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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/532 20060101AFI20240716BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61F13/532 200
A61F13/49 413
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021553614
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2020040164
(87)【国際公開番号】W WO2021085399
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2019194942
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】古川 大介
(72)【発明者】
【氏名】島田 崇博
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-142272(JP,A)
【文献】特開2011-234896(JP,A)
【文献】特開2015-051171(JP,A)
【文献】特開2012-24418(JP,A)
【文献】特開2007-202575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使い捨ておむつであって、
着用者の腹部を覆うための前腹部と、
前記着用者の臀部を覆うための後背部と、
前記着用者の股下部を介して前記前腹部と前記後背部との間に延びるとともに前記着用者の排泄物等を吸収するための吸収体と、を備え
前記吸収体は、
トップシートと、
前記トップシートと対向するバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間で所定の長手方向に延びるとともに、前記着用者の排泄物等を吸収するための吸収性コアと、を備え、
前記吸収性コアは、前記トップシートに向けて開くとともに前記長手方向に延びる形状をそれぞれ有し、かつ、前記長手方向に並ぶ複数の開口部を有する開口部列を前記長手方向に直交する方向に複数有するとともに、前記長手方向に互いに隣接する2つの開口部同士の間であって、前記長手方向に直交する方向において前記開口部が形成されていない領域を有し、
開口部列における前記開口部は、前記長手方向において同じ位置に配置され、
前記複数の開口部のうち互いに隣接する2つの開口部同士の前記長手方向の間隔は、当該隣接する2つの開口部のそれぞれの前記長手方向の寸法以上の寸法に設定され
前記吸収性コアの前記長手方向の両端部には、前記複数の開口部の非形成領域がそれぞれ設けられ、
前記非形成領域の双方の前記長手方向の寸法は、それぞれ前記複数の開口部の前記長手方向の寸法のうち最も長い寸法以上に設定され、
前記吸収体における前記非形成領域のうちの一方を有する部分が前記前腹部に接続されているとともに、前記吸収体における前記非形成領域のうちの他方を有する部分が前記後背部に接続され、
前記開口部列における前記複数の開口部は、前記長手方向の第1寸法を有する2つの第1開口部と、前記2つの第1開口部の間に設けられているとともに、前記第1寸法よりも長い前記長手方向の第2寸法を有する1つの第2開口部と、を含み、
前記第2開口部は、前記吸収体の前記長手方向の中央に設けられている使い捨ておむつ
【請求項2】
前記複数の開口部のうち互いに隣接する2つの開口部同士の前記長手方向の間隔の全ては、前記複数の開口部の前記長手方向の寸法のうちの最も長い寸法以上に設定されている、請求項1に記載の使い捨ておむつ
【請求項3】
前記長手方向に並ぶ前記開口部列が2列形成されている、請求項1に記載の使い捨ておむつ
【請求項4】
