(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】がんの治療における使用のための、アゼチドベンゾジアゼピン二量体及びこれを含む複合体
(51)【国際特許分類】
C07D 519/00 20060101AFI20240716BHJP
C07K 5/08 20060101ALI20240716BHJP
C07K 5/06 20060101ALI20240716BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20240716BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240716BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240716BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240716BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240716BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240716BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240716BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240716BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240716BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240716BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240716BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240716BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240716BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240716BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240716BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20240716BHJP
A61P 5/18 20060101ALI20240716BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20240716BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240716BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240716BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20240716BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240716BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20240716BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240716BHJP
A61P 15/06 20060101ALI20240716BHJP
A61P 3/12 20060101ALI20240716BHJP
A61P 33/12 20060101ALI20240716BHJP
A61P 33/10 20060101ALI20240716BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240716BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240716BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240716BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240716BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240716BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20240716BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
C07K5/08
C07K5/06
A61K31/551
A61P35/00
A61P35/02
A61P19/08
A61P9/10
A61P17/06
A61P29/00 101
A61P25/00
A61P37/08
A61P27/02
A61P21/04
A61P13/12
A61P1/16
A61P1/04
A61P3/10
A61P5/14
A61P5/18
A61P7/06
A61P1/00
A61P37/02
A61P7/04
A61P17/14
A61P11/02
A61P11/06
A61P15/06
A61P3/12
A61P33/12
A61P33/10
A61P37/06
A61P9/00
A61P17/00
A61P11/00
A61P15/00
A61K47/65
(21)【出願番号】P 2021555569
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2020056761
(87)【国際公開番号】W WO2020187721
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-13
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ウィルソン・ハワード
(72)【発明者】
【氏名】タイス・カイロー
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/192944(WO,A1)
【文献】Tetrahedron Letters,1997年,Vol.38, No.33,5839-5842
【文献】Bioorg. Med. Chem.,2004年,12,5427-5436
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 519/00
C07K 5/08
C07K 5/06
A61K 31/551
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 19/08
A61P 9/10
A61P 17/06
A61P 29/00
A61P 25/00
A61P 37/08
A61P 27/02
A61P 21/04
A61P 13/12
A61P 1/16
A61P 1/04
A61P 3/10
A61P 5/14
A61P 5/18
A61P 7/06
A61P 1/00
A61P 37/02
A61P 7/04
A61P 17/14
A61P 11/02
A61P 11/06
A61P 15/06
A61P 3/12
A61P 33/12
A61P 33/10
A61P 37/06
A61P 9/00
A61P 17/00
A61P 11/00
A61P 15/00
A61K 47/65
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IVの化合物:
であって、
式中:
R
2及びR
2’は、Hであり;
R
6及びR
9は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから独立して選択され;
ここでR及びR’は、任意選択的に置換されているC
1-12アルキル、C
3-20ヘテロシクリル
、C
6-10
カルボアリール基及びC
5-14
ヘテロアリール基から独立して選択され;
(a)R
7は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択され;
R
7’は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択されるか;又は
(b)R
7及びR
7’は、一緒になって:(i)nが7~16である-O-(CH
2)
n-O-;若しくは(ii)mが2~5である-O-(CH
2CH
2O)
m-を形成するか;
のいずれかであり;
R”は、C
3-12アルキレン基であり、かかる鎖は
、O、S、NR
N2(ここで、R
N2は、H若しくはC
1-4アルキルである)
から選択される1つ以上のヘテロ原子、及び/又
はベンゼン若しくはピリジン
から選択される芳香族環によって中断されていてよく;
Y及びY’は、O、S、又はNHから選択され;
R
6’及びR
9’は、それぞれ、R
6及びR
9と同じ基から選択され;
(i-a)R
10及びR
11は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成するか;又は
(i-b)R
10はHであり、R
11は、OH及びOR
Aから選択され、ここで、R
Aは、C
1-4アルキルであるか;又は
(i-c)R
10及びR
11は、両方がHである;
のいずれかであり;
(ii-a)R
20及びR
21は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成するか;又は
(ii-b)R
20は、Hであり、R
21は、OH及びOR
Bから選択され、ここで、R
BはC
1-4アルキルであるか;又は
(ii-c)R
20及びR
21は、両方がHである;
のいずれかである;
前記化合物、ならびにその塩及び溶媒和物。
【請求項2】
Y及びY’は、両方がOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R”は、C
3-7アルキレンである、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
R”は、式:
式中、rは、1又は2である
の基である、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
R
9は、Hであり、R
6は、Hであり、R
7及びR
7’は、独立して、C
1-4アルキルオキシ基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
6’は、R
6と同じ基であり、R
7’は、R
7と同じ基であり、R
9’は、R
9と同じ基であり、Y
’は、Yと同じ基である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式IVa、IVb又はIVcのものである:
式中、R
1aは、メチル及びベンジルから選択される
請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式Iの化合物:
であって、
式中:
Y、Y’、R”、R
2、R
2’、R
6、R
6’、R
7、R
7’、R
9及びR
9’は、請求項1から9のいずれか一項に定義されている通りであり;
R
11bは、OH、OR
Aから選択され、ここでR
Aは、C
1-4アルキルであり;
R
Lは:
(iiia):
(Qは:
であり、Q
Xは、Qが、アミノ酸残基、ジペプチド残基又はトリペプチド残基であるようになっており;
Xは:
であり、a=0~5、b=0~16、c=0又は1、d=0~5であり;
G
Lは、リガンド単位に接続するためのリンカーである);ならびに
(iiib):
(R
L1及びR
L2は、H及びメチルから独立して選択され、又は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン若しくはシクロブチレン基を形成し;
eが0又は1である);
から選択される、細胞結合剤への接続のためのリンカーであり;
(a)R
30及びR
31は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成するか;又は
(b)R
30は、Hであり、R
31は、OH及びOR
Bから選択され、ここでR
BはC
1-4アルキルであるか
(c)R
30及びR
31は、両方がHであるか;又は
(d)R
31は、OH若しくはOR
Bであり、ここでR
Bは、C
1-4アルキルであり、R
30は:
(i)
;
(ii)
;
(iii)
、
(R
Zは:
(z-i)
;
(z-ii)OC(=O)CH
3;
(z-iii)NO
2;
(z-iv)OMe;
(z-v)グルクロニド;
(z-vi)NH-C(=O)-X
1-NHC(=O)X
2-NH-C(=O)-R
ZC、ここで、-C(=O)-X
1-NH-及びC(=O)-X
2-NH-は、天然アミノ酸残基を表し、R
ZCは、Me、OMe、CH
2CH
2OMe、及び(CH
2CH
2O)
2Meから選択される)
から選択される;
のいずれかである
前記化合物、ならびにその塩及び溶媒和物。
【請求項9】
R
30及びR
31は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成する、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式Ia、Ib又はIcのものである:
式中、R
1aは、メチル及びベンジルから選択される
請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
R
Lが、式IIIaのものであり、Qが:
CO-Phe-Lys-
NH,
CO-Val-Ala-
NH,
CO-Val-Lys-
NH,
CO-Ala-Lys-
NH,
CO-Val-Cit-
NH,
CO-Phe-Cit-
NH,
CO-Leu-Cit-
NH,
CO-Ile-Cit-
NH,
CO-Phe-Arg-
NH、及び
CO-Trp-Cit-
NH
から選択されるジペプチド残基である、請求項8から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
Lは、式IIIaのものであり、aは、0であり、cは、1であり、dは、2であり、bは、0~8である、請求項8から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
bは、0、4又は8である、請求項
12に記載の化合物。
【請求項14】
R
Lは、式IIIaのものであり、G
Lは以下から選択される、請求項8から13のいずれか一項に記載の化合物。
(式中、Arは、
フェニレン基を表す)。
【請求項15】
G
Lは、G
L1-1である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
式Idのものであり:
式中、Qは、以下:
(a)-CH
2-;
(b)-C
3H
6-;及び
(c)
から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項17】
式IIの複合体:
L-(D
L)
p (II)
であって、
式中、Lは、リガンド単位(すなわち、標的薬剤)であり、D
Lは、式I’の薬物リンカー単位であり:
式中:
Y、Y’、R”、R
2、R
2’、R
6、R
6’、R
7、R
7’、R
9及びR
9’は、請求項1から6のいずれか一項に定義されている通りであり;
R
11b、R
30及びR
31は、請求項8及び9のいずれかに定義されている通りであり;
R
LLは:
(iiia):
(Q及びXは、請求項8及び11から13のいずれかに定義されている通りであり、G
LLは、リガンド単位に接続されているリンカーである);ならびに
(iiib):
(R
L1及びR
L2は、請求項8に定義されている通りである);
から選択される、細胞結合剤への接続のためのリンカーであり;
pは、1~20の整数である;
前記複合体。
【請求項18】
G
LLが以下から選択される、請求項17に記載の複合体:
(式中、Arは、
フェニレン基を表
し、CBAはリガンド単位を表す。)。
【請求項19】
D
Lが式(Id’)のものであり:
式中、Qは、以下:
(a)-CH
2-;
(b)-C
3H
6-;及び
(c)
から選択される、請求項17に記載の複合体。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか一項に記載の複合体
の混合物を含む組成物であって、複合
体の混合物中の平均pは、約1~約8である、前記組成物。
【請求項21】
療法に用いるための、請求項17~19のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項22】
請求項17~19のいずれか一項に記載の複合体、及び薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項23】
治療対象の増殖性疾患の治療に用いるための、請求項17~19のいずれか一項に記載の複合
体。
【請求項24】
治療対象の増殖性疾患の治療に用いるための、請求項22に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アゼチドベンゾジアゼピン(ABD)二量体、当該二量体を含む複合体、及びこのような複合体を作製するのに使用される前駆体薬物リンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
ピロロベンゾジアゼピン(PBD)二量体は、細胞毒性化合物であることが示されている。
【0003】
例えば、SG2000(SJG-136):
(Gregson,S.J.,et al.,Chem.Commun.,1999,797-798.doi:10.1039/A809791G;
Gregson,S.,et al.,J.Med.Chem.,44,737-748(2001);Alley,M.C.,et al.,Cancer Research,64,6700-6706(2004);及びHartley,J.A.,et al.,Cancer Research,64,6693-6699(2004))は、スタンドアロン薬剤、例えば、NCT02034227として臨床検査に関与しており、急性骨髄性白血病及び慢性リンパ性白血病を治療する際のその使用を調査している(https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02034227を参照)。
【0004】
エンド不飽和の側にC2アリール置換基を有する二量体PBD化合物、例えば、SG2202(ZC-207)は、WO2005/085251:
及びWO2006/111759に開示されており、このようなPBD化合物の亜硫酸水素塩は、例えば、SG2285(ZC-423):
である。
【0005】
これらの化合物は、非常に有用な細胞毒性剤として示されている(Howard,P.W.,et al.,Bioorg.Med.Chem.(2009),doi:10.1016/j.bmcl.2009.09.012)。
【0006】
抗体などの細胞結合剤への接続のためのリンカー基を有する二量体PBD化合物は、WO2011/130598に記載されている。これらの化合物におけるリンカーは、利用可能なN10位のうちの1つに結合されており、リンカー基における酵素の作用によって概して開裂される。WO2014/057074及びWO2015/052322には、1つの単量体においてN10位を介して結合されている特定のPBD二量体複合体が記載されている。
【0007】
対象となる分子としてのPBDの開発における比較的早い段階で、以下の化合物:
が合成され、可能性のあるDNA結合リガンド及び細胞毒性剤として評価されたことが1997年に報告されている(Bose,D.S.,et al.,Tetrahedron Letters,38(33),5839-5842,1997;doi:10.1016/S0040-4039(97)01297-5)。この化合物に関するさらなる公開はなされておらず、そのため、これらの化合物は、試験において安定でなかったか、又は活性でなかったかのいずれかであると思われる。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様は、式IVの化合物:
ならびにその塩及び溶媒和物を提供し、
式中:
R
2及びR
2’は、Hであり;
R
6及びR
9は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから独立して選択され;
ここでR及びR’は、任意選択的に置換されているC
1-12アルキル、C
3-20ヘテロシクリル及びC
5-20アリール基から独立して選択され;
(a)R
7は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択され;
R
7’は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択されるか;又は
(b)R
7及びR
7’は、一緒になって:(i)nが7~16である-O-(CH
2)
n-O-;若しくは(ii)mが2~5である-O-(CH
2CH
2O)
m-を形成するか;
のいずれかであり;
R”は、C
3-12アルキレン基であり、かかる鎖は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、O、S、NR
N2(ここで、R
N2は、H若しくはC
1-4アルキルである)、及び/又は芳香族環、例えば、ベンゼン若しくはピリジンによって中断されていてよく;
Y及びY’は、O、S、又はNHから選択され;
R
6’及びR
9’は、それぞれ、R
6及びR
9と同じ基から選択され;
(i-a)R
10及びR
11は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成するか;又は
(i-b)R
10はHであり、R
11は、OH及びOR
Aから選択され、ここで、R
Aは、C
1-4アルキルであるか;又は
(i-c)R
10及びR
11は、両方がHである;
のいずれかであり;
(ii-a)R
20及びR
21は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成するか;又は
(ii-b)R
20は、Hであり、R
21は、OH及びOR
Bから選択され、ここで、R
BはC
1-4アルキルであるか;又は
(ii-c)R
20及びR
21は、両方がHである;
のいずれかである。
【0009】
本発明の第2の態様は、式Iによる化合物:
ならびにその塩及び溶媒和物を含み、
式中:
Y、Y’、R”、R
2、R
2’、R
6、R
6’、R
7、R
7’、R
9及びR
9’は、本発明の第1の態様に定義されている通りであり;
R
11bは、OH、OR
Aから選択され、ここでR
Aは、C
1-4アルキルであり;
R
Lは:
(iiia):
(Qは:
であり、Q
Xは、Qが、アミノ酸残基、ジペプチド残基又はトリペプチド残基であるようになっており;
Xは:
であり、a=0~5、b=0~16、c=0又は1、d=0~5であり;
G
Lは、リガンド単位に接続するためのリンカーである);ならびに
(iiib):
(R
L1及びR
L2は、H及びメチルから独立して選択され、又は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン若しくはシクロブチレン基を形成し;
eが0又は1である);
から選択される、細胞結合剤への接続のためのリンカーであり;
(a)R
30及びR
31は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成するか;又は
(b)R
30は、Hであり、R
31は、OH及びOR
Bから選択され、ここでR
BはC
1-4アルキルであるか;
(c)R
30及びR
31は、両方がHであるか;又は
(d)R
31は、OH若しくはOR
Bであり、ここでR
Bは、C
1-4アルキルであり、R
30は:
(i)
;
(ii)
;
(iii)
、
(R
Zは:
(z-i)
;
(z-ii)OC(=O)CH
3;
(z-iii)NO
2;
(z-iv)OMe;
(z-v)グルクロニド;
(z-vi)NH-C(=O)-X
1-NHC(=O)X
2-NH-C(=O)-R
ZC、ここで、-C(=O)-X
1-NH-及びC(=O)-X
2-NH-は、天然アミノ酸残基を表し、R
ZCは、Me、OMe、CH
2CH
2OMe、及び(CH
2CH
2O)
2Meから選択される)
から選択される;
のいずれかである。
【0010】
本発明の第3の態様は、式IIの複合体:
L-(D
L)
p (II)
を提供し、
式中、Lは、リガンド単位(すなわち、標的薬剤)であり、D
Lは、式I’の薬物リンカー単位であり:
式中、R
2、R
2’、R
6、R
7、R
9、R
11b、Y、R”、Y’、R
6’、R
7’、R
9’、R
30及びR
31は、本発明の第2の態様に定義されている通りであり;
R
LLは:
(iiia):
(Q及びXは、第1の態様に定義されている通りであり、G
LLは、リガンド単位に接続されているリンカーである);ならびに
(iiib):
(R
L1及びR
L2は、第1の態様に定義されている通りである);
から選択される、細胞結合剤への接続のためのリンカーであり;
pは、1~20の整数である。
【0011】
リガンド単位は、以下に、より完全に記載されており、標的部分に結合する標的薬剤である。リガンド単位は、例えば、細胞成分に(細胞結合剤)、又は対象となる他の標的分子に特異的に結合し得る。リガンド単位は、例えば、タンパク質、ポリペプチド若しくはペプチド、例えば、抗体、抗体の抗原結合断片、又は他の結合剤、例えば、Fc融合タンパク質であり得る。
【0012】
本発明の第4の態様は、増殖性疾患を治療するための医薬の製造における、本発明の第3の態様の複合体の使用を提供する。第4の態様はまた、増殖性疾患の治療に用いるための、本発明の第3の態様の複合体も提供する。第4の態様はまた、増殖性疾患を治療する方法であって、これを必要とする患者に、治療上有効量の、本発明の第2の態様の複合体を投与することを含む、上記方法も提供する。
【0013】
当業者なら、候補の複合体が任意の特定細胞型について増殖性症状を治療するかどうかを、容易に決定することができる。例えば、特定化合物により提供される活性を査定するのに都合良く用いることができるアッセイを、以下の実施例で記載する。
【0014】
本発明の第5の態様は、本発明の第3の態様の複合体の合成であって、本発明の第2の態様の化合物(薬物リンカー)を、リガンド単位によって複合化することを含む、上記合成を提供する。
【0015】
式IVの化合物は、第3の態様の複合体によって放出される弾頭である。
【0016】
定義
置換基
「任意選択的に置換されている」という句は、本明細書中で使用される場合、非置換であっても置換されていてもよい親基に関する。
【0017】
他に特定されていない限り、「置換されている」という用語は、本明細書中で使用される場合、1つ以上の置換基を持つ親基に関する。「置換基」という用語は、本明細書において従来の意味で使用されており、親基に、共有結合的に結合している、場合により縮合している化学的部分を指す。多種多様の置換基が周知されており、また、種々の親基の形成及びこれらへの導入方法も周知されている。
【0018】
置換基の例を、より詳細に以下に記載する。
【0019】
C1-12アルキル:「C1-12アルキル」という用語は、本明細書中で使用される場合、脂肪族であっても脂環式であってもよく、また、飽和であっても不飽和(例えば、部分不飽和、完全不飽和)であってもよい、1~12個の炭素原子を有する炭化水素化合物の1つの炭素原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分に関する。「C1-4アルキル」という用語は、本明細書中で使用される場合、脂肪族であっても脂環式であってもよく、また、飽和であっても不飽和(例えば、部分不飽和、完全不飽和)であってもよい、1~4個の炭素原子を有する炭化水素化合物の1つの炭素原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分に関する。ゆえに、「アルキル」という用語は、以下に考察されている、サブクラスのアルケニル、アルキニル、シクロアルキルなどを含む。
【0020】
