(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】印刷物、印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/20 20060101AFI20240717BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20240717BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
B32B27/20 A
B41M5/00 112
B41J2/01 501
(21)【出願番号】P 2019057276
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】舩木 速人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良介
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-038194(JP,A)
【文献】特開2003-300377(JP,A)
【文献】特開2005-035006(JP,A)
【文献】特開2001-071443(JP,A)
【文献】特開2004-154963(JP,A)
【文献】特開2017-115434(JP,A)
【文献】特開平11-198521(JP,A)
【文献】特開2003-160750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0118359(US,A1)
【文献】特開2004-181957(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2000-0030005(KR,A)
【文献】特表2001-504396(JP,A)
【文献】楽しく学べる知恵袋 色色雑学 色の数値化には、表色系を使用します。1,KONICA MINOLTA JAPAN, INC.,https://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/color/section2/02.html
【文献】楽しく学べる知恵袋 色色雑学 濃度計のツボ,KONICA MINOLTA JAPAN, INC,https://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/fluorescence_point/colorimetry/index.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
B41M
C08J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面の色相が、明度をL
*で表し、色相
と彩度を示す色度を
a
*
、b
*で表すCIE-L
*a
*b
*色空間において、色相を示す色度の範囲が0以上+7以下の範囲内、彩度を示す色度の範囲
が0以上+5以下の範囲内、明度の範囲が55以上80以下の範囲内であり、且つ酸化チタンを配合した白色顔料と、カーボンブラックを配合した黒色顔料と、を
グレー色の塩化ビニルフィルムに含ませた灰色のベース基材と、
前記ベース基材の前記一方の面に積層され、且
つ着色剤として
有機顔料の
みを含む溶剤系有機顔料インクにより形成された絵柄層と、を備え、
前記酸化チタンの配合量は、2.0%以上であり、
前記CIE-L
*a
*b
*色空間では、a
*が赤方向を示し、-a
*が緑方向を示し、b
*が黄方向を示し、-b
*が青方向を示すことを特徴とする印刷物。
【請求項2】
一方の面の色相が、明度をL
*で表し、色相
と彩度を示す色度を
a
*
、b
*で表すCIE-L
*a
*b
*色空間において、色相を示す色度の範囲が-10以上-0.4以下の範囲内、彩度を示す色度の範囲が+3.0以上+15以下の範囲内、明度の範囲が84以上90以下又は95.7以上100以下の範囲内であり、且つ
白色基材シートに、バインダーとしての
アクリル系樹脂に
大理石及び珪砂を含む着色細骨材を配合し
て形成した白色のベース基材と、
前記ベース基材の前記一方の面に積層され、且
つ着色剤として
無機顔料の
みを含むカチオンUV系無機顔料インクにより形成された絵柄層と、を備え、
前記CIE-L
*a
*b
*色空間では、a
*が赤方向を示し、-a
*が緑方向を示し、b*が黄方向を示し、-b
*が青方向を示すことを特徴とする印刷物。
【請求項3】
前記着色剤は、有機顔料及び無機顔料のうち少なくとも1つを含み、
前記無機顔料は、コバルトブルー、酸化鉄、黄色酸化鉄、カーボンブラックのうち少なくとも1つを含み、
前記有機顔料は、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.Disperse Blue60(C)、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.Disperse Red302(M)、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.Disperse Yellow149(Y)、カーボンブラック(K)のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した印刷物。
