(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】群管理制御装置、交通需要予測装置およびエレベータシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
B66B1/18 S
(21)【出願番号】P 2023002922
(22)【出願日】2023-01-12
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉原 俊雄
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-117118(JP,A)
【文献】特開2012-192997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータかごを統括的に制御する群管理制御を行う群管理制御装置において、
前記複数のエレベータかごの交通需要を把握する需要判定部と、
前記交通需要に基づいて、前記エレベータかごのホール呼びに対する割当かごの決定と前記エレベータかごの運行制御との少なくとも一方に影響する切り替えによる利用者の違和感を低減を選定する交通パターン適用判定部と、
を備え、
前記交通パターン適用判定部は、適用中の交通パターンと適用候補の交通パターンとの組合せ毎に設定されるものであって、切替えられにくさの程度を示す変更制約しきい値に基づいて、
交通パターンの切替えによる利用者の違和感の低減を図りつつ、交通パターンの群管理性能の向上幅を評価し、前記適用候補の交通パターンに切り替えるかを判定する、
ことを特徴とする群管理制御装置。
【請求項2】
前記交通パターン適用判定部は、前記変更制約しきい値について、値が大きいほど、群管理性能の改善が見込まれない限り、適用中の交通パターンから適用候補の交通パターンへ
と切替えられないようにする、
ことを特徴とする請求項1に記載の群管理制御装置。
【請求項3】
前記交通パターン適用判定部は、適用候補の交通パターンが複数考えられる場合、交通パターンの群管理性能の向上幅が最大となる適用候補の交通パターンに更新する、
ことを特徴とする請求項1に記載の群管理制御装置。
【請求項4】
前記交通パターン適用判定部は、時間帯別に定期的に繰り返し実施される推奨交通パターンを適用した場合を想定した交通パターンの変更チェック処理を実行する際に、前記推奨交通パターンの群管理性能の値から当該群管理性能の値に優先しきい値をかけた値を差し引いた評価結果に基づいて、前記推奨交通パターンに切り替えるかを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の群管理制御装置。
【請求項5】
複数のエレベータかごを統括的に制御する群管理制御に適用される交通需要予測装置において、
前記複数のエレベータかごの交通需要を把握する需要判定部と、
前記交通需要に基づいて、前記エレベータかごの割当に適用する交通パターンを選定する交通パターン適用判定部と、
を備え、
前記交通パターン適用判定部は、適用中の交通パターンと適用候補の交通パターンとの組合せ毎に設定されるものであって、切替えられにくさの程度を示す変更制約しきい値に基づいて、
交通パターンの切替えによる利用者の違和感の低減を図りつつ、交通パターンの群管理性能の向上幅を評価し、前記適用候補の交通パターンに切り替えるかを判定する、
ことを特徴とする交通需要予測装置。
【請求項6】
複数のエレベータかごと、
前記エレベータかごに対する速度制御及びドア開閉制御を行なうかご制御装置と、
請求項1から4までの何れか一項に記載の群管理制御装置と、
を備えることを特徴とするエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、群管理制御装置、交通需要予測装置およびエレベータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のエレベータかごを有するエレベータシステムは、これらの複数のエレベータかごを統括的に制御する群管理制御装置を備える。群管理制御装置は、所定の制御方式に従って、ホール呼びに対してエレベータかごを割り当てる。このような群管理制御装置では、曜日及び時間帯によって建物内の交通需要が変化すると仮定して、曜日及び時間帯で制御方式を変更している。このような制御方式を「交通パターン」や「運行ルール」と呼ぶ。
【0003】
群管理制御装置に関する発明には、あらかじめ、制御対象の建物モデルを用いて、様々な需要と、実施する可能性のある様々な交通パターンの組み合わせに対して、繰り返しシミュレーションを実施し、それぞれのシミュレーションの結果から得られた群管理性能を記録し、記録された群管理性能に基づいて、最適な交通パターンを選択するものがある。そのような群管理制御装置では、実際の運行時に、需要の把握と群管理性能の測定とを行い、そのときの交通需要に基づいてシミュレーション結果の群管理性能を参照し、最適な群管理性能となる交通パターンに切替える。
