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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】プレス装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 5/02 20060101AFI20240716BHJP
   B30B 11/00 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B30B5/02 A
B30B11/00 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023513113
(86)(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2020074438
(87)【国際公開番号】W WO2022048739
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】510161026
【氏名又は名称】キンタス・テクノロジーズ・エービー
【氏名又は名称原語表記】Quintus Technologies AB
【住所又は居所原語表記】Quintusvagen 2, 721 66 Vasteras, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルストレーム、ペル
(72)【発明者】
【氏名】グスタフソン、ステファン
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-508671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0008741(US,A1)
【文献】特開平05-010680(JP,A)
【文献】特開平09-133470(JP,A)
【文献】特表2014-507282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0337395(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0201221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 5/02
B30B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス装置(100)であって、
前記プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器(1、8、9)と、ここで、前記圧力容器は、上端閉鎖部(8)及び底端閉鎖部(9)を備え、
炉室(18)と、ここで、前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように前記圧力容器内に配置され、前記炉室は、少なくとも1つの物品(5)を収容するように配置された処理空間を少なくとも部分的に画定し、前記プレス装置は、冷却段階を含む処理サイクルに、前記少なくとも1つの物品を供するように構成され、
前記炉室と流体連通し、前記圧力容器内に外側対流ループを形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路(10、11)と、ここで、前記外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記圧力容器の壁(22)の内面(23)に近接して前記炉室と前記底端閉鎖部との間の空間(16)へ案内するように配置され、
前記圧力容器内に配置され、前記炉室と流体連通する圧力媒体流れ発生器(13)と、ここで、前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記処理サイクルの冷却段階中に、前記処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内への前記圧力媒体の輸送を発生させるように配置され、
少なくとも1つの圧力媒体案内通路(21)と、ここで、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、前記炉室から前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ又はその逆に通過し得るように、前記圧力容器内に配置され、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、前記圧力媒体案内通路を通る前記圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、幅(W)を有するギャップとして形成されるように配置され、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは対応する幅を有し、前記幅の合計は4mm未満である、
を備えるプレス装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する断面の幅の合計が、0.1mmから3.5mmの範囲内であるように配置される、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する断面の幅の合計が、0.1mmから2.5mmの範囲内であるように配置される、請求項1又は2に記載のプレス装置。
【請求項4】
前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内へ輸送される圧力媒体の流量に少なくとも関して制御可能であり、前記処理空間における前記圧力媒体の冷却速度は、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内へ輸送される圧力媒体の流量によって少なくとも部分的に調節され、
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する断面の幅の合計が、選択された冷却速度閾値を超える冷却速度で前記炉室を出た後に前記外側対流ループ圧力媒体案内通路において案内された圧力媒体の流れに対する推定された抵抗に基づくように配置され、したがって、前記対応する断面の幅により、前記炉室を出た直後に前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路で前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ案内される圧力媒体の流れに対する抵抗が、前記炉室を出た後に前記外側対流ループ圧力媒体案内通路で案内される圧力媒体の流れに対する前記推定された抵抗よりも大きくなる、請求項1から3のいずれか一項に記載のプレス装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路を通る前記圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、円環の少なくとも一部分、楕円環の少なくとも一部分、又は長方形の形状を有するギャップとして形成されるように配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプレス装置。
【請求項6】
前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記処理サイクルの冷却段階中に、前記プレス装置内の別の空間からの圧力媒体の輸送を発生させるように配置され、前記別の空間から前記処理空間への前記冷却段階中の圧力媒体の輸送によって、前記処理空間における前記圧力媒体の温度が低下するように、前記別の空間における前記圧力媒体の温度は、前記冷却段階の少なくとも一部分において前記処理空間における前記圧力媒体の前記温度よりも低い、請求項1から5のいずれか一項に記載のプレス装置。
【請求項7】
前記外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記上端閉鎖部と前記炉室との間の空間(17)へ案内するように配置され、さらに、前記上端閉鎖部と前記炉室との間の前記空間からの前記圧力媒体を前記圧力容器の壁の前記内面に近接して前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ案内するように配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のプレス装置。
【請求項8】
前記炉室と流体連通し、前記外側対流ループを形成するように配置された複数の外側対流ループ圧力媒体案内通路(10、11)を備え、
前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように配置された断熱ケーシング(2、4、7)によって少なくとも部分的に囲まれ、前記断熱ケーシングは、断熱部分(7)と、前記断熱部分を少なくとも部分的に囲むハウジング(2)と、底部絶縁部分(4)とを備え、
前記外側対流ループの一部分は、前記ハウジングの少なくとも一部と前記断熱部分との間にそれぞれ形成された第1の外側対流ループ圧力媒体案内通路(11)を備え、前記第1の外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記上端閉鎖部と前記炉室との間の空間(17)へ案内するように配置され、前記外側対流ループの別の部分は、前記上端閉鎖部と前記炉室との間の前記空間からの前記圧力媒体を前記圧力容器の壁の前記内面に近接して前記底部絶縁部分と前記底端閉鎖部との間の空間へ案内するように配置された第2の外側対流ループ圧力媒体案内通路(10)を備え、前記底部絶縁部分と前記底端閉鎖部との間の前記空間は、前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間(16)を構成し、又は前記空間(16)に含まれ、
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、前記炉室から前記底部絶縁部分と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ又はその逆に通過し得るように、配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のプレス装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記底部絶縁部分と前記ハウジングとの間に形成された少なくとも1つのギャップによって少なくとも部分的に画定される、請求項8に記載のプレス装置。
【請求項10】
前記底部絶縁部分は、板状部材を備え、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記板状部材の縁部と前記ハウジングの表面との間に形成された少なくとも1つのギャップによって少なくとも部分的に画定される、請求項8又は9に記載のプレス装置。
【請求項11】
前記底部絶縁部分は、板状部材を備え、前記板状部材は、第1の外面(25)と、前記第1の外面の反対側の第2の外面(26)と、前記第1の外面と前記第2の外面との間に延びる端面(27)と、前記第1の外面及び前記第2の外面のうちの一方に取り付けられたディスク(20)又は円環とを備え、前記ディスク又は円環は、前記ディスク又は円環が前記第1の外面又は前記第2の外面の境界の少なくとも一部分を超えて延びるように寸法設定され、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記ディスク又は円環の縁部と前記ハウジングの表面との間に形成されたギャップによって少なくとも部分的に画定される、請求項8又は9に記載のプレス装置。
【請求項12】
前記ハウジングの表面に取り付けられた円環(28)をさらに備え、前記円環は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路が、前記円環と前記底部絶縁部分との間に形成されたギャップによって少なくとも部分的に画定されるように、前記ハウジングの表面に取り付けられ、寸法設定される、請求項8又は9に記載のプレス装置。
【請求項13】
前記ハウジングの表面と前記底部絶縁部分との間に配置されたガスケット(29)をさらに備え、外側ガスケット縁部が前記ハウジングの表面に接続され、内側ガスケット縁部が前記底部絶縁部分に接続され、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記ガスケット内に形成されたギャップによって少なくとも部分的に画定される、請求項8又は9に記載のプレス装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は湾曲している、請求項1から13のいずれか一項に記載のプレス装置。
【請求項15】
プレス装置(100)であって、
前記プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器(1、8、9)と、ここで、前記圧力容器は、上端閉鎖部(8)及び底端閉鎖部(9)を備え、
炉室(18)と、ここで、前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように前記圧力容器内に配置され、前記炉室は、少なくとも1つの物品(5)を収容するように配置された処理空間(19)を少なくとも部分的に画定し、前記プレス装置は、冷却段階を含む処理サイクルに、前記少なくとも1つの物品を供するように構成され、
前記炉室と流体連通し、前記圧力容器内に外側対流ループを形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路(10、11)と、ここで、前記外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記圧力容器の壁(22)の内面(23)に近接して前記炉室と前記底端閉鎖部との間の空間(16)へ案内するように配置され、
前記圧力容器内に配置され、前記炉室と流体連通する圧力媒体流れ発生器(13)と、ここで、前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記処理サイクルの冷却段階中に、前記処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内への前記圧力媒体の輸送を発生させるように配置され、
