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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20240716BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20240716BHJP
   F21V 13/02 20060101ALI20240716BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20240716BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20240716BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240716BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21S8/02 420
F21V9/40 400
F21V13/02 400
F21V15/01 360
F21V17/00 451
F21Y115:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023188765
(22)【出願日】2023-11-02
【審査請求日】2023-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514056621
【氏名又は名称】株式会社YAMAGIWA
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 邦一
(72)【発明者】
【氏名】千葉 啓祐
(72)【発明者】
【氏名】早川 徹
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0219836(US,A1)
【文献】特開2014-130692(JP,A)
【文献】特開2014-222614(JP,A)
【文献】特開2021-152995(JP,A)
【文献】特開2011-113674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 9/40
F21V 13/02
F21V 15/01
F21V 17/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側に間隔を開けて設けられた一対の光源と、
前記一対の光源を結ぶ直線に対して交差する方向に前記一対の光源の間から張り出された調光フィルムと、
前記一対の光源を収容するケーシング本体と、
前記一対の光源から出された光を透過可能な一対の透光パネルと、を備え、
前記一対の透過パネルは、
前記ケーシング本体の内部で、かつ、屋内に対向する化粧部より奥側に設けられている、
照明器具。
【請求項2】
記調光フィルムは、
前記一対の光源を基準にして、前記調光フィルムが張り出される方向の反対方向の位置で前記ケーシング本体に固定されている、
請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
記調光フィルムは、前記ケーシング本体内に配置される第1部位と、前記ケーシング本体から張り出される第2部位と、を有し、
前記第2部位における長手方向の一端から他端までの距離は、前記第1部位における長手方向の一端から他端までの距離より長い、
請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具のなかには、天井に取り付けられた光源の下面に反射板が取り付けられ、光源から反射板に照射された光を反射板で反射するものが知られている。反射板で光を反射することで、屋内の空間の広がり感及び明るさ感を良くして、落ち着いた雰囲気を演出することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、照明器具のなかには、光源の下面に鉛直反射板が取り付けられ、光源から鉛直反射板に照射された光を鉛直反射板の直下に透過させるとともに、鉛直反射板で人の視線方向に反射させるものが知られている。鉛直反射板で光を直下に透過させるとともに、視線方向に対して反射させることで、屋内の明るさ感を良くすることができる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5-6525号公報
【文献】特開2001-291404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来の照明器具では、例えば屋内環境に合わせて人の目に入る光の量(輝度)を調整する場合、光源から出す光の強さ等を調整する必要がある。このため、従来の照明器具では、人の目に入る光の量を調整する場合に床面の照度が変化する。以下、人の目に入る光の量を「眼前照度」ということがある。一方、屋内環境に合わせて、床面の照度を変えることなく、眼前照度を調整可能な照明器具の実用化が望まれている。
