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特許7521100歯マウスピースの圧力チャンバーの製造方法、これらの方法で製造され、これらの方法を備えた歯マウスピース、圧力チャンバーおよびマウスピースの製造方法、J/U字形状歯マウスピース、およびマウスピースを含むシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】歯マウスピースの圧力チャンバーの製造方法、これらの方法で製造され、これらの方法を備えた歯マウスピース、圧力チャンバーおよびマウスピースの製造方法、J/U字形状歯マウスピース、およびマウスピースを含むシステム
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/00 20060101AFI20240716BHJP
   A46D 3/00 20060101ALI20240716BHJP
   A46B 9/04 20060101ALI20240716BHJP
   A61C 17/22 20060101ALI20240716BHJP
   A61C 19/06 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61C17/00 T
A46D3/00
A46B9/04
A61C17/22 G
A61C19/06 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023500091
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2021068160
(87)【国際公開番号】W WO2022003098
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-01-04
(31)【優先権主張番号】2025996
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2025997
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2025998
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519383290
【氏名又は名称】デンタル・ロボティクス・グループ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダイク、ヨッペ ギデオン
(72)【発明者】
【氏名】スナイデル、ティム アントン
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ワーテル、トーマス
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/017963(WO,A2)
【文献】特開2009-072609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/00
A46D 3/00
A46B 9/04
A61C 17/22
A61C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させることによって複数の歯位置を同時に処置するための、マウスピースの前記圧力チャンバーを製造する方法であって、
- 前記マウスピースのフレームのフレーム部品を射出成形型に提供するステップb)と、
- 前記マウスピースの可撓性壁の壁部品を前記射出成形型に提供するステップc)と、
- 第一のオーバーモールド材料が前記射出成形型内に注入されて、前記壁部品およびフレーム部品を、取り付けループ、前記取り付けループによって囲まれた前記壁部品の一部、および前記取り付けループによって囲まれた前記フレーム部品の一部が、構成される圧力チャンバーを限定するように、前記取り付けループに沿って互いに取り付けるように、オーバーモールドするステップf)と、
- 前記構成される圧力チャンバーを固化させ、それを前記射出成形型から除去し、その結果、フレーム部品および可撓性壁部品を有する前記圧力チャンバーが製造される、ステップg)と、を含む、方法。
【請求項2】
前記壁部品が、弾性的に伸縮性など、伸縮性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、互いに平行なフレーム部品層および壁部品層を有する層状構造を得るために、前記フレーム部品および前記壁部品を、互いに沿って層状に配列するステップをさらに含むとともに、
前記フレーム部品層と前記壁部品層との間の領域内に加圧媒体を導入するステップをさらに含み、前記領域は前記取り付けループによって囲まれ、前記フレーム部品層と前記壁部品層を分離する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、中間部材を提供するステップa)をさらに含み、
前記ステップb)およびc)のうちの一つが、ステップf)の前に実施され、結果として提供される部品をもたらし、
前記方法が、前記提供される部品と中間部材を組み合わせて、組み合わせ部品を取得するステップd)をさらに含み、前記組み合わせ部品において、前記中間部材は、ステップd)の後に、前記ステップf)で、取得される前記取り付けループの位置を画定し
前記ステップb)およびc)の他方が、前記ステップf)で実施され、前記組み合わせ部品に成形することによって、前記壁部品、フレーム部品の他方を提供し、前記層状構造および前記取り付けループを得る、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップd)で、前記中間部材が前記提供される部品に取り付けられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップb)が、前記ステップf)の前に実施され、前記提供される部品が前記フレーム部品であることをもたらし、
ステップc)が、前記ステップf)で実施されるとともに、
第一のキャビティ壁と、前記第一のキャビティ壁と対向し、かつ間隔を置いた第二のキャビティ壁とによって区切られるダイキャビティを有するように、前記ステップf)の前に、前記射出成形型を調製するステップe)をさらに含み、
前記ステップe)が、
- 前記第一のキャビティ壁に穴を設けることであって、穴が、
- 前記ダイキャビティ内に開口する穴端を有し、
- 前記穴端に横たわる根元セクションを有するブラシ毛で充填される、設けることと、
- 前記組み合わせ部品をインサートとして、前記第一のキャビティ壁から間隔を置いて、前記第二のキャビティ壁に対して前記フレーム部品を有する前記ダイキャビティ内に配置することと、を含み、
前記第一のオーバーモールド材料が、前記壁部品を形成するための壁材料(C)であり、前記ブラシ毛の前記根元セクションが前記壁部品(C)と一体的になるように、ステップf)で、前記ダイキャビティ内に注入される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップc)が、前記ステップf)の前に実施され、前記提供される部品が前記壁部品であることをもたらし、
前記方法が、第一のキャビティ壁と、前記第一のキャビティ壁と対向し、かつ間隔を置いた第二のキャビティ壁とによって区切られるダイキャビティを有するように、前記ステップf)の前に、前記射出成形型を調製するステップe)をさらに含み、
前記ステップe)が、
- 前記第一のキャビティ壁に穴を設けることであって、穴が、
- 前記ダイキャビティ内に開口する穴端を有し、
- 前記穴端に横たわる根元セクションを有するブラシ毛で充填される、設けることと、
- 前記組み合わせ部品をインサートとして、前記第二のキャビティ壁から間隔を置いて、前記根元セクションに接触する前記壁部品を有する前記ダイキャビティ内に配置することとを含み、
前記第一のオーバーモールド材料が、前記フレーム部品を形成するためのフレーム材料(A)であり、ステップf)で、前記ダイキャビティ内に注入される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、中間部材を提供するステップa)をさらに含み、
前記中間部材が、前記中間部材および前記提供される部品がオス-メスの様式で互いに嵌合するように、前記提供される部品の少なくとも一部の対応する3次元メス、オスの構成と嵌合する、3次元オス、またはメスの構成を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記フレーム部品および壁部品が、互いに上にオーバーモールドされるときに互いに融合可能であり、
前記中間部材が中間層であり、
前記ステップd)から生じる前記組み合わせ部品において、前記提供される部品が前記中間層で覆われる一方で、前記提供される部品上の融合ループが露出したままであり、
前記ステップf)で、前記壁部品、前記フレーム部品のうちのそれぞれ前記他方が、前記中間層上に、および前記融合ループ上に層を成形することによって得られ、その結果
- 前記フレーム部品層と前記壁部品層との間に前記中間層を有する層状構造、および - 前記フレーム部品層および壁部品層の前記融合ループでの融合による前記取り付けループをもたらし、
前記中間層(B)が、前記壁部品層とフレーム部品層との間に加圧媒体を導入するときに、前記壁部品層がそれに沿って前記フレーム部品層から分離する分離層を提供するように構成される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記フレーム部品および前記壁部品が、互いに上にオーバーモールドされるときに、互いに融合に抵抗する、または抵抗するように構成される材料から作製され、
前記中間部材が、前記ステップf)で、前記ステップf)で注入された前記第一のオーバーモールド材料と融合するように構成されるビードループであり、
前記ステップd)で、前記ビードループが、前記ビードループの内に前記提供される部品の露出領域を残しながら、前記提供される部品に対して配置され、
前記ステップf)で注入された前記第一のオーバーモールド材料が、前記ビードループ上、および前記露出領域上に成形され、その結果
- 前記フレーム部品層と前記壁部品層とが互いに対して横たわる層状構造、および
- 前記ステップf)で前記第一のオーバーモールド材料を前記ビードループと融合することによる、前記取り付けループをもたらす、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップb)で、あらかじめ組み立てられたフレーム部品が提供され、
前記ステップc)で、あらかじめ組み立てられた壁部品が提供され、
前記方法が、前記ステップf)の前に、前記射出成形型を調製するステップe)をさらに含み、
前記ステップe)が、前記あらかじめ組み立てられたフレーム部品、および前記あらかじめ組み立てられた壁部品をインサートとして、前記あらかじめ組み立てられた壁部品の周縁に沿って前記フレーム部品および壁部品を互いに押し付けて、前記射出成形型内に配置することを含み、
前記ステップf)で注入された前記第一のオーバーモールド材料が、前記壁部品の前記周縁が前記フレーム部品に対して固定されて前記取り付けループを提供するように、前記ステップf)で前記壁部品の前記周縁と融合する、請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は2020年7月3日に出願されたオランダ特許出願2025996、2020年7月3日に出願されたオランダ特許出願2025997、および2020年7月3日に出願されたオランダ特許出願2025998に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
総論
本出願は、第一の発明、第二の発明、および第三の発明と名付けられた、三つの発明を含む。これら三つの発明の全ては、「複数の歯位置を同時に処置するマウスピース」の同じ分野に関する。
【背景技術】
【0003】
この点において、「歯位置」が、本書においては通常歯が存在する歯列弓における位置である。歯位置は、関連する歯が存在する場合には充填され得るが、何らかの理由で、関連する歯が存在しない場合には空であり得る。
【0004】
本出願において、用語「本書」は、「本出願の三つの発明」を意味する。
【0005】
本書において、「歯列弓」とは、一般的にユーザーの歯の列弓である。このユーザーは、成人、高齢者、青年、(まだ)乳歯を持つ若者、永久歯を持つ若者、または乳歯と永久歯を持つ若者などの任意の年齢の任意のユーザーであり得る。本書で使用される用語「歯列弓」は、その歯位置のうちの一つまたは複数が空であるか、または天然歯もしくは人工歯で埋められているかに関わらず、上部歯列弓および下部歯列弓の両方を含む。
【0006】
一般的に公知のように、歯は毎日、好ましくは1日に2~3回、掃除される必要がある。本書によれば、「歯の処置」はホワイトニングのような任意の種類の処置歯であり得るが、用語「歯の処置」は、本書によれば、特に「毎日の」クリーニングなど、「歯磨き」を含む。本書では、歯磨きの他の様式は除外されないが、本書によれば、「歯を磨くこと」は、特に「歯をブラッシングすること」を含んでもよい。本書によれば、ブラッシングは、歯位置または歯に沿って擦る材料のリブまたはフラップのように、ブラッシング要素の任意のタイプによって達成され得るが、ブラッシングは、ブラシ毛の一つまたは複数の房を含むブラシ毛によって達成される本書の実施形態に従う。
【0007】
複数の歯位置を同時に処置するためのマウスピースでは、処置要素が、処置される歯位置に関して、前後に移動される必要があり得る。歯位置に関して処置要素を前後に移動させることは、本書(すなわち、本出願の三つの発明による「本書」の定義を参照)によれば、圧力の増加および減少に供される一つまたは複数の圧力チャンバーによって達成され得る。本書によると、一つまたは複数の圧力チャンバー内の圧力は、交互(交流電流における電流のような)であり得、交互に増加および減少し、結果として処置要素の反復的な前後移動をもたらす。
【発明の概要】
【0008】
第一の発明は、このような圧力チャンバーのうちの一つまたは複数を製造する方法、この方法で得られた圧力チャンバー、およびこの方法で得られたマウスピースに関する。
【0009】
複数の歯位置を同時に処置するためのマウスピースでは、マウスピースは、単一または二重のJ字形状または単一または二重のU字形状のトラフを有し得る。単一のJ字形状トラフを用いて、歯列弓の1/4を一度に処置することができる。二重のJ字形状のトラフでは、歯列弓の左半分または右半分が一度に処置され得る。単一のU字形状のトラフでは、歯列弓の上半分または下半分が一度に処置され得る。二重のU字形状のトラフでは、歯列弓全体を一度に処置することができる。
【0010】
第二の発明は、トラフシステムを有するマウスピースを製造する方法、この方法を用いて得られたマウスピース、およびこうしたマウスピースを含むシステムに関する。第二の発明の方法は、第一の発明を利用することができるが、第一の発明を有さない場合、または圧力チャンバーを有さない場合もある。
【0011】
第三の発明は、マウスピースが、レールとして、モノレールトレインのように、歯列弓に沿って、前後に移動することができる、二重J字形状トラフまたは単一または二重U字形状トラフを有するJ字形状またはU字形状のマウスピースに関し、またこのようなマウスピースを含むシステムに関する。第三の発明のマウスピースは、第一の発明による方法および/または第二の発明による方法を用いて作製され得るが、別の方法を用いて作製され得る。さらに、第三の発明の第三のマウスピースは、第一の発明および/または第二の発明の方法を用いて製造されたマウスピースであってもよく、また、圧力チャンバーなしでなど、別の様式または別のタイプのマウスピースであり得る。
【0012】
次に、三つの発明について論じる。
【0013】
第一の発明の導入
第一の発明には、以下の表題を付与することができる。「圧力チャンバーの圧力を増加および減少させることによって、複数の歯位置を同時に処置するためのマウスピースの一つまたは複数の圧力チャンバーを製造する方法本方法で製造された圧力チャンバー、および本方法で製造された圧力チャンバーを含むマウスピース」。
【0014】
第一の発明は、マウスピース内に配置される一つまたは複数の圧力チャンバーの圧力を増加および減少させることによって、複数の歯位置を包含および処置するためのJ字形状またはU字形状のマウスピースを有する、歯クリーニング装置などの歯処置装置の分野に関する。
【0015】
第一の発明の背景技術
人間と動物の歯のクリーニング、またはより一般的な人間と動物の歯の処置は、口腔の健康と内臓の健康の前提条件である。手動および電動の歯ブラシなど、さまざまな歯処置およびクリーニング装置が提供される。
【0016】
歯処置装置は、処置ヘッドを有する歯処置装置とマウスピースを有する歯処置装置とに分けられ得る。
【0017】
処置ヘッドを有する歯処置装置は、一端に処置ヘッドを有するロッドまたはハンドルを含む。使用中、処置ヘッドは口に挿入され、全ての歯位置に沿って手動で移動され、各歯位置が処置される。歯ブラシの場合、処置ヘッドは、一度に一側面から歯をブラッシングするための実質的に平行なブラシ毛を含む。処置ヘッドを有する歯科装置が電力供給される場合、処置ヘッド上に設けられる処置要素は、一般にハンドル内に配置される電気モーターを含み、処置ヘッドに対して処置要素を移動させるための処置要素に機械的に結合される、移動システムによって処置ヘッドに対して移動される。
【0018】
マウスピースを有する歯処置装置は、複数の歯位置を同時に包含し、複数の歯位置を同時に処置するためのJ字形状またはU字形状のマウスピースを含む。一般に、マウスピースは、トラフ内の歯を包含し、そのトラフは、J字形状またはU字形状のトラフを形成するように整列されたいくつかのトラフセクションを含み得る。上部歯列弓および下部歯列弓の歯を同時に処置するためのマウスピースの場合、マウスピースは一般的に、上部歯列弓の歯を包含するための上部トラフと、下部歯列弓の歯を包含するための下部トラフとを含む。マウスピースを有する歯クリーニング装置は、機械的観点から歯を受動的に処置するマウスピースを有する処置装置と、機械的観点から能動的に歯を処置するマウスピースを有する処置装置とに細分化され得る。受動的に処置するマウスピースの場合、トラフは一般に、マウスピースに対して移動されるマウスピース中のいかなる処置要素も伴わずに、歯に作用する化合物または放射線源を含む。能動的に処置するマウスピースでは、マウスピースは、マウスピース内またはその上に配置され、マウスピースに対して移動する処置要素を含む。
【0019】
能動的に処置するマウスピースにおいて、処置要素は、マウスピース内に設けられた圧力チャンバーによって移動されてもよく、圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させることによって、マウスピースの残りの部分に対して処置要素の移動を引き起こすように、空気作動式または油圧操作され得る。これは公知である、例えば、出願人の以前のWO2018/199760およびWO2020/017963を参照のこと。
【0020】
第一の発明による一つまたは複数の圧力チャンバーを有するマウスピースにおいて、マウスピースは、以下のタイプである。
- マウスピースが、フレーム、フレームに対して可撓性である可撓性壁、およびフレームと可撓性壁との間の圧力チャンバーを含み、
- 可撓性壁が、歯位置の処置のために歯位置に作用するように構成される処置要素を含み、
- 圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させることによって、可撓性壁をフレームに対して前後移動に供するように構成される。
【0021】
圧力チャンバー内の圧力は、第一の発明の(さらなる実施形態)によれば、交互のものとすることができ、交互のものとは、反復する前後移動を得るために、交互に増加および減少するものである。そのような圧力チャンバーは、そのようなものとして知られており、例えば、出願人の以前のWO2018/199760およびWO2020/017963を参照のこと。
【0022】
口の中で利用可能な限定された空間を考慮に入れて、圧力チャンバーによって引き起こされる動きは、可撓性壁によって構成される処置要素の前後移動に効率的に伝わり、それにより理想的な状況では、処置要素が、処置される歯位置に対してのみ移動する。これは、処置要素を含む可撓性壁が、圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させるときに変形可能である一方で、マウスピースの残りの部分は、圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させるときに変形を防止するべきであることを意味する。従って、圧力チャンバーは、フレームと壁との間に配置され、壁はフレームに対して可撓性である。
使用される圧力に関して、歯を磨く時、歯茎が損傷する可能性があるため、歯に及ぼされる圧力は、特定の最大ブラッシング圧力未満に保たれることが公知である。このため、一般の電動歯ブラシは、「処置ヘッドを有する歯処置装置」の群に属し、ブラッシング中に最大圧力を超えたときにユーザーに警告システムを有することが多い。マウスピースを有する歯クリーニング装置に関連して、WO2020/017963の第2章から、圧力チャンバー内の最大圧力が、+0.5バール(周囲圧力に対して)以下と低くてもよいことが公知である。従って、フレームに対する可撓性壁の可撓性は、比較的小さな圧力に関連し得る。
【0023】
このタイプのマウスピースを製造する場合、
- マウスピースが、フレーム、フレームに対して可撓性である可撓性壁、およびフレームと可撓性壁との間の圧力チャンバーを含み、
- 可撓性壁が、歯位置の処置のために歯位置に作用するように構成される処置要素を含み、
- マウスピースが、圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させることによって、可撓性壁をフレームに対して前後移動に供するように構成され、
特に圧力チャンバーの製造は、実際にはかなり困難である。中空空間、圧力チャンバーは、可撓性壁を有し、および変形に耐えるために、可撓性壁に対し剛性のフレームを有するよう作製されなければならない。プロトタイピングのレベルおよび少数の場合、これはあらかじめ組み立てられた部品を手作業で組み立てることによって行うことができる。あらかじめ組み立てられた部品を手動で組み立てる場合は、圧力チャンバーに漏れがないように、非常に慎重に行うことができる。生産量を増加させる場合、圧力チャンバーの漏れは、結果として高い拒絶率の問題となり得る。
【0024】
従って、上述のタイプのマウスピースのための圧力チャンバーを製造する代替的な方法を提供することが、第一の発明の目的である。さらなる目的は、上記の不利益のうちの一つまたは複数を克服するこうした方法を提供することである。もう一つのさらなる目的は、経済製造を、大きな数で、好ましくは低い拒絶率で、可能にすることができる、このような方法を提供することである。
【0025】
第一の発明の概要
C1:上記目的のうちの一つまたは複数は、一つまたは複数の圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させることによって、複数の歯位置を同時に処置するためのマウスピースの、またはそのための、例えば一つまたは複数の圧力チャンバーなどの圧力チャンバーを製造する方法を提供することによって達成される、第一の発明の第一の態様に従うものであり、方法は、下記を含む。
- マウスピースのフレームのフレーム部品を射出成形型に提供するステップb)と、
- マウスピースの可撓性壁の壁部品を射出成形型に提供するステップc)と、
- 第一のオーバーモールド材料が射出成形型内に注入されて、壁部品およびフレーム部品を、取り付けループ、取り付けループによって囲まれた壁部品の一部、および取り付けループによって囲まれたフレーム部品の一部が、構成される圧力チャンバーを限定するように、取り付けループ(本質的に閉じた取り付けループであり得る)に沿って互いに取り付けるように、オーバーモールドするステップf)と、
- 構成される圧力チャンバーが固化するのを可能にし、それを射出成形型から除去し、その結果、フレーム部品および可撓性壁部品を有する圧力チャンバーが製造される、ステップg)とを含む。
【0026】
上の用語「ステップb)」、「ステップc)」、「ステップf)」、および「ステップg)」ならびに用語「ステップa)」、「ステップd)」、および「ステップe)」に関して、これらは、識別のための短い名前として単に使用され、およびそれぞれの文字a)、b)、c)、d)、e)、およびg)が、これらのステップがとられる順序については何も言わないことに留意されたい。例えば、ステップb)および/またはステップc)は、ステップc)の前に行われてもよい。さらなる例として、ステップa)および/またはステップb)および/またはステップc)は、ステップf)で行われてもよい。
【0027】
本書、およびここでは特に第一の発明に関して、以下を記載する。
- オーバーモールドとは、一つの材料が第二の材料上に成形される射出成形プロセスである。
- オーバーモールドプロセスには、インサート成形とマルチショット射出成形の二種類がある。
- インサート成形では、成形済みのインサートを型に入れ、その上に第二の材料をショット(注入)する。インサート成形は、単一ショット射出成形機の使用を可能にする。
- 二ショットまたはマルチショット(二つより多いの材料の場合)としても知られる複数の材料成形では、射出成形機は、射出成形サイクル中に二つ以上の材料を同じ型にショット(射出)することができる。
【0028】
ステップf)では、材料が射出成形型に注入される。この物質は、第一の注入物質と呼んでもよい。例えば、ステップf)はステップb)、すなわちフレーム部品を提供することと一致すると考えられる。この場合、フレーム部品は、オーバーモールドすることによって提供され、第一の注入された材料が、フレーム部品が作製される材料となる。また、ステップf)がステップc)、すなわち壁部品を提供することと一致することも考えられる。この場合、壁部品は、オーバーモールドすることによって提供され、第一の注入材料が、壁部品が作製される材料となる。フレーム部品および壁部品は、射出成形型にインサートとして配置されるあらかじめ組み立てられた部品として提供され、ステップf)で注入される第一の材料が、追加の材料(壁部品材料またはフレーム部品材料の一つと同一であってもよく、または両方とは異なってもよい)であることも考えられる。最後に、ステップb)およびc)の両方がステップf)と一致することも考えられる。この場合、壁部品およびフレーム部品は、同じ成形サイクル中に、同じ成形において同時に二つの材料をマルチショット射出成形することによって提供される。
【0029】
第一の発明に従って壁部品および/またはフレーム部品がどのように提供されるかとは独立して、得られた製造圧力チャンバーでは、壁部品は可撓性であり、フレーム部品は剛性であり、可撓性および剛性は相互関係にある。この柔軟性または剛性は、ステップf)の間に注入された場合に、射出成形型に注入された後、固化して生じ得る。壁部品および/またはフレーム部品があらかじめ組み立てられた部品として提供される場合、前述の部品は、ステップf)の前にすでにその剛性、柔軟性それぞれ有し得る。
【0030】
圧力チャンバーを形成するために、フレーム部品および壁部品を射出成形型に一緒に取り付けるオーバーモールドを使用することで、圧力チャンバーの効率的かつ信頼性の高い製造が可能となる。第一の発明のさらなる実施形態から続くように、以下に説明するように、このオーバーモールドは、それぞれに特定の利益を有するいくつかの様式で行うことができる。
【0031】
C2:第一の発明の第一の態様のさらなる実施形態によれば、壁部品は伸縮性であり得る。本実施形態のさらなる実施形態によれば、壁部品は弾性的に伸縮性であり得る。
【0032】
C3-4:第一の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、方法は、互いに平行なフレーム部品層および壁部品層を有する層状構造を得るために、フレーム部品および壁部品を、互いに層状に配列するステップをさらに含む。層状構造を得るためにフレーム部品および壁部品を層状に配列すると、層状構造に対して横切るその方向に最小寸法を有する圧力チャンバーが生じ、処置される歯位置に対して横方向に見るとき、マウスピースの厚さをさらに最小化することを可能にする。本実施形態のさらなる実施形態によれば、方法が、フレーム部品層と壁部品層との間の領域内に加圧媒体を導入するステップをさらに含み得、領域は取り付けループによって囲まれ、フレーム部品層と壁部品層を分離する。ステップf)またはステップg)の間に起こり得る加圧媒体を導入するこのステップは、フレーム部品層および壁部品層が一緒に固着するのを防止するか、または一緒に固着した場合に、この固着が永久的になることを防止する。
【0033】
C5-6:第一の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態(「中間部材」実施形態とも呼ばれる)によれば、方法が、中間部材を提供するステップa)をさらに含み、ステップb)およびc)のうちの一つは、ステップf)の前に実施され、提供される部品をもたらし、方法が、提供される部品と中間部材を組み合わせて組み合わせ部品を得るステップd)をさらに含み、組み合わせ部品において、中間部材は、ステップd)の後、ステップf)において、得られる取り付けループの位置をあらかじめ画定するポジティブまたはネガティブであり、ステップb)およびc)の他方は、ステップf)で実施され、組み合わせ部品上に成形することによって壁部品、フレーム部品のうちのそれぞれ他方を提供し、層状構造および取り付けループを得る。ステップb)がステップd)の前に実施されると仮定すると、ステップd)で取得された組み合わせ部品は、フレーム部品および中間部品を含み、壁部品は、組み合わせ部品上にオーバーモールドすることによって、ステップf)で取得される。ステップc)がステップd)の前に実施されると仮定すると、ステップd)で取得された組み合わせ部品は、壁部品および中間部品を含み、フレーム部品は、組み合わせ部品上にオーバーモールドすることによって、ステップf)で取得される。中間部品が、取り付けループの位置をあらかじめ画定するポジティブである場合、中間部品は、壁部品をフレーム部品に取り付けるとき、取り付けループの一部となる。中間部品が、取り付けループの位置をあらかじめ画定するネガティブである場合、中間部品は、取り付けループの位置を解放したまま、提供される部品に対し穴あけを行い、壁部品をフレーム部品に取り付ける際に取り付けループの一部とならない。ステップf)の間、中間部材が、提供される部品に関して移動することを防止するために、中間部材は、このさらなる実施形態のさらなる実施形態によれば、ステップd)で、提供される部品に取り付けられる。
【0034】
C7-8:第一の発明の第一の態様のさらなる「中間部材」の実施形態(すなわち、中間部材が使用される実施形態のさらなる実施形態)によれば、ステップb)は、ステップf)の前に実施され、結果として、提供される部品がフレーム部品であり、ステップc)が、ステップf)で、またはステップf)内で実施される。圧力チャンバーの製造中にすでにブラシ毛を提供することを組み込むために、本実施形態のさらなる実施形態にしたがい、方法は、それが、第一のキャビティ壁と、第一のキャビティ壁と対向し、かつ間隔を置いた第二のキャビティ壁とによって区切られるダイキャビティを有するように、射出成形型を調製するステップe)を、ステップf)の前に、さらに含み、ステップe)は、
- 前述の第一のキャビティ壁に穴を設けることであって、穴が、
- ダイキャビティ内に開口する穴端を有し、
- 穴端に横たわる根元セクションを有するブラシ毛で充填される、設けることと、
