(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】電子ペン用カートリッジ及び電子ペン
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20240716BHJP
G06F 3/046 20060101ALI20240716BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/046 A
G06F3/044 B
(21)【出願番号】P 2023052688
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2020129221の分割
【原出願日】2019-01-23
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2018079003
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅充
(72)【発明者】
【氏名】滝口 英隆
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-214148(JP,A)
【文献】特開2001-282438(JP,A)
【文献】特開2014-067265(JP,A)
【文献】登録実用新案第3216015(JP,U)
【文献】米国特許第05774602(US,A)
【文献】米国特許第09884510(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/046
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心方向の一端側であるペン先側が開口とされている電子ペン筐体の中空部内に、電子ペン用カートリッジが収納される電子ペンであって、
前記電子ペン用カートリッジは、
前記開口を通じて外部に突出する、あるいは突出可能とされる導体で構成されるペン先部と、
前記ペン先部を通じ
て位置検出センサに対して送出する信号を発生する信号発生回路を含む第1の電子回路と、
軸心方向において前記ペン先部とは反対側の後端部に設けられ、前記電子ペン筐体の前記中空部の前記後端部側に設けられる結合用コネクタと結合される後端部コネクタと、
を備え、
前記後端部コネクタは、前記第1の電子回路に電気的に接続される第1の端子部を備え、
前記電子ペン筐体には、
前記後端部コネクタの前記第1の端子部と接続される第2の端子部を備える前記結合用コネクタと、
前記結合用コネクタの前記第2の端子部が電気的に接続されている第2の電子回路と、
が設けられていることを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
前記第1の電子回路は、前記信号発生回路に電源電圧を供給する電源を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項3】
前記第2の電子回路は、電源を含み、前記電源から前記後端部コネクタ及び前記結合用コネクタを介して前記第1の電子回路に電源電圧が供給される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項4】
前記第1の電子回路は、前記信号発生回路に電源電圧を供給する充電式バッテリーを含み、前記第2の電子回路は、電源及び充電用回路を含み、前記充電用回路からの充電電流が、前記後端部コネクタ及び結合用コネクタを介して前記充電式バッテリーに供給される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項5】
前記第1の電子回路は、前記信号発生回路に電源電圧を供給する第1の充電式バッテリーを含み、
前記第2の電子回路は、電源と前記第1の
充電式バッテリーを充電するための充電用回路を含み、前記電源は第2の充電式バッテリーで構成されており、
前記第1の充電式バッテリーは、前記第2の充電式バッテリーで構成される前記電源により、充電電流が、前記後端部コネクタ及び前記結合用コネクタを介して供給される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項6】
前記第2の電子回路は、前記後端部コネクタ及び前記結合用コネクタを通じて前記電子ペン用カートリッジからの信号を受信したときに起動する
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の電子ペン。
【請求項7】
前記電子ペン用カートリッジの前記第1の電子回路は、前記位置検出センサからの信号の受信部を備えると共に、前記受信部で受信した信号の信号レベルを示す情報を生成する回路部を備え、前記第2の端子部は、前記信号レベルを示す情報を前記後端部コネクタ及び前記結合用コネクタを通じて前記第2の電子回路に供給するための端子部を含み、
前記第2の電子回路は、前記後端部コネクタ及び前記結合用コネクタを通じて前記電子ペン用カートリッジからの前記信号レベルを示す情報が、所定の信号レベル以上であるときに起動する
ことを特徴とする請求項6に記載の電子ペン。
【請求項8】
前記電子ペン筐体には、外部に対して発光報知するための発光素子を備え、
前記第2の電子回路は、前記後端部コネクタ及び前記結合用コネクタを通じて前記電子ペン用カートリッジからの前記信号レベルを示す情報が、所定の信号レベル以上であるときに、前記発光素子を発光させる回路を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の電子ペン。
【請求項9】
前記第2の電子回路は、前記結合用コネクタ及び前記後端部コネクタを通じて前記第1の電子回路の前記信号発生回路を制御する制御信号を供給する制御回路を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項10】
前記第2の電子回路の前記制御回路からの前記制御信号により、前記第1の電子回路の前記信号発生回路から前記位置検出センサへの信号の送出が制御される
ことを特徴とする請求項9に記載の電子ペン。
【請求項11】
前記第2の電子回路は、前記位置検出センサを備える装置と無線通信するための通信部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項12】
前記第2の電子回路は、前記位置検出センサを備える装置と無線通信するための通信部を備え、
前記第2の電子回路は、前記通信部で受信した前記位置検出センサを備える装置からの信号に基づいて、前記結合用コネクタ及び前記後端部コネクタを通じて前記第1の電子回路の前記信号発生回路を制御する制御信号を供給する
ことを特徴とする請求項9に記載の電子ペン。
【請求項13】
前記第2の電子回路は、自電子ペンを識別するための識別情報を保持する保持部を備えると共に、前記識別情報を、前記通信部を通じて前記位置検出センサを備える装置に送信するように制御する制御部を備える
ことを特徴とする請求項11に記載の電子ペン。
【請求項14】
前記第2の電子回路は、自電子ペンの傾き及び回転角を含む姿勢を検出する姿勢検出部を備えると共に、前記姿勢検出部で検出された前記姿勢の情報を、前記通信部を通じて前記位置検出センサを備える装置に送信するように制御する制御部を備える
ことを特徴とする請求項11に記載の電子ペン。
【請求項15】
前記電子ペン筐体は、ノック式で前記電子ペン用カートリッジの前記ペン先部を前記開口から出没させる機構部を備え、
前記結合用コネクタは、前記機構部に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペン。
【請求項16】
前記第2の電子回路は、前記機構部に設けられている
ことを特徴とする請求項15に記載の電子ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出センサを備える位置検出装置と共に使用される電子ペン及び当該電子ペンに用いられる電子ペン用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペンは、全体形状(外筐体)の多様化(デザイン重視)のため、カートリッジ式になりつつある。これを実現するために、電子ペンの主要な機能としての位置検出センサに対する位置指示機能や筆圧検出機能などを具備する電子ペン用カートリッジが提案されている(特許文献1(WO2016/158418)等参照)。この種の電子ペンは、この電子ペン用カートリッジを、筒状の外筐体の中空部内に収納して組み込むだけで構成することができるので、電子ペンの外筐体のデザインの自由度が増し、電子ペンの多様化が容易になると共に、ボールペンのリフィル等と同様に、交換が容易になり、非常に便利になる。
【0003】
一方で、近年の電子ペンは、携帯に便利な細型化が進んでいると共に、電子ペン毎にユニークなペンID(識別情報)などを、例えばブルートゥース(登録商標)規格の無線通信モジュール等からなる通信手段を用いて、位置検出センサを備える位置検出装置に送信する機能などの多機能化も進んでいる(特許文献2(特開2016-134168号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2016/158418
【文献】特開2016-134168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような近年の電子ペンのトレンドから、電子ペンをカートリッジ式にすると共に、細型化及び多機能化の実現の要求がある。
【0006】
多機能化を実現するためには、電子ペンに、無線通信モジュールと、この無線通信モジュールを用いてペンIDなどを送信するための送信制御回路を構成するIC(Integrated Circuit;集積回路)と、電源(一次電池及び二次電池)などとを搭載する必要がある。このように電子ペンの多機能化部分は複数個の構成部品を含むので、これを全て、電子ペン用カートリッジ内に収納しようとすると、電子ペン用カートリッジが太くなってしまう。このため、電子ペンの外筐体がより太くなってしまうので、電子ペンの細型化が困難となる。
【0007】
