(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】タンデム太陽電池
(51)【国際特許分類】
H01L 31/043 20140101AFI20240716BHJP
H01L 31/05 20140101ALI20240716BHJP
【FI】
H01L31/04 510
H01L31/04 570
(21)【出願番号】P 2023526754
(86)(22)【出願日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 JP2021022107
(87)【国際公開番号】W WO2022259461
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 和重
(72)【発明者】
【氏名】芝崎 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】保西 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】中川 直之
(72)【発明者】
【氏名】水野 幸民
(72)【発明者】
【氏名】山崎 六月
(72)【発明者】
【氏名】西田 靖孝
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/180854(WO,A1)
【文献】特開2019-102620(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003892(WO,A1)
【文献】特表2017-534184(JP,A)
【文献】特開2010-087504(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057029(WO,A1)
【文献】特開2007-157980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0160251(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0180197(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトップセルストリングが電気的に接続されたトップセルモジュールと、
複数のボトムセルストリングが電気的に接続されたボトムセルモジュールと、
第1ストリングコネクトと、
第2ストリングコネクトと、
を備え、
前記トップセルストリングは、複数のトップセルが電気的に接続され、
前記ボトムセルストリングは、前記トップセルの厚さ方向から見た平面視において前記トップセルストリングと重なるように配置され、複数のボトムセルが電気的に接続され、
前記第1ストリングコネクトは、前記平面視において前記トップセルモジュールの外側に延びる第1延出部を有し、
前記第2ストリングコネクトは、前記平面視において前記ボトムセルモジュールの外側に延びる第2延出部を有し、
前記第1延出部と前記第2延出部とは、前記平面視において互いに離れて配置されている、
タンデム太陽電池。
【請求項2】
前記トップセルモジュールの正極に電気的に接続された第1正極端子と、
前記トップセルモジュールの負極に電気的に接続された第1負極端子と、
前記ボトムセルモジュールの正極に電気的に接続された第2正極端子と、
前記ボトムセルモジュールの負極に電気的に接続された第2負極端子と、
をさらに備え、
前記第1正極端子、前記第1負極端子、前記第2正極端子、もしくは前記第2負極端子、またはそれらの組合せは、前記平面視において前記トップセルモジュールの外側または前記ボトムセルモジュールの外側に延出する第3延出部を有し、
前記第3延出部は、前記平面視において、前記第1延出部および前記第2延出部のいずれとも離れて配置されている、
請求項1に記載のタンデム太陽電池。
【請求項3】
前記複数のトップセルと前記複数のボトムセルとは、同数ずつ設けられ、前記複数のトップセルのそれぞれは、前記厚さ方向において、前記複数のボトムセルの1つと互いに対向して配置されている、
請求項1または2に記載のタンデム太陽電池。
【請求項4】
前記トップセルストリングは、前記ボトムセルストリングと対向する面の反対側の面側に設けられた第1電極部を有しており、複数の前記トップセルストリングは前記第1電極部により電気的に接続される、
請求項1~3のいずれか1項に記載のタンデム太陽電池。
【請求項5】
前記複数のトップセルのそれぞれは、複数の前記ボトムセルと対向する面の反対側の面側に設けられた第1セル電極を有しており、
複数の前記トップ
セルストリングのそれぞれにおける前記複数のトップセルは、前記第1セル電極において、互いに電気的に接続される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンデム太陽電池。
【請求項6】
複数の前記トップセルストリングのそれぞれにおける前記複数のトップセルの前記第1セル電極を電気的に接続する第1セルコネクトをさらに備え、
複数の前記トップセルストリングのそれぞれにおける前記複数のトップセルは、前記第1セルコネクトによって並列接続されており、
複数の前記トップセルストリングは、複数の前記トップセルストリングのうち前記平面視において互いに隣り合って配置された前記トップセルストリング同士が前記第1ストリングコネクトによって電気的に接続されることによって、直列接続される、
請求項5に記載のタンデム太陽電池。
【請求項7】
前記ボトムセルストリングは、複数の前記トップセルストリングと対向する面と反対側の面側に設けられた第2電極部を有しており、複数の前記ボトムセルストリングは前記第2電極部により電気的に接続される、
請求項1~6のいずれか1項に記載のタンデム太陽電池。
【請求項8】
前記複数のボトムセルのそれぞれは、複数の前記トップセルと対向する面の反対側の面側に設けられた第2セル電極を有しており、
複数の前記ボトム
セルストリングのそれぞれにおける前記複数のボトムセルは、前記第2セル電極において、互いに電気的に接続されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載のタンデム太陽電池。
【請求項9】
複数の前記ボトムセルストリングのそれぞれにおける前記複数のボトムセルの前記第2セル電極を電気的に接続する第2セルコネクトをさらに備え、
複数の前記ボトムセルストリングのそれぞれにおける前記複数のボトムセルは、前記第2セルコネクトによって直列接続されており、
複数の前記ボトムセルストリングは、複数の前記ボトムセルストリングのうち前記平面視において互いに隣り合って配置された前記ボト
ムセルストリング同士が前記第2ストリングコネクトによって電気的に接続されることによって、直列接続されている、
請求項8に記載のタンデム太陽電池。
【請求項10】
前記第2延出部は、前記第1延出部よりも長い、
請求項1~9のいずれか1項に記載のタンデム太陽電池。
【請求項11】
前記平面視において前記第1延出部と前記第2延出部とは、前記平面視において重なることなく、かつ前記平面視において複数の前記トップセルストリングの配列方向で互いに隣り合って配置されている、
請求項1~10のいずれか1項に記載のタンデム太陽電池。
【請求項12】
前記平面視において前記第2延出部は、前記第1延出部を外側から挟んで配置されている、
請求項1~11のいずれか1項に記載のタンデム太陽電池。
【請求項13】
前記トップセルモジュールと前記ボトムセルモジュールとが、前記厚さ方向に重なったタンデムモジュールを複数有し、
複数の前記タンデムモジュールにおける前記トップセルモジュール同士が電気的に接続されており、
複数の前記タンデムモジュールにおける前記ボトムセルモジュール同士が電気的に接続されており、
前記トップセルモジュールの全体の発電出力を取り出す正極端子は、複数の前記タンデムモジュールのいずれか1つにおける前記トップセルモジュールの正極に電気的に接続された第1正極端子であり、
前記トップセルモジュールの全体の発電出力を取り出す負極端子は、複数の前記タンデムモジュールのいずれか1つにおける前記トップセルモジュールの負極に電気的に接続された第1負極端子であり、
前記ボトムセルモジュールの全体の発電出力を取り出す正極端子は、複数の前記タンデムモジュールのいずれか1つにおける前記ボトムセルモジュールの正極に電気的に接続された第2正極端子であり、
前記ボトムセルモジュールの全体の発電出力を取り出す負極端子は、複数の前記タンデムモジュールのいずれか1つにおける前記ボトムセルモジュールの負極に電気的に接続された第2負極端子である、
請求項1~12のいずれか1項に記載のタンデム太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、タンデム太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トップセルとボトムセルを含むタンデム太陽電池が知られている。タンデム太陽電池では、互いに異なる光の吸収帯を持つ材料で形成されたトップセルとボトムセルを組み合わせることによって、小面積で効率的に発電を行うことができる。
タンデム太陽電池には、トップセルとボトムセルを直列接続した2端子構造や、トップセルとボトムセルを電気的に分離した4端子構造などがある。2端子構造の場合、トップセルとボトムセルに流れる光電流が必ず一致する電流整合の制約条件が存在するため、太陽光の入射角度や天候などが最適照射条件から外れた時に、発電量が大きく減少する短所がある。これに対して、4端子構造の場合、電流整合の制約が無いため、発電量は、とくに太陽光の最適照射条件から外れた時に2端子構造より大きくなる長所がある(最適照射条件では同等)。
4端子構造タンデム太陽電池では、トップセルと、ボトムセルとは、互いに絶縁する必要がある。トップセルを複数並べたトップセルモジュールと、ボトムセルを複数並べたボトムセルモジュールを積層した4端子構造タンデム太陽電池モジュールにおいても、トップセルモジュールとボトムセルモジュールとは、互いに絶縁されている。
トップセル(ボトムセル)を複数並べてトップセル(ボトムセル)モジュールを形成する場合、トップセル(ボトムセル)を一方向に短冊状に並べて電気的に接続したトップセル(ボトムセル)ストリングを形成し、各トップセル(各ボトムセル)ストリングの接続方向の両端部同士をストリングコネクトで接続することが多い。トップセルモジュールおよびボトムセルモジュールの各ストリングコネクトは、タンデム太陽電池の厚さ方向に近接するので、互いに確実に絶縁する必要がある。
ストリングコネクト同士を絶縁する絶縁構造を設けることによって、タンデム太陽電池の構造が複雑になったり、タンデム太陽電池が大型化したりする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のタンデム太陽電池は、トップセルストリングと、ボトムセルストリングと、トップセルモジュールと、第1ストリングコネクトと、ボトムセルモジュールと、第2ストリングコネクトと、を持つ。トップセルストリングは、複数のトップセルが電気的に接続されている。ボトムセルストリングは、複数のボトムセルが電気的に接続されている。ボトムセルストリングは、トップセルの厚さ方向から見た平面視においてトップセルストリングと重なるように配置されている。第1ストリングコネクトは、平面視においてトップセルモジュールの外側に延びる第1延出部を持つ。ボトムセルモジュールは、複数のボトムセルストリングが電気的に接続されている。第1延出部と第2延出部とは、平面視において互いに離れて配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図5】第1の実施形態のタンデム太陽電池におけるトップセルモジュールの等価回路図。
【
図6】第1の実施形態のタンデム太陽電池の例を示す裏面図。
【
図8A】第1の実施形態のタンデム太陽電池に用いるバックコンタクト型太陽電池セルの例を示す裏面図。
【
図9】第1の実施形態のタンデム太陽電池におけるボトムセルモジュールの等価回路図。
【
図10】比較例のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図11】第2の実施形態のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図14】第3の実施形態のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図15】第1変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図16】第2変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図17】第3変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図18】第4変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図19】第5変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図20】第6変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図。
