(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】切換可能パッチアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20240716BHJP
H01Q 3/24 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q3/24
(21)【出願番号】P 2021549237
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(86)【国際出願番号】 US2020016641
(87)【国際公開番号】W WO2020171947
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-03
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520347775
【氏名又は名称】ピヴォタル コムウェア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】マッキャンドレス ジェイ ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ブラック エリック ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー アイザック ロン
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-110322(JP,A)
【文献】特開2016-139965(JP,A)
【文献】国際公開第2012/050614(WO,A1)
【文献】GAO,S.S et al,"Holographic Artificial Impedance Surface Antenna Based on Circular Patch",2018 International Conference on Microwave and Millimeter Wave Technology (ICMMT),2018年,DOI: 10.1109/ICMMT.2018.8563641
【文献】E. NISHIYAMA et al,"Polarization controllable microstrip antenna using beam lead PIN diodes",2006 Asia-Pacific Microwave Conference,2006年,DOI: 10.1109/APMC.2006.4429383
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
H01Q 3/24
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
アンテナを含み、
前記アンテナは、
平面導体であって、開口が
前記平面導体の中央部分に形成され
ている、平面導体と、
前記開口の中心に位置する端子と前記開口の縁部に位置する第1の端子との間に結合され、第1のインピーダンス値を提供する第1の構成要素と、
前記中心端子と前記開口の対向する縁部に位置する第2の端子との間に結合され、第2のインピーダンス値を提供する第2の構成要素と、
正弦波信号を提供し、かつ前記中心端子に結合された信号ソースであって、前記第1のインピーダンス値が前記第2のインピーダンス値と同等であるときに、前記正弦波信号は前記アンテナによって放射されず、前記第1のインピーダンス値又は前記第2のインピーダンス値が互いよりも実質的に大きいときに、前記正弦波信号は前記アンテナによって放射される、信号ソースと、
を含む、装置。
【請求項2】
前記平面導体に結合された直流(DC)接地を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のインピーダンス値が前記第2のインピーダンス値と同等であるときに、
前記アンテナは、前記正弦波信号を放射せず、前記正弦波信号以外の他の信号と相互結合しない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記平面導体は、
前記平面導体を形成するために第1の平面領域と第2の平面領域を使用すること、
を更に含み、
非導電間隙が、前記第1の平面領域及び前記第2の平面領域の対向する縁部間に配置され、前記非導電間隙の幅は、前記アンテナが前記正弦波信号を放射するための双極モードを提供するために最小にされる、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記開口は、矩形、正方形、三角形、円形、曲線形、楕円形、四辺形、又は多角形のうちの1つである2次元形状を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の構成要素又は前記第2の構成要素のうちの1又は2以上は、可変インピーダンス値を提供するためにスイッチ、バラクタ、又は別の可変インピーダンスデバイスのうちの1つを使用する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の構成要素又は前記第2の構成要素のうちの一方は、固定インピーダンス値を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記信号は、周波数を更に含み、
前記信号周波数は、無線信号周波数又はマイクロ波信号周波数のうちの1又は2以上である、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記提供された信号に基づいてビームを放射する散乱アンテナとして前記アンテナのうちの複数のものを使用するホログラフィックメタサーフェスアンテナ(HMA)として配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記開口は、前記信号の波長の長さの2分の1である長さを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