この発明は、以上の問題点を解決することができる電子ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、
軸心方向の一端側であるペン先側が開口とされている電子ペン筐体の中空部内に、電子ペン用カートリッジが収納される電子ペンであって、
前記電子ペン用カートリッジは、
前記開口を通じて外部に突出する、あるいは突出可能とされる導体で構成されるペン先部と、
前記ペン先部を通じて位置検出センサに対して送出する信号を発生する信号発生回路を含む第1の電子回路と、
軸心方向において前記ペン先部とは反対側の後端部に設けられ、前記電子ペン筐体の前記中空部の前記後端部側に設けられる結合用コネクタと結合される後端部コネクタと、
を備え、
前記後端部コネクタは、前記第1の電子回路に電気的に接続される第1の端子部を備え、
前記電子ペン筐体には、
前記後端部コネクタの前記第1の端子部と接続される第2の端子部を備える前記結合用コネクタと、
前記結合用コネクタの前記第2の端子部が電気的に接続されている第2の電子回路と、
が設けられていることを特徴とする電子ペンを提供する。
【0009】
上述の構成の電子ペンにおいては、電子ペン用カートリッジは、自身が備える電子回路(第1の電子回路)に電気的に接続されている端子部を具備する後端部コネクタを備える。そして、電子ペン筐体側には、例えば多機能化部分を構成することができる第2の電子回路を設けられると共に、この第2の電子回路に電気的に接続されて結合用コネクタが設けられている。
【0010】
電子ペン用カートリッジの後端部コネクタが、電子ペン筐体の中空部の後端側に設けられる結合用コネクタに結合されることで、電子ペン筐体内に収納されて、電子ペンが構成される。
【0011】
上述の構成の電子ペンにおいては、電子回路部品を、電子ペン用カートリッジ内と、電子ペン用カートリッジの外部とに分けて搭載することで、細型化を維持する電子ペンを構成することができる。
【0012】
すなわち、上述の構成の電子ペンにおいては、電子ペン筐体側に、多機能化部分を構成する第2の電子回路を設けることができるので、電子ペン用カートリッジには、電子ペンの位置指示機能や筆圧検出機能などの電子ペンとしての主要な部分のみを搭載することができ、電子ペン用カートリッジの細型化を維持することができる。このため、電子ペンの細型化と多機能化及び電子ペンのデザインの多様化を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明による電子ペンの実施形態の構成例を説明するための図である。
【
図2】この発明による電子ペン用カートリッジの実施形態の構成例を説明溜めの図である。
【
図3】この発明による電子ペンの実施形態の電子回路の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図4】この発明による電子ペンの実施形態と共に使用される位置検出装置の回路構成例を説明するための図である。
【
図5】この発明による電子ペンの実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図6】この発明による電子ペンの実施形態の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図7】この発明による電子ペンの実施形態の動作例を説明するための図である。
【
図8】この発明による電子ペンの実施形態と共に使用される位置検出装置の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図9】この発明による電子ペンの実施形態と共に使用される位置検出装置の動作例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図10】この発明による電子ペンの他の実施形態の電子回路の構成例を説明するためのブロック図である。
【
図11】この発明による電子ペンの他の実施形態の構成例を説明するための図である。
【
図12】この発明による電子ペンの、更に他の実施形態の構成例を説明するための図である。
【
図13】この発明による電子ペンの、更に他の実施形態の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明による電子ペンの実施形態及び電子ペン用カートリッジの実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、この発明による電子ペンの実施形態の構成例を示す図であり、この例は、電磁誘導方式の電子ペンの場合である。この実施形態の電子ペン1では、カートリッジ式の構成とされ、位置検出センサに対する位置指示機能や筆圧検出機能などの電子ペンの主要な機能は、電子ペン用カートリッジ3に収納される構成とされる。そして、この実施形態では、電子ペン用カートリッジ3は、筐体2に対して着脱可能とされている。
【0016】
この実施形態の電子ペン1は、
図1(A)及び(B)に示すように、筒状の筐体2(以下、ペン筐体2と称する)の中空部2a内に、電子ペン用カートリッジ3が収納され、ノックカム機構部10により、電子ペン用カートリッジ3のペン先側が、ペン筐体2の長手方向の一端の開口2b側から出し入れされるノック式の構成を備える。
【0017】
図1(A)は、電子ペン用カートリッジ3の全体がペン筐体2の中空部2a内に収容されている状態を示し、
図1(B)は、ノックカム機構部10により電子ペン用カートリッジ3のペン先側が、ペン筐体2の開口2bから突出した状態を示している。なお、
図1の例では、電子ペン1のペン筐体2が透明の合成樹脂で構成されていて、その内部が透けて見える状態として示している。
【0018】
この実施形態の電子ペン1は、電子ペン用カートリッジ3のペン先やカートリッジ筐体の太さや軸心方向の長さが、市販のボールペンの替え芯と等しくされている。したがって、この実施形態の電子ペン1は、市販のノック式ボールペンの替え芯を、電子ペン用カートリッジ3の代わりに装着可能の構成とされている。
【0019】
ペン筐体2及び当該ペン筐体2内に設けられるノックカム機構部10は、周知の市販のノック式ボールペンの外筐体及びノックカム機能と同一の構成とされると共に、寸法関係も同一に構成される。
【0020】
ノックカム機構部10は、
図1に示すように、カム本体11と、ノック棒12と、回転子13とが組み合わされた周知の構成とされている。カム本体11は、筒状のペン筐体2の内壁面に形成されている。ノック棒12は、使用者のノック操作を受け付けることができるように、端部12aが、ペン筐体2のペン先側とは反対側の開口2cから突出するようにされている。
【0021】
回転子13は、電子ペン用カートリッジ3のペン先側とは反対側の後端部に設けられるコネクタプラグ3P(
図1(A)及び(B)の破線参照)が嵌合されるコネクタジャック13Jを具備するカートリッジ結合部13aを備える。コネクタプラグ3Pは、後端部コネクタの例であり、コネクタジャック13Jは、結合用コネクタの例である。
【0022】
そして、この例では、回転子13内には、後述するIC、無線通信部、IDメモリなどを含む電子回路が搭載されているプリント基板14(
図1(A)及び(B)の破線参照)が配設されている。また、ノック棒12内には、後述するように、プリント基板14の電子回路に電源電圧を供給するバッテリー15(
図1(A)及び(B)の破線参照)が配設されている。
【0023】
図1(A)の状態において、ノック棒12の端部12aが押下されると、ノックカム機構部10により、電子ペン用カートリッジ3は、ペン筐体2内において
図1(B)の状態にロックされ、電子ペン用カートリッジ3のペン先側が、ペン筐体2の開口2bから突出する状態になる。そして、この
図1(B)の状態から、ノック棒12の端部12aが再度押下されると、ノックカム機構部10によりロック状態が解除され、復帰用バネ5により、電子ペン用カートリッジ3のペン筐体2内の位置は、
図1(A)の状態に戻る。ノックカム機構部10の詳細な構成及びその動作は、周知であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0024】
[電子ペン用カートリッジの実施形態]
図2は、この実施形態の電子ペン用カートリッジ3の構成例を示す図である。
図2(A)は、この実施形態の電子ペン用カートリッジ3の第1の例であり、また、
図2(C)は、この実施形態の電子ペン用カートリッジ3の第2の例を示している。ここで、第1の例と第2の例とでは、コネクタプラグ3Pの構成が異なるのみで、他の部分は、ほぼ同一の構成となっている。
【0025】
この実施形態の電子ペン用カートリッジ3においては、
図2(A)及び(C)に示すように、芯体30と、信号送信用部材40と、筆圧検出部51を保持すると共に電子回路が配設されるプリント基板52を保持するホルダー部50と、ホルダー部50に保持される筆圧検出部51とプリント基板52とを収納して保護する機能を備えるカートリッジ筐体60と、カートリッジ筐体60の芯体側とは反対側の後端部に設けられる後端部コネクタの例としてのコネクタプラグ3Pとからなる。
【0026】
芯体30は、この例では比較的硬質で弾性を有する樹脂材料、例えばPOM(Polyoxymethylene)からなる断面が円形の棒状の部材であり、その径は、例えば1mm程度とされている。
【0027】
信号送信用部材40は、電磁誘導方式で位置検出装置と信号を送受信するための共振回路を構成するコイル41と、このコイル41が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア42と、このフェライトコア42の中心位置に軸心方向に形成されている貫通孔に嵌合固定されている芯パイプ部材43とからなる。芯パイプ部材43は、
図1及び
図2に示すように、軸心方向においてフェライトコア42よりもペン先側に突出する状態でフェライトコア42に嵌合固定されている。
【0028】
そして、芯パイプ部材43の内径は、芯体30の径よりも大きくされており、芯体30は、芯パイプ部材43を挿通して、筆圧検出部51に嵌合される。この場合に、芯体30の軸心方向の先端30aは、ペン先として、芯パイプ部材43よりも突出するようにされると共に、芯体30の軸心方向の他端30bが、筆圧検出部51に嵌合される。これにより、芯体30のペン先側の先端30aに印加される圧力(筆圧)が、筆圧検出部51に印加される。
