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特許7520949回転式の3Dプリンティングのための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】回転式の3Dプリンティングのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240716BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20240716BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20240716BHJP
   B29C 64/241 20170101ALI20240716BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20240716BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20240716BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240716BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240716BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240716BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/112
B29C64/209
B29C64/241
B29C64/245
B29C64/321
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2022199568
(22)【出願日】2022-12-14
(62)【分割の表示】P 2021094444の分割
【原出願日】2015-07-13
(65)【公開番号】P2023021321
(43)【公開日】2023-02-10
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】62/023,897
(32)【優先日】2014-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513131464
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
【住所又は居所原語表記】1 Holtzman Street, Science Park, P.O. Box 2496, 7612401 Rehovot, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】メンチク、ガイ
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、アンドリュー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ヘドランド、ジョナサン ベンハード
(72)【発明者】
【氏名】カンピオン、ケビン レディ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン、ロバート アール
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン、ナサニエル マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ビーバー、スコット ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン、エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】リビンソン、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ブレスラー、ヨアフ
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-198746(JP,A)
【文献】特表2007-503342(JP,A)
【文献】特表2002-512140(JP,A)
【文献】特開2008-047272(JP,A)
【文献】特開2009-083326(JP,A)
【文献】特表2006-526524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元プリンティングのためのシステムであって、
垂直軸を中心に回転するように構成された回転トレイと、
複数のノズルを有し、かつトレイに対して半径方向に沿って往復運動するように構成されたプリンティングヘッドと、
(i)前記トレイ上に3次元オブジェクトをプリントするなどのために、回転中に構築材料の液滴を層状にディスペンシングするように前記プリンティングヘッドを制御し、(ii)前記プリンティングヘッドの往復運動中にディスペンシングを停止するように構成されたコントローラと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記往復運動に続いて、前記ディスペンシングが停止された同じ方位角座標において前記ディスペンシングを再開させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記往復運動に続いて、前記ディスペンシングが停止された方位角座標に対してオフセットされている方位角座標において前記ディスペンシングを再開させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記プリンティングヘッドの半径方向位置に応じて前記トレイの回転速度を変化させるように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、連続してディスペンスされる液滴間の方位角距離が、前記半径方向に沿った前記プリンティングヘッドの位置に応じて変化するように、前記液滴をディスペンシングするように前記プリンティングヘッドを制御するように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記方位角距離の変化は、前記半径方向に沿った前記位置の確率論的な関数に基づく、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記トレイの少なくとも1つの回転中に液滴のインターレース方式のディスペンシングを実行するように構成されている、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記インターレース方式のディスペンシングのインターレースレベルは、前記半径方向に沿った前記プリンティングヘッドの位置に応じて変化する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
3次元プリンティングの方法であって、
オブジェクトの形状に対応する3次元プリンティングデータを受け取るステップと、
前記3次元プリンティングデータに基づいて構築材料の液滴を回転トレイ上にディスペンシングするようにプリンティングヘッドを制御するステップと、
前記プリンティングヘッドをトレイに対して半径方向に沿って往復運動するように制御しながら、ディスペンシングを停止するステップと、を含む方法。
【請求項10】
前記往復運動に続いて、前記ディスペンシングが停止された同じ方位角座標において前記ディスペンシングを再開させるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記往復運動に続いて、前記ディスペンシングが停止された方位角座標に対してオフセットされている方位角座標において、前記ディスペンシングを再開させるステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記プリンティングヘッドの半径方向位置に応じて前記トレイの回転速度を変化させるステップを含む、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記プリンティングヘッドを制御することは、連続してディスペンスされる液滴間の方位角距離が、前記半径方向に沿った前記プリンティングヘッドの位置に応じて変化することを確実に行うことを含む、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記トレイの少なくとも1つの回転中に前記液滴のインターレース方式のディスペンシングを実行するように前記プリンティングヘッドを制御することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記インターレース方式のディスペンシングのインターレースレベルは、前記半径方向に沿った前記プリンティングヘッドの位置に応じて変化する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
3次元プリンティングのためのシステムであって、
垂直軸を中心に回転するように構成された回転トレイと、
各々が複数のノズルを有し、かつトレイに対して異なる複数の半径方向位置に配置された複数のプリンティングヘッドと、
前記複数のプリンティングヘッドの前記半径方向位置を変化させることなく、前記トレイの作業領域上に3次元オブジェクトをプリンティングするなどのために、回転中にモデリング材料の液滴を層状にディスペンシングするように前記複数のプリンティングヘッドを制御するように構成されたコントローラと、を備えるシステム。
【請求項17】
前記複数のプリンティングヘッドの数および半径方向に沿った前記複数のプリンティングヘッドの長さは、前記複数のプリンティングヘッドが前記作業領域の全幅をカバーするように選択される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のプリンティングヘッドの全てが、同じモデリング材料の液滴をディスペンシングする、請求項16及び17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラが、前記プリンティングヘッドの個々の半径方向位置に基づいて各プリンティングヘッドのディスペンシング速度を選択するように構成される、請求項16乃至18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記ディスペンシング速度は、前記複数のプリンティングヘッドの全てに対して同じプリンティング解像度を維持するように選択される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
少なくとも1つのプリンティングヘッドに対して、前記垂直軸から異なる複数の距離にある異なる複数のノズルが、構築材料を異なる複数のディスペンシング速度でディスペンシングする、請求項16乃至20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラは、連続してディスペンスされる液滴間の方位角距離が前記半径方向位置に応じて変化するように、液滴をディスペンシングするように前記複数のプリンティングヘッドを制御するように構成される、請求項16乃至20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
3次元プリンティングの方法であって、
オブジェクトの形状に対応する3次元プリンティングデータを受け取るステップと、
回転トレイに対して異なる複数の半径方向位置に配置された複数のプリンティングヘッドを制御して、前記複数のプリンティングヘッドの前記半径方向位置を変化させることなく、トレイの作業領域上に3次元オブジェクトをプリントするなどのために、前記3次元プリンティングデータに基づいてトレイ上にモデリング材料の液滴をディスペンシングするステップと、を含む方法。
【請求項24】
前記複数のプリンティングヘッドの数および半径方向に沿った前記複数のプリンティングヘッドの長さは、前記複数のプリンティングヘッドが前記作業領域の全幅をカバーするように選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のプリンティングヘッドの全てが、同じモデリング材料の液滴をディスペンシングする、請求項23及び24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
各プリンティングヘッドのディスペンシング速度が、前記プリンティングヘッドの個々の半径方向位置に基づいて選択される、請求項23乃至25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ディスペンシング速度は、前記複数のプリンティングヘッドの全てに対して同じプリンティング解像度を維持するように選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つのプリンティングヘッドに対して、軸から異なる複数の距離にある異なる複数のノズルが、構築材料を異なる複数のディスペンシング速度でディスペンシングする、請求項23乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
制御することは、各プリンティングヘッドに対して、連続してディスペンスされる液滴間の方位角距離が前記プリンティングヘッドの個々の半径方向位置に応じて変化することを確実に行うことなどである、請求項23乃至28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記方位角距離の変化は、前記半径方向位置の確率論的な関数に基づく、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、3次元プリンティングに関し、より具体的には、回転式の3次元プリンティングに関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0002】
アディティブ・マニュファクチャリング(AM)は、一般的に、3次元の(3D)オブジェクトがオブジェクトのコンピュータ・モデルを利用して製造されるプロセスである。そのようなプロセスは、可視化、デモンストレーション、および機械的なプロトタイピングの目的のための、ならびに、ラピッド・マニュファクチャリングのための設計関連分野などのような、さまざまな分野において使用されている。
【0003】
任意のアディティブ・マニュファクチャリング・システムの基礎的な動作は、3次元のコンピュータ・モデルを薄い断面にスライスすること、その結果を2次元の位置データへ変換すること、および、層状に3次元の構造体を製造する制御機器にデータを給送することから構成される。
【0004】
アディティブ・マニュファクチャリングは、たとえば、3次元のインクジェット・プリンティング、薄膜積層法、および熱溶解積層法などの3次元プリンティングを含む、製作の方法に対する多くの異なるアプローチを伴う。
【0005】
3次元プリンティング・プロセスでは、たとえば、構築材料が、ノズルのセットを有するディスペンシング・ヘッドからディスペンスされ、支持構造体の上に層を堆積させる。次いで、構築材料に応じて、層は、適切なデバイスを使用して、硬化または固化され得る。構築材料は、オブジェクトを形成するモデリング材料、および、オブジェクトが構築されているときにオブジェクトを支持するサポート材料を含むことが可能である。さまざまな3次元プリンティング技法が存在しており、たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、および特許文献13、ならびに特許文献14(すべて同じ譲受人のものである)に開示されており、その内容物は、本願明細書に援用されている。
【0006】
たとえば、特許文献13は、複数のディスペンシング・ヘッドと、複数の構築材料を製作装置に供給するように構成されている構築材料供給装置と、製作および供給装置を制御するように構成されているコントローラとを有するアディティブ・マニュファクチャリング装置を備えるシステムを開示している。システムは、いくつかの動作モードを有している。1つのモードにおいて、すべてのディスペンシング・ヘッドが、製作装置の単一の構築スキャン・サイクルの間に動作する。別のモードにおいて、ディスペンシング・ヘッドの1つまたは複数は、単一の構築スキャン・サイクルまたはその一部の間に動作しない。
【0007】
特許文献15は、3次元のオブジェクトを製作するための装置を開示している。回転型の環状のビルド・ドラムが、粉末構築材料の連続的な層を受け取り、プリント・ヘッドが、環状のビルド・ドラムの上方に配設され、液体結合剤の液滴を粉末の上に選択的にディスペンシングするように構成されている。
【0008】
特許文献16は、3次元のオブジェクトを製作するための装置を開示している。この装置は、構築コンテナと、構築コンテナの中のサポートと、構築材料の層をサポートの上に塗布する静止した材料塗布デバイスとを含む。ドライブは、回転の軸線の周りのコンテナの移動を発生させ、垂直ドライブは、サポートの垂直方向の移動を発生させる。
【0009】
特許文献17は、3次元の物品を製造するための装置を開示している。この開示の装置は、コンピュータ・コントローラと、製造中の物品を運ぶためのビルド・プラットフォームと、物品の上に材料の層を形成するためのビルド・ステーションを含む。ビルド・ステーションおよびビルド・プラットフォームのいずれかは、軸線周りで回転するように装着および駆動され、製造中の物品の表面が、ビルド・ステーションに繰り返し提示されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第6,259,962号明細書
【文献】米国特許第6,569,373号明細書
【文献】米国特許第6,658,314号明細書
【文献】米国特許第6,850,334号明細書
【文献】米国特許第7,183,335号明細書
【文献】米国特許第7,209,797号明細書
【文献】米国特許第7,225,045号明細書
【文献】米国特許第7,300,619号明細書
【文献】米国特許第7,364,686号明細書
【文献】米国特許第7,500,846号明細書
【文献】米国特許第7,658,976号明細書
【文献】米国特許第7,962,237号明細書
【文献】米国特許第9,031,680号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0040091号明細書
【文献】米国特許第7,291,002号明細書
【文献】米国特許第8,172,562号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0109102号明細書
【発明の概要】
【0011】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、3次元プリンティングのためのシステムが提供される。システムは、垂直軸線周りで回転するように構成されている回転トレイと、各々が複数の分離されたノズルを有するプリンティング・ヘッドと、トレイの上に3次元のオブジェクトをプリントするなどのために、回転の間に、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、構築材料の液滴を積み重ねてディスペンシングするように構成されているコントローラとを備える。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのヘッドの異なるノズルが、軸線から異なる距離にあり、異なるディスペンシング・レートで構築材料をディスペンシングする。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、トレイおよびインクジェット・プリンティング・ヘッドのうちの少なくとも1つは、垂直軸線に対して平行な垂直方向に沿って移動して、トレイとインクジェット・プリンティング・ヘッドとの間の垂直方向の距離を変化させるように構成されており、コントローラは、垂直方向に沿った運動の間にディスペンシングを継続するように構成されている。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、インクジェット・プリンティング・ヘッドは、半径方向に沿って、トレイに対して往復式に移動するように構成されている。
本発明のいくつかの実施形態によれば、半径方向に沿った運動は、スクリュによるものである。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、補償関数にしたがってヘッドの半径方向の場所の誤差を補償するように構成されている。
本発明のいくつかの実施形態によれば、スクリュは、2箇所で支持されているスクリュであり、関数は、線形関数である。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、スクリュは、カンチレバー型スクリュであり、関数は、非線形関数である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、インクジェット・プリンティング・ヘッドのうちの少なくとも2つに関して、半径方向に沿った往復式の運動は、独立しており、かつ異なる方位角度にある。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、往復運動の間に、ディスペンシングを停止するように構成されている。
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、往復運動に続いて、ディスペンシングが停止された方位角座標に対してオフセットされている方位角座標において、ディスペンシングを再開させるように構成されている。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、往復運動に続いて、ディスペンシングが停止された同じ方位角座標において、ディスペンシングを再開させるように構成されている。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、往復運動に応答可能にプリンティング・データを調節しながら、往復運動の間にディスペンシングを継続するように構成されている。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、3次元プリンティングのためのシステムが提供される。システムは、ある回転速度で垂直軸線周りで回転するように構成されている回転トレイと、各々が複数の分離されたノズルを有するプリンティング・ヘッドと、トレイの上に3次元のオブジェクトをプリントするなどのために、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、回転の間に、構築材料の液滴を積み重ねてディスペンシングするように構成され、かつ、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、半径方向に沿ってトレイに対して往復式に移動するように構成されているコントローラとを備える。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、半径方向の運動に応答可能に回転速度を変化させるように構成されている。
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、往復運動の間に、ディスペンシングを停止するように、および、往復運動に続いて、ディスペンシングが停止された方位角座標に対してオフセットされている方位角座標において、ディスペンシングを再開させるように構成されている。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、往復運動に応答可能にプリンティング・データを調節しながら、往復運動の間にディスペンシングを継続するように構成されている。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、順番にディスペンスされる液滴間の方位角距離が、半径方向に沿ったインクジェット・プリンティング・ヘッドの位置の関数として変化するように、回転の間に、構築材料の液滴を積み重ねてディスペンシングするように構成されている。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、方位角距離の変化は、前記半径方向に沿った前記位置の確率論的な関数に基づいている。
