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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-16
(45)【発行日】2024-07-24
(54)【発明の名称】医療用吸引器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20240717BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20240717BHJP
【FI】
A61M27/00
A61M1/00 107
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020013739
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021119867
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 圭司
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-009682(JP,A)
【文献】特表2016-529174(JP,A)
【文献】特開2006-102486(JP,A)
【文献】特開2013-101955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰圧により排液を吸引する医療用吸引器具であって、
陰圧容器と、
前記陰圧容器に接続されており、圧搾操作により収縮する際に内部から外部に排気し、弾性復元する際に前記陰圧容器から吸気する排気部と、
前記陰圧容器内に配置されているバルーンと、
を備え、
前記バルーンの内部は、前記陰圧容器に形成されている細孔を介して外気と連通しており、
前記陰圧容器が陰圧になるにつれて前記バルーンが膨張するようになっており、
前記陰圧容器の内面にオイルと無機材料の微粉末とそれぞれ塗布されており、
前記オイルの塗布領域内に前記微粉末が塗布されている医療用吸引器具。
【請求項2】
前記陰圧容器は直方体形状に形成されており、4つの側面の各々の少なくとも中央部に前記オイルが塗布されている請求項1に記載の医療用吸引器具。
【請求項3】
前記4つの側面の各々の実質的に全面に前記オイルが塗布されている請求項2に記載の医療用吸引器具。
【請求項4】
前記陰圧容器は直方体形状に形成されており、天面の少なくとも中央部に前記オイルが塗布されている請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用吸引器具。
【請求項5】
前記バルーンの外面には、前記陰圧容器の内面に塗布されているのと同種の前記オイルが塗布されている請求項1から4のいずれか一項に記載の医療用吸引器具。
【請求項6】
前記陰圧容器は直方体形状に形成されており、4つの側面の各々の少なくとも中央部に前記微粉末が塗布されている請求項1から5のいずれか一項に記載の医療用吸引器具。
【請求項7】
前記4つの側面の各々の実質的に全面に前記微粉末が塗布されている請求項に記載の医療用吸引器具。
【請求項8】
前記陰圧容器は直方体形状に形成されており、天面の少なくとも中央部に前記微粉末が塗布されている請求項又はに記載の医療用吸引器具。
【請求項9】
前記バルーンの外面には、前記陰圧容器の内面に塗布されているのと同種の前記微粉末が塗布されている請求項からのいずれか一項に記載の医療用吸引器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用吸引器具に関する。
【背景技術】
【0002】
生体からチューブを介して排液(体液)を吸引する医療用吸引器具としては、陰圧容器と、陰圧容器に接続されており圧搾操作により収縮する際に内部から外部に排気し弾性復元する際に陰圧容器から吸気する排気部と、陰圧容器内に配置されているバルーンと、を備え、バルーンの内部は陰圧容器に形成されている細孔を介して外気と連通しており、陰圧容器が陰圧になるにつれてバルーンが膨張するようになっているタイプのものがある。
そのような医療用吸引器具としては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-74914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バルーンが膨張する過程では、バルーンがなるべくスムーズに所望の形状に膨張することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、バルーンがスムーズに所望の形状に膨張することが可能な医療用吸引器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、陰圧により排液を吸引する医療用吸引器具であって、
陰圧容器と、
前記陰圧容器に接続されており、圧搾操作により収縮する際に内部から外部に排気し、弾性復元する際に前記陰圧容器から吸気する排気部と、
前記陰圧容器内に配置されているバルーンと、
を備え、
前記バルーンの内部は、前記陰圧容器に形成されている細孔を介して外気と連通しており、