- 組み合わせ部品をインサートとして、第一のキャビティ壁から間隔を置いて、第二のキャビティ壁に対してフレーム部品を有するダイキャビティ内に配置することと、を含み、
第一のオーバーモールド材料では、壁部品を形成するための壁材料であり、ステップf)では、ブラシ毛の根元セクションが壁部品と一体となるように、ダイキャビティ内に注入される。中間部材は、第一のキャビティ壁に面し、一部の場所で第一のキャビティ壁に接触し得る。第一のキャビティ壁にブラシ毛で充填された穴を設けることに関して、この「設けること」ことは、インサートを型に位置付ける形態によってもよく、インサートは、ブラシ毛で充填された穴を有するキャビティ壁(インサート)を含む。このインサートは、例えば、異なる穴に配置される複数のブラシ毛に対して共通する根元セクションにブラシ毛が取り付けられる、先行する製造ステップに由来し得る。根元セクションに関して、ブラシ毛またはブラシ毛の房はそれぞれ独自の根元セクションを有し得るが、異なる穴に配置される複数のブラシ毛(またはブラシ毛の房)が共通の根元セクションを有し得ることも考えられる。ステップf)では、ブラシ毛は、その根元セクションで、壁部品の一体部分として注入された壁部品に取り付けられる(すなわち、壁部品およびブラシ毛は、いわば、一部分である)。これは、例えば、根元セクションが壁部品に埋め込まれるか、または壁部品と融合することになり得る、注入された壁材料によって、根元セクションがオーバーモールドされることによる。
【0035】
C9:第一の発明の第一の態様の、代替的なさらなる「中間部材」の実施形態によれば、ステップc)は、ステップf)の前に実施されてもよく、提供される部品は壁部品である結果となる。圧力チャンバーの製造中にすでにブラシ毛を提供することを組み込むために、方法は、ステップf)の前に、第一のキャビティ壁と、第一のキャビティ壁と対向し、かつ間隔を置いた第二のキャビティ壁によって区切られるダイキャビティを有するように、射出成形型を調製するステップe)をさらに含み、ステップe)は、
- 前述の第一のキャビティ壁に穴を設けることであって、穴が、
- ダイキャビティ内に開口する穴端を有し、
- 穴端に横たわる根元セクションを有するブラシ毛で充填される、設けることと、
- 組み合わせ部品をインサートとして、第二のキャビティ壁から間隔を置いて、根元セクションに接触する壁部品を有するダイキャビティ内に配置することとを含み、
第一のオーバーモールド材料が、フレーム部品を形成するためのフレーム材料(A)であり、ステップf)で、ダイキャビティ内に注入される。この点において、ブラシ毛および壁部品は、ブラシ毛がすでに壁部品に取り付けられている(従って、それゆえにも接触する)、プレハブユニットであり得るが、ブラシ毛が、壁部品に(最初は)取り付けられていない、根元セクションを有する壁部品に最初に接触し、ステップf)で注入されたフレーム材料の熱により、壁部品に融合することも考えられる。
【0036】
C10-16:「中間部材」の実施形態では、第一の発明の第一の態様によれば、中間部材の提供および/または中間部材の提供される部品への取り付けに関するいくつかのさらなる実施形態がある。
- これらのさらなる実施形態のうちの一つによれば、ステップa)は、ステップb)およびc)の前に実施されてもよく、すなわち、中間部材は、フレーム部品および壁部品を提供する前に提供される。
- これらのさらなる実施形態のうちの別の一つによると、ステップd)は、中間部材および提供される部品が、オーバーモールドすることによって組み合わされる、第一のさらなるオーバーモールドステップを含む。本実施形態では、中間部材がプレハブ部品であり、かつ提供される部品があらかじめ組み立てられた中間部材上にオーバーモールドされること、または提供される部品があらかじめ組み立てられた部品であり、かつ中間部材があらかじめ組み立てられた提供される部品上にオーバーモールドされること、または中間部材と提供される部品がマルチ材料成形によって同時に提供されることが考えられる。例えば、本実施形態のさらなる一つによると、中間部材は、第一のさらなるオーバーモールドステップの間に提供される部品と融合する。
- これらのさらなる実施形態のうちの別のさらなる一つによると、中間部材は、ステップd)で、接着剤によって提供される部品に取り付けられる。
- これらのさらなる実施形態のうちの別のさらなる一つによると、中間部材は、ステップd)で、提供される部品に機械的に取り付けられる。
- これらのさらなる実施形態のうちの別のさらなる一つによると、中間部材が、中間部材および提供される部品がオス-メスの様式で互いに嵌合するように、提供される部品の少なくとも一部の対応する3次元メス、オスの構成と嵌合する、3次元オス、またはメスの構成を含み得る。
- これらのさらなる実施形態のうちの別のさらなる一つによると、中間部材は、ステップa)で、中間部材を提供される部品上に噴霧することによってなど、噴霧することによって提供され得る。このスプレーは、提供される部品に対して接着剤であってもなくてもよい。
【0037】
これらのいくつかの実施形態は、互いに組み合わせて適用され得る。
【0038】
C17:第一の発明の第一の態様のいくつかのさらなる実施形態(さらに「中間層」実施形態と呼ばれる)によれば、壁部品およびフレーム部品は、互い上にオーバーモールドされるときに融合してもよく、中間部材は、壁部品とフレーム部品との間に配置される中間層であり得る。「中間層」の実施形態の主な実施形態によれば、フレーム部品と壁部品は、互いにオーバーモールドされるときに互いに融合可能であり、中間部材は中間層であり、ステップd)から得られた組み合わせ部品の提供される部品を中間層で覆い、提供される部品の融合ループを露出させたままにし、壁部品、フレーム部品のうちのそれぞれ前述の他方が、ステップf)において、中間層上および融合ループ上に層を成形することによって得られ、
- フレーム部品層と壁部品層との間に配置された中間層を有する層状構造、および
- フレーム部品層および壁部品層の融合ループでの融合による取り付けループをもたらし、
中間層は、壁部品層とフレーム部品層との間に加圧媒体を導入するときに、壁部品層がフレーム部品層から分離する分離層を提供するように構成される。加圧媒体の導入は、例えば、ステップf)および/またはステップg)においてなど、第一の発明による方法の間に行われてもよいが、例えば、適切な機能を試験するための試験手順において、圧力チャンバーの製造後にまたはユーザーによる圧力チャンバーの第一の使用において、行われてもよい。
【0039】
C18-19:第一の発明の第一の態様による「中間層」の実施形態の第一のさらなる実施形態によれば、必要に応じて積層体であり得る中間層は、第一の外側表面を有する、または積層体の場合第一の外側層(提供される部品に面し、提供される部品に取り付けられているか、まだ取り付けられていない)は、ステップf)で提供される部品と融合し、積層体は第二の外側表面を有し、または積層体の場合第二の外側層-提供される部品とは反対側に面し、この第二の外側表面は、ステップf)で注入された第一のオーバーモールド材料との融合に抵抗するように構成される。「中間層」実施形態のこの第一のさらなる実施形態の例として、中間層は、ポリアミド(PA)またはポリエチレン(PE)を含んでもよく、またはそれらから作製されてもよく、フレーム部品は、ポリプロピレン(PP)を含んでもよく、またはそれらから作製されてもよく、および壁部品は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)などの熱可塑性ポリマー(TPE)を含んでもよく、またはそれらから作製され得る。
【0040】
C20:第一の発明の第一の態様による「中間層」の実施形態の第二のさらなる実施形態によれば、中間層は、壁部品層に接着する第一の表面と、フレーム部品層に接着する第二の表面と、第一の表面と第二の表面の間に、弱まった領域とを有する積層体fであって、前述の加圧媒体が壁部品層とフレーム部品層との間に導入されるとき、剥離により壁部品層がフレーム部品層から分離するように分離層を提供する。
【0041】
C21-23:第一の発明の第一の態様による「中間層」実施形態の第三のさらなる実施形態によれば、提供される部品を覆う中間層は、提供される部品とは反対側に面する露出表面を有してもよく、その露出表面は、ステップf)で注入される第一のオーバーモールド材料との融合に抵抗するように構成される。この第三のさらなる実施形態のさらなる実施形態によれば、提供される部品を覆う中間層は、露出表面に対向し、提供される部品に面した対向表面を有してもよく、その対向表面は、ステップf)で注入される第一のオーバーモールド材料の熱により、提供される部品と融合するように構成される。「中間層」実施形態のこの第三のさらなる実施形態の例として、中間層は、ポリアミド(PA)を含んでもよく、またはそれらから作製されてもよく、壁部品は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)などの熱可塑性ポリマー(TPE)を含んでもよく、またはそれらから作製されてもよく、およびフレーム部品は、TPE-PA(=加熱されるときにポリアミドと結合する熱可塑性ポリマー)を含んでもよく、またはそれらから作製され得る。TPE-PAは、例えば、PAの5~10重量%の混合物など、PAの混合物を有するTPEであり得る。
【0042】
C24-26:第一の発明の第一の態様による「中間層」実施形態の第四のさらなる実施形態によれば、提供される部品を覆う中間層は、提供される部品とは反対側に面する露出表面を有してもよく、その露出表面は、ステップf)で注入される第一のオーバーモールド材料と融合するように構成される。この第四のさらなる実施形態のさらなる実施形態によれば、提供される部品を覆う中間層は、露出表面に対向し、提供される部品に面した対向表面を有し、その対向表面は、ステップf)で注入される第一のオーバーモールド材料の熱により、提供される部品との融合に抵抗するよう構成される材料である。「中間層」実施形態のこの第四のさらなる実施形態の例として、中間層は、ポリアミド(PA)を含んでもよく、またはそれらから作製されてもよく、壁部品は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)などの熱可塑性ポリマー(TPE)を含んでもよく、またはそれらから作製されてもよく、およびフレーム部品は、ポリプロピレン(PP)を含んでもよく、またはそれらから作製され得る。
【0043】
C27-28:第一の発明の第一の態様のいくつかのさらなる実施形態(さらに「ビードループ」実施形態と呼ばれる)によれば、壁部品およびフレーム部品が、互いに上にオーバーモールドされるときに融合せず、中間部材はビードループであり得る。「ビードループ」の実施形態によれば、フレーム部品と壁部品は、互いにオーバーモールドされるときに互いに融着に抵抗するように構成され、中間部材は、ステップf)において第一のオーバーモールド材料と融合するように構成されるビードループであり、ステップd)において、ビードループは、提供される部品の露出(または覆われていない)領域をビードループ内に残しながら、提供される部品に対して配置され、そして、ステップf)で射出された第一のオーバーモールド材料が、ビードループ上および露出領域上に成形され、以下をもたらす。
- フレーム部品層と壁部品層とが互いに対して横たわる層状構造、および
- ステップf)で第一のオーバーモールド材料をビードループと融合することによる、取り付けループ。
【0044】
この「ビードループ」実施形態のさらなる実施形態によれば、ビードループは、ステップf)で注入された第一のオーバーモールド材料の熱、またはビードループが第二のさらなるオーバーモールドステップによって提供される部品上に提供される場合、ビードループ自体の熱により、提供される部品と融合するように構成され得る。
【0045】
C29:第一の発明の第一の態様のいくつかのさらなる実施形態(さらに「あらかじめ組み立てられた」実施形態と呼ばれる)によれば、壁部品およびフレーム部品の両方を、あらかじめ組み立てられた部品として提供し得る。「あらかじめ組み立てられた」実施形態の主な実施形態によれば、ステップb)で提供されるフレーム部品は、あらかじめ組み立てられたフレーム部品であり、ステップc)で提供される壁部品が、あらかじめ組み立てられた壁部品であり、これは、ステップb)とc)の両方がステップd)の前に行われることを意味し、ステップe)は、あらかじめ組み立てられたフレーム部品およびあらかじめ組み立てられた壁部品をインサートとして、射出成形型内に配置することを含み、フレーム部品および壁部品は、あらかじめ組み立てられた壁部品の周縁に沿って互いに押し付けられ、および壁部品の周縁がフレーム部品に対して固定され、取り付けループが提供されるように、ステップf)で射出された第一のオーバーモールド材料が、ステップf)で、壁部品の周縁と融合する。
【0046】
C30:第一の発明の第一の態様の「あらかじめ組み立てられた」実施形態のさらなる実施形態によれば、あらかじめ組み立てられたフレーム部品およびあらかじめ組み立てられた壁部品のインサートは、フレーム部品層と接触するように押し込まれる周縁内の壁部品層の一部が、フレーム部品層に対して緩く置かれる、層状構造であり得る。「あらかじめ組み立てられた」実施形態のこのさらなる実施形態の代替物によれば、インサートは、あらかじめ組み立てられた壁部品およびあらかじめ組み立てられたフレーム部品によって囲まれたキャピティを含み得る。
【0047】
C31:第一の発明の第一の態様の「あらかじめ組み立てられた」実施形態の別のさらなる実施形態によれば、あらかじめ組み立てられた壁部品は、周縁の少なくとも一部に沿って、あらかじめ組み立てられたフレーム部品の嵌合オス縁を受けるように構成されるスリット付きメス部品を備える。
【0048】
C32-33:第一の発明の第一の態様の「あらかじめ組み立てられた」実施形態の別のさらなる実施形態によれば、圧力チャンバーから離れて面するフレーム部品の対向面は、注入された第一のオーバーモールド材料が、周縁の両側を、周縁の両側の間の最短線に沿って接続するように、ステップf)で注入された第一のオーバーモールド材料で覆われる。本実施形態のさらなる実施形態によれば、フレーム部品の対向面は、少なくとも90%または100%など、少なくとも80%注入された材料(B)で覆われる。
【0049】
C34:第一の発明の第一の態様の「あらかじめ組み立てられた」実施形態の別のさらなる実施形態によれば、第一のオーバーモールド材料が、ステップf)で、フレーム部品と融合するように構成される。
【0050】
C35-36:第二の態様によれば、第一の発明は、第一の態様による方法を用いて製造された圧力チャンバーを提供する。この第二の態様のさらなる実施形態によれば、壁部品は、フレーム部品から離れた方向に壁部品から突出するブラシ毛を含む。
【0051】
C37:第三の態様によれば、第一の発明は、第一の発明の第一の態様による方法を用いて製造された少なくとも一つの圧力チャンバーを含む、一つまたは複数の圧力チャンバーの圧力を増加および減少させることによって、複数の歯位置を同時に処置するためのマウスピースを提供する。
【0052】
C38-40:第一の発明の第三の態様のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、歯列弓の複数の歯を包含するためのJ字形状またはU字形状の湾曲した長さ方向に構成される一つまたは複数のトラフを有する。本実施形態のさらなる実施形態によれば、壁部品は、トラフの壁を画定する。本実施形態の別のさらなる実施形態によれば、トラフは、湾曲した長さ方向に整列したトラフセクションを含む。
【0053】
C41:第一の発明の第三の態様の別のさらなる実施形態によれば、壁部品は、フレーム部品から離れた方向に壁部品から突出するブラシ毛を含む。
【0054】
C42:第一の発明の第三の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、圧力チャンバーと流体接続する圧力媒体コネクターを含む。
【0055】
C43:第一の発明の第三の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースはハンドルコネクターを含む。
【0056】
C45:第四の態様によれば、第一の発明は、第三の態様によるマウスピースと、マウスピースのハンドルコネクターなど、マウスピースへの着脱可能な取り付けのために構成されるハンドルとを含むシステムを提供する。第一の発明の第四の態様のさらなる実施形態によれば、ハンドルは、ブラシ毛を前後に移動するように圧力チャンバー(一つまたは複数)を交互に加圧および減圧するように構成される駆動部を含む。
【0057】
第二の発明の導入
第二の発明には、以下の表題を付与することができる。「一つまたは複数の圧力チャンバーの圧力を増加および減少させることによって複数の歯位置を同時に処置するためのトラフシステムを有するマウスピースを製造する方法、本方法で得られたマウスピース、および本方法で得られたマウスピースを含む処置システム」。
【0058】
第二の発明は、歯クリーニング装置などの歯処置装置、およびより具体的には、マウスピース内に配置される一つまたは複数の圧力チャンバーの圧力を増加および減少させることによって、複数の歯位置を同時に処置するためのトラフシステムを有するマウスピースを有する、歯ブラシ装置の分野に関する。これらの歯処置装置では、トラフシステムは、一つまたは複数の圧力チャンバー内の圧力を交互に増加および減少させることによって、前後に移動される処置要素を含んでもよい。これらの歯処置装置では、その中に提供されるマウスピースおよびトラフシステムは、歯列弓の左側または右側を処置するためのJ字形状、または歯列弓の右側および左側を同時に処置するためのU字形状であり得る。
【0059】
第二の発明の背景技術
人間と動物の歯のクリーニング、またはより一般的な人間と動物の歯の処置は、口腔の健康と内臓の健康の前提条件である。手動および電動の歯ブラシなど、さまざまな歯処置およびクリーニング装置が提供される。
【0060】
歯処置装置は、処置ヘッドを有する歯処置装置とマウスピースを有する歯処置装置とに分けられ得る。
【0061】
処置ヘッドを有する歯処置装置は、一端に処置ヘッドを有するロッドまたはハンドルを含む。使用中、処置ヘッドは口に挿入され、全ての歯位置に沿って手動で移動され、各歯位置が処置される。通常の歯ブラシの場合、処置ヘッドは、一度に一側面から歯をブラッシングするための実質的に平行なブラシ毛を含む。広範ではなく、ほとんど使用されていないが、三つの側面(舌側、顔面側、および咬合側)から同時に歯を処置するための処置ヘッドを有する歯ブラシも公知である。処置ヘッドを有する歯科装置が電力供給される場合、処置ヘッド上に設けられる処置要素は、一般にハンドル内に配置される電気モーターを含み、処置ヘッドに対して処置要素を移動させるための処置要素に機械的に結合される、移動システムによって処置ヘッドに対して移動される。
【0062】
マウスピースを有する歯処置装置は、複数の歯位置を同時に包含し、複数の歯位置を同時に処置するためのJ字形状またはU字形状のマウスピースを含む。一般に、マウスピースは、トラフ内に複数の歯を包含し、このトラフは、J字形状またはU字形状のトラフシステムを形成するように整列されたいくつかのトラフセクションを含み得る。上部歯列弓および下部歯列弓の歯を同時に処置するためのマウスピースの場合、マウスピースは一般的に、上部歯列弓の歯を包含するための上部トラフと、下部歯列弓の歯を包含するための下部トラフとを含む。マウスピースを有する歯クリーニング装置は、機械的観点から歯を受動的に処置するマウスピースを有する処置装置と、機械的観点から能動的に歯を処置するマウスピースを有する処置装置とに細分化され得る。受動的に処置するマウスピースの場合、トラフは一般に、マウスピースに対して移動されるマウスピース中のいかなる処置要素も伴わずに、歯に作用する化合物または放射線源を含む。積極的に処置するマウスピースでは、マウスピースは、トラフ内に配置され、マウスピースに対して移動する処置要素を含む。
【0063】
能動的に処置するマウスピースにおいて、処置要素は、マウスピース内に設けられた圧力チャンバーによって移動されてもよく、圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させることによって、マウスピースの残りの部分に対して処置要素の移動を引き起こすように、空気作動式または油圧操作され得る。これは公知である、例えば、出願人の以前のWO2018/199760およびWO2020/017963を参照のこと。
【0064】
第二の発明による一つまたは複数の圧力チャンバーを有するマウスピースにおいて、マウスピースは、以下のタイプである。
- マウスピースが、フレーム、フレームに対して可撓性である可撓性壁、およびフレームと可撓性壁との間の圧力チャンバーを含み、
- 可撓性壁が、歯位置の処置のために歯位置に作用するように構成される処置要素を含み、
- マウスピースが、圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させることによって、可撓性壁をフレームに対して前後移動に供するように構成さる。
【0065】
圧力チャンバー内の圧力は、第二の発明の(さらなる実施形態)によれば、交互のものとすることができ、交互のものとは、繰り返される前後移動を得るために、交互に増加および減少するものである。そのような圧力チャンバーは、そのようなものとして知られており、例えば、出願人の以前のWO2018/199760およびWO2020/017963を参照のこと。
【0066】
口の中で利用可能な限定された空間を考慮に入れて、圧力チャンバーによって引き起こされる動きは、可撓性壁によって構成される処置要素の前後移動に効率的に伝わり、それにより理想的な状況では、処置要素が、処置される歯位置に対してのみ移動する。これは、処置要素を含む可撓性壁が、圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させるときに変形可能である一方で、マウスピースの残りの部分は、圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させるときに変形を防止するべきであることを意味する。従って、圧力チャンバーは、フレームと壁との間に配置され、壁はフレームに対して可撓性である。
【0067】
使用される圧力に関して、歯を磨く時、歯茎が損傷する可能性があるため、歯に及ぼされる圧力は、特定の最大ブラッシング圧力未満に保たれることが公知である。このため、一般の電動歯ブラシは、「処置ヘッドを有する歯処置装置」の群に属し、ブラッシング中に最大圧力を超えたときにユーザーに警告システムを有することが多い。マウスピースを有する歯クリーニング装置に関連して、WO2020/017963の第2章から、圧力チャンバーの最大圧力が、+0.5バール(周囲圧力に対して)以下と低くてもよいことが公知である。従って、フレームに対する可撓性壁の可撓性は、比較的小さな圧力に関連し得る。
【0068】
このタイプのマウスピースを製造する場合、
- マウスピースが、トラフ、トラフ内部の可撓性壁、およびフレームと可撓性壁との間の圧力チャンバーを画定するフレームを含み、
- フレームに対して可撓性である可撓性壁が、歯位置の処置のために歯位置に作用するように構成される処置要素を含み、
- マウスピースが、圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させることによって、可撓性壁をフレームに対して前後移動に供するように構成され、
特に、トラフの製造は、マウスピース全体として利用可能なスペースが限られているため、実際にはかなり困難である。トラフは、i)上部または下部歯列弓の少なくとも右半分または左半分の周りに単一のトラフを備えたJ字形状のマウスピースの場合、ii)上部および下部歯列弓の少なくとも右半分または左半分の周りに二重のトラフを備えたJ字形状のマウスピースの場合、iii)上部または下部歯列弓の周りに単一のトラフを備えたU字形状のマウスピースの場合、およびiv)上部および下部歯列弓の周りに二重のトラフを備えたU字形状のマウスピースの場合を包含する。マウスピースが口に挿入されるとき、より多くの歯を同時に処置する時、より多くのボリュームを有するであろう。利用可能な限られたスペースの課題は、二重のトラフを有するU字形状のマウスピースで最も具体的であろうが、スリムな設計の利点は、一列の歯位置を同時に処置するための単一トラフまたは二重のトラフを有する他のマウスピースにも適用される。スリムなデザインは一つのものであるが、スリムなデザインに処置要素を含むトラフを備えたマウスピースを製造することは、経済的に多数で達成するのは非常に困難である。一方では、歯列弓に対して横方向のマウスピースの外形寸法は、可能な限り小さく維持する必要があり他方では、歯は、比較的小さい歯列弓に対して横方向であり、また圧力チャンバー、可撓性壁、および処置要素に対してトラフで利用可能な空間も、極めて限定されているわけではないが小さいことを意味する。
【0069】
従って、第二の発明の目的は、一つまたは複数の圧力チャンバーの圧力を増加および減少させることによって、複数の歯位置を同時に処置するためのトラフシステムを有するマウスピースを製造する代替的な方法を提供することである。さらなる目的は、上記の欠点または課題のうちの一つまたは複数を克服する、こうした方法を提供することである。もう一つのさらなる目的は、経済製造を、大きな数で、好ましくは低い拒絶率で、可能にすることができる、このような方法を提供することである。
【0070】
第二の発明の概要
C46:上記目的のうちの一つまたは複数は、一つまたは複数の圧力チャンバーの圧力を増加および減少させることによって、複数の歯位置を同時に処置するためのトラフシステムを有するマウスピースを製造する方法を提供することによって達成される、第二の発明の第一の態様によるものであり、
方法が、
- 板形状のフレーム部品が提供される、フレーム部品提供ステップであって、板形状のフレーム部品が、板形状のフレーム部品によって画定される平面において、細長部材から横断して突出する側面部材のセットを、二つ以上の間隔を置いたトラフ領域で、有する細長部材によって画定される、フレーム部品提供ステップと、
- 板形状のフレーム部品がシート状態にある間に、
- トラフ領域での板形状のフレーム部品の一方の面に、可撓性壁部品を提供することと、
- 可撓性壁部品を、トラフ領域に、一つまたは複数の取り付けループに沿って、板形状のフレーム部品に取り付けて、トラフ領域に、各取り付けループ、フレーム部品、および壁部品の間に囲まれた一つまたは複数の圧力チャンバーを提供することとを含む、圧力チャンバー製造ステップと、
- 一つまたは複数の圧力チャンバーを含む板形状のフレーム部品が、各トラフ領域で、関連する側面部材のセットが、細長部材の長さ方向にほぼ平行である折り畳み軸の周りに、トラフセクションの中空(凹)側上に一つまたは複数の圧力チャンバーを有するトラフセクションに折り畳まれ、およびトラフセクションがトラフシステムを画定するように整列された、折り畳み状態に折り畳まれた、折り畳みステップとを含む。折り畳み状態への折り畳みは、シート状態からのものであり得るが、以下でさらに論じるように、曲げステップで得られた屈曲状態からのものであり得る。
【0071】
本発明による方法は、板形状のフレーム部品で始まる。板形状のフレーム部品は、「本書」に従い、薄い層から作製された部分であり、薄いことは、層の平面における部品の寸法に関連している。本発明の実施形態では、薄いことは、例えば、最大約5mm、例えば、0.5~2.5、または1~2mmの範囲内であり得る。シート状態で、この板形状のフレーム部品は、板形状部のため、一般に、プラスチックの実質的に平坦な2次元部分であり、これは、少なくともその側面上で、前述の一つの面と呼ばれる、実質的に平坦な紙または金属シートのようであり、その上に可撓性壁部品が提供される。ただし、この板形状のフレーム部品は、リブおよび/または溝を有してもよく、および/または表面輪郭を有してもよく、および/または輪郭づけされてもよく、および/またはプレートの面に対して横方向の一体的な突起を有し得る。例えば、ユーザーがマウスピースを操作することを可能にするハンドルを取り付けるためのハンドルカップリングは、以下でさらに論じる図面に見られるように突起部として存在し得る。同様に、ハンドルカップリングにまだ組み込まれていない場合加圧媒体が一つまたは複数の圧力チャンバー内の圧力を増減するための入口および/または出口チューブ(部品)は、突出部として存在することができ、および/またはトラフに洗浄流体を供給するための入口チューブ(部品)内は、突起物として存在することができる。こうした突起は、第二の発明のさらなる実施形態によれば、板形状のフレーム部品の面(/側面)に存在してもよく、この面は、可撓性壁部品が提供される板形状のフレーム部品の前述の一側面から離れて面している。輪郭の例として、細長部材と側面部材との間の移行部は、輪郭づけされてもよく、例えば、このような移行部は、細長部材の長さ方向に見たとき、Z字形状の断面のようなものをもたらす、何らかの段差オフセットを有し得る。溝の例として、板形状のフレーム部品は溝を含んでもよく、圧力チャンバーが形成されるものは、圧力チャンバーへの圧力媒体の供給および/または排出のチャネルとしての役割を果たす。
【0072】
板形状のフレーム部品は、基本的に、トラフシステムの長さ方向をあらかじめ画定する長さ方向を有する細長部材と、板形状のフレーム部品の平面内で細長部材から横断して突出する側面部材のセットとからなる。側面部材の各セットが、トラフセクションが形成されるトラフ領域と呼ばれる場所に設けられる。トラフ領域は、得られた隣接するトラフセクションが間隔を空けるように、互いに対して間隔を空ける。側面部材の単一のセットが、細長部材の一方の側面から延在する一つの単一のフラップからなり得、または細長部材の一方の側面から延在する一方のフラップと、細長部材の対向する他方の側面から延在する他方のフラップと、二つのフラップからなってもよい。
【0073】
圧力チャンバーは、板形状のフレーム部品の一つの面上に可撓性壁部品を提供することによって、板形状のフレーム部品がシート状態にある間に製造される。可撓性壁部品は、この一つの面全体にわたって設けられ得るが、少なくともトラフ領域設けられる。板形状のフレーム部品がシート状態にある間、可撓性壁部品は、トラフ領域において、一つまたは複数の取り付けループに沿ってフレーム部品に取り付けられ、結果として、圧力チャンバーが取り付けループ、取り付けループによって囲まれたフレーム部品および壁部品の一部によって囲まれる。可撓性壁部品の提供およびそれのフレーム部品への取り付けは、例えば、第一の発明の主題であるように、オーバーモールドによって同時に行われてもよい。また、溶接または接着剤技術によって、あらかじめ組み立てられた壁部品をあらかじめ組み立てられたフレーム部品に取り付けることも考えられる。板形状のフレーム部品がシート状態(本質的に平坦な状態)にある間に圧力チャンバーを確立することは、トラフ領域への完全なアクセスを可能にする。トラフ領域がすでにトラフセクションを含む場合、これらのトラフの幅が小さいため、このアクセスが妨げられる。基本的に、板形状のフレーム部品は、板形状部のため、一方で折り畳みステップ(および任意選択で、まだ議論されていないさらなるステップに従って曲げる)において折り畳むことを容易にし、他方で圧力チャンバーを製造するための抑制されていないアクセスのためのほぼ平坦な表面をシート状態で提供する。
【0074】
可撓性壁部品に関しては、下記でさらに論じる図面に見られるように、可撓性壁部品は、歯間領域のような歯列弓の特定の部分への圧力チャンバーの拡張を方向づけるように構成される拡張ゾーンを提供するように、平坦であるか、または輪郭づけられ得ることに留意されたい。代替的にまたは追加的に、輪郭は、房の根を取り付けるためのゾーンを形成し得る。輪郭付き可撓性壁は、圧力チャンバー製造ステップの前、間、または後に作製され得る。あらかじめ組み立てられた壁部品の場合、輪郭は、例えば、輪郭のある壁部品を射出成形することによって得られ得る。また、熱成形を使用して、壁部品を所望の輪郭を有する輪郭のある壁部品に変形させてもよい。熱成形は、圧力チャンバー製造ステップの前に、フレーム部品に取り付けられるあらかじめ組み立てられた輪郭のある壁部品を提供するため使用され、またはあらかじめ組み立てられた部品を所望の輪郭のある壁部品内に熱成形するために使用される。しかしながら、壁部品を輪郭付けるための熱成形は、圧力チャンバー製造ステップの間または後にも使用され得る。
