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特許75209673つのプルワイヤを備えるカテーテル器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】3つのプルワイヤを備えるカテーテル器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240716BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/092 500
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022517802
(86)(22)【出願日】2020-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 IB2020058493
(87)【国際公開番号】W WO2021053482
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】62/903,337
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/988,996
(32)【優先日】2020-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ラオ・アナンド・アール
(72)【発明者】
【氏名】グエン・タン・ブイ
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-123649(JP,A)
【文献】特開2016-083372(JP,A)
【文献】特開2019-013758(JP,A)
【文献】特表2014-521447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)ハンドルと、
(b)前記ハンドルから遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの近位部分は長手方向軸線を画定し、前記カテーテルは、
(i)本体であって、前記本体は、
(A)第1の内腔と、
(B)第2の内腔と、
(C)第3の内腔と、を画定する、本体と、
(ii)前記第1の内腔内に位置付けられた第1のケーブルであって、前記第1のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第1のケーブルと、
(iii)前記第2の内腔内に位置付けられた第2のケーブルであって、前記第2のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第2のケーブルと、
(iv)前記第3の内腔内に位置付けられた第3のケーブルであって、前記第3のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第3のケーブルと、を含む、カテーテルと、
(c)前記カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、エンドエフェクタと、を備え
前記ハンドルは、
(i)ロッカーアームを備える偏向駆動アセンブリであって、前記ロッカーアームは、前記ロッカーアームの回転が前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルの同時かつ反対方向の並進運動をもたらすように、前記第1及び第2のケーブルに連結されている、偏向駆動アセンブリと、
(ii)スライダとベースとを備えるエンドエフェクタ拡張アクチュエータであって、前記スライダは、ユーザが直接操作することで近位位置と遠位位置との間を並進的に移動するように構成され、前記スライダは、前記ベースに連結されており、前記ベースは、前記第3のケーブルの近位端に連結されており、前記スライダは、前記第3のケーブルの前記近位端が前記ロッカーアームの遠位側で終端するように、前記ロッカーアームの遠位側で前記ハンドル内に位置付けられている、エンドエフェクタ拡張アクチュエータと、
を備える、装置。
【請求項2】
スライダの並進的な前記移動は記第3のケーブルを前記カテーテルの前記本体に対して長手方向に並進させる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記エンドエフェクタは、非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第3のケーブルは、前記エンドエフェクタを駆動して、前記非拡張状態から前記拡張状態に移行させるように動作可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第3の内腔は、前記本体の径方向中心に位置付けられている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記エンドエフェクタは、複数のストリップを備えた可撓性本体を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記エンドエフェクタは、組織における電位を感知するように構成された複数の電気生理学マッピング電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カテーテルの前記本体は、第4の内腔及び第5の内腔を更に画定し、前記カテーテルは、第1の支柱及び第2の支柱を更に含み、前記第1の支柱は、前記第4の内腔においてしっかりと固定され、前記第2の支柱は、前記第5の内腔においてしっかりと固定されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の支柱及び前記第2の支柱は、前記カテーテルの前記本体よりも大きい剛性を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の支柱及び前記第2の支柱は各々、管状インサートである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記エンドエフェクタは、流体を分注するように動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記カテーテルの前記本体は、第6の内腔を更に画定し、前記第6の内腔は、前記エンドエフェクタと流体連通し、前記第6の内腔は、流体源から前記エンドエフェクタに前記流体を送るように動作可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルは、第1の平面に沿って位置付けられ、前記第1の支柱及び前記第2の支柱は、第2の平面に沿って位置付けられ、前記第2の平面は前記第1の平面に直交している、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルは、前記長手方向軸線から離れる方向に、前記エンドエフェクタを前記第1の平面に沿って横方向に偏向させるように動作可能である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の支柱及び前記第2の支柱は、前記長手方向軸線から離れる方向に、前記第2の平面に沿う前記エンドエフェクタの偏向を防ぐように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の支柱及び前記第2の支柱は各々、管状インサートである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記カテーテルの前記本体は、
(A)第4の内腔と、
(B)第5の内腔と、
(C)第6の内腔と、
(D)第7の内腔と、を更に画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記第4の内腔は第1の支柱を収容し、前記第5の内腔は第2の支柱を収容し、前記第6の内腔は、前記エンドエフェクタへの流体の連通のための経路を画定し、前記第7の内腔は、前記エンドエフェクタまで延在する1つ以上のワイヤを収容する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
装置であって、
(a)ハンドルと、
(b)前記ハンドルから遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの近位部分は長手方向軸線を画定し、前記カテーテルは、
(i)本体であって、前記本体は、
(A)第1の内腔と、
(B)第2の内腔と、
(C)第3の内腔と、
(D)第4の内腔と、
(E)第5の内腔と、を画定する、本体と、
(ii)前記第1の内腔内に位置付けられた第1のケーブルであって、前記第1のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第1のケーブルと、
(iii)前記第2の内腔内に位置付けられた第2のケーブルであって、前記第2のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第2のケーブルと、
(iv)前記第3の内腔内に位置付けられた第3のケーブルであって、前記第3のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第3のケーブルと、
(v)前記第4の内腔内に位置付けられた第1の支柱であって、前記第1の支柱は、前記カテーテルの前記本体よりも大きい剛性を有する、第1の支柱と、
(v)前記第5の内腔内に位置付けられた第2の支柱であって、前記第2の支柱は、前記カテーテルの前記本体よりも大きい剛性を有する、第2の支柱と、を含み、
前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルは、第1の平面に沿って位置付けられ、
前記第1の支柱及び前記第2の支柱は、第2の平面に沿って位置付けられ、前記第2の平面は前記第1の平面に直交している、カテーテルと、
(c)前記カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、エンドエフェクタと、を備え
前記ハンドルは、
(i)ロッカーアームを備える偏向駆動アセンブリであって、前記ロッカーアームは、前記ロッカーアームの回転が前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルの同時かつ反対方向の並進運動をもたらすように、前記第1及び第2のケーブルに連結されている、偏向駆動アセンブリと、
(ii)スライダとベースとを備えるエンドエフェクタ拡張アクチュエータであって、前記スライダは、ユーザが直接操作することで近位位置と遠位位置との間を並進的に移動するように構成され、前記スライダは、前記ベースに連結されており、前記ベースは、前記第3のケーブルの近位端に連結されており、前記スライダは、前記第3のケーブルの前記近位端が前記ロッカーアームの遠位側で終端するように、前記ロッカーアームの遠位側で前記ハンドル内に位置付けられている、エンドエフェクタ拡張アクチュエータと、
を備える、装置。
【請求項20】
装置であって、
(a)ハンドルと、
(b)前記ハンドルから遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの近位部分は、長手方向軸線を画定し、前記カテーテルは、
(i)第1の内腔と、
(ii)第2の内腔と、
(iii)第3の内腔と、
(iv)第4の内腔と、
(v)第5の内腔と、
(vi)第6の内腔と、
(vii)第7の内腔と、を画定する本体を含む、カテーテルと、
