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特許7520879浸透性舗装組成物を含む浸透性舗装システム及び関連方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】浸透性舗装組成物を含む浸透性舗装システム及び関連方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/10 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
E01C7/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021561881
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 IB2020053620
(87)【国際公開番号】W WO2020212910
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】62/835,395
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/832,846
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(73)【特許権者】
【識別番号】515005220
【氏名又は名称】ワシントン、ステート、ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】WASHINGTON STATE UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】タイーグ, デボラ アン
(72)【発明者】
【氏名】ナスィーリー, サマイェ
(72)【発明者】
【氏名】イングランド, カール リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, クン
(72)【発明者】
【氏名】リム, ジャスティン ユネ-テ
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/037375(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105862542(CN,A)
【文献】特開2007-009664(JP,A)
【文献】特開2003-253606(JP,A)
【文献】特開2004-315333(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0116171(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸透性舗装システム(100)であって、
ある量の第1の浸透性舗装材料(104)と、それと組み合わされたある量の硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)(106)とを含む、浸透性舗装組成物の第1の層(102)であって、第1の表面(108)を規定する第1の層、及び
前記浸透性舗装組成物の前記第1の層の前記第1の表面(108)の実質的に全体を覆って堆積され、前記第1の層をカバーする第2の浸透性舗装材料(112)の第2の層(110)を含み、
前記第2の層(110)は、それと組み合わされた硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)を含まず、
前記第1の層(102)は、前記第2の層と界面で連結されることで前記浸透性舗装システム(100)を少なくとも強化する、浸透性舗装システム。
【請求項2】
前記第1の浸透性舗装材料(104)と前記第2の浸透性舗装材料(112)とは、同じ若しくは実質的に同じ材料であるか、又は異なる材料であり、前記第1の浸透性舗装材料(104)と前記第2の浸透性舗装材料(112)が透過性コンクリート若しくは多孔質アスファルトである、請求項1に記載の浸透性舗装システム。
【請求項3】
前記浸透性舗装組成物の前記第1の層(102)の厚さと前記第2の浸透性舗装材料(112)の前記第2の層(110)の厚さとの比が、約1:1である、請求項1又は2に記載の浸透性舗装システム。
【請求項4】
前記CCFCMの用量が、前記浸透性舗装組成物の総混合重量の約0.01パーセントと約0.25パーセントとの間である、請求項1から3のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
【請求項5】
前記CCFCMは、結合ポリマーと組み合わされた炭素繊維を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
【請求項6】
前記CCFCMの要素が、機械的分解によって分離される、請求項1から5のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
【請求項7】
前記CCFCMの要素は、機械的精製機構によって分離され、前記機械的精製機構は、ハンマー‐ミルを含む、請求項6に記載の浸透性舗装システム。
【請求項8】
前記浸透性舗装組成物は、約15パーセントから約35パーセントの多孔性の空隙ボイドを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
【請求項9】
時間当たり約200インチから1時間当たり約3,000インチの浸透速度を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
【請求項10】
5MPaから約30MPaの圧縮強度を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
【請求項11】
0.5MPaから約5MPaの割裂引張強度を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
【請求項12】
前記浸透性舗装システムは、輸送用途で使用される、請求項1から11のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
【請求項13】
浸透性舗装システム(100)を作製する方法であって、