【請求項4】
一方の面の色相が、明度をL
*で表し、色相
と彩度を示す色度を
a
*
、b
*で表すCIE-L
*a
*b
*色空間において、色相を示す色度の範囲が-10以上-0.5以下の範囲内、彩度を示す色度の範囲が+3.0以上+15以下の範囲内、明度の範囲が84以上90以下又は95.7以上100以下の範囲内であり、且つ酸化チタンを配合した白色顔料をPPフィルムに含ませた白色のベース基材を形成するベース基材形成工程と、
前記一方の面に対し
、着色剤として
有機顔料の
みを含むラジカルUV系有機顔料インクを用いてインクジェット印刷法により画像を形成することで、前記ベース基材の前記一方の面に積層された絵柄層を形成する絵柄層形成工程と、を備え、
前記ベース基材形成工程では、前記酸化チタンの配合量を2.0%以上とし、
前記CIE-L
*a
*b
*色空間では、a
*が赤方向を示し、-a
*が緑方向を示し、b
*が黄方向を示し、-b
*が青方向を示すことを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項5】
一方の面の色相が、明度をL
*で表し、色相
と彩度を示す色度を
a
*
、b
*で表すCIE-L
*a
*b
*色空間において、色相を示す色度の範囲が0以上+7以下の範囲内、彩度を示す色度の範囲
が0以上+5以下の範囲内、明度の範囲が55以上80以下の範囲内であり、且つ酸化チタンを配合した白色顔料と、カーボンブラックを配合した黒色顔料と、を
グレー色の塩化ビニルフィルムに含ませた灰色のベース基材を形成するベース基材形成工程と、
前記一方の面に対し
、着色剤として
有機顔料の
みを含む溶剤系有機顔料インクを用いてインクジェット印刷法により画像を形成することで、前記ベース基材の前記一方の面に積層された絵柄層を形成する絵柄層形成工程と、を備え、
前記ベース基材形成工程では、前記酸化チタンの配合量を2.0%以上とし、
前記CIE-L
*a
*b
*色空間では、a
*が赤方向を示し、-a
*が緑方向を示し、b
*が黄方向を示し、-b
*が青方向を示すことを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項6】
一方の面の色相が、明度をL
*で表し、色相
と彩度を示す色度を
a
*
、b
*で表すCIE-L
*a
*b
*色空間において、色相を示す色度の範囲が-10以上-0.4以下の範囲内、彩度を示す色度の範囲が+3.0以上+15以下の範囲内、明度の範囲が84以上90以下又は95.7以上100以下の範囲内であり、且つ
白色基材シートに、バインダーとしての
アクリル系樹脂に
大理石及び珪砂を含む着色細骨材を配合し
て形成した白色のベース基材を形成するベース基材形成工程と、
前記一方の面に対し、
無機顔料の
みを含むカチオンUV系無機顔料インクを用いてインクジェット印刷法により画像を形成することで、前記ベース基材の前記一方の面に積層された絵柄層を形成する絵柄層形成工程と、を備え、
前記CIE-L
*a
*b
*色空間では、a
*が赤方向を示し、-a
*が緑方向を示し、b
*が黄方向を示し、-b
*が青方向を示すことを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項7】
前記着色剤は、有機顔料及び無機顔料のうち少なくとも1つを含み、
前記無機顔料は、コバルトブルー、酸化鉄、黄色酸化鉄、カーボンブラックのうち少なくとも1つを含み、
前記有機顔料は、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.Disperse Blue60(C)、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.Disperse Red302(M)、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.Disperse Yellow149(Y)、カーボンブラック(K)のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4
又は請求項
5に記載した印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、インクジェットヘッドから吐出したインクを用いた印刷物と、印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物に絵柄を印刷する技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、インクジェット印刷法を用いた技術がある。特許文献1に開示されている技術では、紫外線等の光を照射することにより硬化するインクを用いたインクジェット印刷法により、印刷物に絵柄を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェット印刷法では、印刷の対象とする基材の表面から一定の距離を空けて印刷を行なう。基材に絵柄を印刷した際の意匠の表現性やインクの密着性は、基材の表面における色相(色味)の影響を受けるが、さらに、基材の材質や、基材に添加されている顔料・骨材等の表面状態の影響も受ける。