前記開口部は、前記吸収性コアの前記トップシート側の面から前記バックシート側の面まで貫通するように延びている、請求項1に記載の使い捨ておむつ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の排泄物等を吸収するための吸収体及びこれを備えた使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、使い捨ておむつや生理用ナプキンに用いられる吸収体が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の補助パッドは、トップシートと、トップシートに対向するバックシートと、トップシートとバックシートとの間に設けられた吸収用積層体と、を備えている。
【0004】
吸収用積層体は、所定の長手方向に延びる形状を有する。また、吸収用積層体は、バックシート上に設けられた下層吸収体と、下層吸収体とトップシートとの間に設けられた上層吸収体と、を備えている。
【0005】
また、吸収用積層体は、着用者の動きに合わせて補助パッドが捩れた場合でも着用者との密着性を高めるための構成を有している。具体的に、上層吸収体には、吸収用積層体の長手方向(上層吸収体の長手方向)に連続的に延びる長方形状の開口部が形成されている。これにより補助パッドが捩れようとする場合に、開口部が閉じることにより上層吸収体31の上面を平らに維持することができるため、着用者との密着性を高めることができる。
【0006】
さらに、開口部が上層吸収体の長手方向に連続的に延びているため、排泄物等を長手方向に拡散させることができ、開口部が形成されていない場合と比較して効率よく排泄物等を吸収することができる。
【0007】
上述のように、排泄物等を長手方向に拡散するために開口部は長手方向に比較的長く形成されていることが好ましいが、開口部が長過ぎると長手方向と直交する方向における吸収性パッドの曲げ強度が低下し、同方向において着用者との密着性が低下するという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-202575号公報
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり、吸収体の長手方向に対する排泄物等の拡散機能と長手方向と直交する方向における着用者との密着性の維持との両立を図ることができる吸収体及びこれを備えた使い捨ておむつを提供することにある。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、使い捨ておむつであって、着用者の腹部を覆うための前腹部と、前記着用者の臀部を覆うための後背部と、前記着用者の股下部を介して前記前腹部と前記後背部との間に延びるとともに前記着用者の排泄物等を吸収するための吸収体と、を備え前記吸収体は、トップシートと、前記トップシートと対向するバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間で所定の長手方向に延びるとともに、前記着用者の排泄物等を吸収するための吸収性コアと、を備え、前記吸収性コアは、前記トップシートに向けて開くとともに前記長手方向に延びる形状をそれぞれ有し、かつ、前記長手方向に並ぶ複数の開口部を有する開口部列を前記長手方向に直交する方向に複数有するとともに、前記長手方向に互いに隣接する2つの開口部同士の間であって、前記長手方向に直交する方向において前記開口部が形成されていない領域を有し、各開口部列における前記開口部は、前記長手方向において同じ位置に配置され、前記複数の開口部のうち互いに隣接する2つの開口部同士の前記長手方向の間隔は、当該隣接する2つの開口部のそれぞれの前記長手方向の寸法以上の寸法に設定され、前記吸収性コアの前記長手方向の両端部には、前記複数の開口部の非形成領域がそれぞれ設けられ、前記非形成領域の双方の前記長手方向の寸法は、それぞれ前記複数の開口部の前記長手方向の寸法のうち最も長い寸法以上に設定され、前記吸収体における前記非形成領域のうちの一方を有する部分が前記前腹部に接続されているとともに、前記吸収体における前記非形成領域のうちの他方を有する部分が前記後背部に接続され、前記開口部列における前記複数の開口部は、前記長手方向の第1寸法を有する2つの第1開口部と、前記2つの第1開口部の間に設けられているとともに、前記第1寸法よりも長い前記長手方向の第2寸法を有する1つの第2開口部と、を含み、前記第2開口部は、前記吸収体の前記長手方向の中央に設けられている使い捨ておむつを提供する。
【0012】
本発明によれば、吸収体の長手方向に対する排泄物等の拡散機能と長手方向と直交する方向における着用者との密着性の維持との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る使い捨ておむつの全体構成を示す斜視図である。
