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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】操作入力装置及びボタン駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240716BHJP
   H01H 3/26 20060101ALI20240716BHJP
   A63F 13/24 20140101ALI20240716BHJP
   A63F 13/21 20140101ALI20240716BHJP
【FI】
G06F3/01 560
H01H3/26
A63F13/24
A63F13/21
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023091877
(22)【出願日】2023-06-02
(62)【分割の表示】P 2021520830の分割
【原出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2023120227
(43)【公開日】2023-08-29
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】P 2019096639
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 正穂
(72)【発明者】
【氏名】吹越 亮
(72)【発明者】
【氏名】川島 健司
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 健
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-124332(JP,A)
【文献】特開平11-276715(JP,A)
【文献】特開2011-203865(JP,A)
【文献】国際公開第2017/061173(WO,A1)
【文献】特開2008-173186(JP,A)
【文献】特開2018-010639(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0983091(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
H01H 3/26
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの押し操作を受けたときに初期位置から第1の面に沿った方向で動くことのできる操作ボタンと、
前記第1の面に沿った方向で動くことができ、前記初期位置に向けて前記操作ボタンを押すことのできる可動部材と、
前記可動部材を動かす電動モータと
を有し、
前記電動モータは、モータ本体部と、前記モータ本体部から突出しているモータ回転軸とを有し、前記モータ回転軸は前記第1の面に沿って配置され、
前記操作ボタンは、前記第1の面に対して直交する第1軸線を中心に回転するよう支持され、
前記可動部材も、前記第1軸線を中心に回転するよう支持されている
操作入力装置。
【請求項2】
前記電動モータの動力を前記可動部材に伝えるための中間ギアを有し、
前記操作ボタンと前記中間ギアと前記モータ本体部は、前記第1の面に沿った第1の方向で並んでいる
請求項1に記載される操作入力装置。
【請求項3】
前記第1の方向は前記操作入力装置における前後方向である
請求項2に記載される操作入力装置。
【請求項4】
前記モータ回転軸にはギアが取り付けられ、前記モータ回転軸は前記ギアを介して前記中間ギアに係合しており、
前記モータ回転軸は、前記第1の面に沿っており且つ前記第1の方向に対して傾斜した第2の方向に沿って配置されている
請求項2に記載される操作入力装置。
【請求項5】
前記電動モータの動力を前記可動部材に伝えるための伝達機構を有し、
前記伝達機構は、前記第1の面に沿った軸線を中心とする前記モータ回転軸の回転を、前記第1軸線を中心とする前記可動部材の回転に変換する
請求項1に記載される操作入力装置。
【請求項6】
前記第1の面に対して直交する方向である第3の方向での前記可動部材の位置は、前記第3の方向での前記操作ボタンの中心に対して、前記第3の方向での一方側にずれている
請求項1に記載される操作入力装置。
【請求項7】
ユーザの押し操作を受けたときに初期位置から第1の面に沿った方向で動くことのできる操作ボタンと、
前記第1の面に沿った方向で動くことができ、前記初期位置に向けて前記操作ボタンを押すことのできる可動部材と、
前記可動部材を動かす電動モータと
を有し、
前記電動モータは、モータ本体部と、前記モータ本体部から突出しているモータ回転軸とを有し、前記モータ回転軸は前記第1の面に沿って配置され、
記第1の面に対して直交する方向である第3の方向での前記可動部材の位置は、前記第3の方向での前記操作ボタンの中心に対して、前記第3の方向での一方側にずれてい
作入力装置。
【請求項8】
前記操作ボタンは、前記可動部材が当たる受け面を有し、
前記第3の方向での前記受け面の位置は、前記第3の方向での前記操作ボタンの中心に対して前記第3の方向での前記一方側にずれている
請求項6又は7に記載される操作入力装置。
【請求項9】
操作ボタンがユーザの押し操作を受けたときに初期位置から第1の面に沿った方向で動くことのでき、前記操作ボタンの外装部に取り付けられる又は前記外装部と一体的に形成されるボタン本体部と、
前記第1の面に沿った方向で動くことができ、前記ボタン本体部にあたり前記初期位置に向けて前記操作ボタンを押すことのできる可動部材と、
前記可動部材を動かす電動モータと
を有し、
前記電動モータは、モータ本体部と、前記モータ本体部から突出しているモータ回転軸とを有し、前記モータ回転軸は前記第1の面に沿って配置され、
前記操作ボタンは、前記第1の面に対して直交する第1軸線を中心に回転するよう支持され、
前記可動部材も、前記第1軸線を中心に回転するよう支持されている
ボタン駆動ユニット。
【請求項10】
操作ボタンがユーザの押し操作を受けたときに初期位置から第1の面に沿った方向で動くことのでき、前記操作ボタンの外装部に取り付けられる又は前記外装部と一体的に形成されるボタン本体部と、
前記第1の面に沿った方向で動くことができ、前記ボタン本体部にあたり前記初期位置に向けて前記操作ボタンを押すことのできる可動部材と、
前記可動部材を動かす電動モータと
を有し、
前記電動モータは、モータ本体部と、前記モータ本体部から突出しているモータ回転軸とを有し、前記モータ回転軸は前記第1の面に沿って配置され、
前記第1の面に対して直交する方向である第3の方向での前記可動部材の位置は、前記第3の方向での前記操作ボタンの中心に対して、前記第3の方向での一方側にずれている
ボタン駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力装置と、操作入力装置に搭載するためのボタン駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
国際出願公開第2017/150128号には、ユーザに対して力覚を提示できる操作入力装置が開示されている。この操作入力装置においては、ユーザがボタンを押し、ボタンが予め規定された位置に達すると、操作入力装置に内蔵された電動モータの駆動によりボタンに対して反力が加えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ユーザに対して力覚を提供する機能を有する操作入力装置では、そのような機能がない操作入力装置に比して、部品数が多くなる。そのため、操作入力装置に部品数を組み付ける作業工程が増える。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示で提案する操作入力装置の一例は、ユーザの押し操作を受けたときに初期位置から第1の面に沿った方向で動くことのできる操作ボタンと、前記第1の面に沿った方向で動くことができ、前記初期位置に向けて前記操作ボタンを押すことのできる可動部材と、前記可動部材を動かす電動モータと、前記電動モータを保持し、且つ、前記操作ボタンと前記可動部材の動きを許容するように、前記操作ボタンと前記可動部材とを支持しているホルダーと、を有している。この操作入力装置によると、操作入力装置の組み立て作業の作業性を向上できる。
【0005】