ある量の第1の浸透性舗装材料(104)と、それと組み合わされたある量の硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)(106)とを含む、浸透性舗装組成物の第1の層(102)であって、第1の表面(108)を規定する第1の層を堆積させること、及び
前記浸透性舗装組成物の前記第1の層(102)の前記第1の表面(108)の実質的に全体を覆って、前記第1の表面をカバーする第2の浸透性舗装材料(112)の第2の層(110)を堆積させることを含み、
前記第2の層(110)は、それと組み合わされた硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)を含まず、
前記第1の層(102)は、前記第2の層(110)と界面で連結されることで前記浸透性舗装システム(100)を少なくとも強化する、方法。
【請求項14】
前記浸透性舗装組成物の前記第1の層(102)及び前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層(110)を堆積させることは、前記第1の浸透性舗装材料と前記第2の浸透性舗装材料とが、同じ若しくは実質的に同じ浸透性舗装材料又は異なる浸透性舗装材料で、前記浸透性舗装組成物の前記第1の層(102)及び前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層(110)を堆積させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記浸透性舗装組成物の前記第1の層(102)及び前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層(110)を堆積させることは、前記浸透性舗装組成物の前記第1の層の厚さと前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層の厚さとの比が約1:1で、前記浸透性舗装組成物の前記第1の層(102)及び前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層(110)を堆積させることを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広くは、補強された浸透性舗装システムに関する。特に、本開示は、強化された機械特性及び耐久性のための浸透性舗装組成物を含む浸透性舗装システム並びに関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
浸透性舗装の構造的性能を高めるには、強固で浸食されないベースコース(base course)及び地盤の土壌サポートが有効である。補強されていない浸透性舗装(例えば、多孔質アスファルトや透過性コンクリートなどを使用した舗装)では、十分な非浸食性のベースコースや地盤層(下層)がないために、劣化(又は欠陥)が生じ得る。そのような劣化は、例えば、多孔質アスファルトにおける永久変形(又は擦り)、亀裂、断層(又はスラブロッキング(slab rocking))、角部破断などが含まれる。劣化の修理には、費用及び時間がかかり、多大な労力が必要である。殊に、ベースコース又は地盤層に起因する劣化はそうである。
【0003】
したがって、劣化速度を遅らせ、浸透性舗装の耐用年数を延ばすために、摩耗コース(上層)の下に強固な耐久性のあるベースコース(複数可)又は地盤層(複数可)を構築することが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の例示的な実施態様は、浸透性舗装組成物を含む浸透性舗装システム及び関連方法を対象とする。例示的な実施態様は、補強されていない材料及び/又は他の従来の舗装材料を含む他の浸透性舗装システムと比較して、耐久性、摩耗、配置中の作業の容易さ(作業性)、及びばらつきに関する改善された特性を有する浸透性舗装システムを提供する。
【0005】
本開示は、例示的な一実施態様において、ある量の第1の浸透性舗装材料と、それと組み合わされたある量の硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)とを含む、浸透性舗装組成物の第1の層であって、第1の表面を規定する第1の層、及び、浸透性舗装組成物の第1の層の第1の表面の実質的に全体を覆って堆積され、該第1の層をカバーする第2の浸透性舗装材料の第2の層を含む。第1の層は、浸透性舗装システムを少なくとも強化するために、第2の層と相互作用する。
【0006】
本開示はまた、別の例示的な一実施態様において、浸透性舗装システムを作製する方法も提供する。該方法は、ある量の第1の浸透性舗装材料と、それと組み合わされたある量の硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)とを含む、浸透性舗装組成物の第1の層であって、第1の表面を規定する第1の層を堆積させること、及び、浸透性舗装組成物の第1の層の第1の表面の実質的に全体を覆って、該第1の層をカバーする第2の浸透性舗装材料の第2の層を堆積させることを含む。第1の層は、浸透性舗装システムを少なくとも強化するために、第2の層と相互作用する。
【0007】
したがって、この概要は、本開示の幾つかの態様の基本的な理解を提供すべく、幾つかの例示的な実施態様を要約することのみを目的に提供されていることを理解されたい。したがって、上述の例示的な実施態様は、幾つかの実施態様のうちの単なる例示であり、いかなるやり方によっても本開示の範囲又は精神を狭めるように解釈されるべきでないことが理解されよう。本開示の範囲は、可能性のある多くの実施態様を包含し、そのうちの幾つかは、本明細書で要約されているものに加えて、以下で更に説明されることを理解されたい。更に、本明細書で開示される実施態様の他の側面及び利点は、下記の詳細な説明を添付図面と組み合わせることにより明らかとなるであろう。添付図面は、本開示の実施態様の原理を例として示したものである。
【0008】
上述のように、本開示の例示的な実行形態を一般的な用語で説明しているが、ここで添付図面を参照する。これらの図面は必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の幾つかの例示的な実施態様による、浸透性舗装システムを示す。
