(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】ガラスリボンを生成する方法及びそのための装置
(51)【国際特許分類】
C03B 17/06 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
C03B17/06
(21)【出願番号】P 2021578011
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 US2020039751
(87)【国際公開番号】W WO2020264252
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-23
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】アグラワル アンモル
(72)【発明者】
【氏名】ブレスラー ダグラス デール
(72)【発明者】
【氏名】セムパ マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コッポラ フランク
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン アヌラグ
(72)【発明者】
【氏名】モラガ フランシスコ ハヴィエル
(72)【発明者】
【氏名】ムディラジ シャム プラサド
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド イブラヒーム ラスール
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-246345(JP,A)
【文献】米国特許第03723082(US,A)
【文献】特開平10-101354(JP,A)
【文献】米国特許第05931981(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 17/06,23/02,27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向に延びる進行経路を定める形成装置であって、該進行方向に該進行経路に沿ってガラス形成材料のリボンを搬送するように構成された前記形成装置と、
前記進行経路に対して実質的に平行に延びて該進行方向を横切って延びる冷却チューブであって、該冷却チューブに沿って離間して該進行経路に面する複数のオリフィスを含む前記冷却チューブ
と、
複数のノズルと、を含み、該複数のノズルの各ノズルが、前記複数のオリフィスのうちの対応する1又は2以上のオリフィスと流体連通しており、該複数のノズルの各ノズルが、前記進行経路に向けて流体の噴霧ストリームを放出するように構成されている、
ことを特徴とするガラス製造装置。
【請求項2】
前記冷却チューブは、冷却軸線に沿って直線的に延びる、
請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項3】
前記冷却軸線は、前記進行方向に対して
垂直である、
請求項2に記載のガラス製造装置。
【請求項4】
前記冷却チューブは、複数の冷却チューブを含み、該複数の冷却チューブのうちの第1の組が、前記進行経路の第1の側に位置決めされ、該複数の冷却チューブのうちの第2の組が、該進行経路の第2の側に位置決めされる、
請求項
1に記載のガラス製造装置。
【請求項5】
ガラスリボンを生成する方法であって、
ガラス形成材料のリボンを形成する段階と、
前記ガラス形成材料のリボンを進行方向に進行経路に沿って移動する段階と、
冷却流体を流体の1又は2以上の噴霧ストリームに変換する段階と、
前記流体の1又は2以上の噴霧ストリームを前記ガラス形成材料のリボンの区域に向けて誘導する段階と、
前記流体の1又は2以上の噴霧ストリームの一部分を該流体の1又は2以上の噴霧ストリームの該
一部分を前記ガラス形成材料のリボンの前記区域と接触させることなく蒸発させることによって該ガラス形成材料のリボンの該区域を冷却する段階と、
前記ガラス形成材料のリボンを冷却して前記ガラスリボンにする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記流体の1又は2以上の噴霧ストリームを前記誘導する段階は、流体の第1の噴霧ストリームを前記ガラス形成材料のリボンの第1の側に向けて誘導する段階と、流体の第2の噴霧ストリームを該ガラス形成材料のリボンの第2の側に向けて誘導する段階とを含む、
請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記流体の1又は2以上の噴霧ストリームを前記誘導する段階は、流体の第3の噴霧ストリームを前記進行方向に対して前記流体の第1の噴霧ストリームから下流の前記ガラス形成材料のリボンの前記第1の側に向けて誘導する段階を含む、
請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記流体の1又は2以上の噴霧ストリームを前記ガラス形成材料のリボンの前記区域に向けて前記誘導する段階は、該区域に向けて誘導される該流体の1又は2以上の噴霧ストリームの量を変化させる段階を含む、
請求項
5から請求項
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ガラス形成材料のリボンの前記区域を前記冷却する段階は、前記進行方向に対して垂直な軸線に沿って該ガラス形成材料のリボンの実質的に一様な温度を達成する段階を含む、
請求項
5から請求項
8のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、2019年9月6日出願の米国仮特許出願第62/896,699号及び2019年6月28日出願の米国仮特許出願第62/868,187号の「35 U.S.C.§119」の下での利益を主張するものであり、これらの文献の内容は拠所であり、その全てが引用によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明の開示は、一般的にはガラスリボンを生成するための装置及び方法、より具体的にはガラスリボンを冷却するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス製造装置を用いて溶融材料をガラスリボンに製造することは公知である。ガラス製造装置の生産機能を高めるために、溶融材料の流量は増大することができる。しかし、流量を増大することは、ターゲット冷却曲線を維持するために溶融材料の冷却の強化を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下では、詳細な説明で説明する一部の実施形態の基本的理解を与えるための本発明の開示の概要を提示する。
【0005】
本発明の開示の実施形態によるガラスを製造する方法は、ガラス製造工程で溶融材料の流量を増大する際に支援することができ、かつ弛んだ捩れに関連付けられた問題を抑制する(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができる。弛んだ捩れは、形成デバイスからドローイングされた溶融材料の粘性が、溶融材料のドローイングされたリボンがその厚み、位置合わせ、及び/又は形状を重力下、引張ローラーの力のいずれか又は両方で維持することができないような過度に低い時に発生する可能性がある。本発明の開示の実施形態は、溶融材料のそれぞれのストリームの内側部分とは反対の溶融材料のストリームの外側部分(例えば、第1のストリーム、第2のストリーム)を積極的に冷却して溶融材料のリボンがドローイングされる場合の有効粘性を高めることによって弛んだ捩れを回避することができる。本発明の開示の実施形態の方法は、例えば対流及び/又は放射による熱伝達を用いて可能であると考えられるものよりも高い冷却速度(例えば、熱流束)及び/又は冷却容量を可能にすることによって弛んだ捩れに対処することができる。ガラスリボンの積極的冷却はまた、低い液相粘性を有する溶融材料の予め決められた厚みまでの加工を容易にすることができる。更に、形成容器の下方に位置決めされた溶融材料のリボン上の場所に向けて冷却剤を誘導することは、形成容器上の溶融材料の結晶化を抑制することができる。これに加えて、冷却剤を引張ローラーの上方の場所に向けて誘導することは、処理効率を高めることができる。増大された冷却容量(例えば、引張ローラーの上方、形成デバイスの下方の)は、溶融材料のリボンが形成容器からドローイングされる時からの及びそれを操作することができる時の溶融材料進行経路の長さの短縮を可能にすることができる。
【0006】
従って、進行方向に延びる進行経路を定める形成装置を含むガラス製造装置を開示する。形成装置は、進行経路に沿って形成装置の進行方向にガラス形成材料のリボンを搬送するように構成される。ガラス製造装置は、進行経路に対して実質的に平行に延びて進行方向を横切って延びる冷却チューブを含む。冷却チューブは、冷却チューブに沿って離間して進行経路に面する複数のオリフィスを含む。
【0007】
一部の実施形態では、冷却チューブは、冷却軸線に沿って直線的に延びる。
【0008】
一部の実施形態では、冷却軸線は、進行方向に対して実質的に垂直である。
【0009】
一部の実施形態では、ガラス製造装置は、複数のノズルを含み、複数のノズルの各ノズルは、複数のオリフィスのうちの対応する1又は2以上のオリフィスと流体連通しており、複数のノズルの各ノズルは、進行経路に向けて流体の噴霧ストリームを放出するように構成される。
【0010】
一部の実施形態では、複数のノズルのうちの第1のノズルの第1のノズルオリフィスは、第1の直径を含み、複数のノズルのうちの第2のノズルの第2のノズルオリフィスは、第1の直径に等しい第2の直径を含む。
【0011】
一部の実施形態では、複数のノズルは、第1のノズルと、第1のノズルから第1の距離だけ離間した第2のノズルと、第2のノズルから第2の距離だけ離間した複数のノズルのうちの第3のノズルとを含む1組の順番に離間したノズルを含み、第2のノズルは、第1のノズルと第3のノズルの間に直列に位置決めされ、第1の距離は、第2の距離とは異なる。
【0012】
一部の実施形態では、第3のノズルの第3のノズルオリフィスは、第2の直径とは異なる第3の直径を含む。
【0013】
一部の実施形態では、冷却チューブは、複数の冷却チューブを含み、複数の冷却チューブの第1の組は、進行経路の第1の側に位置決めされ、複数の冷却チューブの第2の組は、進行経路の第2の側に位置決めされる。
【0014】
一部の実施形態では、複数の冷却チューブのうちの第1の組の冷却チューブは、進行方向に沿って順番に離間し、複数の冷却チューブのうちの第2の組の冷却チューブも、進行方向に沿って順番に離間している。
【0015】
一部の実施形態により、進行方向に延びる進行経路を定める形成装置を含むガラス製造装置を説明する。形成装置は、形成装置の進行方向に進行経路に沿ってガラス形成材料のリボンを搬送するように構成される。ガラス製造装置は、進行経路に向けて流体の噴霧ストリームを放出するように構成されたノズルを含む。
【0016】
一部の実施形態では、ノズルは、流体の噴霧ストリームの約0.5マイクロメートルから約3マイクロメートルの範囲内の直径を含む1又は2以上の小滴を放出するように構成される。
【0017】
一部の実施形態では、ノズルは、約0度から約90度の噴射角度範囲内で流体の噴霧ストリームを放出するように構成される。
【0018】
一部の実施形態では、ガラス製造装置は、進行経路に対して実質的に平行に延びて進行方向を横切って延びる冷却チューブを含み、冷却チューブは、進行経路に面する複数のオリフィスを含む。
【0019】
一部の実施形態では、第1の冷却チューブは、進行経路に対して実質的に平行に延び、かつ進行方向を横切って延びる。第1の冷却チューブは、進行経路に面する第1のオリフィスを含む。
【0020】
一部の実施形態では、ノズルは、進行方向を横切って順番に離間した複数のノズルを含む。
【0021】
一部の実施形態により、ガラス形成材料のリボンを形成する段階を含むガラスリボンを生成する方法を開示する。方法は、進行方向に進行経路に沿ってガラス形成材料のリボンを移動する段階を含むことができる。方法は、冷却流体を流体の1又は2以上の噴霧ストリームに変換する段階を含むことができる。方法は、冷却流体を流体の1又は2以上の噴霧ストリームに変換する段階を含むことができる。方法は、流体の1又は2以上の噴霧ストリームをガラス形成材料のリボンの区域に向けて誘導する段階を含むことができる。方法は、流体の1又は2以上の噴霧ストリームの一部分を流体の1又は2以上の噴霧ストリームのこの部分をガラス形成材料のリボンの区域と接触させることなく蒸発させることにより、ガラス形成材料のリボンの区域を冷却する段階を含むことができる。方法は、ガラス形成材料のリボンを冷却してガラスリボンにする段階を含むことができる。
【0022】
一部の実施形態では、流体の1又は2以上の噴霧ストリームを誘導する段階は、流体の第1の噴霧ストリームをガラス形成材料のリボンの第1の側に向けて誘導する段階と、流体の第2の噴霧ストリームをガラス形成材料のリボンの第2の側に向けて誘導する段階とを含むことができる。
【0023】
一部の実施形態では、流体の1又は2以上の噴霧ストリームを誘導する段階は、進行方向に対して流体の第1の噴霧ストリームから下流のガラス形成材料のリボンの第1の側に向けて流体の第3の噴霧ストリームを誘導する段階を含むことができる。
【0024】
一部の実施形態では、流体の1又は2以上の噴霧ストリームをガラス形成材料のリボンの区域に向けて誘導する段階は、この区域に向けて誘導される流体の1又は2以上の噴霧ストリームの量を変化させる段階を含むことができる。
【0025】
一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボンの区域を冷却する段階は、進行方向に対して垂直な軸線に沿ってガラス形成材料のリボンの実質的に一様な温度を達成する段階を含むことができる。
【0026】
更に他の実施形態では、溶融材料の流動リボンのターゲット場所に向う方向に導管の出口から冷却剤を流す段階と、冷却剤がターゲット場所に向けて流れている間に冷却剤の相を変化させる段階とを含むガラスを製造する方法を開示し、相を変化させる段階は、ターゲット場所を冷却する。冷却剤は、水、窒素、又は二酸化炭素のうちの1又は2以上を含むことができる。
【0027】
一部の実施形態では、出口から流れる冷却剤の質量流量は、約1グラム毎分から約200グラム毎分の範囲にあるとすることができる。
【0028】
一部の実施形態では、出口から流れる冷却剤は、約5マイクロメートルから約20mマイクロメートルの範囲のメジアン粒径を有する固体粒子を含むことができる。例えば、固体粒子の約90%は、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルの範囲の粒径を含むことができる。
【0029】
一部の実施形態では、出口から流れる冷却剤は、液滴を含むことができる。
【0030】
本方法は、導管を加熱する段階を更に含む場合がある。本方法は、溶融材料のリボンに沿って進行する対流気流を用いて気体を移動する段階を更に含む場合がある。対流気流は、溶融材料のリボンの進行方向と反対の方向に流れることができる。
【0031】
一部の実施形態では、ターゲット場所は、形成容器の下方に位置決めすることができる。例えば、形成容器とターゲット場所の間の最短距離は、約1メートル又はそれ未満とすることができる。
【0032】
本方法は、溶融材料を引張ローラーを用いて引く段階を含む場合があり、ターゲット場所は、形成容器と引張ローラーの間に位置決めされる。
【0033】
出口と融材料の流動リボンの間の最短距離は、約100ミリメートルから約1メートルの範囲にあるとすることができる。
【0034】
導管は、出口を含むノズルを含むことができる。例えば、ノズルは、沸騰ノズル又は剪断ノズルを含むことができる。一部の実施形態では、ノズルは、拡散器を含むことができる。
【0035】
一部の実施形態では、導管は、複数の導管を含むことができ、複数の導管の第1の組の出口は、冷却剤を溶融材料のリボンの第1の面に向けて流し、複数の導管の第2の組の出口は、冷却剤を第1の面と反対の溶融材料のリボンの第2の面に向けて流す。複数の導管の第1の組は、第1の行に配置することができる。複数の導管の第2の組は、第2の行に配置することができる。
【0036】
一部の実施形態では、本方法は、溶融材料のリボンの一部分の厚みの予め定められた厚みからの偏差を決定する段階を更に含む場合があり、冷却する段階は、溶融材料のリボンのこの部分の粘性を高めることによって溶融材料のリボンのこの部分の厚みの予め定められた厚みからの偏差を低減する。
【0037】
本明細書に開示する実施形態の追加の特徴及び利点は、以下の詳細説明に列挙しており、一部はこの説明から当業者には明確であろうし、以下の詳細説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む本明細書に説明する実施形態を実施することによって認識されるであろう。以上の一般的説明及び以下の詳細説明の両方は、本明細書に開示する実施形態の性質及び特性を理解するための概要又は骨組みを提供するように意図した実施形態を提示することは理解されるものとする。添付図面は、より一層の理解を提供するために含められ、かつ本明細書の中に組み込まれてその一部を構成する。図面は、本発明の開示の様々な実施形態を例示し、かつ本説明と共にその原理及び作動を解説するものである。
【0038】
これら及び他の特徴、実施形態、利点は、添付図面を参照して以下の詳細説明を読む時により良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の開示の実施形態によるガラス製造装置の例示的実施形態を概略で示す図である。
【
図2】本発明の開示の実施形態による
図1の線2-2に沿うガラス製造装置の斜視断面図である。
【
図3】本発明の開示の実施形態による
図1の視野3で取ったガラス製造装置の拡大部分を示す図である。
【
図4】本発明の開示の実施形態による
図3の線4-4に沿うガラス製造装置の複数の冷却チューブの側面図である。
【
図5】本発明の開示の実施形態による
図3の線5-5に沿う複数の冷却チューブのうちの第1の冷却チューブの断面図である。
【
図6】本発明の開示の実施形態による
図3の線6-6に沿う複数の冷却チューブのうちの第1の冷却チューブの前面図である。
【
図7】本発明の開示の実施形態による
図1の視野3で取ったガラス製造装置の追加の実施形態の拡大部分を示す図である。
【
図8】本発明の開示の実施形態による
図7の線8-8に沿う複数の冷却チューブのうちの第1の冷却チューブの追加の実施形態の断面図である。
【
図9】本発明の開示の一部の実施形態による例示的ガラス製造装置を概略で示す図である。
【
図10】本発明の開示の一部の実施形態による
図9の線10-10に沿って取ったガラス製造装置の断面図である。
【
図12】本発明の開示の一部の実施形態による