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、3次元プリンティングのためのシステムが提供される。システムは、垂直軸線周りで回転するように構成されている回転トレイと、各々が複数の分離されたノズルを有するプリンティング・ヘッドと、トレイの上の複数の場所を自動的に決定するように構成され、かつ各々、複数の場所において、トレイの上に複数のオブジェクトを3次元にプリントするなどのために、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、回転の間に、構築材料液滴の層をディスペンシングするように構成されているコントローラとを備え、自動的に決定することは、第1の基準および第2の基準からなる群から選択される所定の基準、または、基準のセットに従っており、第1の基準によれば、オブジェクトは、トレイのバランスをとるように配置されており、第2の基準によれば、より多くのオブジェクトが、軸線の近くにというよりも、軸線から遠くにプリントされる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、垂直軸線周りで回転するように構成されている回転トレイと、各々が複数の分離されたノズルを有するプリンティング・ヘッドと、トレイの上に3次元のオブジェクトをプリントするなどのために、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、回転の間に、構築材料の液滴を積み重ねてディスペンシングするように構成されているコントローラと、プリンティング・ヘッドに進入する前に、構築材料を加熱するためのプレ・ヒータ・エレメントであって、ヘッドから間隔を離して配置されており、導管を介してヘッドに流体連通している、プレ・ヒータ・エレメントとを備える3次元プリンティングのためのシステムが提供される。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、垂直軸線周りで回転するように構成されている回転トレイと、各々が複数の分離されたノズルを有するプリンティング・ヘッドと、トレイの上に3次元のオブジェクトをプリントするなどのために、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、回転の間に、構築材料の液滴を積み重ねてディスペンシングするように構成されているコントローラと、半径方向に沿って、トレイに対して往復式に移動するように構成されている放射線源とを備え、プリンティング・ヘッドも、放射線源と非同時に、半径方向に沿って、トレイに対して往復式に移動するように構成されている3次元プリンティングのためのシステムが提供される。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、垂直軸線周りで回転するように構成されている回転トレイと、各々が複数の分離されたノズルを有するプリンティング・ヘッドと、トレイの上に3次元のオブジェクトをプリントするなどのために、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、回転の間に、構築材料の液滴を積み重ねてディスペンシングするように構成されているコントローラと、エネルギーが、異なるレートで、トレイの中心から相違する距離にある場所に送達されるように層を照射するように構成されている放射線源とを備える3次元プリンティングのためのシステムが提供される。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、垂直軸線周りで回転するように構成されている回転トレイと、各々が複数の分離されたノズルを有するプリンティング・ヘッドと、トレイの上に3次元のオブジェクトをプリントするなどのために、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、回転の間に、構築材料の液滴を積み重ねてディスペンシングするように構成されているコントローラと、放射線源であって、放射線源とヘッドとの間の方位角分離は、約0.3ωラジアンから約0.75ωラジアンにあり、ωは、ヘッドおよび放射線源に対するトレイの平均角速度である、放射線源とを備える3次元プリンティングのためのシステムが提供される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、垂直軸線周りで回転するように構成されている回転トレイと、各々が複数の分離されたノズルを有するプリンティング・ヘッドと、トレイの上に3次元のオブジェクトをプリントするなどのために、インクジェット・プリンティング・ヘッドを制御して、回転の間に、構築材料の液滴を積み重ねてディスペンシングするように構成されているコントローラとを備える3次元プリンティングのためのシステムであって、コントローラは、ヘッドがトレイの所定の領域の上にあるときに、構築材料の任意のディスペンシングを終了させるように構成されており、また、コントローラは、ヘッドが所定の領域の上にいる間に、ヘッドに半径方向に沿ってトレイに対して移動するように信号を送るように構成されている、システムが提供される。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、トレイおよびインクジェット・プリンティング・ヘッドのうちの少なくとも1つに、垂直軸線に対して平行な垂直方向に沿って移動して、ヘッドが所定の領域の上にある間に、トレイとインクジェット・プリンティング・ヘッドとの間の垂直方向の距離を変化させるように信号を送るように構成されている。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、インクジェット・プリンティング・ヘッドの少なくとも1つを制御して、順番にディスペンスされる液滴間の方位角距離が、半径方向に沿ったプリンティング・ヘッドの位置の関数として変化するように、液滴をディスペンシングするように構成されている。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、トレイの少なくとも1つの回転の間に、液滴のインターレース方式のディスペンシング(interlaced dispensing)を実行するように構成されている。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、インターレース方式のディスペンシングのインターレース・レベルは、半径方向に沿ったプリンティング・ヘッドの位置の関数として変化する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、インターレース方式のディスペンシングのインターレース・レベルは、半径方向に沿ったプリンティング・ヘッドの位置の関数として変化する。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、ビットマップ・マスクを記憶しているコンピュータ可読媒体にアクセスし、ビットマップ・マスクによってマスクされていないトレイの上の場所だけに関して、オブジェクトの形状に関連するプリンティング・データを獲得する。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、ディスペンスされた構築材料を真っ直ぐにするための円錐形状のローラを備える。
本発明のいくつかの実施形態によれば、トレイは、オブジェクトの形成の全体を通して、同じ方向に連続的に回転する。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、トレイおよびインクジェット・プリンティング・ヘッドのうちの少なくとも1つは、垂直軸線に対して平行な垂直方向に沿って移動して、トレイとインクジェット・プリンティング・ヘッドとの間の垂直方向の距離を変化させるように構成されており、コントローラは、垂直方向に沿った運動の間にディスペンシングを継続するように構成されている。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、トレイおよびインクジェット・プリンティング・ヘッドが、トレイの単一の回転の間に、それらの間で少なくとも2つの異なる垂直方向の距離を経験するように、垂直方向に沿った運動が実行される。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、トレイの単一の回転の間に、垂直方向の距離が、構築材料の単一の層の特徴的な厚さにおおよそ等しい量だけ増加させられるように、垂直方向に沿った運動が実行される。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、垂直方向に沿った運動は、概して連続的に実行される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、複数のインクジェット・プリンティング・ヘッドは、サポート材料をディスペンシングするための少なくとも1つのサポート材料ヘッドと、少なくとも2つの異なるモデリング材料を各々ディスペンシングするための少なくとも2つのモデリング材料ヘッドとを備える。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、サポート構造体をさらに含み、サポート構造体は、トレイがサポート構造体とヘッドとの間になるように、インクジェット・プリンティング・ヘッドの下に位置決めされており、サポート構造体が、トレイに接触して、トレイの振動を防止または低減させるようになっている。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、トレイは、交換可能である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、トレイを自動的に交換するように構成されているトレイ交換デバイスを備える。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ヘッドは、真空レベルの所定のレンジの中に真空レベルを維持するように構成されている。
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、プリンティング・ヘッドに進入する前に、構築材料を加熱するためのプレ・ヒータ・エレメントを備える。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、プレ・ヒータ・エレメントは、ヘッドから間隔を離して配置されており、導管を介してヘッドに流体連通している。
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、導管からプレ・ヒータ・エレメントの中へ構築材料を引き戻すためのポンプを備える。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、少なくとも1つのアルコール水準器を備え、少なくとも1つのアルコール水準器は、システムのシャーシのエンクロージャの上の1つまたは複数の場所に装着されており、水平状態からのシャーシの偏差を示すためのものである。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、オブジェクトをプリントするために必要とされる構築材料の量を計算し、量を構築材料の利用可能な量と比較し、オブジェクトをプリントするために必要とされる量が利用可能な量よりも大きいときに、警報を出すように構成されている。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、放射線源を備え、放射線源は、半径方向に沿って、トレイに対して往復式に移動するように構成されており、プリンティング・ヘッドも、放射線源と非同時に、半径方向に沿って、トレイに対して往復式に移動するように構成されている。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、放射線源は、エネルギーが、異なるレートで、トレイの中心から相違する距離にある場所に送達されるように層を照射するように構成されている。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、放射線源とヘッドとの間の方位角分離は、約0.3ωラジアンから約0.75ωラジアンにあり、ωは、ヘッドおよび放射線源に対するトレイの平均角速度である。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、同時にプリントされるときに、複数のオブジェクトの予期される全体的なプリンティング時間を計算するように、および、表示デバイスの上に計算された時間を表示するように構成されている。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、オブジェクト1つ当たりの全体的なプリンティング時間を計算するように、および、オブジェクト1つ当たりの全体的なプリンティング時間を表示するように構成されている。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、ヘッドがトレイの所定の領域の上にあるときに、構築材料の任意のディスペンシングを終了させるように構成されている。本発明のいくつかの実施形態によれば、所定の領域は、扇形の形状を有している。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、ヘッドが所定の領域の上にいる間に、半径方向に沿ってトレイに対して移動するように、ヘッドに信号を送るように構成されている。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、トレイおよびインクジェット・プリンティング・ヘッドのうちの少なくとも1つに、垂直軸線に対して平行な垂直方向に沿って移動して、ヘッドが所定の領域の上にある間に、トレイとインクジェット・プリンティング・ヘッドとの間の垂直方向の距離を変化させるように信号を送るように構成されている。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、トレイおよびインクジェット・プリンティング・ヘッドのうちの少なくとも1つに、ディスペンスされた構築材料が最初にローラに到着するとすぐに、垂直軸線に対して平行な垂直方向に沿って移動して、トレイとインクジェット・プリンティング・ヘッドとの間の垂直方向の距離を変化させるように信号を送るように構成されている。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、トレイおよびインクジェット・プリンティング・ヘッドのうちの少なくとも1つに、ディスペンスされた構築材料が最初にローラに到着するとすぐに、垂直軸線に対して平行な垂直方向に沿って移動して、トレイとインクジェット・プリンティング・ヘッドとの間の垂直方向の距離を変化させて、垂直方向の運動が完了するように信号を送るように構成されている。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コントローラは、方位角スキャンが用いられる第1のプリンティング・モード、および、ベクトル・スキャンが用いられる第2のプリンティング・モードを選択するように構成されており、ベクトル・スキャンは、(i)細長い構造体、(ii)第1の構築材料で充填されているエリアを少なくとも部分的に取り囲む境界構造体、および、(iii)層間接続構造体からなる群から選択される少なくとも1つの構造体を形成するように選択される経路に沿っている。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態によれば、システムは、層に放射するように構成されている放射線源を備え、コントローラは、放射線源を制御して、少なくとも1つの層に関して、少なくとも1つの層の直ぐ前に先行する層の硬化の始まりの後、少なくともt秒後に、放射が開始させられることを確実にするように構成されており、tは、形成のために必要とされる全体的な時間よりも長い。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、アディティブ・マニュファクチャリング・システムによって選択的にディスペンスされることとなる構築材料を含むように構成されているカートリッジであって、前方端部および後方端部を含み、後方端部は、カートリッジをAMシステムのディスペンシング・ユニットに接続するための流体接続部を含む、カートリッジと、カートリッジを格納するためのカートリッジ保管部であって、カートリッジは、カートリッジの前方端部が後方端部に対して上昇させられるように、ある角度で、保管部の中に装着されるように構成されている、カートリッジ保管部とを備える装置が提供される。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジは、ロック・スプリングを含み、ロック・スプリングは、その角度でカートリッジ保管部の中へロックするように構成されている。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジは、カートリッジの中に含まれている構築材料の一部分を蓄積するように構成されているウェルを、流体接続部の近位に含む。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態によれば、角度は、2~5度である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジ保管部は、複数のカートリッジを格納するように構成されている。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、上記に示されているような、また、任意選択で下記にさらに詳述されているような装置を備える3次元プリンティングのためのシステムが提供される。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、オブジェクトを製作する方法が提供される。方法は、オブジェクトの形状に対応する3次元プリンティング・データを受け取る工程と、データを3次元プリンティングのためのシステムに給送する工程と、データに基づいてオブジェクトをプリントするようにシステムを動作させる工程とを備え、システムは、上記に示されているような、また、任意選択で下記にさらに詳述されているようなシステムである。
【0065】
別段の定めがない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が関連する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有している。本明細書で説明されているものと同様のまたは同等の方法および材料が、本発明の実施形態の実践または試験において使用され得るが、例示的な方法および/または材料が、下記に説明されている。矛盾する場合には、定義を含む特許明細書が支配することとなる。それ加えて、材料、方法、および例は、単に例示目的のためのものであり、必然的に限定するものであることは意図されていない。
【0066】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムの実装は、手動で、自動的に、または、それらの組み合わせで、選択されるタスクを実施または完了することを必要とし得る。そのうえ、本発明の方法および/またはシステムの実施形態の実際の器具および機器にしたがって、いくつかの選択されたタスクが、ハードウェアによって、ソフトウェアによって、もしくは、ファームウェアによって、または、それらの組み合わせによって、オペレーティング・システムを使用して実装され得る。
【0067】
たとえば、本発明の実施形態にしたがって選択されたタスクを実施するためのハードウェアは、チップまたは回路として実装され得る。ソフトウェアとして、本発明の実施形態にしたがって選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティング・システムを使用してコンピュータによって実行されている複数のソフトウェア命令として実装され得る。本発明の例示的な実施形態では、本明細書で説明されているような方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つまたは複数のタスクは、複数の命令を実行するためのコンピューティング・プラットフォームなどのような、データ・プロセッサによって実施される。任意選択で、データ・プロセッサは、命令および/もしくはデータを記憶するための揮発性のメモリ、ならびに/または、たとえば、磁気的なハード・ディスクおよび/もしくはリムーバブル・メディアなどの、命令および/もしくはデータを記憶するための不揮発性のストレージを含む。任意選択で、ネットワーク接続部も同様に提供される。ディスプレイ、および/または、キーボードもしくはマウスなどのようなユーザ入力デバイスも同様に、任意選択で提供される。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態は、単なる例として、添付の図面を参照して、本明細書で説明されている。ここで、図面を詳細に具体的に参照して、示されている細部は、例としてのものであり、また、本発明の実施形態の例示目的の議論の目的のためのものであることが強調される。この点において、図面とともに本明細書を見ることによって、本発明の実施形態がどのように実践され得るかが当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1A】本発明のいくつかの実施形態による、3次元プリンティングのためのシステムの上面図の概略説明図。
図1B】本発明のいくつかの実施形態による、3次元プリンティングのためのシステムの側面図の概略説明図。
図1C】本発明のいくつかの実施形態による、3次元プリンティングのためのシステムの等角図の概略説明図。
図1D】本発明のいくつかの実施形態による、3次元プリンティングのためのシステムの上面図の概略説明図。
図2A-C】本発明のいくつかの実施形態による、プリンティング・ヘッドの概略説明図。
図3A-F】本発明のいくつかの実施形態による、座標変換を実証する概略説明図。
図4A】本発明の実施形態を説明する概略説明図であり、本発明の実施形態によれば、順番にディスペンスされる液滴間の方位角方向に沿った距離が、半径方向に沿ったプリンティング・ヘッドの位置の関数として変化することを示す図。
図4B】本発明の実施形態を説明する概略説明図であり、本発明の実施形態によれば、順番にディスペンスされる液滴間の方位角方向に沿った距離が、半径方向に沿ったプリンティング・ヘッドの位置の関数として変化することを示す図。
図5A-B】本発明のいくつかの実施形態による、プリンティング・ヘッドの半径方向の運動を説明する概略説明図。
図5C】本発明のいくつかの実施形態による、プリンティング・ヘッドの半径方向の運動を説明する概略説明図。
図5D】本発明のいくつかの実施形態による、プリンティング・ヘッドの半径方向の運動を説明する概略説明図。
図5E】本発明のいくつかの実施形態による、プリンティング・ヘッドの半径方向の運動を説明する概略説明図。
図5F】本発明のいくつかの実施形態による、プリンティング・ヘッドの半径方向の運動を説明する概略説明図。
図5G】本発明のいくつかの実施形態による、プリンティング・ヘッドの半径方向の運動を説明する概略説明図。
図5H】本発明のいくつかの実施形態による、プリンティング・ヘッドの半径方向の運動を説明する概略説明図。
図6】隣接する軸線間に方位角分離角度が存在するように配置されている、異なる半径方向の軸線の上に装着されているプリンティング・ヘッドを示す概略説明図。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、半径方向に沿ったインターレーシングを説明する概略説明図。
図8A】本発明のいくつかの実施形態による、3次元プリンティングのためのシステムのトレイの上に配置されているオブジェクトの概略説明図。
図8B】本発明のいくつかの実施形態による、オブジェクトの数の関数として、予期されるプリンティング時間を示す概略説明図。
図9A】本発明のいくつかの実施形態による、半径方向の座標の関数として、方位角方向に沿った解像度の変化を低減または排除するのに適切な技法を実証する概略説明図。
図9B】本発明のいくつかの実施形態による、半径方向の座標の関数として、方位角方向に沿った解像度の変化を低減または排除するのに適切な技法を実証する概略説明図。
図9C】本発明のいくつかの実施形態による、半径方向の座標の関数として、方位角方向に沿った解像度の変化を低減または排除するのに適切な技法を実証する概略説明図。
図10】本発明のいくつかの実施形態による、プリンティング・ヘッドの往復運動を確立するために有用なスクリュを有するステージの概略説明図。
