(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】ライダー計測におけるブルーミング候補を特定するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20240716BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20240716BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/931
(21)【出願番号】P 2023526165
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2021074677
(87)【国際公開番号】W WO2022089819
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】102020128732.1
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(73)【特許権者】
【識別番号】595007530
【氏名又は名称】ロバート ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Robert Bosch GmbH
【住所又は居所原語表記】Postfach 30 02 20 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ピーター、 デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】プフェンダー、 マティアス
(72)【発明者】
【氏名】エンズワイラー、 マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ビュットナー、 アクセル
(72)【発明者】
【氏名】レイナー、 フィリップ
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-098635(JP,A)
【文献】国際公開第2019/044571(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0391270(US,A1)
【文献】特表2019-521355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
G01C 3/00 - 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライダー計測においてブルーミング候補を特定するための方法であって、
処理ユニットが、前記ライダー計測によって生成された点群に対して、点(P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPn)の距離に基づくヒストグラム
を作成
し、
前記処理ユニットが、前記ライダー計測を行うライダーセンサ(1)まで同じ距離にある点
(P1.1~P1.m、BP1~BPn)のクラスタ
を前記ヒストグラムで特定
し、
前記処理ユニットが、前記クラスタ内の点(P1.1~P1.m、BP1~BPn)の強度
を評価
し、
その結果、それらの強度がそれぞれ所定の制限値を超える点(P1.1~P1.m)が前記クラスタに含まれている場合、
前記処理ユニットが、それらの強度がそれぞれ前記所定の制限値を超えず、特に前記所定の制限値を所定の閾値よりも大きく下回る点(BP1~BPn)
をブルーミング候補として分類
することを特徴とする
、方法。
【請求項2】
前記処理ユニットが、それらの強度がそれぞれ前記所定の
制限値を超える前記クラスタ内のすべての点(P1.1~P1.m)
を、高反射率の測定値として、詳細には正検出の測定値として分類
することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記点群を生成するときに、
線形レーザーパルス及び/又は矩形レーザーパルスが前記ライダーセンサ(1)の送信機から送出され、
前記ライダーセンサの受信機に現れる物体(O1~O3)によって反射されたレーザーパルスごとに、前記点群に点(P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPn)が生成され、
前記ライダーセンサ(1)の周囲にある物体(O1~O3)までの距離を特定するために、反射されたレーザーパルスが前記ライダーセンサ(1)の特に受信機に到達するまでの時間が検出され、
特定された距離の値が各点(P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPn)に割り当てられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
レーザーパルスを用いて、前記周囲が行、列、及び/又は複数のサブ領域で別々に走査されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ライダーセンサ(1)の周囲が複数のサブ領域に分割され、距離に基づくヒストグラムが前記ライダー計測によって生成された点群の点(P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPn)から作成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ライダー計測においてブルーミング候補を特定するための装置であって、
