(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】回生制動の閉ループ制御
(51)【国際特許分類】
B60L 7/14 20060101AFI20240716BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240716BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240716BHJP
B60W 20/14 20160101ALI20240716BHJP
【FI】
B60L7/14 ZHV
B60L50/16
B60W10/08 900
B60W20/14
(21)【出願番号】P 2023501212
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2021067026
(87)【国際公開番号】W WO2022008234
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-01-06
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エヴァン ムラウスキー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ケーニヒ
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0193569(US,A1)
【文献】特開平09-037407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 7/14
B60L 50/16
B60W 10/08
B60W 20/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における回生制動を閉ループ制御するためのシステムであって、
回生制動サブシステムと、
車両コントローラであって、
第1の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求し、
前記第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定し、
前記車両の車両速度測定値およびアクセルペダルの位置に基づき、目標車両減速度を特定し、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の差を特定し、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の前記差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定し、
前記第2の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求する
ように構成された車両コントローラと、
を備え
、
前記目標車両減速度は、前記車両の制動灯が点灯する閾値車両減速度よりも低い、
システム。
【請求項2】
前記車両コントローラは、前記車両のアクセルペダルの解除を示す制御信号を受信したことに応答して、前記第1の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求するようにさらに構成されている、請求項
1記載のシステム。
【請求項3】
車両における回生制動を閉ループ制御するためのシステムであって、
回生制動サブシステムと、
車両コントローラであって、
第1の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求し、
前記第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定し、
前記車両の車両速度測定値およびアクセルペダルの位置に基づき、目標車両減速度を特定し、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の差を特定し、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の前記差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定し、
前記第2の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求する
ように構成された車両コントローラと、
を備え、
前記車両コントローラは、複数の車両速度測定値に基づき、前記現在の車両減速度を特定するようにさらに構成されている
、システム。
【請求項4】
前記車両に位置決めされていて、前記複数の車両速度測定値を検知するように構成された1つまたは複数のセンサであって、車輪速度センサ、モータ速度センサおよびエンジン速度センサから成るグループから選択された少なくとも1つを含む1つまたは複数のセンサをさらに含む、請求項
3記載のシステム。
【請求項5】
前記車両コントローラは、
前記現在の車両減速度が前記目標車両減速度よりも低い場合に、前記第2の量の回生制動トルクを前記第1の量の回生制動トルクよりも大きくなるように設定し、
前記現在の車両減速度が前記目標車両減速度よりも高い場合に、前記第2の量の回生制動トルクを前記第1の量の回生制動トルクよりも小さくなるように設定する
ようにさらに構成されている、請求項1
から4までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項6】
前記車両コントローラは、前記車両のアクセルペダルの位置または前記車両のブレーキペダルの位置に少なくとも部分的に基づき、前記目標車両減速度を特定するようにさらに構成されている、請求項1
から5までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
車両における回生制動を閉ループ制御するための方法であって、
