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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/30 20060101AFI20240717BHJP
【FI】
B65D75/30 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020002787
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2021109683
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】三好 征記
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-074077(JP,A)
【文献】米国特許第06280085(US,B1)
【文献】特開2002-128127(JP,A)
【文献】米国特許第06476137(US,B1)
【文献】特開2002-200708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース材と、
前記ベース材に載せられる内容物を覆うフィルムとを備え、
前記内容物が密封されるように前記ベース材と前記フィルムとが接合され、
前記ベース材は、少なくとも、紙層と、前記内容物が密封されたまま前記紙層を含む前記ベース材の下層部を前記フィルムに接合される前記ベース材の上層部から剥離させる剥離層とを含む
包装体。
【請求項2】
前記剥離層は、前記紙層を含む層と前記紙層を含まない層とに分離させることが可能な層であり、
前記紙層を含まない層は、前記フィルムに接合される層を含む層である
請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記ベース材の前記紙層は、少なくとも第1紙層と第2紙層を有し、
前記剥離層は、前記第1紙層を含む層と前記第2紙層を含む層とに分離させることが可能な層である
請求項1に記載の包装体。
【請求項4】
前記ベース材はバリア層を含み、
前記内容物が密封されたまま前記ベース材において剥離した場合に、少なくとも、前記フィルムに接合される層を含む層に前記バリア層は含まれ、
前記バリア層はガスバリア性および水分バリア性の少なくとも一方に優れた材料によって構成される
請求項1~3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項5】
前記剥離層は、イージーピール層である
請求項1~4のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項6】
前記イージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度は0.5N/15mm以上~5N/15mm以下の範囲に含まれる
請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
前記内容物が密封されるように前記ベース材と前記フィルムとが接合される部分がイージーピール構造となっている
請求項1~6のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項8】
前記ベース材から前記フィルムを剥離しやすくするための剥離開始部と、前記内容物が密封されたまま前記ベース材において剥離しやすくするための剥離開始部が設けられる
請求項1~7のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項9】
前記ベース材および前記フィルムによって密封される内容物をさらに備える
請求項1~8のいずれか一項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収容する包装体が知られている。例えば、特許文献1は、下記のスキンパック包装体を開示している。そのスキンパック包装体とは、ベース材、ベース材を覆うフィルム、および、ベース材とフィルムとの間に介在する被包装物とを備える。また、前記ベース材は、被包装物を支持ずる本体部、本体部と隣合うつまみ部、および、本体部とつまみ部との分断を可能とする分断予定線を有する。その分断予定線は、その両端を結ぶ直線と離間した部分を有する。
【0003】
上記分断予定線における、その両端を結ぶ直線と離間した部分を有する構造により、分断予定線が破断し難くなったり、つまみ部が脱落するという不具合を解消できる。
【0004】
上記包装体のベース材は厚紙などからなり、包装体を購入後に内容物が密封されたまま保管または保存する際、ベース材が厚くしっかりしているために、そのベース材の分、ある程度の保管スペースまたは保存スペースを必要とする。
【0005】
また、厚紙等を材料とする上記ベース材にはシワがなくしっかりしているため、ベース材の表裏に印刷することが可能だが、印刷したい項目が多い場合、字が小さくなって読みにくくなったり、内容物の見栄えを考慮するもののやむなく内容物側の面に印刷をする場合がある。このように、ベース材の印刷範囲が限られているための問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6151554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、内容物が密封されたまま、保管スペースを必要とせずに保管したり、保存スペースを必要とせずに保存することができ、さらに、ベース材における印刷可能な範囲を広げることのできる包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に関する包装体は、ベース材と、前記ベース材に載せられる内容物を覆うフィルムとを備え、前記内容物が密封されるように前記ベース材と前記フィルムとが接合され、前記ベース材は、少なくとも、紙層と、前記内容物が密封されたままベース材を剥離させる剥離層とを含む。
上記包装体によれば、内容物が密封されるようにベース材とフィルムとが接合された状態のまま、紙層を含むベース材の一部を剥離して薄くすることができるため、内容物は密封されたまま、包装体を保管スペースを必要とせずに保管することができ、または、保存スペースを必要とせずに保存することができる。
また、上記包装体によれば、ベース材の表側と裏側以外に剥離内面側にも印刷することが可能となり、ベース材における印刷可能な範囲を広げることができる。
【0009】
(2)好ましい例では(1)に記載の包装体において、前記剥離層は、前記紙層を含む層と前記紙層を含まない層とに分離させることが可能な層であり、前記紙層を含まない層は
、前記フィルムに接合される層を含む層である。
上記包装体によれば、内容物は密封されたまま、ベース材の紙層を含む層を剥離することで、かさばらず、包装体を保管スペースを必要とせずに保管したり、保存スペースを必要とせずに保存することができる。