正弦波信号の放射を制御するための方法であって、
平面導体を含むアンテナを提供する段階
であって、開口が前記平面導体の中央部分に形成されている、段階と、
前記開口の中心に位置する端子と前記開口の縁部に位置する第1の端子との間に結合されて第1のインピーダンス値を提供する第1の構成要素を提供する段階と、
前記中心端子と前記開口の対向する縁部に位置する第2の端子との間に結合されて第2のインピーダンス値を提供する第2の構成要素を提供する段階と、
正弦波信号を提供し、かつ前記中心端子に結合された信号ソースを提供する段階であって、前記第1のインピーダンス値が前記第2のインピーダンス値と同等であるときに、前記正弦波信号は前記アンテナによって放射されず、前記第1のインピーダンス値又は前記第2のインピーダンス値が互いよりも実質的に大きいときに、前記正弦波信号は前記アンテナによって放射される、段階と、
を含む、方法。
【請求項12】
前記平面導体に結合された直流(DC)接地を提供する段階を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のインピーダンス値が前記第2のインピーダンス値と同等であるときに、
前記アンテナは、前記正弦波信号を放射せず、前記正弦波信号以外の他の信号と相互結合しない、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記平面導体を提供する段階は、
前記平面導体を形成するために第1の平面領域と第2の平面領域を使用する段階、
を更に含み、
非導電間隙が、前記第1の平面領域及び前記第2の平面領域の対向する縁部間に配置され、前記非導電間隙の幅は、前記アンテナが前記正弦波信号を放射するための双極モードを提供するために最小にされる、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記形成された開口を有する前記平面導体を提供する段階は、矩形、正方形、三角形、円形、曲線形、楕円形、四辺形、又は多角形のうちの1つである前記開口の2次元形状を形成する段階を更に含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
このアンテナは、パッチアンテナに関連し、特に、限定ではないが遠隔通信に適する正弦波信号の放射をオフにするように切換可能であるパッチアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
パッチ(又はマイクロストリップ)アンテナは、典型的に、より大きい金属接地平面にわたって装着された平坦金属シートを含む。平坦金属シートは、通常は矩形形状を有し、金属層は、一般的に誘電体スペーサを使用して分離される。平坦金属シートは、望ましい入力インピーダンス及び周波数応答を提供するように最適化することができる長さ及び幅を有する。パッチアンテナは、直線又は円偏波を提供するように構成することができる。パッチアンテナは、それらの単純設計、薄型、軽量、及び低コストという理由で一般的である。例示的パッチアンテナを
図1A及び1Bに示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9、385、435号明細書
【文献】米国特許第9、450、310号明細書
【文献】米国特許第9、711、852号明細書
【文献】米国特許第9、806、414号明細書
【文献】米国特許第9、806、415号明細書
【文献】米国特許第9、806、416号明細書
【文献】米国特許第9、812、779号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0127295号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0155193号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0187123号明細書
【発明の概要】
【0004】
これに加えて、同じプリント回路基板上の複数のパッチアンテナは、無線周波数(RF)信号又はマイクロ波周波数信号のための放射波形のビームをアンテナの大きいアレイによって電子的に成形する及び/又はステアリングすることができる高利得アレイアンテナ、フェーズドアレイアンテナ、又はホログラフィックメタサーフェスアンテナ(holographic metasurface antennas)(HMA)によって使用される場合がある。例示的HMAアンテナ及び放射波形のビームを
図1C及び1Dに示している。従来、個々のアンテナは、与えられた正弦波信号のための放射波形のビームを成形かつステアリングするために互いに緊密に位置付けられる。残念ながら、信号は、アンテナ間で、それらの互いに対する近接性のために相互に結合する場合がある。性能を改善してコストを更に低減するために設計の改善が絶えず求められている。少なくともこれらの考慮の観点から、本明細書に開示する新規な本発明が生じた。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】従来技術で公知であるパッチアンテナの概略側面図の実施形態を示す図である。
【
図1B】従来技術で公知であるパッチアンテナの概略上面図の実施形態を示す図である。
【
図1C】ホログラフィックメタサーフェスアンテナ(HMA)の例示的事例を形成するために電磁波形を伝播するように配置された複数のバラクタ要素を有する例示的面散乱アンテナの実施形態を示す図である。
【
図1D】
図1Cに示すホログラフィックメタサーフェスアンテナ(HMA)によって発生された電磁波形の例示的ビームの実施形態を示す図である。
【
図2A】別々の可変インピーダンス(Z1及びZ2)を有する2つの構成要素(components)が互いに結合され、端子での信号ソース(signal source)が開口の中央に中心がある単極放射モードに配置された例示的切換可能パッチアンテナの概略上面図である。