少なくとも1つの圧力媒体案内通路(21)と、ここで、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、前記炉室から前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ又はその逆に通過し得るように、前記圧力容器内に配置され、
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを選択的に及び制御可能に妨げる又は妨害するように配置された1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部(34)と、
その動作を制御するために前記1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部に通信可能に接続された制御ユニット(35)と、ここで、前記制御ユニットは、前記処理サイクルの冷却段階中に、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げる、又は妨害し、そして、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、及び真空段階のうちの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む前記処理サイクルの1つ又は複数の他の段階中に、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げない、又は妨害しないように、前記1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を制御するように構成され、
を備えるプレス装置であり、
前記プレス装置は、前記炉室が、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように配置された断熱ケーシング(2、4、7)によって少なくとも部分的に囲まれ、前記断熱ケーシングが、断熱部分(7)と、前記断熱部分を少なくとも部分的に囲むハウジング(2)と、底部絶縁部分(4)とを備え、熱吸収要素が前記断熱部分の上部と前記ハウジングの開口部との間に配置されるように構成され、及び/又は
前記プレス装置は、熱交換要素が前記上端閉鎖部に配置されるように構成される、
プレス装置。
【請求項16】
前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように配置された断熱ケーシング(2、4、7)によって少なくとも部分的に囲まれ、前記断熱ケーシングが、断熱部分(7)と、前記断熱部分を少なくとも部分的に囲むハウジング(2)と、底部絶縁部分(4)とを備え、
前記プレス装置は、前記ハウジングの表面と前記底部絶縁部分との間に配置された円環(33)を備え、
前記プレス装置は、複数の圧力媒体案内通路のみを介して、前記圧力媒体が、前記炉室から前記炉室と前記底端閉鎖部との間の空間へまたはその逆に通過し得るように、前記圧力容器内に配置された複数の圧力媒体案内通路を備え、前記複数の圧力媒体案内通路は、前記円環において放射状に配置され、分布され、
前記プレス装置は、前記複数の圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを選択的に及び制御可能に妨げる又は妨害するように配置された複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を備え、前記複数の圧力媒体案内通路の各々には、前記複数の制御可能圧力媒体流れ制限部の対応する1つ以上の制御可能圧力媒体流れ制限部が設けられ、
前記制御ユニットは、前記処理サイクルの冷却段階中に、前記複数の圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げ、又は妨害するように、そして、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、及び真空段階のうちの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む前記処理サイクルの1つ又は複数の他の段階中に、前記複数の圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げない、又は妨害しないように、前記複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を制御するように構成される、請求項15に記載のプレス装置。
【請求項17】
プレス装置における方法であって、
前記プレス装置は、前記プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器(1、8、9)と、炉室(18)とを備え、前記圧力容器は、上端閉鎖部(8)及び底端閉鎖部(9)を備え、前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように前記圧力容器内に配置され、前記炉室は、少なくとも1つの物品(5)を収容するように配置された処理空間(19)を少なくとも部分的に画定し、
前記プレス装置は、冷却段階を含む処理サイクルに、前記少なくとも1つの物品を供するように構成され、
前記プレス装置は、前記炉室と流体連通し、前記圧力容器内に外側対流ループを形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路(10、11)をさらに備え、前記外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記圧力容器の壁(22)の内面(23)に近接して前記炉室と前記底端閉鎖部との間の空間(16)へ案内するように配置され、
前記プレス装置は、前記圧力容器内に配置され、前記炉室と流体連通する圧力媒体流れ発生器(13)をさらに備え、前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記処理サイクルの冷却段階中に、前記処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内への前記圧力媒体の輸送を発生させるように配置され、
前記プレス装置は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路(21)をさらに備え、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、前記炉室から前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ又はその逆に通過し得るように、前記圧力容器内に配置され、
前記プレス装置は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを選択的に及び制御可能に妨げる又は妨害するように配置された1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部(34)をさらに備えるものであり、
前記方法は、
前記処理サイクルの冷却段階中に、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げる、又は妨害し、そして、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、及び真空段階のうちの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む前記処理サイクルの1つ又は複数の他の段階中に、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げない、又は妨害しないように、前記1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を制御する方法であり、
前記プレス装置は、前記炉室が、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように配置された断熱ケーシング(2、4、7)によって少なくとも部分的に囲まれ、前記断熱ケーシングが、断熱部分(7)と、前記断熱部分を少なくとも部分的に囲むハウジング(2)と、底部絶縁部分(4)とを備え、熱吸収要素が前記断熱部分の上部と前記ハウジングの開口部との間に配置されるように構成され、及び/又は
前記プレス装置は、熱交換要素が前記上端閉鎖部に配置されるように構成される、
方法。
【請求項18】
前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように配置された断熱ケーシング(2、4、7)によって少なくとも部分的に囲まれ、前記断熱ケーシングが、断熱部分(7)と、前記断熱部分を少なくとも部分的に囲むハウジング(2)と、底部絶縁部分(4)とを備え、
前記プレス装置は、前記ハウジングの表面と前記底部絶縁部分との間に配置された円環(33)を備え、
前記プレス装置は、複数の圧力媒体案内通路のみを介して、前記圧力媒体が、前記炉室から前記炉室と前記底端閉鎖部との間の空間へまたはその逆に通過し得るように、前記圧力容器内に配置された複数の圧力媒体案内通路を備え、前記複数の圧力媒体案内通路は、前記円環において放射状に配置され、分布され、
前記プレス装置は、前記複数の圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを選択的に及び制御可能に妨げる又は妨害するように配置された複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を備え、前記複数の圧力媒体案内通路の各々には、前記複数の制御可能圧力媒体流れ制限部の対応する1つ以上の制御可能圧力媒体流れ制限部が設けられ、
前記方法は、前記処理サイクルの冷却段階中に、前記複数の圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げ、又は妨害するように、そして、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、及び真空段階のうちの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む前記処理サイクルの1つ又は複数の他の段階中に、前記複数の圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げない、又は妨害しないように、前記複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を制御することを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
制御ユニットに備えられる1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、請求項17又は18に記載の方法を前記制御ユニットに実行させる命令を備えるコンピュータプログラム。
【請求項20】
コンピュータプログラムがロードされたプロセッサ可読媒体であって、前記コンピュータプログラムは、制御ユニットに備えられる1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、請求項17又は18に記載の方法を前記制御ユニットに実行させる命令を備える、プロセッサ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に高圧技術の分野に関し、特に圧力処理に関する。より詳細には、本発明は、たとえば熱間等方圧加圧(HIP)などのホットプレスによって、物品を処理するためのプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱間等方圧加圧(HIP)は、たとえば高性能構成要素および材料の圧密化、高密度化、または結合を達成するために、加圧された加熱ガスの形態の圧力媒体を使用する。HIPは、たとえば、加工された物品における多孔性を低減または解消するために使用され、鋳物(たとえば、タービンブレード)などの加工物品において100%の最大理論密度を達成し、その結果、疲労、衝撃、磨耗、および摩滅に対する優れた抵抗性をもたらし得る。加えて、HIPは、(粉末冶金HIP、またはPM HIPと呼ばれることがある)粉末圧縮による製品の製造に使用されてよく、この製品は、完全にまたは実質的に完全に高密度であること、および孔無しまたは実質的に孔無しの外面を有することなどが望まれまたは要求される。HIP加工から得られる製品は、たとえば、いくつか用途を挙げると、航空機の機体、航空エンジン、自動車エンジン、人体インプラントにおいて、および海洋産業において使用され得る。HIPは、多くの利点をもたらし、鍛造、鋳造、および機械加工などの従来のプロセスに対する実行可能で高性能な代替策および/または補完策となっている。HIPによって加圧処理される物品は、断熱圧力容器の負荷コンパートメントまたはチャンバ内に配置されてよい。処理サイクルは、物品を装填することと、物品を処理することと、物品を取り出すこととを備えることができる。いくつかの物品は同時に処理されてよい。処理サイクルは、プレス段階、加熱段階、および冷却段階などのいくつかの部分または段階に分割され得る。物品を圧力容器に装填した後、それは密封され、その後に(たとえば、アルゴン含有ガスなどの不活性ガスを備える)圧力媒体が、圧力容器およびその負荷コンパートメント内に導入され得る。次いで、選択された時間の期間中に物品が上昇された圧力および上昇された温度にさらされるように、圧力媒体の圧力および温度が上昇される。物品の温度の上昇を引き起こし得る圧力媒体の温度の上昇は、圧力容器の炉室に配置された加熱要素または炉によってもたらされる。圧力、温度、および処理時間は、たとえば、処理される物品の所望または要求される材料特性、具体的な適用分野、および処理される物品の要求される品質に依存し得る。HIP内の圧力は、たとえば、200バールから5000バール、たとえば800バールから2000バールの範囲内であり得る。HIP内の温度は、たとえば、300℃から3000℃、たとえば800℃から2000℃の範囲内であり得る。
【0003】