飽和アルキル基の例として、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)及びヘプチル(C7)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
飽和直鎖アルキル基の例として、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、n-ブチル(C4)、n-ペンチル(アミル)(C5)、n-ヘキシル(C6)及びn-ヘプチル(C7)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
飽和分岐鎖アルキル基の例として、イソ-プロピル(C3)、イソ-ブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、イソ-ペンチル(C5)、及びネオ-ペンチル(C5)が挙げられる。
【0023】
C2-12アルケニル:「C2-12アルケニル」という用語は、本明細書中で使用される場合、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有するアルキル基に関する。
【0024】
不飽和アルケニル基の例として、エテニル(ビニル、-CH=CH2)、1-プロペニル(-CH=CH-CH3)、2-プロペニル(アリル、-CH-CH=CH2)、イソプロペニル(1-メチルビニル、-C(CH3)=CH2)、ブテニル(C4)、ペンテニル(C5)、及びヘキセニル(C6)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
C2-12アルキニル:「C2-12アルキニル」という用語は、本明細書中で使用される場合、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有するアルキル基に関する。
【0026】
不飽和アルキニル基の例として、エチニル(-C≡CH)及び2-プロピニル(プロパルギル、-CH2-C≡CH)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
C3-12シクロアルキル:「C3-12シクロアルキル」という用語は、本明細書中で使用される場合、環式炭化水素(炭素環式)化合物の1つの脂環式環原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分であって、3~7個の環原子を含めた3~7個の炭素原子を有する、上記部分であり、シクリル基でもあるアルキル基に関する。
【0028】
シクロアルキル基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロパン(C3)、シクロブタン(C4)、シクロペンタン(C5)、シクロヘキサン(C6)、シクロヘプタン(C7)、メチルシクロプロパン(C4)、ジメチルシクロプロパン(C5)、メチルシクロブタン(C5)、ジメチルシクロブタン(C6)、メチルシクロペンタン(C6)、ジメチルシクロペンタン(C7)及びメチルシクロヘキサン(C7)、
不飽和単環式炭化水素化合物:
シクロプロペン(C3)、シクロブテン(C4)、シクロペンテン(C5)、シクロヘキセン(C6)、メチルシクロプロペン(C4)、ジメチルシクロプロペン(C5)、メチルシクロブテン(C5)、ジメチルシクロブテン(C6)、メチルシクロペンテン(C6)、ジメチルシクロペンテン(C7)及びメチルシクロヘキセン(C7)、ならびに
飽和多環式炭化水素化合物:
ノルカラン(C7)、ノルピナン(C7)、ノルボルナン(C7)。
【0029】
C3-20ヘテロシクリル:「C3-20ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中で使用される場合、複素環式化合物の1つの環原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分であって、3~20個の環原子を有し、このうち1~10個が環ヘテロ原子である、上記部分に関する。好ましくは、各環が、3~7個の環原子を有し、このうち1~4個が環ヘテロ原子である。
【0030】
この文脈において、接頭語(例えば、C3-20、C3-7、C5-6など)は、炭素原子又はヘテロ原子にかかわらず、環原子数又は環原子数の範囲を示す。例えば、「C5-6ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中で使用される場合、5又は6個の環原子を有するヘテロシクリル基に関する。
【0031】
単環式ヘテロシクリル基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
N1:アジリジン(C3)、アゼチジン(C4)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C5)、ピロリン(例えば、3-ピロリン、2,5-ジヒドロピロール)(C5)、2H-ピロール又は3H-ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C5)、ピペリジン(C6)、ジヒドロピリジン(C6)、テトラヒドロピリジン(C6)、アゼピン(C7)、
O1:オキシラン(C3)、オキセタン(C4)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C5)、オキソール(ジヒドロフラン)(C5)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C6)、ジヒドロピラン(C6)、ピラン(C6)、オキセピン(C7)、
S1:チイラン(C3)、チエタン(C4)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C5)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C6)、チエパン(C7)、
O2:ジオキソラン(C5)、ジオキサン(C6)、及びジオキセパン(C7)、
O3:トリオキサン(C6)、
N2:イミダゾリジン(C5)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C5)、イミダゾリン(C5)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C5)、ピペラジン(C6)、
N1O1:テトラヒドロオキサゾール(C5)、ジヒドロオキサゾール(C5)、テトラヒドロイソオキサゾール(C5)、ジヒドロイソオキサゾール(C5)、モルホリン(C6)、テトラヒドロオキサジン(C6)、ジヒドロオキサジン(C6)、オキサジン(C6)、
N1S1:チアゾリン(C5)、チアゾリジン(C5)、チオモルホリン(C6)、
N2O1:オキサジアジン(C6)、
O1S1:オキサチオール(C5)及びオキサチアン(チオキサン)(C6)、ならびに、
N1O1S1:オキサチアジン(C6)。
【0032】
置換されている単環式ヘテロシクリル基の例として、環式形態の単糖類、例えば、フラノース(C5)、例えば、アラビノフラノース、リキソフラノース、リボフラノース、及びキシロフラノース、ならびにピラノース(C6)、例えば、アロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、グロピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース及びタロピラノースに由来するものが挙げられる。
【0033】
C5-20アリール:「C5-20アリール」という用語は、本明細書中で使用される場合、芳香族化合物の1つの芳香族環原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分であって、3~20個の環原子を有する上記部分に関する。「C5-7アリール」という用語は、本明細書中で使用される場合、芳香族化合物の1つの芳香族環原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分であって、5~7個の環原子を有する当該部分に関し、「C5-10アリール」という用語は、本明細書中で使用される場合、芳香族化合物の1つの芳香族環原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分であって、5~10個の環原子を有する上記部分に関する。好ましくは、各環は、5~7個の環原子を有する。
【0034】
この文脈において、接頭語(例えば、C3-20、C5-7、C5-6、C5-10など)は、炭素原子又はヘテロ原子にかかわらず、環原子数又は環原子数の範囲を示す。例えば、「C5-6アリール」という用語は、本明細書中で使用される場合、5又は6個の環原子を有するアリール基に関する。
【0035】
上記環原子は、「カルボアリール基」におけるように全て炭素原子であってよい。
【0036】
カルボアリール基の例として、ベンゼン(すなわちフェニル)(C6)、ナフタレン(C10)、アズレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)、ナフタセン(C18)、及びピレン(C16)に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
縮合環を含み、その少なくとも1つが芳香族環であるアリール基の例として、インダン(例えば、2,3-ジヒドロ-1H-インデン)(C9)、インデン(C9)、イソインデン(C9)、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)(C10)、アセナフテン(C12)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)、アセフェナントレン(C15)、及びアセアントレン(C16)に由来する基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
代替的には、上記環原子は、「ヘテロアリール基」におけるように1つ以上のヘテロ原子を含んでいてよい。単環式ヘテロアリール基の例として、以下に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない:
N1:ピロール(アゾール)(C5)、ピリジン(アジン)(C6)、
O1:フラン(オキソール)(C5)、
S1:チオフェン(チオール)(C5)、
N1O1:オキサゾール(C5)、イソオキサゾール(C5)、イソキサジン(C6)、
N2O1:オキサジアゾール(フラザン)(C5)、
N3O1:オキサトリアゾール(C5)、
N1S1:チアゾール(C5)、イソチアゾール(C5)、
N2:イミダゾール(1,3-ジアゾール)(C5)、ピラゾール(1,2-ジアゾール)(C5)、ピリダジン(1,2-ジアジン)(C6)、ピリミジン(1,3-ジアジン)(C6)(例えば、シトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4-ジアジン)(C6)、
N3:トリアゾール(C5)、トリアジン(C6)、及び、
N4:テトラゾール(C5)。
【0039】
縮合環を含むヘテロアリールの例として:
ベンゾフラン(O1)、イソベンゾフラン(O1)、インドール(N1)、イソインドール(N1)、インドリジン(N1)、インドリン(N1)、イソインドリン(N1)、プリン(N4)(例えば、アデニン、グアニン)、ベンズイミダゾール(N2)、インダゾール(N2)、ベンズオキサゾール(N1O1)、ベンズイソオキサゾール(N1O1)、ベンゾジオキソール(O2)、ベンゾフラザン(N2O1)、ベンゾトリアゾール(N3)、ベンゾチオフラン(S1)、ベンゾチアゾール(N1S1)、ベンゾチアジアゾール(N2S)に由来する(2つの縮合環を含む)C9、
クロメン(O1)、イソクロメン(O1)、クロマン(O1)、イソクロマン(O1)、ベンゾジオキサン(O2)、キノリン(N1)、イソキノリン(N1)、キノリジン(N1)、ベンゾキサジン(N1O1)、ベンゾジアジン(N2)、ピリドピリジン(N2)、キノキサリン(N2)、キナゾリン(N2)、シンノリン(N2)、フタラジン(N2)、ナフチリジン(N2)、プテリジン(N4)に由来する(2つの縮合環を含む)C10、
ベンゾジアゼピン(N2)に由来する(2つの縮合環を含む)C11、
カルバゾール(N1)、ジベンゾフラン(O1)、ジベンゾチオフェン(S1)、カルボリン(N2)、ペリミジン(N2)、ピリドインドール(N2)に由来する(3つの縮合環を含む)C13、ならびに、
アクリジン(N1)、キサンテン(O1)、チオキサンテン(S1)、オキサントレン(O2)、フェノキサチイン(O1S1)、フェナジン(N2)、フェノキサジン(N1O1)、フェノチアジン(N1S1)、チアントレン(S2)、フェナントリジン(N1)、フェナントロリン(N2)、フェナジン(N2)に由来する(3つの縮合環を含む)C14
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
単独であるか、又は、別の置換基の一部であるかにかかわらず、上記基は、それ自体が、それ自体及び以下に列挙するさらなる置換基から選択される1つ以上の基によって任意選択的に置換されていてよい。
【0041】
ハロ:-F、-Cl、-Br、及びI。
【0042】
ヒドロキシ:-OH。
【0043】
エーテル:-OR、ここで、Rは、エーテル置換基、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルコキシ基とも称される、以下に考察されている)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルオキシ基とも称される)、又はC5-20アリール基(C5-20アリールオキシ基とも称される)、好ましくはC1-7アルキル基である。
【0044】
アルコキシ:-OR、ここで、Rは、アルキル基、例えば、C1-7アルキル基である。C1-7アルコキシ基の例として、-OMe(メトキシ)、-OEt(エトキシ)、-O(nPr)(n-プロポキシ)、-O(iPr)(イソプロポキシ)、-O(nBu)(n-ブトキシ)、-O(sBu)(sec-ブトキシ)、-O(iBu)(イソブトキシ)、及びO(tBu)(tert-ブトキシ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
アセタール:-CH(OR1)(OR2)、ここで、R1及びR2は、独立して、アセタール置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、若しくはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基であり、又は、「環式」アセタール基の場合、R1及びR2は、これらが結合している2つの酸素原子、及びこれらが結合している炭素原子と一緒になって、4~8個の環原子を有する複素環式環を形成している。アセタール基の例として、-CH(OMe)2、-CH(OEt)2、及びCH(OMe)(OEt)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
ヘミアセタール:-CH(OH)(OR1)、ここで、R1は、ヘミアセタール置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。ヘミアセタール基の例として、-CH(OH)(OMe)及びCH(OH)(OEt)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
ケタール:-CR(OR1)(OR2)、ここで、R1及びR2は、アセタールについて定義されている通りであり、Rは、水素以外のケタール置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。ケタール基の例として、-C(Me)(OMe)2、-C(Me)(OEt)2、-C(Me)(OMe)(OEt)、-C(Et)(OMe)2、-C(Et)(OEt)2、及びC(Et)(OMe)(OEt)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
ヘミケタール:-CR(OH)(OR1)、ここで、R1は、ヘミアセタールについて定義されている通りであり、Rは、水素以外のヘミケタール置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。ヘミアセタール基の例として、-C(Me)(OH)(OMe)、-C(Et)(OH)(OMe)、-C(Me)(OH)(OEt)、及びC(Et)(OH)(OEt)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
オキソ(ケト、-オン):=O。
【0050】
チオン(チオケトン):=S。
【0051】
イミノ(イミン):=NR、ここで、Rは、イミノ置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくは水素又はC1-7アルキル基である。エステル基の例として、=NH、=NMe、=NEt、及び=NPhが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
ホルミル(カルボアルデヒド、カルボキシアルデヒド):-C(=O)H。
【0053】
アシル(ケト):-C(=O)R、ここで、Rは、アシル置換基、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアシル若しくはC1-7アルカノイルとも称される)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルアシルとも称される)、又はC5-20アリール基(C5-20アリールアシルとも称される)、好ましくはC1-7アルキル基である。アシル基の例として、-C(=O)CH3(アセチル)、-C(=O)CH2CH3(プロピオニル)、-C(=O)C(CH3)3(t-ブチリル)、及びC(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
カルボキシ(カルボン酸):-C(=O)OH。
【0055】
チオカルボキシ(チオカルボン酸):-C(=S)SH。
【0056】
チオロカルボキシ(チオロカルボン酸):-C(=O)SH。
【0057】
チオノカルボキシ(チオノカルボン酸):-C(=S)OH。
【0058】
イミド酸:-C(=NH)OH。
【0059】
ヒドロキサム酸:-C(=NOH)OH。
【0060】
エステル(カルボキシラート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):-C(=O)OR、ここで、Rは、エステル置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。エステル基の例として、-C(=O)OCH3、-C(=O)OCH2CH3、-C(=O)OC(CH3)3、及びC(=O)OPhが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
アシルオキシ(逆エステル):-OC(=O)R、ここで、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。アシルオキシ基の例として、-OC(=O)CH3(アセトキシ)、-OC(=O)CH2CH3、-OC(=O)C(CH3)3、-OC(=O)Ph、及びOC(=O)CH2Phが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
オキシカルボイルオキシ:-OC(=O)OR、ここで、Rは、エステル置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。エステル基の例として、-OC(=O)OCH3、-OC(=O)OCH2CH3、-OC(=O)OC(CH3)3、及びOC(=O)OPhが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
アミノ:-NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアミノ若しくはジ-C1-7アルキルアミノとも称される)、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはH又はC1-7アルキル基であり、あるいは、「環式」アミノ基の場合、R1及びR2は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、4~8個の環原子を有する複素環式環を形成している。アミノ基は、第一級(-NH2)、第二級(-NHR1)、又は第三級(-NHR1R2)であってよく、カチオン形態では、第四級(-+NR1R2R3)であってよい。アミノ基の例として、-NH2、-NHCH3、-NHC(CH3)2、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2、及びNHPhが挙げられるが、これらに限定されない。環式アミノ基の例として、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、及びチオモルホリノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキサミド):-C(=O)NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義されているアミノ置換基である。アミド基の例として、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)N(CH3)2、-C(=O)NHCH2CH3、及びC(=O)N(CH2CH3)2、ならびに、R1及びR2が、これらが結合している窒素原子と一緒になって、例えば、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、及びピペラジノカルボニルにおけるように複素環式構造を形成しているアミド基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
チオアミド(チオカルバミル):-C(=S)NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義されているアミノ置換基である。アミド基の例として、-C(=S)NH2、-C(=S)NHCH3、-C(=S)N(CH3)2、及びC(=S)NHCH2CH3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
アシルアミド(アシルアミノ):-NR
1C(=O)R
2、ここで、R
1は、アミド置換基、例えば、水素、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは水素又はC
1-7アルキル基であり、R
2は、アシル置換基、例えば、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、又はC
5-20アリール基、好ましくは水素又はC
1-7アルキル基である。アシルアミド基の例として、-NHC(=O)CH
3、-NHC(=O)CH
2CH
3、及びNHC(=O)Phが挙げられるが、これらに限定されない。R
1及びR
2は、例えば、スクシンイミジル、マレイミジル、及びフタルイミジル:
スクシンイミジル マレイミジル フタルイミジル
におけるように、一緒になって環式構造を形成していてよい。
【0067】
アミノカルボニルオキシ:-OC(=O)NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義されているアミノ置換基である。アミノカルボニルオキシ基の例として、-OC(=O)NH2、-OC(=O)NHMe、-OC(=O)NMe2、及びOC(=O)NEt2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
ウレイド:-N(R1)CONR2R3、ここで、R2及びR3は、独立して、アミノ基について定義されているアミノ置換基であり、R1は、ウレイド置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくは水素又はC1-7アルキル基である。ウレイド基の例として、-NHCONH2、-NHCONHMe、-NHCONHEt、-NHCONMe2、-NHCONEt2、-NMeCONH2、-NMeCONHMe、-NMeCONHEt、-NMeCONMe2、及びNMeCONEt2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
グアニジノ:-NH-C(=NH)NH2。
【0070】
テトラゾリル:4個の窒素原子及び1個の炭素原子を有する5員の芳香族環:
【0071】
イミノ:=NR、ここで、Rは、イミノ置換基、例えば、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはH又はC1-7アルキル基である。イミノ基の例として、=NH、=NMe、及び=NEtが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
アミジン(アミジノ):-C(=NR)NR2、ここで、各Rは、アミジン置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはH又はC1-7アルキル基である。アミジン基の例として、-C(=NH)NH2、-C(=NH)NMe2、及びC(=NMe)NMe2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
ニトロ:-NO2。
【0074】
ニトロソ:-NO。
【0075】
アジド:-N3。
【0076】
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):-CN。
【0077】
イソシアノ:-NC。
【0078】
シアナト:-OCN。
【0079】
イソシアナト:-NCO。
【0080】
チオシアノ(チオシアナト):-SCN。
【0081】
イソチオシアノ(イソチオシアナト):-NCS。
【0082】
スルフヒドリル(チオール、メルカプト):-SH。
【0083】
チオエーテル(スルフィド):-SR、ここで、Rは、チオエーテル置換基、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルチオ基とも称される)、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。C1-7アルキルチオ基の例として、-SCH3及びSCH2CH3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
ジスルフィド:-SS-R、ここで、Rは、ジスルフィド置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基(本明細書においてC1-7アルキルジスルフィドとも称される)である。C1-7アルキルジスルフィド基の例として、-SSCH3及びSSCH2CH3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
スルフィン(スルフィニル、スルホキシド):-S(=O)R、ここで、Rは、スルフィン置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィン基の例として、-S(=O)CH3及びS(=O)CH2CH3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
スルホン(スルホニル):-S(=O)2R、ここで、Rは、スルホン置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくは、例えば、フッ素化若しくは過フッ素化C1-7アルキル基を含めたC1-7アルキル基である。スルホン基の例として、-S(=O)2CH3(メタンスルホニル、メシル)、-S(=O)2CF3(トリフリル)、-S(=O)2CH2CH3(エシル)、-S(=O)2C4F9(ノナフリル)、-S(=O)2CH2CF3(トレシル)、-S(=O)2CH2CH2NH2(タウリル)、-S(=O)2Ph(フェニルスルホニル、ベシル)、4-メチルフェニルスルホニル(トシル)、4-クロロフェニルスルホニル(クロシル)、4-ブロモフェニルスルホニル(ブロシル)、4-ニトロフェニル(ノシル)、2-ナフタレンスルホナート(ナプシル)、及び5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-イルスルホナート(ダンシル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