【0004】
特許文献1には、交通流を捉えてシミュレーションを行い、乗降人数ではなくホールで発生した時点の人数を推定して、運行ルールの切替制御を行う技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、把握した交通需要ごとに学習機能で最適な制御を行って、エレベータかごの運行をシミュレーションして群管理性能の向上率を計算する技術が開示されている。また、特許文献2には、学習やシミュレーションの状況を利用者に見えるように表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-81634号公報
【文献】国際公開第2020/008595号
【文献】特許第4690703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術においては、交通需要に応じて交通パターンを可変とすると、わずかな群管理性能改善のために頻繁な切替えが起こり、利用者にとって違和感が生じるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、違和感の低減と群管理性能の向上とを両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態は、複数のエレベータかごを統括的に制御する群管理制御を行う群管理制御装置において、需要判定部と、交通パターン適用判定部と、を備える。需要判定部は、複数のエレベータかごの交通需要を把握する。交通パターン適用判定部は、交通需要に基づいて、エレベータかごのホール呼びに対する割当かごの決定と前記エレベータかごの運行制御との少なくとも一方に影響する交通パターンを選定する。そして、交通パターン適用判定部は、適用中の交通パターンと適用候補の交通パターンとの組合せ毎に設定されるものであって、切替えられにくさの程度を示す変更制約しきい値に基づいて、交通パターンの切替えによる利用者の違和感の低減を図りつつ、交通パターンの群管理性能の向上幅を評価し、適用候補の交通パターンに切り替えるかを判定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるエレベータシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、群管理性能の収集の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、交通パターンの制御切替処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、時間帯指定の推奨交通パターンへの切替処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、必要に応じて図面を参照しながら実施形態を説明する。以下で説明する実施形態は、乗場に行先方向を指定するためのホール呼びボタンを備え、且つエレベータかご内に行先階を指定するためのかご呼びボタンを備える上下ボタン方式のエレベータシステムに関する。
【0012】
図1は、実施形態にかかるエレベータシステム100を概略的に示すブロック図である。
図1に示すように、エレベータシステム100は、複数の階床を有する建物(例えばオフィスビル)に設置される。本実施形態では、建物が第1から第7階床を有するものとする。エレベータシステム100は、
図1に示されるように、複数の昇降路(図示せず)に対して昇降動作が可能に配置された複数台のエレベータかご110A~110Cを統括的に制御する、コンピュータなどを用いた群管理制御装置150を備える。以下では、エレベータかごを単に「かご」と呼ぶ。
図1では、3台のかご110A、110B、110Cが示されているが、かごは、2台又は4台以上であってもよい。
【0013】
群管理制御装置150は、かご110A、110B、110Cそれぞれの運行計画を生成し、かご110A、110B、110Cそれぞれに対応して設けられているかご制御装置120A、120B、120Cに送出する。かご制御装置120A、120B、120Cは、かご110A、110B、110Cの運行計画に従ってかご110A、110B、110Cをそれぞれ制御する。かご制御装置120A、120B、120Cの各々は、かごの昇降制御及びドアの開閉制御といった種々の制御を行う。
【0014】
群管理制御装置150は、呼び割当処理部151と、割当かご決定部152と、かご制御出力部153と、かご状態取得部154と、交通需要予測装置160と、を備える。
【0015】
群管理制御装置150は、ハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェアで実現してもよく、また、ハードウェアとソフトウェアを両方用いて実現してもよい。
【0016】
なお、交通需要予測装置160は、群管理制御装置150に含まれる例に限らず、独立した装置として実現されてもよい。