【
図2B】第1の構成要素及び第2の構成要素の別々の可変インピーダンス値(Z1及びZ2)が互いに実質的に同等であり、アンテナが信号ソースによって提供された信号を放射していない例示的切換可能パッチアンテナの概略側面図である。
【
図2C】信号がアンテナによって放射されるように第1の構成要素の可変インピーダンス値Z1が第2の構成要素の可変インピーダンス値Z2よりも実質的に大きい例示的切換可能パッチアンテナの概略側面図である。
【
図2D】180度逆位相を有する信号がアンテナによって放射されることになるように第1の構成要素の可変インピーダンス値Z2が第2の構成要素の可変インピーダンス値Z1よりも実質的に大きい例示的切換可能パッチアンテナの概略側面図である。
【
図2E】第1の構成要素が固定インピーダンス値Z1を提供し、第2の構成要素が、スイッチが導通している(閉じている)時に固定インピーダンス値Z1と実質的に同等であるか又はスイッチが非導通である(開いている)時に固定インピーダンス値Z1よりも実質的に大きい(無限大)かのいずれかである可変インピーダンス値を提供するスイッチS2を含む単極作動モードに配置された例示的切換可能パッチアンテナの上面図である。
【
図2F】スイッチS2が非導通である(開いている)時に第2の構成要素の可変インピーダンス値が第1の構成要素の可変インピーダンス値Z1よりも実質的に大きく、信号がアンテナによって放射される例示的切換可能パッチアンテナの概略側面図である。
【
図2G】第2の構成要素の可変インピーダンス値が第1の構成要素の固定インピーダンス値Z1と実質的に等しいようにスイッチS2が導通しており(閉じている)、信号がアンテナによって放射されない例示的切換可能パッチアンテナの概略側面図である。
【
図2H】第1の構成要素が可変インピーダンス値を有するスイッチS1を有し、第2の構成要素が同じく可変インピーダンス値を提供するスイッチS2を含み、スイッチS1及びスイッチS2の可変インピーダンス値が、それらが共に導通している時に実質的に同等であり、非導通であるいずれのスイッチの可変インピーダンス値も、導通している他方のスイッチの可変インピーダンス値よりも実質的に大きい単極作動モードに配置された例示的切換可能パッチアンテナの上面図である。
【
図3A】第1の構成要素が固定インピーダンス値Z1を提供し、第2の構成要素が、スイッチS2が導通している(閉じている)時に固定インピーダンス値Z1と実質的に同等であるか又はスイッチが非導通である(開いている)時に固定インピーダンス値Z1よりも実質的に大きい(無限大)かのいずれかである可変インピーダンス値を提供するスイッチS2を含む双極放射モードを提供するために間隙を有して配置された例示的切換可能パッチアンテナの概略上面図である。
【
図3B】信号がアンテナによって放射されるようにスイッチS2が非導通である(開いている)時に第2の構成要素の可変インピーダンス値が第1の構成要素の固定インピーダンス値Z1よりも実質的に大きい(無限大である)双極放射モードに配置された例示的切換可能パッチアンテナの概略側面図である。
【
図3C】信号がアンテナによって放射されないようにスイッチS2が導通しており(閉じており)、第2の構成要素の可変インピーダンス値が第1の構成要素の固定インピーダンス値Z1と実質的に等しい双極放射モードに配置された例示的切換可能パッチアンテナの概略側面図である。
【
図3D】第1の構成要素が可変インピーダンス値を提供するスイッチS1を含み、第2の構成要素が可変インピーダンス値を提供するスイッチS2を含み、スイッチS1及びスイッチS2の可変インピーダンス値が、それらが共に導通している(閉じている)時に実質的に同等であり、非導通である(開いている)いずれのスイッチの可変インピーダンス値も、導通している(閉じている)他方のスイッチの可変インピーダンス値よりも実質的に大きい双極放射モードに間隙を有して配置された例示的切換可能パッチアンテナの概略上面図である。
【
図4】切換可能パッチアンテナの作動を示す流れ図である。
【
図5】本発明の1又は2以上の実施形態による切換可能パッチアンテナによる信号の放射を制御するための装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここで添付図面を参照して本発明をより詳細に以下に説明するが、これらは本発明の一部を構成し、例証として本発明を実施することができる特定の実施形態を示すものである。しかし、本発明は、多くの異なる形態に具現化することができ、本明細書に説明する実施形態に限定されると解釈すべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本発明の開示が周到かつ完全なものになり、当業者に対して本発明の範囲を十分に伝えるために提供されるものである。中でも、本発明は、方法又はデバイスとして具現化することができる。従って、本発明は、完全にハードウエア実施形態、完全にソフトウエア実施形態、又はソフトウエアとハードウエアの態様を組み合わせた実施形態の形態を取ることができる。従って、以下の詳細説明を限定的な意味で理解すべきではない。
【0007】
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、以下の用語は、関連上明らかに他を意味しない限り本明細書で明示的に関連付けられた意味を取る。本明細書に使用する「一実施形態では」という語句は、同じ実施形態を指す可能性はあるが、必ずしもそうではない。同様に、本明細書に使用する「別の実施形態では」という語句は、異なる実施形態を指す可能性はあるが、必ずしもそうではない。本明細書に使用するように、用語「又は」は、包括的「又は」演算子であり、関連上明らかに他を意味しない限り用語「及び/又は」と同等である。用語「に基づいて」は限定的ではなく、関連上明らかに他を意味しない限り説明されない追加のファクタに基づくことを許容する。更に、本明細書の全体を通して「a」、「an」、及び「the」の意味は、複数形への言及を包含する。「での」の意味は、「での及び「上の」を含む。