スルフィン酸(スルフィノ):-S(=O)OH、-SO2H。
【0088】
スルホン酸(スルホ):-S(=O)2OH、-SO3H。
【0089】
スルフィナート(スルフィン酸エステル):-S(=O)OR;ここで、Rは、スルフィナート置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィナート基の例として、-S(=O)OCH3(メトキシスルフィニル;メチルスルフィナート)及びS(=O)OCH2CH3(エトキシスルフィニル;エチルスルフィナート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
スルホナート(スルホン酸エステル):-S(=O)2OR、ここで、Rは、スルホナート置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルホナート基の例として、-S(=O)2OCH3(メトキシスルホニル;メチルスルホナート)及びS(=O)2OCH2CH3(エトキシスルホニル;エチルスルホナート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
スルフィニルオキシ:-OS(=O)R、ここで、Rは、スルフィニルオキシ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィニルオキシ基の例として、-OS(=O)CH3及びOS(=O)CH2CH3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
スルホニルオキシ:-OS(=O)2R、ここで、Rは、スルホニルオキシ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。
【0093】
スルホニルオキシ基の例として、-OS(=O)2CH3(メシラート)及びOS(=O)2CH2CH3(エシラート)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
サルフェート:-OS(=O)2OR、ここで、Rは、サルフェート置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。サルフェート基の例として、-OS(=O)2OCH3及びSO(=O)2OCH2CH3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
スルファミル(スルファモイル、スルフィン酸アミド、スルフィンアミド):-S(=O)NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義されているアミノ置換基である。スルファミル基の例として、-S(=O)NH2、-S(=O)NH(CH3)、-S(=O)N(CH3)2、-S(=O)NH(CH2CH3)、-S(=O)N(CH2CH3)2、及びS(=O)NHPhが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
スルホンアミド(スルフィナモイル、スルホン酸アミド、スルホンアミド):-S(=O)2NR1R2、ここで、R1及びR2は、独立して、アミノ基について定義されているアミノ置換基である。スルホンアミド基の例として、-S(=O)2NH2、-S(=O)2NH(CH3)、-S(=O)2N(CH3)2、-S(=O)2NH(CH2CH3)、-S(=O)2N(CH2CH3)2、及びS(=O)2NHPhが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
スルファミノ:-NR1S(=O)2OH、ここで、R1は、アミノ基について定義されているアミノ置換基である。スルファミノ基の例として、-NHS(=O)2OH及びN(CH3)S(=O)2OHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
スルホンアミノ:-NR1S(=O)2R、ここで、R1は、アミノ基について定義されているアミノ置換基であり、Rは、スルホンアミノ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルホンアミノ基の例として、-NHS(=O)2CH3及びN(CH3)S(=O)2C6H5が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
スルフィンアミノ:-NR1S(=O)R、ここで、R1は、アミノ基について定義されているアミノ置換基であり、Rは、スルフィンアミノ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィンアミノ基の例として、-NHS(=O)CH3及びN(CH3)S(=O)C6H5が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
ホスフィノ(ホスフィン):-PR2、ここで、Rは、ホスフィノ置換基、例えば、-H、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくは-H、C1-7アルキル基、又はC5-20アリール基である。ホスフィノ基の例として、-PH2、-P(CH3)2、-P(CH2CH3)2、-P(t-Bu)2、及びP(Ph)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
ホスホ:-P(=O)2。
【0102】
ホスフィニル(ホスフィンオキシド):-P(=O)R2、ここで、Rは、ホスフィニル置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基又はC5-20アリール基である。ホスフィニル基の例として、-P(=O)(CH3)2、-P(=O)(CH2CH3)2、-P(=O)(t-Bu)2、及びP(=O)(Ph)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
ホスホン酸(ホスホノ):-P(=O)(OH)2。
【0104】
ホスホナート(ホスホノエステル):-P(=O)(OR)2、ここで、Rは、ホスホナート置換基、例えば、-H、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくは-H、C1-7アルキル基、又はC5-20アリール基である。ホスホナート基の例として、-P(=O)(OCH3)2、-P(=O)(OCH2CH3)2、-P(=O)(O-t-Bu)2、及びP(=O)(OPh)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
リン酸(ホスホノオキシ):-OP(=O)(OH)2。
【0106】
ホスフェート(ホスホノオキシエステル):-OP(=O)(OR)2、ここで、Rは、ホスフェート置換基、例えば、-H、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくは-H、C1-7アルキル基、又はC5-20アリール基である。ホスフェート基の例として、-OP(=O)(OCH3)2、-OP(=O)(OCH2CH3)2、-OP(=O)(O-t-Bu)2、及びOP(=O)(OPh)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
亜リン酸:-OP(OH)2。
【0108】
ホスファイト:-OP(OR)2、ここで、Rは、ホスファイト置換基、例えば、-H、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくは-H、C1-7アルキル基、又はC5-20アリール基である。ホスファイト基の例として、-OP(OCH3)2、-OP(OCH2CH3)2、-OP(O-t-Bu)2、及びOP(OPh)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
ホスホロアミダイト:-OP(OR1)-NR2
2、ここで、R1及びR2は、ホスホロアミダイト置換基、例えば、-H、(任意選択的に置換されている)C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくは-H、C1-7アルキル基、又はC5-20アリール基である。ホスホロアミダイト基の例として、-OP(OCH2CH3)-N(CH3)2、-OP(OCH2CH3)-N(i-Pr)2、及びOP(OCH2CH2CN)-N(i-Pr)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
ホスホロアミダート:-OP(=O)(OR1)-NR2
2、ここで、R1及びR2は、ホスホロアミダート置換基、例えば、-H、(任意選択的に置換されている)C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、又はC5-20アリール基、好ましくは-H、C1-7アルキル基、又はC5-20アリール基である。ホスホロアミダート基の例として、-OP(=O)(OCH2CH3)-N(CH3)2、-OP(=O)(OCH2CH3)-N(i-Pr)2、及びOP(=O)(OCH2CH2CN)-N(i-Pr)2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
アルキレン
C3-12アルキレン:「C3-12アルキレン」という用語は、本明細書中で使用される場合、脂肪族であっても脂環式であってもよく、また、飽和、部分不飽和、又は完全不飽和であってよい、3~12個の炭素原子(他に特定されない限り)を有する炭化水素化合物の2つの水素原子であって、両方が同じ炭素原子からであるか、2つの異なる炭素原子のそれぞれからのものであるかのいずれかである当該2つの水素原子を除去することによって得られる二座部分に関する。ゆえに、「アルキレン」という用語には、以下に考察されている、サブクラスのアルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレンなどが含まれる。
【0112】
直鎖飽和C3-12アルキレン基の例として、nが3~12の整数である-(CH2)n-、例えば、-CH2CH2CH2-(プロピレン)、-CH2CH2CH2CH2-(ブチレン)、-CH2CH2CH2CH2CH2-(ペンチレン)及びCH2CH2CH2CH-2CH2CH2CH2-(ヘプチレン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
分岐鎖飽和C3-12アルキレン基の例として、-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH2CH2-、-CH(CH3)CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)CH2CH2-、-CH(CH2CH3)-、-CH(CH2CH3)CH2-、及びCH2CH(CH2CH3)CH2-が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
直鎖部分不飽和C3-12アルキレン基(C3-12アルケニレン、及びアルキニレン基)として、-CH=CH-CH2-、-CH2-CH=CH2-、-CH=CH-CH2-CH2-、-CH=CH-CH2-CH2-CH2-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH=CH-CH2-、-CH=CH-CH=CH-CH2-CH2-、-CH=CH-CH2-CH=CH-、-CH=CH-CH2-CH2-CH=CH-、及びCH2-C≡C-CH2-が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
分岐鎖部分不飽和C3-12アルキレン基(C3-12アルケニレン及びアルキニレン基)の例として、-C(CH3)=CH-、-C(CH3)=CH-CH2-、-CH=CH-CH(CH3)-及びC≡C-CH(CH3)-が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
脂環式飽和C3-12アルキレン基(C3-12シクロアルキレン)の例として、シクロペンチレン(例えば、シクロペンタ-1,3-イレン)、及びシクロヘキシレン(例えば、シクロヘキサ-1,4-イレン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
脂環式部分不飽和C3-12アルキレン基(C3-12シクロアルキレン)の例として、シクロペンテニレン(例えば、4-シクロペンテン-1,3-イレン)、シクロヘキセニレン(例えば、2-シクロヘキセン-1,4-イレン、3-シクロヘキセン-1,2-イレン、2,5-シクロヘキサジエン-1,4-イレン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
C3-12アルキレン基がヘテロ原子によって中断されている場合、下付き文字は、当該ヘテロ原子を含む鎖における原子の数を指す。例えば、鎖-C2H4-O-C2H4-は、C5基である。
【0119】
C
3-12アルキレン基が芳香族環によって中断されている場合、下付き文字は、当該芳香族環を含む鎖に直接存在する原子の数を指す。例えば、鎖
は、C
5基である。
【0120】
接続標識:式において
上付きの標識
C(=O)及び
NHは、原子が結合している基を示す。例えば、NH基は、カルボニル(示されている部分の一部ではない)に結合しているとして示され、当該カルボニルは、NH基(示されている部分の一部ではない)に結合しているとして示されている。
【0121】
リガンド単位
リガンド単位は、任意の種類であってよく、標的分子に特異的に結合するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド及び非ペプチド性剤を挙げることができる。いくつかの実施形態において、リガンド単位は、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドであってよい。いくつかの実施形態において、リガンド単位は、環式ポリペプチドであってよい。これらのリガンド単位は、抗体、若しくは少なくとも1つの標的分子-結合部位を含有する抗体の断片、リンホカイン、ホルモン、増殖因子、又は標的に特異的に結合し得る任意の他の細胞結合分子若しくは物質を含むことができる。
【0122】
「特異的に結合する」及び「特異的結合」という用語は、所定の分子(例えば、抗原)への抗体又は他のタンパク質、ポリペプチド若しくはペプチドの結合を示す。典型的には、抗体又は他の分子が、少なくとも約1×107M-1の親和性で結合し、所定の分子又は密接に関連する分子以外の非特異的分子(例えば、BSA、カゼイン)への結合の親和性の少なくとも2倍超である親和性で所定の分子に結合する。
【0123】
リガンド単位の例として、WO2007/085930において使用について記載されている剤が挙げられ、WO2007/085930は、本明細書に援用される。
【0124】
いくつかの実施形態において、リガンド単位は、細胞における細胞外標的に結合する細胞結合剤である。このような細胞結合剤は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド又は非ペプチド性剤であり得る。いくつかの実施形態において、細胞結合剤は、タンパク質、ポリペプチド又はペプチドであってよい。いくつかの実施形態において、細胞結合剤は、環式ポリペプチドであってよい。細胞結合剤はまた、抗体又は抗体の抗原結合断片であってもよい。ゆえに、1つの実施形態において、本発明は、抗体-薬物複合体(ADC)を提供する。
【0125】
細胞結合剤
細胞結合剤は、任意の種類のものが可能であり、ペプチド及び非ペプチドを挙げることができる。細胞結合剤として、少なくとも1つの結合部位を有する抗体又は抗体断片、リンホカイン、ホルモン、ホルモン模倣物、ビタミン、増殖因子、栄養輸送分子、又は任意の他の細胞結合分子若しくは物質を挙げることができる。
【0126】
ペプチド
1つの実施形態において、細胞結合剤は、4~30、好ましくは6~20の、連続アミノ酸残基を含む直鎖又は環状ペプチドである。この実施形態において、1つの細胞結合剤が1つの単量体又は二量体アゼチドベンゾジアゼピン化合物と連結されていることが好ましい。
【0127】
1つの実施形態において、細胞結合剤は、インテグリンανβ6と結合するペプチドを含む。このペプチドは、XYSよりもανβ6に対して選択性を有することができる。
【0128】
1つの実施形態において、細胞結合剤は、A20FMDV-Cysポリペプチドを含む。A20FMDV-Cysは、配列:NAVPNLRGDLQVLAQKVARTCを有する。あるいは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10のアミノ酸残基が別のアミノ酸残基に置換されているA20FMDV-Cys配列の変異型を使用することができる。そのうえさらに、ポリペプチドは、配列NAVXXXXXXXXXXXXXXXRTCを有するものでもよい。
【0129】
抗体
「抗体」という用語は、本明細書中、最も広義の意味で用いられ、具体的には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、多価抗体及び抗体断片を包含するが、ただし、それらが所望の生物活性を示す限りにおいてである(Miller et al(2003)Jour.of Immunology 170:4854-4861)。抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、又は他の種由来抗体が可能である。抗体とは、免疫系により産生される、特定の抗原を認識してそれに結合することができるタンパク質である。(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、一般に、複数の抗体のCDRで認識される多数の結合部位(エピトープとも呼ばれる)を有する。異なるエピトープに特異的に結合する抗体は、それぞれ異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、1つより多い対応する抗体を有する可能性がある。抗体として、全長免疫グロブリン分子又は全長免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、注目している標的の抗原に免疫学的に結合する抗原結合部位又はその一部分を有する分子が挙げられ、そのような標的として、癌細胞又は自己免疫疾患に関連した自己免疫抗体を産生する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。免疫グロブリンは、任意の型(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)又はサブクラスの免疫グロブリン分子が可能である。免疫グロブリンは、任意の種由来のものが可能であり、ヒト、マウス、又はウサギ起原が挙げられる。
【0130】
「抗体断片」は、全長抗体の一部分、一般には全長抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びscFv断片;二重特異性抗体;線状抗体;Fab発現ライブラリーにより産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及び上記のもののいずれかの、癌細胞抗原、ウイルス抗原、又は微生物抗原に免疫学的に結合するエピトープ結合断片、単鎖抗体分子;ならびに、抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。
【0131】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書中使用される場合、実質的に同種の抗体の集団、すなわち集団を構成する個々の抗体が、天然に生じる可能性のある変異を除いて同一であり、そのような変異が存在したとしても少数である集団から得られる抗体を示す。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単独の抗原部位に向けられている。そのうえさらに、ポリクローナル抗体製剤が、異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むのとは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単独の決定基に向けられている。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、他の抗体が混入することなく合成できるという利点を有する。「モノクローナル」という修飾語は、抗体が、実質的に同種の抗体集団から得られたものであるという特徴を示すものであって、抗体の産生が何か特定の方法による必要があることを意図しない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerらが最初に記載したハイブリドーマ方法(1975)(Nature 256:495)により作られたものであってもよいし、組換えDNA法(US4816567を参照)により作られたものであってもよい。モノクローナル抗体は、また、Clackson et al(1991)Nature,352:624-628,Marks et al(1991)J.Mol.Biol.,222:581-597に記載された技法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されてもよいし、完全ヒト免疫グロブリン系を保有する遺伝子導入マウスから単離されてもよい(Lonberg(2008)Curr.Opinion 20(4):450-459)。
【0132】
モノクローナル抗体には、本明細書では、具体的には、キメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体が含まれる。
【0133】
細胞結合剤の例として、WO2007/085930に使用が記載されている作用剤が挙げられる。WO2007/085930は、本明細書に援用される。
【0134】
本発明の実施形態で使用される腫瘍関連抗原及び同族の抗体を、以下に列挙し、これらは、WO2017/186894の14~86頁により詳細に記載されており、WO2017/186894は、本明細書に援用される。
【0135】
(1)BMPR1B(骨形成タンパク質タンパク質受容体IB型)
(2)E16(LAT1、SLC7A5)
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通型上皮抗原)
(4)0772P(CA125、MUC16)
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン)
(6)Napi3b(NAPI-3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、
メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b)
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、25semaドメイン、7回トロンボスポンジン反復配列(seven thrombospondin repeats)(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)、及び短細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B)
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA
2700050C12遺伝子)
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体)
(10)MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20315)
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA-1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通型上皮抗原2、6回膜貫通型前立腺タンパク質)
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容器電位カチオン5チャンネル、サブファミリーM、メンバー4)
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形腫由来増殖因子)
(14)CD21(CR2(補体受容体2)又はC3DR(C3d/エプスタイン・バーウイルス受容体)又はHs.73792)
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連β)、B29)
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質 1a)、SPAP1B、SPAP1C)
(17)HER2(ErbB2)
(18)NCA(CEACAM6)
(19)MDP(DPEP1)
(20)IL20R-α(IL20Ra、ZCYTOR7)
(21)ブレビカン(BCAN、BEHAB)
(22)EphB2R(DRT、ERK、Hek5、EPHT3、Tyro5)
(23)ASLG659(B7h)
(24)PSCA(前立腺幹細胞抗原前駆体)
(25)GEDA
(26)BAFF-R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3)
(27)CD22(B細胞受容体CD22-Bアイソフォーム、BL-CAM、Lyb-8、Lyb8、SIGLEC-2、FLJ22814)
(27a)CD22(CD22分子)
(28)CD79a(CD79A、CD79α)、免疫グロブリン関連α、B細胞特異的タンパク質(Igβ(CD79B)と共有結合で相互作用し、表面でIgM分子と複合体を形成し、B細胞分化に関与するシグナルを伝達する)、pI:4.84、MW:25028、TM:2[P]、遺伝子染色体:19q13.2)
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1、CXCL13ケモカインにより活性化されるGタンパク質共役受容体、このGタンパク質共役受容体は、リンパ球遊走及び体液性防御において機能し、HIV-2感染、ならびに恐らくはAIDS、リンパ腫、骨髄腫、及び白血病の発症において役割を果たす)。372aa、pl:8.54、MW:41959、TM:7[P]、遺伝子染色体:11q23.3、
(30)HLA-DOB(ペプチドに結合して、そのペプチドをCD4+Tリンパ球に提供するMHCクラスII分子のβサブユニット(Ia抗原))、273aa、pI:6.56、MW:30820、TM:1[P]、遺伝子染色体:6p21.3)
(31)P2X5(プリン作動性受容体P2Xリガンド開口型イオンチャンネル5、細胞外ATPにより開口するイオンチャンネルであり、このチャンネルは、シナプス伝達及び神経新生に関与している可能性があり、この不全が突発性排尿筋不安定という病態生理の一因である可能性がある)、422aa)、pI:7.63、MW:47206、TM:1[P]、遺伝子染色体:17p13.3)。
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb-2);359aa、pI:8.66、MW:40225、TM:15[P]、遺伝子染色体:9p13.3)。
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンに富む反復配列(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質であり、B細胞活性化及びアポトーシスを制御し、この機能喪失は、全身性エリトマトーデスの患者で疾患活性の上昇を伴う)。661aa、pI:6.20、MW:74147、TM:1[P]、遺伝子染色体:5q12)。
(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1、免疫グロブリンFcドメインの推定受容体であり、C2型Ig様ドメイン及びITAMドメインを含有し、Bリンパ球分化において役割を果たす可能性がある);429aa、pI:5.28、MW:46925 TM:1[P]、遺伝子染色体:1q21-1q22)
(35)IRTA2(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2、B細胞発達及びリンパ腫形成で役割を担っている可能性がある推定免疫受容体である。転位置による遺伝子の調節解除が、ある種のB細胞悪性腫瘍で生じる)。977aa、pI:6.88、MW:106468、TM:1[P]遺伝子染色体:1q21)