【0017】
かご110A、110B、110Cの各々には、行先階を指定するためのかご呼びボタン112が設けられている。利用者がかご呼びボタン112で行先階を指定すると、指定された行先階へのかごの移動要求(かご呼び)が発生する。移動要求は、「新規かご呼びの発生」という形でかご状態取得部154によって検出される。かご状態取得部154は、検出したかご呼びに関するかご呼び情報を生成する。かご呼び情報は、利用者が指定した行先階である停止予定階、かごの識別番号、かご呼びの発生時刻などを含む。かご状態取得部154は、生成したかご呼び情報を記憶部154aに格納する。かご状態取得部154は、かごが停止予定階に停止した後に、対応するかご呼び情報を記憶部154aから削除する。
【0018】
さらに、かご110A、110B、110Cの各々は、積載荷重を測定する積載荷重測定部114を備える。積載荷重は、かごに乗車中の利用者の荷重(即ち、重量)を主に表す。積載荷重は、利用者の手荷物などの荷重の影響も受けるが、基本的には利用者数に応じて変動するものと考える。積載荷重測定部114は、戸開中の積載荷重の変動を検出することで、その階床における乗車荷重及び降車荷重を測定することができる。ここで、乗車荷重は、ある階床でかごに乗車した利用者の荷重であり、降車荷重は、ある階床でかごから降車した利用者の荷重である。移動方向別及び階床別の乗車荷重並びに移動方向別及び階床別の降車荷重を示す荷重データは、かご110A、110B、110Cそれぞれに対応するかご制御装置120A、120B、120Cを経由してかご状態取得部154へ送られる。かご状態取得部154は、荷重データを記憶部154aに格納する。
【0019】
一方、それぞれの階床の乗場には、行先方向(上方向又は下方向)を指定するためのホール呼びボタン130が設置されている。
図1の例では、各階床に1つのホール呼びボタン130が設けられている。ある階床にいる利用者は、その階床のホール呼びボタン130を操作して所望の行先方向を入力する。具体的には、ホール呼びボタン130は上方向ボタン及び下方向ボタンを含み、利用者は所望の行先方向に応じたボタン(上方向ボタン又は下方向ボタン)を押下する。ホール呼びボタン130で行先方向が指定されると、かごの配車要求(ホール呼び)が発生する。ここで、「配車」とは、ホール呼びに応じてかごを配することを意味する。配車要求は、「新規ホール呼びの発生」という形で呼び割当処理部151によって検出される。
【0020】
呼び割当処理部151は、検出したホール呼びに関するホール呼び情報を生成する。ホール呼び情報は、ホール呼びの発生時刻、発生階床、行先方向(上方向又は下方向)などを含む。呼び割当処理部151は、ホール呼び情報を記憶部151aに格納する。さらに、呼び割当処理部151は、割当かご決定部152にホール呼び情報を送出する。
【0021】
呼び割当処理部151は、未応答ホール呼びに関するホール呼び情報を記憶部151aに記憶している。未応答ホール呼びとは、配車がまだ完了していないホール呼びを指す。呼び割当処理部151は、未応答ホール呼びそれぞれの発生時刻、発生階床、及び行先方向などを記憶部151aに記憶している。呼び割当処理部151は、未応答ホール呼びに関するホール呼び情報を、配車完了後に記憶部151aから削除する。
【0022】
交通需要予測装置160は、呼び割当処理部151によって記憶部151aに記憶されているホール呼び情報、及びかご状態取得部154によって記憶部154aに記憶されているかご呼び情報を取得する。さらに、交通需要予測装置160は、かご状態取得部154を介して、かご制御装置120A、120B、120Cからかご運行情報を受け取る。かご運行情報は、荷重データとともに、かご110A、110B、110Cの位置、移動方向(上方向又は下方向)、速度、ドアの状態(戸開中、戸閉中など)などの情報を含む。
【0023】
割当かご決定部152は、新規に発生したホール呼びの情報を呼び割当処理部151から受け取る。割当かご決定部152は、記憶部151aに記録されているホール呼びの情報だけでなく、記憶部154aに記憶されている各かご110A、110B、110Cの位置、移動方向(上方向又は下方向)、速度、ドアの状態(戸開中、戸閉中など)、かご呼びの登録状況なども用いて、各かご110A、110B、110Cの将来の動きや、各呼びに応答するまでの時間を推定して、割当かごを決定する。加えて、割当かご決定部152は、交通パターン制御部167で決定する交通パターンに応じて、割当かごの選択に影響を与える各種ルールを適用する。交通パターンとは、エレベータの使われ方の特徴に応じた制御方法のことである。具体的に、各交通パターンがどのような働きを与えているかは、別途、交通パターン制御部167を説明する段落で詳しく説明する。割当かご決定部152は、かごの割当結果を、かご制御出力部153に送出する。なお、ホール呼びにかごを割り当てる方法としては、例えば、前記特許文献3に記載されている方法を利用することができる。
