(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】車両の電気量保存制御方法、装置及び読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B60W 20/13 20160101AFI20240716BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240716BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240716BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20240716BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240716BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20240716BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20240716BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20240716BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B60W20/13 ZHV
B60L3/00 S
B60L15/20 J
B60L53/16
B60L58/12
B60W10/06 900
B60W10/08 900
B60W10/26 900
H01M10/48 P
H01M10/48 301
(21)【出願番号】P 2023513588
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 CN2021114536
(87)【国際公開番号】W WO2022042604
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202010876473.3
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100219117
【氏名又は名称】金 亨泰
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼志▲楽▼
(72)【発明者】
【氏名】王吉全
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼伯良
(72)【発明者】
【氏名】王春生
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼磊
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111032465(CN,A)
【文献】国際公開第2014/033915(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 20/13
B60W 10/06
B60W 10/08
B60W 10/26
B60L 3/00
B60L 58/12
B60L 53/16
B60L 15/20
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定期間内の最低予測周囲温度を取得するステップと、
前記最低予測周囲温度と現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定するステップと、
前記最低周囲温度が第1の所定温度閾値以下である場合、前記最低周囲温度に基づいて車両の動力電池の最小電気量保存点を決定するステップと、
前記動力電池の残りの電気量が前記最小電気量保存点を下回らないように、前記最小電気量保存点に基づいて前記車両に対して強制電気量保存制御を行うステップと、を含み、
前記最低予測周囲温度及び現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定するステップは、
前記最低予測周囲温度と前記現在の周囲温度との高低関係を判断するステップと、
前記最低予測周囲温度が前記現在の周囲温度よりも低い場合、前記最低予測周囲温度が前記最低周囲温度であると決定するステップと、を含み、
前記最低周囲温度が前記第1の所定温度閾値よりも高い場合、前記最低周囲温度と第2の所定温度閾値との高低関係を判断するステップと、
前記最低周囲温度が前記第2の所定温度閾値以上である場合、強制電気量保存制御を終了するように前記車両を制御するステップと、
前記最低周囲温度が前記第2の所定温度閾値よりも低い場合、前の強制電気量保存制御の状態を維持するステップと、を更に含む、
ことを特徴とする車両の電気量保存制御方法。
【請求項2】
前記最小電気量保存点に基づいて前記車両に対して強制電気量保存制御を行う前に、前記方法は、
前記動力電池の残りの電気量をリアルタイムに検出するステップと、
前記動力電池の残りの電気量が所定電力量まで低下する場合、所定対話方式により強制電気量保存機能をオンにするようにユーザに通知するステップと、
前記強制電気量保存機能をオンにすることを選択する確認指令を前記ユーザから受信する場合、前記最小電気量保存点に基づいて前記車両に対して強制電気量保存制御を行うステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の車両の電気量保存制御方法。
【請求項3】
前記最小電気量保存点に基づいて前記車両に対して強制電気量保存制御を行うステップは、
前記最小電気量保存点と前記動力電池の残りの電気量との差分に基づいて、前記車両のエンジンと駆動モータのトルク配分を制御するステップを含み、前記最小電気量保存点と前記動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、前記駆動モータのトルク配分比率が少なくなる、ことを特徴とする請求項2に記載の車両の電気量保存制御方法。
【請求項4】
前記最小電気量保存点に基づいて前記車両に対して強制電気量保存制御を行うステップは、
前記車両の発電機が前記車両のエンジンに対してトルク補償を行うとき、前記最小電気量保存点と前記動力電池の残りの電気量との差分及びエンジンへの配分目標トルクとエンジンの経済的なトルクとの差分に基づいて、前記発電機のトルク補償を制御するステップを含み、前記最小電気量保存点と前記動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、エンジンへの配分目標トルクとエンジンの経済的なトルクとの差分に占める前記発電機のトルク補償の比率が少なくなる、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の車両の電気量保存制御方法。
【請求項5】
前記最小電気量保存点に基づいて前記車両に対して強制電気量保存制御を行うステップは、
前記車両の発電機の最小電気量発電点を前記最小電気量保存点に設定し、前記動力電池の残りの電気量が前記最小電気量発電点以下である場合、発電するように前記発電機を作動させることにより、前記動力電池を充電するか、又は、前記動力電池の残りの電気量が前記最小電気量保存点を下回らないように、前記発電機の発電パワーを増大させるステップを含む、ことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の車両の電気量保存制御方法。
【請求項6】
前記最小電気量保存点に基づいて前記車両に対して強制電気量保存制御を行うステップは、
前記動力電池の残りの電気量と前記最小電気量保存点との大小関係を判断するステップと、
前記動力電池の残りの電気量が前記最小電気量保存点よりも小さい場合、前記車両のエンジンの出力を制限し、かつ前記エンジンを制御して、発電するように前記車両の発電機を駆動することにより、前記動力電池を充電するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の車両の電気量保存制御方法。
【請求項7】
前記最低周囲温度に基づいて動力電池の最小電気量保存点を決定した後、前記方法は、
前記車両のエンジンに対応する始動可能最小電気量点を前記最小電気量保存点に設定し、前記動力電池の残りの電気量が前記始動可能最小電気量点よりも小さい場合、前記エンジンを常時作動状態にするステップと、
前記最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分に基づいて、前記エンジンの始動パワー閾値及び停止パワー閾値を制御するステップと、を更に含み、前記最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、前記エンジンの始動パワー閾値及び停止パワー閾値が小さくなる、ことを特徴とする請求項2~6のいずれか一項に記載の車両の電気量保存制御方法。
【請求項8】
前記最低予測周囲温度及び現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定するステップは、