本開示で提案するボタン駆動ユニットの一例は、操作ボタンの外装部に取り付けられる又は前記外装部と一体的に形成される本体部を有する。前記操作ボタンは、ユーザの押し操作を受けたときに初期位置から第1の面に沿った方向で動くことができる。前記ボタン駆動ユニットの前記一例は、前記第1の面に沿った方向で動くことができ、前記本体部にあたり前記初期位置に向けて前記操作ボタンを押すことのできる可動部材と、前記可動部材を動かす電動モータと、前記電動モータを保持し、且つ、前記本体部と前記可動部材の動きを許容するように、前記本体部と前記可動部材とを支持しているホルダーと、を有している。このボタン駆動ユニットによると、操作入力装置の組み立て作業の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示で提案する操作入力装置の一例を示す平面図である。
図2】操作入力装置の斜視図である。
図3】操作入力装置の下側のキャビネットを取り外した様子を示す斜視図である。この図では、2つのボタン駆動ユニットが示されている。
図4】ボタン駆動ユニットを示す拡大斜視図である。
図5】ボタン駆動ユニットの斜視図である。
図6】ボタン駆動ユニットの分解斜視図である。
図7】ボタン駆動ユニットの分解斜視図である。この図では、右ホルダー部材と、操作ボタンと、可動部材と、支持軸とが示されている。
図8】ボタン駆動ユニットの分解斜視図である。この図では、左ホルダー部材と、支持軸と、可動部材と、中間ギアとが示されている。
図9】ボタン駆動ユニットの内部構造を示す側面図である。
図10A】右ホルダー部材が取り外されているボタン駆動ユニットの内部構造を示す側面図である。操作ボタンが初期位置に配置され、可動部材が最前位置に配置されている。
図10B】右ホルダー部材が取り外されているボタン駆動ユニットの内部構造を示す側面図である。操作ボタンが最押し込み位置に配置され、可動部材は待機位置に配置されている。
図11A】ボタン駆動ユニットの他の例を示す分解斜視図である。
図11B図11Aで示すボタン駆動ユニットが有するホルダー部材、モータブラケット、及び電動モータを示す分解斜視図である。
図11C図11Aで示すボタン駆動ユニットが有する、互いに組み合わされたモータブラケットと電動モータの斜視図である。
図11D図11Aで示すボタン駆動ユニットが有する電動モータとモータブラケットの断面図である。
図12A】ボタン駆動ユニットのさらに他の例を示す分解斜視図である。
図12B図12Aで示すボタン駆動ユニットの斜視図である。
図12C図12Aで示すボタン駆動ユニットが有する操作ボタン、可動部材、中間ギア、及び電動モータの側面図である。
図12D図12CにあるXIId-XIIdで示す切断面で得られる断面図である。
図12E図12BにあるXIIe-XIIeで示す切断面で得られる断面図である。
図13】本開示で提案する操作入力装置の別の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下において、本開示で提案する操作入力装置について説明する。本明細書では、本開示で提案する操作入力装置の一例として、ゲーム機の操作に利用される操作入力装置100について説明する(以下では、操作入力装置は単に入力装置と称する。)。なお、本開示は、ゲーム機とは異なる情報処理装置の操作に利用される入力装置(例えば、シミュレーション装置の操作に利用される入力装置や、車両や船舶、航空機の操作に利用される入力装置など)に適用されてもよい。
【0008】
以下の説明では、図1のX1及びX2で示す方向をそれぞれ右方及び左方と称し、Y1及びY2で示す方向をそれぞれ前方及び後方と称する。また、Z1及びZ2で示す方向をそれぞれ上方及び下方と称する。入力装置100では、支持軸47(図6参照)が左右方向に沿って配置されており、以下の説明において「左右方向」とは支持軸47の軸線Ax1に沿った方向を意味する。これらの方向は、入力装置100の要素(部品や、部材、部分)の相対的な位置関係を説明するために使用され、入力装置100の使用時の姿勢を特定するものではない。
【0009】
[全体構成]
図1に示すように、入力装置100は、その上面に、複数の操作部材を有している。例えば、入力装置100の上面の右部には、4つの操作ボタン3aが設けられている。また、入力装置100の上面の左部には4つの凸部4aを有する十字キー4が設けられる。また、操作ボタン3aと十字キー4との間には板状の操作パッド5が設けられている。操作パッド5は、例えば、操作パッド5の表面に触れたユーザの指の位置を検知するためのタッチセンサを有する。また、操作パッド5はユーザの押し操作を受けて下がるように構成されてもよい。操作パッド5の後方には2本のジョイスティック6R・6Lが設けられる。ジョイスティック6R・6Lは、前後方向、左右方向、及びそれらに対して斜めの方向に傾けることができる。また、入力装置100は、その右部から後方に延びているグリップ部GRと、左部から後方に延びている左グリップ部GLとを有している。
【0010】
入力装置100の使用時、ユーザは左右の手でグリップ部GL・GRをそれぞれ保持しながら、上述した操作部材を操作する。入力装置100は、ユーザがゲームプレイにおいて利用する装置であり、上述した操作部材に対してなされた操作に応じた信号をゲーム機に送信する。操作部材の数や種類、及び入力装置の形状は、図1で示す例に限られない。例えば、入力装置100はユーザが片手で保持するように構成されてもよい。この場合、ジョイスティックの数及びグリップの数は1つでよい。また、入力装置100は操作パッド5を有していなくてもよい。
【0011】
図2に示すように、入力装置100は、その外装を構成するキャビネット2を有している。キャビネット2は、例えば、その下側部分を構成する下キャビネット2Aと、その上側部分を構成し下キャビネット2Aと上下方向において組み合わされる上キャビネット2Bとを有する。操作ボタン3aや、十字キー4、ジョイスティック6R・6Lなどの上述した操作部材は、上キャビネット2Bに形成された開口から上方に突出している。操作パッド5は上キャビネット2Bに形成された開口の内側に配置されている。
【0012】
図2に示すように、入力装置100は、その前面にも複数の操作部材を有している。具体的には、前面の右部に操作ボタン8と操作ボタン20とが設けられ、前面の左部にも操作ボタン8と操作ボタン20とが設けられている。操作ボタン20は、操作ボタン8の下方に配置されている。
【0013】
操作ボタン20は、初期位置(図10Aで示す操作ボタン20の位置)と、初期位置から後方に離れている最大押し込み位置(図10Bで示す操作ボタン20の位置)との間での動きが許容されており、ユーザの押し操作を受けて初期位置から最大押し込みに向けて移動する。入力装置100において、操作ボタン20は所謂トリガーボタンであり、その上部に位置している軸線Ax1(図10A及び図10B参照)を中心として前後方向で動くことができる。操作ボタン20の前面がユーザによる押し操作を受けると、操作ボタン20は軸線Ax1を中心にして後方に動く。言い換えれば、操作ボタン20は、軸線Ax1に対して垂直な平面に沿った方向で動くことができる(この平面が請求項で言及する「第1の平面」に対応する。)。入力装置100とは異なり、操作ボタン20は前後方向での平行移動が許容されるように支持されてもよい。
【0014】
[ボタン駆動ユニット]
入力装置100は、入力装置100の右部に搭載されるボタン駆動ユニット10R(図1及び図3参照)と、入力装置100の左部に搭載されるボタン駆動ユニット10Lとを有している(図1及び図3参照)。入力装置100では、ボタン駆動ユニット10R・10Lは、入力装置100の上面に配置されている操作部材の下方に配置されている。具体的には、左側のボタン駆動ユニット10Lは、入力装置100の上面の左部に配置される十字キー4の下方に配置され、右側のボタン駆動ユニット10Rは、入力装置100の上面の右部に配置される操作ボタン3aの下方に配置されている。以下の説明において、2つのボタン駆動ユニット10R・10Lに共通する説明においては、ボタン駆動ユニットに符号「10」を付す。
【0015】
ボタン駆動ユニット10の数は、入力装置100の例に限られない。例えば、操作入力装置が片手で操作できる棒状である場合には、操作ボタン20(トリガーボタン)及びそれを有するボタン駆動ユニット10の数は1つでもよい。
【0016】
図9に示すように、ボタン駆動ユニット10は、操作ボタン20の後側に配置されている可動部材30と、可動部材30を動かすための電動モータ35とを有している。可動部材30は左右方向に対して交差する平面(より具体的には、直交する平面)に沿った方向で動くことができる。可動部材30は、電動モータ35の動力を受けて、操作ボタン20を初期位置に向けて押す。ボタン駆動ユニット10は、電動モータ35の動力を可動部材30に伝える伝達機構Mを含んでいる。伝達機構Mは、例えば、可動部材30と電動モータ35との間に配置されている中間ギア36を有する。
【0017】
