IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パイオニア株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報提示装置 図1
  • 特許-情報提示装置 図2
  • 特許-情報提示装置 図3
  • 特許-情報提示装置 図4
  • 特許-情報提示装置 図5
  • 特許-情報提示装置 図6
  • 特許-情報提示装置 図7
  • 特許-情報提示装置 図8
  • 特許-情報提示装置 図9
  • 特許-情報提示装置 図10
  • 特許-情報提示装置 図11
  • 特許-情報提示装置 図12
  • 特許-情報提示装置 図13
  • 特許-情報提示装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】情報提示装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240716BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G09B29/00 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022561825
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2021040063
(87)【国際公開番号】W WO2022102438
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2020187885
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中元 祥吾
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-126355(JP,A)
【文献】特開2020-085570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の走行履歴に基づいて現在の走行状況が往路に該当するかを判定する判定部と、
前記判定部において往路と判定された場合は、前記走行履歴に基づいて主要目的地の予測滞在時間を算出し、算出された前記予測滞在時間に基づいて復路において立ち寄りが予測される施設に到着する到着予想時刻を提示する提示部と、
を備えることを特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
前記提示部は、前記到着予想時刻に加えて、さらに、当該施設又は当該施設への経路についての付随情報を提示することを特徴とする請求項に記載の情報提示装置。
【請求項3】
前記提示部は、復路において立ち寄りが予測される施設に到着する前記到着予想時刻とともに、往路に立ち寄りが予測される施設に関する情報も提示することを特徴とする請求項1または2に記載の情報提示装置。
【請求項4】
前記走行履歴は、出発地、到着地、前記到着地における滞在時間の情報を含む履歴情報に基づいて、前記到着地毎に拠点、前記主要目的地、往路又は復路の情報が付加されていることを特徴とする請求項1からのうちいずれか一項に記載の情報提示装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記拠点を出発後、前記主要目的地を通過していない場合に前記現在の走行状況は往路と判定することを特徴とする請求項に記載の情報提示装置。
【請求項6】
所定の情報を提示する情報提示装置で実行される情報提示方法であって、
過去の走行履歴に基づいて現在の走行状況が往路に該当するかを判定する判定工程と、
前記判定工程において往路と判定された場合は、前記走行履歴に基づいて主要目的地の予測滞在時間を算出し、算出された前記予測滞在時間に基づいて復路において立ち寄りが予測される施設に到着する到着予想時刻を提示する提示工程と、
含むことを特徴とする情報提示方法。
【請求項7】
請求項に記載の情報提示方法をコンピュータにより実行させることを特徴とする情報提示プログラム。
【請求項8】
請求項に記載の情報提示プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の情報を提示する情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等を目的地に案内するナビゲーション装置は、ユーザが目的地として指定した地点までの経路を探索し、探索結果を車両位置周辺の地図と共に表示して、ユーザを目的地まで案内する。
【0003】