【0006】
本発明は、床面の照度を変えることなく眼前照度を調整できる照明器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
本発明の一態様に係る照明器具は、両側に間隔を開けて設けられた一対の光源と、前記一対の光源を結ぶ直線に対して交差する方向に前記一対の光源の間から張り出された調光フィルムと、を備えている。
【0008】
ここで、調光フィルムは、フィルム内の液晶分子に電圧をかける状態において、液晶分子が電界方向に配向し光を透過するため透明になる。また、調光フィルムは、電圧をかけない状態において、液晶分子が不規則に並んで光を散乱するため乳白色になる。すなわち、調光フィルムは、通電と非通電とに切り換えることにより、透明状態と乳白色状態とに瞬時に切り換えることが可能である。
【0009】
この調光フィルムを一対の光源の間から張り出した。よって、一対の光源から出した光を調光フィルムにおいて両側の表面(以下、両面ということがある)に照射できる。この状態において、調光フィルムを通電にして透明状態にすることにより、調光フィルムの両面に照射された光を調光フィルムに透過させることができる。
【0010】
一方、調光フィルムを非通電にして乳白色状態にすることにより、調光フィルムの両面に照射された光を両面で反射させることができる。よって、一対の光源から出す光の強さ(例えば、色温度)を変えることなく、調光フィルムの両面における輝度感を高めることができる。これにより、人の目に入る光の量(すなわち、眼前照度)を上げることができる。
ここで、一対の光源から出す光の強さを変化させないことにより、床面の照度を変えないように保つことができる。したがって、床面の照度を変えることなく眼前照度を調整できる。
【0011】
上記構成では、前記一対の光源を収容するケーシング本体を備え、前記調光フィルムは、前記一対の光源を基準にして、前記調光フィルムが張り出される方向の反対方向の位置で前記ケーシング本体に固定されていてもよい。
【0012】
このように構成することで、一対の光源を基準にして、調光フィルムが張り出される方向の反対方向の位置でケーシング本体に調光フィルムを固定した。これにより、一対の光源から出された光40に対して調光フィルムを固定する固定部材が影響を与えることを防ぐことができ、眼前照度を良好に調整できる。
【0013】
上記構成では、前記一対の光源を収容するケーシング本体と、前記一対の光源から出された光を透過可能な一対の透光パネルと、を備え、前記一対の透過パネルは、前記ケーシング本体の内部で、かつ、屋内に対向する化粧部より奥側に設けられていてもよい。
【0014】
このように構成することで、一対の透過パネルを屋内に対向するケーシング本体の化粧部より奥側に設けた。よって、例えば透過パネルを、天井より奥まった位置に設けることができる。これにより、透過パネル自体の発光をケーシング本体で隠すことができる。したがって、調光フィルムで反射する光以外の発光を人の目に届きにくくでき、眼前照度を更に良好に調整できる。
【0015】
上記構成では、前記一対の光源を収容するケーシング本体を備え、前記調光フィルムは、前記ケーシング本体内に配置される第1部位と、前記ケーシング本体から張り出される第2部位と、を有し、前記第2部位における長手方向の一端から他端までの距離は、前記第1部位における長手方向の一端から他端までの距離より長くしてもよい。
【0016】
このように構成することで、調光フィルム33の第1部位をケーシング本体14内に配置し、第2部位をケーシング本体14から張り出した。さらに、第2部位の一端から他端までの距離(長さ)を第1部位の一端から他端までの距離(長さ)より長くした。よって、第2部位を第1部位に比べて階段状に広げることができる。これにより、眼前照度を上げることができる範囲を広げることができる。
【0017】
ここで、照明器具を天井に取り付ける場合、複数の照明器具を長手方向に並べて配置する。よって、第2部位が第1部位と同じ長さの場合、隣接する照明器具と照明器具との間に調光フィルムの隙間が生じる。このため、隙間が生じる箇所の眼前照度を上げることができない。
【0018】
これに対して、調光フィルム33は、第2部位が第1部位に比べて階段状に広げられている。よって、例えば、第2部位をケーシング本体14と同じ長さにできる。これにより、複数の照明器具を長手方向に並べて配置する場合に、照明器具と照明器具との間において、調光フィルムを隙間のない状態に連続させて配置でき、眼前照度を上げることができる。
【0019】
