(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】フィルムヒータ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20240716BHJP
H05B 3/84 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
H05B3/20 347
H05B3/84
(21)【出願番号】P 2022034062
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2018057763の分割
【原出願日】2018-03-26
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 達矢
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-004918(JP,A)
【文献】特開2006-079933(JP,A)
【文献】特開2006-302605(JP,A)
【文献】特表2015-508554(JP,A)
【文献】実開昭60-024616(JP,U)
【文献】特開2001-176644(JP,A)
【文献】実開昭58-047528(JP,U)
【文献】特開2002-342729(JP,A)
【文献】特開2016-051330(JP,A)
【文献】特開2012-093952(JP,A)
【文献】中国実用新案第202231884(CN,U)
【文献】特開2003-257597(JP,A)
【文献】特開2014-102582(JP,A)
【文献】実開昭60-090790(JP,U)
【文献】特開2009-252712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/20
H05B 3/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムヒータの製造方法であって、透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に、導電線からなる導電性パターンを設ける工程を含み、該導電性パターンは、接続端子部と、該接続端子部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とを有し、前記導電性パターンを設ける工程は、超音波ヘッドにより、前記導電線を前記支持シートの表面上へ繰り出しつつ、振動と加圧により前記支持シートの表面に前記導電線を埋め込む工程を含み、
さらに、
前記支持シートの導電性パターンが設けられた面とは反対の面に塗布方式を用いて粘着層を設ける工程
、及び
前記接続端子部上に、さらに金属板を設ける工程
を含み、
前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターンで構成されている
フィルムヒータの製造方法。
【請求項2】
前記導電性パターンは、連続した一本の導電線で形成されている請求項1に記載のフィルムヒータの製造方法。
【請求項3】
さらに、前記支持シートの前記導電性パターンが設けられた面に、前記導電性パターンを覆うように、前記支持シートとは別の透明な熱可塑性樹脂シートからなる外装シートを設ける工程、及び、該外装シートに、前記接続端子部の少なくとも一部を外部に露出させる貫通孔を設ける工程を含む、請求項1又は2に記載のフィルムヒータの製造方法。
【請求項4】
前記導電性パターンを構成する導電線が、前記接続端子部を除いて、自己融着性の絶縁被膜により被覆されてなる請求項1~
3のいずれか1項に記載のフィルムヒータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムヒータに係り、特に、外部電源と電気的に接続可能な導電性パターンをフィルム上に設けたフィルムヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱対象となる被着体に貼着させて使用する、氷雪付着防止や融雪、曇り防止、保温などを目的とした、加熱用の導電性パターンを有したフィルム状の面状発熱体が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、任意の形状に加工された裸ニクロム線を、絶縁材料からなる粘着層を介して2枚の多層複合フィルムの内部に配設した面状発熱体が開示されており、この面状発熱体を、両面粘着テープ、両面粘着フィルム等によって加熱対象物に貼着することが記載されている。
特許文献2には、柔軟性を有する面状の発熱部と、この発熱部を内包するよう形成された半硬化状態の半硬化樹脂被覆層と、を有する硬質面状発熱体製造用半硬化シートが開示されている。発熱部を内包する半硬化樹脂被覆層は、半硬化状態(Bステージ)であり、柔軟性および可塑性を有すると共に、その表面は粘着性を有しているため、あらゆる被着体の形状に対して追従し、貼付させることができることが記載されている。
【0004】
特許文献3には、所定のパターンに形成された金属線抵抗体を、中心角が90度以下である扇形の切欠部を有する円形シート状の可撓性透明基材の表面または内部に備えてなることを特徴とする信号灯用の面状ヒータが開示されており、扇形の切欠部の直線部を互いに接触または近接させ、可撓性透明基材を円形シートから円錐シートの形状に変形させることで、信号灯の表示窓がドーム形の形状であっても密着させやすいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-257597号公報