また、ベース材の紙層を含まない層やフィルムの材料がプラスチックである場合、内容物の取り出し後に包装体を廃棄する際、ベース材の紙層を含む部分を紙ごみとして、ベース材の紙層を含まない部分とフィルムをプラスチックゴミとして分別が可能である。
さらに、ベース材は、剥離することで2枚のまな板として利用することが可能である。内容物が食品の場合、内容物の取り出し後、ベース材の紙層を含まない層から紙層を含む層を剥離する前は、その剥離前のベース材をまな板として利用することが可能である。内容物の取り出し後、ベース材の紙層を含まない層から紙層を含む層を剥離した後は、その剥離した紙層を含む層をまな板として利用することが可能である。ベース材の剥離内面は内容物によって汚れることがない。よって、ベース材において剥離した紙層を含む層をまな板として利用する時、包装体に収納した内容物とは別の食品をそのまな板に載せることが可能となる。また、例えば、スキンパックされる食品としては、肉や魚などの生ものが多いが、通常、その生ものとそれ以外の食材を切るために、別々のまな板を用意したり、生ものを切るために使用したまな板を洗浄する必要がある。本発明に係る包装体のベース材を剥離して2枚のまな板として利用できることで、別々のまな板を用意したり、生ものを切るために使用したまな板を洗浄する必要がなくなる。
【0010】
また、包装された食品を調理する際に、包装体から食品を取り出さずに、ベース材の紙層を含む層を剥離し、食品を収納した包装体のまま湯煎することが可能である。よって、別々に包装された食品を湯煎にかける場合、水を入れ替える必要がなく、また、同じ水の中で、それぞれ包装された食品を同時に湯煎にかけることも可能である。よって、水や燃料の省資源に役立つ。
【0011】
(3)好ましい例では(1)に記載の包装体において、前記ベース材の前記紙層は、少なくとも第1紙層と第2紙層を有し、前記剥離層は、前記第1紙層を含む層と前記第2紙層を含む層とに分離させることが可能な層である。上記包装体によれば、ベース材の剥離される層と剥離する層の両方に紙層が含まれるため形状保持性が高くなり、ベース材のしわのない剥離内面側に、よりきれいに印刷することが可能となる。
【0012】
(4)好ましい例では(1)~(3)のいずれか一項に記載の包装体において、前記ベース材はバリア層を含み、前記内容物が密封されたまま前記ベース材において剥離した場合に、少なくとも、前記フィルムに接合される層を含む層に前記バリア層は含まれ、前記バリア層はガスバリア性および水分バリア性の少なくとも一方に優れた材料によって構成される。
上記包装体によれば、内容物が密封されたままベース材を剥離して保存または保管する場合でも、内容物の品質が長期間にわたり良好に維持される。
【0013】
(5)好ましい例では(1)~(4)のいずれか一項に記載の包装体において、前記剥離層は、イージーピール層である。
上記包装体によれば、イージーピール層によって、内容物が密封されたままベース材を剥離することができるため、内容物が密封されたままベース材において剥離できる部分を容易に剥離させることができる。
【0014】
(6)好ましい例では(5)に記載の包装体において、前記イージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度は0.5N/15mm以上~5N/15mm以下の範囲に含まれる。
上記包装体によれば、前記内容物が密封されたままベース材において剥離させるイージ
ーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度が0.5N/15mm以上の範囲に含まれるため、例えば、包装体の搬送過程において標準的な大きさの外力が作用した場合でも、内容物が密封されたままベース材において剥離される部分が剥離しにくい。
また、前記内容物が密封されたままベース材において剥離させるイージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度が5N/15mm以下の範囲に含まれるため、ユーザによって加えられる標準的な大きさの力で、前記内容物が密封されたままベース材において剥離できる部分を剥離できる。
【0015】
(7)好ましい例では(1)~(6)のいずれか一項に記載の包装体において、前記内容物が密封されるように前記ベース材と前記フィルムとが接合される部分がイージーピール構造となっている。上記包装体によれば、イージーピール構造によってベース材とフィルムとが接合されているため、ベース材に対してフィルムを容易に剥離させることができる。このため、内容物を容易に取り出すことができる。
【0016】
(8)好ましい例では(1)~(7)のいずれか一項に記載の包装体において、前記ベース材から前記フィルムを剥離しやすくするための剥離開始部と、前記内容物が密封されたまま前記ベース材において剥離しやすくするための剥離開始部が設けられる。上記包装体によれば、包装体における2つの剥離可能な構造のそれぞれに剥離開始部が設けられることで、2つの剥離可能な構造の場所を区別しやすくなると共に、2つの剥離可能な部分をより容易に剥離させることができる。
【0017】
(9)好ましい例では、上記(1)~(8)のいずれか一項に記載の包装体において、前記ベース材および前記フィルムによって密封される内容物をさらに備える。上記包装体によれば、上記(1)~(8)のいずれか一項に記載の包装体と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に関する包装体によれば、包装体を保管または保存する際に、内容物が密封されるようにベース材とフィルムとが接合された状態のまま、ベース材の一部を剥離できる。よって、内容物は密封されたまま、包装体を保管スペースを必要とせずに保管したり、保存スペースを必要とせずに保存することができる。
また、本発明に関する包装体によれば、ベース材の表側と裏側以外に剥離内面側にも印刷することが可能となり、ベース材における印刷可能な範囲を広げることができる。よって、ベース材の印刷範囲が限られているための問題を解決することができる。例えば、ベース材へ印刷する字が小さくなって読みにくくなったり、内容物の見栄えを考慮するもののやむなく内容物側から見える面にも印刷をする必要がなくなる。また、例えば、ベース材に、内容物の使用方法や調理方法などの詳細な説明を加えることもできる。さらに、ベース材の剥離内面は店頭販売時には見えないため、キャンペーン等における当たり印刷等を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態~第3実施形態の包装体の斜視図。
図2図1のC-C線に沿う断面図。
図3】第1実施形態の包装体のベース材の層構成を示す断面図。
図4】第1実施形態~第3実施形態のフィルムの層構成を示す断面図。