前記最低予測周囲温度が前記現在の周囲温度以上である場合、前記現在の周囲温度が前記最低周囲温度であると決定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の車両の電気量保存制御方法。
【請求項9】
前記方法は、
前記所定期間内の最低予測周囲温度を取得していない場合、前記現在の周囲温度と所定校正温度値との差分を決定するステップであって、前記所定校正温度値は、前記現在の周囲温度に対応する校正温度値であるステップと、
前記現在の周囲温度と所定校正温度値との差分を前記最低周囲温度とするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の車両の電気量保存制御方法。
【請求項10】
所定期間内の最低予測周囲温度を取得する取得モジュールと、
前記最低予測周囲温度及び現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定する第1の決定モジュールと、
前記最低周囲温度が第1の所定温度閾値以下である場合、前記最低周囲温度に基づいて車両の動力電池の最小電気量保存点を決定する第2の決定モジュールと、
前記動力電池の残りの電気量が前記最小電気量保存点を下回らないように、前記最小電気量保存点に基づいて前記車両に対して強制電気量保存制御を行う制御モジュールと、を含み、
前記最低予測周囲温度及び現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定する第1の決定モジュールは、
前記最低予測周囲温度と前記現在の周囲温度との高低関係を判断する判断モジュールと、
前記最低予測周囲温度が前記現在の周囲温度よりも低い場合、前記最低予測周囲温度が前記最低周囲温度であると決定する決定モジュールと、を含み、
前記最低周囲温度が前記第1の所定温度閾値よりも高い場合、前記最低周囲温度と第2の所定温度閾値との高低関係を判断する判断モジュールと、
前記最低周囲温度が前記第2の所定温度閾値以上である場合、強制電気量保存制御を終了するように前記車両を制御する制御モジュールと、
前記最低周囲温度が前記第2の所定温度閾値よりも低い場合、前の強制電気量保存制御の状態を維持する維持モジュールと、を更に含む、ことを特徴とする車両の電気量保存制御装置。
【請求項11】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、かつ前記プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムと、を含む車両の電気量保存制御装置であって、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両の電気量保存制御方法を実現する、ことを特徴とする車両の電気量保存制御装置。
【請求項12】
コンピュータプログラムが記憶されている読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両の電気量保存制御方法を実現する、ことを特徴とする読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、出願番号202010876473.3、出願日2020年8月27日の中国特許出願に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、車両のエンジン始動最適化の技術分野に関し、特に、車両の電気量保存制御方法、装置及び読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
車両のエンジンを始動させるとき、一般的に、以下のいくつかのケースがある。第1のケースでは、内燃機関車及び他のハイブリッド車の一般的な方法としては、車両に始動装置が設けられ、低電圧蓄電池の放電により、低電圧蓄電池の電気エネルギーを力学的エネルギーに変換することにより、回転するようにエンジンを駆動してエンジンの始動を実現し、第2のケースでは、車両にP0又はP1駆動構造が設けられ、動力電池の放電によりエンジンを始動させ、第3のケースでは、車両にP2又はP3又はP4駆動構造が設けられ、動力電池の放電により、P2、P3又はP4駆動構造が車両全体を駆動し、一定の車速に達した後、クラッチを締結し、慣性を利用して運転するようにエンジンを駆動して、エンジンを始動させる。
【0004】
従来技術では、車両のエンジンを始動させるとき、周囲温度が低く、かつSOCが低いと、放電パワーが非常に低く、エンジンを直接始動させることができない恐れがあり、エンジン始動の成功確率を低下させ、車両の故障リスクが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例は、従来技術におけるエンジン始動の成功率が低く、車両の故障リスクが高いという問題を解決する、車両の電気量保存制御方法、装置及び読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る車両の電気量保存制御方法は、所定期間内の最低予測周囲温度を取得するステップと、最低予測周囲温度と現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定するステップと、最低周囲温度が第1の所定温度閾値以下である場合、最低周囲温度に基づいて車両の動力電池の最小電気量保存点を決定するステップと、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点を下回らないように、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップと、を含む。
【0007】
更に、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う前に、方法は、動力電池の残りの電気量をリアルタイムに検出するステップと、動力電池の残りの電気量が所定電力量まで低下する場合、所定対話方式により強制電気量保存機能をオンにするようにユーザに通知するステップと、強制電気量保存機能をオンにすることを選択する確認指令をユーザから受信する場合、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップと、を含む。
【0008】
更に、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップは、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分に基づいて、車両のエンジンと駆動モータのトルク配分を制御するステップを含み、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、駆動モータのトルク配分比率が少なくなる。
【0009】
更に、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップは、車両の発電機が車両のエンジンに対してトルク補償を行うとき、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分及びエンジンへの配分目標トルクとエンジンの経済的なトルクとの差分に基づいて、発電機のトルク補償を制御するステップを含み、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、エンジンへの配分目標トルクとエンジンの経済的なトルクとの差分に占める発電機のトルク補償の比率が少なくなる。
【0010】
更に、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップは、車両の発電機の最小電気量発電点を最小電気量保存点に設定し、動力電池の残りの電気量が最小電気量発電点以下である場合、発電するように発電機を作動させることにより、動力電池を充電するか、又は、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点を下回らないように、発電機の発電パワーを増大させるステップを含む。
【0011】
更に、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップは、動力電池の残りの電気量と最小電気量保存点との大小関係を判断するステップと、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点よりも小さい場合、車両のエンジンの出力を制限し、かつエンジンを制御して、発電するように車両の発電機を駆動することにより、動力電池を充電するステップと、を含む。
【0012】
更に、最低周囲温度に基づいて動力電池の最小電気量保存点を決定した後、方法は、車両のエンジンに対応する始動可能最小電気量点を最小電気量保存点に設定し、動力電池の残りの電気量が始動可能最小電気量点よりも低い場合、エンジンを常時作動状態にするステップと、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分に基づいて、エンジンの始動パワー閾値及び停止パワー閾値を制御するステップと、を更に含み、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、エンジンの始動パワー閾値及び停止パワー閾値が小さくなる。