可動部材30は、ユーザが操作ボタン20を押す方向とは反対方向の力を操作ボタン20に加える。入力装置100は、ゲーム機から受信する信号(指示)に応じて、電動モータ35を駆動し、可動部材30を動かす。例えば、ユーザが操作ボタン20を押したとき、可動部材30は操作ボタン20の動きを規制する(すなわち、可動部材30は操作ボタン20の動きのストッパとして機能する。)。これによって、ゲームの仮想空間においてユーザが操作するキャラクターが硬いものに触れたという感触をユーザに提供できる。他の例では、ユーザが操作ボタン20を押すときに、可動部材30は操作ボタン20の移動量(押し込み量)に応じた反力(ユーザが操作ボタン20を押す方向とは反対方向の力)を操作ボタン20に加えてもよい。これによれば、ゲームの仮想空間においてユーザが操作するキャラクターが弾力性のあるものに触れたという感触を提示できる。さらに他の例では、ユーザが操作ボタン20を押すときに、可動部材30は操作ボタン20を前後方向において振動させてもよい。
【0018】
電動モータ35は、例えばステッピングモータや、サーボモータなどである。電動モータ35は、減速ギアを内蔵したギヤードモータであってもよい。制御装置(入力装置100が有している制御装置又はゲーム機)は、電動モータ35についてトルク制御、位置制御、及び/又は速度制御を行う。
【0019】
ボタン駆動ユニット10はホルダー40を有している。ホルダー40は電動モータ35を保持している。また、ホルダー40は、操作ボタン20、伝達機構M、及び可動部材30の動きを許容するように、これらを支持している。この構造によると、入力装置100の組立作業者は、電動モータ35、操作ボタン20、伝達機構M、及び可動部材30を単一部品として扱うことができるので、組立の作業性が向上され得る。
【0020】
なお、入力装置100では、可動部材30による反力が作用しない操作部材、例えば、操作ボタン20の上側に配置されている操作ボタン8(図2参照)は、キャビネット2によって保持されている。これとは異なり、操作ボタン8など、可動部材30による反力が作用しない操作部材も、ホルダー40によって支持されてもよい。
【0021】
ホルダー40は、例えば螺子や爪を有する係合部を利用して、例えばキャビネット2に固定される。入力装置100は、キャビネット2に収容され且つ回路基板13や入力装置100の上側に設けられる操作部材(操作ボタン3a及び十字キー4)などを支持するフレームを有してもよい。ホルダー40は、例えば螺子や爪を有する係合部を利用して、フレームに固定されてもよい。
【0022】
図5及び図6に示すように、ホルダー40は、左右方向において組み合わされている右ホルダー部材40Rと左ホルダー部材40Lとによって構成されている。すなわち、ホルダー40は、上述した軸線Ax1に沿った方向(左右方向)において組み合わされている右ホルダー部材40Rと左ホルダー部材40Lとによって構成されている。右ホルダー部材40Rと左ホルダー部材40Lの内側に、伝達機構Mを収容する収容室が確保されている。ホルダー40の構成要素は、2つのホルダー部材40R・40Lに限られず、3つの部材や、4つの部材で構成されてもよい。
【0023】
[操作ボタンの動き・支持構造]
図6に示すように、入力装置100は、軸線Ax1(図10A及び図10参照)上に位置している支持軸47を有している。操作ボタン20は支持軸47を介してホルダー40によって支持され、支持軸47を中心とする円弧Cr(図9参照)に沿って動くことができる。入力装置100では、操作ボタン20は支持軸47を中心にして前後方向に動く。
【0024】
支持軸47はホルダー40によって支持されている。詳細には、図7に示すように、操作ボタン20の上部に筒状の被支持部21が形成され、支持軸47はこの被支持部21の内側に差し込まれている。ホルダー部材40R・40Lは、軸支持部41a・41b(図6参照)をそれぞれ有している。軸支持部41a・41bは、支持軸47が被支持部21に差し込まれている状態で、支持軸47の右部と左部をそれぞれ保持する。
【0025】
軸支持部41a・41bは、操作ボタン20の正面視において(操作ボタン20の押し方向に操作ボタン20を見たとき)、操作ボタン20によって隠れる。図4及び図5に示すように、操作ボタン20の側部に凹部20cが形成され、軸支持部41a・41bはこの凹部20cの内側(後側)に位置している。この構造により、左右の軸支持部41a、41bの距離が小さくなり、左右方向でのホルダー40の幅を低減できる。その結果、キャビネット2の内側での部品のレイアウトが容易化できる。
【0026】
操作ボタン20は、図9に示すように、操作ボタン20の外装を構成する外装部20Aと、外装部20Aの内側に設けられている本体部20Bとを有している。入力装置100において、外装部20Aと本体部20Bは、例えば樹脂によって、一体的に成型されている。すなわち、本体部20Bと外装部20Aが、共通の成型過程で樹脂により形成されてよい。入力装置100とは異なり、本体部20Bは外装部20Aとは別個に形成され、外装部20Aに螺子や爪を有する係合部を利用して、外装部20Aに取り付けられていてもよい。この場合、被支持部21は本体部20Bに形成されてよい。こうすると、入力装置100の組立作業者は、電動モータ35、操作ボタン20の本体部20B、及び伝達機構M、及び可動部材30を、単一部品として扱うことができる。また、外装部20Aだけをユーザの好みに応じて交換できる。
【0027】
図5及び図6に示すように、外装部20Aは、入力装置100の前方に向いておりユーザの押し操作を受ける被押圧面20aと、被押圧面20aの外周縁から後方に伸びている周壁20bとを有している。上述した凹部20cは周壁20bに形成されている。軸支持部41a・41bは、操作ボタン20の正面視において、被押圧面20aと重なる。
【0028】
操作ボタン20の支持構造は、入力装置100の例に限られない。例えば、支持軸47は、操作ボタン20と一体的に形成されていてもよい。この場合、支持軸47は、操作ボタン20の左右の側面(例えば、周壁20b)から突出する凸部であってよい。他の例では、支持軸47は、右ホルダー部材40Rと左ホルダー部材40Lの一方又は双方と一体的に成形されていてもよい。すなわち、右ホルダー部材40Rと左ホルダー部材40Lの一方又は双方に、ホルダー40の内側に向かって突出する凸部が形成され、この凸部が支持軸47として機能してもよい。
【0029】
操作ボタン20の動きも、入力装置100の例に限られない。操作ボタン20は、支持軸47を中心とする円弧Crに沿った動きではなく、例えば左右方向に交差する平面に沿った方向で直線的に動くように支持されてもよい。
【0030】
ホルダー40は、操作ボタン20の可動範囲を規定するストッパ43a・43bを有している。図6及び図10Aに示すように、ストッパ43aは、例えば右ホルダー部材40Rに形成される。ストッパ43aは、初期位置にある操作ボタン20に当たり、初期位置を超える操作ボタン20の移動を規制する。ストッパ43aは、例えば、右ホルダー部材40Rから前方に張り出し、操作ボタン20の上壁20d(図10A参照)に当たる。図6及び図10Bに示すように、ストッパ43bは、例えば右ホルダー部材40Rと左ホルダー部材40Lの双方に形成される。ストッパ43bは、最大押し込み位置にある操作ボタン20に当たり、最大押し込み位置を超える操作ボタン20の移動を規制する。ストッパ43bは、例えば、操作ボタン20の周壁20bの縁に当たる。ストッパ43a、43bの位置は、入力装置100の例に限られない。例えば、初期位置を規定するストッパ43aはホルダー40ではなく、キャビネット2に形成されてもよい。
【0031】
図4に示すように、入力装置100は、初期位置に向けて操作ボタン20を押す弾性部材25(例えば、ばね)を有している。操作ボタン20は初期位置にあるとき、弾性部材25の弾性力を受けてストッパ43aに押し当てられる。弾性部材25もホルダー40に取り付けられている。弾性部材25も、例えば、右ホルダー部材40Rに取り付けられる。
【0032】
[センサ]
操作ボタン20の後側には、ユーザの押し操作を検知するためのセンサ29(図6参照)が配置されている。センサ29は、例えば操作ボタン20の押し込み量(操作ボタン20の移動量)を検知することができるセンサである。センサ29は、例えば抵抗体が形成されたセンサ基板29aと、抵抗体の前側に配置されている導電ゴム29bとを有する。導電ゴム29bは操作ボタン20によって押される。押し込み量に応じて導電ゴム29bと抵抗体との接触面積が変化し、接触面積の変化に伴って抵抗体の抵抗値が変化する。したがって、抵抗値に基づいて、より詳細には、抵抗体に作用している電圧に基づいて、操作ボタン20の押し込み量が検知され得る。上述したように、操作ボタン20は外装部20Aと本体部20Bとを有している。本体部20Bがセンサ29の前方に位置し、操作ボタン20がユーザの押し操作を被押圧面20aで受けたとき、本体部20Bがセンサ29を押す。なお、センサ29の種類は、導電ゴム29bを利用したものに限られない。また、操作ボタン20の後側には、センサ29に代えて、操作ボタン20の操作のON/OFFを検知するセンサ(ON/OFFスイッチ)が配置されてもよい。