【文献】特開2006-278138号公報
【文献】特開2017-004918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている発明は、2枚の多層複合フィルムの間の内部に配線固定用粘着層を用いて裸ニクロム線が配設され、多層複合フィルムの周辺部分がヒートシールされており、構成が複雑である。
特許文献2に開示されている発明は、特殊な樹脂被膜を用いる必要があり、光硬化法により半硬化樹脂被覆層を完全硬化させるなど特殊な設備が必要で、施工法が複雑になりやすい。
特許文献3に開示されている発明は、信号灯の表示窓がドーム形の形状である場合には効果的であるが、それ以外に使用することは難しい。
【0007】
本発明は、製造が容易で、被着体の意匠性を損なうことなく、凹凸があるような形状の被着体に対しても簡単に貼着することができるフィルムヒータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に導電線からなる導電性パターンが設けられ、該導電性パターンは、接続端子部と、該接続端子部から延びたリード線と、該リード線から続くヒータ部とが、一本の導電線からなる連続した線状パターンとして設けられたことを特徴とするフィルムヒータである。
本発明では、前記接続端子部は、前記導電線が複数箇所で折れ曲がったパターン、例えば、前記導電線が複数箇所で折れ曲がって蛇行するメアンダ形状で構成されているとよい。
【0009】
本発明では、前記支持シートの前記導電性パターンが設けられた面に、前記導電性パターンを覆うように、前記支持シートとは別の透明な熱可塑性樹脂シートからなる外装シートが設けられ、該外装シートには、前記接続端子部の少なくとも一部を外部に露出させる貫通孔が設けられたフィルムヒータとすることができる。
本発明では、前記接続端子部上に、さらに金属板を設けることができる。
本発明では、前記導電性パターンを構成する導電線が、前記接続端子部を除いて、自己融着性の絶縁被膜により被覆されているとよい
本発明では、前記支持シートの導電性パターンが設けられた面とは反対の面に粘着層を設けた構成とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるフィルムヒータは、全体として透明なフィルムヒータであり、加熱対象となる被着体の意匠性を損なうことなく、さまざまな被着体に貼着可能である。また、支持シートと、存在する場合には外装シートに、熱可塑性樹脂シートを用いることにより、凹凸があるような形状の被着体に対しても簡単に貼着することができ、特に、被着体が樹脂成形体の場合、樹脂成形と同時に樹脂成形体の表面にフィルムヒータを形成することができるインモールド転写が可能である。また、導電性パターンが一本の導電線からなるため、導電性パターンを一本の導電線で連続形成でき、製造が容易となり、導電性パターンを形成した支持シートの全面を外装シートにより覆うことで、導電性パターンを保護することが可能になる。
【0011】
本発明は、成形性がよく、機械的強度が高く、被着体に対する接着性に優れたフィルムヒータで、氷雪付着防止や融雪、曇り防止、保温など目的とした各種用途に適用可能なものであり、例えば、自動車のヘッドライト、オートバイのグリップやシート、外灯や信号機などにも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は本発明のフィルムヒータの一例を模式的に示す平面図、(b)はその断面図である。
【
図2】(a)は本発明に使用し得る外装シートの一例を模式的に示す平面図、(b)はその断面図である。
【
図3】(a)は外装シートを用いた本発明のフィルムヒータの一例を模式的に示す平面図、(b)はその断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は本発明のフィルムヒータの一例を模式的に示す平面図である。
図1(b)は本発明のフィルムヒータの一例を模式的に示す断面図である。
図1によると、透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シート1の一方の面に導電線からなる導電性パターン2が設けられている。導電性パターン2は、左右一対の接続端子部21a,21bと、これら接続端子部21a,21bからそれぞれ延びたリード線22a,22bと、リード線22a,22bから続くヒータ部23とが、一本の導電線からなる連続した線状パターンとして設けられている。この実施形態のように、ヒータ部を全体として非直線状のものとしてもよい。
【0014】
本発明のフィルムヒータに用いる支持シートは、透明な熱可塑性樹脂シートからなるものである。これにより、全体として透明なフィルムヒータを好適に作製することができる。全体として透明なフィルムヒータは、加熱対象となる被着体の意匠性を損なうことなく、さまざまな被着体に貼着可能である。
また、熱可塑性樹脂シートを用いることにより、凹凸があるような形状の被着体に対して簡単に貼着することができ、特に、被着体が樹脂成形体の場合、真空成型、熱プレス成型、ラミネート成型、インモールド成型、インサート成型などの成型方法で、樹脂成形体の表面にフィルムヒータを形成することができる。
【0015】
熱可塑性樹脂シートとしては、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ABS樹脂等を用いることができ、これらを2種以上含有するものであってもよい。特に、成形性、機械的強度、柔軟性、耐候性に優れるポリプロピレン系樹脂を用いるのがよい。