図10の線12-12に沿って取ったガラス製造装置の別の断面図である。
【
図13】質量流量の関数として全体熱流束を示すプロットの図である。
【
図14】質量流量の関数として熱流束の局所性を示すプロットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここで例示的実施形態を示す添付図面を参照して実施形態をより完全に以下に説明する。可能である限り、図面を通して同じか又は類似の部分を示すために同じ参照番号を使用する。しかし、本発明の開示は、多くの異なる形態に具現化することができ、本明細書に示す実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。
【0041】
本発明の開示は、ガラス製造装置とガラスリボンを生成する方法とに関する。ここで、ガラスリボンを生成する方法及び装置をガラス形成材料のリボンからガラスリボンを生成するための例示的実施形態を用いて以下に説明する。
図1に示すように、一部の実施形態では、例示的ガラス製造装置100は、ガラス溶融及び送出装置102と、ある量の溶融材料121からガラス形成材料のリボン103を生成するように設計された形成容器140を含む形成装置101とを含むことができる。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103は、その第1の外縁153と第2の外縁155とに沿って形成された対向縁部分(例えば、縁部ビード)間に位置決めされた中心部分152を含むことができ、縁部分の厚みは、中心部分の厚みよりも大きくすることができる。これに加えて、一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103から分離経路151に沿ってガラス分離器149(例えば、けがき、切り込みホイール、ダイヤモンド刃先、レーザなど)によって個々のガラスリボン104を分離することができる。
【0042】
一部の実施形態では、ガラス溶融及び送出装置102は、貯蔵ビン109からバッチ材料107を受け入れるように向けられた溶融容器105を含むことができる。バッチ材料107は、モータ113による動力供給を受けるバッチ送出デバイス111によって導入することができる。一部の実施形態では、所望量のバッチ材料107を矢印117に示すように溶融容器105の中に導入するためにモータ113を起動するように任意的なコントローラー115を作動させることができる。溶融容器105は、バッチ材料107を加熱して溶融材料121を提供することができる。一部の実施形態では、スタンドパイプ123内の溶融材料121の液位を測定して通信線125を通して測定情報をコントローラー115に通信するために融液プローブ119を使用することができる。
【0043】
これに加えて、一部の実施形態では、ガラス溶融及び送出装置102は、溶融容器105の下流に位置付けられて第1の接続導管129を通して溶融容器105に結合された清澄容器127を含む第1の調整ステーションを含むことができる。一部の実施形態では、溶融材料121は、溶融容器105から第1の接続導管129を通して清澄容器127に重力給送することができる。例えば、一部の実施形態では、重力は、第1の接続導管129の内部通路を通して溶融材料121を溶融容器105から清澄容器127に運ぶことができる。これに加えて、一部の実施形態では、清澄容器127内で様々な技術によって溶融材料121から気泡を除去することができる。
【0044】
一部の実施形態では、ガラス溶融及び送出装置102は、清澄容器127の下流に位置付けることができる混合チャンバ131を含む第2の調整ステーションを更に含むことができる。混合チャンバ131は、均一な組成の溶融材料121を提供し、それによって清澄容器127から流出する溶融材料121の中に他に存在する可能性がある不均一性を低減又は排除するのに使用することができる。図示のように、清澄容器127は、第2の接続導管135を通して混合チャンバ131に結合することができる。一部の実施形態では、溶融材料121は、清澄容器127から第2の接続導管135を通して混合チャンバ131に重力給送することができる。例えば、一部の実施形態では、重力は、第2の接続導管135の内部通路を通して溶融材料121を清澄容器127から混合チャンバ131に運ぶことができる。
【0045】
これに加えて、一部の実施形態では、ガラス溶融及び送出装置102は、混合チャンバ131の下流に位置付けることができる送出チャンバ133を含む第3の調整ステーションを更に含むことができる。一部の実施形態では、送出チャンバ133は、入口導管141の中に供給される溶融材料121を調整することができる。例えば、送出チャンバ133は、溶融材料121の堅実な流量を調節して入口導管141に供給するための蓄積器及び/又は流量コントローラーとして機能することができる。図示のように、混合チャンバ131は、第3の接続導管137を通して送出チャンバ133に結合することができる。一部の実施形態では、溶融材料121は、混合チャンバ131から第3の接続導管137を通して送出チャンバ133に重力給送することができる。例えば、一部の実施形態では、重力は、第3の接続導管137の内部通路を通して溶融材料121を混合チャンバ131から送出チャンバ133に運ぶことができる。更に、図示のように、一部の実施形態では、溶融材料121を形成装置101、例えば、形成容器140の入口導管141に送出するように送出パイプ139を位置決めすることができる。
【0046】
形成装置101は、本発明の開示の特徴による様々な実施形態の形成容器、例えば、ガラスリボンをフュージョンドローイングするための楔を有する形成容器、ガラスリボンをスロットドローイングするためのスロットを有する形成容器、又はガラスリボンを形成容器から圧延するためのプレスロールが設けられた形成容器を含むことができる。一部の実施形態では、例えば、リドロー工程の一部としての形成装置101の場合に、形成装置101は、シートリドローを含むことができる。例えば、ある厚みを含むことができるガラスリボン104を加熱し、リドローしてより小さい厚みを含む薄めのガラスリボン104を達成することができる。実施形態として以下に示して開示する形成容器140は、形成楔209の基底145として定められる底縁から溶融材料121をフュージョンドローイングしてガラス形成材料のリボン103を生成するために設けることができる。例えば、一部の実施形態では、溶融材料121は、入口導管141から形成容器140に送出することができる。次に、形成容器140の構造に部分的に基づいて溶融材料121をガラス形成材料のリボン103に形成することができる。例えば、図示のように、溶融材料121は、形成容器140の底縁(例えば、基底145)からガラス製造装置100の進行方向154に延びるドロー経路に沿ってドローイングすることができる。一部の実施形態では、縁部誘導器163、164が、溶融材料121を形成容器140から誘導し、ガラス形成材料のリボン103の幅「W」を部分的に定めることができる。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103の幅「W」は、ガラス形成材料のリボン103の第1の外縁153とガラス形成材料のリボン103の第2の外縁155との間を延びる。
【0047】
一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103の第1の外縁153とガラス形成材料のリボン103の第2の外縁155との間を延びるガラス形成材料のリボン103の幅「W」は、約20ミリメートル(mm)よりも大きく又はそれに等しく、例えば、約50mmよりも大きく又はそれに等しく、例えば、約100mmよりも大きく又はそれに等しく、例えば、約500mmよりも大きく又はそれに等しく、例えば、約1000mmよりも大きく又はそれに等しく、例えば、約2000mmよりも大きく又はそれに等しく、例えば、約3000mmよりも大きく又はそれに等しく、例えば、約4000mmよりも大きく又はそれに等しくすることができるが、更に別の実施形態では、上述の幅よりも小さいか又は大きい他の幅を設けることができる。例えば、一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103の幅「W」は、約20mmから約4000mm内にあり、例えば、約50mmから約4000mmの範囲、例えば、約100mmから約4000mmの範囲、例えば、約500mmから約4000mmの範囲、例えば、約1000mmから約4000mmの範囲、例えば、約2000mmから約4000mmの範囲、例えば、約3000mmから約4000mmの範囲にあり、例えば、約20mmから約3000mmの範囲、例えば、約50mmから約3000mmの範囲、例えば、約100mmから約3000mmの範囲、例えば、約500mmから約3000mmの範囲、例えば、約1000mmから約3000mmの範囲、例えば、約2000mmから約3000mmの範囲、例えば、約2000mmから約2500mmの範囲にあり、及びこれらの値の間の全ての範囲及び部分範囲にあることが可能である。
【0048】
図2は、
図1の線2-2に沿う形成装置101(例えば、形成容器140)の断面斜視図を示している。一部の実施形態では、形成容器140は、入口導管141から溶融材料121を受け入れるように向けられたトラフ201を含むことができる。例示目的で、溶融材料121のクロスハッチングを明瞭化のために
図2から消去した。形成容器140は、形成楔209を更に含むことができ、形成楔209は、その両端165、166(
図1を参照されたい)の間を延びる1対の下方傾斜収束面部分207、208を含む。形成楔209の1対の下方傾斜収束面部分207、208は、形成容器140の基底145に沿って交わるように進行方向154に沿って収束する。ガラス製造装置100のドロー平面213は、基底145を通って進行方向154に沿って延びることができる。一部の実施形態では、ドロー平面213に沿って進行方向154にガラス形成材料のリボン103をドローイングすることができる。図示のように、ドロー平面213は、基底145を通って形成楔209を二分することができるが、一部の実施形態では基底145に対する他の向きに延びることができる。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103は、進行方向154にドロー平面213と共面とすることができる搬送経路221に沿って移動することができる。
【0049】
これに加えて、一部の実施形態では、溶融材料121は、方向156に形成容器140のトラフ201の中に流れ込み、更にそれに沿って流れることができる。次に、溶融材料121は、堰203、204を同時に超えて堰203、204の対応する外面205、206の上で下方に流れることによってトラフ201から溢流することができる。次に、溶融材料121のそれぞれのストリームは、形成容器140の基底145からドローイングされるように形成楔209の下方傾斜収束面部分207、208に沿って流れることができ、基底145では、これらの流動は収束してガラス形成材料のリボン103に融合する。次に、基底145からドロー平面213内で進行方向154に沿ってガラス形成材料のリボン103をドローイングすることができる。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103は、その垂直の場所に基づいて1又は2以上の状態の材料を含む。例えば、ガラス形成材料のリボン103は、1つの場所に粘性溶融材料121を含むことができ、別の場所にはガラス質状態アモルファス固体(例えば、ガラスリボン)を含むことができる。
【0050】
ガラス形成材料のリボン103は、反対方向に向いてガラス形成材料のリボン103の厚み「T」(例えば、平均厚み)を定める第1の主面215と第2の主面216とを含む。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103の厚み「T」は、約2ミリメートル(mm)よりも小さく又はそれに等しく、約1ミリメートルよりも小さく又はそれに等しく、約0.5ミリメートルよりも小さく又はそれに等しく、例えば、約300マイクロメートル(μm)よりも小さく又はそれに等しく、約200マイクロメートルよりも小さく又はそれに等しく、又は約100マイクロメートルよりも小さく又はそれに等しくすることができるが、更に別の実施形態では他の厚みを設けることができる。例えば、一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103の厚み「T」は、約20マイクロメートルから約200マイクロメートルの範囲、約50マイクロメートルから約750マイクロメートルの範囲、約100マイクロメートルから約700マイクロメートルの範囲、約200マイクロメートルから約600マイクロメートルの範囲、約300マイクロメートルから約500マイクロメートルの範囲、約50マイクロメートルから約500マイクロメートルの範囲、約50マイクロメートルから約700マイクロメートルの範囲、約50マイクロメートルから約600マイクロメートルの範囲、約50マイクロメートルから約500マイクロメートルの範囲、約50マイクロメートルから約400マイクロメートルの範囲、約50マイクロメートルから約300マイクロメートルの範囲、約50マイクロメートルから約200マイクロメートルの範囲、約50マイクロメートルから約100マイクロメートルの範囲、約25マイクロメートルから約125マイクロメートルの範囲内にあり、これらの値の間の厚みの全ての範囲及び部分範囲を含む範囲にあることが可能である。酸化リチウムを含有しないか又は含有することができる例示的溶融材料は、ソーダ石灰溶融材料、アルミノケイ酸塩溶融材料、アルカリアルミノケイ酸塩溶融材料、ホウケイ酸塩溶融材料、アルカリホウケイ酸塩溶融材料、アルミノリンケイ酸塩溶融材料、又はアルカリ溶融材料を含むことができる。1又は2以上の実施形態では、溶融材料121は、モルパーセント(mol%)で約40mol%から約80%の範囲のSiO2と、約10mol%から約30mol%の範囲のAl2O3と、約0mol%から約10mol%の範囲のB2O3と、約0mol%から約5mol%の範囲のZrO2と、約0mol%から約15mol%の範囲のP2O5と、約0mol%から約2mol%の範囲のTiO2と、約0mol%から約20mol%の範囲のR2Oと、0mol%から約15mol%の範囲のROとを含むことができる。本明細書に使用する場合に、R2Oは、アルカリ金属酸化物、例えば、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、及びCs2Oを意味することができる。本明細書に使用する場合に、ROは、MgO、CaO、SrO、BaO、及びZnOを意味することができる。一部の実施形態では、溶融材料121は、任意的に、Na2SO4、NaCl、NaF、NaBr、K2SO4、KCl、KF、KBr、As2O3、Sb2O3、SnO2、Fe2O3、MnO、MnO2、MnO3、Mn2O3、Mn3O4、Mn2O7のうちのいずれか1又は2以上を約0mol%から約2mol%内で更に含むことができる。一部の実施形態では、形成されたガラス形成材料のリボン103、ガラスリボン106、及び/又はガラスシートは、透明とすることができ、すなわち、溶融材料121からドローイングされたガラス形成材料のリボン103及び/又はガラスリボン106は、400ナノメートル(nm)から700nmの光学波長にわたって約85%又はそれよりも多く、約86%又はそれよりも多く、約87%又はそれよりも多く、約88%又はそれよりも多く、約89%又はそれよりも多く、約90%又はそれよりも多く、約91%又はそれよりも多く、又は約92%又はそれよりも多い平均光透過率を含むことができる。
【0051】
一部の実施形態では、ガラス分離器149(
図1を参照されたい)は、分離経路151に沿ってガラス形成材料のリボン103からガラスリボン104を分離して複数の個々のガラスリボン104(複数のガラスシート)を提供することができる。他の実施形態により、ガラスリボン104の長手部分を保存ロール上に巻き付けることができる。次に、個々のガラスリボンを望ましい用途、例えば、ディスプレイ用途に加工することができる。例えば、個々のガラスリボンは、液晶ディスプレイ(LCD)、電気泳動ディスプレイ(EPD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、タッチセンサ、光電池、及び他の電子ディスプレイを含む多岐にわたるディスプレイ用途で使用することができる。
【0052】
図3は、
図1の視野3にあるガラス形成材料のリボン103の一部分の拡大図を示している。一部の実施形態では、ガラス製造装置100は、ガラス形成材料のリボン103を冷却するための冷却装置301を含むことができる。例えば、ガラス形成材料のリボン103を形成装置101(例えば、
図1~
図2に示す)から進行経路221に沿って進行方向154に搬送することができる。冷却装置301は、進行方向154に関して形成装置101(例えば、
図1に示す)の下流に位置付けることができる。例えば、冷却装置301は、進行経路221に対して実質的に平行に延びて進行方向154を横切って延びる冷却チューブを含むことができる。一部の実施形態では、冷却チューブは、複数の冷却チューブ303を含むことができる。
【0053】
冷却装置301は、冷却流体(例えば、水)を複数の冷却チューブ303に送出することができる流体ソース305を含むことができる。冷却装置301は、圧縮ガス(例えば、空気)を複数の冷却チューブ303に送出することができるガスソース307を含むことができる。冷却流体と圧縮ガスは混合し、複数の冷却チューブ303からガラス形成材料のリボン103に向けて流体の噴霧ストリームとして放出することができる。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103の近くの比較的高い温度に起因して流体の噴霧ストリームは、少なくとも部分的に蒸発することができる。例えば、ガラス形成材料のリボン103の近くの気温は、約摂氏315°から約摂氏593°の範囲内にある場合がある。流体の噴霧ストリームの一部分の蒸発は、空気の冷却をもたらし、従って、ガラス形成材料のリボン103の冷却を達成することができる。
【0054】
