108が不透明な構造によって隠されている場合でも、標的ゾーン56は依然としてほとんど見えており、体内結石58またはその断片のアブレーションプロセスおよび流れ場256に対する反応を監視することができる。開口部108が透明または半透明の媒体(たとえば、遠位ヘッド部分34aから34mの透明キャップ100)によって支持されている実施形態では、開口部はその媒体を通して見えることになり、これによりアブレーションプロセスの完全な視覚化が可能になる。
【0094】
従来の尿管鏡とは対照的に、開示された遠位ヘッド部分34の遠位面98は、標的の結石58または断片と接触または準接触するように設計されている。開口部108に対して約0.2ミリメートルより大きく近位の軸方向場所δでは、レーザ光ファイバ112の遠位端114は、能動的な吸引中であっても、常時体内結石58または結石断片と直接接触するとは限らない。直接接触がない場合にもかかわらず、約3ミリメートルまでの距離を通して液体媒体環境において結石58にレーザエネルギーを効果的に送達することができる。水についてのピーク吸収またはその付近にある波長でレーザを動作させることによって、水は最初にレーザエネルギーを吸収して、レーザファイバ112の遠位端114と結石物質との間に蒸気チャネルを迅速に形成し、レーザエネルギーの減衰を大きく低減する。また、結石58または断片は開口部108で振動または回転することができ、結石58または断片の表面がレーザファイバ112の軸に垂直に移動するようになる。このような振動および回転により、アブレーションの速度が増加する。蒸気チャネリングおよびレーザファイバ振動の現象および効果は、上で参照により組み込まれた、Altshulerらの特許文献2でさらに詳細に説明されている。
【0095】
縮小フランジ290は、作業チャネル102および作業ポート103の閉塞を防止するように作用する。吸引中、アブレーション中に生成されるいくつかの断片は、作業チャネル102の内径以上である寸法を有することになる。レーザファイバ112の存在により作業チャネル102の流れ断面が減少して、断片がレーザファイバ112と作業チャネル102との間に留まるようになる。縮小フランジ290によって画定されるときの開口部108の縮小領域は、作業チャネル102内へ通過することができる断片のサイズを縮小するように作用し、これによって閉塞の発生を低減する。
【0096】
遠位ヘッド部分34oの異なる出口角度φは異なる動作モードに適している。大きな結石または結石断片をアブレーションするために用いられる接触モード動作において、灌注流252は、より大きな結石または断片に衝突しないように導かれるべきである。したがって、両端を含む20度から170度の範囲で出口角度φを画定する遠位先端96を利用することができる。非接触モードにおいて、灌注流252により、標的ゾーン56内の小さな断片の攪拌が維持される。したがって、両端を含む20度から45度の範囲で出口角度φを画定する遠位先端96を利用することができる。
【0097】
作業チャネル102を吸引で動作させるとき、断片を作業チャネルに向かって吸引することにより、接触モードでの反発効果を部分的または完全に克服し、非接触モードでの小さな断片の治療を加速することができる。開示された内視鏡システム30は、レーザが粉塵化モードで動作するときに効率的に動作し、作業チャネル102の内寸より小さいアブレーション粒子を吸引によって人体から排出して、結石のない治療結果を提供することができる。たとえば、0.02Jから1Jのパルスエネルギーを備えたSUPERPULSE Thuliumファイバレーザが、0.5ミリメートル未満の粒子サイズについて断片化および粉塵化アブレーションを提供することができる。レーザファイバ112が0.05ミリメートルから0.2ミリメートルの範囲のコア直径および0.4ミリメートル未満の外径を有し、作業チャネル102の内径が1ミリメートルより大きければ、0.5ミリメートル未満の寸法を有する粒子を、作業チャネル102を通して排出することができる。
【0098】
レーザ砕石術の手順を実行するとき、毎分約200ミリリットルの吸引流254を利用することができる。吸引により一般的に腎臓内に陰圧が生成される。このような陰圧は周囲環境圧力から20%より多く逸脱すべきではない。
【0099】