前記車両の回生制動サブシステムによって第1の量の回生制動トルクを加えることと、
前記第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定することと、
前記車両の車両速度測定値およびアクセルペダルの位置に基づき、目標車両減速度を特定することと、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の差を特定することと、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の前記差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定することと、
前記回生制動サブシステムによって前記第2の量の回生制動トルクを加えることと、
を含
み、
前記目標車両減速度は、前記車両の制動灯が点灯する閾値車両減速度よりも低い、
方法。
【請求項8】
前記車両のアクセルペダルの解除を示す制御信号を受信したことに応答して、前記回生制動サブシステムによって前記第1の量の回生制動トルクを加えることをさらに含む、請求項
7記載の方法。
【請求項9】
車両における回生制動を閉ループ制御するための方法であって、
前記車両の回生制動サブシステムによって第1の量の回生制動トルクを加えることと、
前記第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定することと、
前記車両の車両速度測定値およびアクセルペダルの位置に基づき、目標車両減速度を特定することと、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の差を特定することと、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の前記差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定することと、
前記回生制動サブシステムによって前記第2の量の回生制動トルクを加えることと、
を含み、
複数の車両速度測定値に基づき、前記現在の車両減速度を特定することをさらに含む、方法。
【請求項10】
前記現在の車両減速度が前記目標車両減速度よりも低い場合に、前記第2の量の回生制動トルクを前記第1の量の回生制動トルクよりも大きくなるように設定することと、
前記現在の車両減速度が前記目標車両減速度よりも高い場合に、前記第2の量の回生制動トルクを前記第1の量の回生制動トルクよりも小さくなるように設定することと、
をさらに含む、請求項
7から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
車両であって、
回生制動サブシステムと、
車両コントローラであって、
第1の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求し、
前記第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定し、
前記車両の車両速度測定値およびアクセルペダルの位置に基づき、目標車両減速度を特定し、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の差を特定し、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の前記差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定し、
前記第2の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求する
ように構成された車両コントローラと、
を備え
、
前記目標車両減速度は、前記車両の制動灯が点灯する閾値車両減速度よりも低い、
車両。
【請求項12】
前記車両コントローラは、前記車両のアクセルペダルの解除を示す制御信号を受信したことに応答して、前記第1の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求するようにさらに構成されている、請求項
11記載の車両。
【請求項13】
車両であって、
回生制動サブシステムと、
車両コントローラであって、
第1の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求し、
前記第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定し、
前記車両の車両速度測定値およびアクセルペダルの位置に基づき、目標車両減速度を特定し、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の差を特定し、
前記現在の車両減速度と前記目標車両減速度との間の前記差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定し、
前記第2の量の回生制動トルクを加えるように前記回生制動サブシステムに要求する
ように構成された車両コントローラと、
を備え、
前記車両コントローラは、複数の車両速度測定値に基づき、前記現在の車両減速度を特定するようにさらに構成されている
、車両。
【請求項14】
前記車両に位置決めされていて、前記複数の車両速度測定値を検知するように構成された1つまたは複数のセンサであって、車輪速度センサ、モータ速度センサおよびエンジン速度センサから成るグループから選択された少なくとも1つを含む1つまたは複数のセンサをさらに含む、請求項
13記載の車両。
【請求項15】
前記車両コントローラは、
前記現在の車両減速度が前記目標車両減速度よりも低い場合に、前記第2の量の回生制動トルクを前記第1の量の回生制動トルクよりも大きくなるように設定し、
前記現在の車両減速度が前記目標車両減速度よりも高い場合に、前記第2の量の回生制動トルクを前記第1の量の回生制動トルクよりも小さくなるように設定する