熱可塑性樹脂シートには、無機微細粉末あるいは有機フィラー、分散剤、酸化防止剤、相溶化剤、紫外線安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤等を適宜添加することができる。
熱可塑性樹脂シートの厚みは、好ましくは0.030mm~1.000mm、さらに好ましくは0.100mm~0.700mmである。
【0016】
導電性パターンは、銀ペースト等の導電性インキを用いた印刷や銅箔等の金属箔のエッチングにより形成することもできる。導電性パターンを形成する場合、一定の径を有する断面視で円形の導電線を所定のパターンに形成することが、一つの連続した線状としてヒータ部とリード部、接続端子部を容易に形成できる点で好ましい。
導電性パターンを導電線で構成する場合、その導電線は、少なくとも金属線を含んで構成されるのが好ましく、さらに好ましくは、金属線が自己融着性の絶縁被膜により被覆されてなるものとすることができる。金属線としては、例えば、銅、鉄、金、銅ニッケル、ニッケルクロム、鉄ニッケルクロム等の金属線を用いることができるが、導電性を有するものであれば他の材料を用いることもできる。電気抵抗や耐久性、コストの観点から、金属線として銅又は銅に亜鉛や鉛、錫、銀、アルミ、ニッケル、ベリリウム、ジルコニウムなどを単独もしくは複数組み合わせてある銅合金を用いることが好ましい。
【0017】
金属線を被覆する絶縁被膜は、絶縁性の樹脂被膜であり、絶縁被膜で被覆された導電線は市販のエナメル線とすることができる。絶縁性の樹脂被膜の具体例としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等を挙げることができる。絶縁被膜は、典型的には黒色であるが、加熱対象となる被着体の色彩にあわせて絶縁被膜を任意の色に着色させてもよい。
導電性パターンを構成する導電線の直径は、例えば、0.03mm~0.20mmである。細い導電線を形成するのは容易ではない場合もあるが、加熱対象となる被着体の意匠性を損なわないためには導電線はできるだけ細いほうがよく、導電線の直径は好ましくは、0.05mm~0.15mmである。導電線の長さは、導電性パターンのパターン形態等に応じたものとすることができる。
【0018】
導電性パターンは、典型的には支持シート上で導電線を引き回して、所定のパターン形態を描き、導電線を少なくとも支持シートの表面に埋め込むことにより固定することで、形成することができる。
支持シートの表面への導電線の埋め込み方法としては、例えば、超音波融着の原理を活用して導電線を支持シートの表面に埋め込むことが望ましい。超音波融着を行うに際しては、導電線を繰り出しながら熱可塑性樹脂からなる支持シートの表面を溶融させ、導電線を支持シートの表面に埋め込むことが可能な配線描画装置を用いることができる。このような配線描画装置が備える超音波ヘッドにより、導電線を支持シートの表面上へ繰り出しつつ、振動と加圧により支持シートの表面に導電線を埋め込むことができる。
支持シートの表面への導電線の埋め込みにより、支持シート上での導電性パターンの位置決めを行うことができ、外部からの衝撃等による導電線の位置ずれの抑制を図ることができる。また、支持シートの表面に導電線を埋め込むことで、支持シートの表面上に導電線を配置することによる支持シートの表面の凹凸の程度を低減することができる。
【0019】
次に本発明のフィルムヒータの導電性パターンの実施形態について説明する。
図1を参照すると、導電性パターン2は、左右一対の接続端子部21a,21bと、これら接続端子部21a,21bからそれぞれ延びたリード線22a,22bと、リード線22a,22bから続く全体として非直線状のヒータ部23とが、一本の導電線からなる連続した線状パターンとして設けられる。
一本の連続した導電線で、接続端子部と、リード線と、ヒータ部とを形成することで、製造工程を容易にでき、低コストのフィルムヒータを製造することが可能となる。
図1では、接続端子部21a,21bは、導電線が複数箇所で折れ曲がって蛇行するメアンダ形状で形成されている。この場合、接続端子部21a,21bは、複数個所で折れ曲がって蛇行する折り返し部分の折り返し回数を所定の平面積内で多くして折り返し線を密集させたものであることが好ましい。
図1に示す実施形態のような場合、メアンダ形状は、相対的に長さの短い折れ曲がり部分と相対的に長さの長い直線部分とが繰り返され、この直線部分の本数が2本/mm以上となるようにすることが好適である。
【0020】
また、必要により、接続端子部上に外部電極との接続効率を上げるためにさらに金属板からなる導電片を設けることができる。金属板としては、例えば銅、銅合金、鉄、鉄とニッケル合金等を用いることができる。
導電線が絶縁被膜で被覆されている場合は、接続端子部の導電線を被覆する絶縁被膜を除去し、内部の金属線を露出させる。露出させる方法としては、ミーリング装置等による切削で可能であるが、金属板や外部電極と半田接続するときの熱で絶縁被膜を溶融除去することもできる。
【0021】
ヒータ部23は、左右一対の接続端子部21a,21bからそれぞれ延びたリード線22a,22bから引き回されて形成される、
図1では、ヒータ部23は、相対的に長さの短い折れ曲がり部分と相対的に長さの長い直線部分とが繰り返され、複数個所で折れ曲がって蛇行する、全体として非直線状の線状パターンとなっている。ヒータ部のパターンは、被着体の形状や加熱面積、加熱効率を考慮し任意のパターンとすることができ、直線部分を含まない曲線形状の繰り返しや渦巻状であってもよい。