【0075】
次のステップ、折り畳みステップにおいて、板形状のフレーム部品(任意でシート内のシート(/本質的に平坦な)状態にあり得る)は、取り付けられる可撓性壁部品および結果として生じる圧力チャンバーとともに、各トラフ領域においてトラフセクションが作製されるように、側面部材の各セットを折り畳むことによって、3次元構成に変換される。各トラフ領域の圧力チャンバーは、トラフセクションの中空(/凹)側にあり、トラフセクションは、相互に整列して、相互に整列したトラフセクションによって形成されるトラフシステムを画定する。板形状のフレーム部品が、板形状のフレーム部品が(より)容易に折り畳む、あらかじめ画定される弱まった線を含むことが考えられるが、必須ではない。折り畳みステップは、例えば、折り畳みが作られる縁を提供する折り畳みツールを使用し得る。
【0076】
フレーム部品提供ステップに関して、フレーム部品が、あらかじめ組み立てられたフレーム部品として提供され得ることに留意されたい。しかしながら、可撓性壁部品は、射出成形型にインサートとして配置されるあらかじめ組み立てられた部品であり、その後、フレーム部品は、フレーム材料を射出成形型に注入することによって、オーバーモールドプロセスで作製されることも考えられる。さらに、フレーム部品および可撓性壁部品の両方が、両方とも、インインジェクション型へのインサートとして配置された、あらかじめ組み立てられた部品であり、また両方の部品が、取り付けを確立する追加の材料を型に注入することによって、一つまたは複数の取り付けループに沿って互いに取り付けられることも考えられる。
【0077】
C47:第二の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、フレーム部品提供ステップに提供される板形状のフレーム部品は、側面部材のセットが提供される、二つ、三つ、四つ、または五つまたはそれ以上のトラフ領域を有し得る。J字形状のマウスピースは、例えば、二つまたは三つのトラフセクションで可能であるが、より多くの貫通セクションも可能である。U字形状のマウスピースは、例えば、三つ、四つ、または五つの貫通セクションで可能であるが、この場合、より多くの貫通セクションが考えられる。
【0078】
C48:前述の「フレーム部品提供ステップ」に関連して、また第一の発明に関連してすでに述べたように、圧力チャンバー製造ステップは、第二の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、第一の発明の第一の態様(圧力チャンバーを製造する方法)による方法を含み得る。これは、例えば、フレーム部品層および壁部品層を有する層状構造を得るために、互いに層状に配列されたフレーム部品および壁部品を有する非常にスリムな設計をもたらし得る。
【0079】
C49:J字形状またはU字形状のトラフシステムを得るために、方法は、第二の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態(いわゆる「屈曲する実施形態」)によると、細長部材が、細長部材の長さ方向に横方向に、J字形状またはU字形状の構成に延在する、曲げ軸の周りで曲げられる、曲げステップをさらに含み得る。この曲げは、長さ方向に対して見たとき、例えば、細長部材の直線状態から始まり得る。
【0080】
用語「折り畳み軸」に関する用語「曲げ軸」、用語「折り畳みステップ」に関する用語「曲げステップ」、およびより一般的には、より一般的には、用語「折り畳み」に関する用語「曲げる」に関して、これらの用語には、「曲げる」および「折り畳み」という言葉は、機能間を区別する意図のみである(「曲げる」に対するトラフシステムのJ/U形状を形成する、vs「折り畳み」に対するトラフセクションの形成)。異なる言葉を使用する代わりに、各「折り畳み」を「第一の折り畳み」で置換し、各「曲げ」を「第二の折り畳み」で置換するか、または逆に、各「曲げ」を各「第二の曲げ」で置換し、および各「折り畳み」を各「第一の曲げ」で置換することによって、同じ区別を得る。さらに、曲げに関しても、板形状のフレーム部品が、板形状のフレーム部品(より多い)が容易に曲げられる、あらかじめ画定される弱まった線を含むことが考えられるが、必須ではないことに留意されたい。曲げステップは、例えば、曲げがなされる縁部を提供する折り畳みツールを使用し得る。
【0081】
C50:「曲げ実施形態」の別のさらなる実施形態によれば、曲げステップは、第二の発明の第一の態様によれば、折り畳みステップの前で、折り畳みステップと同時に、または折り畳みステップの後に行われてもよい。
【0082】
C51-54:「曲げ実施形態」の別のさらなる実施形態によれば、フレーム部品提供ステップに提供される板形状部品の側面部材の各セットが、細長部材の長さ方向にほぼ平行な細長部材の側面に取り付けられる単一のフラップを含み、折り畳みステップでは、
- 第一の前述の折り畳み軸が、細長部材と各前述の単一のフラップとの間の境界に、かつそれに沿って、設けられ、
- さらなる前述の折り畳み軸が、各前述の単一のフラップに提供され、さらなる折り畳み軸が、第一の折り畳み軸からある距離に配置され、第一の折り畳み軸と同じ方向に延在する。
【0083】
本実施形態のさらなる実施形態によれば、単一のフラップ(または等価に全ての第一の折り畳み軸)は、例えば、取得されたマウスピースのトラフセクションが細長部材の舌側(すなわち、凹面または中空面)に配置されるように、細長部材の同じ側上に提供される。これにより、取得されたマウスピースの側壁、本質的に中断のない表面を有し、ユーザーの口の中にある組織がマウスピースに刺さること(舌側よりも顔面側で大きな問題である)が防止される、舌または顔面の側壁をもたらす。本実施形態では、板形状のフレーム部品は、そのシート状態で、直線/細長部材の一方または両側にフラップを有する本質的に直線状の部材(細長部材)である。しかしながら、代替的なさらなる実施形態によれば、板形状部品は、そのシート状態で、一つまたは複数のジグザグを呈し、その結果、製造されるとき、マウスピース内で、両側に、リンクが、長さ方向に見たとき、整列しない、それぞれのリンクによって中間トラフセクションに接続される隣接するトラフセクションを有する中間トラフセクションをもたらす。例えば、第一の隣接するトラフセクションとのリンクは、トラフセクションの顔面側に設けられる一方、第二の隣接するトラフセクションとのリンクは、舌側に設けられる。第三の発明で明らかにされるように、これは、マウスピースがその湾曲した長さ軸の周りのねじれを防止するのに役立ち得る。
【0084】
C55:「曲げ実施形態」の別のさらなる実施形態によれば、その湾曲した長さ方向に関して柔軟なマウスピースを、曲げステップで提供される曲げが、J字形状またはU字形状の構成の湾曲をユーザーの歯列弓の形状に適合させることを可能にする、および/またはJ字形状またはU字形状の構成が、ユーザーの歯列弓に沿って前後に移動するとき、ユーザーの歯列弓に適合するのを可能にする永久的可撓性丁番を提供するように構成される一体丁番を含む場合、得ることができる。
【0085】
C56:「曲げ具現化」の代替案として、第二の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態(さらに「J/U字形プレート部分」実施形態と呼ばれる)によれば、J字形またはU字形のトラフシステムが、フレーム部品提供ステップにおいて、長さ方向がJ字状またはU字状であり、第一の長手方向側面および第二の長手方向側面を有する板形状部分を設けることによって、得られ、フレーム部品提供ステップで提供される板形状のフレーム部品の側面部材の各セットは、
- 第一の長手方向側面に取り付けられる第一の側面フラップと、
- 第二の長手方向側面に取り付けられる第二の側面フラップとを含み、
折り畳みステップにおいて、
- 第一の前述の折り畳み軸が、細長部材と各前述の第一の側面フラップとの間の境界に、かつそれに沿って、設けられ、
- 第二の前述の折り畳み軸が、細長部材と各前述の第二の側面フラップとの間の境界に、かつそれに沿って設けられる。
【0086】
C57:「J/U形プレート部分」の実施形態の別のさらなる実施形態によれば、第二の発明の第一の態様によれば、製造されたマウスピースの湾曲した長さ方向に対する柔軟性は、フレーム部品提供ステップで提供される板形状部分の細長部材の第一の長手方向側面が、第一の切り抜きを含む場合、フレーム部品提供ステップで設けられた板形状部分の細長部材の第二の長手方向側面が、第一の切り抜きとは反対側に第二の切り抜きを含む場合、および第一の切り抜きと第二の切り抜きが、第一の切り抜きと対向する第二の切り抜きの各対の間に一体丁番を提供するように構成され、J字形またはU字形の長さ方向の湾曲をユーザーの歯列弓の形状に適合させることを可能にする永久的可撓性丁番を提供する場合、に得られる。
【0087】
C58:上部歯列弓および下部歯列弓の少なくとも一部を同時にブラッシングするためのマウスピースを得るために、第二の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、フレーム部品提供ステップは、二つの前述の板形状のフレーム部品を提供してもよく、前述の板形状のフレーム部品が、
- 圧力チャンバー製造ステップ、
- 折り畳みステップ、および
- 任意で曲げステップの後に、
互いに結合する。
【0088】
この接続は、トラフセクションを互いに強固に取り付けている取り付け部であり得る。しかし、第三の発明に関連して明らかにされるように、この接続は、トラフセクションが、マウスピースの湾曲した長さ方向に対して横切る方向に互いに対してシフトするような、互いに対して移動することを可能にする可撓性取り付け部であり得る。
【0089】
C59:第二の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、可撓性壁部品は、製造されたマウスピースにおいてブラシ毛がトラフ内に突出するように、フレーム部品から離れた方向に可撓性壁から突出するブラシ毛を含んでもよく、または含まなくてもよい。
【0090】
C60:第二の(ならびに第一および第三の)発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、板形状部品および/または壁部品は、プラスチックを含むか、またはプラスチックで作製される。
【0091】
C64:第二の態様によれば、第二の発明は、第一の発明の第一の態様による方法によって取得または製造されたマウスピースを提供する。
【0092】
C65:第三の態様によれば、第二の発明は、第二の発明請求項18に記載の第二の態様によるマウスピースと、ブラシ毛などの処置要素を前後に移動させるために圧力チャンバーを交互に加圧および減圧するように構成される駆動部とを含むシステムを提供する。
【0093】
第三の発明の導入
第三の発明は、これらの歯位置で歯および/または歯茎などの複数の歯位置を同時に処置するためのU字形状マウスピースに関する。処置は、ブラッシングによってもよい。
【0094】
第三の発明の背景技術
こうしたマウスピースは公知であり、例えば、U字形状マウスピースを有する歯ブラシ装置を示す、出願人のWO2018/199760およびWO2020/017963を参照のこと。これらのタイプの歯ブラシは、上部歯列弓、下部歯列弓を受けるための上部トラフおよび下部トラフを有するU字形状マウスピースを有する。上部および下部トラフの内側に、ユーザーの全ての歯を同時にブラッシングするための駆動システムによってマウスピース本体に対して動作するブラシ毛が提供される。出願人のWO2018/199760およびWO2020/017963では、駆動システムは、歯ブラシ装置のハンドルのマウスピースの外側に配置されるポンプなどの圧力装置によって交互に加圧および減圧される圧力チャンバーを含む。また、U字形状のマウスピースを有する他の歯ブラシ装置は、例えば、ブラシ毛を動作させるための他の駆動システムで公知である。
【0095】
U字形状のマウスピースを備えたこの種の歯ブラシ装置は、U字形状のマウスピースのサイズを最小化するためのあらゆる努力にもかかわらず、マウスピースが依然として口の中に置かれるべき比較的大きな物体であることが共通する。特に口の奥、恵歯の領域では、これは不快感をもたらし得る。大きな物体が口の中に遠くに挿入される場合、例えば、歯科医師が、歯科印象を作るためにいわゆるスプーンを挿入する場合に、咽頭反射が生じる場合がある。
【0096】
ほとんどの人は口の奥が敏感なので、咽頭反射を引き起こさないように、マウスピースは非常に正確にフィットする必要がある。これは、低価格、消費者への適応、使いやすさのためには、「一つのサイズが全てに適合する」か、または「いくつかのサイズが全てに適合する」かが重要な大衆市場向けの消費者製品の製造において、相反するものである。マウスピースが長すぎる場合、咽頭反射がトリガーされ、マウスピースが短すぎる場合、全ての歯が完全にブラッシングされるわけではない。
【0097】
US2012/255137(Chang)およびWO2019/198911(Ziagle)を参照すると、一つの上部トラフ(上部アーチの歯を受けるための一つの上部歯受けセクション、および一つの下部トラフ(下部アーチの歯を受けるための一つの下部歯受けセクション)を有する、約3~4歯の長さを有する単一の湾曲したマウスピース本体を有する小さなスライドブラシが、ことが公知である。この単一の本体は、ハンドル上に取り付けられ、ブラッシングするために、ハンドルが、マウスピース本体を一つの位置で歯列弓に沿って短い距離に前後に移動させるために使用される。その一つの位置で、歯がブラシで磨かれたとき、マウスピースは、その位置で歯をきれいにするために、小さな距離に前後に移動する別の位置に移動する。これらの歯ブラシ装置は、通常の歯ブラシと同程度の優れたブラッシングスキルを必要とし、全ての歯がブラッシングされること、および通常の歯ブラシのように、かなりの時間を要することを念頭に置く必要がある。
【0098】
WO2018/198116(Dentver)は、上部歯列弓、その後(同時にではないが)下部歯列弓をブラッシングするための三つの歯受けセクションを有するU字形状マウスピースを有する歯ブラシを示す。各歯受けセクションは、スパイン部分およびスパイン部の両側から延在するフラップ部上に配置されるいくつかのブラシ毛支持要素を有する。ブラシ毛支持要素は、この構造により互いにかなり間隔を置いており、結果としてブラシ毛のカバーがよくなく、結果としてブラッシング作用がよくない。マウスピースは、歯列弓の前歯のための中央歯受けセクション、歯列弓の右側の歯を受けるための右歯受けセクション、および歯列弓の左側の歯を受けるための左歯受けセクションを有する。歯受けセクションは、可撓性リンクによって互いに結合され、さらに、歯受けセクションは、隣接するサブセクション間の可撓性リンクとともにサブセクションにサブ分割される。ハンドルは、Vに配置された二つのアームを有し、Vの点で、アームはハンドルのハンドグリップ部に取り付けられ、Vの自由端では、右アームは右の歯受けセクションの最も後部端に取り付けられ、左アームは左の歯受けセクションの最も後部端に取り付けられ、右/左の歯受けセクションの遠隔端は中央セクションから離れた端部である。WO2018/198116のマウスピースは、歯列弓に沿って前後に移動される。WO2018/198116によれば、ブラシ毛の前後移動は、左アームを引きながら右アームを延伸し、その後右アームを引きながら左アームを延伸することを交互にする電気駆動部によって達成される。このようにして、歯受けセクションは、その瞬間、Vの伸びるアームによって引っ張られる。使用中、V字型のアームが口のコーナー(つまり、上唇と下唇が一方から他方に移動する場所)を通って伸び、このコーナーで唇に触れ、歯列弓に沿って前後の移動に対して振動し、さらに高い周波数で振動してブラシ毛要素をさらに起動し、アームの振動がユーザーの顔面組織に伝達されることにより、ユーザーに不快感を与える結果となる。さらに、歯列弓に沿ったWO2018/198116の歯ブラシの電動移動は、咽頭反射を引き起こさない、および/または全ての歯をブラシで磨くわけではないという、正確な嵌合の問題を解決せず、および咽頭反射を引き起こすのに寄与するユーザーの制御下にはない。
【0099】
US 2010/0062397 (Ryca)は、i)上部歯列弓の片側(右または左)の歯をクリーニングするための上部歯列弓部(上部歯列弓部が、使用時に中切歯から智歯まで(およびそれを含む)伸びる)、ii)下部歯列弓の片側(右または左)の歯をクリーニングするための下部歯列弓部(下部歯列弓部が、使用時に中切歯から智歯まで(およびそれを含む)伸びる)、iii)上部と下部歯列弓部の間に配置される膨張式ブラダー、iv)ユーザー用のハンドル、およびv)ハンドルを膨張式ブラダーに取り付けるハンドルアタッチメント、を有して、J字形状の歯ブラシを示す。このJ字形状の歯ブラシは、全ての歯を一緒にブラシで磨くように、歯列弓の左側または右側の全ての歯を一緒に覆うためのものである。そのため、この歯ブラシはユーザーの口の奥まで伸び、かつ、咽頭反射を引き起こす。この歯ブラシは、例えば、フレックスギャップと呼ばれる方法によって、ユーザーの口の形状に調整するか、またはそれに適合するために可撓性にすることができるが、この歯ブラシは、歯列弓に沿った変位に適しておらず、歯列弓に沿って変位することができない。これは、ハンドルが、マウスピースの上部と下部部品の間に位置し、非常に可撓性である膨張可能なブラダーに取り付けられ、例えば、バイト制限器を必要とし、従って、マウスピースを歯列弓に沿って動かすために、力を上部歯列弓部および下部歯列弓部に伝達させることができないためである。さらに、WO2018/198116と同様に、ブラシ毛のカバーは比較的貧弱である。
【0100】
US2011/185525(Philips社)は、上顎および下顎の全ての歯を収容するのに十分な大きさのU字形状マウスピース本体を示す(段落[0013]を参照されたい)。このマウスピース本体は、マウスピース本体の前部端に、マウスピース本体を口の中への挿入および口からの取り出しのために二つの指の間にマウスピースを掴むことを可能にする小さなハンドル要素を有する。このマウスピース本体は、さまざまな歯列弓構成を収容するために、マウスピース本体の側面セクション、すなわちU字形状の脚が、マウスピース本体の前部セクション、すなわちU字形状の曲がりに対してやや横方向に移動することを可能にする丁番を含む(段落[0015]を参照されたい)。このマウスピースは、上顎と下顎の全ての歯を一度に収容するようにサイズ設定されるため、ユーザーの歯列弓に沿って移動することは意図されておらず、またユーザーの歯列弓の前部端では、こうした移動のために残された空間が単にないため、歯列弓に沿って移動することもできない。さらに、二本の指の間で掴まれる小さなハンドル要素は、こうした動きに必要な力を伝達するのには不適切である。この小さなハンドル要素が、使用時に、水と歯磨き粉が原因で滑りやすくなるため、これがより当てはまる。
【0101】
第三の発明は、それらの位置にある歯および/または歯茎などの複数の歯位置を同時にブラッシングするための代替的なU字形状マウスピースを提供することをその目的とする。第三の発明のさらなる目的は、上述の問題のうちの一つまたは複数を克服する、U字形状マウスピースを提供することである。第三の発明の別のさらなる目的は、使用時において快適なU字形状マウスピースを提供することである。
【0102】
第三の発明の概要
C66:第三の発明の第一の態様にしたがい、これらの目的のうちの一つまたは複数が、中立位置とシフト位置との間でユーザーの歯列弓に沿ってマウスピースを前後に移動するときに、複数の歯位置を同時にブラッシングするなど、複数の歯位置を同時に処置するためのJ字形状またはU字形状のマウスピースを提供することによって達成され、
中立位置に画定され、マウスピースが、ユーザーの歯列弓の中切歯(の位置)に位置する前部端と、ユーザーの歯列弓の臼歯(の位置)に位置する後部端とを有し、
マウスピースが、
- ブラッシング要素などの処置要素を含む複数のトラフセクションのセットであって、
- マウスピースのJ字形状、U字形状の湾曲した長さ方向に沿って配置され、
- ユーザーの上部または下部歯列弓の複数の前歯位置および後歯位置の両方を、同時に受けて処置(ブラッシングなど)するように構成されるトラフセクションのセットと、
- セットのトラフセクションをトラフセクションのトレインに結合し、
- マウスピースが、中立位置とシフト位置との間の歯列弓に沿って、前後に移動することを可能にし、
- 中立位置とシフト位置との間で歯列弓を前後に移動するときにマウスピースを歯列弓に適合させるように構成される、可撓性リンクと、
- マウスピースに、例えば、トラフセクションの少なくとも一つに取り付けられ、ハンドルに移動力を印加することによって、トラフセクションのトレインを歯列弓に沿って前後に移動させるように取り付けるように構成される、ハンドルカップリングとを含み、
ハンドルカップリングが、マウスピースの前部端に設けられ、ハンドルカップリングに印加される移動力を、移動方向で見たとき、ハンドルカップリングの前方の全てのトラフセクションが、ハンドルカップリングの押作用によって前進し、移動方向で見たとき、ハンドルカップリングの後方の全てのトラフセクションが、ハンドルカップリングの引作用によって前進するように、トラフセクションのトレインに伝えるように、構成される。
【0103】
トラフセクションは、一つまたは複数の歯を受容または包含するセクションである。トラフセクションはまた、第三の発明に関するだけでなく、第二の発明および第一の発明に関するものでも、歯受けセクションと呼ばれ得る。
【0104】
歯学において通常そうであるように、本書では、前歯という用語は、第一および第二小臼歯、第一および第二大臼歯、および恵歯である臼歯から区別される、中切歯、側切歯、および犬歯に対する群として言及する。対応すると、歯列弓の前方ゾーンは、前歯の歯位置を含む歯列弓のゾーンであり、歯列弓の後方ゾーンは、臼歯を含む歯列弓のゾーンである。
【0105】
第三の発明によるマウスピースの前方部分は、
- 中立位置にあり、前歯の範囲内に延在し、ユーザーの歯列弓の全ての前歯とオーバーラップしてもよく、
- シフト位置では、臼歯の少なくとも一部と重なるマウスピースのその部分として定義される。
【0106】
第三の発明によるマウスピースの後方部分は、中立位置において、臼歯のみと重複する部分として定義される。第三の発明によれば、マウスピースは、中立位置とシフト位置との間で歯列弓に沿って移動可能であり、第三の発明によるマウスピースの後方部分は、中立位置では、必ずしも全ての臼歯とオーバーラップするわけではない。さらに、マウスピースの後方および前方部分は、トラフセクションに対してではなく、マウスピースに対して画定されることに留意されたい。これに関して、例えば、下記のことが想定される。
- マウスピースが、マウスピースの前方部分内に完全にある一つの単一のトラフセクションを有し、従って、中立位置において、前歯のみ(必ずしも全ての前歯ではない)と重複し、一方でシフト位置において、前歯および臼歯の両方と重複し得るか、または前歯のみと重複し得る。
- マウスピースは、マウスピースの前方部分ならびに後方部分に延在するトラフセクションを有し、従って、中立位置で、前歯および臼歯の両方とオーバーラップするが、シフト位置では、シフトの方向に応じて、臼歯または前歯とのみオーバーラップし得る。
【0107】
J字形状マウスピースの場合、マウスピースは、中立位置において、本質的に歯列弓の半片に延在するため、一つの後部端を有する。U字形状マウスピースの場合、マウスピースは、中立位置において、本質的に歯列弓の二つの半片に延在するため、二つの後部端を有する。両方の場合、マウスピースが中立位置にある状態で、ハンドルカップリングは、マウスピースの前部端に設けられる。従って、使用中かつ中立位置にあるとき、ハンドルカップリングは、歯列弓の前面でユーザーの歯列弓の中心軸上に位置し、または、言い換えれば、ハンドルカップリングは、ユーザーの唇の真ん中に、いわば、位置する。U字形状マウスピースの場合、これを煮詰めると、ハンドルカップリングがU字形状の屈曲セクションの真ん中に提供される。
【0108】
第三の発明に従って、トラフセクションは、例えば、一つのマスターである唯一のハンドル接続が、全てのスレーブであるトラフセクションを制御する、マスター-スレーブ構成に、いわば、配置される。基本的に、第三の発明によるマウスピースは、ハンドルがマウスピースに取り付けられ得る、いわば、一つの単一のハンドルカップリングを有する。中切歯に最も近いトラフセクションに係合するように(直接作用するように)(トラフセクションが、中央トラフセクションと名称が付けられている)、およびハンドルから(ハンドル接続を介して)マウスピースに伝達される力が、他のトラフセクション上でではなく、中央トラフセクション上で作用するように、マウスピースの前部端のみ、すなわちU字形状の歯列弓の屈曲の中心に、すなわち、中切歯で、ハンドルカップリングを配列することが、以下をもたらす。
- ユーザーの唇によって画定される正常な経路が、例えば、角において、これらの唇を不適当に張力をかけたり伸張させたりすることなく、マウスピースを歯列弓に沿って前後に移動させるために使用され得る。
- ハンドルおよびハンドル接続が、使用中に、歯列弓の後方ゾーンに来ないか、またはほぼ近くに来ない。
- 歯列弓に沿ったマウスピースの前後の移動が、ハンドル(接続)で、中立位置において、歯列弓の後方ゾーンにある後方トラフセクションに直接的に移動力を印加することなく、存在する。歯列弓の後方ゾーンのトラフセクションに印加される移動力は、中央トラフセクション(歯列弓の前方ゾーンのトラフセクション)、および中央トラフセクションと他のトラフセクションとの間のリンクを介して間接的である。歯列弓の後方ゾーンのトラフセクションに直接移動する力を加えると(第三の発明によればそうではない)、不快感を容易に引き起こすであろう。大臼歯で疾患または炎症を起こした歯茎の場合、痛みが生じ得る。さらに、処置またはブラッシング圧力が高すぎる場合がある。
- 例えば、WO2018/199760およびWO2020/017963に示されるように、マウスピースに関して見るとき、U字形状マウスピースの脚は、良好なブラッシングのためには十分に到達していない恵歯および第二大臼歯なしに、少し短くすることができる。
【0109】
第三の発明の第一の態様のさらなる実施形態によれば、トラフセクションはそれぞれ、少なくとも一つまたは二つの歯を包含するように構成される受けいれトラフを有する。第三の発明によるマウスピースでは、ブラッシングは、トラフセクション上に提供され、突出リブまたは突出フラップのような歯をブラッシングするように構成される任意のブラッシング要素で達成され得るが、このさらなる実施形態のさらなる実施形態によれば、トラフセクションは、歯をブラッシングするためにトラフ内に突出するブラシ毛を含んでもよい。
【0110】
C67:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、可撓性リンクは、歯列弓によって形成されるモノレールに沿って前後に移動可能なトラフセクションのモノレールトレインを提供するように構成される。このモノレールトレインの言語で言えば、駆動機関車は、U字形状のマウスピースの場合であり、例えば、トレインの真ん中に、いわば、配置され、非電動ワゴンが駆動移動機関の左右に配置される。
【0111】
C68:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、一つまたは複数のプラスチック材料で作製される。
【0112】
C69-71:出願人は、高い快適さおよび良好なブラッシング作用のために、可撓性リンクによって接合された歯受けセクションを有するU字形状マウスピースが、湾曲した長さ方向に対してあまりにも柔軟すぎないことが重要であることを一方で見出した。
【0113】
出願人は、可撓性リンクによって接合された歯受けセクションを有するマウスピースがあまりにも可撓性である場合、歯受けセクションが、マスター-スレーブ構成で押し出される際に、歯列弓に対して整列しなくなる可能性があることを発見した。不整列により、トラフセクションは、鉛直軸の周りで互いに対して座屈する。この座屈により、歯受けセクションの縁が歯茎または歯に押し付けられる。これにより、歯茎および歯を害する不快感を生じさせ得、プラークを除去する際のブラッシング作用の有効性を減少させ得る。また、トラフセクションの縁が二つの歯の間のギャップに固着することによる不具合も生じ得る。言い換えれば、マウスピースは柔軟でなければならないが、以下を防止するためにあまり柔軟すぎないようにするべきである(または、言い換えれば、十分に硬い)。
- 歯列弓に対するトラフセクションの不整列、および/または
- 互いに対する、および/または歯列弓に対するトラフセクションの座屈、および/または
- 歯ブラシの効果が低い、または効果がないようにさせる、高すぎる、または低すぎるブラッシング圧力。
【0114】
(トレインのように配置され)可撓性リンクで接合されたトラフセクションを有するU字形状マウスピースでは、マウスピースの可撓性は、可撓性リンクの可撓性が関連性のある役割を果たす、マウスピース全体の構造によって決定される。
【0115】
C69:一般に、柔軟性があるが柔軟すぎないという要件は、以下と表現することができる、第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態をもたらす。第三の発明の第一の態様によるマウスピースであって、マウスピースおよび/または可撓性リンクが、十分に剛性のある柔軟性に関して、frasaco GmbHの基本的AG-3歯モデル(32本の歯を有する)でシミュレートされ得るように、ハンドル、歯列弓に沿って、マスター-スレーブ構成においてのハンドルカップリング[または中央トラフセクション]によって押し出されるときに、トラフセクションが、以下になるのを防止するよう構成される。
- 鉛直軸の周りに、歯列弓に対して(および/または互いに対して)座屈すること、または
- 歯列弓に対する(および/または互いに対する)不整列。
【0116】
C70:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態(制限されたねじりの実施形態と呼ばれる)によれば、トラフセクションは舌側壁と顔面側壁を有し、隣接するトラフセクション間の可撓性リンクは、マウスピースの前部端を所定の位置に保持したまま、マウスピースの後部端を中立位置から歯列弓の中心軸に向かって1cm移動させたとき、鉛直に対する舌側および顔面側壁の角度の変化が、frasaco GmbHのAG-3モデルの第二小臼歯から第一大臼歯の領域で、最大で10°または最大で5°など、最大15°であるように、構成される。出願人は、シリコン製のマウスピースなど、あまりにも可撓性のあるマウスピースが歯列弓に沿って力を受ける場合、これらのマウスピースが、マウスピースの湾曲した長さ軸の周りのねじれが強くなり、その結果、片側の歯茎に対する圧力が上昇し、対向側の歯茎に対する圧力が低下し、その結果、歯茎に不快感が生じ、害を及ぼす可能性がある、と発見した。これらの影響は、トラフセクションの舌側壁および/または顔面側壁を十分に可撓性にすることによって抑制され得るが、しかしこれはブラッシング作用を減少させる。出願人は、マウスピースの湾曲した長さ軸に関して、可撓性リンクにねじりの柔軟性を提供することによって、これらの影響が抑制され得ることを発見した。例えば、これは、歯の一方の側(舌側、顔面側、または咬合側)にのみ可撓性リンクを提供し、およびそれぞれのリンクおよび湾曲した長さ軸に対して横方向に見るとき、マウスピースが歯の前述の側の他方で開かれるように維持することによって達成することができる。