【
図21】第7変形例のタンデム太陽電池の例を示す裏面図。
【
図22】第8変形例のタンデム太陽電池の例を示す裏面図。
【
図23】各実施形態および各変形例に用いることができる結晶系シリコン太陽電池の例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のタンデム太陽電池を、図面を参照して説明する。以下の各図において、特に断らない限り、同一または相当する構成については同一の符号を付す。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態のタンデム太陽電池を説明する。
図1は、第1の実施形態のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
図2は、
図1におけるF2-F2線に沿う断面図である。
図3は、
図1におけるF3部の斜視図である。
図4は、
図1におけるF4部の斜視図である。
【0009】
図1に示すタンデム太陽電池1は、紙面の前側から奥側に向かって入射する入射光を光電変換することによって発電する。以下では、タンデム太陽電池1における入射光の入射面の法線に沿ってタンデム太陽電池1を見ることを平面視と称する。本実施形態では、平面視は、後述するトップセルT
iの厚さ方向から見ることとも同じである。
図2に示すように、タンデム太陽電池1は、トップセルモジュール2と、ボトムセルモジュール3と、を有する。トップセルモジュール2とボトムセルモジュール3とは、光透過性を有する絶縁層4を介在して互いの厚さ方向にメカニカルに接合されており、電気的にはトップセルモジュール2とボトムセルモジュール3とは互いに分離されている。例えば、絶縁層4は、透明な基材の表面に透明な樹脂接着剤が塗布されて形成される。
【0010】
図1に示すように、トップセルモジュール2は、m個(ただし、mは2以上の整数)のトップセルストリングTs
1、…、Ts
mを有する。トップセルストリングTs
1、…、Ts
mのそれぞれは、n個(ただし、nは2以上の整数)のトップセルT
1、…、T
nが互いに電気的に接続されて構成されている。
以下では、トップセルT
1、…、T
nのうちの任意の1つを表す場合、iが1からnのいずれかを表すとして、「トップセルT
i」と記載する場合がある。トップセルストリングTs
1、…、Ts
mのうちの任意の1つを表す場合、jが1からmのいずれかを表すとして、「トップセルストリングTs
j」と記載する場合がある。
トップセルT
1、…、T
nの全体は、「トップセルT
1-T
n」と、トップセルストリングTs
1、…、Ts
mの全体は、「トップセルストリングTs
1-Ts
m」と、記載する場合がある。
【0011】
トップセルストリングTsjを構成するトップセルT1-Tnの各定格出力は、同一であることがより好ましいが、同一でなくてもよい。ここで、定格出力とは、AM1.5の太陽光(1kW/m2)が垂直入射した際のトップセルの発電量、すなわち、出力電圧と出力電流の積である。
以下では、簡単のため、トップセルストリングTsjにおけるトップセルT1-Tnのそれぞれの定格出力は、互いに同一である例で説明する。
トップセルストリングTs1-Tsmにおいて、添字jが異なる場合、それぞれに含まれる同一の添字iのトップセルTi同士の各定格出力は、同一でもよいし、同一でなくてもよい。以下では、簡単のため、添字jが異なるトップセルストリングTsj同士における各トップセルTiの定格出力は、互いに同一である例で説明する。
すなわち、以下の説明では、各トップセルTiの定格出力と、各トップセルストリングTsjの定格出力は、それぞれ同一である。
【0012】
図1に示す例では、トップセルモジュール2は、n個のトップセルT
iが図示横方向に配列され、それぞれが互いに電気的に接続されることで、トップセルストリングTs
jを形成している。各トップセルストリングTs
jは、それぞれの長手方向(図示横方向)に互いに隣接して配列されている。このため、トップセルモジュール2における各トップセルT
iは、全体として、n×mの矩形格子状に配列されている。
図1には、n=6、m=4の例が記載されているが、n、mはこれに限定されない。
【0013】
以下では、各トップセルストリングTsjの長手方向をX軸方向、各トップセルストリングTsjの配列方向(図示縦方向)をY軸方向と称する。タンデム太陽電池1の厚さ方向は、Z軸方向と称する。
X軸方向の正方向(X軸正方向)は、トップセルTiの添字iが降順になる並びの方向である。Y軸方向の正方向(Y軸正方向)は、トップセルストリングTsjの添字jが降順になる並びの方向である。Z軸方向の正方向(Z軸正方向)は、トップセルモジュール2の入射面の法線方向において、ボトムセルモジュール3からトップセルモジュール2に向かう方向である。X軸負方向、Y軸負方向、およびZ軸負方向は、それぞれ、X軸正方向、Y軸正方向、およびZ軸正方向の反対方向である。
Z軸方向は、Z軸正方向を上方、Z軸負方向を下方とする上下方向である。以下では、特に断らない限り、上、下は、Z軸方向における上、下を意味する。
【0014】
図1に例示するトップセルモジュール2において各トップセルT
iの構成は同一なので、主に、
図2に示すトップセルストリングTs
1のトップセルT
2の例で説明する。
トップセルT
2は、基板201と、直列アレイセルAと、を有する。
基板201は、トップセルT
2の下層部を形成する板部材である。基板201の材料は、光透過性を有していれば特に限定されない。基板201の透過率は高いほどより好ましい。例えば、基板201の材料は、ガラスであることがより好ましい。例えば、基板201の材料は、アクリル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)など)、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンやポリエーテルイミドなどの透明樹脂や、ソーダライムガラス、白板ガラス、化学強化ガラスや石英など無機材料などを用いることができる。基板201は、上記に挙げた材料を積層してもよい。
基板201は、板厚方向がZ軸方向に一致する姿勢で、絶縁層4におけるZ軸正方向の表面にメカニカルに接合されている。
基板201は、トップセルT
2の平面視の外形を規定している。平面視におけるトップセルT
2の外側とは、平面視において、基板201の外周部よりも外の領域を指す。
図3にトップセルストリングTs
1におけるトップセルT
1の例で示すように、基板201の平面視形状は、X軸方向に延びる2辺と、Y軸方向に延びる2辺と、を有する矩形である。
【0015】
図2に示すように、直列アレイセルAは、厚さ方向において光透過性を有する太陽電池セルである。直列アレイセルAは、基板201における絶縁層4と反対側(Z軸正方向)の表面201aに積層して配置されている。
直列アレイセルAは、負電極部A
0、k個(kは、2以上の整数)の単位セルA
1、…、A
k、および正電極部A
k+1を有する。単位セルA
1、…、A
kの個数kは2以上であれば特に限定されない。例えば、kは25であってもよい。
単位セルA
1、…、A
kは、トップセルモジュール2の上方から入射する入射光Lの一部を吸収してそれぞれ発電を行う。
図2には、入射光Lがトップセルモジュール2に垂直入射するように描かれているが、入射光Lの入射角は垂直には限定されない。
単位セルA
1、…、A
kは、負電極部A
0と正電極部A
k+1との間で直列に接続されている。
負電極部A
0、単位セルA
1、…、A
k、および正電極部A
k+1の平面視形状は、いずれも、基板201におけるX軸方向の全幅において、X軸方向に延びる帯状である。
負電極部A
0、単位セルA
1、…、A
k、および正電極部A
k+1は、平面視において、基板201のY軸正方向の端部からY軸負方向の端部に向かって、この順に配置されている。
【0016】
表面201aに積層する直列アレイセルAの下層部は、裏面透明電極層202によって形成されている。
裏面透明電極層202は、光透過性を有する導電膜で形成されている。例えば、裏面透明電極層202は、1層以上の酸化物透明導電膜を含むことが好ましい。
酸化物透明導電膜の種類は特に限定されない。例えば、酸化物透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide;ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Al-doped Zinc Oxide;AZO)、ボロンドープ酸化亜鉛(Boron-doped Zinc Oxide;BZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(Gallium-doped Zinc Oxide;GZO)、ドープされた酸化スズ、チタンドープ酸化インジウム(Titanium-doped Indium Oxide;ITiO)、酸化インジウム酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide;IZO)や酸化インジウムガリウム亜鉛(Indium Gallium Zinc Oxide;IGZO)、水素ドープ酸化インジウム(Hydrogen-doped Indium Oxide;IOH)などの半導体導電膜が挙げられる。
例えば、酸化物透明導電膜は、複数の膜を持つ積層膜であってもよい。
酸化スズなどの膜へのドーパントは特に限定されない。例えば、ドーパントとしては、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F、及びClからなる群から選ばれる1種以上の元素が挙げられる。
裏面透明電極層202は、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F、及びClからなる群から選ばれる1種以上の元素がドープされた酸化スズ膜が含まれることが好ましい。ドープされた酸化スズ膜において、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F、及びClからなる群から選ばれる1種以上の元素は、酸化スズ膜に含まれるスズに対して10原子%以下含まれることが好ましい。
【0017】
裏面透明電極層202は、酸化物透明導電膜と基板201の間、又は、酸化物透明導電膜と後述するp-Cu2O層203の間に、ドット状、ライン状もしくはメッシュ状の電極を含むことが好ましい。ドット状、ライン状もしくはメッシュ状の電極は、金属、合金、グラフェン、導電性窒化物及び導電性酸化物からなる群より選ばれる1種以上の材料を含むことが好ましい。
ドット状、ライン状もしくはメッシュ状の電極は、酸化物透明導電膜の電気抵抗が高く、それ単独では電圧降下による効率低下が生じる場合に適用するのが有効である。
ドット状、ライン状もしくはメッシュ状の電極に用いられる金属は、酸化物透明導電膜に対して開口率が95%以上であることが好ましい。
ドット状、ライン状もしくはメッシュ状の電極に用いられる金属は、特に限定されないが、例えば、Mo、Au、Cu、Ag、Al、Ta、Wなどが挙げられる。
電極としてライン状やメッシュ状の金属膜を用いる場合、開口部によって必要な光透過性が確保され、さらに電気抵抗が酸化物透明導電膜よりも低くなれば、金属膜の膜厚は特に限定されない。
【0018】
裏面透明電極層202は、平面視における負電極部A0と、単位セルA1、…、Akとの各形状にパターニングされている。このため、裏面透明電極層202は、Y軸方向において互いに離れた(k+1)本の帯状の導電性パターンを形成している。
単位セルAkの下層部を形成する裏面透明電極層202は、平面視において、単位セルAkの上層部よりもY軸負方向に突出している。単位セルAkの上層部よりもY軸負方向に突出した裏面透明電極層202上には、正電極部Ak+1が形成されている。
【0019】
負電極部A0は、負電極部A0の下層部を形成する裏面透明電極層202上に、積層された負電極206Nを有する。負電極206Nは、負電極部A0の下層部を形成する裏面透明電極層202の全体を覆って配置されており、裏面透明電極層202と導通している。
