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特許7521017双方向DCコンバータ及びその制御方法、制御モジュール、記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】双方向DCコンバータ及びその制御方法、制御モジュール、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022581495
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 CN2021102783
(87)【国際公開番号】W WO2022001966
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】202010605231.0
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】周建平
(72)【発明者】
【氏名】王恰
(72)【発明者】
【氏名】劉明明
(72)【発明者】
【氏名】林国仙
(72)【発明者】
【氏名】鄂本
(72)【発明者】
【氏名】崔玉龍
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-268255(JP,A)
【文献】Neng Zhang, Guidong Zhang, Khay Wai See,Systematic Derivation of Dead-Zone Elimination Strategies for the Noninverting Synchronous Buck Boost Converter,IEEE Transactions on Power Electronics,米国,IEEE,2017年05月16日,Volume 33, Issue 4,pages 3497-3508,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=7929418,DOI: 10.1109/TPEL.2017.2704597
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向DCコンバータの制御方法であって、
前記双方向DCコンバータは、少なくとも1つの電力変換ユニットを含み、前記電力変換ユニットは、第1ブリッジアームと、第2ブリッジアームと、インダクタとを含み、前記第1ブリッジアームは、第1スイッチトランジスタ及び第2スイッチトランジスタを含み、前記第1スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの入力端の正極に電気的に接続され、前記第1スイッチトランジスタの第2極は、前記第2スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第2スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの入力端の負極に電気的に接続され、前記第2ブリッジアームは、第3スイッチトランジスタ及び第4スイッチトランジスタを含み、前記第3スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの出力端の負極に電気的に接続され、前記第3スイッチトランジスタの第2極は、前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第4スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの出力端の正極に電気的に接続され、前記インダクタの第1端は、前記第1スイッチトランジスタの第2極に電気的に接続され、前記インダクタの第2端は前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、
前記制御方法は、
入力電圧及び出力電圧に基づいて前記双方向DCコンバータの動作モードを確定するステップと、
前記双方向DCコンバータの動作モードに応じてそれぞれ前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルを確定するステップと、
確定された第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第1スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給し、確定された第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第2スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給し、確定された第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第3スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給し、確定された第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第4スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給するステップとを含み、
ここでは、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルと前記双方向DCコンバータの動作モードとは、
前記双方向DCコンバータが降圧Buckモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最大値が第1デューティサイクル閾値であるという関係、
前記双方向DCコンバータが昇圧Boostモードで動作する場合、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最小値が第2デューティサイクル閾値であるという関係、
前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルが一定値であるという関係を満たし、
前記第1デューティサイクル閾値と前記一定値との差が所定の差を超えず、且つ、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルは、
1-D11/K1<D<1-D11/K2を満たし、ここでは、
11は前記一定値であり、
K1は前記双方向DCコンバータの降圧係数であり、0.9≦K1<1であり、
K2は前記双方向DCコンバータの昇圧係数であり、1<K2<1.1であり、
入力電圧及び出力電圧に基づいて前記双方向DCコンバータの動作モードを確定するステップは、
入力電圧Vin及び出力電圧Voをそれぞれサンプリングするステップと、
サンプリングして得られた入力電圧とサンプリングして得られた出力電圧とを比較するステップと、
Vo≦K1×Vinである場合、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードであると判定し、
K1×Vin≦Vo≦K2×Vinである場合、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuck/Boostモードであると判定し、
K2×Vin≦Voである場合、前記双方向DCコンバータの動作モードがBoostモードであると判定するステップとを含み、
入力電圧及び出力電圧に基づいて前記双方向DCコンバータの動作モードを確定するステップにおいて、
双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードからBuck/Boostモードに切り替えられる場合、Vo<K1’×Vinのとき、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードであると判定し、ここでは、K1’が第1ヒステリシスループ判定係数であり、0<K1’<K1であり、
双方向DCコンバータの動作モードがBoostモードからBuck/Boostモードに切り替えられる場合、Vo<K2’×Vinのとき、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuck/Boostモードであると判定し、K2’が第2ヒステリシスループ判定係数であり、1<K2’<K2である、
双方向DCコンバータの制御方法。
【請求項2】
前記所定の差は、
0<Δ≦0.05という関係を満たし、
Δは前記所定の差である、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記第1デューティサイクル閾値はK1と同じであり、前記第2デューティサイクル閾値は、
2min=1-1/K2という関係を満たし、
ここで、D2minは前記第2デューティサイクル閾値である、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルは、
Vo=(D11×Vin)/(1-D)という式を満たし、ここで、Dは第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルであり、D11は前記一定値である、請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項5】
双方向DCコンバータに用いられる制御モジュールであって、