動作上、吸引流254および灌注流252は、正味の正の灌注流を維持するようにバランスをとることができる。いくつかの実施形態において、灌注流252は吸引流254を毎分50ミリリットルまで上回る。いくつかの実施形態において、正味の正の灌注流は、両端を含む毎分10ミリリットルから30ミリリットルの範囲にある。
【0100】
図22Aから図22Dを参照すると、本開示の実施形態による、照明光ファイバ132aから132dについての提案の長円断面164aから164dが示されている。本明細書において、照明光ファイバ132およびこれらのそれぞれの長円断面164は、集合的かつ一般的に、それぞれ、参照符号132および164によって、具体的には参照符号132および164とそれに続く文字接尾辞によって参照される(たとえば、長円断面164aを備えた照明光ファイバ132a)。例の非限定的な断面164は、半円形の端部272を備えた略長方形の形状(図22Aの照明光ファイバ132aの「小判形」断面164a)、丸みを付けた角274を備えた略長方形の形状(図22Bの照明光ファイバ132bの「丸みのある長方形」断面164b)、略楕円形状276(図22Cの照明光ファイバ132cの断面164c)、および組み合わせてリボンを画定する円形形状278を有する複数のまたは束の照明ファイバ132d(照明光ファイバ132dの組み合わせられた断面164d)を含む。断面164dでは、束の照明ファイバ132dは、円形形状278が遠位ヘッド部分34でカテーテル32の中心軸の周りで接線方向θに連続的になるように配置することができる。いくつかの実施形態において、束の照明光ファイバ132dは平面の周りに集めることができる(図示)。
【0101】
照明光ファイバ132はまた、バッファ層282およびオーバーコート層284(図22A)を含むことができる。いくつかの実施形態において、バッファ層282は、たとえば、両端を含む10マイクロメートル~20マイクロメートルの範囲内にある厚さを有するFPL-9層である。いくつかの実施形態において、オーバーコート層284は、たとえば、両端を含む20マイクロメートル~50マイクロメートルの範囲内である厚さを有する青色TEFZEL(登録商標)のようなフルオロポリマーである。コーティング層282および284は図22Aの照明光ファイバ132aについて示されているが、コーティング層282および284は、図22Bから図22Dの照明光ファイバ132b、132c、および132dを含む、任意の照明光ファイバ132に組み込むことができるということが理解される。いくつかの実施形態において、レーザ光ファイバ132の長寸法166は、両端を含む0.2ミリメートルから2.0ミリメートルの範囲にある。いくつかの実施形態において、短寸法168は、両端を含む0.1ミリメートルから1.0ミリメートルの範囲にある。一実施形態において、レーザ光ファイバ132の長寸法166は0.6ミリメートルであり、短寸法は0.2ミリメートルである。いくつかの実施形態において、長寸法の短寸法に対する比は、両端を含む2:1から5:1の範囲にある。
【0102】
機能的には、照明光ファイバ132の長円断面164により、カテーテル32および遠位ヘッド部分34dの断面寸法を遠位ヘッド部分34aに対して縮小することが可能になる。長円断面164は、径方向の輪郭を小さくしながら接線方向において寸法(および剛性)を増加させるように構成することができる。オーバーコート層284はクラッディング層282を保護するとともに、ステアリング動作中に管腔107内で照明光ファイバ132を滑りやすくするための潤滑性を提供する。いくつかの実施形態において、オーバーコート層は遠位ヘッド部分34に対して近位で延在するが、これを通らない。照明光ファイバ132dでは、オーバーコート層284は個々の円形光ファイバを一緒に保持して一緒に結合し、リボンの長円断面164dを安定化することもできる。
【0103】
可視光を透過する光導波路として作用することに加えて、各長円断面164は、照明光ファイバ132の長寸法166に沿って(すなわち、接線方向θに沿って)剛性を強化しながら、短寸法168に沿った(すなわち、長寸法166に垂直な径方向座標rに沿った)長円断面164の屈曲を可能にして促進する。したがって、照明光ファイバ132の長円断面164は、可撓性シャフトを有するカテーテル32にねじり剛性を提供し、従来の可撓性カテーテルにおいて慣習的である別個のねじりスリーブの必要性を部分的または完全に否定する。