前記ライダー計測によって生成された点群に対して、点(P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPn)の距離に基づくヒストグラムを作成し、
前記ライダー計測を行うライダーセンサ(1)
まで同じ距離にある点(P1.1~P1.m、BP1~BPn)のクラスタを前記ヒストグラムで特定し、
前記クラスタ内の点(P1.1~P1.m、BP1~BPn)の強度を評価し、
その結果、それらの強度がそれぞれ所定の制限値を超える点(P1.1~P1.m)が前記クラスタに含まれている場合、それらの強度がそれぞれ
前記所定の制限値を超えず、特に前記所定の制限値を所定の閾値よりも大きく下回る点(BP1~BPn)をブルーミング候補として分類する
ように構成されている処理ユニットを特徴とする装置。
【請求項7】
前記処理ユニットは、それらの強度がそれぞれ前記所定の
制限値を超える前記クラスタ内のすべての点(P1.1~P1.m)を、高反射率の測定値として、詳細には正検出の測定値として分類するように構成されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ライダーセンサ(1)が少なくとも1つのグリッドベースの受信機を含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
自動化された、特に高度に自動化された又は自律動作可能な車両又はロボットの動作中の、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法の使用法であって、
前記車両又はロボットの制御は、ライダー計測で収集されたデータに基づいており、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法を用いてブルーミング候補として分類された点(BP1~BPn)が考慮される、使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライダー計測におけるブルーミング候補を特定するための方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、ライダー計測におけるブルーミング候補を特定するための装置及びその方法の利用に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1には、車両におけるセンサアレイの動作性を特定するための方法であって、センサアレイによってカバーされる領域を様々なサブ領域に分割し、特定の周辺領域からサブ領域に送信されるセンサ信号を評価して、センサアレイの動作性を特定するための方法が開示されている。これには、様々なサブ領を通り過ぎて特定の周辺領域に向かう間に様々なサブ領域に対して順次検出されるセンサ信号を評価することが含まれる。サブ領域は、様々なライダーセンサの検出領域又は1つのライダーセンサの様々な角度セクターである。
【0004】
また、特許文献2には、車両の支援システムを動作させる方法であって、車両は支援システムによって自律走行し、支援システムは車両内及び/又は車両上に配置された多数の検出ユニットを備えた周囲センサアレイを含む方法が開示されている。検出ユニットを用いて車両の自律運転中に車両の周囲及び車両の周囲にある物体が検出され、監視モジュールを用いて個々の検出ユニットの機能が継続的に監視され、検出ユニットが故障した場合、その故障した検出ユニットに接続された支援機能のみが、監視モジュールに接続されたプランニングモジュールによって停止される。検出ユニットには、ライダーベースのセンサが含まれている。
【0005】
特許文献3には、ライダー計測においてブルーミングを認識するための装置及び方法であって、ライダー反射点までの距離がアクティブ測定及びパッシブ測定で特定される装置及び方法が記載されている。この場合、第1の距離値がアクティブ測定で、レーザーインパルスの信号通過時間に基づいて特定される。次に、第2の距離値がパッシブ測定で、異なる測定位置から取得した二次元強度測定の三角測量に基づいて特定される。次に、第2の距離値が第1の距離値を設定値だけ上回ると、ブルーミングが示される。
【0006】
非特許文献1には、ステレオカメラを使用して車両の周囲を検出するための方法が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、ライダーデータ内の高反射物体の影響を低減するための装置及び方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第102005003970号明細書
【文献】独国特許出願公開第102018003593号明細書
【文献】独国特許出願公開第102020110809号明細書
【文献】米国特許出願公開2019/0391270号明細書
【非特許文献】
【0009】
【文献】Kaszubiak, Jens他, Real-time vehicle and lane detection with embedded hardware, In: IEEE Proceedings, Intelligent Vehicles Symposium, 2005, IEEE, 2005, 619-624ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ライダー計測においてブルーミング候補を特定するための新しい方法及び新しい装置、ならびにそのような方法の利用を導入することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、請求項1に記載された特徴を有するための方法、請求項6に記載された特徴を有する装置、及び請求項9に記載された特徴を有する利用によって、この目的を達成する。