【0029】
筆圧検出部51は、例えば容量可変キャパシタの静電容量を、印加される圧力(筆圧)に応じて変化させる機構を用いるもの(例えば特許文献(特開2011-186803号公報)参照)で構成される。なお、筆圧検出部51は、容量可変キャパシタをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子からなる半導体チップで構成したもの(例えば特許文献(特開2013-161307号公報)参照)を用いてもよい。なお、筆圧検出部51の構成は、この例のものに限られるものではない。
【0030】
ホルダー部50は、例えば樹脂材料で構成され、信号送信用部材40のフェライトコア42と嵌合すると共に、筆圧検出部51を保持する筒状部(図示は省略)を備えると共に、プリント基板52を載置して保持するプリント基板載置台部(図示は省略)を備える。
【0031】
カートリッジ筐体60は、硬質の材料からなるパイプ形状の部材、この例では金属からなるパイプ形状の部材により構成され、ホルダー部50に保持される筆圧検出部51及びプリント基板52の電気的回路構成部分を保護する回路部保護部材を構成する。
【0032】
すなわち、ホルダー部50の筆圧検出部51を保持する筒状部の一部とプリント基板載置台部とが、カートリッジ筐体60の中空部内に収納されるような状態で、カートリッジ筐体60とホルダー部50とが軸心方向に結合される。
【0033】
そして、軸心方向において、カートリッジ筐体60の信号送信用部材40との結合側とは反対側の後端部に、コネクタプラグ3Pが設けられる。このコネクタプラグ3Pは、プリント基板52に形成されている電子回路に電気的に接続されていると共に、互いに絶縁されている複数個の端子部、この例では、5個の端子部31a,32a,33a,34a,35aを備える。
【0034】
図2(A)の第1の例の電子ペン用カートリッジ3においては、コネクタプラグ3Pの5個の端子部31a,32a,33a,34a,35aは、以下のように構成されている。すなわち、この例においては、端子部31aが、中心の心棒を構成する導体金属で構成される。そして、コネクタプラグ3Pは、
図2(A)の例では、この端子部31aの棒状の導体金属に対して、それぞれの内壁面に絶縁層が形成されている円筒状の端子部32a,33a,34a,35aが同心円状に組合されて構成されている。
【0035】
この場合に、中心の心棒を構成する導体金属の端子部31aが軸心方向の先端部とされて、軸心方向に所定長さだけその環状周面及び先端が露出するようにされると共に、円筒状の端子部32a,33a,34a,35aは、それぞれが、軸心方向に所定長さだけその環状周面が露出するようにされる。すなわち、コネクタプラグ3Pの5個の端子部31a,32a,33a,34a,35aは、軸心方向の異なる位置に円環状の導体接触部が露出する状態となっている。なお、端子部31aは、円柱状形状であるが、その環状周側面及び先端部が導体接触部を構成する。
【0036】
このコネクタプラグ3Pは、ペン筐体2の中空部2a内に配置されている回転子13に設けられているコネクタジャック13Jの嵌合凹部に挿入されると、
図2(B)に示すように、コネクタジャック13Jに設けられている5個の接点端子13J1,13J2,13J3,13J4,13J5のそれぞれに弾性的に接続される状態となる。5個の接点端子13J1,13J2,13J3,13J4,13J5のそれぞれは、導電性の弾性金属からなり、プリント基板14に配設されている電子回路に接続されている。
【0037】
こうして、コネクタプラグ3Pが、コネクタジャック13Jに挿入されて結合されることで、電子ペン用カートリッジ3のプリント基板52に形成されている電子回路と、ペン筐体2の中空部2a内に配置されている回転子13に設けられているプリント基板14の電子回路とが、電気的に接続される。
【0038】
このとき、コネクタプラグ3Pの端子部31a,32a,33a,34a,35aの円環状の導体接触部が、コネクタジャック13Jの接点端子13J1,13J2,13J3,13J4,13J5のそれぞれと接続されるので、電子ペン用カートリッジ3が、軸心方向の中心線を中心として回転をしても、電気的な接続は常に保たれていて、電気的な非接触を回避することができる。
【0039】
図2(C)の第2の例の電子ペン用カートリッジ3においては、コネクタプラグ3Pの5個の端子部31b,32b,33b,34b,35bは、以下のように構成されている。この例のコネクタプラグ3Pは、オーディオ用のピンプラグ(例えばノイズキャンセル機能付の5極のピンプラグ)と同様の構成を有するもので、この例においては、5個の端子部31b,32b,33b,34b,35bは、軸心方向に異なる位置において、同一の径の円環状の導体接触部が露出する状態となっている。
【0040】
すなわち、5個の端子部31b,32b,33b,34b,35bの内の先端の端子部31bはチップ端子とされ、中間の3個の端子部32b,33b,34bは、それぞれ絶縁リング36a,36b,36c,36dにより、他の端子部と絶縁されているリング端子とされ、電子ペン用カートリッジ3の根元側の端子部35bはスリーブ端子とされている。
【0041】
この
図2(C)の電子ペン用カートリッジ3のコネクタプラグ3Pと結合されるコネクタジャック13Jも、
図2(B)と同様に、5個の端子部31b,32b,33b,34b,35bの円環状の導体接触部のそれぞれに接触して電気的な接続を構成する5個の接点端子を備える。
【0042】
なお、電子ペン用カートリッジ3は、この実施形態では、以上のように、信号送信用部材40とホルダー部50とカートリッジ筐体60とが軸心方向に結合されることで、ボールペンの替え芯と外形としては同一とされるカートリッジの構成とされる。
【0043】
[電子ペン1の内部回路構成例]
図3は、この実施形態の電子ペン1における電子ペン用カートリッジ3のプリント基板52に形成される電子回路(第1の電子回路)300と、電子ペン用カートリッジ3とは別個に、ペン筐体2の中空部内において、この例では、ノックカム機構部10の回転子13に配置されているプリント基板14に形成されている電子回路(第2の電子回路)100の構成例を示す図である。
【0044】
図3に示すように、電子ペン用カートリッジ3のプリント基板52に形成される電子回路(第1の電子回路)300においては、フェライトコア42に巻回されているコイル41が、このコイル41と共振回路RCを構成するキャパシタ301と並列に接続されている。共振回路RCは、後述する位置検出装置200の位置検出センサ220(
図4参照)と電磁誘導結合して、位置検出センサ220から送られている電磁波信号を受信する受信部の機能と、受信した電磁波信号を位置検出センサ220に帰還するように送信する機能とを備える。
【0045】
この実施形態では、共振回路RCを構成するキャパシタ301に並列にキャパシタ302及び筆圧検出部51で構成される可変容量キャパシタ51Cとの直列回路が接続されている。共振回路RCの共振周波数は、筆圧検出部51で構成される可変容量キャパシタ51Cの静電容量が、芯体30に印加される圧力(筆圧)に応じて変化することにより変化する。
【0046】
この実施形態では、可変容量キャパシタ51Cの両端間を短絡するスイッチ回路303が接続されている。このスイッチ回路303は、例えばFETなどの半導体スイッチで構成されており、コネクタプラグ3Pの端子部34aを通じて、電子回路(第2の電子回路)100から送られてくるスイッチ制御信号によりオン、オフ制御されるもので、被制御部の例である。このスイッチ回路303がオンとされるときには、可変容量キャパシタ51Cがバイパスされて、可変容量キャパシタ51Cの共振回路RCに対する関与を無効とすなるため、芯体30に印加される筆圧が零と等価となる。すなわち、このスイッチ回路303をオンにすることで、共振回路RCの共振周波数を、筆圧零時の周波数とすることができ、筆圧零調整を行うことができる。
【0047】
さらに、この実施形態では、コイル41に並列にスイッチ回路304が接続されている。このスイッチ回路304は、例えばFETなどの半導体スイッチで構成されており、コネクタプラグ3Pの端子部33aを通じて、電子回路(第2の電子回路)100から送られてくるスイッチ制御信号によりオン、オフ制御されるもので、被制御部の例である。このスイッチ回路304がオンとされるときには、コイル41の両端が短絡されるので、共振回路RCは共振動作を停止する状態(非動作状態)となる。そして、スイッチ回路304がオフの状態となっているときには、共振回路RCは動作状態となる。
【0048】
なお、スイッチ回路303及び304の電源電圧Vccは、コネクタプラグ3Pの端子部32aを通じて、電子回路(第2の電子回路)100から送られてくるように構成されている。
【0049】
コイル41の一端は、プリント基板52のアース導体に接続されていると共に、コネクタプラグ3Pの端子部35aに接続されている。また、コイル41の他端側には、受信部としての機能を有する共振回路RCで受信した位置検出センサからの電磁誘導信号の信号レベルを示す情報を生成する受信レベル生成回路305が接続される。
【0050】
受信レベル生成回路305は、共振回路RCで受信した位置検出センサからの電磁誘導信号の直流信号を除去するキャパシタ306と、このキャパシタ306を通じて交流信号を整流して、受信した信号の信号レベルに対応する出力信号を生成するための整流回路を構成するダイオード307及び308と、キャパシタ309とからなる。この受信レベル生成回路305の出力信号の信号レベルは、電子ペン1の共振回路RCと位置検出センサとの電磁結合強度に応じたものとなっている。
【0051】
この受信レベル生成回路305の出力信号の信号レベルが、所定の閾値レベルよりも大きいときには、位置検出センサで電子ペン1による指示位置を検出可能な程度に、電子ペン1と位置検出センサとが電磁結合している状態となっており、また、前記閾値以下のときには、電子ペン1と位置検出センサとは、位置検出センサで電子ペン1による指示位置を検出可能な程度には電磁結合していない状態となっている。