上記構成では、ケーシングと、前記ケーシングに収容された光源と、前記光源から離間された状態で前記ケーシングに固定され、前記光源の離間方向に対して交差する方向に前記ケーシングから張り出された調光フィルムと、を備えてもよい。
【0020】
このように構成することで、調光フィルムを光源から張り出した。よって、光源から出した光を調光フィルムにおいて片側の表面(以下、片面ということがある)に照射できる。この状態において、調光フィルムを通電にして透明状態にすることにより、調光フィルムの片面に照射された光を調光フィルムに透過させることができる。
【0021】
一方、調光フィルムを非通電にして乳白色状態にすることにより、調光フィルムの片面に照射された光を片面で反射させることができる。よって、光源から出す光の強さ(例えば、色温度)を変えることなく、調光フィルムの片面における輝度感を高めることができる。これにより、人の目に入る光の量(すなわち、眼前照度)を上げることができる。
ここで、光源から出す光の強さを変化させないことにより、床面の照度を変えないように保つことができる。したがって、床面の照度を変えることなく眼前照度を調整できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、床面の照度を変えることなく眼前照度を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態における照明器具を示す斜視図である。
図2図1の照明器具をII-II線に沿って破断した断面図である。
図3図2の照明器具においてIII部を拡大した断面図である。
図4】本発明の実施形態における輝度調整部の両面に照射された光を透過させる例を説明する概略図である。
図5】本発明の実施形態における輝度調整部の両面に照射された光を反射させる例を説明する概略図である。
図6】本発明の実施形態における輝度調整部により輝度を変化させる例を説明する概略図である。
図7】本発明の実施形態の変形例1における照明器具を示す概略図である。
図8】本発明の実施形態の変形例2における照明器具を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態に係る照明器具を図面に基づいて説明する。なお、図において、矢印A方向を長手方向、矢印B方向を幅方向、矢印C方向を上下方向として説明する。
<照明器具>
図1は、実施形態における照明器具を示す斜視図である。図2は、図1の照明器具をII-II線に沿って破断した断面図である。図3は、図2の照明器具においてIII部を拡大した断面図である。
図1から図3に示すように、照明器具1は、例えば、天井100に取り付けられて屋内102を照射する照明である。照明器具1は、例えば、器具本体2と、一対の光源3と、輝度調整部4と、を備える。
<器具本体>
器具本体2は、例えば、天井100に取り付けられる。器具本体2は、例えば、ケーシング11と、電源ユニット12と、を備える。ケーシング11は、ケーシング本体14と、ケーシング化粧部15と、一対の透光パネル16と、を有する。ケーシング本体14は、天井100の開口部103から天井100の上方に配置される。ケーシング本体14は、幅方向の断面が略矩形枠体に形成され、長手方向に延びている。ケーシング本体14は、後述する輝度調整部4を挟み込む一対の支持部18,19を有する。
【0025】
ケーシング化粧部15は、ケーシング本体14の下部に設けられて天井100の表面100aに沿って屋内102に配置される。ケーシング化粧部15は、表面が屋内102に対向して配置されている。ケーシング化粧部15は、一対の開口部21を有する。一対の開口部21は、幅方向において後述する輝度調整部4の両側に形成され、長手方向に延びている。
【0026】
一対の透光パネル16は、一対の開口部21を覆うように設けられている。よって、一対の透光パネル16は、ケーシング化粧部15に沿って配置されている。透光パネル16は、後述する光源3から出された光を透過可能である。
なお、実施形態では、一対の透光パネル16をケーシング化粧部15に沿って配置する例について説明するが、一対の透光パネル16をケーシング本体14の奥側に配置してもよい。具体的には、一対の透過パネル16を、ケーシング本体14の内部で、かつ、屋内102に対向するケーシング化粧部(化粧部)15より上方の奥側に設けてもよい。
電源ユニット12は、ケーシング本体14の頂部14aに設けられている。電源ユニット12は、後述する一対の光源3を点灯させて光を出す際の色温度(光の強さ)を調整する。また、電源ユニット12は、輝度調整部4に対して通電、非通電の切り換えを制御する。
【0027】
<光源>
一対の光源3は、ケーシング本体14に基板24を介して取り付けられている。すなわち、一対の光源3は、ケーシング本体14(ケーシング11)に収容されている。