図5】第1実施形態~第3実施形態の包装体の、ベース材からフィルムを剥離しやすくするための剥離開始部と、内容物が密封されたままベース材において剥離しやすくするための剥離開始部を示す拡大図。
図6】第1実施形態~第3実施形態の包装体のベース材の上層部から下層部を剥離させた状態の斜視図。
図7図6のD線に沿う断面図。
図8】(a)第1実施形態~第3実施形態の包装体のベース材からフィルムが剥離され、そのベース材に載せられた内容物を包丁を用いてカットしている状態を示す図。(b)第1実施形態~第3実施形態の包装体のベース材の下層部が剥離され、そのベース材の下層部に載せられた内容物を包丁を用いてカットしている状態を示す図。
図9】第2実施形態の包装体のベース材の層構成を示す断面図。
図10】第3実施形態の包装体のベース材の層構成を示す断面図。
図11】変形例の包装体の斜視図。
図12図11の包装体のベース材からフィルムが剥離され、ベース材が展開した状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1は内容物100を収容する包装体10の一例を示している。内容物100は例えば、食品および物品である。食品は例えば、生鮮食品および加工食品である。物品は例えば、文房具および日用品である。図1に示される例では、内容物100は生鮮食品の牛肉のブロックである。包装体10を構成する主な要素はベース材20、フィルム30である。ベース材20には、内容物100が載せられる。フィルム30はベース材20に載せられた内容物100を覆う。
【0021】
ベース材20に載せられた内容物100が密封されるように、ベース材20とフィルム30とを接合する。図1では、この接合される部分はイージーピール構造50となっている。イージーピール構造50によってベース材20とフィルム30とが接合されているため、ベース材20に対してフィルム30を容易に剥離させることができる。このため、内容物100を容易に取り出すことができる。
【0022】
図2は、図1のC-C線に沿う断面図である。ベース材20は、少なくとも、紙層(図3参照)と、内容物100が密封されたままベース材20を剥離させる剥離層(図3参照)とを含む。ベース材20は、内容物100が密封されたまま剥離させる剥離層を介して剥離することで、上層部20Aと下層部20Bとに分離させることができる。図2図3では、この内容物100が密封されたままベース材20を剥離させる剥離層は、イージーピール層である。
【0023】
包装体10の包装形態は任意に選択可能である。包装体10の包装形態は例えば、スキンパックおよび真空パックである。本実施形態では、包装体10の包装形態はスキンパックである。図2に示されるように、包装体10の包装形態がスキンパックである場合、フィルム30が内容物100に密着し、かつ、フィルム30のうちの内容物100と密着していない部分30Xとベース材20との間に実質的に空間が形成されない。このため、例えば、内容物100が生鮮食品または加工食品である場合、内容物100から発生したドリップがベース材20上に流出しにくい。このため、包装体10の見栄えが長期間にわたり維持される。さらに、包装体10の包装形態がスキンパックである場合、ベース材20およびフィルム30に対して内容物100が移動するための空間が実質的に存在しないため、例えば、包装体10を店舗で吊り下げた状態で陳列することができる。内容物100を消費者が容易に視認できるため、消費者の購買意欲を高めることができる。包装体10の包装形態が真空パックである場合、フィルム30が内容物100に密着し、かつ、フィルム30のうちの内容物100と密着していない部分30Xとベース材20との間に若干の空間が形成される。
【0024】
また、包装体10の包装形態がスキンパックである場合、ベース材20がフラットであるため、店頭で段済みしやすくなると共に、ベース材20に印刷しやすくなる。
【0025】
平面視におけるベース材20の形状は任意に選択可能である。図1等に示される第1例では、ベース材20の形状は長方形である。第2例では、ベース材20の形状は三角形、正方形、五角形以上の多角形、円、または、楕円である。
【0026】
図3は、第1実施形態の包装体10のベース材20の層構成を示す断面図である。図3に示すように、多層のベース材20の層間に剥離層23を積層することで上層部20Aと下層部20Bに分けられる。上層部20Aは、フィルム30に接合される層(ベース材20の最内層21)を含む。上層部20Aは、例えば、最内層21、バリア層22、および、剥離層23が積層された3層構造を備える。下層部20Bは、例えば、ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24、紙層25、および、防水層26が積層された3層構造を備える。
【0027】
各層21~26は例えば、ドライラミネート製法によって積層される。なお、図2では、図面の簡略化のため、ベース材20の詳細な層構成の図示を省略している。
【0028】
上層部20Aの最内層21はベース材20のうちの最も内側、換言すれば、内容物100に最も近い位置に積層される。最内層21には、内容物100が載せられる。最内層21はフィルム30の最内層31(図4参照)とシールされた場合にイージーピール可能な材料によって構成される。最内層21は好ましくは、防水機能を含む材料によって構成される。このため、内容物100から流出した水分が漏れにくい。最内層21を構成する材料は例えば、ポリエチレンである。最内層21の厚さは例えば、55μmである。包装体10の包装形態がスキンパックまたは真空パックの場合、最内層31のうちの内容物100と面する部分30Y(図2参照)は内容物100と密着する。
【0029】
上層部20Aのバリア層22は例えば、最内層21に対して内容物100とは反対側に積層される。このため、内容物100が水分を含む場合、内容物100から染み出した水分が下層部20Bの紙層25に浸透しにくい。このため、ベース材20の強度が維持される。
【0030】
本発明に関する包装体10は、ベース材において、少なくとも、上層部(内容物が密封されたままベース材において剥離した場合に、フィルムに接合される層を含む層)にバリア層は含まれる。
【0031】
以下では、任意の層に対して内容物100とは反対側を外側と称する場合がある。バリア層22はガスバリア性および水分バリア性の少なくとも一方に優れた材料によって構成される。このため、内容物100の品質が長期間にわたり良好に維持される。本実施形態では、バリア層22はガスバリア性および水分バリア性に優れた材料によって構成される。バリア層22を構成する材料は例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素等の無機薄膜が蒸着されたポリエチレンテレフタレートである。バリア層22によって透過が抑制されるガスは例えば、酸素である。バリア層22の厚さは例えば、12μmである。
【0032】
