(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】コアドリル装置のために係合されるギヤ段の推奨を決定するための方法及びコアドリル装置
(51)【国際特許分類】
B23B 35/00 20060101AFI20240716BHJP
B23B 47/14 20060101ALI20240716BHJP
B23B 51/04 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B23B35/00
B23B47/14
B23B51/04 Z
(21)【出願番号】P 2022552906
(86)(22)【出願日】2021-02-23
(86)【国際出願番号】 EP2021054410
(87)【国際公開番号】W WO2021175655
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザットラー, クリスティアン
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-507039(JP,A)
【文献】特表2017-507795(JP,A)
【文献】特開平06-031512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0375570(US,A1)
【文献】欧州特許第01988438(EP,B1)
【文献】特表2017-504886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 51/04
B23B 35/00
B23B 47/14
B28D 1/14
B28D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアドリルのモータに係合される複数のギヤ段のうちの1つを推奨する方法であって、前記コアドリルのコアビットの回転速度nを時間tの関数として記述する関数n(t)は、前記コアドリルの前記コアビットの直径を
特定するために使用され、前記コアビットの前記
特定された直径に基づいて、前記コアドリルのモータに係合される前記複数のギヤ段のうちの1つを推奨する、方法。
【請求項2】
前記関数n(t)は、前記コアドリルの始動時に記録されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関数n(t)は、前記コアドリルの動作中に記録されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
以下の方法ステップ:
a)工具としてコアビットを有するコアドリルを動作させる方法ステップ、
b)所定の期間Δtにわたって前記コアドリルをオフに切り替える方法ステップ、
c)前記コアビットの回転速度nを時間tの関数として登録する方法ステップであって、その結果、関数n(t)が得られる、方法ステップ、
d)前記関数n(t)を評価する方法ステップ、
e)前記評価された関数n(t)に基づいて、前記コアビットの直径を
特定する方法ステップ、
f)前記コアビットの前記
特定された直径に基づいて、前記コアドリルのモータに係合される前記複数のギヤ段のうちの1つを推奨する及び/又は表示する方法ステップ、によって特徴付けられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記関数n(t)は、前記コアドリルのモータが停止された後の前記回転速度の低下を記述することを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記期間Δtは、0.1~5秒の範囲であることを特徴とする、請求項4又は請求項4を引用する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コアドリルは、それがオフに切り替えられる前に、前記コアビットを外部負荷がない状態で回転させる速度制御モードで動作されることを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法を実行するためのコアドリルであって、現在係合されているギヤ段と、係合されることが推奨されるギヤ段と、を表示する表示手段を備える、コアドリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアドリルのために係合されるギヤ段の推奨を決定するための方法に関する。