ようにさらに構成されている、請求項
11から14までのいずれか1項記載の車両。
【請求項16】
前記車両コントローラは、前記車両のアクセルペダルの位置または前記車両のブレーキペダルの位置に少なくとも部分的に基づき、前記目標車両減速度を特定するようにさらに構成されている、請求項
11から15までのいずれか1項記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、車両の回生制動に関する。より詳細には、本開示は、車両の回生制動の閉ループ制御に関する。
【0002】
背景
車両の摩擦制動システムは、膨大な量のエネルギーを浪費する。例えば、液圧式の制動システムでは、車両の惰力の全ての運動エネルギーが、摩擦から熱へと回収不能に失われる。回生制動システムは、運動エネルギーを、車両に給電するために使用される電気エネルギーに変換することにより、車両の惰力の運動エネルギーの一部を回収することができる。
【0003】
概要
従来の回生制動システムは、回生制動を開ループ式に加える。例えば、幾つかの従来の回生制動システムは、アクセルペダルの位置に基づき、固定量の回生制動を加える。車両減速度の挙動に影響を及ぼす変数、例えば車両質量を迅速かつ正確に特定することは困難である。したがって、従来の回生制動システムでは、多くの場合、それらの開ループ制御方式において、これらの変数が明らかにならない。車両減速度の挙動に影響を及ぼす車両質量および他の変数が明らかにならないことにより、従来の開ループ回生制動システムは、車両の乗員に不快感を生じさせることがある不安定な回生制動性能を提供する。さらに、従来の開ループ回生制動システムは、車両に大量の荷物または人員が積載されているとき、付加的な運動エネルギーを回収する機会を利用しない。
【0004】
したがって、本開示は、車両における回生制動を閉ループ制御するためのシステムを提供する。一構成において、このシステムは、回生制動サブシステムと車両コントローラとを含む。車両コントローラは、第1の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求するように構成されている。また、車両コントローラは、第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定するように構成されている。車両コントローラは、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を特定するようにさらに構成されている。また、車両コントローラは、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定するように構成されている。車両コントローラは、第2の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求するようにさらに構成されている。
【0005】
また、本開示は、車両における回生制動を閉ループ制御するための方法を提供する。この方法は、車両の回生制動サブシステムによって第1の量の回生制動トルクを加えることを含む。また、この方法は、第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定することを含む。この方法は、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を特定することをさらに含む。また、この方法は、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定することを含む。この方法は、回生制動サブシステムによって第2の量の回生制動トルクを加えることをさらに含む。
【0006】
本開示は、さらに、一構成において、回生制動サブシステムと車両コントローラとを含む車両を提供する。車両コントローラは、第1の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求するように構成されている。また、車両コントローラは、第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定するように構成されている。車両コントローラは、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を特定するようにさらに構成されている。また、車両コントローラは、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定するように構成されている。車両コントローラは、第2の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求するようにさらに構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面では、以下の詳細な説明とともに別々の図全体を通して、同様の参照符号が同一のまたは機能的に類似した要素を指しており、これらの添付図面は、本明細書に組み込まれその一部を形成しており、構成をさらに例示して、これらの構成の様々な原理および利点を説明するように機能する。
【
図1】幾つかの構成による、回生制動を閉ループ制御するためのシステムを備えた車両の一例を示すブロック図である。
【
図2】幾つかの構成による、
図1のシステムの車両コントローラの一例を示すブロック図である。
【
図3】幾つかの構成による、車両における回生制動を閉ループ制御するための方法の一例を示すフロー図である。
【0008】
システムおよび方法の構成要素は、必要に応じて慣習的な記号により図面に表されてきており、本明細書の説明から利益を得る当業者に容易に明らかである詳細事項で本開示を不明瞭にしないために、構成の理解に関する特定の詳細事項のみを示している。
【0009】
詳細な説明
図1は、回生制動を閉ループ制御するためのシステム102を備えた車両100の一例を示すブロック図である。