【0013】
更に、最低予測周囲温度と現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定するステップは、最低予測周囲温度と現在の周囲温度との高低関係を判断するステップと、最低予測周囲温度が現在の周囲温度よりも低い場合、最低予測周囲温度が最低周囲温度であると決定するステップと、最低予測周囲温度が現在の周囲温度以上である場合、現在の周囲温度が最低周囲温度であると決定するステップと、を含む。
【0014】
更に、方法は、最低周囲温度が第1の所定温度閾値よりも高い場合、最低周囲温度と第2の所定温度閾値との高低関係を判断するステップと、最低周囲温度が第2の所定温度閾値以上である場合、強制電気量保存制御を終了するように車両を制御するステップと、最低周囲温度が第2の所定温度閾値よりも低い場合、前の強制電気量保存制御の状態を維持するステップと、を更に含む。
【0015】
更に、将来の所定期間内の最低予測周囲温度を取得したか否かを決定した後、方法は、将来の所定期間内の最低予測周囲温度を取得していない場合、現在の周囲温度と所定校正温度値との差分を決定するステップであって、前記所定校正温度値は、前記現在の周囲温度に対応する校正温度値であるステップと、現在の周囲温度と所定校正温度値との差分を最低周囲温度とするステップと、を含む。
【0016】
第2の態様に係る車両の電気量保存制御装置は、所定期間内の最低予測周囲温度を取得する取得モジュールと、最低予測周囲温度を取得する場合、最低予測周囲温度及び現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定する第1の決定モジュールと、最低周囲温度が第1の所定温度閾値以下である場合、最低周囲温度に基づいて車両の動力電池の最小電気量保存点を決定する第2の決定モジュールと、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点を下回らないように、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う制御モジュールと、を含む。
【0017】
第3の態様に係る車両の電気量保存制御装置は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、かつプロセッサで実行可能なコンピュータプログラムと、を含み、プロセッサがコンピュータプログラムを実行すると、上記車両の電気量保存制御方法を実現する。
【0018】
第4の態様に係る読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、上記車両の電気量保存制御方法を実現する。
【発明の効果】
【0019】
以上より、本開示に係る技術的手段では、将来の低い周囲温度に基づいて最小電気量保存点を取得した後、将来、エンジンを正常に始動させることができる最小の残りの電気量値を把握し、動力電池の残りの電気量が該最小電気量保存点を下回らないように最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行い、このように、次回に車両の電源を入れたときに、動力電池がエンジンを始動させるのに十分な駆動パワーを有することを確保でき、エンジン始動の成功確率を増大させ、車両の故障リスクを減少させるか又は回避し、エンジンが正常に始動できることを効果的に保証する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の実施例の技術的手段をより明確に説明するために、以下、本開示の実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本開示のいくつかの実施例にすぎず、当業者であれば、創造的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0021】
【
図1】本開示の実施例に係る車両の電気量保存制御方法のフローを示す概略図である。
【
図2】本開示の実施例に係る車両の電気量保存制御方法の他のフローを示す概略図である。
【
図3】本開示の実施例に係るステップS102の1つの具体的な実施形態のフローを示す概略図である。
【
図4】本開示の実施例に係る車両の電気量保存制御方法の他のフローを示す概略図である。
【
図5】本開示の実施例に係る車両の電気量保存制御方法の他のフローを示す概略図である。
【
図6】本開示の実施例に係るステップS105の第1の態様の実施例のフローチャートである。
【
図7】本開示の実施例に係るステップS105の第2の態様の実施例のフローチャートである。
【
図8】本開示の実施例に係るステップS105の第3の態様の実施例のフローチャートである。
【
図9】本開示の実施例に係るステップS105の第4の態様の実施例のフローチャートである。
【
図10】本開示の実施例に係るステップS105の第5の態様の実施例のフローチャートである。
【
図11】本開示の実施例に係る車両の電気量保存制御装置の概略構成図である。
【
図12】本開示の実施例における車両の電気量保存制御装置の他の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施例における図面を参照しながら、本開示の実施例における技術的手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本開示の実施例の一部であり、全てではない。本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得られる他の全ての実施例は、いずれも本開示の保存範囲に属するものである。
【0023】
本開示は、車両の電気量保存制御方法を提供し、該車両は、ハイブリッド車及び内燃機関車であってもよく、例示的には、例えば、該車両は、デュアルモード電気自動車(Dual Mode Electric Vehicle)であってもよく、本開示は具体的に限定しない。本開示は、従来技術では、エンジンを直接始動させることができず、又は加速してエンジンを動かして始動させることにより、車両の故障リスクが高くなるという問題を解決する、車両の制御方法を提供する。以下、本開示に係る車両の制御方法について詳細に説明する。
【0024】
いくつかの実施例では、
図1に示すように、車両の電気量保存制御方法は、以下のステップを含む。
【0025】
S101では、所定期間内の最低予測周囲温度T1を取得する。
【0026】
最低予測周囲温度T1とは、所定方式で取得された将来の所定期間内に、車両が属する領域の最低の予測周囲温度を指す。例示的には、一実施形態では、該所定期間とは、将来の24時間内を指し、最低予測周囲温度T1とは、将来の24時間内に予測された最低周囲温度を指す。一実施形態では、インターネットの形式により、天気予報機関から将来の所定期間内の最低予測周囲温度T1を取得することができる。
【0027】
なお、車両が属する領域とは、ある都市又はある地域など、車両が位置する領域を指し、例えば、ある適用シーンでは、ユーザが強制電気量保存機能をトリガすると、ある領域を車両が将来の24時間に位置する領域として選択できることにより、将来の所定期間内の該領域の最低予測周囲温度T1を取得するか、又は位置決め手段により車両が位置する領域を決定し、位置決め手段により将来のある期間内に車両が位置する領域を決定することにより、将来の所定期間内の該領域の最低予測周囲温度T1を取得し、後の実行ロジックに条件を提供する。
【0028】
以上より、本実施例では、将来の所定期間内の最低予測周囲温度T1を取得したか否かをリアルタイムに決定し、将来の所定期間内の最低予測周囲温度T1を取得した場合、ステップS102を実行する。なお、インターネットを介して最低予測周囲温度T1を取得する場合、車両とインターネットとの間の対話性を強化し、よりインテリジェント化する。
【0029】
S102では、最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2に基づいて、最低周囲温度T_minを決定する。
【0030】
本実施例では、更に、車両の現在の周囲温度T2をリアルタイムに取得することができる。最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2を取得した後、最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2に基づいて、最低周囲温度T_minを決定し、いくつかの実施例では、最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2から最低の温度を該最低周囲温度T_minとして直接選択することができる。
【0031】
理解できるように、最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2は、いずれも変化する値である可能性があり、本開示の実施例では、最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2をリアルタイムに取得し、かつ最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2に基づいて、最低周囲温度T_minをリアルタイムに決定することができる。