(c)前記第1の内腔内に位置付けられた第1のケーブルであって、前記第1のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第1のケーブルと、
(d)前記第2の内腔内に位置付けられた第2のケーブルであって、前記第2のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第2のケーブルと、
(e)前記第3の内腔内に位置付けられた第3のケーブルであって、前記第3のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第3のケーブルと、
(f)前記第4の内腔内に位置付けられた第1の管状インサートであって、前記第1の管状インサートは、前記カテーテルの前記本体よりも大きい剛性を有する、第1の管状インサートと、
(g)前記第5の内腔内に位置付けられた第2の管状インサートであって、前記第2の管状インサートは、前記カテーテルの前記本体よりも大きい剛性を有する、第2の管状インサートと、
(h)前記カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、エンドエフェクタと、を備え
前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルは、第1の平面に沿って位置付けられ、
前記第1の管状インサート及び前記第2の管状インサートは、第2の平面に沿って位置付けられ、前記第2の平面は前記第1の平面に直交しており、
前記ハンドルは、
(i)ロッカーアームを備える偏向駆動アセンブリであって、前記ロッカーアームは、前記ロッカーアームの回転が前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルの同時かつ反対方向の並進運動をもたらすように、前記第1及び第2のケーブルに連結されている、偏向駆動アセンブリと、
(ii)スライダとベースとを備えるエンドエフェクタ拡張アクチュエータであって、前記スライダは、ユーザが直接操作することで近位位置と遠位位置との間を並進的に移動するように構成され、前記スライダは、前記ベースに連結されており、前記ベースは、前記第3のケーブルの近位端に連結されており、前記スライダは、前記第3のケーブルの前記近位端が前記ロッカーアームの遠位側で終端するように、前記ロッカーアームの遠位側で前記ハンドル内に位置付けられている、エンドエフェクタ拡張アクチュエータと、
を備える、装置。
【請求項21】
前記偏向駆動アセンブリの前記ロッカーアームは、前記ロッカーアームを第1の方向に回転させると、前記第1のケーブルを遠位に、前記第2のケーブルを近位に駆動し、前記ロッカーアームを前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させると、前記第1のケーブルを近位に、前記第2のケーブルを遠位に駆動するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記スライダの前記近位位置と前記遠位位置との間の並進的な前記移動は、前記エンドエフェクタを拡張状態と非拡張状態との間で移行させる、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記スライダの前記近位位置と前記遠位位置との間の並進的な前記移動は、前記エンドエフェクタを拡張状態と非拡張状態との間で移行させる、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記スライダの前記近位位置と前記遠位位置との間の並進的な前記移動は、前記エンドエフェクタを拡張状態と非拡張状態との間で移行させる、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2019年9月20日に出願された米国特許仮出願第62/903,337号、発明の名称「Catheter Instrument with Three Pull Wires」に対する優先権を主張するものであり、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の領域が電気信号を異常に伝導するときに発生する。不整脈を治療するための処置には、そのような信号の伝導経路を外科的に破壊することが含まれる。エネルギー(例えば、高周波(radiofrequency、RF)エネルギー)を印加することによって心臓組織を選択的に切除することにより、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正することが可能であり得る。アブレーションプロセスは、組織を横切る異常な電気信号の伝達を効果的に遮断する電気絶縁性病変又は瘢痕組織を形成することにより、望ましくない電気経路に対する障壁を提供することができる。
【0003】
一部の処置では、1つ以上のRF電極を有するカテーテルを使用して、心臓血管系内にアブレーションを提供することができる。カテーテルを主要な静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し、次に前進させて、心臓内又は心臓に隣接する心臓血管構造(例えば、肺静脈)内に電極を位置決めすることができる。1つ又は2つ以上の電極を、心臓組織又は他の血管組織と接触させて配置し、次いでRFエネルギーで作動させることによって、接触した組織をアブレーションすることができる。場合によっては、電極は双極であってもよい。いくつかの他の場合において、患者と接触している接地パッド又は患者と接触している他の参照電極と組み合わせて単極電極を使用してもよい。潅注を使用することにより、アブレーションカテーテルのアブレーション構成要素から熱を引き込み、アブレーション部位付近の血液凝固の形成を防止することができる。
【0004】
アブレーションカテーテルの例は、米国特許出願公開第2013/0030426号、発明の名称「Integrated Ablation System using Catheter with Multiple Irrigation Lumens」、2013年1月31日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」、2017年11月2日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2018/0071017号、発明の名称「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」、2018年3月15日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」、2018年3月1日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);米国特許第10,130,422号、発明の名称「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」、2018年11月20日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);米国特許第8,956,353号、発明の名称「Electrode Irrigation Using Micro-Jets」、2015年2月17日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);及び米国特許第9,801,585号、発明の名称「Electrocardiogram Noise Reduction」、2017年10月31日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0005】
一部のカテーテルアブレーション処置は、アブレーションの標的とすべき組織領域を特定するために、電気生理学(electrophysiology、EP)マッピングを用いた後に実施され得る。このようなEPマッピングは、カテーテル(例えば、アブレーションを実施するために使用されるのと同じカテーテル又は専用のマッピングカテーテル)上の感知電極の使用を含んでもよい。このような感知電極は、導電性心内膜組織から発する電気信号を監視して、不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の位置を特定することができる。EPマッピングシステムの例は、米国特許第5,738,096号、発明の名称「Cardiac Electromechanics」、1998年4月14日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。EPマッピングカテーテルの例は、米国特許第9,907,480号、発明の名称「Catheter Spine Assembly with Closely-Spaced Bipole Microelectrodes」、2018年3月6日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);米国特許第10,130,422号、発明の名称「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」、2018年11月20日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);及び米国特許出願公開第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」、2018年3月1日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0006】
アブレーションカテーテルを使用するとき、アブレーションカテーテルの1つ又は2つ以上の電極が標的組織に十分に接触することを確実にすることが望ましい場合がある。例えば、組織を不必要に損傷させる傾向がある程度の力を印加することがないようにしながら、RFアブレーションエネルギーを組織に効果的に印加するのに十分な力で、1つ又は2つ以上の電極が標的組織に接触することを確実にすることが望ましい場合がある。その目的の達成のために、アブレーションカテーテルの1つ又は2つ以上の電極と標的組織との間の十分な接触を検出するために、1つ若しくは2つ以上の力センサ又は圧力センサを含むことが望ましい場合がある。
【0007】
力検知又はEPマッピングを使用することに加えて、いくつかのカテーテルアブレーション処置は、画像誘導手術(image guided surgery、IGS)システムを使用して実行されてもよい。IGSシステムにより、医師は、患者内の解剖学的構造の画像に関連して、患者内のカテーテルの位置をリアルタイムで視覚的に追跡することができる。一部のシステムは、Biosense Webster,Inc.(Irvine,California)によるCARTO3(登録商標)システムを含めて、EPマッピング機能とIGS機能の組み合わせを提供することができる。IGSシステムとともに使用するように構成されたカテーテルの例は、米国特許第9,480,416号、発明の名称「Signal Transmission Using Catheter Braid Wires」、2016年11月1日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び本明細書に引用される様々な他の参照文献に開示されている。
【0008】
いくつかのカテーテルシステム及び方法が実施され、利用されてきたが、本発明者らよりも以前に、本明細書に記載、例示及び特許請求される本発明を実施又は利用したものは存在しないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