【0008】
以下では本発明の一部の態様に関する基本的な理解を提供するために本発明の実施形態を簡単に説明する。この簡潔な説明は、広範囲にわたる概要として意図したものではない。重要な又は決定的な要素を識別すること又は本発明の範囲を定める又は他に狭めることを意図していない。その目的は単に、後に示されるより詳細な説明の前置きとしていくつかの概念を簡略化した形で提示することに過ぎない。
【0009】
簡単に述べると、様々な実施形態は、切換可能パッチアンテナ(switchable patch antenna)として構成されたアンテナに向けられる。例示的切換可能パッチアンテナは、開口(孔)が中心に形成された平面導体を含む。正弦波信号の放射は、別々のインピーダンス値を有する2つの構成要素に対して別々のインピーダンス値を比較することによって制御される。2つの構成要素の各々は、一端が開口の中心に位置決めされた端子で互いに結合され、他端が開口の両側の縁部(edges)に別々に結合される。正弦波信号ソース、例えば、交流(AC)信号ソースも、開口の中心に位置決めされた端子に結合される。更に、両構成要素のインピーダンス値が実質的に同等である時に、提供された信号のアンテナによる放射及び/又は他の信号の相互結合が無効にされる。同じく、2つの構成要素の一方のインピーダンス値が、他方の構成要素の他方のインピーダンス値よりも実質的に大きい時に、提供された信号の放射及び/又は相互結合が有効にされる。
【0010】
1又は2以上の実施形態では、信号の正の波形は、他方の構成要素の別のインピーダンス値よりも実質的に小さいインピーダンス値を有する構成要素に向けて放射される。このようにして、放射された信号の位相は、2つの構成要素のうちのいずれが他方の構成要素が提供する他方のインピーダンス値よりも実質的に小さいインピーダンス値を提供するかに基づいて180度シフトさせることができる。
【0011】
1又は2以上の実施形態では、第1の構成要素が固定インピーダンス値を提供し、第2の構成要素が可変インピーダンス値を提供する。更に、第2の構成要素の可変インピーダンス値は、電子スイッチ、機械的スイッチ、バラクタ、又はリレーなどのうちの1又は2以上によって提供される場合がある。1又は2以上の実施形態では、スイッチが導通している(閉じている)時に、その可変インピーダンス値は比較的低く、例えば、1Ωであり、スイッチが非導通である(開いている)時に、可変インピーダンス値は無限大とすることができる。従って、非導通スイッチの可変インピーダンス値が、第1の構成要素の固定インピーダンス値よりも実質的に大きい(無限大である)時に、信号がアンテナによって放射される。逆に、第2の構成要素のスイッチが導通しており、その可変インピーダンス値が固定インピーダンス値と実質的に同等である時に信号は放射されない。
【0012】
1又は2以上の実施形態では、固定インピーダンス値は、切換可能パッチアンテナの製造中に第1又は第2の構成要素、例えば、中心に位置する端子(centrally located terminal)と開口の縁部にある別の端子の間に既知の(固定)インピーダンス値を提供する金属ワイヤ、金属トレース、平坦面の拡張セグメント、抵抗器、コンデンサ、又は誘導子などに対して提供することができる。更に、1又は2以上の実施形態では、切換可能パッチアンテナの製造時に、2つの構成要素の一方が提供する可変インピーダンス値の低レベル(導通)は、2つの構成要素の他方が提供する固定インピーダンス値又は別の可変インピーダンス値の低レベル(導通)と実質的に同等になるように選択される。これに加えて、2つの構成要素の一方が提供する可変インピーダンス値の高レベル(非導通)は、2つの構成要素の他方が提供する固定インピーダンス値又は別の可変インピーダンス値の低レベル(導通)よりも実質的に大きいように選択される。
【0013】
1又は2以上の実施形態では、直流(DC)接地は、インピーダンス整合、放射パターンを助け、かつ可変インピーダンス値を提供する2つの構成要素のうちの1又は2以上に対するバイアスの一部であるように平面導体の1又は2以上の部分に結合される。同じく、1又は2以上の実施形態では、平面導体に形成された開口の形状は、矩形、正方形、三角形、円形、曲線形、楕円形、四辺形、又は多角形などを含むことができる。
【0014】
1又は2以上の実施形態では、開口の長さは、信号の波長(λ)の2分の1である。同じく、1又は2以上の実施形態では、信号は、無線周波数信号又はマイクロ波周波数信号などを含む。更に、信号は、開口内の平面導体のセグメントの端部に結合された電子回路、信号発生器、又は導波路などによって提供することができる。
【0015】
これに加えて、1又は2以上の実施形態では、複数の切換可能パスアンテナを散乱要素として使用し、提供されたAC信号に基づいて成形かつステアリングされたビームを放射するホログラフィックメタサーフェスアンテナ(HMA)が使用される。更に、複数の切換可能パッチアンテナのいずれか又はいずれかの他の共振構造によって放射されるいずれの信号も、導通状態(閉じた状態)でそれらのスイッチを作動させているそれらの切換可能パッチアンテナには相互結合されない。
【0016】
同じく、1又は2以上の実施形態では、近くに位置するアンテナ間、例えば、HMA内のアンテナアレイ間の相互結合を更に低減するために、これらのアンテナの平面導体間の距離は、提供される信号の放射波形を3で割った長さよりも大きくなく、かつこの波形を11で割った長さよりも小さくないように配置することができる。
【0017】
切換不能パッチアンテナの概略側面図の例示的従来技術実施形態を
図1Aに示している。更に、概略上面図の例示的実施形態を