一対の光源3は、一対の透光パネル16の上方に位置し、かつ、一対の透光パネル16に対向して配置されている。一対の光源3は、幅方向において後述する輝度調整部4の両側に間隔をあけて設けられている。一対の光源3は、一対の透光パネル16に沿って長手方向に配列されている。光源3には、例えば白色の発光ダイオード(LED)が使用されている。実施形態では、光源3として白色を例に説明するが、光源3は白色に限らない。その他の例として、例えばメラトニン抑制光(480nm)成分を多く含んだ光源等を使用してもよい。
【0028】
光源3は、電源ユニット12の制御により色温度(光の強さ)が調整される。光源3は、例えば、電源ユニット12の制御により光源3の色温度が2700~5000Kの範囲で調整される。実施形態では、光源3の色温度を2700~5000K範囲で調整する例について説明するが、光源3の色温度の範囲は任意に選択可能である。
【0029】
<輝度調整部>
輝度調整部4は、幅方向において一対の光源3の間に配置され、ケーシング本体14に設けられている。輝度調整部4は、側面視において略矩形に形成されている。実施形態では、輝度調整部4を略矩形に形成する例について説明するが、輝度調整部4の形状は任意に選択可能である。輝度調整部4は、例えば、上端部4aが複数のボルト26及び複数のナット27等の固定部材で一対の支持部18,19に挟み込まれた状態に支持(固定)されている。上端部4aは、一対の光源3より上方に位置している。よって、複数のボルト26及び複数のナット27等の固定部材は、一対の光源3より上方に位置している。すなわち、輝度調整部4は、一対の光源3を基準にして、輝度調整部4が下方に張り出される方向の反対方向の上方位置でケーシング本体14に固定されている。
この状態において、輝度調整部4は、一対の光源3を結ぶ直線30に対して直交する方向に向けて配置されている。輝度調整部4は、一対の光源3の間から下方に張り出され、ケーシング本体14から屋内102に垂下されている。
【0030】
輝度調整部4は、ケーシング本体14(ケーシング11)内に配置される第1部位5と、前記ケーシング本体14(ケーシング11)から張り出される第2部位6と、を有する。第2部位6における長手方向(A方向)の一端6aから他端6bまでの距離(長さ)は、第1部位5における長手方向の一端5aから他端5bまでの距離(長さ)より長い。
【0031】
輝度調整部4は、化粧パネル32と、調光フィルム33と、を備える。化粧パネル32は、例えば、光を透過可能な板厚5mmのアクリル板で略矩形状に形成されている。アクリル板の板厚は5mmに限らないで任意に選択可能である。アクリル板は、透明度が高く、調光フィルム33を通電にした状態において透明度を高めることができる。よって、調光フィルム33の両面33aに照射された光を調光フィルム33から良好に透過させることができる。これにより、床面の照度を変えることなく眼前照度を良好に調整できる。
実施形態では、化粧パネル32をアクリル板で形成する例について説明するが、化粧パネル32をアクリル板以外の透明な板材で形成してもよい。
【0032】
調光フィルム33は、化粧パネル32の一方の表面32aに形成されている。よって、調光フィルム33を一対の光源3の間から安定的に屋内102に垂下させることができる。さらに、調光フィルム33を化粧パネル32の一方の表面32aに形成することにより、調光フィルム33を1枚の化粧パネル32で安定的に支えることができる。よって、調光フィルム33を安定させる化粧パネル32を簡素化でき、輝度調整部4の軽量化を図ることができる。ここで、一対の光源3から出された光は、調光フィルム33の両面33aに照射される。
【0033】
実施形態では、調光フィルム33を化粧パネル32の一方の表面32aに形成する例について説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、調光フィルム33を化粧パネル32の両方の表面32aに形成してもよい。あるいは、調光フィルム33を一対の化粧パネル32の間に挟み込んだ状態に形成してもよい。
【0034】
調光フィルム33は、例えば、フィルム内の液晶分子に電源ユニット12から電圧をかけたオン状態において、液晶分子が電界方向に配向して光を透過するため透明(クリア)になる。また、調光フィルム33は、例えば、電源ユニット12から電圧をかけないオフ状態において、液晶分子が不規則に並んで光を散乱するため乳白色(乳濁色、フロスト)になる。すなわち、調光フィルム33は、電源ユニット12で通電(オン)と非通電(オフ)とに切り換えることにより、透明状態と乳白色状態とに瞬時に切り換えることが可能である。
【0035】
実施形態では、調光フィルム33として、通電時に透明状態に切り換わり、非通電時に乳白色状態に切り換わるものを例に説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、調光フィルム33として、通電時に乳白色状態に切り換わり、非通電時に透明状態に切り換わるものを使用してもよい。