負電極206Nは、金属膜などの導電材料で形成されている。金属膜の材料は特に限定されない。
例えば、負電極206Nは、後述する表面透明電極層205と同様な導電膜で形成されてもよい。例えば、負電極206Nに用いる金属膜の材料として、Mo、Au、Cu、Ag、Al、Ta、Wなどが挙げられる。また、金属膜として、導電性を持つ金属ペーストを用いることも好ましい。
【0020】
単位セルA1、…、Akのそれぞれは、例えば、亜酸化銅(Cu2O)太陽電池セルである。単位セルA1、…、Akのそれぞれは、表面201aの上に、上述した裏面透明電極層202と、p-Cu2O層203と、n-化合物層204と、表面透明電極層205と、がこの順に積層されている。ただし、このような構成は一例である。
単位セルA1、…、Akは、入射光Lを光電変換することで発電するとともに、入射光Lの一部を下方に透過させることができれば、どのような構成を有していてもよい。例えば、単位セルA1、…、Akは、上述の層構成に加えて、保護フィルム、封止材などが適宜追加されてよい。例えば、発電層であるp-Cu2O層203およびn-化合物層204に入射する入射光Lの光量を増大する目的で、n-化合物層204の上面に反射防止膜が形成されてもよい。
単位セルA1、…、Akの種類は、亜酸化銅太陽電池には限定されない。例えば、単位セルA1、…、Akの種類は、色素増感太陽電池、有機薄膜系太陽電池、ペロブスカイト太陽電池などであってもよい。
【0021】
p-Cu2O層203は、入射光Lによって正孔と電子とを発生するp型半導体であり、p型の亜酸化銅の薄膜で形成される。
n-化合物層204は、入射光Lによってp-Cu2O層203で発生した電子を表面透明電極層205まで輸送するn型半導体であり、p-Cu2O層203の上面に積層されている。n-化合物層204は、p-Cu2O層203とヘテロpn接合を形成している。
n-化合物層204は、特に限定されるものではないが、Gaを含む酸化物半導体層であって、Gaを主成分とする化合物を含むことが好ましい。例えば、n-化合物層204はGaを主成分とする酸化物に他の酸化物が混合していてもよいし、Gaを主成分とする酸化物に他の元素がドープしていてもよいし、他の元素がドープしたGaを主成分とする酸化物と他の酸化物が混合していてもよい。
n-化合物層204は、単層又は多層である。n-化合物層204に含まれる金属元素のうち、Gaは50原子%以上であることが好ましい。
n-化合物層204に含まれる金属元素は、p-Cu2O層203側から表面透明電極層205側に傾斜していてもよい。
n-化合物層204は、Sn、Sb、Ag、Li、Na、K、Cs、Rb、Al、In、Zn、Mg、Si、Ge、N、B、Ti、Hf、Zr、及びCaからなる群より選ばれる1種以上の元素の酸化物とGaの酸化物とを90wt%以上含むことが好ましい。
【0022】
表面透明電極層205は、n-化合物層204の上面に積層されている。表面透明電極層205は、裏面透明電極層202と同様、光透過性を有する導電膜で形成されている。例えば、表面透明電極層205は、裏面透明電極層202と同じ材料で形成されてもよい。
【0023】
このような構成によれば、単位セルA
1、…、A
kは、それぞれ裏面透明電極層202を正極、表面透明電極層205を負極とする太陽電池を構成している。
単位セルA
1、…、A
kのうち、Y軸方向に隣り合う単位セル同士は、導電路208を介在して直列接続されている。
導電路208としては、裏面透明電極層202と表面透明電極層205とを電気的に接続できる適宜の導電体が用いられる。
図2では、各導電路208は模式的に線状に描かれているが、線状の配線には限定されない。例えば、各導電路208は、p-Cu
2O層上にn-化合物層204を形成したのちに溝加工を施して、当該箇所において裏面透明電極層202を露出させた後に、表面透明電極層205を製膜することで、溝部を介して裏面透明電極層202と表面透明電極層205とを電気的に接続した構成とされてもよい。
単位セルA
1における表面透明電極層205は、導電路208によって負電極部A
0の負電極206Nと導通している。
【0024】
正電極部Ak+1は、単位セルAkの下層部を形成する裏面透明電極層202上に、正電極206Pを有する。正電極206Pは、単位セルAkの下層部を形成する裏面透明電極層202上に積層してX軸方向に延びており、裏面透明電極層202と導通している。
【0025】
直列アレイセルAにおいて、単位セルA
1、…、A
kの各表面透明電極層205の上面と、負電極206Nおよび正電極206Pの各上面と、は、直列アレイセルAの上面であり、トップセルT
2の表面を構成している。
特に、単位セルA
1、…、A
kの各表面透明電極層205の上面は、いずれもZ軸方向に延びる法線を有する平面Isと略同一平面上に位置する。
図2では、負電極206Nおよび正電極206Pの各上面が、平面Isよりも低く描かれているが、各上面の高さはこれには限定されない。例えば、負電極206Nの上面および正電極206Pの上面の一方または両方は、平面Isと同一の高さ以上の高さに位置していてもよい。
【0026】
各トップセルTiにおける負電極206Nと正電極206Pとは、入射光Lが入射する表面側に設けられている。各トップセルTiにおける負電極206Nと正電極206Pとは、各ボトムセルBiと対向する面の反対側の面側に設けられた第1セル電極の例である。
【0027】
トップセルモジュール2における各トップセルT
iは、上述したトップセルT
2と同様の構成を有する。
図1に示すように、トップセルT
iは、負電極206NがY軸正方向、正電極206PがY軸負方向に位置した状態で、X軸方向およびY軸方向に矩形格子状に配置されている。なお、
図1では、簡単のため、直列アレイセルAの詳細構造の図示は省略している。
各トップセルストリングTs
jにおいて、X軸方向に互いに隣り合うトップセルT
iは、それぞれ第1セルコネクト211によって電気的に接続されている。第1セルコネクト211は、負電極206N同士、または正電極206P同士を電気的に接続する導体である。
第1セルコネクト211の構成は、負電極206N同士と、正電極206P同士と、それぞれ電気的に接続できれば、特に限定されない。
図3に示す例では、第1セルコネクト211は、負電極206Nおよび正電極206Pの長さよりも短く、短手幅(Y軸方向の幅)以下の幅を有するリボン状の導体である。
なお、
図3では、簡単のため、直列アレイセルAの詳細構造の図示は省略している。
【0028】
第1セルコネクト211は、X軸方向において互いに隣り合う負電極206Nの上側に跨がって配置されており、例えば、導電ペーストや半田材などによって各負電極206Nに接合されている。
図1では、第1セルコネクト211は、隣接するトップセル間を繋ぐ短いコネクトの例が図示されているが、第1セルコネクト211の形状はこれには限定されない。例えば、第1セルコネクト211として、1個のストリングを構成する複数セル全体に跨って各負電極206Nに接合されている、1本の長いセルコネクトが用いられてもよい。
同様に、第1セルコネクト211は、X軸方向において互いに隣り合う正電極206Pの上側に跨がって配置されており、例えば、導電ペーストや半田材などによって各正電極206Pに接合されている。正電極206P同士を接合する第1セルコネクト211として、負電極206N同士を接合する第1セルコネクト211と同様、1個のストリングを構成する複数セル全体を跨って各正電極206Pに接合されている、1本の長いセルコネクトが用いられてもよい。
第1セルコネクト211によって電気的に接続された各トップセルストリングTs
jの各負電極206Nと各正電極206Pとは、入射光Lが入射する表面側に設けられている。第1セルコネクト211によって電気的に接続された各トップセルストリングTs
jの各負電極206Nと各正電極206Pとは、後述する各ボトムセルストリングBs
jと対向する面の反対側の面側に設けられた第1電極部の例である。
【0029】
図1に示すように、トップセルストリングTs
1、Ts
2におけるX軸負方向の端部(トップセルT
n)の正電極206Pと負電極206Nとは、第1ストリングコネクト212によって、互いに電気的に接続されている。
トップセルストリングTs
2、Ts
3におけるX軸正方向の端部(トップセルT
1)の正電極206Pと負電極206Nとは、第1ストリングコネクト212によって、互いに電気的に接続されている。
トップセルストリングTs
3、Ts
4におけるX軸負方向の端部(トップセルT
n)の正電極206Pと負電極206Nとは、第1ストリングコネクト212によって、互いに電気的に接続されている。
このため、第1ストリングコネクト212は、トップセルストリングTs
jのうち、平面視において互いに異なるトップセルストリングTs
j同士を、それぞれの第1電極部において、互いに電気的に接続している。
【0030】
各第1ストリングコネクト212の構成は、正電極206Pと負電極206Nとを電気的に接続できれば、特に限定されない。
図1に示す例では、各第1ストリングコネクト212はいずれも同じ形状を有する。各第1ストリングコネクト212は平面視においてY軸方向に開口するU字状に形成され、負電極206Nおよび正電極206Pの短手幅以下の幅を有するリボン状の導体である。
図4に示すように、第1ストリングコネクト212は、正電極206Pと負電極206Nとに、それぞれ上側から接続する接続部212aと、平面視においてトップセルモジュール2の外側に延びる第1延出部212bと、を有する。
各接続部212aは、Y軸方向において互いに隣り合う正電極206Pと負電極206Nとの上側に配置されている。各接続部212aは、例えば、導電ペーストや半田材などによって正電極206Pと負電極206Nとに接合されている。
第1延出部212bは、各接続部212aからX軸正方向に延在し、平面視U字状に屈曲または湾曲する経路に沿って、基板201の外形で規定される各トップセルT
1の外形の外側に延びている。
第1延出部212bのX軸方向における延出長は、例えば、d1である。
【0031】
図4に示す例では、第1ストリングコネクト212は、各接続部212aおよび第1延出部212bが平面視U字状の単一部材によって形成されているが、第1ストリングコネクト212の構成はこれには限定されない。
第1ストリングコネクト212は、複数の導体が互いに接合されて構成されてもよい。例えば、第1ストリングコネクト212は、第1セルコネクト211と同様な第1導体と、第1導体同士を接合する第2導体と、を有していてもよい。
各第1導体は、正電極206Pと負電極206Nとの上側に接合される。
第2導体としては、第1導体をY軸方向に接合するリボン状の導体、または第1延出部212bと同様な平面視U字形を有しU字形の先端部が各第1導体上に接合された導体、などを用いることができる。
この場合、第1ストリングコネクト212は、各第1導体と第2導体とが接合された平面視U字形を有する。正電極206Pおよび負電極206N上の各第1導体は、接続部212aと同様の接続部を形成する。各トップセルT
1の外形の外側に位置する、各第1導体と第2導体とは、第1延出部212bと同様の第1延出部を形成する。
【0032】
図1に示すように、トップセルストリングTs
1の負電極206NにおけるX軸正方向の端部には、上側から第1負極端子210Nが接続されている。
第1負極端子210Nの構成は、負電極206Nと電気的に接続でき、トップセルモジュール2の正極の出力を外部に取り出す外部配線を接続できれば、特に限定されない。
図3に示す例では、第1負極端子210Nは、負電極206Nに上側から接続する接続部210aと、平面視においてトップセルモジュール2の外側に延びる第3延出部210bと、を有する。
接続部210aは、Y軸方向において負電極206Nの短手幅以下の幅を有し、X軸方向において負電極206Nの長手幅未満の幅を有する。
図3では、第3延出部210bの延出方向の先端部には、外部配線を接続する目的で、接続部210aよりも広い幅を有する端子電極210cが描かれているが、外部配線との接続が確実に行える場合は、端子電極210cと接続部210aとのY軸方向の幅を同じにしてもよい。
例えば、第1負極端子210Nは、第1セルコネクト211と同じ材質のリボン状の金属線のような導体で形成されてもよい。
【0033】
図1に示すように、トップセルストリングTs
4の正電極206PにおけるX軸正方向の端部には、上側から第1正極端子210Pが接続されている。
第1正極端子210Pの構成は、正電極206Pと電気的に接続でき、トップセルモジュール2の負極の出力を外部に取り出す外部配線を接続できれば、特に限定されない。
第1正極端子210Pは、第1負極端子210Nと同様、正電極206Pに上側から接続する接続部210aと、平面視においてトップセルモジュール2の外側に延びる第3延出部210bと、を有する。