また、ナビゲーション装置では、出発地と目的地とに基づいて、目的地以外の立ち寄り地をユーザに提示することが提案されている。例えば、特許文献1では、立ち寄り地の候補を抽出し、抽出された立ち寄り地に対して、自宅等の登録地点と現在位置との距離、または、登録地点と目的地との距離、および、余裕時間に基づいて、重み付けを行う。そして、重み付け結果に基づいて、立ち寄り地の提案情報を生成して、生成した立ち寄り地提案情報に基づいて、立ち寄り地に立ち寄った場合のルートを検索することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-168277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、出発地と目的地等に基づいて立ち寄り地に立ち寄った場合のルートを検索している。しかしながら、特許文献1では、自宅等の出発地を出発した場合は、会社や宿泊地等の出発地から向かう先を目的地とすることが前提となっている。
【0006】
このような場合、目的地から自宅に帰る際には、目的地を出発地、自宅を目的地として改めて立ち寄り地の提案情報を生成することとなる。つまり、特許文献1では、往路や復路といった概念が無く、往路において予め復路に立ち寄ることが可能な施設を知ることができなかった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、復路における立ち寄り施設等の情報を提示することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、過去の走行履歴に基づいて現在の走行状況が往路に該当するかを判定する判定部と、前記判定部において往路と判定された場合は、前記走行履歴に基づいて主要目的地の予測滞在時間を算出し、算出された前記予測滞在時間に基づいて復路において立ち寄りが予測される施設に到着する到着予想時刻を提示する提示部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
請求項に記載の発明は、所定の情報を提示する情報提示装置で実行される情報提示方法であって、過去の走行履歴に基づいて現在の走行状況が往路に該当するかを判定する判定工程と、前記判定工程において往路と判定された場合は、前記走行履歴に基づいて主要目的地の予測滞在時間を算出し、算出された前記予測滞在時間に基づいて復路において立ち寄りが予測される施設に到着する到着予想時刻を提示する提示工程と、を含むことを特徴としている。
【0010】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の情報提示方法を情報提示プログラムとしてコンピュータにより実行させることを特徴としている。
【0011】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の情報提示プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体へ格納したことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例にかかる情報提示装置の機能構成図である。
図2図1に示されたドライブ連結部の動作のフローチャートである。
図3】走行する地点と地点間の経路の例の説明図である。
図4図3に対応する走行履歴の例である。
図5図2に示された拠点の判定を行うフローチャートである。
図6図2に示されたドライブグループ化のフローチャートである。
図7図2に示された主要目的地の判定動作のフローチャートである。
図8図2に示された往路/復路の判定動作のフローチャートである。
図9】拠点かの情報が付与された例である。
図10】スコアの例を示した説明図である。
図11図10の例における経路のイメージ図である。
図12】情報提示動作のフローチャートである。
図13】往路復路判定部の動作のフローチャートである。
図14】ETA算出部の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態にかかる推論装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる情報提示装置は、判定部で過去の走行履歴に基づいて現在の走行状況が往路に該当するかを判定し、提示部で判定部において往路と判定された場合は、走行履歴に基づいて復路において立ち寄りが予測される施設に関する情報を提示する。このようにすることにより、現在の走行状況が往路と判定された際に、復路における立ち寄り施設等の情報を提示することができる。往路で復路における立ち寄り施設等の情報を提示することで、予め復路における予定等を立てることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0014】
また、立ち寄りが予測される施設に関する情報には、施設名及び当該施設への到着予測時刻を含んでもよい。このようにすることにより、ユーザ等が実際に立ち寄る場合の予定が立て易くなる。
【0015】
また、立ち寄りが予測される施設に関する情報には、施設名や到着予測時刻に加えて、当該施設又は当該施設への経路についての付随情報を含んでもよい。このようにすることにより、例えばスーパーマーケットのタイムセールの情報や、立ち寄り施設に至るまでの経路の時間帯規制情報、混雑予想情報といった付随情報を予め提示することができる。