【0033】
センサ29はホルダー40に取り付けられている。このため、入力装置100の組立作業者は、電動モータ35、操作ボタン20、伝達機構M、可動部材30、及びセンサ29を、単一部品として扱うことができ、組立の作業性がさらに向上され得る。また、この構造によると、センサ29と操作ボタン20との相対位置のずれを防ぐことができる。図6に示すように、ホルダー40は、操作ボタン20の後側に位置し且つ前方に向いている取付壁42を有している。センサ基板29aは取付壁42の前側に取り付けられている。センサ29の配置及び支持構造は、入力装置100の例に限られない。
【0034】
操作ボタン8(図2参照)もホルダー40に取り付けられてもよい。例えば、操作ボタン8は、一方のホルダー部材40Rに対して前後動可能なように、ホルダー部材40Rに取り付けられてもよい。操作ボタン8の操作はセンサ29によって検知されてもよい。例えば、センサ基板29aには、操作ボタン8によって押されるスイッチ29dが設けられてもよい。
【0035】
2つのホルダー部材40R・40Lのうち一方のホルダー部材は、他方のホルダー部材よりも、左右方向(軸線Ax1に沿った方向)において大きな幅を有する。入力装置100では、図6に示すように、左右方向での右ホルダー部材40Rの幅が、左右方向での左ホルダー部材40Lの幅よりも大きい。そして、センサ29は右ホルダー部材40Rに取り付けられている。すなわち、取付壁42は右ホルダー部材40Rに形成されている。このように、一方のホルダー部材40Rの幅を大きくすることによって、センサ29がホルダー部材40Rに取り付けやすくなる。
【0036】
図6に示すように、上述した軸支持部41aは取付壁42から前方に突出している。また、図4に示すように、取付壁42の下部には、センサ基板29aから伸びているケーブル29cを留めるクランプ部42aが形成されてもよい。
【0037】
[可動部材の動き・支持構造]
可動部材30は、左右方向に直交する平面に沿った方向で動くことができる。ホルダー40は、可動部材30の動きを許容するように、可動部材30を支持している。例えば、可動部材30は、軸線Ax1又は軸線Ax1と平行な直線を中心にして動くことができる。
【0038】
入力装置100においては、操作ボタン20と可動部材30の双方が支持軸47(軸線Ax1)を中心にして動くことができ、ホルダー40は支持軸47を介して操作ボタン20と可動部材30とを支持している。図6に示すように、可動部材30は、軸線Ax1上に位置している被支持部31を有している。被支持部31は、例えば環状であり、支持軸47は被支持部31の内側に差し込まれている。操作ボタン20の被支持部21と可動部材30の被支持部31は、右ホルダー部材40Rの軸支持部41aと左ホルダー部材40Lの軸支持部41bとの間に位置している。軸支持部41a・41bは支持軸47の両端部を支持している。
【0039】
図9に示すように、可動部材30は操作ボタン20の後側に配置されている。可動部材30は操作ボタン20に向かって伸びている突出部32を有している。突出部32の端部は操作ボタン20の後側に当たっている。操作ボタン20(詳細には本体部20B)に、受け面20e(図5参照)が形成され、突出部32の端部は受け面20eに当たっている。受け面20eは軸線Ax1から半径方向に離れている。
【0040】
操作ボタン20と可動部材30の双方が共通の支持軸47を中心として動く構造によると、操作ボタン20と可動部材30との間の摩耗を防止できる。つまり、突出部32が受け面20eを押している状態で操作ボタン20と可動部材30とが動いたときに、突出部32の端部と受け面20eとの相対位置が変化しない。そのため、入力装置100の長期間に亘る使用により突出部32の端部と受け面20eが摩耗することを、防ぐことができる。
【0041】
左右方向における可動部材30の位置は、左右方向における操作ボタン20の中心からずれている。図5に示すように、可動部材30の位置は、操作ボタン20の中心に対して、例えば左方(X2の示す方向)にずれている。受け面20eの位置も操作ボタン20の中心からずれている。可動部材30のこの配置によると、操作ボタン20の真後ろに他の部品を配置するためのスペースが確保し易くなる。操作ボタン20の後側には、例えば上述したセンサ29が配置される。
【0042】
可動部材30の被支持部31の位置も、左右方向における操作ボタン20の中心からずれており、図7に示すように、被支持部31と操作ボタン20の被支持部21は左右方向で並んでいる。被支持部21の左右方向での幅は、操作ボタン20の外装部20Aの左右方向での幅よりも小さい。
【0043】
左右方向における被支持部31と被支持部21の位置は、操作ボタン20の右側面(周壁20bの右側面)と、操作ボタン20の左側面(周壁20bの左側面)との間である。この構造により、左右方向でのボタン駆動ユニット10の幅、すなわち、左右方向でのホルダー40の幅を低減できる。その結果、キャビネット2の内側での部品のレイアウトが容易化できる。入力装置100の例とは異なり、被支持部21・31の一部の位置は、外装部20Aの右側面と左側面のうちの一方の位置を右方又は左方に超えてもよい。
【0044】
また、可動部材30の配置は、入力装置100の例に限られない。例えば、左右方向における可動部材30の位置は、左右方向における操作ボタン20の中心の位置と一致していてもよい。
【0045】
入力装置100は、その右部と左部とにボタン駆動ユニット10R、10Lをそれぞれ有している。2つのボタン駆動ユニット10R・10Lは左右対称の構造ではなく、実質的に同じ構造を有している。そのため、2つのボタン駆動ユニット10R、10Lの双方において、可動部材30は操作ボタン20の中心から同じ方向(例えば左方)にずれている。この構造によると、2つのボタン駆動ユニット10R・10Lの部品を共通化できるので、ボタン駆動ユニット10R・10Lの製造コストの低減できる。なお、操作ボタン20の外装部20Aには、ボタンの種類や機能を示す記号が印字されてもよい。この場合、左右のボタン駆動ユニット10R・10Lは、この記号については相違していてもよい。言い換えれば、左右のボタン駆動ユニット10R・10Lは、操作ボタン20を除く部品については同じ構造であってよい。
【0046】
可動部材30の支持構造は、入力装置100の例に限られない。例えば、支持軸47は、可動部材30と一体的に形成されてもよい。すなわち、可動部材30から右方と左方とに突出する凸部が形成され、この凸部が支持軸47として利用されてもよい。さらに他の例として、ホルダー40は可動部材30が動く方向を案内するガイドを有し、支持軸47ではなくガイドによって可動部材30を支持してもよい。
【0047】
さらに他の例として、可動部材30は、支持軸47とは異なる支持軸によって支持されてもよい。この場合、操作ボタン20を支持する支持軸47と、可動部材30を支持する支持軸は平行に配置され、ホルダー40によって支持されてよい。この場合も、操作ボタン20と可動部材30は、軸線Ax1に対して垂直な平面に沿った方向で動くこととなる。
【0048】
可動部材30を支持する支持軸は、操作ボタン20の軌跡(円弧Cr、図9参照)の内側に位置しているのが望ましい。言い換えると、支持軸47と、可動部材30を支持する支持軸とが、円弧Crに対して同じ側に位置しているのが望ましい。この構造によると、可動部材30の突出部32が操作ボタン20の受け面20eを押している状態で操作ボタン20と可動部材30とが動いたときに、突出部32と受け面20eとの相対位置の変化を低減できる。そのため、それらの摩耗を防ぐことができる。
【0049】
さらに他の例として、可動部材30は円弧に沿った動きではなく、例えば左右方向に直交する平面に沿った方向で直線的に動くように支持されてもよい。この場合、可動部材30が動く方向を案内するガイドがホルダー40に形成されてもよい。具体的には、可動部材30は、操作ボタン20の受け面20eの軌跡(円弧Cr、図9参照)に沿った方向に動くのが望ましい。こうすることで、可動部材30の突出部32が操作ボタン20の受け面20eを押している状態で、操作ボタン20と可動部材30とが動いたときに、突出部32の端部と受け面20eとの相対位置の変化を低減でき、それらの摩耗を防ぐことができる。ここで、受け面20eの軌跡に沿った方向とは、例えば、受け面20eの軌跡である円弧Crの接線の方向である。
