(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】量子乱数を用いた3Dモデルの触覚フィードバック
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
G06F3/01 560
(21)【出願番号】P 2023080247
(22)【出願日】2023-05-15
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】512200011
【氏名又は名称】田中 芳明
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳明
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-047567(JP,A)
【文献】特開2014-112357(JP,A)
【文献】国際公開第2021/025087(WO,A1)
【文献】特開2018-005274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子乱数生成器から生成された量子乱数を、3Dモデルのデータに格納された触覚再現用の固有の乱数情報をもとに、3Dモデルにおける触覚としての表面素材感を感じさせる表面凹凸の高さの値にあてはめて触覚を再現する、触覚フィードバック方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
3Dモデルにおける触覚の再現方法として、多数のポリゴンやボクセルによって作られた凹凸形状の座標情報などを読み取ることにより3Dモデルにおける形状の触覚を再現するという方法がある。
【発明の詳細な説明】
【0002】
表面素材感を表現するポリゴンやボクセルによっての凹凸形状の値を読み取る方法にて3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸を再現しようとする場合、複雑で微細な凹凸形状を表現するためにポリゴンやボクセルは多く必要となるため、個々の3Dモデルのデータ量は大きくなり、コンピュータの処理負荷は増大するうえ、通信回線における回線負荷の増大にも繋がる、という問題がある。
コンピュータへの処理負荷の増大、通信回線における回線負荷の増大を抑える方法のひとつは個々の3Dモデルのデータ量をなるべく小さく抑えることだが、例えば表面素材感を陰影表現などで疑似的凹凸表現に処理したポリゴン数やボクセル数の少ない3Dモデルにおいては、3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸を表現するポリゴンやボクセルが無い又は極端に少ないために、3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸の再現を得られにくいという問題がある。
3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸をポリゴンやボクセルによって再現しようとせず、関数計算で得られる疑似乱数を用いての、3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸を再現する方法も考えられるが、例えばメタバース型の遊園地やアパレル店舗など、多くの3Dモデルを内包するバーチャル空間内で連続的かつ異なる3Dモデルに同時に触れる場合などにおいては関数計算が複雑化し、コンピュータの処理負荷が極めて増大する瞬間が多発するトラブルなどが予想される。
発明の実施形態を説明する。
3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸の高さの値となる乱数の範囲を指定した触覚再現用の固有の乱数情報を、3Dモデルのデータに格納しておく。又、その形態については、3Dモデルにおけるテクスチャー部位ごとに指定するなどで触覚再現用の固有の乱数情報を格納する形態なども考えられる。
コンピュータは、コンピュータに備えられている又はネットワーク上にある量子乱数生成器から生成される量子乱数を受け取り、その量子乱数を、3Dモデルのデータに格納されている触覚再現用の固有の乱数情報に従い、触覚再現デバイスを通して3Dモデルを触れたときの触覚フィードバックの値に利用する。
ユーザーが触覚再現デバイスを通して3Dモデルに触れると、コンピュータは3Dモデルのデータに格納されている触覚再現用の固有の乱数情報に従い、ユーザーが触覚再現デバイスを通して触れている3Dモデル上の座標における触覚としての表面凹凸の高さの値に量子乱数をあてはめ、触覚再現動作用に符号化した信号を触覚再現デバイス側に送信する。ユーザーは触覚再現デバイスを通して、触れた3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸を感じることができる。
触覚再現動作用に符号化する量子乱数のあてはめについては、例えば、値が大きければ触覚としての表面凹凸における凸の高さを大きく、値が小さければ凸の高さを小さく、などとする方法が考えられ、又、触覚再現用の固有の乱数情報においては、乱数の範囲を広くすれば3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸の高低差が大きくなり荒い表面素材感となり、乱数の範囲を狭くすれば3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸の高低差は小さくなり滑らかな表面素材感となる、というような量子乱数のあてはめ形態が考えられる。
本実施形態によれば、3Dモデルにおける表面素材感を感じさせる触覚の凹凸の触覚を再現するにあたり、関数設計が複雑化しやすい疑似乱数ではなく量子乱数生成器から得られる量子乱数をあてはめる方法により、複雑な関数設計がなくとも確実な不規則性の乱数の値を得ることができ、さらに、ポリゴンやボクセルによって高解像で詳細な表面凹凸を表現せずとも、ポリゴン数やボクセル数の少ない3Dモデルであっても触覚における微細な表面凹凸の表現が可能になるため、表面凹凸の表現が低解像でデータ量の少ない3Dモデルであっても、触覚においては表面素材感の詳細な表面凹凸を感じられる3Dモデルが実現できる。これらにより、コンピュータの処理負荷の低減を図りやすくなり、3Dモデルにおけるデータ量の増大を抑えることにもなるため通信回線における回線負荷の低減も図りやすくなる、という効果が得られる。
【要約】
【課題】
ポリゴンやボクセルによって触覚の凹凸を再現しようとする場合、コンピュータ処理負荷と通信回線負荷の増大に繋がる。3Dモデルのデータ量を小さく抑えることでコンピュータ処理負荷と通信回線負荷の増大は抑えられるが、ポリゴン数やボクセル数の少ない3Dモデルでは触覚の凹凸を得られにくくなる。疑似乱数を用いて触覚の凹凸を再現する方法も考えられるが、多くの3Dモデルを内包するバーチャル空間内においては関数計算が複雑化し、コンピュータ処理負荷が極めて増大するトラブルなどが予想される。
【解決手段】
触覚再現用の固有の乱数情報を3Dモデルのデータに格納しておく。コンピュータは量子乱数生成器から生成される量子乱数を3Dモデルのデータに格納されている触覚再現用の固有の乱数情報に従い触覚フィードバックの値に利用する。触覚再現用の固有の乱数情報に従い量子乱数をあてはめ、触覚を再現する。
【選択図】 なし