(36)TENB2(TMEFF2、トモレギュリン(tomoregulin)、TPEF、HPP1、TR、推定膜貫通プロテオグリカン、増殖因子及びフォリスタチンのEGF/ヘレグリンファミリーと関連)。374aa)
(37)PSMA-FOLH1(葉酸ヒドロラーゼ(前立腺特異的膜抗原)1)
(38)SST(ソマトスタチン受容体;注、5つのサブタイプが存在する)
(38.1)SSTR2(ソマトスタチン受容体2)
(38.2)SSTR5(ソマトスタチン受容体5)
(38.3)SSTR1
(38.4)SSTR3
(38.5)SSTR4
AvB6-両方のサブユニット(39+40)
(39)ITGAV(インテグリン、αV)
(40)ITGB6(インテグリン、β6)
(41)CEACAM5(癌胎児抗原関連細胞接着分子5)
(42)MET(met癌原遺伝子;肝細胞増殖因子受容体)
(43)MUC1(ムチン1、細胞表面関連)
(44)CA9(炭酸脱水酵素IX)
(45)EGFRvIII(上皮増殖因子受容体(EGFR)、転写物変異型3、
(46)CD33(CD33分子)
(47)CD19(CD19分子)
(48)IL2RA(インターロイキン2受容体、α);NCBI参照配列:NM_000417.2);
(49)AXL(AXL受容体チロシンキナーゼ)
(50)CD30-TNFRSF8(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー8)
(51)BCMA(B細胞成熟抗原)-TNFRSF17(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー、メンバー17)
(52)CT Ags-CTA(癌精巣抗原)
(53)CD174(ルイス式Y)-FUT3(フコシルトランスフェラーゼ3(ガラクトシド3(4)-L-フコシルトランスフェラーゼ、ルイス式血液型群)
(54)CLEC14A(C型レクチンドメインファミリー14、メンバーA;Genbank受入番号NM175060)
(55)GRP78-HSPA5(熱ショック70kDaタンパク質5(グルコース制御タンパク質、78kDa)
(56)CD70(CD70分子)L08096
(57)幹細胞特異的抗原。例えば:
・5T4(以下のエントリー(63)を参照)
・CD25(上記エントリー(48)を参照)
・CD32
・LGR5/GPR49
・プロミニン(Prominin)/CD133
(58)ASG-5
(59)ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ3)
(60)PRR4(プロリンリッチ4(涙腺))
(61)GCC-GUCY2C(グアニル酸シクラーゼ2C(熱安定性エンテロトキシン受容体)
(62)Liv-1-SLC39A6(溶質担体ファミリー39(亜鉛輸送体)、メンバー6)
(63)5T4、トロホブラスト糖タンパク質、TPBG-TPBG(トロホブラスト糖タンパク質)
(64)CD56-NCMA1(神経細胞接着分子1)
(65)CanAg(腫瘍関連抗原CA242)
(66)FOLR1(葉酸受容体1)
(67)GPNMB(糖タンパク質(膜貫通型)nmb)
(68)TIM-1-HAVCR1(A型肝炎ウイルス細胞受容体1)
(69)RG-1/前立腺腫瘍標的ミンディン-ミンディン/RG-1
(70)B7-H4-VTCN1(V-setドメイン含有T細胞活性化インヒビター1
(71)PTK7(PTK7タンパク質チロシンキナーゼ7)
(72)CD37(CD37分子)
(73)CD138-SDC1(シンデカン1)
(74)CD74(CD74分子、主要組織適合遺伝子複合体、クラスIIインバリアント鎖)
(75)クローディン-CL(クローディン)
(76)EGFR(上皮増殖因子受容体)
(77)Her3(ErbB3)-ERBB3(v-erb-b2赤芽球性白血病ウイルス性癌遺伝子ホモログ3(トリ))
(78)RON-MST1R(マクロファージ刺激1受容体(c-met関連チロシンキナーゼ))
(79)EPHA2(EPH受容体A2)
(80)CD20-MS4A1(膜貫通の4つのドメイン(membrane-spanning 4-domains)、サブファミリーA、メンバー1)
(81)テネイシンC-TNC(テネイシンC)
(82)FAP(線維芽細胞活性化タンパク質、α)
(83)DKK-1(Dickkopf1ホモログ(アフリカツメガエル))
(84)CD52(CD52分子)
(85)CS1-SLAMF7(SLAMファミリーメンバー7)
(86)エンドグリン-ENG(エンドグリン)
(87)アネキシンA1-ANXA1(アネキシンA1)
(88)V-CAM(CD106)-VCAM1(血管細胞接着分子1)
【0136】
対象となる、さらなる腫瘍関連抗原及び同族の抗体は:
(89)ASCT2(SLC1A5としても知られているASC輸送体2)である。
ASCT2抗体は、WO2018/089393に記載されており、WO2018/089393は、本明細書に援用される。
【0137】
細胞結合剤は、例えば、細胞結合剤の検出又は精製を助けるために、複合体として組み込まれる前に、又は複合体の一部分としてのいずれかで標識化することができる。標識として、ビオチン標識が可能である。別の実施形態において、細胞結合剤は、放射性同位体で標識することができる。
【0138】
治療方法
本発明の化合物は、治療方法で使用することができる。治療方法も提供され、本方法は、治療を必要としている治療対象に、治療上有効量の式IIの複合体を投与することを含む。「治療上有効量」という用語は、患者で有益性を示すのに十分な量である。そのような有益性とは、少なくとも1種の症状の少なくとも改善であってもよい。実際に投与される量ならびに投与の速度及び時間経過は、治療されようとしているものの性質及び重篤度に依存するだろう。治療の処方(例えば、投薬量の決定)は、一般医及び他の医師の責任能力の範囲内である。
【0139】
複合体は、治療しようとする症状に応じて、単独で投与することも、又は他の治療と、同時又は順次で併用投与することもできる。治療及び療法の例として、化学療法(例えば薬物をはじめとする活性作用剤の投与)、手術、及び放射線療法)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
本発明による、及び本発明に従って使用するための、医薬組成物(薬学的組成物)は、活性成分、すなわち式IIの複合体の他に、当業者に周知である薬学的に許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、又は他の材料を含むことができる。そのような材料は、無毒でなければならず、かつ活性成分の効力に干渉してはならない。担体又は他の材料の詳細な性質は、投与経路に依存するだろう。投与経路は、経口であってもよいし、注射、例えば皮膚注射、皮下注射、又は静脈内注射によるものでもよい。
【0141】
経口投与用の医薬組成物(薬学的組成物)は、錠剤、カプセル剤、粉剤、又は液状の形状が可能である。錠剤は、固形担体又はアジュバントを含むことができる。液状医薬組成物(液状薬学的組成物)は、一般に、液状担体、例えば、水、石油、動物油若しくは植物油、鉱物油、又は合成油を含む。生理食塩水、ブドウ糖若しくは他の糖溶液、又はグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、又はポリエチレングリコールも含めることができる。カプセル剤は、固形担体、例えばゼラチンを含むことができる。
【0142】
静脈内注射、皮膚注射、又は皮下注射、あるいは患部への注射用として、活性成分は、非経口で許容可能な水溶液の形をとることができ、この水溶液は、発熱物質を含まず、かつ適切なpH、等張力、及び安定性を有する。当業者なら、例えば、等張性ビヒクル(塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸リンゲル注射液など)を用いて適切な溶液を調製することが容易にできる。保存剤、安定剤、緩衝液、抗酸化剤、及び/又は他の添加剤も、必要に応じて、含ませることができる。
【0143】
複合体は、増殖性疾患及び自己免疫疾患を治療するのに使用され得る。「増殖性疾患」という用語は、過剰細胞又は異常細胞の望ましくない又は制御不能の細胞増殖に関係し、そのような増殖は、in vitroかin vivoにおける、望ましくない、例えば腫瘍形成又は過形成性の増殖である。
【0144】
増殖性症状の例として、良性、前悪性、及び悪性の細胞増殖が挙げられるが、これらに限定されず、そのような細胞増殖として、新生物及び腫瘍(例えば、組織球腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨腫)、がん(例えば、肺癌、小細胞肺癌、胃腸癌、腸癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、黒色腫)、白血病、乾癬、骨疾患、線維増殖性障害(例えば、結合組織のもの)、及び粥状動脈硬化が挙げられるが、これらに限定されない。対象となる他のがんとして、血液系、悪性腫瘍、例えば、白血病及びリンパ腫、例えば、非ホジキンリンパ腫、ならびにサブタイプ、例えば、DLBCL、辺縁帯、マントル層及び小胞、ホジキンリンパ腫、AML、ならびにB又はT細胞由来の他のがんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
自己免疫疾患の例として以下が挙げられる:関節リウマチ、自己免疫脱髄疾患(例えば、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎)、乾癬性関節炎、内分泌性眼障害、ぶどう膜網膜炎、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、グレーブス病、糸球体腎炎、自己免疫肝臓障害、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、アナフィラキシー、アレルギー反応、シェーグレン症候群、I型糖尿病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、線維筋痛、多発性筋炎、皮膚筋炎、多発性内分泌腺不全、シュミット症候群、自己免疫性ブドウ膜炎、アジソン病、副腎炎、甲状腺炎、橋本甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、悪性貧血、胃の萎縮症、慢性肝炎、ルポイド肝炎、粥状動脈硬化、亜急性皮膚エリテマトーデス、副甲状腺機能低下症、ドレスラー症候群、自己免疫性血小板減少症、突発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、尋常性天疱瘡、天疱瘡、疱疹状皮膚炎、円形脱毛症、類天疱瘡、強皮症、進行性全身性硬化症、CREST症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道運動障害、手指硬化症、及び毛細血管拡張症)、男性及び女性の自己免疫性不妊症、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎、全身性壊死性血管炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、グッドパスチャー症候群、シャーガス病、サルコイドーシス、リウマチ熱、喘息、再発性流産、抗リン脂質症候群、農夫肺、多形性紅斑、心術後症候群、クッシング症候群、自己免疫性慢性活動性肝炎、愛鳥家肺、中毒性表皮壊死症、アルポート症候群、肺胞炎、アレルギー性肺胞炎、線維化性肺胞炎、間質性肺疾患、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、輸血反応、高安動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、側頭動脈炎、住血吸虫症、巨細胞性動脈炎、回虫症、アスペルギルス症、サムター症候群、湿疹、リンパ腫様肉芽腫症、ベーチェット病、キャプラン症候群、川崎病、デング熱、脳脊髄炎、心内膜炎、心内膜心筋線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、乾癬、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、シュルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎、慢性毛様体炎、異慢性毛様体炎、フックス毛様体炎、IgA腎症、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心筋症、イートン-ランバート症候群、再発性多発性軟骨炎、クリオグロブリン血症、ワルデンストレームマクログロブリン血症、エバンス症候群、及び自己免疫性腺機能不全。
【0146】
いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、Bリンパ球の障害(例えば、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、関節リウマチ、及びI型糖尿病)、Th1リンパ球の障害(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、グレーブス病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫症、結核、若しくは移植片対宿主病)、又はTh2リンパ球の障害(例えば、アトピー性皮膚炎、全身性紅斑性狼瘡、アトピー性喘息、鼻結膜炎、アレルギー性鼻炎、オーメン症候群、全身性硬化症、若しくは慢性移植片対宿主病)である。一般に、樹状細胞が関与する障害は、Th1リンパ球又はTh2リンパ球の障害を含む。いくつかの実施形態において、自己免疫性疾患は、T細胞媒介免疫障害である。
【0147】
いくつかの実施形態において、投与される複合体の量は、用量あたり約0.01~約10mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態において、投与される複合体の量は、用量あたり約0.01~約5mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態において、投与される複合体の量は、用量あたり約0.05~約5mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態において、投与される複合体の量は、用量あたり約0.1~約5mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態において、投与される複合体の量は、用量あたり約0.1~約4mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態において、投与される複合体の量は、用量あたり約0.05~約3mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態において、投与される複合体の量は、用量あたり約0.1~約3mg/kgの範囲である。いくつかの実施形態において、投与される複合体の量は、用量あたり約0.1~約2mg/kgの範囲である。
【0148】
薬物積載量
薬物積載量(p)は、細胞結合剤(例えば抗体)あたりのABD薬物の平均数である。本発明の化合物がシステインと結合している場合、薬物積載量は、細胞結合剤あたり1~8つの薬物(D)の範囲が可能である、すなわち1、2、3、4、5、6、7、及び8つの薬物部分が細胞結合剤と共有結合している。複合体の組成として、1~8つの範囲の薬物と複合している細胞結合剤(例えば抗体)を集めたものが含まれる。本発明の化合物がリシンと結合している場合、薬物積載量は、細胞結合剤あたり1~80つの薬物(D)の範囲が可能であるが、上限を40、20、10、又は8とするのが好適であり得る。複合体の組成として、1~80、1~40、1~20、1~10、又は1~8の範囲の薬物と複合している細胞結合剤(例えば抗体)を集めたものが含まれる。
【0149】
複合化反応からADCを調製する場合の抗体当たりの薬物の平均数は、UV、逆相HPLC、HIC、質量分析法、ELISAアッセイ、及び電気泳動などの従来法で特性決定することができる。pに関するADCの定量的分布も測定することができる。ELISAにより、ADCの特定の調製物におけるpの平均値を測定することができる(Hamblett et al(2004)Clin.Cancer Res.10:7063-7070、Sanderson et al(2005)Clin.Cancer Res.11:843-852)。しかしながら、p(薬物)値の分布を、抗体抗原結合及びELISAの検出限界により識別することはできない。同じく、抗体薬物複合体を検出するためのELISAアッセイは、薬物部分が抗体のどこに結合しているのか、例えば重鎖又は軽鎖断片なのか、あるいは特定のアミノ酸残基なのかを明らかにはしない。場合によっては、pがある特定の値である均一なADCを、薬物積載量が異なるADCから分離、精製、及び特性決定することは、逆相HPLC又は電気泳動などの手段により達成できる。そのような技法は、他の型の複合体にも応用可能である。
【0150】
抗体薬物複合体によっては、pは、抗体にある結合部位の個数により制限される可能性がある。例えば、抗体は、システインチオール基を1つだけ有しても、複数有してもよく、又は、リンカーが結合できる十分に反応性のあるチオール基を1つだけ有しても、複数有してもよい。薬物積載量が大きくなる(例えばp>5)ほど、特定の抗体薬物複合体に、凝集、不溶性、毒性を引き起こす、又は細胞透過性の喪失を引き起こす可能性ができる。
【0151】
典型的には、複合化反応の間に、最大理論値より少ない個数の薬物部分を抗体と複合させる。抗体は、例えば、薬物リンカーともリンカー試薬とも反応しないリシン残基を多数含有し得る。最も反応性の高いリシン基のみが、アミン反応性リンカー試薬と反応することができる。同じく、最も反応性の高いシステインチオール基のみが、チオール反応性リンカー試薬と反応することができる。一般に、抗体は、薬物部分と連結することができる遊離反応性システインチオール基を、含んでいたとしても、多くは含まない。化合物の抗体にあるほとんどのシステインチオール残基は、ジスルフィド架橋として存在し、部分又は全還元条件下で、還元剤(ジチオトレイトール(DTT)又はTCEPなど)を用いて還元しなければならない。ADCの積載量(薬物/抗体比)は、複数の異なる様式で制御することができ、そのような様式として以下が挙げられる:(i)抗体に対して薬物リンカーのモル過剰量を制限する、(ii)複合化反応時間又は温度を制限する、及び(iii)システインチオール修飾の部分的又は制限的還元条件。
【0152】
ある特定の抗体は、還元できる鎖間ジスルフィド、すなわちシステイン架橋を有する。抗体は、DTT(ジチオトレイトール)などの還元剤で処理することにより、リンカー試薬との複合化に反応するようになることができる。こうして、各システイン架橋は、理論的には、2つの反応性チオール求核剤になる。リシンと2-イミノチオラン(トラウト試薬)の反応によりアミンをチオールに変換することで、抗体にさらなる求核基を導入することができる。1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれより多いシステイン残基を操作する(例えば、1つ以上の非天然システインアミノ酸残基を含む変異抗体を調製する)ことにより、抗体(又はその断片)に反応性チオール基を導入することができる。US7521541は、反応性システインアミノ酸の導入による抗体操作を教示する。
【0153】
抗体の反応性部位にあり、鎖間又は分子間ジスルフィド架橋を形成しないシステインアミノ酸は、操作することができる(Junutula,et al.,2008b Nature Biotech.,26(8):925-932、Dornan et al(2009)Blood 114(13):2721-2729、US7521541、US7723485、WO2009/052249)。操作されたシステインチオールは、チオール反応性求電子基(マレイミド又はα-ハロアミドなど)を有する本発明のリンカー試薬又は薬物リンカー試薬と反応して、システイン操作された抗体部分及びABD薬物部分を持つADCを形成することができる。したがって、薬物部分の配置は、設計し、制御し、知ることができる。薬物積載量は、制御することができる。なぜなら、操作されたシステインチオール基は、典型的には、高収率で、チオール反応性のリンカー試薬又は薬物リンカー試薬と反応するからである。IgG抗体を操作して、重鎖又は軽鎖の1カ所で置換によりシステインアミノ酸を導入することにより、対称抗体に2つの新たなシステインを与える。2に近い薬物積載量が、複合化生成物ADCの近均一性とともに達成できる。
【0154】
抗体の1つより多い求核又は求電子基が薬物リンカー中間体、又はリンカー試薬と反応し、続いて薬物部分試薬と反応すると、得られる生成物は、抗体に結合した薬物部分に分布がある(例えば1、2、3など)ADC化合物混合物になる。重合体逆相(PLRP)及び疎水的相互作用(HIC)などの液体クロマトグラフィー法は、薬物積載量の値で混合物から化合物を分離することができる。単一の薬物積載量値(p)を持つADCの調製物を単離することができるものの、そうした単一の薬物積載量値のADCであっても、依然として不均一混合物である可能性がある。なぜなら、複数の薬物部分は、リンカーを介して、抗体の異なる部位に結合する可能性があるからである。
【0155】
したがって、本発明の抗体薬物複合体組成物は、抗体薬物複合化合物の混合物を含み、この混合物において、抗体は1つ以上のABD薬物部分を有し、薬物部分は、抗体に、様々なアミノ酸残基で結合している可能性がある。
【0156】
1つの実施形態において、細胞結合剤あたりの二量体アゼチドベンゾジアゼピン基の平均数は、1~20の範囲である。いくつかの実施形態において、この範囲は、1~8、2~8、2~6、2~4、及び4~8から選択される。
【0157】
いくつかの実施形態において、細胞結合剤あたり1つの二量体アゼチドベンゾジアゼピン基が存在する。
【0158】
一般的な合成経路
多数の好適なN-ProtN、O-ProtO及びY-ProtY保護基が、本明細書に援用される、Greene、T.W.and Wuts,G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Edition、John Wiley & Sons、Inc.,1999に記載されている。
【0159】
式IVの化合物の合成
本発明の第1の態様の化合物、特に、式IVの化合物の合成における可能性のあるステップをスキーム1に示す。これは、N10保護ABD二量体(d1A)から開始する。
スキーム1
【0160】
二量体d1Aは、標準的な方法によってN10位で脱保護されて、式IVの化合物を与える。ProtNがAllocである場合、脱保護は、パラジウムを使用して実施される。生成される化合物は、イミンとの平衡において、使用される溶媒に応じて、そのカルビノールアミン又はカルビノールアミンエーテル形態であってよい。
【0161】
ABDの場合において、4員のアゼチジン環の環ひずみは、平衡においてカルビノールアミン形態が優位であることを意味する。
【0162】
式IVの化合物の合成における代替のステップは、スキーム2に示されている。これは、N10窒素保護ABD単量体(m2A)から開始する。
スキーム2
【0163】
N10及びY8位が保護されたABD単量体m2Aは、C11位のアルコールで保護されて、m2Bを与える。好ましくは、ProtOは、TBSであり、保護は、過剰なTBS-Clの添加によって達成される。ProtY-Y保護基のその後の脱保護は、二量体化可能な種(m2C)を付与する。ProtYがTIPSであるとき、脱保護は、DMF及び水中においてLiOAcによって達成され得る。
【0164】
m2Cは、二量体リンカーR”(X)2と反応して、二量体d2Dを与える。典型的には、Yは、Oであり、Xは、ハロゲン(好ましくはBr)である。この場合において、ダブルウィリアムソンエーテル合成により、TBAI添加剤を使用して二量体を形成する。
【0165】
N10保護基が二量体生成物から除去されてd2Eを与える。例えば、ProtNがAllocであり、ProtOが合成のための酸素保護基であるとき、パラジウムを使用して脱保護が行われてN10保護基を除去し、続いて、合成のための酸素保護基を脱離する。ProtNがTrocであり、ProtOが、合成のための酸素保護基であるとき、脱保護は、Cd/Pbカップリングを使用して行われる。ProtNがSEM又は類似の基でり、ProtOがオキソ基であるとき、オキソ基は、還元によって除去され得、これにより、保護されたカルビノールアミン中間体を生じ、処理されてSEM保護基を除去し得、続いて、水を脱離する。C11位のアルコール保護基の除去により、式IVの化合物が得られる。ProtOがTBSであるとき、このアルコール脱保護は、DCM中でのパラジウム及びピロリジンを使用した上記のAlloc N-脱保護に付随して起こり得る。
【0166】
スキーム1及び2にそれぞれ必要とされる二量体d1A及び単量体m2Aは、いくつかの経路によって合成され得る。酸化閉環を介した1つの可能性のある経路をスキーム3に示す。
スキーム3
【0167】
化合物3A、3B、3C、3D及び3Eは、二量体(ここで、基RYは、同様のABD前駆体に接続されたR”を表す)又は単量体(ここで、基RYは、好適な保護基を表す)であってよい。
【0168】
単量体3Aは、ニトロ安息香酸誘導体である。多くのこのような誘導体は市販されており、他は、従来の方法によって合成され得る(例えば、Althuis,T.H.and Hess,H.J.,J Medicinal Chem.,20(1),146-266(1977))。多くの場合、ニトロ安息香酸は、(例えば、LiOHによる)穏やかな条件下でのエステル加水分解によってエステルから誘導される。二量体3Aは、先行技術(例えば、WO00/12508のスキーム3)に開示されている種々のストラテジーによって作製され得る。例えば、適切な安息香酸エステルは、光延エーテル化、続いてのニトロ化及び加水分解によって、好適なジオールに関して二量体化され得る。代替的には、安息香酸エステルは、ウィリアムソンエーテル合成によって好適なジハライドについて二量体化され得る。単量体及び二量体3Aを得るために必要とされるさらなる変換は、文献において利用可能である。
【0169】
アゼチジン出発物質は、先行技術(例えば、WO00/12508のスキーム4)に開示されている匹敵するプロリン合成の変形例を介して合成され得る。アゼチジンに特に関連するストラテジーもまた、文献(例えば、Bose,D.S.,et al.,Tetrahedron Letters,38(33),5839-5842,1997;doi:10.1016/S0040-4039(97)01297-5)で知られている。例えば、市販のアゼチジン-2-カルボン酸は、酸性エステル化の前に、アゼチジン窒素において、好適な保護基、例えば、Cbzによって保護されて、メチルエステルを得ることができる。エステルは、THF中でLiBH4によって還元されて、Cbz保護された2-(ヒドロキシメチル)アゼチジンを得ることができる。いくつかのアプローチにおいて、適切な保護基(ProtO)、例えばTBSが、TBS-Clとの反応によってアルコールに付加され得る。他のアプローチにおいて、アルコールは、未保護のままである。スキーム3において、ProtOは、好適な保護基又はHのいずれかを表し得-好適なProtO基は、NO2還元条件に耐えることができなければならない。次いで、窒素保護基が、典型的にはH2ガス下での還元によって除去され、スキーム3において必要とされるアゼチジン出発物質を生じる。
【0170】
化合物3Aは、アゼチジン出発物質と縮合されて3Bを与える。多くの場合、当該縮合は、DCCカップリングを介して、又は、酸塩化物(塩化オキサリル若しくはSOCl2を用いてカルボン酸から形成される)を介して、又は、低温においてDCM中HOBtによって達成される。
【0171】
3Bのニトロ基は、標準手順、例えば、MeOH中のSnCl2、又は、MeOH/H2O/ギ酸(90:5:5)中の亜鉛、又は、亜ジチオン酸ナトリウム、又は、ラネーニッケル及びヒドラジン、又は、パラジウム担持チャコール上での接触水素化を使用して、アミン(3C)に還元される。選択される方法は、ヒドロキシル保護基の要件に依る。
【0172】