物品の圧力処理が終わると、物品は、圧力容器から取り外されまたは取り出される前に、冷却される必要があり得る。物品の冷却の特性、たとえばその速度は、処理された物品の冶金特性に影響し得る。一般に、物品を均等に冷却できることが望ましく、また可能であれば、冷却速度を制御できることが望ましい。HIPを受ける物品の冷却のために必要とされる時間の期間を短縮する努力がなされてきた。たとえば、冷却段階中に、制御された様式で、(たとえば、負荷コンパートメント内の温度が均一に低下されるように)負荷コンパートメント内で何ら大きな温度変動を生じさせることなく、圧力媒体の温度(ひいては物品の温度)を急速に低下させ、また、選択された時間の期間中の温度の変動を全くなしにまたはごく小さくして、選択された期間中に温度を特定の温度レベルまたは特定の温度範囲内に維持することが、必要とされまたは望まれることがある。物品の冷却中に負荷コンパートメント内で何ら大きな平均温度変動がないことにより、物品の冷却中に物品の異なる部分において温度変化がないかまたは非常に小さいことがあり得る。それにより、処理される物品における内部応力が低減され得る。HIPの用途によっては、比較的高い冷却速度が望まれ、または要求されることもある。
【発明の概要】
【0004】
(たとえば、HIPを実行するように構成された)プレス装置は、一般に、プレス装置の圧力容器内に複数の圧力媒体通路を備える。圧力媒体通路のいくつかは、圧力容器内の負荷コンパートメントにおける圧力媒体を制御可能に冷却する能力を提供するために、圧力容器内に強制対流ループを形成することができる。圧力媒体通路のいくつかは、圧力容器内で自然対流ループを形成することができる。
【0005】
本発明者らは、特に比較的高い冷却速度において、冷却段階中の強制対流ループにおける圧力媒体の流れの少なくとも一部は、強制対流ループで(少なくともその全体またはほぼ全体では)案内されず、少なくともある程度は、代わりに、強制対流ループの一部ではない圧力媒体案内通路で案内され得ることを見出した。これは、負荷コンパートメント内の圧力媒体の冷却の有効性を低下させることがあり、それが冷却速度を低下させることがあり、これは望ましくないことがある。
【0006】
上記の観点から、本発明の関心事は、プレス装置の圧力容器内、たとえば、圧力容器の負荷コンパートメント内の圧力媒体を、プレス装置の様々な動作条件において、特に比較的高い冷却速度での冷却段階中に、効果的に冷却する能力を有する、プレス装置を提供することである。
【0007】
この関心事および他の関心事の少なくとも1つを解決するために、独立請求項に従ったプレス装置およびプレス装置における方法が提供される。好ましい実施形態は、従属請求項によって定義される。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、プレス装置が提供される。プレス装置は、代替的に、プレス構成、または単純にプレス、または熱間等方圧プレスと呼ばれ得る。
【0009】
本発明の第1の態様によるプレス装置は、プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器を備える。圧力容器は、上端閉鎖部と底端閉鎖部とを備える。プレス装置は、圧力容器内に配置され、圧力媒体が炉室に出入りできるように配置された炉室を備える。炉室は、1つの物品(または複数の物品)を収容するように配置された処理空間を少なくとも部分的に画定している。プレス装置は、冷却段階を含む処理サイクルに物品を供するように構成される。プレス装置は、炉室と流体連通し、圧力容器内に外側対流ループ(代わりに、外側冷却ループと呼ばれることもある)を形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路を備える。外側対流ループは、炉室を出た後の圧力媒体を圧力容器の壁の1つの内面(または複数の内面)に近接して炉室と底端閉鎖部との間の空間へ案内するように配置される。プレス装置は、圧力容器内に配置され、炉室と流体連通する圧力媒体流れ発生器を備える。少なくとも処理サイクルの冷却段階中に、圧力媒体流れ発生器は、処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも炉室と底端閉鎖部との間の空間から炉室内への圧力媒体の輸送を発生させるように配置される。
【0010】
圧力媒体を圧力容器の壁の内面に近接して案内することによって、圧力媒体から圧力容器の外側への熱の伝達が圧力容器の壁を介して行われる。それにより、外側対流ループにおける圧力媒体の温度が、処理領域内の圧力媒体の温度よりも低くなり得る。外側対流ループ、および圧力媒体流れ発生器により生成された少なくとも炉室と底端閉鎖部との間の空間から炉室内への圧力媒体の流れが、圧力容器内に強制対流ループを形成することができる。
【0011】
本発明の第1の態様によるプレス装置は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へまたはその逆に通過し得るように、圧力容器内に配置された、少なくとも1つの圧力媒体案内通路を備える。
【0012】
圧力媒体が、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へまたはその逆に通過し得る事実により、圧力媒体が少なくとも1つの圧力媒体案内通路を介して進む場合、圧力媒体は、炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へまたはその逆に行くために、外側対流ループを通過する必要がないことを意味し得る。したがって、少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、圧力媒体が、外側対流ループを通過する必要なしに、少なくとも1つの圧力媒体案内通路を介して、炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へ直接通過し得るように、圧力容器内に配置され得る。外側対流ループおよび少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、圧力容器内の自然対流ループを形成し得る。
【0013】
本発明の第1の態様によるプレス装置の少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、幅を有するギャップ(代替的にスリットと呼ばれることもある)として形成されるように配置され、ここにおいて、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する幅を有し、ここにおいて、幅の合計(この幅は、対応する断面幅と呼ばれることがある)は、4mm未満である。
【0014】
1つのみの圧力媒体案内通路が提供されてもよい。その場合、圧力媒体案内通路は、圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、4mm未満の幅を有するギャップとして形成されるように配置され得る。いくつかの圧力媒体案内通路が存在する場合、対応する断面の幅の全幅(すなわち、対応する断面の幅の合計)が4mm未満であり得る。いくつかの圧力媒体案内通路が存在する場合、圧力媒体案内通路は、圧力媒体が、圧力媒体案内通路のいずれか1つを介して、外側対流ループを通過する必要なしに、および圧力媒体案内通路の他の1つ(または複数)を通過する必要なしに、炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へ直接通過することができるという意味で、並行に配置され得る。
【0015】
処理サイクルは、プレス装置に物品を装填することと、物品を処理することと、プレス装置から物品を取り出すこととを備えることができる。処理サイクルは、冷却段階に加えて、冷却段階に先行し得る処理段階および/または加熱段階など他の部分または段階(場合によっては1つの段階に組み合わされてよい)を備える。
【0016】
冷却段階中に、圧力媒体は、炉室を出た後、一般に外側対流ループで案内され、圧力媒体から圧力容器の外側への熱の伝達は一般に、圧力容器の壁を介して、また、たとえば上端閉鎖部のような圧力容器の端閉鎖部を介して行われる。それにより、圧力媒体は、圧力媒体流れ発生器を用いて、少なくとも炉室と底端閉鎖部との間の空間から炉室内への圧力媒体の輸送によって、圧力媒体が炉室に再び入る前に冷却される。それにより、処理空間内の圧力媒体は、効果的に冷却され得る。
【0017】
本発明者らは、冷却段階中の冷却速度が比較的高いとき(たとえば、いくつかのタイプの熱間等方圧プレスにおいて100℃/分以上)、炉室を出た後の圧力媒体は、圧力媒体が炉室と底端部との間の空間に入り、その後に炉室に再び入る前に、外側対流ループを通過することなく、少なくとも1つの圧力媒体案内通路を介して炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へ直接流れる傾向があることを見出した。これは、処理空間における圧力媒体の冷却の有効性を低下させる可能性があり、なぜならば、その場合の圧力媒体が、壁の内面および場合によってはさらに圧力容器の端閉鎖部に近接して案内されない可能性があり、圧力媒体から圧力容器の外側への熱の実質的な伝達は、壁および場合によってはさらに圧力容器の端閉鎖部を介して行われ得るものであるからである。これは、処理空間における圧力媒体の冷却速度を低下させることがあり、これは望ましくないことがある。
【0018】
本発明者らは、冷却段階中の非常に高い冷却速度(たとえば、いくつかのタイプの熱間等方圧プレスでは100℃/分以上)において、炉室を出た後に外側対流ループで案内される圧力媒体の流れに対する抵抗が、炉室を出た直後に少なくとも1つの圧力媒体案内通路で炉室と底端閉鎖部との間の空間へ案内される(すなわち、炉室と底端閉鎖部との間の空間に入るために外側対流ループを通過することがない)圧力媒体の流れに対する抵抗よりも大きくなり得ることを見出した。処理空間における圧力媒体の冷却速度が高いほど、炉室を出た後の外側対流ループで案内される圧力媒体の流れに対する抵抗が大きい。炉室を出た後に外側対流ループに案内される圧力媒体の流れに対する抵抗の増加は、処理空間における圧力媒体の冷却速度の増加(すなわち、外側対流ループにおける圧力媒体の流量または速度の増加)の二乗に比例する(またはおおよそ比例する)ことができる。しかしながら、圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、幅を有するギャップとして形成されるように、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれを配置し、ここにおいて、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは対応する幅を有し、ここにおいて、幅の合計は4mm未満であることによって、冷却段階中の冷却速度が非常に高くても(たとえば、いくつかのタイプの熱間等方圧プレスにおいて100℃/分以上)、炉室を出た直後に少なくとも1つの圧力媒体案内通路で炉室と底端閉鎖部との間の空間へ案内される圧力媒体の流れに対する抵抗が、炉室を出た後に外側対流ループで案内される圧力媒体の流れに対する抵抗よりも大きくなることが促進されまたは確実にされ得る。それにより、処理空間における圧力媒体の冷却の有効性は、非常に高い冷却速度においてさえ比較的高く維持されることが可能であり、処理空間における圧力媒体の冷却速度の望ましくない低下が緩和または回避され得る。したがって、圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、幅を有するギャップとして形成されるように、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれを配置し、ここにおいて、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは対応する幅を有し、ここにおいて、幅の合計は4mm未満であることによって、比較的高い冷却速度が達成され得る。
【0019】
さらに、物品の冷却は、物品が比較的高い圧力にさらされている間に実施されてよく、これは、処理される物品の冶金特性に関して有益であり得る。
【0020】
少なくとも1つの圧力媒体案内通路が、それを通る圧力媒体流がないように完全に制限された場合、炉室を出た後の圧力媒体は、圧力媒体が炉室と底端部との間の空間に入り、その後に炉室に再び入る前に、外側対流ループを通過することなく、少なくとも1つの圧力媒体案内通路を介して炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へ直接流れる傾向がないことに留意されたい。しかしながら、少なくとも1つの圧力媒体案内通路の完全な制限は、それが、圧力容器内の自然対流ループを完全にまたは部分的に制限する可能性があり、結果として、処理サイクルの真空段階の後の段階において、圧力容器内のたとえば炉室を形成する部分内または部分上で水分が増加する可能性があるので、一般に望ましくない。少なくとも1つの圧力媒体案内通路の完全な制限は、プレス装置で使用され得る真空システムの性能の低下につながる可能性がある。真空段階中に自然対流ループが閉じられた場合、圧力容器内部から出る圧力容器内の水分の輸送の有効性が低下する可能性があるので、真空段階中に圧力容器内に自然対流ループを有することが有益である。また、処理サイクルの加熱段階または保持段階においても圧力容器内に自然対流ループを有することが望ましいことがある。
【0021】
本出願の文脈では、処理サイクルの真空段階により、圧力容器内に処理される物品を挿入した後、1つまたは複数の真空ポンプによって圧力容器の内部から空気および/または他の任意のガスを排出することを含む処理サイクルの初期段階が意味される。
【0022】
冷却段階中の比較的低い冷却速度(たとえば、100℃/分よりも(かなり)低い)のみ十分であるかまたはそれが必要とされる用途では、プレス装置は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路がより大きなサイズを有するように構成され得ることに留意されたい。たとえば、プレス装置が、比較的大きな寸法を有し、比較的低い速度で冷却することを伴う意図された動作を有する熱間等方圧プレスとして構成された場合、そのような圧力媒体案内通路は、圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が典型的には50~100mmの幅を有するギャップとして形成されるように配置され得る。そのような大きなサイズの圧力媒体案内通路を使用することは、許容される構成許容差(プレス装置の様々な部品は、隣接する部品のばらつきに対応する柔軟性が低いことがある)に照らして、その構成におけるプレス装置の部品の組立てをより容易にすることになる。
【0023】
圧力媒体は、ガス、たとえば、アルゴンガスなどの不活性ガスを備え得る。
【0024】
圧力容器は、たとえば、圧力シリンダ(単にシリンダと呼ばれることがある)を備え得る。圧力容器の壁は、圧力シリンダの円柱状の壁を備え、またはそれによって構成され得る。
【0025】