前記双方向DCコンバータは、少なくとも1つの電力変換ユニットを含み、前記電力変換ユニットは、第1ブリッジアームと、第2ブリッジアームと、インダクタとを含み、前記第1ブリッジアームは、第1スイッチトランジスタ及び第2スイッチトランジスタを含み、前記第1スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの入力端の正極に電気的に接続され、前記第1スイッチトランジスタの第2極は、前記第2スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第2スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの入力端の負極に電気的に接続され、前記第2ブリッジアームは、第3スイッチトランジスタ及び第4スイッチトランジスタを含み、前記第3スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの出力端の負極に電気的に接続され、前記第3スイッチトランジスタの第2極は、前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第4スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの出力端の正極に電気的に接続され、前記インダクタの第1端は、前記第1スイッチトランジスタの第2極に電気的に接続され、前記インダクタの第2端は前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、
前記制御モジュールは、
力電圧Vin及び出力電圧Voに基づいて前記双方向DCコンバータの動作モードを確定し、前記双方向DCコンバータの動作モードに応じて、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルをそれぞれ確定するように構成される信号処理ユニットであって、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルと前記双方向DCコンバータの動作モードとは、
前記双方向DCコンバータが降圧Buckモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最大値が第1デューティサイクル閾値であるという関係、
前記双方向DCコンバータが昇圧Boostモードで動作する場合、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最小値が第2デューティサイクル閾値であるという関係、
前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルが一定値であるという関係を満たし、
前記第1デューティサイクル閾値と前記一定値との差が所定の差を超えず、且つ、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルは、
1-D11/K1<D<1-D11/K2を満たし、ここでは、
11は前記一定値であり、
K1は前記双方向DCコンバータの降圧係数であり、0.9≦K1<1であり、
K2は前記双方向DCコンバータの昇圧係数であり、1<K2<1.1である信号処理ユニットと、
少なくとも1つの出力端群を有し、各出力端群はいずれも前記第1スイッチトランジスタのゲートに電気的に接続される第1出力端と、前記第2スイッチトランジスタのゲートに電気的に接続される第2出力端と、前記第3スイッチトランジスタのゲートに電気的に接続される第3出力端と、前記第4スイッチトランジスタのゲートに電気的に接続される第4出力端とを含む駆動ユニットであって、前記駆動ユニットは、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて前記第1出力端から第1スイッチトランジスタの駆動信号を出力し、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルサイクルに応じて前記第2出力端から第2スイッチトランジスタの駆動信号を出力し、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルサイクルに応じて前記第3出力端から第3スイッチトランジスタの駆動信号を出力し、前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルサイクルに応じて前記第4出力端から第4スイッチトランジスタの駆動信号を出力するように構成される駆動ユニットとを含
Vo≦K1×Vinである場合、前記信号処理ユニットは、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードであると判定し、
K1×Vin≦Vo≦K2×Vinである場合、前記信号処理ユニットは、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuck/Boostモードであると判定し、
K2×Vin≦Voである場合、前記信号処理ユニットは、前記双方向DCコンバータの動作モードがBoostモードであると判定し、
双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードからBuck/Boostモードに切り替えられる場合、Vo<K1’×Vinのとき、前記信号処理ユニットは、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードであると判定し、ここでは、K1’は第1ヒステリシスループ判定係数であり、0<K1’<K1であり、
双方向DCコンバータの動作モードがBoostモードからBuck/Boostモードに切り替えられる場合、Vo<K2’×Vinのとき、前記信号処理ユニットは、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuck/Boostモードであると判定し、K2’は第2ヒステリシスループ判定係数であり、1<K2’<K2である、
双方向DCコンバータに用いられる制御モジュール。
【請求項6】
前記双方向DCコンバータは、
前記双方向DCコンバータの入力電圧を収集するように構成される入力電圧サンプリングユニットと、
前記双方向DCコンバータの出力電圧を収集するように構成される出力電圧サンプリングユニットとをさらに含む、請求項に記載の制御モジュール。
【請求項7】
前記所定の差は、
0<Δ≦0.05という関係を満たし、
ここで、Δは前記所定の差である、請求項に記載の制御モジュール。
【請求項8】
前記第1デューティサイクル閾値はK1と同じであり、前記第2デューティサイクル閾値は、
2min=1-1/K2という関係を満たし、
ここで、D2minは前記第2デューティサイクル閾値である、請求項のいずれか一項に記載の制御モジュール。
【請求項9】
前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルは、
Vo=(D11×Vin)/(1-D)という式を満たし、ここで、Dは第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルであり、D11は前記一定値である、請求項のいずれか一項に記載の制御モジュール。
【請求項10】
双方向DCコンバータであって、
少なくとも1つの電力変換ユニットであって、前記電力変換ユニットは、第1ブリッジアームと、第2ブリッジアームと、インダクタとを含み、前記第1ブリッジアームは、第1スイッチトランジスタ及び第2スイッチトランジスタを含み、前記第1スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの入力端の正極に電気的に接続され、前記第1スイッチトランジスタの第2極は、前記第2スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第2スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの入力端の負極に電気的に接続され、前記第2ブリッジアームは、第3スイッチトランジスタ及び第4スイッチトランジスタを含み、前記第3スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの出力端の負極に電気的に接続され、前記第3スイッチトランジスタの第2極は、前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第4スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの出力端の正極に電気的に接続され、前記インダクタの第1端は、前記第1スイッチトランジスタの第2極に電気的に接続され、前記インダクタの第2端は前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続される電力変換ユニットと、
請求項のいずれか一項に記載の制御モジュールとを含む、双方向DCコンバータ。
【請求項11】
実行可能なプログラムを記憶したコンピュータ可読記録媒体であって、前記実行可能なプログラムが呼び出されると、請求項1~のいずれか一項に記載の制御方法を実現することができる、コンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願番号が202010605231.0で、出願日が2020年6月29日の中国特許出願に基づいて提出され、当該中国特許出願の優先権を主張し、当該中国特許出願の全内容はここに参考として本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は電子機器の分野に関し、具体的には、双方向DCコンバータの制御方法、双方向DCコンバータの制御モジュール、双方向DCコンバータ及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