図1】カテーテルアセンブリのカテーテルを患者に挿入する医療処置の概略図である。
図2A図1のカテーテルアセンブリの斜視図であり、追加の構成要素が概略形態で示され、エンドエフェクタが非拡張状態にある。
図2B図1のカテーテルアセンブリの斜視図であり、追加の構成要素が概略形態で示され、エンドエフェクタが拡張状態にある。
図3図1のカテーテルアセンブリのハンドルアセンブリ上のアクチュエータの斜視図である。
図4】拡張状態にある図2Aのエンドエフェクタの斜視図である。
図5A】関節運動駆動アクチュエータが第1の回転位置にある図3のハンドルアセンブリの一部分の上面図である。
図5B】関節運動駆動アクチュエータが第2の回転位置にある図3のハンドルアセンブリの一部分の上面図である。
図5C】関節運動駆動アクチュエータが第3の回転位置にある図3のハンドルアセンブリの一部分の上面図である。
図6A図1のカテーテルアセンブリのカテーテルの遠位部分の上面図であり、カテーテルの一部分が断面であり、遠位部分が図5Aの関節運動駆動アクチュエータの第1の回転位置に関連付けられた非偏向状態にある。
図6B図6Aのカテーテルの遠位部分の上面図であり、カテーテルの一部分が断面であり、遠位部分が図5Bの連結運動駆動アクチュエータの第2の回転位置に関連付けられた第1の偏向状態にある。
図6C図6Aのカテーテルの遠位部分の上面図であり、カテーテルの一部分が断面であり、遠位部分が図5Cの関節運動駆動アクチュエータの第3の回転位置に関連付けられた第2の偏向状態にある。
図7A図3のハンドルアセンブリの一部分の上面図であり、ハンドルアセンブリの一部分が内部構成要素を明らかにするように省略されており、関節運動駆動アクチュエータが図5Aの第1の回転位置にある。
図7B図3のハンドルアセンブリの一部分の上面図であり、ハンドルアセンブリの一部分が内部構成要素を明らかにするように省略されており、関節運動駆動アクチュエータが図5Bの第2の回転位置にある。
図7C図3のハンドルアセンブリの一部分の上面図であり、ハンドルアセンブリの一部分が内部構成要素を明らかにするように省略されており、関節運動駆動アクチュエータが図5Cの第3の回転位置にある。
図8A図1のカテーテルアセンブリの側面図であり、ハンドルアセンブリの一部分が、内部構成要素を明らかにするように分離されており、エンドエフェクタ拡張アクチュエータが第1の長手方向位置にあり、エンドエフェクタが非拡張状態にある。
図8B図1のカテーテルアセンブリの側面図であり、ハンドルアセンブリの一部分が、内部構成要素を明らかにするように分離されており、エンドエフェクタ拡張アクチュエータが第2の長手方向位置にあり、エンドエフェクタが拡張状態にある。
図9図2Aの線9-9に沿った図6Aのカテーテルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものと見なされるべきである。
【0011】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0012】
本明細書で使用するとき、任意の数値又は数値の範囲について「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被験者」という用語は、任意のヒト又は動物被験体を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0013】
I.カテーテルシステムの例の概要
図1は、上に言及した、EPマッピング又は心臓アブレーションを行うために使用できる心臓カテーテルシステムの例示的な医療手技及び関連する構成要素を示す。具体的には、図1は、カテーテルアセンブリ(100)のハンドルアセンブリ(110)を把持する医師(physician、PH)を示し、カテーテルアセンブリ(100)の(図2A図2B及び図4に示されているが、図1には示されていない)カテーテル(120)のエンドエフェクタ(300)は、患者(patient、PA)の心臓(heart、H)内若しくはその近くの組織の電位をマッピングするか、又は組織をアブレーションするように患者(PA)内に配設されている。図2A図3に示すように、カテーテルアセンブリ(100)は、ハンドルアセンブリ(110)と、ハンドルアセンブリ(110)から遠位に延在するカテーテル(120)と、カテーテル(120)の遠位端に位置するエンドエフェクタ(300)と、ハンドルアセンブリ(110)に関連付けられた偏向駆動アセンブリ(200)と、を含む。
【0014】
以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ(300)は、RFエネルギーを標的組織部位に送達し、EPマッピング機能を提供し、エンドエフェクタ(300)に付与された外力を追跡し、エンドエフェクタ(300)の位置を追跡し、又は灌注流体を分散させるように構成された様々な構成要素を含む。以下でまたより詳細に説明するように、偏向駆動アセンブリ(200)は、エンドエフェクタ(300)及びカテーテル(120)の遠位部分をカテーテル(120)の近位部分によって画定された中央長手方向軸線(LA)から離れる方向に偏向させるように構成されている。
【0015】
図4に示すように、カテーテル(120)は、細長い可撓性シース(122)を含み、エンドエフェクタ(300)は、シース(122)から遠位に延在する第1の内部シャフト(124)の遠位端(125)に配設されている。シース(122)内に収容されるエンドエフェクタ(300)及び様々な構成要素について、以下でより詳細に説明する。カテーテルアセンブリ(100)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)に連結されている。カテーテルアセンブリ(100)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)とも連結されている。一組の磁場発生器(20)は、患者(PA)の下に位置付けられ、別のケーブル(22)を介して誘導駆動システム(10)と連結されている。磁場発生器(20)は、単に任意選択である。
【0016】
本実施例の誘導駆動システム(10)は、コンソール(12)と、ディスプレイ(18)と、を含む。コンソール(12)は、第1のドライバモジュール(14)及び第2のドライバモジュール(16)を含む。第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してカテーテルアセンブリ(100)に連結されている。一部の変形例では、第1のドライバモジュール(14)は、以下により詳細に説明するように、エンドエフェクタ(300)の電極(310)を介して取得されたEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)は、そのようなEPマッピング信号を処理し、それによって、当該技術分野において公知のEPマッピングを提供するプロセッサ(図示せず)を含む。
【0017】
エンドエフェクタ(300)が、1つ以上のアブレーション電極(図示せず)を含む変形例では、本実施例の第1のドライバモジュール(14)は、そのようなアブレーション電極にRF電力を提供することによって、アブレーション電極に接触する組織をアブレーションするように更に動作可能である。第2のドライバモジュール(16)は、ケーブル(22)を介して磁場発生器(20)に連結されている。第2のドライバモジュール(16)は、磁場発生器(20)を作動させて、患者(PA)の心臓(H)の周囲に交流磁場を発生させるように動作可能である。例えば、磁場発生器(20)は、心臓(H)を含む所定の作業体積内に交流磁場を発生させるコイルを含んでもよい。
【0018】
第1のドライバモジュール(14)はまた、エンドエフェクタ(300)内のナビゲーションセンサアセンブリ(127)から信号を示す位置を受信するように動作可能である。このような変更例では、コンソール(12)のプロセッサはまた、ナビゲーションセンサアセンブリ(127)からの位置表示信号を処理し、それによって、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置を判定するように動作可能である。いくつかの変形例では、ナビゲーションセンサアセンブリ(127)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置及び配向を示す信号を生成するように動作可能な2つ以上のコイルを含む。コイルは、磁場発生器(20)によって生成された交流電磁場の存在に応答して電気信号を生成するように構成されている。エンドエフェクタ(300)に関連するリアルタイムの位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術は、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などを含み得る。あるいは、エンドエフェクタ(300)は、ナビゲーションセンサアセンブリ(127)を欠いてもよい。
【0019】
ディスプレイ(18)は、コンソール(12)のプロセッサに連結されており、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、手術前又は手術中に得られた1組の画像(例えば、CT又はMRIスキャン、3Dマップなど)に基づくことができる。ディスプレイ(18)を通して提供される患者の解剖学的構造の図はまた、エンドエフェクタ(300)のナビゲーションセンサアセンブリ(127)からの信号に基づいて動的に変化してもよい。例えば、カテーテル(120)のエンドエフェクタ(300)が患者(PA)内で移動するにつれて、ナビゲーションセンサアセンブリ(127)からの対応する位置データが、コンソール(12)のプロセッサに、ディスプレイ(18)内の患者の解剖学的構造の図をリアルタイムで更新させ、エンドエフェクタ(300)が患者(PA)内で移動するにつれて、エンドエフェクタ(300)の周囲の患者の解剖学的構造の領域を示してもよい。更に、コンソール(12)のプロセッサは、エンドエフェクタ(300)による電気生理学的(electrophysiological、EP)マッピングによって検出されるように、又は他の方法で検出される(例えば、専用のEPマッピングカテーテルなどを使用する)ように、異常な導電性組織部位の場所を示すようディスプレイ(18)を駆動してもよい。単に一例として、コンソール(12)のプロセッサは、例えば、照らされたドット、十字線、又は異常な導電性組織部位の視覚的表示のいくつかの他の形式を重ね合わせることなどによって、異常な導電性組織部位の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。
【0020】
コンソール(12)のプロセッサはまた、例えば、照らされたドット、十字線、エンドエフェクタ(300)のグラフィック表現、又は視覚的表示のいくつかの他の形態を重ね合わせることなどによって、エンドエフェクタ(300)の現在の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。このような重ね合わされた視覚的表示はまた、医師が患者(PA)内でエンドエフェクタ(300)を移動させると、リアルタイムでディスプレイ(18)上の患者の解剖学的構造の画像内で移動することができ、それによって、エンドエフェクタ(300)が患者(PA)内で移動すると、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置に関するリアルタイムの視覚的フィードバックを操作者に提供する。したがって、ディスプレイ(18)を介して提供される画像は、エンドエフェクタ(300)を観察するいかなる光学機器(即ちカメラ)を必ずしも有することなく、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置を追跡するビデオを効果的に提供することができる。同じ図で、ディスプレイ(18)は、EPマッピングによって検出された異常な導電性組織部位の場所を、同時に視覚的に示すことができる。したがって、医師(PH)は、ディスプレイ(18)を見て、マッピングされた異常な導電性組織部位に関して、また患者(PA)内の隣接する解剖学的構造の画像に関して、エンドエフェクタ(300)のリアルタイムの位置を観察することができる。