前述のように、圧力媒体を圧力容器の壁の内面および場合によっては端閉鎖部に近接して案内することによって、圧力媒体から圧力容器の外側への熱の伝達が、圧力容器の壁および場合によっては端閉鎖部を介して行われる。外側対流ループ内の圧力媒体の通過中に、圧力媒体からの熱の伝達が、たとえば、圧力容器の壁または圧力容器の端閉鎖部に近接して配置され得る圧力容器の他の部分または一部に対しても行われてよく、それを介して、圧力媒体から圧力容器の外側への熱の伝達が行われてよい。したがって、外側対流ループにおける圧力媒体の温度が、処理領域内の圧力媒体の温度よりも低くなり得る。
【0026】
圧力容器の壁の内面に近接して案内された圧力媒体から圧力容器の外側への熱の伝達を増大させるために、圧力容器の外壁の外面には、チャネル、導管、またはチューブなどが設けられてもよく、このチャネル、導管、またはチューブは、たとえば、圧力容器の外壁の外面と接続するように配置されてもよく、圧力容器の軸方向に平行に、または圧力容器の外壁の外面の周りをらせん状もしくはスパイラル状に通るように配置されてもよい。圧力容器の壁の冷却のための冷却剤が、チャネル、導管、またはチューブ内に提供されてよく、それにより、圧力容器の壁は、圧力容器の動作中に高まる有害な熱から壁を保護するために冷却され得る。チャネル、導管、またはチューブ内の冷却剤は、たとえば、水を備え得るが、別または他のタイプの冷却剤も可能である。
【0027】
圧力シリンダの外壁の外面上に、場合によっては前述のような冷却剤のための任意のチャネル、導管、および/またはチューブ上などに、プレストレス手段が設けられ得る。プレストレス手段は、たとえば、圧力容器の外壁の外面、および場合によってはそこに設けられ得る冷却剤のための任意のチャネル、導管、および/またはチューブなどの周りに、1つまたは複数のバンドを、好ましくはいくつかの層で形成するように、複数回巻かれたワイヤ(たとえば、鋼製)の形態で設けられ得る。プレストレス手段は、圧力容器において径方向の圧縮力を及ぼすように配置され得る。
【0028】
本発明の開示された実施形態の任意の1つにおいて、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれが、圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面において一定の断面積を有するように配置されてよく、ここにおいて、断面積の合計は、外側対流ループを通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面における外側対流ループを形成する通路の断面積の25%よりも小さい(たとえば、ここで、外側対流ループを形成する通路の長さに沿って断面積が変化する場合、外側対流ループを通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面における外側対流ループを形成する通路の断面積が最も小さい)。
【0029】
少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、たとえば、圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、幅を有するギャップとして形成されるように配置されてよく、ここにおいて、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する幅を有し、ここにおいて、幅の合計は、0.1mmから3.5mm、または0.1mmから2.5mm、または0.1mmから1.5mmの範囲内である。したがって、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、たとえば、対応する断面の幅の合計が、0.1mmから3.5mm、または0.1mmから2.5mm、または0.1mmから1.5mmの範囲内であるように配置され得る。
【0030】
少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、幅を有するギャップとして形成されるように配置されてよく、ここにおいて、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する幅を有し、ここにおいて、幅の合計は、0.5mm以下、たとえば、0.4mm、0.3mm、0.2mm、または0.1mmなどである。したがって、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、たとえば、対応する断面の幅の合計が0.5mm以下、たとえば、0.4mm、0.3mm、0.2mm、または0.1mmなどであるように配置され得る。
【0031】
圧力媒体流れ発生器は、たとえば、1つまたは複数のファン、エジェクタ、および/または循環手段などを備え得る。圧力媒体流れ発生器は、少なくとも炉室と底端閉鎖部との間の空間から炉室内へ輸送される圧力媒体の流量に少なくとも関して制御可能であり得る。処理空間における圧力媒体の冷却速度は、少なくとも炉室と底端閉鎖部との間の空間から炉室内へ輸送される圧力媒体の流量によって少なくとも部分的に調節される。
【0032】
少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する断面の幅の合計が、選択された冷却速度閾値を超える冷却速度で炉室を出た後に外側対流ループにおいて案内された圧力媒体の流れに対する推定(または計算または決定)された抵抗に基づくように配置されてよく、したがって、対応する断面の幅により、炉室を出た直後に(すなわち、外側対流ループを通過せずに)圧力媒体案内通路で炉室と底端閉鎖部との間の空間へ案内される圧力媒体の流れに対する抵抗が、炉室を出た後に外側対流ループで案内される圧力媒体の流れに対する推定された抵抗よりも大きくなることを引き起こす(または伴う、または提供する)。
【0033】
したがって、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のサイズは、選択された冷却速度閾値を超える冷却速度で炉室を出た後に外側対流ループにおいて案内された圧力媒体の流れに対する推定された抵抗に基づいて選択され得る。前述のように、処理空間における圧力媒体の冷却速度が高いほど、炉室を出た後の外側対流ループで案内される圧力媒体の流れに対する抵抗が大きい。炉室を出た後に外側対流ループに案内される圧力媒体の流れに対する抵抗の増加は、処理空間における圧力媒体の冷却速度の増加の二乗に比例する(またはおおよそ比例する)ことができる。
【0034】
選択された冷却速度閾値は、たとえば、100℃/分以上、たとえば、150℃/分、200℃/分、または500℃/分以上であり得る。
【0035】
炉室を出た後に外側対流ループで案内される圧力媒体の流れに対する抵抗は、一般に、圧力媒体の外層と、外側対流ループに含まれまたは外側対流ループを構成するダクト、パイプ、チャネル、および/または通路の内壁との摩擦、ならびに圧力媒体内の圧力媒体層間の摩擦によって引き起こされ、それは、層が混合しない層流と比較して乱流に対して増加する。流れ自体からの抵抗、および内壁における摩擦は、外側対流ループにおける圧力降下を発生させる。
【0036】
炉室を出た後に外側対流ループで案内された圧力媒体の流れに対する抵抗を推定(または計算または決定)するために、外側対流ループにおける圧力降下は、たとえば、ムーディチャートまたはムーディ線図によって決定され得る。外側対流ループに含まれまたはそれを構成するダクト、パイプ、チャネル、および/または通路の内壁が円形パイプであり得ると仮定すると、外側対流ループに含まれまたはそれを構成するダクト、パイプ、チャネル、および/または通路の内壁のダルシーワイスバッハ摩擦係数f、レイノルズ数Re、および表面粗さを相互に関連付けるためにムーディチャートが使用され得る。外側対流ループにおける圧力降下はfに比例する。層流領域では、f=64/Reであるが、一般に冷却段階中の状態である乱流領域では、f、Re、および表面粗さの間の関係はより複雑である。乱流領域についてのf、Re、および表面粗さの間の関係は、様々なモデルを使用してモデル化され得る。
【0037】
処理空間における圧力媒体の冷却速度が増大された場合、外側対流ループにおける圧力媒体の流量が増大する一方で、圧力媒体の密度およびfは一般に減少する。外側対流ループにおける圧力媒体の流量の増大は、一般に、fや圧力媒体の密度などの他の量の変化よりも外側対流ループにおける圧力降下に大きな影響を与える。
【0038】
ギャップは、まっすぐおよび/または湾曲してよい。たとえば、少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、その長さにわたって、1つまたは複数の屈曲、曲げ、蛇行などを有してよい。少なくとも1つの圧力媒体案内通路に1つまたは複数の屈曲、曲げ、または蛇行を設けることにより、少なくとも1つの圧力媒体案内通路においてより大きな圧力降下を達成するのを容易にすることができる。少なくとも1つの圧力媒体案内通路の長さの増大は、一般に、少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力降下の増大をもたらすことになる。
【0039】
たとえば、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、リングの少なくとも一部分(たとえば、円環の少なくとも一部分、もしくは楕円環の少なくとも一部分)、または長方形の形状を有するギャップとして形成されるように配置され得る。原理的には、ギャップにおける異なる部分は、異なる形状を有してよい。異なる形状は、リングの一部分(たとえば、円環の一部分、もしくは楕円環の一部分)、または長方形を含み得る。
【0040】
圧力媒体流れ発生器は、少なくとも処理サイクルの冷却段階中に、プレス装置内の別の空間からの圧力媒体の輸送を発生させるように配置され得る。別の空間から処理空間への冷却段階中の圧力媒体の輸送によって、処理空間における圧力媒体の温度が低下するように、別の空間における圧力媒体の温度は、冷却段階の少なくとも一部分において処理空間における圧力媒体の温度よりも低くてよい。
【0041】
プレス装置における上記された他の空間は、圧力容器内の空間であってよく、圧力容器内の空間でなくてもよい。上記された他の空間は、たとえば、処理空間とは異なり、場合によっては距離を置いた圧力容器内の空間または領域によって定義され得る。前述のように、上記された他の空間は、必ずしも圧力容器内の空間である必要はなく、他の空間は、圧力容器の外側のプレス装置内の空間であってよく、たとえば、圧力容器の外側に配置された圧力媒体源によって画定される空間または領域であってよい。プレス装置内の上記された他の空間は、外側対流ループの少なくとも一部分を備え得る。
【0042】
外側対流ループは、炉室を出た後の圧力媒体を上端閉鎖部と炉室との間の空間へ案内するように配置され得る。外側対流ループはさらに、上端閉鎖部と炉室との間の空間からの圧力媒体を圧力容器の壁の内面に近接して炉室と底端閉鎖部との間の空間へ案内するように配置され得る。
【0043】
プレス装置は、炉室と流体連通し、外側対流ループを形成するように配置され得る複数の外側対流ループ圧力媒体案内通路を備えることができる。
【0044】
炉室は、圧力媒体が炉室に出入りできるように配置され得る断熱ケーシングによって少なくとも部分的に囲まれ得る。断熱ケーシングは、断熱部分と、断熱部分を少なくとも部分的に囲み得るハウジングと、場合によっては底部絶縁部分とを備えることができる。
【0045】
外側対流ループの一部分は、ハウジングの少なくとも一部と断熱部分との間にそれぞれ形成され得る第1の外側対流ループ圧力媒体案内通路を備えてよく、第1の外側対流ループ圧力媒体案内通路は、炉室を出た後の圧力媒体を上端閉鎖部と炉室との間の空間へ案内するように配置され得る。
【0046】
外側対流ループの別の部分は、上端閉鎖部と炉室との間の空間からの圧力媒体を圧力容器の壁の内面に近接して底部絶縁部分と底端閉鎖部との間の空間へ案内するように配置され得る第2の外側対流ループ圧力媒体案内通路を備えることができる。上記の底部絶縁部分と底端閉鎖部との間の空間は、上記の炉室と底端閉鎖部との間の空間を構成し、またはそれに含まれ得る。
【0047】
少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、炉室から底部絶縁部分と底端閉鎖部との間の空間へまたはその逆に通過し得るように、配置され得る。
【0048】
少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、底部絶縁部分とハウジングとの間に形成された少なくとも1つのギャップによって少なくとも部分的に画定され得る。底部絶縁部分とハウジングとの間に形成された少なくとも1つのギャップは、たとえば、底部絶縁部分とハウジングとの間に配置された1つまたは複数の構成要素によって実現または実装され得る。1つまたは複数の構成要素は、たとえば、1つまたは複数のディスク、リング、および/またはガスケットを備えることができる。たとえば、1つまたは複数の構成要素のそれぞれまたはいずれかは、底部絶縁部分にのみ、またはハウジングにのみ、または場合によっては底部絶縁部分とハウジングの両方に取り付けられ得る。
【0049】
たとえば、底部絶縁部分は、板状部材を備えることができる。
【0050】
少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、板状部材の縁部とハウジングの表面との間に形成された少なくとも1つのギャップによって少なくとも部分的に画定され得る。
【0051】
板状部材は、第1の外面と、第1の外面の反対側の第2の外面と、第1の外面と第2の外面との間に延びる端面とを備えることができる。底部絶縁部分は、第1の外面および第2の外面のうちの一方に取り付けられたディスクまたは円環を備えてよく、ここにおいて、ディスクまたは円環は、ディスクまたは円環が第1の外面または第2の外面の境界の少なくとも一部分を超えて、場合によっては第1の外面または第2の外面の境界全体を超えて延びるように寸法設定され得る。少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、ディスクまたは円環の縁部とハウジングの表面との間に形成されたギャップによって少なくとも部分的に画定され得る。
【0052】
ディスクまたは円環と板状部材は、別個の構成要素であってよい。しかしながら、ディスクまたは円環は、板状部材の一体化された部分であってもよい。
【0053】
