(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】繊維処理システム、及び、繊維処理方法
(51)【国際特許分類】
D06H 3/08 20060101AFI20240717BHJP
B02C 18/22 20060101ALI20240717BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20240717BHJP
B65H 29/60 20060101ALI20240717BHJP
D21B 1/08 20060101ALI20240717BHJP
B02C 18/06 20060101ALN20240717BHJP
【FI】
D06H3/08
B02C18/22
B65H7/06
B65H29/60 D
D21B1/08
B02C18/06 A
(21)【出願番号】P 2020013154
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】御子柴 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】野村 健太
(72)【発明者】
【氏名】村田 義雄
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 新一
【審査官】山下 航永
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-073838(JP,A)
【文献】国際公開第2017/082217(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0053745(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 18/00 - 18/38
B65H 7/00 - 7/20
B65H 29/60
D06B 1/00 - 23/30
D06C 3/00 - 29/00
D06G 1/00 - 5/00
D06H 1/00 - 7/24
D06J 1/00 - 1/12
D21B 1/00 - 1/38
D21C 1/00 - 11/14
D21D 1/00 - 99/00
D21F 1/00 - 13/12
D21G 1/00 - 9/00
D21H 11/00 - 27/42
D21J 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維を含む原料を処理する処理部と、
前記原料の状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果と予め設定された原料状態の判定基準とに基づいて、前記原料が前記処理部での処理に適するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記処理に適すると判定された前記原料を前記処理部に供給する供給部と、
前記処理部における動作支障の発生状態を示す動作情報を取得する取得部と、
前記動作情報をもとに、前記判定基準を設定する設定部と、
を備え
、
前記処理部は、前記原料を解繊する解繊部と、前記解繊部により解繊された解繊物からウェブを形成するウェブ形成部と、前記ウェブを成形してシートを製造する成形部と、を含み、
前記取得部は、前記ウェブ形成部までの前記原料または前記解繊物の滞留、前記ウェブの不良、及び、前記シートの不良の少なくともいずれかの動作支障の発生状態を示す前記動作情報を取得する、繊維処理システム。
【請求項2】
前記設定部は、
前記判定基準と前記動作情報とを対応付けて含む学習データセットを生成する学習データ生成部と、
前記学習データセットに基づいて前記判定基準と前記動作情報との相関を学習する学習部と、を備え、
前記動作情報が予め設定された条件を満たすように前記判定基準を設定する、請求項1記載の繊維処理システム。
【請求項3】
前記検出部は、第1検出部、及び第2検出部を備え、
前記判定部は、前記第1検出部の検出値に対応する前記判定基準、及び、前記第2検出部の検出値に対応する前記判定基準に基づいて判定を行う、請求項2記載の繊維処理システム。
【請求項4】
前記原料は定型のシート状の古紙を含み、
前記第1検出部、及び、前記第2検出部は、
前記原料の厚みを検出する厚み検出部、前記原料の静電容量を検出する静電容量検出部、
前記原料の端部欠損度を検出する形状検出部、印刷物である前記原料の印字デューティーを検出する印字状態検出部、再生紙である前記原料の再生世代を検出する再生紙検出部、及び、前記原料のサイズを検出するサイズ検出部のいずれかを含む、請求項3記載の繊維処理システム。
【請求項5】
前記処理部は、前記原料を裁断する裁断部、前記裁断部により裁断された前記原料を解繊する
前記解繊部、
前記ウェブ形成部、及び、
前記成形部を含み、
前記取得部は、前記処理部における前記原料の詰まり、前記裁断部により裁断された前記原料の滞留、及び、前記成形部により製造された前記シートの形状不良の少なくともいずれかの発生状態を示す前記動作情報を取得する、請求項2から4のいずれか1項に記載の繊維処理システム。
【請求項6】
前記原料を分別する分別装置と、前記分別装置により分別された原料を前記処理部によって処理する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記処理部と、
前記処理部の動作を検出して前記動作情報を生成する動作制御部、及び、前記動作情報を前記分別装置に送信する送信部を有する制御部と、を備え、
前記分別装置は、
前記判定部によって処理に適すると判定された原料と処理に適しないと判定された原料とを分別する分別部と、
前記検出部と、
前記判定部と、
前記取得部として動作情報を受信する受信部と、
前記設定部と、を備える、請求項2から5のいずれか1項に記載の繊維処理システム。
【請求項7】
前記原料を分別して原料容器に収容する分別装置と、前記原料容器から前記原料を取り出して前記処理部により処理する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記処理部と、
前記処理部の動作を検出して前記動作情報を生成する制御部と、を備え、
前記制御部は前記動作情報を前記原料容器に設けられた記憶部に記憶させ、
前記分別装置は、
前記判定部によって処理に適すると判定された原料と処理に適しないと判定された原料とを分別する分別部と、
前記検出部と、
前記判定部と、
前記取得部と、
前記設定部と、を備え、
前記取得部は、前記原料容器の前記記憶部から前記動作情報を取得する、請求項2から5のいずれか1項に記載の繊維処理システム。
【請求項8】
繊維を含む原料を処理する繊維処理方法であって、
前記原料を解繊する解繊部と、前記解繊部により解繊された解繊物からウェブを形成するウェブ形成部と、前記ウェブを成形してシートを製造する成形部と、を含む処理部によって前記原料を処理する場合に、
前記原料の状態を検出し、
前記原料の状態の検出結果と、予め設定された原料状態の判定基準とに基づいて、前記原料が処理に適するか否かを判定し、
前記処理に適すると判定した前記原料を、前記処理を実行する処理部に供給し、
前記処理部における動作支障の発生状態を示す動作情報を取得し、
前記動作情報をもとに、前記判定基準を設定し、
前記動作情報は、前記ウェブ形成部までの前記原料または前記解繊物の滞留、前記ウェブの不良、及び、前記シートの不良の少なくともいずれかの動作支障の発生状態を示す情報である、繊維処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維処理システム、及び、繊維処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙等の繊維を含む製品を再利用するため、再利用に適切かどうかを判定する技術が提案された(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の装置は、片面が印字された使用済みの用紙をコピー等に再利用するため、使用済みの用紙が再利用に適切かどうかを含む判定基準により判定を行い、サイズ毎に分別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の装置は、片面が印字された用紙の印字されていない面をコピー等に再利用することを目的としている。このため、再利用に適切かどうかを判定するための基準は、機密書類を示すマークがないことや、印字された面の黒画素が5%程度以下であることなど、固定的な基準を用いることができる。
これに対し、紙等を分解して再生処理する場合、原料である紙等が再生処理に適するか否かを判定する基準を固定的な基準で設定する方法では、再生処理に適する原料か否かを判定するには不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する一態様は、繊維を含む原料を処理する処理部と、前記原料の状態を検出する検出部と、前記検出部の検出結果と予め設定された原料状態の判定基準とに基づいて、前記原料が前記処理部での処理に適するか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記処理に適すると判定された前記原料を前記処理部に供給する供給部と、前記処理部における動作支障の発生状態を示す動作情報を取得する取得部と、前記動作情報をもとに、前記判定基準を設定する設定部と、を備える、繊維処理システムである。
【0006】
上記課題を解決する別の一態様は、繊維を含む原料を処理する繊維処理方法であって、前記原料の状態を検出し、前記原料の状態の検出結果と、予め設定された原料状態の判定基準とに基づいて、前記原料が処理に適するか否かを判定し、前記処理に適すると判定した前記原料を、前記処理を実行する処理部に供給し、前記処理部における動作支障の発生状態を示す動作情報を取得し、前記動作情報をもとに、前記判定基準を設定する、繊維処理方法である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係るシート製造システムの概略構成を示す図。
【
図2】シートの製造工程の一例を示すフローチャート。
【
図7】シート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図9】第2実施形態のシート製造システムの概略構成を示す図。
【
図10】第2実施形態のシート製造システムの機能ブロック図。
【
図11】第2実施形態のシート製造装置の動作を示すフローチャート。
【
図12】第2実施形態の分別装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
[1.第1実施形態]
[1-1.シート製造システムの構成]
図1は、本実施形態に係るシート製造システム1の概略構成を示す図である。シート製造システム1は、繊維処理システムの一例に対応する。シート製造システム1は、シート製造装置100と、分別装置16とを有する。