【0052】
なお、この明細書の以下の説明においては、電子ペン1が、位置検出センサで電子ペン1による指示位置を検出可能な程度に、位置検出センサと電磁結合している状態をインレンジと称し、また、インレンジとなっていない状態をアウトレンジと称することとする。この受信レベル生成回路305の出力信号は、コネクタプラグ3Pの端子部31aを通じて、電子回路(第2の電子回路)100に供給される。
【0053】
電子回路100には、IC(Integrated Circuit;集積回路)で構成される制御部101が設けられている。制御部101は、マイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)で構成されている。コネクタジャック13Jの5個の接点端子13J1,13J2,13J3,13J4,13J5のそれぞれは、この制御部101に接続されている。
【0054】
制御部101には、また、無線通信部102と、IDメモリ103と、ペン状態検出部104と、LED駆動部105と、バッテリー15とが接続されている。
【0055】
無線通信部102は、位置検出センサ220を備える位置検出装置200に設けられる無線通信部210(
図4参照)との間で無線通信を行うもので、この例では、ブルートゥース(登録商標)規格の無線通信モジュールで構成される。制御部101は、電子ペン1が、位置検出装置200の位置検出センサ220と電磁結合しているインレンジの状態を検知していないときには、無線通信部102を非動作状態とし、インレンジの状態を検知したときには、無線通信部102を動作状態にして、位置検出装置200の無線通信部210との間に無線通信路を生成するように制御する。
【0056】
IDメモリ103には、電子ペン1を識別する識別情報(以下、ペンID(Identification)という)が記憶されている。このペンIDは、電子ペン毎に付与されたユニークな情報であり、電子ペン毎に、例えば製造時に記憶される。制御部101は、位置検出装置200との間に無線通信路生成しているときには、このIDメモリ103に記憶されているペンIDを位置検出装置200に無線通信部102を通じて送信するようにする。
【0057】
ペン状態検出部104は、電子ペン1の傾き、回転、移動速度、ペン振りなどのペン姿勢と、電子ペン1を握っている使用者の手の状態などを、ペン状態の情報として検出するもので、ペン姿勢を検出するための9軸センサと、温湿度センサとを備えている。9軸センサの代わりに、3軸センサや6軸センサであってもよい。制御部101は、位置検出装置200との間に無線通信路生成しているときには、このペン状態検出部104で検出されたペン状態の情報を、位置検出装置200に無線通信部102を通じて送信するようにする。
【0058】
LED駆動部105は、LED(Light Emitting Diode)16を駆動する回路である。LED16は、後述するように、電子ペン1が位置検出センサと結合しているときに、制御部101による制御に基づいて、それを報知する報知手段の例を構成するもので、
図1において○印で示すように、ペン筐体2から外部に、その点灯による報知が伝達されるように取り付けられている。なお、報知手段としては、この例のような光による報知ではなく、あるいは光による報知に加えて、音声による報知を行うようにしてもよい。
【0059】
バッテリー15は、固定電池(一次電池)でもよいが、この例では、充電式の電池(二次電池)が用いられている。図示は省略するが、この例では、電子ペン1のノック棒12の端部12aには充電用電極が形成されている。
【0060】
[位置検出装置の回路構成例]
図4は、この実施形態の電子ペン1と共に使用される位置検出装置200の電子回路構成を示す図である。
【0061】
この実施形態の電磁誘導方式の位置検出装置200は、無線通信部210と、位置検出センサ220と、送受信処理回路230とを備える。
【0062】
無線通信部210は、電子ペン1の無線通信部102と無線通信するためのもので、この例ではブルートゥース(登録商標)規格の無線通信モジュールからなる。
【0063】
位置検出センサ220は、X軸方向ループコイル群221と、Y軸方向ループコイル群222とが積層された位置検出コイルにより構成されている。位置検出装置200は、位置検出センサ220を通じて電子ペン1の共振回路RCに対して電磁結合により信号を送信し、電子ペン1は、位置検出装置200から受信した信号を共振回路RCを介して、位置検出センサ220に帰還する。
【0064】
そして、位置検出装置200では、電子ペン1の共振回路RCからの帰還信号を、電磁結合により受信し、その受信した信号が検出される位置検出センサ220上の位置から、電子ペン1により指示された位置検出センサ220上の位置を検出すると共に、電子ペン1の共振回路RCから電磁結合により受信する信号の位相変化を検出することより共振周波数の変化を検出して、電子ペン1の芯体30に印加された筆圧を検出するようにする。
【0065】
送受信処理回路230には、位置検出センサ220のX軸方向ループコイル群221及びY軸方向ループコイル群222が接続される選択回路223が設けられている。この選択回路223は、2つのループコイル群221,222のうちの一のループコイルを順次選択する。
【0066】
そして、送受信処理回路230には、発振器231と、電流ドライバ232と、切り替え接続回路233と、受信アンプ234と、指示位置検出用回路235と、筆圧検出用回路236と、処理制御部237とが設けられている。処理制御部237は、マイクロコンピュータにより構成されている。処理制御部237は、選択回路223におけるループコイルの選択、切り替え接続回路233の切り替えを制御すると共に、指示位置検出用回路235及び筆圧検出用回路236での処理タイミングを制御する。また、処理制御部237は、無線通信部210に接続されており、この無線通信部210を通じて、電子ペン1との間での無線信号の送受信を制御する。
【0067】
発振器231は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器231は、発生した交流信号を、電流ドライバ232と筆圧検出用回路236に供給する。電流ドライバ232は、発振器231から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路233へ送出する。切り替え接続回路233は、処理制御部237からの制御により、選択回路223によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ232が、受信側端子Rには受信アンプ234が、それぞれ接続されている。
【0068】
選択回路223により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路223及び切り替え接続回路233を介して受信アンプ234に送られる。受信アンプ234は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、指示位置検出用回路235及び筆圧検出用回路236へ送出する。
【0069】
X軸方向ループコイル群221及びY軸方向ループコイル群222の各ループコイルには、電子ペン1から送信される電波によって誘導電圧が発生する。指示位置検出用回路235は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をディジタル信号に変換し、処理制御部237に出力する。処理制御部237は、指示位置検出用回路235からのデジタル信号、すなわち、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて電子ペン1のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0070】
一方、筆圧検出用回路236は、受信アンプ234の出力信号を発振器231からの交流信号で同期検波して、それらの間の位相差(周波数偏移)に応じたレベルの信号を得、その位相差(周波数偏移)に応じた信号をデジタル信号に変換して処理制御部237に出力する。処理制御部237は、筆圧検出用回路236からのデジタル信号、すなわち、送信した電波と受信した電波との位相差(周波数偏移)に応じた信号のレベルに基づいて、電子ペン1に印加されている筆圧を検出する。
【0071】
処理制御部237は、この例では、無線通信部210に接続されており、この無線通信部210における無線通信を管理及び制御すると共に、この無線通信部210を通じて電子ペン1と無線通信を行う。そして処理制御部237は、無線通信部210を通じて受信した情報により、位置検出センサ220と電磁結合している電子ペン1を検知して管理すると共に、無線通信部210を通じて制御信号を電子ペン1に送ることで、電子ペン1に設けられている制御素子(この例では、スイッチ回路303及び304)を制御する。
【0072】
[電子ペン1の動作及び位置検出装置200の動作]
<電子ペン1の動作>
図5及び
図6は、電子ペン1の制御部101の動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。この
図5及び
図6のフローチャートを用いて、上述の構成の電子ペン1の動作について以下に説明する。
【0073】
電子ペン1の制御部101は、コネクタジャック13Jの接点端子13J1を通じて受信する電子ペン用カートリッジ3の受信レベル生成回路305の出力信号の信号レベルを監視して、この信号レベルが所定の閾値レベルを超えたか否かにより、電子ペン1が位置検出装置200の位置検出センサ220と電磁結合してインレンジの状態になったか否か判別する(ステップS101)。
【0074】
ステップS101で、インレンジの状態を検出していないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。また、ステップS101で、インレンジの状態を検出したと判別したときには、制御部101は、無線通信部102を動作状態にして、位置検出装置200の無線通信部210との間で無線通信路を生成して、無線接続させるように制御する(ステップS102)。
【0075】