第1正極端子210Pにおける接続部210aは、正電極206Pの短手幅以下の幅を有する。
図1では、第1正極端子210Pにおける第3延出部210bの延出方向の先端部には、第1負極端子210Nと同様の端子電極210cが描かれているが、外部配線との接続が確実に行える場合は、端子電極210cと接続部210aとのY軸方向の幅を同じにしてもよい。
例えば、第1正極端子210Pは、第1負極端子210Nと同様、第1セルコネクト211と同じ材質のリボン状の金属線のような導体で形成されてもよい。
【0034】
以上説明したトップセルモジュール2の等価回路を説明する。
図5は、第1の実施形態のタンデム太陽電池におけるトップセルモジュールの等価回路図である。
図4と
図5に示すように、各トップセルストリングTs
jにおけるトップセルT
1-T
nは、第1セルコネクト211によって並列接続されている。
トップセルストリングTs
1-Ts
mは、第1ストリングコネクト212によって直列接続されている。
トップセルモジュール2は、並列接続されたn個のトップセルT
iがm組直列接続された回路構成(n並列m直列)を有する。
【0035】
トップセルストリングTs1における各負電極206Nは、トップセルモジュール2の正極である。トップセルストリングTsmにおける各正電極206Pは、トップセルモジュール2の負極である。
第1負極端子210Nは、トップセルモジュール2の正極のうち、トップセルT1の負電極206Nに接続されている。
第1正極端子210Pは、トップセルモジュール2の負極のうち、トップセルT1の正電極206Pに接続されている。
トップセルモジュール2に入射光Lが入射することによって、トップセルモジュール2の各トップセルストリングTsjが発電すると、第1負極端子210Nと第1正極端子210Pとの間に電圧が生じる。第1負極端子210Nと第1正極端子210Pとに外部負荷を接続すると、第1負極端子210Nと第1正極端子210Pとから、発電出力を外部に取り出すことができる。
【0036】
次に、ボトムセルモジュール3の構成を説明する。
図6は、第1の実施形態のタンデム太陽電池の例を示す裏面図である。
図7は、
図1におけるF7-F7線に沿う断面図である。
【0037】
図6に示すように、ボトムセルモジュール3は、m個(ただし、mは2以上の整数)のボトムセルストリングBs
1、…、Bs
mを有する。ボトムセルストリングBs
1、…、Bs
mのそれぞれは、n個(ただし、nは2以上の整数)のボトムセルB
1、…、B
nが互いに電気的に接続されて構成されている。
ここで、ボトムセルモジュール3における個数n、mは、トップセルモジュール2における個数n、mとは相違していてもよいが、以下では、トップセルモジュール2における個数n、mに等しい例で説明する。
以下では、ボトムセルB
1、…、B
nのうちの任意の1つを表す場合、iが1からnのいずれかを表すとして、「ボトムセルB
i」と記載する場合がある。ボトムセルストリングBs
1、…、Bs
mのうちの任意の1つを表す場合、jが1からmのいずれかを表すとして、「ボトムセルストリングBs
j」と記載する場合がある。
ボトムセルB
1、…、B
nの全体は「ボトムセルB
1-B
n」と、ボトムセルストリングBs
1、…、Bs
mの全体は、「ボトムセルストリングBs
1-Bs
m」と、記載する場合がある。
【0038】
ボトムセルストリングBsjを構成するボトムセルB1-Bnの各定格出力は、同一であることがより好ましいが、同一でなくてもよい。以下では、簡単のため、1つのボトムセルストリングBsjにおけるボトムセルB1-Bnのそれぞれの定格出力は、互いに同一である例で説明する。
ボトムセルストリングBs1-Bsmにおいて、jが異なる場合、それぞれに含まれる同一の添字iのボトムセルBi同士の各定格出力は、同一でもよいし、同一でなくてもよい。以下では、簡単のため、添字jが異なるボトムセルストリングBsj同士における各ボトムセルBiの定格出力は、互いに同一である例で説明する。
すなわち、以下の説明では、各ボトムセルBiの定格出力と、各ボトムセルストリングBsjの定格出力は、それぞれ同一である。
【0039】
図7に示す例では、ボトムセルモジュール3における各ボトムセルB
iにおいては、平面視の外形状および外形の大きさが各トップセルT
iの外形状および外形の大きさと同じである。各ボトムセルB
iは、添字iに対応するトップセルT
iと平面視において互いに重なっている。このため、ボトムセルストリングBs
jは、厚さ方向において、添字jが等しいトップセルストリングTs
jと互いに重なっている。重なっているとき、トップセルストリングTs
jとボトムセルストリングBs
jが完全に重なっている必要はない。
ボトムセルB
iの外形状および外形の大きさは、トップセルT
iとは異なっていてもよい。ボトムセルB
iとトップセルT
iとは、X軸方向およびY軸方向の少なくとも一方にずれていてもよい。
【0040】
ボトムセルモジュール3において各ボトムセルB
iの構成は同一なので、主に、
図7に示すボトムセルストリングBs
1のボトムセルB
2の例で説明する。
ボトムセルB
2は、入射光Lのうち、トップセルT
2および絶縁層4を透過した入射光L’を受光することによって発電する太陽電池セルである。ボトムセルB
2の種類は、トップセルT
2で吸収されにくい波長光で発電できれば特に限定されない。
例えば、長波長光の方が媒体の深部まで到達しやすいので、トップセルT
2は短波長成分によって発電し、ボトムセルB
2は長波長成分によって発電できることがより好ましい。例えば、亜酸化銅太陽電池は、短波長光を吸収し長波長光を透過しやすいので、トップセルT
2として好適である。トップセルT
2が亜酸化銅太陽電池の場合には、ボトムセルB
2としては、亜酸化銅太陽電池を透過しやすい約600nmから長波長側に分光感度を有する太陽電池が用いられることがより好ましい。
【0041】
ボトムセルB
2は、例えばバックコンタクト型太陽電池セルである。この場合、ボトムセルB
2は、セル本体301と、正電極306Pと、負電極306Nと、を有する。
図8Aは、バックコンタクト型太陽電池セルの例を示す裏面図である。
図8Bは、
図8AにおけるF8B-F8B線に沿う断面図である。
図8Aに示すセル本体301の配置は、ボトムセルストリングBs
1のボトムセルB
2に用いる場合の例である。
図8AにおけるF8B-F8B線は、
図1におけるF7-F7線に対応している。
図8Bに示すように、セル本体301は、Z軸負方向において、反射防止膜302、n型半導体303、および拡散層304がこの順に積層されている。
図8Bに示す構成は一例である。例えば、セル本体301には、保護フィルム、封止材などが適宜追加されてもよい。
【0042】
反射防止膜302は、絶縁層4の下面に接合されている。反射防止膜302は、セル本体301の上面において、トップセルモジュール2および絶縁層4を透過した入射光L’の反射を抑制するために設けられている。
n型半導体303は、入射光L’を受光してキャリアを発生させる。例えば、n型半導体303は、n型の結晶Si基板である。
拡散層304には、p+拡散層304Pとn+拡散層304NとがY軸方向において交互に配置されている。各p+拡散層304PのX軸正方向の端部は、Y軸方向に延びるp+拡散層304Pに接続している。各n+拡散層304NのX軸負方向の端部は、Y軸方向に延びるn+拡散層304Nに接続している。これにより、拡散層304においては、平面視櫛歯状のp+拡散層304Pおよびn+拡散層304Nが嵌合して平面視矩形状の層状部が形成されている。
n型半導体303で発生するキャリアは、p+拡散層304Pには正孔が、n+拡散層304Nには電子がそれぞれ引きつけられるので、p+拡散層304Pとn+拡散層304Nとの間に電圧が発生する。
【0043】
各p+拡散層304Pの下面には、正電極306Pが接合されている。各n+拡散層304Nの下面には、負電極306Nが接合されている。
図8Aに示すように、Z軸正方向から見た正電極306Pは、p+拡散層304Pと同様の櫛歯状の導電パターンを形成している。正電極306Pは、セル本体301で発生した正電圧を取り出す正電極として用いられる。
正電極306PにおいてX軸正方向の端部は、Y軸方向に長い帯状の導電部である。正電極306PにおけるX軸正方向の端部は、ボトムセルB
1との電気的な接続に使用される。
Z軸正方向から見た負電極306Nは、n+拡散層304Nと同様の櫛歯状の導電パターンを形成している。負電極306Nの櫛歯部は、正電極306Pの櫛歯部の凹所に入り込んでいる。
負電極306Nは、セル本体301で発生した負電圧を取り出す負電極として用いられる。
負電極306NにおいてX軸負方向の端部は、Y軸方向に長い帯状の導電部である。負電極306NにおけるX軸負方向の端部は、ボトムセルB
3との電気的な接続に使用される。
負電極306Nと正電極306Pとの間には、Z軸正方向から見て隙間があいており、直接的には接触していない。
【0044】
図8Bに示すように、正電極306Pおよび負電極306Nは、ボトムセルB
2のセル本体301において、入射光L’が入射する表面側と反対側の裏面側に設けられている。正電極306Pおよび負電極306Nは、各トップセルT
iと対向する面の反対側の面側に設けられた第2セル電極の例である。
例えば、模式的に表された
図6、7などでは、ボトムセルB
iの第2セル電極を代表して、X軸方向の端部においてY軸方向に長い正電極306Pと、X軸方向の端部においてY軸方向に長い負電極306Nと、を記載している。
以下では、特に断らない限り、正電極306Pと負電極306Nとは、それぞれ、X軸方向の端部においてY軸方向に延びる正電極306Pの部位と負電極306Nの部位と、を意味する。
【0045】
セル本体301は、ボトムセルB
2の平面視の外形を規定している。平面視におけるボトムセルB
2の外側とは、平面視において、セル本体301の外周部よりも外の領域を指す。
図3にボトムセルストリングBs
1におけるボトムセルB
1の例で示すように、セル本体301の平面視形状は、X軸方向に延びる2辺と、Y軸方向に延びる2辺と、を有する矩形である。
【0046】
ボトムセルモジュール3における各ボトムセルB
iは、上述したボトムセルB
2と同様の構成を有する。
図6に示すように、ボトムセルストリングBs
1、Bs
3では、各ボトムセルB
iは、正電極306PがX軸正方向、負電極306NがX軸負方向に位置した状態で、X軸方向に並んで配置されている。
ボトムセルストリングBs
2、Bs
4では、各ボトムセルB
iは、正電極306PがX軸負方向、負電極306NがX軸正方向に位置した状態で、X軸方向に並んで配置されている。
各ボトムセルストリングBs
jにおいて、X軸方向に互いに隣り合うボトムセルB
iは、それぞれ第2セルコネクト311によって電気的に接続されている。
第2セルコネクト311は、X軸方向に互いに隣り合うボトムセルB
i同士において、互いに隣り合う負電極306Nと正電極306Pとを電気的に接続する導体である。
第2セルコネクト311の構成は、負電極306Nと正電極306Pとを電気的に接続できれば、特に限定されない。
図6に示す例では、第2セルコネクト311は、正電極306Pおよび負電極306Nを下方から覆い、X軸方向に延びるリボン状の導体である。第2セルコネクト311のY軸方向の幅は、特に限定されない。
図6に示す例では、正電極306Pおよび負電極306Nの長さの約5分の1程度であるが、この長さも特に限定されない。
第2セルコネクト311のY軸方向の位置は特に限定されないが、
図6に示す例では、Y軸方向における正電極306Pおよび負電極306Nの中央部である。例えば、第2セルコネクト311のY軸方向における中心線は、ボトムセルB
iの外形のY軸方向の幅y0を二等分する位置にある。
【0047】
第2セルコネクト311は、第1セルコネクト211と同様、導電性ペーストや半田材などによって正電極306Pおよび負電極306Nに接合されている。
第2セルコネクト311によって電気的に接続された各ボトムセルストリングBsjの各正電極306Pと各負電極306Nとは、入射光Lの一部である入射光L’が入射する裏面側に設けられている。各ボトムセルストリングBsjの各正電極306Pと各負電極306Nとは、トップセルストリングTsjと対向する面と反対側の面側に設けられた第2電極部の例である。
【0048】
図6に示すように、ボトムセルストリングBs
1におけるX軸負方向の端部(ボトムセルB
n)の負電極306Nは、第2ストリングコネクト312によって、ボトムセルストリングBs
2におけるX軸負方向の端部の正電極306Pと電気的に接続されている。
ボトムセルストリングBs
2におけるX軸正方向の端部(ボトムセルB