図2】本開示の幾つかの例示的な実施態様による、硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)の要素の粒度分布のグラフ表示を示す。
図3】本開示の幾つかの例示的な実施態様による、CCFCMの4つの異なる粒度の要素、すなわち、C‐組み合わせ、L‐大きい、S‐小さい、及びM‐中間を示す。
図4】本開示の幾つかの例示的な実施態様による、アスファルト処理された浸透性ベース(ATPB)組成物の試験片の骨材グラデーション(aggregate gradation)のグラフ表示を示す。
図5】本開示の幾つかの例示的な実施態様による、ATPB組成物の試験片の浸透速度の結果のグラフ表示を示す。
図6】本開示の幾つかの例示的な実施態様による、ATPB組成物の試験片の排出効果(draindown effect)のグラフ表示を示す。
図7】本開示の幾つかの例示的な実施態様による、浸透性舗装システムを作製する方法のための方法フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照しつつ、本開示の一部の実行形態について、これより下記でより網羅的に説明する。添付図面には、本開示の実行形態の一部が示されているのであって、すべてが示されているわけではない。実際のところ、本開示の様々な実行形態は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本書に明記されている実行形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの例示的な実行形態は、この開示が包括的且つ完全なものになるように、且つ当業者にこの開示の範囲が十分に伝わるように、提供されている。例えば、別様に明記されていない限り、何かが「第1の」、「第2の」などのものであるという表現は、特定の順番を示すと解釈すべきではない。また、(特に明記されない限り)何か別のものの上にあると説明され得るものは、その代わりに下にあることもあり、逆もまた然りである。同様に、何か別の物の左にあると説明され得るものは、その代わりに右にあってもよく、逆もまた然りである。全体を通じて、類似の参照番号は類似の要素を表わしている。
【0011】
本開示の例示的な実施態様は、広くは、浸透性舗装組成物を含む浸透性舗装システム及び関連方法を対象とする。図1で示されているように、例えば、浸透性舗装システムは、概して100で指定され、ある量の第1の浸透性舗装材料104と、、それと組み合わされたある量の硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)106とを含む、浸透性舗装組成物の第1の層(例えば、ベースコース)102を含む。第1の層は、第1の表面108を規定する。浸透性舗装システムはまた、浸透性舗装組成物の第1の層の第1の表面の実質的に全体を覆って堆積され、該第1の層をカバーする第2の浸透性舗装材料112の第2の層(例えば、摩耗コース)110も含む(すなわち、それによって、第1の層は見えない)。したがって、第1の層は、浸透性舗装システムを少なくとも強化するために、第2の層と相互作用する。図1は、浸透性舗装システム100が表面114上に堆積されることを更に示している。表面114は、例えば、ほこり、ガラス、砂利、粘土、石、砂、別の同様な表面、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0012】
浸透性舗装材料104、112は、幾つかの例示的な実施態様では、透過性コンクリートや多孔質アスファルトなどのような、任意の種類の従来の浸透性舗装材料である。しかし、浸透性舗装材料は、幾つかの更なる例示的な実施態様では、別の種類のコンクリートやアスファルト、又は粘土、砂利、それらの任意の組み合わせなどのような、別の同様な浸透性舗装材料である。本明細書で記述されるように、「透過性(pervious)」、「浸透性(permeable)」、「多孔質」という用語は、「舗装材料」や「舗装」という用語と共に言及されるときに同義である。
【0013】
幾つかの例示的な実施態様では、浸透性舗装システムで使用される浸透性舗装材料の種類が、浸透性舗装用途に応じたものである。幾つかの事例では、例えば、多孔質アスファルト材料や透過性コンクリート材料が、激しい降雪や降雨が日常的である用途において浸透性舗装材料として使用される。典型的な多孔質アスファルト材料及び透過性コンクリート材料は、雨水流が流れ出ることを低減させ、貯水池、湿地、及び他の雨水管理装置に対する必要性を排除するために、過剰な雪又は雨(雨水)が一時的に蓄えられることを可能にする相互連結されたボイド(void)を含む。浸透性舗装システム100で使用される浸透性舗装材料104、112の種類に関わらず、浸透性舗装組成物の第1の層102の第1の表面108の全体又は実質的に全体を覆って第2の浸透性舗装材料112の第2の層110を堆積させることが望ましい。それによって、第2の層は第1の層をカバーし、第1の層は見えない。第1の層が見えないような第2の層による第1の層のカバーは、第1の層が、浸透性舗装システムを少なくとも強化するために、第2の層と相互作用することをもたらす。
【0014】
本明細書で使用されるように、「強化する」は、補強されていない浸透性舗装システムと比較したときの、第1の層102と第2の層110との間の相互作用からの、浸透性舗装システムの物理特性及び機能性能の改善を指す。例えば、浸透性舗装システムを強化することは、CCFCM106と第1の浸透性舗装材料とを第1の層内に組み込むことによって、交通による第2の層のいかなる圧縮も実質的に防止することを含む。別の一実施例では、浸透性舗装システムを強化することが、第1の層の第1の表面108が第2の層でカバーされることによって、第1の層からのCCFCMの任意の押し出しを実質的に防止することを含む。浸透性舗装組成物の第1の層102の厚さと第2の浸透性舗装材料112の第2の層110厚さとの比は、浸透性舗装システムの用途に応じて変化し得る。例えば、交通量が多いが、輸送体の重量が低い事例では、浸透性舗装組成物の第1の層の厚さと第2の浸透性舗装材料の第2の層の厚さとの比は、交通量が少ないが、輸送体の重量が高い事例とは異なるだろう。したがって、浸透性舗装組成物の第1の層の厚さと第2の浸透性舗装材料の第2の層の厚さとの比は、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、2:1、3:1、4:1などの比で変化し得る。