図2図1の使い捨ておむつの展開図である。
図3図2の使い捨ておむつの分解斜視図である。
図4図2のIV-IV線断面図である。
図5図4の吸収性コアを示す平面図である。
図6】本発明の別の実施形態に係る吸収性コアの平面図である。
図7】本発明の別の実施形態に係る使い捨ておむつの全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る使い捨ておむつ1の全体構成を示す斜視図である。図2は、図1の使い捨ておむつ1の展開図である。図3は、図2の使い捨ておむつの分解斜視図である。
【0016】
図1図3を参照して、使い捨ておむつ1は、着用者の腹部を覆うための前腹部Pと、着用者の臀部を覆うための後背部Qと、着用者の股下部を介して前腹部Pと後背部Qとの間に設けられた吸収体2と、を備えている。
【0017】
吸収体2の長手方向の一方の端部は、前腹部Pに接続され、吸収体2の長手方向の他方の端部は、後背部Qに接続されている。このように前腹部P及び後背部Qに接続された吸収体2が二つ折りにされた状態で、前腹部P及び後背部Qの互いに対向する両側部1aがサイドシールされている(以下「サイドシール1a」と記載)。これにより、吸収体2の両側にはレッグ用開口部Sが形成されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、前腹部Pは、着用者の肌面側に配置される内側シートP2と、内側シートP2に対して着用者の肌面と反対側に配置される外側シートP1と、内側シートP2に固定されたウェスト用弾性部材3と、内側シートP2及び外側シートP1に固定されたボディフィット用弾性部材4と、を備えている。
【0019】
内側シートP2及び外側シートP1(以下、区別を要しないときは両シートP1、P2という)は、不織布により構成され、同形状を有する。具体的に、両シートP1、P2は、凸部12aと、凸部12aの両側に設けられた一対の凹部12bと、を備えた平面形状を有する。
【0020】
また、後背部Qは、着用者の肌面側に配置される内側シートQ2と、内側シートQ2に対して着用者の肌面と反対側に配置される外側シートQ1と、内側シートQ2に固定されたウェスト用弾性部材3と、内側シートQ2及び外側シートQ1に固定されたボディフィット用弾性部材4と、を備えている。
【0021】
内側シートQ2及び外側シートQ1(以下、区別を要しないときは両シートQ1、Q2という)は、不織布により構成され、同形状を有する。具体的に、両シートQ1、Q2は、凸部12aと、凸部12aの両側に設けられた一対の凹部12bと、を備えた平面形状を有する。
【0022】
ウェスト用弾性部材3は、内側シートP2、Q2の長手方向(図2の左右方向)に伸長した状態で当該内側シートP2、シートQ2にそれぞれ接着されている。
【0023】
ボディフィット用弾性部材4は、両シートP1、P2の間に挟まれ、かつ、両シートP1、P2の長手方向(図2の左右方向)に伸長した状態で両シートP1、P2に接着されている。また、ボディフィット用弾性部材4は、両シートQ1、Q2の間に挟まれ、かつ、両シートQ1、Q2の長手方向に伸長した状態で両シートQ1、Q2に接着されている。
【0024】
また、ボディフィット用弾性部材4は、前腹部P及び後背部Qの長手方向(図2の左右方向)における凸部12aの形成範囲内において切断されている。これにより、前腹部P及び後背部Qには、ボディフィット用弾性部材4の収縮力が小さくされた弱体化部12cが形成されている。
【0025】
図2に示すように、吸収体2は、前腹部Pと後背部Qとに跨るように前腹部P及び後背部Qに接続されている。具体的に、吸収体2の長手方向(図2の上下方向)の一方の端部は、後背部Qにおける凸部12a及び弱体化部12cと重なった状態で後背部Qに接着されている。また、吸収体2の長手方向の他方の端部は、前腹部Pにおける凸部12a及び弱体化部12cと重なった状態で前腹部Pに接着されている。
【0026】
図4は、図2の吸収体2を長手方向と直交する方向に切断した状態を示す断面図、つまり、図2におけるIV-IV線断面図である。
【0027】