次に、制御部101は、IDメモリ103からペンIDを読み出し、また、ペン状態検出部104からペン状態(電子ペン1の傾き、回転、温湿度などの情報)の情報を取得し、それらを、無線通信部102と位置検出装置200との間に生成された無線通信路を通じて、位置検出装置200に送信する(ステップS103)。このとき、電子ペン1から位置検出装置200に無線送信される情報には、インレンジ状態になったことを示す通知は含まれないが、当該通知を位置検出装置200に無線送信するようにしても勿論よい。なお、このステップS103における無線送信は、インレンジの状態が継続している間は、無線通信部102を通じて、例えば所定の周期で継続して実行される。
【0076】
また、制御部101は、インレンジの状態となったことを、LED駆動部105を通じてLEDを点灯させることで、使用者に報知する。そして、制御部101は、コネクタジャック13Jの接点端子13J2及びコネクタプラグ3Pの端子部32aを通じて、電子ペン用カートリッジ3のスイッチ回路303及び304に電源電圧を供給する(ステップS104)。
【0077】
次に、制御部101は、無線通信部102を通じて位置検出装置200から、共振回路RCの制御指示を受信したか否か判別する(ステップS105)。この位置検出装置200から送られている共振回路RCの制御指示は、位置検出装置200の位置検出センサ220において同時に2個の電子ペン1による位置指示を受け付けることができるマルチペンの機能を実現させるためのものである。
【0078】
すなわち、
図7に示すように、位置検出装置200の位置検出センサ220に対して電磁結合してインレンジの状態になった2個の電子ペン1(
図7では、便宜上、電子ペン1
1と電子ペン1
2と区別している)が存在しても、電子ペン1
1及び電子ペン1
2は、それぞれ固有のペンIDを位置検出装置200に無線送出するので、位置検出装置200では、それらの電子ペン1
1及び電子ペン1
2のそれぞれを識別することができる。
【0079】
ただし、この実施形態では、共振回路RCの共振周波数は、電子ペン11と電子ペン12とで等しい周波数としているので、位置検出装置200では、このままでは両者の指示位置を区別することはできない。一方、この実施形態の電子ペン1の電子回路100には、共振回路RCの動作状態、非動作状態を制御することができるスイッチ回路304が設けられている。
【0080】
そこで、この実施形態の位置検出装置200は、電子ペン1のスイッチ回路304を制御することで、共振回路RCの動作、非動作を制御することができることを利用して、電子ペン11と電子ペン12の共振回路RCを時分割で動作させるように制御する。これにより、マルチペンの機能を実現する。すなわち、位置検出装置200は、所定単位期間毎に、インレンジの状態となっている2個の電子ペン11,12の共振回路RCの一方を動作状態、他方を非動作状態とすると共に、共振回路RCを動作状態とする電子ペンを、交互に切り替えるように制御する。位置検出装置200では、共振回路RCを非動作状態に制御する電子ペンは、そのペンIDから電子ペン11と電子ペン12のいずれであるかは認識しているので、電子ペン11と電子ペン12とによる位置検出センサ220における指示位置を、区別して認識して検出することができる。
【0081】
ステップS105で受信を監視する、位置検出装置200からの共振回路RCの制御指示は、電子ペン1の共振回路RCの時分割動作を実行させる実行指示と、動作中の時分割動作を終了させる解除指示とを含む。実行指示には、それぞれ時分割の所定単位時間において、電子ペン11と電子ペン12との一方には共振回路RCを動作状態とする動作指示信号を含み、他方には共振回路RCを非動作状態とする非動作指示信号を含む。
【0082】
ステップS105で、位置検出装置200からの共振回路RCの制御指示を受信したと判別したときには、制御部101は、受信した共振回路RCの制御指示は、実行指示か、解除指示のいずれであるかを判別する(ステップS106)。
【0083】
このステップS106で受信した共振回路RCの制御指示は、実行指示であると判別したときには、制御部101は、その実行指示に含まれる動作指示信号または非動作指示信号に応じて切替制御信号SW1を生成する。そして、制御部101は、生成した切替制御信号SW1を、コネクタジャック13Jの接点端子13J3及びコネクタプラグ3Pの端子部33aを通じて、電子ペン用カートリッジ3のスイッチ回路304に供給して、共振回路RCの時分割制御を実行する(ステップS107)。
【0084】
ステップS107においては、制御部101は、位置検出装置200からの実行指示に非動作指示信号が含まれているときには、切替制御信号SW1によりスイッチ回路304をオンにするように制御する。これにより、電子ペン用カートリッジ3の共振回路RCのコイル41の両端がスイッチ回路304を介して短絡されるので、共振回路RCは非動作状態となる。
【0085】
また、制御部101は、位置検出装置200からの実行指示に動作指示信号が含まれているときには、切替制御信号SW1によりスイッチ回路304をオフにするように制御する。このため、スイッチ回路304はオフ状態となり、電子ペン用カートリッジ3の共振回路RCは動作状態となる。
【0086】
ステップS106で、受信した共振回路RCの制御指示は、解除指示であると判別したときには、制御部101は、この解除指示に基づいて生成した切替制御信号SW1を、コネクタジャック13Jの接点端子13J3及びコネクタプラグ3Pの端子部33aを通じて、電子ペン用カートリッジ3のスイッチ回路304に供給して、当該スイッチ回路304をオフの状態を維持するように制御し、共振回路RCに対する時分割制御を停止する(ステップS108)。
【0087】
そして、ステップS105で、位置検出装置200からの共振回路RCの制御指示を受信してはいないと判別したとき、また、ステップS107またはステップS108の次には、制御部101は、無線通信部102を通じて位置検出装置200から、筆圧零調整指示を受信したか否か判別する(
図6のステップS111)。
【0088】
このステップS111で、筆圧零調整指示を受信したと判別したときには、制御部101は、筆圧零調整用信号として、スイッチ回路303を所定時間の間、オンとする切替制御信号SW2を生成して、コネクタジャック13Jの接点端子13J4及びコネクタプラグ3Pの端子部34aを通じて、電子ペン用カートリッジ3のスイッチ回路303に供給する(ステップS112)。
【0089】
ステップS112において、スイッチ回路303がオンとされると、筆圧検出部51で構成される可変容量キャパシタ51Cの両端が短絡されるので、共振回路RCの共振周波数は、可変容量キャパシタ51Cが存在していないときの周波数、つまり、筆圧零時の共振周波数となる。
【0090】
位置検出装置200では、筆圧零調整指示を送信した電子ペン1では、それに基づいて所定時間の間、共振回路RCの共振周波数は、筆圧零時の共振周波数となることは分かっている。そこで、位置検出装置200の処理制御部237は、筆圧検出用回路236の当該所定時間の間における出力から、電子ペン1の筆圧零時の共振周波数を検出することができる。したがって、位置検出装置200の処理制御部237では、筆圧による共振周波数の変動分を正確に検出することができるようになり、電子ペン1に印加される筆圧が小さくても検出可能になると共に、検出することができる筆圧のダイナミックレンジのワイド化を実現できる。
【0091】
このステップS112の次には、あるいは、ステップS111で、筆圧零調整指示を受信してはいないと判別したときには、制御部101は、電子ペン1が位置検出装置200の位置検出センサ220との電磁結合をしていないアウトレンジの状態になったか否か判別する(ステップS113)。このアウトレンジの状態になったかどうかの検出は、制御部101が、コネクタジャック13Jの接点端子13J1を通じて受信する電子ペン用カートリッジ3の受信レベル生成回路305の出力信号の信号レベルを監視して、この信号レベルが所定の閾値レベル以下となったか否かにより行う。
【0092】
ただし、この実施形態では、制御部101は、電子ペン用カートリッジ3の受信レベル生成回路305の出力信号の信号レベルが所定の閾値レベル以下となったことが、所定時間以上継続したときにアウトレンジの状態になったと判別する。使用者が、使用中の電子ペン1を、短時間だけ、位置検出センサ220との電磁結合する状態から離脱させたとしても、その直後に、電子ペン1を再びインレンジの状態にして使用を継続することが多々あるからである。
【0093】
このステップS113で、アウトレンジの状態とはなっていないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS103に戻し、このステップS103以降の処理を繰り返す。
【0094】
また、ステップS113で、アウトレンジの状態とはなったと判別したときには、制御部101は、無線通信部102を制御して、位置検出装置200との無線通信路を遮断して、ペンIDやペン状態の情報の位置検出装置200への送信は停止すると共に、LED駆動部105を制御して、点灯していたLED16を消灯させ、インレンジの状態からアウトレンジの状態になったことを報知する(ステップS114)。そして、制御部101は、無線通信部102を非動作状態に制御する(ステップS115)。その後、制御部101は、処理を
図5のステップS101に戻し、このステップS101の処理を繰り返すようにする。
【0095】
<位置検出装置200の動作>
図8及び
図9は、位置検出装置200の処理制御部237の動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。この
図8及び
図9のフローチャートを用いて、上述の構成の位置検出装置200の動作について以下に説明する。
【0096】
処理制御部237は、無線通信部210からの無線通信状態の監視結果の通知を監視して、無線通信部210と、電子ペン1の無線通信部102との間の無線通信路が生成されたか否か判別する(
図8のステップS201)。このステップS201で、無線通信路が生成されてはいないと判別したときには、処理制御部237は、スタンバイ状態を維持し(ステップS202)、処理をステップS201に戻す。