DC/DCコンバータは、ある直流電圧を別の直流電圧に変換するパワーデバイスであり、ここでは、双方向DCコンバータは、ある直流電圧を別の直流電圧に変換するほかに、双方向DCコンバータの入力側と出力側との間でエネルギーを双方向に流すことを実現することもできる。
【0004】
図1に一般的な4スイッチ双方向DCコンバータが示されており、具体的には、該4スイッチ双方向DCコンバータは第1ブリッジアームと、第2ブリッジアームと、第1ブリッジアームと第2ブリッジアームとの間に接続されるインダクタL1とを含む。
【0005】
前記第1ブリッジアームは第1スイッチトランジスタVT1及び第2スイッチトランジスタVT2を含み、前記第1スイッチトランジスタVT1の第1極は前記双方向DCコンバータの入力端の正極に電気的に接続され、第1スイッチトランジスタVT1の第2極は第2スイッチトランジスタVT2の第1極に電気的に接続され、第2スイッチトランジスタVT2の第2極は前記双方向DCコンバータの入力端の負極に電気的に接続される。前記第2ブリッジアームは、第3スイッチトランジスタVT3及び第4スイッチトランジスタVT4を含む。第3スイッチトランジスタVT3の第1極は前記双方向DCコンバータの出力端の負極に電気的に接続され、第3スイッチトランジスタVT3の第2極は第4スイッチトランジスタVT4の第1極に電気的に接続され、第4スイッチトランジスタVT4の第2極は前記双方向DCコンバータの出力端の正極に電気的に接続される。
【0006】
インダクタL1の第1端は、前記第1スイッチトランジスタVT1の第1極に電気的に接続され、インダクタL1の第2端は、第4スイッチトランジスタVT4の第1極に電気的に接続される。
【0007】
双方向DCコンバータの動作モードは、バック(Buck)モード、ブースト(Boost)モード、及びBuck/Boostモードを含む。
【0008】
Buckモードでは、第1ブリッジアームは動作し、第1スイッチトランジスタVT1と第2スイッチトランジスタVT2は交互にオンにし、第2ブリッジアームにおける第3スイッチトランジスタVT3は常時オフにし、第2ブリッジアームにおける第4スイッチトランジスタVT4は常時オンにする。
【0009】
Buck/Boostモードでは、第1ブリッジアームと第2ブリッジアームは同時に動作し、第1スイッチトランジスタVT1と第3スイッチトランジスタVT3は同期してオンオフにし、第2スイッチトランジスタVT2と第4スイッチトランジスタVT4は同期してオンオフにする。第1スイッチトランジスタVT1と第2スイッチトランジスタVT2は交互にオンオフにし、第3スイッチトランジスタVT3と第4スイッチトランジスタVT4は交互にオンオフにする。
【0010】
Boostモードでは、第2ブリッジアームは動作し、第3スイッチトランジスタVT3と第4スイッチトランジスタVT4は交互にオンにし、第1ブリッジアームにおける第1スイッチトランジスタVT1は常時オンにし、第2スイッチトランジスタVT2は常時オフにする。
【0011】
3モード動作方式では、特に、BuckモードからBuck/Boostモードへの移行、またはBuck/BoostモードからBoostモードへの移行における従来の制御方法においては、電圧脱調の問題が存在するものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示の目的は、双方向DCコンバータの制御方法、双方向DCコンバータの制御モジュール、双方向DCコンバータ及びコンピュータ可読記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の第1態様として、双方向DCコンバータの制御方法を提供し、前記双方向DCコンバータは、少なくとも1つの電力変換ユニットを含み、前記電力変換ユニットは、第1ブリッジアームと、第2ブリッジアームと、インダクタとを含み、前記第1ブリッジアームは、第1スイッチトランジスタ及び第2スイッチトランジスタを含み、前記第1スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの入力端の正極に電気的に接続され、前記第1スイッチトランジスタの第2極は、前記第2スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第2スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの入力端の負極に電気的に接続され、前記第2ブリッジアームは、第3スイッチトランジスタ及び第4スイッチトランジスタを含み、前記第3スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの出力端の負極に電気的に接続され、前記第3スイッチトランジスタの第2極は、前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第4スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの出力端の正極に電気的に接続され、前記インダクタの第1端は、前記第1スイッチトランジスタの第2極に電気的に接続され、前記インダクタの第2端は前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記制御方法は、入力電圧及び出力電圧に基づいて前記双方向DCコンバータの動作モードを確定するステップと、前記双方向DCコンバータの動作モードに応じてそれぞれ前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルを確定するステップと、確定された第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第1スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給し、確定された第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第2スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給し、確定された第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第3スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給し、確定された第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第4スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給するステップとを含み、ここでは、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルと前記双方向DCコンバータの動作モードとは、前記双方向DCコンバータが降圧Buckモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最大値が第1デューティサイクル閾値であるという関係、前記双方向DCコンバータが昇圧Boostモードで動作する場合、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最小値が第2デューティサイクル閾値であるという関係、前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルが一定値であるという関係を満たし、前記第1デューティサイクル閾値と前記一定値との差が所定の差を超えず、且つ、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルは、1-D11/K1<D2<1-D11/K2を満たし、ここでは、D11は前記一定値であり、K1は前記双方向DCコンバータの降圧係数であり、0.9≦K1<1であり、K2は前記双方向DCコンバータの昇圧係数であり、1<K2<1.1である。
【0014】
本開示の第2態様として、双方向DCコンバータに用いられる制御モジュールを提供し、前記双方向DCコンバータは、少なくとも1つの電力変換ユニットを含み、前記電力変換ユニットは、第1ブリッジアームと、第2ブリッジアームと、インダクタとを含み、前記第1ブリッジアームは、第1スイッチトランジスタ及び第2スイッチトランジスタを含み、前記第1スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの入力端の正極に電気的に接続され、前記第1スイッチトランジスタの第2極は、前記第2スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第2スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの入力端の負極に電気的に接続され、前記第2ブリッジアームは、第3スイッチトランジスタ及び第4スイッチトランジスタを含み、前記第3スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの出力端の負極に電気的に接続され、前記第3スイッチトランジスタの第2極は、前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第4スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの出力端の正極に電気的に接続され、前記インダクタの第1端は、前記第1スイッチトランジスタの第2極に電気的に接続され、前記インダクタの第2端は前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記制御モジュールは、