特に、印刷の対象とする基材は、印刷の柄に応じて特定の色相範囲に設定しておく場合が多い。また、特定の色相範囲にするためには、基材に着色顔料や着色細骨材等を添加する場合が多く、これらの成分に対するインクの相性も、意匠の表現性やインクの密着性に影響を与える。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術を含め、従来の技術では、特定の色相を有する基材の表面へ、インクジェット印刷法によって絵柄を印刷する際の、意匠の表現性やインクの密着性が低いという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特定の色相を有する基材の表面へ、インクジェット印刷法によって絵柄を印刷する際の、意匠の表現性やインクの密着性を向上させることが可能な印刷物と、印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ベース基材と、ベース基材の一方の面に積層された絵柄層を備える印刷物である。ベース基材は、一方の面の色相が、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲が-10以上+5以下の範囲内、彩度範囲が-15以上+15以下の範囲内、L*範囲が84以上100以下の範囲内である。これに加え、ベース基材は、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料を含む。絵柄層は、着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含むインクにより形成されている。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ベース基材と、ベース基材の一方の面に積層された絵柄層を備える印刷物である。ベース基材は、一方の面の色相が、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲が-7以上+7以下の範囲内、彩度範囲が-10以上+15以下の範囲内、L*範囲が55以上84以下の範囲内である。これに加え、ベース基材は、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料と、金属酸化物及びカーボンブラックのうち少なくとも一方を配合した黒色顔料を含む。絵柄層は、着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含むインクにより形成されている。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ベース基材と、ベース基材の一方の面に積層された絵柄層を備える印刷物の製造方法である。印刷物の製造方法は、ベース基材形成工程と、絵柄層形成工程を備える。ベース基材形成工程では、一方の面の色相が、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲が-10以上+5以下の範囲内、彩度範囲が-15以上+15以下の範囲内、L*範囲が84以上100以下の範囲内であるベース基材を形成する。これに加え、ベース基材形成工程では、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料を含むベース基材を形成する。絵柄層形成工程では、ベース基材の一方の面に対し、着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含むインクを用いてインクジェット印刷法により画像を形成することで、絵柄層を形成する。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ベース基材と、ベース基材の一方の面に積層された絵柄層を備える印刷物の製造方法である。印刷物の製造方法は、ベース基材形成工程と、絵柄層形成工程を備える。ベース基材形成工程では、一方の面の色相が、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲が-7以上+7以下の範囲内、彩度範囲が-10以上+15以下の範囲内、L*範囲が55以上84以下の範囲内であるベース基材を形成する。これに加え、ベース基材形成工程では、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料と、金属酸化物及びカーボンブラックのうち少なくとも一方を配合した黒色顔料を含むベース基材を形成する。絵柄層形成工程では、ベース基材の一方の面に対し、着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含むインクを用いてインクジェット印刷法により画像を形成することで、絵柄層を形成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、特定の色相を有する基材の表面へ、インクジェット印刷法によって絵柄を印刷する際の、意匠の表現性やインクの密着性を向上させることが可能な印刷物と、印刷物の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態における印刷物の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本技術の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本技術の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」になり、「右」が「左」になることは勿論である。