得られたアミンは、好適な保護基によって単独で保護されて3Dを与える。N-ProtN基は、好ましくはカルバマート、例えば、N-Allocである。アミンの求核性は、Allocによる保護の際に低減するため、単一の保護が好ましい。典型的には、これは、ピリジン及び1当量のクロロギ酸アリルとの反応によって達成される。ProtOがHであるとき、3Dは、3Eに等しい。ProtOが保護基であるとき、標準条件下で除去されてアルコール3Eを与える。ProtOがアセタート保護基であるとき、穏やかな塩基条件(例えば、K2CO3)下で除去され得、又は、ProtOがシリルエーテル保護基、例えば、TBSであるとき、TBAF若しくは穏やかな酸を使用することによって除去され得る。
【0173】
アルデヒド、又は機能的等価物を介しての酸化閉環は、二量体3Eからは(スキーム1のようにさらなる反応のための)d1Aを与え、単量体3Eからは(スキーム2のようにさらなる反応のための)m2Aを与える。選択的なアルコール-アルデヒド酸化は、分子篩上でのN-メチルモルホリン N-オキシド(NMO)中の過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)への曝露によって、又は、Swern酸化(DMSO及び塩化オキサリルによる)、又は、Dess-Martin酸化(DMPによる)によって、又は、好ましくは、Cu(I)/TEMPOラジカル酸化(テトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート、1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン(TEMPO)、1-メチルイミダゾール及び2-(2-ピリジル)ピリジンによる)によって達成され得る。後者は、厳密な無水条件を必要とせず、ABDジラクタム種への過酸化の証拠もないため、好ましい。アルデヒド種は、単独で保護されたN10位による攻撃を含む自発的なB環閉鎖を経る。
【0174】
二量体d1A及び単量体m2Aへの代替の経路をスキーム4に示す。この経路は、閉環を介在するアルデヒド脱マスキングを使用する。
スキーム4
【0175】
化合物3A、4B、4C及び4Dは、二量体(ここで、基RYは、同様のABD前駆体に接続されたR”を表す)又は単量体(ここで、基RYは、好適な保護基を表す)であってよい。
【0176】
3A単量体及び二量体変異体は、スキーム3に関連する、上記で考察されているストラテジーによって生成され得る。アゼチジン出発物質は、(他のマスキングされたアルデヒド等価物が使用されてもよいが)2位でのチオアセタールを特徴とする。ジエチルチオアセタールアゼチジンは、同様のプロリン合成ストラテジーの変形例によって調製されてよい(例えば、Langley,D.R.& Thurston,D.E.,J Organic Chemistry,52,91-97(1987))。アゼチジンに特異的に関連する経路もまた、文献(例えば、Bose,D.S.,et al.,Tetrahedron Letters,38(33),5839-5842,1997;doi:10.1016/S0040-4039(97)01297-5)で知られている。例えば、Cbz保護された2-(ヒドロキシメチル)アゼチジンは、(スキーム3に関して)上記に記載されているように調製されてよい。アルコールは、次いで、典型的には、Dess-Martin酸化(DMPによる)、又はDMSO中のIBXによって、アルデヒドに再酸化される。得られるアルデヒドは、プロトン性溶媒中、穏やかな酸触媒、例えば、TMSClにより、チオール、例えば、EtSHによって好ましくは縮合されて、チオアセタールを得る。チオアセタールは、H2ガス還元と適合しないため、N-保護基(例えば、Cbz)は、多くの場合、DCM中のTMS-Iによって除去される。これにより、ジエチルチオアセタールアゼチジン出発物質を結果として生じさせる。
【0177】
3Aとチオアセタールアゼチジン出発物質との直接の縮合により、4Bを与える。4Bのニトロ基は、スキーム3に関連して上記で考察されている方法を介して、好ましくは、塩化スズ(II)方法(MeOH中のSnCl2)又はMeOH中亜鉛/H2O/ギ酸(90:5:5)によって、アミン(4C)に還元され得る。還元は、チオアセタール基の非適合性に起因して直接の水素化を介さないことが好ましい。アミンは、対応するクロロホルマート又は酸塩化物との反応によって、好適なアミン保護基、例えば、Allocによって単独で保護される。4DのN-ProtN基は、好ましくは、単一の保護を好む種であるため、カルバマート、例えば、N-Allocである。
【0178】
アルデヒドへのチオアセタールの選択的な脱マスキングは、単独で保護されたN10位による攻撃によるB環の自発的な環化を結果として生じさせる。典型的には、脱マスキングは、アセトニトリル:水中のCaCO3を用いて、水銀(II)、例えば、HgCl2によって介在される。二量体4Dでは、これにより、(スキーム1のようにさらなる反応のための)d1Aが付与され、単量体4Dでは、これにより、(スキーム2のようにさらなる反応のための)m2Aが付与される。
【0179】
二量体又は単量体チオアセタール4B(スキーム4のように)は、スキーム5に示される代替の経路を介して合成されてよい。この経路は、in situでチオアセタールを生成する。
スキーム5
【0180】
単量体及び二量体3Aを得るための合成ストラテジーは、スキーム3に関連して上記に考察されている。3Aは、市販のアゼチジン-2-カルボン酸と縮合して、5Bを与える。5Bから4Bへの経路は、アゼチジン-2-カルボン酸からのチオアセタールアゼチジン出発物質の合成と同様のアプローチに従う(スキーム4に関連して上記に考察されている通りである)。
【0181】
5Cは、水素化物還元剤、典型的にはLiBH4によって、第2級アルコール5Dに還元される。5Dは、次いで、多くの場合、超原子価ヨウ素種(例えば、IBX又はDMP)によってアルデヒド(5E)に再酸化される。チオアセタールは、好ましくは、酸性条件下でEtSHを使用してin situで生成されて、化合物4Bを付与する。これは、スキーム4のようにさらに反応して、所望のABD種に達することができる。
【0182】
式Iの化合物の合成
本発明の第2の態様の化合物、特に、式Iの化合物の合成における可能性のあるステップをスキーム6に示す。これは、2つの環化されたABD単量体:ProtN保護されたN10位を有するm2A及びRL付加されたN10-窒素を有するm6A;によって開始される。
【0183】
式Iの化合物は、(式IVについてのスキーム1に示されている平衡と類似して)使用される溶媒に応じてイミンとカルビノールアミン又はカルビノールアミンエーテル形態との間の平衡において存在し得る。
【0184】
いくつかの実施形態において、Prot
Nは、(本発明の第2の態様の選択肢(d)i、ii及びiiiによって記載されている)式IのR
30置換基と等価であってよい。
スキーム6
【0185】
m2A出発物質は、スキーム3、4、及び5のように調製されてよい。ProtNがR30カルバマートリンカー基と等価である化合物では、m2Aがイソシアナートを介して調製される(すなわち、m6Aと同じ経路-以下に考察されている)。
【0186】
m2A及びm6Aは、スキーム2に関連して記載されている同様のストラテジーを使用して、二量体リンカーR”によって、Y8位について二量体化され得る。C11位のアルコールは、ProtOによって保護され、ここで、ProtOは、好ましくは、TBSであり、TBS-Clとの反応によって導入される。ProtY基のその後の除去は、ProtYがTIPSである場合、DMF及び水中のLiOAcによって行われて、それぞれm2C及びm6Bを与え得る。
【0187】
m2C及びm6Bは、R”(X)2とさらに反応して、二量体d6Cを与える。典型的には、Yは、Oであり、Xは、ハロゲン(好ましくはBr)である。この場合において、TBAI添加剤によりダブルウィリアムソンエーテル合成を駆動して二量体を形成し得る。例えば、光延エーテル化を介した、二量体化の代替のストラテジーも当該分野において知られている。
【0188】
いくつかの実施形態において、N10保護基は、非リンカーABDから除去されて、非対称二量体d6Dを与える。種々の脱保護ストラテジーは、スキーム1及び2に関連して考察されている。ProtNがAllocである場合、脱保護は、パラジウムを用いて実施され得る。
【0189】
他の実施形態において、N10保護基は除去されない。d6Cは、ProtOの除去により式Iの化合物に直接変換される。
【0190】
C11位のアルコール保護基の除去により、式Iの非対称化合物が得られる。ProtOがTBSであるとき、このアルコール脱保護は、DCM中でのパラジウム及びピロリジンを使用したAlloc N10位脱保護に付随して起こり得る。
【0191】
単量体m6A(スキーム6に必要とされる)の可能性のある合成、及び、式Iの化合物への代替の経路を、スキーム7に示す。
スキーム7
【0192】
化合物7A、7B、7C及び7Dは、二量体(ここで、基RYYは、N10位において単独で保護されているABD前駆体に接続されているR”を表す)又は単量体(ここで、基RYYは、好適な保護基を表す)であってよい。単量体7Aは、単量体3Cと等価であり、(スキーム3に示されているように)同様の経路を介して合成され得る。
【0193】
7Aのアミンは、イソシアナート7Bに転換される。イソシアナート形成のためのストラテジーは、先行技術(例えば、WO2005/023814)に詳述されている。典型的には、ホスゲン、好ましくは、トリホスゲンが塩基性条件下で使用され;固体トリホスゲン結晶は、毒性ホスゲンガスよりも安全かつ取り扱いが容易である。反応は、好ましくは非極性である無水及び非ヒドロキシルの有機溶媒において実施されなければならない。好適な溶媒として、無水DCM及び無水トルエンが挙げられる。反応は、室温で実施されてよく、約2265cm-1における赤外線分光法によって好都合にモニタリングされる。
【0194】
カルバマート7Cは、RL-OHによる攻撃を介してイソシアナートから形成される。カルバマート形成は、多くの場合、ワンポット法を介して達成され、ここで、イソシアナートは、DCM中のTEAを用いてトリホスゲンによって形成され、RL-OHは、反応混合物に直接付加される。このアプローチは、カルバマート形成前のイソシアナートの滞留時間を低減し、副反応の機会を少なくする。
【0195】
ProtO保護基が好適な方法によって除去されて、典型的には酸性条件(例えば、THF:水溶媒中の酢酸)下で第2級アルコール7Dを付与する。
【0196】
アルデヒド、又は機能的等価物を介しての7Dの酸化閉環は、分子篩上でのN-メチルモルホリン N-オキシド(NMO)中の過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)への曝露によって、又は、Swern酸化(DMSO及び塩化オキサリル)によって、又は、好ましくは、Cu(I)/TEMPOラジカル酸化(テトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート、1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン(TEMPO)、1-メチルイミダゾール及び2-(2-ピリジル)ピリジン)によって達成され得る。これは、単量体7D変異体(すなわち、ここで、RYY=ProtY)のために(スキーム6におけるさらなる反応のための)m6Aを与え、又は、二量体7D変異体(すなわち、ここで、RYY=N10保護されたABDに接続されているR”)のためにd7Eを与える。
【0197】
窒素保護基(ProtN)、典型的には、パラジウムによって除去されるAllocの除去は、式Iの非対称化合物を付与する。
【0198】
単量体m6A(スキーム6)及び二量体d7E(スキーム7)への代替の経路をスキーム8に示す。
スキーム8
【0199】
化合物8A、8B及び8Cは、二量体(ここで、基RYYは、N10位において単独で保護されているABD前駆体に接続されているR”を表す)又は単量体(ここで、基RYYは、好適な保護基、ProtYを表す)であってよい。8Aは、イソシアナート8Bに変換され、次いでRL-OHと反応して、カルバマートによりRLを付加する。好ましいストラテジーは、スキーム7に関連して考察されているものと同様である。
【0200】
アルデヒドへのチオアセタール8Cの選択的な脱マスキングは、単独で保護されたN10位による攻撃によるB環の自発的な環化を結果として生じさせる。典型的には、脱マスキングは、アセトニトリル:水中のCaCO3を用いて、水銀(II)、例えば、HgCl2によって介在される。環化により、(単量体8Cから)単量体m6A及び(二量体8Cから)二量体d7Eが付与される。m6Aは、スキーム6のように反応して、d7Eは、スキーム7のように反応して、式Iの化合物を生成する。
【0201】
スキーム7の出発物質は、単量体7A(すなわち、ここで、RYYはProtYである)についてはスキーム3(単量体3Aから3C)と同様の経路を介して実現され得る。同様に、スキーム8の出発物質は、単量体8A(すなわち、ここで、RYYはProtYである)についてはスキーム4(単量体3Aから4C)と同様の経路を介して実現され得る。
【0202】
二量体7A及び8A(すなわち、ここで、R
YYは、N10位において単独で保護されているABD前駆体に接続されているR”である)への経路をスキーム9に示す。
スキーム9
【0203】
3C及び4Cの二量体変異体は、スキーム3、4及び5において考察されているストラテジーを介して生成する。3C及び4Cは、ただ1つのN10位において保護されて、それぞれ非対称ABD二量体7A及び8Aを生じさせる。これは、1当量の保護試薬、典型的には、ProtNがAllocであるときにはクロロギ酸アリルの添加、及びその後の精製によって達成され、保護されていない又は二重保護された生成物を除去する。
【0204】
式IIの複合体の合成
本発明の第3の態様の複合体、特に、式IIの構成薬物リンカー単位(DL)の合成における可能性のあるステップは、リガンド単位へのリンカーの接続により、(式Iの化合物のように)基RLを(式I’の化合物のように)基RLLに変換することを含む。
【0205】
複合体は、先に記載されているように調製され得る。抗体は、Doronina et al.,Nature Biotechnology,2003,21,778-784)に記載されているように薬物リンカー化合物に複合体化され得る。簡潔には、pH7.4で50mMのホウ酸ナトリウムを含有するPBSにおける抗体(4~5mg/mL)は、37℃でトリス(カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)によって還元される。鎖間ジスルフィドを還元する反応の進行は、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)との反応によってモニタリングされ、所望のチオール/mAbレベルが達成されるまで続行される。還元された抗体は、次いで、0℃まで冷却され、抗体チオールあたり1.5当量のマレイミド薬物-リンカーによってアルキル化される。1時間後、反応は、5当量のN-アセチルシステインの添加によってクエンチされる。クエンチされた薬物リンカーは、PD-10カラム上でのゲル濾過によって除去される。ADCは、次いで、0.22μmシリンジフィルタを通して滅菌される。タンパク質濃度は、それぞれ280nm及び329nmでのスペクトル分析により、280nmでの薬物吸光度の寄与を補正して決定され得る。サイズ排除クロマトグラフィーは、抗体凝集の程度を決定するのに使用され得、RP-HPLCは、残存するNACクエンチされた薬物リンカーのレベルを決定するのに使用され得る。
【0206】
大環状の実施形態の合成
本発明の第1、第2及び第3の態様のいくつかの実施形態において、R7及びR7’置換基は、一緒になって、基:(i)-O-(CH2)n-O-、ここで、nは、7~16である;又は(ii)-O-(CH2CH2O)m-、ここで、mは、2~5である;を形成して、大環状ABD二量体を与えることができる。
【0207】
種々のストラテジーは、以下のスキーム10に示されているように、R7-R7’リンカーを導入するのに用いられ得る。d2Dで開始し、ここで、R7及びR7’は、両方が-ORを表し、R基は、DCM中のBBr3の添加によって除去されて、アルコールを呈することができる。塩基中の、ジブロモアルカン、例えば、1,7-ジブロモヘプタンのK2CO3による置換反応は、両方のC7位のアルコールによる攻撃によって、大環状生成物を与える。
【0208】
d2Dで開始する代替の経路は、C7位のアルコールをn-ブロモアルカ-1-エンによって置換することを含む。これにより、2つの末端不飽和アルケニル鎖が付与され、これが、閉環メタセシス(RCM)を容易に経ることができる。例えば、置換は、Grubs-II触媒を用いて5-ブロモペンタ-1-エン及びRCMによって達成され得る。RCMを介した大環状化は、一般に高収率である。
【0209】
大員環への好ましい経路は、二量体3A又はエステル前駆体で開始し、ここで、R
7及びR
7’は、両方が、-ORを表す。R基の除去及びジブロモアルカンによる置換(上記と同様の条件を使用する)は、大環状化合物を付与する。ABDは、次いで、スキーム3又は4のように到達されてよい。
スキーム10
【0210】
得られた生成物は、スキーム2又はスキーム6を介して反応して、それぞれ式IV及びIの化合物を得ることができる。
【0211】
このような大環状生成物を与えるのに必要とされるさらなる変換の詳細は、文献(Donnell,A.F.,Zhang,Y.,Stang,E.M.,Wei,D.D.,Tebben,A.J.,Perez,H.L.,Schroeder,G.M.,Pan,C.,Rao,C.,Borzilleri,R.M.,Vite,G.D.,Gangwar,S.,Macrocyclic pyrrolobenzodiazepine dimers as antibody-drug conjugate payloads,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters (2017),doi:https://doi.org/10.1016/j.bmcl.2017.10.028及びWO2016/209951)において利用可能である。
【0212】
第2級アミンの実施形態の合成
N10-C11基が-NH-CH
2-(すなわち第2級アミン)である化合物は、上記の手順の変形例によって合成され得る。特に、化合物3B
*の還元アミノ化は、さらなるステップにおける使用のためのm2A又はd1Aの変性されたバージョンを生じ得る:
【0213】
化合物3B*は、酸化によって前駆体アルコールから合成され得、かかる前駆体アルコールは、3Bを合成するのに使用されるものと類似のステップによって到達可能である。
【0214】
薬物複合体の合成
複合体は、先に記載されているように調製され得る。抗体は、Doronina et al.,Nature Biotechnology,2003,21,778-784)に記載されているように薬物リンカー化合物に複合体化され得る。簡潔には、pH7.4で50mMのホウ酸ナトリウムを含有するPBSにおける抗体(4~5mg/mL)は、37℃でトリス(カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)によって還元される。鎖間ジスルフィドを還元する反応の進行は、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)との反応によってモニタリングされ、所望のチオール/mAbレベルが達成されるまで続行される。還元された抗体は、次いで、0℃まで冷却され、抗体チオールあたり1.5当量のマレイミド薬物-リンカーによってアルキル化される。1時間後、反応は、5当量のN-アセチルシステインの添加によってクエンチされる。クエンチされた薬物-リンカーは、PD-10カラム上でのゲル濾過によって除去される。ADCは、次いで、0.22μmシリンジフィルタを通して滅菌される。タンパク質濃度は、それぞれ280nm及び329nmでのスペクトル分析により、280nmでの薬物吸光度の寄与を補正して決定され得る。サイズ排除クロマトグラフィーは、抗体凝集の程度を決定するのに使用され得、RP-HPLCは、残存するNACクエンチ薬物-リンカーのレベルを決定するのに使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【
図1】
図1は、対照又は本発明の複合体によって処理されたときの腫瘍細胞株の成長に対する影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0216】
さらなる優先事項
以下の優先事項は、上述の本発明の全ての態様に適用されてよく、又は、単一の態様に関していてよい。優先事項は、任意の組み合わせで一つに組み合わされてよい。
【0217】
R6’及びR9’は、それぞれ、R6及びR9と同じ基から選択される。いくつかの実施形態において、R6’、R7’、R9’、及びY’は、それぞれR6、R7、R9、及びYと同じである。
【0218】
二量体連結
いくつかの実施形態において、Y及びY’は、両方がOである。
【0219】
いくつかの実施形態において、R”は、置換基を有さないC3-7アルキレン基である。これらの実施形態のいくつかにおいて、R”は、C3、C5又はC7アルキレンである。特に、R”は、C3又はC5アルキレンであってよい。
【0220】
他の実施形態において、R”は、以下の式の基であり:
式中、rは、1又は2である。
【0221】
フェニレン基は、ピリジレン基によって置き換えられていてよい。
【0222】
R6~R9
いくつかの実施形態において、R9は、Hである。
【0223】
いくつかの実施形態において、R6は、H、OH、OR、SH、NH2、ニトロ及びハロから選択され、H又はハロから選択され得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、R6は、Hである。
【0224】
いくつかの実施形態において、R7は、H、OH、OR、SH、SR、NH2、NHR、NRR’、及びハロから選択される。これらの実施形態のいくつかにおいて、R7は、H、OH及びORから選択され、ここで、Rは、任意選択的に置換されているC1-7アルキル、C3-10ヘテロシクリル及びC5-10アリール基から選択される。Rは、より好ましくはC1-4アルキル基であってよく、置換されていても置換されていなくてもよい。対象となる置換基は、C5-6アリール基(例えば、フェニル)である。7位における特に好ましい置換基は、OMe及びOCH2Phである。特定の対象となる他の置換基は、ジメチルアミノ(すなわち-NMe2)、-(OC2H4)qOMe(qは、0~2である)、モルホリノ、ピペリジニル及びN-メチル-ピペラジニルを含めた窒素含有C6ヘテロシクリルである。
【0225】
これらの実施形態及び優先事項は、それぞれR9’、R6’及びR7’に適用される。
【0226】
他の実施形態において、R7及びR7’は、-O-(CH2)n-O-である基を形成し、ここで、nは、7~16である。nは、少なくとも7、8、9、10又は11であってよい。nは、最大で16、15、14又は13であってよい。
【0227】
他の実施形態において、R7及びR7’は、一緒になって、-O-(CH2CH2O)m-である基を形成し、ここで、mは、2~5である。mは、少なくとも2、3又は4であってよい。mは、最大で5、4又は3であってよい。
【0228】
R10、R11、R20、R21(式IV)
いくつかの実施形態において、R10及びR11は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成する。これらの実施形態のいくつかにおいて、R20及びR21は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成する。これらの実施形態の他のものにおいて、R20及びR21は、両方がHである。
【0229】
いくつかの実施形態において、R10はHであり、R11は、OH及びORAから選択され、ここで、RAは、C1-4アルキルである。これらの実施形態のいくつかにおいて、R20は、Hであり、R21は、OH及びORBから選択され、ここで、RBはC1-4アルキルである。これらの実施形態の他のものにおいて、R20及びR21は、両方がHである。
【0230】
いくつかの実施形態において、R10及びR11は、両方がHである。これらの実施形態のいくつかにおいて、R20及びR21は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成する。これらの実施形態の他のものにおいて、R20は、Hであり、R21は、OH及びORBから選択され、ここで、RBはC1-4アルキルである。
【0231】
いくつかの実施形態において、RAは、メチルである。いくつかの実施形態において、RBは、メチルである。
【0232】
いくつかの実施形態において、R10及びR11の対ならびにR20及びR21の対のうちの一方のみが、いずれもHである。他の実施形態において、R10及びR11の対ならびにR20及びR21の対のうちどれもが、いずれもHではない。
【0233】
いくつかの実施形態において、R10、R11、R20及びR21は、全てHである。
【0234】
N10’-C11’(式I及びI*)
いくつかの実施形態において、R30及びR31は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成する。
【0235】
いくつかの実施形態において、R30は、Hであり、R31は、OH及びORBから選択され、ここでRBはC1-4アルキルである。これらの実施形態のいくつかにおいて、RBは、メチルである。
【0236】
いくつかの実施形態において、R30は、Hであり、R31は、Hである。
【0237】
いくつかの実施形態において、R
31は、OH又はOR
Bであり、ここで、R
Bは、C
1-4アルキルであり、R
30は、以下から選択される:
【0238】
-C(=O)-X1-NHC(=O)X2-NH-は、ジペプチドを表す。ジペプチドにおけるアミノ酸は、天然アミノ酸のいずれの組み合わせであってもよい。ジペプチドは、カテプシン介在開裂のための作用の部位であってよい。
【0239】
1つの実施形態において、ジペプチド、-C(=O)-X1-NHC(=O)X2-NH-は、以下から選択される:
-Phe-Lys-,
-Val-Ala-,
-Val-Lys-,
-Ala-Lys-,
-Val-Cit-,
-Phe-Cit-,
-Leu-Cit-,
-Ile-Cit-,
-Phe-Arg-、
-Trp-Cit-
ここで、Citはシトルリンである。
【0240】
好ましくは、ジペプチド、-C(=O)-X1-NHC(=O)X2-NH-は、以下から選択される:
-Phe-Lys-,
-Val-Ala-,
-Val-Lys-,
-Ala-Lys-,
-Val-Cit-。
【0241】
最も好ましくは、ジペプチド、-C(=O)-X1-NHC(=O)X2-NH-は、-Phe-Lys-又はVal-Ala-である。
【0242】
本明細書に援用される、Dubowchik et al.,Bioconjugate Chemistry,2002,13,855-869に記載されているものを含めた、他のジペプチドの組み合わせが使用されてもよい。
【0243】
1つの実施形態において、アミノ酸側鎖は、適切な場合には、誘導体化されている。例えば、アミノ酸側鎖のいアミノ基又はカルボキシ基が誘導体化されていてよい。
【0244】
1つの実施形態において、側鎖アミノ酸、例えば、リシンのアミノ基NH2は、NHR及びNRR’からなる群から選択される誘導体化された形態である。
【0245】
1つの実施形態において、側鎖アミノ酸、例えば、アスパラギン酸のカルボキシ基COOHは、COOR、CONH2、CONHR及びCONRR’からなる群から選択される誘導体化された形態である。
【0246】
1つの実施形態において、アミノ酸側鎖は、適切な場合には、化学的に保護されている。側鎖保護基は、上記で考察されている基であってよい。本発明者らは、保護されたアミノ酸配列が酵素によって開裂可能であることを確証した。例えば、Boc側鎖保護されたLys残基を含むジペプチド配列がカテプシンによって開裂可能であることを確証した。
【0247】
アミノ酸の側鎖のための保護基は、当該分野において周知であり、Novabiochem Catalogに記載されている。さらなる保護基ストラテジーは、Protective Groups in Organic Synthesis、Greene and Wutsに提示されている。
【0248】
反応性の側鎖官能基を有するこれらのアミノ酸に関して、可能性のある側鎖保護基を、以下に示す:
Arg:Z、Mtr、Tos;
Asn:Trt、Xan;
Asp:Bzl、t-Bu;