【0016】
また、提示部は、復路において立ち寄りが予測される施設に関する情報とともに、往路に立ち寄りが予測される施設に関する情報も提示してもよい。このようにすることにより、往路、復路ともに立ち寄りが予測される施設を提示することができ、よりユーザの利便性を向上させることができる。
【0017】
また、走行履歴は、出発地、到着地、到着地における滞在時間の情報を含む履歴情報に基づいて、到着地毎に拠点、主要目的地、往路又は復路の情報が付加されていてもよい。このようにすることにより、例えば自宅等の拠点となる地点や会社等の滞在時間が長い地点を識別することができる。そして、過去の走行時には往路で立ち寄ったのか、復路で立ち寄ったのかを判別することができるため、提示部において提示する際に有効に利用することができる。
【0018】
また、判定部は、拠点を出発後、主要目的地を通過していない場合に現在の走行状況は往路と判定してもよい。このようにすることにより、拠点や主要目的地といった地点が識別されていれば、容易に往路であることを判定することができる。
【0019】
また、到着予測時刻は、少なくとも主要目的地の滞在時間を考慮して予測されていてもよい。このようにすることにより、例えば主要目的地が会社である場合に、会社帰りにおける到着時刻を予測することができる。したがって、予め復路における予定等を立てることができる。
【0020】
また、本発明の一実施形態にかかる情報提示方法は、判定工程で過去の走行履歴に基づいて現在の走行状況が往路に該当するかを判定し、提示工程で判定工程において往路と判定された場合は、走行履歴に基づいて復路において立ち寄りが予測される施設に関する情報を提示する。このようにすることにより、現在の走行状況が往路と判定された際に、復路における立ち寄り施設等の情報を提示することができる。往路で復路における立ち寄り施設等の情報を提示することで、予め復路における予定等をたてることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0021】
また、上述した情報提示方法を、情報提示プログラムとしてコンピュータにより実行させてもよい。このようにすることにより、コンピュータを用いて、現在の走行状況が往路と判定された際に、復路における立ち寄り施設等の情報を提示することができる。往路で復路における立ち寄り施設等の情報を提示することで、予め復路における予定等をたてることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0022】
また、上述した情報提示プログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例
【0023】
本発明の一実施例にかかる情報提示装置を図1図14を参照して説明する。図1は、本実施例にかかる情報提示装置の概略構成図である。
【0024】
図1に示したように、情報提示装置1は、ドライブ連結部2と、学習データ生成部3と、往路復路判定部4と、目的地予測部5と、ETA算出部6と、関連情報付与部7と、表示装置8と、を備えている。さらに、情報提示装置1は、走行履歴D1と、ドライブ履歴D2と、学習データD3と、の各データを有している。
【0025】
なお、情報提示装置1は、周知のコンピュータで構成することができる。この場合、データ類である走行履歴D1と、ドライブ履歴D2と、学習データD3と、は記憶装置に格納される。そして、他の機能ブロックは、コンピュータで実行されるコンピュータプログラム(情報提示プログラム)により実現される。また、図1に示した構成は、一の装置で構成されなくてもよい。情報提示装置としては少なくとも往路復路判定部4と、表示装置8と、を備えていればよく、他の構成要素はネットワーク等を介したサーバ装置等で構成してもよい。
【0026】
ドライブ連結部2は、走行履歴D1に基づいて往路復路、主要目的地、拠点、ドライブグループの情報を付与する処理を行ってドライブ履歴D2を生成する。走行履歴D1は、出発地、到着地(訪問地)、出発時刻、到着時刻、滞在時間等の情報が含まれる履歴情報である。
【0027】
ドライブ連結部2の動作について図2図9を参照して説明する。図2は、ドライブ連結動作のフローチャートである。まず、拠点の判定を行う(ステップS11)。本実施例における拠点とは、自宅等の夜間の滞在時間平均が一定以上で最も高い地点とする。次に、ドライブグループ化を行う(ステップS12)。本実施例におけるドライブのグループ化とは、拠点を出発して拠点に到着するまでのデータを1つのグループとする処理である。
【0028】
次に、主要目的地の判定を行う(ステップS13)。本実施例における主要目的地とは、ドライブグループの中で拠点を除く最も滞在時間の長い地点とする。次に、往路/復路の判定を行う(ステップS14)。往路/復路の判定は、拠点を出発し、主要目的地に到着するまでの経路を往路とし、主要目的地を出発し、拠点に到着するまでの経路を復路としている。