図11A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された計算および実験から獲得されるような、プリンティング・ヘッドの半径方向の位置の誤差を示す図。
図11B】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された計算および実験から獲得されるような、プリンティング・ヘッドの半径方向の位置の誤差を示す図。
図11C】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された計算および実験から獲得されるような、プリンティング・ヘッドの半径方向の位置の誤差を示す図。
図12】本発明のいくつかの実施形態による、材料供給部とプリンティング・ヘッドとの間の流体経路に位置決めされているプレ・ヒータ・エレメントの概略説明図。
図13】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験において使用される実験的なセット・アップを示す図。
図14A】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験の間に獲得された実験結果を示す図。
図14B-F】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験の間に獲得された実験結果を示す図。
図14G-I】本発明のいくつかの実施形態にしたがって実施された実験の間に獲得された実験結果を示す図。
図15A-D】本発明のいくつかの実施形態による、ベクトル・スキャンによって層の中に形成された構造体の概略説明図。
図16】本発明のいくつかの実施形態による例示的なカートリッジを示す図。
図17】本発明のいくつかの実施形態によるカートリッジを含む例示的な回転式3Dプリンティング・システムを示す図。
図18】本発明のいくつかの実施形態によるカートリッジを備える例示的なカートリッジ保管部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、3次元プリンティングに関し、より具体的には、回転式の3次元プリンティングに関するが、それに限定されない。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途において、以下の説明に述べられ、および/または、図面および/もしくは実施例に図示されている、コンポーネントおよび/または方法の構成および配置の詳細に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態であることが可能であり、または、さまざまに実践もしくは実施され得る。
【0071】
ここで図面を参照すると、図1A~Dは、本発明のいくつかの実施形態による、3次元プリンティングのためのシステム10の上面図(図1Aおよび図1D)、側面図(図1B)、および等角図(図1C)を図示している。システム10は、トレイ12および複数のインクジェット・プリンティング・ヘッド16を備え、複数のインクジェット・プリンティング・ヘッド16は、各々、複数の分離されたノズルを有している。3次元プリンティングのために使用される材料は、構築材料供給システム42によってヘッド16に供給される。典型的には、ノズルは、十分な活性化エネルギーの活性化パルスに応答して、構築材料の滴をディスペンシングする。滴をディスペンシングするのに不十分なエネルギーの活性化パルスを受け取るノズルは、「ティックルされる(tickled)」と称される。トレイ12は、ディスクの形状を有することが可能であり、または、それは、環状であることが可能である。また、それらを垂直軸線周りで回転させることができることを条件として、丸くない形状も企図され得る。
【0072】
トレイ12およびヘッド16は、たとえば、トレイ12とヘッド16との間の相対的な回転運動を可能にするように装着されている。これは、(i)ヘッド16に対して垂直軸線14周りで回転するようにトレイ12を構成することによって、(ii)トレイ12に対して垂直軸線14周りで回転するようにヘッド16を構成することによって、または、(iii)垂直軸線14周りで回転するが、異なる回転速度で回転するように(たとえば、反対方向の回転)、トレイ12およびヘッド16の両方ともを構成することによって、実現され得る。下記の実施形態は、(i)トレイが、ヘッド16に対して垂直軸線14周りで回転するように構成されている回転トレイであるという構成に特に重点を置いて説明されているが、本出願は、構成(ii)および(iii)も企図することが理解されるべきである。本明細書で説明されている実施形態のうちのいずれも、構成(ii)および(iii)のいずれにも適用可能となるように調節され得、本明細書で説明されている詳細を提供される当業者は、そのような調節の仕方を知ることとなる。
【0073】
以下の説明では、トレイ12に対して平行であり、軸線14から外を向く方向は、半径方向rと称されており、トレイ12に対して平行であり、かつ、半径方向rに対して垂直な方向は、本明細書で方位角方向φと称されており、トレイ12に対して垂直な方向は、本明細書で垂直方向zと称されている。
【0074】
本明細書で使用されているように、「半径方向の位置」という用語は、軸線14から特定の距離における、トレイ12の上または上方の位置を表している。その用語が、プリンティング・ヘッドに関連して使用されるときには、その用語は、軸線14から特定の距離にあるヘッドの位置を表している。その用語が、トレイ12の上のポイントに関連して使用されるときには、その用語は、円形であるポイントの軌跡に属する任意のポイントに対応しており、その円形の半径は、軸線14からのその特定の距離であり、その円形の中心は、軸線14の位置にある。
【0075】
本明細書で使用されているように、「方位角位置」という用語は、所定の基準ポイントに対して特定の方位角度における、トレイ12の上または上方の位置を表している。したがって、半径方向の位置は、基準ポイントに対して特定の方位角度を形成する直線である、ポイントの軌跡に属する任意のポイントを表している。
【0076】
本明細書で使用されているように、「垂直方向の位置」という用語は、特定のポイントにおける、垂直軸線14と交差する平面の上方の位置を表している。
トレイ12は、3次元プリンティングのための支持構造体としての役割を果たしている。作業エリアの上で1つまたは複数のオブジェクトがプリントされ、作業エリアは、典型的には、トレイ12の合計面積よりも小さいが、必ずしもそうであるわけではない。本発明のいくつかの実施形態では、作業エリアは環状である。作業エリアは、26で示されている。本発明のいくつかの実施形態では、トレイ12は、オブジェクトの形成の全体を通して同じ方向に連続的に回転し、また、本発明のいくつかの実施形態では、トレイは、オブジェクトの形成の間に少なくとも1度(たとえば、振動するように)、回転の方向を逆にする。トレイ12は、任意選択でおよび好ましくは、除去可能である。トレイ12を除去することは、システム10のメンテナンスのためであるか、または、望まれる場合には、新しいオブジェクトをプリントする前にトレイを交換するためである可能性がある。本発明のいくつかの実施形態では、システム10には、1つまたは複数の異なる交換トレイ(たとえば、交換トレイのキット)が設けられており、2つ以上のトレイが、異なるタイプのオブジェクト(たとえば、異なる重量)、異なる動作モード(たとえば、異なる回転速度)などに関して指定されている。トレイ12の交換は、所望の通りに、手動または自動であることが可能である。自動交換が用いられるとき、システム10は、トレイ交換デバイス36を備え、トレイ交換デバイス36は、ヘッド16の下方のその位置からトレイ12を除去するために、および、交換トレイ(図示せず)によってそれを交換するように構成されている。図1Aの代表図では、トレイ交換デバイス36は、トレイ12を引っ張るように構成されている可動アーム40を備えるドライブ38として図示されているが、他のタイプのトレイ交換デバイスも企図される。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態では、ヘッド16は、半径方向rに沿って、トレイに対して往復式に移動するように構成されている。ヘッド16のノズル・アレイの長さが、トレイ12の上の作業エリア26の半径方向に沿った幅よりも短いときに、これらの実施形態は有用である。半径方向に沿ったヘッド16の運動は、任意選択でおよび好ましくは、コントローラ20によって制御される。半径方向に沿ってヘッド16を移動させるために適切なメカニズムの代表図が、図1Dに図示されている。図1Dに示されているのは、半径方向に沿ったヘッド16の往復運動を確立するように配置されているステージ52(図10)の上に装着されているヘッド16である。ヘッド16は、54で示されている可撓性の通信ラインを介して、供給部42およびコントローラ20(図1Dには図示せず)と通信することが可能である。
【0078】
プリンティング・ヘッド16に関して例示された実施形態が、図2Aおよび図2Cに図示されており、1つのノズル・アレイ22(図2A)および2つのノズル・アレイ22(図2B)を備えたプリンティング・ヘッド16を示している。アレイの中のノズルは、好ましくは、直線に沿って、線形に整合させられている。特定のプリンティング・ヘッドが2つ以上のリニア・ノズル・アレイを有する実施形態では、ノズル・アレイは、任意選択でおよび好ましくは、互いに平行であることが可能である。
【0079】
典型的には、すべてのプリンティング・ヘッド16は、それらの方位角位置が互いに対してオフセットされている状態で、半径方向に配向されている(半径方向に平行になっている)が、必ずしもそうであるわけではない。したがって、これらの実施形態では、異なるプリンティング・ヘッドのノズル・アレイは、互いに平行になっておらず、むしろ、互いに対してある角度になっており、その角度は、各々のヘッド間の方位角オフセットにおおよそ等しい。たとえば、1つのヘッドが、半径方向に配向され、方位角位置φに位置決めされ得、別のヘッドが、半径方向に配向され、方位角位置φに位置決めされ得る。この例では、2つのヘッドの間の方位角オフセットは、φ-φであり、2つのヘッドのリニア・ノズル・アレイの間の角度も、φ-φである。
【0080】
いくつかの実施形態では、2つ以上のプリンティング・ヘッドが、プリンティング・ヘッドのブロックへと組み立てられ得、そのような場合には、ブロックのプリンティング・ヘッドは、典型的には、互いに平行になっている。いくつかのインクジェット・プリンティング・ヘッド16a、16b、16cを含むブロックが、図2Cに図示されている。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態では、大気圧力より低い空気の所定の気圧が、ヘッド16の中の液体レベルの上方で維持されている。ノズルからの重力による漏出を防止するために、取り囲む雰囲気に対して特定の真空レベル、たとえば-60mm水圧が、ヘッド16の中に継続的に維持され得る。実際には、圧力差の維持のためのメカニズムは、たとえば±5%の公差を提供することが可能である。別の例では、圧力差の維持のためのメカニズムは、±5mm水圧の公差を提供することが可能である。
【0082】
必要とされる真空レベルを維持するために、双方向ポンプ(図示せず)が、ヘッド16の材料チャンバと雰囲気との間に設置され得る。ポンプは、ヘッド16のチャンバから雰囲気へ空気を移動させることが可能であり、それによって、ヘッドの中の真空を高める。逆に、双方向ポンプは、雰囲気からヘッド16の中へ空気を移動させることが可能であり、それによってヘッドの中の圧力を高め、すなわち、そこでの真空を低減させる。好ましくは、ヘッド16は、ヘッド16の内側と外側の雰囲気との間の圧力差を測定する圧力センサ(図示せず)を備える。コントローラ20は、現在の圧力データを圧力センサから受け取り、また、ヘッドの中の所定のレベルの真空を維持するために、ポンプを作動させることが可能である。
【0083】
動作時に、ヘッドの中の圧力と基準環境大気圧との間の圧力差が測定される。圧力差は、任意選択でおよび好ましくは、所望の相対圧力または圧力レンジと比較される。比較は、たとえば、コントローラ20によって実施され得る。測定される圧力差が、所望の相対圧力、または、所望の圧力差レンジよりも低い場合には、ポンプは、好ましくは、空気をチャンバに加えるために活動状態にされる。測定される圧力差が、所望の相対圧力、または、所望の圧力差レンジよりも高い場合には、ポンプは、空気をチャンバから除去するために活動状態にされ得る。測定される圧力差が、所望の相対圧力に等しいこと、または、所望の相対圧力に十分に近い(所定の圧力差レンジ内にある)ことが見出された場合には、ポンプは、任意選択でおよび好ましくは、動作していない状態に維持され、それによって、ポンプが周囲の雰囲気とヘッドの内側との間の空気の通路を遮断するバルブとしての役目を果たすことを効果的に引き起こす。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態では、構築材料は、プリンティング・ヘッドに進入する前に、構築材料およびプリンティング・ヘッドにとって適切な作業温度まで予熱される。予熱は、好ましくは、加熱に加えて、当技術分野で知られているように、プリンティング・ヘッドの中で達成される。予熱は、プレ・ヒータ・エレメント160によって実現され得、プレ・ヒータ・エレメント160は、図12に図示されているように、材料供給部42とヘッド16との間の流体経路に位置決めされている。プレ・ヒータ・エレメント160は、好ましくは、ヘッド16から間隔を離して配置されており、導管162を介して供給部42に流体連通しており、また、導管164を介してヘッド16に流体連通している。これは、プレ・ヒータがプリンティング・ヘッドの上に装着されている従来の3Dプリンティング・システムとは異なっている。導管162には、任意選択でおよび好ましくは、ポンプ170が設けられており、ポンプ170は、供給部42からプレ・ヒータ160の中へ、また、プレ・ヒータ160からヘッド16の中へ、構築材料の流れを発生させるように構成されている。ポンプ170は、好ましくは、コントローラ20によって制御される。
【0085】
本発明のさまざまな例示的な実施形態では、プレ・ヒータ・エレメント160は、静止しており、すなわち、それは、たとえば、ヘッド16とともに移動することが許容されない。プレ・ヒータ・エレメント160は、限定ではないが、抵抗加熱、放射加熱、および対流加熱を含む、任意のタイプの加熱技法を用いることが可能である。好ましくは、システム10は、流体引き戻しループ166を備え、流体引き戻しループ166は、制御可能に、導管164から、また、任意選択でおよび好ましくはヘッド16から、プレ・ヒータ・エレメント160または供給部42の中へ、構築材料が引き戻されることを可能にするためのものである。流体引き戻しループ166は、ループ166の中の流れを制御するためのポンプ168を備えることが可能である。ポンプ168は、好ましくは、コントローラ20によって制御される。代替的に、ポンプ170は、双方向ポンプであることが可能であり、そのような場合には、プレ・ヒータ・エレメント160の中へ戻る構築材料の引き戻しは、ポンプ170の動作を逆にすることによって達成され得る。これらの実施形態では、システム10がポンプ168を含むことは必要でない。
【0086】
図12は、導管164から分離されている導管を有するものとして、流体引き戻しループ166を図示している。これらの実施形態では、構築材料がループ166の中を流れて戻るときに、プレ・ヒータ・エレメント160の中への構築材料の進入が、好ましくは、たとえば、制御可能なバルブ(図示せず)によって防止され、制御可能なバルブは、たとえば、プレ・ヒータ160の出口ポート172において、導管164の上に装着され得る。しかし、いくつかの実施形態では、構築材料が別々の導管によって引き戻されることは必要でない可能性がある。たとえば、ポンプ170が双方向であるときには、ループ166は、導管164の中の逆流として実現化され得る。この実施形態では、引き戻しのために別々の導管を有することは必要でなく、また、導管164の上に装着されたバルブを有することは必要でない。
【0087】
ヘッド16が動作しているときには、ポンプ170(または、用いられている場合には、ポンプ168)は、典型的には、構築材料が導管164から引き戻すことを可能にしない。ポンプ170が動作していないときには、たとえば、オペレータまたはコントローラ20が、(たとえば、材料カートリッジを交換する目的のために)プリンティング・プロセスを一時的に中断するときには、ヘッド16はアイドル状態になっている。アイドル時間間隔が十分に長い場合には、すでに導管164の中にある構築材料は、環境へ熱を失い、上述の作業温度を下回る構築材料の温度の減少を結果として生じる可能性がある。アイドル時間間隔の終わりに、および、ヘッド16の再活性化の前に、コントローラ20は、好ましくは、ポンプ168を活動状態にし、または、ポンプ170の動作方向を逆にし、導管164からプレ・ヒータ160の中へ構築材料を引き戻す。引き戻された構築材料は、プレ・ヒータ160の中で再加熱される。引き戻しプロセスは、好ましくは、構築材料が導管164の中に残っていなくなるまで継続する。その後に、コントローラ20は、ポンプ170の動作方向を再び逆にすることが可能であり(または、引き戻しがポンプ168によって行われる場合には、ポンプ170の動作を再開させ、ポンプ168の動作を終了させ)、再加熱された構築材料は、導管164を介してヘッド16の中へ給送される。
【0088】
いくつかの実施形態では、システム10は、サポート構造体30を備え、サポート構造体30は、トレイ12がサポート構造体30とヘッド16との間になるように、ヘッド16の下方に位置決めされている。サポート構造体30は、インクジェット・プリンティング・ヘッド16が動作する間に起こり得るトレイ12の振動を防止または低減させるための役割を果たすことが可能である。プリンティング・ヘッド16が軸線14周りで回転する構成では、サポート構造体30も、好ましくは、(ヘッド16とトレイ12との間にトレイ12がある状態で)サポート構造体30が常にヘッド16の真下になるように回転する。
【0089】
動作時に、システム10は、好ましくは、トレイ12が実質的に水平方向になるように(たとえば、10°未満、もしくは、5°未満、もしくは、4°未満、もしくは、3°未満、もしくは、2°未満、もしくは、1°未満、もしくは、0.5°未満、または、それ以下の、水平方向からの偏差を伴って)、表面の上に設置されている。いくつかの実施形態では、システム10は、1つまたは複数のアルコール水準器44を備え、1つまたは複数のアルコール水準器44は、システム10のシャーシ46のエンクロージャの上の1つまたは複数の場所に装着されている。任意選択でおよび好ましくは、アルコール水準器44は、コントローラ20と通信する電子デバイスである。これらの実施形態では、エンクロージャまたはシャーシ46の水平方向からの偏差が所定の閾値を上回るときには、コントローラ20は、警報信号を出すことが可能である。また、アルコール水準器44から受信した信号に応答可能に、コントローラ20がドライブ48に信号を送信し、水平方向からの偏差が検出されるときには、エンクロージャまたはシャーシ46を自動的に水平にするようになっている実施形態も企図される。
【0090】
インクジェット・プリンティング・ヘッド16の動作、また、任意選択でおよび好ましくは、システム10の1つまたは複数の他のコンポーネントの動作、たとえば、トレイ12の運動は、コントローラ20によって制御される。コントローラは、電子回路、および、回路によって読み取り可能な不揮発性のメモリ媒体を有することが可能であり、メモリ媒体は、プログラム命令を記憶しており、プログラム命令は、回路によって読み取られるときに、下記にさらに詳述されているように、回路が制御動作を実施することを引き起こす。
【0091】
また、コントローラ20は、ホスト・コンピュータ24と通信することが可能であり、ホスト・コンピュータ24は、たとえば、Standard Tessellation
Language(STL)もしくはStereo Lithography Contour(SLC)フォーマット、Virtual Reality Modeling
Language(VRML)、Additive Manufacturing File(AMF)フォーマット、Drawing Exchange Format(DXF)、Polygon File Format(PLY)、または、Computer- Aided Design(CAD)にとって適切な任意の他のフォーマットの形態のコンピュータ・オブジェクト・データに基づいて、制作命令に関連するデジタル・データを送信する。オブジェクト・データ・フォーマットは、典型的には、デカルト座標系にしたがって構築されている。これらの場合では、コンピュータ24は、好ましくは、コンピュータ・オブジェクト・データの中の各々のスライスの座標をデカルト座標系から極座標系へ変換するための手順を実行する。コンピュータ24は、任意選択でおよび好ましくは、変換された座標系の観点から、制作命令を送信する。代替的に、コンピュータ24は、コンピュータ・オブジェクト・データによって提供されるような元の座標系の観点から、制作命令を送信することが可能であり、そのような場合には、座標の変換は、コントローラ20の回路によって実行される。
【0092】
システム10が2つ以上のオブジェクト(または、同じオブジェクトの2つ以上の分離されたパーツ)をトレイ12の上でプリントするときには、コンピュータ24、または、コントローラ20の回路は、本発明のいくつかの実施形態では、トレイ12の上の複数の場所を自動的に決定することが可能である。次いで、コントローラ20は、決定された場所にオブジェクトをプリントするように、プリンティング・ヘッド16に信号を送ることが可能である。オブジェクトがプリントされるトレイ12の上の場所は、最適化手順を実行することによって決定され得、最適化手順は、トレイ12の上のオブジェクトの異なる配置をシミュレートし、また、所定の基準または所定の基準のセットにしたがって、配置の1つ(典型的には、できる限り最高の配置)を選ぶ。
【0093】
たとえば、1つの基準によれば、オブジェクトは、トレイのバランスをとるように、トレイ12の上に配置される。プリントされることとなるオブジェクトが比較的に重く、その結果、それらの重量がトレイ12のバランスに影響を及ぼし得るときに、この基準は、とりわけ適用可能である。代表的な例として、システム10が比較的に重くて同様の重量を有する2つのオブジェクトをプリントするときには、コントローラ20またはコンピュータ24は、それらの場所がトレイの中心に対して概して正反対になること、および、好ましくは作業エリアの周囲部の近くに、概して同じ半径方向の位置になる(すなわち、軸線14から同様の距離にある)ことを決定することが可能であり、また、システム10が比較的に重くて同様の重量を有する3つのオブジェクトをプリントするときには、コントローラ20またはコンピュータ24は、それらの場所が、互いから約120°離れている3つの方位角位置にあり、かつ、好ましくは作業エリアの周囲部の近くに、概して同じ半径方向の位置にあることを決定することが可能である。
【0094】
別の基準によれば、より多くのオブジェクトが、軸線14の近くにというよりも、軸線14から遠くにプリントされる。プリントされることとなるオブジェクトの数が2つよりも大きいときに、この基準は、とりわけ適用可能であるが、2つのオブジェクトの場合に関しても適用され得る。代表的な例として、システム10がn個のオブジェクトをプリントするときには、コントローラまたはコンピュータは、最初に、作業エリアの周囲部の上に、隣接するオブジェクト間で重複なしにおよび十分な距離を持って、すべてのオブジェクトを配置させることを試みる。すべてのオブジェクトが、隣接するオブジェクト間に十分な距離を持って作業エリアの周囲部を占有することができるわけではない場合には、コントローラまたはコンピュータは、(繰り返しになるが、隣接するオブジェクト間で重複なしにおよび十分な距離を持って)作業エリアの周囲部の上にn-1個のオブジェクトを配置させ、かつ、より軸線14の近くに1個のオブジェクトを配置させることを試みることなどをする。
【0095】