【0021】
本例の流体源(42)は、生理食塩水又は一部の他の適切な灌注流体を収容するバッグを含む。導管(40)は、流体源(42)からカテーテルアセンブリ(100)に流体を選択的に駆動するように動作可能なポンプ(44)に更に連結された可撓性チューブを含む。以下により詳細に説明するように、このような灌注流体は、エンドエフェクタ(300)の第2の内部シャフト(126)の開口遠位端部(129)を通って排出されてもよい。そのような灌注は、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるような任意の好適な方式で提供されてもよい。
【0022】
II.エンドエフェクタの例
図2A図2Bに示すように、本例のエンドエフェクタ(300)は、非拡張状態(図2A)と拡張状態(図2B)との間を移行するように動作可能である。以下でより詳細に説明するように、この移行は、ハンドルアセンブリ(110)のエンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)の操作によって駆動される。いくつかの変形例では、外側シース(122)は、エンドエフェクタ(300)が非拡張状態である場合、エンドエフェクタ(300)の上を選択的に摺動するように構成されている。そのような変形例では、外側シース(122)は、エンドエフェクタ(300)を露出させるように近位に後退させることができ、それにより、エンドエフェクタ(300)が拡張状態に移行するのを可能にする。
【0023】
図2A図2Bに示される変形例では、エンドエフェクタ(300)は、エンドエフェクタ(300)が拡張状態にある場合、球根形又はほぼ球形を画定するように構成されている。そのような変形例では、エンドエフェクタ(300)は、(例えば、バルーンと同様の)膨張可能な本体を含むことができる。あるいは、エンドエフェクタ(300)は、エンドエフェクタ(300)が拡張状態にある場合、球根形又はほぼ球形を画定するように外向きに湾曲するように構成された、複数のストリップ又は他の構造を含み得る。そのような変形例では、ストリップ又は他の構造は、エンドエフェクタ(300)が非拡張状態である場合、ほぼ円筒形状又は他の実質的にまっすぐな形状を画定し得る。それぞれのそのようなストリップ又は他の構造の近位端は、1つのシャフトに対してしっかり固定され得て、一方、それぞれのそのようなストリップ又は他の構造の遠位端は、別のシャフトに対してしっかり固定され得る。ストリップ又は他の構造は、それらのシャフトの一方がそれらのシャフトの他方に対して長手方向に並進することに応答して、座屈し、それによって外向きに湾曲し得る。
【0024】
図4に示す変形例では、エンドエフェクタ(300)は、拡張形状にあるときに螺旋形状を画定するように構成されている。図4に示す例のエンドエフェクタ(300)は、外側シース(122)の内部にある第1の内部シャフト(124)に取り付けられている。この例のエンドエフェクタ(300)は、複数の電極(310)を含む。いくつかの変形例では、電極(310)は、当該技術分野で既知であるように、組織からの心電図信号をピックアップすることによって双極EPマッピングを提供するように動作可能である。電極(310)は、いくつかの実施態様では、対になって協働することができる。電極(310)によってピックアップされた信号は、カテーテル(120)内の電気導管(図示せず)を通ってコンソール(12)に戻されることができる。コンソール(12)は信号を処理して、EPマッピングを提供し、それによって心臓解剖学的構造内の異常な電気的活動の位置を識別することができる。これにより、医師(PH)は、アブレーションする(例えば、RFエネルギー、冷凍アブレーションなどで)心臓組織の最も適切な領域を特定することができ、それによって、心臓組織を横切る異常な電気活動の伝達を防止するか、又は少なくとも低減することができる。
【0025】
図4にも示されるように、一対の参照電極(128)は、シャフト(124)を中心にして同軸に位置付けられている。そのような参照電極(128)は、EPマッピング処理中に、電極対(330)と併せて利用され得る。例えば、参照電極(128)は、EPマッピング処理中に、エンドエフェクタ(300)の内部を通過する血液又は生理食塩水からの参照電位をピックアップするために利用され得る。そのような参照電位は、当該技術分野で既知であるように、ノイズ又は遠距離場信号を低減するために使用され得る。本例では、エンドエフェクタ(300)は、EPマッピング処理でエンドエフェクタ(300)の使用中に、参照電極(128)が組織に接触しないように位置付けられ、一方で、血液及び生理食塩水がエンドエフェクタ(300)を通って自由に流動して参照電極(128)に到達するのを依然として可能にするように構成されている。
【0026】
単に一例として、電極(128、332、334)は、白金、金、又は任意の他の適切な材料から形成されてもよい。電極(128、332、334)は、所望に応じて、様々なコーティングを含んでもよい。例えば、電極対(330)は、電極対(330)からの信号の信号対雑音比を改善するように選択されたコーティングを含んでもよい。そのようなコーティングとしては、酸化イリジウム(IrOx)コーティング、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)コーティング、電着酸化イリジウム(EIROF)コーティング、白金イリジウム(PtIr)コーティング、又は任意の他の適切なコーティングを挙げることができるが、これらに限定されない。電極(128、332、334)に使用され得る様々な適切な種類のコーティングは、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであろう。
【0027】
EPマッピング電極(310)のみが図4に示されているが、エンドエフェクタ(300)の他の変形例は、EPマッピング電極(310)を含むことに加えて又はその代わりに、アブレーション電極を含むことができる。そのようなアブレーション電極を使用して、アブレーション電極と接触している組織にRFエネルギーを印加し、それによって組織をアブレーションすることができる。各アブレーション電極は、エンドエフェクタ(300)上の対応するトレース又は他の電気導管と連結されてもよく、それによって、コンソール(12)は、カテーテル(120)内の電気導管(図示せず)を介してRFエネルギーをエンドエフェクタ(300)上のトレース又は他の導管に伝達して、アブレーション電極に到達させることができる。
【0028】
本例のエンドエフェクタ(300)は、第2の内部シャフト(126)の遠位端(129)の近くに位置する位置センサ(127)を更に含む。位置センサ(127)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)の位置及び配向を示す信号を生成するように動作可能である。単に一例として、位置センサ(127)は、磁場発生器(20)によって発生する交流電磁場の存在に応じて電気信号を生成するように構成された1つのワイヤコイル又は複数のワイヤコイル(例えば、3つの直交コイル)の形態であってもよい。位置センサ(127)は、カテーテル(120)に沿って又は他の方法でカテーテル(120)を介して、ワイヤ、トレース、又は任意の他の好適な電気導管と連結されてもよく、それにより、位置センサ(127)によって生成された信号が、カテーテル(120)内の電気導管(図示せず)を通ってコンソール(12)に伝達されることを可能にする。コンソール(12)は、位置センサ(127)からの信号を処理して、患者(PA)内でのエンドエフェクタ(300)の位置を同定することができる。エンドエフェクタ(300)に関連するリアルタイムの位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術は、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などを含み得る。いくつかの変形例では、位置センサ(127)は省略されてもよい。
【0029】
上記のように、本例のカテーテルアセンブリ(100)は、流体導管(40)を介して流体源(42)と連結されている。流体導管(図示せず)は、カテーテル(120)の長さに沿って延在し、第2の内部シャフト(126)の開口遠位端(129)を通って灌注流体(例えば、生理食塩水)を送達するように動作可能である。例えば、流体導管は、遠位端(129)で遠位に終端してもよい。追加的に又は代替的に、第2の内部シャフト(126)は、流体導管と連通する1つ以上の横方向に配向された灌注ポートを組み込むことができる。そのような灌注ポートは、エンドエフェクタ(300)の長手方向位置に対応する長さの領域に沿って離間され得る。いずれの場合も、灌注流体は、患者(PH)内のエンドエフェクタ(300)の動作中に、エンドエフェクタ(300)で冷却、フラッシング、又は他の効果を提供することができる。カテーテルアセンブリ(100)が灌注を提供し得る様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。あるいは、カテーテルアセンブリ(100)の一部の変形例は、導管(40)、流体源(42)、及びポンプ(44)が省略され得るように、灌注能力を欠く可能性がある。
【0030】
上記に加えて、エンドエフェクタ(300)及びカテーテルアセンブリ(100)の他の態様は、参照により本明細書に組み込まれる様々な特許文献のいずれか1つ以上の教示の少なくとも一部に従って構成されてもよく、かつ動作可能であってよい。
【0031】
III.エンドエフェクタ偏向アクチュエータの例
上述したように、カテーテルアセンブリ(100)は、カテーテル(120)の近位部分によって画定された中央長手方向軸線(LA)から離れる方向にエンドエフェクタ(300)を偏向させるように構成された偏向駆動アセンブリ(200)を含む。本例の偏向駆動アセンブリ(200)は、プッシュプルケーブル(162、172)、ケーブルドライバアセンブリ(210)、及びロッカーアーム(230)を含む。以下でより詳細に説明するように、医師(PA)は、ロッカーアーム(230)をハンドルアセンブリ(110)に対して作動させてもよく、これにより、ケーブルドライバアセンブリ(210)は、プッシュプルケーブル(162、172)を同時に作動させるようにすることができ、長手方向に対向する運動は、長手方向軸線(LA)から離れる方向に、エンドエフェクタ(300)を横方向に選択的に偏向させ、それによって、医師(PH)が患者(PA)内のエンドエフェクタ(300)を能動的に操縦することを可能にする。
【0032】