【0036】
また、実施形態では、調光フィルム33として、通電と非通電とに切り換えることにより、透明状態と乳白色状態とに切り換えるものを例に説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、調光フィルム33として、通電と非通電とに切り換えることにより、透明状態と着色状態とに切り換えるものを使用してもよい。
この調光フィルム33は、通電時に透明状態に切り換わり、非通電時に着色状態に切り換わるものであってもよく、あるいは、通電時に着色状態に切り換わり、非通電時に透明状態に切り換わるものであってもよい。
すなわち、調光フィルム33は、通電と非通電に切り換えることにより、光を透過する状態と光を反射する状態とに切り換え可能なものが使用される。
【0037】
ここで、調光フィルム33を化粧パネル32の一方の表面32aに形成した。よって、調光フィルム33を化粧パネル32の両方の表面に形成させる場合に比べて、一対の光源3から照射された光をより透過させることができる。これにより、調光フィルム33を非通電にして乳白色状態にすることにより、調光フィルム33の両面33aに照射された光を両面33aで安定的に反射させることができ、光を透過する状態では化粧パネル32による光透過を保つことができる。したがって、床面の照度を変えることなく眼前照度を良好に調整できる。
【0038】
つぎに、照明器具1の操作例を図4図5に基づいて説明する。
まず、輝度調整部4において両側の表面4b(以下、両面4bということがある)に照射された光を透過させる例を図4に基づいて説明する。
図4は、実施形態における輝度調整部の両面に照射された光を透過させる例を説明する概略図である。
図4に示すように、一対の光源3から光40を出して輝度調整部4の両面4bに照射する。この状態において、電源ユニット12で調光フィルム33を通電にして調光フィルム33を透明状態にする。これにより、輝度調整部4の両面4bに照射された光40が調光フィルム33を透過する。
【0039】
つぎに、輝度調整部4において両面4bに照射された光を反射させる例を図5に基づいて説明する。
図5は、実施形態における輝度調整部の両面に照射された光を反射させる例を説明する概略図である。
図5に示すように、一対の光源3から光40を出して輝度調整部4の両面4bに照射する。ここで、一対の光源3において、一方の光源3から出る光40を「40A」、他方の光源3から出る光40を「40B」として説明する。
【0040】
一対の光源3から出た光40A,40Bが調光フィルム33の両面33aに照射された状態において、電源ユニット12で調光フィルム33を非通電にして調光フィルム33を乳白色状態にする。これにより、輝度調整部4の一方の面4bに照射された光40Aを調光フィルム33の一方の面33aで反射する。また、輝度調整部4の他方の面4bに照射された光40Bを調光フィルム33の他方の面33aで反射する。すなわち、輝度調整部4の両面4bに照射された光40を調光フィルム33の両面33aで反射する。
【0041】
つぎに、輝度調整部4の両面4bに照射された光を透過させる場合と反射させる場合とにおいて、輝度調整部4における輝度の変化を図2図6に基づいて説明する。
図6は、実施形態における輝度調整部により輝度を変化させる例を説明する概略図である。
図2図6に示すように、輝度調整部4(すなわち、調光フィルム33)は、長手方向において一端4cから他端4dまでの全長L=1206mmに形成されている。また、調光フィルム33は、上下方向においてケーシング化粧部15から下辺4eまで屋内102に第1高さH1=185mm張り出された状態に垂下されている。さらに、調光フィルム33は、上下方向において天井100から下辺4eまでの第2高さH2=186mmになるように天井100に取り付けられている。また、一対の光源3は、ケーシング化粧部15から屋内102の反対側に第3高さH3=24mm離れた位置に配置されている。
【0042】
この状態において、一対の光源3を5000K、2700Kで点灯して輝度調整部4の輝度を測定した。具体的には、輝度調整部4における輝度を測定位置P1~P9の9箇所で測定して9箇所の平均輝度を求めた。
測定位置P1は、輝度調整部4の長手方向中央において天井100から31mm下方に位置する。測定位置P2は、輝度調整部4の長手方向中央において天井100から93mm下方に位置する。測定位置P3は、輝度調整部4の長手方向中央において天井100から155mm下方に位置する。
【0043】
測定位置P4は、輝度調整部4の一端4cから163mmにおいて天井100から31mm下方に位置する。測定位置P5は、輝度調整部4の一端4cから163mmにおいて天井100から93mm下方に位置する。測定位置P6は、輝度調整部4の一端4cから163mmにおいて天井100から155mm下方に位置する。
