(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】パワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240717BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240717BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240717BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01L25/04 C
H02M3/155 Y
(21)【出願番号】P 2019068121
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀一
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/235135(WO,A1)
【文献】特開2018-093636(JP,A)
【文献】特開2017-055610(JP,A)
【文献】特開2011-130626(JP,A)
【文献】特開2015-061343(JP,A)
【文献】特開2010-200406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42~ 7/98
H02M 3/00~ 3/44
H01L25/07
H01L25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極端子にドレイン電極が接続され、GaN系スイッチング素子を含む第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子のソース電極にドレイン電極が接続され、負極端子にソース電極が接続され、GaN系スイッチング素子を含む第2スイッチング素子と、
前記正極端子にドレイン電極が接続され、GaN系スイッチング素子を含む第3スイッチング素子と、
前記第3スイッチング素子のソース電極にドレイン電極が接続され、前記負極端子にソース電極が接続され、GaN系スイッチング素子を含む第4スイッチング素子と、
前記第1~第4スイッチング素子が搭載される回路基板と、
を備え、
前記第1~第4スイッチング素子のドレイン電極、ソース電極およびゲート電極は、当該第1~第4スイッチング素子のおもて面に設けられ、
前記第1~第4スイッチング素子は、前記回路基板上の一点を囲むように配置され、
前記回路基板上の一点には、前記正極端子と前記負極端子との間に接続されたコンデンサが設けられ、
前記回路基板は、
前記第1スイッチング素子と前記第3スイッチング素子との間に位置し、前記正極端子、前記第1スイッチング素子のドレイン電極、前記第3スイッチング素子のドレイン電極および前記コンデンサが接続される第1回路パターンと、
前記第2スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との間に位置し、前記負極端子、前記第2スイッチング素子のソース電極、前記第4スイッチング素子のソース電極および前記コンデンサが接続される第2回路パターンと、を有し、
前記第1スイッチング素子のドレイン電極と前記第3スイッチング素子のドレイン電極とは、互いに向かい合うように配置され、
前記第2スイッチング素子のソース電極と前記第4スイッチング素子のソース電極とは、互いに向かい合うように配置される
パワーモジュール。
【請求項2】
前記回路基板は、
前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を基準にして前記回路基板上の一点とは反対側に位置し、前記第1スイッチング素子のソース電極および前記第2スイッチング素子のドレイン電極が接続される第3回路パターンと、
前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子を基準にして前記回路基板上の一点とは反対側に位置し、前記第3スイッチング素子のソース電極および前記第4スイッチング素子のドレイン電極が接続される第4回路パターンと、
をさらに有する
請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記第1スイッチング素子を駆動する第1ドライブ回路と、
前記第2スイッチング素子を駆動する第2ドライブ回路と、
前記第3スイッチング素子を駆動する第3ドライブ回路と、
前記第4スイッチング素子を駆動する第4ドライブ回路と、
をさらに備える
請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記第1スイッチング素子を基準にして前記第2スイッチング素子とは反対側に位置し、前記第1ドライブ回路と前記第1スイッチング素子のゲート電極との間を接続する第5回路パターン、第6回路パターンおよび第1抵抗と、
前記第2スイッチング素子を基準にして前記第1スイッチング素子とは反対側に位置し、前記第2ドライブ回路と前記第2スイッチング素子のゲート電極との間を接続する第7回路パターン、第8回路パターンおよび第2抵抗と、
前記第3スイッチング素子を基準にして前記第4スイッチング素子とは反対側に位置し、前記第3ドライブ回路と前記第3スイッチング素子のゲート電極との間を接続する第9回路パターン、第10回路パターンおよび第3抵抗と、
前記第4スイッチング素子を基準にして前記第3スイッチング素子とは反対側に位置し、前記第4ドライブ回路と前記第4スイッチング素子のゲート電極との間を接続する第11回路パターン、第12回路パターンおよび第4抵抗と、
をさらに備える
請求項3に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記回路基板と、前記第1~第4スイッチング素子とは、長辺と短辺とを有する長方形状であり、
前記第1~第4スイッチング素子は、長辺に沿ってドレイン電極とソース電極とが設けられ、
前記第1~第4スイッチング素子は、短辺が前記回路基板の長辺に向かい合うように配置される
請求項1~4のいずれか一つに記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記第1~第4スイッチング素子は、前記GaN系スイッチング素子のおもて面に配置されるソース電極と、Si系スイッチング素子の裏面に配置されるドレイン電極とが電気的および機械的に接続されるカスケード型GaN-FETであり、
前記第1~第4スイッチング素子のドレイン電極は、前記GaN系スイッチング素子のドレイン電極であり、
前記第1~第4スイッチング素子のソース電極は、前記Si系スイッチング素子のソース電極であり、
前記第1~第4スイッチング素子のゲート電極は、前記Si系スイッチング素子のゲート電極であり、
前記GaN系スイッチング素子のゲート電極は、前記Si系スイッチング素子のソース電極に接続される
請求項1~5のいずれか一つに記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記第2スイッチング素子または前記第4スイッチング素子において、前記Si系スイッチング素子のソース電極から延びるボンディングワイヤが前記回路基板の前記第2回路パターンに接続される箇所を第3接続部とし、前記GaN系スイッチング素子のゲート電極から延びるボンディングワイヤが前記回路基板の前記第2回路パターンに接続される箇所を第4接続部とした場合に、
前記第3接続部は、前記第4接続部よりも両者が接続される、前記第2スイッチング素子または前記第4スイッチング素子から離れて配置される
請求項6に記載のパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー半導体素子を基板上に搭載し、かかる基板やボンディングワイヤなどで必要な回路が構成されたパワーモジュールが知られている。かかるパワーモジュールでは、ノイズ発生の原因となる配線インダクタンスを低減するため、パワー半導体素子の配置を最適化することが重要である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、近年開発が進むパワー半導体素子のGaN-FET(Gallium Nitride Field-Effect Transistor)は、従来のパワーモジュールで用いられるIGBTやパワーMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)FETなどとは異なり、3つの電極がすべておもて面に設けられる。
【0005】
それゆえ、裏面にも電極が存在するIGBTやパワーMOSFETで最適化されたパワーモジュール内の配置をそのまま用いたとしても、パワーモジュール内の配線パターンに大電流が流れた時にノイズ発生の原因となる配線インダクタンスを十分に低減することは困難である。すなわち、GaN-FETを搭載したパワーモジュールでは、パワー基板上におけるチップ配置の最適化が十分に実施されているとはいえない。
【0006】
そこで、本開示では、配線インダクタンスを低減することでノイズの発生を低減できるパワーモジュールを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によるパワーモジュールは、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第3スイッチング素子と、第4スイッチング素子と、回路基板とを備える。第1スイッチング素子は、正極端子に接続され、GaN系スイッチング素子を含む。第2スイッチング素子は、前記第1スイッチング素子と負極端子との間に接続され、GaN系スイッチング素子を含む。第3スイッチング素子は、前記正極端子に接続され、GaN系スイッチング素子を含む。第4スイッチング素子は、前記第3スイッチング素子と前記負極端子との間に接続され、GaN系スイッチング素子を含む。前記回路基板は、前記第1~第4スイッチング素子が搭載される。前記第1~第4スイッチング素子は、前記回路基板上の一点を囲むように配置される。前記第1スイッチング素子のドレイン電極と前記第3スイッチング素子のドレイン電極とは、互いに向かい合うように配置される。前記第2スイッチング素子のソース電極と前記第4スイッチング素子のソース電極とは、互いに向かい合うように配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、配線インダクタンスを低減することができる。このため、パワーモジュール内の配線パターンに大電流が流れた時に発生するノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るスイッチング素子の回路構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るスイッチング素子の構成を示す上面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るパワーモジュールの回路構成を示す図である。
【
図4】
図4は、DC-ACコンバータの回路構成を示す図である。
【
図5】