図1Bに示している。図示のように、パッチアンテナは、従来技術で公知であり、接地平面として作動する金属のより大きい平面シート114にわたって装着された金属のような導電材料の上部平面(平坦)シート113又は「パッチ」から構成される。これら2つの平面導体は、マイクロストリップ伝送線の共振部を形成するように配置され、上部平面導体は、パッチアンテナが放射しようとする信号波形の長さの約1/2の長さを含むように配置される。上部平面シート113への信号入力は、上部平面シートの中心からオフセットされる。信号波形の放射は、上部平面導体(パッチ)の切断された縁部での不連続性によって一部引き起こされる。同じく、放射は上部パッチの切断された縁部で生じるので、パッチアンテナはその物理的な寸法よりも僅かに大きく作用する。従って、パッチアンテナが共振する(容量性負荷が誘導性負荷に等しい)ためには、上部平面導体(パッチ)の長さは、典型的には、放射波形の波長の2分の1よりも僅かに短くなるように配置される。
【0018】
一部の実施形態では、パッチアンテナがマイクロ波周波数で使用される時に、信号の波長は十分に短いので、パッチアンテナの物理的サイズは、携帯電話のような携帯無線デバイスに含めることができるほどに小さくすることができる。同じく、パッチアンテナは、プリント回路基板の基板上に直接製造することができる。
【0019】
1又は2以上の実施形態では、HMAは、制御可能な要素(アンテナ)の配置を使用して物体波を生成することができる。同じく、1又は2以上の実施形態では、制御可能要素は、2又は3以上の異なる状態を有するバラクタのような個々の電子回路を使用することができる。このようにして、1又は2以上の制御可能要素に対して電子回路の状態を変化させることにより、物体波を修正することができる。ホログラム関数のような制御関数を使用して、特定の物体波に対する個々の制御可能要素の現在の状態を定めることができる。1又は2以上の実施形態では、ホログラム関数は、予め決定する又は様々な入力及び/又は条件に応じてリアルタイムで動的に生成することができる。1又は2以上の実施形態では、定められたホログラム関数のライブラリを提供することができる。1又は2以上の実施形態では、あらゆるタイプのHMAを使用して本明細書に説明するビームを生成することができる。
【0020】
図1Cは、基準波105を散乱要素にそれを通して送出することができる波伝播構造104又は他の配置に沿って分散させた複数の散乱要素102a、102bを含む面散乱アンテナ100(すなわち、HMA)の形態を取る従来技術HMAの実施形態を示している。波伝播構造104は、例えば、マイクロストリップ、共平面導波路、平行平板導波路、誘電体ロッド又はスラブ、閉鎖又は管状導波路、基板一体型導波路、又は構造に沿って又は構造内で基準波105の伝播をサポートすることができるあらゆる他の構造とすることができる。基準波105は、波伝播構造104に入力される。散乱要素102a、102bは、波伝播構造104内に埋め込まれた、波伝播構造104の面に位置決めされた、又は波伝播構造104のエバネッセント近傍内に位置決めされた散乱要素を含むことができる。そのような散乱要素の例は、米国特許第9、385、435号明細書、第9、450、310号明細書、第9、711、852号明細書、第9、806、414号明細書、第9、806、415号明細書、第9、806、416号明細書、及び第9、812、779号明細書、及び米国特許出願公開第2017/0127295号明細書、第2017/0155193号明細書、及び第2017/0187123号明細書に開示されたものを含むがこれらに限定されず、これら全ては、引用によりその内容全体が本明細書に組み込まれている。同じく、散乱要素のあらゆる他の好ましいタイプ又は配置を使用することができる。
【0021】
面散乱アンテナはまた、基準波ソース(図示せず)に結合された給送構造108に波伝播構造104を結合するように構成された少なくとも1つの給送コネクタ106を含むことができる。給送構造108は、伝送線、導波路、又は給送コネクタ106を通して波伝播構造104内に発射することができる電磁信号を提供可能なあらゆる他の構造とすることができる。給送コネクタ106は、例えば、同軸-マイクロストリップコネクタ(例えば、SMA-PCBアダプタ)、同軸-導波路コネクタ、モード整合式移行セクションなどとすることができる。
【0022】
散乱要素102a、102bは、1又は2以上の外部入力に応じて調節可能な電磁特性を有する調節可能散乱要素である。調節可能散乱要素は、電圧入力(例えば、能動要素(バラクタ、トランジスタ、ダイオードなど)に対する又は同調可能誘電体材料(強誘電体又は液晶など)を組み込む要素に対するバイアス電圧)、電流入力(例えば、電荷担体の能動要素への直接注入)、光学入力(例えば、光学活性材料の照射)、場入力(例えば、非線形磁性材料を含む要素に対する磁場)、又は機械的入力(例えば、MEMS、アクチュエータ、油圧)などに応じて調節可能な要素を含むことができる。
図1Cの概略的な例では、第1の電磁特性を有する第1の状態に調節された散乱要素が第1の要素102aとして描かれているのに対して、第2の電磁特性を有する第2の状態に調節された散乱要素は、第2の要素102bとして描かれている。第1及び第2の電磁特性に対応する第1及び第2の状態を有する散乱要素の描写は限定が意図しておらず、実施形態は、個別の複数の異なる電磁特性に対応する個別の複数の状態から選択するように個別に調節可能であるか又は異なる電磁特性の連続体に対応する状態の連続体から選択するように連続的に調節可能である散乱要素を提供することができる。
【0023】
図1Cの例では、散乱要素102a、102bは、それぞれ第1及び第2の電磁特性の関数である基準波105に対する第1及び第2のカプリングを含む。例えば、第1及び第2のカプリングは、基準波の周波数又は周波数帯域での散乱要素の第1及び第2の分極率とすることができる。第1及び第2のカプリングに起因して、第1及び第2の散乱要素102a、102bは、基準波105に応答してそれぞれの第1及び第2のカプリングの関数である(例えば、それに比例する)振幅を有する複数の散乱電磁波を生成する。散乱電磁波の重ね合わせは、この例では面散乱アンテナ100から放射される物体波110として描かれている電磁波を含む。