上層部20Aの剥離層23は、上層部20Aのうちの最も外側、換言すれば、上層部20Aのうちの内容物100からもっとも遠い位置に積層される。図2では、この剥離層23は、イージーピール層である。剥離層23は、内容物100が密封されたままベース材20において剥離される層で、この剥離層23により、上層部20Aと下層部20Bとに分離される。剥離層23は下層部20Bのポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24と積層された場合にイージーピール可能な材料によって構成される。剥離層23を構成する材料は例えば、アイオノマー樹脂やヒートシール性二軸延伸ポリプロピレンフィルム(HS-OPP)である。イージーピール層の厚さは例えば、30μmである。
【0033】
下層部20Bのポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24は下層部20Bのうちの最も内側、換言すれば、下層部20Bのうちの内容物100に最も近い位置に積層される。ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24は、上層部20Aの剥離層23に積層される。ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24は上層部20Aの剥離層23と積層された場合にイージーピール可能な材料によって構成される。ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24は好ましくは、防水機能を含む材料によって構成される。このため、内容物100から流出した水分が漏れにくい。ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24を構成する材料は例えば、ポリエチレンである。ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24の厚さは例えば、20μmである。
【0034】
下層部20Bの紙層25は例えば、ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24の外側に積層される。紙層25を構成する材料は例えば、非再生紙または再生紙である。本実施形態では、紙層25を構成する材料は非再生紙である。紙層25を構成する材料が再生紙である場合、衛生面の観点から、製紙メーカーの工場内でのみ流通した古紙であることが好ましい。紙層25の厚さに寄与する坪量は任意に選択可能である。紙層25の坪量は好ましくは、ベース材20とフィルム30とが接合されるときのベース材20の反りにくさと、包装体10の厚さとの関係に基づいて決められる。
【0035】
紙層25の坪量の最大値の好ましい一例は1000g/mである。紙層25の坪量が1000g/m以下である場合、包装体10の厚さが厚くなりすぎない。このため、包装体10の陳列スペースを少なくできる。また、包装体10のコストを低減できる。紙層25の坪量の最小値の好ましい一例は100g/mである。紙層25の坪量が100g/m以上である場合、ベース材20とフィルム30とが接合されるときにベース材20が反りにくい。紙層25の坪量が取り得る好ましい範囲の一例は100g/m以上~1000g/m以下である。一例では、紙層25の坪量は310g/mである。
【0036】
下層部20Bの防水層26は例えば、紙層25の外側に積層される。防水層26は防水機能を含む材料によって構成される。このため、結露が発生した場合であっても紙層25に水が浸透しにくい。このため、ベース材20の強度が維持される。防水層26を構成する材料は例えば、ポリエチレンである。防水層26の厚さは例えば、20μmである。
【0037】
図4は、第1実施形態、後述の第2実施形態、または後述の第3実施形態のフィルム30の層構成を示す断面図である。
【0038】
図4に示されるように、フィルム30は例えば、最内層31、第1接着層32、バリア層33、第2接着層34、中間層35、および、最外層36が積層された6層構造を備える。各層31~36は例えば、共押出製法によって積層される。なお、図2では、図面の簡略化のため、フィルム30の詳細な層構成の図示を省略している。フィルム30は好ましくは、内容物100を視認できるように透明な材料によって構成される。
【0039】
最内層31はフィルム30のうちの最も内側、換言すれば、内容物100にもっとも近い位置に積層される。包装体10の包装形態がスキンパックまたは真空パックの場合、最内層31のうちの内容物100と面する部分30Y(図2参照)は内容物100と密着する。最内層31はベース材20の最内層21(図3参照)とシールされた場合にイージーピール可能な材料によって構成される。最内層31を構成する材料は例えば、アイオノマー樹脂である。最内層31の厚さは例えば、30μmである。
【0040】
第1接着層32は例えば、最内層31に対して外側に積層される。第1接着層32は最内層31とバリア層33とを接着する。第1接着層32を構成する材料は例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤である。第1接着層32の厚さは例えば、5μmである。
【0041】
バリア層33は例えば、第1接着層32に対して内容物100とは反対側に積層される。バリア層33は好ましくは、ガスバリア性、耐油性、および、耐湿性の少なくとも1つに優れた材料によって構成される。バリア層33を構成する材料は例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体 (EVOH)やバリアナイロンである。バリア層33によって透過が抑制されるガスは例えば、酸素である。バリア層33の厚さは例えば、30μmである。
【0042】
第2接着層34は例えば、バリア層33に対して外側に積層される。第2接着層34はバリア層33と中間層35とを接着する。第2接着層34を構成する材料は例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤である。第2接着層34の厚さは例えば、5μmである。
【0043】
中間層35は例えば、第2接着層34に対して外側に積層される。中間層35は好ましくは、靱性および耐摩耗性の少なくとも一方に優れた材料によって構成される。中間層35を構成する材料は例えば、ポリアミドである。中間層35の厚さは例えば、30μmである。
【0044】
最外層36は例えば、中間層35に対して外側に積層される。最外層36は好ましくは、耐熱性、ガスバリア性、防湿性、強度、および、透明性の少なくとも1つに優れた材料によって構成される。最外層36を構成する材料は例えば、ポリエステルである。最外層36の厚さは例えば、50μmである。
【0045】