プレス装置は、ハウジングの表面に取り付けられ得る円環を備え得る。円環は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路が、円環(たとえば、その縁部)と底部絶縁部分との間に形成されたギャップによって少なくとも部分的に画定されるように、ハウジングの表面に取り付けられ、寸法設定され得る。
【0054】
プレス装置は、たとえば円環の形状であり得るガスケットを備えることができる。ガスケットは、ハウジングの表面と底部絶縁部分との間に配置され得る。外側ガスケット縁部がハウジングの表面に接続され得る。内側ガスケット縁部が底部絶縁部分に接続され得る。少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、ガスケット内に形成されたギャップによって少なくとも部分的に画定され得る。場合によっては、ガスケットは、ハウジングと底部絶縁部分の両方には接続されなくてよい。たとえば、外側ガスケット縁部はハウジングの表面に接続されてよいが、内側ガスケット縁部は底部絶縁部分に接続されなくてよい。別の例によれば、内側ガスケット縁部は底部絶縁部分に接続されてよいが、外側ガスケット縁部はハウジングの表面に接続されなくてよい、
本発明の第2の態様によれば、プレス装置が提供される。プレス装置は、プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器を備える。圧力容器は、上端閉鎖部と底端閉鎖部とを備える。プレス装置は、圧力媒体が炉室に出入りできるように圧力容器内に配置された炉室を備える。炉室は、少なくとも1つの物品を収容するように配置された処理空間を少なくとも部分的に画定している。プレス装置は、冷却段階を含む処理サイクルに少なくとも1つの物品を供するように構成される。プレス装置は、炉室と流体連通し、圧力容器内に外側対流ループを形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路を備える。外側対流ループは、炉室を出た後の圧力媒体を圧力容器の壁の内面に近接して炉室と底端閉鎖部との間の空間へ案内するように配置される。プレス装置は、圧力容器内に配置され、炉室と流体連通する圧力媒体流れ発生器を備える。少なくとも処理サイクルの冷却段階中に、圧力媒体流れ発生器は、処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも炉室と底端閉鎖部との間の空間から炉室内への圧力媒体の輸送を発生させるように配置される。プレス装置は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路を備え、少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へまたはその逆に通過し得るように、圧力容器内に配置される。
【0055】
本発明の第2の態様によるプレス装置は、少なくとも1つの圧力媒体通路における圧力媒体の流れを選択的におよび制御可能に妨げるまたは妨害するように配置された1つまたは複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を備える。プレス装置は、その動作を制御するために1つまたは複数の制御可能圧力媒体流れ制限部に通信可能に接続された制御ユニットを備える。制御ユニットは、処理サイクルの冷却段階中に、少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げる、または妨害し、加熱段階、保持段階、ポンピング段階(たとえば、圧力媒体ポンピング段階)、および真空段階のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせ(ここにおいて、2つまたは場合によっては3つ以上の段階が同時に発生し、たとえば、組み合わされたポンピングおよび加熱段階では、ポンピングと加熱が同時に発生する)を含む処理サイクルの1つまたは複数の他の段階中に、少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げない、または妨害しないように、1つまたは複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を制御するように構成される。
【0056】
冷却段階中に少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げるまたは妨害する(たとえば、完全にまたは実質的に完全に、少なくとも1つの圧力媒体通路における圧力媒体の流れを妨げるまたは妨害する)ことによって、炉室を出た後の圧力媒体が、炉室と底端閉鎖部との間の空間に入り、その後に炉室に再び入る前に、外側対流ループを通過することなく、少なくとも1つの圧力媒体案内通路を介して炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へ直接流れることが、かなり低減または回避され得る。さらに、加熱段階および真空段階のうちの少なくとも1つを含む1つまたは複数の他の段階中に少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げないまたは妨害しないことによって、たとえば、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、および/または真空段階中に圧力容器内に自然対流ループが存在することが保証され得る。
【0057】
制御可能圧力媒体流れ制限部は、たとえば、1つまたは複数の調整可能なスロットルを備えることができる。1つまたは複数の調整可能なスロットルは、たとえば、少なくとも1つの圧力媒体案内通路内またはその上に配置され得る。たとえば、調整可能なスロットルは、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれの中にまたはそれぞれの上に配置され得る。代替的または追加的に、制御可能圧力媒体流れ制限部は、たとえば、1つまたは複数のソレノイド弁などの1つまたは複数の調整可能な弁を備えることができる。代替的または追加的に、1つまたは複数の他のタイプの弁、たとえば、空気圧弁および/または電動弁が使用されてよい。複数の調整可能な弁(または他のタイプの制御可能圧力媒体流れ制限部)を利用することが望ましいことがあり、なぜならば、それにより、少なくとも1つの圧力媒体案内通路を通る圧力媒体の均一な流れを達成することを容易にできるからである。
【0058】
制御ユニットは、たとえば、任意の適切な中央処理ユニット(CPU)、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、またはこれらの任意の組み合わせを含み、またはそれらによって構成され得る。制御ユニットは、任意選択で、たとえばメモリの形態のコンピュータプログラム製品に記憶されたソフトウェア命令を実行する能力があり得る。メモリは、たとえば、読み書きメモリ(RAM)と読み取り専用メモリ(ROM)との任意の組み合わせであってよい。メモリは、たとえば、磁気メモリ、光メモリ、ソリッドステートメモリ、またはリモートマウントメモリ、またはこれら任意の組み合わせであり得る、永続的ストレージを備えることができる。
【0059】
制御ユニットと1つまたは複数の制御可能圧力媒体流れ制限部との間の通信結合は、たとえば、当技術分野で知られる任意の適切な有線および/またはワイヤレス通信手段または技術によって実現または実装され得る。
【0060】
本発明の第3の態様によれば、プレス装置における方法が提供される。プレス装置は、プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器を備える。圧力容器は、上端閉鎖部と底端閉鎖部とを備える。プレス装置は、圧力媒体が炉室に出入りできるように圧力容器内に配置された炉室を備える。炉室は、少なくとも1つの物品を収容するように配置された処理空間を少なくとも部分的に画定している。プレス装置は、冷却段階を含む処理サイクルに少なくとも1つの物品を供するように構成される。プレス装置は、炉室と流体連通し、圧力容器内に外側対流ループを形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路を備える。外側対流ループは、炉室を出た後の圧力媒体を圧力容器の壁の内面に近接して炉室と底端閉鎖部との間の空間へ案内するように配置される。プレス装置は、圧力容器内に配置され、炉室と流体連通する圧力媒体流れ発生器を備える。少なくとも処理サイクルの冷却段階中に、圧力媒体流れ発生器は、処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも炉室と底端閉鎖部との間の空間から炉室内への圧力媒体の輸送を発生させるように配置される。プレス装置は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路を備え、少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へまたはその逆に通過し得るように、圧力容器内に配置される。プレス装置は、少なくとも1つの圧力媒体通路における圧力媒体の流れを選択的におよび制御可能に妨げるまたは妨害するように配置された1つまたは複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を備える。
【0061】
本発明の第3の態様による方法は、処理サイクルの冷却段階中に、少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げる、または妨害し、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、および真空段階のうちの少なくとも1つ、またはそれらの任意の組み合わせ(ここにおいて、2つまたは場合によっては3つ以上の段階が同時に発生し、たとえば、組み合わされたポンピングおよび加熱段階では、ポンピングと加熱が同時に発生する)を含む処理サイクルの1つまたは複数の他の段階中に、少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げない、または妨害しないように、1つまたは複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を制御することを備える。
【0062】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、制御ユニットに備えられる1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、本発明の第3の態様による方法を制御ユニットに実行させる命令を備える。
【0063】
本発明の第5の態様によれば、プロセッサ可読媒体が提供される。プロセッサ可読媒体は、それにロードされたコンピュータプログラムを有し、ここにおいて、コンピュータプログラムは、制御ユニットに備えられる1つまたは複数のプロセッサによって実行されたとき、本発明の第3の態様による方法を制御ユニットに実行させる命令を備える。
【0064】
1つまたは複数のプロセッサのそれぞれまたはいずれかは、たとえば、CPU、マイクロコントローラ、DSP、ASIC、FPGAなど、またはこれらの任意の組み合わせを備えることができる。プロセッサ可読媒体は、たとえば、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくはフロッピー(登録商標)ディスク、または任意の他の適切なタイプのプロセッサ可読手段もしくはプロセッサ可読(デジタル)媒体、たとえば、以下に限定されないが、不揮発性メモリ、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、フラッシュメモリ、磁気テープ、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリデバイス、Zipドライブなどのメモリを含み得る。
【0065】
本発明のさらなる目的および利点が例示的実施形態によって以下に説明される。本発明は、請求項に記載された特徴のすべての可能な組み合わせに関することに留意されたい。本発明のさらなる特徴および利点は、添付の特許請求の範囲および本明細書の説明を検討したときに明らかになるであろう。本当業者は、本明細書に記載される以外の実施形態を作成するために、本発明の異なる特徴が組み合わせられ得ることを理解する。
【0066】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明の実施形態によるプレス装置の概略的な部分的に断面の側面図。
図2】本発明の実施形態によるプレス装置の概略的な部分的に断面の側面図。
図3】本発明の実施形態によるプレス装置の概略的な部分的に断面の側面図。
図4】本発明の実施形態によるプレス装置の概略的な部分的に断面の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図面は概略的であり、必ずしも原寸に比例せず、一般に本発明の実施形態を明らかにするために必要である部分のみを示しており、ここにおいて、他の部分は省略されるか、または示唆されるだけの場合がある。
【0069】
以下では、本発明の例示的な実施形態が示される添付の図面を参照して、本発明が説明される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてよく、本明細書に記載される本発明の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が本発明の範囲を当業者に伝えるように例として提供されるものである。
【0070】
図1は、本発明の実施形態によるプレス装置100の概略的な部分的に断面の側面図である。プレス装置100は、プレスによって、たとえば、熱間等方圧加圧(HIP)などのホットプレスによって少なくとも1つの物品を処理するように配置される。
【0071】
プレス装置100は、圧力容器を備え、圧力容器は、圧力シリンダ1と、上端閉鎖部8および底端閉鎖部9、またはより一般的にはそれぞれ第1の端部閉鎖部および第2の端部閉鎖部とを備える。以下で参照番号1、8、および9によって集合的に示される圧力容器は、図1に示されない追加の部分、構成要素、または要素を備え得ることを理解されたい。圧力容器1、8、9は、プレス装置100の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置される。
【0072】