図5は、インターリーブ型PFC内蔵AC-DCコンバータの回路構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るパワーモジュールにおいて配線インダクタンスを低減するために注意すべきポイントについて説明するための図(1)である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るパワーモジュールにおいて配線インダクタンスを低減するために注意すべきポイントについて説明するための図(2)である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るパワーモジュールにおける第1~第4スイッチング素子およびコンデンサの最適な配置について説明するための図(1)である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るパワーモジュールにおける第1~第4スイッチング素子およびコンデンサの最適な配置について説明するための図(2)である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るパワーモジュールの構成を示す断面図および上面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係るパワーモジュールが最適な配置を実現していることを説明するための図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係るパワーモジュール内の回路ループL1-1~L1-4について説明するための図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係るパワーモジュール内の回路ループL2について説明するための図である。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係るパワーモジュール内の回路ループL3-1、L3-2について説明するための図である。
【
図15】
図15は、第1実施形態に係るパワーモジュール内の共通インピーダンスについて説明するための図(1)である。
【
図16】
図16は、第1実施形態に係るパワーモジュール内の共通インピーダンスについて説明するための図(2)である。
【
図17】
図17は、参考例におけるパワーモジュールの構成を示す上面図である。
【
図18】
図18は、参考例におけるパワーモジュール内の回路ループL1-1~L1-4について説明するための図である。
【
図19】
図19は、参考例におけるパワーモジュール内の回路ループL2について説明するための図である。
【
図20】
図20は、参考例におけるパワーモジュール内の回路ループL3-1、L3-2について説明するための図である。
【
図21】
図21は、参考例におけるパワーモジュール内の共通インピーダンスについて説明するための図である。
【
図22】
図22は、第1実施形態の変形例1に係るパワーモジュールの構成を示す断面図である。
【
図23】
図23は、第1実施形態の変形例1に係るパワーモジュールにおけるパワー基板の構成を示す上面図である。
【
図24】
図24は、第1実施形態の変形例1に係るパワーモジュールにおけるプリント基板の構成を示す上面図である。
【
図25】
図25は、第1実施形態の変形例1に係るパワーモジュール内の回路ループL3-1、L3-2について説明するための図である。
【
図26】
図26は、第1実施形態の変形例2に係るパワーモジュールにおけるパワー基板の構成を示す上面図である。
【
図27】
図27は、第1実施形態の変形例2に係るパワーモジュールにおけるプリント基板の構成を示す上面図である。
【
図28】
図28は、第1実施形態の変形例2に係るパワーモジュール内の回路ループL3-1、L3-2について説明するための図である。
【
図29】
図29は、第2実施形態に係るパワーモジュールの回路構成を示す図である。
【
図30】
図30は、第2実施形態に係るパワーモジュールの構成を示す断面図および上面図である。
【
図31】
図31は、第2実施形態に係るパワーモジュールにおいて親和性が高い回路ごとにブロック分けした図である。
【
図32】
図32は、第2実施形態に係るパワーモジュールのパワー基板を
図30に示した手法でブロック分けした図である。
【
図33】
図33は、第2実施形態に係るパワーモジュールのドライバ基板を
図30に示した手法でブロック分けした図である。
【
図34】
図34は、第2実施形態に係るパワーモジュールのパワー基板におけるブロックとドライバ基板におけるブロックとを重ね合わせた図である。
【
図35】
図35は、第2実施形態の変形例3に係るパワーモジュールのパワー基板を
図30に示した手法でブロック分けした図である。
【
図36】
図36は、第2実施形態の変形例3に係るパワーモジュールのパワー基板におけるブロックとドライバ基板におけるブロックとを重ね合わせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するパワーモジュールの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
従来、IGBTなどのパワー半導体素子をパワー基板上に搭載し、かかるパワー基板やボンディングワイヤなどで必要な回路が構成されたパワーモジュールが知られている。かかるパワーモジュールでは、ノイズ発生の原因となる配線インダクタンスを低減するため、パワー半導体素子の配置を最適化することが重要である。
【0012】
一方で、近年開発が進むパワー半導体素子のGaN-FETは、従来のパワーモジュールで用いられるIGBTやパワーMOSFETなどとは異なり、3つの電極(ドレイン電極、ソース電極およびゲート電極)がすべておもて面に設けられる。
【0013】
それゆえ、裏面にも電極が存在するIGBTやパワーMOSFETで最適化されたパワーモジュール内の配置をそのまま用いたとしても、配線インダクタンスを十分に低減することは困難である。すなわち、GaN-FETを搭載したパワーモジュールでは、回路基板上におけるチップ配置の最適化が十分に実施されているとはいえない。
【0014】
なぜなら、裏面にコレクタ電極やドレイン電極が設けられる従来のパワー半導体素子では、パワー基板の回路パターンで裏面の電極に配線が形成されるのに対し、おもて面にドレイン電極が設けられるGaN-FETでは、ボンディングワイヤでドレイン電極に配線が形成されるからである。
【0015】
そこで、GaN-FETが搭載されたパワーモジュールにおいて、配線インダクタンスを低減することができる技術が期待されている。
【0016】
<スイッチング素子の構成>
本開示は、カスケード型GaN-FETであるスイッチング素子を用いたパワーモジュールに関するものである。そこで、本開示の各実施形態の理解を容易とするために、
図1および
図2を参照しながら、各実施形態に適用可能なカスケード型GaN-FETについて説明する。
図1は、第1実施形態に係るスイッチング素子Qの回路構成を示す図である。
【0017】
第1実施形態に係るスイッチング素子Qは、GaNで構成される高耐圧のFET(以下、GaN-FETとも呼称する。)と、Siで構成される低耐圧のFET(以下、Si-FETとも呼称する)とがカスケード接続されて構成される。
【0018】
図1に示すように、スイッチング素子Qの内部では、GaN-FET(GaN系スイッチング素子)のソース端子とSi-FET(Si系スイッチング素子)のドレイン端子とが電気的に接続され、Si-FETのソース端子とGaN-FETのゲート端子とが電気的に接続される。
【0019】
そして、GaN-FETのドレイン端子がスイッチング素子Qのドレイン電極Dとなり、Si-FETのソース端子がスイッチング素子Qのソース電極Sとなり、Si-FETのゲート端子がスイッチング素子Qのゲート電極Gとなる。
【0020】
このような回路構成のカスケード型GaN-FETでは、ノーマリーオンのGaN-FETを、ノーマリーオフのスイッチング素子として駆動させることができる。
【0021】
すなわち、カスケード型GaN-FETでは、スイッチング素子Qのゲート電極G(すなわち、Si-FETのゲート端子)にローレベルの信号を入力することにより、スイッチング素子Q全体をオフ状態にすることができる。
【0022】
また、カスケード型GaN-FETでは、スイッチング素子Qのゲート電極G(すなわち、Si-FETのゲート端子)にハイレベルの信号を入力することにより、スイッチング素子Q全体をオン状態にすることができる。
【0023】
そして、カスケード型GaN-FETは、GaN-FETの耐圧特性を利用することができることから、高い耐圧特性を有する。さらに、カスケード型GaN-FETは、ゲートの駆動に低耐圧Si-FETの特性を利用することができることから、GaN-FETの高速性を損なうことなく、高電圧での駆動が可能となる。
【0024】
図2は、第1実施形態に係るスイッチング素子Qの構成を示す上面図である。第1実施形態に係るスイッチング素子Qは、長方形状のGaN-FETと、かかるGaN-FETより小さい長方形状のSi-FETとが積層されて構成される。
【0025】
第1実施形態に係るGaN-FETは、長辺と短辺とを有する。かかるGaN-FETのおもて面には、一方の長辺の近傍にかかる長辺に沿ってドレイン電極D1が設けられ、他方の長辺の近傍にかかる長辺に沿ってソース電極S1が設けられる。また、GaN-FETのおもて面には、ソース電極S1における両端の近傍に1対のゲート電極G1が設けられる。
【0026】
また、GaN-FETのソース電極S1上には、第1実施形態に係るSi-FETが設けられる。かかるSi-FETは、おもて面にソース電極S2およびゲート電極G2を有し、裏面にドレイン電極を有する。
【0027】
そして、GaN-FETのおもて面に設けられるソース電極S1と、Si-FETの裏面に設けられるドレイン電極とが、ハンダや導電性接着剤などの導電性接合材で電気的および機械的に接続される。これにより、ドレイン電極D、ソース電極Sおよびゲート電極Gを有する上述のスイッチング素子Qを構成することができる。
【0028】
なお、スイッチング素子Qのドレイン電極DはGaN-FETのドレイン電極D1に対応し、スイッチング素子Qのソース電極SはSi-FETのソース電極S2に対応し、スイッチング素子Qのゲート電極GはSi-FETのゲート電極G2に対応する。
【0029】
<パワーモジュールの回路構成(第1実施形態)>
つづいて、第1実施形態に係るパワーモジュール1の回路構成について、
図3~
図9を参照しながら説明する。
図3は、第1実施形態に係るパワーモジュール1の回路構成を示す図である。
【0030】
図3に示すように、第1実施形態に係るパワーモジュール1は、第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2と、第3スイッチング素子Q3と、第4スイッチング素子Q4と、コンデンサC1とを備える。
【0031】
第1~第4スイッチング素子Q1~Q4は、すべて上述のカスケード型GaN-FETであるスイッチング素子Qで構成され、略等しい耐圧特性およびスイッチング特性を有する。