【0024】
かご制御出力部153は、割当かご決定部152の割当結果を反映するとともに、交通需要予測装置160によって決定される交通パターンの制御方式に従って、かご110A、110B、110Cの運行計画を立てる。かご制御装置120A、120B、120Cは、かご制御出力部153が立てた運行計画に従ってかご110A、110B、110Cをそれぞれ運行する。
【0025】
交通需要予測装置160は、呼び割当処理部151およびかご状態取得部154から受け取る情報に基づいて建物内の交通需要を予測し、その予測結果に基づいて、かご制御出力部153で使用する交通パターンの制御方式を決定する。交通需要予測装置160は、交通需要の予測及び制御方式の決定を一定時間間隔で(例えば5分間隔で)行う。
【0026】
具体的には、交通需要予測装置160は、需要判定部161と、群管理性能判定部162と、群管理性能記憶部163と、交通パターン適用判定部164と、変更制約しきい値記憶部165と、推奨交通パターン記憶部166と、交通パターン制御部167と、を備える。
【0027】
群管理性能判定部162は、群管理シミュレーションによる交通パターン毎のエレベータシステム100の群管理性能(例えば、平均未応答時間など)の推定を行う。
【0028】
群管理シミュレーションは、例えば、上り方向の利用者発生密度、下り方向の利用者発生密度などをパラメータとして、エレベータシステム100の利用者を模擬的に発生させ、エレベータシステム100の群管理制御を行った場合の様子をシミュレーションする。
【0029】
平均未応答時間とは、ホール呼びを記憶部151aに登録してから、ホール呼びにかご110A、110B、110Cが応答し、ホール呼びが記憶部151aから消去されるまでの時間を示す。
【0030】
より詳細には、群管理性能判定部162は、対象の建物の建物データを用いて、各種交通需要に対して各種交通パターンを適用した群管理シミュレーションを行う。群管理性能判定部162は、群管理シミュレーションの結果として得られた群管理性能を、群管理性能記憶部163に保存する。
【0031】
需要判定部161は、エレベータシステム100の交通需要を把握する。より詳細には、需要判定部161は、かご110A、110B、110Cの位置や、かご110A、110B、110Cの積載荷重測定部114のデータ(荷重値)を用いて、各階での乗車荷重および降車荷重を取得し、上りまたは下りごとに各階での利用状況を収集する。その結果の集計方法には、様々な方法が可能である。例えば、上りの合計利用荷重、下りの合計利用荷重として、2次元の座標値として得ることもできる。
【0032】
交通パターン適用判定部164は、基本的には、現在実施中の交通パターンと、変更後の交通パターンとで、群管理性能が最良となるものを、今後実施する交通パターンに選択することを基本とする。
【0033】
交通パターン適用判定部164は、まず、現在実施中の交通パターンに対する群管理性能を算出する。交通パターン適用判定部164は、数分間程度を期間として、呼びが登録されたタイミングから応答するタイミングまでの時間差(未応答時間)などを集計して把握する。交通パターン適用判定部164は、呼びが登録されたタイミングから応答するタイミングまでの時間差(未応答時間)などの集計を、平均値(平均未応答時間)を求めることなどにより行う。交通パターン適用判定部164は、算出した群管理性能を、群管理性能記憶部163に記録されたデータを上書きする形で保存するようにしてもよい。
【0034】
次に、交通パターン適用判定部164は、群管理性能記憶部163から、現在の交通需要に最も近い交通需要に対する、切替先候補となる各交通パターンの群管理性能を取得する。切替先候補の交通パターンは、現在実施している交通パターン以外の交通パターンとする。交通パターン適用判定部164は、群管理性能の値を、直近の期間の利用状況(上り利用者数、下り利用者数など)に最も合ったものを、シミュレーション結果から選んで取得する。
【0035】
なお、交通パターン適用判定部164は、切替先候補の交通パターンが複数考えられる場合、交通パターンの群管理性能の向上幅が最大となる切替先候補の交通パターンに更新するようにしてもよい。
【0036】
ところで、上記の方法だけだと、変更チェックを行うたびに、交通パターンが頻繁に切り替わってしまう懸念がある。
【0037】
そこで、本実施形態においては、交通パターン適用判定部164は、「変更制約しきい値」を用いた交通パターンの変更チェック行い、必要に応じて切替わりにくくする。変更制約しきい値記憶部165は、変更制約しきい値を記憶する。
【0038】
【0039】
表1は、変更制約しきい値の一例を示すものである。変更制約しきい値は、交通パターンの切替え前と交通パターンの切替え後との交通パターンの組合せごとに、切替えられにくさの程度を示している。変更制約しきい値は、切替え前と切替え後とについて利用者が違和感を感じやすい組合せほど、大きなしきい値とする。