最適化手順は、任意選択でおよび好ましくは、1つまたは複数の最適化ウェイト(重力に起因する物理的なウェイトと混同されるべきではない)を各々のオブジェクトに割り当て、オブジェクトのさまざまな配置をシミュレートし、各々のシミュレートされた配置に関して全体的な最適化スコアを計算し、その最適化スコアに基づいて配置を選択することが可能である。典型的には、ウェイトは、特定のオブジェクトが作業エリアの周囲部においてプリントされることが好ましいことを定量化する数値を有するが、必ずしもそうであるわけではない。各々の特定の配置に関して、オブジェクト最適化スコアが、各々のオブジェクトに関して計算され得、次いで、すべてのオブジェクト最適化スコアが組み合わせられ得る(たとえば、足し合わせられる、掛け合わせられる)。特定の配置に関する最適化スコアは、少なくとも部分的に、組み合わせられたオブジェクト最適化スコアに基づいて、また、任意選択で、他の基準(たとえば、異なるオブジェクトの場所の間の空間的関係)に基づいて、計算され得る。
【0096】
オブジェクト最適化スコアは、特定の配置に関して、各々のオブジェクトの数値的なウェイトを、軸線14からのオブジェクトの距離を表すパラメータと組み合わせる(たとえば、足し合わせる、掛け合わせる)ことによって、計算され得る。したがって、いくつかのシミュレートされた配置において、(作業エリアの周囲部にオブジェクトをプリントすることが望まれることを示す)高いウェイトを有するオブジェクトが作業エリアの周囲部に設置されているときには、このオブジェクトに関するオブジェクト最適化スコアは高い。他方では、いくつかのシミュレートされた配置において、高いウェイトを有するオブジェクトが作業エリアの周囲部に設置されていないときには、このオブジェクトに関するオブジェクト最適化スコアは低い。
【0097】
また、本発明のいくつかの実施形態では、コンピュータ24、または、コントローラ20の回路は、最適化手順を実行することが可能であり、最適化手順は、システムの中に(たとえば、供給部42の中に)存在する全体的な構築材料に関連するデータを受け取り、オブジェクトをプリントするために必要とされる材料の量を計算する。オブジェクトをプリントするために必要とされる材料の量が、供給部42の中に存在する材料の量よりも大きいときに、本発明の実施形態のコントローラ20は警報を出す。
【0098】
座標の変換は、回転しているトレイの上での3次元プリンティングを可能にする。従来の3次元プリンティングでは、プリンティング・ヘッドは、静止しているトレイの上方を直線に沿って往復式に移動する。そのような従来のシステムでは、ヘッドのディスペンシング・レートが均一であることを条件として、プリンティング解像度は、トレイにわたる任意のポイントにおいて同じである。従来の3次元プリンティングとは異なり、ヘッド・ポイントのすべてのノズルが、同時に、トレイ12にわたって同じ距離をカバーするわけではない。座標の変換は、任意選択でおよび好ましくは、異なる半径方向の位置において、等しい量の過剰材料を確実にするように実行される。本発明のいくつかの実施形態による座標変換の代表的な例が、図3A~Fに提供されており、それは、オブジェクトの3つのスライスを示しており(各々のスライスは、オブジェクトの異なる層の制作命令に対応している)、図3A図3C、および図3Eは、デカルト座標系におけるスライスを図示しており、図3B図3D、および図3Fは、各々のスライスに対して座標の変換手順を適用した後の同じスライスを図示している。
【0099】
典型的には、コントローラ20は、制作命令に基づいて、および、下記に説明されているように記憶されているプログラム命令に基づいて、システム10の各々のコンポーネントに印加される電圧を制御する。
【0100】
一般的に、コントローラ20は、トレイ12の回転の間に構築材料の液滴を積み重ねてディスペンシングするように、プリンティング・ヘッド16を制御し、トレイ12の上に3次元のオブジェクトをプリントするようになっている。
【0101】
インクジェット・プリンティング・ヘッドは、インクジェット技術によって構築材料の層をディスペンシングする。プリンティング・ヘッドの各々は、異なる構築材料をディスペンシングするように構成され得る。特定のプリンティング・ヘッドが2つ以上のノズル・アレイを備えるときには、各々のノズル・アレイは、異なる構築材料をディスペンシングするように構成され得る。したがって、異なるターゲット場所は、異なる構築材料によって占有され得る。構築材料のタイプは、2つの主なカテゴリ、すなわち、モデリング材料およびサポート材料に分類され得る。
【0102】
サポート材料は、製作プロセスの間に、および/または、たとえば、中空のオブジェクトまたは多孔性のオブジェクトを提供することなど、他の目的の間に、オブジェクトまたはオブジェクト・パーツを支持するための支持マトリックスとしての役割を果たす。サポート材料は、好ましくは、水分散性であり、オブジェクトの積み上げが完了したときにその除去を容易にする。サポート材料は、好ましくは、液体の形態でディスペンスされ、また、それに限定されないが、電磁放射線(たとえば、紫外線放射線、可視光放射線、赤外線放射線)、および電子ビーム放射線などのような、放射線によって硬化可能である。ワックス成分、および、任意選択で、また、粘度調整成分を含むサポート材料も企図される。これらのタイプのサポート材料は、システム10のインクジェット・プリンティング温度において、液体の形態になっており、ディスペンスされた後に冷却されると固化し、放射線による硬化を必要としない。
【0103】
モデリング材料は、一般的に、インクジェット技術において使用するために処方された組成物であり、その組成物は、3次元のオブジェクトをそれ自身の上に形成することができ、すなわち、任意の他の物質と混合または組み合わせられる必要がない。モデリング材料は、好ましくは、液体の形態でディスペンスされ、また、それに限定されないが、電磁放射線(たとえば、紫外線放射線、可視光放射線、赤外線放射線)、および電子ビーム放射線などのような、放射線によって硬化可能である。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、サポート材料およびモデリング材料の両方が、同じタイプの放射線を使用して硬化可能である。
システム10によって製作される最終的な3次元のオブジェクトは、モデリング材料、もしくは、モデリング材料およびサポート材料の組み合わせ、または、(たとえば、硬化に続く)組み合わせの修正体から作製されている。
【0105】
好ましくは、ディスペンシング・ノズルの半分がサポート材料をディスペンシングするように指定され、かつ、ディスペンシング・ノズルの半分がモデリング材料をディスペンシングするように指定されるように、ディスペンシング・ノズルまたはノズル・アレイの全体的な数は選択されるが、それは義務的ではない。図2Cの代表的な例では、ヘッド16aおよび16bの各々は、1つのノズル・アレイを有しており、一方、ヘッド16cは、2つのノズル・アレイを有している。この例では、ヘッド16aおよび16bは、モデリング材料に指定され得、ヘッド16cは、サポート材料に指定され得る。したがって、ヘッド16aは、第1のモデリング材料をディスペンシングすることが可能であり、ヘッド16bは、第2のモデリング材料をディスペンシングすることが可能であり、ヘッド16cは、サポート材料をディスペンシングすることが可能である。代替的な実施形態では、ヘッド16cは、たとえば、各々が単一のノズル・アレイを有する、2つの物理的に別々の構造体を備えることが可能である。この実施形態では、2つの構造体の各々は、ヘッド16aおよび16bと物理的に同様であることが可能である。
【0106】
一般的に、モデリング・ヘッドの数、サポート・ヘッドの数、および、各々のヘッドの中のノズルの数は、サポート材料の最大ディスペンシング・レートとモデリング材料の最大ディスペンシング・レートとの間で、所定の比率aを提供するように選択される。所定の比率aの値は、好ましくは、各々の製作される層において、モデリング材料の高さがサポート材料の高さに等しくなることを確実にするように選択される。aに関する典型的な値は、約0.6から約1.5である。
【0107】
たとえば、a=1に関して、すべてのモデリング・ヘッドおよびサポート・ヘッドが動作するときに、サポート材料の全体的なディスペンシング・レートは、モデリング材料の全体的なディスペンシング・レートと概して同じである。
【0108】
好適な実施形態では、p個のノズルのm個のアレイを各々有するM個のモデル・ヘッド、および、q個のノズルのs個のアレイを各々有するS個のサポート・ヘッドが存在しており、M×m×p=S×s×qになっている。M×mモデリング・アレイおよびS×sサポート・アレイの各々は、別々の物理的なユニットとして製造され得、それは、アレイのグループから組み立ておよび分解され得る。この実施形態では、各々のそのようなアレイは、任意選択でおよび好ましくは、それ自身の温度コントローラおよび材料レベル・センサを備え、その動作に関して、個別に制御された電圧を受け取る。
【0109】
ディスペンシングするために各々のプリンティング・ヘッドの各々のノズル・アレイに搬送される材料のタイプは、任意選択でおよび好ましくは、コントローラ20によって制御される。たとえば、コントローラ20は、第1のヘッドの1つのノズル・アレイに第1のモデリング材料を供給するように、および、第1のヘッドの別のノズル・アレイにサポート材料を供給するように、構築材料供給システム42に信号を送ることが可能である。また、コントローラ20は、第1のヘッドの1つのノズル・アレイに第1のモデリング材料を供給し、第1のヘッドの別のノズル・アレイにサポート材料を供給し、第2のヘッドの1つのノズル・アレイに第2のモデリング材料を供給するように、システム42に信号を送ることが可能である。代替的に、コントローラ20は、別のヘッドのノズル・アレイにサポート材料を供給するように、システム42に信号を送ることが可能である。また、コントローラ20は、第1のヘッドの1つのノズル・アレイに第1のモデリング材料を供給し、第1のヘッドの別のノズル・アレイにサポート材料を供給し、第2のヘッドの1つのノズル・アレイに第2のモデリング材料を供給し、第2のヘッドの別のノズル・アレイに第3のモデリング材料を供給するなどのように、システム42に信号を送ることが可能である。
【0110】
トレイ12および/またはプリンティング・ヘッド16は、垂直軸線14に対して平行に、垂直方向zに沿って移動するように構成されており、トレイ12とプリンティング・ヘッド16との間の垂直方向の距離を変化させるようになっている。垂直方向に沿ってトレイ12を移動させることによって垂直方向の距離が変化させられる構成では、サポート構造体30も、好ましくは、トレイ12とともに垂直方向に移動する。トレイ12の垂直方向の位置を固定した状態に維持しながら、垂直方向の距離がヘッド16によって垂直方向に沿って変化させられる構成では、サポート構造体30も、固定された垂直方向の位置に維持されている。
【0111】
垂直方向の運動は、垂直方向のドライブ28によって確立され得る。ある層が完了されると、トレイ12とヘッド16との間の垂直方向の距離が、その後にプリントされることとなる層の所望の厚さにしたがって、所定の垂直方向の工程によって増加させられ得る(たとえば、トレイ12が、ヘッド16に対して下げられる)。層状に3次元のオブジェクトを形成するために、その手順が繰り返される。
【0112】
本発明の実施形態のシステムは、所与の数のモデリング材料、および/または、製作されているオブジェクトの一部を構成することを意図する材料から、モデリング材料を選択することを可能にし、選択された材料の所望の組み合わせを規定し、および、層の中でのそれらの堆積(組み合わせられているか、または、分離している)の「空間的な場所」を規定し、したがって、さまざまな材料属性または特性を有する、幅広い材料の形成(すなわち、材料の組み合わせ)を可能にし、また、オブジェクトの製作を可能にし、そのオブジェクトは、オブジェクトの異なるパーツにおいて、オブジェクトの各々のパーツを特徴付けるために望まれる特性にしたがって、モデリング材料の複数の異なる組み合わせから構成され得る。
【0113】
3次元のオブジェクトは、CADソフトウェアなどのような、適切なソフトウェアを使用して作成され得、それは、上記にさらに詳述されているような、CADに適切なポータブル・ファイル・フォーマットによって、仮想オブジェクトをシステム10にエクスポートする。ユーザは、製作されることとなる仮想オブジェクトを、いくつかの別々のパーツまたは領域に分割またはスプリットすることが可能である。したがって、オブジェクトの中の領域は、互いに交差しない1つまたは複数の閉じた表面の中に閉じ込められたオブジェクトのサブ・ボリュームである。
【0114】
仮想オブジェクトの区分けは、異なるモデリング材料、または、モデリング材料組み合わせもしくは構造を、異なる領域に割り当てることを可能にするために行われる。いくつかの実施形態では、異なる領域は、異なるデータ・ファイル、または、データ・ファイルの異なるパーツとして保存され、すべてのファイル、または、ファイルのすべてのパーツは、同じ軸系および原点を参照している。別々の領域への分割のプロセス、および、データ・ファイルへのそれらの変換は、当技術分野で一般的に知られているように、たとえば、マテリアライズ エヌ ブイ(Materialise N.V.)に譲渡された米国特許第5,768,134号明細書に一般的に説明されているように、実施され得る。したがって、領域またはデータ・ファイルのグループは、全体的なオブジェクトまたはその全体的なパーツを作り上げることが可能である。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態では、モデリング材料の堆積は、そのように画定された領域、たとえば、使用されることとなる特定のモデリング材料、および、それらの組み合わせにしたがって決定され、ならびに/または、領域の中の空間的な堆積は、ソフトウェアの中で画定され、オブジェクト層の中の領域自身の空間的な画定も同様であり、すべてが、最終的なオブジェクトの各々のパーツに関して望まれる所定の特性にしたがっている。典型的には、領域属性の定義、たとえば、モデリング材料のタイプ、および、所与の領域の中のそれらの組み合わせは、領域への仮想オブジェクトの区分けのときに、または、その区分けの後に、ソフトウェアによって定義され得る。好適な実施形態では、任意の所与の領域に関して、システム10のユーザまたはオペレータは、たとえば、ユーザ・インターフェースを介して、定義を導入することが可能である。たとえば、オペレータは、特定の領域を選択することが可能であり、また、各々の領域に関して望まれる特性にしたがって、そのように画定された領域に関するモデリング材料および/または材料組み合わせを選択することが可能である。これの例は、領域の周囲部または境界に関して、1つのモデリング材料または材料組み合わせを画定し、その残りに関して、異なる材料または材料組み合わせを画定することである。これの有用な例は、大部分は硬質の材料によって、しかし、上皮は軟質の材料によって、オブジェクトをプリントすることである。
【0116】
異なる特性を有する異なるモデリング材料の組み合わせは、異なる領域において堆積させられるように、ディスペンスされる材料のものとは異なる特性を有する複合材料を生成させるように、または、それらの特性の組み合わせを示すように、選択され得る。結果として生じる特性は、ディスペンスされる材料の組み合わせおよび/または相対的な量によって異なり得る。異なる組み合わせにおいて使用されることとなる材料、および、それらの組み合わせの構造、たとえば、空間的な/相対的な堆積は、オブジェクト、またはオブジェクトのパーツを形成する最終的な複合材料の中に実現されることが望まれる特性にしたがって、事前に決定され得る。
【0117】
したがって、本発明のいくつかの実施形態によれば、結果として生じるオブジェクトは、オブジェクト自身の中で異なる特性、たとえば、オブジェクトの一方の側から別の側へ増加もしくは減少する特性、または、オブジェクトの中で交互になる特性を有することが可能である。たとえば、硬化の後にリジッドになる1つのモデリング材料、および、硬化の後に可撓性または弾性的になる別のモデリング材料を選択することは、オブジェクトのいくつかのパーツが他のパーツよりもリジッドであるか、いくつかのパーツが他のパーツよりも可撓性であるか、または、オブジェクトが、たとえば、外側および中心ではリジッドであるが、その他の場所では可撓性であることが可能である、複合材料オブジェクトを結果として生じさせることが可能である。たとえば、可撓性の材料の量よりも大きい量のリジッドな材料がディスペンスされる場合には、製作されるオブジェクト材料は、選択されたリジッドな材料よりもリジッドでないが、選択された可撓性の材料ほど可撓性でもない。したがって、製作されるオブジェクトの異なる領域は、異なる材料特性を有することが可能であり、ここで、領域は、層、層の一部、または、いくつかの層、たとえば、層の水平方向のブロック、または、他の構造的配置であることが可能であり、したがって、材料特性は、層の中で、または、層の異なるブロック間で、異なっていることが可能である。また、複合材料は、いくつかの異なる色付きの材料の相対的な量および空間的なディスペンシングに応じて、複合材料の全体を通して異なる色を有することが可能である。
【0118】
異なるタイプのモデリング材料が、製作されるオブジェクトの中で、別々のままおよびはっきり区別できるままであることが可能であり、または、それらは、製作プロセスの間に混合され得る。単一の材料モードにおいて、たとえば、2つのモデリング材料が使用される場合には、材料自身は、単一の材料へと組み合わさることが可能であり、または、それらは、各々の材料がはっきり区別できるままであるように堆積させられ得るが、しかし、互いに隣り合う材料の液滴の中のそれらの均一な堆積が均一で均質な混合を形成する。マルチ材料モードでは、2つ以上のモデリング材料が、パーツまたは領域の中に個別にディスペンスされるように選択され得、および/または、他の中に組み合わせられ得、ここで、組み合わせは、異なる特定のターゲット場所、またはターゲット場所のグループの中に、相対的な量の各々の材料をディスペンシングすることによって、または、同じグループのターゲット場所の中に2つ以上のタイプのモデリング材料をディスペンシングすることによって、行われ得る。
【0119】
層またはその一部分当たりにディスペンスされる異なるモデリング材料の相対的な量は、オブジェクトの製作の間に、とりわけ、非均一な特性または異方性特性を有するオブジェクトを製作することが望まれるときに、コントローラ20によって動的に変化させられ得る。コントローラ20は、好ましくは、相対的な量を記載しているデジタル・データをコンピュータ24から受け取り、データにしたがって個々のディスペンシング・レートのディスペンシング・レートを制御する。相対的な量の変化は、連続的にまたは離散的に行われ得る。
【0120】
2つ以上の異なるモデリング材料を利用する本発明の実施形態のシステムの能力は、従来の固体自由形状造形技法においてこれまで可能であったものよりもますます多くのさまざまな材料を固体自由造形において使用することを可能にし、また、最終的なオブジェクト、および/または、獲得されることが望まれるオブジェクト特性にしたがって、複数の材料を組み合わせる多くの異なる可能性を提供することを可能にする。
【0121】
たとえば、重合化プロセスの結果として収縮する傾向がより大きい構築材料は、通常、伝統的な固体自由形状造形装置の中で使用するのに適切でない。本発明の実施形態のシステムは、この問題に対する解決策を有用に提供する。たとえば、本発明の実施形態のシステムは、パーツまたはオブジェクトの外側の表面が1つの材料から作製されているが、一方、パーツまたはオブジェクトの残りの部分は異なる材料からなる、パーツまたはオブジェクトを製作することが可能である。この例では、内部領域は、機械的な強度を欠くが、たとえば、中空のオブジェクトを生成させるために、容易に除去可能である、または、灰もしくは他の痕跡を残すことなく容易に焼かれるなどの、他の望ましい特性を有する材料、たとえばゲルまたは液体などから製作され得る。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態では、2つ以上のモデリング材料がディスペンスされ得、ここで、材料のうちの一方または両方は、所望のオブジェクトの構築を可能にするために必要とされる特性を有していなくてもよい。2つの材料の組み合わせは、機能的なモデリング材料を提供することが可能である。たとえば、材料の一方は、製作プロセスの間に固化するのではなく、液体、ゲル、ペースト、または、他の非固体もしくは半固体の形態のままであることが可能であり、一方、他の材料は、製作プロセスの間に固化する。固化された材料は、固化されていない材料を「含む」ことが可能であり、または、代替的に、固化されていない材料は、中空のまたは多孔性のモデルを提供するために、プロセスが完了すると、排出されるか、焼き尽くされるか、または、そうでなければ除去され得る。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態では、2つ以上のモデリング材料がディスペンスされ得、ここで、1つの材料は、単独で使用される場合には乏しい鮮明度および低いプリンティング品質を有するオブジェクトを作り出すこととなるとき、特定のシステムの中でモデリング材料において使用されるには低過ぎる反応性を有し得、一方、別の材料は、適当な反応性を有している。この例では、UV硬化可能配合物(formulation)の基礎的な特性のうちの1つは、UV放射線に対するその反応性であることが留意され得る。反応性は、一般的に、モノマー、オリゴマー、光開始剤、および光開始剤濃度の適切な組み合わせによって獲得される。アクリル・モノマーおよびアクリル・オリゴマーは(メタクリルとは対照的に)、それらの比較的に高い固有反応性に起因して特に適当であり、それは、アクリル配合物が、光開始剤の比較的に低い濃度を使用することが可能であることを意味している。メタクリル成分の比較的に低い固有反応性に起因して、配合物の準備においてそれらを使用することはかなり困難である。配合物の反応性の欠如は、そのプリンティング品質に直接的に影響を及ぼす。低い反応性を有する配合物の使用は、不明確なおよび不正確なエッジおよび/または表面を備えるオブジェクトを作り出すこととなる。
【0124】
メタクリル成分は、一般的に、アクリル成分よりも低い収縮比率および高いTg(ガラス転移温度)などのような、価値のある特性を有しているが、しかし、それらは、アクリル成分よりも低い反応性を有している。この問題は、本発明のシステムを使用して解決され得、本発明では、たとえば、アクリル配合物など、高い反応性を有する1つのモデリング材料が使用され、かつ、たとえば、メタクリル配合物など、低い反応性を有する別のモデリング材料も使用されている。高い反応性の配合物は、各々の層の中で、低い反応性の配合物を取り囲むように使用され得、したがって、オブジェクトの表面は、反応性の配合物から構成されることとなり、また、オブジェクトのコアは、低い反応性の配合物から構成されることとなる。結果として、オブジェクトの周囲部の品質が確保される。その理由は、この特質は、高い反応性を要求するからである(周囲部の品質は、壁部の滑らかさおよびエッジ・シャープネスからなる)。収縮によって引き起こされる大部分の変形が最小化されるので、オブジェクトの精度も確保される。このように、低い反応性成分の価値のある特性が活用され得る。たとえば、UVカチオン重合性開始配合物(UV cationically initiated polymerizable formulations)などを含む、他のタイプの低い反応性の配合物も使用され得る。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態では、プリンティング・ヘッドのうちの1つまたは複数のノズル・アレイは、軸線14に対して異なる距離にあるノズルが、相違するディスペンシング・レートで構築材料をディスペンシングするように構成されている。好ましくは、より軸線14の近くにある(または、トレイ12の中心の近くにある)ノズルは、より軸線14から遠くにあるノズルよりも低いディスペンシング・レートで、構築材料をディスペンシングする。この構成は、軸線14からの異なる距離における異なる線形速度の影響を低減または排除するので有利である。
【0126】
異なるディスペンシング・レートが、2つ以上の方式で確実にされ得る。
