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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】電波状況確認システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/391 20150101AFI20240716BHJP
   H04B 17/318 20150101ALI20240716BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240716BHJP
   B66B 1/06 20060101ALI20240716BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240716BHJP
【FI】
H04B17/391
H04B17/318
H04M11/00 301
B66B1/06 E
G06Q50/08
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022193914
(22)【出願日】2022-12-05
(65)【公開番号】P2024080734
(43)【公開日】2024-06-17
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】下川原 恵子
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-170021(JP,A)
【文献】特開2008-090575(JP,A)
【文献】特開2018-195897(JP,A)
【文献】特開2016-019029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/391
H04B 17/318
H04M 11/00
B66B 1/06
G06Q 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内を自律的に移動する自律走行ロボットと、前記自律走行ロボットの運行を管理するロボットサーバと、エレベータの運転を管理するエレベータ制御装置とを備え、建物内の電波状況を確認する電波状況確認システムであって、
前記自律走行ロボットは、
建物内を移動中に前記ロボットサーバとの間の通信の電波強度を測定する電波強度測定部と、
測定された電波強度を測定位置のデータとともに、前記ロボットサーバに出力する強度データ出力部と
建物内の点群データを取得して前記ロボットサーバへ出力する3Dスキャナと、を備え、
前記ロボットサーバは、
前記自律走行ロボットに対して走行を指示するとともに、自律走行ロボットを他の階床に移動させるためのロボット呼びを前記エレベータ制御装置に出力するロボット指令出力部と、
前記自律走行ロボットが走行中に測定した電波強度データを入力する強度データ入力部と、
入力された強度データを建物を管理する建築管理システムに出力する強度データ出力部と、
前記3Dスキャナから入力した点群データを前記建築管理システムに出力する点群データ出力部と、を備え、
前記建築管理システムは、当該建築管理システム内に構築されている建物BIMモデルに強度データを反映させるとともに、取得した点群データに基づき前記建物BIMモデル上に現在の建物状態を反映させる、電波状況確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電波状況確認システム及び電波状況確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、自律走行ロボットを利用して建物内の清掃や物の搬送が行われている。自律走行ロボットは、ロボットサーバとの間の無線通信によって走行制御されている。自律走行ロボットを確実に走行させるためには建物内の通信状態が良好でなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-92049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、建物全体の通信強度が重要となっているものの、例えば、工事後の建物全体の通信強度を把握する方法が無く、場所により通信強度が違う等の問題が発生することがある。このように時間が経過してから通信強度の大小が発覚することがあり、建物全体の通信強度の把握及び管理が課題となっている。
【0005】
また、従来では通信強度の測定を人が建物内を歩いて測定している。このため、人が立ち入らない場所の測定ができないという課題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、自律走行ロボットにより建物内の電波状況を確実に把握できる電波状況確認システム及び電波状況確認方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための形態は、建物内を自律的に移動する自律走行ロボットと、前記自律走行ロボットの運行を管理するロボットサーバと、エレベータの運転を管理するエレベータ制御装置とを備え、建物内の電波状況を確認する電波状況確認システムである。