【0010】
シート製造装置100は、繊維を含む原料を繊維化し、再生シートを製造する装置である。シート製造装置100において用いられる原料は、木質系パルプ材料やクラフトパルプ、古紙、合成パルプ等、繊維を含むものであればよく、好ましくは、セルロース繊維を含むものであればよい。また、原料は、炭素繊維、金属繊維、チクソ性繊維を含んでいてもよい。
【0011】
本実施形態では、シート製造装置100に対して分別装置16により原料MAを供給する構成を示す。分別装置16が供給する原料MAは、セルロース繊維を含むシート状のものであり、具体的には、定型サイズのPPC用紙や上質紙からなる古紙である。PPCはPlain Paper Copyの略である。
原料MAは、プリンター等によってPPC用紙や上質紙に文字や画像が印刷されたものや、手書きがなされたものである。
【0012】
分別装置16は、原料MAを、処理部101による処理に適する原料MAと、適しない原料MAとに分別し、適する原料MAをシート製造装置100に供給する。分別装置16は、原料MAの状態、すなわち原料状態を検出し、検出結果と、予め設定された判定基準とに基づいて、原料MAが処理部101による処理に適するか否かを判定する。分別装置16は、処理部101による処理に適すると判定した原料MAをシート製造装置100に供給する。
【0013】
[1-2.シート製造装置の構成]
シート製造装置100は、分別装置16により供給される原料MAを繊維化して、シートSを製造する。
シート製造装置100は、処理部101を備える。処理部101は、粗砕部12、解繊部20、および、成形部102を有する。処理部101は、搬送ブロアー26、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49の各部を含んでもよい。成形部102は、分散部60、第2ウェブ形成部70、および、加工部80を含み、解繊物MBに含まれる繊維を材料としてシートSを成形する。成形部102は、混合部50およびウェブ搬送部79を含んでもよい。シート製造装置100は、処理装置の一例に対応する。
【0014】
シート製造装置100には、上述したように分別装置16により原料MAが供給され、原料MAは粗砕部12に投入される。
粗砕部12は、粗砕刃14により原料MAを裁断するシュレッダーである。粗砕部12により裁断された原料MAは、管19を通じて解繊部20に搬送される。粗砕部12は、裁断部の一例に対応する。
【0015】
管19には、滞留センサー211が設けられる。滞留センサー211は、管19の内部の原料MAを検出するセンサーである。滞留センサー211は、原料MAの量を検出するセンサーであってもよく、具体的には、反射型光センサーや超音波センサーを用いることができる。滞留センサー211は、管19における原料MAの搬送速度を検出するセンサーであってもよく、具体的には、熱式風速計や超音波式風速計等の風速センサーや振動センサーを用いることができる。滞留センサー211は、原料MAの滞留とみなされる状態の有無を検出するセンサーであってもよく、具体的には、反射型光センサー、透過型光センサー、超音波センサーを用いることができる。
【0016】
解繊部20は、粗砕部12で裁断された細片を乾式で解繊して解繊物MBにする。解繊とは、複数の繊維が結着された状態の原料MAを、1本または少数の繊維に解きほぐす加工を示す。乾式とは、液体中ではなく、空気中等の気中において、解繊等の処理を行うことを示す。解繊物MBは、原料MAに含まれていた繊維を含む。また、解繊物MBは、原料MAに含まれていた繊維以外の物質を含むことがある。例えば、原料MAとして古紙を用いる場合には、解繊物MBは、樹脂粒、インクやトナーなどの色剤、にじみ防止材、紙力増強剤等の成分を含む。
【0017】
解繊部20は、例えば、筒状の固定子22と、固定子22の内部で回転するローター24とを備えるミルであり、粗砕片を固定子22とローター24との間に挟んで解繊する。搬送ブロアー26は、解繊部20の下流側に配置され、気流を発生させる。解繊物MBは、搬送ブロアー26によって発生された気流により、管を通じて選別部40に移送される。
【0018】
原料MAに含まれる繊維または解繊物MBに含まれる繊維については、繊維長が0.1mm以上、100mm以下であり、0.5μm以上~50m以下であることが好ましい。また、これらの繊維の繊維径が、0.1μm以上、1000μm以下であり、1μm~500μm以下であることが好ましい。また、これらの繊維は、複数の種類の繊維を含んでもよく、繊維長及び繊維径の少なくとも一方が異なる繊維を含んでもよい。
【0019】
選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43とを有する。ドラム部41は、網、フィルター、スクリーン等の開口を有する篩であり、不図示のモーターの動力により回転する。解繊物MBは、回転するドラム部41の内部でほぐされて、ドラム部41の開口を通過して下降する。解繊物MBの成分のうち、ドラム部41の開口を通過しない物は、管を通じて解繊部20に搬送される。
【0020】
ドラム部41には、滞留センサー212が配置される。滞留センサー212は、ドラム部41の内部の解繊物MBを検出するセンサーである。滞留センサー212は、解繊物MBの量を検出するセンサーであってもよく、ドラム部41における解繊物MBの滞留とみなされる状態の有無を検出するセンサーであってもよい。滞留センサー212は、具体的には、反射型光センサー、透過型光センサー、超音波センサーを用いることができる。
【0021】
第1ウェブ形成部45は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト46を備える。第1ウェブ形成部45は、ドラム部41から下降する繊維等をメッシュベルト46に堆積させることにより、第1ウェブW1を製造する。ドラム部41から下降した成分のうち、メッシュベルト46の開口より小さい物は、メッシュベルト46を通過して吸引部48により吸引除去される。
【0022】
メッシュベルト46の移動経路には加湿部77が配置され、ミスト状の水または高湿度の空気により、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1が加湿される。
第1ウェブW1は、メッシュベルト46により搬送され、回転体49に接触する。回転体49は、複数の羽根によって第1ウェブW1を分断し、繊維材料MCとする。繊維材料MCは管54を通じて混合部50に搬送される。
【0023】
混合部50は、繊維材料MCに添加材料ADを添加する添加物供給部52、及び、繊維材料MCと添加材料ADとを混合する混合ブロアー56を備える。
添加材料ADは、複数の繊維を架橋させることにより、繊維同士を結合させて、繊維をシート形状にする。添加材料ADは、繊維同士を結着させる結合材料として機能する樹脂を含み、詳細には、熱可塑性樹脂、及び、熱硬化性樹脂の少なくとも一方を含む。添加材料ADは、熱可塑性芯鞘樹脂を含んでもよい。また、添加材料ADは、上記樹脂に加え、着色剤、凝集抑制剤、難燃剤等を含んでもよい。
【0024】
添加物供給部52は、添加材料ADを貯留するタンクを有し、第1制御部110の制御に従って、タンクから添加材料ADを管54に送り出す。混合ブロアー56は、繊維材料MC及び添加材料ADが搬送される管54に気流を発生させて、繊維材料MCと添加材料ADとを混合し、混合物MXを分散部60に輸送する。
【0025】
分散部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63とを有する。ドラム部61は、ドラム部41と同様に構成される円筒形状の篩であり、不図示のモーターにより駆動されて回転する。ドラム部61の回転により、混合物MXは解きほぐされてハウジング部63の内部を下降する。
【0026】
ドラム部61には、滞留センサー213が配置される。滞留センサー213は、ドラム部61の内部の混合物MXを検出するセンサーである。滞留センサー213は、混合物MXの量を検出するセンサーであってもよく、ドラム部61における混合物MXの滞留とみなされる状態の有無を検出するセンサーであってもよい。滞留センサー213は、具体的には、反射型光センサー、透過型光センサー、超音波センサーを用いることができる。
【0027】
第2ウェブ形成部70は、多数の開口を有する無端形状のメッシュベルト72を備える。第2ウェブ形成部70は、ドラム部61から下降する混合物MXをメッシュベルト72に堆積させて第2ウェブW2を製造する。混合物MXの成分のうち、メッシュベルト72の開口より小さい物は、メッシュベルト72を通過して吸引部76により吸引される。
【0028】
メッシュベルト72の移動経路には加湿部78が配置され、ミスト状の水または高湿度の空気により、メッシュベルト72に堆積した第2ウェブW2が加湿される。
メッシュベルト72の移動経路には、ウェブ状態検出部214が配置される。ウェブ状態検出部214は、第2ウェブW2の状態を検出する。例えば、ウェブ状態検出部214は、第2ウェブW2が千切れている箇所、第2ウェブW2の厚みが著しく薄い箇所、第2ウェブW2の孔等を検出する。
【0029】
ウェブ状態検出部214は、例えば、メッシュベルト72に対向して配置される反射型光センサー、透過型光センサー、CCDやCMOS等のイメージセンサー等を用いることができる。CCDはCharge Coupled Deviceの略であり、CMOSはComplementary Metal Oxide Semiconductorの略である。ウェブ状態検出部214の位置は、第2ウェブW2の搬送経路において分散部60の下流であればよく、加湿部78の上流であってもよいし下流であってもよい。
【0030】
第2ウェブW2は、ウェブ搬送部79によってメッシュベルト72から剥がされ、加工部80に搬送される。加工部80は、加圧部82、及び、加熱部84を備える。加圧部82は、一対の加圧ローラーにより第2ウェブW2を挟み、所定のニップ圧で加圧して、加圧後シートSS1を形成する。加熱部84は、一対の加熱ローラーによって加圧後シートSS1を挟んで熱を加える。これにより、加圧後シートSS1に含まれる繊維が、添加材料ADに含まれる樹脂により結着し、加熱後シートSS2が形成される。加熱後シートSS2は、切断部90に搬送される。
【0031】
加熱後シートSS2が搬送される経路にはシート状態検出部215が配置される。シート状態検出部215は、加熱後シートSS2の状態を検出する検出部であり、具体的には、加熱後シートSS2の白色度及び/またはコシの検出を行う。シート状態検出部215は、例えば、加熱後シートSS2の白色度を検出するためのセンサーとして、反射型光センサー、透過型光センサー、或いは、CCDやCMOS等のイメージセンサーを備える。また、シート状態検出部215は、例えば、加熱後シートSS2のコシを検出するセンサーとして、加熱後シートSS2に押圧する変位可能なレバーと、レバーの変位量を検出する変位計とを組み合わせた構成を有する。