【0029】
次に、図2に示したフローチャートの各ステップの詳細動作を説明する。その説明にあたり、走行する地点と地点間の経路の例を図3に示し、図3に対応する走行履歴D1に含まれる履歴情報の例を図4に示す。
【0030】
図3では、地点として、自宅、コンビニエンスストア(コンビニ)、会社、ラーメン屋、スーパーマーケット(スーパー)といった施設があり、走行した経路としては、自宅からコンビニに向かう経路、コンビニから会社に向かう経路、会社からラーメン屋に向かう経路、ラーメン屋からスーパーに向かう経路、スーパーから自宅に向かう経路、自宅から会社に向かう経路、会社からスーパーに向かう経路がある。
【0031】
図4は、図3を受けた実際の走行履歴D1の履歴情報の例を示したものである。図4は、車両のACC(アクセサリースイッチ)ON時間(accon_timestamp)、車両のACCOFF時間(accoff_timestamp)、出発地、到着地(訪問地)、滞在時間が示されている。図4では、ACCON時間を出発時間、ACCOFF時間を到着時間としている。
【0032】
図5は、拠点の判定を行うフローチャートである。図5のフローチャートは全ての到着地について以下のステップS21~S24を繰り返す。まず、評価対象の到着地について夜間の平均滞在時間を計算する(ステップS21)。例えば、図4の場合、コンビニは夜間に滞在していないので平均滞在時間は0分となる。一方で、自宅は夜間に滞在している時間が長いため平均滞在時間は長くなる。なお、夜間とする時間帯は適宜設定すればよい。
【0033】
次に、出現比率を計算する(ステップS22)。出現比率は、評価対象の到着地が到着地として出現する頻度である。これは、例えば旅行で滞在した旅館等は、夜間の滞在時間が長いが自宅のような夜間の滞在頻度の高い地点と同等に扱うのは妥当ではないため、拠点から除くための処理である。そして、評価対象の到着地の平均滞在時間が最長かつ出現比率が閾値以上であるか判定する(ステップS23)。ステップS23の判定の結果がYesである場合は、評価対象の到着地を拠点と判定する(ステップS24)。一方、ステップS23の判定の結果がNoである場合は、評価対象の到着地を拠点と判定しない。
【0034】
そして、すべてのドライブの到着地が拠点か否かの情報を付与する。ここで、本実施例におけるドライブとは、ACCがONになってからOFFになるまで(図4の1行分)を指す。拠点の情報が付与された例を図9に示す。図9は、図4に対して拠点等の情報(〇印)を付与したものである。図9に示したように、図4の例では自宅が拠点となっている。
【0035】
図6は、ドライブグループ化の動作のフローチャートである。図6のフローチャートはすべてのドライブについて以下のステップS31~S35を繰り返す。まず、評価対象のドライブの出発地は拠点か判定する(ステップS31)。ステップS31の判定の結果がYesの場合はグループ候補を空にする(ステップS32)。つまり、ドライブのグループ化とは拠点を出発して拠点に到着するまでのデータを1つのグループとする処理であるので、出発地が拠点である場合は新たなグループの開始としてグループ候補を空にする。そして、評価対象のドライブをグループ候補に加える(ステップS33)。
【0036】
一方、ステップS31の判定の結果がNoの場合は評価対象のドライブをグループ候補に加える(ステップS33)。この場合は、評価対象のドライブの出発地は、拠点以外の地点であるので、グループ化するためにグループ候補に加えている。
【0037】
次に、評価対象のドライブの到着地が拠点か判定する(ステップS34)。ステップS34の判定の結果がYesの場合はグループ候補を1つのドライブグループにし、同じグループとなった各ドライブに共通するID等を付与する(ステップS35)。つまり、評価対象のドライブの到着地が拠点であるということは、グループ化するドライブの最後であるため、当該評価対象のドライブまでを1つのグループとしてグループ化している。
【0038】
一方、ステップS34の判定の結果がNoの場合は評価対象のドライブの到着地は拠点でないので、ID等の付与は行わず次のドライブを評価対象のドライブとしてステップS31から再度実行する。
【0039】
上記したドライブグループ化を図4の例で説明すると、項目名等が記載された行を除いて1行目の自宅が出発地でコンビニが到着地となっているドライブは、出発地が拠点であるのでグループ候補を空にした上でグループ候補に加える。2行目のコンビニが出発地で会社が到着地となっているドライブは、出発地が拠点でないのでグループ候補に加える動作のみを行う。3行目、4行目も2行目と同様である。5行目のスーパーが出発地で自宅が到着地となっているドライブは、出発地が拠点でないのでグループ候補に加えるとともに、到着地が拠点であるのでグループ候補にあるドライブを1つのグループにし各ドライブにユニークなIDを付与している(図9のグループ欄参照)。図4の6行目以降も同様の動作を繰り返して図9に示したような“2”や“3”といったグループ毎にユニークなIDが付与される。