【0015】
幾つかの例示的な実施態様では、第1の浸透性舗装材料104と第2の浸透性舗装材料112は、同じ若しくは実質的に同じ材料又は異なる材料である。第1又は第2の浸透性舗装材料は、用途に応じて、透過性コンクリート、多孔質アスファルト(例えば、アスファルト処理された浸透性ベース(ATPB))、又は粘土、砂利、それらの任意の組み合わせなどの別の同様な浸透性舗装材料である。例えば、多い交通量が予測され及び/又は周囲温度が高い事例では、透過性コンクリートは、多孔質アスファルトと比較して、凹凸ができにくく、保温性が低いため、第1及び第2の浸透性舗装材料の両方ではないにしても、少なくとも第1の浸透性舗装材料として使用することが望ましい。別の一実施例では、薄い第1及び第2の層が所望される事例では、多孔質アスファルトを、第1及び第2の浸透性舗装材料の両方ではないにしても、少なくとも第1の浸透性舗装材料として使用することが望ましい。これは、典型的には、透過性コンクリートが典型的には約6インチの厚さで横たえられるのと比較して、多孔質アスファルトは約3インチの厚さで横たえられるからである。
【0016】
本明細書で説明されるときに、第1の層102と第2の層110との間の相互作用から浸透性舗装システムを強化することは、部分的に、ある量のCCFCM106を第1の浸透性舗装材料104と組み合わせることによる。CCFCMを第1の浸透性舗装材料と組み合わせることは、本明細書で使用されるときに、「補強された」浸透性舗装材料と見なされる。浸透性舗装システムを少なくとも強化するために、第2の層と相互作用する第1の層は、浸透性舗装システムが、例えば、従来のアスファルト若しくはコンクリートシステム又は補強されていないアスファルト若しくはコンクリートシステムと比較したときに、改善された物理特性、改善された化学組成、改善された機能性能など(すなわち、「改善された特性」)を示すことをもたらす。
【0017】
より具体的には、改善された特性が、例えば、高められ若しくは維持された割裂引張強度(split tensile strength)、改善若しくは維持された弾性係数、改善若しくは維持された耐摩耗性、高められた展性、改善若しくは維持された疲労亀裂抵抗、改善若しくは維持された低温亀裂、及び/又は改善若しくは維持された擦り抵抗を含む。代替的に又は上述のものに加えて、改善された特性は、例えば、維持若しくは低減された多孔性、高められ若しくは維持された濾過率、及び/又は高められ若しくは維持された圧縮強度を更に含み得る。
【0018】
改善された特性はまた、毒性の低減も含み得る。それによって、本明細書で開示される浸透性舗装システムは、水生及び/又は半水生の生命に対して実質的に非毒性であり、雨水汚染物を緩和する助けとなる。そのような例示的な改善された特性は、浸透性舗装システムが、移動用途(例えば、自転車専用道路、歩行者用通路、歩道、駐車場、車道など)、ならびに浸透性舗装組成物が典型的に使用される任意の他の用途などの、複数の用途で使用されることを可能にする。
【0019】
本明細書で記述されるように、例示的な一実施態様では、第1の層102が、浸透性舗装組成物を含む。それは、少なくとも、ある量の第1の浸透性舗装材料104と、それと組み合わされたある量のCCFCM106とを含む。例えば、交通量が多い用途では、第1の層(ベースコース)の第1の浸透性舗装材料が、透過性コンクリートを含み、一方、第2の層110(摩耗コース)の第2の浸透性舗装材料112は、透過性コンクリート、多孔質アスファルト、又は別の同様な浸透性舗装材料を含む。そのような事例又は他の同様な事例では、第1の層の透過性コンクリートが、セメント、水、混ぜもの(admixture)、及び粗骨材を含む混合物として調製される。幾つかの例示的な実施態様では、透過性コンクリート混合物内には、実質的にほとんど細骨材が含まれていない。1つの例示的な透過性コンクリート混合物は、タイプI/IIの通常のポルトランドセメントコンクリート(PCC)と、それと組み合わされた飽和表面乾燥(SSD)粉砕玄武岩粗骨材を含み、公称最大寸法は、約1/4インチから約3/4インチ、比重は、約2.00から約4.00、吸水率は、約2.5から約4.0パーセントである。
【0020】
透過性コンクリートの幾つかの混合物では、透過性コンクリートの圧縮強度、接合強度、及び耐摩耗性を向上させるために、セメントの一定の割合が、フライアッシュ、スラグ、シリカフュームなどの二次セメント材料で置き替えられる。1つの事例では、セメントの質量で約15パーセントが、タイプFのフライアッシュで置き替えられるが、この割合は、セメントの質量で約10パーセントから約40パーセントの間で変化し得る。フライアッシュの添加は、透過性コンクリートの圧縮強度及び浸水性を改善すること、透過性コンクリートの使用量が少ないため費用を削減することにおいて有利である。水とセメントとの比(w/cm)は、例えば、約0.15対約0.30w/cmで実現可能である。しかし、水とセメントとの比は、透過性コンクリート混合物に従って修正可能である。
【0021】
幾つかの態様では、レオロジー改質のための化学混和剤(混ぜ物)を使用して、透過性コンクリート混合物の硬化を遅らせ、作業性を向上させる。例えば、1つの事例では、約583.0mlの混ぜ物が使用される。更に、別の実施例では、透過性コンクリート混合物が、混合物設計手順に従って設計される。混合物設計手順は、この実施例では、約27パーセントの目標多孔性(すなわち、約27パーセントの空気ボイド)を使用して、ACI 522-R-10で利用可能な混合物設計手順に従う。この混合物設計手順で示されているような多孔性は、幾つかの事例では、圧縮強度と浸透性との間の最適なトレードオフを提供する。
【0022】
したがって、図1の第1の層102の浸透性舗装組成物などの第1の層の浸透性舗装組成物向けの例示的な範囲は、以下の表1で提供される。ここで、第1の浸透性舗装材料とCCFCMとの量を割り当てることにおける範囲が、明瞭に説明されている。例示的な一態様では、第1の浸透性舗装材料に添加されるCCFCMの用量又は量が、浸透性舗装組成物の体積に対して約0.0から約6.0パーセントである。しかし、この用量は変更可能である。
【0023】