入力電圧及び出力電圧に基づいて前記双方向DCコンバータの動作モードを確定し、前記双方向DCコンバータの動作モードに応じて、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルをそれぞれ確定するように構成される信号処理ユニットであって、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルと前記双方向DCコンバータの動作モードとは、前記双方向DCコンバータが降圧Buckモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最大値が第1デューティサイクル閾値であるという関係、前記双方向DCコンバータが昇圧Boostモードで動作する場合、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最小値が第2デューティサイクル閾値であるという関係、前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルが一定値であるという関係を満たし、前記第1デューティサイクル閾値と前記一定値との差が所定の差を超えず、且つ、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルは、1-D11/K1<D<1-D11/K2を満たし、ここでは、D11は前記一定値であり、K1は前記双方向DCコンバータの降圧係数であり、0.9≦K1<1であり、K2は前記双方向DCコンバータの昇圧係数であり、1<K2<1.1である信号処理ユニットと、
少なくとも1つの出力端群を有し、各出力端群はいずれも前記第1スイッチトランジスタのゲートに電気的に接続される第1出力端と、前記第2スイッチトランジスタのゲートに電気的に接続される第2出力端と、前記第3スイッチトランジスタのゲートに電気的に接続される第3出力端と、前記第4スイッチトランジスタのゲートに電気的に接続される第4出力端とを含む駆動ユニットであって、前記駆動ユニットは、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて前記第1出力端から第1スイッチトランジスタの駆動信号を出力し、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルサイクルに応じて前記第2出力端から第2スイッチトランジスタの駆動信号を出力し、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルサイクルに応じて前記第3出力端から第3スイッチトランジスタの駆動信号を出力し、前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルサイクルに応じて前記第4出力端から第4スイッチトランジスタの駆動信号を出力するように構成される駆動ユニットとを含む。
【0015】
本開示の第3態様として、双方向DCコンバータを提供し、前記双方向DCコンバータは、少なくとも1つの電力変換ユニットであって、前記電力変換ユニットは、第1ブリッジアームと、第2ブリッジアームと、インダクタとを含み、前記第1ブリッジアームは、第1スイッチトランジスタ及び第2スイッチトランジスタを含み、前記第1スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの入力端の正極に電気的に接続され、前記第1スイッチトランジスタの第2極は、前記第2スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第2スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの入力端の負極に電気的に接続され、前記第2ブリッジアームは、第3スイッチトランジスタ及び第4スイッチトランジスタを含み、前記第3スイッチトランジスタの第1極は、前記双方向DCコンバータの出力端の負極に電気的に接続され、前記第3スイッチトランジスタの第2極は、前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第4スイッチトランジスタの第2極は、前記双方向DCコンバータの出力端の正極に電気的に接続され、前記インダクタの第1端は、前記第1スイッチトランジスタの第2極に電気的に接続され、前記インダクタの第2端は前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続される電力変換ユニットと、本開示の第2態様に記載の制御モジュールとを含む。
【0016】
本開示の第4態様として、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体に実行可能なプログラムが記憶され、前記実行可能なプログラムが呼び出されると、本開示によって提供される上記制御方法を実現することができる。
【0017】
図面は本出願の更なる理解を提供するために用いられ、明細書の一部を構成し、以下の具体的な実施形態とともに本出願を説明するために用いられるが、本出願を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】当分野におけるいくつかの状況における双方向DCコンバータの回路概略図である。
図2】本出願によって提供される双方向DCコンバータの一実施形態の概略構成図である。
図3】本出願に係る双方向DCコンバータの3つの動作モードの動作範囲の概略図である。
図4】本出願の第1態様によって提供される制御方法の一実施形態のフローチャートである。
図5】実施例1における3モード切替のそれぞれの駆動波形図である。
図6】実施例2における3モード切替のヒステリシスループ制御区間の区分図である。
図7】実施例2における3モード切替のそれぞれの駆動波形図である。
図8】実施例4における2つの電力変換ユニットの回路構成図である。
図9】ステップS110のフローチャートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで説明する具体的な実施形態は、本発明への説明及び解釈のみを目的としたものであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0020】
当分野におけるいくつかの状況において、Buck/Boostモードで動作する双方向DCコンバータについて、制御方法は主にシングルキャリアの二重変調波とシングルキャリアの単一変調波の2つの方法がある。シングルキャリアの二重変調波制御方法において、2つの変調波はそれぞれ左の第2ブリッジアームにおけるスイッチトランジスタのオン/オフを制御し、存在している問題としては、スイッチトランジスタ駆動信号のデューティサイクルが無限に1に近づくか、または無限に0に近づく場合があり、デューティサイクルが無限に1に近づくか、または無限に0に近づくと、電圧脱調の問題がある。もう一つの問題としては、BuckとBoostモードでシングルキャリアの二重変調波を使用してから、Buck/Boostモードに入った後にシングルキャリアの単一変調波に切り替えると、スイッチトランジスタ駆動信号のデューティサイクルが急変する場合があり、これにより、インダクタ電流が急変し、出力電圧指標が悪くなるという問題がある。
【0021】
そこで、本開示の第1態様として、双方向DCコンバータの制御方法を提供する。
【0022】
図2に示すように、本開示において、前記双方向DCコンバータは、少なくとも1つの電力変換ユニット100を含み、該電力変換ユニット100は第1ブリッジアーム、第2ブリッジアーム、及びインダクタL1を含む。前記第1ブリッジアームは第1スイッチトランジスタVT1及び第2スイッチトランジスタVT2を含み、第1スイッチトランジスタVT1の第1極は前記双方向DCコンバータの入力端の正極Vinに電気的に接続され、第1スイッチトランジスタVT1の第2極は第2スイッチトランジスタVT2の第1極に電気的に接続され、第2スイッチトランジスタVT2の第2極は前記双方向DCコンバータの入力端の負極Vinに電気的に接続される。
【0023】
前記第2ブリッジアームは第3スイッチトランジスタVT3及び第4スイッチトランジスタVT4を含み、第3スイッチトランジスタVT3の第1極は前記双方向DCコンバータの出力端の負極Vo-に電気的に接続され、前記第3スイッチトランジスタの第2極は前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第4スイッチトランジスタの第2極は前記双方向DCコンバータの出力端の正極Voに電気的に接続される。
【0024】
インダクタL1の第1端は、第1スイッチトランジスタVT1の第2極に電気的に接続され、インダクタL1の第2端は、第4スイッチトランジスタVT4の第1極に電気的に接続される。
【0025】
図4に示すように、前記制御方法は、