前記陰圧容器が陰圧になるにつれて前記バルーンが膨張するようになっており、
前記陰圧容器の内面にオイルが塗布されている医療用吸引器具を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、陰圧容器の内面に対するバルーンの引っ掛かりが抑制されるため、バルーンがスムーズに所望の形状に膨張することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る医療用吸引器具の正面図であり、陰圧容器からの排気を行う前の状態を示す。
図2】実施形態に係る医療用吸引器具の正面図であり、陰圧容器からの排気が行われた状態を示す。
図3】実施形態に係る医療用吸引器具の正面図であり、一連の排気動作を行う過程でバルーンが陰圧容器の内面に接触した状態を示す。
図4】実施形態に係る医療用吸引器具を示しており、図2に示すA―A線に沿った平断面図である。
図5図5(a)、図5(b)、図5(c)及び図5(d)は、実施形態における陰圧容器の側壁部を部分拡大した図である。
図6図6(a)、図6(b)、図6(c)及び図6(d)は、実施形態におけるバルーンを部分拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。
【0010】
図1から図6(d)に示すように、本実施形態に係る医療用吸引器具100は、陰圧により排液を吸引する医療用吸引器具100であって、陰圧容器10と、陰圧容器10に接続されており、圧搾操作により収縮する際に内部から外部に排気し、弾性復元する際に陰圧容器10から吸気する排気部30と、陰圧容器10内に配置されているバルーン20と、を備えている。
バルーン20の内部は、陰圧容器10に形成されている細孔18aを介して外気と連通しており、陰圧容器10が陰圧になるにつれてバルーン20が膨張するようになっており、陰圧容器10の内面11aにオイル41が塗布されている。
【0011】
医療用吸引器具100において、バルーン20がある程度膨張すると(陰圧容器10の内部がある程度陰圧となると)、バルーン20の外面21は陰圧容器10の内面11aと接触する(図3参照)。そして、陰圧容器10の内部が更に陰圧となると、バルーン20は陰圧容器10の内面11aに沿って更に膨張する(図2参照)。
【0012】
ここで、本実施形態の場合、陰圧容器10の内面11aの滑り性(潤滑性)がオイル41によって良好となるため、内面11aと外面21との間に生じる摩擦力が小さくなる。よって、内面11aと外面21とが互いにスムーズに摺動することができる。
これにより、陰圧容器10の内部において、陰圧容器10の内面11aに対するバルーン20の外面21の引っ掛かりが抑制され、バルーン20は、自身の膨張に合わせて内面11aに対して容易に相対的に変位することができる。よって、バルーン20は、スムーズに所望の形状に膨張することができる。
【0013】
以下、より詳細に説明する。
図1から図6(d)のうち、図1はバルーン20の自然状態を示しており、図2はバルーン20が最大膨張している状態を示す。また、図3は、バルーン20が自然状態から最大膨張するまでの過程でバルーン20が陰圧容器10の内面11aに接触した瞬間を示している。図4は、バルーン20が最大膨張している状態の平断面図を示している。なお、ここでいうバルーン20が最大膨張している状態とは、図2に示すように、排気部30の弾性復元力と陰圧容器10内部の圧力とが均衡しており、例えば、排気部30が自然状態の形状(図1参照)に復元しない状態となるまで、後述するポンピング操作を行った状態を意味している。そして、図5(a)~図5(d)は陰圧容器10の後述する各側壁部53~56のうちいずれか1つを厚み方向に切断した断面図である。また、図6(a)~図6(d)はバルーン20の一部分を平坦にした状態で、バルーン20の肉厚方向に切断した断面図である。
なお、以下において、「上下方向」は、図1から図3に示す向きで医療用吸引器具100を配置した状態における上下方向をいう。より詳細には、医療用吸引器具100は、図1から図3に示す姿勢で水平な載置面に載置されることにより自立可能となっている。
【0014】
図1から図4に示すように、陰圧容器10の形状は特に限定されないが、陰圧容器10(後述する容器本体11)は、例えば、直方体形状に形成されている。なお、ここでいう直方体とは、3対の対向面があり、各隣接面が互いに略直交していることを意味している。
陰圧容器10は、例えば、水平に配置されている天板51及び底板52と、天板51及び底板52の各々と直交している4つの側壁部53、54、55、56と、を備えている。天板51、底板52及び各側壁部53~56は、例えば、それぞれ板状に形成されている。
図1に示すように、側壁部53及び側壁部54は、互いに対向して配置されている。また、図4に示すように、側壁部55及び側壁部56は、互いに対向して配置されているとともに、側壁部53及び側壁部54の各々に対して直交している。
ここで、陰圧容器10の内面11aは、例えば、天板51の内面(以下、天面51a)及び底板52の内面(以下、底面52a)と、各側壁部53~56の内面(以下、側面53a、54a、55a、56a)と、を含む。
【0015】