【0032】
第1スイッチング素子Q1のドレイン端子は、正極端子Pに接続され、第1スイッチング素子Q1のソース端子は、第2スイッチング素子Q2のドレイン端子に接続される。また、第1スイッチング素子Q1のゲート端子は、ゲート端子Q1Gに接続され、第1スイッチング素子Q1のソース端子は、ソース端子Q1Sに接続される。
【0033】
第2スイッチング素子Q2のドレイン端子は、第1スイッチング素子Q1のソース端子に接続され、第2スイッチング素子Q2のソース端子は、負極端子Nに接続される。また、第2スイッチング素子Q2のゲート端子は、ゲート端子Q2Gに接続され、第2スイッチング素子Q2のソース端子は、ソース端子Q2Sに接続される。
【0034】
第3スイッチング素子Q3のドレイン端子は、正極端子Pに接続され、第3スイッチング素子Q3のソース端子は、第4スイッチング素子Q4のドレイン端子に接続される。また、第3スイッチング素子Q3のゲート端子は、ゲート端子Q3Gに接続され、第3スイッチング素子Q3のソース端子は、ソース端子Q3Sに接続される。
【0035】
第4スイッチング素子Q4のドレイン端子は、第3スイッチング素子Q3のソース端子に接続され、第4スイッチング素子Q4のソース端子は、負極端子Nに接続される。また、第4スイッチング素子Q4のゲート端子は、ゲート端子Q4Gに接続され、第4スイッチング素子Q4のソース端子は、ソース端子Q4Sに接続される。
【0036】
コンデンサC1は、正極端子Pと負極端子Nとの間に接続される。また、パワーモジュール1は、出力端子OUT1、OUT2を有する。
【0037】
出力端子OUT1は、第1スイッチング素子Q1のソース端子と第2スイッチング素子Q2のドレイン端子との間に接続される。出力端子OUT2は、第3スイッチング素子Q3のソース端子と第4スイッチング素子Q4のドレイン端子との間に接続される。
【0038】
また、パワーモジュール1には、温度センサとして用いられるサーミスタTHが設けられる。かかるサーミスタTHには、2つの端子TH1、TH2が接続される。
【0039】
このような回路構成を有するパワーモジュール1は、さまざまな回路構成を有する電力変換装置に適用することができる。たとえば、第1実施形態に係るパワーモジュール1を
図4に示すDC-ACコンバータに用いることにより、効率の高いDC-AC変換を実現することができる。
図4は、DC-ACコンバータの回路構成を示す図である。
【0040】
また、第1実施形態に係るパワーモジュール1を
図5に示すインターリーブ型PFC内蔵AC-DCコンバータに用いることにより、効率の高いAC-DC変換を実現することができる。
図5は、インターリーブ型PFC内蔵AC-DCコンバータの回路構成を示す図である。
【0041】
そして、
図4や
図5に示したような電力変換装置において、スイッチング素子のオンオフにより断続する大電流により発生するノイズを低減させて、さらに効率の高い電力変換を実現するためには、パワーモジュール1内の配線インダクタンスを低減することが重要である。そこで、パワーモジュール1内の配線インダクタンスを低減するために注意すべきポイントについて、
図6および
図7を参照しながら説明する。
【0042】
図6は、第1実施形態に係るパワーモジュール1において配線インダクタンスを低減するために注意すべきポイントについて説明するための図(1)である。
図6に示すように、パワーモジュール1の内部には、点線で示される電流の流れによる様々な経路の回路ループが形成される。
【0043】
たとえば、パワーモジュール1内には、第1スイッチング素子Q1を駆動するドライブ回路DR1から出力された電流が、第1スイッチング素子Q1のゲート端子、第1スイッチング素子Q1のソース端子、ドライブ回路DR1の順で戻る回路ループL1-1が形成される。
【0044】
また、パワーモジュール1内には、第2スイッチング素子Q2を駆動するドライブ回路DR2から出力された電流が、第2スイッチング素子Q2のゲート端子、第2スイッチング素子Q2のソース端子、ドライブ回路DR2の順で戻る回路ループL1-2が形成される。
【0045】
また、パワーモジュール1内には、第3スイッチング素子Q3を駆動するドライブ回路DR3から出力された電流が、第3スイッチング素子Q3のゲート端子、第3スイッチング素子Q3のソース端子、ドライブ回路DR3の順で戻る回路ループL1-3が形成される。
【0046】
また、パワーモジュール1内には、第4スイッチング素子Q4を駆動するドライブ回路DR4から出力された電流が、第4スイッチング素子Q4のゲート端子、第4スイッチング素子Q4のソース端子、ドライブ回路DR4の順で戻る回路ループL1-4が形成される。
【0047】
また、パワーモジュール1内には、正極端子Pから、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、負極端子N、第4スイッチング素子Q4、第3スイッチング素子Q3、正極端子Pに順に流れる電流の回路ループL2が形成される。
【0048】
また、パワーモジュール1内には、コンデンサC1から、正極端子P、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、負極端子N、コンデンサC1に順に流れる電流の回路ループL3-1が形成される。
【0049】
また、パワーモジュール1内には、コンデンサC1から、正極端子P、第3スイッチング素子Q3、第4スイッチング素子Q4、負極端子N、コンデンサC1に順に流れる電流の回路ループL3-2が形成される。
【0050】
そして、第1実施形態に係るパワーモジュール1では、上述の回路ループL1-1~L1-4、L2、L3-1、L3-2の長さをすべて極力短くするとともに、かかる回路ループ内に内包される面積(ループ面積)をすべて極力小さくすることにより、配線インダクタンスを低減することができる。
【0051】
図7は、第1実施形態に係るパワーモジュール1において配線インダクタンスを低減するために注意すべきポイントについて説明するための図(2)である。
図7に示すように、パワーモジュール1内の第1スイッチング素子Q1には、ドレイン端子からソース端子に大電流を流す大電流ラインILが形成される。
【0052】
また、パワーモジュール1内の第1スイッチング素子Q1には、ゲート端子からソース端子に制御信号を流す小電流ラインISが形成される。
【0053】
そして、第1実施形態に係るパワーモジュール1では、上述の大電流ラインILと小電流ラインISとが共通して流れる部位の共通インピーダンスCIを極力小さくすることにより、配線インダクタンスを低減することができる。
【0054】
なお、
図7の例では第1スイッチング素子Q1について示したが、第2スイッチング素子Q2~第4スイッチング素子Q4においても同様に、この共通インピーダンスCIを極力小さくすることで配線インダクタンスを低減することができる。
【0055】
次に、ここまで説明した注意すべきポイントに基づいて、パワーモジュール1内の配線インダクタンスを低減する具体的な手段について、
図8および
図9を参照しながら説明する。
【0056】
図8は、第1実施形態に係るパワーモジュール1における第1~第4スイッチング素子Q1~Q4およびコンデンサC1の最適な配置について説明するための図(1)である。本開示では、
図8に示すように、パワーモジュール1の内部に形成される配線部をいくつかの部位に分割する。
【0057】
具体的には、コンデンサC1から正極端子Pを介して第1スイッチング素子Q1のドレイン端子または第3スイッチング素子Q3のドレイン端子に至る配線部を、ネットワークP-NETとする。また、ゲート端子Q1Gから第1スイッチング素子Q1のゲート端子およびソース端子を介してソース端子Q1Sに至る配線部をネットワークQ1G-NETとする。
【0058】
また、出力端子OUT1から第1スイッチング素子Q1のソース端子および第2スイッチング素子Q2のドレイン端子に至る配線部をネットワークOUT1-NETとする。また、ゲート端子Q2Gから第2スイッチング素子Q2のゲート端子およびソース端子を介してソース端子Q2Sに至る配線部をネットワークQ2G-NETとする。
【0059】
また、ゲート端子Q3Gから第3スイッチング素子Q3のゲート端子およびソース端子を介してソース端子Q3Sに至る配線部をネットワークQ3G-NETとする。また、出力端子OUT2から第3スイッチング素子Q3のソース端子および第4スイッチング素子Q4のドレイン端子に至る配線部をネットワークOUT2-NETとする。
【0060】
また、ゲート端子Q4Gから第4スイッチング素子Q4のゲート端子およびソース端子を介してソース端子Q4Sに至る配線部をネットワークQ4G-NETとする。また、コンデンサC1から負極端子Nを介して第2スイッチング素子Q2のソース端子または第4スイッチング素子Q4のソース端子に至る配線部を、ネットワークN-NETとする。
【0061】
図9は、第1実施形態に係るパワーモジュール1における第1~第4スイッチング素子Q1~Q4およびコンデンサC1の最適な配置について説明するための図(2)である。
図9に示すように、第1実施形態に係るパワーモジュール1では、上述した部品が配置される面(後述するパワー基板10(
図10参照)の上面)の一点を囲むように第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2と、第3スイッチング素子Q3と、第4スイッチング素子Q4を配置する。そしてこの一点にコンデンサC1を配置する。
【0062】
なお、この一点は上述した部品が配置される面上であれば任意の位置でよいが、この一点をパワーモジュール1の中央部4とすることで、後述するパワー基板10における大電流が流れる配線パターンの幅と長さを均等化して、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4の4つのスイッチング素子を対象にバランスよく配置することで、極端に長い配線パターンによる配線インダクタンスの増加を抑制すると共に、大電流を流すための良好な電流経路を確保することができる。なお、本発明に関わる各実施例ではこの中央部4を基準として各スイッチング素子とコンデンサC1を配置した例を説明している。
【0063】
そして、上述した部品が配置される面の一点を囲むように第1~第4スイッチング素子Q1~Q4を配置する場合、言い換えれば、四角形における4つの頂点に時計回り順に第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3、第4スイッチング素子Q4および第2スイッチング素子Q2を配置した場合、かかる四角形の中央(四角形の対角線が交わる点)にコンデンサC1が配置されることになる。
【0064】
なお、コンデンサC1は必ずしもこの四角形の中央に配置する必要はなく、コンデンサC1が第1~第4スイッチング素子Q1~Q4で囲まれるように配置すればよい。これにより各スイッチング素子からC1が比較的近く均等な距離に配置されることとなり、極端に長い配線パターンによる配線インダクタンスの増加を抑制すると共に、大電流を流すための良好な電流経路を確保することができる。