提案される方法では、例えばコアドリルのモータが突然停止した場合、コアビットの直径を決定するためにコアドリルのコアビットの回転速度の低下を使用することが可能である。代わりに、コアビットの直径は、ドリルが始動又は起動されるときに決定され得る。次いで、コアビットの直径は、係合されるギヤ段の推奨の基礎として使用される。第2の態様では、本発明は、提案される方法が実行され得るコアドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート又は石材などの基材から円筒状の掘削コアを切り出すことができるコアドリルは、従来技術から知られている。これらのコアドリルは、工具としてコアビットを有し、様々な直径を有するコアビットは、様々なサイズの掘削孔を開けるために使用され得る。更に、コアドリルは、ドリルのユーザがコアドリルの動作のためのギヤ段を選択及び設定できるように変速機を有することが従来技術から知られている。ユーザは、計画された掘削作業又は基材の要件に従ってギヤ段を選択することができる。ギヤ段の選択又は設定に先立つ検討では、例えば、所望のトルク、使用されるコアビットの直径又はコアビットの所望の回転速度が関与する可能性がある。
【0003】
しかしながら、試験の結果、コアドリルのユーザは、多くの場合、コアビット直径及び選択されたギヤ段の割り当てを実行しないか、又はそれを最適に実行しないことが分かった。これは、特定のタスクに対してコアビットのトルク及び/又は回転速度が最適でない状態でコアドリルが動作するという不利な結果をもたらし得る。その結果、掘削作業の実行に困難が生じ得るか又は遅延が発生し得る。コアドリルに対してギヤ段が最適に設定されていないため、掘削結果の品質が損なわれる可能性もある。
【0004】
コアドリルの分野では、コアビット直径を特定するか、又はギヤ段の推奨を表示するか、又はコアドリルの好ましくは自動的なギヤ段選択のための適切且つ容易に実施可能な解決策は、先行技術において存在しない。
【0005】
従来、ユーザは、使用するコアビット直径について、正しいギヤ段選択に関する情報を自ら取得しなければならなかった。したがって、コアビットは、多くの場合、正しくないギヤ段で使用されるか、又はコアビット直径に関して「正しくない」ギヤ段のコアビットによって掘削が実行される。これは、不都合なことに、掘削速度の低下及び/又はコアビットの寿命の望ましくない短縮をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎となる目的は、コアドリルのユーザに最適なギヤ段選択の推奨を提供することである。このようなギヤ段選択の推奨は、例えば、乗用車で知られており、この場合、ディスプレイ上に矢印による指示が頻繁に行われる。この指示は、例えば、現在係合されているギヤ段と、現在係合されているギヤ段が現在のモータ速度に照らしてモータ及び/又は変速機にとって最適であるか否か、又は異なるギヤ段を係合させるべきか否か、とを内容として有し得る。ギヤ段選択の推奨は、ユーザが多大な労力なしに推奨を認識し、それを実施できるように可能な限り行われ、自動的に表示されるべきである。本発明は、特に、コアドリルと連携するための特定のコアビット直径に関して、推奨されるギヤ段を表示するための方法又は最適なギヤ段を好ましくは自動的に設定するための方法を提供する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。独立請求項の主題に関連する有利な実施形態は、従属請求項に見出され得る。
【0008】
本発明によれば、コアドリルのために係合されるギヤ段を決定するための方法が提供される。本方法は、コアドリルのコアビットの回転速度nを時間tの関数として記述する関数n(t)が、コアドリルのコアビットの直径を決定するために使用され、コアビットの決定された直径が、係合されるギヤ段の推奨の基礎として使用されることを特徴とする。本発明の1つの構成では、関数n(t)は、コアドリルのモータが停止された後の回転速度の低下を記述することが好ましい。換言すれば、提案される方法により、コアビットの回転速度の低下は、コアドリルのコアビットの直径を決定するために使用され、コアビットの決定された直径は、係合されるギヤ段の推奨の基礎として使用される。本発明のこの構成では、関数n(t)は、コアドリルの動作中に記録されることが好ましい。
【0009】