【0032】
切断部90は、加熱後シートSS2を、搬送方向Fと交差する方向に切断し、所定サイズのシートSを製造する。シートSは、排出部96に貯留される。排出部96には、排出部96に貯留されているシートSの量を検出する排紙量センサー216が配置される。排紙量センサー216は、例えば、排出部96に堆積しているシートSの重量を検出する重量センサー、排出部96に堆積しているシートSの堆積厚を検出する光センサーまたはスイッチ式センサー等である。
【0033】
本実施形態では、シート製造装置100が、乾式で、原料MAを繊維化してシートSを製造するが、シート製造装置100が、湿式で、原料MAを繊維化してシートSを製造してもよい。湿式で、原料MAを繊維化してシートSを製造するシート製造装置は、例えば、特開2011-137251号公報に記載されている。例えば、特開2011-137251号公報に記載の古紙処理装置は、再生パルプ部、脱墨パルプ部、抄紙部、仕上げ部、排水処理部を備える。この構成において、再生パルプ部は、古紙の裁断紙片をパルパーによって離解して再生パルプを調製するものであり、処理部の一例に対応する。
【0034】
[1-3.シートの製造工程]
図2は、シート製造装置100によるシートSの製造工程の一例を示すフローチャートである。
シート製造装置100には、原料MAとして古紙が供給される。ステップST1は、供給された原料MAから、処理部101による処理に適する原料MAを分別する分別工程である。分別工程は、例えば、分別装置16による処理に対応する。
ステップST2は、原料MAを粗砕する粗砕工程であり、例えば、シート製造装置100の粗砕部12による処理に対応する。粗砕工程は、原料MAを、所定サイズ以下に裁断する工程である。
【0035】
ステップST3は、解繊工程であり、例えば、シート製造装置100の解繊部20による処理に対応する。
ステップST4は、解繊物MBから繊維を主とする材料を取り出す工程であり、分離工程という。分離工程は、繊維や樹脂粒等を含む解繊物MBから、樹脂や添加剤等の粒子を分離し、繊維を主な成分とする材料を取り出す工程である。分離工程は、例えば、シート製造装置100の選別部40及び回転体49による処理に対応する。
【0036】
ステップST2で供給される原料MAが、シートSの製造に影響する粒子等を含まない場合、或いは、原料MAに含まれる成分から粒子等を除去する必要がない場合には、ステップST4の分離工程を省略できる。この場合には、解繊物MBが、そのまま繊維材料MCとして利用される。
【0037】
ステップST5は、添加工程であり、ステップST4で分離された繊維材料MCに添加材料ADを添加する工程である。添加工程は、例えば、シート製造装置100の添加物供給部52による処理に対応する。
【0038】
ステップST6は、混合工程であり、繊維材料MCと、添加材料ADとを混合して混合物MXを製造する工程である。混合工程は、例えば、シート製造装置100の混合部50による処理に対応する。
【0039】
ステップST7は、篩工程であり、混合物MXを篩にかけて大気中に分散させ、降下させる工程である。篩工程は、例えば、シート製造装置100の分散部60による処理に対応する。
【0040】
ステップST8は、堆積工程であり、ステップST7の篩工程で降下する混合物MXを堆積させて、ウェブを形成する工程である。堆積工程は、例えば、シート製造装置100の第2ウェブ形成部70により第2ウェブW2を形成する処理に対応する。
【0041】
ステップST9は、加圧加熱工程であり、ウェブに対し、加圧及び加熱を行う工程である。加熱加圧工程は、例えば、シート製造装置100の加工部80により、第2ウェブW2を加熱及び加圧し、加圧後シートSS1及び加熱後シートSS2を経て、シートSを形成する処理に対応する。加圧加熱工程における加圧と加熱との順序は限定されないが、加圧が加熱よりも先に行われることが好ましい。
【0042】
ステップST10は、シートSを排出する排出工程である。排出工程は、例えば、シートSを排出部96に排出する動作に対応する。
【0043】
[1-4.分別装置の構成]
図3は、分別装置16の構成の一例を示す図である。
分別装置16は、筐体160を有し、筐体160の内部に原料収容部161、原料量センサー162、搬送部163、原料検査部165、回収トレイ166、回収量センサー167、及び、第2制御部170が配置される。搬送部163は、粗砕部12に原料MAを供給する供給部の一例に対応する。
【0044】
分別装置16は、第2制御部170の制御に従って、処理部101による処理に適する原料MAと適しない原料MAとを分別する。
【0045】
原料収容部161は、筐体160に設けられた投入口160Aから投入される原料MAを収容する。原料収容部161には、原料量センサー162が配置される。原料量センサー162は、原料収容部161に収容されている原料MAの量を検出するセンサーであり、例えば、原料収容部161に堆積している原料MAの重量を検出する重量センサーである。原料量センサー162は、原料収容部161に堆積している原料MAの堆積高さを検出する光センサーや、スイッチ式センサーであってもよい。投入口160Aは、開閉可能な蓋を有していてもよく、ロック機構により蓋を施錠可能であってもよい。
【0046】
筐体160には、回収トレイ166が設けられる。回収トレイ166は、処理部101による処理に適しない原料MAを収容する。回収トレイ166には、回収量センサー167が配置される。回収量センサー167は、回収トレイ166に収容されている原料MAの量を検出するセンサーであり、例えば、回収トレイ166に堆積している原料MAの重量を検出する重量センサーである。回収量センサー167は、回収トレイ166に堆積している原料MAの堆積高さを検出する光センサーや、スイッチ式センサーであってもよい。
【0047】
分別装置16は、原料MAを搬送する手段として搬送部163を有する。搬送部163は、ピックアップローラー163A、供給ローラー163B、切替アーム163C、及び、ガイド163Fを有する。
ピックアップローラー163Aは、後述するピックアップモーター168Aにより駆動されて回転し、原料収容部161から原料MAを取り出す。供給ローラー163Bは、原料MAをニップして回転する一対のローラーにより構成され、ピックアップローラー163Aにより取り出された原料MAを搬送する。
【0048】
切替アーム163Cは、供給位置163Dと分別位置163Eとに変位可能なアームであり、棒状であってもよいし、板状であってもよい。切替アーム163Cは、供給ローラー163Bが送り出す原料MAの搬送経路を、粗砕部12に向かう経路と、回収トレイ166に向かう経路とに切り替える。切替アーム163Cは、供給位置163Dに位置する状態で、供給ローラー163Bが送り出す原料MAを粗砕部12に向けて案内する。切替アーム163Cは、分別位置163Eに位置する状態で、原料MAを、粗砕部12に向かう経路から逸脱させる。ガイド163Fは、粗砕部12に向かう経路から逸脱した原料MAを、回収トレイ166に案内する。
切替アーム163Cは、後述するアクチュエーター168Bの動力により、供給位置163Dと分別位置163Eとの間を移動する。
【0049】
原料MAは、ピックアップローラー163Aによって、図中符号FAで示す方向に搬送され、供給ローラー163Bに到達する。ピックアップローラー163Aと供給ローラー163Bとの間の搬送経路には、原料検査部165が配置される。
【0050】
原料検査部165は、原料MAの状態を検出し、検出値を第2制御部170に出力する。原料検査部165は、例えば、原料MAの搬送経路において切替アーム163Cの上流に位置する。
【0051】
原料検査部165は、原料MAの状態を検出する複数のセンサーを有する。原料検査部165が検出する原料MAの状態は、原料MAの厚み、静電容量、皺や破れや孔等の欠損、印字デューティー、サイズ、再生紙の世代、金属類の付着の有無などが挙げられる。原料検査部165が有するセンサーの種類は任意であるが、本実施形態では一例として、変位計165A、静電容量センサー165B、イメージセンサー165C、分光検出器165D、及び、近磁界センサー165Eを備える構成を挙げる。これらの各センサーは後述する
図5に示す。原料検査部165は、上記センサーのうち少なくとも1以上を備えていればよく、2以上を備えていることが好ましい。
【0052】
変位計165Aは、原料MAの厚みを検出する厚みセンサーの一例である。変位計165Aは、例えば、光学式変位計、渦電流式変位計、超音波式変位計、レーザー変位計、接触式変位計を用いて構成され、原料MAの表面の高さを検出し、検出値を第2制御部170に出力する。変位計165Aは、原料MAの表面の高さの検出値から厚みを求め、原料MAの厚みを示す検出値を第2制御部170に出力してもよい。
【0053】
静電容量センサー165Bは、原料MAの静電容量を検出し、検出結果を第2制御部170に出力する。
イメージセンサー165Cは、CCDやCMOS等の撮像素子により原料MAを撮像し、イメージデータを第2制御部170に出力する。イメージセンサー165Cは、原料MAの表面、及び、裏面の少なくともいずれかを撮像するものであればよく、両面を撮像可能な構成であってもよい。
【0054】
分光検出器165Dは、例えば、エタロン型の波長可変フィルターを有する分光検出器であり、検出結果を第2制御部170に出力する。分光検出器165Dは、原料MAに検出光を照射する光源を備え、原料MAの表面で反射した反射光の特定波長成分を検出し、検出結果を第2制御部170に出力する。
近磁界センサー165Eは、原料MAに近接設置されたプローブで磁界を検出し、検出結果を第2制御部170に出力する。
【0055】
第2制御部170は、原料検査部165の各センサーの検出値や検出結果を、予め設定された判定基準と比較することによって、原料MAが処理に適するか否かを判定する。第2制御部170は、判定結果に応じて切替アーム163Cを動作させる。
【0056】
原料MAは、原料検査部165を通過すると、切替アーム163Cの設置位置に到達する。切替アーム163Cが分別位置163Eにある場合、原料MAはガイド163Fにより案内されて、符号FBで示す方向に移動し、回収トレイ166に収容される。切替アーム163Cが供給位置163Dにある場合、原料MAは、供給ローラー163Bの動力により粗砕部12に搬送される。
【0057】
[1-5.シート製造装置の制御系]
図4は、シート製造装置100の機能ブロック図である。