本発明のいくつかの実施形態では、ノズルのアパーチャの直径は、同じノズル・アレイの異なるノズルの間で異なっている。たとえば、ノズルのアパーチャの直径は軸線14からのノズルの距離の増加関数であり得、同じアレイのノズルの任意の対に関して、より軸線14の近くにあるノズルのアパーチャが、より軸線14から遠くにあるノズルのアパーチャよりも小さくなるようになっている。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態では、ノズルのアパーチャの直径は、同じノズル・アレイのすべてのノズルに関して同じになっているが、ノズルは、コントローラ20によって個別に制御される。これらの実施形態では、コントローラ20は、同じアレイの異なるノズルに異なる電圧レベルを印加し、同じアレイの中の異なるノズルに関して異なるディスペンシング・レートを確実にするようになっている。好ましくは、コントローラ20は、より軸線14の近くにあるノズルが、より軸線14の遠くにあるノズルよりも低いディスペンシング・レートで、構築材料をディスペンシングするように、印加される電圧を選択する。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態では、ノズルのアパーチャの直径は、同じノズル・アレイの異なるノズルの間で異なっており、ノズルは、コントローラ20によって個別に制御される。これらの実施形態では、異なるディスペンシング・レートは、アパーチャの異なるサイズによって確実にされ、また、コントローラ20によって印加される電圧の賢明な選択によってさらに確実にされる。
【0129】
また、本発明者らは、プリンティング・ヘッドとトレイとの間の相対運動が直線に沿っていないときに、一定のディスペンシング・レートに関連付けられる問題を解決する技法を考案した。下記に説明されている技法は、ヘッド16のすべてのノズルが同じディスペンシング・レートで構築材料をディスペンシングするときに用いられ得るが、それは、プリンティング・レートが変化するときに用いられ得る。その技法は、ノズルが直線に沿っていない軌道を辿る任意のプリンティング・シナリオに関して、とりわけ、プリンティング・ヘッドのすべてのノズルを同じ周期で動作させることが不均一な解像度を結果として生じさせる状況において、用いられ得る。その技法は、より詳細にここで説明されることとなるようなデータ・マスキングを含む。
【0130】
コンピュータ・オブジェクト・データの中の各々のスライスは、典型的には、バイナリ・ビットマップの形態であるが、必ずしもそうであるわけではない。代替的に、スライス・データは、オブジェクトの3次元のコンピュータ表現(たとえば、3Dメッシュ)からその場で計算され得る。
【0131】
下記の実施形態は、ビットマップを使用することに特に重点を置いて説明されているが、ビットマップから情報を読み取る動作は、オブジェクトの3次元のコンピュータ表現の中の特定の場所において値を計算する動作によって置換され得ること、および、その両方が、本発明のさまざまな例示的な実施形態にしたがって企図されることが理解されるべきである。
【0132】
コンピュータ・オブジェクト・データのビットマップから、ノズル活性化ビットマップが、典型的に計算される。ノズル活性化ビットマップの中の各々のビットマップ・エレメント(たとえば、ピクセル)は、各々の層の上のターゲット場所に対応しており、ビットマップ・エレメントの値は、各々の物理的な場所に到着する各々のノズルが活性化させられるかどうかを決定する。たとえば、「1」は、最終的な層の中の構築材料によって占有されるべき場所を表しており、「0」は、最終的な層の中のボイドを表している。
【0133】
本発明の実施形態によれば、ヘッドの中のそれらの位置およびヘッドの軌道にかかわらず、すべてのノズルの方位角方向に沿った解像度が同じになるように、動作するビットマップがマスクされる。そのようなマスキングの代表的な例が図9Aに示されており、図9Aは、ヘッド16のノズル・アレイ22を図示している。第1のノズル(軸線14から最も遠い)は、ノズル104として表されており、最後のノズル(軸線14に最も近い)は、ノズル106として表されている。また、図9Aは、2つの例示された湾曲した軌道102および108を図示しており、軌道102および108は、ヘッド16およびトレイ12の相対運動の間に、ノズル104および106によって各々辿られる。6つのノズルが、アレイ22の中に図示されているが、アレイ22は、任意の数のノズルを有することが可能である。軌道102および108の上のノズル104および106の示されている場所は、Tと称されるタイム・インスタンスに対応している。さらなるタイム・インスタンスT+dTにおいて、ノズル104は、軌道102に沿って位置110に到着し、ノズル106は、軌道108に沿って位置112に到着する。一層さらなるタイム・インスタンスT+2dTにおいて、ノズル104は、軌道102に沿って位置114に到着し、ノズル106は、軌道108に沿って位置116に到着する。
【0134】
ノズル104および106は、同じ時間間隔にわたって、軌道102および108の上の異なる円弧長さをカバーしている。具体的には、タイム・インスタンスT、T+dT、およびT+2dTにおいて、ノズル104が訪れた3つの場所は、これらのタイム・インスタンスにおいてノズル106が訪れた3つの場所よりも、大きい間隔を離して配置されている。図9Aに図示されている例では、タイム・インスタンスTとT+2dTとの間にノズル106によってカバーされる円弧長さは、タイム・インスタンスTとT+dTとの間に、または、タイム・インスタンスT+dTとT+2dTとの間に、ノズル106によってカバーされる円弧長さとおおよそ同じである。本発明のいくつかの実施形態によれば、ノズル106は、タイム・インスタンスTおよびタイム・インスタンスT+2dTにおいて活性化させられるが、タイム・インスタンスT+dTでは活性化させられない。換言すれば、ノズル活性化ビットマップ、または、入力コンピュータ・オブジェクト・データのビットマップが、構築材料の液滴がディスペンスされるべき場所として場所112を指定しているかどうかに関係なく、材料が場所112においてディスペンスされないように、各々の層に対応するノズル活性化ビットマップがマスクされている。
【0135】
図9Aの中の説明図は、50%のマスキング比率の例を表しており、軌道108に沿った場所の50%が、ノズル106に関してマスクされており、ノズル106が、これらの場所に到着するときに材料をディスペンシングしないようになっている。他の軌道の対に関して、マスキング比率は、50%とは異なり得ることが認識される。マスキング比率は、同じ時間間隔dTの間に異なるノズルによってカバーされる円弧長さ間の比率に基づいて、または、異なるノズルの線形速度間の比率に基づいて、各々のノズルの各々の軌道に関して計算され得る。マスキング比率に基づいて、コントローラ20は、任意選択でおよび好ましくは、各々の場所において各々のノズルを活性化させるかどうかを決定することが可能である。本発明のいくつかの実施形態によれば、ノズルが、あるタイム・インスタンスにおいてマスクされているときに、プリント・データは、そのノズルに関するノズル活性化ビットマップの入力ビットマップから読み取られない。代替的に、そのような入力は計算されない。これらの実施形態は、それがビットマップ・レベルにおいて処理されるデータの量を低減させるので、データ希釈として見ることができる。この実施形態の利点は、それが計算時間および計算資源を節約することである。
【0136】
たとえば、ノズル・アレイなど、ノズルのグループに属するノズルによってカバーされる軌道の円弧長さを考慮することによって、計算時間および計算資源のさらなる節約が実現され得る。本発明のいくつかの実施形態によれば、時間間隔の間のグループの最も長い軌道セグメントをカバーするノズルが識別される。次いで、バイナリ・マスク値が、時間間隔の中のあるタイム・インスタンスにおいて、このノズルに関して計算される(たとえば、マスキングに関して「0」、および、そうでなければ「1」)。このノズルがマスクされるとき、次いで、グループのすべての他のノズルが、これらのノズルの各々に関するマスク値を別々に計算することなくマスクされる。任意選択でおよび好ましくは、ノズル活性化ビットマップは、マスクされるノズルのグループに関してアクセスされない。
【0137】
図9Bは、2つのヘッド16aおよび16bのノズル・アレイ22aおよび22bを各々概略的に示している。ヘッド16aに対応する表記は、上記の図9Aの中のヘッド16に関するものと同じである。ヘッド16bの中の最後のノズルは、122で表されており、そのノズルによって辿られる軌道は、120で表されている。
【0138】
軌道102、108、および120の上のノズル104、106、および122の場所は、Tと称されるタイム・インスタンスに対応している。インスタンスT+dTにおいて、ノズル104は、軌道102に沿って位置110に到着し、ノズル106は、軌道108に沿って位置112に到着し、ノズル122は、軌道120に沿って位置124に到着する。所与の時間間隔に関して(たとえば、タイム・インスタンスTとT+dTとの間)、ノズル104によってカバーされる円弧長さは、アレイ22aの中の任意の他のノズルによってカバーされる円弧長さの中で最も長い。
【0139】
図9Bに図示されている例では、タイム・インスタンスTとT+dTとの間にノズル122によってカバーされる円弧長さは、タイム・インスタンスTとT+2dTとの間にノズル104によってカバーされる円弧長さとおおよそ同じである。本発明のいくつかの実施形態によれば、ノズル104は、タイム・インスタンスTおよびタイム・インスタンスT+2dTにおいて活性化させられるが、タイム・インスタンスT+dTでは活性化させられず、また、ノズル106は、タイム・インスタンスTにおいて活性化させられるが、タイム・インスタンスT+dTおよびT+2dTでは活性化させられない。そのうえ、ノズル104以外のアレイ22aの任意のノズルは、同じ時間間隔にわたってノズル104によってカバーされる円弧長さよりも短い円弧長さをカバーするので、アレイ22aのノズルのいずれも、タイム・インスタンスT+dTにおいて活性化させられる必要はない。換言すれば、各々の層に対応するノズル活性化ビットマップは、少なくとも第1のノズル104が軌道102に沿って場所114に到着するまで材料がアレイ22aの任意のノズルからディスペンスされないように、マスクされている。これは、述べられているように、それがビットマップ・レベルにおいて処理されるデータの量を低減させるので、データ希釈動作に対応している。
【0140】
第1のノズル104が場所114に到着するまでの間に、ノズル活性化ビットマップにアクセスする(または、その値をコンピュータ計算する)必要性がないので、そのような手順は、処理時間および必要とされる計算資源を著しく低減させることが本発明者らによって見出された。この節約は、図9Cに提供される説明図から、より良好に理解され得る。
【0141】
図9Cは、入力ビットマップの上に重ね合わせられたノズル・アレイ22を図示しており、それは、この例では、長方形グリッドの上に画定されている。グリッドの上の各々の場所は、入力ビットマップ・エレメント(たとえば、ピクセル)を表している。図9Bに示されているのは、ビットマップ・エレメント130および132である。アレイ22は、タイム・インスタンスTにおいて図示されており、タイム・インスタンスTにおいて、アレイ22の第1のノズル104および最後のノズル106は、入力ビットマップのエレメント130および132の上におおよそ重なっている。したがって、エレメント130および132の中に記憶されている値によって、タイム・インスタンスTにおいて、ノズル104および106の活性化または非活性化が結果として生じ得る。
【0142】
従来のプリンティング・システムは、特定のタイム・インスタンス(本例では、T)において関連のノズルの場所を探し、特定のタイム・インスタンスにおいてノズルと同一場所に位置付けされているビットマップ・エレメントを探し、各々のビットマップ・エレメントの中に含まれている情報を獲得し、各々のノズルを活性化させるかどうかを決定する。これらの工程の少なくともいくつかは余分であり、本発明の実施形態のマスキング技法によってスキップされ得る。すなわち、ノズルがマスクされている場所において、ビットマップを処理することは必要ではなく、したがって、処理時間を節約することを、本発明者らは見出した。
【0143】
本発明のさまざまな例示的な実施形態では、コントローラ20またはデータ・プロセッサ24は、事前にコンピュータ計算されたマスクを記憶しているコンピュータ可読媒体にアクセスし、入力ビットマップまたはノズル活性化ビットマップにマスクを適用する。事前にコンピュータ計算されたマスクは、矩形ブール行列の形態であり、ノズルの活性化がマスクされる場所(すなわち、各々のビットマップ・エレメントにおける値に関係なく、ノズルが材料をディスペンシングしないノズル場所)を示すことが可能である。マスクの寸法は、任意選択でおよび好ましくは、ヘッドの中のノズルの数に、作業エリア26(たとえば、作業エリア26の最も外側の周囲、または、占有領域90の最も外側の周囲)にわたる最も長い軌道の上のディスペンシング可能な液滴の数を乗算したものに等しい。
【0144】
事前に計算されるマスクのエレメントの計算は、任意選択でおよび好ましくは、上述のマスク比率に基づいている。任意選択でおよび好ましくは、計算は、入力確率としてマスク比率を使用して、擬似乱数発生器を適用することを含む。具体的には、軌道に沿った各々のノズルの場所が、その場所に関連付けられるマスキング比率に等しい確率でマスクされる。そのような擬似乱数発生器の適用が、プリントされるオブジェクトの品質を著しく改善することが本発明者らによって見出された。任意の特定の理論に拘束されることなく、擬似乱数発生器の場合の改善された品質は、ヘッド16および任意選択でシステム10の他のコンポーネントの中の干渉イベントの低減される量によるものであることが仮定される。
【0145】
最も長い円弧長さをカバーするノズルが、時間間隔にわたってノズルのグループ(たとえば、ノズル・アレイ)の間で識別されるとき、次いで、擬似乱数発生器が、好ましくは、そのノズルの軌道だけに適用され、グループのすべての他のノズルが、時間間隔全体にわたってマスクされる。再び図9Bを参照すると、本発明の実施形態によれば、擬似乱数発生器は、軌道102だけに適用され、アレイ22aの中のすべての他のノズルは、タイム・インスタンスTとT+dTとの間の時間間隔全体にわたってマスクされる。この手順は、1つのノズル(本例では、ノズル104)を1未満の確率でマスキングすること、および、1つのノズルがマスクされることを前提としたときに、グループ(本例では、アレイ22a)の中のすべての他のノズルを確率1でマスキングすることと数学的に見なされ得る。
【0146】
また、本発明者らは、3次元プリンティング・プロセスの間に、ノズルの場所の少なくともいくつかの個々に関するバイナリ・マスク値を計算することを企図する。これは、たとえば、軸線14からの各々の場所の円弧長さの所定のマスク関数に基づいて行われ得る。本発明のさまざまな例示的な実施形態では、マスク関数は、より軸線14に近いノズルの場所が、軸線14から遠いノズルの場所よりも頻繁にマスクされるように選択される。たとえば、マスク関数は、異なる軌道に沿った異なるノズルの線形速度間の比率に等しいマスキング比率を計算することが可能である。マスキング比率が計算されると、軌道に沿った特定のノズル場所のマスキングに関する決定が、任意選択でおよび好ましくは、上記にさらに詳述されているように、確率論的に行われる。最も長い円弧長さをカバーするノズルが、時間間隔にわたってノズルのグループ(たとえば、ノズル・アレイ)の間で識別されるとき、次いで、上記にさらに詳述されているように、そのノズルの軌道だけに対して決定が行われる(任意選択でおよび好ましくは、確率論的に行われる)。
【0147】
また、本発明者らは、プリンティングが円形セグメントに沿っていない状況において、バイナリ・マスク値を計算することを企図する。これらの実施形態では、プリンティングの間のノズルの軌道に関連するデータが受け取られ、マスキング比率が、受け取られた軌道に基づいて(たとえば、上記にさらに詳述されているように、円弧長さ比率に基づいて)計算される。次いで、各々のノズルの場所は、任意選択でおよび好ましくは、上記にさらに詳述されているような確率論的に、計算されたマスキング比率に基づいてマスクされる。最も長い円弧長さをカバーするノズルが、時間間隔にわたってノズルのグループ(たとえば、ノズル・アレイ)の間で識別されるとき、次いで、上記にさらに詳述されているように、そのノズルの軌道だけに対して決定が行われる(任意選択でおよび好ましくは、確率論的に行われる)。
【0148】
上記の実施形態のいずれにおいても、ノズル活性化ビットマップは、任意選択でおよび好ましくは、マスクされていないノズル場所のみに関してアクセスされ、これらのマスクされていない場所においてノズルを活性化させるかどうかを決定する。
【0149】
上記の実施形態のいずれにおいても、活性化させられていないノズル(たとえば、マスクされているノズル)は、任意選択でおよび好ましくはティックルされ、すなわち、それらは、構築材料をディスペンシングするようにノズルを活性化させるために必要とされるエネルギーよりも小さい活性化エネルギーを受け取る。
【0150】
特定の周波数でノズルを動作させることは、場合によっては、ノズルの長期的な健全性に害を及ぼす可能性があり、その理由は、それが、ノズルが動作を停止することを引き起こし、または、ノズルが、重量または放出される滴の上昇などのような、その動作特質を変化させることを引き起こす可能性があるからであることが本発明者らによって見出された。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、特定の周波数は、擬似ランダム・マスクから排除されている。たとえば、最も高い周波数は、マスクから排除され得、オフ-オン-オン-オフ・シーケンスは出現しないが、オフ-オン-オフ・シーケンスが決して出現しないようになっている。
【0151】
システム10は、任意選択でおよび好ましくは、1つまたは複数の放射線源18を備え、1つまたは複数の放射線源18は、使用されているモデリング材料に応じて、たとえば、紫外線ランプもしくは可視光ランプもしくは赤外線ランプ、または、電磁放射線の他の供給源、または電子ビーム供給源であり得る。放射線源18は、限定ではないが、発光ダイオード(LED)、デジタル・ライト・プロセッシング(DLP)システム、および抵抗ランプなどを含む、任意のタイプの放射線放出デバイスを含むことが可能である。放射線源18は、モデリング材料を硬化または固化させるための役割を果たしている。本発明のさまざまな例示的な実施形態では、放射線源18の動作が、コントローラ20によって制御され、コントローラ20は、放射線源18を活性化および非活性化させることが可能であり、また、任意選択で、放射線源18によって発生させられる放射線の量を制御することが可能である。
【0152】
本発明のいくつかの実施形態では、放射線源18は、半径方向rに沿って、トレイに対して往復式に移動するように構成されている。放射線源18の長さが、トレイ12の上の作業エリア26の半径方向に沿った幅よりも短いときに、これらの実施形態は有用である。半径方向に沿った放射線源18の運動は、任意選択でおよび好ましくは、コントローラ20によって制御される。半径方向に沿って放射線源18を移動させるために適切なメカニズムの代表図が、図1Dに図示されている。図1Dに示されているのは、半径方向に沿った放射線源18の往復運動を確立するように配置されているステージ56の上に装着されている放射線源18である。したがって、本発明の実施形態は、別々の運動ステージに沿って半径方向に移動するように各々独立して制御可能な放射線源およびプリンティング・ヘッドを企図する。これは、プリンティング・ヘッドおよび放射線源が同じプリンティングブロックの上に装着されており、したがって、同時に移動させられる、従来の3次元プリンティング・システムとは異なる。本発明のいくつかの実施形態では、コントローラ20は、システム10の動作の間に半径方向に沿って非同時に放射線源18およびヘッド18を移動させるように構成されている。本発明のいくつかの実施形態では、コントローラ20は、システム10の動作の間に半径方向に沿って非同時に独立して放射線源18およびヘッド18を移動させるように構成されている。硬化が開始させられる時間を選択し、たとえば、以降にさらに詳述されているように、硬化を遅らせることが望まれるときに、これらの実施形態は、とりわけ有用である。
【0153】
放射線源18および/またはコントローラ20は、任意選択でおよび好ましくは、ディスペンスされる構築材料の硬化レートが、異なる半径方向の位置においてディスペンスされる液滴に関して、概して同じであること(たとえば、20%以内、または、10%以内、または、5%以内、または、1%以内)を確実にするように構成されている。典型的には、これは、軸線14から相違する距離にある場所に異なるレートでエネルギーを送達するように、放射線源18を構成または制御することによって実現される。好ましくは、エネルギーが供給源18によって送達されるレートは、軸線14からの距離とともに線形に減少する。具体的には、軸線14から距離rにおける場所に送達されるエネルギーのレートをPによって表記し、および、軸線14から距離rにおける場所に送達されるエネルギーのレートをPによって表記すると、レートPおよびPは、好ましくは、関係式P/P≒r/rを満たしている。
【0154】
軸線14から相違する距離にある場所への異なるエネルギー線量の送達は、2つ以上の方式で行われ得る。本発明のいくつかの実施形態では、放射線源18は、テーパ付きの形状を有しており、概して方位角方向に沿ったその幅が、その外を向く端部(より軸線14から遠い)においてよりも、その内向き端部(より軸線14に近い)において、幅が狭くなるようになっている。本発明のいくつかの実施形態では、放射線源18の中の放射線放出エレメント(たとえば、LEDなど)は、すべてが同じ放射パワーによって特徴付けられているわけではない。これらの実施形態では、放出エレメントは、好ましくは、放射線源18に沿って半径方向に分散されており、より低い放射パワーを備えるエレメントが、内向き端部により近くになるようになっており、また、より高い放射パワーを備えるエレメントが、外向きに端部により近くになるようになっている。好ましくは、放出エレメントは、放射パワーが内向き端部からの距離とともに線形に減少するように、分散されている。本発明のいくつかの実施形態では、放射線源18の中の放射線放出エレメント(たとえば、LEDなど)は、すべてが同じ放射パワーによって特徴付けられているが、コントローラ20は、異なるパワーで放射線を放出するように、各々の放射線放出エレメント、または、放射線放出エレメントの各々のグループを個別に制御する。これは、異なる放射線放出エレメント、または、放射線放出エレメントの異なるグループの中に、異なる電界を発生させることによって行われ得る。また、上記の実施形態の組み合わせ(たとえば、すべてが同じ放射パワーで放出するわけではない放射線放出エレメントを備えるテーパ付きの供給源)も企図される。
【0155】
構築材料がディスペンスされるイベントと、新しくディスペンスされた材料が供給源18からの放射線に露出されるイベントとの間の時間間隔は、プリントされるオブジェクトの精度、表面仕上げ、および、全体的なプリント品質に影響を及ぼす可能性があることが本発明者らによって認識されている。一般的に、これらのイベント間の時間間隔が短くなればなるほど、結果として、プリントされるオブジェクトのドット・ゲインが少なくなり、品質が良好になる。他方では、ヘッド16に極めて接近して供給源18を設置することは、ヘッド16からディスペンスされるジェットに悪影響をもたらす可能性があることが本発明者らによって見出された。任意の特定の理論に拘束されることを望むことなく、これらの影響が、トレイ12から、または、トレイ12の上の構築材料から、ヘッド16のノズルの方向に反射される放射線に起因することが考えられる。
【0156】
本発明者らは、ノズルに対する損傷を低減または最小化させながら、十分なプリンティング品質が実現されるように、供給源18およびヘッド16の好適な幾何学的な配置を決定するために実験を行った。実験は、以下に続く実施例の章において説明されている。本発明のいくつかの実施形態にしたがって獲得された実験的なデータに基づいて、硬化するための時間が、約0.5秒、好ましくは、0.75秒以下であるときに、十分なプリント品質が実現された。したがって、供給源18とヘッド16との間の方位角分離は、好ましくは、0.3ωラジアンから0.75ωラジアンの間にあり、ここで、ωは、ヘッド16および供給源18に対するトレイ12の平均角速度である。典型的には、ヘッド16と供給源18との間の方位角分離は、約30°から約120°、より好ましくは、約40°から約110°、より好ましくは、約45°から約100°、より好ましくは、約45°から約90°、より好ましくは、約55°から約90°であるが、必ずしもそうであるわけではない。
【0157】