図1に示す車両100は、左前輪104、右前輪106、左後輪108および右後輪110を含んでいる。幾つかの構成において、車両100は電気車両である。他の構成において、車両100は、ガソリン駆動エンジン(図示せず)も含むハイブリッド車両である。
図1に示すシステム102は、回生制動サブシステム112と、センサ114と、他の車両システム116と、車両コントローラ118(例えば車両制御ユニット)と、アクセルペダル120と、ブレーキペダル122とを含んでいる。
【0010】
他の様々なモジュールおよび構成要素とともに、システム102の構成要素は、それらの間で通信を可能にする1つまたは複数の制御バスもしくはデータバス(例えばバス124)によりまたはそれらを介して、互いに電気的に連結されている。様々なモジュールと構成要素との相互接続およびそれらの間での通信のために、制御バスおよびデータバスを使用することは、本明細書に記載の本発明を考慮すると、当業者には公知であろう。幾つかの構成において、バス124は、コントローラエリアネットワーク(CAN(商標))バスである。幾つかの構成において、バス124は、車載イーサネット(商標)、フレックスレイ(商標)通信バスまたは別の好適な有線バスである。代替的な構成において、システム102の構成要素の一部または全ては、好適な無線モダリティ(例えばBluetooth(商標)または近距離無線通信)を使用して、通信可能に連結されてもよい。幾つかの構成において、アクセルペダル120および/またはブレーキペダル122は、例えばペダル位置を示すアナログ電圧信号を送信することにより、システム102の他の構成要素と通信する。
【0011】
説明を簡単にするために、
図1に示すシステム102は、前述の構成要素をそれぞれ1つ含んでいる。代替的な構成は、それぞれの構成要素を1つまたは複数含んでいてもよいし、幾つかの構成要素を除外しているかもしくは組み合わせていてもよい。車両コントローラ118(以下でより詳細に説明する)は、回生制動サブシステム112、センサ114および他の車両システム116を動作させて、本明細書に記載の方法による回生制動を実現する。
【0012】
図1に示す回生制動サブシステム112は、電気モータ126と、バッテリ128と、インバータ130とを含んでいる。幾つかの構成において、左後輪108および右後輪110は、
図1に示す電気モータ126によって駆動される。他の構成において、左後輪108および右後輪110は、別々のモータ(図示せず)によって駆動される。幾つかの構成において、左前輪104および右前輪106も同様に、それぞれのモータ(図示せず)によって駆動される。幾つかの構成において、電気モータ126はAC(交流)電力で稼働し、バッテリ128はDC(直流)電力を蓄積する。インバータ130が、バッテリ128に蓄積されたDC電力をAC電力に変換し、このAC電力が電気モータ126よって使用されて、左後輪108および右後輪110が駆動される。他の構成において、電気モータ126はDC(直流)電力で稼働する。
【0013】
車両100が惰性走行するとき(例えば、アクセルペダル120が係合解除されているとき)、回生制動サブシステム112は、車両100の運動エネルギーをAC電力に変換するための発電機として電気モータ126を作用させる。電気モータ126が発生させたAC電力を、インバータ130が、バッテリ128に蓄積するためのDC電力に変換する。AC電力を発生させる作用により、電気モータ126に回生制動トルクが生じ、この回生制動トルクが、車両100を減速および/または安定させるために車輪(例えば左後輪108および右後輪110)のうちの1つまたは複数に伝えられる。インバータ130は、電気モータ126が発生させる回生制動トルクの量を調整する。
【0014】
回生制動サブシステム112は、他の制動サブシステム、例えばABS(アンチロックブレーキシステム)などを含む車両100の全体的な制動システムの一部である。幾つかの構成において、車両100の制動システムは、摩擦制動サブシステムを含んでおり、この摩擦制動サブシステムは、車両100を減速および/または停止させるために、摩擦制動力を利用して車両100の車輪のうちの1つまたは複数の運動を抑制する(例えば液圧ブレーキおよび/または空気ブレーキ)。例えば、車輪の一部または全てにブレーキパッドが装着されており、このブレーキパッドが、車輪に接続されたロータの運動を抑制する摩擦制動力を加える。
【0015】
センサ114は、車両100の1つまたは複数の属性を特定し、これらの属性に関する情報を、例えば電気信号を使用して、システム102の他の構成要素に通信する。車両の属性には、例えば車両100の位置または車両100の一部もしくは構成要素の位置、車両100の動きまたは車両100の一部もしくは構成要素の動き、車両100に作用する力または車両100の一部もしくは構成要素に作用する力、車両100と(静止または移動している)他の車両もしくは物体との近さ、ヨーレート、横滑り角、ステアリングホイール角、重畳角、車両速度、縦加速度、横加速度などが含まれる。センサ114には、例えば車両制御センサ(例えばアクセルペダル120の位置、ブレーキペダル122の位置およびステアリングホイールの位置を検出するセンサ)、車輪速度センサ、車両スピードセンサ、ヨーセンサ、力センサ、オドメトリセンサおよび車両近接センサ(例えばカメラ、レーダ、LIDARおよび超音波)が含まれてもよい。幾つかの構成において、システム102は、センサ114に加えて、GNSS(全地球的航法衛星システム)受信機を含んでおり、このGNSS受信機は、受信した衛星無線周波数信号に基づき、車両100の地理空間的な位置(すなわち、緯度、経度、高度および速度)を特定する。車両コントローラ118は、車両100を制御するときに、センサ114から受信した情報と併せてこの情報を使用してもよい。
【0016】