シート製造装置100は、シート製造装置100の動作を制御する第1制御部110を有し、第1制御部110は第1プロセッサー111及び第1メモリー112を備える。第1プロセッサー111は、CPUやMPUにより構成される演算処理装置である。第1プロセッサー111は、制御プログラムを実行してシート製造装置100の各部を制御する。第1プロセッサー111は、単一のプロセッサーにより構成してもよいし、複数のプロセッサーにより構成することも可能であり、半導体素子を含む各種回路と統合されたSoCにより構成してもよい。また、第1プロセッサー111の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。CPUはCentral Processing Unitの略であり、MPUはMicro Processing Unitの略であり、SoCはSystem On Chipの略である。第1制御部110は、制御部の一例に対応する。
【0058】
第1メモリー112は、第1プロセッサー111が実行するプログラムや、第1プロセッサー111により処理されるデータ等を記憶する記憶装置である。第1メモリー112は、ワークエリアを形成してデータやプログラムを一時的に記憶する一時記憶装置であり、例えば、RAMである。第1メモリー112は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶装置であってもよく、例えば、フラッシュROM等の半導体メモリーデバイスや、磁気的記憶装置で構成されてもよい。また、第1メモリー112は、一時記憶装置と不揮発性記憶装置との両方を組み合わせて実現してもよい。RAMはRandom Access Memoryの略であり、ROMはRead Only Memoryの略である。
【0059】
第1制御部110は、不揮発性記憶部120、第1センサーI/F121、第1駆動部I/F122、表示パネル123、タッチセンサー124、及び、第1通信I/F125を備える。I/Fはインターフェイスの略である。
【0060】
不揮発性記憶部120は、第1プロセッサー111が実行する種々のプログラムや、第1プロセッサー111が処理する種々のデータを記憶する。
表示パネル123は、例えば液晶表示パネルであり、シート製造装置100の外装に設置される。表示パネル123は、第1プロセッサー111の制御に従って、処理部101の動作状態、各種設定値、警告表示等を表示する。
【0061】
タッチセンサー124は、ユーザーによるタッチ操作や押圧操作を検出する。タッチセンサー124は、例えば、表示パネル123の表示面に重ねて配置され、表示パネル123に対する操作を検出する。タッチセンサー124は、ユーザーの操作に対応して、操作位置や操作位置の数を含む操作データを第1プロセッサー111に出力する。
【0062】
第1通信I/F125は、第1プロセッサー111の制御に従って、シート製造装置100以外の装置とデータ通信を実行する。第1通信I/F125は、通信ケーブルが接続されるコネクターと通信インターフェイス回路とを備える通信ユニットであってもよい。また、第1通信I/F125は、アンテナと無線通信回路とを有する無線通信モジュールであってもよい。第1制御部110は、第1通信I/F125を通じて分別装置16と通信を実行する。本実施形態で、第1通信I/F125は、分別装置16と通信を実行する。
【0063】
第1制御部110は、第1センサーI/F121を介して、シート製造装置100の各部に設置されたセンサーに接続される。第1センサーI/F121は、センサーが出力する検出値を取得して第1プロセッサー111に入力するインターフェイス回路である。第1センサーI/F121は、センサーが出力するアナログ信号をデジタルデータに変換するA/Dコンバーターを備えてもよい。また、第1センサーI/F121は、各センサーに駆動電力を供給してもよい。また、第1センサーI/F121は、各々のセンサーの出力値を、第1プロセッサー111が指定するサンプリング周波数に従って取得し、第1プロセッサー111に出力する回路を備えてもよい。
【0064】
第1センサーI/F121には、滞留センサー211、212、213、ウェブ状態検出部214、シート状態検出部215、排紙量センサー216、及び、駆動部モニター217が接続される。第1センサーI/F121には、
図4に示していない各種のセンサーが接続されてもよい。
【0065】
駆動部モニター217は、第1駆動部I/F122に接続された各駆動部の少なくとも一部について、駆動電流を監視する。本実施形態では、駆動部モニター217は、粗砕部12の粗砕刃14を駆動する不図示のモーターの駆動電流の電流値及び/または電圧値を検出する。第1制御部110は、駆動部モニター217が検出する電流値及び/または電圧値を取得する。例えば、粗砕部12において原料MAの詰まりが発生した場合、粗砕刃14を駆動するモーターの負荷が増大する。第1制御部110は、駆動部モニター217の検出値に基づいて粗砕刃14を駆動するモーターの負荷を監視することにより、粗砕部12における原料MAの詰まりを検出する。
【0066】
第1制御部110は、第1駆動部I/F122を介して、シート製造装置100が備える各駆動部に接続される。シート製造装置100が備える駆動部は、モーター、ポンプ、ヒーター等である。第1駆動部I/F122は、モーターに直接接続される構成のほか、第1制御部110の制御によりモーターに駆動電流を供給する駆動回路や駆動ICに接続されてもよい。ICはIntegrated Circuitの略である。
【0067】
第1駆動部I/F122には、第1制御部110の制御対象として、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、加湿部77、78、混合部50、分散部60、第2ウェブ形成部70、加工部80、及び切断部90等が接続される。
【0068】
粗砕部12は、粗砕刃14を回転させるモーター等の駆動部を含む。
解繊部20は、ローター24を回転させるモーターや、搬送ブロアー26を駆動するモーター等の駆動部を含む。
選別部40は、ドラム部41を回転させるモーター等の駆動部を含み、第1ウェブ形成部45はメッシュベルト46を回動させるモーター等の駆動部を含む。加湿部77、78は、ミスト状の水または高湿度の空気を送出するファン等の駆動部を含む。混合部50は、混合ブロアー56を駆動するモーター等の駆動部を含む。分散部60は、ドラム部61を回転させるモーター等の駆動部を含む。第2ウェブ形成部70は、メッシュベルト72を回動させるモーター等の駆動部を含む。加工部80は、加圧部82及び加熱部84を駆動する駆動部や、加熱部84を加熱する熱源等を含む。切断部90は加熱後シートSS2を切断する刃を動作させるモーター等の駆動部を含む。
また、
図4に示されていない各種の駆動部が第1駆動部I/F122に接続された構成であってもよい。
【0069】
[1-6.分別装置の制御系]
図5は、分別装置16の機能ブロック図である。
分別装置16は、分別装置16の動作を制御する第2制御部170を有し、第2制御部170は第2プロセッサー171及び第2メモリー172を備える。第2プロセッサー171は、CPUやMPUにより構成される演算処理装置である。第2プロセッサー171は、制御プログラムを実行して分別装置16の各部を制御する。第2プロセッサー171は、単一のプロセッサーにより構成してもよいし、複数のプロセッサーにより構成することも可能であり、半導体素子を含む各種回路と統合されたSoCにより構成してもよい。また、第2プロセッサー171の機能の全てをハードウェアに実装した構成としてもよく、プログラマブルデバイスを用いて構成してもよい。
【0070】
第2メモリー172は、第2プロセッサー171が実行するプログラムや、第2プロセッサー171により処理されるデータ等を記憶する記憶装置である。第2メモリー172は、ワークエリアを形成してデータやプログラムを一時的に記憶する一時記憶装置であってもよく、例えば、RAMであってもよい。第2メモリー172は、プログラムやデータを不揮発的に記憶する不揮発性記憶装置であってもよく、例えば、フラッシュROM等の半導体メモリーデバイスや、磁気的記憶装置で構成されてもよい。また、第2メモリー172は、一時記憶装置と不揮発性記憶装置との両方を組み合わせて実現してもよい。
【0071】
第2制御部170は、第2センサーI/F173、第2駆動部I/F174、第2通信I/F175、表示部176、及び、入力部177を備える。
【0072】
表示部176は、分別装置16の動作状態等を表示する。表示部176は、液晶表示パネル等の表示画面を備える構成であってもよいし、発光ダイオード等で構成されるインジケーターランプを備える構成であってもよい。
【0073】
入力部177は、ユーザーにより操作されるスイッチ等の操作子や、ユーザーのタッチ操作や押圧操作を検出するタッチセンサーを備える。入力部177は、ユーザーの操作に対応する操作データを第2プロセッサー171に出力する。
【0074】
第2通信I/F175は、第2プロセッサー171の制御に従って、分別装置16以外の装置とデータ通信を実行する。第2通信I/F175は、通信ケーブルが接続されるコネクターと通信インターフェイス回路とを備える通信ユニットであってもよい。また、第2通信I/F175は、アンテナと無線通信回路とを有する無線通信モジュールであってもよい。第2制御部170は、第2通信I/F175によってシート製造装置100と通信を実行する。本実施形態で、第2通信I/F175は、シート製造装置100と通信を実行する。
【0075】
第2制御部170は、第2センサーI/F173を介して、分別装置16の各部に設置されたセンサーに接続される。第2センサーI/F173は、センサーが出力する検出値を取得して第2プロセッサー171に入力するインターフェイス回路である。第2センサーI/F173は、センサーが出力するアナログ信号をデジタルデータに変換するA/Dコンバーターを備えてもよい。また、第2センサーI/F173は、各センサーに駆動電力を供給してもよい。また、第2センサーI/F173は、各々のセンサーの出力値を、第2プロセッサー171が指定するサンプリング周波数に従って取得し、第2プロセッサー171に出力する回路を備えてもよい。
【0076】
第2センサーI/F173には、原料量センサー162、回収量センサー167、及び、原料検査部165の各センサーが接続される。すなわち、変位計165A、静電容量センサー165B、イメージセンサー165C、分光検出器165D、及び、近磁界センサー165Eの各々が第2センサーI/F173に接続される。第2センサーI/F173には、
図5に示していない各種のセンサーが接続されてもよい。
【0077】
第2制御部170は、第2センサーI/F173により、原料量センサー162、回収量センサー167、及び原料検査部165の各センサーの検出値や検出結果を取得する。
【0078】
第2制御部170は、第2駆動部I/F174を介して、分別装置16が備える各駆動部に接続される。分別装置16が備える駆動部は、モーター、ポンプ、ヒーター等である。