【0040】
交通パターン適用判定部164は、現在実施中の交通パターン以外の交通パターンを評価するときは、この、変更制約しきい値によるペナルティを加算する。交通パターン適用判定部164は、ペナルティを、その交通パターンの群管理性能の値に、表1の値をかけた値を加算することにより、付加する。
【0041】
このようにすることで、切替えると利用者に違和感を強く感じさせてしまう交通パターンの切替えの組合せほど、本当に群管理性能を大きく改善できそうな場合のみ適用させられるようになるので、交通パターン更新に伴う群管理性能の向上と、違和感の低減を、バランスよく実現することができるようになる。
【0042】
すなわち、交通パターン適用判定部164は、交通パターンの切り替わりやすさを、利用者が感じる違和感の大きさに基づいて調整するために、交通パターンの切替え前と交通パターンの切替え後との交通パターンの組合せに応じて変更制約しきい値を設け、大きなしきい値ほど大きな群管理性能の改善が見込まれない限り、切替えられないようにする。
【0043】
加えて、交通パターン適用判定部164は、推奨交通パターンの時間帯開始時の変更チェックを行う。
【0044】
平日(月曜日~金曜日)の朝は出勤時運転、夕方は退勤時運転など、エレベータシステム100では、時間帯別に定期的に繰り返し実施されることが多い交通パターン(推奨交通パターン)がある。これらの推奨交通パターンは、利用者にとって、毎日繰り返し実行されたほうが自然に感じられる。群管理性能が最良となるように切り替えると、必ずしも毎日規則的な切替えとはならないこともある。例えば、タイマーにより交通パターンの実施を切替える方法が考えられるが、群管理性能として大きく不利となるケースでも交通パターンを切替えてしまい、利用者に大きな不便をかける可能性がある。
【0045】
そこで、交通パターン適用判定部164は、推奨交通パターン設定を用いて、定期的に繰り返し特定の交通パターンを実施しやすくする交通パターンの変更チェック処理を実行することにより、なるべく規則的に交通パターンを切替える。しかしながら、交通パターン適用判定部164は、切り替えることで明らかに群管理性能が大きく悪化する場合は、切替えを見合わせるようにする。
【0046】
推奨交通パターン記憶部166は、推奨交通パターンを時間帯別に記憶する。
【0047】
【0048】
表2は、曜日、開始時刻、終了時刻からなる「期間」の情報と、優先すべき交通パターンを示す推奨交通パターンと、その優先しきい値と、の組合せを示している。
【0049】
交通パターン適用判定部164は、推奨交通パターンを優先する期間に交通パターンの変更チェック処理を行うときは、推奨交通パターンに限り、群管理性能の値から、群管理性能の値に優先しきい値をかけた値を、差し引いて評価する。交通パターン適用判定部164は、例えば、出勤時運転を優先する期間であれば、出勤時運転適用時の群管理性能に対し、20%を差し引いた値を評価値とする。交通パターン適用判定部164は、推奨交通パターンの期間開始時点では、通常の交通パターン変更チェック処理の実施周期でなくても、臨時で交通パターン変更チェック処理を実施する。こうすることで、群管理性能に大きな悪影響がなければ、開始時刻に合わせて、その推奨交通パターンを開始できる。
【0050】
交通パターン適用判定部164は、定期的に実行されるのが自然と利用者が感じている推奨交通パターンに対しては、推奨する期間と優先しきい値とを設け、推奨期間内であれば、優先しきい値が大きいほど、その推奨交通パターンを実施しやすくする。すなわち、交通パターン適用判定部164は、時間帯別にプリセットされた推奨交通パターンのスケジュールを、群管理性能の状況に応じて、なるべく適用することができる。
【0051】
ここで、交通パターン適用判定部164による交通パターン変更チェック処理での計算方法について説明する。
【0052】
・現在実施している交通パターンの評価
現在の群管理性能の値(x)とする。
現在実施中の交通パターンが推奨交通パターンとなっている期間の場合
評価値=x-優先しきい値×x
現在実施中の交通パターンが推奨交通パターンとなっている期間以外の場合
評価値=x
【0053】
・現在実施している交通パターン以外の交通パターンの評価
シミュレーション結果を収録した群管理性能記憶部163を参照して、現在の交通需要に最も近い交通需要に対し、切替え候補となる交通パターンを適用した場合の、群管理性能の数値(y)を取得する。
候補の交通パターンが推奨交通パターンとなっている期間の場合
評価値=y+変更制約しきい値×y-優先しきい値×y
候補の交通パターンが推奨交通パターンとなっている期間以外の場合
評価値=y+変更制約しきい値×y
【0054】
なお、変更制約しきい値は、現在の交通パターンから、切替え候補の交通パターンに切替える場合の値を用いる。
【0055】
上記で、各交通パターンを評価し、最も算出結果が小さくなった交通パターンを、これから実施する交通パターンとする。群管理性能は、数値が小さいほど、良好とされるので、値が最小となるものが最良である。