【0097】
ステップS201で、無線通信部210と電子ペン1の無線通信部102との間の無線通信路が生成されたと判別したときには、処理制御部237は、電子ペン1から送られてくるペンID及びペン状態の情報を受信する(ステップS203)。そして、処理制御部237は、受信したペンIDにより、位置検出センサ220と電磁結合してインレンジの状態となった電子ペンを認識すると共に、インレンジの状態である電子ペン1の管理状態を、例えば管理テーブル情報に基づき管理するペアリング管理を開始する(ステップS204)。管理テーブル情報としては、例えば、電子ペン1がインレンジの状態か、アウトレンジの状態かを示す電磁結合状態と、時分割制御を実行中であるか否かの状態と、時分割制御を実行中であれば、その時分割制御における共振回路の状態と、筆圧零調整指示の履歴(時刻を含む)、などの情報が、ペンIDに対応付けられて、処理制御部237が内蔵する記憶部(図示は省略)に保持される。
【0098】
次に、処理制御部237は、ペアリングの管理テーブル情報を参照して、先にインレンジの状態となっている他の電子ペン1が存在するか否か否か判別する(ステップS205)。
【0099】
このステップS205で、インレンジの状態となっている他の電子ペン1が存在すると判別したときには、処理制御部237は、無線通信部210を通じて、前述した時分割制御の実行指示を送信する(ステップS206)。このステップS206では、インレンジの状態となっている他の電子ペン1にも、時分割制御の実行指示を送信する。すなわち、処理制御部237は、インレンジの状態となっている2個の電子ペン1の一方には、その共振回路RCを動作状態とする制御信号を、他方には、非動作状態とする制御信号を、それぞれ時分割制御信号として送る。
【0100】
これにより、位置検出装置200の処理制御部237では、インレンジの状態にある2個の電子ペン1による位置指示を、一つの位置検出センサ220を通じて検出する、いわゆるマルチペンの機能を実現できるようにする。そして、処理制御部237では、無線通信部210を通じてペンIDと共に送られてくるペン状態の情報や温湿度の情報などを、位置検出センサ220を用いて検出した電子ペン1のそれぞれによる指示位置に関連付けて出力する処理も行う。
【0101】
そして、ステップS205で、インレンジの状態となっている他の電子ペン1は存在しないと判別したとき、また、ステップS206の次には、処理制御部237は、例えばペアリングの管理テーブル情報を参照しながら、筆圧零調整をすべきタイミングになった電子ペンがあるか否か判別する(
図9のステップS211)。
【0102】
このステップS211で、筆圧零調整をすべきタイミングになった電子ペンがあると判別したときには、処理制御部237は、筆圧零調整指示を、筆圧零調整をすべきタイミングになったと判別した電子ペン1に、無線通信部210を通じて送信する(ステップS212)。
【0103】
ステップS211で、筆圧零調整をすべきタイミングになった電子ペンは存在しない、あるいは、ステップS212の次には、処理制御部237は、ペアリング管理している電子ペン1の中で、無線通信路が切断された電子ペン1があるか否か判別する(ステップS213)。ステップS213で、無線通信路が切断された電子ペン1はないと判別したときには、処理制御部237は、処理を
図8のステップS203に戻して、このステップS203以降の処理を繰り返す。
【0104】
ステップS213で、無線通信路が切断された電子ペン1があると判別したときには、処理制御部237は、無線通信路が切断された電子ペン1のペンIDを認識し、その電子ペン1のペアリングの管理テーブルの記録を消去して、その電子ペンのペアリング管理を終了する(ステップS214)。そして、処理制御部237は、ペアリングの管理テーブル情報を参照して未だ無線接続中の他の電子ペン1が有るか否か判別する(ステップS215)。
【0105】
ステップS215で無線接続中の他の電子ペン1は存在しないと判別したときには、処理制御部237は、処理をステップS201に戻し、このステップS201以降の処理を繰り返す。
【0106】
また、ステップS215で未だ無線接続中の他の電子ペン1が有ると判別したときには、処理制御部237は、それまで行っていた時分割制御を停止させる解除指示を、当該アウトレンジの状態となった電子ペン1及びインレンジの状態を維持している電子ペン1に送信する(ステップS216)。
【0107】
次に、処理制御部237は、電子ペンと無線通信路が新たに生成されたか否か判別し(ステップS217)、このステップS217で、電子ペンと無線通信路が新たに生成されてはいないと判別したときには、処理をステップS213に戻し、このステップS213以降の処理を繰り返す。
【0108】
また、ステップS217で、電子ペンと無線通信路が新たに生成されたと判別したときには、処理制御部237は、処理を
図9のステップS206に移行し、このステップS206以降の処理を繰り返す。
【0109】
[実施形態の電子ペン用カートリッジ3及び電子ペン1の効果]
上述の構成の電子ペン用カートリッジ3のコネクタプラグ3Pは、軸心方向の異なる位置に円環状の導体接触部が露出する端子部31a,32a,33a,34a,35aを備えている。そして、このコネクタプラグ3Pの端子部31a,32a,33a,34a,35aの円環状の導体接触部と、ペン筐体2の中空部の後端側に設けられているコネクタジャック13Jの接点端子13J1,13J2,13J3,13J4,13J5とが接触することで、電気的な接続がなされる。これにより、電子ペン1の使用時に、電子ペン用カートリッジ3に回転トルクが加わっても、コネクタプラグ3Pの端子部と、コネクタジャック13Jの接点端子との電気的な接続は常に保たれ、電気的な非接触を回避することができる。
【0110】
したがって、電子ペン用カートリッジ3に電子ペン1の全ての機能を設ける必要はなく、電子ペン1のペン筐体2の中空部内に、必要な電気的な機能部品を備える電子回路を設けても、電子ペン用カートリッジ3と、その外部の電子回路とを電気的に確実に接続することができる。
【0111】
このため、電子ペン用カートリッジ3には、位置検出装置200に対する位置指示機能を実現するための必要最小限の回路部品のみを収納するだけで良い。また、電源電圧を供給するバッテリーも、電子ペン用カートリッジ3の外部に設けることができる。以上のように、上述の実施形態によれば、電子ペン用カートリッジ3の細型化を、電子ペン用カートリッジ3と、外部との電気的な接続状態を維持しつつ確保することができる。
【0112】
また、上述の実施形態の電子ペン1は、位置検出装置200と無線通信するための無線通信部102を備えると共に、ペンIDのIDメモリを備え、ペンIDを位置検出装置200に送信することができるので、位置検出装置200の位置検出センサを通じて検出する電子ペン1による位置指示情報を、ペンIDに対応付けて管理することが可能である。
【0113】
また、上述の実施形態の電子ペン1では、電子ペン用カートリッジ3の共振回路RCが位置検出センサ220と電磁結合状態(インレンジの状態)になったことに基づく電磁誘導信号の信号レベルを制御部101で検出し、そのインレンジの状態をペンIDと共に、無線通信路を通じて位置検出装置200に通知する。したがって、位置検出装置200では、位置検出センサ220と電磁結合している電子ペン1を、無線通信により受信したペンIDにより認識することができる。
【0114】
さらに、上述の実施形態の電子ペン1の電子ペン用カートリッジ3は、共振回路RCを動作状態と非動作状態とに切替制御するための制御回路としてのスイッチ回路304を備え、外部からの制御信号によりスイッチ回路304の状態を制御することができる構成を備える。
【0115】
この電子ペン用カートリッジ3がスイッチ回路304を備えることと、位置検出装置200が、インレンジとなっている電子ペン1をそのペンIDにより認識することができることと相まって、位置検出装置200では、電子ペン用カートリッジ3の共振回路RCの動作状態と非動作状態とを、無線通信部を通じて時分割制御することで、2個の電子ペン1による位置検出センサ220上での位置指示を同時に検出及び管理することができる。
【0116】
また、上述の実施形態では、位置検出装置200からの制御指示により、電子ペン用カートリッジ3の共振回路RCに対する、筆圧検出部51で構成される可変容量キャパシタ51Cを無効にするように制御することができるので、電子ペン1の筆圧零調整を位置検出装置200側から適宜のタイミングで行うことができる。
【0117】
また、上述の実施形態の電子ペン1では、位置検出センサ220と電磁結合するインレンジの状態になったと判別したときに、無線通信部102を動作状態にして、位置検出装置200と無線通信路を生成するようにした。これにより、位置検出装置200では、無線通信路が生成されている電子ペン1は、位置検出センサ220と電磁結合しているインレンジの状態であると把握することができる。すなわち、電子ペン1から位置検出装置200に対して、インレンジの状態の通知情報を送らなくても、位置検出装置200では、電子ペン1がインレンジの状態であることを把握することができる。
【0118】
なお、電子ペン1の無線通信部102を常に位置検出装置200の無線通信部210と無線通信路を接続可能な状態として、電子ペン1がインレンジの状態になる前に、位置検出装置200と無線接続することが可能な構成としてもよい。その場合には、電子ペン1は、インレンジの状態となったことを検出したら、その旨の通知を、無線通信路を通じて位置検出装置200に無線送信するようにする。
【0119】
[他の実施形態]
<第1の他の実施形態>
上述の実施形態では、位置検出装置200の処理制御部237は、無線通信部210を通じた通信制御や、ペアリング管理も行うようにしたが、これらの制御や管理は、処理制御部237とは別の制御部が行うように構成しても勿論よい。ただし、その場合においても、その別の制御部と処理制御部237とは互いに接続されて、連携した動作をすることは言うまでもない。
【0120】