【0024】
図1Cは、散乱要素102a、102bの1次元アレイを示している。2次元又は3次元のアレイを使用することもできることは理解されるであろう。これに加えて、これらのアレイは、異なる形状を含むことができる。更に、
図1Aに示すアレイは、隣接する散乱要素間に等距離の間隔を有する散乱要素102a、102bの規則的なアレイであるが、他のアレイは不規則とすることができ、又は隣接する散乱要素間に異なる又は可変の間隔を有することができることは理解されるであろう。同じく、散乱要素102a、102bの列の作動を制御するのに特定用途向け集積回路(ASIC)109が使用される。更に、アレイ内の1又は2以上の列を制御する1又は2以上のASICの作動を制御するのにコントローラ112を使用することができる。
【0025】
散乱要素102a、102bのアレイを使用して基準波ソースから基準波(Ψref)105を受け入れる散乱要素に変調パターン(例えば、ホログラム関数、H)を印加することにより、少なくとも望ましいビームパターンに近い遠磁場ビームパターンを生成することができる。変調パターン又はホログラム関数を正弦波として示すが、非正弦関数(非反復関数又は不規則関数を含む)を使用することもできることは認識されるであろう。
【0026】
少なくとも一部の実施形態では、ホログラム関数H(すなわち、変調関数)は、基準波と物体波の複素共役、すなわち、Ψref
*Ψobjに等しい。少なくとも一部の実施形態では、面散乱アンテナは、例えば、選択されたビーム方向(例えば、ビームステアリング)、選択されたビーム幅又は形状(例えば、幅の広い又は狭いビーム幅を有するファンビーム又はペンシルビーム)、選択されたヌル配置(例えば、ヌルステアリング)、選択された複数ビーム配置、選択された偏波状態(例えば、直線偏波、円偏波、又は楕円偏波)、選択された全体位相、又はそれらのあらゆる組合せを提供するように調節することができる。これに代えて又はこれに加えて、面散乱アンテナの実施形態は、選択された近磁場放射プロファイルを提供するように、例えば、近磁場フォーカス又は近磁場ヌルを提供するように調節することができる。
【0027】
同じく、図示しないが、本発明は、散乱要素が信号を放出することができるようにする制御要素としてバラクタに限定されない。むしろ、多くの異なるタイプの制御要素をこのように使用することができる。例えば、1又は2以上の実施形態では、これに代えて、電界効果トランジスタ(FET)、微小電気機械システム(MEMS)、又はバイポーラ接合トランジスタ(BST)などを使用して散乱要素が信号放出をオン及びオフにすることを可能にする。これに加えて、
図1Dは、
図1Cに示すHMAによって発生された電磁波形の例示的ビームの実施形態を示している。
【0028】
本発明の一般化された実施形態を
図2Aに示している。端子210は、パッチアンテナ200に提供される正弦波信号のための入力として作動する。同じく、パッチアンテナは、構成要素203のインピーダンス値Z1と構成要素204のインピーダンス値Z2の間のインピーダンス比較器として作動する。これらの構成要素は、開口208の両側の縁部にある端子(222及び220)と中心端子210の間に結合される。1又は2以上の実施形態では、インピーダンス値の少なくとも一方は、高レベル及び低レベルに可変であるのに対して、他方のインピーダンス値は低レベルに固定される。同じく、1又は2以上の実施形態では、インピーダンス値Z1又はZ2の一方は固定インピーダンス値であり、他方は、固定インピーダンス値と実質的に同等の低レベルと固定インピーダンス値よりも実質的に大きい高レベルとに切換可能な可変インピーダンス値である。同じく、1又は2以上の実施形態では、インピーダンス値Z1とZ2の両方が可変インピーダンス値である。
【0029】
図2Bに示すように、インピーダンス値Z1がインピーダンス値Z2とほぼ等しい時に、パッチアンテナは、正弦波信号を放射しない及び/又は他の信号と相互結合しない。ここでは図示しないが、第1の構成要素203を表すスイッチが導通し(短絡し)、短絡により、パッチアンテナの他方の側にある第2の構成要素204を表す別のスイッチと実質的に同じインピーダンス値を有する時にも同じ効果が生じる。
【0030】
図2Dに示すように、インピーダンス値Z1がインピーダンス値Z2よりも小さい時に、正弦波信号は、インピーダンス値Z1に向けて進み、特定の位相角を有する正弦波信号の放射が存在する。これに代えて、
図2Cに示すように、インピーダンス値Z1がインピーダンス値Z2よりも大きい時に、正弦波信号はインピーダンス値Z2に向けて進み、
図2Dに示す正弦波信号の放射から180度オフセットされた位相角で正弦波信号の放射が存在する。この180度位相角オフセットを使用してフェーズドアレイアンテナ又はHMAアンテナの放射パターンを最適化することができる。
【0031】
図2Eは、単極作動モードに配置された例示的切換可能パッチアンテナの上面図を示している。第1の構成要素201は、縁部端子222及び中心端子210に結合され、固定インピーダンス値Z1を提供する。第2の構成要素205は、対向する縁部端子220と中心端子210の間に結合され、スイッチS2を含む。更に、スイッチS2は、スイッチが導通している(閉じている)時に固定インピーダンス値Z1と実質的に同等であるか又はスイッチが非導通である(開いている)時に固定インピーダンス値Z1よりも実質的に大きい(無限大である)かのいずれかの可変インピーダンス値を提供する。 交流(AC)信号ソースは、中心端子210に正弦波の信号を提供する。開口208は、導電材料、例えば、金属から製造された平坦面202の中心に実質的に矩形形状に形成される。同じく、直流(DC)ソース接地が平坦面202に結合される。
【0032】