【0056】
次に、交通パターン制御部167について説明する。
【0057】
交通パターン制御部167は、需要判定部161からエレベータシステム100の交通需要を受け取る。また、交通パターン制御部167は、交通パターン適用判定部164が選定した交通パターンの制御方式を受け取る。交通パターン制御部167は、需要判定部161で把握されたエレベータシステム100の交通需要に基づいて交通パターンの制御方式を決定する。交通パターン制御部167は、決定した交通パターンの制御方式を、割当かご決定部152およびかご制御出力部153に渡す。
【0058】
交通パターンとは、エレベータの使われ方の特徴に応じた制御方法のことである。以下において、各交通パターンで行う制御内容の例について説明する。
【0059】
・閑散時分散待機(平常時)の交通パターン例
交通パターン制御部167からかご制御出力部153に情報を伝えて行う制御として、呼びや割当を持たないフリーなかご110に、かご110が待機していない階床ゾーンへ移動するように指令を出す制御がある。このとき、低い階床からなる階床ゾーンほど、優先して移動させる。なお、階床ゾーンとは、エレベータがサービスする階床をいくつかの連続する階床によるグループに分けたものである。なお、割当かご決定部152には、特別な制約を加えない。
【0060】
・退勤時の交通パターン例
交通パターン制御部167からかご制御出力部153に情報を伝える制御として、呼びや割当を持たないフリーなかご110に、かご110が待機していない階床ゾーンへ移動するように指令を出す制御がある。このとき、オフィスビルなどから帰宅する利用者へのサービス性能を高めるため、高い階床からなる階床ゾーンほど優先して移動させる。なお、割当かご決定部152には、特別な制約を加えない。
【0061】
・出勤時の交通パターン例
交通パターン制御部167からかご制御出力部153に情報を伝える制御として、各かご110を建物の出入口がある出発基準階へ引き戻す制御がある。なお、引き戻したかご110は、一定の時間間隔をあけて出発させる。
【0062】
交通パターン制御部167から割当かご決定部152に情報を伝えて行う制御として、出発基準階を上方向で利用する利用者に、引き戻された後で最も早く上方向に出発する見込みのかご110を優先して割当てるなどの対応を行う制御がある。これにより、出発基準階から乗り込む利用者が、早く出発するかご110に乗れるようにする。
【0063】
続いて、交通需要予測装置160において定期的に行う群管理性能の収集について説明する。
【0064】
ここで、
図2は群管理性能の収集の流れを示すフローチャートである。
図2に示すように、まず、需要判定部161は、エレベータシステム100の交通需要を計測する(ステップS1)。
【0065】
次に、群管理性能判定部162は、エレベータシステム100の群管理性能を計測する(ステップS2)。
【0066】
次に、群管理性能記憶部163は、交通需要、適用した交通パターン、群管理性能の組合せを記憶する(ステップS3)。
【0067】
続いて、交通需要予測装置160において定期的に行う群管理性能改善のための交通パターンの制御切替処理について説明する。
【0068】
ここで、
図3は交通パターンの制御切替処理の流れを示すフローチャートである。
図3に示すように、交通パターン適用判定部164は、現在の需要に対する、切替え候補の交通パターンの群管理性能を取得する(ステップS11)。
【0069】
次に、交通パターン適用判定部164は、各種しきい値をふまえた群管理性能の改善幅を計算する(ステップS12)。
【0070】
交通パターン適用判定部164は、以上のステップS11~ステップS12の処理を、交通パターン毎にループする。
【0071】
全ての交通パターンについてステップS11~ステップS12の処理が終了すると、交通パターン適用判定部164は、群管理性能の改善幅が最良の交通パターンを、次回の交通パターンに選定する(ステップS13)。
【0072】
次に、交通パターン適用判定部164は、次回の交通パターンが現在の交通パターンと異なるかを判断する(ステップS14)。
【0073】
交通パターン適用判定部164は、次回の交通パターンが現在の交通パターンと異なる場合(ステップS14のYes)、交通パターン切替処理を実施する(ステップS15)。
【0074】
一方、交通パターン適用判定部164は、次回の交通パターンが現在の交通パターンと異ならない場合(ステップS14のNo)、そのまま処理を終了する。
【0075】
続いて、交通需要予測装置160における時間帯指定の推奨交通パターンへの切替処理について説明する。
【0076】
ここで、
図4は時間帯指定の推奨交通パターンへの切替処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、交通パターン適用判定部164は、時間帯別の推奨交通パターンの開始時刻になったかを判断する(ステップS21)。