他の車両システム116は、車両100の動作の態様(例えば、ステアリング、加速度、制動、ギヤのシフトなど)を制御するためのコントローラ、センサ、アクチュエータなどを含む。他の車両システム116は、車両100の動作に関するデータを、回生制動サブシステム112および/または車両コントローラ118との間で送受信するように構成されている。
【0017】
図2は、車両コントローラ118の一例を示すブロック図である。
図2に示す車両コントローラ118は、電子プロセッサ202(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)など)と、メモリ204と、入力/出力インタフェース206とを含んでいる。メモリ204は、1つまたは複数の非一時的コンピュータ可読媒体から構成されてもよく、少なくともプログラム記憶領域およびデータ記憶領域を含んでいる。プログラム記憶領域およびデータ記憶領域は、異なるタイプのメモリ、例えば読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(例えばダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)など)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他の好適なメモリデバイスの組み合わせを含むことができる。電子プロセッサ202は、メモリ204と入力/出力インタフェース206とに連結されている。電子プロセッサ202は、(例えばメモリ204との間および/または入力/出力インタフェース206との間で)情報を送受信し、メモリ204または別の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されることが可能な1つまたは複数のソフトウェア命令もしくはソフトウェアモジュールを実行することにより、その情報を処理する。ソフトウェアは、ファームウェア、1つまたは複数のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1つまたは複数のプログラムモジュールおよび他の実行可能命令を含むことができる。電子プロセッサ202は、とりわけ回生制動制御のためのかつ本明細書に記載の方法を実施するためのソフトウェアを、メモリ204から取り出し、実行するように構成されている。
【0018】
入力/出力インタフェース206は、(例えば1つまたは複数の有線接続および/もしくは無線接続を通して)車両コントローラ118の外部にあるデバイス、例えばシステム102の構成要素との間でバス124を介して情報を送受信する。入力/出力インタフェース206は、ユーザ入力を受信するか、システム出力を提供するかまたはこれら両方の組み合わせを行う。また、入力/出力インタフェース206は他の入出力機構も含んでよく、これは簡潔にするために本明細書に記載していないが、ハードウェアで実装されても、ソフトウェアで実装されても、これら両方の組み合わせで実装されてもよい。
【0019】
図2は、電子プロセッサ202、メモリ204および入力/出力インタフェース206の単一の事例のみを示しているが、車両コントローラ118の代替的な構成は、複数の処理ユニット、メモリモジュールおよび/または入力/出力インタフェースを含んでよいことが理解されるべきである。幾つかの構成において、車両コントローラ118は、部分的または全体的に半導体(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)半導体)チップ上に実装される。幾つかの構成において、車両コントローラ118は回生制動サブシステム112に含まれる。例えば車両コントローラ118は、インバータ130に含まれてもよい。他の構成において、車両コントローラ118は、他の車両システム116のうちの1つに含まれる。例えば車両コントローラ118は、制動制御モジュールまたはABSモジュールに含まれてもよい。
【0020】
言及したように、回生制動トルクの開ループ制御では、車両減速度の挙動に影響を及ぼす変数、例えば車両質量が明らかにならない。車両コントローラ118は、目標車両減速度を維持するために、回生制動トルクを能動的に調整することにより、回生制動トルクの閉ループ制御を実施するように構成されている。本明細書に記載の車両減速度に基づく回生制動の閉ループ制御は、車両質量などの変数を直接明らかにする必要なしに、安定した車両減速度の挙動を可能にする。さらに、回生制動トルクの増大が原因で車両100がより重くなっているとき、回生制動の閉ループ制御は、付加的な運動エネルギーの回収を可能にする。
【0021】
図3は、車両100における回生制動を閉ループ制御するための方法300の一例を示すフロー図である。方法300は、本明細書に記載のシステム102と併せて説明されているが、方法300は、他のシステムおよび車両とともに使用されることが可能である。さらに、方法300は、提供した特定の例とは異なる態様で修正または実施されてもよい。例として、方法300は、車両コントローラ118および回生制動サブシステム112によって実施されるものとして説明される。しかし、幾つかの構成においては、方法300の一部が、システム102の他のデバイスまたはサブシステムによって実施されてもよいことが理解されるべきである。
【0022】
ブロック302において、回生制動サブシステム112は、第1の量の回生制動トルクを加える。例えばインバータ130は、電気モータ126に電力信号を送信し、この電力信号は、車輪の1つまたは複数に伝達される第1の量の回生制動トルクを生じさせる電力量を、電気モータ126に発生させる。幾つかの構成において、車両コントローラ118は、第1の量の回生トルクを示す制御信号を回生制動サブシステム112に送信する。幾つかの構成において、回生制動サブシステム112は、アクセルペダル120の解除(すなわち、車両100が惰性走行を始めたとき)を示す制御信号を受信したことに応答して、第1の量の回生制動トルクを加えるように構成されている。例えば、車両コントローラ118(または回生制動サブシステム112)は、ペダル位置が最大係合範囲の閾値パーセンテージよりも少ない(例えば、10%の閾値よりも少ない)こと示すデータ信号を、アクセルペダル120から(または1つもしくは複数のセンサ114から)受信してもよい。