1又は2以上の実施形態では、スイッチS2は、電子スイッチ、バラクタ、リレー、ヒューズ、及び機械的スイッチなどのうちの1又は2以上を含むことができる。更に、パッチアンテナ上の放射定常波は、平坦面202の中心軸線に沿う仮想接地を有するので、
図2A~2Dに関して上述したように、スイッチS2の可変インピーダンスが固定インピーダンス値Z1よりも実質的に大きい時に、中心端子210に提供された正弦波信号は、中心端子210から縁部端子222までのパッチアンテナのオフセット位置に接続しようとする。
【0033】
図2Fは、例示的切換可能パッチアンテナの概略側面図を示している。この実施形態では、スイッチS2が非導通である(開いている)ので、スイッチS2の可変インピーダンス値は、第1の構成要素201の固定インピーダンス値Z1よりも実質的に大きい。構成要素201及び205のインピーダンス値でのこの大きい不均衡は、切換可能パッチアンテナ200による正弦波信号の放射を引き起こす。
【0034】
図2Gは、例示的切換可能パッチアンテナの概略側面図を示している。この実施形態では、第2の構成要素205のためのスイッチS2の可変インピーダンス値は、第1の構成要素201の固定インピーダンス値Z1と実質的に等しく、信号は、アンテナによって放射されない又は相互結合されない。
【0035】
図2Hは、単極作動モードに配置された例示的切換可能パッチアンテナの上面図を示し、第1の構成要素は、可変インピーダンス値を有するスイッチS1を有し、第2の構成要素は、同じく可変インピーダンス値を提供するスイッチS2を含み、スイッチS1及びスイッチS2の可変インピーダンス値は、それらが共に導通している時に実質的に同等であり、非導通であるいずれのスイッチの可変インピーダンス値も、導通している他方のスイッチの可変インピーダンス値よりも実質的に大きい。このようにして、スイッチS1とスイッチS2のいずれが導通している又は非導通であるかにより、切換可能パッチアンテナによって放射される正弦波信号の位相角を180度変化させることができる、
図2C及び
図2D、及び対応する本文に示すように。
【0036】
1又は2以上の実施形態では、切換可能パッチアンテナ200は、
図2C(206a及び206b)、
図2D(206a’及び206b’)、及び
図2F(206a’’及び206b’’)に示すように、パッチを横切る半波長の正弦波電圧分布を伴って望ましい中心周波数で共振することによって作動する。更に、正弦波信号の電圧は、切換可能パッチアンテナの平坦面内の開口の中心端子で0Vを通過するので、切換可能パッチアンテナの中心端子には正弦波電流が流れない。従って、切換可能パッチアンテナは、平坦面の中心を横切る連続した金属化と不連続の金属化の両方で作動させることができる。更に、正弦波信号の電圧は、中心端子で0Vであるので、切換可能パッチアンテナは、アンテナの作動に影響を与えることなく、上述のように機械的に接地に短絡させることができる。
【0037】
従って、1又は2以上の実施形態では、平面導体が1つの連続領域である時に、切換可能パッチアンテナは単極モードで作動する。しかし、1又は2以上の他の実施形態では、平面導体が狭い間隙で分離された2つの別々の領域を含む時に、切換可能パッチアンテナは、提供された正弦波信号を双極作動モードで放射する。双極作動モードを提供するために、切換可能パッチアンテナの平面導体は別様に配置され、第1の構成要素及び第2の構成要素を通して互いに電気的(及び物理的)に結合される2つの別々の領域にされる。同じく、非導電間隙の幅を最小限にして、正弦波信号に対する双極放射モードを最適化する。2つの構成要素は間隙を横切って平坦面の2つの領域を互いに電気的(及び物理的)に接続する。双極モードで作動する切換可能パッチアンテナの例示的実施形態を
図3A及び3Dに示している。
【0038】
図3Aは、双極放射モードを提供するために領域302aと302bの間に間隙301を配置した例示的切換可能パッチアンテナの概略上面図を示している。第1の構成要素308は、固定インピーダンス値Z1を提供する。同じく、第1の構成要素308は、領域302a及び領域302bによって形成される平面導体の中心に位置決めされた端子320間に結合され、更に、開口304に開く領域302aの縁部上の端子324に結合される。第2の構成要素306はスイッチS2を含み、そのスイッチS2は、導通している(閉じている)時に固定インピーダンス値Z1と実質的に同等であるか、又は非導通である(開いている)時に固定インピーダンス値Z1よりも実質的に大きい(無限大である)かのいずれかの可変インピーダンス値を提供する。更に、第2の構成要素306は、中心端子320と開口304に開く領域302bの縁部上の端子322との間に結合される。同じく、中心端子320にはAC信号ソースが結合され、領域302bにはDCバイアス回路が結合される。双極モードでの切換可能パッチアンテナ300の一般化された作動は、
図2Eに示すような単極モードの切換可能パッチアンテナ200と実質的に類似である。更に、1又は2以上の実施形態では、非導電間隙301の幅を最小限にして信号に対する双極放射モードを最適化する。同じく、DC接地が領域302bに結合される。
【0039】
図3Bは、第2の構成要素306のスイッチS2が非導通である(開いている)時に、双極モードで作動する切換可能パッチアンテナ300の例示的概略側面図を示している。図示のように、信号ソースから中心端子320に信号が提供される。信号のピーク正波形310aとピーク負波形310bが、第1の領域302a及び第2の領域302bの平行かつ両側の縁部に示されている。信号の波形は、マイクロ波又は無線周波数のような特定周波数で基づいて両側の縁部間で振動する。同じく、DC接地が領域302bに結合される。
【0040】
図3Cは、例示的切換可能パッチアンテナ300の概略側面図を示し、このアンテナは、第2の構成要素306のスイッチS2が導通しており(閉じており)、第2の構成要素の可変インピーダンス値が第1の構成要素308の固定インピーダンス値Z1と実質的に等しい時に双極放射モードに配置される。同じく、DC接地が領域302bに結合される。図示のように、スイッチS2の導通は、提供された信号、又は他のアンテナ又は共振構造によって提供される他のあらゆる相互結合された信号の放射を実質的に停止させる。