【0032】
S103では、最低周囲温度T_minと第1の所定温度閾値T4との高低関係を判断し、最低周囲温度T_minが第1の所定温度閾値T4以下である場合、ステップS104を実行する。
【0033】
S104では、最低周囲温度T_minに基づいて動力電池の最小電気量保存点を決定する。
【0034】
第1の所定温度閾値T4は、予め設定された温度閾値である。このステップを実現する前に、実車のリアルタイムな周囲温度により実車シミュレーション試験を行うことにより、該リアルタイムな周囲温度で、実車の故障リスクが発生する温度閾値を決定することができる。
【0035】
最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2に基づいて、最低周囲温度T_minを決定した後、最低周囲温度T_minと第1の所定温度閾値T4との高低関係を判断し、最低周囲温度T_minが第1の所定温度閾値T4以下である場合、車両の動力電池が故障リスクをもたらすある低温状態に直面することを表し、このとき、強制電気量保存状態に入るように車両を制御する必要があり、後続の動力電池の残りの電気量不足の問題を減少させるか又は回避することにより、次回に車両の電源を入れた後、動力電池がエンジンに供給するのに十分な電力量を有することを確保するため、エンジンは、エンジンを始動させるのに十分な駆動パワーを有し、車両の故障リスクを回避するか又は減少させる。
【0036】
具体的には、最低周囲温度T_minが第1の所定温度閾値T4以下である場合、最低周囲温度T_minに基づいて最小電気量保存点を決定する。本実施例では、異なる最低周囲温度T_minに対して、対応する最小電気量保存点が対応して設定され、該最小電気量保存点は、現在の最低周囲温度T_minで、車両が最低周囲温度T_minで故障リスクがなく、エンジンを正常に始動させることができる最小残りの電気量である。
【0037】
S105では、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点を下回らないように、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う。
【0038】
以上より、本開示の実施例に係る車両の電気量保存制御方法は、最小電気量保存点を取得した後、将来直面する最低周囲温度T_minで、エンジンを正常に始動させることができる動力電池の最小残りの電気量値を把握するため、動力電池の残りの電気量が該最小電気量保存点を下回らないように、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うことができる。このように、次回に車両の電源を入れたときに、動力電池がエンジンを始動させるのに十分な駆動パワーを有することを確保でき、車両の故障リスクを減少させるか又は回避し、エンジン始動の成功確率を増大させ、エンジンが正常に始動できることを効果的に保証し、車両の可制御性を保証する。
【0039】
いくつかの実施例では、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う前に、方法は、動力電池の残りの電気量をリアルタイムに検出するステップと、動力電池の残りの電気量が所定電力量まで低下する場合、所定対話方式により強制電気量保存機能をオンにするようにユーザに通知するステップと、強制電気量保存機能をオンにすることを選択する確認指令をユーザから受信する場合、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップと、強制電気量保存機能をオンにすることを選択しない確定指令をユーザから受信する場合、車両に対して通常の電気量保存制御を行うステップと、を更に含む。
【0040】
理解できるように、該実施例では、動力電池の残りの電気量、すなわち動力電池のSOC値をリアルタイムに検出することができ、動力電池の残りの電気量が所定電力量に低下する場合、所定対話方式により強制電気量保存機能をオンにするようにユーザに通知する。該所定対話方式は、本開示の実施例では具体的に限定されず、音声及び/又は表示インタフェースにより通知することができ、例示的には、中央制御画面により通知インタフェースを表示し、かつ通知音声で補助して、強制電気量保存機能をオンにするようにユーザに通知することができる。動力電池の残りの電気量が所定電力量に低下する場合、強制電気量保存を行わないと、車両が次回に電源を入れたときに故障リスクがあり、該所定電力量は、試験に基づいて決定することができ、具体的には限定されず、ある適用シーンでは、該所定電力量を最小電気量保存点に直接設定するか、又は最小電気量保存点の近傍の値に設定することができ、具体的には限定されない。
【0041】
所定対話方式により強制電気量保存機能をオンにするようにユーザに通知した後、ユーザは、強制電気量保存機能をオンにするか否かを選択する。例えば、ユーザは、通知インタフェースの対応する位置をトリガして強制電気量保存機能を選択するか否かを決定することができる。したがって、所定対話方式により強制電気量保存機能をオンにするようにユーザに通知する場合、ユーザによりトリガされた確認指令のタイプをリアルタイムに決定することができ、強制電気量保存機能をオンにすることを選択する確認指令をユーザから受信する場合、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行い、強制電気量保存機能をオンにすることを選択しない確定指令をユーザから受信する場合、車両に対して通常の電気量保存制御を行う。
【0042】
なお、いくつかの実施例では、
図2に示すように、強制電気量保存機能をオンにすることをユーザが選択した後に上記ステップS101~S105を実行することができ、具体的には、上記実施例と合わせて、
図2に示すように、方法は、以下のステップS106~S108を更に含む。
【0043】
S106では、動力電池の残りの電気量が所定電力量まで低下するか否かを判断し、動力電池の残りの電気量が所定電力量まで低下する場合、ステップS107を実行する。
【0044】
S107では、所定対話方式により強制電気量保存機能をオンにするようにユーザに通知する。
【0045】
S108では、ユーザからフィードバックされて受信された確認指令のタイプを確定し、強制電気量保存機能をオンにすることを選択する確認指令をユーザから受信する場合、ステップS101~S105の実行をトリガする。
【0046】
具体的に限定されないが、他の実施例では、まず最小電気量保存点をリアルタイムに決定し、最後にユーザが強制電気量保存機能をオンにした後、該最小電気量保存点に直接基づいて強制電気量保存処理を行うこともでき、
図2に示すステップの順序関係は、ここでの例示的な説明に過ぎず、本開示の実施例を限定するものではない。
【0047】
いくつかの実施例では、
図3に示すように、最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2に基づいて最低周囲温度T_minを決定するステップS102は、具体的には、以下のステップを含む。
【0048】
S1021では、最低予測周囲温度T1と現在の周囲温度T2との高低関係を判断する。
【0049】
S1022では、最低予測周囲温度T1が現在の周囲温度T2よりも低い場合、最低予測周囲温度T1が最低周囲温度T_minであると決定する。
【0050】
S1023では、最低予測周囲温度T1が現在の周囲温度T2以上である場合、現在の周囲温度T2が最低周囲温度T_minであると決定する。
【0051】
該実施例では、最低予測周囲温度T1と現在の周囲温度T2をリアルタイムに取得した後、最低予測周囲温度T1と現在の周囲温度T2との高低関係をリアルタイムに判断し、最低予測周囲温度T1と現在の周囲温度T2から動力電池が後続に直面する最低周囲温度T_minを選択する。すなわち、T1<T2である場合、T_min=T1であり、T1≧T2である場合、T_min=T2である。
【0052】
以上より、該実施例では、具体的には、最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2に基づいて、最低周囲温度T_minを決定する実施形態を提供し、最低予測周囲温度T1及び現在の周囲温度T2から1つの最低周囲温度を最低周囲温度T_minとして直接決定することができ、技術的手段の実施可能性及び計算利便性を向上させる。
【0053】
いくつかの実施例では、
図4に示すように、ステップS103の後、すなわち、最低周囲温度T_minと第1の所定温度閾値T4との高低関係を判断した後、方法は、以下のステップを更に含む。
【0054】
S109では、最低周囲温度T_minが第1の所定温度閾値T4よりも高い場合、最低周囲温度T_minと第2の所定温度閾値T5との高低関係を判断する。
【0055】
S110では、最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5以上である場合、強制電気量保存制御を終了するように車両を制御する。