図5には、ピックアップローラー163Aを駆動するピックアップモーター168A、及び、切替アーム163Cを動かすアクチュエーター168Bを駆動部の一例として示す。第2駆動部I/F174は、モーターやアクチュエーターに直接接続される構成のほか、第2制御部170の制御により駆動電流を供給する駆動回路や駆動ICに接続されてもよい。第2制御部170は、第2駆動部I/F174を介して、ピックアップモーター168A、及びアクチュエーター168Bを含む各駆動部を動作させる。
【0079】
[1-7.シート製造システムの動作]
図6は、シート製造システム1の機能ブロック図であり、シート製造装置100から分別装置16に送信される情報を合わせて図示する。
【0080】
シート製造装置100は、第1制御部110により構成される機能部として、動作制御部113、第1記憶部114、及び、第1通信部115を備える。これらの各部は、第1プロセッサー111がプログラムを実行することにより、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。第1記憶部114は、第1メモリー112または不揮発性記憶部120の記憶領域を利用して構成される。第1通信部115は、第1プロセッサー111が第1通信I/F125を制御することにより構成される。
【0081】
動作制御部113は、シート製造装置100の各部を動作させてシートSの製造を実行する。動作制御部113は、シートSの製造中における各センサーの検出値を取得して、処理部101の動作状態を監視し、処理部101の動作支障を検出する。
【0082】
動作制御部113が検出する動作支障は、粗砕部12を含む各部における原料MAの給紙詰まり、いわゆる給紙ジャムを含む。また、動作支障は、原料MA、解繊物MB、混合物MXの滞留を含む。また、動作支障は、第2ウェブW2の形成不良を含む。第2ウェブW2の形成不良は、第2ウェブW2の千切れ、厚み不足、孔の形成等である。また、動作支障は、加熱後シートSS2の形成不良を含む。加熱後シートSS2の形成不良は、加熱後シートSS2の白色度が基準範囲から外れたこと、及び、加熱後シートSS2のコシが基準範囲から外れたこと等である。
【0083】
動作制御部113は、駆動部モニター217の検出結果に基づき、粗砕部12における給紙ジャムを検出する。
動作制御部113は、滞留センサー211、212、213の検出結果を取得し、検出結果に基づいて、原料MA、解繊物MB、混合物MXの滞留を検出する。
動作制御部113は、ウェブ状態検出部214の検出結果を取得し、取得した検出結果に基づいて、第2ウェブW2の形成不良を検出する。
動作制御部113は、シート状態検出部215の検出結果を取得し、取得した検出結果に基づいて、加熱後シートSS2の形成不良を検出する。
【0084】
動作制御部113は、動作支障ありと判定した場合に、動作情報130を生成する。動作情報130は、発生した動作支障の種類を示す情報を含む。
動作制御部113は、動作情報130を第1記憶部114に記憶する。動作制御部113は、動作情報130を生成する毎、或いは、予め設定された周期で、第1記憶部114に記憶した動作情報130を第1通信部115によって分別装置16に送信する。第1通信部115は、送信部の一例に対応する。
【0085】
分別装置16は、第2制御部170により構成される機能部として、検出部181、判定部182、分別部183、受信部184、設定部185、及び、第2記憶部190を備える。これらの各部は、第2プロセッサー171がプログラムを実行することにより、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
第2記憶部190は、第2メモリー172の記憶領域を利用して構成される。受信部184は、第2プロセッサー171が第2通信I/F175を制御することにより構成される。
【0086】
第2記憶部190は、学習データセット191、動作状態情報192、判定基準193、及び、動作目標値194を記憶する。判定基準193は、判定部182が原料MAの適否を判定するための基準を含む。すなわち、判定基準193は、分別装置16に設定されている判定基準である。動作目標値194は、処理部101の動作状態について達成すべき目標値を含む。学習データセット191及び動作状態情報192については後述する。
【0087】
検出部181は、厚み検出部181A、静電容量検出部181B、形状検出部181C、印字状態検出部181D、サイズ検出部181E、再生紙検出部181F、及び、磁気検出部181Gを有する。
【0088】
厚み検出部181Aは、変位計165Aの検出値に基づいて原料MAの厚みを検出する。
静電容量検出部181Bは、静電容量センサー165Bの検出結果に基づいて、原料MAの静電容量を検出する。
形状検出部181Cは、イメージセンサー165Cが出力するイメージデータを解析し、原料MAの形状を抽出する。形状検出部181Cは、抽出した原料MAの形状を解析して、原料MAの欠損を検出する。形状検出部181Cは、例えば、原料MAにおける欠損の数や大きさを示す欠損度を算出してもよい。
印字状態検出部181Dは、イメージセンサー165Cが出力するイメージデータを解析し、原料MAの表面及び/または裏面の印字デューティーを算出する。
サイズ検出部181Eは、イメージセンサー165Cが出力するイメージデータを解析し、原料MAのサイズを算出する。
【0089】
再生紙検出部181Fは、分光検出器165Dの検出結果に基づいて、原料MAが再生紙である場合の再生世代を求める。再生紙の世代とは、パルプから製紙された新品の紙を基準として、シート製造装置100による再生を実行した回数を示す。例えば、新品の紙を原料MAとしてシート製造装置100で製造されたシートSを、1回の再生がなされた再生紙として、第1世代と呼ぶ。第1世代のシートSを原料MAとしてシート製造装置100で製造されたシートSは、第2世代である。これ以降、シート製造装置100の原料MAが再生紙である場合、シート製造装置100が製造するシートSは、原料MAより1世代後の再生紙となる。再生紙の世代が進むと、主に解繊部20による解繊を経ることの影響で、紙に含まれる繊維長が短くなる傾向がある。また、再生紙の世代が進むと、新品の紙に含まれる填料に対し、添加物供給部52により添加される添加材料ADの割合が増加する。これらの世代による変化は、シート製造装置100が製造するシートSの品質に影響を与える。従って、シート製造システム1は、原料MAの状態として、再生紙の世代を再生紙検出部181Fにより検出し、後述するように判定に用いる。
【0090】
磁気検出部181Gは、近磁界センサー165Eの検出結果に基づいて、原料MAに付着または含有される金属の有無、或いは金属量を検出する。
厚み検出部181A、静電容量検出部181B、形状検出部181C、印字状態検出部181D、サイズ検出部181E、再生紙検出部181F、及び、磁気検出部181Gは、第1検出部、及び、第2検出部の一例に相当する。換言すれば、第1検出部及び第2検出部は、それぞれ、上記の検出部181の各部から選択される。第1検出部及び第2検出部は、検出部181の各部とともに、検出部181の各部が利用する原料検査部165の各センサーを含んでもよいし、これらの各センサーを第1検出部、及び、第2検出部の一例ということもできる。
【0091】
判定部182は、原料MAが処理部101による処理に適するか否か、すなわち原料MAの適否を判定する。処理部101による処理に適する原料MAとは、処理部101の動作支障を発生させる可能性が低い原料MAをいう。処理部101による処理に適しない原料MAとは、処理部101の動作支障を発生させる可能性のある原料MAをいう。
【0092】
例えば、原料MAが過度に厚い紙である場合、粗砕刃14による破砕が進み難いため粗砕部12で原料MAの詰まりを生じる懸念がある。また、粗砕部12で粗砕された原料MAが硬いために原料MAの滞留を生じやすいこと、及び、1枚の原料MAから多量の解繊物MBが発生するために解繊物MBの滞留を生じやすいことが懸念される。さらに、解繊物MBの搬送が不安定となるために、ドラム部61への混合物MXの供給が不安定化することが懸念される。この状態は、第2ウェブW2の形成の安定性を乱す要因となり、例えば、第2ウェブW2の千切れや孔を発生させることがある。
【0093】
また、例えば、原料MAが静電気を帯びやすいものである場合、原料MAの粗砕片、解繊物MB、及び混合物MXが静電気を帯びやすいことから、滞留が発生することが懸念される。原料MAの静電気を帯びやすさは、原料MAとなる紙の製造時に添加された填料である炭酸カルシウムと、セルロース繊維との比率に依存する。原料MAの静電気の帯びやすさの指標としては、原料MAの静電容量が挙げられる。
【0094】
原料MAが、折れ、皺、破れ、パンチ孔等の欠損を有する場合、例えば、原料MAにおいて、破損や変形、サイズの不適合、過度の厚み、ステープラーの金属針やペーパークリップの付着等がある場合、処理部101の動作支障の発生が懸念される。破損や変形を有する紙とは、具体的には、しわ、破れ、汚れ、形状が他の原料MAと明らかに異なるほどの折れ曲がり等を有する紙である。サイズが適合しない紙とは、具体的には、シート製造装置100が処理可能な原料MAのサイズの範囲を逸脱する紙である。これらの紙は分別装置16から粗砕部12まで、或いはその後の搬送経路で詰まりを生じる可能性があるため、処理に適しない。過度に厚い紙や他の紙と固着している紙は、硬度が高いために粗砕部12や解繊部20の動作に支障を来す可能性や、解繊部20で解繊されることで多量の解繊物MBを発生し、解繊物MBの詰まりを生じる可能性があるため、処理に適しない。ステープラーの金属針やペーパークリップが付着している紙は、金属針やペーパークリップが粗砕部12や解繊部20の動作に影響を与える可能性があるため、処理に適しない。
【0095】
判定部182は、処理部101の動作支障の発生率に影響を与える複数の項目について、検出部181が検出した原料MAの状態に基づき、原料MAの適否を判定する。判定部182は、厚み検出部181Aの検出結果を、原料MAの厚みに関して設定された判定基準値と比較することにより、判定を行う。
判定部182は、静電容量検出部181Bの検出結果を、原料MAの静電容量に関して設定された判定基準値と比較することにより、判定を行う。
判定部182は、形状検出部181Cの検出結果を、原料MAの欠損に関して設定された判定基準値と比較することにより、判定を行う。
判定部182は、印字状態検出部181Dの検出結果を、印字デューティーに関して設定された判定基準値と比較することにより、判定を行う。
判定部182は、サイズ検出部181Eの検出結果を、原料MAのサイズに関して設定された判定基準値と比較することにより、判定を行う。
判定部182は、再生紙検出部181Fの検出結果を、再生世代に関して設定された判定基準値と比較することにより、判定を行う。
判定部182は、磁気検出部181Gの検出結果を、原料MAの金属の有無または金属量に関して設定された判定基準値と比較することにより、判定を行う。