【0008】
前記自律走行ロボットは、建物内を移動中に前記ロボットサーバとの間の通信の電波強度を測定する電波強度測定部と、測定された電波強度を測定位置のデータとともに、前記ロボットサーバに出力する強度データ出力部とを備える。
【0009】
前記ロボットサーバは、前記自律走行ロボットに対して走行を指示するとともに、自律走行ロボットを他の階床に移動させるためのロボット呼びを前記エレベータ制御装置に出力するロボット指令出力部と、前記自律走行ロボットが走行中に測定した電波強度データを入力する強度データ入力部と、入力された強度データを建物を管理する建築管理システムに出力する強度データ出力部とを備える。
【0010】
また、他の形態は、建物内を自律的に移動する自律走行ロボットと、前記自律走行ロボットの運行を管理するロボットサーバと、エレベータの運転を管理するエレベータ制御装置とを備え、前記自律走行ロボットによって建物内の電波状況を確認する方法であって、
前記自律走行ロボットを、前記ロボットサーバとの通信により走行させ、前記建物内の所定の階床の前記自律走行ロボットと前記ロボットサーバとの間の通信における電波強度を前記自律走行ロボットで測定し、前記ロボットサーバは、前記所定の階床の電波強度の測定後、前記自律走行ロボットが異なる階床に移動することを前記エレベータ制御装置に指示し、前記自律走行ロボットは、エレベータによる前記異なる階床に移動中及び移動後の階床において電波強度の測定を継続する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の電波状況確認システムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態の電波状況確認システムの処理手順を示すフローチャート。
図3】階床平面に強度データを反映した建築平面図。
図4】第2実施形態の電波状況確認システムの構成を示すブロック図。
図5】3Dスキャナで取得された3次元データの一例を示す説明図。
図6】3Dスキャナで取得された3次元データの一例を示す説明図。
図7図3に3次元データを反映させた新たな建築平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
《第1実施形態の構成》
図1に示す電波状況確認システム1Aは、自律走行ロボット10と、ロボットサーバ20と、エレベータ制御装置30とを備える。
【0013】
自律走行ロボット10は、ロボット指令入力部11と、ロボット走行制御部12と、電波強度測定部13と、電波強度記憶部14と、強度データ出力部15とを備える。
【0014】
ロボット指令入力部11は、ロボットサーバ20から出力されるロボット指令を入力する。
【0015】
ロボット走行制御部12は、ロボット指令入力部11で入力されたロボット指令に基づいて、自律走行ロボット10の走行を制御する。
【0016】
電波強度測定部13は、ロボット指令入力部11で入力されたロボット指令の電波強度を測定する。
【0017】
電波強度記憶部14は、電波強度測定部13で測定された電波強度を測定された箇所の位置データと共に記憶する。
【0018】
強度データ出力部15は、電波強度記憶部14に記憶された電波強度と位置データをロボットサーバ20に出力する。
【0019】
ロボットサーバ20は、ロボット指令出力部21と、強度データ入力部22と、強度データ出力部23とを備える。
【0020】
ロボット指令出力部21は、自律走行ロボット10にロボット指令を出力して自律走行ロボット10の行動を制御する。また、自律走行ロボット10がエレベータを利用する際にはエレベータ制御装置30に対してロボット呼びを出力する。
【0021】
強度データ入力部22は、自律走行ロボット10で測定された電波強度データを入力する。
【0022】
強度データ出力部23は、強度データ入力部22で入力した電波強度データを建築管理システム40に出力する。
【0023】
エレベータ制御装置30は、ロボット呼び入力部31と、かご走行制御部32とを備える。
【0024】
ロボット呼び入力部31は、ロボットサーバ20からのロボット呼びを入力してかご走行制御部32にかご割当を指示する。
【0025】
かご走行制御部32は、ロボット呼び入力部31で入力されたロボット呼びに基づいて巻上機を駆動制御してエレベータかごの走行を制御する。
【0026】
建築管理システム40は、建物BIMモデル41を備え、入力した電波強度データをBIM モデルに反映される。
【0027】
《第1実施形態の処理手順》
図2は、第1実施形態の処理手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、ステップS1~S4はロボットサーバ20の処理、ステップS11~S17は自律走行ロボット10の処理を示している。