本発明の代替的な構成では、コアビットの回転エネルギーを決定するために、コアドリルのモータが停止されるのではなく、モータの駆動トルクの低下で十分であることが好ましい場合がある。本発明によれば、コアビットの回転エネルギーがモータの始動時に決定されることが好ましい場合もある。本発明のこの構成では、関数n(t)は、コアドリルの始動時に記録されることが好ましい。本発明のこの構成は、このようにして、ドリルを使用するときの通常の作業プロセスに本方法の実行を組み込むことができるため、特に有利である。好ましくは、ユーザは、作業手順に遅れを認めることなく、作業の邪魔又は停止を感じることが少ない。これにより、提案される方法を実施するように設計された提案されるドリルで作業するときの作業効率が高まる。本発明によれば、コアビットの回転速度における変化は、その変化からコアビットの回転エネルギーを導出するために決定されることが極めて特に好ましい。
【0010】
本発明は、特に、コアドリルのコアビット直径を自動的に特定するための方法と、この情報の表示及び/又は処理とに関する。この情報により、コアドリルに対するギヤ段選択の推奨をユーザに提供することが可能であり、したがってコアビットの掘削速度及び/又は寿命を改善することが可能である。試験の結果、提案される方法により、コアドリルの掘削性能がかなり改善され得ることが分かった。好ましくは、コアビット直径の特定は、コアドリルと連携するための最適なギヤ段選択の推奨をコアドリルのユーザに提供するために使用され得る。
【0011】
本発明の重要な利点は、使用されるコアビット直径に関する「正しい」ギヤ段選択の推奨がコアドリルのユーザに表示されることである。この場合、使用されるコアビット直径に関する回転速度及び/又はトルクとの関係において、「正しい」又は最適なギヤ段は、有利には、コアドリルによって自動的に選択及び/又は設定され得る。
【0012】
本発明の具体的な利点は、提案される方法により、ギヤ段選択の推奨を指定するために、既存の測定変数が測定サイクルにおいて使用されることである。好ましくは、これに関連して、「測定サイクル」という用語は、コアビットの回転エネルギーからコアビット直径を導出するために、コアビットの回転エネルギーが決定される期間を意味する。
【0013】
本発明によれば、好ましくは、「既存の測定変数」という用語は、既存の測定変数が、提案される方法とは独立にコアドリルによって決定される測定変数であることを意味する。既存の測定変数の例としては、例えば、コアドリルのコアビットの回転速度が挙げられる。好ましくは、既存の測定変数は、コアドリルのユーザのためのギヤ段選択の推奨に到達するために評価され得る。有利には、提案される方法が実行されるとき、好ましくは、コアドリルを制御するために使用される制御方法のみが変更されるため、提案される方法は、既存の、すなわち利用可能な駆動ハードウェアで実施され得る。換言すれば、本発明に関連して、ギヤ段選択の推奨を決定及び表示するようにコアドリルの制御ソフトウェアを適合させることが好ましい場合がある。
【0014】
本明細書で提示される解決策は、特に、コアドリルを動作させるため、決定されたコアビット直径に関する最適なギヤ段をコアビット直径から導出することを可能にするためにコアビット直径を好ましくは自動的に特定するための方法を表す。好ましくは、提案される方法は、規定された測定サイクルと共に「回転速度」の測定変数を使用する。この測定サイクルの構成成分は、特に、コアドリル又はコアドリルのモータが停止される短い期間Δtである。提案される方法は、慣性モーメントが極めて様々であることに基づいて、コアビット直径に応じて大きく変わる回転エネルギーに依拠する。これらの容易に測定可能且つアクセス可能な既存の測定変数は、提案される方法において、コアドリルを動作させるため、決定されたコアビット直径に関する最適なギヤ段を決定するために使用される。
【0015】
本発明によれば、測定サイクルについて、回転速度関数においてジャンプ関数を観測でき、且つ回転速度の低下に基づいてシステムの反応を考慮できるように、ドリルのモータが規定の期間Δtにわたって停止されることが好ましい。コアドリルの反応は、特に、本発明によれば回転速度の低下と呼ばれることが好ましい負の加速度を含む。本発明によれば、負の加速度は、コアドリルのモータの短時間の停止により生じることが好ましい。
【0016】
本発明の更なる利点は、システムリンクが存在しないことである。好ましくは、本発明によれば、これは、コアビットの直径が、有利には、コアビットの製造業者とは独立に実現され得ることを意味する。
【0017】