【0050】
図8に示すように、可動部材30は、被支持部31から支持軸47の半径方向に伸びている本体部33と、本体部33から操作ボタン20の受け面20eに向かって伸びている突出部32とを有している。本体部33には、後述する中間ギア36と係合する、円弧状のギア部33aが形成されている。
【0051】
可動部材30は最前位置(図10A参照)と待機位置(図10B参照)との間で動くことができる。可動部材30は最前位置にあるとき、初期位置にある操作ボタン20の受け面20eに当たる(図10A参照)。可動部材30は待機位置にあるとき、最押し込み位置にある操作ボタン20の受け面20eから離れている(図10B参照)。待機位置をこのように規定することによって、操作ボタン20が最大押し込み位置にある状態で、電動モータ35で可動部材30を加速させた後に可動部材30を操作ボタン20に衝突させることができる。その結果、操作ボタン20に生じる衝撃を大きくでき、この衝撃を触覚としてユーザに提供できる。
【0052】
なお、可動部材30の可動範囲は入力装置100の例に限られない。例えば、可動部材30は待機位置にあるとき、最大押し込み位置にある操作ボタン20の受け面20eに当たっていてもよい。
【0053】
ホルダー40は、可動部材30の可動範囲を規定するストッパ44a、44bを有している。ストッパ44aは、図10Aに示すように、最前位置にある可動部材30に当たり、最前位置を超える可動部材30の移動を規制する。可動部材30が最前位置にあるとき、ストッパ44aは、例えば本体部33の前端面33c(ギア部33aの前端面)に当たる。また、ストッパ44b(図8参照)は、図10Bに示すように、待機位置にある可動部材30に当たり、待機位置を超える可動部材30の移動を規制する。可動部材30が待機位置にあるとき、ストッパ44bは、例えば本体部33のギア部33aの上端33d(図8及び図10B)に当たる。
【0054】
ホルダー40には、可動部材30が動く方向を案内するガイド45aが形成されてもよい。図8に示すように、左ホルダー部材40Lの内面に、例えば円弧状の凸部がガイド45aとして形成されてよい。この場合、可動部材30の側面には、ガイド45aが嵌まるガイド溝33eが形成されてよい。図に示す例では、可動部材30の反対側の側面にも、円弧状の凸部であるガイド33fが形成されている。右ホルダー部材40Rの内面には、ガイド33fが嵌まるガイド溝が形成されてよい。
【0055】
[電動モータの配置]
図9に示すように、電動モータ35は、例えば、操作ボタン20の後方に配置される。電動モータ35は、ギア35bが取り付けられている回転軸35cを有している。また、電動モータ35は、ステータとロータとを内蔵している本体部35aを有している。ロータはステータに対して相対回転可能であり、回転軸と一体的に回転する。
【0056】
電動モータ35は、回転軸35cが軸線Ax1に対して交差する平面(より具体的には、直交する平面)に沿うように配置される。すなわち、軸線Ax1に対して直交する平面と回転軸35cが平行となるように、電動モータ35は配置される。
【0057】
電動モータ35の回転軸35cと本体部35aは、ボタン駆動ユニット10の平面視において前後方向に並ぶ。電動モータ35のこの姿勢により、入力装置100のグリップ部GR・GL(図1参照)内のスペースを利用したボタン駆動ユニット10の搭載が可能となる。左右のボタン駆動ユニット10R・10Lの間に、例えばバッテリ12と回路基板13が配置される(図3参照)。電動モータ35の上述した配置によると、バッテリ12の左右方向での幅の拡大を図ることができ、バッテリ12の容量を確保できる。
【0058】
図9に示すように、電動モータ35のギア35bは、後述する中間ギア36の上側に配置されている。電動モータ35は、ボタン駆動ユニット10の側面視において、回転軸35cの軸線Ax2が水平面h1に対して斜めになるように配置されている。すなわち、電動モータ35の軸線Ax2は水平面h1に対して傾斜し、後方且つ下方に伸びている。
【0059】
図9に示すように、電動モータ35の本体部35aは中間ギア36の後方に位置している。中間ギア36は可動部材30の後方に位置している。つまり、可動部材30と、中間ギア36と、本体部35aは、軸線Ax1に対して直交する方向で並んでいる。このような配置によれば、入力装置100のキャビネット2内での部品のレイアウトが容易となる。
【0060】
上述したように、電動モータ35はホルダー40によって保持されている。図6示すように、ホルダー40は電動モータ35を保持するモータホルダー部46を有している。モータホルダー部46は、電動モータ35の本体部35aの一部だけを覆い、本体部35aの残部はホルダー40から露出している(図5参照)。詳細には、図5に示すように、モータホルダー部46は本体部35aの前部(回転軸側の半分)の外周面を覆っている。本体部35aの後部はホルダー40から後方に突出し、後部の外周面はホルダー40から露出している。この構造によると、本体部35aに熱が溜まることを防ぐことができる。図5に示すように、本体部35aの後端面は端子35eを有し、ホルダー40から露出している。
【0061】
電動モータ35の配置は、入力装置100の例に限られない。例えば、電動モータ35のギア35bは中間ギア36の下側に位置し、軸線Ax2は後方且つ上方に伸びてもよい。さらに他の例では、電動モータ35は、その軸線Ax2が支持軸47と平行となるように配置されてもよい。
【0062】
[伝達機構]
図6に示すように、伝達機構Mは、中間ギア36を有している。中間ギア36は、大径ギア部36aと小径ギア部36bとを有している。大径ギア部36aは、小径ギア部36bよりも大きな径を有している。電動モータ35の回転軸35cには、大径ギア部36aと係合しているギア35bが取り付けられている。ギア35bはねじギア(ウォーム)であり、大径ギア部36aははす歯ギア(ウォームホイール)である。可動部材30にはギア部33a(ラック)が形成されている。中間ギア36の小径ギア部36bはギア部33aに係合している。
【0063】
伝達機構Mは、電動モータ35のギア35b、中間ギア36、及び可動部材30のギア部33aによって構成され、電動モータ35の回転を受け、これを減速して可動部材30に伝える。また、伝達機構Mはウォームギア(ギア35b・36a)を含み、平面視で前後方向に沿った軸線Ax2を中心とする電動モータ35の回転を、左右方向に沿った軸線Ax1を中心とする可動部材30の回転に変換する。また、伝達機構Mはウォームギア(ギア35b・36a)を含むので、操作ボタン20がユーザによって押されたときに、その押し力によって電動モータ35が回転することを抑えることができる。
【0064】
伝達機構Mもホルダー40によって支持されている。詳細には、中間ギア36がホルダー40によって支持されている。図6に示すように、中間ギア36は支持軸36c・36dを有し、支持軸36c・36dを中心として回転可能である。支持軸36c・36dは右方と左方とにそれぞれ伸びており、支持軸47と平行である。ホルダー40は、支持軸36c・36dの回転を許容するように、これらを支持している。この構造によると、入力装置100の組立作業者は、電動モータ35、操作ボタン20、伝達機構M(中間ギア36)、及び可動部材30を単一部品として扱うことができ、組立の作業性が向上され得る。図9に示すように、支持軸36c・36dは支持軸47の後方に位置している。支持軸36c・36dを通る水平面h1は操作ボタン20と交差する。
【0065】
支持軸36dの端部(具体的には、左端部)は左ホルダー部材40Lに形成されている軸支持部48a(図8参照)によって支持されている。一方、右ホルダー部材40Rには、支持軸36cの端部(具体的には、右端部)が挿入される開口40c(図6参照)が形成されている。右ホルダー部材40Rにはセンサ39(図7参照)が取り付けられており、支持軸36cの端部はセンサ39によって保持されている。右ホルダー部材40Rには、左ホルダー部材40Lと同様に、支持軸36cの端部を保持する軸支持部が形成されてもよい。
【0066】
ホルダー40は、中間ギア36と、可動部材30の本体部33と、電動モータ35のギア35bとを収容している。中間ギア36のギア部36a・36bと、可動部材30のギア部33aと、電動モータ35のギア35bは、ホルダー40の外部に露出していない。可動部材30の突出部32は、ホルダー40に形成されている、突出部32の太さに対応したサイズの開口40a(図4参照)から、操作ボタン20に向かって突出している。この構造によると、小径ギア部36bと可動部材30のギア部33aとの間、及び大径ギア部36aと電動モータ35のギア35bとの間に異物が入ることを防ぐことができる。