入力電圧及び出力電圧に基づいて前記双方向DCコンバータの動作モードを確定するステップS110と、
前記双方向DCコンバータの動作モードに応じてそれぞれ前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルを確定するステップS120と、
確定された第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第1スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給し、確定された第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第2スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給し、確定された第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第3スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給し、確定された第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルに応じて第4スイッチトランジスタのゲートに駆動信号を供給するステップS130とを含む。
【0026】
ここでは、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第2スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクル及び前記第4スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルと前記双方向DCコンバータの動作モードとは、
前記双方向DCコンバータが降圧Buckモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最大値が第1デューティサイクル閾値であるという関係、
前記双方向DCコンバータが昇圧Boostモードで動作する場合、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最小値が第2デューティサイクル閾値であるという関係、
前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルが一定値であるという関係を満たし、
且つ、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルを調整してBuck/Boostモードでの前記双方向DCコンバータの出力を実現し、前記第1デューティサイクル閾値と前記一定値との差は所定の差Δを超えない。また、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルは、
1-D11/K1<D2<1-D11/K2を満たし、ここでは、
11は前記一定値であり、
K1は前記双方向DCコンバータの降圧係数であり、0.9≦K1<1であり、
K2は前記双方向DCコンバータの昇圧係数であり、1<K2<1.1である。
【0027】
異なる双方向DCコンバータのスイッチトランジスタのスイッチング周波数設定が異なり、且つスイッチトランジスタの型番、各駆動信号を生成する駆動回路のパラメータなどは互いに異なり、各スイッチトランジスタの駆動信号はいずれも一つの最小デューティサイクル要件を満たす必要があり、さもないと駆動信号を生成する駆動回路の遅延及び寄生容量などの要素の影響を受け、最終的にスイッチトランジスタに供給される駆動信号のデューティサイクルの縮小をもたらし、スイッチトランジスタを完全にオンさせることができない。各DCコンバータにとって、前記降圧係数K1、前記昇圧係数K2の数値はいずれも固定不変であり、これにより、DCコンバータの正常動作の要求を満たす。
【0028】
本開示により提供される制御方法では、前記双方向DCコンバータがBuckモードで動作する場合、出力電圧Voと入力電圧Vinとの関係は、
Vo=D×Vinである。
【0029】
ここで、Dは、第1スイッチトランジスタVT1のゲートに供給される駆動信号VG1のデューティサイクルである。Buckモードでは、出力電圧Voが上昇するにつれて、第1スイッチトランジスタVT1のゲートに供給される駆動信号VG1のデューティサイクルも上昇し、上述したように、デューティサイクルDは、Buckモードでは最大値(すなわち、D1maxで示される前記第1デューティサイクル閾値)がある。
【0030】
K1は、降圧係数であり、前記双方向DCコンバータがバックモードで動作する場合、出力電圧Voと入力電圧Vinとはさらに、
Vo≦K1×Vinという関係を満たす。
【0031】
双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードからBuck/Boostに切り替わると、第1スイッチトランジスタVT1のゲートに供給される駆動信号VG1のデューティサイクルDが、前記一定値(D11で示される)であるため、第3スイッチトランジスタVT3のゲートに供給される制御信号VG3のデューティサイクルDを調整することによって、出力電圧を調整することができる。Buck/Boostモードで、入力電圧Vinと出力電圧Voの関係は、
Vo=(D11×Vin)/(1-D)である。
【0032】
前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、出力電圧Voと入力電圧Vinとは、また、
K1×Vin<Vo<K2×Vinという関係を満たす。
【0033】
上記の不等式から分かるように、前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、出力電圧Voは入力電圧Vinに比較的近い。
【0034】
Buck/Boostモードに入った後、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクルはD11のままであるので、第3スイッチトランジスタVG3のデューティサイクルDを調整することにより、Buck/Boostモードでの双方向DCコンバータの正常出力を満たすように出力電圧を調整することができる。
【0035】
前記DCコンバータがBuck/Boostモードに入った後、第1スイッチVT1の駆動信号VG1デューティサイクルD11を、第1スイッチVT1の駆動信号VG1のBuckモードでの最大デューティサイクルD1maxに近づけるように保つことにより、第1スイッチVT1の駆動信号VG1のデューティサイクルがBuckモードからBuck/Boostモードに移行する過程において大きな急変が発生しないことを確保し、且つ各スイッチトランジスタの有効なオン及びオフを確保することができる。第1スイッチトランジスタVT1と第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号は相補的に動作するため、BuckモードからBuck/Boostモードへの切り替え過程にも第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号VG2のデューティサイクルが大きく急変しない。
【0036】
前記双方向DCコンバータは、Buckモードでは、第4スイッチトランジスタVT4が常時オン状態を維持し、この時、第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号VG4は、ハイレベル状態を維持する。Buck/Boostモードに入った後、第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号VG4は、第1スイッチトランジスタVT1と同じスイッチング周波数で動作し始める。
【0037】
Buck/Boostモードでの入力出力電圧の関係から、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクルサイクルが前述した「1-D11/K1<D2<1-D11/K2」という不等式を満たすことが得られ、これから分かるように、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクルは、0より少し大きいとともに、第3スイッチトランジスタVT3の有効なオンが保証され、これにより、双方向DCコンバータがBuckモードからBuck/Boostモードに切り替える過程において、0から少し増大し、デューティサイクルサイクルの大きな急変が起こらないことが保証される。第3スイッチトランジスタVT3と第4スイッチトランジスタVT4は相補的に動作するため、双方向DCコンバータがBuckモードからBuck/Boostモードに切り替える過程において、第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号VG4のデューティサイクルは1から少し減少し、デューティサイクルの大きな急変は生じない。
【0038】