特に好ましい構成では、本発明は、コアドリルのために設定されるギヤ段の推奨を決定するための方法であって、以下の方法ステップ:
a)工具としてコアビットを有するコアドリルを動作させる方法ステップ、
b)所定の期間Δtにわたってコアドリルをオフに切り替える方法ステップ、
c)コアビットの回転速度nを時間tの関数として登録する方法ステップであって、その結果、関数n(t)が得られる、方法ステップ、
d)関数n(t)を評価する方法ステップ、
e)評価された関数n(t)に基づいて、コアビットの直径を決定する方法ステップ、
f)コアビットの決定された直径に基づいて、コアドリルのために係合されるギヤ段の推奨を確立及び/又は表示する方法ステップ、
によって特徴付けられる方法に関する。
【0018】
本発明は、時間tに対する回転速度nのプロットにおいてジャンプ関数が存在するように、コアドリルのモータが規定の期間Δtにわたって停止されるというアイデアに依拠する。通常、コアドリルのモータの停止の結果、コアドリルのコアビットの回転速度が低下する。好ましくは、回転速度の低下の方法は、コアドリルのユーザに表示され得るギヤ段選択の推奨に到達するために使用され得る。換言すれば、回転速度の低下に基づくコアドリルシステムの反応は、コアビット直径を決定し、且つコアドリルに関するギヤ段の推奨を導出するように考慮され得る。本発明によれば、コアビットの回転速度nの低下が評価されることが特に好ましい。好ましくは、回転速度のこの低下は、コアドリルのモータをオフに切り替えることによってもたらされ得る。次いで、好ましくは、コアビット直径は、回転速度の登録及び/又は解析された低下に基づいて決定又は導出され得る。続く方法ステップでは、コアドリルのために係合されるギヤ段の推奨が確立され得、且つ/又はドリル上に表示され得る。このため、コアドリルは、例えば、ディスプレイ、モニタ、タッチスクリーンなどの対応する表示手段又は様々な色のLED若しくは指示ランプなどの光学的表示手段を含み得る。
【0019】
コアドリルでは、コアビットの回転速度は、慣性モーメントJ及び回転エネルギーErを介してコアビットの直径の4乗に関係する。これにより、提案される方法では、使用されるコアビット及び関連する慣性モーメントJに応じて、回転速度関数n(t)の異なるプロファイルが測定され得ることが可能となる。特に、現在、コアドリルで工具として使用されているコアビットの直径に応じて、回転速度の低下の異なるプロファイルが生じる。回転エネルギーErは、コアビット直径の4乗に依存するため、コアビットの直径における差が小さくても、回転エネルギーErにかなりの差が生じて区別される。本発明者は、このような状況が、短時間の停止時又はドリルの起動時若しくは始動時、コアドリルの回転速度の応答が使用されて、ギヤ段選択の推奨を導出し、これをユーザに表示できるように、コアドリルにおける回転速度の応答に再現又は反映されることを見出した。好ましくは、コアドリルの回転速度の応答は、関数のn(t)で記述され得る。
【0020】
本発明によれば、コアビットの直径がルックアップテーブルを使用して決定されることが好ましい。この場合、方法を実行して取得されたデータがルックアップテーブルと比較され、その比較に基づいてコアビット直径が導出される。ルックアップテーブルは、ドリルのメモリ装置に保存され得る。しかしながら、ルックアップテーブルは、クラウド又はサーバにも保存され得る。この場合、ドリルは、ドリルがクラウド及び/又はサーバとの通信接続に入るように、すなわちクラウド及び/又はサーバと通信し得るように設計された通信手段を有することが好ましい。
【0021】
本発明によれば、期間Δtは、0.1~5秒の範囲、好ましくは0.25~2秒の範囲、特に好ましくは0.4~1秒の範囲にあり、最も好ましくは0.5秒であることが好ましい。換言すれば、コアドリルのモータは、回転速度関数n(t)のその後の変化を解析するために、例えば0.1~5秒の期間、好ましくは0.25~2秒の期間、特に好ましくは0.4~1秒の期間、最も好ましくは0.5秒の期間にわたって停止され得る。この場合、最適なギヤ段選択の推奨を導出するために、約0.5秒の期間が特に適していることが分かった。本発明によれば、コアドリルは、コアドリルのモータをオフに切り替えることによってオフに切り替えられることが特に好ましい。本発明によれば、期間Δtは、できるだけ短く保ち、特に1秒未満であることが好ましい。例えば、200ms~500ms期間が特に好ましい場合がある。例えば、測定サイクルが実行され得、各測定サイクルでは、例えば10回の個別測定が行われる。個々の測定の持続時間は、例えば、約200msの期間Δtが達成されるように20msであり得る。可能な限り短い期間Δtの利点は、測定サイクルが、問題があるか又は遅れていることがドリルのユーザによってほとんど認識又は発見されないことである。