【0056】
最低周囲温度T_minと第1の所定温度閾値T4との高低関係を判断した後、前述の実施例の説明から分かるように、最低周囲温度T_minが第1の所定温度閾値T4以下である場合、車両の動力電池がある低温状態に直面することを表し、このとき、強制電気量保存状態に入るように車両を制御する必要があり、具体的には、最低周囲温度T_minに基づいて最小電気量保存点を決定し、かつ最小電気量保存点に基づいて動力電池に対して強制電気量保存制御を行うことにより、後続の動力電池の残りの電気量不足分を減少させるか又は回避し、次回に電源を入れると、エンジンを始動させるのに十分な放電パワーを有することを確保する。
【0057】
該実施例では、最低周囲温度T_minが第1の所定温度閾値T4より高い場合、最低周囲温度T_minと第2の所定温度閾値T5との高低関係を判断し続け、最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5以上である場合、強制電気量保存制御を終了するように車両を制御する。
【0058】
他のいくつかの実施例では、最低周囲温度T_minが第1の所定温度閾値T4より高い場合、最低周囲温度T_minと第2の所定温度閾値T5との高低関係を判断し続け、最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5以上である場合、車両に対して通常の電気量保存制御を行う。
【0059】
なお、通常の電気量保存制御は、本開示の実施例において説明した強制電気量保存制御機能によりトリガされた強制電気量保存制御と区別され、通常の電気量保存制御とは、他の電気量保存のニーズに対して設定された電気量保存制御など、従来設定された車両の電気量保存制御ポリシーを指す。本開示の実施例において説明した強制電気量保存制御は、車両の故障を防止し、エンジンが正常に始動できない可能性があることを防止するための強制電気量保存制御であり、例えば、ユーザが強制電気量保存機能を選択した後にトリガされた電気量保存制御である。該実施例では、最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5以上である場合、車両の周囲温度が高く、動力電池の残りの電気量が低すぎることをもたらさないことを表し、このとき、動力電池に対して通常の電気量保存制御を行えばよく、車両の運転ニーズを効果的に保証する。
【0060】
S111では、最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5よりも低い場合、前の強制電気量保存制御の状態を維持する。
【0061】
該実施例では、最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5よりも低い場合、前の強制電気量保存制御の状態を維持する。
【0062】
なお、該前の強制電気量保存制御の状態は、強制電気量保存制御の実行中状態である可能性があり、強制電気量保存制御の終了状態である可能性もあり、主に以下の2つの態様を含む。
【0063】
第1の態様では、前述のように、強制電気量保存機能に入った後、最低周囲温度T_minが第1の所定温度閾値T4以下である場合、最低周囲温度T_minに基づいて最小電気量保存点を決定し、かつ最小電気量保存点に基づいて動力電池に対して強制電気量保存制御を行うことにより、強制電気量保存状態に入り、その後、最低周囲温度T_minは、一般的に変化し、最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5よりも低い場合、前の強制電気量保存制御の状態、すなわち強制電気量保存制御の実行中状態を維持し、最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5以上である場合、強制電気量保存制御を終了する。
【0064】
第2の態様では、最低周囲温度T_minが第1の所定温度閾値T4以下である場合、対応する強制電気量保存制御の状態は、実行中状態又は終了状態である可能性があり、その後、最低周囲温度T_minも変化し、最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5よりも低い場合、前の強制電気量保存制御の状態を維持し、例えば、強制電気量保存制御の元の状態が実行中状態である場合、該強制電気量保存制御の状態を維持し、強制電気量保存制御の元の状態が終了状態である場合、該強制電気量保存制御の状態を維持する。最低周囲温度T_minが第2の所定温度閾値T5以上である場合、強制電気量保存制御を終了し、例えば、強制電気量保存制御の元の状態が実行中状態である場合、強制電気量保存制御を終了し、強制電気量保存制御の元の状態が終了状態である場合、そのまま保持する。
【0065】
いくつかの実施例では、
図5に示すように、S101の後、すなわち将来の所定期間内の最低予測周囲温度T1を取得したか否かを決定した後、将来の所定期間内の最低予測周囲温度T1を取得していない場合、以下のステップを実行する。
【0066】
S112では、現在の周囲温度T2と所定校正温度値T3との差分を決定し、上記所定校正温度値は、上記現在の周囲温度に対応する校正温度値である。
【0067】
S113では、現在の周囲温度T2と所定校正温度値T3との差分を最低周囲温度T_minとする。
【0068】
所定期間内の最低予測周囲温度T1を取得していない場合、このとき、予測された周囲温度により車両が将来直面する可能性がある最低周囲温度T_minを取得することができないことを表し、本実施例では、現在の周囲温度T2と所定校正温度値T3との差分(T2-T3)を決定し、かつ差分(T2-T3)を最低周囲温度T_minとすることができる。
【0069】
なお、該所定校正温度値T3は、経験に基づいて校正して得られた温度値である。実際の適用では、現在の周囲温度に対応する所定校正温度値は、校正試験に基づいて取得できることにより、現在の周囲温度での対応する最適な温度値を取得して、現在の周囲温度での対応する所定校正温度値とする。例えば、校正試験を行って、車両が異なる運転状況(例えば、領域及び/又は期間が異なる)にあることを決定し、各時刻の実際の周囲温度で、実際又は実験の電気量保存効果に基づいて現在の周囲温度に対応すべき所定校正温度値を決定し、かつ現在の周囲温度に対応する所定校正温度値に対して関連校正を行う。例えば、tn1、tn2、tn3、…、tnmは、それぞれ異なる時刻に対応する現在の周囲温度を表す場合、tp1、tp2、tp3、…、tpmは、それぞれtn1、tn2、tn3、…、tnmに対応する校正温度に対応し、かつそれぞれの対応関係を確立することにより、後続に具体的に実施するときに、実際の現在の周囲温度に基づいて対応する所定校正温度値を検索する。
【0070】
したがって、将来の所定期間内の最低予測周囲温度T1を取得できない場合、現在の周囲温度T2に基づいて所定校正温度値T3を取得し、かつ現在の周囲温度T2と所定校正温度値T3との差分を最低周囲温度T_minとすることにより、後続に最低周囲温度T_minに基づいて強制電気量保存制御ロジックを実行し、技術的手段の実施可能性及び実用性を向上させると同時に、インターネットなどの通信故障によってネットワークが利用できず、将来の所定期間内の最低予測周囲温度T1を取得できない場合の強制電気量保存制御措置を実施できることを効果的に保証し、更に、車両の故障リスクを回避するか又は減少させ、エンジン始動の成功確率を大幅に増大させ、エンジンが正常に始動できることを効果的に保証し、車両の可制御性を保証する。
【0071】
いくつかの実施例では、ステップS104では、すなわち最低周囲温度T_minに基づいて最小電気量保存点を決定することは、具体的には、該最低周囲温度T_minに基づいて、所定温度-電気量保存点の表から該最低周囲温度T_minに対応する電気量保存点を最小電気量保存点として検索することを指す。
【0072】
なお、該所定温度-電気量保存点の表には、様々な最低周囲温度T_minと、対応する電気量保存点とが記憶され、表における各最低周囲温度T_minと、対応する最小電気量保存点との対応関係は、実車試験校正により取得することができる。
【0073】
いくつかの実施例では、該温度-電気量保存点の表における最低周囲温度T_minと、対応する最小電気量保存点との対応関係は、以下の校正方式により取得される。試験により実際の車両の運転中の最適な強制電気量保存効果を得て、異なる最低周囲温度T_minに対応する最小電気量保存点を取得するために、まず、実車により最小電気量保存点の校正試験を行うことができ、具体的には、車両が所定期間内に直面する可能性がある最低周囲温度をシミュレーションし、かつ動力電池の残りの電気量を一定にし、シミュレーションされた最低周囲温度及び残りの電気量に基づいて試験を行い、所定強制電気量保存措置により試験を行うことにより、現在の強制電気量保存効果を取得することができ、動力電池の残りの電気量を変更し、かつ試験を繰り返して行うことにより、所定強制電気量保存効果(エンジンが正常に始動できる)を満たすことができる最低残りの電気量を該最低周囲温度での対応する最小電気量保存点として決定し、最低周囲温度を変更し続け、かつ試験を繰り返して行うことにより異なる最低周囲温度での対応する最小電気量保存点を取得し、このように、試験により得られた異なる最低周囲温度に対応する最小電気量保存点を利用して上記温度-電気量保存点の表を得ることができる。