双方向DCコンバータがBoostモードで動作する場合、第1スイッチトランジスタVT1は常時オン状態で動作し、この時、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクルは1であり、第2スイッチトランジスタVT2は常時オフ状態であり、この時、第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号VG2のデューティサイクルは0である。Boostモードでは、入力電圧と出力電圧との関係式はVo=Vin/(1-D)であり、Boostモードに入った後、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号のデューティサイクルは出力電圧の上昇に従って次第に増大し、Boostモードに入ったばかりのとき、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG2のデューティサイクルDは0より少し大きく、双方向DCコンバータがBuck/BoostモードからBoostモードに切り替わる時、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクルが大きく急変しないことを保証し、同様に、第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号のデューティサイクルサイクルも大きく急変しない。
【0039】
4スイッチの双方向DCコンバータは、エネルギーの双方向での流れを実現できるため、双方向DCコンバータのどのポートが電力入力端であっても、ハードウェア回路を追加せず、回路構成を変更することなく、本開示によって提供される制御方法を利用して、異なるモードのスムーズな切り替えを実現することができる。
【0040】
なお、本開示におけるΔの具体的な数値は、特に限定されるものではないが、いくつかの例において、前記所定の差は、
0<Δ≦0.05という関係を満たす。
【0041】
いくつかの例では、前記第1デューティサイクル閾値は0.95であってもよく、前記一定値は0.92であってもよい。
【0042】
Buck/Boostモードに入った段階では、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号のデューティサイクルVG1が、Buckモードでの駆動信号VG1のデューティサイクルサイクル最大値0.95に非常近い0.92に維持され、これにより、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードからBuck/Boostモードに移行した後、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号のデューティサイクルサイクルが大きく急変しないことが保証される。第1スイッチトランジスタVT1と第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号は相補的に動作するため、第2スイッチVT2の駆動信号VG2のデューティサイクルサイクルは、Buckモードでの1-D1max=0.05からBuck/Boostモードでの1-D11=0.8に切り替える過程においても大きく変化しない。
【0043】
本開示において、入力電圧及び出力電圧に基づいて前記双方向DCコンバータを確定するステップS110は、特に限定されず、いくつかの例では、図9に示すように、ステップS110は、
入力電圧及び出力電圧をそれぞれサンプリングするステップS111と、
サンプリングして得られた入力電圧とサンプリングして得られた出力電圧とを比較するステップS112と、
Vo≦K1×Vinである場合、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードであると判定し、K1×Vin≦Vo≦K2×Vinである場合、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuck/Boostモードであると判定し、K2×Vin≦Voである場合、前記双方向DCコンバータの動作モードがBoostモードであると判定するステップS113とを含んでもよい。
【0044】
個々の動作モードの切り替え時にモードの頻繁な切り替えが生じないことを保証するために、いくつかの例において、各切り替え点においてヒステリシスループ判定を追加してもよい。具体的には、ステップS113において、
双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードからBuck/Boostモードに切り替えられる場合、Vo<K1’×Vinのとき、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードであると判定し、ここでは、K1’が第1ヒステリシスループ判定係数であり、0<K1’<K1である。
【0045】
双方向DCコンバータの動作モードがBoostモードからBuck/Boostモードに切り替えられる場合、Vo<K2’×Vinのとき、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuck/Boostモードであると判定し、K2’が第2ヒステリシスループ判定係数であり、1<K2’<K2である。
【0046】
なお、第1ヒステリシス判定係数K1’及び降圧係数K1は、近接しているべきであり、いくつかの例では、両者の差が0.05を超えない。例えば、K1が0.95である場合、K1’は0.92であり得る。
【0047】
また、第2ヒステリシスループ判定係数K2’と昇圧係数K1も近接しているべきであり、いくつかの例では、両者の差が0.05を超えない。例えば、K2が1.05である場合、K2’は1.02であり得る。
【0048】
いくつかの例では、前記第1デューティサイクル閾値D1maxは、K1と同じである。例えば、K1とD1maxはいずれも0.95である。
【0049】
いくつかの例では、前記第2デューティサイクル閾値は、
2min=1-1/K2という関係を満たし、
ここで、D2minは前記第2デューティサイクル閾値である。
【0050】
本開示の第2態様として、双方向DCコンバータに用いられる制御モジュール200を提供する。図2に示すように、制御モジュール200は、信号処理ユニット210及び駆動ユニット220を含む。
【0051】
信号処理ユニット210は、入力電圧及び出力電圧に基づいて前記双方向DCコンバータの動作モードを確定し、前記双方向DCコンバータの動作モードに応じて、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクル、第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号VG2のデューティサイクル、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクル、及び第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号VG4のデューティサイクルをそれぞれ確定するように構成される。
【0052】
第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクル、第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号VG2のデューティサイクル、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクル、及び第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号VG4のデューティサイクルは、
前記双方向DCコンバータが降圧Buckモードで動作する場合、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクルの最大値が第1デューティサイクル閾値であるという関係、
前記双方向DCコンバータが降圧Buckモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最大値が第1デューティサイクル閾値であるという関係、
前記双方向DCコンバータが昇圧Boostモードで動作する場合、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルの最小値が第2デューティサイクル閾値であるという関係、
前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、前記第1スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルが一定値であるという関係を満たし、
前記第1デューティサイクル閾値と前記一定値との差が所定の差を超えず、且つ、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルは、
1-D11/K1<D<1-D11/K2を満たし、ここでは、
11は前記一定値であり、
K1は前記双方向DCコンバータの降圧係数であり、0.9≦K1<1であり、
K2は前記双方向DCコンバータの昇圧係数であり、1<K2<1.1である。
駆動ユニット220は、少なくとも1つの出力端群を有し、各出力端群はいずれも第1スイッチトランジスタVT1のゲートに電気的に接続される第1出力端と、第2スイッチトランジスタVT2のゲートに電気的に接続される第2出力端と、第3スイッチトランジスタVT3のゲートに電気的に接続される第3出力端と、第4スイッチトランジスタVT4のゲートに電気的に接続される第4出力端とを含む。
【0053】