【0117】
限定ねじり実施形態のさらなる実施形態によれば、可撓性リンクのうちの一つまたは複数は、10~18mmまたは10~15mmの範囲など、少なくとも8mmまたは少なくとも10mmであり得る。さらにさらなる実施形態では、少なくとも8mmのこれらのリンクは、i)隣接するトラフの顔面壁を接続するためにマウスピースの顔面側に配置され、およびii)追加で任意選択的に、マウスピースの少なくとも一部が、マウスピースの前方部分に、延在する位置に配置され、マウスピースの中立位置で、少なくとも8mmのリンクが、前歯に沿って延在する。マウスピースのこの前方部分は、マウスピースの曲率半径が最も曲がっている(=他よりも曲率半径が小さい)部分である。マウスピースの顔面側における少なくとも8mmのリンクのさらにさらなる実施形態では、顔面側で少なくとも8mのリンクによって接続される隣接するトラフセクションの閉塞壁(すなわち、底部)の間にギャップが提供される。
【0118】
C71:マスター-スレーブ構成で押し出されるときにトラフセクションのトレインの不整列、または座屈が、スレーブがマスターよりも少なく変位する結果になることを考慮すると、第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、柔軟性があるが柔軟すぎないという要件が、以下の文言で表現され得る。第三の発明の第一の態様に係るマウスピースは、マウスピースおよび/または可撓性リンクは、十分に剛性のある柔軟性に関して、ハンドルカップリング[または中央トラフセクション]]が-マスター-スレーブ構成のマスターとして-歯列弓に沿ってXcmの距離超中立位置から移動したとき、マウスピースの一つまたは二つの後部端が、マスタースレーブ構成のスレーブとして、ハンドルカップリングと同じ方向に、歯列弓に沿って少なくともYcmの距離超移動するように構成され、Yは、Xの少なくとも80%またはXの少なくとも90%など、Xの少なくとも70%であり、Xは、約1cmなど、1~2cmの範囲である。これは、frasaco GmbHの基本的AG-3歯モデル(32本の歯を有する)で測定され、上部および下部モデル半片は、5Nの力で共に押される。
【0119】
C73-74:第三の発明の第一の態様のさらなる実施形態によれば、十分に剛性を有する柔軟性を有するように構成されるマウスピースおよび/または可撓性リンクを有することは、以下のように表現し得る。
第三の発明の第一の態様によるマウスピースであって、
マウスピースが、複数のトラフセクションの二つの前述のセット、上部歯列弓のための第一のセット、および下部歯列弓のための第二のセットを含む、U字形状(完全)マウスピースであり、
マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の拡大に対する抵抗FAWを有し、抵抗FAWは、少なくとも1.2N(Nはニュートンを意味する)など、少なくとも0.6Nであり、
抵抗FAWが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Qを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Qで、
- およびマウスピースの外向きに作用する力として定義される。
および/または(すなわち、追加的または代替的に)、
第三の発明の第一の態様によるマウスピースであって、
マウスピースが、複数のトラフセクションの二つの前述のセット、上部歯列弓のための第一のセット、および下部歯列弓のための第二のセットを含む、U字形状(完全)マウスピースであり、
マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の狭小化に対する抵抗FANを有し、抵抗FANは、少なくとも2.4N(Nはニュートンを意味する)など、少なくとも2Nであり、
抵抗FANが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Pを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Pで、
- およびマウスピースの内向きに作用する力として定義される。
【0120】
U字形状のハーフマウスピース(すなわち、下歯または上歯のみを包含するための複数のトラフセクションの一つの前述のセットのみを有するマウスピース)の場合、FANおよびFAWに対する力は、(この段落における)上記のFANおよびFAW値の約50%となる(例えば、U字形状のフルマウスピースにおける2.4NのFANは、U字形状のハーフマウスピース1.2Nに対するものである)。
【0121】
C75-77:一方、出願人は、柔軟性があるが柔軟すぎない(または言い換えれば、柔軟性があるが充分に硬い)とは対照的に、高い快適さおよび良好なブラッシング作用のために、可撓性リンクによって接合された歯受けセクションを有するJ字形状またはU字形状のマウスピースが、湾曲した長さ方向に対して硬すぎない(または十分に可撓性である)ことが重要であると発見した。硬すぎると、マウスピースの歯列弓への適合能力が低下し、トラフセクションの内側壁または外側壁が、歯列弓に近すぎる場所で局所的にブラッシング圧力が上昇し、またトラフセクションの内側壁または外壁が、歯列弓から遠すぎる場所では低下(しかし、問題が少ない)する結果となる。ブラッシング圧力の上昇は、歯茎の変性を引き起こし、不快感の原因となり得る。ブラッシング圧力の低下は、ブラッシング作用の減少を生じ得る。
【0122】
言い換えれば、マウスピースは、柔軟性があり十分に硬いものでなければならないが、また、歯列弓に沿って前後に移動するときに、マウスピースが歯列弓に適合する十分な能力を有することを保証するために、硬すぎない(または十分に可撓性であるべき)ものでなければならない。またこの点では、押し出される常にスレーブを持つマスター-スレーブ構成が役割を果たす。なぜなら、歯列弓の後方ゾーンのトラフセクションに直接的に作用するハンドルによって常にトラフセクションを引くとき、ブラッシング作用の望ましくない変化が、引き動作を操作することによって抑制され得るからである。
【0123】
(トレインのように配置され)可撓性リンクで接合されたトラフセクションを有するU字形状マウスピースでは、マウスピースの可撓性は、可撓性リンクの可撓性が関連性のある役割を果たす、マウスピース全体の構造によって決定される。
【0124】
C75-77:歯列弓に沿って前後に移動するときに、マウスピースが歯列弓に適合する能力が不十分であることが、特に大臼歯においてブラッシング圧力の増加をもたらすことになることを考慮すると、第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によると、十分に可撓性であることの要件は、以下の文言で表現され得る。
第三の発明の第一の態様によるマウスピースであって、マウスピースおよび/または可撓性リンクが、トラフセクションが中立位置の右または左に1cmのシフト位置にあるとき、マウスピースによって臼歯に及ぼされるブラッシング圧力が、ブラッシング要素のいかなる起動なく、最大で3ニュートン/cm、好ましくは最大で2ニュートン/cm、例えば最大で1ニュートン/cmであるように構成される。[これは、frasaco GmbHの基本的AG-3歯モデル(32本の歯を有する)で測定される]。
および/または(すなわち、追加的または代替的に)、
第三の発明の第一の態様によるマウスピースであって、
マウスピースが、複数のトラフセクションの二つの前述のセット、上部歯列弓のための第一のセット、および下部歯列弓のための第二のセットを含む、U字形状(完全)マウスピースであり、
マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の拡大に対する抵抗FAWを有し、その抵抗FAWは、最大2.2N(Nはニュートンを意味する)など、最大で3Nであり、
抵抗FAWが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Qを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Qで、
- およびマウスピースの外向きに作用する力として定義される。
および/または(すなわち、追加的または代替的に)、
第三の発明の第一の態様によるマウスピースであって、
マウスピースが、複数のトラフセクションの二つの前述のセット、上部歯列弓のための第一のセット、および下部歯列弓のための第二のセットを含む、U字形状(完全)マウスピースであり、
マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の狭小化に対する抵抗FANを有し、抵抗FANは、最大3.3N(Nはニュートンを意味する)など、最大4Nであり、
抵抗FANが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Qを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Qで、
- およびマウスピースの内向きに作用する力として定義される。
【0125】
U字形状のハーフマウスピース(すなわち、下歯または上歯のみを包含するための複数のトラフセクションの一つの前述のセットのみを有するマウスピース)の場合、FANおよびFAWに対する力は、(この段落における)上記のFANおよびFAW値の約50%となる(例えば、U字形状のフルマウスピースにおける3.3NのFANは、U字形状のハーフマウスピース1.65Nに対するものである)。
【0126】
第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、以下を含む。
第三の発明の第一の態様によるマウスピースであって、
マウスピースが、複数のトラフセクションの二つの前述のセット、上部歯列弓のための第一のセット、および下部歯列弓のための第二のセットを含む、U字形状(完全)マウスピースであり、
マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の拡大に対する抵抗FAWを有し、抵抗FAWが、1.2N~3Nの範囲、または1.2N~2.2Nの範囲、または0.6N~3Nの範囲(Nはニュートンを意味する)など、0.6N~2.2Nの範囲であり、
抵抗FAWが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Qを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Qで、
- およびマウスピースの外向きに作用する力として定義される。
および/または(すなわち、追加的または代替的に)、
第三の発明の第一の態様によるマウスピースであって、
マウスピースが、複数のトラフセクションの二つの前述のセット、上部歯列弓のための第一のセット、および下部歯列弓のための第二のセットを含む、U字形状(完全)マウスピースであり、
マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の狭小化に対する抵抗FANを有し、抵抗FANは、2.4N~4Nの範囲、または2.4N~3.3Nの範囲、または2N~3.3Nの範囲(ニュートンを意味する)など、2N~4Nの範囲であり、
抵抗FANが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Pを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Pで、
- およびマウスピースの内向きに作用する力として定義される。
【0127】
U字形状のハーフマウスピース(すなわち、下歯または上歯のみを包含するための複数のトラフセクションの一つの前述のセットのみを有するマウスピース)の場合、FANおよびFAWに対する力は、(この段落における)上記のFANおよびFAW値の約50%となる(例えば、U字形状のフルマウスピースにおける2.4NのFANは、U字形状のハーフマウスピース1.2Nに対するものである)。
【0128】
C72:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、複数のトラフセクションの二つの前述のセット、上部歯列弓の第一のセット、および第一のセットに取り付けられる、下部歯列弓の第二のセットを含む。
【0129】
C78:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、複数のトラフセクションの二つの前述のセットと、上部歯列弓用の第一のセットと、下部歯列弓用の第二のセットとを含む、U字形状(フル)のマウスピースであり、U字形状のマウスピースが、frasaco GmbHの基本的AG-3歯モデルの上部および下部モデル半片の間に配置され、マウスピースがAG-3モデルの下歯と上歯を取り囲みながら、モデル半片を5Nの力で押し付けた場合、
- AG-3モデルの歯列弓の中心軸に垂直な方向にハンドルカップリングに印加され、
- マウスピースを中立位置からAG-3モデルの歯に沿って1cm移動するのに要求される力が、
最大17.5ニュートンまたは最大15ニュートンなど、最大20ニュートンである。U字形状のハーフマウスピース(すなわち、下歯または上歯のみを包含するための複数のトラフセクションの一つの前述のセットのみを有するマウスピース)の場合、前述の力は、U字形状のフルマウスピースのフルの70~100%の範囲内、すなわち最大で24.5~35ニュートン、または最大で21~30ニュートンなど、最大で28~40ニュートンである。下歯と上歯の両方を包含するJ字形状のフルマウスピースの場合、U字形状のハーフマウスピースと同じ値が適用され得る。
【0130】
C79-81:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、J字形状またはU字形状のマウスピースの脚の長さが、フル歯列弓をブラシで磨くことができる一方で快適さを増加させるために減少され得る。この点において、マウスピースを口の片側の口の奥深くにのみ挿入し、この深部挿入を一時的のみとし、ハンドルを手動で操作するユーザーの完全な制御下で、この深部挿入を片側に行うことによって、咽頭反射が低減されることに注意すべきである。これらの実施形態の第一のものは、第三の発明によるマウスピースと表現することができ、frasaco GmbHの基本的AG-3歯モデル(32本の歯を有する)の歯列弓に沿って見たとき、マウスピースの長さは第二大臼歯が中立位置でマウスピースの外側にあり、第一大臼歯がさらなる実施形態ではマウスピースの内側にあり得るように存在し、マウスピースは、歯列弓に沿って前後に中立位置から智歯の位置まで(およびそれを含む)移動するように構成される。これらの実施形態の第二は、第三の発明によるマウスピースと表現することができ、frasaco GmbHの基本的AG-3歯モデル(32本の歯を有する)の歯列弓に沿って見たとき、マウスピースの長さは第一大臼歯が中立位置でマウスピースの外側にあり、第二小臼歯がさらなる実施形態ではマウスピースの内側にあり得るように存在し、マウスピースは、歯列弓に沿って前後に中立位置から智歯の位置まで(およびそれを含む)移動するように構成される。これらの実施形態の第三は、第三の発明によるマウスピースと表現することができ、frasaco GmbHの基本的AG-3歯モデル(32本の歯を有する)の歯列弓に沿って見たとき、マウスピースの長さは第一大臼歯が中立位置でマウスピースの外側にあり、第二小臼歯がさらなる実施形態ではマウスピースの内側にあり得るように存在し、マウスピースは、歯列弓に沿って前後に中立位置から第二大臼歯の位置まで(およびそれを含む)移動するように構成される。この第三の実施形態は、特に、恵歯を持たないユーザーに有用であり得る。
【0131】
C82-83:第三の発明の第一の態様のさらに別のさらなる実施形態によれば、中立位置で、frasaco GmbHの基本的AG-3歯モデル(32本の歯を有する)の前方部分に少なくとも部分的に位置する、前述のトラフセクション(一つまたは複数のトラフセクションであり得る)は、少なくとも一つまたは少なくとも二つの歯を取り囲むように構成され、顔面壁部品および舌側壁部品によって区切られる受けいれトラフを有し、湾曲した長さ方向で見たとき、舌側壁部品の長さが、顔面壁部品の長さよりも短い。マウスピースの前方部分のトラフセクションの舌側壁部品の長さが、このトラフセクションの顔面壁部品の長さよりも短くなることにより、歯列弓の前方弓状セクションに沿ったトラフセクションのより滑らかな移動が可能になり、歯科弧の前方弓状セクションは、右から左第一の小臼歯までのセクションである。本実施形態のさらなる実施形態によれば、舌側壁部品の長さが、湾曲した長さ方向で見たとき、顔面壁部品の長さの最大75%である。これにより、湾曲した長さ方向に見たとき、舌側壁の端部が隣接する歯の間の凹部に刺さることを防止する。
【0132】
C84:二つの前述のセットのトラフセクションを有する第三の発明の第一の態様のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、歯列弓に沿って前後に移動するとき、第一のセットが上部アーチに第一の構造をとることができ、第二のセットが下部歯列弓に第二の構造をとることができるように構成され、第一の構造が第二の構造とは異なってもよい。本実施形態によれば、第一のセットおよび第二のセットが、歯列弓に沿って見たとき、ほぼ同じ距離にわたって変位されるが、互いに異なって屈曲することが許容される。第一のセットと第二のセットが異なるように曲がるのを許容することで、歯列弓に沿って前後に移動しているとき、マウスピースが上部と下部歯列弓が、通常の場合と同様に、異なるアーチ形状を持っている場合、および/または互いに対してずれている場合、歯列弓の一つまたは歯列弓の両方の一つまたは複数の歯がずれている場合、またはユーザーの上部歯列弓または下部歯列弓に他の不規則性がある場合、それ自体を適応させることを可能にする。
【0133】
C85-86:第一のセットと第二のセットが異なるように曲げることができる、第三の発明の第一の態様のさらに別のさらなる実施形態によれば、第一のセットの少なくとも一つのトラフセクションは、可撓性の接続によって接続されるセクションが、歯列弓に対して横切る水平方向に互いに対して移動できるように構成される可撓性の接続によって、鉛直方向に見たとき、第二のセットのトラフセクションの隣接する一つに接続される。可撓性の接続は、第一のセットのJ字形状またはU字形状の脚が、第二のセットのJ字形状またはU字形状の隣接する脚から分離するのを防ぐ一方で、これらの脚の動きの自由度が、上部および/または下部歯列弓の凹凸に適合することを可能にする。可撓性の接続は、例えば、対応するよう構成されるペンスリット接続によって達成され得る。ペンは、例えば、鉛直に隣接するトラフセクションの一方に取り付けられる鉛直ペンであってもよく、一方、スリットは、鉛直に隣接するトラフセクションの他方に提供され、歯列弓に対して実質的に横方向に延在する。本実施形態のさらなる実施形態によれば、前述の接続によって接続されるトラフセクションは、中立位置にあり、マウスピースの後方部分に配置される。
【0134】
C87-89:第一のセットと第二のセットが異なる方向に曲がることが許容される、第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、取り付けは、第一のセットを前部端で第二のセットに取り付ける。この取り付けは、例えば、ハンドル接続によって、または第一のセットと第二のセットとの間の追加の取り付け構造によって確立され得る。第一のセットおよび第二のセットをマウスピースの前部端で互いに取り付けることは、スレーブ(トラフセクション)の共通マスターとして作用する、ハンドル接続において寄与する。本実施形態のさらなる実施形態によれば、取り付けは、第一および第二のセットが、前部端で鉛直軸の周りで互いに対して回転するのを可能にするように構成される可撓性取り付け部であってもよく、および/または取り付けは、第一および第二のセットが、取り付け場所における互いに対し並進移動を防止するように構成され得る。第一のセットおよび第二のセットを互いに対して回転させることは、歯列弓の前方弓状セクションの凹凸に適合することができることを導入する。第一のセットおよび第二のセットが互いに対して並進移動することを防止することで、トラフセクションにハンドルカップリングを介してハンドルで及ぼされる力によって、第一のセットおよび第二のセットが、下部および上部歯列弓に沿ってほぼ同じ距離にわたって移動することを確実にする。
【0135】
C90:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、前述の各トラフセクションは、湾曲した長さ方向の顔面(または凸面)側での顔面壁部品によって、および湾曲した長さ方向の舌側(または凹側)で舌側壁部品によって、その長さに沿って区切られる受けいれトラフ、および顔面壁部品および舌側壁部品からトラフ内に突出するブラシ毛を有する。
【0136】
C91:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、顔面壁部品および舌側壁部品は、例えば、出願人のWO2018/199760およびWO2020/017963の事例のように、圧力チャンバーを交互に加圧および減圧することによって、受けいれトラフ内に顔面壁部品および舌側壁部品のブラシ毛を前後に移動するように構成される圧力チャンバーを含む。
【0137】
C92:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、顔面壁部品の圧力チャンバーおよび/または舌側壁部品の圧力チャンバーは、第一の発明の第一の態様による方法を用いて製造される。これに関して、単一のトラフセクションのレベルで、一つのさらなる実施形態によれば、このトラフセクションの顔面壁部品の圧力チャンバーと、このトラフセクションの舌側壁部品の圧力チャンバーは、二つの間の流体接続により、単一の圧力チャンバーとして作用する、一つの単一の圧力チャンバーまたは二つの圧力チャンバーであり得ることに留意されたい。しかし、依然として単一のトラフセクションのレベルでは、このトラフセクションの舌側壁部品の圧力チャンバーは、マニホールドまたは供給/排出チャネルを介して任意で接続されるが、このトラフセクションの顔面壁部品の圧力チャンバーから分離されることが想定される。トラフセクションの全てまたは一部のレベルでは、さらなる実施形態によれば、異なる受けセクションの圧力チャンバーの全てまたは一部は、圧力チャンバー間の流体接続により、単一の圧力チャンバーとして作用する、一つの単一の圧力チャンバーまたは複数の圧力チャンバーであり得ることに留意されたい。しかし、トラフセクションの全てまたは一部のレベルでは、異なるトラフセクションの圧力チャンバーは、マニホールドまたは供給/排出チャネルを介して任意で接続されるが、互いに分離されていることも考えられる。
【0138】
C93:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、前述のセットの複数のトラフセクションは、三つまたは四つまたは五つのトラフセクションなど、少なくとも二つのトラフセクションを含む。
【0139】
C94:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、可撓性リンクは、二つのそのような軸などの少なくとも一つの鉛直回転軸を画定し、その周りで、前述のそれぞれのリンクによって接合された隣接するトラフセクションは、互いに対して回転可能である。従って、可撓性リンクは、二つの丁番などの少なくとも一つの丁番を含んでもよく、または提供し得る。例えば、可撓性リンクがトラフセクションに取り付けられる場所では、これは丁番によってもよい。
【0140】
C95:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、実質的に全ての可撓性リンク(必ずしも可撓性リンクの各々ではない)は、トラフセクションの顔面側(または凸面)など、湾曲した長さ軸の顔面側(または凸面)に設けられる。そうすることで、マウスピースの顔側が、マウスピースが前後に移動する際に歯列弓に適合することにより、そのような凹みが小さくなる場合、ユーザーの口の中の組織、特に唇や頬の組織が引っかかる可能性がある、凹みのない面となりえる。内側が小さくなることによる凹みは、ユーザーが舌を操作してこれらの凹みから守ることができるため、問題が少ない。
【0141】
C96:可撓性リンクのほとんどは、マウスピースの顔面(または凸面)側に設けることが好ましいが、第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、湾曲した長さ方向に沿って見たとき、前述のトラフセクションの一端上の可撓性リンクは、湾曲した長さ方向の顔面(または凸)側に配置されてもよく、一方、この一端の反対側の端にある可撓性リンクは、湾曲した長さ方向の舌側(または凹面)に配置される。マウスピースの内側面で一つの端部に、およびマウスピースの外側面の対向端部に可撓性リンクを有するトラフセクションを有することは、歯受けセクションが湾曲した長さ方向によって画定される、その湾曲した長さ軸の周りを回転することを防止するのに役立つ。
【0142】
C97:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースの後部端におけるトラフセクションの側壁は、マウスピースの後部端において、トラフセクションの残りの側壁に対して可撓性がありこれらの側壁の端部の広がりが、恵歯における顎骨の広がりに適合することを可能にするように構成される。恵歯の近くの口の奥深くで、歯が突出する上顎骨および下顎骨の基部がそこに広がる骨および/または歯肉によって広がる。これは不快感を引き起こすか、またはマウスピースが歯列弓に沿ってさらに移動することを妨げる可能性がある。マウスピースの側壁を、マウスピースの残りの側壁よりもより柔軟な中央セクションとは反対側に面するマウスピースの端部に構成することで、マウスピースをこの広がりにより簡単に適合させ、不快感を軽減し、マウスピースを端部まで移動させることができる。例えば、マウスピースの側壁の後部端は、軟質材料または容易に曲がる弾性材料から作製され得る。
【0143】
C98:本発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、U字形状のマウスピースであり、ハンドル接続は、マウスピースのU字形状の湾曲部分の中心に設けられる。
【0144】
C99:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、第一の発明の第三の態様によるマウスピースである。
【0145】
C100:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、第二の発明の第一の態様による方法を用いて製造されたマウスピースである。
【0146】
C101:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、マウスピースは、第二の発明の第二の態様によるマウスピースである。
【0147】
C102-103:第三の発明の第一の態様の別のさらなる実施形態によれば、トラフセクションはそれぞれ、少なくとも一つまたは少なくとも二つの歯を包含するように構成される受けいれトラフを有する。本実施形態のさらなる実施形態によれば、トラフセクションは、歯を磨くためにトラフ内に突出するブラシ毛を有し得る。
【0148】
C107:第三の発明の第二の態様によれば、第三の発明は、以下を含むシステムに関係する。
- 第三の発明の第一の態様によるマウスピース、および
- ハンドルカップリングへの取り外し可能な離脱のために構成されるハンドル。
【0149】
C108-109:第三の発明の第二の態様のさらなる実施形態によれば、ハンドルは、トラフセクションのトラフ内でブラシ毛を駆動して前後に移動させるように構成される駆動部を含む。この第二の態様の別のさらなる実施形態によれば、この駆動部はポンプを含んでもよく、圧力チャンバー(一つまたは複数)を交互に加圧および減圧するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0150】
本発明を、図面を参照してさらに説明する。これらの図面では、
【0151】
図1図1は、歯列弓の概略を示す。図1Aは、下部歯列弓の歯および上部歯列弓の歯を平面図で示す。図1は、歯位置を有する上部歯列弓と、歯列弓を画定する三つの直交軸のシステムを示す。
【0152】
図2図2は、第一、第二および第三の発明による、第一または第二の発明による方法を用いて作製したU字形状マウスピースの実施例を斜視図で示す。
【0153】
図3図3は、第一、第二および第三の発明による、第一または第二の発明による方法を用いて作製したJ字形状マウスピースの例を斜視図で示す。
【0154】
図4図4は、図2および3のマウスピースの断面IVを示す。図4Aは、減圧圧力チャンバーを有する断面を示し、図4Bは、加圧圧力チャンバーを有する断面を示す。
【0155】
図5図5は、図2および3のマウスピースの断面Vを示す。図5Aは、減圧圧力チャンバーを有する断面を示し、図5Bは、加圧圧力チャンバーを有する断面を示す。
【0156】
図6図6は、第一、第二および第三の発明によるシステムを斜視図および概略的に示す。
【0157】
図7図7は、第一の発明による方法の第一の実施形態を示す。図7Aは、オーバーモールド可能なインサートを有する射出成形型の断面を示す。図7Bは、得られた圧力チャンバーの断面を示し、図7Cは、同じ圧力チャンバーの上面図を示す。
【0158】
図8図8は、図7の方法で得られた圧力チャンバーの変形を示す。図8Aは、断面および減圧状態における取得された圧力チャンバーを示す。図8Bは、断面および加圧状態における取得された圧力チャンバーを示す。図8Cは、上面図の図8Aおよび8Bの圧力チャンバーを示す。
【0159】
図9図9は、第一の発明による方法の第二の実施形態を示す。図9Aは、フレーム部品の断面を示す。図9Bは、中間層を含むフレーム部品の断面を示す。図9Cは、オーバーモールド可能なインサートを有する射出成形型の断面を示す。図9Dは、減圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。図9Eは、加圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。図9Fは、同じ圧力チャンバーの上面図を示す。
【0160】
図10図10は、第一の発明による方法の第三の実施形態を示す。図10Aは、フレーム部品の断面を示す。図10Bは、中間層を含むフレーム部品の断面を示す。図10Cは、オーバーモールド可能なインサートを有する射出成形型の断面を示す。図10Dは、減圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。図10Eは、加圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。
【0161】
図11図11は、第一の発明による方法の第三の実施形態を示す。図11Aは、フレーム部品の断面を示す。図11Bは、中間層を含むフレーム部品の断面を示す。図11Cは、オーバーモールド可能なインサートを有する射出成形型の断面を示す。図11Dは、減圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。図11Eは、加圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。
【0162】
図12図12は、図11に従って得られた圧力チャンバーの変形を断面で示す。
【0163】
図13図13は、図11に従って得られた圧力チャンバーのさらなる変形を断面で示す。
【0164】