【0074】
なお、技術的手段の実施可能性及び実用性を向上させるために、本開示は、エンジン始動の成功率を保証するために、エンジン、発電機、駆動モータなどに対する最適化処理を含む、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う様々な方式を提供し、以下、これらを個別に説明する。
【0075】
第1の態様では、
図6に示すように、車両駆動モータのトルク配分を最適化する。
【0076】
いくつかの実施例では、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップS105は、具体的には、以下のステップを含む。
【0077】
S1051では、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分に基づいて、車両のエンジンと駆動モータのトルク配分を制御し、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、駆動モータのトルク配分比率が少なくなる。
【0078】
理解できるように、エンジンが始動してパラレル走行になった後、駆動源は、エンジン及び駆動モータを有し、このときにトルク配分関係が存在し、一般的に、駆動モータのトルク配分は、動力電池の残りの電気量(SOC)及び車速に関連する。
【0079】
表1に示すように、SOC-駆動モータのトルク配分比率である。
【表1】
【0080】
SOCと駆動モータの配分トルクとの関係を理解しやすいために、ここで2つのトルク配分点を設定し、駆動モータのトルク配分比率は、2つのSOC点の間で線形に変化し、sl<s2、かつkl<k2であり、すなわち、SOCと駆動モータのトルク配分比率とは、線形の正の相関関係を呈する。
【0081】
表2に示すように、車速-駆動モータのトルク配分比率である。
【表2】
【0082】
車速と駆動モータの配分トルクとの関係を理解しやすいために、ここで2つのトルク配分点を設定し、駆動モータのトルク配分比率は、2つの車速点の間で線形に変化し、s3<s4、かつk3>k4であり、すなわち、車速と駆動モータのトルク配分比率とは、線形の負の相関関係を呈する。
【0083】
強制電気量保存処理を行わない場合、車速-駆動モータのトルク配分関係により決定されたトルク配分比率及びSOC-駆動モータのトルク配分関係により決定されたトルク配分比率から最低の比率を駆動モータのトルク配分比率として選択する。本開示の実施例では、強制電気量保存処理を決定した後、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分を決定し、かつ該差分を駆動モータのトルク配分比率(例えば、上記表におけるkl~k4)に関連付け、具体的には、車両の駆動ニーズを満たす場合、該差分が小さいほど、強制電気量保存のニーズが強くなることを表し、駆動モータのトルク配分を減少させ、すなわち差分が小さいほど、エンジンのトルク配分が少なくなり、これにより、駆動モータの電力消費量を減少させ、動力電池の電力消費量を低下させ、強制電気量保存の目的を達成し、後続のエンジン始動の成功率を効果的に保証する。
【0084】
以上より、該実施例では、最小電気量保存点に基づいて、車両駆動モータのトルク配分を最適化し、駆動モータの駆動パワー量の消費を効果的に減少させ、すなわち動力電池の電力消費量を低減し、強制電気量保存の目的を達成し、エンジンをより容易に始動させ、エンジン始動の成功率を向上させる。
【0085】
第2の態様では、
図7に示すように、車両の発電機のトルク補償を最適化する。
【0086】
いくつかの実施例では、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップS105は、具体的には、以下のステップを含む。
【0087】
S1052では、車両の発電機が車両のエンジンに対してトルク補償を行うとき、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分及びエンジンへの配分目標トルクとエンジンの経済的なトルクとの差分に基づいて、発電機のトルク補償を制御し、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、エンジンへの配分目標トルクとエンジンの経済的なトルクとの差分に占める発電機のトルク補償の比率が少なくなる。
【0088】
理解できるように、経済性を考慮して、エンジンが始動してパラレル走行になった後、エンジンへのトルクは、配分トルクが既知である場合、優先的に経済的なトルクで動作するが、車両全体の駆動ニーズが刻々と変化するものであり、予め配分された経済的なトルクが余分である可能性があり、不足する可能性もあるため、一般的に、発電機が発電又はパワーアシスト状態で動作することを許可し、このように、発電機によりエンジンのトルクを補償して、エンジンが常に経済的な区間で動作する。発電機のパワーアシスト部分のトルク=(エンジンへの配分目標トルク-エンジンの経済的なトルク)*k5であり、以上より、k5が大きいほど、車両全体の動力応答がより速くなり、相対消費電力が速くなる。本開示の実施例では、強制電気量保存処理を行うことを決定した後、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分を決定し、かつ該差分を発電機のトルク補償に関連付け、トルク補償を行う場合、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分に基づいて発電機のトルク補償を制御し、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、エンジンへの配分目標トルクとエンジンの経済的なトルクとの差分に占める発電機のトルク補償の比率が少なくなる。理解できるように、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が大きいほど、このときに動力電池の残りの電気量が十分であることを表し、このときに車両全体の動力応答を優先的に保障し、発電機のトルク補償が多く、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、このときに動力電池の残りの電気量が不十分である可能性があることを表し、このときに発電機のトルク補償を低減し、例えば、k5の値を低減することにより、発電機のトルク補償を低減し、発電機の補償電力量の消費を低減し、すなわち動力電池の電力量の消費を低減し、強制電気量保存の目的を達成し、後続のエンジン始動の成功率を向上させる。
【0089】
以上より、該実施例では、最小電気量保存点に基づいて、発電機のトルク補償を最適化し、発電機のトルク補償の電力量の消費を効果的に低減し、動力電池の電力量の消費を低減し、エンジンをより容易に始動させ、エンジン始動の成功率を向上させる。
【0090】
第3の態様では、
図8に示すように、車両の発電機の発電を最適化する。
【0091】
いくつかの実施例では、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップS105は、具体的には、以下のステップを含む。
【0092】
S1053では、車両の発電機の最小電気量発電点を最小電気量保存点に設定することにより、動力電池の残りの電気量が最小電気量発電点以下である場合、発電するように発電機を作動させることにより、動力電池を充電するか、又は、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点を下回らないように、発電機の発電パワーを増大させる。
【0093】
理解できるように、発電機は、最小電気量発電点を有し、動力電池の残りの電気量が該最小電気量発電点以下である場合、発電機は、始動して発電する。本実施例では、強制電気量保存処理を行うことを決定した後、発電機の最小電気量発電点を最小電気量保存点に設定することにより、動力電池が最小電気量保存点に達する場合、発電するように発電機を作動させて動力電池を充電し、発電機が発電条件を満たす場合、該最小電気量保存点で、できるだけ発電することにより、動力電池の残りの電気量が該最小電気量保存点を下回らないことを効果的に保証し、それによりエンジンが十分な駆動パワーを有することを保証し、エンジン始動の成功率を大幅に向上させる。
【0094】
また、発電機の発電パワーは、車両全体の経済性、NVH特性に対するニーズの制限、及び、電池の入力パワーなどの制限を受ける。本開示の実施例では、強制電気量保存処理を行うことを決定した後、車両全体の経済性、NVH特性に対するニーズの制限、及び、電池の入力パワーなどの制限を適切に緩和し、発電パワーをできるだけ増大させることにより、動力電池の電力量を最小電気量保存点以上にできるだけ保持し、エンジンが十分な駆動パワーを有することを効果的に保証し、エンジン始動の成功率を大幅に向上させる。