【0023】
ブロック304において、第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度が特定される。幾つかの構成において、車両コントローラ118は、現在の車両減速度を検出する1つまたは複数のセンサ114(例えば、加速度計)からのデータ信号に基づき、現在の車両減速度を特定する。代替的または付加的に、車両コントローラ118は、複数の車両速度測定値により特定される経時的な車両速度の変動に基づき、現在の車両減速度を特定する。幾つかの構成において、車両コントローラ118は、現在の車両速度を示すデータ信号を、1つまたは複数のセンサ114(例えば、車輪速度センサ、モータ速度センサなど)から受信する。代替的または付加的に、車両コントローラ118は、現在の車両速度を示すデータ信号を、他の車両システム116のうちの1つまたは複数から受信する。第1の例として、ABSモジュールが、1つまたは複数の車輪速度センサから受信したデータ信号に基づき、現在の車両速度を特定してもよい。第2の例として、GNSS受信機が、経時的な車両位置の変動に基づき、現在の車両速度を特定してもよい。
【0024】
ブロック306において、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差が特定される。例えば車両コントローラ118は、現在の車両減速度が、目標車両減速度よりも高いか、小さいかまたはそれに等しいかどうかを特定する。目標車両減速度を特定するための例を、以下でさらに説明する。ブロック308において、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を減らすために、第2の量の回生制動トルクが設定される。例えば、幾つかの構成において、車両コントローラ118は、現在の車両減速度が目標車両減速度よりも低い場合に、第2の量の回生制動トルクを第1の量の回生制動トルクよりも大きくなるように設定し、現在の車両減速度が目標車両減速度よりも高い場合に、第2の量の回生制動トルクを第1の量の回生制動トルクよりも小さくなるように設定するように構成されている。幾つかの構成において、車両コントローラ118は、現在の車両減速度と目標減速度との間の差が閾値を下回っているとき、第2の量の回生制動トルクを第1の量の回生制動トルクに等しく設定するように構成されている。例えば現在の車両減速度と目標減速度との間の差が非常に小さいので、回生制動トルクの調整は、この差をこれ以上小さくしなくてもよい。
【0025】
ブロック310において、回生制動サブシステム112によって第2の量の回生制動トルクが加えられる。例えばインバータ130は、電気モータ126に制御信号を送信し、この制御信号は、車輪の1つまたは複数に伝達される第2の量の回生制動トルクを生じさせる電力量を、電気モータ126に発生させる。幾つかの構成において、車両コントローラ118は、第2の量の回生トルクを示す制御信号を回生制動サブシステム112に送信する。
【0026】
幾つかの構成において、方法300は循環式であり、第2の量の回生制動トルクが加えられている最中にブロック304に戻って新しい(または更新された)現在の車両減速度を特定する。例えば、車両コントローラ118は、回生制動サブシステム112によって加えられる回生制動トルクの量を継続的(または断続的)に調整して、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を最小化するように構成されてもよい。
【0027】
幾つかの構成において、車両コントローラ118は、アクセルペダル120の位置に少なくとも部分的に基づき、目標車両減速度を設定する。例えば車両コントローラ118は、アクセルペダル120の位置がその静止位置に向かって減少するにつれて、目標車両減速度を増大させてもよい。幾つかの構成において、車両コントローラ118は、メモリ204に記憶されたルックアップテーブルを使用して、アクセルペダル120の位置に基づき目標車両減速度を特定する。ルックアップテーブルは、他の入力変数、例えば車両速度を含んでよい。
【0028】
代替的または付加的に、幾つかの構成において、車両コントローラ118は、アクセルペダル120の位置に少なくとも部分的に基づき、目標車両減速度を設定する。例えば、車両コントローラ118は、アクセルペダル120の位置がその静止位置から離れる方向に増大するにつれて、目標車両減速度を増大させてもよい。
【0029】
代替的または付加的に、幾つかの構成において、車両コントローラ118は、車両100が惰性走行しているときに車両100の制動灯(すなわち、停止灯)が点灯するのを防ぐように、目標車両減速度を設定する。多くの国では、車両が閾値車両減速度を超えて(例えば、-1.3m/s2を超えて)減速するとき、車両の制動灯は必ず点灯することが求められる。したがって、幾つかの構成において、車両コントローラ118は、制動灯が点灯する閾値車両減速度よりも小さくなるように、目標車両減速度を設定する。
【0030】
代替的または付加的に、幾つかの構成において、車両コントローラ118は、制動介入に基づき目標車両減速度を設定する。第1の例として、車両100のトラック制御モジュールが、検出された外部道路条件に対処するために制動介入が必要であると特定してもよい。第2の例として、車両100のABSモジュールが、車輪のスリップ条件に対処するために制動介入が必要であると特定してもよい。
【0031】
本開示の様々な態様は、以下の例示的な構成(EC)のうちの任意の1つまたは複数をとってもよい。
【0032】