【0012】
本発明の有利な実施形態が従属請求項の主題である。
【0013】
本発明によるライダー計測においてブルーミング候補を特定するための方法では、ライダー計測において生成された点群に対して点の距離に基づくヒストグラムが作成される。ヒストグラムで、ライダー計測を行うライダーセンサから同じ距離にある点のクラスタ(集まり)が特定され、クラスタ、特に特定のクラスタ内の点の強度の値が求められる。それらの強度がそれぞれ所定の制限値を超える点がクラスタに含まれている場合、それらの強度がそれぞれ所定の制限値を超えず、特に所定の制限値を所定の閾値よりも大きく下回るクラスタ内の点は、ブルーミング候補として分類される。上記方法の1つの可能な実施形態では、それらの強度が所定の制限値を超えるクラスタ内の点は、高反射率の測定値として、詳細には正検出の測定値として分類される。
【0014】
ブルーミングは、ライダー計測における露光過度又はクロストークを意味すると理解されている。ブルーミングは、例えば、ライダーから放出されたレーザーパルスが交通標識や反射板などの高反射率のターゲット、特にテールライトの反射板で構成されるターゲットによって反射される場合に起こる。この場合、低反射率のターゲットと比較して、大量の放出されたエネルギーがライダーに送り返される。その際に送り返される光ビームは通常、最適に集束されていない。これにはいくつかの理由があり、多くの場合、ターゲットからの反射が正常かつ最適に反射されていないため、大気中の粒子がレーザービームを回折するため、又はライダーカバーの汚れが光散乱を引き起こすためである。これにより、反射光が互いに離れたライダー受光セルに影響を与えたり、反射光が隣接するピクセルに広がったりする可能性がある。その結果、検出器の感度に応じて、距離測定値が生成される。ターゲットによって反射されるエネルギー量は光が戻らなければならない距離が長くなるにつれて急速に減少するため、ブルーミング効果は通常、ライダーからの距離が短いほど強くなる。
【0015】
ライダーは、ライダーの周囲の正確な三次元表現を可能にするため、車両支援システムやロボットなどの他の自動動作プラットフォームにおいて重要な役割を果たす。しかしながら、ブルーミングの発生は、ライダーとその周囲にある物体との距離を測定する際に誤った結果を招く恐れがある。特に、ブルーミング効果により、誤検出のライダー計測が起こり得るため、周囲の正確な三次元表現が妨げられる。
【0016】
上記方法を使用すると、ライダー計測におけるブルーミング候補の信頼性の高い特定が容易に可能になるため、そのような距離測定における誤った結果を防ぐか又は少なくとも確実に特定することができ、ブルーミング候補を、例えば下流のソフトウェアモジュールで、そのように扱うことができる。その結果、自動化された、特に高度に自動化された又は自律走行又は移動する車両及びロボットなどのアプリケーションの動作の信頼性が向上する。
【0017】
したがって、例えば、自動化された、特に高度に自動化された又は自律動作可能な車両又はロボットの動作中の上記方法の使用により、センサフュージョンなどの後続のデータ処理において、ブルーミングが発生する位置に渋滞の最後尾などの障害物が推測される危険性が最小限に抑えられる。
【0018】
特に、自動動作可能な車両又はロボットの動作中の上記方法の使用は、ライダー計測で収集されたデータに基づいて車両又はロボットを操縦することを含み、上記方法を用いてブルーミング候補に分類された点が考慮される。例えば、上記方法の結果は、検出された点が物体であるか、ブルーミングによる測定であるかを判断するアルゴリズムに流される。
【0019】
例えば、ブルーミングの発生により運転者支援システムによって開始される不必要なブレーキ、ステアリング動作、及び/又は他の措置を安全に回避することができる。ブルーミング候補により実際の障害物が隠れていることも確実に特定することができる。
【0020】
上記方法の他の可能な実施形態では、点群を生成するときに、線形レーザーパルス及び/又は矩形レーザーパルスがライダーセンサの送信機から送出される。これにより、ライダーセンサによる非常に短い走査時間と同時に、非常に広い空間分解能が可能になる。ライダーセンサの受信機に現れる物体によって反射されたレーザーパルスごとに、点群内に点が生成され、ライダーセンサの周囲にある物体までの距離を特定するために、反射されたレーザーパルスがライダーセンサの受信機に到達するまでの時間が検出され、特定された距離の値が各点に割り当てられる。
【0021】
上記方法の他の可能な実施形態では、レーザーパルスを用いて、周囲は行、列、及び/又は複数のサブ領域で別々に走査される。これにより、信頼性が高く正確なライダーセンサの周囲の検出及びマッピングが可能になる。
【0022】
ライダーセンサの周囲の検出及びマッピングの精度をさらに高めるために、上記方法の他の可能な実施形態では、ライダーセンサの周囲が複数のサブ領域に分割され、各サブ領域に対して、ライダー計測で生成された点群内の点の少なくとも1つの距離に基づくヒストグラムが作成される。
【0023】
本発明によるライダー計測においてブルーミング候補を特定するための装置は、ライダー計測で生成された点群内の点の距離に基づくヒストグラムを作成し、ライダー計測を行うライダーセンサから同じ距離にあるヒストグラム内の点のクラスタを特定し、クラスタ、特に特定のクラスタ内の点の強度を評価し、その結果、それらの強度がそれぞれ所定の制限値を超える点がクラスタに含まれている場合、それらの強度がそれぞれ所定の制限値を超えず、特に所定の制限値を所定の閾値よりも大きく下回るクラスタ内の点をブルーミング候補として分類するように構成されている処理ユニットを含む。上記装置の1つの可能な実施形態では、処理ユニットは、それらの強度が所定の制限値を超えるクラスタ内の点を高反射率の測定値として、詳細には正検出の測定値として分類するように構成されている。