1)の負電極306Nは、第2ストリングコネクト312によって、ボトムセルストリングBs
3におけるX軸正方向の端部の正電極306Pと電気的に接続されている。
ボトムセルストリングBs
3におけるX軸負方向の端部の負電極306Nは、第2ストリングコネクト312によって、ボトムセルストリングBs
4におけるX軸負方向の端部の正電極306Pと電気的に接続されている。
【0049】
各第2ストリングコネクト312の構成は、負電極306Nおよび正電極306Pを電気的に接続できれば、特に限定されない。
図6に示す例では、第2ストリングコネクト312はいずれも同じ形状を有する。各第2ストリングコネクト312は、平面視においてX軸方向に開口するU字状に形成されたリボン状の導体である。
図4に示すように、第2ストリングコネクト312は、負電極306Nと正電極306Pとに、それぞれ下側から接続する接続部312aと、平面視においてボトムセルモジュール3の外側に延びる第2延出部312bと、を有する。
【0050】
各接続部312aは、Y軸方向において互いに隣り合う負電極306Nと正電極306Pとの下側にそれぞれ配置されており、例えば、導電ペーストや半田材などによって負電極306Nと正電極306Pとに接合されている。
Y軸方向における各接続部312aの配置位置は特に限定されない。
図4に示す例では、各接続部312aは、負電極306Nおよび正電極306PにおけるY軸方向の中央部にそれぞれ配置されている。
各接続部312aにおけるY軸方向の幅は、負電極306Nおよび正電極306PのY軸方向の長さよりも短い。
図6に示す例では、各接続部312aにおけるY軸方向の幅は、第2セルコネクト311の幅と同様、正電極306Pおよび負電極306Nの長さの約5分の1程度である。
各接続部312aのY軸方向における配置位置は、特に限定されない。
図6に示す例では、各接続部312aのY軸方向における中心線は、第2セルコネクト311と同様、ボトムセルB
iの外形のY軸方向の幅y0を二等分する位置にある。
【0051】
図4に示すように、第2延出部312bは、各接続部212aからX軸正方向に延在し、平面視U字状に屈曲または湾曲する経路に沿って、セル本体301の外形で規定される各ボトムセルB
1の外形の外側に延びている。
第2延出部312bの幅は、特に限定されない。
図4に示す例では、接続部312aと同幅でX軸正方向に延びた後、縮幅し、略同幅で屈曲または湾曲する経路を形成している。
図1、6に示すように、平面視では、各第2延出部312bは、第1ストリングコネクト212の第1延出部212bをトップセルモジュール2およびボトムセルモジュール3の外側から挟んでいる。これにより、平面視において、各第2延出部312bと各第1延出部212bとは、重なっておらず、互いに離れている。また、第2延出部312bの長さは第1延出部212bの長さよりも短いほうが好ましい。平面視で各第2延出部312bは、第1ストリングコネクト212の第1延出部212bをトップセルモジュール2およびボトムセルモジュール3の外側から囲んでいてもよい。
例えば、
図4に示す例では、第2延出部312bの延出方向の最も先端部には、各ボトムセルB
1の外方においてY軸方向に延びる線状部312cが形成されている。線状部312cと各ボトムセルB1との間には、X軸方向の幅が、第1延出部212bの延出長d1よりも大きいd2の隙間が形成されている。
【0052】
図4に示す例では、第2ストリングコネクト312は、各接続部312aおよび第2延出部312bが平面視U字状の単一部材によって形成されているが、第2ストリングコネクト312の構成はこれには限定されない。
第2ストリングコネクト312は、複数の導体が互いに接合されて構成されてもよい。例えば、第2ストリングコネクト312は、第2セルコネクト311と同様な第1導体と、第1導体同士を接合する第2導体と、を有していてもよい。
各第1導体は、正電極306Pと負電極306Nとの下側に接合される。
第2導体としては、第1導体をY軸方向に接合するリボン状の導体、または線状部312cと同様な平面視U字形を有しU字形の先端部が各第1導体上に接合された導体、などを用いることができる。
この場合、第2ストリングコネクト312は、各第1導体と第2導体とが接合された平面視U字形を有する。正電極306Pおよび負電極306N上の各第1導体は、接続部312aと同様の接続部を形成する。各ボトムセルB
1の外形の外側に位置する、各第1導体と第2導体とは、第2延出部312bと同様の第2延出部を形成する。
具体的には、このような第2ストリングコネクト312の構成は以下のようにして形成できる。例えば、第1導体として、第2セルコネクト311を正電極306Pおよび負電極306N上からボトムセルB
1の外側に向かって延びるように、正電極306Pおよび負電極306Nを取り付ける。この後、リボン状の導体で形成された線状部312cに相当する第2導体を、各第2セルコネクト311に結合する。
なお、第2導体の平面視形状は、第2ストリングコネクト312のような平面視U字状には限定されない。第2導体の平面視形状は、各ボトムセルB
1の外側において、第2セルコネクト311からなる第1導体同士を繋げられれば形状は問わない。
【0053】
図6に示すように、ボトムセルストリングBs
1におけるボトムセルB
1の正電極306Pには、下側から第2正極端子310Pが接続されている。
第2正極端子310P構成は、正電極306Pと電気的に接続でき、ボトムセルモジュール3の正極の出力を外部に取り出す外部配線を接続できれば、特に限定されない。
図3に示す例では、第2正極端子310Pは、正電極306Pに下側から接続する接続部310aと、平面視においてボトムセルモジュール3の外側に延びる第3延出部310bと、を有する。
接続部310aは、X軸方向において正電極306Pの短手幅以下の幅を有し、Y軸方向において正電極306Pの長手幅以下の幅を有する。例えば、接続部310aのY軸方向の幅は、第2セルコネクト311のY軸方向の幅と同程度でもよい。
第3延出部310bの延出方向の先端部には、外部配線を接続する目的で、端子電極310cが形成されている。第3延出部310bのX軸方向の延出長およびY軸方向の幅は、特に限定されない。
図3に示す例では、延出長は、第3延出部210bの延出長に等しく、Y軸方向の幅は、接続部310aの幅に等しい。
例えば、第2正極端子310Pは、第1負極端子210Nと同様の導体で形成される。
Y軸方向における第2正極端子310Pの配置位置は、平面視において、第1負極端子210N、第1ストリングコネクト212、および第2ストリングコネクト312と重ならない位置であれば、特に限定されない。
図6に示す例では、第2正極端子310Pは、Y軸方向において、第2正極端子310Pが設けられたボトムセルB
1における第2セルコネクト311と同様の位置に設けられている。
【0054】
ボトムセルストリングBs
4におけるボトムセルB
iの負電極306Nには、下側から第2負極端子310Nが接続されている。
第2負極端子310Nの構成は、負電極306Nと電気的に接続でき、ボトムセルモジュール3の負極の出力を外部に取り出す外部配線を接続できれば、特に限定されない。
第2負極端子310Nは、第2正極端子310Pと同様、負電極306Nに下側から接続する接続部310aと、平面視においてボトムセルモジュール3の外側に延びる第3延出部310bと、を有する。
第2負極端子310Nの形状は、第2正極端子310Pと異なっていてもよいいが、
図6に示す例では、第2正極端子310Pと同様である。
第2負極端子310Nにおける第3延出部310bの延出方向の先端部には、第2正極端子310Pと同様の端子電極310cが形成されている。
例えば、第2負極端子310Nは、第2正極端子310Pと同じ材質のリボン状の金属線のような導体で形成されるが、導通がとれれば材質や形状は特に限定されない。
Y軸方向における第2負極端子310Nの配置位置は、平面視において、第1正極端子210P、第1ストリングコネクト212、および第2ストリングコネクト312と重ならない位置であれば、特に限定されない。
図6に示す例では、第2負極端子310Nは、Y軸方向において、第2負極端子310Nが設けられたボトムセルB
1における第2セルコネクト311と同様の位置に設けられている。
【0055】
以上説明したボトムセルモジュール3の等価回路を説明する。
図9は、第1の実施形態のタンデム太陽電池におけるボトムセルモジュールの等価回路図である。
図9に示すように、各ボトムセルストリングBs
jにおけるボトムセルB
1-B
nは、第2セルコネクト311によって直列接続されている。
ボトムセルストリングBs
1-Bs
mは、第2ストリングコネクト312によって直列接続されている。
ボトムセルモジュール3は、n×m個のボトムセルB
iが直列で接続された回路構成を有する。
【0056】
ボトムセルストリングBs1におけるボトムセルB1の正電極306Pは、ボトムセルモジュール3の正極である。ボトムセルストリングBsmにおけるボトムセルB1の負電極306Nは、ボトムセルモジュール3の負極である。
第2正極端子310Pは、ボトムセルモジュール3の正極である正電極306Pに接続されている。
第2負極端子310Nは、ボトムセルモジュール3の負極である負電極306Nに接続されている。
ボトムセルモジュール3に入射光L’が入射することによって、ボトムセルモジュール3の各ボトムセルストリングBsjが発電すると、第2正極端子310Pと第2負極端子310Nとの間に電圧が生じる。第2正極端子310Pと第2負極端子310Nとに外部負荷を接続すると、第2正極端子310Pと第2負極端子310Nとから、発電出力を外部に取り出すことができる。
【0057】
以上説明したように、タンデム太陽電池1は、入射光Lの一部により発電するトップセルモジュール2と、トップセルモジュール2および絶縁層4を透過した入射光L’により発電するボトムセルモジュール3とが、Z軸方向に積層して配置されている。
特に、ボトムセルモジュール3における各ボトムセルBiとしては、バックコンタクト型太陽電池セルを使用しているので、セルコンタクトおよび電極による入射光L’の反射および吸収による光量損失が抑制される。これにより、ボトムセルモジュール3による発電量を増大させることができる。
【0058】
トップセルモジュール2は、外部出力端子として、第1負極端子210Nと第1正極端子210Pとを有する。ボトムセルモジュール3は、外部出力端子として、第2正極端子310Pと第2負極端子310Nとを有する。すなわち、タンデム太陽電池1は、トップセルモジュール2およびボトムセルモジュール3のそれぞれの発電出力を独立して外部に取り出すことができる4端子として、第1負極端子210N、第1正極端子210P、第2正極端子310P、および第2負極端子310Nを有する。
【0059】
例えば、タンデム電池内のトップセルモジュールとボトムセルモジュールとが、タンデム電池内で互いに電気的に接続され、タンデム太陽電池全体としての発電出力を正極端子および負極端子の2端子から取り出す構成も考えられる。この場合、複数のトップセルの接続形態と複数のボトムセルの接続形態とは、トップセルとボトムセルの電流比率に整合するように設定される必要がある。電流比率とは、想定される成分の光が入射したときに、トップセルとボトムセルのそれぞれが発電する電力の比率である。例えば、電流比率(トップセルの出力電流:ボトムセルの出力電流)を1:αで表すと、通常、ボトムセルの方が多くの電流を出力するため、α>1となる。
本実施形態のタンデム太陽電池1は、トップセルモジュール2の発電出力とボトムセルモジュール3の発電出力とを、それぞれ独立の回路を通して取り出すことができるので、各トップセルTiの接続形態と各ボトムセルBiの接続形態とを、トップセルTiとボトムセルBiとの電流比率に整合するように設定する必要がない。
このため、各トップセルTiの接続形態と、各ボトムセルBiの接続形態と、を自由に設定することができる。
【0060】
ただし、同サイズのトップセルTiとボトムセルBiの各定格出力電圧を比べると、トップセルTiの定格出力電圧は、ボトムセルBiの定格出力電圧に比べて格段に大きい。例えば、トップセルTiの定格出力電圧はボトムセルBiの定格出力電圧の約40倍である。ここで、定格出力電圧とは、AM1.5の太陽光が垂直入射した場合における、第1負極端子210Nと第1正極端子210Pとの間に生じたトップセルTiの電圧と、第2負極端子310Nと第2正極端子310Pとの間に生じたボトムセルBiの電圧とである。
タンデム太陽電池1としては、トップセルTiで効率10%、ボトムセルBiで効率20%を出して、トータル効率30%の発電を得る。トップセルモジュール2の効率と発電量とは、それぞれボトムセルモジュール3の効率と発電量との半分である。定格出力電圧が約40倍高いということは、定格出力電流がボトムセルモジュール3と比べて約80分の1と低いため、電力を取り出す外部回路はトップセル用とボトムセル用に電流と電圧の仕様が大きく異なることを意味する。このため、トップセルモジュール2の定格出力電圧は、ボトムセルモジュール3の定格電圧・定格電流に近づけることがより好ましい。