別の一実施例では、交通量が少ない用途では、第1の層(ベースコース)102の第1の浸透性舗装材料が、代わりに、多孔質アスファルトを含む。一方で、第2の層110(摩耗コース)の第2の浸透性舗装材料112は、透過性コンクリート、多孔質アスファルト、別の浸透性舗装材料、又はそれらの任意の組み合わせを含む。そのような事例又は他の同様な事例では、第1の層の多孔質アスファルトが、従来のアスファルトと同じ方法を使用して混合物として調製される。しかし、多孔質アスファルト混合物には、細骨材が実質的にほとんど含まれていない。多孔質アスファルト混合物は、バインダー(binder)及び骨材を含む。それは、ある量のCCFCMと組み合わされて、アスファルト浸透性舗装組成物を生成する。
【0024】
骨材は、例えば、石、砂、砂利などの粒子又は要素を含み、一方で、バインダーは、例えば、原油ブレンドや非石油ブレンドなどを含む。幾つかの態様では、多孔質アスファルト混合物が、アスファルトバインダーの総重量に対して約3パーセント、約6パーセント、又は約9パーセントのCCFCMが組み合わされた、約95パーセントの骨材及び5パーセントのバインダーから調製される。これらの値は、アスファルト浸透性舗装組成物の総重量に対して0.15パーセントのCCFCM、約0.30パーセントのCCFCM、又は約0.45パーセントのCCFCMに相当する。CCFCM用量に対するバインダーの他の割合がまた、浸透性舗装システムの使用用途にも応じて考慮され得る。
【0025】
幾つかの例示的な実施態様では、ある量のCCFCM(例えば、図1の106)が、ある量の第1の浸透性舗装材料と組み合わされて、第1の層(例えば、図1の102)の浸透性舗装組成物を生成する。ある量の第1の浸透性舗装材料と組み合わされるCCFMCの量は、第1の浸透性舗装材料の量(逆もまたそうである)、ならびに第1の浸透性舗装材料及びCCFCMの様々な特性に応じる。例えば、交通量が多い用途では、浸透性舗装組成物の許容荷重(load capacity)を高めるために、浸透性舗装組成物の重量パーセントに対して、より多くのCCFCMを添加することができるが、一方で、剛性は適度にしか増加しない。
【0026】
幾つかの事例では、CCDFMの1以上の成分が、ポリアクリロニトリル(PAN)タイプの炭素繊維又は同様な繊維、及び、熱可塑性樹脂(例えばエポキシ樹脂)などの結合ポリマー(binding polymer)又はマトリックス材料を含む。幾つかの他の事例では、CCFCMの1以上の成分の一部が、リサイクルされ又は再利用された材料(例えば、マトリックス材料内に埋め込まれた、廃合成繊維や廃炭素繊維複合材(CFC)など)であり、それは、望ましくないほど大きい粒度の画分(particle size fraction)を含む。したがって、CCFCMの1以上の成分は、CCFCMの成分を異なる粒度の画分に分離するために、更なる処理及び/又は精製を必要とする。CCFCMは、幾つかの例示的な実施態様では、任意の様態のやり方で処理及び/又は精製される。本明細書で開示されるように、処理及び/又は精製方法は、有利なことに、CCFCMの廃材成分の特性を保存する低エネルギー方法を含む。対照的に、既知のリサイクリング又は再使用方法は、環境的により好ましくない、非効率で、及び/又は高価なやり方(例えば、化学溶媒法又は燃焼処理方法)で、廃材成分を処理及び/又は精製し得る。
【0027】
最初に、CCFCMの成分のうちの1以上が廃繊維材料を含む場合、高価ではなく、より環境的に好ましい、すなわち、化学的及び/又は熱的な工程ではないやり方で、サイズを低減させ、硬化した樹脂を除去することなどによって、これらの成分の要素を分離することが望ましい。したがって、CCFCMの要素は、シュレッディング、ハンマリング、ミリング、ふるい分けなどの機械的分解によって分離される。幾つかの例示的な実施態様では、CCFCMの要素が、先ずシュレッディングによって分離され、次いで、例えば、25.4mmスクリーンを介した機械的精製機構(例えば、ハンマー‐ミル)を使用して精製されて、最も粗い粒子を分離する。
【0028】
別の一実施例では、CCFMCの要素が、ある量の第1の浸透性舗装材料内に組み込むために、適切に等級付けされたクラスのCCFMCを実現するために、浸透性舗装組成物の重量/体積の割合に対する異なる粒度の画分に更に分離される。そのように適切に等級付けされたクラスのCCFMCは、有利なことに、幾つかの態様で、必要とされる浸透速度を維持し、改善された作業性及び機械特性を未だ維持し又は有することができる。
【0029】
1つの事例では、CCFMCの要素が、4つの異なる粒度の画分に分化されるが、更なる機械的なスクリーニングによる、より少ない又は多いグループ分けも考慮される。図2は、そのような4つの異なる粒度の画分の1つの事例を示している。それは、(C)組み合わせ、すなわち、約3.35mm未満の粒子、(L)大きい、すなわち、約3.35mm未満且つ約2.00mmより大きい粒子、(M)中間、すなわち、約2.00mm未満且つ約0.841mmより大きい粒子、(S)小さい、すなわち、約0.841mm未満の粒子(パン上に保持された)を含む。別の1つの事例では、図3が、4つの異なる粒度の画分を示している。図3で見られるように、粗い薄片状のCCFCM粒子が、C及びL内に含まれ、一方、S及びMが、繊維の形態を採る粒子を主として含んでいる。しかし、処理方法、舗装設計、及び/又は必要とされる特性に応じて、等級付けされたクラス及び形状の他の組み合わせを使用することができる。
【0030】
結局、本明細書で開示されるように、浸透性舗装システム及び関連方法は、繊維材料(特にCFC)の廃物としての流れを減少させることにおける二次使用を提供する。繊維材料の廃物としての流れの要素を分離させるための化学処理及び熱処理に関連付けられる従来の費用は、とてつもなく大きいことが分かっている。本明細書で説明される低エネルギー集中的再利用ストラテジーは、有利なことに、廃繊維材料をリサイクルする一方で、廃繊維材料が、その元々の特性のほとんどを保持し、舗装材料を含む多くの他の材料の中に容易に分散されることを可能にする。
【実施例1】
【0031】