【0040】
図7は、主要目的地の判定動作のフローチャートである。図7のフローチャートはすべてのドライブグループのすべてのドライブについて以下のステップS41、S42を繰り返す。まず、到着地が拠点ではなく、かつ、図6のフローチャートにおいて処理を行ったグループ内で滞在時間が最長か判定する(ステップS41)。これは、主要目的地の定義であるドライブグループの中で拠点を除く最も滞在時間の長い地点を判定するものである。
【0041】
ステップS41の判定の結果がYesの場合はドライブの到着地を主要目的地にする(ステップS42)。一方、ステップS41の判定の結果がYesの場合は当該ドライブの到着地は主要目的地とせずに、次のドライブの評価を行う。主要目的地の情報(〇印)が付与された例を図9に示す。図9に示したように、図4の例では会社が主要目的地となっている。
【0042】
図8は、往路/復路の判定動作のフローチャートである。図8のフローチャートはすべてのドライブグループのすべてのドライブについて以下のステップS51~S53を繰り返す。まず、評価対象のドライブの出発時刻到着地は主要目的地の到着時刻よりも前か判定する(ステップS51)。ステップS51の判定の結果がYesの場合は評価対象のドライブを往路とする(ステップS52)。一方、ステップS51の判定の結果がNoの場合は評価対象のドライブを復路とする(ステップS53)。これは、拠点から拠点までの1グループにおいて、そのグループ内の主要目的地が当該グループの目的地であった可能性が高いと見做しているものである。つまり、主要目的地までが往路となり、それ以降は復路としている。往路/復路の情報が付与された例を図9に示す。図9に示したように、主要目的地である会社までのドライブが往路、それ以降は復路として判定されている。
【0043】
上記した図2図5図8のフローチャートを実行すると図9に示したようなドライブ履歴D2が作成される。そして、図9から明らかなように、ドライブ履歴D2(走行履歴)は、出発地、到着地、到着地における滞在時間の情報を含む走行履歴D1に基づいて、到着地毎に拠点、主要目的地、往路又は復路の情報が付加されている。
【0044】
学習データ生成部3は、ドライブ連結部2によって生成されたドライブ履歴に基づいて学習データD3を生成する。
【0045】
往路復路判定部4は、ドライブ履歴D2に基づいて現在の走行状況が往路か復路かを判定する。即ち、往路復路判定部4は、過去の走行履歴に基づいて現在の走行状況が往路に該当するかを判定する判定部として機能する。現在の走行状況とは、ACCがONになってからOFFになるまで等の、車両又は車両に搭載された情報提示装置1が稼働可能な状態を云い、実際に車両が走行している状態に限らない。
【0046】
往路復路判定部4における往路か復路かの判定は、ドライブ履歴D2に基づいて、拠点を出発後、主要目的地を通過しておらず、かつ拠点から離れる行動の場合往路とする。拠点から離れる行動かは一定時間毎に拠点までの距離やETA(到着予測時刻)を算出し時間平均が増加傾向にあるかで判別すればよい。あるいは、拠点から離れる行動は判定せずに、拠点を出発後、主要目的地を通過していないことのみで往路か復路か判定してもよい。また、往路と判定されない場合は復路と判定すればよい。
【0047】
目的地予測部5は、学習データD3に基づいて現在の走行状況における目的地(施設)を予測する。学習の組み合わせはドライブグループに従い、グループ内の出発地と到着地の組み合わせは到着地=出発地となるもの以外すべて予測の候補とする。つまり、目的地予測部5で予測される目的地とは、上述した主要目的地に限らない。例えば図3では、自宅を出発した時点では、コンビニ、会社、ラーメン屋、スーパーがすべて候補になる。つまり、これらは立ち寄りが予測される施設の候補となる。
【0048】
目的地予測部5の予測方法としては、コンテキストベースや、リンクベースを用いることができる。コンテキストベースは、例えば朝8時に自宅を出発して到着する場所の頻度順といった方法で予測する。リンクベースは、例えば家の前のリンクを踏んで到着する場所の頻度順といった方法で予測する。なお、予測する際に、往路復路、曜日、天気等を考慮してもよい。
【0049】
ETA算出部6は、目的地予測部で予測された目的地についてETA(到着予測時刻)を算出し、予測した目的地(施設)毎に出力する。ETA算出部6は、現在、往路にいるとき、往路/復路ラベルが復路となっている予測目的地のETAは、現在地とスコアの最も高い主要目的地を経由した経路の走行にかかる時間と、当該主要目的地の滞在時間見込みを考慮して算出(予測)する。ここで、滞在時間見込みは過去履歴における滞在時間の平均や時間帯毎の滞在時間平均を使えばよい。また、主要目的地以降のリンクの重み付けをしてもよく、その場合に使う情報は現在時刻+滞在時間後の時間帯のリンク重みを使うとよい。スコアとは、予測した目的地へ向かう確率を示し、目的地予測部5で利用した頻度に基づく値である。