【0104】
したがって、長円断面164を画定する照明光ファイバ132を利用することにより、ねじれスリーブおよびプルワイヤおよび関連するコネクタを排除することが可能になる。結果として、侵襲性を低減してレーザ砕石術手順の安全性を高めるために遠位ヘッド部分34dの径方向輪郭を減少させることができる。
【0105】
図23を参照すると、本開示の一実施形態による、ハンドル38として用いるためのステアリングハンドル300が示されている。ステアリングハンドル300は、たとえば、可撓性を有するカテーテルシャフト33について実装することができる。ステアリングハンドル300は、カテーテル32および一対の照明光ファイバ132に結合され、遠位ヘッド部分34を関節的動作させるために照明光ファイバ132に力を加えるように構成することができる。いくつかの実施形態において、ステアリングハンドル300のステアリング機構39は、照明光ファイバ132に直接結合された回転カム310を含む。適切なステアリングハンドルの例の実施形態は、2019年6月28日に出願された特許文献3で、および2019年6月28日に出願された特許文献4でさらに説明されており、これらは両方とも本願の譲受人が所有し、その内容を、そこに含まれる明示的な定義および特許請求の範囲を除いて、参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【0106】
照明光ファイバ132は、たとえば、結合接着剤312で回転カム310に固定することができる(図示)。ステアリング機構39はまた、回転カム310がその周りを回転するシャフト316を含むことができる。いくつかの実施形態において、ステアリング機構39は、回転カム310に結合された親指レバー318を含む。いくつかの実施形態において、照明光ファイバ132は、照明システム52から回転カム310に、回転カム310からルーティングシース320に、そしてルーティングシース320からカテーテルシャフト33を介して遠位ヘッド部分34へ経路設定されている。いくつかの実施形態において、照明システム52は可視光源として発光ダイオード322を含む。いくつかの実施形態において、照明システム52はステアリングハンドル38内に収容され、1つまたは複数の電池324によって電力が供給される(図示)。
【0107】
図24Aから図24Cを参照すると、本開示の実施形態による、照明光ファイバ132を遠位ヘッド部分34に固定するための終端部325が示されている。終端部は集合的かつ一般的に参照符号325で、そして個別および具体的には参照符号325とそれに続く文字接尾辞によって参照される(たとえば、「終端部325a」)。終端部325a(図24A)では、まっすぐな照明光ファイバ132が光ファイバポート134内へ経路設定され、透明または半透明の結合接着剤327で透明キャップ100に接着されている。いくつかの実施形態において、バッファ層282は、透明キャップ100内へ挿入されている光ファイバの部分から剥ぎ取られている。
【0108】
終端部325b(図24B)では、照明ファイバ132の遠位端で終端ヘッド329が形成されている。終端ヘッド329は図24Bにおいて球として示されているが、より一般的には照明光ファイバ132のシャフトの径方向寸法より大きい径方向寸法を有し、丸みのある表面を有することを特徴とする。終端ヘッド329は、透明または半透明の結合接着剤327を用いて、透明キャップ100によって画定された光ファイバポート134内に入れられている。
【0109】
終端部325c(図24C)では、終端ヘッド329は、やはり透明または半透明の結合接着剤327を用いて、遠位ヘッド部分34の遠位先端部分96にのみ形成された光ファイバポート内に入れられている。透明キャップ100は光ファイバポート134の遠位端の上を延在する。
【0110】
機能的には、バッファ282を剥ぎ取る効果は、上で議論したように、可視光222の方向転換を強化することである。終端ヘッド329の丸みのある表面を通る可視光222の屈折により、照明光ファイバ132と結合接着剤327との間の屈折率の不一致が存在し得る場合にビームの発散が大きくなる。照明光ファイバ132のシャフトの寸法に対して終端ヘッド329の寸法を大きくすることにより、終端部325bおよび325cでの固定も構造的に完全になる。
【0111】