Cys:Acm、Bzl、Bzl-OMe、Bzl-Me、Trt;
Glu:Bzl、t-Bu;
Gln:Trt、Xan;
His:Boc、Dnp、Tos、Trt;
Lys:Boc、Z-Cl、Fmoc、Z、Alloc;
Ser:Bzl、TBDMS、TBDPS;
Thr:Bz;
Trp:Boc;
Tyr:Bzl、Z、Z-Br。
【0249】
1つの実施形態において、側鎖保護は、存在する場合、キャッピング基として又は当該基の一部として付与される基と直交するように選択される。そのため、側鎖保護基の除去は、キャッピング基、又はキャッピング基の一部であるいずれの保護基官能基も除去しない。
【0250】
本発明の他の実施形態において、選択されるアミノ酸は、反応性の側鎖官能基を有さないものである。例えば、アミノ酸は:Ala、Gly、Ile、Leu、Met、Phe、Pro、及びVal;から選択されてよい。
【0251】
Qがジペプチドを含むとき、-C(=O)-X
1-NHC(=O)X
2-NH-は同じジペプチドであることが本発明において特に好ましい。好ましい基の例は以下である:
。
【0252】
他の好ましいR
30基には以下が含まれる:
及び
。
R
11b(式I及びI
*)
【0253】
いくつかの実施形態において、R11bは、OHである。
【0254】
いくつかの実施形態において、R11bは、ORAであり、ここで、RAは、C1-4アルキルである。これらの実施形態のいくつかにおいて、RAは、メチルである。
【0255】
さらなる式
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態において、式IVa、IVb又はIVcのものである:
式中、R
1aは、メチル及びベンジルから選択され;
R
10、R
11、R
20及びR
21は、上記に定義されている通りである。
【0256】
本発明の第2の態様のいくつかの実施形態において、式Ia、Ib又はIcのものである:
式中、R
1aは、メチル及びベンジルから選択され;
R
30、R
31、R
L及びR
11bは、上記に定義されている通りである。
【0257】
これらの実施形態及び優先事項は、本発明の第3の態様にも適用される。
【0258】
リンカー(RL)
いくつかの実施形態において、RLは、式IIIaのものである。
【0259】
いくつかの実施形態において、RLLは、式IIIa’のものである。
【0260】
G
L
G
Lは、以下から選択され得、式中、Arは、C
5-6アリーレン基、例えば、フェニレンを表す。
【0261】
いくつかの実施形態において、GLは、GL1-1及びGL1-2から選択される。これらの実施形態のいくつかにおいて、GLは、GL1-1である。
【0262】
G
LL
G
LLは、以下から選択され得、式中、Arは、C
5-6アリーレン基、例えば、フェニレンを表す。
【0263】
いくつかの実施形態において、GLLは、GLL1-1及びGLL1-2から選択される。これらの実施形態のいくつかにおいて、GLLは、GLL1-1である。
【0264】
X
Xは:
であり、
式中、a=0~5、b=0~16、c=0又は1、d=0~5である。
【0265】
aは、0、1、2、3、4又は5であってよい。いくつかの実施形態において、aは、0~3である。これらの実施形態のいくつかにおいて、aは、0又は1である。さらなる実施形態において、aは、0である。
【0266】
bは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16であってよい。いくつかの実施形態において、bは、0~12である。これらの実施形態のいくつかにおいて、bは、0~8であり、0、2、4又は8であってよい。
【0267】
Cは、0又は1であってよい。
【0268】
dは、0、1、2、3、4又は5であってよい。いくつかの実施形態において、dは、0~3である。これらの実施形態のいくつかにおいて、dは、1又は2である。さらなる実施形態において、dは、2である。
【0269】
Xのいくつかの実施形態において、aは、0であり、cは、1であり、dは、2であり、bは、0~8であってよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、bは、0、4又は8である。
【0270】
Q
1つの実施形態において、Qは、アミノ酸残基である。アミノ酸は、天然アミノ酸又は非天然アミノ酸であってよい。
【0271】
1つの実施形態において、Qは:Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択され、Citは、シトルリンである。
【0272】
1つの実施形態において、Qは、ジペプチド残基を含む。ジペプチドにおけるアミノ酸は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の任意の組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、ジペプチドは、天然アミノ酸を含む。リンカーがカテプシン不安定リンカーであるとき、ジペプチドは、カテプシン媒介開裂の作用部位である。ジペプチドは、次いでカテプシンの認識部位となる。
【0273】
1つの実施形態において、Qは:
CO-Phe-Lys-NH,
CO-Val-Ala-NH,
CO-Val-Lys-NH,
CO-Ala-Lys-NH,
CO-Val-Cit-NH,
CO-Phe-Cit-NH,
CO-Leu-Cit-NH,
CO-Ile-Cit-NH,
CO-Phe-Arg-NH、及び
CO-Trp-Cit-NH;
から選択され、
Citはシトルリンである。
【0274】
好ましくは、Qは:
CO-Phe-Lys-NH,
CO-Val-Ala-NH,
CO-Val-Lys-NH,
CO-Ala-Lys-NH,
CO-Val-Cit-NH
から選択される。
【0275】
最も好ましくは、Qは、CO-Phe-Lys-NH、CO-Val-Cit-NH及びCO-Val-Ala-NHから選択される。
【0276】
対象となる他のジペプチド組み合わせとして:
CO-Gly-Gly-NH,
CO-Pro-Pro-NH、及び
CO-Val-Glu-NH
が挙げられる。
【0277】
参照により本明細書に援用される、Dubowchik et al.,Bioconjugate Chemistry,2002,13,855-869に記載されているものを含めた他のジペプチド組み合わせが使用され得る。
【0278】
いくつかの実施形態において、QXは、トリペプチド残基である。トリペプチドにおけるアミノ酸は、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の任意の組み合わせであってよい。いくつかの実施形態において、トリペプチドは、天然アミノ酸を含む。リンカーがカテプシン不安定リンカーであるとき、トリペプチドは、カテプシン媒介開裂の作用部位である。トリペプチドは、次いでカテプシンの認識部位となる。特定の対象となるトリペプチドリンカーは:
CO-Glu-Val-Ala-NH
CO-Glu-Val-Cit-NH
CO-αGlu-Val-Ala-NH
CO-αGlu-Val-Cit-NH
である。
【0279】
1つの実施形態において、アミノ酸側鎖は、適切な場合には、化学的に保護されている。側鎖保護基は、以下で考察されている基であってよい。保護されたアミノ酸配列は酵素によって開裂可能である。例えば、Boc側鎖保護されたLys残基を含むジペプチド配列は、カテプシンによって開裂可能である。
【0280】
アミノ酸の側鎖のための保護基は、上記に記載されているように、当該分野において周知であり、Novabiochem Catalogに記載されている。
【0281】
いくつかの実施形態において、RLは、式IIIbのものである。
【0282】
いくつかの実施形態において、RLLは、式IIIb’のものである。
【0283】
RL1及びRL2は、H及びメチルから独立して選択され、又は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン若しくはシクロブチレン基を形成している。
【0284】
いくつかの実施形態において、RL1及びRL2は、両方が、Hである。
【0285】
いくつかの実施形態において、RL1は、Hであり、RL2は、メチルである。
【0286】
いくつかの実施形態において、RL1及びRL2は、両方が、メチルである。
【0287】
いくつかの実施形態において、RL1及びRL2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン基を形成している。
【0288】
いくつかの実施形態において、RL1及びRL2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロブチレン基を形成している。
【0289】
基IIIbでは、いくつかの実施形態において、eは、0である。他の実施形態において、eは、1であり、ニトロ基は、環の任意の利用可能な位置にあってよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、オルト位にある。これらの実施形態の他のものにおいて、パラ位にある
【0290】
1つの特定の実施形態において、本発明の第2の態様は、式Idの化合物を含み:
式中、Qは、以下:
(a)-CH
2-;
(b)-C
3H
6-;及び
(c)
から選択される。
【0291】
1つの特定の実施形態において、本発明の第3の態様は、式(Id’)の薬物リンカー(D
L)であり:
式中、Qは、以下:
(a)-CH
2-;
(b)-C
3H
6-;及び
(c)
から選択される。
【0292】
本発明のいくつかの実施形態において、C11置換基は、隣接する基に対して以下の立体化学的配置にあってよい:
【0293】
他の実施形態において、C11置換基は、隣接する基に対して以下の立体化学的配置にあってよい:
【実施例】
【0294】
一般情報
手動フラッシュクロマトグラフィーを、Merck Kieselgel 60 F254シリカゲルを使用して実施した。抽出及びクロマトグラフィーの溶媒は、Fisher Scientific,U.Kから購入し、さらに精製することなく使用した。全ての化学薬品をAldrich、Lancaster又はBDHから購入した。
【0295】
自動フラッシュクロマトグラフィーを、88%ヘキサン/EtOAc又は99.9%DCM/MeOHのいずれかから開始して、カラムから全てのUV活性成分(214及び254nmで検出)が溶出されるまで、勾配をつけた溶出を使用してBiotage Isolera1(商標)を使用して実施した。勾配は、UV活性材料の実質的な溶出が観察されたときはすぐに手動で維持した。画分は、純度について、Merck Kieselgel 60 F254シリカゲル(アルミニウムプレート上に蛍光指示薬が付いている)を用いて薄層クロマトグラフィー(TLC)により確認した。他に特に記載がないかぎり、TLCの視覚化は、UV光又はヨウ素蒸気で行った。抽出及びクロマトグラフィーの溶媒は、VWR,U.K.から購入し、精製することなく使用した。他に特に記載がないかぎり、全ての純度の高い化合物は、Sigma-Aldrich又はTCI Europeから購入した。PEG化試薬は、Stratech UKを通してQuanta biodesign USから得た。
【0296】
LC/MS条件は以下の通りであった:
【0297】
ポジティブモードエレクトロスプレー質量分析は、Waters Aquity H-classを使用して実施した。使用した移動相は、溶媒A(0.1%ギ酸を含む水)及び溶媒B(0.1%ギ酸を含むアセトニトリル)であった。
【0298】
LCMS 3分:初期組成を0.25分かけて5%Bに保持し、次いで、5%Bから100%Bに2分の期間をかけて増加させた。組成を100%Bで0.50分間保持し、次いで5%Bへと0.05分で戻し、そこで0.05分間保持した。合計勾配実行時間は、3分に等しい。流速0.8mL/分。検出は254nmであった。カラム:Waters Acquity UPLC(登録商標)BEH Shield RP18 VanGuard Pre-カラム、130A、1.7μm、2.1mm×5mmによってフィッティングした、50℃におけるWaters Acquity UPLC(登録商標)BEH Shield RP18 1.7μm 2.1×50mm。
【0299】
LCMS 15分:初期組成を1分かけて5%Bに保持し、次いで、5%Bから100%Bに9分の期間をかけて増加させた。組成を100%Bで2分間保持し、次いで5%Bへと0.10分で戻し、そこで3分間保持した。合計勾配実行時間は、15分に等しい。流速0.6mL/分。波長検出範囲:190~800nm。オーブン温度:50℃。カラム:ACE Excel 2 C18-AR、2μ、3.0×100mm。
【0300】
分取HPLC:
逆相超高速液体クロマトグラフィー(UFLC)を、Phenomenex(登録商標)Gemini NX 5μC18カラム(50℃)寸法:150×21.2mmを使用したShimazdzu Prominence(登録商標)機において行った。使用した溶出液は、溶媒A(0.1%ギ酸を含むH2O)及び溶媒B(0.1%ギ酸を含むCH3CN)であった。全てのUFLC実験を以下の勾配条件で実施した:初期組成の13%Bを15分の期間をかけて60%Bに増加させ、次いで2分間かけて100%Bに増加させた。組成を100%Bで1分間保持し、次いで0.1分で13%Bに戻し、そこで1.9分間保持した。勾配実行の合計継続時間は20.0分であった。流速は20.0mL/分であり、検出は254及び280nmであった。
【0301】
実施例1
a)1-((ベンジルオキシ)カルボニル)アゼチジン-2-カルボン酸(2)
(2S)-アゼチジン-2-カルボン酸1(3g、29.674mmol)及び重炭酸ナトリウム(6.3g、75mmol)をH
2O(25mL、1387.75mmol)に可溶化し、THF(25mL、307mmol、100質量%)中のN-(ベンジルオキシカルボニル)スクシンイミド(8.5g、34mmol)を滴加した。室温で12時間撹拌後、2つの相を分離させた。水相をジエチルエーテル(50mL)で洗浄し、氷浴において冷却し、次いで、濃HClによってpH=2まで酸性化した。水相を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO
4)、過剰な溶媒を真空蒸発させて、粗生成物を透明な油として得た。粗製材料を精製することなく次のステップにおいて使用した。LCMS 3分:ES
+=1.34分、m/z258.2[M+Na]
+。
【0302】
b)(1-ベンジル 2-メチル (S)-アゼチジン-1,2-ジカルボキシラート(3)
乾燥丸底フラスコにおいて、(2S)-1-ベンジルオキシカルボニルアゼチジン-2-カルボン酸2(6.98g、29.7mmol)をMeOH(65mL)に可溶化し、硫酸(3mL)を添加した。混合物を加熱還流し、一晩中撹拌したままにした。混合物を室温まで冷却したままにして、Net3(pH=7まで)によってクエンチした後、1時間撹拌した。メタノールを真空中で除去した。残渣をEtOAc中で採取し、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過した。有機物を真空中で除去して、粗生成物3(8.004g、32.11mmol)を透明な油として得た。LCMS 3分:ES+=1.53分、m/zイオン化なし
【0303】
c)ベンジル (S)-2-(ヒドロキシメチル)アゼチジン-1-カルボキシラート(4)
O1-ベンジル O2-メチル (2S)-アゼチジン-1,2-ジカルボキシラート3(7.6g、30mMol)をTHF(75mL、922mmol)に可溶化し、0℃に冷却し、LiBH4(1g、45mMol,)を添加した。混合物を室温まで加温させ、さらなる時間撹拌し、この時点で、反応が完了した。反応混合物を0℃に冷却した後、H2O及び1M HClでクエンチした。揮発性物質を真空中で除去した。残渣をEtOAc中で採取し、ブライン(2×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で回転蒸発によって除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(Hex/EtOAc、100%から1:2)、生成物4を透明な油として得た(4.076g、3ステップで60%の収率)。LCMS 3分:ES+=1.36分、m/z222.3[M+H]+。
【0304】
d)ベンジル (S)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボキシラート(5)
ベンジル (2S)-2-(ヒドロキシメチル)アゼチジン-1-カルボキシラート4(4.0766g、18.425mmol)を乾燥CH2Cl2(20mL、312.0mmol)に可溶化し、混合物を0℃に冷却した後、イミダゾール(2.508g、36.84mmol)及びTBS-Cl(4.16g、27.6mmol)を添加した。混合物を室温まで加温させ、撹拌したままにした。LCMSは、反応が5分以内に完了したことを示す。有機物を飽和NH4Cl、水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を真空中で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(Hex/EtOAc、100%から9:1)、生成物5を得た(6.90g、完全に乾燥していない、定量)。LCMS 3分:ES+=2.15分、m/z336.9[M+H]+。
【0305】
e)(S)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン(6)
パラジウム担持炭素(10%)(100mg、0.93mMol)を、EtOAc(5mL)で滴下して処理し、得られたスラリーを、Parr水素化ボトルにおいて、5(6.9027g、20.57mmol)をEtOH(100mL)に懸濁させた懸濁液に室温で添加した。反応混合物を20psiでH2ガスに供し、次いで、ボトルを(3回繰り返して)真空引きした。次いでボトルの蓋をして38psiのH2とし、1時間振とうした。この時間の間、圧力を約30psiに降下させ、ボトルの蓋をして40psiまで戻し、さらなる時間振とうした。さらなる圧力減少が観察されず、反応が完了したようであった。このことをLC-MSによって確認した。混合物を、セライトを通して濾過し、濾液を真空蒸発させ、粗生成物6を褐色油として得た(3.761g、90%の収率)。LCMS 3分:ES+=1.70分、m/zイオン化なし。
【0306】
f)((S)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-イル)(4-(6-(4-((2R)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)シクロブタン-1-カルボニル)-2-メトキシ-5-ニトロフェノキシ)ヘキシル)-5-メトキシ-2-ニトロフェニル)メタノン(8)
DCC(3.8g、18mmol)を、7(3.9g、7.9mmol)及びHOBt(2.3g、17mMol)をCH2Cl2(200mL)に溶解させた溶液に0℃で添加した。冷浴を除去し、反応を室温で30分間進行させ、このとき、6(3.65g、18mmol)及びトリエチルアミン(3.2mL、23mmol)をCH2Cl2(200mL)に溶解させた溶液を、アルゴン下、-10℃で迅速に添加した。反応混合物を室温で撹拌させ、LC/MSによってモニタリングした。2分後、反応が完了した。固体をセライト上での濾過によって除去し、有機相を、低温の水性0.1M HClによって、pHが2と測定されるまで洗浄した。有機相を次いで水、続いて、飽和水性重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、急速減圧した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(Hex/EtOAc/CH2Cl2、100%から1:2:1)、生成物8を得た(5.9g、87%の収率)。生成物は、いくらかのモノカップリング生成物(不純物はクロマトグラフィーにて分離していない)によって汚染されている。LCMS 3分:ES+=2.35分、m/z862.2[M+H]+。
【0307】
g)((ペンタン-1,5-ジイルビス(オキシ))ビス(2-アミノ-5-メトキシ-4,1-フェニレン))ビス(((S)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-イル)メタノン)(9)
亜鉛(4.65g、71.1mmol)を、8(2.45g、2.85mmol)をMeOH/H2O/ギ酸の90:5:5(66mL)の混合物に溶解させた溶液にゆっくり添加した。生じた発熱を、氷浴を使用して制御し、反応混合物の温度を40℃未満に維持した。完了の際、固体をセライト上での濾過によって除去し、有機相を水及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。粗製材料9(2.28g、定量)をそのまま次のステップにおいて使用した。LCMS 3分:ES+=2.32分、m/z802.3[M+H]+。
【0308】
h)ジアリル ((ペンタン-1,5-ジイルビス(オキシ))ビス(6-((S)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボニル)-4-メトキシ-3,1-フェニレン))ジカルバマート(10)
化合物9(2.23g、2.78mmol)をアルゴン雰囲気下CH2Cl2(50mL)に可溶化した。混合物を-78℃に冷却した後、ピリジン(0.99mL、12.3mmol)及びクロロギ酸アリル(0.738mL、2.49mmol)を添加した。反応を-78℃において10分間撹拌したままにした後、室温まで加温させた。15分後、反応が完了した。有機物を飽和CuSO4、H2O、ブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。粗生成物10(1.47g、1.52mMol、定量)をそのまま次のステップにおいて使用した。LCMS 3分:ES+=2.53分、m/z970.3[M+H]+。
【0309】
i)ジアリル ((ペンタン-1,5-ジイルビス(オキシ))ビス(6-((S)-2-(ヒドロキシメチル)アゼチジン-1-カルボニル)-4-メトキシ-3,1-フェニレン))ジカルバマート(11)
【0310】
化合物10(1.47g、1.52mMol)をH2O/THF/酢酸の3:1:1混合物(16mL)に可溶化し、反応を週末にかけて撹拌したままにした。混合物をCH2Cl2で抽出し、飽和NaHCO3、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(Hex/EtOAc、100%から1:1)、生成物11(859mg、76.5%の収率)を透明な油として得た。LCMS 3分:ES+=1.75分、m/z742.0[M+H]+。
【0311】
j)ジアリル 7,7’-(ペンタン-1,5-ジイルビス(オキシ))(10aS,10a’S)-ビス(10-ヒドロキシ-6-メトキシ-4-オキソ-1,2,10,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-9(4H)-カルボキシラート)(12)
化合物11(850mg、1.14mMol)をCH2Cl2(60mL)に可溶化した。1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン;1-メチルイミダゾール;2-(2-ピリジル)ピリジン(0.7mL、1140mmol、0.2mMl/L)及びテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート(55mg、0.145mMol)を順次添加し、混合物を、空気を圧入した2バルーンで35℃にて撹拌した。反応を一晩中撹拌したままにした後、ロータリーエバポレーターによって真空乾固した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl3/MeOH、100%から95:5)、生成物12を得た(346g、0.47mMol、41%の収率)。LCMS 3分:ES+=1.48分、m/z737.9[M+H]+。
【0312】
k)(10aS,10a’S)-7,7’-(ペンタン-1,5-ジイルビス(オキシ))ビス(6-メトキシ-1,10a-ジヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(2H)-オン)(Ex1)
化合物12(335mg、0.45mmol)を、アルゴン下、フラスコにおいて、CH2Cl2(20mL)に可溶化した。ピロリジン(650μL、7.8mmol)及びPd(PPh3)4(50mg、0.004mMol)を続いて添加し、完了するまで混合物を室温で撹拌したままにした。有機物を飽和NH4Cl、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。Isoleraクロマトグラフィーによる精製(CH2Cl2/(CH2Cl2+10%MeOH)92:7から10:90。生成物を含有する2つのフラクションを単離したが、不十分な純度であった。フラクションを合わせ、手動クロマトグラフィーによって再精製し、純粋な生成物Ex1を単離した(146mg、0.27mMol、24%の収率)。LCMS 3分:ES+=1.32分、m/z533.8[M+H]+。LCMS 15分:ES+=4.83分、m/z533.9[M+H]+。
【0313】
実施例2
a)((S)-(2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-イル)(5-メトキシ-2-ニトロ-4-((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)メタノン(13)
DCC(4.021g、19.49mmol)を、5-メトキシ-2-ニトロ-4-トリイソプロピルシリルオキシ-安息香酸13(6g、16.24mmol)及びHOPO(1.984g、17.86mMol)をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させた溶液に0℃で添加した。冷浴を除去し、反応を室温で30分間進行させ、このとき、[(2S)-アゼチジン-2-イル]メトキシ-tert-ブチル-ジメチル-シラン6(3.761g、18.68mmol)及びトリエチルアミン(3.39mL、33.5mmol)をCH
2Cl
2(100mL)に溶解させた溶液を、アルゴン下、-10℃で迅速に添加した。反応混合物を室温で撹拌させ、LC/MSによってモニタリングした。2分後、反応が完了した。固体をセライト上での濾過によって除去し、有機相を、低温の水性0.1M HClによって、pHが2と測定されるまで洗浄した。有機相を次いで水、続いて飽和水性重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥し、急速減圧した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(Hex/EtOAc、100%から1:1)、生成物14を得た(8.6737g、96.63%の収率)。LCMS 3分:ES
+=2.44分、m/z554.2[M+H]
+。
【0314】
b)(S)-(2-アミノ-5-メトキシ-4-((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)(2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-イル)メタノン(15)
亜鉛(10g、152.9mMol)を、14(8.6737g、15.69mMol)をMeOH/H2O/ギ酸の90:5:5の混合物(200mL)に溶解させた溶液にゆっくり添加した。生じた発熱を、氷浴を使用して制御し、反応混合物の温度を40℃未満に維持した。完了の際、固体をセライト上での濾過によって除去し、有機相を水及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去した。粗製材料15(7.6343g、14.6mMol、93.05%の収率)をそのまま次のステップにおいて使用した。LCMS 3分:ES+=2.42分、m/z524.4[M+H]+。
【0315】
c)アリル (S)-(2-(2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボニル)-4-メトキシ-5-((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)カルバマート(16)