【0095】
以上より、該実施例では、最小電気量保存点に基づいて、発電機の発電を最適化し、動力電池の電力量を効果的に保証することにより、エンジンが十分な駆動パワーを有し、エンジンをより容易に始動させ、エンジン始動の成功率を向上させる。
【0096】
第4の態様では、
図9に示すように、発電機のトルク制限を最適化する。
【0097】
いくつかの実施例では、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップS105は、具体的には、以下のステップを含む。
【0098】
S1054では、動力電池の残りの電気量と最小電気量保存点との大小関係を判断する。
【0099】
S1055では、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点よりも小さい場合、車両のエンジンの出力を制限し、かつエンジンを制御して、発電するように車両の発電機を駆動することにより、動力電池を充電する。エンジンの出力とは、エンジンが車両を駆動するパワーを指す。
【0100】
理解できるように、強制電気量保存処理を行わない場合、動力電池の残りの電気量があるトルク制限閾値よりも低い場合、エンジンの出力を制限し、かつエンジンを制御して、発電するように発電機を駆動することにより、動力電池を充電する。該実施例では、強制電気量保存処理を行うことを決定した場合、該トルク制限閾値を最小電気量保存点に設定するため、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点よりも小さい場合、エンジンの出力を制限し、かつエンジンを制御して、発電するように発電機を駆動することにより、動力電池を充電し、電気量保存能力を向上させ、強制電気量保存の目的を達成する。
【0101】
以上より、該実施例では、最小電気量保存点に基づいて、発電機のトルク制限を最適化し、エンジンの出力による電力量の消費を効果的に低減し、かつ発電により動力電池を充電し、動力電池の電力量の消費を低減し、エンジンをより容易に始動させ、エンジン始動の成功率を向上させる。
【0102】
第5の態様では、
図10に示すように、エンジンの始動と停止を最適化する。
【0103】
いくつかの実施例では、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップS105は、具体的には、以下のステップを更に含んでもよい。
【0104】
S1056では、エンジンに対応する始動可能最小電気量点を最小電気量保存点に設定することにより、動力電池の残りの電気量が始動可能最小電気量点よりも低い場合、エンジンを常時作動状態にする。
【0105】
S1057では、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分に基づいて、エンジンの始動パワー閾値及び停止パワー閾値を制御し、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、エンジンの始動パワー閾値及び停止パワー閾値が小さくなる。
【0106】
理解できるように、車両のエンジンは、始動可能最小電気量点があり、動力電池の残りの電気量が該始動可能最小電気量点よりも小さい場合、エンジンを常時作動状態にする。エンジンを常時作動状態にすることは、エンジンの停止を禁止する状態にあることを指し、エンジンが停止した後にエンジンを再び始動させる場合に一定の時間を必要とし、この間にユーザが依然として大きな駆動ニーズを有する場合、動力電池から電力を出力することしか該駆動ニーズを満たすことができないため、エンジンの停止と始動を頻繁に行うと、電気量保存効果を達成することができない。常時作動状態で、エンジンは、ニーズに応じて、駆動又は発電に随時参加することができる。
【0107】
該強制電気量保存制御方式では、エンジンに対応する始動可能最小電気量点を該最小電気量保存点に設定し、このように、動力電池の残りの電気量が始動可能最小電気量点よりも少ない場合、常時作動状態にあるようにエンジンを制御することができ、すなわち待機状態にあるようにエンジンを保持し、後続の温度影響により、エンジン始動が成功しないという問題を回避する。
【0108】
また、一般的に一定の車速及び残りの電気量で、エンジンの駆動パワーが始動パワー閾値よりも大きい場合、エンジンを始動させて駆動又は放電を行い、エンジンの駆動パワーが停止パワー閾値よりも小さい場合、エンジンが停止し、駆動モータにより優先的に駆動する。該強制電気量保存方式では、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分を決定し、かつ該差分を始動パワー閾値及び停止パワー閾値に関連付け、該差分が小さいほど、始動パワー閾値及び停止パワー閾値が小さくなることにより、エンジンがより始動しやすく、より停止しにくく、エンジン始動の成功率及び時間を効果的に増大させる。
【0109】
以上より、該実施例では、最小電気量保存点に基づいて、エンジンの始動と停止に対してエンジンの始動を最適化することにより、エンジンをより容易に始動させ、始動の成功率を向上させる。
【0110】
なお、前述の実施例に記載された様々な最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う方式は、ここで例示的な説明に過ぎない。また、前述の様々な最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う方式は、実際の適用シーン及びニーズに応じて組み合わせて使用することができ、具体的には限定されない。なお、様々な最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う方式に関する最適化パラメータは、実際の試験又はシミュレーションに基づいて決定することができ、例えば、トルク補償を行う場合、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、発電機のトルク補償が少なくなり、該発電機のトルク補償の減少量に関する具体的なパラメータは、実際の試験又はシミュレーションにより決定することができ、ここで限定せず、説明を展開しない。
【0111】
上記実施例における各ステップの番号の大きさは、実行順序の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順序は、プロセスの機能及び内部ロジックに従って決定されるべきであり、本開示の実施例の実施プロセスに対する何らかの限定として解されるべきではないことを理解されたい。
【0112】
いくつかの実施例に係る車両の電気量保存制御装置は、上記実施例に係る車両の電気量保存制御方法と一対一に対応する。
図11に示すように、該車両の電気量保存制御装置は、取得モジュール101、第1の決定モジュール102、第2の決定モジュール103及び制御モジュール104を含む。各機能モジュールの詳細な説明は、以下のとおりである。
【0113】
取得モジュール101は、所定期間内の最低予測周囲温度を取得し、第1の決定モジュール102は、最低予測周囲温度及び現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定し、第2の決定モジュール103は、最低周囲温度が第1の所定温度閾値以下である場合、最低周囲温度に基づいて車両の動力電池の最小電気量保存点を決定し、制御モジュール104は、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点を下回らないように、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う。
【0114】
いくつかの実施例では、該車両の電気量保存制御装置は、検出モジュール及び通知モジュールを更に含み、検出モジュールは、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う前に、動力電池の残りの電気量をリアルタイムに検出し、通知モジュールは、動力電池の残りの電気量が所定電力量まで低下する場合、所定対話方式により強制電気量保存機能をオンにするようにユーザに通知し、制御モジュール104は、強制電気量保存機能をオンにすることを選択する確認指令をユーザから受信する場合、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う。
【0115】
いくつかの実施例では、制御モジュール104は、具体的には、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分に基づいて、車両のエンジンと駆動モータのトルク配分を制御し、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、駆動モータのトルク配分比率が少なくなる。
【0116】