測定位置P7は、輝度調整部4の他端4dから163mmにおいて天井100から31mm下方に位置する。測定位置P8は、輝度調整部4の他端4dから163mmにおいて天井100から93mm下方に位置する。測定位置P9は、輝度調整部4の他端4dから163mmにおいて天井100から155mm下方に位置する。
【0044】
測定位置P1~P9において測定した輝度調整部4の平均輝度は以下の通りである。
一対の光源3を5000Kで点灯した状態において、調光フィルム33を通電にして光を透過させた場合、輝度調整部4の平均輝度は25.166cd/mである。
一対の光源3を5000Kで点灯した状態において、調光フィルム33を非通電にして調光フィルム33で光を反射させた場合、輝度調整部4の平均輝度は32.447cd/mである。
一対の光源3を2700Kで点灯した状態において、調光フィルム33を通電にして光を透過させた場合、輝度調整部4の平均輝度は15.863cd/mである。
【0045】
すなわち、一対の光源3を5000Kで点灯した状態において、調光フィルム33で光を反射させた場合は、調光フィルム33に光を透過させる場合に比べて輝度調整部4の平均輝度を1.3倍高くできる。ここで、一対の光源3を5000Kで点灯した状態において、調光フィルム33を通電、非通電に切り換えることにより、床面の照度を変えないように保つことができる。これにより、床面の照度を統一した状態で、調光フィルム33を通電、非通電に切り換えることにより、輝度調整部4の平均輝度を調整できることが分かる。
また、一対の光源3を5000Kで点灯して調光フィルム33で光を反射させた場合は、一対の光源3を2700Kで点灯して調光フィルム33で光を透過させた場合に比べて輝度調整部4の平均輝度を2倍高くできる。
【0046】
実施形態では、調光フィルム33の第1高さH1=185mmとし、一対の光源3の第3高さH3=24mmとした。よって、一対の光源3から出された光を輝度調整部4(すなわち、調光フィルム33)の全域に適切な照射角度で照射できる。これにより、床面の照度を統一した状態で、輝度調整部4の平均輝度を適切に調整できることが可能になる。したがって、床面の照度を変えることなく眼前照度を良好に調整できる。
【0047】
なお、第1高さH1は、例えば、185mmを基準にして±αの範囲から選択可能である。また、第3高さH3は、例えば、24mmを基準にして±βの範囲から選択可能である。α及びβは、一対の光源3から出された光を調光フィルム33の全域に適切な照射角度で照射できる範囲である。第3高さH3=24mmとして、一対の透過パネル16を屋内102に対向するケーシング化粧部(化粧部)15より上方の奥側に設ける。そして、一対の光源3と一対の透光パネルとの高さ(距離)を12mmとすることで、輝度調整部4(調光フィルム33)で反射する光以外の発光を人の目に届きにくくできる。さらに、眼前照度を更に良好に調整できる。この際、一対の光源3と一対の透光パネル16との高さ(距離)は、第3高さH3に比べて、25~75%とすることが好ましい。
【0048】
以上説明したように、実施形態における照明器具1によれば、図2図4図5に示すように、調光フィルム33を一対の光源3の間から屋内102に垂下させた。よって、一対の光源3から出した光40を調光フィルム33の両面33aに照射できる。この状態において、調光フィルム33を通電にして透明状態にすることにより、調光フィルム33の両面33aに照射された光40を調光フィルム33に透過させることができる。
【0049】
一方、調光フィルム33を非通電にして乳白色状態にすることにより、調光フィルム33の両面33aに照射された光40を両面33aで反射させることができる。よって、一対の光源3から出す光40の強さ(例えば、色温度)を変えることなく、調光フィルム33の両面33aにおける輝度感を高めることができる。これにより、人の目に入る光の量(すなわち、眼前照度)を上げることができる。
ここで、一対の光源3から出す光40の強さを変化させないことにより、床面の照度を変えないように保つことができる。したがって、調光フィルム33を通電と非通電とに切り換えることにより、床面の照度を変えることなく眼前照度を調整できる。
【0050】
ここで、照明の制御によって分泌の制御対象となる分泌物は、人の生活リズムに影響を与える分泌物であることが知られている。このような分泌物の一つの具体例としてメラトニンが知られている。メラトニンの分泌は、人がおかれた環境における光によって影響を受ける。例えば、明るい光を受ける環境下ではメラトニンの分泌は抑制される。一方、暗い環境下ではメラトニンの分泌は抑制を受けにくく、明るい光を受ける環境下に比べてメラトニンの分泌が多くなる。
【0051】