圧力容器1、8、9は、炉室18を備える。炉室18は、圧力媒体が炉室18に出入りできるように圧力容器1、8、9内に配置される。炉室18は、たとえば処理サイクルのプレス段階中に、圧力容器内の圧力媒体を加熱するための炉またはヒータまたは加熱要素を備えることができる。炉は、図1において参照番号14によって概略的に示される。炉14の部分が、図1において参照番号14によって示される2つの同一の要素として示される。しかしながら、炉14は、原則的に任意の数の部分で提供されてよく、図1に示される2つの部分だけでなく、2つ未満または3つ以上の部分で提供されてもよいことを理解されたい。図1に示される本発明の実施形態によれば、炉14は炉室18の下方部分に配置される。炉室18と関係して、たとえば炉室18内で、炉14の様々な構成および配置が可能であることを理解されたい。たとえば、図1に示された炉14の配置に代えてまたは加えて、炉14は、炉室18の上方部分に、たとえば、図1に示された圧力媒体案内通路32に配置されてもよく、これについては以下でさらに説明される。炉室18に関係する、たとえば炉室18内にある、その配置に関する炉14の任意の実装形態が、本明細書に開示される本発明の実施形態のいずれか1つにおいて使用され得る。本出願の文脈において、用語「炉」は、加熱を提供するための要素または手段を指す一方で、用語「炉室」は、炉および場合によっては負荷コンパートメントおよび任意の物品が配置されるエリアまたは領域を指す。図1に示されるように、炉室18は、圧力容器1,8,9の内部空間全体を占有しなくてもよく、炉室18の周囲に圧力容器1,8,9の内部の中間空間10を残すことができる。中間空間10は、圧力媒体案内通路10を形成する。プレス装置100の動作中、中間空間10内の温度は、炉室18内の温度より低くなり得るが、中間空間10と炉室18は、圧力が等しいかまたは実質的に等しくなり得る。
【0073】
圧力容器1、8、9は、その中に処理空間を含む。処理空間は、たとえば、炉室18によって少なくとも部分的に画定され得る。たとえば、処理空間は、炉室18の内部に備えられ、またはそれによって構成され得る。処理空間は、物品5(または場合によってはいくつかの物品)を収容するように配置される。図1に示される本発明の実施形態によれば、炉室18内に含まれる負荷コンパートメント19は、物品5を収容するように配置される。処理空間は、負荷コンパートメント19の内部に備えられ、またはそれによって構成され得る。プレス装置100は、物品5を処理サイクルに供するように構成され、この処理サイクルは冷却段階を含む。
【0074】
圧力容器1、8、9の外壁の外面には、(図1に示されない)チャネル、導管、またはチューブなどが設けられてよく、このチャネル、導管、またはチューブは、たとえば、圧力容器1、8、9の外壁の外面と接続するように配置されてもよく、圧力容器1、8、9の軸方向に平行に、または圧力容器1、8、9の外壁の外面の周りをらせん状もしくはスパイラル状に通るように配置されてもよい。圧力容器1、8、9の壁の冷却のための冷却剤が、チャネル、導管、またはチューブ内に提供されてよく、それにより、圧力容器1、8、9の壁は、圧力容器1、8、9の動作中に高まる有害な熱から壁を保護するために冷却され得る。チャネル、導管、またはチューブ内の冷却剤は、たとえば、水を備え得るが、別または他のタイプの冷却剤も可能である。圧力容器1、8、9の外壁の外面に設けられたチャネル、導管、またはチューブ内の冷却剤の例示的な流れが、圧力容器1、8、9の外側にある矢印によって図1に示される。
【0075】
圧力シリンダの外壁の外面上に、場合によっては前述のような冷却剤のための任意のチャネル、導管、および/またはチューブ上などに、プレストレス手段が設けられ得る。プレストレス手段(図1に示されない)は、たとえば、圧力シリンダ1の外壁の外面、および場合によってはそこに設けられ得る冷却材のための任意のチャネル、導管、および/またはチューブなどの周りに、1つまたは複数のバンドを、好ましくはいくつかの層で形成するように、複数回巻かれたワイヤ(たとえば、鋼製)の形態で設けられ得る。プレストレス手段は、圧力シリンダ1において径方向の圧縮力を及ぼすように配置され得る。
【0076】
図1には明示的に示されないが、圧力容器1、8、9は、任意の物品が圧力容器1、8、9内に挿入され、または取り出されることが可能なように、圧力容器が開閉できるように配置され得る。開閉されることが可能なような圧力容器1、8、9の配置は、当技術分野で知られるいくつかの異なる方法で実現され得る。図1には明示的に示されていないが、上端閉鎖部8と底端閉鎖部9の一方または両方は、開閉されることが可能なように配置され得る。
【0077】
以下でより詳細に説明されるように、プレス装置100は、炉室18と流体連通し、圧力容器1、8、9内に外側対流ループを形成するように配置された外側対流ループ圧力媒体案内通路10、11を備える。外側対流ループは、炉室18を出た後の圧力媒体を圧力容器1、8、9の壁22の内面23に近接して炉室18と底端閉鎖部9との間の空間16へ案内するように配置される。図1に示されるように、圧力容器1、8、9の壁22は、圧力容器1、8、9の外壁であってよい。
【0078】
図1に示される本発明の実施形態によれば、炉室18は、以下で参照番号2、4、および7によって集合的に示される断熱ケーシングによって囲まれ、圧力媒体が炉室18に出入りできるように配置される。さらに図1に示される本発明の実施形態によれば、断熱ケーシング2、4、7は、断熱部分7と、断熱部分7を部分的に囲むハウジング2と、底部絶縁部分4とを備える。断熱ケーシング2、4、7の要素のすべてが、断熱されるようにまたは断熱するように配置されなくてもよい。たとえば、ハウジング2は、必ずしも、断熱されるようにまたは断熱するように配置されなくてもよい。炉室18を取り囲む断熱ケーシング2、4、7は、プレス装置100が物品5を供するように構成され得る処理サイクルの加熱段階において、エネルギーを節約しやすい。断熱ケーシング2、4、7はまた、対流がより秩序立って行われることを容易または確実にすることができる。本発明の図示された実施形態における炉室18の垂直に細長い形状により、断熱ケーシング2、4、7は、監視および制御が困難であり得る水平温度勾配などの温度勾配の形成を防止することができる。
【0079】
図1に示される本発明の実施形態によれば、外側対流ループの一部分は、ハウジング2の部分と断熱部分7との間にそれぞれ形成された第1の外側対流ループ圧力媒体案内通路11を備え、第1の外側対流ループ圧力媒体案内通路は、炉室18から出た後の圧力媒体を上端閉鎖部8と炉室18との間の空間17へ案内するように配置される。さらに、図1に示される本発明の実施形態によれば、外側対流ループの別の部分は、図示の実施形態に従って圧力媒体案内通路10により構成される第2の外側対流ループ圧力媒体案内通路10を備える。第2の外側対流ループ圧力媒体案内通路10は、上端閉鎖部8と炉室18との間の空間17からの圧力媒体を、圧力容器1、8、9の壁22の内面23に近接して底部絶縁部分4と底端閉鎖部9との間の空間へ案内するように配置される。図1に示される本発明の実施形態によれば、上記の底部絶縁部分4と底端閉鎖部9との間の空間は、上記の炉室18と底端閉鎖部9との間の空間16を構成している。
【0080】
圧力容器1、8、9またはプレス装置100において使用される圧力媒体は、たとえば、圧力容器1、8、9内で処理される物品に関係する比較的低い化学親和力を有することができる液体もしくはガス状媒体を備え、またはそれによって構成され得る。圧力媒体は、ガス、たとえば、アルゴンガスなどの不活性ガスを備え得る。
【0081】
図1に示されるように、圧力媒体は、負荷コンパートメント19の上部から出て、続いて、負荷コンパートメント19の壁と断熱部分7との間の圧力媒体案内通路32に案内されてよく、その後、圧力媒体は、断熱部分7とハウジング2との間の開口部6を介して圧力媒体案内通路11に入ってよい。断熱部分7とハウジング2との間の開口部6は、図1に示されるように、底部絶縁部分4の高さ、またはそれとほぼ同じ高さにあってよい。しかしながら、断熱部分7とハウジング2との間の開口部6は、図1に示されるのと異なる位置にあってもよいことを理解されたい。これは、図に示された本発明の実施形態など、本発明の開示された実施形態のいずれにも当てはまる。断熱部分7とハウジング2との間の開口部6には、場合によっては、1つもしくは複数の弁、または任意の他のタイプの調整可能なスロットルもしくは制御可能圧力媒体流れ制限部手段が設けられ得る。
【0082】
断熱部分7とハウジング2との間の開口部を介して圧力媒体案内通路11に入る圧力媒体は、圧力媒体案内通路11内で上端閉鎖部17に向かって案内され、そして、圧力媒体は、ハウジング2の開口部、たとえば図1に示されるハウジング2の中央開口部を介して、圧力媒体案内通路11および断熱ケーシング2、4、7を出ることができる。
【0083】
上端閉鎖部8の内面および圧力媒体案内通路10によって部分的に画定された空間17によって画定された圧力媒体案内通路は、ハウジング2の開口部を出た圧力媒体を、上端閉鎖部8に近接して、および圧力容器1、8、9の壁22の内面23(たとえば、図1に示されるような圧力シリンダ1の壁のそれぞれ)に近接して、炉室18と底端閉鎖部9との間の空間16へ案内するように配置される。
【0084】
図1は本発明の例示的な実施形態を示しており、たとえば、圧力媒体が圧力容器1、8、9内でどのように案内されるかに関して、変形が可能であることを理解されたい。たとえば、ハウジング2の開口部と断熱部分7の上部との間には、WO2018/171884A1に開示されたような熱吸収要素、たとえば、参照番号20で示されWO2018/171884A1の図に示されるような熱吸収体が設けられてもよい。代替的または追加的に、たとえば、上端閉鎖部8に配置されるWO2019/149379A1に開示されたような熱交換要素、たとえば、参照番号170で示されWO2019/149379A1の図に示されるような熱交換要素が設けられてもよい。
【0085】
したがって、外側対流ループは、少なくとも圧力媒体案内通路10および圧力媒体案内通路11によって形成され得る。外側対流ループの一部では、圧力媒体は、上端閉鎖部8の内面、および圧力容器1、8、9または圧力シリンダ1の壁22の内面23に近接して案内される。上端閉鎖部8の内面、および圧力容器1、8、9または圧力シリンダ1の壁22の内面23に近接して通過中に圧力媒体から伝達され得る熱エネルギーの量は、以下のうちの少なくとも1つに依存し得る:圧力媒体の速さ、上端閉鎖部8の内面および圧力容器1、8、9もしくは圧力シリンダ1の壁22の内面23と(直接)接触を有する圧力媒体の量、圧力媒体と上端閉鎖部8の内面および圧力容器1、8、9もしくは圧力シリンダ1の壁22の内面23との間の相対的な温度差、上端閉鎖部8の厚さおよび圧力容器1、8、9もしくは圧力シリンダ1の壁22の厚さ、ならびに(圧力シリンダ1の外側の矢印によって図1に示される)圧力容器1、8、9もしくは圧力シリンダ1の壁22の外面上に設けられたチャネル、導管、またはチューブ内の冷却剤の任意の流れの温度。
【0086】
圧力媒体案内通路10内で炉室18に向かって戻るように案内された圧力媒体は、炉室18(または底部絶縁部分4)と底端閉鎖部9との間の空間16に入る。炉室18は、圧力媒体が、空間16から炉室18に入り、炉室18から空間16に出ることができるように配置され得る。たとえば、図1に示される本発明の実施形態によれば、炉室18には底部絶縁部分4の開口部が設けられてよく、この開口部は、圧力媒体が炉室18に流入する(または炉室18から流出する)ことを可能にする。さらに、図1に示される本発明の実施形態によれば、たとえば導管12を含む圧力媒体案内通路12は、圧力媒体案内通路または導管12の下方(または第1の)開口部が、底部絶縁部分4の下方に(および場合によっては、図示される実施形態によると空間16内に)あり、圧力媒体案内通路または導管12の上方(または第2の)開口部が、底部絶縁部分4の上面にある(場合によっては、図示される実施形態によると、負荷コンパートメント19の開口部と位置合わせされた)状態で、底部絶縁部分4を貫通して延びるように配置される。圧力媒体案内通路または導管12の下方(または第1の)開口部には、たとえば、1つまたは複数の調整可能なスロットルまたは弁など、調整可能な圧力媒体流れ制限部手段が設けられ得る。場合によっては、圧力媒体案内通路または導管12の上方(または第2の)開口部は、底部絶縁部分4の上面から離れていてよい。
【0087】
炉室18の圧力媒体案内通路32、および負荷コンパートメント19と底部絶縁部分4との間に形成された圧力媒体案内通路は、内側対流ループを部分的に形成するように、負荷コンパートメント19と流体連通し、ここにおいて、内側対流ループにおける圧力媒体は、負荷コンパートメント19を通って、ならびに炉室18の圧力媒体案内通路32、および負荷コンパートメント19と底部絶縁部分4との間に形成された圧力媒体案内通路を通って案内され、負荷コンパートメント19に戻されるか、またはその逆である。
【0088】
図1に示される本発明の実施形態によれば、プレス装置100は、圧力容器1、8、9内に圧力媒体の循環をもたらすように構成された圧力媒体循環流れ発生器15を備え、ここにおいて、圧力媒体の循環中、圧力媒体は炉室18を通過する。圧力媒体流れ発生器15は任意選択であり、省略されてもよい。図1に示される本発明の実施形態によれば、圧力媒体循環流れ発生器15は、炉室18内の圧力媒体の循環のためのファン15などを備える。代替的または追加的に、圧力媒体循環流れ発生器15は、ファン以外の1つまたは複数の他のタイプの圧力媒体循環流れ発生器、たとえば、1つまたは複数のエジェクタを備えてよい。さらに、図1に示される本発明の実施形態によれば、圧力媒体循環流れ発生器15は、たとえば、底部絶縁部分4の上方の負荷コンパートメント19の開口部に配置されてよく、その開口部は、圧力媒体の流れが負荷コンパートメント19に出入りすることを可能にする。圧力媒体循環流れ発生器15は、少なくともその動作速度に関して制御可能であり得る。圧力媒体循環流れ発生器15の動作速度は、たとえば、それが1つまたは複数のファンなどを備え、またはこれらによって構成される場合、圧力媒体循環流れ発生器15の毎分回転数(rpm)を備え得るが、圧力媒体循環流れ発生器15の具体的な実装形態の性質に応じて、1つまたは複数の他のタイプの動作速度が企図される。圧力媒体循環流れ発生器15は、上述された内側対流ループにおける圧力媒体の流量を選択的に制御するように構成され得る。
【0089】
プレス装置100は、圧力容器1、8、9内に配置され、炉室18と流体連通する圧力媒体流れ発生器13を備えることができる。少なくとも処理サイクルの冷却段階中に、圧力媒体流れ発生器13は、処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも炉室18と底端閉鎖部4との間の空間から炉室18内への圧力媒体の輸送を発生させるように配置され得る。