【0067】
なお、ホルダー40の構造は、入力装置100の例に限られない。ホルダー40は、中間ギア36や支持軸47を支持しつつ、中間ギア36の一部をホルダー40の外部に露出してもよい。
【0068】
また、伝達機構Mの構造は、入力装置100の例に限られない。例えば、伝達機構Mはウォームギア(35b・36a)を有していなくてもよい。この場合、電動モータ35のギア35bと可動部材30のギア部33aとの間に中間ギア36が存在していてもよいし、電動モータ35のギア35bと可動部材30のギア部33aとが直接的に係合していてもよい。
【0069】
[センサ]
図7に示すように、ボタン駆動ユニット10は、可動部材30の位置を検知するためのセンサ39を有している。センサ39は、電動モータ35の動力の伝達経路において電動モータ35のギア35bよりも下流に位置する部材に取り付けられている。入力装置100において、センサ39は中間ギア36の支持軸36cに取り付けられている。センサ39は、例えば、中間ギア36の支持軸36cの回転位置を検知できるポテンショメータや、支持軸36cの回転を検知できるエンコーダである。
【0070】
センサ39もホルダー40に取り付けられている。詳細には、図7に示すように、センサ39は基板39aに実装され、この基板39aが右ホルダー部材40Rの右側面に取り付けられている。このため、入力装置100の組立作業者は、電動モータ35、操作ボタン20、伝達機構M、可動部材30、及びセンサ39を、単一部品として扱うことができる。
【0071】
上述したように、操作ボタン20の操作を検知するためのセンサ29も、右ホルダー部材40Rに取り付けられている。また、右ホルダー部材40Rは左ホルダー部材40Lよりも左右方向において大きな幅を有している。この構造によると、右ホルダー部材40Rにセンサ39・29を取り付け、その後に、操作ボタン20や電動モータ35等を右ホルダー部材40Rに取り付けるとともに、中間ギア36の回転位置をセンサ39に合わせながら中間ギア36を右ホルダー部材40Rに取り付けるという組立作業が可能となる。最後に、右ホルダー部材40Rと左ホルダー部材40Lとが組み合わせられる。
【0072】
図4に示すように、操作ボタン20の動きを検知するセンサ29から伸びているケーブル29cは、基板39aに実装されているコネクタ39bに接続されている。また、基板39aにはコネクタ39cが接続されている。基板39aには、コネクタ39cの端子と、コネクタ39bの端子とを電気的に接続する導体線路と、センサ39とコネクタ39cとを電気的に接続する導体線路とが形成されている。センサ29による検出信号とセンサ39による検出信号は、例えば、コネクタ39cに接続されるケーブル(不図示)を介して、入力装置100の制御装置(不図示)に入力される。この接続構造によると、ケーブルの接続作業の作業性を向上できる。
【0073】
センサ39の位置は、ボタン駆動ユニット10の例に限られない。ボタン駆動ユニット10は、可動部材30に取り付けられるセンサを有してもよい。
【0074】
[まとめ]
以上説明したように、入力装置100は、ユーザの押し操作を受けたときに左右方向に対して交差する平面(より具体的には、直交する平面)に沿った方向で初期位置から動くことのできる操作ボタン20と、この平面に沿った方向で動くことができ且つ初期位置に向けて操作ボタン20を押すことのできる可動部材30と、可動部材30を動かす電動モータ35と、を有している。また、入力装置100は電動モータ35を保持しているホルダー40を有している。このホルダー40は、操作ボタン20と可動部材30の動きを許容するように、操作ボタン20と可動部材30とを支持している。入力装置100によると、入力装置100の組み立て作業の作業性を向上できる。
【0075】
また、操作ボタン20は外装部20Aと本体部20Bとを有し、ユーザの押し操作を受けたときに左右方向に垂直な平面に沿った方向で初期位置から動くことができる。ボタン駆動ユニット10は本体部20Bと、左右方向に垂直な平面に沿った方向で動くことができ、本体部20Bにあたり初期位置に向けて操作ボタン20を押すことのできる可動部材30と、可動部材30を動かす電動モータ35と、電動モータ35を保持しているホルダー40とを有している。ホルダー40は、操作ボタン20と可動部材30の動きを許容するように、本体部20Bと可動部材30とを支持している。ボタン駆動ユニット10によると、入力装置100の組み立て作業の作業性を向上できる。
【0076】
[変形例]
なお、本開示で提案する操作入力装置は、これまで説明した入力装置100に限られず、種々の変更がなされてよい。
【0077】
例えば、操作ボタン20は、入力装置100の下面や上面に設けられてもよい。この場合、操作ボタン20は軸線を中心にして上下方向に動いてもよいし、上下方向と前後方向の双方に対して斜めの方向に動いてもよい。
【0078】
ホルダー40は、右ホルダー部材40Rと左ホルダー部材40Lとに加えて、電動モータ35が取り付けられるモータブラケットを有してもよい。図11A図11Dは、このような構造を有するボタン駆動ユニットの例として、ボタン駆動ユニット210を示す図である。以下では、ボタン駆動ユニット10との相違点を中心にして説明する。ボタン駆動ユニット210について説明のない事項は、ボタン駆動ユニット10と同様の構造であってよい。
【0079】
図11Aで示すように、ボタン駆動ユニット210において、ホルダーは、右ホルダー部材240Rと左ホルダー部材240Lとに加えて、電動モータ35が取り付けられるモータブラケット241を有している。モータブラケット241は、ホルダー部材240R・240Lとは別個に形成された部材である。すなわち、モータブラケット241は、ホルダー部材240R・240Lの成形工程で使用される型とは別個の型で形成される。この構造によれば、モータブラケット241に電動モータ35を取り付けた後に、このモータブラケット241をホルダー部材240R・240Lに取り付けるという作業工程が可能になる。その結果、電動モータ35の取付作業を簡単化できる。モータブラケット24の材料は、ホルダー部材240R・240Lと同じであってもよいし、ホルダー部材240R・240Lとは異なっていてもよい。
【0080】
図11Aで示すように、2つのホルダー部材240R・240Lは左右方向において互いに取り付けられる。モータブラケット241は、一方のホルダー部材(具体的には、右ホルダー部材240R)に左右方向において取り付けられる。図11Bで示すように、モータブラケット241とホルダー部材240Rは、例えば、図示していない左右方向で差し込まれる固定具(螺子やボルト)によって互いに固定される。一方、電動モータ35は、左右方向に対して交差する方向(より詳細には、直交する方向)でモータブラケット241に対して取り付けられる。すなわち、モータブラケット241と電動モータ35は、例えば、左右方向に対して交差する方向で差し込まれる、図示していない固定具(具体的には、螺子)によって互いに固定される。
【0081】
電動モータ35が左右方向とは交差する方向で一方のホルダー部材に直接的に取り付けられている構造では、電動モータ35を取り付ける固定具(具体的には、螺子)を締結する工具をホルダー部材に入れるために、ホルダー部材の外壁に開口を形成する必要がある。図11Bを参照して説明すると、例えば、電動モータ35をホルダー部材に固定するための工具を通すための開口を電動モータ35と対向する壁部240aに形成する必要が生じる。これに対し、ボタン駆動ユニット210では、左右方向とは交差する方向で電動モータ35が取り付けられる部分(モータブラケット241)が、ホルダー部材240R・240Lとは別個の部材である。そのため、そのような開口をホルダー部材240R・240Lに形成する必要がない。このため、ホルダー240の強度を増すことができる。
【0082】
図11Bで示すように、モータブラケット241は、電動モータ35が取り付けられる第1壁部241Aを有している。電動モータ35の本体部35aの先端面が、例えば前後方向と上下方向とに対して斜めの方向で、第1壁部241Aに取り付けられる。第1壁部241Aには、固定具を差し込むための複数の取付穴241b(図11C参照)が形成されている。
【0083】
図11Dで示すように、電動モータ35の本体部35aの先端面には、回転軸35cを取り囲む位置決め部35dが形成されている。位置決め部35dは、例えば凸部である。モータブラケット241の第1壁部241Aには、この位置決め部35dが嵌まる開口241dが形成されている。開口241dの内径は位置決め部35dの外径に対応しており、電動モータ35とモータブラケット241の相対位置は、開口241dの縁によって規定される。モータブラケット241はホルダー部材240R・240Lとは別個に形成された部材であるので、例えば、電動モータ35の種類を位置決め部35dのサイズが異なる種類に変更したとき、ホルダーの全体ではなく、モータブラケット241だけを交換すれば、サイズの異なる位置決め部35dを有する電動モータ35を搭載できる。