また、上述の実施形態の電子ペン1では、電子ペン用カートリッジ3では、共振回路RCの動作状態、非動作状態を切替制御できるように構成して、位置検出装置200は、マルチペンの機能を時分割制御により実現するようにした。しかし、共振回路RCの動作、非動作を制御する代わりに、共振回路RCの共振周波数を切替制御することで、位置検出装置200は、マルチペンの機能を時分割制御により実現するように構成してもよい。
【0121】
すなわち、
図10は、共振回路RCの共振周波数を切替制御することができる電子ペン1Aの電子ペン用カートリッジ3Aの電子回路例を説明するための図である。この
図10では、上述の実施形態の電子ペン1の電子ペン用カートリッジ3の回路構成と同一部分には、同一参照符号を付してその説明は省略する。
【0122】
図10の例の電子ペン1の電子ペン用カートリッジ3Aにおいては、共振回路RCのコイル41に対して、スイッチ回路304とキャパシタ310との直列回路が接続される。その他は、上述の実施形態の電子ペン1の電子ペン用カートリッジ3の回路構成と同一である。
【0123】
この
図10の例の電子ペン1Aの電子ペン用カートリッジ3Aにおいては、スイッチ回路304がオフであるときには、キャパシタ310は、共振回路RCに対して非接続になるので、その静電容量は無効となる。そして、スイッチ回路304がオンにされると、キャパシタ310がコイル41に並列に接続されるので、共振回路RCの周波数が、スイッチ回路304がオフであるときとは異なる周波数にシフトされる。
【0124】
この
図10の例の場合には、位置検出装置200は、電子ペン1Aに対して共振周波数のシフト制御信号を送信する。電子ペン用カートリッジ3Aの制御部101は、このシフト制御信号を受けると、スイッチ回路310をオン、オフ制御するようにする。そして、位置検出装置200においては、受信アンプ234の後段に、通過周波数が可変のバンドパスフィルタや複数個のバンドパスフィルタを設けて、電子ペン1の共振回路RCのシフト制御に合わせて、バンドパスフィルタの通過周波数を可変したり、バンドパスフィルタを切り替えたりするようにする。
【0125】
以上のようにして、
図10の例の電子ペン用カートリッジ3Aを用いると共に、位置検出装置200から周波数シフトの制御信号を電子ペン用カートリッジ3Aに無線通信路を通じて送信することで、2個の電子ペン用カートリッジ3Aによる指示位置を、位置検出装置200は同時に検出することが可能となる。この場合には、電子ペンを時分割制御をすることは不要であることは言うまでもない。
【0126】
このように共振回路RCの共振周波数を変化させる場合には、
図10のスイッチ回路304とキャパシタ310との直列回路を、並列に複数個、接続することにより、その接続した直列回路の数だけ、共振回路RCの共振周波数を変化させることができる。これにより、位置検出装置200の位置検出センサ220を通じて、同時に位置検出することができる電子ペン1Aの数を、2個以上にすることが可能である。
【0127】
<第2の他の実施形態>
なお、上述の実施形態のノック式の電子ペン1,1Aでは、ノックカム機構部10を備え、ノック棒を押下操作する毎に、電子ペン用カートリッジ3のペン先側がペン筐体2の開口2aから突出する状態と、電子ペン用カートリッジ3のペン先側がペン筐体2内に収納される状態を現出するようにした。しかし、この発明の電子ペンは、ノックカム機構を用いたノック式のものに限られるものではない。
【0128】
図11は、ノック式の電子ペンの他の例を示している。この例の電子ペン1Bでは、断面で示されているペン筐体2Bの中空部2Ba内には、ノック操作により軸心方向に移動するノック移動部17を設けられている。このノック移動部17は、例えば樹脂で構成され、このノック移動部17の中空部には、前述した電子ペン1と同様に、プリント基板14及びバッテリー15が配設される。
【0129】
この例の電子ペン1Bのペン筐体2Bの側周面の、ノック移動部17が軸心方向に移動する部分には、軸心方向の長孔2Beと係止用孔2Bfが形成されている。そして、ノック移動部17には、軸心方向に直交する方向に突出する2個の突起17a,17bが、軸心方向に並ぶ状態で軸心方向に異なる位置に設けられている。
図11に示すように、突起17aは、ペン筐体2Bの長孔2Be内をスライド移動可能の状態で入り込み、突起17bは、係止用孔2Bfに入り込むことが可能なように構成されている。
【0130】
そして、ペン筐体2Bの中空部2Baの軸心方向の所定位置の内壁面には、リング状突部2Bdが設けられ、このリング状突部2Bdとノック移動部17の突起17aとの間にコイルバネ18が懸架されている。このコイルバネ18により、ノック移動部17は、常に、ペン筐体2Bの後端側の開口2Bc側に弾性的に変位するように構成されている。しかし、ノック移動部17は、突起17aまたは突起17bのいずれかが、それぞれ長孔2Be及び係止用孔2Bfの後端側の壁部に当接して、ペン筐体2Bの後端側の開口2Bcから脱落しないように係止するように構成されている。
【0131】
この場合、
図11に示すように、ペン先側の突起17aの突出高さよりも、後端側の突起17bの方が突出高さが低くされている。そして、後端側の突起17bの突出高さは、突起17aを軸心方向に直交する、ペン筐体2Bの中空部2Baに向かう方向側に押下したときに、突起17bと係止用孔2Bfとの係合が解除されて、ノック移動部17が、ペン筐体2Bの中空部2Ba内に軸心方向に移動することができるような高さとされている。
【0132】
そして、この例では、ノック移動部17の軸心方向のペン先側の端部には、電子ペン用カートリッジ3のコネクタプラグ3Pが挿入されて結合されるコネクタジャック17Jが設けられる。電子ペン用カートリッジ3は、ペン筐体2Bの開口2Bbから挿入されることで、そのコネクタプラグ3Pが、ノック移動部17のコネクタジャック17Jに挿入されて結合されることで、ノック移動部17に対して結合される。
【0133】
図11の状態は、この例の電子ペン1Bにおいて、ノック移動部17の後端側17cが使用者により押下された状態を示しており、コイルバネ18の弾性に抗して、ノック移動部17は、ペン先側に移動し、突起17bが係止用孔2Bfに入りこんで係合することでノック移動部17が係止している状態を示している。この状態では、電子ペン用カートリッジ3の芯体30の先端30a側は、ペン筐体2Bの開口2Bbを通じて外部に突出する状態となる。
【0134】
この
図11の状態において、突起17aが押下されると、突起17bの係止用孔2Bfとの係合が外れ、コイルバネ18の弾性により、ノック移動部17は、ペン筐体2Bの後端側に移動し、突起17aがペン筐体2Bの長孔2Beの後端側の壁部に係合することで、ノック移動部17の移動は係止する。このときには、電子ペン用カートリッジ3の芯体30の先端30aも、ペン筐体2Bの中空部2Ba内に収納され、ノック移動部17の後端側17cがペン筐体2Bの後端側の開口2Bcから、
図11の状態よりも突出する。この状態で、ノック移動部17の後端側17cが押下される、
図11に示す状態になる。
【0135】
この
図11の例の電子ペン1Bにおいても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0136】
<第3の他の実施形態>
なお、この発明による電子ペンは、以上のようなノック式の構成に限られるものではない。
図12は、以上説明したノック式の電子ペンのように、ペン筐体の中空部内を移動する部分にコネクタジャックを設けるのではなく、ペン筐体自身の後端側に、コネクタジャックを設けるように構成した電子ペンの例を、模式的に示した図である。
【0137】
図12(A),(B)及び(C)のそれぞれは、ペン筐体自身の後端側に、コネクタジャックを設けるように構成した3個の例の電子ペン1C、1D及び1Eの模式図であり、それぞれのペン筐体2C,2D及び2Eを断面として示したものである。
【0138】
図12(A),(B)及び(C)に示すように、電子ペン1C、1D及び1Eのペン筐体2C,2D及び2Eの後端側には開口は形成されず、中空部2Ca,2Da及び2Eaの後端側に電子ペン用カートリッジ3のコネクタプラグ3Pが挿入されて結合されるコネクタジャック2CJ,2DJ及び2EJが設けられる。そして、この例の電子ペン1C、1D及び1Eにおいては、ペン筐体2C,2D及び2Eの後端部には、充電式のバッテリー15C,15D及び15Eが設けられていると共に、図示は省略するが、前述した電子ペン1と同様の電子回路100が設けられており、その制御部101にコネクタジャック2CJ,2DJ及び2Ejの接点端子が接続されている。
【0139】
そして、
図12(A),(B)及び(C)に示すように、電子ペン1C,1D及び1Eでは、そのペン筐体2C,2D及び2Eの中空部2Ca,2Da及び2Eaの後端側のコネクタジャック2CJ、2DJ及び2EJに、電子ペン用カートリッジ3のコネクタプラグ3Pが挿入されて結合されたときには、電子ペン用カートリッジ3の芯体30の先端30a側が、ペン筐体2C,2D及び2Eの開口2Cb,2Db及び2Ebを通じて外部に突出する状態となるように構成されている。
【0140】
そして、第1の例の電子ペン1Cにおいては、
図12(A)に示すように、ペン筐体2Cの後端部には、充電端子19の端子19a及び19bが外部に露出する状態で設けられている。充電端子19は、専用の充電器の接点が接続され、バッテリー15Cは、この専用の充電器により充電されるように構成されている。
【0141】
また、第2の例の電子ペン1Dにおいては、
図12(B)に示すように、ペン筐体2Dの外周側面に、コア20が嵌合されて取り付けられ、このコア20に対して充電用コイル21が巻回されて設けられる。そして、この例の電子ペン1Dでは、充電用コイル21で外部から供給される電磁エネルギを受信してバッテリー15Dを充電するようにする構成とされる。
【0142】
また、第3の例の電子ペン1Eにおいては、
図12(C)に示すように、ペン筐体2Eの外周側面に、充電用コイル21が巻回されたコア20が設けられると共に、サイドスイッチ22が設けられる。そして、ペン筐体2Eに設けられている電子回路100の制御部101に、サイドスイッチ22が接続されている。第3の例の電子ペン1Eにおいては、制御部101は、サイドスイッチ22の操作情報をも、位置検出装置200に対して無線送信するように構成される。