陰圧容器10は、例えば、容器本体11と、容器本体11の上端部に装着されているキャップ18と、を備えて構成されている。
図1から図4に示すように、容器本体11(陰圧容器10)は、例えば、上述のように、直方体形状に形成されている。
容器本体11の天板51には、それぞれ上下方向を軸方向とする第1口頸部11bと第2口頸部11cとが形成されている。
第1口頸部11bは、円筒状に形成されており、容器本体11の天板51から上方に突出している。第1口頸部11bの内部空間は、第1口頸部11bの基端(下端)側の開口を介して容器本体11の内部空間と連通している。第1口頸部11bは、外周面にねじ山が形成されており、第1口頸部11bは雄ねじ形状となっている。
キャップ18は、スクリューキャップである。キャップ18は、筒状部と、筒状部の軸方向における一端側を閉塞している平板状の閉塞部と、を備えて構成されている。筒状部の内周面には、第1口頸部11bと螺合するねじ山が形成されている。キャップ18は、筒状部が第1口頸部11bと螺合することによって、第1口頸部11bに対して着脱可能に装着されている。これにより、キャップ18によって、第1口頸部11bの先端(上端)の開口が閉塞されている。キャップ18の閉塞部には、当該閉塞部を上下に貫通する細孔18aが形成されている。
キャップ18の閉塞部には、バルーン20を保持する保持筒部18bが形成されている。保持筒部18bは、キャップ18の筒状部よりも小径に形成されているとともに当該筒状部と同軸に配置されており、キャップ18の閉塞部から下方に向けて垂下している。平面視において、保持筒部18bの内側の範囲に細孔18aが配置されている。
第2口頸部11cは、円筒状に形成されており、容器本体11の天板から上方に突出している。第2口頸部11cの内部空間は、第2口頸部11cの基端(下端)側の開口を介して容器本体11の内部空間と連通している。第2口頸部11cには、一方弁32が設けられている。第2口頸部11cは、一方弁32によって塞がれている。
【0016】
ここで、陰圧容器10(容器本体11)において、天板51及び底板52の各々と各側壁部53~56との境界部は、例えば、全周に亘って面取り形状となっている。したがって、天面51a及び底面52aの各々と各側面53a~56aとの境界部は、例えば、全周に亘って面取り形状となっている。また、各側壁部53~56どうしの境界部は、例えば、面取り形状となっている。したがって、各側面53a~56aどうしの境界部は、例えば、面取り形状となっている。
また、陰圧容器10(容器本体11)が有する8つの角部は、例えば、丸く形成されていてもよい。
【0017】
更に、陰圧容器10は、例えば、容器本体11の天板51に設けられている吸引側チューブ14と、吸引側チューブ14と連通しているコネクタ16と、吸引側チューブ14に装着されているクランプ部材15と、を備えている。
吸引側チューブ14は、可撓性のチューブであり、当該吸引側チューブ14の内部空間は容器本体11の内部空間と連通している。吸引側チューブ14の先端部(上端部)には、筒状のコネクタ16が設けられている。コネクタ16の内部空間は、吸引側チューブ14の内部空間と連通している。コネクタ16の先端(上端)には吸引口16aが形成されている。
クランプ部材15は、一方向に長尺な板状に形成されている。クランプ部材15には、当該クランプ部材15の長手方向に延在するスリットが形成されている。このスリットに吸引側チューブ14が挿通されて、クランプ部材15は吸引側チューブ14によって保持されている。
クランプ部材15のスリットの一部分は、相対的に幅広に形成されている幅広部であり、当該スリットの残部は、相対的に幅狭に形成されている幅狭部である。幅広部と幅狭部とは相互に連続的に配置されている。
吸引側チューブ14がスリットの幅広部を通過するようにクランプ部材15を吸引側チューブ14に対して相対的にスライドさせることによって、吸引側チューブ14の内部の流路が開状態となり、吸引口16aがコネクタ16及び吸引側チューブ14を介して容器本体11の内部空間と連通する。吸引側チューブ14がスリットの幅狭部を通過するようにクランプ部材15を吸引側チューブ14に対して相対的にスライドさせることによって、吸引側チューブ14がクランプ部材15によって締め付けられて吸引側チューブ14の内部の流路が閉状態となり、吸引口16aと容器本体11の内部空間とが相互に遮断されて、陰圧容器10の内部空間が、外部から遮断された閉状態となる。
容器本体11の天面において、吸引側チューブ14、第1口頸部11b及び第2口頸部11cが設けられている位置とは別の位置には、医療用吸引器具100の使用後に排液を排出するための排出口12aが形成されている。
排出口12aには、当該排出口12aを開閉可能な排出口キャップ17が取り付けられている。通常時は、排出口12aは排出口キャップ17によって閉塞されている。
なお、容器本体11には排出口12aが形成されていなくてもよい。この場合、例えば、第1口頸部11bからキャップ18(及びバルーン20)を取り外した状態で、第1口頸部11bの先端の開口から排液を外部に排出するようにしてもよい。
また、容器本体11には、例えば、吸引によって容器本体11に集められた液体の量(集液量)を確認するための目盛が付されていてもよい。
【0018】