【0084】
図11Bで示すように、ホルダー部材240Rには、モータブラケット241の第1壁部241Aが嵌められる開口240eが形成されている。第1壁部241Aは開口240eの縁240f・240gに対して左右方向でスライドし、開口240eを閉塞する。第1壁部241Aは開口240eのサイズに対応しており、開口240eが形成されたホルダー部材240Rの壁部を補強する。開口240eの縁240f・240gと第1壁部241Aの縁のうち一方には、他方が引っかかる溝が形成されてよい。
【0085】
図11Bで示すように、モータブラケット241は、モータブラケット241をホルダー部材240Rに左右方向で取り付けるための固定具(具体的には、螺子)が差し込まれる取付穴241cが形成されている。取付穴241cは第1壁部241Aから伸びている取付壁241eに形成されている。モータブラケット241には、ホルダー部材240Rに対するモータブラケット241の位置を固定する位置決め穴241gが形成されている。ホルダー部材240Rに形成された突起が位置決め穴241gに嵌まることによって、取付穴241cを中心とするモータブラケット241の回転が規制される。ボタン駆動ユニット210の例では、モータブラケット241は、ホルダー部材240Rの側壁(右側壁)240hに取り付けられる第2壁部241Bを有している。位置決め穴241gは第2壁部241Bに形成されている。
【0086】
図11Bで示すように、モータブラケット241は、中間ギア36を回転可能に支持するように構成されている。この構造によると、電動モータ35とギア(ウォームギア)35bと、中間ギア36との位置精度の低下を抑えることができる。中間ギア36は、第2壁部241Bに形成されている環状の支持部241fによって支持されている。中間ギア36の支持軸36cはこの支持部241fの内側に通される。
【0087】
図11Aで示すように、ボタン駆動ユニット210の例では、操作ボタン20の本体部20Bと外装部20Aは別個に形成されている。本体部20Bが支持軸47によって回転可能となるように支持され、外装部20Aは本体部20Bに取り付けられている。ボタン駆動ユニット210の例とは異なり、外装部20Aと本体部20Bは一体的に形成されてもよい。
【0088】
図11Aで示すように、操作ボタン8(図2参照)もホルダー240に取り付けられてもよい。例えば、操作ボタン8は、一方のホルダー部材240Rに対して前後動可能なように、ホルダー部材240Rに取り付けられてもよい。
【0089】
ボタン駆動ユニット210は可動部材30を付勢する弾性部材を有してもよい。例えば、図11Aで示すように、可動部材30を付勢するばね237(より具体的には、トーションばね)をボタン駆動ユニット210は有している。この構造によると、可動部材30のギア部33aが常に中間ギア36の小径ギア部36bに接し、可動部材30の振動が確実に抑えられる。
【0090】
以上説明した例では、可動部材30の外周面にギア部33aが形成されていた。これとは異なり、可動部材に、中間ギアの小径ギア部を取り囲むように形成され、可動部材の内側に小径ギア部36bに係合するギアが形成されてもよい。図12A図12Eは、このような構造を有するボタン駆動ユニットの例として、ボタン駆動ユニット310を示す図である。以下では、ボタン駆動ユニット10・210と、ボタン駆動ユニット310との相違点を中心にして説明する。ボタン駆動ユニット310について説明のない事項は、ボタン駆動ユニット10・210と同様の構造であってよい。
【0091】
図12Aで示すように、ボタン駆動ユニット310は可動部材330を有している。可動部材330は支持軸47を中心として動くことができる。可動部材330は、中間ギア336の小径ギア部336bと軸線方向(左右方向)で向き合う壁部334aと、壁部334aから中間ギア336に向かって突出し小径ギア部336bに対して半径方向に位置している外周部334b(図12D参照)とを有している。壁部334aと外周部334bとによって、小径ギア部336bが覆われている。外周部334bの内面には、小径ギア部336bと噛み合っているギア部334c(図12D参照)が形成されている。すなわち、ギア部334cは所謂内歯ギアである。小径ギア部336bは外周部334bと支持軸47(回転中心)との間に位置している。
【0092】
操作ボタン320の前面が押され、可動部材330が操作ボタン320から力を受けて支持軸47を中心として回転するときに、可動部材330から中間ギア336に中間ギア336を回転させようとする力が作用する。この力によって、中間ギア336の位置を動かそうとする力が作用する。中間ギア336の位置が変化し、中間ギア336の大径ギア部336aが電動モータ35のギア35bに対して押しつけられると、大径ギア部336aとギア35bとの間の摩擦が過大となり、ギア35bと中間ギア336のスムーズな動きが阻害される可能性がある。
【0093】
しかしながら、ボタン駆動ユニット310の例における可動部材330と中間ギア336と電動モータ35の配置によると、そのような問題の発生を抑えることができる。図12Cで示すように、中間ギア336の小径ギア部336bは、可動部材330の外周部334bの前側(支持軸47側)に位置している。そのため、操作ボタン320の前面が押されたとき、中間ギア336の位置を前方、又は斜め前方に動かそうとする力(図12Cにおいて、例えば力F1)が可動部材330から中間ギア336に作用する。一方、電動モータ35のギア35bは中間ギア336の回転中心よりも後方に位置している。すなわち、ボタン駆動ユニット310の側面視において、電動モータ35のギア35bは、可動部材330の外周部334bを挟んで、中間ギア336の小径ギア部336bとは反対側に位置している。そのため、可動部材330から中間ギア336に作用する力によって中間ギア336の位置が変化したとしても、中間ギア336の大径ギア部336aが電動モータ35のギア35bに対して過大な力で押しつけられることはなく、電動モータ35のギア35bと中間ギア336のスムーズの回転が維持され得る。
【0094】
また、可動部材30の外周部334bの内側に中間ギア336の小径ギア部336bが配置されている構造によると、可動部材30の外周面にギア部33aが形成されていた例に比して、可動部材330のギア部334cと支持軸47との距離を増すことができる。その結果、可動部材330のトルクが増し、操作ボタン320に対して大きな力を加えることができる。
【0095】
図12Cで示すように、可動部材330の外周部334bは小径ギア部336bの下側に位置している。そのため、操作ボタン320の前面が押され、可動部材330が支持軸47を中心として回転するときに、可動部材330から中間ギア36に、中間ギア36を反時計回りに回転させようとする力が作用する。そのため、電動モータ35のギア35bに係合している、大径ギア部336aの歯は、電動モータ35のギア35bを斜め後方且つ上方に押す。電動モータ35の本体部35aはギア35bに対して斜め後方且つ上方に位置している。すなわち、操作ボタン320の前面が押されると、大径ギア部336aの歯は、電動モータ35のギア35bを電動モータ35の本体部35aに向けて押す。
【0096】
ギア35bが取り付けられている電動モータ35の回転軸35cには、電動モータ35の内部の磁力に起因して、回転軸35cを本体部35a側に引き寄せる力が作用している。このような磁力に反して回転軸35c及びギア35bを前側に引き出すと(本体部35aから抜く方向に回転軸35c等を引っ張ると)、回転軸35cが僅かに動き、微小な衝突音が発生することがある。ボタン駆動ユニット310においては、可動部材330のギア部334c(内歯)が小径ギア部336bに当たっている方向(図12CにおいてD1方向)を第1の方向としたとき、電動モータ35の本体部35aは、ギア部35bに対して第1の方向に位置している。具体的には、操作ボタン320の前面が押されたとき、可動部材330のギア部334c(内歯)は小径ギア部336bに斜め後方且つ上方に当たる。電動モータ35の本体部35aは、電動モータ35のギア部35bに対して斜め後方且つ上方に位置している。そのため、操作ボタン320の前面が押されたとき、大径ギア部336aの歯は電動モータ35のギア35b及び回転軸35cを電動モータ35の本体部35aに向けて押すこととなる。その結果、衝突音の発生を抑えることができる。なお、操作ボタン320の前面が押されたとき、可動部材330のギア部334cが小径ギア部336bに当たる方向と、電動モータ35の本体部35aが電動モータ35のギア部35bに対して位置している方向は必ずしも一致していなくてもよく、それらは互いに傾斜していてもよい。