駆動ユニット220は、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクルに応じて前記第1出力端から第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1を出力し、第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号のデューティサイクルサイクルに応じて前記第2出力端から第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号VG2を出力し、前記第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号のデューティサイクルサイクルに応じて前記第3出力端から第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3を出力し、第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号のデューティサイクルサイクルに応じて前記第4出力端から第4スイッチトランジスタの駆動信号VG4を出力するように構成される。
【0054】
制御モジュール200は、本開示によって提供される上述の制御方法を実行するように構成され、その原理及び効果は、上記で詳細に説明され、ここではこれ以上説明されない。
【0055】
前記双方向DCコンバータの動作モードの確定を容易にするため、いくつかの例では、図2に示すように、前記制御モジュールは、
前記双方向DCコンバータの入力電圧を収集するように構成される入力電圧サンプリングユニット230と、
前記双方向DCコンバータの出力電圧を収集するように構成される出力電圧サンプリングユニット240とをさらに含む。
【0056】
いくつかの例では、前記所定の差は、
0<Δ≦0.05を満たし、
ここで、Δは前記所定の差である。
【0057】
Vo≦K1×Vinである場合、信号処理ユニット210は、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードであると判定する。
【0058】
K1×Vin≦Vo≦K2×Vinである場合、信号処理ユニット210は、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuck/Boostモードであると判定する。
【0059】
K2×Vin≦Voである場合、信号処理ユニット230は、前記双方向DCコンバータの動作モードがBoostモードであると判定する。
【0060】
双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードからBuck/Boostモードに切り替えられる場合、Vo<K1’×Vinのとき、信号処理ユニット210は、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuckモードであると判定し、ここでは、K1’は第1ヒステリシスループ判定係数であり、0<K1’<K1である。
【0061】
双方向DCコンバータの動作モードがBoostモードからBuck/Boostモードに切り替えられる場合、Vo<K2’×Vinのとき、信号処理ユニット210は、前記双方向DCコンバータの動作モードがBuck/Boostモードであると判定し、K2’は第2ヒステリシスループ判定係数であり、1<K2’<K2である。
【0062】
前記第1デューティサイクル閾値はK1と同じであり、前記第2デューティサイクル閾値は、
2min=1-1/K2を満たし、
ここで、D2minは前記第2デューティサイクル閾値である。
【0063】
前記双方向DCコンバータがBuck/Boostモードで動作する場合、前記第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルは、
Vo=(D11×Vin)/(1-D)という式を満たし、ここで、Dは第3スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルであり、D11は前記一定値である。
【0064】
本開示の第3態様として、図2に示すように、少なくとも1つの電力変換ユニット100と、本開示によって提供される上記制御モジュール200とを含む双方向DCコンバータを提供する。
【0065】
具体的には、電力変換ユニット100は、第1ブリッジアーム、第2ブリッジアーム及びインダクタL1を含む。前記第1ブリッジアームは第1スイッチトランジスタVT1及び第2スイッチトランジスタVT2を含み、第1スイッチトランジスタVT1の第1極は前記双方向DCコンバータの入力端の正極Vinに電気的に接続され、第1スイッチトランジスタVT1の第2極は第2スイッチトランジスタVT2の第1極に電気的に接続され、第2スイッチトランジスタVT2の第2極は前記双方向DCコンバータの入力端の負極Vinに電気的に接続される。
【0066】
前記第2ブリッジアームは第3スイッチトランジスタVT3及び第4スイッチトランジスタVT4を含み、第3スイッチトランジスタVT3の第1極は前記双方向DCコンバータの出力端の負極Vtに電気的に接続され、前記第3スイッチトランジスタの第2極は前記第4スイッチトランジスタの第1極に電気的に接続され、前記第4スイッチトランジスタの第2極は前記双方向DCコンバータの出力端の正極Vに電気的に接続される。
【0067】
インダクタL1の第1端は、第1スイッチトランジスタVT1の第2極に電気的に接続され、インダクタL1の第2端は、第4スイッチトランジスタVT4の第1極に電気的に接続される。
【0068】
本開示において、電力出力ユニット100の数は特に限定されない。例えば、図8に示す実施形態では、双方向DCコンバータは、並列に接続される2つの電力出力ユニット100を含む。
【0069】
いくつかの例では、双方向DCコンバータの入力端の正極と入力端の負極との間に入力フィルタコンデンサCinが接続されてもよく、DCコンバータの出力端の正極と出力端の負極との間に出力フィルタコンデンサCoが接続されてもよい。
【0070】
以下、具体的な実施形態を参照して本開示によって提供される双方向DCコンバータの動作原理を詳細に説明する。
【0071】
実施例1
本実施例では、第1ブリッジアームと第2ブリッジアームのスイッチング周波数は共に25KHzであるとする。降圧係数K1は0.95であり、昇圧係数K2は1.05である。
【0072】
入力電圧サンプリングユニット230は、入力電圧信号をサンプリングした後、信号処理ユニット210に送り、出力電圧サンプリングユニット240は、出力電圧信号をサンプリングした後、信号処理ユニット210に送り、信号処理ユニット210は、入力出力電圧サンプリング信号を受信した後、比較判定を行い、Vo≦K1×Vinのとき、システムは、Vo<Vinであると判定し、電力変換ユニット100は、Buckモードで動作し、スイッチトランジスタVT1のデューティサイクルをDに設定し、Buckモードでは、Vo=D×Vinであり、出力電圧Voの上昇に伴って、D値が上昇し、デューティサイクルDはBuckモードで最大値D1max=0.95が存在する。
【0073】
信号処理ユニット210が0.95×Vin<Vo<K2×Vinと検出すると、信号処理ユニット210は出力電圧と入力電圧が比較的近いと判定し、さらに電力変換ユニット100がBuck/Boostモードにあると判定し、このモードでは第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクルを固定してD11=0.92に設定し、このモードで第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号VG2のデューティサイクルをD22に設定し、Buck/Boostモードでの入力電圧と出力電圧及び各デューティサイクルの関係式はVo=(0.92×Vin)/(1-D22)であり、Buck/Boostモードに入ってからD11をそのまま維持し、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクルDを調整して出力電圧を調整するため、Buck/Boostモードでは0.032<D22<0.124であり、第3スイッチトランジスタVT3のオン時間は1.28μS<T<4.96μSである。
【0074】
Buck/Boostモードに入る段階では、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクルD11=0.92に維持し、Buckモードでの最大デューティサイクルD1max=0.95に非常近く、これにより、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクルサイクルが、BuckモードからBuck/Boostモードに移行する過程において大きな急変が発生しないことが保証される。第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1と第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号VG2は相補的に動作するため、第2スイッチトランジスタVT2のデューティサイクルサイクルがBuckモードの1-D1max=0.05からBuck/Boostモードに切り替わる過程における1-D11=0.08に切り替えても大きな急変は生じない。
【0075】