図1では、導電性パターンは、ヒータ部23を中心に左右一対の接続端子部21a,21bと左右一対のリード部22a,22bからなり、導電線により一方の接続端子部21aの端部を始点としてメアンダ形状の接続部21aが形成され、この接続端子部21aの他端部からリード線22aが延ばされ、このリード線22aから引き回された導電線でヒータ部23が形成され、このヒータ部23から他方のリード線22bが延ばされ、他方の接続端子部21bへと続く一本の導電線で、一つの連続した線状のヒータ部23、リード部22、接続端子部21が形成されている。
【0022】
本発明の別の実施形態では、支持シートの導電性パターンを設けた面に、導電性パターンを覆う別の透明な熱可塑性樹脂シートからなる外装シートが設けられ、外装シートには、接続端子部の少なくとも一部を外部に露出させる貫通孔が設けられたフィルムヒータとすることができる。
【0023】
図2(a)は、本発明に使用し得る外装シートの一例を模式的に示す平面図である。
図2(b)は、本発明に使用し得る外装シートの一例を模式的に示す断面図である。
図2では、フィルムヒータの支持シートと略同一形状の外装シート3に、フィルムヒータの接続端子部の少なくとも一部を外部に露出させる貫通孔31が設けられている。
【0024】
外装シートには、支持シートと同様の熱可塑性樹脂シートを用いることができ、導電性パターンを形成した支持シートの表面に熱処理及び/又はプレス処理を施すことで、外装シートを貼り合わすことができる。貼り合わせには、必要により、支持シートと外装シートの間に、接着層、粘着層、ヒートシール層などを介在させてもよい
外装シートには、接続端子部の少なくとも一部を外部に露出させる貫通孔が設けられる。接続端子部を露出させるための外装シートの貫通孔の形成には、金型による打ち抜きやレーザー装置等の切削手段を用いることができ、具体的には、ビク刃、切削刃、レーザーカッター、又はミーリング装置等を用いることができる。
【0025】
図3(a)は、外装シートを用いた本発明のフィルムヒータの一例を模式的に示す平面図である。
図3(b)は、外装シートを用いた本発明のフィルムヒータの一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す実施形態から解かるように、導電性パターンを形成した支持シート1の全面が貫通孔31を除いて外装シート3により覆われており、これにより全体として透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シート1と外装シート3の間に導電線からなる導電性パターンが挟持された構成であっても、接続端子部21は外部電源と確実に電気的に接続することができる。また、支持シートの表面のヒータ部とリード部を外装シートで覆って保護することが可能になる。
外装シートの表面には、必要により、防汚層や防曇層、帯電防止層、ハードコート層などを形成してもよい。
【0026】
本発明では、必要により、支持シートの導電性パターンが設けられた面とは反対の面に粘着層が設けられた構成とすることができる。粘着層を用いることにより、凹凸があるような形状の被着体に対して簡単に貼着することができる。粘着層としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ゴム系、ポリエステル系、セルロース系、エマルジョン等の粘着剤が使用可能である。 また必要により粘着剤の特性向上のための添加剤として、フィラーや粘着付与剤や硬化剤なども適宜使用できる。
粘着層の厚みは接着力が得られる厚みであれば特に限定されず、通常は20μm~200μmとし、好ましくは25μm~75μm程度がよい。粘着層を形成する場合、粘着剤をグラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、コンマコーティング、ナイフコーティング、ダイコーティング等の塗布方式を用いて形成できる。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
支持シートとなる熱可塑性樹脂シート(三菱樹脂株式会社製ポリカシートDPI-AO 厚み0.075mm)を準備し、支持シートの表面に導電線(ELEKTRISOLA社製自己融着被膜導線AB15φ0.10mm)を、超音波ヘッドを備えた配線描画装置(Ruhlamat社製WCE150、設定条件:USP1200、speed40%)を用いて埋め込み、
図1に示すような導電性パターンを形成した。
導電性パターンは、リード部の長さ(端子部から最初の折り返し位置までの直線部分の長さ)が130mm、ヒータ部は、直線部分90mm、折り返し部分(ピッチ)10mm、折り返し回数(直線部分の線数)8回とし、接続端子部は、直線部分17mm、折り返し部分(ピッチ)0.3mm、折り返し回数(直線部分の線数)12回とした。最後に、縦170mmm×横120mmにカットし、フィルムヒータを作製した。
【0028】
(実施例2)
外装シートとなる熱可塑性樹脂シート(三菱樹脂株式会社製ポリカシートDPI-AO 厚み0.075mm)を準備し、接続端子部の対応する位置に 10mm×10mmの貫通孔を形成した。実施例1の導電性パターンを配線した支持シートの表面に外装シートを貼り合わせて、真空ラミネート機(名機製作所製MVLP-500、温度180℃、圧力0.5MPa)により加熱プレスし、支持シート上に十分に密着させた。最後に、縦170mmm×横120mmにカットし、フィルムヒータを作製した。
【符号の説明】
【0029】
1 支持シート
2 導電性パターン
21a、21b 接続端子部
22a、22b リード部
23 ヒータ部
3 外装シート
31 貫通孔