容器本体11は、例えば透明な(可視光に対して透明な)樹脂材料によって構成されている。透明な樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、硬質塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、アクリルニトリル-スチレン共重合体樹脂などのスチレン系樹脂、ポリプロピレン(PP)やPEなどのポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
【0019】
バルーン20は、膨張及び収縮が可能な弾性材料によって構成されている。バルーン20の材料は、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム等のゴム材料、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマー材料であることが好ましい。
バルーン20の材料の硬度(JIS硬度)は、特に限定されないが、例えば、20度以上50度以下であることが好ましい。本実施形態の場合、バルーン20を構成している材料の硬度は、一例として、30度前後である。ここで、JIS硬度とは、JIS K 6253に規定されているデュロメータを計測器として用いた方法で測定した値である。
バルーン20の肉厚は、特に限定されないが、例えば、0.2mm以上0.6mm以下であることが好ましい。本実施形態の場合、バルーン20の肉厚は、一例として、0.4mm前後である。
バルーン20の長手寸法は、例えば、40mm以上80mm以下であり、長手方向に対して直交する径方向の寸法は、例えば、15mm以上30mm以下である。
【0020】
バルーン20の形状は特に限定されないが、例えば、一端(上端)が開口となっているとともに他端側が閉塞している筒状に形成されており、膨らむ前の形状(図1参照)は、上下に長尺である。バルーン20の上端側の開口から、キャップ18の保持筒部18bが挿入されて、バルーン20は保持筒部18bに対して気密に装着されている。バルーン20は保持筒部18bによって保持されている。
バルーン20の内部空間は、キャップ18の細孔18aを介して陰圧容器10の外部空間と連通している。
【0021】
図2図3及び図4に示すように、バルーン20が自然状態(図1に示す円筒状の形状)から最大膨張するまでの過程で、天面51aの中央部、底面52aの中央部、4つの側面53a~56aの各々の中央部が、それぞれ主としてバルーン20と接触する。
また、バルーン20が最大膨張している状態では、バルーン20の更なる拡張が陰圧容器10(容器本体11)の内面11aによって規制されるため、バルーン20は陰圧容器10の内面11aに沿った形状に膨らみ、当該陰圧容器10の内面11aに対して密着するようになっている(図2参照)。より詳細には、例えば、バルーン20が陰圧容器10(容器本体11)の8つの隅部(角部)を除く部位であって、第1口頸部11bの形成箇所、第2口頸部11cの形成箇所、吸引側チューブ14との接続部、及び、排出口12aの形成箇所を除く部位に対して密着する。更に詳細には、図2及び図4に示すように、バルーン20が最大膨張している状態において、陰圧容器10の8つの隅部(角部)付近には、例えば、それぞれ陰圧容器10の内面11aとバルーン20の外面21との空隙61~66(一部の空隙については図示を省略)が形成されるようになっている。ただし、バルーン20が最大膨張している状態において、例えば、各空隙61~66が形成されず、バルーン20は、陰圧容器10の8つの隅部(角部)に対しても密着するようになっていてもよい。
【0022】
排気部30は、例えば、中空形状に形成されていて圧搾操作を受け付ける圧搾部材31と、圧搾部材31と外部空間との境界部に設けられている一方弁33と、を備えて構成されている。圧搾操作は、操作者が手で圧搾部材31を圧搾することによって行われる。
圧搾部材31は、例えば、圧搾操作がなされる前の自然状態の形状(図1)が略球形のものである。圧搾部材31は、圧搾操作によって、弾性的に変形(収縮)し、圧搾操作が解除されることによって、弾性復元力により元の形状に復元する。
圧搾部材31は、例えば、当該圧搾部材31の下端に形成されている下側口頸部31cと、当該圧搾部材31の上端に形成されている上側口頸部31dと、を有する。下側口頸部31c及び上側口頸部31dは、それぞれ上下方向を軸方向とする円筒状に形成されている。
上側口頸部31dには、一方弁33が設けられており、上側口頸部31dは一方弁33によって塞がれている。一方弁33は、圧搾部材31の内部から外部(医療用吸引器具100の外部)への排気は許容する一方で、圧搾部材31の外部(医療用吸引器具100の外部)から圧搾部材31の内部への外気の流入は規制する。
圧搾部材31の下側口頸部31cに容器本体11の第2口頸部11cが圧入されて、圧搾部材31が容器本体11に対して気密に装着されている。これにより、容器本体11の内部空間と圧搾部材31の内部空間との境界部には一方弁32が配置されている。
一方弁32は、容器本体11の内部から圧搾部材31の内部への吸気は許容する一方で、圧搾部材31の内部から容器本体11の内部への気体の逆流は規制する。
下側口頸部31cの周囲には結束バンドなどの締結具が設けられていることも好ましい。