【0028】
ロボットサーバ20のロボット指令出力部21から走行開始が指示されると(ステップS1)、自律走行ロボット10は、走行を開始する(ステップS11YES、S12)。
【0029】
走行を開始した自律走行ロボット10は、走行中、ロボットサーバ20からの通信の電波強度を連続的に測定する(ステップS13)。1つの階床の電波強度が測定されると、エレベータを利用して次の階床に移動して電波強度を測定する。エレベータのかご内の電波強度も測定する。測定された電波強度は、位置情報と共に電波強度記憶部14に記憶される(ステップS14)。
【0030】
全階床の電波強度の測定が終了し、ロボットサーバ20からロボット走行停止指示が有ると、自律走行ロボット10は、走行を停止する(ステップS2、S15、S16)。そして、強度データ出力部15は、電波強度記憶部14に記憶されている電波強度データをロボットサーバ20に出力する(ステップS17)。
【0031】
ロボットサーバ20の強度データ入力部22は、ロボットサーバ20から送信された電波強度データを受信する(ステップS3)。受信された電波強度データは強度データ出力部23から建築管理システムに出力される(ステップS4)。
【0032】
建築管理システム40では、建物BIMモデルに測定された電波強度データを反映させる処理を行う。
【0033】
図3は建物の一階床の平面図である。図3において、アンテナマークの横の数字(-30,-35,-40,-50,-55)は、その場所で測定された電波強度(dBm)を示している。
【0034】
このように、建物BIMモデルに電波強度データを反映させることができるので、電波強度に低い場所付近には中継器を設置する等の対策を講ずることができる。
【0035】
このように、第1実施形態では、自律走行ロボット10を建物内を移動させて連続的に電波強度を測定するので、建物内での正確な電波強度の測定が可能となる。また、人間が入り込めない場所等の測定も可能であるため、人間が歩いて測定する場合に比べて、死角のの無い測定が可能となる。
【0036】
また、建物全体の電波状況をBIMモデルに反映させることで建物内の場所による電波状況の違いを視覚的に確認させることができ、建物施工後・使用後に建物全体の通信強度の違いを確認させることができる。
【0037】
<第2実施形態>
図4は第2実施形態の電波状況確認システム1Bの構成を示すブロック図である。なお、図1に示した第1実施形態と同一構成部分には同一番号を付してその説明は省略する。
【0038】
図4に示すように、第2実施形態の電波状況確認システム1Bは、第1実施形態の電波状況確認システム1Aの構成に加えて3Dスキャナ16により建物の3次元データを取得して電波強度データと共に建物BIMモデルに反映させることを特徴としている。
【0039】
設計当初の図面と実際の建物との相違点が有る場合や、改築等で当初の建物と最新の建物との間で変更点が有る場合がある。電波強度の測定に際しては、これらの変更点を正確にBIMモデルに反映する必要がある。
【0040】
このため、第2実施形態の自律走行ロボット10は、3Dスキャナ16を備え、電波強度測定のために階床を走行中に3Dスキャナ16によって建物内の3次元データ(点群データ)を取得してロボットサーバ20に出力する。
【0041】
ロボットサーバ20は、3Dスキャナ入出力部24を備え、自律走行ロボット10からの3次元データを建築管理システム40に出力して建物BIMモデルに反映させる。
【0042】
図5図6は3Dスキャナで取得された3次元データの一例を示す説明図である。図5はエスカレータの設置場所の3次元データ、図6はエレベータの昇降路内の3次元データを示している。
【0043】
図7は、図3の平面図に対して3次元データを反映して構築された新たな平面図である。図7では、図3の平面図に対してA,B,Cで示す変更点が反映されている。
【0044】
このように、第2実施形態では、第1実施形態と同様な効果を奏するとともに、建物の変更点を正確にBIMモデルに反映させた上で、測定された電波強度を取り込むので、より一層、正確に建物内の電波強度を確認することができる。
【0045】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1A,1B…電波状況確認システム、10…自律走行ロボット、11…ロボット指令入力部、12…ロボット走行制御部、13…電波強度測定部、14…電波強度記憶部、15…強度データ出力部、16…3Dスキャナ、20…ロボットサーバ、21…ロボット指令出力部、22…強度データ入力部、23…強度データ出力部、24…3Dスキャナデータ入出力部、30…エレベータ制御装置、31…ロボット呼び入力部、32…かご走行制御部、40…建築管理システム、41…建物BIMモデル、A,B,C…建築変更箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7