【0013】
(第1実施形態)
以下、
図1を参照して、印刷物10の構成について説明する。
印刷物10は、
図1に示すように、ベース基材1と、絵柄層2を備える。
【0014】
(ベース基材)
ベース基材1の材料は、特に限定されるものではなく、公知の印刷媒体を用いることが可能である。
したがって、ベース基材1の材料としては、例えば、上質紙、コート紙、アート紙、キャスト紙、合成紙、インクジェット専用紙等の紙基材;ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリスチレン、発泡スチロール、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート等のプラスチック基材;ガラス基材;布帛基材;有機樹脂に細骨材等の無機材料を配合してシート化した基材等を用いることが可能である。
【0015】
ベース基材1の表面は、滑らかであっても、凹凸が形成されたものであってもよい。
また、ベース基材1の形状も、特に限定されることなく、例えば、フィルム状、シート状、板状としてもよい。
なお、ベース基材1の材料としては、一種類に限定するものではなく、二種類以上の印刷可能な媒体を互いに貼り合わせたものを用いてもよい。
【0016】
ベース基材1の色は、白色又は灰色(グレー色)とする。
ベース基材1の色を白色とする場合、ベース基材1の表面の色相を、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲を-10以上+5以下の範囲内、彩度範囲を-15以上+15以下の範囲内、L*範囲を84以上100以下の範囲内とする。
ベース基材1の色を灰色とする場合、ベース基材1の表面の色相を、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲を-7以上+7以下の範囲内、彩度範囲を-10以上+15以下の範囲内、L*範囲を55以上84以下の範囲内とする。
【0017】
なお、ベース基材1の表面とは、ベース基材1の一方の面(
図1では、上側の面)である。
また、CIE-L
*a
*b
*色空間は、「CIELab色空間」や「CIE1976L
*a
*b
*色空間」とも呼称される。
ベース基材1の表面の色相を、上述した色相範囲、彩度範囲及びL
*範囲に設定するためには、ベース基材1に対して、着色顔料等の着色剤を配合した顔料を含ませる。
着色剤としては、金属酸化物(例えば、酸化チタン、亜鉛華)、金属硫化物(例えば、硫化亜鉛)、硫酸塩(例えば、硫酸バリウム)、炭酸塩(例えば、鉛白、炭酸カルシウム)のうち、少なくとも一つを用いる。
【0018】
ベース基材1の色を白色とする場合には、ベース基材1に対して、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料を含ませる。
ベース基材1の色を灰色とする場合には、ベース基材1に対して、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料と、金属酸化物及びカーボンブラックのうち少なくとも一方を配合した黒色顔料を含ませる。
なお、ベース基材1の表面の色相を測定する色差計としては、例えば、コニカミノルタ社製の「CR-400」を用いる。この場合、例えば、標準白色板:Y=83.8、x=0.3184、y=0.3348(D65)を基準として、色相を測定する。
【0019】
(絵柄層)
絵柄層2は、ベース基材1に積層されている。具体的に、絵柄層2は、
図1において、ベース基材1の表面に積層されており、ベース基材1の表面全体を覆うように形成されている。なお、形成する絵柄に応じて、ベース基材1が露出した部分が存在していても構わない。
また、絵柄層2は、インクジェット印刷法を用いて形成されている。
インクジェット印刷法に用いるインクとしては、水系、溶剤系、UV系等、各種のインクを用いることが可能である。また、インクの系は、印刷の対象となるベース基材1の種類等に応じて、適宜選択することが可能である。
インクの成分としては、着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含んでおり、使用するインクの色に合わせて、顔料や染料を用いることが可能である。
顔料として好適に用いることが可能なものとしては、例えば、無機顔料、有機顔料、ブラック顔料がある。
【0020】
無機顔料の一例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、弁柄、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等を用いることが可能である。
有機顔料の一例としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等を用いることが可能である。
【0021】
具体的な有機顔料として、マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット23等を用いることが可能である。
【0022】
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等を用いることが可能である。