【0041】
図3Dは、双極放射モードで間隙を有して配置された例示的切換可能パッチアンテナの概略上面図を示している。第1の構成要素307は、可変インピーダンス値を提供するスイッチS1を含み、第2の構成要素308は、別の可変インピーダンス値を提供するスイッチS2を含む。スイッチS1及びスイッチS2の可変インピーダンス値は、両者が導通している(閉じている)時に実質的に同等である。同じく、非導通である(開いている)いずれのスイッチ(S1又はS2)の可変インピーダンス値も、導通している(閉じている)他方のスイッチ(S1又はS2)の可変インピーダンス値よりも実質的に大きい。このようにして、スイッチS1とスイッチS2のいずれが導通しているか又は非導通であるかにより、切換可能パッチアンテナによって放射される正弦波信号の位相角を180度変化させることができる、
図2C及び
図2D、及び対応する本文に示すように。同じく、DC接地が領域302aと領域302bの両方に結合される。
図4は、切換可能パッチアンテナを作動させる方法400の流れ図を示している。開始ブロックから移動して、処理はブロック402に進み、アンテナの切り換えられた構成要素が導通状態(閉じた状態)に置かれ、別の構成要素の固定インピーダンス値又は可変インピーダンス値と実質的に同等な可変インピーダンス値を提供する。スイッチが導電状態のままである限り、アンテナは提供された信号を放射せず、別の信号と相互結合させない。判断ブロック404では、信号の波形を放射するためにアンテナを使用するか否かについて決定が行われる。ノーであれば、処理はブロック402にループして戻る。しかし、決定がイエスであれば、処理は、任意的に判断ブロック406に移り、提供された信号の位相角を180度シフトさせるべきか否かについて決定が行われる。真であれば、処理はブロック410に移り、位相シフトを提供するために切り換えられた構成要素が選択される。次に、処理はブロック410に移る。同じく、判断ブロック406での任意的な決定が偽であれば、処理はブロック410に直接移り、選択された切り換えられた構成要素が非導電状態(開いた状態)に置かれて別の構成要素の固定インピーダンス値又は可変インピーダンス値よりも実質的に大きい可変インピーダンスを提供すると考えられる。信号はアンテナによって放射され、処理は判断ブロック404にループして戻り、実質的に同じアクションを実行する。
【0042】
図5は、切換可能パッチアンテナ502を作動させるのに使用される例示的装置500の概略説明図を示している。可変インピーダンスコントローラ506は、提供された信号のアンテナによる放射を無効化又は有効化する切換可能パッチアンテナ502と共に含まれた切り換えられた構成要素(図示せず)の導通及び非導通の状態を制御するのに使用される。この信号は、信号ソース504によって提供される。同じく、DC接地508は、切換可能パッチアンテナ502に結合される。
【0043】
流れ図の図の各ブロック、及び流れ図の図のブロックの組合せ(すなわち、1又は2以上のシステム又はシステムの組合せに関して上述したアクション)は、コンピュータプログラム命令によって実施することができることは理解されるであろう。これらのプログラム命令をプロセッサに与えてプロセッサ上で実行される命令が流れ図のブロックで指定されるアクションを実施するための手段を生成するようにマシンを生成することができる。コンピュータプログラム命令をプロセッサが実行して一連の作動段階をプロセッサによって実行させてコンピュータ実装処理を作り出させ、そのためにプロセッサ上で実行される命令は、流れ図ブロックで指定されたアクションを実施するための段階を提供することができる。コンピュータプログラム命令はまた、流れ図のブロックに示す作動段階の少なくとも一部を並列で実行させることができる。更に、段階の一部は、マルチプロセッサコンピュータシステムで生じる場合があるように1よりも多いプロセッサにわたって実行することができる。これに加えて、流れ図の図の1又は2以上のブロック又はブロックの組合せは、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく他のブロック又はブロックの組合せと同時に又は図とは異なる順序でさえも実行することができる。
【0044】
これに加えて、1又は2以上の段階又はブロックは、コンピュータプログラムの代わりに特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルアレイ論理部(PAL)のような又はその組合せといった内蔵論理ハードウエアを使用して実施することができる。内蔵論理ハードウエアは、1又は2以上の段階又はブロックでのアクションの一部又は全てを実行するために内蔵論理を直接実行することができる。同じく、1又は2以上の実施形態(図示せず)では、1又は2以上の段階又はブロックのアクションの一部又は全ては、CPUの代わりにハードウエアマイクロコントローラで実行することができる。1又は2以上の実施形態では、マイクロコントローラは、システム・オン・チップ(SOC)などのようなアクションを実行するための独自の内蔵論理部を直接実行し、かつアクションを実行するために独自の内部メモリ及び独自の外部入力及び出力インタフェース(例えば、ハードウエアピン及び/又は無線送受信機)にアクセス可能である。
【0045】
以上の明細書、実施例、及びデータは、本発明の製造及び使用に関する完全な説明を提供するものである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明の多くの実施形態を作ることができるので、本発明は、以下に添付する特許請求の範囲にあるものとする。
【符号の説明】
【0046】
200 切換可能パッチアンテナ
202 平坦面
208 開口
210 中心端子
220、222 縁部端子