圧搾部材31の材料は、特に限定されないが、例えば、天然ゴムであってもよいし、イソプレンゴム又はシリコンゴム等の合成ゴムであってもよい。
【0023】
ここで、排気部30の圧搾部材31に対する1回の圧搾操作により圧搾部材31を収縮させて、圧搾操作の解除により圧搾部材31が1回弾性復元するまでが、1サイクルの排気動作である。また、排気動作を行うための、操作者による操作を、ポンピング操作という。
【0024】
なお、医療用吸引器具100によって吸引した排液は、容器本体11に貯留される。
容器本体11の天面の体液導入口(吸引側チューブ14に連通している箇所)や、排気部30の圧搾部材31への排気口(第2口頸部11cの基端)が、バルーン20で塞がってしまうことを抑制するため、容器本体11の内面において、これら体液導入口や排気口の周囲には、溝(不図示)が形成されていることも好ましい。この溝は、例えば、体液導入口の周囲や、排気口の周囲を、周回状に囲んでいることが好ましい。
また、吸引側チューブ14が容器本体11の角付近に配置されていることも好ましい。バルーン20が縮んだ際にバルーン20と容器本体11の内面との間に最初に間隙が生じる箇所は、容器本体11の角付近であるため、当該角付近(例えば、排出口12aの近傍)に吸引側チューブ14を設けることにより、容器本体11内に排液が入るスペースを、吸引動作の開始時から容易に確保することができる。
なお、体液導入口や排気口の周囲に溝が形成されているとともに、吸引側チューブ14が容器本体11の角付近に配置されていることが、より好ましい。
【0025】
医療用吸引器具100を用いて生体から排液(体液)を吸引するには、先ず、クランプ部材15によって吸引側チューブ14を閉塞している状態で、一端側が生体内に挿入されている図示しないチューブの他端をコネクタ16に接続する。
次に、排気部30の圧搾部材31に対する排気操作(上述のポンピング操作)を繰り返し行い、陰圧容器10の内部の空気を医療用吸引器具100の外部に排気することによって、陰圧容器10の内部を陰圧にする。
排気部30の圧搾部材31が圧搾操作により収縮する際には、圧搾部材31内の空気は、一方弁33を介して医療用吸引器具100の外部に排気される。圧搾操作が解除されて圧搾部材31が弾性復元する際には、容器本体11の内部の空気が一方弁32を介して圧搾部材31の内部に導入(吸気)される。
陰圧容器10の内部が陰圧になるにつれて、バルーン20は容器本体11の内部で膨らむ(図2参照)。なお、バルーン20の内部空間は、保持筒部18bの内部空間と細孔18aとを介して医療用吸引器具100の外部空間と連通しているため、バルーン20が膨らむ際には、バルーン20内に外気が導入される。なお、上述のように、バルーン20が自然状態から最大膨張するまでの過程で、バルーン20は容器本体11の内面11aに接触する(図3及び図4参照)。
圧搾部材31の弾性復元力と陰圧容器10の内部の圧力とが均衡するまで、圧搾部材31の圧搾操作とその解除とが繰り返されることによって、一連の排気動作が完了する。
【0026】
次に、クランプ部材15によって吸引側チューブ14を開状態にすることによって、生体から排液を吸引することができる。すなわち、排液は、図示しないチューブ、コネクタ16及び吸引側チューブ14をこの順に通って、容器本体11に吸引される。吸引された排液は、容器本体11に貯留される。こうして、例えば、人体の創部から血液、滲出液等の排液を行うことができる。
排液を吸引する過程で、陰圧容器10の内部の圧力(容器本体11の内部の圧力)は、徐々に大気圧に近づく。つまり、徐々に吸引圧が弱まる。また、排液を吸引する過程で、バルーン20は徐々に萎む。
なお、排気動作の際には、必ずしも、クランプ部材15によって吸引側チューブ14を閉塞する必要はない。また、排液の吸引の途中で、クランプ部材15によって吸引側チューブ14を閉塞することによって、吸引を中断することもできる。
【0027】
ここで、本実施形態の場合、陰圧容器10(容器本体11)の4つの側面53a~56aの各々の少なくとも中央部にオイル41が塗布されている。
これにより、4つの側面53a~56aの各々の少なくとも中央部において、滑り性が良好となる。換言すると、4つの側面53a~56aの各々において、主としてバルーン20と接触する箇所の滑り性が良好となる。よって、内面11aに対するバルーン20の引っ掛かりをより好適に抑制することができる。
なお、ここでいう各側面53a~56aの中央部とは、少なくとも各側面53a~56aの周縁部を除いた部分である。
【0028】
なお、好ましくは、陰圧容器10(容器本体11)の4つの側面53a~56aの各々の実質的に全面にオイル41が塗布されている。
これにより、4つの側面53a~56aの各々の実質的に全面において、滑り性が良好となる。
したがって、バルーン20が膨張によって陰圧容器10の内面11aのいずれの箇所に接触したとしても、内面11aに対するバルーン20の引っ掛かりが抑制されるため、バルーン20は、スムーズに所望の形状に膨張できる。