吸収体2は、トップシート21と、トップシート21と対向するバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に設けられた吸収性コア23と、吸収性コア23を包み込むティッシュ25と、吸収性コア23の側方への排泄物等の移動を規制する立ち上がりフラップ8と、を備えている。
【0028】
トップシート21は、液体を透過する特性を有する材質(本実施形態では不織布)により構成されている。
【0029】
ティッシュ25は、トップシート21とバックシート22との間で吸収性コア23の形状を保つために吸収性コア23を包み込んでいる。また、ティッシュ25は、液体を透過する材質により構成されている。
【0030】
バックシート22は、液体の透過を規制する材質(本実施形態では、ポリエチレン又は撥水性及び通気性を有する不織布)により構成されている。
【0031】
トップシート21及びバックシート22は、吸収性コア23の周囲の全周に亘り互いに密着し、両シート21、22は、密着位置で互いに接着されている。また、吸収性コア23も、バックシート22に対して接着されている。
【0032】
立ち上がりフラップ8は、バックシート22の下面に接着された基部8aと、基部8aにおける吸収性コア23の両側位置からそれぞれ吸収性コア23の上方位置まで延びる一対の立ち上がり部8bと、各立ち上がり部8bの先端部に設けられた弾性部材7と、を備えている。基部8a及び立ち上がり部8bは、液体の透過を規制する材質(本実施形態では、ポリエチレン又は撥水性及び通気性を有する不織布)により構成されている。なお、上記のように基部8a及び立ち上がり部8bが液体の透過を規制する材質により構成されている場合には、バックシート22が液体を透過する特性を有する材質により構成されていてもよい。
【0033】
図5は、図4の吸収性コア23を示す平面図である。
【0034】
図5を参照して、吸収性コア23は、吸収体2の長手方向(図2の上下方向、以下同様)に延びるとともに着用者の排泄物等を吸収するためのものである。具体的に、吸収性コア23は、粉砕されたパルプ(フラッフ)が積層(成型)されたものである。なお、吸収性コア23は、フラッフに加えて高吸収性ポリマーを含んでいてもよい。
【0035】
また、吸収性コア23は、トップシート21に向けて開くとともに長手方向に延びる形状をそれぞれ有し、かつ、前記長手方向に並ぶ複数の開口部23aを有する。本実施形態の吸収性コア23には、長手方向に並ぶ3つの開口部23aが2列形成されている。各列における3つの開口部23aは、長手方向において同じ位置に配置されているが、長手方向において異なる位置に配置することもできる。
【0036】
開口部23aは、吸収性コア23のトップシート21側の面からバックシート22側の面まで貫通するように延びている。開口部23aは、吸収性コア23を貫通している必要はなく、バックシート22側に底部を有する開口部23aを形成することもできる。
【0037】
また、複数の開口部23aのうち互いに隣接する2つの開口部同士の長手方向の間隔G1、G2は、当該隣接する2つの開口部23aのそれぞれの長手方向の寸法D1以上の寸法に設定されている。
【0038】
具体的に、開口部23aの長手方向の寸法D1は、全て実質的に同一の寸法に設定されている。また、各列において互いに隣接する2つの開口部23a同士の長手方向の間隔G1、G2については、間隔G2が間隔G1よりも大きく設定されている。そして、間隔G1は、寸法D1以上に設定されている。なお、間隔G2が間隔G1よりも大きく設定された例について説明したが、全ての間隔が実質的に同一の寸法に設定されていてもよい。
【0039】
以上説明したように、前記実施形態によれば、長手方向に延びる形状を有するとともに長手方向に並ぶ複数の開口部23aを有するため、これらの開口部23aを介して着用者の排泄物等を長手方向に拡散することができる。しかも、互いに隣接する2つの開口部23a同士の間隔G1、G2が当該開口部23aの長手方向の寸法D1以上に設定されているため、開口部23a同士の間隔G1、G2、つまり、開口部23aの形成されていない領域を比較的広く確保することができ、長手方向と直交する方向における吸収性コア23の曲げ強度を維持することができる。したがって、上記のように複数の開口部23aによる排泄物等の長手方向への拡散機能を確保しながら吸収性コア23の着用者への密着性を維持することができる。
【0040】