【0077】
交通パターン適用判定部164は、時間帯別の推奨交通パターンの開始時刻になった場合(ステップS21のYes)、現在の交通需要に対する、推奨交通パターンの群管理性能を取得する(ステップS22)。
【0078】
次に、交通パターン適用判定部164は、各種しきい値をふまえて推奨交通パターン切替え時の改善幅を計算する(ステップS23)。
【0079】
続いて、交通パターン適用判定部164は、推奨交通パターンのほうがよい評価であるかを判断する(ステップS24)。
【0080】
交通パターン適用判定部164は、推奨交通パターンのほうがよい評価である場合(ステップS24のYes)、交通パターン切替処理を実施する(ステップS25)。
【0081】
一方、交通パターン適用判定部164は、推奨交通パターンのほうがよい評価でない場合(ステップS24のNo)、そのまま終了する。
【0082】
[実施例]
(1)群管理シミュレーションによる交通パターン毎の群管理性能の推定
群管理性能判定部162は、上り方向の利用者発生密度、下り方向の利用者発生密度などをパラメータとして、エレベータシステム100の利用者を模擬的に発生させる。その後、群管理性能判定部162は、エレベータシステム100の群管理制御を行った場合の様子をシミュレーションし、結果として、群管理性能(平均未応答時間など)を得る。なお、シミュレーションは、実際のエレベータの運行とは別に、前もって行う。
【0083】
なお、群管理性能判定部162は、シミュレーション対象とするエレベータシステム100のかご110の台数や速度・定員、階床数や各階の高さとしての位置などは、実際の建物に合わせる。
【0084】
【0085】
上記に示す表3は、例えば、上り方向の利用者発生密度、下り方向の利用者発生密度をパラメータとして、エレベータシステム100を1時間運転した場合の様子をシミュレーションして得た結果を示すものである。
【0086】
なお、上記に示す表3では、単純化のため、利用者発生密度のパラメータは上り方向と下り方向の2種類しかない。実際のエレベータの需要は、(出発階、行先階)の組合せごとに存在するため、よりパラメータを増やし、設定を細分化したほうが、実際のエレベータシステム100の使われ方を、再現しやすいシミュレーションすることができる。例えば、建物の出入口がある階を出発階とする利用者の割合などを、パラメータに加えてもよい。
【0087】
(2)交通需要の把握
需要判定部161は、運行中のエレベータシステム100で、交通需要を把握するためには、例えばかご110A、110B、110Cの積載荷重測定部114で計測した荷重値と、かご110A、110B、110Cの運行状況(走行状態、選択方向、扉状態)を組合せ、以下のようにする。
・かご110A、110B、110Cの扉が開いてから閉まるまでの間のうち、最小の荷重値をWmin、戸閉完了時の荷重値をWendとする。
・Wend-Wminを、乗車した荷重(乗車荷重)とみなす。
・かご110A、110B、110Cの戸閉完了後、かご110A、110B、110Cが最初に移動した方向に対し、上記の乗車荷重を集計する。
【0088】
需要判定部161は、かご110A、110B、110Cの戸開閉のたびに、上記の集計を行い、荷重値を上りおよび下り別に合計すると、上記(1)に示した形式で、エレベータシステム100の交通需要を把握することができる。計測と集計は、例えば5分毎に行ってもよい。その場合は、計測された荷重を12倍したものが、1時間あたりに換算した発生荷重となる。荷重は、例えば65kgあたり利用者1人として、人数に換算することもできる。例えば、Wmin=100kg、Wend=230kgのときは、乗車荷重は230-100=130kgとなる。人数に換算すると、130÷65=2人となる。
【0089】
(3)定期的に行う交通パターンの変更チェック
・実際の群管理性能の把握を行う。
まず、交通パターン適用判定部164は、ホール呼びが登録された時刻と、応答によりクリアされた時刻をチェックし、その差分から「未応答時間」を求める。
【0090】
・シミュレーション結果を実際の群管理性能で上書きする。
交通パターン適用判定部164は、上記(1)に示した表3で、今回得た「交通需要」に一番近い行、そのとき適用していた交通パターンの列に対し、算出した群管理性能値を、群管理性能記憶部163に記録されたデータに上書きする。
【0091】
・交通パターン切替判定
a)交通パターン適用判定部164は、現在の交通パターンと、その交通パターンで運転した際の群管理性能を取得する。例えば、現在「上り105人/h、下り270人/h」であるとする。この場合、群管理性能は、平常時運転中で、平均未応答時間が14.7秒だったとする。