図14図14は、第一の発明による方法の第四の実施形態を示す。図14Aは、オーバーモールド可能なインサートを有する射出成形型の断面を示す。図14Bは、減圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。図14Cは、加圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。
【0165】
図15図15は、第一の発明による方法の第四の実施形態を示す。図15Aは、オーバーモールド可能なインサートを有する射出成形型の断面を示す。図15Bは、減圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。図15Cは、加圧状態で取得された圧力チャンバーの断面を示す。
【0166】
図16図16は、第一の発明に従って得られた圧力チャンバーのさらなる変形を断面で示す。
【0167】
図17図17は、第一の発明に従って得られた圧力チャンバーの別のさらなる変形を断面で示す。
【0168】
図18図18は、第一の発明に従って得られた圧力チャンバーのさらに別の変形を断面で示す。
【0169】
図19図19は、マウスピースを製造するための第一の発明による方法の例を概略的に示す。図19Aは、第一のステップを表す、図19Bは、第二のステップを表す、図19Cは、減圧状態において取得されたマウスピースを示し、図19Dは、加圧状態において取得されたマウスピースを示す。
【0170】
図20図20は、マウスピースを製造するための第一の発明による方法の別の実施例を概略的に示す。図20Aは、第一のステップを表す、図20Bは、第二のステップを表す、および図20Cは、減圧状態において取得されたマウスピースを示す。
【0171】
図21図21は、マウスピースを製造するための第一の発明による方法のさらなる例を概略的に示す。図21Aは、第一のステップを表す、図21Bは、第二のステップを表す、図21Cは、減圧状態において取得されたマウスピースを示す。
【0172】
図22図22は、フレーム部品に機械的に取り付けられる中間層を有する第一の発明によるマウスピースの実施例を断面で示す。
【0173】
図23図23は、第一の発明によるマウスピースのさらなる実施例を断面で示し、図23Aは減圧状態にあるマウスピースを示し、図23Bは加圧状態にあるマウスピースを示す。
【0174】
図24図24は、第一の発明によるマウスピースのさらなる実施例を断面で示し、図24Aは減圧状態にあるマウスピースを示し、図24Bは加圧状態にあるマウスピースを示す。
【0175】
図25図25は、第一の発明によるマウスピースのさらなる実施例を断面で示し、図25Aは減圧状態にあるマウスピースを示し、図25Bは加圧状態にあるマウスピースを示す。
【0176】
図26図26は、第一の発明によるマウスピースのさらなる実施例を断面で示し、図26Aは減圧状態にあるマウスピースを示し、図26Bは加圧状態にあるマウスピースを示す。
【0177】
図27図27は、第一の発明によるマウスピースの水平上面図を示す。
【0178】
図28図28は、第二の発明のフレーム部品提供ステップを可視化し、図28Aは上面図で提供されるフレーム部品を示し、図28Bは斜視図で提供されるフレーム部品を示す。
【0179】
図29図29は、第二の発明の折り畳みステップを可視化し、図29Aは上面図を示し、図29Bは斜視図を示し、図29Cは側面図を示す。
【0180】
図30図30は、第二の発明の曲げステップを可視化し、図30Aは上面図を示し、図28Bは斜視図を示す。
【0181】
図31図31は、第二の発明において、上部マウスピース部品と下部マウスピース部品とを組み合わせるステップを可視化する。
【0182】
図32図32は、ブラシ毛を含む可撓性壁の斜視図の分解図を概略的に示す。
【0183】
図33図33は、図32の詳細を断面で概略的に示す。
【0184】
図34図34は、第二の発明の圧力チャンバー製造ステップを可視化し、図34Aは、フレーム部品および壁部品の提供を示し、図34Bは、互いに取り付けられるフレーム部品および壁部品を示し、図34Cは、折り畳みステップを可視化し、図34Dは、曲げステップを可視化し、図34Eは、上部マウスピース部品と下部マウスピース部品とを組み合わせるステップを可視化する。
【0185】
図35図35は、図34Bの詳細を断面で概略的に示す。
【0186】
図36図36は、第二の発明による方法によって取得可能なマウスピースの第二の実施形態を概略的に示す。
【0187】
図37図37は、第二の発明による方法によって取得可能なマウスピースの第三の実施形態を概略的に斜視図を示し、図37Aは上面図を示し、および図37Bは斜視図を示す。
【0188】
図38図38は、第二の発明による方法によって取得可能なマウスピースの第四の実施形態を概略的に斜視図を示し、図38Aは、そのシート状態の板形状のフレーム部品を示し、図38Bはマウスピースの上面図を示し、図37Cはマウスピースの斜視図を示す。
【0189】
図39図39は、第三の発明によるマウスピースの基本を概略的に示し、図39Aは、中立位置にあるマウスピースを示し、図39Bは、第一の極端な位置にあるマウスピースを示し、図39Cは、中立位置にあるマウスピース(再び)を示し、図39Dは、第二の極端な位置にあるマウスピースを示す。
【0190】
図40図40は、第三の発明によるマウスピースの第一の実施例を概略的に示し、図40Aは斜視図であり、図40Bは歯列弓上に重ねられた中立位置の上面図である。
【0191】
図41図41は、上面図に、第三の発明によるマウスピースの第二の実施例を概略的に示す。
【0192】
図42図42は、上面図に、第三の発明によるマウスピースの第三の実施例を概略的に示す。
【0193】
図43図43は、上面図に、第三の発明によるマウスピースの第四の実施例を概略的に示す。
【0194】
図44図44は、柔軟性が高すぎるマウスピース(図44A)、硬すぎるマウスピース(図44B)、および第三の発明によるマウスピースの可視化を示す。
【0195】
図45図45は、上部フレーム部品が下部フレーム部品とは異なって曲がることを可能にする、第三の発明によるマウスピースの可視化を概略的に示し、図45Aは中立位置を示し、図45Bは上部および下部マウスピース部品の異なる構造を有するシフト位置を示し、図45は、図47Aおよび図47Bの特徴を有するマウスピースの斜視図を概略的に示す。
【0196】
図46図46は、上部マウスピース部品の下部マウスピース部品への可撓性取り付け部を上面図で、また非常に概略的に示す。
【0197】
図47図47は、本発明によるマウスピースのトラフセクションの側壁の後部端を概略的に示し、図47Aは、問題の起源およびその解決策を概略的に示し、図47Bは、最も後方トラフセクションの後部端の実施例を詳細に示す。
【0198】
図48図48は、ねじりの柔軟性に関連する問題を概略的に可視化し、図48Aは中立位置を示し、図48Bは変形状態を示す。
【0199】
図49図49は、実験セットアップを概略的に示し、図49Aは、小型マウスピースでセットアップされ、図49Bは、中マウスピースでセットアップされ、図49Cは、大型マウスピースでセットアップされる。
【0200】
図50図50は、第三の発明によるマウスピースのさらなる実施形態の詳細を概略的に示し、図50Aは、第一の状態にあるトラフシステムの後部端の斜視図を示し、図50Bは、第二の状態にあるトラフシステムの後部端の斜視図を示し、図50Cは、歯列弓に対する図50Aの概略側面図を示し、図50Dは、歯列弓に対する図50Bの概略側面図を示す。
【0201】
図51図51は、図28に示すものよりも詳細である、シート状態にある板形状のフレーム部品のさらなる図として概略的に示す。図51Aは、図28Bに類似した斜視図であり、図51Bは、図51Aの矢印および破線で示される断面LI-LIである。
【0202】
図面の詳細な説明
図1Aは、より概略的に上部歯列弓1および下部歯列弓2を平面図で示す。各歯列弓は通常、各歯科医師に公知の命名法に従って命名される歯を有する16の歯位置を有する。この命名法を使用して、図1Aは、以下を示す。
- 恵歯と呼ばれる右上第三大臼歯3Uおよび右下第三大臼歯3L、
- 右上第二大臼歯4Uおよび右下第二大臼歯4L、
- 右上第一大臼歯5Uおよび右下第一大臼歯5L、
- 右上第二小臼歯6Uと右下第二小臼歯6L、
- 右上第一小臼歯7Uと右下第一小臼歯7L、
- 右上犬歯8Uおよび右下犬歯8L、
- 右上側切歯9Uおよび右下側切歯9L、
- 右上中切歯10Uおよび右下中切歯10L、
- 左上中切歯11Uおよび左下中切歯11L、
- 左上側切歯12Uおよび左下側切歯12L、
- 左上犬歯13Uおよび左下犬歯13L、
- 左上第一小臼歯14Uおよび左下第一小臼歯14L、
- 左上第二小臼歯15Uおよび左下第二小臼歯15L、
- 左上第一大臼歯16Uおよび左下第一大臼歯16L、
- 左上第二大臼歯17Uおよび左下第二大臼歯17L、および
- 恵歯と呼ばれる左上第三大臼歯18Uおよび左下第三大臼歯18L。
【0203】
さらに、一般的に使用される命名法によれば、犬歯8U、8L、13U、13L、側切歯9U、9L、12U、12L、および中切歯10U、10L、11U、11Lは図1Aの灰色で示される前歯と呼ばれ、および全ての大臼歯3U、3L、4U、4L、5U、5L、16U、16L、17U、17L、18U、18Lおよび小臼歯6U、6L、7U、7L、14U、14L、15U、15Lは図1Aの白で示される臼歯と呼ばれる。
【0204】
図1Bは、歯位置4~16を有する上部歯列弓1の非常に概略的な一部を斜視図に示す。各歯位置は、鉛直の破線で示される。各歯位置は通常、各歯科医師に公知の命名法に従って命名される歯を含む。歯位置7は、例えば、右上第一小臼歯7Uの歯位置である。図1Bでは、右上第二大臼歯の歯位置は示されておらず、また、恵歯、右および左の上第三大臼歯の歯位置も示されていない。
【0205】
参照番号19は、歯位置の弧の舌側を示す。舌側19は、内側が舌に面する歯位置の弧の内側である。参照番号20は、歯位置の弧の顔面側を示す。顔面側20は、外側が頬および唇のように顔に面している歯位置の弧の外側側である。
【0206】
図1Bはさらに、x軸X、y軸Y、およびz軸Zを含む、三つの相互に直交する軸のシステムを示す。z軸Zは、歯列弓1、2の輪郭に沿った湾曲した軸である。x軸Xおよびy軸Yは、互いに垂直であり、歯列弓1、2に対して実質的に平坦で垂直なxy平面を画定する。すなわち、z軸上の位置と交差する各xy平面は、その位置で、湾曲したz軸Zに対して垂直である。z軸Zは、湾曲した長さ方向を画定する。z軸Zおよびy軸Yは、z軸に沿って見たとき、湾曲したzy平面を画定し、歯弧の形状に類似した弧形状である。さらに、z軸Zおよびx軸Xは、zx平面を画定し、x軸Xおよびy軸Yは、xy平面を画定する。
【0207】
本文書の範囲で使用されるように、用語「J字形状またはU字形状の長さ方向」および「U字形状の断面」を参照すると、「J字形状またはU字形状の長さ方向」は、図1BのU字形状のz軸Zに関連し、「U字形状の断面」は、図1Bのxy平面に関連する。
【0208】
図2は、第一、第二および第三の発明による、第一または第二の発明による方法を用いて作製されるU字形状のマウスピース30の実施例の概略斜視図を示す。
【0209】
図2のマウスピース30は、上部歯列弓を処置するための上部部品40と、下部歯列弓を処置するための下部部品50とを有する。上部部品40は、トラフシステム42、つまり図2において、そのU字形状の湾曲した長さ軸41によって表される、上部トラフシステムを有する。湾曲した長さ軸41を有するこの上部トラフシステム42は、上部歯列弓1の複数の歯位置(または歯)を同時に包含するように構成される。下部部品50は、トラフシステム52、つまり図2においてU字形状の湾曲した長さ軸51によって表される下部トラフシステムを有する。湾曲した長さ軸51を有するこの下部トラフシステム52は、下部歯列弓2の複数の歯位置(または歯)を同時に包含するように構成される。下部および上部トラフシステムは、それぞれ一つの連続的なトラフ(図示せず)として形成され得る。しかしながら、各トラフシステムは、不連続なトラフシステムを提供するために、トラフシステムの湾曲した長さ軸に沿って整列され、複数のトラフセクションを含んでもよい。図2に示す実施形態では、上部トラフシステム42は、不連続な貫通システム42を提供するために、湾曲した長さ軸41に沿って整列し、リンク44および46によって接続される、三つのトラフセクション43、45および47を含む。全てのトラフセクションおよびリンクが図2で可視されているわけではないが、図2の実施形態の下部トラフシステム52にも同様に適用される。下部トラフシステム52は、不連続な貫通システム52を提供するために、湾曲した長さ軸51に沿って整列し、リンク56によって接続される、三つのトラフセクション53、57を含む。
【0210】
二重矢印32、33、および34で概略的に示されるように、マウスピース30は、使用時に、ユーザーの前歯(全て)とオーバーラップするか、またはそれに沿って位置する前方部分32、および使用時に、臼歯の少なくとも一部とオーバーラップするか、またはそれに沿って位置する二つの後方部分33および34を有する。マウスピース30は、矢印35で示される一つの前部端と、矢印36および37で示される二つの後部端とを有する。マウスピースの後部端36、37は、使用中に口の中で最も深い端であり、いわば、U字形状の外端である。前部端は、使用中、切歯の口の前部にある端であり、いわば、U字形状の外側で、右半分および左半分でマウスピースを均等に分割する仮想水平線上のU字形状の中央にある。第三の発明に関して以下でさらに説明する通り、図2のマウスピースは、使用時に、ユーザーの歯の爪に沿って前後に移動されるが、上述の前方部分32、後方部分33、34および前部端35は、中立位置または中間位置に画定され、図2は、その中立位置のマウスピースを示すことに留意されたい。中立位置では、マウスピースは、口に挿入されるとき、歯列弓の中心軸21に対して中心にある(図1Aを参照されたい)。マウスピース30が、歯列弓に沿って、右側のシフト位置に移動されたとき(図2の矢印R)、前方部分32および後方部分33および34は、歯列弓に対して移動され、以下をもたらす。
- 左後方部分33が、左臼歯の少なくとも一部と重複するだけでなく、左前歯の少なくとも一部と重複すること、
- 前方部分32が、もはや前歯(全て)と重複するのではなく、右臼歯の一部とも重複していること、
- 右後方部分34が依然として右臼歯だけと重複していること、および
- 前部端35が、もはや歯列弓の中心軸21(図1A-を参照のこと)上には存在しなくて、歯列弓の中心軸20の右側(またはマウスピースが左に移動した場合、その逆)に存在することをもたらす。
【0211】
さらに図2を参照すると、マウスピース30は、ユーザーがマウスピース30を操作することを可能にする、ユーザー用のハンドルを取り付けるように構成されるハンドルカップリング31を含む。このハンドルカップリング31は、マウスピースの前部端35設けられる。従って、中立位置では、ハンドルカップリングは、歯列弓の中心軸の中切歯の前方にあり、シフト位置では、それは、シフトの量に応じて、右もしくは左切歯の前方、または右もしくは左犬歯の前方、または右もしくは左第一小臼歯の前方、またはおそらく右もしくは左第二小臼歯の前方、またはそれらの間の任意の位置にあり得る。
【0212】
各トラフセクションは、ブラッシング要素を含む。図2を明確に維持するために、いくつかのブラッシング要素38のみが、トラフセクション47および57に非常に概略的に示される。これらのブラッシング要素は、第一、第二および第三の発明によれば、歯をブラッシングするのに好適な任意の種類のものであり得る。図2に示すように、これらのブラッシング要素はブラシ毛であり、房状に配置される。しかしリブまたは型押しされた表面構造などの他のブラッシング要素も、特許請求の範囲によって定義される第一、第二および第三の発明の範囲内で非常によく考えられる。
【0213】
図2は、いわゆるU字形状のフルマウスピース30を示す。特許請求の範囲によって定義される第一、第二および第三の発明の範囲内において、マウスピースはまた、いわゆるU字形状ハーフマウスピース(図示せず)であり得る。U字形状のハーフマウスピースでは、マウスピース30の上部部品40(または下部部品50)が欠落しており、残りの部分が、歯列弓の一つを処置した後、マウスピースを口から取り外し、それを水平軸の周りに旋回し、他の歯列弓を処置するためにそれを再び口に挿入することによって、上部歯列弓および下部歯列弓を処置するために使用することができる。
【0214】
図3は、第一、第二および第三の発明による、第一または第二の発明による方法を用いて作製されるJ字形状マウスピース30’’を示す。このJ字形状マウスピース30”は、図2のリンク46、56およびトラフセクション47および57が、図3のJ字形状マウスピースに存在しないことを除き、図2のU字形状マウスピース30と基本的に同じである。また、図3のJ字形状マウスピース30”は、その中立(または真ん中)位置に示される。図3のJ字形のマウスピース30”は、離れた部分を除いて、図2のマウスピース30と基本的に同じであり、同じ参照番号が同一または類似の部分に使用されるため、図2に関連して記載したものを参照する。
【0215】
図3は、いわゆるJ字形状フルマウスピース30を示す。
【0216】
図4および図5はそれぞれ、図3で示されるように、図4に対し矢印IVおよび図5に対し矢印Vでの位置でのマウスピース30(図2の)および30”(図3の)の両方の断面を示す。
【0217】
図4Aおよび5Aでは、マウスピースは、図2および3に示される、減圧状態で示されており、および図4Bおよび5Bでは、マウスピースは減圧状態で示される。
【0218】
図4および5に見られるように、マウスピースは、フレーム部品61、およびブラシ毛の房などのブラシ毛38を備えた壁部品62を有する。フレーム部品61および壁部品62は、フレーム部品61と壁部品62との間に圧力キャビティ60を有する圧力チャンバーを形成する。圧力媒体は、フレーム部品61と壁部品62との間に形成される圧力キャビティ60に供給され、そこから排出され得る。図4Aおよび5Aでは、圧力キャビティ60(およびそれゆえ圧力チャンバー)は、減圧状態にある。本実施形態では、圧力キャビティは、壁部品62が層状にフレーム部品61に対して緩く置かれるという意味で、いわば、ボリュームがない、減圧状態にある。圧力キャビティ60が交互に加圧および減圧されると、ブラシ毛を有する壁部品62は変形(交互に)し、ブラシ毛が動いて歯をきれいにする。図4Bおよび図65は、加圧状態にある圧力キャビティ60を示す。
【0219】
図4Aおよび図5Aは、圧力キャビティが、いわば、約ゼロのボリュームを有する、一種の完全に空の状態の圧力チャンバーを示すが、しかし、減圧状態では、減圧状態において圧力チャンバーが、ゼロより大きいあるボリュームを有するキャビティとして存在するように、フレーム部品61と壁部品62との間にある距離があり得ることに留意されたい。
【0220】
さらに、用語「加圧」および「減圧」が、圧力キャビティ60がより高い圧力である状態(加圧状態)、および圧力キャビティがより低い圧力である状態(減圧状態)があることを示すために、相互関係において使用されるのみであることに留意されたい。例えば、減圧状態では、圧力キャビティ内の圧力は、周囲圧力よりも低い圧力を有し得るが、減圧状態では、周囲圧力を超える圧力を有し得ることも考えられる。加圧状態では、圧力は、減圧状態よりも高い。実際には、圧力キャビティ内の動作圧力は、2バール未満であり、例えば、周囲圧力に対して+0.1と+0.25または+0.5バールの間で、または周囲圧力に対して-0.2と+0.25バールの間で交互であり得る。
【0221】
図5Aおよび5Bを参照すると、ハンドルカップリング31のチャネル63を介して加圧媒体が供給され、排出されることがわかる(二重矢印Fを参照されたい)。このチャネル63は、配給チャネル65を一つまたは複数の圧力チャンバーに接続する通路65を有する分配チャネル64と連通する。さらなる注意として、マウスピースの顔面側の圧力チャンバーおよびマウスピースの舌側の圧力チャンバーは、互いに直接的に流体連通する(図示せず)か、または分配チャネル64を介して間接的に流体連通(図示せず)し得ることに留意されたい。
【0222】
図4および5に見られるように、壁部品62は、変形を可能にするために可撓性であり、フレーム部品61は壁部品に対して剛直である。圧力キャビティ60を加圧するとき、フレーム部品は、寸法的に安定し得る(変形に耐えるため)(図4Bおよび5Bの右側に実施例で示すように)、または変形し得る(左側の図4Bおよび5Bに実施例で示すように)。
【0223】
図6は、第一、第二および第三の発明によるシステム70の例の概略斜視図を示す。このシステム70は、マウスピース30およびハンドル71を含み、マウスピース30は、ハンドル71のカップリング端部75に取り付けられるそのハンドルカップリング(図6では見えない)によるものである。ハンドル内には、マウスピースの圧力キャビティを加圧および減圧するための、ポンプのような充電式バッテリー73および駆動部74が提供される。さらに、ハンドルはオン/オフボタン72を含む。
【0224】
ここで図7~27を参照すると、第一の発明による圧力チャンバーを製造するための第一の発明による方法が解明される。しかしながら、この方法は、例えば、第二の発明によるマウスピースの製造のための第二の発明による方法の一部であり得ることに留意されたい。さらに、第一の発明による方法を用いて製造された圧力チャンバー(一つまたは複数)は、第三の発明によるマウスピースの一部であり得ることに留意されたい。
【0225】
図7~27では、図1~6のマウスピースのフレーム部品を示すのに参照Aが使用され、図1~6のマウスピースの壁部品を示すのに参照Cが使用され、また、図1~6でのように、圧力チャンバーの圧力キャビティを示すのに参照60が使用される。さらに、参照80は、第一のモールド半片81および第二のモールド半片82を有する射出成形型を示す。参照番号83および85はダイキャビティを示し、参照84は取り付けループを示す、これに沿って、フレーム部品Aと壁部品Cが互いに取り付けられて、取り付けループによって囲まれたフレーム部品Aの部分、取り付けループによって囲まれた壁部品Cの部分、および取り付けループ自体によって囲まれた圧力キャビティ60、を有する圧力チャンバー90を形成する。
【0226】
図7Aは、あらかじめ組み立てられたフレーム部品Aおよびあらかじめ組み立てられた壁部品Cを、インサートとして射出成形型80の中へ配置する。インサート(壁部品Cおよびフレーム部品Aによって構成される)およびモールド半片81および82は、壁部品Cおよびフレーム部品Aの周縁に沿って全て壁部品Cおよびフレーム部品Aを囲むダイキャビティ83を画定する。図7Aに示す実施形態では、ダイキャビティ83は、C字型の断面を有する。しかしながら、このC字形状の断面は、解明の目的のための単なる実施例であり、本発明は、C字形状の断面を有するダイキャビティに限定されないことに留意されたい。例えば、断面はまた、フレーム部品Aおよび壁部品Cの厚さに等しい高さ、直径を有する長方形または半円であってもよく、または任意の他の適切な形状を有し得る。
【0227】
あらかじめ組み立てられたフレーム部品Aおよびあらかじめ組み立てられた壁部品Cを挿入し、型を閉じることによって射出成形型80を準備した後、第一のオーバーモールド材料が射出成形型内に注入されて、ダイキャビティ83を充填する。そうすると、壁部品Cおよびフレーム部品Aは、第一のオーバーモールド材料によって確立される取り付けループ84に沿って互いに取り付けられる。本実施形態では、第一のオーバーモールド材料が、フレーム部品Aおよび壁部品Cの周りにリングB1を提供する(、図7Bの矢印VII-Cに従って、それぞれ断面、上面図に製造圧力チャンバー90を示す図7B、および7Cを参照のこと)。リングB1を形成する第一のオーバーモールド材料が、射出成形時の熱のために、フレーム部品Aおよび/または壁部品Cと融合し得るが、リングB1が、一旦固化されると、壁部品Cおよびフレーム部品Aと接着するなど、締付リングが密封的に係合することが考えられる。
【0228】
図7Aおよび図7Bに示す壁部品Cは、壁部品Cが輪郭を描いてもよいことをさらに示す。外周に沿って、壁部品Cは、圧力キャビティ60が加圧されるときに展開するように構成される輪郭209、すなわちこの実施例ではC字形状輪郭を含む。展開するとき、圧力チャンバー90は、例えば、破線208で概略的に示される展開状態まで展開し得る。さらなる実施形態による輪郭209または輪郭付き可撓性壁Cは、圧力キャビティ60が減圧される(=圧力で低くなる)ときに折り畳まれるように構成され得る。この折り畳みは、図7Bの実線で示される状態に戻るか、または、実線で示される状態(図7B)と、破線で示される状態(図7B)との間の何らかの状態に戻ることができる。図7の例では、壁部品Cは、あらかじめ組み立てられた壁部品である。このあらかじめ組み立てられた輪郭のある壁部品Cは、例えば、図7に示すような形状、または何らかの他の所定の形状で壁部品を射出成形することによって作製され得る。別の実施例によると、あらかじめ組み立てられた輪郭のある壁部品は、図7に示すような形状に、または何らかの他のあらかじめ決定された形状にシートを熱成形することによって作製され得る。
【0229】
図8は、図7の実施例に従って製造された圧力チャンバーの変形を示す。圧力チャンバー90は、あらかじめ組み立てられたフレーム部品Aおよびあらかじめ組み立てられた壁Cが、射出成形型(図示せず)へのインサートとして互いに層状に配設され、最初にフレーム部品と壁部品Cとが互いに平行な層状構造を有する圧力チャンバーをもたらす。図8Aは、射出成形型から取り除かれた後の圧力チャンバー90を示す。図8Bは、壁部品とフレーム部品との間に導入された圧力媒体を有する同じ圧力チャンバー90を示す。あらかじめ組み立てられた壁部品およびあらかじめ組み立てられたフレーム部品Aが、例えば射出成形型の熱の影響下で互いに接着する傾向がある場合、フレーム部品Aと壁部品Cとの間の領域に加圧媒体を導入することにより、フレーム部品Aおよび壁部品Cが、取り付けループ84に囲まれた領域で互いに永久的に固着することを防ぐ。
【0230】
図8を参照すると、壁部品Cは、圧力チャンバーが製造された後に、例えば、図7に示すのと同じ輪郭が与られ得ることに留意されたい。これは、例えば、熱成形によって行われてもよい。十分に加熱されると、所望の輪郭の(ミラー)形状を有するダイは、例えば、図7Aの上部型ハーフ81の輪郭の周りで、壁部品の外側表面206上に配置されてもよく、吸引が、壁部品を所望の所定の輪郭に、いわば、「吸引」するように適用され得る。
【0231】
図9は、第一の発明による方法の別の実施形態を示す。図9の実施形態では、フレーム部品Aが例えば、あらかじめ組み立てられた部品として、提供される(図9Aを参照されたい)。図9Bでは、フレーム部品Bは中間部材Bと組み合わされて、組み合わせ部品88を得る。図9の例では、中間部材Bは中間層である。中間部材Bはまた、プレハブ部品であり得る。フレーム部品Aおよび中間層Bの両方がプレハブ部品である場合、それらは、組み合わせ部品88を射出成形型にインサートとして配置する際に、それらの相対位置を固定し続けるために、任意の適切な接着剤によって、互いに永久的にまたは一時的に接着され得る(図9Cを参照されたい)。ただし、フレーム部品Aが、あらかじめ組み立てられた部品とすることができるが、中間層Bは、射出成形型(図示せず)内のあらかじめ組み立てられたフレーム部品上にオーバーモールドされてもよく、またはその逆に、中間層Bが、あらかじめ組み立てられた部品とし、フレーム部品Aが射出成形型(図示せず)内でオーバーモールドされ得る。
【0232】
組み合わせ部品88が得られたら、この組み合わせ部品88は、インサートとして射出成形型80に配置される(図9Cを参照されたい)。射出成形型80および挿入された組み合わせ部品88は、射出成形型が閉じられると、ダイキャビティ85を画定する。オーバーモールドステップでは、第一のオーバーモールド材料が射出成形型内に注入されて、ダイキャビティ85を充填する。本実施形態では、第一のオーバーモールド材料は壁部品Cを提供し、図9D~9Fに示す圧力チャンバー90をもたらす。図9Dは、射出成形型80から除去後の圧力チャンバーを示す。圧力チャンバー90は、図9Dではまだ加圧されていない。
【0233】
図9A~9Cに示されるものの変形として、図9Aで壁部品Cから開始し、図9Bおよび図9Bに関連して説明したものと同様に、壁部品Cを中間部品/層Bと組み合わせ、このようにして得られた組み合わせ部品をインサートとして、射出成形型内に配置し、第一のオーバーモールド材料(この場合、フレーム部品Aが形成される材料)を射出成形型80に射出することによって、フレーム部品Aを提供することが考えられるに留意すべきである。
【0234】
図9の実施形態では、フレーム部品Aおよび壁部品Cは、一方が他方の上にオーバーモールドされ、取り付けループ84がフレーム部品Aおよび壁部品Cが互いに接触する圧力チャンバーの周囲に沿って取得されるとき、互いに接着する材料から作製される。フレーム部品Aおよび壁部品Cは、取り付けループ84に沿って一緒に融合し得る。中間層Bは、壁部品Cおよびフレーム部品Aが互いに接着または融合することを防止するために、フレーム部品Aと壁部品Cとの間に配置される。
【0235】
図9Dに示すように、圧力チャンバー90が射出成形型から除去された後、壁部品C、フレーム部品Aおよび取り付けループ84の間で区切られる領域に圧力媒体が導入され得る。
【0236】
中間層Bが壁部品およびフレーム部品の両方に接着または融合される場合、中間層Bは、積層体に平行に延在する弱まった平面を有する積層体であってもよく、壁部品Cおよびフレーム部品Aを、加圧媒体を導入するときに互いに対して分離できるようにする分離層を提供する。
【0237】
しかし、中間層Bは、別の実施形態では、加圧媒体が導入されるときに中間層がフレーム部品と壁部品との間の分離を可能にするように、図9Aにおいて提供される部品に取り付けられる、または溶融など、それと接着する第一の外側表面または外側層、および第一のオーバーモールド材料との接合または融合に抵抗するように構成される第二の外側表面または外側層を有する。一例として、中間層Bは、PAまたはPEを含んでもよく、またはPAまたはPEから作製されてもよく、フレーム部品Aは、PPを含んでもよく、またはPPから作製されてもよく、壁部品Cは、TPEを含んでもよく、またはTPEから作製され得る。
【0238】
別のさらなる実施形態によれば、中間層Bは、フレーム部品A(または壁部品Aが図9Aのステップで提供される場合、壁部品C)とは反対側に面している露出表面91を有し、露出表面91は、図9Cの射出成形型に注入された第一のオーバーモールド材料との融合に抵抗して、壁部品C(または壁部品Cが図9Aのステップで提供される場合、フレーム部品A)を提供するように構成される。本実施形態では、対向表面がフレーム部品A(または、壁部品Aが図9Aのステップで提供される場合、壁部品C)に面する中間層Bの対向表面92は、図9Cの射出成形型に注入された第一のオーバーモールド材料の熱により、フレーム部品A(または壁部品Aが図9Aのステップで提供される場合、壁部品C)と融合するように構成され得る。一例として、中間層Bは、PAを含んでもよく、またはPAから作製されてもよく、壁部品Cは、SEBSなどのTPEを含んでもよく、またはTPEから作製されてもよく、フレーム部品Aは、TPE-PAを含んでもよく、またはTPE-PAから作製され得る。
【0239】
さらに別のさらなる実施形態によれば、中間層Bは、フレーム部品A(または、壁部品Aが図9Aのステップで提供される場合、壁部品C)とは反対側に面する、露出表面91を有し、露出表面は、図9Cの射出成形型に注入されて、壁部品C(または壁部品Cが図9Aのステップで提供される場合、フレーム部品A)を提供する、第一のオーバーモールド材料と融合するように構成される。本実施形態では、対向表面92がフレーム部品A(または壁部品Aが図9Aのステップで提供される場合の壁部品C)に面する中間層Bの対向表面92は、図9Cの射出成形型に注入された第一のオーバーモールド材料の熱により、フレーム部品A(または壁部品Aが図9Aのステップで提供される場合の壁部品C)との融合に抵抗するように構成され得る。例として、中間層Bは、PAを含んでもよく、またはPAで作製されてもよく、壁部品Cは、SEBSなどのTPEを含んでもよく、またはTPEで作製されてもよく、フレーム部品Aは、PPであってもよく、またはPPを含んでもよい。