光によるメラトニン抑制は、単に光の明るさだけではなく、光のスペクトルにも依存していることが知られている。例えば、メラトニン抑制スペクトルと重なる部分が多ければ多いほど、その光はメラトニン抑制効果が高い。逆に、メラトニン抑制スペクトルと重なる部分が少なければ少ないほど、その光はメラトニン抑制効果が低い。
【0052】
このようなメラトニン抑制スペクトルの特性に基づき、メラトニン抑制効果が高い第1スペクトルの光と、メラトニン抑制効果が低い第2スペクトルの光と、の発光を制御することによって、人の生活リズムに関与し、人体の健康の促進に寄与する。例えば、人の生活リズムにおいて、主に活動する時間帯には、主に第1スペクトルの光をユーザーの環境下において点灯させるような制御が行われる。また、主に睡眠に近い時間帯には、主に第2スペクトルの光をユーザーの環境下において点灯させるような制御が行われる。
【0053】
照明器具1によれば、輝度調整部4の調光フィルム33を通電と非通電とに切り換えることにより、第1スペクトルの光と第2スペクトルの光とを発光する制御を可能にできる。すなわち、照明器具1によれば、メラトニン抑制効果が高い状態と、メラトニン抑制効果が低い状態とに切り換える制御を可能にできる。
【0054】
また、一対の光源3を基準にして、輝度調整部4が張り出される方向の反対方向の位置(すなわち、上方位置)でケーシング本体14に輝度調整部4を固定した。これにより、輝度調整部4を固定する複数のボルト26及び複数のナット27等の固定部材が一対の光源3から出された光40に対して影響を与えることを防ぐことができ、眼前照度を良好に調整できる。
【0055】
さらに、一対の透過パネル16を屋内に対向するケーシング本体14の表面より奥側に設けた。よって、例えば透過パネル16を、天井100より奥まった位置に設けることができる。これにより、透過パネル16自体の発光をケーシング本体14で隠すことができる。したがって、輝度調整部4(調光フィルム33)で反射する光以外の発光を人の目に届きにくくでき、眼前照度を更に良好に調整できる。
【0056】
加えて、図1図2に示すように、輝度調整部4の第1部位5をケーシング本体14内に配置し、第2部位6をケーシング本体14から張り出した。さらに、長手方向(矢印A方向)において、第2部位6の一端6aから他端までの距離(長さ)を第1部位5の一端5aから他端5bまでの距離(長さ)より長くした。
よって、第2部位6を第1部位5に比べて階段状に長手方向へ広げることができる。これにより、例えば、第2部位6における長手方向の長さを、ケーシング本体14における長手方向の長さに合わせることができる。したがって、眼前照度を上げることができる範囲を広げることができる。
【0057】
ここで、照明器具1を天井100に取り付ける場合、例えば複数の照明器具1を長手方向(矢印A方向)に並べて配置する。よって、第2部位6が第1部位5と同じ長さの場合、隣接する照明器具1と照明器具1との間に輝度調整部4の隙間が生じる。このため、隙間が生じる箇所の眼前照度を上げることができない。
これに対して、輝度調整部4は、第2部位6が第1部位5に比べて階段状に広げられている。よって、例えば、第2部位6をケーシング本体14と同じ長さにできる。これにより、複数の照明器具1を長手方向に並べて配置する場合に、照明器具1と照明器具1との間において、輝度調整部4を隙間のない状態に連続させて配置でき、眼前照度を上げることができる。
【0058】
つぎに、実施形態における照明器具1の変形例を図7図8に基づいて説明する。なお、変形例において、実施形態の照明器具1と同一、類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0059】
<変形例1>
図7は、変形例1における照明器具を示す概略図である。
図7に示すように、変形例1の照明器具50は、一対の光源3を結ぶ直線30に対して斜め方向に交差するように輝度調整部4(すなわち、調光フィルム33)が設けられている。照明器具50においても、実施形態の照明器具1と同様の作用、効果を得ることができる。
また、照明器具50は、輝度調整部4の上端部4aに不図示の角度可変機構を備えてもよい。照明器具50に角度可変機構を設けることにより、特に、眼前照度を屋内環境や時間により変化させたい場合に、角度可変機構で屋内環境や時間とともに輝度調整部4の交差角度θを幅方向(B方向)に変化させることができる。
【0060】
また、例えば、照明器具50による眼前照度を高めたい(輝度感を高めたい)場合は、図2に示すように、輝度調整部4を一対の光源3を結ぶ直線30に対して直交させて配置できる。一方、眼前照度を弱めたい場合は、輝度調整部4を一対の光源3を結ぶ直線30に対して斜め方向に交差させて配置できる。あるいは、天井100(図2参照)に対して平行に輝度調整部4を折り畳むことができる。あるいは、輝度調整部4の化粧パネル32を透明な塩化ビニールシートで形成することで、眼前照度を高めたい(輝度感を高めたい)場合以外は、ケーシング11内に格納するようにしてもよい。