偏向駆動アセンブリ(200)の選択された部分は、ハンドルアセンブリ(110)に動作可能に連結される。図2A図3に最も良く示されているように、ハンドルアセンブリ(110)は、第1のケーシング部分(112)及び第2のケーシング部分(114)を含む。図7A図7Cに最も良く示されているように、ケーシング部分(112、114)は内部空洞(102)を一緒に画定する。更に図7A図7Cに示されるように、ロッカーアーム(230)の中央本体(212)は空洞(102)内に延在する。一対の側方ウィング(220)は、中央本体(212)から外向きに延在する。ケーブルドライバアセンブリ(210)は、ハンドルアセンブリ(110)と回転可能に連結されており、これにより、ケーブルドライバ(210)は、長手方向軸線(LA)に垂直な軸線を中心に回転するように構成されている。ケーブルドライバアセンブリ(210)が回転すると、ウィング(220)は回転軸線を中心に回転する。このウィングの動きにより、以下に記載されるように、プッシュプルケーブル(162、172)が同時に反対方向に並進する。
【0033】
ケーブルドライバアセンブリ(210)のウィング(220)は、それぞれのプッシュプルケーブル(162、172)と連結するように構成されており、それにより、ケーブルドライバ(210)の回転軸線を中心としたウィング(220)の回転が、本明細書の説明に従ってケーブル(162、172)を引っ張ることとなる。各ウィング(220)は、ケーブル凹部(222)と、ケーブル凹部(222)内に延在するプラグ開口部(224)とを画定する。ケーブル凹部(222)は、プッシュプルケーブル(162、172)の中間部分を受容するように寸法決めされ、一方、プラグ開口部(224)は、ケーブルプラグ(226)がウィング(220)とともに作動するように、ケーブルプラグ(226)を受容するように寸法決めされる。ケーブル凹部(220)は、プッシュプルケーブル(162、172)の中間部分が図7A図7Cに示されるようにケーブルプラグ(226)の周囲に巻き付き得るように、ケーブルプラグ(226)を収容するように寸法決めされ、それによって、プッシュプルケーブル(162、172)の中間部分をケーブルドライバアセンブリ(210)と好適に連結することができる。ケーブルプラグ(226)は、ケーブルプラグ(226)の近位移動が対応するプッシュプルケーブル(162、172)を近位に引っ張るように、プッシュプルケーブル(162、172)と相互作用する。
【0034】
第2のケーシング部分(114)の内部は、隔壁(104)と、隔壁(104)の両側に位置する一対の張力調節チャネル(108)と、を含む。隔壁(104)及びそれぞれの張力調節チャネル(108)は、摺動チャネル(106)をともに画定する。各摺動チャネル(106)は、それぞれの摺動本体(165、175)を摺動可能に収容する。摺動本体(165、175)は、それぞれのプッシュプルケーブル(162、172)に取り付けられる。摺動本体(165、175)及び摺動チャネル(106)はともに、本明細書の説明に従って摺動本体(165、175)から遠位に延在するプッシュプルケーブル(162、172)の部分の同時の対向する並進を誘導するのを補助することができる。
【0035】
張力調節チャネル(108)は、横方向に延在する、矩形突起部を有する線形アレイを含む。張力調節チャネル(108)は、それぞれがまた横方向に延在する矩形突起部の相補的な線形アレイを有するそれぞれの張力ブロック(168、178)を受容するように構成される。張力ブロック(168、178)及び張力調節チャネル(108)の相補的な矩形突起部は、第2のケーシング部分(114)に対して張力ブロック(168、178)を長手方向に固定するように構成される。言い換えれば、張力調節チャネル(108)は、張力ブロック(168、178)をハンドルアセンブリ(110)に対して固定するために、張力ブロック(168、178)をさね継ぎ方式で受容するように構成されている。張力ブロック(168、178)は、プッシュプルケーブル(162、172)の機械的接地として機能するために、調節チャネル(108)内の様々な好適な位置に沿って選択的に挿入されてもよい。張力ブロック(168、178)は、プッシュプルケーブル(162、172)内の張力を調節し、それによって、製造公差の変動、プッシュプルケーブル(162、172)の変形などの様々な要因によるプッシュプルケーブル(162、172)の長さの変動に適応するために、調節チャネル(108)内の様々な位置に沿って挿入されてもよい。
【0036】
プッシュプルケーブル(162、172)は、それぞれの近位端ブロック(166、176)にしっかり固定されている。図7A図7Cに最も良く示されているように、近位端ブロック(166、176)は、張力ブロック(168、178)のすぐ遠位の張力調節チャネル(108)内に収容される。したがって、張力ブロック(168、178)は、近位端ブロック(166、176)が調節チャネル(108)内で近位に作動することを防止し、それによってプッシュプルケーブル(162、172)のための機械的接地として機能する。張力ブロック(168、178)は、プッシュプルケーブル(162、172)が、ケーブルドライバアセンブリ(210)と好適に連結するために、調節チャネル(108)を通って近位端ブロック(166、176)から延在し得るように、プッシュプルケーブル(162、172)が延在する貫通孔を画定する。あるいは、張力ブロック(168、178)及びそれぞれの近位端ブロック(166、176)は、単一の部品から形成されてもよい。
【0037】
図6A図6Cに最も良く示されているように、プッシュプルケーブル(162、172)の遠位端は、エンドエフェクタ(300)と連結している。本明細書の教示を考慮することで、プッシュプルケーブル(162、172)がエンドエフェクタ(300)と連結され得る多様な好適な方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0038】
図5A図6Cは、エンドエフェクタ(300)及びカテーテル(120)の遠位部分を中央長手方向軸線(LA)から離れる方向に偏向させるための偏向駆動アセンブリ(200)の例示的な使用を示す。図5A及び図6Aは、エンドエフェクタ(300)が中立の非偏向位置にあるときのカテーテルアセンブリ(100)の様々なセクションを示す。図5Aは、ハンドルアセンブリ(110)に対して中立の回転位置にあるロッカーアーム(230)を示す。図7Aに最も良く示されているように、ロッカーアーム(230)が第1の回転位置にあるとき、ケーブルドライバアセンブリ(210)は、摺動本体(165、175)、したがってプッシュプルケーブル(162、172)が、図6Aに示すように、非偏向位置にあるエンドエフェクタ(300)と関連付けられた第1の長手方向位置にあるように、対応する第1の回転位置にある。
【0039】
医師(PH)が、中央長手方向軸線(LA)に対して第1の方向にエンドエフェクタ(300)を図6Bに示される第1の偏向位置に偏向させることを望むとき、医師(PH)は、ロッカーアーム(230)をケーシング部分(112、114)に対して図5Bに示す位置まで回転させることができる。図7Bに最も良く示されているように、図5Bに示す回転位置へのロッカーアーム(230)の回転は、ケーブルドライバアセンブリ(210)を対応する回転位置に駆動し、これにより、プッシュプルケーブル(170)に関連付けられたプラグ(226)がプッシュプルケーブル(170)を近位に駆動する。加えて、プッシュプルケーブル(160)と関連付けられたプラグ(226)は、遠位に駆動され、プッシュプルケーブル(160)が遠位に作動することを可能にする。
【0040】
プッシュプルケーブル(170)の近位並進は、摺動本体(175)をそれぞれの摺動チャネル(106)内で近位に駆動し、摺動本体(165)が摺動チャネル(106)内で遠位に摺動することを可能にする。摺動本体(175)の近位並進は、摺動本体(175)から遠位に延在する中間部分(172)のセクション、並びに遠位部分(174)を近位に駆動する。遠位部分(174)は、上述したようにエンドエフェクタ(300)から近位に作動しない場合があるため、遠位部分(174)の近位並進により、エンドエフェクタ(300)を駆動して、図6Bに示す位置まで屈曲させる。
【0041】
同様に、医師(PH)が中央長手方向軸線(LA)に対して断面方向にエンドエフェクタ(300)を図6Cに示す第2の偏向位置に偏向させることを望むとき、医師(PH)は、ロッカーアーム(230)をハンドルアセンブル(110)に対して図5Cに示す位置まで回転させることができる。図7Cに最も良く示されているように、図5Cに示す回転位置へのロッカーアーム(230)の回転は、ケーブルドライバアセンブリ(210)を対応する回転位置に駆動し、これにより、プッシュプルケーブル(160)に関連付けられたプラグ(226)がプッシュプルケーブル(160)を近位に駆動する。加えて、プッシュプルケーブル(170)と関連付けられたプラグ(226)は、遠位に駆動され、プッシュプルケーブル(170)が遠位に作動することを可能にする。
【0042】
プッシュプルケーブル(160)の近位並進は、摺動本体(165)を摺動チャネル(106)内で近位に駆動し、摺動本体(175)が摺動チャネル(106)内で遠位に摺動することを可能にする。摺動本体(165)の近位並進は、摺動本体(165)から遠位に延在する中間部分(162)のセクション、及び遠位部分(164)を近位に駆動する。遠位部分(164)は、上述したようにエンドエフェクタ(300)から近位に作動しない場合があるため、遠位部分(164)の近位並進により、エンドエフェクタ(300)を駆動して、図6Cに示す位置まで屈曲させる。
【0043】
いくつかの変形例では、カテーテルアセンブリ(100)は、カテーテル(120)を変形させるように動作可能であり、これにより、エンドエフェクタ(300)は180度完全に偏向される。言い換えれば、カテーテル(120)の遠位部分は、プッシュプルケーブル(162、172)によって、エンドエフェクタ(300)が、長手方向軸線(LA)と平行であるが横方向にオフセットした軸線に沿って、近位に配向される点まで屈曲され得る。そのような180度の曲げ角度を達成できる様々な好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。また、そのような180度の曲げは、エンドエフェクタ(300)が左に180度完全に偏向され得るか、又は右に180度完全に偏向され得るように、双方向に提供されてもよいことが理解されるべきである。
【0044】
前述の例では、(図5A図5Cに示されるように、x-y平面を中心とするロッカーアーム(230)の回転は、エンドエフェクタ(300)の長手方向軸線(LA)から離れる横方向の偏向をもたらし、偏向はまたx-y平面に沿っている。いくつかの他の変形例では、エンドエフェクタ(300)は、x-y平面に沿って偏向することに加えて又はその代わりとして、x-z平面に沿って偏向する。同時に長手方向に対向する方式でプッシュプルケーブル(162、172)を駆動するために使用され得る様々な他の好適な機構は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。同様に、エンドエフェクタ(300)の長手方向軸線(LA)から離れる方向に横方向の偏向を駆動するために使用され得る様々な他の好適な機構は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0045】
IV.エンドエフェクタ拡張アクチュエータの例