動作中、回転カム310が第1の回転方向326に作動したとき第1の照明光ファイバ132が張力で引っ張られて遠位ヘッド部分34を第1の横方向に関節的動作させる。回転カム310が第2の回転方向328に作動したとき第2の照明光ファイバ132が張力で引っ張られて遠位ヘッド部分34を第2の横方向に関節的動作させる。
【0112】
図25Aから図25Dを参照すると、遠位ヘッド部分34jのさまざまな構成について視覚化システム54によって生成されたときの標的ゾーン56の画像340が提示されている。本明細書において、画像340は集合的かつ一般的に参照符号340によって、そして個別または具体的には参照符号340とそれに続く文字接尾辞によって参照される(たとえば、画像340a)。透明キャップ100のない遠位ヘッド部分34j(すなわち、軸方向キャップ厚さ99がゼロ)についての標的ゾーン56の画像340aが図25Aで提示されている。画像340aは下縁に沿って暗い影のフリンジ344を示している。
【0113】
画像340b(図25B)は、1ミリメートルの軸方向キャップ厚さ99を通して見たものであるが、画像340aに対して暗い影のフリンジ344が減少し、焦点が合ってよく照らされたゾーン342と暗い影のフリンジ344との間で移行する焦点が合って照らされたゾーン346を示しており、画像340aに対して照明をより均一にしている。画像340c(図25C)は、1.25ミリメートルの軸方向キャップ厚さ99を通して見たものであるが、暗い影のゾーン344がさらに減少している。画像340d(図25D)は、1.5ミリメートルの軸方向キャップ厚さ99を通して見たものであるが、実質的に均一に照らされた画像を提供している。
【0114】
軸方向キャップ厚さ99が増加するにつれて、照明光が広がって視覚化システム54によって見られるときの標的のゾーン56をより均一に照射するということを画像340は示している。ある点で、さらに大きな軸方向キャップ厚さ99について、ならびに遠位ヘッド部分34oおよび34pのより大きな最大軸方向オフセットΔについて(図21Bおよび図21C)、結像受信機142と遠位面106との間の分離により、画像の許容不可能な薄暗さが引き起こされることがある。したがって、いくつかの実施形態において、軸方向キャップ厚さ99の範囲は、両端を含む1ミリメートルと10ミリメートルとの間である。いくつかの実施形態において、軸方向キャップ厚さ99の範囲は、両端を含む1.2ミリメートルと5ミリメートルとの間である。
【0115】
画像340b、340c、および340dでは、遠位ヘッド部分34jの開口部108は視野148にある。驚くべきことに、開口部108および開口部108につながる作業ポート103の存在は、延長部182および圧力逃がし部192(図10および図11)という延長構造の存在にもかかわらず、画像340b、340c、および340dにほとんどまたは全く歪みをもたらさない。遠位ヘッド部分34jより構造が少ない、透明キャップ100についての他の開示された構成も、画像にほとんどまたは全く歪みをもたらすことがない。
【0116】
いくつかの実施形態において、前述の動作方法は、カテーテル32に供給される有形の、非一時的媒体上の命令として提供される。有形の、非一時的媒体の非限定的な例は、紙文書、およびコンパクトディスクおよび磁気記憶装置(たとえば、ハードディスク、フラッシュドライブ、カートリッジ、フロッピードライブ)を含むコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、ローカルでもインターネット経由でアクセス可能でもよい。命令は、単一の媒体で完了しても、2つ以上の媒体間で分割してもよい。たとえば、この方法のステップの1つまたは複数にインターネット経由でアクセスするようにユーザに命令するいくつかの命令を紙文書に書くことができ、インターネットアクセス可能なステップは1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に記憶される。命令は、文章、図、および/または動画の形態とすることができる。
【0117】
[実施例1]