ベースコース(第1の層)内にアスファルト処理された骨材を使用することの利点を特定するために、実験が設計された。顕著なことに、アスファルト処理された浸透性ベース(ATPB)(例えば、図1の第1の浸透性舗装材料104)の生産は、加熱混合アスファルト(HMA)の生産と変わらない。しかし、ATPBは、相互に連動することを介して剛性及び強度を提供するためにより大きい骨材を使用し、安定化のための少ない量のアスファルトバインダーが使用される(約3パーセント)。ATPBは、拘束されない骨材よりも3倍強く、ベースコースの必要とされる層の厚さは低減された。ATPBは、拘束されない骨材よりも費用が高いが、全体的な費用効果は、掘削の必要性がより少なく、修理や修復の費用も削減されたことを介して、改善された。
【0032】
高められた構造的完全性に加えて、ATPBは、高い排水性の利点を提供する。HMAが長い期間にわたり湿気に曝露されると、骨材とバインダーとの間の接合強度は弱められる。結果としてバインダーが剥がれ、それは、ほどくこと(raveling)又は窪み(pothole)の形態で、舗装に更なる損傷を与え得る。ATPBは、高密度傾斜骨材グラデーションを使用するが、開放傾斜骨材構造(例えば、ATPB)の使用は、水がベースコースの下を自由に移動することを可能にし、摩耗コース(すなわち、第2の層110)が湿気に曝される時間を減少させる。
【0033】
この実験では、CCFMC(例えば、図1のCCFMC106)が、ATPBに対する補強剤として使用された。ジェット機や飛行機の製造ラインで余ったCCFCMを貰い、機械的に加工して繊維状にダウンサイズした。他のCCFMCのリサイクリング方法は、化学溶媒の使用や焼却などにより実現されるが、これらの方法は、大量のエネルギーを必要とし、CCFMCの品質を低下させる。この実験では、ATPBの体積特性及び浸透速度に対するCCFCMの効果が評価された。
【0034】
骨材及びアスファルトバインダーは、ワシントン州レイクウッドにあるMiles Resourcesなどの販売元から集められた。骨材は、2つの在庫、すなわち、約5/4インチから約1/2インチまで及び約3/4インチから約#4までから集められた。混合物内で使用された公称最大骨材サイズは、約1インチであったが、他の骨材サイズも使用することができる。より大きいサイズの在庫は、約5/4インチのサイズの骨材を含むが、にもかかわらず、骨材を処理する際に、5/4インチのふるいにかかった骨材はほとんどなかった。
【0035】
得られた骨材は、乾燥され、ふるいにかけて、骨材バッチング向けに調製された。ATPB用に使用された骨材グラデーションが、図4で示されている。図4で示されている上限と下限とは、それぞれ、5/4インチチップの在庫及び3/4インチチップの在庫のグラデーションを示している。ATPB用に必要とされる骨材グラデーションは、多孔質HMA用に必要とされるグラデーションと同様である。両方のグラデーションは、設計された1/2インチの公称最大骨材サイズ(NMAS)を有し、より細かい骨材(3/8インチ及び#4のふるい)のパーセント通過は、ATPB及び多孔質加熱混合アスファルト(PHMA)用のものと同様である。代わりに、この研究は、1インチNMASで得られたジョブミックス方式を使用した。
【0036】
70~22ERの性能等級(PG)を有するバインダーが得られた。ポリマー改質の使用は、バインダー混合物がより高い弾性回復(ER)特性を伴ってより堅くなることをもたらした。バインダーの混合温度と圧密温度の範囲は、回転粘度(RV)試験によって決定され、それぞれ華氏約328度(°F)と約339度(°F)との間、及び、約307度(°F)と約315度(°F)との間であった。混合は、バッチされた骨材、バインダー、及び混合装置がオーブン内に置かれた後で、混合温度で約2時間にわたり行われた。緩めの混合物を一晩冷やし、翌日、圧密装置と共に圧密温度で約2時間にわたり再加熱した後に、圧密を行った。圧密が完了すると、ATPB試験片は、一晩、ジャイレトリーモールド(gyratory mold)内に保持された。
【0037】
試験片は、それらが完全に冷却された後で取り出された。スーパーペイブジャイレトリー圧密器(A superpave gyratory compactor)を使用して、75旋回させた。混合物の目標空気ボイドは約30パーセントであったが、設計値は約27パーセントであった。そして、アスファルトバインダー含有率(AC)は、乾燥骨材の重量に対して約3.0パーセントであった。浸透速度の最小閾値は、1時間当たり約150インチであった。そして、排出質量は、質量の約0.3パーセント未満であった。
【0038】
CCFCMがATPB内に組み込まれて、ATPBの体積及び浸透特性が影響を受けるかどうか評価した。CCFCMの要素は、ATPB組成物の重量/体積の割合に対して3つの異なる粒度の画分に分離された。特に、プレートは粉砕され、次いで、25.4ミリメートル(mm)のスクリーンを通してハンマー‐ミルした後、機械的なふるいで粒子を異なる粒度の画分に分離した。本研究では、約1センチメートル(cm)の粒度の画分を使用したが、用途に応じて他の粒度の画分を使用することもできる。本研究で使用されたCCFCMの粒子の寸法特性が、表2で示されている。
【0039】
CCFCMの粒子の寸法は、符号化された画像解析プログラムを介して測定された。アスペクト比は、直径に対する長手寸法の比であり、1から60の範囲であり、平均値で3.75であった。全ATPB組成物の重量に対してCCFMCの用量は、約0.05パーセント及び約0.10パーセントであり、それぞれ、トン当たり約一(1)ポンド及びトン当たり約二(2)ポンドであった。しかし、全ATPB組成物の重量当たりのCCFCMの用量は、全ATPB組成物のの約0.01パーセントと約0.25パーセントとの間で変化し得る。
【0040】
一旦ATPB組成物の試験片が、本明細書で説明されるように調製されると、ATPB組成物の試験片に対する試験は、理論的な最大比重(Gmm)、空気ボイド、耐摩耗性、多孔性、浸透速度、及び排出効果を含んだ。更に、耐摩耗性は、ATPB組成物の試験片に対して試みられて、300回転が実現されるまで100回転毎の後に回転スチールドラム内の質量損失を測定した。
【0041】