b)交通パターン適用判定部164は、他の交通パターンに切替える場合の性能変化幅の見積もりを行う。例えば、交通パターン適用判定部164は、「上り100人/h、下り300人/h」が、現在の需要に最も近いので、表3における「上り100人/h、下り300人/h」の退勤時および出勤時の欄を参照する。交通パターン適用判定部164は、平均未応答時間について、退勤時に切替えると13.1秒、出勤時に切替えると20.4秒が見込まれると判断する。交通パターン適用判定部164は、変更制約しきい値もふまえて計算することにより、他の交通パターンは以下の評価とする。
退勤時への切り替え:13.1+13.1×0.05=13.755秒
出勤時への切り替え:20.4+20.5×0.10=22.45秒
c)交通パターン適用判定部164は、上記の場合、最小の評価値となる退勤時運転への切替えを選択する。
【0092】
(4)時間帯別の推奨交通パターンによる切替処理
例えば、午前8時から午前9時までの間に出勤時運転を推奨交通パターンとする設定だったとする。また、午前7:55から午前8:00までに記録された利用者データが、「上り99人、下り103人」であって、平常時運転により、平均未応答時間が9.9秒だったとする。午前8時は推奨交通パターンとして出勤時運転を開始する時刻である。
【0093】
このとき、交通パターン適用判定部164は、以下のように、交通パターンを判定する。
・平常時を続けるときの評価
現在の平均未応答時間=9.9秒
・退勤時に切替えるときの評価
表3における、「上り=100人,下り=100人」の退勤時の欄を参照する。
10.1秒+変更制約しきい値10.1×0.05=約10.6秒
・出勤時に切替えるときの評価
表3における、「上り=100人,下り=100人」の出勤時の欄を参照する。
10.2秒+変更制約しきい値10.2×0.1-優先しきい値10.2×0.2=約9.2秒
従って、交通パターン適用判定部164は、出勤時への切替えを実行する。
【0094】
一方、交通パターン適用判定部164は、9:00になると出勤時の優先が終わるので、再び交通パターンの見直しを試みる。
【0095】
このとき、8:55-9:00の利用者データが「上り290人、下り90人」であって、出勤時運転実施で、平均未応答時間が10.5秒だったとする。
【0096】
このとき、交通パターン適用判定部164は、以下のように、交通パターンを判定する。
・出勤時継続の場合
10.5秒
優先時間帯が終わったので、実際に記録された群管理性能からの変更を行わずに評価する。
・平常時に戻す場合
表3における、「上り300人,下り100人」の平常時の欄を参照する。
13.3秒+変更制約しきい値13.3×0.1=約14.6秒
・退勤時とする場合,
表3における、「上り300人,下り100人」の退勤時の欄を参照する。
14.9+変更制約しきい値14.9×0.15=約17.1秒
従って、交通パターン適用判定部164は、推奨交通パターンの影響はなくなったが、出勤時運転を継続する。
【0097】
このように本実施形態によれば、利用者が感じる違和感の強さに応じて、より大きな群管理性能の改善が見込まれない限り、交通パターンを切替えないようにすることで、違和感の低減と群管理性能の向上を両立させることができる。具体的には、閑散時分散待機と出勤時運転との切替えのような、利用者の使い方に与える影響が大きい切替えは、本当に必要なときだけ行い、利用者からみて変化が分からない切替えは頻繁に可能とすることで、利用者の使いやすさと群管理性能の向上を両立することができる。
【0098】
なお、本実施形態においては、あらかじめシミュレーションして得た群管理性能に従った交通パターンの切替えを基本とするが、これに限るものではなく、実際の運行から得られた群管理性能を、シミュレーション結果に置き換えることで、その建物でのエレベータの実際の使われ方に合った切り替えをおこなうようにしてもよい。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
100 エレベータシステム
110A、110B、110C エレベータかご
120A、120B、120C かご制御装置
150 群管理制御装置
160 交通需要予測装置
161 需要判定部
164 交通パターン適用判定部
【要約】
【課題】違和感の低減と群管理性能の向上とを両立させることができる群管理制御装置、交通需要予測装置およびエレベータシステムを提供することである。
【解決手段】複数のエレベータかごを統括的に制御する群管理制御を行う群管理制御装置において、需要判定部と、交通パターン適用判定部と、を備える。需要判定部は、複数のエレベータかごの交通需要を把握する。交通パターン適用判定部は、交通需要に基づいて、エレベータかごのホール呼びに対する割当かごの決定とエレベータかごの運行制御との少なくとも一方に影響する交通パターンを選定する。そして、交通パターン適用判定部は、適用中の交通パターンと適用候補の交通パターンとの組合せ毎に設定されるものであって、切替えられにくさの程度を示す変更制約しきい値に基づいて、交通パターンの群管理性能の向上幅を評価し、適用候補の交通パターンに切り替えるかを判定する。
【選択図】
図1