また、ベース材20は印刷層(図示略)をさらに備える。ベース材20において印刷層が設けられる位置は任意に選択可能である。一例では、印刷層はバリア層22と最内層21との間に設けられる。
【0046】
イージーピール構造50は、ベース材20の最内層21とフィルム30の最内層31とがシールされた部分である。包装体10の包装形態がスキンパックである場合、真空状態におけるフィルム30の加熱条件は加熱温度および加熱時間を含む。加熱温度は例えば、150℃である。加熱時間は例えば、20秒である。
【0047】
剥離層23は、内容物100が密封されたままベース材20において剥離される層で、この剥離層23により、上層部20Aと下層部20Bとに分離される。上記の通り、剥離層23はイージーピール層である。上層部20Aの加熱条件は加熱温度および加熱時間を含む。加熱温度は例えば、120℃である。加熱時間は例えば、10秒である。
【0048】
内容物が密封されたままベース材において剥離させるイージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度、および、内容物100が密封されるようにベース材20とフィルム30とが接合される部分のイージーピール構造50のシール強度はそれぞれ任意に選択可能である。なお、図3では、剥離層23に積層され、その剥離層23から剥離される層はポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24である。
【0049】
内容物が密封されたままベース材において剥離させるイージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度とのシール強度の好ましい例では、シール強度は包装体10が搬送される過程等において包装体10に標準的な大きさの外力が作用した場合の上層部20Aに対する下層部20Bの剥離のしにくさと、上層部20Aに対する下層部20Bの剥離のしやすさとの関係に基づいて決められる。
【0050】
内容物100が密封されるようにベース材20とフィルム30とが接合される部分のイージーピール構造50の好ましい例では、シール強度は包装体10が搬送される過程等において包装体10に標準的な大きさの外力が作用した場合のフィルム30の剥離のしにくさと、内容物100を取り出す場合のフィルム30の剥離のしやすさとの関係に基づいて決められる。
【0051】
イージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度、およびイージーピール構造50のシール強度のそれぞれの最大値の一例は5N/15mmである。内容物が密封されたままベース材において剥離させるイージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度、およびイージーピール構造50のシール強度のそれぞれの最小値の一例は0.5N/15mmである。内容物が密封されたままベース材において剥離させるイージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度、およびイージーピール構造50のシール強度のそれぞれが取り得る範囲の一例は0.5N/15m以上~5N/15mm以下である。一例では、内容物が密封されたままベース材において剥離させるイージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度、およびイージーピール構造50のシール強度はそれぞれ2N/15mmである。
【0052】
内容物が密封されたままベース材において剥離させるイージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度が0.5N/15mm以上の範囲に含まれるため、例えば、包装体10の搬送過程において標準的な大きさの外力が作用した場合でも、内容物100が密封されたままベース材20において剥離できる部分が剥離しにくい。また、内容物が密封されたままベース材において剥離させるイージーピール層と、そのイージーピール層に積層され、そのイージーピール層から剥離される層とのシール強度が5N/15mm以下の範囲に含まれるため、ユーザによって加えられる標準的な大きさの力で、内容物100が密封されたままベース材20において剥離できる部分を剥離できる。
【0053】
イージーピール構造50のシール強度が0.5N/15mm以上の範囲に含まれるため、包装体10が搬送される過程等において包装体10に標準的な大きさの外力が作用した場合であってもベース材20からフィルム30が剥離しにくい。また、イージーピール構造50のシール強度が5N/15mm以下の範囲に含まれるため、ユーザによって加えられる標準的な大きさの力でフィルム30をベース材20から剥離できる。
【0054】
イージーピール構造50が設けられる範囲は任意に選択可能である。イージーピール構造50は、好ましくは、少なくとも、ベース材20の縁を含む所定範囲、および、フィルム30の縁を含む所定範囲と対応する範囲に設けられる。このため、ベース材20とフィルム30との間に異物が入り込みにくい。図1に示される例では、イージーピール構造50はベース材20およびフィルム30のうちの内容物100と接触する部分以外の全範囲にわたり設けられる。
【0055】
図5は、第1実施形態~第3実施形態の包装体10の、ベース材からフィルムを剥離しやすくするための剥離開始部52と、内容物が密封されたままベース材において剥離しやすくするための剥離開始部42を示す拡大図である。
【0056】
図5に示されるように、包装体10には、ベース材20からフィルム30を剥離しやす
くするための剥離開始部52と、内容物100が密封されたままベース材20において剥離しやすくするための剥離開始部42が設けられる。図5では、剥離開始部42は、ベース材20の上層部20Aから下層部20Bを剥離しやすくするための剥離開始部である。
【0057】
包装体10における2つの剥離可能な部分のそれぞれに剥離開始部を設けることで、この2つの剥離可能な部分の場所を区別しやすくなると共に、この2つの剥離可能な部分をより容易に剥離させることができる。
【0058】
例えば、図5に示されるように、内容物が密封されたままベース材20内容物が密封されたままベース材において剥離させる部分の端部に切欠41が設けられ、イージーピール構造50の端部に切欠51が設けられる。例えば、図3については、ベース材20の下層部20Aのポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24と紙層25の端部に切欠41が設けられ、ベース材20の最内層21の端部に切欠51が設けられる。
【0059】