図13から図15で示す実施形態による石英から製造された透明キャップ100を用いてカテーテル32についてのプロトタイプの遠位部分35を構築した。この実施形態の透明キャップ100を、遠位先端で3ミリメートルの外径を有する従来の尿管鏡の遠位先端、1ミリメートル×1ミリメートルの寸法を有する結像受信機142、内径1.2ミリメートルで結像受信機142の入力部と同じ平面で終わっている作業チャネル102に取り付けた。透明キャップ100の外径ODは3ミリメートル、軸方向キャップ厚さ99は2ミリメートルであった。キャップ作業ポート103aの内径は0.8ミリメートルであり、2つのノッチ194は、それぞれ0.3ミリメートル幅で、圧力逃がし部192として機能するように遠位面106の外側接線周囲170まで延長した。0.12ミリメートルのコア直径および開口数0.6を有する2つの照明光ファイバ132を通して照明光を送達し、これにより0.1ワットを超えない出力でLEDから可視光を送達した。結石アブレーションに用いたレーザファイバ112は、コア径が0.2ミリメートル、外径が0.38ミリメートル、開口数が0.22であった。レーザファイバ112の遠位端114を、開口部108に対して0.2ミリメートル近位の距離で作業ポート103aの完全に内側に配置した。実施例1の構成において、図3Bに付随して説明したように、作業チャネル102を吸引に用い、従来の尿管鏡のシャフト33の空洞129を通して灌注を送達した。
【0118】
0.1ジュールのパルスエネルギー、パルス繰り返し率300Hz、そして30ワットの平均出力で動作するSUPERPULSE Thuliumファイバレーザ(FiberLase U2、波長1940nmおよびピーク出力500ワット、米国マサチューセッツ州オックスフォードのIPG Photonics製)をすべての実験において結石のアブレーションに用いた。体内結石のモデルとして、BEGOSTONE材料で作製された模型(広く受け入れられている体内結石のモデル)を利用した。水で満たしたキュベットにおいて治療シミュレーションを実施した。シミュレーションにはそれぞれ約1.5ミリメートル径の5つの模型結石を用いた。重量および時間は正確に測定したが、模型結石の寸法は概算とした。
【0119】
実施例1の構成と作業チャネル102が灌注流体を送達して動作する従来の構成との間で比較を行った。従来の構成では、カテーテルシャフトの端部が露出するようにキャップを除去した。レーザファイバは、遠位先端がシャフトの端部を3.5ミリメートル超えて延在するように配置した。実施例1の構成では、治療の完了は、結石サンプルを粒子にアブレーションして吸引チャネルを通してこれを完全に排出することとして定義した。従来の構成では、治療の完了は、結石サンプルを0.5ミリメートルより小さな粒子に破砕することとして定義した(これらは約40センチメートルの距離で10ミリリットル/分の吸引流で除去した)。結果をTable 1(表1)にまとめている。
【0120】
【表1】
【0121】
Table 1(表1)からわかるように、実施例1の構成では、従来の構成と比較して、レーザ出力の増加が要求されることなく、結石の破砕効率が接触モードにおいて4倍超の増加をもたらし、非接触モードにおいて3.5倍超の増加になっている。
【0122】
本明細書に開示の追加の図および方法のそれぞれは、別個に、または他の特徴および方法と併せて用いて、同じものを作製および使用するための改善された装置および方法を提供することができる。したがって、本明細書に開示の特徴および方法の組み合わせは、その最も広い意味において本開示を実施するために必要というわけではなく、代わりに単に代表的で好ましい実施形態を特に説明するために開示されている。
【0123】
実施形態のさまざまな修正は、本開示を読むと当業者には明らかであり得る。たとえば、関連技術における当業者は、異なる実施形態について説明されたさまざまな特徴が、単独で、または異なる組み合わせで、他の特徴と適切に組み合わせられ、組み合わせられず、そして再度組み合わせられ得ることを認識するであろう。同様に、上述のさまざまな特徴はすべて、本開示の範囲または趣旨に対する限定というよりむしろ、例の実施形態として見なされるべきである。
【0124】
関連技術における当業者は、さまざまな実施形態が、上述の任意の個々の実施形態に例示されたより少ない特徴を含むことができるということを認識するであろう。本明細書に記載の実施形態は、さまざまな特徴を組み合わせることができる方法の網羅的な提示を意味するものではない。したがって、実施形態は特徴の相互に排他的な組み合わせではない。むしろ、請求項は、当業者によって理解されるように、異なる個々の実施形態から選択される異なる個々の特徴の組み合わせを含むことができる。