一部の実施形態では、流体ソース305は、複数の冷却チューブ303に結合することができる。例えば、複数の冷却チューブ303は、第1の冷却チューブ309と、第2の冷却チューブ311と、第3の冷却チューブ313とを含むことができる。流体ソース305は、冷却流体が第1の冷却チューブ309に中を貫流することを可能にする第1の流体ライン315を通じて第1の冷却チューブ309に結合することができる。流体ソース305は、冷却流体が第2の冷却チューブ311に中を貫流することを可能にする第2の流体ライン317を通じて第2の冷却チューブ311に結合することができる。流体ソース305は、冷却流体が第3の冷却チューブ313に中を貫流することを可能にする第3の流体ライン319を通じて第3の冷却チューブ313に結合することができる。一部の実施形態では、流体ライン315、317、319は、実質的に中空とすることができてそれを通して冷却流体を搬送することを可能にする導管(例えば、チューブ、パイプなど)を含むことができる。一部の実施形態では、流体ソース305は、そこからの冷却流体を浄化することができる浄化器321に結合することができる。例えば、浄化器321は、流体ソース305から供給された冷却流体中に存在する可能性がある望ましくない材料、例えば、不純物、粒子、化学物質などを除去することができる。浄化器321は、その入口で流体ソース305に結合することができ、出口で第1の流体ライン315、第2の流体ライン317、及び第3の流体ライン319に結合することができる。一部の実施形態では、浄化器321は、流体ソース305からの冷却流体を浄化し、清浄な冷却流体を第1の冷却チューブ309に送出し(例えば、第1の流体ライン315を通じて)、第2の冷却チューブ311に送出し(例えば、第2の流体ライン317を通じて)、かつ第3の冷却チューブ313に送出する(例えば、第3の流体ライン319を通じて)ことができる。
【0055】
一部の実施形態では、ガスソース307は、複数の冷却チューブ303に結合することができる。例えば、ガスソース307は、圧縮ガスが第1の冷却チューブ309に中を貫流することを可能にする第1のガスライン323を通じて第1の冷却チューブ309に結合することができる。ガスソース307は、圧縮ガスが第2の冷却チューブ311に中を貫流することを可能にする第2のガスライン325を通じて第2の冷却チューブ311に結合することができる。ガスソース307は、圧縮ガスが第3の冷却チューブ313に中を貫流することを可能にする第3のガスライン327を通じて第3の冷却チューブ313に結合することができる。一部の実施形態では、ガスライン323、325、327は、実質的に中空とすることができてそれを通して圧縮ガスを搬送することを可能にする導管(例えば、チューブ、パイプなど)を含むことができる。一部の実施形態では、冷却装置301は、1又は2以上のバルブ329を含むことができる。例えば、バルブ329は、第1の流体ライン315、第2の流体ライン317、第3の流体ライン319、第1のガスライン323、第2のガスライン325、又は第3のガスライン327のうちの1又は2以上に結合することができる。バルブ329は、ラインを通って第1の冷却チューブ309、第2の冷却チューブ311、及び/又は第3の冷却チューブ313に至る冷却流体及び/又は圧縮ガスの流量を制御するために選択的に開閉することができる。
【0056】
図3は、3つの冷却チューブ(例えば、第1の冷却チューブ309、第2の冷却チューブ311、及び第3の冷却チューブ313)を含む複数の冷却チューブ303を示すが、複数の冷却チューブ303は、3よりも多いか又は少ない冷却チューブを含むことができる。一部の実施形態では、第1の冷却チューブ309と第2の冷却チューブ311と第3の冷却チューブ313とは、構造及び機能が実質的に同じとすることができる。従って、第1の冷却チューブ309及びそれに取り付けられた付属構成要素の本明細書の説明は、複数の冷却チューブ303のうちの他の冷却チューブと実質的に同じとすることができる。一部の実施形態では、第1の冷却チューブ309は、進行経路221に対して実質的に平行に延びることができ、かつ進行方向154を横切って延びることができる。一部の実施形態では、進行方向154を横切って延びることにより、第1の冷却チューブ309は、進行方向154に対して実質的に垂直に延びることができる。例えば、一部の実施形態では、第1の冷却チューブ309は、第1の冷却軸線331に沿って直線的に延びることができる。第1の冷却軸線331は、進行方向154に対して実質的に垂直とすることができる。しかし、第1の冷却チューブ309は、そのような向きに限定されず、一部の実施形態では、進行方向に対して90度よりも大きいか又は小さいことが可能な角度を進行方向154に対して成すことによって進行方向154を横切って延びることができる。一部の実施形態では、第1の冷却チューブ309は、冷却流体及び圧縮ガスがその中を通って進行することを可能にする実質的に中空の導管(例えば、パイプ、ダクト、ホースなど)を含むことができる。本明細書に説明するように、第1の冷却チューブ309は、それに沿って離間させることができる複数のオリフィスを含むことができ、流体の噴霧ストリーム(例えば、冷却流体と圧縮ガスを含む)は、これらのオリフィスを通してガラス形成材料のリボン103に向けて放出される。これに加えて又はこれに代えて、一部の実施形態では、複数の冷却チューブ303は、それらの軸線の周りに回転させることができる。例えば、第1の冷却チューブ309は、それが流体の噴霧ストリームを上方及び/又は下方に誘導することができるように第1の冷却軸線331の周りに回転させることができる。
【0057】
図4を参照すると、
図3の線4-4に沿う複数の冷却チューブ303の側面図が例示されている。一部の実施形態では、複数の冷却チューブ303は、進行経路221の両側に位置決めすることができる。例えば、複数の冷却チューブ303の第1の組401を進行経路221の第1の側405に位置決めすることができ、一方で複数の冷却チューブ303の第2の組403を進行経路221の第2の側407に位置決めすることができる。一部の実施形態では、第1の組401は、第1の冷却チューブ309、第2の冷却チューブ311、及び第3の冷却チューブ313(例えば、
図3に示す)を含むことができる。一部の実施形態では、第2の組403は、第4の冷却チューブ411、第5の冷却チューブ413、及び第6の冷却チューブ415を含むことができる。第2の冷却チューブ311、及び第3の冷却チューブ313、第4の冷却チューブ411、第5の冷却チューブ413、及び第6の冷却チューブ415は、第1の冷却チューブ309と実質的に同じとすることができる。一部の実施形態では、冷却チューブ309、311、313、411、413、415には複数のノズル416を取り付けることができ、冷却チューブ309、311、313、411、413、415から(例えば、複数のノズル416を通じて)ガラス形成材料のリボン103が進行する進行経路221に向けて流体の噴霧ストリーム419を放出することができる。
【0058】
一部の実施形態では、第1の組401の複数の冷却チューブ303及び第2の組403の複数の冷却チューブ303は、進行方向154に沿って離間させることができる。例えば、複数の冷却チューブ303の第1の組401のうちの冷却チューブ309、311、313は、進行方向154に沿って順番に離間させることができる。一部の実施形態では、第2の冷却チューブ311は、それを第1の冷却チューブ309の下流に位置決めすることができるように進行方向154に沿って第1の冷却チューブ309から離間させることができる。第3の冷却チューブ313は、それを第2の冷却チューブ311の下流に位置決めすることができるように進行方向154に沿って第2の冷却チューブ311から離間させることができる。一部の実施形態では、複数の冷却チューブ303の第2の組403のうちの冷却チューブ411、413、415は、進行方向154に沿って順番に離間させることができる。例えば、第5の冷却チューブ413は、それを第4の冷却チューブ411の下流に位置決めすることができるように進行方向154に沿って第4の冷却チューブ411から離間させることができる。第6の冷却チューブ415は、それを第5の冷却チューブ413の下流に位置決めすることができるように進行方向154に沿って第5の冷却チューブ413から離間させることができる。一部の実施形態では、第1の組401の冷却チューブ309、311、313と第2の組403の冷却チューブ411、413、415とは、進行経路221の両側に整合する高度で位置決めすることができる。例えば、第1の冷却チューブ309及び第4の冷却チューブ411は、進行経路221に対して垂直とすることができる第1の高度軸線423が第1の冷却チューブ309及び第4の冷却チューブ411と交わることができる第1の高度に第1の行421として位置決めすることができる。第3の冷却チューブ311及び第5の冷却チューブ413は、進行経路221に対して垂直とすることができる第2の高度軸線427が第2の冷却チューブ311及び第5の冷却チューブ413と交わることができる第2の高度に第2の行425として位置決めすることができる。第3の冷却チューブ313及び第6の冷却チューブ415は、進行経路221に対して垂直とすることができる第3の高度軸線431が第3の冷却チューブ313及び第6の冷却チューブ415と交わることができる第3の高度に第3の行429として位置決めすることができる。
【0059】
一部の実施形態では、複数の冷却チューブ303の第1の組401及び第2の組403のうちの冷却チューブ309、311、313、411、413、415は、対向する冷却チューブが整合高度にある状態で行(例えば、第1の行421、第2の行425、第3の行429)に位置決めされることに限定されない。代わりに、一部の実施形態では、第1の組401の冷却チューブ309、311、313を第2の組403の冷却チューブ411、413、415に対して千鳥で位置決めすることができる。例えば、一部の実施形態では、第1の高度軸線423は、一方の冷却チューブ(例えば、第1の冷却チューブ309又は第4の冷却チューブ411)と交わるが、他方の冷却チューブ(例えば、第1の冷却チューブ309又は第4の冷却チューブ411の他方)とは交わらない場合がある。これに加えて又はこれに代えて、一部の実施形態では、第2の高度軸線427は、一方の冷却チューブ(例えば、第2の冷却チューブ311又は第5の冷却チューブ413)と交わるが、他方の冷却チューブとは交わらない場合がある。これに加えて又はこれに代えて、一部の実施形態では、第3の高度軸線431は、一方の冷却チューブ(例えば、第3の冷却チューブ313又は第6の冷却チューブ415)と交わるが、他方の冷却チューブとは交わらない場合がある。従って、一部の実施形態では、進行経路221に対して垂直な軸線は、ゼロ個の冷却チューブ、1個の冷却チューブ、又は2個の冷却チューブと交わることができる。第1の組401と第2の組403とを同じ個数の冷却チューブ(例えば、第1の組401内の3つの冷却チューブ及び第2の組403内の3つの冷却チューブ)を含むものとして示すが、第1の組401と第2の組403は、異なる個数の冷却チューブを含むことができ、例えば、第1の組401は、第2の組403よりも多い冷却チューブ又は少ない冷却チューブを含む。
【0060】
一部の実施形態では、ガラスリボン104を生成する方法は、流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419をガラス形成材料のリボン103の区域443に向けて誘導する段階を含むことができる。流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419を誘導する段階は、流体の第1の噴霧ストリーム445をガラス形成材料のリボン103の第1の側405に向けて誘導する段階と、流体の第2の噴霧ストリーム447をガラス形成材料のリボン103の第2の側407に向けて誘導する段階とを含むことができる。一部の実施形態では、流体の第1の噴霧ストリーム445と流体の第2の噴霧ストリーム447は、ガラス形成材料のリボン103の両側(例えば、第1の側405と第2の側407)で第1の高度軸線423に沿う同じ高度に誘導することができる。従って、流体の第1の噴霧ストリーム445及び流体の第2の噴霧ストリーム447は、ガラス形成材料のリボン103を第1の高度で冷却することができる。
【0061】
一部の実施形態では、流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419を誘導する段階は、進行方向154に対して流体の第1の噴霧ストリーム445の下流で流体の第3の噴霧ストリーム449をガラス形成材料のリボン103の第1の側405に向けて誘導する段階を含むことができる。例えば、流体の第1の噴霧ストリーム445を第1の高度軸線423に沿ってガラス形成材料のリボン103の第1の側405に向けて誘導することができ、一方で流体の第3の噴霧ストリーム449を第2の高度軸線427に沿ってガラス形成材料のリボン103の第1の側405に向けて誘導することができる。第2の高度軸線427は、進行方向154に対して第1の高度軸線423の下流で第1の高度軸線423からある距離だけ離間させることができる。従って、流体の第3の噴霧ストリーム449は、進行方向154に対して流体の第1の噴霧ストリーム445の下流でガラス形成材料のリボン103の第1の側405に向けて誘導することができる。一部の実施形態では、流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419、445、447、449をガラス形成材料のリボン103の複数の場所、例えば、第1の側405、第2の側407、及び進行方向154に対して複数の高度(例えば、高度軸線423、427、431に沿う)に向けて誘導することにより、ガラス形成材料のリボン103の温度を複数の場所で制御することができる。一部の実施形態では、流体の追加の噴霧ストリームを追加の高度に沿ってガラス形成材料のリボン103の第2の側407に向けて誘導することができる。例えば、流体の追加の噴霧ストリームは、進行方向154に対して流体の第2の噴霧ストリーム447の下流の場所で、例えば、第2の高度軸線427、第3の高度軸線431等に沿って第2の側407に向けて誘導することができる。同様に、流体の追加の噴霧ストリームは、進行方向154に対して流体の第3の噴霧ストリーム449の下流で、例えば、第3の高度軸線431に沿ってガラス形成材料のリボン103の第1の側405に向けて誘導することができる。
【0062】
図5を参照すると、
図3の線5-5に沿う第1の冷却チューブ309の断面図が例示されている。一部の実施形態では、第1の冷却チューブ309は、実質的に中空とすることができ、冷却流体及び圧縮ガスを第1のノズル501に送出するための1又は2以上のチャンバを含むことができる。例えば、第1の冷却チューブ309は、第1のチャンバ503と第2のチャンバ505とを含むことができる。第1のチャンバ503及び第2のチャンバ505は、第1の冷却チューブ309の長さに沿って延びることができる。一部の実施形態では、第1のチャンバ503は、第1のガスライン323(例えば、
図3に示す)に結合することができる。第1のチャンバ503は、第1の冷却チューブ309が圧縮ガス507を第1のガスライン323から第1のチャンバ503の中に受け入れることができるように第1のガスライン323と流体連通することができる。一部の実施形態では、第2のチャンバ505は、第1の流体ライン315(例えば、
図3に示す)に結合することができる。第2のチャンバ505は、第1の冷却チューブ309が冷却流体509を第1の流体ライン315から第2のチャンバ505の中に受け入れることができるように第1の流体ライン315と流体連通することができる。
【0063】
一部の実施形態では、第1の冷却チューブ309は、進行経路221に面する第1のオリフィス513と第2のオリフィス515とを含むことができる。例えば、進行経路221に面することにより、進行経路221に対して垂直な軸線は、進行経路221から第1の冷却チューブ309に向けて延びることができ、第1の冷却チューブ309の別の部分と交わる前に第1のオリフィス513と交わることができる。一部の実施形態では、進行経路221に面することにより、進行経路221に対して垂直な別の軸線は、進行経路221から第1の冷却チューブ309に向けて延びることができ、第1の冷却チューブ309の別の部分と交わる前に第2のオリフィス515と交わることができる。一部の実施形態では、第1のオリフィス513及び第2のオリフィス515は、それぞれ第1のチャンバ503及び第2のチャンバ505と流体連通することができる。例えば、第1のオリフィス513は、それと第1のチャンバ503との間を延びる第1の通路を通じて第1のチャンバ503と流体連通することができる。第2のオリフィス515は、それと第2のチャンバ505との間を延びる第2の通路を通じて第2のチャンバ505と流体連通することができる。一部の実施形態では、第1のチャンバ503から第1のオリフィス513に圧縮ガス507を送出することができ、それに対して第2のチャンバ505から第2のオリフィス515に冷却流体509を送出することができる。
【0064】
一部の実施形態では、複数のノズル416(例えば、
図4に示す)のうちの1又は2以上のノズルは、第1の冷却チューブ309に取り付けることができ、かつ第1の冷却チューブ309内の第1のオリフィス513及び第2のオリフィス515と流体連通することができる。1又は2以上のノズルは、流体の噴霧ストリームを進行経路221に向けて放出することができる。1又は2以上のノズルは、第1の冷却チューブ309に実質的に同じ方式で取り付けることができる。例えば、複数のノズル416のうちの第1のノズル501は、第1の冷却チューブ309に取り付けることができ、かつ第1のオリフィス513及び第2のオリフィス515と流体連通することができる。第1のノズル501は、第1の冷却チューブ309にいくつかの方法で取り付けることができる。例えば、一部の実施形態では、第1のノズル501は、螺合によって取り付けることができ、この場合に、第1のノズル501又は第1の冷却チューブ309の一方が雄ネジ部分を含み、それに対して第1のノズル501又は第1の冷却チューブ309の他方が雌ネジ部分を含む。第1のノズル501は、第1の冷却チューブ309からの第1のノズル501の不用意な離脱の可能性を低減するために第1の冷却チューブ309の上に螺合することができる。第1のノズル501と第1の冷却チューブ309とは、螺合係合に限定されず、一部の実施形態では、第1のノズル501は、第1の冷却チューブ309に機械的ファスナ(例えば、接着剤、ロッキング機構など)によって取り付けることができる。一部の実施形態では、第1のノズル501は、第1の冷却チューブ309と共に形成することができ、例えば、この場合に、第1のノズル501と第1の冷却チューブ309とは一体構造を含む。第1のノズル501は、第1の冷却チューブ309にいくつかの方法で取り付けることができるが、圧縮ガス507及び冷却流体509を第1の冷却チューブ309から受け入れて流体の第1の噴霧ストリーム445を進行経路221に向けて放出することができることは認められるであろう。
【0065】