特に、体積解析が、ATPB組成物の試験片の空気ボイド及び多孔性に基づいて実行された。空気ボイドがATPB組成物内の全空きスペースを示す一方で、多孔性は、水が入ることを可能にするために相互連結された実効空気ボイドである。体積特性は、混合物の浸透性能に関連する。空気ボイドは、最大理論比重Gmmとバルク混合比重(Gmb)との間の比を使用して計算される。Gmmは、混合物の中に空気ボイドが存在せず、圧密されていない緩い混合物を使用して試験されたと想定し、一方、Gmbは、圧密されたジャイレトリー試料を使用して試験されたと想定する。Gmbの計算は、サンプルの質量が飽和した表面乾燥(SSD)状態にあることを必要とし、オープングレードの混合物では、一旦試料が水バッチを出ると水のほとんどが逃げるので、未だ実現不可能である。代わりに、密度(質量/体積)が、ASTM D3203/D3203Mの変換ファクターを使用して、Gmbに変換された。
【0042】
ATPB組成物の試験片の性能は、ATPB組成物の試験片の浸透速度に基づいて評価された。ATPBベースコースは、拘束されない材料と比較して、摩耗ベース用のより高い強度及び支持を提供しながら、雨水の迅速な排水を提供した。浸透速度試験は、当該分野での試験用に設計されたASTM C1701/C1701Mに従った。修正された方法が実行された。その場合、水入口の直径は、標準的に記述されている12インチよりもむしろ、ジャイレトリーATPB組成物の試験片に適するように6インチであった。水と接触してから、ATPB組成物の試験片の上面からの完全な排水までの時間が取得された。1リットルの水が使用された。一方で、水頭(head of water)を制御するために、水の高さが約0.4から約0.6インチの間になるように維持された。目標浸透速度は、少なくとも1時間当たり150インチであった。
【0043】
アスファルトバインダーが高温で液状にあると、バインダーは混合物のより低いところへ移動することになる。この現象は、排出効果(draindown effect)と呼ばれ、殊にATPBなどの高い空気ボイドを有するオープングレードの混合物では設計上考慮される。排出効果は、例えば、保管時、工場から現場への輸送時、配置から圧密までの間の遅延時に生じる。実験室での試験では、スチールメッシュのバスケットを使用し、その中に緩いATPB組成物の試験片が置かれて、摂氏約140度及び摂氏約130度のオーブンに一時間放置された。オーブンに入れている期間中に、バスケット内の材料の一部が落下し、元の質量に対する失われた質量の割合が測定された。仕様によれば、オーブン内に一時間放置された後で、約0.3パーセント未満が排出されたことになる(ASTM D6390-11, 2017)。
【0044】
体積解析は、ATPB組成物の試験片の空気ボイド及び多孔性を評価することで構成される。表3は、空気ボイドの計算に使用されたGmmの結果を提供する。設計Gmmは、ジョブミックス方式(JMF)によれば2.564であった。表3で見られるように、計算された値は、目標値と同様な結果を示した。
【0045】
必要な空気ボイドは約30パーセントであるが、JMFによれば設計値は約27パーセントであり、空気ボイドと多孔性との両方は、約27パーセント(約15パーセントと約35パーセントとの間の空気ボイド)であった。3つの試料が、各混合物について試験された。そして、エラーバー(error bar)と共に平均値が報告された。空気ボイドにおける約2パーセントの低減は、CCFMCの使用により観察された。
【0046】
目標浸透速度は、1時間当たり約150インチであると決定された。それは、図5で示されているように、容易に実現された。具体的には、図5が、ATPB組成物の試験片では、1時間当たり約200インチから1時間当たり約3,000インチの間の浸透速度をもたらし、具体的には、1時間当たり約1,200インチの浸透速度がもたらされ、目標浸透速度を上回ったことを示している。
【0047】
排出効果は、バインダーがATPB組成物の試験片の低い位置まで移動し、その結果、ATPB組成物の試験片のアスファルト含有量が不均一になる可能性について試験された。試験は、摂氏約140度及び摂氏約130度で行われ、オーブン内に入れて1時間後に約0.3パーセントを超えて排出されなかった。図6は、両方の温度でのATPB組成物の試験片の排出結果を示している。より高い温度での試験中に、CCFCM添加物を有さないATPBは、約0.13パーセントの質量損失をもたらした。しかし、CCFCMをATPBと組み合わせたことによって、排出効果が低減され、CCFCMのより高い用量が、低減の程度を増加した。続いて、摂氏約130度での試験は、3つ全ての試料での質量損失がより小さいことをもたらした。CCFCMはまた、この温度での質量損失を低減させることにおいても効果的であった。
【0048】
この研究の目的は、CCFCMを有する及び有さないATPB組成物の試験片の体積、浸透性能、及び排出効果を評価することであった。空気ボイド及び多孔性を含む体積解析は、必要とされる設計値の範囲内の結果をもたらし、CCFCMをATPBと組み合わせることによって影響を受けなかった。浸透速度は、要件が満たされた同様の傾向を示し、CCFCMは、著しくは水力性能に影響を与えなかった。しかし、排出効果は、CCFCMの組み込みによって大幅に改善した。CCFCMを組み合わせていないATPBは約0.3パーセントの質量損失の閾値内にあったが、CCFCMを組み合わせることで排出量が減少し、CCFCMの用量が多いほど質量損失が減少した。このことから、ATPB用の補強材としてCCFCMを使用しても、ベースコース(第1の層)の排出定数には影響を与えないが、耐排出性が向上するため、浸透性舗装システム全体の品質を向上させることができると結論付けられる。更に、他の機械特性、例えば圧縮強度は、補強されていない浸透性舗装システムと比較して、約5メガパスカル圧力単位(MPa)から約30MPaまでの範囲で増加又は維持され、割裂引張強度は約0.5MPaから約5MPaまでの範囲で増加又は維持された。
【0049】
次に図7を参照すると、概して200と指定される、浸透性舗装システムを作製する方法が示されている。該方法は、ある量の第1の浸透性舗装材料と、それと組み合わされたある量の硬化した炭素繊維複合材料(CCFCM)とを含む、浸透性舗装組成物の第1の層であって、第1の表面を規定する第1の層を堆積させる第1のステップ202を含む。該方法は、浸透性舗装組成物の第1の層の第1の表面の実質的に全体を覆って、該第1の表面をカバーする(すなわち、それによって、第1の層は見えない)第2の浸透性舗装材料の第2の層110を堆積させる第2のステップ204を含む。
【0050】
更に本開示は、以下の条項による実施例を含む。
条項1.