また、切欠41および切欠51を設けたままの状態では、切欠41を有する層とそれに接合されるフィルム30との間、および、切欠51を有する層とそれに積層される層との間に切欠の分だけ隙間ができ、そのままでは切欠内に異物が入り込む可能性があり不衛生である。そこで、切欠41および切欠51を設けた層の上下の層でその切欠41および切欠51の端面部分に目止めニスを施す。また、ベース材20の側面には、上記切欠41および切欠51を設けた部分をそれぞれ印刷等で示すことで、剥離開始部42および剥離開始部52を確認することができる。さらに、この印刷等は上記2カ所の切欠41および切欠51ごとにその位置を変えて設けることによって、内容物100の取り出しのための剥離開始部52とベース材20の一部剥離のための剥離開始部42をより区別しやすくなると共に、上記2つの剥離可能な部分をより容易に剥離できるようになる。
【0060】
図6図7および図8を参照して、包装体10の使用方法の一例について説明する。
【0061】
図6は、図1の包装体のベース材20の上層部20Aから下層部20Bを剥離させた状態の斜視図である。図7は、図6のD線に沿う断面図である。図8(a)は、図1の包装体のベース材20からフィルム30が剥離され、ベース材20に載せられた内容物100を包丁200を用いてカットしている状態を示す図である。図8(b)は、図1の包装体10のベース材20の上層部20Aから下層部20Bが剥離され、その下層部20Bに載せられた内容物100を包丁200を用いてカットしている状態を示す図である。
【0062】
図6に示されるように、ユーザはまずベース材20の上層部20Aから下層部20Bを剥離する。こうすることで、内容物100が密封されたまま、包装体10を保管スペースを必要とせずに保管したり、保存スペースを必要とせずに保存することができる。なお、図5に示される剥離開始部42から剥離すると容易にベース材20を剥離できる。
【0063】
次に、ユーザはベース材20からフィルム30を剥離して、包装体10から内容物100を取り出す。なお、図5に示される剥離開始部52から剥離すると容易にフィルム30を剥離できる。
【0064】
また、ユーザは、ベース材20を剥離して上層部20Aと下層部20Bとに分離することで、ベース材20を2つのまな板として利用することもできる。つまり、図8(a)に示されるように、まずユーザ300は、ベース材20に対してフィルム30の全体を剥離し、包丁200を用いて、ベース材20に載せられた内容物100を任意の大きさにカットする。次に、図8(b)に示されるように、ベース材20の上層部20Aに対して下層部20Bを剥離し、包丁200を用いて、下層部20Bに載せられた内容物100とは別の食材101を任意の大きさにカットすることもできる。
【0065】
第1実施形態の包装体10によれば、次のような作用および効果が得られる。
【0066】
包装体10によれば、ベース材20は、内容物100が密封されたままベース材20を剥離させる剥離層23を持つため、内容物100が密封されたまま、ベース材20の一部を剥離し、包装体10を保管スペースを必要とせずに保管したり、保存スペースを必要とせずに保存することができる。
【0067】
また、包装体10によれば、ベース材20の表側と裏側以外に剥離内面側にも印刷することが可能となり、ベース材20における印刷可能な範囲を広げることができる。
【0068】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態の包装体10のベース材60の層構成を示す断面図である。第2実施形態の包装体10のフィルムの層構成を示す断面図は図4に示され、第1実施形態の包装体10のフィルム30と同じである。
【0069】
図9を参照して、第2実施形態の包装体10のベース材60について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。第2実施形態の包装体10は、第1実施形態の包装体10とフィルムの層構成は同じだが、ベース材の層構成において相違する。
【0070】
図9に示されるように、多層のベース材60の層間にバリア層としての機能も有する剥離層61を積層することで上層部60Aと下層部60Bに分けられる。上層部60Aは、例えば、最内層21、およびバリア層としての機能も有する剥離層61が積層された2層構造を備える。下層部60Bは、例えば、ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24、紙層25、および、防水層26が積層された3層構造を備える。図9では、バリア層としての機能も有する剥離層61は、イージーピール層としての機能も有するバリア層である。
【0071】
各層21、61、24~26は例えば、ドライラミネート製法によって積層される。
【0072】
上層部60Aのバリア層としての機能も有する剥離層61は例えば、最内層21に対して内容物100とは反対側に積層される。このため、内容物100が水分を含む場合、内容物100から染み出した水分が下層部60Bの紙層25に浸透しにくい。このため、ベース材60の強度が維持される。
【0073】
ベース材において、少なくとも、上層部(内容物が密封されたままベース材において剥離した場合に、フィルムに接合される層を含む層)にバリア層は含まれる。
【0074】
バリア層としての機能も有する剥離層61はガスバリア性および水分バリア性の少なくとも一方に優れた材料によって構成される。このため、内容物100の品質が長期間にわたり良好に維持される。本実施形態では、バリア層としての機能も有する剥離層61はガスバリア性および水分バリア性に優れた材料によって構成される。バリア層としての機能も有する剥離層61によって透過が抑制されるガスは例えば、酸素である。
【0075】
また、バリア層としての機能も有する剥離層61は、上層部60Aのうちの最も外側、換言すれば、上層部60Aのうちの内容物100からもっとも遠い位置に積層される。バリア層としての機能も有する剥離層61は下層部60Bのポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24と積層された場合にイージーピール可能な材料によって構成される。バリア層としての機能も有する剥離層61を構成する材料は例えば、酸化アルミニウム等の無機薄膜が蒸着された二軸延伸ポリプロピレンである。バリア層としての機能も有する剥離層61の厚さは例えば、18μmである。
【0076】
また、ベース材60は印刷層(図示略)をさらに備える。ベース材60において印刷層が設けられる位置は任意に選択可能である。一例では、印刷層はバリア層としての機能も有する剥離層61と最内層21との間に設けられる。
【0077】
第2実施形態の包装体10は、上記第1実施形態の包装体10における図1図2図4図8の説明において、ベース材20をベース材60と、上層部20Aを上層部60Aと、下層部20Bを下層部60Bと、それぞれ読み替える。
【0078】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態の包装体10のベース材70の層構成を示す断面図である。第3実施形態の包装体10のフィルムの層構成を示す断面図は図4に示され、第1実施形態の包装体10のフィルム30と同じである。