一部の実施形態では、第1のノズル501は、実質的に中空とすることができ、かつ第1の混合チャンバ523を定めることができる。第1の混合チャンバ523は、第1のノズル501の1又は2以上の壁によって取り囲むことができる。第1の混合チャンバ523は、それが第1のオリフィス513から圧縮ガス507を受け入れ、第2のオリフィス515から冷却流体509を受け入れることができるように第1の冷却チューブ309の第1のオリフィス513及び第2のオリフィス515と流体連通することができる。一部の実施形態では、圧縮ガス507は、第1の冷却チューブ309内の第1のチャンバ503から第1のオリフィス513を通って第1の混合チャンバ523の中に流れ込むことができる。冷却流体509は、第1の冷却チューブ309内の第2のチャンバ505から第2のオリフィス515を通って第1の混合チャンバ523の中に流れ込むことができる。一部の実施形態では、第1のノズル501は、第1の冷却チューブ309の反対側にある第1のノズル501の端部に定められた第1のノズルオリフィス525を含むことができる。第1のノズルオリフィス525は、進行経路221に面するように向けることができる。一部の実施形態では、第1のノズルオリフィス525は、第1の混合チャンバ523と流体連通することができる。例えば、第1のノズルオリフィス525は、第1の混合チャンバ523から圧縮ガス507と冷却流体509との混合物を受け入れて、それを流体の第1の噴霧ストリーム445として第1のノズルオリフィス525から進行経路221に向けて放出することができる。
【0066】
一部の実施形態では、第1のノズル501は、流体の第1の噴霧ストリーム445の1又は2以上の小滴531を放出することができる。例えば、第1のノズル501は、噴霧工程によって圧縮ガス507と冷却流体509との混合物を1又は2以上の小滴531を含む流体の第1の噴霧ストリーム445に変換することができる。一部の実施形態では、噴霧工程は、冷却流体509を液体形態から1又は2以上の小滴531に縮小することができる。1又は2以上の小滴531は、約0.5マイクロメートルから約3マイクロメートルの範囲内にあることが可能な直径を含むことができる。一部の実施形態では、第1の混合チャンバ523は、圧縮ガス507と冷却流体509との混合物を受け入れることができる。圧縮ガス507と冷却流体509との混合物は、第1のノズルオリフィス525を流れ抜けることができ、この混合物を第1のノズル501から放出することができるように、第1の混合チャンバ523は、周囲環境よりも高い圧力に維持することができる。一部の実施形態では、第1のノズル501は、約0度から約180度の噴射角535の範囲、約0度から約90度の噴射角535の範囲、又は約20度から約90度の噴射角535の範囲内で流体の第1の噴霧ストリーム445を放出することができる。噴射角535は、いくつかの方法で変化させることができる。例えば、第1のノズルオリフィス525の断面サイズ(例えば、直径)を変化させることができ、この変更は、相応に噴射角535を変化させることができる。
【0067】
一部の実施形態では、流体の第1の噴霧ストリーム445の一部分は、進行経路221に到達する前に蒸発することができる。例えば、流体の第1の噴霧ストリーム445は、第1のノズルオリフィス525から流出することができ、進行経路221に向う放出方向539に沿って進行することができる。一部の実施形態では、流体の第1の噴霧ストリーム445が放出方向539に沿って進行する時に、流体の第1の噴霧ストリーム445の一部分は蒸発することができる。例えば、第1のノズル501を取り囲む周囲温度は、第1のノズルオリフィス525から放出された後であるが、進行経路221に沿って進行するガラス形成材料のリボン103に到達する前に、1又は2以上の小滴531の少なくとも一部を蒸発させるほど十分に高くすることができる(例えば、約摂氏315°から約摂氏593°の範囲内に)。第1のノズル501は、進行経路221から放出距離541だけ離間させることができる。一部の実施形態では、流体の第1の噴霧ストリーム445の1又は2以上の小滴531の密度は、放出距離541の中点(例えば、第1のノズル501の端部とガラス形成材料のリボン103の間のほぼ半ば)からガラス形成材料のリボン103までよりも第1のノズルオリフィス525から放出距離541の中点までの方が高い場合がある。これは、1又は2以上の小滴531のうちの一部が放出方向539に沿って進行する間に蒸発することに部分的に起因すると考えられる。一部の実施形態では、1又は2以上の小滴531のいずれも進行経路221に到達してガラス形成材料のリボン103に接触することのないように、進行経路221に到達する前に蒸発する流体の第1の噴霧ストリーム445の部分は、流体の第1の噴霧ストリーム445の全てを含むことができる。一部の実施形態では、行経路221に到達する前に蒸発する流体の第1の噴霧ストリーム445の部分は、流体の第1の噴霧ストリーム445の全てに満たない一部を含むことができる。例えば、流体の第1の噴霧ストリーム445の一部は、進行経路221に到達してガラス形成材料のリボン103に接触する前に蒸発することができず、この場合に、1又は2以上の小滴531のうちの一部は、ガラス形成材料のリボン103に接触する可能性がある。しかし、蒸発せず、代わりに進行経路221に到達してガラス形成材料のリボン103に接触する1又は2以上の小滴531の量は、ガラス形成材料のリボン103の品質に影響を及ぼさないように十分に小さくすることができる。
【0068】
流体の第1の噴霧ストリーム445の一部分の蒸発は、いくつかの利益を提供する。例えば、流体の第1の噴霧ストリーム445の一部分が蒸発する時に、1又は2以上の小滴531は、液体からガスに変えることができ、この変化は、気温の低下をもたらすことができる。一部の実施形態では、流体の第1の噴霧ストリーム445の一部分が蒸発する時に、進行経路221に沿って進行するガラス形成材料のリボン103の近くの気温を下げることができ、この低下は、流体の第1の噴霧ストリーム445の近くにあるガラス形成材料のリボン103を冷却することができる。冷却チューブに取り付けられた複数のノズルをガラス製造装置100が含むことに起因して、進行方向154に対して垂直とすることができる方向に沿ってガラス形成材料のリボン103の温度を冷却することができる。一部の実施形態では、流体の噴霧ストリームの蒸発の得られる湿度増大を相殺するためにガラス形成材料103の近くの湿度を下げるための除湿器を設けることができる。更に、流体の第1の噴霧ストリーム445の一部分がガラス形成材料のリボン103に接触する前に蒸発することに起因して(例えば、この部分が流体の第1の噴霧ストリーム445の一部又は全てを含む場合)、1又は2以上の小滴531とガラス形成材料のリボン103の間の接触を制限することができる。
【0069】
一部の実施形態では、ガラスリボン104を生成する方法は、冷却流体509を流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419(例えば、
図4に示す)に変換する段階を含むことができる。例えば、冷却流体509は、第1の流体ライン315(例えば、
図3に示す)を通じて第1の冷却チューブ309の第2のチャンバ505に供給することができる。冷却流体509は、第1のノズル501の第1の混合チャンバ523内で圧縮ガス507と混合することができる。一部の実施形態では、冷却流体509と圧縮ガス507との混合物は、第1のノズル501の第1のノズルオリフィス525から放出される時に流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419のうちの流体の第1の噴霧ストリーム445を形成することができる。一部の実施形態では、ガラスリボン104を生成する方法は、流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419(例えば、
図4に示す)の一部分をガラス形成材料のリボン103の区域443に接触させることなく流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419のこの部分を蒸発させることによってガラス形成材料のリボン103を冷却する段階を含むことができる。例えば、流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419は、噴霧流がガラス形成材料のリボン103に向う放出方向539に沿って進行する時に蒸発することができる。1又は2以上の小滴531の少なくとも一部は、ガラス形成材料のリボン103を取り囲む周囲空気の高温に起因して蒸発することができる。一部の実施形態では、1又は2以上の小滴531の蒸発は、ガラス形成材料のリボン103の区域443の近くの空気温度の低下をもたらすことができる。この空気温度の低下は、ガラス形成材料のリボン103の区域443の対応する温度降下をもたらすことができる。一部の実施形態では、ガラスリボン104を生成する方法は、ガラス形成材料のリボン103を冷却してガラスリボン104にする段階を含むことができる。例えば、流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419がガラス形成材料のリボン103に向けて誘導される場所の下流で、ガラス形成材料のリボン103を分離(例えば、
図1に示す)及び/又は冷却してガラスリボン104にすることができる。
【0070】
図6を参照すると、
図3の線6-6に沿う第1の冷却チューブ309の前面図を例示している。複数の冷却チューブ303(例えば、
図3に示す)のうちの各々の構造及び機能は、
図5~
図6に示す第1の冷却チューブ309と実質的に類似とすることができることは認められるであろう。例えば、第1の冷却チューブ309は、それに沿って離間して進行経路221(例えば、
図3~
図5に示す)に面する複数のオリフィス601を含むことができる。一部の実施形態では、
図5には1つのノズルを示しているが、ノズル(例えば、第1のノズル501)は、進行方向154(例えば、
図5に示す)を横切って順番に離間して複数のオリフィス601と流体連通している複数のノズル609を含むことができる。例えば、一部の実施形態では、複数のオリフィス601は、第1のオリフィス513、第2のオリフィス515、第3のオリフィス603、第4のオリフィス605などを含むことができる。ノズル(例えば、第1のノズル501及び第2のノズル613)によって視界から遮られることに起因して、第1のオリフィス513、第2のオリフィス515、第3のオリフィス603、及び第4のオリフィス605は破線で例示している。第1の冷却チューブ309は、それに取り付けることができる複数のノズル609と流体連通することができる追加のオリフィスを含むことができるが、これらの追加のオリフィスは、ノズルによって視界から遮られている。一部の実施形態では、第1のオリフィス513及び第2のオリフィス515は、第3のオリフィス603及び第4のオリフィス605から離間させることができる。第1のオリフィス513及び第2のオリフィス515は、第1のノズル501と流体連通することができ、一方で第3のオリフィス603及び第4のオリフィス605は、第2のノズル613と流体連通することができる。第3のオリフィス603及び第4のオリフィス605は、構造及び機能が第1のオリフィス513及び第2のオリフィス515(例えば、
図5にも示す)と同様とすることができ、この場合に、第1のオリフィス513及び第3のオリフィス603は、第1のチャンバ503から圧縮ガス507を受け入れることができ(例えば、
図5に示す)、一方で第2のオリフィス515及び第4のオリフィス605は、第2のチャンバ505から冷却流体509を受け入れることができる(例えば、
図5に示す)。
【0071】
一部の実施形態では、複数のノズル609は、複数のオリフィス601と流体連通することができ、複数のノズル609は、進行経路221に向けて流体の噴霧ストリームを放出するように構成される。例えば、複数のノズル609のうちの各ノズルは、複数のオリフィス601のうちの対応する1又は2以上のオリフィスと流体連通することができる。一部の実施形態では、複数のノズル609のうちの各ノズルは、進行経路221(例えば、
図5に示す)に向けて流体の噴霧ストリームを放出することができる。一部の実施形態では、複数のノズル609は、第1のノズル501と、第2のノズル613と、第3のノズル615とを含むことができる。一部の実施形態では、複数のノズル609のうちの第1のノズル501の第1のノズルオリフィス525は、第1の直径616を含むことができる。一部の実施形態では、複数のノズル609のうちの第2のノズル613の第2のノズルオリフィス617は、第1の直径616に等しくすることができる第2の直径619を含むことができる。一部の実施形態では、複数のノズル609は、第1のノズル501と、それから第1の距離621だけ離間した第2のノズル613とを含む1組の順番に離間したノズルを含むことができる。一部の実施形態では、第1のノズル501と第2のノズル613は、これらのノズルの間に位置決めされた介在ノズルを有することなく順番に離間させることができる。
【0072】
一部の実施形態では、複数のノズル609のうちの第3のノズル615は、第2のノズル613から第2の距離633だけ離間させることができ、第2のノズル613は、第1のノズル501と第3のノズル615の間に直列に位置決めされ、第1の距離621は第2の距離633とは異なる。例えば、第2のノズル613と第3のノズル615は、これらのノズルの間に位置決めされた介在ノズルを有することなく順番に離間させることができる。一部の実施形態では、直列に位置決めすることにより、第2のノズル613は、第1のノズル501と第3のノズル615の間に位置決めすることができ、軸線は、第1のノズル501、第2のノズル613、第3のノズル615、及び他のノズル(例えば、複数のノズル609)と交わることができる。一部の実施形態では、第1の距離621は、第2の距離633とは異なることが可能である。例えば、第1のノズル501と第2のノズル613を第2のノズル613と第3のノズル615よりも密に位置決めすることができるように、第1の距離621は、第2の距離633よりも短くすることができる。一部の実施形態では、第3のノズル615の第3のノズルオリフィス629は、第3の直径631を含むことができ、第3の直径631は、第1の直径616及び/又は第2の直径619とは異なることが可能である。例えば、一部の実施形態では、第1の直径616及び第2の直径619は、第3の直径631よりも大きくすることができる。
【0073】
一部の実施形態では、複数のノズル609の隣接ノズルの間隔は、一定ではない場合がある。例えば、複数のノズル609は、ノズルの内側群639と、ノズルの第1の外側群641と、ノズルの第2の外側群643とを含むことができる。ノズルの内側群639は、第1の冷却チューブ309の中心の近くに位置決めすることができ、それに対してノズルの第1の外側群641及びノズルの第2の外側群643は、第1の冷却チューブ309の端部の近くに位置決めすることができる。一部の実施形態では、ノズルの第1の外側群641は、第1のノズル501と第2のノズル613を含むことができる。ノズルの内側群639は、ノズルの第1の外側群641とノズルの第2の外側群643の間に位置決めすることができる。ノズルの第1の外側群641のノズルオリフィス(例えば、第1のノズル501の第1のノズルオリフィス525及び第2のノズル613の第2のノズルオリフィス617)の直径は、ノズルの内側群639のノズルオリフィス(例えば、第3のノズル615の第3のノズルオリフィス629)の直径よりも大きくすることができる。
【0074】
ノズルの第1の外側群641及びノズルの第2の外側群643のノズルオリフィスのより大きい直径は、ガラス形成材料のリボン103にわたって異なる冷却要件に部分的に起因する場合がある。例えば、
図1を簡単に参照すると、ガラス形成材料のリボン103の中心部分152は、ガラス形成材料のリボン103の第1の外縁153及び第2の外縁155に沿って形成された縁部分の厚みよりも小さくすることができる厚みを含むことができる。一部の実施形態では、中心部分152の冷却は、縁部分を含む第1の外縁153及び第2の外縁155の冷却の場合よりも小さい流体の噴霧ストリームを用いて達成することができる。ガラス形成材料のリボン103にわたる厚み不均衡に起因して変化する冷却速度を受け入れるために、ノズルの第1の外側群641及びノズルの第2の外側群643は、ノズルの内側群639よりも大きい流体の噴霧ストリームを提供することができる。例えば、ノズルの第1の外側群641及びノズルの第2の外側群643は、ノズルの内側群639のノズルオリフィスの直径よりも大きい直径を有するノズルオリフィスを含むことができる。より大きい直径は、ノズルの第1の外側群641及びノズルの第2の外側群643からより大きい流体の噴霧ストリームを誘導することを可能にすることができる。より大きいストリームは、小滴のより激しい蒸発を誘起することができ、それによってノズルの第1の外側群641及びノズルの第2の外側群643の近くでガラス形成材料のリボン103のより強い冷却を達成することができる。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103の冷却は、隣接するノズルの間隔に基づいて更に制御することができる。例えば、ノズルの内側群639内の隣接するノズルの間隔は、ノズルの第1の外側群641及び/又はノズルの第2の外側群643内の隣接するノズルの間隔よりも小さくすることができる。ノズルの内側群639の間の小さい間隔は、より多くのノズルをノズルの内側群639として設けることを可能にすることができ、それによってガラス形成材料のリボン103の中心部分152のより良好に制御された冷却を可能にすることができる。
【0075】
図4及び
図6を参照すると、一部の実施形態では、流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419をガラス形成材料のリボン103の区域443に向けて誘導する段階は、区域443に向けて誘導される流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419の量を進行方向154に対して垂直な軸線647に沿って変化させる段階を含むことができる。例えば、複数のノズル609のノズルオリフィスのサイズは変化させることができ、これは、ガラス形成材料のリボン103に向けて誘導することができる流体の1又は2以上の噴霧ストリーム419の量を変化させることができる。一部の実施形態では、より大きいノズルオリフィスは、より大きい流体の噴霧ストリームをもたらすことができ、それに対してより小さいノズルオリフィスは、より小さい流体の噴霧ストリームをもたらすことができる。これに加えて又はこれに代えて、複数のノズル609のうちの軸線647に沿って隣接するノズルの間隔は変化させることができ、一部のノズルは、他のノズルよりも互いに密に位置決めされる。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103の区域443を冷却する段階は、進行方向154に対して垂直な軸線647に沿ってガラス形成材料のリボン103の実質的に一様な温度を達成する段階を含むことができる。例えば、ガラス形成材料のリボン103の縁部153、155(例えば、