本発明のいくつかの実施形態では、システム10は、さらに、1つまたは複数のレベリング・デバイス32を備え、1つまたは複数のレベリング・デバイス32は、ローラまたはブレードとして製造され得る。レベリング・デバイス32は、新しく形成された層の上に連続的な層を形成する前に、新しく形成された層を真っ直ぐにする役割を果たしている。いくつかの実施形態では、レベリング・デバイス32は、円錐形状のローラの形状を有しており、円錐形状のローラは、レベリング・デバイス32の対称軸線34がトレイ12の表面に対して傾けられるように、および、レベリング・デバイス32の表面がトレイの表面に対して平行になるように、位置決めされている。この実施形態は、システム10の側面図(図1B)に図示されている。
【0158】
円錐形状のローラは、円錐または円錐台の形状を有することが可能である。
円錐形状のローラの開口角度は、好ましくは、その軸線34に沿った任意の場所における円錐の半径と、その場所と軸線14との間の距離との間の比率が一定になるように、選択される。ローラが回転する間に、ローラの表面の上の任意のポイントpが、ポイントpの垂直方向に下のポイントにおけるトレイの直線速度に比例する(たとえば、同じ)直線速度を有するので、この実施形態は、ローラ32が層を効率的に水平にすることを可能にする。いくつかの実施形態では、ローラは、高さh、軸線14からその最も近い距離において半径R、および、軸線14からその最も遠い距離において半径Rを有する、円錐台の形状を有しており、パラメータh、R、およびRは、関係式R/R=(R-h)/hを満たしており、Rは、軸線14から最も遠いローラの距離である(たとえば、Rは、トレイ12の半径であることが可能である)。
【0159】
レベリング・デバイス32の動作は、任意選択でおよび好ましくは、コントローラ20によって制御され、コントローラ20は、レベリング・デバイス32を活性化および非活性化させることが可能であり、また、任意選択で、垂直方向(軸線14に対して平行である)に沿って、および/または、半径方向(トレイ12に対して平行であり、軸線14の方または軸線14から離れる方を向いている)に沿って、その位置を制御することが可能である。
【0160】
述べられているように、ヘッド16は、半径方向に沿ってトレイに対して往復式に移動することが可能である。本発明のいくつかの実施形態では、コントローラ20は、プリンティング・ヘッドの各々に関して、半径方向に沿って独立してヘッド16の運動を制御する。好ましくは、各々のそのような独立した運動は、異なる方位角度にある。たとえば、ヘッドのうちの2つ以上が、隣接する軸線間に方位角分離角度が存在するように配置されている異なる半径方向の軸線の上に装着され得る。この実施形態は、図6に図示されており、3つの半径方向の軸線62a、62b、および62cの上に各々装着されている3つのヘッド16a、16b、および16cを示している。示されているように、軸線62aと軸線62bとの間の方位角分離角度は、Δφであり、軸線62bと軸線62cとの間の方位角分離角度は、Δφである。任意の数のヘッドおよび任意の数の軸線が用いられ得る。
【0161】
トレイ12が同じ方向に連続的に回転するとき、予期される全体的なプリンティング時間は、半径方向に沿ったヘッド16のパスの数とともに増加し、必ずしも、プリントされているオブジェクトの数とともに増加しないことが本発明者らによって見出された。
【0162】
たとえば、N個のオブジェクトが軸線14から同様の距離においてプリントされ得、ヘッド16が、半径方向に沿って移動することなく、すべてのこれらのオブジェクトを形成することができるようになっており、たとえば、すべてのN個のオブジェクトが、トレイ12の最も外側の領域の上でプリントされることを想像されたい。さらに、M個の追加的なオブジェクトは、軸線14から同様の距離においてプリントされ得るが、M個のオブジェクトの距離は、N個のオブジェクトの距離とは異なっていることを想像されたい。このシナリオは、図8Aに図示されており、図8Aでは、N個のオブジェクトが、正方形によって表されており、追加的なM個のオブジェクトが、三角形によって表されている。予期される全体的なプリンティング時間は、このシナリオでは、オブジェクトの数の関数として、図8Bに図示されている。N個以下である任意の数のオブジェクトに関して、それらは半径方向に沿ってヘッドを移動させることなくプリントされるので、全体的なプリンティング時間は全体的に同じである。N+1個からM個の任意の数のオブジェクトに関して、全体的なプリンティング時間も、全体的に同じであるが、それは、N個のオブジェクトをプリントするために必要とされる時間よりも長くなっている。
【0163】
いくつかの実施形態では、コンピュータ24、または、コントローラ20の回路は、すべてのオブジェクトの予期される全体的なプリンティング時間を計算し、計算された時間を表示デバイスの上に表示する。本発明のさまざまな例示的な実施形態では、コンピュータ24、または、コントローラ20の回路は、最適化手順を実行し、最適化手順は、全体的なプリンティング時間を著しく増加させることなくプリントされ得る、オブジェクトの数を計算する。計算されたオブジェクトの数が表示され得、システム10は、最適化手順に基づいて計算された数のオブジェクトをプリントすることが可能である。本発明のいくつかの実施形態ではコンピュータ24、または、コントローラ20の回路は、いくつかのプリンティング・シナリオに関するオブジェクト1つ当たりの全体的なプリンティング時間を計算し、計算の結果を表示する。プリントされるオブジェクトの数は、(たとえば、オブジェクト1つ当たりの全体的なプリンティング時間が最短になる数を選択することによって)計算の結果に基づいて選択され得る。代表的な例として、特定の配置において、N個のオブジェクトに関して予期される全体的なプリンティング時間がTであり、オブジェクト1つ当たりの全体的なプリンティング時間がT/Nになっていることを想像されたい。さらに、N<Nに関して、予期される全体的なプリンティング時間がTであることを想像されたい。T/N<T/Nであるときに、システム10は、N個のオブジェクトの同時プリンティングのために使用され、また、T/N>T/Nであるときに、システム10は、N個のオブジェクトの同時プリンティングのために使用される。
【0164】
また、プリントされることとなるオブジェクトの数を計算する最適化手順は、システムの中に(たとえば、供給部42の中に)存在する全体的な構築材料に関連するデータを受け取ることが可能である。オブジェクトをプリントするために必要とされる材料の量は、供給部42の中に存在する材料の量よりも大きいときに、コントローラ20が警報を出すことが可能である。代替的にまたは追加的に、コントローラ20は、供給部42の中の利用可能な材料を使用してプリントされ得るオブジェクトの低減された数に関する出力を発生させることが可能であり、そのような場合には、システム10は、その数が図8Bに示されている例示されたグラフの観点から最適でないとしても、オブジェクトの低減された数をプリントするために使用され得る。
【0165】
半径方向に沿ったプリンティングの再位置付けは、回転の軸線とヘッドのノズル・アレイのノズルの各々との間の距離の変化を結果として生じさせるので、半径方向に沿ってプリンティング・ヘッドを再位置付けすることは、プリンティング解像度に影響を及ぼす可能性があることが本発明者らによって見出された。
【0166】
本発明の発明者は、この問題に対する2つ以上の解決策を見出した。
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、プリンティング・ヘッド16の半径方向の位置に応答可能に、トレイ12の回転速度を変化させる。好ましくは、プリンティング・ヘッド16が、より軸線14の近くになるように再位置付けされるときには、コントローラ20は、トレイ12の回転速度を増加させ、また、プリンティング・ヘッド16が、より軸線14から遠くになるように再位置付けされるときには、コントローラ20は、トレイ12の回転速度を低減させる。回転速度の変化の量は、好ましくは、プリンティング・ヘッド16が同じディスペンシング・レートで動作するときに、半径方向に沿って再位置付けする前のヘッド16のプリンティング解像度が、半径方向に沿って再位置付けした後のヘッド16のプリンティング解像度と同じになるように、選択される。代表的な例として、トレイ12の回転速度がωである状態で、軸線14から距離rにおいて、初期に構築材料をディスペンシングするプリンティング・ヘッドを考慮する。プリンティング・ヘッドは、その後に、軸線14から距離rにおいて構築材料をディスペンシングするように、半径方向に沿って再位置付けされ、コントローラは、トレイ12の回転速度を変化させ、ω≠ωにする。本発明のさまざまな例示的な実施形態では、ωは、関係式ω/ω=r/rを満たすように選択される。
【0167】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、プリンティング・ヘッド16の半径方向の位置に応答可能に、プリンティング・ヘッド16のディスペンシング・レートを変化させる。好ましくは、プリンティング・ヘッド16が、より軸線14の近くになるように再位置付けされるときには、コントローラ20は、ディスペンシング・レートを低減させ、また、プリンティング・ヘッド16が、より軸線14から遠くになるように再位置付けされるときには、コントローラ20は、ディスペンシング・レートを増加させる。ディスペンシング・レートの変化の量は、好ましくは、半径方向に沿って再位置付けする前のヘッド16のプリンティング解像度が、半径方向に沿って再位置付けした後のヘッド16のプリンティング解像度と同じになるように、選択される。
【0168】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、プリンティング・ヘッド16の1つまたは複数を制御し、順番にディスペンスされる液滴間の方位角距離が半径方向に沿ったプリンティング・ヘッドの位置の関数として変化するように、液滴をディスペンシングする。これらの実施形態は、図4Aおよび図4Bに図示されている。図4Aには、トレイ12の上にディスペンスされるいくつかの液滴(黒丸)が示されており、一方、プリンティング・ヘッド(図示せず)は、回転軸線14から3つの異なる距離Δr、Δr、およびΔrにある。4つの液滴が、各々の距離に関して図示されている。軸線14から最短の距離Δrにおいて、液滴は、方位角方向に沿って互いに対して近い距離にあり、最短の次の距離Δrにおいて、液滴は、方位角方向に沿って互いからより遠くに離れており、最も長い距離Δrにおいて、液滴は、方位角方向に沿って互いからより遠くに離れている。トレイ12の回転の間に、液滴の連続的な堆積間に1つまたは複数のボイド場所を残すように、プリンティング・ヘッドに信号を送ることによって、そのようなディスペンシング・プロトコルは確実にされ得る。
【0169】
上記のディスペンシング・プロトコルは、インターレース方式のディスペンシングで実行され得る。この実施形態は、図4Bに図示されている。図4Bには、プリンティング・ヘッドの各々の場所に関して、トレイの追加的なパスの間にディスペンスされる追加的な液滴が示されている。液滴は、黒丸、白丸、および十字付きの丸として示されている。液滴のいくつかは、方位角方向に沿ってインターレースされている。
【0170】
具体的には、図4Bは、プリンティング・ヘッドが距離ΔrおよびΔrにある間にディスペンスされる追加的な液滴(白丸)、および、プリンティング・ヘッドが距離Δrにある間にディスペンスされるさらなる追加的な液滴(十字付きの丸)を示している。プリンティング・ヘッドが距離Δrにあるときには、それは、トレイの単一のパスの間にすべての液滴(黒丸)をディスペンシングする。プリンティング・ヘッドが距離Δrにあるときには、それは、トレイの第1のパスの間に、第1の液滴(黒丸)をディスペンシングし、また、トレイの第2のパスの間に、第2の液滴(白丸)をディスペンシングする。プリンティング・ヘッドが距離Δrにあるときには、それは、トレイの第1のパスの間に、第1の液滴(黒丸)をディスペンシングし、トレイの第2のパスの間に、第2の液滴(白丸)をディスペンシングし、トレイの第3のパスの間に、第3の液滴(十字付きの丸)をディスペンシングする。したがって、これらの実施形態では、プリンティング・ヘッドは、インターレース方式のディスペンシングを実行するように、コントローラ20によって制御され、少なくとも1つの液滴が、2つの以前にディスペンスされた液滴の間に、および、それと同じ垂直方向の位置に、ディスペンスされる。
【0171】
インターレース方式のディスペンシングは、典型的には、インターレース・レベルによって特徴付けられ、インターレース・レベルは、輪郭を満たすためにどれくらい多くのパスが必要とされるかを示している。図4Bに図示されている例示された実施形態では、それは限定として考慮されるべきではないが、円形の円弧として各々形状決めされている3つの輪郭がプリントされる。距離Δrにおける輪郭は、インターレーシングなしでディスペンスされている。距離Δrにおける輪郭は、(トレイの2つのパスが輪郭を満たすために必要とされることを示すために)2-パス・インターレース・レベルにおいて、または、同等に、(各々のパスにおいて、輪郭の50%が満たされることを示すために)50%インターレース・レベルにおいて、ディスペンスされると考えられる。距離Δrにおける輪郭は、(トレイの3つのパスが輪郭を満たすために必要とされることを示すために)3-パス・インターレース・レベルにおいて、または、同等に、(各々のパスにおいて、輪郭の33.33%が満たされることを示すために)33.33%インターレース・レベルにおいて、ディスペンスされると言われる。多くの場合に、「インターレース方式のディスペンシング」という用語は、単一のパスの間に輪郭が充填される状況も包含するように一般化される。そのような用語の一般化によって、距離Δrにおける輪郭は、1-パス・インターレース・レベルにおいて、または、同等に、100%インターレース・レベルにおいて、ディスペンスされると考えられる。
【0172】
したがって、本発明の実施形態は、半径方向に沿ったプリンティング・ヘッドの位置の関数として変化するインターレース・レベルを企図している。
また、本発明の実施形態は、ディスペンスされる液滴が半径方向に沿ってインターレースされる、インターレース方式のディスペンシングを企図している。これらの実施形態では、ヘッドは、同時にディスペンスされる液滴間にギャップが存在するように、液滴をディスペンシングし、半径方向に沿ったギャップの長さ(本明細書で、半径方向のギャップと称される)は、少なくとも、ディスペンスされる1つの液滴の直径のものであり、好ましくは、ディスペンスされる1つの液滴の直径の整数乗算である。その後に、ヘッドは、トレイのその後のパスの中に同様に半径方向に沿ってシフトされ、ヘッドは、液滴をディスペンシングし、半径方向のギャップを充填するか、または部分的に充填する。半径方向に沿ったインターレース方式のディスペンシングの利点は、それが、ヘッドのノズル・アレイの中のノズル間のスペーシングによって決定付けられる解像度を超えて、半径方向に沿って解像度を増加させることを可能にすることである。
【0173】
システム10が、2つ以上のモデリング材料プリンティング・ヘッドを備えるときには、半径方向に沿ったインターレーシングは、また、プリンティング・ヘッドの賢明なアライメントによって実現され得る。これらの実施形態では、2つ以上のモデリング材料プリンティング・ヘッドは、それらのノズル・アレイが、インターレースされるように配置されるように、整合させられている。これらの実施形態の代表的な例が、図7に図示されており、図7は、各々が異なるインクジェット・プリンティング・ヘッド(図示せず)に対応する2つのノズル・アレイを使用する、トレイ12の上の2つの円形72および74のインターレース方式のディスペンシングを図示しており、半径方向に沿った円形72と74との間の距離は、各々のアレイの中の最も近傍のノズル間の距離よりも小さくなっている。
【0174】
本発明のいくつかの実施形態では、コントローラ20は、半径方向に沿ったプリンティング・ヘッドの往復運動の間のディスペンシングを停止する。プリンティング・ヘッドが新しい半径方向の位置において静止した後に、コントローラ20は、ディスペンシングを再開させるようにプリンティング・ヘッドを制御する。これは、2つ以上の方式で行われ得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、ディスペンシングが停止された同じ方位角座標において、ディスペンシングを再開させる。これらの実施形態では、ディスペンシングが停止されている間の時間周期は、トレイ12の回転周期またはその整数乗算に等しい。したがって、ディスペンシング・プロトコルは、プリンティング・ヘッドが新しい半径方向の位置において静止した後に、コントローラ20が、同じ方位角場所がプリンティング・ヘッドの真下になるまで待機し、次いで、プリンティングを再開させるようになっている。
【0176】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、ディスペンシングが停止された方位角座標に対してオフセットされた方位角座標において、ディスペンシングを再開させる。ここで図5A~Fを参照して説明されることとなるように、これは、2つ以上の方式で行われ得る。
【0177】
図5Aは、プリンティング・ヘッド16(簡単にするために、黒い棒として示されている)が第1の半径方向の位置rと第2の半径方向の位置rとの間で往復式に移動する状況を図示している。半径方向に沿った往復運動の間に、トレイ12は回転し続け、トレイ12が異なる方位角配向をとるようになっている。代表図では、ヘッド16は、トレイ12がφおよびφで表されている方位角配向をとるときには、第1の半径方向の位置rにあり、また、トレイ12がφおよびφで表されている方位角配向をとるときには、第2の半径方向の位置rにある。各々の方位角配向は、ヘッド16の下のトレイの方位角位置に対応している。本発明の実施形態によれば、ヘッド16が最初にrに到着するときに、それは、φに対してオフセットされている方位角位置φにおいて、ディスペンシングを再開させ、ヘッド16がrに戻るときに、それは、φに対してオフセットされている方位角位置φにおいて、ディスペンシングを再開させ、また、ヘッド16が2回目にrに到着するときに、それは、φに対してオフセットされている方位角位置φにおいて、ディスペンシングを再開させる。
【0178】
図5Bは、トレイ12にわたって所定のレンジの方位角度を占有するようにオブジェクトがプリントされる、好適な実施形態を図示している。所定のレンジは、好ましくは、少なくとも5°のものであるが、350°未満、または340°未満、または330°未満、または320°未満、または310°未満、または300°未満、または290°未満、または280°未満、たとえば、270°のものである。図5Bには、トレイ12の上の第1の領域90および第2の領域92が示されており、ここで、領域90は、オブジェクトがプリントされる方位角度の所定のレンジを表している。領域90および92の各々は、扇形の形状を有している。好ましくは、領域92の円弧長さは、領域90の円弧長さよりも短くなっている。したがって、1つまたは複数のオブジェクトは、トレイ12の領域90の上でプリントされ、領域92は、好ましくは常に、その上にプリントされるオブジェクトを欠いているままである。領域90は、占有領域と称され、領域92は、未占有領域と称される。占有領域および未占有領域の使用は、半径方向に沿ったヘッド16の運動のタイミングをとるのに有用である。これらの実施形態では、コントローラ20は、ヘッド16が、たとえば領域92など、未占有領域の上にいるときだけ、半径方向に沿って移動するように、ヘッド16に信号を送る。
【0179】
図5C~Fは、ヘッド16が未占有領域の上にいるときだけ半径方向に移動する、ディスペンシング・プロトコルを図示している。図5C~Fでは、実線の円弧型の矢印は、軌道を表しており、その軌道に沿って、ヘッド16は、構築材料をディスペンシングすることを許容され、一方、半径方向に沿って、トレイ12に対するヘッド16の相対運動は存在していない。実線の円は、軌道の異なる帯状部(swaths)にマークを付けている。トレイ12が回転している間の、半径方向の位置に沿ったヘッド16の運動は、点線の矢印によって図示されている。領域92に(および、結果的に領域90にも)対応する方位角座標が、φおよびφで表されている。
【0180】
図5C~Fには、6個の軌道が示されており、それは、94aから98bで表されている。同じ帯状部の中の各々の軌道は、ヘッド16の異なるノズルに対応しているか、または、同じノズルであるが、上記にさらに詳述されているように、半径方向に沿ったインターレース方式のディスペンシングを達成するように、半径方向に沿ってシフトされているノズルに対応していることが可能である。したがって、半径方向に沿ったインターレース方式のディスペンシングが用いられるときには、同じ帯状部の中の隣接する軌道(本例では、軌道94aおよび94b、軌道96aおよび96b、ならびに、軌道98aおよび98b)の半径方向の位置の差は、ディスペンスされる1つの液滴の直径であることが可能であり、また、半径方向に沿ったインターレース方式のディスペンシングが用いられないときには、同じ帯状部の中の隣接する軌道の半径方向の位置の差は、アレイの隣接するノズルの間の距離であり得る。
【0181】
軌道の異なる帯状部は、典型的には、ノズル・アレイの長さの整数乗算である量による、ヘッド16の半径方向の変位に対応している。したがって、2つの隣接する帯状部における対応する軌道(本例では、たとえば、軌道94aと96aとの間、軌道96aと98aとの間、軌道94bと96bとの間、軌道96bと98bとの間)の半径方向の位置の間の差は、ヘッド16のノズル・アレイの長さとすることが可能であるが、必ずしもそういうわけではない。
【0182】
軌道の数は、図5C~Fでは少なくなっていること、および、本発明の範囲を6つの軌道に限定することは意図されていないことが理解されるべきである。一般的に、軌道の帯状部の数は、最大でもW/Lであり、ここで、Wは、トレイ12の上の作業エリア26の半径方向に沿った幅であり、Lは、ヘッド16のノズル・アレイの長さである。半径方向に沿ったインターレース方式のディスペンシングが用いられるときには、軌道の合計数は、好ましくは、最大でもW/Dであり、また、各々の帯状部の中の軌道の数は、好ましくは、約L/Dであり、ここで、Dは、ディスペンスされる1つの液滴の特徴的な直径である。半径方向に沿ったインターレース方式のディスペンシングが用いられないときには、各々の帯状部の中の軌道の数は、好ましくは、最大でも、アレイの中のノズルの数に等しい。好ましくは、軌道の少なくとも2つのまたは少なくとも3つの帯状部が存在しており、また、各々の帯状部の中に、少なくとも2つの軌道、または少なくとも3つの軌道、または少なくとも4つの軌道が存在している。
【0183】
図5Cおよび図5Dは、半径方向に沿ったインターレース方式のディスペンシングが用いられるディスペンシング・プロトコルを説明している。図5Cを参照すると、ヘッド16は、軌道94aに対応する半径方向の位置において、構築材料をディスペンシングしている。トレイが方位角位置φに到着するときに、ヘッド16は、領域92の上にあり、ディスペンシングは、一時的に停止させられる。ヘッド16が依然として領域92の上にある間に、ヘッド16は、軌道94bに対応する半径方向の位置へ外向きに移動する。ヘッド16は、少なくともトレイが方位角位置φに到着するまで、ディスペンシングを再開させず、すなわち、ヘッド16が領域90の上にあるときに、ディスペンシングを再開させる。プロセスは、ヘッドが帯状部94における軌道のすべてまたはいくつかを訪ねるまで継続する。また、一方の帯状部から他方の帯状部への半径方向の運動は、図示されているように、たとえば、点線の矢印によって、ヘッド16が領域92の上にいる時間周期の間に実行され、点線の矢印は、軌道94bに対応する半径方向の位置から、軌道96aに対応する半径方向の位置へのヘッド16の半径方向の運動、および、軌道96bに対応する半径方向の位置から、軌道98aに対応する半径方向の位置へのヘッド16の半径方向の運動を表している。
【0184】
半径方向に沿ったインターレース方式のディスペンシングが用いられないときには、ディスペンシング・プロトコルは、同じ帯状部の中の隣接する軌道の半径方向の位置の間の差に等しい量の半径方向の変位を含まない。これらの実施形態では、ヘッド16のノズル・アレイの長さに等しい量の半径方向の変位を含む。これらの実施形態は、図5Eおよび図5Fに図示されている。図5Eを参照すると、ヘッド16は、軌道94aおよび94bに対応する半径方向の位置において、2つの異なるノズルから、構築材料をディスペンシングする。トレイが方位角位置φに到着するときに、ヘッド16は、領域92の上にあり、ディスペンシングは、一時的に停止させられる。ヘッド16が依然として領域92の上にある間に、ヘッド16は、軌道96aに対応する半径方向の位置へ外向きに移動する。ヘッド16は、少なくともトレイが方位角位置φに到着するまで、ディスペンシングを再開させず、すなわち、ヘッド16が領域90の上にあるときに、ディスペンシングを再開させる。プロセスは、帯状部96および帯状部98へと継続する。