【0065】
また、かかる第1~第4スイッチング素子Q1~Q4で構成される四角形において、第1スイッチング素子Q1と第3スイッチング素子Q3とを結ぶ一辺と、第2スイッチング素子Q2と第4スイッチング素子Q4とを結ぶ別の一辺とは略平行である。
【0066】
また、第1実施形態に係るパワーモジュール1では、第1スイッチング素子Q1のドレイン電極Dと、第3スイッチング素子Q3のドレイン電極Dとが、互いに向かい合うように配置される。
【0067】
また、第1実施形態に係るパワーモジュール1では、第2スイッチング素子Q2のソース電極Sと、第4スイッチング素子Q4のソース電極Sとが、互いに向かい合うように配置される。
【0068】
そして、第1実施形態に係るパワーモジュール1には、コンデンサC1と第1スイッチング素子Q1と第3スイッチング素子Q3とで挟まれる領域にネットワークP-NETが配置される。また、コンデンサC1と第2スイッチング素子Q2と第4スイッチング素子Q4とで挟まれる領域にネットワークN-NETが配置される。
【0069】
また、第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2を基準にした場合に、コンデンサC1の反対側の領域にネットワークOUT1-NETが配置される。また、第3スイッチング素子Q3および第4スイッチング素子Q4を基準にした場合に、コンデンサC1の反対側の領域にネットワークOUT2-NETが配置される。
【0070】
また、第1スイッチング素子Q1とネットワークP-NETとネットワークOUT1-NETとで挟まれる領域にネットワークQ1G-NETが配置される。また、第2スイッチング素子Q2とネットワークN-NETとネットワークOUT1-NETとで挟まれる領域にネットワークQ2G-NETが配置される。
【0071】
また、第3スイッチング素子Q3とネットワークP-NETとネットワークOUT2-NETとで挟まれる領域にネットワークQ3G-NETが配置される。また、第4スイッチング素子Q4とネットワークN-NETとネットワークOUT2-NETとで挟まれる領域にネットワークQ4G-NETが配置される。
【0072】
また、第1スイッチング素子Q1のゲート電極GはネットワークQ1G-NETに近接して配置され、第2スイッチング素子Q2のゲート電極GはネットワークQ2G-NETに近接して配置され、第3スイッチング素子Q3のゲート電極GはネットワークQ3G-NETに近接して配置され、第4スイッチング素子Q4のゲート電極GはネットワークQ4G-NETに近接して配置される。
【0073】
<パワーモジュールの構成(第1実施形態)>
つづいて、
図8に示した最適な配置を適用したパワーモジュール1について、
図10および
図11を参照しながら説明する。
図10は、第1実施形態に係るパワーモジュール1の構成を示す断面図(
図10の(a))および上面図(
図10の(b))である。
【0074】
図10の(a)に示すように、第1実施形態に係るパワーモジュール1は、パワー基板10と、ケース11と、蓋部12と、シリコンゲル13とを備える。パワー基板10は、回路基板の一例である。
【0075】
パワー基板10は、たとえば、DCB(Direct Copper Bonding)基板やAMB(Active Metal Brazing)基板などの高い耐熱性および高い放熱性を有する回路基板で構成される。かかるパワー基板10のおもて面には、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4やコンデンサC1などが搭載される。
【0076】
ケース11は、枠形状を有し、パワー基板10のおもて面を囲むように設けられる。ケース11は、パワー基板10やかかるパワー基板10に搭載される各素子などを収容する。また、ケース11には、電力変換装置の内部にパワーモジュール1を固定する際などに用いられる取り付け穴が形成される。
【0077】
ケース11は、たとえば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリブチレンサクシネート(PBS)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂などで構成される。
【0078】
蓋部12は、ケース11に収容されるパワー基板10のおもて面を覆うとともに、枠形状のケース11の上部を塞ぐように設けられる。蓋部12は、たとえば、ケース11と同様の樹脂で形成される。シリコンゲル13は、ケース11の内部に充填され、パワー基板10のおもて面に搭載される各素子などを封止する。
【0079】
なお、パワー基板10とケース11との間や、ケース11と蓋部12との間は、図示しない接着剤で接合される。
【0080】
図10の(b)に示すように、パワー基板10のおもて面には、コンデンサC1と、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4とが搭載される。コンデンサC1は、パワー基板10の中央部4に配置される。
【0081】
また、パワー基板10には、中央部4に配置されたコンデンサC1を囲むように、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4が配置される。たとえば、台形における4つの頂点に時計回り順に第1スイッチング素子Q1、第3スイッチング素子Q3、第4スイッチング素子Q4および第2スイッチング素子Q2が配置された場合、かかる台形の対角線が交わる中央部4にコンデンサC1が配置される。
【0082】
この第1~第4スイッチング素子Q1~Q4で構成される台形において、上底の両端に第1スイッチング素子Q1と第3スイッチング素子Q3とが設けられ、下底の両端に第2スイッチング素子Q2と第4スイッチング素子Q4とが設けられる。
【0083】
また、
図10の(b)に示すように、第1スイッチング素子Q1のドレイン電極D(
図9参照)と第3スイッチング素子Q3のドレイン電極Dとが互いに向かい合うように配置され、第2スイッチング素子Q2のソース電極S(
図9参照)と第4スイッチング素子Q4のソース電極Sとが互いに向かい合うように配置される。
【0084】
パワー基板10のおもて面には、配線部を構成する回路パターン21~32が設けられる。なお、かかる回路パターン21~32はパワー基板10に含まれる絶縁層上に設けられることから、回路パターン21~32同士は互いに導通していない。
【0085】
かかる回路パターン21~32について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、第1実施形態に係るパワーモジュール1が最適な配置を実現していることを説明するための図である。
【0086】
コンデンサC1と第1スイッチング素子Q1と第3スイッチング素子Q3とで挟まれる領域には、回路パターン21が配置される。かかる回路パターン21は、上述のネットワークP-NETに対応する部位である。
【0087】
第1スイッチング素子Q1および第2スイッチング素子Q2を基準にした場合に、コンデンサC1の反対側の領域には、回路パターン22が形成される。かかる回路パターン22の大部分は、上述のネットワークOUT1-NETに対応する部位である。
【0088】
第1スイッチング素子Q1と回路パターン21と回路パターン22とで挟まれる領域には、回路パターン23、24が配置される。かかる回路パターン23、24と、回路パターン24に隣接する回路パターン22の一部は、上述のネットワークQ1G-NETに対応する部位である。
【0089】
コンデンサC1と第2スイッチング素子Q2と第4スイッチング素子Q4とで挟まれる領域には、回路パターン25が形成される。かかる回路パターン25の大部分は、上述のネットワークN-NETに対応する部位である。
【0090】
第2スイッチング素子Q2と回路パターン25と回路パターン22とで挟まれる領域には、回路パターン26、27が配置される。かかる回路パターン26、27と、回路パターン26、27に隣接する回路パターン25の一部とは、上述の回路ネットワークQ2G-NETに対応する部位である。
【0091】
第3スイッチング素子Q3および第4スイッチング素子Q4を基準にした場合に、コンデンサC1の反対側の領域には、回路パターン28が配置される。かかる回路パターン28の大部分は、上述のネットワークOUT2-NETに対応する部位である。
【0092】
第3スイッチング素子Q3と回路パターン21と回路パターン28とで挟まれる領域には、回路パターン29、30が配置される。かかる回路パターン29、30と、回路パターン30に隣接する回路パターン28の一部とは、上述のネットワークQ3G-NETに対応する部位である。
【0093】
第4スイッチング素子Q4と回路パターン25と回路パターン28とで挟まれる領域には、回路パターン31、32が配置される。かかる回路パターン31、32と、回路パターン31、32に隣接する回路パターン25の一部とは、上述のネットワークQ4G-NETに対応する部位である。
【0094】
ここまで説明したように、第1実施形態に係るパワーモジュール1では、コンデンサC1、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4および各配線部について、
図9に示した最適な配置が実現されている。
【0095】
かかる回路パターン21~32に関する具体的な配線の構成は以下の通りである。回路パターン21と回路パターン25との間にはコンデンサC1が設けられ、かかるコンデンサC1を介して回路パターン21と回路パターン25とが電気的に接続される。
【0096】
また、回路パターン21におけるコンデンサC1と反対側(パワー基板10における一方の長辺側)には、1対の正極端子Pが設けられる。
【0097】
また、回路パターン21には、第1スイッチング素子Q1のドレイン電極D(
図9参照)と、第3スイッチング素子Q3のドレイン電極Dとが、ボンディングワイヤW(
図10の(a)参照)を介して電気的に接続される。
【0098】
回路パターン22には、第1スイッチング素子Q1のソース電極S(
図9参照)と、第1スイッチング素子Q1に含まれるGaN-FETのゲート電極G1(
図2参照)とが、ボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。
【0099】
また、回路パターン22における回路パターン24に隣接する部位には、ソース端子Q1Sが設けられ、回路パターン22における回路パターン26、27に隣接する部位には、1対の出力端子OUT1が設けられる。
【0100】
また、回路パターン22における出力端子OUT1に隣接する部位には、第2スイッチング素子Q2のドレイン電極DがボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。
【0101】
回路パターン23には、第1スイッチング素子Q1のゲート電極G(
図9参照)がボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。なお、第1スイッチング素子Q1のゲート電極Gは、ネットワークQ1G-NETに近接して配置される。