図1に示す)は、ガラス形成材料のリボン103の中心部分152よりも厚くすることができる。ガラス形成材料のリボン103のより良好に制御された一様な冷却を達成するために、中心部分152よりも大きい流体の噴霧ストリームを縁部153、155に向けて誘導することができる。従って、ガラス形成材料のリボン103の大きい厚みを受け入れるために縁部153、155の近くでより強い冷却を達成することができ、この場合に、縁部153、155でのより強い冷却は、ガラス形成材料のリボン103の実質的に一様な温度をもたらすことができる。
【0076】
図7を参照すると、冷却装置701の更に別の実施形態が例示されている。冷却装置701は、
図3~
図6に関して図示及び説明した冷却装置301と一部の点で同様とすることができる。例えば、冷却装置701は、流体ソース305と、ガスソース307と、浄化器321と、複数の冷却チューブ303(例えば、第1の冷却チューブ309、第2の冷却チューブ311、第3の冷却チューブ313など)とを含むことができる。一部の実施形態では、冷却装置701は、ガスソース307及び浄化器321に結合されてこれらと流体連通しているネブライザ703を含むことができる。ネブライザ703は、ガスソース307からの圧縮ガス及び浄化器321からの冷却流体を受け入れることができる。ネブライザ703は、圧縮ガスと冷却流体とがその中で混じり合って流体の噴霧ストリームを形成することを可能にするチャンバを含むことができる。一部の実施形態では、圧縮ガスと冷却流体との混合物を流体の噴霧ストリームに変換する工程は、
図5~
図6の実施形態と同様とすることができ、この場合に、混合は、第1のノズル501内で発生する。しかし、流体の噴霧ストリームの形成は、第1のノズル501内の発生に限定されず、一部の実施形態では、流体の噴霧ストリームは、第1のノズル501の上流、例えば、ネブライザ703で提供することができる。一部の実施形態では、ネブライザ703と第1の冷却チューブ309とに第1の噴霧化ライン705を結合することができ、それによって流体の第1の噴霧ストリームをネブライザ703から第1の噴霧化ライン705を通じて第1の冷却チューブ309に送出することができる。一部の実施形態では、ネブライザ703と第2の冷却チューブ311とに第2の噴霧化ライン707を結合することができ、それによって流体の第2の噴霧ストリームをネブライザ703から第2の噴霧化ライン707を通じて第2の冷却チューブ311に送出することができる。一部の実施形態では、ネブライザ703と第3の冷却チューブ313とに第3の噴霧化ライン709を結合することができ、それによって流体の第3の噴霧ストリームをネブライザ703から第3の噴霧化ライン709を通じて第3の冷却チューブ313に送出することができる。流体の噴霧ストリームは、複数の冷却チューブ303からガラス形成材料のリボン103に向けて放出することができる。一部の実施形態では、冷却装置701は、1又は2以上のバルブ、例えば、
図3に示す冷却装置301のバルブ329を含むことができる。バルブ329は、第1の噴霧化ライン705、第2の噴霧化ライン707、又は第3の噴霧化ライン709の1又は2以上に結合することができる。バルブ329は、ライン705、707、709を通って第1の冷却チューブ309、第2の冷却チューブ311、及び/又は第3の冷却チューブ313に至る圧縮ガスと冷却流体との混合物の流量を制御するために選択的に開閉することができる。
【0077】
図8は、
図7の線8-8に沿う第1の冷却チューブ309の断面図を示している。一部の実施形態では、第1の冷却チューブ309は、実質的に中空とすることができ、かつ流体の第1の噴霧ストリーム803を第1のノズル501に送出するためのチャンバ801を含むことができる。チャンバ801は、第1の冷却チューブ309の長さに沿って延びることができる。一部の実施形態では、チャンバ801は、第1の噴霧化ライン705に結合することができ、例えば、チャンバ801は、第1の噴霧化ライン705と流体連通しており、かつそこから流体の第1の噴霧ストリーム803を受け入れるように構成される。一部の実施形態では、第1の冷却チューブ309は、進行経路221に面するオリフィス805を含むことができる。オリフィス805は、例えば、チャンバ801とオリフィス805の間を延びる通路を通してチャンバ801と流体連通することができる。一部の実施形態では、流体の第1の噴霧ストリーム803は、チャンバ801からオリフィス805に送出することができる。流体の第1の噴霧ストリーム803は、オリフィス805を通過することができ、第1のノズル501の第1の混合チャンバ523の中に受け入れることができる。一部の実施形態では、流体の第1の噴霧ストリーム803は、第1のノズル501の第1のノズルオリフィス525から進行経路221に向う放出方向539に放出することができる。
図5の実施形態と同様に、流体の第1の噴霧ストリーム803の1又は2以上の小滴531の一部分は、ガラス形成材料のリボン103の区域443に接触する前に蒸発し、それによってガラス形成材料のリボン103を冷却することができる。
【0078】
一部の実施形態では、ガラス製造装置100は、進行経路221に沿って進行するガラス形成材料のリボン103を冷却することに関連付けられたいくつかの利益を提供することができる。例えば、複数の冷却チューブ303は、ガラス形成材料のリボン103の両側に位置決めされ、かつガラス製造装置100の進行方向154に沿って離間させることができる。これに加えて、複数の冷却チューブ303は、進行方向154に対して実質的に垂直にガラス形成材料のリボン103の幅に沿って延びることができる。複数の冷却チューブ303は、流体の噴霧ストリームをガラス形成材料のリボン103に向けて誘導することができる。一部の実施形態では、流体の噴霧ストリームの一部分は、ガラス形成材料のリボン103に接触する前に蒸発することができる。蒸発は、ガラス形成材料のリボン103の近くの空気温度を下げることができ、それによって同じくガラス形成材料のリボン103を冷却することができる。更に、流体の噴霧ストリームの一部分を蒸発させることにより、ガラス形成材料のリボン103に接触する小滴の個数を制限し、それによってガラス形成材料のリボン103を汚染するリスクを低減することができる。従って、複数の冷却チューブ303は、複数の場所で、例えば、進行方向154に沿って、進行方向154と垂直に、及びガラス形成材料のリボン103の両側でガラス形成材料のリボン103を冷却することができる。流体の噴霧ストリームがガラス形成材料のリボン103に接触することが制限されるので、ガラス形成材料のリボン103の冷却を低い汚染リスクしか伴わずに達成することができる。ガラス形成材料のリボン103のより効率的な冷却を提供することにより、生産速度を高めることができる。
【0079】
図9~
図12は、
図1のガラス製造装置の別の実施形態を示している。下記で説明するように、溶融材料のリボンに向けて誘導される冷却剤は、例えば、液体又は固体から気体への相変化を受けることができる。本発明の開示の実施形態によるガラスを製造する方法は、弛んだ捩れに関連付けられた問題を抑制する(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができる。相変化を受ける冷却剤を供給することにより、冷却剤が相変化を受ける時に大量の熱(例えば、潜熱、蒸発エンタルピー、昇華エンタルピー)を吸収することができる。更に、相変化を受ける冷却剤を供給することにより、冷却剤が気体への相変化を受ける温度まで加熱される時及びその後に気体として加熱される時に熱を吸収することができる。この高い冷却機能は、他に可能であると考えられるものよりも低い液相粘性を含む溶融材料の予め定められた厚み(例えば、300マイクロメートルから約5ミリメートル)までの加工を可能にすることができる。更に、形成容器の下方に位置決めされた溶融材料のリボン上の場所に向けて冷却剤を誘導することにより、形成容器上での失透(例えば、結晶化)の発生を抑制することができる。同様に、冷却剤を引張ローラーの上方の場所に向けて誘導することによって高い処理効率(例えば、短い時間、小さい空間)を与えることができる。例えば、高い冷却機能(例えば、引張ローラーの上方、形成デバイスの下方での)は、溶融材料のリボンが形成容器からドローイングされる時とその後の加工を受けることができる時との間の時間の短縮を可能にすることができる。更に、高い冷却機能(例えば、引張ローラーの上方、形成デバイスの下方での)は、溶融材料のリボンが形成容器からドローイングされた時からそれを操作することができる(例えば、その後の加工に向けて引張ローラーにより)時までの溶融材料の進行経路の長さの短縮を可能にすることができる。
【0080】
本発明の開示の実施形態の追加の特徴は、更に別の技術的利益を提供することができる。例えば、約1グラム毎分(g/min)から約200g/minの範囲の冷却剤の質量流量を与えることにより、冷却中の溶融材料のリボンの面を損傷することなく高い冷却速度及び/又は冷却機能を可能にすることができる。更に、小さいメジアン粒径(例えば、5マイクロメートルから約20マイクロメートルまで)を含む冷却剤を供給することにより、粒子が相転移を受ける代わりに及び/又はその前に溶融材料のリボンの面に衝突することになる可能性が減少するので、冷却速度及び/又は冷却機能を変わらずに高めながら面損傷の発生を抑制する(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができる。同様に、制御された狭い粒径分布(例えば、粒子の約90%が約1マイクロメートルから約100マイクロメートルの範囲の粒径を含む)を含む冷却剤を供給することにより、冷却速度及び/又は冷却機能を変わらずに高めながら、粒子が相転移を受ける代わりに及び/又はその前に溶融材料のリボンの面に衝突することになる可能性を減少させる(例えば、低減する)ことができる。上述の粒径関係のいずれも、導管(例えば、導管の出口、ノズル)を加熱することによって可能にすることができ、これは、そのような加熱が粒子の凝集を抑制する(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができることに起因する。更に、ノズルを溶融材料のリボンの近く(例えば、約100ミリメートルから約1メートルの範囲)に位置決めすることにより、導管を流出する冷却剤の速度を減少させる(例えば、低減する)ことができ、それによって面欠陥の発生を抑制する(例えば、低減する、減少させる、排除する)ことができる。溶融材料のリボンに沿って進行する対流気流を供給することにより、対流気流が粒子を向け直す(例えば、運び去る)ことができるので、そのような粒子が相転移を受ける代わりに及び/又はその前に溶融材料のリボンの面に衝突することになる可能性を減少させる(例えば、低減する)ことができる。同様に、そのような対流気流は、冷却剤が相転移を受けた後に冷却剤を誘導する(例えば、除去する)ことができる。気体への相転移を受ける冷却剤を供給することにより、流動リボンへの面損傷を減少させる(例えば、低減する、排除する)ことができる。
【0081】
図10は、本発明の開示の様々な実施形態による
図9の線10-10に沿うガラス製造装置100の断面斜視図を示している。示して説明したように、形成容器140は、入口導管141から溶融材料121を受け入れるように向けられたトラフ201を含むことができる。形成容器140は、形成楔209を更に含むことができ、形成楔209は、その両端165、166(
図9を参照されたい)の間を延びる1対の下方傾斜収束面部分207、208を含む。形成楔209の1対の下方傾斜収束面部分207、208は、形成容器140の基底145を定める形成楔209の底縁に沿って交わるように進行方向154に沿って収束する。ガラス製造装置100のドロー平面213は、基底145を通って進行方向154に沿って延びることができる。一部の実施形態では、ドロー平面213に沿って進行方向154にガラス形成材料のリボン103をドローイングすることができる。図示のように、ドロー平面213は、基底145を通って形成楔209を二分することができるが、一部の実施形態では基底145に対する他の向きに延びることができる。
【0082】
これに加えて、一部の実施形態では、溶融材料121は、形成容器140のトラフ201の中に流れ込み、次に、堰203、204を同時に越えて堰203、204の外面205、206の上を下方に流れることによってトラフ201から溢流する。溶融材料121のそれぞれのストリーム211、212は、形成容器140の基底145からドローイングされるように形成楔209の対応する下方傾斜収束面部分207、208に沿って流れ、基底145では、溶融材料121のこれらのストリーム211、212は、収束してガラス形成材料のリボン103に融合する。次に、基底145からドロー平面213内で進行方向154に沿ってガラス形成材料のリボン103をドローイングすることができる。
【0083】
一部の実施形態では、図示していないが、形成容器140は、入口導管141から溶融材料121を受け入れるように向けられたパイプを含むことができる。一部の実施形態では、パイプは、溶融材料121が貫流することを可能にするスロットを含むことができる。例えば、スロットは、パイプの上部でパイプの軸線に沿って延びる細長スロットを含むことができる。一部の実施形態では、パイプの第1の周囲場所に第1の壁を取り付けることができ、パイプの第2の周囲場所に第2の壁を取り付けることができる。第1の壁と第2の壁は、1対の下方傾斜収束面部分を含むことができる。第1の壁と第2の壁は、形成容器の中に中空領域を少なくとも部分的に定めることができる。一部の実施形態では、パイプ、第1の壁、及び/又は第2の壁を含むパイプ壁は、約0.5mmから約10mm、約0.5mmから約7mm、約0.5mmから約3mm、約1mmから約10mm、約1mmから約7mm、約3mmから約10mm、約3mmから約7mmの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲及び部分範囲にある厚みを含むことができる。上述の範囲の厚みは、厚めの壁を含む実施形態と比較して低い全体材料コストをもたらすことができる。
【0084】
一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103は、冷えてガラス転移ライン167の下方でガラスリボン106になることができる。一部の実施形態では、次に、ガラス分離器149(
図9を参照されたい)が、ガラスリボン106から分離経路151に沿ってガラスシート104を分離することができる。図示のように、一部の実施形態では、分離経路151は、第1の外縁153と第2の外縁155の間のガラス形成材料のリボン103及び/又はガラスリボン106の幅「W」に沿って延びることができる。これに加えて、一部の実施形態では、分離経路151は、ガラス形成材料のリボン103の進行方向154と垂直に延びることができる。これに加えて、一部の実施形態では、進行方向154は、ガラス形成材料のリボン103が形成容器140からそれに沿ってフュージョンドローイングすることができる方向を定めることができる。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103は、進行方向154に沿って移動する時に約1ミリメートル毎秒(mm/s)又はそれよりも高く、約10mm/s又はそれよりも高く、約50mm/s又はそれよりも高く、約100mm/s又はそれよりも高く、又は約500mm/s又はそれよりも高く、例えば、約1mm/sから約500mm/s、約10mm/sから約500mm/s、約50mm/sから約500mm/s、約100mm/sから約500mm/sの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲の速度を含むことができる。
【0085】
図10~
図11に示すように、一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103は、その第1の主面215と第2の主面216とが反対方向に向き、ガラス形成材料のリボン103の平均厚み「T」を定める状態で基底145からドローイングされる。一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103及び/又はガラスリボン106の中心部分152の平均厚み「T」は、約2mm又はそれ未満、約1mm又はそれ未満、約500マイクロメートル(μm)又はそれ未満、約300μm又はそれ未満、約200μm又はそれ未満、又は約100μm又はそれ未満とすることができるが、更に別の実施形態では他の厚みを設けることができる。例えば、一部の実施形態では、ガラス形成材料のリボン103及び/又はガラスリボン106の平均厚み「T」は、約50μmから約750μm、約100μmから約700μm、約200μmから約600μm、約300μmから約500μm、約50μmから約500μm、約50μmから約700μm、約50μmから約600μm、約50μmから約500μm、約50μmから約400μm、約50μmから約300μm、約50μmから約200μm、又は約50μmから約100μmの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にあることが可能である。
【0086】
同じく、
図9に示すように、ガラス製造装置100は、2対の縁部ローラー(例えば、第1の外縁153に接触する縁部ローラーの第1の対171a及び第2の外縁155に接触する縁部ローラーの第2の対171b)を含むことができる。更に、ガラス製造装置100は、2対の引張ローラー(例えば、第1の外縁153を含む第1の縁部分に接触する引張ローラーの第1の対173a及び第2の外縁155を含む第2の縁部分に接触する引張ローラーの第2の対173b)を含むことができる。本明細書に使用する場合に、「上流」及び「下流」は、進行方向154に基づく関係を説明するのに使用する用語である。例えば、一部の実施形態では、2対の縁部ローラーは、形成容器140の下流に位置付けることができる。一部の実施形態では、2対の引張ローラーは、
図9に示すように形成容器140の下流に位置付けることができる。更に別の実施形態では、2対の引張ローラーは、2対の縁部ローラー171a、171bの下流に位置付けることができる。例えば、図示のように、2対の引張ローラー173a、173bは、2対の縁部ローラー171a、171bの下流かつ形成容器140の下流に位置付けることができる。一部の実施形態では、図示していないが、2対の引張ローラー173a、173bは、縁部ローラー171a、171bを伴わずに設けることができる。一部の実施形態では、2対の引張ローラー173a、173bは、上記で議論した厚み範囲にあることが可能な予め定められた厚み(例えば、平均厚み「T」)のガラス形成材料のリボン103を達成するように進行方向154に引張力を作用することができる。
【0087】
図9~