判定部182が利用する判定基準値は、第2記憶部190に判定基準193として記憶されている。判定基準193は、項目毎の判定基準値を含む。
【0096】
判定部182は、原料MAの厚み、静電容量、欠損、印字デューティー、サイズ、再生世代、及び、金属の有無または金属量の項目毎に適否を判定する。さらに、判定部182は、項目毎の判定結果を統合して、原料MAの適否を判定する。ここで、原料MAが処理に適しないと判定された項目を、便宜的に否定項目と呼ぶ。
例えば、判定部182は、否定項目の数に基づき、原料MAが処理部101による処理に適するか否かを判定する。具体的には、否定項目の数が判定基準193により指定される数を超える場合に、原料MAを、処理部101による処理に適しないと判定する。
【0097】
また、判定部182は、否定項目の中に判定基準193により指定された項目が含まれる場合に、原料MAを、処理部101による処理に適しないと判定する。例えば、判定部182は、金属の有無または金属量が否定項目に含まれる場合に、原料MAを、処理部101による処理に適しないと判定する。
このように、判定部182は、否定項目の数や、否定項目の種類に基づき原料MAの適否を判定してもよいし、その他の基準に基づき原料MAの適否を判定してもよい。
【0098】
分別部183は、判定部182の判定結果に基づいてアクチュエーター168Bを動作させ、原料MAの搬送経路を、回収トレイ166へ向かう経路と、シート製造装置100へ向かう経路とに切り替え、原料MAを分別する。具体的には、分別部183は、判定部182によって原料MAが処理部101による処理に適しないと判定された場合に、切替アーム163Cを分別位置163Eに移動させて、原料MAを回収トレイ166に回収する。分別部183は、判定部182によって原料MAが処理部101による処理に適すると判定された場合に、切替アーム163Cを供給位置163Dに移動させて、原料MAを粗砕部12に搬送させる。
受信部184は、シート製造装置100が送信する動作情報130を受信する。受信部184は、取得部の一例に対応する。
【0099】
設定部185は、学習データ生成部186、及び、学習部187を備える。
学習データ生成部186は、動作情報130に基づいて、動作状態情報192を生成または更新する。動作状態情報192は、シート製造装置100において発生した動作支障について、動作支障の種類毎に、動作支障の発生状況を示す情報である。例えば、動作状態情報192は、動作支障の種類毎に、動作支障の発生率を含む。動作状態情報192は、複数種類の動作支障を統合した動作支障の発生率を含んでもよい。学習データ生成部186は、例えば、全ての動作支障に関する動作情報130を合算することにより、いずれかの動作支障が発生する発生率を算出して動作状態情報192としてもよい。
【0100】
動作支障の発生率とは、例えば、シート製造装置100の運転時間、すなわちシートSを製造する動作時間あたりの動作支障の発生数である。動作支障の発生率は、シート製造装置100がシートSを単位枚数だけ製造する間の動作支障の発生数であってもよい。動作支障の発生率は、シート製造装置100が原料MAを単位枚数だけ処理する間の動作支障の発生数であってもよい。
【0101】
学習データ生成部186は、動作状態情報192及び判定基準193に基づき、学習データセット191を生成または更新する。学習データセット191は、分別装置16で設定されている判定の基準値を含む判定基準193と、判定基準193が設定されている間にシート製造装置100において発生した動作支障に関する動作状態情報192を対応付けて含む。
【0102】
学習部187は、学習データセット191に基づき、動作支障の発生率と、判定部182の各項目の判定基準との相関を学習する。
本実施形態では、学習部187は、機械学習を行う学習モデルを有する。学習部187は、学習データセット191を用いて学習を実行することにより、動作支障の発生率から判定部182の各項目の判定基準を求める学習モデルを形成する。学習モデルは、人工知能を構成するアルゴリズムモデル、統計モデル、数学モデル等であり、ニューラルネットワークの構造を有していてもよい。人工知能はAIとも呼ばれる。AIはArtificial Intelligenceの略である。
【0103】
学習部187が実行する学習の具体的な態様は特に制限されない。例えば、学習部187は、学習データセット191に含まれる動作支障の発生率と項目毎の判定基準との相関について、いわゆる教師なし機械学習を実行してもよい。また、学習部187は、半教師あり機械学習を実行してもよいし、学習済みの学習モデルを用いて、いわゆる転移学習を実行してもよい。また、例えば、学習データセット191に含まれる動作支障の発生率を目的変数とし、項目毎の判定基準を説明変数として重回帰分析を実行してもよい。学習部187は、ディープラーニングを実行してもよい。
【0104】
学習部187は、学習済みの学習モデルを用いて、処理部101の動作支障の発生率が与えられた場合に、与えられた発生率を実現するための項目毎の基準値を推定可能となる。すなわち、学習部187は、処理部101の動作支障の発生率を、動作目標値194にするための、判定部182の判定基準を推定できる。動作目標値194は、処理部101の動作状態について達成すべき目標値を含み、例えば、処理部101の動作支障の発生率を動作目標値194以下に抑えることが望まれる。動作目標値194は、シート製造装置100の機種毎、或いは固体毎に予め設定される値である。
【0105】
学習データ生成部186は、動作状態情報192が示す動作支障の発生率を動作目標値194と比較し、動作情報130から得られた動作支障の発生率が適正な範囲か否かを判定し、判定結果を含む学習データセット191を生成してもよい。この学習データセット191は、判定基準193が示す項目毎の基準値と、処理部101における動作支障の発生率が適正か否かを示すラベルとが対応付けられたデータとなる。この場合、学習部187は、ラベルを含む学習データセット191を用いて、教師あり機械学習を実行させてもよい。
【0106】
また、学習部187は、学習モデルに強化学習を実行させてもよい。具体的には、学習データ生成部186は、動作状態情報192が示す動作支障の発生率を動作目標値194と比較し、動作情報130から得られた動作支障の発生率が適正な範囲か否かを判定する。学習データ生成部186は、判定結果を反映した報酬を含む学習データセット191を生成し、この学習データセット191に基づき学習部187に強化学習を実行させてもよい。この場合、学習部187は、学習モデルに、強化学習を実行させることにより、より高精度で基準値を推定できるようになる。強化学習を行う学習モデルは、学習前の初期モデルであってもよいし、学習データセット191により学習を行った学習済みモデルであってもよい。また、学習部187は、動作状態情報192に基づかない学習データセットにより学習を実行した学習済みモデルを有し、この学習済みモデルに学習データセット191による学習を実行させてもよい。例えば、シート製造装置100と同種である他の装置の運転記録から生成された初期学習用の学習データセットを用いて、学習済みモデルを生成してもよい。また、初期学習用の学習データセットを用いて学習した学習済みモデルを、分別装置16の製造時に第2制御部170に実装してもよい。
【0107】
図7は、シート製造装置100の動作を示すフローチャートであり、特に、シートSを製造する動作において動作情報130を生成する処理を示す。
図7の動作は第1制御部110により実行される。
【0108】
第1制御部110は、シート製造装置100の各駆動部を制御してシートSの製造を開始する(ステップSA11)。このとき、図示はしないが、分別装置16はシート製造装置100への原料MAの供給を実行する。
【0109】
第1制御部110は、処理部101の動作状態の検出を開始する(ステップSA12)。詳細には、第1制御部110は、処理部101における動作支障の検出を開始する。ここで、動作支障とは、上述したように、粗砕部12における給紙ジャム、原料MA、解繊物MB、混合物MXの滞留、第2ウェブW2の形成不良、加熱後シートSS2の形成不良の少なくともいずれかを含む。
【0110】
第1制御部110は、動作情報130を生成する条件として予め設定された情報生成条件が成立したか否かを判定する(ステップSA13)。本実施形態では、上述したように、シート製造装置100において動作支障が発生した場合に、動作情報130を生成する。このため、情報生成条件は、いずれかの動作支障が発生したことである。第1制御部110の動作はこの例に限定されず、例えば、シートSを製造する動作中すなわちシート製造装置100の運転中に、予め設定された時間毎に動作情報130を生成してもよい。この場合、情報生成条件は、シート製造装置100の運転中に設定時間が経過することである。
【0111】
情報生成条件が成立していない場合(ステップSA13;NO)、第1制御部110は、後述するステップSA16に移行する。
情報生成条件が成立した場合(ステップSA13;YES)、第1制御部110は、動作情報130を生成し(ステップSA14)、分別装置16に動作情報130を送信し(ステップSA15)、ステップSA16に移行する。
【0112】
ステップSA16で、第1制御部110は、シートSの製造を終了するか否かを判定する(ステップSA16)。タッチセンサー124の操作により製造停止が指示された場合、或いは、指定された数量のシートSの製造が完了した場合、第1制御部110はステップSA16で肯定判定する(ステップSA16;YES)。この場合、第1制御部110は、例えばシート製造装置100の停止シーケンスを実行して、本処理を終了する。シートSの製造を終了しない場合(ステップSA16;NO)、第1制御部110は、ステップSA13に戻る。
【0113】
図8は、分別装置16の動作を示すフローチャートであり、特に、動作情報130を利用した学習に関する動作を示す。
図8の動作は第2制御部170により実行される。
第2制御部170は、動作情報130を受信し(ステップSB11)、受信した動作情報130に基づいて動作状態情報192を生成または更新する(ステップSB12)。第2制御部170は、ステップSB12で生成または更新した動作状態情報192と、判定基準193とをもとに学習データセット191を生成または更新する(ステップSB13)。
【0114】
第2制御部170は、学習データセット191を利用して学習部187に学習を実行させる(ステップSB14)。
第2制御部170は、学習後の学習部187によって、処理部101の動作状態の目標である動作目標値194を満たすような判定の基準値を推定する(ステップSB15)。第2制御部170は、推定した基準値を判定基準193に含ませて判定基準193を更新することにより、新たな基準値を設定する(ステップSB16)。
【0115】
[1-8.実施形態の作用]