【0079】
図10を参照して、第3実施形態の包装体10について説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。第3実施形態の包装体10は、第1実施形態の包装体10とフィルムの層構成は同じだが、ベース材の層構成において相違する。
【0080】
図10に示されるように、剥離層74を積層することでベース材70は上層部70Aと下層部70Bに分けられる。なお、図10では、剥離層74は剥離ニス層である。剥離ニス層は、イージーピール層でもある。
【0081】
上層部70Aは例えば、最内層21、バリア層22、接合層71、第1紙層72、および、紙へのコート層73が積層された5層構造を備える。上層部70Aの各層21、22、71~73は例えば、ドライラミネート製法によって積層される。下層部70Bは例えば、剥離層74、ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24、第2紙層75、および防水層26が積層された4層構造を備える。下層部70Bの剥離層74としての剥離ニス層は公知のグラビアコート法やロールコート法でポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24に塗布され、下層部70Bのそれ以外の各層75、25、26は例えば、ドライラミネート製法によって積層される。
【0082】
上層部70Aの接合層71は例えば、バリア層22に対して外側に積層される。接合層71はバリア層22と第1紙層72とを接合できる材料によって構成される。接合層71を構成する材料は例えば、エチレン-メタクリル酸共重合樹脂(EMAA樹脂)である。接合層71の厚さは例えば、20μmである。
【0083】
下層部70Bの第2紙層75は例えば、ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24の外側に積層される。第1紙層72または第2紙層75を構成する材料は例えば、非再生紙または再生紙である。本実施形態では、第1紙層72および第2紙層75のそれぞれを構成する材料は非再生紙である。第1紙層72および第2紙層75のそれぞれを構成する材料が再生紙である場合、衛生面の観点から、製紙メーカーの工場内でのみ流通した古紙であることが好ましい。第1紙層72および第2紙層75のそれぞれの厚さに寄与する坪量は任意に選択可能である。第1紙層72および第2紙層75のそれぞれの坪量は好ましくは、ベース材70とフィルム30とが接合されるときのベース材20の反りにくさと、包装体10の厚さとの関係に基づいて決められる。
【0084】
第1紙層72および第2紙層75のそれぞれの坪量の最大値の好ましい一例は250g
/mである。第1紙層72および第2紙層75のそれぞれの坪量が300g/m以下である場合、包装体10の厚さが厚くなりすぎない。このため、包装体10の陳列スペースを少なくできる。また、包装体10のコストを低減できる。第1紙層72および第2紙層75のそれぞれの坪量の最小値の好ましい一例は150g/mである。第1紙層72および第2紙層75のそれぞれの坪量が150g/m以上である場合、ベース材20とフィルム30とが接合されるときにベース材が反りにくい。第1紙層72および第2紙層75のそれぞれの坪量が取り得る好ましい範囲の一例は150g/m以上~300g/m以下である。一例では、第1紙層72および第2紙層75のそれぞれの坪量は150g/mである。
【0085】
上層部70Aの紙へのコート層73は例えば、第1紙層72の外側に積層される。紙へのコート層73は防水機能を含む材料によって構成される。このため、結露が発生した場合であっても第1紙層72に水が浸透しにくい。このため、ベース材70の強度が維持される。紙へのコート層73を構成する材料は例えば、ポリエチレンである。紙へのコート層73の厚さは例えば、20μmである。
【0086】
下層部70Bの剥離層74としての剥離ニス層は例えば、ワックスを含有する剥離ニス剤からなっており、積層方法は剥離ニス剤を用いて公知のグラビアコート法やロールコート法で塗布する。塗布量は剥離ニス剤の種類により適宜選定する。
【0087】
剥離層74は、内容物100が密封されたままベース材70において剥離される層で、この剥離層74により、上層部70Aと下層部70Bとに分離される。上層部70Aの加熱条件は加熱温度および加熱時間を含む。加熱温度は例えば、120℃である。加熱時間は例えば、10秒である。
【0088】
剥離層74と、その剥離層74に積層され、その剥離層74から剥離される上層部70Aの紙へのコート層73とのシール強度は任意に選択可能である。
【0089】
剥離層74と上層部70Aの紙へのコート層73とのシール強度の好ましい例では、シール強度は包装体10が搬送される過程等において包装体10に標準的な大きさの外力が作用した場合の上層部70Aに対する下層部70Bの剥離のしにくさと、上層部70Aに対する下層部70Bの剥離のしやすさとの関係に基づいて決められる。
【0090】
剥離層74と上層部70Aの紙へのコート層73とのシール強度の最大値の一例は5N/15mmである。剥離層74と上層部70Aの紙へのコート層73とのシール強度の最小値の一例は0.5N/15mmである。剥離層74と紙へのコート層73とのシール強度が取り得る範囲の一例は0.5N/15m以上~5N/15mm以下である。一例では、剥離層74と上層部70Aの紙へのコート層73とのシール強度は2N/15mmである。
【0091】
また、ベース材70は印刷層(図示略)をさらに備える。ベース材70において印刷層が設けられる位置は任意に選択可能である。一例では、印刷層は、バリア層22と最内層21との間、または、防水層26と第2紙層75との間に設けられる。
【0092】
第3実施形態の包装体10においては、ベース材70の剥離される層と剥離する層の両方に紙層が含まれるため形状保持性が高くなり、ベース材70のしわのない剥離内面側に、よりきれいに印刷することが可能となる。
【0093】
また、第3実施形態の包装体10における2つの剥離可能な構造のそれぞれに剥離開始部を設けることで、2つの剥離可能な構造の場所を区別しやすくなると共に、より容易に
剥離させることができる。
【0094】
図5に示されるように、内容物100が密封されたままベース材60において剥離させる部分の端部に切欠41が設けられ、イージーピール構造50の端部に切欠51が設けられる。例えば、図10については、内容物100が密封されるようにベース材70とフィルム30とが接合される部分のイージーピール構造50における、ベース材70の最内層21の端部と、内容物100が密封されたままベース材60において剥離させる部分における、ベース材70の下層部70Bの剥離ニス層74、ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層24、および第2紙層75の端部に切欠を設ける。