なお、ここでいう各側面53a~56aの全面とは、各側面53a~56aどうしの境界部(上述の面取り形状となっている部分)を除いた平面状の部分を意味している。各側面53a~56aどうしの境界部においては、オイル41は、塗布されていてもよいし、塗布されていなくてもよい。より詳細には、内面11aにおいて、各空隙61~66と対応している箇所(最大膨張しているバルーン20と接触しない箇所)には、オイル41は、塗布されていてもよいし、塗布されていなくてもよい。
【0029】
更に好ましくは、陰圧容器10(容器本体11)の天面51aの少なくとも中央部にオイル41が塗布されている。
これにより、バルーン20の膨張によって、バルーン20が天面51aと接触する際に、天面51aに対するバルーン20の引っ掛かりが抑制されるため、バルーン20は、スムーズに所望の形状に膨張できる。
なお、ここでいう天面51aの中央部とは、第1口頸部11bの周囲縁部を意味しており、すなわち、第1口頸部11bの陰圧容器10側の開口の形成箇所と、天面51aと各側面53a~56aとの境界部と、を除いた部分である。
また、陰圧容器10(容器本体11)の底面52aの少なくとも中央部にオイル41が塗布されていることも好ましい。
これにより、バルーン20が底面52aと接触する際に、底面52aに対するバルーン20の引っ掛かりが抑制されるため、バルーン20は、スムーズに所望の形状に膨張できる。
【0030】
更に、本実施形態の場合、陰圧容器10(容器本体11)の内面11aに無機材料の微粉末42が塗布されている。
これにより、内面11aの滑り性が微粉末42によって更に良好となるため、外面21と内面11aとの間に生じる摩擦力がより小さくなる。
よって、陰圧容器10の内部において、内面11aに対するバルーン20の引っ掛かりが抑制されるため、バルーン20は、自身の膨張に合わせて内面11aに対してより良好に変位することができる。したがって、バルーン20はよりスムーズに所望の形状に膨張することができる。
【0031】
なお、好ましくは、陰圧容器10(容器本体11)の4つの側面53a~56aの各々の少なくとも中央部に微粉末42が塗布されている。
これにより、4つの側面53a~56aの各々の少なくとも中央部において、滑り性が更に良好となる。換言すると、4つの側面53a~56aの各々において、主としてバルーン20と接触する箇所の滑り性が更に良好となる。
よって、内面11aに対するバルーン20の引っ掛かりをより好適に抑制することができる。
なお、ここでいう各側面53a~56aの中央部とは、少なくとも各側面53a~56aの周縁部を除いた部分である。
【0032】
より好ましくは、陰圧容器10(容器本体11)の4つの側面53a~56aの各々の実質的に全面に微粉末42が塗布されている。
これにより、バルーン20が自然状態から最大膨張するまでの過程で、バルーン20が陰圧容器10の内面11aにおけるいずれの箇所に接触したとしても、内面11aに対するバルーン20の引っ掛かりが抑制されるため、バルーン20は、スムーズに所望の形状に膨張できる。
なお、ここでいう全面とは、各側面53a~56aにおける各側面53a~56aどうしの境界部(上述の面取り形状となっている部分)を除いた平面状の部分を意味している。よって、各側面53a~56aどうしの境界部においては、微粉末42は、塗布されていてもよいし、塗布されていなくてもよい。より詳細には、陰圧容器10の内面11aにおいて、各空隙61~68と対応している箇所(最大膨張しているバルーン20と接触しない箇所)においては、微粉末42は、塗布されていてもよいし、塗布されていなくてもよい。
【0033】
更に好ましくは、陰圧容器10(容器本体11)の天面51aの少なくとも中央部に微粉末42が塗布されている。
これにより、バルーン20の膨張する際に、天面51aに対するバルーン20の引っ掛かりが抑制されるため、バルーン20は、よりスムーズに所望の形状に膨張できる。
なお、ここでいう天面51aの中央部とは、第1口頸部11bの周囲縁部を含み、第1口頸部11bの陰圧容器10側の開口の形成箇所と、天面51aと各側面53a~56aとの境界部と、を除いた部分である。
また、陰圧容器10(容器本体11)の底面52aの少なくとも中央部に微粉末42が塗布されていることも好ましい。
これにより、底面52aに対するバルーン20の引っ掛かりが抑制されるため、バルーン20は、よりスムーズに所望の形状に膨張できる。
【0034】
なお、本実施形態の場合、側面53a~56a及び天面51aのうち少なくとも一面にオイル41が塗布されており、当該面且つオイル41の塗布領域内に微粉末42が塗布されていることが好ましい。
【0035】
本発明において、オイル41を陰圧容器10の内面11aに塗布する手法は特に限定されないが、例えば、ハケ等の塗布器具(不図示)を用いて、オイル41を陰圧容器10の内面11aに塗布することができる。
同様に、本発明において、微粉末42を陰圧容器10の内面11aに塗布する手法は特に限定されないが、内面11aに微粉末42を撒くことによって、微粉末42を内面11aに塗布することができる。
更に、本発明において、オイル41と微粉末42とを混合し得られる混合物を、ハケ等の塗布器具(不図示)を用いて、内面11aに塗布してもよい。
また、本発明において、少なくともオイル41が陰圧容器10の内面11aに塗布されていればよく、微粉末42は、例えば、内面11aに塗布されていなくてもよい。