以上説明したように、第1実施形態に係るシート製造システム1は、繊維を含む原料MAを処理する処理部101と、原料MAの状態を検出する検出部181と、を有する。シート製造システム1は、検出部181の検出結果と予め設定された原料MAの状態の判定基準とに基づいて、原料MAが処理部101での処理に適するか否かを判定する判定部182を有する。シート製造システム1は、判定部182によって処理に適すると判定された原料MAを処理部101に供給する供給部としての搬送部163を備える。シート製造システム1は、処理部101における動作支障の発生状態を示す動作情報130を取得する取得部としての受信部184と、動作情報130をもとに判定基準を設定する設定部185とを備える。
【0116】
シート製造システム1が実行する繊維処理方法は、原料MAの状態を検出し、原料MAの状態の検出結果と、予め設定された原料MAの状態の判定基準とに基づいて、原料MAが処理部101での処理に適するか否かを判定する。そして、処理に適すると判定した原料MAを、処理を実行する処理部101に供給し、処理部101における動作支障の発生状態を示す動作情報130を取得し、動作情報130をもとに、判定基準を設定する。
【0117】
本発明を適用したシート製造システム1、及び、シート製造システム1による繊維処理方法によれば、処理部101による処理に適する原料MAと、適しない原料MAとを判定する基準を、処理部101の動作の状態に合わせて設定できる。これにより、シート製造装置100による再生に適する原料MAか否かを適切な基準に基づき判定でき、再生に適しない原料MAを分別できる。このため、例えば、不適切な原料MAを使用することによるシート製造装置100の動作支障を抑制できる。また、処理部101の処理に適しないとして破棄される原料MAを減らすことができる。
【0118】
設定部185は、判定基準と動作情報130とを対応付けて含む学習データセット191を生成する学習データ生成部186と、学習データセット191に基づいて判定基準と動作情報130との相関を学習する学習部187と、を備える。設定部185は、動作情報130が動作目標値194を満たすように判定基準を設定する。これにより、適切な基準に基づく判定を行って、動作目標値194を満たすように、シート製造装置100を動作させることができる。
上述のように、処理部101の動作支障は、原料MAの詰まりや滞留、第2ウェブW2や加熱後シートSS2の形成不良など、様々な事象がある。これらの動作支障の要因も様々であり、原料MAの状態と処理部101の動作支障の相関は複雑である。このため、処理部101の動作支障を抑制しようとすれば、原料MAの状態に関して適切な判定基準を設定することが望まれるが、作業者による適切な基準の設定は容易ではない。さらに、例えば原料MAの状態に関する複数の項目ごとに適切な判定基準を設定することは、作業者にとって困難である。シート製造システム1では、学習データ生成部186が生成する学習データセット191に基づき、学習部187に学習を実行させ、学習済みの学習部187を用いて判定の基準値を設定する。このため、第2制御部170によって、原料MAの状態に関する複数の項目の各々について適切な基準値を設定できる。
【0119】
検出部181は、第1検出部、及び第2検出部を備え、判定部182は、第1検出部の検出値に対応する判定基準、及び、第2検出部の検出値に対応する判定基準に基づいて判定を行う。この構成によれば、検出部181が備える複数の検出部の検出結果のそれぞれについて、設定部185によって設定された判定基準を用いて判定を行う。このため、原料MAが処理部101による処理に適するか否かを、より高精度で判定できる。
【0120】
第1検出部、及び、第2検出部は、厚み検出部181A、静電容量検出部181B、形状検出部181C、印字状態検出部181D、サイズ検出部181E、及び、再生紙検出部181Fのいずれかを含む。厚み検出部181Aは、シート状の原料MAの厚みを検出する。静電容量検出部181Bは、原料MAの静電容量を検出する形状検出部181Cは、定型シートである原料MAの端部欠損度を検出する。印字状態検出部181Dは、印刷物である原料MAの印字デューティーを検出する。再生紙検出部181Fは、再生紙である原料MAの再生世代を検出する。サイズ検出部181Eは、原料MAのサイズを検出する。この構成によれば、原料MAの状態に関する指標として、厚み、静電容量、形状の欠損、印字デューティー、再生世代、及びサイズのうち複数の項目で、原料MAの適否を判定することができる。また、これら複数の項目の各々に対応する適切な基準を設定できる。従って、原料MAの適否をより高精度で適切に判定できる。
【0121】
学習データ生成部186は、動作状態情報192から得られる情報と、判定基準193に含まれる複数の項目の判定基準とを対応付けて含む学習データセット191を生成する。すなわち、学習データセット191は、第1検出部の検出値に対応する判定基準と、第2検出部の検出値に対応する判定基準と、動作状態情報192の情報とを対応付けて含む。このため、学習部187が実行する学習に、検出部181の構成を詳細に反映させることができ、学習済みの学習部187により高精度で判定基準を推定できる。
【0122】
処理部101は、原料MAを裁断する粗砕部12、裁断部により裁断された原料MAを解繊する解繊部20、及び、解繊部により解繊された解繊物を成形してシートSを製造する成形部102を含む。受信部184は、処理部101における原料MAの詰まり、粗砕部12により裁断された原料MAの滞留、及び、成形部102により製造された第2ウェブW2やシートSの形状不良のうち、少なくともいずれかの発生状態を示す動作情報130を取得する。この構成によれば、処理部101で発生する複数の動作支障に対応して、動作支障の発生率を抑制し得る判定基準を設定できる。このため、シート製造装置100の運転効率の向上を図ることができる。
【0123】
シート製造システム1は、原料MAを分別する分別装置16と、分別装置16により分別された原料MAを処理部101によって処理するシート製造装置100とを備える。シート製造装置100は、処理部101と、第1制御部110とを備える。第1制御部110は、処理部101の動作を検出して動作情報130を生成する動作制御部113、及び、動作情報130を分別装置16に送信する第1通信部115を有する。分別装置16は、判定部182によって処理に適すると判定された原料MAと処理に適しないと判定された原料MAとを分別する分別部183を備える。分別装置16は、検出部181と、判定部182と、取得部として動作情報130を受信する受信部184と、設定部185と、を備える。この構成によれば、シート製造装置100と分別装置16とを備える構成において、シート製造装置100における動作状態を示す動作情報130を分別装置16に送信し、分別装置16が、動作情報130に基づく判定基準を設定する。従って、分別装置16が原料MAを判定して分別する構成において、シート製造装置100の動作の状態を反映して適切に判定基準を設定できる。また、分別装置16が分別した原料MAがシート製造装置100に供給されるため、シート製造装置100において原料MAを分別する構成が不要であり、シート製造装置100の小型化を図ることができる。
【0124】
[2.第2実施形態]
図9は、本発明を適用した第2実施形態のシート製造システム1Aの構成を示す図である。
図10は、シート製造システム1Aの機能ブロック図である。第2実施形態に係る図および説明において、第1実施形態と共通する構成部には同符号を付し、説明を省略する。
【0125】
シート製造システム1Aは、シート製造装置100A、及び、分別装置16Aを備える。分別装置16Aは、シート製造装置100Aから分離して配置されている。上記第1実施形態で説明した分別装置16は、粗砕部12に原料MAを供給する機能を有していたが、分別装置16Aは、原料MAを粗砕部12に直接供給することはない。これに代えて、分別装置16Aは、原料MAを判定し、処理部101による処理に適すると判定した原料MAを、原料容器30に収容する。シート製造システム1Aは、繊維処理システムの一例に対応する。シート製造装置100Aは、処理装置の一例に対応する。
【0126】
原料容器30は、原料MAを収容した状態で、例えばユーザーが手に持って移動可能なカートリッジ様の容器である。原料容器30は、分別装置16A、および、シート製造装置100Aに対して着脱可能である。
分別装置16Aは、原料容器30が装着された状態で、搬送部163によって原料MAを原料容器30に搬送する。これにより、分別装置16Aが処理部101による処理に適すると判定した原料MAが、原料容器30に収容される。
【0127】
シート製造装置100Aは、原料容器30を装着可能な供給部10を有する。供給部10は、原料容器30に収容された原料MAを、1枚ずつ、或いは所定枚数ずつピックアップして、粗砕部12に供給する。粗砕部12を含む処理部101は、第1実施形態と共通である。
【0128】
原料容器30には、第3記憶部31が取り付けられる。第3記憶部31は、データを不揮発的に記憶可能な記憶領域を有する。第3記憶部31は、例えば、フラッシュROM等の半導体メモリーデバイスや、磁気的記憶装置で構成することができ、無線ICタグで構成されてもよい。第3記憶部31は、容器側記憶部ということもでき、記憶部の一例に対応する。
【0129】
シート製造装置100Aは、第3記憶部31にデータを書き込み可能である。例えば、供給部10は、第3記憶部31に接続される不図示の書き込み回路、または、非接触で第3記憶部31にデータを書き込む不図示のインターフェイス回路を有する。一方、分別装置16Aは、第3記憶部31に書き込まれたデータを読み出すことが可能である。例えば、分別装置16Aは、第3記憶部31に接続される不図示の読み取り回路、または、非接触で第3記憶部31からデータを読み取る不図示のインターフェイス回路を有する。
【0130】
図10に示すように、シート製造装置100Aは、動作制御部113及び第1記憶部114に加え、書込部116を備える。書込部116は、動作制御部113が生成した動作情報130を、第3記憶部31に書き込む。書込部116は、第2制御部170の機能により構成される。
【0131】
分別装置16Aは、読取部189を備える。読取部189は、分別装置16Aにセットされた原料容器30が有する第3記憶部31から、動作情報130を読み取る。学習データ生成部186は、読取部189によって読み取られた動作情報130に基づき動作状態情報192を生成し、第2記憶部190に記憶させる。
【0132】
図11は、シート製造装置100Aの動作を示すフローチャートであり、特に、シートSを製造する動作において動作情報130を生成する処理を示す。
図11の動作は第1制御部110により実行される。
図11において、
図7と共通する処理には同ステップ番号を付して説明を省略する。