例えば、トップセルモジュール2において、並列接続のトップセルTiを増やせば、トップセルモジュール2の定格出力電圧を低減できる。
【0061】
並列接続のトップセルT
iを増やす場合の問題点について、比較例のタンデム太陽電池で説明する。
図10は、比較例のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
図10に示すように、比較例のタンデム太陽電池100は、タンデム太陽電池1のトップセルモジュール2に代えて、トップセルモジュール102を有する。以下、本実施形態のタンデム太陽電池1と異なる点を中心に説明する。ただし、n=6、m=4である。
【0062】
トップセルモジュール102は、3つの第1ストリングコネクト212に代えて、トップセルストリングTs1-Ts4を並列接続するストリングコネクト112P、112Nを有する以外は、トップセルモジュール2と同様である。トップセルモジュール102では、すべてのトップセルTiが並列接続されている。
【0063】
ストリングコネクト112Pは、各トップセルストリングTsjの正極同士を電気的に接続する。ストリングコネクト112Pは、第1線状部112aと、第2線状部112bと、を有する。
第1線状部112aは、各トップセルTnの正電極206Pに接続し、平面視において各トップセルT6からX軸負方向に延出する導体である。
【0064】
第2線状部112bは、各第1線状部112aの延出方向の先端と導通する線状の導体である。第2線状部112bは、各トップセルT6のX軸負方向の端部から、X軸負方向に離れた位置においてY軸方向に延びている。平面視において、第2線状部112bは、ボトムセルモジュール3のX軸負方向の外側に配置された第2ストリングコネクト312よりもX軸負方向に位置している。
最もY軸負方向に位置する第1線状部112aと、Y軸正方向における第2線状部112bの端部と、の接続部には、第1正極端子210Pが接続している。
例えば、第1線状部112aおよび第2線状部112bは、第1ストリングコネクト212と同様の導体で形成される。
【0065】
ストリングコネクト112Nは、各トップセルストリングTsjの負極同士を電気的に接続する。ストリングコネクト112Nは、第1線状部112aと、第2線状部112bと、を有する。
ストリングコネクト112Nにおける第1線状部112aは、各トップセルT1の負電極206Nに接続し、平面視において各トップセルT1からX軸正方向に延出することを除くと、ストリングコネクト112Pの第1線状部112aと同様である。
【0066】
ストリングコネクト112Nにおける第2線状部112bは、ストリングコネクト112Nの各第1線状部112aの延出方向の先端と導通する線状の導体である。ストリングコネクト112Nにおける第2線状部112bは、各トップセルT1のX軸正方向の端部から、X軸正方向に離れた位置でY軸方向に延びていることを除くとストリングコネクト112Pの第2線状部112bと同様である。ストリングコネクト112Nにおける第2線状部112bは、平面視において、ボトムセルモジュール3のX軸正方向の外側に配置された各第2ストリングコネクト312よりもX軸正方向に位置している。
ストリングコネクト112Nにおいて、最もY軸正方向に位置する第1線状部112aと、Y軸負方向における第2線状部112bの端部と、の接続部には、第1負極端子210Nが接続している。
【0067】
タンデム太陽電池100では、各トップセルストリングTsjを並列接続するために、少なくともX軸方向の両端部における各負電極206Nおよび各正電極206Pから外側に第1線状部112aを延出させ、両端部の各第1線状部112aをそれぞれ第2線状部112bで導通させる必要がある。
この結果、各第2ストリングコネクト312の線状部312cは、平面視において第1線状部112aと交差する位置関係にある。第2正極端子310Pに配線113Pを接続する場合には、平面視において配線113Pと第1線状部112aと交差する位置関係にある。第2正極端子310Pの延出長が第1線状部112aよりも長い場合には、平面視において第2正極端子310Pと第1線状部112aと交差する位置関係にある。
平面視において、第1線状部112aと交差する位置関係にある、線状部312c、配線113P、または第2正極端子310Pは、Z軸方向には離れているが、Z軸方向の外力が作用すると、互いに接触し、短絡するおそれがある。
短絡を防止するため、第1線状部112aと、線状部312c、配線113P、または第2正極端子310Pとの間には、絶縁物を挟む必要がある。このため、トップセルモジュール102およびボトムセルモジュール3の外側の構成が複雑になり、平面視の大きさも大型化する。
【0068】
これに対して、第1の実施形態に係るタンデム太陽電池1では、第1ストリングコネクト212が平面視において第2ストリングコネクト312とが交差しない位置関係に配置される。このため、第1ストリングコネクト212と、第2ストリングコネクト312との間に短絡防止用の絶縁物を配置しなくてもよい。第1ストリングコネクト212と、第2正極端子310Pおよび第2負極端子310Nとの関係も同様である。
この結果、タンデム太陽電池1では、トップセルモジュール2およびボトムセルモジュール3の外側の構成が簡素になる。
例えば、タンデム太陽電池1では、タンデム太陽電池1の上面および下面にそれぞれ保護フィルムを積層配置して、タンデム太陽電池1を上下方向に封止する場合、第1ストリングコネクト212と第2ストリングコネクト312との間に短絡防止用の絶縁物を配置することなく、各保護フィルムで、各第1ストリングコネクト212および各第2ストリングコネクト312を挟持することができる。
【0069】
さらに、比較例のタンデム太陽電池100は、第2線状部112bを線状部312cよりも外側に配置する必要がある。これに対して、本実施形態のタンデム太陽電池1では、第1ストリングコネクト212を線状部312cよりも内側に配置できるので、X軸方向の両端部における外形を小型化できる。
比較例のタンデム太陽電池100において、第2線状部112bを線状部312cよりも内側に配置することも考えられる。しかし、この場合、平面視において、第2線状部112bが線状部312cと交差する箇所が増えるので、短絡防止用の縁物をより広範囲に配置する必要がある。
【0070】
本実施形態のタンデム太陽電池1によれば、個数nを適宜設定することによって、n個のトップセルTiが並列接続されたトップセルストリングTsjにおける定格出力電圧と、n個のボトムセルBiが直列接続された各ボトムセルストリングBsjにおける定格出力電圧と、を近づけることができる。これにより、トップセルTiとボトムセルBiとの電流比率に整合する接続形態が得られる。
【0071】
以上説明した第1の実施形態によれば、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0072】
(第2の実施形態)
第2の実施形態のタンデム太陽電池を説明する。
図11は、第2の実施形態のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
図12は、
図11におけるF12部の斜視図である。
図13は、
図11におけるF13部の斜視図である。
【0073】
図11に示すように、本実施形態のタンデム太陽電池1Aは、第1の実施形態のタンデム太陽電池1におけるトップセルモジュール2に代えて、トップセルモジュール2Aを有する。トップセルモジュール2Aは、第1セルコネクト211に代えて、第1セルコネクト211Aを有する。タンデム太陽電池1Aは、第1の実施形態と同様のボトムセルモジュール3を有する。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0074】
第1セルコネクト211Aは、第1セルコネクト211と長さが異なることを除いて、第1セルコネクト211と同様である。第1セルコネクト211Aは、各トップセルストリングTsjのX軸方向の長さと同様の長さを有する。
各第1セルコネクト211Aは、各トップセルストリングTsjにおいて、異なるトップセルTiに跨がって、X軸方向における各負電極206Nの全体と、各正電極206Pの全体と、の上側に、それぞれ配置されている。各第1セルコネクト211Aは、第1セルコネクト211と同様にして、各負電極206Nおよび各正電極206Pに接合されている。
【0075】
図12に示すように、本実施形態における第1負極端子210Nは、第1セルコネクト211Aの上側に接合されることを除いて、第1の実施形態と同様に配置される。このため、
図11に示すように、平面視における第1負極端子210Nの配置は、第1の実施形態と同様である。斜視の図示は省略するが、第1正極端子210Pに関しても、第1セルコネクト211Aの上側に接合されることを除いて、第1の実施形態と同様に配置される。このため、
図11に示すように、平面視における第1正極端子210Pの配置は、第1の実施形態と同様である。
【0076】
図13に一例を示すように、本実施形態における第1ストリングコネクト212は、第1セルコネクト211A上に接合されることを除いて、第1の実施形態と同様に配置される。このため、
図11に示すように、平面視における第1ストリングコネクト212の配置は、第1の実施形態と同様である。
【0077】
本実施形態において、第1セルコネクト211Aは、各トップセルストリングTsjの各負電極206Nまたは各正電極206Pを互いに電気的に接続している。このため、各第1セルコネクト211Aは、各ボトムセルストリングBsjと対向する面の反対側の面側に設けられた第1電極部の例である。
【0078】
本実施形態のタンデム太陽電池1Aによれば、トップセルモジュール2Aは、第1の実施形態と同様、各トップセルTiがn並列m直列に配列されている。このため、タンデム太陽電池1Aは、タンデム太陽電池1と同様の回路構成を有する。
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
特に本実施形態によれば、第1セルコネクト211Aは、n個の負電極206Nまたはn個の正電極206P上に配置された後、n個の負電極206Nまたはn個の正電極206Pに接合することができる。このため、第1セルコネクト211Aは、第1セルコネクト211をn個配置する場合に比べて、より容易かつ迅速に配置できる。
【0079】
(第3の実施形態)
第3の実施形態のタンデム太陽電池を説明する。
図14は、第3の実施形態のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
【0080】
図14に示すように、本実施形態のタンデム太陽電池10は、第1の実施形態のタンデム太陽電池1を複数接続して形成される。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
タンデム太陽電池1の個数は特に限定されないが、
図14に示す例では、タンデム太陽電池1が6個接続されている。各タンデム太陽電池1を互いに区別する場合、それぞれタンデム太陽電池Sb
1、Sb
2、Sb
3、Sb
4、Sb
5、Sb
6と記載する。タンデム太陽電池Sb
1、Sb
2、Sb
3、Sb
4、Sb
5、Sb
6を総称する場合には、「タンデム太陽電池Sb
1-Sb
6」と記載する場合がある。
【0081】
タンデム太陽電池Sb
1-Sb
6のそれぞれは、第1の実施形態と同様、トップセルモジュール2およびボトムセルモジュール3を有している。タンデム太陽電池Sb
1-Sb
6では、各トップセルモジュール2同士と、各ボトムセルモジュール3同士と、が、それぞれ直列接続されている。
図14に示す例では、タンデム太陽電池Sb
1、Sb
2、Sb
3がX軸負方向にこの順に配置されている。タンデム太陽電池Sb
1、Sb
2、Sb
3のY軸正方向には、それぞれタンデム太陽電池Sb
4、Sb
5、Sb
6が配置されている。
タンデム太陽電池Sb
1の第1正極端子210Pおよび第2負極端子310Nは、それぞれ、配線を介在して、タンデム太陽電池Sb
2の第1負極端子210Nおよび第2正極端子310Pに電気的に接続されている。タンデム太陽電池Sb
2、Sb
3の間、タンデム太陽電池Sb
3、Sb
4の間、タンデム太陽電池Sb
4、Sb
5の間、およびタンデム太陽電池Sb
5、Sb
6の間も、それぞれ配線を介して同様に電気的に接続されている。
【0082】