【0102】
また、回路パターン23と回路パターン22との間には抵抗R1(
図10の(b)参照)が設けられ、かかる抵抗R1を介して回路パターン23と回路パターン22とが電気的に接続される。
【0103】
回路パターン24には、ゲート端子Q1Gが設けられる。なお、回路パターン24と回路パターン23との間には抵抗R1が設けられ、かかる抵抗R1を介して回路パターン24と回路パターン23とが電気的に接続される。
【0104】
回路パターン25におけるコンデンサC1と反対側(パワー基板10における他方の長辺側)には、1対の負極端子Nが設けられる。また、回路パターン25に1対の負極端子Nの外側には、ソース端子Q2S、Q4Sがそれぞれ設けられる。
【0105】
また、回路パターン25には、第2スイッチング素子Q2のソース電極Sと、第2スイッチング素子Q2に含まれるGaN-FETのゲート電極G1とが、ボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。
【0106】
また、回路パターン25には、第4スイッチング素子Q4のソース電極Sと、第4スイッチング素子Q4に含まれるGaN-FETのゲート電極G1とが、ボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。
【0107】
回路パターン26には、第2スイッチング素子Q2のゲート電極GがボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。なお、第2スイッチング素子Q2のゲート電極Gは、ネットワークQ2G-NETに近接して配置される。
【0108】
また、回路パターン26と回路パターン25との間には抵抗R2(
図10の(b)参照)が設けられ、かかる抵抗R2を介して回路パターン26と回路パターン25とが電気的に接続される。
【0109】
回路パターン27には、ゲート端子Q2Gが設けられる。なお、回路パターン27と回路パターン26との間には抵抗R2が設けられ、かかる抵抗R2を介して回路パターン27と回路パターン26とが電気的に接続される。
【0110】
回路パターン28には、第3スイッチング素子Q3のソース電極Sと、第3スイッチング素子Q3に含まれるGaN-FETのゲート電極G1とが、ボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。
【0111】
また、回路パターン28における回路パターン30に隣接する部位には、ソース端子Q3Sが設けられ、回路パターン28における回路パターン31、32に隣接する部位には、1対の出力端子OUT2が設けられる。
【0112】
また、回路パターン28における出力端子OUT2に隣接する部位には、第4スイッチング素子Q4のドレイン電極DがボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。
【0113】
回路パターン29には、第3スイッチング素子Q3のゲート電極GがボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。なお、第3スイッチング素子Q3のゲート電極Gは、ネットワークQ3G-NETに近接して配置される。
【0114】
また、回路パターン29と回路パターン28との間には抵抗R3(
図10の(b)参照)が設けられ、かかる抵抗R3を介して回路パターン29と回路パターン28とが電気的に接続される。
【0115】
回路パターン30には、ゲート端子Q3Gが設けられる。なお、回路パターン30と回路パターン29との間には抵抗R3が設けられ、かかる抵抗R3を介して回路パターン30と回路パターン29とが電気的に接続される。
【0116】
回路パターン31には、第4スイッチング素子Q4のゲート電極GがボンディングワイヤWを介して電気的に接続される。なお、第4スイッチング素子Q4のゲート電極Gは、ネットワークQ4G-NETに近接して配置される。
【0117】
また、回路パターン31と回路パターン25との間には抵抗R4(
図10の(b)参照)が設けられ、かかる抵抗R4を介して回路パターン31と回路パターン25とが電気的に接続される。
【0118】
回路パターン32には、ゲート端子Q4Gが設けられる。なお、回路パターン32と回路パターン31との間には抵抗R4が設けられ、かかる抵抗R4を介して回路パターン32と回路パターン31とが電気的に接続される。
【0119】
なお、1対の負極端子Nに挟まれる領域には、サーミスタTHと、かかるサーミスタTHの1対の電極にそれぞれ接続される端子TH1、TH2とが設けられる。
【0120】
また、正極端子P、負極端子N、出力端子OUT1、OUT2、ゲート端子Q1G~Q4G、ソース端子Q1S~Q4Sおよび端子TH1、TH2は、いずれも金属などの導電性材料で構成され、ハンダや導電性接着剤などの導電性接合材で各回路パターンと電気的および機械的に接続される。
【0121】
図12は、第1実施形態に係るパワーモジュール1内の回路ループL1-1~L1-4について説明するための図である。
図12に示すように、第1実施形態に係るパワーモジュール1では、回路ループL1-1~L1-4の長さが極力短くなっているとともに、かかる回路ループL1-1~L1-4のループ面積が極力小さくなっている。
【0122】
図13は、第1実施形態に係るパワーモジュール1内の回路ループL2について説明するための図である。
図13に示すように、第1実施形態に係るパワーモジュール1では、回路ループL2の長さが極力短くなっているとともに、かかる回路ループL2のループ面積が極力小さくなっている。
【0123】
以上説明したように、パワーモジュール1内の回路ループL1-1~L1-4及び回路ループL2に関して、それぞれの回路ループの長さが極力短くなっているとともに、それぞれのループ面積が極力小さくなっている。なお、回路ループL1-1~L1-4及び回路ループL2はコンデンサC1を経由するループでないため、コンデンサC1が装着されていなくても、それぞれの回路ループにおける配線インダクタンスを低減させる効果が得られる。
【0124】
図14は、第1実施形態に係るパワーモジュール1内の回路ループL3-1、L3-2について説明するための図である。
図14に示すように、第1実施形態に係るパワーモジュール1では、コンデンサC1を経由する回路ループL3-1、L3-2の長さが極力短くなっているとともに、かかる回路ループL3-1、L3-2のループ面積が極力小さくなっている。従ってコンデンサC1を装着したパワーモジュール1は、上記効果に加えてさらに回路ループにおける配線インダクタンスを低減させる効果が得られる。
【0125】
図15は、第1実施形態に係るパワーモジュール1内の共通インピーダンスCIについて説明するための図(1)である。
【0126】
図15に示すように、第1スイッチング素子Q1において、Si-FETのソース電極S2(
図2参照)(すなわち、第1スイッチング素子Q1のソース電極S(
図2参照))から延びるボンディングワイヤW(
図10の(a)参照)が回路パターン22に接続される箇所を第1接続部41とする。
【0127】
また、第1スイッチング素子Q1において、GaN-FETのゲート電極G1(
図2参照)から延びるボンディングワイヤWが回路パターン22に接続される箇所を第2接続部42とする。
【0128】
そして、第1実施形態では、かかる第1接続部41が第2接続部42よりもパワー基板10の短辺(
図15における左側)に近いとよい。言い換えれば、第1接続部41は第2接続部42よりも両者が接続される第1スイッチング素子Q1から離れて配置するとよい。これにより、第1スイッチング素子Q1のドレイン端子からソース端子に流れる大電流ラインILと、第1スイッチング素子Q1に含まれるGaN-FETのゲート電極G1からソース端子に流れる小電流ラインISとの重なり(すなわち、共通インピーダンスCI(
図7参照))を極力小さくすることができる。
【0129】
したがって、第1実施形態によれば、共通インピーダンスCIを低減して大電流ラインILで発生するノイズの小電流ラインISへの影響を低減することができる。
【0130】
また、第1実施形態では、第1接続部41および第2接続部42が設けられる回路パターン22における所定の箇所に、切れ込み部43を設けるとよい。
【0131】
かかる切れ込み部43は、パワー基板10の長辺に沿って形成され、第2接続部42と向かい合うように設けられる。換言すると、切れ込み部43は、第1接続部41と第2接続部42との間に分け入るように設けられる。
【0132】
これにより、
図15に示すように、第2接続部42からソース端子Q1Sに向かって流れる小電流ラインISを、第1接続部41から離れるように(第1接続部41を迂回するように)形成することができる。
【0133】
すなわち、第1実施形態では、回路パターン22に切れ込み部43を設けることにより、大電流ラインILと小電流ラインISとの重なりをさらに小さくして共通インピーダンスCIを小さくすることができる。したがって、第1実施形態によれば、大電流ラインILで発生するノイズの小電流ラインISへの影響を低減することができる。
【0134】
なお、
図15では第1スイッチング素子Q1について示したが、第3スイッチング素子Q3でも同様に回路パターン28に第1接続部41、第2接続部42および切れ込み部43を設けることにより、共通インピーダンスCIを極力小さくすることができる。
【0135】
図16は、第1実施形態に係るパワーモジュール1内の共通インピーダンスCIについて説明するための図(2)である。
【0136】
図16に示すように、第2スイッチング素子Q2において、Si-FETのソース電極S2(
図2参照)(すなわち、第2スイッチング素子Q2のソース電極S(
図2参照))から延びるボンディングワイヤW(
図10の(a)参照)が回路パターン25に接続される箇所を第3接続部44とする。
【0137】
また、第2スイッチング素子Q2において、GaN-FETのゲート電極G1(
図2参照)から延びるボンディングワイヤWが回路パターン25に接続される箇所を第4接続部45とする。
【0138】
そして、第1実施形態では、かかる第3接続部44が第4接続部45よりもパワー基板10の中央に近いとよい。言い換えれば、第3接続部44は第4接続部45よりも両者が接続される第2スイッチング素子Q2から離れて配置するとよい。これにより、第2スイッチング素子Q2のドレイン端子からソース端子に流れる大電流ラインILと、第2スイッチング素子Q2に含まれるGaN-FETのゲート電極G1からソース端子に流れる小電流ラインISとの重なり(すなわち、共通インピーダンスCI(
図7参照))を極力小さくすることができる。
【0139】
したがって、第1実施形態によれば、共通インピーダンスCIを低減して大電流ラインILで発生するノイズの小電流ラインISへの影響を低減することができる。
【0140】
また、第1実施形態では、第3接続部44および第4接続部45が設けられる回路パターン25における所定の箇所に切れ込み部46を設けるとよい。
【0141】