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等を用いることが可能である。
【0023】
ブラック顔料としては、例えば、ファーネス法やチャネル法で製造されたカーボンブラックを用いることが可能である。また、ブラック顔料としては、カーボンブラックの他にも、例えば、アニリンブラック、ルモゲンブラック、アゾメチンアゾブラック等を用いることが可能である。また、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料や、ブラウン顔料、オレンジ顔料等の有彩色顔料を複数使用して、ブラック顔料とすることも可能である。 染料としては、酸性染料、反応性染料、分散染料等を用いることが可能である。具体的な化合物としては、酸性染料や反応性染料等を用いることが可能である。
【0024】
<酸性染料>
酸性染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー2、3、7、17、19、23、25、29、38、42、49、59、61、72、99、C.I.アシッドオレンジ56、64、C.I.アシッドレッド1、8、14、18、26、32、37、42、52、57、72、74、80、87、115、119、131、133、134、143、154、186、249、254、256、C.I.アシッドバイオレット11、34、75、C.I.アシッドブルー1、7、9、29、87、126、138、171、175、183、234、236、249、C.I.アシッドグリーン9、12、19、27、41、C.I.アシッドブラック1、2、7、24、26、48、52、58、60、94、107、109、110、119、131、155を用いることが可能である。
【0025】
<反応性染料>
反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブイエロー1、2、3、13、14、15、17、37、42、76、95、168、175、C.I.リアクティブレッド2、6、11、21、22、23、24、33、45、111、112、114、180、218、226、228、235、C.I.リアクティブブルー7、14、15、18、19、21、25、38、49、72、77、176、203、220、230、235、C.I.リアクティブオレンジ5、12、13、35、95、C.I.リアクティブブラウン7、11、33、37、46、C.I.リアクティブグリーン8、19、C.I.リアクティブバイオレット2、4、6、8、21、22、25、C.I.リアクティブブラック5、8、31、39を用いることが可能である。
【0026】
また、分散染料としては、例えば、アゾ系分散染料、キノン系分散染料、アントラキノン系分散染料、キノフタロン系分散染料等種々の分散染料を用いることが可能である。具体的な化合物としては、例えば、C.I.Disperse Yellow3,4,5,7,9,13,23,24,30,33,34,42,44,49,50,51,54,56,58,60,63,64,66,68,71,74,76,79,82,83,85,86,88,90,91,93,98,99,100,104,108,114,116,118,119,122,124,126,135,140,141,149,160,162,163,164,165,179,180,182,183,184,186,192,198,199,202,204,210,211,215,216,218,224,227,231,232、C.I.Disperse Orange1,3,5,7,11,13,17,20,21,25,29,30,31,32,33,37,38,42,43,44,45,46,47,48,49,50,53,54,55,56,57,58,59,61,66,71,73,76,78,80,89,90,91,93,96,97,119,127,130,139,142、C.I.Disperse Red1,4,5,7,11,12,13,15,17,27,43,44,50,52,53,54,55,56,58,59,60,65,72,73,74,75,76,78,81,82,86,88,90,91,92,93,96,103,105,106,107,108,110,111,113,117,118,121,122,126,127,128,131,132,134,135,137,143,145,146,151,152,153,154,157,159,164,167,169,177,179,181,183,184,185,188,189,190,191,192,200,201,202,203,205,206,207,210,221,224,225,227,229,239,240,257,258,277,278,279,281,288,298,302,303,310,311,312,320,324,328、C.I.Disperse Violet1,4,8,23,26,27,28,31,33,35,36,38,40,43,46,48,50,51,52,56,57,59,61,63,69,77、C.I.Disperse Green9、C.I.Disperse Brown1,2,4,9,13,19、C.I.Disperse Blue3,7,9,14,16,19,20,26,27,35,43,44,54,55,56,58,60,62,64,71,72,73,75,79,81,82,83,87,91,93,94,95,96,102,106,108,112,113,115,118,120,122,125,128,130,139,141,142,143,146,148,149,153,154,158,165,167,171,173,174,176,181,183,185,186,187,189,197,198,200,201,205,207,211,214,224,225,257,259,267,268,270,284,285,287,288,291,293,295,297,301,315,330,333、C.I.Disperse Black1,3,10,24等を用いることが可能である。