【0061】
<変形例2>
図8は、変形例2における照明器具を示す概略図である。
図8に示すように、照明器具60は、天井100から不図示の吊具により吊り下げられ、光源3と天井100との間に輝度調整部4(調光フィルム33)が設けられている。この状態において、輝度調整部4は、一対の光源3の間から上方に張り出され、ケーシング本体14と天井100との間に設けられている。照明器具60の場合も、変形例1と同様に、一対の光源3を結ぶ直線30に対して輝度調整部4を斜め方向に交差させて設けてもよい。
また、変形例1と同様に、輝度調整部4の化粧パネル32を透明な塩化ビニールシートで形成することで、眼前照度を高めたい(輝度感を高めたい)場合以外は、ケーシング11内に格納するようにしてもよい。
【0062】
さらに、その他の変形例の照明器具として、一対の光源3を一方のみの光源3に変えてもよい。すなわち、実施形態では、輝度調整部4を一対の光源3の間に配置する例について説明するが、一対の光源3から選択した一方の光源3に対して輝度調整部4を配置してもよい。この照明器具は、ケーシング本体14と、ケーシング本体14に収容された光源3と、光源3から離間された状態でケーシング本体14に固定され、光源3の離間方向に対して交差する方向にケーシング本体14から張り出された輝度調整部4(調光フィルム33)と、を備える。
なお、輝度調整部4は、実施形態のように照明器具が天井100に固定された場合に下方に張り出される。また、輝度調整部4は、変形例2のように、照明器具が天井100から吊り下げられた場合に上方に張り出される。
【0063】
この照明装置によれば、一方の光源3から出した光を調光フィルム33において片側の表面(以下、片面ということがある)に照射できる。この状態において、調光フィルム33を通電にして透明状態にすることにより、調光フィルム33の片面に照射された光を調光フィルム33に透過させることができる。
【0064】
一方、調光フィルム33を非通電にして乳白色状態にすることにより、調光フィルム33の片面に照射された光を片面で反射させることができる。よって、一方の光源3から出す光の強さ(例えば、色温度)を変えることなく、調光フィルム33の片面における輝度感を高めることができる。これにより、人の目に入る光の量(すなわち、眼前照度)を上げることができる。
ここで、一方の光源3から出す光の強さを変化させないことにより、床面の照度を変えないように保つことができる。したがって、床面の照度を変えることなく眼前照度を調整できる。
【0065】
さらに、他の変形例の照明器具として、輝度調整部4(調光フィルム33)を平面視において、十字状やT字状に配置してもよい。よって、輝度調整部4の輝度を一層高めることができる。これにより、床面の照度を変えることなく眼前照度を一層良好に調整できる。一対の光源3は固定されている必要はなく、可変機能により一対の光源3の角度を変えて調光フィルムに対して交差する方向に設けてもよい。また、調光フィルムに印加する電圧を調整することにより、調光フィルムの透過、反射度合を変化させてもよい。
【0066】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の実施形態では、照明器具1を天井100に取り付ける例について説明したが、照明器具1を取り付ける箇所は天井100に限らない。例えば、照明器具1を側壁等の他の箇所に取り付けてもよい。
【0067】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0068】
1…照明器具、3…光源、4…輝度調整部、5…第1部位、5a…第1部位の一端、5b…第1部位の他端、6…第2部位、6a…第2部位の一端、6b…第2部位の他端、11…ケーシング、14…ケーシング本体、15…ケーシング化粧部(化粧部)、16…透光パネル、30…直線、32…化粧パネル、32a…化粧パネルの一方の表面、33…調光フィルム、40,40A,40B…光、102…屋内
【要約】
【課題】床面の照度を変えることなく眼前照度を調整できる照明器具を提供する。
【解決手段】実施形態の照明器具1は、幅方向において両側に間隔を開けて設けられた一対の光源3と、一対の光源3を結ぶ直線30に対して交差する方向に一対の光源3の間から張り出された調光フィルム33と、を備える。調光フィルム33は、例えばフィルム内の液晶分子に電圧をかける状態において、液晶分子が電界方向に配向し光を透過するため透明になる。また、調光フィルム33は、例えば電圧をかけない状態において、液晶分子が不規則に並んで光を散乱するため乳白色になる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8