【0185】
図5Dおよび図5Fは、ヘッドが領域92の上を内向きに移動することを除いて、各々、図5Cおよび図5Eと同様のディスペンシング・プロトコルを説明している。また、図5Cおよび図5Dに説明されているプロトコルの組み合わせ、または、図5Eおよび図5Fに説明されているプロトコルの組み合わせも企図される。たとえば、これらのプロトコルは、代替的に実行され得る。
【0186】
また、ディスペンシングが停止させられた方位角座標と実質的に同じ(たとえば、1°未満以内、または0.1°未満以内、または0.01°未満以内の)方位角座標において、コントローラ20がディスペンシングを再開させる、実施形態も企図される。
【0187】
図5Gおよび図5Hは、上記にさらに詳述されているように、ディスペンシングが停止された同じ方位角座標において、ディスペンシングが再開させられる、ディスペンシング・プロトコルを図示している。図5Gは、ヘッドが外向きに移動するディスペンシング・プロトコルを説明しており、図5Hは、ヘッドが内向きに移動するディスペンシング・プロトコルを説明している。また、図5Gおよび図5Hに説明されているプロトコルの組み合わせも企図される。たとえば、これらのプロトコルは、代替的に実行され得る。図5Gおよび図5Hの中の表記は、上記の図5C~Eの中のものと同じである。
【0188】
オフセットされた方位角座標においてコントローラ20がディスペンシングを再開させる実施形態では、異なる半径方向の位置に対応する、オブジェクトの異なる部分の対応する極座標もオフセットされるように、プリンティング・データが調節される。データのそのような配置は、コントローラ20またはコンピュータ24によって行われ得る。
【0189】
図5Aに示されている教示によるディスペンシング・プロトコルは、プリンティング・スループットの観点から、図5B~Hに示されている教示によるディスペンシング・プロトコルよりも好適である。図5B~Fに示されている教示によるディスペンシング・プロトコルは、データ操作の簡単さの観点から、図5Aに示されている教示によるディスペンシング・プロトコルよりも好適である。図5G~Hに示されている教示によるディスペンシング・プロトコルは、データ操作の簡単さの観点から、図5A~Fに示されている教示によるディスペンシング・プロトコルよりも好適である。
【0190】
本発明者らは、コントローラ20が往復運動の間にも構築材料をディスペンシングし続ける、実施形態を追加的に企図している。これらの実施形態では、プリンティング・データは、ヘッドの往復運動に応答可能に調節される。そのようなディスペンシング・プロトコルは、非円形セグメントに沿って液滴をディスペンシングすることを可能にする。
【0191】
述べられているように、トレイ12とヘッド16との間の垂直方向の距離は、層状に3次元のオブジェクトを形成することを可能にするように変化することが可能である。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、垂直方向の運動の間に、構築材料のディスペンシングを停止する。これらの実施形態は、ディスペンシング・プロトコルの簡単さの観点から、好適である。
【0192】
垂直方向の運動のタイミングは、プリントされるオブジェクトの品質に影響を有することが本発明者らによって見出された。したがって、本発明者らは、プリントされるオブジェクトの品質を改善する3次元プリンティング・プロトコルを考案した。一般的に、層の製作の間にシステム10によって実行されるいくつかの動作が存在している。これらは、たとえば、ヘッド16によって構築材料をディスペンシングすること、レベリング・デバイス32によって新しくプリントされる層を水平にすること、および、放射線源18によってその層を硬化させることを含む。これらの動作は、典型的には、トレイ12の上の異なる方位角場所において実行され、したがって、所与のオブジェクトに関して順次的である。本発明のいくつかの実施形態では、垂直方向の運動のタイミングは、これらの順次的な動作のタイミングと同期させられる。たとえば、垂直方向の運動は、新しく形成された層に最後の動作が適用された後に(たとえば、放射線源18によって層を硬化させた後に)、および、後続の層がディスペンスされる前に、開始させられ得る。
【0193】
本発明のいくつかの実施形態では、垂直方向の運動は、新しく形成された層がレベリング・デバイス32に到着するとすぐに(たとえば、1秒未満以内に)、開始させられ得る。代替的に、新しく形成された層がレベリング・デバイス32に到着するとすぐに(たとえば、1秒未満以内に)、垂直方向の運動が完了するように、垂直方向の運動は開始させられ得る。トレイ12の上に未占有領域を用意しておくのが望まれないプリンティング・シナリオにおいて(たとえば、プリントされることとなるオブジェクトの層の面積が、図5Bの領域90の面積よりも大きいとき)、これらの実施形態はとりわけ有用である。
【0194】
オブジェクトがトレイ12の上で所定のレンジの方位角度を占有するようにプリントされ、所定の占有領域および未占有領域がトレイ12の上に画定される(図5Bを参照)実施形態では、垂直方向の運動は、任意選択でおよび好ましくは、領域90が、レベリング・デバイス32の下、またはヘッド16の下、または放射線源18の下、最も好ましくは、レベリング・デバイス32の下にある間に、実行される。
【0195】
本発明のいくつかの実施形態では、コントローラ20は、垂直方向に沿ったヘッド16および/またはトレイ12の運動の間にも、構築材料をディスペンシングし続ける。ヘッドは、垂直方向の運動の間に構築材料をディスペンシングし続ける。これらの実施形態の利点は、システムが材料をディスペンシングしない時間がより少ないので、それは、全体的なプリンティング時間を低減させることである。ディスペンシングが継続する実施形態では、座標の変換は、好ましくは、コンピュータ・オブジェクト・データの少なくとも一部分の座標をらせん座標系へと変換することを含む。
【0196】
任意選択でおよび好ましくは、プリンティング・ヘッド16が構築材料をディスペンシングしている間に、トレイ12およびプリンティング・ヘッド16が、トレイの単一の回転の間に、それらの間で少なくとも2つの異なる垂直方向の距離を経験するように、垂直方向に沿った運動が実行される。本発明のいくつかの実施形態では、トレイ12の単一の回転の間に、垂直方向の距離が、構築材料の単一の層の特徴的な厚さにおおよそ等しい量だけ増加させられるように、垂直方向に沿った運動が実行される。たとえば、単一の層の厚さがtミクロンであり、トレイ12の回転の角速度が毎秒ωラジアンであるときに、垂直方向の距離は、毎秒t×ω/2πミクロンのレートで増加させられ得、それは、トレイ12の回転の1度当たりt/360ミクロンと同等である。垂直方向に沿った運動は、所望の通りに、連続的であるか、または間欠的であることが可能である。
【0197】
システム10が、モデリング材料をディスペンシングするための2つ以上のプリンティング・ヘッド16を備えるときには、これらのヘッドは、プリンティング・モードにしたがって、トレイ12の上に配置され得る。たとえば、同じモデリング材料が、2つ以上のモデリング材料ヘッドからディスペンスされるときには、これらのヘッドは、たとえば、3つのモデリング材料のプリンティング・ヘッド16a、16b、および16cの場合に関して図6に図示されているような半径方向の位置r、r、およびrなど、異なる半径方向の位置に配置され得、それによって、半径方向に沿ってこれらのヘッドを移動させる必要性を低減させている。モデリング材料ヘッドの数は、それらが異なる半径方向の位置に配備されるときに、それらが半径方向に沿って作業エリア26の幅全体をカバーするように、選択され得る。
【0198】
2つ以上の異なるモデリング材料ヘッドが、2つ以上の異なるモデリング材料をディスペンシングするときには、これらのヘッドの半径方向の位置は、異なるモデリング材料がディスペンスされることとなるトレイの上の場所に応じて、コントローラ20によって独立して制御される。
【0199】
上記に示されているように、いくつかの実施形態では、ヘッド16は、半径方向に沿ったヘッド16の往復運動を確立するように配置されているステージによって、半径方向rに沿ってトレイに対して往復式に移動する。本発明の実施形態に適切なステージ52の代表的な例が、図10に図示されている。本例では、ヘッド16の半径方向の運動は、スクリュ130によって達成されており、スクリュ130は、モーター132によって回転運動させられる。モーター132は、任意選択でおよび好ましくは、軸線14(図示せず、たとえば、図1Dを参照)に最も近いステージ52の端部に装着されている。スクリュ130の一方の端部134は、モーター132に接続されている。他方の端部136は、支持されていなくてもよく、そのような場合には、スクリュ130は、カンチレバー型スクリュとしての役割を果たし、または、スクリュ・サポート構造体138によって支持されている。
【0200】
ヘッド16が、とりわけ、回転スクリュによって、ステージ52に沿って移動するときには、ヘッドの半径方向の位置は、半径方向の位置の関数として変化する不正確さの影響を受けやすいことが本発明者らによって見出された。不正確さは、本明細書で、互換可能に誤差として称されている。
【0201】
本発明のいくつかの実施形態によれば、補償関数が、半径方向の位置の関数としての不正確さの変化を少なくとも部分的に補償するために適用される。好ましくは、補償関数は、不正確さの非振動の変化を少なくとも部分的に補償するように選択される。補償関数は、コントローラ20によって適用され得、一方の半径方向の位置から他方の半径方向の位置へのヘッド16の任意の変位に関して、コントローラ20は、補償関数に基づいて、終着ポイントにおいて予期される不正確さを計算し、計算された不正確さを補償するために、終着ポイントの半径方向の位置を再計算する。次いで、コントローラ20は、再計算された半径方向の位置にヘッド16を移動させる。たとえば、ヘッド16が半径方向の位置rから半径方向の位置rへ移動させられるとき、コントローラ20は、補償関数を使用し、rにおいて予期される不正確さΔrを計算し、ヘッド16を半径方向の位置r-Δrに移動させ、ここで、Δrは、プラス、ゼロ、またはマイナスであることが可能である。
【0202】
補償関数は、典型的には、スクリュ130の機械的な特性に依存し、また、スクリュ130とステージ52との間の接続の剛性に依存する。
図11Aは、スクリュ130の端部136がサポート構造体によって支持されているときの、端部134からの距離の関数として、予期される不正確さを示している。図11Aでは、グラフ140は、端部134からの距離の関数として、半径方向の位置における誤差の変化を説明している。示されているように、誤差は、端部134からの距離とともに増加する平均とともに、振動挙動を示している。平均の変化は、おおよそ線形である。したがって、これらの実施形態では、コントローラ20は、概して線形の(たとえば、20%未満、または10%未満、または5%未満、または1%未満の線形性からの偏差を有する)補償関数を用いている。線形関数の傾きおよび交差点が、たとえば、その弾性係数およびその断面二次モーメントなど、スクリュ130の機械的な特性に基づいて計算され得る。代替的に、傾きおよび交差点は、半径方向の位置の関数として誤差を測定して、ライン140を実験的に獲得することによって、および、実験的に獲得されたラインの平均を線形関数にフィットさせることによって、計算され得る。本発明の実施形態に適切な補償関数の代表的な例が、142で示されており、補償の結果が、144で示されている(図11A)。示されているように、誤差は、依然として振動しているが、平均誤差は、実質的にゼロになっている。
【0203】
図11Bは、スクリュ130がカンチレバー型スクリュであるときの、すなわち、端部136が支持されていないときの、端部134からの距離の関数として、予期される不正確さ146を示している。また、比較のために、端部136が支持されているときに予期される不正確さ140も示されている。示されているように、不正確さ146の平均は、端部134からの距離の関数として、非線形に増加し、端部136の近くの不正確さ140の平均と比較して、著しく高くなっている。これらの実施形態では、コントローラ20は、好ましくは、非線形の補償関数を用いる。非線形の補償関数は、n次の多項式関数からなることが可能であり、ここで、n>1である。多項式関数の係数は、半径方向の位置の関数として誤差を測定して、ライン146を実験的に獲得することによって、および、実験的に獲得されたラインの平均をn次の多項式関数にフィットさせることによって、計算され得る。
【0204】
理論的には、方向xに沿った1次元のビームが、x=0において支持されており、x=Lにおけるその自由端部において、集中荷重Pを受けているときに、ビームは、y=Px(3L-x)/(6EI)によって与えられる3次多項式として近似され得る湾曲した形状を示しており、ここで、EおよびIは、各々、ビームの弾性係数および断面二次モーメントであり、yは、xに対して垂直方向に測定される。したがって、非線形の補償関数は、好ましくは、3次多項式からなる。
【0205】
本発明の実施形態に適切な3次多項式補償関数の代表的な例が、図11Cの中に148で示されている。補償の結果が、150で示されている。示されているように、誤差は、依然として振動しているが、平均誤差は、ゼロに近くなっている。本発明者らによって実施された実験では、補償がないときの最大誤差(ライン146)は、約119μmであり、補償の後の最大誤差(ライン150)は、約30μmであった。
【0206】
典型的には、構築材料は、それに限定されないが、システム10などのような、事前に充填されているカートリッジを備えるAMシステムに供給される。カートリッジは、AMシステムの中に据え付けられ、送達システムに接続されており、送達システムを通して、構築材料が、プリンティングのために堆積される。構築材料の供給が使い果たした状態に近づくと、カートリッジは交換される。カートリッジの除去および据え付けは、容易に追加的なツールなしで実施され得ることが望まれる。
【0207】
典型的には、カートリッジは、使い捨てであるが、安全な処理のために廃棄する前に空にされることが必要とされる。製造プロセスを妨げることなく、動作の間に、カートリッジの内容物全体を空にすることは、典型的に挑戦的である。しかし、カートリッジの完全に使い果たした状態またはほぼ完全に使い果たした状態が望ましい。その理由は、それが、カートリッジに関するプリンティング容量を最大化し、高価な構築材料の廃棄を最小化するからである。
【0208】
本発明のいくつかの実施形態によれば、複数のカートリッジは、ある角度でカートリッジ保管部(nest)の中に据え付けられており、その角度は、たとえば、プリンティングなどのアディティブ・マニュファクチャリングの間に、構築材料を送達するために使用される流体接続部に向けての内容物の流れを促進することを提供する。いくつかの例示的な実施形態では、カートリッジは、カートリッジの最も低いエリアにあるか、または、カートリッジの最も低いエリアの近くの、カートリッジの壁部の中のウェルまたは凹部とともに形成されており、構築材料の出口部が、最も低いエリア(たとえば、重力に関して最も低い)の近位になるようになっている。任意選択で、2~10度または2~5度の角度が、ウェルに向けての流れを促進するために十分である。任意選択で、保管部は、4~10個の、たとえば6個のカートリッジを収容し、また、それが、プリンタから容易に引き抜かれ得、構築材料送達システムを補修するためのアクセスを可能にするように構築されており、構築材料送達システムは、そうでなければ、たとえばシステム10などのAMシステムの動作の間に、カートリッジに接続されている。本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジの各々は、スプリング・ロックによって据え付けられており、スプリング・ロックは、据え付け後にカートリッジを適切な場所に保持し、また、カートリッジが交換される必要があるときには、容易に解除される。
【0209】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による例示的なカートリッジを示す図16を参照する。本発明のいくつかの実施形態によれば、たとえば、それに限定されないが、システム10などのような、AMシステムのためのカートリッジ300は、たとえば構築材料など、構築材料を貯蔵するためのハウジング305と、カートリッジ300をAMシステムの送達ユニットに接続するための流体接続部340と、カートリッジ300の中の内容物の存在を感知するための、および/または、内容物を識別するための、1つまたは複数のセンサ350と、雰囲気へのベント360とを含む。本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジ300は、カートリッジとAMシステムのディスペンシング・ユニットとの間に安定した接続が確立され得るように、AMシステムの中にカートリッジをロックするためのハンドル330を備えるロック・スプリングを追加的に含む。本発明のいくつかの実施形態によれば、カートリッジ300は、AMシステムの中に据え付けられるときに、角度「a」によって角度を付けられている。カートリッジ300に角度を付けることは、流体接続部340に向けての内容物の流れを促進する。任意選択で、角度「a」は、2~10度の間にあり、たとえば2度である。本発明のいくつかの実施形態によれば、ハウジング305は、カートリッジの最も低いポイントにおけるウェルまたは凹部320とともに形成されており、流体接続部340を通る出力部は、ウェル320の近位に整合させられており、内容物が、出口部の近くに蓄積することができるようになっている。
【0210】
ここで、カートリッジを備える例示的な回転式3Dプリンティング・システムを示す図17、および、本発明のいくつかの実施形態による例示的なカートリッジ保管部を示す図18を参照する。いくつかの例示的な実施形態では、カートリッジ300は、回転式AMシステム400の中に据え付けられる。システム400の原理および動作は、システム10の原理および動作と同様であることが可能であり、下記に望まれるようなカートリッジおよびカートリッジ保管部の追加を伴う。代替的に、カートリッジ300は、たとえばリニアAMシステムなど、他のAMシステムの中で使用され得る。典型的には、回転式AMシステム400は、プリンティング・チャンバ420とカートリッジ・チャンバ455とを含み、プリンティング・チャンバ420の中では、構築トレイ12の上に層状に材料をディスペンシングすることによって、オブジェクトが製造され、また、カートリッジ・チャンバ455は、ハウジング1つまたは複数のカートリッジ300を収容するためのものである。
【0211】
典型的には、カートリッジ300は、トレイ12が回転している間に、トレイ12の上に材料を選択的にディスペンシングするためのディスペンシング・ユニットに接続されている。本発明のいくつかの実施形態によれば、複数のカートリッジ、たとえば4~10個のカートリッジが、カートリッジ保管部420の中に収容され、ロック・スプリング410によって適切な場所にロックされている。図16に戻って参照すると、ロック・スプリング410は、カートリッジ本体部が保管部420の中へ据え付けられるときに、カートリッジ本体部によって押し下げられる。カートリッジが完全に据え付けられるときに、ロックは、カートリッジの背後に跳ね返り、カートリッジを適切な場所にロックする。これは、プリンタの中へのカートリッジの片手での据え付けを可能にする。ロックを解除するために、ロック・スプリングは押し下げられ、カートリッジが保管部420から引き抜かれる。カートリッジの各々は、他のカートリッジから独立して交換され得る。カートリッジ300を適切な場所にロックすることは、カートリッジ300とAMシステムのディスペンシング・ヘッド(たとえば、ヘッド16)との間の流体接続を確立する。
【0212】
以下は、上記の実施形態のいずれにおいても企図されるいくつかのプリンティング・モードである。
本明細書で使用されているように、「方位角スキャン」は、ヘッド16とトレイ12との間の相対運動が方位角方向に対して常に平行になっているプリンティング・モードを表している。このスキャニング・モードでは、構築材料は、好ましくは、軸線14から等距離にある経路に沿った相対運動の間にだけディスペンスされる。そのような経路は、本明細書で、円弧と称される。
【0213】
方位角スキャンの代表的な例は、以下の通りである。ヘッドが静止している間に、トレイが回転する。トレイが回転している間に、各々のノズルは、以前に形成された層の上の、または、円弧に沿ったトレイの表面の上の、複数のターゲット場所を訪れる。コントローラは、各々のターゲット場所、または、ターゲット場所のグループに関して、ターゲット場所、または、ターゲット場所のグループが構築材料によって占有されるべきかどうか、および、どのタイプの構築材料がターゲット場所に送達されるべきであるかを決定する。決定は、表面のコンピュータ・イメージにしたがって行われる。任意選択で、ディスペンシング・ヘッドは、次いで、構築材料をディスペンシングすることなく、半径方向に移動する。
【0214】
本明細書で使用されているように、「ベクトル・スキャン」は、ヘッド16とトレイとの間の相対運動が、層のコンピュータ・イメージにしたがってコントローラによって動的に選択される経路に沿っているスキャニング・モードを表している。任意選択で、経路は、円弧以外である。任意選択で、経路の少なくとも一部は、ディスペンシングが起こる作業表面の境界に対して平行でない。
【0215】
したがって、ヘッドの任意の運動がr方向またはφ方向に対して平行になっている方位角スキャンとは異なり、ベクトル・スキャンにおける運動は、r方向またはφ方向に対して必ずしも平行になっていない、任意の経路に沿っていることが可能である。
【0216】
本発明のいくつかの実施形態では、コントローラは、構築されている層に対応する2次元の位置データに基づいて、スキャニング・モードを選択する。ベクトル・スキャンでは、所与の層のスループットは、サポーティング材料または構築材料によってカバーされることとなるエリア・サイズによって支配され、したがって、かさばっていないオブジェクトが、かさばりのあるオブジェクトよりも速く構築される。方位角スキャンでは、他方では、スループットは、材料が堆積させられる必要があるエリアによって必ずしも支配されていないが、スループットは、ヘッドがそれらの材料を堆積させるために行うことが必要とされるスキャニング・パスの数によって支配される。例として、Z軸に対して平行な軸線を有するバーを構築することは、方位角スキャニング・モードを使用してプリントされる場合には、同じ長さおよび直径のパイプを構築することと同じ時間を要するが、一方、ベクトル・スキャニング・モードが使用される場合には、同じバーを構築することは、同じパイプを構築することよりもはるかに長い時間を要する。
【0217】
したがって、いくつかの実施形態では、得られるスループットが、代替的にベクトル・スキャニングによって得られるスループットと同様であるか、または、それよりも大きいときに、方位角スキャニングが用いられる。これは、回転速度、半径方向の運動の速度、層厚さなどのような、システム特質に依存する。
【0218】
いくつかの実施形態では、堆積させられている材料の特性もしくは属性、および/または、最終的なオブジェクトの中に現れることが望まれる特性もしくは属性にしたがって、堆積のために選択される特定の材料の使用法および/または特定の場所によって、方位角堆積が、1つまたは複数の材料を堆積させるために用いられ、ベクトル堆積が、1つまたは複数の異なる材料の堆積のために用いられる。
【0219】
ベクトル堆積ヘッドは、トレイに対して平行なその移動において、導電性材料を連続的に堆積させることができるので、ベクトル・スキャニングは、連続的な細長い構造体などのような、プリンティング導電性「トラック」をプリントするために有利である。ベクトル・スキャンは、任意選択でおよび好ましくは、層の中に少なくとも1つの構造体を形成させるために選択される経路に沿っている。構造体は、たとえば、細長い構造体であることが可能である。
【0220】