【0027】
(印刷物10の製造方法)
以下、
図1を参照して、第1実施形態の印刷物10を製造するための製造方法(印刷物10の製造方法)を説明する。
印刷物10の製造方法は、ベース基材1を形成するベース基材形成工程と、絵柄層2を形成する絵柄層形成工程を備える。
絵柄層形成工程では、ベース基材1の表面に対し、着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含むインクを用いて、インクジェット印刷法により画像を形成することで、絵柄層2を形成する。
絵柄層形成工程で用いる着色剤は、有機顔料及び無機顔料のうち少なくとも1つを含む。
着色剤が含む無機顔料は、コバルトブルー、酸化鉄、黄色酸化鉄、カーボンブラックのうち少なくとも1つを含む。
【0028】
着色剤が含む有機顔料は、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.Disperse Blue60(C)、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.Disperse Red302(M)、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.Disperse Yellow149(Y)、カーボンブラック(K)のうち少なくとも1つを含む。
なお、上述した第1実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第1実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0029】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態の印刷物10であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)ベース基材1と、ベース基材1の表面に積層され、且つ着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含むインクにより形成された絵柄層2を備える。これに加え、ベース基材1が、表面の色相が、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲が-10以上+5以下の範囲内、彩度範囲が-15以上+15以下の範囲内、L*範囲が84以上100以下の範囲内である。さらに、ベース基材1が、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料を含む。
その結果、白色顔料を含む白色のベース基材1へ印刷して加飾する際に、ベース基材1へのインキ密着が良好であるとともに、ベース基材1の色を活かしつつ意匠表現が良好な印刷物10を形成することが可能となる。
これにより、特定の色相を有するベース基材1の表面へ、インクジェット印刷法によって絵柄を印刷する際の、意匠の表現性やインクの密着性を向上させることが可能な印刷物10を提供することが可能となる。
【0030】
(2)ベース基材1と、ベース基材1の表面に積層され、且つ着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含むインクにより形成された絵柄層2を備える。これに加え、ベース基材1が、表面の色相が、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲が-7以上+7以下の範囲内、彩度範囲が-10以上+15以下の範囲内、L*範囲が55以上84以下の範囲内である。さらに、ベース基材1が、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料と、金属酸化物及びカーボンブラックのうち少なくとも一方を配合した黒色顔料と、を含む。
その結果、白色顔料と黒色顔料を含む灰色のベース基材1へ印刷して加飾する際に、ベース基材1へのインキ密着が良好であるとともに、ベース基材1の色を活かしつつ意匠表現が良好な印刷物10を形成することが可能となる。
これにより、特定の色相を有するベース基材1の表面へ、インクジェット印刷法によって絵柄を印刷する際の、意匠の表現性やインクの密着性を向上させることが可能な印刷物10を提供することが可能となる。
【0031】