Buckモードで第3スイッチトランジスタVT3は常時オフにし、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクルはD=0で、第4スイッチトランジスタVT4は常時オン状態を維持し、この時、第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号VG4のデューティサイクルは1-D=1であり、Buck/Boostモードに入った後、第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号VG4は第1スイッチトランジスタVT1と同じスイッチング周波数で動作し始め、且つ第4スイッチトランジスタVT4の駆動ハイレベル信号は第1スイッチトランジスタVT1のハイレベル信号と中心対称である。具体的な各駆動信号の各モードでの波形模式図は図5に示す。
【0076】
本実施例では、Buck/Boostモードでの入力出力電圧の関係式から、このモードでの第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号のデューティサイクルは1-D11/0.95<D22<1-D11/1.05であることが得られ、ここでは、D11=0.92であり、これにより、Buck/Boostモードでの第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号のデューティサイクル範囲が0.032<D22<0.124であることが得られる。このように設定して第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクルが、BuckモードからBuck/Boostモードへの切り替え過程においては0から、0.032~0.124の範囲に増大することが保証され、デューティサイクルの大きな急変は発生しない。第3スイッチトランジスタVT3及び第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号は相補的に動作するため、第4スイッチトランジスタVT4の駆動信号VG4のデューティサイクル(1-D22)は、BuckモードからBuck/Boostモードへの切り替え過程においては、駆動信号VG4のデューティサイクルが大きく急変しないように、1から、0.968~0.876の範囲に縮小される。
【0077】
信号処理ユニット210が、1.05×Vin≦Voを検出すると、信号処理ユニット210は、出力電圧が入力電圧より大きいと考え、電力出力ユニット100がBoostモードで動作していると判定し、第1スイッチトランジスタVT1を常時オン状態で動作させるように設定し、この時、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1のデューティサイクルは1であり、第2スイッチトランジスタVT2を常時オフ状態に設定し、この時、第2スイッチトランジスタVT2の駆動信号VG2のデューティサイクルは0であり、Boostモードで入力電圧と出力電圧との関係式はVo=Vin/(1-D23)である。Boostモードに入った後、第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクルはD23=1-1/1.05=0.048から出力電圧の上昇に従って徐々に増大するので、Boostモードに入ったばかりの第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクルD23=0.048であり、このように駆動信号VG3のデューティサイクルはBuck/BoostモードからBoostモードに入るときは0.124から0.048に変化し、駆動信号VG3のデューティサイクルはBuck/BoostモードからBoostモードに切り替わるときに大きな急変が発生しないようにし、同様に駆動信号VG4のデューティサイクルはBuck/BoostモードからBoostモードに切り替わるときは、0.876から0.952に変化し、大きな急変も生じない。
【0078】
本実施例では、以上の記載は、入力電圧が変わらず、出力電圧が徐々に上昇する過程における各スイッチトランジスタのデューティサイクルの変化過程の記載であり、入力電圧が不変に保たれ、出力電圧が高電圧から徐々に降下する過程は上記過程の逆の過程であり、各スイッチトランジスタのデューティサイクルの変化は逆方向の変化であり、スムーズに移行し大きな突発が現れない。ここでは詳述しない。また、各モードの切り替え時にモードの頻繁な切り替えが発生しないように保証するために、各切り替え点にヒステリシスループ判定を追加することができる。ヒステリシスループの設定は図6に示すように、図中、入力電圧が変わらず、出力電圧が0.95Vin以上に上昇する時、回路はBuckモードからBuck/Boostモードに入り、出力電圧が0.92Vinより低い場合こそ、回路はBuck/BoostモードからBuckモードに入り、同様に、出力電圧が1.05Vin以上に上昇すると、回路はBuck/BoostモードからBoostモードに入り、出力電圧が1.02Vinを下回る場合こそ、回路はBoostモードからBuck/Boostモードに入る。
【0079】
実施例2
実施例1と異なって、本実施例における第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3の立ち上がりエッジは、第1スイッチトランジスタVT1の駆動信号VG1の立ち上がりエッジと同時に発生する。実施例2における各駆動信号の各モードでの波形模式図を図7に示す。
【0080】
電力出力ユニット100が異なる動作モード間で切り替わるとき、各駆動信号のデューティサイクルが大きく変化しないことが分かる。
【0081】
実施例3
実施例1と異なって、本実施例が採用する駆動信号周波数が50KHzであり、設定されるD11の値がD11=0.88であり、この実施例における第3スイッチトランジスタVT3の駆動信号VG3のデューティサイクルの、Buck/Boostモードでのデューティサイクル範囲は、
1-D11/0.95<D22<1-D11/1.05であり、即ち0.074<D22<0.162である。
第3スイッチトランジスタVT3のBuck/Boostモードでのオン時間は、1.48μS<T<3.24μSである。
【0082】
実施例4
実施例1と異なって、図8に示すように、本実施例における双方向DCコンバータは、2つの独立した電力出力ユニット100を含み、2経路の電力入力ユニットの入力端は並列に接続され、出力端は並列に接続され、第2経路と第1経路との間は位相が180°ずらされて動作する。
【0083】
本開示の第4態様として、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体に実行可能なプログラムが記憶され、前記実行可能なプログラムが呼び出されると、本開示によって提供される上記制御方法を実現することができる。
【0084】
本開示によって提供される制御方法を利用して本開示によって提供される双方向DCコンバータを制御する場合、動作モード間に切り替えが発生する時、各スイッチトランジスタの駆動信号のデューティサイクルが大きく変化することを回避し、それにより電圧脱調現象を回避する。
【0085】
当業者であれば、上記に開示した方法におけるステップの全て又は一部、システム、装置における機能モジュール/ユニットを、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及びそれらの適切な組み合わせとして実装できることを理解するであろう。ハードウェアの実施形態において、上記の説明で言及した機能モジュール/ユニット間の区分は、必ずしも物理コンポーネントの区分に対応するものではない。例えば、1つの物理コンポーネントは、複数の機能を有してもよく、または1つの機能またはステップは、複数の物理コンポーネントによって協働して実行されてもよい。いくつかの又は全ての物理コンポーネントは、中央プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、又はマイクロプロセッサのようなプロセッサによって実行されるソフトウェアとして、又はハードウェアとして、又は特定用途向け集積回路のような集積回路として実装することができる。そのようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(又は非一時的媒体)及び通信媒体(又は一時的媒体)を含むことができるコンピュータ可読媒体上に分散することができる。当業者に知られているように、コンピュータ記憶媒体という用語は、情報(コンピュータ可読命令、データ構成、プログラムモジュール、又は他のデータなど)を記憶するための任意の方法又は技術において実施される、揮発性及び不揮発性、リムーバブル及び非リムーバブル媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、又は所望の情報を記憶するために用いられ、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を含むが、これらに限定されない。さらに、通信媒体が通常、コンピュータ可読命令、データ構成、プログラムモジュール、又は搬送波又は他の伝送機構などの変調データ信号中の他のデータを含み、任意の情報配信媒体を含むことができることは、当業者に周知である。
【0086】
なお、上述した実施形態は、本発明の原理を説明するための例示的なものに過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではないことを理解されたい。当業者であれば、本発明の精神及び趣旨から逸脱することなく、様々な変形及び改良を行うことができ、それらの変形及び改良も本発明の保護範囲と見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9