図2A図2B及び図8A図8Bに示すように、エンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)は、エンドエフェクタ(300)を駆動して、非拡張状態(図2A及び図8A)と拡張状態(図2B及び図8B)との間で移行させるように動作可能である。本例のエンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)は、遠位位置(図2A及び図8A)と近位位置(図2B及び図8B)との間のケーシング部分(112、114)に対して長手方向に並進するように動作可能なスライダの形態である。エンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)は、カテーテル(120)の長さに沿って延在するプッシュプルケーブル(252)を介して、エンドエフェクタ(300)と連結されている。プッシュプルケーブル(252)の近位端は、エンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)のベース(254)と連結されている。プッシュプルケーブル(252)の遠位端は、エンドエフェクタ(300)の対応する構成要素と連結されている。プッシュプルケーブル(252)がエンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)及び第2の内部シャフト(126)と連結され得る多様な好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0046】
前述から、エンドエフェクタ拡張アクチュエータ(250)の長手方向の並進は、プッシュプルケーブル(252)を介して第2の内部シャフト(126)に伝達されることを理解されたい。上記のように、エンドエフェクタ(300)の遠位端が第2の内部シャフト(126)に固定され、エンドエフェクタ(300)の近位端が第1の内部シャフト(124)に固定されているため、第1の内部シャフト(124)に対する第2の内部シャフト(126)の長手方向の並進は、第1の内部シャフト(124)の並進方向に応じて、エンドエフェクタ(300)を非拡張状態から拡張状態へ移行させるか、又は拡張状態から非拡張状態へ移行させることになる。
【0047】
いくつかの変形例では、エンドエフェクタ(300)の少なくとも一部分は、エンドエフェクタ(300)を図2B図4及び図8Bに示される拡張状態に向けて促進するように弾性的に付勢される。いくつかのそのような変形例では、エンドエフェクタ(300)の弾性は、プッシュプルケーブル(252)及び第2の内部シャフト(126)がエンドエフェクタ(300)を拡張状態に向けて駆動するのを支援することができる。いくつかの他の変形例では、プッシュプルケーブル(252)は、エンドエフェクタ(300)の全長を外側シース(122)に対して遠位に又は近位に駆動する。そのような変形例では、外側シース(122)は、エンドエフェクタ(300)が外側シース(122)内に近位に位置付けられる場合、エンドエフェクタ(300)を圧縮して非拡張状態にすることができ、一方で、エンドエフェクタ(300)の弾性は、エンドエフェクタ(300)が外側シース(122)から遠位に位置付けられる場合、エンドエフェクタ(300)を拡張状態に駆動する。エンドエフェクタ(300)が非拡張状態と拡張状態との間で移行し得る他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。同様に、プッシュプルケーブル(252)を利用できる他の好適な方法は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかであろう。
【0048】
V.シャフト機構の例
エンドエフェクタ(300)がロッカーアーム(230)の回転に応答して長手方向軸線(LA)から離れる方向に、又は長手方向軸線(LA)に向かって移動する場合、エンドエフェクタ(300)の動きはx-y平面に限定されるのを確実にすることが所望され得る。言い換えれば、エンドエフェクタ(300)がx-y平面に沿って偏向する場合、エンドエフェクタ(300)がx-z平面に沿って偏向することがないことを確実にすることが所望され得る。そのために、カテーテル(120)内に補強材を提供して、エンドエフェクタ(300)が、更に別の平面に沿って偏向することなく、1つの単一平面に沿ってのみ偏向することを確実にすることが所望され得る。そのような補強材の例が、図2Aの線9-9に沿うカテーテル(120)の断面図を示す図9に示されている。
【0049】
図9に示すように、本例のカテーテル(120)は、合計7つの内腔(164、174、182、186、256、410、420)が内部に形成された管状本体(400)を含む。内腔(164、174、182、186、256、410、420)は、本体(400)の全長に沿って延在する。単に一例として、管状本体(400)は、pellethane、pebax、ナイロン、又は任意の他の好適な材料(複数可)で形成することができる。第1の外側シース(402)は、本体(400)を中心にして同軸に位置付けられ、第2の外側シース(404)は第1の外側シース(402)を中心にして同軸に位置付けられる。いくつかの変形例では、第1の外側シース(402)は、編組鋼又は編組ポリマー繊維などの編組材料から形成される。単に一例として、第1の外側シース(402)は、カテーテル(120)に十分なねじり強度を提供するように構成されてもよく、カテーテル(120)において構築された相当な巻き付き又はねじりを生じさせることなく、長手方向軸線(LA)を中心とするカテーテル(120)の回転を容易にする。また、いくつかの変形例では、第2の外側シース(404)は、ポリマー材料で形成されている。単に一例として、第2の外側シース(404)は、上述した外側シース(122)と同じであり得る。あるいは、外側シース(122)は、第2の外側シース(404)の少なくとも一部分を中心にして同軸に配設され得る。
【0050】
本例の内腔(164)(すなわち、第1の内腔)は、プッシュプルケーブル(162)(すなわち、第1のケーブル)を収容するように構成されている。同様に、内腔(174)(すなわち、第2の内腔)は、プッシュプルケーブル(172)(すなわち、第2のケーブル)を収容するように構成されている。内腔(164、174)はy軸に沿って互いから横方向にオフセットされており、これにより、内腔(164、174)及びプッシュプルケーブル(162、172)はx-y平面に沿って集合的に位置付けられている。内腔(182)(すなわち、第4の内腔)は管状インサート(180)(すなわち、第1の管状インサート)を含み、内腔(186)(すなわち、第5の内腔)もまた管状インサート(184)(すなわち、第2の管状インサート)を含む。管状インサート(180、184)は、シャフト(120)の長さに沿って延在する。内腔(182、186)はz軸に沿って互いから横方向にオフセットされており、これにより、内腔(182、186)及び管状インサート(180、184)は、x-z平面に沿って集合的に位置付けられている。内腔(164、174)及びプッシュプルケーブル(162、172)がx-y平面に沿って集合的に位置付けられ、内腔(182、186)及び管状インサート(180、184)がx-z平面に沿って集合的に位置付けられていることで、プッシュプルケーブル(162、172)及び管状インサート(180、184)の全てがx次元に沿って延在する場合でも、プッシュプルケーブル(162、172)及び管状インサート(180、184)が互いに対して直交して配向されていると言える可能性がある。
【0051】
本例では、管状インサート(180、184)は、本体(400)を形成する材料よりも大きい剛性を有する材料で形成されていて、これにより、管状インサート(180、184)は支柱として機能する。管状インサート(180)(すなわち、第1の支柱)及び管状インサート(184)(すなわち、第2の支柱)は、ポリイミドを含むがこれに限定されない、任意の好適な材料から形成され得る。更に、管状インサート(180、184)は本体(400)と共押出されることができる。あるいは、管状インサート(180、184)は、任意の他の好適なやり方で形成され得る。
【0052】
本例では、本体(400)の材料よりも剛度又は剛性が大きい管状インサート(180、184)の材料に起因して、かつプッシュプルケーブル(162、172)と管状インサート(180、184)の直交する位置付けに起因して、管状インサート(180、184)は、x-z平面に沿ったカテーテル(120)の偏向を防ぐように構成されている。言い換えれば、エンドエフェクタ(300)及びカテーテル(120)の遠位部分をx-y平面に沿って横方向に偏向させるように、プッシュプルケーブル(162、172)が作動される場合、管状インサート(180、184)は、x-z平面に沿って発生する追加のたわみを伴わずに、このような偏向がx-y平面に限定されることを確実にする。エンドエフェクタ(300)及びカテーテル(120)の遠位部分の偏向が単一平面に沿ってのみ存在することを確実にすることによって、管状インサート(180、184)は、カテーテルアセンブリ(100)の動作でより大きな整合性及び予測性を提供することができる。
【0053】
本例の内腔(256)(すなわち、第3の内腔)は、プッシュプルケーブル(252)(すなわち、第3のケーブル)を収容するように構成されている。内腔(256)は、本例で本体(400)の径方向中心からわずかにオフセットされているが、他の変形例は、本体(400)の径方向中心において内腔(256)を提供することができる。本例では、内腔(256)及びプッシュプルケーブル(252)が本体(400)の径方向中心からわずかにオフセットされている場合でも、内腔(256)及びプッシュプルケーブル(252)は、本体(400)の径方向中心に十分に近く、これにより、カテーテルの遠位端(120)及びエンドエフェクタ(300)が横方向に偏向された状態にあるとき、プッシュプルケーブル(252)の作動は、本体(400)に実質的な偏心荷重を加えない。
【0054】
本例の内腔(410)(すなわち、第7の内腔)は、ワイヤ(図示せず)を収容するように構成されている。そのようなワイヤは、電極(128、310)、位置センサ(127)、又は任意の他の構成要素などのエンドエフェクタ(300)内の様々な電気部品と連結され得る。そのようなワイヤは、内腔(256)内に編み組まれるか、束ねられるか、又は他の方法で配置され得る。本例の内腔(420)(すなわち、第6の内腔)は、カテーテル(120)の長さに沿って流体連通用の経路を提供するように構成されている。特に、内腔(420)は、流体源(42)及び流体導管(40)からエンドエフェクタ(300)の第2の内部シャフト(126)の開口遠位端部(129)への灌注流体用経路を提供することができる。内腔(410、420)は同様のサイズの直径を有するものとして示されているが、他の変形例は、内腔(420)よりも大きい内腔(410)、又は内腔(410)よりも大きい内腔(420)を提供し得る。
【0055】
7つの内腔(164、174、182、186、256、410、420)及び上述の他の構造的特徴を有しているにもかかわらず、カテーテル(120)は実質的に小さい外径を有し得る。単に一例として、カテーテル(120)は、約8.5フレンチ以下の外径を有し得る。あるいは、カテーテル(120)は、任意の他の好適な外径を有してもよい。
【0056】