【0097】
内歯ギアであるギア部334cを有する可動部材330の形状は、駆動ユニット310の例に限られない。例えば、可動部材330は小径ギア部336bの外周面を囲む円弧状であってもよい。この場合、可動部材330は小径ギア部336bに対して軸線方向に位置する壁部334aを有していなくてもよい。
【0098】
図12Cで示すように、可動部材330は操作ボタン320を押す突出部332aを有している。突出部332aの前方への突出量は、上述したボタン駆動ユニット10・210の可動部材30・230が有している突出部32の突出量よりも小さい。可動部材330は突出部332aの基部から被支持部31に向かって伸びている補強壁332bを有している。補強壁332bは、中間ギア336の小径ギア部336bに係合するギア部334cが形成されている壁部334aよりも前方に張り出している。このような補強壁332bの存在によって、突出部332aを短くすることが可能となり、強度を増すことができる。例えば、突出部332aが操作ボタン320を押すときに突出部332aが撓むことを抑えることができる。
【0099】
図12Aで示すように、ボタン駆動ユニット310は、ボタン駆動ユニット210と同様、右ホルダー部材340Rと左ホルダー部材340Lとに加えて、電動モータ35が取り付けられるモータブラケット341を有している。モータブラケット341は、ホルダー部材340R・340Lとは別個に形成された部材である。すなわち、モータブラケット341は、ホルダー部材340R・340Lの成形工程で使用される型とは別個の型で形成される。この構造によれば、モータブラケット341に電動モータ35を取り付けた後に、このモータブラケット341をホルダー部材340R・340Lに取り付けるという作業工程が可能になる。その結果、電動モータ35の取付作業を簡単化できる。
【0100】
図12Aで示すように、モータブラケット341には、中間ギア336の支持軸336cが内側に嵌められ、これを支持する筒状の支持部341cが形成されている。支持部341cの外周面に沿って複数のリブ341dが並んでいる。このリブ341dによって支持部341cの強度が増している。リブ341dの高さ(中間ギア336の回転中心線Ax4からリブ341dの頂部までの距離)は、支持部341cの先端(左端)に近づくに従って小さくなっている(図12D参照)。
【0101】
図12Dで示すように、中間ギア336には支持軸336cの周囲に凹部が形成されており、この凹部に支持部341cが嵌まっている。支持部341cは、ギア部(より詳細には大径ギア部336a)に対して半径方向の内側に位置している部分を有している。
【0102】
中間ギア336の一方の端部はモータブラケット341の支持部341cで支持されているものの、中間ギア336の他方の端部は可動部材330の壁部334aで覆われており、他の部位で支持されていない。中間ギア336の支持軸336cの周囲に形成した凹部にモータブラケット341の支持部341cを嵌めて、中間ギア336の支持軸336cを支持するという上述した構造によると、支持部341cの長さを十分に確保することが可能となり、中間ギア336の支持安定性を向上できる。
【0103】
ボタン駆動ユニット310の例では、支持部341cの端部(左端)は、大径ギア部336aの位置(大径ギア部336aの左側面336e)を超えて左方に伸びている。また、支持部341cは、中間ギア336の左右方向での中心Cnと交差している。
【0104】
図12Aで示すように、2つのホルダー部材340R・340Lは左右方向において互いに取り付けられる。モータブラケット341は、一方のホルダー部材(具体的には、右ホルダー部材340R)に取り付けられる。図12Bで示されるように、ボタン駆動ユニット310は、中間ギア336の回転位置を検知するためのセンサ39が実装されている基板39aを有している。センサ39は例えばエンコーダである。基板39aは、例えば、右ホルダー部材340Rに取り付けられている。詳細には、図12Dで示すように、基板39aは右ホルダー部材340Rの右側面に取り付けられ、センサ39が有する開口に中間ギア336の支持軸336cの端部336dが嵌められている。基板39aとホルダー部材340Rは、それらの相対位置の変化が許容されていてよい。こうすることで、センサ39と中間ギア336との間に機械的なストレスが生じることを抑えることができる。
【0105】
ボタン駆動ユニット310の例では、図12Bで示すように、ホルダー部材340Rは、基板39aの縁を取り囲む複数の係合部340a・340b・340cを有している。また、ホルダー部材340Rの側面には、突部340dが形成され、基板39aにはこの突部340dよりもサイズの大きな穴が形成されている。この構造によって、センサ39と中間ギア336の支持軸336cの端部336dとの間に機械的なストレスが生じることを抑えることができる。
【0106】
図12Aで示すように、操作ボタン320は、外装部320Aと本体部320Bとを有している。外装部320Aと本体部320Bは例えば上下方向で組み合わせる。例えば、本体部320Bには、図12Eで示すように、下方に開いている溝320aが形成されている。一方、外装部320Aは本体部320Bを覆うように形成され、その内側には溝320aに嵌まる突部320bが形成されている。これにより本体部320Bと外装部320Aの前後方向での分離が規制されている。
【0107】
図12Eで示すように、ボタン駆動ユニット310の例では、本体部320Bの上部に支持軸47が挿入される被支持部321が形成されている。操作ボタン320は支持軸47を中心として動くことができる。本体部320Bの後方にはその動きを検知する導電ゴム29bが実装されたセンサ29が配置されている。センサ29は、操作ボタン320の上側に配置される操作ボタン8(図2参照)の後方に位置するスイッチ29cを有してもよい。
【0108】
被支持部321は支持軸47を中心として初期位置(図12Eでの位置)から後方に動くことができる。ボタン駆動ユニット310は、初期位置にある操作ボタン320が前方に引っ張られたときに、操作ボタン320が前側に外れることを防止する構造を有してよい。
【0109】
図12Eで示すように、ボタン駆動ユニット310の例では、右ホルダー部材340Rに操作ボタン320の前方への抜けを規制するストッパ部340eが形成されている。操作ボタン320には、操作ボタン320が前方に動くときにストッパ部340eが引っかかる被ストッパ部320cが形成されている。詳細には、被ストッパ部320cは、外装部320Aの下縁の最後部に形成され、上方に突出している。被ストッパ部320cの前方にストッパ部340eが位置している。
【0110】
このように、ストッパ部340eを、ボタン駆動ユニット310を収容するキャビネット2(図1参照)ではなく、ホルダー部材340Rに形成するので、ボタン駆動ユニット310の組み立て作業を容易化できる。
【0111】
また、本開示で提案する操作入力装置は棒状であってもよい。この場合、操作入力装置が有するボタン駆動ユニット10の数は1つでもよい。
【0112】
図13は、このような棒状の操作入力装置の例を示す図である。同図に示す操作入力装置400は棒状であり、ユーザは片方の手で操作入力装置400を保持できる。操作入力装置400はボタン駆動ユニット410を有している。ボタン駆動ユニット410は、操作ボタン420と、可動部材30と、中間ギア36と、電動モータ35とを有している。操作ボタン420は、操作入力装置400のキャビネット402の外周面から突出し、操作入力装置400の半径方向において軸線Ax3を中心として動くことができる。可動部材30は操作ボタン420の内側に位置している。中間ギア36は可動部材30の下方に位置し、電動モータ35は中間ギア36の下方に位置している。操作ボタン420と、可動部材30と、中間ギア36と、電動モータ35は、図示していないホルダーによって保持されている。
【0113】
なお、操作入力装置400は、その最上部に、球状の発光部401を有している。また、操作ボタン420とは反対側に、操作ボタン403を有している。
【0114】
以上がボタン駆動ユニット10・210・310・410についての説明である。なお、各ボタン駆動ユニット10・210・310・410の構造は、他のボタン駆動ユニット10・210・310・410の構造と組み合わされてもよい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13