【0095】
また、上記それぞれの切欠を設けたままの状態では、その切欠を有する層とそれに積層されたり接合されたりする層との間に切欠の分だけ隙間ができ、そのままでは異物が切欠内に入り込む可能性があり不衛生である。そこで、切欠を設けた層の上下の層でその切欠の端面部分に目止めニスを施す。また、ベース材の側面には、上記切欠を設けた部分を印刷等で示すことで、剥離開始部を確認することができる。さらに、この印刷等は上記2カ所の切欠ごとにその位置を変えて設けることによって、内容物100の取り出しのための剥離開始部とベース材70の一部剥離のための剥離開始部をより区別しやすくなると共に、より容易に剥離できるようになる。
【0096】
また、実施形態1または実施形態2と同じように、ベース材を剥離して上層部と下層部とに分離することができるため、ベース材70を2つのまな板として使用することができる。また、実施形態1または実施形態2と異なり、ベース材の上層部と下層部の両方に紙層が含まれてしっかりしている。よって、ベース材70に載せた内容物100を包丁を用いて任意の大きさにカットした後、ベース材70を剥離して上層部70Aと下層部70Bとに分離し、下層部70Bの上に別の食材を載せて包丁を用いて任意の大きさにカットすることが出来るだけでなく、ベース材70を剥離して、内容物100とそれ以外の食材を、上層部70Aからなるまな板と下層部70Bからなるまな板の2枚のまな板で同時に、包丁を用いて任意の大きさにカットすることも可能である。
【0097】
第3実施形態の包装体10は、上記第1実施形態の包装体10における図1図2図4図6図8の説明において、ベース材20をベース材70と、上層部20Aを上層部70Aと、下層部20Bを下層部70Bと、それぞれ読み替える。
【0098】
(変形例)
なお、上記各実施形態は本発明に関する包装体が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する包装体は各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、各実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、各実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に各実施形態の変形例の一例を示す。
【0099】
第1実施形態~第3実施形態において、ベース材20、ベース材60、およびベース材70のそれぞれの層構成は任意に変更可能である。
【0100】
第1実施形態~第3実施形態において、紙層25、第1紙層72、および第2紙層75のそれぞれの構成は任意に変更可能である。変形例の包装体10の紙層25、第1紙層72、および第2紙層75はサイズ剤および耐水剤の少なくとも一方を含む。サイズ剤は紙層25、第1紙層72、および第2紙層75のそれぞれを構成する紙の抄紙時に紙に添加される。耐水剤は紙層25、第1紙層72、および第2紙層75のそれぞれを構成する紙に塗布される。この変形例の包装体10では、紙層25、第1紙層72、および第2紙層75のそれぞれが防水機能を含むため、例えば、防水層26および紙へのコート層73を省略することができる。
【0101】
第1実施形態~第3実施形態において、防水層26および紙へのコート層73のそれぞれの構成は任意に変更可能である。変形例の包装体10の防水層26は、紙層25または第2紙層75の外側に撥水コーティング剤が塗布されることによって形成される撥水コーティング層である。変形例の包装体10の紙へのコート層73は、第1紙層72の外側に撥水コーティング剤が塗布されることによって形成される撥水コーティング層である。
【0102】
第1実施形態~第3実施形態において、ベース材20、ベース材60、およびベース材70のそれぞれの形状は任意に変更可能である。図11に示されるように、変形例の包装体11は開口部80Aを含む箱型のベース材80を備える。ベース材80は内容物100が載せられる底壁81、ならびに、底壁81と繋がり、内容物100を介して対向する一対の第1側壁82、および、一対の第2側壁83を備える。フィルム30の最内層31は底壁81、一対の第1側壁82、および、一対の第2側壁83の最内層(図示略)とシールされる。一対の第1側壁82と一対の第2側壁83とは繋がっていない。このため、ベース材80からフィルム30を剥離させた場合、図12に示されるように、一対の第1側壁82および一対の第2側壁83が底壁81に対して展開する。このため、第1実施形態~第3実施形態の場合と同様に、ベース材80をまな板のように利用することができる。
【0103】
図11図12で示される変形例の包装体11においても、内容物100が密封されたままベース材80において剥離させる剥離層(図示略)を有し、ベース材80に切欠や剥離開始部(図示略)が設けられる。
【0104】
また、第1実施形態~第3実施形態において、ベース材は、上層部と下層部の2層部に分離できる構造としているが、内容物を密封したままベース材において剥離させる部分を2つ以上設けることで、ベース材を3つ以上に剥離できる構造としてもよい。このようにすることで、ベース材を3つ以上のまな板として使用したり、剥離内面が増えることで印刷可能範囲をより広げることが可能となる。なお、このベース材を3つ以上に剥離できる包装体においても、ベース材に切欠や剥離開始部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10 :包装体
11 :包装体
20 :ベース材
20A:上層部
20B:下層部
21:最内層
22 :バリア層
23 :剥離層
24 :ポリオレフィン系またはポリエステル系の樹脂層
25 :紙層
26 :防水層
30 :フィルム
30X:フィルムのうちの内容物100と密着していない部分
30Y:最内層31のうちの内容物100と面する部分
31 :最内層
32 :第1接着層
33 :バリア層
34 :第2接着層
35 :中間層
36 :最外層
41、51:切欠
42 :内容物が密封されたままベース材において剥離しやすくするための剥離開始部
50 :内容物が密封されるようにベース材とフィルムとが接合される部分のイージーピール構造
52 :ベース材からフィルムを剥離しやすくするための剥離開始部
60 :ベース材
60A:上層部
60B:下層部
61 :剥離層としての機能も有するバリア層
70 :ベース材
70A:上層部
70B:下層部
71 :接合層
72 :第1紙層
73 :紙へのコート層
74 :剥離層
75 :第2紙層
80 :ベース材
80A:開口部
81 :底壁
82 :第1側壁
83 :第2側壁
100:内容物
101:内容物100とは別の食材
200:包丁
300:ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12