VI.組み合わせの例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出における任意の時点で提示され得るいずれの特許請求の適用範囲をも限定することを意図したものではないことを理解されたい。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、あくまでも例示的な目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の種々の教示は、その他の多くの方式で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者らによって又は本発明者らの利益の承継者によって、後日そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。いずれの特許請求が、本出願において、又は以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0057】
装置であって、(a)ハンドルと、(b)ハンドルから遠位に延在するカテーテルであって、カテーテルの近位部分は長手方向軸線を画定し、カテーテルは、(i)本体であって、本体は、(A)第1の内腔と、(B)第2の内腔と、(C)第3の内腔と、を画定する、本体と、(ii)第1の内腔内に位置付けられた第1のケーブルであって、第1のケーブルは、カテーテルの本体に対して並進するように動作可能である、第1のケーブルと、(iii)第2の内腔内に位置付けられた第2のケーブルであって、第2のケーブルは、カテーテルの本体に対して並進するように動作可能である、第2のケーブルと、(iv)第3の内腔内に位置付けられた第3のケーブルであって、第3のケーブルは、カテーテルの本体に対して並進するように動作可能である、第3のケーブルと、を含む、カテーテルと、(c)カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【実施例2】
【0058】
ハンドルは、第1のアクチュエータを含み、第1のアクチュエータは、第1のケーブルを駆動することによって第1のケーブルをカテーテルの本体に対して長手方向に並進させるように動作可能である、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0059】
第1のアクチュエータは、第2のケーブルを駆動することによって第2のケーブルをカテーテルの本体に対して長手方向に並進させるように更に動作可能である、実施例2に記載の装置。
【実施例4】
【0060】
第1のアクチュエータは、第1のケーブルを駆動して、カテーテルの本体に対して長手方向に第1の方向に並進させ、同時に第2のケーブルを駆動して、カテーテルの本体に対して長手方向に第2の方向に並進させるように動作可能であり、第2の方向は、第1の方向と反対である、実施例3に記載の装置。
【実施例5】
【0061】
ハンドルは、ハンドル本体を含み、第1のアクチュエータは、ハンドル本体に対して回転可能である、実施例2~4のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例6】
【0062】
第1のアクチュエータは、ロッカーアームを含む、実施例5に記載の装置。
【実施例7】
【0063】
ハンドルは、第2のアクチュエータを更に含み、第2のアクチュエータは、第3のケーブルを駆動することによって第3のケーブルをカテーテルの本体に対して長手方向に並進させるように動作可能である、実施例2~6のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例8】
【0064】
ハンドルは、ハンドル本体を含み、第2のアクチュエータは、ハンドル本体に対して並進可能である、実施例7に記載の装置。
【実施例9】
【0065】
第2のアクチュエータはスライダを含む、実施例8に記載の装置。
【実施例10】
【0066】
エンドエフェクタは、非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成されている、実施例1~9のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例11】
【0067】
エンドエフェクタは、非拡張状態で円筒形状を画定するように構成されており、エンドエフェクタは、拡張状態でほぼ球形状又は螺旋形状を画定するように構成されている、実施例10に記載の装置。
【実施例12】
【0068】
第3のケーブルは、エンドエフェクタを駆動して、非拡張状態から拡張状態に移行させるように動作可能である、実施例10~11のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例13】
【0069】
第3のケーブルは、エンドエフェクタを駆動して、拡張状態から非拡張状態に移行させるように更に動作可能である、実施例12に記載の装置。
【実施例14】
【0070】
エンドエフェクタは、複数のストリップを備えた可撓性本体を含む、実施例1~13のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例15】
【0071】
エンドエフェクタは、組織における電位を感知するように構成された複数の電気生理学マッピング電極を含む、実施例1~14のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例16】
【0072】
エンドエフェクタは、三次元空間におけるエンドエフェクタの位置を示す信号を生成するように構成された位置センサを含む、実施例1~15のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例17】
【0073】
エンドエフェクタは、流体を分注するように動作可能である、実施例1~16のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例18】
【0074】
カテーテルの本体の本体は、第4の内腔を更に画定し、第4の内腔は、エンドエフェクタと流体連通し、第4の内腔は、流体源からエンドエフェクタに流体を送るように動作可能である、実施例17に記載の装置。
【実施例19】
【0075】
カテーテルの本体は、第4の内腔及び第5の内腔を更に画定し、カテーテルは、第1の支柱及び第2の支柱を更に含み、第1の支柱は、第4の内腔においてしっかりと固定され、第2の支柱は、第5の内腔においてしっかりと固定されている、実施例1~17のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例20】
【0076】
第1の支柱及び第2の支柱は、カテーテルの本体よりも大きい剛性を有する、実施例19に記載の装置。
【実施例21】
【0077】
第1のケーブル及び第2のケーブルは、第1の平面に沿って位置付けられ、第1の支柱及び第2の支柱は、第2の平面に沿って位置付けられ、第2の平面は第1の平面に直交している、実施例19~20のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例22】
【0078】
第1のケーブル及び第2のケーブルは、長手方向軸線から離れる方向に、エンドエフェクタを第1の平面に沿って横方向に偏向させるように動作可能である、実施例21に記載の装置。
【実施例23】
【0079】
第1の支柱及び第2の支柱は、長手方向軸線から離れる方向に、第2の平面に沿うエンドエフェクタの偏向を防ぐように構成されている、実施例22に記載の装置。
【実施例24】
【0080】
カテーテルの本体は、(A)第4の内腔と、(B)第5の内腔と、(C)第6の内腔と、(D)第7の内腔と、を更に画定する、実施例1~23のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例25】
【0081】
第4の内腔は第1の支柱を収容し、第5の内腔は第2の支柱を収容し、第6の内腔は、エンドエフェクタへの流体の連通のための経路を画定し、第7の内腔は、エンドエフェクタに対して延在する1つ以上のワイヤを収容する、実施例24に記載の装置。
【実施例26】
【0082】
装置であって、(a)ハンドルと、(b)ハンドルから遠位に延在するカテーテルであって、カテーテルの近位部分は長手方向軸線を画定し、カテーテルは、(i)本体であって、本体は、(A)第1の内腔と、(B)第2の内腔と、(C)第3の内腔と、(D)第4の内腔と、を画定する、本体と、(ii)第1の内腔内に位置付けられた第1のケーブルであって、第1のケーブルは、カテーテルの本体に対して並進するように動作可能である、第1のケーブルと、(iii)第2の内腔内に位置付けられた第2のケーブルであって、第2のケーブルはカテーテルの本体に対して並進するように動作可能である、第2のケーブルと、(iv)第3の内腔内に位置付けられた第1の支柱であって、第1の支柱は、カテーテルの本体よりも大きい剛性を有する、第1の支柱と、(v)第4の内腔内に位置付けられた第2の支柱であって、第2の支柱はカテーテルの本体よりも大きい剛性を有する、第2の支柱と、を含み、第1のケーブル及び第2のケーブルは、第1の平面に沿って位置付けられ、第1の支柱及び第2の支柱は、第2の平面に沿って位置付けられ、第2の平面は第1の平面に直交している、カテーテルと、(c)カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【実施例27】
【0083】
第1のケーブル及び第2のケーブルは、長手方向軸線から離れる方向に、エンドエフェクタを第1の平面に沿って横方向に偏向させるように動作可能である、実施例26に記載の装置。
【実施例28】
【0084】
第1のケーブル及び第2のケーブルは、エンドエフェクタを、長手方向軸線から離れる第1の方向に、第1の平面に沿って、まっすぐの位置から横方向に偏向させるように動作可能であり、第1のケーブル及び第2のケーブルは、エンドエフェクタを、長手方向軸線から離れる第2の方向に、第1の平面に沿って、まっすぐの位置から横方向に偏向させるように更に動作可能である、実施例27に記載の装置。
【実施例29】
【0085】
カテーテルは、カテーテルの本体によって画定された第5の内腔内に位置付けられた第3のケーブルを更に備え、第3のケーブルは、カテーテルの本体に対して並進するように動作可能である、実施例26~28のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例30】
【0086】
第3のケーブルは、エンドエフェクタを駆動して、非拡張状態から拡張状態に移行させるように動作可能である、実施例29に記載の装置。
【実施例31】
【0087】
装置であって、(a)ハンドルと、(b)ハンドルから遠位に延在するカテーテルであって、カテーテルの近位部分は長手方向軸線を画定し、カテーテルは、(i)第1の内腔と、(ii)第2の内腔と、(iii)第3の内腔と、(iv)第4の内腔と、(v)第5の内腔と、(vi)第6の内腔と、(vii)第7の内腔と、を画定する本体を含む、カテーテルと、(c)カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
【実施例32】
【0088】
カテーテルは、(i)第1の内腔内に配設された第1のケーブルと、(ii)第2の内腔内に配設された第2のケーブルと、を更に備え、第1のケーブル及び第2のケーブルは、長手方向軸線から離れる方向に、エンドエフェクタを偏向させるように動作可能である、実施例31に記載の装置。
【実施例33】
【0089】
カテーテルは、第3の内腔内に配設された第3のケーブルを更に備え、第3のケーブルは、カテーテルの本体に対して並進するように動作可能である、実施例32に記載の装置。
【実施例34】
【0090】
第3のケーブルは、エンドエフェクタを駆動して、非拡張状態から拡張状態に移行させるように動作可能である、実施例33に記載の装置。
【実施例35】