なお、例えば、バルーン20の外面21に予めオイル41及び微粉末42を塗布し、バルーン20を陰圧容器10の内面11aと接触させることによって、オイル41及び微粉末42を内面11aに転写(塗布)してもよい。
【0036】
図5(a)~図5(d)に示すように、オイル41は、例えば、内面11aに対して密着して被膜状に塗布されている。
また、内面11aにおいて、オイル41に対する微粉末42の位置は特に限定されず、微粉末42が内面11aに対して良好に塗布されていればよい。
より詳細には、例えば図5(a)に示すように、オイル41によって覆われている微粉末42と、オイル41の表面から外部に露出している微粉末42と、が混在していてもよいし、例えば図5(b)に示すように、すべての微粉末42の全体がオイル41によって覆われていてもよい。また、例えば図5(c)に示すように、すべての微粉末42又は一部の微粉末42が、内面11aに対して接触していてもよいし、内面11aに対して非接触となっていてもよい。更に、例えば図5(d)に示すように、すべての微粉末42の一部分がオイル41の表面から外部に露出しており、微粉末42のその他の部分がオイル41によって覆われていてもよい。
すなわち、内面11aにおいて、すべての微粉末42又は一部の微粉末42が、内面11aに対して接触していてもよいし、内面11aに対して非接触となっていてもよい。
【0037】
更に、本実施形態の場合、バルーン20の外面21には、陰圧容器10の内面11aに塗布されているのと同種のオイル41が塗布されている。
これにより、オイル41が塗布されているため、バルーン20の外面21の滑り性が良好となる。よって、バルーン20が膨張する際に、内面11aに対するバルーン20の引っ掛かりがより好適に抑制されるので、バルーン20はより容易に所望の形状に膨張することができる。
また、内面11aに塗布されているのと同種のオイル41を用いることによって、本実施形態に係る医療用吸引器具100の製造容易性が良好となる。ただし、外面21に塗布されているオイル41は、内面11aに塗布されているのと異種のオイルであってもよい。
オイル41は、例えば、バルーン20の外面21の実質的に全面に塗布されていることが好ましい。これにより、バルーン20において、いずれの部位が内面11aと接触したとしても、バルーン20が内面11aに対して引っ掛かることを好適に抑制できる。
ただし、オイル41は、バルーン20の外面21の一部分(好ましくは主として内面11aと接触する部分)に塗布されていてもよい。
【0038】
また、本実施形態の場合、バルーン20の外面21には、陰圧容器10の内面11aに塗布されているのと同種の微粉末42が塗布されている。
これにより、微粉末42が塗布されているため、バルーン20の外面21の滑り性が更に良好となる。よって、バルーン20が膨張する際に、内面11aに対するバルーン20の引っ掛かりがより好適に抑制されるので、バルーン20はよりスムーズに所望の形状に膨張することができる。
また、内面11aに塗布されているのと同種の微粉末42を用いることによって、本実施形態に係る医療用吸引器具100の製造容易性が良好となる。ただし、外面21に塗布されている微粉末42は、内面11aに塗布されているのと異種の微粉末であってもよい。
微粉末42は、例えば、バルーン20の外面21の実質的に全面に塗布されていることが好ましい。これにより、バルーン20において、いずれの部位が内面11aと接触したとしても、バルーン20が内面11aに対して引っ掛かることを好適に抑制できる。
ただし、微粉末42は、バルーン20の外面21の一部分(好ましくは主として内面11aと接触する部分)に塗布されていてもよい。
【0039】
本発明において、オイル41をバルーン20の外面21に塗布する手法は特に限定されないが、例えば、バルーン20をオイル41に浸漬することによって、オイル41を外面21に塗布することができる。
また、本発明において、微粉末42をバルーン20の外面21に塗布する手法は特に限定されないが、例えば、バルーン20の外面21に微粉末42を撒くことによって、微粉末42を外面21に塗布することができる。
なお、本発明において、少なくともオイル41がバルーン20の外面21に塗布されていればよく、例えば、微粉末42は外面21に塗布されていなくてもよい。
【0040】
図6(a)~図6(d)に示すように、バルーン20の外面21において、オイル41は、例えば、外面21に対して密着して被膜状に塗布されている。
また、外面21において、オイル41に対する微粉末42の位置は特に限定されず、微粉末42が外面21に対して良好に塗布されていればよい。
より詳細には、例えば図6(a)に示すように、オイル41によって覆われている微粉末42と、オイル41の表面から外部に露出している微粉末42と、が混在していてもよいし、例えば図6(b)に示すように、すべての微粉末42の全体がオイル41によって覆われていてもよい。また、例えば図6(c)に示すように、すべての微粉末42又は一部の微粉末42が、外面21に対して接触していてもよいし、外面21に対して非接触となっていてもよい。更に、例えば図6(d)に示すように、すべての微粉末42の一部分がオイル41の表面から外部に露出しており、微粉末42のその他の部分がオイル41によって覆われていてもよい。