図12に示すように、ガラス製造装置100は、冷却装置175を含むことができる。例えば、
図10に示すように、冷却装置175は、第1の冷却装置218a及び/又は第2の冷却装置218bを含むことができる。図示のように、一部の実施形態では、冷却装置175は、第1の冷却装置218aと第2の冷却装置218bの両方をドロー平面213が第1の冷却装置218aと第2の冷却装置218bの間に位置決めされた状態で含むことができる。2つの冷却装置218a、218bを示すが、更に別の実施形態では、単一の冷却装置又は2よりも多い冷却装置を設けることができる。
図3は、
図10の視野3で取った拡大図であり、
図12は、
図10の線12-12で取った断面図である。
図11~
図12は両方共に、第1の冷却装置218aの特徴を明らかにしている。第1の冷却装置218aをより完全に以下に説明するが、そのような説明は、第2の冷却装置218bのような1又は2以上の他の冷却装置にも当て嵌めることができることを理解しなければならない。
【0088】
図10~
図11に示すように、一部の実施形態では、第1の冷却装置218aは、導管219aを含むことができる。
図11に示すように、導管219aから流れる冷却剤は、導管219aによって流れ方向353に誘導することができる。図示のように、導管219aは、流れ方向353に長さ357を有する流れセグメントを含むことができる。一部の実施形態では、導管219aの流れセグメントの長さ357は、約0.01meters(m)又はそれよりも大きく、約0.1m又はそれよりも大きく、約0.5m又はそれよりも大きく、約10m又はそれ未満、約5m又はそれ未満、又は約1m又はそれ未満とすることができる。一部の実施形態では、導管219aの流れセグメントの長さ357は、0.01mから約10m、約0.01mから約5m、約0.01mから約1m、0.1mから約10m、約0.1mから約5m、約0.1mから約1m、約0.5mから約10m、約0.5mから約5m、約0.5mから約1mの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にあることが可能である。
【0089】
示すように、導管219aの流れセグメントは、流れ方向353に対して実質的に垂直な方向に第1の幅342を含むことができる。本明細書に使用する場合に、第1の幅342は、流れ方向353に対して垂直な断面での導管219aの流れセグメントの内面355の最大寸法である。内面が円筒面である場合に、最大寸法は、流れ方向に対して垂直な断面での円筒面の直径であると考えられる。一部の実施形態では、
図11に示すように、第1の幅342は、導管219aの流れセグメントの長さ357に沿って実質的に同じとすることができる。一部の実施形態では、図示していないが、導管219aの流れセグメントの第1の幅342は、導管219aの流れセグメントの長さ357に沿って増大する(例えば、単調に増大する)ことができる。図示していないが、他の実施形態では、導管219aの流れセグメントの第1の幅342は、導管219aの流れセグメントの長さに沿って減少する(例えば、単調に減少する)ことができる。
【0090】
導管219aの流れセグメントは最大幅を含む。本明細書に使用する場合に、導管219aの流れセグメントの最大幅は、導管219aの流れセグメントの長さに沿う全ての点での流れ方向と垂直な断面での導管219aの流れセグメントの内面355の最大寸法の最も大きい値である。一部の実施形態では、導管219aの流れセグメントの第1の幅342及び/又は最大幅は、約0.1mm又はそれよりも大きく、0.4mm又はそれよりも大きく、約1mm又はそれよりも大きく、約3mm又はそれよりも大きく、約10mm又はそれよりも大きく、約20mm又はそれよりも大きく、約50mm又はそれよりも大きく、約5m又はそれ未満、又は約1m又はそれ未満とすることができる。一部の実施形態では、導管219aの流れセグメントの第1の幅342及び/又は最大幅は、約0.1mmから約5m、0.1mmから約1m、約0.1mmから約5m、0.4mmから約1m、約1mmから約5m、約1mmから約1m、約3mmから約5m、約3mmから約1m、約10mmから約5m、約10mmから約1m、約20mmから約5m、約20mmから約1m、約50mmから約5m、約50mmから約1mの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にあることが可能である。
【0091】
図10~
図11に示すように、第1の冷却装置218aの導管219aは、冷却剤ソース251aと流体連通することができる。一部の実施形態では、冷却剤ソース251aは、ポンプ、キャニスター、カートリッジ、ボイラー、圧縮機、及び/又は圧力容器を含むことができる。一部の実施形態では、冷却剤ソース251aは、冷却剤を気相で貯蔵することができる。一部の実施形態では、冷却剤ソース251aは、冷却剤を液相で貯蔵することができる。一部の実施形態では、冷却剤ソース251aは、冷却剤を固相で貯蔵することができる。
【0092】
図11に示すように、導管219aは、出口343aを含むことができる。一部の実施形態では、図示のように、導管219aは、ノズル217aを含むことができる。一部の実施形態では、図示のように、ノズル217aは、流れセグメントに加えて設けることができ、この場合に、ノズル217aは、流れセグメントの端部に取り付けることができる。図示のように、ノズル217aは、導管219aの出口343aを含む出口346aを含むことができる。更に別の実施形態では、図示のように、ノズル217aの出口346aは第2の幅344を含むことができ、ノズル217aは、第2の幅344とは異なる第1の幅342を含む入口341aを含むことができる。更に別の実施形態では、図示のように、第2の幅344は、第1の幅342よりも大きくすることができる。更に別の実施形態では、ノズル217aは、幅(例えば、第1の幅342、断面)がドロー平面213に向う方向に沿って増大し始める入口341aを含むことができる。一部の実施形態では、図示していないが、ノズルの出口は、導管の別の部分(例えば、残余)と実質的に同じ断面を含むことができる。一部の実施形態では、ノズル217aは、流れ方向353に長さ347を含むことができる。一部の実施形態では、ノズル217aの長さ347は、出口346aの第2の幅344よりも短くすることができる。一部の実施形態では、ノズル217aの長さ347は、導管219aの長さ357に関して上記で議論した範囲のうちのいずれかの範囲にあるとすることができる。
【0093】
一部の実施形態では、
図11に示すように、ノズル217aは拡散器を含むことができる。特定の理論に縛られることを望むことなく、拡散器は、ノズル217a内の冷却剤の速度を低減する(例えば、減少させる)ことができ、それによって冷却剤がガラス形成材料のリボン103の面に接触する機会を抑制する(例えば、低減する、減少させる、排除する)ことができる。更に、特定の理論に縛られることを望むことなく、拡散器は、冷却剤が負のジュール・トムソン係数を含む時に拡散器の中を貫流する冷却剤の温度を下げることができる。一部の実施形態では、粒子(例えば、液滴、固体粒子)を提供するためのネブライザを冷却剤ソースとノズルの間に位置決めすることができる。
【0094】
一部の実施形態では、ノズル217aは沸騰ノズルを含むことができる。特定の理論に縛られることを望むことなく、沸騰ノズルは、冷却剤ストリームを粒子に分離するために冷却剤の運動エネルギ(例えば、加速)を用いて粒子(例えば、液滴、固体粒子)を提供することができる。一部の実施形態では、沸騰ノズルによって加速された時に冷却剤ストリームの一部分が気体への相変態を受ける(例えば、「沸騰する」)ことができる。一部の実施形態では、冷却剤ストリームの一部分は、ノズルでの加速中に冷却剤ストリームが希薄になる時の冷却剤の表面張力に基づいて互いに分離することができる。
【0095】
一部の実施形態では、ノズル217aは剪断ノズルを含むことができる。更に別の実施形態では、剪断ノズルは、単一冷却剤ストリームから粒子(例えば、液滴、固体粒子)を提供することができる。更に別の実施形態では、剪断ノズルは、その中に導入される剪断力に基づいて冷却剤ストリームを粒子に分離することができる回転流体運動を誘起することができる。更に別の実施形態では、剪断ノズルは、冷却剤と別の流体(例えば、気体)とを混合することによって粒子(例えば、液滴、固体粒子)を形成することができる。更に別の実施形態では、冷却剤は、剪断ノズル内で別の流体によって取り囲むことができる。特定の理論に縛られることを望むことなく、冷却剤と別の流体の間の剪断は、冷却剤の粒子を生成することができる。
【0096】
一部の実施形態では、導管219a(例えば、導管219aのノズル217a及び/又は流れセグメント)は熱伝導材料を含むことができる。更に別の実施形態では、導管219a(例えば、導管219aのノズル217a及び/又は流れセグメント)は、約20ワット毎メートルケルビン(W/mK)又はそれよりも高く、約50W/mK又はそれよりも高く、約100W/mK又はそれよりも高く、約1000W/mK又はそれ未満、約500W/mK又はそれ未満、又は約300W/mK又はそれ未満の熱伝導率を含む材料を含むことができる。更に別の実施形態では、導管219a(例えば、導管219aのノズル217a及び/又は流れセグメント)は、約20W/mKから約1000W/mK、約20W/mKから約500W/mK、約20W/mKから約200W/mK、約50W/mKから約1000W/mK、約50W/mKから約500W/mK、約50W/mKから約200W/mK、約100W/mKから約1000W/mK、約100W/mKから約500W/mK、約100W/mKから約200W/mKの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲の熱伝導率を含む材料を含むことができる。例えば、窒化珪素は、約20W/mKの熱伝導率を含み、青銅は、約26W/mKの熱伝導率を含み、プラチナは、約55W/mKの熱伝導率を含み、炭化珪素は、約60W/mKの熱伝導率を含み、金は、約310W/mKの熱伝導率を含む。熱伝導率(例えば、約20W/mK又はそれよりも高い)を有する材料を供給することにより、導管219aの流れセグメント及び/又は導管219aのノズル217aそれぞれの長さ357又は347に沿った熱変動及び/又は熱勾配を抑制する(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができる。更に別の実施形態では、これは、他にガラス形成材料のリボン103の面に衝突する(例えば、傷つける)可能性があるより大きい粒径を招く可能性がある冷却剤の凝集を抑制する(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができる。一部の実施形態では、導管219a及び/又はノズル217aは、熱伝導率のセラミック又は金属のうちの1又は2以上を含むことができる。熱伝導率セラミックの例示的実施形態は、窒化珪素、アルミナ、又は炭化珪素のうちの1又は2以上を含むことができる。熱伝導率金属の例示的実施形態は、銅合金(例えば、青銅、黄銅)、鉄、合金鋼、プラチナ、プラチナ合金、ニッケル、錫、銅、タングステン、モリブデン、アルミニウム、金、及び/又は銀を含むことができる。一部の実施形態では、導管219a及び/又はノズル217aは、電気絶縁材料(例えば、約10,000Ω/m又はそれよりも高い抵抗率を含む及び/又は約0.0001S/m又はそれ未満の導電率を含む)を含むことができる。
【0097】
一部の実施形態では、導管219a(例えば、導管219aのノズル217a及び/又は流れセグメント)は、流れ方向353と垂直に取った多角形断面を含むことができる(例えば、三角形、四角形、五角形、六角形など)。一部の実施形態では、導管219a(例えば、導管219aのノズル217a及び/又は流れセグメント)は、流れ方向353と垂直に取った曲線形(例えば、楕円形、円形)断面を含むことができる。一部の実施形態では、導管219a(例えば、導管219aのノズル217a及び/又は流れセグメント)は、流れ方向353と垂直に取った多角形形状と曲線形形状との組合せを含む断面を含むことができる。
【0098】
一部の実施形態では、
図10~
図12に示すように、第1の冷却装置218aは、加熱器(例えば、電気加熱器227a)を含むことができる。更に別の実施形態では、図示のように、加熱器(例えば、電気加熱器227a)は、出口343a、346aの近くで第1の冷却装置218aを加熱するように構成することができる。一部の実施形態では、加熱器は、出口343a、346aの近くで導管を加熱している間は導管219aに取り付けられるか又は導管219aから離間させることができる。更に別の実施形態では、図示のように、加熱器(例えば、電気加熱器227a)は、第1の冷却装置218aのノズル217aを加熱することができる。一部の実施形態では、加熱器は、ノズルを加熱するためにノズル217aに取り付けることができるが、更に別の実施形態ではノズル217aから離間させることができる。一部の実施形態では、加熱器(例えば、電気加熱器227a)は、ノズル217a及び/又は導管219aを取り囲むことができる。加熱器(例えば、電気加熱器227a)を設けることにより、導管219aのノズル217a及び/又は流れセグメントを予め決められた温度に維持することができ、これは、他にガラス形成材料のリボン103の面に衝突する可能性があるより大きい粒径を招く可能性がある冷却剤の凝集を抑制する(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができる。
【0099】
一部の実施形態では、図示していないが、加熱器は、加熱流体(例えば、空気、蒸気、超臨界二酸化炭素)が通って循環する加熱導管を含むことができる。一部の実施形態では、
図10~
図12に示すように、加熱器は、電気加熱器227aを含むことができる。電気加熱器227aは、金属又は高融点材料(例えば、セラミック)を含むことができる。金属の例示的実施形態は、クロム、モリブデン、タングステン、プラチナ、プラチナ、ロジウム、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ルテニウム、金、及びこれらの組合せ(例えば、合金)を含むことができる。金属の追加の例示的実施形態(例えば、合金)は、ニッケル-クロム合金(例えば、ニクロム)、鉄-クロム-アルミニウム合金、又は上述したプラチナ合金を含むことができる。セラミックの例示的実施形態は、炭化珪素、二ケイ化クロム(CrSi
2)、二ケイ化モリブデン(MoSi
2)、二ケイ化タングステン(WSi
2)、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、亜クロム酸ランタン、ジルコニア、酸化イットリウム、又はその組合せを含むことができる。一部の実施形態では、電気加熱器227aは、プラチナ又はプラチナ合金を含むことができる。一部の実施形態では、電気加熱器227aは、炭化珪素を含むことができる。一部の実施形態では、電気加熱器227aは、二ケイ化モリブデンを含むことができる。
【0100】
図11~
図12に示すように、加熱器(例えば、電気加熱器227a)は、リード224aを通して電源229aに接続することができる。本明細書に使用する場合に、電源229aは、電位差を提供する機能を有するいずれかのデバイスとすることができる。一部の実施形態では、電源229aは、バッテリ、コンデンサー、燃料電池、又は発電機を含むことができる。一部の実施形態では、電源229aは、市販の電源ユニット、例えば、プログラム可能電源ユニット、無停電電源ユニット、スイッチングモード電源ユニット、及び/又はリニアレギュレータ電源ユニットを含むことができる。
【0101】
図10~
図12に示すように、導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aは、ガラス形成材料のリボン103の面(例えば、第1の主面213a)に面することができる。一部の実施形態では、出口343a又は346aとガラス形成材料のリボン103(例えば、第1の主面213a)との間の最短距離349は、約100mm又はそれよりも大きく、約200mm又はそれよりも大きく、約500mm又はそれよりも大きく、約1m又はそれ未満、約800mm又はそれ未満、又は約500mm又はそれ未満とすることができる。一部の実施形態では、出口343a又は346aとガラス形成材料のリボン103(例えば、第1の主面213a)との間の最短距離349は、約100mmから約1m、約200mmから約1m、約500mmから約1m、約100mmから約800mm、約200mmから約800mm、約500mmから約800mm、約100mmから約500mm、約200mmから約500mmの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にあることが可能である。
【0102】
一部の実施形態では、冷却剤は、導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aとガラス形成材料のリボン103との間で相変化を受ける場合がある。更に別の実施形態では、冷却剤の実質的に全ては、導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aから流れ出た後に相を受けることができる。更に別の実施形態では、冷却剤の実質的に全ては、最短距離349に関して上記で議論した範囲のうちのいずれかの範囲内にあることが可能なガラス形成材料のリボン103からの距離内で相変化を受けることができる。更に別の実施形態では、冷却剤の実質的にどれも溶融材料の流動リボンに衝突しない。
【0103】
一部の実施形態では、
図10~
図12に示すように、導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aは、ノズル217aが進行方向154に形成容器140に対して下流に位置決めされるように形成容器140の下方に位置決めすることができる。導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aは、冷却剤を出口から流れ方向353にターゲット場所351aまで誘導するように設計される。本発明の開示を通してターゲット場所は、冷却剤ストリームが出口から流れる時に冷却剤ストリームの中心軸線350が衝突する場所として定められる。