なお、前記実施形態では、開口部の長手方向の寸法D1が全て実質的に同一の寸法に設定されているが、図6に示す吸収性コア24のように、開口部の長手方向の寸法を開口部毎に異なる値に設定することもできる。
【0041】
図6は、本発明の別の実施形態に係る吸収性コア24の平面図である。以下、図6を参照して、吸収性コア24において図5に示す吸収性コア23と異なる部分について主に説明する。
【0042】
吸収性コア24には、長手方向に並ぶ3つの開口部24a、24bの列が2列形成されている。各列における開口部24a、24bの構成及び配置は共通するため、右側の列について説明する。
【0043】
右側の列には、長手方向の寸法D2を有する2つの開口部24aと、これら開口部24aの間に設けられているとともに寸法D2よりも長い長手方向の寸法D3を有する1つの開口部24bと、が含まれている。
【0044】
開口部24bと両開口部24aとの間隔G3は、実質的に同一に設定され、開口部24a、24bの長手方向の寸法D2、D3のうち最も長い寸法D3以上に設定されている。2つの間隔G3は、寸法D3以上であることを条件として異なる寸法に設定することもできる。
【0045】
これにより、互いに隣接する開口部24a、24b同士の間隔を当該互いに隣接する開口部の2つの寸法に基づいて管理する場合と異なり、最も長い開口部24bの長手方向の寸法D3という一つの基準に基づいて、開口部24a、24b同士の間隔の全てを効率的に管理することができる。
【0046】
さらに、本実施形態の吸収性コア24の両端部には、前記実施形態と同様に、開口部24a、24bの非形成領域R1、R2が形成されており、これら非形成領域R1、R2の長手方向の寸法G4が寸法D3以上に設定されている。これにより、吸収性コア24の両端部において吸収体2の強度を十分に確保することができる。
【0047】
そのため、図2に示すように、非形成領域R1、R2を前腹部P及び後背部Qに対する接続部分として用いることにより当該接続部分の強度を十分に確保することができる。つまり、本実施形態の吸収性コア24を適用した使い捨ておむつ1においては、吸収体2における非形成領域R1を有する部分が前腹部Pに接続されているとともに、吸収体2における非形成領域R2を有する部分が後背部Qに接続されている構成を採用することができる。
【0048】
このような使い捨ておむつ1によれば、上述したように強度の確保された非形成領域R1、R2において吸収体2と前腹部P及び後背部Qとを接続することができるため、両者の接続強度を十分に確保することができる。
【0049】
なお、前記実施形態では、非形成領域R1、R2の長手方向の寸法G4が実質的に同一に設定されているが、非形成領域R1、R2の長手方向の寸法を個別に設定してもよい。
【0050】
また、前記実施形態のように、開口部23a、24a、24bが吸収性コア23、24を貫通するように形成されている場合には、開口部23a、24a、24bを通じてトップシート21とバックシート22とが互いに接合されていてもよい。このようにすれば、両シート21、22に対する吸収性コア23、24の移動を確実に規制することができる。
【0051】
さらに、前記実施形態では、前腹部Pと後背部Qとに跨るように吸収体2を設ける使い捨ておむつ1について説明したが、図7に示すように、前腹部P、後背部Q及び股下部Uを有するシートに対し股下部Uを覆うように吸収体2を設けることもできる。
【0052】
なお、上述した実施形態における弾性部材3、4、7として、ポリウレタン、天然ゴム、熱可塑性樹脂を含むものを採用することができる。また、弾性部材3、4、7の形状として、糸状、リボン状のものを採用することができる。さらに、熱可塑性の弾性部材3、4、7を採用する場合、それ自体がシートP1、P2、Q1、Q2に接着可能な特性を有する場合には、接着剤を省略することができる。
【0053】
また、前記実施形態では、図1及び図7に示すように、前腹部Pと後背部Qとがサイドシール1aにより接合されたパンツ型の使い捨ておむつに吸収体2を適用する例について説明した。しかし、適用対象となる使い捨ておむつはパンツ型に限定されず、サイドシール1aを省略するとともに面テープを追加して、前腹部Pと後背部Qとが着脱可能なテープ型の使い捨ておむつに対して吸収体2を適用することもできる。
【0054】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0055】