すなわち、外面21において、すべての微粉末42又は一部の微粉末42が、外面21に対して接触していてもよいし、外面21に対して非接触となっていてもよい。
【0041】
オイル41は、例えば、ジメチルシリコーンオイルなどのシリコーンオイルが挙げられる。ただし、オイル41は、シリコーンオイルに限定されず、エステルオイル、フッ素オイル、オリーブ油やヒマシ油等の植物油、液状ラノリン等の動物油などであってもよい。
また、オイル41には、例えば、添加剤などが含まれていてもよい。更に、オイル41の様態は、半固体状のグリースに限定されず、液体であってもよい。
【0042】
更に、微粉末42は、例えば、無機材料であることが好ましく、当該無機材料として、微粉砕細タルク(タルカムパウダー)が挙げられる。一例として、微粉砕細タルクは、例えば、含水珪酸マグネシウム(平均粒子径9.0μm)であり、単斜晶系の結晶構造を有し、モース硬度は1である。ただし、オイル41は、微粉砕細タルクに限定されず、シリカ、炭酸カルシウム、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、アクリル樹脂パウダー、ナイロンパウダーなどであってもよい。
【0043】
また、本実施形態に係る医療用吸引器具100において、容器本体11の天面における排気部30の配置、陰圧容器10の容積、容器本体11の容積、バルーン20の外面21と容器本体11の内面11aに対するオイルの塗布の有無、その塗布量、細孔18aの寸法、バルーン20の外面に対するタルクの塗布の有無、その塗布量などについて、適切に設定することができる。
【0044】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
例えば、上記の実施形態では、陰圧容器10は単体の容器により構成されている例を説明したが、陰圧容器10が第1容器と第2容器との2つの容器を備えて構成されていてもよい。
陰圧容器10が第1容器と第2容器とを備える場合、例えば、第1容器にキャップ18、バルーン20及び排気部30が設けられており、第2容器に吸引側チューブ14及びコネクタ16が設けられているとともに排出口12aが形成されている構成とすることができる。この場合の医療用吸引器具100は、例えば、第1容器の内部空間と第2容器の内部空間とを相互に連通させる連結チューブを備える。そして、バルーン20は第1容器の内部で膨らみ、排液は、例えば第2容器に貯留される。
また、陰圧容器10は、互いに連通する3つ以上の容器を備えて構成されていてもよい。
【0045】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)陰圧により排液を吸引する医療用吸引器具であって、
陰圧容器と、
前記陰圧容器に接続されており、圧搾操作により収縮する際に内部から外部に排気し、弾性復元する際に前記陰圧容器から吸気する排気部と、
前記陰圧容器内に配置されているバルーンと、
を備え、
前記バルーンの内部は、前記陰圧容器に形成されている細孔を介して外気と連通しており、
前記陰圧容器が陰圧になるにつれて前記バルーンが膨張するようになっており、
前記陰圧容器の内面にオイルが塗布されている医療用吸引器具。
(2)前記陰圧容器は直方体形状に形成されており、4つの側面の各々の少なくとも中央部に前記オイルが塗布されている(1)に記載の医療用吸引器具。
(3)前記4つの側面の各々の実質的に全面に前記オイルが塗布されている(2)に記載の医療用吸引器具。
(4)前記陰圧容器は直方体形状に形成されており、天面の少なくとも中央部に前記オイルが塗布されている(1)から(3)のいずれか一項に記載の医療用吸引器具。
(5)前記バルーンの外面には、前記陰圧容器の内面に塗布されているのと同種の前記オイルが塗布されている(1)から(4)のいずれか一項に記載の医療用吸引器具。
(6)前記陰圧容器の内面に無機材料の微粉末が塗布されている(1)から(5)のいずれか一項に記載の医療用吸引器具。
(7)前記陰圧容器は直方体形状に形成されており、4つの側面の各々の少なくとも中央部に前記微粉末が塗布されている(6)に記載の医療用吸引器具。
(8)前記4つの側面の各々の実質的に全面に前記微粉末が塗布されている(7)に記載の医療用吸引器具。
(9)前記陰圧容器は直方体形状に形成されており、天面の少なくとも中央部に前記微粉末が塗布されている(7)又は(8)に記載の医療用吸引器具。
(10)前記バルーンの外面には、前記陰圧容器の内面に塗布されているのと同種の前記微粉末が塗布されている(6)から(9)のいずれか一項に記載の医療用吸引器具。
【符号の説明】
【0046】
10 陰圧容器
11 容器本体
11a 内面
11b 第1口頸部
11c 第2口頸部
12a 排出口
14 吸引側チューブ
15 クランプ部材
16 コネクタ
16a 吸引口
17 排出口キャップ
18 キャップ
18a 細孔
18b 保持筒部
20 バルーン
21 外面
30 排気部
31 圧搾部材
31c 下側口頸部
31d 上側口頸部
32、33 一方弁
41 オイル
42 微粉末
51 天板
51a 天面
52 底板
52a 底面
53~56 側面部
53a~56a 側面
61~66 空隙
100 医療用吸引器具
図1
図2
図3
図4
図5
図6