(3)インクが含む着色剤が、有機顔料及び無機顔料のうち少なくとも1つを含み、無機顔料は、コバルトブルー、酸化鉄、黄色酸化鉄、カーボンブラックのうち少なくとも1つを含む。これに加え、有機顔料は、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.Disperse Blue60(C)、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.Disperse Red302(M)、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.Disperse Yellow149(Y)、カーボンブラック(K)のうち少なくとも1つを含む。
その結果、絵柄層2のバリエーションを増加させることが可能となり、意匠の表現性を向上させることが可能な印刷物10を提供することが可能となる。
また、第1実施形態の印刷物の製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
【0032】
(4)ベース基材形成工程と、絵柄層形成工程を備える。ベース基材形成工程では、表面の色相が、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲が-10以上+5以下の範囲内、彩度範囲が-15以上+15以下の範囲内、L*範囲が84以上100以下の範囲内であるベース基材1を形成する。これに加え、ベース基材形成工程では、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料を含むベース基材1を形成する。絵柄層形成工程では、ベース基材1の表面に対し、着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含むインクを用いてインクジェット印刷法により画像を形成することで、絵柄層2を形成する。
その結果、白色顔料を含む白色のベース基材1へ印刷して加飾する際に、ベース基材1へのインキ密着が良好であるとともに、ベース基材1の色を活かしつつ意匠表現が良好な印刷物10を形成することが可能となる。
これにより、特定の色相を有するベース基材1の表面へ、インクジェット印刷法によって絵柄を印刷する際の、意匠の表現性やインクの密着性を向上させることが可能な印刷物の製造方法を提供することが可能となる。
【0033】
(5)ベース基材形成工程と、絵柄層形成工程を備える。ベース基材形成工程では、表面の色相が、CIE-L*a*b*色空間において、色相範囲が-7以上+7以下の範囲内、彩度範囲が-10以上+15以下の範囲内、L*範囲が55以上84以下の範囲内であるベース基材1を形成する。これに加え、ベース基材形成工程では、金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、炭酸塩のうち少なくとも一つを配合した白色顔料と、金属酸化物及びカーボンブラックのうち少なくとも一方を配合した黒色顔料を含むベース基材1を形成する。絵柄層形成工程では、ベース基材1の表面に対し、着色剤としての顔料及び分散剤、又は、着色剤としての染料を含むインクを用いてインクジェット印刷法により画像を形成することで、絵柄層2を形成する。
その結果、白色顔料と黒色顔料を含む灰色のベース基材1へ印刷して加飾する際に、ベース基材1へのインキ密着が良好であるとともに、ベース基材1の色を活かしつつ意匠表現が良好な印刷物10を形成することが可能となる。
これにより、特定の色相を有するベース基材1の表面へ、インクジェット印刷法によって絵柄を印刷する際の、意匠の表現性やインクの密着性を向上させることが可能な印刷物の製造方法を提供することが可能となる。
【0034】
(6)インクが含む着色剤が、有機顔料及び無機顔料のうち少なくとも1つを含み、無機顔料は、コバルトブルー、酸化鉄、黄色酸化鉄、カーボンブラックのうち少なくとも1つを含む。これに加え、有機顔料は、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.Disperse Blue60(C)、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.Disperse Red302(M)、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.Disperse Yellow149(Y)、カーボンブラック(K)のうち少なくとも1つを含む。
その結果、絵柄層2のバリエーションを増加させることが可能となり、意匠の表現性を向上させることが可能な印刷物の製造方法を提供することが可能となる。
【0035】
(変形例)
(1)第1実施形態では、印刷物10の構成を、ベース基材1と、絵柄層2を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、印刷物10の構成を、ベース基材1と、絵柄層2に加え、例えば、
図2に示すように、トップコート層4を備える構成としてもよい。
トップコート層4は、絵柄層2に積層されており、絵柄層2を間に挟んで、ベース基材1の表面と対向している。
トップコート層4は、光沢等の意匠性や、耐傷性、耐候性等の表面物性を付与するために、必要に応じて設けられる層である。トップコート層4の硬化方式は、1液、2液、活性エネルギー線照射等、公知の方式を用いることが可能である。トップコート層4に用いる樹脂材料は、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系等、公知の材料を用いることが可能である。