図11を参照すると、ガラス形成材料のリボン103上のターゲット場所351aは、冷却剤ストリームが出口343a又は346aから流れる時に冷却剤ストリームの中心軸線350が衝突する場所として定められる。中心軸線350の長さは、出口343a、346aとガラス形成材料のリボン103との間の最短距離として定められる。一部の実施形態では、出口343a又は346aとターゲット場所351aの間の最短距離349は、中心軸線310の長さを含むことができ、1mm又はそれよりも大きく、約10mm又はそれよりも大きく、約100mm又はそれよりも大きく、約1m又はそれ未満、約500mm又はそれ未満、又は約200mm又はそれ未満とすることができる。一部の実施形態では、最短距離349は、約1mmから約1m、約10mmから約1m、約100mmから約1m、約1mmから約500mm、約10mmから約500mm、約100mmから約500mm、約1mmから約200mm、約10mmから約200mm、約100mmから約200mmの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にあることが可能である。
【0104】
一部の実施形態では、図示のように、導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aは、進行方向154に引張ローラー対173a、173bに対して上流に位置決めすることができる。更に、図示のように、ターゲット場所351aは、進行方向154に引張ローラー対173a、173bに対して上流に位置決めすることができる。
【0105】
更に別の実施形態では、図示のように、導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aは、形成容器140と引張ローラー対173a、173bの間に位置決めすることができる。すなわち、導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aは、進行方向154に形成容器140に対して下流に、かつ進行方向154に引張ローラー対173a、173bに対して上流に位置決めすることができる。更に別の実施形態では、図示のように、ターゲット場所351aは、形成容器140と引張ローラー対173a、173bの間に位置決めすることができる。すなわち、ターゲット場所351aは、進行方向154に形成容器140に対して下流に、かつ進行方向154に引張ローラー対173a、173bに対して上流に位置決めすることができる。
【0106】
更に別の実施形態では、図示のように、導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aは、縁部ローラー対171a、171bの上方に位置決めすることができる。すなわち、導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口346aは、進行方向154に縁部ローラー対171a、171bに対して上流に位置決めすることができる。更に別の実施形態では、ターゲット場所351aは、縁部ローラー対171a、171bの上方に位置決めすることができる。すなわち、ターゲット場所351aは、進行方向154に縁部ローラー対171a、171bに対して上流に位置決めすることができる。
【0107】
一部の実施形態では、第1の冷却装置は複数の導管を含むことができるが、更に別の実施形態では、単一導管を設けることができる。複数の導管が設けられる場合に、
図12に示すように、複数の導管219a~219cは、図示の3つの導管を含むことができるが、更に別の実施形態では、2つの導管又は3よりも多い導管を設けることができる。更に別の実施形態では、図示のように、各導管219a~219cは、それぞれの冷却剤ソース251a~251cに接続することができる。更に別の実施形態では、図示していないが、1又は2以上の導管は、同じ流体ソースに接続することができる。更に別の実施形態では、導管219a~219cのうちの1又は2以上はノズルを含むことができる。更に別の実施形態では、図示のように、各導管219a~219cは、それぞれのノズル217a~217cを含むことができる。更に別の実施形態では、導管219a~219cのうちの1又は2以上は、加熱器(例えば、電気加熱器227a~227c)に関連付けることができる。更に別の実施形態では、図示のように、各導管219a~219cは、それぞれの加熱器(例えば、電気加熱器227a~227c)に関連付けることができる。更に別の実施形態では、図示のように、各電気加熱器227a~227cは、対応する電源229a~229c及びリード224a~224cを有する電気回路内に設けることができる。更に別の実施形態では、図示していないが、共通電源が、複数の電気加熱器227a~227cに給電することができる。
【0108】
図10に示すように、複数の導管が設けられる場合に、これらの導管は、導管の第1の組(例えば、導管219a~219c、
図12を参照されたい)を含むことができる。導管の第1の組219a~219cは、複数のターゲット場所351a~351cを定めることができ、これら複数のターゲット場所のうちの各ターゲット場所は、導管の第1の組の対応する導管に関連付けられる。
図10に更に示すように、複数の導管は、一部の実施形態では
図12に示す導管の第1の組219a~219cを鏡像反転させたものとすることができる導管の第2の組(例えば、第2の導管220a)を含むことができる。導管の第2の組220aは、一部の実施形態では
図12に示すターゲット場所の第1の組351a~351cを鏡像反転させたものとすることができるターゲット場所の第2の組(例えば、
図10の352a)を定めることができる。ターゲット場所の第2の組(例えば、
図10の352a)の各ターゲット場所は、導管の第2の組(例えば、導管220a)の対応する導管に関連付けることができる。一部の実施形態では、図示のように、第1の組(例えば、導管219a~219c)及び対応するターゲット場所の第1の組351a~351cは、第1の行に配置することができる。更に別の実施形態では、図示のように、第1の行は、ガラス形成材料のリボン103の幅Wの方向451に沿って延びることができる。更に別の実施形態では、図示していないが、第1の行は、ガラス形成材料のリボン103の進行方向154に沿って延びることができ、又は導管及び対応するターゲット場所の行と列の行列では幅方向451と進行方向154とに延びることができる。一部の実施形態では、図示のように、複数の導管の第1の組(例えば、第1の冷却装置218a)の出口は、ガラス形成材料のリボン103の第1の面(例えば、第1の主面213a)に面することができる。更に別の実施形態では、
図10に示すように、複数の導管の第2の組(例えば、第2の冷却装置218b)の出口(例えば、出口232a)は、ガラス形成材料のリボン103の第1の面(例えば、第1の主面213a)と反対側のガラス形成材料のリボン103の第2の面(例えば、第2の主面213b)に面することができる。一部の実施形態では、導管の第2の組(例えば、導管220a)及び対応するターゲット場所の第2の組(例えば、ターゲット場所352a)は、第2の行に配置することができ、又は
図12に例示して上記で議論した導管219a~219c及びターゲット場所351a~351cの行又は行列と類似又は同一の行又は行列に配置することができる。
【0109】
図10~
図12に示すように、第1の冷却装置218aは、冷却剤を導管219aの出口343a(例えば、ノズル217aの出口346a)から流すように構成することができる。一部の実施形態では、図示のように、冷却剤は、出口343a又は346aから冷却剤粒子223として流れることができる。一部の実施形態では、冷却剤は、出口343a又は346aから固体粒子として流れることができる。更に別の実施形態では、出口343a又は346aから流れる冷却剤は、約5μm又はそれよりも大きく、約10μm又はそれよりも大きく、約20μm又はそれ未満、又は約10μm又はそれ未満のメジアン粒径を有する固体粒子を含むことができる。更に別の実施形態では、出口343a又は346aから流れる冷却剤は、約5μmから約20μm、約5μmから約10μm、約10μmから約20μmの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にあるメジアン粒径を有する固体粒子を含むことができる。一部の実施形態では、出口343a又は346aから流れる冷却剤は、固体粒子を含むことができ、これらの固体粒子の約90%は、約1μmから約100μm、約5μmから約100μm、約10μmから約100μm、約1μmから約75μm、約5μmから約75μm、約10μmから約75μm、約1μmから約50μm、約5μmから約50μm、約10μmから約50μm、約1μmから約20μm、約5μmから約20μm、約10μmから約20μmの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にある粒径を含むことができる。
【0110】
一部の実施形態では、冷却剤は、出口343a又は346aから液体として流れることができる。更に別の実施形態では、冷却剤は、出口303a又は346aから液体粒子(例えば、噴霧液)として流れることができる。更に別の実施形態では、出口343a又は346aから流れる冷却剤は、約5μm又はそれよりも大きく、約10μm又はそれよりも大きく、約20μm又はそれ未満、又は約10μm又はそれ未満のメジアン粒径を有する液体粒子を含むことができる。更に別の実施形態では、出口343a又は346aから流れる冷却剤は、約5μmから約20μm、約5μmから約10μm、約10μmから約20μmの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にあるメジアン粒径を有する液体粒子を含むことができる。一部の実施形態では、出口343a又は346aから流れる冷却剤は、液体粒子を含むことができ、これらの液体粒子の約90%は、約1μmから約100μm、約5μmから約100μm、約10μmから約100μm、約1μmから約75μm、約5μmから約75μm、約10μmから約75μm、約1μmから約50μm、約5μmから約50μm、約10μmから約50μm、約1μmから約20μm、約5μmから約20μm、約10μmから約20μmの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にある粒径を含むことができる。
【0111】
小さいメジアン粒径(例えば、約5μmから約20μm)を有する冷却剤粒子223を提供することにより、粒子が相転移を受ける代わりに及び/又はその前に溶融材料のリボンの面に衝突することになる可能性が減少するので、冷却速度及び/又は冷却機能を変わらずに高めながら面損傷の発生を減少させる(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができる。更に、気体への相変化を受ける冷却剤を供給することにより、流動リボンへの面損傷の変化(例えば、粗度の増大)を減少させる(例えば、低減する、排除する)ことができる。同様に、制御された狭い粒径分布(例えば、粒子の約90%が約1マイクロメートルから約100マイクロメートルの範囲の粒径を含む)を含む冷却剤を供給することにより、冷却速度及び/又は冷却機能を変わらずに高めながら、粒子が相転移を受ける代わりに及び/又はその前に溶融材料のリボンの面に衝突することになる可能性を減少させる(例えば、低減する、排除する)ことができる。上述の粒径関係のいずれも、導管(例えば、導管の出口、ノズル)を加熱することによって可能にすることができ、これは、そのような加熱が粒子の凝集を抑制する(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができることに起因する。
【0112】
一部の実施形態では、冷却剤は、
図10~
図12に示すように導管219aの出口343a及び/又はノズル217aの出口から流れ出た後に気体225等への相転移を受けるように構成することができる。一部の実施形態では、冷却剤は、固体から気体への相変態(例えば、昇華、融解に続く蒸発)を受ける場合がある。一部の実施形態では、冷却剤は、液体から気体への相変化(例えば、蒸発)を受ける場合がある。一部の実施形態では、冷却剤は、約0.1キロジュール毎キログラム(kj/kg)又はそれよりも高く、約1kj/kg又はそれよりも高く、約10kj/kg又はそれよりも高く、約100kj/kg又はそれよりも高く、約500kj/kg又はそれよりも高く、約5,000kj/kg又はそれ未満、又は約600kj/kg又はそれ未満の熱エネルギを相変化から吸収することができる。一部の実施形態では、冷却剤は、約0.1kj/kgから約5,000kj/kg、約1kj/kgから約5,000kj/kg、約10kj/kgから約5,000kj/kg、約100kj/kgから約5,000kj/kg、約500kj/kgから約5,000kj/kg、約0.1kj/kgから約600kj/kg、約1kj/kgから約600kj/kg、約10kj/kgから約600kj/kg、約100kj/kgから約600kj/kg、約500kj/kgから約600kj/kgの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲の熱エネルギを相変化から吸収することができる。例えば、窒素は、約0.2kj/kgの蒸発潜熱を含み、二酸化炭素は、約570kj/kgの昇華潜熱を含み、水は、約2,300kj/kgの蒸発潜熱を含む。
【0113】
冷却剤は、熱エネルギを吸収し、それによってガラス形成材料のリボン103を冷却することができる。冷却剤は、出口343a又は346aから流れ出した時の初期温度から相変態を受けた時の第2の温度まで加熱される時に熱エネルギを吸収することができる。冷却剤は、例えば、気体225への相変態を受ける時に熱エネルギを吸収することができる。冷却剤は、相変態を受けた時の第2の温度から最終温度まで加熱される時に熱エネルギを吸収することができる。特定の理論に縛られることを望むことなく、材料が相変化を受けることなく第1の温度から第2の温度まで加熱された時に材料によって吸収される熱エネルギの量は、材料の熱容量に比例する。一部の実施形態では、冷却剤は、約300ケルビン(K)から約500Kの温度では約1キロジュール毎キログラムケルビン(kj/kgK)又はそれよりも大きく、約2kj/kgK又はそれよりも大きく、約3kj/kgK又はそれよりも大きく、約5kj/kgK又はそれ未満、又は約4kj/kgK又はそれ未満の熱容量を含むことができる。一部の実施形態では、冷却剤は、約300ケルビン(K)から約500Kの温度では約1kj/kgKから約5kj/kgK、約2kj/kgKから約5kj/kgK、約3kj/kgKから約5kj/kgK、約1kj/kgKから約4kj/kgK、2kj/kgKから約4kj/kgK、約3kj/kgKから約4kj/kgKの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲の熱容量を含むことができる。例えば、窒素は、約1kj/kgKの熱容量を含み、二酸化炭素は、約1kj/kgKの熱容量を含み、水は、約4kj/kgKの熱容量を含む。
【0114】
一部の実施形態では、冷却剤は、水、窒素、及び二酸化炭素のうちの1又は2以上を含むことができる。一部の実施形態では、冷却剤は、水素結合を有する化合物とすることができる。特定の理論に縛られることを望むことなく、固体及び/又は液体内で水素結合を有する化合物は、水素結合を持たない類似の化合物よりも高い蒸発潜熱、融合潜熱、及び/又は昇華潜熱を有することができる。更に別の実施形態では、冷却剤は、アンモニア、水、又は有機アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール)を含むことができる。一部の実施形態では、冷却剤は、アルカン(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン)を含むことができる。
【0115】
一部の実施形態では、冷却剤は、噴射剤を用いずに導管から流すことができる。一部の実施形態では、冷却剤は、噴射剤を用いて導管から流すことができる。更に別の実施形態では、噴射剤は、搬送ガスを含むことができる。更に別の実施形態では、搬送ガスは、気相の冷却剤と同じ材料を含むことができる。更に別の実施形態では、搬送ガスは、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、二酸化炭素、又は酸素のうちの1又は2以上を含むことができる。
【0116】
一部の実施形態では、
図10に示すように、対流気流231、241は、送風機233a、243a又は気流を駆動するように設計された他のデバイスから提供することができる。更に別の実施形態では、図示のように、対流気流231、241の一部分は、ガラス形成材料のリボン103に沿って進行することができる。更に別の実施形態では、図示のように、対流気流231の一部分は、ガラス形成材料のリボン103に沿ってその進行方向154と反対の方向に進行することができる。更に別の実施形態では、図示のように、対流気流241は、ガラス形成材料のリボン103に沿ってその進行方向154に進行することができる。更に別の実施形態では、図示していないが、対流気流は、ガラス形成材料のリボン103の進行方向154を横切って(例えば、方向451又は幅「W」の方向成分に)進行することができる。図示のように、第1の主面213aに添う対流気流231の部分は、第2の主面213bに添う対流気流241の部分と反対の方向に進行することができる。図示していないが、ガラス形成材料のリボン103に沿って進行する対流気流231、241の部分は、同じ方向に進行することができる。例えば、送風機233a、243a又は他のデバイスは、ガラス形成材料のリボン103に沿って進行する対流気流231、241の部分が両方共に進行方向154に流れるように又は両方共に進行方向154と反対の方向に流れることを提供することができる。
【0117】
一部の実施形態では、
図10及び
図12に示すように、対流気流231、241は、送風機233a、243aに加えて又はその代わりに1又は2以上の真空ソース237a、237bによって促進することができる。真空ソース237a、237b、並びに送風機233a、243aは、気体225をガラス形成材料のリボン103の周りから除去するのに役立たせることができる。
【0118】
本発明の開示の実施形態のガラス製造装置100は、ガラスを製造する方法に使用することができる。方法は、
図10~
図11に示すようにガラス形成材料のリボン103を進行方向154に流す段階を含むことができる。図示のように、方法は、導管219aの出口343aから流れ方向353にガラス形成材料のリボン103のターゲット場所351aに向けて冷却剤を流す段階を含むことができる。冷却剤は、それに関して上述した材料のうちのいずれか、例えば、水、窒素、又は二酸化炭素のうちの1又は2以上を含むことができる。一部の実施形態では、上述して
図10~