【0050】
例えば、図10に示したように、会社が主要目的地で往路に向かった地点となっており、スーパーが主要目的地でなく復路に向かった地点となっている場合、スコアとしては、向かった頻度をベースに算出される。図10の場合、対象が2つの地点(施設)のみであったとすると、2地点合わせて “1”となるような数値となっている。
【0051】
図11は、図10の例における経路のイメージ図である。図11は、例えば自宅を朝8時に出発して会社に向かう場合は、8時台の自宅から会社までの所要時間と、会社における平均滞在時間(例えば10時間)と、18時台の会社からスーパーまでの所要時間と、からスーパーにおける到着予測時刻が算出される。
【0052】
関連情報付与部7は、ETA算出部6が出力した予測目的地名(施設名)や予測目的地毎のETAに、で算出されたETAを表示する予測目的地に関連する情報(付随情報)を付与して立ち寄りが予測される施設に関する情報として出力する。関連情報として、例えばスーパーのWebサイト等からチラシ情報を取り込んでタイムセール情報を付与してもよいし、予測した施設に至る経路の道路情報から時間帯規制や混雑予想情報を付与してもよい。
【0053】
表示装置8は、関連情報付与部7が出力した立ち寄りが予測される施設に関する情報を提示する。即ち、表示装置8は、判定部において往路と判定された場合は、走行履歴に基づいて復路において立ち寄りが予測される施設に関する情報を提示する提示部として機能する。
【0054】
表示装置8は、立ち寄りが予測される施設に関する情報のみが表示される機器に限らず、ナビゲーション装置や、ディスプレイオーディオ、車載メータ等の機器が有する表示部であってもよい。または、表示装置8として、スマートフォン等の携帯機器が機能してもよい。あるいは、携帯機器が往路復路判定部4として機能することが可能であれば、携帯機器を情報提示装置1として機能させることができる。
【0055】
なお、本実施例では、提示部として表示装置8で説明するが、立ち寄りが予測される施設に関する情報の提示は表示に限らず、音声で提示してもよい。
【0056】
次に、上述した構成の情報提示装置1における動作を図12図14を参照して説明する。図12は、情報提示動作(レコメンンド動作)のフローチャートである。まず、現在の走行状態が往路か復路か判定する(ステップS61)。往路か復路かの判定は往路復路判定部4で上述した方法により行われる。次に、目的地を予測する(ステップS62)。目的地の予測は目的地予測部5で上述した方法により行われる。次に、ETAを算出する(ステップS63)。ETAの算出はETA算出部6により上述した方法により行われる。そして、関連情報を付与して表示装置8に表示する(ステップS64)。関連情報の付与は関連情報付与部7で上述した方法により行われる。即ち、ステップS61が判定工程、ステップS64が提示工程として機能する。
【0057】
図13は往路復路判定部4の動作のフローチャートである。まず、前回の往路/復路状態を取得する(ステップS71)。このステップの前回とは、以前の走行という意味ではなく、直前に判定した結果という意味である。予測目的地等のレコメンドは情報提示装置1の稼働中は随時更新されるため、往路/復路の判定は随時行われる。
【0058】
次に、ドライブ履歴D2を取得し(ステップS72)、現在の走行における出発地がドライブ履歴D2において拠点か判定する(ステップS73)。拠点である場合は(ステップS73;Yes)、往路/復路状態を往路に設定する(ステップS74)。これは、出発地が拠点であるということは、主要目的地が出発地でないので主要目的地を通過していないと云える。また、出発地が拠点であるということは拠点から離れる行動であることは明らかである。したがって、上述した拠点を出発後、主要目的地を通過しておらず、かつ拠点から離れる行動の場合往路とするという条件に合致する。
【0059】
一方、出発地が拠点でない場合は(ステップS73;No)、出発地がドライブ履歴D2において主要目的地か判定する(ステップS75)。このステップS73がNoの場合とは、出発地が主要目的地又は、拠点でも主要目的地でもない地点の場合を示している。出発地がドライブ履歴D2において主要目的地である場合は(ステップS75;Yes)、往路/復路状態を復路に設定する(ステップS76)。主要目的地が出発地であるということは復路であると云えるためである。一方、出発地がドライブ履歴D2において主要目的地でない場合は(ステップS75;No)、出発地が拠点でも主要目的地でもない場合(図3ではコンビニやスーパー等)に該当するため、現在の往路/復路状態が変化せずに維持される。
【0060】