すなわち、本発明は、着用者の排泄物等を吸収するための吸収体であって、トップシートと、前記トップシートと対向するバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間で所定の長手方向に延びるとともに、着用者の排泄物等を吸収するための吸収性コアと、を備え、前記吸収性コアは、前記トップシートに向けて開くとともに前記長手方向に延びる形状をそれぞれ有し、かつ、前記長手方向に並ぶ複数の開口部を有し、前記複数の開口部のうち互いに隣接する2つの開口部同士の前記長手方向の間隔は、当該隣接する2つの開口部のそれぞれの前記長手方向の寸法以上の寸法に設定されている、吸収体を提供する。
【0056】
本発明によれば、長手方向に延びる形状を有するとともに長手方向に並ぶ複数の開口部を有するため、これらの開口部を介して着用者の排泄物等を長手方向に拡散することができる。しかも、互いに隣接する2つの開口部同士の間隔が当該開口部の長手方向の寸法以上に設定されているため、開口部同士の間隔、つまり、開口部の形成されていない領域を比較的広く確保することができ、長手方向と直交する方向における吸収性コアの曲げ強度を維持することができる。したがって、上記のように複数の開口部による排泄物等の長手方向への拡散機能を確保しながら吸収性コアの着用者への密着性を維持することができる。
【0057】
ここで、複数の開口部の長手方向の寸法をそれぞれ異なる寸法に設定した場合、互いに隣接する開口部同士の間隔を当該互いに隣接する開口部の2つの寸法に基づいて個別に設定することにより上述した効果を得ることができるものの、間隔毎に異なる寸法を管理するのは煩わしい。
【0058】
そこで、前記吸収体において、前記複数の開口部のうち互いに隣接する2つの開口部同士の前記長手方向の間隔の全ては、前記複数の開口部の長手方向の寸法のうちの最も長い寸法以上に設定されていることが好ましい。
【0059】
この態様によれば、最も長い開口部の長手寸法という一つの基準に基づいて、開口部同士の間隔の寸法の全てを効率的に管理することができる。
【0060】
例えば、前腹部、後背部及び股下部を構成するためのシート上(股下部上)に吸収体を接合する場合、吸収体にはそれほど大きな曲げ強度は要求されないものの、前腹部と後背部との間に跨るように吸収体を接合する場合、当該吸収体の両端部にはある程度の強度が要求される。
【0061】
そこで、前記吸収体において、前記吸収性コアの前記長手方向の両端部には、前記複数の開口部の非形成領域がそれぞれ設けられ、前記非形成領域の双方の前記長手方向の寸法は、それぞれ前記複数の開口部の長手方向の寸法のうち最も長い寸法以上に設定されていることが好ましい。
【0062】
この態様によれば、吸収性コアの長手方向の両端部に開口部の形成されていない非形成領域が設けられているため、吸収性コアの両端部において吸収体の強度を十分に確保することができる。
【0063】
また、本発明は、使い捨ておむつであって、着用者の腹部を覆うための前腹部と、着用者の臀部を覆うための後背部と、着用者の股下部を介して前記前腹部と前記後背部との間に延びる前記吸収体と、を備え、前記吸収体における前記非形成領域のうちの一方を有する部分が前記前腹部に接続されているとともに、前記吸収体における前記非形成領域のうちの他方を有する部分が前記後背部に接続されている、使い捨ておむつを提供する。
【0064】
本発明によれば、上述したように強度の確保された非形成領域において吸収体と前腹部及び後背部とを接続することができるため、両者の接続強度を十分に確保することができる。
【0065】
また、上述のように、前記吸収体は、長手方向に延びる形状を有するとともに長手方向に並ぶ複数の開口部を有するため、これらの開口部を介して着用者の排泄物等を長手方向に拡散することができる。しかも、互いに隣接する2つの開口部同士の間隔が当該開口部の長手方向の寸法以上に設定されているため、開口部同士の間隔、つまり、開口部の形成されていない領域を比較的広く確保することができ、長手方向と直交する方向における吸収性コアの曲げ強度を維持することができる。したがって、上記のように複数の開口部による排泄物等の長手方向の拡散機能を確保しながら吸収性コアの着用者への密着性を維持することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7