【0036】
(2)第1実施形態では、印刷物10の構成を、ベース基材1と、絵柄層2を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、印刷物10の構成を、ベース基材1と、絵柄層2に加え、例えば、
図3に示すように、トップコート層4と、機能層6を備える構成としてもよい。
機能層6は、ベース基材1の印刷面となる表面(
図3では、上側の面)の反対側の面(裏面)に、例えば、剥離シート等で表面を保護した粘着層等により形成する。
また、例えば、ベース基材1の裏面に、織布や不織布等を積層してもよい。
また、例えば、ベース基材1と絵柄層2との間に、インク密着性を向上させるためのプライマー層を形成してもよい。
【実施例】
【0037】
第1実施形態を参照しつつ、以下、実施例1から3の印刷物と、比較例1の印刷物について説明する。
【0038】
(実施例1)
・ベース基材
ベース基材は、白色PPフィルム(厚さ:120μm)に、酸化チタン(2.0質量%)を配合して形成した。
PPフィルムの表面を、色差計(CR-400:コニカミノルタ社製)により測定したところ、色相範囲が-5.0であり、彩度範囲が11.8であり、L*範囲が95.7であった。
【0039】
・絵柄層
絵柄層は、ベース基材の表面に、ラジカルUV系有機顔料インクを用いたインクジェット印刷法により形成した。これにより、実施例1の印刷物を製造した。
ラジカルUV系有機顔料インクジェットインキには、着色剤として有機顔料のみを使用した。また、絵柄は、大谷石調とした。
有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントイエロー128、カーボンブラックを使用した。
【0040】
(実施例2)
・ベース基材
ベース基材は、グレー色の塩化ビニルフィルム(厚さ:150μm)に、酸化チタン(2.0質量%)及びカーボンブラック(少量)を配合して形成した。
塩化ビニルフィルムの表面を、色差計(CR-400:コニカミノルタ社製)により測定したところ、色相範囲が5.1であり、彩度範囲が-7.2であり、L*範囲が60.5であった。
【0041】
・絵柄層
絵柄層は、ベース基材の表面に、溶剤系有機顔料インクを用いたインクジェット印刷法により形成した。これにより、実施例2の印刷物を製造した。
溶剤系有機顔料インクジェットインキには、着色剤として有機顔料のみを使用した。また、絵柄は、濃色の木目柄とした。
有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントイエロー74、カーボンブラックを使用した。
【0042】
(実施例3)
・ベース基材
ベース基材は、白色基材シート(厚さ:約5mm、有機樹脂約30%、着色細骨材約70%)に、バインダーとしての有機樹脂(アクリル系樹脂)に着色細骨材(大理石、珪砂等)を配合して形成した。
基材シートの表面を、色差計(CR-400:コニカミノルタ社製)により測定したところ、色相範囲が-0.4であり、彩度範囲が3.9であり、L*範囲が86.2であった。
【0043】
・絵柄層
絵柄層は、ベース基材の表面に、カチオンUV系無機顔料インクを用いたインクジェット印刷法により形成した。これにより、実施例3の印刷物を製造した。
カチオンUV系無機顔料インクジェットインキには、着色剤として無機顔料のみを使用した。また、絵柄は、御影石調とした。
無機顔料としては、コバルトブルー、酸化鉄、黄色酸化鉄、カーボンブラックを使用した。
【0044】
(比較例1)
・ベース基材
ベース基材は、着色PPフィルム(厚さ:120μm)に、酸化チタン(2.0質量%)及び酸化鉄(少量)を配合して形成した。
PPフィルムの表面を、色差計(CR-400:コニカミノルタ社製)により測定したところ、色相範囲が12.5であり、彩度範囲が3.1であり、L*範囲が76.2であった。
・絵柄層
絵柄層は、実施例1と同様に形成した。これにより、比較例1の印刷物を製造した。
【0045】
(性能評価、評価結果)
実施例1から3の印刷物と、比較例1の印刷物に対し、それぞれ、意匠性、インク密着性、耐候性を評価した。評価方法としては、以下に記載した方法を用いた。
【0046】
<意匠性>
基材シートに印刷した絵柄の表現性を、目視にて評価した。その際、色調や着肉状態等の絵柄表現性が良好である場合を「○」と評価し、程度が悪化するにつれて、「△」、「×」の順で評価した。
<インク密着性>
絵柄層の表面に対して粘着テープを貼り付け、同一の箇所で3回の剥離試験を行うことで、インク密着性を評価した。その際、インク剥離が無い場合を「○」と評価し、軽微な剥離が見られる場合を「△」と評価し、剥離が見られる場合を「×」と評価した。
<耐候性>
サンシャインウェザーメーターを1000時間照射した後の色変化を、色差計にて測定した。その際、色差ΔE≦3.0の場合を「○」と評価し、色差ΔE>3.0の場合を「×」と評価した。
【0047】
【0048】
上述した方法を用いて、各種の性能を評価した結果、表1に示すように、実施例1から3の印刷物は、いずれの評価試験においても優れた性能を示し、印刷物として問題の無い結果を示した。一方、比較例1の印刷物は、特に耐候性の評価試験において、不合格の要素を持ち、印刷物として不適格な結果を示した。
【符号の説明】
【0049】
1…ベース基材、2…絵柄層、4…トップコート層、6…機能層、10…印刷物