このような接続により、タンデム太陽電池Sb1における第1負極端子210Nは、直列接続されたトップセルモジュール2の全体の発電出力を取り出す負極端子である第1負極端子20Nである。同様に、タンデム太陽電池Sb6における第1正極端子210Pは、直列接続されたトップセルモジュール2の全体の発電出力を取り出す正極端子である第1正極端子20Pである。
タンデム太陽電池Sb1における第2正極端子310Pは、直列接続されたボトムセルモジュール3の全体の発電出力を取り出す正極端子である第2正極端子30Pである。同様に、タンデム太陽電池Sb6における第2負極端子310Nは、直列接続されたボトムセルモジュール3の全体の発電出力を取り出す負極端子である第2負極端子30Nである。
第1正極端子20Pおよび第1負極端子20Nは、それぞれ、PCS(Power Conditioning System)11の入力端子12P、12Nに配線される。
第2正極端子30Pおよび第2負極端子30Nは、それぞれ、PCS11の入力端子13P、13Nに配線される。
PCS11は、入力端子12P、12N、13P、13Nに入力されたタンデム太陽電池10の発電出力を直流出力として、出力端子14P、14Nから出力する。
【0083】
本実施形態のタンデム太陽電池10は、トップセルモジュールとボトムセルモジュールとが、厚さ方向に重なったタンデムモジュールの例であるタンデム太陽電池Sb1-Sb6を有している。各タンデムモジュールにおける各トップセルモジュール2同士は電気的に接続されており、各ボトムセルモジュール3同士は電気的に接続されている。
タンデム太陽電池10は、第1正極端子20P、第1負極端子20N、第2正極端子30P、および第2負極端子30Nを有している。
第1正極端子20Pは、複数のタンデムモジュールのいずれか1つであるタンデム太陽電池Sb1におけるトップセルモジュール2の正極(第1正極端子210P)に電気的に接続されている。
第1負極端子20Nは、複数のタンデムモジュールのいずれか1つであるタンデム太陽電池Sb6におけるトップセルモジュール2の負極(第1負極端子210N)に電気的に接続されている。
第2正極端子30Pは、複数のタンデムモジュールのいずれか1つであるタンデム太陽電池Sb1におけるボトムセルモジュール3の正極(第2正極端子310P)に電気的に接続されている。
第2負極端子30Nは、複数のタンデムモジュールのいずれか1つであるタンデム太陽電池Sb6におけるボトムセルモジュール3の負極(第2負極端子310N)に電気的に接続されている。
【0084】
本実施形態のタンデム太陽電池10によれば、トップセルモジュール2およびボトムセルモジュール3が複数のタンデムモジュールに分かれている以外は、第1の実施形態と同様である。このため、第1の実施形態と同様、それぞれのタンデムモジュールにおいて、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0085】
以下、上述した各実施形態に関する変形例を説明する。
特に後述する第1~第6変形例は、第1または第2の実施形態におけるトップセルモジュール2、2Aにおける第1ストリングコネクト212および第1負極端子210Nの配置に関する変形例である。第1~第6変形例は、タンデム太陽電池1、1Aとトップセルモジュール2、2Aの構成のみが異なる。ただし、それぞれのトップセルモジュールの接続構成は、いずれも6並列4直列の例で説明する。
後述の第7、第8変形例は、ボトムセルモジュールのセルコネクトの配置の変形例を含む。
【0086】
(第1変形例)
図15は、第1変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
図15に示すように、本変形例のタンデム太陽電池1Bは、第1の実施形態のタンデム太陽電池1のトップセルモジュール2に代えてトップセルモジュール2Bを有する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0087】
トップセルモジュール2Bは、各第1ストリングコネクト212のX軸方向の配置位置がトップセルモジュール2における各第1ストリングコネクト212の配置位置と反対である。さらに、トップセルモジュール2Bは、第1負極端子210NがトップセルストリングTs1におけるX軸負方向の端部の負電極206Nに上側から接合され、第1正極端子210PがトップセルストリングTs4におけるX軸負方向の端部の正電極206Pに上側から接合されている。
トップセルモジュール2Bは、上述の2点を除くと、第1の実施形態におけるトップセルモジュール2と同様である。
【0088】
本変形例では、トップセルストリングTs1、Ts2は、X軸正方向の端部における負電極206Nと正電極206Pとに上側から接合された第1ストリングコネクト212によって電気的に接続されている。トップセルストリングTs3、Ts4も同様である。トップセルストリングTs2、Ts3は、X軸負方向の端部における負電極206Nと正電極206Pとに上側から接合された第1ストリングコネクト212によって電気的に接続されている。
【0089】
本変形例において、第2ストリングコネクト312の第2延出部312bは、平面視において、第1ストリングコネクト212の第1延出部212bとY軸方向に隣り合っている。隣り合っているとは、平面視において、第1延出部212bと第2延出部312bとが互いに重なっていないことである。このため、本変形例では、第1延出部212bと第2延出部312bとは、平面視において互いに離れて配置されている。
本変形例では、第1の実施形態とは異なり、平面視において、第2延出部312bは、いずれの第1延出部212bも外側から囲んでいない。このため、例えば、第2延出部312bのX軸方向への延出長を、第1の実施形態に比べて短くすることが可能である。さらに、平面視における、第1ストリングコネクト212と第2ストリングコネクト312との間の離間距離を長く取ることもできる。これにより、本変形例では、第1ストリングコネクト212と第2ストリングコネクト312とのさらなる絶縁性の向上を図ることができる。
【0090】
さらに本変形例では、X軸方向において、第1負極端子210Nおよび第1正極端子210Pが、第2正極端子310Pおよび第2負極端子310Nと反対側に設けられている。
これにより、トップセルモジュール2Bの出力と、ボトムセルモジュール3の発電出力とを、X軸方向において異なる方向から取り出すことができる。
【0091】
本変形例によれば、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
特に本変形例によれば、Y軸方向に隣り合うトップセルストリングTsj同士を接続する第1ストリングコネクト212と、このトップセルストリングTsjにそれぞれ重なるボトムセルストリングBsj同士を接続する第2ストリングコネクト312とを、X軸方向における反対位置で接続することができる。これにより、第1ストリングコネクト212と第2ストリングコネクト312とを互いに離すことができる。
【0092】
なお、本変形例において、第1負極端子210Nおよび第1正極端子210Pの一方を第2変形例と同様の位置に設ける変形が施されてもよい。
【0093】
(第2変形例)
図16は、第2変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
図16に示すように、本変形例のタンデム太陽電池1Cは、第1の実施形態のタンデム太陽電池1のトップセルモジュール2に代えてトップセルモジュール2Cを有する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0094】
トップセルモジュール2Cは、第1の実施形態と同様の第1ストリングコネクト212の他に、さらに3個の第1ストリングコネクト212が追加されている。
追加された第1ストリングコネクト212は、第1変形例における各第1ストリングコネクト212と同様の位置に配置されている。
これにより、本変形例では、トップセルストリングTs1-Ts4は、X軸方向の両端部における負電極206Nと正電極206Pとが第1ストリングコネクト212によって、それぞれ電気的に接続されている。
【0095】
本変形例によれば、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0096】
(第3変形例)
図17は、第3変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
図17に示すように、本変形例のタンデム太陽電池1Dは、第2変形例のタンデム太陽電池1Cのトップセルモジュール2Cに代えてトップセルモジュール2Dを有する。以下、第2変形例と異なる点を中心に説明する。
【0097】
トップセルモジュール2Dは、第1変形例と同様に、X軸方向において、第1負極端子210Nおよび第1正極端子210Pが、第2正極端子310Pおよび第2負極端子310Nと反対側に設けられていることを除くと、第2変形例と同様である。
【0098】
本変形例によれば、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0099】
(第4変形例)
図18は、第4変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
図18に示すように、本変形例のタンデム太陽電池1Eは、第2の実施形態のタンデム太陽電池1Aのトップセルモジュール2Aに代えてトップセルモジュール2Eを有する。以下、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0100】
トップセルモジュール2Eは、各第1ストリングコネクト212のX軸方向の配置位置がトップセルモジュール2Aにおける各第1ストリングコネクト212の配置位置と反対である。さらに、トップセルモジュール2Eは、第1負極端子210NがトップセルストリングTs1におけるX軸負方向の端部の第1セルコネクト211Aに上側から接合され、第1正極端子210PがトップセルストリングTs4におけるX軸負方向の端部の第1セルコネクト211Aに上側から接合されている。
トップセルモジュール2Eは、上述の2点を除くと、第2の実施形態におけるトップセルモジュール2Aと同様である。すなわち、本変形例は、第2の実施形態のタンデム太陽電池1Aに、第1変形例と同様の変形を施した例になっている。
【0101】
本変形例によれば、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0102】
(第5変形例)
図19は、第5変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
図19に示すように、本変形例のタンデム太陽電池1Fは、第2の実施形態のタンデム太陽電池1Aのトップセルモジュール2Aに代えてトップセルモジュール2Fを有する。以下、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0103】
トップセルモジュール2Fは、第2の実施形態と同様の第1ストリングコネクト212の他に、さらに3個の第1ストリングコネクト212が追加されている。
追加された第1ストリングコネクト212は、第4変形例における各第1ストリングコネクト212と同様の位置に配置されている。
これにより、本変形例では、トップセルストリングTs1-Ts4は、X軸方向の両端部における各第1セルコネクト211Aが第1ストリングコネクト212によって、それぞれ電気的に接続されている。
すなわち、本変形例は、第2の実施形態のタンデム太陽電池1Aに、第2変形例と同様の変形を施した例になっている。
【0104】
本変形例によれば、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0105】
(第6変形例)
図20は、第6変形例のタンデム太陽電池の例を示す平面図である。
図20に示すように、本変形例のタンデム太陽電池1Gは、第5変形例のタンデム太陽電池1Fのトップセルモジュール2Fに代えてトップセルモジュール2Gを有する。以下、第5変形例と異なる点を中心に説明する。
【0106】
トップセルモジュール2Gは、第4変形例と同様に、X軸方向において、第1負極端子210Nおよび第1正極端子210Pが、第2正極端子310Pおよび第2負極端子310Nと反対側に設けられていることを除くと、第5変形例と同様である。
【0107】
本変形例によれば、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0108】
(第7変形例)
図21は、第7変形例のタンデム太陽電池の例を示す裏面図である。