かかる切れ込み部46は、パワー基板10の中心部に向かうように形成され、第4接続部45と向かい合うように設けられる。換言すると、切れ込み部46は、第3接続部44と第4接続部45との間に分け入るように設けられる。
【0142】
これにより、
図16に示すように、第4接続部45からソース端子Q2Sに向かって流れる小電流ラインISを、第3接続部44から離れるように(第3接続部44を迂回するように)形成することができる。
【0143】
すなわち、第1実施形態では、回路パターン25に切れ込み部46を設けることにより、大電流ラインILと小電流ラインISとの重なりをさらに小さくして共通インピーダンスCIを小さくすることができる。したがって、第1実施形態によれば、共通インピーダンスCIを低減して大電流ラインILで発生するノイズの小電流ラインISへの影響を低減することができる。
【0144】
なお、
図16では第2スイッチング素子Q2について示したが、第4スイッチング素子Q4でも同様に回路パターン25に第3接続部44、第4接続部45および切れ込み部46を設けることにより、共通インピーダンスCIを極力小さくすることができる。
【0145】
また、第1実施形態に係るパワーモジュール1は、市場で標準的なパッケージとして知られるEasyPACKと同じサイズであるとよい。これにより、市場で標準的なパッケージのパワーモジュール1において、配線インダクタンスを低減することができる。
【0146】
つづいて、ここまで説明した第1実施形態に係るパワーモジュール1と、第1実施形態とは別のコンセプトで配置された参考例のパワーモジュール100との配線インダクタンスについて比較する。
図17は、参考例におけるパワーモジュール100の構成を示す上面図である。
【0147】
かかる参考例では、第1スイッチング素子Q1のソース電極S(
図9参照)と第2スイッチング素子Q2のドレイン電極D(
図9参照)とが互いに向かい合い、第3スイッチング素子Q3のソース電極Sと第4スイッチング素子Q4のドレイン電極Dとに互いに向かい合うように配置される点が、第1実施形態と大きく異なる。
【0148】
図18は、参考例におけるパワーモジュール100内の回路ループL1-1~L1-4について説明するための図である。
図18に示すように、参考例のパワーモジュール100では、第1実施形態に比べて、回路ループL1-1~L1-4の長さが長くなっているとともに、かかる回路ループL1-1~L1-4のループ面積が大きくなっている。
【0149】
図19は、参考例におけるパワーモジュール100内の回路ループL2について説明するための図である。
図19に示すように、参考例のパワーモジュール100では、第1実施形態に比べて、回路ループL2の長さが長くなっているとともに、かかる回路ループL2のループ面積が大きくなっている。
【0150】
図20は、参考例におけるパワーモジュール100内の回路ループL3-1、L3-2について説明するための図である。
図20に示すように、参考例のパワーモジュール100では、第1実施形態に比べて、回路ループL3-1、L3-2の長さが長くなっているとともに、かかる回路ループL3-1、L3-2のループ面積が大きくなっている。
【0151】
すなわち、第1実施形態に係るパワーモジュール1は、参考例のパワーモジュール100に比べて、回路ループL1-1~L1-4、L2、L3-1、L3-2の長さが短くなっているとともに、かかる回路ループのループ面積が小さくなっている。これにより、第1実施形態では、パワーモジュール1の配線インダクタンスを低減することができる。
【0152】
図21は、参考例におけるパワーモジュール100内の共通インピーダンスCIについて説明するための図である。
【0153】
図20に示すように、参考例では、第1スイッチング素子Q1において、Si-FETのソース電極S2(
図2参照)から延びるボンディングワイヤW(
図10の(a)参照)と、GaN-FETのゲート電極G1(
図2参照)から延びるボンディングワイヤWとが、回路パターン22上に一列に並んで接合される。
【0154】
これにより、参考例のパワーモジュール100では、第1実施形態に比べて、大電流ラインILと小電流ラインISとの重なり(すなわち、共通インピーダンスCI)が大きくなっている。
【0155】
すなわち、第1実施形態に係るパワーモジュール1は、参考例のパワーモジュール100に比べて、共通インピーダンスCIが小さくなっている。これにより、第1実施形態では、パワーモジュール1の配線インダクタンスを低減することができる。
【0156】
<第1実施形態の変形例>
ここまでは、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4と、コンデンサC1とが同じパワー基板10に搭載された例について示したが、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4と、コンデンサC1とは同じパワー基板10に搭載されなくともよい。例えば、コンデンサC1をパワーモジュール1の外部に設けてもよい。
【0157】
図22は、第1実施形態の変形例1に係るパワーモジュール1の構成を示す断面図である。なお、以降の例では、第1実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0158】
図22に示すように、変形例1に係るパワーモジュール1は、第1実施形態に係るパワーモジュール1を構成する各部材に加えて、プリント基板2を備える。かかるプリント基板2は、蓋部12を介してパワー基板10と向かい合うように配置される。
【0159】
図23は、第1実施形態の変形例1に係るパワーモジュール1におけるパワー基板10の構成を示す上面図である。
図23に示すように、変形例1に係るパワー基板10には、コンデンサC1が設けられていない。
【0160】
図24は、第1実施形態の変形例1に係るパワーモジュール1におけるプリント基板2の構成を示す上面図である。
図24に示すように、変形例1に係るパワーモジュール1では、プリント基板2にコンデンサC1が設けられる。
【0161】
かかるコンデンサC1は、平面視においてパワー基板10の中央部4に設けられる。すなわち、変形例1では、パワー基板10の中央部4における上方にコンデンサC1が設けられる。
【0162】
そして、第1実施形態と同様に、平面視において、中央部4に配置されたコンデンサC1を囲むように、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4が配置される。
【0163】
プリント基板2には、パワー基板10の回路パターン21(
図23参照)と向かい合う位置に回路パターン51が設けられ、パワー基板10の回路パターン25(
図23参照)と向かい合う位置に回路パターン52が設けられる。
【0164】
そして、回路パターン51と回路パターン52との間にコンデンサC1が設けられ、かかるコンデンサC1を介して回路パターン51と回路パターン52とが電気的に接続される。また、回路パターン51と1対の正極端子Pとが電気的に接続され、回路パターン52と1対の負極端子Nとが電気的に接続される。
【0165】
図25は、第1実施形態の変形例1に係るパワーモジュール1内の回路ループL3-1、L3-2について説明するための図である。
図25に示すように、変形例1に係るパワーモジュール1では参考例のパワーモジュール100に比較して、回路ループL3-1、L3-2の長さが短くなっているとともに、かかる回路ループL3-1、L3-2のループ面積が小さくなっている。
【0166】
なお、変形例1に係るパワーモジュール1において、回路ループL1-1~L1-4および回路ループL2は、
図12および
図13に示した場合と同様である。
【0167】
すなわち、変形例1に係るパワーモジュール1では参考例のパワーモジュール100に比較して、回路ループL1-1~L1-4、L2、L3-1、L3-2の長さがすべて短くなっているとともに、かかる回路ループのループ面積がすべて小さくなっている。したがって、変形例1によれば、パワーモジュール1の配線インダクタンスを低減することができる。
【0168】
図26は、第1実施形態の変形例2に係るパワーモジュール1におけるパワー基板10の構成を示す上面図であり、
図27は、第1実施形態の変形例2に係るパワーモジュール1におけるプリント基板2の構成を示す上面図である。
【0169】
図26に示すように、変形例2に係るパワー基板10では、1対の正極端子Pおよび1対の負極端子Nが設けられる箇所が変形例1と異なる。
【0170】
具体的には、1対の正極端子Pが、回路パターン21において、パワー基板10の中央部4に隣接する箇所に設けられる。また、1対の負極端子Nが、回路パターン25において、パワー基板10の中央部4に隣接する箇所に設けられる。
【0171】
これにより、
図27に示すように、1対の正極端子Pおよび1対の負極端子Nをプリント基板2上のコンデンサC1に近接させることができる。
【0172】
これにより、
図28に示すように、回路ループL3-1、L3-2の長さを極力短くすることができるとともに、かかる回路ループL3-1、L3-2のループ面積を極力小さくすることができる。
図28は、第1実施形態の変形例2に係るパワーモジュール1内の回路ループL3-1、L3-2について説明するための図である。
【0173】
すなわち、変形例2に係るパワーモジュール1では、回路ループL1-1~L1-4、L2、L3-1、L3-2の長さがすべて極力短くなっているとともに、かかる回路ループのループ面積がすべて極力小さくなっている。したがって、変形例2によれば参考例のパワーモジュール100に比較して、パワーモジュール1の配線インダクタンスをさらに低減することができる。
【0174】
<第2実施形態>
つづいて、第2実施形態に係るパワーモジュール1について、
図29~
図34を参照しながら説明する。
図29は、第2実施形態に係るパワーモジュール1の回路構成を示す図である。
【0175】
図29に示すように、第2実施形態のパワーモジュール1は、パワー基板10と、ドライバ基板3とを備える。なお、パワー基板10の回路構成は第1実施形態と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0176】
ドライバ基板3は、ドライブ回路DR1~DR4と、インターフェイス回路IFとを有する。
【0177】
ドライブ回路DR1は、ゲート端子Q1Gおよびソース端子Q1Sに接続され、かかるゲート端子Q1Gおよびソース端子Q1Sを介して第1スイッチング素子Q1を駆動する。かかるドライブ回路DR1には、インターフェイス回路IFから所定の制御信号が入力され、電源入力端子VU1から所定の制御用電圧が入力される。
【0178】
ドライブ回路DR2は、ゲート端子Q2Gおよびソース端子Q2Sに接続され、かかるゲート端子Q2Gおよびソース端子Q2Sを介して第2スイッチング素子Q2を駆動する。かかるドライブ回路DR2には、インターフェイス回路IFから所定の制御信号および所定の制御用電圧が入力される。
【0179】
ドライブ回路DR3は、ゲート端子Q3Gおよびソース端子Q3Sに接続され、かかるゲート端子Q3Gおよびソース端子Q3Sを介して第3スイッチング素子Q3を駆動する。かかるドライブ回路DR3には、インターフェイス回路IFから所定の制御信号が入力され、電源入力端子VU2から所定の制御用電圧が入力される。