【0090】
図1に示される本発明の実施形態によれば、圧力媒体流れ発生器13は、図1に概略的にのみ示されるエジェクタ配置13を備える。図1に示されるように、空間16に入る圧力媒体案内通路10からの圧力媒体は、圧力媒体流れ発生器13に引き込まれ、その後、流れ発生器13から圧力媒体案内通路または導管12に排出され、次いで、それにより、圧力媒体を炉室18に輸送することができる。たとえばエジェクタ配置13を備える、圧力媒体流れ発生器13は、単段エジェクタまたは多段エジェクタ(たとえば2段エジェクタ)を備え得る。単段エジェクタにより、圧力媒体流れ発生器13またはエジェクタ配置13が、1つの流れ発生器またはエジェクタを備えることが意味される。多段エジェクタにより、圧力媒体流れ発生器13またはエジェクタ配置13が、複数の流れ発生器またはエジェクタを備え、それらの流れ発生器またはエジェクタは、少なくとも1つの流れ発生器またはエジェクタからの出力が別の流れ発生器またはエジェクタに入力されるように配置されることが意味される。複数の流れ発生器またはエジェクタは、たとえば直列に配置され得る。たとえば、圧力媒体流れ発生器13またはエジェクタ配置13は、一次流れ発生器またはエジェクタと、二次流れ発生器またはエジェクタとを備えてよく、ここにおいて、一次流れ発生器またはエジェクタは、空間16に入る圧力媒体案内通路10からの圧力媒体を一次流れ発生器またはエジェクタに引き込むように配置される。一次流れ発生器またはエジェクタからの出力は、二次流れ発生器またはエジェクタに入力されてよく、二次流れ発生器またはエジェクタからの出力は、圧力媒体案内通路または導管12に排出されてよい。代替的または追加的に、圧力媒体流れ発生器13は、たとえば、圧力媒体案内通路または導管12への圧力媒体の流れを引き起こすように構成され得る、1つまたは複数のファンまたはポンプなどを備えてもよい。
【0091】
プレス装置100は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路21のみを介して、圧力媒体が、炉室18から炉室18と底端閉鎖部9との間の空間16へまたはその逆に通過し得るように、圧力容器1、8、9内に配置された、少なくとも1つの圧力媒体案内通路21を備える。少なくとも1つの圧力媒体案内通路21のそれぞれは、圧力媒体案内通路21を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、幅Wを有するギャップとして形成されるように配置され、ここにおいて、少なくとも1つの圧力媒体案内通路21のそれぞれは、対応する幅を有し、ここにおいて、幅の合計は4mm未満である。
【0092】
図1に示される本発明の実施形態によれば、圧力容器1、8、9内に配置された単一のそのような圧力媒体案内通路21がある。(これに関連して、圧力容器1、8、9が円筒形の形状を有することに留意されたい。)この場合、圧力媒体案内通路21は、圧力媒体案内通路21を通る圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、4mm未満の幅を有するギャップとして形成されるように配置される。圧力容器1、8、9に配置されたいくつかのそのような圧力媒体案内通路が存在する場合、対応する断面の幅の全幅(すなわち、対応する断面の幅の合計)が4mm未満であり得る。
【0093】
プレス装置100の他の部分の寸法は様々であり得、プレス装置の特定のタイプに依存し得る。図1に示された圧力容器1、8、9は、円筒形の形状を有する。非限定的な例によれば、圧力シリンダ1の内径は約600mmとすることができる。圧力媒体案内通路11の幅は約10mmとすることができ、圧力媒体案内通路10の幅も約10mmとすることができる。断熱部分7の内径は約500mmとすることができる。これらの寸法は例示的で非限定的なものであり、異なるタイプのプレス装置間で異なり得ることを理解されたい。
【0094】
図1に示されるように、圧力媒体案内通路21は、圧力媒体案内通路21のみを介して、圧力媒体が、炉室18から底部絶縁部分4と底端閉鎖部9との間の空間16へまたはその逆に通過し得るように配置される。圧力媒体が圧力媒体案内通路21のみを介して炉室18から空間16またはその逆に通過できるということは、圧力媒体が圧力媒体案内通路21を介して通る場合、圧力媒体は、炉室18から空間16またはその逆を通るために外側対流ループを通過する必要がないことを意味する。
【0095】
図1に示される本発明の実施形態によれば、底部絶縁部分4は、板状部材を備え、板状部材は、第1の外面25と、第1の外面の反対側の第2の外面26と、第1の外面25と第2の外面26との間に延びる端面27と、第2の外面26(または場合によっては代わりに第1の外面25)に取り付けられたディスク20とを備える。ディスク20は、たとえば、溶接によって、第2の外面26(または場合によっては代わりに第1の外面25)に取り付けられてよい。ディスク20は、第2の外面26(または場合によっては代わりに第1の外面25)の境界の少なくとも一部分を超えて延びるように寸法設定される。図1に示されるように、圧力媒体案内通路21は、ディスク20の縁部とハウジング2の表面との間に形成されたギャップによって画定される。ディスク20の代わりに、円環が提供されてもよい。さらに、ディスク(または円環)と板状部材は、別個の構成要素でなくてよいが、ディスク(または円環)は、板状部材の一体化された部分であってもよい。図1に示されるように、ディスク20(または円環)は、ハウジング2または断熱部分7に取り付けられなくてよい。
【0096】
図1に示された圧力媒体案内通路21は例示であり、圧力媒体案内通路は異なる方法で実現されてよいことを理解されたい。たとえば、圧力媒体案内通路21は、底部絶縁部分4とハウジング2との間に形成されるギャップによって画定され得る。より具体的には、底部絶縁部分4は、板状部材を備えてよく、圧力媒体案内通路21は、板状部材の縁部とハウジング2の表面との間に形成されるギャップによって画定され得る。圧力媒体案内通路21の他の例示的な実現は、図2および図3を参照して示され説明される。
【0097】
図2は、本発明の実施形態によるプレス装置100の概略的な部分的に断面の側面図である。図2に示されるプレス装置100は、図1に示されるプレス装置100と同様であり、図1図2において同じ参照番号は、同じまたは同様の機能を有する同じまたは同様の構成要素を示す。図1に示されるプレス装置100と比較して、図2に示されるプレス装置100は、圧力媒体案内通路21の異なる実現形態を有する。図2に示されるプレス装置100は、ハウジング2の表面に取り付けられた円環28を備える。円環28は、ハウジング2の表面に(たとえば、ねじ込みまたは溶接によって)取り付けられ、圧力媒体案内通路21が円環28と底部絶縁部分4との間に形成されたギャップによって画定されるように寸法設定される。図2に示されるように、円環28は底部絶縁部分4に取り付けられなくてよい。
【0098】
図3は、本発明の実施形態によるプレス装置100の概略的な部分的に断面の側面図である。図3に示されるプレス装置100は、図1に示されるプレス装置100と同様であり、図1図3において同じ参照番号は、同じまたは同様の機能を有する同じまたは同様の構成要素を示す。図1に示されるプレス装置100(および図2に示されるプレス装置)と比較して、図3に示されるプレス装置100は、圧力媒体案内通路21の異なる実現形態を有する。プレス装置100は、ハウジング2の表面と底部絶縁部分4との間に配置されたガスケット29を備える。ガスケット29の外側ガスケット縁部は、ハウジング2の表面に接続され(場合によっては取り付けられ)、ガスケット29の内側ガスケット縁部は、底部絶縁部分4に接続される(場合によっては取り付けられる)。圧力媒体案内通路21は、ガスケット29に形成されたギャップによって画定される。
【0099】
図4は、本発明の実施形態によるプレス装置100の概略的な部分的に断面の側面図である。図4に示されるプレス装置100は、図1に示されるプレス装置100と同様であり、図1図4において同じ参照番号は、同じまたは同様の機能を有する同じまたは同様の構成要素を示す。
【0100】
図4に示されるプレス装置100は、ハウジング2の表面と底部絶縁部分4との間に配置された円環33を備える。円環33は、ハウジング2の表面と底部絶縁部分4とにそれぞれ取り付けられる。円環33は、たとえば、ねじ込みまたは溶接によって、ハウジング2の表面と底部絶縁部分4とに取り付けられ得る。圧力媒体案内通路21は、円環33内に配置される。圧力媒体案内通路21は他の方法で実現され得ることを理解されたい。たとえば、円環33は、ハウジング2の表面と底部絶縁部分4との一方のみに取り付けられ、ハウジング2の表面と底部絶縁部分4との他方に対してはシールされてもよい。
【0101】
図1に示されたプレス装置100と比較して、図4に示されるプレス装置100は、圧力媒体案内通路21における圧力媒体の流れを選択的におよび制御可能に妨げるまたは妨害するように配置された、34で概略的に示される制御可能圧力媒体流れ制限を追加的に備える。プレス装置100は、その動作を制御するために制御可能圧力媒体流れ制限部34と通信可能に接続された制御ユニット35を備える。図4に示される圧力容器1、8、9に対する制御ユニット35の配置は例示であって、本発明の実施形態の原理を説明するためのものである。制御可能圧力媒体流れ制限部34は、たとえば、1つまたは複数の電磁弁、空気圧弁、および/または電動弁などの1つまたは複数の調整可能な弁を備え得る。
【0102】
場合によっては、複数の圧力媒体案内通路が設けられてよく、これらの圧力媒体案内通路は、たとえば、円環33内に配置され得る。複数の圧力媒体案内通路は、円環33において、規則的または不規則的に放射状に分布されてもよい。各圧力媒体案内通路には、1つまたは複数の対応する制御可能圧力媒体流れ制限部が設けられ得る。
【0103】
制御ユニット35は、処理サイクルの冷却段階中に、圧力媒体案内通路21における圧力媒体の流れを妨げ、または妨害し(たとえば、完全にまたは実質的に完全に、圧力媒体通路21における圧力媒体の流れを妨げ、または妨害し)、加熱段階および真空段階のうちの少なくとも1つを含む処理サイクルの1つまたは複数の他の段階中に、圧力媒体案内通路21における圧力媒体の流れを妨げない、または妨害しないように、制御可能圧力媒体流れ制限部34を制御するように構成される。
【0104】
結論として、プレス装置が開示された。プレス装置は、プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器を備える。圧力容器は、上端閉鎖部と底端閉鎖部とを備える。炉室は、圧力媒体が炉室に出入りできるように圧力容器内に配置され、炉室は、物品を収容するように配置された処理空間を少なくとも部分的に画定している。プレス装置は、炉室と流体連通し、圧力容器内に外側対流ループを形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路を備える。外側対流ループは、炉室を出た後の圧力媒体を、圧力容器の壁の内面に近接して炉室と底端閉鎖部との間の空間へ案内するように配置される。少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、炉室から炉室と底端閉鎖部との間の空間へまたはその逆に通過し得るように、圧力容器内に配置される。
【0105】
本発明が添付の図面および上記の説明で例示されているが、そのような例示は、説明または例示するものであって限定ではないとみなされるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の検討から、請求された発明を実施する当業者によって理解され実施され得る。添付の特許請求の範囲において、「備える」という用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除するものでもない。互いに異なる従属請求項に特定の手段が記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] プレス装置(100)であって、
前記プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器(1、8、9)と、ここで、前記圧力容器は、上端閉鎖部(8)及び底端閉鎖部(9)を備え、
炉室(18)と、ここで、前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように前記圧力容器内に配置され、前記炉室は、少なくとも1つの物品(5)を収容するように配置された処理空間を少なくとも部分的に画定し、前記プレス装置は、冷却段階を含む処理サイクルに、前記少なくとも1つの物品を供するように構成され、
前記炉室と流体連通し、前記圧力容器内に外側対流ループを形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路(10、11)と、ここで、前記外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記圧力容器の壁(22)の内面(23)に近接して前記炉室と前記底端閉鎖部との間の空間(16)へ案内するように配置され、
前記圧力容器内に配置され、前記炉室と流体連通する圧力媒体流れ発生器(13)と、ここで、前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記処理サイクルの冷却段階中に、前記処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内への前記圧力媒体の輸送を発生させるように配置され、
少なくとも1つの圧力媒体案内通路(21)と、ここで、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、前記炉室から前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ又はその逆に通過し得るように、前記圧力容器内に配置され、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、前記圧力媒体案内通路を通る前記圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、幅(W)を有するギャップとして形成されるように配置され、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは対応する幅を有し、前記幅の合計は4mm未満である、