EC(1) 車両における回生制動を閉ループ制御するためのシステムであって、回生制動サブシステムと、車両コントローラであって、第1の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求し、第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定し、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を特定し、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定し、第2の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求するように構成された車両コントローラと、を備える、システム。
【0033】
EC(2) 車両コントローラは、現在の車両減速度が目標車両減速度よりも低い場合に、第2の量の回生制動トルクを第1の量の回生制動トルクよりも大きくなるように設定し、現在の車両減速度が目標車両減速度よりも高い場合に、第2の量の回生制動トルクを第1の量の回生制動トルクよりも小さくなるように設定するようにさらに構成されている、EC(1)記載のシステム。
【0034】
EC(3) 目標車両減速度は、車両の制動灯が点灯する閾値車両減速度よりも低い、EC(1)またはEC(2)記載のシステム。
【0035】
EC(4) 車両コントローラは、車両のアクセルペダルの解除を示す制御信号を受信したことに応答して、第1の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求するようにさらに構成されている、EC(1)からEC(3)までのいずれか1つ記載のシステム。
【0036】
EC(5) 車両コントローラは、車両のアクセルペダルの位置または車両のブレーキペダルの位置に少なくとも部分的に基づき、目標車両減速度を特定するようにさらに構成されている、EC(1)からEC(4)までのいずれか1つ記載のシステム。
【0037】
EC(6) 車両コントローラは、複数の車両速度測定値に基づき、現在の車両減速度を特定するようにさらに構成されている、EC(1)からEC(5)までのいずれか1つ記載のシステム。
【0038】
EC(7) 車両に位置決めされていて、複数の車両速度測定値を検知するように構成された1つまたは複数のセンサであって、車輪速度センサ、モータ速度センサおよびエンジン速度センサから成るグループから選択された少なくとも1つを含む1つまたは複数のセンサをさらに含む、EC(6)記載のシステム。
【0039】
EC(8) 車両における回生制動を閉ループ制御するための方法であって、車両の回生制動サブシステムによって第1の量の回生制動トルクを加えることと、第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定することと、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を特定することと、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定することと、回生制動サブシステムによって第2の量の回生制動トルクを加えることと、を含む、方法。
【0040】
EC(9) 現在の車両減速度が目標車両減速度よりも低い場合に、第2の量の回生制動トルクを第1の量の回生制動トルクよりも大きくなるように設定することと、現在の車両減速度が目標車両減速度よりも高い場合に、第2の量の回生制動トルクを第1の量の回生制動トルクよりも小さくなるように設定することと、をさらに含む、EC(8)記載の方法。
【0041】
EC(10) 目標車両減速度は、車両の制動灯が点灯する閾値車両減速度よりも低い、EC(8)またはEC(9)記載の方法。
【0042】
EC(11) 車両のアクセルペダルの解除を示す制御信号を受信したことに応答して、回生制動サブシステムによって第1の量の回生制動トルクを加えることをさらに含む、EC(8)からEC(10)までのいずれか1つ記載の方法。
【0043】
EC(12) 車両の車両速度測定値およびアクセルペダルの位置に基づき、目標車両減速度を特定することをさらに含む、EC(8)からEC(11)までのいずれか1つ記載の方法。
【0044】
EC(13) 複数の車両速度測定値に基づき、現在の車両減速度を特定することをさらに含む、EC(8)からEC(12)までのいずれか1つ記載の方法。
【0045】
EC(14) 車両であって、回生制動サブシステムと、車両コントローラであって、第1の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求し、第1の量の回生制動トルクが加えられている最中に現在の車両減速度を特定し、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を特定し、現在の車両減速度と目標車両減速度との間の差を減らすために、第2の量の回生制動トルクを設定し、第2の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求するように構成された車両コントローラと、を備える、車両。
【0046】
EC(15) 車両コントローラは、現在の車両減速度が目標車両減速度よりも低い場合に、第2の量の回生制動トルクを第1の量の回生制動トルクよりも大きくなるように設定し、現在の車両減速度が目標車両減速度よりも高い場合に、第2の量の回生制動トルクを第1の量の回生制動トルクよりも小さくなるように設定するようにさらに構成されている、EC(14)記載の車両。
【0047】
EC(16) 目標車両減速度は、車両の制動灯が点灯する閾値車両減速度よりも低い、EC(14)またはEC(15)記載の車両。
【0048】
EC(17) 車両コントローラは、車両のアクセルペダルの解除を示す制御信号を受信したことに応答して、第1の量の回生制動トルクを加えるように回生制動サブシステムに要求するようにさらに構成されている、EC(14)からEC(16)までのいずれか1つ記載の車両。
【0049】