化合物15(7.6343g、14.60mMol)を、アルゴン雰囲気下、CH2Cl2(100mL)に可溶化した。混合物を-78℃に冷却した後、ピリジン(2.6mL、32mmol)及びクロロギ酸アリル(1.7mL、16mMol)を添加した。反応を-78℃において10分間撹拌したままにした後、室温まで加温させた。15分後、反応が完了した。有機物を飽和CuSO4、H2O、ブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。粗生成物16(8.9129g、14.69mMol、定量)をそのまま次のステップにおいて使用した。LCMS 3分:ES+=2.53分、m/z608.2[M+H]+。
【0316】
d)アリル (S)-(2-(2-(ヒドロキシメチル)アゼチジン-1-カルボニル)-4-メトキシ-5-((トリイソプロピルシリル)オキシ)フェニル)カルバマート(17)
化合物16(8.9129g、14.69mMol)をH2O/THF/酢酸の3:1:1混合物(80mL)に可溶化し、反応を週末にかけて撹拌したままにした。混合物をCH2Cl2で抽出し、飽和NaHCO3、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(Hex/EtOAc、100%から1:1)、生成物17を得た(5.5572g、76.80%の収率)を透明な油として得た。LCMS 3分:ES+=1.97分、m/z494.0[M+H]+。
【0317】
e)アリル (10aS)-10-ヒドロキシ-6-メトキシ-4-オキソ-7-((トリイソプロピルシリル)オキシ)-1,2,10,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-9(4H)-カルボキシラート(18)。
化合物17(5.5572g、11.28mMol)をCH2Cl2(40mL)に可溶化した。1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン;1-メチルイミダゾール;2-(2-ピリジル)ピリジン(6mL、1mmol)及びテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート(425mg、1.1279mMol)を順次添加し、混合物を、空気を圧入した2バルーンで35℃にて撹拌した。反応を一晩中撹拌したままにした後、ロータリーエバポレーターによって真空乾固した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl3/MeOH、100%から97:3)、生成物18(5.3835g、10.97mMol、97.27%の収率)を淡橙色発泡体として得た。LCMS 3分:ES+=2.00分、m/z491.8[M+H]+。
【0318】
f)アリル (10aS)-10-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-メトキシ-4-オキソ-7-((トリイソプロピルシリル)オキシ)-1,2,10,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-9(4H)-カルボキシラート(19)
化合物18(5.3835g、10.97mMol)をCH2Cl2(50mL)に可溶化し、-78℃に冷却した。2,6-ルチジン(2.55mL、21.9mmol)及びTBS-OTf(3.78mL、16.4mMol)を順次添加した。混合物を10分間放置した後、冷却浴を除去し、室温まで加温させ、有機物をH2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl3/MeOH、100%から95:5)、生成物19を得た(6.8532g、定量)。LCMS 3分:ES+=2.47分、m/z606.0[M+H]+。
【0319】
g)アリル (10aS)-10-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-7-ヒドロキシ-6-メトキシ-4-オキソ-1,2,10,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-9(4H)-カルボキシラート(20)
化合物19(6.8g、14mMol)をDMF(10mL)に可溶化した。LiOAc.2H2O(1.4g、14mmMl)及びH2O(3mL又は可能な限り)を添加した。溶液が再び透明になったら、数滴の水を添加した。プロセスを、反応が完了するまで繰り返し続けた。有機物をCHCl3で希釈し、クエン酸溶液(pH=3)、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl3/MeOH、100%から95:5)、生成物20を得た(5.2885g、11.79mMol、85%の収率)を黄色油として得た。LCMS 3分:ES+=1.86分、m/z449.8[M+H]+。
【0320】
h)ジアリル 7,7’-(プロパン-1,3-ジイルビス(オキシ))(10aS,10a’S)-ビス(10-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-メトキシ-4-オキソ-1,2,10,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-9(4H)-カルボキシラート)(21)
1,3-ジブロモプロパン(204.9mg、1.015mMol)及び化合物20(1g、2.030mMol)をアルゴン雰囲気下でCH2Cl2(50mL)に可溶化した。K2CO3(280mg、2.026mmol)及びTBAI(149mg、0.2mMol)を順次添加し、完了するまで混合物を40℃で撹拌させた。混合物を一晩中撹拌したままにしたが、反応は完了まで行かず、代わりに、不純物が形成された。有機物をH2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl3/MeOH、100%から97:3)、生成物21を得(482mg、0.471mMol、46.50%の収率)、これは、分離不能な不純物(LCMS 15分において室温で9.95分)によって汚染されていた。LCMS 15分:ES+=9.86分、m/z938.3[M+H]+。
【0321】
i)(10aS,10a’S)-7,7’-(プロパン-1,3-ジイルビス(オキシ))ビス(6-メトキシ-1,10a-ジヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(2H)-オン)(Ex2A)
化合物21(482mg、0.5143mMol)を、アルゴン下、フラスコにおいて、CH2Cl2(20mL)に可溶化した。ピロリジン(786μL、9.44mmol)及びPd(PPh3)4(54mg、0.046mMol)を続いて添加し、完了するまで混合物を室温で撹拌したままにした。有機物を飽和NH4Cl、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。Isoleraクロマトグラフィーによる精製(CH2Cl2/(CH2Cl2+10%MeOH)98:2から30:70。生成物を含有する2つのフラクションを単離したが、不十分な純度であった。フラクションを合わせ、Isoleraクロマトグラフィーによって再精製し(同じ溶媒系)、純粋な生成物Ex2Aを単離した(35.1mg、0.135mMol、13.5%の収率)。LCMS 3分:ES+=1.23分、m/z505.8[M+H]+。
【0322】
j)ジアリル 7,7’-((1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(オキシ))(10aS,10a’S)-ビス(10-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-6-メトキシ-4-オキソ-1,2,10,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-9(4H)-カルボキシラート)(22)
1,3-ビス(ブロモメチル)ベンゼン(267.9mg、1.011mMol)及び化合物20(1g、2.030mMol)をアルゴン雰囲気下でDMF(5mL)に可溶化した。K2CO3(280mg、2.026mmol)及びTBAI(749mg、2.027mMol)を順次添加し、完了するまで混合物を40℃で撹拌させた。混合物を一晩中撹拌したままにしたが、反応は完了まで行かず、不純物が形成された。混合物をCH2Cl2で希釈し、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl3/MeOH、100%から97:3)、生成物22(467mg、0.43mMol、42.47%の収率)+398mgの混合フラクションを得た。LCMS 3分:ES+=2.30分、m/z1000.5[M+H]+。
【0323】
k)(10aS,10a’S)-7,7’-((1,3-フェニレンビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(6-メトキシ-1,10a-ジヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(2H)-オン)(Ex2B)
化合物22(455mg、0.419mMol)を、アルゴン下、フラスコにおいて、CH2Cl2(20mL)に可溶化した。ピロリジン(600μL、7.2mmol)及びPd(PPh3)4(48mg、0.041mMol)を続いて添加し、完了するまで混合物を室温で撹拌したままにした。有機物を飽和NH4Cl、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。Isoleraクロマトグラフィーによる精製(CH2Cl2/(CH2Cl2+10%MeOH)98:2から30:70。生成物を含有する2つのフラクションを単離したが、不十分な純度であった。フラクションを合わせ、Isoleraクロマトグラフィーによって再精製し(同じ溶媒系)、純粋な生成物Ex2Bを白色固体として単離した(214.5mg、0.378mMol、90.5%の収率)。LCMS 3分:ES+=1.38分、m/z567.8[M+H]+。
【0324】
実施例3
a)アリル (5-((5-(5-アミノ-4-((S)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボニル)-2-メトキシフェノキシ)ペンチル)オキシ)-2-((S)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボニル)-4-メトキシフェニル)カルバマート(23)
化合物9(1.192g、1.488mMol)をアルゴン雰囲気下でCH
2Cl
2(250mL)に可溶化した。混合物を-78℃に冷却した後、ピリジン(0.241mL、2.98mmol)及びクロロギ酸アリル(0.158mL、1.484mMol)を添加した。反応を-78℃において10分間撹拌したままにした後、室温まで加温させた。15分後、反応が完了した。有機物を飽和CuSO
4、H
2O、ブラインで洗浄した後、MgSO
4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl
3/MeOH)、モノ及びビス-allocの混合物を得、これを第2のカラム(Hex/EtOAc)によってさらに精製して、純粋な生成物23を得た(499.2g、50%の生じ得るもののうち37.9%の収率)。LCMS 3分:ES
+=2.41分、m/z886.6[M+H]
+。
【0325】
b)アリル (5-((5-(5-((((4-((S)-2-((S)-2-(((アリルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)-4-((S)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボニル)-2-メトキシフェノキシ)ペンチル)オキシ)-2-((S)-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)アゼチジン-1-カルボニル)-4-メトキシフェニル)カルバマート(24)
トリホスゲン(68.8mg、0.232mMol)を、0℃において、CH2Cl2(50mL)中の23(620mg、0.7mmol)及びTEA(203μL、1.46mMol)の混合物に少しずつ添加した。氷浴を除去し、15分後、Alloc-Val-Ala-PAB-OH(275mg、0.728mMol)を微粉末として少しずつ添加し、続いて、さらなるTEA(73μL、0.524mMol)及びジラウリン酸ジブチルスズ(39.6μL、0.07mMol)を添加した。反応混合物を37℃で4時間撹拌させ、続いて、室温で一晩中撹拌した。有機物をH2O、飽和NH4Cl及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl3/MeOH)、純粋な生成物24を得た(414g、45.9%の収率)。LCMS 3分:ES+=2.43分、m/z1289.5[M+H]+。
【0326】
c)アリル (5-((5-(5-((((4-((S)-2-((S)-2-(((アリルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)アミノ)-4-((S)-2-(ヒドロキシメチル)アゼチジン-1-カルボニル)-2-メトキシフェノキシ)ペンチル)オキシ)-2-((S)-2-(ヒドロキシメチル)アゼチジン-1-カルボニル)-4-メトキシフェニル)カルバマート(25)
化合物24(414mg、0.32mMol)をH2O/THF/酢酸の3:1:1混合物(10mL)に可溶化し、反応を週末にかけて撹拌したままにした。混合物をCH2Cl2で抽出し、飽和NaHCO3、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl3/MeOH、100%から94:6)、生成物25を得た(326mg、95.7%の収率)。LCMS 3分:ES+=1.80分、m/z1060.1[M+H]+。
【0327】
d)アリル (10aS)-7-((5-(((10S,10aS)-9-(((4-((S)-2-((S)-2-(((アリルオキシ)カルボニル)アミノ)-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-10-ヒドロキシ-6-メトキシ-4-オキソ-1,2,4,9,10,10a-ヘキサヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-7-イル)オキシ)ペンチル)オキシ)-10-ヒドロキシ-6-メトキシ-4-オキソ-1,2,10,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-9(4H)-カルボキシラート(26)
化合物25(202.4mg、0.3mMol)をCH2Cl2(20mL)に可溶化した。1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン;1-メチルイミダゾール;2-(2-ピリジル)ピリジン(0.4mL、0.03mmol)及びテトラキスアセトニトリル銅(I)トリフラート(11mg、0.03mMol)を順次添加し、混合物を、空気を圧入した2バルーンで35℃にて撹拌した。反応を一晩中撹拌したままにした後、ロータリーエバポレーターによって真空乾固した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により(CHCl3/MeOH、100%から97:3)、生成物26を得た(313mg、0.19mMol、64.5%の収率)。LCMS 3分:ES+=1.59分、m/z1057.1[M+H]+。
【0328】
e)4-((S)-2-((S)-2-アミノ-3-メチルブタンアミド)プロパンアミド)ベンジル (10S,10aS)-10-ヒドロキシ-6-メトキシ-7-((5-(((S)-6-メトキシ-4-オキソ-1,2,4,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-7-イル)オキシ)ペンチル)オキシ)-4-オキソ-1,2,10,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-9(4H)-カルボキシラート)(27)
化合物26(195mg、0.184mMol)を、アルゴン下、フラスコにおいて、CH2Cl2(10mL)に可溶化した。ピロリジン(262μL、3.15mmol)及びPd(PPh3)4(21mg、0.018mMol)を続いて添加し、完了するまで混合物を室温で撹拌したままにした。有機物を飽和NH4Cl、H2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。Isoleraクロマトグラフィーによる精製(CH2Cl2/(CH2Cl2+10%MeOH)98:2から30:70により、生成物27を得た(141mg、0.16mMol、87.7%の収率)。LCMS 3分:ES+=1.23分、m/z870.9[M+H]+。
【0329】
f)4-((2S,5S)-37-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-5-イソプロピル-2-メチル-4,7,35-トリオキソ-10,13,16,19,22,25,28,31-オクタオキサ-3,6,34-トリアザペンタトリアコンタンアミド)ベンジル (10S,10aS)-10-ヒドロキシ-6-メトキシ-7-((5-(((S)-6-メトキシ-4-オキソ-1,2,4,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-7-イル)オキシ)ペンチル)オキシ)-4-オキソ-1,2,10,10a-テトラヒドロアゼト[1,2-a]ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-9(4H)-カルボキシラート(Ex3)
反応をグローブボックスにおいて行った。化合物27(70mg、0.080mMol)を、フラスコにおいて室温でアルゴン下、CH2Cl2(10mL)に可溶化した。Mal-dPEG8-OH(50mg、0.084mmol)及びEDCI.HCl(15.4mg、0.080mMol)を添加し、完了まで混合物を撹拌した。有機物をH2O及びブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥し、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。Isoleraクロマトグラフィーによる精製(CH2Cl2/(CH2Cl2+10%MeOH)98:2から30:70により、純粋でない生成物を得た。逆相Isoleraによるさらなる精製により、純粋なEx3(4mg、0.027mMol、3.4%の収率)及びいくらかの不透明なフラクション(22mg)を得た。LCMS 3分:ES+=1.51分、m/z1445.6[M+H]+。
【0330】
実施例4
ConjA(Her2-Ex3)
リン酸緩衝食塩水(pH7.4)(PBS)にトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を溶解させた10mM溶液を(50モル当量/抗体、7.6マイクロモル、762.7μL)、トラスツズマブ(22.9mg、153ナノモル)を、30mMヒスチジン/ヒスチジンHCl、30mMアルギニン(pH6.8)及び1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含有する還元緩衝液に溶解した、抗体濃度が1.1mg/mLの、20.8mLの溶液に添加した。還元混合物を、オービタルシェーカーにおいて、穏やかに(60rpm)振とうしながら、37℃で2時間(又は完全な還元がUHPLCによって観察されるまで)反応させた。還元された抗体溶液を、スピンフィルター遠心分離を介して、30mMヒスチジン/ヒスチジンHCl、30mMアルギニン及び1mM EDTAを含有する、最終抗体濃度が1.1mg/mLの複合化緩衝液に緩衝液交換した(過剰な還元剤を全て除去するため)。Ex3をDMSO溶液(12.5モル当量/抗体、2.1mL DMSO中1.9マイクロモル)として18.6mLのこの還元された抗体溶液(20.5mg、136ナノモル)に添加して、10%(v/v)の最終DMSO濃度とした。溶液を室温で17時間混合し、次いで、複合化を、N-アセチルシステイン(8.5マイクロモル、100mMで68μL)の添加によってクエンチし、次いで、15mL Amicon Ultracell 30KDa MWCOスピンフィルターを使用したスピンフィルター遠心分離を介して精製し、滅菌濾過し、分析した。
【0331】
Shimadzu ProminenceシステムにThermo Scientific MAbPac 50mm×2.1mmカラムを用い、水及びアセトニトリルの勾配を付けて溶出させ、214nm及び330nm(SG3931特異的)で、ConjAの還元試料をUHPLC分析すると、SG3931の単一分子に結合している非複合化軽鎖ならびにSG3931の3つの分子に結合している非複合化重鎖及び重鎖の混合物を示し、抗体あたりのSG3931の分子数が7.32個という抗体あたり薬物比(DAR)に相当する。
【0332】
Shimadzu ProminenceシステムにTosoh Bioscience TSKgel SuperSW mAb HTP 4μm 4.6×150mmカラム(4μm 3.0×20mmガードカラムを有する)を用い、0.3mL/分の、200mMリン酸カリウム(pH6.95)、250mM塩化カリウム及び10%イソプロパノール(v/v)を含有する滅菌濾過SEC緩衝液で溶出させ、280nmでConjAの試料をUHPLC分析すると、単量体の純度は94.2%であることがわかる。UHPLC SEC分析により、5.8mL中1.29mg/mLの濃度の最終ConjAを得、得られたConjAの質量は7.5mgである(37%の収率)。
【0333】
実施例5-細胞毒性アッセイ
分子の効能を、がん細胞株NCI-N87におけるin vitro細胞毒性アッセイを介して測定した。
【0334】
固体材料をDMSOに溶解して2mM原液とし、これから、DMSO中1:10の比で8の段階希釈をし、使用まで-20℃において保存した。
【0335】
接着NCI-N87細胞をD-PBSで洗浄し、トリプシン-EDTAで引き離し、次いで細胞密度及び生存度を、自動セルカウンター(LUNA-II(商標))を使用したトリパンブルー色素排除アッセイによって二つ組で求めた。細胞懸濁液を成長培地(Glutamax+10%(v/v)HyClone(商標)ウシ胎仔血清を含むRPMI1640)において1×105細胞/mlに希釈してボルテックスした後、ウェルあたり2mLを滅菌3mLポリプロピレンプレート内に分配した。弾頭の希釈物を次いで適切なウェルに10μl/ウェルで分配し、ピペット操作を繰り返すことによって混合した。対照ウェルでは、10μlのDMSOを2mL細胞懸濁液に分配し、激しく混合した。100μlの各試料を次いで滅菌の平らな96-ウェルマイクロプレートの2つの複製ウェルにアリコートし、37℃のCO2ガスが供給された(5%)インキュベーターにおいてインキュベートした。インキュベーション期間(7日)の最後に、CellTiter 96 Aqueous One(MTS)アッセイで細胞生存度を測定し、20μl/ウェルで分配し、37℃、5%CO2で4時間インキュベートした。プレートを、次いで、490nmにおける吸光度を使用してEnVision Multi-label Plate Reader(Perkin Elmer)において読み取った。
【0336】
生存細胞のパーセンテージを、DMSOのみで処理した2つの対照ウェルにおける平均吸光度(100%)と比較して、各試料について2つの複製ウェルの平均吸光度から計算した。IC50は、GraphPad Prismソフトウェア(San Diego,CA)における非線形曲線適合アルゴリズムを使用して、可変スロープを有するS字状の用量-反応曲線に各データセットを適合させることによって求めた。
【0337】
この報告における全ての実験を、3つの独立した実験において実施及び試験した。データを、3つの独立した複製の平均として報告する。
【0338】
実施例6-ADC細胞毒性アッセイ
サブ密集(80-90%の密集度)T75フラスコからの細胞の濃度及び生存度を、トリパンブルー染色によって測定し、LUNA-II(商標)Automated Cell Counterを使用してカウントする。細胞を2×105/mlに希釈し、96-ウェル平底プレートに分配した(ウェルあたり50μl)。
【0339】
抗体薬物複合体(ADC)(20μg/ml)の原液(1ml)を、フィルター滅菌ADCを細胞培養液中に希釈することによって作製した。ADC原液の10倍希釈液の8個のセットを、900μlの細胞培養液に100μlをシリアル転送することによって24ウェルプレートにおいて作製した。ADC希釈液を、先に播種した50μlの細胞懸濁液を含有する、96ウェルプレートの4つの複製ウェル内に分配した(50μl/ウェル)。対照ウェルに50μlの細胞培養液を与えた。細胞及びADCを含有する96ウェルプレートを、CO2ガスが供給されたインキュベーターにおいて37℃で暴露時間インキュベートした。
【0340】
インキュベーション期間の最後に、MTSアッセイで細胞生存度を測定した。MTS(Promega)を各ウェルに分配し(1ウェルあたり20μl)、CO2ガスが供給されたインキュベーターにおいて37℃で4時間インキュベートした。ウェル吸光度を490nmで測定した。生存細胞のパーセンテージを、4つの対照の未処理のウェルにおける平均吸光度(100%)と比較して、4つのADC処理したウェルにおける平均吸光度から計算した。IC50は、非線形曲線適合アルゴリズム(可変スロープを有するS字状の用量-反応曲線)を使用したGraphPad Prismを使用して、用量-反応データから決定した。
【0341】
ADCインキュベーション時間は、MDA-MB-468により4日間、NCI-N87では7日間であった。MDA-MB-468及びNCI-N87を、Glutamax+10%(v/v)HyClone(商標)ウシ胎仔血清を含むRPMI1640において培養した。
【0342】
EC
50値を、GraphPad Prismソフトウェアバージョン6.05(GraphPad,San Diego,CA)を使用して、可変スロープを有するS字状の用量-反応曲線にデータを適合させることによって求めた。
【0343】
実施例7-異種移植片試験
NCI-N87異種移植マウス
雌性重症複合免疫不全マウス(Fox Chase SCID(登録商標)、CB17/Icr-Prkdcscid/IcrIcoCrl、Charles River)は、研究の1日目で、体重(BW)範囲が16.5~21.6グラムで8週齢であった。動物に自由飲水(逆浸透、1ppm Cl)させ、18.0%の粗タンパク質、5.0%の粗脂肪及び5.0%の粗繊維からなるNIH 31Modified and Irradiated Lab Diet(登録商標)を自由摂食させた。マウスを、静圧マイクロアイソレーターにおける照射Enricho’cobs(商標)Laboratory Animal Beddingにおいて、12時間の明サイクルにて20~22℃(68~72°F)及び40~60%の湿度で飼育した。CR Discovery Servicesは、具体的には、拘束、畜産、外科手術、試料及び流体規制、ならびに獣医医療に関するGuide for Care and Use of Laboratory Animalsの勧告を遵守している。CR Discovery Servicesの動物管理及び使用プログラムは、実験動物の管理及び使用に対する承認規格の遵守を保証する、Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care International(AAALAC)によって公認されている。
【0344】
腫瘍細胞培養
ヒトNCI-N87胃癌リンパ腫細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、100単位/mLペニシリンGナトリウム、100μg/mL硫酸ストレプトマイシン及び25μg/mLゲンタマイシンを補充したRPMI-1640培地において培養した。細胞を、5%CO2及び95%空気の雰囲気において37℃で加湿インキュベーターにおいて組織培養フラスコ中で増殖させた。
【0345】
In Vivo移植及び腫瘍成長