【0240】
図10A~10Eは、図10で、中間層Bがフレーム部品A(または壁部品Cが図10Aのステップで提供される場合、壁部品C)に機械的に取り付けられることを除いて、図9A~9Eに対応する。この差を除いて、図9に関する上記の解明は、図10に準用される。機械的取り付けは、中間層Bと一体の一つまたは複数のオス部材86と、フレーム部品A内に形成される対応する数のメス部材と、を含み、またはその逆に(図示しない)、フレーム部品Aと一体の一つまたは複数のオス部材と、中間層B内に形成される対応する数のメス部材とを含む。機械的取り付けは、オス部材をメス部材に挿入することによって機械的に確立され得るが、フレーム部品Aを中間層B上にオーバーモールドすることによって、またはその逆で中間層Bをフレーム部品A上にオーバーモールドすることによって確立され得る。
【0241】
図11は、第一の発明による方法の一実施形態を示す図である、フレーム部品Aと壁部品Cが、互いにオーバーモールドされるときに互いに融着しにくい材料で作られている、またはフレーム部品Aと壁部品Cが、互いにオーバーモールドされるときに互いに融着に抵抗するように構成される。図11A~11Eは、図9A~9Eおよび図10A~10Eと非常に類似している。一方の図11A~11Eと他方の図9A~9Eおよび10A~10Eとの間の差異は、基本的に、フレーム部品Aおよび壁部品Cが、互いに上にオーバーモールドされるときに互いに融着に抵抗する材料で作られ、ビードループB2を使用して圧力チャンバーを製造することである。これらの差異を除いて、図9および図10に関する上記の解明は、図11に準用される。
【0242】
図11の本実施形態では、中間部材は、図11Cによって表されるオーバーモールドステップで、壁部品C(または図11Aのステップで提供された部品が壁部品Cであり得る場合、フレーム部品A)を形成する第一のオーバーモールド材料と融合するように構成される、ビードループB2である。図11Bによって表されるステップでは、ビードループBは、フレーム部品A(または、これが図11Aに提供されていた場合、壁部品C)に対して配置される。図11Cを参照すると、第一のオーバーモールド材料(壁部品Cを形成するため)が射出成形型80内に注入されて、ダイキャビティ85を充填する。ダイキャビティ85を充填し、第一のオーバーモールド材料が、ビードループ上に、およびフレーム部品Aの露出表面積93上に成形される。図11Dに見られるように、これにより、フレーム部品Aおよび壁部品Cが互いに対して横たわる層状構造(二つがが互いに融合することに抵抗することに起因して互いに接着しない)が生じ、さらに、図11Cのオーバーモールドステップのステップ間に、第一のオーバーモールド(壁部品Cを形成する)をビードループB2と融合することによって、取り付けループ84を形成する。
【0243】
図11のさらなる実施形態によれば、ビードループB2は、図11Bの状態において、および射出成形型80内にインサートとして配置する際に、フレーム部品Aに密封して取り付けられていない場合がある。この場合、ビードループは、ダイキャビティ85内に注入された第一のオーバーモールド材料の熱により、フレーム部品Aと融合するように構成され得る。さらに、ビードループB2が、オーバーモールドによって提供され、フレーム部品上にオーバーモールドされたとき、それが、先行する第二のオーバーモールドステップでフレーム部品と融合する(または逆に、フレーム部品AがビードループB2上にオーバーモールドされたとき、ビードループB2がフレーム部品Aと融合する)ことが考えられる。
【0244】
図12および13は、図11の方法で得られた圧力チャンバー90の二つの変形を示す。図11、より具体的には図11Dの圧力チャンバーに関する両方のケースの差異は、図12および13では、ビードループB2が、フレーム部品Aを囲むのではなく、フレーム部品Aの表面上に提供されることである。図12に示すように、結果として生じる壁部品Cは、完全に平坦な表面94を有してもよく、または凹部品95を有し得る。
【0245】
図14~18は、図7図13に示されたもののさらなる詳細な例を示しており、さらなる詳細は、第一の発明による圧力チャンバー90の製造方法におけるブラシ毛の統合である。同一または類似の部品については、図14~18は、前の図と同じ参照符号を使用する。
【0246】
図14は、第一の発明による圧力チャンバー90の製造方法においてブラシ毛38を一体化する第一の実施例を概略的に示す。射出成形型80の上半分81は、38のあらかじめ組み立てられたブラシ毛の房が挿入される穴120を含む。ブラシ毛は、ブラシ毛38の房が取り付けられるホイルであり得る、一つの共通根元セクション100上に取り付けられる。ブラシ毛38の房を有する根元セクション100は、射出成形型80内にインサートとして配置される、一つのユニットを形成する。残りの部分については、図14で明らかにした方法は、図9に示す方法と基本的に同じであり、図14A図9Cに示すものと類似している、図14B図9Dに示すものと類似している、および図14C図9Eに示すものと類似している。壁部品Cを形成する第一のオーバーモールド材料が射出成形型80内に注入されてダイキャビティ85を満たすとき、根元セクション100は、形成される壁部品Cに取り付けられる。壁部品Cへの根元セクション100のこの取り付けは、例えば、根元セクション100および壁部品Cが一緒に融合することに起因し得る。しかしながら、取り付けは、根元セクション100が壁部品Cに埋め込まれることによることが可能である。圧力チャンバーが十分に固化したら、それを射出成形型80から除去し、図14Bに示すように圧力チャンバー90をもたらす。次のステップでは、加圧媒体を圧力キャビティ60内に導入して、壁部品Cおよびフレーム部品Aを互いに分離し得る(図14Cを参照されたい)。図9に関連してすでに論じたように、中間層は、フレーム部品Aおよび壁部品Cのこの分離を促進するために、いくつかの方法で構成され得る。
【0247】
図15は、図14の変形、実際には、ブラシ毛なしで、図9に関連してすでに議論された変形を示す。図15では、図15A図14Aに類似しており、図15B図14Bに類似しており、図15C図14Cに類似している。図14との差異は、基本的に、射出成形型80内に配置されるプレハブインサートが、壁部品C、中間層B、およびブラシ毛38の房を有する根元セクション100を含み、フレーム部品Aが、第一のオーバーモールド材料として、フレーム部品Aがダイキャビティ85内に作製される材料を注入することによって、壁部品Cおよび中間層B上にオーバーモールドされることである。図9に関連してすでに論じたように、中間層は、フレーム部品Aおよび壁部品Cのこの分離を容易にするために、いくつかの方法で構成され得る。さらに、壁部品C、中間層B、および根元セクション100のインサートは、一つの単一のインサートであり得るが、多数のインサートも含み得ることに留意されたい。例えば、ブラシ毛38を有する根元セクション100は、別個のインサートであってもよく、図15Aの成形物80にオーバーモールドするステップの間、注入された第一のオーバーモールド材料の熱により、壁部品Cと融合し得る。
【0248】
図16は、ブラシ毛、図7Bの圧力チャンバー90と同一のブラシ毛を除く圧力チャンバー90を一体化するさらなる変形として示す。図14および15との差異として、ブラシ毛38の各房は、それ自身の別個の根元セクション105を有する。しかしながら、図14および15の根元セクション100が、図16の実施形態で使用され得ること、また逆に、別個の根元セクション105が、根元セクション100の代わりに、または根元セクション100に加えて、図14および/または15で使用され得ることに留意されたい。図7の実施形態と同様に、壁部品Cが輪郭を描いている。図7に関連して説明するように、この輪郭のある壁部品Cは、例えば、射出成形または熱成形によって、あらかじめ組み立てられた輪郭のある壁部品として提供され得る。図8に関連して説明したように、輪郭形状は、圧力チャンバーが製造された後に熱成形によっても得られ得る。
【0249】
図17は、ブラシ毛、図8Aの圧力チャンバー90と同一のブラシ毛を除く圧力チャンバー90を一体化するさらなる変形として示す。図14図16との差異として、ブラシ毛38の複数の房の群が、複数の根元セクション110(図17に示すは二つの根元セクション110のみ)に取り付けられている。しかしながら、図14および15の根元セクション100および/または根元セクション105が、図17の実施形態で使用することができ、逆に、根元セクション110が、根元セクション100および/または根元セクション105の代わりに、またはそれらに加えて、図14および/または15および/または16において使用され得ることに留意されたい。
【0250】
図18は、ブラシ毛、ブラシ毛を除いて、図8Aおよび図17の圧力チャンバー90と同一の圧力チャンバー90を一体化するさらなる変形として示す。図18では、根元セクションは別個の根元セクション105であり、ブラシ毛38の各房に対して一つの根元セクション105である。
【0251】
図19図29は、図7図13に示されたもののさらなる詳細な例を示しており、さらなる詳細は、第一の発明の第一の態様に従って製造された一つまたは複数の圧力チャンバーを有する完全なマウスピースを製造するためのマウスピース用のブラッシングチャンバーを製造する方法の説明である。同一または類似の部分については、図19~29は、前の図と同じ参照符号を使用する。
【0252】
図19は、第一の発明によるマウスピースの製造方法の概略的方法およびステップを示す。図19Aは、第一のステップとして壁部品Cをあらかじめ組み立てられた部分として提供すること示す。図19Bは、第二のステップとして、あらかじめ組み立てられた部品としてフレーム部品Aを提供し、あらかじめ組み立てられたフレーム部品Aとあらかじめ組み立てられた壁部品Cとを組み立てることを示す。組み立ては、上部壁部品、下部壁部品の上縁および下縁に形成されるフック120によって促進される。これらのフック120は、フレーム部品の上縁121およびフレーム部品の下縁の周りにフックされる。このフックすることは、壁部品Cの柔軟性によってさらに促進される。次のステップでは、このようにして得られた組み立てられたユニットが、射出成形型(図示せず)内の単一のインサートとして配置される。射出成形型および図19Bのインサートは共に、層Bが図19Cに示される位置にダイキャビティを画定する。その後、層Bは、層Bの材料を射出成形型に注入することによって、フレーム部品Aの外側上にオーバーモールドされる。オーバーモールドするステップの間、層Bは、取り付けループ84で壁材料Cおよび任意選択でフレーム部品の外側表面128と融合する。これにより、圧力キャビティを有する圧力チャンバー90を有する図19C(減圧状態)および19D(加圧状態)の湾曲した長さ軸z(図1を参照)に対して横断面に示されたマウスピースがもたらされる。
【0253】
図20は、第一の発明によるマウスピースの製造の別の方法の概略的およびステップを示す。図20Aは、第一のステップとして、図1の軸Zの湾曲した長さ方向に横断するH字形状の断面を有する、フレーム部品Aを提供すること示す。図20Bに示す第二のステップでは、中間層BがH字形状の断面の内表面上に提供される。この例では、中間層Bは、フレーム部品Aの内表面129に接着、接合、または融着される、次のステップで、図20Bに示すAとBのユニットをインサートとして射出成形型(図示せず)に配置し、射出成形型と一緒に、壁部品Cを提供するために中間層とH字形状フレーム部品Aの上縁および下縁にオーバーモールドされる材料を受け取るためのダイキャビティを画定し、図20Cの湾曲した長さ軸z(図1参照)を横切る断面で示されるマウスピースが得られる。中間層Bは壁部品Cに接着または結合しないため、圧力チャンバーは、図19Dに示すような状態に加圧され得る。しかしながら、図19Dとの差異は、図19Dでは、マウスピースの上部部品および下部部品に対する一つの圧力チャンバーであり、図20Cの実施形態では、フレーム部品Aは、二つの圧力チャンバーの間または単一の圧力チャンバーを通って延在する水平部品を有する。
【0254】
図21は、第一の発明によるマウスピースの製造の別の方法を概略的およびステップで示す。図21Aは、第一のステップとして、図1の軸Zの湾曲した長さ方向に横断するH字形状の断面を有する、フレーム部品Aを提供すること示す。図21Bに示す第二のステップでは、層Bが、H字形状の断面の外側表面130上に提供される。層Bは、H字形状フレーム部品Aから124で突出して、ビードループB2を提供する。次のステップでは、図21Bに示すようなAおよびBのユニットが、射出成形型(図示せず)にインサートとして配置され、射出成形型とともに、H字形状フレーム部品の内表面129およびビードループB2上にオーバーモールドされる材料を受けるためのダイキャビティを画定する。本実施形態では、壁部品Cを提供するオーバーモールドされた材料が、フレーム部品Aに接着せず、それと接合せず、かつビードループB2と融合するため、フレーム部品Aおよび壁部品Cとともに、上部圧力チャンバーおよび下部圧力チャンバーを封入する、取り付けループ84を得るが、互いに流体接続している場合、実質的に一つの圧力チャンバーであり得る。図21の圧力チャンバー90は、図19Dに示すような状態に加圧することができる。しかしながら、図19Dとの差異は、図19Dでは、マウスピースの上部部品および下部部品に対する一つの圧力チャンバーであり、図21Cの実施形態では、フレーム部品Aは、二つの圧力チャンバーの間または単一の圧力チャンバーを通って延在する水平部品を有する。
【0255】
図22は、上部および下部圧力チャンバー90を有するさらなるマウスピースを例として示す。この実施例は、図10に示されたのと類似した様式で、中間層BをH字形状フレーム部品Aに機械的に取り付ける二つの変形を示す(図10の以前の解明を参照されたい)。
【0256】
図23~26は、マウスピースの上部部品における壁部品Cがマウスピースの下部部品における壁部品Cにどのように取り付けられるかの四つの実施例を示し、図23は、これらの壁部品がどのように接続されていない状態に保たれるかの実施例を示す。図23A、24A、25Aおよび26Aは、減圧状態にあるマウスピースを示し、23B、24B、25Bおよび26Bは、加圧状態にあるマウスピースを示す。
【0257】
図23が示すように、上部壁部品Cおよび下部壁部品Cの分離は、H字形状の断面を有する中間部材Bによって得られ得る。
【0258】
図24が示すように、上部壁部品Cおよび下部壁部品Cは、H字形状中間部材の水平部分の通路127によって互いに取り付けられてもよい。
【0259】
図25が示すように、上部壁部品Cおよび下部壁部品Cは、H字形状の断面を有するフレーム部品Aの場合、U字形状中間部材Bの水平部分の通路128によって互いに取り付けられてもよい。
【0260】
図26が示すように、(局所的に)マウスピースの顔面側と舌側との間に水平接続がないことも可能である。この場合、マウスピースの上部部品の両方のための一つの舌側圧力チャンバー、ならびにマウスピースの上部部品の両方のための一つの顔面圧力チャンバーがあり得る。
【0261】
図27は、第一の発明の第一の態様による方法を用いて作製された一つまたは複数の圧力チャンバーを有するU字形状マウスピースを概略上面図に示す。マウスピースは、減圧状態で示される。
【0262】
ここで図28~38を参照すると、マウスピースを製造するための第二の発明による方法が解明される。しかしながら、第二の発明によるこの方法のステップは、第一の発明による方法によってもよく、第二の発明による方法を用いて製造されたマウスピースは、第三の発明によるマウスピースであり得る。
【0263】
図28~31は、第二の発明の方法によるマウスピースの第一の実施形態の製造におけるいくつかのステップを示す。しかしながら、図28~31では、多くの詳細のために図面が不明確になるのを避けるために、圧力チャンバー製造ステップが省略される。図32~33は、図28~32から省略されたブラシ毛を有する可撓性壁を概略的に示す。その後、図34~35は、図28~31と同じマウスピースの第一の実施形態の製造におけるいくつかのステップを示すが、ここでは圧力チャンバー製造ステップを組み込む。図28~35は全て、マウスピースの同じ第一の実施形態の製造に関する。続いて、図36~38は、第二の発明による製造とすることができるマウスピースの第二の実施形態、第三の実施形態、および第四の実施形態を示す。
【0264】
図28~35に示すように製造されたマウスピースは、図2に示すマウスピースに対応する。従って、対応する部品について、図28~35は、図2で使用したのと同じ参照を使用する。
【0265】
図28は、図28Aが上面図を示し、図28Bが斜視図を示す、「フレーム部品提供ステップ」を表す。図28A、28Bに見られるように、板形状部品203が提供される。この板形状のフレーム部品203は、細長部材204によって画定され、本実施形態では、三つの間隔を置いたトラフ領域211、212、および213で、側面部材のセット216、217、218が細長部材から横方向に突出する。例示の明瞭さのために、細長部材204は図28Aではグレーに着色され、側面部材は白色に着色される。トラフ領域211、212および213は、リンク44および46によって間隔を置いている。
【0266】
図28に見られるように、板形状のフレーム部品203は、図28のシート状態である。板形状のフレーム部品203は、図28において、本質的に平坦な2次元部品である。図28の例では、板形状部品203は、二つの垂直軸によってスパンされた平面に本質的に延在するが、板形状部品は、細長い部分から側面部分への移行部201における図28の場合と同様に、シート状態において、湾曲するか、またはジグザグプロファイリングのように、プロファイリングを有し得ることに留意されたい。
【0267】
図28~35の実施形態では、側面部材は、細長部材204の同じ長手方向側面に全て取り付けられる、単一のフラップである。
【0268】
図29に関して折り畳みステップの説明を続ける前に、中間のこととして、図51を参照する。図51Aは、図28Bの一つと類似した斜視図を示し、図51Bは、矢印LIによって示される破線で示される部分の矢印LIの方向の断面を示す。図51図28よりも良好に見ることができるように、板形状部品Cは、輪郭づけられ得る。例えば、板形状部品は、移行部201で、側面部材218および216に対して側面部材217をオフセットするZ形状を有し得る。このオフセットが、およそ図51の板形状部品の厚さtであるが、例えば、厚さtの2~3倍以下であり得る。さらに、図51に見られるように、板形状部品は、溝64、202(または図示されていないリブ)を有し得る。溝64は、ハンドルカップリングのチャネル63に接続される。また、U字形状の溝202は、ハンドルカップリングのチャネル63に接続される。圧力チャンバーが形成されると、すなわち、壁部品Cが(図32~34に関連して以下に詳述されるように)フレーム部品Aに一旦取り付けられると、溝64、202は、チャネル63と圧力チャンバー90の圧力キャピティ60との間の流体連通を提供するチャネルとして機能する。
【0269】
図29は、「折り畳みステップ」を表す。折り畳みステップでは、板形状のフレーム部品は、シート状態から折り畳み状態まで折り畳まれる。図29Aは、折り畳み状態の板形状のフレーム部品の上面図を示し、図29Bは、折り畳み状態の板形状部品の斜視図を示し、図29Cは、折り畳み状態の板形状のフレーム部品の側面図を示す。
【0270】
折り畳みステップでは、側面部材216、217および218は、折り畳み軸220~225の周りに折り畳まれる。これらの折り畳み軸220~225は、細長部材204の長さ方向にほぼ平行である。この長さ方向は、図29Aに示すように軸41に沿って見る。この折り畳みステップでは、各側面部材216、217、218はそれぞれ、トラフセクション43、45および47に折り畳まれる。トラフセクション216、217および218は、長さ軸41に沿って整列され、整列したトラフセクション43~45のトラフシステム42を画定する。
【0271】
図29の結果として得られるトラフシステムは、本質的に直線である。これは、マウスピースが比較的短く、本質的に臼歯に使用される場合、問題はないが、マウスピースが前歯または臼歯および前歯に使用される場合、J字形状またはU字形状の構成に持ち込まれる。マウスピースをJ字形状またはU字形状にするためには、「曲げステップ」を受け得る。
【0272】
この「曲げステップ」は図30に表され、図30Aは、マウスピースの曲げられた上部部品40のトラフシステム42の上面図を示し、図30Bは、マウスピースの曲げられた上部部品に対する斜視図を示す。
【0273】
曲げステップでは、細長部材204は、一つまたは複数の曲げ軸の周りに曲げられる。図30Bは、これらの曲げ軸の四つを示し、細長部材204の長さ方向41に対して横方向に延び、マウスピースが使用されるときはほぼ鉛直である。これにより、J字形状またはU字形状の状態で、作製されるマウスピースのタイプに応じて、細長部材204がもたらされる。この曲げは、長さ方向41に対して見たとき、図28に示すように、直線状の状態から始まり得るが、わずかに曲がった状態からでも始まり得る。図30に表されるように、「曲げステップ」が、図29に表されるように、「折り畳みステップ」の前に行われてもよい。
【0274】
上歯および下歯を同時に処置するためにマウスピースが望ましい場合、図30のマウスピース(部品)40は、別の類似のマウスピース部品と組み合わされる。このステップは、図31に表され、上部マウスピース部品40および下部マウスピース部品50は、互いに取り付けられて、いわゆるU字形状のフルマウスピースを形成する。
【0275】
曲げステップで使用される丁番軸210は、第三の発明の目的であるように、マウスピース30が水平の湾曲した長さ軸41に対して水平面で曲がることを可能にする永久的可撓性であり得る。
【0276】
図32~33は、図28~32から省略されたブラシ毛を有する可撓性壁を概略的に示す。図32は、斜視図の分解図を示し、図33は、矢印XXXIIIを有する図32に示される断面を示す。図7および図16の実施例との第一の発明に関する類似点を考慮に入れると、図32~333は、図7~27に関連して使用されたものと類似した部品、類似した参照に対して使用する。
【0277】
図32は、分解図において、一方では可撓性壁部品などの壁部品C、他方ではブラシ毛38の房を含む根元セクション100、100’を示す。根元セクション100’は、根元セクション100と基本的には異なっていないが、形成される圧力チャンバー90はわずかに異なるため、それらはわずかに異なる参照を有する。差異は、二つの根元セクション100’が、図8、9、10、11、14、15、17、18に示すようなゾーン231において壁部品Cに取り付けられ、他の根元セクション100が、図7および16に示すような境界ゾーン231において壁部品に取り付けられることである。図7、8、および16に関連して説明するように、ゾーン231の周りの「境界」は、圧力キャビティが加圧されるときに展開し、および圧力キャビティが減圧されるときに(任意に)折り畳まれるように構成される輪郭209であり得る。図7、8、および16に関連して説明するように、この輪郭は、射出成形または熱成形によって得ることができる。根元セクション100’は、形成されるトラフセクションの下部に位置する。根元セクション100は、形成されるトラフセクションの側壁上に位置する。屈曲セクション232(図33を参照)は、ブラシ毛を前後に動かすために加圧および減圧される際に、壁部品Cにいくらかの追加的な柔軟性を提供する。
【0278】
図32に見られるように、壁部品Cは、図28および図51に示すフレーム部品Aと同じ形状およびサイズを必須とする。さらに、根元セクション100、100’の壁部品Cへの取り付けは、本出願にすでに記述された、または記載される方法の一つなど、任意の方法で基本的に達成され得ることに留意されたい。根元セクションは、例えば、壁部品Cなどに埋め込まれることによって、壁部品Cと融合することによって、接着剤によって壁部品Cに取り付けられ得る。
【0279】
ここで図34を参照すると、ブラシ毛の房を有する根元セクション100、105は、明瞭にする理由で、示されていないことに留意されたい。
【0280】
図34Aおよび34Bおよび図35は、第二の発明による方法の「圧力チャンバー製造ステップ」を示す。明らかであるように、この「圧力製造ステップ」は、オーバーモールドステップを使用して、第一の発明による方法の任意の実施形態で行うことができる。
【0281】
図34Aは、この例では、その少し上に輪郭のある壁部品Cを有する、実質的に平坦なシート状態での、フレーム部品C/板形状のフレーム部品203を示す。このことは、フレーム部品A/203および壁部品Cが両方ともあらかじめ組み立てられた部品であることを示唆するが、図34Aは、第一の発明による方法の一部であるフレーム部品を提供し、壁部品を提供するステップを可視化することを主に意図することに留意されたい。フレーム部品Aまたは壁部品Cは、第一の発明に関連して説明および解明されたように、一方を他方の上にオーバーモールドすることによって非常によく提供され得る。図34Bは、フレーム部品Aおよび壁部品Cの組み立てられた単位を示す。前述のように、フレーム部品AおよびCは、第一の発明および図7~27に関連して記載されるように、いかなる様式で互いに取り付けられてもよいが、フレーム部品Aおよび壁部品Cは、接触ゾーン233にそれらを溶接することによって互いに取り付けられるあらかじめ組み立てられた部品であり得る(図34Bの矢印XXXVによって示される、図35の断面を参照されたい)。図8に関連して説明したように、輪郭209はまた、例えば、圧力チャンバーが製造された後、熱形成によって取得され得る。
【0282】
図34Bは、いわば、図28に相当するが、圧力チャンバーと言える。同様に、図34Cは、図29と同等であり、図34Dは、図30と同等であり、図34Eは、図31と同等である。
【0283】
図36は、斜視図において、図28~31に示すように、明瞭にする理由で、圧力チャンバーおよびブラシ毛を示さずに第二の発明による方法によって取得可能なマウスピース260の第二の実施形態を示す。本実施形態では、細長部材204は、U字形状(またはより短いマウスピースの場合、J字形状)であり、側面部材の五つのセットはそれぞれ、細長部材204の第一のU字形状(またはJ字形状)の長手方向側面237に取り付けられる第一の側面フラップ235、および細長部材の対向する第二のU字形状(またはJ字形状)の長手方向側面238に取り付けられる第二の側面フラップ236を含む。第一の側面フラップ235は、矢印Aに従って平坦位置から直立位置へ曲げられ、第二の側面フラップ235は、矢印Bに従って平坦位置から直立位置へ曲げられる。細長部材204は、第三の発明の目的であるように、水平方向の湾曲した長さ軸41に対して水平面においてマウスピース260を曲げることを可能にする可撓性リンク241を、切開239、240の間に残すようにお互いからの距離で終わる、第一の長手方向側面237、第二の長手方向側面240から二つの切開239および240を、隣接するトラフセクションの間において、有する。上歯および下歯の両方が同時に処置される場合、図31および34Eに関連して説明したように、二つのマウスピース260を組み合わせることができる。
【0284】
図37は、上面図(図37A)および斜視図(図37B)に、第二の発明による方法によって取得可能なマウスピース270の第三の実施形態を示す。図28~31および図36と同様に、圧力チャンバーおよびブラシ毛は、明瞭にする理由で、示されていない。このマウスピースは、マウスピースの舌壁にあるリンク44、46および48によって接続される四つのトラフセクション43、45、47および49を有する。例えば、丁番210によってなど、ほぼ鉛直軸に対してリンク44、46、48を柔軟に構成することによって、このマウスピース270は、第三の発明の目的であるように、水平で湾曲した長さ軸41に対して水平面で曲げることができる。このマウスピースは、図28~34に関連して説明されたと同じように、当初シート状態を有する板形状部品から製造され得る。上歯および下歯の両方が同時に処置される場合、図31および34Eに関連して説明したように、二つのマウスピース270を組み合わせることができる。
【0285】
図38は、第二の発明による方法を用いて取得可能なマウスピース280の第四の実施形態を示す。図28~31および図36~37と同様に、圧力チャンバーおよびブラシ毛は、明瞭にする理由で、示されていない。図38Aは、シート状態にある板形状のフレーム部品を示す。図38Bは、斜視図のマウスピース280を示し、図38Cは、上面図のマウスピース280を示す。
【0286】
このマウスピース280は、リンク44、46、48および58によって接続される、五つのトラフセクション43、45、47、49および89を有する。例えば、破線で示される六つの丁番210によってなど、ほぼ鉛直軸に対して、リンク44、46、48、58を柔軟に構成することによって、このマウスピース280は、第三の発明の目的であるように、水平の湾曲した長さ軸41に対して水平面で曲げることができる。リンク44および58は、二つの後方トラフセクションの間にマウスピース280の舌側壁内に位置する。リンク46および48は、前方トラフセクション47と後方トラフセクション45および49との間のマウスピース280の顔面側壁内に位置する。図38Aでわかるように、板形状のフレーム部品は、ジグザグ形状を有する細長部材を有する。トラフシステムの顔面側壁と舌側側壁の間で切り替わるリンクのこの配置は、湾曲した長さ軸41に対してトラフセクションの舌側壁と顔面側壁から回転するのを抑制する。
【0287】
上歯および下歯の両方が同時に処置される場合、図38Aおよび38Bに示すように、二つのマウスピース280は、図31および34Eに関連して説明したように組み合わせられてもよい。
【0288】
ここで図39~49を参照すると、第三の発明による可撓性マウスピースが解明される。その前に、第三の発明によるマウスピースは、第二の発明による方法を用いて製造され得ることに留意されたい。第二の発明による方法が、「一つまたは複数の圧力チャンバーを有する板形状のフレーム部品のアセンブリー」を、互いに整列したトラフセクションの貫通システムに折り畳み、任意選択的に、トラフシステムをJ形状またはU字形状のトラフシステムに曲げることを見るとき、第三の発明によるマウスピースも別の方法で製造され得ることが明確であろう。例えば、フレーム部品は、例えば、射出成形によって、J/U字形状のトラフシステムを有するその最終形態に直接、あらかじめ組み立てられていてもよく、これにより、「折り畳みステップ」および任意の「曲げステップ」が余分になる。さらに、トラフセクションが可撓性リンクによって結合される場合、第三の発明によるマウスピースは、トラフシステム当たり、第二の(および第一の)発明に関連して記載したよりも多いまたは少ないトラフセクションを有し得る。一つ、または上歯および下歯を同時に処置する場合、二つのトラフシステムは、第三の発明によるマウスピースにおいて、例えば、マウスピースの湾曲した長さ方向に横断して見たとき、断面U字形状であり、このU字形状の断面で、マウスピースの一方の後部端からマウスピースの他方の後部端まで連続的に延在する、トラフ壁を有するトラフシステムからなり得る。
【0289】
図39を参照すると、本発明によるマウスピースの基本は、図40、41および42に示すように、トラフシステムがU字形状の断面の一つの連続的な延長トラフ壁を有するものとして想像され得る、または間隔を空けたトラフ壁セクションごとにU字形状の断面を有する、複数の三つ、四つ、五つの間隔を置いたトラフ壁断面を有し得る、本発明による非常に概略的に示されるマウスピースとともに説明される。