EC(18) 車両コントローラは、車両のアクセルペダルの位置または車両のブレーキペダルの位置に少なくとも部分的に基づき、目標車両減速度を特定するようにさらに構成されている、EC(14)からEC(17)までのいずれか1つ記載の車両。
【0050】
EC(19) 車両コントローラは、複数の車両速度測定値に基づき、現在の車両減速度を特定するようにさらに構成されている、EC(14)からEC(18)までのいずれか1つ記載の車両。
【0051】
EC(20) 車両に位置決めされていて、複数の車両速度測定値を検知するように構成された1つまたは複数のセンサであって、車輪速度センサ、モータ速度センサおよびエンジン速度センサから成るグループから選択された少なくとも1つを含む1つまたは複数のセンサをさらに含む、EC(19)記載の車両。
【0052】
前述の明細書において、特定の構成が説明されてきた。しかし、以下に記載する特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更がなされてもよいことを、当業者は理解する。したがって、明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味とみなされるべきであり、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0053】
本明細書で使用する言い回しおよび専門用語は、説明を目的としており、限定とみなされるべきではないことが理解されるべきである。「取り付けられた」、「接続された」および「連結された」という用語は広義に使用され、直接的な取り付け、接続および連結と、間接的な取り付け、接続および連結との両方を包含する。さらに「接続された」および「連結された」は、物理的または機械的な接続もしくは連結に限定されず、直接か間接かを問わず、電気的な接続または連結を含むことができる。また、電子的な通信および通知は、有線接続、無線接続などを含む任意の公知の手段を使用して実施されてもよい。
【0054】
また、ハードウェアベースおよびソフトウェアベースの複数のデバイスならびに複数の異なる構造的構成要素が、本開示を実施するために利用されてもよいことに留意すべきである。また、ハードウェアベースおよびソフトウェアベースの複数のデバイスならびに複数の異なる構造的構成要素が、本開示を実施するために使用されてもよいことに留意すべきである。さらに、考察を目的として、構成要素の大部分があたかもハードウェアのみに実装されたかのように図示および説明されることがあるハードウェア、ソフトウェアおよび電子的な構成要素もしくはモジュールを、本開示の構成が含んでよいことが理解されるべきである。しかし、当業者は、この詳細な説明の解釈に基づき、少なくとも一実施形態において、本発明の電子ベースの態様は、1つまたは複数のプロセッサによって実行可能なソフトウェアに実装されてもよい(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されてもよい)ことを認識するであろう。したがって、ハードウェアベースおよびソフトウェアベースの複数のデバイスならびに複数の異なる構造的構成要素が、本発明を実施するために利用されてもよいことに留意すべきである。例えば、本明細書で説明する「制御ユニット」および「コントローラ」は、1つまたは複数のプロセッサ、非一時的コンピュータ可読媒体を含む1つまたは複数のメモリモジュール、1つまたは複数の入力/出力インタフェースおよび構成要素を接続する様々な接続(例えばシステムバス)を含むことができる。
【0055】
説明を簡単にするため、本明細書に提示する例示的なシステムの一部または全ては、その各構成要素部分の単一の例で示されている。幾つかの例は、システムの全ての構成要素を説明または図示していないことがある。他の例示的実施形態は、示された各構成要素をより多くもしくはより少なく含んでもよいし、幾つかの構成要素を組み合わせてもよいし、付加的もしくは代替的な構成要素を含んでもよい。
【0056】
この文献において、相対的な用語、例えば第1および第2、上部および下部などは、単に1つのエンティティまたは動作を別のエンティティまたは動作から区別するために使用されてもよく、必ずしもそのようなエンティティ間または動作間で何らかのそのような関係または順序を必要としたり、示唆したりすることはない。「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」という用語またはそれらの任意の他の変化形は、非排他的な包含を網羅することが意図されており、それにより列挙された要素を備え、有し、含み、含有する工程、方法、物品または装置は、これらの要素だけでなく、明示的に列挙されていない他の要素またはそのような工程、方法、物品もしくは装置に本来備わっている他の要素を含んでよい。「~を備える」、「~を有する」、「~を含む」または「~を含有する」が後に続く要素は、その要素を備え、有し、含み、含有する工程、方法、物品または装置における付加的な同一の要素の存在を、それ以上の制約なしに除外することはない。用語「a」および「an」は、本明細書において別段の明示的な記載がない限り、1つまたは複数として定義される。「実質的に」、「本質的に」、「おおよそ」、「約」またはそれらの任意の他の形は、当業者によって理解されるものに近いと定義され、非限定的な一実施形態において、この用語は10%以内、別の実施形態において5%以内、別の実施形態において1%以内および別の実施形態において0.5%以内であると定義される。本明細書で使用される「連結され」という用語は、接続されるものとして定義されるが、必ずしも直接的ではなく、必ずしも機械的ではない。特定の態様で「構成された」デバイスまたは構造は、少なくともその態様で構成されているが、列挙されていない態様で構成されていてもよい。
【0057】
したがって、本開示は、とりわけ、回生制動を閉ループ制御するためのシステム、方法および車両を提供する。様々な特徴および利点が、以下の特許請求の範囲に記載される。