【0180】
ドライブ回路DR4は、ゲート端子Q4Gおよびソース端子Q4Sに接続され、かかるゲート端子Q4Gおよびソース端子Q4Sを介して第4スイッチング素子Q4を駆動する。かかるドライブ回路DR4には、インターフェイス回路IFから所定の制御信号および所定の制御用電圧が入力される。
【0181】
インターフェイス回路IFには、外部からインターフェイス端子IF1~nを介して所定の制御信号が入力される。また、インターフェイス回路IFには、電源入力端子VL1、VL2から所定の制御用電圧が入力される。なお、かかる電源入力端子VL1、VL2から入力される所定の制御用電圧は、ドライブ回路DR2、DR4をそれぞれ駆動するための電圧である。
【0182】
図30は、第2実施形態に係るパワーモジュール1の構成を示す断面図(
図30の(a))および上面図(
図30の(b))である。なお、パワー基板10の構成は上述の第1実施形態と同様であることから、図示および詳細な説明は省略する。
【0183】
図30の(a)に示すように、第2実施形態に係るパワーモジュール1では、パワー基板10と蓋部12との間に、かかるパワー基板10および蓋部12と略並行にドライバ基板3が配置される。そして、ケース11の内部は、かかるドライバ基板3も含めてシリコンゲル13が充填されている。
【0184】
図30の(b)に示すように、ドライバ基板3には、ドライブ回路DR1~DR4と、インターフェイス端子IF1~nと、電源入力端子VU1、VU2、VL1、VL2とが設けられる。なお、
図30には図示していないが、ドライバ基板3には、インターフェイス回路IFも設けられる。
【0185】
そして、第2実施形態では、平面視において、第1スイッチング素子Q1の近傍にドライブ回路DR1が設けられ、第2スイッチング素子Q2の近傍にドライブ回路DR2が設けられ、第3スイッチング素子Q3の近傍にドライブ回路DR3が設けられ、第4スイッチング素子Q4の近傍にドライブ回路DR4が設けられる。
【0186】
また、第2実施形態では、平面視において、ドライブ回路DR1の近傍に電源入力端子VU1が設けられ、ドライブ回路DR2の近傍に電源入力端子VL1が設けられ、ドライブ回路DR3の近傍に電源入力端子VU2が設けられ、ドライブ回路DR4の近傍に電源入力端子VL2が設けられる。
【0187】
さらに、第2実施形態では、平面視において、電源入力端子VL1および電源入力端子VL2の近傍にインターフェイス端子IF1~nが設けられる。ドライバ基板3に搭載される各部材をこのように配置した理由について、以下に説明する。
【0188】
図31は、第2実施形態に係るパワーモジュール1において親和性が高い回路ごとにブロック分けした図である。
図31に示すように、第2実施形態に係るパワーモジュール1に形成される回路は、親和性が高い回路ごとに3つのブロックA、ブロックBおよびブロックCに分けられる。
【0189】
ここで、「親和性が高い回路」とは、近しい電位でくくられる回路のことであり、この親和性の高い回路内では、各部を近接させたとしてもノイズなどによる誤動作が起きづらい。一方で、属するブロックが異なる回路を互いに近接させた場合、異なる電位の影響を受けてノイズなどによる誤動作が生じやすい。
【0190】
図31に示すように、ブロックAには、第1スイッチング素子Q1と、ドライブ回路DR1と、ゲート端子Q1Gと、ソース端子Q1Sと、出力端子OUT1と、電源入力端子VU1とが含まれる。
【0191】
かかるブロックAは、パワーモジュール1における上アームの1つに対応する。したがって、かかるブロックAでは、第1スイッチング素子Q1がオンオフする毎に、高電圧(たとえば、400V)と低電圧(たとえば、0V)との間で電位が大きくスイングする。
【0192】
ブロックBには、第3スイッチング素子Q3と、ドライブ回路DR3と、ゲート端子Q3Gと、ソース端子Q3Sと、出力端子OUT2と、電源入力端子VU2とが含まれる。
【0193】
かかるブロックBは、パワーモジュール1における上アームの別の1つに対応する。したがって、かかるブロックBでは、第3スイッチング素子Q3がオンオフする毎に、高電圧(たとえば、400V)と低電圧(たとえば、0V)との間で電位が大きくスイングする。
【0194】
ブロックCには、第2スイッチング素子Q2と、第4スイッチング素子Q4と、ドライブ回路DR2、DR4と、インターフェイス回路IFと、ゲート端子Q2G、Q4Gと、ソース端子Q2S、Q4Sと、インターフェイス端子IF1~nと、電源入力端子VL1、VL2とが含まれる。
【0195】
なお、
図31には図示していないが、サーミスタTHおよび端子TH1、TH2もブロックCに含まれる。
【0196】
かかるブロックCは、パワーモジュール1における2つの下アームに対応する。したがって、かかるブロックCでは、第2スイッチング素子Q2または第4スイッチング素子Q4がオンオフする場合でも、高電圧と低電圧との間で電位が大きくスイングすることなく、低電圧(たとえば、0V)の近傍で電位が維持される。
【0197】
図32は、第2実施形態に係るパワーモジュール1のパワー基板10を
図30に示した手法でブロック分けした図である。
図32に示すように、パワー基板10において、ブロックAは、左側の短辺および上側の長辺の左部分に沿って略L字状に配置される。
【0198】
また、パワー基板10において、ブロックBは、右側の短辺および上側の長辺の右部分に沿って略L字状に配置される。さらに、パワー基板10において、ブロックCは、右側および左側を除いた下半分に略矩形状に配置される。
【0199】
図33は、第2実施形態に係るパワーモジュール1のドライバ基板3を
図30に示した手法でブロック分けした図である。
図33に示すように、ドライバ基板3において、ブロックAは、左側の上半分に略矩形状に配置される。
【0200】
また、ドライバ基板3において、ブロックBは、右側の上半分に略矩形状に配置される。さらに、ドライバ基板3において、ブロックCは、下半分に略矩形状に配置される。
【0201】
図34は、第2実施形態に係るパワーモジュール1のパワー基板10におけるブロックとドライバ基板3におけるブロックとを重ね合わせた図である。
【0202】
図34に示すように、第2実施形態のパワーモジュール1では、上アームの1つに対応するブロックAと、上アームの別の1つに対応するブロックBと、2つの下アームに対応するブロックCとがそれぞれ厚み方向に極力重なるようにしている。
【0203】
図34の例では、パワー基板10の下半分における左側の縁部でブロックAとブロックCが重複し、パワー基板10の下半分における右側の縁部でブロックBとブロックCが重複している以外は、同じブロック同士が厚み方向に重なっている。
【0204】
これにより、属するブロックが異なる回路を互いに近接させることを抑制することができる。したがって、第2実施形態によれば、ノイズなどによる誤動作を抑制することができる。
【0205】
また、第2実施形態では、
図33などに示すように、ブロックAに属するゲート端子Q1Gおよびソース端子Q1Sを、異なるブロックB、Cから離れたパワー基板10の角(図では左上側の角)の近傍に配置するとよい。
【0206】
これにより、異なるブロックB、Cからのノイズがかかるゲート端子Q1Gおよびソース端子Q1Sに入力されることを抑制することができる。したがって、第2実施形態によれば、第1スイッチング素子Q1がノイズなどによって誤動作することを抑制することができる。
【0207】
また、第2実施形態では、ブロックBに属するゲート端子Q3Gおよびソース端子Q3Sを、異なるブロックA、Cから離れたパワー基板10の角(図では右上側の角)の近傍に配置するとよい。
【0208】
これにより、異なるブロックA、Cからのノイズがかかるゲート端子Q3Gおよびソース端子Q3Sに入力されることを抑制することができる。したがって、第2実施形態によれば、第3スイッチング素子Q3がノイズなどによって誤動作することを抑制することができる。
【0209】
また、第2実施形態では、ブロックCに属するゲート端子Q2G、Q4Gおよびソース端子Q2S、Q4Sを、異なるブロックB、Cから離れたパワー基板10の辺(図では下辺)の近傍に配置するとよい。
【0210】
これにより、異なるブロックA、Bからのノイズがかかるゲート端子Q2G、Q4Gおよびソース端子Q2S、Q4Sに入力されることを抑制することができる。したがって、第2実施形態によれば、第2スイッチング素子Q2および第4スイッチング素子Q4がノイズなどによって誤動作することを抑制することができる。
【0211】
また、第2実施形態に係るパワーモジュール1は、市場で標準的なパッケージとして知られるEasyPACKと同じサイズであるとよい。これにより、市場で標準的なパッケージのパワーモジュール1において、ノイズなどによる誤動作を抑制することができる。
【0212】
図35は、第2実施形態の変形例3に係るパワーモジュール1のパワー基板10を
図30に示した手法でブロック分けした図である。
図35に示すように、変形例3では、出力端子OUT1を回路パターン22上でソース端子Q1S側に移動させるとともに、出力端子OUT2を回路パターン28上でソース端子Q3S側に移動させる。
【0213】
さらに、変形例3では、第1実施形態などで出力端子OUT1が配置されていた回路パターン22の部位を除き、第1実施形態などで出力端子OUT2が配置されていた回路パターン28の部位を除く。
【0214】
これにより、
図36に示すように、変形例3では、ブロックAとブロックCとが厚み方向で重なる部分を縮小することができるとともに、ブロックBとブロックCとが厚み方向で重なる部分を縮小することができる。
図36は、第2実施形態の変形例3に係るパワーモジュール1のパワー基板10におけるブロックとドライバ基板3におけるブロックとを重ね合わせた図である。
【0215】
したがって、変形例3によれば、属するブロックが異なる回路を互いに近接させることをさらに抑制することができることから、ノイズなどによる誤動作をさらに抑制することができる。
【0216】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0217】
たとえば、上述の各実施形態では、カスケード型GaN-FETを用いたパワーモジュール1について示したが、パワーモジュール1に用いられるスイッチング素子Qはカスケード型GaN-FETに限られず、GaN-FET単体で第1スイッチング素子Q1~第4スイッチング素子Q4が構成されてもよい。
【0218】
また、上述の各実施形態では、GaN-FET上にSi-FETを設けたチップオンチップタイプのスイッチング素子Qを用いた場合について示したが、GaN-FETとSi-FETとをパワー基板10上に並べて設けてもよい。
【0219】
また、上述の各実施形態では、コンデンサC1が1つのコンデンサで構成された例について示したが、コンデンサC1は1つのコンデンサで構成されなくともよい。たとえば、複数のコンデンサが直列に接続されてコンデンサC1が構成されてもよいし、複数のコンデンサが並列に接続されてコンデンサC1が構成されてもよい。また、コンデンサと抵抗とが直列に接続されてコンデンサC1が構成されてもよい。