【0143】
この
図12(A),(B)及び(C)に示した電子ペン1C,1D及び1Eにおいても、上述の実施形態の電子ペン1の作用効果と同様の作用効果が得られるものである。
【0144】
なお、
図12の例の説明においては、ペン筐体2C,2D及び2Eには、上述の実施形態の電子ペン1と同様の電子回路100が設けられるものとした。しかし、電子回路100の全ての構成要素が設けられている必要はなく、ペン筐体2C,2D及び2Eに設ける電子回路は、
図12(A),(B)及び(C)に示した通りに、バッテリー15Cや15Dのみ、あるいは、バッテリー15Eと制御部101のみからなるものとしてもよい。
【0145】
<第4の他の実施形態>
上述の実施形態の電子ペンでは、電子ペン用カートリッジにコネクタプラグを設けるようにしたが、電子ペン用カートリッジ側にコネクタジャックを設けるようにしてもよい。また、上述の実施形態の電子ペンは、電磁結合方式の電子ペンの場合であったが、この発明は、静電結合方式の電子ペンにも適用することができる。
【0146】
図13は、電子ペン用カートリッジ側にコネクタジャックを設けると共に、静電結合方式の電子ペンに、この発明を適用した場合の例を示すものである。電子ペン用カートリッジ側にコネクタジャックを設ける例は、上述したノック式の電子ペンの場合にも勿論適用可能であるが、
図13に示した例は、
図12に示した例と同様に、電子ペン用カートリッジが、ペン筐体に固定的に取り付けられる例を模式図を示したものである。そして、
図13(A),(B)及び(C)に示すように、この例においては、
図12(A),(B)及び(C)に示した構成例と対応するものとして、3個の例の電子ペン1F,1G,1Hについて説明する。
【0147】
この例においては、
図13(A),(B)及び(C)に示すように、電子ペン用カートリッジ3ASには、導電性の芯体30ASが設けられると共に、カートリッジ筐体60AS内には、芯体30ASを通じて、静電結合方式の位置検出装置の位置検出センサに送出する信号を供給する信号発生回路を含む電子回路が配設されているプリント基板52ASが設けられる。また、この
図13の例においては、電子ペン用カートリッジ3AS内には、プリント基板52ASに配設されている信号発生回路等に電源電圧を供給する充電式のバッテリー53Bが配設されている。
【0148】
そして、電子ペン用カートリッジ3ASのペン先側とは反対側には、プリント基板52ASの電子回路及びバッテリー53Bが接点端子に接続されているコネクタジャック3Jが形成されている。なお、
図13では、図示を省略したが、電子ペン用カートリッジ3AS内には、芯体30ASの端部が嵌合されて、当該芯体30ASに印加される筆圧を検出する筆圧検出部が設けられている。
【0149】
この例においては、
図13(A),(B)及び(C)に示すように、電子ペン1F,1G,1Hのペン筐体2F,2G及び2Hの後端側には開口は形成されず、中空部2Fa,2Ga及び2Haの後端側に電子ペン用カートリッジ3のコネクタジャック3Jに挿入されて結合されるコネクタプラグ2FP,2GP及び2HPが設けられる。
【0150】
そして、この例の電子ペン1F、1G及び1Hにおいては、ペン筐体2F,2G及び2Hの後端部には、充電式のバッテリー15F,15G及び15Hが設けられており、このバッテリー15F,15G及び15Hがコネクタプラグ2FP,2GP及び2HPの円環状の導体接触部を備える端子部に接続されている。
【0151】
また、
図13(C)の例の電子ペン1Hにおいては、ペン筐体2Hの後端側には、ICからなる制御部101Hが設けられると共に、サイドスイッチ22ASが設けられている。また、図示は省略したが、この例の電子ペン1Hにおいては、制御部101Hに対して、例えばブルートゥース(登録商標)規格の無線通信を行う無線通信部が接続されて設けられる。この無線通信部は、上述の実施形態と同様に、電子ペン1Hと静電結合方式の位置検出装置との間で無線通信を行うためのものである。そして、制御部101Hが、コネクタプラグ2FP,2GP及び2HPの円環状の導体接触部を備える端子部に接続されている。
【0152】
そして、
図13(A),(B)及び(C)に示すように、電子ペン1F,1G及び1Hでは、そのペン筐体2F,2G及び2Hの中空部2Fa,2Ga及び2Haの後端側のコネクタプラグ2FP、2GP及び2HPに、電子ペン用カートリッジ3ASのコネクタジャック3Jが挿入されて結合されたときには、電子ペン用カートリッジ3ASの芯体30ASの先端30ASa側が、ペン筐体2F,2G及び2Hの開口2Fb,2Gb及び2Hbを通じて外部に突出する状態となるように構成されている。
【0153】
そして、第1の例の電子ペン1Fにおいては、
図13(A)に示すように、ペン筐体2Fの後端部には、充電端子19ASの端子19ASa及び19ASbが外部に露出する状態で設けられている。充電端子19ASは、専用の充電器の接点が接続され、バッテリー15F及び電子ペン用カートリッジ3ASのバッテリー53Bは、この専用の充電器により充電されるように構成されている。
【0154】
また、第2の例の電子ペン1Gにおいては、
図13(B)に示すように、ペン筐体2Gの外周側面に、コア20ASが嵌合されて取り付けられ、このコア20ASに対して充電用コイル21ASが巻回されて設けられる。そして、この例の電子ペン1Gでは、充電用コイル21ASで外部から供給される電磁エネルギを受信してバッテリー15Gを充電するようにする構成とされる。電子ペン用カートリッジ3ASのバッテリー53Bは、バッテリー15Gの電圧により充電される。
【0155】
また、第3の例の電子ペン1Hにおいては、
図13(C)に示すように、ペン筐体2Hの外周側面に、充電用コイル21ASが巻回されたコア20ASが設けられると共に、サイドスイッチ22ASが設けられる。そして、ペン筐体2Hに設けられている制御部101Hに、サイドスイッチ22ASが接続されている。第3の例の電子ペン1Hにおいては、制御部101Hは、サイドスイッチ22ASの操作情報をも、静電結合方式の位置検出装置に対して無線送信するように構成される。なお、この例の電子ペン1Hにおいても、充電用コイル21ASで外部から供給される電磁エネルギを受信してバッテリー15Hを充電するようにする構成とされ、電子ペン用カートリッジ3ASのバッテリー53Bは、バッテリー15Hの電圧により充電される。
【0156】
この
図13(A),(B)及び(C)に示した電子ペン1F,1G及び1Hにおいても、上述の実施形態の電子ペン1の作用効果と同様の作用効果が得られるものである。
【0157】
なお、上述の
図13の静電結合方式の電子ペン1F,1G,1Hにおいては、電子ペン用カートリッジ3ASは、充電式のバッテリー53Bを備えるようにしたが、このバッテリー53Bは設けずに、コネクタジャック及びコネクタプラグを通じて、ペン筐体2F,2G,2Hに設けられているバッテリー15F,15G,15Hから電源電圧の供給を受けるようにしてもよい。
【0158】
また、
図13(C)の例の電子ペン1Hにおいては、上述の実施形態の電子ペン1と同様に、ペンIDメモリを制御部101Hに接続して設けて、無線通信部を通じて位置検出装置に当該ペンIDを通知するようにしてもよい。その場合には、上述の実施形態の電子ペン1と同様にして、位置検出装置側からの無線通信部を通じた時分割制御信号により、電子ペン用カートリッジ3ASの信号発生回路の動作のオン、オフ制御するようにすることで、2個の電子ペンによる指示位置を、位置検出装置において実質的に同時に検出することができる。
【0159】
また、
図13(C)の例の電子ペン1Hにおいて、位置検出装置の位置検出センサから送出される信号を検出する受信部を電子ペン用カートリッジ3ASまたはペン筐体に設け、その受信部で受信した信号の信号レベルを、制御部101Hが検出して、インレンジ及びアウトレンジの状態を検出し、その検出信号を位置検出装置に無線送信することもできる。その場合に、位置検出センサからの信号は、例えば電子ペン用カートリッジ3ASの芯体30ASの用途を、時分割で送信用と受信用とに切り替えることで、受信するようにしてもよい。また、ペン筐体のペン先側に受信用導体を設け、当該受信用導体を制御部101Hに接続することで、受信信号を監視することができるようにしてもよい。
【0160】
また、
図13(C)の例の電子ペン1Hにおいては、電子ペン用カートリッジ3ASからの信号は、発振回路からの周波数信号とされており、筆圧検出部で構成される可変容量キャパシタで、その発振周波数を変更することで、位置検出装置に筆圧を伝達する。この場合には、電子ペン用カートリッジ3ASに、筆圧検出部で構成される可変容量キャパシタを無効にする制御回路を設けると共に、位置検出装置は、上述した電子ペン1の例の場合と同様にして、筆圧零調整用の制御信号を、無線通信部を通じて電子ペン1Hに送ることで、上述と同様にして、筆圧零調整を行うことができる。
【0161】
[その他の変形例]
以上の実施形態では、電子ペン用カートリッジは、ペン筐体の中空部内に1個設ける構成としたが、いわゆる多色ボールペンと同様の構成とすることにより、この発明による電子ペンにおいては、複数個の電子ペン用カートリッジを、ペン筐体内に取り付ける構造とすることもできる。
【0162】
また、この種の多色ボールペン構造において、1個の電子ペン用カートリッジと、ボールペン用カートリッジとを用いる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0163】
1,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H…電子ペン、2,2C,2D,2E,2F,2G,2H…ペン筐体、3,3AS…電子ペン用カートリッジ、3P,2FP,2GP,2HP…コネクタプラグ、13J,17J,3J…コネクタジャック、15,15C,15D,15E,15F,15G,15H…バッテリー、30,30AS…芯体、41…コイル、51…筆圧検出部、52…電子回路、100…電子回路、101…制御部、102,210…無線通信部、103…IDメモリ、104…ペン状態検出部、200…位置検出装置、220…位置検出センサ