【0091】
カテーテルは、(i)第4の内腔内に配設された第1の支柱であって、第1の支柱は、カテーテルの本体よりも大きい剛性を有する、第1の支柱と、(ii)第5の内腔内に配設された第2の支柱であって、第2の支柱は、カテーテルの本体よりも大きい剛性を有する、第2の支柱と、を更に備える、実施例33~34のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例36】
【0092】
第1の内腔及び第2の内腔は、第1の平面に沿って位置付けられ、第4の内腔及び第5の内腔は、第2の平面に沿って位置付けられ、第2の平面は第1の平面に直交している、実施例35に記載の装置。
【実施例37】
【0093】
カテーテルは、第6の内腔内に配設された1つ以上のワイヤを更に備え、1つ以上のワイヤはエンドエフェクタと連結されている、実施例35~36のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例38】
【0094】
第7の内腔は、流体源からエンドエフェクタへの流体の連通のための経路を提供するように構成されている、実施例37に記載の装置。
【実施例39】
【0095】
カテーテルは、カテーテルの本体を中心として同軸に配設された編組部材を更に含む、実施例33~38のいずれか1つ以上に記載の装置。
【実施例40】
【0096】
カテーテルは、約8.5フレンチ以下の外径を有する、実施例33~39のいずれか1つ以上に記載の装置。
【0097】
VII.その他
本明細書に記載される器具のいずれも、処置前及び/又は処置後に洗浄及び滅菌することができる。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次に、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、限定されないが、ベータ線又はガンマ線、エチレンオキシド、過酸化水素、過酢酸、及びプラズマ又は水蒸気を伴う又は伴わない気相滅菌を含む当技術分野で公知の任意の他の技術を用いて滅菌されてもよい。
【0098】
本明細書に記載の実施例のいずれも、上述のものに加えて又はそれらの代わりに、様々な他の特徴部を含み得ることを理解されたい。単に一例として、本明細書に記載の実施例のいずれも、参照により本明細書に組み込まれている様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴部のうちの1つ以上を含むことができる。
【0099】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0100】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0101】
本発明の種々の変形形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な改変形態により、本発明の範囲から逸脱することなく実現可能である。このような可能な修正のうちのいくつかについて述べたが、その他の修正が当業者には明らかとなるであろう。例えば、上述の実施例、変形例、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップなどは例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0102】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)ハンドルと、
(b)前記ハンドルから遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの近位部分は長手方向軸線を画定し、前記カテーテルは、
(i)本体であって、前記本体は、
(A)第1の内腔と、
(B)第2の内腔と、
(C)第3の内腔と、を画定する、本体と、
(ii)前記第1の内腔内に位置付けられた第1のケーブルであって、前記第1のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第1のケーブルと、
(iii)前記第2の内腔内に位置付けられた第2のケーブルであって、前記第2のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第2のケーブルと、
(iv)前記第3の内腔内に位置付けられた第3のケーブルであって、前記第3のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第3のケーブルと、を含む、カテーテルと、
(c)前記カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
(2) 前記ハンドルは、第1のアクチュエータを含み、前記第1のアクチュエータは、前記第1のケーブルを駆動することによって前記第1のケーブルを前記カテーテルの前記本体に対して長手方向に並進させるように動作可能である、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第1のアクチュエータは、前記第2のケーブルを駆動することによって前記第2のケーブルを前記カテーテルの前記本体に対して長手方向に並進させるように更に動作可能である、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記第1のアクチュエータは、前記第1のケーブルを駆動して、前記カテーテルの前記本体に対して長手方向に第1の方向に並進させ、同時に前記第2のケーブルを駆動して、前記カテーテルの前記本体に対して長手方向に第2の方向に並進させるように動作可能であり、前記第2の方向は、前記第1の方向と反対である、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記ハンドルは、第2のアクチュエータを更に含み、前記第2のアクチュエータは、前記第3のケーブルを駆動することによって前記第3のケーブルを前記カテーテルの前記本体に対して長手方向に並進させるように動作可能である、実施態様2に記載の装置。
【0103】
(6) 前記エンドエフェクタは、非拡張状態と拡張状態との間で移行するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記第3のケーブルは、前記エンドエフェクタを駆動して、前記非拡張状態から前記拡張状態に移行させるように動作可能である、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記エンドエフェクタは、複数のストリップを備えた可撓性本体を含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記エンドエフェクタは、組織における電位を感知するように構成された複数の電気生理学マッピング電極を含む、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記エンドエフェクタは、流体を分注するように動作可能である、実施態様1に記載の装置。
【0104】
(11) 前記カテーテルの前記本体の前記本体は、第4の内腔を更に画定し、前記第4の内腔は、前記エンドエフェクタと流体連通し、前記第4の内腔は、流体源から前記エンドエフェクタに流体を送るように動作可能である、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記カテーテルの前記本体は、第4の内腔及び第5の内腔を更に画定し、前記カテーテルは、第1の支柱及び第2の支柱を更に含み、前記第1の支柱は、前記第4の内腔においてしっかりと固定され、前記第2の支柱は、前記第5の内腔においてしっかりと固定されている、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記第1の支柱及び前記第2の支柱は、前記カテーテルの前記本体よりも大きい剛性を有する、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルは、第1の平面に沿って位置付けられ、前記第1の支柱及び前記第2の支柱は、第2の平面に沿って位置付けられ、前記第2の平面は前記第1の平面に直交している、実施態様12に記載の装置。
(15) 前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルは、前記長手方向軸線から離れる方向に、前記エンドエフェクタを前記第1の平面に沿って横方向に偏向させるように動作可能である、実施態様14に記載の装置。
【0105】
(16) 前記第1の支柱及び前記第2の支柱は、前記長手方向軸線から離れる方向に、前記第2の平面に沿う前記エンドエフェクタの偏向を防ぐように構成されている、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記カテーテルの前記本体は、
(A)第4の内腔と、
(B)第5の内腔と、
(C)第6の内腔と、
(D)第7の内腔と、を更に画定する、実施態様1に記載の装置。
(18) 前記第4の内腔は第1の支柱を収容し、前記第5の内腔は第2の支柱を収容し、前記第6の内腔は、前記エンドエフェクタへの流体の連通のための経路を画定し、前記第7の内腔は、前記エンドエフェクタに対して延在する1つ以上のワイヤを収容する、実施態様17に記載の装置。
(19) 装置であって、
(a)ハンドルと、
(b)前記ハンドルから遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの近位部分は長手方向軸線を画定し、前記カテーテルは、
(i)本体であって、前記本体は、
(A)第1の内腔と、
(B)第2の内腔と、
(C)第3の内腔と、
(D)第4の内腔と、を画定する、本体と、
(ii)前記第1の内腔内に位置付けられた第1のケーブルであって、前記第1のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第1のケーブルと、
(iii)前記第2の内腔内に位置付けられた第2のケーブルであって、前記第2のケーブルは、前記カテーテルの前記本体に対して並進するように動作可能である、第2のケーブルと、
(iv)前記第3の内腔内に位置付けられた第1の支柱であって、前記第1の支柱は、前記カテーテルの前記本体よりも大きい剛性を有する、第1の支柱と、
(v)前記第4の内腔内に位置付けられた第2の支柱であって、前記第2の支柱は、前記カテーテルの前記本体よりも大きい剛性を有する、第2の支柱と、を含み、
前記第1のケーブル及び前記第2のケーブルは、第1の平面に沿って位置付けられ、
前記第1の支柱及び前記第2の支柱は、第2の平面に沿って位置付けられ、前記第2の平面は前記第1の平面に直交している、カテーテルと、
(c)前記カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
(20) 装置であって、
(a)ハンドルと、
(b)前記ハンドルから遠位に延在するカテーテルであって、前記カテーテルの近位部分は、長手方向軸線を画定し、前記カテーテルは、
(i)第1の内腔と、
(ii)第2の内腔と、
(iii)第3の内腔と、
(iv)第4の内腔と、
(v)第5の内腔と、
(vi)第6の内腔と、
(vii)第7の内腔と、を画定する本体を含む、カテーテルと、
(c)前記カテーテルから遠位に延在するエンドエフェクタであって、前記エンドエフェクタは、少なくとも1つの電極を含む、エンドエフェクタと、を備える、装置。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9