【0290】
他の図と同様に、マウスピースは、図39において、参照30で示される。さらに、他の図のように、参照31は、ハンドルカップリングを示すために使用され、参照32は、マウスピースの前方部分を示し、参照33および34は、マウスピースの後方部分を示し、参照36、37は、マウスピースの後部(外側)端を示すために使用され、参照35は、マウスピースの前部端を示すために使用され、参照3Uおよび18Uは、恵歯を示すために使用される。
【0291】
図39A~39Dは、マウスピースを、図39Aの中立位置から、マウスピースが、左の智歯18Uを包含する、第一の極端な位置(図39Bを参照のこと)に、および図39Bの第一の極端な位置から、図39Cの中立位置を介して、マウスピースが右の智歯18Uを包含する、図39Dの第二の極端な位置に移動させたときの、マウスピースの四つの連続的な位置を示す。
【0292】
第三の発明によるマウスピースは、前部マウスピース部分32および二つの後部マウスピース部分33および34を有する。後方部分33は、後部端36から点線303まで延在し、前方部分は点線303から点線304まで延在し、後方部分34は点線304から後部端37まで延在する。図39Aおよび39Cに見られるように、マウスピースの中立位置で、前方部分32は全ての前歯とオーバーラップし、一方で後方部分33および34は臼歯部の一部のみとオーバーラップする。図39に見られるように、第三の発明によるマウスピース30の長さが、マウスピースの湾曲した長さ方向に沿って見たとき、歯列弓の長さよりも短い。第三の発明によるマウスピースの反対の極端にシフトした位置を示す図39Bおよび39Dを参照すると、マウスピースが歯列弓に沿って移動すると、境界線303および304(マウスピースの一部として)も歯列弓に対して移動することがわかる。シフト位置では、マウスピースの前方部分32は、前歯の一部および臼歯の一部とオーバーラップし、一つの後方部分34(または33)は、臼歯の一部(歯列弓の関連する側面)とのみオーバーラップし、他方の後方部分33(または34)は、臼歯の一部(歯列弓の関連する側面で)および前歯の一部とオーバーラップする。
【0293】
歯列弓に対するマウスピースの全ての位置では、マウスピースは全ての前歯とオーバーラップする。しかしながら、図40~43に示すように、マウスピースが、一般にトラフセクションと呼ばれる本書では、複数の相互に間隔を置いたトラフ区画からなり得ることを考慮すると、これは、各位置において、全ての前歯がトラフ区画に同時に包含されることを意味するものではない。
【0294】
次に、特に第三の発明に目を向けると、第三の発明によるマウスピースにおいて、ハンドルカップリングはマウスピースの前部端でマウスピースに取り付けられる。第三の発明によると、ハンドルカップリングは、マウスピースの前部端においてのみマウスピースと係合する。
【0295】
使用時に、ハンドルカップリング31は、ハンドル71のカップリング端部75内またはそれに固定される(図6を参照されたい)。ハンドルカップリング31は、例えば、一つのマウスピース30を別のマウスピース30で交換すること、または一つのハンドル71を別のハンドル71で交換することを可能にするように、取り外し可能な様式でカップリング端部75に固定されることが好ましい。ハンドル71は、ユーザーがi)マウスピース30を口の中および外に移動させ、またii)マウスピースをモノレールトレインのように歯列弓上に移動させるために、マウスピース30を歯列弓に対して右および左に移動させるためのハンドルカップリング31および/またはマウスピース30に移動力を印加することを可能にする。図39A~39Bでは、矢印Rは、それぞれの図の右側に移動する力を示し、矢印Lは、図の左側に移動する力を示す。さらに、図39A~39DのセクターRSは、ハンドルカップリング31の右側のマウスピースの(右)セクターを示し、図39A~39DのセクターLSは、ハンドルカップリング31の左側のマウスピースの(左)セクターを示す(左および右は図示の図面に関連している)。
【0296】
ハンドルカップリング31は、第三の発明によれば、マウスピース30の前部端35に取り付けられ、より具体的には独占的に取り付けられ、第三の発明によれば、さらに、移動方向で見たとき、ハンドルカップリングの前方、つまり右セクターRS(または、移動力Lの場合は左セクターLS)の、全てのトラフセクションが、ハンドルカップリングを押すことによって前進するように、一方、走行方向から見たとき、ハンドルカップリングの後ろ、つまり左セクターLS(または移動力Lの場合は右セクターRS)にある全てのトラフセクションが、ハンドルカップリングの引っ張り動作によって前進するように、ハンドルカップリング31に(ハンドル70によって)加えられた移動力R(またはL)を、整列したトラフセクションに伝達するように構成される(図39を参照)。
【0297】
図40~43は、本発明によるマウスピース30のいくつかの例を示しており、それらは全て、第二の発明による方法を用いて製造され得るが、上述のように異なる方法で製造され得る。さらに、これらのマウスピース30は全て、簡略化された様式で示される。ブラシ毛またはブラシ毛の房などのブラッシング要素は示さず、また、圧力チャンバーまたはトラフシステム/トラフセクションに対してブラッシング要素を前後に動かすための他の手段の詳細も示していない。
【0298】
図40のマウスピース30は、図2、6、30、31、および34に示すようにマウスピース30と類似している。従って、類似の参照は、類似の部分を示すために使用される。図40Aは斜視図を示し、図14Bは、中立位置にあり、歯列弓上に投影されたマウスピースの上面図を示す。図41のマウスピース30は、第二の発明による方法とは異なる方法で製造されていてもよいことに注目すると、図2、6、30および34の実施形態に関して明記される残りの部分は、図41のマウスピースに準用される。
【0299】
図40のマウスピースは、二つのトラフシステム、上部トラフシステム42および下部トラフシステム52を有する。これらのトラフシステムの各々は、三つのトラフセクションを有し、それらは、互いに、マウスピース30の上部部品40、下部部品50のU字形状の湾曲した長さ軸41および51(図2を参照)に沿って間隔を置いて整列している。これらのトラフセクションは、可撓性リンク44、46、54、56によって接続され、図39に関連して説明したように、マウスピースが歯列弓に沿って移動することを可能にする。可撓性リンクは、トラフセクション44、46、54、56が、曲げ軸210の方向に延在する、いわば、軸の周りに互いに対して移動することを可能にする。リンクの柔軟性は、これらの曲げ軸210で設けられる、一体丁番のような丁番による場合があるが、追加的または代替的に、リンク44、46、54および56が、曲げ軸210のほぼ方向に延在する軸の周りに、このリンクの湾曲/曲げを可能にするように構成されることによる場合がある。
【0300】
図40の実施形態に見られるように、リンク44、46、54および56は全てマウスピースの顔面側に設けられ、結果として、トラフシステム42および52は、本実施形態では、顔面側に沿って連続的に延在する壁を有する。これにより、ユーザーの頬または唇の内側からなど、顔面側の組織が、マウスピースが歯列弓に沿って移動している間にその形状に適合するとき、マウスピースの一部の間に引っかかったり、締め込まれたりするのを防ぐ。
【0301】
さらに図40Bは、湾曲した長さ軸41に沿って見たときの前方トラフセクション45の内側/舌側壁305が、湾曲した長さ軸41に沿って見たときの前方トラフセクションの外/顔面壁306の長さよりも短い。これにより、トラフセクション45の内側壁305の右側および左側が隣接歯の間に引っかかるのを防ぐので、マウスピースが歯列弓に沿って移動するのを容易にする。同様に、トラフセクション43、53、47、57の内側壁305は、追加的に、または代替的に、これらのトラフセクションの外側壁306よりも短くてもよい。トラフセクションの内側壁が外側壁よりも短いというこの概念は、本発明の任意の実施形態、また、これを繰り返すことがないさらに以下で論じる実施形態、および図からは見えない場合に適用することができる。
【0302】
図41は、図37に示すマウスピース30と類似したマウスピース30を上面図に示す。図41のマウスピース30は、第二の発明による方法とは異なる方法で製造されていてもよいことに注目すると、図37の実施形態に関して明記される残りの部分は、図41のマウスピースに準用される。さらに、全ては、図40に関連して記載されており、例えば、トラフセクション壁のリンク、柔軟性、および長さに関連して、図41のマウスピースにも準用される。従って、類似の参照は、類似の部分を示すために使用される。図41は、マウスピースの一つの部分のみの上面図を示すが、図40Aに示すように、これらのマウスピース部品の二つの類似点が、ミラー様式で互いに取り付けられて、上歯および下歯を同時に処置するためのマウスピースを取得し得ることは明らかであろう。
【0303】
図42は、図38に示すマウスピース30と類似したマウスピース30を上面図に示す。図42のマウスピース30は、第二の発明による方法とは異なる方法で製造されていてもよいことに注目すると、図38の実施形態に関して明記される残りの部分は、図42のマウスピースに準用される。さらに、全ては、図40に関連して記載されており、例えば、トラフセクション壁のリンク、柔軟性、および長さに関連して、図42のマウスピースにも準用される。従って、類似の参照は、類似の部分を示すために使用される。図42は、マウスピースの一つの部分のみの上面図を示すが、図40Aに示すように、これらのマウスピース部品の二つの類似点が、ミラー様式で互いに取り付けられて、上歯および下歯を同時に処置するためのマウスピースを取得し得ることは明らかであろう。図48でさらに可視化されるように、トラフシステムの顔面側壁と舌側壁の間のリンクの切り換えの配置は、湾曲した長さ軸41に対してトラフセクションの舌側壁と顔面側壁から回転するのと抑制する。
【0304】
図43は、図3および42に示すように、マウスピース30に類似したマウスピース30を上面図に示す。図43は、a)J字形状マウスピースおよびb)図42のマウスピースのハーフバージョンである。また、図43のマウスピースは、顔面壁側と舌壁側との間のリンク切り替えを有する。図43のマウスピース30は、第二の発明による方法とは異なる方法で製造されていてもよいことに注目すると、図3および図42の実施形態に関して明記される残りの部分は、図43のマウスピースに準用される。さらに、全ては、図40に関連して記載されており、例えば、トラフセクション壁のリンク、柔軟性、および長さに関連して、図43のマウスピースにも準用される。従って、類似の参照は、類似の部分を示すために使用される。図43は、マウスピースの一つの部分のみの上面図を示すが、図40Aに示すように、これらのマウスピース部品の二つの類似点が、ミラー様式で互いに取り付けられて、上歯および下歯を同時に処置するためのマウスピースを取得し得ることは明らかであろう。
【0305】
図47Aは、それぞれ、下部歯列弓2および智歯18および第一大臼歯16の歯位置18および16で、歯列弓2の(湾曲した)長さ方向に横断する、断面を概略的に示す。わかるように、歯位置18の基部18’は、歯位置16の基部16’よりもかなり広い。これは、智歯の領域での顎の骨および/または歯茎の拡大によるものである。実際には、この拡大は通常、第二大臼歯で始まり、時にはそれより前に始まる。拡大の量および拡大の場所は、人によって異なり得る。これは、マウスピースの後部端の最も後方トラフセクション43の後部端35が、拡大基部と接触する場合に不快感を引き起こす可能性がある。従って、実際には、マウスピースのトラフシステムは、実際には、後部端に向かって広がる幅を有する。マウスピースが歯列弓に沿って移動する場合、マウスピースの後部端35が第二大臼歯、第一大臼歯、および場合により第二小臼歯および第一小臼歯に沿って通過するとき、これはブラッシング作用の減少をもたらす。本出願に記載され、示されるか否かにかかわらず、任意の実施形態に適用され得る、第三の発明のさらなる実施形態によれば、これは、トラフセクションの残りの側壁よりもより可撓性である、最も後方トラフセクションの側壁305、306を、マウスピースの後部端に構成することにより抑制される(図47Bで詳細を参照)。図47Bに示すように、いわば、領域310のこの柔軟性は、基部の拡大に適合するように、最も後方トラフセクションの側壁の後部端35が変形することを可能にする。そうすると、水平面で見たとき、最も後方トラフセクション46(ならびに他のトラフセクション)の、歯列弓の長さ方向に対して横断する幅は、後部端35から離れた位置で、これらの位置での良好なブラッシング作用のために小さく保たれることができ、一方でマウスピースの後部端35では、トラフセクション46の幅は、ユーザーにとって不快感が回避されるように、基部の拡大に局所的に調整または適合することができる。マウスピースの後部端が、例えば、第二大臼歯または第一大臼歯などの智歯から離れた大臼歯を包含している時に、ブラッシング作用を改善するために、最も後方トラフセクション46の側壁305、306の後部端35の柔軟性は、第三の発明による本実施形態のさらなる実施形態によれば、弾性の柔軟性または変形性を有する。この弾性により、最も後方トラフセクション46の側壁305、306の可撓性の後部端35が、基部の幅が小さい歯列弓の部分を通り過ぎるときに、互いに向かって曲がって、トラフセクション46の幅を狭めることが可能になる。全体として、歯列弓の基部は、中切歯から智歯に向かう方向に広がる傾向があるため、この原理は、最も後方トラフセクション46だけでなく、他のトラフセクションにも適用され得る。より一般的には、トラフセクション43、53、45、55、47、57、49、89の側壁305、306の後部端は、トラフセクション43、53、45、55、47、57、49、89の残りの側壁305、306よりも、弾性的に可撓性など、より可撓性で構成され得る。歯列弓の中心軸21に対して中心の中立位置に位置する中央(または前)のトラフセクションの場合、トラフセクションの側壁の両端は、中央トラフセクションの残りの側壁よりも、弾性的に可撓性であるなど、より可撓性で構成され得る。
【0306】
図44は、可撓性リンクによって結合されたトラフセクションを有するマウスピースが、柔軟性が高すぎる場合(図44A)、可撓性リンクによって結合されたトラフセクションを有するマウスピースが、硬すぎる場合(図44B)、および可撓性リンクによって結合されたトラフセクションを有するマウスピースが、正確には、それが持つべき柔軟性を有する場合(図44C)に何が起こるかの可視化である。
【0307】
理想的な状況を図44Cに示す。トラフセクション43~47のトレインが、実線で示された中立位置から、破線で示されるシフト位置へ押し出される場合、歯列弓に沿って測定される前方トラフセクション47の矢印V1により示される変位の長さが、理想的には、後方トラフセクション43の変位W1の長さと同一であるべきである。次に、矢印V1およびW1は、歯列弓に沿って同じ長さで測定される。もちろん、これは理想的な状況である。実際には、マウスピースの機能を著しく減少させることなく、またはユーザーに不快感を生じさせることなく、差異がある。出願人は、実際には、矢印W1の長さが、矢印V1の長さの約70%または矢印V1の長さの約80%であり得ることを発見した。これは、マウスピースおよび他の要因に使用される材料の圧縮性に依存し得る。
【0308】
出願人はまた、全体としてのマウスピースおよび/またはリンクの柔軟性は、マウスピースを歯列弓に沿って前後に移動するのに望ましい相対的に低い力を考慮に入れると、大きすぎるか、または低すぎることが容易にあり得ることも見出した。帯域幅は比較的小さい。
【0309】
柔軟性が大きすぎる時、トラフセクションおよびリンクのトレインは、図44Aの破線320で誇張されるように、いわば、しわまたはジグザグであり得る。これにより、矢印W3の長さが矢印V1の長さよりも実質的に小さくなり、また、後方トラフセクションが、図44Aの平面に垂直な軸の周りを回転し、また、前方トラフセクション47が、トレインが、歯列弓に非平行な押し力を印加することに対して、ユーザーに抵抗を与えないため、図44Aの図面の平面に垂直な軸の周りに回転する。歯列弓に対するトラフセクションの不整列により、トラフセクションの端部が歯茎に対して、または隣接する歯の間の間隔の間に押し付けられ、不快感およびおそらくはトレインの行き詰まりをもたらす。
【0310】
柔軟性が小さすぎる場合、トラフセクションおよびリンクのトレインは、図44Bの破線325で誇張されるように、いわば、広い曲線を取り、トレインの長さ軸の外向きの曲げをもたらす傾向がある。これは、柔軟性が高すぎるときと同じ影響を有し得る。それにより、矢印W2の長さは矢印V1の長さよりも実質的に小さなり、また、後方トラフセクションが、図44Aの平面に垂直な軸の周りで回転し、また、トレインがあまりにも硬すぎることにより、図44Aの図面の平面に垂直な軸の周りで前方トラフセクション47が回転し得る。歯列弓に対するトラフセクションの不整列により、トラフセクションの端部が歯茎に対して、または隣接する歯の間の間隔の間に押し付けられ、不快感およびおそらくはトレインの行き詰まりをもたらす。
【0311】
図45および46を参照する。ある一人の上部歯列弓と下部歯列弓は実際には同一ではないことが公知である。全体的な湾曲は異なり得、および局所的に、歯列弓に沿った場所では、歯列弓の全体的な湾曲に対する歯の不整列が発生し得る。
【0312】
歯列弓に沿ってマウスピースが移動している場合、上部歯列弓と下部歯列弓との間で全体的または局所的に生じる湾曲差異は、下部歯列弓が上部歯列弓とは異なる、全体的および/または局所的にマウスピースに適合する傾向があるという結果となり得る。これにより、ユーザーによるブラッシング作用および/または不快感の減少をもたらし得る。第三の発明のさらなる実施形態によれば、これにより、歯列弓に沿って前後に移動するとき、上部マウスピース部品40が上部歯列弓に第一の構造をとることができ、下部マウスピース部品50が、下部歯列弓に第一の構造とは異なる第二の構造をとることができるようにマウスピース30を構成することによって、抑制され得る。第三の発明によれば、これを達成するためのいくつかの代替的または補足的な方法がある。
図45Aおよび45Bに示すように、これらの図の右半分において、一つまたは複数の後方トラフセクション(つまり、中立位置で臼歯または臼歯のみを含むトラフセクション)は、それらが、歯列弓の湾曲した長さ方向に対して横方向の水平方向に互いに対して自由に動くことができるよう、接続しないままにしておくことができる。これにより、湾曲した歯の軸によってスパンされた平面に対して横切る方向に、上下のマウスピースのトラフセクションが互いに対して移動することも可能になる。これは、本実施形態が本出願で説明または示されるか否かにかかわらず、第三の発明の任意の実施形態の鉛直に隣接するトラフセクションの全てまたは一部に適用され得る。および/または
図45Aおよび45Bに示すように、これらの図の右半分で、一つまたは複数の後方トラフセクションが、接続されるトラフセクションが、歯列弓に対して横切る水平方向に互いに対して移動することを可能にする、可撓性の接続によって、鉛直に隣接する後方トラフセクションに接続され得る。次に、鉛直に隣接するトラフセクションは、歯列弓の湾曲した長さ軸によってスパンされる平面に対して横切る方向に互いに対して移動することを防止され得る。これは、本実施形態が本出願において説明または示されるか否かにかかわらず、第三の発明の任意の実施形態の鉛直に隣接するトラフセクションの全てまたは一部に適用され得る。図45Aおよび図45Bの左側および図45Cの右側を参照すると、これは、例えば、ピンスリット接続を形成するスリット330およびピン335によって達成され得る。鉛直に隣接するトラフセクションの一つに形成されるスリット330は、歯列弓の湾曲した長さ方向に横方向に水平に延在してもよく、また鉛直に隣接するトラフセクションの他の一つからスリット330内に取り付けられ、突出するピン335は、本質的に鉛直に延在し得る。および/または
図46に概略的に示されるように、マウスピースの上部部品および下部部品は、マウスピースの中立位置に見たとき、歯列弓の中心軸で、可撓性取り付け部340によって互いに取り付けられ得る。この可撓性取り付け部340は、マウスピースの舌側、図46に示すように、顔面側、顔面側と舌側との間の任意の位置に配設されてもよく、またはマウスピースの舌側から顔面側まで延びてもよい。ハンドルカップリング31から上部フレーム部品40および下部フレーム部品50への移動力の効率的な伝達を確保するために、可撓性取り付け部340が、マウスピースの上部品40および下部品50が、マウスピースの前部端35で、互いに対し、並進移動を防止するように構成され得る。歯列弓に沿って前後に移動中に、互いに対して上部部品および下部部品に効果的な柔軟性を可能にするために、可撓性取り付け部340が、追加的に、または代替的に、マウスピースの上部40部品および下部50部品がマウスピースの湾曲した長さ軸によってスパンされる平面に対して横方向の軸を中心に、互いに対して回転するのを可能にするように構成され得る。
【0313】
図48は、抑制または限定される第三の発明のさらなる実施形態によるマウスピースの可撓性を概略的に図示する。これは、マウスピースのねじれの柔軟性に関する。上部および下部トラフシステムを有するU字形状のマウスピースが中立位置にあり、U字形状の脚の間で後部端で水平距離D1を有する場合(図48Aを参照されたい)、後部端のH字形状の断面は、図48Aに示すように初期(変形していない)状態を有し得る。その後、U字形状のマウスピースの脚を一緒により小さな距離に絞ることによって(図48Bを参照のこと)、図48Bに示すように、最も後方トラフセクション、ならびに他のトラフセクションが変形する。トラフシステムの舌側側壁302および顔面側壁301は、マウスピースの湾曲した長さ軸に対して回転する。同様の影響は、マウスピースが、前後に移動中に収容される湾曲の変化により、歯列弓に沿って、前後に移動するときに生じる。これにより、歯茎および/または歯への圧力の増加による不快感を引き起こす可能性がありマウスピースが歯列弓に対して固着し、ブラッシング作用を減少させ得る。これは、本発明によれば、第二小臼歯の領域において、顔面側壁301の角度αと舌側壁302の角度βが、中立位置から始まる歯列弓に沿ってマウスピースを1cm以上移動させたとき、中立位置での対応する角度に対して、15°超、好ましくは、最大で10°または最大で5°変化するのを防止するのに十分に柔軟な、隣接するトラフセクション間のリンクを構成することによって防止することができる。図48の例では、側壁301および302の両方が鉛直に中立位置で延在するが、これは他の実施形態では異なってもよい。
【0314】
本発明によるマウスピースの柔軟性を表現する様式は、図49に示すような実験セットアップに従ってマウスピースの拡大および/または狭小化に対する抵抗を測定する際に見出され得る。実験セットでは、ハンドルカップリング31は、クランプ内に動かなく固定される。次に、マウスピースの前部端35から30mmの距離Kで、外向きの力Nおよび内向きの力Mが、歯列弓の中心軸と一致する中心軸350の方向に対して横切る方向に印加される。
【0315】
可撓性ではないが、十分に可撓性である、すなわち、歯列弓に沿ってよく移動するかという基準を満たす小型の(図49Aを参照)、中型の(図49Bを参照)、および大型の(図49cを参照)マウスピースを設計し、作製する。これら三つのマウスピースは、例えば図2に示すように、上部および下部マウスピース部品を有するU字形状マウスピースであった。マウスピースが柔軟性の基準を満たしているかどうかが、歯科分野における研修、教育、研究のための歯モデルを製造する会社のうちの一つ(唯一の会社でなければ)である、frasaco GmbHのいわゆる基本的AG-3モデル(32本の歯を有する)で、テストされる。マウスピースが出願人の柔軟性の基準に合致するかどうかを決定し、最良の設計を見つけた後、出願人は、この設計に従って、上述の小型、中型、および大型のマウスピースを作製した。出願人は、これらの「最適または最良の」マウスピースの各々を、拡大力Nに供し、どの力Nで、力Nが係合する点Qが、中心軸350に対して横断する10mmの距離超変位するかを決定した。これにより、拡大することに対する以下の測定された抵抗FAWが得られた(以下の表1を参照されたい)。出願人はまた、小型、中型、および大型のマウスピースを、狭小の力Mに供し、どの力Mで、力Mが係合する点Pが、中心軸350に対して横断する10mmの距離超変位するかを決定した。これにより、狭小化に対する以下の測定された抵抗FANが得られた(以下の表1を参照されたい)。これは全て、最も最適なものと思われる、壁厚1.5mmのPPの板形状部のフレーム(部品)を有するマウスピースを用いて行われた。
【表1】
【0316】
その後、出願人は、PPフレーム部品の壁厚を変化させ、異なる材料のフレーム部品を使用することによって、設計変更を行った。出願人は、1mmの厚さのPPでは、フレームは柔軟になりすぎる、またはほぼ柔軟になりすぎる(弱すぎる)、2mmの厚さのPPでは、フレームは不十分に柔軟である、またはほぼ不十分に柔軟である(硬すぎる)ことが分かった。この情報を用いて、出願人は、特許請求の範囲および明細書の他の部分で言及されるように、狭小化に対する抵抗FAN、および拡大に対する抵抗FAWの範囲を決定した。
【0317】
出願人はさらに、上記の表1の結果をもたらす試験が、図3に示すようなJ字形状のマウスピース(そのJ字形状のマウスピースは、表1の値をもたらす試験に使用されるU字形状のマウスピースと同じであった)で繰り返されたとき、実質的には、表1に図示されるものと同じ結果が取得されることに注目した。これはあまり驚くべきことではない。
【0318】
出願人はさらに、上記の表1の結果をもたらす試験が、半分のU字形状のマウスピース(すなわち、例えば図2の上部または下部マウスピース部品40、50のみを有するが、他の点では、表1の値をもたらす試験に使用されるU字形状のマウスピースと同じである)で繰り返されたとき、結果の値は、表1の値のほぼ半分であり、以下の表2をもたらすことに、注目した。
【表2】
【0319】
図50を参照すると、第三の発明によるマウスピースのさらなる実施形態の詳細が示される。図50Aは、マウスピースの最も後方トラフセクション43、53の後部端を第一の位置で斜視図で示す。図50Bは、図50Aと同じ斜視図を示すが、現在は第二の位置にある。図50Cは、歯列弓の後部端に対する第一の位置の上部トラフセクションの底部を側面図で示す。図50Dは、歯列弓の後部端に対する第二の位置の上部トラフセクションの底部を側面図で示す。
【0320】
歯列弓に沿って移動しないマウスピースでは、マウスピースの後部端は、トラフの底部から鉛直に突出する後部端壁上のより長いブラシ毛またはブラシ毛を有するように適合され得る。歯列弓に沿って移動するマウスピースでは、歯の閉塞側の下にあるときのより長いブラシ毛によりより短い他のブラシ毛が歯の咬合面とあまり接触しないため、これは、ブラッシング作用の減少を引き起こす。また、トラフシステムの鉛直に突出する端壁の場合、この鉛直に突出する端壁が歯の閉塞面の下にあるときに、同じことが起こる。
【0321】
歯列弓の最も後部の歯の後部側375が処置されるかまたはブラッシングされるのを可能にするために、第三の発明によれば、最も後方トラフセクションが、記可動底部に対して横方向に突出するブラシ毛を有する可動底部371を有する、前述の最も後方トラフセクションの底部370の後部端に、提供されてもよく、可動底部371が回転軸376の周りを移動可能であり、後退位置(図50Aおよび50C)から傾斜した直立位置(図50Bおよび50D)までマウスピースの(湾曲した)長さ方向に対して横切る水平方向に延在する。回転軸は、可動底部の前側372に配置される。可動底部が、最も後部の歯の後部端を越えて通過するときに直立し、歯の咬合面の下に戻る時に後退することを可能にするために、マウスピースは、少なくとも使用中、直立位置に向かって可動性壁部品を付勢するように構成される。この付勢のために、圧力チャンバー373を使用し得る。さらなる実施形態では、この圧力チャンバーは、その後ろ側に、最も後部の歯の後部端の下を通過するときに、ブラシ毛を用いて可動性壁部品の直立および後退を容易にする、ジグザグの壁部品377を有し得る。
【0322】
図50は、上部マウスピース部品のみに関連して可動底部部分を示し、その他の詳細、可動性壁部品のこの特徴には関連していない、例えばブラシ毛、圧力チャンバーなどを示していないが、このような移動性壁または類似の可動性壁部品が、本出願に記述されるか否かにかかわらず、第三の発明の任意の実施形態で、ならびに歯列弓に沿って移動する他の歯マウスピースに適用され得ることは明らかであろう。
【0323】
第一の発明、第二の発明および第三の発明の実施形態はまた、以下の項に反映されるように、言葉で表現され得る。
1)圧力チャンバー内の圧力を増加および減少させることによって、複数の歯位置を同時に処置するためのマウスピースの圧力チャンバーを製造する方法であって、
- マウスピースのフレームのフレーム部品を射出成形型に提供するステップb)と、
- マウスピースの可撓性壁の壁部品を射出成形型に提供するステップc)と、
- 第一のオーバーモールド材料が射出成形型内に注入されて、壁部品およびフレーム部品を、取り付けループ、取り付けループによって囲まれた壁部品の一部、および取り付けループによって囲まれたフレーム部品の一部が、構成される圧力チャンバーを限定するように、取り付けループに沿って互いに取り付けるように、オーバーモールドするステップf)と、
- 構成される圧力チャンバーを固化させ、それを射出成形型から除去し、その結果、フレーム部品および可撓性壁部品を有する圧力チャンバーが製造される、ステップg)と、を含む、方法。
2)壁部品が、弾性的に伸縮性であるなど、伸縮性である、項1に記載の方法。
3)方法が、互いに平行なフレーム部品層および壁部品層を有する層状構造を得るために、フレーム部品および壁部品を、層状に配列するステップをさらに含む、項1または2に記載の方法。
4)方法が、フレーム部品層と壁部品層との間の領域内に加圧媒体を導入するステップをさらに含み、領域は取り付けループによって囲まれ、フレーム部品層と壁部品層を分離する、項3に記載の方法。
5)方法が、中間部材を提供するステップa)をさらに含み、ステップb)およびc)のうちの一つは、ステップf)の前に実施され、提供される部品をもたらし、方法が、提供される部品と中間部材を組み合わせて組み合わせ部品を得るステップd)をさらに含み、組み合わせ部品において、中間部材は、ステップd)の後、ステップf)において、得られる取り付けループの位置をあらかじめ画定するポジティブまたはネガティブであり、ステップb)およびc)の他方は、ステップf)で実施され、組み合わせ部品上に成形することによって壁部品、フレーム部品のうちのそれぞれ他方を提供し、層状構造および取り付けループを得る、項3~4のいずれか一つに記載の方法、
6)ステップd)で、中間部材が、提供される部品に取り付けられる、項5に記載の方法。
7)ステップb)が、ステップf)の前に実施され、提供される部品がフレーム部品であることをもたらし、ステップc)が、ステップf)で実施される、項5~6のいずれか一つに記載の方法であって、方法。
8)方法が、第一のキャビティ壁と、第一のキャビティ壁と対向し、かつ間隔を置いた第二のキャビティ壁とによって区切られるダイキャビティを有するように、ステップf)の前に、射出成形型を調製するステップe)をさらに含み、ステップe)が、
- 前述の第一のキャビティ壁に穴を設けることであって、穴が、
- ダイキャビティ内に開口する穴端を有し、
- 穴端に横たわる根元セクションを有するブラシ毛で充填される、設けることと、