図21に示すように、本変形例のタンデム太陽電池1Hは、第1の実施形態のタンデム太陽電池1のボトムセルモジュール3に代えてボトムセルモジュール3Hを有する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0109】
ボトムセルモジュール3Hは、3個の第2ストリングコネクト312に代えて、2個の第2ストリングコネクト313Hと、1個の第2ストリングコネクト314Hと、を有する。
【0110】
各第2ストリングコネクト313Hは、Y軸方向の長さが短いことを除いて第2ストリングコネクト312と同様である。すなわち、各第2ストリングコネクト313Hは、線状部312cに代えて、線状部312cよりも短い線状部313cを有する。
各第2ストリングコネクト313Hは、X軸負方向の端部において、ボトムセルストリングBs1、Bs2と、ボトムセルストリングBs3、Bs4と、をそれぞれ直列に接続している。
【0111】
第2ストリングコネクト314Hは、Y軸方向の長さが長いことを除いて第2ストリングコネクト312と同様である。すなわち、第2ストリングコネクト314Hは、線状部312cに代えて、線状部312cよりも長い線状部314cを有する。
第2ストリングコネクト314Hは、X軸正方向の端部において、ボトムセルストリングBs2、Bs3を直列に接続している。
【0112】
本変形例におけるボトムセルストリングBs1では、第2ストリングコネクト313HのY軸正方向側の接続部312a、各第2セルコネクト311、および第2正極端子310PのY軸方向における中心線は、ボトムセルストリングBs1のY軸方向正方向の端部から距離y1(ただし、y1>y0/2)の位置でX軸方向に延びている。これらの中心線とボトムセルストリングBs1のY軸負方向の端部との距離はy2=y0-y1<y0/2である。
本変形例におけるボトムセルストリングBs2では、第2ストリングコネクト313HのY軸負方向側の接続部312a、各第2セルコネクト311、および第2ストリングコネクト314HのY軸正方向の接続部312aのY軸方向における中心線は、ボトムセルストリングBs2のY軸正方向の端部から距離y2の位置でX軸方向に延びている。
【0113】
本変形例におけるボトムセルストリングBs3では、第2ストリングコネクト313HのY軸正方向側の接続部312a、各第2セルコネクト311、および第2ストリングコネクト314HのY軸負方向の接続部312aのY軸方向における中心線が、ボトムセルストリングBs1と同様の位置関係にある。
本変形例におけるボトムセルストリングBs4では、第2ストリングコネクト313HのY軸負方向側の接続部312a、各第2セルコネクト311、および第2負極端子310NのY軸方向における中心線が、ボトムセルストリングBs2と同様の位置関係にある。
【0114】
本変形例は、ボトムセルBi同士の各正電極306P、各負電極306Nにおける接続位置が、すべて、Y軸方向において各正電極306P、各負電極306Nの中心からずれている例である。
特に、本変形例によれば、平面視において、第1負極端子210Nと第2正極端子310Pとの距離と、第1正極端子210Pと第2負極端子310Nとの距離とを、第1の実施形態よりも離すことができる。
【0115】
本変形例によれば、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0116】
(第8変形例)
図22は、第8変形例のタンデム太陽電池の例を示す裏面図である。
図22に示すように、本変形例のタンデム太陽電池1Iは、第1の実施形態のタンデム太陽電池1のボトムセルモジュール3に代えてボトムセルモジュール3Iを有する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0117】
ボトムセルモジュール3Iは、2個の第2ストリングコネクト312に代えて、第2ストリングコネクト313I、314Iと、を有する。
本変形例におけるボトムセルストリングBs1、Bs2は、第1の実施形態と同様、第2ストリングコネクト312によって直列に接続されている。
【0118】
第2ストリングコネクト313Iは、Y軸方向の長さが短いことを除いて第2ストリングコネクト312と同様である。すなわち、第2ストリングコネクト313Iは、線状部312cに代えて、線状部312cよりも短い線状部313dを有する。
第2ストリングコネクト313Iは、X軸負方向の端部において、ボトムセルストリングBs3、Bs4を直列に接続している。
【0119】
第2ストリングコネクト314Iは、Y軸方向の長さが長いことを除いて第2ストリングコネクト312と同様である。すなわち、第2ストリングコネクト314Iは、線状部312cに代えて、線状部312cよりも長い線状部314dを有する。
第2ストリングコネクト314Iは、X軸正方向の端部において、ボトムセルストリングBs2、Bs3を直列に接続している。
第2ストリングコネクト314IにおけるY軸正方向の接続部312aは、ボトムセルB1における負電極306NのY軸方向の中心において負電極306Nと電気的に接続している。
【0120】
本変形例におけるボトムセルストリングBs3では、第2ストリングコネクト313IのY軸正方向側の接続部312a、各第2セルコネクト311、および第2ストリングコネクト314IのY軸負方向の接続部312aのY軸方向における中心線は、ボトムセルストリングBs3のY軸正方向の端部から距離y4(ただし、y4>y0/2)の位置でX軸方向に延びている。これらの中心線とボトムセルストリングBs3のY軸負方向の端部との距離はy5=y0-y4<y0/2である。
本変形例におけるボトムセルストリングBs4では、第2ストリングコネクト313IのY軸負方向側の接続部312a、各第2セルコネクト311、および第2負極端子310NのY軸方向における中心線が、ボトムセルストリングBs4のY軸方向の中心においてX軸方向に延びている。
【0121】
本変形例は、ボトムセルBi同士の各正電極306P、各負電極306Nにおける接続位置が、ボトムセルストリングBs3のみで、Y軸方向において各正電極306P、各負電極306Nの中心からずれている例である。
【0122】
本変形例によれば、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0123】
以下、上述の各実施形態および各変形例に適用可能ないくつかの変形例を説明する。
【0124】
上述の各実施形態および各変形例では、ボトムセルBiがバックコンタクト型太陽電池セルの例で説明した。しかし、ボトムセルBiはバックコンタクト型太陽電池セルには限定されない。例えば、ボトムセルBiは、結晶系シリコン太陽電池、単結晶、多結晶、アモルファス等のシリコン系太陽電池、CIS系、CIGS系の化合物太陽電池などであってもよい。以下、結晶系シリコン太陽電池の例を説明する。
【0125】
図23は、各実施形態および各変形例に用いることができる結晶系シリコン太陽電池の例を示す断面図である。
図23に示すように、ボトムセルストリング500は、複数のボトムセル510が直列接続されている。
各ボトムセル510は、Z軸負方向において、n電極511、反射防止膜512、n型半導体513、p型半導体514、およびp電極515がこの順に積層されている。
ボトムセル510は、入射光L’を受光すると、p型半導体514とn型半導体513との間に電圧を発生させる。発生した電圧は、p電極515とn電極511との間の電圧となる。
互いに隣接するボトムセル510同士のp電極515とn電極511とには、導体で形成されるセルインターコネクタ520によって互いに電気的に接続されている。これにより、ボトムセルストリング500の各ボトムセル510が直列に接続されている。なお、
図23では、セルインターコネクタ520は模式的に表されているため、ボトムセル510の厚さ方向(Z軸方向)における上方および下方に突出している。各セルインターコネクタ520は、ボトムセル510の厚さ方向(Z軸方向)のいずれかの位置に配置される。
【0126】
上述の各実施形態および各変形例では、トップセルモジュールにおいて、表面透明電極層205、裏面透明電極層202が用いられた例で説明した。しかし、トップセルモジュールにおける電極は、メッシュ状に形成された電極であり、メッシュの間隙に光を透過させる構成でもよい。
ボトムセル510におけるp電極515も同様の電極構造を採用できる。
【0127】
上述の各実施形態および各変形例では、トップセルTiおよびボトムセルBiの平面視の外形が矩形の例で説明した。しかし、トップセルTiおよびボトムセルBiの外形は、矩形には限定されない。例えば、矩形の角が落とされたり丸められた形状、矩形以外の多角形などでもよい。
【0128】
上述の各実施形態および各変形例では、トップセルモジュールおよびボトムセルモジュールの外形が、矩形の例で説明した。しかし、トップセルモジュールおよびボトムセルモジュールの外形は、矩形には限定されない。例えば、トップセルストリングTsjおよびボトムセルストリングBsjのX軸方向の長さを変えて接続することによって、例えば、略台形状、略多角形状などの矩形以外の形状が形成できる。
【0129】
上述の各実施形態および各変形例では、タンデム太陽電池において、第1正極端子、第1負極端子、第2正極端子、および第2負極端子がすべて第3延出部を形成している例で説明した。しかし、第1正極端子、第1負極端子、第2正極端子、および第2負極端子は第3延出部を形成しなくてもよい。第1正極端子、第1負極端子、第2正極端子、もしくは第2負極端子、またはそれらの組合せが第3延出部を形成していてもよい。
【0130】
上述の各実施形態および各変形例では、バイパスダイオードを有しない例で説明した。しかし、タンデム太陽電池は、バイパスダイオードを含んでもよい。
【0131】
上述の第3の実施形態では、複数のタンデムモジュールが直列接続されたタンデム太陽電池の例で説明した。しかし、複数のタンデムモジュールの接続は、直列接続には限定されない。例えば、複数のタンデムモジュールの接続は、並列接続のみでもよいし、直列接続と並列接続とが混在してもよい。
第3の実施形態では、第1負極端子20Nおよび第2正極端子30Pがタンデム太陽電池Sb1に、第1正極端子20Pおよび第2負極端子30Nがタンデム太陽電池Sb6に設けられた例で説明した。しかし、第1負極端子20N、第1正極端子20P、第2正極端子30P、および第2負極端子30Nは、複数のタンデムモジュールの接続構成に応じて、複数のタンデムモジュールのどれに設けられていてもよい。
【0132】
上述の第3の実施形態では、複数のタンデムモジュールが、いずれもタンデム太陽電池1と同様の構成を有する例で説明した。しかし、複数のタンデムモジュールは、異なる構成のタンデムモジュールが含まれていてもよい。例えば、タンデムモジュールとして、上述した第2の実施形態のタンデム太陽電池、第1~第8変形例のタンデム太陽電池が含まれていてもよいし、これ以外のタンデム太陽電池が含まれてもよい。
【0133】
上述の第3の実施形態では、複数のタンデムモジュールが、それぞれ、4つの外部出力端子を有しており、第1正極端子20P、第1負極端子20N、第2正極端子30P、および第2負極端子30N以外の外部出力端子同士が電気的に接続されている例で説明した。すなわち、第3の実施形態では、複数のタンデムモジュールとして、それぞれ独立使用可能なタンデム太陽電池を構成している。しかし、複数のタンデムモジュールは、それぞれを単独使用可能な4つの外部出力端子を有しない構成でもよい。すなわち、複数のタンデムモジュールは、第1正極端子20P、第1負極端子20N、第2正極端子30P、および第2負極端子30N以外の外部出力端子を有しなくてもよい。
【0134】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、複数のトップセルが電気的に接続されたトップセルストリングと、前記トップセルの厚さ方向から見た平面視において前記トップセルストリングと重なるように配置され、複数のボトムセルが電気的に接続されたボトムセルストリングと、複数の前記トップセルストリングが電気的に接続されたトップセルモジュールと、前記平面視において前記トップセルモジュールの外側に延びる第1延出部を有する第1ストリングコネクトと、複数の前記ボトムセルストリングが電気的に接続されたボトムセルモジュールと、前記平面視において前記ボトムセルモジュールの外側に延びる第2延出部を有する第2ストリングコネクトと、を備え、前記第1延出部と前記第2延出部とは、前記平面視において互いに離れて配置されているので、簡素な構成によってトップセルモジュールとボトムセルモジュールとの絶縁性を向上することができるタンデム太陽電池を提供することができる。
【0135】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。