【0022】
本発明によれば、コアドリルは、それがオフに切り替えられる前に速度制御モードで動作されることが好ましい。好ましくは、コアドリルは、コアドリルのモータがオフに切り替えられる前に速度制御モードで動作される。
【0023】
第2の態様では、本発明は、提案される方法を実行するためのコアドリルであって、工具としてコアビットを有するコアドリルに関する。コアドリルは、時間の関数としてのコアビットの回転速度nの関数n(t)を評価することにより、コアドリルのために係合されるギヤ段の推奨及び/又はコアドリルのコアビットの直径が決定され得ることを特徴とする。本発明によれば、コアドリルのコアビットの回転速度の低下は、コアドリルのために係合されるギヤ段を決定し、且つ/又はコアドリルのコアビットの直径を決定するために使用されることが極めて特に好ましい。好ましくは、提案される方法に関して導入された用語、定義及び技術的利点は、提案されるコアドリルに同様に適用される。
【0024】
本発明によれば、測定サイクルにおいて回転速度の測定を用いてコアビット直径を特定するために、コアビットがコアドリルの工具取り付け部に確実に取り付けられることが好ましい。好ましくは、コアビットは、掘削屑がない。コアドリルは、速度制御モードで動作され、コアビットは、実質的に外部負荷がない状態で回転することも好ましい。更に、本発明によれば、区別されるコアビットの長さ及び肉厚が一定の範囲内で互いに類似していることが好ましい。
【0025】
好ましくは、ドリルのモータは、回転速度関数n(t)においてジャンプが観測され得るように、規定の期間Δtにわたって停止される。好ましくは、結果として、コアドリルの短時間の停止に対するコアドリルシステムの反応は、回転速度の低下に基づいて考慮され得る。
【0026】
使用されるコアビット直径及び関連する慣性モーメントJに応じて、回転速度の様々な低下が測定され得る。回転エネルギーErは、コアビット直径の4乗に依存するため、コアビット直径における差が小さくても、回転エネルギーErにかなりの差が特定され得る。試験の結果、これらのかなりの差は、コアドリルにおける回転速度の応答に有利に再現されることが分かった。
【0027】
本発明者は、異なる慣性モーメントが、コアビットの回転速度の低下の形態において、コアドリルに最適なギヤ段を推奨するために、提案される方法の範囲で容易に測定及び評価され得るように作用を有することを見出した。直径の制限を拡大したシステムは、コアビットの長さに関してあまり影響されないことが分かった。
【0028】
更なる利点は、以下の図面の説明から明らかになるはずである。図、説明及び特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせて含む。当業者はまた、有用な更なる組み合わせを形成するために、適宜、特徴を個別に検討し、それらを組み合わせるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の好ましい構成を示す。特に、
図1は、関数n(t)がコアドリルの動作中に記録される本発明の構成を示す。本方法の好ましい実施形態は、例えば、方法ステップS1~S6を有し得る。第1の方法ステップS1では、工具としてコアビットを有するコアドリルが動作される。第2の方法ステップS2では、コアドリルが所定の期間Δtにわたってオフに切り替えられる。この場合、第3の方法ステップS3では、コアビットの回転速度nが時間tの関数として登録され、その結果、関数n(t)が得られる。第4の方法ステップS4では、時間に対する回転速度のプロファイルを記述するこの関数n(t)が評価される。これは、数学的演算を用いて又はルックアップテーブルを参照することによってなされ得る。関数n(t)の評価の結果、第5の方法ステップS5では、コアビットの直径が決定され得る。有利には、続く第6の方法ステップS6では、係合されるギヤ
段の推奨は、コアビットの決定された直径に基づいてコアドリルのために決定され得る。更に、このギヤ
段の推奨は、対応する表示手段によってドリル上に表示され得る。本発明の代替的な実施形態(図示せず)では、関数n(t)は、コアドリルの始動時に記録され得る。