- 組み合わせ部品をインサートとして、第一のキャビティ壁から間隔を置いて、第二のキャビティ壁に対してフレーム部品を有するダイキャビティ内に配置することとを含み、
第一のオーバーモールド材料が、壁部品を形成するための壁材料(C)であり、ブラシ毛の根元セクションが壁部品(C)と一体的になるように、ステップf)で、ダイキャビティ内に注入される、項7に記載の方法。
9)ステップc)は、ステップf)が、提供される部品が壁部品である結果の前に実施され、方法が、ステップe)は、第一のキャビティ壁と、第一のキャビティ壁と対向し、かつ間隔を置いた第二のキャビティ壁とで区切られるダイキャビティを有するように、射出成形型を調製するステップe)をさらに含み、ステップe)が、
- 前述の第一のキャビティ壁に穴を設けることであって、穴が、
- ダイキャビティ内に開口する穴端を有し、
- 穴端に横たわる根元セクションを有するブラシ毛で充填される、設けることと、
- 組み合わせ部品をインサートとして、第二のキャビティ壁から間隔を置いて、根元セクションに接触する壁部品を有するダイキャビティ内に配置することとを含み、
第一のオーバーモールド材料が、フレーム部品を形成するためのフレーム材料(A)であり、ステップf)で、ダイキャビティ内に注入される、項5~6のいずれか一つに記載の方法。
10)ステップa)がステップb)およびc)の前に実施される、項5~9のいずれか一つに記載の方法。
11)ステップd)が、中間部材および提供される部品が、オーバーモールドすることによって組み合わされる、第一のさらなるオーバーモールドステップを含む、項5~10のいずれか一つに記載の方法。
12)中間部材が、第一のさらなるオーバーモールドステップ中に提供される部品と融合する、項11に記載の方法。
13)ステップd)で、中間部材が接着剤によって提供される部品に取り付けられる、項5~11のいずれか一つに記載の方法。
14)ステップd)で、中間部材が、提供される部品に機械的に取り付けられる、項5~13のいずれか一つに記載の方法。
15)中間部材が、中間部材および提供される部品がオス-メスの様式で互いに嵌合するように、提供される部品の少なくとも一部の対応する3次元メス、オスの構成と嵌合する、3次元オス、またはメスの構成を含む、項3~14のいずれか一つに記載の方法。
16)ステップa)で、中間部材が、中間部材を提供される部品上に噴霧することによってなど、噴霧することによって提供される、項5~11のいずれか一つに記載の方法。
17)フレーム部品と壁部品は、互いにオーバーモールドされるときに互いに融合可能であり、中間部材は中間層であり、ステップd)から得られる組み合わせ部品において、提供される部品は露出された提供される部品上の融合ループを残しながら、中間層で覆われ、ステップf)において、壁部品、フレーム部品のうちのそれぞれ前述の他方が、中間層上および融合ループ上に層を成形することによって得られ、
- フレーム部品層と壁部品層との間に中間層を有する層状構造、および
- フレーム部品層および壁部品層の融合ループでの融合による取り付けループをもたらし、
中間層(B)が、壁部品層とフレーム部品層との間に加圧媒体を導入するときに、壁部品層がそれに沿ってフレーム部品層から分離する分離層を提供するように構成される、項5~16のいずれか一つに記載の方法。
18)中間層が、提供される部品に面し、およびステップf)で提供される部品と融合する、または提供される部品に取り付けられる、第一の外側表面を有し、積層体が、提供される部品とは反対側に面する第二の外側表面を有し、第二の外側表面が、ステップf)で注入される第一のオーバーモールド材料との融合に抵抗するように構成される、項17に記載の方法。
19)中間層が、ポリアミド(PA)またはポリエチレン(PE)を含むか、またはこれから作製され、フレーム部品(A)が、ポリプロピレン(PP)を含むか、またはこれから作製され、壁部品(C)が、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)などの熱可塑性ポリマー(TPE)を含むか、またはこれから作製される、少なくとも項7に従属する、項18に記載の方法。
20)中間層は、壁部品層に接着する第一の表面、フレーム部品層に接着する第二の表面、および、第一の表面と第二の表面との間に弱まった領域を含む積層体であって、壁部品層が、壁部品層とフレーム部品層との間に前述の加圧媒体が導入されるときに、剥離により壁部層がフレーム部品層から分離するように分離層を提供する、項17に記載の方法。
21)提供される部品を覆う中間層が、提供される部品とは反対側に面する露出表面を有し、露出表面は、ステップf)で注入される第一のオーバーモールド材料との融合に抵抗するように構成される、項17~19のいずれか一つに記載の方法。
22)提供される部品を覆う中間層が、露出表面に対向し、提供される部品に面した対向表面を有し、対向表面が、ステップf)で注入される第一のオーバーモールド材料の熱により、提供される部品と融合するように構成される、項21に記載の方法。
23)中間層(B)は、ポリアミド(PA)を含むか、またはこれから作製され、壁部品(C)は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)などの熱可塑性ポリマー(TPE)を含むか、またはこれから作製され、フレーム部品(A)は、ポリアミド(TPE-PA)と結合することができる熱可塑性ポリマーを含むか、またはこれから作製される、少なくとも項7に従属する、項21または項22に記載の方法。
24)提供される部品を覆う中間層が、提供される部品とは反対側に面する露出表面を有し、露出表面が、ステップf)で注入される第一のオーバーモールド材料と融合するように構成される、項17に記載の方法。
25)提供される部品を覆う中間層が、露出表面に対向し、提供される部品に面した対向表面を有し、対向表面は、ステップf)で注入される第一のオーバーモールド材料の熱により、提供される部品との融合に抵抗するように構成される材料である、項24に記載の方法。
26)中間層(B)は、ポリアミド(PA)を含むか、またはこれから作製され、壁部品(C)は、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)などの熱可塑性ポリマー(TPE)を含むか、またはこれから作製され、フレーム部品(A)は、ポリプロピレン(PP)を含むか、またはこれから作製される、少なくとも項7に従属する、項25に記載の方法。
27)フレーム部品および壁部品は、互いにオーバーモールドされるときに互いに融合に抵抗する材料から作製され、またはそれに抵抗するように構成され、中間部材は、ステップf)において、ステップf)において注入された第一のオーバーモールド材料と融合するように構成されるビードループであり、ステップd)において、ビードループは、提供される部品の露出領域をビードループ内に残しながら、提供される部品に対して配置され、ステップf)で射出された第一のオーバーモールド材料が、
- フレーム部品層と壁部品層とが互いに対して横たわる層状構造、および
- ステップf)で第一のオーバーモールド材料をビードループと融合することによる、取り付けループをもたらす、ビードループ上および露出領域上に成形される、項5~8のいずれか一つに記載の方法。
28)ビードループが、ステップf)で注入された第一のオーバーモールド材料の熱により、またはビードループが第二のさらなるオーバーモールドステップによって提供される部品上に提供される場合、ビードループ自体の熱により、提供される部品と融合するように構成される、項27に記載の方法。
29)ステップb)において、あらかじめ組み立てられたフレーム部品が提供され、ステップc)において、あらかじめ組み立てられた壁部品が提供され、方法が、さらに、ステップf)の前に、射出成形型型を調製するステップe)とを含み、ステップe)が、フレーム部品と壁部品とをあらかじめ組み立てられた壁部品の周縁に沿って互いに押し付けた状態で、あらかじめ組み立てられたフレーム部品とあらかじめ組み立てられた壁部品をインサートとして、射出成形型内に配置することを含み、壁部品の周縁がフレーム部品に対して固定され、取り付けループを提供するように、ステップf)で射出された第一のオーバーモールド材料が、ステップf)で、壁部品の周縁と融合する、項1~4のいずれか一つに記載の方法。
30)あらかじめ組み立てられたフレーム部品およびあらかじめ組み立てられた壁部品のインサートが、フレーム部品層と接触するように押し込まれた周縁内の壁部品層の一部がフレーム部品層に対して緩く置かれる、層状構造である、項29に記載の方法。
31)あらかじめ組み立てられた壁部品が、外周縁の少なくとも一部に沿って、あらかじめ組み立てられたフレーム部品の嵌合オス縁を受けるように構成されるスリット付きメス部品を備える、項29または項30に記載の方法。
32)圧力チャンバーから離れて面するフレーム部品の対向面が、注入された第一のオーバーモールド材料(B)が、周縁の両側を、周縁の両側の間の最短線に沿って接続するように、ステップf)で注入された第一のオーバーモールド材料(B)で覆われる、項29~31のうちの一つによる方法。
33)フレーム部品の対向面が、少なくとも90%または100%など、少なくとも80%注入された材料(B)で覆われている、項32に記載の方法。
34)第一のオーバーモールド材料(B)が、ステップf)で、フレーム部品と融合するように構成される、項29~33のいずれか一つに記載の方法。
35)項1~34のいずれか一つに記載の方法を用いて製造される圧力チャンバー。
36)壁部品が、フレーム部品から離れた方向に壁部品から突出するブラシ毛を含む、項35に記載の圧力チャンバー。
37)項1~36のいずれか一項に記載の方法で製造された少なくとも一つの圧力チャンバーを含む、一つまたは複数の圧力チャンバーの圧力を増加および減少させることによって複数の歯位置を同時に処置するためのマウスピース。
38)マウスピースが、歯列弓の複数の歯を包含するためのJ字形状またはU字形状の湾曲した長さ方向で構成される一つまたは複数のトラフを有する、項37に記載のマウスピース。
39)壁部品がトラフの壁を画定する、項38に記載のマウスピース。
40)トラフが、湾曲した長さ方向に整列したトラフセクションを含む、項38または39に記載のマウスピース。
41)壁部品が、フレーム部品から離れた方向に壁部品から突出するブラシ毛を含む、項37~40のいずれか一つに記載のマウスピース。
42)マウスピースが、圧力チャンバーと流体接続する圧力媒体コネクターを含む、項37~41のいずれか一つに記載のマウスピース。
43)マウスピースがハンドルコネクターを含む、項37~42のいずれか一つに記載のマウスピース。
44)項37~43のいずれか一つに記載のマウスピースと、マウスピースのハンドルコネクターなど、マウスピースへの着脱可能な取り付けのために構成されるハンドルとを含むシステム。
45)ハンドルが、圧力チャンバー(一つまたは複数)を交互に加圧および減圧してブラシ毛を前後に移動させるように構成される駆動部を含む、項44に記載のシステム。
46)一つまたは複数の圧力チャンバーの圧力を増加および減少させることによって、複数の歯位置を同時に処置するためのトラフシステムを有するマウスピースを製造する方法であって、
- 板形状のフレーム部品が提供されるフレーム部品提供ステップであって、板形状のフレーム部品が、二つ以上の間隔を置いたトラフ領域で、細長部材から横方向に突出する側面部材のセットを有する細長部材によって画定される、フレーム部品提供ステップと、
- 板形状のフレーム部品がシート状態にある間に、
- トラフ領域での板形状のフレーム部品の一方の面に、可撓性壁部品を提供することと、
- 可撓性壁部品を、トラフ領域に、一つまたは複数の取り付けループに沿って、板形状のフレーム部品に取り付けて、トラフ領域に、各取り付けループ、フレーム部品、および壁部品の間に囲まれた一つまたは複数の圧力チャンバーを提供することとを含む、圧力チャンバー製造ステップと、
- 一つまたは複数の圧力チャンバーを含む板形状のフレーム部品が、各トラフ領域で、関連する側面部材のセットが、細長部材の長さ方向にほぼ平行である折り畳み軸の周りに、トラフセクションの中空側上に一つまたは複数の圧力チャンバーを有するトラフセクションに折り畳まれ、およびトラフセクションがトラフシステムを画定するように整列された、折り畳み状態に折り畳まれた、折り畳みステップと、を含む、方法。
47)フレーム部品提供ステップに提供される板形状のフレーム部品が、前述の側面部材のセットが提供される、二つ、三つ、四つ、または五つのトラフ領域を有する、項46に記載の方法。
48)圧力チャンバー製造ステップが、項1~34のいずれか一つに記載の方法を含む、項46~47のいずれか一つに記載の方法。
49)方法が、細長部材の長さ方向に対して横方向にJ形状またはU字形状の構成に延在する曲げ軸の周りで、細長部材が曲げられる曲げステップをさらに含む、項46~48のいずれか一つに記載の方法。
50)曲げステップが、折り畳みステップの前で、折り畳みステップと同時に、または折り畳みステップの後に実施される、項49に記載の方法。
51)項49~50のいずれか一つに記載の方法であって、フレーム部品提供ステップに提供される板形状部品の側面部材の各セットが、細長部材の長さ方向にほぼ平行な細長部材の側面に取り付けられる単一のフラップを含み、
折り畳みステップにおいて、
- 第一の前述の折り畳み軸が、細長部材と各前述の単一のフラップとの間の境界に、かつそれに沿って、設けられ、
- さらなる前述の折り畳み軸が、各前述の単一のフラップに提供され、さらなる折り畳み軸が、第一の折り畳み軸からある距離に配置され、第一の折り畳み軸と同じ方向に延在する、方法。
52)単一のフラップが細長部材の同じ側上に提供される、項51に記載の方法。
53)マウスピースのトラフセクションが、細長部材の舌側に配置される、項52に記載の方法。
54)板形状部品が、シート状態で、一つまたは複数のジグザグを呈し、折り畳み軸が細長部材の一方の側と細長部材の他方の側に交互に提供され、製造されるマウスピースが、それぞれのリンクによって中間トラフセクションに接続される隣接するトラフセクションを両側に有する、中間トラフセクションを有し、リンクがJ/U字形状構成の湾曲した長さ軸に関して見るとき、湾曲した長さ軸の異なる側に配置されることをもたらす、項51に記載の方法。
55)曲げステップに提供される曲げは、J字形状またはU字形状の構成の湾曲を、ユーザーの歯列弓の形状に適合させることを可能にし、および/またはユーザーの歯列弓に沿って前後に移動する際に、J字形状またはU字形状の構成が、ユーザーの歯列弓に適合することを可能にする、永久的可撓性丁番を提供するように構成される、一体丁番を含む、項49~54のいずれか一つに記載の方法。
56)項46~48のいずれか一つに記載の方法であって、フレーム部品提供ステップに提供される板形状部分の細長部材が、J字形状またはU字形状の長さ方向、第一の長手方向側面および第二の長手方向側面を有し、フレーム部品提供ステップに提供される板形状のフレーム部品の側面部材の各セットが、
- 第一の長手方向側面に取り付けられる第一の側面フラップと、
- 第二の長手方向側面に取り付けられる第二の側面フラップとを含み、
折り畳みステップにおいて、
- 第一の前述の折り畳み軸が、細長部材と各前述の第一の側面フラップとの間の境界に、かつそれに沿って、設けられ、
- 第二の前述の折り畳み軸が、細長部材と各前述の第二の側面フラップとの間の境界に、かつそれに沿って設けられる、方法。
57)フレーム部品提供ステップに提供される板形状部分の細長部材の第一の長手方向側面が、第一の切り抜きを具備し、フレーム部品提供ステップに提供される板形状部分の細長部材の第二の長手方向側面が、第一の切り抜きの反対側の第二の切り抜きを含み、第一の切り抜きおよび第二の切り抜きが、第一の切り抜きと対向する第二の切り抜きの各対の間に一体丁番を提供するように構成され、J字形状またはU字形状の長さ方向の湾曲を、ユーザーの歯列弓の形状に適合させることを可能にする、永久的可撓性丁番を提供する、項56に記載の方法、
58)フレーム部品提供ステップが、二つの前述の板形状のフレーム部品を提供し、前述の板形状のフレーム部品が、
- 圧力チャンバー製造ステップ、
- 折り畳みステップ、および
- 曲げステップの後に、
互いに結合する、項49~57のいずれか一つに記載の方法。
59])可撓性壁部品が、フレーム部品から離れた方向に可撓性壁から突出するブラシ毛を含む、項46~58のいずれか一つに記載の方法。
60)板形状部品および/または壁部品がプラスチックを含むか、またはプラスチックで作製される、項1~34または46~59のいずれかに一つに記載の方法。
61)可撓性壁部品が、圧力チャンバーを加圧する時、展開するように構成される輪郭で輪郭付けられる、項46~60のいずれか一つに記載の方法。
62)輪郭が、圧力チャンバーを減圧するときに折り畳まれるようにさらに構成される、項61に記載の方法。
63)輪郭が、圧力チャンバー製造ステップの前、間、または後に提供される、請求項61~62のいずれか一項に記載の方法。
64)項46~63のいずれか一つに記載の方法を用いて得られたマウスピース。
65)項64に記載のマウスピースと、ブラシ毛などの処置要素を前後に移動させるために圧力チャンバーを交互に加圧および減圧するように構成される駆動部とを含むシステム。
66)中立位置とシフト位置との間でユーザーの歯列弓に沿ってマウスピースを前後に移動するときに、複数の歯位置を同時にブラッシングするためのJ字形状またはU字形状のマウスピースであって、中立位置に画定され、マウスピースが、ユーザーの歯列弓の中切歯(の位置)に位置する前部端と、ユーザーの歯列弓の臼歯(の位置)に位置する後部端とを有し、
- ブラッシング要素を含む複数のトラフセクションのセットであって、
- マウスピースのJ字形状、U字形状の湾曲した長さ方向に沿って配置され、
- ユーザーの上側または下部歯列弓の複数の前歯位置および後歯位置の両方を同時に受けてブラッシングするように構成される、トラフセクションのセットと、
- セットのトラフセクションをトラフセクションのトレインに結合し、
- マウスピースが、中立位置とシフト位置との間の歯列弓に沿って、前後に移動することを可能にし、
- 中立位置とシフト位置との間で歯列弓を前後に移動するときにマウスピースを歯列弓に適合させるように構成される、可撓性リンクと、
- マウスピースに取り付けられ、ハンドルを取り付けて、ハンドルに移動力を印加することによって、トラフセクションのトレインを歯列弓に沿って前後に移動するように構成される、ハンドルカップリングと、を含み、
ハンドルカップリングが、マウスピースの前部端に設けられ、ハンドルカップリングに印加される移動力を、移動方向で見たとき、ハンドルカップリングの前方の全てのトラフセクションが、ハンドルカップリングを押すことによって前進し、移動方向で見たとき、ハンドルカップリングの後方の全てのトラフセクションが、ハンドルカップリングを引くことによって前進するように、トラフセクションのトレインに伝えるように、構成される、マウスピース。
67)可撓性リンクが、歯列弓によって形成されるモノレールに沿って前後に移動可能なトラフセクションのモノレールトレインを提供するように構成される、項66に記載のマウスピース。
68)マウスピースが一つまたは複数のプラスチック材料で作製される、項66~67のいずれか一つに記載のマウスピース。
69)マウスピースおよび/または可撓性リンクが、歯列弓に沿ってハンドルカップリングによって押し付けられるときに、トラフセクションが、互いに対して、鉛直軸の周りに座屈するのを防止するように構成される、項66~68のいずれか一つに記載のマウスピース。
70)各前述のトラフセクションが、舌側壁と顔面側壁を有し隣接するトラフセクション間の可撓性リンクが、マウスピースの前部端が定位置に保たれている間に、マウスピースの後部端が、歯列弓の中立位置から1cm中心軸に向かって移動するとき、舌側壁および顔面側壁の鉛直に対する角度の変化が、第二小臼歯の領域内で、最大で10°など、最大で15°であるように構成される、項66~69のいずれか一つに記載のマウスピース。
71)マウスピースおよび/または可撓性リンクが、ハンドルカップリングが中立位置から歯列弓に沿ってXcmの距離超移動したとき、一つまたは二つの後部端は、歯列弓に沿って少なくともYcmの距離超、ハンドルカップリングと同じ方向に移動し、Yは、Xの少なくとも80%またはXの少なくとも90%など、Xの少なくとも70%であり、Xは、約1cmなど、1~2cmの範囲である、項66~70のいずれか一つに記載のマウスピース。
72)マウスピースが、複数のトラフセクションの二つの前述のセット、上部歯列弓のための第一のセット、および下部歯列弓のための第二のセットを含む、項66~71のいずれか一つに記載のマウスピース。
73)マウスピースが、U字形状のマウスピースであり、マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の拡大に対する抵抗FAWを有し、抵抗FAWが、少なくとも1.2Nなど、少なくとも0.6Nであり、抵抗FAWが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Qを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Qで、
- およびマウスピースの外向きに作用する力として定義される、項72のいずれか一つに記載のマウスピース。
74)マウスピースが、U字形状のマウスピースであり、マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の狭小化に対する抵抗FANを有し、抵抗FANが、少なくとも2.4Nなど、少なくとも2Nであり、抵抗FANが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Pを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Pで、
- およびマウスピースの内向きに作用をする力として定義される、項72~73のいずれか一つに記載のマウスピース。
75)マウスピースおよび/または可撓性リンクが、トラフセクションが中立位置の右または左に1cmのシフト位置にあるとき、マウスピースによって臼歯に及ぼされるブラッシング圧力が、ブラッシング要素のいかなる起動なく、最大で2ニュートン/cmなど、最大で3ニュートン/cmである、ように構成される、項66~74のいずれか一つに記載のマウスピース。
76)マウスピースがU字形状のマウスピースであり、マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の拡大に対する抵抗FAWを有し、抵抗FAWが、最大2.2Nなど、最大で3Nであり、抵抗FAWが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Qを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Qで、
- およびマウスピースの外向きに作用する力として定義される、項72~75のいずれか一つに記載のマウスピース。
77)マウスピースが、U字形状のマウスピースであり、マウスピースが、湾曲した長さ方向の曲線の狭小化に対する抵抗FANを有し、抵抗FANが、最大3.3Nなど、最大で4Nであり、抵抗FANが、
- マウスピースの前部端で湾曲した長さ方向の接線に平行であり、
- ハンドルカップリングが動かない状態のままであるときに、前述の接線に対して10mm超平行に点Pを変位させるために、前述の接線に対して横方向に見たとき、マウスピースの前部端から30mmの点Pで、
- およびマウスピースの内向きに作用する力として定義される、項72~76のいずれか一つに記載のマウスピース。
78)マウスピースが、frasaco GmbHの基本的AG-3歯モデル(32本の歯を有する)の下歯のみを包含するU字形状マウスピースであり、このマウスピースがAG-3モデルの上部と下部モデル半片の間に配置され、これらのモデル半片が5Nの力で共に押されるとき、
- AG-3モデルの歯列弓の中心軸に垂直な方向にハンドルカップリングに印加され、
- AG-3モデルの歯列弓に沿って、マウスピースを中立位置から1cm移動させるのに要求される力が、
最大17.5ニュートンまたは最大15ニュートンなど、最大20ニュートンである、項72~77のいずれか一つに記載のマウスピース。
79)歯列弓に沿って見たとき、マウスピースの長さが、第二大臼歯が、マウスピースの外側の中立位置にあるように、存在し、およびマウスピースが、中立位置から、智歯位置まで(およびそれを含む)、歯列弓に沿って、前後に移動するように構成される、請求項66~78のいずれか一項に記載のマウスピース。
80)項66~79のいずれか一つに記載のマウスピースであって、歯列弓に沿って見たとき、マウスピースの長さが、第一大臼歯がマウスピースの外側の中立位置にあるように、およびマウスピースが、中立位置から、智歯位置まで(およびそれを含む)、歯列弓に沿って、前後に移動するように構成される、マウスピース。
81)項66~80のいずれか一つに記載のマウスピースであって、歯列弓に沿って見たとき、マウスピースの長さが、第一大臼歯がマウスピースの外側の中立位置にあるように、およびマウスピースが、中立位置から、第二大臼歯の位置まで(およびそれを含む)、歯列弓に沿って、前後に移動するように構成される、マウスピース。
82)中立位置において、前方部分に少なくとも部分的位置する、前述のトラフセクションが、少なくとも一つの歯を包含し、顔面壁部品および舌側壁部品によって区切られるように構成される受けいれトラフを有し、湾曲した長さ方向に見たとき、舌側壁部品の長さが顔面壁部品の長さよりも短い、項66~81のいずれか一つに記載のマウスピース。
83)湾曲した長さ方向に見たとき、舌側壁部品の長さが、顔面壁部品の長さの最大75%である、項82に記載のマウスピース。
81)第一のセットおよび第二のセットが互いに取り付けられ、またマウスピースが、歯列弓に沿って前後に移動するとき、第一のセットが上部弓に第一の構造をとることができ、第二のセットが下部歯列弓に第二の構造をとることができるように構成され、第二の構造が第一の構造とは異なってもよい、項74に従属する、項63~80のいずれか一つに記載のマウスピース。
85)鉛直方向に見たとき、第一のセットの少なくとも一つのトラフセクションが、可撓性の接続によって接続されるセクションが、歯列弓に対して横切る水平方向に互いに対して移動することを可能にするように構成される、ピンスリット接続などの可撓性の接続によって、第二のセットの隣接するトラフセクションに接続される、項84に記載のマウスピース。
86)前述の接続によって接続されるトラフセクションが、中立位置で、マウスピースの後方部分に配置される、項85に記載のマウスピース。
87)取り付け部が、第一のセットを前部端で第二のセットの中央セクションに取り付ける、項84~86のいずれか一つに記載のマウスピース。
88)取り付け部が、第一のセットおよび第二のセットが、取り付け部で鉛直軸の周りで互いに対して回転することを可能にするように構成される可撓性取り付け部である、項87に記載のマウスピース。
89)取り付け部が、第一のセットおよび第二のセットが、取り付けにおいて互いに対する並進移動を防止するように構成される、項87または88に記載のマウスピース。
90)各前述のトラフセクションが、湾曲した長さ方向の顔面側の顔面壁部品によって、および湾曲した長さ方向の舌側の舌側壁部品によって、その長さに沿って区切られる受けいれトラフと、顔面壁部品および舌側壁部品からトラフ内に突出するブラシ毛とを有する、項66~89のいずれか一つに記載のマウスピース。
91)顔面壁部品および舌側壁部品が、圧力チャンバーを交互に加圧および減圧することによって、受けいれトラフ内で顔面壁部品および舌側壁部品のブラシ毛を前後に移動させるように構成される圧力チャンバーを含む、第90項に記載のマウスピース。
92)顔面壁部品および舌側壁部品の圧力チャンバーが、項1~34のいずれか一つに記載の方法を用いて製造される、項91に記載のマウスピース。
93)前述のセットの複数のトラフセクションが、三つ、四つ、または五つのトラフセクションなどの少なくとも二つのトラフセクションを含む、項66~92のいずれか一つに記載のマウスピース。
94)可撓性リンクが、前述のそれぞれのリンクによって接合された隣接するトラフセクションが互いに対して回転可能である、鉛直回転軸を画定する、項66~93のいずれか一つに記載のマウスピース。
95)可撓性リンクが、トラフセクションの顔面側など、湾曲した長さ軸の顔面側に設けられる、項66~94のいずれか一つに記載のマウスピース。
96)湾曲した長さ方向に沿って見たとき、前述のトラフセクションの一方の端部の可撓性リンクが、湾曲した長さ方向の顔面側に配置され、一方、一方の端部の反対側の端部の可撓性リンクが、湾曲した長さ方向の舌側に配置される、項66~95のいずれか一つに記載のマウスピース。
97)側壁マウスピースの後部端のトラフセクションの側壁が、マウスピースの後部端で、トラフセクションの側壁の残りに対して可撓性がありこれらの側壁の端部の広がりが、恵歯における顎骨の広がりに適合することを可能にするように構成される、項66~96のいずれか一つに記載のマウスピース。
98)マウスピースがU字形状マウスピースである、請求項66~97のいずれか一項に記載のマウスピース。
99)マウスピースが項37~43のいずれか一つに記載のマウスピースである、項66~98のいずれか一つに記載のマウスピース。
100)マウスピースが項46~63のいずれか一つに記載の方法を用いて製造される、項66~99のいずれか一つに記載のマウスピース。
101)マウスピースが、項64に記載のマウスピースである、項66~100のいずれか一つに記載のマウスピース。
102)各トラフセクションが、少なくとも一つまたは少なくとも二つの歯を包含するように構成される受けいれトラフを有する、66~101項のいずれか一つに記載のマウスピース。
103)トラフセクションが、歯を磨くためにトラフ内に突出するブラシ毛を有する、項102に記載のマウスピース。
104)最も後方トラフセクションが、マウスピースの後部端に可動底部を含む、トラフ底を有し、可動底部は、底部から最も後方トラフセクションのトラフ内に横断方向に突出するブラシ毛のようなブラッシング要素を含み、可動底部は、可動底部がトラフ底に沿って配置される後退位置、および可動底部がトラフ底に対して傾斜している直立位置の間で回転軸の周りを回転可能である、項66~103のいずれかに一つに記載のマウスピース。
105)トラフ底部を有する上部および/または下部トラフシステムを含む、JまたはU字形状マウスピースであって、J/U字形状のマウスピースが、マウスピースが歯列弓に沿って移動することを可能にするために柔軟であり、歯は上部および/または下部トラフシステムによって取り囲まれ、トラフ底が、マウスピースの後部端に配置される可動底部を含み、可動底部が、底部からトラフ内に横方向に突出するブラシ毛のようなブラッシング要素を含み、可動底部が、可動底部がトラフ底に沿って配置される後退位置、および可動底部がトラフ底に対して傾斜している直立位置の間で回転軸の周りを回転可能である、マウスピース。
106)マウスピースが、マウスピースの使用中に、後退位置から直立位置に向かって可動底部を付勢するように構成される張力システムを含む、項104または105に記載のマウスピース。
107)項66~106のいずれか一つに記載のマウスピースと、ハンドルカップリングへの着脱可能な取り付けのために構成されるハンドルとを含む、システム。
108)ハンドルが、トラフセクションのトラフ内でブラシ毛を駆動してトラフ内で前後に移動させるように構成される駆動部を含む、項107に記載のシステム。
109)駆動部がポンプを含み、圧力チャンバー(一つまたは複数)を交互に加圧および減圧するように構成される、項108に記載のシステム。
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