図12に示すように、導管219aの出口343aは、ノズル217aを含むことができる。更に別の実施形態では、ノズル217aは拡散器を含むことができる。更に別の実施形態では、ノズル217aは沸騰ノズルを含むことができる。更に別の実施形態では、ノズル217aは剪断ノズルを含むことができる。一部の実施形態では、導管219aの出口343aとガラス形成材料のリボン103との間の最短距離349は、上記で議論した範囲、例えば、約100mmから約1mの範囲にあるとすることができる。上述のように、導管219aの出口343aから流れる冷却剤は、液体及び/又は固体を含むことができる。一部の実施形態では、導管219aの出口343aから流れる冷却剤は、冷却剤粒子223を含むことができる。更に別の実施形態では、冷却剤粒子は、上記で議論した範囲、例えば、約5μmから約20μmの範囲のメジアン粒径を含むことができる。更に別の実施形態では、粒子は、固体の冷却剤粒子を含むことができる。更に別の実施形態では、粒子の約90%は、上記で議論した範囲、例えば、約1μmから約100μmの範囲の粒径を含むことができる。更に別の実施形態では、粒子は、固体の冷却剤粒子を含むことができる。方法は、上記で議論したように、例えば、加熱器(例えば、電気加熱器227a)を用いて導管219aを加熱する段階を含むことができる。
【0119】
一部の実施形態では、
図10~
図11に示すように、導管219aの出口343aと形成容器140の間の最短距離359は、約1mm又はそれよりも大きく、約10mm又はそれよりも大きく、約100mm又はそれよりも大きく、約1m又はそれ未満、約500mm又はそれ未満、又は約200mm又はそれ未満とすることができる。一部の実施形態では、導管219aの出口343aと形成容器140の間の最短距離359は、約1mmから約1m、約10mmから約1m、約100mmから約1m、約1mmから約500mm、約10mmから約500mm、約100mmから約500mm、約1mmから約200mm、約10mmから約200mm、約100mmから約200mmの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲にあることが可能である。
【0120】
一部の実施形態では、冷却剤は、導管219aの出口343aから約1グラム毎分(g/min)又はそれよりも多く、約10g/min又はそれよりも多く、約50g/min又はそれよりも多く、約200g/min又はそれ未満、約100g/min又はそれ未満、又は約50g/min又はそれ未満の質量流量で流れることができる。一部の実施形態では、冷却剤は、導管219aの出口343aから約1g/minから約200g/min、約1g/minから約100g/min、約1g/minから約50g/min、約10g/minから約200g/min、約10g/minから約100g/min、約10g/minから約50g/min、約50g/minから約200g/min、約50g/minから約100g/minの範囲、又はこれらの値の間のいずれかの範囲又は部分範囲の質量流量で流れることができる。上述の範囲の冷却剤質量流量を与えることにより、冷却中の溶融材料のリボンの面を損傷することなく高い冷却速度及び/又は冷却機能を可能にすることができる。
【0121】
一部の実施形態では、上記で議論して
図10~
図11に示すように、ターゲット場所351aは、形成容器140の下方に位置決めすることができる。更に別の実施形態では、形成容器140とターゲット場所351aの間の最短距離345は、最短距離359に関して上記で議論した範囲のうちのいずれかの範囲内にあり、例えば、1メートル(m)又はそれ未満であることが可能である。一部の実施形態では、上記で議論して
図10に示すように、本方法は、引張ローラー対173a、173bを用いて溶融材料121(例えば、ガラス形成材料のリボン103)を引く段階を更に含むことができる。更に別の実施形態では、図示のように、ターゲット場所351aは、形成容器140と引張ローラー対173a、173bの間に位置決めすることができる。
【0122】
方法は、冷却剤がターゲット場所351aに向けて流れている間に冷却剤の相を変化させ、それによってターゲット場所351aを冷却する段階を含むことができる。一部の実施形態では、冷却剤の相を変化させる段階は、冷却剤がターゲット場所351aに向けて流れている間に冷却剤の相を気体225に変化させ、それによってターゲット場所351aを冷却する段階を含むことができる。一部の実施形態では、導管の出口から放出された冷却剤の量の実質的な部分(例えば、実質的に全て)は、ガラス形成材料のリボン103に到達する前に相を変化させる。冷却剤の実質的な部分がガラス形成材料のリボン103に接触し損ねるように相を変化させることにより、相変化がなければ発生する可能性がある冷却剤がリボンに対して課す場合がある衝撃力を減少させる(例えば、低減する)ことができる。従って、冷却剤の相変化は、冷却剤が気体への相変化の前にリボンに衝突した場合に他に発生する可能性があるリボン損傷なくターゲット場所の冷却を提供するという有益な効果を提供することができる。一部の実施形態では、冷却剤(例えば、冷却剤の相変化)は、ターゲット場所を含む流動リボンの部分を冷却するのに加えてターゲット場所の近くにある流動リボンの部分を冷却することができる。一部の実施形態では、
図10及び
図12に示すように、方法は、ガラス形成材料のリボン103に沿って進行する対流気流231、241によって気体225を移動する段階を更に含むことができる。
【0123】
方法は、ガラス形成材料のリボン103の一部分(例えば、ターゲット場所351a)の厚み(例えば、平均厚み「T」)の予め定められた厚みからの偏差を決定する段階を更に含むことができる。一部の実施形態では、この部分の厚みは、予め決められた厚みよりも大きくすることができる。方法は、ガラス形成材料のリボン103の一部分(例えば、ターゲット場所351a)を導管219aの出口343aからこの部分(例えば、ターゲット場所351a)に向けて冷却剤を流すことによって冷却する段階を更に含むことができる。一部の実施形態では、冷却剤の相変化は、この部分(例えば、ターゲット場所351a)を冷却することができる。更に別の実施形態では、冷却剤の気体への相変化が、この部分(例えば、ターゲット場所351a)を冷却することができる。一部の実施形態では、冷却は、ガラス形成材料のリボン103の一部分(例えば、ターゲット場所351a)の粘性を増大させることによってガラス形成材料のリボン103のこの部分(例えば、ターゲット場所351a)の厚みの偏差を減少させる(例えば、低減する、排除する)ことができる。
【0124】
実施例
様々な実施形態を以下の実施例によって更に明らかにする。質量流量の関数として全体熱流束を
図13に報告している。質量流量の関数として熱勾配を
図14に報告している。
図13~
図14に報告するデータは、1000℃に維持されたチャンバ内で出口に1mmの幅を含むノズルから110mm×56mm×6mmのステンレス鋼シートの第1の面に向けて固体二酸化炭素を流すことによって得たものである。温度は、0.7mmの最小間隔を有する熱電対を用いて記録した。
【0125】
図13に関して使用する時に、全体熱流束は、単位時間当たりの温度変化にシートの質量とシートの熱容量とを乗じ、それをシートの面積で割り算したものである。水平軸線901(例えば、x軸線)は、グラム毎分(g/min)を単位とする二酸化炭素の質量流量である。垂直軸線903(例えば、y軸線)は、キロワット毎平方メートル(kW/m
2)を単位とする全体熱流束である。第1の水平線905は、約130mmから約650mmの範囲の形成容器からの最短距離を有するターゲット場所に対応することができる約800℃から約900℃の範囲の温度にあるシート面に沿って放射冷却及び/又は気体の対流を用いて達成することができる最大熱流束を表している。第2の水平線907は、約100mm又はそれ未満の形成容器からの最短距離を有するターゲット場所に対応することができる約1000℃から約1100℃の範囲の温度にあるシート面に沿って放射冷却及び/又は気体の対流を用いて達成することができる最大熱流束を表している。
図13に提示するデータは、質量流量が増加する時に全体熱流束が約200g/minまで増加し、それよりも大きいと約60kW/m
2の平坦域に入ることを示している。特定の理論に縛られることを望むことなく、面と対流の間の温度差が拡大する時に熱流束は増加するが、境界層及び/又は遷移領域は、熱流束を更に増大させる追加の冷却の機能を制限することができる。従って、全体熱流束が平坦域に入る200g/minよりも小さい質量流量を使用することを有利とすることができる。冷却剤の質量流量を200g/minに制限することにより、リボンへの損傷をもたらす可能性があるガラス形成材料のリボン103に対する不要な力を回避しながら、熱流束の更に別の増大を伴わずに最大全体熱流束を達成することができる。第1の水平線905よりも大きい全体熱流束は、試験した質量流量のうちで最も小さいもの(例えば、約30g/min)で得られる。第2の水平線907よりも大きい全体熱流束は、約90g/min又はそれよりも多い質量流量で達成することができる。
【0126】
図14に関して使用する時に、熱流束の局所性は、シート面にわたる温度の変化にシートの熱伝導率を乗じたものである。水平軸線1001(例えば、x軸線)は、グラム毎分(g/min)を単位とする二酸化炭素の質量流量である。垂直軸線1003(例えば、y軸線)は、キロワット毎平方メートル(kW/m
2)を単位とする熱流束の局所性の測定値である。第1の水平線1005は、約130mmから約650mmの範囲の形成容器からの最短距離を有するターゲット場所に対応することができる約800℃から約900℃の範囲の温度にあるシート面に沿って放射冷却及び/又は気体の対流を用いて達成することができる最大熱流束を表している。第2の水平線1007は、約100mm又はそれ未満の形成容器からの最短距離を有するターゲット場所に対応することができる約1000℃から約1100℃の範囲の温度にあるシート面に沿って放射冷却及び/又は気体の対流を用いて達成することができる最大熱流束を表している。
図14にプロットした全てのデータは、第1の水平線1005及び第2の水平線1007のものよりも大きい熱流束値の局所性を含む。しかし、質量流量が増大する時に熱流束の局所性は減少する。
図14は、局所厚み制御に冷却剤が使用される実施形態ではより小さい冷却剤質量流量がより局所的な温度制御、従って、より局所的な厚み制御を提供することができることを例証している。
【0127】
異なるガラス製造装置に関する面粗度を表1に報告している。本明細書に使用する時に、「面粗度」は、検査区域の面に対する法線方向の平均位置からの面プロファイルの絶対偏差の算術平均であるRa面粗度を意味する。他に示さない限り、全ての面粗度値は、80μm×80μmの検査区域に関して原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した平均粗度(Ra)である。実施例Aは、本発明の開示の実施形態による冷却剤に晒されなかった溶融材料のリボンである。実施例Bは、導管の端部にある加熱したノズルから約30kW/m2の全体熱流束を生成する約80g/minで流れる二酸化炭素冷却剤に晒された溶融材料のリボンである。実施例Cは、導管の端部にある加熱したノズルから約43kW/m2の全体熱流束を生成する約120g/minの冷却剤質量流量で流れる二酸化炭素冷却剤に晒された溶融材料のリボンである。実施例Dは、ノズルを加熱しなかった点を除いて実施例Cの場合と同じく二酸化炭素冷却剤に晒された溶融材料のリボンである。表1は、実施例Aと実施例Bが同じ面粗度を有することを示している。従って、二酸化炭素冷却剤は、溶融材料のリボンの面を損傷しなかった。冷却剤質量流量を増加させた時に、実施例Cは、若干大きい面粗度を含む。しかし、ノズルを加熱しなかった時に、面粗度は2倍になった。実施例Dでは、二酸化炭素粒子のより大きい凝集が見られた。従って、ノズル加熱は、ノズルを加熱しない場合に溶融材料のリボンの面粗度を他に高める可能性がある冷却剤粒子の凝集を抑制(例えば、低減、排除、防止)する。
【0128】
【0129】
本発明の開示の実施形態によるガラスを製造する方法は、弛んだ捩れに関連付けられた問題を減少させる(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができる。本発明の開示の実施形態は、溶融材料のそれぞれのストリームの内側部分ではなく溶融材料のストリームの外側部分(例えば、第1のストリーム、第2のストリーム)を積極的に冷却して溶融材料のリボンがドローイングされる際の有効粘性を高めることによって弛んだ捩れを回避することができる。本発明の開示の実施形態の方法は、対流及び/又は放射による熱伝達を用いて可能であると考えられる場合よりも高い冷却速度(例えば、熱流束)及び/又は冷却機能を可能にすることによって弛んだ捩れ問題に対処することができる。相変化を受ける冷却剤を供給することにより、冷却剤が相変化を受ける時に大量の熱(潜熱、蒸発エンタルピー、昇華エンタルピー)を吸収することができる。更に、相変化を受ける冷却剤を供給することにより、冷却剤が相変化を受ける温度まで加熱される時及びその後に気体として加熱される時に熱を吸収することができる。この高い冷却機能は、より低い液相粘性を含む溶融材料の予め決められた厚み(例えば、300マイクロメートルから約5ミリメートル)までの加工を他に可能であると考えられものよりも可能にすることができる。更に、気体への相変化を受ける冷却剤を供給することにより、固体又は液体が流動リボンに衝突することが可能な場合に他に発生する可能性がある融材料の流動リボンへの面損傷を回避することができる。
【0130】
ターゲット場所の位置決めは、更に別の技術的利益を提供することができる。例えば、形成容器の下方に位置決めされたターゲット場所に向けて冷却剤を誘導することにより、形成容器上での溶融材料の失透(例えば、結晶化)の発生を減少させる(例えば、低減する、排除する、防止する)ことができる。同じく、引張ローラーの上方にあるターゲット場所に向けて冷却剤を誘導することにより、高い処理効率(例えば、短い時間、小さい空間)を提供することができる。例えば、高い冷却機能(例えば、引張ローラーの上方、形成デバイスの下方での)は、溶融材料のリボンが形成容器からドローイングされる時とその後の加工を受けることができる時との間の時間の短縮を可能にすることができる。これに加えて、高い冷却機能(例えば、引張ローラーの上方、形成デバイスの下方の)は、溶融材料のリボンが形成容器からドローイングされた時からそれを操作することができる(例えば、その後の加工に向けて引張ローラーによる)時までの溶融材料の進行経路の長さの短縮を可能にすることができる。
【0131】
本発明の開示の実施形態の追加の特徴は、更に別の技術的利益を提供することができる。例えば、約1グラム毎分から約200グラム毎分の範囲の冷却剤の質量流量を与えることにより、冷却中の溶融材料のリボンの面を損傷することなく高い冷却速度及び/又は冷却機能を可能にすることができる。更に、小さいメジアン粒径(例えば、5マイクロメートルから約20マイクロメートル)を含む冷却剤を供給することにより、粒子が相転移(例えば、気体への)を受ける代わりに及び/又はその前に溶融材料のリボンの面に衝突することになる可能性が減少するので、冷却速度及び/又は冷却機能を変わらずに高めながら面損傷の発生を減少させる(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができる。同様に、制御された狭い粒径分布(例えば、粒子の約90%が約1マイクロメートルから約100マイクロメートルの範囲の粒径を含む)を含む冷却剤を供給することにより、冷却速度及び/又は冷却機能を変わらずに高めながら、粒子が相転移(例えば、気体への)を受ける代わりに及び/又はその前に溶融材料のリボンの面に衝突することになる可能性を減少させる(例えば、低減する、排除する)ことができる。上述の粒径関係のいずれも、導管(例えば、導管の出口、ノズル)を加熱することによって可能にすることができ、これは、そのような加熱が粒子の凝集を抑制する(例えば、低減する、防止する、排除する)ことができることに起因する。更に、ノズルを溶融材料のリボンの近く(例えば、約100ミリメートルから約1メートルの範囲)に位置決めすることにより、導管を流出する冷却剤の速度を減少させる(例えば、低減する)ことができ、それによって面欠陥の発生を減少させる(例えば、低減する、排除する)ことができる。溶融材料のリボンに沿って進行する対流気流を供給することにより、対流気流が粒子を向け直す(例えば、運び去る)ことができるので、そのような粒子が相転移(例えば、気体への)を受ける代わりに及び/又はその前に溶融材料のリボンの面に衝突することになる可能性を減少させる(例えば、低減する、排除する)ことができる。同じく、そのような対流気流は、冷却剤が相転移(例えば、気体への)を受けた後に冷却剤を誘導し(例えば、除去し)、それによって追加の冷却剤が相変化を受けてリボンの継続的な冷却を提供するための余地を生成することができる。
【0132】
本明細書に使用する場合に、単数形の名詞は、「少なくとも1つ」を意味し、反意を明確に示さない限り、「唯一」に限定すべきではない。従って、例えば、「構成要素」への言及は、状況が他に明確に示さない限り、2又は3以上のそのような構成要素を有する実施形態を含む。
【0133】
本明細書に使用する場合に、「約」という用語は、量、サイズ、組成、パラメータ、及び他の量及び特性が厳密ではなく又は厳密である必要はなく、必要に応じて公差、換算係数、丸め、及び測定誤差など、並びに当業者に公知の他のファクタを反映して近似する及び/又は大きいか又は小さいことが可能であることを意味する。範囲の値又は端点を説明するのに「約」という用語を使用する時は、本発明の開示が言及する特定の値又は端点を含むことを理解しなければならない。本明細書での範囲の数値又は端点が「約」を列記する場合に、範囲のこれらの数値又は端点は、「約」によって修飾されるものかつ「約」によって修飾されないものという2つの実施形態を含むように意図している。範囲の各々の端点は、他の端点と関係している場合及び他の端点とは独立である場合の両方で有意であることは更に理解されるであろう。
【0134】
本明細書に使用する場合に「実質的な」、「実質的に」、及びその変形は、説明する特徴が、ある値又は記述に等しいか又はほぼ等しいことを示すように意図している。例えば、「実質的に平坦な」面は、平坦又はほぼ平坦な面を表すように意図している。更に、上記で定めたように、「実質的に類似」は、2つの値が等しいか又はほぼ等しいことを表すように意図している。一部の実施形態では、「実質的に類似」は、互いの約10%内、例えば、互いの約5%内又は互いの約2%内の値を表すことができる。
【0135】
本明細書に使用する場合に「備える」及び「含む(有する)」という用語及びこれらの変形は、他に示さない限り、同義で非限定的であると解釈しなければならない。「備えている」又は「含んでいる(有している)」に続く要素のリストは、リストに特定的に列挙するものに追加の要素も存在するような非限定的なリストである。
【0136】
様々な実施形態をそのある一定の例示的及び具体的な例に関して詳細に説明したが、本発明の開示の特徴の多くの修正及び組合せが以下の特許請求の範囲から逸脱することなく可能であるので、本発明の開示をそのような実施形態に限定されるように見なすべきではないことは理解しなければならない。