【0024】
上記装置を使用すると、ライダー計測おけるブルーミング候補の信頼性の高い特定が容易に可能になるため、そのような距離測定における誤った結果を防具か又は少なくとも確実に特定することができ、それに応じて、ブルーミング候補を、例えば下流のソフトウェアモジュールで、そのように扱うことができる。その結果、自動化された、特に高度に自動化された又は自律走行又は移動する車両及びロボットなどのアプリケーションの動作の信頼性が向上する。
【0025】
したがって、例えば、自動化された、特に高度に自動化された又は自律動作可能な車両又はロボットの動作中の上記装置の使用により、センサフュージョンなどの後続のデータ処理において、ブルーミングが発生する位置に渋滞の最後尾などの障害物が存在し得る危険性が最小限に抑えられる。例えば、運転者支援システムによって開始される結果として生じる不必要なブレーキを安全に回避することができる。ブルーミング候補により実際の障害物が隠れていることも確実に特定することができる。
【0026】
上記装置の他の可能な実施形態では、ライダーセンサは少なくとも1つのグリッドベースの受信機を含み、これによりライダーセンサによる非常に短い走査時間と同時に非常に広い空間分解能が可能になる。
【0027】
本発明の実施例は、図を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】検出領域を備えたライダーセンサと検出領域に位置する物体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、ライダーセンサ1とライダーセンサ1によって監視される周囲とが上から示されている。
【0030】
ライダーセンサ1の周囲には3つの物体O1~O3があり、検出領域E内でライダーセンサ1によって検出される。
【0031】
ライダーセンサ1は、例えば、自動化された、特に高度に自動化された又は自律走行する車両に配置される。ライダーセンサ1は、代替的にロボットに配置することもできる。
【0032】
第1の物体O1は、反射する交通標識や車両のナンバープレートなどの反射率が高い物体O1である。第2の物体O2及び第3の物体O3は、それぞれ反射率が低い。
【0033】
ライダーセンサ1は、これらの周囲の物体O1~O3までの距離を特定し、その間にレーザーパルスが送出され、反射されたレーザーパルスがライダーセンサ1の特別にグリッド構成された受信機に到達するまでの時間が検出される。これにより、ライダーセンサ1は、ライダーセンサ1の測定速度及び空間分解能を高めるために、レーザーとして構成された複数の送信機及び/又は複数の受信機を含むことができる。したがって、走査とも呼ばれるライダーセンサ1によって行われる測定は、完全な走査がライダー画像とも呼ばれる二次元測定グリッドとして解釈され得るような方法で行うことができる。
【0034】
詳細には、点群を生成するときに、線形レーザーパルス及び/又は矩形レーザーパルスがライダーセンサ1の送信機から送出される。詳細には、レーザーパルスを用いて、周囲は行、列、及び/又は複数のサブ領域で別々走査される。
【0035】
ライダーセンサの受信機に現れる物体O1~O3によって反射されたレーザーパルスごとに、点群内に点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.kが生成され、ライダーセンサの周囲にある物体O1~O3までの距離を特定するために、反射されたレーザーパルスがライダーセンサの受信機に到達するまでの時間が検出される。その後、特定された距離値が各点に割り当てられる。示されている点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.kは、物体O1~O3に直接関係しているため、正検出の測定を表す。これらの点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.kは、小さな正方形として
図1に示されている。第3の物体O3に関係している点P3.1~P3.kは、その位置により二次測定点である。
【0036】
図示されたライダーセンサ1の周囲では、第1の物体O1は、ライダーセンサ1まで同じ距離にある物体O1の周り、上、下に、それらのレーザー計測中の高い反射率によりブルーミング点として特定される点BP1~BPnを生成するため、いわゆるブルーミングアーチファクトが存在する。これらの点BP1~BPnを
図1に十字で示す。これらの点BP1~BPnは、ライダーセンサ1から同じ距離にある物体O1の周りに半円状に分布している。ブルーミング点として形成されたこれらの点BP1~BPnがそのように検出されない場合、センサフュージョンなどの後続のデータ処理において、渋滞の最後尾などの障害物が推測され、運転者支援システムによって不必要なブレーキが作動する危険性がある。また、例えば物体O3などの実在する障害物は、このようなブルーミングアーチファクトによって隠されるため、ライダー計測では特定されない可能性がある。
【0037】
したがって、ブルーミング点として形成された点BP1~BPnは、誤検出の測定を表す。
【0038】