浸透性舗装システムであって、ある量の第1の浸透性舗装材料と、それと組み合わされたある量の硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)とを含む、浸透性舗装組成物の第1の層であって、第1の表面を規定する第1の層、及び、前記浸透性舗装組成物の前記第1の層の前記第1の表面の実質的に全体を覆って堆積され、前記第1の層をカバーする第2の浸透性舗装材料の第2の層を含み、前記第1の層は、前記浸透性舗装システムを少なくとも強化するために、前記第2の層と相互作用する、浸透性舗装システム。
条項2.
前記第1の浸透性舗装材料と前記第2の浸透性舗装材料とは、同じ若しくは実質的に同じ材料又は異なる材料である、条項1に記載の浸透性舗装システム。
条項3.
前記第1の浸透性舗装材料と前記第2の浸透性舗装材料とは、透過性コンクリート又は多孔質アスファルトである、条項2に記載の浸透性舗装システム。
条項4.
前記浸透性舗装組成物の前記第1の層の厚さと前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層の厚さとの比が、約1:1である、条項1から3のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
条項5.
前記CCFCMの用量が、前記浸透性舗装組成物の総混合重量の約0.01パーセントと約0.25パーセントとの間である、条項1から4のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
条項6.
前記CCFCMは、結合ポリマーと組み合わされた炭素繊維を含む、条項1から5のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
条項7.
前記CCFCMの要素が、機械的分解によって分離される、条項1から6のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
条項8.
前記CCFCMの要素は、機械的精製機構によって分離される、条項7に記載の浸透性舗装システム。
条項9.
前記機械的精製機構は、ハンマー‐ミルを含む、条項8に記載の浸透性舗装システム。
条項10.
前記CCFCMの前記要素は、前記組成物の重量/体積の割合に対して異なる粒度の画分に更に分離される、条項7又は8に記載の浸透性舗装システム。
条項11.
前記粒度の画分のうちの1つが、約1.0cmの粒子を含む、条項10に記載の浸透性舗装システム。
条項12.
前記浸透性舗装組成物は、約15パーセントから約35パーセントの多孔性の空隙ボイドを含む、条項1から11のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
条項13.
前記第1の層が前記浸透性舗装システムを少なくとも強化するために前記第2の層と相互作用することによって、前記浸透性舗装システムが、維持若しくは低減された多孔性、高められ若しくは維持された浸透速度、高められ若しくは維持された割裂引張強度、高められ若しくは維持された圧縮強度、改善若しくは維持された弾性係数、改善若しくは維持された耐摩耗性、高められた展性、改善若しくは維持された疲労亀裂抵抗、改善若しくは維持された低温亀裂、又は改善若しくは維持された擦り抵抗、及びそれらの任意の組み合わせを含む、改善された特性を示すことをもたらす、条項1から12のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
条項14.
前記高められた浸透速度は、1時間当たり約200インチから1時間当たり約3,000インチの浸透速度を含む、条項13に記載の浸透性舗装システム。
条項15.
前記高められ若しくは維持された圧縮強度は、約5MPaから約30MPaの範囲である、条項13又は14に記載の浸透性舗装システム。
条項16.
前記高められ若しくは維持された割裂引張強度は、約0.5MPaから約5MPaの範囲である、条項13から15のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
条項17.
前記浸透性舗装システムは、輸送用途で使用される、条項1から16のいずれか一項に記載の浸透性舗装システム。
条項18.
浸透性舗装システムを作製する方法であって、ある量の第1の浸透性舗装材料と、それと組み合わされたある量の硬化された炭素繊維複合材料(CCFCM)とを含む、浸透性舗装組成物の第1の層であって、第1の表面を規定する第1の層を堆積させること、及び、前記浸透性舗装組成物の前記第1の層の前記第1の表面の実質的に全体を覆って、前記第1の表面をカバーする第2の浸透性舗装材料の第2の層を堆積させることを含み、前記第1の層は、前記浸透性舗装システムを少なくとも強化するために、前記第2の層と相互作用する、方法。
条項19.
前記浸透性舗装組成物の前記第1の層及び前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層を堆積させることは、前記第1の浸透性舗装材料と前記第2の浸透性舗装材料とが、同じ若しくは実質的に同じ浸透性舗装材料又は異なる浸透性舗装材料で、前記浸透性舗装組成物の前記第1の層及び前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層を堆積させることを含む、条項18に記載の方法。
条項20.
前記浸透性舗装組成物の前記第1の層及び前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層を堆積させることは、前記浸透性舗装組成物の前記第1の層の厚さと前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層の厚さとの比が約1:1で、前記浸透性舗装組成物の前記第1の層及び前記第2の浸透性舗装材料の前記第2の層を堆積させることを含む、条項18又は19に記載の方法。
【0051】
上述の説明及び添付図面に提示されている教示の恩恵を受ける、本開示に関連する当業者には、本書に明記された本開示の多数の修正例及びその他の実行形態が想起されよう。したがって、本開示は開示の特定の実行形態に限定されるものではないこと、及び、変形例及びその他の実行形態も付随する特許請求の範囲に含まれるよう意図されていることを、理解されたい。更に、上述の説明及び関連図面は、要素及び/又は機能の特定の例示的な組み合わせに照らして例示的な実施態様を説明しているが、付随する特許請求の範囲から逸脱しなければ、代替的な実施態様によって、要素及び/又は機能の様々な組み合わせが提供されうることを、認識すべきである。即ち、添付の特許請求の範囲の一部に明記され得るように、例えば、上記で明示されているものとは異なる要素及び/または機能の組み合わせも、また想定される。本明細書では特定の用語が用いられているが、それらは、一般的且つ解説的な意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7