「細長い構造体」という用語は、その寸法のうちの1つが、他の2つの寸法のいずれかよりも、少なくとも2倍、より好ましくは、少なくとも10倍、より好ましくは、少なくとも100倍、たとえば、少なくとも500倍大きくなっている3次元の本体部を表している。細長い中実の構造体の最大寸法は、本明細書で、長手方向の寸法と称されており、寸法は、本明細書で、横断方向の寸法と称されている。
【0221】
ベクトル・スキャンによって層260の中に形成された複数の細長い構造体262の代表的な例が、図15Aに図示されている。また、構造体は、第1の構築材料で充填されているエリアを少なくとも部分的に取り囲む境界構造体であり得る。ベクトル・スキャンによって層260の中に形成された境界構造体266の代表的な例が、図15Bに図示されている。また、構造体は、層間接続構造体であることが可能である。これらの実施形態では、構造体は、好ましくは、層の全体的なサイズに対して小さい(たとえば、1%未満)。2つの層260および270を接続する層間構造体268の代表的な例が、図15Cに図示されている。また、構造体は、方位角スキャンによって形成されたエリアの中に埋め込まれ得る。たとえば、再び図15Aを参照すると、層260の主要エリア272は、方位角スキャンによって形成され得、構造体262が、エリア272の中に埋め込まれ得る。また、構造体は、層に対して周辺的であることが可能である。この実施形態が、図15Dに図示されており、その周囲部に層260および構造体274を示している。
【0222】
方位角スキャンおよびベクトル・スキャンの組み合わせは、オブジェクトを形成する層のいずれかの中にあることが可能である。具体的には、いくつかの実施形態では、方位角スキャンおよびベクトル・スキャンの組み合わせは、複数の層の中の内側層に関して実施されており、いくつかの実施形態では、方位角スキャンおよびベクトル・スキャンの組み合わせは、最上層に関して実施されており、いくつかの実施形態では、方位角スキャンおよびベクトル・スキャンの組み合わせは、最下層に関して実施されている。また、方位角スキャンおよびベクトル・スキャンの組み合わせは、所望の通りに、複数の層の中で実施され得る。
【0223】
構築材料が依然としてディスペンシング・ヘッドの中にある間に、時期尚早な溶媒蒸発に起因して、低い粘度の溶媒を高い温度に露出させることは、問題であることが本発明者によって見出された。また、たとえば、基板がポリマーであるときに、高い温度は、オブジェクトがその上に構築される基板に損傷を与える可能性があることも本発明者らによって見出された。
【0224】
したがって、本発明者らは、同じ温度において、低い温度において粘性が高過ぎるUV硬化可能材料と揮発性の溶媒を含む構築材料の両方をディスペンシングすることは問題であることを認識した。
【0225】
上記の問題は、一方の構築材料が高い温度(たとえば、60℃を上回る、または65℃を上回る、または70℃を上回る、または75℃を上回る、または少なくとも80℃)でディスペンスされ、他方の構築材料が低い温度(たとえば、40℃を下回る、または35℃を下回る、または30℃を下回る)でディスペンスされる、技法によって発明的に解決された。
【0226】
これは、各々のディスペンシング・ヘッドにロードされている状態で、各々の構築材料の温度を個別に制御することによって行われ得る。したがって、本発明のさまざまな例示的な実施形態では、コントローラは、異なる温度で、少なくとも2つのディスペンシング・ヘッドを維持する。任意選択でおよび好ましくは、コントローラは、より高い温度で構築材料をディスペンシングするための方位角スキャン、および、より低い温度で構築材料をディスペンシングするためのベクトル・スキャンを達成する。
【0227】
本発明者らは、いくつかのモデリング材料、とりわけ、UV重合性材料が、オブジェクトの製作の間に、カーリング(curling)などのような望ましくない変形を示すことを見出した。そのようなカーリング傾向は、液体から固体への相転移の間の材料収縮の結果であることが見出された。
【0228】
カーリングの程度は、測定可能な量である。カーリングの程度を測定するための適切なプロセスは、平坦な水平方向の表面の上に、たとえば、長方形または正方形の断面を有する細長いバーなど、所定の形状のオブジェクトを製作すること、オブジェクトの1つの端部に所定の荷重を印加すること、および、表面の上方の反対側端部の高さを測定することを含むことが可能である。
【0229】
カーリングの問題に対する解決策のために本発明の発明者によって行われた調査では、カーリングの程度は、重合化プロセスの間に材料が受ける体積収縮の程度、および、材料の熱変形温度(HDT)と製作の間のシステムの中の温度との間の温度差に比例することが見出された。本発明者らは、カーリングは、比較的に高い体積収縮および比較的に高いHDT(たとえば、重合化温度のレンジ内)を有する材料に関して、とりわけ顕著であることを見出した。本発明者らは、HDTとおよびカーリングに関する傾向との間に単調な関係が存在していることをさらに見出した。任意の理論に拘束されることを望むことなく、製作の間のシステムの中の温度に近い硬化HDTの間に発達する材料は、同様の収縮を伴うがより高いHDTで発達する材料よりも容易に、AMプロセスの間に応力緩和または塑性変形を受ける可能性があることが仮定される。
【0230】
本明細書で使用されているように、「熱変形温度」(HDT)という用語は、各々の材料、または、材料の組み合わせが、ある特定の温度において所定の荷重の下で変形する、温度を表している。材料、または、材料の組み合わせのHDTを決定するための適切なテスト・手順は、ASTMD-648シリーズ、とりわけ、ASTMD-648-06およびASTMD-648-07方法である。
【0231】
たとえば、ストラタス リミテッド、イスラエル(Stratasys Ltd.、Israel)によって市販されているPolyJet(商標)システムにおいて、UV放射すると架橋ポリマー材料を作り出す配合物が使用される。これらの材料によって製造されたオブジェクトは、たとえば、約50℃以上など、室温よりも高いHDTにおいて、比較的に高い剛性を有している。そのような上昇したHDT値は、低い寸法精度(高いカーリング効果)を提供することが見出された。したがって、高いHDTおよび低いカーリングは、矛盾する特性であることが発見された。本発明者らは、なかでも、高い寸法精度(低いカーリング効果)と製造が完了した直後の高いHDTの両方を享受する、3次元のオブジェクトのアディティブ・マニュファクチャリングに関する技法を提供する目的のために、実験的な研究を行った。
【0232】
カーリング効果の存在、または、その欠如は、連続的な層の硬化間の経過時間に依存することが本発明者らによって見出された。具体的には、最終的なオブジェクトのカーリング効果は、連続的な層の硬化の開始間に十分に長期的な時間間隔を設定することによって、低減または排除され得ることが見出された。
【0233】
本発明のさまざまな例示的な実施形態では、オブジェクトを形成する層のうちの少なくとも1つの、または少なくとも2つの、または少なくとも3つに関して、たとえば、ほとんどの層またはすべての層に関して、各々の層の硬化が、その各々の層の直ぐ前に先行する層の硬化の始まりの後、少なくともt秒後に開始させられるように、ヘッド16および放射線源18を動作させるために、コントローラ20が構成されている。典型的には、各々の層は、約15ミクロンの厚さを有しているが、必ずしもそうであるわけではない。いくつかの実施形態では、各々の層は、少なくとも5ミクロンの厚さ、たとえば、約5ミクロン、または約10ミクロン、または約15ミクロン、または約30ミクロンの厚さを有している。他の厚さも本発明の範囲から除外されない。
【0234】
本発明のさまざまな例示的な実施形態では、tは、全体としてとられたディスペンシング時間および硬化時間を含む、単一の層が形成される全体的な時間よりも長い。たとえば、所与の層の全体的な形成時間が5秒であるときに、tは、5よりも長い。全体的な形成時間とtとの間の差は、「遅れ」として定義される。したがって、以前の層の硬化の直ぐ後に続いて各々の層が堆積および硬化させられる、従来のシステムとは異なり、コントローラ20は、直ぐ前の層の硬化の開始からの経過時間がt秒以上になるまで、層の堆積および/または硬化を遅らせる。
【0235】
tに関する典型的な値は、限定ではないが、少なくとも6、または少なくとも7、または少なくとも8、または少なくとも9、または少なくとも10を含む。本発明のいくつかの実施形態では、tは、最大でも25である。本発明のいくつかの実施形態では、tは、6未満である。
【0236】
tの値は、オブジェクトを製造するために使用される各々の材料の特性に依存し、また、任意選択で、オブジェクトが製造されている温度にも依存することが可能である。
本発明のいくつかの実施形態では、コントローラ20は、使用されている構築材料を特徴付けるHDTデータを受け取る。HDTデータは、典型的には、材料が硬化されると取得するHDTに対応している。そのようなデータは、たとえば、オペレータによって、データ・プロセッサ24によって提供され得る。オペレータが文字通りにHDTデータを入力すること(これも企図されているが)は必要ではないことが理解されるべきである。本発明のいくつかの実施形態では、コントローラまたはデータ・プロセッサは、メモリ媒体(図示せず)の中に記憶され得るHDT値のデータベースにアクセスし、また、オペレータによって行われる他のタイプの入力に基づいて、HDT値を選択する。たとえば、そのようなデータベースは、構築材料タイプおよび対応するHDT値を各々有する複数の入力値を含むことが可能である。これらの実施形態では、オペレータは、構築材料のタイプを入力するか、または、オプションのリストからタイプを選択することが可能であり、コントローラまたはデータ・プロセッサは、データベースから各々のHDT値を獲得する。また、コントローラまたはデータ・プロセッサが、供給システム42の中へロードされている構築材料のタイプに基づいて、データベースから各々のHDT値を獲得する実施形態も企図される。
【0237】
コントローラがHDTデータを受け取ると、コントローラは、任意選択で、HDTに応答可能にtの値を選択する。これは、2つ以上の方式で行われ得る。いくつかの実施形態では、ルックアップ・テーブルが使用される。そのようなルックアップ・テーブルは、コントローラによってアクセス可能なメモリ媒体の中に記憶され得る。ルックアップ・テーブルは、HDT値および対応するt値を各々有する複数の入力値を含むことが可能である。コントローラは、受け取られたHDT値に最良にマッチする入力値に関するテーブルを探し、各々のt値を選択するか、または、最良にマッチさせられた1つまたは複数の入力値に基づいて、t値を近似することが可能である。いくつかの実施形態では、コントローラは、所与の値のHDTに関してtの値を決定するための、事前にプログラムされた関数t(HDT)を用いることが可能である。そのような関数は、好ましくは、HDTの単調に増加する関数である(たとえば、プラスの傾きを有する線形関数)。好ましくは、HDT=50℃に関する関数の戻り値は、少なくとも6である。
【0238】
コントローラ20がHDTの値に基づいてtの値を選択することは必要でないことが理解されるべきである。本発明のいくつかの実施形態では、コントローラ20は、オブジェクトを製造するために使用されている構築材料のタイプから直接的に、tの値を選択する。これは、典型的には、ルックアップ・テーブルによって実施され、ルックアップ・テーブルは、本発明のいくつかの実施形態では、コントローラ20によってアクセス可能なメモリ媒体の中に記憶されている。そのようなルックアップ・テーブルは、構築材料タイプまたは構築材料ファミリ・タイプおよび対応するt値を各々有する複数の入力値を含むことが可能である。コントローラ20は、構築材料のタイプ、または、構築材料のファミリ・タイプに最良にマッチする入力値に関するテーブルを探し、各々のt値を選択することが可能である。
【0239】
また、tの値が、また、製造プロセスの動作温度に基づいており、好ましくは、必ずしもそうであるわけではないが、HDT値と動作温度との間の差に基づいている実施形態も企図される。
【0240】
tの値は、任意選択でおよび好ましくは、つい最近に形成された層に送達されるエネルギー線量に少なくとも部分的に基づくことが可能である。単位体積当たりのエネルギー線量は、原理的には、放射線源18によって放出される放射線の強度に依存し、また、材料がディスペンスされるレートに依存する。そして、ディスペンシング・レートは、トレイ12の相対的な回転速度、および、ヘッド16のノズルからの構築材料の流れに依存する。たとえば、所与のモデリング材料、ノズルからの構築材料の所与の流れ、および、所与の放射線強度に関して、回転速度によって形成プロセスにおいて、1つの層当たり、より低い重合化の程度が結果的に生じ、層は、それらの上に後続の層を硬化させる間に、重合化し続けている。以前に形成された層のそのような重合化は、カーリング効果を増加させることが本発明者らによって見出された。
【0241】
したがって、本発明のさまざまな例示的な実施形態では、tの値は、以下のパラメータ、すなわち、(i)層厚さ、(ii)ディスペンシング・レート、(iii)放射線強度、(iv)単位エネルギー線量当たりの重合化レート、および(v)硬化させられている材料のHDTのうちの1つまたは複数に基づいて計算される。いくつかの実施形態では、tの値は、上記のパラメータのうちの少なくとも2つに基づいて計算され、本発明のいくつかの実施形態では、tの値は、上記のパラメータのうちの少なくとも3つに基づいて計算され、本発明のいくつかの実施形態では、tの値は、すべての上記パラメータに基づいて計算される。
【0242】
本発明の実施形態の方法およびシステムは、多くのタイプの構築材料を利用することが可能である。代表的な例は、限定ではないが、ASTMD-648シリーズの手順、とりわけ、ASTMD-648-06方法およびASTMD-648-07方法のうちの1つまたは複数によって測定されるときに、ならびに、任意選択で、ASTMD-648-06方法およびASTMD-648-07方法の両方によって測定されるときに、約0.45MPaの圧力における後硬化HDTが、形成されている間の層の温度よりも高い、好ましくは、HDTが、約50℃以上である、構築材料を含む。
【0243】
適切な構築材料は、たとえば、アクリル官能基の付加反応など、ラジカル・メカニズムによるUV重合性である、アクリル官能性またはメタクリル官能性からなる組成物を含むことが可能である。さらなる例は、限定ではないが、モノ・アクリルまたはモノ・メタクリル官能性モノマーの少なくとも30重量%を構成するUV重合性組成物を含み、モノマーの各々のポリマーは、約50℃よりも高いガラス転移温度(Tg)を有している。いくつかの実施形態では、Tgは、60℃よりも高く、または、70℃よりも高い。
【0244】
ここで、「Tg」は、E”曲線の局所的最大の場所として定義されるガラス転移温度を表しており、ここで、E”は、温度の関数として、材料の損失弾性率である。
本発明の実施形態に適切ないくつかの代表的なタイプの材料は、Objet(登録商標) VeroBlue RGD840、Objet(登録商標) VeroGrey RGD850、Objet(登録商標) VeroBlack RGD870、およびObjet(登録商標) RGD525を含み、それらは、ストラタス リミテッド(Stratasys Ltd.)の市販のモデリング材料である。
【0245】
本明細書で使用されているように、「約」という用語は、±10%を表しており、「≒」という記号は、最大10%の公差を有する品質を表記している。
「例示的」という語句は、本明細書で、「例、事例、または説明図としての役割を果たす」ことを意味するように使用されている。「例示的」として説明されている任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態よりも好適または有利であるとして解釈されるわけではなく、および/または、他の実施形態からの特徴の組み込みを除外するわけではない。
【0246】
「任意選択で」という語句は、本明細書で、「いくつかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するように使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、そのような特徴が矛盾しない限り、複数の「任意選択の」特徴を含むことが可能である。
【0247】
「備える(comprises)」、「を備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、および、それらの活用形は、「を含むが、それに限定されない」ことを意味している。
【0248】
「から構成される(consisting of)」という用語は、「を含み、かつ、それに限定される」ことを意味している。
「本質的に、から構成される(consisting essentially of)」という用語は、組成物、方法、または構造体が、追加的な原料、工程、および/またはパーツを含むことが可能であるが、それは、追加的な原料、工程、および/または、パーツが、特許請求されている組成物、方法、または構造体の基礎的な特質および新規な特質を実質的に変更しないという場合に限ることを意味している。
【0249】
本明細書で使用されているように、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明確に別段の定めをしていなければ、複数形の参照を含む。たとえば、「1つの化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含む、複数の化合物を含むことが可能である。
【0250】
本出願の全体を通して、本発明のさまざまな実施形態が、レンジ・フォーマットで提示され得る。レンジ・フォーマットでの説明は、単に、便宜上および簡略化のためのものであり、本発明の範囲に関する融通の利かない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、レンジの説明は、可能性のあるすべてのサブレンジ、および、レンジの中の個々の数値を具体的には開示しているように考慮されるべきである。たとえば、1から6などのようなレンジの説明は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などのようなサブレンジ、ならびに、そのレンジの中の個々の数、たとえば、1、2、3、4、5、および6などを具体的に開示しているように考慮されるべきである。これは、レンジの広さにかかわらず適用される。
【0251】
数値的なレンジが本明細書で示されているときはいつでも、それは、示されているレンジの中の任意の引用される数字(分数または整数)を含むことを意味している。第1の表示数と第2の表示数との間の「レンジにある(ranging/ranges)」という語句、および、第1の表示数「から」第2の表示数の「レンジにある(ranging/ranges)」という語句は、本明細書で、互換可能に使用されており、また、第1および第2の表示された数、および、その間のすべての分数および整数を含むことを意味している。
【0252】
明確化のために別々の実施形態の文脈において説明されている、本発明の特定の特徴は、また、単一の実施形態において、組み合わせて提供され得ることが認識される。逆に、簡略化のために単一の実施形態の文脈において説明されている、本発明のさまざまな特徴は、また、別々に、もしくは、任意の適切なサブコンビネーションで提供され得、または、任意の他の本発明の説明されている実施形態において適切なように提供され得る。さまざまな実施形態の文脈において説明されている特定の特徴は、その実施形態がそれらのエレメントなしでは動作できないことでなければ、それらの実施形態の本質的な特徴であると考慮されるべきではない。
【0253】
上記に示されているような、および、下記の特許請求の範囲の章において特許請求されているような、本発明のさまざまな実施形態および態様は、以下の例の中に実験的なサポートを見出す。
実施例
ここで、以下の例を参照し、以下の例は、上記の説明とともに、非限定的に、本発明のいくつかの実施形態を図示している。
【0254】
放射線源およびプリンティング・ヘッドの好適な幾何学的な配置を決定するために、実験が行われた。実験的なセット・アップは、図13に図示されており、それは、フレーム180の上に装着されているヘッド16および放射線源18を示している。放射線源は、UVランプであった。
【0255】
プリンティング・プロセスが、352.8mmの直径において実行され、それは、約100度/秒の角速度を許容した。放射線源とヘッドとの間の角度分離は、約52°であり、材料ディスペンシングから硬化への対応する時間間隔は、約0.52秒であった。
【0256】
ベースライン試験が、異なるパワー・レベルにおいて行われた。UV放射計が、バラストへの異なる電圧入力において、ランプのパワー出力を測定するために使用された。ランプ・パワーが、印加される電圧の関数として、図14Aに示されており、また、2.2V、3.2V、および4.5Vの入力電圧に関して、結果として生じるプリントされたパターンのイメージは、各々、図14B図14C、および図14Dに示されている。放射計は、パワー出力増加を確認した。プリントされたパターンの充填レベルのパワーの影響は、重要ではなかった。
【0257】
別のプリンティング・プロセスが、497.8mmの直径において実行され、それは、約80度/秒の角速度を許容した。放射線源とヘッドとの間の角度分離は、約180°であり、材料ディスペンシングから硬化への対応する時間間隔は、約2.25秒であった。獲得されるプリントされたパターンの充填レベルは、図14B~Dに示されているベースラインと比較して、著しく高かった。モデルの表面仕上げは、著しく影響を及ぼされた。エッジおよび角部は、鋭くなく、波状の仕上げを作り出した。また、寸法精度は、おおよそ2%誤差公称寸法によって低減された。これらの実験に関して結果として生じるプリントされたパターンのイメージが、図14Eおよび図14Fに示されている。
【0258】
より大きい直径に移動させることによって、プリント品質が影響を及ぼされないことを確認するために、ランプが、トレイの周りの代替的な場所に移動させられた。図14Gおよび図14Hは、約80°および約60°の放射線源とヘッドとの間の角度分離に関して結果として生じるプリントされたパターンのイメージを示している。示されているように、ランプが、よりプリント・ヘッドの近くに移動させられたときに、充填レベルが減少した。
【0259】
別のプリンティング・プロセスでは、ドット・ゲインが増加させられた。表面仕上げおよび寸法精度が改善された。寸法誤差が、公称寸法の0.5%未満に低減された。80°の角度分離に関して結果として生じるプリントされたパターンの代表的なイメージは、図14Iに示されている。このプリント品質は、ベースラインに関して行われた、より小さい直径のプリンティングと一致した。
【0260】
充填レベルが、ランプ・パワーによって、より影響を及ぼされにくいことを確認するために、より大きいプリント直径における異なるパワー・レベルにおいて、追加的な実験が実施された。充填レベルおよび寸法精度の著しい変化は観察されなかった(データは示されていない)。
【0261】
表1は、実験のパラメータおよび結果を要約している。
【0262】
【表1】
本発明は、その特定の実施形態と関連して説明されてきたが、多くの代替例、修正例、および変形例が当業者に明らかになることが明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広い範囲の中に入る、すべてのそのような代替例、修正例、および変形例を包含することが意図されている。
【0263】
本明細書の中に述べられているすべての刊行物、特許、および特許出願は、各々の個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的におよび個別に、本願明細書に援用されているように示されているかのように、同じ程度まで、その全体が本願明細書に援用されている。それに加えて、本出願の中の任意の参照文献の引用または識別は、そのような参照文献が先行技術として本発明に利用可能であることの自白として解釈されるべきではない。章の見出しが使用されている範囲内において、それらは、必然的に限定するものとして解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A-C】
図3A-F】
図4A
図4B
図5A-B】
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B-F】
図14G-I】
図15A-D】
図16
図17
図18