を備えるプレス装置。
[2] 前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する断面の幅の合計が、0.1mmから3.5mmの範囲内であるように配置される、[1]に記載のプレス装置。
[3] 前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する断面の幅の合計が、0.1mmから2.5mmの範囲内であるように配置される、[1]又は[2]に記載のプレス装置。
[4] 前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内へ輸送される圧力媒体の流量に少なくとも関して制御可能であり、前記処理空間における前記圧力媒体の冷却速度は、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内へ輸送される圧力媒体の流量によって少なくとも部分的に調節され、
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、対応する断面の幅の合計が、選択された冷却速度閾値を超える冷却速度で前記炉室を出た後に前記外側対流ループ圧力媒体案内通路において案内された圧力媒体の流れに対する推定された抵抗に基づくように配置され、したがって、前記対応する断面の幅により、前記炉室を出た直後に前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路で前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ案内される圧力媒体の流れに対する抵抗が、前記炉室を出た後に前記外側対流ループ圧力媒体案内通路で案内される圧力媒体の流れに対する前記推定された抵抗よりも大きくなる、[1]から[3]のいずれか一項に記載のプレス装置。
[5] 前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のそれぞれは、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路を通る前記圧力媒体の流れ方向に垂直な平面におけるその断面が、円環の少なくとも一部分、楕円環の少なくとも一部分、又は長方形の形状を有するギャップとして形成されるように配置される、[1]から[4]のいずれか一項に記載のプレス装置。
[6] 前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記処理サイクルの冷却段階中に、前記プレス装置内の別の空間からの圧力媒体の輸送を発生させるように配置され、前記別の空間から前記処理空間への前記冷却段階中の圧力媒体の輸送によって、前記処理空間における前記圧力媒体の温度が低下するように、前記別の空間における前記圧力媒体の温度は、前記冷却段階の少なくとも一部分において前記処理空間における前記圧力媒体の前記温度よりも低い、[1]から[5]のいずれか一項に記載のプレス装置。
[7] 前記外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記上端閉鎖部と前記炉室との間の空間(17)へ案内するように配置され、さらに、前記上端閉鎖部と前記炉室との間の前記空間からの前記圧力媒体を前記圧力容器の壁の前記内面に近接して前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ案内するように配置される、[1]から[6]のいずれか一項に記載のプレス装置。
[8] 前記炉室と流体連通し、前記外側対流ループを形成するように配置された複数の外側対流ループ圧力媒体案内通路(10、11)を備え、
前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように配置された断熱ケーシング(2、4、7)によって少なくとも部分的に囲まれ、前記断熱ケーシングは、断熱部分(7)と、前記断熱部分を少なくとも部分的に囲むハウジング(2)と、底部絶縁部分(4)とを備え、
前記外側対流ループの一部分は、前記ハウジングの少なくとも一部と前記断熱部分との間にそれぞれ形成された第1の外側対流ループ圧力媒体案内通路(11)を備え、前記第1の外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記上端閉鎖部と前記炉室との間の空間(17)へ案内するように配置され、前記外側対流ループの別の部分は、前記上端閉鎖部と前記炉室との間の前記空間からの前記圧力媒体を前記圧力容器の壁の前記内面に近接して前記底部絶縁部分と前記底端閉鎖部との間の空間へ案内するように配置された第2の外側対流ループ圧力媒体案内通路(10)を備え、前記底部絶縁部分と前記底端閉鎖部との間の前記空間は、前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間(16)を構成し、又は前記空間(16)に含まれ、
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、前記炉室から前記底部絶縁部分と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ又はその逆に通過し得るように、配置される、[1]から[7]のいずれか一項に記載のプレス装置。
[9] 前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記底部絶縁部分と前記ハウジングとの間に形成された少なくとも1つのギャップによって少なくとも部分的に画定される、[8]に記載のプレス装置。
[10] 前記底部絶縁部分は、板状部材を備え、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記板状部材の縁部と前記ハウジングの表面との間に形成された少なくとも1つのギャップによって少なくとも部分的に画定される、[8]又は[9]に記載のプレス装置。
[11] 前記底部絶縁部分は、板状部材を備え、前記板状部材は、第1の外面(25)と、前記第1の外面の反対側の第2の外面(26)と、前記第1の外面と前記第2の外面との間に延びる端面(27)と、前記第1の外面及び前記第2の外面のうちの一方に取り付けられたディスク(20)又は円環とを備え、前記ディスク又は円環は、前記ディスク又は円環が前記第1の外面又は前記第2の外面の境界の少なくとも一部分を超えて延びるように寸法設定され、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記ディスク又は円環の縁部と前記ハウジングの表面との間に形成されたギャップによって少なくとも部分的に画定される、[8]又は[9]に記載のプレス装置。
[12] 前記ハウジングの表面に取り付けられた円環(28)をさらに備え、前記円環は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路が、前記円環と前記底部絶縁部分との間に形成されたギャップによって少なくとも部分的に画定されるように、前記ハウジングの表面に取り付けられ、寸法設定される、[8]又は[9]に記載のプレス装置。
[13] 前記ハウジングの表面と前記底部絶縁部分との間に配置されたガスケット(29)をさらに備え、外側ガスケット縁部が前記ハウジングの表面に接続され、内側ガスケット縁部が前記底部絶縁部分に接続され、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記ガスケット内に形成されたギャップによって少なくとも部分的に画定される、[8]又は[9]に記載のプレス装置。
[14] 前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は湾曲している、[1]から[13]のいずれか一項に記載のプレス装置。
[15] プレス装置(100)であって、
前記プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器(1、8、9)と、ここで、前記圧力容器は、上端閉鎖部(8)及び底端閉鎖部(9)を備え、
炉室(18)と、ここで、前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように前記圧力容器内に配置され、前記炉室は、少なくとも1つの物品(5)を収容するように配置された処理空間(19)を少なくとも部分的に画定し、前記プレス装置は、冷却段階を含む処理サイクルに、前記少なくとも1つの物品を供するように構成され、
前記炉室と流体連通し、前記圧力容器内に外側対流ループを形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路(10、11)と、ここで、前記外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記圧力容器の壁(22)の内面(23)に近接して前記炉室と前記底端閉鎖部との間の空間(16)へ案内するように配置され、
前記圧力容器内に配置され、前記炉室と流体連通する圧力媒体流れ発生器(13)と、ここで、前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記処理サイクルの冷却段階中に、前記処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内への前記圧力媒体の輸送を発生させるように配置され、
少なくとも1つの圧力媒体案内通路(21)と、ここで、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、前記炉室から前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ又はその逆に通過し得るように、前記圧力容器内に配置され、
前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを選択的に及び制御可能に妨げる又は妨害するように配置された1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部(34)と、
その動作を制御するために前記1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部に通信可能に接続された制御ユニット(35)と、ここで、前記制御ユニットは、前記処理サイクルの冷却段階中に、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げる、又は妨害し、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、及び真空段階のうちの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む前記処理サイクルの1つ又は複数の他の段階中に、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げない、又は妨害しないように、前記1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を制御するように構成される、
を備えるプレス装置。
[16] プレス装置における方法であって、
前記プレス装置は、前記プレス装置の使用中に圧力媒体を内部に保持するように配置された圧力容器(1、8、9)と、炉室(18)とを備え、前記圧力容器は、上端閉鎖部(8)及び底端閉鎖部(9)を備え、前記炉室は、圧力媒体が前記炉室に出入りできるように前記圧力容器内に配置され、前記炉室は、少なくとも1つの物品(5)を収容するように配置された処理空間(19)を少なくとも部分的に画定し、
前記プレス装置は、冷却段階を含む処理サイクルに、前記少なくとも1つの物品を供するように構成され、
前記プレス装置は、前記炉室と流体連通し、前記圧力容器内に外側対流ループを形成するように配置された少なくとも1つの外側対流ループ圧力媒体案内通路(10、11)をさらに備え、前記外側対流ループ圧力媒体案内通路は、前記炉室を出た後の前記圧力媒体を前記圧力容器の壁(22)の内面(23)に近接して前記炉室と前記底端閉鎖部との間の空間(16)へ案内するように配置され、
前記プレス装置は、前記圧力容器内に配置され、前記炉室と流体連通する圧力媒体流れ発生器(13)をさらに備え、前記圧力媒体流れ発生器は、少なくとも前記処理サイクルの冷却段階中に、前記処理空間内の圧力媒体を冷却するように、少なくとも前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間から前記炉室内への前記圧力媒体の輸送を発生させるように配置され、
前記プレス装置は、少なくとも1つの圧力媒体案内通路(21)をさらに備え、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路のみを介して、圧力媒体が、前記炉室から前記炉室と前記底端閉鎖部との間の前記空間へ又はその逆に通過し得るように、前記圧力容器内に配置され、
前記プレス装置は、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを選択的に及び制御可能に妨げる又は妨害するように配置された1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部(34)をさらに備えるものであり、
前記方法は、
前記処理サイクルの冷却段階中に、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げる、又は妨害し、加熱段階、保持段階、ポンピング段階、及び真空段階のうちの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む前記処理サイクルの1つ又は複数の他の段階中に、前記少なくとも1つの圧力媒体案内通路における圧力媒体の流れを妨げない、又は妨害しないように、前記1つ又は複数の制御可能圧力媒体流れ制限部を制御すること、を備える方法。
[17] 制御ユニットに備えられる1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、[16]に記載の方法を前記制御ユニットに実行させる命令を備えるコンピュータプログラム。
[18] コンピュータプログラムがロードされたプロセッサ可読媒体であって、前記コンピュータプログラムは、制御ユニットに備えられる1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、[16]に記載の方法を前記制御ユニットに実行させる命令を備える、プロセッサ可読媒体。
図1
図2
図3
図4