ブルーミング点として形成されたこれらの点BP1~BPnを検出するために、本発明は、ライダー計測によって生成された点群内の点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPnから、範囲に基づくヒストグラムとも呼ばれる、距離に基づくヒストグラムの作成を提供する。この場合の距離に基づくヒストグラムは、点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPnがどの距離で何個検出されたかを示すヒストグラムである。ヒストグラムの作成では、ライダーセンサ1の周囲を複数のサブ領域に分割することができ、距離に基づくヒストグラムを、ライダー計測によって生成された点群内の点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPnから作成することができる。
【0039】
ライダーセンサ1によって検出されたデータから、点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPnごとに2つの特徴を特定することもできる。これは、既に上で説明したように、各点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPnからライダーセンサ1までの距離と、各点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPnの測定された強度、すなわち、ライダーセンサ1の受信機に送り返される、各点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPnにおける物体O1~O3からの光量である。
【0040】
大量の高強度の光が物体O1から、すなわち点P1.1~P1.mから受信機に反射されるため、強度の特徴に基づいて、同一距離にある点P1.1~P1.mとBP1~BPnの光量から、点P1.1~P1.mをブルーミング点として形成された点BP1~BPnと区別することができる。点BP1~BPnでのブルーミング効果による誤検出の測定は、その受信機のライダーセンサ1のレンズ内の散乱光によって生じる。関係する強度は、通常、点P1.1~P1.mの強度よりも数桁小さい。
【0041】
次に、距離に基づくヒストグラムが生成され、ライダー計測値がヒストグラムの列に挿入される。ブルーミング効果がある場合、全く同じ距離にある非常に多くの点が予想され、ここでは距離dにあるP1.1~P1.m、BP1~BPnである。これにより、ヒストグラムビン内に大きな変動が生じる。ライダーセンサ1が対応する信号を取り戻すには非常に大きな球体に配置する必要があるため、これらの測定値が実際の物体O1~O3から得られる可能性は非常に低い。同時にヒストグラムの同じビンに、すなわちライダーセンサ1から同じ距離にある多くの点P1.1~P1.m、BP1~BPnに対して高い強度値がある場合、ブルーミング効果を確実に推測することができる。
【0042】
このため、点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPnのクラスタが、ライダー計測を行うライダーセンサ1から同じ距離にあるヒストグラムで特定される。上記の場合、点のクラスタ、具体的には点P1.1~P1.m、BP1~BPnが距離dで特定される。さらに、これらの点P1.1~P1.m、BP1~BPnの強度が評価される。強度の評価により、このクラスタにそれらの強度がそれぞれ所定の制限値を超える点が含まれていることが示された場合、ブルーミングは反射率の高い物体で発生し、高い強度は反射率の高い物体の指標であるため、結論はブルーミング効果である。それらの強度がそれぞれ所定の制限値を超えるそのクラスタ内のすべての点、ここでは点P1.1~P1.mは、高反射率の測定値として、詳細には正検出の測定値として分類される。それらの強度がそれぞれ所定の制限値を超えず、特に所定の制限値を大幅に、すなわち所定の閾値よりも大きく下回るクラスタ内のすべての点が、ブルーミング候補として分類される。これは点BP1~BPnに当てはまる。
【0043】
1つの可能な実施形態では、センサフュージョンにおける下流アルゴリズムが、取得した情報を処理する。他の位置にあるライダーセンサ、カメラ、又はレーダセンサなどの他のセンサから取得した追加情報を使用することにより、ライダーセンサ1から取得した情報を、妥当なもの又は拡大されたものとして特定することができる。
【0044】
例えば、ブルーミング候補に関する結果は、検出された点P1.1~P1.m、P2.1~P2.j、P3.1~P3.k、BP1~BPnが物体O1~O3であるか、ブルーミングによる測定値であるかを判断するアルゴリズムに流される。
【0045】
ライダー計測においてブルーミングの発生に起因する測定値が特定された場合、運転者支援システムは、例えば実際の物体O1~O3が存在した場合に行われるブレーキ、ステアリング、及び/又は他の措置を行わず、それによって結果として生じる車両乗員及び交通中の他の車両に対する危険を回避する。
【0046】
また、ライダー計測においてブルーミングの発生に起因する測定値が特定された場合、ブルーミング候補により実際の障害物が隠れていることが確実に特定できる可能性もある。このように隠れていることが特定された場合、運転者支援システムが自動的にブレーキ、ステアリング、及び/又は他の措置を取らないことを効果的に防止できるため、車両乗員及び交通中の他の車両に対する危険がさらに低減する。
【符号の説明】
【0047】
1 ライダーセンサ
BP1~BPn 点
d 距離
E 検出領域
O1~O3 物体
P1.1~P1.m 点
P2.1~P2.j 点
P3.1~P3.k 点