【0125】
次の文献、すなわち、2019年7月18日に出願され、本願の所有者が所有するAltshulerらの特許文献2、Irby, IIIへの特許文献1を、そこに含まれる特許請求の範囲および明示的な定義を除いて、参照によりその全体を本明細書に組み込む。本明細書の文献の参照によるいかなる組み込みも、本明細書の明示的な開示に反する主題が組み込まれないように限定されている。
【0126】
他に指示しない限り、本明細書に含まれる「実施形態」、「開示」、「本開示」、「開示の実施形態」、「開示された実施形態」などへの言及は、自認先行技術ではない本特許出願の明細書(請求項を含む本文および図面)に言及している。
【0127】
請求項を解釈する目的のため、具体的な用語「means for(のための手段)」または「step for(のためのステップ)」がそれぞれの請求項に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)項の規定が適用されるべきではないということが明示的に意図されている。
【符号の説明】
【0128】
30 内視鏡システム
32 カテーテル
33 カテーテルシャフト
34 遠位ヘッド部分
35 遠位部分
36 近位部分
38 ハンドル
39 ステアリング機構
40 外部システム
42 灌注システム
44 吸引システム
46 アブレーションレーザシステム
48 圧力センサ
52 照明システム
54 視覚化システム
56 標的ゾーン
58 体内結石
96 遠位先端部分
97 外側接線表面
98 遠位面
99 軸方向キャップ厚さ
100 透明キャップ部分
101 傾斜面
102 作業チャネル
103 作業ポート
103a キャップ作業ポート
103b 遠位先端作業ポート
104 近位面
106 遠位面
107 管腔
108 開口部
109 作業チャネル
110 中心軸
111 キャップ作業ポート軸
112 レーザ光ファイバ
114 遠位端
116 環状領域
120 管状シャフト
122 作業ポート
122a キャップ作業ポート
122b 遠位先端作業ポート
124 作業チャネル
126 外側部分
128 断面
129 空洞
130 照明器
132 照明光ファイバ
134 照明光ファイバポート
142 結像受信機
144 結像装置
145 ケーブルポート
146 ケーブル
147 窪み
148 視野
164 長円断面
166 長寸法
167a 円形断面
167b 長円断面
168 短寸法
169 短軸
170 外側接線周囲
171 長軸
182 延長部
186 遠位端
192 圧力逃がし部
194 ノッチ
214 斜面
216 接線周囲
218 出口
222 可視光
224 遠位端部分
226 界面
244 径方向面
246 遠位端部分
252 灌注流
254 吸引流
256 流れ場
261 移行部
262 ドーム型輪郭
264 非対称流断面
265 最小内寸
266 レーザ光ファイバポート
267 斜面
268 最小内寸
269 出口
272 端部
274 角
276 略楕円形状
278 円形形状
282 バッファ層
284 オーバーコート層
286 延長部分
288 ベースプラットフォーム
290 縮小フランジ
291 遠位端
292 最遠位場所
294 肩部
296 肩部
300 ステアリングハンドル
310 回転カム
312 結合接着剤
316 シャフト
318 親指レバー
320 ルーティングシース
322 発光ダイオード
324 電池
325 終端部
326 第1の回転方向
327 結合接着剤
328 第2の回転方向
329 終端ヘッド
340 画像
342 焦点が合ってよく照らされたゾーン
344 暗い影のフリンジ
346 焦点が合って照らされたゾーン
図1
図2
図2A
図3
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図16A
図17
図18
図19
図19A
図20
図20A
図21
図21A
図21B
図21C
図22A
図22B
図22C
図22D
図23
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図25C
図25D