図12は、分別装置16の動作を示すフローチャートであり、特に、動作情報130を利用した学習に関する動作を示す。
図12の動作は第2制御部170により実行される。
図12において、
図8と共通する処理には同ステップ番号を付して説明を省略する。
【0133】
シート製造装置100Aには、シートSを製造するにあたって、原料MAを収容した原料容器30がセットされる。従って、第1制御部110が
図11の動作を実行する場合には、供給部10に原料容器30がセットされている。
【0134】
第1制御部110は、シートSの製造を開始し(ステップSA11)、処理部101の動作状態の検出を開始する(ステップSA12)。その後、第1制御部110は、動作情報130を生成した場合(ステップSA14)、動作情報130を第3記憶部31に書き込む処理を行い(ステップSA21)、ステップSA16に移行する。
【0135】
シート製造装置100Aが原料容器30に収容された原料MAを使いきった場合など、原料容器30に原料MAを補充する必要がある場合、原料容器30が分別装置16Aにセットされる。
【0136】
第2制御部170は、原料容器30がセットされたか否かを判定し(ステップSB21)、原料容器30がセットされない場合は(ステップSB21;NO)、原料容器30がセットされるまで待機する。
原料容器30がセットされた場合(ステップSB21;YES)、第2制御部170は、第3記憶部31から動作情報130を読み出す(ステップSB22)。第2制御部170は、ステップSB22で読み出した動作情報130に基づき動作状態情報192を生成し、或いは更新する(ステップSB12)。
【0137】
このように、本発明を適用した第2実施形態に係るシート製造システム1Aは、原料MAを分別して原料容器30に収容する分別装置16Aと、原料容器30から原料MAを取り出して処理部101により処理するシート製造装置100Aと、を備える。シート製造装置100Aは、処理部101と、処理部101の動作を検出して動作情報130を生成する動作制御部113と、を備える。第1制御部110は、動作情報130を原料容器30に設けられた第3記憶部31に記憶させる。分別装置16Aは、判定部182によって処理に適すると判定された原料MAと処理に適しないと判定された原料MAとを分別する分別部183と、検出部181と、判定部182とを備える。分別装置16Aは、取得部としての読取部189と、設定部185と、を備える。読取部189は、原料容器30の第3記憶部31から動作情報130を取得する。この構成によれば、原料MAの適否を判定する基準を、処理部101の動作に関する動作情報130を反映して適切に設定できる。従って、原料MAの適否を、効率よく、適切な基準に基づき判定できる。また、上述した第1実施形態のシート製造システム1と同様の効果を得ることができる。
【0138】
さらに、シート製造システム1Aでは、分別装置16Aとシート製造装置100Aとが物理的に近接して設置される必要がない。このため、シート製造システム1Aの設置の自由度が増し、シート製造装置100Aの小型化を実現できる。
【0139】
[3.他の実施形態]
上述した各実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明を実施する具体的態様に過ぎず、本発明を限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、例えば以下に示すように、種々の態様において実施することが可能である。
【0140】
例えば、上記各実施形態では、検出部181が厚み検出部181A、静電容量検出部181B、形状検出部181C、印字状態検出部181D、サイズ検出部181E、再生紙検出部181F、及び、磁気検出部181Gを備える構成を例示した。本発明はこれに限定されず、例えば、検出部181の構成は、上述した各検出部から2以上を適宜に選択可能である。また、検出部181は、原料MAの状態として上述した項目以外の検出を行うものであってもよい。例えば、湿度センサーによって原料MAの湿度を検出する構成、原料MAに粘着材が付着しているか否かを検出する構成、イメージセンサー165Cのイメージデータに基づき原料MAの光沢や原料MAの色を検出する構成等を備えてもよい。
【0141】
上記各実施形態において、学習部187は、機械学習機能や重回帰分析を実行しない構成であってもよい。例えば、学習部187は、動作情報130から得られた動作支障の発生率が適正な範囲か否かの判定結果をもとに、項目毎の基準値を所定量だけ増減させてもよい。この場合、動作支障の種類に対応付けて基準値を増減させる項目が設定され、基準値を増減させる所定量が項目毎に設定されていればよい。また、学習部187は、動作情報130から得られた動作支障の発生率と、動作目標値194との差分を基準値にフィードバックするPID制御を実行してもよい。PIDはProportional-Integral-Differentiaの略である。
【0142】
分別装置16、16Aは、処理部101による処理に適しないと判定された原料MAを、回収量センサー167に回収する構成に限定されず、例えば、シュレッダーによって裁断する構成であってもよい。
【0143】
また、分別装置16は、処理部101による処理に適すると判定された原料MAを、粗砕部12の上流において一時的に貯留する貯留部を備えてもよい。この場合、シート製造装置100は、貯留部に貯留された原料MAを粗砕部12に搬送する搬送装置を備えてもよい。
【0144】
また、動作情報130は、処理部101における動作支障の検出を行った日付、時刻、或いは検出を行った期間を示す時間情報を含んでいてもよい。この場合、分別装置16、16Aは、判定基準193により判定を行った期間と、動作情報130の時間情報とを対照することにより、判定基準193と動作情報130との対応漬けを行い、学習データセット191を生成してもよい。
【0145】
シート製造システム1Aにおいて使用可能な原料容器30の数に制限はなく、複数の原料容器30を用いることができる。この場合、例えば、処理部101の処理に適する原料MAを1または複数の原料容器30に蓄積しておくことができる。この場合、シート製造装置100Aが原料MAを消費するペースが、分別装置16Aの処理速度の制約を受けない。このため、シート製造装置100Aが原料MAを消費するペースが、分別装置16Aが原料容器30に原料MAを収容するペースよりも速い場合であっても、シート製造装置100Aの速度を損なうことなくシートSを製造できる。
【0146】
さらに、例えば、第3記憶部31に、動作情報130を生成したシート製造装置100Aを識別する識別情報と、動作情報130とを対応付けて記憶する構成としてもよい。この場合、複数のシート製造装置100Aで原料容器30を共通して使用できる。さらに、分別装置16Aは、学習データ生成部186によって個々のシート製造装置100Aにおける動作支障の発生率を反映した学習データセット191を生成し、学習部187に学習を実行させることができる。これにより、学習部187は、各々のシート製造装置100Aが有する処理部101に適合する基準値を推定し、判定基準193を生成できる。従って、各々の処理部101に適した基準に基づき原料MAの適否を判定できる。また、この場合、各々のシート製造装置100Aに対応する学習モデルを学習部187が有する構成としてもよい。
【0147】
図4-
図6及び
図10に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサーがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。その他、シート製造システム1、1Aの他の各部の具体的な細部構成についても、趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0148】
図7、
図8、
図11、
図12に示すフローチャートの処理単位は、シート製造システム1、1Aの各部の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。これらのフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0149】
また、第1制御部110及び第2制御部170がそれぞれ実行するプログラムは、各装置に記憶されてもよいし、コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体または半導体メモリーデバイスを用いることができる。また、上記各装置に対応したプログラムをサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置から各部にプログラムをダウンロードすることで、シート製造システム1、1Aの動作を実現することもできる。
【符号の説明】
【0150】
1、1A…シート製造システム(繊維処理システム)、10…供給部、12…粗砕部(裁断部)、14…粗砕刃、16、16A…分別装置、20…解繊部、30…原料容器、31…第3記憶部(記憶部)、40…選別部、41…ドラム部、50…混合部、52…添加物供給部、60…分散部、61…ドラム部、70…第2ウェブ形成部、79…ウェブ搬送部、80…加工部、90…切断部、100、100A…シート製造装置(処理装置)、101…処理部、102…成形部、110…第1制御部(制御部)、113…動作制御部、114…第1記憶部、115…第1通信部(送信部)、116…書込部、130…動作情報、160…筐体、161…原料収容部、163…搬送部(供給部)、163A…ピックアップローラー、163B…供給ローラー、163C…切替アーム、163D…供給位置、163E…分別位置、163F…ガイド、165…原料検査部、165A…変位計、165B…静電容量センサー、165C…イメージセンサー、165D…分光検出器、165E…磁界センサー、166…回収トレイ、168A…ピックアップモーター、168B…アクチュエーター、170…第2制御部、181…検出部、181A…厚み検出部(第1検出部、第2検出部)、181B…静電容量検出部(第1検出部、第2検出部)、181C…形状検出部(第1検出部、第2検出部)、181D…印字状態検出部(第1検出部、第2検出部)、181E…サイズ検出部(第1検出部、第2検出部)、181F…再生紙検出部(第1検出部、第2検出部)、181G…磁気検出部(第1検出部、第2検出部)、182…判定部、183…分別部、184…受信部(取得部)、185…設定部、186…学習データ生成部、187…学習部、189…読取部(取得部)、190…第2記憶部、191…学習データセット、192…動作状態情報、193…判定基準、194…動作目標値、211、212、213…滞留センサー、214…ウェブ状態検出部、215…シート状態検出部、217…駆動部モニター、MA…原料、MB…解繊物、MC…繊維材料、MX…混合物、S…シート、SS1…加圧後シート、SS2…加熱後シート、W1…第1ウェブ、W2…第2ウェブ。