いくつかの実施例では、制御モジュール104は、具体的には、車両の発電機が車両のエンジンに対してトルク補償を行うとき、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分及びエンジンへの配分目標トルクとエンジンの経済的なトルクとの差分に基づいて、発電機のトルク補償を制御し、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、エンジンへの配分目標トルクとエンジンの経済的なトルクとの差分に占める発電機のトルク補償の比率が少なくなる。
【0117】
いくつかの実施例では、制御モジュール104は、具体的には、車両の発電機の発電電気量点を最小電気量保存点に設定し、動力電池の残りの電気量が最小電気量発電点以下である場合、発電するように発電機を作動させることにより、動力電池を充電するか、又は、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点を下回らないように、発電機の発電パワーを増大させる。
【0118】
いくつかの実施例では、制御モジュール104は、具体的には、動力電池の残りの電気量と最小電気量保存点との大小関係を判断し、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点よりも小さい場合、車両のエンジンの出力を制限し、かつエンジンを制御して、発電するように車両の発電機を駆動することにより、動力電池を充電する。
【0119】
いくつかの実施例では、制御モジュール104は、更に、最低周囲温度T_minに基づいて動力電池の最小電気量保存点を決定した後、車両のエンジンに対応する始動可能最小電気量点を最小電気量保存点に設定し、動力電池の残りの電気量が始動可能最小電気量点よりも低い場合、エンジンを常時作動状態にし、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分に基づいて、エンジンの始動パワー閾値及び停止パワー閾値を制御し、最小電気量保存点と動力電池の残りの電気量との差分が小さいほど、エンジンの始動パワー閾値及び停止パワー閾値が小さくなる。
【0120】
いくつかの実施例では、第1の決定モジュール102は、具体的には、最低予測周囲温度と現在の周囲温度との高低関係を判断し、最低予測周囲温度が現在の周囲温度よりも低い場合、最低予測周囲温度が最低周囲温度であると決定し、最低予測周囲温度が現在の周囲温度以上である場合、現在の周囲温度が最低周囲温度であると決定する。
【0121】
いくつかの実施例では、第2の決定モジュール103は、更に、最低周囲温度が第1の所定温度閾値よりも高い場合、最低周囲温度と第2の所定温度閾値との高低関係を判断し、制御モジュール104は、更に、最低周囲温度が第2の所定温度閾値以上である場合、強制電気量保存制御を終了するように車両を制御し、最低周囲温度が第2の所定温度閾値よりも低い場合、前の強制電気量保存制御の状態を維持する。
【0122】
いくつかの実施例では、第2の決定モジュール102は、具体的には、所定期間内の最低予測周囲温度を取得していない場合、現在の周囲温度と所定校正温度値との差分を決定し、上記所定校正温度値は、上記現在の周囲温度に対応する校正温度値であり、現在の周囲温度と所定校正温度値との差分を最低周囲温度とする。
【0123】
以上より、本開示の実施例に係る車両の電気量保存制御装置は、最小電気量保存点を取得した後、将来直面する最低周囲温度T_minで、エンジンを正常に始動させることができる動力電池の最小残りの電気量値を把握するため、動力電池の残りの電気量が該最小電気量保存点を下回らないように、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行う。このように、次回に車両の電源を入れたときに、動力電池がエンジンを始動させるのに十分な駆動パワーを有することを確保でき、車両の故障リスクを減少させるか又は回避し、エンジン始動の成功確率を増大させ、エンジンが正常に始動できることを効果的に保証し、車両の可制御性を保証する。
【0124】
車両の電気量保存制御装置に関する具体的な限定は、以上の車両の電気量保存制御方法に対する限定を参照することができ、ここでは説明を省略する。上記車両の電気量保存制御装置における各モジュールは、全部又は一部がソフトウェア、ハードウェア及びそれらの組み合わせによって実現されてもよい。上記各モジュールは、プロセッサが以上の各モジュールに対応する操作を実行することを容易にするために、ハードウェア形態でコンピュータ装置内のプロセッサに内蔵又は独立してもよく、ソフトウェア形態でコンピュータ装置内のメモリに記憶されてもよい。
【0125】
一実施例に係る車両の電気量保存制御装置は、システムバスにより接続されたプロセッサと、メモリとを含む。該車両の電気量保存制御装置のプロセッサは、計算及び制御能力を提供する。該車両の電気量保存制御装置のメモリは、不揮発性記憶媒体と、内部メモリとを含む。該不揮発性記憶媒体には、オペレーティングシステム及びコンピュータプログラムが記憶されている。該内部メモリは、不揮発性記憶媒体におけるオペレーティングシステム及びコンピュータプログラムの実行に環境を提供する。該コンピュータプログラムは、プロセッサにより実行されると、車両の電気量保存制御方法を実現する。
【0126】
図12に示すように、一実施例に係る車両の電気量保存制御装置は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、かつプロセッサで実行可能なコンピュータプログラムとを含み、プロセッサがコンピュータプログラムを実行すると、所定期間内の最低予測周囲温度を取得するステップと、最低予測周囲温度と現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定するステップと、最低周囲温度が第1の所定温度閾値以下である場合、最低周囲温度に基づいて動力電池の最小電気量保存点を決定するステップと、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点を下回らないように、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップと、を実現する。
【0127】
一実施例に係る読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、所定期間内の最低予測周囲温度を取得するステップと、最低予測周囲温度と現在の周囲温度に基づいて、最低周囲温度を決定するステップと、最低周囲温度が第1の所定温度閾値以下である場合、最低周囲温度に基づいて動力電池の最小電気量保存点を決定するステップと、動力電池の残りの電気量が最小電気量保存点を下回らないように、最小電気量保存点に基づいて車両に対して強制電気量保存制御を行うステップと、を実現する。
【0128】
当業者であれば理解できるように、上記実施例の方法におけるフローの全部又は一部の実現は、コンピュータプログラムによって、関連するハードウェアを命令することにより完了することができ、上記コンピュータプログラムは、不揮発性コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができ、該コンピュータプログラムが実行されると、上記各方法の実施例のフローを含んでもよい。本開示に係る各実施例において使用されるメモリ、記憶、データベース又は他の媒体に対するいかなる引用は、いずれも不揮発性及び/又は揮発性メモリを含んでもよい。不揮発性メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)又はフラッシュメモリを含んでもよい。揮発性メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は外部キャッシュメモリを含んでもよい。限定ではなく例示として、RAMは、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDRSDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクロナスリンク(Synchlink)DRAM(SLDRAM)、ラムバス(Rambus)ダイレクトRAM(RDRAM)、ダイレクトラムバスダイナミックRAM(DRDRAM)及びラムバスダイナミックRAM(RDRAM)などの様々な形態で入手可能である。
【0129】
当業者であれば明確に分かるように、容易かつ簡潔的に説明するために、上記各機能ユニット、モジュールの区分で例を挙げて説明したが、実際の適用では、必要に応じて上記機能を割り当てて異なる機能ユニット、モジュールにより完成させ、すなわち上記装置の内部構造を異なる機能ユニット又はモジュールに区分して、以上で説明した全部又は一部の機能を完成させることができる。
【0130】
以上の実施例は、本開示の技術的手段を説明するためのものに過ぎず、限定するものではなく、前述の実施例を参照して本開示を詳細に説明したが、当業者であれば理解すべきこととして、依然として、前述の各実施例に記載の技術的手段を修正するか、又はその技術的特徴の一部を同等置換することができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的手段の本質を本開示の各実施例の技術的手段の精神及び範囲から逸脱させることはなく、いずれも本開示の保護範囲に含まれるべきである。