【0220】
また、上述の各実施形態では、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4の各電極がボンディングワイヤWで対応する回路パターンに接続された例について示したが、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4の各電極と回路パターンとを接続する部材はボンディングワイヤWに限られない。たとえば、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4の各電極と回路パターンとをリードフレームなどで電気的に接続してもよい。
【0221】
また、上述の第2実施形態では、コンデンサC1がパワー基板10に搭載された例について示したが、コンデンサC1がドライバ基板3に搭載されていてもよく、別途設けられるプリント基板2にコンデンサC1が搭載されていてもよい。この場合、コンデンサC1は、平面視においてパワー基板10の中央部4に設けられていればよい。
【0222】
各実施形態に係るパワーモジュール1は、第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2と、第3スイッチング素子Q3と、第4スイッチング素子Q4と、回路基板(パワー基板10)と、コンデンサC1とを備える。第1スイッチング素子Q1は、正極端子Pに接続され、GaN系スイッチング素子(GaN-FET)を含む。第2スイッチング素子Q2は、第1スイッチング素子Q1と負極端子Nとの間に接続され、GaN系スイッチング素子(GaN-FET)を含む。第3スイッチング素子Q3は、正極端子Pに接続され、GaN系スイッチング素子(GaN-FET)を含む。第4スイッチング素子Q4は、第3スイッチング素子Q3と負極端子Nとの間に接続され、GaN系スイッチング素子(GaN-FET)を含む。回路基板(パワー基板10)は、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4が搭載される。第1~第4スイッチング素子Q1~Q4は、回路基板上の一点、例えば中央部4を囲むように配置される。第1スイッチング素子Q1のドレイン電極Dと第3スイッチング素子Q3のドレイン電極Dとは、互いに向かい合うように配置される。第2スイッチング素子Q2のソース電極Sと第4スイッチング素子Q4のソース電極Sとは、互いに向かい合うように配置される。これにより、パワーモジュール1の配線インダクタンスを低減することができる。
【0223】
また、各実施形態に係るパワーモジュール1において、コンデンサC1は、第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2と、第3スイッチング素子Q3と、第4スイッチング素子Q4で囲まれる回路基板(パワー基板10)上の一点、例えば中央部4に搭載される。これにより、コンデンサC1を搭載するために、別途プリント基板2を設ける必要がなくなることから、パワーモジュール1の製造コストを低減することができる。
【0224】
また、各実施形態に係るパワーモジュール1において、回路基板(パワー基板10)と、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4とは、長辺と短辺とを有する長方形状である。また、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4は、長辺に沿ってドレイン電極Dとソース電極Sとが設けられ、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4は、短辺が回路基板(パワー基板10)の長辺に向かい合うように配置される。これにより、パワーモジュール1の配線インダクタンスを低減することができる。
【0225】
また、各実施形態に係るパワーモジュール1において、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4は、GaN系スイッチング素子(GaN-FET)のおもて面に配置されるソース電極S1と、Si系スイッチング素子(Si-FET)の裏面に配置されるドレイン電極とが電気的および機械的に接続されるカスケード型GaN-FETである。これにより、ノーマリーオンのGaN-FETを、ノーマリーオフのスイッチング素子として駆動することができる。
【0226】
また、各実施形態に係るパワーモジュール1において、第1スイッチング素子Q1および第3スイッチング素子Q3において、Si系スイッチング素子(Si-FET)のソース電極S2から延びるボンディングワイヤWが回路基板(Si-FET)の回路パターン22、28に接続される箇所を第1接続部41とし、GaN系スイッチング素子(GaN-FET)のゲート電極G1から延びるボンディングワイヤWが回路基板(パワー基板10)の回路パターン22、28に接続される箇所を第2接続部42とした場合に、第1接続部41は第2接続部42よりも両者が接続される、第1スイッチング素子Q1又は第3スイッチング素子Q3から離れるように配置する。これにより、第1スイッチング素子Q1又は第3スイッチング素子Q3のドレイン端子からソース端子に流れる大電流ラインILと、ゲート端子からソース端子に流れる小電流ラインISとの重なりを極力小さくすることができる。
【0227】
また、各実施形態に係るパワーモジュール1において、回路基板(パワー基板10)は、長辺と短辺とを有する長方形状であり、第1接続部41および第2接続部42を有する回路基板(パワー基板10)の回路パターン22、28は、回路基板(パワー基板10)の短辺に沿って形成され、第2接続部42と向かい合うように設けられる切れ込み部43を有する。これにより、第2接続部42からソース端子Q1S、Q3Sに向かって流れる小電流ラインISを、第1接続部41から離れるように形成することができる。
【0228】
また、各実施形態に係るパワーモジュール1において、第2スイッチング素子Q2および第4スイッチング素子Q4において、Si系スイッチング素子(Si-FET)のソース電極S2から延びるボンディングワイヤWが回路基板(Si-FET)の回路パターン25に接続される箇所を第3接続部44とし、GaN系スイッチング素子(GaN-FET)のゲート電極G1から延びるボンディングワイヤWが回路基板(パワー基板10)の回路パターン25に接続される箇所を第4接続部45とした場合に、第3接続部44は第4接続部45よりも両者が接続される、第2スイッチング素子Q2又は第4スイッチング素子Q4から離れるように配置する。これにより、第2スイッチング素子Q2又は第4スイッチング素子Q4のドレイン端子からソース端子に流れる大電流ラインILと、ゲート端子からソース端子に流れる小電流ラインISとの重なりを極力小さくすることができる。
【0229】
また、各実施形態に係るパワーモジュール1において、回路基板(パワー基板10)は、長辺と短辺とを有する長方形状であり、第3接続部44および第4接続部45を有する回路基板(パワー基板10)の回路パターン25は、回路基板(パワー基板10)の短辺に沿って形成され、第4接続部45と向かい合うように設けられる切れ込み部46を有する。これにより、第4接続部45からソース端子Q2S、Q4Sに向かって流れる小電流ラインISを、第3接続部44から離れるように形成することができる。
【0230】
また、第2実施形態に係るパワーモジュール1は、第1スイッチング素子Q1と、第2スイッチング素子Q2と、第3スイッチング素子Q3と、第4スイッチング素子Q4と、回路基板(パワー基板10)と、ドライバ基板3とを備える。第1スイッチング素子Q1は、上アームの1つを構成する。第2スイッチング素子Q2は、下アームの1つを構成する。第3スイッチング素子Q3は、上アームの別の1つを構成する。第4スイッチング素子Q4は、下アームの別の1つを構成する。回路基板(パワー基板10)は、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4が搭載される。ドライバ基板3は、第1~第4スイッチング素子Q1~Q4を駆動する複数のドライブ回路DR1~DR4が搭載される。また、回路基板(パワー基板10)とドライバ基板3とは、厚み方向に重なって配置される。そして、回路基板における上アームの1つに対応する領域と、ドライバ基板3における上アームの1つに対応する領域が重なり合い、回路基板における上アームの別の1つに対応する領域と、ドライバ基板3における上アームの別の1つに対応する領域が重なり合い、回路基板における下アームに対応する領域と、ドライバ基板3における下アームに対応する領域が重なり合う。これにより、属するブロックが異なる回路を互いに近接させることを抑制することができることから、ノイズなどによる誤動作を抑制することができる。
【0231】
また、第2実施形態に係るパワーモジュール1において、上アームの1つに属するゲート端子Q1Gおよびソース端子Q1Sは、上アームの別の1つまたは下アームに対応する領域から離れたパワー基板10の角の近傍に配置される。これにより、第1スイッチング素子Q1がノイズなどによって誤動作することを抑制することができる。
【0232】
また、第2実施形態に係るパワーモジュール1において、上アームの別の1つに属するゲート端子Q3Gおよびソース端子Q3Sは、上アームの1つまたは下アームに対応する領域から離れたパワー基板10の角の近傍に配置される。これにより、第3スイッチング素子Q3が自身の領域と他の領域との電位差が原因で発生するノイズなどによって誤動作することを抑制することができる。
【0233】
また、第2実施形態に係るパワーモジュール1において、下アームに属するゲート端子Q2G、Q4Gおよびソース端子Q2S、Q4Sは、上アームの1つまたは上アームの別の1つに対応する領域から離れたパワー基板10の辺の近傍に配置される。これにより、第2スイッチング素子Q2および第4スイッチング素子Q4が自身の領域と他の領域との電位差が原因で発生するノイズなどによって誤動作することを抑制することができる。
【0234】
また、第2実施形態に係るパワーモジュール1は、EasyPACKと同じサイズである。これにより、市場で標準的なパッケージのパワーモジュール1において、ノイズなどによる誤動作を抑制することができる。
【0235】
今回開示された各実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の各実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0236】
1 パワーモジュール
2 プリント基板
3 ドライバ基板
4 中央部
10 パワー基板(回路基板の一例)
21~32 回路パターン
41 第1接続部
42 第2接続部
43 切れ込み部
P 正極端子
N 負極端子
C1 コンデンサ
Q1 第1スイッチング素子
Q2 第2スイッチング素子
Q3 第3スイッチング素子
Q4 第4スイッチング素子
D ドレイン電極
S ソース電極
G ゲート電極
W ボンディングワイヤ