移植に使用したNCI-N87細胞を対数期増殖の間に摘出し、50%Matrigel(商標)(BD Biosciences)を含有するリン酸緩衝食塩水(PBS)に再懸濁した。腫瘍移植の日に、各試験マウスに、1×107細胞(0.1mL細胞懸濁液)を右側腹に皮下注射し、腫瘍成長を、100~150mm3の標的範囲に近づいた平均サイズとしてモニタリングした。研究の1日目に指定した14日後に、マウスを、それぞれ、108~144mm3の範囲の個々の腫瘍体積、及び115mm3の群平均腫瘍体積を有する10匹の動物からなる群に、計算した腫瘍サイズに従って分類した
【0346】
腫瘍を、キャリパを使用して2次元で測定し、体積を以下の式を使用して計算した。
式中、腫瘍のmmでのw=幅、及びl=長さである。腫瘍重量を、1mgが腫瘍体積の1mm
3と同等であると仮定して、推定してよい。
【0347】
処置
処置を、確立された皮下NCI-N87腫瘍(108~144mm3)を有する10匹のマウス(n=10)において1日目に開始した。ConjA(4mg/kg)を1日目(qd×1)に1回静脈投与した。ビヒクル処置群を効力分析の対照群とした。研究が79日目に終了するまで腫瘍を1週間に2回測定した。各マウスを、腫瘍がエンドポイント体積の800mm3に達したとき、又は最終日のいずれか早く到達したときに安楽死させた。エンドポイントまでの時間(TTE)を各マウスについて計算した。
【0348】
結果を、正規化された腫瘍成長変化を示す
図1に示す(■-対照;◆-ConjA)。
【0349】
エンドポイント及び腫瘍成長遅延(TGD)解析
腫瘍を、カリパーを使用して1週間に2回測定し、各動物を、その腫瘍がエンドポイント体積の800mm
3に達したとき、又は最終日(79日目)のいずれか早く到達したときに安楽死させた。腫瘍体積エンドポイントに関する研究から外す動物を、腫瘍進行(TP)のために安楽死させたことを、安楽死の日付と共に記録した。解析についてのエンドポイント(TTE)までの時間を、各マウスについて、以下の式によって計算した:
TTE=(log
10(エンドポイント体積)-b)/m
式中、TTEは、日数で表され、エンドポイント体積は、mm
3で表され、bは、切片であり、mは、対数変換された腫瘍成長データセットの線形回帰により得られる直線の傾きである。データセットは、解析において使用されるエンドポイント体積を超えた最初の観察と、このエンドポイント体積への到達の直前の3回連続の観察とからなった。計算されたTTEは、腫瘍サイズのために動物を安楽死させた日であるTPの日よりも通常は少ない。エンドポイント体積に到達しなかった腫瘍を有する動物には、研究の最終日(79日目)と等しいTTE値を割り当てた。対数変換された計算されたTTEが、エンドポイントに到達する前の日より先であるか、又は腫瘍体積エンドポイントに到達する日を超える場合には、線形補間を実施してTTEを概算した。事故に起因するNTR(処置と関連しない)原因(NTRa)又は未知の病因に起因するNTR原因(NTRu)により死亡したと分類されるいずれの動物も、TTEの計算(及び全てのさらなる解析)から除外した。TR(処置関連)死亡又はNTRm(転移に起因する、処置と関連しない死亡)と分類される動物には、死亡の日と等しいTTE値を割り当てた。処置効果は、対照群と比較した、処置群におけるエンドポイント(TTE)までの時間中央値の増加として定義される、腫瘍成長遅延(TGD):
TGD=T-C(日数で表される)
又は、対照群のTTE中央値のパーセンテージとしての:
式中:
T=処置群についてのTTE中央値、及び
C=指定の対照群についてのTTE中央値
から評価した。
【0350】
腫瘍成長阻害
腫瘍成長阻害(TGI)解析では、処置及び対照マウスの腫瘍体積中央値(MTV)の差を評価する。この研究では、TGIを求めるエンドポイントは、全ての評価可能な対照マウスが研究に残っていた最終日である19日目であった。TGI解析の日における、動物の数nでの腫瘍体積の中央値、MTV(n)を各群について求めた。パーセント腫瘍成長阻害(%TGI)を、指定の対照群のMTVと、薬物処置群のMTVとの間の差として定義し、対照群のMTVのうちのパーセンテージとして表記した:
%TGI=((MTV対照-MTV薬物処置)/MTV対照)×100=[1-(MTV薬物処置/MTV対照)]×100
【0351】
TGI解析のデータセットは、TGI解析の日の前に処置関連(TR)又は処置と関連しない(NTR)原因に起因して死亡したものを除く、群における全ての動物を含んだ。
【0352】
MTV、及び縮小反応に関する基準
処置効力は、最終日に研究に残っている動物の腫瘍体積から求めることができる。MTV(n)は、腫瘍がエンドポイント体積に到達せずに残っている動物の数(n)における、研究の最終日での腫瘍体積の中央値として定義した。処置効力はまた、研究の際に観察される縮小反応の発生及び大きさからも求めることができる。処置により、動物における腫瘍の部分縮小(PR)又は完全縮小(CR)を引き起こし得る。PR反応において、腫瘍体積は、研究の過程で、3回連続の測定値について、その1日目の体積の50%以下であり、かつ、これらの3回の測定値のうちの1以上について13.5mm3以上であった。CR反応において、腫瘍体積は、研究の過程で、3回連続の測定値について、13.5mm3未満であった。動物について、PR又はCR事象については研究の際に1回のみ、また、PR及びCRの両方の基準が満たされたときにはCRとしてのみスコアリングした。研究の終了時にCR反応を伴う動物は、加えて、無腫瘍生存動物(TFS)として分類した。動物を縮小反応についてモニタリングした。
【0353】
細胞毒性
動物について、1~5日目には毎日、次いで、研究の完了までは1週間に2回体重測定した。マウスを、任意の有害な処置関連(TR)副作用の明白な徴候について頻繁に観察し、臨床徴候は、観察されたときに記録した。個々の体重をプロトコールによってモニタリングし、1回の測定で30%を超える、又は、3回連続の測定で25%を超える体重減少を伴った動物をTR死亡として安楽死させた。群平均体重減少も、CR Discovery Servicesプロトコールに従ってモニタリングした。許容可能な毒性を、研究の際の群平均体重(BW)減少が20%未満であること及びTR死が10%以下であることとして定義した。投与は、平均体重減少が許容可能な限界を超えたいずれの群においても中断した。群平均体重が許容レベルに回復したときには、投与を、より低いレベル及び/又は低減した頻度に変更して再開した。死亡は、臨床徴候及び/又は剖検により証拠立てられるように処置副作用に帰せられるときには、TRと分類した。TR分類には、投与期間の間又は最後の投与の14日以内の未知の原因による死亡もまた割り当てられた。死亡は、死亡が処置副作用と関連するという証拠がないときには、処置と関連しない(NTR)と分類した。NTR死亡は、以下のようにさらにカテゴライズされる:NTRaは、事故又はヒューマンエラーに起因する死亡を記載している;NTRmは、剖検結果に基づいて浸潤及び/又は転移による腫瘍の播種から生じたとされる死亡に割り当てられる;NTRuは、転移、腫瘍進行、事故又はヒューマンエラーに関連する死亡についての利用可能な証拠を欠いている未知の原因の死亡を記載している。処置副作用は、NTRuと分類される死亡から除外され得ないことが注意されるべきである。
【0354】
統計的解析及びグラフ解析
Windows用GraphPad Prism8.0を全ての統計的解析及びグラフ表示に使用した。許容可能な限界を超える毒性(>20%群平均体重減少又は10%超の処置関連死亡)を経験する、又は、評価可能な観察が5つ未満である研究群を、統計的解析に含まなかった。ログランク検定を用いて、2つの全生存経験群の間の有意差を査定した。ログランク検定は、NTR死亡に起因する研究に属していないものを除いて、群における全ての動物について個々のTTEを分析する。対照及び処置群の19日目の腫瘍体積の中央値(MTV)間の差の統計的解析を、マンホイットニーのU検定を使用して達成した。統計的解析のために、両側検定をP=0.05の有意水準で行った。Prismでは、試験結果を、P>0.05では非有意(ns)、0.01<P≦0.05では有意(「
*」の記号で表す)、0.001<P≦0.01では非常に有意(「
**」)、及びP≦0.001では極めて有意(「
***」)とまとめる。統計的有意性の検定は、群間の差の大きさについての推定値を提供するものではないため、この報告の文脈内では、有意性の全ての水準を、有意又は非有意として記載した。
【0355】
ConjAによって処置した動物の19日目のMTV(10)は32mm3であり、又は有意な93% TGI(P<0.001、マンホイットニー)であった。9匹の動物が研究で生き残り、割り当てられたTTE中央値は79.0日であった;これは、最大限可能な、有意な219% TGD(P<0.001、ログランク)を表す。79日目のMTV(9)は320mm3であり、6つのPR及び4つのCRが存在した。
【0356】
上に記載される文献及び他の参照は全て、本明細書中に参照として援用される
【0357】
発明の記述
1.式IVの化合物:
式中:
R
2及びR
2’は、Hであり;
R
6及びR
9は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから独立して選択され;
ここでR及びR’は、任意選択的に置換されているC
1-12アルキル、C
3-20ヘテロシクリル及びC
5-20アリール基から独立して選択され;
(a)R
7は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択され;
R
7’は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH
2、NHR、NRR’、ニトロ、Me
3Sn及びハロから選択されるか;又は
(b)R
7及びR
7’は、一緒になって:(i)nが7~16である-O-(CH
2)
n-O-;若しくは(ii)mが2~5である-O-(CH
2CH
2O)
m-を形成するか;
のいずれかであり;
R”は、C
3-12アルキレン基であり、かかる鎖は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、O、S、NR
N2(ここで、R
N2は、H若しくはC
1-4アルキルである)、及び/又は芳香族環、例えば、ベンゼン若しくはピリジンによって中断されていてよく;
Y及びY’は、O、S、又はNHから選択され;
R
6’及びR
9’は、それぞれ、R
6及びR
9と同じ基から選択され;
(i-a)R
10及びR
11は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成するか;又は
(i-b)R
10はHであり、R
11は、OH及びOR
Aから選択され、ここで、R
Aは、C
1-4アルキルであるか;又は
(i-c)R
10及びR
11は、両方がHである;
のいずれかであり;
(ii-a)R
20及びR
21は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成するか;又は
(ii-b)R
20は、Hであり、R
21は、OH及びOR
Bから選択され、ここで、R
BはC
1-4アルキルであるか;又は
(ii-c)R
20及びR
21は、両方がHである;
のいずれかである;
前記化合物、ならびにその塩及び溶媒和物。
【0358】
2.Y及びY’は、両方がOである、記述1に記載の化合物。
【0359】
3.R”は、C3-7アルキレンである、記述1又は記述2のいずれかに記載の化合物。
【0360】
4.R”は、式:
式中、rは、1又は2である
の基である、記述1又は記述2のいずれかに記載の化合物。
【0361】
5.R9は、Hである、記述1から4のいずれか1つに記載の化合物。
【0362】
6.R6は、Hである、記述1から5のいずれか1つに記載の化合物。
【0363】
7.R7は、H、OH及びORから選択され、R7’は、H、OH及びORから選択される、記述1から6のいずれか1つに記載の化合物。
【0364】
8.R7は、C1-4アルキルオキシ基であり、R7’は、C1-4アルキルオキシ基である、記述7に記載の化合物。
【0365】
9.R2’は、R2と同じであり、R6’は、R6と同じ基であり、R7’は、R7と同じ基であり、R9’は、R9と同じ基であり、Y’は、Yと同じ基である、記述1から8のいずれか1つに記載の化合物。
【0366】
10.R10及びR11は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成する、記述1から9のいずれか1つに記載の化合物。
【0367】
11.R10はHであり、R11は、OH及びORAから選択される、記述1から9のいずれか1つに記載の化合物。
【0368】
12.RAは、メチルである、記述11に記載の化合物。
【0369】
13.R10及びR11は、両方がHである、記述1から9のいずれか1つに記載の化合物。
【0370】
14.R20及びR21は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成する、記述1から13のいずれか1つに記載の化合物。
【0371】
15.R20は、Hであり、R21は、OH及びORBから選択される、記述1から13のいずれか1つに記載の化合物。
【0372】
16.RBは、メチルである、記述14に記載の化合物。
【0373】
17.R20及びR21は、両方がHである、記述1から13のいずれか1つに記載の化合物。
【0374】
18.式IVa、IVb又はIVcのものであり:
R
1aは、メチル及びベンジルから選択される
記述1に記載の化合物。
【0375】
19.式Iの化合物:
であって、
式中:
Y、Y’、R”、R
2、R
2’、R
6、R
6’、R
7、R
7’、R
9及びR
9’は、記述1から18のいずれか1つに定義されている通りであり;
R
11bは、OH、OR
Aから選択され、ここでR
Aは、C
1-4アルキルであり;
R
Lは:
(iiia):
、
(Qは:
、
であり、Q
Xは、Qが、アミノ酸残基、ジペプチド残基又はトリペプチド残基であるようになっており;
Xは:
であり、a=0~5、b=0~16、c=0又は1、d=0~5であり;
G
Lは、リガンド単位に接続するためのリンカーである);ならびに
(iiib):
(R
L1及びR
L2は、H及びメチルから独立して選択され、又は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン若しくはシクロブチレン基を形成し;
eが0又は1である);
から選択される、細胞結合剤への接続のためのリンカーであり;
(a)R
30及びR
31は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成するか;又は
(b)R
30は、Hであり、R
31は、OH及びOR
Bから選択され、ここでR
BはC
1-4アルキルであるか;又は
(c)R
30及びR
31は、両方がHであるか;又は
(d)R
31は、OH若しくはOR
Bであり、ここでR
Bは、C
1-4アルキルであり、R
30は:
(i)
;
(ii)
;
(iii)
、
(R
Zは:
(z-i)
;
(z-ii)OC(=O)CH
3;
(z-iii)NO
2;
(z-iv)OMe;
(z-v)グルクロニド;
(z-vi)NH-C(=O)-X
1-NHC(=O)X
2-NH-C(=O)-R
ZC、ここで、-C(=O)-X
1-NH-及びC(=O)-X
2-NH-は、天然アミノ酸残基を表し、R
ZCは、Me、OMe、CH
2CH
2OMe、及び(CH
2CH
2O)
2Meから選択される)
から選択される;
のいずれかである、
前記化合物、ならびにその塩及び溶媒和物。
【0376】
20.R30及びR31は、一緒になって、これらが結合しているN及びC原子間に二重結合を形成する、記述19に記載の化合物。
【0377】
21.R30は、Hであり、R31は、OH及びORBから選択され、ここで、RBは、C1-4アルキルである、記述19に記載の化合物。
【0378】
22.R30及びR31は、両方がHである、記述19に記載の化合物。
【0379】
23.R
31は、OH又はOR
Aであり、R
30は、以下から選択される、記述19に記載の化合物:
【0380】
24.-C(=O)-X1-NHC(=O)X2-NH-が、-Phe-Lys-、-Val-Ala-、-Val-Lys-、-Ala-Lys-、及びVal-Cit-から選択される、記述23に記載の複合体。
【0381】
25.-C(=O)-X1-NHC(=O)X2-NH-が、-Phe-Lys-、及びVal-Ala-から選択される、記述23に記載の複合体。
【0382】
26.RZCが、CH2CH2OMe、及び(CH2CH2O)2Meから選択される、記述23から25のいずれか1つに記載の化合物。
【0383】
27.RZCは、(CH2CH2O)2Meである、記述26に記載の化合物。
【0384】
28.式Ia、Ib又はIcのものである、記述19に記載の化合物:
(R
1aは、メチル及びベンジルから選択される)。
【0385】
29.R11bは、OHである、記述19から28のいずれか1つに記載の化合物。
【0386】
30.R11bは、ORAであり、ここで、RAは、C1-4アルキルである、記述19から29のいずれか1つに記載の化合物。
【0387】
31.RAは、メチルである、記述30に記載の化合物。
【0388】
32.RLが、式IIIaのものであり、Qが、Phe、Lys、Val、Ala、Cit、Leu、Ile、Arg、及びTrpから選択されるアミノ酸残基である、記述19から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0389】
33.RLが、式IIIaのものであり、Qが:
CO-Phe-Lys-NH,
CO-Val-Ala-NH,
CO-Val-Lys-NH,
CO-Ala-Lys-NH,
CO-Val-Cit-NH,
CO-Phe-Cit-NH,
CO-Leu-Cit-NH,
CO-Ile-Cit-NH,
CO-Phe-Arg-NH、及び
CO-Trp-Cit-NH
から選択されるジペプチド残基である、記述19から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0390】
34.Qが、CO-Phe-Lys-NH、CO-Val-Cit-NH及びCO-Val-Ala-NHから選択される、記述33に記載の化合物。
【0391】
35.RLは、式IIIaのものであり、Qが:
CO-Glu-Val-Ala-NH,
CO-Glu-Val-Cit-NH,
CO-αGlu-Val-Ala-NH、及び
CO-αGlu-Val-Cit-NH
から選択されるトリペプチド残基である、記述19から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0392】
36.RLは、式IIIaのものであり、aは、0~3である、記述19から35のいずれか1つに記載の化合物。
【0393】
37.aは、0である、記述36に記載の化合物。
【0394】
38.RLは、式IIIaのものであり、bは、0~12である、記述19から37のいずれか1つに記載の化合物。
【0395】
39.bは、0~8である、記述38に記載の化合物。
【0396】
40.RLは、式IIIaのものであり、dは、0~3である、記述19から39のいずれか1つに記載の化合物。
【0397】
41.dは、2である、記述38に記載の化合物。
【0398】
42.RLは、式IIIaのものであり、aは、0であり、cは、1であり、dは、2であり、bは、0~8である、記述19から35のいずれか1つに記載の化合物。
【0399】
43.bは、0、4又は8である、記述42に記載の化合物。
【0400】
44.R
Lは、式IIIaのものであり、G
Lは以下から選択される、記述19から43のいずれか1つに記載の化合物。
(式中、Arは、C
5-6アリーレン基を表す)。
【0401】
45.Arは、フェニレン基である、記述44に記載の化合物。
【0402】
46.GLは、GL1-1及びGL1-2から選択される、記述44又は記述45のいずれかに記載の化合物。
【0403】
47.GLは、GL1-1である、記述46に記載の化合物。
【0404】
48.RLが、式IIIbのものであり、RL1及びRL2は、両方が、Hである、記述19から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0405】
49.RLが、式IIIbのものであり、RL1は、Hであり、RL2は、メチルである、記述19から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0406】
50.RLが、式IIIbのものであり、RL1及びRL2は、両方が、メチルである、記述19から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0407】
51.RLが、式IIIbのものであり、RL1及びRL2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピレン基を形成している、記述19から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0408】
52.RLが、式IIIbのものであり、RL1及びRL2は、これらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロブチレン基を形成している、記述19から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0409】
53.RLが、式IIIbのものであり、eは、0である、記述19から31及び48から52のいずれか1つに記載の化合物。
【0410】
54.RLが、式IIIbのものであり、eは、1である、記述19から31及び48から52のいずれか1つに記載の化合物。
【0411】
55.前記ニトロ基がパラ位にある、記述54に記載の化合物。
【0412】
56.式Idのものであり:
式中、Qは、以下:
(a)-CH
2-;
(b)-C
3H
6-;及び
(c)
から選択される、記述19に記載の化合物。
【0413】
57.式IIの複合体:
L-(D
L)
p (II)
であって、
式中、Lは、リガンド単位(すなわち、標的薬剤)であり、D
Lは、式I’の薬物リンカー単位であり:
式中:
Y、Y’、R”、R
2、R
2’、R
6、R
6’、R
7、R
7’、R
9及びR
9’は、記述1から18のいずれか1つに定義されている通りであり;
R
11b、R
30及びR
31は、記述19から27及び29から31のいずれか1つに定義されている通りであり;
R
LLは:
(iiia):
(Q及びXは、記述19及び32から43に定義されている通りであり、G
LLは、リガンド単位に接続されているリンカーである);ならびに
(iiib):
(R
L1及びR
L2は、記述19及び48から52に定義されている通りである);
から選択される、細胞結合剤への接続のためのリンカーであり;
pは、1~20の整数である;
前記複合体。
【0414】
58.G
LLが以下から選択される、記述57に記載の複合体:
(式中、Arは、C
5-6アリーレン基を表す)。
【0415】
59.Arは、フェニレン基である、記述58に記載の複合体。
【0416】
60.GLLは、GLL1-1及びGLL1-2から選択される、記述58又は記述59のいずれかに記載の複合体。
【0417】
61.GLLは、GLL1-1である、記述60に記載の複合体。
【0418】
62.D
Lは、式(Id’)のものであり:
式中、Qは、以下:
(a)-CH
2-;
(b)-C
3H
6-;及び
(c)
から選択される、記述57に記載の複合体。
【0419】
63.前記リガンド単位は、抗体又はその活性断片である、記述57から62のいずれか1つに記載の複合体。
【0420】
64.前記抗体又は抗体断片は、腫瘍関連抗原の抗体又は抗体断片である、記述63に記載の複合体。
【0421】
65.前記抗体又は抗体断片は、以下の(1)~(88)から選択される1つ以上の腫瘍関連抗原又は細胞表面受容体に結合する抗体である、記述64に記載の複合体:
(1)BMPR1B;
(2)E16;
(3)STEAP1;
(4)0772P;
(5)MPF;
(6)Napi3b;
(7)Sema 5b;
(8)PSCA hlg;
(9)ETBR;
(10)MSG783;
(11)STEAP2;
(12)TrpM4;
(13)CRIPTO;
(14)CD21;
(15)CD79b;
(16)FcRH2;
(17)HER2;
(18)NCA;
(19)MDP;
(20)IL20R-α;
(21)ブレビカン;
(22)EphB2R;
(23)ASLG659;
(24)PSCA;
(25)GEDA;
(26)BAFF-R;
(27)CD22;
(28)CD79a;
(29)CXCR5;
(30)HLA-DOB;
(31)P2X5;
(32)CD72;
(33)LY64;
(34)FcRH1;
(35)IRTA2;
(36)TENB2;
(37)PSMA-FOLH1;
(38)SST;
(38.1)SSTR2;
(38.2)SSTR5;
(38.3)SSTR1;
(38.4)SSTR3;
(38.5)SSTR4;
(39)ITGAV;
(40)ITGB6;
(41)CEACAM5;
(42)MET;
(43)MUC1;
(44)CA9;
(45)EGFRvIII;
(46)CD33;
(47)CD19;
(48)IL2RA;
(49)AXL;
(50)CD30-TNFRSF8;
(51)BCMA-TNFRSF17;
(52)CT Ags-CTA;
(53)CD174(ルイスY)-FUT3;
(54)CLEC14A;
(55)GRP78-HSPA5;
(56)CD70;
(57)幹細胞特異的抗原;
(58)ASG-5;
(59)ENPP3;
(60)PRR4;
(61)GCC-GUCY2C;
(62)Liv-1-SLC39A6;
(63)5T4;
(64)CD56-NCMA1;
(65)CanAg;
(66)FOLR1;
(67)GPNMB;
(68)TIM-1-HAVCR1;
(69)RG-1/前立腺腫瘍標的ミンディン-ミンディン/RG-1;
(70)B7-H4-VTCN1;
(71)PTK7;
(72)CD37;
(73)CD138-SDC1;
(74)CD74;
(75)クローディン-CLs;
(76)EGFR;
(77)Her3;
(78)RON-MST1R;
(79)EPHA2;
(80)CD20-MS4A1;
(81)テネイシンC-TNC;
(82)FAP;
(83)DKK-1;
(84)CD52;
(85)CS1-SLAMF7;
(86)エンドグリン-ENG;
(87)アネキシンA1-ANXA1;
(88)V-CAM(CD106)-VCAM1;
(89)ASCT2(SLC1A5)。
【0422】
66.前記抗体又は抗体断片は、システイン操作した抗体である、記述63から65のいずれか1つに記載の複合体。
【0423】
67.pは、1~8の整数である記述57から66のいずれか1つに記載の複合体。
【0424】
68.pは、1、2、3、又は4である、記述67に記載の複合体。
【0425】
69.記述57から68のいずれか1つに記載の複合体を含む組成物であって、複合化合物の混合物中の平均pは、約1~約8である、前記組成物。
【0426】
70.療法に用いるための、記述57から68のいずれか1つに記載の複合体。
【0427】
71.記述57から68のいずれか1つに記載の複合体、及び薬学的に許容可能な希釈剤、担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【0428】
72.治療対象の増殖性疾患の治療に用いるための、記述57から68のいずれか1つに記載の複合体又は記述71に記載の医薬組成物。
【0429】
73.前記の治療すべき疾患は、がんである、記述72に記載の使用のための複合体。
【0430】
74.医療的治療方法における、記述57から68のいずれか1つに記載の複合体又は記述71に記載の医薬組成物の使用。
【0431】
75.患者に、記述71に記載の医薬組成物を投与することを含む、医療的治療方法。
【0432】
76.前記医療的治療方法が、がんの治療のためのものである、記述75に記載の方法。
【0433】
77.前記患者に、前記複合体と併用して化学療法薬が投与される、記述76に記載の方法。
【0434】
78.増殖性疾患の治療のための医薬の製造方法における、記述57から68のいずれか1つに記載の複合体の使用。
【0435】
79.増殖性疾患を有する哺乳類の治療方法であって、有効量の記述57から68のいずれか1つに記載の複合体又は記述71に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。