図14は、ETA算出部6の動作のフローチャートである。まず、往路復路判定部4で設定された往路/復路状態を取得し(ステップS81)、往路にいるか判定する(ステップS82)。ステップS82の判定の結果、往路にいる場合は(ステップS82;Yes)、ETAを算出する予測目的地の往路/復路ラベルが復路か判定する(ステップS83)。このステップS83は、ETA算出対象の予測目的地が復路に立ち寄ると予測されているかを判定している。
【0061】
次に、現在地から主要目的地までの所要時間(TA)を計算する(ステップS84)。ここでの主要目的地は、ドライブ履歴D2からETA算出対象の予測目的地が経由すると考えられる目的地である。
【0062】
次に、主要目的地における平均滞在時間(TB)を計算する(ステップS85)。そして、TA+TB経過後の時刻に主要目的地を出発するときの、主要目的地から予測目的地への所要時間(TC)を計算する(ステップS86)。ステップS86は、現在地から主要目的地に到着して、主要目的地に滞在後、予測目的地に向かう場合の所要時間を計算している。例えば図11の場合であれば、8時台ではなく18時台にスーパーに向かう場合の所要時間を計算する。
【0063】
そして、現在時刻からTA+TB+TC経過した時刻を予測目的地のETAとする(ステップS87)。このように計算することで、主要目的地で長時間滞在した場合を考慮したETAを算出することができる。
【0064】
一方、ステップS82、S83がNoであった場合は、現在地から予測目的地へのETAを算出する(ステップS88)。このケースは、主要目的地で長時間滞在するケースではないので、現在地から予測目的地へのETAを算出すればよい。
【0065】
本実施例によれば、情報提示装置1は、ドライブ履歴D2に基づいて現在の走行状況が往路に該当するかを判定する往路復路判定部4と、往路復路判定部4において往路と判定された場合は、ドライブ履歴D2に基づいて復路において立ち寄りが予測される施設に関する情報を提示する表示装置8と、を備えている。このようにすることにより、現在の走行状況が往路と判定された際に、復路における立ち寄り施設等の情報を提示することができる。往路で復路における立ち寄り施設等の情報を提示することで、予め復路における予定等を立てることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0066】
また、立ち寄りが予測される施設に関する情報には、施設名及び当該施設への到着予測時刻を含んでいる。このようにすることにより、ユーザ等が実際に立ち寄る場合の予定が立て易くなる。
【0067】
また、立ち寄りが予測される施設に関する情報には、施設名や到着予測時刻に加えて、当該施設又は当該施設への経路についての付随情報を含んでいる。このようにすることにより、例えばスーパーマーケットのタイムセールの情報や、立ち寄り施設に至るまでの経路の時間帯規制情報、混雑予想情報といった付随情報を予め提示することができる。
【0068】
また、ドライブ履歴D2は、出発地、到着地、到着地における滞在時間の情報を含む走行履歴D1に基づいて、到着地毎に拠点、主要目的地、往路又は復路の情報が付加されている。このようにすることにより、例えば自宅等の拠点となる地点や会社等の滞在時間が長い地点を識別することができる。そして、過去の走行時には往路で立ち寄ったのか、復路で立ち寄ったのかを判別することができるため、提示部において提示する際に利用することができる。
【0069】
また、往路復路判定部4は、拠点を出発後、主要目的地を通過していない場合に現在の走行状況は往路と判定している。このようにすることにより、拠点や主要目的地といった地点が識別されていれば、容易に往路であることを判定することができる。
【0070】
また、到着予測時刻は、少なくとも主要目的地の滞在時間を考慮して予測されている。このようにすることにより、例えば主要目的地が会社である場合に、会社帰りにおける到着時刻を予測することができる。したがって、予め復路における予定等を立てることができる。
【0071】
なお、表示装置8は、復路において立ち寄りが予測される施設に関する情報とともに、往路に立ち寄りが予測される施設に関する情報も提示してもよい。目的地予測部5では、復路の予測目的地(立ち寄り地)に限らず、往路の予測目的地を予測することが可能であることは、上述した説明から明らかである。このようにすることにより、往路、復路ともに立ち寄りが予測される施設を提示することができ、よりユーザの利便性を向上させることができる。
【0072】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の情報提示装置を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0073】
1 情報提示装置
2 ドライブ連結部
3 学習データ生成部
4 往路復路判定部(判定部)
5 目的地予測部
6 ETA算出部
7 関連情報付与部
8 表示装置(提示部)
D1 走行履歴
D2 ドライブ履歴
D3 学習データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14